IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サノフィ・バイオテクノロジーの特許一覧 ▶ リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッドの特許一覧

特開2023-139071IL-4R拮抗薬の投与により喘息を処置または予防するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139071
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】IL-4R拮抗薬の投与により喘息を処置または予防するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20230926BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20230926BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230926BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20230926BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20230926BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20230926BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20230926BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61P11/06
A61P17/00
A61P37/08
A61P11/02
A61P43/00 121
A61K31/573
C07K16/28
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023114146
(22)【出願日】2023-07-12
(62)【分割の表示】P 2020524039の分割
【原出願日】2018-10-29
(31)【優先権主張番号】62/579,120
(32)【優先日】2017-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/710,381
(32)【優先日】2018-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/647,368
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18305566.4
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】62/742,736
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515337475
【氏名又は名称】サノフィ・バイオテクノロジー
(71)【出願人】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ニキル・アミン
(72)【発明者】
【氏名】ニール・グラハム
(72)【発明者】
【氏名】ジャンルカ・ピロッツィ
(72)【発明者】
【氏名】アリエル・テペール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】患者の喘息および関連状態を処置または予防する方法を提供する。
【解決手段】重度の非管理喘息を有する対象を処置するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程;および該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程を含み、該複数の維持用量は、誘導期、経口コルチコステロイド(OCS)低減期、およびOCS維持期を含む処置期中に投与される、前記方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重度の非管理喘息を有する対象を処置するための方法であって、
インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程;および
該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程
を含み、該複数の維持用量は、誘導期、経口コルチコステロイド(OCS)低減期、およびOCS維持期を含む処置期中に投与される、前記方法。
【請求項2】
抗体またはその抗原結合断片の維持用量は、2週間に1回(q2w)、投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
負荷用量は、約600mgの抗体またはその抗原結合断片である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
抗体またはその抗原結合断片の各維持用量は、約300mgの抗体またはその抗原結合断片である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
抗体またはその抗原結合断片の維持用量は、4週間ごとに(q4w)投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
維持用量は、約500mgの抗体またはその抗原結合断片である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
抗体またはその抗原結合断片の各維持用量は、約750mgの抗体またはその抗原結合断片である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
抗体またはその抗原結合断片の維持用量は、少なくとも24週間投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
抗体またはその抗原結合断片の最初の維持用量は、抗体またはその抗原結合断片の負荷用量から2週間後、投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
OCS低減期は、長さが約16週間である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
対象によるOCS使用は、OCS低減期中に低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
対象は、誘導期と比較して、維持期において50%以下のOCSを用いる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
対象は、誘導期と比較して、維持期において75%以下のOCSを用いる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
対象は、誘導期と比較して、維持期において90%以下のOCSを用いる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
対象によるOCS使用は、維持期において約5mg/日以下へ低減される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
OCSの投与は、維持期において低減され、および/または除去される、請求項11に
記載の方法。
【請求項17】
対象は、細胞約150個/μl未満の血中好酸球数を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
対象は、細胞約150個/μl以上の血中好酸球数を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
対象は、細胞約300個/μlより高い血中好酸球数を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
対象は、年換算での重度喘息増悪の低下を経験する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
対象は、強制呼気量(FEV)または肺容量の25~75%における強制呼気流量(FEF25-75)により測定される場合の肺機能の改善を経験する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
対象によるOCS使用は、抗体またはその抗原結合断片での処置前に最適化される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
OCSは、プレドニゾンまたはプレドニゾロンである、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1および2を含む重鎖可変領域(HCVR)/軽鎖可変領域(LCVR)配列対からの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVR、および配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
重度の非管理喘息を有する対象を処置するための方法であって、
インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程;および
該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程
を含み、該複数の維持用量は、誘導期、経口コルチコステロイド(OCS)低減期、および維持期を含む処置期中に投与され、
該抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1および2を含むHCVR/LCVR配列対からの重鎖および軽鎖CDR配列を含む、前記方法。
【請求項28】
重度の非管理喘息を有する対象を処置するための方法であって、
インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片約600mgの負荷用量を該対象に投与する工程;および
該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程であって、各維持用量は、約300mgの抗体またはその抗原結合断片である、工程
を含み、該複数の維持用量は、誘導期、経口コルチコステロイド(OCS)低減期、および維持期を含む処置期中に投与され、
該抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1および2を含むHCVR/LCVR配列対からの重鎖および軽鎖CDR配列を含む、前記方法。
【請求項29】
中等度~重度の非管理喘息を有する対象において年換算での重度増悪率を低下させるための方法であって、IL-4Rと特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を該対象にq2wまたはq4w、投与する工程を含む、前記方法。
【請求項30】
投薬量は、約200mg q2w、約300mg q2w、約500mg q4w、または約750mg q4wである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
対象は、細胞約150個/μl未満の血中好酸球数を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
対象は、細胞約150個/μl以上の血中好酸球数を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
対象は、細胞約300個/μlより高い血中好酸球数を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
対象は、約25×10-9(25ppb)以上の呼気一酸化窒素濃度(FeNO)レベルを有する、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
対象は、約25ppb以上から約50ppbの間のFeNOレベルを有する、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
対象は、約50ppb以上のFeNOレベルを有する、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
中等度~重度の非管理喘息を有する対象においてFEVスコアを向上させるための方法であって、IL-4Rと特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を該対象にq2wまたはq4w、投与する工程を含み、その結果、該対象は、該抗体またはその抗原結合断片の投与後第4週、第12週、または第24週にFEVスコアの向上を示す、前記方法。
【請求項38】
投薬量は、約200mg q2w、約300mg q2w、約500mg q4w、または約750mg q4wである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
対象は、細胞約150個/μl未満の血中好酸球数を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
対象は、細胞約150個/μl以上の血中好酸球数を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
対象は、細胞約300個/μlより高い血中好酸球数を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
対象は、25ppb以上のFeNOレベルを有する、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
対象は、約25ppb以上から約50ppbの間のFeNOレベルを有する、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
対象は、約50ppb以上のFeNOレベルを有する、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
対象は、IL-4R抗体またはその断片の投与後第4週、第12週、または第24週に
、FeNO、エオタキシン-3、総IgE、ペリオスチンおよび胸腺および活性化制御ケモカイン(TARC)からなる群から選択されるバイオマーカーの少なくとも10%または25%低下を示す、請求項37に記載の方法。
【請求項46】
中等度~重度の非管理喘息を有する対象において肺容量の25~75%における強制呼気流量(FEF25-75)スコアを向上させるための方法であって、IL-4Rと特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を該対象にq2wまたはq4w、投与する工程を含み、その結果、該対象は、該抗体またはその抗原結合断片の投与後第4週または第24週にFEF25-75スコアの向上を示す、前記方法。
【請求項47】
投薬量は、約200mg q2w、約300mg q2w、約500mg q4w、または約750mg q4wである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
対象は、細胞約150個/μl未満の血中好酸球数を有する、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
対象は、細胞約150個/μl以上の血中好酸球数を有する、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
対象は、細胞約300個/μlより高い血中好酸球数を有する、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
対象は、25ppb以上のFeNOレベルを有する、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
対象は、約25ppb以上から約50ppbの間のFeNOレベルを有する、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
対象は、約50ppb以上のFeNOレベルを有する、請求項46に記載の方法。
【請求項54】
対象は、IL-4R抗体またはその断片の投与後第4週、第12週、または第24週に、FeNO、エオタキシン-3、総IgE、ペリオスチンおよび胸腺および活性化制御ケモカイン(TARC)からなる群から選択されるバイオマーカーの少なくとも10%または少なくとも25%低下を示す、請求項46に記載の方法。
【請求項55】
ステロイド依存性重度喘息を患っている対象において経口コルチコステロイド(OCS)使用を低減し、または除去する方法であって、
インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程;および
該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程
を含み、OCS使用の少なくとも50%の低減が、該負荷用量の投与後第24週に達成される、前記方法。
【請求項56】
OCS使用は、負荷用量の投与後第24週に1日あたり5mg未満へ低減される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
OCS使用への依存性は、負荷用量の投与から所定の期間後、実質的に除去される、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
期間は、40週間後、45週間後、50週間後、52週間後、またはそれより後である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
抗体またはその抗原結合断片の維持用量は、2週間に1回(q2w)、投与される、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
負荷用量は、約600mgの抗体またはその抗原結合断片である、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
抗体またはその抗原結合断片の各維持用量は、約300mgの抗体またはその抗原結合断片である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
抗体またはその抗原結合断片の維持用量は、少なくとも24週間、投与される、請求項55に記載の方法。
【請求項63】
抗体またはその抗原結合断片の最初の維持用量は、抗体またはその抗原結合断片の負荷用量から2週間後、投与される、請求項55に記載の方法。
【請求項64】
OCSは、プレドニゾンまたはプレドニゾロンである、請求項55に記載の方法。
【請求項65】
抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1および2を含む重鎖可変領域(HCVR)/軽鎖可変領域(LCVR)配列対からの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項66】
抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項67】
抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVR、および配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項68】
抗体またはその抗原結合断片の維持用量は、4週間ごとに(q4w)投与される、請求項55に記載の方法。
【請求項69】
維持用量は、約500mgの抗体またはその抗原結合断片である、請求項55に記載の方法。
【請求項70】
抗体またはその抗原結合断片の各維持用量は、約750mgの抗体またはその抗原結合断片である、請求項55に記載の方法。
【請求項71】
OCS使用の少なくとも75%の低減が達成される、請求項55に記載の方法。
【請求項72】
OCS使用の少なくとも90%の低減が達成される、請求項55に記載の方法。
【請求項73】
負荷用量は除去される、請求項1~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
対象は成人である、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
対象は青年である、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
対象は12歳以上である、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
中等度~重度の経口コルチコステロイド(OCS)依存性喘息を有する対象を処置するための方法であって、
インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程;および
該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程
を含み、該負荷用量および該複数の維持用量は、追加の喘息維持治療として投与される、前記方法。
【請求項78】
抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1および2を含む重鎖可変領域(HCVR)/軽鎖可変領域(LCVR)配列対からの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVR、および配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
負荷用量は、約600mgの抗体またはその抗原結合断片である、請求項77に記載の方法。
【請求項82】
抗体またはその抗原結合断片の各維持用量は、約300mgの抗体またはその抗原結合断片である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
対象は12歳以上である、請求項77に記載の方法。
【請求項84】
OCSは、プレドニゾンまたはプレドニゾロンである、請求項77に記載の方法。
【請求項85】
中等度~重度の喘息および併存する中等度~重度のアトピー性皮膚炎を有する対象を処置するための方法であって、
インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程;および
該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程
を含み、該負荷用量および該複数の維持用量は、追加の喘息維持治療として投与される、前記方法。
【請求項86】
中等度~重度の非管理喘息を有し、喘息の発症が40歳より上の時に起きた対象を処置するための方法であって、
インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程;および
該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程
を含み、該負荷用量および該複数の維持用量は、追加の喘息維持治療として投与される、前記方法。
【請求項87】
中等度~重度の非管理喘息、ならびに併存する慢性副鼻腔炎および鼻ポリープ症の1つまたは両方を有する対象を処置するための方法であって、
インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程;および
該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程
