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特開2023-139061微小電気機械システムのピストンモード空間光変調器の効率を高めるため及び光学帯域幅を増加させるための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139061
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】微小電気機械システムのピストンモード空間光変調器の効率を高めるため及び光学帯域幅を増加させるための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/06 20060101AFI20230926BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20230926BHJP
   G02B 26/02 20060101ALN20230926BHJP
【FI】
G02B26/06
B81B3/00
G02B26/02 E
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113368
(22)【出願日】2023-07-10
(62)【分割の表示】P 2020531457の分割
【原出願日】2018-12-10
(31)【優先権主張番号】15/836,521
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】アダム ジョセフ フリューリング
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ ノーマン ハル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】微小電気機械システムのピストンモード空間光変調器の効率を高めるため及び光学帯域幅を増加させるための方法及び装置の提供
【解決手段】微小電気機械システムのピストンモード空間光変調器の効率を高めるため及び光学帯域幅を増加させるための方法及び装置において、例示の装置(100)は、ばね脚部を備える電極(106)と、ベース電極(110)と、電極(106)の不安定点を越える電極(106)の変位距離に対応する周期信号を判定するためのミラー変位判定器と、周期信号に応答して周期電圧をベース電極(110)に出力するための電圧源とを含む。周期電圧は、ばね脚部に周期電圧に応じてベース電極(110)に対する電極(106)の変位を変動させる。この変位は、不安定点を越える距離を含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小電気機械システムのピストンモード空間光変調器においてミラーの変位を増加させるための装置であって、
ばね脚部を備える電極、
ベース電極、
前記電極の不安定点を越える前記電極の変位距離に対応する周期信号を判定するためのミラー変位判定器、及び
前記周期信号に応答して周期電圧を前記ベース電極に出力するための電圧源、
を含み、
前記周期電圧が、前記ばね脚部に、前記周期電圧に応じて前記ベース電極に対する前記電極の変位を変動させるためのものであり、前記変位が前記不安定点を越える距離を含む、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
周期電圧データ又はサンプリングデータの少なくとも一方を受信デバイスに送信するための送信器をさらに含む、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記周期電圧が、前記電極が陥没なしに前記不安定点を越えて変位できるようにするためのものである、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、
前記周期電圧がデジタルパルス信号又は正弦曲線の少なくとも一方である、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記変位距離が前記電極の前記不安定点より小さいとき、
前記ミラー変位判定器が前記変位距離に対応する安定信号を判定するためのものであり、
前記安定信号に応答して、前記電圧源が、前記ばね脚部に前記電極を前記変位距離まで変位させるために、安定電圧を前記ベース電極に出力するためのものである、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、
前記電極が前記ミラーに結合される、装置。
【請求項7】
微小電気機械システムのピストンモード空間光変調器においてミラーの変位を増加させるための方法であって、
電極の不安定点を越える、画素の前記電極の変位距離に対応する周期信号を判定すること、及び、
前記周期信号に応答して周期電圧をベース電極に出力することであって、前記周期電圧が、前記電極のばね脚部に前記周期電圧に応じて前記ベース電極に対する前記電極の変位を変動させ、前記変位が前記不安定点を越える距離を含む、前記周期電圧を出力すること、
を含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
周期電圧データ又はサンプリングデータの少なくとも一方を受信デバイスに送信することをさらに含む、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、
前記周期電圧を出力することが、前記ばね脚部が陥没なしに前記不安定点を越えて前記電極を変位できるようにする、方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法であって、
前記周期電圧がデジタルパルス信号又は正弦曲線の少なくとも一方である、方法。
【請求項11】
請求項7に記載の方法であって、
前記変位距離が前記電極の前記不安定点より小さいとき、
前記変位距離に対応する安定信号を判定すること、及び、
前記安定信号に応答して、前記ばね脚部に前記電極を前記変位距離まで変位させるために、安定電圧を前記ベース電極に出力すること、
をさらに含む、方法。
【請求項12】
請求項7に記載の方法であって、
前記電極が前記ミラーに結合される、方法。
【請求項13】
命令実行装置によって処理可能である命令をストアする非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、
電極の不安定点を越える画素の前記電極の変位距離に対応する周期信号を判定すること、及び、
前記周期信号に応答して周期電圧をベース電極に出力することであって、前記周期電圧が、前記電極のばね脚部に前記周期電圧に応じて前記ベース電極に対する前記電極の変位を変動させ、前記変位が前記不安定点を越える距離を含む、前記周期電圧を出力すること、
を含む方法を前記装置に行わせるためのものである、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータ可読ストレージ媒体であって、
前記方法が、周期電圧データ又はサンプリングデータの少なくとも一方を受信デバイスに送信することを含む、コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項15】
請求項13に記載のコンピュータ可読ストレージ媒体であって、
前記周期電圧を出力することが、前記ばね脚部が陥没なしに前記不安定点を越えて前記電極を変位できるようにする、コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項16】
請求項13に記載のコンピュータ可読ストレージ媒体であって、
前記周期電圧がデジタルパルス信号又は正弦曲線の少なくとも一方である、コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項17】
請求項13に記載のコンピュータ可読ストレージ媒体であって、
前記方法が、
前記変位距離が前記電極の前記不安定点より小さいとき、
前記変位距離に対応する安定信号を判定すること、及び、
前記安定信号に応答して、前記ばね脚部に前記電極を前記変位距離まで変位させるために安定電圧を前記ベース電極に出力すること、
を含む、コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項18】
請求項13に記載のコンピュータ可読ストレージ媒体であって、
前記電極が前記ミラーに結合される、コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項19】
微小電気機械システムのピストンモード空間光変調器の効率を高め、光学帯域幅を増加させるための装置であって、
ミラー、
前記ミラーに取り付けられる電極、
を含み、
前記電極が、
剛体と、
前記電極に印加される静電力に応答して前記剛体を変位させるために前記剛体に結合される3つのばね脚部と、
を含む、装置。
【請求項20】
請求項19に記載の装置であって、
前記電極が六角形形状を含む、装置。
【請求項21】
請求項19に記載の装置であって、
前記3つのばね脚部が前記剛体の外周周辺に部分的に巻き付く、装置。
【請求項22】
