(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138989
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】フォトレジストパターントリミング組成物及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/40 20060101AFI20230926BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20230926BHJP
C08F 220/06 20060101ALI20230926BHJP
C08F 212/12 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
G03F7/40 511
G03F7/20 521
C08F220/06
C08F212/12
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107806
(22)【出願日】2023-06-30
(62)【分割の表示】P 2020091043の分割
【原出願日】2020-05-26
(31)【優先権主張番号】62/855,902
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シーセン・ホウ
(72)【発明者】
【氏名】アーヴィンダー・カウル
(72)【発明者】
【氏名】コン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ミンチ・リー
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・ローウェル
(72)【発明者】
【氏名】チョンパイ・シュイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】半導体デバイスの製造において特定の適用性があるフォトレジストパターントリミング組成物及びパターン形成方法を提供する。
【解決手段】ポリマーと、芳香族スルホン酸と、有機系溶媒系とを含み、ポリマーは、一般式(I)及び(II)の重合単位を含むフォトレジストパターントリミング組成物。(式中、Xは、独立してハロゲン原子を表し、Qは、単結合、-O-、又は-C(O)O-を表し、R
1は、独立して、水素、ハロゲン原子、C1~C12アルキル又はC1~C12フルオロアルキルを表し、R
2は、C1~C3アルキル又はC1~C3フルオロアルキルを表し、mは、0~4の整数である。)
【選択図】
図1A-H
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーと、芳香族スルホン酸と、有機系溶媒系とを含む、フォトレジストパターントリミング組成物であって、前記ポリマーは、一般式(I)及び(II)
【化1】
(式中、Xは、独立してハロゲン原子を表し、Qは、単結合、-O-、又は-C(O)O-を表し、R
1は、独立して、水素、ハロゲン原子、C1~C12アルキル又はC1~C12フルオロアルキルを表し、前記アルキル又はフルオロアルキルは、非置換又はヒドロキシ基で置換されており、R
2は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3フルオロアルキルを表し、mは、0~4の整数であり、前記ポリマーの総重合単位に基づいて、一般式(I)の前記重合単位は、10~90モル%の量で前記ポリマーに存在し、一般式(II)の前記重合単位は、10~60モル%の量で前記ポリマーに存在する)の重合単位を含み、並びに前記ポリマーの重量平均分子量は、3,000~50,000である、フォトレジストパターントリミング組成物。
【請求項2】
前記ポリマーは、一般式(III)
【化2】
(式中、R
3は、水素、ハロゲン原子、C1~C3アルキル又はC1~C3フルオロアルキルを表し、Wは、O又はNRを表し、Rは、水素又はC1~C6アルキルを表し、R
4は、置換又は非置換C1~C20アルキル又はC1~C20ヘテロアルキルを表す)の重合単位を更に含む、請求項1に記載のフォトレジストパターントリミング組成物。
【請求項3】
前記ポリマーの総重合単位に基づいて、一般式(I)の前記重合単位は、10~70モル%の量で前記ポリマーに存在し、一般式(III)の前記重合単位は、1~50モル%の量で前記ポリマーに存在し、Wは、Oを表し、R4は、C1-C20アルキルの1個の水素原子がC1-20アルコキシ基で置き換えられた置換C1-C20アルキルを表す、請求項2に記載のフォトレジストパターントリミング組成物。
【請求項4】
前記芳香族スルホン酸は、一般式V
【化3】
(式中、R
5は、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換炭素環式アリール、置換又は非置換ヘテロ環アリール、置換又は非置換アルコキシ、或いはこれらの組み合わせを表し、隣接するR
5基は、任意選択で一緒に、前記芳香族基と縮合環を形成し、aは0~5の整数を表す)である、請求項1~3のいずれか一項に記載のフォトレジストパターントリミング組成物。
【請求項5】
前記有機系溶媒系はモノエーテルを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のフォトレジストパターントリミング組成物。
【請求項6】
前記有機系溶媒系は、アルコール又はエステルを更に含む、請求項5に記載のフォトレジストパターントリミング組成物。
【請求項7】
Qは、単結合又は-O-であり、R1は、C1~C12アルキルである、請求項1~6のいずれか一項に記載のフォトレジストパターントリミング組成物。
【請求項8】
(a)半導体基板を準備する工程と、
(b)前記半導体基板に渡りフォトレジストパターンを形成する工程であって、前記フォトレジストパターンは、酸不安定基を含むポリマーと光酸発生剤とを含むフォトレジスト組成物から形成される工程と、
(c)請求項1~7のいずれか一項に記載のパターントリミング組成物を前記フォトレジストパターンに渡りコーティングする工程と、
(d)前記コーティングされたフォトレジストパターンを加熱する工程と、
(e)前記加熱されたフォトレジストパターンをリンス剤で濯いで、残留したパターン処理組成物を除去する工程と、
を含む、パターン形成方法。
【請求項9】
前記リンス剤は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液である、請求項8に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
前記フォトレジストパターンは、深UV又はEUVリソグラフィーによって形成される、請求項8又は9に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に電子デバイスの製造に関する。より具体的には、本発明は、フォトレジストパターントリミング組成物及びこのような組成物を使用するパターン形成方法に関する。組成物及び方法は、微細なリソグラフィーパターンの形成において特定の用途を見出す。
【背景技術】
【0002】
半導体製造業界では、フォトレジスト材料は、半導体基板に配置された金属、半導体、又は誘電体層などの1つ以上の下層に、並びに基板自体に画像を転写するために使用される。半導体デバイスの集積密度を高め、ナノメートル範囲の寸法を有する構造の形成を可能にするために、高解像度性能を有するフォトレジスト及びフォトリソグラフィー処理ツールが開発され続けてきた。
【0003】
ポジ型の化学増幅フォトレジストは、従来、高解像度処理に使用されている。このようなレジストは、典型的には、酸不安定脱離基を有する樹脂及び光酸発生剤を使用する。フォトマスクを通して活性化放射線にパターン状に露光すると、酸発生剤が酸を形成し、後露光ベーク中に、樹脂の露光領域の酸不安定基が開裂する。これは、水性アルカリ性現像液中のレジストの露光領域と非露光領域の間の溶解度特性に違いを生み出す。ポジ型現像(PTD)プロセスでは、レジストの露光領域は、水性アルカリ性現像液に可溶であり、基板表面から除去されるが、非露光領域は、現像液に不溶であり、現像後に残ってポジ画像を形成する。
【0004】
リソグラフィーのスケーリングは、従来、光学露光ツールの開口数を増やし、より短い露光波長を使用することによって実現されてきた。直接的な画像形成だけで達成可能なものよりも微細なフォトレジストパターンを形成するために、フォトレジストパターントリミングプロセスが、例えば、(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)及び(特許文献4)で提案されている。フォトレジストパターントリミングプロセスは、典型的には、酸不安定基を有するポリマーを含むフォトレジストパターンを、酸又は熱酸発生剤を含む組成物と接触させる工程を伴う。酸又は発生した酸は、レジストパターンの表面領域で脱保護を引き起こし、次いで、その領域は、例えば、現像液との接触により除去される。これにより、フォトレジストパターンのトリミングが可能になり、例えば、直接画像のみを使用する場合よりも、微細なレジストパターンが作成される。しかしながら、パターンサイズとデバイス形状の縮小に伴い、パターン崩壊マージン(pattern collapse margin)、欠陥レベル、及びパターン寸法の縮小量などのトリミングプロセスの考慮事項は、得られる電子デバイスの性能及び歩留まりへの影響において重要性が増している。
