(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138964
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】アプラグルチドの製造、配合、及び投薬
(51)【国際特許分類】
C07K 1/06 20060101AFI20230926BHJP
A61K 38/26 20060101ALI20230926BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230926BHJP
C07K 14/605 20060101ALI20230926BHJP
C07K 1/10 20060101ALI20230926BHJP
C07K 1/20 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
C07K1/06
A61K38/26 ZNA
A61P1/04
C07K14/605
C07K1/10
C07K1/20
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023104540
(22)【出願日】2023-06-26
(62)【分割の表示】P 2022576422の分割
【原出願日】2021-06-09
(31)【優先権主張番号】63/036,507
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/074,119
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/157,083
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522480296
【氏名又は名称】ベクティブバイオ エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フェルドマン,グレッブ
(72)【発明者】
【氏名】ボローニャ,フェデリコ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】GLP-2類似体を作製する方法を提供する。
【解決手段】GLP-2アナログペプチドを作製する方法であって、a)固相ペプチド合成を実施して、MBHA樹脂上でGLP-2アナログペプチドを合成すること、b)TFA、水、及びアニソールを含む溶液で樹脂を処理することによって、合成されたGLP-2アナログペプチドを樹脂から切断し、合成されたGLP-2アナログペプチドの側鎖を脱保護すること、c)ステップ(b)からの合成されたGLP-2アナログペプチドを、TFA系移動相を使用して第1のRP-HPLC精製を実施し、HPLC法によって決定される90%以上の純度を有するGLP-2アナログペプチドを含む溶液を生成すること、d)NaHCO3系移動相を使用して第2のRP-HPLC精製を実施し、HPLC法によって決定される97%以上の純度を有するGLP-2アナログペプチドを含む溶液を生成することを含む方法とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
95%以上の純度を有するアプラグルチドのナトリウム塩であって、アプラグルチドが、以下の構造を有する、アプラグルチドのナトリウム塩。
【化1】
【請求項2】
前記アプラグルチドのナトリウム塩が、97%以上の純度を有する、請求項1に記載のアプラグルチドのナトリウム塩。
【請求項3】
前記アプラグルチドのナトリウム塩が、3%以下のDes-Gly4アプラグルチド不純物を含む、請求項1又は2に記載のアプラグルチドのナトリウム塩。
【請求項4】
前記アプラグルチドのナトリウム塩中のアスパルチミド3アプラグルチド不純物、Asp33-OHアプラグルチド不純物及びDes-Ser7アプラグルチド不純物の合計が、2%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のアプラグルチドのナトリウム塩。
【請求項5】
前記アプラグルチドのナトリウム塩が、2%以下の[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]アプラグルチド不純物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のアプラグルチドのナトリウム塩。
【請求項6】
前記アプラグルチドのナトリウム塩が、1.5%以下のβ-Asp3アプラグルチド不純物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のアプラグルチドのナトリウム塩。
【請求項7】
前記アプラグルチドのナトリウム塩が、1%以下のβ-Asp3アプラグルチド不純物を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のアプラグルチドのナトリウム塩。
【請求項8】
前記アプラグルチドのナトリウム塩が、1%以下のD-Hisアプラグルチド不純物を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のアプラグルチドのナトリウム塩。
【請求項9】
前記アプラグルチドのナトリウム塩が、
1%以下のAsp33-OHアプラグルチド不純物と、
1%以下のDes-Ser7アプラグルチド不純物と、
1%以下のD-アスパルチミド3アプラグルチド不純物と、
1%以下の[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]アプラグルチド不純物と、を含み、
前記アプラグルチドのナトリウム塩中のDes-Gly4アプラグルチド不純物及びアスパルチミド3アプラグルチド不純物の合計が、1%以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載のアプラグルチドのナトリウム塩。
【請求項10】
前記アプラグルチドのナトリウム塩が、凍結乾燥粉末として提供される、請求項1~9のいずれか一項に記載のアプラグルチドのナトリウム塩。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のアプラグルチドのナトリウム塩を含む、医薬組成物。
【請求項12】
グリシン、L-ヒスチジン及びマンニトールのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬組成物が、
約12.5mgのアプラグルチド(ナトリウム塩)と、
約1.88mgのグリシンと、
約3.88mgのL-ヒスチジンと、
約57.5mgのマンニトールと、を含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記医薬組成物が、凍結乾燥粉末として提供される、請求項12又は13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか一項に記載のアプラグルチドのナトリウム塩又は請求項11~14のいずれか一項に記載の医薬組成物を含む、2チャンバ粉末シリンジ。
【請求項16】
GLP-2アナログペプチドを作製する方法であって、
a)固相ペプチド合成(SPPS)を実施して、Fmoc-Rink-アミド-メチルベンズヒドリルアミン(MBHA)樹脂上で前記GLP-2アナログペプチドを合成することと、
b)トリフルオロ酢酸(TFA)、水、及びアニソールを含む溶液で前記樹脂を処理することによって、前記合成されたGLP-2アナログペプチドを前記樹脂から切断し、前記合成されたGLP-2アナログペプチドの側鎖を脱保護することと、
c)ステップ(b)からの前記合成されたGLP-2アナログペプチドを、TFA系移動相を使用して第1の分取逆相高速液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)精製を実施することによって精製し、それにより、90%以上の純度を有する前記GLP-2アナログペプチドを含む溶液を生成することと、
d)NaHCO3系移動相を使用して、第2のRP-HPLC精製を実施することによって、ステップ(c)の生成物を精製し、それにより、97%以上の純度を有する前記GLP-2アナログペプチドを含む溶液を生成することと、を含む、方法。
【請求項17】
e)NaOAc系移動相を使用して第3のRP-HPLC精製を実施することによって、ステップ(d)からの生成物を更に精製し、それにより、97%以上の純度を有する前記GLP-2アナログペプチドのナトリウム塩を含む溶液を生成することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
f)水中0.1%AcOHを使用して、前記GLP-2アナログペプチドの前記ナトリ
ウム塩を含むpH溶液を約pH7.9に調整することと、
g)ステップ(f)の生成物を、0.2μmの孔径を有するフィルタに通すことと、
h)ステップ(g)の生成物を凍結乾燥し、それにより、97%以上の純度を有する前記GLP-2アナログペプチドの凍結乾燥されたナトリウム塩を生成することと、を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
c)(i)前記合成されたGLP-2アナログペプチドの脱炭酸を、アンモニア緩衝液中に水及びアセトニトリルを含む溶液中に前記ペプチドを可溶化することによって実施することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記アンモニア緩衝液中に水及びアセトニトリルを含む溶液のpHが、約pH8.0に調整される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(a)が、
i)前記SPPSが実施されるMBHA樹脂を調製することと、
ii)初期Fmoc脱保護反応を実施し、続いてカップリング反応を実施して、第1のFmoc保護アミノ酸を前記樹脂に付加し、それにより前記樹脂上に保護ペプチドを形成することと、
iii)Fmoc脱保護反応を実施し、続いてカップリング反応を実施して、少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸を前記保護ペプチドに付加することと、
iv)前記GLP-2アナログペプチドが前記樹脂上で合成されて、前記樹脂に連結されたFmoc保護及び側鎖保護GLP-2アナログペプチドを生成するまで、ステップiiiを繰り返すことと、
v)Fmoc脱保護反応を実施して、前記樹脂に連結された側鎖保護GLP-2アナログペプチドを生成することと、
vi)前記樹脂に連結された前記側鎖保護GLP-2アナログペプチドを乾燥させることと、を含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ステップ(a)(i)が、
(a1)前記樹脂を、N2雰囲気下、ジメチルホルムアミド(DMF)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を含む溶液で、樹脂1グラム当たり5mLの溶液で洗浄することと、
(b1)DMF中に2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、
ヘキサフルオロホスフェートベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HBTU)、DIEA、及びヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を含む溶液中で、Rinkアミドリンカーを前記樹脂にカップリングさせることと、
(c1)ステップ(b1)で形成された生成物をDMFで洗浄することと、
(d1)前記樹脂を、DMF中に無水酢酸(Ac2O)及びDIEAを含む溶液と接触させることによって還元反応を実施することと、
(e1)ステップ(d1)で形成された生成物をDMFで洗浄することと、を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
Fmoc脱保護反応を実施し、続いてカップリング反応を実施することが、
(a2)前記樹脂を、DMF中にピペリジンを含む溶液で処理することと、
(b2)前記樹脂をDMFで洗浄することと、
(c2)前記樹脂を、DMF及びオキシマを含む溶液で洗浄することと、
(d2)前記樹脂を、少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸、並びにジイソプロピルカルボジイミド(DIC)及びシアノヒドロキシイミノ酢酸エチル(オキシマ)を含む第1の量の溶液と接触させることと、
(e2)前記樹脂を、DIC及びオキシマを含む第2の量の溶液と接触させることと、
(f2)ステップ(e2)で形成された生成物をDMFで洗浄することと、を含む、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記樹脂を、前記樹脂を前記DIC及びオキシマを含む第1の量の溶液と接触させた約30分後に、前記DIC及びオキシマを含む第2の量の溶液と接触させる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
Fmoc脱保護反応を実施し、続いてカップリング反応を実施することが、
(a2)前記樹脂を、DMF中にピペリジン及びオキシマを含む溶液で処理することと、
(b2)前記樹脂をDMFで洗浄することと、
(c2)前記樹脂を、DMF及びオキシマを含む溶液で洗浄することと、
(d2)前記樹脂を、少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸、並びにジイソプロピルカルボジイミド(DIC)及びシアノヒドロキシイミノ酢酸エチル(オキシマ)を含む第1の量の溶液と接触させることと、
(e2)前記樹脂を、DIC及びオキシマを含む第2の量の溶液と接触させることと、
(f2)ステップ(e2)で形成された生成物をDMFで洗浄することと、を含む、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項26】
前記樹脂を、DMF中にピペリジン及びオキシマを含む第1の量の溶液と15分間接触させ、続いて前記樹脂を、DMF中にピペリジン及びオキシマを含む第2の量の溶液と30分間接触させる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸が、Fmoc-Gln(Trt)-Thr(ΨMe,Mepro)-OHである、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸が、Fmoc-Gly(Tmb)-OHである、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの保護されたアミノ酸が、Boc-His(Trt)-Gly-OHである、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記方法が、ステップ(e2)と(f2)との間に、カップリング試験を実施することを更に含み、前記カップリング試験が、カイザー試験である、請求項23~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記GLP-2アナログペプチドが、アプラグルチドである、請求項16~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
請求項16~31のいずれか一項に記載の方法を使用して製造された前記GLP-2アナログペプチドを含む組成物。
【請求項33】
対象における短腸症候群関連腸不全(SBS-IF)又は短腸症候群関連腸機能不全(SBS-II)を治療する方法であって、アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩を前記対象に投与することを含み、
前記アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩は、前記対象が50kg未満の体重を有する場合、約2.5mg/週の用量で投与され、あるいは
前記アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩は、前記対象が50kg以上の体重を有する場合、約5mg/週の用量で投与される、方法。
【請求項34】
前記アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩が、皮下注射によって投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記対象が、結腸連続性を有し、前記アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩が、約48週間投与される、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記対象が、50%を超える結腸連続性を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記対象が、少なくとも1つのストーマを有し、前記アプラグルチドが、約24週間投与される、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項38】
アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩の前記投与が、非治療又はプラセボ治療対象と比較して、対象における食事摂取湿重量の腸吸収を増加させる、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩の前記投与が、非治療又はプラセボ治療対象と比較して、対象における糞便排出を減少させる、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩の前記投与が、非治療又はプラセボ治療対象と比較して、対象における絶対尿排出量を増加させる、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩の前記投与が、非治療又はプラセボ治療対象と比較して、対象におけるナトリウム及びカリウムの腸吸収を増加させる、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩の前記投与が、非治療又はプラセボ治療対象と比較して、対象におけるナトリウム及びカリウム尿排出を増加させる、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩の前記投与が、非治療又はプラセボ治療対象と比較して、対象におけるエネルギーの腸吸収を増加させる、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩の前記投与が、非治療又はプラセボ治療対象と比較して、対象における糞便排出のエネルギー含量を減少させる、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩の前記投与が、非治療又はプラセボ治療対象と比較して、対象における炭水化物、タンパク質、及び脂質の腸吸収を増加させる、請求項33に記載の方法。
【請求項46】
アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩の前記投与が、非治療又はプラセボ治療対象と比較して、対象におけるシトルリン濃度を増加させる、請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年6月9日に出願された米国仮出願第63/036,507号、2020年9月3日に出願された米国仮出願第63/074,119号、及び2021年3月5日に出願された米国仮出願第63/157,083号の優先権及び利益を主張する。前述の特許出願の各々の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願はEFS-Webによって提出されたASCIIフォーマットの配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2021年6月7日に作成された当該ASCIIコピーは、名称「VECT-002_001WO_SeqList.txt」、サイズ約2KBである。
【0003】
本開示は、アプラグルチドの製造、配合、及び投薬に関する。
【背景技術】
【0004】
グルカゴン様ペプチド2(Glucagon-like peptide 2、GLP-2)は、腸の腸内分泌
L細胞におけるプログルカゴンの翻訳後処理から放出される33アミノ酸のペプチドである。
【0005】
本発明者らは、腸の障害又は機能不全を治療するためにアプラグルチドを使用することを企図している。一実施形態では、本発明者らは、短腸症候群の治療を企図している。短腸症候群(short bowel syndrome)は、他の病因も存在するものの最も一般的には腸間膜虚血又は炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease、IBD)による外科的切除の結果としての機能的腸長の極端な減少を特徴とする吸収不良状態である。腸不全を伴うSBS(SBS with intestinal failure、SBS-IF)は、健康及び/又は成長を維持するた
めに静脈内補給が必要とされるような、多量栄養素及び/又は流体及び電解質の吸収に必要な最小値を下回る腸機能の低下として定義される。SBS-IFを有する患者では、中心静脈カテーテルを通して送達される非経口支援(parenteral support、PS)が、適切な流体、エネルギー、電解質、微量元素、ビタミン、及び栄養バランスを維持するために必要とされる。SBS-IF患者には、大きなPS容量を必要とするストーマ及び非結腸連続性(colon-in-continuity、CIC)を有する患者から、より低いPS容量を必要と
するCICを有する患者までの範囲がある。この範囲の結果として、PSへの依存性の減少は、PS容量の減少、PSの休止日数、又は経腸自律性の達成を含む、解剖学的構造に依存する種々の結果において実証され得る。外科的切除後、残りの腸は、腸適応と称されるプロセスを経て、それにより、その吸収能力が増加し、その減少した長さが補償される。腸適応のこのプロセスは、グルカゴン様ペプチド2(GLP-2)又は延長された半減期を有するより安定な類似体(例えば、テヅグルチド及びアプラグルチド)を投与することによって増強され得ることが実証されている。結腸の生理学的役割により、CICの患者は、結腸が機能していない患者よりも体液バランスをうまく管理でき、ストーマ患者と比較してベースラインでの非経口支援量が少なくなる。PSは、流体及び電解質を含有する任意の静脈内注入として定義され、非経口栄養(parenteral nutrition、PN)を含む場合もあれば、含まない場合もある。非経口栄養は、タンパク質、炭水化物、脂肪、ビタミン、及び/又は微量元素を含むPSとして定義される。良性疾患に起因する慢性腸不全を有する患者は、PSで長期生存する可能性が高くなる。
【0006】
GLP-2は、粘膜上皮増殖の強力な刺激物質として同定されて以来、腸傷害の治療剤
として注目されている。短腸症候群を有する患者における予備試験では、流体及び栄養素の両方の腸吸収における改善が生じた。GLP-2は小腸粘膜上皮の有意な増殖を誘導する。それはまた、腸通過を遅くする。しかし、天然に存在するGLP-2は、ペプチダーゼ(例えば、DPP IV)によって急速に分解されるので、適切な薬物候補ではない。結果として、GLP-2は、非常に短い半減期(ヒトにおいてt1/2=10分)及び急速なクリアランス(clearance、CL)を有する。
【0007】
薬物動態学的特性が改善された、高収率で実質的に純粋なGLP-2アナログペプチドを生成する方法が必要とされている。更に、実質的に純粋な、例えば実質的に不純物を含まないGLP-2アナログペプチド組成物が必要とされている。本開示は、この必要性を満たすことを対象とする。
【0008】
発明の概要
一態様では、高純度のGLP-2類似体の新規な合成が開示される。別の態様では、GLP-2類似体の新規なナトリウム塩が開示される。この方法は、樹脂上で固相ペプチド合成(solid phase peptide synthesis、SPPS)を実施することと、合成されたGL
P-2アナログペプチドを樹脂から切断することと、樹脂を、トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid、TFA)、水、及びアニソールを含む溶液で処理することによってペプチドの側鎖を脱保護することと、逆相高速液体クロマトグラフィ(reversed-phase high performance liquid chromatography、RP-HPLC)を使用して2回の精製を実施す
ることと、実質的に純粋なGLP-2アナログペプチドを含む精製されたペプチド粉末を凍結乾燥及びパッケージングすることと、を含み得る。一部の実施形態では、アプラグルチドは95%以上の純度を有する。一部の実施形態では、アプラグルチドは97%以上の純度を有する。
【0009】
本開示の別の態様は、少なくとも97%の純度を有するGLP-2アナログペプチドに関する。一部の実施形態では、アプラグルチドなどのGLP-2アナログペプチドは、1%未満のDes-Gly4アプラグルチド不純物、及び/又は3%未満のアスパルチミド3アプラグルチド、Asp33-OHアプラグルチド及びDes-Ser7アプラグルチド不純物、及び/又は1%未満の[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]アプラグルチド不純物を含む。
【0010】
本開示の別の態様は、少なくとも97%の純度を有するGLP-2アナログペプチドに関する。一部の実施形態では、アプラグルチドなどのGLP-2アナログペプチドは、1%以下のDes-Gly4アプラグルチド不純物、及び/又は3%以下のアスパルチミド3アプラグルチド、Asp33-OHアプラグルチド及びDes-Ser7アプラグルチド不純物、及び/又は1%以下の[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]アプラグルチド不純物を含む。
【0011】
本開示の別の態様は、少なくとも97%の純度を有するGLP-2アナログペプチドに関する。一部の実施形態では、アプラグルチドなどのGLP-2アナログペプチドは、Des-Gly4アプラグルチド及びアスパルチミド3アプラグルチド不純物の合計の1%未満、D-アスパルチミド3アプラグルチド不純物の1%未満、Asp33-OHアプラグルチド不純物の1%未満、Des-Ser7アプラグルチド不純物の1%未満、及び/又は[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]アプラグルチド不純物の1%未満を含む。
【0012】
本開示の別の態様は、少なくとも97%の純度を有するGLP-2アナログペプチドに関する。一部の実施形態では、アプラグルチドなどのGLP-2アナログペプチドは、1%以下のDes-Gly4アプラグルチド及びアスパルチミド3アプラグルチド不純物、
1%以下のD-アスパルチミド3アプラグルチド不純物、1%以下のAsp33-OHアプラグルチド不純物、1%以下のDes-Ser7アプラグルチド不純物、及び/又は1%以下の[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]アプラグルチド不純物を含む。
【0013】
本発明者らは、以下のことを認識した。
i)Fmoc脱保護及びカップリングサイクル中のFmoc保護アミノ酸、すなわちFmoc-Gln(Trt)-OH、Fmoc-Thr(tBu)-OH、及びFmoc-Gly-OHの、Fmoc-Gln(Trt)-Thr(ΨMe,Mepro)-OH及びFmoc-Tmb-Gly-OHによる置換は、カップリング効率を改善し、アスパルチミド形成を減少させる。
ii)Fmoc脱保護及びカップリングサイクル中にカップリング添加剤としてHOBtの代わりにオキシマを使用すると、ペプチド酸化及び[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]アプラグルチド不純物形成が最小限に抑えられる。
iii)分取RP-HPLCによるナトリウム塩変換中に、移動相組成物のためのアセトニトリル(acetonitrile、ACN)の使用、pH調整ステップの導入、及び滴定ステップの除去を行うと、アプラグルチドのナトリウム塩変換及び精製アプラグルチドの質が改善される。別の態様では、アプラグルチドの新規な配合物及び塩が開示される。
【0014】
一実施形態によれば、本開示のGLP-2アナログペプチドは、以下の化学構造を有する。
【0015】
【0016】
別の態様では、有効量のアプラグルチドを、それを必要とする患者に投薬する新規な方法が開示される。一部の実施形態では、有効量は、1~10mgのアプラグルチド又はその薬学的に許容される塩を含む。好ましい実施形態では、アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩は、体重50kg未満の患者に週1回2.5mgで投薬される。別の好ましい実施形態では、アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩は、体重50kg以上の患者に週1回5.0mgで投薬される。一部の実施形態では、本方法は、アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩を静脈内投与することを含む。他の実施形態では、本方法は、アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩を皮下投与することを含む。
【0017】
一部の実施形態では、本方法は、化合物又はその薬学的に許容される塩を、1日2回~月2回、好ましくは週1回の頻度で投与することを含む。
【0018】
1日1回未満、好ましくは週1回投薬することができる、アプラグルチドのようなより長い半減期を有するGLP-2類似体が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の方法で使用され得る例示的なGLP-2アゴニスト(アプラグルチド)のペプチド配列及び構造を示す。
図1に示す配列は、配列番号1~4に対応する。
【
図2A】アプラグルチドなどのGLP-2アナログペプチドを作製する改善された方法(以下、プロセスBと称する)を対象とする本開示の第1の態様におけるステップ1~2のフロー図の概略図である。
【
図2B】アプラグルチドなどのGLP-2アナログペプチドを作製する改善された方法(以下、プロセスBと称する)を対象とする本開示の第1の態様におけるステップ3~6のフロー図の概略図である。
【
図3】アプラグルチドを含む医薬組成物の製造を対象とする本開示の製造プロセスのフローダイアグラムの概略図である。
【
図5】尿排出量(mL/日)におけるベースラインから治療終了までの個々の変化及び平均変化を示すグラフである。破線は平均を示し、Δはベースラインからの平均変化(標準偏差)を示す。グレースケールの差は個々の患者を示す。
【
図6】尿排出量(mL/日)のベースラインからの変化を示すグラフであり、調整平均(点)及び95%CI(黒線)は、分析パートA+Bからのものである。
【
図7】尿中ナトリウム排泄(mmol/日)におけるベースラインから治療終了までの個々の変化及び平均変化を示すグラフである。破線は平均を示し、Bはベースラインを示し、Tは治療を示し、Δはベースラインからの平均変化(標準偏差)を示す。グレースケールの差は個々の患者を示す。
【
図8】尿排出量におけるベースラインから最初の注射直後までの個々の変化及び平均変化を示すグラフである。破線は平均を示し、Bはベースラインを示し、Tは治療を示し、Δはベースラインからの平均変化(標準偏差)を示す。グレースケールの差は個々の患者を示す。
【
図9】尿中ナトリウム排泄におけるベースラインから1回目の治療の直後までの個々の変化及び平均変化を示すグラフである。破線は平均を示し、Bはベースラインを示し、Tは治療を示し、Δはベースラインからの平均変化(標準偏差)を示す。グレースケールの差は個々の患者を示す。
【
図10A】プラセボ治療を受けた患者における流体複合効果の個々の変化及び平均変化を示すグラフである。液体複合効果は、尿産生の増加(27~29日目)、PS量の減少、及び自発的な経口輸液摂取の減少(20~22日目)の合計として定義される。
【
図10B】5mgのアプラグルチドを受けた患者における流体複合効果の個々の変化及び平均変化を示すグラフである。液体複合効果は、尿産生の増加(27~29日目)、PS量の減少、及び自発的な経口輸液摂取の減少(20~22日目)の合計として定義される。
【
図10C】10mgのアプラグルチドを受けた患者における流体複合効果の個々の変化及び平均変化を示すグラフである。液体複合効果は、尿産生の増加(27~29日目)、PS量の減少、及び自発的な経口輸液摂取の減少(20~22日目)の合計として定義される。
【
図11】血漿中L-シトルリンの絶対濃度におけるベースラインから治療終了までの個々の変化及び平均変化を示すグラフである。破線は平均を示し、Bはベースラインを示し、Tは治療を示し、Δはベースラインからの平均変化(標準偏差)を示す。グレースケールの差は個々の患者を示す。
【
図12】臨床試験報告に関する統合基準(Consolidated Standards of Reporting Trials、CONSORT)の概略図である。
【
図13】臨床試験報告に関する統合基準(CONSORT)の概略図である。
【
図14】ベースラインから治療終了までの、湿重量食事摂取量、糞便排出、腸吸収、及び尿産生における個々の変化及び平均変化を示すグラフである。太線は平均を示し、Bはベースラインを示し、Tは治療を示し、Δはベースラインからの平均変化(標準偏差)を示す。破線は、SBS-IIを有する患者を示す。グレースケールの差は個々の患者を示す。
【
図15】カリウム、ナトリウム、マグネシウム及びカルシウムの吸収におけるベースラインから治療終了時までの個々の変化及び平均変化を示すグラフである。太線は平均を示し、Bはベースラインを示し、Tは治療を示し、Δはベースラインからの平均変化(標準偏差)を示す。破線は、SBS-IIを有する患者を示す。グレースケールの差は個々の患者を示す。
【
図16】エネルギー食事摂取、糞便排出、及び吸収における、ベースラインから治療終了までの個々の変化及び平均変化を示すグラフである。太線は平均を示し、Bはベースラインを示し、Tは治療を示し、Δはベースラインからの平均変化(標準偏差)を示す。破線は、SBS-IIを有する患者を示す。グレースケールの差は個々の患者を示す。
【
図17】多量栄養素の吸収におけるベースラインから治療終了までの個々の変化及び平均変化を示すグラフである。太線は平均を示し、Bはベースラインを示し、Tは治療を示し、Δはベースラインからの平均変化(標準偏差)を示す。破線は、SBS-IIを有する患者を示す。グレースケールの差は個々の患者を示す。
【
図18】アプラグルチドの1回目の投薬後の時間(日)の関数としての血漿中シトルリン濃度(ug/mL)を示すグラフである。SD=標準偏差、SC=皮下。データは算術平均(±SD)である。1、5又は10mgのアプラグルチドの毎週のSC投与を、1、8、15、22、29及び36日目に計画した。
【
図19】アプラグルチドの1回目の投薬後の時間(日)の関数としての血漿中シトルリン濃度(ug/mL)のベースラインからの変化についての対応する最小二乗(least square、LS)平均プロットを示すグラフである。CI=信頼区間、SC=皮下。データは、推定最小二乗平均(95%CI)である。1、5又は10mgのアプラグルチドの毎週のSC投与を、1、8、15、22、29及び36日目に計画した。
【
図20A】アプラグルチドの1回目の投薬後の時間(日)の関数としての血漿中アプラグルチド濃度(ng/mL)を示すグラフである。SC=皮下、SD=標準偏差。1、5又は10mgのアプラグルチドの毎週のSC投与を、1、8、15、22、29及び36日目に計画した。定量限界未満の値(<1ng/mL)を0に設定した。用量レベル当たりのデータは、線形スケール上の算術平均±SDとして提示される。
【
図20B】アプラグルチドの1回目の投薬後の時間(日)の関数としての血漿中アプラグルチド濃度(ng/mL)を示すグラフである。SC=皮下、SD=標準偏差。1、5又は10mgのアプラグルチドの毎週のSC投与を、1、8、15、22、29及び36日目に計画した。定量限界未満の値(<1ng/mL)を0に設定した。用量レベル当たりのデータは、対数スケール上の算術平均±SDとして提示される。
【
図21】6週目における用量レベルによる個々のアプラグルチドC
max値及び対応するシトルリンR
max値(ug/mL)を示すグラフである。C
maxアプラグルチド(ng/mL)、C
max=最大濃度、R
max=最大応答。回帰については、回帰直線、方程式、傾きのp値及びR二乗値が表示される。
【
図22】6週目における用量レベルによる個々のアプラグルチドAUC
tau値及び対応するシトルリンR
max値(ug/mL)を示すグラフである。AUC
tau=対応する投薬の治療期間の終了までの血漿濃度-時間曲線下の面積、R
max=最大応答。回帰については、回帰直線、方程式、傾きのp値及びR二乗値が表示される。
【
図23】6週目における用量レベルによる個々のアプラグルチドAUC
tau値及び対応するシトルリンR
max値の相関プロットである。黒い点は、最後の投薬の前の評価を表し、線は、最後の投薬の2週間後までのその後の評価を結ぶ。
【
図24】6週目に1mgを投薬された各対象についての全てのアプラグルチド濃度及び対応するシトルリン濃度の相関プロットである。黒い点は、最後の投薬の前の評価を表し、線は、最後の投薬の2週間後までのその後の評価を結ぶ。