請求項19に記載の装置であって、
前記静電力を生じさせるために電圧を印加するためのベース電極をさらに含む、装置。
【請求項23】
請求項22に記載の装置であって、
前記ベース電極が前記電極の前記剛体から離れて湾曲する、装置。
【請求項24】
請求項22に記載の装置であって、
前記剛体が前記ベース電極から離れて湾曲する、装置。
【請求項25】
請求項19に記載の装置であって、
前記ミラーを前記電極に結合するためのミラーアタッチメントをさらに含む、装置。
【請求項26】
請求項25に記載の装置であって、
前記ばね脚部をベースに取り付けるためのばねアタッチメントをさらに含み、前記電極、前記ミラーアタッチメント、及び前記ばねアタッチメントが同じ材料でつくられる、装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置であって、
前記ばねアタッチメントが接地に結合される、装置。
【請求項28】
請求項26に記載の装置であって、
前記ミラーアタッチメントが前記ばねアタッチメントより短い、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に微小電気機械システムに関し、より具体的には、微小電気機械システムのピストンモード空間光変調器の効率を高めるため及び光学帯域幅を増加させるための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空間光変調器(SLM)は、光ビームの変調を空間的に変化させる。SLMは画素を動作させ、各画素は、光ビームの強度及び/又は位相を変化させるために動くそれぞれのミラーを含む。いくつかの例において、微小電気機械システム(MEMS)SLMは、光ビームの強度及び/又は位相を変えるために、ミラーの位置を変化させる(例えば、動かす)。このようなMEMSは、ミラーに結合されるベース電極及びばね電極を含む。(画素のベースに結合される)ベース電極とばね電極との間に電圧差がつくられるとき、ばね電極はベース電極に向かって動き、それによってミラーを異なる位置へと動かす。MEMS SLMは、プロジェクタ、高ダイナミックレンジシネマ、光検出及び測距システム、(例えば、電気通信又はサーバファームにおける)高容量光スイッチング、(例えば、天文学、眼科学、機械視覚における)顕微鏡/分光/補償光学、及びホログラフィックディスプレイにおいてなど、様々な手法で用いられる。
【発明の概要】
【0003】
微小電気機械システムのピストンモード空間光変調器の効率を高めるため及び光学帯域幅を増加させるための装置の説明する例において、この装置は、ばね脚部を備える電極を含む。この装置はベース電極をさらに含む。この装置は、電極の不安定点を越える電極の変位距離に対応する周期信号を判定するためのミラー変位判定器をさらに含む。この装置は、周期信号に応答して周期電圧をベース電極に出力するための電圧源をさらに含み、周期電圧は、周期電圧に応じてばね脚部にベース電極に関して電極の変位を変動させ、変位は不安定点を越える距離を含む。
【0004】
微小電気機械システムのピストンモード空間光変調器の効率を高めるため及び光学帯域幅を増加させるための方法の説明する例において、この方法は、電極の不安定点を越える画素の電極の変位距離に対応する周期信号を判定することを含む。この方法は、周期信号に応答して周期電圧をベース電極に出力することをさらに含み、周期電圧は、周期電圧に応じて電極のばね脚部にベース電極に関して電極の変位を変動させ、変位は不安定点を越える距離を含む。
【0005】
微小電気機械システムのピストンモード空間光変調器の効率を高めるため及び光学帯域幅を増加させるための装置の説明する例において、この装置はミラーを含む。この装置はさらに、ミラーに取り付けられる電極を含む。電極は、剛体と、電極に印加される静電力に応答して剛体を変位させるために剛体に結合される3つのばね脚部とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】異なる位置における例示のMEMS SLM画素の側面図である。
図1B】異なる位置における例示のMEMS SLM画素の側面図である。
【0007】
図2図1A及び図1Bの画素の例示のばね構造の平面図である。
【0008】
図3A図1A図1B、及び図2のばね構造の3つの例示の変位の斜視図である。
図3B図1A図1B、及び図2のばね構造の3つの例示の変位の斜視図である。
図3C図1A図1B、及び図2のばね構造の3つの例示の変位の斜視図である。
【0009】
図4A】MEMS SLMの3つの例示の代替画素構造の側面図である。
図4B】MEMS SLMの3つの例示の代替画素構造の側面図である。
図4C】MEMS SLMの3つの例示の代替画素構造の側面図である。
【0010】
図5図1A及び図1Bの例示の電極電圧コントローラのブロック図である。
【0011】
図6図1A図4Cのばね構造の位置を動かすために図1A及び図1Bの電極電圧コントローラを実装するように実行され得る、例示の機械可読命令を表すフローチャートである。
【0012】
図7】高調波共振励起波形によって生成される移動範囲の増加の例示のグラフである。
【0013】
図8図1A及び図1Bの例示のミラーで反射する光のサンプリングの例示のグラフである。
【0014】
図9A図1A及び図1Bのミラーを、陥没なしに不安定点を越えて周期的に変化させるために、図1A図1B、及び図5の電極電圧コントローラによって出力され得る周期信号の例示のグラフである。
図9B図1A及び図1Bのミラーを、陥没なしに不安定点を越えて周期的に変化させるために、図1A図1B、及び図5の電極電圧コントローラによって出力され得る周期信号の例示のグラフである。
【0015】
図10】例示の照明状態に対応する例示の画素アレイフレームを生成するための、例示の位相シフトされたミラー変位を図示する。
【0016】
図11図1A及び図1Bの電極電圧コントローラを制御するために図6の機械可読命令を実行するためのプロセッサプラットフォームのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。図面において、同様の部品は同様の参照番号で参照される。
【0018】
SLMは、反射されたビームの特性(例えば、強度及び/又は位相)を制御するために光ビームを反射することによって、光ビームの変調を空間的に変化させる。光ビームを変調するために、SLM画素は、反射されたビームの特性を変えるため、調節可能(可動、変位可能)ミラーを含む。いくつかの例において、SLMは、静電力及びばね力の組み合わせに応答してミラーを動かすためのMEMSを含む。
【0019】
図1A及び図1Bは、MEMS SLMの例示の画素100の2つの位置を示す側面図である。図1A及び図1Bは、例示のミラー102、例示のミラーアタッチメント104(例えば、ミラーバイア)、例示のばね106(例えば、本明細書では「ばね」、「ばね構造」、又は「ばね電極」と呼ばれる)(例えば、第1の電極)、例示のばねアタッチメント108a~108c(例えば、ばねバイア)、例示のベース電極110(例えば、第2の電極)、及び、例示の電極電圧コントローラ112を示す。
【0020】
ミラー102は、ミラーの位置に従って、一つ又は複数の方向に光ビームを反射する。例えば、ミラー102は、光を反射させるために図1Aの第1の位置において延長され、ミラー102は、光を反射させるために図1Bの第2の位置において後退する。ミラー102は、連続位相範囲を有する純粋な位相コントラストデバイスに対応する光を反射する。このようにして、ミラーのアレイが、(例えば、異なる強度に対応する)異なる干渉パターンをつくるために、異なる位置において変位され得る。
【0021】
ばね106は、ばね脚部及び剛体を含む電極である。ばね構造106は、ミラーアタッチメント104を介してミラー102に結合され、それによって付加的な剛性を剛体に与える。ばね構造106のばね脚部は、伸長されたときに伸長の方向とは反対方向の機械力を印加する機械的ばね定数に対応する。ばね脚部は、接地され得るばねアタッチメント108a~108cに取り付けられる。このようにして、下降運動においてばね構造106に静電力が印加されるとき、ばね脚部はベース電極110に向かって延伸し、ばね構造106の剛体を低下させ、それによってミラー102を図1Aの位置から図1Bの位置に向かって動かす。ばね構造106は任意の形状であってよいが、六角形のばね構造は剛体の面積対外周比を増加させるため、(例えば、ミラー変位の総距離に対応して)画素の質を低下させることなく、ベース電極110に印加される電圧を従来の画素よりも大幅に低くすることができる。
【0022】
いくつかの例において、ばねアタッチメント108a~108cの長さは、ミラーアタッチメント104の長さよりも長い。このようにして、たとえミラー102が静電力によって完全に変位される場合でも、ばね構造106はベース電極110に直接接しない(例えば、電気的短絡を生じさせない)ことになる。いくつかの例において、ミラー102、ミラーアタッチメント104、ばね構造106、及び/又は、ばねアタッチメント108a~108cは、同様の材料によって覆われる。このようにして、ミラー102、ミラーアタッチメント104、ばね構造106、及び/又は、ばねアタッチメント108a~108cの間にゼロ電位差が存在する。