を含み、該負荷用量および該複数の維持用量は、追加の喘息維持治療として投与される、前記方法。
【請求項88】
中等度~重度の非管理喘息および併存するアレルギー性鼻炎を有する対象を処置するための方法であって、
インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程;および
該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程
を含み、該負荷用量および該複数の維持用量は、追加の喘息維持治療として投与される、前記方法。
【請求項89】
中等度~重度の非管理喘息および併存するアレルギー性鼻炎を有する対象のアレルギー性鼻炎に関連した生活の質を向上させるための方法であって、
インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程;および
該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程
を含み、該負荷用量および該複数の維持用量は、追加の喘息維持治療として投与される、前記方法。
【請求項90】
経口コルチコステロイド依存性喘息を有する対象においてアレルギー性鼻炎に関連した生活の質を向上させるための方法であって、
インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程;および
該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程
を含み、該負荷用量および該複数の維持用量は、追加の喘息維持治療として投与される、前記方法。
【請求項91】
朝および晩の一日の喘息症状が改善される、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
経口コルチコステロイド依存性喘息を有する対象において喘息管理を向上させるための方法であって、
インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程;および
該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程
を含み、該負荷用量および該複数の維持用量は、追加の喘息維持治療として投与される、前記方法。
【請求項93】
健康に関連した生活の質が向上する、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
経口コルチコステロイド依存性喘息は、経口コルチコステロイド依存性重度喘息である、請求項90または92に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年10月30日に出願した米国特許仮出願第62/579,120号、2018年2月16日に出願した米国特許仮出願第62/710,381号、2018年3月23日に出願した米国特許仮出願第62/647,368号、2018年10月8日に出願した米国特許仮出願第62/742,736、および2018年5月4日に出願した欧州出願第EP18305566.4号の利益を主張するものである。前述の出願の内容は、それら全体が参照によって本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、喘息および関連状態の処置および/または予防に関する。より具体的には、本発明は、それを必要とする患者の喘息を処置または予防するためのインターロイキン-4受容体(IL-4R)拮抗薬の投与に関する。
【背景技術】
【0003】
喘息は、気道過敏性、急性および慢性気管支収縮、気道浮腫ならびに粘液栓を特徴とする気道の慢性炎症性疾患である。喘息の炎症成分は、肥満細胞、好酸球、Tリンパ球、好中球および上皮細胞をはじめとする多くの細胞タイプ、ならびにそれらの生物的産物を含むと考えられる。喘息患者は、喘鳴、息切れ、咳および胸部絞扼感の症状を呈することが最も多い。ほとんどの喘息患者に、長期管理薬治療および気管支拡張薬治療レジメンは、適切な長期管理をもたらす。吸入コルチコステロイド(ICS)は、喘息症状を管理する上で「金字塔的存在」と考えられ、吸入β2刺激薬は、現在利用できる最も有効な気管支拡張薬である。ICSと吸入長時間作用性β2刺激薬(LABA)の併用治療がICS単独の高用量より良好な喘息管理をもたらすことは研究によって証明されている。その結果、併用治療は、ICS単独の低用量で管理されない対象に推奨される処置となっている。
【0004】
とはいえ、抗炎症薬と気管支拡張薬の組合せでの最大推奨処置にもかかわらず、喘息集団の5%~10%は症候性疾患を有すると推定される。さらに、この重度喘息集団は、入院、救急サービスの使用、および予定外の医師受診により総医療経費の50%までを占める。これらの患者の多くは、多数の細胞および分子メカニズムに起因してICSに対して反応性不良であるので、この重度喘息集団における新たな治療法の必要性は、まだ対処されていない。加えて、骨代謝、副腎機能および子どもの成長に対する全身性および吸入コルチコステロイドの長期有害作用から、コルチコステロイド使用量を最小にするように試みられる。喘息患者の大部分は、現在の処置である程度、管理されているが、重度の非管理喘息(例えば、重度のコルチコステロイド抵抗性喘息またはステロイド不耐性喘息)を有する患者は、その疾患を十分に管理することができる治療的処置の選択肢がほとんどない。治療に対する無反応または治療順守の欠如の帰結が、喘息管理の喪失、そして最終的には、喘息増悪である。
【0005】
重度喘息を有する患者の推定45%は、彼らの疾患を管理するために、ならびに肺組織への永久的損傷のリスクの増加、進行性固定気道閉塞、および肺機能の加速的低下に関連した生命を脅かす増悪を防止するために、全身性グルココルチコイドを必要とする。しかしながら、全身性グルココルチコイドは、非選択的に作用し、重大な多臓器毒性および幅広い免疫抑制を伴う。増悪および肺機能障害を防止し、喘息症状および管理を改善し、経口グルココルチコイドの必要性を減らし、またはなくす、より安全でかつより効果的な標的治療の必要性がある。
【0006】
喘息を有する患者のおよそ20%が、最大限の標準治療の長期管理薬治療(controller
therapy)にも関わらず、再発性増悪および持続性症状をもつ中等度~重度の非管理疾患を有する。この集団は、罹患(特に増悪)のリスクが増加しており、かなりの医療資源を占めている。これらの患者は、最大限の処置にも関わらず、肺機能が実質的に低下しており、容赦なく肺機能をさらに喪失する運命にある。このこれらの患者における容赦ない衰えを遅らせ、または肺機能を一貫して、かつ有意義に増加させることが示されている、現在認可された処置はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、喘息の処置および/または予防のための新規標的治療が当技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様によれば、重度の非管理喘息(例えば、重度のステロイド依存性喘息)を有する対象を処置するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程、および該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程を含み、該複数の維持用量は、誘導期、経口コルチコステロイド(OCS)低減期、およびOCS維持期を含む処置期中に投与される、前記方法が提供される。
【0009】
特定の例示的な実施形態において、抗体またはその抗原結合断片の維持用量は、2週間に1回(q2w)、投与される。特定の例示的な実施形態において、抗体またはその抗原結合断片の維持用量は、4週間ごとに(q4w)投与される。
【0010】
特定の実施形態において、対象は、負荷用量を投与され、および対象は、500mg q4wまたは750mg q4wの用量レジメンを有する維持用量を投与される。
【0011】
特定の実施形態において、負荷用量は除去される。特定の実施形態において、対象は、500mg q4wまたは750mg q4wの用量レジメンを施される。
【0012】
特定の例示的な実施形態において、負荷用量は、約600mgの抗体またはその抗原結合断片であり、および/または抗体またはその抗原結合断片の各維持用量は、約300mgの抗体またはその抗原結合断片である。
【0013】
特定の例示的な実施形態において、抗体またはその抗原結合断片の維持用量は、少なくとも24週間、投与される。
【0014】
特定の例示的な実施形態において、抗体またはその抗原結合断片の最初の維持用量は、抗体またはその抗原結合断片の負荷用量から2週間後、投与される。
【0015】
特定の例示的な実施形態において、OCS低減期は長さが約16週間である。
【0016】
特定の例示的な実施形態において、対象によるOCS使用は、OCS低減期中に低減される。特定の例示的な実施形態において、対象は、誘導期と比較して、維持期において50%以下、75%以下、または90%以下のOCSを用いる。特定の例示的な実施形態において、対象によるOCS使用は、維持期において約5mg/日以下に低減される。他の例示的な実施形態において、OCSは、低減され、および/または除去され、例えば、対象は、以前のOCS用量を止めさせられる。特定の例示的な実施形態において、OCSの投与は、処置レジメンから完全に除去される。
【0017】
特定の例示的な実施形態において、対象は、細胞約150個/μl以下の血中好酸球数を有する。特定の例示的な実施形態において、対象は、細胞約150個/μlより高い血中好酸球数を有する。特定の例示的な実施形態において、対象は、細胞約300個/μlより高い血中好酸球数を有する。
【0018】
特定の例示的な実施形態において、対象は、年換算での重度喘息増悪の低下を経験する。特定の例示的な実施形態において、対象は、強制呼気量(FEV)により測定される場合の肺機能の改善を経験する。他の実施形態において、対象は、末梢気道肺機能の改善および/または末梢気道炎症の低下を示す。特定の実施形態において、肺機能の改善および炎症の低下は、肺容量の25~75%における強制呼気流量(FEF25-75)によって測定される。
【0019】
特定の例示的な実施形態において、対象によるOCS使用は、抗体またはその抗原結合断片での処置前に最適化される。特定の例示的な実施形態において、OCSは、プレドニゾンまたはプレドニゾロンである。
【0020】
特定の例示的な実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1および2を含む重鎖可変領域(HCVR)/軽鎖可変領域(LCVR)配列対からの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。特定の例示的な実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含む。特定の例示的な実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRを含む。
【0021】
特定の例示的な実施形態において、対象は成人である。特定の例示的な実施形態において、対象は青年である。特定の例示的な実施形態において、対象は成人または青年であり、例えば、12歳以上である。
【0022】
別の態様において、重度の非管理喘息(例えば、重度のステロイド依存性喘息)を有する対象を処置するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程、および該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程を含み、該複数の維持用量は、誘導期、経口コルチコステロイド(OCS)低減期、および維持期を含む処置期中に投与され、該抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1および2を含むHCVR/LCVR配列対からの重鎖および軽鎖CDR配列を含む、前記方法が提供される。
【0023】
別の態様において、重度の非管理喘息、例えば、重度のステロイド依存性喘息を有する対象を処置するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片約600mgの負荷用量を該対象に投与する工程、および該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程であって、各維持用量は、約300mgの抗体またはその抗原結合断片である、工程を含み、該複数の維持用量は、誘導期、経口コルチコステロイド(OCS)低減期、および維持期を含む処置期中に投与され、該抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1および2を含むHCVR/LCVR配列対からの重鎖および軽鎖CDR配列を含む、前記方法が提供される。
【0024】
別の態様において、中等度~重度の非管理喘息を有する対象において年換算での重度増悪率を低下させるための方法であって、IL-4Rと特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を該対象にq2wまたはq4w、投与する工程を含む、前記方法が提供される。
【0025】
特定の例示的な実施形態において、投薬量は200mg q2wまたは300mg q2wである。
【0026】
特定の例示的な実施形態において、抗体またはその抗原結合断片の維持用量は、4週間ごとに(q4w)投与される。
【0027】
特定の実施形態において、対象は、負荷用量および維持用量を投与され、対象は、500mg q4wまたは750mg q4wの用量レジメンを施される。
【0028】
特定の実施形態において、負荷用量は除去される。特定の実施形態において、対象は、500mg q4wまたは750mg q4wの用量レジメンを施される。
【0029】
特定の例示的な実施形態において、対象は、細胞約150個/μl未満の、細胞約150個/μl以上の、または細胞約300個/μlより高い血中好酸球数を有する。
【0030】
特定の例示的な実施形態において、対象は、約25×10-9(25ppb)以上の呼気一酸化窒素濃度(FeNO)レベルを有し、約50ppb以上のFeNOレベルを有し、または約25ppb以上から約50ppbの間のFeNOレベルを有する。
【0031】
別の態様において、中等度~重度の非管理喘息を有する対象においてFEVスコアを向上させるための方法であって、IL-4Rと特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を該対象にq2wまたはq4w、投与する工程を含む、前記方法が提供される。
【0032】
特定の例示的な実施形態において、投薬量は200mg q2wまたは300mg q2wで投与される。特定の例示的な実施形態において、投薬量は500mg q4wまたは750mg q4wで投与される。
【0033】
特定の例示的な実施形態において、対象は、細胞約150個/μl未満の、細胞約150個/μl以上の、または細胞約300個/μlより高い血中好酸球数を有する。
【0034】
特定の例示的な実施形態において、対象は、約25×10-9(25ppb)以上の呼気一酸化窒素濃度(FeNO)レベルを有し、約50ppb以上のFeNOレベルを有し、または約25ppb以上から約50ppbの間のFeNOレベルを有する。
【0035】
別の実施形態において、対象は、IL-4R抗体またはその断片の投与後第4週、第12週、または第24週に、FeNO、エオタキシン-3、総IgE、ペリオスチンおよび胸腺および活性化制御ケモカイン(TARC)からなる群から選択されるバイオマーカーの少なくとも10%、15%、20%、または25%低下を示す。
【0036】
特定の例示的な実施形態において、対象は成人である。特定の例示的な実施形態において、対象は青年である。特定の例示的な実施形態において、対象は成人または青年であり、例えば、12歳以上である。
【0037】
他の態様において、本開示は、中等度~重度の非管理喘息を有する対象において肺容量の25~75%における強制呼気流量(FEF25-75)スコアを向上させるための方法であって、IL-4Rと特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を該対象にq2wまたはq4w、投与する工程を含む、前記方法を提供する。
【0038】
一実施形態において、投薬量は200mg q2wまたは300mg q2wである。
一実施形態において、投薬量は500mg q4wまたは750mg q4wである。
【0039】
一実施形態において、対象は、細胞約150個/μl未満の血中好酸球数を有する。一実施形態において、対象は、細胞約150個/μl以上の血中好酸球数を有する。一実施形態において、対象は、細胞約300個/μlより高い血中好酸球数を有する。
【0040】
別の実施形態において、対象は、約25ppb以上のFeNOレベルを有する。別の実施形態において、対象は、約50ppb以上のFeNOレベルを有する。別の実施形態において、対象は、約25ppb以上から約50ppbの間のFeNOレベルを有する。
【0041】
別の実施形態において、対象は、IL-4R抗体またはその断片の投与後第4週、第12週、または第24週に、FeNO、エオタキシン-3、総IgE、ペリオスチンおよび胸腺および活性化制御ケモカイン(TARC)からなる群から選択されるバイオマーカーの少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、または少なくとも25%低下を示す。
【0042】
特定の例示的な実施形態において、対象は成人である。特定の例示的な実施形態において、対象は青年である。特定の例示的な実施形態において、対象は成人または青年であり、例えば、12歳以上である。
【0043】
別の態様において、本開示は、ステロイド依存性重度喘息を患っている対象においてOCS使用を低減し、または除去する方法であって、IL-4Rと特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程;および該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程を含み、OCS使用の少なくとも50%以上、少なくとも75%以上、または少なくとも90%以上の低減が、負荷用量の投与後第24週に達成される、前記方法を提供する。
【0044】
一実施形態において、OCS使用は、負荷用量の投与後第24週に1日当たり5mg未満に低減される。別の実施形態において、OCSは、負荷用量の投与から所定の期間(例えば、1年)後、実質的に除去される。特定の実施形態において、OCSは、負荷用量の投与後の最初の用量から40週間後、45週間後、50週間後、52週間後またはそれより後、実質的に除去される。
【0045】
一実施形態において、抗体またはその抗原結合断片の維持用量は、2週間に1回(q2w)投与される。一実施形態において、負荷用量は、約600mgの抗体またはその抗原結合断片である。一実施形態において、抗体またはその抗原結合断片の各維持用量は、約300mgの抗体またはその抗原結合断片である。別の実施形態において、抗体またはその抗原結合断片の維持用量は、少なくとも24週間、投与される。一実施形態において、抗体またはその抗原結合断片の最初の維持用量は、抗体またはその抗原結合断片の負荷用量から2週間後、投与される。一実施形態において、OCSは、プレドニゾンまたはプレドニゾロンである。
【0046】
一実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1および2を含む重鎖可変領域(HCVR)/軽鎖可変領域(LCVR)配列対からの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。一実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含む。一実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRを含む。
【0047】
特定の例示的な実施形態において、抗体またはその抗原結合断片の維持用量は、4週間ごとに(q4w)投与される。
【0048】
特定の実施形態において、対象は、負荷用量を投与され、対象は、500mg q4wおよび750mg q4wの用量レジメンを施される。
【0049】
特定の実施形態において、負荷用量は除去される。特定の実施形態において、対象は、500mg q4wおよび750mg q4wの用量レジメンを施される。
【0050】
特定の例示的な実施形態において、対象は成人である。特定の例示的な実施形態において、対象は青年である。特定の例示的な実施形態において、対象は成人または青年であり、例えば、12歳以上である。
【0051】
別の態様において、中等度~重度の経口コルチコステロイド(OCS)依存性喘息を有する対象を処置するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程、および該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程を含み、該負荷用量および該複数の維持用量は、追加の喘息維持治療として投与される、前記方法が提供される。
【0052】
特定の例示的な実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1および2を含む重鎖可変領域(HCVR)/軽鎖可変領域(LCVR)配列対からの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。特定の例示的な実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含む。特定の例示的な実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRを含む。
【0053】
特定の例示的な実施形態において、負荷用量は、約600mgの抗体またはその抗原結合断片である。特定の例示的な実施形態において、抗体またはその抗原結合断片の各維持用量は、約300mgの抗体またはその抗原結合断片である。
【0054】
特定の例示的な実施形態において、負荷用量は、約400mgの抗体またはその抗原結合断片である。特定の例示的な実施形態において、抗体またはその抗原結合断片の各維持用量は、約200mgの抗体またはその抗原結合断片である。
【0055】
特定の例示的な実施形態において、対象は12歳以上である。
【0056】
特定の例示的な実施形態において、OCSは、プレドニゾンまたはプレドニゾロンである。
【0057】
別の態様において、中等度~重度の喘息および併存する中等度~重度のアトピー性皮膚炎を有する対象を処置するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程、および該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程を含み、該負荷用量および該複数の維持用量は、追加の喘息維持治療として投与される、前記方法が提供される。
【0058】
別の態様において、中等度~重度の非管理喘息を有し、喘息の発症が40歳より上の時に起きた対象を処置するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R
)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程、および該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程を含み、該負荷用量および該複数の維持用量は、追加の喘息維持治療として投与される、前記方法が提供される。
【0059】