【0005】
KrF(248nm)及びEUV(13.4又は13.5nm)フォトレジスト材料には、典型的には、スチレン及び/又はポリヒドロキシスチレンなどのビニル芳香族系ポリマーが含まれ、材料の利点には、一般的に、露光波長での吸収が高いため典型的には(メタ)アクリレートポリマーを含み芳香族基を実質的に含まない、従来のArF(193nm)フォトレジスト材料と比較すると、低費用に加えて、高いエッチング耐性、エッチング選択性、及び感度が含まれる。ArFフォトレジスト組成物とKrF及びEUVフォトレジスト組成物のポリマー化学作用が大きく異なるため、ArFフォトレジストパターン用に設計されたパターントリミング組成物は、KrF及びEUVフォトレジストパターンと適合性がない場合がある。このような非適合性は、例えば、レジストパターンの一部を洗い流すことによって引き起こされるような、深刻なパターン損傷において示される可能性がある。従って、KrF及びEUVリソグラフィーで使用するための改善されたパターントリミング組成物を有することが望ましくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第20130171574A1号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第20130171825A1号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2014/0186772A1号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2016/0187783A1号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】McCutcheon’s Emulsifiers and Detergent,North American Edition for the Year 2000 published by Manufacturers Confectioners Publishing Co. of Glen Rock, N.J.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
最新技術に関連する1つ以上の問題に対処する、電子デバイス製造において有用なフォトレジストパターントリミング組成物及びパターン形成方法が当技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、パターントリミング組成物が提供される。組成物は、ポリマーと、芳香族スルホン酸と、有機系溶媒系とを含み、ポリマーは、一般式(I)及び(II)
【化1】
(式中、Xは、独立してハロゲン原子を表し、Qは、単結合、-O-、又は-C(O)O-を表し、R
1は、独立して、水素、ハロゲン原子、C1~C12アルキル又はC1~C12フルオロアルキルを表し、アルキル又はフルオロアルキルは、非置換又はヒドロキシ基で置換されており、R
2は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3フルオロアルキルを表し、mは、0~4の整数であり、ポリマーの総重合単位に基づいて、一般式(I)の重合単位は、10~90モル%の量でポリマーに存在し、一般式(II)の重合単位は、10~60モル%の量でポリマーに存在する)の重合単位を含む。
【0010】
又、パターン形成方法が提供される。この方法は、(a)半導体基板を準備する工程と、(b)半導体基板に渡りフォトレジストパターンを形成する工程であって、フォトレジストパターンは、酸不安定基を含むポリマーと光酸発生剤とを含むフォトレジスト組成物から形成される工程と、(c)本明細書に記載されるパターントリミング組成物をフォトレジストパターンに渡りコーティングする工程と、(d)コーティングされたフォトレジストパターンを加熱する工程と、(e)加熱されたフォトレジストパターンをリンス剤で濯いで、残留したパターン処理組成物を除去する工程とを含む。本発明の好ましい方法及び組成物は、例えば、臨界寸法(ΔCD)、パターン崩壊マージン(PCM)又はコーティング欠陥における変化の1つ以上において改善された特性を有するフォトレジストパターンを提供できる。
【0011】
本明細書で用いられる専門用語は、特定の実施形態を記載するという目的のためのものであるにすぎず、本発明を限定することを意図しない。単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈で別の指示がない限り、単数形及び複数形を含むことを意図している。本明細書で使用される場合、用語「置換された」は、その水素原子の1つ以上が、ヒドロキシ、ハロゲン、C1~20アルキル、C1~20アルコキシ、C6~20アリール又はC4~20ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で置き換えられた基を指す。
【0012】
本発明は、同様の参照番号が同様の特徴を示す以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A-H】本発明によるパターンを形成するための例示的なプロセスフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
フォトレジストパターントリミング組成物
本発明のフォトレジストパターントリミング組成物は、ポリマーと、芳香族スルホン酸と、有機系溶媒とを含み、1つ以上の任意の更なる成分を含み得る。ポリマーは、組成物が所望の厚さを有する層の形態でフォトレジストパターンに渡りコーティングされることを可能にする。ポリマーは、パターン化プロセスで使用されるリンス剤への溶解性が良好でなければならない。例えば、ポリマーは、フォトレジスト現像剤として典型的に使用されるものなどのアルカリ性水溶液、好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、典型的には0.26N TMAHなどの4級水酸化アンモニウム水溶液に可溶性であり得る。パターントリミング組成物に起因する残留欠陥を最小限にするために、塗布されるリンス剤中のトリミング組成物の乾燥層の溶解速度は、リンス剤中のフォトレジストパターンの溶解速度よりも大きくなければならない。ポリマーは、典型的には、リンス剤、好ましくは0.26N TMAH溶液中で、100Å/秒以上、好ましくは1000Å/秒以上の溶解速度を示す。ポリマーは、本明細書に記載される、トリミング組成物の溶媒に可溶でなければならない。
【0015】
パターントリミング組成物ポリマーは、一般式(I)及び(II)
【化2】
(式中、Xは、独立して、ハロゲン原子、典型的には、フッ素又は塩素を表し、Qは、単結合、-O-、又は-C(O)O-を表し、R
1は、独立して、水素、ハロゲン原子、C1~C12アルキル、典型的にはC1~C5アルキル、又はC1~C12フルオロアルキル、典型的にはC1~C5フルオロアルキルを表し、アルキル又はフルオロアルキルは、直鎖、分岐又は環式であり得、非置換又はヒドロキシ基で置換されることができ、R
2は、水素、C1~C3アルキル又はC1~C3フルオロアルキルを表し、水素又はメチルが典型的であり、mは0~4の整数である)の重合単位を含む。一般式(I)の重合単位は、10~90モル%、典型的には30~70モル%の量でポリマーに存在する。一般式(II)の重合単位は、ポリマーの総重合単位に基づいて、10~60モル%、典型的には30~60モル%の量でポリマーに存在する。
【0016】
一般式(I)の適した重合単位には、例えば、以下が含まれる。
【化3】
【化4】
【0017】
一般式(II)の適した重合単位には、例えば、以下が含まれる。
【化5】
【0018】
ポリマーは、更なるタイプの重合単位を含み得る。適切な更なる単位は、例えば、アルキル、ヒドロキシ、フルオロアルキル、フルオロアルコール、エステル、エーテル、イミド、スルホンアミド、スルホン酸又はカルボン酸などの酸、或いはオキソアルカノエート基、及びこれらの組み合わせの1つ以上から選択される基を含み得る。特に好ましい更なる単位は、一般式(III)
【化6】
(式中、R
