(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139000
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】睡眠時無呼吸を治療する方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20230926BHJP
A61K 31/138 20060101ALI20230926BHJP
A61K 31/5375 20060101ALI20230926BHJP
A61K 31/216 20060101ALI20230926BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20230926BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
A61K45/06
A61K31/138
A61K31/5375
A61K31/216
A61P11/04
A61P25/00
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61P11/02
【審査請求】有
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023108387
(22)【出願日】2023-06-30
(62)【分割の表示】P 2019558554の分割
【原出願日】2018-04-26
(31)【優先権主張番号】62/491,504
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/558,814
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503146324
【氏名又は名称】ザ ブリガム アンド ウィメンズ ホスピタル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】The Brigham and Women’s Hospital, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153693
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】ウェルマン,ディー.アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】タラント-モンテムロ,ルイジ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】不完全な意識状態である間に咽頭気道虚脱を伴う症状、例えば、いびき及び睡眠時無呼吸を治療するための組成物およびキットを提供する。
【解決手段】(i)ノルエピネフリン選択的再取り込み阻害剤、(ii)ムスカリン性受容体アンタゴニスト、及び(iii)薬剤として許容される担体を含む、不完全な意識状態であると同時に、咽頭気道虚脱を伴う症状を有する対象の治療に用いられる、医薬組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不完全な意識状態であると同時に、咽頭気道虚脱を伴う症状を有する対象を治療する方
法であって、その必要がある対象に、有効量の(i)ノルエピネフリン再取り込み阻害剤
(NRI)及び(ii)ムスカリン性受容体アンタゴニストを投与することを含む、方法
。
【請求項2】
前記NRIが、ノルエピネフリン選択的再取り込み阻害剤(NSRI)である、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記NSRIが、アメダリン、アトモキセチン、CP-39,332、ダレダリン、エ
ディボキセチン、エスレボキセチン、ロルタラミン、ニソキセチン、レボキセチン、タロ
プラム、タルスプラム、タンダミン、及びビロキサジンからなる群から選択される、請求
項2に記載の方法。
【請求項4】
前記NRIが、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シクラジンドール、
デシプラミン、デスベンラファキシン、デキストロメチルフェニデート、ジエチルプロピ
オン、ドキセピン、デュロキセチン、イミプラミン、レボミルナシプラン、マニファキシ
ン、マプロチリン、メチルフェニデート、ミルナシプラン、ネファゾドン、ノルトリプチ
リン、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、プロトリプチリン、ラダファキシン、タ
ペンタドール、テニロキサジン、及びベンラファキシンからなる群から選択される、ノル
エピネフリン非選択的再取り込み阻害剤(NNRI)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記NRIが、アトモキセチン及びレボキセチンからなる群から選択される、請求項1
に記載の方法。
【請求項6】
前記NRIがアトモキセチンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アトモキセチンが、用量20~100mgで投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アトモキセチンが、用量25~75mgで投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ムスカリン性受容体アンタゴニストが、アトロピン、プロパンテリン、ベタネコー
ル、ソリフェナシン、ダリフェナシン、トルテロジン、フェソテロジン、トロスピウム、
及びオキシブチニンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ムスカリン性受容体アンタゴニストが、アニソトロピン、ベンズトロピン、ビペリ
デン、クリジニウム、シクリミン、ジシクロミン、ジフェマニル、ジフェニドール、エト
プロパジン、グリコピロレート、ヘキソサイクリウム、イソプロパミド、メペンゾレート
、メチキセン、メトスコポラミン、オキシフェンシクリミン、オキシフェノニウム、プロ
シクリジン、スコポラミン、トリジヘキセチル及びトリヘキシフェニジルからなる群から
選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ムスカリン性受容体アンタゴニストが、即時放出剤形をとる、請求項1に記載の方
法。
【請求項12】
前記ムスカリン性受容体アンタゴニストが、徐放性剤形をとる、請求項1に記載の方法
。
【請求項13】
前記ムスカリン性受容体アンタゴニストがオキシブチニンである、請求項1~12のい
ずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記オキシブチニンが、用量2~15mgで投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記オキシブチニンが、用量2.5~10mgを有する即時放出剤形をとる、請求項1
