(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139070
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】ユニバーサル抗CD22キメラ抗原受容体操作免疫細胞
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20230926BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20230926BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230926BHJP
A61K 31/365 20060101ALI20230926BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230926BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20230926BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20230926BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20230926BHJP
C12N 15/54 20060101ALN20230926BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230926BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20230926BHJP
【FI】
C12N5/10
C12N5/0783 ZNA
A61K35/17
A61K31/365
A61P43/00 121
A61P35/00
A61P35/02
C07K19/00
C07K16/28
C07K14/705
C12N15/54
C12N15/13
C12N15/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114120
(22)【出願日】2023-07-12
(62)【分割の表示】P 2020503358の分割
【原出願日】2018-03-30
(31)【優先権主張番号】PA201770239
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(31)【優先権主張番号】PA201770240
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(31)【優先権主張番号】PA201770542
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2017/076800
(32)【優先日】2017-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519350465
【氏名又は名称】セレクティス ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】スミス ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥシャトー フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】デリアン ミュリエル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】血液がんの侵攻型または難治型/再発型についての、効率的かつ安全な治療を提供する。
【解決手段】本発明は、選択された腫瘍細胞へ該免疫細胞特異性および反応性を向け直すことができる、TRAC遺伝子の欠失を伴う、新規のCD22キメラ抗原受容体(CD22 CAR)が付与された操作免疫細胞に関する。このようなCARが付与された操作免疫細胞は、再発難治性CD22発現がんを治療するために特に適している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは細胞表面で発現された、CD22に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)、安全スイッチが付与された、操作ヒトT細胞受容体ノックアウト(TCR KO)細胞(UCART 22)であって、該抗CD22 CAR(CD22 CAR)が、
(i)CD8アルファ由来のヒンジドメイン、
CD22に特異的な抗原結合性ドメイン、任意でリーダー配列
を含む少なくとも1つの細胞外ドメイン、
(ii)CD8アルファ由来の膜貫通ドメイン、および
(iii)細胞内シグナリングドメイン
を含み、
該CD22 CARが、SEQ ID NO:15と少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド配列を有し、
該安全スイッチが、
- ペプチド2AによってCD22 CARへ一時的に連結されたRQR8、または
- CD22 CARへ連結された、好ましくはVHとヒンジドメインとの間に配置された、少なくとも2つのリツキシマブmAb特異的エピトープ、または3つのリツキシマブmAb特異的エピトープ、または3つのリツキシマブmAb特異的エピトープおよびQBEN-10 mAb特異的エピトープ
を含む、操作ヒトT細胞受容体ノックアウト(TCR KO)細胞(UCART 22)。
【請求項2】
SEQ ID NO:11と少なくとも80%の同一性を有するポリヌクレオチド配列が、ゲノム中へ挿入され、
SEQ ID NO:18内に挿入、欠失、または突然変異を有する不活性化TRAC遺伝子をさらに含み、ここで、フローサイトメトリーによって測定される場合に細胞表面でのT細胞受容体(TCR)の検出不可能なレベル、および、ガイドシーケンス技術によって測定される場合にオフサイト事象の検出不可能なレベルを伴う、
請求項1記載のUCART 22。
【請求項3】
前記抗CD22 CARが、好ましくはSEQ ID NO:18を有するTRAC遺伝子中へ好ましくは挿入されている、請求項2記載のUCART22。
【請求項4】
dCK遺伝子、B2M遺伝子、CD52遺伝子、好ましくはCD52遺伝子より選択される別の不活性化遺伝子を含む、請求項1~2のいずれか一項記載のUCART22。
【請求項5】
少なくとも1つの追加の遺伝子が不活性化されており、該遺伝子が、アリール炭化水素受容体(AHR)、トランスホーミング増殖因子ベータ受容体(TGFベータ受容体)、インターロイキン10受容体(IL-10 R)、プログラム細胞死タンパク質1、その組み合わせをコードする遺伝子より選択される、請求項1~4のいずれか一項記載のUCART22。
【請求項6】
CD19、CD20、CD30、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子、免疫グロブリン(Ig)、CD3、CD5、CD34、CD79、好ましくはCD79b、CD138、B7-1(CD80)、BCMA(CD269、TNFRSF 17)、FLT-3、またはPAX5、好ましくはCD19より選択される腫瘍関連表面抗原のいずれか1つに特異的な追加のscfvを含む、請求項1~5のいずれか一項記載のUCART22。
【請求項7】
前記CD22CARが、CD19に特異的な抗原結合性ドメインをさらに含むか、または、前記UCART 22が、CD19CAR、好ましくはSEQ ID NO:25またはSEQ ID NO:26と少なくとも80%の同一性を有するCD19 CARをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項記載のUCART22。
【請求項8】
抗CD22 CARが、単鎖CARまたは多重鎖CARである、請求項1~7のいずれか一項記載のUCART22。
【請求項9】
抗CD19 CARが、単鎖CARまたは多重鎖CARである、請求項6または7のいずれか一項記載のUCART22。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項記載のUCART22を含む、UCART細胞の集団。
【請求項11】
UCART 19、好ましくは、細胞表面でSEQ ID NO:25またはSEQ ID NO:26の配列を含む抗CD19 CARを発現するUCART19を含む、請求項10記載のUCART細胞の集団。
【請求項12】
その必要がある患者における、連続投与(少なくとも1回)、または同時投与、または連続投与(少なくとも1回)と続く同時投与のための、UCART 22およびUCART19を含むキット。
【請求項13】
UCART 19が、先ず、少なくとも1回、2回、3回、4回、または数回使用され、次いで、UCART 22が単独でまたはUCART19と共に使用される、請求項12記載のキット。
【請求項14】
UCART 22が、先ず、少なくとも1回、2回、3回、4回、または数回使用され、次いで、UCART 19が、単独でまたはUCART22と共に使用される、請求項12または13記載のキット。
【請求項15】
UCARTの前に投与されるリンパ球枯渇処置をさらに含む、請求項12~14のいずれか一項記載のキット。
【請求項16】
リンパ球枯渇が、フルダラビンおよびシクロホスファミド、好ましくは、-6日目~-2日目にフルダラビン25 mg/m2 i.v. × 5用量および-5日目にシクロホスファミド60 mg/kg i.v. 1用量を使用して達成される、請求項12~15のいずれか一項記載のキット。
【請求項17】
CD79a、CD79b、CD20、CD30、CD52、CD40、CD80、CD86、CD74、VEGFより選択されるがん抗原に対して向けられた少なくとも1つの他のUCART細胞を含む、請求項12~16のいずれか一項記載のキット。
【請求項18】
請求項1~9のいずれか一項記載のUCART22または請求項10もしくは11記載の該UCART 22を含む細胞の集団と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物。
【請求項19】
ブリオスタチン、好ましくはブリオスタチン-1をさらに含む、請求項18記載の薬学的組成物。
【請求項20】
CD22+媒介がんまたはCD22+媒介炎症疾患に罹患している患者の予防または治療用の医薬としてのその使用のための、請求項18もしくは19記載の薬学的組成物または請求項12~17のいずれか一項記載のキット。
【請求項21】
CD19+媒介がんまたはCD19+媒介炎症疾患に罹患している患者の予防または治療用の医薬としてのその使用のための、請求項18もしくは19のいずれか一項記載の薬学的組成物または請求項12~17のいずれか一項記載のキット。
【請求項22】
CD19+CD22+媒介がんまたはCD19+CD22+媒介炎症疾患に罹患している患者の予防または治療用の医薬としてのその使用のための、請求項18もしくは19のいずれか一項記載の薬学的組成物または請求項12~17のいずれか一項記載のキット。
【請求項23】
患者の治療が、がんの再発/難治性発生を回避するために薬学的組成物を少なくとも2回投与する(再投薬する)工程を含む、請求項20または22のいずれか一項記載のその使用のための、請求項18もしくは19のいずれか一項記載の薬学的組成物または請求項12~17のいずれか一項記載のキット。
【請求項24】
リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、B-慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、およびバーキットリンパ腫、急性リンパ性がん、急性骨髄性白血病より選択されるCD22媒介血液がん、好ましくは、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、B-慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、およびバーキットリンパ腫、急性リンパ性がん、急性骨髄性白血病より選択されるCD22発現血液がん、より好ましくは再発難治性CD22発現血液がん、さらにより好ましくは該CD22関連血液がんの侵攻型の治療のための、請求項20または22のいずれか一項記載のその使用のための、請求項18もしくは19のいずれか一項記載の薬学的組成物または請求項12~17のいずれか一項記載のキット。
【請求項25】
リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、B-慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、およびバーキットリンパ腫、急性リンパ性がん、急性骨髄性白血病より選択されるCD19媒介血液がん、好ましくは、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、B-慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、およびバーキットリンパ腫、急性リンパ性がん、急性骨髄性白血病より選択されるCD19発現血液がん、より好ましくは再発難治性CD19発現血液がん、さらにより好ましくは該CD19関連血液がんの侵攻型の治療のための、請求項21または22のいずれか一項記載のその使用のための、請求項18もしくは19のいずれか一項記載の薬学的組成物または請求項12~17のいずれか一項記載のキット。
【請求項26】
好ましくは小児適応症としての、再発または難治性発現B ALLの治療のための、請求項20~23のいずれか一項記載のその使用のための、請求項18もしくは19のいずれか一項記載の薬学的組成物または請求項12~17のいずれか一項記載のキット。
【請求項27】
患者の治療が、前記UCART22と少なくとも1つの特異的mAbとの接触を可能にする用量で、患者において、少なくとも1つのモノクローナル抗体(mAb)、好ましくはQBEN 10およびまたはリツキシマブを投与することを含む、請求項20~26のいずれか一項記載のその使用のための、請求項18もしくは19のいずれか一項記載の薬学的組成物または請求項12~17のいずれか一項記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は概して、免疫療法の分野に関し、より具体的には、少なくとも1つの編集された遺伝子(好ましくは、TCRサブユニットをコードする遺伝子またはCD52遺伝子)を含む操作ヒト初代免疫細胞である、CD22に特異的なユニバーサルキメラ抗原受容体T細胞(UCART22)、および表面抗原分類22(CD22)に特異的なキメラ抗原受容体(CAR) (CAR CD22)、ならびに該細胞を操作するための方法に関する。本発明は、さらに、再発難治性血液がんについての治療としての、細胞(「同種異系」または「自己」CD22 CAR操作初代ヒト免疫細胞)の最初のドナーであってもなくてもよい患者における使用のためのUCART 22に関する。本発明に従うCD22を発現する細胞は、特に侵攻性または再発がんに対する免疫療法について特に効率的かつ安全である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
2000年の米国において血液がん(非ホジキンリンパ腫、白血病)から45,000を超える死が予想された(Greenlee et al., CA Cancer J. Clin., 50:7-33 (2000))。2014年に公表された数は同様であり、化学療法などの治療の進歩にもかかわらず、そのようながんの予後は基本的に変わらないままである。(E K Mai, U Bertsch, J Durig, C Kunz, M Haenel, I W Blau, M Munder, A Jauch, B Schurich, T Hielscher, M Merz, B Huegle-Doerr, A Seckinger, D Hose, J Hillengass, M S Raab, K Neben, H-W Lindemann, M Zeis, C Gerecke, I G H Schmidt-Wolf, K Weisel, C Scheid, H Salwender and H Goldschmidt. Phase III trial of bortezomib, cyclophosphamide and dexamethasone (VCD) versus bortezomib, doxorubicin and dexamethasone (PAd) in newly diagnosed myeloma. Leukemia (19 March 2015) | doi:10.1038/leu.2015.80。
【0003】
これらの血液がんについての新規の研究中の治療の中でユニークなのは、キメラ抗原受容体(CAR)の遺伝子導入によるT細胞などの細胞溶解能力を有する細胞の遺伝子改変である(Jena, Dotti et al. 2010)。
【0004】
CARは、単一分子においてまたはマルチマーを形成する複数の膜貫通ドメインにおいて、1つまたは複数のシグナリング細胞内ドメインと会合しているターゲッティング部分からなる合成受容体である。特定のCARにおいて、結合性部分は、リンカーによって連結されたモノクローナル抗体の可変断片を含む、単鎖抗体(scFv)由来の抗原結合性ドメインからなる。受容体またはリガンドドメインに基づく結合性部分もまた、CARを作製するために首尾よく使用されてきた。
【0005】
T細胞受容体(TCR)の共刺激分子由来のシグナリングドメイン、ならびに特定の膜貫通ドメインおよびヒンジドメインが、第二世代および第三世代のCARを形成するために付加され、ヒトの治験において成功した。これらの研究において、血液(「液体」)がんに罹患している患者由来のT細胞が、例えばCD19またはCD22を発現する悪性細胞に対して向け直され(June et al., 2011, Haso et al., 2013)、同じ患者中へ再注入された。(Haso W, Lee DW, Shah NN, Stetler-Stevenson M, Yuan CM, Pastan IH, Dimitrov DS, Morgan RA, FitzGerald DJ, Barrett DM, Wayne AS, Mackall CL, Orentas RJ. Anti-CD22-chimeric antigen receptors targeting B-cell precursor acute lymphoblastic leukemia. Blood. 2013 Feb 14;121(7):1165-74. doi: 10.1182/blood-2012-06-438002. Epub 2012 Dec 14)。
【0006】
ある個体由来の免疫細胞が同一の個体(通常はがんに罹患している)への再注入前に操作されることを可能にする方法は、特に、時間との競争であり得るがんの侵攻型に十分には適していない。さらに、そのような方法は、免疫系が変化している患者において問題があるかまたは不確かであり得る。
【0007】
この問題を軽減するために、CARを発現するいわゆる「同種異系」T細胞(ユニバーサルまたは「既製」T細胞とも呼ばれる)を使用する免疫療法が最近実施され、そのような細胞で治療された2人の最初の患者は、治療から約2年後でも依然として寛解状態にある。
【0008】
それにもかかわらず、抗T細胞薬物の存在の効率、逃避するがん細胞に対する効率、持続性、制御手段などの、改善され得るそのような療法の局面は、依然として存在する。実際に、がん細胞は、CARによって認識される表面抗原の発現をダウンレギュレートすることによって、治療される患者における向け直された免疫の持続にもかかわらず、治療から逃避し、生き延びる場合があるようである。さらに、自己T細胞または同種異系T細胞のいずれかで治療された患者において観察された、1つの主な有害な、時には致死的な作用は、サイトカイン放出症候群である。
【0009】
従って、これらの病理についての、特に、血液がんの侵攻型または難治型/再発型についての、効率的かつ安全な治療を開発することについての必要性が依然としてある。
【発明の概要】
【0010】
今回、本発明者は、CD22を標的とするキメラ抗原受容体および安全マーカーが付与された、少なくともTRAC遺伝子の欠失を有する操作初代ヒトT細胞を含む新規の効率的な治療(「UCART22」)を開発し、該安全マーカーは、該細胞の数および結果的に該細胞の活性がインビボで制御されることを可能にする。
【0011】
少なくともTRAC遺伝子の欠失を有する操作初代ヒトT細胞を含む新規の効率的な治療(「UCART22」)において、CD52、dCK、ベータ2ミクログロブリン遺伝子における少なくとも1つの追加の欠失が意図される。
【0012】
これらの新規のUCART22は、CD22媒介病理に罹患している患者における養子移入について、該患者が免疫細胞の最初のドナーであるかどうか、および該患者が免疫に影響を与える療法下に既にあるかどうかに関わらず、特に効率的である。
【0013】
本発明のUCART 22細胞は、Campathおよび/またはプリンヌクレオチド類似体(PNA)などの、CD22媒介病理を治療するために通常使用される少なくとも1つの化学または抗体薬物に対して耐性である。本発明のUCART 22細胞は、80%を超える細胞を殺す用量で使用される前記薬物の存在下で、生き延びかつ活性を有することができる。
【0014】
低いサイトカイン放出、移植片対宿主病が無いかまたは最軽度であること、および、依然として、難治性再発型の血液がん細胞に対する有意な活性を含む、操作単離初代免疫細胞UCART 22の有意なかつ予想外の臨床的な利点が、観察される。
【0015】
他の利点は本研究に開示される。
[本発明1001]
好ましくは細胞表面で発現された、CD22に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)、安全スイッチが付与された、操作ヒトT細胞受容体ノックアウト(TCR KO)細胞(UCART 22)であって、該抗CD22 CAR(CD22 CAR)が、
(i)CD8アルファ由来のヒンジドメイン、
CD22に特異的な抗原結合性ドメイン、任意でリーダー配列
を含む少なくとも1つの細胞外ドメイン、
(ii)CD8アルファ由来の膜貫通ドメイン、および
(iii)細胞内シグナリングドメイン
を含み、
該CD22 CARが、SEQ ID NO:15と少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド配列を有し、
該安全スイッチが、
- ペプチド2AによってCD22 CARへ一時的に連結されたRQR8、または
- CD22 CARへ連結された、好ましくはVHとヒンジドメインとの間に配置された、少なくとも2つのリツキシマブmAb特異的エピトープ、または3つのリツキシマブmAb特異的エピトープ、または3つのリツキシマブmAb特異的エピトープおよびQBEN-10 mAb特異的エピトープ
を含む、操作ヒトT細胞受容体ノックアウト(TCR KO)細胞(UCART 22)。
[本発明1002]
SEQ ID NO:11と少なくとも80%の同一性を有するポリヌクレオチド配列が、ゲノム中へ挿入され、
SEQ ID NO:18内に挿入、欠失、または突然変異を有する不活性化TRAC遺伝子をさらに含み、ここで、フローサイトメトリーによって測定される場合に細胞表面でのT細胞受容体(TCR)の検出不可能なレベル、および、ガイドシーケンス技術によって測定される場合にオフサイト事象の検出不可能なレベルを伴う、
本発明1001のUCART 22。
[本発明1003]
前記抗CD22 CARが、好ましくはSEQ ID NO:18を有するTRAC遺伝子中へ好ましくは挿入されている、本発明1002のUCART22。
[本発明1004]
dCK遺伝子、B2M遺伝子、CD52遺伝子、好ましくはCD52遺伝子より選択される別の不活性化遺伝子を含む、本発明1001~1002のいずれかのUCART22。
[本発明1005]
少なくとも1つの追加の遺伝子が不活性化されており、該遺伝子が、アリール炭化水素受容体(AHR)、トランスホーミング増殖因子ベータ受容体(TGFベータ受容体)、インターロイキン10受容体(IL-10 R)、プログラム細胞死タンパク質1、その組み合わせをコードする遺伝子より選択される、本発明1001~1004のいずれかのUCART22。
[本発明1006]
CD19、CD20、CD30、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子、免疫グロブリン(Ig)、CD3、CD5、CD34、CD79、好ましくはCD79b、CD138、B7-1(CD80)、BCMA(CD269、TNFRSF 17)、FLT-3、またはPAX5、好ましくはCD19より選択される腫瘍関連表面抗原のいずれか1つに特異的な追加のscfvを含む、本発明1001~1005のいずれかのUCART22。
[本発明1007]
前記CD22CARが、CD19に特異的な抗原結合性ドメインをさらに含むか、または、前記UCART 22が、CD19CAR、好ましくはSEQ ID NO:25またはSEQ ID NO:26と少なくとも80%の同一性を有するCD19 CARをさらに含む、本発明1001~1006のいずれかのUCART22。
[本発明1008]
抗CD22 CARが、単鎖CARまたは多重鎖CARである、本発明1001~1007のいずれかのUCART22。
[本発明1009]
抗CD19 CARが、単鎖CARまたは多重鎖CARである、本発明1006または1007のいずれかのUCART22。
[本発明1010]
本発明1001~1009のいずれかのUCART22を含む、UCART細胞の集団。
[本発明1011]
UCART 19、好ましくは、細胞表面でSEQ ID NO:25またはSEQ ID NO:26の配列を含む抗CD19 CARを発現するUCART19を含む、本発明1010のUCART細胞の集団。
[本発明1012]
その必要がある患者における、連続投与(少なくとも1回)、または同時投与、または連続投与(少なくとも1回)と続く同時投与のための、UCART 22およびUCART19を含むキット。
[本発明1013]
UCART 19が、先ず、少なくとも1回、2回、3回、4回、または数回使用され、次いで、UCART 22が単独でまたはUCART19と共に使用される、本発明1012のキット。
[本発明1014]
UCART 22が、先ず、少なくとも1回、2回、3回、4回、または数回使用され、次いで、UCART 19が、単独でまたはUCART22と共に使用される、本発明1012または1013のキット。
[本発明1015]
UCARTの前に投与されるリンパ球枯渇処置をさらに含む、本発明1012~1014のいずれかのキット。
[本発明1016]
リンパ球枯渇が、フルダラビンおよびシクロホスファミド、好ましくは、-6日目~-2日目にフルダラビン25 mg/m2 i.v. × 5用量および-5日目にシクロホスファミド60 mg/kg i.v. 1用量を使用して達成される、本発明1012~1015のいずれかのキット。
[本発明1017]
CD79a、CD79b、CD20、CD30、CD52、CD40、CD80、CD86、CD74、VEGFより選択されるがん抗原に対して向けられた少なくとも1つの他のUCART細胞を含む、本発明1012~1016のいずれかのキット。
[本発明1018]
本発明1001~1009のいずれかのUCART22または本発明1010もしくは1011の該UCART 22を含む細胞の集団と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物。
[本発明1019]
ブリオスタチン、好ましくはブリオスタチン-1をさらに含む、本発明1018の薬学的組成物。
[本発明1020]
CD22+媒介がんまたはCD22+媒介炎症疾患に罹患している患者の予防または治療用の医薬としてのその使用のための、本発明1018もしくは1019の薬学的組成物または本発明1012~1017のいずれかのキット。
[本発明1021]
CD19+媒介がんまたはCD19+媒介炎症疾患に罹患している患者の予防または治療用の医薬としてのその使用のための、本発明1018もしくは1019のいずれかの薬学的組成物または本発明1012~1017のいずれかのキット。
[本発明1022]
CD19+CD22+媒介がんまたはCD19+CD22+媒介炎症疾患に罹患している患者の予防または治療用の医薬としてのその使用のための、本発明1018もしくは1019のいずれかの薬学的組成物または本発明1012~1017のいずれかのキット。
[本発明1023]
患者の治療が、がんの再発/難治性発生を回避するために薬学的組成物を少なくとも2回投与する(再投薬する)工程を含む、本発明1020または1022のいずれかのその使用のための、本発明1018もしくは1019のいずれかの薬学的組成物または本発明1012~1017のいずれかのキット。
[本発明1024]
リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、B-慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、およびバーキットリンパ腫、急性リンパ性がん、急性骨髄性白血病より選択されるCD22媒介血液がん、好ましくは、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、B-慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、およびバーキットリンパ腫、急性リンパ性がん、急性骨髄性白血病より選択されるCD22発現血液がん、より好ましくは再発難治性CD22発現血液がん、さらにより好ましくは該CD22関連血液がんの侵攻型の治療のための、本発明1020または1022のいずれかのその使用のための、本発明1018もしくは1019のいずれかの薬学的組成物または本発明1012~1017のいずれかのキット。
[本発明1025]
リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、B-慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、およびバーキットリンパ腫、急性リンパ性がん、急性骨髄性白血病より選択されるCD19媒介血液がん、好ましくは、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、B-慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、およびバーキットリンパ腫、急性リンパ性がん、急性骨髄性白血病より選択されるCD19発現血液がん、より好ましくは再発難治性CD19発現血液がん、さらにより好ましくは該CD19関連血液がんの侵攻型の治療のための、本発明1021または1022のいずれかのその使用のための、本発明1018もしくは1019のいずれかの薬学的組成物または本発明1012~1017のいずれかのキット。
[本発明1026]
好ましくは小児適応症としての、再発または難治性発現B ALLの治療のための、本発明1020~1023のいずれかのその使用のための、本発明1018もしくは1019のいずれかの薬学的組成物または本発明1012~1017のいずれかのキット。
[本発明1027]
患者の治療が、前記UCART22と少なくとも1つの特異的mAbとの接触を可能にする用量で、患者において、少なくとも1つのモノクローナル抗体(mAb)、好ましくはQBEN 10およびまたはリツキシマブを投与することを含む、本発明1020~1026のいずれかのその使用のための、本発明1018もしくは1019のいずれかの薬学的組成物または本発明1012~1017のいずれかのキット。
【0016】
本研究は以下を提供する。
1.好ましくは細胞表面で発現された、CD22に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)、安全スイッチが付与された、操作ヒトT細胞受容体ノックアウト(TCR KO)細胞(UCART 22)であって、該抗CD22 CAR(CD22 CAR)が、
(i)CD8アルファ由来のヒンジドメイン、
CD22に特異的な抗原結合性ドメイン、任意でリーダー配列
を含む少なくとも1つの細胞外ドメイン、
(ii)CD8アルファ由来の膜貫通ドメイン、および
(iii)細胞内シグナリングドメイン
を含み、
該CD22 CARが、SEQ ID NO:15と少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド配列を有し、
該安全スイッチが、
- ペプチド2AによってCD22 CARへ一時的に連結されたRQR8、または
- CD22 CARへ連結された、好ましくはVHとヒンジドメインとの間に配置された、少なくとも2つのリツキシマブmAb特異的エピトープ、または3つのリツキシマブmAb特異的エピトープ、または3つのリツキシマブmAb特異的エピトープおよびQBEN-10 mAb特異的エピトープ
を含む、操作ヒトT細胞受容体ノックアウト(TCR KO)細胞(UCART 22)。
【0017】
2.SEQ ID NO:11と少なくとも80%の同一性を有するポリヌクレオチド配列が、ゲノム中へ挿入され、
SEQ ID NO:18内に挿入、欠失、または突然変異を有する不活性化TRAC遺伝子をさらに含み、ここで、フローサイトメトリーによって測定される場合に細胞表面でのT細胞受容体(TCR)の検出不可能なレベル、および、ガイドシーケンス技術によって測定される場合にオフサイト事象の検出不可能なレベルを伴う、
態様1のUCART 22。
【0018】
前記抗CD22 CARが、好ましくはSEQ ID NO:18を有するTRAC遺伝子中へ好ましくは挿入されている、2記載のUCART22。
【0019】
3.dCK遺伝子、B2M遺伝子、CD52遺伝子、好ましくはCD52遺伝子より選択される別の不活性化遺伝子を含む、態様1~2のいずれか1つに記載のUCART22。
【0020】
4.少なくとも1つの追加の遺伝子が不活性化されており、該遺伝子が、アリール炭化水素受容体(AHR)、トランスホーミング増殖因子ベータ受容体(TGFベータ受容体)、インターロイキン10受容体(IL-10 R)、プログラム細胞死タンパク質1、その組み合わせをコードする遺伝子より選択される、態様1~3のいずれか1つに記載のUCART22。
【0021】
5.ベータ2ミクログロブリン(B2M)をコードする遺伝子が不活性化されている、態様1~4のいずれか1つに記載のUCART22。
【0022】
6.アリール炭化水素受容体(AHR)をコードする遺伝子が不活性化されている、態様1~5のいずれか1つに記載のUCART22。
【0023】
7.トランスホーミング増殖因子ベータ受容体) (TGFベータ受容体)をコードする遺伝子が不活性化されている、態様1~6のいずれか1つに記載のUCART22。
【0024】
8.インターロイキン10受容体(IL-10 R)をコードする遺伝子が不活性化されている、態様1~7のいずれか1つに記載のUCART22。
【0025】
9.プログラム細胞死タンパク質1(PD1)をコードする遺伝子が不活性化されている、態様1~8のいずれか1つに記載のUCART22。
【0026】
5.CD19、CD20、CD30、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子、免疫グロブリン(Ig)、CD3、CD5、CD34、CD79、好ましくはCD79b、CD138、B7-1(CD80)、BCMA(CD269、TNFRSF 17)、FLT-3、またはPAX5、好ましくはCD19より選択される腫瘍関連表面抗原のいずれか1つに特異的な追加のscfvを含む、態様1~4のいずれか1つに記載のUCART22。
【0027】
6.前記CD22CARが、CD19に特異的な抗原結合性ドメインをさらに含むか、または、前記UCART 22が、CD19CAR、好ましくはSEQ ID NO:25またはSEQ ID NO:26と少なくとも80%の同一性を有するCD19 CARをさらに含む、態様1~5のいずれか1つに記載のUCART22。
【0028】
7.抗CD22 CARが、単鎖CARまたは多重鎖CARである、態様1~5のいずれか1つに記載のUCART22。
【0029】
8.抗CD19 CARが、単鎖CARまたは多重鎖CARである、態様5~6いずれか1つに記載のUCART22。
【0030】
抗CD22 CARが、CD19に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0031】
抗CD22 CARが、CD20に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0032】
抗CD22 CARが、CD30に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0033】
抗CD22 CARが、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0034】
抗CD22 CARが、免疫グロブリン(Ig)に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0035】
抗CD22 CARが、CD3に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0036】
抗CD22 CARが、CD5に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0037】
抗CD22 CARが、CD34に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0038】
抗CD22 CARが、CD79、好ましくはCD79bに特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0039】
抗CD22 CARが、CD138に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0040】
抗CD22 CARが、CD80に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0041】
抗CD22 CARが、BCMA (CD269)に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0042】
抗CD22 CARが、TNFRSF 17に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0043】
抗CD22 CARが、FLT-3に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0044】
抗CD22 CARが、CD19に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0045】
抗CD22 CARが、CD79aまたはCD79bに特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0046】
抗CD22 CARが、CD20に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0047】
抗CD22 CARが、CD30に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0048】
抗CD22 CARが、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0049】
抗CD22 CARが、免疫グロブリン(Ig)に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0050】
抗CD22 CARが、CD3に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0051】
抗CD22 CARが、CD5に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0052】
抗CD22 CARが、CD34に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0053】
抗CD22 CARが、CD138に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0054】
抗CD22 CARが、CD80に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0055】
抗CD22 CARが、BCMA (CD269)に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0056】
抗CD22 CARが、TNFRSF 17に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0057】
抗CD22 CARが、FLT-3に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0058】
9.態様1~8のいずれか1つに記載のUCART22を含む、UCART細胞の集団。
【0059】
10.UCART 19、好ましくは、細胞表面でSEQ ID NO:25またはSEQ ID NO:26の配列を含む抗CD19 CARを発現するUCART19を含む、態様9記載のUCART細胞の集団。
【0060】
11.その必要がある患者における、連続投与(少なくとも1回)、または同時投与、または連続投与(少なくとも1回)と続く同時投与のための、UCART 22およびUCART19を含むキット。
【0061】
12.UCART 19が、先ず、少なくとも1回、2回、3回、4回、または数回使用され、次いで、UCART 22が単独でまたはUCART19と共に使用される、態様11記載のキット。
【0062】
13.UCART 22が、先ず、少なくとも1回、2回、3回、4回、または数回使用され、次いで、UCART 19が、単独でまたはUCART22と共に使用される、態様11または12記載のキット。
【0063】
14.UCARTの前に投与されるリンパ球枯渇処置をさらに含む、態様11~13のいずれか1つに記載のキット。
【0064】
15.リンパ球枯渇が、フルダラビンおよびシクロホスファミド、好ましくは、-6日目~-2日目にフルダラビン25 mg/m2 i.v. × 5用量および-5日目にシクロホスファミド60 mg/kg i.v. 1用量を使用して達成される、態様11~14のいずれか1つに記載のキット。
【0065】
16.CD79a、CD79b、CD20、CD30、CD52、CD40、CD80、CD86、CD74、VEGFより選択されるがん抗原に対して向けられた少なくとも1つの他のUCART細胞を含む、態様11~15のいずれか1つに記載のキット。
【0066】
17.態様1~8のいずれか1つに記載のUCART22または態様9もしくは10記載の該UCART 22を含む細胞の集団と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物。
【0067】
18.ブリオスタチン、好ましくはブリオスタチン-1をさらに含む、態様17記載の薬学的組成物。
【0068】
19.CD22+媒介がんまたはCD22+媒介炎症疾患に罹患している患者の予防または治療用の医薬としてのその使用のための、態様17もしくは18記載の薬学的組成物または態様11~16のいずれか1つに記載のキット。
【0069】
20.CD19+媒介がんまたはCD19+媒介炎症疾患に罹患している患者の予防または治療用の医薬としてのその使用のための、態様17もしくは18のいずれか1つに記載の薬学的組成物または態様11~16のいずれか1つに記載のキット。
【0070】
21.CD19+CD22+媒介がんまたはCD19+CD22+媒介炎症疾患に罹患している患者の予防または治療用の医薬としてのその使用のための、態様17もしくは18のいずれか1つに記載の薬学的組成物または態様11~16のいずれか1つに記載のキット。
【0071】
22.患者の治療が、がんの再発/難治性発生を回避するために薬学的組成物を少なくとも2回投与する(再投薬する)工程を含む、態様19または21のいずれか1つに記載のその使用のための、態様17もしくは18のいずれか1つに記載の薬学的組成物または態様11~16のいずれか1つに記載のキット。
【0072】
23.リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、B-慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、およびバーキットリンパ腫、急性リンパ性がん、急性骨髄性白血病より選択されるCD22媒介血液がん、好ましくは、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、B-慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、およびバーキットリンパ腫、急性リンパ性がん、急性骨髄性白血病より選択されるCD22発現血液がん、より好ましくは再発難治性CD22発現血液がん、さらにより好ましくは該CD22関連血液がんの侵攻型の治療のための、態様19または21のいずれか1つに記載のその使用のための、態様17もしくは18のいずれか1つに記載の薬学的組成物または態様11~16のいずれか1つに記載のキット。
【0073】
24.リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、B-慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、およびバーキットリンパ腫、急性リンパ性がん、急性骨髄性白血病より選択されるCD19媒介血液がん、好ましくは、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、B-慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、およびバーキットリンパ腫、急性リンパ性がん、急性骨髄性白血病より選択されるCD19発現血液がん、より好ましくは再発難治性CD19発現血液がん、さらにより好ましくは該CD19関連血液がんの侵攻型の治療のための、態様20または21のいずれか1つに記載のその使用のための、態様17もしくは18のいずれか1つに記載の薬学的組成物または態様11~16のいずれか1つに記載のキット。
【0074】
25.好ましくは小児適応症としての、再発または難治性発現B ALLの治療のための、態様19~22のいずれか1つに記載のその使用のための、態様17もしくは18のいずれか1つに記載の薬学的組成物または態様11~16のいずれか1つに記載のキット。
【0075】
26.患者の治療が、前記UCART22と少なくとも1つの特異的mAbとの接触を可能にする用量で、患者において、少なくとも1つのモノクローナル抗体(mAb)、好ましくはQBEN 10およびまたはリツキシマブを投与することを含む、態様19~25のいずれか1つに記載のその使用のための、態様17もしくは18のいずれか1つに記載の薬学的組成物または態様11~16のいずれか1つに記載のキット。
【0076】
CD22 CARについての態様
本発明は、FcRIIIα、CD8アルファ、IgG1、IgG4、およびPD1より、好ましくはCD8アルファまたはIgG4より選択されるヒンジドメインを含む抗CD22 CARを提供する。
【0077】
CD22に特異的なscfvが、リンカーL1、好ましくは1~3個の「GGGGS」モチーフ、より好ましくは1個のGGGGS」モチーフを含むリンカーによって互いに連結されたVHおよびVLを含む、上記に記載の抗CD22 CAR。
【0078】
CD22に特異的な前記scfvが、FcRIIIα、CD8アルファ、IgG1由来、好ましくはCD8アルファ由来のヒンジより選択されるヒンジによって膜貫通ドメインへ連結されている、上記のいずれか1つに記載の抗CD22 CAR。
【0079】
細胞内ドメインを含み、該細胞内ドメインが、CD3ゼータシグナリングドメインおよび4-1BBシグナリングドメインを含む、上記のいずれか1つに記載の抗CD22 CAR。
【0080】
抗CD22 CARが、少なくとも1つの、好ましくは2、3または4つのモノクローナル抗体(mAb)特異的エピトープ、好ましくは、CD22に特異的なscfvのリンカーL中へおよび/またはヒンジ中へ挿入された2つを含む、上記のいずれか1つに記載の抗CD22 CAR。
【0081】
mAb特異的エピトープが、
