(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138998
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】DNA抗体構築物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230926BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230926BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230926BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230926BHJP
A61K 39/395 20060101ALN20230926BHJP
A61K 47/68 20170101ALN20230926BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
A61P31/14
A61K48/00
A61K39/395 S
A61K39/395 D
A61K39/395 Y
A61K47/68
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023108341
(22)【出願日】2023-06-30
(62)【分割の表示】P 2021108614の分割
【原出願日】2014-12-13
(31)【優先権主張番号】PCT/US2013/075137
(32)【優先日】2013-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】500429103
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア
(71)【出願人】
【識別番号】509320254
【氏名又は名称】イノビオ ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ビー.ウェイナー
(72)【発明者】
【氏名】カルッピアー ムスマニ
(72)【発明者】
【氏名】セリーケ フリンガイ
(72)【発明者】
【氏名】ニランジャン ワイ.サーデサイ
(57)【要約】
【課題】合成抗体またはその断片をインビボ生成する組み換え核酸配列を含む組成物、及び前記組成物を投与することによる対象内の疾患の予防及び/または治療方法を提供すること。
【解決手段】本明細書では、抗体をコードする組み換え核酸配列を含む組成物が開示される。本明細書では、組成物を対象に投与することによる対象内での合成抗体の生成方法も開示される。本開示は、前記組成物及び生成方法を用いて対象内の疾患の予防方法及び/または治療方法も提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号44に記載される核酸配列と;
(b)配列番号67に記載される核酸配列と;
(c)配列番号69に記載される核酸配列と;
(d)配列番号71に記載される核酸配列と;
(e)配列番号73に記載される核酸配列と;
(f)配列番号75に記載される核酸配列と;
(g)配列番号77に記載される核酸配列と;
(h)配列番号58に記載される核酸配列と;
(i)配列番号60に記載される核酸配列と;
(j)配列番号65に記載される核酸配列と
からなる群から選択される核酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有する前記核酸配列を含む合成抗体をコードする核酸分子。
【請求項2】
前記核酸配列が、
(a)配列番号44に記載される前記核酸配列と;
(b)配列番号67に記載される前記核酸配列と;
(c)配列番号69に記載される前記核酸配列と;
(d)配列番号71に記載される前記核酸配列と;
(e)配列番号73に記載される前記核酸配列と;
(f)配列番号75に記載される前記核酸配列と;
(g)配列番号77に記載される前記核酸配列と;
(h)配列番号58に記載される前記核酸配列と;
(i)配列番号60に記載される前記核酸配列と;
(j)配列番号65に記載される前記核酸配列と
からなる群から選択される、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項3】
(a)配列番号45に記載されるアミノ酸配列と;
(b)配列番号68に記載されるアミノ酸配列と;
(c)配列番号70に記載されるアミノ酸配列と;
(d)配列番号72に記載されるアミノ酸配列と;
(e)配列番号74に記載されるアミノ酸配列と;
(f)配列番号76に記載されるアミノ酸配列と;
(g)配列番号78に記載されるアミノ酸配列と;
(h)配列番号59に記載されるアミノ酸配列と;
(i)配列番号61に記載されるアミノ酸配列と;
(j)配列番号66に記載されるアミノ酸配列と
からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有する前記アミノ酸配列を含む合成抗体をコードする核酸分子。
【請求項4】
前記核酸が、
(a)配列番号45に記載される前記アミノ酸配列と;
(b)配列番号68に記載される前記アミノ酸配列と;
(c)配列番号70に記載される前記アミノ酸配列と;
(d)配列番号72に記載される前記アミノ酸配列と;
(e)配列番号74に記載される前記アミノ酸配列と;
(f)配列番号76に記載される前記アミノ酸配列と;
(g)配列番号78に記載される前記アミノ酸配列と;
(h)配列番号59に記載される前記アミノ酸配列と;
(i)配列番号61に記載される前記アミノ酸配列と;
(j)配列番号66に記載される前記アミノ酸配列と
からなる群から選択される前記アミノ酸配列を有するタンパク質をコードする、請求項3に記載の核酸分子。
【請求項5】
前記核酸配列が、軽鎖ポリペプチド、重鎖ポリペプチド、軽鎖ポリペプチド及び重鎖ポリペプチドの両方、またはその断片をコードする、請求項1~4のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項6】
前記核酸配列が軽鎖ポリペプチド及び重鎖ポリペプチドをコードする場合、前記核酸配列が、プロテアーゼ切断部位もコードする、請求項5に記載の核酸分子。
【請求項7】
前記プロテアーゼ切断部位が、前記軽鎖ポリペプチドと前記重鎖ポリペプチドとの間に位置し、前記プロテアーゼ切断部位が、フリン切断部位及び2Aペプチド配列を含む、請求項6に記載の核酸分子。
【請求項8】
前記核酸分子が、免疫グロブリン(Ig)シグナルペプチドをさらにコードする、請求項1~4のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項9】
前記Igシグナルペプチドが、IgEシグナルペプチドを含む、請求項8に記載の核酸分子。
【請求項10】
前記核酸分子が、発現ベクターを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項11】
請求項1~4のいずれか1項に記載の核酸分子を含む組成物。
【請求項12】
薬学的に許容しうる賦形剤をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1~4のいずれか1項に記載の核酸分子をそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象における疾患の予防方法。
【請求項14】
前記疾患が、チクングニヤウイルス(CHIKV)またはデングウイルス(DENV)による感染である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記疾患がCHIKVによる感染である場合、前記核酸配列が、
(a)配列番号58に記載される前記核酸配列と;
(b)配列番号60に記載される前記核酸配列と;
(c)配列番号65に記載される前記核酸配列と
からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記疾患がDENVによる感染である場合、前記核酸配列が、
(a)配列番号44に記載される前記核酸配列と;
(b)配列番号67に記載される前記核酸配列と;
(c)配列番号69に記載される前記核酸配列と;
(d)配列番号71に記載される前記核酸配列と;
(e)配列番号73に記載される前記核酸配列と;
(f)配列番号75に記載される前記核酸配列と;
(g)配列番号77に記載される前記核酸配列と
からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記疾患がCHIKVによる感染である場合、前記アミノ酸配列が、
(a)配列番号59に記載される前記アミノ酸配列と;
(b)配列番号61に記載される前記アミノ酸配列と;
(c)配列番号66に記載される前記アミノ酸配列と
からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記疾患がDENVによる感染である場合、前記アミノ酸配列が、
(a)配列番号45に記載される前記アミノ酸配列と;
(b)配列番号68に記載される前記アミノ酸配列と;
(c)配列番号70に記載される前記アミノ酸配列と;
(d)配列番号72に記載される前記アミノ酸配列と;
(e)配列番号74に記載される前記アミノ酸配列と;
(f)配列番号76に記載される前記アミノ酸配列と;
(g)配列番号78に記載される前記アミノ酸配列と
からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
投与することが、電気穿孔及び注射の少なくとも1つを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
請求項1~4のいずれか1項に記載の核酸分子をそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象における疾患の治療方法。
【請求項21】
前記疾患が、チクングニヤウイルス(CHIKV)またはデングウイルス(DENV)による感染である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記疾患がCHIKVによる感染である場合、前記核酸配列が、
(a)配列番号58に記載される前記核酸配列と;
(b)配列番号60に記載される前記核酸配列と;
(c)配列番号65に記載される前記核酸配列と
からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記疾患がDENVによる感染である場合、前記核酸配列が、
(a)配列番号44に記載される前記核酸配列と;
(b)配列番号67に記載される前記核酸配列と;
(c)配列番号69に記載される前記核酸配列と;
(d)配列番号71に記載される前記核酸配列と;
(e)配列番号73に記載される前記核酸配列と;
(f)配列番号75に記載される前記核酸配列と;
(g)配列番号77に記載される前記核酸配列と
からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記疾患がCHIKVによる感染である場合、前記アミノ酸配列が、
(a)配列番号59に記載される前記アミノ酸配列と;
(b)配列番号61に記載される前記アミノ酸配列と;
(c)配列番号66に記載される前記アミノ酸配列と
からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記疾患がDENVによる感染である場合、前記アミノ酸配列が、
(a)配列番号45に記載される前記アミノ酸配列と;
(b)配列番号68に記載される前記アミノ酸配列と;
(c)配列番号70に記載される前記アミノ酸配列と;
(d)配列番号72に記載される前記アミノ酸配列と;
(e)配列番号74に記載される前記アミノ酸配列と;
(f)配列番号76に記載される前記アミノ酸配列と;
(g)配列番号78に記載される前記アミノ酸配列と
からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
投与することが、電気穿孔及び注射の少なくとも1つを含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成抗体またはその断片をインビボ生成する組み換え核酸配列を含む組成物、及び前記組成物を投与することによる対象内の疾患の予防及び/または治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、2013年12月13日出願の国際出願番号PCT/US2013/075137に対する優先権を主張するものであり、この出願は、参照することでその全体が本明細書に組み入れられる。
【0003】
免疫グロブリン分子は、システイン残基間のジスルフィド結合(S-Sとして示す)によって共有結合された軽(L)鎖及び重(H)鎖を2つずつ含む。重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変ドメインは、抗体分子の結合部位に寄与する。重鎖定常領域は、3つの定常ドメイン(CH1、CH2、及びCH3)と、(柔軟な)ヒンジ領域とからなる。軽鎖も、定常ドメイン(CL)を有する。重鎖及び軽鎖の可変領域は、4つのフレームワーク領域(FR;FR1、FR2、FR3、及びFR4)と、3つの相補性決定領域(CDR:CDR1、CDR2、及びCDR3)とを含む。従って、これらは非常に複雑な遺伝系であり、インビボ組み立てが困難となっている。
【0004】
標的モノクローナル抗体(mAb)は、過去25年間で最も重要な医療用治療の進歩の1つである。この種の免疫療法は今や、多数の自己免疫疾患、癌及び感染の治療に対して日常的に用いられている。悪性腫瘍に対して、現在用いられている免疫グロブリン(Ig)療法の多くは、腫瘍に向けた細胞毒性化学療法レジメンを併用する。この併用法により全体的な生存率が著しく改善されている。特定の癌に対して用いるmAb製剤が多数認可されており、例えば、非ホジキンリンパ腫治療のためのCD20を標的とするキメラmAbであるリツキサン(リツキシマブ)、ならびにCTLA-4を阻害し、黒色腫及び他の悪性腫瘍の治療に用いられているヒトmAbであるイピリムマブ(エルボイ)が挙げられる。さらに、ベバシズマブ(アバスチン)は、VEGF及び腫瘍新血管形成を標的とし、大腸癌の治療に用いられているもう一つの代表的なヒト化mAbである。悪性腫瘍の治療に最も注目されているmAbは、恐らくHer2/neuを標的とするヒト化製剤であるトラスツズマブ(ハーセプチン)であり、患者の一部の乳癌に対して大きな有効性を持つことが実証されている。さらに、多数のmAbが、自己免疫及び特定の血液疾患の治療に用いられている。
【0005】
癌治療に加えて、ジフテリア、A型及びB型肝炎、狂犬病、破傷風、水痘、及び呼吸器合胞体ウイルス(RSV)などの多くの感染に対する防御効力をポリクローナルIgの受動伝達により調節する。実際、いくつかのポリクローナルIg製剤は、積極的なワクチン接種を介して防御Igを生成するのに十分な時間がない状況下の疾患流行地を旅行している個人において特定の感染性因子に対する一時的な防御をもたらす。さらに、免疫不全の子供において、RSV感染を標的とするmAbであるパリビズマブ(シナジス)は、RSVに対して防御することが臨床的に実証されている。
【0006】
抗体ベースの治療はリスクがないわけではない。1つのかかるリスクは、抗体依存性感染増強(ADE)であり、非中和性抗ウイルスタンパク質が宿主細胞へのウイルス侵入をしやすくする場合に起こり、細胞の感染性の増加につながる。いくつかの細胞は、ウイルスが侵入するのに用いる表面上に通常の受容体を有していない。抗ウイルスタンパク質(すなわち、抗体)は、細胞膜内で、これらの細胞のいくつかが有する抗体Fc受容体に結合する。ウイルスは、抗体の他方の末端で抗原結合部位に結合する。このウイルスは、このメカニズムを使用して、ヒトマクロファージに感染することができ、通常は軽症のウイルス感染を引き起こし、生命に関わるようになる。ADEの最も広く知られている例は、デングウイルス(DENV)による感染の状況で発生する。それは、ある血清型のDENVに以前感染したことがある人が、何カ月または何年も経ってから異なる血清型に感染する場合に観察される。かかる場合では、疾患の臨床経過はより深刻になり、これらの人は、ADEが起こっていない人と比べてより高いウイルス血症を有する。これは、一次(最初の)感染は、子供においてほどんどが軽症の疾患(DF)を引き起こすが、二次感染(後日での再感染)は、子供及び成人の双方において深刻な疾患(DHF及び/またはDSS)と関連付けられやすくなるという観察を説明している。4つの抗原性の異なる血清型のDENV(DENV-1~DENV-4)が存在する。DENVによる感染は、感染している血清型に対して終生免疫をもたらす中和同型免疫グロブリンG(IgG)抗体の産生を誘発する。DENVによる感染は、他の3つの血清型に対してある程度の交差防御免疫ももたらす。中和異型抗体の誘発に加えて、DENVによる感染は、ウイルスを部分的にのみまたは全く中和しない異型抗体も誘発することができる。かかる交差反応性であるが非中和な抗体の産生が、より深刻な二次感染の理由かもしれない。いったん白血球内部へ入ると、ウイルスは検出されないまま複製し、最終的に、深刻な疾患を引き起こす非常に高いウイルス力価を生成する。
【0007】
mAb療法の臨床効力は素晴らしいものがある。しかしながら、この治療アプローチの使用及び普及を制限する問題が残っている。これらの問題のいくつかには、これらの複雑な生物製剤の製造コストが高いことが挙げられ、より広範な人口、とりわけ、大きな影響をもたらし得る発展途上国における使用を限定してしまう。さらに、有効性を達成し維持するためにmAbを反復投与する必要性がしばしばあることもロジスティクス及び患者のコンプライアンスという点で障害になり得る。血清IgGとの競合により治療抗体の低いインビボ有効性を減少させるかまたは除去する新規の抗体が必要とされている。デング、HIV、RSV、及び他のものなどのウイルスにおける抗体依存性感染増強を除去することができる新規の抗体が必要とされている。二重特異性抗体、二官能性抗体、及び抗体カクテルは、治療的または予防的であることを証明することが可能ないくつかの機能を行うために必要である。また、これらの抗体製剤の長期安定性は短いことが多く最適ではない。したがって、当該技術分野では、安全かつコスト効率のよい方法で対象に送達することができる合成抗体分子が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、(a)配列番号44に記載される核酸配列と;(b)配列番号67に記載される核酸配列と;(c)配列番号69に記載される核酸配列と;(d)配列番号71に記載される核酸配列と;(e)配列番号73に記載される核酸配列と;(f)配列番号75に記載される核酸配列と;(g)配列番号77に記載される核酸配列と;(h)配列番号58に記載される核酸配列と;(i)配列番号60に記載される核酸配列と;(j)配列番号65に記載される核酸配列とからなる群から選択される核酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有する核酸配列を含む合成抗体をコードする核酸分子に関する。本発明はさらに、上記の核酸分子をそれを必要とする対象に投与することを含む、対象における疾患の予防方法に関する。本発明はさらに、上記の核酸分子をそれを必要とする対象に投与することを含む、対象における疾患の治療方法に関する。
【0009】
本発明は、(a)配列番号45に記載されるアミノ酸配列と;(b)配列番号68に記載されるアミノ酸配列と;(c)配列番号70に記載されるアミノ酸配列と;(d)配列番号72に記載されるアミノ酸配列と;(e)配列番号74に記載されるアミノ酸配列と;(f)配列番号76に記載されるアミノ酸配列と;(g)配列番号78に記載されるアミノ酸配列と;(h)配列番号59に記載されるアミノ酸配列と;(i)配列番号61に記載されるアミノ酸配列と;(j)配列番号66に記載されるアミノ酸配列とからなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有するタンパク質をコードする核酸配列を含む合成抗体をコードする核酸分子にも関する。本発明は、上記の核酸分子を含む組成物にも関する。本発明はさらに、上記の核酸分子をそれを必要とする対象に投与することを含む、対象における疾患の予防方法に関する。本発明はさらに、上記の核酸分子をそれを必要とする対象に投与することを含む、対象における疾患の治療方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1に記載のIgG重鎖をコードする核酸配列を示す。
【
図2】実施例1に記載のIgG軽鎖をコードする核酸配列を示す。
【
図3】時間(時)対OD450nm(組織培養上清を1:100に希釈)をプロットしたグラフを示す。
【
図5】pHIV-1Env-Fabの生成及び発現確認を示す。(A及びB)pHIV-1 Env Fab抗gp120Fab発現構築物の環状プラスミドマップは、VRC01重(H)及び軽(L)可変鎖Ig遺伝子を用いて設計した。発現レベルを増すためにFabプラスミドを構築する際にいくつかの修飾を含んだ。
図5に示すように、Fab VL断片遺伝子及びVH断片遺伝子は、pVax1ベクターのBamH1及びXho1制限部位間で別々にクローニングした。(C)pHIV-1 Env Fabのインビトロ発現。グラフは、293T細胞トランスフェクション後のpHIV-1 Env Fab発現の時間的動態を示した。発現を示す値は、3列ウェルの平均値OD450nm±標準偏差である。対照として、293T細胞もpVax1バックボーンでトランスフェクトした。
【