【
図25】6週目に5mgを投薬された各対象についての全てのアプラグルチド濃度及び対応するシトルリン濃度の相関プロットである。黒い点は、最後の投薬の前の評価を表し、線は、最後の投薬の2週間後までのその後の評価を結ぶ。
【
図26A】アプラグルチド2.5、5、又は10mgを毎週皮下投与された70kgの個体についての予測される血漿中アプラグルチド濃度(ng/mL)を示すグラフである。
【
図26B】2.5、5又は10mgの皮下アプラグルチドを毎週投与された70kgの個体についての予測される血漿中シトルリン濃度(ug/mL)を示すグラフである。
【
図27】血漿中L-シトルリンの濃度におけるベースラインから治療後までの個々の変化及び平均変化を示すグラフである。ベースラインからの平均変化を、対応のあるt検定を使用して分析した。
*p<0.05黒い実線は平均変化を表し、色付きの線は個々の患者を表す。点線=SBS-II(腸機能不全)、実線=SBS-IF(腸不全)。Δは、ベースラインからの平均変化を示す。
【
図28】アプラグルチドの3回の週1回投薬後のシトルリン血漿濃度(ug/mL)を示すグラフである。平均±標準誤差(standard error of the mean、SEM)を示す。
【
図29】5mgのアプラグルチドの単回皮下投薬後の時間(時)の関数としての血漿中アプラグルチド濃度(ng/mL)を示すグラフである。
【0020】
詳細な説明
短腸症候群(short bowel syndrome、SBS)は、広範な外科的腸切除によって引き起こされる身体障害性吸収不良障害である。広範な腸切除を受けた患者は、液体及び栄養吸収を調節する胃腸の神経内分泌フィードバックにおける障害に罹患する可能性がある。この障害には、末端回腸及び結腸中のL細胞によって通常産生されるGLP-2の食後分泌障害が含まれる。GLP-2の欠如は、胃腸の空化の加速、胃腸の分泌過多、減少した腸の血流、免疫学的及びバリア機能の妨害、及び粘膜の成長の阻害をもたらし得る。結果として起こる腸適応の欠如は、頻繁な下痢又はストーマの空化、栄養不良、脱水、電解質不均衡及び体重減少を含む、SBSの病態生理学的特徴をもたらす。SBSはまた、有意な罹患率及び死亡率、並びに生活の質の低下と関連する。SBS及び腸不全(SBS-IF)を有する患者では、静脈内輸液及び/又は非経口栄養の任意の組み合わせを含む非経口支援(PS)が、健康及び/又は成長を維持するために必要とされる。
【0021】
長期のPSの提供は、カテーテル関連血流感染(catheter-related blood stream infection、CRBSI)及び腸不全関連肝疾患(intestinal failure-associated liver disease、IFALD)などの重篤な合併症をもたらし得る。SBS-IFを有する患者とは対照的に、SBS腸機能不全(SBS intestinal insufficiency、SBS-II)を有する患者は、過食症、代謝調節、及び/又は薬理学的治療による吸収不良を補償する能力があるため、PSなしで管理される。しかし、SBS-IIを有する患者は、体液と電解質との不均衡のリスクがあり得、PS投与のために入院を繰り返すことを必要とする。全体として、SBSを有する患者は、生活の質が損なわれ、罹患率及び死亡率が高く、医療費が高額となる。世界的に見ても、SBS-IFは治療の可能性が限られた、無視された臓器障害である。したがって、新たな治療法を特定することにより、疾患の自覚、罹患率及び死亡率を改善し、衰弱性の症状を軽減し、患者の治療負担を軽減することができる。
【0022】
外科的切除後、残存腸は、その吸収能力を高めるために、構造的及び機能的変化を起こすことがある(概して、腸適応と称される)。胃腸管全体にわたる神経内分泌ペプチドの分泌は、この適応に寄与する。SBSの病態生理学的形質は、神経内分泌フィードバック機構の障害及び腸適応の欠如によって引き起こされることが多い。これには、末端回腸及び近位結腸に主に位置する腸L細胞によって産生されるグルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)の食後分泌障害が含まれる。
【0023】
天然のGLP-2は、ジペプチジルペプチダーゼ-IV(dipeptidyl peptidase-IV、
DPP4)による切断のために短い循環半減期を有する。アプラグルチドは、次世代の合成的に製造されたGLP-2類似体であり、ヒトGLP-2及び他のGLP-2類似体と比較して、長く持続する一定の曝露及び少なくとも30時間の増加した半減期を提供するように設計された分子構造を有する。アプラグルチドは、4つのアミノ酸置換によってヒトGLP-2と異なり、[Gly2]hGLP-2(1-33)の11位及び16位における親油性アミノ酸置換の化学構造-活性相関試験を通じて同定された。動物モデルにおいて、アプラグルチドは、腸の長さ及び体重、絨毛の高さ及び陰窩の深さの増加を促進した。動物における薬物動態学的(Pharmacokinetic、PK)及び薬力学的試験は、アプラ
グルチドが、他のGLP-2類似体と比較して、低いクリアランス、長い排出半減期及び高い血漿タンパク結合を有し得ることを示唆している。したがって、アプラグルチドは、週1回投薬レジメンの候補であり得る。アプラグルチド治療は、潜在的に、患者が腸内自律性を回復するか、又はPS必要量を減少させ、吸収不良の症状を改善し、II及びIFに続発する臓器不全を軽減し、SBS-IIを有する患者が間欠的又は慢性IFの状況に悪化するのを防止するのに役立ち得る。
【0024】
本明細書中で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸及び天然に存在しないアミノ酸の両方を含む。特に明記しない限り、アミノ酸はL-アミノ酸である。特に明記しない限り、アミノ酸配列は、N末端からC末端に提示される。
【0025】
本明細書で使用される場合、「対照」という用語は、単独で、又は量若しくはレベルに関して使用される場合、治療(例えば、有効用量のGLP-2アゴニスト)の投与前に対象において観察されたレベル、対照の対象又は対象の集団において観察されたレベル(経過的に観察されたレベルを含む)を指し得る。対象に関して使用される場合、「対照」は、所与の治療(例えば、有効用量のGLP-2アゴニスト)を受ける前の同じ対象、所与の状態のためのいかなる治療も受けていない同様の対象、又は所与の治療(例えば、有効用量のGLP-2アゴニストの投与)を含まない治療(例えば、手術、創傷ケア、及び/又は栄養補助)を受けている同様の対象を指し得る。
【0026】
本明細書中で使用される場合、「GLP-2アゴニスト」という用語は、脊椎動物における天然に存在するGLP-2の類似体を集合的に指し、これは、天然に存在するGLP-2に類似するか又は匹敵する活性を誘発するが、少なくとも1つのアミノ酸の付加、欠失、置換、修飾によって、かつ/又はブロック基を有する1つ以上のアミノ酸の組み込みによって、所定の脊椎動物GLP-2に対して構造的に変更されている。かかるアゴニストは、好ましくは、GLP-2又は同じ数のアミノ酸残基を有するGLP-2のフラグメントのいずれかのアミノ酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する。
【0027】
本明細書中で使用される場合、「患者」及び「対象」という用語は、交換可能に使用され、治療が所望される任意の対象をいう。一部の実施形態では、対象は、哺乳動物、例えば、ヒト又は非ヒト哺乳動物である。一部の実施形態では、対象はヒトである。
【0028】
本明細書で使用される場合、「治療」(「治療する」又は「治療すること」ともいう)という用語は、非経口支援の必要性を部分的又は完全に低減する治療実体(例えば、本明細書に記載の治療用化合物又は組成物)の任意の投与を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「純度」という用語は、クロマトグラフィ法によって、より具体的には、超高速液体クロマトグラフィ(Ultra Performance Liquid Chromatography、UPLC)法及び/又は高速液体クロマトグラフィ(High Performance Liquid Chromatography、HPLC)法によって決定される純度を指すために使用される。
【0030】
本明細書で使用される場合、物質(例えば、オキシマ)の「当量」という用語は、物質のモル比、より具体的には、1モルの別の物質と反応する物質のモル数を指すために使用される。
【0031】
本明細書に記載される実施形態及び/又は態様のうちのいずれか1つは、本明細書に記載される任意の他の実施形態及び/又は態様と組み合わせることができ、任意の数の実施形態及び/又は態様を組み合わせることができる。
【0032】
本発明の方法において使用され得るGLP-2アゴニストとしては、例えば、国際特許出願第2006/117565号及び米国特許第8,589,918号に開示されるものが挙げられ、これらの各々の内容全体は、本明細書中に参考として援用される。GLP-アゴニストアプラグルチド及び関連する化合物(例えば、米国特許第8,589,918号を参照)は、優れた薬物動態学的特性を有し、本発明の方法における使用に好ましい。
【0033】
配列番号:アミノ酸配列
【0034】
【0035】
好ましい実施形態では、GLP-2アゴニストは、配列番号2(式中、Nleはノルロイシンであり、D-PheはD-アミノ酸フェニルアラニンである)のアミノ酸を有するペプチドであるアプラグルチドである。
【0036】
合成
アプラグルチドを調製する方法は、当該分野で記載されており、固相ペプチド合成方法を含む。例えば、アプラグルチドを含むGLP-2アゴニストを調製する方法を記載する米国特許第8,580,918号を参照されたい。93%の純度しか達成することができなかった以前のアプラグルチド合成方法(例えば、米国特許第8,580,918号に開示されている方法)とは対照的に、本開示は、実質的に、例えば、≧95%又は≧97%純粋であるアプラグルチドを作製する方法を提供するものであり、この方法は、更に、商業的製造プロセスで使用されるのに十分高い収率を提供する。更に、米国特許第8,580,918号は、アプラグルチドのアンモニア塩を開示している。アプラグルチドの好ま
しい塩であるナトリウム塩の合成が本明細書に開示されている。
【0037】
アプラグルチド生産プロセスは、Fmoc(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)ストラテジーを使用する固相ペプチド合成(SPPS)に基づく。アミノ酸配列は、Fmoc脱保護及び次のFmocアミノ酸のカップリングの連続サイクルによってC末端から段階的に構築される。アプラグルチドの新規な合成方法は、以下に記載する多くの改良点を有する。Fmoc-Rink-アミド-MBHA(MethylBenzHydril Amine、メチルベンズヒドリルアミン)樹脂を使用し、ペプチドと樹脂との間の連結は、Knorrリンカーを介して実施する。Fmoc脱保護後、酸化不純物のレベルを低下させるために、オキシマ(エチル[ヒドロキシアミノ]シアノアセテート)を使用してピペリジン/DMF(N,Nジメチルホルムアミド)洗浄を実施する。カップリング時間を短縮するために、2回のDIC(Diisopropylcarbodiimide、ジイソプロピルカルボジイミド)添加を実施する。各アミノ酸カップリング反応の後、完全性を、未反応アミンを明らかにすることに基づく半定量的カイザー試験によって制御する。組み立て及び最後のFmoc基脱保護の後、ペプチド樹脂をIPA(Isopropanol、イソプロパノール)で洗浄し、真空下で乾燥させる。新規な合成プロセスを使用すると、全体のカップリング時間は、粗ペプチドHPLC(高速液体クロマトグラフィ)純度及びプロセス収率に影響を及ぼすことなく、初期条件と比較して約25%短縮される。
【0038】
ペプチド合成の完了後、樹脂からのペプチドの切断を、窒素下、室温でTFA(トリフルオロ酢酸)/H2O/アニソール混合物で処理することによって実施する。切断されたペプチドは、濾過によって樹脂から分離され、改良された下流の精製ステップにおいて更に処理されて、HPLC純度≧97%を有するアプラグルチドのナトリウム塩を生成する。
【0039】
アプラグルチド合成プロセスの改善バージョン(プロセスB;
図2A及び
図2Bに示される)は、TFA系移動相(H
2O/アセトニトリル)中でのRP-HPLC(C18)クロマトグラフィによる一次精製(重炭酸ナトリウム(NaHCO
3)を使用して画分のpHを調整して≧90%の純度にする)、続いてNaHCO
3移動相(H
2O/アセトニトリル)中でのRP-HPLC(C18)による二次精製(≧97%の純度にする)、続いて酢酸ナトリウム(sodium acetate、NaOAc)/H
2O/アセトニトリル移動相中でのRP-HPLC(C18)による脱塩/緩衝液交換を含む。生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、アプラグルチドのナトリウム塩を≧97%の純度で生成する。本明細書に記載されるアプラグルチド合成プロセスの改善バージョンは、高純度のアプラグルチド(例えば、≧95%又は≧97%純度)を提供することができる一方で、アプラグルチドの大規模な商業的製造に適した収率を依然として維持する。当業者に理解されるように、超高純度化合物を生成する方法は、典型的には、低い収率に悩まされており、商業的な製造におけるそれらの使用は実行不可能となっている。驚くべきことに、本明細書に記載されるアプラグルチド合成方法は、高純度のアプラグルチドを提供するだけでなく、商業的な製造状況での使用に適した収率も示す。
【0040】
本開示は、GLP-2アナログペプチドを作製する方法を提供し、該方法は、
a)固相ペプチド合成(SPPS)を実施して、樹脂上でGLP-2アナログペプチドを合成することと、
b)樹脂を、トリフルオロ酢酸(TFA)、水、及びアニソールを含む溶液で処理することによって、合成されたGLP-2アナログペプチドを樹脂から切断し、合成されたGLP-2アナログペプチドの側鎖を脱保護することと、
c)合成されたGLP-2アナログペプチドを、分取逆相高速液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)を使用して精製することと、
d)第2の分取RP-HPLC(及び任意選択で、脱塩及び緩衝液交換が行われる第3の分取RP-HPLC)を使用して、ステップ(c)からの生成物を更に精製して、精製されたペプチド溶液を生成することと、
e)精製されたペプチド溶液を凍結乾燥して、精製されたペプチド粉末を生成することと、
f)精製されたペプチド粉末をアルゴン下でパッケージングすることと、を含む。
【0041】
本開示は、樹脂上でSPPSを実施してGLP-2アナログペプチドを合成することを含む、GLP-2アナログペプチドを作製する方法を提供し、樹脂は、4-メチルベンズヒドリルアミン(4-Methylbenzhydrylamine、MBHA)樹脂である。
【0042】
本開示は、樹脂上でGLP-2アナログペプチドを合成するためにSPPSを実施することを含む、GLP-2アナログペプチドを作製する方法を提供し、SPPSは、樹脂を、DMF及びオキシマを含む溶液で洗浄することを含む。
【0043】
本開示は、樹脂上でSPPSを実施してGLP-2アナログペプチドを合成することを含む、GLP-2アナログペプチドを作製する方法を提供し、SPPSは、樹脂を、DIC及びオキシマを含む2つの量の溶液と接触させることによって実施されるカップリングステップを含み、これらの量は、30分離して接触される。
【0044】
本開示は、GLP-2アナログペプチドを作製する方法であって、切断されたペプチド樹脂混合物から粗ペプチドを抽出するために、ペプチドを、水、アセトニトリル(ACN)、及び水酸化アンモニウム(NH4OH)を含む溶液と接触させ、その後の酸性化ステップを省略することによって、合成されたGLP-2アナログペプチドを精製することを含む方法を提供する。
【0045】
本開示は、GLP-2アナログペプチドを作製する方法であって、合成されたGLP-2アナログペプチドを、0.05%TFA、水、及びアセトニトリルを含む溶液を溶出液として使用してRP-HPLCによって精製することと、精製されたペプチド画分のpHを、水中0.1%(酢酸)AcOHを使用して約pH7.9に調整することと、を含む方法を提供する。
【0046】
本開示は、GLP-2アナログペプチドを作製する方法であって、0.05M重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、水、及びアセトニトリルを含む溶液を溶出液として使用するRP-HPLCによる第2の精製で、合成されたGLP-2アナログペプチドを精製することを含む方法を提供する。
【0047】
本開示は、1.5mM NaOAc/H2O/ACN溶液を移動相として使用してHPLC精製を実施することを含む、GLP-2アナログペプチドを作製する方法を提供する。
【0048】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(a)は、
i)SPPSが実施される樹脂を調製することと、
ii)初期Fmoc脱保護を実施し、続いてカップリング反応を実施して、第1のFmoc保護アミノ酸を樹脂に付加し、それによって樹脂上に保護ペプチドを形成することと、
iii)Fmoc脱保護反応を実施し、続いてカップリング反応を実施して、少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸を保護ペプチドに付加することと、
iv)GLP-2アナログペプチドが樹脂上で合成されるまでステップiiiを繰り返すことであって、Fmoc保護及び側鎖保護GLP-2アナログペプチドが樹脂に連結さ
れており、ペプチドは、L-ヒスチジル-グリシル-L-アスパルチル-グリシル-L-セリル-L-フェニルアラニル-L-セリル-L-アスパルチル-L-グルタミル-L-ノルロイシル-D-フェニルアラニル-L-トレオニル-リゾロイシル-L-ロイシル-L-アスパルチル-L-ロイシル-L-ロイシル-L-アラニル-L-アラニル-L-アルギニル-L-アスパルチル-L-フェニルアラニル-L-イソロイシル-L-アスパラギニル-Lトリプトファニル-L-ロイシル-L-イソロイシル-L-グルタミニル-L-スレオニル-L-リシル-L-イソロイシル-L-スレオニル-ラスパラギン酸アミドを含む、繰り返すことと、
v)Fmoc脱保護反応を実施して、樹脂に連結された側鎖保護GLP-2アナログペプチドを生成することと、
vi)樹脂に連結された側鎖保護GLP-2アナログペプチドを乾燥させることと、を含む。
【0049】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(a)(i)は、
(a1)樹脂を、N2雰囲気下、ジメチルホルムアミド(DMF)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(Diisopropylethylamine、DIEA)を含む溶液で、樹脂1グラ
ム当たり5mLの溶液で洗浄することと、
(b1)DMF中に2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロホスフェートベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(Hexafluorophosphate Benzotriazole Tetramethyl Uronium、HBTU)、DIEA、及びヒドロキシベンゾトリアゾール(Hydroxybenzotriazole、HOBt)を含む溶液中で、Rinkアミドリンカーを樹脂にカップリング
させることと、
(c1)ステップ(b1)で形成された生成物をDMFで洗浄することと、
(d1)樹脂を、DMF中に無水酢酸(Ac2O)及びDIEAを含む溶液と接触させることによって還元反応を実施することと、
(e1)ステップ(d1)で形成された生成物をDMFで洗浄することと、を含む。
【0050】
本開示の方法の一部の態様では、樹脂はメチルベンズヒドリルアミン樹脂である。
【0051】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(a)(i)(a1)~(a)(i)(e1)の生成物は、Fmoc-Rink-アミド-MBHA樹脂である。
【0052】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(c1)及び/又はステップ(e1)は、樹脂1グラムに対して5ミリリットルのDMFの比で生成物を3回洗浄することを含む。
【0053】
本開示の方法の一部の態様では、カップリング試験は、ステップ(d1)と(e1)との間で実施され得る。
【0054】
本開示の方法の一部の態様では、カップリングの完了が達成されたかどうかを判定するために、カイザー試験が実施される。
【0055】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(a)(i)(e1)の完了時の生成物は、Fmoc-His(Trt)-Gly-Asp(OtBu)-TmbGly-Ser(tBu)-Phe-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Glu(OtBu)-Nle-DPhe-Thr(tBu)-Ile-Leu-Asp(OtBu)-Leu-Leu-Ala-Ala-Arg(Pbf)-Asp(OtBu)-Phe-Ile-Asn(Trt)-Trp(Boc)-Leu-Ile-Gln(Trt)-Thr(ψMe,Mepro)-Lys(Boc)-Ile-Thr(tBu)-Asp(OtBu)-Rink-アミド-MBHA樹脂である。
【0056】
本開示の方法の一部の態様では、Fmoc脱保護反応を実施し、続いてカップリング反応を実施することは、
(a2)樹脂を、DMF中にピペリジンを含む溶液で処理することと、
(b2)樹脂をDMFで洗浄することと、
(c2)樹脂を、少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸と、DMF中にジイソプロピルカルボジイミド(diisopropylcarbodiimide、DIC)及びシアノヒドロキシイミノ酢
酸エチル(オキシマ)を含む溶液とに接触させ、それにより、少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸をカップリングさせることと、
(d2)ステップ(c2)で形成された生成物をDMFで洗浄することと、を含む。
【0057】
本開示の方法の一部の態様では、DMF中にピペリジンを含む溶液は、DMF中の35%ピペリジン溶液である。
【0058】
本開示の方法の一部の態様では、DMF中にピペリジンを含む溶液で樹脂を処理することは、DMF中にピペリジンを含む溶液で樹脂を3分間洗浄し、続いてDMF中にピペリジンを含む溶液で樹脂を2回目に3分間洗浄し、続いてDMF中にピペリジンを含む溶液で樹脂を10分間洗浄することによって実施される。
【0059】
本開示の方法の一部の態様では、DMF中にピペリジンを含む溶液は、DMF中の20%ピペリジン溶液である。
【0060】
本開示の方法の一部の態様では、DMF中にピペリジンを含む溶液での樹脂の処理は、DMF中にピペリジンを含む溶液での樹脂の15分間の洗浄、続いてDMF中にピペリジンを含む溶液での樹脂の第2の15分間の洗浄によって行われる。
【0061】
本開示の方法の一部の態様では、洗浄は、樹脂1グラムに対して、DMF中にピペリジンを含む溶液5ミリリットルの比で実施される。
【0062】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(b2)における樹脂の洗浄は、樹脂1グラムに対して15ミリリットルのDMFの比で第1のDMF洗浄を実施し、続いて樹脂1グラムに対して5ミリリットルのDMFの比で第2のDMF洗浄を実施することを含む。
【0063】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(b2)における樹脂の洗浄は、
i)樹脂をDMFで洗浄することと、
ii)樹脂を、DMF及びオキシマを含む溶液で洗浄することと、を含む。
【0064】
本開示の方法の一部の態様では、DMF及びオキシマを含む溶液は、2当量のオキシマを含む。
【0065】
本開示の方法の一部の態様では、残基Asp3のFmoc脱保護反応を実施することは、樹脂を、DMF中にピペリジン及びオキシマを含む溶液で処理することを含む。
【0066】
本開示の方法の一部の態様では、DMF中ピペリジン及びオキシマを含む溶液は、DMF中の10%ピペリジン及び2%オキシマ溶液である。
【0067】
本開示の方法の一部の態様では、DMF中のピペリジン及びオキシマを含む溶液は、DMF中の5%ピペリジン及び1%オキシマ溶液である。
【0068】
本開示の方法の一部の態様では、DMF中のピペリジン及びオキシマを含む溶液は、D
MF中の15%ピペリジン及び3%オキシマ溶液である。
【0069】
本開示の方法の一部の態様では、DMF中ピペリジン及びオキシマを含む溶液は、DMF中の20%ピペリジン及び4%オキシマ溶液である。
【0070】
本開示の方法の一部の態様では、DMF中のピペリジン及びオキシマを含む溶液は、DMF中の25%ピペリジン及び5%オキシマ溶液である。
【0071】
本開示の方法の一部の態様では、DMF中のピペリジン及びオキシマを含む溶液は、DMF中の30%ピペリジン及び6%オキシマ溶液である。
【0072】
本開示の方法の一部の態様では、DMF中にピペリジン及びオキシマを含む溶液での樹脂の処理は、DMF中にピペリジン及びオキシマを含む溶液での樹脂の15分間の洗浄、続いてDMF中にピペリジン及びオキシマを含む溶液での樹脂の第2の30分間の洗浄によって行われる。
【0073】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(c2)は、
i)樹脂を、少なくとも1つのFmoc保護されたアミノ酸並びにDIC及びオキシマをDMF中に含む溶液と接触させることと、
ii)樹脂を、DICを含む第2の量の溶液と接触させることと、を含む。
【0074】
本開示の方法の一部の態様では、樹脂を少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸と接触させた後、樹脂を、DICを含む第2の量の溶液と、約10、15、20、25、30、35、40、45、又は50分間接触させる。
【0075】
一部の態様では、少なくとも1つの保護されたアミノ酸は、Boc-His(Trt)-Gly-OHを含むジペプチドである。
【0076】
一部の態様では、少なくとも1つの保護されたアミノ酸は、Fmoc-His(Trt)-Gly-OHを含むジペプチドである。
【0077】
一部の態様では、ジペプチドは、ジペプチドをカップリングする前に、10分間、30分間、45分間、60分間、2時間、3時間、又は4時間、予め活性化される。
【0078】
一部の態様では、ジペプチドは、ジペプチドをカップリングする前に、5℃±2℃、10℃±2℃、15℃±2℃、20℃±2℃、25℃±2℃、30℃±2℃、又は35℃±2℃で予備活性化される。
【0079】
一部の態様では、ジペプチドは、ジペプチドをカップリングする前に、7mLのDMF中にBoc-His(Trt)-Gly-OH/オキシマ/DIC2.5mmol/2.5mmol/2.5mmolを含む溶液中で予め活性化される。
【0080】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(c2)は、
i)樹脂を、少なくとも1つのFmoc保護されたアミノ酸、並びにDMF中にDIC及びオキシマを含む溶液と接触させることと、
ii)樹脂を、DIC及びオキシマを含む第2の量の溶液と接触させることと、を含む。
【0081】
本開示の方法の一部の態様では、DIC及びオキシマを含む第2の量の溶液は、樹脂を少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸と接触させた約30分後に、樹脂と接触させる。
【0082】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(c2)において、少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸は、1、2、3、4、又は5当量の濃度で提供される。
【0083】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(c2)において、DICは、1、2、3、4、又は5当量の濃度で提供され、オキシマは、1、2、3、4、又は5当量の濃度で提供される。
【0084】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(c2)において、少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸は、Fmoc-Gln(Trt)-Thr(ΨMe,Mepro)-OHである。
【0085】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(c2)において、Fmoc-Gln(Trt)-Thr(ΨMe,Mepro)-OHは、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、又は5当量の濃度で提供される。
【0086】
本開示の方法の一部の態様では、方法は、ステップ(b2)とステップ(c2)との間に、ピペリジンの量を測定することによって残留ピペリジンの試験を実施することを更に含む。
【0087】
本開示の方法の一部の態様では、測定されたピペリジンの量が10、100、200、300、400、500、600、700、800、900、又は1000ppmを超える場合、樹脂を、DMF及び/又はDMFとオキシマとを含む溶液で再度洗浄する。
【0088】
本開示の方法の一部の態様では、カップリング試験は、ステップ(c)とステップ(d)との間で実施される。
【0089】
本開示の方法の一部の態様では、カップリング試験はニンヒドリンアッセイである。
【0090】
本開示の方法の一部の態様では、ステップa(v)は、
(a3)樹脂を、DMF中にピペリジンを含む溶液で処理することと、
(b3)樹脂をDMFで洗浄することと、
(c3)樹脂をイソプロパノールで洗浄することと、を含む。
【0091】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(b3)における樹脂の洗浄は、
i)樹脂をDMFで洗浄することと、
ii)樹脂を、DMF及びオキシマを含む溶液で洗浄することと、を含む。
【0092】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(c3)において樹脂をイソプロパノールで洗浄することは、樹脂をイソプロパノールで5回洗浄することを含み、各洗浄は、樹脂1グラムについてイソプロパノール5ミリリットルの比で実施される。
【0093】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(a)(v)の完了時の生成物は、H-His(Trt)-Gly-Asp(OtBu)-TmbGly-Ser(tBu)-Phe-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Glu(OtBu)-Nle-DPhe-Thr(tBu)-Ile-Leu-Asp(OtBu)-Leu-Leu-Ala-Ala-Arg(Pbf)-Asp(OtBu)-Phe-Ile-Asn(Trt)-Trp(Boc)-Leu-Ile-Gln(Trt)-Thr(ψMe,Mepro)-Lys(Boc)-Ile-Thr(tBu)-Asp(OtBu)-Rink-アミド-MBHA樹脂を含む樹脂上の保護ペプチドである。
【0094】
本開示の方法の一部の態様では、TFA、水、及びアニソールを含む溶液は、95:2.5:2.5のTFA:水:アニソールの比でTFA、水、及びアニソールを含む溶液である。
【0095】
本開示の方法の一部の態様では、TFA、水、及びアニソールを含む溶液は、90:5:5のTFA:水:アニソールの比でTFA、水、及びアニソールを含む溶液である。
【0096】
本開示の方法の一部の態様では、TFA、水、及びアニソールを含む溶液は、80:10:10のTFA:水:アニソールの比でTFA、水、及びアニソールを含む溶液である。
【0097】
本開示の方法の一部の態様では、TFA、水、及びアニソールを含む溶液は、70:15:15のTFA:水:アニソールの比でTFA、水、及びアニソールを含む溶液である。
【0098】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(b)は、tert-ブチルメチルエーテル(tert-butyl methyl ether、MTBE)を使用して、切断及び脱保護されたGLP-2
アナログペプチドを沈殿及び洗浄することを更に含む。
【0099】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(b)の完了時の生成物は、H-His-Gly-Asp-Gly-Ser5-Phe-Ser-Asp-Glu-NLe10-DPhe-Thr-Ile-Leu-Asp15-Leu-Leu-Ala-Ala-Arg20-Asp-Phe-Ile-Asn-Trp25-Leu-Ile-Gln-Thr-Lys30-Ile-Thr-Asp-NH2である。
【0100】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(c)は、
(i)ステップ(b)の生成物を、水、アセトニトリル及びNH4OHを含む溶液と接触させることと、
(ii)合成されたGLP-2アナログペプチドを、分取逆相高速液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)を使用して精製することと、を含む。
【0101】
一部の態様では、水及びアセトニトリルを含むステップ(c)(i)の溶液は、アンモニア緩衝液中に80:20の比のH2O/ACNの混合物を含む。
【0102】
一部の態様では、水及びアセトニトリルを含むステップ(c)(i)の溶液は、アンモニア緩衝液中に70:30の比のH2O/ACNの混合物を含む。
【0103】
一部の態様では、水及びアセトニトリルを含むステップ(c)(i)の溶液は、アンモニア緩衝液中に、90:10の比、80:20の比、70:30の比、60:40の比、50:50の比、又は40:60の比のH2O/ACNの混合物を含む。
【0104】
一部の態様では、水及びアセトニトリルを含むステップ(c)(i)の溶液は、標的pH7、pH8、pH9、pH10、又はpH11に調整される。
【0105】
一部の態様では、水及びアセトニトリルを含むステップ(c)(i)の溶液は、標的pH≧7に調整される。
【0106】
一部の態様では、水及びアセトニトリルを含むステップ(c)(i)の溶液は、標的pH8.0±0.1に調整される。
【0107】
一部の態様では、水及びアセトニトリルを含むステップ(c)(i)の溶液は、標的pH8.0±0.1、±0.2、±0.3、±0.4、±0.5、±0.6、±0.7、±0.8、又は±0.9に調整される。
【0108】
一部の態様では、水及びアセトニトリルを含むステップ(c)(i)の溶液は、約pH10に調整される。
【0109】
本開示の方法の一部の態様では、pHは、25%酢酸を使用して調整される。
【0110】
本開示の方法の一部の態様では、pHは、H2O中の25%NH4OHを使用して調整される。
【0111】
一部の態様では、ステップ(c)(i)の溶液は、0℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、又は80℃で維持される。
【0112】
一部の態様では、ステップ(c)(i)の溶液は、50℃で維持される。
【0113】
一部の態様では、ステップ(c)(i)の溶液は、室温℃で維持される。
【0114】
一部の態様では、ステップ(c)(i)の溶液は、本明細書に開示される温度で10分間、20分間、30分間、40分間、50分間、55分間、60分間、65分間、70分間、75分間、80分間、90分間、100分間、110分間、2時間、3時間、4時間、5時間、10時間、20時間、24時間、30時間、40時間、50時間、60時間、又は72時間維持される。
【0115】
一部の態様では、ステップ(c)(i)の溶液は、本明細書に開示される温度で65分間維持される。
【0116】
一部の態様では、ステップ(c)(i)の溶液は、本明細書に開示される温度で24時間維持される。
【0117】
一部の態様では、ステップ(c)(i)の溶液は、50℃で65分間維持される。
【0118】
一部の態様では、ステップ(c)(i)の溶液は、室温℃で24時間維持される。
【0119】
本開示の方法の一部の態様では、RP-HPLCは、C18カラムを使用して実施される。
【0120】
本開示の方法の一部の態様では、RP-HPLCは、NaHCO3、水、及びアセトニトリルを含む溶液を溶出液として使用して行われる。
【0121】
本開示の方法の一部の態様では、NaHCO3、水、及びアセトニトリルを含む溶液は、0.01M、0.05M、0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、又は0.5MのNaHCO3を含む。
【0122】
本開示の方法の一部の態様では、RP-HPLCは、TFA、水、及びアセトニトリルを含む溶液を溶出液として使用して実施される。
【0123】
本開示の方法の一部の態様では、TFA、水、及びアセトニトリルを含む溶液は、0.
