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特開2023-139022医用画像処理方法、医用画像処理装置、医用画像処理システム及び医用画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139022
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】医用画像処理方法、医用画像処理装置、医用画像処理システム及び医用画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20230926BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
A61B6/03 360Q
A61B6/03 377
A61B6/03 360G
A61B6/03 360J
A61B5/055 390
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110156
(22)【出願日】2023-07-04
(62)【分割の表示】P 2022133778の分割
【原出願日】2015-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2014023740
(32)【優先日】2014-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】若井 智司
(72)【発明者】
【氏名】坂口 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】高橋 章仁
(57)【要約】
【課題】流体解析による結果と医用画像との比較を容易に行なうことができる医用画像処理方法、医用画像処理装置、医用画像処理システム及び医用画像処理プログラムを提供することである。
【解決手段】実施形態に係る医用画像処理方法は、被検体の冠動脈に関する圧力指標値の空間分布を示すデータと、被検体の心筋に関する機能指標の空間分布を示すデータとを取得し、冠動脈の圧力指標値と、心筋の機能指標とに基づいて評価情報を算出し出力する、ことを含む。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の冠動脈の形態を示す医用画像に基づいて3D(Dimension)ポリゴンモデルを生成し、
前記医用画像における前記3Dポリゴンモデルの位置情報を取得し、
前記被検体の心臓領域における画像に基づいてパーフュージョン解析を施すことによりパーフュージョン解析結果を取得し、
前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報を取得し、
前記医用画像における前記3Dポリゴンモデルの位置情報と、前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報と、前記3Dポリゴンモデルにおける流体解析結果の位置情報とに基づいて、パーフュージョン解析結果の空間分布を表示するとともに、パーフュージョン解析結果の空間上の位置と対応する位置に流体解析結果を表示する、
ことを含む、医用画像処理方法。
【請求項2】
被検体の冠動脈の形態を示す医用画像に基づいて3D(Dimension)ポリゴンモデルを生成する生成部と、
前記医用画像における前記3Dポリゴンモデルの位置情報を取得し、前記被検体の心臓領域における画像に基づいてパーフュージョン解析を施すことによりパーフュージョン解析結果を取得し、前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報を取得する取得部と、
前記医用画像における前記3Dポリゴンモデルの位置情報と、前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報と、前記3Dポリゴンモデルにおける流体解析結果の位置情報とに基づいて、パーフュージョン解析結果の空間分布を表示するとともに、パーフュージョン解析結果の空間上の位置と対応する位置に流体解析結果を表示する処理部と、
を備える、医用画像処理装置。
【請求項3】
被検体の冠動脈の形態を示す医用画像に基づいて3D(Dimension)ポリゴンモデルを生成する生成部と、
前記医用画像における前記3Dポリゴンモデルの位置情報を取得し、前記被検体の心臓領域における画像に基づいてパーフュージョン解析を施すことによりパーフュージョン解析結果を取得し、前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報を取得する取得部と、
前記医用画像における前記3Dポリゴンモデルの位置情報と、前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報と、前記3Dポリゴンモデルにおける流体解析結果の位置情報とに基づいて、パーフュージョン解析結果の空間分布を表示するとともに、パーフュージョン解析結果の空間上の位置と対応する位置に流体解析結果を表示する処理部と、
を備える、医用画像処理システム。
【請求項4】
被検体の冠動脈の形態を示す医用画像に基づいて3D(Dimension)ポリゴンモデルを生成し、
前記医用画像における前記3Dポリゴンモデルの位置情報を取得し、
前記被検体の心臓領域における画像に基づいてパーフュージョン解析を施すことによりパーフュージョン解析結果を取得し、
前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報を取得し、
前記医用画像における前記3Dポリゴンモデルの位置情報と、前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報と、前記3Dポリゴンモデルにおける流体解析結果の位置情報とに基づいて、パーフュージョン解析結果の空間分布を表示するとともに、パーフュージョン解析結果の空間上の位置と対応する位置に流体解析結果を表示する、
各処理をコンピュータに実行させる、医用画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、医用画像処理方法、医用画像処理装置、医用画像処理システム及び医用画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、冠動脈狭窄病変の診断は、狭窄の有無や狭窄の程度などを形態学的に評価する「解剖学的評価」、及び、心筋虚血の有無や心筋虚血の程度などを客観的に評価する「生理学的評価」の両面からなされている。また、「生理学的評価」に用いられる生理学的指標として、FFR(Fractional Flow Reserve)や、CFR(Coronary Flow Reserve)などが注目を集めている。例えば、FFRは、冠動脈の狭窄によって引き起こされる心筋虚血の程度を示す指標であり、狭窄存在下の最大冠血流量と狭窄非存在下の最大冠血流量との比で示される。また、例えば、CFRは、心筋における酸素需要の増大に対応して冠血流量を増大させ得る能力を示す指標であり、安静時と最大反応性充血時との冠血流量の比で示される。
【0003】
従来、これらの生理学的指標は、所定の計測装置によって算出されるが、近年、血管を含む画像データを用いた解析により、上述した生理学的指標を算出する解析技術が知られている。例えば、X線CT装置によって収集された冠動脈を含むCT画像から冠動脈の解剖学的構造モデル(3次元ポリゴンモデル)を生成し、生成した3次元ポリゴンモデルに対して流体解析(CFD:Computational Fluid Dynamics)処理を施すことで、冠動脈内の圧力分布や、血流速度分布、FFR値などをシミュレートし、3次元ポリゴンモデル上に表示するCT-FFRが知られている。しかしながら、上述した従来技術では、流体解析による結果と医用画像との比較が困難となる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010-526556号公報
【特許文献2】特表2004-528920号公報
【特許文献3】特表2003-525067号公報