図6】pHIV-1 Env Fabによる抗HIV Env特異的Fabの時間的生成の測定を示す。(A)抗HIV1 Fabの経時的生成。pHIV-1 Env Fabの投与後、ELISA法によって1:100に最終希釈した血清中で特異的Fabの産生を10日間にわたって測定し、OD450nmとして示した。pVax1投与されたマウスの血清を陰性対照として用いた。(B)組み換えgp120(rgp120)で免疫化した後の抗gp120抗体反応の比較測定。実施例2に記載のように、rgp120を単回注射してマウスを免疫化した後、10日目までの抗gp120抗体の産生を測定し、OD450nm値として示した。この研究において、PBSを陰性対照注射として用いた。(C)免疫ブロット分析によって結合しているHIV1Env-Fabの確認。実施例に記載のように、5μgまたは10μgいずれかのgp120をSDS-PAGE及びニトロセルロースブロッティングに供したした後、pHIV-1 Env Fab投与されたマウスの血清とともにブロットを培養した。実験用血清が結合rgp120を認識したことが免疫ブロットにより示され、生成されたFabの特異性が確認された。(D)ヒトIgG1Fabの時間的定量化。pHIV-1Env-Fabを投与後、マウス血清中のIgG1を測定した。標準ELISAキットにより、示された時点でIgG1を測定し、Fab(μg/mL)±標準偏差で表わした。pVax1投与されたマウスの血清を陰性対照として用いた。x軸上に示された時点で血清サンプルを分析した。
図6(A)、(B)、及び(D)に示すグラフの矢印は、DNAプラスミドを投与した時点を示す。
【
図7】HIV1 Env FabのクレードA HIV Env糖タンパク質へのFACS結合分析を示す。(A)抗HIV1Env-FabのHIV-1クレードA Env糖タンパク質への結合を示すFACSスキャニング。コンセンサス(pCon-Env-A)または「最適化」(pOpt-Env-A)HIV-1クレードAエンベロープのいずれかを発現するDNAを293T細胞にトランスフェクトした。トランスフェクション2日後、精製された天然VRC01 Ig、pHIV-1 Env Fab(プラスミド単回投与後48時間で回収)から生成された血清、またはpIgG-E1M2投与から生成された対照Igのいずれかで細胞を染色した。血清及びVRC01抗体をPBS50μl中でそれぞれ1:4または1:100に希釈し、室温で30分間培養した。その後、適切な二次フィコエリトリン(PE)に複合体化させたIgで細胞を染色し、FACS分析用に単一及び生細胞としてゲートした。陽性細胞の結合率をスキャニングごとに示した。(B)FACS結合データのグラフ図。Ig/血清試験群ごとに染色した細胞数(すなわち、発現レベルを示す)をバックグラウンド染色値で割り、試験した異なるHIVクレードA Env製剤の関数としてy軸上に特異結合率(%)として示した。
【
図8】pHIV-1Env-Fab投与されたマウスの血清によるHIV-1の経時中和を示す。中和活性の分析に用いた血清は、グラフに示された時点で回収した。中和分析をHIV-1偽型ウイルス:Bal26(パネルA;クレードB、Tier1)、Q23Env17(パネルB;クレードA、Tier1)、SF162S(パネルC;クレードB、Tier1)、及びZM53M(パネルD;クレードC、Tier2)のパネルを用いてTZM-BL細胞で行った。実施例2に記載した通り、0.01のMOIで細胞を感染させ、pHIV-1 Env Fab投与から生成されたFabを含む血清(最終希釈1:50)の存在下で培養した。中和値を%で示す。この計算は実施例2に記載した。なお、グラフごとに示した横線は、実験用血清が50%のウイルス中和を介在したおおよその時点を示す。
【
図9】実施例2~7に記載のHIV-1 Env Fabの重鎖(VH-CH1)をコードする核酸配列を示す。
【
図10】実施例2~7に記載のHIV-1 Env Fabの軽鎖(VL-CL)をコードする核酸配列を示す。
【
図11】HIV Envをコードするプラスミドでトランスフェクトした細胞の免疫蛍光を示す。pVAX1(左パネル)またはpHIV-Env-Fab(右パネル)からの製剤で細胞を染色した。
【
図12】抗原の種類対血清濃度(ng/mL)をプロットしたグラフを示す。
【
図13】合成ヒトIgG1抗体をコードする構築物を模式的に示す。
【
図14】
図13の構築物によってコードされる組み立て抗体(発現時)を模式的に示す。
【
図15】VRC01 IgGのアミノ酸配列を示す。
【
図16A】(A)HIV-1 Env-PG9 Igをコードする構築物の模式図を示す。
【
図16B】(B)(A)の構築物を含むベクターの模式図を示す。
【
図17A】(A)HIV-1 Env-4E10 Igをコードする構築物の模式図を示す。
【
図17B】(B)(A)の構築物を含むベクターの模式図を示す。
【
図18】フリンによる切断前のHIV-1 Env-PG9 Igのアミノ酸配列を示す。
【
図19】フリンによる切断前のHIV-1 Env-4E10 Igのアミノ酸配列を示す。
【
図20A】(A)CHIKV-Env-Fabの重(VH-CH1)鎖をコードする構築物の模式図を示す。
【
図20B】(B)CHIKV-Env-Fabの重(VL-CL)鎖をコードする構築物を模式的に示す。
【
図21】CHIKV-Env-Fabの重(VH-CH1)または軽(VL-CL)鎖をコードする構築物を含む発現ベクターを模式的に示す。
【
図22】時単位の時間(hr)対OD450nmをプロットしたグラフを示す。
【
図24】DNA投与のタイミング、事前採血及び採血を模式的に示す。
【
図25】日単位の時間対OD450nmをプロットしたグラフを示す。
【
図26】暴露後の日数対生存率(%)をプロットしたグラフを示す。
【
図27】マウス群対TNF-αのpg/mLをプロットしたグラフを示す。
【
図28】マウス群対IL-6のpg/mLをプロットしたグラフを示す。
【
図29】VH-CH1をコードするプロモーター制御下の構築物を模式的に示す。
【
図30】VL-CLをコードするプロモーター制御下の構築物を模式的に示す。
【
図31】発現ベクター内でクローニングした抗Her-2 FabのVH-CH1またはVL-CLをコードする構築物を模式的に示す。
【
図32】抗Her-2 FabのVH-CH1をコードする核酸配列を示す。
【
図33】
図32の核酸配列によってコードされるアミノ酸配列(すなわち、抗Her-2 FabのVH-CH1のアミノ酸配列)を示す。
【
図34】抗Her-2 FabのVL-CLをコードする核酸配列を示す。
【
図35】
図34の核酸配列によってコードされるアミノ酸配列(すなわち、抗Her-2 FabのVL-CLのアミノ酸配列)を示す。
【
図36】トランスフェクト細胞の種類対IgG濃度(μg/mL)をプロットしたグラフを示す。
【
図37】免疫グロブリンG(IgG)重鎖の可変重領域(VH)、可変重定常領域1(CH1)、ヒンジ領域、可変重定常領域2(CH2)、及び可変重定常3(CH3)をコードし、かつ、IgG軽鎖の可変軽領域(VL)及び可変軽定常領域(CL)をコードする構築物を模式的に示す。IgGの重鎖及び軽鎖は、プロテアーゼ切断部位によって分離され、各々は、(リーダー配列によってコードされる)シグナルペプチドによって先行される。
【
図38】抗デングウイルス(DENV)ヒトIgGをコードする核酸配列を示す。
【
図39】
図39の核酸配列によってコードされるアミノ酸配列(すなわち、抗DENVヒトIgGのアミノ酸配列)を示す。このアミノ酸配列では、重鎖及び軽鎖を2つの別々のポリペプチドに分離させるプロテアーゼ切断がまだ起こっていない。
【
図40】マウス群対OD450nmをプロットしたグラフを示す。
【
図41】注射後の日数対ヒトIgG濃度(ng/mL)をプロットしたグラフを示す。
【
図42】
図1の核酸配列(すなわち、配列番号6)によってコードされるアミノ酸配列を示す。このアミノ酸配列は、以下の実施例1に記載のIgG重鎖のアミノ酸配列である。
【
図43】
図2の核酸配列に(すなわち、配列番号7)よってコードされるアミノ酸配列を示す。このアミノ酸配列は、以下の実施例1に記載のIgG軽鎖のアミノ酸配列である。
【
図44】
図9の核酸配列(すなわち、配列番号3)によってコードされるアミノ酸配列を示す。このアミノ酸配列は、実施例2~7に記載のHIV-1 Env-Fabの重鎖(VH-CH1)のアミノ酸配列である。
【
図45】
図10の核酸配列(すなわち、配列番号4)によってコードされるアミノ酸配列を示す。このアミノ酸配列は、実施例2~7に記載のHIV-1 Env-Fabの軽鎖(VL-CL)のアミノ酸配列である。
【
図46】以下の実施例11に記載のHIV-1 PG9一本鎖Fab(scFab)をコードする核酸配列を示す。
【
図47】
図46の核酸配列(すなわち、配列番号50)によってコードされるアミノ酸配列を示す。このアミノ酸配列は、以下の実施例11に記載のHIV-1 PG9 scFabのアミノ酸配列である。
【
図48】以下の実施例13に記載のHIV-1 4E10一本鎖Fab(scFab)をコードする核酸配列を示す。
【
図49】
図48の核酸配列(すなわち、配列番号52)によってコードされるアミノ酸配列を示す。このアミノ酸配列は、以下の実施例13に記載のHIV-1 4E10 scFabのアミノ酸配列である。
【
図50】免疫グロブリンG(IgG)重鎖の可変重領域(VH)、可変重定常領域1(CH1)、ヒンジ領域、可変重定常領域2(CH2)、及び可変重定常3(CH3)をコードする構築物を模式的に示す。IgG重鎖をコードする核酸配列は、リーダー配列によって先行される。
【
図51】IgG軽鎖の可変軽領域(VL)及び可変軽定常領域(CL)をコードする構築物を模式的に示す。IgG軽鎖をコードする核酸配列は、リーダー配列によって先行される。
【
図52】以下の実施例9に記載のHIV-1 VRC01 IgG1重鎖をコードする核酸配列を示す。
【
図53】
図52の核酸配列(すなわち、配列番号54)によってコードされるアミノ酸配列を示す。このアミノ酸配列は、以下の実施例9に記載のHIV-1 VRC01 IgG1重鎖のアミノ酸配列である。
【
図54】以下の実施例9に記載のHIV-1 VRC01 IgG軽鎖をコードする核酸配列を示す。
【
図55】
図54の核酸配列(すなわち、配列番号56)によってコードされるアミノ酸配列を示す。このアミノ酸配列は、以下の実施例9に記載のHIV-1 VRC01 IgG軽鎖のアミノ酸配列である。
【
図56】以下の実施例14に記載のCHIKV-Env-Fabの重鎖(VH-CH1)をコードする核酸配列を示す。
【
図57】
図56の核酸配列(すなわち、配列番号58)によってコードされるアミノ酸配列を示す。このアミノ酸配列は、以下の実施例14に記載のCHIKV-Env-Fabの重鎖(VH-CH1)のアミノ酸配列である。
【
図58】以下の実施例14に記載のCHIKV-Env-Fabの軽鎖(VL-CL)をコードする核酸配列を示す。
【
図59】
図58の核酸配列(すなわち、配列番号60)によってコードされるアミノ酸配列を示す。このアミノ酸配列は、以下の実施例14に記載のCHIKV-Env-Fabの軽鎖(VL-CL)のアミノ酸配列である。
【
図60】以下の実施例12に記載のHIV-1 Env-4E10 Igをコードする核酸配列を示す。
【
図61】以下の実施例10に記載のHIV-1 Env-PG9 Igをコードする核酸配列を示す。
【
図62】VRC01 IgG(配列番号64)をコードする核酸配列を示す。
【
図63A】抗体発現プラスミドの概略設計、及びCHIKV-Fab発現プラスミドの単回EP媒介注射後の抗体の発現及び結合速度の確認を示す。(A)選択された抗CHIKVヒトモノクローナルの可変軽鎖及び重鎖(VL及びVH)IgG断片遺伝子を、CHIKV-Fab及びCHIKV-IgGについて別々に、最適化DNAプラスミドベクターにクローニングした。(B)抗CHIKV VL及びVH-Fab遺伝子またはCHIKV-IgGをコードするDNAプラスミドを、ELISA法によってそれぞれのインビトロ発現を決定するために、293T細胞に一緒にトランスフェクトした。空の対照であるpVax1プラスミドでトランスフェクトした細胞は、陰性対照として機能した。(C)EP介在送達後の抗CHIKV-IgG抗体のインビボ発現。マウス(B6.Cg-Foxn1
nu/J)にCHIKV-IgGプラスミド(合計で100μg)を単回筋肉内注射で投与した後、EPを行った(1群当たりn=5マウス)。空のpVax1ベクターの注射は、陰性対照として用いた。
【
図63B】(D)CHIKV-Env抗原への特異的結合は、CHIKV-IgG及び組み換えCHIKV-Envで免疫化されたマウス由来の血清を回収したELISAアッセイにより測定し、異なる時点で個々のマウスのOD450nm値として表した。(E)ヒトIgG濃度の血清レベルは、実施例17に記載のように、CHIKV-IgGを筋肉内に注射したマウスにおいて種々の時点で測定した。(F)抗体結合親和性及び特異性の評価。タンパク質を標的にするためのCHIKV-IgGを注射したマウス(14日目)由来の血清の結合親和性機能性は、以下の実施例に記載のように、CHIKV感染細胞由来の細胞溶解物を用いてウエスタンブロットによって試験した。
【
図64】CHIKV-IgG発現プラスミドの単回電気穿孔媒介注射後のIgGの発現及び結合速度を示す。(A)CHIKV-Fabを投与されたマウス由来の血清は、CHIKV-Env抗原に特異的であった。ELISAプレートを組み換えCHIKV-EnvまたはHIV-1 Env(亜型B;MN)タンパク質で被覆し、CHIKV-IgGまたはpVax1を注射したマウス由来の血清は、最初の注射後に示したように得られた。CHIKV-Env抗原への特異的結合は、血清を回収したELISAアッセイにより測定し、異なる時点で個々のマウスのOD450nm値として表した。(B)CHIKV-Fabを投与されたマウスから生成されたCHIKV-Fabが、CHIKV-Env糖タンパク質に結合できたことが、免疫蛍光検査法(IFA)結果により実証された。CHIKV感染ベロ細胞を感染後24時間で固定し、次いで免疫蛍光検査法でCHIKV-Env抗原発現を検出した。細胞核をDAPIで染色した。適量のCHIKV-Envタンパク質発現が、CHIKV-Fab抗体をもつベロ細胞中で観察された。pVax1免疫化マウス血清を陰性対照をとして用いた。(C)プラスミドを注射したマウス由来の血清の、CHIKV感染細胞への結合のFACS分析。x軸は、CHIKV-Envで補完したレンチウイルスGFP偽ウイルスを用いてGFP染色を示した。y軸は、マウス中で産生された試験ヒトIgGの染色を示した。二重陽性細胞は、CHIKV感染細胞への血清結合の示唆/測定であった。
【
図65】CHIKV-IgG+EPを注射したマウス由来の血清が、多数のCHIKV株に対して中和活性を呈したことを示す。(A~F)6つの異なるCHIKVウイルス株:Ross、LR2006-OPY1、IND-63-WB1、PC-08、B448-China、及びBianchiに対して測定した、CHIKV-IgGをEPで投与したマウス由来の血清の中和活性を示す。中和抗体(nAb)力価は、ベロ細胞中でCPEの少なくとも50%阻害をもたらした血清の最大希釈としてプロットした。各実験において1群当たり少なくとも10匹のマウスである2つの独立した実験において、同様の結果が観察された。IC-50値は、Prism GraphPadソフトウェアで行った。
【
図66A】抗CHIKV-Env IgG及び血清の耐久性、及びCHIKV-Fabで免疫化した後の粘膜IgG応答、並びにIgG発現及び暴露試験を示す。(A)IgGプラスミド免疫化及びCHIKV暴露の概略図。(B~C)BALB/cマウスに、0日目にpVax1、CHIKV-IgG、またはCHIKV-Fabを注射し、2日目(B)または30日目(C)にCHIKV-Del-03(JN578247)CHIKV株(25ulの全容量中1×10
7PFU)で暴露した。マウスを毎日監視し、生存率は、ウイルス暴露後20日間記録した。(D~E)異なる経路のCHIKVウイルス感染からのマウスの防御。2つの群のマウスは、筋肉内(IM)注射により100ugのCHIKV-IgGで免疫化し、皮下(s.c)(D)で2日目に暴露し(D)、別の群のマウスは、鼻腔内(i.n)により暴露した。(E)CHIKVを接種。マウスを毎日監視し、生存率は、ウイルス暴露後20日間記録した。↑は、DNA投与を示し;☆は、ウイルス暴露を示した。各群は、10匹のマウスからなり、結果は、2つの独立した実験の代表例であった。
【
図66B】抗CHIKV-Env IgG及び血清の耐久性、及びCHIKV-Fabで免疫化した後の粘膜IgG応答、並びにIgG発現及び暴露試験を示す。(A)IgGプラスミド免疫化及びCHIKV暴露の概略図。(B~C)BALB/cマウスに、0日目にpVax1、CHIKV-IgG、またはCHIKV-Fabを注射し、2日目(B)または30日目(C)にCHIKV-Del-03(JN578247)CHIKV株(25ulの全容量中1×10
7PFU)で暴露した。マウスを毎日監視し、生存率は、ウイルス暴露後20日間記録した。(D~E)異なる経路のCHIKVウイルス感染からのマウスの防御。2つの群のマウスは、筋肉内(IM)注射により100ugのCHIKV-IgGで免疫化し、皮下(s.c)(D)で2日目に暴露し(D)、別の群のマウスは、鼻腔内(i.n)により暴露した。(E)CHIKVを接種。マウスを毎日監視し、生存率は、ウイルス暴露後20日間記録した。↑は、DNA投与を示し;☆は、ウイルス暴露を示した。各群は、10匹のマウスからなり、結果は、2つの独立した実験の代表例であった。
【
図67A】CHIKV暴露試験を介した即時的なな防御及び持続的な防御の双方を示す。(A)CHIKV-IgGワクチン接種及び暴露試験の概略図。I群暴露:BALB/cマウスに、0日目にCHIKV-IgG、CHIKV-Env、またはpVax1を注射し、2日目にCHIKV-Del-03(JN578247)ウイルス株(25ulの全容量中1×10
7PFU)で暴露した。II群暴露:BALB/cマウスに、0日目に単回CHIKV-IgG免疫化または示した日に多数のCHIKV-Env免疫化のいずれかを施した後、I群暴露と同じ条件下で35日目に暴露した。↑は、DNA投与を示し;☆は、ウイルス暴露を示した。各試験において、マウスを20日間監視し、生存率を記録した。(B)I群暴露試験からのマウスの生存率曲線。100%生存率は、CHIKV-IgG免疫化マウスで記録された点に留意されたい。(C)II群暴露試験からのマウスの生存率曲線。
【
図67B】(D)抗CHIKVヒトIgGレベルの濃度は、CHIKV-IgG+EPで免疫化した後の示した時点で測定した。(E)マウスにおけるCHIKV-IgG及びCHIKV-Env免疫化した後の抗CHIKV-Env抗体の持続的かつ全身的な誘発。
【
図68A】CHIKVによる感染に応答したエクスビボサイトカイン産生を示す。(A)45日目(すなわち、暴露後10日目)のII群暴露試験からのCHIKV-IgG及びCHIKV-Env投与マウスにおけるウイルス力価。各データポイントは、10匹のマウスからの平均ウイルス力価を表した。pVax1免疫化マウスの群は、対照として機能した。ウイルス負荷は、pVax1マウスと比べてCHIKV-IgG(p=0.0244)及びCHIKV-Env(p=0.0221)の両方において有意に減少した。(B&C)CHIKV感染マウスからの血清炎症性サイトカインレベル(TNF-α及びIL-6)の特徴付け。サイトカインレベルは、特異的ELISAアッセイによって45日目(暴露後15日目)にマウスで測定した。CHIKV-IgGまたはCHIKV-Envを注射したマウスは、TNF-α及びIL-6の血清レベルが同様であり、かつ、対照群(p<0.0001)よりもTNF-α及びIL-6の血清レベルが有意に低かった。データは、マウス1匹当たり(1群当たりn=10)3つのウェルの平均を表した。
【
図68B】(D)CHIKV-IgGまたはCHIKV-Envで免疫化した後、CHIKV特異的ペプチドで刺激したマウスの脾細胞におけるT細胞応答。示したデータは、少なくとも2つの別々の実験の代表例であった。
【
図69A】抗体をコードするDNA構築物によって送達されたヒト抗DENV中和mAbのインビトロ発現をを示す。(a)送達に使用したDNAプラスミドの概略図;抗体重鎖及び軽鎖配列は、フリン及び2A切断部位の組み合わせによって分離する。(b)pDVSF-3 WTまたはLALAをトランスフェクトした293T細胞の上清におけるヒトIgGのELISA定量化分析。(c)DVSF-3 WTを含有する、pDVSF-3 WTをトランスフェクトした293T上清のウエスタンブロット分析。抗体をプロテインAスピンカラムで精製し、還元(左)及び非還元(右)条件下でSDS-PAGEで分離した。
【
図69B】(d)ベロ細胞を非感染(モック)かまたはDENV1、2、3、または4で感染させるかのいずれかの後、固定し、透過処理し、pDVSF-3 WTまたはLALAをトランスフェクトした293T細胞の上清で染色した。
【
図70A】マウス血清中の中和DENV抗体の長期発現の結果を示す。(a)ヒトIgGの全ての血清検出可能レベルは、抗DENVヒトIgG抗体DVSF-1をコードするDNAプラスミドをFoxn1/NuJ免疫不全マウスに単回筋肉内注射した後、ELISA法で測定した。0~4週目(左)及び19週目(右)のヒトIgGレベル。各線(左)または点(右)は、個々のマウスを表した(n=5)。(b)血清中の全ヒトIgGは、129/SvマウスにpDVSF-3 WTまたはpDVSF-3 LALAプラスミドを筋肉内注射した後にELISA法で測定した(1群当たりn=4~5)。
【
図70B】(c)ベロ細胞を非感染(モック)かまたはDENV1、2、3、または4で感染させるかのいずれかの後、固定し、透過処理し、pDVSF-3 WTまたはpDVSF-3 LALAのいずれかのDNA注射後0または7日目に採取した129/Svマウス血清で染色した(1群当たりn=5)。
【
