(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138953
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】センサ対応陰圧創傷治療被覆材の生体適合性封止および部品の応力緩和
(51)【国際特許分類】
A61F 13/00 20060101AFI20230926BHJP
A61F 13/02 20060101ALI20230926BHJP
A61L 15/16 20060101ALI20230926BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
A61F13/00 301Z
A61F13/00 T
A61F13/02 310M
A61L15/16 100
A61P17/02
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023101065
(22)【出願日】2023-06-20
(62)【分割の表示】P 2020500905の分割
【原出願日】2018-07-23
(31)【優先権主張番号】62/536921
(32)【優先日】2017-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/536926
(32)【優先日】2017-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/556461
(32)【優先日】2017-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】1804502.1
(32)【優先日】2018-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
2.BLUETOOTH
3.WINDOWS
(71)【出願人】
【識別番号】391018787
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Building 5,Croxley Park,Hatters Lane,Watford,Hertfordshire WD18 8YE,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ケネス・フレイジャー・グルージョン・ハント
(72)【発明者】
【氏名】リー・パーティントン
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス・クラレンス・キンタナル
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・リー・スチュワード
(72)【発明者】
【氏名】シャーロット・アーウィン
(57)【要約】
【課題】生体適合性コーティングを用いて創傷被覆材の一部分を封止するための装置および方法が開示される。
【解決手段】いくつかの実施形態では、方法は、創傷被覆材の可撓性の創傷接触層の第一の面を疎水性コーティングでコーティングすることを含む。創傷接触層の第一の面は、複数の電子部品を支持することができる。方法はさらに、第一の面の反対側の創傷接触層の第二の面を疎水性コーティングでコーティングすることを含むことができる。創傷接触層は、少なくとも部分的に親水性材料から形成されることができる。
【選択図】
図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷被覆材をコーティングするための方法であって、
前記創傷被覆材の可撓性の創傷接触層の第一の面を疎水性コーティングでコーティングするステップであって、前記創傷接触層の前記第一の面は複数の電子部品を支持する、コーティングステップと、
前記第一の面の反対側の前記創傷接触層の第二の面を疎水性コーティングでコーティングするステップであって、前記創傷接触層は少なくとも部分的に親水性材料から形成される、コーティングするステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記創傷接触層を前記コーティングで封止するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コーティングは疎水性である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティングは実質的に伸縮性である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
複数の前記電子部品は、少なくとも一つの電子接続部を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
複数の前記電子部品のうちの少なくともいくつかを複数のコーティング層でコーティングするステップをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記創傷接触層の第一および第二の面をコーティングするステップは、コーティングを噴霧するステップを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記コーティングは、IEC 60601規格に準拠した材料から形成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
複数の前記電子部品を支持する実質的に可撓性の前記創傷接触層の前記第一の面をコーティングする前に、前記実質的に可撓性の創傷接触層に少なくとも一つの穿孔を形成するステップをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも一つの電子部品の下に少なくとも一つの穿孔を形成するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第一の面をコーティングする場合、前記実質的に可撓性の創傷接触層の前記第二の面よりも前記第一の面により高い圧力を加えるステップをさらに含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法で製造および/またはコーティングされる創傷被覆材。
【請求項13】
プロセスによって調製される創傷被覆材であって、前記プロセスは、
前記創傷被覆材の創傷接触層の第一の面上に複数の電子部品を配置するステップであって、前記創傷接触層は親水性材料から少なくとも部分的に形成される、配置するステップと、
複数の前記電子部品を備える前記創傷接触層の前記第一の面を疎水性コーティングでコーティングするステップと、
前記第一の面の反対側の前記創傷接触層の第二の面を前記疎水性コーティングでコーティングするステップと、を含む、創傷被覆材。
【請求項14】
前記創傷接触層は可撓性である、請求項13に記載の創傷被覆材。
【請求項15】
前記コーティングは実質的に伸縮性である、請求項13または14に記載の創傷被覆材。
【請求項16】
前記コーティングは、IEC 60601規格に準拠した材料から形成される、請求項13~15のいずれか一項に記載の創傷被覆材。
【請求項17】
前記プロセスは、前記創傷接触層の前記第一の面を前記疎水性コーティングでコーティングする前に、複数の前記電子部品を別の実質的に非伸縮性のコーティングでコーティングするステップをさらに含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の創傷被覆材。
【請求項18】
前記プロセスは、複数の前記電子部品を支持する前記創傷接触層の前記第一の面をコーティングする前に、前記創傷接触層に少なくとも一つの穿孔を形成するステップをさらに含む、請求項13~17のいずれか一項に記載の創傷被覆材。
【請求項19】
少なくとも一つの前記穿孔は少なくとも一つの電子部品の下に形成される、かつ/または、
前記プロセスは、前記第一の面をコーティングする場合、前記創傷接触層の前記第二の面よりも前記第一の面により高い圧力を加えるステップをさらに含む、請求項18に記載の創傷被覆材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、「BIOCOMPATIBLE ENCAPSULATION OF COMPONENTS IN SENSOR ENABLED NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY DRESSINGS(センサ対応陰圧創傷治療被覆材における部品の生体適合性封止)」と題する2017年7月25日出願の米国仮出願第62/536,921号、「BIOCOMPATIBLE ENCAPSULATION AND COMPONENT STRESS RELIEF FOR SENSOR ENABLED NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY DRESSINGS(センサ対応陰圧創傷治療被覆材の生体適合性封止および部品の応力緩和)」と題する2017年7月25日出願の米国仮出願第62/536,926号、「BIOCOMPATIBLE ENCAPSULATION AND COMPONENT STRESS RELIEF FOR SENSOR ENABLED NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY DRESSINGS(センサ対応陰圧創傷治療被覆材の生体適合性封止および部品の応力緩和)」と題する2017年9月10日出願の米国仮出願第62/556,461号、ならびに「BIOCOMPATIBLE ENCAPSULATION AND COMPONENT STRESS RELIEF FOR SENSOR ENABLED NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY DRESSINGS(センサ対応陰圧創傷治療被覆材の生体適合性封止および部品の応力緩和)」と題する2018年3月21日出願の英国仮出願第1804502.1号の優先権を主張し、当該出願のそれぞれの全内容は引用することにより本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
本開示の実施形態は、様々な治療方法と通信するセンサ対応モニタリングを介した組織の治療のための装置、システム、および方法に関する。
【0003】
[関連技術の説明]
医療のほぼすべての領域が、特に治療中にこのような情報がリアルタイムで収集される場合、治療される組織、器官、またはシステムの状態に関する改善された情報から恩恵を受ける可能性があるが、多くのタイプの治療は、センサデータ収集を使用することなく、依然として日常的に実施されている。代わりに、こうした治療は、介護者または定量的センサデータではなくその他の限定的手段による目視検査に依存する。例えば、被覆材および/または陰圧創傷療法を介した創傷治療の場合、データ収集は一般的に介護者による目視検査に限定され、また多くの場合、下にある創傷組織は包帯またはその他の視覚障害物によって遮られうる。損傷を受けていない無傷の皮膚でさえ、潰瘍につながりうる血管損傷または深部組織損傷など、裸眼には見えない潜在的な損傷を有しうる。創傷治療と同様に、ギプスまたはその他の覆いで肢の固定化を必要とする整形外科処置中も、限定された情報のみしか下層組織について収集されない。骨プレートなどの内部組織修復の場合、継続的な直接センサ駆動データ収集は実施されない。さらに、筋骨格機能を保持するために使用される留め具および/またはスリーブは、下にある筋肉の機能または肢の動きを監視しない。直接処置の外には、患者パラメータを監視する能力を追加することによって、ベッドおよび毛布などの一般的な病室のアイテムが改善されうる。
【0004】
したがって、特に既存の治療方法に組み込むことができるセンサ対応型基材の使用により、改善されたセンサモニタリングへのニーズがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いくつかの実施形態によれば、創傷被覆材をコーティングする方法が提供され、方法は、
創傷被覆材の可撓性の創傷接触層の第一の面を疎水性コーティングでコーティングすることであって、創傷接触層の第一の面は複数の電子部品を支持する、コーティングすることと、
第一の面の反対側の創傷接触層の第二の面を疎水性コーティングでコーティングすることであって、創傷接触層は少なくとも部分的に親水性材料から形成される、コーティングすることと、を含む。
【0006】
前段落のいずれかに記載された創傷被覆材をコーティングする方法は、以下の特徴の一つまたは複数をさらに含んでもよい。方法は、創傷接触層をコーティングで封止することを含むことができる。コーティングは、疎水性、生体適合性、および/または実質的に伸縮性であることができる。複数の電子部品は、少なくとも一つの電子接続部を備えてもよい。方法はさらに、複数の電気部品のうちの少なくともいくつかを複数のコーティング層でコーティングすることをさらに含んでもよい。創傷接触層の第一および第二の面をコーティングすることは、コーティングを噴霧することを含んでもよい。噴霧することは、圧縮空気または不活性ガスを用いて噴霧することを含む。コーティングは、IEC 60601規格に準拠した材料で形成されることができる。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、創傷被覆材をコーティングする方法が提供され、方法は、
創傷被覆材の可撓性の創傷接触層の第一の面によって支持される複数の電子部品を第一の生体適合性コーティングでコーティングすることと、
創傷接触層の第一の面および第一の面の反対側の創傷接触層の第二面のうちの一つまたは複数の残りの領域を第二の生体適合性コーティングでコーティングすることと、を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、前段落のいずれかに記載されているものは、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含むことができる。第一のコーティングは、実質的に非伸縮性であってもよい。第一のコーティングは、少なくともDymax 20351、Dymax 20558、Dymax 9001-E、またはLoctite 3211のうちの少なくとも一つを含むことができる。創傷接触層は、少なくとも部分的に親水性材料から形成されてもよい。第一および第二のコーティングは疎水性であってもよく、および/またはIEC 60601規格に準拠した材料から形成されてもよい。第一のコーティングは、約50,000センチポアズ以下の粘度を有することができる。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、創傷被覆材をコーティングする方法が提供され、方法は、
創傷被覆材の可撓性の創傷接触層の第一の面によって支持される複数の電子部品を非生体適合性コーティングでコーティングすることと、
複数の電子部品を備える創傷接触層の第一の面および第一の面の反対側の創傷接触層の第二の面を生体適合性コーティングでコーティングすることと、を含む。
【0010】
前段落のいずれかに記載の方法は、以下の特徴の一つまたは複数を含むことができる。非生体適合性コーティングは、実質的に非伸縮性であってもよい。いくつかの実施形態では、創傷接触層の第一を生体適合性コーティングでコーティングすることは、複数の電子部品を覆う非生体適合性コーティングをコーティングすることを含む。生体適合性コーティングは疎水性であってもよく、および/またはIEC 60601規格に準拠した材料から形成されてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、創傷被覆材をコーティングする方法が提供され、方法は、
創傷被覆材の可撓性の創傷接触層を第一と第二のフレームとの間に実質的に張力で配置することであって、創傷接触層は、第一の面の表面から突出する複数の電子部品を支持する第一の面および第一の面の反対側の第二の面を備え、第二の面は実質的に滑らかである、配置することと、
創傷接触層を生体適合性コーティングでコーティングすることと、を含む。
【0012】
前段落のいずれかに記載の方法は、以下の特徴の一つまたは複数を含むことができる。方法は、創傷接触層の第一の面を、モールドによって実質的に平坦な位置に支持することであって、モールドは複数の電子部品を支持するように構成される複数の凹部を備える、支持することと、創傷接触層の第二の面にコーティングを実質的に均一に適用することと、をさらに含むことができる。方法は、創傷接触層の第二の面を第一のフレームと第二のフレームとの間で実質的に平坦な位置に支持することと、創傷接触層の第一の面にコーティングを実質的に均一に適用することと、をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、コーティングは、生体適合性コーティングを噴霧することと、および/または創傷接触層を生体適合性コーティングで封止することと、を含むことができる。噴霧することは、圧縮空気または不活性ガスを用いて噴霧することを含んでもよい。生体適合性コーティングは、IEC 60601規格に準拠する材料から形成される。いくつかの実施形態では、方法は、複数の電子部品を支持する実質的に可撓性の創傷接触層の第一の面をコーティングする前に、実質的に可撓性の創傷接触層に少なくとも一つの穿孔を形成することをさらに含むことができる。方法は、少なくとも一つの電子部品の下に少なくとも一つの穿孔を形成することをさらに含むことができる。方法は、第一の面をコーティングする場合、実質的に可撓性の創傷接触層の第二の面よりも第一の面により高い圧力を加えることをさらに含むことができる。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、
創傷被覆材の創傷接触層の第一の面上に複数の電子部品を配置することであって、創傷接触層は親水性材料から少なくとも部分的に形成される、配置することと、
複数の電子部品を備える創傷接触層の第一の面を疎水性コーティングでコーティングすることと、
創傷接触層の第一の面と反対側の第二の面を疎水性コーティングでコーティングすることと、を含むプロセスにより調製された創傷被覆材が提供される。
【0014】
前段落のいずれかに記載の創傷被覆材は、次の特徴のうちの一つまたは複数を含むことができる。創傷接触層は可撓性であってもよい。コーティングは、生体適合性であっても、実質的に伸縮性であっても、および/またはIEC 60601規格に準拠した材料から形成されてもよい。プロセスは、創傷接触層の第一の面を疎水性コーティングでコーティングする前に、複数の電子部品を別の実質的に非伸縮性のコーティングでコーティングすることをさらに含んでもよい。プロセスは、複数の電子部品を支持する創傷接触層の第一の面をコーティングする前に、創傷接触層に少なくとも一つの穿孔を形成することをさらに含んでもよい。少なくとも一つの穿孔は、少なくとも一つの電子部品の下に形成されてもよい。プロセスは、第一の面をコーティングする場合、創傷接触層の第二の面よりも第一の面により高い圧力を加えることをさらに含むことができる。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載の方法のいずれかによって製造および/またはコーティングされた創傷被覆材が提供される。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、創傷被覆材をコーティングするための装置が提供され、装置は、
第一のフレームと、
第一のフレームに取り付けられるように構成され、さらに第一と第二のフレームとの間に創傷被覆材の可撓性の創傷接触層を固定するように構成される第二のフレームであって、創傷接触層が、第一の面の表面から突出する複数の電子部品を支持する第一の面と、第一の面の反対側にある第二の面を含み、第二の面は実質的に滑らかである、第二のフレームと、を備え、
第一および第二のフレームは、創傷接触層の第一および第二の面に生体適合性コーティングを適用できるように、創傷接触層を実質的に張力で支持するように構成される。
【0017】
前段落のいずれかに記載の装置は、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含むことができる。装置は、基部と、複数の電子部品を支持するように構成される複数の凹部を備えるモールドとをさらに備えてもよく、モールドおよび第一のフレームはベース上に配置されるように構成され、モールドは、創傷接触層の第一の面を実質的に平坦な位置に支持して、コーティングを創傷接触層の第二の面に実質的に均一に適用できるようにさらに構成される。モールドは、複数の創傷接触層を実質的に平坦な位置に支持するように構成されてもよく、複数の創傷接触層のうちの少なくとも第一の創傷接触層は、複数の創傷接触層のうちの第二の創傷接触層とは異なる電子部品の配置を備える。創傷接触層は、熱可塑性ポリウレタンを備えてもよい。コーティングはウレタンアクリレートを含んでもよく、および/または創傷接触層を封止するために適用されてもよい。プレートまたはモールドのうちの少なくとも一つは、ナイロンまたはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、コーティングは噴霧として適用されてもよい。装置は、圧縮空気または不活性ガスで充填される貯蔵部を備え、創傷接触層上に未硬化コーティングを吐出し、それにより酸素を除去し、コーティングを硬化させるように構成される噴霧装置をさらに備えてもよい。創傷接触層は、陰圧創傷治療の提供に使用されるように構成されてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、創傷被覆材をコーティングするための装置が提供され、装置は、
創傷被覆材の創傷接触層の第一の面上に支持される複数の電子部品を支持するように構成される複数の凹部を備える本体を備え、複数の電子部品は第一の面の表面から突出し、創傷接触層は第一の面の反対側の実質的に滑らかな第二の面をさらに含み、
本体は、創傷接触層の第二の面に生体適合性コーティングを適用できるように、創傷接触層の第一の面を実質的に平坦な位置に支持するように構成される。
【0019】
前段落のいずれかに記載の装置は、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含むことができる。複数の凹部は、複数の電子部品の形状および配置に実質的に一致するように成形されおよび配置され、成形されてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、電子デバイスをコーティングする方法が提供され、方法は、
電子デバイスの可撓性基材の第一の面を疎水性コーティングでコーティングすることであって、基材の第一の面は複数の電子部品を支持する、コーティングすることと、
第一の面の反対側の基材の第二の面を疎水性コーティングでコーティングすることであって、基材は少なくとも部分的に親水性材料から形成される、コーティングすることと、を含む。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、電子デバイスをコーティングするための方法が提供され、方法は、
電子デバイスの可撓性基材の第一の面によって支持される複数の電子部品を、第一の生体適合性コーティングでコーティングすることと、
基材の第一の面および第一の面の反対側の基材の第二の面のうちの一つまたは複数の残りの領域を第二の生体適合性コーティングでコーティングすることと、を含む。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、電子デバイスをコーティングするための方法が提供され、方法は、
電子デバイスの可撓性基材の第一の面によって支持される複数の電子部品を、非生体適合性コーティングでコーティングすることと、
複数の電子部品を備える基材の第一の面および第一の面の反対側の基材の第二の面を生体適合性コーティングでコーティングすることと、を含む。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、電子デバイスをコーティングするための方法が提供され、方法は、
電子デバイスの可撓性の基材を第一と第二のフレームとの間に実質的に張力で配置することであって、基材は、第一の面の表面から突出する複数の電子部品を支持する第一の面および第一の面の反対側の第二の面を備え、第二の面は実質的に滑らかである、配置することと、
基材を生体適合性コーティングでコーティングすることと、を含む。
【0024】
創傷被覆材、装置、キットおよび関連する方法のその他の実施形態を以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
ここで、本開示の実施形態は、添付の図面を参照して、例示のみを目的として以下に説明される。
【0026】
【
図1】
図1Aは、いくつかの実施形態による、陰圧創傷治療システムである。
図1Bは、いくつかの実施形態による、創傷被覆材である。