【特許文献4】特開2011-156321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、流体解析による結果と医用画像との比較を容易に行なうことができる医用画像処理方法、医用画像処理装置、医用画像処理システム及び医用画像処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用画像処理方法は、被検体の冠動脈に関する圧力指標値の空間分布を示すデータと、前記被検体の心筋に関する機能指標の空間分布を示すデータとを取得し、前記冠動脈の圧力指標値と、前記心筋の機能指標とに基づいて評価情報を算出し出力する、ことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置を含むシステムの構成例を説明するための図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置の構成の一例を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る3D冠動脈モデル生成部による3D冠動脈モデルの生成の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る流体解析部による解析の一例を説明するための図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る表示部にて表示されるフュージョン画像の一例を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置の処理の手順を示すフローチャートである。
図7図7は、第2の実施形態に係る医用画像処理装置の構成の一例を示す図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る表示部にて表示されるフュージョン画像の一例を示す図である。
図9図9は、第2の実施形態に係る医用画像処理装置の処理の手順を示すフローチャートである。
図10図10は、第3の実施形態に係る医用画像処理装置の構成の一例を示す図である。
図11図11は、第3の実施形態に係る表示部にて表示されるフュージョン画像の一例を示す図である。
図12図12は、第3の実施形態に係る医用画像処理装置の処理の手順を示すフローチャートである。
図13図13は、第4の実施形態に係る表示部にて表示されるフュージョン画像の一例を示す図である。
図14A図14Aは、第4の実施形態に係る表示部にて表示されるフュージョン画像の一例を示す図である。
図14B図14Bは、第4の実施形態に係る表示部にて表示されるフュージョン画像の一例を示す図である。
図15図15は、第4の実施形態に係る表示部にて表示されるフュージョン画像の一例を示す図である。
図16図16は、第4の実施形態に係る表示部にて表示されるフュージョン画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る医用画像処理装置及び医用画像診断装置を説明する。なお、以下の実施形態においては、医用画像処理装置100の実施形態を説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100を含むシステム1の構成例を説明するための図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100は、医用画像診断装置200及び画像保管装置300と、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)などのネットワーク2により接続される。ここで、各装置は、直接的、又は間接的に相互に通信可能な状態となっており、例えば、システム1にPACS(Picture Archiving and Communication System)が導入されている場合、各装置は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って、医用画像等を相互に送受信する。
【0010】
医用画像診断装置200は、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、SPECT装置とX線CT装置とが一体化されたSPECT-CT装置、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET-CT装置、又はこれらの装置群等である。また、第1の実施形態に係る医用画像診断装置200は、3次元の医用画像データ(ボリュームデータ)を生成可能である。
【0011】
具体的には、第1の実施形態に係る医用画像診断装置200は、被検体を撮影することによりボリュームデータを生成する。例えば、医用画像診断装置200は、被検体を撮影することにより投影データやMR信号等のデータを収集し、収集したデータから、被検体の体軸方向に沿った複数のアキシャル面の医用画像データを再構成することで、ボリュームデータを生成する。例えば、医用画像診断装置200は、500枚のアキシャル面の医用画像データを再構成する。この500枚のアキシャル面の医用画像データ群が、ボリュームデータである。なお、医用画像診断装置200により撮影された被検体の投影データやMR信号等自体をボリュームデータとしても良い。
【0012】
また、第1の実施形態に係る医用画像診断装置200は、生成したボリュームデータを画像保管装置300に送信する。なお、医用画像診断装置200は、ボリュームデータを画像保管装置300に送信する際に、付帯情報として、例えば、患者を識別する患者ID、検査を識別する検査ID、医用画像診断装置200を識別する装置ID、医用画像診断装置200による1回の撮影を識別するシリーズID等を送信する。
【0013】
画像保管装置300は、医用画像を保管するデータベースである。具体的には、第1の実施形態に係る画像保管装置300は、医用画像診断装置200から送信されたボリュームデータを記憶部に格納し、これを保管する。なお、第1の実施形態において、画像保管装置300に保管されたボリュームデータは、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等と対応付けて保管される。このため、医用画像処理装置100は、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等を用いた検索を行なうことで、必要なボリュームデータを画像保管装置300から取得する。
【0014】
医用画像処理装置100は、医用画像に対して画像処理を行なう画像処理装置であり、例えば、ワークステーション、PACS(Picture Archiving and Communication System)の画像サーバやビューワ、電子カルテシステムの各種装置などである。第1の実施形態に係る医用画像処理装置100は、医用画像診断装置200又は画像保管装置300から取得したボリュームデータに対して種々の処理を行ない、心筋虚血の有無や心筋虚血の程度などを評価するための生理学的指標のシミュレーションを行い、シミュレーション結果と医用画像とを表示する。ここで、本実施形態に係る医用画像処理装置100は、流体解析による生理学的指標のシミュレーション結果と医用画像との比較を容易に行なうことを可能にする。
【0015】
上述したように、従来技術においては、流体解析による生理学的指標のシミュレーションが行なわれているが、シミュレーション結果が3次元ポリゴンモデル上に表示されるものである。3次元ポリゴンモデルは、医用画像診断装置によって収集された医用画像と比較すると、画素値や解剖学的組織の構造情報などの情報が欠落もしくは少なくなっている。したがって、シミュレーション結果と3次元ポリゴンモデルの同時表示だけでは診断能が十分ではなく、医用画像との比較が求められる場合がある。例えば、粗いモデリングによって生成された3次元ポリゴンモデルでは狭窄がモデル上で認識されない場合があり、医用画像での確認が求められる場合もある。そこで、本実施形態に係る医用画像処理装置100は、以下、詳細に説明する構成により、流体解析による結果と医用画像との比較を容易に行なうことを可能にする。
【0016】
具体的には、本実施形態に係る医用画像処理装置100は、医用画像診断装置200によって生成された医用画像から解剖学的構造モデル(例えば、3次元ポリゴンモデル)を生成し、生成した解剖学的構造モデルに対して流体解析処理を施すことで、生理学的指標(例えば、FFRやCFRなど)のシミュレーション結果を取得する。そして、医用画像処理装置100は、取得したシミュレーション結果と医用画像との位置合わせを行い、位置合わせを行った医用画像の対応する位置にシミュレーション結果を示したフュージョン画像を表示する。