3は、水素、ハロゲン原子、C1~C3アルキル又はC1~C3フルオロアルキルを表し、水素又はメチルが典型的である)のものを含む。Wは、O又はNRを表し、この場合に、Rは、水素又はC1~C6アルキル、典型的にはC1~C3アルキルを表し、R
4は、置換又は非置換C1~C20アルキル、典型的にはC1~C12アルキル、又はC1~C20ヘテロアルキル、典型的にはC1~C12ヘテロアルキルを表す。ポリマーに含まれる場合、式(III)の重合単位は、典型的には、ポリマーの総重合単位に基づいて、5~20モル%の量で存在する。
【0019】
一般式(III)の適した重合単位には、例えば、以下が含まれる。
【化7】
【0020】
他の適切な更なる重合単位には、例えば、以下が含まれる。
【化8】
【0021】
ポリマーに存在する更なる重合単位の含有量は、大きく変動することができ、典型的には、ポリマーの総重合単位に基づいて2~20モル%である。
【0022】
本発明による適切なポリマーには、例えば、以下
【化9】
【化10】
【化11】
(式中、様々な単位タイプのモル比は、上記の範囲にある)が含まれる。
【0023】
トリミング組成物は、典型的には単一のポリマーを含むが、任意で、1つ以上の更なるポリマーを含み得る。組成物中のポリマーの含有量は、例えば、層の目標厚さに依存し、より厚い層が望まれる場合、より高いポリマー含有量が使用される。ポリマーは、典型的には、トリミング組成物の全固形分に基づいて、80~99.9重量%、より典型的に90~99重量%、又は95~99重量%の量でパターントリミング組成物に存在する。ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン標準に対してのGPCで測定される、典型的には、400,000未満、好ましくは3000~50,000、より好ましくは3000~25,000である。典型的には、ポリマーは、ポリスチレン標準に対してのGPCで測定される、3以下、好ましくは2以下の多分散性指数(PDI=Mw/Mn)を有するであろう。
【0024】
トリミング組成物での使用に適したポリマーは市販されており、且つ/又は当業者により容易に作製することができる。例えば、ポリマーの単位に対応する選択されたモノマーを有機溶媒に溶解し、それにラジカル重合開始剤を加え、熱重合させポリマーを形成することにより、ポリマーを合成することができる。ポリマーの重合に使用できる適切な有機溶媒の例には、例えば、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、乳酸エチル及びメチルイソブチルカルビノールが含まれる。適切な重合開始剤には、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、過酸化ベンゾイル及び過酸化ラウロイルが含まれる。
【0025】
トリミング組成物は、ポリマーでない芳香族スルホン酸を更に含む。脱保護反応に基づくフォトレジストの場合、熱を持つ酸は、フォトレジストパターンの表面領域の酸不安定基の結合の開裂を引き起こし得、塗布されるリンス液中のフォトレジストポリマーの溶解度の増加を引き起こす。
【0026】
芳香族スルホン酸は、一般式(IV)
【化12】
(式中、Ar
1は、炭素環式、ヘテロ環式、又はこれらの組み合わせであり得る芳香族基を表す)である。芳香族基は、単環式、例えば、フェニル又はピリジル、又は多環式、例えばビフェニルであり得、ナフチル、アントラセニル、ピレニル又はキノリニルなどの複数の縮合芳香族環、或いは1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、9,10-ジヒドロアントラセン又はフルオレンなどの芳香族環と非芳香族環の両方を有する縮合環系を含み得る。Ar
1には、様々な芳香族基を使用できる。芳香族基は、典型的には5~40の炭素、好ましくは6~35の炭素、より好ましくは6~30の炭素を有する。適切な芳香族基には、フェニル、ビフェニル、ナフタレニル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、テトラセニル、トリフェニレニル、テトラフェニル、ベンゾ[f]テトラフェニル、ベンゾ[m]テトラフェニル、ベンゾ[k]テトラフェニル、ペンタセニル、ペリレニル、ベンゾ[a]ピレニル、ベンゾ[e]ピレニル、ベンゾ[ghi]ペリレニル、コロネニル、キノリニル、7,8-ベンゾキノリニル、フルオレニル、及び12H-ジベンゾ[b、h]フルオレニルが含まれるが、これらに限定されない。これらのうち、フェニルが特に好ましい。R
5は、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換炭素環式アリール、置換又は非置換ヘテロ環式アリール、置換又は非置換アルコキシ、又はこれらの組み合わせを表す。R
5は、エステル、カルボキシ、エーテル、又はこれらの組み合わせなどの1つ以上の基を含み得る。aは0以上の整数を表し、bは1以上の整数を表し、但し、a+bは、Ar
1の利用可能な芳香族炭素原子の総数以下である。好ましくは、R
5のうち2つ以上は、独立して、芳香族環炭素原子に直接結合したフッ素原子又はフルオロアルキル基である。芳香族スルホン酸は、典型的には、トリミング組成物の全固形分に基づいて約0.01~20重量%の量で存在する。
【0027】
好ましくは、芳香族スルホン酸は、一般式V
【化13】
(式中、R
5は、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換炭素環式アリール、置換又は非置換ヘテロ環アリール、置換又は非置換アルコキシ、或いはこれらの組み合わせを表し、隣接するR
5基は、任意で一緒に、芳香族基と縮合環を形成し、aは0~5の整数を表す)である。好ましい態様では、R
5のうち2つ以上は、独立して、フッ素原子又はフルオロアルキル基である。
【0028】
適切な例示的な芳香族スルホン酸には、以下が含まれる。
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【0029】
トリミング組成物は、1つ以上の異なる溶媒を含む有機系溶媒系を更に含む。「有機系」という用語は、溶媒系が、トリミング組成物の全溶媒に基づいて50重量%超の有機溶媒、より典型的にはトリミング組成物の全溶媒に基づいて90重量%超、95重量%超、99重量%超又は100重量%の有機溶媒を含むことを意味する。トリミング組成物を配合及び流延するのに適した溶媒材料は、フォトレジストパターンとの混合を最小限に抑えるために、下のフォトレジストパターンをそれほど溶解せずに、トリミング組成物の非溶媒成分に対して良好な溶解特性を示す必要がある。
【0030】
トリミング組成物に適した有機溶媒には、例えば、n-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート及びn-ヘプチルプロピオネートなどのアルキルプロピオネート、並びにn-ブチルブチレート、イソブチルブチレート及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートなどのアルキルエステル、2,5-ジメチル-4-ヘキサノン及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどのケトン、n-ヘプタン、n-ノナン、n-オクタン、n-デカン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、3,3-ジメチルヘキサン、及び2,3,4-トリメチルペンタンなどの脂肪族炭化水素、並びにパーフルオロヘプタンなどのフッ素化脂肪族炭化水素、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール及び4-オクタノールなどの直鎖、分岐又は環式C4-C9一価アルコール、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール、及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ-1-ヘキサノール、並びに2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,5-ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオール、及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1,8-オクタンジオールなどのC5-C9フッ素化ジオール、イソペンチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、並びにこれらの溶媒の1つ以上を含む混合物が含まれる。
【0031】