より選択されるポリペプチドである、上記のいずれか1つに記載の抗CD22 CAR。
【0082】
本発明は、上記のいずれか1つに記載の抗CD22 CARをコードするポリヌクレオチド、または抗CD22 CARをコードする該ポリヌクレオチドと少なくとも80%の同一性を有するポリヌクレオチド、上記ポリヌクレオチドのいずれか1つに従うポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。本明細書以下に開示されるように、前記UCART22中において、他の遺伝子、特に、dCK遺伝子、B2M遺伝子、CD52遺伝子が編集されている。
【0083】
提供されるUCART
少なくとも1つの追加の遺伝子が編集または操作されており、該遺伝子が、アリール炭化水素受容体(AHR)、トランスホーミング増殖因子ベータ受容体) (TGFベータ受容体)、インターロイキン10受容体(IL-10 R)、プログラム細胞死タンパク質1、その組み合わせをコードする遺伝子より選択される、上記のようなUCART22を提供する。
【0084】
少なくとも1つの追加の遺伝子が、その活性および/または発現を不活性化する突然変異、欠失または挿入を含み、該遺伝子が、アリール炭化水素受容体(AHR)、トランスホーミング増殖因子ベータ受容体) (TGFベータ受容体)、インターロイキン10受容体(IL-10 R)、プログラム細胞死タンパク質1、その組み合わせをコードする遺伝子より選択される、上記のようなUCART22。
【0085】
少なくとも1つの追加の遺伝子が、その活性および/または発現を不活性化する突然変異、欠失または挿入を含み、該遺伝子が、アリール炭化水素受容体(AHR)、トランスホーミング増殖因子ベータ受容体) (TGFベータ受容体)、インターロイキン10受容体(IL-10 R)、その組み合わせをコードする遺伝子より選択される、上記のようなUCART22。
【0086】
少なくとも1つの追加の遺伝子が、その活性および/または発現を不活性化する突然変異、欠失または挿入を含み、該遺伝子が、トランスホーミング増殖因子ベータ受容体) (TGFベータ受容体)、インターロイキン10受容体(IL-10 R)、プログラム細胞死タンパク質1、その組み合わせをコードする遺伝子より選択される、上記のようなUCART22。
【0087】
少なくとも1つの追加の遺伝子が、その活性および/または発現を不活性化する突然変異、欠失または挿入を含み、該遺伝子が、アリール炭化水素受容体(AHR)、インターロイキン10受容体(IL-10 R)、プログラム細胞死タンパク質1、その組み合わせをコードする遺伝子より選択される、上記のようなUCART22。
【0088】
少なくとも1つの追加の遺伝子が、その活性および/または発現を不活性化する突然変異、欠失または挿入を含み、該遺伝子が、アリール炭化水素受容体(AHR)、トランスホーミング増殖因子ベータ受容体) (TGFベータ受容体)、プログラム細胞死タンパク質1、その組み合わせをコードする遺伝子より選択される、上記のようなUCART22。
【0089】
前記CARが挿入され得る遺伝子を下記表9に示す。
【0090】
(表9)本発明のCD22 CAR操作T細胞中において本発明に従って不活性化され得る免疫チェックポイントタンパク質をコードする遺伝子のリスト
太字は、本発明のUCART中において不活性化される好ましい遺伝子である
【0091】
上記のいずれか1つに記載の抗CD22 CAR (UCART22)、および、ゲノム中へ、CD25遺伝子中へ、挿入された該抗CD22 CAR (UCART22)をコードするポリヌクレオチドを含む、上記のようなUCART22。
【0092】
抗CD22 CARが単鎖CARまたは多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0093】
抗CD22 CARが、CD19、CD20、CD30、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子、免疫グロブリン(Ig)、CD3、CD5、CD34、CD79、好ましくはCD79b、CD138、B7-1 (CD80)、BCMA (CD269、TNFRSF 17)、FLT-3、またはPAX5、好ましくはCD19より選択される腫瘍関連表面抗原のいずれか1つに特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0094】
抗CD22 CARが、CD19に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0095】
好ましくはSEQ ID NO:94のまたはSEQ ID NO:95の、抗CD22 CARおよび抗CD19CARを発現する、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0096】
抗CD22 CARが、CD20に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0097】
抗CD22 CARが、CD30に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0098】
抗CD22 CARが、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0099】
抗CD22 CARが、免疫グロブリン(Ig)に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0100】
抗CD22 CARが、CD3に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0101】
抗CD22 CARが、CD5に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0102】
抗CD22 CARが、CD34に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0103】
抗CD22 CARが、CD79、好ましくはCD79bに特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0104】
抗CD22 CARが、CD138に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0105】
抗CD22 CARが、CD80に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0106】
抗CD22 CARが、BCMA (CD269)に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0107】
抗CD22 CARが、TNFRSF 17に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0108】
抗CD22 CARが、FLT-3に特異的な追加のscfvを含む単鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0109】
抗CD22 CARが多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0110】
抗CD22 CARが、CD19に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0111】
抗CD22 CARが、CD79aまたはCD79bに特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0112】
抗CD22 CARが、CD19に特異的な追加のscfvを含む多重鎖(mc)CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0113】
好ましくはSEQ ID NO:94のまたはSEQ ID NO:95の、抗CD22 mcCARおよび抗CD19CARを発現する、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0114】
抗CD22 CARが、CD20に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0115】
抗CD22 CARが、CD30に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0116】
抗CD22 CARが、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0117】
抗CD22 CARが、免疫グロブリン(Ig)に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0118】
抗CD22 CARが、CD3に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0119】
抗CD22 CARが、CD5に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0120】
抗CD22 CARが、CD34に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0121】
抗CD22 CARが、CD138に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0122】
抗CD22 CARが、CD80に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0123】
抗CD22 CARが、BCMA (CD269)に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0124】
抗CD22 CARが、TNFRSF 17に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0125】
抗CD22 CARが、FLT-3に特異的な追加のscfvを含む多重鎖CARである、上記のいずれか1つに記載のUCART22。
【0126】
上記のいずれか1つに記載のUCART22を含む、細胞の集団。
【0127】
上記のいずれか1つに記載のUCART22を含む細胞の集団であって、前記抗CD22 CARを発現する細胞が、抗CD19 CARをさらに発現し、好ましくは、該抗CD19 CARが、細胞表面でSEQ ID NO:25またはSEQ ID NO:26の配列を含む、細胞の集団。
【0128】
本発明の薬学的組成物としての、ブリオスタチン1などのプロテインキナーゼC阻害剤と任意で組み合わされた、CD22 CAR T細胞(UCART22)は、CLL、ALL、多発性骨髄腫(MM)、芽球性形質細胞様樹状細胞新生物(BPDCN)、特に難治性/再発ALL、難治性/再発CLL、およびまたはこれらの疾患の侵攻型、より好ましくは難治性もしくは再発B-ALLの治療に特に有用である。
【0129】
本発明の薬学的組成物としての、ブリオスタチン1などのプロテインキナーゼC阻害剤と任意で組み合わされた、m971に由来する、CD22 CAR T細胞(UCART22)は、CLL、ALL、多発性骨髄腫(MM)、芽球性形質細胞様樹状細胞新生物(BPDCN)、特に難治性/再発ALL、難治性/再発CLL、およびまたはこれらの疾患の侵攻型、より好ましくは難治性もしくは再発B-ALLの治療に特に有用である。
【0130】
本発明の操作免疫細胞は、悪性細胞に対する高レベルのインビボ活性、より少ないサイトカイン放出を示すだけでなく、それらの数および活性が制御され、免疫療法についての安全性および効率を付与する。
【0131】
本発明は、好ましくは細胞表面で発現された、CD22に特異的なキメラ抗原受容体(CD22 CAR)が付与された操作ヒトT細胞受容体ノックアウト(TCR KO)細胞(UCART 22)を提供し、
ここで、該CD22 CARは、
(i)CD8アルファ由来のヒンジドメイン、
CD22に特異的な抗原結合性ドメイン、任意でリーダー配列
を含む少なくとも1つの細胞外ドメイン、
(ii)CD8アルファ由来の膜貫通ドメイン、および
(iii)細胞内シグナリングドメイン
を含み、
該UCART22は、少なくとも1つの追加の編集された遺伝子、好ましくはCD52遺伝子における欠失を含む。
【0132】
本発明はまた、上記のようなUCART CD22を提供し、ここで、抗原結合性ドメインは、m917抗体(m971)に由来する、CD22に特異的なscfvを含み、好ましくは、該scfvは、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14およびSEQ ID NO:15より選択される配列、より好ましくはSEQ ID NO:15からの配列を含む。
【0133】
一態様において、本発明はまた、好ましくは細胞表面で発現された、CD22に特異的なキメラ抗原受容体(CD22 CAR)が付与された操作ヒトT細胞受容体ノックアウト(TCR KO)細胞(UCART 22)を提供し、
ここで、該CD22 CARは、
(i)CD8アルファ由来のヒンジドメイン、
CD22に特異的な抗原結合性ドメイン、任意でリーダー配列
を含む少なくとも1つの細胞外ドメイン、
(ii)CD8アルファ由来の膜貫通ドメイン、および
(iii)細胞内シグナリングドメイン
を含み、
該UCART22は、少なくとも1つの追加の編集された遺伝子、好ましくはCD52遺伝子における欠失を含み、
かつ、ここで、抗原結合性ドメインは、CD22の遠位部に特異的なscfvを含み、該CARはSEQ ID NO:20を有する。
【0134】
以下の配列:
を含むか、または該配列の各々と80~99%の相同性を有する、上記に記載のUCART CD22。
【0135】
本発明はまた、SEQ ID NO15のポリペプチドと安全スイッチとを含む上記のようなUCART 22を提供し、該安全スイッチは以下を含む:
・ペプチド2AによってCD22 CARへ一時的に連結されたRQR8、または
・CD22 CARへ連結された、少なくとも2つのリツキシマブmAb特異的エピトープ、好ましくは3つのリツキシマブmAb特異的エピトープ、より好ましくは3つのリツキシマブmAb特異的エピトープおよびQBEN-10 mAb特異的エピトープ。
[前記CD22 CARが付与された免疫細胞の選別および/または枯渇の両方を可能にする]。
【0136】
本発明はまた、少なくとも1つの追加の編集された遺伝子、好ましくは、CD52遺伝子におけるもしくはdCK遺伝子における欠失またはベータ2ミクログロブリン遺伝子におけるもしくはCTIIA遺伝子における欠失、さらにより好ましくはCD52遺伝子における欠失、ならびに/あるいは、低酸素に対する耐性を付与する、HIF-1アルファ遺伝子における挿入を含む、上記のようなUCART 22を提供する。
【0137】
本発明は、アレムツズマブと組み合わせての、CD52遺伝子における欠失を含む、上記のようなUCART 22を提供する。
【0138】
本発明はまた、前記CD22 CARが低酸素(5%未満のO2、好ましくは1%未満のO2である低O2濃度)下で発現される、上記のようなUCART 22を提供する。
【0139】
本発明はまた、CD22 CARおよび安全スイッチを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、上記のようなUCART 22を提供する。好ましい態様において、本発明は、同じ遺伝子中に、好ましくはTRAC遺伝子中に、SEQ ID NO:22およびSEQ ID NO:18のポリヌクレオチドを含む、上記のようなUCART 22を提供する。
【0140】
本発明はまた、CD22 CARおよび安全スイッチを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、上記のようなUCART 22を提供する。好ましい態様において、本発明は、同じ遺伝子中に、好ましくはTRAC遺伝子中に、SEQ ID NO:20およびSEQ ID NO:18のポリヌクレオチドを含む、上記のようなUCART 22を提供する。
【0141】
本発明は、上記のようなUCART 22を含む細胞の集団を提供する。
【0142】
本発明は、上記のようなUCART 22または上記のいずれかの前記UCART 22を含む細胞の集団のいずれか、および薬学的に許容される賦形剤を含む、薬学的組成物を提供する。
【0143】
特定の態様において、UCART CD19と組み合わせて、本発明に従うUCART 22または該UCART 22を含む細胞の集団、および薬学的に許容される賦形剤を含む、薬学的組成物を提供する。UCART 19およびUCART 22は、患者のがん細胞におけるCD19およびCD22発現レベルの関数として、UCART 19またはUCART 22で開始して、同時に、同時期にまたは連続的に与えてもよい。
【0144】
特定の態様において、UCART 22/19またはUCART 19/22(二重特異性CAR単鎖もしくは多重鎖CARまたはCD19CARおよびCD22 CARの両方を発現する細胞)、および薬学的に許容される賦形剤を含む、薬学的組成物を提供する。本発明は、ブリオスタチンファミリーの化合物、好ましくはブリオスタチン1をさらに含む、上記のような薬学的組成物を提供する。
【0145】
本発明は、患者を治療するための医薬としての使用のための、治療有効量の上記のようなUCART 22または上記のような該UCART 22を含む薬学的組成物を提供する。
【0146】
本発明は、患者の治療が、再発を回避するために前記治療有効量のUCART CD22または前記薬学的組成物を少なくとも2回投与する(再投薬する)ことを含む、患者を治療するための医薬としての使用のための、治療有効量の上記のようなUCART 22または上記のような薬学的組成物を提供する。
【0147】
特定の態様において、本発明は、患者の治療が、再発を回避するために上記のようなUCART 22または上記のような薬学的組成物を少なくとも2回投与することを含む、患者を治療するための医薬としての使用のための、上記のいずれか1つに記載のUCART CD22または上記のいずれか1つに記載の薬学的組成物を提供する。
【0148】
本発明は、CD22関連病理、好ましくはCD22関連B細胞悪性腫瘍(例えば、CD22関連血液がん)の治療のための上記のような患者を治療するための医薬としての使用のための、治療有効量の上記のようなUCART 22または上記のような薬学的組成物を提供する。
【0149】
特定の態様において、本発明は以下を提供する:
リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、B-慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、およびバーキットリンパ腫、急性リンパ性がん、急性骨髄性白血病より選択される血液がん、好ましくはCD22発現血液がん、より好ましくは再発難治性CD22発現血液がん、さらにより好ましくは該CD22関連血液がんの侵攻型などの、血液がんの治療用の医薬としての使用のための、治療有効量の上記のようなUCART 22または上記のような薬学的組成物。
【0150】
好ましくは、UCART22は、再発難治性B ALLを有する患者を治療するために使用される。
【0151】
本発明は、患者を治療するための医薬としての使用のための、治療有効量の上記のようなUCART 22または上記のような薬学的組成物を提供し、ここで、該患者は、以下より選択されるがんに罹患している:胞巣状横紋筋肉腫、膀胱がん(例えば、膀胱がん腫)、骨がん、脳がん(例えば、髄芽腫)、乳がん、肛門がん、肛門管がん、または肛門直腸がん、眼がん、肝内胆管がん、関節がん、頸部がん、胆嚢がん、胸膜がん、鼻がん、鼻腔がん、中耳がん、口腔がん、外陰がん、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性がん、結腸がん、食道がん、子宮頸がん、線維肉腫、消化管カルチノイド腫瘍、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)、下咽頭がん、腎臓がん、喉頭がん、肝臓がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、悪性中皮腫、肥満細胞腫、黒色腫、鼻咽頭がん、卵巣がん、膵臓がん、腹膜がん、網がん、腸間膜がん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、腎がん、皮膚がん、小腸がん、軟部組織がん、固形腫瘍、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、尿管がん。
【0152】
本発明は以下を提供する:
1.好ましくは細胞表面で発現された、CD22に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)が付与された操作ヒトT細胞受容体ノックアウト(TCR KO)細胞(UCART 22)であって、
ここで、該抗CD22 CARは、
(i)CD8アルファ由来のヒンジドメイン、
CD22に特異的な抗原結合性ドメイン、任意でリーダー配列
を含む少なくとも1つの細胞外ドメイン、
(ii)CD8アルファ由来の膜貫通ドメイン、および
(iii)細胞内シグナリングドメイン
を含み、
該UCART22が、少なくとも1つの追加の編集された遺伝子、好ましくはCD52不活性化遺伝子、dCK不活性化遺伝子、ベータ2ミクログロブリン不活性化遺伝子、または挿入されたHIF-1アルファ遺伝子を含む、操作ヒトT細胞受容体ノックアウト(TCR KO)細胞(UCART 22)。
【0153】
2.抗原結合性ドメインがCD22に特異的なscfvを含み、該scfvはm917抗体(m971)に由来し、好ましくは、該scfvは、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14より、またはSEQ ID NO:15より選択される配列、より好ましくはSEQ ID NO:15からの配列を含む、1に記載のUCART CD22。
【0154】
3.SEQ ID NO15のポリペプチドと安全スイッチとを含み、該安全スイッチが、
- ペプチド2AによってCD22 CARへ一時的に連結されたRQR8、
- CD22 CARへ連結された、少なくとも2つのリツキシマブmAb特異的エピトープ、好ましくは3つのリツキシマブmAb特異的エピトープ、より好ましくは3つのリツキシマブmAb特異的エピトープおよびQBEN-10 mAb特異的エピトープ
[前記CD22 CARが付与された免疫細胞の選別および/または枯渇の両方を可能にする]
を含む、1~2のいずれか1つに記載のUCART 22。
【0155】
4.CD52不活性化遺伝子、さらにより好ましくは、アレムツズマブおよび低酸素に対する耐性を与えるCD52不活性化遺伝子およびHIF-1アルファ挿入遺伝子を含む、1~3のいずれか1つに記載のUCART 22。
【0156】
5.前記抗CD22 CARが低O2濃度( <5% O2)下において細胞表面で発現される、1~4のいずれか1つに記載のUCART 22。
【0157】
6.1~5におけるような抗CD22 CARを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、1~5のいずれか1つに記載のUCART 22。
【0158】
細胞表面で抗CD22 CARを含み、該抗CD22 CARをコードするポリヌクレオチドがTRAC遺伝子中へ挿入されており、かつ、IL-12をコードする外因性ポリヌクレオチド配列が、CD25ゲノム配列、B2Mゲノム配列またはPD1ゲノム配列中へ挿入されている、上記のいずれか1つに記載のUCART 22。
【0159】
細胞表面で抗CD22 CARを含み、該抗CD22 CARをコードするポリヌクレオチドがTRAC遺伝子中へ挿入されており、かつ、IL-12をコードする外因性ポリヌクレオチド配列が、CD25ゲノム配列中へまたはPD1ゲノム配列中へ挿入されており、かつ、IL-10受容体、TGFベータ受容体、TIM-3、LAG-3(上記表9参照)より選択されるゲノムKO遺伝子をさらに含む、上記のいずれか1つに記載のUCART 22。
【0160】
7.SEQ ID NO:22のポリヌクレオチドをさらに含み、好ましくは、同じTRAC遺伝子中にSEQ ID NO:18および22の配列を含む、1~6のいずれか1つに記載のUCART 22。
【0161】
8.1~7のいずれか1つに記載の前記UCART 22を含む細胞の集団。
【0162】
9.1~7のいずれか1つに記載のUCART 22または8記載の前記UCART 22を含む細胞の集団、および薬学的に許容される賦形剤を含む、薬学的組成物。
【0163】
10.ブリオスタチン、好ましくはブリオスタチン-1をさらに含む、9記載の薬学的組成物。
【0164】
11.患者を治療するための医薬としての使用のための治療有効量の1~7のいずれか1つに記載のUCART 22または9もしくは10記載の薬学的組成物。
【0165】
12.患者の治療が、再発を回避するために前記治療有効量のUCART CD22または前記薬学的組成物を少なくとも2回投与する(再投薬する)ことを含む、11記載の患者を治療するための医薬としての使用のための治療有効量の1~7のいずれか1つに記載のUCART 22または9もしくは10記載の薬学的組成物。
【0166】
13.CD22関連病理、好ましくはCD22関連B細胞悪性腫瘍の治療のための、11または12記載の患者を治療するための医薬としての使用のための治療有効量の1~7のいずれか1つに記載のUCART 22または9もしくは10記載の薬学的組成物。
【0167】
14.(リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、B-慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、およびバーキットリンパ腫、急性リンパ性がん、急性骨髄性白血病より選択される血液がん、好ましくはCD22発現血液がん、より好ましくは再発または難治性CD22発現血液がん、さらにより好ましくは該CD22関連血液がんの侵攻型の治療における使用のための、11~13のいずれか1つに記載の患者を治療するための医薬としての使用のための治療有効量の1~7のいずれか1つに記載のUCART 22または9もしくは10記載の薬学的組成物。
【0168】
15.再発および/または難治性CD22陽性B-ALLの治療における使用のための、11~13のいずれか1つに記載の患者を治療するための医薬としての使用のための治療有効量の1~7のいずれか1つに記載のUCART 22または9もしくは10記載の薬学的組成物。
【0169】
16.前記患者が、胞巣状横紋筋肉腫、膀胱がん(例えば、膀胱がん腫)、骨がん、脳がん(例えば、髄芽腫)、乳がん、肛門がん、肛門管がん、または肛門直腸がん、眼がん、肝内胆管がん、関節がん、頸部がん、胆嚢がん、胸膜がん、鼻がん、鼻腔がん、中耳がん、口腔がん、外陰がん、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性がん、結腸がん、食道がん、子宮頸がん、線維肉腫、消化管カルチノイド腫瘍、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)、下咽頭がん、腎臓がん、喉頭がん、肝臓がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、悪性中皮腫、肥満細胞腫、黒色腫、鼻咽頭がん、卵巣がん、膵臓がん、腹膜がん、網がん、腸間膜がん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、腎がん、皮膚がん、小腸がん、軟部組織がん、固形腫瘍、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、尿管がん、好ましくは肝臓がんおよび肺がんより選択される、好ましくはCD22+細胞によって媒介される、がんに罹患している、11~13のいずれか1つに記載の患者を治療するための医薬としての使用のための治療有効量の1~7のいずれか1つに記載のUCART 22または9もしくは10記載の薬学的組成物。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【
図1】本発明に従う操作免疫細胞の模式図。
図1に示される操作免疫細胞は、本発明のCARをコードするポリヌクレオチドが付与されたT細胞であり得る。このT細胞は、患者へのより良い、より安全な生着が可能になるようにさらに操作される。XまたはYは、突然変異され得る、欠失され得る、かつ/または挿入を有し得る、編集された遺伝子である。例えば、T細胞受容体(TCR)の成分、例えば、TCRアルファまたはTCRベータを発現する遺伝子が、欠失され得るか、または挿入を含み得、Yは、dCK(プリンヌクレオチド類似体に対する耐性に関する)またはCD52(Campathに関する)またはHPRT(6-チオグアニンに関する)のような、免疫抑制薬に対するT細胞の感受性に関与する遺伝子であり得る。
【
図2】単鎖および多重鎖CD22 CARの図。
図2は、CD22に特異的なscfvを含み、任意で、安全スイッチ、CD8アルファ由来のヒンジおよび膜貫通ドメイン、4-1BBおよびCD3ゼータ由来の細胞内ドメイン、任意で、低酸素に対する耐性を付与するドメインを含む、本発明に従うCD22 CARの例を示す。
【
図3】安全スイッチを含む本発明のCD22 CAR構築物の例。少なくともリツキシマブ(R) mAb特異的エピトープ(黒色ボックス)、好ましくは3つのリツキシマブmAb特異的エピトープ、より好ましくは3つのリツキシマブmAb特異的エピトープおよびQBEN-10 (Q) mAb特異的エピトープ(灰色ボックス)が、CD22 CAR中へ挿入される。Rは、scfv中に、VHおよびVLドメインの間に(またはVLおよびVHドメインの間に)、ならびに/またはヒンジ中に挿入され得る。
【
図4】ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの例。
図4は、安全スイッチ(RQR8)およびCD22 CARが細胞表面で発現されるように、切断されるポリペプチドの一例を示す。R=CD20ミモトープ(リツキシマブによって結合される)、Q=CD34エピトープ(QBEnd10によって結合される)。
【
図5】UCART22の脱顆粒活性。CD22陰性SUP-T1細胞と比較してのCD22陽性NALM-16細胞の存在下での、非形質導入(NT)の脱顆粒活性、またはCD22の遠位部を標的とするCARが形質導入されたT細胞(scfv-V2)の脱顆粒活性と比較した場合の、UCART22(CD22の近位ドメインに対するscfv-V1)の脱顆粒活性。
【
図6】UCART22の細胞傷害活性。CD22陰性SUP-T1細胞と比較してのCD22陽性NALM-16細胞の存在下での、非形質導入(NT)の細胞傷害活性、またはCD22の遠位部を標的とするCARが形質導入されたT細胞(scfv-V2)細胞の細胞傷害活性と比較した場合の、UCART22(CD22の近位ドメインに対するscfv-V1)の細胞傷害活性。
【
図7】UCART22のインターフェロンガンマ産生。
【
図8】対照細胞、UCART22(CD22の近位ドメインに対するscfv-V1)またはCART22(TRAC欠失無し)の存在下でのマウス生存。
【
図9】TALENを使用してTRAC遺伝子中へ遺伝子を挿入するための一般的な戦略。
【発明を実施するための形態】
【0171】
発明の詳細な説明
本明細書において特に定義されない限り、使用される技術用語および科学用語は、全て、遺伝子治療、生化学、遺伝学、免疫学および分子生物学の領域の当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。
【0172】
適当な方法および材料が本明細書に記載されるが、本明細書に記載されたものに類似しているかまたは等価である全ての方法および材料が、本発明の実施または試行において使用され得る。本明細書において言及された刊行物、特許出願、特許、およびその他の参照は、全て、参照によってその全体が組み入れられる。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先されるであろう。さらに、材料、方法、および実施例は、他に特記されない限り、例示的なものに過ぎず、限定するためのものではない。
【0173】
本発明の実施は、他に示されない限り、当技術分野の技術の範囲内にある細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA、および免疫学の従来の技術を利用するであろう。そのような技術は、文献中に完全に説明されている。例えば、Current Protocols in Molecular Biology (Frederick M. AUSUBEL, 2000, Wiley and son Inc, Library of Congress, USA); Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Edition, (Sambrook et al, 2001, Cold Spring Harbor, New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press); Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait ed., 1984); Mullis et al. U.S. Pat. No. 4,683,195; Nucleic Acid Hybridization (B. D. Harries & S. J. Higgins eds. 1984); Transcription And Translation (B. D. Hames & S. J. Higgins eds. 1984); Culture Of Animal Cells (R. I. Freshney, Alan R. Liss, Inc., 1987); Immobilized Cells And Enzymes (IRL Press, 1986); B. Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning (1984); the series, Methods In ENZYMOLOGY (J. Abelson and M. Simon, eds.-in-chief, Academic Press, Inc., New York), specifically, Vols.154 and 155 (Wu et al. eds.) and Vol. 185, "Gene Expression Technology" (D. Goeddel, ed.); Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells (J. H. Miller and M. P. Calos eds., 1987, Cold Spring Harbor Laboratory); Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology (Mayer and Walker, eds., Academic Press, London, 1987); Handbook Of Experimental Immunology, Volumes I-IV (D. M. Weir and C. C. Blackwell, eds., 1986); およびManipulating the Mouse Embryo, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1986)を参照されたい。
【0174】
CD22特異的キメラ抗原受容体
本発明は、CD22へ、特にCD22の近位ドメインへ結合することができるキメラ抗原受容体である抗CD22キメラ抗原受容体(CARまたはCD22 CARまたは抗CD22 CAR)の新規の設計に関する。
【0175】
本発明のCD22特異的キメラ抗原受容体は、細胞外リガンド結合性ドメインおよびヒンジ、任意で自殺ドメインを含む細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、シグナリング伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含む。
【0176】
細胞表面で発現される、本発明に従うCD22 CARは、細胞外リガンド結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含む。
【0177】
用語「細胞外リガンド結合性ドメイン」は、本明細書において使用される場合、CD22の少なくとも1つのエピトープに結合することができるオリゴ-またはポリペプチドと定義される。好ましくは、細胞外リガンド結合性ドメインは、CD22、および別の細胞表面抗原もしくは別の膜結合抗原と相互作用する細胞表面分子と少なくとも部分的に相互作用すること、またはCD22と直接相互作用すること、もしくはヒトCD22と相互作用すること、より正確にはヒトCD22の近位領域(アミノ酸243からアミノ酸687まで)と直接相互作用することができる。
【0178】
一態様において、本発明に従うCD22 CARは、CD22の近位領域(アミノ酸243からアミノ酸687まで)およびCD22の遠位部(aa 20からaa 425まで)と相互作用することができる細胞外リガンド結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含む。
【0179】
本発明において、CD22の完全長細胞外ドメインは、アミノ酸(aa) 20からaa 687までであり、CD22の膜近位ドメインはaa 243からaa 687までであり、CD22の膜遠位ドメインはaa 20までaa 425までである。
【0180】
一態様において、細胞外リガンド結合性ドメインは、特定の疾患状態に関連する標的細胞上の細胞表面マーカーとして作用する特定形態(グリコシル化)CD22を認識するために選択され得る。
【0181】
好ましい態様において、前記細胞外リガンド結合性ドメインは、リンカー、特にフレキシブルリンカーによって連結された標的抗原特異的モノクローナル抗CD22抗体の軽(VL)および重(VH)可変断片を含む少なくとも1つの単鎖抗体断片(scFv)を含む。該VLおよびVHは、好ましくは、下記表2中のような抗体m971由来である。それらは、好ましくは、例えば配列SEQ ID NO:10を含むフレキシブルリンカーによって一緒に連結される。
【0182】
本発明の目的について、完全ヒト抗CD22抗体である、ファージディスプレイ法を用いて以前に同定され特徴付けられたm971抗体(m971)(Xiao X, Ho M, Zhu Z, Pastan I, Dimitrov DS. Identification and characterization of fully human anti-CD22 monoclonal antibodies. mAbs. 2009;1(3):297-303)の特定の部分を、本発明に従って、特定の配列と組み合わせて新規のCD22 CARを作製した。参照により組み入れられるWO 2014065961も参照されたい。
【0183】
本発明の好ましい態様は、表1中のような以下の部分と共にm971の抗原結合性ドメインの単鎖可変断片(scFv)を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、抗原結合性ドメインを含むCARを提供する。
【0184】
【0185】
(表2)種々のCD22 scfv VHおよびVLの配列
【0186】
【0187】
【0188】
好ましい態様において、本発明のCD22 CARは、SEQ ID NO:15の配列を含む。
【0189】
好ましい態様において、本発明のCD22 CARは、SEQ ID NO:23の配列を含む。
【0190】
本発明のCD22 CARの配列は、ペプチドシグナル、CD8アルファ由来のTMドメイン、およびm971由来のVHおよびVLドメイン間のリンカーを含む。
【0191】
SCFV
本発明において、scfvは、好ましくはSEQ ID NO:10の、10~25個のアミノ酸の短いリンカーペプチドで連結された、CD22に特異的な免疫グロブリンまたは免疫グロブリンの部分の重鎖(VHドメイン)および軽鎖(VLドメイン)の可変領域の融合タンパク質である。
【0192】
好ましい態様において、前記CARは、アミノ酸配列SEQ ID NO:12と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を示すポリペプチド配列を含む細胞外リガンド結合性ドメインを優先的に含む。
【0193】
好ましい態様において、前記CARは、アミノ酸配列SEQ ID NO:13と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を示すポリペプチド配列を含む細胞外リガンド結合性ドメインを優先的に含む。
【0194】
好ましい態様において、前記CARは、アミノ酸配列 SEQ ID NO:12と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を示すポリペプチド配列と、SEQ ID NO:13からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を示すポリペプチド配列とを含む、細胞外リガンド結合性ドメインを優先的に含む。
【0195】
ヒンジ
細胞外ドメインは、前記細胞外リガンド結合性ドメインと前記膜貫通ドメインとの間にヒンジ領域をさらに含むことができる。本明細書において使用される「ヒンジ領域」という用語は、一般に、膜貫通ドメインを細胞外リガンド結合性ドメインへ連結するように機能する任意のオリゴ-またはポリペプチドを意味する。特に、ヒンジ領域は、細胞外リガンド結合性ドメインにさらなる可動性および接近性を与えるために用いられる。ヒンジ領域は、300個までのアミノ酸、好ましくは10~100個のアミノ酸、最も好ましくは10~50個のアミノ酸を含み得る。ヒンジ領域は、天然分子のすべてもしくは一部、例えば、CD8、もしくはCD4の細胞外領域のすべてもしくは一部、または抗体定常領域のすべてもしくは一部に由来し得る。あるいは、ヒンジ領域は、天然ヒンジ配列に対応する合成配列であり得るか、または完全に合成のヒンジ配列であり得る。好ましい態様において、前記ヒンジドメインは、本明細書中においてそれぞれSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5およびSEQ ID NO:6と呼ばれる、ヒトCD8アルファ鎖、FcRIIIα受容体またはIgG1の一部を含み、またはより好ましい態様において、ヒンジポリペプチドは、SEQ ID NO:4と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、95%、97%、99%または100%の配列同一性、さらにより好ましくはSEQ ID NO:4と100%の配列同一性を示す。
【0196】
IgG4由来のまたはPD1由来のヒンジは本発明の一部であり、WO2016120216に開示されており、本発明に従うCD22 CARの構築において使用され得る。
【0197】
本発明に従うCD22 CARは、細胞膜中へ固定される。従って、そのようなCD22 CARは膜貫通ドメインをさらに含む。適切な膜貫通ドメインの顕著な特徴は、細胞、好ましくは本明細書において、免疫細胞、特に、リンパ球細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞の表面において発現され、所定の標的細胞に対する免疫細胞の細胞応答を指令するために一緒に相互作用する能力を含む。膜貫通ドメインは、天然起源に由来し得るか、または合成起源に由来し得る。膜貫通ドメインは、任意の膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質に由来し得る。非限定的な例として、膜貫通ポリペプチドは、α、β、もしくはδなどのT細胞受容体のサブユニット、CD3複合体を構成するポリペプチド、IL2受容体のp55(α鎖)、p75(β鎖)、もしくは 鎖、Fc受容体、特に、Fc受容体IIIまたはCDタンパク質のサブユニット鎖であり得る。あるいは、膜貫通ドメインは、合成であってもよく、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を主に含み得る。
【0198】
好ましい態様において、前記膜貫通ドメインは、ヒトCD8アルファ鎖(例えばNP_001139345.1)に由来する。
【0199】
本発明に従うCD22 CARは、SEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:7のポリペプチドと同一性を示す、より特にはCD8α由来の膜貫通ドメイン(TM)を一般にさらに含む。好ましくは、本発明に従うCARは、SEQ ID NO:6のポリペプチドと少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を示すTMを含む。
【0200】
本発明に従うCD22 CARは、SEQ ID NO:6のポリペプチドと同一性を示すCD8α由来の膜貫通ドメイン(TM)を一般にさらに含む。好ましくは、本発明に従うCARは、SEQ ID NO:6のポリペプチドと少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を示すTMを含む。
【0201】
本発明に従うCD22 CARは、シグナル伝達ドメインまたは細胞内シグナリングドメインを含む細胞内ドメインを含む。
【0202】
本発明に従うCD22 CARのシグナル伝達ドメインまたは細胞内シグナリングドメインは、免疫細胞の活性化および免疫応答(標的細胞に対する細胞溶解活性)をもたらす、細胞外リガンド結合性ドメインの標的への結合の後の細胞内シグナリングを担う。換言すれば、シグナル伝達ドメインは、CARが発現される免疫細胞の正常なエフェクター機能のうちの少なくとも1つの活性化を担う。例えば、T細胞のエフェクター機能は、細胞溶解活性またはサイトカインの分泌を含むヘルパー活性であり得る。従って、「シグナル伝達ドメイン」という用語は、エフェクターシグナル機能シグナルを伝達し、専門の機能を果たすよう細胞に指令するタンパク質の部分を指す。
【0203】
本発明のCD22 CARにおけるシグナル伝達ドメインの好ましい例は、抗原受容体会合後にシグナル伝達を開始するために協調的に作用するT細胞受容体および共受容体の細胞質配列、ならびに同一の機能的能力を有するこれらの配列の任意の誘導体または変異体および任意の合成配列であり得る。シグナル伝達ドメインは、細胞質シグナリング配列の2つの別個のクラス(抗原依存性の一次活性化を開始するもの、および二次的または共刺激的なシグナルを提供するために抗原非依存的に作用するもの)を含む。一次細胞質シグナリング配列は、ITAMの免疫受容活性化チロシンモチーフとして公知であるシグナリングモチーフを含み得る。ITAMは、syk/zap70クラスチロシンキナーゼのための結合部位として役立つ、多様な受容体の細胞質内テールに見出される十分に定義されたシグナリングモチーフである。本発明において使用されるITAMの例としては、非限定的な例として、TCRゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、FcRイプシロン、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dに由来するものが挙げられ得る。好ましい態様において、CARのシグナリング伝達ドメインは、(SEQ ID NO:9)からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、95%、97%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCD3ゼータシグナリングドメインを含み得る。任意で、前記CD3ゼータシグナリングドメインは、SEQ ID NO:9と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を示すポリペプチド配列を含んでいる。
【0204】