【0023】
動作の間、ベース電極110は電極電圧コントローラ112から電圧を受け取る。ベース電極110にかかる電圧は、ばね構造106のばね定数よりも強いとき、ばね構造106をベース電極110に向かって動かす静電力を生成する。より多くの電圧がベース電極110に印加されるにつれて、及び/又は、より多くの面積の電圧がベース電極110によって印加されるにつれて、ばね構造106の変位が増加する。いくつかの例において、ベース電極110は、電圧がベース電極110全体に等しく広がるアナログタイプの電極である。したがって、電極電圧コントローラ112は、ばね構造106及びミラー102を異なる位置(例えば、異なる位置に対応する各電圧レベル)へ動かすために、アナログ電圧を出力する。いくつかの例において、ベース電極110は、ベース電極110の異なるエリア(例えば、ビット)に電圧が印加されるデジタルタイプ電極である。例えば、ベース電極110は、線形ビット間隔について3つのビット(bit_0、bit_1、及びbit_2)を含み得、そのため、面積は2進的に増加する(例えば、ビット0はビット1の面積の1/2であり、ビット1はビット2の面積の1/2である)。しかしながら、この面積比は、下記で更に説明するように、静電力の非線形性、湾曲/傾斜した電極、及び/又は、非線形ばねを補償するために変更され得る。図1A及び図1Bの例は3ビット電極構成に対応するが、ベース電極110は、リソグラフィ及びルーティング制限を受け、任意数のビットを含み得る。したがって、(a)bit_0に5Vが印加される場合、ばね構造106は第1の位置に動かされ、(b)bit_0及びbit_1に5Vが印加される場合、ばね構造106は(第1の位置より低い)第2の位置に動かされ、また、(c)bit_0、bit_1、及びbit_2に5Vが印加される場合、ばね構造106は(第2の位置より低い)第3の位置に移動される。
【0024】
電極電圧コントローラ112は、ベース電極110とばね構造106との間に静電力を生成するために、ベース電極110に電圧を送り、それによってばね構造106(及び、そのためミラー102)をベース電極110に向けて動かされることによって、ミラー102の変位を制御する。電極電圧コントローラ112は、(例えば、別のコンピューティングデバイス又は回路から受信する)所望の出力に従って、距離に対応する電圧を印加する。いくつかの例において、電極電圧コントローラ112は、周期的に、ばね構造106(及び、そのためミラー102)をベース電極110に向かって及びベース電極110から離れて引き付ける周期信号(例えば、デジタルパルス信号又はシヌソイド)を生成する。本明細書で説明するように、ばね構造106の変位を周期的に変更させるために電圧を周期的に変化させることによって、電極電圧コントローラ112は、ばね構造106を、陥没なしに(例えば、ばね構造106をベース電極110に向かって陥没させることなしに)d/3閾値距離(例えば、不安定点)を越えて、ベース電極110に向かって動かすことができる。電極電圧コントローラ112は、周期変動手法を用いて、ばね構造106をベース電極110までの距離の約9/10を動かすことができる。電極電圧コントローラ112は、ばね構造106の変位を時間と共に変化させるので、受信デバイス(例えば、ミラー102によって反射される受信光)は、所望の変位に従って受信信号(例えば、ミラー102の反射された光)をサンプリングするために、周期的変動に関する情報を取得する必要がある。例えば、電極電圧コントローラ112が、特定の総距離(例えば、周期的変位の振幅)と共に特定のレートでばね構造106を動かすためにベース電極110によって印加される電圧を変化させている場合、受信デバイスは、既知のレート及び距離に従って所望の変位について受信信号をサンプリングすることができる。例示の電極電圧コントローラ112は画素100を制御するが、電極電圧コントローラ112は複数の画素を制御し得る。例えば、電極電圧コントローラ112はベース電極に結合され得、ベース電極の各々は、独立に、グループとして、又はサブグループ(例えば、第1の電圧を用いて制御される第1のサブグループ及び第2の電圧によって制御される第2のサブグループ)として動作する。電極電圧コントローラ112は、図5に関連して下記でさらに説明する。
【0025】
図2は、図1A及び図1Bの画素100のベース電極110の上のばね構造106の例示的オーバーヘッドビューを示す。図2のオーバーヘッドビューは、図1A及び図1Bのミラーアタッチメント104、ばね構造106、ばねアタッチメント108a~108c、及びベース電極110を含む。図2のばね構造106は、例示のボディ200及び例示のばね脚部202a~202cを含む。
【0026】
本明細書で説明するように、図2のばね構造106は三脚六角形ばね構造であり、剛体の面積対外周比を増加させ、それによって、(例えば、ミラー変位の総距離に対応して)画素の質を低下させることなく、ベース電極110に印加される電圧を、従来の画素よりも大幅に低くすることができる。代替として、ばね構造106は、ベース電極110によって印加される必要があり得る異なる電圧に対応する、異なる面積対外周比を備える異なる形状とすることができる。
【0027】
図2のボディ200は、ベース電極110が電圧を上昇させるとき、その構造を維持する剛性構造である。ベース電極110が電圧を上昇させるとき、ボディ200はその形を維持しながらベース電極110に向かって動く。このようにして、構造の全体的な効率を高めるために、ベース電極電圧にさらされる表面面積が増加される。ミラーアタッチメント104をボディ200に取り付け、それによって図2のミラー102をボディ200の動きと共に動かす。また、ミラーアタッチメント104はボディ200に付加的な剛性を提供する。ミラーアタッチメント104は中央のばね構造106に取り付けられるが、ミラーアタッチメント104は、ボディ200に沿ったいずれの場所にも取り付け得、及び/又は、ボディ200上の様々なローケーションに複数のミラーアタッチメントを含み得る。これら複数のアタッチメントポイントを用いて、ばね脚部を弱めながらメインの下部電極ボディの堅さを増加させること、又はその逆が可能である。ボディ200は、ばね脚部202a~202cに取り付けられる。
【0028】
図2のばね脚部202a~202cは、ばねアタッチメント108a~108c及びばねボディ200に取り付けられる。図示される例において、ばねアタッチメント108a~108cは接地され、したがってばね脚部202a~202c及びばねボディ200も接地される。ばね脚部202a~202cは、ボディ200を第1の位置に保つためにばね力に対応するばね定数を含む。ベース電極110の静電力が(例えば、接地されたばね構造106と図1A及び図1Bのバイアスされたベース電極110との間の電圧差に従って)増加するにつれて、ばね脚部202a~202cはベース電極110に向かって伸長され、それによってボディ200を低下させる。ばね定数は、ばね構造106の材料に基づき得、及び/又はばね脚部202a~202cの寸法に基づき得る。例えば、ばね脚部202a~202cは、長く、ボディ200と一体化する前に六角形構造の周囲に巻き付けられる。このような構造は、ボディ200の面積対外周比を保持しながら、ばね定数に対応する弾力性を提供する。図示された例において、ばね構造106は、一体化された材料のうちの1つの一体化された部片である(例えば、ボディ200及びばね脚部202a~202cは、同じ材料でつくられ、同じ構造内に統合される)。しかしながら、ボディ200及びばね脚部202a~202cは、共に取り付けられる異なる材料であり得る(例えば、第1の材料はばね脚部202a~202cのばね定数に対応し、第2の材料はボディ200の剛性に対応するなど)。図2の三脚六角形構造は、ボディ200に十分な支持を提供しながら、ばね脚部202a~202cの堅さ(例えば、ばね定数)を減少させ
る。
【0029】
図3A図3Cは、図1A図1B、及び図2のばね構造の3つの例示の変位を示す。図3A図3Cは、図2のばね構造106のボディ200及びばね脚部202a~202cを含む。図3Aは、図1A及び図1Bのベース電極110に印加されている第1の電圧に対応する、例示の第1のばね変位300を示す。図3Bは、図1A及び図1Bのベース電極110に印加されている第2の電圧に対応する、例示の第2のばね変位302を示す。図3Cは、図1A及び図1Bのベース電極110に印加されている第3の電圧に対応する、例示の第3のばね変位304を示す。
【0030】
図3Aにおいて、電極電圧コントローラ112はベース電極110に電圧を印加していない。ばね構造106とベース電極110との間には電圧差が存在しないため、ボディ200をベース電極110に向かって引き付けるための静電力は存在しない。したがって、図3Aは変位のないばね構造106を示す。例えば、ばね脚部202a~202cはばねボディ200と同じレベルにあり、下方への力は印加されていない。
【0031】