図70C】(d)中和は、ベロ細胞に追加する前にpDVSF-3 WTまたはpDVSF-3 LALA(1群当たりn=5)のいずれかのDNA注射後7日目に採取した129/Svマウス血清の連続希釈物でDENV1、2、3、または4をインキュベートすることで評価した。感染細胞の割合を示す。
【
図71】抗体をコードするDNA構築物の送達により、ウイルスのみ及び抗体感染増強疾患に対して防御したことを示す。(a)ウイルスのみ暴露:AG129マウスは、亜致死量のDENV2 S221に暴露する5日前にpDVSF-3 WT、pDVSF-3 LALA、またはpVax空ベクターのいずれかの筋肉内注射を受けた(1群当たりn=5~6;pDVSF-3 LALA及びpDVSF-3 WTの比較に対するp≦0.0084)。(b)抗体依存性感染増強暴露:AG129マウスは、高用量の非中和抗DENVmAb 2H2を投与する5日前にpDVSF-3 WT、pDVSF-3 LALA、またはpVax空ベクターのいずれかの筋肉内注射を受けた。30分後、マウスに亜致死量のDENV2 S221を暴露した(1群当たりn=5~6;pDVSF-3 LALA及びpDVSF-3 WTの比較に対するp≦0.0072)。カプランマイヤー法による生存率曲線を(a~b)に示す。
【
図72】pDVSF-3 WT及びLALAコード抗体のインビトロ機能分析を示す。(a)精製した組み換えDENV Eタンパク質に対する、pDVSF-3 WTまたはLALAをトランスフェクトした293T細胞の上清中のヒトIgGのELISA結合分析。(b)抗体依存性感染増強は、K562細胞に追加する前にpDVSF-3 WTまたはLALAの上清の連続希釈物でDENV1、2、3、または4をインキュベートすることで評価した。感染細胞の割合を示す。
【
図73】抗体をコードするDNA構築物を送達した後のAG129マウス中の抗DENVヒトIgGレベルの暴露前レベルを示す。(a)血清中のDVSF-3 WTまたはDVSF-3 LALAの全ヒトIgGは、AG129マウス中のそれぞれのプラスミドをDNA筋肉内注射(DENV2暴露1日前)及びEPした4日後にELISA法で測定した(1群当たりn=5~6;pDVSF-3 WT及びpVaxの比較に対するp≦0.0005;pDVSF-3 LALA及びpVaxの比較に対するp≦0.0001)。
【
図74】増加したDENV1-4抗血清を産生したマウスにおける多数のDENV抗体コードプラスミドの送達を示す。(a)血清中のDVSF-3 WT、DVSF-1 WT、またはDVSF-3 WT、及びDVSF-1 WTの全ヒトIgGは、129/Svマウス中のそれぞれのプラスミドをDNA筋肉内注射及びEPした7日後にELISA法で測定した(1群当たりn=5;pDVSF-1 WT及びpDVSF-1+3の比較に対するp≦0.0088;pDVSF-3 WT及びpDVSF-1+3の比較に対するp≦0.0240)。
【
図75】上部パネルには、DVSF-3 WTは、ヒトFcyR1aに結合したが、DVSF-3 LALAは、FcyR1aに結合しなかったことを示す。下部の4つのパネルは、抗体依存性感染増強アッセイの結果を示す:DVSF-3 LALAによるDENV-1、-2、-3、または-4のインキュベーションは、ヒト単球(K562細胞株)感染をもたらさなかったが、DVSF-3 WTは、DENV-1、-2、及び-3の感染を高めた。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、抗体、その断片、その変異体、またはその組み合わせをコードする組み換え核酸配列を含む組成物に関する。組成物を、それを必要とする対象に投与し、合成抗体のインビボ発現及び形成し易くすることができる。
【0012】
特に、組み換え核酸配列から発現した重鎖及び軽鎖ポリペプチドは、合成抗体に組み立てることができる。重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドは、抗原に結合することができ、本明細書に記載のように組み立てられていない抗体に比べてより免疫原性が強く、かつ、抗原に対して免疫応答を引き起こすかもしくは誘導することが可能な合成抗体をアセンブリがもたらすように、互いに相互作用することができる。
【0013】
また、これらの合成抗体は、抗原誘導の免疫応答に応じて産生される抗体よりもさらに速やかに対象内で生成される。合成抗体は、広範な抗原に効率的に結合し、中和することができる。合成抗体は、疾患に対して効率的に防御し、及び/または、疾患生存率を促進することもできる。
【0014】
1.定義
特に定義していない限り、本明細書で使用する全ての技術的用語及び科学的用語は、当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書が優先となる。本発明の実施または試験において、本明細書中に記載されたものと同様または同等の方法及び材料を用いることはできるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。本明細書で言及する全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の引用文献は、引用によりそれらの全体が組み入れられる。尚、本明細書で開示した材料、方法、及び実施例は単なる例示であり、限定することを意図していない。
【0015】
本明細書で使用する「を含む(comprise(s))」、「を含む(include(s))」、「を有する(having)」、「を有する(has)」、「できる(can)」、「を含む(contain(s))」という用語、及びその変形は、付加的な行為あるいは構造の可能性を妨げない、制限しない移行句、用語、または単語であることを意図している。単数形である「a」、「and」、及び「the」は、文脈上例外が明記されていない限り、複数形の意味を持つこともある。本開示は、明示的に記載されているかどうかに関わらず、本明細書に示される実施形態または要素「を含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、及び「から実質的になる(consisting essentially of)」他の実施形態も企図する。
【0016】
「抗体」は、クラスIgG、IgM、IgA、IgD、もしくはIgEの抗体、またはその断片もしくは誘導体(Fab、F(ab’)2、Fdを含む)、ならびにその一本鎖抗体、及び誘導体を意味し得る。抗体は、哺乳動物の血清サンプルから単離された抗体、ポリクローナル抗体、親和性精製抗体、またはこれらの混合物のうち、所望のエピトープまたはそれに由来する配列に対する十分な結合特異性を示すものであり得る。抗体は、本明細書に記載のような合成抗体であり得る。
【0017】
本明細書で互換的に使用する、「抗体断片」または「抗体の断片」は、抗原結合部位または可変領域を含む完全抗体の一部分を指す。この部分は、完全抗体のFc領域のある特定の重鎖領域(すなわち、抗体アイソタイプに応じてCH2、CH3またはCH4)を含まない。抗体断片の例としては、Fab断片、Fab’断片、Fab’-SH断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、ダイアボディ、一本鎖Fv(scFv)分子、1つの軽鎖可変領域のみを含有する一本鎖ポリペプチド、軽鎖可変領域の3つのCDRを含有する一本鎖ポリペプチド、1つの重鎖可変領域のみを含有する一本鎖ポリペプチド及び重鎖可変領域の3つのCDRを含有する一本鎖ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
「抗原」は、宿主内で免疫応答を引き起こすことが可能なタンパク質を指す。抗原は抗体により認識され結合される。抗原は体内または外部環境から生じる。
【0019】
本明細書で使用する、「コード配列」または「コード化核酸」は、本明細書に記載の抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を意味し得る。コード配列は、核酸の投与先である個体または哺乳動物の細胞中の発現を誘導できるプロモーター及びポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントと機能的に連結した、開始及び終了シグナルをさらに含むことができる。コード配列は、シグナルペプチドをコードする配列をさらに含むことができる。
【0020】
本明細書で使用する、「相補体」または「相補的」は、ある核酸が、ヌクレオチド間または核酸分子のヌクレオチド類似体間にワトソン・クリック(例えば、A-T/U及びC-G)またはフーグスティーン塩基対を表わすことを意味し得る。
【0021】
本明細書で使用する、「定電流」は、組織、または該組織を規定する細胞が、同組織に送達される電気パルスの持続期間中に受容するまたは経験する電流を定義する。電気パルスは、本明細書に記載の電気穿孔装置から送達される。この電流は、電気パルスの寿命期間中、該組織に定電流量で留まるが、それは、本明細書で提供される電気穿孔装置が、好ましくは瞬間的フィードバックを有する、フィードバック素子を有するからである。フィードバック素子は、パルスの持続期間中の組織(または細胞)の抵抗を測定し、電気穿孔装置に自身の電気エネルギー出力を変化させる(例えば、電圧を上げる)ようにすることができるので、同組織中の電流は、電気パルスの間ずっと(約マイクロ秒)、及びパルス間において、一定であり続ける。いくつかの実施形態において、フィードバック素子は、制御器を含む。
【0022】
本明細書で使用する、「電流フィードバック」または「フィードバック」は互換的に使用されており、提供される電気穿孔装置の活発な応答を意味し得るが、これは、電極間の組織の電流を測定することと、電流を一定レベルで維持するために、EP装置が送達するエネルギー出力を適宜変化させることとを含む。この一定レベルは、パルスシーケンスまたは電気処理を開始する前に、ユーザが予め設定する。電気穿孔装置の中の電気回路が、電極間の組織の電流を連続的にモニターし、そのモニターされた電流(または組織中の電流)を予め設定された電流と比較し、連続的にエネルギー出力の調整を行なって、モニターされた電流を予め設定されたレベルで維持することができるように、フィードバックは、電気穿孔装置の電気穿孔構成要素、例えば、制御器によって達成され得る。フィードバックループは瞬時のものであり得、それは、フィードバックループがアナログ閉ループフィードバックであるからである。
【0023】
本明細書で使用する、「分散電流」は、本明細書に記載の電気穿孔装置の様々な針電極アレイから送達される電流のパターンを意味し得、これらのパターンは、電気穿孔される任意の組織領域に対する電気穿孔関連の熱ストレスの発生を最小限に抑えるか、または好ましくは消失させる。
【0024】
本明細書で互換的に使用する、「電気穿孔」、「電気透過処理」、「界面動電増強」(「EP」)は、生体膜に微細経路(細孔)を生じさせるための膜貫通電場パルスの使用を意味し得る。こうした微細経路の存在により、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬剤、イオン、及び水などの生体分子が、細胞膜の片側から他方の側に通過することが可能になる。
【0025】
本明細書で使用する、「内因性抗体」は、体液性免疫応答を誘導するのに有効な量の抗原を投与されている対象内で生成される抗体を指し得る。
【0026】
本明細書で使用する、「フィードバック機構」は、ソフトウェアまたはハードウェア(もしくはファームウェア)のいずれかによって実行されるプロセスであって、(エネルギーパルスの送達前、送達中、及び/または送達後の)所望の組織のインピーダンスを受容し、それを現在値、好ましくは電流と比較し、送達されるエネルギーパルスを調整して、予め設定された値を達成するプロセスを指し得る。フィードバック機構は、アナログ閉ループ回路により実施され得る。
【0027】
「断片」は、機能、すなわち、所望の標的に結合でき、かつ、全長抗体と同じ意図した効果を有する抗体のポリペプチド断片を意味し得る。抗体の断片は、シグナルペプチド及び/または1位のメチオニンを備えているかまたは備えていないかのいずれの場合にも、N及び/またはC末端から少なくとも1つのアミノ酸が欠けている以外は全長と100%同一であってもよい。断片は、付加された任意の異種シグナルペプチドを除き、特定の全長抗体の長さの20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上を含んでいてもよい。断片は、抗体に95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上同一で、かつ、同一率を計算する際に含まれないN末端メチオニンまたは異種シグナルペプチドをさらに含むポリペプチドの断片を含んでいてもよい。断片はさらに、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどのN末端メチオニン及び/またはシグナルペプチドをさらに含んでいてもよい。N末端メチオニン及び/またはシグナルペプチドは、抗体の断片に結合し得る。
【0028】
抗体をコードする核酸配列の断片は、シグナルペプチド及び/または1位のメチオニンをコードする配列を備えているかまたは備えていないかのいずれの場合にも、5’及び/または3’末端から少なくとも1つのヌクレオチドが欠けている以外は全長と100%同一であってもよい。断片は、付加された任意の異種シグナルペプチドを除く特定の全長コード配列の長さの20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上を含んでいてもよい。断片は、抗体に95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上同一で、かつ、同一率を計算する際に含まれないN末端メチオニンまたは異種シグナルペプチドをコードする配列をさらに必要に応じて含むポリペプチドをコードする断片を含んでいてもよい。断片はさらに、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどのN末端メチオニン及び/またはシグナルペプチドに対するコード配列をさらに含んでいてもよい。N末端メチオニン及び/またはシグナルペプチドをコードするコード配列は、コード配列の断片に結合し得る。
【0029】
本明細書で使用する、「遺伝子構築物」は、抗体などのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA分子またはRNA分子を指す。コード配列は、核酸分子の投与先である個体の細胞中の発現を誘導できるプロモーター及びポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントと機能的に連結した、開始及び終了シグナルを含む。本明細書で使用する「発現可能な形態」という用語は、個体の細胞中に存在しているときにコード配列が発現するように、タンパク質をコードするコード配列に機能的に連結している必要な調節要素を含んでいる遺伝子構築物を指す。
【0030】
本明細書において2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈で使用する「同一」または「同一性」は、当該配列が指定領域に渡って指定の割合の同一残基を有することを意味し得る。この割合を計算するには、2つの配列を最適に整列させ、指定領域に渡って2つの配列を比較し、両配列の同一残基が発生する位置の数を確定して一致位置の数を得て、一致位置の数を指定領域の総位置数で割り、計算結果に100を掛けることにより、配列同一性のパーセント値が得られる。2つの配列の長さが異なるか、アライメントにより1つ以上の付着末端が生じ、指定の比較領域に単一配列のみが含まれる場合には、単一配列の残基を計算の分母に含めるが、分子には含めない。DNAとRNAを比較する場合には、チミン(T)とウラシル(U)を同等とみなすことができる。同一性の計算は、手動で行っても、BLAST、BLAST 2.0等のコンピューター配列アルゴリズムを使用して行ってもよい。
【0031】
本明細書で使用する、「インピーダンス」は、フィードバック機構を論ずる際に用いられ、かつ、オームの法則に従って電流値に変換することができるため、予め設定された電流と比較することができる。
【0032】
本明細書で使用する、「免疫応答」は、1つ以上の核酸及び/またはペプチドの導入に応答して、宿主の免疫系、例えば哺乳動物の免疫系が活性化することを意味し得る。この免疫応答は、細胞性もしくは体液性の形態、またはその両方であり得る。
【0033】
本明細書で使用する、「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、互いに共有結合している少なくとも2つのヌクレオチドを意味し得る。一本鎖を表現することにより、相補鎖の配列も定義される。したがって、核酸は、表現される一本鎖の相補鎖も包含する。ある核酸の多くの変異体を、所与の核酸として同一目的で使用できる。したがって、核酸は、実質的に同一の核酸及びその相補体も包含する。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列とハイブリダイズできるプローブを提供する。したがって、核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブも包含する。
【0034】
核酸は、一本鎖または二本鎖であってもよく、二本鎖と一本鎖の両方の配列の一部分を含むこともできる。核酸は、DNA、ゲノムDNA、cDNA、RNA、またはハイブリッドであってもよく、核酸はデオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドの組み合わせを含むことができ、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、及びイソグアニンを含む塩基の組み合わせを含むことができる。核酸は、化学合成法または組み換え法により取得できる。
【0035】
本明細書で使用する、「機能的に連結」は、遺伝子と空間的に接続しているプロモーターの制御下で遺伝子が発現することを意味し得る。プロモーターは、その制御下にある遺伝子の5’(上流)または3’(下流)に位置できる。プロモーターと遺伝子の間の距離は、プロモーターの派生元遺伝子において当該プロモーターが制御する遺伝子とプロモーターの間の距離とほぼ同一であってもよい。当技術分野で知られているように、プロモーター機能を失うことなく、この距離の変化に適応することができる。
【0036】
本明細書で使用する、「ペプチド」、「タンパク質」、または「ポリペプチド」は、アミノ酸の結合配列を意味することができ、天然、合成、または、天然及び合成の修飾あるいはその組み合わせであってもよい。
【0037】
本明細書で使用する、「プロモーター」は、核酸の細胞中発現を授与、活性化、または増強することのできる合成分子または天然由来分子を意味し得る。プロモーターは、発現をさらに増強し、かつ/または空間的発現及び/またはその一時的発現を改変する目的で、1つ以上の特定の転写調節配列を含むことができる。プロモーターは遠位のエンハンサーエレメントまたは抑制エレメントを含むこともでき、このエンハンサーエレメントまたは抑制エレメントは、転写開始部位から数千塩基対も離れた場所に位置できる。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、及び動物を含む源に由来してよい。プロモーターは、発現が発生する細胞、組織、もしくは臓器に関して、もしくは発現が生じる発生段階に関して、恒常的もしくは差次的に遺伝子成分の発現を調節でき、または、例えば生理的ストレス、病原体、金属イオン、誘発剤等の外部刺激に応答して遺伝子成分の発現を調節できる。プロモーターの代表例として、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレータープロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、及びCMV IEプロモーターが挙げられる。
【0038】
「シグナルペプチド」及び「リーダー配列」は、本明細書で互換的に使用され、本明細書に記載のタンパク質のアミノ末端に結合することができるアミノ酸配列を指す。一般に、シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質の局在化を指示する。本明細書で使用するシグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質を産生する細胞からタンパク質を分泌し易くすることが好ましい。シグナルペプチド/リーダー配列は、細胞からの分泌時に、タンパク質(しばしば成熟タンパク質と呼ばれる)の残余から切断されることが多い。シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のN末端に結合する。
【0039】
本明細書で使用する、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、例えば核酸の複合混合物において、第1の核酸配列(例えばプローブ)が第2の核酸配列(例えばターゲット)とハイブリダイズする際の条件を意味し得る。ストリンジェントな条件は配列に依存するため、状況によって異なる。ストリンジェントな条件は、所定のイオン強度pHにおける特定の配列に対する融点(Tm)より約5~10℃低くなるように選択される。Tmは、(規定のイオン強度、pH、及び核酸濃度下で)標的に相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度である(標的配列は過剰に存在するので、Tmにおいて、プローブの50%が平衡状態で占有される)。ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0~8.3において約1.0M未満のナトリウムイオン、例えば約0.01~1.0Mのナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、温度が、短いプローブ(例えば10~50ヌクレオチド)では最低約30℃、長いプローブ(例えば約50ヌクレオチド超)では最低約60℃であり得る。ストリンジェントな条件は、ホルムアミド等の不安定化剤の添加によって達成することもできる。選択的または特異的ハイブリダイゼーションの場合、陽性シグナルはバックグラウンドハイブリダイゼーションの少なくとも2~10倍であり得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件例には、以下の条件が含まれる:50%ホルムアミド、5倍SSC、及び1%SDS、42℃でのインキュベート。または、5倍SSC、1%SDS、65℃でのインキュベート、0.2倍SSC、0.1%SDS中65℃での洗浄。