01%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%又は0.5%のTFAを含む。
【0124】
本開示の方法の一部の態様では、RP-HPLCは、精製されたペプチド画分のpHを調整することを含む。
【0125】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(d)において、合成されたGLP-2アナログペプチドは、そのナトリウムカチオン形態に変換される。
【0126】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(d)は、水中の0.01%、0.05%、0.1%、0.2%、0.5%、1%、又は2%のAcOHを使用して、精製ペプチド溶液のpHを約pH7.9に調整することを含む。
【0127】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(d)は、水中の0.1%AcOHを使用して、精製ペプチド溶液のpHを約pH7.9に調整することを含む。
【0128】
本開示の方法の一部の態様では、ステップ(c)からの生成物は、HPLCを使用して精製され、更に精製されたペプチド溶液を生成する。
【0129】
本開示の方法の一部の態様では、HPLCは、AcOH、水、及びアセトニトリルを含む溶液を使用して実施される。
【0130】
本開示の方法の一部の態様では、AcOH、水、及びアセトニトリルを含む溶液は、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、又は5%のAcOH溶液である。
【0131】
本開示の方法の一部の態様では、HPLCは、酢酸ナトリウム(NaOAc)、水、及びアセトニトリルを含む溶液を使用して実施される。
【0132】
本開示の方法の一部の態様では、NaOAc、水、及びアセトニトリルを含む溶液は、0.1mM、0.5mM、1mM、1.5mM、2mM、2.5mM、又は3mM NaOAc溶液である。
【0133】
本開示の方法の一部の態様では、HPLC精製後、更に精製されたペプチド溶液のpHを、水中0.1%AcOHを使用して約pH7.9に調整する。
【0134】
本開示の方法の一部の態様では、HPLC精製後、更に精製されたペプチド溶液のpHは、水中0.1%AcOHを使用して、約pH5、約pH6、約pH6.5、約pH7、約pH7.5、約pH7.9、約pH8、約pH8.5、又は約pH9に調整される。
【0135】
一部の態様では、表1に示される出発物質を本開示の方法で使用することができる。一部の態様では、表1に示される出発物質は、表1の「純度」の列に示される純度を有することができる。
【0136】
【0137】
本開示の方法の一部の態様では、アプラグルチドは95%以上の純度を有する。
【0138】
本開示の方法の一部の態様では、アプラグルチドは97%以上の純度を有する。
【0139】
一部の態様では、Des-Gly4アプラグルチド、アスパルチミド3、Asp33-OH、Des-Ser7アプラグルチド、及び[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]の濃度及び/又は存在は、RP-HPLCを使用して決定され得る。表2aは、上記合成の2つの変形における純度及び主要な不純物を示す。表2bは、本明細書に記載されるアプラグルチド合成プロセスの3つの変形における純度及び収率を示す。
【0140】
【0141】
【0142】
一部の実施形態では、精製されたペプチドプールは、不特定の不純物を、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、又は2%を超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、精製されたペプチドプールは、いかなる不特定の不純物も1%を超える濃度で含有しない。
【0143】
一部の実施形態では、精製されたペプチドプールは、Des-Gly4GLP-2類似体含む不純物を、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、又は2%、2.5%、3%、3.5%、4%、又は5%を超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、精製されたペプチドプールは、Des-Gly4GLP-2類似体を、3%を超える濃度で含有しない。
【0144】
一部の実施形態では、精製ペプチドプールは、アスパルチミド3、Asp33-OH及びDes-Ser7-GLP-2類似体不純物の合計を含む不純物を、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、又は2%、2.5%、3%、3.5%、4%、又は5%を超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、精製ペプチドプールは、アスパルチミド3、Asp33-OH及びDes-Ser7-GLP-2類似体不純物の合計を、2%を超える濃度で含有しない。
【0145】
一部の実施形態では、精製されたペプチドプールは、[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]GLP-2類似体を含む不純物を、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、又は5%を超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、精製されたペプチドプールは、[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]GLP-2アナログ不純物を、2%を超える濃度で含有しない。
【0146】
一部の実施形態では、RP-HPLCで測定したGLP-2アナログペプチドナトリウム塩の純度は、95%、97%又は99%より大きい。一部の実施形態では、RP-HPLCによって測定される精製されたペプチドプールの純度は、95%より大きい。
【0147】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチドナトリウム塩の純度は、不特定の不純物を、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、又は2%を超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチドナトリウム塩は、不特定の不純物を、1%を超える濃度で含有しない。
【0148】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチドナトリウム塩は、Des-Gly4GLP-2類似体を含む不純物を、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、又は5%を超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチドナトリウム塩は、Des-Gly4GLP-2アナログ不純物を、3%を超える濃度で含有しない。
【0149】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチドナトリウム塩は、アスパルチミド3、Asp33-OH及びDes-Ser7-GLP-2アナログ不純物の合計を含む不純物を、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、又は5%を超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチドナトリウム塩は、アスパルチミド3、Asp33-OH及びDes-Ser7-GLP-2アナログ不純物の合計を、2%を超える濃度で含有しない。
【0150】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチドナトリウム塩は、[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]GLP-2類似体を含む不純物を、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、又は5%を超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチドナトリウム塩は、[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]GLP-2類似体不純物を、2%を超える濃度で含有しない。
【0151】
本開示の方法の一部の態様では、本方法は、ペプチドのナトリウム塩形態への変換後のプロセス内管理を更に含むことができ、プロセス内管理はRP-HPLCによって実施され、合格基準は、ペプチドが≧95.0%の純度及び以下の不純物、すなわちDes-Gly4アプラグルチド≦3.0%、アスパルチミド3、Asp33-OH及びDes-Ser7アプラグルチドの合計≦2.0%、[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]アプラグルチド≦2.0%、及び任意の他の不特定の不純物≦1.0%を有することである。
【0152】
理論に束縛されることを望むものではないが、一部の実施形態では、Fmoc脱保護及びカップリングサイクルの間のFmoc-Gln(Trt)-Thr(ΨMe,MePro)-OH及びFmoc-Tmb-Gly-OHの使用は、カップリング効率を改善し、アスパルチミド形成を減少させる。
【0153】
理論に束縛されることを望むものではないが、一部の実施形態では、Fmoc脱保護及びカップリングサイクルの間のカップリング添加剤としてのオキシマの使用は、酸化及び[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]GLP-2アナログ不純物の形成を最小にする。
【0154】
理論に束縛されることを望むものではないが、一部の実施形態では、分取RP-HPLCによるナトリウム塩変換中の移動相組成物のためのACNの使用は、GLP-2アナログペプチド組成物のナトリウム塩変換を改善する。一部の実施形態では、分取RP-HPLCによるナトリウム塩変換間の滴定ステップの除去は、GLP-2アナログペプチド組成物のナトリウム塩変換を改善する。一部の実施形態では、分取RP-HPLCによるナトリウム塩変換間のpH調整の導入は、GLP-2アナログペプチド組成物のナトリウム塩変換を改善する。
【0155】
Des-Gly4GLP-2類似体不純物は、ペプチド中に存在しないGly4を含む。アスパルチミド3GLP-2類似体不純物は、Asp3カップリング中のアスパルチミド形成を含む。Asp33-OH GLP-2類似体不純物は、ペプチドのC末端アミド加水分解を含む。Des-Ser7GLP-2類似体不純物は、ペプチド中にSer7欠損を含む。[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]GLP-2類似体不純物は、切断プロセス中のFmoc-Gly(Tmb)-OH形成を含む。
【0156】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、いかなる個々の不純物も、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、又は4%を超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、いかなる個々の不純物も、1.5%を超える濃度で含有しない。
【0157】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、Des-Gly4GLP-2類似体含む不純物を、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、又は5%を超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、Des-Gly4GLP-2アナログ不純物を、3%を超える濃度で含有しない。
【0158】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、β-Asp3GLP-2類似体含む不純物を、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、又は5%を超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、β-Asp3GLP-2アナログ不純物を、1.5%を超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、β-Asp3GLP-2アナログ不純物を、1%を超える濃度で含有しない。
【0159】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、D-His GLP-2類似体を含む不純物を、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、又は5%を超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、D-His GLP-2類似体不純物を、1.5%を超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、D-His GLP-2アナログ不純物を、1%を超える濃度で含有しない。
【0160】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、アスパルチミド3、Asp33-OH及びDes-Ser7-GLP-2アナログ不純物の合計を含む不純物を、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、又は5%を超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、アスパルチミド3、Asp33-OH及びDes-Ser7-GLP-2アナログ不純物の合計を、2%を超える濃度で含有しない。
【0161】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]GLP-2類似体を含む不純物を、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、又は5%を超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]GLP-2アナログ不純物を、2%を超える濃度で含有しない。
【0162】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチドは、Des-Gly4GLP-2アナログ、アスパルチミド3GLP-2アナログ、Asp33-OH GLP-2アナログ、Des-Ser7GLP-2アナログ、又は[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]GLP-2類似体含む不純物を、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、又は2%、2.5%、3%、3.5%、4%、又は5%を超える濃度で含有しない。
【0163】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチドは、Des-Gly4GLP-2アナログペプチド、アスパルチミド3GLP-2アナログペプチド、Asp33-OH GLP-2アナログペプチド、Des-Ser7GLP-2アナログペプチド、又は[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]GLP-2アナログペプチドを含む不純物を、0.5%を超える濃度で含有しない。
【0164】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、不純物の総量を、1%、3%、5%、又は7%を超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、不純物の総量を、5%を超える濃度で含有しない。
【0165】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、酢酸塩を含む不純物を、1%、2%、3%、4%、又は5%を超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、酢酸塩を、5%を超える濃度で含有しない。
【0166】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、トリフルオロ酢酸を含む不純物を、0.01%、0.03%、0.05%、0.07%、0.1%、0.2%、0.5%、又は1%を超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、トリフルオロ酢酸を、0.1%を超える濃度で含有しない。
【0167】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、アセトニトリルを含む不純物を、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000、500、400、300、200、又は100ppm未満で含有する。一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、アセトニトリルを、450ppm未満で含有する。
【0168】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、細菌エンドトキシンを含む不純物を、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10EU/mgを超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、細菌内毒素を、5.0EU/mgを超える濃度で含有しない。
【0169】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、好気性微生物を含む不純物を、1、10、50、100、150、又は200CFU/0.1gを超える濃度で含有しない。一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、好気性微生物を、100CFU/0.1gを超える濃度で含有しない。
【0170】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、酵母及びカビを含む不純物を、0.1、1、5、10、15、又は20CFU/0.1gを超える合計濃度で含有しない。一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、酵母及びカビを、10CFU/0.1gを超える合計濃度で含有しない。
【0171】
一部の実施形態では、GLP-2アナログペプチド組成物は、酢酸塩、トリフルオロ酢酸、アセトニトリル、細菌内毒素、好気性微生物、酵母、カビ、又はそれらの任意の組み合わせを含む不純物を含有しない。
【0172】
合成後、アプラグルチド活性医薬成分(active pharmaceutical ingredient、「API」)は凍結乾燥され、その後、薬物製品に配合される。
【0173】
配合物
本開示のGLP-2アゴニストは、医薬として単独で、又は活性成分としての1つ以上のGLP-2アゴニスト及び薬学的に許容されるアジュバント、賦形剤、希釈剤、若しくは担体を含む医薬組成物中で使用することができる。医薬組成物はまた、他の活性成分を含んでもよい。
【0174】
適切な医薬に受容可能なキャリアとしては、ペプチドベースの薬物とともに代表的に使用されるキャリアが挙げられる。薬物配合物についての一般的なガイダンスについては、例えば、「Remington:The Science and Practice of Pharmacy」22nd ed.,Pharmaceutical Press,Philadelphia,PA,2012を参照されたい。適切な賦形剤の非限定的な例としては、グリシン、L-ヒスチジン、マンニトール、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0175】
好ましい配合物は、緩衝剤としてグリシンを使用する。L-ヒスチジンは、物理的安定化剤としてこの配合物に使用される。L-ヒスチジンは、標的pHを維持する緩衝液としても機能する。マンニトールは、この配合物において、凍結乾燥プロセスステップにおける増量剤として使用される。注射用水はこの配合物の溶媒であり、凍結乾燥ステップ中に注射用水が除去される。pH調整には水酸化ナトリウムが使用される。pHを測定し、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液で8.30±0.10に調整することができる。
【0176】
本開示は、薬物製品の製造のためのロバストで再現可能な凍結乾燥サイクルを提供する。臨床バッチの製造に使用されることが意図される同じ容器クロージャを使用して、2つのスケールダウンされた開発バッチを充填した。凍結乾燥サイクルを一次乾燥(一次乾燥サイクル)のために最適化して、薬物製品の臨床製造において実施されるプロセスを規定した。最適化された凍結乾燥サイクルは、期待される品質属性(すなわち、アッセイ、純度及び不純物レベル、再構成時間及び水分含量)を有する薬物製品をもたらし、薬物製品の臨床バッチに適切であるとみなされた。第2のスケールダウンされた開発バッチに対して行われた安定性試験により、薬物製品が、3ヶ月までの間、意図された貯蔵温度(2~8℃)で変化しないままであったことが実証された。
【0177】
一部の態様では、表3に示される注射用アプラグルチド及び再構成溶液の組成物は、本開示の方法を使用して生成され得る例示的な組成物である。
【0178】
【表5】
a使用される原体の量は、対応する原体バッチ中のアプラグルチド含量に基づいて計算される。
b最終製品中に現れない、薬物製品の製造中に使用される成分。
【0179】
一部の実施形態では、アプラグルチド組成物は、グリシン、L-ヒスチジン、マンニトール、注射用水(WFI)、滅菌注射用水(sterile water for injection、sWFI)
、水酸化ナトリウム、スクロース、又はそれらの任意の組み合わせを含む賦形剤を含み得る。
【0180】
一態様では、本開示は、水に溶解した本開示のアプラグルチド、グリシン、L-ヒスチジン及びマンニトールを含む医薬組成物であって、アプラグルチドの濃度が25mg/mLであり、グリシンの濃度が3.75mg/mLであり、L-ヒスチジンの濃度が7.75mg/mL水であり、マンニトールの濃度が115.0mg/mLである医薬組成物を提供する。一部の態様では、水の容積は0.5mLであり得る。一部の態様では、前述の医薬組成物は、溶液のpHが約pH8.3であるような量で水酸化ナトリウムを更に含むことができる。
【0181】
一部の態様では、本開示の医薬組成物のモル浸透圧濃度は、290~780mOsmol/kgである。一部の態様では、本開示の医薬組成物のモル浸透圧濃度は、約780mOsmol/kgである。一部の態様では、本開示の医薬組成物のモル浸透圧濃度は、約780±160mOsmol/kgである。
【0182】
注射用GLP-2アナログペプチド組成物は、無菌で製造された注射用溶液のための凍結乾燥粉末であってもよい。それは、凍結乾燥された無菌製品に適した無色のガラスバイアルに入れ、ゴム栓で閉じ、アルミニウムキャップで密封して提供することができる。投与前に、注射用GLP-2アナログペプチドを0.5mLの注射用滅菌水(sWFI)に溶解してもよい。再構成された溶液は、皮下投与され得る。
【0183】
投与
一部の実施形態では、GLP-2アゴニスト、例えばアプラグルチドは、非経口的に、例えば注射によって投与される。非経口投与に適した配合物には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び配合物を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る水性及び非水性の等張滅菌注射溶液、並びに懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、及び保存剤を含み得る水性及び非水性の滅菌懸濁液が含まれる。注射可能な溶液のための液体キャリ
アとしては、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース及びグリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0184】
一部の態様では、アプラグルチドは、2チャンバシリンジ又はデュアルカートリッジインジェクターを介して送達される。かかるシリンジの一例は、PCT/EP2012/000787に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0185】
投薬
有効用量を構成する量は、患者の疾患及び臨床状態(例えば、体重)並びに投与経路などの種々の要因に依存し得る。用量は、例えば、1日2回、1日1回、週2回、毎週、隔週、毎月1回又は2回などで投与され得る。用量は、概して、約1週間~約100週間の期間にわたって、1週間当たり約1mg~約10mgの範囲である。一部の実施形態では、週1回用量は、約1mg~10mgである。一部の実施形態では、対象は、約1週間~約100週間、約1週間~約80週間、約1週間~約60週間、約1週間~約48週間、約2週間~約24週間、約2週間~約20週間、又は約2週間~約16週間投薬される。一部の実施形態では、対象は、週に約1回用量を投与される。一部の実施形態では、対象は、2週間に約1回又は1ヶ月に約2回の用量を投与される。2週間に約1回又は1ヶ月に約2回。
【0186】
アプラグルチドは、用量に依存してシトルリンレベルを増加させる。シトルリンは、小腸腸細胞量のマーカーである。1mg、5mg及び10mgでのアプラグルチドの投薬は、患者におけるシトルリン濃度の長期にわたる増加を誘導する。
【0187】
一部の実施形態では、アプラグルチドは、非経口的に(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、又は経口で)投与される。一部の実施形態では、アプラグルチドは静脈内投与される。一部の実施形態では、アプラグルチドは皮下投与される。
【0188】
体重が減少するにつれて曝露(AUC及びCmax)が非線形的に増加するため、50kg未満の体重を有する患者に2.5mgを投薬して高曝露を防止することが望ましい。50kg以上の患者は、5mg以上の用量を受けてもよい。
【0189】
効果
一部の実施形態では、有効用量のGLP-2アゴニストを投与された対象は、対照と比較してより少ない栄養補助を必要とする。例えば、一部の実施形態では、有効用量のGLP-2アゴニストを投与された対象は、対照と比較して少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%少ない栄養補助を必要とする。一実施形態では、有効用量のGLP-2アゴニストを投与された対象は、対照(すなわち、経腸自律性)と比較して100%少ない栄養補助を必要とする。
【0190】
一部の実施形態では、有効用量のGLP-2アゴニストを投与された対象は、対照と比較してより少ない日数の完全な非経口支援を必要とする。例えば、一部の実施形態では、有効用量のGLP-2アゴニストの投与は、完全な非経口支援が必要とされる時間の長さを、対照と比較して少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%減少させ得る。一実施形態では、有効用量のGLP-2アゴニストの投与は、完全な非経口支援が必要とされる時間の長さを、対照(すなわち、経腸自律性)と比較して100%減少させる。一部の実施形態では、有効用量のGLP-2アゴニストを投与された対象は、1年に85日未
満、1年に80日未満、1年に75日未満、1年に70日未満、1年に65日未満、1年に60日未満、1年に55日未満、1年に50日未満、1年に45日未満、1年に40日未満、1年に35日未満、1年に30日未満、1年に25日未満、1年に20日未満、1年に15日未満、1年に10日未満、又は1年に5日未満の完全な非経口支援を必要とする。
【0191】
一部の実施形態では、有効用量のGLP-2アゴニストを投与される対象は、治療後に完全非経口栄養を必要としない。
【0192】
一部の実施形態では、アプラグルチドを受けている患者は、
a.結腸連続性(「CIC」)が残っており、ストーマがなく(利用可能な医学的/外科的記録に基づいて、小腸が十二指腸空腸湾曲部から200cm未満)、最後の腸切除がスクリーニングの少なくとも12ヶ月前であること、又は
b.最新の腸切除がスクリーニングの少なくとも6ヶ月前である、空腸造瘻術又は回腸造瘻術(利用可能な医学的/外科的記録に基づいて、十二指腸-空腸屈曲から<200cm)、のいずれかによる小腸の外科的切除に続いて、腸管外補助を受けている、短腸症候群関連腸不全(「SBS-IF」)を有する男性及び女性対象を含む。
【0193】
一部の実施形態では、有効用量のGLP-2アゴニストの投与は、対照と比較して入院期間の短縮をもたらす。例えば、一部の実施形態では、有効用量のGLP-2アゴニストの投与は、入院期間を、対照と比較して少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%短縮し得る。一部の実施形態では、有効用量のGLP-2アゴニストを投与された対象は、50日未満、45日未満、40日未満、35日未満、30日未満、25日未満、20日未満、15日未満、10日未満、又は5日未満の間入院する。
【0194】
一部の実施形態では、対象の集団への有効用量のGLP-2アゴニストの投与は、有効用量のGLP-2アゴニストの投与を含まない標準ケア治療(例えば、外科的治療、栄養補助、及び創傷ケア)を受ける対象の集団と比較して死亡率を低下させる。例えば、一部の実施形態では、死亡率は、15%未満、12%未満、10%未満、8%未満、5%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満に低下する。SC注射は、典型的には、腹部領域又は大腿部に投与される。注射部位は、注射が最後の注射が投与された場所から少なくとも5cm離れて投与されるように回転させる必要がある。
【0195】
アプラグルチドは、週1回の投薬の24週間後に、CIC又はストーマのいずれかを有するSBS-IF対象において臨床的有効性(PS量の減少)を実証することができると考えられる。したがって、一実施形態では、アプラグルチド又は対応するプラセボの単回2.5mg用量(直近の試験来院時に50kg未満の体重を有する対象に対して)又は5mg用量(直近の試験来院時に50kg以上の体重を有する対象に対して)が、24週間(ストーマ)又は48週間(CIC)の治療期間中に週1回、皮下(「SC」)注射によって投与される。
【0196】
アプラグルチドは、他のGLP-2類似体と比較して、より少ない頻度の投薬(すなわち、週1回)でエネルギー吸収に対して優れた効果を示した。5mgを週1回投薬した場合、アプラグルチドは、尿流入量のベースライン増加から140.1%(+15.8)の変化、760.4g/日(+236.1)の湿重量吸収のベースラインの変化、及び1,074kj/日(+377)のエネルギー吸収のベースラインの変化を引き起こした。
【0197】
アプラグルチドは、表9に示すように、プラセボと比較して711mL/日の調整平均(95%CI 132~1,289;P=.021)だけ絶対尿排出量の増加を促進し、これは48%の1日の増加(95%CI 12~84;P=.014)に相当する。アプラグルチドは、表10に示すように、絶対尿排出量の増加を714mL/日(95%CI
490~939;P=.002)の調整平均で促進し、これは49%の1日増加(95%CI 4~94;P=.041)に相当する。10mgのアプラグルチドによる治療は、プラセボと比較して、絶対尿排出量の増加を795mLの調整平均(95%CI 195~1,394;P=.014)だけ促進した。相対尿産生の対応する変化は34%(95%CI-4~71;P=.072)であった。
【0198】
アプラグルチドは、表9に示すように、プラセボと比較して尿中ナトリウム排泄を56mmol/日(95%CI-10~123;P=.087)の調整平均だけ増加させた。5mgのアプラグルチドは、表10に示すように、プラセボと比較して尿中ナトリウム排泄を66mmol/日(95%CI-69~201;P=.171)の調整平均だけ増加させた。10mg用量群では、表9に示すように、プラセボと比較して絶対尿中ナトリウム排泄は、88mmol/日(95%CI 20~156;P=.017)の調整平均だけ増加した。
【0199】
アプラグルチドは、表19に示すように、腸のエネルギー吸収を1,095kJ/日(95%CI 196~1,994;P=.024)増加させた。
【0200】
対照的に、1日1回投薬されたテヅグルチドは、Jeppesen,Gut,54,pp.1224-1231(2005)に報告されているように、尿流入量のベースライン増加から139.3%の変化、743g/日(+119.25)の湿重量吸収のベースラインの変化、及び792kj/日(+570)のエネルギー吸収のベースラインの変化を引き起こした。
【0201】
同様に、対照的に、1日1回投薬されたグレパグルチドは、Maimi,Lancet
Gastroenterol Hepatol,4,pp.354-363(2019)に報告されているように、尿排出のベースライン増加から111%(0.1mg用量)、140%(1.0mg用量)又は132%(10mg用量)の変化、-211g/日(0.1mg用量)、650g/日(1.0mg用量)又は786g/日(10mg用量)の湿重量吸収のベースラインの変化、及び-377kj/日(0.1mg用量)、435kj/日(1.0mg用量)又は588kj/日(10mg用量)のエネルギー吸収のベースラインの変化を引き起こした。
【0202】
調査中のIMP以外の天然のGLP-2、GLP-1又はGLP-2、GLP-1類似体などの成長因子、グルタミン又は成長ホルモンのいかなる使用も、アプラグルチドの投与前の12ヶ月(CIC対象)及び6ヶ月(ストーマ対象)の間中断する必要がある。
【0203】
一部の実施形態では、対象の集団への有効用量のGLP-2アゴニストの投与は、有効用量のGLP-2アゴニストの投与を含まない標準ケア治療(例えば、外科的治療、栄養補助、及び創傷ケア)を受ける対象の集団と比較して死亡率を低下させる。例えば、一部の実施形態では、罹患率は、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、又は10%未満に低下する。