【0017】
図2は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100の構成の一例を示す図である。医用画像入力部110は、医用画像診断装置200又は画像保管装置300から医用画像のボリュームデータを取得する。具体的には、医用画像入力部110は、医用画像診断装置200によって収集された血管を含む画像を取得する。ここで、血管を含む画像とは、冠動脈などの血管を対象として撮影された画像のことであり、造影下で収集された医用画像及び非造影下で収集された医用画像を含む。
【0018】
例えば、医用画像入力部110は、操作者による操作を受け付け、医用画像診断装置200としてのX線CT装置によって収集された冠動脈を含む心臓領域のCT画像のボリュームデータを取得する。そして、医用画像入力部110は、取得したボリュームデータを医用画像記憶部131に格納する。なお、医用画像入力部110は、ネットワーク2を介して医用画像のボリュームデータを取得するだけでなく、可搬性の記憶媒体を介してボリュームデータを取得することも可能である。
【0019】
医用画像記憶部131は、医用画像入力部110によって取得された医用画像を記憶する。例えば、医用画像記憶部131は、医用画像入力部110によって取得された冠動脈を含む心臓領域のCT画像のボリュームデータなどを記憶する。
【0020】
心臓領域抽出部141は、医用画像記憶部131から医用画像のボリュームデータを読み出し、読み出したボリュームデータから心臓領域を抽出する。ここで、心臓領域抽出部141による心臓領域の抽出は、既存の公知技術により実現できる。例えば、心臓領域抽出部141は、人体アトラスを利用したパターンマッチングや、ボリュームデータの画素値(ボクセル値)に基づく領域拡張法などを適用することで、ボリュームデータ中の心臓領域に対応するボクセルの位置を抽出する。
【0021】
そして、冠動脈領域抽出部142は、心臓領域抽出部141によって抽出された心臓領域に含まれる冠動脈領域を抽出する。ここで、冠動脈領域抽出部142による冠動脈領域の抽出についても、既存の公知技術により実現できる。例えば、冠動脈領域抽出部142は、領域拡張法などを適用することで、心臓領域に対応するボクセルの中から冠動脈領域に対応するボクセルの位置を抽出する。一例を挙げると、冠動脈領域抽出部142は、心臓領域のCT画像において、造影剤によって変化するボクセルのCT値に基づいて冠動脈領域に対応するボクセルの位置を抽出する。
【0022】
そして、冠動脈領域抽出部142は、抽出した冠動脈領域の画像データを冠動脈領域記憶部132に格納する。また、冠動脈領域抽出部142は、医用画像における抽出した冠動脈領域の位置の情報を医用画像・冠動脈領域相対位置記憶部133に格納する。すなわち、冠動脈領域抽出部142は、心臓領域抽出部141によって抽出された医用画像における心臓領域に対応するボクセルの位置の情報に基づいて、心臓領域から抽出した冠動脈領域に対応するボクセルの医用画像のボリュームデータにおける位置を抽出し、抽出した位置の情報を医用画像・冠動脈領域相対位置記憶部133に格納する。
【0023】
冠動脈領域記憶部132は、冠動脈領域抽出部142によって抽出された冠動脈領域の画像データを記憶する。医用画像・冠動脈領域相対位置記憶部133は、冠動脈領域抽出部142によって抽出された冠動脈領域に対応するボクセルの医用画像のボリュームデータにおける位置の情報を記憶する。
【0024】
3D冠動脈モデル生成部143は、冠動脈領域抽出部142によって抽出された冠動脈領域に対応するボクセルの情報を用いて冠動脈を3次元でモデリングした3D冠動脈モデルを生成する。例えば、3D冠動脈モデル生成部143は、冠動脈領域の表面を多角形のポリゴンの集合で表現した3次元ポリゴンモデルである3D冠動脈モデルを生成する。図3は、第1の実施形態に係る3D冠動脈モデル生成部143による3D冠動脈モデルの生成の一例を示す図である。例えば、3D冠動脈モデル生成部143は、図3に示すように、CT画像のボリュームデータから抽出された冠動脈領域のデータを用いて3D冠動脈モデルを生成する。
【0025】
そして、3D冠動脈モデル生成部143は、生成した3D冠動脈モデルを後述する流体解析部144に送出する。ここで、3D冠動脈モデル生成部143は、生成した3D冠動脈モデルと医用画像との位置関係を医用画像・3D冠動脈モデル相対位置記憶部134に格納する。例えば、3D冠動脈モデル生成部143は、3D冠動脈モデルを表現する各ポリゴンに対応するボクセルの位置(例えば、座標など)の情報を医用画像・3D冠動脈モデル相対位置記憶部134に格納する。医用画像・3D冠動脈モデル相対位置記憶部134は、3D冠動脈モデル生成部143によって生成された3D冠動脈モデルと医用画像との位置関係(例えば、座標変換行列など)を記憶する。
【0026】
図2に戻って、流体解析部144は、医用画像診断装置200によって収集された血管を含む画像を用いて血管における血流に関する指標を流体解析によって解析する。具体的には、流体解析部144は、流体解析初期条件・境界条件入力部111から入力された各種条件を用いて、3D冠動脈モデル生成部143によって生成された3D冠動脈モデルに対して流体解析を行なうことで、冠動脈内の圧力分布や、血流速度分布、FFR値などを解析する。ここで、流体解析初期条件・境界条件入力部111は、血管内の血流に関する指標を流体解析によってシミュレートするための条件(例えば、血液の質量、粘性及び流速や、血管のヤング率など)の入力を受け付ける。例えば、流体解析初期条件・境界条件入力部111は、操作者による直接入力を受け付ける。なお、流体解析初期条件・境界条件入力部111が、データベースから条件を取得する場合であってもよい。
【0027】
図4は、第1の実施形態に係る流体解析部144による解析の一例を説明するための図である。例えば、図4に示すように、流体解析部144は、3D冠動脈モデル生成部143によって生成された3D冠動脈モデルに対して、流体解析初期条件・境界条件入力部111から入力された各種条件を用いた流体解析を行なうことで、図4の真ん中上段の図にしめす3D冠動脈モデル内の圧力分布(Pressure (mm Hg))を解析したり、図4の真ん中下段の図にしめす3D冠動脈モデル内の血流速度分布(Velocity (cm/s))を解析したりする。
【0028】
さらに、流体解析部144は、図4の右側の図に示すように、解析した3D冠動脈モデル内の圧力分布(Pressure (mm HG))や、血流速度分布(Velocity (cm/s))などから、3D冠動脈モデルにおけるFFR値(CT-FFR)などを算出する。例えば、図4に示すように、流体解析部144は、3D冠動脈モデルの各位置におけるFFR値を解析する。そして、流体解析部144は、3D冠動脈モデル内の圧力分布や、血流速度分布、FFR値などの流体解析結果を流体解析結果記憶部135に格納する。また、流体解析部144は、3D冠動脈モデルと流体解析結果との位置関係を3D冠動脈モデル・流体解析結果相対位置記憶部136に格納する。
【0029】
流体解析結果記憶部135は、流体解析部144による流体解析結果を記憶する。3D冠動脈モデル・流体解析結果相対位置記憶部136は、流体解析部144による流体解析結果と3D冠動脈モデルとの位置関係を記憶する。
【0030】
位置合わせ処理部145は、医用画像診断装置200によって収集された血管を含む画像を用いた流体解析によって解析された血管における血流に関する指標の画像上の位置を特定する。具体的には、位置合わせ処理部145は、血管を含む画像から抽出された3Dポリゴンモデルを用いた流体解析によって解析された指標の画像上の位置を特定する。例えば、位置合わせ処理部145は、CT画像から抽出された冠動脈を用いて生成された3D冠動脈モデルを用いた流体解析結果のCT画像上での位置を特定する。
【0031】
一例を挙げると、位置合わせ処理部145は、まず、医用画像・冠動脈領域相対位置記憶部133によって記憶された医用画像のボリュームデータにおける冠動脈領域に対応するボクセルの位置の情報と、医用画像・3D冠動脈モデル相対位置記憶部134によって記憶された医用画像のボリュームデータにおける3D冠動脈モデルの位置の情報とを読み出して、医用画像における冠動脈領域の位置に対する3D冠動脈モデルの位置を特定することで、冠動脈領域と3D冠動脈モデルとの位置合わせを行う。