トリミングされるフォトレジストパターンが、スチレン-及び/又はヒドロキシスチレン-単位を含むポリマーなどのビニル芳香族系ポリマーから形成される場合、溶媒系は、好ましくは、1つ以上のモノエーテル溶媒を含む。モノエーテル系溶媒系を使用すると、ビニル芳香族系フォトレジストパターンを処理する場合、トップロス(toploss)特性を低くすることができる。本明細書で使用される場合、「ビニル芳香族」は、芳香族基がビニル基に直接結合しているモノマーから形成される重合単位、例えば、スチレン、ヒドロキシスチレン及びビニルナフタレンを意味する。「ビニル芳香族系ポリマー」は、ポリマーが、ポリマーの総単位に基づいて50モル%超のビニル芳香族単位、より典型的にはポリマーの総単位に基づいて50~90モル%又は60~80モル%のビニル芳香族単位を含むことを意味する。
【0032】
適切なモノエーテル含有溶媒系は、溶媒系に基づいて、50~98重量%、好ましくは70~98重量%、80~98重量%又は90~98重量%の合計量で1つ以上のモノエーテル溶媒を含む。好ましいモノエーテル溶媒には、アルキルモノエーテル及び芳香族モノエーテルが含まれ、これらの特に好ましいものは、総炭素数が6~16であるものである。適切なアルキルモノエーテルには、例えば、1,4-シネオール、1,8-シネオール、ピネンオキシド、ジ-n-プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-n-ペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル及びジオクチルエーテルが含まれ、ジイソアミルエーテルが好ましい。適切な芳香族モノエーテルには、例えば、アニソール、エチルベンジルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル及びフェネトールが含まれ、アニソールが好ましい。
【0033】
エーテル含有溶媒系は、好ましくは、1つ以上のアルコール及び/又はエステル溶媒を更に含む。特定のトリミング組成物においては、アルコール及び/又はエステル溶媒は、固体成分に関して高められた溶解性をもたらし得る。適切なアルコール溶媒には、例えば、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ-1-ヘキサノールなどの直鎖、分岐又は環式C4~C8一価アルコール、並びに2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,5-ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオール、及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1,8-オクタンジオールなどのC5~C9フッ素化ジオールが含まれる。アルコール溶媒は、好ましくはC4~C8一価アルコールであり、4-メチル-2-ペンタノールが好ましい。適切なエステル溶媒には、例えば、n-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート及びn-ヘプチルプロピオネートなどのアルキルプロピオネート、並びにn-ブチルブチレート、イソブチルブチレート及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートなどの総炭素数が4~10のアルキルエステルが含まれる。エーテル含有溶媒系で使用される場合、1つ以上のアルコール及び/又はエステル溶媒は、溶媒系に基づいて2~50重量%の合計量で、より典型的には2~30重量%の量で存在する。
【0034】
エーテル含有溶媒系は、例えば、2,5-ジメチル-4-ヘキサノン及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどのケトン、n-ヘプタン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、3,3-ジメチルヘキサン、2,3,4-トリメチルペンタン、n-オクタン、n-ノナン、及びn-デカンなどの脂肪族炭化水素、パーフルオロヘプタンなどのフッ素化脂肪族炭化水素、並びにジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのジエーテルの1つ以上から選択される1つ以上の更なる溶媒を含み得る。使用される場合、このような更なる溶媒は、典型的には、溶媒系に基づいて1~20重量%の合計量で存在する。
【0035】
特に好ましい有機系溶媒系は、溶媒系に基づいて70~98重量%の合計量の1つ以上のモノエーテル溶媒、並びに溶媒系に基づいて2~30重量%の合計量の1つ以上のアルコール及び/又はエステル溶媒を含む。有機系溶媒系を構成する1つ以上の溶媒は、保護膜(overcoat)組成物に基づいて、典型的には、90~99重量%、好ましくは95~99重量%の合計量で保護膜組成物に存在する。
【0036】
トリミング組成物は、1つ以上の更なる任意成分、例えば界面活性剤を更に含み得る。典型的な界面活性剤は、両親媒性の性質を示すものを含み、同時に親水性及び疎水性の両方であり得ることを意味する。両親媒性界面活性剤は、水に対して強い親和性を有する1つ又は複数の親水性ヘッド基、及び親有機性で水をはじく長い疎水性の尾を有する。適切な界面活性剤は、イオン性(即ち、アニオン性、カチオン性)又は非イオン性であり得る。界面活性剤の更なる例には、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤、及びフルオロケミカル界面活性剤が含まれる。適切な非イオン性界面活性剤には、TRITON(登録商標)X-114、X-100、X-45、X-15などのオクチル及びノニルフェノールエトキシレート、並びにTERGITOL(商標)TMN-6(The Dow Chemical Company,Midland,Michigan USA)などの分岐2級アルコールエトキシレートが含まれるが、これらに限定されない。更なる例示的な界面活性剤には、アルコール(一次及び二次)エトキシレート、アミンエトキシレート、グルコシド、グルカミン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール-コ-プロピレングリコール)、又は(非特許文献1)に開示された他の界面活性剤が含まれる。アセチレンジオール誘導体である非イオン性界面活性剤も適切であり得る。このような界面活性剤は、Air Products and Chemicals,Inc.of Allentown,PAから市販されており、SURFYNOL(登録商標)及びDYNOL(登録商標)の商標名で販売されている。更なる適切な界面活性剤には、トリブロックEO-PO-EOコポリマーPLURONIC(登録商標)25R2、L121、L123、L31、L81、L101及びP123(BASF,Inc.)などの他のポリマー化合物が含まれる。使用される場合このような界面活性剤及び他の任意の添加剤は、典型的には、トリミング組成物の全固形分に基づいて0.01~10重量%などの少量で組成物に存在する。トリミング組成物は、好ましくは架橋剤を含まなく、その理由は、このような材料がフォトレジストパターンの寸法の増加をもたらすことがあるからである。トリミング組成物は、ポリマー酸及びポリマー酸発生剤を含まない場合がある。
【0037】
トリミング組成物は、以下の公知の手順に従って調製することができる。例えば、トリミング組成物は、トリミング組成物の固体成分を溶媒成分中に溶解することによって調製することができる。組成物の所望の全固形分は、所望の最終層の厚さなどの要因に依存するであろう。好ましくは、トリミング組成物の固形分は、トリミング組成物の全重量に基づいて1~10重量%、より好ましくは1~5重量%である。
【0038】
パターン形成方法
次に、本発明によるプロセスについて、
図1A~Hを参照して説明し、本発明によるパターン形成方法の例示的なプロセスフローを示す。示されたプロセスフローは、単一のレジストマスクを使用してフォトレジストパターンを下の基板に転写するパターン化プロセスを説明しているが、この方法は、他のリソグラフィープロセスで、例えば、イオン注入マスクとして、リソ-リソ-エッチ(LLE)、リソ-エッチ-リソ-エッチ(LELE)、又は自己整合型二重パターン化(SADP)などの二重パターン化プロセスで、或いはこのようなフォトレジストパターンの処理が有益である任意の他のリソグラフィープロセスで使用できることは明らかである。
【0039】
図1Aは、様々な層及び特徴を含み得る基板100の断面を示す。基板は、シリコン又は化合物半導体(例えば、III-V又はII-VI)などの半導体、ガラス、石英、セラミック、銅などの材料であり得る。典型的には、基板は、単結晶シリコン又は化合物半導体ウェハーなどの半導体ウェハーであり、その表面に形成された1つ以上の層及びパターン化された特徴を有することができる。パターン化される1つ以上の層102は、基板100に渡り提供されることができる。任意で、例えば、基板材料に溝を形成することが望ましい場合、下のベース基板材料自体をパターン化することができる。ベース基板材料自体をパターン化する場合、パターンは基板の層に形成されるとみなされるものとする。