図3Bにおいて、電極電圧コントローラ112は、第1の電圧をベース電極110に印加している(例えば、ベース電極110全体にわたる第1のアナログ電圧、又はベース電極110の全面積のうちの第1の面積に対応する電圧)。ベース電極110に印加された第1の電圧は、ベース電極110とばね構造106との間に第1の電圧差を生じさせ、それによって、ボディ200をベース電極110に向かって下方に駆動させる静電力を生じさせる。第1の電圧は第1の静電力に対応し、第1の静電力によって、ばね脚部202a~202cはボディ200を(例えば、図3Aの位置から10ミリメートル(mm)の変位に対応する)第1の位置へと伸長及び低下させる。
【0032】
図3Cにおいて、電極電圧コントローラ112は、第2の電圧をベース電極110に印加している(例えば、図3Bの第1のアナログ電圧より高い第2のアナログ電圧、又は、ベース電極110の第1の面積より大きな第2の面積に対応する図3Bの電圧)。ベース電極110に印加された(例えば、より高いか又はより広い面積にわたる)第2の電圧は、ベース電極110とばね構造106との間に、第2のより高い電圧差を生じさせ、それによって、ボディ200をベース電極110に向かってさらに下方に駆動させる静電力を生じさせる。第2の電圧は第2の静電力に対応し、第2の静電力によって、ばね脚部202a~202cはボディ200を(例えば、図3Aの位置から30ミリメートル(mm)の変位に対応する)第2の位置へとさらに伸長及び低下させる。
【0033】
図3A図3Cに示されるように、ベース電極110に印加される電圧が強い(例えば、より高い電圧、又はより大きな面積にわたる)ほど、ボディ200はベース電極110に向かってさらに変位する。本明細書で説明するように、ボディ200の各位置において、ばね脚部202a~202cが静電力に応答して伸長する間、ボディ200は剛性のままである。
【0034】
図4A図4Cは、MEMS SLMの3つの例示の代替画素構造を図示する。図4A図4Cの例は、図1A及び図1Bのミラー102、ミラーアタッチメント104、ばね構造106、ばねアタッチメント108a~108c、及びベース電極110を含む。図4A図4Cの例は、第1の例示の画素構造400、第2の例示の画素構造410、及び/又は第3の例示の画素構造420において、例示の不均一ベース電極402及び例示の不均一ばね構造404をさらに含む。
【0035】
図4Aの第1の例示の画素構造400は、不均一ベース電極402を含む。不均一ベース電極402は、平坦ではなくグレースケール勾配の構造を有する。不均一ベース電極402は、湾曲、弓状、傾斜、勾配、及び/又は、平坦構造以外の任意の他の構造とすることができる。例えば、不均一ベース電極402は、(例えば、位置の上の距離dを漸進的に増加させるために)互いから離れて湾曲され得る。例えば、こうした湾曲構造において、支持構造からの作動構造に沿った位置が増加するにつれて、ベース電極402とばね電極106との間の距離dは増加する。ベース電極402を調整する(例えば湾曲させる)ことによって、静電力を、均一な線形の力から不均一な非線形の力へと変化される。このようにして、ばね構造106が不均一なベース電極402に近づくと、ばねアタッチメント108a~108c付近に一層大きな力が存在することになり、ばね構造106からのより大きな復元力が存在することになる(例えば、変位が大きいほどばね構造106の抵抗も大きい)。不均一なベース電極402をばね構造106の最も弱い部分から離れて漸進的に動かすことによって、陥没なしに(例えば、いかなる陥没のリスクもなしに)、不安定性のd/3閾値から不安定性の2d/3閾値などへ、全体的な画素の移動が増加する(例えば、従来のMEMS画素進行の2倍の進行)。
【0036】
図4Bの第1の例示の画素構造410は不均一ばね構造404を含む。不均一ばね構造404は、平坦ではなくグレースケール勾配である構造を有する。不均一ばね構造404は、湾曲、弓状、傾斜、勾配、及び/又は、平坦構造以外の任意の他の構造とすることができる。例えば、不均一ベース電極404は、(例えば、位置の上の距離dを漸進的に増加させるために)互いに離れて湾曲され得る。例えば、こうした湾曲構造において、支持構造からの作動構造に沿った位置が増加するにつれて、ベース電極110とばね電極404との間の距離dは増加する。ばね構造404を調整する(例えば湾曲させる)ことによって、静電力を、均一な線形の力から不均一な非線形の力へと変化させる。このようにして、ばね構造404がベース電極110に近づくと、ばねアタッチメント108a~108c付近により大きな力が存在することになり、ばね構造404からのより大きな復元力が存在することになる(例えば、変位が大きいほど、ばね構造404の抵抗も大きい)。不均一なばね構造404の最も弱い部分をベース電極110から離れて漸進的に動かすことによって、陥没なしに、不安定性のd/3閾値から不安定性の2d/3閾値などへ、全体的な画素の移動が増加される(例えば、従来のMEMS画素進行の2倍の進行)。図4Cの第3の例示の画素構造420は、図4A及び図4Bの不均一ベース電極402及び不均一ばね構造404を含む。画素構造400及び410と同様に、画素構造420は、陥没なしに、不安定性のd/3閾値から不安定性の2d/3閾値などへの、全体的な画素移動増加に対応する(例えば、従来のMEMS画素移動の2倍の進行)。
【0037】
したがって、MEMSは、SLM画素100、400、410、420のミラー102を動かすために、静電力を印加することができる。例えば、MEMS画素100、400、410、420は、ミラー102に結合される第1の電極106、404を含む。第1の電極106、404はまた、アタッチメント104に固定され、第2の電極110、402から距離d(例えば、垂直構造において第2の電極110、402の上に)離れている。第1の電極106、404は、第1の電極106、404の位置を(例えば、第2の電極110、402から距離d離れて)維持するが、第2の力がばね力に勝る場合に第1の電極106、404が内側及び外側に動けるようにするための、一つ又は複数のばねを含む。第1の電極106、404は接地され、第2の電極110、402は電圧レギュレータ504に結合される。電圧レギュレータ504は、第2の電極110、402にバイアス電圧を印加する。第2の電極110、402に印加されるバイアス電圧が増加すると、第1の電極106、404と第2の電極110、402との間の電圧差は、第1の電極106、404を第2の電極110、402に向けて駆動する静電力を生成させ、それによってミラー102を第2の電極110、402に向けて動かす。追加又は代替として、バイアス電圧を印加する第2の(例えば、ベース)電極110、402の面積の大きさは増加し得、それによって、静電力を増加させ、デジタルスタイル電極におけるように、第1の電極106、404を第2の電極110、402の近くへ引き付ける。電圧が低下するにつれて(及び/又は第2の電極110、402上の電圧を印加する面積の大きさが減少するにつれて)静電力は減少し、それによって、ばねの復元力は、第1の電極106、404を第2の電極110、402から離れて動かすことができる。このようにして、コントローラ112が、電圧及び/又は電圧を第2の電極110、402に印加する面積の大きさを制御して、第1の電極106、404の位置を制御し、それによって、ミラー102の位置を制御することが可能である。ミラー102の移動量は、デバイスの達成可能な位相変調に対応する。したがって、本明細書で説明する例は、従来のMEMS画素の欠点なしに、MEMS画素100、400、410、420におけるミラー102の移動距離を増加させる。
【0038】
MEMS画素は、陥没が生じる前に(第1の電極106、404が第2の電極110、402に向かって陥没し、それによって画素の機能性を破壊する前に)、第1の電極106、404が移動できる最大距離に対応する、不安定点とも称する引き込み点を含む。不安定点は、その地点を越えるとシステムが潜在的に不安定となる平衡点である。システムの安定性は正味の力の微分に依存する(例えば、
<0安定平衡、及び
>0不安定平衡であり、上式でxは平衡移動である)。正味の力は、静電力及びばね力の組み合わせで表される(例えば、F=F静電+F機械
であり、上式で、∈は2つの電極間の誘電の誘電率であり、Aはベース電極の面積であり、xはばね電極106、404の変位であり、-kxは線形ばねにおける復元力である)。したがって、この例において、第1の電極106、404は、第2の電極110、402へのd/3閾値距離を越える位置を維持することはできない。例えば、ばね電極106、404が(いかなる静電力も印加されることなく)ベース電極から900マイクロメートルである場合、ばね電極106、404は、引き込みが生じる前にベース電極に向かって300マイクロメートルしか移動し得ない。しかし、本明細書で説明する例は、陥没を生じることなく不安定点を越えて画素100、400、410、420を動作させるための手法を含む。
【0039】