【0032】
そして、位置合わせ処理部145は、3D冠動脈モデル・流体解析結果相対位置記憶部136によって記憶された3D冠動脈モデルにおける流体解析結果の位置を読み出し、流体解析結果を位置合わせした冠動脈領域に対応付ける。換言すると、位置合わせ処理部145は、冠動脈領域における流体解析結果の位置を特定する。そして、位置合わせ処理部145は、特定した位置の情報を後述する医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146に送出する。
【0033】
上述したように、位置合わせ処理部145が医用画像と解剖学的構造モデルとの位置合わせを行うことで、例えば、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、医用画像に含まれる血管の正確な位置にシミュレーション結果を示したフュージョン画像を生成することができる。なお、位置合わせの手法は上述した手法に限られず、その他任意の手法に行われる場合であってもよい。例えば、医用画像と解剖学的構造モデルの解剖学的ランドマークを基準にして位置合わせする場合であってもよい。かかる場合には、例えば、位置合わせ処理部146は、医用画像のボリュームデータに含まれる冠動脈と3D冠動脈モデルとを、解剖学的ランドマークを基準にして位置合わせする。そして、位置合わせ処理部146は、ボリュームデータに含まれる冠動脈に3D冠動脈モデルにおける流体解析結果の位置を対応付けることで、冠動脈領域における流体解析結果の位置を特定する。
【0034】
医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、血管を含む画像上に位置を表示するとともに、位置に対応付けて指標を表示部120に表示させる。具体的には、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、位置合わせ処理部145によって位置合わせされた冠動脈領域における流体解析結果の位置に基づいて、医用画像記憶部131から読み出した医用画像の対応する位置に流体解析結果を示したフュージョン画像を生成し、生成したフュージョン画像を表示部120に表示させる。
【0035】
図5は、第1の実施形態に係る表示部120にて表示されるフュージョン画像の一例を示す図である。例えば、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、図5の左側の図に示すように、心臓のCT画像の冠動脈の対応する位置に、流体解析部144による流体解析結果「CT-FFR:0.90」及び「CT-FFR:0.67」を対応付けたフュージョン画像を生成して、表示部120に表示させる。これにより、観察者は、流体解析結果と、形態情報とを比較しながら診断を行なうことができ、診断能を向上させることができる。
【0036】
ここで、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、ボリュームレンダリング画像だけではなく、例えば、図5の右側の上段に示すように、CPR(Curved Multi Planer Reconstruction)画像や、MPR画像の冠動脈に対応する位置に流体解析結果「CT-FFR:0.90」及び「CT-FFR:0.67」を対応付けたフュージョン画像を生成して、表示部120に表示させることも可能である。また、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、例えば、図5の右側の下段に示すように、冠動脈のCS(cross section)画像に圧力分布などの流体解析結果を示すフュージョン画像を生成して、表示部120に表示させることも可能である。このように、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、おおもとのボリュームデータから種々の画像を生成し、生成した画像上に流体解析結果を示したフュージョン画像を生成して表示することができる。なお、医用画像上に示す流体解析結果は任意に選択することができ、例えば、冠動脈内の圧力分布の違いを色で示し、冠動脈の各位置にFFR値を示したフュージョン画像を生成して表示することも可能である。
【0037】
図6は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100の処理の手順を示すフローチャートである。図6においては、医用画像から生成した3D冠動脈モデルによる流体解析結果をCT画像上に示す場合について示す。図6に示すように、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100においては、医用画像入力部110が、医用画像を取得し(ステップS101)、心臓領域抽出部141及び冠動脈領域抽出部142が、それぞれ医用画像における心臓領域と、心臓領域における冠動脈領域とを抽出する。そして、冠動脈領域抽出部142が、医用画像における冠動脈の位置を医用画像・冠動脈領域相対位置記憶部133に記憶させる(ステップS102)。
【0038】
その後、3D冠動脈モデル生成部143が、抽出された冠動脈領域を用いて3D冠動脈モデルを生成し、医用画像における3D冠動脈モデルの相対位置を医用画像・3D冠動脈モデル相対位置記憶部134に記憶させる(ステップS103)。さらに、流体解析部144が、生成された3D冠動脈モデルに対して流体解析処理を実行し、3D冠動脈モデルにおける解析結果の位置を3D冠動脈モデル・流体解析結果相対位置記憶部136に記憶させる(ステップS104)。
【0039】
そして、位置合わせ処理部145が、医用画像・冠動脈領域相対位置記憶部133に記憶された医用画像における冠動脈の位置と、医用画像・3D冠動脈モデル相対位置記憶部134に記憶された医用画像における3D冠動脈モデルの相対位置と、3D冠動脈モデル・流体解析結果相対位置記憶部136に記憶された3D冠動脈モデルにおける解析結果の位置とから、医用画像における解析結果の位置を特定して、医用画像上に解析結果の位置を合わせる(ステップS105)。
【0040】
その後、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146が、医用画像上に解析結果の位置と解析結果とを表示したフュージョン画像を生成し(ステップS106)、生成したフュージョン画像を表示部120に表示させる(ステップS107)。
【0041】
上述したように、第1の実施形態によれば、位置合わせ処理部145は、医用画像診断装置200によって収集された血管を含む画像を用いた流体解析によって解析された血管における血流に関する指標の画像上の位置を特定する。医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、血管を含む画像上に位置を表示するとともに、位置に対応付けて指標を表示部120に表示させる。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100は、医用画像の正確な位置に流体解析による解析結果を表示させることができ、流体解析による結果と医用画像との比較を容易に行なうことを可能にする。
【0042】
その結果、血管の形態的な状態を容易に確認することができ、診断能を向上させることができる。例えば、流体解析による解析結果において、FFR値が低かった場合に、その狭窄の狭窄度合いを目視で容易に確認することができる。
【0043】
また、第1の実施形態によれば、位置合わせ処理部145は、血管を含む画像から抽出された3次元ポリゴンモデルを用いた流体解析によって解析された指標の画像上の位置を特定する。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置100は、既存の技術を利用して容易に実現することを可能にする。
【0044】
(第2の実施形態)
第2の実施形態においては、医用画像を解析した解析画像上に流体解析結果を示したフュージョン画像を生成して表示する場合について説明する。図7は、第2の実施形態に係る医用画像処理装置100aの構成の一例を示す図である。なお、第2の実施形態においては、解析画像としてパーフュージョン(Perfusion)画像を用いる場合について説明する。また、図7に示すように、第2の実施形態に係る医用画像処理装置100aは、図2に示す第1の実施形態に係る医用画像処理装置100と比較して、心筋パーフュージョン解析処理部147と、医用画像・パーフュージョン解析結果相対位置記憶部137と、パーフュージョン解析結果記憶部138を新たに有する点と、位置合わせ処理部145及び医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146による処理が異なる。以下、これらを中心に説明する。