より好ましい態様において、CD22 CARのシグナリング伝達ドメインは、SEQ ID NO:9のCD3ゼータシグナリングドメインで構成され、ヒトCD28シグナリングドメイン由来のいかなる配列も排除する。特定の態様において、本発明のCARのシグナル伝達ドメインは、共刺激シグナル分子を含む。共刺激分子は、効率的な免疫応答のために必要とされる、抗原受容体またはそのリガンド以外の細胞表面分子である。「共刺激リガンド」は、T細胞上の同族共刺激分子に特異的に結合し、それにより、例えば、ペプチドが負荷されたMHC分子とのTCR/CD3複合体の結合によって提供される一次シグナルに加えて、増殖活性化、分化などを含むが、これらに限定されないT細胞応答を媒介するシグナルを提供する抗原提示細胞上の分子を指す。共刺激リガンドとしては、限定されないが、CD7、B7-1 (CD80)、B7-2 (CD86)、PD-L1、PD-L2、4-1BBL、OX40L、誘導性共刺激リガンド(ICOS-L)、細胞間接着分子(ICAM、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、M1CB、HVEM、リンホトキシンベータ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、トールリガンド受容体に結合するアゴニストまたは抗体、およびB7-H3に特異的に結合するリガンドが挙げられ得る。共刺激リガンドはまた、とりわけ、限定されないが、CD27、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、LTGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどの、T細胞上に存在する共刺激分子と特異的に結合する抗体を包含する。
【0205】
「共刺激分子」は、共刺激リガンドと特異的に結合し、それにより、これに限定されないが、増殖などの、細胞による共刺激応答を媒介するT細胞上の同族結合パートナーを指す。共刺激分子としては、限定されないが、MHCクラスI分子、BTLAおよびトールリガンド受容体が挙げられる。共刺激分子の例としては、CD27、CD8、4-1BB (CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原1 (LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、およびCD83と特異的に結合するリガンドなどが挙げられる。
【0206】
好ましい態様において、本発明のCARのシグナル伝達ドメインは、4-1BB (GenBank: AAA53133.)の断片からなる共刺激シグナル分子の一部を含む。特に、本発明のCARのシグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:8からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、95%、97%、99%または100%の配列同一性を含むアミノ酸配列を含む。
【0207】
より好ましい態様において、本発明のCARのシグナル伝達ドメインは、CD28 (NP_006130.1)由来の配列を含まない。
【0208】
さらにより好ましい態様において、本発明の全ての態様は、CD28 (NP_006130.1)由来の配列を含まない。
【0209】
さらにより好ましい態様において、本発明のCD22 CARのシグナル伝達ドメインは、共刺激シグナル分子4-1BB (GenBank: AAA53133)の一部を含み、かつ、CD28 (NP_006130.1)由来の配列を含まない。
【0210】
本発明は、以下を含むCD22特異的キメラ抗原受容体(CD22 CAR)を提供する:
以下を含む細胞外ドメイン:
- CD22に特異的な結合性ドメイン、好ましくは、ヒトCD22に特異的な結合性ドメイン、より好ましくは、該ヒトCD22に特異的な結合性ドメインは単鎖可変断片(scFv)である、
- 好ましくはCD8アルファ由来の、ヒンジ;
好ましくはCD8アルファ由来の、膜貫通ドメイン;
以下を含む細胞内ドメイン:
- ヒト4-1BB由来の共刺激シグナル分子、および
- ヒトCD3ゼータシグナリングドメインを含む細胞内シグナリングドメイン。
【0211】
好ましい態様において、本発明のCD22 CARは、CD28由来の配列を有さない。
【0212】
好ましい態様において、本発明のCD22 CARは、CD28由来のいかなる配列も含有せず、かつ、配列リーダー、TMドメイン、およびCD8α由来のヒンジを含み、好ましくは、CD28由来の配列を含まず、かつ、SEQ ID NO:1の配列リーダー、SEQ ID NO:6のTMドメイン、およびCD8α由来のSEQ ID NO:4のヒンジを含む。
【0213】
一態様において、本発明のCD22 CARは、ヒトCD8α由来のリーダー配列(SEQ ID NO:1)またはSEQ ID NO:1と少なくとも95%の同一性を有するリーダー配列を含む。
【0214】
別の態様において、本発明のCD22 CARは、SEQ ID NO:2のリーダー配列またはSEQ ID NO:2と少なくとも95%の同一性を有するリーダー配列を含む。
【0215】
一態様において、本発明は、以下を含むCD22特異的キメラ抗原受容体(CD22 CAR)を提供する:
- CD22に特異的な結合性ドメイン、好ましくは、ヒトCD22に特異的な結合性ドメイン、より好ましくは、該ヒトCD22に特異的なドメインは単鎖可変断片(scFv)であり、さらにより好ましくは、m971由来のVHおよびVLを含む、
- ヒトCD8アルファ由来(CD8α由来)のヒンジ、
- ヒトCD8アルファ(α)由来の膜貫通ドメイン、
- ヒト4-1BB由来の共刺激シグナル分子、
- ヒトCD3ゼータシグナリングドメインを含む細胞内シグナリングドメイン。
【0216】
一態様において、本発明は、以下を含むCD22特異的キメラ抗原受容体(CD22 CAR)を提供する:
- CD22に特異的な結合性ドメイン、好ましくは、ヒトCD22に特異的な結合性ドメイン、より好ましくは、該ヒトCD22に特異的なドメインは単鎖可変断片(scFv)であり、さらにより好ましくは、m971由来のVHおよびVLを含む、
- ヒトFcRIIIα由来のヒンジ、
- ヒトCD8アルファ(α)由来の膜貫通ドメイン、
- ヒト4-1BB由来の共刺激シグナル分子、
- ヒトCD3ゼータシグナリングドメインを含む細胞内シグナリングドメイン。
【0217】
本発明はまた、以下を含むCD22特異的キメラ抗原受容体(CD22 CAR)を提供する:
- CD22に特異的な結合性ドメイン、好ましくは、ヒトCD22に特異的な結合性ドメイン、より好ましくは、該ヒトCD22に特異的なドメインは単鎖可変断片(scFv)であり、さらにより好ましくは、m971由来のVHおよびVLを含む、
- ヒトIgG1由来のヒンジ、
- ヒトCD8アルファ(α)由来の膜貫通ドメイン、
- ヒト4-1BB由来の共刺激シグナル分子、
- ヒトCD3ゼータシグナリングドメインを含む細胞内シグナリングドメイン。
【0218】
これら3つの最後の態様は、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2の、好ましくはSEQ ID NO:1の、シグナルペプチドを有するCD22 CARを包含する。
【0219】
より好ましくは、前記CD22 CARはCD28由来の配列を有さない。
【0220】
本発明のscfvはCD22に特異的な抗体に由来し、それは、リンカーによってVLドメインと分離されたVHドメインを含み、該VHおよび/またはVLドメインは、CD22への結合に寄与する。
【0221】
好ましい態様において、本発明のUCART 22は、VHとVLとの間の1つのGS4リンカーおよびVLとCD8アルファヒンジとの間の2Rを有する、m971抗体由来のscfvを含む。
【0222】
本発明において、scfvは、リンカーペプチド、好ましくはSEQ ID NO10のリンカーで連結された、CD22に特異的な免疫グロブリン(m971)のSEQ ID NO:12:の重鎖(VHドメイン)およびSEQ ID NO:13:の軽鎖(VLドメイン)の可変領域の融合タンパク質である。
【0223】
一態様において、本発明の前記scfvは、リーダー配列(またはシグナルペプチド)をさらに含み、好ましくは、該リーダー配列はVHドメインへ連結されている。
【0224】
前記リーダー配列がVLドメインへ連結されている態様は、本発明の一部である。
【0225】
一態様において、VHドメインがヒンジへ連結されており、別の態様において、VLドメインが該ヒンジへ連結されている。
【0226】
本発明は、種々の長さを有するヒンジ、好ましくはCD8α、IgG1またはFcRIIIα(
図2参照)由来の、より好ましくはCD8α由来のヒンジへ連結された、scfvを提供する。
【0227】
好ましくは、本発明は、以下を含むCD22 CARを提供する:
- シグナルペプチド、例えば、SEQ ID NO:2の、またはSEQ ID NO:1のCD8アルファ由来のシグナルペプチド。
- リンカーによってVLドメインから分離されたVHドメインを含む(scFv)、該VHおよびVLならびにリンカーはCD22への結合に寄与する、
- ヒトCD8アルファ鎖由来のヒンジ、またはヒトIgG1由来のヒンジ、またはFcRIIIα由来のヒンジ、好ましくはCD8アルファ由来。
- CD8アルファ(α)由来の膜貫通ドメイン(TM)
- ヒト4-1BB由来の共刺激シグナル分子
- CD3ゼータシグナリングドメインを含む細胞内シグナリングドメイン。
【0228】
本発明のCD22 CARの一つは、以下で構成される:
- リーダー配列(例えば、CD8αリーダー配列またはCD8αシグナルペプチド)
- VH、リンカー、およびVL、またはVL、リンカー、およびVHを含む抗CD22 scfv、該VHおよびVLはm971に由来する
・CD8αヒンジ
・CD8αTM
・4-1BB由来の共刺激シグナル分子
・細胞内CD3ゼータシグナリングドメイン。
【0229】
本発明のCD22 CARの一つは、連続的に以下を含む:
- 細胞表面での発現で除去可能な、CD8αシグナルペプチド、
- QBEN10によって認識されるエピトープおよびリツキシマブによって認識されるエピトープ、
- VH、リンカー、およびVLを含む抗CD22 scfv、該VHおよびVLはm971由来、
リツキシマブによって認識される2つの連続的エピトープ、
・CD8αヒンジ
・CD8αTM
・4-1BB由来の共刺激シグナル分子
・細胞内CD3ゼータシグナリングドメイン。
【0230】
本発明のCD22 CARの一つは、連続的に以下を含む:
- 細胞表面での発現で除去可能な、CD8αシグナルペプチド、
- QBEN10によって認識されるエピトープおよびリツキシマブによって認識されるエピトープ、
- VH、リンカー、およびVLを含む抗CD22 scfv、該VHおよびVLはm971由来、
リツキシマブによって認識される2つの連続的エピトープ、
・CD8αTM
・4-1BB由来の共刺激シグナル分子
・細胞内CD3ゼータシグナリングドメイン。
【0231】
本発明のCD22 CARの一つは、連続的に以下を含む:
- 細胞表面での発現で除去可能な、CD8αシグナルペプチド、
- VH、リンカー、およびVLを含む抗CD22 scfv、該VHおよびVLはm971由来
リツキシマブによって認識される2つの連続的エピトープ、
・CD8αヒンジ
・CD8αTM
・4-1BB由来の共刺激シグナル分子
・細胞内CD3ゼータシグナリングドメイン。
【0232】
本発明のCD22 CARの一つは、連続的に以下を含む:
- 細胞表面での発現で除去可能な、CD8αシグナルペプチド、
- VH、リンカー、およびVLを含む抗CD22 scfv、該VHおよびVLはm971由来
リツキシマブによって認識される2つの連続的エピトープ、
・CD8αTM
・4-1BB由来の共刺激シグナル分子
・細胞内CD3ゼータシグナリングドメイン。
【0233】
本発明のCD22 CARの一つは、連続的に以下を含む:
- 細胞表面での発現で除去可能な、CD8αシグナルペプチド、
- VH、リンカー、およびVLを含む抗CD22 scfv、該VHおよびVLはm971由来、抗CD19 scfv
リツキシマブによって認識される2つの連続的エピトープ、
・CD8αヒンジ
・CD8αTM
・4-1BB由来の共刺激シグナル分子
・細胞内CD3ゼータシグナリングドメイン。
【0234】
本発明のCD22 CARの一つは、連続的に以下を含む:
- 細胞表面での発現で除去可能な、CD8αシグナルペプチド、
- VH、リンカー、およびVLを含む抗CD22 scfv、該VHおよびVLはm971由来、抗CD19 scfv
リツキシマブによって認識される2つの連続的エピトープ、
・CD8αTM
・4-1BB由来の共刺激シグナル分子
・細胞内CD3ゼータシグナリングドメイン。
【0235】
本発明のCD22 CARの一つは、連続的に以下を含む:
- 細胞表面での発現で除去可能な、CD8αシグナルペプチド、
- 抗CD19 scfv、ならびにVH、リンカー、およびVLを含む抗CD22 scfv、該VHおよびVLはm971由来、
リツキシマブによって認識される2つの連続的エピトープ、
・CD8αヒンジ
・CD8αTM
・4-1BB由来の共刺激シグナル分子
・細胞内CD3ゼータシグナリングドメイン。
【0236】
本発明のCD22 CARの一つは、連続的に以下を含む:
- 細胞表面での発現で除去可能な、CD8αシグナルペプチド、
- 抗CD19 scfv、ならびにVH、リンカー、およびVLを含む抗CD22 scfv、該VHおよびVLはm971由来、
リツキシマブによって認識される2つの連続的エピトープ、
・CD8αTM
・4-1BB由来の共刺激シグナル分子
・細胞内CD3ゼータシグナリングドメイン。
【0237】
リンカー-SCFV
本発明に従うリンカーは、例えば、ペンタペプチドのマルチマー、(GGGGS)nまたは(G4S)nまたは(Gly4Ser)n(ここでn= 1~4、好ましくはn=3である)、18mer
(Andris-Widhopf et al., 2011)および20 mer (G4S)4 (Schaefer et al., 2010)であり得る。本発明に従うリンカーは、追加された機能性、例えばエピトープタグを有する配列(Sblattero & Bradbury, 2000 Nature Biotechnology 18, 75 - 80)、リンカーによって分離された、SEQ ID NO:20の少なくとも1つの配列(好ましくは2)、しばしば特定の抗体配列の状況において、本発明のscFv特性を改善する配列を含み得る。
【0238】
他のリンカーの中で、本発明内で好適なのは、15- merペプチドリンカー
(Zhihong Shen, Heping Yan, Ying Zhang, Raymond L. Mernaugh, and Xiangqun Zeng (2008), Anal Chem. 80(6): 1910-1917)である。
【0239】
好ましい態様において、m971のVHをVL配列へ(VLをVH配列へ)連結するリンカーは、式(G4S)nのリンカーであり、式中、nは1~3;好ましくは配列(G4S)3 (SEQ ID NO:10)のn=3である。
【0240】
一態様において、本発明は以下を提供する:
以下を含むCD22 CAR
- SEQ ID NO:1のヒトCD8αリーダー配列(CD8αリーダーまたはCD8αシグナルペプチド)
- SEQ ID NO:12のVH、SEQ ID NO:10のリンカー、およびSEQ ID NO:13のVLを含む抗CD22 scfv
SEQ ID NO:4のヒトCD8αヒンジ、
・SEQ ID NO:6のヒトCD8αTM
・SEQ ID NO:8の4-1BB由来の共刺激シグナル分子
・SEQ ID NO:9の細胞内CD3ゼータシグナリングドメイン。
【0241】
一態様において、本発明はまた以下を提供する:
以下を含むCD22 CAR
- SEQ ID NO:1のヒトCD8αリーダー配列(CD8αリーダーまたはCD8αシグナルペプチド)
- SEQ ID NO:12のVH、SEQ ID NO:10のリンカー、およびSEQ ID NO:13のVLを含む抗CD22 scfv
SEQ ID NO:3のヒトFcγRIIIαヒンジ、
・SEQ ID NO:6のヒトCD8αTM
・SEQ ID NO:8の4-1BB由来の共刺激シグナル分子
・SEQ ID NO:9の細胞内CD3ゼータシグナリングドメイン。
【0242】
一態様において、本発明は以下を提供する:
以下を含むCD22 CAR
- SEQ ID NO:1のヒトCD8αリーダー配列(CD8αリーダーまたはCD8αシグナルペプチド)
SEQ ID NO:13のVL、SEQ ID NO:10のリンカー、およびSEQ ID NO:12のVHを含む、抗CD22 scfv、
SEQ ID NO:3のヒトFcγRIIIαヒンジ、
・SEQ ID NO:6のヒトCD8αTM
・SEQ ID NO:8の4-1BB由来の共刺激シグナル分子
・SEQ ID NO:9の細胞内CD3ゼータシグナリングドメイン。
【0243】
一態様において、本発明は以下を提供する:
以下を含むCD22 CAR
- SEQ ID NO:1のヒトCD8αリーダー配列(CD8αリーダーまたはCD8αシグナルペプチド)
SEQ ID NO:13のVL、SEQ ID NO:10のリンカー、およびSEQ ID NO:12のVHを含む、抗CD22 scfv、
SEQ ID NO:4のヒトCDAアルファヒンジ、
・SEQ ID NO:6のヒトCD8αTM
・SEQ ID NO:8の4-1BB由来の共刺激シグナル分子
・SEQ ID NO:9の細胞内CD3ゼータシグナリングドメイン。
【0244】
一態様において、本発明は、以下を含むCD22特異的キメラ抗原受容体(CD22 CAR)を提供する:
- SEQ ID NO:1または2のポリペプチドと少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、95%、97%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するシグナルペプチド;好ましくは、シグナルペプチドは、SEQ ID NO:1のポリペプチドと少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、95%、97%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。
【0245】
- リンカーによってVLドメインと分離されたVHドメイン、該VHおよびVLはCD22への結合に寄与し;該リンカーは、SEQ ID NO:10のポリペプチドと少なくとも90%、95%、97%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0246】
前記VHドメインは、SEQ ID NO:12のポリペプチドと少なくとも90%、95%、97%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0247】
前記VLドメインは、SEQ ID NO:13のポリペプチドと少なくとも90%、95%、97%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0248】
- - SEQ ID NO:4のポリペプチドと少なくとも80%、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、97%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するヒトCD8アルファ鎖に由来するヒンジ。
- SEQ ID NO:6のポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するCD8アルファ(α)に由来する膜貫通ドメイン;
- SEQ ID NO:8からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、95%、97%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するヒト4-1BB(または4-1BB細胞内ドメイン)に由来する共刺激シグナル分子;
- SEQ ID NO:9からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、95%、97%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCD3ゼータシグナリングドメインを含む細胞内シグナリングドメイン。
【0249】
好ましい態様において、本発明のCD22特異的キメラ抗原受容体(CD22 CAR)は、ヒトCD28由来の、特にヒトCD28細胞内シグナリングドメイン由来のいかなる配列も含まない。より好ましい態様において、本発明のCD22特異的キメラ抗原受容体(CD22 CAR)は、ヒトCD28由来の、特にヒトCD28イントラシグナリングドメイン由来のいかなる配列も含まず、かつ、好ましくはCD22に特異的なscfvのVHドメインへ融合された、CD8α由来のシグナルペプチドをさらに含有する。
【0250】
一態様において、本発明はSEQ ID NO:15のCD22 CARを提供する。
【0251】
一態様において、本発明は、SEQ ID NO:15のポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するCD22 CARを提供する。
【0252】
一態様において、本発明は、SEQ ID NO:22のポリヌクレオチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する配列を有するCD22 CARを提供する。
【0253】
本発明のCD22 CARは、以下の配列を包含する:
【0254】
好ましい態様において、本発明のCD22 CARは以下の配列を含む。
【0255】
SEQ ID NO:2由来のペプチドシグナル、CD8α由来のTMドメイン、およびVHとVLドメインとの間のリンカーを有するCD22 CARの配列:
【0256】
一態様において、本発明は以下の配列を提供する:
このCD22CARにおいて、シグナルペプチドは存在しない。
【0257】
一態様において、本発明のUCART 22は、SEQ ID NO:20の配列を含む:
【0258】
一態様において、本発明のUCART 22は、SEQ ID NO:22の配列を含む。
【0259】
好ましい態様において、本発明のUCART 22は、ヒトTRAC遺伝子中へ(例えばヒトTRAC遺伝子染色体14 - NC_000014.9中に)挿入されたSEQ ID NO:22の配列を含み、かつ、CD22の近位部に特異的な抗CD22 CARを細胞表面で発現する。
【0260】
より好ましい態様において、本発明のUCART 22は、ヒトTRAC遺伝子中へ(例えばヒトTRAC遺伝子染色体14 - NC_000014.9中に)挿入されたSEQ ID NO:20の配列を含み、かつ、CD22の遠位部に特異的な抗CD22 CARを細胞表面で発現する。
【0261】
一局面において、本発明のCD22 CARの抗CD22結合性ドメインは、CD22の遠位部分に特異的な抗CD22結合性ドメインである。
【0262】
HA22-CAR
従って、本発明は、以下の配列を有するCD22 CARを提供する。
【0263】
好ましくは、本発明のUCART 22は、配列:
を含む。
【0264】
CD22の遠位部分に特異的な抗CD22結合性ドメインは、本発明のUCART22中において、単独で、またはCD22の近位部分に特異的な抗CD22結合性ドメインと共に、発現され得る。
【0265】
一局面において、本発明のCD22 CARの抗CD22結合性ドメインは、最適化された抗CD22結合性ドメインである。
【0266】
本明細書において使用される場合、「最適化」抗体(またはscfv)は、免疫グロブリンに由来する最小配列を含有するキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはその断片(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab')2、もしくは抗体の他の抗原結合性サブ配列)である、抗体(またはscfv)の形態を指す。好ましくは、抗体は、相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性および能力を達成するために、CDR由来の残基によって置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。
【0267】
ドナーCDRは、本発明のCD22 CARの結合特徴に有意に影響を与えるかまたはこれを変更し得るわずかなアミノ酸変更を受け得る。実際に、本明細書に提供される本発明の1つは、CD22発現細胞への結合(および細胞溶解活性)が維持されているが、応答(サイトカイン放出)の強度を低減させるように親和性が改変されている、CD22 CARである。
【0268】
アミノ酸改変は、通常、前記CAR中の前記抗体断片および/または前記CAR分子の他の部分のいずれかにおけるアミノ酸置換、付加および欠失を含む、保存的改変である。改変は、当技術分野で公知の標準的な技術、例えば部位特異的突然変異誘発、PCR媒介突然変異誘発によって、または最適化生殖細胞系列配列を用いることによって、抗体に、抗体断片に、または本発明のCAR分子の他の部分のいずれかに導入され得る。
【0269】
一般に、最適化CARは、少なくとも1つの、典型的に2つの、可変ドメインの実質的に全部を含むだろう。ここで、CDR領域の全部または実質的に全部は、元のヒト免疫グロブリンに対応する。
【0270】
保存的アミノ酸置換は、類似の側鎖を有するアミノ酸残基でアミノ酸残基が置き替えられる置換を意味する。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が挙げられる。従って、本発明のCAR内の1つまたは複数のアミノ酸残基を、同じ側鎖ファミリーの他のアミノ酸残基で置換することができ、本明細書に記載される機能アッセイを使用して、改変CARを試験することができる。
【0271】
好ましい態様において、本発明は、SEQ ID NO:15のポリペプチドのアミノ酸配列と比較して保存的配列改変(またはアミノ酸配列変更)を有するCD22 CARを提供する。
【0272】
好ましい態様において、本発明は、SEQ ID NO:15のポリペプチドのアミノ酸配列と比較して2個のアミノ酸変更を有するアミノ酸配列を有するCD22 CARを提供する
【0273】
好ましい態様において、本発明は、SEQ ID NO:15のポリペプチドのアミノ酸配列と比較して3個のアミノ酸変更を有するアミノ酸配列を有するCD22 CARを提供する。
【0274】
好ましい態様において、本発明は、SEQ ID NO:15のポリペプチドのアミノ酸配列と比較して4個のアミノ酸変更を有するアミノ酸配列を有するCD22 CARを提供する。
【0275】
好ましい態様において、本発明は、SEQ ID NO:20の少なくとも1つの配列を任意で含む、SEQ ID NO:15のポリペプチドのアミノ酸配列と比較して5個のアミノ酸変更を有するアミノ酸配列を有するCD22 CARを提供する。
【0276】
より好ましい態様において、本発明は、SEQ ID NO:15のポリペプチドのアミノ酸配列と比較して5個のアミノ酸変更を有するアミノ酸配列を有するCD22 CARを提供し、SEQ ID NO:15中の少なくとも1つのCDRが保存されている。
【0277】
より好ましい態様において、本発明は、SEQ ID NO:15のポリペプチドのアミノ酸配列と比較して1~15個のアミノ酸変更を有するアミノ酸配列を有するCD22 CARを提供し、SEQ ID NO:15中の少なくとも1つのCDRが保存されている。
【0278】
好ましい態様において、本発明のCD22 CARの配列は、該CARのその標的(CD22)への結合能力に影響を与えることなく、HAMA(ヒト抗マウス応答)を減らすために、wt CD22 CARと比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸を変更することによって改変される。
【0279】
好ましい態様において、本発明は、wt(はm971である)のアミノ酸配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸変更を有するアミノ酸配列を有するCD22 CARを提供し、該少なくとも1つのアミノ酸変更は、初代T細胞中の該CD22 CARの結合および/または活性に影響を有しないかまたはこれらを改善する。
【0280】
結合特徴は、参照により本明細書に組み入れられるMitchell Ho, Satoshi Nagata, and Ira Pastan. Isolation of anti-CD22 Fv with high affinity by Fv display on human cells PNAS 2006 103 (25) 9637-9642; 2006年6月8日に出版に先立って公表, doi:10.1073/pnas.0603653103に最初に記載された適合技術を使用して、改変され得る。
【0281】
それらの最適化scfvはまた、突然変異Pro-91-Thr-92 (PT) Gly-91-Ala-92およびVal-91-Phe-92に等価の少なくとも1つの突然変異を有する。
【0282】
一態様において、本発明は、以下を含む抗CD22 CARを提供する:
- 以下を含む細胞外ドメイン
シグナルペプチド
以下のPro-91-Thr-92 (PT)、Gly-91-Ala-92、Val-91-Phe-92、突然変異または等価物のうちの1つを有するモノクローナル抗CD22抗体由来のVHドメインおよびVLドメインを含む任意で最適化されたリガンド結合性ドメイン、
CD8アルファ(α)ヒンジを含む、ヒンジ
- CD8アルファ膜貫通ドメイン、ならびに
- CD3ゼータシグナリングドメインおよび4-1BB由来の共刺激ドメインを含む細胞質ドメイン。
【0283】
好ましい態様において、本発明は、前記モノクローナル抗CD22抗体が、CDR中にホットスポットを有するm971抗体に由来する、上記のような抗CD22 CARを提供する。好ましくは、以下のPro-91-Thr-92 (PT)、Gly-91-Ala-92、Val-91-Phe-92、突然変異のうちの1つ。
【0284】
より好ましい態様において、本発明は、以下を含む抗CD22 CARを含む単離された操作(TCRおよびdCK KO)免疫T細胞を提供する:
・以下を含む細胞外ドメイン、
シグナルペプチド、以下Pro-91-Thr-92、Gly-91-Ala-92突然変異;Val-91-Phe-92突然変異のうちの少なくとも1つを有するモノクローナル抗CD22抗体由来のVHドメインおよびVLドメインを含むリガンド結合性ドメイン、
CD8アルファ(α)ヒンジを含む、ヒンジ
- CD8アルファ膜貫通ドメイン、ならびに
- CD3ゼータシグナリングドメインおよび4-1BB由来の共刺激ドメインを含む細胞質ドメイン。
【0285】
より好ましい態様において、本発明は、以下を含む抗CD22 CARを含む単離された操作(TCRおよびCD52 KO)免疫T細胞を提供する:
・以下を含む細胞外ドメイン、
シグナルペプチド、以下Pro-91-Thr-92、Gly-91-Ala-92突然変異;Val-91-Phe-92突然変異のうちの少なくとも1つを有するモノクローナル抗CD22抗体由来のVHドメインおよびVLドメインを含むリガンド結合性ドメイン、
CD8アルファ(α)ヒンジを含む、ヒンジ
- CD8アルファ膜貫通ドメイン、ならびに
- CD3ゼータシグナリングドメインおよび4-1BB由来の共刺激ドメインを含む細胞質ドメイン。
【0286】
より好ましい態様において、本発明は、以下を含む抗CD22 CARを含む単離された操作(TCR、CD52およびdCK KO)免疫T細胞を提供する:
・以下を含む細胞外ドメイン、
シグナルペプチド、以下Pro-91-Thr-92、Gly-91-Ala-92突然変異;Val-91-Phe-92突然変異のうちの少なくとも1つを有するモノクローナル抗CD22抗体由来のVHドメインおよびVLドメインを含むリガンド結合性ドメイン、
CD8アルファ(α)ヒンジを含む、ヒンジ
- CD8アルファ膜貫通ドメイン、ならびに
- CD3ゼータシグナリングドメインおよび4-1BB由来の共刺激ドメインを含む細胞質ドメイン。
【0287】
一局面において、CAR 22は、少なくとも1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つの、モノクローナル抗体(mAb)特異的エピトープと共に細胞表面で共発現され得、該mAb特異的エピトープは、CD8の膜貫通ドメインへ融合され得る。一態様において、前記mAb特異的エピトープは、リツキシマブによって、および/またはQBEN10より認識されるエピトープであり、cD22 CARと共に共発現されるペプチドはRQR8である。
【0288】
別の態様において、少なくとも1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つの、モノクローナル抗体(mAb)特異的エピトープは、CD22に特異的なscfvのリンカーL(VHをVLへ結合する)中へ、かつ/または、CD22 CARのヒンジ中へ挿入され得る。
【0289】
モノクローナル抗体(molecular antibody)(mAb)特異的エピトープは、イブリツモマブ、チウキセタン、ムロモナブ-CD3、トシツモマブ、アブシキシマブ、バシリキシマブ、ブレンツキシマブベドチン、セツキシマブ、インフリキシマブ、リツキシマブ、アレムツズマブ、ベバシズマブ、セルトリズマブペゴル、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、ゲムツズマブ、ナタリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、ラニビズマブ、トシリズマブ、トラスツズマブ、ベドリズマブ、アダリムマブ、ベリムマブ、カナキヌマブ、デノスマブ、ゴリムマブ、イピリムマブ、オファツムマブ、パニツムマブ、QBEND-10およびウステキヌマブより、好ましくはリツキシマブ(R)よりおよび/またはQBEN10 (Q)より選択されるモノクローナル抗体によって特異的に認識される以下のmAb特異的エピトープのうちの1つであり得る。
【0290】
エピトープ特異的mAbは、CD22を発現する免疫細胞のインビトロ細胞選別および/またはインビボ細胞枯渇のために使用され得る。
【0291】
特定の態様において、本発明のCD22 CARの細胞外結合性ドメインは、以下の配列うちの1つを含み得る:
V1-L1-V2-(L)x-エピトープ1-(L)x-;
V1-L1-V2-(L)x-エピトープ1-(L)x-エピトープ2-(L)x-;
V1-L1-V2-(L)x-エピトープ1-(L)x-エピトープ2-(L)x-エピトープ3-(L)x-;
(L)x-エピトープ1-(L)x-V1-L1-V2;
(L)x-エピトープ1-(L)x-エピトープ2-(L)x-V1-L1-V2;
エピトープ1-(L)x-エピトープ2-(L)x-エピトープ3-(L)x-V1-L1-V2;
(L)x-エピトープ1-(L)x-V1-L1-V2-(L)x-エピトープ2-(L)x;
(L)x-エピトープ1-(L)x-V1-L1-V2-(L)x-エピトープ2-(L)x-エピトープ3-(L)x-;
(L)x-エピトープ1-(L)x-V1-L1-V2-(L)x-エピトープ2-(L)x-エピトープ3-(L)x-エピトープ4-(L)x-;
(L)x-エピトープ1-(L)x-エピトープ2-(L)x-V1-L1-V2-(L)x-エピトープ3-(L)x-;
(L)x-エピトープ1-(L)x-エピトープ2-(L)x-V1-L1-V2-(L)x-エピトープ3-(L)x-エピトープ4-(L)x-;
V1-(L)x-エピトープ1-(L)x-V2;
V1-(L)x-エピトープ1-(L)x-V2-(L)x-エピトープ2-(L)x;
V1-(L)x-エピトープ1-(L)x-V2-(L)x-エピトープ2-(L)x-エピトープ3-(L)x;
V1-(L)x-エピトープ1-(L)x-V2-(L)x-エピトープ2-(L)x-エピトープ3-(L)x-エピトープ4-(L)x;
(L)x-エピトープ1-(L)x-V1-(L)x-エピトープ2-(L)x-V2;または、
(L)x-エピトープ1-(L)x-V1-(L)x-エピトープ2-(L)x-V2-(L)x-エピトープ3-(L)x;
ここで、
V1は、好ましくはSEQ ID NO:12の、VLであり、かつ、V2は、好ましくはSEQ ID NO:13の、VHであり、または、V1はVHであり、かつ、V2はVLであり;
L1は、好ましくはSEQ ID NO:10の、VL鎖へVH鎖を連結するために適したリンカーであり;
Lは、グリシンおよびセリン残基を含むリンカーであり、かつ、細胞外結合性ドメイン中のLの各出現は、同じ細胞外結合性ドメイン中のLの他の出現と同一であっても異なっていてもよく、かつ、
xは0または1であり、かつ、xの各出現は、他のものから独立して選択され;かつ、
エピトープ1、エピトープ2およびエピトープ3はmAb特異的エピトープであり、かつ、同一であっても異なっていてもよい。
【0292】
一態様において、細胞外結合性ドメインは、以下の配列のうちの1つを含む:
V1-L1-V2-L-エピトープ1;V1-L1-V2-L-エピトープ1-L;V1-L1-V2-L-エピトープ1-L-エピトープ2;V1-L1-V2-L-エピトープ1-L-エピトープ2-L;V1-L1-V2-L-エピトープ1-L-エピトープ2-L-エピトープ3;V1-L1-V2-L-エピトープ1-L-エピトープ2-L-エピトープ3-L;V1-L1-V2-エピトープ1;V1-L1-V2-エピトープ1-L;V1-L1-V2-エピトープ1-L-エピトープ2;V1-L1-V2-エピトープ1-L-エピトープ2-L;V1-L1-V2-エピトープ1-L-エピトープ2-L-エピトープ3;V1-L1-V2-エピトープ1-L-エピトープ2-L-エピトープ3-L;エピトープ1-V1-L1-V2;エピトープ1-L-V1-L1-V2;L-エピトープ1-V1-L1-V2;L-エピトープ1-L-V1-L1-V2;エピトープ1-L-エピトープ2-V1-L1-V2;エピトープ1-L-エピトープ2-L-V1-L1-V2;L-エピトープ1-L-エピトープ2-V1-L1-V2;L-エピトープ1-L-エピトープ2-L-V1-L1-V2;エピトープ1-L-エピトープ2-L-エピトープ3-V1-L1-V2;エピトープ1-L-エピトープ2-L-エピトープ3-L-V1-L1-V2;L-エピトープ1-L-エピトープ2-L-エピトープ3-V1-L1-V2;L-エピトープ1-L-エピトープ2-L-エピトープ3-L-V1-L1-V2;V1-L-エピトープ1-L-V2;L-エピトープ1-L-V1-L-エピトープ2-L-V2;V1-L-エピトープ1-L-V2-L-エピトープ2-L;V1-L-エピトープ1-L-V2-L-エピトープ2-L-エピトープ3;V1-L-エピトープ1-L-V2-L-エピトープ2-エピトープ3;V1-L-エピトープ1-L-V2-L-エピトープ2-L-エピトープ3-エピトープ4;L-エピトープ1-L-V1-L-エピトープ2-L-V2-L-エピトープ3-L;エピトープ1-L-V1-L-エピトープ2-L-V2-L-エピトープ3-L;L-エピトープ1-L-V1-L-エピトープ2-L-V2-L-エピトープ3;L-エピトープ1-L-V1-L1-V2-L-エピトープ2-L;L-エピトープ1-L-V1-L1-V2-L-エピトープ2-L-エピトープ3;L-エピトープ1-L-V1-L1-V2-L-エピトープ2-エピトープ3、またはエピトープ1-L-V1-L1-V2-L-エピトープ2-L-エピトープ3-エピトープ4、ここで
V1はVLであり、かつ、V2はVHであり、または、V1はVHであり、かつ、V2はVLであり;かつ、VH、およびVLは、m971由来の最適化されたVHおよびVLであり;
L1は、VL鎖へVH鎖を連結するために適した任意のリンカーであり;
Lは、グリシンおよびセリン残基を含むリンカーであり、かつ、細胞外結合性ドメイン中のLの各出現は、同じ細胞外結合性ドメイン中のLの他の出現と同一であっても異なっていてもよく、かつ、
エピトープ1、エピトープ2およびエピトープ3はmAb特異的エピトープであり、かつ、同一であっても異なっていてもよい。
【0293】
L1は、グリシンおよび/またはセリンを含むリンカーであり、好ましくは、L1は、アミノ酸配列(Gly-Gly-Gly-Ser)nまたは(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)nを含むリンカー(ここで、nは1、2、3、4または5である)、またはアミノ酸配列(Gly4Ser)4または(Gly4Ser)3を含むリンカーである。
【0294】
同様に、Lは、グリシンおよび/またはセリンを含むリンカーであり、好ましくは、Lは、
より選択されるアミノ酸配列を有するリンカーであり、好ましくは、LはSGGGG、GGGGSまたはSGGGGSである。
【0295】
好ましい態様において、エピトープ1、エピトープ2、エピトープ3およびエピトープ4は、イブリツモマブ、チウキセタン、ムロモナブ-CD3、トシツモマブ、アブシキシマブ、バシリキシマブ、ブレンツキシマブベドチン、セツキシマブ、インフリキシマブ、リツキシマブ、アレムツズマブ、ベバシズマブ、セルトリズマブペゴル、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、ゲムツズマブ、ナタリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、ラニビズマブ、トシリズマブ、トラスツズマブ、ベドリズマブ、アダリムマブ、ベリムマブ、カナキヌマブ、デノスマブ、ゴリムマブ、イピリムマブ、オファツムマブ、パニツムマブ、QBEND-10およびウステキヌマブによって特異的に認識されるmAb特異的エピトープより独立して選択され、好ましくは、エピトープ1、エピトープ2、エピトープ3およびエピトープ4は、リツキシマブまたはQBEND-10によって認識される。
【0296】
エピトープ1、エピトープ2、エピトープ3およびエピトープ4は、以下によって特異的に認識されるmAb特異的エピトープである:
【0297】
mAb特異的エピトープは、従って、
より選択される1つのポリペプチドを含み得る。
【0298】
好ましい態様において、mAb特異的エピトープは、
のアミノ酸配列を有するmAb特異的エピトープである。
【0299】
より好ましい態様において、本発明のCD22 CARは、CPYSNPSLC (R)のアミノ酸配列を有する3つのmAb特異的エピトープ、および
のアミノ酸配列を有する1つを含む。
【0300】
さらにより好ましい態様において、本発明のCD22 CARは、VLの直後の、ヒンジのNT部に配置されたCPYSNPSLC (R)のアミノ酸配列を有する2つのmAb特異的エピトープを含む。
【0301】
一局面において、リツキシマブが結合する少なくとも1つの配列(R)および/またはQBEN10が結合する配列(Q)は、(WO2016120216)において以前記載されたように、リンカー
中へおよび/またはヒンジ中へ挿入され得る。
【0302】
特定の態様において、本発明のCD22 CARは、単鎖CAR(scCAR)である。
【0303】
特定の態様において、本発明の単鎖抗CD22 CARは、m971由来のscfv、および、好ましくは、CD22の遠位部に特異的な、あるいは、別のB細胞抗原、特に、B細胞悪性腫瘍によって発現される場合、例えば、CD34、CD10、CD79a、CD20、IgD、CD5、CD23、CD19、STAT5、CD3、CD30、BCMAに特異的な、少なくとも1つの他の結合性ドメインを含む。特定の態様において、本発明のCD22 CARは多重鎖CAR(mcCAR)である。多重鎖CD22 CARは本発明の一部であり、参照により本明細書に組み入れられるWO2014039523に詳細に記載されるように製造され得る。特定の態様において、CD22に特異的な免疫グロブリンのVHドメインおよびVLドメインまたは免疫グロブリンの部分は、多重鎖CARの2つの異なりかつ隔離された(非共有結合的に結合された)鎖によって運ばれ得る。
【0304】
多重鎖型において、本発明のCD22 CARは、少なくとも2つの、好ましくは3つの膜貫通ドメイン(互いへ非共有結合的に結合された)を含み、膜貫通ドメインのうちの少なくとも1つは、本発明のCD22に特異的なscfvを含む。
【0305】
特定の態様において、好ましくはm971由来の、CD22に特異的な免疫グロブリンのVHドメインおよびVLドメインは、多重鎖CARの1つの鎖によって運ばれ得る。
【0306】
本発明のsc CD22 CARおよびmc CD22 CARの例を
図2に提供する。
【0307】
特定の態様において、好ましくはm971由来の、CD22に特異的な免疫グロブリンのVHドメインおよびVLドメインは、多重鎖CARの1つの鎖によって運ばれ得、CD22に特異的な別の免疫グロブリンのVHドメインおよびVLドメインが、mc CARの別の鎖によって運ばれ得る。
【0308】
標的抗原のダウンレギュレーションまたは変異は、がん細胞において一般的に観察され、抗原損失エスケープバリアントを作製する。従って、腫瘍エスケープを相殺し、免疫細胞を標的に対してより特異的にするため、本発明によるCD22特異的CARは、標的内の異なる要素に同時に結合し、それによって、免疫細胞の活性化および機能を強化するための、他の細胞外リガンド結合性ドメインを含んでいてもよい。一つの態様において、細胞外リガンド結合性ドメインは、同一の膜貫通ポリペプチド上にタンデムに置かれてもよく、任意で、リンカーによって隔てられていてもよい。
【0309】
別の態様において、前記異なる細胞外リガンド結合性ドメインは、多重鎖CARを構成する異なる膜貫通ポリペプチド上に配置され得る。別の態様において、本発明は、異なる細胞外リガンド結合性ドメインを含むCARの集団に関し、各々のうちの1つがCD22に特異的である。
【0310】
一態様において、CD22に特異的な細胞外結合性ドメインおよび第2の細胞外結合性ドメインが、同じscCAR上にある。
【0311】
別の態様において、CD22に特異的な細胞外結合性ドメインおよび第2の細胞外結合性ドメインが、同じmc CAR上にあり、該mc CARの同じかまたは2つの異なりかつ非共有結合的に結合された膜貫通ドメインに属する。
【0312】
他の第2の細胞外結合性ドメインとしては、病的細胞上のCD22と関連する(共発現される-一時的であってさえ)抗原、例えば、CD34、CD10、CD79a、CD20、IgD、CD5、CD23、CD19、STAT5、CD3、CD30、BCMA、PAX5、CD19、CD20、CD30、グリコスフィンゴリピド、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子、Ig、CD3、CD34、CD79、好ましくはCD79a、CD138、B7-1 (CD80)、B7-2 (CD86)、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子、BCMA (CD269、TNFRSF 17)またはFLT-3、Pax5に対して結合特異的な任意の細胞外結合性ドメインがあり得る。
【0313】
本発明はまた、関連するCD22 CAR核酸、CD22 CAR組換え発現ベクター、CD22 CARが付与された少なくとも別の編集された遺伝子を含む、操作TCR KO細胞、好ましくはT細胞、CD22 CARが付与された該TCR KO細胞の集団、およびCD22 CARに関する薬学的組成物、タンパク質、発現ベクター、本発明の前記CD22CARを発現する操作TCR KO CD52 KO細胞を提供する。
【0314】
本発明は、以下を提供する:本発明のCD22 CARに関連する核酸、組換え発現ベクター、低酸素に対する耐性を付与する遺伝子、アレムツズマブに対する、プロテアーゼ阻害剤(例えばボルテゾミブ)に対する耐性を付与する遺伝子、PNA(dCK)に対する耐性を付与する遺伝子より選択される少なくとも別の編集された遺伝子を含みかつCD22 CARが付与された操作TCR KO細胞、および関連する核酸、下記のような少なくとも別の編集された遺伝子を含み、前記CD22 CARが付与された、操作TCR KO細胞の集団、ならびに前記の同じ物を医薬として含む薬学的組成物。
【0315】
ポリヌクレオチド、ベクター:
本発明は、本発明に従う上述のCD22 CARをコードするポリヌクレオチド、ベクターに関する。
【0316】
ポリヌクレオチドは、発現カセットまたは発現ベクター(例えば、細菌宿主細胞への導入のためのプラスミド、または昆虫宿主細胞のトランスフェクションのためのウイルスベクター、例えばバキュロウイルスベクター、または哺乳動物、好ましくはヒト宿主細胞への導入のためのプラスミドもしくはウイルスベクター、例えばレンチウイルスもしくはアデノ随伴ウイルス)中に存在し得る。