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態による、創傷被覆材に組み込まれるセンサの配置を例示するセンサアレイである。
【
図3A】
図3Aは、いくつかの実施形態による、センサアレイ部、テール部、およびコネクタパッド端部を備える可撓性のセンサアレイである。
【
図3B-1】
図3Bは、いくつかの実施形態による、異なるセンサアレイの形状を有する可撓性の回路基材である。
【
図3B-2】
図3Bは、いくつかの実施形態による、異なるセンサアレイの形状を有する可撓性の回路基材である。
【
図3D】
図3Dは、いくつかの実施形態による、穿孔された創傷接触層内に組み込まれた可撓性センサアレイである。
【
図3E】
図3Eは、いくつかの実施形態による、制御モジュールである。
【
図4A】
図4Aは、いくつかの実施形態による、複数の電子部品を備える創傷被覆材である。
【
図4B】
図4Bは、いくつかの実施形態による、複数の電子部品を備える創傷被覆材である。
【
図4C】
図4Cは、いくつかの実施形態による、複数の電子部品を備える創傷被覆材である。
【
図5A】
図5Aは、いくつかの実施形態による、創傷被覆材のコーティングである。
【
図5B】
図5Bは、いくつかの実施形態による、創傷被覆材のコーティングである。
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態による、二つの生体適合性コーティングによる創傷被覆材のコーティングである。
【
図7】
図7は、いくつかの実施形態による、生体適合性コーティングによる創傷被覆材のコーティングである。
【
図8】
図8は、いくつかの実施形態による、創傷被覆材をコーティングするための装置である。
【
図9】
図9は、いくつかの実施形態による、創傷被覆材のスプレーコーティングである。
【
図10】
図10は、いくつかの実施形態による、創傷被覆材をコーティングするためのモールドである。
【
図11】
図11は、いくつかの実施形態による、創傷被覆材をコーティングするための別の装置である。
【
図12A】
図12Aは、いくつかの実施形態による、創傷被覆材をコーティングするための組み立てられた装置である。
【
図12B】
図12Bは、いくつかの実施形態による、創傷被覆材をコーティングするための組み立てられた装置である。
【
図13】
図13は、いくつかの実施形態による、創傷被覆材をコーティングするための剥離ライナーである。
【
図14A】
図14Aは、いくつかの実施形態による、創傷被覆材のコーティングである。
【
図14B】
図14Bは、いくつかの実施形態による、創傷被覆材のコーティングである。
【
図15】
図15は、いくつかの実施形態による、創傷被覆材のスプレーコーティングである。
【
図16】
図16は、いくつかの実施形態による、創傷被覆材への非伸縮性材料の適用である。
【
図17】
図17A~17Bは、いくつかの実施形態による、非伸縮性材料の有無による性能の比較である。
【
図18】
図18は、いくつかの実施形態による、一つまたは複数の穿孔を有する創傷被覆材である。
【
図19A】
図19Aは、いくつかの実施形態による、一つまたは複数の穿孔を有する創傷被覆材のコーティングである。
【
図19B】
図19Bは、いくつかの実施形態による、一つまたは複数の穿孔を有する創傷被覆材のコーティングである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書に開示される実施形態は、センサ有効基材を用いた生物組織のモニタリングおよび治療のための装置および方法に関する。本明細書に開示される実施形態は、特定のタイプの組織または傷害の治療またはモニタリングに限定されず、代わりに本明細書に開示されるセンサ可能な技術は、センサ有効基材から利益を得うる任意のタイプの療法に広く適用可能である。一部の実施は、診断および患者管理の両方の決定を行うために、医療提供者によって依頼されたセンサおよびデータ収集を利用する。
【0028】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、無傷なまたは損傷を受けたヒトまたは動物組織の両方の治療で使用されるように構成された基材上に取り付けられたセンサの使用、またはその中に埋め込まれたセンサの使用に関する。こうしたセンサは、周囲の組織についての情報を収集し、かかる情報をコンピューティング装置または介護者に送信して、さらなる治療で利用することができる。特定の実施形態では、こうしたセンサは、関節炎、温度、または問題を起こしかねないおよびモニタリングを必要とし得るその他の領域を監視するための領域を含む、本体のどこにでも皮膚に取り付けられうる。本明細書に開示されるセンサは、例えば、MRIまたは他の技術を実施する前に、例えば、装置の存在を示すために、X線不透過性マーカーなどのマーカーも組み込むことができる。
【0029】
本明細書で開示したセンサ実施形態は、衣服と組み合わせて使用されうる。本明細書に開示されるセンサの実施形態と併用するための衣服の非限定的な例としては、シャツ、ズボン、パンタロン、ドレス、下着、上着、手袋、靴、帽子、およびその他の適切な衣類が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、特定の衣服に溶着されるか、またはその中へと積層されうる。センサ実施形態は、衣服上に直接印刷されてもよく、および/または織物内に埋め込まれていてもよい。微多孔膜などの通気性および印刷可能な材料も適切でありうる。
【0030】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、病院用ベッド内などの緩衝またはベッドパッディングに組み込まれて、本明細書に開示される任意の特徴などの患者の特徴を監視することができる。特定の実施形態では、こうしたセンサを含む使い捨てフィルムは、病院用寝具の上に配置され、必要に応じて除去/交換されうる。
【0031】
一部の実施では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、センサ実施形態が自立しているように、エネルギー収穫を組み込みうる。例えば、エネルギーは、熱エネルギー源、運動エネルギー源、化学勾配、または任意の適切なエネルギー源から収穫され得る。
【0032】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、スポーツ医薬品を含むリハビリテーション装置および治療で利用されうる。例えば、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、支柱、スリーブ、ラップ、サポート、およびその他の適切な品目で使用されうる。同様に、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ヘルメット、スリーブ、および/またはパッドなどのスポーツ機器に組み込まれうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、診断において有用でありうる加速度などの特性を監視するための保護ヘルメットに組み込まれうる。
【0033】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術装置、例えば、Smith&Nephew Inc.によるNAVIO外科手術システムとの協調で使用され得る。実施において、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術装置の配置を案内するため、外科手術装置と通信し得る。一部の実施では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、可能性のある外科手術部位への血流を監視するか、または外科手術部位への血流がないことを確実にすることができる。さらなる外科手術データは、瘢痕化の防止を補助することおよび影響を受ける領域から遠い領域を監視するために収集されうる。
【0034】
外科手術技術をさらに補助するために、本明細書に開示されたセンサは、外科用ドレープに組み込まれて、裸眼では直接見えないドレープ下の組織に関する情報を提供し得る。例えば、センサ組み込み可撓性ドレープは、改善された面積集中データ収集を提供するために有利に位置付けられたセンサを有し得る。特定の実施では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ドレープの境界または内部に組み込まれて、フェンスを作り出して外科手術システムを制限/制御することができる。
【0035】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術の評価にも利用されうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、皮膚および潜在的な切開部位のための下にある組織を監視することによって、可能性のある外科手術部位についての情報を収集するために使用されうる。例えば、灌流レベルまたはその他の適切な特性は、個別の患者が外科手術合併症のリスクにさらされうるかどうかを評価するために、皮膚の表面でおよび、組織内で深くモニターされうる。本明細書に開示されるものなどのセンサ実施形態は、細菌感染の存在を評価し、抗菌剤の使用のための表示を提供するために使用されうる。さらに、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、褥瘡損傷および/または脂肪組織レベルを特定するなど、深部組織におけるさらなる情報を収集し得る。
【0036】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、心血管モニタリングで利用されうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、心血管系の特性を監視し、かかる情報を別の装置および/または介護者に伝達するために、皮膚に載置することができる可撓性の心血管モニターに組み込まれうる。例えば、こうした装置は、パルス速度、血液の酸素化、および/または心臓の電気活性を監視し得る。同様に、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ニューロンの電気活性の監視など、神経生理学的用途に利用されうる。
【0037】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、可撓性の移植を含む、移植可能な整形外科用インプラントなどの移植可能な装置に組み込まれうる。こうしたセンサ実施形態は、インプラント部位に関する情報を収集し、この情報を外部ソースに送信するように構成されうる。いくつかの実施形態では、内部ソースはまた、こうしたインプラントのための電力を提供し得る。
【0038】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、筋肉のラクトース生成または皮膚の表面上の汗の生成など、皮膚の表面上または皮膚の表面下の生化学的活性を監視するためにも利用されうる。いくつかの実施形態では、グルコース濃度、尿濃度、組織圧、皮膚温度、皮膚表面導電率、皮膚表面抵抗率、皮膚の水和性、皮膚の浸軟性、および/または皮膚のリッピングなど、その他の特徴を監視し得る。
【0039】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、耳、鼻、および喉(ENT)用途に組み込まれうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、鼻腔路内の創傷モニタリングなど、ENT関連手術からの回復を監視するために利用されうる。
【0040】
以下でより詳細に説明するように、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ポリマーフィルムでの封止などの封止を伴うセンサ印刷技術を包含し得る。こうしたフィルムは、ポリウレタンなど本明細書で説明した任意のポリマーを使用して構築されうる。センサ実施形態の封止は、局所組織、局所的な液体、およびその他の潜在的な損傷源からの電子機器の防水および保護を提供し得る。
【0041】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるセンサは、以下に開示するように器官保護層に組み込まれうる。このようなセンサ組み込み器官保護層は、対象臓器を保護するとともに、器官保護層が所定位置にあって保護を提供することを確認し得る。さらに、センサ組み込み器官保護層を利用して、血流、酸素化、および器官健康のその他の適切なマーカーを監視することによって、下にある臓器を監視することができる。いくつかの実施形態では、臓器の脂肪および筋肉含有量を監視することによって、移植された臓器を監視するためにセンサ有効な器官保護層を使用し得る。さらに、臓器のリハビリの間など、移植中および移植後の臓器を監視するために、センサ有効な器官保護層を使用し得る。
【0042】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、創傷(以下でより詳細に開示)またはさまざまなその他の用途に対する治療に組み込まれうる。本明細書に開示されるセンサ実施形態の追加的用途の非限定的な例としては、無傷な皮膚のモニタリングおよび治療、血流を監視するための心血管系へ用途、手足の動きおよび骨修復を監視するなどの整形外科用途、電気的衝撃を監視するなどの神経生理学的用途、および改善されたセンサ有効モニタリングから利益を得ることができる任意の他の組織、臓器、システム、または状態が挙げられる。
【0043】
[創傷療法]
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、ヒトまたは動物の体に対する創傷療法に関する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体上の創傷を指すことができ、本明細書における体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体を指し得る。開示技術実施形態は、生理学的組織または生体組織への損傷の防止または最小化、または例えば、陰圧源および創傷被覆材構成要素および装置などを含む、減圧を伴うまたは伴わない損傷した組織(例えば、本明細書で説明した創傷など)の治療に関連し得る。創傷オーバーレイおよびパッキング材料、または、存在する場合には内層を備える、装置および構成要素は、時に総称して本明細書では被覆材と呼ばれる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、減圧せずに利用されるように提供され得る。
【0044】
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、ヒトまたは動物の体に対する創傷療法に関する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体上の創傷を指すことができ、本明細書における体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体を指し得る。開示技術実施形態は、生理学的組織または生体組織への損傷、または損傷した組織の治療(例えば、本明細書に記載される創傷など)の防止または最小化に関連し得る。
【0045】
本明細書で使用される場合、「創傷」という表現は、カット、殴打、またはその他の衝撃によって引き起こされ得る、典型的には皮膚が切断または損傷される生体組織に対する損傷を含み得る。創傷は、慢性または急性の傷害でありうる。急性創傷は、手術または外傷の結果として生じる。これらは、予測される期間内の治癒の段階を通して移動する。慢性創傷は典型的には急性創傷として始まる。急性創傷は、治癒段階に従わない場合に慢性創傷になることがあり、回復が長くなる。急性から慢性創傷への移行は、患者が免疫化されることによるものでありうる。
【0046】
慢性創傷には、例えば、慢性創傷の大部分を占め、主に高齢者に影響する静脈性潰瘍(脚で発生するものなど)、糖尿病性潰瘍(例えば、足または足首潰瘍)、末梢動脈疾患、褥瘡、または、表皮水疱症(EB)を含み得る。
【0047】
他の創傷の例としては、腹部創傷、または手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、あるいは他の状態のいずれかの結果としての他の大規模または切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡、ストーマ、手術創傷、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0048】
創傷は深部組織損傷も含みうる。深部組織損傷は、政府褥瘡諮問パネル(NPUAP)によって提案される用語であり、褥瘡の固有の形態を記述するものである。これらの潰瘍は、紫色褥瘡、骨張った骨の突起で悪化し傷つく可能性が高い潰瘍、などの用語で、長年、臨床医によって説明されてきた。
【0049】
創傷はまた、本明細書に記載されるように、創傷になるリスクのある組織を含みうる。例えば、リスクのある組織には、骨の隆起を覆う組織(深部組織損傷/損傷のリスクがある)または(例えば、関節置換/外科的変更/再建のため)切断される可能性のある手術前の組織(膝の組織など)を含んでもよい。
【0050】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示される技術を、以下の一つまたは複数と組み合わせて、創傷を治療する方法に関する。すなわち、高度な履物、患者を回すオフロード(糖尿病性足潰瘍のオフロードなど)、感染症の治療、システミックス、抗菌剤、抗生物質、手術、組織の除去、血流に影響を与えること、理学療法、運動、入浴、栄養、水分補給、神経刺激、超音波、電気刺激、酸素療法、マイクロ波療法、活性剤オゾン、抗生物質、抗菌剤など。
【0051】
別の方法としてまたは追加的に、創傷は、局所陰圧および/または適用された陰圧の使用によって支援されていない(非陰圧療法とも呼ばれる場合もある)従来の高度な創傷ケアを使用して治療されうる。
【0052】
高度な創傷ケアには、吸収性被覆材、閉塞被覆材の使用、創傷被覆材または付属物における抗菌剤および/または清拭剤の使用、パッド(例えば、ストッキングや包帯などのクッション療法または圧縮療法)の使用などを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、創傷の治癒を容易におよび促進するために、創傷に被覆材を適用できる、従来的創傷ケアを使用してこうした創傷の治療を実施することができる。
【0054】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示の創傷被覆材を提供することを含む創傷被覆材を製造方法に関する。
【0055】
開示技術と併せて利用されうる創傷被覆材は、当該技術分野において既知の任意の公知の被覆材を含む。本技術は、陰圧療法および非陰圧療法に適用可能である。
【0056】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、一つまたは複数の吸収層を含む。吸収層は、発泡体または超吸収体であり得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、多糖類または修飾多糖類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、コラーゲン、またはゼラチンまたはその混合物を含む、被覆材層を含んでもよい。リストされたポリマーを含む被覆材層は、陰圧療法または非陰圧療法のいずれかの創傷被覆材層を形成するために有用であることが当技術分野で公知である。
【0058】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリクスは、多糖類または修飾多糖類であり得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリクスはセルロースであり得る。セルロース材料は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロース(CEC)、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシエチルスルホネートセルロース、セルロースアルキルスルホネート、またはそれらの混合物などの親水性修飾セルロースを含みうる。
【0060】
特定の実施形態では、セルロース材料はセルロースアルキルスルホネートであり得る。硫酸アルキル置換基のアルキル部分は、メチル、エチル、プロピル、またはブチルなどの1~6個の炭素原子を有するアルキル基を有し得る。アルキル部分は、分枝鎖または非枝鎖状であってもよく、従って好適なプロピルスルホネート置換基は、1-または2-メチル-エチルスルホネートであり得る。ブチルスルホネート置換基は、2-エチル-エチルスルホネート、2,2-ジメチル-エチルスルホネート、または1,2-ジメチル-エチルスルホネートであり得る。アルキルスルホネート置換基は、硫酸エチルであり得る。セルロースアルキルスルホネートは、国際特許第10061225号、米国特許第2016/114074号、米国特許第2006/0142560号、または米国特許第5,703,225号に記載されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0061】
セルロースアルキルスルホナートは、さまざまな置換、セルロース骨格構造の鎖長およびアルキルスルホナート置換基の構造を有し得る。溶解性および吸収性は置換の程度に依存し、置換の程度が増大するほど、セルロースアルキルスルホナートはますます溶解性になる。溶解性が増加すると、吸収性が増加する。
【0062】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材はまた、上部またはカバー層を含む。
【0063】
本明細書に開示される創傷被覆材の厚さは、1~20、または2~10、または3~7mmでありうる。
【0064】
いくつかの実施形態では、開示技術は、非陰圧被覆材と併せて使用されうる。創傷部位で保護を提供するのに適した非陰圧創傷被覆材は、以下を含みうる:
【0065】
創傷滲出液を吸収するための吸収性層と、
【0066】
使用時に吸収性層によって吸収される創傷滲出物の視界を少なくとも部分的に遮断するための遮断要素と、を含み得る。
【0067】
遮断要素は部分的に半透明であってもよい。
【0068】
遮断要素はマスキング層であり得る。
【0069】
非陰圧創傷被覆材は、吸収性層を見ることができるように遮断要素内またはそれに隣接した領域をさらに含むことができる。例えば、遮断要素層は、吸収層の中央領域の上に提供され、および吸収層の境界領域上には提供されなくてもよい。いくつかの実施形態では、遮断要素は親水性材料であるか、または親水性材料で被覆されている。
【0070】
遮断要素は、三次元ニットスペーサファブリックを含みうる。スペーサ生地は当業界で周知であり、ニットスペーサファブリック層を含みうる。
【0071】
遮断要素は、被覆材を変更する必要性を示すためのインジケータをさらに含みうる。
【0072】
いくつかの実施形態では、遮断要素は、少なくとも部分的に吸収性層の上に、使用中には吸収性層よりも創傷部位から遠くに、層として提供される。
【0073】
非陰圧創傷被覆材は、流体をそれを通して移動させることを可能にするための遮断要素に複数の開口部をさらに含み得る。遮断要素は、所定のサイズまたは重量の分子の通過を選択的に許容または防止するためのサイズ排除特性を有する材料を含んでもよく、または被覆され得る。
【0074】
遮断要素は、600nm以下の波長を有する光放射を少なくとも部分的に遮蔽するように構成され得る。
【0075】
遮断要素は、50%以上の光吸収を減少させるように構成されうる。
【0076】
遮断要素は、CIEのL*値50以上、および必要に応じて70以上をもたらすように構成されうる。いくつかの実施形態では、遮断要素は、CIEのL*値70以上を生み出すように構成されうる。
【0077】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷接触層、発泡層、臭気抑制要素、耐圧層、およびカバー層のうちの少なくとも一つをさらに含み得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、カバー層が存在し、カバー層は半透明フィルムである。一般に、半透過性フィルムは500g/m2/24時間以上の蒸気透過性を持つ。
【0079】
半透過性フィルムは細菌バリアであり得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、創傷接触層を含み、吸収性層が創傷接触層の上にある。創傷接触層は、創傷部位の上に実質的に流体密封シールを形成するための接着部分を担持する。
【0081】