【0204】
一部の実施形態では、アプラグルチドは、術後腸内自律性回復のために、又は腸皮瘻の治療のために使用される。一部の実施形態では、アプラグルチドは、吻合部漏出、機能性腸不全、腸機能不全、壊死性腸炎、移植片対宿主疾患、クローン病、又はセリアック病の
治療に使用される。
【0205】
本開示は、対象における短腸症候群を治療する方法であって、少なくとも1つの治療有効量の本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0206】
本開示は、対象における短腸症候群の治療における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0207】
本開示は、対象における短腸症候群を治療するための医薬の製造のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0208】
本開示は、短腸症候群を有する対象において湿重量の腸吸収を増加させるための方法であって、少なくとも1つの治療有効量の本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、短腸症候群を有する対象において湿重量の腸吸収を増加させる方法における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。本開示は、短腸症候群を有する対象において湿重量の腸吸収を増加させるための医薬の製造における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0209】
一部の態様では、湿重量の腸吸収の増加は、少なくとも約100g/日、又は少なくとも約200g/日、又は少なくとも約300g/日、又は少なくとも約400g/日、又は少なくとも約500g/日、又は少なくとも約600g/日、又は少なくとも約700g/日、又は少なくとも約800g/日、又は少なくとも約900g/日、又は少なくとも約1000g/日であり得る。
【0210】
本開示は、短腸症候群を有する対象において糞便排出を減少させるための方法であって、少なくとも1つの治療有効量の本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、短腸症候群を有する対象においてストーマ排出を減少させるための方法であって、少なくとも1つの治療有効量の本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、短腸症候群を有する対象において糞便排出を減少させる方法における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。本開示は、短腸症候群を有する対象において糞便排出を減少させるための医薬の製造における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0211】
一部の態様では、糞便排出の減少は、少なくとも約100g/日、又は少なくとも約200g/日、又は少なくとも約300g/日、又は少なくとも約400g/日、又は少なくとも約500g/日、又は少なくとも約600g/日、又は少なくとも約700g/日、又は少なくとも約800g/日、又は少なくとも約900g/日、又は少なくとも約1000g/日であり得る。
【0212】
本開示は、短腸症候群を有する対象において尿産生を増加させるための方法であって、
少なくとも1つの治療有効量の本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、短腸症候群を有する対象において尿産生を増加させる方法における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。本開示は、短腸症候群を有する対象において尿産生を増加させるための医薬の製造における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0213】
一部の態様では、尿産生の増加は、少なくとも約100g/日、又は少なくとも約200g/日、又は少なくとも約300g/日、又は少なくとも約400g/日、又は少なくとも約500g/日、又は少なくとも約600g/日、又は少なくとも約700g/日、又は少なくとも約800g/日、又は少なくとも約900g/日、又は少なくとも約1000g/日であり得る。
【0214】
本開示は、短腸症候群を有する対象においてナトリウム及び/又はカリウムの吸収を増加させるための方法であって、少なくとも1つの治療有効量の本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、短腸症候群を有する対象においてナトリウム及び/又はカリウムの吸収を増加させる方法における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。本開示は、短腸症候群を有する対象においてナトリウム及び/又はカリウムの吸収を増加させるための医薬の製造における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0215】
一部の態様では、ナトリウム及び/又はカリウムの吸収の増加は、少なくとも約5mmol/日、又は少なくとも約10mmol/日、又は少なくとも約15mmol/日、又は少なくとも約20mmol/日、又は少なくとも約25mmol/日、又は少なくとも約30mmol/日、又は少なくとも約35mmol/日、又は少なくとも約40mmol/日、又は少なくとも約45mmol/日、又は少なくとも約50mmol/日であり得る。
【0216】
本開示は、短腸症候群を有する対象において尿中ナトリウム及び/又はカリウム排泄を増加させるための方法であって、少なくとも1つの治療有効量の本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、短腸症候群を有する対象において尿中ナトリウム及び/又はカリウム排泄を増加させる方法における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。本開示は、短腸症候群を有する対象において尿中ナトリウム及び/又はカリウム排泄を増加させるための医薬の製造における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0217】
一部の態様では、尿中ナトリウム及び/又はカリウム排泄の増加は、少なくとも約5mmol/日、又は少なくとも約10mmol/日、又は少なくとも約15mmol/日、又は少なくとも約20mmol/日、又は少なくとも約25mmol/日、又は少なくとも約30mmol/日、又は少なくとも約35mmol/日、又は少なくとも約40mmol/日、又は少なくとも約45mmol/日、又は少なくとも約50mmol/日であり得る。
【0218】
本開示は、短腸症候群を有する対象においてエネルギーの腸吸収を増加させるための方法であって、少なくとも1つの治療有効量の本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、短腸症候群を有する対象においてエネルギーの腸吸収を増加させる方法における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。本開示は、短腸症候群を有する対象においてエネルギーの腸吸収させるための医薬の製造における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0219】
一部の態様では、エネルギーの腸吸収の増加は、少なくとも約500kj/日、又は少なくとも約600kj/日、又は少なくとも約700kj/日、又は少なくとも約800kj/日、又は少なくとも約900kj/日、又は少なくとも約1000kj/日、又は少なくとも約1100kj/日、又は少なくとも約1200kj/日であり得る。
【0220】
本開示は、短腸症候群を有する対象において糞便排出のエネルギー含量を減少させるための方法であって、少なくとも1つの治療有効量の本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、短腸症候群を有する対象において糞便排出のエネルギー含量を減少させる方法における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。本開示は、短腸症候群を有する対象において糞便排出のエネルギー含量を減少させるための医薬の製造における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0221】
一部の態様では、糞便排泄のエネルギー含量の減少は、少なくとも約500kj/日、又は少なくとも約600kj/日、又は少なくとも約700kj/日、又は少なくとも約800kj/日、又は少なくとも約900kj/日、又は少なくとも約1000kj/日、又は少なくとも約1100kj/日、又は少なくとも約1200kj/日であり得る。
【0222】
本開示は、短腸症候群を有する対象において炭水化物及び/又は脂質吸収を増加させるための方法であって、少なくとも1つの治療有効量の本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、短腸症候群を有する対象において炭水化物及び/又は脂質吸収を増加させる方法における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。本開示は、短腸症候群を有する対象において炭水化物及び/又は脂質吸収を増加させるための医薬の製造における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0223】
一部の態様では、炭水化物及び/又は脂質吸収の増加は、少なくとも約100kj/日、又は少なくとも約200kj/日、又は少なくとも約300kj/日、又は少なくとも約400kj/日、又は少なくとも約500kj/日、又は少なくとも約600kj/日、又は少なくとも約700kj/日、又は少なくとも約800kj/日、又は少なくとも約900kj/日、又は少なくとも約1000kj/日、又は少なくとも約1100kj/日、又は少なくとも約1200kj/日であり得る。
【0224】
本開示は、短腸症候群を有する対象においてタンパク質吸収を増加させるための方法であって、少なくとも1つの治療有効量の本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、短腸症候群を有する対象においてタンパク質吸収を増加させる方法における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。本開示は、短腸症候群を有する対象においてタンパク質吸収を増加させるための医薬の製造における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0225】
一部の態様では、タンパク質吸収の増加は、少なくとも約100kj/日、又は少なくとも約200kj/日、又は少なくとも約300kj/日、又は少なくとも約400kj/日、又は少なくとも約500kj/日、又は少なくとも約600kj/日、又は少なくとも約700kj/日、又は少なくとも約800kj/日、又は少なくとも約900kj/日、又は少なくとも約1000kj/日、又は少なくとも約1100kj/日、又は少なくとも約1200kj/日であり得る。
【0226】
本開示は、短腸症候群を有する対象において体重を増加させるための方法であって、少なくとも1つの治療有効量の本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、短腸症候群を有する対象において体重を増加させる方法における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。本開示は、短腸症候群を有する対象において体重を増加させるための医薬の製造における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0227】
一部の態様では、体重の増加は、少なくとも約0.5kg、又は少なくとも約1.0kg、又は少なくとも約1.5kg、又は少なくとも約2.0kg、又は少なくとも約2.5kg、又は少なくとも約3.0kg、又は少なくとも約3.5kg、又は少なくとも約4.0kg、又は少なくとも約4.5kg、又は少なくとも約5.0kgであり得る。
【0228】
本開示は、短腸症候群を有する対象において除脂肪体重を増加させるための方法であって、少なくとも1つの治療有効量の本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、短腸症候群を有する対象において除脂肪体重を増加させる方法における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。本開示は、短腸症候群を有する対象において除脂肪体重を増加させるための医薬の製造における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0229】
一部の態様では、除脂肪体重の増加は、少なくとも約0.5kg、又は少なくとも約1.0kg、又は少なくとも約1.5kg、又は少なくとも約2.0kg、又は少なくとも約2.5kg、又は少なくとも約3.0kg、又は少なくとも約3.5kg、又は少なくとも約4.0kg、又は少なくとも約4.5kg、又は少なくとも約5.0kgであり得る。
【0230】
本開示は、短腸症候群を有する対象において脂肪量を減少させるための方法であって、少なくとも1つの治療有効量の本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を対象に投与
することを含む方法を提供する。本開示は、短腸症候群を有する対象において体脂肪量を減少させる方法における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。本開示は、短腸症候群を有する対象において脂肪量を減少させるための医薬の製造における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0231】
一部の態様では、脂肪量の減少は、少なくとも約0.5kg、又は少なくとも約1.0kg、又は少なくとも約1.5kg、又は少なくとも約2.0kg、又は少なくとも約2.5kg、又は少なくとも約3.0kg、又は少なくとも約3.5kg、又は少なくとも約4.0kg、又は少なくとも約4.5kg、又は少なくとも約5.0kgであり得る。
【0232】
本開示は、短腸症候群を有する対象において血漿中のL-シトルリンの濃度を増加させるための方法であって、少なくとも1つの治療有効量の本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、短腸症候群を有する対象において血漿中のL-シトルリンの濃度を増加させる方法における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。本開示は、短腸症候群を有する対象において血漿中のL-シトルリンの濃度を増加させるための医薬の製造における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0233】
一部の態様では、血漿中のL-シトルリンの濃度の増加は、少なくとも約5μmol/L、又は少なくとも約10μmol/L、又は少なくとも約15μmol/L、又は少なくとも約20μmol/Lであり得る。
【0234】
本開示は、短腸症候群を有する対象において尿排出量を増加させるための方法であって、少なくとも1つの治療有効量の本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、短腸症候群を有する対象において尿排出量を増加させる方法における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。本開示は、短腸症候群を有する対象において尿排出量を増加させるための医薬の製造における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0235】
一部の態様では、尿排出量の増加は、少なくとも約400mL/日、又は少なくとも約500mL/日、又は少なくとも約600mL/日、又は少なくとも約700mL/日、又は少なくとも約800mL/日、又は少なくとも約900mL/日、又は少なくとも約1000mL/日であり得る。
【0236】
本開示は、短腸症候群を有する対象において経口輸液摂取を減少させるための方法であって、少なくとも1つの治療有効量の本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、短腸症候群を有する対象において経口輸液摂取を減少させる方法における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。本開示は、短腸症候群を有する対象において経口輸液摂取を減少させるための医薬の製造における使用のための本開示のGLP
-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0237】
一部の態様では、経口輸液摂取の減少は、少なくとも約400mL/日、又は少なくとも約500mL/日、又は少なくとも約600mL/日、又は少なくとも約700mL/日、又は少なくとも約800mL/日、又は少なくとも約900mL/日、又は少なくとも約1000mL/日であり得る。
【0238】
本開示は、短腸症候群を有する対象において非経口支援量を減少させるための方法であって、少なくとも1つの治療有効量の本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、短腸症候群を有する対象において非経口支援量を減少させる方法における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。本開示は、短腸症候群を有する対象において非経口支援量を減少させるための医薬の製造における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0239】
一部の態様では、非経口支援量の減少は、少なくとも約400mL/日、又は少なくとも約500mL/日、又は少なくとも約600mL/日、又は少なくとも約700mL/日、又は少なくとも約800mL/日、又は少なくとも約900mL/日、又は少なくとも約1000mL/日であり得る。
【0240】
本開示は、短腸症候群を有する対象において血漿アルドステロン濃度を低下させるための方法であって、少なくとも1つの治療有効量の本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、短腸症候群を有する対象において血漿アルドステロン濃度を低下させる方法における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。本開示は、短腸症候群を有する対象において血漿アルドステロン濃度を低下させるための医薬の製造における使用のための本開示のGLP-2アナログペプチド組成物を提供し、ここで、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物は、少なくとも1つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0241】
一部の態様では、血漿アルドステロン濃度の低下は、少なくとも約500pmol/L、又は少なくとも約750pmol/L、又は少なくとも約1000pmol/L、又は少なくとも約1250pmol/L、又は少なくとも約1500pmol/L、又は少なくとも約1750pmol/L、又は少なくとも約2000pmol/L、又は少なくとも約2250pmol/L、又は少なくとも約2500pmol/L、又は少なくとも約2750pmol/L、又は少なくとも約3000pmol/Lであり得る。
【0242】
前述の方法の一部の態様では、増加は、対照レベルと比較して、少なくとも約5%、又は少なくとも約10%、又は少なくとも約15%、又は少なくとも約20%、又は少なくとも約25%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約35%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約45%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約55%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約65%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約75%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約99%の増加であり得る。一部の態様では、対照レベルは、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物の投与前の量である。
【0243】
前述の方法の一部の態様では、減少は、対照レベルと比較して、少なくとも約5%、又は少なくとも約10%、又は少なくとも約15%、又は少なくとも約20%、又は少なくとも約25%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約35%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約45%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約55%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約65%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約75%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約99%の減少であり得る。一部の態様では、対照レベルは、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物の投与前の量である。
【0244】
一部の態様では、前述の方法によって列挙された増加又は減少は、本開示のGLP-2アナログペプチド組成物での治療の少なくとも約4週間後である。
【0245】
一部の態様では、短腸症候群は、短腸症候群腸機能不全(SBS-II)であり得る。一部の態様では、短腸症候群は、短腸症候群腸不全であり得る。
【0246】
本明細書中で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その全体が参考として援用される。
【0247】
例示的な実施形態
実施形態1。アプラグルチドのナトリウム塩を含む組成物であって、アプラグルチドのナトリウム塩は、95%以上の純度を有し、アプラグルチドは、以下の構造を有する、組成物。
【0248】
【0249】
実施形態2。アプラグルチドのナトリウム塩は、97%以上の純度を有する、実施形態1に記載の組成物。
【0250】
実施形態3。組成物は、3%以下のDes-Gly4アプラグルチド不純物を含む、実施形態1又は2に記載の組成物。
【0251】
実施形態4。組成物中のアスパルチミド3アプラグルチド、Asp33-OHアプラグ
ルチド及びDes-Ser7アプラグルチド不純物の合計は、2%以下である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の組成物。
【0252】
実施形態5。組成物は、2%以下の[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]アプラグルチド不純物を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の組成物。
【0253】
実施形態6。組成物は、1.5%以下のβ-Asp3アプラグルチド不純物を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の組成物。
【0254】
実施形態7。組成物は、1%以下のβ-Asp3アプラグルチド不純物を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の組成物。
【0255】
実施形態8。組成物は、1%以下のD-Hisアプラグルチド不純物を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の組成物。
【0256】
実施形態9。組成物は、
1%以下のAsp33-OHアプラグルチド不純物と、
1%以下のDes-Ser7アプラグルチド不純物と、
1%以下のD-アスパルチミド3アプラグルチド不純物と、
1%以下の[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]アプラグルチド不純物と、を含み、
組成物中のDes-Gly4アプラグルチド及びアスパルチミド3アプラグルチド不純物の合計は、1%以下である、実施形態1~8のいずれか1つに記載の組成物。
【0257】
実施形態10。アプラグルチドのナトリウム塩は、凍結乾燥粉末として提供される、実施形態1~9のいずれか1つに記載の組成物。
【0258】
実施形態11。実施形態1~10のいずれか1つに記載の組成物を含む医薬組成物。
【0259】
実施形態12。グリシン、L-ヒスチジン及びマンニトールのうちの少なくとも1つを更に含む、実施形態11に記載の医薬組成物。
【0260】
実施形態13。医薬組成物は、
約12.5mgのアプラグルチド(ナトリウム塩)と、
約1.88mgのグリシンと、
約3.88mgのL-ヒスチジンと、
約57.5mgのマンニトールと、を含む、実施形態10に記載の医薬組成物。
【0261】
実施形態14。医薬組成物は、凍結乾燥粉末として提供される、実施形態12に記載の医薬組成物。
【0262】
実施形態15。実施形態1~10のいずれか1つに記載の組成物又は実施形態11~14のいずれか1つに記載の医薬組成物を含む2チャンバ粉末シリンジ。
【0263】
実施形態16。GLP-2アナログペプチドを作製する方法であって、
a)固相ペプチド合成(SPPS)を実施して、Fmoc-Rink-アミド-メチルベンズヒドリルアミン(MBHA)樹脂上でGLP-2アナログペプチドを合成することと、
b)トリフルオロ酢酸(TFA)、水、及びアニソールを含む溶液で樹脂を処理するこ
とによって、合成されたGLP-2アナログペプチドを樹脂から切断し、合成されたGLP-2アナログペプチドの側鎖を脱保護することと、
c)ステップ(b)からの合成されたGLP-2アナログペプチドを、TFA系移動相を使用して第1の分取逆相高速液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)精製を実施することによって精製し、それにより、90%以上の純度を有するGLP-2アナログペプチドを含む溶液を生成することと、
d)NaHCO3系移動相を使用して、第2のRP-HPLC精製を実施することによって、ステップ(c)の生成物を精製し、それにより、97%以上の純度を有するGLP-2アナログペプチドを含む溶液を生成することと、を含む、方法。
【0264】
実施形態17。
e)NaOAc系移動相を使用して第3のRP-HPLC精製を実施することによって、ステップ(d)からの生成物を更に精製し、それにより、97%以上の純度を有するGLP-2アナログペプチドのナトリウム塩を含む溶液を生成することを更に含む、実施形態16に記載の方法。
【0265】
実施形態18。
f)水中0.1%AcOHを使用して、GLP-2アナログペプチドのナトリウム塩を含むpH溶液を約pH7.9に調整することと、
g)ステップ(f)の生成物を、0.2μmの孔径を有するフィルタに通すことと、
h)ステップ(g)の生成物を凍結乾燥し、それにより、97%以上の純度を有するGLP-2アナログペプチドの凍結乾燥されたナトリウム塩を生成することと、を更に含む、実施形態17に記載の方法。
【0266】
実施形態19。
【0267】
c)(i)合成されたGLP-2アナログペプチドの脱炭酸を、アンモニア緩衝液中に水及びアセトニトリルを含む溶液中にペプチドを可溶化することによって実施することを更に含む、実施形態16に記載の方法。
【0268】
実施形態20。アンモニア緩衝液中に水及びアセトニトリルを含む溶液のpHは、約pH8.0に調整される、実施形態19に記載の方法。
【0269】
実施形態21。ステップ(a)は、
i)SPPSが実施されるMBHA樹脂を調製することと、
ii)初期Fmoc脱保護反応を実施し、続いてカップリング反応を実施して、第1のFmoc保護アミノ酸を樹脂に付加し、それによって樹脂上に保護ペプチドを形成することと、
iii)Fmoc脱保護反応を実施し、続いてカップリング反応を実施して、少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸を保護ペプチドに付加することと、
iv)GLP-2アナログペプチドが樹脂上で合成されて、樹脂に連結されたFmoc保護及び側鎖保護GLP-2アナログペプチドを生成するまで、ステップiiiを繰り返すことと、
v)Fmoc脱保護反応を実施して、樹脂に連結された側鎖保護GLP-2アナログペプチドを生成することと、
vi)樹脂に連結された側鎖保護GLP-2アナログペプチドを乾燥させることと、を含む、実施形態16~20のいずれか1つに記載の方法。
【0270】
実施形態22。ステップ(a)(i)は、
(a1)樹脂を、N2雰囲気下、ジメチルホルムアミド(DMF)及びN,N-ジイソ
プロピルエチルアミン(DIEA)を含む溶液で、樹脂1グラム当たり5mLの溶液で洗浄することと、
(b1)DMF中に2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、
ヘキサフルオロホスフェートベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HBTU)、DIEA、及びヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を含む溶液中で、Rinkアミドリンカーを樹脂にカップリングさせることと、
(c1)ステップ(b1)で形成された生成物をDMFで洗浄することと、
(d1)樹脂を、無水酢酸(Ac2O)及びDIEAをDMF中に含む溶液と接触させることによって還元反応を実施することと、
(e1)ステップ(d1)で形成された生成物をDMFで洗浄することと、を含む、実施形態21に記載の方法。
【0271】
実施形態23。Fmoc脱保護反応を実施し、続いてカップリング反応を実施することは、
(a2)樹脂を、DMF中にピペリジンを含む溶液で処理することと、
(b2)樹脂をDMFで洗浄することと、
(c2)DMF及びオキシマを含む溶液で樹脂を洗浄することと、
(d2)樹脂を、少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸、並びにジイソプロピルカルボジイミド(DIC)及びシアノヒドロキシイミノ酢酸エチル(オキシマ)を含む第1の量の溶液と接触させることと、
(e2)樹脂を、DIC及びオキシマを含む第2の量の溶液と接触させることと、
(f2)ステップ(e2)で形成された生成物をDMFで洗浄することと、を含む、実施形態21又は22に記載の方法。
【0272】
実施形態24。樹脂を、樹脂を第1の量のDIC及びオキシマを含む溶液と接触させた約30分後に、第2の量のDIC及びオキシマを含む溶液と接触させる、実施形態23に記載の方法。
【0273】
実施形態25。Fmoc脱保護反応を実施し、続いてカップリング反応を実施することは、
(a2)樹脂を、DMF中にピペリジン及びオキシマを含む溶液で処理することと、
(b2)樹脂をDMFで洗浄することと、
(c2)DMF及びオキシマを含む溶液で樹脂を洗浄することと、
(d2)樹脂を、少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸、並びにジイソプロピルカルボジイミド(DIC)及びシアノヒドロキシイミノ酢酸エチル(オキシマ)を含む第1の量の溶液と接触させることと、
(e2)樹脂を、DIC及びオキシマを含む第2の量の溶液と接触させることと、
(f2)ステップ(e2)で形成された生成物をDMFで洗浄することと、を含む、実施形態21又は22に記載の方法。
【0274】
実施形態26。樹脂を、DMF中にピペリジン及びオキシマを含む第1の量の溶液と15分間接触させ、続いて樹脂を、DMF中にピペリジン及びオキシマを含む第2の量の溶液と30分間接触させる、実施形態25に記載の方法。
【0275】
実施形態27。少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸は、Fmoc-Gln(Trt)-Thr(ΨMe,Mepro)-OHである、実施形態23~26のいずれか1つに記載の方法。
【0276】
実施形態28。少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸は、Fmoc-Gly(Tmb
)-OHである、実施形態23~26のいずれか1つに記載の方法。
【0277】
実施形態29。少なくとも1つの保護されたアミノ酸は、Boc-His(Trt)-Gly-OHである、実施形態23~26のいずれか1つに記載の方法。
【0278】
実施形態30。方法は、ステップ(e2)と(f2)との間に、カップリング試験を実施することを更に含み、カップリング試験は、カイザー試験である、実施形態23~29のいずれか1つに記載の方法。
【0279】
実施形態31。GLP-2アナログペプチドは、アプラグルチドである、実施形態16~30のいずれか1つに記載の方法。
【0280】
実施形態32。実施形態16~31のいずれか1つに記載の方法を用いて製造されたGLP-2アナログペプチドを含む組成物。
【0281】
実施形態33。対象における短腸症候群関連腸不全(SBS-IF)又は短腸症候群関連腸機能不全(SBS-II)を治療する方法であって、アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含み、
アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩は、対象が50kg未満の体重を有する場合、約2.5mg/週の用量で投与され、又は
アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩は、対象が50kg以上の体重を有する場合、約5mg/週の用量で投与される、方法。