【0040】
層は、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、このような金属の合金、窒化物又はケイ化物、ドープされたアモルファスシリコン又はドープされたポリシリコンの層などの1つ以上の導電層、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、又は金属酸化物の層などの1つ以上の誘電体層、単結晶シリコンなどの半導体層、及びこれらの組み合わせを含み得る。エッチングされる層は、様々な技術、例えば、プラズマ強化CVD(PECVD)、低圧CVD(LPCVD)又はエピタキシャル成長などの化学蒸着(CVD)、スパッタリング又は蒸発などの物理蒸着(PVD)、或いは電気めっきなどによって形成されることができる。1つ以上のエッチングされる層102の特定の厚さは、形成される材料及び特定のデバイスに応じて変動する。
【0041】
エッチングされる特定の層、使用される膜厚及びフォトリソグラフィー材料及びプロセスに応じて、層102に渡り、フォトレジスト層106がコーティングされるハードマスク層103及び/又は底部反射防止コーティング(BARC)104を配置することが望ましい場合がある。ハードマスク層の使用は、例えば、エッチングされる層がかなりのエッチング深さを必要とする場合、及び/又は特定のエッチング液が不十分なレジスト選択性を有する場合、非常に薄いレジスト層で、望ましくあり得る。ハードマスク層を使用する場合、形成されるレジストパターンをハードマスク層103に転写することができ、結果、ハードマスク層103は、下層102をエッチングするためのマスクとして使用することができる。適切なハードマスク材料及び形成方法は、当技術分野で知られている。典型的な材料には、例えば、タングステン、チタン、窒化チタン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、アモルファスカーボン、スピンオンカーボン(spin-on-carbon)(SOC)、酸窒化シリコン及び窒化シリコンが含まれる。ハードマスク層は、異なる材料の単一の層又は複数の層を含み得る。ハードマスク層は、例えば、CVD、PVD、又はスピンコーティング技術によって形成することができる。
【0042】
底部反射防止コーティングは、基板及び/又は下層がフォトレジスト露光中にかなりの量の入射放射線を反射するため、形成されたパターンの品質に悪影響を及ぼす場合に望ましくあり得る。このようなコーティングは、焦点深度、露光寛容度、線幅均一性、及びCD制御を向上させることができる。反射防止コーティングは、典型的には、レジストが深紫外線(300nm以下)、例えばKrF(248nm)、ArF(193nm)、又はEUV(13.5nm)放射線に露光される場合に使用される。反射防止コーティングは、単一の層又は複数の異なる層を含み得る。適切な反射防止材料及び形成方法が、当技術分野で知られている。反射防止材料は、市販されており、例えば、AR(商標)3、AR(商標)40A及びAR(商標)124反射防止材料など、DowDupont(Wilmington, DE USA)によってAR(商標)の商標名で販売されているものである。
【0043】
フォトレジスト層106は、フォトレジスト組成物、典型的には、酸不安定基を有するポリマーと、光酸発生剤と、溶媒とを含む化学増幅型感光性組成物から形成される。適切なフォトレジスト組成物は、当技術分野でよく知られている。好ましくは、フォトレジストポリマーは、ビニル芳香族(例えば、スチレン及びヒドロキシスチレン)、(メタ)アクリレート、ノルボルネン、及びこれらの組み合わせから選択されるモノマーから形成される。好ましい態様では、フォトレジストポリマーは、ビニル芳香族系であり、フォトレジストポリマーにおける重合単位の50モル%超、典型的にはフォトレジストポリマーにおける重合単位の80モル%超がビニル芳香族モノマーから形成される。
【0044】
フォトレジスト層は、反射防止層104(存在する場合)に渡り基板に配置される。フォトレジスト組成物は、スピンコーティング、ディッピング、ローラーコーティング又は他の従来のコーティング技術によって基材に塗布されることができる。これらのうち、スピンコーティングが典型的である。スピンコーティングの場合、コーティング溶液の固形分を調整して、使用される特定のコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度及び回転のために考慮される時間量に基づいて所望のフィルムの厚さをもたらすことができる。フォトレジスト層106の典型的な厚さは、約500~3000Åである。
【0045】
フォトレジスト層106は、典型的には、次に層内の溶媒含有量を最小限にするためにソフトベークされ、これにより不粘着(tack-free)コーティングを形成し、基板への層の接着を改善する。ソフトベークはホットプレート上又はオーブン内で実行できるが、ホットプレートが典型的である。ソフトベークの温度と時間は、例えば、フォトレジストの特定の材料と厚さに依存する。典型的なソフトベークは、約90~150℃の温度、約30~90秒の時間で行われる。
【0046】
次に、フォトレジスト層106は、フォトマスク110を介して活性化放射線108に露光され、露光領域と非露光領域の間の溶解性に差を生じさせる。フォトレジスト組成物において活性化する放射線にフォトレジスト組成物を露光することへの本明細書での言及は、放射線がフォトレジスト組成物に潜像を形成することができることを示す。フォトマスクは、活性化放射線によってそれぞれ露光される及び露光されないレジスト層の領域に対応する光学的に透明な領域及び光学的に不透明な領域を有する。露光波長は、典型的には、深紫外(248nm)、193nm又はEUV波長(例えば、13.5nm)などの400nm未満、300nm未満である。好ましい態様では、露光波長は、深UV又はEUVリソグラフィーである。露光エネルギーは、例えば、露光ツール及び感光性組成物の成分に応じて、典型的には、約10~80mJ/cm2である。
【0047】
フォトレジスト層106の露光に続いて、典型的には、後露光ベーク(PEB)が実行される。PEBは、例えば、ホットプレート上又はオーブン内で行うことができる。PEBの条件は、例えば、特定のフォトレジスト組成物及び層の厚さに依存するであろう。PEBは、典型的には、約80から150℃の温度及び約30から90秒の時間で行われる。これにより、極性が切り替えられた領域と切り替えられていない領域(それぞれ、露光領域と非露光領域に対応する)の間の境界によって規定される潜像が形成される。
【0048】
次に、フォトレジスト層106を現像して層の露光領域を除去し、非露光領域を残して、
図1Bに示されるように複数の特徴を有するレジストパターン106’を形成する。特徴は、限定されず、例えば、パターン化される下層にこのようなパターンを形成することを可能にする複数の線、柱状物、及び/又はコンタクトホール(contact hole)パターンを含み得る。形成されたレジストパターンは、L
1として示される初期寸法、線パターンの線幅、ポストパターン(post pattern)のポスト直径(post diameter)、又はコンタクトホールパターンの側壁幅を有する。
【0049】
本明細書に記載されるフォトレジストパターントリミング組成物の層112は、
図1Cに示されるようにフォトレジストパターン106’に渡り形成される。トリミング組成物は、典型的には、スピンコーティングによって基材に塗布される。コーティング溶液の固形分は、使用される特定のコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度、及び回転に許容される時間量に基づいて、所望の膜厚を提供するように調整することができる。パターントリミング組成物層112の典型的な厚さは、典型的にはパターン化されていない基板で測定して、200から1500Åである。
【0050】
図1Dに示されるように、次に基板は、トリミング組成物層中の溶媒を除去するためにベークされる。又、ベークにより、トリミング組成物の酸がレジストパターン106’の表面に拡散して、レジストパターン表面領域114で極性変化反応を引き起こす。ベークは、ホットプレート又はオーブンで行うことができるが、ホットプレートが典型的である。適切なベーク温度は、50℃超、例えば、70℃超、90℃超、120℃超、又は150℃超であり、温度は70~160℃で、時間は約30~90秒が典型的である。単一のベーク工程が典型的であるが、複数工程のベークを使用でき、レジストプロファイルの調整に役立つことができる。
【0051】
次に、フォトレジストパターンをリンス剤、典型的には現像液と接触させて、残留したトリミング組成物層112と、典型的にはフォトレジストパターンの表面領域114も除去し、得られたパターン106’’を