別の態様において、中等度~重度の非管理喘息、ならびに併存する慢性副鼻腔炎および鼻ポリープ症の1つまたは両方を有する対象を処置するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程、および該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程を含み、該負荷用量および該複数の維持用量は、追加の喘息維持治療として投与される、前記方法が提供される。
【0060】
別の態様において、中等度~重度の非管理喘息および併存するアレルギー性鼻炎を有する対象を処置するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程、および該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程を含み、該負荷用量および該複数の維持用量は、追加の喘息維持治療として投与される、前記方法が提供される。
【0061】
別の態様において、中等度~重度の非管理喘息および併存するアレルギー性鼻炎を有する対象のアレルギー性鼻炎に関連した生活の質を向上させるための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程、および該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程を含み、該負荷用量および該複数の維持用量は、追加の喘息維持治療として投与される、前記方法が提供される。
【0062】
別の態様において、経口コルチコステロイド依存性喘息を有する対象においてアレルギー性鼻炎に関連した生活の質を向上させるための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程、および該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程を含み、該負荷用量および該複数の維持用量は、追加の喘息維持治療として投与される、前記方法が提供される。
【0063】
特定の例示的な実施形態において、朝および晩の一日の喘息症状が改善される。
【0064】
特定の例示的な実施形態において、経口コルチコステロイド依存性喘息は、経口コルチコステロイド依存性重度喘息である。
【0065】
別の態様において、経口コルチコステロイド依存性喘息を有する対象において喘息管理を向上させるための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程、および該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程を含み、該負荷用量および該複数の維持用量は、追加の喘息維持治療として投与される、前記方法が提供される。
【0066】
特定の例示的な実施形態において、健康状態に関連した生活の質が向上する。
【0067】
特定の例示的な実施形態において、経口コルチコステロイド依存性喘息は、経口コルチコステロイド依存性重度喘息である。
【0068】
他の実施形態は、後に続く詳細な説明、図面、表および添付の特許請求の範囲の再考から明らかになるであろう。
【0069】
本発明の上述のおよび他の特徴および利点は、添付の図面に関連して挙げる説明に役立つ実施形態についての以下の詳細な説明からさらに十分に理解されるであろう。本特許のファイルは、カラーで作成した少なくとも1つの図面/写真を含む。カラー図面/写真を伴う本出願のコピーは、請求して必要料金を支払うと(米国特許商標)庁によって提供されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】第3相治験についてのVenture(EFC13691)研究デザインを描く図である。EOSは研究の終わり、EOTは処置の終わり、OCSは経口グルココルチコイド、q2wは2週間ごと、Rは無作為化来院を表す。第1日における600mg(または対応プラセボ)負荷用量;この来院時点に無作為化および最初の治験薬投与があった;スクリーニング期間は、無作為化前の2週間の安定化を可能にするために、グルココルチコイド用量の変化を必要とする喘息増悪を経験する患者について、10週間まで増加することができる。
図2】Venture(EFC13691)研究についての患者内訳を示すCONSORT図である。
図3】患者集団についてのベースライン人口統計を示すチャートである。
図4-1】図4A~4Dは、治療企図(ITT)集団における24週間の処置期間中の主要および副次評価項目を、グラフを使って描く図である。図4Aは、第24週における主要および副次の経口グルココルチコイド評価項目を描く。図4Bは、重度増悪の年率を描く。図4Cは気管支拡張薬使用前のFEV(L)の変化を描く。図4DはFeNO(ppb)の変化を描く。
図4-2】図4-1の続き。
図5A】ベースライン血中好酸球部分群による第24週における結果を描く図である。図5Aは、主要評価項目データを描く。
図5B】ベースライン血中好酸球部分群による第24週における結果を描く図である。図5Bは副次の経口グルココルチコイド評価項目データを描く。
図6A】ベースライン血中好酸球部分群による24週間の処置期間中の重度喘息増悪(図6A)を描く図である。
図6B】ベースライン血中好酸球部分群による24週間の処置期間中の気管支拡張薬使用前のFEV(L)(図6B)を描く図である。
図7】第3相治験についてのQuest研究デザインを描く図である。
図8】Quest研究についての患者内訳を示す図である。
図9A】ITT集団ならびにベースライン血中好酸球≧細胞150個/μlおよび≧細胞300個/μlにより定義される部分群(図9A)、ならびにベースラインのFeNOレベル<25ppb、25ppb≦FeNOレベル<50ppb、およびFeNOレベル≧50ppbにより定義される部分群(図9B)における、重度喘息増悪を、グラフを使って描く図である。
図9B】ITT集団ならびにベースライン血中好酸球≧細胞150個/μlおよび≧細胞300個/μlにより定義される部分群(図9A)、ならびにベースラインのFeNOレベル<25ppb、25ppb≦FeNOレベル<50ppb、およびFeNOレベル≧50ppbにより定義される部分群(図9B)における、重度喘息増悪を、グラフを使って描く図である。
図10-1】図10A~10Cは、ITT集団(図10A)における、ならびに第12週での、ベースライン血中好酸球≧細胞150個/μlおよび≧細胞300個/μlにより定義される部分群(図10B)、ならびにベースラインのFeNOレベル<25ppb、25ppb≦FeNOレベル<50ppb、およびFeNOレベル≧50ppbにより定義される部分群(図10C)における、時間経過によるFEVのベースラインからの変化を描く図である。
図10-2】図10-1の続き。
図11A】高い(≧25ppb)または低い(<25ppb)ベースラインFeNOレベル、および高い(≧細胞150個/μl)または低い(<細胞150個/μl)ベースライン血中好酸球を有する患者における、重度喘息増悪(図11A)およびFEVのベースラインからの変化(図11B)の事後解析を、グラフを使って描く図である。
図11B】高い(≧25ppb)または低い(<25ppb)ベースラインFeNOレベル、および高い(≧細胞150個/μl)または低い(<細胞150個/μl)ベースライン血中好酸球を有する患者における、重度喘息増悪(図11A)およびFEVのベースラインからの変化(図11B)の事後解析を、グラフを使って描く図である。
図12】青年(n=107)および成人(n=1795)のベースライン人口統計および臨床特徴を描く図である。太字テキストは部分群間の重要な差を強調している。FeNO、呼気一酸化窒素濃度;LABA、長時間作用性β刺激薬;SD、標準偏差。
図13図13~13Bは、全体の治療企図(ITT)集団における重度増悪の低下およびFEVの向上を、グラフを使って描く図である。薄い灰色の丸、1.14mL プラセボ;濃い灰色の丸、2mL プラセボ;三角形、200mg q2w デュピルマブ;X、300mg q2w デュピルマブ。プラセボに対して***P<0.001。CI、信頼区間;LS、最小二乗;SE、標準誤差;矢印、主要評価項目。
図14A】青年および成人における重度増悪率の低下を、グラフを使って描く図である。薄い灰色の丸、1.14mL プラセボ;濃い灰色の丸、2mL プラセボ;オレンジ色、200mg q2w デュピルマブ;青色、300mg q2w デュピルマブ。プラセボに対して***P<0.001;NS、有意性なし。
図14B】青年および成人における重度増悪率の低下を、グラフを使って描く図である。薄い灰色の丸、1.14mL プラセボ;濃い灰色の丸、2mL プラセボ;オレンジ色、200mg q2w デュピルマブ;青色、300mg q2w デュピルマブ。プラセボに対して***P<0.001;NS、有意性なし。
図15図15A~15Bは、青年および成人における第12週および第52週でのFEVの向上を、グラフを使って描く図である。より高いベースラインレベルにも関わらず、青年はFEVのより大きい増加を生じた。プラセボに対して、P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。
図16図16A~16Bは、青年および成人における52週間の処置期間中のFEVの向上を、グラフを使って描く図である。プラセボに対して、P<0.05、**P<0.01。
図17】有害事象プロフィールが部分群(安全性集団)間で同等であったことを描く図である。好酸球増加症はAEとして同定され、好酸球性障害としてのHLTまたは好酸球数増加としてのPTがある。HLT、高位語;PT、基本語;SAE、重度有害事象;TEAE、治療創発的有害事象。
図18図18A~18Bは、青年および成人における52週間の処置期間中のパーセント予測FEVの向上を、グラフを使って描く図である。薄い灰色の丸、1.14mL プラセボ;濃い灰色の丸、2mL プラセボ;三角形、200mg q2w デュピルマブ;X、300mg q2w デュピルマブ。プラセボに対して、P<0.05、**P<0.01。
図19図19A~19Bは、青年および成人における52週間の処置期間中のFeNOレベルを、グラフを使って描く図である。薄い灰色の丸、1.14mL プラセボ;濃い灰色の丸、2mL プラセボ;三角形、200mg q2w デュピルマブ;X、300mg q2w デュピルマブ。プラセボに対して、P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。
図20図20A~20Bは、青年および成人における52週間の処置期間中のACQ-5スコアを、グラフを使って描く図である。薄い灰色の丸、1.14mL プラセボ;濃い灰色の丸、2mL プラセボ;三角形、200mg q2w デュピルマブ;X、300mg q2w デュピルマブ。プラセボに対して、P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。
図21図21A~21Bは、青年および成人における52週間の処置期間中のAQLQスコアを、グラフを使って描く図である。薄い灰色の丸、1.14mL プラセボ;濃い灰色の丸、2mL プラセボ;三角形、200mg q2w デュピルマブ;X、300mg q2w デュピルマブ。プラセボに対して、P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。
図22】青年および成人部分群(安全性集団)による患者の10%以上において発生したTEAE(PT)を描く図である。
図23】結膜炎TEAE情報(安全性集団)を描く図である。
図24】好酸球増加症TEAE情報(安全性集団)を描く図である。好酸球増加症はAEとして同定され、好酸球性障害としてのHLTまたは好酸球数増加としてのPTがある。
図25-1】図25A~25Dは、ITT集団(図25A)および第24週までにOCS使用を100%低減した患者の部分群(図25B)におけるAM症状スコアへの、加えてITT集団(図25C)および第24週までにOCS使用を100%低減した患者の部分群(図25D)におけるPM症状スコアへの、24週間の処置期間中のデュピルマブの効果を描く図である。P<0.05、***P<0.001。SE、標準誤差。三角形、プラセボ;丸、300mg q2w デュピルマブ。
図25-2】図25-1の続き。
図26図26A~26Bは、OCS依存性重度喘息を有する患者における喘息管理およびHRQoLへのデュピルマブの効果を描く図であり、ACQ-5スコア(図26A)およびAQLQ総合スコア(図26B)を示す。P<0.05、P<0.01、***P<0.001。SE、標準誤差。最小の臨床的に重要な差はすべてのスケールについて0.5である。三角形、プラセボ;丸、300mg q2w デュピルマブ。
図27-1】喘息の発症時点において40歳より上であり、かつベースライン気管支拡張薬使用後のFEV/FVC<0.7または≧0.7であった、中等度~重度の非管理喘息を有する患者における、重度増悪率、FEV、およびFEV/FVC比へのデュピルマブの効果を描く図である。
図27-2】図27-1の続き。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本発明を説明する前に、本発明が、説明する特定の方法および実験条件に限定されないことを理解されたい。そのような方法および条件は変わることがあるからである。本明細書において用いる専門用語は、特定の実施形態の説明を目的にしたものに過ぎず、限定することを意図したものでないことも理解されたい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるからである。
【0072】
別段の定義がない限り、本明細書において用いるすべての専門および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。
【0073】
本明細書において用いる場合、用語「約」は、特定の列挙されている数値に関して用いるとき、その値が、列挙されている値から1%以下変動することがあることを意味する。例えば、本明細書において用いる場合、「約100」という表現は、99および101、ならびに間のすべての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4など)を含む。
【0074】
本明細書において用いる場合、用語「処置する」、「処置すること」、またはこれらに類する用語は、症状を軽減すること、一時的にもしくは永久に症状の原因を除去すること
、または名を挙げる障害もしくは状態の症状の出現を予防するもしくは遅らせることを意味する。
【0075】
本明細書に記載するものと同様または等価の任意の方法および材料を本発明の実施の際に使用することができるが、典型的な方法および材料を次に説明する。本明細書において言及するすべての出版物は、それら全体が参照によって本明細書に組み入れられる。
【0076】
喘息増悪の発生率を低減させる方法
本発明は、それを必要とする対象における喘息増悪の発生率を低減させる方法であって、IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物を該対象に投与することを含む該方法を含む。特定の実施形態によると、IL-4R拮抗薬は、IL-4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である。本発明において注目される方法に関連して使用することができる例示的抗IL-4R抗体は、本明細書中の他の箇所で説明する。本明細書において用いる場合、「喘息増悪」という表現は、喘息の1つまたはそれ以上の症状または兆候の重症度および/または頻度および/または継続期間の増加を意味する。「喘息増悪」は、喘息に対する(例えば、ステロイド処置、吸入コルチコステロイド処置、入院などのような)治療的介入を必要とするおよび/またはそのような治療的介入によって治療可能である、対象の呼吸器の健康状態のあらゆる悪化も含む。次の2タイプの喘息増悪事象がある:喘息管理喪失(LOAC)事象および重度増悪事象。
【0077】
特定の実施形態によると喘息管理喪失(LOAC)事象は、次の事象の1つまたはそれ以上として定義される:(a)2日連続での24時間における(ベースラインと比較して)6回以上のサルブタモール/アルブテロールもしくはレボサルブタモール/レブアルブテロールの追加の発作治療薬パフ;(b)来院2におけるICSの4倍以上の用量増加;および(c)3日以上の全身性コルチコステロイドの使用;または(d)全身性コルチコステロイドを必要とする喘息による入院もしくは救急外来受診。
【0078】
特定の場合、喘息増悪は、「重度喘息増悪事象」としてカテゴリー分けされることがある。重度喘息増悪事象は、即時介入を必要とするインシデントであって、前記介入が全身性コルチコステロイドまたは吸入コルチコステロイドのいずれかを前記インシデントの前に摂取していた用量の4倍またはそれ以上で用いる処置の形での介入である、前記インシデントを意味する。特定の実施形態によると、重度喘息増悪事象は、次の事を必要とする喘息悪化と定義される:3日以上の全身性コルチコステロイドの使用;または全身性コルチコステロイドを必要とする喘息による入院もしくは救急外来受診。それ故、「喘息増悪」という一般的表現は、「重度喘息増悪」のより特異的なサブカテゴリーを含み、包含する。したがって、それを必要とする患者における重度喘息増悪の発生率を低減させる方法を含む。
【0079】
喘息増悪の「発生率の低減」は、IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物を受けた対象が、処置後に処置前より少ない喘息増悪(すなわち、少なくとも1つ少ない増悪)を経験すること、または前記医薬組成物での処置開始後少なくとも4週間(例えば、4、6、8、12、14週間、もしくはそれ以上)喘息増悪を経験しないことを意味する。あるいは、喘息増悪の「発生率の低減」は、前記医薬組成物の投与後、対象が喘息増悪を経験する尤度が、前記医薬組成物を受けていない対象と比較して少なくとも10%(例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、またはそれ以上)減少されることを意味する。
【0080】
本発明は、それを必要とする対象における喘息増悪の発生率を低減させる方法であって、IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物を該対象に投与すること、ならびに吸入コルチコステロイド(ICS)の1用量もしくそれ以上の維持用量および/または第2の長期管理薬
、例えば長時間作用性β刺激薬(LABA)もしくはロイコトリエン受容体拮抗薬(LTA)、の1用量もしくはそれ以上の維持用量を該対象に投与することを含む該方法を含む。好適なICSとしては、フルチカゾン(例えば、プロピオン酸フルチカゾン、例えばFlovent(商標))、ブデソニド、モメンタゾン(例えば、フロ酸モメタゾン、例えばAsmanex(商標))、フルニソリド(例えばAerobid(商標))、酢酸デキサメタゾン/フェノバルビタール/テオフィリン(例えばAzmacort(商標))、ジプロピオン酸ベクロメタゾンHFA(Qvar(商標))などが挙げられるが、これらに限定されない。好適なLABAとしては、サルメテロール(例えばSerevent(商標)、ホルモテロール(例えばForadil(商標))などが挙げられるが、これらに限定されない。好適なLTAとしては、モンテルカスト(例えばSingulaire(商標)、ザフィルルカスト(例えばAccolate(商標))などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
本発明は、それを必要とする対象における喘息増悪の発生率を低減させる方法であって、IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物を該対象に投与すること、ならびに1つまたはそれ以上の発作治療薬を該対象に投与して1つまたはそれ以上の喘息関連症状を無くすまたは低減させることを含む該方法を含む。好適な発作治療薬としては、即効性βアドレナリン受容体刺激薬、例えば、アルブテロール(すなわち、サルブタモール、例えばProventil(商標)、Ventolin(商標)、Xopenex(商標)など)、ピルブテロール(例えば、Maxair(商標))、メタプロテレノール(例えばAlupent(商標))などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
喘息関連パラメーターを向上させる方法
本発明は、それを必要とする対象における1つまたはそれ以上の喘息関連パラメーターを向上させる方法であって、IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物を該対象に投与することを含む該方法も含む。(上で説明したような)喘息増悪の発生率の低減は、1つまたはそれ以上の喘息関連パラメーターの向上と相関関係があることもある;しかし、そのような相関関係は、必ずしもすべての場合に観察されるとは限らない。
【0083】
「喘息関連パラメーター」の例には以下が挙げられる:(1)1秒量(FEV)の(例えば、第12週における)ベースラインからの相対パーセント変化;(2)肺容量の25~75%における強制呼気流量(FEF25-75)により測定される場合の、(例えば、第12週における)ベースラインからの相対パーセント変化;(3)処置期間中の喘息管理喪失事象の年率;(4)処置期間中の重度増悪事象の年率;(5)処置期間中の喘息管理喪失事象までの時間;(6)処置期間中の重度増悪事象までの時間;(7)全研究期間中の喘息管理喪失事象までの時間;(8)全研究期間中の重度増悪事象までの時間;(9)医療資源活用;(10)第12週における次のことに関するベースラインからの変化:i)朝および晩の喘息症状スコア、ii)ACQ-5スコア、iii)AQLQスコア、iv)朝および晩のPEF、v)症状緩和のためのサルブタモール/アルブテロールまたはレボサルブタモール/レブアルブテロールの吸入数/日、vi)夜間中途覚醒;(11)第12週および第24週における次のことに関するベースラインからの変化:i)22項目副鼻腔アウトカムテスト(SNOT-22)、ii)病院不安およびうつスコア(HADS)、iii)EuroQual質問票(EQ-5D-3LまたはEQ-5D-5L)。「喘息関連パラメーターの改善」とは、FEV、AM PEF、もしくはPM
PEFの1つもしくはそれ以上のベースラインからの増加、および/または一日のアルブテロール/レブアルブテロール使用、ACQ5スコア、平均夜間覚醒数、もしくはSNOT-22スコアの1つもしくはそれ以上のベースラインからの減少を意味する。本明細書で用いられる場合、喘息関連パラメーターに関する用語「ベースライン」は、IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物の投与前または投与時点における患者についての喘息関連パラメーターの数値を意味する。
【0084】
喘息関連パラメーターが「向上した」かどうかを判定するために、パラメーターをベースラインで、および本明細書に記載する医薬組成物の投与後の時点で定量する。例えば、喘息関連パラメーターを医薬組成物での初回処置後、第1日、第2日、第3日、第4日、第5日、第6日、第7日、第8日、第9日、第10日、第11日、第12日、第14日に、もしくは第3週、第4週、第5週、第6週、第7週、第8週、第9週、第10週、第11週、第12週、第13週、第14週、第15週、第16週、第17週、第18週、第19週、第20週、第21週、第22週、第23週、第24週に、またはそれ以上の時点で測定してもよい。処置開始後特定の時点でのパラメーター値とベースラインでのパラメーター値との差を用いて、喘息関連パラメーターの「向上」(例えば、測定される具体的なパラメーターに依存して、場合によって増加または減少)があったかどうかを確証する。