【0282】
実施形態34。アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩は、皮下注射によって投与される、実施形態33に記載の方法。
【0283】
実施形態35。対象は、結腸連続性を有し、アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩は、約48週間投与される、実施形態33又は34に記載の方法。
【0284】
実施形態36。対象は、50%を超える結腸連続性を有する、実施形態35に記載の方法。
【0285】
実施形態37。対象は、少なくとも1つのストーマを有し、アプラグルチドは、約24週間投与される、実施形態33又は34に記載の方法。
【0286】
実施形態38。アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩の投与は、非治療又はプラセボ治療対象と比較して、対象における食事摂取湿重量の腸吸収を増加させる、実施形態33に記載の方法。
【0287】
実施形態39。アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩の投与は、非治療又はプラセボ治療対象と比較して、対象における糞便排出を減少させる、実施形態33に記載の方法。
【0288】
実施形態40。アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩の投与は、非治療又はプラセボ治療対象と比較して、対象における絶対尿排出量を増加させる、実施形態33に記載の方法。
【0289】
実施形態41。アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩の投与は、非治療又はプラセボ治療対象と比較して、対象におけるナトリウム及びカリウムの腸吸収を増加させる、実施形態33に記載の方法。
【0290】
実施形態42。アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩の投与は、非治療又はプラセボ治療対象と比較して、対象におけるナトリウム及びカリウムの尿排泄を増加させる、実施形態33に記載の方法。
【0291】
実施形態43。アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩の投与は、非治療又はプラセボ治療対象と比較して、対象におけるエネルギーの腸吸収を増加させる、実施形態33に記載の方法。
【0292】
実施形態44。アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩の投与は、非治療又はプラセボ治療対象と比較して、対象における糞便排出のエネルギー含量を減少させる、実施形態33に記載の方法。
【0293】
実施形態45。アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩の投与は、非治療又はプラセボ治療対象と比較して、対象における炭水化物、タンパク質、及び脂質の腸吸収を増加させる、実施形態33に記載の方法。
【0294】
実施形態46。アプラグルチド又はその薬学的に許容される塩の投与は、非治療又はプラセボ治療対象と比較して、対象におけるシトルリン濃度を増加させる、実施形態33に記載の方法。
【0295】
実施形態47。95%以上の純度を有するアプラグルチドのナトリウム塩であって、アプラグルチドは、以下の構造を有する、アプラグルチドのナトリウム塩。
【0296】
【0297】
実施形態48。アプラグルチドのナトリウム塩は、97%以上の純度を有する、実施形態47に記載のアプラグルチドのナトリウム塩。
【0298】
実施形態49。アプラグルチドのナトリウム塩は、3%以下のDes-Gly4アプラグルチド不純物を含む、実施形態1~48のいずれか1つに記載のアプラグルチドのナトリウム塩。
【0299】
実施形態50。アプラグルチドのナトリウム塩中のアスパルチミド3アプラグルチド、Asp33-OHアプラグルチド及びDes-Ser7アプラグルチド不純物の合計は、2%以下である、実施形態1~49のいずれか1つに記載のアプラグルチドのナトリウム塩。
【0300】
実施形態51。アプラグルチドの組成物ナトリウム塩は、2%以下の[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]アプラグルチド不純物を含む、実施形態1~50のいずれか1つに記載のアプラグルチドのナトリウム塩。
【0301】
実施形態52。アプラグルチドのナトリウム塩は、1.5%以下のβ-Asp3アプラグルチド不純物を含む、実施形態1~51のいずれか1つに記載のアプラグルチドのナトリウム塩。
【0302】
実施形態53。アプラグルチドのナトリウム塩は、1%以下のβ-Asp3アプラグルチド不純物を含む、実施形態1~52のいずれか1つに記載のアプラグルチドのナトリウム塩。
【0303】
実施形態54。アプラグルチドのナトリウム塩は、1%以下のD-Hisアプラグルチド不純物を含む、実施形態1~53のいずれか1つに記載のアプラグルチドのナトリウム塩。
【0304】
実施形態55。アプラグルチドのナトリウム塩は、
1%以下のAsp33-OHアプラグルチド不純物と、
1%以下のDes-Ser7アプラグルチド不純物と、
1%以下のD-アスパルチミド3アプラグルチド不純物と、
1%以下の[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]アプラグルチド不純物と、を含み、
アプラグルチドのナトリウム塩中のDes-Gly4アプラグルチド及びアスパルチミド3アプラグルチド不純物の合計は、1%以下である、実施形態1~54のいずれか1つに記載のアプラグルチドのナトリウム塩。
【0305】
実施形態56。アプラグルチドのナトリウム塩は、凍結乾燥粉末として提供される、実施形態1~55のいずれか1つに記載のアプラグルチドのナトリウム塩。
【0306】
実施形態57。実施形態1~56のいずれか1つに記載のアプラグルチドのナトリウム塩を含む医薬組成物。
【0307】
実施形態58。グリシン、L-ヒスチジン及びマンニトールのうちの少なくとも1つを更に含む、実施形態57に記載の医薬組成物。
【0308】
実施形態59。医薬組成物は、
約12.5mgのアプラグルチド(ナトリウム塩)と、
約1.88mgのグリシンと、
約3.88mgのL-ヒスチジンと、
約57.5mgのマンニトールと、を含む、実施形態58に記載の医薬組成物。
【0309】
実施形態60。医薬組成物は、凍結乾燥粉末として提供される、実施形態57~59のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0310】
実施形態61。実施形態47~56のいずれか1つに記載の組成物又は実施形態57~60のいずれか1つに記載の医薬組成物を含む2チャンバ粉末シリンジ。
【0311】
実施例
以下の実施例は、本明細書中に記載される組成物及び方法がどのように使用され、作製され、評価され得るかの記載を当業者に提供するために提示され、単に本発明の例示であることを意図するものであり、本発明とみなされる範囲を限定することは意図しない。
【0312】
実施例1:アプラグルチド製造プロセス(I)
固相ペプチド合成(ステップ1)
以下は、以前に説明された合成経路(例えば、米国特許第8,580,918号)と比較して改善された純度レベルでアプラグルチドを製造するための本開示の例示的な方法である。SPPSは、以下のステップを含むサイクルの反復による、固体支持体上に固定されたペプチド鎖の逐次合成である。
1.ペプチド樹脂のN末端Fmoc保護基の除去
2.DMF洗浄
3.Fmoc-AA-OHのカップリング
4.カップリング試験
5.DMF洗浄
【0313】
このサイクルは、ペプチド配列が完了するまで繰り返される。
【0314】
アミノ酸のα-アミノ基は、塩基感受性9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基で保護される。側鎖官能基は酸不安定基で保護されている。本プロセスで使用される全てのアミノ酸誘導体は市販されている。
【0315】
SPPSは、固体支持体上に固定されたペプチド鎖の逐次合成である。合成では、MBHA樹脂を用いてペプチド配列を組み立てることができる。樹脂を膨潤させ、DMFで洗浄し、次いで、窒素雰囲気下、DMF/DIEAで洗浄した後、Fmoc-Rink-アミドリンカーを、DMF中のHBTU/DIPEA/HOBtを使用してカップリングさせることができる。カップリング後、樹脂をDMFで洗浄し、次いでAc2O/DIPEAを使用してアセチル化することができる。カイザー試験を実施して、カップリングの完了を確認することができる。
【0316】
樹脂をDMFで洗浄した後、Fmoc保護されたアミノ酸をそれぞれ以下のサイクルに従って樹脂結合ペプチドにカップリングさせる。
1.Fmoc-保護基をDMF中のピペリジンで除去し、樹脂をDMFで十分に洗浄する。
2.カップリングは、活性化のためにDIC/オキシマを使用して、可変アミノ酸当量を用いてDMF中で実施する。
3.アミノ酸のカップリングは、各合成サイクル中に実施されるニンヒドリンアッセイを使用することによってモニタされる。
【0317】
組み立ての最後に、最後のアミノ酸をカップリングし、脱保護した後、樹脂をDMF及びイソプロパノールで洗浄し、真空下で乾燥させる。
【0318】
樹脂からのペプチドの切断及び脱保護(ステップ2)
保護されたペプチドは、TFA/水/アニソールの混合物で処理することによって、同時に樹脂から切断し、脱保護することができる。続いて、MTBEをペプチド/TFAスラリーに添加して、切断された樹脂の存在下で粗ペプチドを沈殿させる。得られた粗ペプ
チドを濾過し、MTBEで洗浄し、真空下で一定重量まで乾燥させる。
【0319】
脱炭酸反応(ステップ3a)
粗ペプチドを、アンモニア緩衝液中のH2O/ACN(80:20比)の混合物中に可溶化する。H2O中の25%NH4OHを使用して、溶液を標的pH≧7に調整する。脱炭酸反応を室温で24時間維持する。粗ペプチドを、約pH10のアンモニア緩衝液中のH2O/ACN(80:20比)の溶液で洗浄し、室温で保存する。
【0320】
分取RP-HPLCによる精製(ステップ3b)
粗ペプチドを水/アセトニトリル/NH4OHの混合物に溶解する。この溶液を酢酸で希釈し、次いで濾過する。
【0321】
一次精製は、溶出液としてNaHCO3/H2O/CH3CNを用いる分取RP-HPLCで実施する。カラムからの溶出をUVでモニタし、得られた画分をRP-HPLCで分析する。モニタリング基準を満たす画分を、合わせたプール中で混合する。モニタリング基準を満たさない画分は、精製ステップを繰り返すことによってリサイクルされ得る。プールの純度を分析用RP-HPLCにより制御する。
【0322】
分取RP-HPLCによるナトリウム塩の変換(ステップ4)
このステップは、pH変化を介してペプチドの対イオンをTFAアニオンからナトリウムカチオンに交換し、ペプチドを更に精製するために実施され得る。ステップ3からの合わせたプールを水で希釈し、NaOAc溶出液を使用する分取RP-HPLCによって再精製する。
【0323】
続いて、精製されたペプチド溶液を真空下での蒸発に供して、溶液中のアセトニトリルを減少させる。次いで、精製されたペプチド溶液を、0.1%AcOHを使用して標的pH7.9に調整する。
【0324】
純粋なプールを濃縮し、凍結乾燥することができる。プールの純度をRP-HPLCにより分析する。
【0325】
凍結乾燥及びパッケージング(ステップ5)
凍結乾燥の前に、溶液中の精製されたペプチドを、0.2μm膜を通して濾過する。凍結乾燥は低圧で行われる。得られた凍結乾燥最終ペプチドをアルゴン下で充填する。凍結乾燥アプラグルチドをアプラグルチド規格に従って制御する。
【0326】
再処理
アプラグルチド規格で確立された基準を満たさない凍結乾燥アプラグルチドは、再精製に供することができる。
【0327】
再精製は、上記のように、精製ステップ及び対イオン変換ステップを繰り返すことによって、ペプチドの再構成後に実施され得る。
【0328】
再精製後、この物質を上記の手順に従って凍結乾燥する。
【0329】
アプラグルチド規格において確立された基準を満たさない凍結乾燥アプラグルチドは、再凍結乾燥に供され得る。
【0330】
再凍結乾燥は、上記のように、凍結乾燥ステップを繰り返すことによって、ペプチドの再構成後に実施され得る。
【0331】
不純物
本開示の方法の一部の態様では、アプラグルチドは、製造プロセスで使用される試薬及び物質(副生成物を含む)の残留物を含むがこれらに限定されない有機不純物を実質的に含まない。
【0332】
本開示の方法の一部の態様では、アプラグルチドは、非ペプチド不純物を実質的に含まない。
【0333】
本開示の方法の一部の態様では、アプラグルチドは、残留溶媒を実質的に含まない。
【0334】
Des-Gly4アプラグルチド、アスパルチミド3アプラグルチド、Asp33-OHアプラグルチド、Des-Ser7アプラグルチド、及び[Trp25,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]アプラグルチドを含むがこれらに限定されないペプチド不純物が、アプラグルチド組成物中で観察され得る。
【0335】
注射用アプラグルチドは、長期保存条件(5℃±3℃)で保存される凍結乾燥粉末であってもよい。本明細書で提供される安定性の結果(表5)は、長期保存条件で分解が観察されなかったことを実証するものである。
【0336】
非経腸アプラグルチド組成物に必要とされるように、アプラグルチド組成物の製造、パッケージング、保存及び流通後の微生物の質を確実にするために、細菌エンドトキシンの試験が好ましい場合がある。試験はPhEur.2.6.14/USP<85>に従って行われる。
【0337】
生成物の化学的特性
本開示の化合物は、天然のGLP-2に匹敵する効力及び選択性を有するGLP-2受容体の選択的な完全アゴニストとして作用する、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)の33アミノ酸の合成ペプチド類似体である。
【0338】
本開示のペプチドは、直鎖状ペプチドである。ペプチドの配列は、1つのD立体異性体アミノ酸(D-フェニルアラニン)、1つの非天然アミノ酸(ノルロイシン)及び2つのアキラルアミノ酸(グリシン)を含有する。他の全てのアミノ酸はL-配置である。本開示のペプチドは、規定されたキラリティーの全ての立体中心を有する単一のエナンチオマーとして合成される。それは、天然成分としてのいくらかの残留水とともにそのナトリウム塩形態で単離され得る。
【0339】
開示されたペプチドの外観は、白色からオフホワイトの均質な粉末である。これは、逆相クロマトグラフィ精製によって単離し、続いて凍結乾燥することができる。結晶形態又は多形形態は知られていない。
【0340】
精製水中の開示されたペプチドの溶解度は、100mg/mLより大きい。
【0341】
100mg/mLの開示されたペプチドの水溶液のpHは、7.6~8.4である。計算された等電点は4.3aである。
【0342】
アプラグルチドの最適な溶解性及び化学的安定度は、pH8.0~8.5で観察された。
【0343】
プロセス内管理
一部の実施形態では、RP-HPLCによって測定される精製されたペプチドプールの純度は、95%、97%又は99%より大きい。一部の実施形態では、RP-HPLCによって測定される精製されたペプチドプールの純度は、95%より大きい。
【0344】
一部の態様では、表4に提示されるプロセス内対照は、本開示の方法において使用することができる。一部の態様では、表4に示されるプロセス内対照は、表4の「合格基準」の列に示される純度を有することができる。
【0345】
【0346】
本実施例で説明する製造プロセスは、本明細書ではプロセスAと称される。表2aは、プロセスAを使用して生成されたアプラグルチド生成物の純度、並びに主要な汚染物質のレベルを示す。表2a及び表2bに示すように、プロセスAは、95%以上の純度及び低レベルの汚染物質を有するアプラグルチドを得ることができる。更に、プロセスAは、15%~22%の範囲の生成物収率を示す。
【0347】
実施例2:インビトロGLP-2アゴニスト活性の測定
hGLP-2受容体に対する本開示のGLP-2アゴニストの活性を決定するために、転写レポーター遺伝子アッセイを使用する。2つの構築物、すなわちhGLP-2受容体発現DNA構築物及びホタルルシフェラーゼの発現を調節する細胞内cAMP応答性プロモーターエレメントを含有するレポーターDNA構築物を、ヒト胚腎臓細胞株(human embryonic kidney cell line、HEK-293)に一過性にトランスフェクトする。(例えば、このアッセイの詳細についてHimmLer et al.,J.Recept.Res.,(1993),13,79-74を参照されたい。)
細胞を、1用量当たり半対数希釈した化合物の連続希釈物に5時間曝露する。化合物に曝露した後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を測定し、化合物の有効性及びEC50値を非線形回帰分析によって測定する。天然の33アミノ酸ペプチドリガンドであるhGLP-2を、各実験の内部対照として使用する。
【0348】
実施例3:配合物
皮下注射に適した配合物を生成するために、アプラグルチドを無菌的に製造し、医薬賦形剤であるグリシン、L-ヒスチジン、及びマンニトールとともに凍結乾燥して粉末にする。凍結乾燥粉末は、注射のために滅菌水又は緩衝液で再構成される。
【0349】
凍結乾燥配合物を開発するために、液相中のアプラグルチドの所望の物理的安定度を達成するための最適な増量剤及び賦形剤を評価するスクリーニング試験を行った。増量剤スクロース及びマンニトールの初期検査により、両方が、凍結乾燥プロセスに、並びに再構成時間、含水量及び凍結乾燥生成物の目視検査に関して適切であることが実証された。安定剤と2つの増量剤、スクロース及びマンニトールとの濃度及び組み合わせの効果を調べた。グリシン及びTrisを、20Mm(グリシンについて1.50mg/mL及びTrisについて2.4mg/mL)及び40mM(グリシンについて3.0mg/mL及び
Trisについて4.8mg/mL)、pH8.2~8.5の濃度で緩衝剤として試験した。全ての配合物を、20mM(3.10mg/mL)濃度のL-ヒスチジンの存在下又は非存在下で、増量剤としてマンニトール又はスクロースのいずれかを用いて試験した。合計11の配合物を、要因計画を用いて調製した。配合物をオービティングテーブル上に置き、40℃の加速温度で3日間、物理的負荷をかけた。配合物の物理的安定性を、サイズ排除クロマトグラフィ、光学密度及び粘度によって評価した。アプラグルチドの化学的安定度を、逆相液体クロマトグラフィ及びサイズ排除クロマトグラフィによって評価した。ヒスチジンと組み合わせてグリシンを含有する配合物の化学的及び物理的安定性は、Tris緩衝液を含有する配合物よりも優れていた。マンニトール及びスクロースは両方とも増量剤として適していた。しかしながら、凍結乾燥中のより良好な加工性のために、マンニトールを選択した。
【0350】
グリシン濃度の効果はスクリーニング試験から結論付けることができなかったので、実験室規模の安定性試験を、それぞれ20Mm(1.50mg/mL)及び40Mm(3.0mg/mL)の濃度でグリシンを含有する2つの配合物を用いて設定した。両配合物は、L-ヒスチジン、マンニトール、アプラグルチドを含有し、pHを8.3に調整した。配合物を凍結乾燥し、-20℃、5℃、25℃及び40℃で3ヶ月間追跡した。結論として、-20℃、5℃、及び25℃で、両方の配合物が3ヶ月の試験期間を通して化学的及び物理的に安定であった。40℃では、両方の配合物が、3ヶ月で物理的安定性の低下の徴候を示した。より低い濃度の20mMグリシンを含有する配合物は、X線粉末回折によって評価した場合、マンニトールの好ましいより高い結晶化度を有していた。したがって、20mMグリシンを配合物のために選択した。
【0351】
実施例4:アプラグルチド効果のマーカーとしてのシトルリン
血漿中シトルリンを薬力学的(pharmacodynamic、「PD」)マーカーとして使用して
、アプラグルチドの効果を説明した。薬物動態(「PK」)モデル開発と同様に、PK/PDモデルは、試験GLY-101-2015及びTA799-002のみからの健康な個体について開発された。PDモデルの開発のために、PD観察を、その構造、残差-、共変量-及びランダム効果-モデルを有する最終PKモデルを使用して、PK観察とともに適合させた。出発モデルは、血漿シトルリンが合成速度ksyn及び分解速度kdegで絶えず合成及び分解される代謝回転モデルであった。血漿中アプラグルチドは、ベースラインのシトルリンレベルR0とのシグモイドEmax関係、濃度EC50での半最大効果、最大効果Emax、及びヒル係数ガンマを介してシトルリン合成を刺激した。シトルリン代謝回転は、シトルリン合成がシトルリンベースライン及び分解によってのみ決定されるような定常状態にあると仮定した。血漿中アプラグルチドの集団PK/PDは、健常ボランティアにおける2つの試験及び2.5~50mg SCの用量を試験したSBS患者を用いた2つの試験からのデータを用いて確立された。アプラグルチドの濃度は、2コンパートメント及び用量非線形動態による。アプラグルチドクリアランスは16.8L/日と推定され、5mgのSC投薬を受けた70kgの個体についての分布の中心容積は31.5Lであった。半減期は1.3日と推定された。分布容積及びクリアランスは、係数βV1/F,BW=1.94、及びβCl/F,BW=1.8で体重依存性であった。これらの係数は、強い体重依存性を示した。0次吸収持続時間は、βTk0,Dose=0.249の係数で用量に依存した。
【0352】
血漿中シトルリンに対する血漿中アプラグルチドの効果はS字状であることが見出され、シトルリン飽和が5mgの用量で現れた。この現象は、その合成がアプラグルチドによってEmaxモデルに従って刺激されたシトルリン代謝回転モデルを用いて説明された。シトルリンベースラインは5.12μg/mLであることが見出され、一方、最大効果は0.626であり、半最大有効アプラグルチド濃度は13.7ng/mLであった。
【0353】
集団PK/PDモデルを使用して、2.5、5、又は10mgのSCの週1回用量を受けている40~120kgの体重を有する個体について、個体間変動を伴う及び伴わない、血漿中アプラグルチド曝露及び血漿中シトルリントラフ濃度-時間プロファイルを予測した。個体間変動のない予測は、シトルリンに対するアプラグルチドの効果が、毎週5mgのアプラグルチドSCを受けている40kgの個体について飽和し始めること、すなわち、体重が減少するにつれて、同じアプラグルチド用量がシトルリンに対する減少効果をもたらしたことを示した。この飽和効果は、毎週10mgのアプラグルチドSCを受けている個体について更により顕著であることが見出された。個体間変動性を有する予測は、血漿シトルリン濃度-時間プロファイル及び血漿シトルリントラフレベルにおいて大きな変動性を示した。40~120kgの体重及び2.5、5、又は10mgのアプラグルチドSC投薬についてのアプラグルチド曝露を、SBS患者の事後曝露推定値と比較した。2.5~5mgの用量の間の体重50kgでのブラケティングをシミュレートした。このブラケティング変形は、毎週5mgのアプラグルチドSCを受けているSBS患者の事後AUC推定値の範囲内のアプラグルチド曝露をもたらした。臨床バイオマーカーとして、尿排出を、SBS患者における血漿中アプラグルチド曝露及び血漿中シトルリントラフレベルの事後推定値と相関させた。アプラグルチド曝露及びシトルリントラフレベルは、尿排出と弱く相関するのみであることが見出された。
【0354】
腸細胞量のバイオマーカーである血漿シトルリンは、ヒト臨床試験においてGLP-2類似体投与後に増加する。
【0355】
短腸症候群のために開発中の新規な長時間作用型GLP-2類似体であるアプラグルチドとシトルリンとの間の薬物動態/薬力学(pharmacokinetic/pharmacodynamic、PK/
PD)関係を、無作為化、二重盲検、並行群、プラセボ対照、複数用量試験で評価した。23人の健康な成人ボランティアは、アプラグルチド(1、5、又は10mg)又はプラセボの6回の週1回の皮下投薬を受け、最後の投薬後更に6週間追跡された。血液採取を、食事、生活様式、及び日周効果について管理した。L-シトルリンを、有効なLC-MS法を用いて定量した。PKデータは非コンパートメント解析を受け、PDデータはANCOVAによって解析された。
【0356】
PKパラメータは、72時間の半減期を示した。シトルリンの増加は、1回目のアプラグルチド投薬の2日後に観察され、最大効果は、ほとんどの対象において4又は7日後に達成された。平均シトルリンレベルは、全てのアプラグルチドアームにおいてベースラインから上昇し、6週間の治療期間中、上昇したままであった。シトルリンの増加は、プラセボに対してアプラグルチド1mgよりもアプラグルチド5mg及び10mgで有意に大きかった(表5)。5mgと10mgとのアプラグルチド用量レベルの間に統計的に有意な差はなかった。血漿中シトルリンレベルは、最後のアプラグルチド投薬後10~17日間上昇したままであった。アプラグルチドは安全であり、忍容性良好であり、重篤なAEはなかった。
【0357】
【0358】
アプラグルチドは安全で忍容性良好であり、血漿中曝露よりも長いPD応答を示した。これらのPK及びPDデータは、アプラグルチドの週1回の皮下投薬の可能性を確認するものである。
【0359】
実施例5:本開示のアプラグルチド組成物の投与の第2相ヒト臨床試験結果
以下の非限定的な実施例では、SBS-IFを有する対象を本開示のアプラグルチド配合物で治療した第2相臨床試験からの結果を説明する。この第2相試験は、SBS-IFを有する患者における5及び10mgのアプラグルチドの安全及び有効性を調査した。
【0360】
理論に束縛されることを望むものではないが、SBS患者におけるGLP-2類似体の有益な効果には、治療結果を評価する際に考慮され得る体液恒常性の動的変化が含まれ得る。腸吸収が改善されると、糞便排出が減少する。腸で吸収された大量の水及びナトリウムは、体循環を通して腎臓によって排泄されるので、SBS患者における吸収の増加は、尿量生産及びナトリウム排泄の増加をもたらし得る。したがって、概して、SBS患者の水分補給状態は、尿量及び尿中ナトリウムを測定することによって監視することができる。
【0361】
SBS-IFを有する8人の成人患者を、表6に従って本開示のアプラグルチド組成物で治療した。簡潔には、SBS-IFを有する患者に、5mgの本開示のアプラグルチド又はプラセボを週1回、4週間投与した。次いで、患者に本開示のアプラグルチド10mgを週1回、4週間投与した。更に、治療の間に6~10週間の休薬期間を設けた。
【0362】
【0363】
結果
試験の一部として、合計12人の患者をスクリーニングし、そのうち8人を治療のために無作為化した。8人の患者全員が、追加の治療期間において、10mgのアプラグルチド(パートB)を用いた非盲検レジメンを継続した。1人の患者は、試験手順から疲労し、効果が得られなかったため、パートB治療期間における1回目の薬物投与後に試験を中止した。患者は、治療後ではなく、即時測定のためのデータを提供した。8人の患者が、安全性分析セット及び完全分析セットを構成した。患者の人口統計及びベースライン特性を表7に要約する。表7のデータは、平均(SD)又はN(%)であり、非経口支援(PS)は、週平均に基づいて試験開始時に予定されたPSであった。
【0364】
3人の患者は、臨床試験においてGLP-2類似体で以前に治療されていた(6ヶ月以上前)。個々の患者のプロットは、ウォッシュアウト期間後に全ての効果がベースラインに戻ったことを示した。したがって、キャリーオーバー効果は観察されなかった。
【0365】
【0366】
安全性結果
一般的な関連有害事象を表8に報告する(データはN又はN(%)である)。2人を超える患者で発生した有害事象には、多尿(n=7)、ストーマ合併症(n=6)、消化管ストーマ合併症(n=5)、消化管ストーマ排出の減少(n=6)、消化管ストーマ排出の異常(n=5)、口渇の減少(n=5)、浮腫(n=4)、体重増加(n=3)、及び食欲不振(n=3)が含まれた。3人の患者が注射部位反応を経験した。全ての注射部位反応は、積極的治療で起こった。5mg用量群では1人の患者が注射部位反応を有し、10mg用量群では3人の患者が注射部位反応を有した。重篤な有害事象の合計8症例が5人の患者によって報告された。これらのいずれも、試験薬物に関連するとは考えられなかった。2つの重篤な有害事象は、PS投与のために患者によって使用されたトンネル式中心静脈カテーテルに関連する機械的合併症を伴い、両方ともカテーテル交換のための入院を必要とした。6つの重篤な有害事象は、カテーテル関連血流感染(CRBSI)であった。1人の患者は、CRBSIの4回の再発事象を有した。重篤な有害事象は、プラセボ期間と治療期間との間で等しく分布した。ほとんどの患者は少なくとも1つの治療関連有害事象を有し、その全てが軽度から中程度であり、活性用量レベル間に明らかな差はなかった。
【0367】
【0368】
関連する有害事象による試験の中止又は減少はなかった。1人の患者は、末梢浮腫のために、プラセボ期間中にアプラグルチドの3回目の投薬を省略した。バイタルサイン、血液試料、ECG、尿試験紙検尿又は体重から安全性の懸念は生じなかった。死亡はなかった。
【0369】
3人の患者が、試験中に抗アプラグルチド抗体を発現した。2人の患者は、5mgの治療期間の終わりに抗アプラグルチド抗体について陽性であり、1人の患者は10mgの治療期間の終わりに陽性であった。5mg治療期間の終了時に陽性抗体を有していた1人の患者は、10mg治療期間の終了時にも陽性抗体を有していた。5mg治療期間中に陽性抗体を発現した2人の患者については、6~10週間のウォッシュアウト期間後に陰性であった。10mg治療の終了時に陽性抗体を有する2人の患者については、両方とも4~6週間のウォッシュアウト期間後も依然として陽性であったが、力価は10mg治療期間の終了時よりも低かった。PKプロファイル、アプラグルチドに対する薬力学的応答、又は有害事象の数若しくは期間に対して、抗アプラグルチド抗体の効果は検出されなかった。
【0370】
尿排出量及び尿中ナトリウム排泄:ベースラインから治療終了(27~29日目)までの変化
絶対尿排出量におけるベースラインから各治療の終了までの個々の変化を、各治療についての平均変化を含めて、
図5にプロットする。平均変化は、治療をプラセボと比較する統計分析において計算された調整平均とは異なっていた。パートA+Bの統計的分析のために、表9に示すように、5mgのアプラグルチドは、プラセボと比較して調整平均711mL/日(95%CI 132~1,289;P=.021)だけ絶対尿排出量の増加を促進し、これは48%の1日の増加(95%CI 12~84;P=.014)に相当する。パートAの統計的分析のために、表10に示すように、5mgのアプラグルチドは、調整平均714mL/日(95%CI 490~939;P=.002)だけ絶対尿排出量の増加を促進し、これは49%の1日増加(95%CI 4~94;P=.041)に相当する。10mgのアプラグルチドによる治療は、プラセボと比較して、絶対尿排出量の増加を795mLの調整平均(95%CI 195~1,394;P=.014)だけ促進した。相対尿産生の対応する変化は34%(95%CI-4~71;P=.072)であった。表9に示すように、5mg用量群と10mg用量群との間に差は見られなかった。表9において、データは、調整平均(95%CI)として示され、計算は、ベースラインから個々の用量群の治療の終了又は治療の終了近くまでの変化に基づき、Nは、完全な分析セットにおける患者の数を示す。パートA+Bの統計分析からの結果を
図6にグラフで示す。
【0371】
【0372】
絶対尿中ナトリウム排泄におけるベースラインから各治療の終了までの個々の変化を
図7にプロットする。パートA+Bの統計的分析のために、表9に示すように、5mgのアプラグルチドは、プラセボと比較して、尿中ナトリウム排泄を56mmol/日(95%CI-10~123;P=.087)の調整平均だけ増加させた。パートAの統計的分析について、5mgのアプラグルチドは、表10に示すように、プラセボと比較して尿中ナトリウム排泄を66mmol/日(95%CI-69~201;P=.171)の調整平均だけ増加させた。表10において、データは、調整平均(95%CI)として示され、計算は、ベースラインから個々の用量群の治療の終了までの変化に基づき、Nは、完全な分析セットにおける患者の数を示す。10mg用量群では、表9に示すように、プラセボと比較して絶対尿中ナトリウム排泄は、88mmol/日(95%CI 20~156;P=.017)の調整平均だけ増加した。表9及び10に示すように、相対的な尿中ナトリウム排泄は、アプラグルチド処理後に変化しなかった。表9に更に示すように、5mg用量群と10mg用量群との間に差異は見出されなかった。
【0373】
【0374】
尿排出量及び尿中ナトリウム排泄:ベースラインから1回目の治療注射の直後(1~3日目)までの変化
絶対尿排出及び尿中ナトリウム排泄におけるベースラインから1回目の治療注射直後までの個体の変化を、それぞれ
図8及び
図9にプロットして示す。表11に示すように、プラセボと比較して5mg又は10mgの用量群では即時の変化は観察されず、活性用量群
間に差はなかった。表11において、データは、調整平均(95%CI)として示され、計算は、ベースラインから個々の用量群の1回目の治療注射の直後までの変化に基づき、Nは、完全な分析セットにおける患者の数を示す。
【0375】
【0376】
経口輸液摂取:ベースラインから治療の終了近く(20~22日目)までの変化
20~22日目に、10mgのアプラグルチドでの治療は、絶対及び相対経口輸液摂取を、それぞれ363mL/日(95%CI-641~-86;P=.015)及び-15%(95%CI-25~-5;P=.006)の調整平均だけ減少させた。パートA+Bの分析では、表9に示すように、244mL/日(95%CI-512~23;P=.070)の調整平均減少を有する5mg用量群について、及び表10に示されるように、242mL/日(95%CI-560~76;P=.103)の平均減少を有するパートAの分析について見られた。更に、表9に示すように、活性用量群の間に差異は見出されなかった。
【0377】
PS体積:ベースラインから治療の終わり近く(20~22日目)までの変化
20~22日目に、10mgのアプラグルチドは、プラセボと比較して、相対的な毎日のPS量を-28%(-51~-4;P=.025)減少させた。同様の傾向が、表9に示すように、469mL/日(-941~4;P=.052)減少した毎日のPS量の絶対変化について見られた。表9及び10に示すように、5mg用量群についてPS体積の変化は観察されず、表9に示すように、5mg用量群と10mg用量群との間に差異は見られなかった。