【0040】
本明細書で互換的に使用する、「対象」及び「患者」は、任意の脊椎動物を指し、哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、及びマウス)、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザルもしくはアカゲザル、チンパンジーなどのサル)、及びヒトが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、対象は、ヒトあるいは非ヒトであってもよい。対象あるいは患者は、他の形態の治療を受けていてもよい。
【0041】
本明細書で使用する、「実質的に相補的」は、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100個またはそれ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸の領域に渡って、第1の配列が第2の配列の相補体と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であること、あるいは、2つの配列がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味し得る。
【0042】
本明細書で使用する、「実質的に同一」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100個またはそれ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸の領域に渡って、第1の配列と第2の配列が少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であること、あるいは、核酸に関して、第1の配列が第2の配列の相補体と実質的に相補的である場合を意味し得る。
【0043】
本明細書で使用する、「合成抗体」は、本明細書に記載の組み換え核酸配列またはその変異体によってコードされ、対象内で生成される抗体を指す。合成抗体は、遺伝子操作して所望の標的分子に結合することができるため、生物学的効果を引き起こす。所望の標的分子は、抗原、受容体リガンド、受容体(例えば、受容体上のリガンド結合部位)、リガンド受容体複合体、マーカー(例えば、癌用マーカー)、及び抗体により結合することができる任意の他の分子または標的であり得る。いくつかの実施形態において、組み換え核酸配列は、配列番号3、4、6、7、40、42、44、50、52、54、56、58、60、62、63、64、65、67、69、71、73、75、または77に記載される核酸配列を有してもよい。いくつかの実施形態において、組み換え核酸配列は、配列番号1、2、5、41、43、45、46、47、48、49、51、53、55、57、59、61、66、68、70、72、74、76、または78に記載される前記アミノ酸配列をコードしてもよい。
【0044】
本明細書で使用する、「治療」または「治療する」は、疾患を予防するか、抑制するか、抑圧するかまたは完全に除去することで対象を疾患から防御することを意味することができる。疾患を予防することは、その疾患の発症前に対象に本発明のワクチンを投与することを含む。疾患を抑制することは、その疾患の誘導後でその疾患の臨床的出現前に、対象に本発明のワクチンを投与することを含む。疾患を抑圧することは、その疾患の臨床的出現後に、対象に本発明のワクチンを投与することを含む。
【0045】
核酸に関して本明細書で使用する、「変異体」は、(i)基準ヌクレオチド配列の一部分もしくは断片;(ii)基準ヌクレオチド配列もしくはその一部分の相補体;(iii)基準核酸もしくはその相補体と実質的に同一の核酸;または(iv)ストリンジェントな条件下で、基準核酸、その相補体、もしくはその実質的に同一の配列とハイブリダイズする核酸を意味し得る。
【0046】
ペプチドまたはポリペプチドに関して使用する、「変異体」は、アミノ酸の挿入、欠失、または保存的置換によりアミノ酸配列が異なっているが、少なくとも1つの生物活性を保持しているものである。また、変異体は、基準タンパク質と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、少なくとも1つの生物活性を保持するアミノ酸配列を有するタンパク質も意味し得る。アミノ酸の保存的置換、すなわち、あるアミノ酸を類似特性(例えば、荷電領域の親水性、程度、及び分布)の別のアミノ酸に置換することは、当技術分野では、通常は軽微な変化を伴うものと認識されている。こうした軽微な変化は、当技術分野で理解されているように、アミノ酸の疎水性親水性指標(hydropathic index)を検討することにより部分的に特定できる。Kyteら,J.Mol.Biol.157:105-132(1982)。アミノ酸の疎水性親水性指標は、その疎水性と電荷の考察に基づく。類似の疎水性親水性指標を有するアミノ酸は置換可能であり、その後もタンパク質機能を維持することが当技術分野において公知である。一態様において、±2の疎水性親水性指標を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性を用いて、生物機能を保持したタンパク質となる置換を明らかにすることもできる。ペプチドに関連してアミノ酸の親水性を検討することにより、そのペプチドの局所的な最大平均親水性を計算でき、抗原性及び免疫原性と良く相関すると報告されている有用な尺度となる。米国特許第4,554,101号(この文献は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。当技術分野で理解されているように、類似の親水性値を有するアミノ酸を置換すると、例えば免疫原性等の生物活性を保持したペプチドが得られる。親水性値が互いに±2以内のアミノ酸を用いて、置換を実施できる。アミノ酸の疎水性指標と親水性値の両方とも、そのアミノ酸の特定の側鎖の影響を受ける。こうした知見と一致して、生物機能に適合するアミノ酸置換とは、アミノ酸の相対的類似性、特に当該アミノ酸の側鎖の相対的類似性に依存するものと理解されており、この相対的類似性は、疎水性、親水性、電荷、サイズ、その他の特性により明らかになる。
【0047】
変異体は、完全遺伝子配列またはその断片の全長にわたって実質的に同一な核酸配列であってもよい。核酸配列は、遺伝子配列またはその断片の全長にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であってもよい。例えば、核酸配列は、配列番号3、4、6、7、40、42、44、50、52、54、56、58、60、62、63、64、65、67、69、71、73、75、または77に記載される核酸配列またはその断片の全長にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であってもよい。変異体は、アミノ酸配列またはその断片の全長にわたって実質的に同一なアミノ酸配列であってもよい。アミノ酸配列は、アミノ酸配列またはその断片の全長にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であってもよい。例えば、アミノ酸配列は、配列番号1、2、5、41、43、45、46、47、48、49、51、53、55、57、59、61、66、68、70、72、74、76、または78に記載されるアミノ酸配列またはその断片の全長にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であってもよい。
【0048】
本明細書で使用する、「ベクター」は、複製起点を含む核酸配列を意味し得る。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であってもよい。ベクターは、DNAベクターまたはRNAベクターであってもよい。ベクターは、自己複製過剰染色体ベクターまたは宿主ゲノムに組み込むベクターのいずれかであってもよい。
【0049】
本明細書中の数値範囲の記述について、同程度の精度でその間に入る各数が明示的に企図される。例えば、6~9という範囲の場合、6及び9に加えて7及び8という数が企図され、6.0~7.0という範囲の場合、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、及び7.0という数が明示的に企図される。
【0050】
2.組成物
本発明は、抗体、その断片、その変異体、またはその組み合わせをコードする組み換え核酸配列を含む組成物に関する。組成物は、それを必要とする対象に投与された場合、対象内で合成抗体の生成をもたらし得る。合成抗体は、対象内に存在する標的分子(例えば、抗原(以下により詳細に記載する)、リガンド(例えば、受容体のリガンド)、受容体(例えば、受容体上のリガンド結合部位)、リガンド受容体複合体、及びマーカー(例えば、癌マーカー))に結合することができる。かかる結合は、抗原を中和し、別の分子、例えば、タンパク質または核酸によって抗原の認識をブロックし、抗原に免疫応答を引き起こすかまたは誘発することができる。
【0051】
合成抗体は、組成物を投与された対象内の疾患を治療する、予防する、及び/または防御することができる。抗原に結合することで合成抗体は、組成物を投与された対象内の疾患を治療する、予防する、及び/または防御することができる。合成抗体は、組成物を投与された対象内の疾患生存率を促進することができる。合成抗体は、組成物を投与された対象内の疾患生存率を少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%もたらすことができる。他の実施形態において、合成抗体は、組成物を投与された対象内の疾患生存率を少なくとも約65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、または80%もたらすことができる。
【0052】
組成物は、対象に組成物を投与後少なくとも約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、または60時間以内にその対象内で合成抗体の生成をもたらし得る。組成物は、対象に組成物を投与後少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、または10日以内にその対象内で合成抗体の生成をもたらし得る。組成物は、対象に組成物を投与後約1時間~約6日、約1時間~約5日、約1時間~約4日、約1時間~約3日、約1時間~約2日、約1時間~約1日、約1時間~約72時間、約1時間~約60時間、約1時間~約48時間、約1時間~約36時間、約1時間~約24時間、約1時間~約12時間、または約1時間~約6時間以内にその対象内で合成抗体の生成をもたらし得る。
【0053】
組成物は、それを必要とする対象に投与した場合、その対象内で合成抗体の持続的な生成をもたらし得る。組成物は、少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、35日、36日、37日、38日、39日、40日、41日、42日、43日、44日、45日、46日、47日、48日、49日、50日、51日、52日、53日、54日、55日、56日、57日、58日、59日、または60日間その対象内で合成抗体の生成をもたらし得る。
【0054】
組成物は、それを必要とする対象に投与された場合、抗原を投与された対象内で内因性抗体を生成するよりも迅速に対象内で合成抗体の生成をもたらし、体液性免疫応答を誘発することができる。組成物は、抗原を投与された対象内で内因性抗体を生成する少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、または10日前に合成抗体の生成をもたらし、体液性免疫応答を誘発することができる。
【0055】
本発明の組成物は、安全であることなど、有効な組成物に必要な特徴を有しているため、組成物は、病気または死を引き起こさず、病気に対して防御し、投与し易く、副作用もほとんどなく、生物学的安定性や投与量当たりの低コスト化をもたらすことができる。
【0056】
3.組み換え核酸配列
上述したように、組成物は、組み換え核酸配列を含んでいてもよい。組み換え核酸配列は、抗体、その断片、その変異体、またはその組み合わせをコードし得る。以下により詳細に抗体について記載する。
【0057】
組み換え核酸配列は、異種核酸配列であってもよい。組み換え核酸配列は、少なくとも1つの異種核酸配列または1つ以上の異種核酸配列を含んでいてもよい。
【0058】
組み換え核酸配列は、最適化核酸配列であってもよい。かかる最適化により抗体の結合、特に、生物学的効果(中和効果を含む)を増大あるいは変化させることができる。最適化により転写及び/または翻訳も改善することができる。最適化とは、以下の1つ以上を含んでいてもよい:低GC含量リーダー配列により転写を増大させる;mRNA安定性及びコドン最適化;kozak配列(例えば、GCC ACC)を追加して翻訳を増大させる;シグナルペプチドをコードする免疫グロブリン(Ig)リーダー配列を追加;シス作用配列モチーフ(すなわち、内部TATAボックス)を可能な限り取り除く。
【0059】
a.組み換え核酸配列構築物
組み換え核酸配列は、1つ以上の組み換え核酸配列構築物を含んでいてもよい。組み換え核酸配列構築物は、1つ以上の構成要素を含んでいてもよい。以下により詳細に記載する。
【0060】
組み換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチド、その断片、その変異体、またはその組み合わせをコードする異種核酸配列を含んでいてもよい。組み換え核酸配列構築物は、軽鎖ポリペプチド、その断片、その変異体、またはその組み合わせをコードする異種核酸配列を含んでいてもよい。組み換え核酸配列構築物は、プロテアーゼまたはペプチダーゼ切断部位をコードする異種核酸配列も含んでいてもよい。組み換え核酸配列構築物は、1つ以上のリーダー配列を含んでいてもよく、各リーダー配列は、シグナルペプチドをコードする。組み換え核酸配列構築物は、1つ以上のプロモーター、1つ以上のイントロン、1つ以上の転写終結領域、1つ以上の開始コドン、1つ以上の終結または終止コドン、及び/または1つ以上のポリアデニル化シグナルを含んでいてもよい。組み換え核酸配列構築物は、1つ以上のリンカーまたはタグ配列も含んでいてもよい。タグ配列は、ヘマグルチニン(HA)タグをコードすることができる。
【0061】
(1)重鎖ポリペプチド
組み換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチド、その断片、その変異体、またはその組み合わせをコードする異種核酸を含んでいてもよい。重鎖ポリペプチドは、可変重鎖(VH)領域及び/または少なくとも1つの定常重鎖(CH)領域を含んでいてもよい。少なくとも1つの定常重鎖領域は、定常重鎖領域1(CH1)、定常重鎖領域2(CH2)、定常重鎖領域3(CH3)、及び/またはヒンジ領域を含んでいてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態において、重鎖ポリペプチドは、VH領域及びCH1領域を含んでいてもよい。他の実施形態において、重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、及びCH3領域を含んでいてもよい。
【0063】
重鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)セットを含んでいてもよい。CDRセットは、VH領域の3つの超可変領域を含んでいてもよい。重鎖ポリペプチドのN-末端から開始して、これらのCDRは、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」と称せられる。重鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、及びCDR3は、抗原への結合または抗原の認識に寄与することができる。
【0064】
(2)軽鎖ポリペプチド
組み換え核酸配列構築物は、軽鎖ポリペプチド、その断片、その変異体、またはその組み合わせをコードする異種核酸配列を含んでいてもよい。軽鎖ポリペプチドは、可変軽鎖(VL)領域及び/または定常軽鎖(CL)領域を含んでいてもよい。
【0065】
軽鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)セットを含んでいてもよい。CDRセットは、VL領域の3つの超可変領域を含んでいてもよい。軽鎖ポリペプチドのN-末端から開始して、これらのCDRは、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」と称せられる。軽鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、及びCDR3は、抗原への結合または抗原の認識に寄与することができる。
【0066】
(3)プロテアーゼ切断部位
組み換え核酸配列構築物は、プロテアーゼ切断部位をコードする異種核酸配列を含んでいてもよい。プロテアーゼ切断部位は、プロテアーゼまたはペプチダーゼによって認識することができる。プロテアーゼは、エンドペプチダーゼまたはエンドプロテアーゼであってもよく、フリン、エラスターゼ、HtrA、カルパイン、トリプシン、キモトリプシン、トリプシン及びペプシンが挙げられるが、これらに限定されない。プロテアーゼは、フリンであってもよい。他の実施形態において、プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、または内部ペプチド結合を切断する(すなわち、N-末端またはC-末端ペプチド結合を切断しない)任意のプロテアーゼであってもよい。
【0067】
プロテアーゼ切断部位は、切断効率を促進するかまたは増大させる1つ以上のアミノ酸配列を含んでいてもよい。1つ以上のアミノ酸配列は、別々のポリペプチドの形成または生成効率を促進するかまたは増大させることができる。1つ以上のアミノ酸配列は、2Aペプチド配列を含んでいてもよい。2Aペプチド配列は、口蹄疫ウイルス(FMDV)由来の自己プロセシングペプチドである。
【0068】
いくつかの実施形態において、プロテアーゼ切断部位は、2Aペプチド配列に続くフリン切断部位の組み合わせ(例えば、融合)を含んでいてもよい。かかる組み合わせの一例は、配置構成2に含まれていてもよく、これは、以下により詳細に記載し、例えば、
図69Aに見られる。以下により詳細に論じるように、2Aペプチド配列に続くフリン切断部位の組み合わせは、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列及び軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列間に位置してもよい。従って、この組み合わせにより発現時に重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドを別々のポリペプチドに分離することができ、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの等モル発現を容易にすることができる。
【0069】
(4)リンカー配列
組み換え核酸配列構築物は、1つ以上のリンカー配列を含んでいてもよい。リンカー配列は、本明細書に記載の1つ以上の構成要素を空間的に分離もしくは連結することができる。他の実施形態において、リンカー配列は、2つ以上のポリペプチドを空間的に分離もしくは連結するアミノ酸配列をコードすることができる。
【0070】
(5)プロモーター
組み換え核酸配列構築物は、1つ以上のプロモーターを含んでいてもよい。1つ以上のプロモーターは、遺伝子発現を推進し、かつ、調節することが可能な任意のプロモーターであってもよい。かかるプロモーターは、DNA依存RNAポリメラーゼ経由の転写に要するシス作用配列要素である。遺伝子発現の指示に用いられるプロモーターは、特定の用途に依って選択される。プロモーターは、組み換え核酸配列構築物の転写開始部から、これがその天然の設定における転写開始部位からの距離であるのとほぼ同じ距離に配置される。しかしながら、この距離の変動は、プロモーター機能の喪失を伴うことなく、適合されることができる。
【0071】
プロモーターは、重鎖ポリペプチド及び/または軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列に機能的に連結していてもよい。プロモーターは、真核細胞中での発現に対して有効であることを示すプロモーターであってもよい。コード配列に機能的に連結したプロモーターは、CMVプロモーター、SV40初期プロモーター及びSV40後期プロモーターなどのシミアンウイルス40(SV40)由来のプロモーター、マウス乳腺癌ウイルス(MMTV)プロモーター、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)長末端反復(LTR)プロモーターなどのヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、CMV前初期プロモーター、エプステインバーウイルス(EBV)プロモーター、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターなどのサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターでよい。プロモーターは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、ヒトポリヘドリン、またはヒトメタロチオネインなどのヒト遺伝子からのプロモーターであってもよい。