【0317】
特定の態様において、2Aペプチドをコードする配列のようなリボソームスキップ配列をコードする核酸配列を含む一つのポリヌクレオチドまたはベクターに、異なる核酸配列を含めることができる。ピコルナウイルスのアフトウイルス亜群において同定された2Aペプチドは、コドンによってコードされた2つのアミノ酸の間にペプチド結合が形成されない、あるコドンから次のコドンへのリボソーム「スキップ」を引き起こす((Donnelly and Elliott 2001; Atkins, Wills et al. 2007; Doronina, Wu et al. 2008)を参照されたい)。
【0318】
従って、本発明は、ペプチド2Aによって連結されたRQR8および抗CD22CARをコードする
図4におけるようなベクターを提供する。
【0319】
「コドン」とは、リボソームによって1つのアミノ酸残基へ翻訳されるmRNA(またはDNA分子のセンス鎖)上の3ヌクレオチドを意味する。従って、ポリペプチドが、インフレームにある2Aオリゴペプチド配列によって隔てられている時、mRNA内の単一の連続するオープンリーディングフレームから、2つのポリペプチドが合成され得る。そのようなリボソームスキップ機序は、当技術分野において周知であり、単一のメッセンジャーRNAによってコードされた数種のタンパク質の発現のため、数種のベクターによって使用されることが公知である。
【0320】
本発明のCD22 CARを細胞中において発現させるベクターは、本発明の別の物である。好ましい態様において、前記ベクターは、本発明のCD22 CARの一過性発現を可能にする。より好ましい態様において、前記ベクターは、細胞のゲノム中への前記CD22 CARをコードする配列の挿入によって、本発明のCD22 CARの構成的および安定発現を可能にする。
【0321】
本発明のCD22 CARの発現および/または本発明のCD22 CARを発現する細胞の生存は、(R. Kuhn, F. Schwenk, M. Aguet, K. Rajewsky. Inducible gene targeting in mice. Science 8 September 1995: Vol. 269 no. 5229 pp. 1427-1429 DOI:10.1126/science.7660125、および引用文献に記載されるように、誘導性プロモーターの制御下で遺伝子を使用して制御され得る。
【0322】
一態様において、細胞外ドメインが、m971 scfvドメインとヒトCD8アルファ由来のヒンジとの間に配置されたSEQ ID NO:19 (CPYSNPSLC)の少なくとも2つのCD20ミモトープを含む、CD22 CARを提供する。特許文献WO2016120216A1は、そのような構築物を調製するための方法を開示しており、参照により本明細書に組み入れられる。
【0323】
一態様において、本発明は、SEQ ID NO:22より選択されるCD22 CARをコードする配列を含むベクターを提供する。
【0324】
膜貫通ポリペプチドを宿主細胞の分泌経路へ差し向けるためには、(リーダー配列、プレプロ配列、またはプレ配列としても公知の)分泌シグナル配列が、ポリヌクレオチド配列またはベクター配列の中に提供される。分泌シグナル配列は、膜貫通核酸配列に機能的に連結される。即ち、2種の配列は、正確なリーディングフレームにおいて結合され、新たに合成されたポリペプチドが宿主細胞の分泌経路へ差し向けられるよう位置付けられる。分泌シグナル配列は概して、関心対象のポリペプチドをコードする核酸配列の5'に位置するが、ある種の分泌シグナル配列は、関心対象の核酸配列の他の場所に位置し得る(例えば、Welchら、米国特許第5,037,743号;Hollandら、米国特許第5,143,830号を参照されたい)。好ましい態様において、シグナルペプチドはアミノ酸配列SEQ ID NO:1および2を含む。
【0325】
より好ましい態様において、本発明のCARのシグナルペプチドは、ヒトCD8アルファ由来のSEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含む。
【0326】
当業者は、遺伝暗号の縮重を考慮して、これらのポリヌクレオチド分子において相当の配列変動が可能であることを認識するであろう。好ましくは、本発明の核酸配列は、哺乳動物細胞における発現のため、好ましくは、ヒト細胞における発現のため、コドン最適化される。コドン最適化とは、関心対象の配列において、所定の種の高発現遺伝子において通常は稀であるコドンを、そのような種の高発現遺伝子において概して高頻度であるコドンへ交換することをさす。そのようなコドンは、交換されるコドンとしてアミノ酸をコードする。
【0327】
CD22 CARが付与された免疫細胞を操作する方法:
本発明は、免疫療法用の免疫細胞を調製する方法であって、以前に記載されたような好ましくはSEQ ID NO:15の、本発明のCD22 CARのうちの1つをコードするポリヌクレオチドまたはベクターを該免疫細胞中へエクスビボで導入する工程を含む方法を包含する。
【0328】
好ましい態様において、前記ポリヌクレオチドは、免疫細胞中で安定発現されることを考慮してベクター中へ含まれる。
【0329】
さらなる態様によれば、前記方法は、前記細胞を遺伝子改変し、それを養子移入について、および/または該免疫細胞生存に影響を与える薬物と共の使用について、特に、単独での、または免疫細胞が耐性にされている薬物と組み合わせての移植(同種異系移植、または同種移植とも呼ばれる)について、より好適にする工程をさらに含む。
【0330】
この後者の場合において、操作細胞は、最初にドナーから単離され、操作細胞が耐性にされている薬物と組み合わせて同じドナー中への再注入のために使用され得る。
【0331】
遺伝子の編集のために、PA201670503に記載される方法が参照により本明細書に組み入れられ、下記の実施例において説明され、遺伝子の編集は、本明細書において、遺伝子を改変すること、または遺伝子を不活性化すること、例えば、遺伝子を突然変異させること、遺伝子を欠失させること、遺伝子中に配列を挿入すること、該遺伝子(これは遺伝子のプロモーターを含む)のメチル化を改変することなどを意味する。
【0332】
参照により本明細書に組み入られる、MacLeod et al., Integration of a CD19 CAR into the TCR Alpha Chain Locus Streamlines Production of Allogeneic Gene-Edited CAR T Cells, Molecular Therapy (2017), http://dx.doi.org/10.1016/j.ymthe.2017.02.005に記載される方法もまた、TCR KO CD22 CAR、またはHIF-1aを過剰発現することによって低酸素に対する耐性を有するCD22 CARが付与された細胞を調製するために本発明において使用される方法の、可能性がある代替法である。
【0333】
本発明の方法は、より効率的なプロダクトをもたらす、TRAC遺伝子(TCRのTCRアルファサブユニットをコードする)中にCD22 CARを「ノックインする」ための細胞相同組換え修復(HDR)機構に基づく。
【0334】
外因性DNA配列でのHDRが、CRISPR/Cas9と対形成された短いオリゴヌクレオチドを使用してT細胞中において以前記載された。他のものは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが、HDRによる遺伝子挿入を達成するために部位特異的ヌクレアーゼCrispr/Cas9またはMegaTALと協力してテンプレートとして使用され得ることを示した。本発明において、TCR遺伝子中へCARを挿入するためにアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターおよびTALENを組み合わせる新規の方法を提供する。
【0335】
UCART22において、AAV6ベクターは、TRAC遺伝子(TCRのアルファサブユニットをコードする遺伝子)またはPCT/EP2017/076798に開示される任意の遺伝子などの遺伝子の特異的TALENを使用する遺伝子編集後に使用され得る。
【0336】
TALENはDNA配列に特異的であり、遺伝子、好ましくはTRAC遺伝子中への配列の組込みを可能にするため、本発明はまた、使用されるTALENによって決定されるTRAC遺伝子の正確な領域に配置されたCAR、好ましくは上述のようなCD22 CARをコードする配列を含む操作免疫細胞を提供する。前記操作免疫細胞のTRAC遺伝子中の配列は、TALEN特異性に起因してユニークである。
【0337】
従って、本発明は、以下の配列を含む操作免疫細胞を提供する;
(YYY)
n-ZZZ-(XXX)
m
ここで、nは、= 1~少なくとも10であり、
かつ、mは、= 1~100であり、好ましくはmは> 100であり、かつ、組込まれる配列の塩基対の数を示し、
ここで、ZZZは、TRACをコードする配列とインフレームの、2Aペプチドなどの自己切断性ペプチドをコードし、
Yは、AまたはTまたはGまたはCであり、かつ、少なくとも
好ましくは
を含むTALENによって標的とされるTRAC遺伝子の配列に隣接するかまたはこれを含み、かつ、(XXX)nは、AまたはTまたはGまたはCであり、かつ、TRAC遺伝子中へ挿入される外因性配列、好ましくはCARをコードする配列、より好ましくはCD22 CARをコードする配列、の一部である。
【0338】
一態様において、TRAC遺伝子は欠失され、挿入遺伝子はTRACプロモーターの制御下で発現される。
【0339】
追加または代替の配列、例えば、IRES内部リボソーム侵入部位が、TALEN標的とXXXとの間に挿入され得る。
【0340】
本発明において、TALEN標的はSEQ ID NO:21であり、CAR CD22はSEQ ID NO:22である。
【0341】
一態様において、前記TALENによって切断される配列は、
である。配列
は、挿入配列に依存して、本発明の操作細胞中に少なくとも一部分保存され得る(
図9を参照されたい)。
【0342】
本発明は、SEQ ID NO:22を含むTRAC遺伝子を含む操作免疫細胞を提供する。
【0343】
本発明は、TRAC遺伝子中へ、好ましくは遺伝子座:
の任意の場所に挿入されたCD22に特異的なCARをコードする配列またはCD19に特異的なCARをコードする配列を含む操作免疫細胞を提供する。
【0344】
従って、特定の態様において、本発明の操作免疫細胞は、CARをコードする2つの異なる配列を含み、該2つの異なるCARを発現する。細胞表面で、TCRの検出不可能なレベル。
【0345】
従って、特定の態様において、本発明の操作免疫細胞は、CARをコードする2つの異なる配列を含み、該2つの異なるCARを発現する。細胞表面で、TCRおよびMHCクラスIの検出不可能なレベル。
【0346】
本発明の操作免疫細胞は、そのゲノムTRAC遺伝子中に、好ましくはSEQ ID NO:22の、CD22をコードする配列、および、CD19に特異的なCARをコードする別の外因性遺伝子が挿入されている別のゲノム配列を含む。
【0347】
本発明の操作免疫細胞は、そのゲノムTRAC遺伝子中に、好ましくはSEQ ID NO:22の、CD22をコードする配列、および、CD34に特異的なCARをコードする別の外因性遺伝子が挿入されている別のゲノム配列を含む。
【0348】
本発明の操作免疫細胞は、そのゲノムTRAC遺伝子中に、好ましくはSEQ ID NO:22の、CD22をコードする配列、および、CD79aに特異的なCARをコードする別の外因性遺伝子が挿入されている別のゲノム配列を含む。
【0349】
本発明の操作免疫細胞は、そのゲノムTRAC遺伝子中に、好ましくはSEQ ID NO:22の、CD22をコードする配列、および、CD79bに特異的なCARをコードする別の外因性遺伝子が挿入されている別のゲノム配列を含む。
【0350】
本発明の操作免疫細胞は、そのゲノムTRAC遺伝子中に、好ましくはSEQ ID NO:22の、CD22をコードする配列、および、CD10に特異的なCARをコードする別の外因性遺伝子が挿入されている別のゲノム配列を含む。
【0351】
本発明の操作免疫細胞は、そのゲノムTRAC遺伝子中に、好ましくはSEQ ID NO:22の、CD22をコードする配列、および、IgDに特異的なCARをコードする別の外因性遺伝子が挿入されている別のゲノム配列を含む。
【0352】
本発明の操作免疫細胞は、そのゲノムTRAC遺伝子中に、好ましくはSEQ ID NO:22の、CD22をコードする配列、および、CD5に特異的なCARをコードする別の外因性遺伝子が挿入されている別のゲノム配列を含む。
【0353】
本発明の操作免疫細胞は、そのゲノムTRAC遺伝子中に、好ましくはSEQ ID NO:22の、CD22をコードする配列、および、CD23に特異的なCARをコードする別の外因性遺伝子が挿入されている別のゲノム配列を含む。
【0354】
本発明の操作免疫細胞は、そのゲノムTRAC遺伝子中に、好ましくはSEQ ID NO:22の、CD22をコードする配列、および、CD30に特異的なCARをコードする別の外因性遺伝子が挿入されている別のゲノム配列を含む。
【0355】
本発明の操作免疫細胞は、そのゲノムTRAC遺伝子中に、好ましくはSEQ ID NO:22の、CD22をコードする配列、および、BCMAに特異的なCARをコードする別の外因性遺伝子が挿入されている別のゲノム配列を含む。
【0356】
本発明の操作免疫細胞は、そのゲノムTRAC遺伝子中に、好ましくはSEQ ID NO:22の、CD22をコードする配列、および、FLT3に特異的なCARをコードする別の外因性遺伝子が挿入されている別のゲノム配列を含む。
【0357】
本発明の操作免疫細胞は、そのゲノムTRAC遺伝子中に、好ましくはSEQ ID NO:22の、CD22をコードする配列、および、CD138に特異的なCARをコードする別の外因性遺伝子が挿入されている別のゲノム配列を含む。
【0358】
本発明の操作免疫細胞は、そのゲノムTRAC遺伝子中に、好ましくはSEQ ID NO:22の、CD22をコードする配列、および、CD80に特異的なCARをコードする別の外因性遺伝子が挿入されている別のゲノム配列を含む。
【0359】
本発明の操作免疫細胞は、そのゲノムTRAC遺伝子中に、好ましくはSEQ ID NO:22の、CD22をコードする配列、および、CD86に特異的なCARをコードする別の外因性遺伝子が挿入されている別のゲノム配列を含む。
【0360】
第2のCARをコードする別の外因性遺伝子が挿入される別のゲノム配列は、PCT/EP2017/076798またはWO2017069958A2に開示される遺伝子のいずれか1つであり得る。
【0361】
CARをコードする他の外因性遺伝子は、自己切断性ペプチドおよびCD22 CAR配列(好ましくは SEQ ID NO:)とインフレームでTRAC遺伝子中へ、またはPCT/EP2017/076798に開示されるかもしくは以下の中で選ばれるもののようなタンパク質をコードする別の遺伝子中へ、挿入され得る。
【0362】
UCART 22中の好ましい編集された(KO)遺伝子は、
である。
【0363】
好ましくは、第2のCARが挿入される遺伝子は、表Aに記載されるもののうちのいずれか1つより選択されるT細胞活性化中に活性なゲノム遺伝子であるか:
(表A)
またはPCT/EP2017/076798に開示されるようなセーフハーバー遺伝子座中または表AAにある。
【0364】
【0365】
第2のCARが挿入され得る他の遺伝子は、以下より選択される表B中のタンパク質のうちのいずれか1つをコードする遺伝子であり得る。
【0366】
【0367】
UCART22は、本明細書に開示されるようなCD22 CARまたは別の遺伝子を挿入するために、AAVベクター、好ましくはAAV6ベクター、さらにより好ましくはAAV6 /2ベクターを使用して、調製され得る。AAVベクターは、特異的なエンドヌクレアーゼを使用して、TRAC遺伝子(TCRまたはアルファサブユニットをコードする遺伝子)またはPCT/EP2017/076798に開示される任意の遺伝子などの遺伝子編集後に使用され得る。
【0368】
養子細胞移入は患者中への細胞の移入である。細胞は、患者自身から生じ、次いで改変され、その後、移し戻されてもよく(同系移入)、または、それらは別の個体から生じてもよい。改善された免疫機能性および特徴を細胞と一緒に患者へ移し戻すことを目的に、細胞は、最も一般的に、免疫系から誘導される。自己細胞、または患者由来の細胞を移入することは、移植片対宿主病(GVHD)または組織もしくは臓器拒絶を最小限にする。同様に、TCR欠損T細胞CD22 CART細胞を移入することは、GVHDを最小限にする。TCR欠損MHCI欠損CD22CARTを移入することはGVHDおよびHVGDを最小限にする。
【0369】
一態様において、前記免疫細胞を遺伝子改変する(操作する)工程は、本発明のCD22 CARのうちの1つをコードするポリヌクレオチドまたはベクターを該細胞中へ導入する工程の前に行われる。第1の局面によれば、免疫細胞は、例えば、WO2008102199またはWO2015136001またはWO2016201047(これらは全て参照により本明細書に組み入れられる)に記載されるようなβ2m遺伝子などのHLA発現をコードするかまたは制御する遺伝子の不活性化と組み合わせられてもよい、WO 2013/176915に記載されるようなT細胞受容体(TCR)の1つまたは複数の成分を発現する少なくとも1つの遺伝子を不活性化することによって、同種異系性を低くすることができる。従って、移植片対宿主症候群のリスクおよび移植片拒絶のリスクは有意に低下する。
【0370】
別の局面によれば、本発明の免疫細胞は、参照により本明細書に組み入れられるWO201575195に開示されるようなCD22陽性悪性細胞を処置するための標準医療として使用される免疫抑制薬または化学療法処置に対する操作免疫細胞の耐性が改良されるように、さらに遺伝子操作することができる。
【0371】
Campath(アレムツズマブ)に対する耐性
一つの好ましい態様において、T細胞へ薬物耐性を付与するために不活性化され得る遺伝子は、グルココルチコイド受容体(GR)およびCD52である。遺伝子は、細胞をこれらの処置に対して耐性にし、特異的CD22 CARが付与されていない患者自身のT細胞と比べての競争優位性を細胞に与えるために不活性化される。
【0372】
本発明に従う操作免疫細胞におけるCD52およびTRAC遺伝子の不活性化は、TALEヌクレアーゼまたはCRISPR CAS9系を使用して行われる。
【0373】
一つのより好ましい態様において、T細胞へ薬物耐性を付与するために不活性化され得る遺伝子は、CD22 CARが付与されたTCR KO免疫T細胞におけるCD52である。
【0374】
一つの好ましい態様において、T細胞へ薬物耐性を付与するために不活性化され得る遺伝子は、グルココルチコイド受容体(GR)である。
【0375】
CD3遺伝子の発現もまた、別の免疫抑制薬であるテプリズマブに対する耐性を付与するために抑制または低減され得る。HPRTの発現もまた、特に急性リンパ芽球性白血病の治療のための化学療法において一般的に使用される細胞増殖抑制剤である、6-チオグアニンに対する耐性を付与するために、本発明に従って抑制または低減され得る。
【0376】
ヒトデオキシシチジンキナーゼ(dCK)遺伝子の欠失によるプリンヌクレオチド類似体に対する耐性
一つの好ましい態様において、T細胞に薬物耐性を付与するために不活化することができる遺伝子は、ヒトデオキシシチジンキナーゼ(dCK)遺伝子である。この酵素は、デオキシリボヌクレオシド類であるデオキシシチジン(dC)、デオキシグアノシン(dG)およびデオキシアデノシン(dA)のリン酸化に要求される。プリンヌクレオチド類似体(PNA)は、dCKによって、PNA一リン酸、PNA二リン酸、およびPNA三リン酸に代謝される。それらの三リン酸型、特にクロファラビン三リン酸は、DNA合成に関してATPと競合して、アポトーシス促進剤として作用し、トリヌクレオチド生産に関与するリボヌクレオチドレダクターゼ(RNR)の強力な阻害剤である。
【0377】
本発明に従う操作免疫細胞におけるdCK遺伝子の不活化は、TALEヌクレアーゼまたはCRISPR CAS9系によって媒介される。この目標を達成するために、数ペアのdCK TALEヌクレアーゼをポリヌクレオチドレベルで設計し、アセンブルし、シーケンシングによって検証した。本発明に従って使用することができるTALEヌクレアーゼペアの例は、PCT/EP2014/075317に記述されている。
【0378】
本発明の操作免疫細胞におけるこのdCK不活性化は、クロファラビンおよびフルダラビンなどのプリンヌクレオシド類似体(PNA)に対する耐性を付与する。
【0379】
別の好ましい態様において、本発明の操作免疫細胞におけるdCK不活性化は、TRAC遺伝子の不活化と組み合わせることで、これらの二重ノックアウト(KO)(TCRまたはTRAC KOおよびdCK KO)細胞を、クロファラビンなどの薬物に対して耐性にすると共に、同種異系性を低くする。
【0380】
別の好ましい態様において、本発明の操作免疫細胞におけるCD52不活性化は、TRAC遺伝子の不活化と組み合わせることで、これらの二重ノックアウト(KO)(TCRまたはTRAC KOおよびCD52 KO)細胞を、CAMPATH(アレムツズマブ)などの薬物に対して耐性にすると共に、同種異系性を低くする。
【0381】
この二重の特徴は、治療目標にとってはとりわけ有用であり、処置を必要とするがんを持つ患者を処置するために、免疫療法用の「既製の」同種異系細胞(UCART22)を化学療法と併用することを可能にする。この二重KO不活化dCK/TRACまたはCD52/TRACは、同時にまたは逐次的に行うことができる。本発明において奏功したTALEヌクレアーゼdCK/TRACペアの一例は、PCT/EP2014/075317、特に2つの遺伝子座の標的配列(dCKおよびTRAC)に記載されている。文献PCT/EP2014/075317は、その全体が本明細書に組み入れられる。
【0382】
本発明は、SEQ ID NO:15のCD22 CARを発現する初代T細胞を提供し、ここで、CD52およびTRAC遺伝子は、任意でリンパ球枯渇患者における、CLL、ALL、好ましくはそれらの侵攻性、再発性難治性形態、より好ましくはB-ALLの再発性難治性形態の治療におけるそれらの使用のために欠失によって不活性化されている。
【0383】
本発明のさらなる局面によれば、免疫細胞は、PDCD1またはCTLA-4のような、T細胞活性化の制御因子として働く「免疫チェックポイント」として働くタンパク質をコードする遺伝子を不活性化することによって、より高活性にするためまたは消耗を制限するため、さらに操作することができる。発現が低減または抑制され得る遺伝子の例を表9に示す
【0384】
本発明はまた、CD52、TRACおよびdCK遺伝子が欠失された、SEQ ID NO:15のCD22 CARを発現する初代T細胞を提供する。
【0385】
別の態様において、本発明はまた、低酸素に対して耐性にされたCD22 CARを発現する初代T細胞を提供する。
【0386】
本発明はまた、CD52、TRACおよびdCK遺伝子が欠失され、HIF-1aの配列が挿入され、細胞を低酸素に対して耐性にした、SEQ ID NO:15のCD22 CARを発現する初代T細胞を提供する。
【0387】
低酸素に対する操作細胞耐性
特定の態様において、低酸素条件(低酸素)(1~5% O2に対して、通常の酸素条件20% O2と比較した場合)下で、本発明のCD22 CAR T細胞の発現および細胞溶解活性は維持されるか、または、CD22 CAR T細胞の発現が誘導されかつ活性は維持され、該細胞は、組織中へ埋め込まれた場合、依然として腫瘍細胞を標的とし、そして破壊する。
【0388】
T細胞中の低酸素誘導性CARの例は、(WO2013123061またはJuillerat, A. et al. An oxygen sensitive self-decision making engineered CAR T-cellSci. Rep. 7, 39833; doi: 10.1038/srep39833 (2017);両方とも参照により組み入れられる)に記載されており:CD22 CARの発現を駆動するOxiTFに特異的な合成プロモーターが構築された。OxiTFは、CD22 CARをコードする合成遺伝要素を活性化するための設計である。(低酸素を作る)腫瘍に遭遇すると、操作T細胞は、酸素レベルの減少(血液中のO2の平均レベルと比較した場合)を「検出し」、CD22 CARの発現をトリガーすることができる。CD22 CARの細胞表面露出は、該CD22 CAR内に存在する活性化ドメインおよび共刺激ドメインを介して最終的にT細胞活性化および増殖をトリガーする低酸素下での腫瘍抗原の認識を可能にする。最終的に、腫瘍抗原発現細胞は、本発明のUCART22によって溶解される。
【0389】
本発明において、免疫細胞はまた、以下の因子:Oct3、Oct4、Sox2、Klf4およびc-Mycのうちの少なくとも1つ、好ましくは全部を過剰発現させることによって、またはHIF-1a因子を編集することによって、低O2条件(低酸素濃度平均値1~5%)下で効率的なままであるように操作され得る。
【0390】
本発明において、酸素感受性CD22単鎖CAR発現操作細胞および低酸素耐性CD22 CAR発現操作細胞を、首尾よく構築および試験した。
【0391】
「液体」腫瘍であり、従って、固形腫瘍とは対照的に低酸素を作ることになっていないCD22発現B細胞悪性腫瘍上に、CD22は主に発現されるため、低酸素に対して耐性であるCD22 CAR操作免疫細胞が、患者由来のB-ALLに対して、低酸素に対して耐性でないCD22 CAR操作免疫細胞と比べてより効率的であることは予想されなかった。実際、組織中においてクラスター化されたかまたは生息している入れ子にされたがん細胞に達する本発明のUCART22は、これらの細胞を溶解することができる。
【0392】
上記表5中の遺伝子のような他の遺伝子が、本発明のUCART22中において編集されてもよい。
【0393】
(表5)本発明のCD22 CAR操作T細胞中において本発明に従って不活性化され得る免疫チェックポイントタンパク質をコードする遺伝子のリスト
【0394】
本発明は、リンパ球枯渇患者における、CLL、ALL、好ましくはそれらの侵攻性、再発性難治性形態の治療におけるそれらの使用のための、SEQ ID NO:15のCD22 CARを発現する単離された操作免疫T細胞を提供し、ここで、dCKおよび/またはCD52ならびにTRAC遺伝子が編集されており、即ち、欠失により不活性化されている。
【0395】
本発明は、リンパ球枯渇患者における、CLL、ALL、好ましくはそれらの侵攻性、再発性難治性形態の治療におけるそれらの使用のための、SEQ ID NO:15のCD22 CARを発現する単離された操作免疫T細胞を提供し、ここで、b2mおよびTRAC遺伝子が編集されており、即ち、欠失により不活性化されている。
【0396】
本発明は、リンパ球枯渇患者における、CLL、ALL、好ましくはそれらの侵攻性、再発性難治性形態の治療におけるそれらの使用のための、SEQ ID NO:15のCD22 CARを発現する単離された操作免疫T細胞を提供し、ここで、TRACおよびIL-10R遺伝子が編集されており、即ち、欠失により不活性化されている。本発明は、欠損TCRアルファ遺伝子(その結果、TCRの細胞表面発現が損なわれている)、B2M欠損遺伝子(その結果、細胞表面でのMHCクラスI分子の発現が損なわれている)、および加えてTGFベータ受容体KO遺伝子を含む、CD22 CARを発現する操作免疫T細胞(UCART22)を提供する。
【0397】
本発明は、欠損TCRアルファ遺伝子(その結果、TCRの細胞表面発現が損なわれている)、B2M欠損遺伝子(その結果、細胞表面でのMHCクラスI分子の発現が損なわれている)、および加えてIL-10受容体KO遺伝子を含む、CD22 CARを発現する操作免疫T細胞(UCART22)を提供する。
【0398】
本発明は、欠損TCRアルファ遺伝子(その結果、TCRの細胞表面発現が損なわれている)、B2M欠損遺伝子(その結果、細胞表面でのMHCクラスI分子の発現が損なわれている)、および加えてAHR KO遺伝子を含む、CD22 CARを発現する操作免疫T細胞(UCART22)を提供する。
【0399】
本発明は、欠損TCRアルファ遺伝子(その結果、TCRの細胞表面発現が損なわれている)、B2M欠損遺伝子(その結果、細胞表面でのMHCクラスI分子の発現が損なわれている)、および加えてPD1 KO遺伝子を含む、CD22 CARを発現する操作免疫T細胞(UCART22)を提供する。
【0400】
本発明は、欠損TCRアルファ遺伝子(その結果、TCRの細胞表面発現が損なわれている)、B2M欠損遺伝子(その結果、細胞表面でのMHCクラスI分子の発現が損なわれている)、および加えてLAG-3 KO遺伝子を含む、CD22 CARを発現する操作免疫T細胞(UCART22)を提供する。
【0401】
本発明は、欠損TCRアルファ遺伝子(その結果、TCRの細胞表面発現が損なわれている)、B2M欠損遺伝子(その結果、細胞表面でのMHCクラスI分子の発現が損なわれている)、および加えてTIM-3 KO遺伝子を含む、CD22 CARを発現する操作免疫T細胞(UCART22)を提供する。
【0402】
本発明は、CD52、およびTRAC遺伝子が、リンパ球枯渇患者における、BALLの再発性難治性形態の治療におけるそれらの使用のために欠失によって不活性化されている、SEQ ID NO:15のCD22 CARを発現する単離された操作免疫T細胞を提供する。
【0403】
好ましい態様において、免疫細胞を操作する方法は、DNA切断によって前述の遺伝子のような遺伝子を選択的に不活性化する特異的なレアカットエンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド、特にmRNAを、該T細胞中へ導入する工程を伴う。
【0404】
より好ましい態様において、前記レアカットエンドヌクレアーゼは、TALEヌクレアーゼまたはCas9エンドヌクレアーゼである。TALヌクレアーゼは、他の型のレアカットエンドヌクレアーゼより高い特異性および切断効率を有することが従来立証されているため、一定のターンオーバーで大規模に操作免疫細胞を作製するための選り抜きのエンドヌクレアーゼである。
【0405】
送達方法
上述の種々の方法は、本発明のCD22 CARを細胞中へ導入する工程を伴う。非限定的な例として、前記CD22 CARは、本発明の1つのプラスミドベクターによってコードされるトランスジーンとして導入され得る。本発明のCD22 CARをコードする前記プラスミドベクターは、該ベクターを受容した細胞の同定および/または選択を提供する選択マーカーも含有し得る。
【0406】
本発明に従うCD22 CARが、単離免疫細胞中へ導入され次いで発現されることを可能にする方法は、別記され、例えばWO2013126720またはWO2015121454中に記載され、これらは参照により全体が本明細書に組み入れられる。
【0407】
本発明のCD22 CARに対応するポリペプチドは、該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの細胞への導入の結果として、細胞においてインサイチューで合成され得る。あるいは、前記ポリペプチドは、細胞外で作製され、次いで、細胞へ導入されてもよい。ポリヌクレオチド構築物を細胞へ導入する方法は、当技術分野において公知であり、ポリヌクレオチド構築物が細胞のゲノムへ組み込まれる安定的形質転換法、ポリヌクレオチド構築物が細胞のゲノムへ組み込まれない一過性形質転換法、およびウイルスによって媒介される方法を非限定的な例として含む。前記ポリヌクレオチドは、例えば、組換えウイルスベクター(例えば、レトロウイルス、例えばレンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス)、リポソーム等によって細胞へ導入され得る。例えば、一過性形質転換法には、例えば、微量注入、電気穿孔、または微粒子銃が含まれる。前記ポリヌクレオチドは、細胞における発現を考慮して、ベクター、より具体的には、プラスミドまたはウイルスに含まれ得る。
【0408】
好ましい態様において、CD22 CARをコードする前記ポリヌクレオチドは、AAV6ベクター中へ挿入され、所定の遺伝子中へ導入される。本発明のCD22 CARが単離T細胞中へ導入され次いで発現されることを可能にするベクターを調製するための方法は、別記され、例えばWO2013126720に記載され、これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0409】
操作免疫細胞(UCART)
CD22 CARが付与された操作免疫細胞(UCART 22)は、本発明の別の目的である。
【0410】
好ましくは、前記免疫細胞は、単離された免疫細胞、より好ましくは、単離された免疫T細胞、より好ましくは、単離された初代免疫T細胞である。
【0411】
UCART 22は医薬として提供され、従って、治療的に効率的な量のUCART 22が医薬として提供される。
【0412】
本発明に従う「初代免疫細胞」は、組織、例えば血液サンプル、または末梢血単核球(PBMC)に由来する細胞を意味し、それは、使用前に数継代について培養され、最終的に凍結されてもよく、該初代免疫細胞は、形質転換細胞またはがん性細胞と比較して、限定的な分裂能を有する(Raulf-Heimsoth M. T cell - primary culture from peripheral blood. Methods Mol Med. 2008;138:17-30. doi: 10.1007/978-1-59745-366-0)。
【0413】
本発明に従う免疫細胞は、好ましくは免疫TまたはNK細胞である。従って、本発明に従う操作免疫細胞は、血液サンプルから単離され、初代細胞であり、炎症性Tリンパ球、細胞傷害性Tリンパ球、制御性Tリンパ球、もしくはヘルパーTリンパ球、ナチュラルキラーT細胞より、好ましくは細胞傷害性Tリンパ球より選択される免疫T細胞に由来し、そしてさらに操作される。
【0414】
操作されたとは、初代免疫細胞が、それらにCD22 CARが付与され、かつ、少なくとも1つの遺伝子が編集されるように改変されていること、好ましくは、該細胞が、それらにCD22 CARが付与され、かつ、TCRを発現せず、プリンヌクレオチド類似体の存在下で死滅しないように改変されていることを意味する。
【0415】
換言すれば、操作免疫細胞は、CD22 CARを発現する、少なくとも1つの他の編集された遺伝子を含むTCR KO単離免疫T細胞を意味する。
【0416】
特定の態様において、操作されたとは、初代免疫細胞が、それらにCD22 CARが付与されるように改変されていること、好ましくは、該細胞が、それらにCD22 CARが付与され、かつ、プリンヌクレオチド類似体(1~5マイクロモル/L)の存在下でまたはアレムツズマブ(50マイクログラム/mL)の存在下で死滅しないように改変されていることを意味する。Valton et al., Molecular Therapy vol. 23 no. 9, 1507-1518 sep. 2015)。
【0417】
好ましくは、前記T細胞は、SEQ ID NO:15のCD22 CARが付与される。
【0418】
より好ましくは、前記T細胞は、SEQ ID NO:15のCD22 CARが付与され、SEQ ID NO:22の少なくとも1つの配列を含む。
【0419】
より好ましくは、前記T細胞は、SEQ ID NO:15のCD22 CARが付与され、SEQ ID NO:22の少なくとも1つの配列および配列の少なくとも部分を含む。
【0420】
より好ましくは、前記T細胞は、SEQ ID NO:20の少なくとも1つの配列を含むSEQ ID NO:18のCD22 CARが付与される。
【0421】
本発明は、本発明のCD22 CARを発現し、かつ、CD22発現細胞に対するCTLおよび/または脱顆粒活性を示す、初代免疫T細胞を提供する。
【0422】
本発明はまた、CD22発現細胞、特にCD22発現がん性細胞を溶解するための、本発明のCD22 CARを発現する初代T細胞を提供する。
【0423】
好ましくは、本発明のSEQ ID NO:16のCD22 CARが付与されたT細胞によって標的とされる細胞は、好ましくは、再発/難治性/侵攻性ALLまたはCLLの治療において効率的である。
【0424】
本発明はまた、細胞を操作するための前記方法によって入手可能な単離された細胞または細胞株にも関する。具体的には、前記単離された細胞は、少なくとも1種の上記の本発明のCD22 CARを含む。別の態様において、単離された細胞は、各々異なる細胞外リガンド結合性ドメインを含むCARの集団を含む。具体的には、前記単離された細胞は、CARをコードする外因性のポリヌクレオチド配列を含む。本発明の遺伝子改変免疫細胞は、活性化されており、抗原結合機序と無関係に増殖することができる。
【0425】
既に記載された方法のいずれか一つによって入手された単離された免疫細胞、好ましくは、単離された免疫T細胞(T-細胞)、より好ましくは操作された単離された免疫T細胞も、本発明の範囲に包含される。前記免疫細胞とは、自然免疫応答および/または適応免疫応答の開始および/または実行に機能的に関与する造血系起源の細胞をさす。本発明による前記免疫細胞は、幹細胞に由来し得る。幹細胞は、成体幹細胞、非ヒト胚性幹細胞、より具体的には、非ヒト幹細胞、臍帯血幹細胞、前駆細胞、骨髄幹細胞、誘導多能性幹細胞、全能性幹細胞、または造血幹細胞であり得る。代表的なヒト細胞はCD34+細胞である。前記単離された細胞は、樹状細胞、キラー樹状細胞、マスト細胞、NK細胞、B細胞、または炎症性Tリンパ球、細胞傷害性Tリンパ球、制御性Tリンパ球、もしくはヘルパーTリンパ球からなる群より選択されるT細胞であってもよい。別の態様において、前記細胞は、CD4+Tリンパ球およびCD8+Tリンパ球からなる群に由来し得る。
【0426】
本発明の細胞の増大および遺伝子改変の前に、細胞の起源は、多様な非限定的な方法を通して対象から入手され得る。細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、組織、腹水、胸水、脾組織、および腫瘍を含む、多数の非限定的な起源から入手され得る。本発明のある種の態様において、当業者に入手可能であり公知である多数のT細胞株が使用され得る。別の態様において、前記細胞は、健常ドナー、がんを有すると診断された患者、または感染を有すると診断された患者に由来し得る。別の態様において、前記細胞は、異なる表現型的特徴を提示する細胞の混合集団の一部である。記載された方法に従う操作T細胞から入手された細胞株も、本発明の範囲に包含される。免疫抑制処置に対して抵抗性であり、以前の方法によって入手可能である改変された細胞は、本発明の範囲に包含される。
【0427】
好ましい態様として、本発明は、機能的TCRを発現せず、CD22陽性細胞に対して反応性である、上述の本発明のCD22 CARが付与されたT細胞またはT細胞の集団を、患者へのそれらの養子移入のために、提供する。
【0428】
より好ましい態様として、本発明は、機能的TCRを発現せず、化学療法に対して、特にプリンヌクレオチド類似体(PNA)に対して耐性にされた、上述のCD22 CARが付与されたT細胞またはT細胞の集団を提供する。
【0429】
本発明の好ましい態様によれば、CD22 CARが付与された免疫細胞は、化学療法薬に対して、特にプリンヌクレオチド類似体(PNA)に対して耐性であるように操作され、このため、養子免疫療法および化学療法を組み合わせるがん治療に適している。
【0430】
プリンヌクレオチド類似体は多くのがん治療用の化学療法組成物に入っている。それは白血病またはリンパ腫に対する標準治療として使用される。最も広く使用されるPNAは、単独でまたは組み合わせて、クロファラビン、フルダラビンおよびシタラビンである。PNAは、デオキシシチジンキナーゼ(dCK)活性を有する酵素[EC 2.7.1.74]によって、PNA一リン酸、PNA二リン酸、およびPNA三リン酸に代謝される。それらの三リン酸型、特にクロロファラビン(clorofarabine)三リン酸は、DNA合成に関してATPと競合して、アポトーシス促進剤として作用し、トリヌクレオチド生産に関与するリボヌクレオチドレダクターゼ(RNR)の強力な阻害剤である。
【0431】
本発明は、従って、プリン類似体薬に対して耐性であり、かつ、CD22陽性悪性細胞を標的とすることができる、TCRを発現しない免疫細胞、好ましくは初代T細胞をエクスビボで製造する方法を含む。
【0432】
本発明に従うUCART22を調製するための方法はまた、参照により全体が本明細書に組み入れられるWO 2013176915またはWO 2014191128に開示されるものであり得る。
【0433】
UCART22を調製するための方法は以下の工程を含む:
(a)ドナー由来の免疫細胞、好ましくは単離T細胞または単離T細胞集団を提供する工程、
(b)以下を特異的に標的とするレアカットエンドヌクレアーゼをコードする核酸配列を該免疫細胞中へ(好ましくはトランスフェクションまたは形質導入によって)導入する工程
- デオキシシチジンキナーゼ活性を有する酵素を発現する遺伝子(dcK - EC 2.7.1.74)、特にヒトデオキシシチジンキナーゼ遺伝子(NCBI Gene ID: 1633)、ならびに/または
- TCRサブユニットアルファおよび/もしくはベータのうちの1つ、好ましくはアルファ、をコードする遺伝子、ならびに/または
- ヒトCD52をコードする遺伝子
(c)該エンドヌクレアーゼを該免疫細胞中へ発現させ、該遺伝子の標的とした不活性化を得る工程;
(d)工程c)で得られた操作免疫細胞を、任意でプリン類似体薬の存在下で、増大させる工程;
(e)好ましくはSEQ ID SEQ ID NO:15の、本発明のCD22 CARを該免疫細胞中へ導入する工程。
【0434】
UCART22を調製するための方法は以下の工程を含む:
(a)ドナー由来の免疫細胞、好ましくは単離T細胞または単離T細胞集団を提供する工程、
(b)以下を特異的に標的とするレアカットエンドヌクレアーゼをコードする核酸配列を該免疫細胞中へ(好ましくはトランスフェクションまたは形質導入によって)導入する工程
- デオキシシチジンキナーゼ活性を有する酵素を発現する遺伝子(dcK - EC 2.7.1.74)、特にヒトデオキシシチジンキナーゼ遺伝子(NCBI Gene ID: 1633)、ならびに/または
- TCRサブユニットアルファおよび/もしくはベータのうちの1つ、好ましくはアルファ、をコードする遺伝子、ならびに/または
- ヒトベータ2ミクログロブリン(B2M)をコードする遺伝子
(c)該エンドヌクレアーゼを該免疫細胞中へ発現させ、該遺伝子の標的とした不活性化を得る工程;
(d)工程c)で得られた操作免疫細胞を、任意でプリン類似体薬の存在下で、増大させる工程;
(e)本発明のCAR、好ましくはCD22 CARを、単独でもしくはCD19 CARと組み合わせて、さらにより好ましくはSEQ ID NO:15のCD22 CARを、単独でもしくはCD19 CARと組み合わせて、該免疫細胞中へ導入する工程。
【0435】
好ましい態様において、本発明は、プリン類似体薬に対して耐性であり、かつ、CD22陽性悪性細胞を標的とすることができる、TCRを発現しない免疫細胞、好ましくは初代T細胞をエクスビボで製造する方法を含む。該方法は以下の工程を含む:
・ドナー由来の免疫細胞、好ましくは単離T細胞(または単離T細胞集団)を提供する工程、
・好ましくはSEQ ID NO:15より選択されるSEQ IDの、本発明のCD22 CARを該免疫細胞中へ導入する工程
・工程b)で得られた操作免疫細胞を増大させる工程
(d)以下を特異的に標的とするレアカットエンドヌクレアーゼをコードする核酸配列を、該免疫細胞中へ(トランスフェクションまたは形質導入によって)導入する工程
デオキシシチジンキナーゼ活性を有する酵素を発現する遺伝子(dcK - EC 2.7.1.74)、特にヒトデオキシシチジンキナーゼ遺伝子(NCBI Gene ID: 1633)、および/または、TCRサブユニットアルファもしくはベータのうちの1つを発現する遺伝子、
(e)該エンドヌクレアーゼを該免疫細胞中へ発現させ、該遺伝子の標的とした不活性化を得る工程;
(f)工程e)で得られた操作免疫細胞を、任意でプリン類似体薬の存在下で、増大させる工程。
【0436】
プリン類似体薬に対して耐性であり、かつ、CD22陽性悪性細胞を標的とすることができる、TCRを発現しない免疫細胞、好ましくは初代T細胞をエクスビボで製造する方法は、表9に引用される遺伝子のうちの1つ、好ましくはPD-1、CD279、より好ましくはPDCD1 (PD-1、CD279)またはCTLA4 (CD152)を特異的に標的とするレアカットエンドヌクレアーゼをコードする核酸配列を、該免疫細胞中へ(トランスフェクションまたは形質導入によって)導入する別の工程を任意で含む。
【0437】
本発明者らは、具体的にはヌクレアーゼ、特にTAL-ヌクレアーゼを使用することにより細胞中へのdCK遺伝子発現の不活性化(欠失)を媒介することによって、プリンヌクレオチド類似体(dCK-KO)に対して、より具体的にはクロロファラビンおよび/またはフルダラビンに対して耐性を有するCD22 CAR発現初代T細胞を首尾よく作り出した。
【0438】
好ましくはWO2013176915に記載されるようなエレクトロポレーションを使用することによる、dCK遺伝子に対して向けられた特異的TALヌクレアーゼをコードするmRNAを使用してのT細胞のトランスフェクションは、CD22保有細胞に対するT細胞細胞傷害活性を維持しながら、薬物に対する有意な耐性を誘導した。
【0439】
本出願はまた、白血病またはリンパ腫の、好ましくはそれらの侵攻性、抵抗性、再発性形態、より好ましくはB-ALLの治療のための、デオキシシチジンキナーゼの発現が抑制または不活性化されている(dCK-KO)、TCR-KO, CD22 CAR(好ましくはSEQ ID NO:15のもの)初代T細胞を提供する。
【0440】
本発明の好ましい態様によれば、CD22 CARが付与された免疫細胞は、化学療法薬に対して、特にアレムツズマブ(CAMPATH)に対して、耐性であるように操作され、このため、養子免疫療法および化学療法を組み合わせるがん治療に適している。
【0441】
アレムツズマブは多くのがん治療のために使用される。それは、特に、慢性リンパ性白血病(CLL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)およびT細胞リンパ腫の治療において、白血病またはリンパ腫に対する標準治療として使用される。それは、商標Campath、MabCampathおよびCampath-1Hの下で公知である。それはまた、骨髄移植、腎臓移植および膵島細胞移植のためのいくつかのコンディショニングレジメンにおいて使用される。
【0442】
それは、成熟リンパ球の表面上に存在するが、これらのリンパ球が由来する幹細胞上には存在しないタンパク質である、CD52へ結合するモノクローナル抗体である。アレムツズマブでの処置後、これらのCD52保有リンパ球は破壊の標的とされる。
【0443】
アレムツズマブはまた、CLLについての第二選択療法として使用される。それは、アルキル化剤で処置され、フルダラビン療法に失敗したCLL患者について、米国食品医薬品局によって認可された。
【0444】
本発明は、従って、アレムツズマブに対して耐性である、そのようにTCRを発現しない、UCART22をエクスビボで製造する方法を含む。
【0445】
UCART22 CD52 KOを調製するための方法は以下の工程を含む:
(a)ドナー由来の免疫細胞、好ましくは単離T細胞または単離T細胞集団を提供する工程、
(b)以下を特異的に標的とするレアカットエンドヌクレアーゼをコードする核酸配列を該免疫細胞中へ(好ましくはトランスフェクションまたは形質導入によって)導入する工程
- TCRサブユニットアルファおよび/もしくはベータのうちの1つ、好ましくはアルファ、をコードする遺伝子、ならびに/または
- CD52をコードする遺伝子、
(c)該エンドヌクレアーゼを該免疫細胞中へ発現させ、該遺伝子の標的とした不活性化を得る工程;
(d)工程c)で得られた操作免疫細胞を、任意でアレムツズマブの存在下で、増大させる工程、
(e)好ましくはSEQ ID NO:15の、本発明のCD22 CARを該免疫細胞中へ導入する工程。
【0446】
好ましい態様において、本発明は、アレムツズマブに対して耐性であり、かつ、CD22陽性悪性細胞を標的とすることができる、TCRを発現しない免疫細胞、好ましくは初代T細胞をエクスビボで製造する方法を含む。該方法は以下の工程を含む:
・ドナー由来の免疫細胞、好ましくは単離T細胞(または単離T細胞集団)を提供する工程、
・好ましくはSEQ ID NO:15の、本発明のCD22 CARを該免疫細胞中へ導入する工程。
・工程b)で得られた操作免疫細胞を増大させる工程
(d)以下を特異的に標的とするレアカットエンドヌクレアーゼをコードする核酸配列を、該免疫細胞中へ(トランスフェクションまたは形質導入によって)導入する工程
CD52を発現する遺伝子、および、TCRサブユニットアルファもしくはベータのうちの1つを発現する遺伝子、
(e)該エンドヌクレアーゼを該免疫細胞中へ発現させ、該遺伝子の標的とした不活性化を得る工程;
(f)工程e)で得られた操作免疫細胞を、任意でプリン類似体薬の存在下で、増大させる工程。
【0447】
一態様において、UCART22を調製するための方法は以下の工程を含む:
(a)ドナー由来の免疫細胞、好ましくは単離T細胞または単離T細胞集団を提供する工程、
(b)以下を該免疫細胞中へ(好ましくはトランスフェクションまたは形質導入によって)導入する工程
- TCRサブユニットアルファおよび/もしくはベータのうちの1つ(好ましくはアルファ)をコードする遺伝子を特異的に標的とするレアカットエンドヌクレアーゼをコードする核酸配列、および
- 挿入される配列をコードする、好ましくはHIF-1アルファをコードする、核酸、
(c)該エンドヌクレアーゼを該免疫細胞中へ発現させ、挿入される該配列の標的とした挿入を得る工程、
(d)工程c)で得られた操作免疫細胞を、任意で低O2濃度(5% O2、好ましくは1% O2)の存在下で、増大させる工程;
(e)好ましくはSEQ ID SEQ ID NO:15の、本発明のCD22 CARを該免疫細胞中へ導入する工程。
【0448】
好ましい態様において、本発明は、低酸素に対して耐性であり、かつ、CD22陽性悪性細胞を標的とすることができる、TCRを発現しない免疫細胞、好ましくは初代T細胞をエクスビボで製造する方法を含む。該方法は以下の工程を含む:
・ドナー由来の免疫細胞、好ましくは単離T細胞(または単離T細胞集団)を提供する工程、
・好ましくはSEQ ID NO:15の、本発明のCD22 CARを該免疫細胞中へ導入する工程、
・工程b)で得られた操作免疫細胞を増大させる工程
(d)以下を該免疫細胞中へ(好ましくはトランスフェクションまたは形質導入によって)導入する工程
- TCRサブユニットアルファおよび/もしくはベータのうちの1つ(好ましくはアルファ)をコードする遺伝子を特異的に標的とするレアカットエンドヌクレアーゼをコードする核酸配列、および
- HIF-1アルファをコードする挿入される配列をコードする核酸、
(e)該エンドヌクレアーゼを該免疫細胞中へ発現させ、該配遺伝子の標的とした挿入を得る工程;
(f)工程e)で得られた操作免疫細胞を、任意で低O2濃度(5% O2、好ましくは1% O2)の存在下で、増大させる工程。
【0449】
プリン類似体薬、アレムツズマブまたは低酸素のいずれかに対して耐性であり、かつ、CD22陽性悪性細胞を標的とすることができる、TCRを発現しない免疫細胞、好ましくは初代T細胞をエクスビボで製造する方法は、表9に引用される遺伝子のうちの1つ、好ましくは(PD-1、CD279)、より好ましくはPDCD1 (PD-1、CD279)およびCTLA4 (CD152)を特異的に標的とするレアカットエンドヌクレアーゼをコードする核酸配列を、該免疫細胞中へ(トランスフェクションまたは形質導入によって)導入する別の工程を任意で含む。
【0450】
本発明者らは、具体的にはヌクレアーゼ、特にTAL-ヌクレアーゼを使用することにより細胞中へのdCK遺伝子発現の不活性化(欠失)を媒介することによって、プリンヌクレオチド類似体(dCK-KO)に対して、より具体的にはクロロファラビンおよび/またはフルダラビンに対して耐性を有するCD22 CAR発現初代T細胞を首尾よく作り出した。
【0451】
好ましくはWO2013176915に記載されるようなエレクトロポレーションを使用することによる、dCK遺伝子に対して向けられた特異的TALヌクレアーゼをコードするmRNAを使用してのT細胞のトランスフェクションは、CD22保有細胞に対するT細胞細胞傷害活性を維持しながら、薬物に対する有意な耐性を誘導した。
【0452】
同じ方法が、本発明者らによって記載された特異的TALENを使用するヒトCD52の欠失に適用される。
【0453】
本出願はまた、白血病またはリンパ腫の、好ましくはそれらの侵攻性、抵抗性、再発性形態;より好ましくは再発性B-ALLの治療のための、デオキシシチジンキナーゼの発現が抑制または不活性化されている(dCK-KO)、TCR-KO, CD22 CAR(好ましくはSEQ ID NO:15のもの)初代T細胞を提供する。
【0454】
そのような細胞は「ユニバーサル」T細胞(またはUCART)である。
【0455】
一態様において、本出願は、白血病またはリンパ腫の、好ましくはそれらの侵攻性、抵抗性、再発性形態;より好ましくは自家移入後の再発性B-ALLの治療のための、デオキシシチジンキナーゼの発現が抑制または不活性化されている(dCK-KO)、(好ましくはSEQ ID NO:15の)CD22 CAR初代T細胞を提供する。
【0456】
一態様において、本出願は、白血病またはリンパ腫の、好ましくはそれらの侵攻性、抵抗性、再発性形態;より好ましくは自家移入後の再発性B-ALLの治療のための、CD52の発現が抑制または不活性化されている(CD52-KO)、(好ましくはSEQ ID NO:15の)CD22 CAR初代T細胞を提供する。
【0457】
一態様において、本出願は、白血病またはリンパ腫の、好ましくはそれらの侵攻性、抵抗性、再発性形態;より好ましくは自家移入後の再発性B-ALLの治療のための、
HIF-1アルファの発現が、TCRをノックアウトすることなくTRAC配列中へコード配列を挿入することによって増加されている、(好ましくはSEQ ID NO:15の)CD22 CAR初代T細胞を提供する。
【0458】
一態様において、本出願は、白血病またはリンパ腫の、好ましくはそれらの侵攻性、抵抗性、再発性形態;より好ましくは自家移入後の再発性B-ALLの治療のための、デオキシシチジンキナーゼおよびCD52の発現が抑制または不活性化されている(dCK-およびCD52KO)、(好ましくはSEQ ID NO:15の)CD22 CAR初代T細胞を提供する。
【0459】
一態様において、本出願は、白血病またはリンパ腫の、好ましくはそれらの侵攻性、抵抗性、再発性形態;より好ましくは自家移入後の再発性B-ALLの治療のための、デオキシシチジンキナーゼおよびCD52の発現が抑制または不活性化されており(dCK-およびCD52KO)、かつ、HIF-1アルファの発現が、TCRをノックアウトすることなくTRAC配列中へHIF1アルファコード配列を挿入することによって増加されている、(好ましくはSEQ ID NO:15の)CD22 CAR初代T細胞を提供する。
【0460】
プリン類似体薬および/またはアレムツズマブおよび/または低酸素に対して耐性であり、CD22陽性悪性細胞を標的とすることができる、TCRを発現しない免疫細胞、好ましくは初代T細胞をエクスビボで製造する方法は、表9に引用される遺伝子のうちの1つ、好ましくはPD-1、CD279、より好ましくはPDCD1 (PD-1、CD279)またはCTLA4 (CD152)を特異的に標的とするレアカットエンドヌクレアーゼをコードする核酸配列を、該免疫細胞中へ(トランスフェクションまたは形質導入によって)導入する別の工程を任意で含む。
【0461】
本発明者らは、具体的にはヌクレアーゼ、特にTAL-ヌクレアーゼを使用することにより細胞中へのdCK遺伝子発現の不活性化(欠失)を媒介することによって、プリンヌクレオチド類似体(dCK-KO)に対して、より具体的にはクロロファラビンおよび/またはフルダラビンに対して耐性を有するCD22 CAR発現初代T細胞を首尾よく作り出した。
【0462】
本発明者らは、具体的にはヌクレアーゼ、特にTAL-ヌクレアーゼを使用することによる細胞中へのHIF-1アルファ遺伝子の標的とした挿入によって、低酸素に対して耐性を有するCD22 CAR発現初代T細胞を首尾よく作り出した。
【0463】
好ましくはWO2013176915に記載されるようなエレクトロポレーションを使用することによる、dCK遺伝子に対して向けられた特異的TALヌクレアーゼをコードするmRNAを使用してのT細胞のトランスフェクションは、CD22保有細胞に対するT細胞細胞傷害活性を維持しながら、薬物に対する有意な耐性を誘導した。
【0464】
本出願はまた、白血病またはリンパ腫の、好ましくはそれらの侵攻性、抵抗性、再発性形態;より好ましくはB-ALLの治療のための、低酸素に対して耐性を有する、TCR-KO, CD22 CAR(好ましくはSEQ ID NO:15のもの)初代T細胞を提供する。
【0465】
T細胞の活性化および増大
本発明の遺伝子改変免疫細胞は、活性化されており、抗原結合機序と無関係に増殖するとしても、本発明の免疫細胞、具体的には、T細胞は、T細胞の遺伝子改変の前であっても後であっても、例えば、米国特許第6,352,694号;第6,534,055号;第6,905,680号;第6,692,964号;第5,858,358号;第6,887,466号;第6,905,681号;第7,144,575号;第7,067,318号;第7,172,869号;第7,232,566号;第7,175,843号;第5,883,223号;第6,905,874号;第6,797,514号;第6,867,041号;および米国特許出願公開第20060121005号に記載されるような方法を一般に使用して、さらに活性化させ増大させることができる。T細胞は、インビトロまたはインビボで増大させることができる。
【0466】
概して本発明のT細胞は、T細胞の表面上のCD3 TCR複合体および共刺激分子を刺激してT細胞のための活性化シグナルを作製する薬剤との接触によって増大する。例えば、カルシウムイオノフォアA23187、ホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)、またはフィトヘマグルチニン(PHA)のような分裂促進性レクチンのような化学物質が、T細胞のための活性化シグナルを作製するために使用され得る。
【0467】
非限定的な例として、T細胞集団は、例えば、表面に固定化された抗CD3抗体もしくはその抗原結合断片もしくは抗CD2抗体と接触させることによって、またはカルシウムイオノフォアと共にプロテインキナーゼC活性化剤(例えば、ブリオスタチン)と接触させることによって、インビトロで刺激され得る。T細胞の表面上のアクセサリー分子の共刺激のため、アクセサリー分子に結合するリガンドが使用される。例えば、T細胞の集団は、T細胞の増殖を刺激するために適切な条件の下で、抗CD3抗体および抗CD28抗体と接触させることができる。T細胞培養のために適切な条件には、血清(例えば、ウシ胎仔血清もしくはヒト胎児血清)、インターロイキン2(IL-2)、インスリン、IFN-g、1L-4、1L-7、GM-CSF、-10、-2、1L-15、TGFp、およびTNF-、または当業者に公知の細胞の増殖のためのその他の添加剤を含む、増殖および生存可能性のために必要な因子を含有し得る適切な培地(例えば、最小必須培地またはRPMI培地1640またはX-vivo 5(Lonza))が含まれる。細胞の増殖のためのその他の添加剤には、界面活性剤、プラスマネート(plasmanate)、ならびにN-アセチル-システインおよび2-メルカプトエタノール(2-mercaptoethanoi)のような還元剤が含まれるが、これらに限定されない。培地には、アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、およびビタミンが添加されており、無血清であるか、または適切な量の血清(もしくは血漿)もしくはホルモンの定義されたセットおよび/もしくはT細胞の増殖および増大のために十分な量のサイトカインが補足されている、RPMI 1640、A1M-V、DMEM、MEM、a-MEM、F-12、X-Vivo 1、およびX-Vivo 20、Optimizerが含まれ得る。抗生物質、例えば、ペニシリンおよびストレプトマイシンは、実験的培養にのみ含まれ、対象へ注入される細胞の培養物には含まれない。標的細胞は、増殖を支持するのに必要な条件、例えば、適切な温度(例えば、37℃)および雰囲気(例えば、空気+5%C02)で維持される。様々な刺激時間に曝されたT細胞は、異なる特徴を示し得る。
【0468】
別の具体的な態様において、前記細胞は、組織または細胞との共培養によって増大させることができる。前記細胞は、該細胞を対象へ投与した後、インビボで、例えば、対象の血液中で増大させてもよい。
【0469】
薬学的組成物
(好ましくはSEQ ID NO:15の)本発明のCD22 CARを発現する操作(TCRおよびdCK KO)または(TRACおよびCD52 KO)免疫T細胞と、薬学的に許容されるビヒクルとを含む薬学的組成物は、本発明の別の目的である。
【0470】
別の態様において、本発明は、(上記の態様のいずれか1つのような)本発明のUCART22を、ブリオスタチン化合物のファミリーの化合物、好ましくはブリオスタチン-1と共に含む組成物を提供する。
【0471】
ブリオスタチンは、コケムシであるブグラ・ネリチナ(Bugula neritina)由来の一群のマクロライドラクトンである。ブリオスタチン1の構造は1980年代に決定された。現在まで、20種の異なるブリオスタチンが単離されており;さらに、特定のブリオスタチン類似体は「ブリオログ(bryolog)」と呼ばれている。ブリオスタチンは、プロテインキナーゼCの強力なモジュレータである(Wender, Paul A., Jeremy L. Baryza,Chad E. Bennett,F. Christopher Bi,Stacey E. Brenner,Michael O. Clarke,Joshua C. Horan,Cindy Kan,Emmanuel Lacote,Blaise Lippa,Peter G. Nell, and, and Tim M. Turner. The Practical Synthesis of a Novel and Highly Potent Analogue of Bryostatin. Journal of the American Chemical Society 2002 124 (46), 13648-13649 DOI: 10.1021/ja027509+)。
【0472】
本発明のUCART22およびこれらの化合物を調製するための方法と組み合わせる(compibed)のに適しているブリオスタチン化合物の例は、参照により本明細書に組み入れられるWO2001040214A1またはEP2737904A2、WO1997034598に記載されている。
【0473】
本発明のUCART22と組み合わせて使用され得るブリオスタチン-1の用量の例は、Varterasian ML1, Mohammad RM, Shurafa MS, Hulburd K, Pemberton PA, Rodriguez DH, Spadoni V, Eilender DS, Murgo A, Wall N, Dan M, Al-Katib AM. Phase II trial of bryostatin 1 in patients with relapsed low-grade non-Hodgkin's lymphoma and chronic lymphocytic leukemia. Clin Cancer Res. 2000 Mar;6(3):825-8に以前記載された通りである。
【0474】
(好ましくはSEQ ID NO:15の)本発明のCD22 CARを発現する操作(TRACおよびdCK KOまたはTRACおよびCD52 KO)免疫T細胞[UCART22]または該UCART22を含む薬学的組成物を、医薬として提供する。
【0475】
がんの治療または炎症の軽減における使用のための、(好ましくはSEQ ID NO:15の)本発明のCD22 CARを発現する操作(TRACおよびdCK KOまたはTRACおよびCD52 KO)免疫T細胞[UCART22]は、本発明の別の目的である。
【0476】
ALL、CLL、CLLもしくはALLの再発難治性侵攻性形態の治療における使用のための、(好ましくはSEQ ID NO:15の)本発明のCD22 CARを発現する操作(TRACおよびdCK KOまたはTRACおよびCD52 KO)免疫T細胞[UCART22]は、本発明の別の目的である。
【0477】
CD19再発がん、好ましくはCD19再発B-ALLの治療における使用のための、(好ましくはSEQ ID NO:15の)本発明のCD22 CARを発現する操作(TRACおよびdCK KOまたはTRACおよびCD52 KO)免疫T細胞[UCART22]を、提供する。
【0478】
別の態様において、(好ましくはSEQ ID NO:15の)本発明のCD22 CARを発現する、低酸素耐性の、操作(TRACおよびdCK KOまたはTRACおよびCD52 KO)免疫T細胞[UCART22]または該UCART22を含む薬学的組成物を、医薬として提供する。
【0479】
別の態様において、がんの治療または炎症の軽減における使用のための、(好ましくはSEQ ID NO:15の)本発明のCD22 CARを発現する、低酸素耐性の、操作(TRACおよびdCK KOまたはTRACおよびCD52 KO)免疫T細胞[UCART22]は、本発明の別の目的である。
【0480】
別の態様において、ALL、CLL、CLLもしくはALLの再発難治性侵攻性形態の治療における使用のための、(好ましくはSEQ ID NO:15の)本発明のCD22 CARを発現する、低酸素耐性の、操作(TRACおよびdCK KOまたはTRACおよびCD52 KO)免疫T細胞[UCART22]は、本発明の別の目的である。
【0481】
別の態様において、CD19再発がん、好ましくはCD19再発B-ALLの治療における使用のための、(好ましくはSEQ ID NO:15の)本発明のCD22 CARを発現する、低酸素耐性の、操作(TRACおよびdCK KOまたはTRACおよびCD52 KO)免疫T細胞[UCART22]を、提供する。
【0482】
別の態様において、本発明の種々の方法によって得られる単離細胞、または該単離細胞に由来する細胞株が、医薬として使用され得る。別の態様において、前記医薬は、処置を必要とする患者における、がんを処置するために、特に、B細胞リンパ腫および白血病の処置のために、使用され得る。別の態様において、本発明に従う前記単離細胞または該単離細胞に由来する細胞株は、処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造において使用され得る。
【0483】
本発明は、操作細胞の自家移入を包含する。その場合、細胞は、あるドナー、ヒトドナーから単離され、操作され、次いで、その必要があるその最初のドナーへ移入される。
【0484】
この特定の態様において、細胞は、例えば、アレムツズマブ(campath)および/またはpnaなどの薬物に対して耐性となるように、任意で、低酸素に対して耐性となるように、操作され得る。
【0485】
治療的適用
用語「がん」は、1種または複数種の細胞の制御されない増殖によって特徴付けられる疾患を指す。
【0486】
がんの例は、本明細書に記載されており、液体腫瘍または血液がんを含むがこれらに限定されない。
【0487】
本発明に従う血液がんは、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、B-慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、およびバーキットリンパ腫、急性リンパ性がん、急性骨髄性白血病、好ましくはCD22発現血液がん、より好ましくは再発または難治性CD22発現血液がん、さらにより好ましくは該CD22関連血液がんの侵攻型より選択され得る。
【0488】
好ましい態様において、再発または難治性CD22発現血液がんは、再発および/または難治性CD22発現または陽性B-ALLである。
【0489】
従って、治療有効量の上述の態様のいずれか1つに従うUCART 22、または治療有効量の上述の薬学的組成物を、再発および/または難治性CD22発現または陽性B-ALLに罹患している患者を治療するための医薬としての使用のために提供する。
【0490】
別の態様において、治療有効量の上述の態様のいずれか1つに従うUCART 22、または治療有効量の上述の薬学的組成物を、白血病およびリンパ腫、ヘアリー細胞白血病、いずれかの急性リンパ性がん、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、B-慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、およびバーキットリンパ腫、多発性骨髄腫より選択されるCD22陽性血液がんに罹患している患者を治療するための医薬としての使用のために提供する。
【0491】
別の態様において、治療有効量の上述の態様のいずれか1つに従うUCART 22、または治療有効量の上述の薬学的組成物を、胞巣状横紋筋肉腫、膀胱がん(例えば、膀胱がん腫)、骨がん、脳がん(例えば、髄芽腫)、乳がん、肛門がん、肛門管がん、または肛門直腸がん、眼がん、肝内胆管がん、関節がん、頸部がん、胆嚢がん、胸膜がん、鼻がん、鼻腔がん、中耳がん、口腔がん、外陰がん、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性がん、結腸がん、食道がん、子宮頸がん、線維肉腫、消化管カルチノイド腫瘍、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)、下咽頭がん、腎臓がん、喉頭がん、肝臓がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、悪性中皮腫、肥満細胞腫、黒色腫、鼻咽頭がん、卵巣がん、膵臓がん、腹膜がん、網がん、腸間膜がん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、腎がん、皮膚がん、小腸がん、軟部組織がん、固形腫瘍、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、尿管がんより選択されるCD22陽性がんに罹患している患者を治療するための医薬としての使用のために提供する。
【0492】
CD22媒介がんの他の例は、本明細書に記載されており、肝臓がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、卵巣がん、膵臓がん、甲状腺がん、および尿路上皮がんを含むが、これらに限定されない。
【0493】
特定の態様において、本発明の目的は、集団中のそのようながんの増殖の一般的な平均値よりも少なくとも2倍速く増殖するものと定義される、これらのがんの侵攻型の治療のために提供される。
【0494】
一態様において、本発明の目的は、治療の加速期中に白血病の治療において使用される。
【0495】
特定の態様において、本発明の目的は、難治性/再発びまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫 - 肺中の乳房転移 - 膀胱がんおよび前立腺がんを伴う慢性リンパ性白血病からなる三重複がんの治療のために提供される。
【0496】
好ましくは、がんは、血液悪性腫瘍(例えば、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性がん、急性骨髄性白血病、B-慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、およびバーキットリンパ腫を含むがこれらに限定されない、白血病またはリンパ腫)である。
【0497】
より好ましくは、がんは、CD22の発現によって特徴付けられ、より好ましくは、がんはがん性細胞によるCD22の発現によって、さらにより好ましくは、がん細胞によるCD22の過剰発現によって特徴付けられる。
【0498】
一態様において、前記がん細胞は、再発難治性CD19陰性がん細胞である。
【0499】
一態様において、前記がん細胞は、再発難治性CD22発現がん細胞である。
【0500】
好ましい態様において、前記がん細胞は、再発難治性CD19陰性CD22陽性発現B-ALLである。
【0501】
B細胞ALLは:
・初期前駆B(初期プレ-B)ALL(プロ-B ALLとも称される)
・共通ALL
・プレ-B ALL
・小児におけるバーキット白血病または非ホジキンリンパ腫とも称される成熟B細胞ALL
を含む。
【0502】
用語「CD22の発現に関連する疾患」は、本明細書において使用される場合、CD22の発現に関連する疾患、または、例えばCD22発現B-ALLのような様々ながんの腫瘍細胞を含む、CD22を発現する細胞の活性と関連付けられる状態を含むが、これらに限定されない。
【0503】
溶解による細胞破壊は、本発明のCD22 CAR T細胞が、CD22発現細胞に対して作用する機序のうちの1つであり、腫瘍を低減または排除し、腫瘍部位への宿主の免疫細胞の浸潤を促進し、そして抗腫瘍応答を増強/拡大する。
【0504】
別の局面において、本発明は、処置を必要とする患者を処置するための方法であって、以下の工程のうちの少なくとも1つを含む方法に依拠する:
・本発明のUCART22を提供する工程
・該形質転換免疫細胞を該患者へ投与する工程。
【0505】
一態様において、本発明の前記UCART22細胞は、頑強なインビボT細胞増加を起こすことができ、宿主中において長期間にわたって残留することができる。
【0506】
別の局面において、本発明は、処置を必要とする患者を処置するための方法であって、以下の工程のうちの少なくとも1つを含む方法を提供する:
・がんに罹患している患者をコンディショニングする工程
・本発明のUCART22を提供する工程
・該形質転換免疫細胞を該患者へ投与する工程。
【0507】
コンディショニングは、リンパ球枯渇、または、当業者、好ましくはまた医師が、前記患者を治癒するための決定要素と認識する任意の適切なコンディショニングを含む。
【0508】
好ましい態様において、前記方法は、骨髄移植の工程をさらに含む。
【0509】
一態様において、本発明の前記UCART22細胞は、頑強なインビボT細胞増加を起こすことができ、宿主中において長期間にわたって残留することができる。
【0510】
前記処置は、改善的処置、治療的処置、または予防的処置であってよい。これは、自家免疫療法処置の一部または同種異系免疫療法処置の一部のどちらかでありうる。自家とは、患者の処置に使用される細胞、細胞株または細胞集団が、当該患者またはヒト白血球抗原(HLA)適合ドナーに起源を有することを意味する。同種異系とは、患者の処置に使用される細胞または細胞集団が、当該患者に起源を有するのではなく、ドナーに起源を有することを意味する。
【0511】
一態様において、宿主における本発明の前記T細胞の生存は、抗CD20(リツキシマブ)および/またはQBEN10処置を使用して制御される。
【0512】
対象
本発明の組成物および方法は、CD22を発現する病的細胞または組織を有すると特徴付けられたか、またはCD22を発現する病的細胞または組織を有する疑いがある対象を処置するために使用され得る。例えば、本発明に従う処置から利益を得る対象は、B-ALLまたはCLL、難治性BALL、再発B-ALLを有する対象を含む。
【0513】
好ましい態様において、患者は、BALL、再発BALL、難治性BALL(小児適応症)を患う小児である。
【0514】
本発明による操作免疫細胞による処置は、抗体治療、化学療法、サイトカイン治療、樹状細胞治療、遺伝子治療、ホルモン治療、レーザー光線治療、および放射線治療の群より選択される、がんに対する1種以上の治療と組み合わせられてもよい。
【0515】
従って、本発明は、BALL、再発BALL、難治性BALLを患う小児の処置用の、治療的に活性な量のUCART22を含む薬学的組成物を提供する。
【0516】
本発明はまた、BALL、再発BALL、難治性BALLを患う小児の処置用の、UCART22および薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。
【0517】
好ましい態様において、薬学的組成物は、BALL、再発BALL、難治性BALLを患う小児の処置のために、本発明のUCART22およびブリオスタチンファミリーの化合物、好ましくはブリオスタチン-1、ならびに薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0518】
本発明の好ましい態様によれば、前記処置は、免疫抑制処置、(コンディショニング処置)、より好ましくはリンパ球枯渇を受けている患者に施すことができる。実際、本発明は、好ましくは、そのような免疫抑制剤の受容体をコードする遺伝子の不活性化のため、少なくとも1種の免疫抑制剤に対して抵抗性にされた細胞または細胞の集団に依拠する。この局面において、免疫抑制処置またはリンパ球枯渇は、患者における本発明によるT細胞の選択および増大、ならびにCD22がん性細胞の破壊を支援するべきである。
【0519】
本発明による細胞または細胞の集団の投与は、エアロゾル吸入、注射、経口、輸液、植え込み、または移植を含む、任意の便利な様式で実施され得る。本明細書に記載された組成物は、皮下に、皮内に、腫瘍内に、結節内に、髄内に、筋肉内に、静脈注射もしくはリンパ内注射によって、または腹腔内に、患者へ投与され得る。一つの態様において、本発明の細胞組成物は、好ましくは、静脈注射によって投与される。
【0520】
細胞または細胞の集団の投与は、これらの範囲内の細胞数の全ての整数値を含む、体重1kg当たり104~109個の細胞、好ましくは、体重1kg当たり105~106個の細胞の投与からなり得る。細胞または細胞の集団は、単回投与されてもよいしまたは複数回投与されてもよく、好ましくは、逃避(再発した細胞)を回避するためにいくつかの連続用量で投与され(再投薬され)得る。別の態様において、前記有効量の細胞が、単回用量としてまたは分割用量で(in to doses)、投与される。別の態様において、前記有効量の細胞が、ある期間にわたり複数回投与される。
【0521】
投与のタイミングは、管理する医師の判断にあり、患者の臨床状態に依る。
【0522】
細胞または細胞の集団は、血液バンクまたはドナーのような任意の起源から入手され得る。個々の必要性は変動するが、特定の疾患または状態のための所定の細胞型の有効量の最適範囲の決定は、当技術分野の技術の範囲内にある。有効量とは、治療的または予防的な利益を提供する量を意味する。投与される投薬量は、レシピエントの年齢、健康、および体重、もしあれば、同時処置の種類、処置の頻度、ならびに望まれる効果の性質に依存するであろう。
【0523】
本発明のUCART22は、効率的であるが、活性でないために(for being not to active)サイトカインストームを制限するための設計である。過剰反応する患者の場合、本発明は、抗IL-6薬のようなサイトカインストームを予防または遮断する(preventing of blocking)ための適切な医薬と組み合わせてもよい。
【0524】
別の態様において、前記有効量の細胞またはそれらの細胞を含む組成物は、非経口投与される。該投与は、静脈内投与であり得る。該投与は、腫瘍内への注射によって直接行われてもよい。
【0525】
本発明のある種の態様において、細胞は、抗ウイルス治療、シドホビル、およびインターロイキン2、シタラビン(ARA-Cとしても公知)のような薬剤による処置、またはMS患者のためのナタリズマブ処置、または乾癬患者のためのエファリズマブ処置、またはPML患者のためのその他の処置を含むが、これらに限定されない、多数の関連する処置モダリティと共に(例えば、前に、同時に、または後に)患者へ投与される。さらなる態様において、本発明のT細胞は、化学療法、放射線、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸、およびFK506のような免疫抑制剤、抗体、またはCAMPATH、アレムツズマブ、抗CD3抗体、もしくはその他の抗体治療のようなその他の免疫除去(immunoablative)剤、シトキシン(cytoxin)、フルダラビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、サイトカイン、ならびに照射と組み合わせて使用されてもよい。これらの薬物は、カルシウム依存性ホスファターゼカルシニューリンを阻害するか(シクロスポリンおよびFK506)、または増殖因子によって誘導されるシグナリングにとって重要なp70S6キナーゼを阻害する(ラパマイシン)(Henderson, Naya et al. 1991; Liu, Albers et al. 1992; Bierer, Hollander et al. 1993)。
【0526】
さらなる態様において、本発明の細胞組成物は、骨髄移植、フルダラビン、外部照射治療(XRT)、シクロホスファミドのような化学療法剤、またはOKT3もしくはCAMPATHのような抗体のいずれかを使用したT細胞除去治療と共に(例えば、前に、同時に、または後に)患者へ投与される。別の態様において、本発明の細胞組成物は、CD20と反応する薬剤、例えば、リツキサン、またはQBEN10のようなB細胞除去治療の後に投与される。例えば、一つの態様において、対象は、高用量化学療法による標準的な処置を受けた後、末梢血液細胞移植を受けることができる。ある種の態様において、移植の後、対象は、増大させた本発明の免疫細胞の注入を受ける。付加的な態様において、増大させた細胞は、手術の前または後に投与される。
【0527】
別の態様において、移植後、対象は、CD20と反応する薬剤、例えば、リツキサンまたはリチキシマブ(Ritiximab)、好ましくはCD22およびCD20と反応する薬剤を受容する。
【0528】
他の定義
【0529】
ポリペプチド配列内のアミノ酸残基は、1文字コードによって本明細書において表記され、例えば、QはGln、すなわちグルタミン残基を意味し、RはArg、すなわちアルギニン残基を意味し、DはAsp、すなわちアスパラギン酸残基を意味する。
【0530】
アミノ酸置換とは、あるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への交換を意味し、例えば、ペプチド配列内のアルギニン残基のグルタミン残基への交換は、アミノ酸置換である。
【0531】
ヌクレオチドは以下のように表記される:1文字コードがヌクレオシドの塩基を表記するために使用される:aはアデニンであり、tはチミンであり、cはシトシンであり、gはグアニンである。縮重ヌクレオチドのため、rはgまたはa(プリンヌクレオチド)を表し、kはgまたはtを表し、sはgまたはcを表し、wはaまたはtを表し、mはaまたはcを表し、yはtまたはc(ピリミジンヌクレオチド)を表し、dはg、a、またはtを表し、vはg、a、またはcを表し、bはg、t、またはcを表し、hはa、t、またはcを表し、nはg、a、t、またはcを表す。
【0532】
本明細書において使用されるように、「核酸」または「ポリヌクレオチド」とは、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)のようなヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって生成された断片、ならびにライゲーション、切断、エンドヌクレアーゼ作用、およびエキソヌクレアーゼ作用のいずれかによって生成された断片をさす。核酸分子は、(DNAおよびRNAのような)天然に存在するヌクレオチド、または天然に存在するヌクレオチドの類似体(例えば、天然に存在するヌクレオチドの鏡像異性体)、または両方の組み合わせであるモノマーから構成され得る。修飾型ヌクレオチドは、糖部分および/またはピリミジン塩基部分もしくはプリン塩基部分に変化を有し得る。糖修飾には、例えば、1つ以上のヒドロキシル基のハロゲン、アルキル基、アミン、およびアジド基への交換が含まれ、または糖がエーテルもしくはエステルとして官能化されていてもよい。さらに、糖部分全体が、アザ糖および炭素環式糖類似体のような立体的かつ電子的に類似した構造に交換されてもよい。塩基部分の修飾の例には、アルキル化されたプリンおよびピリミジン、アシル化されたプリンもしくはピリミジン、またはその他の周知の複素環式置換基が含まれる。核酸モノマーは、ホスホジエステル結合またはそのような結合の類似体によって連結され得る。核酸は、一本鎖または二本鎖のいずれかであり得る。
【0533】
キメラ抗原受容体(CAR)とは、特異的な抗標的細胞免疫活性を示すキメラタンパク質を生成するため、標的細胞上に存在する成分に対する結合ドメイン、例えば、所望の抗原(例えば、腫瘍抗原)に対する抗体に基づく特異性を、T細胞受容体を活性化する細胞内ドメインと組み合わせた分子を表す。CARは通常、細胞外単鎖抗体(scFvFc)がT細胞抗原受容体複合体ζ鎖の細胞内シグナリングドメインに融合したもの(scFvFc:ζ)からなり、T細胞において発現された時に、モノクローナル抗体の特異性に基づき、抗原認識を向け直す能力を有している。本発明において使用されるCARの一例は、CD22抗原に対するCARであり、非限定的な例として、アミノ酸配列:SEQ ID NO:15~18、好ましくはSEQ ID NO:16または18、より好ましくは SEQ ID NO:16を含み得る。
【0534】
「エンドヌクレアーゼ」という用語は、DNA分子またはRNA分子、好ましくは、DNA分子の核酸間の結合の加水分解(切断)を触媒することができる野生型酵素またはバリアント酵素をさす。エンドヌクレアーゼは、その配列に関係なくDNA分子またはRNA分子を切断するのではなく、「標的配列」または「標的部位」とさらに呼ばれる特定のポリヌクレオチド配列においてDNA分子またはRNA分子を認識し切断する。エンドヌクレアーゼは、典型的には、12塩基対(bp)より長い、より好ましくは、14~55bpのポリヌクレオチド認識部位を有する時、レアカットエンドヌクレアーゼとして分類され得る。レアカットエンドヌクレアーゼは、定義された場所においてDNA二本鎖切断(DSB)を誘導することによって、HRを有意に増加させる(Perrin,Buckle et al.1993;Rouet,Smih et al.1994;Choulika,Perrin et al.1995;Pingoud and Silva 2007)。レアカットエンドヌクレアーゼは、例えば、ホーミングエンドヌクレアーゼ(Paques and Duchateau 2007)、操作したジンクフィンガードメインとFokIのような制限酵素の触媒ドメインとの融合に起因するキメラジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)(Porteus and Carroll 2005)、CRISPR系に由来するCas9エンドヌクレアーゼ(Gasiunas,Barrangou et al.2012;Jinek,Chylinski et al.2012;Cong,Ran et al.2013;Mali,Yang et al.2013)、または化学的エンドヌクレアーゼ(Eisenschmidt,Lanio et al.2005;Arimondo,Thomas et al.2006)であり得る。化学的エンドヌクレアーゼにおいては、化学的なまたはペプチド性の切断剤が、核酸のポリマーまたは特定の標的配列を認識する他のDNAのいずれかにコンジュゲートされ、それによって、切断活性を特定の配列へターゲティングする。化学的エンドヌクレアーゼには、特定のDNA配列に結合することが公知の、オルトフェナントロリン、DNA切断分子、および三重鎖形成オリゴヌクレオチド(TFO)のコンジュゲートのような合成ヌクレアーゼも包含される(Kalish and Glazer 2005)。そのような化学的エンドヌクレアーゼは、本発明による「エンドヌクレアーゼ」という用語に含まれる。
【0535】
「TALEヌクレアーゼ」(TALEN)とは、典型的には、転写活性化因子様(Transcription Activator Like)エフェクター(TALE)に由来する核酸結合ドメイン、および核酸標的配列を切断する1つのヌクレアーゼ触媒ドメインからなる融合タンパク質を表す。触媒ドメインは、好ましくは、ヌクレアーゼドメインであり、より好ましくは、例えば、I-TevI、ColE7、NucA、Fok-Iのようなエンドヌクレアーゼ活性を有するドメインである。具体的な態様において、TALEドメインは、例えば、I-CreIおよびI-OnuIまたはそれらの機能的バリアントのようなメガヌクレアーゼに融合され得る。より好ましい態様において、前記ヌクレアーゼは単量体TALEヌクレアーゼである。単量体TALEヌクレアーゼとは、WO2012138927に記載された、操作されたTALリピートとI-TevIの触媒ドメインとの融合のような、特異的な認識および切断のために二量化を必要としないTALEヌクレアーゼである。転写活性化因子様エフェクター(TALE)は、複数の反復配列を含む、細菌種ザントモナス(Xanthomonas)由来のタンパク質であり、各リピートは、核酸標的配列の各ヌクレオチド塩基に対して特異的な2残基(RVD)を12位および13位に含む。類似したモジュラー塩基対塩基核酸結合(modular base-per-base nucleic acid binding)特性を有する結合ドメイン(MBBBD)も、異なる細菌種において出願人によって最近発見された新しいモジュラータンパク質に由来し得る。新しいモジュラータンパク質は、TALリピートより多くの配列可変性を示すという利点を有する。好ましくは、異なるヌクレオチドの認識に関連したRVDは、Cを認識するためのHD、Tを認識するためのNG、Aを認識するためのNI、GまたはAを認識するためのNN、A、C、G、またはTを認識するためのNS、Tを認識するためのHG、Tを認識するためのIG、Gを認識するためのNK、Cを認識するためのHA、Cを認識するためのND、Cを認識するためのHI、Gを認識するためのHN、Gを認識するためのNA、GまたはAを認識するためのSN、Tを認識するためのYG、Aを認識するためのTL、AまたはGを認識するためのVT、およびAを認識するためのSWである。別の態様において、重要なアミノ酸12および13は、ヌクレオチドA、T、C、およびGに対する特異性をモジュレートするため、具体的には、この特異性を増強するため、他のアミノ酸残基に変異させてもよい。TALEヌクレアーゼは、既に記載され、遺伝子ターゲティングおよび遺伝子改変を刺激するために使用されている(Boch, Scholze et al. 2009; Moscou and Bogdanove 2009; Christian, Cermak et al. 2010; Li, Huang et al. 2011)。特注のTALヌクレアーゼは、商標TALEN(商標)の下で市販されている(Cellectis, 8 rue de la Croix Jarry, 75013 Paris, France)。
【0536】
本発明によるレアカットエンドヌクレアーゼは、Cas9エンドヌクレアーゼ、ジンクフィンガーエンドヌクレアーゼ、MegaTALエンドヌクレアーゼでもあり得る。II型原核生物CRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short palindromic Repeats)適応免疫系(概説については(Sorek, Lawrence et al. 2013)を参照されたい)から、RNAガイド(RNA-guided)Cas9ヌクレアーゼ(Gasiunas, Barrangou et al. 2012; Jinek, Chylinski et al. 2012; Cong, Ran et al. 2013; Mali, Yang et al. 2013)に基づき、ゲノム操作ツールが開発された。CRISPR関連(Cas)系は、細菌において最初に発見され、外来DNA、ウイルスまたはプラスミドに対する防御として機能する。CRISPRによって媒介されるゲノム操作は、まず、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)と呼ばれる短い配列モチーフがしばしば隣接している標的配列の選択によって進行する。標的配列選択の後、この標的配列に相補的な特異的なcrRNAが操作される。CRISPR II型系において必要とされるトランス活性化crRNA(tracrRNA)は、crRNAと対合し、供給されたCas9タンパク質へ結合する。Cas9は、tracRNAのcRNAとの塩基対合を容易にする分子アンカーとして作用する(Deltcheva, Chylinski et al. 2011)。この三元複合体において、二重tracrRNA:crRNA構造は、同族標的配列にエンドヌクレアーゼCas9を差し向けるガイドRNAとして作用する。Cas9-tracrRNA:crRNA複合体による標的認識は、標的配列とcrRNAとの間の相同性について標的配列を走査することによって開始される。標的配列-crRNA相補性に加えて、DNAターゲティングは、プロトスペーサーに隣接した短いモチーフ(プロトスペーサー隣接モチーフ-PAM)の存在を必要とする。その後、二重RNAと標的配列との間の対合に続き、Cas9が、PAMモチーフの3塩基上流に平滑末端二本鎖切断を導入する(Garneau, Dupuis et al. 2010)。
【0537】
レアカットエンドヌクレアーゼは、メガヌクレアーゼの名称でも公知のホーミングエンドヌクレアーゼであってもよい。そのようなホーミングエンドヌクレアーゼは、当技術分野において周知である(Stoddard 2005)。ホーミングエンドヌクレアーゼは、DNA標的配列を認識し、一本鎖または二本鎖の切断を生成する。ホーミングエンドヌクレアーゼは、高度に特異的であり、12~45塩基対(bp)長、通常14~40bp長の範囲のDNA標的部位を認識する。本発明によるホーミングエンドヌクレアーゼは、例えば、LAGLIDADGエンドヌクレアーゼ、HNHエンドヌクレアーゼ、またはGIY-YIGエンドヌクレアーゼに相当し得る。本発明による好ましいホーミングエンドヌクレアーゼは、I-CreIバリアントであり得る。
【0538】
「送達ベクター」とは、本発明において必要とされる薬剤/化学物質および分子(タンパク質または核酸)を、細胞と接触させるため(即ち、「接触」)、または細胞もしくは細胞内区画へ送達するため(即ち、「導入」)、本発明において使用され得る送達ベクターを表す。それには、リポソーム送達ベクター、ウイルス送達ベクター、薬物送達ベクター、化学的担体、ポリマー担体、リポプレックス、ポリプレックス、デンドリマー、微小気泡(超音波造影剤)、ナノ粒子、乳濁液、またはその他の適切な移入ベクターが含まれるが、これらに限定されない。これらの送達ベクターは、分子、化学物質、高分子(遺伝子、タンパク質)、またはプラスミド、Diatosによって開発されたペプチドのようなその他のベクターの送達を可能にする。これらのケースにおいて、送達ベクターは分子担体である。「送達ベクター」とは、トランスフェクションを実施するための送達方法も表す。
【0539】
「ベクター」という用語は、それが連結された別の核酸を輸送することができる核酸分子をさす。本発明における「ベクター」には、ウイルスベクター、プラスミド、RNAベクター、または染色体核酸、非染色体核酸、半合成核酸、もしくは合成核酸からなり得る直鎖状もしくは環状のDNA分子もしくはRNA分子が含まれるが、これらに限定されない。好ましいベクターは、それらが連結された核酸の自律複製が可能なもの(エピソームベクター)および/または発現が可能なもの(発現ベクター)である。多数の適当なベクターが、当業者に公知であり、市販されている。
【0540】
ウイルスベクターには、レトロウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス、特にaav6)、コロナウイルス、オルソミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、ラブドウイルス(例えば、狂犬病ウイルスおよび水疱性口内炎ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、麻疹およびセンダイ)のようなマイナス鎖RNAウイルス、ピコルナウイルスおよびアルファウイルスのようなプラス鎖RNAウイルス、ならびにアデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス1型および2型、エプスタイン・バーウイルス、サイトメガロウイルス)、およびポックスウイルス(例えば、ワクシニア、鶏痘、およびカナリアポックス)を含む二本鎖DNAウイルスが含まれる。他のウイルスには、例えば、ノーウォークウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、レオウイルス、パポーバウイルス、ヘパドナウイルス、および肝炎ウイルスが含まれる。レトロウイルスの例には、トリ白血病肉腫、哺乳動物C型、B型ウイルス、D型ウイルス、HTLV-BLV群、レンチウイルス、スプーマウイルスが含まれる(Coffin, J. M., Retroviridae: The viruses and their replication, In Fundamental Virology, Third Edition, B. N. Fields, et al., Eds., Lippincott-Raven Publishers, Philadelphia, 1996)。