【0085】
本明細書において用いる場合の用語「獲得する」または「獲得すること」は、喘息関連パラメーターなどの物理的実体または値を「直接獲得すること」または「間接的に獲得すること」によって、物理的実体または値、例えば数値、を得ることを指す。「直接獲得すること」は、物理的実体または値を得るための過程を実施すること(例えば、合成または分析法を実施すること)を意味する。「間接的に獲得すること」は、別の団体または源(例えば、物理的実体または値を直接獲得した第3の団体の研究所)から物理的実体または値を受け取ることを指す。物理的実体を直接獲得することは、物理的物質、例えば出発原料、の物理的変化を含む過程を実施することを含む。例示的変化としては、2つまたはそれ以上の出発原料から物理的実体を製造すること、物質を共有または断片化すること、物質を分離または精製すること、別個の2つまたはそれ以上の実体を併せて混合物にすること、共有結合または非共有結合の分解または形成を含む化学反応を実施することが挙げられる。値を直接獲得することは、試料または別の物質の物理的変化を含む過程を実施すること、例えば、物質、例えば試料、分析物または試薬、の物理的変化を含む分析過程(本明細書では「物理的分析」と呼ぶこともある)を実施することを含む。
【0086】
間接獲得される情報は、オンラインデータベースまたはアプリケーション(「App」)などからレポートの形態で提供されることがあり、例えば、紙または電子形態で供給されることがある。レポートまたは情報は、例えば、医療施設、例えば病院もしくは診療所、によって提供されることもあり;または医療供給者、例えば医師もしくは看護師、によって提供されることもある。
【0087】
1秒量(FEV)。特定の実施形態によると、患者へのIL-4R拮抗薬の投与は、1秒量(FEV)のベースラインからの増加をもたらす。FEVを測定する方法は、当技術分野において公知である。例えば、2005年米国胸部学会(ATS)/欧州呼吸器学会(ERS)推奨基準を満たす肺活量計を使用して患者のFEV1を測定することができる。肺活量測定のATS/ERS標準化をガイドラインとして使用してもよい。肺活量測定は、一般に、午前6~10時の間に、アルブテロールを少なくとも6時間控えた後、行われる。肺機能試験は、一般に坐位で測定され、(リットルでの)FEVの最高測定値が記録される。
【0088】
本発明は、抗IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物での処置開始後第12週に少なくとも0.05LのFEVのベースラインからの増加をもたらす治療方法を含む。例えば、それを必要とする対象へのIL-4R拮抗薬の投与は、第12週にFEVのベースラインからの約0.05L、0.10L、0.12L、0.14L、0.16L、0.18L、0.20L、0.22L、0.24L、0.26L、0.28L、0.30L、0.32L、0.34L、0.36L、0.38L、0.40L、0.42L、0.44L、0.46L、0.48L、0.50L、またはそれ以上の増加を生じさせる。
【0089】
FEF25-75%。特定の実施形態によれば、IL-4R拮抗薬の患者への投与は、FEF25-75%のベースラインからの増加を生じる。FEFを測定するための方法は当技術分野において知られている。例えば、2005年米国胸部学会(ATS)/欧州呼吸器学会(ERS)推奨基準を満たす肺活量計を使用して患者のFEVを測定することができる。FEF25-75(25%から75%の間の強制呼気流量)は、人が最大呼気(すなわち、努力肺活量またはFVC)中に彼または彼女の空気の中間時の半分を空にすることができる速度(1秒間当たりのリットル)である。そのパラメーターは、FVCの25パーセントが吐き出されている時点からFVCの75パーセントが吐き出されている時点までの平均流量に関係する。対象のFEF25-75%は、末梢気道疾患の程度および/または炎症のような末梢気道機能に関する情報を提供する。FEF25-75の変化は、閉塞性肺疾患の早期指標である。特定の実施形態において、FEF25-75%パラメーターの向上および/または増加は、ベースラインと比較して、少なくとも10%、25%、50%またはそれ以上の向上である。特定の実施形態において、本発明の方法は、対象において正常なFEF25-75%値(例えば、その平均値の50~60%から130%までの範囲の値)を生じる。
【0090】
朝および晩の最大呼気速度(AM PEFおよびPM PEF)。特定の実施形態によると、患者へのIL-4R拮抗薬の投与は、朝(AM)および/または晩(PM)の最大呼気速度(AM PEFおよび/またはPM PEF)のベースラインからの増加をもたらす。PEFを測定する方法は、当技術分野において公知である。例えば、1つのPEF測定方法によると、患者には、朝(AM)および晩(PM)のPEF(ならびに1日のアルブテロール使用、朝および晩の喘息症状スコア、ならびに救急薬を必要とする喘息症状に起因する夜間覚醒の数)を記録するための電子PEFメーターが支給される。患者は、デバイスの使用についての指導を受け、その電子PEFメーターの使用に関する書面で説明が患者に与えられる。加えて、医療専門家が、患者に直接関係する変数の電子PEFメーターでの記録の仕方を指導することもある。AM PEFは、起床後15分以内に(午後6時~午後10時の間に)、一切のアルブテロール摂取前に、一般に実施される。PM
PEFは、晩(午前6時~午前10時の間)に、一切のアルブテロール摂取前に、一般に実施される。対象は、PEF測定前少なくとも6時間はアルブテロールを控えるように試みるべきである。3回のPEF努力が患者によって行われ、3つの値すべてが電子PEFメーターによって記録される。通常は最高値が評価に使用される。ベースラインAM PEFは、IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物の初回用量投与前の7日間に記録された平均AM測定値として算出することができ、ベースラインPM PEFは、IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物の初回用量投与前の7日間に記録された平均PM測定値として算出することができる。
【0091】
本発明は、抗IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物での処置開始後第12週に少なくとも1.0L/分のAM PEFおよび/またはPM PEFのベースラインからの増加をもたらす治療方法を含む。例えば、本発明によると、それを必要とする対象へのIL-4R拮抗薬の投与は、第12週にPEFのベースラインからの約0.5L/分、1.0L/分、1.5L/分、2.0L/分、2.5L/分、3.0L/分、3.5L/分、4.0L/分、4.5L/分、5.0L/分、5.5L/分、6.0L/分、6.5L/分、7.0L/分、7.5L/分、8.0L/分、8.5L/分、9.0L/分、9.5L/分、10.0L/分、10.5L/分、11.0L/分、12.0L/分、15L/分、20L/分、またはそれ以上の増加を生じさせる。
【0092】
アルブテロール/レブアルブテロール使用。特定の実施形態によると、患者へのIL-4R拮抗薬の投与は、1日のアルブテロールまたはレブアルブテロール使用のベースラインからの減少をもたらす。アルブテロール/レブアルブテロール吸入数は、患者によって日記、PEFメーターまたは他の記録デバイスで毎日記録される。本明細書に記載する医
薬組成物での処置中のアルブテロール/レブアルブテロールの使用は、通常、規則的におよび予防的にではなく、症状に対して必要に応じての使用であり得る。ベースラインアルブテロール/レブアルブテロール吸入数/日は、IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物の初回用量投与前の7日間の平均値に基づいて算出することができる。
【0093】
本発明は、抗IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物での処置開始後第12週にアルブテロール/レブアルブテロール使用のベースラインからの1日当たり少なくとも0.25パフの減少をもたらす治療方法を含む。例えば、それを必要とする対象へのIL-4R拮抗薬の投与は、第12週にアルブテロール/レブアルブテロール使用のベースラインからの1日当たり約0.25パフ、1日当たり0.50パフ、1日当たり0.75パフ、1日当たり1.00パフ、1日当たり1.25パフ、1日当たり1.5パフ、1日当たり1.75パフ、1日当たり2.00パフ、1日当たり2.25パフ、1日当たり2.5パフ、1日当たり2.75パフ、1日当たり3.00パフ、またはそれ以上の減少を生じさせる。
【0094】
OCS使用。特定の実施形態によると、患者へのIL-4R拮抗薬の投与を経口プレドニゾンなどのOCSと併用することができる。OCS投与数は、患者によって日記、PEFメーターまたは他の記録デバイスで毎日記録される。本明細書に記載する医薬組成物での処置中に、急性喘息エピソード、例えば、気管支拡張薬および他の抗炎症薬によって症状を管理できないエピソードを、管理するために、時々、短期のプレドニゾン使用を用いることができる。他の態様において、プレドニゾンは、ICSと併用されるか、またはICSの代替として使用される。経口プレドニゾンは、約5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mgまたは40mgの投薬量で投与されることがある。OCSは、場合により、1日1回または1日に複数回(例えば、1日2回、1日3回、1日4回など)投与されることがある。
【0095】
特定の例示的な実施形態において、本発明は、対象のOCS使用への依存性を低減し、または除去するための方法を提供する。ステロイド依存性の低減または除去は、非常に有利でかつ望ましい。特定の実施形態において、OCS用量の50%以上(例えば、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上)の低減は、所定の期間でのIL-4R抗体治療の投与後(例えば、第24週に)、達成される。特定の実施形態において、OCSは、負荷用量の投与後の最初の用量から40週間後、45週間後、50週間後、52週間後またはそれより後、実質的に除去される。他の実施形態において、OCS使用のレベルは、1日当たり5mg未満(例えば、1日当たり5mg未満、4mg未満、3mg未満、2mg未満、またはそれ未満)へ低減される。他の実施形態において、OCS使用への依存性は、IL4R抗体またはその断片での処置から3カ月後、6カ月後、9カ月後、または1年後、実質的に除去される。
【0096】
5項目喘息管理質問票(ACQ)スコア。特定の実施形態によると、患者へのIL-4R拮抗薬の投与は、5項目喘息管理質問票(ACQ5)スコアのベースラインからの減少をもたらす。ACQ5は、喘息管理を評価するための、妥当性が確認されている質問票である。
【0097】
本発明は、抗IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物での処置開始後第12週にACQ5スコアのベースラインからの少なくとも0.10ポイントの減少をもたらす治療方法を含む。例えば、それを必要とする対象へのIL-4R拮抗薬の投与は、第12週にACQスコアのベースラインからの約0.10ポイント、0.15ポイント、0.20ポイント、0.25ポイント、0.30ポイント、0.35ポイント、0.40ポイント、0.45ポイント、0.50ポイント、0.55ポイント、0.60ポイント、0.65ポイント、0.70ポイント、0.75ポイント、0.80ポイント、0.85ポイント、またはそれ以上の減少を生じさせる。
【0098】
夜間覚醒。特定の実施形態によると、患者へのIL-4R拮抗薬の投与は、平均夜間覚醒数のベースラインからの減少をもたらす。
【0099】
特定の実施形態において、該方法は、処置開始後第12週に平均夜間覚醒数をベースラインから一晩に少なくとも約0.10回減少させる。例えば、それを必要とする対象へのIL-4R拮抗薬の投与は、第12週に平均夜間覚醒数のベースラインからの一晩に約0.10回、一晩に0.15回、一晩に0.20回、一晩に0.25回、一晩に0.30回、一晩に0.35回、一晩に0.40回、一晩に0.45回、一晩に0.50回、一晩に0.55回、一晩に0.60回、一晩に0.65回、一晩に0.70回、一晩に0.75回、一晩に0.80回、一晩に0.85回、一晩に0.90回、一晩に0.95回、一晩に1.0回、一晩に2.0回、またはそれ以上の減少を生じさせる。
【0100】
22項目副鼻腔アウトカムテスト(SNOT-22)スコア。特定の実施形態によると、患者へのIL-4R拮抗薬の投与は、22項目副鼻腔アウトカムテスト(SNOT-22)のベースラインからの減少をもたらす。SNOT-22は、生活の質に対する慢性副鼻腔炎の影響を評価するための、妥当性が確認されている質問票である(Hopkinsら、2009、Clin.Otolaryngol.34:447~454頁)。
【0101】
本発明は、抗IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物での処置開始後第12週にSNOT-22スコアのベースラインからの少なくとも1ポイントの減少をもたらす治療方法を含む。例えば、それを必要とする対象へのIL-4R拮抗薬の投与は、第12週にSNOT-22スコアのベースラインからの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13ポイント、またはそれ以上の減少を生じさせることができる。
【0102】
バイオマーカー。特定の実施形態において、対象は、バイオマーカー、例えば、重度のステロイド依存性喘息または重度の非管理喘息に関連したバイオマーカーにより測定される場合の肺機能の改善を経験する。例えば、バイオマーカーは、呼気一酸化窒素濃度(FeNO)、エオタキシン-3、総IgE、ペリオスチンまたは胸腺および活性化制御ケモカイン(TARC)であり得る。特定の実施形態において、肺機能の改善は、処置後第4週、第12週、または第24週における(必要に応じて)低下または増加により示される。
【0103】
喘息を処置する方法
いくつかの実施形態において、本発明は、それを必要とする対象の喘息(例えば中等度~重度の非管理喘息または管理不適切喘息を含む)を処置する方法であって、IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物を該対象に投与することを含む該方法を提供する。特定の実施形態において、該方法は、対象の中等度~重度の非管理喘息の処置に有用である。
【0104】
本明細書において用いる場合、用語「喘息」は、「間欠型喘息」または「気管支喘息」と同義で使用することができる。「喘息」、「気管支喘息」および「間欠型喘息」は、次の事項の1つまたはいずれかの組合せが当てはまる喘息を指す:症状が1週間に2日以下起こる;症状が日常生活を妨げない;夜間の症状が1カ月に2日以下起こる;または対象が喘息発作に見舞われていないとき1種もしくはそれ以上の肺機能試験(例えば、80%より高い1秒量(FEV)および/もしくは最大呼気速度(PEF))が正常である。
【0105】
本明細書において用いる場合、用語「持続型喘息」または「持続型気管支喘息」は、(気管支)喘息/間欠型(気管支)喘息より重症度が高い喘息を指す。持続型喘息または持続型気管支喘息に罹患している対象は、次の事項の1つまたはそれ以上を経験する:1週間に2日より多い症状;日常生活を妨げる症状;1カ月に2日より多く起こる夜間症状;
または対象が喘息発作に見舞われていないのに正常でない1種もしくはそれ以上の肺機能試験(例えば、80%未満の1秒量(FEV)および/もしくは最大呼気速度(PEF));対象が日常的に喘息管理薬に頼っている;対象が去年、重度喘息再燃後に1回より多く全身性ステロイドを摂取した;または喘息症状の緩和のための1週間に2日より多い短時間作用性β2刺激薬の使用。
【0106】
喘息/間欠型喘息、気管支喘息/間欠型気管支喘息および持続型喘息/持続型気管支喘息は、「軽度」、「中等度」、「重度」または「中等度~重度」としてカテゴリー分けすることができる。「軽度間欠型喘息」または「軽度間欠型気管支喘息」は、症状が週1回未満あること、および1秒量(FEV)または最大呼気速度(PEF)≧80%を有することとして定義される。「軽度持続型喘息」または「軽度持続型気管支喘息」は、症状の頻度が1週間に1回より多いが1日に1回未満である点、およびFEVまたはPEFの変動が<20%~30%である点が異なる。「中等度間欠型喘息」または「中等度間欠型気管支喘息」は、症状が週1回未満あること、および60~80%の1秒量(FEV)または最大呼気速度(PEF)を有することとして定義される。「中等度持続型喘息」または「中等度持続型気管支喘息」は、日常症状、活動および/もしくは睡眠に影響を及ぼすことがある増悪、週1回より多い夜間の症状、吸入短時間作用性β2刺激薬の日常的使用があること、および60~80%の1秒量(FEV)または最大呼気速度(PEF)を有することとして定義される。「重度間欠型喘息」または「重度間欠型気管支喘息」は、症状が週1回より少ないこと、および60%の1秒量(FEV)または最大呼気速度(PEF)を有することとして定義される。「重度持続型喘息」または「重度持続型気管支喘息」は、日常症状、活動および/もしくは睡眠に影響を及ぼすことがある頻繁な増悪、頻繁な夜間の症状、身体活動の制限、吸入短時間作用性β2刺激薬の日常的使用があること、および60%の1秒量(FEV)または最大呼気速度(PEF)を有することとして定義される。「中等度~重度の間欠性喘息」または「中等度~重度の間欠性気管支喘息」は、中等度の間欠性喘息/中等度の間欠性気管支喘息の症状から重度の間欠性喘息/重度の間欠性気管支喘息の症状の間の症状を有すると定義される。「中等度~重度の持続性喘息」または「中等度~重度の持続性気管支喘息」は、中等度の持続性喘息/中等度の持続性気管支喘息の症状から重度の持続性喘息/重度の持続性気管支喘息の症状の間の症状を有すると定義される。
【0107】
本明細書において用いる場合、用語「管理不適切の喘息」は、「Expert Panel Report 3:Guidelines for the Diagnosis
and Management of Asthma」、National Heart,Blood and Lung Institute、NIH、2007年8月28日によって定義されている「管理不良」または「極めて管理不良」のいずれかである。「管理不良の喘息」は、症状が1週間に2日より多くあること、夜間覚醒が1週間に1~3回あること、日常の活動に対して多少の制限があること、症状管理のための短時間作用性β刺激薬の使用が1週間に2日より多くあること、予測最高値および/または自己最高値の60~80%のFEV、1~2のATAQスコア、1.5以上のACQスコア、ならびに16~19のACTスコアを有することとして定義される。「極めて管理不良の喘息」は、1日中症状があること、夜間覚醒が1週間に4回またはそれ以上あること、日常生活に対して極度の制限があること、症状管理のための短時間作用性β刺激薬の使用が1日に数回あること、予測最高値および/または自己最高値の60%未満のFEV、3~4のATAQスコア、該当なしのACQスコア、ならびに15以下のACTスコアを有することとして定義される。
【0108】
いくつかの実施形態において、対象は、喘息管理に関する国際指針(GINA)2009ガイドライン、および下記の基準の1つまたはそれ以上:i)IL-4R拮抗薬の負荷用量投与前の1カ月以上の中用量もしくは高用量ICS/LABA(2×プロピオン酸フ
ルチカゾン250μg、1日2回、または等効力のICSの1日投薬量)を安定したICS/LAB用量で用いる既存の処置;ii)IL-4R拮抗薬の負荷用量投与前のFEV 40~80%予測正常値;iii)IL-4R拮抗薬の負荷用量投与前のACQ-5スコア1.5以上;iv)IL-4R拮抗薬の負荷用量投与前、サルブタモール/アルブテロール200μg~400μg(吸入2~4回)後に少なくとも12%および200mLのFEVの可逆性;またはv)IL-4R拮抗薬の負荷用量投与前1年以内に次の事象:(a)喘息悪化のための1回以上の全身性(経口もしくは非経口)ステロイドバーストでの処置、(b)喘息悪化のための入院もしくは救急/緊急医療受診のいずれかを経験したことに基づいて、医師から中等度~重度の非管理喘息の診断を受けた場合、中等度~重度の非管理喘息を有すると定義される。
【0109】
「重度喘息」は、吸入コルチコステロイドおよび追加の長期管理薬(例えば、長時間作用性吸入β2刺激薬、モンテルカスト、および/またはテオフィリン)での高用量処置によっても、(例えば、1年当たり少なくとも6カ月間の)経口コルチコステロイド処置によっても十分な管理を達成することができず、またはその処置が低減された場合、十分な管理が失われる喘息を指す。特定の実施形態において、重度喘息は、高用量ICSおよび少なくとも1つの追加の長期管理薬(例えば、LABA、モンテルカスト、またはテオフィリン)または6カ月間/年より長期間の経口コルチコステロイドで処置される喘息であって、処置が低減される場合には、以下の少なくとも1つが起こり、または起こるだろう、喘息を含む:ACT<20もしくはACQ>1.5;最近の12カ月間における少なくとも2回の増悪;最近の12カ月間での、病院で処置されたもしくは機械的人工換気を必要とする、少なくとも1回の増悪;またはFEV<80%(FEV/FVCが正常下限より下である場合)。
【0110】
「ステロイド依存性喘息」は、以下の処置の1つまたはそれ以上を必要とする喘息を指す:過去12カ月以内での頻繁な短期経口コルチコステロイド処置バースト;過去12カ月以内での高用量吸入コルチコステロイドの常用;注射用長期作用性コルチコステロイドの常用;経口コルチコステロイドの毎日の使用;隔日経口コルチコステロイド;または過去1年以内での経口コルチコステロイドの長期間使用。
【0111】
「経口コルチコステロイド依存性喘息」は、12カ月間に渡って3回以上の30日間経口コルチコステロイド(OCS)調合、および最初のOCS調合から12カ月以内の一次喘息診断を有する対象を指す。OCS依存性喘息を有する対象はまた、以下の1つまたは任意の組合せを経験する場合がある:少なくとも3カ月間の医師に処方されたLABAおよび高用量IS(総一日量>500μg プロピオン酸フルチカゾン乾燥粉末製剤当量)(ICSおよびLABAは複合製品の一部であり、もしくは別々の吸入器により与えることができる)を受けている;治療の標準慣行による追加の維持型喘息長期管理薬、例えば、ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)、テオフィリン、長期作用性ムスカリン拮抗薬(LAMA)、二次ICS、およびクロモンを受けている;7.5mg以上~30mg以下(プレドニゾンまたはプレドニゾロン当量)の用量で、喘息の処置のためにOCSを受けた;OCS用量の隔日投与(または隔日に異なる用量)を受けている;朝の気管支拡張薬(BD)使用前のFEV<80%予測正常値;FEV≧12%かつ≧200mLのBD(アルブテロール/サルブタモール)使用後(アルブテロール/サルブタモール 4パフの投与から15~30分後)の可逆性により実証されるような喘息の証拠を有する;または12カ月以内に少なくとも1回の喘息増悪事象の病歴を有する。
【0112】
一態様では、喘息を処置する方法であって、以下:(a)マイクロリットル当たり少なくとも300個の血中好酸球レベルを示す患者を選択するステップ;および、(b)IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物を前記患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0113】