【0072】
プロモーターは、構成的プロモーターまたは誘導的プロモーターであってもよく、後者は、宿主細胞がいくつか特定の外的刺激にさらされた場合にのみ転写を開始する。多細胞生物の場合、プロモーターは、特定の組織または臓器もしくは特定の発生段階に特異的であってもよい。プロモーターは、筋肉または皮膚特異的プロモーターなどの組織特異的プロモーターでよく、天然もしくは合成であってもよい。かかるプロモーターの例は、米国特許公開公報US20040175727に記載され、その内容は全体として本明細書に組み入れられる。
【0073】
プロモーターは、エンハンサーと関連していてもよい。エンハンサーは、コード配列の上流に位置してもよい。エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、または、CMV、FMDV、RSV、またはEBVなどのウイルスエンハンサーであってもよい。ポリヌクレオチド機能エンハンサーは、米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号、及びW094/016737に記載されており、それぞれの内容は参照により全体が組み入れられる。
【0074】
(6)イントロン
組み換え核酸配列構築物は、1つ以上のイントロンを含んでいてもよい。各イントロンは、機能的スプライスドナー部位及び機能的スプライスアクセプター部位を含んでいてもよい。イントロンは、スプライシングのエンハンサーを含んでいてもよい。イントロンは、効率のよいスプライシングに必要な1つ以上のシグナルを含んでいてもよい。
【0075】
(7)転写終結領域
組み換え核酸配列構築物は、1つ以上の転写終結領域を含んでいてもよい。転写終結領域は、効率よい終結を提供するためにコード配列の下流であってもよい。転写終結領域は、上述のプロモーターと同じ遺伝子から得てもよいし、あるいは、1つ以上の異なる遺伝子から得てもよい。
【0076】
(8)開始コドン
組み換え核酸配列構築物は、1つ以上の開始コドンを含んでいてもよい。開始コドンは、コード配列の上流に位置してもよい。開始コドンは、コード配列と共にインフレームであってもよい。開始コドンは、効率のよい翻訳開始に必要な1つ以上のシグナルと関連していてもよく、例えば、リボソーム結合部位と関連していてもよいが、これに限定されない。
【0077】
(9)終結コドン
組み換え核酸配列構築物は、1つ以上の終結または終止コドンを含んでいてもよい。終結コドンは、コード配列の下流であってもよい。終結コドンは、コード配列と共にインフレームであってもよい。終結コドンは、効率のよい翻訳終結に必要な1つ以上のシグナルと関連していてもよい。
【0078】
(10)ポリアデニル化シグナル
組み換え核酸配列構築物は、1つ以上のポリアデニル化シグナルを含んでいてもよい。ポリアデニル化シグナルは、効率のよい転写産物のポリアデニル化に必要な1つ以上のシグナルを含んでいてもよい。ポリアデニル化シグナルは、コード配列の下流に位置してもよい。ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、またはヒトβ-グロビンポリアデニル化シグナルであってもよい。SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4プラスミド(インビトロジェン、サンディエゴ、カリフォルニア州)からのポリアデニル化シグナルであってもよい。
【0079】
(11)リーダー配列
組み換え核酸配列構築物は、1つ以上のリーダー配列を含んでいてもよい。リーダー配列は、シグナルペプチドをコードすることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリン(Ig)シグナルペプチドであってもよく、例えば、IgGシグナルペプチド及びIgEシグナルペプチドであるが、これらに限定されない。
【0080】
b.組み換え核酸配列構築物の配置構成
上述したように、組み換え核酸配列は、1つ以上の組み換え核酸配列構築物を含んでいてもよく、各々の組み換え核酸配列構築物は、1つ以上の構成要素を含んでいてもよい。1つ以上の構成要素は、先に詳しく説明した通りである。1つ以上の構成要素は、組み換え核酸配列構築物に含まれる場合、互いに任意の順序で配置してもよい。いくつかの実施形態において、1つ以上の構成要素は、後述の組み換え核酸配列構築物に配置される。
【0081】
(1)配置構成1
一つの配置構成において、第1の組み換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列を含んでいてもよく、第2の組み換え核酸配列構築物は、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列を含んでいてもよい。
【0082】
第1の組み換え核酸配列構築物は、ベクターに配置してもよい。第2の組み換え核酸配列構築物は、第2もしくは別々のベクターに配置してもよい。組み換え核酸配列構築物をベクターに配置することは、以下により詳細に記載する。
【0083】
第1の組み換え核酸配列構築物は、プロモーター、イントロン、転写終結領域、開始コドン、終結コドン、及び/またはポリアデニル化シグナルも含んでいてもよい。第1の組み換え核酸配列構築物は、リーダー配列をさらに含んでもよく、該リーダー配列は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列の上流(または5’)に位置する。従って、リーダー配列よってコードされるシグナルペプチドは、ペプチド結合によって重鎖ポリペプチドに連結する。
【0084】
第2の組み換え核酸配列構築物は、プロモーター、開始コドン、終結コドン、及びポリアデニル化シグナルも含んでいてもよい。第2の組み換え核酸配列構築物は、リーダー配列をさらに含んでもよく、該リーダー配列は、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列の上流(または5’)に位置する。従って、リーダー配列よってコードされるシグナルペプチドは、ペプチド結合によって軽鎖ポリペプチドに連結する。
【0085】
従って、配置構成1の一例としては、VH及びCH1を含む重鎖ポリペプチドをコードする第1のベクター(従って、第1の組み換え核酸配列構築物)と、VL及びCLを含む軽鎖ポリペプチドをコードする第2のベクター(従って、第2の組み換え核酸配列構築物)とが挙げられる。配置構成1の第2例としては、VH、CH1、ヒンジ領域、CH2、及びCH3を含む重鎖ポリペプチドをコードする第1のベクター(従って、第1の組み換え核酸配列構築物)と、VL及びCLを含む軽鎖ポリペプチドをコードする第2のベクター(従って、第2の組み換え核酸配列構築物)とが挙げられる。
【0086】
(2)配置構成2
第2の配置構成において、前記組み換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列及び軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列を含んでいてもよい。重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列は、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列の上流(または5’)に位置してもよい。あるいは、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列の上流(または5’)に位置してもよい。
【0087】
組み換え核酸配列構築物は、ベクターに配置してもよく、以下により詳細に記載する。
【0088】
組み換え核酸配列構築物は、プロテアーゼ切断部位及び/またはリンカー配列をコードする異種核酸配列を含んでいてもよい。上でより詳細に論じたように、いくつかの実施形態において、プロテアーゼ切断部位は、例えば、
図69Aに示すように、2Aペプチド配列に続くフリン切断部位の組み合わせ(例えば、融合)を含んでいてもよい。
【0089】
組み換え核酸配列構築物に含まれる場合、プロテアーゼ切断部位をコードする異種核酸配列は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列及び軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列間に位置してもよい。従って、プロテアーゼ切断部位により発現時に重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドを別々のポリペプチドに分離することができ、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの等モル発現を容易にすることができる。
【0090】
他の実施形態において、リンカー配列が組み換え核酸配列構築物に含まれる場合、リンカー配列は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列との間に位置してもよい。
【0091】
組み換え核酸配列構築物は、プロモーター、イントロン、転写終結領域、開始コドン、終結コドン、及び/またはポリアデニル化シグナルも含んでいてもよい。組み換え核酸配列構築物は、1つ以上のプロモーターを含んでいてもよい。組み換え核酸配列構築物は、1つのプロモーターが、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と関連し、かつ、第2のプロモーターが、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と関連するように2つのプロモーターを含んでいてもよい。さらに別の実施形態において、組み換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列及び軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と関連する1つのプロモーターを含んでいてもよい。
【0092】
組み換え核酸配列構築物は、2つのリーダー配列をさらに含んでもよく、このうち、第1のリーダー配列は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列の上流(または5’)に位置し、第2のリーダー配列は、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列の上流(または5’)に位置する。従って、第1のリーダー配列によってコードされる第1のシグナルペプチドは、ペプチド結合によって重鎖ポリペプチドに連結し、第2のリーダー配列によってコードされる第2のシグナルペプチドは、ペプチド結合によって軽鎖ポリペプチドに連結する。
【0093】
従って、配置構成2の一例としては、VH及びCH1を含む重鎖ポリペプチドと、VL及びCLを含む軽鎖ポリペプチドとをコードするベクター(従って、組み換え核酸配列構築物)が挙げられ、ここで、リンカー配列は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列との間に位置する。
【0094】
配置構成2の第2例としては、VH及びCH1を含む重鎖ポリペプチドと、VL及びCLを含む軽鎖ポリペプチドとをコードするベクター(従って、組み換え核酸配列構築物)が挙げられ、ここで、プロテアーゼ切断部位をコードする異種核酸配列は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列との間に位置する。
【0095】
配置構成2の第3例としては、VH、CH1、ヒンジ領域、CH2、及びCH3を含む重鎖ポリペプチドと、VL及びCLを含む軽鎖ポリペプチドとをコードするベクター(従って、組み換え核酸配列構築物)が挙げられ、ここで、リンカー配列は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列との間に位置する。
【0096】
配置構成2の第4例としては、VH、CH1、ヒンジ領域、CH2、及びCH3を含む重鎖ポリペプチドと、VL及びCLを含む軽鎖ポリペプチドとをコードするベクター(従って、組み換え核酸配列構築物)が挙げられ、ここで、プロテアーゼ切断部位をコードする異種核酸配列は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列との間に位置する。
【0097】
c.組み換え核酸配列構築物からの発現
上述したように、組み換え核酸配列構築物は、1つ以上の構成要素の中で、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列及び/または軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列を含んでいてもよい。従って、組み換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチド及び/または軽鎖ポリペプチドを発現し易くすることができる。
【0098】
上述の配置構成1を用いた場合、第1の組み換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチドを発現し易くすることができ、第2の組み換え核酸配列構築物は、軽鎖ポリペプチドを発現し易くすることができる。上述の配置構成2を用いた場合、組み換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドを発現し易くすることができる。
【0099】
発現時、例えば、限定されないが、細胞、生物、または哺乳動物内において、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドを合成抗体に組み立てることができる。特に、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドは、所望の標的分子、例えば、抗原(以下により詳細に記載する)、リガンド(例えば、受容体のリガンド)、受容体(例えば、受容体上のリガンド結合部位)、リガンド受容体複合体、及びマーカー(例えば、癌マーカー)に結合することが可能な合成抗体をアセンブリがもたらすように、互いに相互作用することができる。他の実施形態において、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドは、本明細書に記載のように組み立てられていない抗体に比べて、その標的分子への結合でより効果的な合成抗体をアセンブリがもたらすように、互いに相互作用することができる。いくつかの実施形態において、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドは、所望の生物学的効果(例えば、中和、受容体へのリガンド結合の阻害、及び合成抗体により標的される細胞への免疫細胞の動員)を有する合成抗体をアセンブリがもたらすように、互いに相互作用することができる。さらに別の実施形態において、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドは、抗原に対して免疫応答を引き起こすかもしくは誘導することが可能な合成抗体をアセンブリがもたらすように、互いに相互作用することができる。
【0100】
d.ベクター
上述の組み換え核酸配列構築物は、1つ以上のベクターに配置し得る。1つ以上のベクターは、複製起点を含んでいてもよい。1つ以上のベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であってもよい。1つ以上のベクターは、自己複製過剰染色体ベクターまたは宿主ゲノムに組み込むベクターのいずれかであってもよい。
【0101】
1つ以上のベクターは、異種発現構築物であってもよく、これは、一般に、特定の遺伝子をターゲット細胞を導入するのに使用されるプラスミドである。発現ベクターがいったん細胞中に入ると、組み換え核酸配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチド及び/または軽鎖ポリペプチドは、細胞性-転写及び翻訳機械であるリボソーム複合体によって産生される。1つ以上のベクターは、大量の安定したメッセンジャーRNA、従って、大量のタンパク質を発現することができる。
【0102】
(1)発現ベクター
1つ以上のベクターは、環状プラスミドまたは線状核酸であってもよい。環状プラスミド及び線状核酸は、適切な対象細胞中で特定のヌクレオチド配列の発現を誘導することができる。組み換え核酸配列構築物を含む1つ以上のベクターは、キメラであってもよい。これは、その構成要素のうちの少なくとも1つが、他の構成要素のうちの少なくとも1つに対して異種であることを意味する。
【0103】
(2)プラスミド
1つ以上のベクターは、プラスミドであってもよい。プラスミドは、組み換え核酸配列構築物を備えた細胞をトランスフェクトするのに有用であり得る。プラスミドは、組み換え核酸配列構築物を対象に導入するのに有用であり得る。プラスミドは、調節配列も含んでもよく、これは、プラスミドを投与された細胞中での遺伝子発現に十分に適していてもよい。
【0104】
プラスミドは、プラスミドを染色体外に維持し、かつ、細胞中でプラスミドの複数のコピーを産生するために哺乳類の複製起点も含んでいてもよい。プラスミドは、インビトロジェン(サンディエゴ、カリフォルニア州)からのpVAXI、pCEP4、またはpREP4であって、これらは、エプステイン・バー・ウイルスの複製起点と、核抗原EBNA-1のコード領域とを含んでいてもよく、統合しないで高いコピーのエピソーム複製を生じる。プラスミドのバックボーンは、pAV0242であってもよい。プラスミドは、複製欠損アデノウイルス5型(Ad5)プラスミドであってもよい。
【0105】
プラスミドは、pSE420(インビトロジェン、サンディエゴ、カリフォルニア州)であってもよく、それを大腸菌(E.Coli)中でのタンパク質産生のために用いてもよい。プラスミドは、pYES2(インビトロジェン、サンディエゴ、カリフォルニア州)であってもよく、それを酵母のサッカロマイセス・セレビシエ株でのタンパク質産生に用いてもよい。プラスミドは、MAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(インビトロジェン、サンディエゴ、カリフォルニア州)のものであってもよく、それを昆虫細胞中でのタンパク質産生に用いてもよい。プラスミドは、pcDNAIまたはpcDNA3(インビトロジェン、サンディエゴ、カリフォルニア州)であってもよく、それを哺乳類細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞中でのタンパク質産生に用いてもよい。
【0106】
(3)環状及び線状ベクター
1つ以上のベクターは、環状プラスミドであってもよく、これは、標的細胞を統合によって細胞性ゲノムに形質転換してもよく、あるいは、染色体外に存在してもよい(例えば、複製起点をもつ自律複製プラスミド)。ベクターは、pVAX、pcDNA3.0、provax、または、組み換え核酸配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチド及び/または軽鎖ポリペプチドを発現可能な任意の他の発現ベクターであってもよい。
【0107】
また、本明細書で提供されるのは、線状核酸または線状発現カセット(「LEC」)であり、これは、電気穿孔を介して対象に効率よく送達され、かつ、組み換え核酸配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチド及び/または軽鎖ポリペプチドを発現することができる。LECは、任意のリン酸バックボーンを欠いた任意の線状DNAであってもよい。LECは、任意の抗生物質抵抗性遺伝子及び/またはリン酸バックボーンをを含んでいなくてもよい。LECは、所望の遺伝子発現に関連しない他の核酸配列を含んでいなくてもよい。
【0108】
LECは、線状にすることが可能な任意のプラスミド由来であってもよい。プラスミドは、組み換え核酸配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチド及び/または軽鎖ポリペプチドを発現可能であってもよい。プラスミドは、pNP(プエルトリコ/34)またはpM2(ニューカレドニア/99)であってもよい。プラスミドは、WLV009、pVAX、pcDNA3.0、provax、または、組み換え核酸配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチド及び/または軽鎖ポリペプチドを発現可能な任意の他の発現ベクターであってもよい。
【0109】
LECは、pcrM2であってもよい。LECは、pcrNPであってもよい。pcrNP及びpcrMRは、それぞれpNP(プエルトリコ/34)及びpM2(ニューカレドニア/99)由来であってもよい。
【0110】
(4)ベクターを調製する方法
本明細書で提供されるのは、組み換え核酸配列構築物が配置されている1つ以上のベクターを調製する方法である。最終的なサブクローニングステップの後、ベクターを、当該技術分野で公知の方法を用いて、大規模発酵タンクで細胞培養物に接種するのに用いることができる。