【0541】
「レンチウイルスベクター」とは、比較的大きいパッケージング能力、低下した免疫原性、および広範囲の異なる細胞型を高い効率で安定的に形質導入する能力のため、遺伝子送達のために極めて有望である、HIVに基づくレンチウイルスベクターを意味する。レンチウイルスベクターは通常、3種(パッケージング、エンベロープ、および移入)またはそれ以上のプラスミドを産生細胞に一過性トランスフェクションした後、生成される。HIVと同様に、レンチウイルスベクターは、ウイルス表面糖タンパク質の細胞表面上の受容体との相互作用を通して標的細胞に侵入する。侵入後、ウイルスRNAが、ウイルス逆転写酵素複合体によって媒介される逆転写を受ける。逆転写の産物は、感染細胞のDNAへのウイルス組み込みのための基質となる二本鎖の直鎖状ウイルスDNAである。「組込みレンチウイルスベクター(またはLV)」とは、非限定的な例として、標的細胞のゲノムに組み込まれ得るそのようなベクターを意味する。反対に、「非組込みレンチウイルスベクター(またはNILV)」とは、ウイルスインテグラーゼの作用を通して標的細胞のゲノムに組み込まれない効率的な遺伝子送達ベクターを意味する。
【0542】
送達ベクターおよびベクターは、ソノポレーション(sonoporation)もしくは電気穿孔のような細胞透過処理技術、またはこれらの技術の変法と関連しているかまたは組み合わせられていてよい。
【0543】
細胞とは、真核生物の生存細胞、初代細胞、およびインビトロ培養のためのこれらの生物に由来する細胞株を表す。
【0544】
「初代細胞」とは、集団倍化をほとんど受けておらず、従って、腫瘍形成性の連続細胞株または人為的に不死化された細胞株と比較して、それが由来した組織の主な機能的成分および特徴をよりよく表している、生存組織(即ち、生検材料)から直接採取され、インビトロでの増殖のために確立された細胞を表す。
【0545】
非限定的な例として、細胞株は、CHO-K1細胞;HEK293細胞;Caco2細胞;U2-OS細胞;NIH 3T3細胞;NSO細胞;SP2細胞;CHO-S細胞;DG44細胞;K-562細胞、U-937細胞;MRC5細胞;IMR90細胞;ジャーカット細胞;HepG2細胞;HeLa細胞;HT-1080細胞;HCT-116細胞;Hu-h7細胞;Huvec細胞;Molt 4細胞からなる群より選択され得る。
【0546】
これらの細胞株は、全て、関心対象の遺伝子またはタンパク質を作製し、発現させ、定量化し、検出し、研究するための細胞株モデルを提供するため、本発明の方法によって改変され得;これらのモデルは、研究および作製、ならびに非限定的な例としての化学物質、生物燃料、治療薬、および農学のような様々な領域において、関心対象の生理活性分子をスクリーニングするためにも使用され得る。
【0547】
「変異」とは、ポリヌクレオチド(cDNA、遺伝子)またはポリペプチドの配列における1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、20個、25個、30個、40個、50個、またはそれ以上までのヌクレオチド/アミノ酸の置換、欠失、挿入を表す。変異は、遺伝子のコード配列またはその制御配列に影響を与える場合がある。また、ゲノム配列の構造またはコードされたmRNAの構造/安定性に影響を与える場合もある。
【0548】
「バリアント」とは、親分子のアミノ酸配列における少なくとも1個の残基の変異または交換によって入手されたリピートバリアント、バリアント、DNA結合バリアント、TALEヌクレアーゼバリアント、ポリペプチドバリアントを表す。
【0549】
「機能的バリアント」とは、タンパク質またはタンパク質ドメインの触媒活性変異体を表し;そのような変異体は、その親のタンパク質またはタンパク質ドメインと比較して、同一の活性、または付加的な特性、またはより高いかもしくはより低い活性を有し得る。
【0550】
「同一性」とは、2種の核酸分子またはポリペプチドの間の配列同一性をさす。同一性は、比較の目的のために整列化され得る各配列の位置を比較することによって決定され得る。比較された配列のある位置が同一の塩基によって占有される時、それらの分子はその位置において同一である。核酸またはアミノ酸配列の間の類似性または同一性の程度は、核酸配列が共有している位置における同一のまたは一致するヌクレオチドの数の関数である。GCG配列分析パッケージ(University of Wisconsin, Madison, Wis.)の一部として入手可能であるFASTAまたはBLASTを含む、様々なアライメントアルゴリズムおよび/またはプログラムが、2種の配列の間の同一性を計算するために使用され得、例えば、デフォルト設定で使用され得る。例えば、本明細書に記載された特定のポリペプチドとの少なくとも70%、85%、90%、95%、98%、または99%の同一性を有しており、好ましくは、実質的に同一の機能を示すポリペプチド、およびそのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、企図される。他に示されない限り、類似性スコアは、BLOSUM62の使用に基づくであろう。BLASTPが使用される時、パーセント類似性は、BLASTP陽性スコアに基づき、パーセント配列同一性は、BLASTP同一性スコアに基づく。BLASTP「同一性」は、同一である高スコア配列対における全残基の数および画分を示し;BLASTP「陽性」は、アライメントスコアが正の値を有しており、相互に類似している残基の数および画分を示す。本明細書に開示されたアミノ酸配列との同一性もしくは類似性のこれらの程度または同一性もしくは類似性の中間の程度を有するアミノ酸配列が、本開示によって企図され包含される。類似したポリペプチドのポリヌクレオチド配列は、遺伝暗号を使用して推定され、従来の手段によって、特に、遺伝暗号を使用してそのアミノ酸配列を逆翻訳することによって、入手され得る。
【0551】
「シグナル伝達ドメイン」または「共刺激リガンド」とは、T細胞上の同族共刺激分子に特異的に結合し、それによって、例えば、ペプチドが負荷されたMHC分子とのTCR/CD3複合体の結合によって提供される一次シグナルに加えて、増殖活性化、分化等を含むがこれらに限定されないT細胞応答を媒介するシグナルを提供する抗原提示細胞上の分子をさす。共刺激リガンドには、CD7、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、PD-L1、PD-L2、4-1BBL、OX40L、誘導性共刺激リガンド(ICOS-L)、細胞間接着分子(ICAM、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、M1CB、HVEM、リンホトキシンβ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、トールリガンド受容体に結合するアゴニストまたは抗体、およびB7-H3に特異的に結合するリガンドが含まれ得るが、これらに限定されない。CD28はこのリストから除外される。共刺激リガンドには、とりわけ、以下に限定されないが、CD27、4-IBB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、LTGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドのような、T細胞上に存在する共刺激分子と特異的に結合する抗体も包含される。
【0552】
「共刺激分子」とは、共刺激リガンドと特異的に結合し、それによって、これに限定されないが、増殖のような、細胞による共刺激応答を媒介するT細胞上の同族結合パートナーをさす。共刺激分子には、MHCクラスI分子、BTLA、およびトールリガンド受容体が含まれるが、これらに限定されない。
【0553】
「共刺激シグナル」とは、本明細書において使用されるように、TCR/CD3ライゲーションのような一次シグナルと組み合わせて、T細胞増殖および/または重要分子のアップレギュレーションもしくはダウンレギュレーションをもたらすシグナルをさす。
【0554】
「細胞外リガンド結合性ドメイン」という用語は、本明細書において使用されるように、リガンドと結合することができるオリゴペプチドまたはポリペプチドとして定義される。好ましくは、ドメインは、細胞表面分子と相互作用することができるであろう。例えば、細胞外リガンド結合性ドメインは、特定の疾患状態に関連した標的細胞上の細胞表面マーカーとして作用するリガンドを認識するよう選択され得る。従って、リガンドとして作用し得る細胞表面マーカーの例には、ウイルス、細菌、および寄生虫の感染、自己免疫疾患、ならびにがん細胞に関連したものが含まれる。
【0555】
「対象」または「患者」という用語には、本明細書において使用されるように、非ヒト霊長動物およびヒト、好ましくはヒトを含む動物界の全てのメンバーが含まれる。一態様において、患者は、侵攻性、もしくは難治性もしくは再発性ALL、または、侵攻性、難治性、再発性CLLを有する患者である。
【0556】
哺乳動物は、哺乳綱の任意の温血脊椎動物、好ましくはヒトである。
【0557】
「自殺ドメインまたはスイッチ」、または「安全オン-アンド-オフスイッチ」は、発現細胞を免疫選択しそして最終的にそれらの機能および生存を制御するための、分子、タンパク質、化学物質、抗体によって認識されるドメイン、通常、細胞表面ドメインを意味する。
【0558】
上記の本発明の説明は、当業者が本発明を作製し使用することが可能になるよう、本発明を作製し使用する様式および過程を提供するものであり、この可能性は、当初明細書の一部を構成する添付の特許請求の範囲の主題のために特に提供される。
【0559】
本明細書において数的な限度または範囲が記述される場合、その終点が含まれる。数的な限度または範囲に含まれる全ての値および部分範囲も、明示的に記載されたかのごとく、具体的に含まれる。
【0560】
上記の説明は、当業者が本発明を作製し使用することを可能にするために提示され、特定の適用およびその必要条件に関して提供される。好ましい態様に対する様々な改変は、当業者に容易に明白になり、本明細書において定義された一般原理は、本発明の本旨および範囲から逸脱することなく、他の態様および適用に適用され得る。従って、本発明は、示された態様に限定されず、本明細書に開示された原理および特色と一致する最も広い範囲を与えられるものとする。
【0561】
一般法
CARのスクリーニングおよび選択
・初代T細胞培養物
フィコール勾配密度媒体を使用して、EFS(Etablissement Francais du Sang, Paris, France)によって提供されたバフィーコート試料から、T細胞を精製した。PBMC層を回収した。T細胞を、20ng/mLヒトIL-2、5%ヒト、およびビーズ:細胞比1:1のDynabeads Human T activator CD3/CD28(Life Technologies)が補足されたX-Vivo(商標)-15培地(Lonza)において活性化した。
【0562】
・CAR mRNAトランスフェクション
T細胞の精製および活性化の後、4日目または11日目に、各CAR構築物をコードするCAR mRNAのトランスフェクションを行った。細胞をX-Vivo(商標)-15培地で直ちに希釈し、5%CO2と共に37℃でインキュベートした。IL-2を、20ng/mLで、エレクトロポレーションの2時間後に添加した。
【0563】
・T細胞形質導入
CD22 CARをコードするベクターを、以前記載されたようにT細胞中へ導入する。
T細胞表面におけるCAR検出は、ヒトCD22タンパク質(タンパク質全体、CD22の遠位部分またはCD22の近位部分)の細胞外ドメインとマウスIgG1 Fcフラグメントとの融合物からなる組換えタンパク質を使って行う。CAR分子へのこのタンパク質の結合を、タンパク質のマウスFc部分を標的とするPEコンジュゲート二次抗体(Jackson Immunoresearch)で検出し、フローサイトメトリーで分析する。
【0564】
初代T細胞中の特定の遺伝子の不活性化
初代T細胞中の特定の遺伝子の不活性化は、適宜設計された、TALエンドヌクレアーゼ、任意でCrispr Cas 9エンドヌクレアーゼなどの、エンドヌクレアーゼを使用して、細胞中へのCD22 CAR導入前、好ましくは後に行われ得る。少なくとも1つの遺伝子が不活性化され、1つ、2つまたは3つの遺伝子が、1つの工程においてまたはいくつかの連続する工程において、不活性化されてもよい。好ましい態様において、2つの遺伝子が不活性化され、好ましくは、TCRアルファ遺伝子と、その欠失が、プリンヌクレオチド類似体、アレムツズマブ、プラチン類(シスプラチンまたはカルボプラチン)、抗トポイソメラーゼI(イリノテカン)、抗トポイソメラーゼII(エトポシド)、メトトレキサート(葉酸類似体)、好ましくは、プリンヌクレオチド類似体、アレムツズマブより選択される薬物に対する耐性を付与する遺伝子とが、不活性化される。
【0565】
一般に、異種二量体ヌクレアーゼ、特に、標的遺伝子内のスペーサーによって分離された2個の長配列(半標的と呼ばれる)を標的とするTALEヌクレアーゼが、設計および製造される。
【0566】
各TALEヌクレアーゼ構築物は、適切な哺乳動物発現ベクターにクローニングされ得る。標的としたゲノム配列を切断するTALEヌクレアーゼをコードするmRNAは、プロモーターの下流にコード配列を保持しているプラスミドから合成され得る。抗CD3/CD28によってコーティングされたビーズによって予め活性化された精製されたT細胞を使用し、これに両方の半TALEヌクレアーゼをコードする2種のmRNAの各々をトランスフェクトする。細胞を可溶性抗CD28によって再活性化し、様々な時間についての細胞増殖を測定し、活性化マーカーCD25を検出し、細胞の活性化状態を評価してもよい。
【0567】
・脱顆粒アッセイ(CD107a動員)
96穴プレートにおいて、様々なレベルの標的としたタンパク質(CD22)を発現する等量の細胞と共に、細胞をインキュベートした。共培養を、5%CO2で37℃にて6時間、維持した。共培養の開始時に、対照としての、抗CD49d、抗CD28、および1×モネンシン溶液と共に、蛍光性抗CD107a抗体を添加することによって、細胞刺激中にCD107a染色を行った。6時間のインキュベーション期間の後、細胞を、固定可能な生死細胞判定色素および蛍光色素結合型抗CD8によって染色し、フローサイトメトリーによって分析した。CD8+/CD107a+細胞の%として、そしてCD8+細胞におけるCD107a染色についての平均蛍光強度シグナル(MFI)を決定することによって、脱顆粒活性を決定した。脱顆粒アッセイは、mRNAトランスフェクションの24時間後に実施された。
【0568】
・IFNγ放出アッセイ
mRNAトランスフェクションの24時間後に、CD22 CAR発現T細胞を、37℃で24時間、様々なレベルの標的としたタンパク質を発現する細胞株と共にインキュベートした。上清を回収し、細胞培養上清中のIFNγ検出をELISAアッセイによって行った。
【0569】
・細胞傷害アッセイ
細胞を、(異なるレベルのCD22を発現する)標的細胞または(陰性対照)と共にインキュベートした。標的細胞および対照細胞を、CAR+T細胞との共培養の前に、蛍光性の細胞内色素(CFSEまたはCell Trace Violet)によって標識した。共培養物を37℃で4時間インキュベートした。このインキュベーション期間の後、細胞を固定可能な生死細胞判定色素によって標識し、フローサイトメトリーによって分析した。各細胞集団(標的細胞または陰性対照細胞)の生存率を決定し、特異的細胞溶解の%を計算した。細胞傷害アッセイは、mRNAトランスフェクションの48時間後に実施された。
【0570】
・抗腫瘍マウスモデル
免疫不全マウスに、腫瘍細胞(患者由来のCD22 BALL)、または標的としたタンパク質発現ルシフェラーゼ細胞を、側腹部中へ植え込む。続いて、細胞をマウス脳中へ植え込む。さらなる世代のマウス中への連続移植は、インビボ異種移植細胞株の維持を継続する。任意で、マウスは、CAR+T細胞の注射前/または注射と共に抗がん処置(アレムツズマブおよび/またはflu)を受容した。次いで、異なる用量の試験されるCAR+T細胞、またはCD22CARを発現しないT細胞を、(腫瘍細胞株の注射の2日後または7日後のいずれかに)マウスにiv注射する。異なる動物における腫瘍進行を追跡するため、T細胞注射の当日(D0)、T細胞注射後7日目、14日目、21日目、28日目、および40日目に生物発光シグナルを決定する。
【0571】
再発または難治性またはMRD+ CD22+ B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)を有する患者における同種異系CD22 CART(UCART22)の安全性、増大および持続性を評価するための第I相用量漸増試験
【0572】
背景および論理的根拠
現在の多剤化学療法レジメンによって、長期生存が、小児期急性リンパ芽球性白血病(ALL)の>80%において、および成人ALLのおよそ40%において見られる(1)。化学療法のさらなる強化は有効であると証明されなかった(2)。ここ数年でALLの生物学についての本発明者らの理解が著しく進歩し、これは「標的療法」についての機会を提供する(3, 4)。
【0573】
再発/難治性ALLは困難な疾患のままである。再発後療法は、患者の30~40%において第2のCR(CR2)をもたらし、5年OSは僅か約10%である。現在までの再発成人ALL患者の最大の報告において、Fieldingおよび共同研究者らは、MRC UKALLXII/ECOG E2993治験において処置された再発成人ALL患者のアウトカムを分析した(5)。1508人の評価可能な患者のうち、1372人(91%)がCR1を達成し、そのうちの609人(CR1患者の44%)が11ヶ月の中央値で再発した。5年OSは、再発した患者について僅か7%であった。再発した患者についてのOS中央値は5.5ヶ月であった。Tavernierおよび共同研究者らは、French LALA-94治験において処置された、最初の再発を経験した421人のALL患者のアウトカムを報告した(6)。CR2が44%の患者において達成され、DFS中央値は5.2ヶ月であり、OS中央値は6.3ヶ月であった。Oriolおよび共同研究者らは、4連続PETHEMA治験において処置された、最初の再発における263人のALL患者のアウトカムを報告した(7)。CR2が患者の45%において達成され、French LALA治験と同様の割合であった。再発後のOS中央値は4.5ヶ月であり、5年OSは10%であった。
【0574】
CD22発現は、ALLを有する患者の>90%において生じ、正当な治療標的である。キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法などの細胞療法が、血液悪性腫瘍を有する患者を処置するためにますます使用されている(8~16)。再発急性リンパ芽球性白血病(ALL)を有する患者において、非常に高い完全奏功率(80~90%)が、自家CD19-CART細胞で報告された(12)。同様に、40~50%の奏効率が、自家CD19 CART療法を受ける再発慢性リンパ性白血病(CLL)を有する患者において見られる(9)。
【0575】
本研究は、再発および/または難治性CD22 B-ALLを有する患者における、CD22へ向けられた同種異系CART細胞を評価する。
【0576】
目的
主目的
同種異系CD22 CARTの安全性および耐容性を評価すること、ならびに最大耐容量(MTD)を決定すること
【0577】
副次的目的
同種異系CD22 CARTの効能を決定すること
GVHDの発生率を決定すること
【0578】
探索的目的
注入されたCART細胞の増大、表現型、輸送および持続性を決定すること
【0579】
組み入れ基準
1.再発または難治性CD22陽性ALL(増大期について:MRD+疾患を有する患者が認められる)
2.≧2歳の患者
3.ECOGパフォーマンスステータス≦2
4.ビリルビン≦2 mg/dl、ALT/AST<3x ULN、およびクレアチニン≦2 mg/dlを含む正常な臓器機能
5.左室駆出率(LVEF)≧40%
【0580】
除外基準
1.患者が妊娠または授乳中である
2.制御不能の活動性感染症を有する患者
3.単独骨髄外再発(即ち、精巣、CNS)
4.既知の活動性CNS白血病。注:有効に処置されたCNS疾患の病歴を有する患者は、登録の>4週間前にCNS寛解状態であった場合は、適格である
5.活動性B型肝炎または活動性C型肝炎
6.HIV感染症
7.全身ステロイド療法を必要とする活動性GVHD。生理的補充のためのステロイド療法は許容される。
8.CD22 CART注入の4週間以内にDLIを受容した
9.CD22 CART注入の60日以内のAllo-SCT
【0581】
試験の説明
これは第1相試験である。この治験には2期がある。用量漸増、および用量増大。
患者はリンパ球枯渇化学療法の受容後にCD22同種異系CARTを受容する。
用量漸増:4つの用量レベルを標準の3x3設計で研究する。合計9~18人の患者を登録する。
【0582】
【0583】
いったんR2PDレベルが特定されると、用量増大を開始する。
合計20人の患者を次いで登録する(10人R/R ALL;10人MRD+ SCT後)。
総サンプルサイズ:患者29~38人。
【0584】
第2の研究は、CD19+CD22+ B-ALLを有する患者において、CD22へ向けられた同種異系CART細胞とCD22およびCD19(2つの形態)へ向けられた同種異系CART細胞とを比較する。
【0585】
目的
主目的
同種異系CD19+CD22 CARTの安全性および耐容性を評価すること、ならびに最大耐容量(MTD)を決定すること
【0586】
副次的目的
同種異系CD22 CARTの効能を決定すること
GVHDの発生率を決定すること
【0587】
探索的目的
注入されたCART細胞の増大、表現型、輸送および持続性を決定すること
【0588】
組み入れ基準
1.再発または難治性CD22陽性ALL(増大期について:MRD+疾患を有する患者が認められる)
2.≧2歳の患者
3.ECOGパフォーマンスステータス≦2
4.ビリルビン≦2 mg/dl、ALT/AST<3x ULN、およびクレアチニン≦2 mg/dlを含む正常な臓器機能
5.左室駆出率(LVEF)≧40%
【0589】
除外基準
1.患者が妊娠または授乳中である
2.制御不能の活動性感染症を有する患者
3.単独骨髄外再発(即ち、精巣、CNS)
4.既知の活動性CNS白血病。注:有効に処置されたCNS疾患の病歴を有する患者は、登録の>4週間前にCNS寛解状態であった場合は、適格である
5.活動性B型肝炎または活動性C型肝炎
6.HIV感染症
7.全身ステロイド療法を必要とする活動性GVHD。生理的補充のためのステロイド療法は許容される。
8.CD22 CART注入の4週間以内にDLIを受容した
9.CD22 CART注入の60日以内のAllo-SCT
【0590】
試験の説明
これは第1相試験である。この治験には2期がある。用量漸増、および用量増大。
患者はリンパ球枯渇化学療法の受容後にCD22同種異系CARTを受容する。
用量漸増:4つの用量レベルを標準の3x3設計で研究する。合計9~18人の患者を登録する。
【0591】
【0592】
いったんR2PDレベルが特定されると、用量増大を開始する。
合計20人の患者を次いで登録する(10人R/R ALL;10人MRD+ SCT後)。
総サンプルサイズ:患者29~38人。
【0593】
【実施例0594】
実施例1:CD22-CARを発現するTCRアルファ不活性化細胞の増殖
T細胞受容体α定常鎖領域(TRAC)遺伝子内の15bpスペーサーによって分離された2個の17bp長配列(半標的と呼ばれる)を標的とする異種二量体TALEヌクレアーゼを設計し作製した。各半標的は、表6にリストされた半TALEヌクレアーゼのリピートによって認識される。
【0595】
(表6)TCRα遺伝子を標的とするTALヌクレアーゼ
【0596】
各TALEヌクレアーゼ構築物を、T7プロモーターの調節下となるよう、制限酵素消化を使用して哺乳動物発現ベクターへサブクローニングした。TRACゲノム配列を切断するTALEヌクレアーゼをコードするmRNAを、T7プロモーターの下流にコード配列を保持しているプラスミドから合成した。
【0597】
抗CD3/CD28によってコーティングされたビーズによって72時間予め活性化された精製されたT細胞に、両方の半TRAC_T01 TALEヌクレアーゼをコードする2種のmRNAの各々をトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、同一のドナーに由来するT細胞の異なる群に、本発明のCD22 CARのうちの1種をコードするベクターによってそれぞれ形質導入した。形質導入の2日後、CD3陰性細胞を抗CD3磁気ビーズを使用して精製し、形質導入の5日後、細胞を可溶性抗CD28(5μg/ml)によって再活性化した。
【0598】
週に2回、細胞を計数することによって、再活性化の30日後まで細胞増殖を追跡した。CD22 CARを発現するTCRα不活性化細胞の増殖は、非不活性化細胞の増殖に匹敵し、特に、抗CD28によって再活性化された時、増加した。
【0599】
TALEN mRNAの多重トランスフェクション
TRAC TALEN(左および右)をコードするmRNA、およびB2M遺伝子に特異的なTALEN対をコードするmRNAを、活性化T細胞にトランスフェクトし、続いて、CD22に特異的なCARまたはCD19に特異的なCARまたは両方をコードする外因性ポリヌクレオチドを形質導入した。
【0600】
二重KO TRACおよびB2MまたはCD56遺伝子は、検出不可能なレベルのTCRおよびMHCIまたはTCRおよびCD56を発現させた。精製後、細胞に再び形質導入を行った。
【0601】
実施例2:CD22 CAR-T
難治性、再発性または侵攻性ALLまたはCLLの処置用の、CD22を標的とする操作CAR T細胞の開発
・CD22 CAR:(
図2)
・CD22についての減少した親和性および高い選択性を有するm971およびm971バリアントとしての構築物
異なるscfvを使用して、CD22 CARを設計および調製した。m971 scfvは、971抗体に由来する(Haso W
1, Lee DW, Shah NN, Stetler-Stevenson M, Yuan CM, Pastan IH, Dimitrov DS, Morgan RA, FitzGerald DJ, Barrett DM, Wayne AS, Mackall CL, Orentas RJ. Anti-CD22-chimeric antigen receptors targeting B-cell precursor acute lymphoblastic leukemia. Blood. 2013 Feb 14;121(7):1165-74. doi: 10.1182/blood-2012-06-438002. Epub 2012 Dec 14)。
【0602】
41BB共刺激ドメイン、CD3ζ活性化ドメイン、CD8α膜貫通ドメインおよびヒンジ、CD8αヒンジを用いて、CAR構造物(
図2)を構築した(SEQ-ID NO:15)。FcγRIIIα-ヒンジを含む構築物は(SEQ-ID NO:14)に対応する。
【0603】
設計されたCARの安定発現およびスクリーニングのために、構築物をベクター中へ挿入した。
【0604】
CD22 CARは、m971-V3 CAR(SEQ ID NO:22);およびSEQ ID NO:24であった。
【0605】
配列はまた、CD22結合、ならびにALLおよびCLL、好ましくはそれらの難治性再発性および侵攻性形態の治療について、最適化されてもよい。
【0606】
・CAR発現
抗CD3CD28によってコーティングされたビーズおよびIL-2による活性化から5日後に、CD22 CARを初代KO TCR T細胞中へ導入した。CAR発現をフローサイトメトリーによって評価した。全てのCARが細胞表面で発現された。CD22+形質転換細胞株および患者由来の難治性または再発CD22+ B ALLへの活性。
【0607】
抗CD22 CARの機能性を試験するために、CD22を発現するB細胞(ALL株REH、SEM、NALM6-GL、KOPN8、Daudi、Raji、およびK562を使用した(実験的な詳細についてはHaso et al., 2013, 2013; Blood: 121 (7) : 1165 - 1174を参照されたい)。難治性または再発CD22+ B ALLを患者から得た。
【0608】
予想通り、CD22を発現する全ての細胞が、CD22 CAR(HA22由来のscfv2)でのように、本発明のm971由来のCD22 CARによって、陽性染色され、標的とされた。
【0609】
脱顆粒アッセイ
CD22 CAR構築物を検証するために、脱顆粒アッセイを、本発明のCD22 CARを発現するT細胞を用いて、標的細胞に対して行った。CART脱顆粒をフローサイトメトリーによって評価した。読み出しは、標的細胞との5時間のインキュベーション後のT細胞原形質膜でのCD107a発現である。結果は、CARm971- (scfv-1)からの脱顆粒が、CD22の遠位部(SEQ ID 20)scfv-2に対するCD22 CAR T細胞についてよりもより重大であったことを示した(
図5)。
【0610】
・細胞傷害アッセイ
細胞傷害アッセイを、本発明のCD22 CARを発現するT細胞を用いて、これらの同じ標的細胞に対して行った。CD22 CARは、CD22の遠位部に対するscfv(scfv2)を発現する細胞と比較した場合、本発明のUCART 22のCD22細胞の強力な特異的な溶解を示した(
図6)。
【0611】
インターフェロンガンマアッセイ
CD22陰性SUP-T1細胞と比較してのCD22陽性NALM-16細胞の存在下での、非形質導入(NT)のインターフェロンガンマ産生、またはCD22の遠位部を標的とするCARが形質導入されたT細胞(scfv-V2)細胞のインターフェロンガンマ産生と比較した場合の、UCART22(CD22の近位ドメインに対するscfv-V1)のインターフェロンガンマ産生(
図7)。
【0612】
マウス生存
対照細胞と比較して、UCART22(CD22の近位ドメインに対するscfv-V1)またはCART22(TRAC不活性化無し)の存在下で、マウス生存が改善された(
図8)。
【0613】
低酸素および/または薬物に対する耐性
本発明の操作細胞UCART22は、非操作細胞 感受性細胞と比較した場合、アレムツズマブ(50マイクログラム/mL)またはPNA(flu)の存在下で有意に影響を受けず(生存およびCTL活性)、非操作細胞 感受性細胞は、細胞培養物における薬物の添加に続いて、または低酸素(5%未満、好ましくは1%未満のO2)下での培養条件に続いて48時間で死滅した。
【0614】
低O2条件(<5%または<1%)下で行われた試験は、同様の結果を生じさせ、HIF-1a発現増加を伴うUCART22は、生き延びることができ、CD22 CARを発現することができ、かつ、低酸素下で活性であることができることを確認した。
【0615】
同様の結果(生存、CTL活性)が、Campath(50マイクログラム/mL)で処置されたマウスにおいて得られ、薬物に対するUCART22の耐性が確認された。本発明のUCART 22細胞が、組織中に入れ子にされたがん細胞に達するか、またはインビボでクラスターを作っているがん細胞に達する可能性が示唆され、何故ならば、UCART22での処置から「回復する」または「逃れる」がん細胞の量が、O2に耐性でないUCART22で処置されたマウス中と比べて、遥かにより少なかったためである(約15%減少)。従って、液体腫瘍によって作られる局所的な低酸素は、免疫細胞がそれらと戦うのを妨げるようである。
【0616】
UCART22細胞がもし望まれる場合は排除され得るかどうかを決定するために、実験を行った(
図3および4)。マウス中において、リツキシマブは、細胞単独と比較した場合、リツキシマブおよびUCARTで処置されたマウスにおける腫瘍細胞の蛍光強度の増加によって示唆されたように、UCARTの有意な減少を誘導した。
【0617】
得られた臨床的な最初のデータは、UCAR T細胞が、存在しないかまたは最軽度(グレード1)のGVHD、および軽度から存在しない制御不能サイトカインストームを伴って、インビボおよびインビトロで再発および難治性ALLを有意に低減させることを示す。
【0618】
そのような処置は、自家CD22 CAR Tと比べて「毒性」がより低く、リツキシマブおよび/またはQBEN10を使用して患者において制御することができる。
【0619】
細胞は、活性であるために十分に長くヒトにおいて持続し(1ヶ月以上)、QBEN10を使用して枯渇させることができる。
【0620】
調製されるCD22 CARポリペプチド配列の例
フレーム化される配列は、好ましいVHおよびVL配列に対応する。VHおよびVLは、上述のように、CAR効率を改善するために交換され得る(ホットスポットにおける改変)。
【0621】
結果
UCART22における調製のために選択されるCAR構築物は、m971抗ヒトCD22 scFv(Haso et al., 2013に記載)、CD8αヒンジ(任意選択)および膜貫通ドメイン、ならびに4-1BB共刺激ドメインおよびCD3ζシグナリングドメインから構成される細胞質テールを含む(
図3)。
【0622】
別のCAR構築物は、連続的に、配列m971抗ヒトCD22 scFv、リツキシマブについての2つの結合性ドメイン(CD20)、CD8αヒンジおよび膜貫通ドメイン、ならびに4-1BB共刺激ドメインおよびCD3ζシグナリングドメインから構成される細胞質テールを含む(
図3)。
【0623】
代替のCAR構築物は、連続的に、リツキシマブについての結合性ドメイン(CD20)、Q-BEN10についての結合性ドメイン(CD34)、m971抗ヒトCD22 scFv、リツキシマブについての2つの結合性ドメイン(CD20)、CD8αヒンジおよび膜貫通ドメイン、ならびに4-1BB共刺激ドメインおよびCD3ζシグナリングドメインから構成される細胞質テールを含んだ(
図3)。
【0624】
UCART22において、組換え第三世代自己不活性化(SIN)レンチウイルスベクター(rLV)は、抗CD22 CARを発現するT細胞の作製、およびヒトEF1αプロモーターの制御下でのRQR8枯渇機序のために使用される(
図4)。HIVに由来する組換えレンチウイルスベクターは、遺伝学的に安定であり、ベクターに起因する病理学的結果の証拠をまだ示していない(Chang and Sadelain, 2007; Wang et al., 2009)。加えて、rLVでのT細胞の形質導入のための条件は公知であり、T細胞の機能特性の保存と適合性がある。
【0625】
UCART22において、AAV6ベクターは、TRAC遺伝子(TCRまたはアルファサブユニットをコードする遺伝子)またはPCT/EP2017/076798に開示される任意の遺伝子のような遺伝子の遺伝子編集後に使用され得る(
図9)。
【0626】
付加的なCD19 scfv(CD22 scfvの前または後に)を含む本発明の抗CD22 CAR構築物のバリアントをさらに調製し、ならびに、多重鎖CD22 CAR、多重鎖CD22, CD19 CAR(
図2)も構築し、レンチウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス6(AAV6)ベクター中へ挿入し、これは、下述されるCD22 CAR構築物またはCD19 CAR構築物が、TRAC遺伝子中へまたはCD25遺伝子中へ、またはベータ2ミクログロブリン遺伝子中へ挿入されることを可能にし、これらを作製し、CAR配列は配列の5’および3’に隣接し、特異的なTAL-タンパク質-Fok-1(TALEN)を使用しての遺伝子の特異的切断後にTRAC遺伝子中への、CD25遺伝子中へのまたはベータ2ミクログロブリン遺伝子中への相同組換えを可能にする。
【0627】
TGFベータ受容体KO遺伝子、IL-10受容体KO遺伝子、AHR KO遺伝子、PD1 KO遺伝子、LAG-3 KO遺伝子、TIM-3 KO遺伝子、またはそれらの組み合わせをさらに含むUCART22を作製した。
【0628】
TGFベータ受容体KO遺伝子、またはIL-10受容体KO遺伝子、またはアリール炭化水素受容体(AHR)KO遺伝子、またはPD1 KO遺伝子、またはLAG-3 KO遺伝子、またはTIM-3 KO遺伝子のいずれかをさらに含む各UCART22の例を作製した。
【0629】
CD19+ CD22+がん細胞を枯渇する効果を試験するために、“Molecular remission of infant B-ALL after infusion of universal TALEN gene-edited CAR T cells. Waseem Qasim, et al., 2017. Science Translational Medicine25 Jan 2017)に以前記載され、かつ、CD22 CARによって運ばれるものとは異なる自殺遺伝子をさらに含む(WO2016120216A1に記載される通り)、抗CD19構築物も調製した。本研究において、
1)個々の細胞単独(全て5x106細胞で)と比較しての、UCART19 + UCART 22(2つの単鎖CAR)の組み合わせ、
2)個々の細胞単独(全て5x106細胞で)と比較しての、二重特異性抗CD22-抗CD19 CAR(二重特異性単鎖CAR)を発現するTCR陰性細胞、
3)、または、両方のCD22およびCD19 scfvもしくはCD19 CD22scfvを含む多重鎖CAR、
の細胞溶解活性を、個々の細胞単独(全て5x106細胞で)と比較して測定した。
【0630】
リツキシマブ/リツキシマブおよびQBEN10に対する感受性を付与するためのRQR8、R2CD22CARまたはQR3CD22CARの発現
CD22CARの発現を駆動するレンチウイルスベクターカセットを、(2Aペプチドリンカーを介して)RQR8を共発現するように設計した。RQR8は、UCART22の投与に関する管理不能な有害事象の場合に潜在的に活性化され得る枯渇リガンドである。RQR8は、QBEnd-10抗体によって認識される、ヒトCD34、およびヒトCD20由来の抗体結合性エピトープを組み合わせる136アミノ酸人工細胞表面タンパク質である(Philip et al., 2014)。前記構築物内に存在するCD20エピトープは、リツキシマブによって認識され、従って、リツキシマブ/およびまたはQBEN10の存在下で補体媒介性細胞死滅(CDC)および抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を通してRQR8発現細胞の削除を可能にする。
【0631】
他の実験において、リツキシマブ(R)によって認識される2つのエピトープ(R2 CD22 CAR:scfvの直後かつヒンジの直前に挿入された、またはヒンジを有する構築全体と比較して細胞外ドメインを短くするためにヒンジの代わりに挿入された、リツキシマブによって認識される2つのエピトープ)、または「QR3」QR3 CD22 CAR(Q:QBEN 10によって認識されるエピトープ、Q-R - VH前のN末端中 -リンカー-VL RR ヒンジ TM -41BB- CD3ゼータ)を含む抗CD22 CARに対応する構築物を、調製し、様々なレベルのCD22を発現する細胞に対して試験した。
【0632】
UCART22のアロ反応性を制限するためのTRAC遺伝子ノックアウト
同種異系養子免疫療法アプローチの潜在的な制限は、ドナー細胞のTCRαβ複合体によるドナーとレシピエントとのMHC相違の認識が、ドナーT細胞活性化/増殖および移植片対宿主病(GvHD)の発症をもたらし得ることである。TCRαβはαおよびβサブユニットから構成され、TCRαは単一遺伝子によってコードされ、TCRβは2つの相同遺伝子によってコードされる。
【0633】
UCART22細胞は、T細胞受容体アルファ定常(TRAC)遺伝子を特異的に分断するように遺伝子改変されている。TRAC遺伝子の不活性化は、TCRαβ複合体の細胞表面発現を妨げ、GvHDをもたらし得る組織適合抗原のTCR媒介認識を排除する。UCART22製造プロセスの終了時に、残存するTCRαβ+細胞を枯渇させ、リリース基準に従って、最終プロダクト中のTCRαβ+細胞の≦3.0%の残存レベルを保証する。
【0634】
アレムツズマブに対する耐性を付与するためのCD52遺伝子ノックアウト
UCART22は、CD52-およびCD52+細胞の混合物となるように操作されており、UCART22投与前のリンパ球枯渇レジメンにおけるアレムツズマブの潜在的な使用を可能にする。アレムツズマブは、ヒトCD52へ結合するモノクローナル抗体である。従って、UCART22のCD52-フラクションは、アレムツズマブに対して耐性である。
【0635】
TALEN(登録商標)技術は、TRACおよびCD52遺伝子の両方を分断するために使用される。UCART22製造プロセスにおいて、TRACおよびCD52 TALEN(登録商標)は、エレクトロポレーションシステムを使用してメッセンジャーリボ核酸(mRNA)として細胞中へ導入される。この一過性発現は、TALEN(登録商標)が、細胞によって分解される前に効率的な標的とした遺伝子ノックアウトを行うことを可能にする。このアプローチは、患者中へ注入される細胞中のヌクレアーゼの長期発現に関連する潜在的な危険性を防ぐ。
【0636】
UCART22のアロ反応性を制限するためのB2M遺伝子ノックアウト
TALEN(登録商標)技術は、TRACおよびB2M遺伝子の両方を分断するために使用される。UCART22製造プロセスにおいて、TRACおよびB2M TALEN(登録商標)は、エレクトロポレーションシステムを使用してメッセンジャーリボ核酸(mRNA)として細胞中へ導入される。この一過性発現は、TALEN(登録商標)が、細胞によって分解される前に効率的な標的とした遺伝子ノックアウトを行うことを可能にする。
【0637】
実施例
非臨床試験(薬理学および毒物学)において使用されたT細胞の供給源
非臨床試験において利用された細胞プロダクトの説明を表に要約する。
【0638】
(表C)インビトロおよびインビボ前臨床試験において使用された操作T細胞
DKO:二重KO、KO:ノックアウト、rLV:組換えレンチウイルスベクター
MHCI:主要組織適合遺伝子複合体クラスI
B2m:ベータ2ミクログロブリン
【0639】
概要
UCART22活性化は、抗CD22キメラ抗原受容体(CD22CAR)とCD22抗原との接触によって駆動され、T細胞媒介性細胞傷害および潜在的に炎症性サイトカイン産生を通してCD22+ B-ALL細胞の破壊をもたらす。
【0640】
他のUCARTプロダクト(UCART19およびUCART123)の開発中に行われた概念実証研究によって、UCART細胞(TCRαβ欠損CAR T細胞)は、インビトロにおいておよびNSGマウスにおけるインビボ腫瘍異種移植モデルにおいて、非遺伝子編集CAR T細胞(TCRαβ陽性CAR T細胞)と同じぐらい活性であることが実証された(Poirot et al., 2015)。これは、TCRαβ陽性CD22 CAR T細胞と比較して、TCRαβ欠損CD22 CAR T細胞およびTCRαβ欠損、MHC I欠損CD22 CAR T細胞について確認された。UCART22非臨床開発中に行われたインビトロ薬理学研究を表に要約する。研究は以下を実証した:
- CD22抗原依存性細胞傷害およびサイトカイン分泌アッセイによるUCART22の抗腫瘍活性。活性アッセイをB-ALL細胞株および初代B-ALLサンプルに対して行った。
- TRACおよびCD52遺伝子の効率的なTALEN(登録商標)媒介不活性化。
- TRACおよびベータ2ミクログロブリン遺伝子の効率的なTALEN(登録商標)媒介不活性化。
- そのCD52- T細胞はアレムツズマブに対して耐性である。
- リツキシマブを使用してのRQR8+細胞またはR2 CD22CAR+細胞の効率的な排除。
【0641】
(表D)インビトロ薬理学研究のリスト
CDC = 補体依存性細胞傷害、PHA = フィトヘマグルチニン。
【0642】
インビボ薬理学研究(表に要約される)は以下を実証した:
- B-ALL細胞株を使用しての免疫不全マウスにおける腫瘍異種移植片に対するインビボでのUCART22の抗腫瘍活性。B-ALL細胞株に対して確認されたGMP条件下で製造されたUCART22のインビボ活性。
- B-ALL細胞株を使用しての免疫不全マウスにおける腫瘍異種移植片に対するインビボでのUCART22/19の改善された抗腫瘍活性。B-ALL細胞株に対するGMP条件下で製造されたUCART22/19および19/22のインビボ活性。
- 免疫担当マウスモデル中のRQR8+細胞を排除するリツキシマブの能力。
【0643】
【0644】
UCART22細胞の活性を実証するために、CAR駆動される細胞傷害およびサイトカイン分泌アッセイを腫瘍細胞株および初代B-ALL細胞に対して行った。
【0645】
細胞傷害アッセイによって評価されるUCART22活性
B-ALL細胞株に対する細胞傷害活性
UCART22の潜在的な細胞傷害性を、小児または成人B-ALL患者に由来するいくつかの腫瘍細胞株に対して評価した(表F)。結果は、MHH-CALL-4、MUTZ-5、SEMK2、PALL-2、LAX2、BALL-1、NALM-6およびRS4;11が、全て、異なるレベルのCD22を発現するCD22+細胞株であることを示す。CD22を発現しない2つの急性骨髄性白血病(AML)細胞株(OCI-AML2およびMOLM13)を、陰性対照として使用した。
【0646】
【0647】
CD22+細胞に対するUCART22の特異的細胞傷害性を、UCART22細胞との共培養後のCD22+標的細胞の生存率を測定することによって評価する。非形質導入(CAR-) TRACおよびCD52二重KO T細胞を対照として使用し、UCART22による標的CD22+ B-ALL細胞の特異的細胞溶解のパーセンテージを計算する。エラー!参照元が見当たらない(Error! Reference source not found)は、CD22+ B-ALL腫瘍細胞株の一団に対するUCART22細胞の細胞傷害活性を示す。UCART22は、最小レベルでさえ、CD22を発現する全ての細胞株に対して特異的細胞溶解活性を示す。
【0648】
初代B-ALLサンプルに対する細胞傷害活性
UCART22の細胞傷害活性をいくつかの初代B-ALLサンプルに対して確認した。初代サンプルの特徴を表Gに示す。50%を超える芽細胞を有する患者サンプルのみを、共インキュベーション研究のために使用し、これは19個のサンプルのうちの14個を占めた。
【0649】
(表G)前臨床試験において評価されたALL初代サンプル。ND:決定されず
【0650】
CD22およびCD19発現レベルもまた、Pt1を除いて全ての初代B-ALLサンプルにおいて評価した。11個が、CD22-対照を上回るCD22表面発現を有し、4個のB-ALL患者サンプルが、B-ALL細胞株において見られた範囲内のCD22表面発現を示した(>1000 CD22分子/細胞)。CD22を高度に発現するもの(> 60%)はまた、2つの再発サンプルを除いてCD19も発現した。
【0651】
細胞株についてのアプローチと同じアプローチを使用して、8個のB-ALL患者サンプルに対するCTL活性(10%を超える特異的細胞溶解)が確認された。
【0652】
B-ALL細胞株および初代B-ALLサンプルに対するサイトカイン分泌アッセイ
いくつかの細胞株またはB-ALL患者サンプルと共インキュベートされたUCART22細胞によるインターフェロン-ガンマ(IFNγ)および他のサイトカインの放出を、BioLegend Legend PLEX 13-サイトカインアッセイを使用して評価した。IFNγは、B-ALL細胞とUCART22または対照T細胞(NTD DKO)との25時間の共培養後に培地中へ分泌された全ての検出されたサイトカイン(IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-10、IL-13、IL-17A、IL-17F、IL-21、IL-22および腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α))のうち、最も高い濃度を有することがわかった。