【0045】
心筋パーフュージョン解析処理部147は、医用画像記憶部131によって記憶された医用画像を用いて心筋パーフュージョン解析を実行する。具体的には、心筋パーフュージョン解析処理部147は、造影剤を投与した被検体の心臓領域を時系列に沿って撮影したCT画像からCT値の経時的濃度変化を算出する。そして、心筋パーフュージョン解析処理部147は、算出したCT値の経時的濃度変化から組織内の毛細血管を通過する血流動態を表す指標を組織上にマッピングしたパーフュージョン画像を生成する。
【0046】
そして、心筋パーフュージョン解析処理部147は、医用画像におけるパーフュージョン解析結果(毛細血管を通過する血流動態を表す指標)それぞれの位置の情報を医用画像・パーフュージョン解析結果相対位置記憶部137に格納する。また、心筋パーフュージョン解析処理部147は、生成したパーフュージョン画像をパーフュージョン解析結果記憶部138に格納する。
【0047】
医用画像・パーフュージョン解析結果相対位置記憶部137は、医用画像のボリュームデータにおけるパーフュージョン解析結果それぞれの位置の情報を記憶する。パーフュージョン解析結果記憶部138は、パーフュージョン画像を記憶する。
【0048】
第2の実施形態に係る位置合わせ処理部145は、医用画像に基づいて生成された解析画像上における指標の位置を特定する。具体的には、位置合わせ処理部145は、3Dポリゴンモデルを用いた流体解析によって解析された指標の解析画像上の位置を特定する。例えば、位置合わせ処理部145は、CT画像から抽出された冠動脈を用いて生成された3D冠動脈モデルを用いた流体解析結果のパーフュージョン画像上での位置を特定する。
【0049】
一例を挙げると、位置合わせ処理部145は、まず、医用画像・パーフュージョン解析結果相対位置記憶部137によって記憶された医用画像のボリュームデータにおけるパーフュージョン解析結果それぞれの位置の情報と、医用画像のボリュームデータにおける冠動脈領域に対応するボクセルの位置の情報と、医用画像のボリュームデータにおける3D冠動脈モデルの位置の情報とを読み出して、それぞれの情報の相対位置を特定することで、医用画像におけるパーフュージョン解析結果と冠動脈領域と3D冠動脈モデルとの位置合わせを行う。
【0050】
そして、位置合わせ処理部145は、医用画像におけるパーフュージョン解析結果と冠動脈領域と3D冠動脈モデルとの位置合わせした冠動脈領域における流体解析結果の位置を特定する。そして、位置合わせ処理部145は、特定した位置の情報を医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146に送出する。
【0051】
第2の実施形態に係る医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、解析画像上に位置を表示するとともに、位置に対応付けて指標を表示部120に表示させる。具体的には、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、位置合わせ処理部145によって位置合わせされた医用画像におけるパーフュージョン解析結果、冠動脈領域及び3D冠動脈モデルと、冠動脈領域における流体解析結果の位置とに基づいて、パーフュージョン解析結果記憶部138から読み出したパーフュージョン画像の対応する位置に流体解析結果を示したフュージョン画像を生成し、生成したフュージョン画像を表示部120に表示させる。
【0052】
図8は、第2の実施形態に係る表示部120にて表示されるフュージョン画像の一例を示す図である。例えば、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、図8に示すように、心臓領域のパーフュージョン画像の冠動脈の対応する位置に、流体解析部144による流体解析結果「CT-FFR:0.90」及び「CT-FFR:0.67」を対応付けたフュージョン画像を生成して、表示部120に表示させる。
【0053】
図9は、第2の実施形態に係る医用画像処理装置100aの処理の手順を示すフローチャートである。なお、図9においては、図6に示すフローチャートと同一手順には同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。図9に示すように、第2の実施形態に係る医用画像処理装置100aにおいては、医用画像を取得し(ステップS101)、医用画像における冠動脈の位置を記憶し(ステップS102)、医用画像における3D冠動脈モデルの相対位置を記憶し(ステップS103)、3D冠動脈モデルにおける解析結果の位置を記憶する(ステップS104)。
【0054】
その後、心筋パーフュージョン解析処理部147が、医用画像を用いてパーフュージョン解析処理を実行し、医用画像におけるパーフュージョン解析結果の位置を医用画像・パーフュージョン解析結果相対位置記憶部137に記憶させる(ステップS201)。そして、位置合わせ処理部145が、医用画像・パーフュージョン解析結果相対位置記憶部137に記憶されたパーフュージョン解析結果と、医用画像・冠動脈領域相対位置記憶部133に記憶された医用画像における冠動脈の位置と、医用画像・3D冠動脈モデル相対位置記憶部134に記憶された医用画像における3D冠動脈モデルの相対位置と、3D冠動脈モデル・流体解析結果相対位置記憶部136に記憶された3D冠動脈モデルにおける解析結果の位置とから、医用画像における解析結果及びパーフュージョン解析結果の位置を特定して、医用画像上に解析結果及びパーフュージョン解析結果の位置を合わせる(ステップS202)。
【0055】
その後、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146が、医用画像上に解析結果の位置と解析結果及びパーフュージョン解析結果とを表示したフュージョン画像を生成し(ステップS203)、生成したフュージョン画像を表示部120に表示させる(ステップS204)。
【0056】
上述したように、第2の実施形態によれば、位置合わせ処理部145は、医用画像に基づいて生成されたパーフュージョン画像上における指標の位置を特定する。医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、パーフュージョン画像上に位置を表示するとともに、位置に対応付けて指標を表示部120に表示させる。従って、第2の実施形態に係る医用画像処理装置100aは、流体解析による結果と、医用画像に基づく解析画像との比較を容易に行なうことを可能にする。その結果、診断能をさらに向上させることができる。例えば、パーフュージョン画像によって虚血を観察した場合に、その責任血管のFFR値を容易に確認することができる。
【0057】
(第3の実施形態)
第3の実施形態においては、流体解析による解析結果を、異なる医用画像上に示す場合について説明する。図10は、第3の実施形態に係る医用画像処理装置100bの構成の一例を示す図である。なお、第3の実施形態においては、CT画像から生成した3D冠動脈モデルを用いて流体解析によって得られた解析結果を、MR画像上に示す場合を例に挙げて説明する。また、図10に示すように、第3の実施形態に係る医用画像処理装置100bは、図2に示す第1の実施形態に係る医用画像処理装置100と比較して、医用画像間位置合わせ処理部148及び医用画像間相対位置記憶部139を新たに有する点と、位置合わせ処理部145及び医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146による処理が異なる。以下、これらを中心に説明する。
【0058】
医用画像間位置合わせ処理部148は、医用画像記憶部131によって記憶された異なる医用画像間の位置合わせを行なう。例えば、医用画像間位置合わせ処理部148は、同一被検体の心臓領域を撮影したCT画像とMR画像との位置合わせを行なう。ここで、医用画像間位置合わせ処理部148による医用画像間の位置合わせ処理は、既存の公知技術により実現でき、例えば、2つの医用画像のボクセルの類似度を調べることによって、画像の位置合わせを行なう。医用画像間相対位置記憶部139は、医用画像間位置合わせ処理部148によって実行された異なる医用画像間の位置合わせの情報を記憶する。