本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、単一層として提供される遮断要素および吸収性層を含み得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は発泡層を含み、遮断要素は、遮断要素の移動によって移動または破壊され得る構成要素を含む材料である。
【0083】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は臭気抑制要素を含み、別の実施形態では、被覆材は臭気抑制要素を含まない。存在する時、臭気制御要素は、吸収層または遮断要素内またはそれに隣接して分散されうる。別の方法として、存在する場合、臭気制御要素は、発泡体層と吸収層との間に挟まれた層として提供され得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材のために開示された技術は、創傷被覆材を製造する方法を含み、その方法は、創傷滲出液を吸収するための吸収性層を提供することと、使用中に吸収性層によって吸収された創傷滲出液の視界を少なくとも部分的に遮断するための遮断要素を提供することと、を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷滲出液を吸収するための吸収性層と、吸収性層の上に、さらに吸収層よりも創傷被覆材の創傷に面する側から離れて設けられる遮蔽層とを含み、創傷部位での保護を提供するのに好適であることができる。遮蔽層は、吸収層の上に直接設けられてもよい。いくつかの実施形態では、遮蔽層は、三次元スペーサ生地層を含む。
【0086】
遮蔽層は、被覆材に加えられる圧力が25%以上移動させる範囲をまたは適用の初期範囲を増加させる。例えば、遮蔽層は、被覆材に加えられる圧力が伝わる面積を50%以上、随意に100%以上、随意に200%以上増加させる。
【0087】
遮蔽層は、2つ以上のサブ層を含んでもよく、第一のサブ層は貫通孔を含み、およびさらなるサブ層は貫通孔を含み、第一のサブ層の貫通孔はさらなるサブ層の貫通孔からずれている。
【0088】
本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、気体および蒸気を通過することを可能にする透過性カバー層をさらに備えてもよく、カバー層は遮蔽層の上に設けられ、カバー層の貫通孔は遮蔽層の貫通孔からオフセットされる。
【0089】
非陰圧創傷被覆材は、褥瘡の治療に好適であり得る。
【0090】
本明細書に開示される非陰圧被覆材のより詳細な説明は、国際出願公開第2013007973号に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0091】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷部位から滲出液を吸収するための繊維質吸収層と、創傷被覆材の少なくとも一部分の収縮を低減するよう構成された支持層とを含む、多層創傷被覆材とし得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層創傷被覆材は、液体不透過性フィルム層をさらに備え、支持層は吸収層とフィルム層との間に配置される。
【0093】
本明細書に開示される支持層は、ネットを含みうる。ネットは、それを通って延びる複数の実質的に幾何学的な開口部を持つ幾何学的構造を含みうる。幾何学的構造は、例えば、ポリマー鎖の間に実質的に幾何学的な開口部を形成するために、ポリマー鎖によって実質的に均等に間隔を置いて結合された複数の突起部を含みうる。
【0094】
ネットは、高密度ポリエチレンから形成され得る。
【0095】
開口部は、0.005~0.32mm2の面積を有し得る。
【0096】
支持層は0.05~0.06Nmの引張強さを有し得る。
【0097】
支持層は50~150μmの厚さを有し得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、支持層は、吸収層に直接隣接して配置される。典型的には、支持層は、吸収層のトップ面の繊維に結合される。支持層は、結合層をさらに備えてもよく、ここで支持層は、結合層を介して吸収層内の繊維に積層される。結合層は、エチレンビニル酢酸塩接着剤などの低融点接着剤を含みうる。
【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層の創傷被覆材は、フィルム層を保持層に接着させる接着層をさらに備える。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層創傷被覆材は、創傷に隣接して位置決めする吸収層に隣接して配置される創傷接触層をさらに備える。多層創傷被覆材は、創傷から吸収層へと滲出液を移動させるための創傷接触層と吸収層との間に流体輸送層をさらに含みうる。
【0101】
本明細書に開示される多層創傷被覆材のより詳細な説明は、出願番号GB1618298.2、2016年10月28日出願のGB特許出願に提供され、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0102】
いくつかの実施形態では、開示された技術が創傷被覆材に組み込まれてもよく、その創傷被覆材は、材料の吸収層の第一の層と材料の第二の層とを含む垂直重複材料を含み、第一の層は不織布繊維のうちの少なくとも一つの層から構築され、不織布繊維は複数の折り目で折り畳まれてプリーツ構造を形成する。いくつかの実施形態ではさらに、創傷被覆材は、材料の第一の層に一時的または永久的に結合された材料の第二の層を含む。
【0103】
通常、垂直重複材料は、切り込みが入れられている。
【0104】
いくつかの実施形態では、第一の層は、ひだの深さによって、または切り込みの幅によって決められた深さを有する、プリーツ構造を有する。材料の第一の層は、成形、軽量、繊維系材料、材料の混合または組成物層であり得る。
【0105】
材料の第一の層は、合成、天然、または無機ポリマーで製造された繊維、セルロース系、タンパク質性、または鉱物源の天然繊維のうちの一つまたは複数を含み得る。
【0106】
創傷被覆材は、互いの上に積み重ねられた材料垂直重複材料の吸収性層のうちの二つ以上の層を含んでもよく、二つ以上の層は、同一または異なる密度または組成を有する。
【0107】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、材料垂直重複材料の吸収性層のうちの一つの層のみを含み得る。
【0108】
材料の吸収性層は、天然または合成、有機もしくは無機繊維、およびバインダー繊維、または、特定温度で軟化し全体的なブレンドの結合剤として作用するように低溶融温度PETコーティングを用いたバイコンポーネント繊維、通常PET、である。
【0109】
いくつかの実施形態では、材料の吸収性層は、5~95%の熱可塑性ポリマーと、5~95重量%のセルロースまたはその誘導体とのブレンドとすることができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、発泡体または被覆材固定剤を含む第二の層を含む。
【0111】
発泡体は、ポリウレタン発泡体であり得る。ポリウレタン発泡体は、開放または閉鎖空孔構造を有し得る。
【0112】
被覆材固定剤は、包帯、テープ、ガーゼ、またはバッキング層を含みうる。
【0113】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、創傷被覆材は、積層または接着剤によって第二の層に直接結合された材料の吸収性層を含み、第二の層は被覆材固定層に接続されている。接着剤は、アクリル接着剤、またはシリコーン接着剤であり得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、創傷被覆材は、超吸収性繊維、またはビスコース繊維またはポリエステル繊維の層をさらに含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、創傷被覆材は、バッキング層をさらに含む。バッキング層は、透明または不透明なフィルムであり得る。典型的には、バッキング層は、ポリウレタンフィルム(典型的には透明ポリウレタンフィルム)を含む。
【0116】
本明細書に開示される多層創傷被覆材の詳細な説明は、2016年12月12日に出願された出願番号GB1621057.7、および2017年6月22日に出願された出願番号GB1709987.0の英国特許に提供されており、その各々の全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷被覆材のための吸収性構成要素を含み得、構成要素が発泡層に結合されたゲル形成ファイバーを含む創傷接触層を含み、発泡層が、接着剤、ポリマー系溶融層、フレームラミネーション、または超音波によって創傷接触層に直接結合される。
【0118】
吸収性構成要素は、シート形態であり得る。
【0119】
創傷接触層は、織布または不織布またはニットゲル形状ファブリックの層を含みうる。
【0120】
発泡体層は、開放セル発泡体、または閉鎖セル発泡体であってもよく、一般的には開放セル発泡体であり得る。発泡体層は、親水性発泡体である。
【0121】
創傷被覆材は、被覆材を創傷に接着する接着剤の周辺によって囲まれた、創傷と直接接触する島を形成する構成要素を含み得る。接着剤は、シリコーンまたはアクリル接着剤であってもよく、一般にシリコーン接着剤であり得る。
【0122】
創傷被覆材は、創傷から最も遠い被覆材の表面において、フィルム層によって覆われ得る。
【0123】
本明細書の上記のこのタイプの創傷被覆材のより詳細な説明は、欧州特許第2498829号に提供されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0124】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、高レベルの滲出液を生成する創傷で使用する多層創傷被覆材を含んでもよく、被覆材が、少なくとも24時間で300gm2のMVTRを有する透過層と、滲出液を吸収し、保持することができるゲル形成繊維を含む吸収性コアと、滲出液を吸収性コアに送るゲル形成繊維を含む創傷接触層と、吸収性コア上に位置付けられるキーイング層とを含むことで特徴付けられ、吸収性コアおよび創傷接触層は、被覆材の滲出液の横方向の広がりを創傷領域に制限する。
【0125】
創傷被覆材は、24時間で被覆材の10cm2あたりの流体のうち、少なくとも6g(または8g~15g)に対応する能力を有し得る。
【0126】
創傷被覆材は、化学修飾されたセルロース系繊維であるゲル形成繊維をファブリックの形態で含み得る。繊維は、カルボキシメチルセルロース繊維、一般的にナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維を含みうる。
【0127】
創傷被覆材は、横方向の吸い上げ量が毎分5mm~毎分40mmの創傷接触層を含み得る。創傷接触層は、35gm2など25gm2~55gm2の繊維密度を有し得る。
【0128】
吸収性コアは、少なくとも10g/gの滲出液の吸収性を有し得、通常、横方向の吸い上げ量は、毎分20mmより少ない。
【0129】
吸収性コアは、重量で最大25%のセルロース系繊維、および重量で75%~100%のゲル形成繊維の範囲のブレンドを有し得る。
【0130】
あるいは、吸収性コアは、重量で最大50%のセルロース系繊維、および重量で50%~100%ゲル形成繊維の範囲のブレンドを有し得る。例えば、ブレンドは、重量で50%のセルロース系繊維および重量で50%のゲル形成繊維の範囲内である。
【0131】
吸収性コアの繊維密度は、150gm2~250gm2、または約200gm2であってもよい。
【0132】
濡れた場合の創傷被覆材は、その元のサイズ/寸法の25%未満または15%未満の収縮を有し得る。
【0133】
創傷被覆材は、透過層を含んでもよく、層は発泡体である。透過層は、ポリウレタンフィルムに積層されたポリウレタン発泡体であり得る。
【0134】
創傷被覆材は、可溶性薬剤フィルム層、臭気吸収性層、拡散層、および追加的接着剤層を含む群から選択される、一つまたは複数の層を含み得る。
【0135】
創傷被覆材は、厚さ2mm~4mmであってもよい。
【0136】
創傷被覆材は、キーイング層が吸収性コアを隣接する層に結合するという点で特徴付けられ得る。いくつかの実施形態では、キーイング層は、吸収性コアの創傷面側または吸収性コアの非創傷面側のいずれかに位置付けられうる。いくつかの実施形態では、キーイング層は、吸収性コアと創傷接触層との間に位置付けられる。キーイング層はポリアミドウェブである。
【0137】
本明細書の上記のこのタイプの創傷被覆材のより詳細な説明は、欧州特許第1718257号に提供されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0138】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、圧迫包帯であってもよい。圧縮包帯は、浮腫およびその他の静脈障害、ならびに下肢のリンパ障害の治療において使用するために周知である。
【0139】
圧迫包帯システムは、通常、皮膚と圧迫層(または複数の圧迫層)との間のパディング層を含む複数の層を用いる。圧迫包帯は、静脈性脚潰瘍を処置する等、創傷に有用であり得る。
【0140】
いくつかの実施形態では、圧迫包帯は、内側の皮膚に面する層と、弾性外層を含む包帯システムを含むことができ、内層は、発泡体の第一の層と、吸収性不織ウェブの第二の層とを含み、内層および外層は、患者の手足周りに巻かれることができるように、十分細長い。このタイプの圧縮包帯は、国際特許第99/58090号に開示されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0141】
いくつかの実施形態では、圧迫包帯システムは、a)(i)細長い弾性基材と、
【0142】
(ii)細長い発泡層と、を含む内側の皮膚に面した、細長い弾性包帯であって、発泡層が基材の面に取り付けられ、基材の面を横方向に33%以上横切って、および、基材の面を長手方向に67%以上横切って延在する、弾性包帯と、b)外側の、細長い、粘着弾性包帯であって、包帯が、延在されると圧縮力を有し、使用時には、内側包帯の発泡層が皮膚に面し、外側包帯が内側包帯の上にある、弾性包帯と、を含む。このタイプの圧縮包帯は、国際特許第2006/110527号に開示されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0143】
いくつかの実施形態では、他の圧迫包帯システム、例えば米国特許第6,759,566号および米国特許出願公開第2002/0099318号に開示されているもののそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0144】
[陰圧創傷被覆材]
いくつかの実施形態では、そのような創傷の治療は、陰圧創傷療法を使用して実施することができ、減圧または陰圧が、創傷の治癒を容易にして促進するように、創傷に適用され得る。本明細書に開示される創傷被覆材および方法は、身体の他の部分に適用されてもよく、創傷の治療に必ずしも限定されないことも、理解されるであろう。
【0145】
本開示の実施形態は、概ね、局所陰圧(「TNP(topical negative pressure)」)療法システムで用いるように適用可能であることは理解されるであろう。手短に言えば、陰圧創傷療法は、組織の浮腫を減少させ、血流および顆粒組織形成を促し、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態を閉鎖および治癒するのを補助し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を低減し得る。加えて、治療によって、創傷の不安を減らすことが可能になり、より早期の治癒に導く。TNP療法システムはまた、流体を除去し、閉鎖の並列された位置で組織を安定化するのに役立つことで、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援し得る。TNP治療のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0146】
陰圧療法を用いて、大きすぎて自然には閉じられない、あるいは創傷の部位への陰圧の適用では治癒しない、開放または慢性創傷を治療することができる。局所陰圧(TNP)療法または、陰圧創傷療法(NPWT)は、創傷の上に流体に対して不透過性または半透過性の被覆を置くことと、創傷を囲む患者の組織に対して被覆を封止する、さまざまな手段を使用することと、陰圧を被覆の真下に作り出し維持するような手法で、陰圧源(真空ポンプなど)を被覆に接続することとを伴う。そのような陰圧は、有害なサイトカインまたは細菌を包含する場合がある、過剰な流体を除去しながら同時に、創傷部位で肉芽組織の形成を容易にし、平常の体内炎症プロセスを支援することによって、創傷の治癒を促進すると考えられる。
【0147】
NPWTに使用される被覆材のいくつかには、様々な種類の材料及び層、例えば、ガーゼ、パッド、発泡パッド、または多層創傷被覆材が挙げられる。多層創傷被覆材の一例は、NPWTで創傷を治療する、キャニスタなしのシステムを提供するように、バッキング層の下方に創傷接触層および超吸収層を含む、Smith&Nephewから市販されているPICO被覆材である。創傷被覆材は、被覆材から流体を汲み上げるか、またはポンプから創傷被覆材へ陰圧を伝達するように使用され得る、長いチューブへの接続を提供する、吸引ポートに封止され得る。加えて、Smith&Nephewから市販されているRENASYS-F、RENASYS-G、RENASYS-ABおよびRENASYS-F/ABも、NPWT創傷被覆材およびシステムのさらなる例である。多層創傷被覆材の別の例は、陰圧を使用せずに創傷を治療するのに使用される、湿潤創傷環境被覆材を含む、Smith&Nephewから市販されているALLEVYN Life被覆材である。
【0148】
本明細書に使用する通り、減圧または陰圧レベル、例えば-XmmHg、は、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当し得る、通常の周囲の気圧に対する圧力レベルを表す。従って、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い絶対圧力、または、言い換えれば、(760-X)mmHgの絶対圧力を反映する。加えて、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低い)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、気圧からより離れた圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高い)。いくつかの実施形態では、局所的な周囲大気圧は基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0149】
本開示の一部の実施形態に関する陰圧範囲は、約-80mmHg、または約-20mmHg~-200mmHgとすることができる。これらの圧力は、760mmHgであり得る、平常の周囲大気圧に対して相対的であることには留意されたい。それゆえ、-200mmHgは、実質的には約560mmHgであろう。いくつかの実施形態では、圧力範囲は、約-40mmHgと-150mmHgとの間であり得る。あるいは、-75mmHg以下、-80mmHg以下、または-80mmHg超過の圧力範囲が使用され得る。また、他の実施形態では、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用され得る。代替として、およそ-100mmHgまたはさらに-150mmHgより上の圧力範囲が、陰圧デバイスにより供給され得る。
【0150】
本明細書に記載する創傷閉鎖装置のいくつかの実施形態では、創傷収縮の増加が、囲んでいる創傷組織における組織拡張の増加につながり得る。この影響は、場合により、創傷閉鎖装置の実施形態によって創傷に適用される引張力の増加と連動して、組織に適用される力を変化させること、例えば、時間と共に創傷に適用される陰圧を変化させることによって増大する場合がある。いくつかの実施形態では、例えば、正弦波、方形波を使用して、または一つまたは複数の患者の生理学的指標(心拍など)と同期して、時間と共に陰圧を変化させてもよい。前述に関するさらなる開示を見つけることができる、そのような適用の例には、2012年8月7日に発行された名称「Wound treatment apparatus and method」の米国特許第8,235,955号、および2010年7月13日に発行された名称「Wound cleansing apparatus with stress」の米国特許第7,753,894号を含む。これら両特許の開示は、参照することによりその全体が本明細書に援用される。
【0151】
明細書に記載する創傷被覆材、創傷被覆材構成要素、創傷治療装置および方法の実施形態は、また、2013年5月22日に国際出願番号第PCT/IB2013/001469号で出願され、2013年11月28日に国際公開第2013/175306A2号として公開された、名称「APPARATUSES AND METHODS FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」、2015年1月30日に米国特許出願第14/418,908号で出願され、2015年7月9日に米国特許出願公開第2015/0190286A1号として公開された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、それらの開示は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載する創傷被覆材、創傷被覆材構成要素、創傷治療装置および方法の実施形態はまた、2011年4月21日に米国特許出願第13/092,042号で出願され、米国特許第2011/0282309号として公開された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF USE」、および2015年5月18日に米国特許出願第14/715,527号で出願され、2016年11月24日に米国特許出願公開第2016/0339158 A1号として公開された、名称「FLUIDIC CONNECTOR FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、それらの各開示は、創傷被覆材の実施形態、創傷被覆材の構成要素および原理、ならびに創傷被覆材に使用される材料に関するさらなる詳細を含め、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0152】
加えて、本明細書に記載するポンプまたは関連電子機器と組み合わせて、創傷被覆材を含むTNP創傷治療に関係する一部の実施形態はまた、2016年4月26日に国際出願第PCT/EP2016/059329号で出願され、2016年11月3日に国際公開2016/174048号として公開された、名称「REDUCED PRESSURE APPARATUS AND METHODS」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、その開示が本明細書全体において参照によって組み込まれる。
【0153】
[NPWTシステムの概要]
図1Aは、創傷くぼみ110の内部に配置される創傷充填材130を含み、創傷くぼみは創傷カバー120によって封止される、陰圧または減圧創傷治療(またはTNP)システム100の実施形態を示す。創傷カバー120と組み合わされた創傷充填材130は、創傷被覆材として言及され得る。単一または複数の内腔管または導管140は、創傷カバー120と、減圧圧力を供給するように構成されるポンプアセンブリ150とを接続する。創傷カバー120は、創傷空洞110に流体連通することができる。
図1に示される実施形態のような本明細書で開示されるいくつかのシステムの実施形態において、ポンプ組立品は、キャニスターレスポンプ組立品(滲出液が、創傷被覆材に集められる、または別の位置に集めるために管140を介して運ばれることを意味する)であることができる。しかし、本明細書で開示されるいくつかのポンプアセンブリの実施形態は、キャニスタを含むまたは支持するように構成され得る。追加的に、本明細書で開示されるいくつかのシステムの実施形態において、いくつかのポンプアセンブリの実施形態は、被覆材に取付けられ、もしくは被覆材によって支持され、または被覆材に隣接することができる。
【0154】