4に記載の方法。
【請求項16】
前記オキシブチニンが、用量5~15mgを有する徐放性剤形をとる、請求項14に記
載の方法。
【請求項17】
前記疾患又は障害が閉塞性睡眠時無呼吸又は単純性いびきである、請求項1~16のい
ずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記疾患又は障害が閉塞性睡眠時無呼吸である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記不完全な意識状態が睡眠である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記NRI及び前記ムスカリン性受容体アンタゴニストが、単一組成物の形で投与され
る、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記単一組成物が、経口投与形態である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記経口投与形態が、シロップ剤、丸剤、トローチ剤、又はカプセル剤である、請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
(i)ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、(ii)ムスカリン性受容体ア
ンタゴニスト及び(iii)薬剤として許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項24】
前記NRIがノルエピネフリン選択的再取り込み阻害剤(NSRI)である、請求項2
3に記載の組成物。
【請求項25】
前記NSRIが、アメダリン、アトモキセチン、CP-39,332、ダレダリン、エ
ディボキセチン、エスレボキセチン、ロルタラミン、ニソキセチン、レボキセチン、タロ
プラム、タルスプラム、タンダミン、及びビロキサジンからなる群から選択される、請求
項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記NRIが、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シクラジンドール、
デシプラミン、デスベンラファキシン、デキストロメチルフェニデート、ジエチルプロピ
オン、ドキセピン、デュロキセチン、イミプラミン、レボミルナシプラン、マニファキシ
ン、マプロチリン、メチルフェニデート、ミルナシプラン、ネファゾドン、ノルトリプチ
リン、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、プロトリプチリン、ラダファキシン、タ
ペンタドール(Nucynta)、テニロキサジン(Lucelan、Metatone
)及びベンラファキシンからなる群から選択される、ノルエピネフリン非選択的再取り込
み阻害剤(NNRI)である、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
前記NRIが、アトモキセチン及びレボキセチンからなる群から選択される、請求項2
3に記載の組成物。
【請求項28】
前記NRIがアトモキセチンである、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
アトモキセチンの投薬量が20~100mgである、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記ムスカリン性受容体アンタゴニストが、アトロピン、プロパンテリン、ベタネコー
ル、ソリフェナシン、ダリフェナシン、トルテロジン、フェソテロジン、トロスピウム、
及びオキシブチニンからなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項31】
前記医薬組成物の前記ムスカリン性受容体アンタゴニスト成分が、アニソトロピン、ベ
ンズトロピン、ビペリデン、クリジニウム、シクリミン、ジシクロミン、ジフェマニル、
ジフェニドール、エトプロパジン、グリコピロレート、ヘキソサイクリウム、イソプロパ
ミド、メペンゾレート、メチキセン、メトスコポラミン、オキシフェンシクリミン、オキ
シフェノニウム、プロシクリジン、スコポラミン、トリジヘキセチル及びトリヘキシフェ
ニジルからなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項32】
前記ムスカリン性受容体アンタゴニストが、即時放出剤形をとる、請求項23に記載の
組成物。
【請求項33】
前記ムスカリン性受容体アンタゴニストが、徐放性剤形をとる、請求項23に記載の組
成物。
【請求項34】
前記ムスカリン性受容体アンタゴニストがオキシブチニンである、請求項23~33の
いずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
前記オキシブチニンが、用量2.5~10mgを有する即時放出剤形をとる、請求項3
4に記載の組成物。
【請求項36】
前記オキシブチニンが、用量5~15mgを有する徐放性剤形をとる、請求項34に記
載の組成物。
【請求項37】
前記NRI及び前記ムスカリン性受容体アンタゴニストが、単一組成物の形で製剤化さ
れる、請求項23に記載の組成物。
【請求項38】
前記単一組成物が経口投与形態である、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記経口投与形態が、丸剤、錠剤、トローチ剤、又はカプセル剤である、請求項38に
記載の組成物。
【請求項40】
不完全な意識状態であると同時に、咽頭気道虚脱を伴う症状を有する対象の治療で使用
される、請求項23~39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
前記疾患又は障害が、睡眠時無呼吸又は単純性いびきである、請求項40に記載の使用
される組成物。
【請求項42】
前記疾患又は障害が、閉塞性睡眠時無呼吸である、請求項41に記載の使用される組成
物。
【請求項43】
前記不完全な意識状態が睡眠である、請求項40に記載の使用される組成物。
【請求項44】
不完全な意識状態であると同時に、咽頭気道虚脱を伴う症状を有する対象の治療で使用
される、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)及びムスカリン性受容体アンタゴ
ニスト。
【請求項45】
ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)及びムスカリン性受容体アンタゴニスを
備えるキット。
【請求項46】
不完全な意識状態であると同時に、咽頭気道虚脱を伴う症状を有する対象の治療で使用
される、請求項41に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2017年4月28日出願の米国特許出願第62/491,504号及び2
017年9月14日出願の米国特許出願第62/558,814号の利益を主張する。前