従来のMEMS画素は、第1の電極(例えば、ばね電極)を表面に固定するための4つのアタッチメントを含む。いくつかの従来のMEMS画素の第1の電極は、剛体に取り付けられる(ばね定数を有する)四脚を含む。このようにして、静電力が増加すると、脚は伸長して剛体をベース電極に向かって動かすことができる。しかしながら、こうした設計はばねの垂直堅さを増加させ、それによって(a)ベース電極に印加される電圧の上昇(例えば、エネルギーの消耗)、又は(b)ベース電極及び/又はばね電極のサイズの増加(例えば、フットプリントの増加及び充填率の減少)のいずれかを必要とする。例えば、従来のMEMS画素は、従来のばね電極106、404/ミラー102を所望の位置へ動かすための十分な静電力を提供するために、20~200Vのバイアス電圧を必要とする。また、電極のサイズが増加することは、ビームステアリング角を制限し、光学的帯域幅を制限し、機械的帯域幅を制限する。本明細書で説明する例は、ばね電極106、404を固定するために3つのアタッチメント108a~108cのみを用いて画素100、400、410、420を実装することによって、こうした従来のMEMS画素のパワー及びサイズを軽減し、それによって垂直堅さを25%減少させる。このようにして、ミラー102の位置を制御するための画素のサイズ及びバイアス電圧を減少させることができる。また、本明細書で説明するいくつかの例は、MEMS画素100、400、410、420の効率をさらに高めるために、外周対面積比を増加させる、ばね電極設計(例えば、六角ベース設計)を含む。本明細書で説明する例において、10マイクロメートル未満のサイズのMEMS画素が、10V以下のバイアス電圧で動作可能である。
【0040】
いくつかの従来の画素は、アンカーの数を2つの支持点のみにさらに減少させる。しかしながら、こうした従来の画素は、熱応力又は薄膜堆積応力によって生じるプロセス不均一性及び/又は変形に起因して、MEMS設計を傾斜又は回転させ得る。本明細書で説明する例において、これらの応力は、説明するアンカー設計によって十分に補償される。したがって、本明細書で説明する例は、プロセス不均一性及び環境変化全体にわたり、非常に低い傾斜/変位/回転を含む。
【0041】
また、本明細書で説明するいくつかの例は、陥没なしに不安定点を越えてばね電極106、404及びミラー102を動作させる(例えば、動かす)ための手法を含む。本明細書で説明するいくつかの例において、ベース電極に印加される電圧は、不安定点のd/3閾値距離を越える距離に対応して、周期的である(例えば、デジタルパルス又はシヌソイドを用いる)。電圧は短い時間期間のd/3閾値距離を越える距離に対応するので、第1の電極106、404は、陥没なしに第2の電極110、402への9d/10距離まで移動することが可能であり、それによって、平行プレート静電作動に依拠する従来のMEMS手法のほぼ3倍の距離の画素進行を達成することができる。シヌソイド又はパルスは、ばね電極106、404及びミラー102にパルス又は正弦曲線パターンにおける距離を変化させることになるため、本明細書で説明する例は、パルス又は正弦曲線に関するデータ(例えば、位相、振幅)を受信デバイスのサンプラに送信することを含み、サンプラはミラーの所望の距離に対応する光ビームをサンプリングできるようになっている。例えば、画素100、400、410、420が周期的である場合、ミラー102は5ナノ秒ごとに600マイクロメートルの距離に対応し、サンプラは5ナノ秒ごとに光ビームをサンプリング可能であり、サンプリングされた光ビームはミラーの600マイクロメートル距離に対応することになる。
【0042】
また、本明細書で説明するいくつかの例は、ベース電極及び/又はばね電極106、404の特性を調節することによって出力をサンプリングする必要なしに、d/3閾値をより大きな閾値(例えば、2d/3閾値)まで増加させるための、ベース電極110、402及び/又はばね電極106、404の機械的設計を含む。例えば、ベース電極402及びばね電極404は、(例えば、位置の上の距離dを漸進的に増加させるために)互いに離れて湾曲される。例えば、こうした湾曲構造において、ベース電極402とばね電極404との間の距離は、支持構造からの作動構造に沿った位置が増加するにつれて、増加する。ばね電極及び/又はベース電極を調節することによって、静電力及び/又はばね力を、均一で線形な力から、不均一で非線形な力へと変化させる。このようにして、ばね電極106、404が湾曲したベース電極に近づくとき、アンカーのより近くにより大きな力が存在し、ばねにおいてより大きな復元力が存在する(例えば、変位がより大きい場合、ばねの抵抗はより大きい)。静電力は、下記の数式1に示されるように、ばねの復元力が線形であるとき、ギャップの減少の二乗に反比例する。
【0043】
こうした線形性は、バイアス電極をばねの最も弱い部分から離れて漸進的に動かすことによって補償され得るため、全体的な画素移動は不安定性のd/3閾値から不安定性のより大きな(例えば、2d/3)閾値(例えば、従来のMEMS画素移動の2倍の移動)又はそれ以上まで増加する。また、この非線形引力は、変位の増加と共に機械的堅さ(k)における非線形増加を呈するように、(例えば、薄膜におけるプロセス誘起応力、リソグラフィ手法、或いは、湾曲又は傾斜構造をつくり出す他の製造プロセスのいずれかを介して)ばねを事前に湾曲させることによって、非安定性に達するまで移動を増加させるようにバランスを保たせることができる。
【0044】
図5は、従来のMEMS画素に対応する不安定点を越えて、ばね構造106(例えば、及びミラー102)を周期的に変位させるために、ベース電極110に印加される電圧を周期的に変化させるための、本明細書で説明する図1A及び図1Bの電極電圧コントローラ112のブロック図である。電極電圧コントローラ112は画素100に関して説明されるが、電極電圧コントローラ112は任意のタイプの画素のベース電極を制御するために有用である。電極電圧コントローラ112は、例示の受信器500、例示のミラー変位判定器502、例示の電圧源504、及び例示の送信器506を含む。
【0045】
図5の受信器500は、画素100のミラー102をある距離まで動かすための命令をコンピューティングデバイス又は回路から受信する。また、受信器500は、ミラー102の付加的な動きをトリガするために、新規の命令がいつ受信されるかを判定する。
【0046】
図5のミラー変位判定器502は、ミラー102/ばね構造106の所望の変位距離を識別するために、受信した命令を処理する。ミラー変位判定器502は、受信した命令の所望の変位距離が、不安定点(例えば、従来のMEMS画素の不安定点に対応するd/3閾値距離)より大きいか又は小さいかを判定する。所望の変位距離が不安定点より小さい場合、ミラー変位判定器502は、(例えば、アナログベース電極のために)どの電圧をベース電極110に印加するか、及び/又は、(例えば、デジタルベース電極のために)ベース電極110のどの程度の大きさの面積に電圧を印加するかを判定する。所望の変位距離が不安定点より大きい場合、ミラー変位判定器502は、ベース電極110に印加する周期(例えば、デジタルパルス信号又は正弦曲線)信号を判定する。いくつかの例において、ミラー変位判定器502は、判定された周期信号に応答して、所望の変位距離に対応するように信号をいつサンプリングする必要があるかを判定する。
【0047】
図5の電圧源504は、ミラー変位判定器502によって判定された電圧に応答して、電圧を生成する。電圧源504は、安定電圧及び/又は周期電圧を出力することが可能であり得る。いくつかの例において、電圧源504は、2つ又はそれ以上(例えば、安定電圧について1つ、及び周期電圧について1つ)の電圧源を含み得る。いくつかの例において、電圧源504は、(異なる周波数、振幅、位相などに対応するなどの)異なる周期信号を生成することができる。
【0048】
図5の送信器506は、周期電圧に関連するデータ(例えば、電圧変化データ)及び/又はサンプリングデータを、ワイヤード又はワイヤレス信号を介して受信デバイスに送信する。電圧変化データは、電圧源504によって印加された電圧に関連する、位相、周波数、振幅、及び/又は、ミラー102の動きに関連する、位相、周波数、振幅(例えば、それらが同一でない場合)を含む。このようにして、受信デバイスは、サンプルが所望のミラー変位位置に対応するように、受信信号をいつサンプリングするかを判定することができる。サンプリングデータは、受信信号をいつサンプリングするかを含み得る。このようにして、受信デバイスは、電圧変化データに直接応答して(例えば、受信光信号をいつサンプリングするかを計算することなく)サンプリングすることができる。
【0049】