別の態様では、喘息を処置する方法であって、以下:(a)マイクロリットル当たり200~299個の血中好酸球レベルを示す患者を選択するステップ;および(b)IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物を前記患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0114】
別の態様では、喘息を処置する方法であって、以下:(a)マイクロリットル当たり200個未満の血中好酸球レベルを示す患者を選択するステップ;および(b)IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物を前記患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0115】
関連態様では、バックグラウンド治療への追加治療を含む、喘息を処置する方法を提供する。特定の実施形態において、IL-4R拮抗薬は、特定の期間(例えば、1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月、5カ月、12カ月、18カ月、24カ月、またはそれ以上)(「安定期」とも呼ばれる)バックグラウンド治療を受けている喘息患者に追加治療として投与される。いくつかの実施形態において、バックグラウンド治療は、ICSおよび/またはLABAを含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、本発明は、1つまたはそれ以上の喘息増悪の処置のためのICSおよび/またはLABAへの喘息患者の依存を低減させる方法であって、以下:(a)ICS、LABAまたはそれらの組合せを含むバックグラウンド喘息治療で管理されていない中等度~重度喘息を有する患者を選択するステップ;およびIL-4R拮抗薬を含む医薬組成物を前記患者に投与するステップを含む方法を提供する。
【0117】
いくつかの実施形態において、本発明は、喘息に関連する状態または合併症、例えば、慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性真菌性副鼻腔炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、上下気道疾患(unified airway disease)、チャーグ・ストラウス症候群、血管炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および運動誘発性気管支痙攣を処置または軽減する方法を包含する。
【0118】
本発明は、持続型喘息を処置する方法も含む。本明細書において用いる場合、用語「持続型喘息」は、対象に少なくとも週1回、昼および/または夜に症状があり、該症状が数時間から数日続くことを意味する。特定の代替実施形態において、持続型喘息は、「軽度持続型」(例えば、週2回より多いが毎日よりは少なく、日常動作もしくは睡眠を妨げるほどの重症度の症状がある、および/または肺機能が気管支拡張薬の吸入で正常になるもしくは可逆性である場合)、「中等度持続型」(例えば、症状が毎日起こり、睡眠が少なくとも週1回妨げられ、および/または肺機能が中等度異常である)、または「重度持続型」(例えば、承認薬の正しい使用にもかかわらず継続する症状、および/または肺機能が重度に冒されている場合)である。
【0119】
インターロイキン-4受容体拮抗薬
本発明において注目される方法は、IL-4R拮抗薬を含む治療用組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。本明細書において用いる場合、「IL-4R拮抗薬」は、IL-4Rと結合または相互作用し、インビトロまたはインビボでIL-4Rが細胞で発現されたときにIL-4Rの正常な生物学的シグナル伝達機能を阻害する、任意の薬剤である。IL-4R拮抗薬のカテゴリーの非限定的な例としては、小分子IL-4R拮抗薬、抗IL-4Rアプタマー、ペプチドベースのIL-4R拮抗薬(例えば、「ペプチボディ」分子)、およびヒトIL-4Rに特異的に結合する抗体または抗体の抗原結合断片が挙げられる。特定の実施形態によれば、IL-4R拮抗薬は、本発明において構成され、かつ本明細書の他の箇所で記載された方法と関連して用いることができる抗IL-4R抗体を含む。例えば、一実施形態において、IL-4R拮抗薬は、IL-4Rと特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であり、配列番号1および2の重鎖可変領域(HCVR)および軽鎖可変領域(LCVR)からの重鎖および軽鎖(相補性決定領域)C
DR配列をそれぞれ含む。
【0120】
用語「ヒトIL4R」(hIL-4R)は、インターロイキン-4(IL-4)と特異的に結合するヒトサイトカイン受容体、例えば、IL-4Rαを指す。
【0121】
用語「抗体」は、4本のポリペプチド鎖(ジスルフィド結合によって相互に連結されている2本の重(H)鎖と2本の軽(L)鎖)を含む免疫グロブリン分子、およびそれらの多量体(例えば、IgM)を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVと略記する)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、C1、C2およびC3、を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVと略記する)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(C1)を含む。VおよびV領域は、フレームワーク領域(FR)と称する、より保存される領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と称する超可変性の領域にさらに細分することができる。各VおよびVは、3つのCDRおよび4つのFRで構成されており、これらは、アミノ末端からカルボキシ末端へ次の順序で配置されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。種々の実施形態において、抗IL-4R抗体(またはその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一であることもあり、または天然にもしくは人工的に修飾されていることもある。アミノ酸コンセンサス配列は、2つまたはそれ以上のCDRの並行分析に基づいて定義される。
【0122】
用語「抗体」は、完全抗体分子の抗原結合断片も含む。抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合断片」などの用語は、本明細書において用いる場合、抗原と特異的に結合して複合体を形成する任意の天然に存在する、酵素的に得ることができる、合成の、または遺伝子改変ポリペプチドまたは糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合断片は、例えば、タンパク質消化、または抗体可変および場合により定常ドメインをコードするDNAの操作および発現を含む組換え遺伝子改変法などの、任意の好適な標準的技法を用いて完全抗体分子から得ることができる。そのようなDNAは公知であり、および/または例えば商業的供給源、DNAライブラリー(例えばファージ-抗体ライブラリーを含む)から容易に調達することができ、または合成することができる。DNAをシークエンシングし、化学的にまたは分子生物学技法の使用によって操作して、例えば、1つもしくは複数の可変および/もしくは定常ドメインを好適な高次構造に配置すること、またはコドンを導入すること、システイン残基を生成すること、アミノ酸を修飾する、付加させるもしくは欠失させること等ができる。
【0123】
抗原結合断片の非限定的な例としては、次のものが挙げられる:(i)Fab断片;(ii)F(ab’)2断片;(iii)Fd断片;(iv)Fv断片;(v)一本鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAb断片;および(vii)抗体の超可変領域(例えば、単離された相補性決定領域(CDR)、例えばCDR3ペプチド)を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位、または拘束FR3-CDR3-FR4ペプチド。他の改変分子、例えば、ドメイン特異的抗体、シングルドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDRグラフト抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、ナノボディ(例えば、一価ナノボディ、二価ナノボディなど)、小モジュラー免疫薬(SMIP)およびサメ可変IgNARドメインも「抗原結合断片」という表現に包含される。
【0124】
抗体の抗原結合断片は、少なくとも1つの可変ドメインを概して含むことになる。可変ドメインは、いずれのサイズまたはアミノ酸組成のものであってもよく、一般的には、1つもしくはそれ以上のフレームワーク配列に隣接しているまたは1つもしくはそれ以上のフレームワーク配列とインフレームである少なくとも1つのCDRを含むことになる。Vドメインと会合しているVドメインを有する抗原結合断片の場合、VおよびVドメインは、互に対してあらゆる好適な配置で位置することができる。例えば、可変領域は
、二量体であり、V-V、V-VまたはV-V二量体を含有することがある。あるいは、抗体の抗原結合断片は、単量体VまたはVドメインを含有することもある。
【0125】
特定の実施形態において、抗体の抗原結合断片は、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合で連結されている少なくとも1つの可変ドメインを含有することがある。本明細書に記載する抗体の抗原結合断片内で見つけることができる可変および定常ドメインの非限定的、例示的高次構造としては、次のものが挙げられる:(i)V-C1;(ii)V-C2;(iii)V-C3;(iv)V-C1-C2;(v)V-C1-C2-C3;(vi)V-C2-C3;(vii)V-C;(viii)V-C1;(ix)V-C2;(x)V-C3;(xi)V-C1-C2;(xii)V-C1-C2-C3;(xiii)V-C2-C3;および(xiv)V-C。上に列挙した例示的高次構造のいずれかを含む、可変および定常ドメインのいずれの高次構造においても、可変および定常ドメインは、互いに直接連結されていることもあり、または完全もしくは部分ヒンジもしくはリンカー領域によって連結されていることもある。ヒンジ領域は、少なくとも2つ(例えば、5、10、15、20、40、60またはそれ以上)のアミノ酸からなることがあり、それらのアミノ酸によって、単一ポリペプチド分子内の隣接した可変および/または定常ドメイン間に柔軟なまたはやや柔軟な連鎖となり、概して、前記ヒンジ領域は、2~60個の間のアミノ酸、典型的には5~50個の間、または典型的には10~40個の間のアミノ酸からなり得る。さらに、本明細書に記載する抗体の抗原結合断片は、互におよび/または1つもしくはそれ以上の単量体VもしくはVドメインと非共有結合で(例えば、ジスルフィド結合によって)会合している、上に列挙したいずれかの可変および定常ドメイン高次構造のホモ二量体またはヘテロ二量体(または他の多量体)を含むことがある。
【0126】
完全抗体分子と同様に、抗原結合断片は、単一特異性であることもあり、または多重特異性(例えば、二重特異性)であることもある。抗体の多重特異性抗原結合断片は、各可変ドメインが別個の抗原とまたは同じ抗原上の異なるエピトープと特異的に結合できる、少なくとも2つの異なる可変ドメインを概して含むことになる。いずれの多重特異性抗体形式も、当技術分野において利用可能な常例的技法を用いて、本明細書に記載する抗体の抗原結合断片との関連での使用に適応させることができる。
【0127】
抗体の定常領域は、補体を固定し、細胞依存性細胞傷害を媒介する、抗体の能力に重要である。したがって、抗体が細胞傷害を媒介することが望ましいかどうかに基づいて抗体のアイソタイプを選択することができる。
【0128】
用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する抗体を含む。とはいえ、本発明において注目されるヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的突然変異誘発によってまたはインビボでの体細胞突然変異によって誘導された突然変異)を、例えば、CDR、特にCDR3に含むことがある。しかし、用語「ヒト抗体」は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフトされた抗体を含まない。
【0129】
用語「組換えヒト抗体」は、組換え手段によって製造、発現、生成または単離されるすべてのヒト抗体、例えば、宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現される抗体(さらに下で説明する)、組換え体から単離される抗体、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリー(下でさらに説明する)、ヒト免疫グロブリン遺伝子が遺伝子導入されている動物(例えばマウス)から単離された抗体(例えば、Taylerら(1992)Nucl.Acids Res.20:6287~6295頁を参照されたい
)、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む任意の他の手段によって製造、発現、生成もしくは単離される抗体を含む。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する。しかし、特定の実施形態において、そのような組換えヒト抗体は、インビトロ突然変異誘発(または、ヒトIg配列が遺伝子導入された動物を使用する場合にはインビボ体細胞突然変異誘発)に付されるので、該組換え抗体のVおよびV領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系VおよびV配列に由来し、ヒト生殖細胞系VおよびV配列と類縁の配列だが、インビボでヒト抗体生殖細胞系レパートリー内に天然に存在できない配列である。
【0130】
ヒト抗体は、ヒンジ異質性に関連する2つの形態で存在することができる。一方の形態の場合、免疫グロブリン分子は、二量体が鎖間重鎖ジスルフィド結合によって一緒に保持されている、おおよそ150~160kDaの安定した4鎖構築物を含む。第2の形態の場合、二量体は鎖間ジスルフィド結合によって連結されておらず、約75~80kDaの分子が、共有結合でカップリングされた軽鎖と重鎖で形成され、構成される(ハーフ抗体)。これらの形態は、アフィニティー精製後でさえ、分離することが極めて難しかった。
【0131】
様々なインタクトIgGアイソタイプにおける第2の形態の出現頻度は、抗体のヒンジ領域アイソタイプに関連する構造の違いに、これに限定されるものではないが、起因する。ヒトIgG4ヒンジのヒンジ領域における単一アミノ酸置換は、第2の形態の出現を、ヒトIgG1ヒンジを使用して概して観察されるレベルに、有意に低減させることができる(Angalら(1993)Molecular Immunology 30:105頁)。本発明は、例えば生産の際、所望の抗体形態の収率を向上させるために望ましいことがある、ヒンジ、C2またはC3領域に1つまたはそれ以上の突然変異を有する抗体を包含する。
【0132】
「単離された抗体」は、その天然環境の少なくとも1つの成分から同定および分離、および/または回収された抗体を意味する。例えば、生物の少なくとも1つの成分から分離もしくは除去された抗体、またはその抗体が天然に存在するもしくは天然に生産される組織もしくは細胞から分離もしくは除去された抗体は、「単離された抗体」である。単離された抗体は、組換え細胞内の生体内原位置の抗体も含む。単離された抗体は、少なくとも1工程の精製または単離工程に付された抗体である。特定の実施形態によると、単離された抗体には、他の細胞物質および/または化学物質が実質的にないこともある。
【0133】
用語「特異的に結合する」またはこれに類する用語は、抗体またはその抗原結合断片が、生理条件下で比較的安定している抗原との複合体を形成することを意味する。抗体が抗原と特異的に結合するかどうかを判定する方法は、当技術分野において周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などを含む。例えば、本発明において注目されるような、IL-4R「に特異的に結合する」抗体は、表面プラズモン共鳴アッセイで測定して、約1000nM未満、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満、または約0.5nM未満のKで、IL-4Rまたはその一部分に結合する抗体を含む。しかし、ヒトIL-4Rに特異的に結合する単離された抗体は、他の(非ヒト)種からのIL-4R分子などの、他の抗原への交差反応性を有することがある。
【0134】
該方法に有用な抗IL-4R抗体は、該抗体が由来した対応する生殖細胞系列配列と比較して、重鎖および軽鎖可変ドメインのフレームワークおよび/またはCDR領域に1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、挿入および/または欠失(例えば、1、2、3、4、5
、6、7、8、9もしくは10の置換および/または1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10の挿入および/または1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10の欠失)を含むことがある。そのような突然変異は、本明細書に開示するアミノ酸配列を例えば公開抗体配列データベースから入手できる生殖細胞系列配列と比較することによって、容易に突き止めることができる。本発明は、本明細書に開示するアミノ酸配列のいずれかに由来する抗体およびそれらの抗原結合断片の使用を含む方法であって、1つもしくはそれ以上のフレームワークおよび/または1つもしくはそれ以上(三量体抗体に関しては1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12、または抗体のHCVRおよびLCVRに関しては1、2、3、4、5もしくは6)のCDR領域内の1つまたはそれ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のアミノ酸)が、該抗体が由来した生殖細胞系配列の対応する残基に、または別のヒト生殖細胞系配列の対応する残基に、または対応する生殖細胞系残基の保存的アミノ酸置換に突然変異される(このような配列交換を本明細書ではまとめて「生殖細胞系突然変異」と呼ぶ)該方法を含む。当業者は、本明細書に開示する重鎖および軽鎖可変領域配列で出発して、1つまたはそれ以上の個々の生殖細胞系列突然変異またはそれらの組合せを含む非常に多数の抗体および抗原結合断片を容易に生産することができる。特定の実施形態では、Vおよび/またVドメイン内のフレームワークおよび/またはCDR残基のすべてが、抗体が由来した元の生殖細胞系配列中で見つけられる残基に復帰突然変異される。他の実施形態では、特定の残基のみ、例えば、FR1の最初の8アミノ酸中もしくはFR4の最後の8アミノ酸中で見つけられる突然変異残基のみ、またはCDR1、CDR2もしくはCDR3内で見つけられる突然変異残基のみが、元の生殖細胞系配列に復帰突然変異される。他の実施形態では、フレームワークおよび/またはCDR残基の1つまたはそれ以上が、異なる生殖細胞系配列(すなわち、抗体が当初由来した生殖細胞系配列とは異なる生殖細胞系配列)の対応する残基に突然変異される。さらに、抗体は、フレームワークおよび/またはCDR領域内に、2つまたはそれ以上の生殖細胞系突然変異の何らかの組合せを含有することがあり、例えば、特定の個々の残基は、特定の生殖細胞系配列の対応する残基に突然変異されるが、元の生殖細胞系配列とは異なる特定の他の残基は維持されるか、または異なる生殖細胞系配列の対応する残基に突然変異されることがある。1つまたはそれ以上の生殖細胞系列突然変異を含有する抗体および抗原結合断片を、ひとたび得てしまえば、1つまたはそれ以上の所望の特性、例えば、結合特異性の向上、結合親和性の増加、(場合によって)拮抗薬的または刺激薬的な生物学的特性の向上または強化、免疫原性の低減などについて容易に試験することができる。この一般的手法で得られる抗体および抗原結合断片の使用は、本発明に包含される。
【0135】
本発明は、1つまたはそれ以上の保存的置換を有する本明細書に開示するHCVR、LCVRおよび/またはCDRアミノ酸配列のいずれかについての変異体を含む抗IL-4R抗体の使用を含む方法も含む。例えば、本発明は、例えば、本明細書に開示するHCVR、LCVRおよび/またはCDRアミノ酸配列のいずれかと比較して10以下、8以下、6以下、4以下などの保存的アミノ酸置換を有する、HCVR、LCVRおよび/またはCDRアミノ酸配列を有する抗IL-4R抗体の使用を含む。
【0136】
用語「表面プラズモン共鳴」は、例えばBIAcore(商標)システム(Biacore Life Sciences devision of GE Healthcare、Piscataway、NJ)を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化の検出によってリアルタイム相互作用を分析することができる光学現象を指す。
【0137】
用語「K」は、特定の抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指す。
【0138】
用語「エピトープ」は、パラトープとして公知の抗体分子の可変領域内の特異的抗原結
合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原が1つより多くのエピトープを有することもある。それ故、異なる抗体は、異なる抗原領域と結合することができ、異なる生物学的効果を有することができる。エピトープは、高次構造であることもあり、または線状であることもある。高次構造エピトープは、直鎖状ペプチド鎖の異なるセグメントからの空間的に隣り合って並ぶアミノ酸によって生成される。線状エピトープは、ポリペプチド鎖内の隣接したアミノ酸残基によって生成されるものである。特定の状況では、エピトープは、抗原上の糖類、ホスホリル基またはスルホニル基部分を含むことがある。
【0139】
ヒト抗体の製造
トランスジェニックマウスでヒト抗体を産生する方法は当技術分野において公知である。任意のそのような公知の方法を用いて、ヒトIL-4Rと特異的に結合するヒト抗体を作製することができる。
【0140】
VELOCIMMUNE(登録商標)技術(例えば米国特許第6,596,541号、Regeneron Pharmaceuticalsを参照されたい)、またはモノクローナル抗体の任意の他の公知産生方法を用いて、ヒト可変領域およびマウス定常領域を有する、IL-4Rに対する高親和性キメラ抗体を、最初に単離する。VELOCIMMUNE(登録商標)技術は、内在性マウス定常領域遺伝子座に作動可能に連結されたヒト重鎖および軽鎖可変領域を含むゲノムを有するトランスジェニックマウスの産生を含み、したがって、該マウスは、抗原刺激に反応してヒト可変領域とマウス定常領域とを含む抗体を生産する。その抗体の重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、ヒト重鎖および軽鎖定常領域をコードするDNAに作動可能に連結させる。その後、完全ヒト抗体を発現する能力がある細胞において前記DNAを発現させる。