述の開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府資金による研究又は開発
本発明は、アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of
Health)により与えられた助成金番号HL095491下での政府による援助を
受けた。政府は本発明において特定の権利を有する。
【0003】
本発明は、対象が不完全な意識状態である間に咽頭気道虚脱を伴う症状、例えば、いび
き及び睡眠時無呼吸を治療する方法及び組成物の発見に少なくとも一部基づき、ノルエピ
ネフリン再取り込み阻害剤(NRI)及びムスカリン性受容体アンタゴニストの投与を含
む。
【背景技術】
【0004】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠時の咽頭気道の虚脱によって起こる一般的な障
害1である。OSAは、重篤な健康上の影響を及ぼし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の開示内容は、ノルアドレナリン作動薬及び抗ムスカリン様作用薬の投与によっ
て、ヒトの睡眠において咽頭筋の活動が増加し、且つ例えば、OSA患者においていびき
及び睡眠時無呼吸重症度が低減され得るという意外な発見に基づく。
【0006】
したがって、対象が不完全な意識状態である間に、咽頭気道虚脱を伴う症状を有する対
象を治療する方法が提供される。その方法は、その必要がある対象に、有効量の(i)ノ
ルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)及び(ii)ムスカリン性受容体アンタゴニ
ストを投与することを含む。
【0007】
一部の実施形態において、NRIは、ノルエピネフリン選択的再取り込み阻害剤(NS
RI)、例えばアメダリン、アトモキセチン、CP-39,332、ダレダリン、エディ
ボキセチン、エスレボキセチン、ロルタラミン、ニソキセチン、レボキセチン、タロプラ
ム、タルスプラム、タンダミン、及びビロキサジンからなる群から選択されるNSRIで
ある。
【0008】
一部の実施形態において、NRIは、ノルエピネフリン非選択的再取り込み阻害剤(N
NRI)、例えば、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シクラジンドール
、デシプラミン、デスベンラファキシン、デキストロメチルフェニデート、ジエチルプロ
ピオン、ドキセピン、デュロキセチン、イミプラミン、レボミルナシプラン、マニファキ
シン、マプロチリン、メチルフェニデート、ミルナシプラン、ネファゾドン、ノルトリプ
チリン、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、プロトリプチリン、ラダファキシン、
タペンタドール、テニロキサジン、及びベンラファキシンからなる群から選択されるNN
RIである。
【0009】
一部の実施形態において、NRIは、アトモキセチン及びレボキセチンからなる群から
選択される。
【0010】
一部の実施形態において、NRIはアトモキセチンであり、且つ特定の実施形態におい
て、アトモキセチンの投薬量は20~100mg、例えば25~75mgである。
【0011】
一部の実施形態において、ムスカリン性受容体アンタゴニストは、M2受容体アゴニス
トであり、例えば、アトロピン、プロパンテリン、ベタネコール、ソリフェナシン、ダリ
フェナシン、トルテロジン、フェソテロジン、トロスピウム、及びオキシブチニンからな
る群から選択される。
【0012】
一部の実施形態において、ムスカリン性受容体アンタゴニストは、アニソトロピン、ベ
ンズトロピン、ビペリデン、クリジニウム、シクリミン、ジシクロミン、ジフェマニル、
ジフェニドール、エトプロパジン、グリコピロレート、ヘキソサイクリウム、イソプロパ
ミド、メペンゾレート、メチキセン、メトスコポラミン、オキシフェンシクリミン、オキ
シフェノニウム、プロシクリジン、スコポラミン、トリジヘキセチル及びトリヘキシフェ
ニジルからなる群から選択される。
【0013】
一部の実施形態において、ムスカリン性受容体アンタゴニストは、即時放出剤形をとる
。
【0014】
一部の実施形態において、ムスカリン性受容体アンタゴニストは、徐放性剤形をとる。
【0015】
一部の実施形態において、ムスカリン性受容体アンタゴニストはオキシブチニンであり
、且つ特定の実施形態において、オキシブチニンの投薬量は2~15mgである。
【0016】
一部の実施形態において、オキシブチニンは、例えば用量2.5~10mgの即時放出
剤形をとる。
【0017】
一部の実施形態において、オキシブチニンは、例えば用量5~15mgの徐放性剤形を
とる。
【0018】
一部の実施形態において、疾患又は障害は、閉塞性睡眠時無呼吸(例えば、AHI≧1
0事象/時)又は単純性いびきである。
【0019】
一部の実施形態において、不完全な意識状態が睡眠である。
【0020】
一部の実施形態において、NRI及びムスカリン性受容体アンタゴニストは、単一組成
物で投与される。
【0021】
一部の実施形態において、単一組成物は経口投与形態をとる。
【0022】
一部の実施形態において、経口投与形態は、シロップ剤、丸剤、錠剤、トローチ剤、又
はカプセル剤である。
【0023】
一部の実施形態において、単一組成物は、経皮投与形態、例えばパッチの形態である。
【0024】
(i)ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、(ii)ムスカリン性受容体ア
ンタゴニスト、及び(iii)薬剤として許容される担体を含む医薬組成物も、本明細書
において提供される。
【0025】
一部の実施形態において、NRIは、ノルエピネフリン選択的再取り込み阻害剤(NS
RI)であり、例えば、アメダリン、アトモキセチン、CP-39,332、ダレダリン
、エディボキセチン、エスレボキセチン、ロルタラミン、ニソキセチン、レボキセチン、
タロプラム、タルスプラム、タンダミン、及びビロキサジンからなる群から選択される。
一部の実施形態において、NRIは、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、
シクラジンドール、デシプラミン、デスベンラファキシン、デキストロメチルフェニデー
ト、ジエチルプロピオン、ドキセピン、デュロキセチン、イミプラミン、レボミルナシプ
ラン、マニファキシン、マプロチリン、メチルフェニデート、ミルナシプラン、ネファゾ
ドン、ノルトリプチリン、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、プロトリプチリン、
ラダファキシン、タペンタドール(Nucynta)、テニロキサジン(Lucelan
、Metatone)及びベンラファキシンからなる群から選択されるノルエピネフリン
非選択的再取り込み阻害剤(NNRI)である。
【0026】
一部の実施形態において、NRIは、アトモキセチン及びレボキセチンからなる群から