【0653】
UCART22がB-ALL細胞株および初代B-ALLサンプルの両方と共インキュベートされる場合、高レベルのIFNγ分泌が観察された。
【0654】
インビトロ第2研究
TRAC、B2MおよびCD52遺伝子のTALEN(登録商標)誘導不活性化
同種異系設定においてUCART22を使用する能力は、TCRαβ、MHC CIの細胞表面発現を妨げ、GvHDおよび宿主CD8+細胞による攻撃に至り得る組織適合抗原のTCR媒介認識を排除する能力に依存する。細胞表面からTCRαβおよびMHC CIを有効に排除するために、TALEN(登録商標)媒介遺伝子編集を使用し、TRACおよびベータ2ミクログロブリン遺伝子(B2M)、遺伝子を不活性化した。加えて、別のTALEN(登録商標)を、UCART22の製造プロセス中に使用し、CD52遺伝子を不活性化し、リンパ球枯渇コンディショニングレジメンにおけるアレムツズマブの使用を可能にした。特定の設定において、TALEN(登録商標)をUCART22の製造プロセス中に使用し、ベータ2ミクログロブリン遺伝子(B2M)を不活性化し、主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHCクラスI)分子発現を変更させ、宿主T細胞による拒絶を予防した。
【0655】
TRAC、CD52、B2M遺伝子分断の分子解析
分子レベルでのTRACおよびCD52遺伝子の標的とした改変を実証するために、ゲノムデオキシリボ核酸(DNA)を、GMP等級TRACおよびCD52 TALEN(登録商標)mRNAまたはTRACおよびB2M TALEN(登録商標)mRNAでエレクトロポレーションされ、そしてTCRαβ- 細胞MHCCI-について精製されたT細胞から単離した。TRAC、B2MおよびCD52 TALEN(登録商標)切断部位周りの領域を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅し、Next Generation Sequencing (NGS, Illumina)によって解析した。対照サンプルにおいて、TALEN(登録商標)mRNAのエレクトロポレーション前に除去された細胞を用いて同じ解析を行った(6日目に)。この解析は、6日目での対照細胞は、TRACおよびCD52遺伝子座でいかなる改変も示さなかったが、高頻度の改変がTALEN(登録商標)処理T細胞において検出されたことを示す(表)。
【0656】
(表H)TRACおよびCD52およびB2M遺伝子座におけるTALEN(登録商標)切断での非相同末端結合(NHEJ)のパーセンテージ。
【0657】
パーセンテージは、3つの異なるバッチ由来のTALEN(登録商標)処理T細胞中においてNGSによって決定される。対照細胞は、全てのバッチについてTALEN(登録商標)mRNAエレクトロポレーション前にサンプリングした。
【0658】
【0659】
配列のさらなる解析は、TALEN(登録商標)誘導改変が、標的部位を囲む小さな領域に位置され、これらの改変のうちの93~97%が欠失であることを示す。これらの欠失は、一般に小さく、平均で97%が150 bpよりも小さく、81%が50 bpよりも小さい。
【0660】
UCART22中のTRAC遺伝子分断を実証する機能アッセイ
TCRαβの機能不活性化を実証するために、UCART22細胞を、フィトヘマグルチニン(PHA)媒介TCR刺激後にCD25およびCD69などの活性化マーカーを発現するそれらの能力についてアッセイした。UCART22、全てGMP原材料で行われた、T細胞をTCRαβ+細胞の枯渇の前(TRAC)または後(UCART22)のいずれかに回収した。細胞を24時間0.5μg/mL PHAで再活性化した。活性化マーカー(CD25およびCD69)の発現をフローサイトメトリーによって測定した。対照TRAC細胞(65.2% TCRαβ-)はCD25およびCD69をアップレギュレートするが、アップレギュレーションはUCART22細胞(98.9% TCRαβ-)において観察されず、UCART22中のTCRαβ受容体の非存在が確認された。
【0661】
CD52-UCART22細胞のアレムツズマブに対する耐性
リンパ球枯渇レジメンにおいて、抗CD52モノクローナル抗体であるアレムツズマブを使用する能力は、UCART22細胞の細胞表面からCD52糖タンパク質を有効に排除し、アレムツズマブによるそれらの排除を妨げることに依存する。UCART22は、従って、CD52+およびCD52-細胞の混合物となるように、CD52 TALEN(登録商標)を使用して、操作される。製造プロセスの終了時にUCART22の開発バッチで行われたフローサイトメトリー解析は、平均でT細胞(CD45+ / CD4+またはCD8+細胞)の72%がCD52-であることを示す(範囲62.3~76.5%、N=6)。
【0662】
CD52-細胞がアレムツズマブに対して耐性であることを実証するために、補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイを行った。TALEN(登録商標)媒介CD52遺伝子不活性化を含有するヒトT細胞を、50μg/mLの、治療用抗体アレムツズマブが由来するラット抗CD52抗体または対照としてのラット免疫グロブリンG(IgG)を用いて、ウサギ補体有りまたは無しで、37℃にて2時間処理し、次いで、生存率およびCD52発現についてフローサイトメトリーによって分析した。
【0663】
結果は、CD52遺伝子不活性化を含有しない細胞は、アレムツズマブの存在下で補体依存性細胞傷害を通して特異的に排除されることを示す。
【0664】
宿主CD8+ T細胞に対する耐性
インターフェロン-γ(IFN-γ)処置は、β2-ミクログロブリン発現を有意に誘導し、対照UCART22のCD8+ T細胞媒介死滅を促進したが、MHCクラスI欠損UCART22細胞はCD8+ T細胞媒介破壊に対して耐性であった。
【0665】
リツキシマブでの処理後のUCART22の有効な枯渇の実証
UCART22は、同種異系T細胞であり、従って、患者の免疫系の回復で排除されるはずである。加えて、UCART22は、CD22CARおよびRQR8を共発現するように操作されおり、RQR8は、ヒトCD20に特異的な治療用モノクローナル抗体であるリツキシマブ(RTX)に結合する2つのエピトープを提供する短い膜タンパク質である。RQR8は、従って、リツキシマブの投与を通してUCART22を枯渇させる可能性を提供する。
【0666】
RTXでの処理後に補体依存性細胞傷害(CDC)によってUCART22細胞を排除する能力を調べた。凍結されたUCART22(5つの異なる開発バッチ由来)を解凍し、1:0.25比でRaji CD22+細胞と3日間共培養した。この再活性化期間後、CDCアッセイを行った(細胞を幼令ウサギ補体(BRC)の存在または非存在下で2時間、RTX(100μg/ml)と共にインキュベートした)。結果は、CAR+細胞の約85%が、RTXおよび補体の両方の存在下にてインビトロで効率的に排除されることを実証する。
【0667】
RQR8+細胞の枯渇が達成され得る、RTXについての別の作用機序は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)である(Seidel et al., 2013)。この場合、免疫系のエフェクター細胞(主にナチュラルキラー - NK細胞)は、その膜表面抗原が特異的抗体によって結合されている標的細胞を能動的に溶解することができる。
【0668】
補足実験が、UCLのMartin Puleによって公表され(Philip et al., 2014)、CDCおよびADCCによるRQR8+ T細胞の有効なインビトロ媒介排除を実証している(初代ヒトT細胞が、RQR8およびGFPをコードするバイシストロニックレトロウイルスベクター(SFG.RQR8.IRES.eGFP)で形質導入され、Miltenyi QBEnd10ビーズで選択された)。時間経過およびRTX用量滴定は、CDCが25μg/mL以上のRTX濃度で非常に有効であり、死滅が30分以内に生じることを実証する。同様に、ADCC媒介感受性がRQR8+ T細胞について実証された。
【0669】
インビボ研究
動物種/モデルの選択についての論理的根拠
UCART22のヒト特異性のために、標準免疫担当動物モデルにおける研究は、異種免疫反応によるヒトUCART22細胞の迅速なターゲッティングおよび排除に起因して適用可能でない。
【0670】
従って、2つのアプローチが、UCART22活性のインビボモデリングについて想定され得る:同系動物モデル、および免疫不全動物中のヒト腫瘍異種移植モデル。
【0671】
同系動物モデルアプローチは、モデル生物についてのUCART22の種特異的型の再造/再開発、続いて、同系宿主中に生着される場合のこの種特異的UCART22代理プロダクトの機能特性の評価を伴うだろう。このアプローチは、個々のCARの特性がかなり異なるという事実に起因して、また、免疫機能、生理学、および遺伝学における種特異的差異は、ヒトにおけるUCART22の活性の推定を著しく損なうために、妥当とみなされない。
【0672】
免疫不全マウス異種移植モデルを選択し、何故ならば、それは、UCART22およびヒト腫瘍CD22+細胞(B-ALL細胞株または初代サンプル)の両方の生着を可能にするためである。この動物モデルは、CAR T細胞療法のインビボ活性の評価のために広く使用されている。これらのモデルは、オン-ターゲット/オフ-腫瘍細胞傷害性およびオフ-ターゲット細胞傷害性に関して上記の免疫担当モデルと同じ制限を有し、MHCミスマッチのいかなる役割も完全に排除するが、それらは、CAR T細胞のインビボ抗腫瘍効能を評価するために極めて有効であることが証明されている。それらは、CAR T細胞プロダクトのインビボ活性の評価についての事実上の標準として現れた(多くの公表された論文の中でも、例えば、Carpenito et al., 2009; Gade et al., 2005; Gill et al., 2014; Hudecek et al., 2010; Kenderian et al., 2015; Mardiros et al., 2013; Zhou et al., 2013を参照されたい)。それらは、種々のCARの相対的抗腫瘍活性を識別することができることが証明され、有用なヒトインビボT細胞機能を捕らえて半定量的に読み出すそれらの能力を強調する(例えばMilone et al., 2009を参照されたい)。従って、ヒトCD22+腫瘍細胞を免疫不全マウス(NSGマウス)中へ生着させ、続いてUCART22を投与し、抗腫瘍活性の指標として腫瘍負荷量および生存時間を連続的に評価した。
【0673】
選択された腫瘍モデル
腫瘍異種移植に関して、インビボでのUCART22活性を、CD22+ B-ALL細胞株であるDaudi細胞(CCL-213, ATCC)に対して評価した。インビボイメージングによって腫瘍負荷量を追跡するために、細胞株をレンチウイルスベクター(amsbio LVP438-PBS)での形質導入によってホタルルシフェラーゼ(およびGFP)を発現するように改変した(Daudi-Luc-GFP細胞)。
【0674】
選択されたマウス系統
インビボ非臨床試験において使用したマウス系統は以下であった:
1/抗腫瘍活性を実証するための、成熟T細胞、B細胞および機能性NK細胞を欠いている高度免疫不全NSGマウス(NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ; The Jackson Laboratory 系統#5557)。
2/RQR8枯渇またはR2 CD22CAR機序の効能を実証するための、免疫担当マウスモデル(C57BL/6 x Balb/c (F1)マウス)。
【0675】
分析方法
インビボでのUCART22の活性を、以下を使用して評価した:
- 対照群に対しての処置されたマウスの生物発光測定値(ルシフェラーゼを発現する細胞株を有する異種移植モデルについて)、
- 臨床徴候、
- マウスの全生存。
【0676】
投与経路
動物におけるUCART22の投与経路は静脈内注射(単一の非分割用量)である。ヒトにおいて、UCART 19およびUCART 22をまた、単独でまたは以下の連続:19. 22 19 22 19または22 19 22 19または19/22 19/22に従って交互に、1回、2回、または3回または4回、静脈内注射した(非分割用量)。
【0677】
UCART22のインビボでの抗腫瘍活性の実証
UCART22活性が、UCART22のいくつかの開発バッチを用いて、Daudi-Luc-GFPヒト腫瘍細胞が生着された免疫不全マウス中において実証された。研究の例を
図8に示す。加えて、UCART22のGMPバッチのインビボ活性を評価するために、確認試験が継続中である。
【0678】
簡潔には、NSGマウスに、-7日目に0.5x106 Daudi-Luc-GFP細胞を静脈内注射し、0日目にUCART22で処置し(静脈内注射、2用量:3x106および10x106 UCART22細胞/マウス、5マウス/群)、または未処置のままにした(ビヒクル注射)。TRACおよびCD52について二重KOの非形質導入T細胞(NTD DKO)を対照として注入した。投与されたUCART22用量は、他のCD22CAR T細胞のインビボでの抗腫瘍活性を実証するために文献において使用されたCAR+ T細胞の用量に従って決定した(Haso et al., 2013)。UCART22処置は、インビボイメージングによって示されたように、腫瘍細胞の排除をもたらし、生存を延長し、処置されたマウスは全て、研究の終了時に生存していた(UCART22処置後80日)。それらの結果はUCART22の抗腫瘍活性を実証した。
【0679】
CD52- 細胞はインビボにおいてアレムツズマブに対して耐性であり、CD52- CAR+ T-細胞はアレムツズマブの存在下でインビボにおいて活性を示す
同じTRAC/CD52二重ノックアウトを含有する別のUCARTプロダクトである、UCART19の開発中に行われた研究は、CD52- T細胞がインビボでアレムツズマブに対して耐性であることを実証した(Poirot et al., 2015)。
【0680】
加えて、アレムツズマブの存在下でのUCART19細胞の活性が、NSGマウス中の腫瘍異種移植モデルにおいて実証された。腫瘍細胞を受容したがUCART19細胞を受容しなかった全てのマウスは、腫瘍進行を示し、注射後13日までに犠牲となった。腫瘍およびUCART19細胞を受容した7匹のマウスのうちの5匹において、腫瘍は13日目に完全に制御され、残りの2匹のマウスにおいて、部分応答が観察された。対照的に、アレムツズマブ処置は、UCART19細胞注入無しでは腫瘍の進行を遅らせるだけであることが観察された(6/6マウス)。UCART19細胞と組み合わせてアレムツズマブで処置されたマウスにおいて、注射後13日で単離された骨髄から得られた細胞懸濁液のルミノメトリーまたはフローサイトメトリーによって評価されたように、腫瘍細胞は骨髄から排除された。
【0681】
結論として、UCART19細胞の注入の2日前にアレムツズマブ療法を受容したマウスは、インビボでアレムツズマブの存在下においてUCART19細胞の抗腫瘍効能を示す。加えて、13日目の脾臓生着データは、CD52- T細胞がインビボでアレムツズマブに対して耐性であることを示す。
【0682】
インビボでのRQR8+細胞の有効なリツキシマブ誘導枯渇の実証
RTX枯渇に対するRQR8+ UCART22の感受性は、インビトロにおいて以前に示された。さらに、Martin Puleのグループは、RTXが、ヒトIgG1の機能的等価物である、マウスIgG2aに対する再操作RTX(mRtx-IgG2a)を使用して、免疫担当マウスモデルにおいてRQR8+細胞を排除することができることを示した(Philip et al., 2014)。この抗体は、RTXがヒトFc受容体へ結合する親和性に近い親和性でマウスFc受容体への結合を可能にする、マウスFcへのRTXの結合部分のトランスファーによってマウス系における使用に適合された。研究は、非致命的に照射されたC57BL/6 x Balb/cクロス(F1)レシピエントへ移入されたRQR8形質導入C57BL/6脾細胞を有する免疫担当ハプロタイプ一致養子移入モデルを使用して行われた。このモデルは、同種異系刺激によって維持される全てのリンパ組織における良好な生着レベルを可能にするが、また、内因性リンパ球を保つ。
【0683】
1日目に、C57BL/6マウス由来の1.5x106 RQR8+ ドナー脾細胞(RQR8-2A-GD2CAR構築物をコードするレトロウイルスを使用して形質導入され、Miltenyi CD34ビーズを使用して精製された脾細胞)を、5Gy X線照射プレコンディショニングの4時間後、F1マウス(C57BL/6 x Balb/c)へ静脈注射した。7日目に、ドナー細胞の生着が、末梢血におけるフローサイトメトリーによって確認された。マウスを、マウス化RTX(ritux-mIgG2a 150μg、7日目、10日目および12日目に、尾静脈によって静脈注射)またはPBS(未処置)で3回処置した。各コホートはマウス5匹を有した。動物を、脾臓、骨髄、血液およびリンパ節のフローサイトメトリー分析のために14日目に犠牲にした。RTX処置マウスにおいて、RQR8+細胞の50、60および70%枯渇が、マウスのritux-mIgG2a療法後6時間以内に、脾臓、骨髄および血液それぞれにおいて観察された。
【0684】
同じ研究をまた、UCART19プロダクトにおいて使用された抗CD19 CARで行った。UCART19も、UCART22と同じRQR8構築物を含有する同種異系操作CAR T細胞プロダクトである。
【0685】
再投薬
この研究はUCART22の単回または複数回注射の抗腫瘍活性を評価した。CD22を発現するB-ALL腫瘍細胞株(高レベルのCD22を発現するDaudi)。GFPおよびホタルルシフェラーゼを発現させるために、細胞をレンチウイルスベクターで形質導入した。腫瘍細胞(0.5x106 Daudi-Luc-GFP)を、尾静脈を介してNSGマウス(NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ, 系統005557, The Jackson Laboratory)へ-7日目に静脈注射した。0日目に、マウスを、-1日目に測定された生物発光シグナルおよび体重に従って、マウス6匹の11グループへ無作為化した。
【0686】
1、2または3処置のUCART22(100万個または300万個のCAR+細胞/マウスで)を投与した。UCART22を0日目 +/- 10日目 +/- 20日目にマウスへ静脈注射した。UCART22の抗腫瘍活性を、-1日目、7日目、14日目、21日目、28日目および35日目に生物発光イメージングによって追跡された腫瘍負荷量、臨床徴候の観察、ならびにマウスの生存によって評価した。
【0687】
Daudiモデル、1 x 106 UCART22細胞/マウスでの処置
1 x 106 UCART22で2または3回処置されたマウスは、1 x 106 UCART22で1回処置されたマウスと比較して、腫瘍進行のより良好な制御およびより長い生存を示す(1用量についての0%に対して3用量については60日目で80%生存)。
【0688】
一つの実験において、UCART19を30日目にマウスへ静脈注射した。依然として生きているこれらのマウスにおいて、がん細胞のレベルは、90日目で検出未満であった。
【0689】
要約
UCART22の活性が、B-ALL細胞株に対してインビトロおよびインビボで、ならびに初代B-ALLサンプルに対してインビトロで実証された。
【0690】
UCART22は、同種異系T細胞であり、従って、患者の免疫系の回復で排除されるはずである。加えて、UCART22は、RQR8を共発現するように操作されおり、RQR8は、モノクローナル抗体であるリツキシマブに結合する2つのエピトープを提供する短い膜タンパク質である。RQR8は、従って、サイトカイン放出症候群(CRS)もしくはGvHDなどの管理不能なUCART22関連毒性が生じた場合に、またはallo-HSCTの前に、リツキシマブの投与によってRQR8+ UCART22を枯渇させるための手段を提供する。インビトロでRQR8+細胞を排除するリツキシマブの有効性が、CDCおよびADCCアッセイを使用して実証された。さらに、RQR8+細胞のリツキシマブ誘導枯渇の効率が、免疫担当マウスモデルおよびリツキシマブのマウス化バージョンを使用して、血液、脾臓、骨髄およびリンパ節においてインビボで実証された。
【0691】
同様の結果が、TCR欠損MHC CI欠損T細胞中において発現されたR2またはQR3抗CD22 CARを使用して得られた。
【0692】
CD52-細胞のアレムツズマブに対する耐性が、インビトロおよびインビボで実証され、リンパ球枯渇レジメンにおけるアレムツズマブの潜在的な使用を可能にする。
【0693】
最後に、CD8+ T細胞媒介破壊に対する耐性が、TCR欠損MHC CI欠損T細胞中において発現されたR2 - 抗CD22 CARを使用して観察された。
【0694】
様々なリスクを評価するために行われた追加の研究を、表 および表 に要約し、下記のセクションにおいて詳述する。
【0695】
【0696】
【0697】
GvHDの潜在的リスクが、以前のUCARTプロダクトの開発中に免疫不全マウスにおいて評価された。この動物モデルは、ヒトT細胞の効率的な生着を可能にし、ヒトPBMCまたはT細胞の注入後に異種GvHDを一貫して発症することが以前示された(Ali et al., 2012; Schroeder and DiPersio, 2011)。
【0698】
CD22 CARのオフターゲット活性
CD22CARのCD22特異性が、GLP準拠組織交差反応性研究によって評価され、ヒト組織とのCD22CARのscFv成分の顕著な予想外のオフターゲット結合を示さず、Retrogenixスクリーンは継続中である。さらに、m971由来CAR T細胞で処置された患者についての公表された臨床データは、オフターゲット毒性を示さなかった(Fry et al., 2017)。
【0699】
CD22は正常なB細胞上に発現されるため、UCART22のオンターゲット/オフ腫瘍活性に起因する、B細胞形成不全のリスクが、UCART22が持続する限り予想される。
【0700】
UCART 22 CARのGVHD
UCART22プロダクトの必須の安全性特徴は、GvH反応を媒介するUCART22の可能性が、TRAC遺伝子の分断およびTCRαβ-細胞の精製によって無効化されたかどうかである。このリスクは、インビボ前臨床試験において、以前のUCARTプロダクト(UCART19およびUCART123)の開発中に評価された。GvHD徴候が、最高用量でより重篤な所見を伴って、未改変T細胞が注入された全てのNSGマウスにおいて観察されたが、UCARTが注入されたマウスにおいては、処置関連変化は観察されなかった。病院において、今までのところ、UCART19で処置された患者14人で、それらのうちの4人が、軽度から中程度であった皮膚GvHDを発症し(3人グレード1および1人グレード2(Qasim et al., 2017)、ならびにR. Benjamin et W. QasimによってASH meeting 2017で示されたデータ)、全身処置せずに管理可能であった。
【0701】
CRS
免疫療法プロダクトの投与および基礎にある処置される疾患に関連する他の潜在的な安全性リスクが特定された:注入関連反応、サイトカイン放出症候群(CRS)、腫瘍崩壊症候群、感染症および神経毒性。CRSは、免疫療法において、特にCAR T細胞治験において頻繁な有害事象である。自家抗CD19 CAR T細胞臨床試験において、観察されたサイトカイン放出の強度は、注入されたCAR T細胞の用量、CARのシグナリングドメイン(4-1BB/CD28)、CAR T細胞の増殖のレベル、および投与日での患者の腫瘍負荷量のような、いくつかのパラメータの組み合わせの結果であった。これらのリスクは、最近公表されたモデルに近いモデルにおいてインビボで評価される(Taraseviciute, A., Kean, L., & Jensen, M. C. (2016). Creation of the First Non-Human Primate Model That Faithfully Recapitulates Chimeric Antigen Receptor (CAR) T Cell-Mediated Cytokine Release Syndrome (CRS) and Neurologic Toxicity Following B Cell-Directed CAR-T Cell Therapy. Blood, 128(22), 651. Accessed March 28, 2018. Retrieved from http://www.bloodjournal.org/content/128/22/651)。
【0702】
FIH試験についての開始用量推奨
臨床用量決定についての標準方法は、動物モデルの限定的な妥当性、プロダクトの生体力学的性質および免疫養子作用機序に起因して、CAR T細胞ベースの免疫療法に置き換え可能でない。
【0703】
従って、開始臨床用量の選択は、主に以下に基づいた:(i)ヒトに投与されたCAR T細胞で得られた以前の経験(自家CAR T細胞についての文献);(ii) University College London (UCL)およびKing’s College London (KCL)でのUCART19を用いた継続中の臨床研究において処置されたコンパッショネートケースおよび患者((Qasim et al., 2017)ならびにASH meeting 2017でのR. BenjaminおよびW. Qasimによるプレゼンテーションを参照)ならびに(iii)他のB-ALL自家CAR研究において現在研究または承認された用量。アプローチを臨床セクションにおいて説明する。
【0704】
臨床研究の最初の結果は、UCART22で処置された患者において、両方のアッセイにおける腫瘍量の大幅な減量(>80%)を示す。さらに、データは、短いが効率的な処置(2用量から(from two dozes))が、特にUCART22および19の再投薬および/または使用後に、悪性B細胞を阻止しこれから逃れることができる(150日で73%寛解)ことを実証している。
【0705】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> Cellectis SA
<120> Universal anti-CD22 CHIMERIC ANTIGEN RECEPTOR ENGINEERED IMMUNE CELLS
<150> DK PA201770239
<151> 2017-03-31
<150> DK PA201770240
<151> 2017-03-31
<150> DK PA201770542
<151> 2017-06-30
<150> PCT/EP2017/076800
<151> 2017-10-19
<160> 26
<210> 1
<211> 21
<212> PRT
<213> homo sapiens
<220>
<223> CD8alpha signal peptide
<400> 1
Met Ala Leu Pro Val Thr Ala Leu Leu Leu Pro Leu Ala Leu Leu Leu
1 5 10 15
His Ala Ala Arg Pro
20
<210> 2
<211> 20
<212> PRT
<213> homo sapiens
<220>
<223> signal peptide
<400> 2
Met Glu Thr Asp Thr Leu Leu Leu Trp Val Leu Leu Leu Trp Val Pro
1 5 10 15
Gly Ser Thr Gly
20
<210> 3
<211> 16
<212> PRT
<213> homo sapiens
<220>
<223> FcgRIIIa hinge
<400> 3
Gly Leu Ala Val Ser Thr Ile Ser Ser Phe Phe Pro Pro Gly Tyr Gln
1 5 10 15
<210> 4
<211> 45
<212> PRT
<213> homo sapiens
<220>
<223> CD8alpha hinge
<400> 4
Thr Thr Thr Pro Ala Pro Arg Pro Pro Thr Pro Ala Pro Thr Ile Ala
1 5 10 15
Ser Gln Pro Leu Ser Leu Arg Pro Glu Ala Cys Arg Pro Ala Ala Gly
20 25 30
Gly Ala Val His Thr Arg Gly Leu Asp Phe Ala Cys Asp
35 40 45
<210> 5
<211> 231
<212> PRT
<213> homo sapiens
<220>
<223> IgG1 hinge
<400> 5
Glu Pro Lys Ser Pro Asp Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala
1 5 10 15
Pro Pro Val Ala Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys
20 25 30
Asp Thr Leu Met Ile Ala Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val
35 40 45
Asp Val Ser His Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp
50 55 60
Gly Val Glu Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr
65 70 75 80
Asn Ser Thr Tyr Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp
85 90 95
Trp Leu Asn Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu
100 105 110
Pro Ala Pro Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly Gln Pro Arg
115 120 125
Glu Pro Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Arg Asp Glu Leu Thr Lys
130 135 140
Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp
145 150 155 160
Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys
165 170 175
Thr Thr Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser
180 185 190
Lys Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser
195 200 205
Cys Ser Val Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser
210 215 220
Leu Ser Leu Ser Pro Gly Lys
225 230
<210> 6
<211> 24
<212> PRT
<213> homo sapiens
<220>
<223> CD8alpha transmembrane domain
<400> 6
Ile Tyr Ile Trp Ala Pro Leu Ala Gly Thr Cys Gly Val Leu Leu Leu
1 5 10 15
Ser Leu Val Ile Thr Leu Tyr Cys
20
<210> 7
<211> 27
<212> PRT
<213> homo sapiens
<220>
<223> 41BB transmembrane domain
<400> 7
Ile Ile Ser Phe Phe Leu Ala Leu Thr Ser Thr Ala Leu Leu Phe Leu
1 5 10 15
Leu Phe Phe Leu Thr Leu Arg Phe Ser Val Val
20 25
<210> 8
<211> 42
<212> PRT
<213> homo sapiens
<220>
<223> Fragment of 4-1BB (residues 214-255)
<400> 8
Lys Arg Gly Arg Lys Lys Leu Leu Tyr Ile Phe Lys Gln Pro Phe Met
1 5 10 15
Arg Pro Val Gln Thr Thr Gln Glu Glu Asp Gly Cys Ser Cys Arg Phe
20 25 30
Pro Glu Glu Glu Glu Gly Gly Cys Glu Leu
35 40
<210> 9
<211> 112
<212> PRT
<213> homo sapiens
<220>
<223> fragment of T-cell surface glycoprotein CD3 zeta chain
<400> 9
Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Gln Gln Gly
1 5 10 15
Gln Asn Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr
20 25 30
Asp Val Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys
35 40 45
Pro Arg Arg Lys Asn Pro Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys
50 55 60
Asp Lys Met Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg
65 70 75 80
Arg Arg Gly Lys Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala
85 90 95
Thr Lys Asp Thr Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
100 105 110
<210> 10
<211> 15
<212> PRT
<213> artificial sequence
<220>
<223> G4Sx3 linker sequence
<400> 10
Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser
1 5 10 15
<210> 11
<211> 1532
<212> DNA
<213> homo sapiens
<220>
<223> UCART22
<400> 11
tgatcctctt gtcccacaga tatccagaac cctgaccctg ccgtgtacca gctgagagaa 60
tggctctgcc cgtcaccgct ctgctgctgc cactggccct gctgctgcac gcagcaagac 120
cacaggtgca gctgcagcag agcggccctg gcctggtgaa gccaagccag acactgtccc 180
tgacctgcgc catcagcggc gattccgtga gctccaactc cgccgcctgg aattggatca 240
ggcagtcccc ttctcggggc ctggagtggc tgggaaggac atactatcgg tctaagtggt 300
acaacgatta tgccgtgtct gtgaagagca gaatcacaat caaccctgac acctccaaga 360
atcagttctc tctgcagctg aatagcgtga caccagagga caccgccgtg tactattgcg 420
ccagggaggt gaccggcgac ctggaggatg cctttgacat ctggggccag ggcacaatgg 480
tgaccgtgtc tagcggagga ggaggatccg gaggaggagg atctggcggc ggcggcagcg 540
atatccagat gacacagtcc ccatcctctc tgagcgcctc cgtgggcgac agagtgacaa 600
tcacctgtag ggcctcccag accatctggt cttacctgaa ctggtatcag cagaggcccg 660
gcaaggcccc taatctgctg atctacgcag caagctccct gcagagcgga gtgccatcca 720
gattctctgg caggggctcc ggcacagact tcaccctgac catctctagc ctgcaggccg 780
aggacttcgc cacctactat tgccagcagt cttatagcat cccccagaca tttggccagg 840
gcaccaagct ggagatcaag accacaaccc cagcaccaag gccacctaca cctgcaccaa 900
ccatcgcctc tcagcccctg agcctgagac ctgaggcatg taggccagca gcaggaggag 960
cagtccatac aaggggtctg gattttgcat gcgacatcta catctgggca cctctggcag 1020
gaacatgtgg cgtgctcctg ctcagcctgg tcatcaccct gtactgcaag agaggcagga 1080
agaagctgct gtatatcttc aagcagccct tcatgcgccc cgtgcagaca acccaggagg 1140
aggatggctg ctcctgtagg ttcccagaag aggaggaggg aggatgtgag ctgcgcgtga 1200
agttttcccg gtctgccgac gcacctgcat accagcaggg ccagaaccag ctgtataacg 1260
agctgaatct gggccggaga gaggagtacg atgtgctgga caagaggcgc ggcagagatc 1320
cagagatggg cggcaagccc cggagaaaga accctcagga gggcctgtac aatgagctgc 1380
agaaggataa gatggccgag gcctattctg agatcggcat gaagggagag aggcgccggg 1440
gcaagggaca cgacggactg taccagggac tgagcacagc caccaaggat acctatgacg 1500
ccctgcatat gcaggcactg cctccaaggt ga 1532
<210> 12
<211> 124
<212> PRT
<213> artificial sequence
<220>
<223> 971- heavy chain
<400> 12
Gln Val Gln Leu Gln Gln Ser Gly Pro Gly Leu Val Lys Pro Ser Gln
1 5 10 15
Thr Leu Ser Leu Thr Cys Ala Ile Ser Gly Asp Ser Val Ser Ser Asn
20 25 30
Ser Ala Ala Trp Asn Trp Ile Arg Gln Ser Pro Ser Arg Gly Leu Glu
35 40 45
Trp Leu Gly Arg Thr Tyr Tyr Arg Ser Lys Trp Tyr Asn Asp Tyr Ala
50 55 60
Val Ser Val Lys Ser Arg Ile Thr Ile Asn Pro Asp Thr Ser Lys Asn
65 70 75 80
Gln Phe Ser Leu Gln Leu Asn Ser Val Thr Pro Glu Asp Thr Ala Val
85 90 95
Tyr Tyr Cys Ala Arg Glu Val Thr Gly Asp Leu Glu Asp Ala Phe Asp
100 105 110
Ile Trp Gly Gln Gly Thr Met Val Thr Val Ser Ser
115 120
<210> 13
<211> 107
<212> PRT
<213> artificial sequence
<220>
<223> 971- light chain
<400> 13
Asp Ile Gln Met Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Gln Thr Ile Trp Ser Tyr
20 25 30
Leu Asn Trp Tyr Gln Gln Arg Pro Gly Lys Ala Pro Asn Leu Leu Ile
35 40 45
Tyr Ala Ala Ser Ser Leu Gln Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Arg Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Ala
65 70 75 80
Glu Asp Phe Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Gln Ser Tyr Ser Ile Pro Gln
85 90 95
Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys
100 105
<210> 14
<211> 461
<212> PRT
<213> artificial sequence
<220>
<223> 971-v1 polypeptide CAR sequence
<400> 14
Met Ala Leu Pro Val Thr Ala Leu Leu Leu Pro Leu Ala Leu Leu Leu
1 5 10 15
His Ala Ala Arg Pro Gln Val Gln Leu Gln Gln Ser Gly Pro Gly Leu
20 25 30
Val Lys Pro Ser Gln Thr Leu Ser Leu Thr Cys Ala Ile Ser Gly Asp
35 40 45
Ser Val Ser Ser Asn Ser Ala Ala Trp Asn Trp Ile Arg Gln Ser Pro
50 55 60
Ser Arg Gly Leu Glu Trp Leu Gly Arg Thr Tyr Tyr Arg Ser Lys Trp
65 70 75 80
Tyr Asn Asp Tyr Ala Val Ser Val Lys Ser Arg Ile Thr Ile Asn Pro
85 90 95
Asp Thr Ser Lys Asn Gln Phe Ser Leu Gln Leu Asn Ser Val Thr Pro
100 105 110
Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys Ala Arg Glu Val Thr Gly Asp Leu
115 120 125
Glu Asp Ala Phe Asp Ile Trp Gly Gln Gly Thr Met Val Thr Val Ser
130 135 140
Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser
145 150 155 160
Asp Ile Gln Met Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly
165 170 175
Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Gln Thr Ile Trp Ser Tyr
180 185 190
Leu Asn Trp Tyr Gln Gln Arg Pro Gly Lys Ala Pro Asn Leu Leu Ile
195 200 205
Tyr Ala Ala Ser Ser Leu Gln Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
210 215 220
Arg Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Ala
225 230 235 240
Glu Asp Phe Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Gln Ser Tyr Ser Ile Pro Gln
245 250 255
Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Gly Leu Ala Val Ser
260 265 270
Thr Ile Ser Ser Phe Phe Pro Pro Gly Tyr Gln Ile Tyr Ile Trp Ala
275 280 285
Pro Leu Ala Gly Thr Cys Gly Val Leu Leu Leu Ser Leu Val Ile Thr
290 295 300
Leu Tyr Cys Lys Arg Gly Arg Lys Lys Leu Leu Tyr Ile Phe Lys Gln
305 310 315 320
Pro Phe Met Arg Pro Val Gln Thr Thr Gln Glu Glu Asp Gly Cys Ser
325 330 335
Cys Arg Phe Pro Glu Glu Glu Glu Gly Gly Cys Glu Leu Arg Val Lys
340 345 350
Phe Ser Arg Ser Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Gln Gln Gly Gln Asn Gln
355 360 365
Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr Asp Val Leu
370 375 380
Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys Pro Arg Arg
385 390 395 400
Lys Asn Pro Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys Asp Lys Met
405 410 415
Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg Arg Arg Gly
420 425 430
Lys Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala Thr Lys Asp
435 440 445
Thr Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
450 455 460
<210> 15
<211> 490
<212> PRT
<213> artificial sequence
<220>
<223> 971-v3 polypeptide CAR sequence
<400> 15
Met Ala Leu Pro Val Thr Ala Leu Leu Leu Pro Leu Ala Leu Leu Leu
1 5 10 15
His Ala Ala Arg Pro Gln Val Gln Leu Gln Gln Ser Gly Pro Gly Leu
20 25 30
Val Lys Pro Ser Gln Thr Leu Ser Leu Thr Cys Ala Ile Ser Gly Asp
35 40 45
Ser Val Ser Ser Asn Ser Ala Ala Trp Asn Trp Ile Arg Gln Ser Pro
50 55 60
Ser Arg Gly Leu Glu Trp Leu Gly Arg Thr Tyr Tyr Arg Ser Lys Trp