【0378】
流体複合効果:ベースラインから治療の終了近く(20~22日目)までの変化
パートA+Bについての事後分析を実施して、尿産生の増加(27~29日目)、PS体積の減少、及び自発的な経口輸液摂取の減少(20~22日目)の合計として定義される液体複合効果を計算した。自発的な経口輸液摂取及びPS体積減少は、尿採取の間変化しないままであったので、治療期間の終わり近くに評価した。5mg及び10mgのアプラグルチドの投与は、プラセボと比較して流体複合効果をそれぞれ1,036mL/日(95%CI 262~1,810;P=.014)及び1,630mL/日(95%CI
827~2,433;P=.001)増加させた。2つの用量の間に差はなく、推定差は594(95%CI-207~1,396;P=.129)であった。流体複合効果の個々のプロットを、治療終了時の尿排出量とともに
図10A~
図10Cに示す。
【0379】
水和状態パラメータ
パートA+Bアプラグルチドの事後分析において、5mg及び10mgは血漿中アルドステロンをそれぞれ2,894pmol/L(95%CI-6247~458;P=.083)及び3,045pmol/L(95%CI-6,460~370;P=.075)減少させた。アプラグルチドは、表12に示すように、クレアチニン、尿、ヘマトクリット、アルブミン、蛋白及びCO2合計を含む他の水和パラメータを変化させなかった。表12において、データは、調整平均(95%CI)として示され、計算は、ベースライン
から個々の用量群の治療の終了までの変化に基づき、Nは、完全な分析セットにおける患者の数を示す。
【0380】
【0381】
血漿中L-シトルリン
パートA+Bの統計解析において、5mgのアプラグルチドは、絶対血漿中L-シトルリンを17.6μmol/L(95%CI 2.0~33.2;P=.031)の調整平均だけ増加させ、これは、65%の増加(95%CI 15~115;P=.015)に相当する。パートAの統計的分析において、5mgのアプラグルチドは、絶対血漿中L-シトルリンを17.7μmol/L(95%CI-6.3~41.7;P=.100)の調整平均だけ増加させ、これは、66%の相対的増加(95%CI-13~145;P=.077)に相当する。10mg用量対プラセボについてのベースラインからの変化の差は、表13に示されるようにより小さかった。表13において、データは、調整平均(95%CI)として示され、計算は、ベースラインから個々の用量群の治療の終了までの変化に基づき、Nは、完全な分析セットにおける患者の数を示す。血漿中L-シトルリンの絶対濃度におけるベースラインからの個々の変化を
図11にプロットする。ベースラインからの平均変化及び個々の患者の血漿中L-シトルリン変化を
図27にプロットする。1回目の投薬の2日後に開始して、血漿シトルリンレベルの用量依存的増加がアプラグルチドで観察された。
図28に示すように、プラセボと比較して、アプラグルチドの3回の週1回投薬後、シトルリンレベルは有意に増加した。
【0382】
【0383】
体重及び身体組成
パートA+Bの分析では、5mgのアプラグルチドは、絶対及び相対脂肪量をそれぞれ
1.77kg(95%CI 0.29~3.24;P=.024)及び10%(95% 1~18;P=0.035)だけ有意に増加させた。脂肪量の増加に対応して、5mgのアプラグルチドは体重を1.9kg増加させた(95%CI 0.1~3.7;P=.043)。プラセボと比較して、いずれの用量群についても除脂肪体重又は骨塩量に変化は見られなかった。パートAの統計的分析では、表14に示すように、5mgアプラグルチドについて脂肪量及び体重の増加傾向が観察された。表14において、データは、調整平均(95%CI)として示され、計算は、ベースラインから個々の用量群の治療の終了までの変化に基づき、Nは、完全な分析セットにおける患者の数を示す。
【0384】
【0385】
薬物動態
アプラグルチドの血漿中濃度は投薬後に増加し、最大平均濃度は投薬の72時間後に測定された。2回目の投薬前のアプラグルチドの平均血漿中濃度(Ctrough)は、5mg及び10mgの治療期間でそれぞれ4.5ng/mL及び8.9ng/mLであった。
【0386】
実施例5のまとめ
実施例5に記載される結果は、本開示のアプラグルチド組成物の対象への投与が、安全であり、忍容性良好であり、腸液吸収における有益な変化(尿量の増加が挙げられるが、これに限定されない)を誘導したことを実証するものである。
【0387】
治療に関連する有害事象は軽度から中程度であり、GLP-2の生理学的効果に対応していた。有害事象についての用量依存性はなかった。注射部位反応はわずかであり、週に1回の投薬レジメンを反映していた。治療に関連する腹痛又は腹部膨満の事象はなかった。
【0388】
週に1回の5及び10mgのアプラグルチド用量での治療は、プラセボと比較した場合、尿排出量を増加させた。10mgのアプラグルチドは、治療の終わりに尿中ナトリウム排出を有意に増加させ、経口輸液摂取並びにPS量を減少させた(治療の終わり近くに評価した)。同様の傾向が、尿中ナトリウム排出及び経口輸液摂取について5mg用量で見られた。
【0389】
全体として、これらの尿量の増加は、腸液及びナトリウム吸収の増加を反映する。理論に拘束されることを望むものではないが、これは、脱水、ナトリウム枯渇及び腎機能障害のリスクが高いSBS患者にとって重要な効果である。体液及び電解質異常はまた、罹患率及び入院の原因であり得る。
【0390】
4週間という比較的短い治療期間のために、体液貯留の臨床的徴候があった場合には、
PS体積の減少を行った。長期アプラグルチド治療の間、尿排出の増加は、より大きな流体複合効果によっても証明されるように、PS容量の更なる減少を可能にし得ることが想定される。5mgのアプラグルチドでの治療は、プラセボと比較して8人の患者のうち6人において相対尿排出量を増加させ、PS量の減少を誘発したであろう10%の増加を超えた。
【0391】
L-シトルリンの血漿濃度は、両方の積極的治療期間中に増加した。理論に束縛されることを望むものではないが、これは、腸細胞量の増加を示し、腸上皮に対するアプラグルチドの腸栄養性効果と一致する。5mg治療期間において尿排出の臨床的に有意な増加(27~29日目に評価)を有した2人の患者において、10mgの減少した効果が観察された。しかしながら、これらの患者は、10mgの治療期間の間にPS体積及び経口輸液摂取(20~22日目に評価)の付随する減少を有し、尿産生の増加、PS体積の必要性の減少及び経口輸液摂取の減少を含む有益な効果の合計として定義される、正の液体複合効果をもたらした。
【0392】
当業者によって理解されるように、SBSを有する患者は、過剰な糞便中ナトリウム損失及び慢性的なナトリウム枯渇に起因して、二次性高アルドステロン症に罹患し得る。実施例5に記載される試験において、アプラグルチドの投与は、プラセボと比較して、両方の用量群においてアルドステロンレベルを減少させる傾向があることが見出された。理論に束縛されることを望むものではないが、これは、アプラグルチドが、改善された流体及びナトリウム吸収に起因して、二次的な高アルドステロン症を緩和することを示す。
【0393】
5mgのアプラグルチドによる治療は、脂肪量及び体重の増加と関連していた。これは、GLP-2又はGLP-2類似体tによる治療後の対象において脂肪量の増加が観察された初めての例である。体重の増加は、脂肪量及び/又は除脂肪量の対応する変化とよく相関する。
【0394】
実施例5に記載の統計分析を2つのバージョンで実施し、パートAでは5mgをプラセボと比較したが、パートA+Bはプラセボ、5mg及び10mgを含み、3つの治療間の対比を推定した。パートA及びパートA+B分析の結果は概して同じであった。
【0395】
要約すると、実施例5に記載された結果は、5及び10mgの週1回の4週間のアプラグルチド投薬が忍容性良好であり、安全であったことを実証するものである。また、この結果により、週1回の投薬によるGLP-2類似体の臨床効果が実証された。アプラグルチドによる週1回の治療は、試験した両方の用量(5及び10mg)で、SBSを有する患者における尿排出量の増加及び腸リハビリテーションの他のマーカーの改善をもたらしたが、応答の差は観察されなかった。本開示のアプラグルチド組成物は、毎日とは対照的に週1回の投与を可能にすることによって、患者のケア及びコンプライアンスに寄与し得、これが次に、生活の質を改善し得ることが想定される。低減された注射頻度は、患者の受容性を高め、注射部位反応のリスクを低減することができる。これらの結果は、アプラグルチド処理が腸適応を促進することによって腸吸収の増加をもたらすことを示している。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの結果は、インビボでのアプラグルチドによる治療が、SBS-IFを有する患者における腸の湿重量吸収を改善することができ、したがって、治療設定において実施することができることを示す。
【0396】
方法
試験設計及び参加者
実施例5に記載の試験は、二重盲検、クロスオーバー、無作為化、プラセボ対照、第2相試験であり、その後に非盲検レジメンでの追加の治療期間が続いた。SBS-IFを有する8人の成人患者(年齢18歳以上80歳以下)を試験に登録した。患者の適格性をス
クリーニング来院中に評価した。主な組み入れ基準は以下の通りですなわち、空腸又は回腸造瘻術を用いた小腸の外科的切除に続発するSBSを有する患者、最後の腸切除から少なくとも6ヶ月、過去18ヶ月以内に記録された少なくとも1500g/日の糞便排泄、及び患者の医療記録に従って≧12ヶ月間、週3回以上のPS注入であった。患者における活動性の臨床徴候、5年以内のがんの病歴、又は不十分な肝臓、腎臓、若しくは心臓の機能を有した場合、患者を除外した。患者が過去3ヶ月以内に天然のGLP-2又はGLP-2類似体を投与されていた場合も除外した。
【0397】
図4に示すように、試験を2つのパート、すなわちパートA及びBに編成した。パートAは、二重盲検、クロスオーバー、無作為化、プラセボ対照試験であった。パートAでは、患者を5mgのアプラグルチド又はプラセボで週1回4週間治療した。6~10週間のウォッシュアウト期間の後、代替治療を施した。パートAに続いて、患者がパートBに入る前に6~10週間の第2の休薬期間を設けた。パートBは、10mgのアプラグルチドを週1回4週間投与する非盲検投薬レジメンであった。10mg投薬の安全性及び忍容性を調査するために、追加の非盲検治療期間(パートB)を含めた。各治療期間中の手順は一貫していた。試験薬物は、再構成のための凍結乾燥粉末として提供され、腹部領域に皮下注射として投与された。
【0398】
手順
安全性評価を各治療期間について実施し、安全性評価は、注射部位反応、バイタルサイン、血液試料、心電図(electrocardiogram、ECG)、尿試験紙検尿、体重及び肝臓酵
素についての観察を含んでいた。それらは、表15に示すように、ベースライン時、試験薬物の各注射中(投与前及び連続時点)、1回目の治療注射の4日後、各治療期間の終了時、及び試験の終了時の最後の投薬の4~6週間後に実施した。更に、肝臓酵素を各薬物投与の前に測定した。
【0399】
【0400】
有効性評価を29日の各治療期間について実施した。患者は、特定の時点でのPS体積投与、尿収集及び経口輸液摂取を記録するための紙日誌を受領した。患者は、ベースライン時(-2~1日目)、1回目の治療注射の直後(1~3日目)、及び治療期間の終了時
(27~29日目、試験薬物の4回目の投与の5日後)に、自宅で48時間の尿採取を行った。尿は、体積マーキングを有する尿容器中に患者によって収集され、48時間尿量が日誌に報告された。48時間の収集を完了した後、患者は、約100mLの尿を容器から試料に移し、試料は、次の患者の来院時に送達された。次いで、48時間当たりに排出されたナトリウム量を、試料中のナトリウムの濃度に収集した尿の総量を乗じたものとして計算した。各尿採取の間、週1回のPS体積及び含量並びに毎日の経口輸液摂取を一定に保った。それらは一定に保たれたので、尿量の増加は、液体吸収の増加の徴候であった。患者は、ベースライン来院時(-3日目)の習慣的な経口輸液摂取に基づいて、24時間飲用メニューを作成するように通知された。患者は、各尿採取の間、自身の飲用メニューを順守し、付随する48時間の経口輸液摂取が、各尿採取の間、日誌に報告された。
【0401】
20~22日目に、患者は、48時間の間の自発的な経口輸液摂取を記録するように通知された。この測定は、腸吸収の増加が自発的な経口輸液摂取の減少と関連するかどうかを調査するために含まれた。
【0402】
4日目~24日目の間に、試験者によって臨床的に必要であると判断された場合、PS容量の減少を可能にした。4週間という比較的短い治療期間のため、PS量は、患者が体液貯留の臨床徴候(浮腫及び過剰な意図しない体重増加など)を有した場合にのみ低減された。PS体積減少を20~22日目の間に評価した。患者は、治療尿収集の終わり(27~29日目)の間に、自身のベースラインPS容量及び内容物に戻った。プロトンポンプ阻害剤、ロペラミド、及びアヘン剤を含む併用薬は、試験を通して不変かつ安定に保たれた。必要であれば、患者と試験者との間の議論に基づいて、治療期間の間に、飲用メニュー並びに処方されたPS量及び含量において調整を実施することができる。
【0403】
体重は、水平なプラットフォームスケールを用いて測定した。ベースライン時及び治療終了時に、二重エネルギーX線吸収測定法(Norland XR-36 DXA濃度計、Ford Atkinson、WI、USA)によって身体組成を測定した。
【0404】
アプラグルチド及び空腹時血漿中L-シトルリン(腸細胞塊のマーカー)の血漿中濃度の分析のための採血を、ベースライン、1回目及び2回目の治療注射の間、1回目の治療注射の4日後、及び治療の最後に収集した。空腹時血漿中L-シトルリンのための血液試料も、試験終了時の最後の投薬の4~6週間後に採取した。抗アプラグルチド抗体のための採血は、ベースライン、治療終了時、及び試験終了時の最後の投薬の4~6週間後に採取した。
【0405】
尿中ナトリウム濃度の分析
尿中ナトリウムは、定量下限10mmol/リットルのイオン特異的電極システム(Roche Diagnostics、Indianapolis、IN)を使用して、COBAS 8000モジュラー分析器シリーズで測定した。尿中ナトリウムが定量の下限未満である場合、試料を炎光光度法によって分析した。
【0406】
アプラグルチド血漿中濃度及びL-シトルリンの分析
アプラグルチド及びL-シトルリンを、有効なLC-MSベースの方法を使用して定量した。アプラグルチドについては、分析手法は、完全なアプラグルチド及びその内部標準の固相抽出精製を使用した。AB Sciex API 5000四重極質量分析計を使用するMS/MS検出を伴う逆相HPLCを使用して、化合物を同定及び定量した。5.00ng/mLの定量限界未満の試料については、AB Sciex API 5500四重極質量分析計を使用するMS/MS検出を伴う逆相UHPLCを使用して、化合物を同定し、定量した。L-シトルリンについて、分析方法は、L-シトルリン及びその内部標準のタンパク質沈殿抽出を使用した。AB Sciex API 5000四重極質量
分析計を使用するMS/MS検出を伴うHilic HPLCを使用して、化合物を同定及び定量した。
【0407】
抗アプラグルチド抗体の分析
完全に検証されたELISA法を、3段階アッセイアプローチに従って、血清中の抗アプラグルチド抗体の検出のために使用した。第1の段階では、試料及び対照中に存在する抗アプラグルチド抗体が、微量滴定プレート上に固定されたアプラグルチドに結合した。次いで、結合した抗アプラグルチド抗体を、プロテインA/G及びプロテインLを用いて検出した。検証されたスクリーニングカットポイントを超えるシグナルを有する試料を、潜在的に陽性であるとみなし、次いで、第2の段階、確認アッセイにおいて試験した。このために、試料を上記のアッセイで試験する前に過剰のアプラグルチドで前処理した。検証された確認カットポイント以上のシグナルの阻害は、抗体の存在を確認した。次いで、試料を抗アプラグルチド陽性として報告した。次いで、力価を、全ての確認された陽性試料の連続希釈によって決定した。
【0408】
統計分析
クロスオーバーデザインを適用し、ここで、各患者は、対象間の変動性を排除し、交絡共変量の影響を低減するための自身自身の対照としての役割を果たした。
【0409】
安全性を、少なくとも1用量の試験薬物(活性又はプラセボ)を受けた全ての患者において評価した。有効性は、少なくとも1つの有効なベースライン後有効性測定値(完全な分析セット)を有する全ての無作為化された患者を含む修正された治療意図原理に従って評価された。
【0410】
2つの異なる統計分析、すなわちパートAのみのバージョン及びパートA+Bの全バージョンを行った。パートAバージョンは、2×2クロスオーバー設計に基づいたが、パートA+Bバージョンは、3つの異なる治療(プラセボ、5mg、及び10mg)間の対比を推定するために、期間効果を仮定しなかった。統計分析のパートA及びパートA+Bバージョンの両方を結果に含めた。パートAの分析は無作為化され、盲検化された。パートA+Bの分析は、プラセボ、5mg、及び10mgの間の比較を実施するために含まれた。分散分析を使用して、アプラグルチドの効果を評価した。結果変数の期間特異的ベースライン測定、経口輸液摂取、及びPS体積を分析に含めた。全ての統計的検定は、5%の有意水準で両側検定を用いて行った。推定値を、約95%の信頼区間及びp値とともに示した。SASバージョン9.4を分析に使用した。
【0411】
実施例6:第2相代謝バランス試験
以下の非限定的な実施例では、短腸症候群腸不全及び短腸症候群腸不全を有する対象が本開示のアプラグルチド配合物を使用して治療された第2相臨床試験からの結果を説明する。この第2相試験は、本開示のアプラグルチド配合物の安全及び有効性を調査した。
【0412】
グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)アナログでの治療は、短腸症候群(SBS)を有する患者において腸適応を促進する。アプラグルチドは、週1回の投薬を可能にするように設計された新規の長時間作用型GLP-2類似体である。この第2相試験は、SBS腸不全(SBS-IF)及びSBS腸機能不全(SBS-II)を有する患者における週1回5mgアプラグルチドの安全及び有効性を調査した。この非盲検試験では、SBS-IF(n=4)又はSBS-II(n=4)及び糞便湿重量≧1500g/日を有する8人の成人患者を、4週間にわたって週1回皮下5mgアプラグルチドで治療した。安全性が一次エンドポイントであった。二次エンドポイントとして、72時間代謝バランス試験を使用して、湿重量、エネルギー(ボンベ熱量測定によって測定される)及び電解質の腸吸収、並びに糞便湿重量及び尿産生におけるベースラインからの変化を検査した。一般
的な治療関連有害事象は、GLP-2の生理学的効果と一致し、ストーマ排出の減少(n=6)、ストーマ合併症(n=6)、悪心(n=5)、鼓腸(n=4)、多尿(n=3)及び腹痛(n=3)を含んでいた。週1回のアプラグルチドは、エネルギー、湿重量及び電解物吸収を有意に増加させ、糞便湿重量を減少させ、尿産生を増加させた(表16)。
【0413】
【0414】
結果
9人の患者をスクリーニングした。1人の患者は、糞便排出≧1,500g/日及び尿量<2,000mL/日(ベースライン代謝バランス試験中に評価された)の組み入れ基準を満たさなかった。8人の患者が試験において投薬された。
図13に示すように、8人の患者全員が試験を完了し、安全性及び完全な分析セットを構成した。患者の人口統計及びベースライン特性を表17に要約する。表17のデータは、平均(SD)又はN(%)であり、非経口支援(PS)は、週平均に基づいて試験開始時に予定されたPSであった。
【0415】
【0416】
安全性結果
全ての患者は、少なくとも1つの治療関連有害事象を経験した。有害事象は軽度から中等度であった。一般的な有害事象を表18に要約する(データはN又はN(%)である)。2人を超える患者で発生した有害事象には、胃腸ストーマ排出の減少(n=6)、ストーマ合併症(n=6)、胃腸ストーマ合併症(n=5)、悪心(n=5)、異常な胃腸ストーマ排出(n=4)、鼓腸(n=4)、多尿(n=3)及び腹痛(n=3)が含まれた。1人の患者は、1回の注射の後に一過性の注射部位反応(局所的な紅班及びそう痒症)を経験し、これは、抗アプラグルチド抗体の存在とは無関係であった。3人の患者は、臨床試験において天然GLP-2又は別のGLP-2類似体を以前に受けていた(試験組み入れの最低16ヶ月前)。合計3つの重篤な有害事象(serious adverse event、SAE
)が2人の患者で起こった。入院を必要とする腹痛の事象である1つのSAEは、試験薬物に関連すると評価された。腹痛は保存的に治療され、患者は24時間以内に退院した。一時的な中断及び減少した用量での再チャレンジは、患者が試験を完了することを可能にした。残りの2つのSAEは、アプラグルチドに関連するとは考えられなかった。自身は、SBS-IIを有する患者における脱水に起因する急性腎損傷の1つの事象及びSBS-IFを有する患者におけるCRBSIの1つの事象を含んでいた。2人の追加の患者は、試験を完了するために用量減少を必要とした。SBS-IIを有する1人の患者は、1回目の薬物投与後に体液貯留の徴候を有し、したがって、2回目及び3回目の投与は、低減された用量で与えられた。4回目/最後の投与は、更なる合併症なしに全用量(5mg)で与えられた。1人の患者は、1回目の薬物投与後に便秘を経験し、その結果、2回目の投与は低減された用量で与えられた。更なる合併症なしに、3回目及び4回目/最後の投与のために全用量を再導入した。
【0417】
【0418】
バイタルサイン、血液試料、ECG、尿試験紙検尿又は体重から安全性の懸念は生じなかった。SBS-IFを有する1人の患者は、試験中に抗アプラグルチド抗体を発現した。抗体は、4~6週間のウォッシュアウト後に陰性であった。患者は、以前に、2016年の臨床試験設定においてGLP-2類似体で治療されていた。薬物動態プロファイル、アプラグルチドに対する薬力学的応答、又は有害事象の数若しくは持続期間に対する抗アプラグルチド抗体の効果は検出されなかった。有害事象のために試験を中止した患者はおらず、死亡は生じなかった。
【0419】
有効性エンドポイント
湿重量
食事摂取、糞便排出、尿、及び吸収の湿重量における、アプラグルチドでの治療後のベースラインからの個体の変化を
図14に示す。アプラグルチドは、表19に示すように、食事摂取の湿重量を変化させなかった。表19において、データは調整平均(95%CI
)として示され、計算はベースラインから治療の終了までの変化に基づく。アプラグルチドは、表19に示すように、湿重量の腸吸収を741g/日(95%CI 194~1287;P=.015)増加させた。アプラグルチドは、表19に示すように、糞便排出を680g/日(95%CI-1200~-159;P=.018)まで有意に減少させ、尿産生を560g/日(95%CI 72~1048;P=.030)増加させた。
【0420】
【0421】
電解質
アプラグルチドは、表19に示すように、ナトリウム及びカリウムの吸収をそれぞれ38mmol/日(95%CI 3~74;P=.039)及び18mmol/日(95%CI 4~32;P=.020)増加させた。表19に示すように、尿中ナトリウム及びカリウム排出は27mmol/日(5~49;P=.024)及び13mmol/日(95%CI 6~20;P=.003)増加した。表19に示すように、マグネシウム及びカルシウムの吸収又は尿排出に変化はなかった。表19に示すように、食事摂取の電解質含量及び糞便排出は変化しなかった。電解質吸収におけるベースラインからの個々の変化を
図15に示す。
【0422】
エネルギー及び多量栄養素
図16は、エネルギー食事摂取のエネルギー含量、糞便排出、及び吸収におけるベースラインからの個々の変化を示す。アプラグルチドは、表19に示すように、総食事エネルギー摂取又は任意の個々の多量栄養素を変化させなかった。ベースラインと比較して、表19に示すように、アプラグルチドはエネルギーの腸吸収を1,095kj/日(95%CI 196~1,994;P=.024)増加させた。エネルギー吸収における改善の示唆により、糞便排出のエネルギー含量は、表19に示すように、941kj/日(95%CI-2,438~556P=.181)減少した。炭水化物及び脂質吸収は、表19に示すように、それぞれ518kj/日(95%CI 112~924;P=.019)及び376kj/日(95%CI 61~691;P=.026)有意に増加した。タンパク質吸収は、表19に示すように、104kj/日(95%CI-205~412;P=.453)増加した。多量栄養素吸収の個々の変化を
図17にプロットする。
【0423】
体重及び身体組成
体重は、4週間のアプラグルチド処理後、1.8kg増加した(95%CI 0.4~3.1;P=.016)。除脂肪体重は1.7kg(95%CI 0.8~2.6;P=.003)有意に増加し、体脂肪量は1.1kg(95%CI-2.1~-0.0;P=.044)減少した。骨塩量に有意な変化はなく、骨塩量は-20g(95%CI-58~19;P=.268)までに変化した。
【0424】
シトルリン
ベースラインと比較して、アプラグルチドはL-シトルリンの絶対及び相対血漿中濃度をそれぞれ15.2μmol/L(95%CI 3.3~27.1;P=.019)及び66%(95%CI 3~128;P=.043)増加させた。
【0425】
薬物動態
アプラグルチドの血漿中濃度は投薬後急速に増加し、平均29.5時間後に118.0ng/mLの最大平均濃度に達した。平均消失半減期は27.0時間であり、平均クリアランスは0.9L/hであった。W
【0426】
実施例6のまとめ
実施例6に記載される結果は、週1回投与された5mgのアプラグルチドが、SBS-II及びSBS-IFを有する患者において、治療の4週間後に安全であり、忍容性良好であり、腸吸収に対して正の効果を示したことを実証し、これは、臨床設定において、PSの必要性を排除又は低減する。
【0427】
有害事象は、GLP-2の公知の生理学的効果と一致した。頻繁に報告された関連する有害事象は、胃腸起源のものであったが、それらは概して軽度かつ一過性であった。
【0428】
アプラグルチドは、湿重量、エネルギー及び電解質(ナトリウム及びカリウム)の腸吸収を有意に増加させた。吸収の改善は、糞便湿重量の有意な減少並びに尿産生及び尿電解質排出(ナトリウム及びカリウム)の増加を伴った。この試験で見出された尿産生の変化は、PSの減少を可能にするか、又はSBS-IFを有する患者における腸内自律性の回復を助けることができるので、臨床的に関連すると考えられる。これらの改善はまた、最終的に、SBS-IIを有する患者において間欠的又は慢性的なIFを発症するリスクを低減し、吸収不良の症状負担を軽減し得ることが想定される。
【0429】
アプラグルチドの薬物動態プロファイルは、週1回投薬レジメンを支持した。
【0430】
アプラグルチドは、ボンベ熱量測定によって測定した場合に、SBS集団における全患者範囲にわたってエネルギーの吸収を改善する最初のGLP-2類似体であり、これは、腸のエネルギー吸収を定量化するためのゴールドスタンダードの実験室的方法とみなされている。個々の多量栄養素について、アプラグルチドは炭水化物及び脂質の吸収を増加させたが、タンパク質吸収は変化しなかった。当業者によって理解されるように、臨床開発の後の段階では、エネルギー所要量の減少を伴うPSの離脱は、エネルギー吸収の改善の証拠と考えられる。
【0431】
アプラグルチドのPKプロファイルは、エネルギー吸収に対する改善された効果を説明し得る一貫した曝露を可能にした。
【0432】
アプラグルチドは、体重及び除脂肪体重を有意に増加させ、脂肪量を減少させており、これは、当業者に理解されるように、水和状態の改善の可能性を示すものである。
【0433】
アプラグルチドは食事摂取の湿重量又はエネルギー含量を変化させなかった。経口輸液摂取は固定されたが、固体の食事摂取は制限されなかった。GLP-2は、健康なヒトにおいて食欲又は食後の満腹感に有意に影響を及ぼさなかった。食事摂取の減少は、腸損失を補償するために過食症に依存するSBS患者において、望ましくない副作用であり得る。長期GLP-2治療により、患者は、同程度の吸収を維持しながら、食事摂取を減少させることができた。したがって、アプラグルチドの投与は、特に重篤なSBS-IIを有する患者において優勢な症状である重篤な過食症の必要性を軽減し得ることが想定される。
【0434】
アプラグルチドは、腸細胞量のマーカーである血漿中L-シトルリンを有意に増加させ、その予想される適応促進効果を支持した。GLP-2はまた、胃腸運動性を阻害し、胃酸分泌を減少させ、それによって腸細胞の管腔内容物への曝露を増加させることができた。腸間膜血流はまた、GLP-2によって刺激され得、これは、栄養吸収を増加させ得る。GLP-2はまた、動物試験において示されるように、輸送タンパク質をアップレギュレートし得る。
【0435】
実施例6に記載される結果は、4週間にわたって毎週投与される5mgのアプラグルチド治療が、SBS-IF及びSBS-IIを有する患者において安全であり、忍容性良好であることを示すものである。これらの結果は、週1回のGLP-2類似体が、湿重量、エネルギー、電解質の吸収を有意に改善し、尿産生を増加させたことを初めて実証している。アプラグルチドは、毎週の注射しか必要とせず、これは、注射の負担を軽減し、患者のケア及びコンプライアンスに寄与し得る。注射頻度の減少はまた、患者の受容性を増加させ、注射部位反応のリスクを減少させることができる。
【0436】
週1回のアプラグルチドによる治療は、液体、電解質及びエネルギーの腸吸収を増加させた。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの結果は、本開示のアプラグルチド組成物を用いた患者の治療が、SBS-IFを有する患者における腸の湿重量吸収及びエネルギーを改善することができ、したがって、治療設定で実施することができることを示す。
【0437】
方法
試験設計及び参加者
SBSを有する合計9人の成人患者(年齢18歳以上80歳以下)をスクリーニングし、そのうちの8人を試験に登録した。4人の患者はSBS-IIを有し、4人の患者はSBS-IFを有した。両方のサブグループの患者を、疾患の範囲にわたってアプラグルチドの安全及び有効性を調査するために含めた。患者の適格性をスクリーニング来院中に評価した。主な組み入れ基準は、結腸を伴う又は伴わない小腸の外科的切除に続発するSBS、最後の外科的腸切除から少なくとも6ヶ月、及び糞便湿重量排出≧1,500g/日及び尿量生産<2000mL/日と定義される重度の吸収不良であった。糞便排出及び尿量生産をベースライン検査の間に確認した。患者における活動性の臨床徴候、5年以内のがんの病歴、又は不十分な肝臓、腎臓、若しくは心臓の機能を有した場合、患者を除外した。また、妊娠中又は授乳中であるか、HIV陽性、B型肝炎又はC型肝炎試験陽性であるか、スクリーニング来院前1ヶ月以内に入院したか、又は過去3ヶ月以内に天然GLP-2又はGLP-2類似体を投与された患者も除外した。
【0438】
手順
患者を週1回5mgのアプラグルチドで4週間治療した。アプラグルチドは、注射前に無菌水中で再構成するための凍結乾燥粉末として提供され、治療は、腹部領域に皮下注射として投与された。72時間代謝バランス試験を、ベースライン時及び治療期間の終了時(4回目及び最後のアプラグルチド注射の1日後に開始)に実施した。各72時間代謝バランス試験を、5日の入院の間に実施した。入院の日に、患者は、習慣的な経口輸液摂取に基づいて24時間飲用メニューを作成するように指示された。飲用メニューは、各バランス試験の間に従う必要があった。入院の2日目に、患者が排尿してストーマバッグを空にしたか又は排便した直後に、バランス試験を開始した。患者は、24時間後に交換されるそれぞれのバケツに、糞便排出、尿、及び食事摂取の正確な複製(流体及び固体が分離されている)を収集するように指示された。患者は、食物への自由なアクセスを有したが、毎日のPS(体積及び内容物)及び経口輸液摂取は、ベースライン及び治療後の代謝バランス試験期間の間、一定に保たれた。毎日のPS及び経口輸液摂取を一定に維持して、
ベースライン及び治療後の測定値が、治療効果の測定に関して同等であることを確実にした。毎日のPS及び所定の飲用メニューへのコンプライアンスを入院中に記録した。プロトンポンプ阻害剤、ロペラミド及びオピエートを含む併用薬は、試験を通して変化しないままであった。
【0439】
バケツの内容物を秤量し、乾燥物質中で処理し、前述のように分析した。エネルギーはボンベ熱量測定により、窒素はケルダール法により、脂質は修正バン・デ・カマー(Van de Kamer)滴定技術により、炭水化物はエングリスト法により、ナトリウム及びカリウムは炎光光度法により、カルシウム及びマグネシウムは原子吸光分析法により分析した。3つの24時間期間に基づいて、24時間平均を計算した。絶対変化を、ベースラインと治療後値との間の差として計算した。相対変化を、ベースライン値で割って100を掛けた絶対変化として計算した。
【0440】
体重は、水平なプラットフォームスケールを用いて測定した。身体組成を、ベースライン時及び治療後に二重エネルギーX線吸収測定法(Norland XR-36 DXA濃度計、Norland、Ford Atkinson、WI、USA)によって測定した。
【0441】
1回目、2回目及び4回目のアプラグルチド注射を院内で行った。安全性評価には、注射部位反応、バイタルサイン、血液試料、心電図(ECG)、尿検査及び体重の観察が含まれた。それらは、表20に示すように、ベースライン時、試験薬物の各注射中、第1の注射の4日後、治療の終了時、及び試験の終了時の最後の投薬の4~6週間後に実施した。肝臓酵素を各薬物投与の前に測定した。
【0442】
【0443】
アプラグルチドの血漿中濃度及び空腹時L-シトルリン(腸細胞塊のマーカー)の血漿
中濃度の分析のための採血を、ベースライン、1回目及び2回目の注射の間(事前投薬及び連続した時点)、1回目の注射の4日後、及び治療の最後に収集した。96時間にわたる4回目及び最後の注射の後に、アプラグルチド薬物動態のための採血も実施した。空腹時血漿中L-シトルリンのための血液試料も、試験終了時の最後の投薬の4~6週間後に採取した。抗アプラグルチド抗体のための採血を、ベースライン時、治療の終了時、及び4~6週間の追跡調査来院時に収集した。8人の患者全員が、ベースライン時に抗アプラグルチド抗体について陰性であると検査された。
【0444】
結果