選択される。
【0027】
一部の実施形態において、NRIはアトモキセチンであり、特定の実施形態において、
アトモキセチンの投薬量は20~100mgである。
【0028】
一部の実施形態において、ムスカリン性受容体アンタゴニストは、M2アンタゴニスト
であり、例えば、アトロピン、プロパンテリン、ベタネコール、ソリフェナシン、ダリフ
ェナシン、トルテロジン、フェソテロジン、トロスピウム、及びオキシブチニンからなる
群から選択される。
【0029】
一部の実施形態において、医薬組成物のムスカリン性受容体アンタゴニスト成分は、ア
ニソトロピン、ベンズトロピン、ビペリデン、クリジニウム、シクリミン、ジシクロミン
、ジフェマニル、ジフェニドール、エトプロパジン、グリコピロレート、ヘキソサイクリ
ウム、イソプロパミド、メペンゾレート、メチキセン、メトスコポラミン、オキシフェン
シクリミン、オキシフェノニウム、プロシクリジン、スコポラミン、トリジヘキセチル及
びトリヘキシフェニジルからなる群から選択される。一部の実施形態において、ムスカリ
ン性受容体アンタゴニストは、即時放出剤形をとる。一部の実施形態において、ムスカリ
ン性受容体アンタゴニストは徐放性剤形をとる。
【0030】
一部の実施形態において、ムスカリン性受容体アンタゴニストはオキシブチニンである
。一部の実施形態において、オキシブチニンは、例えば用量2.5~10mgの即時放出
剤形をとる。一部の実施形態において、オキシブチニンは、例えば用量5~15mgの徐
放性剤形をとる。
【0031】
対象が不完全な意識状態である間に咽頭気道虚脱を伴う症状を有する対象の治療に使用
される、本明細書に記載の組成物も提供される。一部の実施形態において、疾患又は障害
は睡眠時無呼吸又は単純性いびきである。一部の実施形態において、疾患又は障害は閉塞
性睡眠時無呼吸である。
【0032】
一部の実施形態において、不完全な意識状態が睡眠である。
【0033】
一部の実施形態において、NRI及びムスカリン性受容体アンタゴニストは、単一組成
物で投与される。
【0034】
一部の実施形態において、単一組成物は経口投与形態をとる。
【0035】
一部の実施形態において、経口投与形態は、丸剤、錠剤、トローチ剤、又はカプセル剤
である。
【0036】
対象が不完全な意識状態である間に、咽頭気道虚脱を伴う症状を有する対象の治療に使
用される、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)及びムスカリン性受容体アンタ
ゴニストも提供される。
【0037】
さらに、例えば、対象が不完全な意識状態である間に、咽頭気道虚脱を伴う症状を有す
る対象を治療するために、例えば本明細書に記載の方法で使用される、ノルエピネフリン
再取り込み阻害剤(NRI)及びムスカリン性受容体アンタゴニストを含むキットもまた
本明細書において提供される。そのキットは、薬剤として許容される塩又は担体と共に、
本明細書において請求される個々の作用薬のいずれかの個々の医薬組成物を備え得て、前
記キットは、(a)潜在的に別個の投薬を可能にする、別個の又は一般的なボトル又はパ
ケット、及び(b)任意選択的に、1セットのキット説明書を含み得る。
【0038】
別段の指定がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的且つ科学的用語は、本発
明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。方法及び材
料は、本発明での使用について本明細書で記述され;当技術分野で公知の他の適切な方法
及び材料も使用することができる。材料、方法及び例は、単に例証となるものであり、制
限することを意図するものではない。本明細書に記載のすべての出版物、特許出願、特許
、配列、データベースエントリー、及び他の参考文献は、その全体が参照により本明細書
に組み込まれる。矛盾している場合には、定義を含む本明細書が支配する。
【0039】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図面、並びに特許請求の範囲から
明らかであるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】閉塞性無呼吸を図示する。上のチャンネルは、睡眠の脳波(EEG)パターンを示す。次のチャンネルは気流を表す。次の3つのチャンネルは、胸郭及び腹部の動き及び食道内圧の変化による換気努力を示し、そのすべてが呼吸筋の収縮を示す。最後のチャンネルは、オキシヘモグロビン飽和を示す。
【
図2A-2B】プラセボの存在下での覚醒から睡眠までの咽頭筋活動の減少(2A)。対照的に、アトモキセチン+オキシブチニンは、睡眠時の覚醒値に近い咽頭筋活動を保つ(2B)。
【
図3A-3B】参加者が、睡眠30分前に無作為な順序で治療(アトモキセチン80mg+オキシブチニン5mg)又はプラセボを受けた。その結果から、アトモキセチンとオキシブチニンの組み合わせによって、31[10~54]から8[2~18]へと無呼吸低呼吸指数(AHI)が低減されることが分かった(3A)。データは中央値として表される[25~75パーセンタイル]。OSA重症度の分析が、AHI>10事象/時の対象15名に限られる場合、アトモキセチン/オキシブチニンの組み合わせの作用はより高かった(プラセボと比較して-78%のAHI)(3B)。
【
図4】アトモキセチンとオキシブチニンの組み合わせによって、睡眠時の換気が増加した。プラセボ及び薬物を投与した夜について、正常な換気ドライブでの正常換気に対する%として換気を計算した。
【
図5】OSA患者が、プラセボで84[79~92]から、アトモキセチン/オキシブチニン投与の夜の間に94[89~95]へと一晩で最低酸素血中レベルを向上させた。
【
図6A-6B】AHI>10の対象に関して、プラセボと比較してアトモキセチン/オキシブチニンを投与した夜では、総睡眠時間(6A)及び睡眠効率(6B)も向上した。
【
図7】アトモキセチンとオキシブチニンの組み合わせだけが、プラセボと比較してAHIの有意な減少を示し、アトモキセチン又はオキシブチニン単独では、AHIの向上を示さなかった。
【
図8】上気道の虚脱が軽度から中等度の対象において、アトモキセチン及びフェソテロジンは、AHIの低減においてアトモキセチン及びオキシブチニンと同様に有効であった。
【
図9】CPAPで治療されていない対象6名において、アトモキセチン及びオキシブチニンの組み合わせの投与(アトモキセチン80mg/オキシブチニン5mg)によって1週間後にAHIが63%低減された。
【
図10A-10B】(10A)おとがい舌筋反応性に対するアトモキセチン+オキシブチニン(ato-oxy)の効果を示すグループデータ。陰影部部分はスロープの四分位数間範囲を表す。水平エラーバーは、Pesベースラインの四分位数間範囲を例示し;ベースライン値(EMG
GG=100%)は、エラーバーの視覚化を容易にするために垂直にオフセットされる。(10B)コンテクストを提供するために、実施例の生データを示す。シグナルは、睡眠時にPes幅(Pes swing)が増加すると共に、おとがい舌筋活動が同時に増加することを示す。EMG