65 70 75 80
Tyr Asn Asp Tyr Ala Val Ser Val Lys Ser Arg Ile Thr Ile Asn Pro
85 90 95
Asp Thr Ser Lys Asn Gln Phe Ser Leu Gln Leu Asn Ser Val Thr Pro
100 105 110
Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys Ala Arg Glu Val Thr Gly Asp Leu
115 120 125
Glu Asp Ala Phe Asp Ile Trp Gly Gln Gly Thr Met Val Thr Val Ser
130 135 140
Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser
145 150 155 160
Asp Ile Gln Met Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly
165 170 175
Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Gln Thr Ile Trp Ser Tyr
180 185 190
Leu Asn Trp Tyr Gln Gln Arg Pro Gly Lys Ala Pro Asn Leu Leu Ile
195 200 205
Tyr Ala Ala Ser Ser Leu Gln Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
210 215 220
Arg Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Ala
225 230 235 240
Glu Asp Phe Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Gln Ser Tyr Ser Ile Pro Gln
245 250 255
Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Thr Thr Thr Pro Ala
260 265 270
Pro Arg Pro Pro Thr Pro Ala Pro Thr Ile Ala Ser Gln Pro Leu Ser
275 280 285
Leu Arg Pro Glu Ala Cys Arg Pro Ala Ala Gly Gly Ala Val His Thr
290 295 300
Arg Gly Leu Asp Phe Ala Cys Asp Ile Tyr Ile Trp Ala Pro Leu Ala
305 310 315 320
Gly Thr Cys Gly Val Leu Leu Leu Ser Leu Val Ile Thr Leu Tyr Cys
325 330 335
Lys Arg Gly Arg Lys Lys Leu Leu Tyr Ile Phe Lys Gln Pro Phe Met
340 345 350
Arg Pro Val Gln Thr Thr Gln Glu Glu Asp Gly Cys Ser Cys Arg Phe
355 360 365
Pro Glu Glu Glu Glu Gly Gly Cys Glu Leu Arg Val Lys Phe Ser Arg
370 375 380
Ser Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Gln Gln Gly Gln Asn Gln Leu Tyr Asn
385 390 395 400
Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr Asp Val Leu Asp Lys Arg
405 410 415
Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys Pro Arg Arg Lys Asn Pro
420 425 430
Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys Asp Lys Met Ala Glu Ala
435 440 445
Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg Arg Arg Gly Lys Gly His
450 455 460
Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala Thr Lys Asp Thr Tyr Asp
465 470 475 480
Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
485 490
<210> 16
<211> 530
<212> PRT
<213> artificial sequence
<220>
<223> TAL binding domain TRAC_T01-L
<400> 16
Leu Thr Pro Gln Gln Val Val Ala Ile Ala Ser Asn Gly Gly Gly Lys
1 5 10 15
Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Arg Leu Leu Pro Val Leu Cys Gln Ala
20 25 30
His Gly Leu Thr Pro Gln Gln Val Val Ala Ile Ala Ser Asn Asn Gly
35 40 45
Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Arg Leu Leu Pro Val Leu Cys
50 55 60
Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Gln Gln Val Val Ala Ile Ala Ser Asn
65 70 75 80
Gly Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Arg Leu Leu Pro Val
85 90 95
Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Glu Gln Val Val Ala Ile Ala
100 105 110
Ser His Asp Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Arg Leu Leu
115 120 125
Pro Val Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Glu Gln Val Val Ala
130 135 140
Ile Ala Ser His Asp Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Arg
145 150 155 160
Leu Leu Pro Val Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Glu Gln Val
165 170 175
Val Ala Ile Ala Ser His Asp Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val
180 185 190
Gln Arg Leu Leu Pro Val Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Glu
195 200 205
Gln Val Val Ala Ile Ala Ser Asn Ile Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu
210 215 220
Thr Val Gln Ala Leu Leu Pro Val Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr
225 230 235 240
Pro Glu Gln Val Val Ala Ile Ala Ser His Asp Gly Gly Lys Gln Ala
245 250 255
Leu Glu Thr Val Gln Arg Leu Leu Pro Val Leu Cys Gln Ala His Gly
260 265 270
Leu Thr Pro Glu Gln Val Val Ala Ile Ala Ser Asn Ile Gly Gly Lys
275 280 285
Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Ala Leu Leu Pro Val Leu Cys Gln Ala
290 295 300
His Gly Leu Thr Pro Gln Gln Val Val Ala Ile Ala Ser Asn Asn Gly
305 310 315 320
Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Arg Leu Leu Pro Val Leu Cys
325 330 335
Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Glu Gln Val Val Ala Ile Ala Ser Asn
340 345 350
Ile Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Ala Leu Leu Pro Val
355 360 365
Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Gln Gln Val Val Ala Ile Ala
370 375 380
Ser Asn Gly Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Arg Leu Leu
385 390 395 400
Pro Val Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Glu Gln Val Val Ala
405 410 415
Ile Ala Ser Asn Ile Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Ala
420 425 430
Leu Leu Pro Val Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Gln Gln Val
435 440 445
Val Ala Ile Ala Ser Asn Gly Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val
450 455 460
Gln Arg Leu Leu Pro Val Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Glu
465 470 475 480
Gln Val Val Ala Ile Ala Ser His Asp Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu
485 490 495
Thr Val Gln Arg Leu Leu Pro Val Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr
500 505 510
Pro Gln Gln Val Val Ala Ile Ala Ser Asn Gly Gly Gly Arg Pro Ala
515 520 525
Leu Glu
530
<210> 17
<211> 530
<212> PRT
<213> artificial sequence
<220>
<223> TAL binding domain TRAC_T01-R
<400> 17
Leu Thr Pro Glu Gln Val Val Ala Ile Ala Ser His Asp Gly Gly Lys
1 5 10 15
Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Arg Leu Leu Pro Val Leu Cys Gln Ala
20 25 30
His Gly Leu Thr Pro Gln Gln Val Val Ala Ile Ala Ser Asn Gly Gly
35 40 45
Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Arg Leu Leu Pro Val Leu Cys
50 55 60
Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Glu Gln Val Val Ala Ile Ala Ser His
65 70 75 80
Asp Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Arg Leu Leu Pro Val
85 90 95
Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Glu Gln Val Val Ala Ile Ala
100 105 110
Ser Asn Ile Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Ala Leu Leu
115 120 125
Pro Val Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Gln Gln Val Val Ala
130 135 140
Ile Ala Ser Asn Asn Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Arg
145 150 155 160
Leu Leu Pro Val Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Glu Gln Val
165 170 175
Val Ala Ile Ala Ser His Asp Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val
180 185 190
Gln Arg Leu Leu Pro Val Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Gln
195 200 205
Gln Val Val Ala Ile Ala Ser Asn Gly Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu
210 215 220
Thr Val Gln Arg Leu Leu Pro Val Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr
225 230 235 240
Pro Gln Gln Val Val Ala Ile Ala Ser Asn Asn Gly Gly Lys Gln Ala
245 250 255
Leu Glu Thr Val Gln Arg Leu Leu Pro Val Leu Cys Gln Ala His Gly
260 265 270
Leu Thr Pro Gln Gln Val Val Ala Ile Ala Ser Asn Asn Gly Gly Lys
275 280 285
Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Arg Leu Leu Pro Val Leu Cys Gln Ala
290 295 300
His Gly Leu Thr Pro Gln Gln Val Val Ala Ile Ala Ser Asn Gly Gly
305 310 315 320
Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Arg Leu Leu Pro Val Leu Cys
325 330 335
Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Glu Gln Val Val Ala Ile Ala Ser Asn
340 345 350
Ile Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Ala Leu Leu Pro Val
355 360 365
Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Glu Gln Val Val Ala Ile Ala
370 375 380
Ser His Asp Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Arg Leu Leu
385 390 395 400
Pro Val Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Glu Gln Val Val Ala
405 410 415
Ile Ala Ser Asn Ile Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val Gln Ala
420 425 430
Leu Leu Pro Val Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Glu Gln Val
435 440 445
Val Ala Ile Ala Ser His Asp Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu Thr Val
450 455 460
Gln Arg Leu Leu Pro Val Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr Pro Gln
465 470 475 480
Gln Val Val Ala Ile Ala Ser Asn Asn Gly Gly Lys Gln Ala Leu Glu
485 490 495
Thr Val Gln Arg Leu Leu Pro Val Leu Cys Gln Ala His Gly Leu Thr
500 505 510
Pro Gln Gln Val Val Ala Ile Ala Ser Asn Gly Gly Gly Arg Pro Ala
515 520 525
Leu Glu
530
<210> 18
<211> 49
<212> DNA
<213> artificial sequence
<220>
<223> target TALEN TRAC_T01
<400> 18
ttgtcccaca gatatccaga accctgaccc tgccgtgtac cagctgaga 49
<210> 19
<211> 9
<212> PRT
<213> artificial sequence
<220>
<223> Mimotope of CD20 antigen
<400> 19
Cys Pro Tyr Ser Asn Pro Ser Leu Cys
1 5
<210> 20
<211> 1473
<212> DNA
<213> artificial sequence
<220>
<223> CAR 11 dis 16
<400> 20
atggctctgc ccgtcaccgc tctgctgctg ccactggccc tgctgctgca cgcagcaaga 60
ccacaggtgc agctgcagca gagcggccct ggcctggtga agccaagcca gacactgtcc 120
ctgacctgcg ccatcagcgg cgattccgtg agctccaact ccgccgcctg gaattggatc 180
aggcagtccc cttctcgggg cctggagtgg ctgggaagga catactatcg gtctaagtgg 240
tacaacgatt atgccgtgtc tgtgaagagc agaatcacaa tcaaccctga cacctccaag 300
aatcagttct ctctgcagct gaatagcgtg acaccagagg acaccgccgt gtactattgc 360
gccagggagg tgaccggcga cctggaggat gcctttgaca tctggggcca gggcacaatg 420
gtgaccgtgt ctagcggagg aggaggatcc ggaggaggag gatctggcgg cggcggcagc 480
gatatccaga tgacacagtc cccatcctct ctgagcgcct ccgtgggcga cagagtgaca 540
atcacctgta gggcctccca gaccatctgg tcttacctga actggtatca gcagaggccc 600
ggcaaggccc ctaatctgct gatctacgca gcaagctccc tgcagagcgg agtgccatcc 660
agattctctg gcaggggctc cggcacagac ttcaccctga ccatctctag cctgcaggcc 720
gaggacttcg ccacctacta ttgccagcag tcttatagca tcccccagac atttggccag 780
ggcaccaagc tggagatcaa gaccacaacc ccagcaccaa ggccacctac acctgcacca 840
accatcgcct ctcagcccct gagcctgaga cctgaggcat gtaggccagc agcaggagga 900
gcagtccata caaggggtct ggattttgca tgcgacatct acatctgggc acctctggca 960
ggaacatgtg gcgtgctcct gctcagcctg gtcatcaccc tgtactgcaa gagaggcagg 1020
aagaagctgc tgtatatctt caagcagccc ttcatgcgcc ccgtgcagac aacccaggag 1080
gaggatggct gctcctgtag gttcccagaa gaggaggagg gaggatgtga gctgcgcgtg 1140
aagttttccc ggtctgccga cgcacctgca taccagcagg gccagaacca gctgtataac 1200
gagctgaatc tgggccggag agaggagtac gatgtgctgg acaagaggcg cggcagagat 1260
ccagagatgg gcggcaagcc ccggagaaag aaccctcagg agggcctgta caatgagctg 1320
cagaaggata agatggccga ggcctattct gagatcggca tgaagggaga gaggcgccgg 1380
ggcaagggac acgacggact gtaccaggga ctgagcacag ccaccaagga tacctatgac 1440
gccctgcata tgcaggcact gcctccaagg tga 1473
<210> 21
<211> 59
<212> DNA
<213> artificial sequence
<220>
<223> TARGET TALEN(R)
<400> 21
tgatcctctt gtcccacaga tatccagaac cctgaccctg ccgtgtacca gctgagaga 59
<210> 22
<211> 1473
<212> DNA
<213> Artificial sequence
<220>
<223> 971-v3 polynucleotide CAR sequence
<400> 22
atggctctgc ccgtcaccgc tctgctgctg ccactggccc tgctgctgca cgcagcaaga 60
ccacaggtgc agctgcagca gagcggccct ggcctggtga agccaagcca gacactgtcc 120
ctgacctgcg ccatcagcgg cgattccgtg agctccaact ccgccgcctg gaattggatc 180
aggcagtccc cttctcgggg cctggagtgg ctgggaagga catactatcg gtctaagtgg 240
tacaacgatt atgccgtgtc tgtgaagagc agaatcacaa tcaaccctga cacctccaag 300
aatcagttct ctctgcagct gaatagcgtg acaccagagg acaccgccgt gtactattgc 360
gccagggagg tgaccggcga cctggaggat gcctttgaca tctggggcca gggcacaatg 420
gtgaccgtgt ctagcggagg aggaggatcc ggaggaggag gatctggcgg cggcggcagc 480
gatatccaga tgacacagtc cccatcctct ctgagcgcct ccgtgggcga cagagtgaca 540
atcacctgta gggcctccca gaccatctgg tcttacctga actggtatca gcagaggccc 600
ggcaaggccc ctaatctgct gatctacgca gcaagctccc tgcagagcgg agtgccatcc 660
agattctctg gcaggggctc cggcacagac ttcaccctga ccatctctag cctgcaggcc 720
gaggacttcg ccacctacta ttgccagcag tcttatagca tcccccagac atttggccag 780
ggcaccaagc tggagatcaa gaccacaacc ccagcaccaa ggccacctac acctgcacca 840
accatcgcct ctcagcccct gagcctgaga cctgaggcat gtaggccagc agcaggagga 900
gcagtccata caaggggtct ggattttgca tgcgacatct acatctgggc acctctggca 960
ggaacatgtg gcgtgctcct gctcagcctg gtcatcaccc tgtactgcaa gagaggcagg 1020
aagaagctgc tgtatatctt caagcagccc ttcatgcgcc ccgtgcagac aacccaggag 1080
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<210> 23
<211> 489
<212> PRT
<213> artificial sequence
<220>
<223> CAR distal CD22
<400> 23
Met Ala Leu Pro Val Thr Ala Leu Leu Leu Pro Leu Ala Leu Leu Leu
1 5 10 15
His Ala Ala Arg Pro Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu
20 25 30
Val Lys Pro Gly Gly Ser Leu Lys Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe
35 40 45
Ala Phe Ser Ile Tyr Asp Met Ser Trp Val Arg Gln Thr Pro Glu Lys
50 55 60
Arg Leu Glu Trp Val Ala Tyr Ile Ser Ser Gly Gly Gly Thr Tyr Tyr
65 70 75 80
Pro Asp Thr Val Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys
85 90 95
Asn Thr Leu Tyr Leu Gln Met Ser Ser Leu Lys Ser Glu Asp Thr Ala
100 105 110
Met Tyr Tyr Cys Ala Arg His Ser Gly Tyr Gly Thr His Trp Gly Val
115 120 125
Leu Phe Ala Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ala Gly
130 135 140
Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Asp Ile
145 150 155 160
Gln Met Thr Gln Thr Thr Ser Ser Leu Ser Ala Ser Leu Gly Asp Arg
165 170 175
Val Thr Ile Ser Cys Arg Ala Ser Gln Asp Ile Ser Asn Tyr Leu Asn
180 185 190
Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Asp Gly Thr Val Lys Leu Leu Ile Tyr Tyr
195 200 205
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210 215 220
Ser Gly Thr Asp Tyr Ser Leu Thr Ile Ser Asn Leu Glu Gln Glu Asp
225 230 235 240
Phe Ala Thr Tyr Phe Cys Gln Gln Gly Asn Thr Leu Pro Trp Thr Phe
245 250 255
Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Ala Thr Thr Thr Pro Ala Pro
260 265 270
Arg Pro Pro Thr Pro Ala Pro Thr Ile Ala Ser Gln Pro Leu Ser Leu
275 280 285
Arg Pro Glu Ala Cys Arg Pro Ala Ala Gly Gly Ala Val His Thr Arg
290 295 300
Gly Leu Asp Phe Ala Cys Asp Ile Tyr Ile Trp Ala Pro Leu Ala Gly
305 310 315 320
Thr Cys Gly Val Leu Leu Leu Ser Leu Val Ile Thr Leu Tyr Cys Lys
325 330 335
Arg Gly Arg Lys Lys Leu Leu Tyr Ile Phe Lys Gln Pro Phe Met Arg
340 345 350
Pro Val Gln Thr Thr Gln Glu Glu Asp Gly Cys Ser Cys Arg Phe Pro
355 360 365
Glu Glu Glu Glu Gly Gly Cys Glu Leu Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser
370 375 380
Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Gln Gln Gly Gln Asn Gln Leu Tyr Asn Glu
385 390 395 400
Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr Asp Val Leu Asp Lys Arg Arg
405 410 415
Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys Pro Arg Arg Lys Asn Pro Gln
420 425 430
Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys Asp Lys Met Ala Glu Ala Tyr
435 440 445
Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg Arg Arg Gly Lys Gly His Asp
450 455 460
Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala Thr Lys Asp Thr Tyr Asp Ala
465 470 475 480
Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
485
<210> 24
<211> 1470
<212> DNA
<213> artificial sequence
<220>
<223> CAR distal CD22
<400> 24
atggctctgc ccgtcaccgc tctgctgctg ccactggccc tgctgctgca cgcagcaagg 60
cctgaggtgc agctggtgga atccggagga ggcctggtga agcctggcgg ctctctgaag 120
ctgagctgtg ccgcctccgg cttcgccttt tccatctacg acatgtcttg ggtgaggcag 180
accccagaga agcgcctgga gtgggtggcc tatatcagct ccggcggcgg cacctactat 240
cccgacacag tgaagggccg gttcaccatc tctagagata acgccaagaa tacactgtac 300
ctgcagatgt ctagcctgaa gagcgaggat accgccatgt actattgcgc aaggcactcc 360
ggatacggaa cacactgggg cgtgctgttt gcctattggg gccagggcac cctggtgaca 420
gtgagcgccg gaggaggagg aagcggcgga ggaggctccg gcggcggcgg ctctgacatc 480
cagatgaccc agaccacatc ctctctgagc gcctccctgg gcgacagggt gacaatctct 540
tgtagagcca gccaggatat ctccaactac ctgaattggt atcagcagaa gcctgatggc 600
accgtgaagc tgctgatcta ctatacatct atcctgcaca gcggagtgcc atcccggttc 660
tctggaagcg gatccggaac cgactactct ctgacaatca gcaacctgga gcaggaggat 720
ttcgccacct atttttgcca gcagggcaat accctgcctt ggacatttgg cggcggcaca 780
aagctggaga tcaaggccac cacaacccct gcaccaaggc caccaacacc agcacctacc 840
atcgcatctc agcctctgag cctgagacca gaggcatgta ggccagcagc aggaggagca 900
gtgcacacaa ggggactgga ttttgcctgt gatatctaca tctgggcacc tctggcagga 960
acatgtggcg tgctcctgct cagcctggtc atcaccctgt actgcaagag aggcaggaag 1020
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gacggctgct cctgtaggtt cccagaagag gaggagggag gatgtgagct gcgcgtgaag 1140
ttttcccggt ctgccgatgc acctgcatac cagcagggac agaatcagct gtataacgag 1200
ctgaatctgg gccggagaga ggagtacgac gtgctggata agaggagggg aagggaccca 1260
gagatgggag gcaagcctcg gagaaagaac ccacaggagg gcctgtacaa tgagctgcag 1320
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aagggacacg atggcctgta ccagggcctg tccacagcca ccaaggacac ctatgatgcc 1440
ctgcatatgc aggcactgcc tccaaggtga 1470
<210> 25
<211> 495
<212> PRT
<213> artificial sequence
<220>
<223> description of artificial sequence: synthetic polypeptide
<220>
<223> 4G7-CAR version 1
<400> 25
Met Ala Leu Pro Val Thr Ala Leu Leu Leu Pro Leu Ala Leu Leu Leu
1 5 10 15
His Ala Ala Arg Pro Glu Val Gln Leu Gln Gln Ser Gly Pro Glu Leu
20 25 30
Ile Lys Pro Gly Ala Ser Val Lys Met Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr
35 40 45
Thr Phe Thr Ser Tyr Val Met His Trp Val Lys Gln Lys Pro Gly Gln
50 55 60
Gly Leu Glu Trp Ile Gly Tyr Ile Asn Pro Tyr Asn Asp Gly Thr Lys
65 70 75 80
Tyr Asn Glu Lys Phe Lys Gly Lys Ala Thr Leu Thr Ser Asp Lys Ser
85 90 95
Ser Ser Thr Ala Tyr Met Glu Leu Ser Ser Leu Thr Ser Glu Asp Ser
100 105 110
Ala Val Tyr Tyr Cys Ala Arg Gly Thr Tyr Tyr Tyr Gly Ser Arg Val
115 120 125
Phe Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Thr Leu Thr Val Ser Ser Gly Gly
130 135 140
Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Asp Ile Val
145 150 155 160
Met Thr Gln Ala Ala Pro Ser Ile Pro Val Thr Pro Gly Glu Ser Val
165 170 175
Ser Ile Ser Cys Arg Ser Ser Lys Ser Leu Leu Asn Ser Asn Gly Asn
180 185 190
Thr Tyr Leu Tyr Trp Phe Leu Gln Arg Pro Gly Gln Ser Pro Gln Leu
195 200 205
Leu Ile Tyr Arg Met Ser Asn Leu Ala Ser Gly Val Pro Asp Arg Phe
210 215 220
Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Ala Phe Thr Leu Arg Ile Ser Arg Val
225 230 235 240
Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Met Gln His Leu Glu Tyr
245 250 255
Pro Phe Thr Phe Gly Ala Gly Thr Lys Leu Glu Leu Lys Arg Ala Asp
260 265 270
Thr Thr Thr Pro Ala Pro Arg Pro Pro Thr Pro Ala Pro Thr Ile Ala
275 280 285
Ser Gln Pro Leu Ser Leu Arg Pro Glu Ala Cys Arg Pro Ala Ala Gly
290 295 300
Gly Ala Val His Thr Arg Gly Leu Asp Phe Ala Cys Asp Ile Tyr Ile
305 310 315 320
Trp Ala Pro Leu Ala Gly Thr Cys Gly Val Leu Leu Leu Ser Leu Val
325 330 335
Ile Thr Leu Tyr Cys Lys Arg Gly Arg Lys Lys Leu Leu Tyr Ile Phe
340 345 350
Lys Gln Pro Phe Met Arg Pro Val Gln Thr Thr Gln Glu Glu Asp Gly
355 360 365
Cys Ser Cys Arg Phe Pro Glu Glu Glu Glu Gly Gly Cys Glu Leu Arg
370 375 380
Val Lys Phe Ser Arg Ser Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Gln Gln Gly Gln
385 390 395 400
Asn Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr Asp
405 410 415
Val Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys Pro
420 425 430
Arg Arg Lys Asn Pro Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys Asp
435 440 445
Lys Met Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg Arg
450 455 460
Arg Gly Lys Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala Thr
465 470 475 480
Lys Asp Thr Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
485 490 495
<210> 26
<211> 495
<212> PRT
<213> artificial sequence
<220>
<223> description of artificial sequence: synthetic polypeptide
<220>
<223> 4G7-CAR version 2
<400> 26
Met Glu Thr Asp Thr Leu Leu Leu Trp Val Leu Leu Leu Trp Val Pro
1 5 10 15
Gly Ser Thr Gly Glu Val Gln Leu Gln Gln Ser Gly Pro Glu Leu Ile
20 25 30
Lys Pro Gly Ala Ser Val Lys Met Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr
35 40 45
Phe Thr Ser Tyr Val Met His Trp Val Lys Gln Lys Pro Gly Gln Gly
50 55 60
Leu Glu Trp Ile Gly Tyr Ile Asn Pro Tyr Asn Asp Gly Thr Lys Tyr
65 70 75 80
Asn Glu Lys Phe Lys Gly Lys Ala Thr Leu Thr Ser Asp Lys Ser Ser
85 90 95
Ser Thr Ala Tyr Met Glu Leu Ser Ser Leu Thr Ser Glu Asp Ser Ala
100 105 110
Val Tyr Tyr Cys Ala Arg Gly Thr Tyr Tyr Tyr Gly Ser Arg Val Phe
115 120 125
Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Thr Leu Thr Val Ser Ser Gly Gly Gly
130 135 140
Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Asp Ile Val Met
145 150 155 160
Thr Gln Ala Ala Pro Ser Ile Pro Val Thr Pro Gly Glu Ser Val Ser
165 170 175
Ile Ser Cys Arg Ser Ser Lys Ser Leu Leu Asn Ser Asn Gly Asn Thr
180 185 190
Tyr Leu Tyr Trp Phe Leu Gln Arg Pro Gly Gln Ser Pro Gln Leu Leu
195 200 205
Ile Tyr Arg Met Ser Asn Leu Ala Ser Gly Val Pro Asp Arg Phe Ser
210 215 220
Gly Ser Gly Ser Gly Thr Ala Phe Thr Leu Arg Ile Ser Arg Val Glu
225 230 235 240
Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Met Gln His Leu Glu Tyr Pro
245 250 255
Phe Thr Phe Gly Ala Gly Thr Lys Leu Glu Leu Lys Arg Ser Asp Pro
260 265 270
Thr Thr Thr Pro Ala Pro Arg Pro Pro Thr Pro Ala Pro Thr Ile Ala
275 280 285
Ser Gln Pro Leu Ser Leu Arg Pro Glu Ala Cys Arg Pro Ala Ala Gly
290 295 300
Gly Ala Val His Thr Arg Gly Leu Asp Phe Ala Cys Asp Ile Tyr Ile
305 310 315 320
Trp Ala Pro Leu Ala Gly Thr Cys Gly Val Leu Leu Leu Ser Leu Val
325 330 335
Ile Thr Leu Tyr Cys Lys Arg Gly Arg Lys Lys Leu Leu Tyr Ile Phe
340 345 350
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355 360 365
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370 375 380
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385 390 395 400
Asn Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr Asp
405 410 415
Val Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys Pro
420 425 430
Arg Arg Lys Asn Pro Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys Asp
435 440 445
Lys Met Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg Arg
450 455 460
Arg Gly Lys Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala Thr
465 470 475 480
Lys Asp Thr Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
485 490 495