【0141】
一般に、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスに、目的の抗原を感作させ、抗体を発現しているマウスからリンパ細胞(例えば、B細胞)を回収する。それらのリンパ細胞を骨髄腫細胞株と融合させて不死ハイブリドーマ細胞株を製造することができ、そのようなハイブリドーマ細胞株をスクリーニングし、選択して、目的の抗原に対して特異的な抗体を生産するハイブリドーマ細胞株を同定する。重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、重鎖および軽鎖の望ましいアイソタイプ定常領域に連結させることができる。そのような抗体タンパク質を、CHO細胞などの細胞において生産することができる。あるいは、抗原特異的キメラ抗体または重鎖および軽鎖の可変ドメインをコードするDNAを、抗原特異的リンパ球から直接単離することができる。
【0142】
ヒト可変領域およびマウス定常領域を有する高親和性キメラ抗体を最初に単離する。当業者に公知の標準的手順を用いて、抗体を特性評価し、親和性、選択性、エピトープなどをはじめとする所望の特定について選択する。マウス定常領域を所望のヒト定常領域で置換して、本発明において注目される完全ヒト抗体、例えば野生型または修飾IgG1またはIgG4、を産生する。選択される定常領域は具体的な用途によって変わることがあるが、可変領域には高親和性抗原結合特性および標的特異性が存する。
【0143】
一般に、該方法で使用することができる抗体は、固相に固定された抗原または溶液相中の抗原と結合させることによって測定したとき、上で説明したような高い親和性を有する。マウス定常領域を所望のヒト定常領域で置換して、本発明において注目される完全ヒト抗体を産生する。選択される定常領域は具体的な用途によって変わることがあるが、可変領域には高親和性抗原結合特性および標的特異性が存する。
【0144】
一実施形態において、本発明において注目される方法に関連して使用することができるIL-4Rに特異的に結合するヒト抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)内に含有されている3つの重鎖CDR(HCD
R1、HCDR2およびHCDR3)を含む。前記抗体または抗原結合断片は、配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)内に含有されている3つの軽鎖CDR(LCVR1、LCVR2、LCVR3)を含むこともある。HCVRおよびLCVRアミノ酸配列内のCDRを同定する方法および技術は当技術分野において周知であり、そのような方法および技術を用いて、本明細書に開示する特定HCVRおよび/またはLCVRアミノ酸配列内のCDRを同定することができる。CDRの境界を同定するために用いることができる例示的規約としては、例えばカバット定義、コチア定義およびAbM定義が挙げられる。一般論として、カバット定義は、配列多様性に基づき、コチア定義は、構造ループ領域の位置に基づき、AbM定義は、カバットアプローチとコチアアプローチの折衷案である。例えば、Kabat、「Sequences of Proteins
of Immunological Interest」、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991);Al-Lazikaniら、J.Mol.Biol.273:927~948頁(1997);およびMartinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86、9268~9272頁(1989)を参照されたい。公開データベースも抗体内のCDR配列の同定に利用可能である。
【0145】
特定の実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1および2の重鎖可変領域アミノ酸と軽鎖可変領域アミノ酸の対(HCVR/LCVR)からの6つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含む。
【0146】
特定の実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3/4/5/6/7/8のアミノ酸配列を有する6つのCDR(HCDR1/HCDR2/HCDR3/LCDR1/LCDR2/LCDR3)を含む。
【0147】
特定の実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1および2のHCVR/LCVRアミノ酸配列対を含む。
【0148】
一実施形態において、抗体は、配列番号1および2のHCVR/LCVRアミノ酸配列対を含むデュピルマブである。
【0149】
医薬組成物
本発明は、医薬組成物に含有されているIL-4R拮抗薬を患者に投与することを含む方法を含む。本発明において注目される医薬組成物は、好適な担体、賦形剤、および好適な転移、送達、認容性などをもたらす他の薬剤を用いて製剤化される。多くの適切な製剤を、すべての薬剤師に公知の処方集:Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PAにおいて見つけることができる。これらの製剤は、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、油、脂質、(カチオン性またはアニオン性)脂質含有ビヒクル(例えば、LIPOFECTIN(商標))、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油型および油中水型エマルジョン、エマルジョンカルボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール類)、半固体ゲル、ならびにカルボワックスを含有する半固体混合物を含む。例えば、Powellら、「Compendium of excipients for parenteral formulations」、PDA(1998)J Pharm Sci Technol 52:238~311頁も参照されたい。
【0150】
患者に投与される抗体の用量は、患者の年齢およびサイズ、症状、状態、投与経路などに依存して変わることがある。用量は、概して体重または体表面積に従って算出される。
状態の重症度に依存して、処置の頻度および継続期間を調整することができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与に有効な投薬量およびスケジュールを経験的に決めることができる;例えば、患者の経過を定期的な評価によってモニターすることができ、相応じて用量を調整することができる。さらに、当技術分野において周知の方法(例えば、Mordentiら、1991、Pharmaceut.Res.8:1351頁)を用いて投薬量の種間スケーリングを行うことができる。
【0151】
様々な送達システム、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセルへの封入、突然変異ウイルスを発現する能力がある組換え細胞、受容体媒介エンドサイトーシス(例えば、Wuら、1987、J.Biol.Chem.262:4429~4432頁を参照されたい)が公知であり、そのような送達システムを使用して、本発明において注目される医薬組成物を投与することができる。投与方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、気管内、硬膜外および経口経路が挙げられるが、これらに限定されない。組成物を任意の適便な経路によって、例えば、注入またはボーラス注射によって、上皮内層または粘膜皮膚内層(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)による吸収によって投与してもよく、他の生物活性薬剤と一緒に投与してもよい。
【0152】
本発明において注目される医薬組成物は、標準的な注射針・注射器で皮下または静脈内送達することができる。加えて、皮下送達に関しては、ペン型送達デバイス(例えば、オートインジェクターペン)が、本発明において注目される医薬組成物の送達に容易に利用される。そのようなペン型送達デバイスは、再使用可能であることもあり、または使い捨てであることもある。再使用可能なペン型送達デバイスは、医薬組成物を収容している交換可能カートリッジを一般に利用する。カートリッジ内の医薬組成物のすべてを投与してしまい、カートリッジが空になったら、空のカートリッジを容易に廃棄することができ、医薬組成物を収容している新たなカートリッジと容易に交換することができる。その後、そのペン型送達デバイスを再使用することができる。使い捨てペン型送達デバイスには交換可能カートリッジがない。もっと正確に言えば、使い捨てペン型送達デバイスには医薬組成物が予め充填されており、医薬組成物は前記デバイスの貯液部に保持されている。貯液部の医薬組成物が空になったら、デバイス全体を廃棄する。
【0153】
非常に多くの再使用可能ペン型および自己注射器送達デバイスが医薬組成物の皮下送達に利用される。例としては、ほんの数例を挙げると、AUTOPEN(商標)(Owen
Mumford,Inc.、Woodstock、UK)、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems、Bergdorf、Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN 70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co.、Indianapolis、IN)、NOVOPEN(商標)I、IIおよびIII(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)、ならびにOPTICLIK(商標)(Sanofi-Aventis、Frankfurt、Germany)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明において注目される医薬組成物の皮下送達に利用される使い捨てペン型送達デバイスの例としては、ほんの数例を挙げると、SOLOSTAR(商標)ペン(Sanofi-Aventis)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk)およびKWIKPEN(商標)(Eli Lilly)、SURECLICK(商標)オートインジェクター(Amgen、Thousand Oaks、CA)、PENLET(商標)(Haselmeier、Stuttgart、Germany)、EPIPEN(Dey,L.P.)およびHUMIRA(商標)ペン((A
bbott Labs、Abbott Park IL)が挙げられるが、これらに限定されない。大容量送達デバイス(例えば、大容量注射器)の例には、BD Libertas West SmartDose、Enable Injections、SteadyMed PatchPump、Sensile SenseTrial、YPsomed YpsoDose、Bespak Lapasなどのようなボーラス注射器が挙げられるが、それらに限定されない。
【0154】
洞への直接投与については、本発明において注目される医薬組成物を、例えばマイクロカテーテル(例えば、内視鏡およびマイクロカテーテル)、エアロゾライザー、パウダーディスペンサー、噴霧器または吸入器を使用して投与してもよい。該方法は、IL-4R拮抗薬をエアロゾル化製剤で、それを必要とする対象に投与することを含む。例えば、IL-4Rに対するエアロゾル化抗体を投与して患者の喘息を処置してもよい。エアロゾル化抗体は、例えば米国特許第8,178,098号(その全体が本明細書に組み入れられる)に記載されているように製造することができる。
【0155】
特定の状況では、医薬組成物を制御放出システムで送達することができる。一実施形態では、ポンプを使用することがある(Langer、上掲;Sefton、1987、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201頁を参照されたい)。別の実施形態では、高分子材料を使用することができる;Medical Applications of Controlled Release、LangerおよびWise(編集)、1974、CRC Pres.、Boca Raton、Floridaを参照されたい。さらに別の実施形態では、制御放出システムを組成物の標的のすぐそばに配置することができ、したがって全身用量のほんの一部しか必要としない(例えば、Goodson、1984、Medical Applications of Controlled Release、上掲、第2巻、115~138頁を参照されたい)。他の制御放出システムは、Langer、1990、Science 249:1527~1533頁による総説において論じられている。
【0156】
注射用製剤としては、静脈内、皮下、皮内および筋肉内注射、点滴注入などのための剤形を挙げることができる。これらの注射用製剤を公知の方法によって製造することができる。例えば、注射用製剤は、例えば、注射剤に従来使用されている滅菌水性媒体または油性媒体に上記の抗体またはその塩を溶解、懸濁または乳化させることによって製造することができる。注射剤のための水性媒体としては、例えば、生理食塩水、グルコースおよび他の補助剤を含有する等張溶液などがあり、これらは、適切な可溶化剤、例えばアルコール(例えば、エタノール)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、HCO-50(硬化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加体))などと併用されることもある。油性媒体としては、例えばゴマ油、ダイズ油が利用され、これらは、可溶化剤、例えば安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用されることもある。このようにして製造された注射剤は、適切なアンプルに概して充填される。
【0157】
有利には、上で説明した経口または非経口用の医薬組成物は、活性成分の用量を合わせることに適している単位用量の剤形に製造される。単位用量のそのような剤形としては、例えば、錠剤、ピル、カプセル、注射剤(アンプル)、坐剤などが挙げられる。
【0158】
本発明において使用することができる抗IL-4R抗体を含む例示的医薬組成物は、例えば、米国特許出願公開第2012/0097565号に開示されている。
【0159】
投薬量
本発明において注目される方法に従って対象に投与されるIL-4R拮抗薬(例えば、
抗IL-4R抗体)の量は、一般に治療有効量である。本明細書において用いる場合、「治療有効量」という句は、以下の事項の1つまたはそれ以上をもたらす、IL-4R拮抗薬の量を意味する:(a)喘息増悪の発生率の低減;(b)1つもしくはそれ以上の喘息関連パラメーター(本明細書の他の箇所で定義されている)の向上、および/または(c)上気道炎症状態の1つもしくはそれ以上の症状もしくは兆候の検出可能な向上。「治療有効量」は、対象の喘息を阻害する、予防する、和らげる、または対象の喘息の進行を遅らせる、IL-4R拮抗薬の量も含む。
【0160】
抗IL-4R抗体の場合、治療有効量は、抗IL-4R抗体約0.05mg~約700mg、例えば、約0.05mg、約0.1mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約3.0mg、約5.0mg、約7.0mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、約600mg、約610mg、約620mg、約630mg、約640mg、約650mg、約660mg、約670mg、約680mg、約690mgまたは約700mgであることができる。特定の実施形態では、抗IL-4R抗体300mgが投与される。
【0161】
個々の用量に含有されるIL-4R拮抗薬の量は、患者体重1キログラム当たりの抗体のミリグラム(すなわち、mg/kg)によって表されることもある。例えば、IL-4R拮抗薬を患者に約0.0001~約10mg/(患者体重kg)の用量で投与してもよい。例えば、IL-4R拮抗薬を1mg/kg、2mg/kg、3mg/kgまたは4mg/kgの用量で投与することができる。
【0162】
いくつかの実施形態において、IL-4R拮抗薬の用量は、好酸球数によって変わることがある。例えば、対象は、血中好酸球数≧細胞300個/μLもしくは細胞300~499個/μLもしくは≧細胞500個/μL(高血中好酸球)(HEos);血中好酸球数 細胞200~299個/μL(中程度の血中好酸球);または血中好酸球数<細胞200個/μL(低血中好酸球)を有する。
【0163】
特定の実施形態において、方法は、IL-4R拮抗薬約400~約600mgの負荷用量を含む。
【0164】
特定の実施形態において、方法は、IL-4R拮抗薬約200~約300mgの1またはそれ以上の維持用量を含む。
【0165】
特定の実施形態において、ICSおよびLABAは、IL-4R拮抗薬の投与期間中に投与される。
【0166】
特定の実施形態において、負荷用量は、抗IL-4R抗体またはその抗原結合断片600mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、2週間ごとに投与される抗体またはその抗原結合断片300mgを含む。
【0167】
特定の実施形態において、負荷用量は、抗IL-4R抗体またはその抗原結合断片400mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、2週間ごとに投与される抗体またはその抗原結合断片200mgを含む。
【0168】
特定の実施形態において、負荷用量は、抗IL-4R抗体またはその抗原結合断片400mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、2週間ごとに投与される抗体またはその抗原結合断片200mgを含み、それは、2週間ごとに投与される抗体またはその抗原結合断片300mgへ増加される場合がある。
【0169】
他の実施形態において、負荷用量は、抗IL-4R抗体またはその抗原結合断片600mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、4週間ごとに投与される抗体またはその抗原結合断片300mgを含む。
【0170】
他の実施形態において、負荷用量は、抗IL-4R抗体またはその抗原結合断片400mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、4週間ごとに投与される抗体またはその抗原結合断片200mgを含む。
【0171】
他の実施形態において、負荷用量は、抗IL-4R抗体またはその抗原結合断片600mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、週1回投与される抗体またはその抗原結合断片300mgを含む。
【0172】
他の実施形態において、負荷用量は、抗IL-4R抗体またはその抗原結合断片400mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、週1回、投与される前記抗体またはその抗原結合断片200mgを含む。
【0173】
他の実施形態において、負荷用量は、抗IL-4R抗体またはその抗原結合断片600mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、3週間ごとに投与される抗体またはその抗原結合断片300mgを含む。
【0174】
他の実施形態において、負荷用量は、抗IL-4R抗体またはその抗原結合断片400mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、3週間ごとに投与される抗体またはその抗原結合断片200mgを含む。
【0175】
一実施形態において、対象は、6歳から18歳未満であり、IL-4R抗体またはその抗原結合断片は、2mg/kgまたは4mg/kgで投与される。
【0176】
別の実施形態において、対象は、12歳から18歳未満であり、IL-4R抗体またはその抗原結合断片は、2mg/kgまたは4mg/kgで投与される。
【0177】
別の実施形態において、対象は、6歳~12歳未満であり、IL-4R抗体またはその抗原結合断片は、2mg/kgまたは4mg/kgで投与される。
【0178】
別の実施形態において、対象は、2歳~6歳未満であり、IL-4R抗体またはその抗原結合断片は、2mg/kgまたは4mg/kgで投与される。
【0179】
さらに別の実施形態において、対象は、2歳未満であり、IL-4R抗体またはその抗原結合断片は、2mg/kgまたは4mg/kgで投与される。
【0180】
併用治療
本発明において注目される方法の特定の実施形態は、1つまたはそれ以上のさらなる治
療薬をIL-4R拮抗薬と併用で対象に投与することを含む。本明細書において用いる場合、「と併用で」という表現は、さらなる治療薬が、IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物の前に、後に、またはそのような医薬組成物と同時に投与されることを意味する。いくつかの実施形態において、用語「と併用で」は、IL-4R拮抗薬および第2の治療薬の逐次的または同時投与を含む。本発明は、喘息もしくは関連状態もしくは合併症を処置する方法または少なくとも1つの増悪を低減させる方法であって、相加的または相乗的活性のために第2の治療薬と併用でのIL-4R拮抗薬の投与を含む該方法を含む。
【0181】
例えば、IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物の「前に」投与されるとき、さらなる治療薬は、IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物の投与の約72時間、約60時間、約48時間、約36時間、約24時間、約12時間、約10時間、約8時間、約6時間、約4時間、約2時間、約1時間、約30分、約15分または約10分前に投与されることがある。IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物の「後に」投与されるとき、さらなる治療薬は、IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物の投与の約10分、約15分、約30分、約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約60時間または約72時間後に投与されることがある。IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物と「同時の」投与は、さらなる治療薬が、IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物の投与の5分未満以内(前に、後に、もしくは同時)に別の剤形で対象に投与されること、またはさらなる治療薬とIL-4R拮抗薬の両方を含む単一の配合投与量製剤として対象に投与されることを意味する。
【0182】