図5は、図1A及び図1Bの電極電圧コントローラ112の例示の実装を示す。また、図5の受信器500、ミラー変位判定器502、電圧レギュレータ504、送信器506、及び/又は、より全般的に電極電圧コントローラ112は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、並びに/或いは、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアの任意の組み合わせによって実装され得る。例えば、図5の受信器500、ミラー変位判定器502、電圧レギュレータ504、送信器506、及び/又はより全般的に電極電圧コントローラ112の任意のものが、一つ又は複数のアナログ又はデジタル回路、論理回路、プログラマブルプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、及び/又はフィールドプログラマブル論理デバイス(FPLD)によって実装され得る。例示のソフトウェア及び/又はファームウェア実装において、図5の受信器500、ミラー変位判定器502、電圧レギュレータ504、送信器506、及び/又は、より全般的に電極電圧コントローラ112の少なくとも1つが、ソフトウェア及び/又はファームウェアをストアする、コンピュータ可読媒体(ハードドライブ、メモリ、デジタル多用途ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、ブルーレイディスク、又は他の情報ストレージデバイスなど)を含む。
【0050】
図5の電極電圧コントローラ112を実装するための例示の機械可読命令のフローチャート図が、図6に示されている。この例において、機械可読命令は、本明細書で説明する方法及びプロセスを装置に行わせるために、(例えば、図11に関して後述するプロセッサプラットフォーム1100に示されるプロセッサ1112などの)命令実行装置によって処理可能なプログラムを形成する。プログラムは、コンピュータ可読媒体にストアされるソフトウェアにおいて具現化され得るが、代替として、プログラム全体及び/又はその一部は、プロセッサ1112以外のデバイスによって実行され得、及び/又は、ファームウェア又は専用ハードウェアに埋め込まれ得る。また、プログラムは図6のフローチャートを参照して説明されるが、代替として、電極電圧コントローラ112を実装する他の方法を用いることもできる。例えば、ブロックの実行順を変更すること、及び/又は、説明するブロックのうちのいくつかを変更、削除、又は組み合わせることができる。追加又は代替として、ブロックのうちの任意のもの又はすべてが、ソフトウェア又はファームウェアを実行せずに対応する動作を行うように構造化された(離散及び/又は集積アナログ及び/又はデジタル回路要素、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、コンパレータ、演算増幅器(オペアンプ)、論理回路などの)一つ又は複数のハードウェア回路によって実装され得る。
【0051】
前述のように、図6のプロセスは、コンピュータ可読媒体にストアされる符号化命令(例えば、コンピュータ及び/又は機械可読命令)によって実装され得る。
【0052】
図6は、ばね構造106、404をd/3閾値距離(例えば、不安定点)を越えて変位させるように、(図1A図1B、及び/又は、図4の)ベース電極110、402に電圧を印加するために、図1A及び図1Bの電極電圧コントローラ112によって実行され得る、例示の機械可読命令を表す例示のフローチャート600である。図6の命令は、図1A図1B、及び/又は、図5の電極電圧コントローラ112に関して説明されるが、命令は、任意のタイプの画素構造における任意のタイプの電極電圧コントローラによって用いられ得る。
【0053】
ブロック602において、受信器500はX距離、ミラー102を変位させるための命令を受け取る。図5に関して上述したように、命令は、所望の出力に従って画素100を制御するために別のデバイスによって提供され得る。ブロック604において、ミラー変位判定器502は、Xが陥没閾値距離より大きいかどうかを判定する。陥没閾値距離は、(例えば、或る短い時間期間よりも長く保持された場合に)ばね構造106を陥没させることになる変位距離に対応する。上述したように、陥没閾値距離はおよそd/3であり、dは、電極電圧コントローラ112によって電圧が印加されないときの、ベース電極110までのばね構造106の距離である。
【0054】
Xが陥没距離閾値よりも大きくない(ブロック604でNO)とミラー変位判定器502が判定した場合、電圧源504は、X距離に対応する電圧をベース電極110に印加する(ブロック606)。このようにして、ばね構造106は、所望のX距離においてベース電極110に向かって引き付けられる。いくつかの例において、電圧源504は、事前設定された電圧を、X距離に対応する(例えば、デジタルベース電極に対応する)ベース電極110の面積の一部に送り得る。こうした例において、変位を増加させるために、電圧源504は、事前設定された電圧を、ベース電極110の面積のより大きな部分に送り得る。他の例において、電圧源504は、X距離に対応するベース電極110の全面積に電圧を送り得る。こうした例において、変位を増加させるために、電圧源504は、より高い電圧をベース電極110に送り得る。
【0055】
Xが陥没距離閾値よりも大きい(ブロック604でYES)と、ミラー変位判定器502が判定した場合、電圧源504は、X距離に対応してベース電極110に印加される電圧を周期的に(例えば、デジタルパルス信号又は正弦曲線を用いて)変化させる(ブロック608)。いくつかの例において、電圧源504は、周期電圧のピークがX距離に対応する周期電圧を生成し得る。他の例において、電圧源504は、X距離が周期電圧に沿った何らかの地点に対応する、事前設定された周期電圧を生成し得る。
【0056】
ブロック610において、送信器506は、電圧変化データ及び/又はサンプリングを受信デバイス(例えば、図2のミラー102で反射した光を受け取るデバイス)に送信する。電圧変化データは、周期電圧及び/又は周期変位に対応する、周波数、振幅、位相などを含み得る。サンプリングデータは、受信信号をいつサンプリングするかに対応する、命令を含み得る(例えば、ミラー変位判定器502は、周期信号又は所望のX距離に応答して、いつ受信信号をサンプリングすべきかを判定する)。このようにして、受信デバイスは、サンプルが所望のX距離に対応するように、いつ受信信号をサンプリングするかがわかる。
【0057】
ブロック612において、受信器500は、新しい変位距離に対応する付加的な命令が受信されているかどうかを判定する。新しい命令が受信されていると受信器500が判定した場合(ブロック612でYES)、プロセスは、新しく受信された距離に従ってブロック604に戻る。新しい命令が受信されていないと受信器500が判定した場合(ブロック612でNO)、電極電圧コントローラ112は、受信器500が新しい変位距離を受信するまでX距離に対応して動作を続行する。
【0058】
図7は、高調波共振励起波形(例えば、正弦曲線又は反復パルス信号)によって生成される移動範囲の増加を図示する例示のグラフ700である。グラフは、図1A及び図1Bのミラー102の、第1の例示のミラー変位702及び第2の例示のミラー変位704についての波形の周波数に従った、正規化された画素変位における変化を図示する。第1のミラー変位702は、第1の変調波長(例えば、700ナノメートル)に対応し、例示のミラー変位704は、第2の変調波長(例えば、470ナノメートル)に対応する。代替として、第1及び第2のミラー変位は、(a)共振をわずかに外れて駆動パルスの周波数を調節すること、及び/又は(b)パルスのバイアス電圧の振幅を減少させることによって、任意の位相変調について任意の分数波長にスケーリングされ得る。
【0059】
図7のグラフ700に示されるように、デバイスが、低圧のパッケージング環境などの高Qレジーム(Q>2)で動作されるとき、デバイスは共振的にポンピングされ得る。駆動周波数が共振周波数に近づくと(例えば、Fres
であり、kは、ばね構造106のばね脚部202a~202cの堅さに対応し、mはミラー102の質量に対応する)、第1のミラー変位702の画素変位は、バイアス信号が共振周波数より大幅に下の周期を有するときより1桁大きいか又はそれよりも大きい最大変位に達することができる。したがって、変位のスケーリングは、共振周波数より下の周波数において同じ電圧である場合の公称変位のスケーリングよりも、1桁以上高くし得る。このようにして、ミラー102は、より大きな発振を起こすように、低電圧で(例えば、共振周波数又は共振周波数付近で)ポンピングされ得る。第2のミラー変位704は、異なる波長についてピーク振幅を調整するためにバイアス振幅が低減されるシナリオを図示する。デバイスの共振周波数よりわずかに下に周期的にバイアスすることによって、同様のスケーリング効果を達成することができる。グラフ700に示されるように、スナップイン(例えば、陥没)を回避しながら、ミラー102の全移動が制御される。達成可能な振幅は、画素100のQ値及び/又はサンプリング条件の関数である。各MEMSデバイスは、その質量及び/又は堅さに比例する異なる共振周波数を有し得るが、グラフ700はシステム関数全体を考慮して設計される。
【0060】
図8は、ミラー102で反射した光のサンプリングに対応する例示のデモンストレーション800を図示する。デモンストレーション800は、図1A及び図1Bの電極電圧コントローラ112によって出力される周期シンボルによって生じ得る、ミラー102の例示の画素移動802を含む。
【0061】