図1Eに示す。リンス剤は、典型的には、水性アルカリ性現像液、例えば、第四級水酸化アンモニウム溶液、例えば、0.26規定度(N)(2.38重量%)水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などの水酸化テトラアルキルアンモニウム溶液である。更にリンス剤は、水であり得る、又は水を含み得る。得られた構造を
図1Eに示す。トリミング処理後のレジストパターンの寸法(L
2)は、トリミング処理前の特徴サイズに比べて小さい。
【0052】
レジストパターン106’’をエッチングマスクとして使用して、
図1Fに示されるように、BARC層104は選択的にエッチングされてBARCパターン104’を形成し、下のハードマスク層103を露光させる。次に、ハードマスク層が、再びレジストパターンをエッチングマスクとして使用して選択的にエッチングされ、
図1Gに示されるように、パターン化されたBARC及びハードマスク層103’が得られる。BARC層及びハードマスク層をエッチングするための適切なエッチング技術及び化学作用は、当技術分野で知られており、例えば、これらの層の特定の材料に依存することになる。反応性イオンエッチングなどのドライエッチングプロセスが典型的である。次に、レジストパターン106’’及びパターン化されたBARC層104’は、公知の技術、例えば酸素プラズマ灰化を使用して基板から除去される。次いで、ハードマスクパターン103’をエッチングマスクとして使用して、1つ以上の層102が選択的にエッチングされる。下層102をエッチングするための適切なエッチング技術及び化学作用は、当技術分野で知られており、反応性イオンエッチングなどのドライエッチングプロセスが典型的である。次に、パターン化されたハードマスク層103’は、公知の技術、例えば、反応性イオンエッチングなどのドライエッチングプロセス又はウェット剥離を使用して、基板表面から除去することができる。得られた構造は、
図1Hに示されるエッチングされた特徴102’のパターンである。別の例示的な方法では、ハードマスク層103を使用せずに、フォトレジストパターン106’’を直接使用して層102をパターン化することが望ましい場合がある。レジストパターンを使用した直接パターン化を使用できるかどうかは、関連する材料、レジストの選択性、レジストパターンの厚さ、及びパターンの寸法などの要因に依存する。
【0053】
以下の非限定的な例は、本発明の例示である。
【実施例0054】
ポリマー合成
以下のモノマーを使用して、下記の手順に従ってポリマーを合成した。
【化18】
【0055】
実施例1(ポリマーP1)
14.54gのモノマーM1と5.11gのモノマーM3を131.06gの乳酸エチルに溶解することにより、モノマー供給溶液を調製し、溶液を165℃に加熱した。開始剤供給溶液は、1.25gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)と58.04gの乳酸エチルを容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して開始剤を溶解することにより調製した。開始剤供給溶液を、2時間かけて反応容器に供給した。反応容器を撹拌しながら更に24時間165℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール:水75/25(重量%)(20×)から沈殿させて、ポリマーP1を白色固体として得た(14g、収率74%)。重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算値によってこの例と後続の例で決定され、多分散性は、PDI=Mw/Mnとして計算された。この例と後続の例のポリマーにおけるモノマー比と分子量の結果を表1に示す。
【0056】
実施例2(ポリマーP2)
13.81gのモノマーM1と7.44gのモノマーM3を190.97gの乳酸エチルに溶解することにより、モノマー供給溶液を調製し、溶液を165℃に加熱した。開始剤供給溶液は、4.30gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)と43.50gの乳酸エチルを容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して開始剤を溶解することにより調製した。開始剤供給溶液を、0.5時間かけて反応容器に供給した。反応容器を撹拌しながら更に24時間165℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール:水75/25(重量%)(20×)から沈殿させて、ポリマーP2を白色固体として得た(18g、収率85%)。
【0057】
実施例3(ポリマーP3)
11.98gのモノマーM1、5.13gのモノマーM3及び1.90gのモノマーM4を108gの乳酸エチルに溶解することにより、モノマー供給溶液を調製し、溶液を165℃に加熱した。開始剤供給溶液は、1.52gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)と70.00gの乳酸エチルを容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して開始剤を溶解することにより調製した。開始剤供給溶液を、0.5時間かけて反応容器に供給した。反応容器を撹拌しながら更に24時間165℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール:水75/25(重量%)(20×)から沈殿させて、ポリマーP3を白色固体として得た(15g、収率79%)。
【0058】
実施例4(ポリマーP4)
14.62gのモノマーM1、7.87gのモノマーM3及び2.58gのモノマーM4を220.00gの乳酸エチルに溶解することにより、モノマー供給溶液を調製し、溶液を165℃に加熱した。開始剤供給溶液は、4.81gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)と55.00gの乳酸エチルを容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して開始剤を溶解することにより調製した。開始剤供給溶液を、0.5時間かけて反応容器に供給した。反応容器を撹拌しながら更に24時間165℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール:水80/20(重量%)(20×)から沈殿させてポリマーP4を白色固体として得た(21g、84%収率)。
【0059】
実施例5(ポリマーP5)
10.16gのモノマーM1、6.82gのモノマーM3及び2.02gのモノマーM4を72gの乳酸エチルに溶解することにより、モノマー供給溶液を調製し、溶液を165℃に加熱した。開始剤供給溶液は、2.28gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)と106.00gの乳酸エチルを容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して開始剤を溶解することにより調製した。開始剤供給溶液を、2時間かけて反応容器に供給した。反応容器を撹拌しながら更に24時間165℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール:水75/25(重量%)(20×)から沈殿させてポリマーP5を白色固体として得た(17g、収率89%)。
【0060】
実施例6(ポリマーP6)
14.35gのモノマーM2と4.66gのモノマーM3を127gの乳酸エチルに溶解することにより、モノマー供給溶液を調製し、溶液を165℃に加熱した。開始剤供給溶液は、1.25gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)と58.00gの乳酸エチルを容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して開始剤を溶解することにより調製した。開始剤供給溶液を、2時間かけて反応容器に供給した。反応容器を撹拌しながら更に24時間165℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール:水75/25(重量%)(20×)から沈殿させてポリマーP6を白色固体として得た(15g、収率79%)。
【0061】
実施例7(ポリマーP7)