【0111】
他の実施形態において、最終的なサブクローニングステップの後、ベクターを1つ以上の電気穿孔(EP)装置で用いることができる。EP装置を以下により詳細に記載する。
【0112】
1つ以上のベクターは、公知の装置及び技術の組み合わせを利用して配合または製造することができるが、好ましくはそれらは、2007年3月23日に出願された許諾対象である同時係属中の米国特許仮出願第60/939,792号に記載されたプラスミド製造技術を用いて製造される。幾つかの例において、本明細書に記載のDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で配合させることができる。その製造技術は、米国特許出願第60/939792号に記載されたものに加えて、2007年7月3日発行の許諾対象特許である米国特許第7,238,522号に記載されたものをはじめとする、当業者に概ね公知の様々な装置及びプロトコルも含み、組み入れている。先に参照された出願及び特許である、米国特許出願第60/939,792号及び米国特許第7,238,522号は、それぞれ全体が本明細書に組み入れられる。
【0113】
4.抗体
上述したように、組み換え核酸配列は、抗体、その断片、その変異体、またはその組み合わせをコードすることができる。抗体は、所望の標的分子に結合するかまたは該標的分子と反応することができ、該標的分子は、抗原(以下により詳細に記載する)、リガンド(例えば、受容体のリガンド)、受容体(例えば、受容体上のリガンド結合部位)、リガンド受容体複合体、及びマーカー(例えば、癌マーカー)であり得る。
【0114】
抗体は、重鎖及び軽鎖相補性決定領域(「CDR」)セットを含んでいてもよく、それぞれは、CDRに対する支持体をもたらし、互いにCDRの空間関係を規定する、重鎖及び軽鎖フレームワーク(「FR」)セットの間に介在する。CDRセットは、重鎖または軽鎖V領域の3つの超可変領域を含んでいてもよい。重鎖または軽鎖のN-末端から開始して、これらの領域は、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」と称せられる。従って、抗原結合部位は、各々が重鎖及び軽鎖V領域からなるCDRセットを含む6つのCDRを含んでいてもよい。
【0115】
タンパク質分解酵素パパインは、IgG分子を優先的に切断して、いくつかの断片を生じさせ、そのうちの2つ(F(ab)断片)は、各々無傷抗原結合部位を含む共有結合ヘテロ二量体を含む。酵素ペプシンは、IgG分子を切断して、双方の抗原結合部位を含むF(ab’)2断片を含めたいくつかの断片を供することができる。従って、抗体は、FabまたはF(ab’)2であってもよい。Fabは、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドを含んでいてもよい。Fabの重鎖ポリペプチドは、VH領域及びCH1領域を含んでいてもよい。Fabの軽鎖は、VL領域及びCL領域を含んでいてもよい。
【0116】
抗体は、免疫グロブリン(Ig)であってもよい。Igは、例えば、IgA、IgM、IgD、IgE、及びIgGであってもよい。免疫グロブリンは、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドを含んでいてもよい。免疫グロブリンの重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、及びCH3領域を含んでいてもよい。免疫グロブリンの軽鎖ポリペプチドは、VL領域及びCL領域を含んでいてもよい。
【0117】
抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であってもよい。抗体は、キメラ抗体、一本鎖抗体、親和性成熟抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、または完全ヒト抗体であってもよい。ヒト化抗体は、非ヒト種由来の1つ以上の相補性決定領域(CDR)及びヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する所望の抗原に結合する非ヒト種由来の抗体であってもよい。
【0118】
抗体は、以下でより詳細に記載されるように、二重特異性抗体であってもよい。抗体は、やはり以下でより詳細に記載されるように、二官能性抗体であってもよい。
【0119】
上述のように、抗体は、組成物を対象に投与した際に対象内で生成することができる。抗体は、対象内で半減期を有してもよい。いくつかの実施形態において、抗体は、対象内でその半減期を延長させるかまたは短縮させるように修飾してもよい。かかる修飾は、以下でより詳細に記載される。
【0120】
a.二重特異性抗体
組み換え核酸配列は、二重特異性抗体、その断片、その変異体、またはその組み合わせをコードすることができる。二重特異性抗体は、2つの抗原、例えば、以下でより詳細に記載される抗原の2つに結合するかまたは該抗原と反応することができる。二重特異性抗体は、本明細書に記載の抗体の2つの断片からなってもよいため、二重特異性抗体は、2つの所望の標的分子に結合するかまたは該標的分子と反応することができる。該標的分子は、抗原(以下により詳細に記載する)、リガンド(例えば、受容体のリガンド)、受容体(例えば、受容体上のリガンド結合部位)、リガンド受容体複合体、及びマーカー(例えば、癌マーカー)を含み得る。
【0121】
b.二官能性抗体
組み換え核酸配列は、二官能性抗体、その断片、その変異体、またはその組み合わせをコードすることができる。二官能性抗体は、以下に記載される抗原に結合するかまたは該抗原と反応することができる。二官能性抗体は、抗原の認識及び抗原への結合を超えて、抗体にさらなる機能性を付与するように修飾してもよい。かかる修飾は、因子Hまたはその断片へのカップリングであってもよいが、これに限定されない。因子Hは、補体活性化の可溶性調節因子であるため、補体介在性溶解(CML)を介して免疫応答に寄与し得る。
【0122】
c.抗体半減期の延長
上述のように、抗体は、対象中の抗体の半減期を延長させるかまたは短縮させるように修飾してもよい。修飾は、対象の血清中の抗体の半減期を延長させるかまたは短縮させることができる。
【0123】
修飾は、抗体の定常領域に存在してもよい。修飾は、抗体の定常領域における1つ以上のアミノ酸置換であってもよく、これは、1つ以上のアミノ酸置換を含有しない抗体の半減期と比べて抗体の半減期を延長させる。修飾は、抗体のCH2ドメインにおける1つ以上のアミノ酸置換であってもよく、これは、1つ以上のアミノ酸置換を含有しない抗体の半減期と比べて抗体の半減期を延長させる。
【0124】
いくつかの実施形態において、定常領域における1つ以上のアミノ酸置換には、定常領域におけるメチオニン残基をチロシン残基に置換すること、定常領域におけるセリン残基をスレオニン残基に置換すること、定常領域におけるスレオニン残基をグルタミン酸残基に置換すること、またはその任意の組み合わせを含んでもよく、それにより抗体の半減期を延長させる。
【0125】
他の実施形態において、定常領域における1つ以上のアミノ酸置換には、CH2ドメインにおけるメチオニン残基をチロシン残基に置換すること、CH2ドメインにおけるセリン残基をスレオニン残基に置換すること、CH2ドメインにおけるスレオニン残基をグルタミン酸残基に置換すること、またはその任意の組み合わせを含んでもよく、それにより抗体の半減期を延長させる。
【0126】
5.抗原
合成抗体は、抗原またはその断片あるいはその変異体に向けられるものである。抗原は、核酸配列、アミノ酸配列、またはその組み合わせであってもよい。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、その変異体、その断片、またはその組み合わせであってもよい。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、その変異体、その断片、またはその組み合わせであってもよい。
【0127】
抗原は、任意の数の生物、例えば、ウイルス、寄生虫、細菌、真菌、または哺乳動物由来であってもよい。抗原は、自己免疫疾患、アレルギー、または喘息と関連し得る。他の実施形態において、抗原は、癌、ヘルペス、インフルエンザ、B型肝炎、C型肝炎、ヒト・パピローマウイルス(HPV)、またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)と関連し得る。
【0128】
いくつかの実施形態において、抗原は外来である。いくつかの実施形態において、抗原は自己抗原である。
【0129】
a.外来抗原
いくつかの実施形態において、抗原は外来である。外来抗原は、体内に導入された場合、免疫応答を刺激することが可能な任意の非自己物質(すなわち、対象の外部由来)である。
【0130】
(1)ウイルス抗原
外来抗原は、ウイルス抗原、またはその断片、またはその変異体であってもよい。ウイルス抗原は、以下の科:アデノウイルス科、アレナウイルス科、ブニヤウイルス科、カリシウイルス科、コロナウイルス科、フィロウイルス科、ヘパドナウイルス科、ヘルペスウイルス科、オルトミクソウイルス科、パポバウイルス科、パラミクソウイルス科、パルボウイルス科、ピコルナウイルス科、ポックスウイルス科、レオウイルス科、レトロウイルス科、ラブドウイルス科、またはトガウイルス科の一つからであってもよい。ウイルス抗原は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、チクングニヤウイルス(CHIKV)、デング熱ウイルス、パピローマウイルス、例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ポリオウイルス、肝炎ウイルス、例えば、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、E型肝炎ウイルス(HEV)、天然痘ウイルス(大痘瘡及び小痘瘡)、ワクシニアウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス、黄熱病ウイルス、ノーウォークウイルス、A型肝炎ウイルス、ヒトT-細胞白血病ウイルス(HTLV-I)、毛様細胞白血病ウイルス(HTLV-II)、カリフォルニア脳炎ウイルス、ハンタウイルス(出血熱)、狂犬病ウイルス、エボラ出血熱ウイルス、マールブルグ・ウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、1型単純ヘルペスウイルス(口腔ヘルペス)、2型単純ヘルペスウイルス(陰部ヘルペス)、帯状疱疹(水痘帯状疱疹、a.k.a.、水痘)、サイトメガロウイルス(CMV)(例えば、ヒトCMV)、エプステイン・バー・ウイルス(EBV)、フラビウイルス、口蹄疫ウイルス、ラッサ熱ウイルス、アレナウイルス、または発がん性ウイルス由来であってもよい。
【0131】
(a)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗原
ウイルス抗原は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ウイルス由来であってもよい。いくつかの実施形態において、HIV抗原は、サブタイプAエンベロープタンパク質、サブタイプBエンベロープタンパク質、サブタイプCエンベロープタンパク質、サブタイプDエンベロープタンパク質、サブタイプB Nef-Revタンパク質、GagサブタイプA、B、C、またはDタンパク質、MPolタンパク質、核酸、またはEnv A、Env B、Env C、Env D、B Nef-Rev、Gag、またはその任意の組み合わせのアミノ酸配列であってもよい。
【0132】
HIVに特異的な合成抗体は、配列番号3の核酸配列によってコードされる配列番号48のアミノ酸配列と配列番号4の核酸配列によってコードされる配列番号49のアミノ酸配列とを含むFab断片を含んでいてもよい。合成抗体は、配列番号6の核酸配列によってコードされる配列番号46のアミノ酸配列及び配列番号7の核酸配列によってコードされる配列番号47のアミノ酸配列を含んでいてもよい。Fab断片は、配列番号50の核酸配列によってコードされる配列番号51のアミノ酸配列を含む。Fabは、配列番号52の核酸配列によってコードされる配列番号53のアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0133】
HIVに特異的な合成抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含むIgを含んでいてもよい。Igは、配列番号62の核酸配列によってコードされる配列番号1のアミノ酸配列を含んでいてもよい。Igは、配列番号63の核酸配列によってコードされる配列番号2のアミノ酸配列を含んでいてもよい。Igは、配列番号54の核酸配列によってコードされる配列番号55のアミノ酸配列及び配列番号56の核酸配列によってコードされる配列番号57のアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0134】
(b)チクングンヤ熱ウイルス
ウイルス抗原は、チクングニヤウイルス由来であってもよい。チクングニヤウイルスは、トガウイルス科のアルファウイルス属に属する。チクングニヤウイルスは、ヤブカ属などの感染蚊の刺咬によってヒトに伝染する。
【0135】
一実施形態において、CHIKVに特異的な合成抗体は、上でより詳細に記載したように、配置構成1において第1及び第2の組み換え核酸構築物を含む組み換え核酸配列によってコードすることができる。CHIKVに特異的な合成抗体は、配列番号58の核酸配列によってコードされる配列番号59のアミノ酸配列と配列番号60の核酸配列によってコードされる配列番号61のアミノ酸配列とを含むFab断片を含んでいてもよい。
【0136】
別の実施形態において、CHIKVに特異的な合成抗体は、上でより詳細に記載したように、配置構成2において組み換え核酸構築物を含む組み換え核酸配列によってコードすることができる。CHIKVに特異的な合成抗体は、配列番号65の核酸配列によってコードされる配列番号66のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン(Ig)を含んでいてもよい。
【0137】
CHIKVに特異的な合成抗体は、CHIKVへの早期及び後期暴露に対する防御をもたらすことができる。CHIKVに特異的な合成抗体は、CHIKVへの異なる暴露経路、例えば、限定されないが、皮下または鼻腔内経路に対する防御をもたらすことができる。CHIKVに特異的な合成抗体は、CHIKV感染に対する防御をもたらすことができるため、感染の生存をもたらす。
【0138】
(c)デングウイルス
ウイルス抗原は、デングウイルス由来であってもよい。デングウイルス抗原は、ウイルス粒子を形成する3つのタンパク質またはポリペプチド(C、prM、及びE)の1つであってもよい。デングウイルス抗原は、ウイルスの複製に関わる7つの他のタンパク質またはポリペプチド(NS1、NS2a、NS2b、NS3、NS4a、NS4b、NS5)の1つであってもよい。デングウイルスは、DENV-1、DENV-2、DENV-3、及びDENV-4を含む、ウイルスの5つの株または血清型の1つであってもよい。抗原は、複数のデングウイルス抗原の任意の組み合わせであってもよい。
【0139】
一実施形態において、DENVの合成抗体は、上でより詳細に記載したように、配置構成2において組み換え核酸構築物を含む組み換え核酸配列によってコードすることができる。デングウイルスに特異的な合成抗体は、配列番号44の核酸配列によってコードされる配列番号45のアミノ酸配列を含むIgを含んでいてもよい。別の実施形態において、デングウイルスに特異的な合成抗体は、配列番号67の核酸配列によってコードされる配列番号68のアミノ酸配列を含むIgを含んでいてもよい。別の実施形態において、デングウイルスに特異的な合成抗体は、配列番号71の核酸配列によってコードされる配列番号72のアミノ酸配列を含むIgを含んでいてもよい。さらに別の実施形態において、デングウイルスに特異的な合成抗体は、配列番号75の核酸配列によってコードされる配列番号76のアミノ酸配列を含むIgを含んでいてもよい。
【0140】
いくつかの実施形態において、デングウイルスに特異的な合成抗体は、FcyR1aへの抗体の結合を減少させるかまたは防止する1つ以上のアミノ酸置換を含んでいてもよい。1つ以上のアミノ酸置換は、抗体の定常領域であってもよい。1つ以上のアミノ酸置換は、ロイシン残基を抗体の定常領域におけるアラニン残基に置換すること(すなわち、LA、LA突然変異、またはLA置換としても本明細書で知られている)を含んでいてもよい。1つ以上のアミノ酸置換は、2つのロイシン残基の各々を抗体の定常領域におけるアラニン残基に置換すること(LALA、LALA突然変異、またはLALA置換としても本明細書で知られている)を含んでいてもよい。LALA置換の存在により、抗体がFcyR1aに結合するのを防止または遮断するため、抗体は、ADEを高めたり引き起こしたりしないが、DENVを中和する。
【0141】
いくつかの実施形態において、デングウイルスに特異的でありかつLALA置換を含有する合成抗体は、配列番号69の核酸配列によってコードされる配列番号70のアミノ酸配列を含むIgを含んでいてもよい。他の実施形態において、デングウイルスに特異的でありかつLALA置換を含有する合成抗体は、配列番号73の核酸配列によってコードされる配列番号74のアミノ酸配列を含むIgを含んでいてもよい。さらに他の実施形態において、デングウイルスに特異的でありかつLALA置換を含有する合成抗体は、配列番号77の核酸配列によってコードされる配列番号78のアミノ酸配列を含むIgを含んでいてもよい。
【0142】
いくつかの実施形態において、デングウイルスに特異的な合成抗体は、抗デング抗体の組み合わせ、例えば、2つ以上、3つ以上、または4つ以上の抗体であってもよい。かかる組み合わせは、DENVの多数の血清型の中和をもたらし得る。
【0143】
(d)肝炎抗原
ウイルス抗原は、肝炎ウイルス抗原(すなわち、肝炎抗原)、またはその断片、またはその変異体を含んでいてもよい。肝炎抗原は、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、及び/またはE型肝炎ウイルス(HEV)の1つ以上由来の抗原または免疫原であってもよい。
【0144】
肝炎抗原は、HAV由来の抗原であってもよい。肝炎抗原は、HAVカプシドタンパク質、HAV非構造タンパク質、その断片、その変異体、またはその組み合わせであってもよい。
【0145】
肝炎抗原は、HCV由来の抗原であってもよい。肝炎抗原は、HCVヌクレオカプシドタンパク質(すなわち、コアタンパク質)、HCVエンベロープタンパク質(例えば、E1及びE2)、HCV非構造タンパク質(例えば、NS1、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、及びNS5b)、その断片、その変異体、またはその組み合わせであってもよい。
【0146】
肝炎抗原は、HDV由来の抗原であってもよい。肝炎抗原は、HDVデルタ抗原、その断片、またはその変異体であってもよい。
【0147】
肝炎抗原は、HEV由来の抗原であってもよい。肝炎抗原は、HEVカプシドタンパク質、その断片、またはその変異体であってもよい。
【0148】
肝炎抗原は、HBV由来の抗原であってもよい。肝炎抗原は、HBVコアタンパク質、HBV表面タンパク質、HBV DNAポリメラーゼ、X遺伝子によってコードされるHBVタンパク質、その断片、その変異体、またはその組み合わせであってもよい。肝炎抗原は、HBV遺伝子A型コアタンパク質、HBV遺伝子B型コアタンパク質、HBV遺伝子C型コアタンパク質、HBV遺伝子D型コアタンパク質、HBV遺伝子E型コアタンパク質、HBV遺伝子F型コアタンパク質、HBV遺伝子G型コアタンパク質、HBV遺伝子H型コアタンパク質、HBV遺伝子A型表面タンパク質、HBV遺伝子B型表面タンパク質、HBV遺伝子C型表面タンパク質、HBV遺伝子D型表面タンパク質、HBV遺伝子E型表面タンパク質、HBV遺伝子F型表面タンパク質、HBV遺伝子G型表面タンパク質、HBV遺伝子H型表面タンパク質、その断片、その変異体、またはその組み合わせであってもよい。
【0149】
いくつかの実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子A型、HBV遺伝子B型、HBV遺伝子C型、HBV遺伝子D型、HBV遺伝子E型、HBV遺伝子F型、HBV遺伝子G型、またはHBV遺伝子H型由来の抗原であってもよい。
【0150】
(e)ヒト・パピローマウイルス(HPV)抗原
ウイルス抗原は、HPV由来の抗原を含んでいてもよい。HPV抗原は、子宮頸癌、直腸癌、及び/またはその他の癌を引き起こすHPV型16、18、31、33、35、45、52、及び58由来であってもよい。HPV抗原は、性器疣贅を引き起こし、かつ、頭部癌及び頸部癌の原因としても知られるHPV型6及び11由来であってもよい。
【0151】
HPV抗原は、各HPV型からのHPV E6またはE7領域であってもよい。例えば、HPV型16(HPV16)において、HPV16抗原は、HPV16 E6抗原、HPV16 E7抗原、断片、変異体、またはその組み合わせを含んでいてもよい。同様に、HPV抗原は、HPV6 E6及び/またはE7、HPV11 E6及び/またはE7、HPV18 E6及び/またはE7、HPV31 E6及び/またはE7、HPV33 E6及び/またはE7、HPV52 E6及び/またはE7、HPV58 E6及び/またはE7、断片、変異体、またはその組み合わせであってもよい。
【0152】
(f)RSV抗原