GG:おとがい舌筋筋電図記録;mta:運動時間の平均;Pes:食道内圧。
【発明を実施するための形態】
【0041】
ヒトにおいて、咽頭気道領域には骨又は軟骨による支えがなく、筋肉によって開いた状
態に保たれる。これらの筋肉が睡眠時に弛緩した場合、咽頭が虚脱した結果、気流が停止
し得る。
図1に示すように、食道内圧変化の増加によって示される閉塞を克服しようとし
て、呼吸努力が続けられ、増加する。胸郭及び腹部の運動は、閉塞気道に対して横隔膜が
収縮した結果として、反対方向であり、腹部壁が外向きに広げられ、且つ胸壁が内向きに
陥没する。
【0042】
呼吸する努力が増加すると、EEGで可視化可能な、睡眠から覚醒状態へと導かれ(図
1)、その結果、気道が開放され、正常な呼吸が再開される。無呼吸時の気流の欠乏によ
って、オキシヘモグロビン飽和の低下により示される低酸素も生じる(
図1)。重症度は
一般に、無呼吸低呼吸指数(AHI)を用いて測定され、それは、無呼吸(少なくとも1
0秒間の呼吸停止)と、睡眠1時間当たりに起こる呼吸低下(気流及び酸素飽和の減少)
とを合わせた平均回数である。例えば、Ruehland et al.,The ne
w AASM criteria for scoring hypopneas:Im
pact on the apnea hypopnea index.SLEEP 2
009;32(2):150-157を参照のこと。
【0043】
OSAの厳密な定義が使用される場合(AHI≧15事象/時又は日中の睡眠でAHI
≧5事象/時)、推定される有病率は、男性でおよそ15%、女性でおよそ5%である。
米国で推定3000万人がOSAを有し、そのおよそ600万人が診断されている。米国
のOSA有病率は、老齢化及び肥満症の増加率のために増えつつあると思われる。OSA
は、主要な合併性及び経済費用、例えば:高血圧症、糖尿病、循環器疾患、自動車事故、
作業場での事故、及び疲労/生産性の低下と関連する。例えば、Young et al
.,WMJ 2009;108:246;Peppard et al.,Am J E
pidemiol 2013;177:1006を参照のこと。
【0044】
本発明による治療2、3は持続的気道陽圧法(CPAP)である。CPAPは、実質的
にすべての患者に有効であり、診断された患者のおよそ85%が治療されるが、コンプラ
イアンスが低い。患者はCPAPを苦痛に感じ、耐えられないことが多い;患者の少なく
とも30%(80%まで)が規則正しく装着せず、したがって未治療である(Weave
r,Proc Am Thorac Soc.2008 Feb 15;5(2):17
3-178)。様々な成功率を有する他の治療様式としては、口腔器具(10%)及び手
術(5%)が挙げられるが、どちらも一般集団全体に有効でありそうではない。今までの
ところ、薬理学的治療が有効であるとは示されていない。
【0045】
睡眠時のヒトにおける咽頭筋を活性化する薬物の研究は思わしくない:セロトニン再取
り込み阻害剤、三環系抗うつ薬、及び鎮静薬などの薬剤はすべてヒトで試験されており、
OSA重症度の低減に有効ではないことが示されている。例えば、Proia and
Hudgel,Chest.1991 Aug;100(2):416-21;Brow
nell et al.,N Engl J Med 1982,307:1037-1
042;Sangal et al.,Sleep Med.2008 Jul;9(5
):506-10.Epub 2007 Sep 27;Marshall et al
.,Sleep.2008 Jun;31(6):824-31;Eckert et
al.,Clin Sci(Lond).2011 Jun;120(12):505-
14;Taranto-Montemurro et al.,Sleep.2017
Feb 1;40(2)を参照のこと。
【0046】
意外なことに、本発明者らは、ノルアドレナリン作動薬及び抗ムスカリン様作用薬の投
与によって、睡眠時のヒトにおいて咽頭筋活動を増加し、且つOSA患者におけるいびき
及び睡眠時無呼吸重症度を低減することができることを発見した。
【0047】
治療方法
本明細書に記載の方法は、睡眠時の咽頭気道筋の虚脱を伴う疾患を治療する方法を含む
。一部の実施形態において、その疾患は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)(AHI≧10
事象/時と定義される)又は単純性いびきである。一般に、その方法は、かかる治療が必
要である、又は必要であると決定された対象に、当技術分野で公知の、且つ/又は本明細
書に記載のノルエピネフリン再取り込み阻害剤及び抗ムスカリン様作用薬を治療有効量で
投与することを含む。
【0048】
この文脈で使用される「治療」とは、咽頭気道虚脱に伴う疾患の少なくとも1つの症状
を緩和することを意味する。しばしば、睡眠時の咽頭気道虚脱は、いびき及び/又は呼吸
の中断(無呼吸又は呼吸低下)、睡眠からの覚醒、及び酸素付加の低減を生じ;したがっ
て、治療によって、いびき、無呼吸/呼吸低下、睡眠細分化及び低酸素血のうちの1つ又
は複数が低減され得る。
【0049】
意外なことに、対象が、OSAなど不完全な意識状態であると同時に、咽頭気道虚脱を
伴う状態を有する対象を治療するための、治療有効量のノルエピネフリン再取り込み阻害
剤及び抗ムスカリン様作用薬の投与によって、AHIが低減される。一部の実施形態にお
いて、対象が、OSAなど不完全な意識状態であると同時に、咽頭気道虚脱を伴う状態を
有する対象を治療するための、治療有効量のノルエピネフリン再取り込み阻害剤及び抗ム
スカリン様作用薬の投与によって、AHIが50%以上低減される。一部の実施形態にお
いて、対象が、OSAなど不完全な意識状態であると同時に、咽頭気道虚脱を伴う状態を
有する対象を治療するための、治療有効量のノルエピネフリン再取り込み阻害剤及び抗ム
スカリン様作用薬の投与によって、AHIが75%以上低減される。他の更なる実施形態
において、対象が、OSAなど不完全な意識状態であると同時に、咽頭気道虚脱を伴う状
態を有する対象を治療するための、治療有効量のノルエピネフリン再取り込み阻害剤及び
抗ムスカリン様作用薬の投与によって、換気が増加する。さらに他の実施形態において、
対象が、OSAなど不完全な意識状態であると同時に、咽頭気道虚脱を伴う状態を有する
対象を治療するための、治療有効量のノルエピネフリン再取り込み阻害剤及び抗ムスカリ
ン様作用薬の投与によって、酸素血中レベルが増加する。さらに他の実施形態において、
対象が、OSAなど不完全な意識状態であると同時に、咽頭気道虚脱を伴う状態を有する
対象を治療するための、治療有効量のノルエピネフリン再取り込み阻害剤及び抗ムスカリ
ン様作用薬の投与によって、総睡眠時間が向上し、AHIが減少し、酸素付加が増加し、
睡眠細分化が減少し、総睡眠時間が増加し、且つ/又は自覚的な睡眠の質が向上する。
【0050】
有効量のノルエピネフリン再取り込み阻害剤及び抗ムスカリン様作用薬は、1回又は複