図8の画素進行802は、図1A及び図1Bの電圧コントローラ112によって生成されるパルス及び/又は正弦曲線に応答して、ミラー102の変動を表す正弦曲線変位である。デモンストレーション800に示されるように、画素は0からλ/2の範囲にわたって移動し、λは変調光の波長である。いくつかの例において、総距離は、パルスタイミング、振幅、駆動電圧、及び/又は、画素の機械設計による、波長の所望の分数成分を達成するようにスケーリングされ得る。各変位は、反射光の差異に対応する。したがって、受信デバイスは、異なるミラー位置に対応するために、異なる時点においてミラーの反射出力をサンプリングし得る。例えば、高速フレームイメージングは、各々、サンプリングに用いられ得る異なる状態を表す。上述したように、周期画素移動802の細部は受信デバイスに送信され得、受信デバイスは所望のミラー位置に従ってサンプリングされ得る。デモンストレーション800において、周期1、2、3、及び4は、異なるミラー位置に対応する異なるサンプリング点を表す。したがって、ミラー位置は、所望の分数波長を達成するために、適切な時点でサンプリングされ得る。こうした高調波駆動モードにおいて、波長分解能は、相補型金属酸化物半導体(CMOS)イメージャタイミング進行によって制限される。いくつかの例において、タイミングを調節するために、質量又は堅さが画素設計に付加/削除され得る。すべての位相パターンは、アプリケーションタイミング要件、集積回路性能、フレームアップロード帯域幅、及び/又はプロセス均一性に従って、単一の周期内でキャプチャされ得る。追加又は代替として、フレームは複数周期に及び得る。追加又は代替として、画素不均一性を補償するために平均化が用いられ得る。デバイスを共振へと駆動することによって、引き込み電圧を超える必要なしに、大きな変位を提供する。
【0062】
図9Aは、陥没なしにd/3不安定点を越えてミラー102を周期的に変化させるために、電極電圧コントローラ112によって出力され得る例示の周期信号900を図示する。図9Aの例は、周期信号900及び例示のミラー変位902を含む。周期信号900は、特定の周期及びパルス幅を備える一連のパルスであるが、周期信号900は任意のタイプの周期信号であり得る。
【0063】
図9Aの周期信号900は、5マイクロ秒後に繰り返す等間隔パルス(例えば、1/共振周波数)を含み、パルスはおよそ1マイクロ秒の幅を有する。代替として、周期信号900は任意のパターンに対応し得る。例えば、周期信号900は共振周波数の関数(例えば、Fres
であり、k及びmはどちらも、特定の寸法、膜厚み、及び画素設計の材料セットの関数として変化し得る)であり得、及び/又は、周期信号900の周期は、駆動信号スルーレートに従って、より短いか又はより長いもの(例えば、より短くより高い電圧パルス、又は、より長くより低い電圧パルス)であり得る。周期信号900を出力すると、結果としてミラー変位902が生じる。例えば、周期信号900のパルスが高いとき、ミラー102は、図1A及び図1Bのベース電極110に向かって例えば(-0.75)(ギャップ)変位し、ギャップは、ベース電極110とばね電極106及び/又はミラー102との間の距離に対応する。パルスの終わりに、ミラー変位902は、ミラー102がベース電極110から離れて(例えば、(.75)(ギャップ))変位することを図示する。したがって、ミラー変位902は、ミラー102が、壊滅的接触なしに(例えば、壊滅的接触のいかなるリスクもなく)d/3不安定点を越えて駆動され得ることを図示する。いくつかの例において、同様の結果を達成するために、駆動電圧は低減され得、パルスの幅は拡張され得る。こうした例において、ポンピング周期は、位相シフト波形及び/又はリセットパルスを介する能動及び受動相殺を介した状態間の遷移を向上させるために、駆動波形によって補償され得る。画素のアレイにおいて周期信号900が用いられるとき、図10に関して後述するように、画素は同一の駆動源の位相シフトバージョンのみによって対処され得る。
【0064】
図9Bは、陥没なしにd/3不安定点を越えてミラー102を周期的に変化させるために、電極電圧コントローラ112によって出力され得る例示の周期信号910を図示する。図9Bの例は、周期信号912及び例示のミラー変位914を含む。図9Bの例は、第1の例示の画素位相918と第2の例示の画素位相920との間で遷移するための、例示の遷移周期916を含む。
【0065】
図9Bの周期信号910に示されるように、図1A及び図1Bの電極電圧コントローラ112は、光がミラー102で反射される方式を変更するために、一つ又は複数の画素100を第1の例示の位相918から第2の例示の位相920へと遷移させ得る。位相ポンピングに適した不足減衰環境におけるなどのいくつかの例において、遷移周期916は、第1の例示の位相918から第2の例示の位相920へと即時に調節することが必要であり得る。例えば、電圧コントローラ112は、遷移速度を上げるために、遷移周期916の間に、一つ又は複数の非同期パルス(例えば、画素の移動を遅くするためのリセットパルス、及び/又は、第2の例示の位相920のための画素を準備するための遷移パルス)を適用し得る。いくつかの例において、電圧コントローラ112は、駆動帯域幅に応じて、画素100及び/又は画素のアレイにわたる遷移を印加し得る。いくつかの例において、いくつかのフレームが、第2のイメージのための第2の位相を画素100及び/又は画素アレイに適切に送信する前に画素100を遅くすることが必要となり得る。
【0066】
図10は、例示の照明状態1004に対応する例示の画素アレイフレーム1002を生成するための、例示の位相シフトミラー変位1000を図示する。位相シフトミラー変位1000は、4つの異なる遅延に対応する4つの例示のミラー変位1006、1008、1010、1012を含む。画素アレイフレーム1002は、4つの異なる画素アレイ状態に対応する4つの異なるフレーム1012、1016、1018、1020を含む。照明状態1004は、4つの異なる照明状態1022、1024、1026、1028を含む。
【0067】
図10のシフトミラー変位1000は、異なる遅延に各々対応する4つの例示のミラー変位1006、1008、1010、1012を含む。例えば、電極電圧コントローラ112は、異なるミラー変位1006、1008、1010、1012に対応する、異なる周期信号を送信し得る。いくつかの例において、量が変化する遅延を生成するために付加的な回路要素が含まれ得る。このようにして、電極電圧コントローラ112は、1つの周期信号を出力し得、マルチプレクサ及び遅延回路要素の組み合わせが、ミラー変位1006、1008、1010、1012に対応する、或るアレイにおける異なる画素のミラーの動きを促進することができる。
【0068】
図10の画素アレイフレーム1002は、4×4の画素アレイ(例えば、様々な変位位置における4つのミラーを含む)に対応する4つの異なるフレーム1012、1016、1018、1020を含む。例えば、画素の各々は、ミラー変位1006、1008、1010、1012のうちの任意の1つに対応し得る。画素フレーム1002の異なる画素の変位を調節することは、異なる例示の照明状態1004に対応する。例えば、第1の照明状態1022は第1の例示のフレーム1014の反射光に対応し、第2の照明状態1024は第2の例示のフレーム1016の反射光に対応し、第3の照明状態1026は第3の例示のフレーム1018の反射光に対応し、第4の照明状態1028は第4の例示のフレーム1020の反射光に対応する。図2の例は、4つのシフトミラー変位1000に対応する4つの画素アレイフレーム1002を含むが、任意数及び/又はパターンのアレイフレームを任意のサイズの画素アレイ上で用いることができる。追加又は代替として、異なる変位を達成するためにバイアス波形をスケーリングすることができる。
【0069】
図11は、図5の電極電圧コントローラ112を実装するために図3図4の命令を実行され得る、例示のプロセッサプラットフォーム1100のブロック図である。例えば、プロセッサプラットフォーム1100は、サーバ、パーソナルコンピュータ、モバイルデバイス(例えば、携帯電話、スマートフォン、iPad(商標)などのタブレット)、携帯情報端末(PDA)、インターネット家電、DVDプレーヤ、CDプレーヤ、デジタルビデオレコーダ、ブルーレイプレーヤ、ゲームコンソール、パーソナルビデオレコーダ、セットトップボックス、又は、任意の他のタイプのコンピューティングデバイスとすることができる。
【0070】
図示された例のプロセッサプラットフォーム1100は、プロセッサ1112を含む。図示された例のプロセッサ1112はハードウェアである。例えば、プロセッサ1112は、任意の所望のファミリ又は製造業者からの一つ又は複数の集積回路、論理回路、マイクロプロセッサ、又はコントローラによって実装可能である。ハードウェアプロセッサは、半導体ベース(例えば、シリコンベース)デバイスであり得る。この例において、プロセッサは、受信器500、ミラー変位判定器502、電圧源504、及び送信器506を実装する。
【0071】