ウイルス抗原は、RSV抗原を含んでいてもよい。RSV抗原は、ヒトRSV融合タンパク質(本明細書では、「RSV F」、「RSV Fタンパク質」、及び「Fタンパク質」と称することもある)、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。ヒトRSV融合タンパク質は、RSVサブタイプA及びBの間で保存されてもよい。RSV抗原は、RSV長株(ジェンバンク(GenBank)AAX23994.1)由来のRSV Fタンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。RSV抗原は、RSV A2株(ジェンバンクAAB59858.1)由来のRSV Fタンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。RSV抗原は、RSV Fタンパク質の単量体、二量体、三量体、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。
【0153】
RSV Fタンパク質は、前融合形態または後融合形態であってもよい。RSV Fの後融合形態は、免疫動物中で高い中和抗体力価を引き起こし、該動物をRSV暴露から防御する。
【0154】
RSV抗原は、ヒトRSV付着糖タンパク質(本明細書では、「RSV G」、「RSV Gタンパク質」、及び「Gタンパク質」と称することもある)、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。ヒトRSV Gタンパク質は、RSVサブタイプA及びB間で異なる。抗原は、RSV長株(ジェンバンクAAX23993)由来のRSV Gタンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。RSV抗原は、RSVサブタイプB単離体H5601、RSVサブタイプB単離体H1068、RSVサブタイプB単離体H5598、RSVサブタイプB単離体H1123由来のRSV Gタンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。
【0155】
他の実施形態において、RSV抗原は、ヒトRSV非構造タンパク質1(「NS1タンパク質」)、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。例えば、RSV抗原は、RSV長株(ジェンバンクAAX23987.1)由来のRSV NS1タンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。RSV抗原は、RSV非構造タンパク質2(「NS2タンパク質」)、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。例えば、RSV抗原は、RSV長株(ジェンバンクAAX23988.1)由来のRSV NS2タンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。さらに、RSV抗原は、ヒトRSVヌクレオカプシド(「N」)タンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。例えば、RSV抗原は、RSV長株(ジェンバンクAAX23989.1)由来のRSV Nタンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。RSV抗原は、ヒトRSVリン(「P」)タンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。例えば、RSV抗原は、RSV長株(ジェンバンクAAX23990.1)由来のRSV Pタンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。RSV抗原は、ヒトRSV基質(「M」)タンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。例えば、RSV抗原は、RSV長株(ジェンバンクAAX23991.1)由来のRSV Mタンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。
【0156】
さらに別の実施形態において、RSV抗原は、ヒトRSV疎水性低分子(「SH」)タンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。例えば、RSV抗原は、RSV長株(ジェンバンクAAX23992.1)由来のRSV SHタンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。RSV抗原は、ヒトRSV基質2-1(「M2-1」)タンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。例えば、RSV抗原は、RSV長株(ジェンバンクAAX23995.1)由来のRSV M2-1タンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。さらに、RSV抗原は、ヒトRSV基質2-2(「M2-2」)タンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。例えば、RSV抗原は、RSV長株(ジェンバンクAAX23997.1)由来のRSV M2-2タンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。RSV抗原は、ヒトRSVポリメラーゼL(「L」)タンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。例えば、RSV抗原は、RSV長株(ジェンバンクAAX23996.1)由来のRSV Lタンパク質、またはその断片あるいはその変異体であってもよい。
【0157】
別の実施形態において、RSV抗原は、NS1、NS2、N、P、M、SH、M2-1、M2-2、またはLタンパク質の最適化アミノ酸配列を有し得る。RSV抗原は、ヒトRSVタンパク質または組み換え抗原であってもよく、これは、ヒトRSVゲノムによってコードされるタンパク質のいずれか一つである。
【0158】
他の実施形態において、RSV抗原は、RSV長株由来のRSV Fタンパク質、RSV長株由来のRSV Gタンパク質、最適化アミノ酸RSV Gアミノ酸配列、RSV長株のヒトRSVゲノム、最適化アミノ酸RSV Fアミノ酸配列、RSV長株由来のRSV NS1タンパク質、RSV長株由来のRSV NS2タンパク質、RSV長株由来のRSV Nタンパク質、RSV長株由来のRSV Pタンパク質、RSV長株由来のRSV Mタンパク質、RSV長株由来のRSV SHタンパク質、RSV長株由来のRSV M2-1タンパク質、RSV長株由来のRSV M2-2タンパク質、RSV長株由来のRSV Lタンパク質、RSVサブタイプB単離体H5601由来のRSV Gタンパク質、RSVサブタイプB単離体H1068由来のRSV Gタンパク質、RSVサブタイプB単離体H5598由来のRSV Gタンパク質、RSVサブタイプB単離体H1123由来のRSV Gタンパク質、またはその断片、またはその変異体であってもよいが、これらに限定されない。
【0159】
(g)インフルエンザ抗原
ウイルス抗原は、インフルエンザウイルス由来の抗原を含んでいてもよい。インフルエンザ抗原は、1つ以上のインフルエンザ血清型に対して哺乳動物中で免疫応答を引き起こすことができるものである。抗原は、全長翻訳産物HA0、サブユニットHA1、サブユニットHA2、その変異体、その断片、またはその組み合わせを含んでいてもよい。インフルエンザヘマグルチニン抗原は、複数株のA型インフルエンザ血清型H1、複数株のA型インフルエンザ血清型H2由来であっても、異なる複数株セットのA型インフルエンザ血清型H1由来のハイブリッド配列であっても、あるいは、複数株のB型インフルエンザ由来であってもよい。インフルエンザヘマグルチニン抗原は、B型インフルエンザ由来であってもよい。
【0160】
インフルエンザ抗原は、免疫応答が誘発される特定のインフルエンザ免疫原に対して効果的な少なくとも1つの抗原エピトープを含んでいてもよい。抗原は、無傷インフルエンザウイルス内に存在する免疫原性部位及びエピトープの全てのレパートリーを供し得る。抗原は、血清型H1または血清型H2の複数のA型インフルエンザウイルス株など、1つの血清型の複数のA型インフルエンザウイルス株からのヘマグルチニン抗原配列由来であってもよい。抗原は、2つの異なるヘマグルチニン抗原配列またはその一部分の組み合わせ由来であるハイブリッドヘマグルチニン抗原配列であってもよい。2つの異なるヘマグルチニン抗原配列の各々は、血清型H1の複数のA型インフルエンザウイルス株など、1つの血清型の複数のA型インフルエンザウイルス株の異なるセット由来であってもよい。抗原は、複数のB型インフルエンザウイルス株からのヘマグルチニン抗原配列由来であるヘマグルチニン抗原配列であってもよい。
【0161】
いくつかの実施形態において、インフルエンザ抗原は、H1 HA、H2 HA、H3 HA、H5 HA、またはBHA抗原であってもよい。
【0162】
(h)エボラウイルス
ウイルス抗原は、エボラウイルス由来であってもよい。エボラウイルス疾患(EVD)またはエボラ出血熱(EHF)としては、5つの公知のエボラウイルス、ブンディブギョウイルス(BDBV)、エボラウイルス(EBOV)、スーダンウイルス(SUDV)、及びタイフォレストウイルス(TAFV、コートジボワールエボラウイルス(象牙海岸エボラウイルス、CIEBOV)とも呼ばれる)の任意の4つが挙げられる。
【0163】
(2)細菌性抗原
外来抗原は、細菌性抗原またはその断片あるいはその変異体であってもよい。細菌は、以下の門:アシドバクテリウム門、アクチノバクテリア門、アクウィフェクス門、バクテロイデス門、カルディセリクム門、クラミジア門、クロロビウム門、クロロフレクサス門、クリシオゲネス門、シアノバクテリア門、デフェリバクター門、デイノコックス・テルムス門、ディクチオグロムス門、エルシミクロビウム門、フィブロバクター門、フィルミクテス門、フソバクテリウム門、ゲマティモナス門、レンティスファエラ門、ニトロスピラ門、プランクトミケス門、プロテオバクテリア門、スピロヘータ門、シネルギステス門、テネリクテス門、サーモデスルフォバクテリア門、テルモトガ門、及びウェルコミクロビウム門の任意の1つ由来であってもよい。
【0164】
細菌は、グラム陽性菌またはグラム陰性菌であってもよい。細菌は、好気性細菌または嫌気性細菌であってもよい。細菌は、独立栄養細菌または従属栄養細菌であってもよい。細菌は、中温菌、好中菌、好極限菌、好酸菌、好アルカリ菌、好熱菌、低温菌、好塩菌、または好濃菌であってもよい。
【0165】
細菌は、炭疽菌、抗生物質耐性菌、病原菌、食中毒菌、感染性菌、サルモネラ菌、ブドウ球菌、連鎖球菌属細菌、または破傷風菌であってもよい。細菌は、抗酸菌、破傷風菌、ペスト菌、炭疽菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、またはクロストリジウム-ディフィシレ菌であってもよい。細菌は、結核菌であってもよい。
【0166】
(a)結核菌抗原
細菌性抗原は、結核菌抗原(すなわち、TB抗原またはTB免疫原)、またはその断片、またはその変異体であってもよい。TB抗原は、TB抗原のAg85科、例えば、Ag85A及びAg85B由来であってもよい。TB抗原は、TB抗原のEsx科、例えば、EsxA、EsxB、EsxC、EsxD、EsxE、EsxF、EsxH、EsxO、EsxQ、EsxR、EsxS、EsxT、EsxU、EsxV、及びEsxW由来であってもよい。
【0167】
(3)寄生虫抗原
外来抗原は、寄生虫抗原またはその断片あるいはその変異体であってもよい。寄生虫は、原虫、寄生蠕虫、または外部寄生虫であってもよい。寄生蠕虫(すなわち、蠕虫)は、扁虫(例えば、吸虫及び条虫)、鉤頭虫、または回虫(例えば、蟯虫)であってもよい。外部寄生虫は、シラミ、ノミ、マダニ、及びダニであってもよい。
【0168】
寄生虫は、以下の疾患のうちの任意の1つの原因となる任意の寄生虫であってもよい:アカントアメーバ角膜炎、アメーバ症、回虫症、バベシア症、バランチジウム症、回虫症(Baylisascariasis)、シャーガス病、肝吸虫症、コクリオミイヤ症、クリプトスポリジウム症、裂頭条虫症、メジナ虫症、エキノコックス症、象皮病、蟯虫症、肝蛭症、肥大吸虫症、フィラリア症、ランブル鞭毛虫症、顎口虫症、膜様条虫症、イソスポーラ症、片山熱、リーシュマニア症、ライム病、マラリア、メタゴニムス症、ハエ蛆症、オンコセルカ症、シラミ寄生症、疥癬、住血吸虫症、睡眠病、糞線虫症、条虫症、トキソカラ症、トキソプラズマ症、旋毛虫病、及び鞭虫症。
【0169】
寄生虫は、アカントアメーバ、アニサキス、回虫(Ascaris lumbricoides)、ウマバエ、大腸バランチジウム、トコジラミ、条虫綱(条虫)、ツツガムシ、ラセンウジバエ、赤痢アメーバ、肝蛭、ランブル鞭毛虫、鉤虫、リーシュマニア、鼻腔舌虫、肝吸虫、ロア糸状虫、肺吸虫(肺吸虫)、蟯虫、熱帯熱マラリア原虫、住血吸虫、糞線虫、ダニ、条虫、トキソプラズマ原虫、トリパノソーマ、鞭虫、またはバンクロフト糸状虫であってもよい。
【0170】
(a)マラリア抗原
外来抗原は、マラリア抗原(すなわち、PF抗原またはPF免疫原)、またはその断片、またはその変異体であってもよい。抗原は、マラリアの原因となる寄生虫由来であってもよい。マラリア病原性の寄生虫は、熱帯熱マラリア原虫であってもよい。熱帯熱マラリア原虫抗原は、スポロゾイト周囲(CS)抗原を含んでいてもよい。
【0171】
いくつかの実施形態において、マラリア抗原は、熱帯熱マラリア原虫免疫原CS;LSA1;TRAP;CelTOS;及びAma1の1つであってもよい。免疫原は、全長タンパク質またはその免疫原性断片であってもよい。
【0172】
他の実施形態において、マラリア抗原は、SSP2とも呼ばれるTRAPであってもよい。さらに別の実施形態において、マラリア抗原は、Ag2とも呼ばれ、かつ、高度に保存されたプラスモジウム抗原であるCelTOSであってもよい。別の実施形態において、マラリア抗原は、高度に保存されたプラスモジウム抗原であるAma1であってもよい。いくつかの実施形態において、マラリア抗原は、CS抗原であってもよい。
【0173】
他の実施形態において、マラリア抗原は、本明細書に記載のPFタンパク質の2つ以上の組み合わせを含む融合タンパク質であってもよい。例えば、融合タンパク質は、互いに隣接して直接結合しているか、スペーサーと結合しているか、あるいは、1つ以上のアミノ酸の間で結合しているCS免疫原、ConLSA1免疫原、ConTRAP免疫原、ConCelTOS免疫原、及びConAma1免疫原の2つ以上を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、2つのPF免疫原を含み、いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、3つのPF免疫原を含み、いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、4つのPF免疫原を含み、いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、5つのPF免疫原を含む。2つのPF免疫原を持つ融合タンパク質は、CS及びLSA1;CS及びTRAP;CS及びCelTOS;CS及びAma1;LSA1及びTRAP;LSA1及びCelTOS;LSA1及びAma1;TRAP及びCelTOS;TRAP及びAma1;または、CelTOS及びAma1を含んでいてもよい。3つのPF免疫原を持つ融合タンパク質は、CS、LSA1、及びTRAP;CS、LSA1、及びCelTOS;CS、LSA1、及びAma1;LSA1、TRAP、及びCelTOS;LSA1、TRAP、及びAma1;または、TRAP、CelTOS、及びAma1を含んでいてもよい。4つのPF免疫原を持つ融合タンパク質は、CS、LSA1、TRAP、及びCelTOS;CS、LSA1、TRAP、及びAma1;CS、LSA1、CelTOS、及びAma1;CS、TRAP、CelTOS、及びAma1;または、LSA1、TRAP、CelTOS、及びAma1を含んでいてもよい。5つのPF免疫原を持つ融合タンパク質は、CSまたはCS-alt、LSA1、TRAP、CelTOS、及びAma1を含んでいてもよい。
【0174】
(4)真菌抗原
外来抗原は、真菌抗原またはその断片あるいはその変異体であってもよい。真菌は、アスペルギルス種、ブラストミセス・デルマチチジス、カンジダ属酵母(例えば、カンジダ・アルビカンス)、コクシジオイデス、クリプトコックス・ネオフォルマンス、クリプトコッカス・ガッティ、皮膚糸状菌、フザリウム属種、ヒストプラスマ‐カプスラーツム、ケカビ亜門、ニューモシスチス・イロベチ、スポロトリックス‐シェンキィ、エクセロヒルム、またはクラドスポリウムであってもよい。
【0175】
b.自己抗原
いくつかの実施形態において、抗原は、自己抗原である。自己抗原は、免疫応答を刺激することが可能な対象自身の体の構成要素であってもよい。いくつかの実施形態において、自己抗原は、対象が疾患状態、例えば、自己免疫疾患でなければ、免疫応答を誘発しない。
【0176】
自己抗原としては、サイトカイン、HIV及びデング熱を含む上に列挙したウイルスに対する抗体、癌の進行または発生に影響を及ぼす抗原、細胞表面受容体、または膜貫通タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0177】
(1)WT-1
自己抗原は、ウィルムス腫瘍抑制遺伝子1(WT1)、その断片、その変異体、またはその組み合わせであってもよい。WT1は、プロリン/グルタミンリッチDNA-結合領域をN-末端に、かつ、4つの亜鉛フィンガーモチーフをC-末端に含む転写因子である。WT1は、泌尿生殖器系の正常な発達に関与しており、多くの因子、例えば、腫瘍抑制因子として知られるp53、及び細胞毒性薬による治療後に多数の部位でWT1を切断するセリンプロテアーゼHtrA2と相互作用する。WT1の突然変異により、腫瘍または癌形成、例えば、WT1を発現するウィルムス腫瘍または腫瘍がもたらされる。
【0178】
(2)EGFR
自己抗原は、上皮成長増殖因子受容体(EGFR)、またはその断片あるいはその変異体を含んでいてもよい。EGFR(ErbB-1及びHER1とも呼ばれる)は、細胞外タンパク質リガンドの上皮細胞増殖因子ファミリー(EGFファミリー)メンバーの細胞表面受容体である。EGFRは、受容体のErbBファミリーメンバーであり、4つの密接に関連した受容体チロシン・キナーゼであるEGFR(ErbB-1)、HER2/c-neu(ErbB-2)、Her3(ErbB-3)、及びHer4(ErbB-4)を含む。EGFR発現または活性に影響を及ぼす突然変異は癌になり得る。
【0179】
抗原は、ErbB-2抗原を含んでいてもよい。Erb-2(ヒト上皮成長増殖因子受容体2)は、Neu、HER2、CD340(分化340のクラスター)、またはp185としても知られ、ERBB2遺伝子によってコードされる。この遺伝子の増幅または過剰発現が、ある侵攻性の乳癌の発生及び進行に役割を果たすことが実証されている。乳癌の女性の約25~30%において、ERBB2遺伝子で遺伝子変化が起きており、腫瘍細胞の表面上でHER2の産生量が増している。HER2の過剰発現により急速な細胞分裂が促進されるため、HER2は腫瘍細胞をマークする。
【0180】
HER2に特異的な合成抗体は、配列番号40の核酸配列によってコードされる配列番号41のアミノ酸配列及び配列番号42の核酸配列によってコードされる配列番号43のアミノ酸配列を含むFab断片を含んでいてもよい。
【0181】
(3)コカイン
自己抗原は、コカイン受容体抗原であってもよい。コカイン受容体は、ドーパミン輸送体を含む。
【0182】
(4)PD-1
自己抗原は、プログラム死1(PD-1)を含んでいてもよい。プログラム死1(PD-1)及びそのリガンドであるPD-L1及びPD-L2は、T細胞活性化、耐性、及び免疫病理学間のバランスを調節する抑制シグナルを送達する。PD-1は、膜貫通領域及び細胞内尾部に続く細胞外IgV領域を含む288アミノ酸細胞表面タンパク質分子である。
【0183】
(5)4-1BB
自己抗原は、4-1BBリガンドを含んでいてもよい。4-1BBリガンドは、TNF上科に属する2型の膜貫通糖タンパク質である。4-1BBリガンドは、活性化Tリンパ球上で発現されてもよい。4-1BBは、活性化誘発性T細胞共刺激分子である。4-1BB経由のシグナル伝達により、生存遺伝子が上方制御され、細胞分裂が高められ、サイトカイン産生が誘発され、T細胞の活性化誘発性細胞死が防止される。
【0184】
(6)CTLA4
自己抗原は、CD152(分化152のクラスター)としても知られるCTLA-4(細胞毒性Tリンパ球抗原4)を含んでいてもよい。CTLA-4は、T細胞の表面上に見られるタンパク質受容体であり、抗原への細胞性免疫攻撃をもたらす。抗原は、細胞外V領域、膜貫通領域、細胞質尾部、またはその組み合わせなどのCTLA-4の断片であってもよい。
【0185】
(7)IL-6
自己抗原は、インターロイキン6(IL-6)を含んでいてもよい。IL-6は、限定されないが、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、鬱病、アルツハイマー病、全身性エリテマトーデス、多発性骨髄腫、癌、ベーチェット病、及び関節リウマチを含む多くの疾患において炎症及び自己免疫プロセスを刺激する。
【0186】
(8)MCP-1
自己抗原は、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)を含んでいてもよい。MCP-1は、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド2(CCL2)または小誘導性サイトカインA2とも呼ばれる。MCP-1は、CCケモカインファミリーに属するサイトカインである。MCP-1は、組織傷害または感染のいずれかによって産生された炎症部位に、単球、記憶T細胞、及び樹枝状細胞を補充する。