数回の投与、適用又は用量で、同時に、又は別々に投与され得る。同時に投与される場合
には、単一の剤形として、例えば、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤及び抗ムスカリン
様作用薬の両方を含有するカプセル剤、錠剤又は液剤として、又は別々の剤形として、例
えば、一方はノルエピネフリン再取り込み阻害剤を含有するカプセル剤、錠剤又は液剤と
して、もう一方は抗ムスカリン様作用薬を含有するカプセル剤、錠剤又は液剤として、ノ
ルエピネフリン再取り込み阻害剤及び抗ムスカリン様作用薬を製剤化することができる。
ノルエピネフリン再取り込み阻害剤及び抗ムスカリン様作用薬のそれぞれを同時に、又は
別々に、1日1回又は複数回から週に1回又は複数回;例えば、一日おきに1回投与する
ことができる。一部の実施形態において、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤及び抗ムス
カリン様作用薬は毎日投与される。当業者であれば、限定されないが、疾患又は障害の重
症度、以前の治療、対象の全身の健康状態及び/又は年齢、及び存在する他の疾患などの
特定の因子が、対象を有効に治療するのに必要な投薬量及びタイミングに影響を及ぼし得
ることは理解されよう。さらに、本明細書に記載の治療有効量の治療化合物での対象の治
療は、単回治療又は一連の治療を含み得る。
【0051】
治療化合物(つまり、単一組成物における、又は別々の組成物におけるNRI及びムス
カリン性受容体アンタゴニスト)の投薬量、毒性及び治療有効性は、細胞培養又は実験動
物における標準製薬手順によって、例えば、LD50(集団の50%が死亡する量)及び
ED50(集団の50%に治療上有効である量)を決定することにより、決定することが
できる。毒性及び治療効果の間の用量比は治療指数であり、それはLD50/ED50比
として表すことができる。
【0052】
細胞培養アッセイ及び動物研究から得たデータは、ヒトに使用される投薬量の範囲を定
式化するのに使用することができる。かかる化合物の投薬量は、好ましくは、ほとんど毒
性がない、又は全く毒性がないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、用い
られる剤形及び使用される投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。治療上有効な用
量は、細胞培養アッセイから最初に推定することができる。細胞培養で決定されるIC5
0(つまり、症状の50%最大阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿中濃度
範囲を達成するように、用量が動物モデルにおいて定式化され得る。かかる情報を用いて
、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例え
ば、高性能液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
【0053】
一部の実施形態において、その方法は、アトモキセチン20~100mgの用量(又は
他のNRIの、それに等しい用量)及びオキシブチニン2~15mgの用量(又は他のム
スカリン性受容体アンタゴニストの、それに等しい用量)を投与することを含む。一部の
実施形態において、その方法は、80mgアトモキセチン/5mgオキシブチニン;75
mgアトモキセチン/5mgオキシブチニン;75mgアトモキセチン/6mgオキシブ
チニン;50mgアトモキセチン/4mgオキシブチニン;又は25mgアトモキセチン
/3mgオキシブチニンの投与を含む。他の実施形態において、その方法は、睡眠時間の
1時間以内にアトモキセチン20~100mgの用量(又は他のNRIの、それに等しい
用量)及びオキシブチニン2~15mgの用量(又は他のムスカリン性受容体アンタゴニ
ストの、それに等しい用量)を投与することを含む。一部の実施形態において、その方法
は、睡眠時間の15~60分、例えば20~45分、15~25分、又は20~30分前
に、80mgアトモキセチン/5mgオキシブチニン;75mgアトモキセチン/5mg
オキシブチニン;75mgアトモキセチン/6mgオキシブチニン;50mgアトモキセ
チン/4mgオキシブチニン;又は25mgアトモキセチン/3mgオキシブチニンを投
与することを含む。
【0054】
更なる実施形態において、その方法は、重量比12.5:1でアトモキセチン/オキシ
ブチニンを投与することを含む。他の実施形態において、その方法は、睡眠時間の15~
60分、例えば、20~45分、15~25分、又は20~30分前に、アトモキセチン
/オキシブチニンを重量比12.5:1で投与することを含む。
【0055】
医薬組成物及び投与方法
本明細書に記載の方法は、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤及び抗ムスカリン様作用
薬を活性成分として含む医薬組成物の使用を含む。ノルエピネフリン再取り込み阻害剤及
び抗ムスカリン様作用薬は、単一組成物の形で、又は別々の組成物の形で投与することが
できる。一部の実施形態において、その方法は、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤及び
抗ムスカリン様作用薬を含み、他の活性成分を含まない。つまり、ノルエピネフリン再取
り込み阻害剤及び抗ムスカリン様作用薬は唯一の作用薬である。
【0056】
例示的なノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)としては、選択的NRI、例え
ばアメダリン(UK-3540-1)、アトモキセチン(Strattera)、CP-
39,332、ダレダリン(UK-3557-15)、エディボキセチン(LY-221
6684)、エスレボキセチン、ロルタラミン(LM-1404)、ニソキセチン(LY
-94,939)、レボキセチン(Edronax、Vestra)、タロプラム(Lu
3-010)、タルスプラム(Lu 5-005)、タンダミン(AY-23,946
)、ビロキサジン(Vivalan);及び非選択的NRI、例えばアミトリプチリン、
アモキサピン、ブプロピオン、シクラジンドール、デシプラミン、デスベンラファキシン
、デキストロメチルフェニデート、ジエチルプロピオン、ドキセピン、デュロキセチン、
イミプラミン、レボミルナシプラン、マニファキシン(GW-320,659)、マプロ
チリン、メチルフェニデート、ミルナシプラン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、フェ
ンジメトラジン、フェンメトラジン、プロトリプチリン、ラダファキシン(GW-353
,162)、タペンタドール(Nucynta)、テニロキサジン(Lucelan、M
etatone)及びベンラファキシンが挙げられる。
【0057】
限定されないが、抗ムスカリン様作用薬の適切な例としては、アトロピン、プロパンテ