この試験の一次エンドポイントは安全性であった。二次エンドポイントは、食事摂取、湿重量の糞便排泄及び吸収、エネルギー、多量栄養素及び電解質、尿産生、尿電解質排泄、体重、身体組成、骨塩量、血漿中L-シトルリン、並びに薬物動態プロファイルにおけるベースラインからの絶対的及び相対的変化であった。血漿中L-シトルリンにおけるベースラインからの変化を除いて、絶対的な変化のみを本開示の範囲内で提示した。
【0445】
アプラグルチド及びL-シトルリンの血漿中濃度の分析
アプラグルチド及びL-シトルリンを、有効なLC-MSベースの方法を使用して定量した。アプラグルチドについては、分析手法は、完全なアプラグルチド及びその内部標準の固相抽出精製を使用した。AB Sciex API 5000四重極質量分析計を使用するMS/MS検出を伴う逆相HPLCを使用して、化合物を同定及び定量した。5.00ng/mLの定量限界未満の試料については、AB Sciex API 5500四重極質量分析計を使用するMS/MS検出を伴う逆相UHPLCを使用して、化合物を同定し、定量した。L-シトルリンについて、分析方法は、L-シトルリン及びその内部標準のタンパク質沈殿抽出を使用した。AB Sciex API 5000四重極質量分析計を使用するMS/MS検出を伴うHilic HPLCを使用して、化合物を同定及び定量した。
【0446】
抗アプラグルチド抗体の分析
完全に検証されたELISA法を、3段階アッセイアプローチに従って、血清中の抗アプラグルチド抗体の検出のために使用した。第1の段階では、試料及び対照中に存在する抗アプラグルチド抗体が、微量滴定プレート上に固定されたアプラグルチドに結合した。次いで、結合した抗アプラグルチド抗体を、プロテインA/G及びプロテインLを用いて検出した。検証されたスクリーニングカットポイントを超えるシグナルを有する試料を、潜在的に陽性であるとみなし、次いで、第2の段階、確認アッセイにおいて試験した。このために、試料を上記のアッセイで試験する前に過剰のアプラグルチドで前処理した。検証された確認カットポイント以上のシグナルの阻害は、抗体の存在を確認した。次いで、試料を抗アプラグルチド陽性として報告した。次いで、力価を、全ての確認された陽性試料の連続希釈によって決定した。
【0447】
統計分析
ベースラインから治療終了までの調整平均変化の統計的検定を、対応のあるt検定を使用して分析した。全ての統計的検定は、5%の有意水準で両側検定を用いて行った。推定値を、約95%の信頼区間及びp値とともに示した。SASバージョン9.4を分析に使用した。
【0448】
実施例7:薬物動態学的/薬力学的評価
人口統計及び他のベースライン特性
11人の女性及び13人の男性が試験に含まれた。人口統計及びベースラインデータを表21に要約する。関連する病歴は報告されなかった。最も頻繁に報告された以前の併用薬は、産児制限に関するものであった。1回目の投薬後、最も頻繁に報告された併用薬は
パラセタモールであった。併用薬における関連する差異は、治療群間で認められなかった。
【0449】
【0450】
治療コンプライアンスの測定
治療は、臨床スタッフのメンバーによって対象に皮下(subcutaneously、SC)投与され、完全な治療コンプライアンスがあった。
【0451】
薬力学的及び有効性の結果
投薬レベル当たりのアプラグルチドの1回目の投薬後の時間に対する血漿中シトルリン濃度を
図18に示す。ベースラインからの変化についての対応する最小二乗(LS)平均プロットを
図19に提供する。シトルリンの要約薬物動態パラメータを表22に提供する。
【0452】
アプラグルチドの薬力学的効果を評価するために、内因性マーカーシトルリンを選択した。シトルリンは、全てのベースライン及び投薬後試料において検出された。3つのベースラインシトルリン試料を、スクリーニングと1回目の投薬日との間の2回のベースライン来院の間、及び1回目の投薬日の投薬前に得た。24人の対象のうち13人は、3つのベースライン試料に対して<0.5μg/mLの差を有し、最小の差は、10mgを投薬された対象について観察された0.061μg/mLであった。別の5人及び4人の対象は、ベースライン評価にわたってそれぞれ0.5~1μg/mLと1~2μg/mLとの間の差を有した。残りの2人の対象は、>2μg/mLの差を有し、最大の差は、1mgを投薬した対象について観察された2.762μg/mLであった。ベースラインにおいて、平均シトルリン範囲は、プラセボについて5.3825~5.6207μg/mL、1mgのアプラグルチドについて5.3900~6.2028μg/mL、5mgのアプラグルチドについて4.8983~5.3023μg/mL及び10mgのアプラグルチドについて5.0730~5.4690μg/mLであった。プラセボ群では、平均シトルリン濃度は、試験にわたって比較的安定したままであり、4.9735~5.8253μg/mLの範囲であった。
【0453】
アプラグルチドの1回目の週1回のSC投薬後、シトルリンは用量依存的に増加し、2日後に最大シトルリン濃度に達した1mg群の1人の対象を除いて、4日又は7日後に最高シトルリンレベルが測定された。最も高い平均シトルリン値は、1、5及び10mgについて、それぞれ6.3920μg/mL(4日後)、7.1933μg/mL(4日後)及び7.8487μg/mL(7日後)であったが、プラセボについては5.8325μg/mL(1日後)であった。
【0454】
各投与間隔の終了時の濃度、Rpre-doseを各投薬について評価し、概してシトルリンレベルが全治療期間にわたって同様であることが示された(表22)。
【0455】
アプラグルチドの6回目及び最後の週1回のSC投薬後、全ての用量レベルで、特に最
も高い用量で増加が観察された。平均Rmaxは7.1702、8.1577及び8.7254μg/mLであり、それぞれ1、5及び10mgの最終投薬の2.0、3.9及び3.9日後に到達した(表22)。対応するプラセボレベルは、最終投薬の16.9日後に6.3707μg/mLであった。これらのRmax値は、試験全体にわたって評価された平均Rmaxよりもわずかに低いだけであり、差は、10、5及び1mgについてそれぞれ0.0362、0.0973及び0.1016μg/mLの範囲であった。プラセボでは、差は0.2586μg/mLであった。平均Rmaxは、全てのアプラグルチド群についてほぼ同じ時間に生じ、それぞれ1及び5mgの1回目の投薬後35.9~38.9日の範囲であったが、プラセボは1回目の投薬後50.4日でピークに達した。
【0456】
最終投薬後に観察された平均シトルリン増加は、10mgと比較して最も低い用量でより急速に低下するようであった。シトルリンを77日目まで評価した。最終投薬後の最も低い平均シトルリンレベルは、1及び10mgの両方について17日後に到達した。5mgについては、最も低い平均シトルリンレベルは、更に1週間後に到達した。Rt1/2を、両方とも10mgを投薬された2人の対象について評価し、6.5日及び11.0日であった(表22)。
【0457】
【表24】
NA=適用せず、全試験期間にわたって評価、ND=利用可能なデータなし、R
max=最大応答、R
pre-dose=投与直前の応答、Rtmax=最大応答に達するまでの時間、Rt1/2=応答半減期。
対象の数(N)は、他に示されない限り、6であった。
*1名の欠測対象(N=5)及び
**4名の欠測対象(N=2)。
【0458】
変動係数(%CV)として表されるRpre-dose及びRmax(両方とも最終投薬後及び試験全体を通して)にわたる変動性は、プラセボについて16.0~31.9%の範囲であった(表22)。これは、1及び5mgについて観察された18.1~29.2%の%CV範囲と一致した。10mgについての%CVはわずかに高く、32.4~44.0%であった。
【0459】
Helmertのアプローチを使用して、用量レベル当たりの統計的定常状態分析を実施した。要するに、試験された第1の対比は、第1の時点(1週目)での平均Rpre-doseを、全ての残りの時点(2~6週目)にわたってプールされた平均Rpre-doseと比較した。2回目の対比では、2週目の平均を3~6週目にわたってプールした平均と比較したなど、対比が統計的に有意でなくなるまで試験を続けた。5週目の平均R
pre-doseに対して、10mgの6週目の平均Rpre-dose(0.8720、95%CI:0.1590;1.5850及びp=0.0172)は統計的に有意であった。データの目視検査は、調査した全ての用量レベルで1回目の投薬後に定常状態濃度に達したことを示唆している。
【0460】
シトルリンデータを、混合モデル分散分析を使用して分析した。分析結果のまとめを表23に示す。統計的分析は、シトルリンに対するアプラグルチドの有意な全体的な治療効果を明らかに示した(p=0.0007)。プラセボと1mgとの差は統計的に有意ではなかったが、全ての用量群でプラセボと比較して増加が見られた。プラセボと比較した増加は、用量の増加とともにより顕著かつ有意になり、すなわち、5mg用量では1.2574μg/mL(p=0.0025)及び10mgでは1.6343μg/mL(p=0.0002)の増加であった(表23)。更に、用量レベルを互いに比較した場合、5及び10mg用量は、1mg用量と比較して有意に高いシトルリンレベルを誘導した(それぞれ、0.9429μg/mL高い[p=0.0186]及び1.3198μg/mL高い[p=0.0018])。5mg用量と10mg用量との間の差異は、統計的に有意ではなかったが、10mg後の効果は、5mg後よりもわずかに高いようであった。
【0461】
【表25】
全体的な治療p値(プラセボと比較した全ての用量群)及びその後の治療群の比較を示す。95%信頼区間及びp値を有する差の推定値を、比較ごとに示す。
【0462】
シトルリンに加えて、ブリストル便スケール及び体重を薬力学的エンドポイントとして評価した。シトルリン及び体重とは対照的に、ブリストル便スケールは、離散変数である。対象は、便秘(1型)から下痢(7型)までの範囲のブリストル便スケールを使用して、過去24時間の便を評価した。過去24時間以内に便がないことを0として記録した。2人の対象(1mg又は5mgのいずれかに割り当てられた)は、1回目の投薬の前に便がないことを報告したので、スクリーニングブリストル便スケールスコアもまた、ベースラインブリストル便スケールスコアを決定する場合に考慮された。
【0463】
ブリストル大便スケールに対するアプラグルチドの有意な全体的治療効果が観察され、p値は0.0189であった(表23)。特異的プラセボ対用量レベルの対比は、プラセボと比較して1及び5mg群において有意な減少を示した(-0.9、p=0.0092及び-1.0、p=0.0046)。プラセボと比較した10mg群における減少は、統計的に有意ではなかった。このパターンは、時折便がないことを報告した少数の対象によって引き起こされたようであった。1回目の投薬に続いて、ブリストル便スケールの評価を11回の来院時及び試験退院時に予定した。これらの来院のうち、過去24時間における便は、1mg、5mg、10mgの群において、それぞれ6回(2人の対象)、13回(4人の対象)及び1回(1人の対象)報告されなかった。プラセボ群では、全ての対象が、各来院時に過去24時間以内に便を報告した。6回の投薬週の間に9回及びその後の6週に11回便が報告されず、投薬との関連がないことが示された。
【0464】
対象が24時間ごとに正常に排便しなかった可能性がある場合に、便なしを0としてスコア付けすることの潜在的な影響を考慮して(24人の対象のうち2人が1回目の投薬の前に0を報告したという観察によって支持される)、便なしを欠測に設定した感度分析として分析を繰り返した。この調整された分析では、全体的にも特定の治療対比のいずれについても、有意な治療効果は見出されなかった(表23)。
【0465】
体重は、全試験期間にわたってかなり一定であるようであり、体重全体に対して、又は特定の治療対比のいずれについても、アプラグルチドの統計学的に有意な治療効果はなかった(表23)。個々の体重値を考慮すると、プラセボ対象1007は、スクリーニング時の92.90kgから試験退院来院時の99.30kgへの体重増加を示した。
【0466】
シトルリン、BSS及び体重データを、固定因子治療、時間及び時間による治療、ランダム因子対象、並びに共変量としての平均予備値を用いた混合モデル分散分析で分析する。スクリーニング値を平均ベースラインの計算にも使用したBSSを除いて、スクリーニング後及び投薬前の全ての予備値から平均予備値を計算した。
【0467】
MCP-MOD分析
MCP-MOD法を適用した。この統計的方法は、2つのステップ、すなわち多重比較ステップ及びモデリングステップから構成されていた。手順の第1のステップ(MCP)は、予め指定された候補モデルを評価することによって、有意な用量応答について試験するために使用される。用量応答が確立されると、第2のステップ(MOD)を使用して、用量応答曲線を推定し、目的の標的用量を推定する。以下の5つの候補モデルが特定された。
-10mg用量について最大効果を有する線形モデル
-10mg用量について最大効果を有する対数線形モデル
-5mgのED50を有する最大効果(Emax)モデルを誘導する用量
-1mgのED50及び2のヒル係数(hill coefficient、HILL)を有するシグモイドEmaxモデル
-5mgのED50及び5のHILLを有するシグモイドEmaxモデル
【0468】
MCPステップの結果は、全ての5つの候補用量応答モデルが、<0.0001のp値で有意な対比を生じたことを示した(表24)。差の推定値は、わずかに特徴的であり、より良好な適合を有するモデルのセット及びわずかに悪い適合を有するセットをもたらした。差の最大推定値を生じる候補用量応答モデルは、1)ED50=5mgを有するEmaxモデル、2)対数線形モデル、及び3)1mgのED50及び2のHILLを有するシグモイドEmaxモデルであった(表24)。これらの差の推定値は非常に類似していたので、3つのモデル全てをMOD部分に取り込んだ。モデルは、それぞれ、1)Emax、2)LogLin及び3)シグモイドEmaxモデルと称される。
【0469】
【表26】
CI=信頼区間、ED50=最大効果の50%を誘導する用量、Emax=最大効果、H=ヒル係数、MCP-MOD=多重比較手順-モデリング。用量は、0(プラセボ)、1、5及び10mgのアプラグルチドから構成された。シトルリン応答データは、平均ベースライン値及び35日目~42日目(=6週目)のデータを含んでいた。候補用量応答モデルごとに、分析結果は、検定統計量、コントラストのp値、及び95%CIでの差の推定値によって特徴付けられる。
【0470】
シトルリンデータのサブセットを、平均予備値及び35~42日目=6週目のデータを用いて作成した。係数は、固定因子治療、時間及び時間による治療、ランダム因子対象、並びに共変量としての平均予備値を用いて、分散の混合モデル分析において実行した。平均予備値を、スクリーニング後及び投薬前の全ての予備値から計算した。
【0471】
以下のコントラストがモデル内で計算される。
-線形(係数-0.508-0.381 0.127 0.762)
-LinLog(係数-0.654-0.283 0.306 0.631)
-Emax(係数-0.632-0.316 0.316 0.632)
-シグモイドEmax Hill=2 ED50=1(係数-0.759-0.140
0.432 0.467)
-シグモイドEmax Hill=5 ED50=5(係数-0.456-0.455
0.164 0.747)
【0472】
MODステップは、1、5及び10mgの用量についてのプラセボからの予測されるシトルリン変化が、3つ全てのモデルについてかなり類似していたことを示した(表25)。1mgの用量では、3つのモデルにわたるシトルリンの予測されたプラセボ及びベースライン補正された変化は、0.7125~0.8712μg/mLの範囲であり、Emax(p=0.0184)及び対数線形(p=0.0238)モデルについて有意な結果であった。シグモイドEmaxモデルでは、p値は0.0645であった。用量を5mgに増加させると、プラセボからの予測される変化は2.1652~2.3327μg/mLの範囲に増加した。10mgの用量では、プラセボからの予測される変化はわずかに高く、2.6946~2.8604μg/mLの範囲であった。5及び10mgの両方についてのプラセボに対する予測された応答は、全てのモデルについて統計的に有意であり、p値は<0.0001であった。
【0473】
1、2及び3μg/mLのベースライン及びプラセボ補正シトルリン増加に必要なアプラグルチド用量レベルを予測した(表25)。シグモイドEmaxモデルのEmaxは<3μg/mLであったので、このモデルについては2.5μg/mLの変化を最大応答として選択した。1μg/mLのシトルリン増加についての予測アプラグルチド用量は、Emax、LogLin及びシグモイドEmaxモデルについて、それぞれ1.2333mg、1.2249mg及び1.3606mgであった。2μg/mLのシトルリン増加を誘発するために、予測されるアプラグルチド用量は、Emax、LogLin及びシグモイドEmaxモデルについて、それぞれ3.8471mg、4.2011mg及び3.4042mgであった。最後に、2.5又は3μg/mLのプラセボからの変化についての予測アプラグルチド用量は、Emax、LogLin及びシグモイドEmaxモデルを使用して、それぞれ13.1053mg、11.4325mg及び6.4619mgであった。特に2.5又は3μg/mLの効果を達成するためには、予測されるアプラグルチド用量の不確実性がかなり大きいことに留意すべきである。
【0474】
【表27】
CI=信頼区間、E
max=最大効果。ND=測定せず。
*シグモイドE
maxモデルのE
maxは<3μg/mLであったので、最大応答を2.5μg/mLに設定した。0(プラセボ)、1、5及び10mgのアプラグルチドの用量に基づいて予測を実施し、平均ベースライン値及び35~42日目(=6週目)のデータからなるシトルリン応答データを得た。95%CI及びp値を用いた推定変化/用量を予測ごとに示す。
【0475】
共変量の調整
全ての薬力学的エンドポイント(シトルリン、ブリストル便スケール及び体重)について、予備値を共変量として使用した。スクリーニング値を平均ベースラインの計算にも使用したブリストル便スケールを除いて、スクリーニング後及び投薬前の全ての予備値から平均予備値を計算した。シトルリンの平均予備値も、シグモイドEmaxモデルを除いて、MCP-MODにおける共変量として使用した。これは、6週目の値から、予備値にMCP部分の線形モデルの傾きを乗じたものを減算することによって対処された。
【0476】
薬物用量、薬物濃度、及び応答との関係
用量レベルによるアプラグルチドの1回目の投薬後の時間に対する血漿中アプラグルチド濃度を
図20A~
図20Bに示す。アプラグルチドの要約薬物動態パラメータを表26に提供する。
【0477】
平均の見かけの総クリアランス(CL/F)は、3つの用量レベルにわたって一定であるようであり、16.480(5mg)~20.747L/d(10mg)の範囲であった(表26)。最終投薬後の終末消失相(Vz/F)の間の分布の平均見かけ体積は、5及び10mgについてそれぞれ55.426及び105.021Lの値で用量依存性であるようであった。1mg用量群についてVz/Fを決定するために利用可能なデータ点は
不十分であった(不十分な数の試料が、最後の投薬後のサンプリング期間中に定量化の下限を上回った)。
【0478】
アプラグルチドの1回目の週1回のSC投薬後、血漿中アプラグルチド濃度は、全ての対象(次の投薬まで検出できる濃度を有さなかった1mgの対象1002を除く)において明らかな遅延時間なしに増加した。C
maxは、1日目に、それぞれ1mg、5mg及び10mgのアプラグルチドを投与された4人、4人及び1人の対象によって達成された(
図20)。残りの対象は、2日目にC
maxに達した。1mgの対象は、4日目又は7日目に定量限界(limit of quantification、LOQ)を下回ったが、5mg及び10m
gの対象は、次の用量までLOQを上回ったままであった。1回目の投薬後の曝露は用量依存的であり、1、5及び10mg用量群についてそれぞれ13.918±11.2、94.088±50.5及び136.855±55.0ng/mLの平均C
max、並びにそれぞれ35.214、300.269及び476.937d
*ng/mLのAUC
tau値であった(表26)。5mg用量群における用量#6の後に測定された半減期(h)は、72.7±23.0と測定され、10mg用量群における用量#6の後に測定された半減期は、76.3±27.6と測定された。
【0479】
次の5用量のCtroughにおいて、5人の対象(全て1mgを投薬された)は、アプラグルチドについて検出不能であった1つ又は複数の試料を有した。他の全ての対象は、測定できるアプラグルチド濃度を示した。6用量にわたる平均Ctroughは、1mgアプラグルチドについて0.000(1週目)~0.873ng/mL(4週目)、5mgアプラグルチドについて7.605(5週目)~10.163ng/mL(4週目)、及び10mgアプラグルチドについて13.710(6週目)~18.460ng/mL(2週目)の範囲であった(表26)。
【0480】
アプラグルチドの6回目及び最後の週1回のSC投薬の後、全ての対象(対象3004は投薬中止のため除外された)は、アプラグルチド濃度の増加を示し、明らかな遅延時間はなかった。対象は、2日後にCmaxに達した、それぞれ5及び10mgの2及び3人の対象を除いて、最終投薬の1日後にCmaxに達した。最終投薬後2週間まで、薬物動態パラメータを評価した。1mgでの全ての対象及び5mgでの1人の対象は、最後の2つ又は3つの試料において定量不可能な濃度を有した。残りの対象(10mgの全ての対象を含む)は、最後の薬物動態学的試料において、4.46ng/mLまでのなお定量可能な濃度を有した。
【0481】
【0482】
【表28-2】
AUC
last=時間0から最後の測定可能な濃度までの血漿濃度-時間曲線下面積、AUC
tau=対応する投薬の治療期間の終了までの血漿濃度-時間曲線下の面積、CL/F=見かけの総クリアランス、C
max=最大濃度、C
トラフ=次の投薬直前の血漿濃度、lambda z=末端脱離速度定数、PK=薬物動態、t1/2=終末消失半減期、t
max=最大血漿濃度に達するまでの時間、V
z/F=最終消失相の間の見かけの分布容積。
*1名の欠損対象(N=5)、
**2名の欠損対象(N=4)及び
***3名の欠損対象(N=3、PKパラメータは計算せず)。定量限界未満の値(<1ng/mL)を0に設定した。他に示されない限り、対象の数は6である。
【0483】
6回目の投薬後に観察された濃度プロファイルは、1回目の投薬に匹敵するようであったが、曝露はわずかに高かった(
図20)。曝露は、1、5及び10mg用量群について、それぞれ0.02424、0.02496及び0.01824ng/mL/μgの平均C
max/用量並びに0.05944、0.07153及び0.05824d
*ng/mL/μgのAUC
tau/用量との用量比例性を示した(表26)。
【0484】
1mgを投薬された6人の対象のうち3人において、最終消失速度定数を決定するために利用可能なデータ点が不十分であった(不十分な数の試料が、最終投薬後のサンプリング期間中に定量化の下限を上回った)。続いて、平均半減期を5及び10mg用量群についてのみ決定し、2つの群の間で同等であった(それぞれ3.04及び3.18日)。
【0485】
Cmax及びAUCtauの変動性は、それぞれ145.5及び145.3%の%CVで1mgの第1の用量の後に顕著であった(表26)。1mgの最後の用量並びに5及び10mg用量レベルの最初及び最後の用量の両方の後、変動性はより低かった。Cmaxの%CVは、39.9~64.6%の範囲であり、AUCtauの%CVの対応する範囲は、23.1~52.4%であった。
【0486】
用量正規化された薬物動態パラメータCmax及びAUCtau値の目視検査は、1~10mgの用量範囲にわたって、アプラグルチドが線形速度論に従うことを示唆した。これは、付随する一定のCL/Fと一致する。
【0487】
シトルリンと同様に、Helmertのアプローチを使用して、アプラグルチドについて用量レベルごとの統計的定常状態分析を実施した。この定常状態分析は、2週目の平均Ctrough(-3.616、95%CI:-5.893;-1.399及びp=0.0023)に対して、10mgについて3~6週目にわたる平均Ctroughを除いて、いずれの対比も統計的に有意でないことを明らかにした。データの目視検査は、調査した全ての用量レベルで1回目の投薬後に定常状態に達したことを示唆している。
【0488】
グラフ分析を実施して、アプラグルチド濃度-シトルリン効果の関係を評価した。一部の個々のシトルリンパラメータ(R
max及びR
pre-dose)を、アプラグルチド薬物動態パラメータ(C
max、C
trough及びAUC
tau)に対してプロットした。用量6で評価されたパラメータについて、回帰直線を作成した。傾きのp値は、C
maxについて、R
maxに対して0.0608の値でほぼ有意に達した(
図21)。AUC
tauは、R
maxと正に相関しているようであり、p値は0.0377であった(
図22)。回帰直線によれば、6週目におけるAUC
tauの各100d
*ng/mLの増加について、対応する最大シトルリン応答は、0.39μg/mL増加した。R二乗値は、R
maxの変動性の26%がAUC
tauによって説明されることを示した。
図23、
図24、及び
図25に示すように、6週目に用量レベルによって評価された全てのアプラグルチド及びシトルリン濃度の相関図は、測定されたアプラグルチド濃度とシトルリン効果との間に時間遅延があったので、反時計回りのヒステリシスを明らかにした。
【0489】
薬物動態
平均CL/Fは3つの用量レベルにわたって一定であり、16.480(5mg)~20.747L/日(10mg)の範囲であった。平均Vz/Fは、5及び10mg用量群についてのみ決定され、5及び10mgについてそれぞれ55.426及び105.021Lの値で用量依存性であった。平均t1/2は、5及び10mgアプラグルチド用量群についてのみ決定することができ、これらの群について同等であった(それぞれ、3.04及び3.18日)。
【0490】
アプラグルチドの1回目の週1回のSC投薬後の曝露は、1、5及び10mg用量群に
ついてそれぞれ13.918、94.088及び136.855ng/mLの平均Cmax、並びにそれぞれ35.214、300.269及び476.937d*ng/mLのAUCtau値を有する用量比例性を示した。6回目の投薬後に観察された濃度プロファイルは、1回目の投薬に匹敵したが、曝露は数値的により高かった。曝露は、1、5及び10mg用量群について、それぞれ0.02424、0.02496及び0.01824ng/mL/μgの平均Cmax/用量並びに0.05944、0.07153及び0.05824d*ng/mL/μgのAUCtau/用量との用量比例性を示した。用量1及び6において、tmaxは、1mg及び5mgのアプラグルチド用量については約1日であり、10mgの用量については2日であった。
【0491】
用量正規化された薬物動態パラメータCmax及びAUCtau値の目視検査は、1~10mgの用量範囲にわたって、アプラグルチドが線形速度論に従うことを示唆している。データの目視検査は、調査した全ての用量レベルで1回目の投薬後に定常状態に達したことを示唆している。
【0492】
薬力学
アプラグルチドの1回目及び最終投薬後、シトルリン濃度は用量依存的に増加した。最終投薬後に観察された平均シトルリン増加は、10mg用量と比較して、1mg及び5mg用量でより急速に低下するようであった。Rt1/2は、両方とも10mgを投薬された2人の対象についてのみ評価することができ、6.5及び11.0日であることが見出された。
【0493】
用量6では、平均Rmaxは、1、5及び10mgの最終用量後にそれぞれ7.1702、8.1577及び8.7254μg/mLであり、2.0、3.9及び3.9日目に到達した。対応するプラセボ値は、最終投薬の16.9日後に6.3707μg/mLであった。これらのRmax値は、全試験期間にわたって平均Rmaxと同等であった。データの目視検査は、調査した全ての用量レベルで1回目の投薬後に定常状態に達したことを示唆している。
【0494】
アプラグルチドの有意な治療効果が、シトルリンについて観察された(p=0.0007)。アプラグルチドはシトルリンの増加を誘導した。この応答は統計的に有意であり、プラセボと比較して5mgのアプラグルチドでは1.2574μg/mL(95%CI:0.5037;2.0112;p=0.0025)、10mgのアプラグルチドでは1.6343μg/mL(95%CI:0.8809;2.3878;p=0.0002)の増加であり、1mgのアプラグルチドではプラセボと比較した増加は統計的に有意ではなかった(0.3146μg/mL、95%CI:-0.4371;1.0663;p=0.3910)。用量群間の対比は、5及び10mg用量が、1mg用量と比較して有意に高いシトルリンレベルを誘導したことを示した(それぞれ0.9429μg/mL、95%CI:0.1768;1.7089;p=0.0186及び1.3198μg/mL、95%CI:0.5586;2.0810;p=0.0018)。重要なことに、5mgと10mgとのアプラグルチドの間の差は統計的に有意ではなかったが、10mgの後の効果は5mgの後よりもわずかに高いようであった。
【0495】
ブリストル大便スケールに対するアプラグルチドの有意な治療効果が、0.0189のp値で観察された(全ての用量群をプラセボと比較した)。プラセボと比較して有意な減少のみが1及び5mg用量群で観察されたので、この効果は用量依存的ではなかった(それぞれ-0.9、95%CI:-1.6;-0.3;p=0.0092、及び-1.0、95%CI-1.7;-0.4;p=0.0046)。
【0496】
探索的グラフ分析は、用量6でのRmaxに対するCmaxについての回帰直線の傾き
が、0.0608のp値でほぼ有意に達したことを明らかにした。AUCtauは、Rmaxと正の相関があるようであり、p値は0.0377であった。回帰直線によれば、6週目におけるAUCtauの各100d*ng/mLの増加について、対応する最大シトルリン応答は、0.39μg/mL増加した。R二乗値は、Rmaxの変動性の26%がAUCtauによって説明されることを示した。6週目に評価された全てのアプラグルチド及びシトルリン濃度の相関プロットは、反時計回りのヒステリシスを明らかにした。
【0497】
MCP-MOD手順は、3つの候補の予め指定されたモデル、すなわち1)Emax、2)LogLin及び3)シグモイドEmaxモデルが、MCP部分における用量応答に最も適合する同様の結果をもたらしたことを示した。これらの3つのモデルは全てMOD部分に適用され、1、5及び10mgのアプラグルチドの用量についてプラセボからの同様のシトルリン変化を予測した。1mgの用量では、3つのモデルにわたるシトルリンの予測されたプラセボ及びベースライン補正された変化は、0.7125~0.8712μg/mLの範囲であり、Emax(p=0.0184)及びLogLin(p=0.0238)モデルについて有意な結果であった。シグモイドEmaxモデルでは、p値は0.0645であった。5mgの用量では、応答は2.1652~2.3327μg/mLの範囲であった。10mg用量では、2.6946~2.8604μg/mLの範囲のわずかに強い応答が得られた。5及び10mgの両方についてのプラセボに対する予測された応答は、全てのモデルについて統計的に有意であり、p値は<0.0001であった。
【0498】
1、2及び3μg/mLのベースライン及びプラセボ補正シトルリン増加に必要なアプラグルチド用量レベルを予測した。シグモイドEmaxモデルのEmaxは<3μg/mLであったので、このモデルについては、2.5μg/mLの変化を最大応答として設定した。1μg/mLのシトルリン増加に対する予測アプラグルチド用量は、それぞれEmax、LogLin及びシグモイドEmaxモデルについて、1.2333mg(95%CI:-0.04246;2.5091)、1.2249mg(95%CI:-0.2169;2.6667)及び1.3606mg(95%CI:0.2680;2.4532)であった。2μg/mLのシトルリン増加を誘発するために、予測されたアプラグルチド用量は、それぞれEmax、LogLin及びシグモイドEmaxモデルについて、3.8471mg(95%CI:0.3534;7.3409)、4.2011mg(95%CI:0.6406;7.7617)及び3.4042mg(95%CI:-0.1290;6.9374)であった。2.5又は3μg/mLのプラセボからの変化について予測されたアプラグルチド用量は、それぞれEmax、LogLin及びシグモイドEmaxモデルを使用して、13.1053mg(95%CI:-6.3068;32.5173)、11.4325mg(95%CI:1.5808;21.2843)及び6.4619mg(95%CI:-0.5521;13.4759)であった。
【0499】
PD/PKモデル
臨床薬物動態学的観察は、V1/F及びCl/Fと、吸収持続時間に関する用量共変量並びにV1/F及びCl/Fに関する体重共変量との間の相関を有するモデルによって最もよく一致した。次いで、薬力学的観察をこのモデルに加えて、PK/PDモデルを作成した。血漿シトルリンは、代謝回転モデル及び最大PD効果モデルによって記載された。
【0500】
母集団PK/PDモデルは、アプラグルチド5mg皮下注射を受けた70kgの個体が、1.39日で31.3Lの分布容積及びピーク血漿中濃度(C
max)を達成すると推定した。アプラグルチド2.5、5、又は10mgの毎週の皮下注射による、シミュレートされたアプラグルチド及びシトルリンの血漿中濃度プロファイルを
図26に示す。
【0501】
PK/PDモデルは、経時的なアプラグルチドのいかなる蓄積も示さなかった。シトルリンの蓄積は、治療の最初の3週間の間に明らかであったが、その後、定常状態濃度に達
した。体重によるシミュレートされたアプラグルチド濃度-時間プロフィールは、体重の増加とともに、定常状態でより低い曲線下面積(area-under-the curve、AUC)及びCmaxを示した。
【0502】
実施例8:アプラグルチド製造プロセス-(II)
以下は、以前に説明された合成経路(例えば、米国特許第8,580,918号)と比較して改善された純度レベルでアプラグルチドを製造するための本開示の例示的な方法である。
【0503】
固相ペプチド合成(ステップ1)
SPPSは、以下のステップを包含するサイクルの反復による、固体支持体上に固定されたペプチド鎖の逐次合成である。
1.ペプチド樹脂のN末端Fmoc保護基の除去
1a.一部の態様では、残基Asp3のFmoc脱保護反応は、DMF中の10%ピペリジン及び2%オキシマの溶液で樹脂を処理することを含む。脱保護反応を2サイクルで実施し、第1のサイクルは15分間、第2のサイクルは30分間である。
2.DMF洗浄
3.Fmoc-AA-OHのカップリング
4.カップリング試験
5.DMF洗浄