【0187】
(9)アミロイドベータ
自己抗原は、アミロイドベータ(Aβ)またはその断片あるいはその変異体を含んでいてもよい。Aβ抗原は、Aβ(X-Y)ペプチドを含み、X及びY両方を含むヒト配列Aβタンパク質のアミノ酸位置Xからアミノ酸位置Yのアミノ酸配列であり、特に、アミノ酸配列DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVIATVIVI(アミノ酸位置1~47に対応;ヒトクエリ配列)のアミノ酸位置Xからアミノ酸位置Yのアミノ酸配列またはその変異体である。Aβ抗原は、Aβ(X-Y)ポリペプチドのAβポリペプチドを含んでいてもよく、Xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または32であってもよく、Yは、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、または15であってもよい。Aβポリペプチドは、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、または少なくとも46アミノ酸である断片を含んでいてもよい。
【0188】
(10)IP-10
自己抗原は、インターフェロン(IFN)ガンマ誘発タンパク質10(IP-10)を含んでいてもよい。IP-10は、小誘導性サイトカインB10またはC-X-Cモチーフケモカイン10(CXCL10)としても知られる。CXCL10は、IFN-γに応答して、単球、内皮細胞、及び線維芽細胞などのいくつかの細胞型から分泌される。
【0189】
(11)PSMA
自己抗原は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)を含んでいてもよい。PSMAは、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼII(GCPII)、N-アセチル-L-アスパルチル-L-グルタミン酸ペプチダーゼI(NAALADase I)、NAAGペプチダーゼ、または葉酸加水分解酵素(FOLH)としても知られる。PMSAは、前立腺癌細胞によって高発現される内在性膜タンパク質である。
【0190】
c.他の抗原
いくつかの実施形態において、抗原は、外来抗原及び/または自己抗原以外の抗原である。
【0191】
(a)HIV-1 VRC01
他の抗原は、HIV-1 VRC01であってもよい。HIV-1 VCR01は、HIVの中和CD4結合部位抗体である。HIV-1 VCR01は、HIV-1のgp120ループD、CD4結合ループ、及びV5領域内をはじめとするHIV-1の一部分と接触する。
【0192】
(b)HIV-1 PG9
他の抗原は、HIV-1 PG9であってもよい。HIV-1 PG9は、HIV(HIV-1)エンベロープ(Env)糖タンパク質(gp)三量体に優先的に結合し、かつ、ウイルスを広く中和するグリカン依存ヒト抗体の拡大ファミリーの創立メンバーである。
【0193】
(c)HIV-1 4E10
他の抗原は、HIV-1 4E10であってもよい。HIV-1 4E10は、中和抗HIV抗体である。HIV-1 4E10は、HIV-1の膜近接外部領域(MPER)にマップした線状エピトープに対するものであり、gp41細胞外ドメインのC末端に位置する。
【0194】
(d)DV-SF1
他の抗原は、DV-SF1であってもよい。DV-SF1は、4つのデングウイルス血清型のエンベロープタンパク質に結合する中和抗体である。
【0195】
(e)DV-SF2
他の抗原は、DV-SF2であってもよい。DV-SF2は、デングウイルスのエピトープに結合する中和抗体である。DV-SF2は、DENV4血清型に特異的であり得る。
【0196】
(f)DV-SF3
他の抗原は、DV-SF3であってもよい。DV-SF3は、デングウイルスエンベロープタンパク質のEDIII A鎖に結合する中和抗体である。
【0197】
6.組成物の賦形剤及び他の成分
組成物は、薬学的に許容しうる賦形剤をさらに含んでいてもよい。薬学的に許容しうる賦形剤は、ビヒクル、担体、または希釈剤としての機能的分子であり得る。薬学的に許容しうる賦形剤は、界面活性剤を含みうるトランスフェクション促進剤、例えば免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質AをはじめとするLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、スクアレン及びスクアレンなどの小胞、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の公知のトランスフェクション促進剤であり得る。
【0198】
トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタマート(LGS)をはじめとするポリアニオン、ポリカチオン、または脂質である。トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタマートであり、ポリ-L-グルタマートは、6mg/ml未満の濃度で組成物中に存在してもよい。トランスフェクション促進剤は、界面活性剤、例えば免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質AをはじめとするLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、ならびにスクアレン及びスクアレンなどの小胞を含んでいてもよく、ヒアルロン酸を用いて、組成物と一体化させて投与してもよい。組成物は、トランスフェクション促進剤、例えば脂質、レシチンリポソームまたはDNAリポソーム混合物(例えば、W09324640参照)などの当該技術分野で公知の他のリポソームをはじめとするリポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の公知トランスフェクション促進剤を含んでいてもよい。トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタマート(LGS)をはじめとするポリアニオン、ポリカチオン、または脂質である。ワクチン中のトランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または0.010mg/ml未満である。
【0199】
組成物は、1994年4月1日出願の米国特許出願第021,579号に記載された遺伝子促進剤をさらに含んでいてもよく、参照により完全に組み入れられる。
【0200】
組成物は、DNAを約1ナノグラム~約100ミリグラム;約1マイクログラム~約10ミリグラム;好ましくは約0.1マイクログラム~約10ミリグラム;さらに好ましくは約1ミリグラム~約2ミリグラムの量で含んでいてもよい。いくつかの好ましい実施形態において、本発明による組成物は、DNAを約5ナノグラム~約1000マイクログラム含む。いくつかの好ましい実施形態において、組成物は、DNAを約10ナノグラム~約800マイクログラム含んでいてもよい。いくつかの好ましい実施形態において、組成物は、DNAを約0.1~約500マイクログラム含んでいてもよい。いくつかの好ましい実施形態において、組成物は、DNAを約1~約350マイクログラム含んでいてもよい。いくつかの好ましい実施形態において、組成物は、DNAを約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラム、約1ナノグラム~100ミリグラム;約1マイクログラム~約10ミリグラム;約0.1マイクログラム~約10ミリグラム;約1ミリグラム~約2ミリグラム、約5ナノグラム~約1000マイクログラム、約10ナノグラム~約800マイクログラム、約0.1~約500マイクログラム、約1~約350マイクログラム、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラム含んでいてもよい。
【0201】
組成物は、用いられる投与様式に従って配合してもよい。注射可能な医薬組成物は、滅菌されたパイロジェンフリー及び微粒子フリーであってもよい。等張性配合剤または溶液が用いられてもよい。等張性のための添加剤として、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール及びラクトースを挙げることができる。組成物は、血管収縮剤を含んでいてもよい。等張性溶液は、リン酸緩衝生理食塩水を含んでいてもよい。組成物は、ゼラチン及びアルブミンをはじめとする安定化剤をさらに含んでいてもよい。LGSまたはポリカチオンまたはポリアニオンなどの安定剤により、配合剤を室温または周囲温度で長時間安定にさせることができる。
【0202】
7.合成抗体の生成方法
また、本発明は、合成抗体の生成方法に関する。本方法は、組成物を、以下により詳細に記載の送達方法を用いてそれを必要とする対象に投与することを含んでいてもよい。従って、合成抗体は、組成物を対象に投与した際に、対象内もしくはインビボで生成される。
【0203】
本方法は、組成物を1つ以上の細胞中に導入することも含んでいてもよい。従って、合成抗体は、1つ以上の細胞中で生成もしくは産生されてもよい。本方法は、組成物を、1つ以上の組織、例えば、限定されないが、皮膚及び筋肉中に導入することをさらに含んでもよい。従って、合成抗体は、1つ以上の組織中で生成もしくは産生されてもよい。
【0204】
8.抗体の特定方法またはスクリーニング方法
さらに、本発明は、上述の抗原に反応するかもしくは結合する上述の抗体の特定方法またはスクリーニング方法に関する。抗体を特定またはスクリーニングする本方法を当業者に公知の方法論で抗原に用いて、抗体を特定またはスクリーニングすることができる。かかる手法としては、ライブラリ(例えば、ファージディスプレイ)からの抗体の選択、動物の免疫化、続いて、抗体の単離及び/または精製が挙げられるが、これらに限定されない。
【0205】
9.組成物の送達方法
また、本発明は、組成物をそれを必要とする対象に送達する方法に関する。送達方法は、組成物を対象に投与することを含んでいてもよい。投与としては、インビボ電気穿孔付き及び無しのDNA注射、リポソーム介在送達、及びナノ粒子促進送達が挙げられるが、これらに限定されない。
【0206】
組成物の送達を受ける哺乳動物は、ヒト、霊長類、非ヒト霊長類、ウシ、畜牛、ヒツジ、ヤギ、レイヨウ、バイソン、水牛、バイソン、ウシ属、シカ、ハリネズミ、ゾウ、ラマ、アルパカ、マウス、ラット、及びニワトリであってもよい。
【0207】
組成物を、経口、非経口、舌下、経皮、経直腸、経粘膜、局所、吸入、口腔投与、胸腔内、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻内、髄腔内、及び関節内、またはそれらの組み合わせをはじめとする異なる経路で投与してもよい。獣医学的使用では、通常の獣医学的実践に従い、組成物を適切に許容しうる配合剤として投与してもよい。獣医は、特定の動物に最も適した投与レジメン及び投与経路を、容易に決定することができる。組成物を、伝統的なシリンジ、針なし注射装置、「微粒子衝撃遺伝子銃」、または他の物理的方法、例えば電気穿孔法(EP)、「水力学的方法」、または超音波により投与してもよい。
【0208】
a.電気穿孔
電気穿孔による組成物の投与は、細胞膜に可逆的な孔を形成させるのに効果的なエネルギーパルスを哺乳動物の所望の組織に送達するように構成することができる電気穿孔装置を用いて達成され得、好ましくは、エネルギーパルスは、ユーザーにより入力されたプリセット電流に近い定電流である。電気穿孔装置は、電気穿孔構成要素及び電極アセンブリまたはハンドルアセンブリを含んでいてもよい。電気穿孔構成要素は、制御器、電流波形発生器、インピーダンステスタ、波形ロガー、入力要素、ステータス報告要素、コミュニケーションポート、メモリー成分、電源、及び電源スイッチをはじめとする電気穿孔装置の1種以上の様々な要素を含み、それらを組み込んでいてもよい。電気穿孔は、プラスミドによる細胞のトランスフェクションを容易化するインビボ電気穿孔装置、例えば、CELLECTRA EPシステム(イノビオファーマシューティカルズ社製、ペンシルベニア州プリマス・ミーティング)またはElgenエレクトロポレーター(イノビオファーマシューティカルズ社製、ペンシルベニア州プリマス・ミーティング)を用いて達成され得る。
【0209】
電気穿孔構成要素は、電気穿孔装置の一要素として機能してもよく、他の要素は、電気穿孔構成要素と連通する別々の要素(または構成要素)である。電気穿孔構成要素は、電気穿孔装置の1つを超える要素として機能してもよく、それが電気穿孔構成要素とは別々の電気穿孔装置の他の要素とも連通していてもよい。1つの電気機械的または機械的装置の一部として存在する電気穿孔装置の要素は、その要素が1つの装置として、または互いに連通する別々の要素として機能しうるように限定しなくてもよい。電気穿孔構成要素は、所望の組織内で定電流を生成するエネルギーパルスを送達することができてもよく、フィードバック機構を含む。電極アセンブリは、空間的配置内に複数の電極を有する電極アレイを含んでいてもよく、電極アセンブリは、電気穿孔構成要素からエネルギーパルスを受け、電極を介して所望の組織にそれを送達する。複数の電極のうちの少なくとも1つは、エネルギーパルスの送達時にはニュートラルであり、所望の組織中のインピーダンスを測定して、そのインピーダンスを電気穿孔構成要素に連通する。フィードバック機構は、測定されたインピーダンスを受けてもよく、電気穿孔構成要素により送達されたエネルギーパルスを調整して定電流を維持することができる。
【0210】
複数の電極が、分散パターンでエネルギーパルスを送達してもよい。複数の電極は、プログラムされたシーケンス下の電極制御を介して、分散パターンでエネルギーパルスを送達してもよく、プログラムされたシーケンスは、ユーザーにより電気穿孔構成要素に入力される。プログラムされたシーケンスは、順に送達された複数のパルスを含んでいてもよく、複数のパルスの各パルスが、インピーダンスを測定する1つのニュートラル電極を含む少なくとも2つの活性電極により送達され、複数のパルスの次のパルスが、インピーダンスを測定する1つのニュートラル電極を含む少なくとも2つの活性電極の異なる1つにより送達される。
【0211】
フィードバック機構は、ハードウエアまたはソフトウェアのいずれかにより実施してもよい。フィードバック機構は、アナログ閉回路により実施してもよい。フィードバックは、50μs、20μs、10μsまたは1μsごとに起こるが、好ましくは実時間フィードバックまたは瞬時(すなわち、応答時間を決定するための入手可能な技術により決定すると実質的に瞬時)である。ニュートラル電極で所望の組織中のインピーダンスを測定してもよく、そのインピーダンスをフィードバック機構に連通し、フィードバック機構がインピーダンスに応答してエネルギーパルスを調整し、プリセット電流と類似の値の定電流を維持する。フィードバック機構は、エネルギーパルスの送達時に定電流を連続及び瞬時的に維持してもよい。
【0212】
本発明の組成物の送達を促進しうる電気穿孔装置及び電気穿孔法の例としては、内容が全体として参照により本明細書に組み入れられた、Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号、Smithらにより提出された米国特許公開第2005/0052630号に記載されたそれらのものが挙げられる。組成物の送達を促進するのに用いられうる他の電気穿孔装置及び電気穿孔法としては、その全てが全体として参照により本明細書に組み入れられた、2006年10月17日出願の米国特許仮出願第60/852,149号及び2007年10月10日出願の同第60/978,982号に対して35USC 119(e)による利益を主張する、2007年10月17日出願の同時係属中及び共有の米国特許出願第11/874072号に提供されたものが挙げられる。
【0213】
Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号には、体内または植物内の選択された組織の細胞中への生体分子の導入を促進するためのモジュラー電極システム及びその使用が記載されている。モジュラー電極システムは、複数の針電極;皮下注射針;プログラム可能な定電流パルス制御器から複数の針電極への導電的連結を提供する電気コネクター;及び電源を含んでいてもよい。オペレータが、支持構造上に搭載された複数の針電極を掴み、体内または植物内の選択された組織にそれらをしっかりと挿入することができる。その後、皮下注射針を介して、生体分子を選択された組織へ送達する。プログラム可能な定電流パルス制御器を活性化して、定電流の電気パルスを複数の針電極に印加する。印加された定電流電気パルスは、複数の電極間での細胞への生体分子導入を促進する。米国特許第7,245,963号の全体的内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0214】
Smithらにより提出された米国特許公開第2005/0052630号には、体内または植物内の選択された組織の細胞中への生体分子導入を効果的に促進するために用いられうる電気穿孔装置が記載されている。該電気穿孔装置は、操作がソフトウエアまたはファームウエアに特定される電気運動装置(「EKD装置」)を含む。EKD装置は、ユーザ制御に基づく一列の電極とパルスパラメータ入力との間で一連のプログラム可能な定電流パルスパターンを生成し、電流波形データの保存及び取得を可能にする。電気穿孔装置は、針電極、注射針用の中央注入チャネル、及び取り外し可能なガイドディスクのアレイを有する交換可能な電極ディスクも含む。米国特許公開第2005/0052630号の全体的内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0215】
米国特許第7,245,963号及び米国特許公開第2005/0052630号に記載された電極アレイ及び方法は、筋肉などの組織だけでなく、他の組織または臓器にも深く浸透させるように適合され得る。電極アレイの形態によって、注射針(選択された生体分子を送達する)が、ターゲット臓器にも完全に挿入され、電極によってあらかじめ描かれた領域のターゲット組織に垂直に注射投与される。米国特許第7,245,963号及び米国特許公開第2005/005263号に記載された電極は、好ましくは20mm長及び21ゲージである。
【0216】
加えて、電気穿孔装置及びその使用を組み込んだいくつかの実施形態で予期される通り、以下の特許:1993年12月28日発行の米国特許第5,273,525号、2000年8月29日発行の米国特許第6,110,161号、2001年7月17日発行の同第6,261,281号、2005年10月25日発行の同第6,958,060号、及び2005年9月6日発行の米国特許第6,939,862号に記載された電気穿孔装置が存在する。さらに、様々な装置のいずれかを用いたDNAの送達に関係する2004年2月24日発行の米国特許第6,697,669号、及びDNA注入の方法が注目された2008年2月5日発行の米国特許第7,328,064号に提供された主題を含む特許が、本明細書で企図される。先の特許は、全体として参照により組み入れられる。
【0217】
10.治療方法
また、本明細書で提供されるのは、合成抗体を対象内で生成することで、疾患に対する治療、防御、及び/または予防を、それを必要とする対象において行う方法である。本方法は、組成物を対象に投与することを含んでいてもよい。対象への組成物の投与は、上述の送達方法を用いて行うことができる。
【0218】
対象内で合成抗体を生成する際、合成抗体は、抗原に結合するかもしくは抗原と反応することができる。かかる結合により、抗原を中和し、別の分子、例えば、タンパク質または核酸による抗原の認識をブロックし、抗原への免疫応答を引き起こすかまたは誘発することにより、対象内の抗原と関連する疾患を治療、防御、及び/または予防することができる。
【0219】
組成物の用量は、1μg~10mg有効成分/kg体重/時間であってもよく、20μg~10mg有効成分/kg体重/時間であってもよい。組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日おきに投与することができる。効果的な治療のための組成物の投与回数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であってもよい。
【0220】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって示される多くの態様を有する。
【実施例0221】
11.実施例
以下に実施例を用いて本発明をさらに説明する。これらの実施例は本発明の好ましい実施形態を示すものであるが、説明のためだけに記載されるものと理解されるべきである。上記の説明及びこれらの実施例から、当業者であれば、本発明の必須の特徴を確認することができ、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の用途及び条件に適合させるために本発明の種々の変更例及び改変例を作ることができる。したがって、本明細書中に示され説明されているものに加え、本発明の種々の改変例が上記の説明から当業者には明らかであろう。そのような改変例も特許請求の範囲に含まれることが意図される。
要するに、Ig重鎖及び軽鎖をコードする核酸配列が、pVAX1などの発現ベクターに含まれる場合、トランスフェクト細胞及び発現ベクターを投与されたマウスで、組み立てられたIgG(すなわち、重鎖及び軽鎖がまとまって、抗原に結合する抗体を形成する)の発現をもたらすことがこれらのデータにより示された。さらに、Ig重鎖及び軽鎖をコードする核酸配列を最適化または修飾することでIg産生が著しく増大したこともこれらのデータにより示された。