リン、ベタネコール、ソリフェナシン、ダリフェナシン、トルテロジン、フェソテロジン
、トロスピウム、及びオキシブチニンが挙げられ、M2受容体上で活性を有する。他の例
示的な抗ムスカリン様作用薬としては、アニソトロピン、ベンズトロピン、ビペリデン、
クリジニウム、シクリミン、ジシクロミン、ジフェマニル、ジフェニドール、エトプロパ
ジン、グリコピロレート、ヘキソサイクリウム、イソプロパミド、メペンゾレート、メチ
キセン、メトスコポラミン、オキシフェンシクリミン、オキシフェノニウム、プロシクリ
ジン、スコポラミン、トリジヘキセチル、及びトリヘキシフェニジルが挙げられる。
【0058】
一部の実施形態において、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤はアトモキセチンである
。一部の実施形態において、抗ムスカリン様作用薬はオキシブチニン(例えば、N-デス
エチルオキシブチニン)である。
【0059】
医薬組成物は通常、薬剤として許容される担体を含有する。本明細書で使用される「薬
剤として許容される担体」という言葉は、薬剤投与と適合性の、生理食塩水、溶媒、分散
培地、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張化剤及び吸収遅延剤等を含む。補助的に
活性な化合物、例えば、ゾルピデム、エスゾピクロン、ベンゾジアゼピン、ガバペンチン
、チアギャビン、及びキシレムなどの催眠薬もまた、組成物に組み込むことができる。
【0060】
医薬組成物は通常、その目的の投与経路と適合性であるように製剤化される。投与経路
の例としては、全身性経口又は経皮投与が挙げられる。
【0061】
適切な医薬組成物を製剤化する方法は、当技術分野で公知であり、例えば、Remin
gton:The Science and Practice of Pharmac
y,21st ed.,2005;及びthe books in the serie
s Drugs and the Pharmaceutical Sciences:
a Series of Textbooks and Monographs(Dek
ker,NY)を参照のこと。例えば、経口組成物は一般に、不活性希釈剤又は食用担体
を含む。治療上の経口投与の目的では、活性化合物を賦形剤と共に組み入れ、丸剤、錠剤
、トローチ剤、又はカプセル剤、例えばゼラチンカプセルの形で使用することができる。
経口組成物は、液体担体を用いて製造することもできる。薬学的に適合性の結合剤、及び
/又は補助剤物質は、組成物の一部として含まれ得る。錠剤、丸剤、カプセル剤、トロー
チ剤等は、以下の成分又は同様な性質の化合物:結合剤、例えば微結晶性セルロース、ト
ラガカントゴム又はゼラチン;賦形剤、例えばデンプン又はラクトース、アルギン酸、プ
リモゲル(Primogel)、又はトウモロコシデンプンなどの崩壊剤;ステアリン酸
マグネシウム又はステロート(Sterotes)などの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ
素などの流動化剤;スクロース又はサッカリンなどの甘味剤;又はペパーミント、サリチ
ル酸メチル、又はオレンジ香料などの着香剤;のいずれかを含有し得る。
【0062】
本明細書に記載の化合物のうちの1つ又は両方(つまり、ノルエピネフリン再取り込み
阻害剤及びムスカリン性受容体アンタゴニストの一方又は両方)の全身投与は、皮膚に適
用される、例えばパッチ、ゲル、ローション、又は薄膜を使用して、経皮手段によっても
行われ得る。経皮投与については、表皮バリアの浸透に適切な浸透剤を配合に使用するこ
とができる。かかる浸透剤は一般に、当技術分野で公知である。例えば、経皮投与では、
当技術分野で一般に公知のように軟膏(ointment)、軟膏剤(salve)、ゲ
ル、又はクリームへと、活性化合物を製剤化することができる。ゲル及び/又はローショ
ンは、個々のサッシェ内に、又は毎日適用される定量ポンプを介して提供され得る;例え
ば、Cohn et al.,Ther Adv Urol.2016 Apr;8(2
):83-90を参照のこと。
【0063】
一実施形態において、治療化合物は、植込み錠及びマイクロカプセル化送達システムな
どの徐放性製剤など、治療化合物が体から急速に排出されるのを防ぐ担体を用いて製造さ
れる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエ
ステル、及びポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーが使用され得る。かかる製剤
は、標準技術を用いて製造することができ、或いは例えば、Alza Corporat
ion及びNova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に入手する
ことができる。薬剤として許容される担体として、リポソーム懸濁液も使用することがで
きる。例えば、米国特許第4,522,811号明細書に記載の当業者に公知の方法に従
って、これらを製造することができる。
【0064】
本明細書に記載の方法で投与又は使用するために、説明書と共に、容器、パック又はデ
ィスペンサーに医薬組成物が含まれ得る。
【実施例0065】
本発明は、以下の実施例においてさらに説明されるが、特許請求の範囲に記載の本発明
の範囲を制限するものではない。
【0066】
実施例1.パイロット研究
健康なヒト個体3名において、おとがい舌筋活動に対する、抗ムスカリン様作用薬、オ
キシブチニン5mgと併せての選択的ノルアドレナリン作動性再取り込み阻害剤、アトモ
キセチン80mgの効果をパイロット研究において測定した。
【0067】
図2A-Bは、アトモキセチン及びオキシブチニンの組み合わせを投与した個体3名の
データを示す。
図2Aは、プラセボ投与の夜である。最初の欄のグラフは、安静覚醒時の
おとがい舌筋活動(EMG
GG、最大に対するパーセンテージとして定量化された)であ
る。それぞれの円は、一呼吸のピークEMG
GGであり、相当する喉頭蓋圧力に対してプ
ロットされている。第2の欄のグラフは、安定なNREM睡眠時に得られた。プラセボ投
与の夜間睡眠時のEMG
GG活動の不定であるが、明らかな減少があることを留意のこと
。対照的に、これらの同じ個体3名にアトモキセチン+オキシブチニンを投与した場合に
、睡眠に関連する、咽頭筋活動の減少が一部、又は完全に予防された(
図2B)。
【0068】
このデータから、プラセボと比較して、試験された薬物によって、NREM睡眠時のE
MGGG活動がかなり高くなったことが明らかである。これらの薬物でREM睡眠を示す
対象において、EMGGG活動は、REM睡眠における覚醒値の49%で維持され、それ
によって、薬物はこの段階でも有効であることが示唆されている。
【0069】
実施例2.交叉研究
続いて、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)ヒト患者20名でのプラセボ対照、二重盲検、
無作為化、交叉試験を実施した。睡眠の30分前に無作為な順序で患者は治療(アトモキ