17.80gのモノマーM2と7.27gのモノマーM3を225.00gの乳酸エチルに溶解することにより、モノマー供給溶液を調製し、溶液を165℃に加熱した。開始剤供給溶液は、4.91gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)と50.00gの乳酸エチルを容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して開始剤を溶解することにより調製した。開始剤供給溶液を、0.5時間かけて反応容器に供給した。反応容器を撹拌しながら更に24時間165℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール:水75/25(重量%)(20×)から沈殿させて、ポリマーP7を白色固体として得た(21g、84%収率)。
【0062】
実施例8(ポリマーP8)
12.35gのモノマーM2、1.81gのモノマーM3、及び4.85gのモノマーM4を86.00gの乳酸エチルに溶解することにより、モノマー供給溶液を調製し、溶液を165℃に加熱した。開始剤供給溶液は、2.21gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)と102.80gの乳酸エチルを容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して開始剤を溶解することにより調製した。開始剤供給溶液を、2時間かけて反応容器に供給した。反応容器を撹拌しながら更に24時間165℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール:水70/30(重量%)(20×)から沈殿させてポリマーP8を白色固体として得た(15.5g、収率81%)。
【0063】
実施例9(ポリマーP9)
12.35gのモノマーM2、1.81gのモノマーM3及び4.85gのモノマーM4を130gの乳酸エチルに溶解することにより、モノマー供給溶液を調製し、溶液を165℃に加熱した。開始剤供給溶液は、2.52gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)と50.00gの乳酸エチルを容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して開始剤を溶解することにより調製した。開始剤供給溶液を、2時間かけて反応容器に供給した。反応容器を撹拌しながら更に24時間165℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール:水75/25(重量%)(20×)から沈殿させてポリマーP9を白色固体として得た(17g、収率89%)。
【0064】
実施例10(ポリマーP10)
11.60gのモノマーM2、1.85gのモノマーM3、及び5.56gのモノマーM4を130gの乳酸エチルに溶解することにより、モノマー供給溶液を調製し、溶液を165℃に加熱した。開始剤供給溶液は、2.73gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)と58.00gの乳酸エチルを容器内で組み合わせ、混合物を撹拌して開始剤を溶解することにより調製した。開始剤供給溶液を、2時間かけて反応容器に供給した。反応容器を撹拌しながら更に24時間165℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール:水75/25(重量%)(20×)から沈殿させてポリマーP10を白色固体として得た(14.5g、収率76%)。
【0065】
実施例11(ポリマーP11)
10.64gのモノマーM2、1.94gのモノマーM3及び6.46gのモノマーM4を140gの乳酸エチルに溶解することにより、モノマー供給溶液を調製し、溶液を165℃に加熱した。開始剤供給溶液は、3.27gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)と38.00gの乳酸エチルを容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して開始剤を溶解することにより調製した。開始剤供給溶液を、2時間かけて反応容器に供給した。反応容器を撹拌しながら更に24時間165℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール:水75/25(重量%)(20×)から沈殿させてポリマーP11を白色固体として得た(15g、収率79%)。
【0066】
実施例12(ポリマーP12)
12.03gのモノマーM7と4.97gのモノマーM3を152gの乳酸エチルに溶解することにより、モノマー供給溶液を調製し、溶液を165℃に加熱した。開始剤供給溶液は、2.72gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)と27.50gの乳酸エチルを容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して開始剤を溶解することにより調製した。開始剤供給溶液を、0.5時間かけて反応容器に供給した。反応容器を撹拌しながら更に24時間165℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール:水75/25(重量%)(20×)から沈殿させて、ポリマーP12を白色固体として得た(13g、収率76%)。
【0067】
実施例13(ポリマーP13)
13.12gのモノマーM8と3.88gのモノマーM3を152gの乳酸エチルに溶解することにより、モノマー供給溶液を調製し、溶液を165℃に加熱した。開始剤供給溶液は、2.72gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)と30.00gの乳酸エチルを容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して開始剤を溶解することにより調製した。開始剤供給溶液を、0.5時間かけて反応容器に供給した。反応容器を撹拌しながら更に24時間165℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール:水75/25(重量%)(20×)から沈殿させて、ポリマーP13を白色固体として得た(12g、70%収率)。
【0068】
実施例14(ポリマーP14)
11gのモノマーM1、7.44gのモノマーM3及び2.72gのモノマーM9を190gの乳酸エチルに反応容器内で溶解することにより、モノマー供給溶液を調製し、溶液を165℃に加熱した。開始剤供給溶液は、3.40gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)と34.40gの乳酸エチルを容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して開始剤を溶解することにより調製した。開始剤供給溶液を、0.5時間かけて反応容器に供給した。反応容器を撹拌しながら更に24時間165℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール:水75/25(重量%)(20×)から沈殿させ、ポリマーP14を白色固体(18g、86%)として得た。
【0069】
実施例15(ポリマーP15)
10.92gのモノマーM1、5.87gのモノマーM3及び4.46gのモノマーM10を190gの乳酸エチルに溶解することにより、モノマー供給溶液を調製し、溶液を165℃に加熱した。開始剤供給溶液は、3.40gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)と35.00gの乳酸エチルを容器内で組み合わせ、混合物を撹拌して開始剤を溶解することにより調製した。開始剤供給溶液を、0.5時間かけて反応容器に供給した。反応容器を撹拌しながら更に24時間165℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール:水60/40(重量%)(20×)から沈殿させて、ポリマーP15を白色固体として得た(17g、収率81%)。
【0070】
実施例16(ポリマーCP1)
18.60gのプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、22.19gのモノマーM5、22.19gのモノマーM6、及び1.44gのWako V-601開始剤を容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して成分を溶解することにより、供給溶液を調製した。20gのPGMEを反応容器に導入し、反応容器を窒素で30分間パージした。次に、反応容器を攪拌しながら95℃に加熱した。次に、供給溶液を反応容器に導入し、1.5時間かけて供給した。反応容器を攪拌しながら更に3時間95℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール/水20/80(重量%)に滴下することによりポリマー(CP1)を沈殿させ、濾過により収集し、真空乾燥した。