創傷充填材130は、例えば、親水性または疎水性発泡体、ガーゼ、膨張可能なバッグ等の任意の適切なタイプであることができる。創傷充填材130は、それが実質的に空洞を充填するように、創傷空洞110に適合することができる。創傷カバー120は、創傷空洞110を覆う実質的に流体不浸透性の封止を提供することができる。創傷カバー120は、頂側および底側を有することができ、底側は、創傷空洞110を粘着的に(または任意のその他の適切な手法において)封止する。本明細書で開示される導管140もしくは内腔またはいくつかのその他の導管もしくは内腔は、ポリウレタン、PVC、ナイロン、ポリエチレン、シリコーン、または任意のその他の適切な材料から形成され得る。
【0155】
創傷カバー120のいくつかの実施形態は、導管140の端を受けるように構成される、ポート(図示せず)を有し得る。例えば、ポートは、Smith&NepHewから入手可能なRenasys Soft Portであることができる。その他の実施形態では、導管140は、別のやり方では、創傷くぼみ内に所望のレベルの減圧圧力を維持するように、減圧圧力を創傷くぼみ110に供給するために創傷カバー120を通り抜けるまたはその下にあることができる。導管140は、ポンプアセンブリ150によって提供される減圧圧力を創傷空洞110に供給するように、ポンプアセンブリ150と創傷カバー120との間に少なくとも実質的に密封された流体流路を提供するように構成される、任意の好適な物品であることができる。
【0156】
創傷カバー120および創傷充填材130は、単一な物品または一体型の単一なユニットとして提供され得る。いくつかの実施形態では、創傷充填材が提供されずに、創傷カバーがそれ自体として創傷被覆材とみなされ得る。ついで、創傷被覆材は、導管140を介して、ポンプアセンブリ150といった陰圧源に接続され得る。ポンプアセンブリ150は小形化され、持ち運び可能とすることができるが、より大きな従来のそのようなポンプがまた使用され得る。
【0157】
創傷カバー120は、治療されることになる創傷部位の上に置かれ得る。創傷カバー120は、創傷部位を覆う実質的に密封された空洞またはエンクロージャを形成することができる。いくつかの実施形態では、創傷カバー120は、過剰流体の蒸発を可能にする高い水蒸気浸透性を持つフィルムを有するように構成されることができ、また創傷滲出液を安全に吸収するためにその中に含まれる超吸収性材料を有することができる。本明細書全体を通して、創傷に関して言及することが理解されるであろう。この点において、創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、または外傷によって挫傷が引き起こされる開放創および閉鎖創、あるいは患者の皮膚における任意の他の表面もしくは他の状態または欠陥、あるいは減圧治療によって利益を得る他のものを包含することを理解されたい。よって、創傷は、流体が生成されることもされないこともある、組織の任意の損傷領域として広く定義される。そのような創傷の例としては、急性創傷、慢性創傷、外科切開およびその他の切開、亜急性および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、外科創傷、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書に記載のTNPシステムの構成要素は、少量の創傷滲出液を滲出する切開創傷に特に適し得る。
【0158】
システムのいくつかの実施形態は、滲出液キャニスタを使用することなく動作するように設計される。いくつかの実施形態は、滲出液キャニスタを支持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、管140がポンプアセンブリ150から迅速にかつ容易に取り除かれ得るようにポンプアセンブリ150および管140を構成することは、必要に応じて、被覆材またはポンプを交換するプロセスを容易にする、または改善することができる。本明細書で開示されるいくつかのポンプの実施形態は、管とポンプとの間の任意の好適な連結を有するように構成され得る。
【0159】
ポンプアセンブリ150は、一部の実施において、およそ-80mmHg、または約-20mmHg~200mmHgの陰圧を供給するように構成され得る。これらの圧力は、正常な周囲大気圧に対する相対値であり、つまり、-200mmHgは、実際に則した用語において、約560mmHgであり得ることに留意されたい。圧力範囲は約-40mmHgから-150mmHgの間であり得る。あるいは、-75mmHg以下、-80mmHg以下、または-80mmHg超過の圧力範囲が使用され得る。また、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用され得る。別の方法として、およそ-100mmHgまたはさらに150mmHgより上の圧力範囲が、ポンプアセンブリ150により供給され得る。
【0160】
動作時に、創傷充填材130は創傷空洞110内に挿入され、創傷カバー120は創傷空洞110を密封するように配置される。ポンプアセンブリ150は、創傷充填材130を介して創傷空洞110に送られる陰圧源を創傷カバー120に提供する。流体(例えば、創傷滲出液)は、導管140を通して引き出され、キャニスタ内に貯蔵され得る。いくつかの実施形態では、流体は、創傷充填材130または一つまたは複数の吸収性層(図示せず)によって吸収される。
【0161】
本出願のポンプアセンブリおよびその他の実施形態とともに利用され得る創傷被覆材は、Smith&NepHewから入手可能なRenasys-F、Renasys-G、Renasys ABおよびPico被覆材を含む。本出願のポンプアセンブリおよびその他の実施形態とともに使用され得る陰圧創傷治療システムのこうした創傷被覆材およびその他の構成要素のさらなる説明は、米国特許公開第2011/0213287号、第2011/0282309号、第2012/0116334号、第2012/0136325号および第2013/0110058号において見出され、それらの全体が参照により組み込まれる。その他の実施形態では、その他の好適な創傷被覆材が利用され得る。
【0162】
[創傷被覆材の概要]
図1Bは、いくつかの実施形態による、創傷被覆材155を通る断面図を図示する。
図1Bはまた、いくつかの実施形態による、流体コネクタ160を図示する。創傷被覆材155は、国際特許公開2013175306A2に記載される創傷被覆材と類似している場合があり、これは参照によりその全体が組み込まれる。あるいは、創傷被覆材155は、明細書に開示するいずれの創傷被覆材の実施形態、または、本明細書に開示する創傷被覆材の実施形態のいずれの数の特徴のいかなる組み合わせでもあり得、治療される創傷部位の上に置かれ得る。創傷被覆材155は、創傷空洞110といった創傷の上に密封された空洞を形成するために配置されてもよい。いくつかの実施形態では、創傷被覆材155は、最上層もしくは被覆層、または任意の創傷接触層222に取り付けられるバッキング層220を含むことが好ましく、それらについて以下により詳細に記載する。これら二つの層220、222は、内部空間またはチャンバを画定するために、共に接合または封止され得る。この内部空間またはチャンバは、陰圧を分配または伝達し、創傷滲出液および創傷から除去された他の流体を貯蔵するように適応し得る追加構造と、以下により詳細に説明するであろう他の機能とを備えてもよい。以下に記載するそのような構造の例は、透過層226および吸収層221を含む。
【0163】
本明細書で使用される通り、上部層、最上層または上方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。従って、下面、下部層、最下層または下方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。
【0164】
創傷接触層222は、ポリウレタン層、ポリエチレン層、または、例えば、ホットピンプロセス、レーザアブレーションプロセス、または超音波プロセスによって、またはその他のいくつかの方法で穿孔される、あるいは別の方法で液体および気体が透過するようにしたその他の可撓性のある層であってもよい。創傷接触層222は、下表面224(例えば、創傷と向かい合う)および上表面223(例えば、創傷から見て外を向く)を有する。穿孔225は、創傷接触層222の中に貫通孔を含むことができ、流体が層222を通って流れることが可能になる。創傷接触層222は、創傷被覆材の他の材料中への組織内殖を防ぐのに役立つ。いくつかの実施形態では、穿孔は、流体が穿孔を通って流れることを依然として可能にしながら、この要件を満たすほど充分に小さい。例えば、0.025mmから1.2mmの範囲の寸法を有するスリットまたは孔として形成された穿孔は、創傷滲出液が被覆材内に流れるのを可能にしつつ、創傷被覆材内に組織が内部成長するのを防止する一助となるには十分小さいと考えられる。いくつかの構成では、創傷接触層222は、陰圧を創傷に維持するために、吸収性パッドの周りに気密状態をも作り出しながら、被覆材155全体の完全性を維持するのに役立つ場合がある。いくつかの実施形態では、創傷接触層は、陰圧が創傷に加えられるとき、創傷接触層を通る流体の、単向性または実質的に一方向または単向性の流れを許可するように構成される。例えば、創傷接触層は、流体が、創傷接触層を通して創傷から流れるのは許可するが、流体が創傷に向かって戻ることは許可しない。特定の事例では、創傷接触層の穿孔は、創傷接触層を通る流体のこうした一方向または単向性の流れを許容するように構成される。
【0165】
創傷接触層222の一部の実施形態はまた、任意の下部および上部接着層(図示せず)用の担体として働いてもよい。例えば、下部感圧接着剤が、創傷被覆材155の下面224上に提供されてもよい一方、上部感圧接着層は、創傷接触層の上面223上に提供されてもよい。シリコーン、ホットメルト、親水コロイドもしくはアクリルをベースとする接着剤、または他のそのような接着剤であり得る感圧接着剤は、創傷接触層の両面上、もしくは任意で選択された片面上に形成されてもよく、または創傷接触層のどちらの面上に形成されなくてもよい。下部感圧接着層を利用することが、創傷被覆材155を創傷部位の周りの皮膚に接着させる助けになってもよい。いくつかの実施形態では、創傷接触層は穿孔ポリウレタンフィルムを含んでもよい。フィルムの下面はシリコーン感圧接着剤を提供されてもよく、上面はアクリル感圧接着剤を提供されてもよく、それによって被覆材がその完全性を維持するの助けてもよい。いくつかの実施形態では、ポリウレタンフィルム層の上面および下面の両面上に接着層を提供してもよく、全三層は共に穿孔されていてもよい。
【0166】
多孔質材料の層226は、創傷接触層222の上方に配置され得る。この多孔質層または透過層226により、液体および気体を含む流体が、創傷部位から離れて創傷被覆材の上部層中へと透過することが可能になる。特に、透過層226によって、吸収層がかなりの量の滲出液を吸収したときでさえ、外気チャネルが、創傷範囲全体に陰圧を伝えるように維持され得ることを保証できる。層226は、好ましくは、上述の通り、陰圧創傷療法時に適用されることになる通常の圧力の下で開放されたままになるべきであり、それによって、創傷部位全体が等しい陰圧を受ける。層226は、三次元構造を有する材料から形成されてもよい。例えば、編みもしくは織りスペーサ生地(例えば、Baltex 7970の横編みポリエステル)、または不織布が使用され得る。
【0167】
いくつかの実施形態では、透過層226は、84/144で織られたポリエステルである最上層(すなわち、使用中、創傷床から遠位の層)と、10デニールの平坦なポリエステルである最下層(すなわち、使用中、創傷床に近接して置かれる層)と、ニットポリエステルビスコース、セルロースまたは類似のモノフィラメント繊維により画定される領域である、これら二つの層の間に挟まれて形成される第三層とを含む、3Dポリエステルのスペーサファブリック層を含む。他の材料、および他の線質量密度の繊維ももちろん使用され得る。
【0168】
本開示を通して、モノフィラメント繊維への言及がなされるものの、もちろん多糸の代替物が利用され得ることは理解されるであろう。それゆえ、最上部スペーサ生地は、それを形成するのに使用される一本の糸において、最下部スペーサ生地層を形成するのに使用される糸を構成するフィラメントの数よりも多くのフィラメントを有する。
【0169】
間隔を空けた層のフィラメント数のこの差は、透過層全体の水分の流れを制御するのに役立つ。具体的には、最上層のフィラメント数をより多くすることによって、すなわち、最上層が、最下層に使用される糸よりも多くのフィラメントを有する糸から作られることによって、液体は、最下層よりも最上層に沿ってより多く吸われる傾向がある。使用中、この差異によって、液体が創傷床から引き離され、被覆材の中心領域中に引き寄せられるようになり、中心領域では、吸収層221が液体を閉じ込めるのに役立つか、または液体を放出させ得る被覆層に向かって、それ自体で液体を前方へ吸い上げる。
【0170】
いくつかの実施形態では、透過層226を横切る(すなわち、最上部および最下部スペーサ層の間に形成されるチャネル領域と垂直に)液体の流れを改善するために、3Dファブリックは、ドライクリーニング剤(限定するものではないが、パークロロエチレンなど)で処理されて、透過層の親水能力を邪魔する可能性がある、前に使用された鉱油、油脂またはワックスなどの、いかなる工業製品をも除去するのに役立ってもよい。続いて、3Dスペーサ生地が親水性剤(限定するものではないが、Rudolph Groupから市販されている30g/lのFeran Iceなど)で洗われる、追加の製造ステップに進んでもよい。このプロセスステップは、水などの液体が3D編物に接触するとすぐに織物に進入し得るほど、材料の表面張力が低くなることを保証するのに役立つ。またこのステップは、いかなる滲出液の液状侵襲成分(liquid insult component)の流れを制御するのにも役立つ。
【0171】
吸収性材料の層221を、透過層226の上に設けることができる。発泡体もしくは不織りの自然または合成材料を含み、任意で超吸収材を含んでもよい吸収材は、流体、具体的には、創傷部位から除去される液体用の貯留部を形成する。いくつかの実施形態では、層221もまた、流体をバッキング層220の方へ引き寄せるのに役立ってもよい。
【0172】
吸収層221の材料はまた、創傷被覆材155に収集された液体が、被覆材内を自由に流れるのを妨げてもよく、被覆材内に収集されるいかなる液体をも含むように働き得る。吸収層221はまた、流体を創傷部位から引き寄せ、吸収層中に渡って貯蔵するように、吸い上げ作用によって層全体に流体を分配するのを助ける。これによって、吸収層の範囲における凝集を防止するのを補助する。吸収材の容量は、陰圧を適用するとき、創傷の滲出液が流れる速度を管理するのに充分でなくてはならない。使用中、吸収層は陰圧を経験するため、吸収層の材料は、そのような状況下で液体を吸収するように選ばれる。例えば、超吸収体材料といった、陰圧下にあるとき液体を吸収できる、いくつかの材料が存在する。吸収層221は通常、ALLEVYN(商標)発泡体のFreudenberg114-224-4またはChem-Posite(商標)11C-450より製造されてもよい。いくつかの実施形態では、吸収層221は、超吸収性粉末、セルロースなどの繊維材料、および結合繊維を含む複合材を含んでもよい。いくつかの実施形態では、複合材はエアレイドの熱的に結合された複合材である。
【0173】
いくつかの実施形態では、吸収性層221は、全体に分散される乾燥粒子の形態の超吸収性材料を有する不織セルロース繊維の層である。セルロース繊維の使用によって、被覆材により吸収される液体を素早くかつ均等に分配するのに役立つ、高速吸い上げ要素が導入される。多数の撚糸様繊維を並列させることが、液体を分配するのに役立つ繊維パッドの、強い毛細管作用につながる。このように、超吸収材料に液体を効率的に供給する。また、吸い上げ作用によって、被覆材の蒸散率を増加させるのに役立つように、液体を上部カバー層と接触させるように支援する。
【0174】
陰圧を被覆材155に印加することができるように、開口部、孔、またはオリフィス227をバッキング層220内に設けることができる。いくつかの実施形態では、流体コネクタ160は、被覆材155の中に作られるオリフィス227の上で、バッキング層220の最上部に取り付けられるか、または封止され、オリフィス227を通って陰圧を伝える。長い管が、被覆材から流体を汲み上げることが可能になるように、第一端部で流体コネクタ160に、第二端部でポンプユニット(図示せず)に連結されてもよい。流体コネクタが創傷被覆材の最上層に接着する場合、長い管は、管または導管が、流体コネクタから離れて平行に、または実質的に被覆材の最上表面へ延在するような、流体コネクタの第一端部で連結されてもよい。流体コネクタ160は、アクリル、シアノアクリレート、エポキシ、UV硬化性またはホットメルト接着剤などの接着剤を使用して、バッキング層220に接着および封止してもよい。流体コネクタ160は、ショアAスケールで30から90の硬度を有する、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、シリコーンまたはポリウレタンといった柔らかいポリマーから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、流体コネクタ160は、柔らかい材料または適合する材料から作られてもよい。
【0175】
いくつかの実施形態では、吸収層221は、流体コネクタ160の下にあるように配置される、少なくとも一つの貫通孔228を含む。貫通孔228は、いくつかの実施形態では、バッキング層の開口部227と同じサイズであってもよく、またはより大きいもしくは小さくてもよい。
図1Bに示す通り、単一の貫通孔は、流体コネクタ160の基礎を成す開口部を生み出すように使用され得る。複数の開口部が、代替として利用され得ることは理解されるであろう。加えて、二つ以上のポートが、本開示の特定の実施形態に従って利用されるべき場合、一つまたは複数の開口部が、各流体コネクタと位置を合わせて、吸収層および不明瞭化層に作られてもよい。本開示の特定の実施形態には必須ではないものの、超吸収層に貫通孔を使用することで、吸収層が飽和に近いとき特に、遮断されないままの流体流路を提供し得る。
【0176】
開口部または貫通孔228を、
図1Bに例示するように、オリフィスが透過層226に直接連結するように、オリフィス227の下方の吸収層221に設けることができる。これによって、流体コネクタ160に適用される陰圧を、吸収層221を通過することなく、透過層226へ伝えることが可能になる。これで、吸収層が創傷滲出液を吸収するとき、創傷部位に適用される陰圧が、吸収層によって阻害されないことが保証される。他の実施形態では、開口部は吸収層221に提供されなくてもよく、または、代替として、オリフィス227の下にある複数の開口部が提供され得る。さらなる代替の実施形態では、別の透過層などの追加層、または参照することによりその全体が援用される、国際特許出願公開第2014020440号に記載されるような不明瞭化層が、吸収層221の上およびバッキング層220の下方に提供され得る。
【0177】
バッキング層220は、気体を透過させないが、水蒸気を透過させることができ、創傷被覆材155の幅を横切って延在し得る。例えば、片方の面に感圧接着剤を有するポリウレタンフィルム(例えば、Elastollan SP9109)であり得る、バッキング層220は、ガスに対して不透過性であり、それゆえ、この層は創傷を被覆し、上に創傷被覆材が置かれる創傷空洞を封止するように動作する。このように、効果的なチャンバが、陰圧が確立され得る、バッキング層220と創傷部位との間に作られる。バッキング層220は、被覆材の外周の周りの境界領域で、創傷接触層222に封止することができ、例えば、接着技術または溶接技術によって、空気が境界範囲を通って引き込まれることを保証する。バッキング層220によって、創傷が外部の細菌汚染から保護され(細菌バリア)、層を通って創傷滲出液からの液体を移動させ、フィルム外表面から蒸発させることが可能になる。バッキング層220は、ポリウレタンフィルムと、フィルム上に広がる接着パターンとの二つの層を含み得る。ポリウレタンフィルムは透湿性を持つことができ、濡れたときに水透過速度が高まる材料から製造されてもよい。いくつかの実施形態では、バッキング層が濡れると、バッキング層の透湿性が増大する。濡れたバッキング層の透湿性は、乾いたバッキング層の透湿性の最大約10倍であり得る。
【0178】
吸収性層221は、吸収性層が透過層226の縁と重複するように、透過層226よりも大きい面積であってもよく、それにより透過層がバッキング層220に接触しないことが確実となる。これにより、創傷接触層222と直接接触する、吸収層221の外側チャネルが提供され、滲出液の吸収層へのより急速な吸収に役立つ。さらに、この外側チャネルによって、液体が創傷空洞の外周に貯留できないことが保証され、そうでない場合には、被覆材の周囲の封止部から染み出して、漏出の形成につながる場合がある。
図1Bに図示する通り、吸収層221によって、境界線または境界領域が、吸収層221の端とバッキング層220の端との間に画定されるように、バッキング層220の周囲よりも小さい周囲を画定してもよい。
【0179】
図1Bに示す通り、創傷被覆材155の一実施形態は、流体コネクタ160の下方に置かれる吸収層221に、開口部228を含む。使用中、例えば、陰圧が被覆材155に適用されるとき、流体コネクタの創傷に面する部分は、透過層226と接触してもよく、それゆえ、吸収層221が創傷流体で満たされているときでさえ、創傷部位に陰圧を伝達するのに役立ち得る。いくつかの実施形態によって、バッキング層220を透過層226に少なくとも一部接着させてもよい。いくつかの実施形態では、開口部228は、流体コネクタ11の創傷に面する部分またはオリフィス227の直径よりも、少なくとも1~2mm大きい。
【0180】
例えば、単一流体コネクタ160および貫通孔を伴う実施形態では、流体コネクタ160および貫通孔が、中心から外れた位置に配置されるのが好ましい場合がある。そのような場所では、流体コネクタ160が被覆材155の残余部と比較して持ち上げられるように、被覆材155を患者の上に配置することが可能になってもよい。そのように配置すると、流体コネクタ160およびフィルタ214は、創傷部位への陰圧の伝達を減じるために、時期を早めてフィルタ214を閉塞させ得る創傷流体と、接触する可能性が低くなる場合がある。
【0181】
ここで流体コネクタ160を参照すると、いくつかの実施形態は、封止面216と、近位端(陰圧源により近い)および遠位端140を有するブリッジ211と、フィルタ214とを含む。密封面216は、創傷被覆材の最上表面に封止される、アプリケータを形成し得る。一部の実施形態では、流体コネクタ160の最下層は、密封表面216を含んでもよい。流体コネクタ160はさらに、一部の実施形態では、流体コネクタの別個の上部層により画定される、密封表面216から垂直に間隔を空ける上表面を含んでもよい。他の実施形態では、上面および下面は、材料の同じ一片から形成され得る。いくつかの実施形態では、封止面216は、創傷被覆材と連通するように、その中に少なくとも一つの開口部229を備えてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ214は、封止面の開口部229を横切って配置されてもよく、開口部229全体にわたってもよい。封止面216は、創傷被覆材のカバー層に流体コネクタを封止するように構成されてもよく、接着剤または溶接部を備えてもよい。いくつかの実施形態では、封止面216は、スペーサ要素215がフィルタ214と透過層226との間にギャップを作るよう構成され状態で、カバー層のオリフィスの上に配置されうる。他の実施形態では、密封表面216は、カバー層のオリフィスおよび吸収層220の開口部の上に位置してもよく、流体コネクタ160によって透過層226を通る気流を提供することが可能になる。いくつかの実施形態では、ブリッジ211は、陰圧源と連通する第一流体通路212を備えてもよく、第一流体通路212は、3D編み材料など、前に記載した多孔質層226と同じでもよく、または異なってもよい、多孔質材料を備える。ブリッジ211は、近位端および遠位端を有し、第一の流体通路212を囲むように構成される、少なくとも一つの可撓性フィルム層208、210によって被包することができ、可撓性フィルムの遠位端は、密封表面216に接続する。フィルタ214は、創傷滲出液がブリッジに入ることを実質的に防止するように構成され、スペーサ要素215は、流体コネクタが透過層226に接触するのを防ぐように構成される。これらの要素については、以下により詳細に記載する。
【0182】
一部の実施形態はさらに、第一の流体通路212の上方に位置する、任意の第二の流体通路を備えてもよい。例えば、一部の実施形態によって、第一の流体通路212および被覆材155中への空気経路を提供するように構成され、最上層の近位端に配置される可能性がある、空気漏れ部を提供してもよく、これは、参照することによって全体が援用される、米国特許第8,801,685号に記載する吸引アダプタに類似する。
【0183】