さらなる治療薬は、例えば、別のIL-4R拮抗薬、IL-1拮抗薬(例えば、米国特許第6,927,044号に記載のIL-1拮抗薬を含む)、IL-6拮抗薬、IL-6R拮抗薬(例えば、米国特許第7,582,298号に記載の抗IL-6R抗体を含む)、TNF拮抗薬、IL-8拮抗薬、IL-9拮抗薬、IL=17拮抗薬、IL-5拮抗薬、IgE拮抗薬、CD48拮抗薬、ロイコトリエン阻害剤、抗真菌薬、NSAID、長時間作用性β刺激薬(例えば、サルメテロールもしくはホルモテロール)、吸入コルチコステロイド(例えば、フルチカゾンもしくはブデソニド)、全身性コルチコステロイド(例えば、経口もしくは静脈内)、メチルキサンチン、ネドクロミルナトリウム、クロモグリク酸ナトリウム、またはそれらの組合せであり得る。例えば、特定の実施形態において、IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物は、長時間作用性β刺激薬と吸入コルチコステロイドを含む合剤(例えば、フルチカゾン+サルメテロール[例えば、Advair(登録商標)(GlaxoSmithKline)];またはブデソニド+ホルモテロール[例えば、SYMBICORT(登録商標)(Astra Zeneca)])と併用で投与される。
【0183】
投与レジメン
特定の実施形態によると、IL-4R拮抗薬の複数の用量が被定義時間に渡って対象に投与されることがある。そのような方法は、IL-4R拮抗薬の複数の用量を対象に逐次的に投与することを含む。本明細書において用いる場合、「逐次投与すること」は、IL-4R拮抗薬の各用量を対象に異なる時点で、例えば、所定の間隔(例えば、数時間、数日、数週間または数カ月)隔てた異なる日に投与することを意味する。本発明は、IL-4R拮抗薬の単一初回用量、その後、IL-4R拮抗薬の1用量またはそれ以上の2回目用量、場合によりその後、IL-4R拮抗薬の1用量またはそれ以上の3回目用量を患者に逐次的に投与することを含む方法を含む。
【0184】
本発明は、IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物を週約4回、週2回、週1回(q1w)、2週間に1回(隔週またはq2w)、3週間に1回(3週間おき、またはq3w)、4週間に1回(月1回またはq4w)、5週間に1回(q5w)、6週間に1回(q6w)、8週間に1回(q8w)、12週間に1回(q12w)の投与頻度で、または治療反応
が得られるのであればそれ以下の頻度で対象に投与することを含む方法を含む。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む特定の実施形態では、約75mg、100mg、150mg、200mgまたは300mgの量の週1回投与を用いることができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態では、約75mg、100mg、150mg、200mgまたは300mgの量の2週間に1回の投与(隔週投与)を用いることができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態では、約75mg、100mg、150mg、200mgまたは300mgの量の3週間に1回の投与を用いることができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態では、約75mg、100mg、150mg、200mgまたは300mgの量の4週間に1回の投与(月1回投与)を用いることができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態では、約75mg、100mg、150mg、200mgまたは300mgの量の5週間に1回の投与を用いることができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態では、約75mg、100mg、150mg、200mgまたは300mgの量の6週間に1回の投与を用いることができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態では、約75mg、100mg、150mg、200mgまたは300mgの量の8週間に1回の投与を用いることができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態では、約75mg、100mg、150mg、200mgまたは300mgの量の12週間に1回の投与を用いることができる。一実施形態において、投与経路は皮下である。
【0185】
用語「週」は、(n×7日)±2日、例えば(n×7日)±1日、または(n×7日)、の期間を指し、この場合の「n」は、週の数、例えば1、2、3、4、5、6、8、12またはそれ以上を示す。
【0186】
用語「初回用量」、「2回目用量」および「3回目用量」は、IL-4R拮抗薬の投与についての時系列を指す。したがって、「初回用量」は、処置レジメンの開始時に投与される用量(「ベースライン用量」とも呼ばれる)であり;「2回目用量」は、初回用量後に投与される用量であり、「3回目用量」は、2回目用量の後に投与される用量である。初回、2回目および3回目用量は、すべてが同じ量のIL-4R拮抗薬を含有することもあるが、一般には投与頻度の点から互いに異なるだろう。しかし、特定の実施形態において、初回、2回目および/または3回目用量に含有されるIL-4R拮抗薬の量は、処置の過程で互いに異なる(例えば、必要に応じて上方または下方調整される)。特定の実施形態では、2用量またはそれ以上の(例えば、2、3、4または5)用量が「負荷用量」として処置レジメンの開始時に投与され、その後、より低頻度で投与される後続の用量(例えば、「維持用量」)が投与される。一実施形態において、維持用量は、負荷用量より低いことがある。例えば、IL-4R拮抗薬600mgの1用量またはそれ以上の負荷用量が投与され、その後、維持用量約75mg~約300mgが投与されることもある。
【0187】
特定の実施形態において、負荷用量は、IL-4R拮抗薬約400~約600mgである。一実施形態において、負荷用量は、IL-4R拮抗薬400mgである。別の実施形態において、負荷用量は、IL-4R拮抗薬600mgである。
【0188】
特定の実施形態において、維持用量は、IL-4R拮抗薬約200~約300mgである。一実施形態において、維持用量は、IL-4R拮抗薬200mgである。別の実施形態において、維持用量は、IL-4R拮抗薬300mgである。
【0189】
特定の実施形態において、負荷用量は、維持用量の2倍である。
【0190】
いくつかの実施形態において、負荷用量は、抗体またはその抗原結合断片600mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、2週間ごとに投与される抗体またはその抗原結合
断片300mgを含む。
【0191】
いくつかの実施形態において、対象はOCS依存性喘息を有し、負荷用量は、抗体またはその抗原結合断片600mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、2週間ごとに投与される抗体またはその抗原結合断片300mgを含む。
【0192】
いくつかの実施形態において、対象は、併存する中等度~重度のアトピー性皮膚炎を有し、負荷用量は、前記抗体またはその抗原結合断片600mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、2週間ごとに投与される前記抗体またはその抗原結合断片300mgを含む。
【0193】
いくつかの実施形態において、負荷用量は、抗体またはその抗原結合断片400mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、2週間ごとに投与される抗体またはその抗原結合断片200mgを含む。
【0194】
いくつかの実施形態において、対象はOCS依存性喘息を有し、負荷用量は前記抗体またはその抗原結合断片400mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、2週間ごとに投与される前記抗体またはその抗原結合断片200mgを含む。
【0195】
いくつかの実施形態において、対象は併存する中等度~重度のアトピー性皮膚炎を有し、負荷用量は前記抗体またはその抗原結合断片400mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、2週間ごとに投与される前記抗体またはその抗原結合断片200mgを含む。
【0196】
いくつかの実施形態において、負荷用量は前記抗体またはその抗原結合断片600mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、4週間ごとに投与される前記抗体またはその抗原結合断片300mgを含む。
【0197】
いくつかの実施形態において、対象はOCS依存性喘息を有し、負荷用量は前記抗体またはその抗原結合断片600mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、4週間ごとに投与される前記抗体またはその抗原結合断片300mgを含む。
【0198】
いくつかの実施形態において、対象は併存する中等度~重度のアトピー性皮膚炎を有し、負荷用量は前記抗体またはその抗原結合断片600mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、4週間ごとに投与される前記抗体またはその抗原結合断片300mgを含む。
【0199】
いくつかの実施形態において、負荷用量は前記抗体またはその抗原結合断片400mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、4週間ごとに投与される前記抗体またはその抗原結合断片200mgを含む。
【0200】
いくつかの実施形態において、対象はOCS依存性喘息を有し、負荷用量は前記抗体またはその抗原結合断片400mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、4週間ごとに投与される前記抗体またはその抗原結合断片200mgを含む。
【0201】
いくつかの実施形態において、対象は併存する中等度~重度のアトピー性皮膚炎を有し、負荷用量は前記抗体またはその抗原結合断片400mgを含み、1またはそれ以上の維持用量は、4週間ごとに投与される前記抗体またはその抗原結合断片200mgを含む。
【0202】
1つの例示的実施形態において、各2回目および/または3回目用量は、直前の用量の1~14週間(例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5
、12、12.5、13、13.5、14、14.5週間またはそれ以上)後に投与される。「直前の用量」という句は、複数の投与の順序に関して、介在する用量のないその順序のまさにその次の用量の投与の前に患者に投与される抗IL-4R拮抗薬の用量を意味する。
【0203】
該方法は、IL-4R拮抗薬の任意の数の2回目および/または3回目用量を患者に投与することを含むことができる。例えば、特定の実施形態では、単一の2回目用量のみが患者に投与される。他の実施形態では、2用量またはそれ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8用量またはそれ以上の)2回目用量が患者に投与される。同様に、特定の実施形態では、単一の3回目用量のみが患者に投与される。他の実施形態では、2用量またはそれ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8用量またはそれ以上の)3回目用量が患者に投与される。
【0204】
複数の2回目用量を含む実施形態において、各2回目用量は、他の2回目用量と同じ頻度で投与されることがある。例えば、各2回目用量は、直前の用量の1~2週間後に患者に投与されることがある。同様に、複数の3回目用量を含む実施形態において、各3回目用量は、他の3回目用量と同じ頻度で投与されることがある。例えば、各3回目用量は、直前の用量の2~4週間後に患者に投与されることがある。あるいは、2回目および/または3回目用量が患者に投与される頻度は、治療レジメンの過程を通して様々であることができる。投与頻度は、臨床検査に従って個々の患者の必要に応じて医師によって処置の過程で調整されることもある。
【0205】
本発明は、喘息または関連状態を処置するための患者へのIL-4R拮抗薬および第2の治療薬の逐次的投与を含む方法を含む。いくつかの実施形態において、該方法は、IL-4R拮抗薬の1用量またはそれ以上の投与、その後、第2の治療薬の1用量またはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8用量、またはそれ以上)の投与を含む。例えば、IL-4R拮抗薬約75mg~約300mgの1用量またはそれ以上が投与されることがあり、その後、喘息の1つまたはそれ以上の症状を処置、軽減、低減または改善のための第2の治療薬(例えば、本明細書の他の箇所で説明するような、吸入コルチコステロイドまたはβ2刺激薬または他の治療薬)の1用量またはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8用量、またはそれ以上)が投与されることもある。いくつかの実施形態では、IL-4R拮抗薬が1用量またはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8用量、またはそれ以上)投与され、その結果、1つまたはそれ以上の喘息関連パラメーターが向上することになり、その後、喘息の少なくとも1つの症状の再発を予防するための第2の治療薬が投与される。代替実施形態は、IL-4R拮抗薬および第2の治療薬の併用投与に関する。例えば、IL-4R拮抗薬の1用量またはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8用量、またはそれ以上)が投与され、第2の治療薬は、別の投薬量で、IL-4R拮抗薬と比較して同様の頻度または異なる頻度で投与される。いくつかの実施形態において、第2の治療薬は、IL-4R拮抗薬の前に、後に、またはIL-4R拮抗薬と同時に投与される。
【0206】
特定の実施形態において、IL-4R拮抗薬は、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間、22週間、24週間、26週間、28週間、30週間、32週間、34週間、36週間、38週間、40週間、42週間、44週間、46週間、48週間、またはそれ以上の間、2週間ごとに投与される。他の実施形態において、IL-4R拮抗薬は、12週間、16週間、20週間、24週間、28週間、32週間、36週間、40週間、44週間、48週間、またはそれ以上の間、4週間ごとに投与される。特異的実施形態において、IL-4R拮抗薬は、少なくとも24週間投与される。
【0207】
本発明は、重度の非管理喘息(例えば、重度のステロイド依存性喘息)を有する対象を
処置するための方法であって、IL-4Rと特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程を含む、前記方法を含む。特定の実施形態において、方法は、前記抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を前記対象に投与する工程を含み、該複数の維持用量は処置期中に投与される。処置期は、誘導期、OCS低減期、およびOCS維持期を含む。
【0208】
特定の例示的な実施形態において、誘導期は、対象が彼らのOCS用量を連続的に受ける期間を含む。特定の例示的な実施形態において、低減期は、対象が、誘導期中に受けた用量と比べて低いOCS用量を受ける期間を含む。特定の例示的な実施形態において、維持期は、対象が、OCSの一定の安定した量または用量を受ける期間を含む。あるいは、維持期は、OCS治療/投与が低減/除去されている期間を含む。特定の実施形態において、患者によるOCS使用は、完全に除去され、患者は、IL4R抗体またはその断片での処置から1年未満(例えば、初回処置から1年以内、6カ月以内、3カ月以内、または1カ月以内)でステロイドフリーである。
【0209】
別の態様において、重度のステロイド依存性喘息および/または重度の非管理喘息を有する対象を処置するための方法は、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片約600mgの負荷用量を該対象に投与する工程、および該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程を含む。各維持用量は、約300mgの前記抗体またはその抗原結合断片であり、該複数の維持用量は、誘導期、経口コルチコステロイド(OCS)低減期、および維持期を含む処置期中に投与され、該抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1および2を含むHCVR/LCVR配列対からの重鎖および軽鎖CDR配列を含む。
【0210】
処置集団
本発明において注目される方法は、IL-4R拮抗薬を含む治療用組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。「それを必要とする対象」という表現は、喘息(例えば、中等度~重度の非管理喘息)の1つもしくはそれ以上の症状もしくは兆候を示す、または喘息と診断された、ヒトまたは非ヒト動物を意味する。例えば、「それを必要とする対象」としては、例えば、1つまたはそれ以上の喘息関連パラメーター、例えば低下したFEV(例えば2.0L未満)、低下したFEF25~75%;低下したAM PEF(例えば400L/分未満)、低下したPM PEF(例えば400L/分未満)、少なくとも2.5のACQ5スコア、1晩に少なくとも1回の夜間覚醒および/または少なくとも20のSNOT-22スコアなど、を処置前に示す(または示した)対象を挙げることができる。様々な実施形態において、該方法は、それを必要とする患者の軽度喘息、中等度~重度喘息、および重度喘息を処置するために使用されることがある。特定の実施形態において、方法は、それを必要としている患者において軽度、中等度~重度、および重度の喘息を処置するために用いられ、該患者は、併存する中等度~重度のアトピー性皮膚炎をさらに示す。
【0211】
関連実施形態において、「それを必要とする対象」は、IL-4R拮抗薬を受ける前に、ICS/LABAの合剤を処方された、または現在摂取している対象であることもある。ICSの例としては、フロ酸モメタゾン、ブデソニド、およびプロピオン酸フルチカゾンが挙げられる。LABAの例としては、ホルモテロールおよびサルメテロールが挙げられる。ICS/LABA治療の例としては、フルチカゾン/サルメテロール併用治療、およびブデソニド/ホルモテロール併用治療が挙げられる。例えば、本発明は、IL-4R拮抗薬の投与直前の2週間またはそれ以上の間、ICS/LABAの定期的治療を受けていた患者に、IL-4R拮抗薬を投与することを含む方法を含む(そのような以前の処置を本明細書では「バックグラウンド処置」と呼ぶ)。本発明は、バックグラウンド処置がIL-4R拮抗薬の投与と併用で継続される治療方法を含む。さらに他の実施形態では、
ICS成分、LABA成分、または両方の量は、IL-4R拮抗薬投与の開始前または開始後、徐々に減少される。いくつかの実施形態において、本発明は、持続型喘息を少なくとも12カ月以上の間有する患者を処置する方法を含む。一実施形態において、持続型喘息の患者はコルチコステロイドなどの治療薬による処置に抵抗性であることがあり、そのような患者に、本方法に従ってIL-4R拮抗薬を投与することがある。
【0212】
いくつかの実施形態において、「それを必要とする対象」は、上昇した喘息関連バイオマーカーレベルを有する対象であることもある。喘息関連バイオマーカーの例としては、IgE、胸腺および活性化制御ケモカイン(TARC)、エオタキシン-3、CEA、YKL-40およびペリオスチンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、「それを必要とする対象」は、血中好酸球≧300個/μL、200~299個/μL、または<200個/μLである対象であることがある。一実施形態において、「それを必要とする対象」は、呼気一酸化窒素濃度(FeNO)によって測定して、上昇した気管支または気道炎症レベルを有する対象であることもある。
【0213】
いくつかの実施形態において、「それを必要とする対象」は、年齢18歳以上の対象、12歳以上の対象、年齢12~17歳(12歳~18歳未満)の対象、年齢6~11歳(6歳~12歳未満)の対象、および年齢2~5歳(2歳~6歳未満)の対象からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、「それを必要とする対象」は、成人、青年および小児からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、「それを必要とする対象」は、年齢18歳以上の成人、年齢12~17歳(12歳~18歳未満)の青年、年齢6~11歳(6歳~12歳未満)の小児、および年齢2~5歳(2歳~6歳未満)の小児からなる群から選択される。対象は、年齢2歳未満、例えば、12~23カ月、または6~11カ月であることもある。
【0214】
健常対象における正常IgEレベルは、(例えば、IMMUNOCAP(登録商標)アッセイ[Phadia,Inc.、Portage、MI]を用いて測定して)約100kU/L未満である。したがって、本発明は、約100kU/Lより高い、約150kU/Lより高い、約500kU/Lより高い、約1000kU/Lより高い、約1500kU/Lより高い、約2000kU/Lより高い、約2500kU/Lより高い、約3000kU/Lより高い、約3500kU/Lより高い、約4000kU/Lより高い、約4500kU/Lより高い、または約5000kU/Lより高い血清中IgEレベルである、上昇した血清中IgEレベルを示す対象を選択するステップ、およびIL-4R拮抗薬の治療有効量を含む医薬組成物を該対象に投与するステップを含む方法を含む。
【0215】
健常対象におけるTARCレベルは、106ng/L~431ng/Lの範囲であり、平均値は約239ng/Lである。(TARCレベルを測定するための例示的アッセイシステムは、R&D Systems、Minneapolis、MNによりカタログ番号DDN00として提供されているTARC定量的ELISAキットである)。したがって、本発明は、約431ng/Lより高い、約500ng/Lより高い、約1000ng/Lより高い、約1500ng/Lより高い、約2000ng/Lより高い、約2500ng/Lより高い、約3000ng/Lより高い、約3500ng/Lより高い、約4000ng/Lより高い、約4500ng/Lより高い、または約5000ng/Lより高い血清中TARCレベルである、上昇したTARCレベルを示す対象を選択するステップ、およびIL-4R拮抗薬の治療有効量を含む医薬組成物を該対象に投与するステップを含む方法を含む。
【0216】
エオタキシン-3は、Th2サイトカインIL-4およびIL-13によってアップレギュレートされる、気道上皮細胞によって放出されるケモカイン群に属する(Lillyら、1999、J.Allergy Clin.Immunol.104:786~79
0頁)。本発明は、IL-4R拮抗薬を投与して、上昇したエオタキシン-3レベル、例えば、約100pg/mlより高い、約150pg/mlより高い、約200pg/mlより高い、約300pg/mlより高い、または約350pg/mlより高いエオタキシン-3レベルを有する患者を処置することを含む方法を含む。血清中エオタキシン-3レベルは、例えばELISAによって、測定することができる。
【0217】