【0071】
実施例17(ポリマーCP2)
10gのプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、7.70gのモノマーM6、2.30gのモノマーM3、及び0.50gのWako V-601開始剤を容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して成分を溶解することにより、供給溶液を調製した。8.6gのPGMEを反応容器に導入し、反応容器を窒素で30分間パージした。次に、反応容器を攪拌しながら95℃に加熱した。次に、供給溶液を反応容器に導入し、1.5時間かけて供給した。反応容器を攪拌しながら更に3時間95℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール/水20/80(重量%)に滴下することによりポリマー(CP2)を沈殿させ、濾過により収集し、真空乾燥した。
【0072】
実施例18(ポリマーCP3)
13.00gのプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、24.00gのモノマーM6、6.00gのモノマーM3及び1.80gのWako V-601開始剤を容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して成分を溶解することにより、供給溶液を調製した。15.00gのPGMEを反応容器に導入し、反応容器を窒素で30分間パージした。次に、反応容器を攪拌しながら95℃に加熱した。次いで、供給溶液を反応容器に導入し、1.5時間かけて供給した。反応容器を攪拌しながら更に3時間95℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール/水20/80(重量%)に滴下することによりポリマー(CP3)を沈殿させ、濾過により収集し、真空乾燥した。
【0073】
【0074】
溶解速度(DR)評価
表2に示すポリマーを4-メチル-2-ペンタノールに溶解して、14重量%のポリマー溶液を作成した。TEL Clean Track ACT-8コーティングツールにおいて、200mmシリコンウェハーにHMDSを120℃で30秒間下塗りし、それぞれのポリマー溶液でコーティングし、80℃で60秒間ソフトベークした。得られたポリマーフィルムの厚さを、Thermawave Optiprobe測定ツールで測定した。ポリマーフィルムをMF CD-26(0.26N TMAH)(DuPont)現像剤で60秒間現像し、ポリマーフィルムの厚さを再測定した。ポリマーフィルムの溶解速度(DR)を、(現像前の厚さ-現像後の厚さ)/現像時間として計算した。ポリマーフィルムが現像後にウェハーから完全に除去された場合、複製ウェハーの溶解速度は、TMAH現像剤を使用して、470nmの調査波長(interrogation wavelength)でLithoTech Japan ARM 800溶解速度モニターで測定した。
【0075】
【0076】
コーティング欠陥評価
ポリマー溶液は、表3に記載されている量でポリマーを溶媒に溶解することによって作成した。ポリマー溶液を、それぞれの200mmSiウェハーに1500rpmでスピンコーティングした。コーティングされたウェハーを80℃で60秒間ベークした。次いで、ウェハーをKLA-Tencor 2800/Surfscan SP2ウェハー表面検査システムで検査した。このシステムは、45nmより大きいサイズの欠陥を測定した。試験されたそれぞれのパターントリミング組成物において2つのウェハーを連続して実行し、試験されたそれぞれの組成物について2つの測定された欠陥値の低い方を表3に示した。
【0077】
【0078】
酸合成
下記の通り以下の酸をパターントリミング組成物の作成に使用した。酸A1及びA3は市販で入手し、酸A2は以下の手順に従って合成した。
【化19】
【0079】
実施例31(酸A2)
23.6gの3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルクロリドを12.5gの水に溶解し、24時間還流した。冷却後、反応混合物を蒸発させ、真空下で乾燥させて、生成した酸A2の白色固体(19g、収率85.5%)を得た。[1H NMR((CD3)2CO,600MHz):δ8.15(s,1H),8.34(s,2H),10.81(bs,1H).13C NMR((CD3)2CO,600MHz):δ123.94,124.22,126.56,131.51,146.79.19FNMR((CD3)2CO,600MHz):δ-63.51].
【0080】
パターントリミング組成物の調製
フォトレジストパターントリミング組成物(PTC)は、表4に示す材料と量を使用して固体成分を溶媒に溶解することにより調製した。得られた混合物は、14~30gの規模で作製され、機械振とう機で3~24時間振とうし、次いで0.2ミクロンの孔径を有するPTFEディスク形フィルターを通して濾過した。
【表4】
【0081】
フォトレジストパターントリミング組成物評価
パターントリム評価
TEL Clean Track Act 8コーティングツールにおいて200mmシリコンウェハーをAR(商標)3-600有機底面反射防止コーティング(BARC)材料(DuPont)でコーティングし、205℃で60秒間硬化し600Åの厚さにした。このコーティングツールにおいてUV(商標)217G-0.25ポリヒドロキシスチレン系ポジ型フォトレジスト(DuPont)をBARC層に渡りコーティングし、ウェハーを130℃で60秒間ソフトベークし目標の厚さ3550Åにした。コーティングされたウェハーを、NA=0.68のCanon FPA-5000 ES4 DUVスキャナー、140nmの高密度の(1:1ライン-スペース)溝パターンのバイナリーレチクル(binary reticle)を使用した従来の照明(Sigma、0.75)においてKrF(248nm)放射線に曝した。ウェハーを125℃で60秒間後露光ベークし、0.26N TMAH水溶液で45秒間現像し、蒸留水で濯ぎ、TEL Clean Track Act 8コーティングツールにおいてスピンドライした。レジストパターンのCD測定は、Hitachi High Technologies Co.CG4000 CD-SEMを使用して行い、初期のCD値を得た。次に、ウェハーをそれぞれのパターントリミング組成物の400Åでコーティングし、表5に記載された温度で60秒間ベークし、0.26N TMAH水溶液で30秒間濯ぎ、蒸留水で濯ぎ、TEL Clean Track Act8コーティングツールにおいてスピンドライした。次いで、処理されたウェハーのレジストパターンのCD測定を行い、最終的なCD値を得た。処理されたパターンのCDの変化(ΔCD)は、以下の方程式に従って計算した。
ΔCD=CDf-CDi
式中、CDfは、パターントリミング処理後の平均CD測定値であり、CDiは、パターントリミング処理前の平均CD測定値である。結果を表5に示す。
【0082】
【0083】
パターン崩壊マージン(PCM)評価
TEL Clean Track Act 8コーティングツールにおいて200mmシリコンウェハーをAR(商標)3有機底面反射防止コーティング(BARC)材料(DuPont)でコーティングし、205℃で60秒間硬化し600Åの厚さにした。TEL Clean Track Act 8コーティングツールにおいてUV(商標)217G-0.25ポリヒドロキシスチレン系ポジ型フォトレジスト(DuPont)をBARC層に渡りコーティングし、ウェハーを130℃で60秒間ソフトベークし目標の厚さ3550Åにした。コーティングされたウェハーを、NA=0.68のCanon FPA-5000 ES4 DUVスキャナー、140nmの高密度の溝(1:1ライン-スペース)パターンのバイナリーレチクルを使用した従来の照明(Sigma、0.75)において466から626J/m2の様々な線量のKrF(248nm)放射線に曝した。ウェハーを125℃で60秒間後露光ベークし、0.26N TMAH水溶液で45秒間現像し、蒸留水で濯ぎ、TEL Clean Track Act 8コーティングツールにおいてスピンドライした。次に、ウェハーをそれぞれのパターントリミング組成物の400Åでコーティングし、表6に記載されている温度で60秒間ベークし、0.26N TMAH水溶液で30秒間濯ぎ、蒸留水で濯ぎ、TEL Clean Track Act 8コーター/現像剤においてスピンドライした。次いで、処理されたウェハーのレジストパターンのCDを上記のように測定した。パターン崩壊の発生について、パターンのSEM画像を観察した。最も大きい非崩壊の溝(PCM)のCDが表6に報告され、PCM値が大きいほど、パターン崩壊マージンの性能が優れていることを示している。
【0084】