いくつかの実施形態では、流体通路212は、スペーサがねじれるかまたは折り重なる場合でも、流体が通過することを可能にする、可撓性のある、規格に準拠した材料から構築される。流体通路212の好適な材料には、ポリエチレンまたはポリウレタン発泡体など、連続気泡発泡体を含む発泡体、メッシュ、3D編物、不織材料および流体チャネルを含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、流体通路212は、透過層226に関して上に記載したものと、類似の材料から構築され得る。有利なことに、流体通路212に使用されるそのような材料によって、患者の快適性をより増すことが可能になるだけでなく、ねじれるか、または曲がっている間でも、依然として流体通路212が流体を創傷から陰圧源の方へと移動できるような、より大きなねじれ抵抗を提供し得る。
【0184】
いくつかの実施形態では、流体通路212は、ウィッキングファブリック、例えば、ニットもしくはウーブンスペーサファブリック(ポリエステルで編み3D織物Baltex 7970(登録商標)またはGehring 879(登録商標))といった、または不織布から成ってもよい。選択されたこれらの材料は、創傷滲出液を創傷から離すように導き、陰圧または吐出された空気を創傷部位へ伝達するために置くことができ、また、ある程度のねじれ抵抗または閉塞抵抗を、流体通路212に与えてもよい。いくつかの実施形態では、ウィッキング生地は、いくつかの事例では、流体の吸い上げまたは陰圧の伝達に役立つ場合がある、三次元構造を有し得る。特定の実施形態では、ウィッキング生地を含むある実施形態では、これらの材料は、開放されたままで、例えば、-40から-150mmHgの間の陰圧療法で使用される通常圧力下において、変わらず陰圧を創傷範囲に伝えることができる。いくつかの実施形態では、ウィッキング生地は、互いの上に積み重なった、または積層された材料のいくつかの層を備えてもよく、一部の場合には、陰圧の印加状況下において、流体通路212が崩れるのを妨げるのに有用であり得る。他の実施形態では、流体通路212に使用されるウィッキング生地は、1.5mmと6mmとの間であってもよく、より好ましくは、ウィッキング生地は、3mmと6mmとの間の厚さであってもよく、一つまたはいくつかの個別のウィッキング生地層から成ってもよい。他の実施形態では、流体通路212は1.2~3mmの間の厚さであってもよく、好ましくは1.5mmよりも厚い。いくつかの実施形態、例えば、創傷滲出液などの液体を保持する被覆材と共に使用される吸引アダプタは、流体通路212に疎水性の層を用いてもよく、ガスのみが流体通路212を通って動いてもよい。加えて、前に記載した通り、システムに使用される材料は、適合する柔らかいものであることができ、患者の皮膚に対して圧力を加える創傷治療システムに起因する場合がある、褥瘡および他の合併症を回避するのに役立つ場合がある。
【0185】
いくつかの実施形態では、フィルタ要素214は、液体に対して不透過性であるが、気体に対しては透過性があり、液体バリアとして働き、液体が創傷被覆材155から漏れ出ることができないことを保証するように提供される。フィルタ要素214はまた、細菌バリアとして機能し得る。通常、細孔サイズは0.2μmである。フィルタ要素214のフィルタ材料に好適な材料には、MMT範囲からの0.2ミクロンのGore(商標)拡張PTFE、PALL Versapore(商標)200RおよびDonaldson(商標)TX6628を含む。より大きな細孔サイズも使用され得るが、これらは、二次フィルタ層が、完全な生物汚染の封じ込めを保証することを必要とする場合がある。創傷流体は脂質を含有するため、必須ではないものの、例えば、0.2ミクロンのMMT-323の前に1.0ミクロンのMMT-332といった、撥油性フィルタ膜を使用することが好ましい。これにより、脂質が疎水性フィルタを遮断するのを防げる。フィルタ要素は、オリフィスの上のポートもしくはカバーフィルムに取り付けられ得るか、または封止され得る。例えば、フィルタ要素214は、流体コネクタ160に成型されてもよく、または限定するものではないが、UV硬化接着剤などの接着剤を使用して、被覆層の最上部および吸引アダプタ160の最下部の一方または両方に接着してもよい。
【0186】
他のタイプの材料がフィルタ要素214に使用され得ることは、理解されるであろう。より広くは、薄く平坦な一枚のポリマー材料である、微多孔膜を使用することができ、これは数十億もの微細な細孔を包含する。選んだ膜に応じて、これらの細孔は、0.01マイクロメートルから10マイクロメートルより大きいサイズの範囲にあり得る。微多孔膜は、親水性(水のフィルタリング)および疎水性(撥水)形態の両方で利用可能である。一部の実施形態では、フィルタ要素214は、支持層と、支持層上に形成されるアクリルコポリマー膜とを含む。いくつかの実施形態では、特定の実施形態による創傷被覆材155は、疎水性微多孔膜(MHM:microporous hydrophobic membrane)を使用する。多数のポリマーを用いて、MHMを形成し得る。例えば、MHMは、PTFE、ポリプロピレン、PVDFおよびアクリルコポリマーの一つまたは複数から形成され得る。これら任意のポリマーの全てが、疎水性および撥油性の両方であり得る、特定の表面特性を得るために処理され得る。これらによって、マルチビタミン注入物、脂質、界面活性剤、油および有機溶媒など、表面張力の低い液体を追い払うであろう。
【0187】
MHMは、空気が膜を通って流れることを可能にしながら、液体を遮断する。MHMはまた、潜在的感染エアロゾルおよび粒子を排除する、非常に効率的なエアフィルタである。MHMの単一片は、機械式バルブまたはベントを交換する選択肢として、よく知られる。それゆえ、MHMの組込みによって製品組立費を削減し、利益、および患者に対する費用/利得の割合を改善し得る。
【0188】
フィルタ要素214はまた、例えば、活性炭、炭素繊維布もしくはVitec Carbotec-RT Q2003073発泡体、または類似のものといった臭気吸収性材料を含んでもよい。例えば、臭気吸収材は、フィルタ要素214の層を形成してもよく、またはフィルタ要素内の疎水性微多孔膜間に挟まれてもよい。それゆえ、フィルタ要素214によって、オリフィスを通してガスを排出することが可能になる。しかしながら、液体、微粒子および病原体は被覆材に包含される。
【0189】
創傷被覆材155は、流体コネクタ160およびフィルタ214と併せてスペーサ要素215を備えうる。こうしたスペーサ要素215を追加することで、流体コネクタ160およびフィルタ214は、吸収性層220または透過層226と直接接触しないよう支持され得る。吸収層220はまた、フィルタ214を透過層226に接触させるための追加的なスペーサ要素として作用し得る。従って、こうした構成により、フィルタ214の使用中の透過層226および創傷液体との接触が、最小化されうる。
【0190】
上記の創傷被覆材の実施形態に類似して、一部の創傷被覆材は、皮膚接触面上にシリコーン接着剤、および裏面上にアクリル接着剤を伴う穿孔創傷接触層を含む。この縁取られた層の上方には、透過層または3Dスペーサ生地パッドが存在する。透過層の上方には吸収層が存在する。吸収層は超吸収不織(NW)パッドを含み得る。吸収層は、周囲をおよそ5mm越えて透過層に接し得る。吸収層は、一つの端部の方に向かう開口部または貫通孔を有し得る。開口部は直径約10mmであり得る。透過層および吸収層の上に、バッキング層がある。バッキング層は、アクリル接着剤でコーティングされた模様である、高水蒸気透過率(MVTR)フィルムであり得る。高MVTRフィルムおよび創傷接触層は、透過層および吸収層を被包して、およそ20mmの周囲境界を作り出す。バッキング層は、吸収層の開口部の上に重なる、10mmの開口部を有し得る。孔の上方には、前述した開口部の上に重なる、液体不透過性、気体透過性の半透過性膜(SPM:semi-permeable membrane)またはフィルタを備える、流体コネクタを結合し得る。
【0191】
センサ付き創傷被覆材
多数のセンサを組み込む創傷被覆材は、創傷が治癒するにつれて、その創傷の特性を監視するために利用することができる。良好に治癒する創傷、および、治癒しない創傷からのデータを収集することは、創傷が治癒軌道上にあるかどうかを示すための測定基準を特定するための有用な洞察を提供できる。
【0192】
いくつかの実装では、いくつかのセンサ技術が、創傷被覆材で、または創傷被覆材装置全体の一部を形成する一つまたは複数の構成要素で使用され得る。例えば、いくつかの実施形態によるセンサアレイを有する創傷被覆材250および320を示す
図2および3Dに示す通り、一つまたは複数のセンサは、
図3Dに示す通りの穿孔創傷接触層であってもよい、創傷接触層上へまたは創傷接触層中へ組み込まれ得る。
図2および3Dの創傷接触層は、四角形を有するように示されるが、創傷接触層が、例えば、長方形、円形、楕円形などの他の形を有してもよいことは理解されるであろう。一部の実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、創傷面積の上に設置される個々の材料層として提供され、その後、創傷被覆材装置、創傷被覆材装置の構成要素、例えば、ガーゼ、発泡体または他の創傷パッキング材料、超吸収層、ドレープ、PicoまたはAllevyn Life被覆材のような完全統合型被覆材など、によって被覆され得る。他の実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、ここに記載するような、単一ユニット被覆材の一部であってもよい。
【0193】
センサ統合型創傷接触層は、創傷と接触して配置されることができ、流体が創傷の中の組織への損傷を全くまたはほとんど起こさずに、接触層を通過することが可能になるであろう。センサ統合型創傷接触層は、シリコーンなどの可撓性材料から作ることができ、抗菌剤、または当該技術分野で知られる他の治療薬を組み込み得る。一部の実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、湿組織または乾燥組織に接着する接着剤を組み込み得る。一部の実施形態では、センサ、またはセンサアレイは、上に記載した吸収層またはスペーサ層など、創傷被覆材の他の構成要素内に取り込まれ得るか、または被包され得る。
【0194】
図2および3Dに示す通り、例えば、温度(例えば、25個のサーミスタセンサ、配列5x5、ピッチ~20mm)、酸素飽和度またはSpO2(例えば、4個または5個のSpO2センサ、創傷接触層の中心から縁まで単一直線、ピッチ10mm)、組織色、(例えば、10個の光学センサ、配列2x5、ピッチ~20mm、配列の各列5個のセンサすべてが整列する必要はない)、pH(例えば、pH感受性パッドの色を測定することによって、組織の色用と同じ光学センサを任意で使用)、および伝導度(例えば、9個の伝導性接触部、配列3x3、ピッチ~40mm)用センサを含む、五個のセンサが使用され得る。
図3Aに示す通り、SpO2センサは、創傷接触層の中心からまたは中心付近から、創傷接触層の縁への単一直線状に配設され得る。SpO2センサの直線によって、センサが、様々な領域間の変化を測定するように、創傷の真ん中で、縁もしくは創傷で、または無傷の皮膚上で測定値を得ることが可能になり得る。一部の実施形態では、創傷接触層またはセンサアレイは、創傷の全体表面範囲だけでなく周囲の無傷の皮膚も被覆するように、創傷のサイズよりも大きくなり得る。より大きなサイズの創傷接触層および/またはセンサアレイ、および複数のセンサによって、センサが創傷の中心にのみ設置されていた場合、または一度に範囲の一箇所ずつの場合よりも、創傷範囲についてより多くの情報を提供し得る。
【0195】
センサは、様々なフルオロポリマー(FEP)およびコポリマー、または当技術分野で知られている任意の材料と共に、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンナフタレート(PEI)を含む可撓性のポリマーから形成される、可撓性の回路基材上に組み込まれることができる。センサアレイは二層の可撓性回路の中に組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、回路基板は、多層の可撓性回路基板であり得る。いくつかの実施形態では、これらの可撓性回路は、創傷被覆材のいかなる層の中にも組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、可撓性回路は、創傷接触層の中に組み込まれ得る。例えば、可撓性回路は、
図1Bを参照して記載した創傷接触層に類似する、創傷接触層の中に組み込まれ得る。創傷接触層は、創傷接触層の下表面から突出し、創傷範囲に直接接触する、一つ以上のセンサを可能にする、切り取り部またはスリットを有し得る。
【0196】
いくつかの実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、創傷接触層材料の二層の間に挟まれる可撓性回路基板を伴う、第一のおよび第二の創傷接触層を含み得る。第一の創傷接触層は、創傷と接触するように意図する下表面と、可撓性回路基板と接触するように意図する上表面とを有する。第二の創傷接触層は、可撓性回路基板と接触するように意図する下表面と、創傷被覆材、または創傷被覆材アセンブリ全体の一部を形成する、一つまたは複数の構成要素と接触するように意図する上表面とを有する。第一の創傷接触層の上表面および第二の創傷接触層の下表面は、二層の間に挟まれる可撓性回路基板と共に接着され得る。
【0197】
いくつかの実施形態では、可撓性回路基板の一つまたは複数のセンサは、創傷の中の水分または流体との接触を妨げるように、創傷接触層によって完全に封止または被覆され得る。いくつかの実施形態では、第一の創傷接触層は、下表面から突出し、創傷範囲に直接接触する、一つまたは複数のセンサを可能にする、切り取り部またはスリットを有し得る。例えば、
図3Dに示す通りの一つ以上のSpO2センサは、創傷接触層の最下表面から突出して示されている。一部の実施形態では、SpO2センサは、第一の創傷接触層の下表面上に直接載置され得る。センサと電気もしくは電子部品の一部またはすべては、埋められてもよく、または、ポリマー、例えば、シリコンまたはエポキシベースのポリマーで、被包されてもよい(例えば、防水または防液の状態にする)。ポリマーで被包することで、流体進入、および構成要素からの化学物質浸出を防ぎ得る。いくつかの実施形態では、創傷接触層材料は、水が進入したり化学物質が浸出したりしないように、構成要素を密閉し得る。
【0198】
いくつかの実施形態では、創傷に関係する情報を集めて処理する際に、センサアレイ、コントロールまたは処理モジュール、およびソフトウェアを含む、三つの構成要素を利用し得る。三つの構成要素について、本明細書により詳細に記載する。
【0199】
図3Aは、いくつかの実施形態に従い、センサアレイ部分301、尾部分302、およびコネクタパッド端部分303を含む、可撓性センサアレイ回路基材300を示す。センサアレイ部分301は、センサおよび関連回路を含み得る。センサアレイの回路基板300は、センサアレイ部分301から延在する、長い尾部分302を含み得る。コネクタパッド端部分303は、センサアレイ回路からデータを受信するように、コントロールモジュールもしくは他の処理ユニットに接続することが可能になり得る。長い尾部分302によって、コントロールモジュールを、例えば、創傷から離れた、より都合の良い場所などの、創傷から遠くに配置することが可能になり得る。
【0200】
図3Bは、いくつかの実施形態による、様々な四つのセンサアレイの幾何学形状301A、301B、301C、301Dを有する可撓性の回路基板の実施形態を示す。図示した実施形態は、尾部分302A、302Bを含む。302C、および302D。いくつかの実施形態では、四つの異なるセンサアレイ形状は、可撓性回路に実装され得る。
図3Bは、四つの異なるセンサアレイ形式および構成を示すが、設計301Bおよび302Bは、スポンサーアレイ301Bとコントロールモジュールとの間の電気または電子接続部を提供するように構成されたコネクタパッド端部分303も含む。301A、301C、または301Dの設計のうちの一つまたは複数は、部分303といった、コネクタパッド端部分を含み、可撓性回路基板301A、301C、または301Dがコントロールモジュールまたはその他の処理ユニットと通信できるようにする。いくつかの実施形態では、センサアレイはコントロールモジュールと無線通信し、尾部分は省略されてもよい。
【0201】
図3Cは、
図3Bに示すセンサアレイ設計のセンサアレイ部分301Bを、より詳細に示す。
図2または
図3A~3Dの実施形態のうちのいずれか一つまたは複数では、センサアレイ部分が、創傷接触層などの創傷被覆材構成要素の周囲近辺、または創傷被覆材構成要素の外縁から内向きのいずれかに延在する複数の部分を含み得る。例えば、図示する実施形態は、創傷被覆材構成要素の縁に平行で、一部の実施形態では、創傷被覆材構成要素の全体周囲を辿ってもよい、複数の直線延在部分を含む。一部の実施形態では、センサアレイ部分は、第二の複数の平行な直線延在部分と垂直である、第一の複数の平行な直線延在部分を含み得る。これらの直線延在部分はまた、異なる長さを有してもよく、創傷被覆材構成要素の内部の中で、内向きに異なる場所へ延在してもよい。センサアレイ部分は、創傷被覆材構成要素全体を被覆しないことが好ましく、そのため、センサアレイの複数部分間に割れ目が形成される。
図2に示す通り、これにより、一部、および場合により大多数の創傷被覆材構成要素のカバーを、センサアレイによって取ることが可能になる。例えば、
図2および3Dに示す通りの穿孔創傷接触層に対して、センサアレイ部分301は、創傷接触層の大多数の穿孔を遮断しなくてもよい。一部の実施形態では、センサアレイはまた、流体の流れへの穿孔の遮断を最小化するために、創傷接触層の穿孔に合致するように穿孔されてもよく、または形作られてもよい。
【0202】
図3Dは、いくつかの実施形態に従い、穿孔創傷接触層320に組み込まれる可撓性センサアレイを示す。示す通り、センサアレイは、二つのフィルムまたは創傷接触層の間に挟まれ得る。創傷接触層は、創傷滲出液が被覆材の中へ流れるのが可能になる一方で、創傷被覆材の中への組織内殖を妨げるのに役立つほど充分小さい、上に記載した通りのスリットまたは孔として形成される穿孔を有し得る。いくつかの実施形態では、創傷接触層は、統合型センサアレイを伴う創傷接触層の可撓性を増大させる、一つまたは複数のスリットを有し得る。いくつかの実施形態では、創傷接触層のうちの一つは、センサが皮膚に直接接触し得るように、センサを収容する余分な切り取り部を有し得る。
【0203】
センサアレイの接続性は、利用される様々なセンサおよびセンサアレイ設計によって変化し得る。一部の実施形態では、例えば
図3Bに示す通り、総計79個の接続部を使用して、センサアレイの構成要素を接続し得る。センサアレイは、40本、ピッチ0.5mmの平行フラットフレキシブルケーブル(FFC)の二つの接触表面で終端することができ、最上表面上に端子を伴い、Molex 54104-4031などのFFCコネクタに接続するように設計される。
【0204】
いくつかの実施形態では、サーミスタ、導電率センサ、Spo2センサ、または色センサのうちの一つまたは複数を、センサアレイ上で使用して、創傷の状態に関連する情報を提供することができる。センサアレイおよび個々のセンサは、創傷の治癒を監視する際に、臨床医を支援し得る。一つ以上のセンサは、創傷および創傷治癒特性に関係するデータを提供するように、個々にまたは互いと連携して動作し得る。
【0205】
温度センサは、温度を測定するために、熱電対またはサーミスタを使用し得る。サーミスタは、基礎を成す創傷の温度、もしくは創傷被覆材内の熱環境を測定または追跡するように使用され得る。温度計は較正することができ、センサから得られるデータは、創傷環境についての情報を提供するように処理され得る。いくつかの実施形態では。周囲空気温度を測定する周囲センサは、環境温度シフトに関連する問題の排除を支援するためにも使用できる。
【0206】
光学センサを使用して、照射源のあるRGBセンサを使用して、創傷の外観を測定することができる。一部の実施形態では、RGBセンサおよび照射源の両方は、皮膚に押し付けることができ、光が組織中に透過し、組織自体のスペクトル特性を呈するであろう。
【0207】
組織の中の光伝播は、二つの主要な現象である、散乱および減弱によって支配され得る。減弱に対して、光が組織を通過するとき、組織の様々な構成要素による吸収のために、光の強度が損なわれる場合がある。青色光は、大きく減衰する傾向がある一方、スペクトルの赤末端の光は、最も減衰が少ない傾向がある。
【0208】
散乱プロセスはより複雑である場合があり、考慮しなくてはならない様々な「レジーム」を有し得る。散乱の第一態様は、入射光の波長と比較した、散乱中心のサイズに基づく。散乱中心が光の波長よりもかなり小さい場合、レイリー散乱が想定され得る。散乱中心が光の波長ほどである場合、より詳細なミー散乱の定式化を考慮しなくてはならない。散乱光に関与する別の要素は、散乱媒質の投入と排出との間の距離である。光の平均自由行程(散乱事象間の距離)が、動く距離よりもかなり長い場合、弾道的光子輸送が想定される。組織の場合、スキャット事象はおよそ100ミクロン離れているため、1mmの行程距離により、光子の方向を効果的にランダム化し、システムは拡散性レジームに入るであろう。
【0209】
超高輝度発光ダイオード(LED)、RGBセンサ、およびポリエステル光フィルタを光学センサの構成要素として使用して、組織色分化を通して測定する。例えば、表面の色は反射光から測定し得るため、色は、所与の形状に対して最初に組織を通過した光から測定され得る。これは、拡散した散光、すなわち、皮膚と接触するLEDからの色の感知を含み得る。いくつかの実施形態では、LEDは、組織を通って拡散した光を検出するように、すぐ近くのRGBセンサと共に使用され得る。光学センサは、拡散した内部の光または表面反射光で撮像し得る。
【0210】
加えて、光学センサが、自己蛍光を測定するように使用され得る。組織は一つの波長で光を吸収し、別の波長で放出しているため、自己蛍光が使用される。加えて、死んだ組織は自己蛍光を発することができないため、これは、組織が健康か否かに関する非常にはっきりとした指標となり得る。そのような浅い侵入深さを有する青色光(または、さらにUV光)によって、例えば、非常に特有の波長で自己蛍光を発するであろう健康な組織に対して、バイナリテストとして働くように、すぐ近くの赤に敏感なフォトダイオード(または、一部の他の波長がシフトされたバンド)によるUV光を有することは、非常に有用である場合がある。
【0211】
伝導度センサは、生きている組織と死んだ組織との間の差を判定するか、または病的組織の中で開いている創傷による、インピーダンスの変化を示すかに使用され得る。伝導度センサは、Ag/AgCl電極およびインピーダンス分析器を含み得る。伝導度センサは、周囲の組織/範囲のインピーダンスを測定することによって、創傷が大きくなった領域のインピーダンスの変化を測定するように使用され得る。一部の実施形態では、センサアレイは、創傷サイズまたは創傷の形の変化による、周囲の電極上の伝導度の変化を測定するように、伝導度センサを利用し得る。一部の実施形態では、伝導度センサは、創傷床の中でまたは創傷の周囲で使用され得る。
【0212】
いくつかの実施形態では、pHが変化するパッドがpHセンサとして使用され得る。分光計、および広帯域の白色光源は、pH色素のスペクトル応答を測定するように使用され得る。照明および撮像は、創傷と接触している創傷被覆材の表面上と、流体適用と同じ面にある最下表面上とに提供され得る。代替として、一部の実施形態では、照明および撮像源は、最下表面に対向し、流体適用から離れた創傷被覆材の表面、または被覆材の最上表面上に提供され得る。
【0213】
いくつかの実施形態では、パルスオキシメトリSpO2センサが使用され得る。血液がどのように酸素化され、拍動血がどのように流れるのかを計測することを、観察することができる。パルスオキシメトリ測定は、二つの異なる光波長で、光吸収/透過の時間分解測定を行うことによって機能する。ヘモグロビンが酸素化されるとき、その吸収スペクトルが非酸素化血液に関して変化する。二つの異なる波長で測定を行うことによって、一方で、血液を酸素化する方法の比率を用いた測定尺度を得る。
【0214】