【0059】
第3の実施形態に係る位置合わせ処理部145は、異なる種類の医用画像診断装置によって収集された血管を含む医用画像間の位置合わせを行なうことで、異種画像上における指標の位置を特定する。具体的には、位置合わせ処理部145は、3Dポリゴンモデルを用いた流体解析によって解析された指標の異なる医用画像上の位置を特定する。例えば、位置合わせ処理部145は、CT画像から抽出された冠動脈を用いて生成された3D冠動脈モデルを用いた流体解析結果のMR画像上での位置を特定する。
【0060】
一例を挙げると、位置合わせ処理部145は、まず、医用画像間相対位置記憶部139によって記憶されたCT画像とMR画像との位置合わせの情報と、CT画像のボリュームデータにおける冠動脈領域に対応するボクセルの位置の情報と、CT画像のボリュームデータにおける3D冠動脈モデルの位置の情報とを読み出して、それぞれの情報の相対位置を特定することで、MR画像における冠動脈領域と3D冠動脈モデルとの位置合わせを行う。
【0061】
そして、位置合わせ処理部145は、MR画像における冠動脈領域と3D冠動脈モデルとの位置合わせした冠動脈領域における流体解析結果の位置を特定する。そして、位置合わせ処理部145は、特定した位置の情報を医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146に送出する。
【0062】
第3の実施形態に係る医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、異種画像上に位置を表示するとともに、位置に対応付けて指標を表示部120に表示させる。具体的には、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、位置合わせ処理部145によって位置合わせされたMR画像における冠動脈領域及び3D冠動脈モデルと、冠動脈領域における流体解析結果の位置とに基づいて、医用画像記憶部131から読み出したMR画像の対応する位置に流体解析結果を示したフュージョン画像を生成し、生成したフュージョン画像を表示部120に表示させる。
【0063】
図11は、第3の実施形態に係る表示部120にて表示されるフュージョン画像の一例を示す図である。例えば、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、図11に示すように、CT画像と位置合わせされたMR画像の対応する位置に、CT画像から生成した3D冠動脈モデルの流体解析結果「CT-FFR:0.71」を対応付けたフュージョン画像を生成して、表示部120に表示させる。これにより、異なるモダリティによって収集された医用画像と、流体解析の結果とを比較することができ、診断能をより向上させることができる。なお、上述した例はあくまでも一例であり、用いられる医用画像は上述した例に限られず、任意の種類の医用画像を用いることができる。
【0064】
ここで、上述した例では、MR画像の原画像に流体解析の結果を示したフュージョン画像を表示する場合について説明したが、本実施形態に係る医用画像処理装置100bは、MR画像の解析画像上に流体解析の結果を示したフュージョン画像を生成して表示することも可能である。例えば、図10に示す医用画像処理装置100bが、図7に示した心筋パーフュージョン解析処理部147と、医用画像・パーフュージョン解析結果相対位置記憶部137と、パーフュージョン解析結果記憶部138とをさらに備え、位置合わせ処理部145が解析画像との位置合わせを行ない、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146が解析画像に流体解析の結果を示したフュージョン画像を生成して表示部120に表示させる。
【0065】
図12は、第3の実施形態に係る医用画像処理装置100bの処理の手順を示すフローチャートである。図12においては、CT画像から生成した3D冠動脈モデルによる流体解析結果をMR画像上に示す場合について示す。図12に示すように、第3の実施形態に係る医用画像処理装置100bにおいては、医用画像入力部110が、CT画像及びMR画像を取得し(ステップS301)、医用画像間位置合わせ処理部148が、CT画像とMR画像との位置合わせを行い、相対位置を医用画像間相対位置記憶部139に記憶させる(ステップS302)。
【0066】
そして、心臓領域抽出部141及び冠動脈領域抽出部142が、それぞれCT画像における心臓領域と、心臓領域における冠動脈領域とを抽出する。そして、冠動脈領域抽出部142が、CT画像における冠動脈の位置を医用画像・冠動脈領域相対位置記憶部133に記憶させる(ステップS303)。
【0067】
その後、3D冠動脈モデル生成部143が、抽出された冠動脈領域を用いて3D冠動脈モデルを生成し、CT画像における3D冠動脈モデルの相対位置を医用画像・3D冠動脈モデル相対位置記憶部134に記憶させる(ステップS304)。さらに、流体解析部144が、生成された3D冠動脈モデルに対して流体解析処理を実行し、3D冠動脈モデルにおける解析結果の位置を3D冠動脈モデル・流体解析結果相対位置記憶部136に記憶させる(ステップS305)。
【0068】
そして、位置合わせ処理部145が、CT画像における冠動脈の位置と、CT画像における3D冠動脈モデルの相対位置と、3D冠動脈モデルにおける解析結果の位置とから、CT画像における解析結果の位置を特定する(ステップS306)。さらに、位置合わせ処理部145が、CT画像とMR画像との位置合わせの情報と、CT画像における解析結果の位置とから、MR画像における解析結果の位置を特定する(ステップS307)。
【0069】
その後、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146が、MR画像上に解析結果の位置と解析結果とを表示したフュージョン画像を生成し(ステップS308)、生成したフュージョン画像を表示部120に表示させる(ステップS309)。
【0070】
上述したように、第3の実施形態によれば、位置合わせ処理部145は、異なる種類の医用画像診断装置によって収集された異なる種類の医用画像間の位置合わせを行なうことで、異なる医用画像上における指標の位置を特定する。医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、異なる医用画像上に位置を表示するとともに、位置に対応付けて指標を表示部120に表示させる。従って、第3の実施形態に係る医用画像処理装置100bは、種々の医用画像上に流体解析の結果を表示させることができ、診断能をさらに向上させることを可能にする。
【0071】
(第4の実施形態)
なお、実施形態は、上述した実施形態に限られるものではなく、他の異なる種々の形態にて実施することができる。
【0072】
上述した実施形態においては、医用画像又は解析画像上に流体解析の結果を表示させる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、医用画像を解析した解析結果と流体解析の結果とを組み合わせて示される情報を表示させる場合であってもよい。具体的には、第4の実施形態に係る医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、血流に関する指標と解析画像にて解析された解析結果とに基づいて導出された評価情報を、指標の位置に対応付けて前記解析画像上に表示させる。例えば、心筋パーフュージョンによる心筋異常と、CT-FFRの値とを組み合わせ、それらの状態に応じた狭窄治療レベルを定義して、解析画像上で表示させることも可能である。
【0073】
一例を挙げると、まず、血管の支配領域における心筋異常及びCT-FFR値に基づいて狭窄治療レベルが定義される。ここで、狭窄治療レベルは、任意に設定することができ、例えば、「レベル1:心筋異常&FFR<0.75」、「レベル2:心筋異常&FFR≧0.75」、「レベル3:心筋正常&FFR<0.75」、「レベル4:心筋正常&FFR≧0.75」と設定される。医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、医用画像・パーフュージョン解析結果相対位置記憶部137からパーフュージョン解析結果を読み出し、血管の位置ごとに、支配領域における血流動態を表す指標を抽出して、CT-FFRの値と対応付ける。