セチン80mg+オキシブチニン5mg)又はプラセボを受けた。試験から、アトモキセ
チン及びオキシブチニンの組み合わせによって、無呼吸低呼吸指数(AHI)が31[1
0~54]から8[2~18]へと低下したことが示された。データは中央値で表される
[25~75パーセンタイル](
図3A)。試験の間、対象5名は、プラセボ投与した夜
について、臨床的に有意なOSAがないことを示した。OSA重症度の分析が、AHI>
10事象/時の対象15名に限定される場合には、アトモキセチン/オキシブチニンの組
み合わせの効果は、さらに大きい(プラセボと比較してAHIが78%低下)(
図3B)
。すべてのOSA患者が、OSA重症度の改善を示した。
【0070】
これらの対象において、アトモキセチン及びオキシブチニンの組み合わせによって、お
とがい舌筋反応性が増加し、プラセボと比べて換気ドライブが0.1から0.3最大%/
cmH
20へと増加し、これは換気ドライブのそれぞれのcmH
2O増加(食道内圧で測
定される)に関して、おとがい舌筋が、プラセボと比較してその薬物で2回を超える回数
活性化されたことを意味する。この向上した上気道筋活動は、これらの対象における睡眠
時のAHIの低下及び換気の増加の理由であると思われる(
図4)。
【0071】
換気が向上したために、薬物を投与した夜については、酸素レベル(SaO2)も増加
した。SaO2最低値は、プラセボで84%[79~92]から、薬物投与で94%[8
9~96]へと変化し(
図5)、酸素不飽和指数(ODI)は、プラセボ投与の夜間では
13[6~34]から、薬物投与では3[0~8]へと変化した。
【0072】
さらに、
図6A-Bに示すように、AHI>10の対象について、プラセボと比較して
、アトモキセチン/オキシブチニンを投与した夜には、総睡眠時間及び睡眠効率もまた、
向上した。
【0073】
さらに2晩、OSA患者7名も研究し、2種類の薬物を単独で(組み合わせずに)投与
した。
図7に示すように、アトモキセチンとオキシブチニンの組み合わせのみが、プラセ
ボと比べてAHIの有意な低下を示したのに対して、単独でのアトモキセチン又はオキシ
ブチニンは、AHIを改善しなかった。
【0074】
実施例3.フェソテロジンの研究
オキシブチニンの代わりに、他の抗ムスカリン様作用薬を使用することができるかどう
かを決定するために、上気道の虚脱が軽度から中等度の対象3名においてフェソテロジン
(より新しい、徐放性抗ムスカリン様作用薬)4mgをアトモキセチン80mgと併せて
使用した(正常努力での睡眠時の換気が、プラセボでの正常呼吸換気の50%を超えた)
。患者のこのサブグループにおいて、フェソテロジンは、AHIの低減にオキシブチニン
と同程度に有効であった。
【0075】
重篤な上気道虚脱(睡眠時の換気が正常な換気の50%未満であった)の患者2名にお
いて、アトモキセチン/フェソテロジンの組み合わせによってAHIが低減されなかった
のに対して、アトモキセチン/オキシブチニンは、AHIを低減した。
【0076】
実施例4.前向き研究(Prospective Study)
アトモキセチン/オキシブチニンの組み合わせの効果を評価するために、CPAPで治
療されていない患者6名において1週間にわたって、前向き研究を行った。患者には、病
院でベースライン睡眠研究を実施し;薬物(アトモキセチン80mg/オキシブチニン5
mg)を自宅で6晩投与し、7番目の晩に、患者は病院に戻り、薬を摂取した後に睡眠検
査を繰り返した。これらの研究は、脳波、電気眼球図、経鼻カニューレでの流量測定及び
サーミスタ、腹部ベルト及び胸部ベルト、おとがい筋筋電図記録及び酸素飽和を含む臨床
的睡眠検査に使用される標準モンタージュで実施された。
図9に示す結果から、治療から
1週間後にAHIが63%「53~70」低下していることが実証され、薬物の効果が治
療の1週後まで持続することが示唆されている。
【0077】
患者3名において、本発明者らは、低用量の組み合わせ、つまりオキシブチニン5mg
と併せてアトモキセチン80mg、オキシブチニン4mgと併せてアトモキセチン50m
g、及びオキシブチニン3mgと併せてアトモキセチン25mgを試験した。AHIは、
プラセボと比べて用量依存的な低下を示し、そのことから、80/5mg未満の用量は、
あまり重篤ではない疾患の治療に有効であり得ることが示唆されている。本発明の目的の
ために、本発明者らは、軽度の疾患を5<AHI<15事象/時、中等度の疾患を15<
AHI<30事象/時と定義した。
【0078】
おとがい舌筋反応性に対するアトモキセチン+オキシブチニン(ato-oxy)の効
果を決定するために、最初の試験に参加した患者20名のうち16名において、おとがい
舌筋筋電図記録を用いて、グループデータを得た。筋反応性は、非レム睡眠における自発
的呼吸中に食道内圧(Pes)幅の変化に従ったおとがい舌筋筋電図活動の変化(ベース
ラインに対する%)を示す(生理学的コンテクストについては
図10B参照)。アトモキ
セチン-オキシブチニン(実線の勾配)での反応性中央値は、プラセボ(破線の勾配)で
の反応性よりも大きいことに留意のこと。
図10Bは、コンテクストを提供するために、
例示的な生データを示す。シグナルは、睡眠時のPes幅が増加すると共におとがい舌筋
活動が自発的に増加することを示す。筋活動の増加を伴う気流(フロー)の修復に留意の
こと。
【0079】
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-7391.
【0080】
他の実施形態
本発明はその詳細な説明と共に記述されており、前述の明細書は、例証することを意図
し、添付の特許請求の範囲によって定義される、本発明の範囲を制限することを意図する
ものではないことを理解されたい。他の態様、利点、及び修正形態は、以下の特許請求の
範囲内にある。
前記NSRIが、アメダリン、アトモキセチン、CP-39,332、ダレダリン、エディボキセチン、エスレボキセチン、ロルタラミン、ニソキセチン、レボキセチン、タロプラム、タルスプラム、タンダミン、及びビロキサジンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
前記ムスカリン性受容体アンタゴニストが、アトロピン、プロパンテリン、ベタネコール、ソリフェナシン、ダリフェナシン、トルテロジン、フェソテロジン、トロスピウム、及びオキシブチニンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
前記医薬組成物の前記ムスカリン性受容体アンタゴニスト成分が、アニソトロピン、ベンズトロピン、ビペリデン、クリジニウム、シクリミン、ジシクロミン、ジフェマニル、ジフェニドール、エトプロパジン、グリコピロレート、ヘキソサイクリウム、イソプロパミド、メペンゾレート、メチキセン、メトスコポラミン、オキシフェンシクリミン、オキシフェノニウム、プロシクリジン、スコポラミン、トリジヘキセチル及びトリヘキシフェニジルからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。