センサアレイの中の構成要素は、複数の接続によって接続され得る。一部の実施形態では、サーミスタは、五個一組で配設され得る。各サーミスタは名目上10kΩであり、五つの各グループは共通の接地を有する。五組のサーミスタがあり、全部で30個の接続部を供給する。一部の実施形態では、九個の伝導性端子が存在し得る。各伝導性端子は一つの接続部を必要とし、全部で九個の接続部を供給する。一部の実施形態では、五個のSpO2センサが存在し得る。SpO2センサは、電力および接地(これらは別途被覆される)に加え三つの接続部を必要とし、全部で15個の接続部を供給する。一部の実施形態では、10色のpHセンサが存在し得る。各色センサは、RGB LEDおよびRGBフォトダイオードを含む。各色センサは六個の接続部を必要とするが、しかしながら、これらのうちの五個は全センサに共通し、全部で15個の接続部を供給する。電力および設置は別途考慮される。一部の実施形態では、5個のpHセンサが存在し得る。pHセンサは色が変化するディスクであることができ、上に記載した色センサを使用して感知され得る。そのため、pHセンサは追加の接続部を必要としない。三つの電源レールおよび七個の接地リターン信号があり、全部で10個の共通接続部を供給し得る。いくつかの実施形態には、25サーミスタ(Murata NCP15WB473E03RC)、9導電率端子、5Spo2(ADPD144RI)、10RGB LED(KPTF-1616RGBC-13など)、10個のRGB色センサ、10FET、プリント回路基板(PCB)、および組立品を含み得る。
【0215】
コントロールモジュールは、センサアレイと連動するように使用され得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、センサを駆動するように、バッテリなどの電源および電子機器を包含し得る。またコントロールモジュールにより、適切な間隔でデータのログを取り、パーソナルコンピュータ(PC)などの外部コンピュータデバイスへの、データ転送が可能となり得る。コントロールモジュールは、センサアレイで使用されるセンサと、センサにより収集されるデータとによって、様々な特徴部を有するようにカスタマイズされ得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、数週間継続して身に着けられるほど、充分快適で小型であり得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、創傷被覆材近くまたは創傷被覆材上に位置し得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、創傷被覆材および付随のセンサアレイから遠隔の場所に位置し得る。コントロールモジュールは、被覆材上、被覆材近くまたは創傷被覆材から遠隔に位置していても、電線を介してまたは無線通信によって、センサアレイおよび創傷被覆材と通信し得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、異なるセンサアレイと共に利用されるように適応することができ、センサアレイの容易な交換が可能となり得る。
【0216】
いくつかの実施形態では、コントロールモジュールは、以下の表1に列挙する特徴を含むが限定はされない、様々な要件および特徴の組み合わせを含み得る。
表1 コントロールモジュールに関する任意の特徴
【0217】
【0218】
図3Eは、いくつかの実施形態に従う、コントロールモジュールのブロック
図330を示す。コントロールモジュールのブロック図は、伝導度ドライバの特徴を表示する、伝導度ドライバボックス391を含む。ボックス392は、サーミスタインターフェースの特徴を示し、ボックス393は光インターフェースの特徴を示す。コントロールモジュールは、ボックス394に示されるものと類似の特徴を伴う、コントローラまたはマイクロプロセッサを含み得る。リアルタイムクロック(RTC)、状態LED、USBコネクタ、シリアルフラッシュおよびデバッグコネクタは、
図3Eに示す通り、コントロールモジュールの特徴部として含まれ得る。
【0219】
いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサは、次の特徴のうちの一つまたは複数を有し得る。2.4GHz、もしくは別の他の好適な周波数無線(統合型または外付けのいずれか)、供給するBluetoothソフトウェアスタック、SPIインターフェース、USB(または外付けUSBドライバ用UART)、I2C、3チャネルPWM、32GPIO、または6チャネルADC。一部の実施形態では、デバイスは、盛り上がりを作る制限から、少なくとも48個のI/Oピン、または場合によりそれ以上を必要とし得る。Bluetoothスタックは通常、20kB未満の搭載フラッシュを必要とするため、最低32kBが必要とされ得る。一部の実施形態では、複雑なデータ処理を考慮する場合には、64kBが必要とされ得る。プロセッサコアは、ARM Cortex M4または類似のプロセッサコアであり得る。一部の実施形態では、部品は、外部無線機、もしくは統合無線機を含むNXPのKinetis KWクラスを必要とし得る、STのSTM32L433LCまたはSTM32F302R8を含むだろう。
【0220】
いくつかの実施形態では、コントロールモジュールは、メモリ構成要素を含むことができ、ローカルストレージの量は、センサのサンプル速度および解像度による。例えば、推定されるデータ要件である256Mb(32MB)は、いくつかの製造業者(Micron、Spansion)のシリアルフラッシュデバイスを使用することによって満たされ得る。
【0221】
コントロールモジュールは、一つまたは複数のアナログスイッチを利用し得る。一部の実施形態では、優れたオン抵抗および合理的な帯域幅を伴うアナログスイッチが使用され得る。例えば、Analog DevicesのADG72またはNXPのNX3L4051HRが使用され得る。初期システムアーキテクチャに基づき、これらのうちの8つが必要となる。
【0222】
コントロールモジュールは、バッテリなどの電源を組み込み得る。例えば、300mWh/日のバッテリが使用され得る。7日間で2100mWhである。これは、10日間分の非充電式ER14250(直径14.5mmx25mm)LiSOCl2セル、または7日間分の充電式Li 14500(直径14.5mmx500mm)Li-Ionにより提供され得る。
【0223】
コントロールモジュールは、リアルタイムクロック(RTC)を組み込み得る。RTCは、結晶を伴ういずれのRTCデバイスより選ばれ得る。コントロールモジュールはまた、種々の抵抗器、コンデンサ、コネクタ、充電コントローラおよび他の電力供給部も含み得る。
【0224】
コントロールモジュールのPCBは、およそ50mmx20mmまたは25mmx40mmの4層基板であり得る。使用されるPCBのタイプは、センサアレイへの接続要件によって大部分駆動され得る。
【0225】
コントロールモジュールの筺体は、センサアレイまたはバッテリを充電するために、容易にアクセスが可能になるクリップ特徴部を伴う、二つの部分から成る成形品であり得る。
【0226】
センサアレイを通して収集されるデータは、コントロールモジュールを通過し、ホストソフトウェアにより処理され得る。ソフトウェアは、処理デバイス上で実行されてもよい。処理デバイスは、PC、タブレット、スマートフォン、またはホストソフトウェアを実行可能な他のコンピュータであってもよい。ソフトウェアを実行する処理デバイスは、電線を通してまたは無線通信によって、コントロールモジュールと通信し得る。いくつかの実施形態では、ソフトウェアは、ビッグデータ解析を実施するのではなく、コントロールモジュール上に保管するデータへのアクセスを提供するように構成されてもよい。ホストソフトウェアは、BluetoothまたはUSBを介した、コントロールモジュールに対するインターフェースを含み得る。いくつかの実施形態では、ホストソフトウェアは、コントロールモジュールの状態読み取り、コントロールモジュールからのログデータのダウンロード、コントロールモジュールへのサンプル速度制御のアップロード、コントロールモジュールデータのビッグデータ解析エンジンによる処理に好適な形式への変換、または解析エンジンによる処理用クラウドへのデータのアップロードを行い得る。
【0227】
ソフトウェアは、PC(Windows/Linux(登録商標))、タブレットもしくはスマートフォン(Android/iOS)、または複数のプラットフォーム向けに開発されてもよい。
【0228】
一部の実施形態では、陰圧の源(ポンプなど)、ならびに電源、センサ、コネクタ、ユーザーインターフェース構成要素(例えば、ボタン、スイッチ、スピーカ、画面など)および同類のものなど、局所陰圧システムの他の構成要素の一部またはすべては、創傷被覆材と一体化し得る。いくつかの実施形態では、構成要素は、バッキング層の最上部下方、最上部内、最上部上、またはバッキング層に隣接して統合され得る。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、創傷被覆材の層、および統合された構成要素のいずれの上に、位置決め用第二のカバー層または第二のフィルタ層を含み得る。第二カバー層は、被覆材の一番上の層であることができ、または局所陰圧システムの統合された構成要素を取り囲んでいた、別個の外皮であり得る。
【0229】
本明細書で使用される通り、上部層、最上層または上方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。従って、下面、下部層、最下層または下方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。
【0230】
[構成要素の配置]
いくつかの実施形態では、センサ、接続部、等といった電気または電子部品は、一つまたは複数の創傷被覆材構成要素上に配置または位置決めされるか、または埋め込まれ得、その創傷被覆材構成要素は、創傷、皮膚、または創傷および皮膚の両方の中または上に配置され得る。例えば、一つまたは複数の電子部品は、
図1Bの創傷接触層222の下面224といった、創傷に面する創傷接触層側に位置決めされ得る。創傷接触層は、創傷に適合するか、または覆うために可撓性、弾性、または伸縮性、もしくは、実質的に可撓性、弾性、または伸縮性であってもよい。例えば、創傷接触層は、様々なフルオロポリマー(FEP)およびコポリマー、または別の好適な材料と共に、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)のうちの一つまたは複数といった、伸縮性または実質的に伸縮性のある材料から作製され得る。いくつかの実例では、一つまたは複数の電子部品は、あるいは、またはさらに、透過層、吸収性層、バッキング層、または創傷被覆材のその他任意の好適な層のうちの、いずれか一つまたは複数に位置決めまたは埋め込まれ得る。
【0231】
いくつかの実施では、創傷により良く適合するか、または創傷を覆うように、創傷接触層に伸縮性があることが望ましい場合があるが、電子部品のうちの少なくともいくつかに伸縮性または可撓性がなくてもよい。こうした事例では、創傷が創傷被覆材で被覆され、創傷接触層が創傷の中、または上に位置決めされると、電子部品の支持領域または取付部上といった、一つまたは複数の電子部品上に、望ましくないまたは過剰な、局所的な歪みまたは応力が加えられ得る。例えば、このような応力は、患者の動き、創傷の形状またはサイズの変化(その治癒のため)などに起因することがある。このような応力は、一つまたは複数の電子部品の移動、脱落、または誤作動(例えば、ピンまたは別のコネクタが接続解除されることによる開回路の発生)を引き起こす場合がある。一つまたは複数の電子部品によって回収された測定値が、創傷の、同一または実質的に同一の配置または領域における経時変化を正確に捕えるよう、創傷に対して(例えば、創傷に接触して、創傷接触層上で同一または実質的に同一の配置または領域に一つまたは複数のセンサといった、一つまたは複数の電子部品の位置を維持することが望ましい場合がある。伸縮性の創傷接触層の表面は、例えば、患者が動くと移動し得るが、創傷に対して同一配置または領域に配置された一つまたは複数の電子部品を有することが望ましい場合がある。
【0232】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、非伸縮性または実質的に非伸縮性材料の一つまたは複数の領域といった、一つまたは複数の固く、剛性があり、非伸縮性の、または、実質的に固く、剛性があり、非伸縮性の領域は、一つまたは複数の電子部品を支持するための創傷接触層(または別の好適な創傷被覆材構成要素)上に取り付けられ得るか、位置決めされ得るか、または配置され得る。一つまたは複数の非伸縮性または実質的に非伸縮性領域に一つまたは複数の電子部品を取り付けること、位置決めすること、または配置することは、創傷に対して一つまたは複数の電子部品の位置を維持することに伴って、局所的な応力または助力が形成されることを防止し得る。いくつかの実例では、あるいは、またはさらに、一つまたは複数の電子部品は、一つまたは複数の可撓性材料上に取り付けられるか、または印刷されるか、またはそれによって支持されるなど、可撓性であってよい。例えば、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエステル、シリコーン、等といった、可撓性プラスチックシートまたは基板が使用されてもよい。
【0233】
図4A~
図4Cは、いくつかの実施形態による、複数の電子部品を有する創傷被覆材400を示す。示されるように、シートまたは基板430は、複数のコネクタ404および複数の電子接続部410を有する電子部品またはモジュール402を含む一つまたは複数の電子部品と、非伸縮性または実質的に非伸縮性領域422および424を支持するよう構成される。基材430は、本明細書に記載されるように、伸縮性または実質的に伸縮性の創傷接触層であってもよい。電子モジュール402は、センサ、光源(LED、温度センサ、光センサ、等)、コントローラ、またはプロセッサ(通信プロセッサ、等)、等といった、本明細書に記載される任意の電子部品であってもよい。電子接続部410は、例えば伝導性銅、伝導性インク(例えば、銀インク、グラファイトインク等)等を使用して、基材430上に印刷されたトラックであってもよい。電子接続部410の少なくともいくつかは、可撓性または伸縮性であるか、または、実質的に可撓性または伸縮性であってもよい。コネクタ404は、電子モジュール402を電子接続部410に電気的に接続するよう構成され得(
図4Bに示すように)、さらに、基材430上、創傷被覆材の他の構成要素上または中、または、創傷被覆材の外側に位置決めされたその他の電子モジュール(図示なし)に接続され得る。コネクタ404は、ピン、リード線、バンプ、パッド等であってもよい。さらに、またはあるいは、ソケットを使用して、電子モジュール402を支持、および電気的に接続することができる。領域422および424は、接着剤、エポキシ、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、PET、PBT、または高いヤング率を有する別のタイプの材料のうちの一つまたは複数といった、非伸縮性または実質的に非伸縮性材料を含み得る。領域422および424のうちの一つまたは複数を、基板430上に印刷することができる。本明細書で使用されるように、基板上に材料を印刷することは、ラミネートすること、接着させること、またはその他好適な技術のうちの一つまたは複数を含み得る。
【0234】
図4Bは、基材430上に配置された構成要素を示す。示されるように、電子モジュール402は、領域422に取り付けられるか、またはそれによって支持される。電子接続部410の一部分または一部は、領域424に取り付けられるか、またはそれによって支持される。また、一部の実施形態により、基板430に形成されたスリット、穴、または穿孔が図示されている。本明細書に記載されるように、基板430は、冷ピン穿孔、温ピン穿孔、レーザー切除穿孔、超音波または超音波穿孔、等のうちの一つまたは複数を使用して穿孔されて、創傷接触層を液体および気体に対して浸透性とすることができる。いくつかの実装では、一つまたは複数の利用された穿孔プロセスは、不均一な表面(例えば、ドーナツモールドの表面)ではなく、穴の周りに平坦なまたは実質的に平坦な基材を生成することができる。平坦なまたは実質的に平坦な基材を有することは、(本明細書に記載のスプレー、ブラシ等によって)共形コーティングを行う場合に均質な層を生成するのに役立つことができる。さらに、構成要素の周りに穿孔が行われるとき、基板の表面を不均等に、または実質的に不均等のまま残す穿孔プロセスを使用することによって、電子接続部410または電子モジュール402などの一つまたは複数の構成要素が除去されるリスクが大きくなり得る。
【0235】
特定の実施では、電子接続部410、電子モジュール402、または領域422または424といった、基板430上に配置された一つまたは複数の構成要素周りに穿孔が作製されるか、またはパターン化される。本明細書で説明したように、構成要素のインデックスを使用して、一つまたは複数の構成要素が穿孔によって損傷されないように、基板430上の一つまたは複数の構成要素の位置を自動的に配置することができる。いくつかの実施形態では、基材上に配置されている、
図4Aに示された一つまたは複数の構成要素の前に、基板を穿孔することができる。
【0236】
図4Cは、いくつかの実施形態による、被覆440または一つまたは複数の接着剤領域452、454、456のうちの一つまたは複数の任意の適用を例示する。被覆440は、電子接続部410または電子モジュール402といった、基板430または基板によって支持される構成要素のうちの一つまたは複数を封入または被覆するよう構成された、相似被覆であってもよい。被覆440は、生体適合性を提供するか、電子機器が流体等と接触することから遮断または保護し得る。被覆440は、好適なポリマー、1072MのUV、光、または熱硬化性または硬化した接着剤といった接着剤、Optimax接着剤(NovAchem Optimax 8002-LV、等)、パリレン(パリレンC、等)、シリコーン、エポキシ、ウレタン、アクリル化ウレタン、または別の好適な生体適合性および伸縮性材料のうちの一つまたは複数で有り得る。被覆440は、厚さ約100ミクロン、約100ミクロンよりも薄い、または約100ミクロンよりも厚い、といった薄さであってもよい。被覆440は、UV、光、または熱硬化のうちの一つまたは複数を使用して適用および硬化され得る。いくつかの実施では、特に基材が流体に対して不透過性でない場合、基材430の他方の側(または創傷と反対側)に、被覆440を行うことができる。いくつかの実施形態では、被覆は任意である。
【0237】
例示のように、一つまたは複数の接着パッド、トラック、または領域452、454、456を、基材430の創傷に面する側に適用することができる。いくつかの実施形態では、創傷と接触する、またはそれに対する第一の特定また特有の範囲、領域、または位置といった、創傷の第一の特定または特有の部分に接触する、またはそれに対する電子モジュール402を貼り付けられるよう、第一の接着剤領域452を形状付け、サイズ決めし、位置決めすることができる。接着領域452は、モジュールを創傷内の特有の位置に貼り付けられるように、領域422または電子モジュール402を同様に形状拭けし、サイズ決めすることができる。同様に、第二の接着剤領域454は、創傷に接触する、またはそれに対する第二の特定または特有の範囲、領域、または位置など、創傷の第二の特定または特有部分に対して、領域424によって保持される電子接続部410の一部分または一部を貼り付けるように、形状付けられ、サイズ決めされ、または位置付けられ得る。接着剤456の別の(第三の)領域が図示されており、創傷に接触する、またはそれに対する別の(第三の)特定または特有の範囲、領域、または配置といった、創傷の別の(第三)の特定または特有の部分に、創傷接触層の別の部分を貼り付けることができる。接着材料は、シリコーン、例えば、二成分シリコーン、一成分シリコーン、ゲル、エポキシ、アクリル系材料、または別の好適な材料のうちの一つまたは複数であってもよい。接着剤は、UV、光、または熱硬化のうちの一つまたは複数を使用して適用および硬化され得る。例えば、接着剤は印刷、スプレー、被覆、等をされ、UV、光、熱硬化、触媒、水蒸気、等によって硬化され得る。いくつかの実施形態では、接着剤は任意である。
【0238】
いくつかの実施形態では、一つまたは複数の接着剤領域は、基板430が応力または歪み下にあっても、創傷と接触する、または創傷に対する特有の範囲、領域、または位置に特定の構成要素を位置付けまたは貼り付けるよう、パターン化され得る。基板は接着剤領域間で歪み得るが、センサといった電子モジュール402は、(接着剤領域452のために)創傷に接触する、または創傷に対して同じ位置に留まることになり、これにより、最も繰り返し可能な信号が維持され、基板430が歪みを受けるときに、電子接続部410が(接着剤領域454のために)創傷を横切って引きずられないように、電子接続部410の一部分または一部が、創傷に接触する、または創傷に対して同じ位置に留まることになる。さらに、電子モジュール402の支持範囲または取付部は、身体(例えば、皮膚であり、約20%歪む場合がある)が応力のいくらかを緩和することになるため、大きな応力下に置かれることはなく(例えば、一つまたは複数の接着剤領域によって創傷接触層を創傷に取り付けるため)、基板が電子モジュールの周りでたわむことになる。同様の応力緩和が、接着剤領域454によって覆われる電子接続部410の部分に提供され得る。これにより、一つまたは複数の電子部品の誤作動を防止できる。
【0239】
特定の実施形態では、接着剤領域のパターンは、本明細書に記述されるインデックス付けを使用して決定できる、一つまたは複数の電子部品の位置決めに基づいてもよい。本明細書で説明した通り、創傷接触層上の応力または歪みを均一化するために接着剤をパターン化することが望ましい場合がある。一つまたは複数の電子部品が置かれる領域といった、特定の範囲または領域を強化または支持しつつ、応力を分散させるか、または、一つまたは複数の電気構成要素が歪むのを回避するよう、その他の領域を弱める(または剛性を下げる)よう、接着剤がパターン化され得る。例えば、接着剤とともに、創傷接触層の創傷に面する表面の少なくとも50%以上を覆うことが望ましい場合がある。特定の実装では、接着剤は、創傷接触層の創傷に面する側全体を覆う、または実質的に覆うように適用され得る。
【0240】
いくつかの実施形態では、一つまたは複数の接着剤領域を形成するために使用される接着材料は、非伸縮性または実質的に非伸縮性であり得る。非伸縮性または実質的に非伸縮性材料の一つまたは複数の領域、例えば領域422および424は、使用されない、または、一つまたは複数の接着剤領域とは異なるようサイズ決めまたは成形されることができる。
【0241】
単一の電子モジュール402が
図4A~
図4Cに図示されているが、特定の実装では、複数の電子モジュールを使用できる。追加の電子モジュール、または電子モジュール402と追加の電子モジュールとを相互接続する一つまたは複数の電子接続部410、のうちの一つまたは複数を、一つまたは複数の追加の非伸縮性または実質的に非伸縮性領域上に配置することができる。さらに、またはあるいは、接着剤領域は、本明細書に記載されるように、創傷と接触するか、またはそれに対して、一つまたは複数の電子モジュールまたは電子接続部をさらに貼り付けるように配置されうる。
【0242】
[部品の封止および応力緩和]
本明細書に記載されるように、生体適合性コーティングは、創傷接触層または創傷接触層上に配置された電子部品に適用され得る。いくつかの実施形態では、創傷接触層は、創傷に適合する薄い可撓性の基材を含む。例えば、基材は、様々なFEPおよびコポリマー、または別の好適な材料と共に、伸縮性または実質的に伸縮性の材料またはフィルム、例えばポリウレタン、TPU、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、PET、PBT、PEN、PEIから作製されることができる。基材は生体適合性ではない場合がある。コーティングは可撓性であることができる。コーティングは、一つまたは複数の好適なポリマー、接着剤、例えば1072-M接着剤(例えば、Dymax 1072-M)、1165-M接着剤(例えば、NovAchem Optimax 8002-LV、Dymax 1165-M、など)、10901-M接着剤(例えば、Dymax 1901-M、または9001-E Dymax)、パリレン(例えば、Parylene C)、シリコーン、エポキシ、ウレタン、アクリル化ウレタン、アクリル化ウレタン代替品(例えば、Henkel Loctite 3381)、または他の好適な生体適合性および実質的に伸縮性材料を含みうる。コーティングは、例えば、約80ミクロン以下から、最大数ミリメートル以上の薄いコーティングとすることができる。本明細書に記載のように、コーティングは、ラミネート、接着、溶接(例えば、超音波溶接)、光、UV、熱等のうちの一つまたは複数による硬化によって適用されることができる。コーティングは、光学的検出を可能にするために透明または実質的に透明とすることができる。コーティングは、滅菌、例えばEtO滅菌を受けた場合に結合強度を保持することができる。コーティングは、約A100、A80、A50以下の硬度を有することができる。コーティングは、約100%、200%、300%以上の破断時伸びを有することができる。コーティングは、約8,000~14,500センチポアズ(cP)の粘度を有することができる。場合によっては、コーティングは約3,000cP以上の粘度を有することができる。場合によっては、コーティングは約3,000cP未満の粘度を有することができる。コーティングは蛍光性であることができる。