【0504】
このサイクルは、ペプチド配列が完了するまで繰り返される。
【0505】
アミノ酸のα-アミノ基は、塩基感受性9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基で保護される。側鎖官能基は酸不安定基で保護されている。本プロセスで使用される全てのアミノ酸誘導体は市販されている。
【0506】
SPPSは、固体支持体上に固定されたペプチド鎖の逐次合成である。合成では、MBHA樹脂を用いてペプチド配列を組み立てることができる。樹脂を膨潤させ、DMFで洗浄し、次いで、窒素雰囲気下、DMF/DIEAで洗浄した後、Fmoc-Rink-アミドリンカーを、DMF中のHBTU/DIPEA/HOBtを使用してカップリングさせることができる。カップリング後、樹脂をDMFで洗浄し、次いでAc2O/DIPEAを使用してアセチル化することができる。カイザー試験を実施して、カップリングの完了を確認することができる。
【0507】
樹脂をDMFで洗浄した後、Fmoc保護されたアミノ酸をそれぞれ以下のサイクルに従って樹脂結合ペプチドにカップリングさせる。
1.Fmoc-保護基をDMF中のピペリジンで除去し、樹脂をDMFで十分に洗浄する。
2.カップリングは、活性化のためにDIC/オキシマを使用して、可変アミノ酸当量を用いてDMF中で実施する。
2a.一部の態様では、ジペプチドBoc-His(Trt)-Gly-OHは、Glyアミノ酸及びHisアミノ酸の連続的な組み立ての代わりに樹脂にカップリングされる。ジペプチドを、カップリング反応に添加する前に、7mLのDMF中のBoc-His(Trt)-Gly-OH/オキシマ/DIC(2.5mmol/2.5mmol/2.5mmol)を使用して20℃±2℃で1時間予備活性化する。カイザー試験を実施して、カップリングの完了を確認することができる。
3.アミノ酸のカップリングは、各合成サイクル中に実施されるニンヒドリンアッセイを使用することによってモニタされる。
【0508】
組み立ての最後に、最後のアミノ酸をカップリングし、脱保護した後、樹脂をDMF及びイソプロパノールで洗浄し、真空下で乾燥させる。
【0509】
樹脂からのペプチドの切断及び脱保護(ステップ2)
保護されたペプチドは、TFA/水/アニソールの混合物で処理することによって、同時に樹脂から切断し、脱保護することができる。続いて、MTBEをペプチド/TFAスラリーに添加して、切断された樹脂の存在下で粗ペプチドを沈殿させる。得られた粗ペプチドを濾過し、MTBEで洗浄し、真空下で一定重量まで乾燥させる。
【0510】
脱炭酸反応(ステップ3a)
粗ペプチドを、アンモニア緩衝液中のH2O/ACN(70:30比)の混合物中に可溶化する。溶液を、25%酢酸又はH2O中の25%NH4OHを使用して標的pH8.0±0.1に調整する。脱炭酸反応を50℃で65分間維持する。粗ペプチドをpH8.0±0.1のアンモニア緩衝液中のH2O/ACN(70:30比)の溶液で洗浄し、5℃±3℃で保存する。
【0511】
分取RP-HPLCによる精製(ステップ3b)
粗ペプチドを水/アセトニトリル/NH4OHの混合物に溶解する。この溶液を酢酸で希釈し、次いで濾過する。
【0512】
一次精製は、NaHCO3/H2O/CH3CNを溶出液として用いる分取RP-HPLCで実施する。カラムからの溶出をUVでモニタし、得られた画分をRP-HPLCで分析する。モニタリング基準を満たす画分を、合わせたプール中で混合する。モニタリング基準を満たさない画分は、精製ステップを繰り返すことによってリサイクルされ得る。プールの純度を分析用RP-HPLCにより制御する。
【0513】
分取RP-HPLCによるナトリウム塩の変換(ステップ4)
このステップは、pH変化を介してペプチドの対イオンをTFAアニオンからナトリウムカチオンに交換し、ペプチドを更に精製するために実施され得る。ステップ3からの合わせたプールを水で希釈し、NaOAc溶出液を使用する分取RP-HPLCによって再精製する。
【0514】
続いて、精製されたペプチド溶液を真空下での蒸発に供して、溶液中のアセトニトリルを減少させる。次いで、精製されたペプチド溶液を、0.1%AcOHを使用して標的pH7.9に調整する。
【0515】
純粋なプールを濃縮し、凍結乾燥することができる。プールの純度をRP-HPLCにより分析する。
【0516】
凍結乾燥及びパッケージング(ステップ5)
凍結乾燥の前に、溶液中の精製されたペプチドを、0.2μm膜を通して濾過する。凍結乾燥は低圧で行われる。得られた凍結乾燥最終ペプチドをアルゴン下で充填する。凍結乾燥アプラグルチドをアプラグルチド規格に従って制御する。
【0517】
再処理
アプラグルチド規格で確立された基準を満たさない凍結乾燥アプラグルチドは、再精製に供することができる。
【0518】
再精製は、上記のように、精製ステップ及び対イオン変換ステップを繰り返すことによって、ペプチドの再構成後に実施され得る。
【0519】
再精製後、この物質を上記の手順に従って凍結乾燥する。
【0520】
アプラグルチド規格において確立された基準を満たさない凍結乾燥アプラグルチドは、再凍結乾燥に供され得る。
【0521】
再凍結乾燥は、上記のように、凍結乾燥ステップを繰り返すことによって、ペプチドの再構成後に実施され得る。
【0522】
不純物
実施例8に記載したアプラグルチド製造プロセスを実施して、アプラグルチド中のβ-Asp3ペプチド異性体不純物のレベルを1.5%未満に減少させた。一部の実施形態では、実施例8に記載されたアプラグルチド製造プロセスは、アプラグルチド中のβ-Asp3ペプチドイソマー不純物のレベルを1%未満に減少させた。
【0523】
β-Asp3不純物の形成は、高いpH及び配列Asp3-Gly4の存在によって支持される。Asp-Gly配列は、閉環(β-カルボキシ側鎖上のα-カルボキシアミド結合からの窒素の攻撃)に起因するアスパルチミド形成を特に受けやすい。アスパルチミドは、塩基触媒によるエピマー化を受けやすく、開環反応を受ける場合があり、これは複数の副生成物の形成をもたらす場合がある。水による攻撃は、β-アスパルチルペプチドを生成し得る。
【0524】
樹脂からのペプチド切断の際の脱炭酸/抽出ステップ(ステップ3a)の間のβ-Asp3不純物の形成は、>1%のレベルに達し得、極端なpH(特に、H2O/ACN80:20中のアンモニアの強塩基溶液、室温で約10のpH)への長期の曝露によって促進される。実施例8に記載したアプラグルチド製造プロセスは、pHを10から8に低下させ、脱炭酸反応時間を24時間から65分に短縮し、反応温度を室温から50℃に変化させ、保存温度を室温から5℃に低下させた。これらの変化は、1.5%未満のレベルでβ-Asp3不純物を生じた。一部の実施形態では、これらの変化は、1%未満のレベルでβ-Asp3不純物を生じた。
【0525】
実施例8に記載されたアプラグルチド製造プロセスは、残基Asp3のFmoc脱保護反応を修正して、DMF中の10%ピペリジン及び2%オキシマの溶液を使用し、2サイクルの脱保護(第1のサイクルは15分間、第2のサイクルは30分間)を行った。これらのより穏やかな塩基性条件は、Asp3の完全な脱保護を可能にし、アスパルチミド及びその後のβ-Asp3副生成物形成を減少させた。
【0526】
D-His不純物の形成は、DIC/オキシマを使用するカップリング反応の間のアミノ酸のラセミ化に起因して生じ得る。個々のGly及びHisアミノ酸の連続的組み立てのプロセスは、0.3%~1.2%の間のD-His不純物のレベルの変動性を示し、時には不完全なカップリングを伴った。カップリング試薬DIC/オキシマを用いたFmoc-His(Trt)-OHの取り込みは、HisのD型へのラセミ化に有利であり得る。
【0527】
実施例8に記載されるようなアプラグルチド製造プロセスは、Glyアミノ酸及びHisアミノ酸の連続的な組み立ての代わりに、この反応のための出発物質としてジペプチドBoc-His(Trt)-Gly-OHを使用した。これは、His中のラセミ化レベルを1%未満(1回の実施バッチで0.3%)に減少させることを可能にし、最終D-Hisレベルをジペプチド(Boc-D-His(Trt)-Gly-OH)の仕様に組み込む。これはまた、脱保護ステップの数の減少を可能にし、したがって、上記のように、
β-Asp3不純物形成に対する脱保護条件(高pH)の寄与する影響を最小にする。
【0528】
実施例9:本開示のアプラグルチド組成物の投与の第3相ヒト臨床試験
以下の非限定的な実施例では、SBS-IFを有する対象が本開示のアプラグルチド配合物で治療される第3相臨床試験を説明する。この第2相臨床試験は、SBS-IFを有する患者における腸管外支持依存性を低減することにおける毎週の皮下アプラグルチドの有効性を調査する。
【0529】
SBS-IFを有する144人の成人患者を、本開示のアプラグルチド組成物又はプラセボで治療する。SBS-IFを有する患者は、対象が50kg未満の体重を有する場合、2.5mgの本開示のアプラグルチド、又は対象が50kg以上の体重を有する場合、5mgの本開示のアプラグルチド、又はプラセボを週1回、48週間投与される。
【0530】
試験は、多施設、二重盲検、無作為化、プラセボ対照、第3相試験である。参加者の無作為化は、ストーマ及び結腸連続性の解剖学的構造特異的無作為化を含む。
【0531】
一次エンドポイント有効性評価を24週目に実施する。主要評価項目は、実際の週1回のPS量におけるベースラインからの相対的変化を評価する。二次エンドポイント有効性評価は、24週目及び48週目に行われる。解剖学的構造に特異的な二次エンドポイント並びに全ての患者に共通する二次エンドポイントを評価する。
【0532】
評価される二次エンドポイントとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
1.24/48週目でPSの少なくとも1日/週の減少を達成する対象。
2.12/24/48週目における実際の週1回のPS量のベースラインからの相対的変化。
3.SBS-IF患者は、24/48週目で腸内自律性に達した。
4.20/24週目でのベースラインからのPS体積の少なくとも20%の減少。
5.24週目での非経口栄養(PN)におけるカロリー低下。
6.患者の重症度の全体的印象(Patient Global Impression of Severity、PGIS
)のベースラインからの変化
7.ピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Inventory、PSQI)のベースラインからの変化
8.患者の全般的な変化(Patient Global Impression of Change、PGIC)のベー
スラインからの変化。
9.集団PKデータ解析によるアプラグルチドの吸収率定数(ka)
10.集団PKデータ解析によるアプラグルチドの見かけのクリアランス(CL/F)
11.集団PKデータ解析によるアプラグルチドの見かけの分布容積(Vz/F)
【0533】
実施例10:本開示のアプラグルチド組成物の投与の第1相ヒト臨床試験
以下の非限定的な実施例では、正常及び腎機能障害を有する対象が本開示のアプラグルチド配合物で治療される第1相臨床試験を説明する。この第1相臨床試験は、種々の程度の腎臓機能を有する対象における5mgアプラグルチドの単回皮下投与の薬物動態及び安全を調査する。腎機能は、慢性腎疾患疫学(Chronic Kidney Disease Epidemiology、C
KD-EPI)クレアチニン方程式に従って、推定糸球体濾過量(estimated glomerular
filtration rate、eGFR)によって計算される。
【0534】
試験は、2段階、非盲検、多施設、非無作為化、第1相試験である。試験の第1部では、重度の腎機能障害を有する8人の対象(コホート1)及び正常な腎臓機能を有する6人の対象(コホート2)に、単回用量5mgの本開示のアプラグルチドを投与する。試験の
第2部では、中等度の腎機能障害を有する8人の対象(コホート3)及び軽度の腎機能障害を有する8人の対象(コホート4)に、単回用量5mgの本開示のアプラグルチドを投与する。対照群と比較した重度腎機能障害群についてのAUCinf又はAUClastの幾何平均比(geometric mean ratio、GMR)が≧2である場合、対象を登録する。
【0535】
患者の適格性は、スクリーニング来院中に評価される。主な組み入れ基準は以下の通りである。
1.全ての参加者
a.18歳以上75歳以下
b.試験手順に従う意思があり、従うことができる対象
c.同意書を理解することができ、署名する意思がある対象
d.≧17.5~≦40kg/m2の肥満度指数(body mass index、BMI);及び≧50kg(110lb)の総体重
e.試験中及び試験終了(end of trial、EOT)来院後1ヶ月間の非常に有効な避妊方法を受けている妊娠可能な女性(women of childbearing potential、WOCBP)
不妊又は不妊又は閉経後の女性。
f.妊娠の可能性がある女性パートナーを有する男性対象:非常に有効な避妊方法であり、試験中及び(EOT)来院後1ヶ月間、精子提供なし。
2.健康な参加者
a.臨床的に関連する異常(病歴、バイタルサイン、ECG、安全性検査)がない
b.2回のスクリーニング来院時にCKD-EPIによって測定されたeGFR≧90mL/分/1.73m2
c.腎機能障害を有する対象の群と人口統計学的に同等である
3.腎機能障害を有する参加者
a.重度の腎機能障害:eGFR<30mL/分/1.73m2であるが、血液透析を必要としない
b.中程度の腎機能障害:eGFR≧30mL/分/1.73m2かつ<60mL/分/1.73m2
c.軽度腎機能障害:eGFR≧60かつ<90mL/分/1.73m2
【0536】
一次エンドポイント有効性評価を、単回投薬の240時間後に実施する。一次エンドポイントは、最大血漿(Cmax)、0から無限大までの濃度-時間曲線下面積(AUCinf)及び0から240時間までの最後の測定可能な濃度までの濃度-時間曲線下面積(AUClast)を評価する。二次エンドポイント有効性評価は、240時間、7日、14日、及び28日に実施される。一次及び二次エンドポイントは、全ての対象にわたって評価される。
【0537】
評価される二次エンドポイントとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
1.時間0~7日の最後の測定可能な濃度までの濃度-時間曲線下面積(AUC0~7日)。単回投薬後168時間にわたって試料を収集した
2.最大濃度までの時間(Tmax)。単回投薬後240時間にわたって試料を収集した
3.最終消失速度定数。単回投薬後240時間にわたって試料を収集した
4.最終消失半減期。単回投薬後240時間にわたって試料を収集した
5.血管外投与後の見かけのクリアランス(CL/F)。単回投薬後240時間にわたって試料を収集した。
6.血管外投与後の見かけの分布容積(Vz/F)。単回投薬後240時間にわたって試料を収集した。
7.14~28日目に有害事象又は特に関心のある有害事象を有する参加者の数
8.14~28日目におけるバイタルサインのベースラインからの臨床的に有意な変化
9.14~28日目の記録された三連の12誘導ECGにおけるベースラインからの臨床的に有意な変化
10.14~28日目に臨床検査評価においてベースラインからの臨床的に有意な変化を経験した参加者の数
【0538】
当業者には理解されるように、腎機能障害は、肝臓/腸の薬物代謝の一部の経路に悪影響を及ぼす可能性があり、吸収、血漿タンパク質結合、輸送、及び組織分布の変化などの他の変化にも関連しているので、腎機能障害を有する患者は、通常、薬物投薬の調整を必要とする。例え薬物動態データが、腎排出がアプラグルチドの主要な排出経路ではないことを示したとしても、他のGLP-2類似体(すなわちテヅグルチド)は、中等度及び重度の腎機能障害並びに末期腎臓疾患を有する患者において用量低減を必要とする。実施例10に記載の試験において、重度のCKDを有する患者にアプラグルチド5mgを投薬することが、この集団における過剰摂取のリスクなしに安全であることが見出された。理論に拘束されることを望むものではないが、このことは、アプラグルチドが適合なしに腎機能障害患者に投薬される可能性を有することを示す。
【0539】
薬物動態
5mgのアプラグルチドの単回皮下投薬後のアプラグルチドの血漿中濃度を、健康な対象(コホート2)及び重度のCKDを有する対象(コホート1)の両方において240時間にわたってモニタリングし、
図29に示す。
【0540】
アプラグルチドの薬物動態パラメータの概要を表27に示す。個々のアプラグルチド血漿中濃度曲線を分析する際に、2つの外れ値が特定された(各コホートに1つ)。コホート1における外れ値は、この群において最も高い体重(bodyweight、BW)及びボディマス指数(BMI)を有したが、コホート2における外れ値は、この群において最も低いBW及びBMIを有した。幾何平均比を、外れ値対象を用いて及び用いずに計算した。
【0541】
【表29】
Cmax=最大血漿、AUC
inf=0から無限大までの濃度-時間曲線下面積。
【0542】
全対象集団について、Cmaxについての幾何平均比は0.572であり、90%CIは0.37~0.885であり、AUCinfについては0.614であり、90%CIは0.388~0.972であった。一方、外れ値対象からデータを除去した場合、Cmaxの幾何平均比は0.774であり、90%CIは0.556~1.077であり、AUCinfの幾何平均比は0.849であり、90%CIは0.657~1.098であった。当業者によって理解されるように、重度の腎機能障害を有する患者は、健康な対象よりも高い体重及びボディマス指数を有する。理論に束縛されることを望むものではないが、これは、コホート1の対象が、より低い血漿濃度に起因して、アプラグルチドへのより低い曝露を有することを示し得る。
【0543】
実施例11:アプラグルチド製造プロセス-(III)
図2A及び
図2Bは、以前に記載された合成経路(例えば、米国特許第8,580,918号)と比較して改善された純度レベルでアプラグルチドを製造するための本開示の例示的な方法を概略的に示す。
図2A及び
図2Bに記載される製造プロセスは、本明細書中でプロセスBと称され、TFA系移動相(H
2O/アセトニトリル)中でのRP-HPLC(C18)クロマトグラフィによる一次精製(重炭酸ナトリウム(NaHCO
3)を使用して画分のpHを調整して≧90%の純度にする)、続いてNaHCO
3移動相(H
2O/アセトニトリル)中でのRP-HPLC(C18)による二次精製(≧97%の純度にする)、続いて酢酸ナトリウム(NaOAc)/H
2O/アセトニトリル移動相中でのRP-HPLC(C18)による脱塩/緩衝液交換を含む。表2aは、プロセスBを使用して生成されたアプラグルチド生成物の純度、並びに主要な汚染物質のレベルを示す。表2aは、プロセスBを使用して生成されたアプラグルチド生成物の純度、並びにこのプロセスの全生成物収率を示す。表2a及び表2bに示すように、プロセスBは、97%以上の純度及び低レベルの汚染物質を有するアプラグルチドを得ることができる。更に、プロセスBは約20%の生成物収率を示す。
【0544】
不純物
図2A及び
図2Bに記載したアプラグルチド製造プロセスを更に修正して、アプラグルチド中のβ-Asp
3ペプチド異性体不純物のレベルを1.5%未満に低下させることができる。一部の実施形態では、実施例8に記載されたアプラグルチド製造プロセスは、アプラグルチド中のβ-Asp
3ペプチドイソマー不純物のレベルを1%未満に減少させた。
【0545】
β-Asp3不純物の形成は、高いpH及び配列Asp3-Gly4の存在によって支持される。Asp-Gly配列は、閉環(β-カルボキシ側鎖上のα-カルボキシアミド結合からの窒素の攻撃)に起因するアスパルチミド形成を特に受けやすい。アスパルチミドは、塩基触媒によるエピマー化を受けやすく、開環反応を受ける場合があり、これは複数の副生成物の形成をもたらす場合がある。水による攻撃は、β-アスパルチルペプチドを生成し得る。
【0546】
樹脂からのペプチド切断の際の脱炭酸/抽出ステップ(ステップ3(1)、
図2B)の間のβ-Asp
3不純物の形成は、>1%のレベルに達し得、極端なpH(特に、H2O/ACN80:20中のアンモニアの強塩基溶液、室温で約10のpH)への長期の曝露によって促進される。
図2A及び
図2Bに記載されたアプラグルチド製造プロセスは、pHを10から8に低下させ、脱炭酸反応時間を24時間から65分に短縮し、反応温度を室温から50℃に変更し、保存温度を室温から5℃に低下させるように修正することができる。これらの変化は、1.5%未満のレベルでβ-Asp
3不純物を生じ得る。一部の実施形態では、これらの変化は、1%未満のレベルでβ-Asp
3不純物を生じた。
【0547】
図2A及び
図2Bに記載されたアプラグルチド製造プロセスはまた、残基Asp
3のFmoc脱保護反応が、DMF中の10%ピペリジン及び2%オキシマの溶液を使用し、2サイクルの脱保護(第1のサイクルは15分間、第2のサイクルは30分間)を伴うように修正され得る。これらのより穏やかな塩基性条件は、Asp
3の完全な脱保護を可能にし、アスパルチミド及びその後のβ-Asp
3副生成物形成を減少させる。
【0548】
D-His不純物の形成は、DIC/オキシマを使用するカップリング反応の間のアミノ酸のラセミ化に起因して生じ得る。個々のGly及びHisアミノ酸の連続的組み立てのプロセスは、0.3%~1.2%の間のD-His不純物のレベルの変動性を示し、時には不完全なカップリングを伴った。カップリング試薬DIC/オキシマを用いたFmoc-His(Trt)-OHの取り込みは、HisのD型へのラセミ化に有利であり得る。
【0549】
図2A及び
図2Bに記載されるようなアプラグルチド製造プロセスは、Gly及びHisアミノ酸の連続的な組み立ての代わりに、この反応のための出発物質としてジペプチドBoc-His(Trt)-Gly-OHを使用するように改変され得る。これは、His中のラセミ化レベルを1%未満(1回の実施バッチで0.3%)に減少させることを可能にし、最終D-Hisレベルをジペプチド(Boc-D-His(Trt)-Gly-OH)の仕様に組み込む。これはまた、脱保護ステップの数の減少を可能にし、したがって、上記のように、β-Asp
3不純物形成に対する脱保護条件(高pH)の寄与する影響を最小にする。
【0550】
図2A及び
図2Bに記載され、上記のように修正されたアプラグルチド製造プロセスは、本明細書中で「プロセスC」と称される。表2bに示すように、プロセスCは、97%以上の純度を有し、約22%の生成物収率を示すアプラグルチドを得ることができる。
【0551】
等価物
前述の説明は、例示の目的でのみ提示されており、本開示を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。本開示の1つ以上の実施形態及び/又は態様の詳細は、上記の付随する説明に記載されている。本明細書に記載される実施形態及び/又は態様のいずれか1つは、本明細書に記載される任意の他の実施形態及び/又は態様と組み合わせることができ、任意の数の実施形態及び/又は態様を組み合わせることができる。本明細書に記載されているものと同様又は同等の任意の方法及び物質を本開示の実施又は試験において使用することができるが、好ましい方法及び物質をここで記載する。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。本明細書及び添付の特許請求の範囲において、単数形は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって概して理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中で引用される全ての特許及び刊行物は、参考として援用される。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-07-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GLP-2アナログペプチドを作製する方法であって、
a)固相ペプチド合成(SPPS)を実施して、Fmoc-Rink-アミド-メチルベンズヒドリルアミン(MBHA)樹脂上で前記GLP-2アナログペプチドを合成することと、
b)トリフルオロ酢酸(TFA)、水、及びアニソールを含む溶液で前記樹脂を処理することによって、前記合成されたGLP-2アナログペプチドを前記樹脂から切断し、前記合成されたGLP-2アナログペプチドの側鎖を脱保護することと、
c)ステップ(b)からの前記合成されたGLP-2アナログペプチドを、TFA系移動相を使用して第1の分取逆相高速液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)精製を実施することによって精製し、それにより、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)法によって決定される90%以上の純度を有する前記GLP-2アナログペプチドを含む溶液を生成することと、
d)NaHCO3系移動相を使用して、第2のRP-HPLC精製を実施することによって、ステップ(c)の生成物を精製し、それにより、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)法によって決定される97%以上の純度を有する前記GLP-2アナログペプチドを含む溶液を生成することと、を含む、方法。
【請求項2】
e)NaOAc系移動相を使用して第3のRP-HPLC精製を実施することによって、ステップ(d)からの生成物を更に精製し、それにより、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)法によって決定される97%以上の純度を有する前記GLP-2アナログペプチドのナトリウム塩を含む溶液を生成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
f)水中0.1%AcOHを使用して、前記GLP-2アナログペプチドの前記ナトリウム塩を含むpH溶液を約pH7.9に調整することと、
g)ステップ(f)の生成物を、0.2μmの孔径を有するフィルタに通すことと、
h)ステップ(g)の生成物を凍結乾燥し、それにより、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)法によって決定される97%以上の純度を有する前記GLP-2アナログペプチドの凍結乾燥されたナトリウム塩を生成することと、を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
c)(i)前記合成されたGLP-2アナログペプチドの脱炭酸を、アンモニア緩衝液中に水及びアセトニトリルを含む溶液中に前記ペプチドを可溶化することによって実施することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アンモニア緩衝液中に水及びアセトニトリルを含む溶液のpHが、約pH8.0に調整される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(a)が、
i)前記SPPSが実施されるMBHA樹脂を調製することと、
ii)初期Fmoc脱保護反応を実施し、続いてカップリング反応を実施して、第1のFmoc保護アミノ酸を前記樹脂に付加し、それにより前記樹脂上に保護ペプチドを形成することと、
iii)Fmoc脱保護反応を実施し、続いてカップリング反応を実施して、少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸を前記保護ペプチドに付加することと、
iv)前記GLP-2アナログペプチドが前記樹脂上で合成されて、前記樹脂に連結されたFmoc保護及び側鎖保護GLP-2アナログペプチドを生成するまで、ステップiiiを繰り返すことと、
v)Fmoc脱保護反応を実施して、前記樹脂に連結された側鎖保護GLP-2アナログペプチドを生成することと、
vi)前記樹脂に連結された前記側鎖保護GLP-2アナログペプチドを乾燥させることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(a)(i)が、
(a1)前記樹脂を、N2雰囲気下、ジメチルホルムアミド(DMF)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を含む溶液で、樹脂1グラム当たり5mLの溶液で洗浄することと、
(b1)DMF中に2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、
ヘキサフルオロホスフェートベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HBTU)、DIEA、及びヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を含む溶液中で、Rinkアミドリンカーを前記樹脂にカップリングさせることと、
(c1)ステップ(b1)で形成された生成物をDMFで洗浄することと、
(d1)前記樹脂を、DMF中に無水酢酸(Ac2O)及びDIEAを含む溶液と接触させることによって還元反応を実施することと、
(e1)ステップ(d1)で形成された生成物をDMFで洗浄することと、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
Fmoc脱保護反応を実施し、続いてカップリング反応を実施することが、
(a2)前記樹脂を、DMF中にピペリジンを含む溶液で処理することと、
(b2)前記樹脂をDMFで洗浄することと、
(c2)前記樹脂を、DMF及びオキシマを含む溶液で洗浄することと、
(d2)前記樹脂を、少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸、並びにジイソプロピルカルボジイミド(DIC)及びシアノヒドロキシイミノ酢酸エチル(オキシマ)を含む第1の量の溶液と接触させることと、
(e2)前記樹脂を、DIC及びオキシマを含む第2の量の溶液と接触させることと、
(f2)ステップ(e2)で形成された生成物をDMFで洗浄することと、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記樹脂を、前記樹脂を前記DIC及びオキシマを含む第1の量の溶液と接触させた約30分後に、前記DIC及びオキシマを含む第2の量の溶液と接触させる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
Fmoc脱保護反応を実施し、続いてカップリング反応を実施することが、
(a2)前記樹脂を、DMF中にピペリジン及びオキシマを含む溶液で処理することと、
(b2)前記樹脂をDMFで洗浄することと、
(c2)前記樹脂を、DMF及びオキシマを含む溶液で洗浄することと、
(d2)前記樹脂を、少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸、並びにジイソプロピルカルボジイミド(DIC)及びシアノヒドロキシイミノ酢酸エチル(オキシマ)を含む第1の量の溶液と接触させることと、
(e2)前記樹脂を、DIC及びオキシマを含む第2の量の溶液と接触させることと、
(f2)ステップ(e2)で形成された生成物をDMFで洗浄することと、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記樹脂を、DMF中にピペリジン及びオキシマを含む第1の量の溶液と15分間接触させ、続いて前記樹脂を、DMF中にピペリジン及びオキシマを含む第2の量の溶液と30分間接触させる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸が、Fmoc-Gln(Trt)-Thr(ΨMe,Mepro)-OHである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのFmoc保護アミノ酸が、Fmoc-Gly(Tmb)-OHである、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの保護されたアミノ酸が、Boc-His(Trt)-Gly-OHである、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、ステップ(e2)と(f2)との間に、カップリング試験を実施することを更に含み、前記カップリング試験が、カイザー試験である、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記GLP-2アナログペプチドが、アプラグルチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(d)で生成された溶液中のアスパルチミド
3
アプラグルチド不純物、Asp
33
-OHアプラグルチド不純物及びDes-Ser
7
アプラグルチド不純物の合計が、2%以下である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(d)で生成された溶液が、2%以下の[Trp
25
,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]アプラグルチド不純物を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(d)で生成された溶液が、1.5%以下のβ-Asp
3
アプラグルチド不純物を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(d)で生成された溶液が、1%以下のβ-Asp
3
アプラグルチド不純物を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(d)で生成された溶液が、1%以下のD-Hisアプラグルチド不純物を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
ステップ(d)で生成された溶液が、
1%以下のAsp
33
-OHアプラグルチド不純物と、
1%以下のDes-Ser
7
アプラグルチド不純物と、
1%以下のD-アスパルチミド
3
アプラグルチド不純物と、
1%以下の[Trp
25
,2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)]アプラグルチド不純物と、を含み、
前記Des-Gly
4
アプラグルチド不純物及びアスパルチミド
3
アプラグルチド不純物の合計が、1%以下である、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
請求項1に記載の方法を使用して製造された前記GLP-2アナログペプチドを含む組成物。
【外国語明細書】