【0074】
そして、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、上述した狭窄治療レベルを参照して、血管の位置ごとに対応するレベルを示したフュージョン画像を生成し、生成したフュージョン画像を表示部120にて表示させる。図13は、第4の実施形態に係る表示部120にて表示されるフュージョン画像の一例を示す図である。例えば、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、図13に示すように、心臓領域のパーフュージョン画像の冠動脈の対応する位置に、狭窄治療レベル「レベル1 CT-FFR:0.67」や、「レベル4 CT-FFR:0.90」を対応付けたフュージョン画像を生成して、表示部120に表示させる。
【0075】
ここで、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、図13に示すように、画像内にレベルの数字を示すことによって狭窄治療レベルの程度を示す場合であってもよいが、レベルをカラーで区別して表示する場合であってもよい。例えば、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、レベル1を赤で強調して表示させ、レベル4を青で表示させる。これにより、操作者は、医用画像を用いた複数の解析結果を複合的な評価結果として観察することができる。
【0076】
また、医用画像処理装置100による表示は上述した例に限られず、その他種々の表示を行うことができる。例えば、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、狭窄ごとに種々の表示を行うことができる。図14A及び図14Bは、第4の実施形態に係る表示部にて表示されるフュージョン画像の一例を示す図である。例えば、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、図14Aに示すように、「狭窄1:CT-FFR:0.4」、「狭窄2:CT-FFR:0.6」及び「狭窄3:CT-FFR:0.9」について、狭窄ごとに切り替えて表示することができる。なお、図14Aにおいては、すべての狭窄について示されているが、実際には、各狭窄が1つずつ表示される。
【0077】
かかる場合、例えば、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、CT-FFR値の小さい順に狭窄部位をリスト化して、操作者による操作に応じてリスト順に表示させる。これにより、操作者は、CT-FFR値の小さい順に狭窄周辺を観察して、性状を確認することができる。なお、狭窄部位のリスト化は、任意の順で行うことができ、値が大きい順であってもよい。また、狭窄部位のリスト化は、全ての狭窄を対象として実行されてもよいが、予めCT-FFR値のカットオフ値を設定しておき、CT-FFR値がカットオフ値以下となる狭窄だけを対象としてもよい。
【0078】
また、例えば、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、図14Bに示すように、狭窄1について、ボリュームデータからCPR画像及びCS画像を生成して、生成した画像を対応づけて表示することにより、さらに細かい確認を行うことができ、ステントを留置する場合の事前確認にも利用することができる。
【0079】
また、上述した第3の実施形態においては、同一被検体の心臓領域を撮像したCT画像とMR画像とを用いて、CT画像から生成した3次元ポリゴンモデルに基づく流体解析結果をMR画像にフュージョンさせる場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、その他種々の医用画像を対象とすることができる。
【0080】
図15は、第4の実施形態に係る表示部にて表示されるフュージョン画像の一例を示す図である。例えば、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、図15に示すように、CT画像のボリュームデータから生成した冠動脈の3次元画像と、超音波診断装置によって収集された心臓の3次元データに基づく3次元解析画像とを重畳させ、冠動脈上にCT-FFRの値を示したフュージョン画像を表示部120に表示させることも可能である。かかる場合には、位置合わせ処理部145が、CT画像のボリュームデータと、超音波画像のボリュームデータとを位置合わせする。そして、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、位置合わせされた情報に基づいて、冠動脈の3次元画像と心臓の3次元解析画像と、流体解析結果とをフュージョンさせたフュージョン画像を表示させる。
【0081】
また、上述した位置合わせを行うことにより、その他の解析画像とフュージョンさせることも可能である。図16は、第4の実施形態に係る表示部にて表示されるフュージョン画像の一例を示す図である。例えば、医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部146は、図16に示すように、超音波データに基づいて生成されたポーラーマップ(polar-map)上の血管にCT-FFRの値を示したフュージョン画像を表示部120にて表示させることも可能である。ここで、ポーラーマップとは、3次元心機能情報がマッピングされた3次元データを平面に展開した画像データであり、図16の画像はポーラーマップ上に血管を示す血管像を投影した画像である。
【0082】
このように、本願にかかる医用画像処理装置100は、医用画像上に流体解析の結果を示したフュージョン画像を表示させることで、流体解析による結果と医用画像との比較を容易に行うことを可能にする。ここで、流体解析の結果がフュージョンされる画像は、流体解析に用いられた解剖学的構造モデルの生成に用いられた医用画像、解剖学的構造モデルの生成に用いられた医用画像を解析することで得られた解析画像、解剖学的構造モデルの生成に用いられた医用画像とは異なるモダリティで収集された異種医用画像、或いは、異種医用画像を解析することで得られた解析画像が用いられる。さらに、流体解析の結果がフュージョンされる画像は、上記した画像単体でもよく、医用画像と解析画像とがフュージョンされた画像であってもよい。
【0083】
上述した実施形態においては、医用画像から生成した3次元ポリゴンモデルを用いて流体解析を行なう場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、医用画像のボリュームデータを用いて流体解析を行なう場合であってもよい。かかる場合には、例えば、医用画像処理装置100は、医用画像のボリュームデータから冠動脈の内壁に相当するボクセルを抽出し、抽出したボクセル群を用いて流体解析を実行する。
【0084】
上述した実施形態においては、各種処理を医用画像処理装置が行なう場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、超音波診断装置、磁気共鳴イメージング装置、核医学イメージング装置などの医用画像診断装置に、適用する場合であってもよい。
【0085】
また、上述した実施形態においては、血流に関する指標として、FFRを例に挙げて説明したが実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、CFRや、それらをカスタマイズした他の指標などを対象としてもよい。
【0086】
また、上述した実施形態においては、冠動脈を想定したが、実施形態はこれに限られるものではなく、他の血管にも同様に適用できる。
【0087】
また、上述した実施形態において説明した医用画像処理装置の構成はあくまでも一例であり、各構成は適宜、統合したり分割したりすることができる。
【0088】
以上述べた少なくとも一つの実施形態の医用画像処理装置及び医用画像診断装置によれば、流体解析による結果と医用画像との比較を容易に行なうことができる。
(付記1)被検体の冠動脈の形態を示す医用画像に基づいて3D(Dimension)ポリゴンモデルを生成し、
前記医用画像における前記3Dポリゴンモデルの位置情報を取得し、