【0243】
基材および基材によって支持される電子部品は、基材および電子部品が本体上または本体内に配置されることを目的とするように、共形であることが望ましい場合がある。共形の一つの特性は、創傷から電子部品を隔離する必要がある場合があるため、コーティング材料の伸展性である。(基材が伸縮性または実質的に伸縮性である場合、)基材に適用されるコーティングは、基材とともに伸縮する能力を必要とする場合がある。基材およびコーティングの両方の伸び特性を組み合わせることにより、デバイスの望ましい特性を最大化できる。一部の実施例ではTPUフィルムから形成され得る。コーティングは、アクリル化ウレタン、例えば1165-M Dymax、1072-M Dymax、または本明細書に記載の別の好適な材料から形成されることができる。
【0244】
基材は、均一かつ包括的にコーティングされる必要がある場合がある(例えば、基材は生体適合性コーティングで封止される場合がある)。基材(例えば、TPU)は親水性であってもよく、したがって、創傷の上または内に配置される疎水性被覆材を作製するために、疎水性コーティングで封止される必要がある場合がある。
【0245】
図5A~5Bは、いくつかの実施形態による創傷被覆材のコーティングを例示する。本明細書に記載のように、創傷被覆材の基材530の面の一つは、表面から突出する複数の電子部品402を含むことができる。これは、例えば、電子モジュール402が基材430の創傷に面する表面から突出する、
図4A~4Cに例示されている。
図5Aに示すように、コーティング440Aを、電子部品を支持する基材の面に適用することができる。本明細書に記載のように、コーティング440Aは生体適合性であることができる。コーティング440Aは疎水性であることができる。コーティング440Aは、実質的に伸縮性、または伸展性であることができる。
【0246】
図5Bに示すように、コーティング440Bを、基材の反対側に適用することができる。これは、基材が生体適合性でも疎水性でもない場合に有利となりうる。コーティング440Bは生体適合性であることができる。コーティング440Bは疎水性であることができる。コーティング440Bは、実質的に伸縮性または伸展性であることができる。コーティング440Aおよび440Bは、同一であっても異なっていてもよい。基材530は、
図5Bに示すように、コーティング内に封止されることができる。図示しないが、基材530の左右の面もコーティングで封止されている。
【0247】
図6は、いくつかの実施形態による二つの生体適合性コーティングを用いた創傷被覆材のコーティングを例示する。基材530によって支持される電子部品402は、特に基材530が伸縮性であるかまたは実質的に伸縮性である場合に、コーティング被覆640Aでコーティングされることができる。本明細書に記載されるように、コーティング640Aは、電子部品(電子モジュールまたは電子接続部を含みうる)に応力緩和を提供するために、非伸縮性または実質的に非伸縮性であることができる。コーティング640Aを、電子部品の上および周囲に適用することができる。コーティング640Aは生体適合性であることができる。コーティング640Aは疎水性であることができる。
【0248】
本明細書に記載の非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティング、例えばコーティング640Aを、アクリレートまたは修飾ウレタン材料(例えばHenkel Loctite 3211)から形成することができる。例えば、コーティングは、Dymax 1901-M、Dymax 9001-E、Dymax 20351、Dymax 20558、Henkel Loctite 3211、または別の好適な材料のうちの一つまたは複数とすることができる。コーティングは、乾燥処理前に約13,500cP~50,000cP、または乾燥処理前に約3,600cP~約6,600cPの粘度を有することができる。場合によっては、コーティングは約50,000cP以下の粘性を有することができる。コーティングは、約D40~約D65の硬度、および/または約1.5~2.5%の線収縮率を持つことができる。コーティングは、光学的検出を可能にするために透明または実質的に透明とすることができる。コーティングは無色、または実質的に無色であってもよい。コーティング640Aは蛍光性であることができる。コーティングは、滅菌、例えばEtO滅菌を受けた場合に結合強度を保持することができる。
【0249】
図示するように、コーティング640Bを、電子部品を支持する基材の面の残りの表面に適用することができる。コーティング640Bをまた、基材の反対側に適用してもよい。図示しないが、基材530の左右の面もコーティングで封止されている。コーティング640Bは生体適合性であることができる。コーティング640Bは疎水性であることができる。コーティング640Bは、実質的に伸縮性または伸展性であることができる。コーティング640Bは、本明細書に記述される一つまたは複数の可撓性のまたは実質的に可撓性のコーティングいずれかと類似していてもよい。例えば、コーティング640Bは、アクリレートウレタンまたはその代替品、例えば1165-M Dymax,1072-M Dymax,Henkel Loctite 3381、または別の好適な材料から形成されうる。
【0250】
いくつかの実施形態では、非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティングは、生体適合性ではない場合がある。
図7に示すように、基材530によって支持される電子部品402は、非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティング740Aでコーティングされ、これは生体適合性がない。第二のコーティング740Bを、電子部品を支持する基体530の面に適用することができる。コーティング740Bを、コーティング740Aの上に適用することができる。コーティング740Bをまた、基材の反対側に適用してもよい。図示しないが、基材530の左右の面もコーティング740Bで封止されている。コーティング740Bは生体適合性であることができる。コーティング740Bは疎水性であることができる。コーティング740Bは、実質的に伸縮性または伸展性であることができる。
【0251】
生体適合性材料を用いて薄くて可撓性の基材をコーティングすることは、電子部品が配置されて反対側にある面上に基材をコーティングする必要があるため、簡単ではない。さらに基材は、均一かつ包括的にコーティングされる必要がある場合がある(例えば、基材は生体適合性コーティングで封止される場合がある)。
【0252】
いくつかの実施形態では
図8に示されるように、創傷接触層をコーティングするための装置500を用いることができる。装置500は、底部フレーム514およびフレーム514に取り付けられたトップフレーム512を含む。基材530は、フレーム514と512との間の張力または実質的に張力で保持される。いくつかの実施では、基材530を、ヤング率が高い材料(例えば、PET、PBT、または別の好適な材料)で作製されたバッキング、例えば実質的に剛直なバッキング上に取り付けることができる。バッキングをフレームとして成形することができ、基材530の周辺に取り付けることができる。基材530は、基材が垂れ下がらないように、装置500内に締め付けられるか、または保持される。いくつかの実施では、フレーム514を、本明細書に記載の基部上に取り付けることができる。
【0253】
いくつかの実施形態では、コーティングを薄くかつ均一に適用することができる。例えば、コーティングをスプレーすることができる。いくつかの実施形態では、
図9の装置600によって、創傷接触層に生体適合性コーティングを適用することができる。図示のように、基材530は装置500によって保持される。コーティングは基材530の両側のコーティング材料を噴霧することができる装置610によって適用される。例えば、基材530の第一の側をコーティングした後に、装置500をひっくり返して基材530の反対側をコーティングすることができる。フレーム514および512を、コーティングが付着しない材料から作製することができる。こうした材料は、PTFE、ナイロン、または別の好適な材料のうちの一つまたは複数を含みうる。例えば、PTFEフレームを図に例示する。
【0254】
本明細書に記載のように、創傷接触層の面の一つは、表面から突出する複数の電子部品を含みうる。これは、例えば、電子モジュール402が基材430の創傷に面する表面から突出する、
図4A~4Cに例示されている。こうした基材の反対側を効率的かつ正確にコーティングするために、
図10のプレートまたはモールド700をいくつか実施形態で使用することができる。図示のように、モールド700は、一つまたは複数の電子部品がその中に位置付けられうる凹部710を有す。こうした凹部はまた、くぼみ、ノッチ、刻印、ウェル、または輪郭と呼ばれることもある。いくつかの実施形態では、凹部710は、電子部品が快適に配置できるように成形される。凹部710の開口面積または深さは、電子部品の組み合わせ面積または深さより大きくてもよく、またコーティングは快適な支持を提供する。一つまたは複数の電子部品を一つまたは複数の凹部に配置することにより、基材の反対側を平坦もしくは実質的に平坦にまたは滑らかに保持し、その側にコーティングを均等に適用することを可能にする。さらに、モールド700は、基体が詰まることを防止することができる。
【0255】
特定の実施では、モールド700を、コーティングが付着しない材料から作製することができる。こうした材料は、PTFE、ナイロン、または別の好適な材料のうちの一つまたは複数を含みうる。例えば、PTFEモールドを図に例示する。
【0256】
いくつかの実施形態では、型は、電子部品の異なる配置を有しうる様々な基材のコーティングを可能にするように成形された、または配置された凹部710を含むことができる。モールド700は、例えば、第一の基材がコーティングされている時に使用されない余剰または追加の凹部710を含むことができる。このような追加の凹部710のうちの少なくともいくつかは、第二の基材がコーティングされる場合に、第二の基材の電子部品の位置決めを可能にするように配置または成形されるため、使用されることができる。
【0257】
図11および12A~12Bは、いくつかの実施形態による創傷被覆材をコーティングする装置800を例示する。装置800では、モールド700は、支持を提供する基部518上に配置される。基部518を、コーティングが付着しない材料から作製することができる。こうした材料は、ナイロン、PTFE、または別の好適な材料のうちの一つまたは複数を含みうる。例えば、ナイロン基部を図に例示する。
【0258】
フレーム514はまた、例示のように基部上に配置される。いくつかの実施形態では、フレーム514は、基部上の一つまたは複数の穴に取り付けるように構成される一つまたは複数のピンを備える。ピンはダウエルピンとすることができる。
【0259】
またフレーム512を、例示のようにフレーム514に取り付けることができる。特定の実施では、取付けは、フレームの一つの上に配置される一つまたは複数のピンと、他方のフレーム上に配置される整合穴とを用いて実施される。ピンはダウエルピンとすることができる。
【0260】
例示された配置では、基材(図示せず)は、モールド700上に配置された電子部品を支持する側で配置されることができ、フレーム514と512の間の張力で保持さることができる。これにより、電子部品を支持する面の反対の面にコーティングを適用することが可能になる。その後、型板700を取り外すことができ、本明細書で説明したように基材をひっくり返してフレーム514と512との間に配置し、電子部品を保持する面をコーティングすることができる。
【0261】
いくつかの実施形態では、電子部品を支持する基材の面は、最初にコーティングされる。装置500(モールドなし)または800(モールド付き)を用いて、基材をフレーム514とフレーム512との間に保持することができる。モールド700は、コーティングの厚さを考慮した厚さを有することができる。モールド700は、コーティング厚さ引いたフレーム514の厚さを有する。例えば、電子部品を支持する基材の面に150ミクロン(0.15mm)のコーティングを適用する場合、フレーム514は10mm厚さとなり、モールド700は9.85mm厚さとなることができる。基体がひっくり返され、電子部品を支持するコーティングされた面がモールド700に配置される場合、基材はモールド700上で正確に水平にされ、フレーム514と512との間の張力で保持されて、基材の反対側(非構成要素)の面のコーティングができる。
【0262】
いくつかの実施では、
図13に例示のように、剛性または実質的に剛性の剥離層または剥離ライナー1010は、追加的または代替的に使用されうる。剥離ライナー1010を基材530に適用して、基材に張力をかけた状態または実質的に張力をかけた状態で、基材をコーティングすることができる。剥離ライナー1010は、基材530の第一の面(例えば、電子部品を支持しない面)に適用されてもよく、対向する面をコーティングすることができる。その後、剥離ライナー1010を取り外して、その他の面(例えば、電子機器を支持する側部)をコーティングすることができる。剥離ライナー1010を、コーティングされた面に適用すると、その他の面をコーティングすることができる。剥離ライナーを、
図13に例示するようにウィンドウフレームとして成形することができる。剥離ライナーを、基材に接着することも、または任意の他の好適な方法によって取り付けることもできる。
【0263】
特定の実施では、剥離ライナー1010は、本明細書に記載のバッキングとして機能することができる。
【0264】
いくつかの実施形態では、
図14A~14Bに例示されるように、創傷接触層のモールドは、コーティング中に創傷接触層を平坦にまたは実質的に平坦に保持できるように鋳造されることができる。
図14Aに示すように、鋳造材料1110を注入して、型またはモールド1120を鋳造することができる。モールドは、創傷接触層によって支持される複数の電子部品に適合するサイズにされた、成形された、および配置された凹部1122を含む。こうした凹部はまた、くぼみ、ノッチ、刻印、ウェル、または輪郭と呼ばれることもある。
【0265】
図14Bは、モールド1120を用いて基材530をコーティングすることを例示する。基材530は、基材の表面から突出する複数の電子部品1102を含む。電子部品1102は、基材の反対側が実質的に平坦になるように、モールド1120の凹部1122に配置される。コーティング1140は、基材の反対側とその面を封止するために均一に適用される。
【0266】
部品を支持する基材530の面は、反対側のコーティングの前または後にコーティングされることができる。例えば、剥離ライナー、例えばライナー1010、または別のバッキングを反対側の非コーティング側に適用して、電子部品を支持する基材530の面をコーティングすることができる。その後、基板530をひっくり返してモールド1120内に配置して、
図14Bに例示するように反対側をコーティングすることができる。本明細書に記載のように、モールド1120の凹部1122は、電子部品上のコーティングを考慮して成形されるおよびサイズにされることができる。
【0267】
本明細書に記載のように、いくつかの実施形態では、アクリル化ウレタンは、これらのポリマーが好適な接着特性および伸展性を有するため、コーティング材料として用いられることができる。圧縮空気または不活性ガスを用いてアクリル化ウレタンをスプレーコーティングすると、アクリル化ウレタンを硬化させるための重合反応の酸素阻害が生じる可能性がある。システムから酸素を除去すると、アクリル化ウレタンを硬化させるための重合反応へ及ぼす悪影響が除去される。
【0268】
図15は、いくつかの実施形態による創傷被覆材のスプレーコーティングを例示する。スプレー装置1200は、空気または不活性ガスを貯蔵する加圧シリンダー1220に連結するディスペンサー1230を含む。圧縮空気またはガスの力により、コーティング1240がディスペンサー1230から基材530に噴霧される。基材は、本明細書に記載されるような複数のフレームまたはモールドのうちの少なくとも一つを備えることができる装置1210によって、張力または実質的に張力で保持することができる。コーティング1240は生体適合性であることができる。コーティング1240は疎水性であることができる。コーティング1240は、実質的に伸縮性または伸展性であることができる。
【0269】
いくつかの実施形態では、複数の電子部品のうちの少なくともいくつかに、非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティングを適用することができる。
図16は、いくつかの実施形態による、非伸縮性材料を創傷被覆材に適用することを例示する。スプレー装置1000は、空気または不活性ガスを貯蔵する加圧シリンダー1020に連結するディスペンサー1030を含む。圧縮空気またはガスの力により、コーティング1110がディスペンサー1030から接続トラック410に噴霧される。コーティング1110は、伸縮性または実質的に非伸縮性であることができる。トラック410をコーティングする代わりに、またはそれに加えて、電子モジュールもコーティングすることができる。
【0270】
いくつかの実施形態では、伸縮性または非伸縮性コーティングの単一層を適用することができる。いくつかの実施形態では、伸縮性または非伸縮性コーティングの多層を適用することができる。例えば、非伸縮性コーティングの多層を適用して、所望の剛性(stiffness)または剛性(rigidity)を達成することができる。
【0271】
図17A~17Bは、いくつかの実施形態による非伸縮性材料の有無による性能の比較を例示する。
図17Aは、非伸縮性または実質的に非伸縮性コーティングでコーティングされていない電気的接続部がどれだけ伸びるかを例示する。伸縮は、例えば、患者の動きによって生じる場合がある。
【0272】
図17Bは、非伸縮性または実質的に非伸縮性コーティングでコーティングされた電子接続部がどれだけ伸びるかを例示する。例示のように、コーティングされていない電子接続部410Aとコーティングされた電子接続部410Cの両方は、伸縮されていない場合にほぼ同じ長さである。しかし、コーティングされていない電子接続部410Bは、コーティングされた電子接続部410Dよりもはるかに長い長さまで伸びる。
【0273】
いくつかの実施形態では、本書に記載の創傷被覆材は、一つまたは複数の安全規格、例えば医療用電気機器の安全性と有効性に関するIEC 60601規格に準拠する必要がある場合がある。このような一つまたは複数の規格では、創傷被覆材の電気的安全性を確保するために、非常に厳しい試験方法が要求される場合がある。本明細書に記載のコーティング、例えばコーティング440、440A、440B、640A、640B、740A、740B、1240を、適用可能な安全基準へのコンプライアンスを確保するために基材に適用することができる。例えば、コーティングは、創傷被覆材の電気部品を液体の侵入から保護し、電気的安全性を確保するなどができる。本明細書に記載のコーティングは、一つまたは複数の適用可能な安全基準に準拠する材料から形成されることができる。
【0274】
いくつかの実施形態では、コーティングは一つまたは複数の既存の材料、例えばフィルムを含むことができる。このような既存の材料は、一つまたは複数の適用可能な安全規格、例えばIEC 60601規格に準拠するように製造されまたは試験されてから、一つまたは複数の材料を本明細書に記載の基材に適用することができる。特定の実施では、既存の材料は、TPU、アクリル化ウレタン、または別の材料とすることができる。
【0275】
いくつかの実施では、電子部品の上にコーティングを適用することができ、これにより、コーティング層に局所的な薄化または伸張が生じる場合がある。これは、電子部品の配置の結果としての基材の不均一な表面による可能性がある。場合によっては、コーティングが噴霧されない場合、局所的な薄化または伸張が存在するか、検出可能になる場合がある。
【0276】
特定の実施形態では、電磁/無線周波数シールドをコーティングされた表面に塗布して電子部品を電磁干渉から保護することができる。例えば、伝導性インクを用いることができる。インクは、シリコーン、銀等であることができる。
【0277】
[穿孔された基材による構成要素の封止および応力緩和]
いくつかの実施形態では、基材430は一つまたは複数の穿孔を含むことができる。こうした一つまたは複数の穿孔は、下記に説明するように、コーティングプロセスの精度、効率、または速度のうちの一つまたは複数を改善できる。一つまたは複数の穿孔は、コーティングプロセスを改善するために、基材430に作製されることができる。
【0278】
図18は、いくつかの実施形態による一つまたは複数の穿孔を有する創傷被覆材1800を例示する。例示された被覆材1800は、一つまたは複数のコネクタ404により一つまたは複数の電子接続部410に電気的に接続する一つまたは複数の電子モジュール402を支持する基材430を含む。モジュール402と一つまたは複数の電子接続部410との間の電気的接続は、一つまたは複数の電子接続部410にモジュール402の一つまたは複数のコネクタ404をはんだ付けすること412によって、または他の好適な手段、例えばソケット、表面実装等を用いることによって形成されることができる。基材430は、一つまたは複数の穿孔470を含む。例示のように、穿孔470はモジュール402の下に配置されることができる。いくつかの実施では、モジュール402の下に追加の穿孔を作製することができる。場合によっては、一つまたは複数の穿孔をモジュール402の下でもなく、それから離れることなく作製することができる。
【0279】
一つまたは複数の穿孔470のいずれかは、基材430および基材によって支持される一つまたは複数の部品をコーティングする場合に形成する可能性のある気泡または空気泡を逃がすことができる。本明細書に記載のように、酸素または空気の除去は、アクリル化ウレタンを硬化させるための重合反応へ及ぼす悪影響を除去することができる。
図19Aは、一つまたは複数の実施形態による創傷被覆材1800のコーティング1300Aを例示する。本明細書に記載のように(例えば、
図6~7を参照)、一つまたは複数のモジュール402(および一つまたは複数の電子接続部410)は、応力緩和をもたらすために非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティングでコーティングされることができる。
図19Aは、適用されているこのようなコーティング480を例示する。コーティング480は、例示のようにモジュール402の下に流れることができる。これにより、ガスまたは空気がコーティング内またはモジュール402の下に閉じ込められるのではなく、一つまたは複数の穿孔470のいずれかからガスまたは空気が漏れることができる。場合によっては、コーティング480は、効率的な流れを促進するのに十分な粘度を有するが、粘度が高い材料はモジュール402の周囲に完全に共形しない可能性があるため、モジュール402に必要な応力緩和をもたらさないほどには高粘度にはならない。本明細書に記載されるように、コーティング480は、約13,500~50,000cP、または約3,600~6,600cP(例えば、約17,000cP)の粘度を有することができる。場合によっては、コーティングは約50,000cP以下の粘性を有することができる。例示のように、一つまたは複数の穿孔470のいずれも、コーティング480で完全にまたは部分的に充填されることができる。いくつかの実施では、コーティングプロセスは、基材430全体に圧力差を生成することにより促進されることができる。例えば、基材430の上面(図示の部品側)に基材430の反対側の底部よりも高い圧力を加えると、コーティング480を強制的に穿孔470に流すことができる。いくつかの実施では、より高い圧力を用いて、基材430の上面をスプレーコーティング、例えば圧縮空気または不活性ガスによるスプレーコーティングすることができる。
【0280】
図19は、いくつかの実施形態による創傷被覆材1800のコーティング1300bを例示する。創傷被覆材1200は、
図19Aに関連して説明したように、コーティング480で既にコーティングされていることができる。本明細書に記載のように、追加のコーティングを創傷被覆材1200に適用することができる。例えば、
図5A~5Bに関連して説明したように、このような追加のコーティングは、生体適合性、疎水性、または実質的に伸縮性もしくは伸展性のうちの一つまたは複数であることができる。追加のコーティングを用いて、基材430を封止するまたは実質的に封止することができる。
【0281】
図19Bに例示するように、追加的なコーティング492および494のうちの一つまたは複数を、創傷被覆材1200に適用することができる。コーティング492を、基材430の上面(または部品側)に適用することができる。コーティング494を、基材430の反対側の底面に適用することができる。