この例において、プロセッサ1112はローカルメモリ1113(例えば、キャッシュ)を含む。また、この例において、プロセッサ1112は、揮発性メモリ1114及び不揮発性メモリ1116を含むメインメモリと、バス1118を介して通信する。揮発性メモリ1114は、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、RAMBUSダイナミックランダムアクセスメモリ(RDRAM)、及び/又は、任意の他のタイプのランダムアクセスメモリデバイスによって実装され得る。不揮発性メモリ1116は、フラッシュメモリ及び/又は任意の他の所望のタイプのメモリデバイスによって実装され得る。メインメモリ1114、1116へのアクセスは、メモリコントローラによって制御される。
【0072】
図示された例のプロセッサプラットフォーム1100は、インターフェース回路1120も含む。インターフェース回路1120は、イーサネットインターフェース、ユニバーサルシリアルバス(USB)、及び/又は、PCIエクスプレスインターフェースなど、任意のタイプのインターフェース規格によって実装され得る。
【0073】
図示された例において、一つ又は複数の入力デバイス1122はインターフェース回路1120に接続される。入力デバイス1122は、ユーザがデータ及び/又はコマンドをプロセッサ1112に入力できるようにする。例えば、入力デバイスは、オーディオセンサ、マイクロフォン、カメラ(スチル又はビデオ)、キーボード、ボタン、マウス、タッチスクリーン、トラックパッド、トラックボール、isopoint、及び/又は音声認識システムによって実装可能である。
【0074】
一つ又は複数の出力デバイス1124も、図示された例のインターフェース回路1120に接続される。例えば、出力デバイス1124は、ディスプレイデバイス(例えば、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、液晶ディスプレイ、陰極線管ディスプレイ(CRT)、タッチスクリーン、触覚出力デバイス、プリンタ、及び/又はスピーカ)によって実装可能である。したがって、図示された例のインターフェース回路1120は、通常、グラフィックスドライバカード、グラフィックスドライバチップ、及び/又はグラフィックスドライバプロセッサを含む。
【0075】
図示された例のインターフェース回路1120はまた、ネットワーク1126(イーサネット接続、デジタル加入者回線(DSL)、電話回線、同軸ケーブル、セル式電話システムなど)を介した、外部機械(例えば、任意の種類のコンピューティングデバイス)とのデータ交換を促進にするための、送信器、受信器、送受信器、モデム、及び/又は、ネットワークインターフェースカードなどの通信デバイスを含む。
【0076】
図示された例のプロセッサプラットフォーム1100は、ソフトウェア及び/又はデータをストアするための一つ又は複数の大容量ストレージデバイス1128も含む。こうした大容量ストレージデバイス1128の例には、フロッピーディスクドライブ、ハードドライブディスク、コンパクトディスクドライブ、ブルーレイディスクドライブ、RAIDシステム、及びデジタル多用途ディスク(DVD)ドライバが含まれる。
【0077】
図6の符号化命令1132は、大容量ストレージデバイス1128、揮発性メモリ1114、不揮発性メモリ1116、及び/又は、別のコンピュータ可読媒体にストアされ得る。
【0078】
コンピュータプログラム製品は、(a)コンピュータ可読媒体、及び(b)こうした媒体にストアされるコンピュータ可読プログラムを有する製品である。こうしたプログラムは、命令実行装置に前述の動作を行わせるために命令実行装置によって処理可能(例えば、実行可能)である。例えば、こうしたプログラムの命令の処理(例えば、実行)に応答して、こうした動作が少なくとも部分的にコンピュータ実装されるように、この装置は前述の動作を行う。
【0079】
こうしたプログラム(例えば、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はマイクロコード)は、オブジェクト指向プログラミング言語(例えば、C++)、手続き型プログラミング言語(例えば、C)、及び/又は、それらの任意の適切な組み合わせなどの、一つ又は複数のプログラミング言語で作成される。第1の例において、コンピュータ可読媒体はコンピュータ可読ストレージ媒体である。第2の例において、コンピュータ可読媒体はコンピュータ可読信号媒体である。
【0080】
コンピュータ可読ストレージ媒体は、プログラムをストアするのに適した、任意のシステム、デバイス、及び/又は他の非一時的有形装置(例えば、電子、磁気、光、電磁、赤外線、半導体、及び/又は、それらの任意の適切な組み合わせ)を含み、そのため、こうしたプログラムが、命令実行装置に前述の動作を行わせるために命令実行装置によって処理可能となっている。コンピュータ可読ストレージ媒体の例には、1本又は複数本のワイヤを有する電気接続、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、読み取り専用メモリ(「ROM」)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(「EPROM」又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(「CD-ROM」)、光ストレージデバイス、磁気ストレージデバイス、及び/又は、それらの任意の適切な組み合わせが含まれる。
【0081】
コンピュータ可読信号媒体は、プログラムを通信(例えば、伝搬又は伝送)するのに適した、(コンピュータ可読ストレージ媒体以外の)任意のコンピュータ可読媒体を含み、そのため、こうしたプログラムが、命令実行装置に前述の動作を行わせるために命令実行装置によって処理可能となっている。一例において、コンピュータ可読信号媒体は、内部に(例えば、ベースバンド内に、又は搬送波の一部として)具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有し、有線、無線、光ファイバケーブル、及び/又は、それらの任意の適切な組み合わせを介して(例えば、電子的、電磁的、及び/又は、光学的に)通信されるデータ信号を含む。
【0082】
したがって、本明細書では、MEMSピストンモードSLMの効率を高め、光学帯域幅を増加させるための、例示の方法、装置、及び製品を説明する。本明細書で説明する例は、可視波長を超えた光波変調のための有意な変位を達成しながら、10マイクロメートル未満のサイズとされ、10V又はそれより小さいバイアス電圧で動作可能なMEMS画素のための新しいばね構造を含む。また、本明細書で説明する例は、不安定点を(例えば、従来のMEMS画素に対応する)d/3変位距離から、より大きな変位距離(例えば、2d/3変位距離)に増加させるための(例えば、グレースケール勾配、湾曲などの)不均一な形状のばね構造及び/又はベース電極を含む。本明細書で説明するさらなる例が、不安定点に対応するd/3閾値距離の上の(例えば、d/3閾値距離から離れた)距離に対応する電圧に対して周期的な電圧を(例えば、デジタルパルス又は正弦曲線を用いて)ベース電極に印加する。電圧は、短い時間期間の間、d/3閾値距離を越える距離に対応するので、第1の電極は陥没なしに9d/10距離まで第2の電極へ進行することが可能であり、それによって、従来のMEMS手法に比べておよそ3倍長さの画素進行を達成する。したがって、本明細書で説明する例は、低い駆動電圧(例えば、10V)を用いて大きな光波長(例えば、1550nm)を変調し得る10ミクロン未満の画素を提供する。
【0083】
特許請求の範囲内で、説明する実施形態における修正が可能であり、他の実施形態が可能である。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小電気機械システムのピストンモード空間光変調器の効率を高め光学帯域幅を増加させるための装置であって、
ミラー
前記ミラーに取り付けられる電極であって
剛体と、
前記電極に印加される静電力に応答して前記剛体を変位させるために前記剛体に結合される3つのばね脚部と、
を含む、前記電極と、
を含む、装置。
【請求項2】
請求項に記載の装置であって、
前記電極が六角形形状を含む、装置。
【請求項3】
請求項に記載の装置であって、
前記3つのばね脚部が前記剛体の外周周辺に部分的に巻き付く、装置。
【請求項4】
請求項に記載の装置であって、
前記静電力を生じさせるために電圧を印加するためのベース電極をに含む、装置。
【請求項5】
請求項に記載の装置であって、
前記ベース電極が前記電極の前記剛体から離れて湾曲する、装置。
【請求項6】
請求項に記載の装置であって、
前記剛体が前記ベース電極から離れて湾曲する、装置。
【請求項7】
請求項に記載の装置であって、
前記ミラーを前記電極に結合するためのミラーアタッチメントをに含む、装置。
【請求項8】
請求項に記載の装置であって、
前記ばね脚部をベースに取り付けるためのばねアタッチメントをに含み、
前記電極前記ミラーアタッチメント前記ばねアタッチメント同じ材料でつくられる、装置。
【請求項9】
請求項に記載の装置であって、
前記ばねアタッチメントが接地に結合される、装置。
【請求項10】
請求項に記載の装置であって、
前記ミラーアタッチメントが前記ばねアタッチメントより短い、装置。