前記被検体の心臓領域における画像に基づいてパーフュージョン解析を施すことによりパーフュージョン解析結果を取得し、
前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報を取得し、
前記医用画像における前記3Dポリゴンモデルの位置情報と、前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報と、前記3Dポリゴンモデルにおける流体解析結果の位置情報とのそれぞれの相互位置を特定することで、前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報と前記流体解析結果の位置情報とを位置合わせし、位置合わせ結果に基づいて、パーフュージョン解析結果の空間分布を表示するとともに、パーフュージョン解析結果の空間上の位置と対応する位置に流体解析結果を表示する、
ことを含む、医用画像処理方法。
(付記2)前記医用画像における前記3Dポリゴンモデルの位置情報と前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報との対応関係を特定し、前記医用画像における前記3Dポリゴンモデルの位置情報と前記3Dポリゴンモデルにおける流体解析結果の位置情報とに基づいて前記医用画像における前記流体解析結果の位置情報を特定することで、前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報と前記流体解析結果の位置情報との位置合わせを実行する、付記1に記載の医用画像処理方法。
(付記3)前記医用画像における冠動脈に対応する位置情報を特定し、
前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報と、前記医用画像における前記冠動脈に対応する位置情報と、前記3Dポリゴンモデルである3D冠動脈モデルの前記医用画像における位置情報と、前記3Dポリゴンモデルにおける流体解析結果の位置情報との相対的な位置関係を特定することで、前記位置合わせを実行し、
前記パーフュージョン解析結果の空間分布を表示するとともに、特定した冠動脈に対応する位置に表示されるよう表示位置を調整して前記流体解析結果を表示する、付記2に記載の医用画像処理方法。
(付記4)第1のモダリティによって収集された医用画像と、第2のモダリティによって収集された医用画像との位置合わせを実行し、
前記第1のモダリティによって収集された医用画像に基づいて前記流体解析結果を取得し、前記第2のモダリティによって収集された医用画像に基づいて前記パーフュージョン解析結果を取得する、付記1~3のいずれか1つに記載の医用画像処理方法。
(付記5)前記パーフュージョン解析結果を示すパーフュージョン画像の冠動脈の対応する位置に、マーカと前記流体解析結果の数値を表示する、付記1~4のいずれか1つに記載の医用画像処理方法。
(付記6)心筋の状態を示す情報とFFR(Fractional Flow Reserve)の値とを、前記マーカが配置された位置に対応付けて表示する、付記5に記載の医用画像処理方法。
(付記7)前記パーフュージョン解析結果を示すパーフュージョン画像の冠動脈の対応する位置にマーカを表示し、当該マーカの位置におけるFFRの値をポップアップ表示させる、付記1~4のいずれか1つに記載の医用画像処理方法。
(付記8)前記パーフュージョン解析結果を示すパーフュージョン画像の冠動脈の複数の位置にマーカをそれぞれ表示し、各マーカの位置におけるFFRの値の小さい順にリストを作成し、リスト順にポップアップ表示を切り替えて表示する、付記7に記載の医用画像処理方法。
(付記9)前記冠動脈において前記FFRの値が閾値を下回る位置を対象に前記マーカを表示し、各マーカの位置におけるFFRの値の小さい順にリストを作成し、リスト順にポップアップ表示を切り替えて表示する、付記8に記載の医用画像処理方法。
(付記10)前記マーカを表示した位置に関するCPR(Curved multi Planer Reconstruction)画像を生成して表示する、付記7~9のいずれか1つに記載の医用画像処理方法。
(付記11)前記マーカを表示した位置に関するCS(Cross Section)画像を生成して表示する、付記7~9のいずれか1つに記載の医用画像処理方法。
(付記12)前記パーフュージョン解析結果をポーラーマップの形態で表示させ、当該ポーラーマップ上の位置と対応する位置に前記流体解析結果を表示する、付記1~11のいずれか1つに記載の医用画像処理方法。
(付記13)被検体の冠動脈の形態を示す医用画像に基づいて3D(Dimension)ポリゴンモデルを生成する生成部と、
前記医用画像における前記3Dポリゴンモデルの位置情報を取得し、前記被検体の心臓領域における画像に基づいてパーフュージョン解析を施すことによりパーフュージョン解析結果を取得し、前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報を取得する取得部と、
前記医用画像における前記3Dポリゴンモデルの位置情報と、前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報と、前記3Dポリゴンモデルにおける流体解析結果の位置情報とのそれぞれの相互位置を特定することで、前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報と前記流体解析結果の位置情報とを位置合わせし、位置合わせ結果に基づいて、パーフュージョン解析結果の空間分布を表示するとともに、パーフュージョン解析結果の空間上の位置と対応する位置に流体解析結果を表示する処理部と、
を備える、医用画像処理装置。
(付記14)被検体の冠動脈の形態を示す医用画像に基づいて3D(Dimension)ポリゴンモデルを生成する生成部と、
前記医用画像における前記3Dポリゴンモデルの位置情報を取得し、前記被検体の心臓領域における画像に基づいてパーフュージョン解析を施すことによりパーフュージョン解析結果を取得し、前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報を取得する取得部と、
前記医用画像における前記3Dポリゴンモデルの位置情報と、前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報と、前記3Dポリゴンモデルにおける流体解析結果の位置情報とのそれぞれの相互位置を特定することで、前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報と前記流体解析結果の位置情報とを位置合わせし、位置合わせ結果に基づいて、パーフュージョン解析結果の空間分布を表示するとともに、パーフュージョン解析結果の空間上の位置と対応する位置に流体解析結果を表示する処理部と、
を備える、医用画像処理システム。
(付記15)被検体の冠動脈の形態を示す医用画像に基づいて3D(Dimension)ポリゴンモデルを生成し、
前記医用画像における前記3Dポリゴンモデルの位置情報を取得し、
前記被検体の心臓領域における画像に基づいてパーフュージョン解析を施すことによりパーフュージョン解析結果を取得し、
前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報を取得し、
前記医用画像における前記3Dポリゴンモデルの位置情報と、前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報と、前記3Dポリゴンモデルにおける流体解析結果の位置情報とのそれぞれの相互位置を特定することで、前記医用画像における前記パーフュージョン解析結果の位置情報と前記流体解析結果の位置情報とを位置合わせし、位置合わせ結果に基づいて、パーフュージョン解析結果の空間分布を表示するとともに、パーフュージョン解析結果の空間上の位置と対応する位置に流体解析結果を表示する、
各処理をコンピュータに実行させる、医用画像処理プログラム。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0090】
100、100a、100b 医用画像処理装置
110 医用画像入力部
143 3D冠動脈モデル生成部
145 位置合わせ処理部
146 医用画像・流体解析結果フュージョン画像生成部
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