【0282】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材1200を製造またはコーティングするプロセス中に一つまたは複数の剥離ライナーを用いてもよい。例えば、基材430の底面上に剥離ライナー(図示せず)を設けることができ、これは、コーティング492の適用が成功した後、コーティング494が適用される前に剥離されることができる。ソフトコート494が適用される前に基材430の上面に追加のライナーが適用されることができ、これはその後除去されてもよい。このような剥離ライナーのうちの一つまたは複数を使用することにより、コーティング494が適用されるべき領域にコーティング492が適用されないこと、逆もまた同様であることを確実にすることができる。
【0283】
コーティング480、492、または494のうちのいずれか一つまたは複数を、本明細書に記載の方法のうちの任意の一つまたは複数を用いて適用することができる。場合によっては、一つまたは複数の穿孔470のいずれも、本明細書に記載の一つまたは複数のコーティング、例えば一つまたは複数のコーティング480または494で完全にまたは部分的に充填されることができる。いくつかの実装では、一つまたは複数の穿孔のいずれかを一つまたは複数のコーティングで部分的に充填することができ、流体、例えば創傷滲出物が創傷被覆材が通過できるようにすることができる。
【0284】
[他の変形]
いくつかの実施形態では、創傷に面する側の反対側の創傷接触層の側に一つまたは複数の電子部品を配置することができる。本明細書に記載のシステムおよび方法は、このような創傷接触層に同様に適用可能である。コーティングを噴霧することは上記で説明されているが、コーティングを適用するための他の好適な方法が特定の実施形態で用いられることができる。そのような方法には、ディップコーティング、スピンコーティング、蒸着、化学堆積、電気化学堆積、ロールツーロールコーティング、ラミネート、接着、溶接(例えば、超音波溶接)、光、UV、熱等のうちの一つまたは複数による硬化、のうちの一つまたは複数が含まれる。
【0285】
本明細書に記載の特定の実施形態は創傷被覆材に関するが、本明細書に開示されるシステムおよび方法は、創傷被覆材にも医療用途にも限定されない。本明細書で開示されるシステムおよび方法は、一般的に、一般的な電子デバイス、例えばユーザーが着用またはユーザーに適用できる電子デバイスに適用可能である。
【0286】
本明細書で与えられる閾値、制限、期間等の値は、絶対的な値を意図したものではなく、したがっておおよその値とすることができる。さらに、本明細書で提供される任意の閾値、限界値、期間などは、自動的にまたはユーザーによって、固定されるかまたは変えられうる。さらに、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、超える、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値と等しい場合も包含することが意図される。例えば、正の参照値を超えることは、参照値以上であることを包含することができる。その上、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、超える、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値に関連した、下にある、未満、超などの開示された関係とは逆のものも包含することが意図される。また、種々のプロセスのブロックは、ある値が特定の閾値に達するかまたは達しないかを判定することに関して説明されうるが、ブロックは、例えば、ある値が(i)閾値未満であるかもしくは閾値を超えているか、または(ii)閾値を満たすかもしくは満たしていないかに関しても同様に解釈されうる。
【0287】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明される特性、物質、特徴、または群は、本明細書に記載される他の任意の態様、実施形態、または実施例に、これらと両立できないことがない限り、適用可能であることを理解されたい。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示する特徴のすべて、または同様に開示するいずれの方法もしくは過程のステップのすべては、そのような特徴またはステップの少なくとも一部が、互いに排他的である組み合わせを除き、いかなる組み合わせで組み合わせられてもよい。本発明の保護するものは、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護するものは、本明細書(添付の任意の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)において開示される特徴のうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及び、または同様に開示される任意の方法またはプロセスのステップのうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0288】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載の新規な方法及びシステムは、様々な他の形態で具現化されてもよい。さらに、本明細書に記載の方法及びシステムの形態において、様々な省略、置換、及び変形がなされ得る。実施形態によっては、図示または開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップは、図に示されたステップとは異なりうることを、当業者は認識するであろう。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、開示されるプロセスで実施される実際のステップまたはステップの順序は、図で示したものとは異なっていてもよい。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、図に示した様々な構成要素が、プロセッサ、コントローラ、ASIC、FPGA、または専用ハードウェア上のソフトウェアまたはファームウェアとして実装されてもよい。コントローラ、プロセッサ、ASIC、FPGAおよび類似ものなど、ハードウェア構成要素は論理回路を含み得る。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴及び特性は、様々な方法で組み合わせることができ、さらなる実施形態を形成することができるが、その全てが本開示の範囲内に収まることになる。
【0289】
本開示には、特定の実施形態、実施例、および用途が含まれるが、本開示は、具体的に開示された実施形態の範囲を超えて、他の代替の実施形態または使用ならびにその明らかな変更形およびその等価物にまでおよび、これには本明細書に記載された特徴および利点の全てを提供しているとは限らない実施形態が含まれることは、当業者に理解されるであろう。したがって、本開示の範囲は、本明細書における好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることを意図するものではなく、本明細書に提示されるまたはこの後に提示される特許請求の範囲によって画定されうる。
【0290】
「し得る(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」などの条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、特定の実施形態が、特定の特徴、要素、またはステップを含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。したがって、こうした条件付き言い回しは、特徴、要素、またはステップが一つまたは複数の実施形態に多少なりとも必要とされるという示唆、またはこれらの特徴、要素、もしくはステップが特定の任意の実施形態に含まれているかどうか、もしくは該実施形態で実施されるべきかどうかを、ユーザー入力または命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、一つまたは複数の実施形態に必然的に含まれているという示唆を必ずしも意図するものではない。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」等の用語は、同義語であり、包含的に非限定様式で用いられ、追加の要素、特徴、行為、及び動作等を排除するものではない。また、用語「または(or)」は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)用いられることで、例えば要素の列記をつなぐのに使用される場合、列記の要素のうちの一つ、一部、または全てを意味することになる。さらに、用語「各々」は、本明細書で使用される場合、通常の意味を有するのに加えて、用語「各々」が適用されている一連の要素の任意のサブセットも意味し得る。
【0291】
語句「X、Y、およびZのうちの少なくとも一つ」などの連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目や用語などが、Xか、Yか、Zのいずれかでありうることを伝えるのに一般的に用いられる文脈と共に、別途解釈されるものである。したがって、こうした連言的言い回しは、特定の実施形態が、少なくともXのうちの一つと、少なくともYのうちの一つと、少なくともZのうちの一つとを含むことを必要とするという示唆を通常意図しない。
【0292】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語などの、本明細書で使用される程度を表す言い回しは、所望の機能を依然として果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特性に近い値、量、または特性を表すものである。例えば、「およそ」、「約」、「概して」、及び「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、及び0.01%未満以内の量を意味し得る。別の例として、一定の実施形態において、「概して平行」及び「実質的に平行」という用語は、丁度平行である状態から15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、1度以下、または0.1度以下ずれている値、量、または特性を意味する。
【0293】
本開示の範囲は、本節におけるまたは本明細書の他の箇所における好ましい実施形態の特定の開示によって制限されることを意図するものではなく、本節においてまたは本明細書の他の箇所において提示されているか、またはこの後に提示される特許請求の範囲によって定義されうる。本特許請求の範囲の言い回しは、本特許請求の範囲で用いられている言い回しに基づいて広い意味で解釈されるべきであり、本明細書で説明されている例または本出願の手続きの間に説明される例に限定されるものではなく、それらの例は非排他的なものとして解釈されるべきである。
[付記項1]
創傷被覆材をコーティングするための方法であって、前記方法は、
前記創傷被覆材の可撓性の創傷接触層の第一の面を疎水性コーティングでコーティングすることであって、前記創傷接触層の前記第一の面は複数の電子部品を支持する、コーティングすることと、
前記第一の面の反対側の前記創傷接触層の第二の面を疎水性コーティングでコーティングすることであって、前記創傷接触層は少なくとも部分的に親水性材料から形成される、コーティングすることと、を含む、方法。
[付記項2]
前記創傷接触層を前記コーティングで封止することをさらに含む、付記項1に記載の方法。
[付記項3]
前記コーティングは疎水性である、付記項1~2のいずれか一項に記載の方法。
[付記項4]
前記コーティングは生体適合性である、付記項1~3のいずれか一項に記載の方法。
[付記項5]
前記コーティングは実質的に伸縮性である、付記項1~4のいずれか一項に記載の方法。
[付記項6]
前記複数の電子部品は、少なくとも一つの電子接続部を備える、付記項1~5のいずれか一項に記載の方法。
[付記項7]
前記複数の電気部品のうちの少なくともいくつかを複数のコーティング層でコーティングすることをさらに含む、付記項1~6のいずれか一項に記載の方法。
[付記項8]
前記創傷接触層の第一および第二の面をコーティングすることは、コーティングを噴霧することを含む、付記項1~7のいずれか一項に記載の方法。
[付記項9]
噴霧することは、圧縮空気または不活性ガスを用いて噴霧することを含む、付記項8に記載の方法。
[付記項10]
前記コーティングは、IEC 60601規格に準拠した材料から形成される、付記項1~9のいずれか一項に記載の方法。
[付記項11]
創傷被覆材をコーティングするための方法であって、前記方法は、
前記創傷被覆材の可撓性の創傷接触層の第一の面によって支持される複数の電子部品を第一の生体適合性コーティングでコーティングすることと、
前記創傷接触層の前記第一の面および前記第一面の反対側の前記創傷接触層の第二の面のうちの一つまたは複数の残りの領域を第二の生体適合性コーティングでコーティングすることと、を含む、方法。
[付記項12]
前記第一のコーティングは実質的に非伸縮性である、付記項11に記載の方法。
[付記項13]
前記第一のコーティングは、Dymax 20351、Dymax 20558、Dymax 9001-E、またはLoctite 3211のうちの少なくとも一つを含む、付記項11に記載の方法。
[付記項14]
前記創傷接触層は、少なくとも部分的に親水性材料から形成される、付記項11~13のいずれか一項に記載の方法。
[付記項15]
前記第一および第二のコーティングは疎水性である、付記項11~14のいずれか一項に記載の方法。
[付記項16]
前記第一および第二のコーティングは、IEC 60601規格に準拠した材料から形成される、付記項11~15のいずれか一項に記載の方法。
[付記項17]
前記第一のコーティングは約50,000センチポアズ以下の粘度を有する、付記項11~16のいずれか一項に記載の方法。
[付記項18]
創傷被覆材をコーティングするための方法であって、前記方法は、
前記創傷被覆材の可撓性の創傷接触層の第一の面によって支持される複数の電子部品を非生体適合性コーティングでコーティングすることと、
前記複数の電気部品を備える前記創傷接触層の前記第一の面および前記第一の面の反対側の前記創傷接触層の第二の面を生体適合性コーティングでコーティングすることと、を含む、方法。
[付記項19]
前記非生体適合性コーティングは実質的に非伸縮性である、付記項18に記載の方法。
[付記項20]
前記創傷接触層の前記第一を前記生体適合性コーティングでコーティングすることは、前記複数の電子部品を覆う前記非生体適合性コーティングをコーティングすることを含む、付記項18~19のいずれか一項に記載の方法。
[付記項21]
前記生体適合性コーティングは疎水性である、付記項18~20のいずれか一項に記載の方法。
[付記項22]
前記生体適合性コーティングは、IEC 60601規格に準拠した材料から形成される、付記項18~21のいずれか一項に記載の方法。
[付記項23]
創傷被覆材をコーティングするための方法であって、前記方法は、
前記創傷被覆材の可撓性の創傷接触層を第一と第二のフレームとの間に実質的に張力で配置することであって、前記創傷接触層は、第一の面の表面から突出する複数の電子部品を支持する前記第一の面および前記第一の面の反対側の第二の面を備え、前記第二の面は実質的に滑らかである、配置することと、
前記創傷接触層を生体適合性コーティングでコーティングすることと、を含む、方法。
[付記項24]
前記創傷接触層の前記第一の面を、モールドによって実質的に平坦な位置に支持することであって、前記モールドは前記複数の電子部品を支持するように構成される複数の凹部を備える、支持することと、
前記創傷接触層の前記第二の面に前記コーティングを実質的に均一に適用することと、をさらに含む、付記項23に記載の方法。
[付記項25]
前記第一と第二のフレームとの間に前記創傷接触層の前記第二の面を実質的に平坦な位置に保持することと、
前記創傷接触層の前記第一の面に前記コーティングを実質的に均一に適用することと、をさらに含む、付記項24に記載の方法。
[付記項26]
コーティングは前記生体適合性コーティングを噴霧することを含む、付記項23~25のいずれか一項に記載の方法。
[付記項27]
噴霧することは、圧縮空気または不活性ガスを用いて噴霧することを含む、付記項26に記載の方法。
[付記項28]
コーティングは、前記創傷接触層を前記生体適合性コーティングで封止することを含む。付記項23~27のいずれかに記載の方法。
[付記項29]
前記生体適合性コーティングは、IEC 60601規格に準拠した材料から形成される、付記項23~28のいずれか一項に記載の方法。
[付記項30]
前記複数の電子部品を支持する前記実質的に可撓性の創傷接触層の前記第一の面をコーティングする前に、前記実質的に可撓性の創傷接触層に少なくとも一つの穿孔を形成することをさらに含む、付記項1~29のいずれか一項に記載の方法。
[付記項31]
少なくとも一つの電子部品の下に少なくとも一つの穿孔を形成することをさらに含む、付記項30に記載の方法。
[付記項32]
前記第一の面をコーティングする場合、前記実質的に可撓性の創傷接触層の前記第二の面よりも前記第一の面により高い圧力を加えることをさらに含む、付記項30または31のいずれか一項に記載の方法。
[付記項33]
プロセスによって調製される創傷被覆材であって、前記プロセスは、
前記創傷被覆材の創傷接触層の第一の面上に複数の電子部品を配置することであって、前記創傷接触層は親水性材料から少なくとも部分的に形成される、配置することと、
前記複数の電子部品を備える前記創傷接触層の前記第一の面を疎水性コーティングでコーティングすることと、
前記第一の面の反対側の前記創傷接触層の第二の面を前記疎水性コーティングでコーティングすることと、を含む、創傷被覆材。
[付記項34]
前記創傷接触層は可撓性である、付記項33に記載の創傷被覆材。
[付記項35]
前記コーティングは生体適合性である、付記項33~34のいずれか一項に記載の創傷被覆材。
[付記項36]
前記コーティングは実質的に伸縮性である、付記項33~35のいずれか一項に記載の創傷被覆材。
[付記項37]
前記コーティングは、IEC 60601規格に準拠した材料から形成される、付記項33~36のいずれか一項に記載の創傷被覆材。
[付記項38]
前記プロセスは、前記創傷接触層の前記第一の面を前記疎水性コーティングでコーティングする前に、前記複数の電子部品を別の実質的に非伸縮性のコーティングでコーティングすることをさらに含む、付記項33~37のいずれか一項に記載の創傷被覆材。
[付記項39]
前記プロセスは、前記複数の電子部品を支持する前記創傷接触層の前記第一の面をコーティングする前に、前記創傷接触層に少なくとも一つの穿孔を形成することをさらに含む、付記項33~38のいずれか一項に記載の創傷被覆材。
[付記項40]
前記少なくとも一つの穿孔は少なくとも一つの電子部品の下に形成される、付記項39に記載の創傷被覆材。
[付記項41]
前記プロセスは、前記第一の面をコーティングする場合、前記創傷接触層の前記第二の面よりも前記第一の面により高い圧力を加えることをさらに含む、付記項39または40のいずれか一項に記載の創傷被覆材。
[付記項42]
付記項1~41のいずれか一項に記載の方法で製造および/またはコーティングされる創傷被覆材。
[付記項43]
創傷被覆材をコーティングするための装置であって、前記装置は、
第一のフレームと、
前記第一のフレームに取り付けられるように構成され、前記第一と第二のフレームとの間に前記創傷被覆材の可撓性の創傷接触層を固定するようにさらに構成される第二のフレームであって、前記創傷接触層は、第一の面の表面から突出する複数の電子部品を支持する前記第一の面と、前記第一の面の反対側の第二の面を備え、前記第二の面は実質的に滑らかである、第二のフレームと、を備え、
前記第一および第二のフレームは、前記創傷接触層の前記第一および第二の面に生体適合性コーティングを適用できるように、前記創傷接触層を実質的に張力で支持するように構成される、装置。
[付記項44]
基部と、前記複数の電子部品を支持するように構成される複数の凹部を備えるモールドとをさらに備え、前記モールドおよび前記第一のフレームは前記ベース上に配置されるように構成され、前記モールドは、前記創傷接触層の前記第一の面を実質的に平坦な位置に支持して、前記コーティングを前記創傷接触層の前記第二の面に実質的に均一に適用できるようにさらに構成される、付記項43に記載の装置。
[付記項45]
前記モールドは、複数の創傷接触層を前記実質的に平坦な位置に支持するように構成され、前記複数の創傷接触層のうちの少なくとも第一の創傷接触層は、前記複数の創傷接触層の第二の創傷接触層とは異なる電子部品の配置を備える、付記項44に記載の装置。
[付記項46]
前記創傷接触層は熱可塑性ポリウレタンを含む、付記項43~45のいずれか一項に記載の装置。
[付記項47]
前記コーティングはウレタンアクリレートを含む、付記項43~46のいずれか一項に記載の装置。
[付記項48]
前記コーティングは前記創傷接触層を封止するために適用される、付記項43~47のいずれか一項に記載の装置。
[付記項49]
前記プレートまたは前記モールドのうちの少なくとも一つは、ナイロンまたはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、付記項43~48のいずれか一項に記載の装置。
[付記項50]
前記コーティングは噴霧として適用される、付記項43~49のいずれか一項に記載の装置。
[付記項51]
圧縮空気または不活性ガスで充填される貯蔵部を備え、前記創傷接触層上に未硬化コーティングを吐出し、それにより酸素を除去し、前記コーティングを硬化させるように構成される噴霧装置をさらに備える、付記項50に記載の装置。
[付記項52]
前記創傷接触層は、陰圧創傷治療の提供に使用されるように構成される、付記項43~51のいずれか一項に記載の装置。
[付記項53]
創傷被覆材をコーティングするための装置であって、前記装置は、
前記創傷被覆材の創傷接触層の第一の面上に支持される前記複数の電子部品を支持するように構成される複数の凹部を備える本体であって、前記複数の電子部品は前記第一の面の表面から突出し、前記創傷接触層は前記第一の面の反対側の実質的に滑らかな第二の面をさらに備える、本体を備え、
前記本体は、前記創傷接触層の前記第二の面に生体適合性コーティングを適用できるように、前記創傷接触層の前記第一の面を実質的に平坦な位置に支持するように構成される、装置。
[付記項54]
前記複数の凹部は、前記複数の電子部品の形状および配置に実質的に一致するように成形されおよび配置され、成形される、付記項53に記載の装置。
[付記項55]
電子デバイスをコーティングするための方法であって、前記方法は、
前記電子デバイスの可撓性の基材の第一の面を疎水性コーティングでコーティングすることであって、前記基材の前記第一の面は複数の電子部品を支持する、コーティングすることと、
前記第一の面の反対側の前記基材の第二の面を前記疎水性コーティングでコーティングすることであって、前記基材は少なくとも部分的に親水性材料から形成される、コーティングすることと、を含む、方法。
[付記項56]
電子デバイスをコーティングするための方法であって、前記方法は、
前記電子デバイスの可撓性の基材の第一の面によって支持される複数の電子部品を、第一の生体適合性コーティングでコーティングすることと、
前記基材の前記第一の面および前記第一の面の反対側の前記基材の第二の面のうちの一つまたは複数の残りの領域を第二の生体適合性コーティングでコーティングすることと、を含む、方法。
[付記項57]
電子デバイスをコーティングするための方法であって、前記方法は、
前記電子デバイスの可撓性の基材の第一の面によって支持される複数の電子部品を、非生体適合性コーティングでコーティングすることと、
前記複数の電子部品を備える前記基材の前記第一の面および前記第一の面の反対側の前記基材の第二の面を生体適合性コーティングでコーティングすることと、を含む、方法。
[付記項58]
電子デバイスをコーティングするための方法であって、前記方法は、
前記電子デバイスの可撓性の基材を第一と第二のフレームとの間に実質的に張力で配置することであって、前記基材は、第一の面の表面から突出する複数の電子部品を支持する前記第一の面および前記第一の面の反対側の第二の面を備え、前記第二の面は実質的に滑らかである、配置することと、
前記基材を生体適合性コーティングでコーティングすることと、を含む、方法。
[付記項59]
示されおよび/または記載されるように製造および/またはコーティングされた創傷被覆材。
[付記項60]
示されおよび/または記載されるように創傷被覆材を製造および/またはコーティングする方法。
[付記項61]
示されおよび/または記載されるように創傷被覆材をコーティングするための装置。
【外国語明細書】