ペリオスチンは、Th2媒介炎症過程に関与する細胞外基質タンパク質である。ペリオスチンレベルは、喘息の患者においてアップレギュレートされることが分かっている(Jiaら、2012、J Allergy Clin Immunol.130:647-654.e10.doi:10.1016:j.jaci.2012.06.025.Epub、2012年8月1日)。本発明は、IL-4R拮抗薬を投与して、上昇したペリオスチンレベルを有する患者を処置することを含む方法を含む。
【0218】
呼気NO濃度(FeNO)は、気管支または気道炎症のバイオマーカーである。FeNOは、IL-4およびIL-13を含む炎症性サイトカインに反応して気道上皮細胞によって生産される(Alwingら、1993、Eur.Respir.J.6:1368~1370頁)。健常成人のFeNOレベルは、2~30十億分率(ppb)の範囲である。FeNOを測定するための例示的アッセイは、Aerocrine AB、Solna、SwedenによるNIOX計器の使用による。評価は、肺活量測定前、かつ少なくとも1時間の絶食後に行うことができる。本発明は、上昇した呼気NO(FeNO)レベル、例えば、30ppbより高い、約31ppbより高い、約32ppbより高い、約33ppbより高い、約34ppbより高い、または約35ppbより高いFeNOレベルを有する患者に、IL-4R拮抗薬を投与することを含む方法を含む。
【0219】
癌胎児抗原(CEA)(CEA細胞接着分子5[CEACAM5]としても公知)は、肺の非腫瘍性疾患と相関関係があることが分かっている腫瘍マーカーである(Marechalら、1988、Anticancer Res.8:677~680頁)。血清中のCEAレベルは、ELISAによって測定することができる。本発明は、上昇したCEAレベル、例えば、約1.0ng/mlより高い、約1.5ng/mlより高い、約2.0ng/mlより高い、約2.5ng/mlより高い、約3.0ng/mlより高い、約4.0ng/mlより高い、または約5.0ng/mlより高いCEAレベルを有する患者に、IL-4R拮抗薬を投与することを含む方法を含む。
【0220】
YKL-40(そのN末端アミノ酸チロシン(Y)、リシン(K)およびロイシン(L)にちなんで名づけられたものであり、その分子量は40kDである)は、アップレギュレートされることならびに喘息増悪、IgEおよび好酸球と相関関係があることが分かっているキチナーゼ様タンパク質である(Tangら、2010、Eur.Respir.J.35:757~760頁)。血清中YKL-40レベルは、例えばELISAによって測定される。本発明は、上昇したYKL-40レベル、例えば、約40ng/mlより高い、約50ng/mlより高い、約100ng/mlより高い、約150ng/mlより高い、約200ng/mlより高い、または約250ng/mlより高いYKL-40レベルを有する患者に、IL-4R拮抗薬を投与することを含む方法を含む。
【0221】
ペリオスチンは、線維症に関連する分泌マトリックス細胞タンパク質であり、その発現は、培養気管支上皮細胞および気管支線維芽細胞において組換えIL-4およびIL-13によってアップレギュレートされる(Jiaら、(2012)J.Allergy Clin.Immunol.130:647頁)。ヒト喘息患者において、ペリオスチン発現レベルは、上皮下線維症の指標である網状基底膜厚と相関関係がある。同文献。本発明は、上昇したペリオスチンレベルを有する患者にIL-4R拮抗薬を投与することを含む方法を含む。
【0222】
誘発喀痰好酸球および好中球は、気道炎症についての確立した直接マーカーである(Djukanovicら、2002、Eur.Respire.J.37:1S-2S)。喀痰は、高張食塩水の吸入によって誘発され、当技術分野において公知の方法、例えば欧州呼吸器学会のガイドライン、に従って細胞計数のために処理される。
【0223】
いくつかの実施形態において、対象は、次の群:血中好酸球数≧細胞300個/μL(高血中好酸球)(HEos)または細胞300~499個/μLもしくは≧細胞500個/μL、血中好酸球数細胞200~299個/μL(中等度血中好酸球)、または血中好酸球数<細胞200個/μL(低血中好酸球)に層別化され、好酸球レベルに基づく用量または投与レジメンで抗IL-4R抗体またはその抗原結合断片の投与を受ける。
【0224】
いくつかの実施形態において、対象は、以下の群:血中好酸球数≧細胞300個/μL、細胞300~499個/μL、もしくは≧細胞500個/μL(高血中好酸球);血中好酸球数≧細胞150個/μL(中程度の血中好酸球);または血中好酸球数<細胞150個/μL(低血中好酸球)へ層別化され、その好酸球レベルに基づいた用量または投与レジメンで抗IL-4R抗体またはその抗原結合断片を投与される。
【0225】
いくつかの実施形態において、対象は、血中好酸球数≧細胞150個/μL、血中好酸球数≧細胞300個/μL、血中好酸球数細胞300~499個/μL、または血中好酸球数≧細胞500個/μLにより定義される「好酸球性表現型」喘息を有し、抗IL-4R抗体またはその抗原結合断片を投与される。
【0226】
薬力学的喘息関連パラメーターを評価する方法
本発明は、IL-4R拮抗薬を含む医薬組成物の投与に起因する、それを必要とする対象における1つまたはそれ以上の薬力学的喘息関連パラメーターを評価する方法も含む。(上で説明したような)喘息増悪の発生率の低減、または(上で説明したような)1つもしくはそれ以上の喘息関連パラメーターの向上は、1つまたはそれ以上の薬力学的喘息関連パラメーターの向上と相関関係があることもあるが、そのような相関関係は、必ずしもすべての場合に観察されるとは限らない。
【0227】
「薬力学的喘息関連パラメーター」の例としては、例えば次のものが挙げられる:(a)バイオマーカー発現レベル;(b)血清中タンパク質およびRNA分析;(c)誘発喀痰好酸球および好中球レベル;(d)呼気一酸化窒素(FeNO);および(e)血中好酸球数。「薬力学的喘息関連パラメーターの向上」は、例えば、TARC、エオタキシン-3またはIgEなどの1つまたはそれ以上のバイオマーカーのベースラインからの減少、喀痰好酸球もしくは好中球、FeNO、ペリオスチンまたは血中好酸球数の減少を意味する。本明細書において用いる場合、薬力学的喘息関連パラメーター関して用語「ベースライン」は、本明細書に記載する医薬組成物の投与前または投与時点の患者の薬力学的喘息関連パラメーターの数値を意味する。
【0228】
薬力学的喘息関連パラメーターを評価するために、該パラメーターをベースラインで、および医薬組成物の投与後の時点で定量する。例えば、薬力学的喘息関連パラメーターを医薬組成物での初回処置後、第1日、第2日、第3日、第4日、第5日、第6日、第7日、第8日、第9日、第10日、第11日、第12日、第14日に、もしくは第3週、第4週、第5週、第6週、第7週、第8週、第9週、第10週、第11週、第12週、第13週、第14週、第15週、第16週、第17週、第18週、第19週、第20週、第21週、第22週、第23週、第24週に、またはそれ以上の時点で測定してもよい。処置開始後特定の時点でのパラメーターの値とベースラインでのパラメーターの値との差を用いて、薬力学的喘息関連パラメーターの、「向上」などの、変化(例えば、測定される具体
的なパラメーターに依存して、場合によって、増加または減少)があったかどうかを確証する。
【0229】
特定の実施形態において、患者へのIL-4R拮抗薬の投与は、特定のバイオマーカーの発現の変化、例えば減少または増加、を生じさせる。喘息関連バイオマーカーとしては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:(a)総IgE;(b)胸腺および活性化制御ケモカイン(TARC);(c)YKL-40;(d)血清中の癌胎児抗原;(e)血漿中のエオタキシン-3;および(f)血清中のペリオスチン。例えば、喘息患者へのIL-4R拮抗薬の投与は、TARCもしくはエオタキシン-3レベルの減少または血清中総IgEレベルの減少の1つまたはそれ以上を生じさせることがある。前記減少をIL-4R拮抗薬の投与後第1週、第2週、第3週、第4週、第5週またはそれ以降に検出することができる。バイオマーカー発現は、当技術分野において公知の方法によってアッセイすることができる。例えば、タンパク質レベルは、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)によって測定することができる。RNAレベルは、例えば、逆転写連結ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によって測定することができる。
【0230】
上で論じたようなバイオマーカー発現は、血清中のタンパク質またはRNAの検出によってアッセイすることができる。血清試料を使用して、IL-4R拮抗薬での処置に対する反応、IL-4/IL-13シグナル伝達、喘息、アトピーまたは好酸球性疾患に関係するさらなるタンパク質またはRNAバイオマーカーを(例えば、可溶性IL-4Rα、IL-4、IL-13、ペリオスチンを測定することによって)モニターすることもできる。いくつかの実施形態において、RNA試料は、RNAレベルの判定(非遺伝子解析)、例えば、バイオマーカーのRNAレベルの判定に使用され;他の実施形態において、RNA試料は、トランスクリプトームシークエンシング(例えば遺伝子解析)に使用される。
【0231】
製剤
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、次のものを含む組成で製剤化される:i)IL-4Rと特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片約150mg/mL、ii)約20mM ヒスチジン、iii)約12.5mM 酢酸塩、iv)約5%(w/v)スクロース、v)約25mM アルギニン塩酸塩、vi)約0.2%(w/v)ポリソルベート80。この場合、前記製剤のpHは約5.9であり、製剤の粘度は約8.5センチポアズである。
【0232】
代替実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、次のものを含む組成で製剤化される:i)IL-4Rと特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片約175mg/mL、ii)約20mM ヒスチジン、iii)約12.5mM 酢酸塩、iv)約5%(w/v)スクロース、v)約50mM アルギニン塩酸塩、vi)約0.2%(w/v)ポリソルベート80。この場合、前記製剤のpHは約5.9であり、製剤の粘度は約8.5センチポアズである。
【0233】
特異的実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVRと、配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRとを含む。
【0234】
以下の実施例によって本発明をさらに例証するが、以下の実施例をさらなる限定とみなすべきではない。本出願の至る所で引用する図ならびにすべての参考文献、特許および公開特許出願の内容は、あらゆる目的で参照によって本明細書に明確に組み入れられる。
【0235】
さらに、本発明に従って、当技術分野の技能の範囲内の従来の分子生物学、微生物学および組換えDNA技術を利用してもよい。そのような技術は、文献で十分に説明されてい
る。例えば、GreenおよびSambrook、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第4版(2012)Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York;DNA Cloning:A Practical Approach、第IおよびII巻(D.N.Glover編、1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984);Nucleic Acid Hybridization[B.D.HamesおよびS.J.Higgins編(1985)];Transcription And Translation[B.D.HamesおよびS.J.Higgins編、(1984)];Animal Cell Culture[R.I.Freshney編(1986)];Immobilized Cells And Enzymes[IRL Press、(1986)];B.Perbal、A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);F.M.Ausubelら(編集)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons,Inc.(1994)を参照されたい。
【実施例0236】
以下の実施例は、本発明において注目される方法および組成物の作製および使用方法の完全な開示および説明を当業者に与えるために提示するものであり、本発明者らが自分達の発明と考える範囲を限定することを意図したものではない。用いる数値(例えば、量、温度など)に関して正確を期すように努めたが、多少の実験的誤差および偏差を考慮すべきである。別段の指示がない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。
【0237】
以下の実施例で使用する例示的IL-4R拮抗薬は、(本明細書では「mAb1」とも呼ばれる)デュピルマブという名のヒト抗IL-4R抗体である。
【実施例0238】
VENTURE第III相治験研究(NCT02528214)
重度の非管理喘息は、全身性ステロイド曝露で経口コルチコステロイドへの依存につながり得る。これは、体重増加、糖尿病、骨粗鬆症、緑内障、不安、うつ、循環器疾患、および免疫抑制を含む重篤な短期および長期の有害作用をもたらす可能性がある。重度慢性喘息を有する患者は、ベースラインにおいてこの研究の患者についての予測正常値のおよそ52パーセントという、肺機能の深刻な減少を抱いて生きている。肺機能の減少は、正常に呼吸する能力に影響を与え、急性処置および入院を必要とする頻繁な増悪を引き起こし得る。これらの問題は、長期OCSで処置されている患者においてさえも生じる。
【0239】
追加のデュピルマブ300mgまたはプラセボを2週間ごとに24週間、受ける、最小血中好酸球必要条件を定めず、重度ステロイド依存性喘息を有する成人および青年において、治験デュピルマブを評価する第3相治験/研究を実施した。第3相治験(VENTURE)は、重度喘息、および本研究前の6カ月間における維持OCSの常用を有する210人の患者(デュピルマブ群の101人およびプラセボ群の102人である、203人は、無作為化処置期間を終了した)を登録した(図1)。本研究において、処方されたOCSはプレドニゾンまたはプレドニゾロンであった。患者を、1:1無作為化比を用いて無作為化し、デュピルマブ 負荷用量600mgと共に2週間ごとの300mgか、またはプラセボのいずれかで処置した(図2)。本研究におけるベースライン好酸球数中央値は、260好酸球/マイクロリットルであった。主要評価項目は、第24週におけるグルココルチコイド用量の低減であった。重要な副次評価項目は、第24週における、グルココルチコイド用量の≧50%の低減およびグルココルチコイド用量の<5mg/日への低減を達成した患者の割合を含んだ。重度増悪率および気管支拡張薬使用前の1秒量(FEV
)を、全集団および血中好酸球≧細胞300個/μLを有する患者において評価した。全体で安全性を評価した。
【0240】
本研究の組み入れ基準は下記の表1に示されている。本研究のベースライン人口統計は図3に示されている。
【0241】
【表1】
Venture研究についての除外基準もまた用いた;患者の除外基準は、EOS<150であり、全集団の25%以下に制限された。
【0242】
分析された主要評価項目は、第24週のOCS用量のパーセント低減であった。分析された重要な副次評価項目は、OCS用量の50%以上の低減およびOCS用量の<5mg/日への低減を含んだ。調べられた他の副次評価項目は、プロトコール当たりの患者の最大可能低減を達成していること、および患者がOCSをもはや必要としないことを含んだ。疾患特異的効能尺度を用いた。その尺度は、年換算での重度増悪の低下および肺機能(FEV)の改善であった。図2は、本研究における患者の全体の内訳を示す。
【0243】
主要アウトカム
治療企図解析(ITT)集団において、デュピルマブ処置は、喘息管理を維持しながら、プラセボと比較して、経口グルココルチコイド用量を有意に低減させた:ベースラインから第24週までの最小二乗(LS)平均(標準誤差[SE])パーセンテージ変化(ベースラインから、それぞれ、-70.1%(4.90)対-41.9%(4.57)(P<0.001;図4A;表2))。デュピルマブ処置患者におけるベースラインから第24週までの観察された変化中央値は、プラセボ群における50%(四分位範囲(IQR)、0%~100%)に対して、100%(IQR、62.5%~100%)であった。
【0244】
【表2】
【表3】
【0245】
副次アウトカム
グルココルチコイド低減のアウトカム
主要評価項目について、全集団において第24週で、標準治療に追加されたデュピルマブは、維持経口コルチコステロイド(OCS)の使用を、プラセボでの41.9%(中央値50パーセント)と比較して70.1%(中央値100パーセント)、有意に低減させた(p<0.001)。
【0246】
細胞300個/マイクロリットル以上のベースライン好酸球数を有する患者の事前指定分析において、デュピルマブを追加することは、OCS使用を、プラセボについての43パーセント(中央値50パーセント)と比較して平均80パーセント(中央値100パーセント)、有意に低減させた。
【0247】
第24週にベースラインに対して経口コルチコステロイド用量の≧50%低減を達成した患者の割合は、プラセボに対してデュピルマブに関して有意に高かった(80%対50%;P<0.001;観測値:デュピルマブについて80%、プラセボについて53%)(図4A;表2)。感受性分析もまた、デュピルマブに関して経口コルチコステロイドの50%、75%、および90%低減を有する患者のより高い割合を実証した(表3)。プラセボに対してデュピルマブで処置された、有意により多い患者が、経口コルチコステロイド用量の<5mg/日への低減を達成した(69%対33%;P<0.001;観測値:デュピルマブについて72%、プラセボについて37%)(図4A;表2)。
【0248】
【表4】
【0249】
顕著には、プラセボ処置患者の26%に対してデュピルマブ処置患者の48%が、第24週に彼らの最大可能グルココルチコイド用量低減を達成した(P=0.002;観測値:デュピルマブについて52%、プラセボについて30%)(図4A;表2)。同様に、プラセボ処置患者の25%に対してデュピルマブ処置患者の48%が、第24週に経口コルチコステロイドをもはや必要としなかった(P=0.002;観測値:デュピルマブについて52%、プラセボについて29%)(図4A;表2)。デュピルマブは、ベースライン血中好酸球数に関係なく、経口コルチコステロイドアウトカム測定値を一貫して低減させた(図5Aおよび図5B;表4)。
【0250】
【表5】
【表6】
【0251】
すべてのベースライン血中好酸球部分群において改善が観察されたが、処置効果の大きさは、より高いベースライン好酸球数を有する部分群において最も大きかった(例えば、経口グルココルチコイド用量の≧50%低減を有する患者におけるプラセボに対するオッズ比は、ベースラインにおける≧細胞300個/μLを有する患者について6.59(95% CI、2.1~20.4)およびベースラインにおける<細胞300個/μLを有する患者について2.91(95% CI、1.3~6.6)であった)。全集団において、デュピルマブを受けた患者の69パーセントが、プラセボを受けた患者の33パーセントと比較して、喘息管理を維持しながらOCS用量を1日当たり5mg未満に低減する
ことができた(p値0.0001未満);高いEOS群において、デュピルマブ患者の84パーセントが、プラセボについての40パーセントと比較して、OCS用量を1日当たり5mg未満に低減することができた(p値は0.0002と等しい)。前記患者の半分が経口グルココルチコイド使用を完全に除去した。グルココルチコイド低減にも関わらず、全集団および≧細胞300個/μL Eos部分群におけるプラセボに対するデュピルマブは、重度増悪をそれぞれ、59.3%(P<0.001)および71.1%、減少させ、FEVをそれぞれ、0.22L(P<0.001)および0.32L、向上させた。
【0252】
増悪およびFEV
24週間の処置期間中の経口グルココルチコイド使用の有意な低減に加えて、デュピルマブは、プラセボに対して重度喘息増悪を全集団において59.3%、有意に(P<0.001)低下させ(図4Bおよび表7)、LS平均(SE)によるFEVも、全集団において第24週で、0.22L(0.05)(プラセボによる0.01L[0.05]に対して、P<0.001)、向上させた。デュピルマブは、ベースライン好酸球数に関わらず、プラセボに対して、重度喘息増悪の年率を低下させ、かつFEVを向上させたが(図6Aおよび図6B、表5)、これらの恩恵は、より高いベースライン血中好酸球数を有する患者においてより顕著であった。例えば、デュピルマブは、ベースライン血中好酸球≧細胞300個/μLを有する患者において、重度増悪を71.1%、減少させ、FEVをLS平均(SE)0.32L(95% CI 0.10~0.54)、向上させた(どちらもプラセボに対してP<0.001)。
【0253】
【表7】
【表8】
【0254】
FEVの向上は、迅速かつ持続性であり、早くも第2週(LS平均変化 0.15L;95% CI 0.04~0.26)にあり、第24週までさらに増加した(全時点においてP<0.05)(図4Cおよび表2)。第24週に、デュピルマブは、全集団においてプラセボについての10ml差と比較して220ml差(15パーセント)(pは0.0007に等しい)、および細胞300個/マイクロリットル以上の好酸球数を有する患者においてプラセボについての120ml差と比較して320ml差(25パーセント)(pは0.0049に等しい)での1秒量(FEV)によって評価されるように、肺機能を改善した。
【0255】
他の副次的および予備的アウトカム
第3相研究は、好酸球レベルまたは他のバイオマーカーを問わず、ステロイド依存性重度喘息患者を登録し、その結果は、以下の患者部分群に渡って、肺機能および増悪におけるプラセボと比較しての改善を示した:細胞300個/マイクロリットルより上;細胞150個/マイクロリットルより上;および細胞150個/マイクロリットルより下のベースライン血中好酸球数を有する患者。デュピルマブは、毎日の呼吸能力の減退に苦しむ重度喘息を有する患者についての喘息プログラムに渡って、肺機能の一貫した改善を実証した。
【0256】
第24週におけるACQ-5スコアは、プラセボに対してデュピルマブでの喘息管理において有意な向上(P=0.002)を示した(ベースラインからの変化のLS平均差:-0.47[95% CI、-0.76~-0.18])。デュピルマブに関して、第24週におけるベースラインからのLS平均向上(-1.05)は、ACQ-5計器についての臨床における最小重要差0.5の2倍であった。
【0257】
デュピルマブ処置は第2週までにFeNOを抑制し、それは、24週間の処置期間中、維持された(全時点においてプラセボに対してP<0.001;図4D)。FeNO<25ppb(正常の上限)を有する患者のパーセンテージ(表6)は、デュピルマブ群においてベースラインでの43.6%から84.4%へ増加し、一方、プラセボ群において、変化は観察されなかった(44.7%から45.1%へ)。
【0258】
【表9】
【0259】
経口コルチコステロイド依存性重度喘息を有する患者における朝および晩の一日の喘息症状
患者の喘息症状は、夜中の症状について朝に(AM症状)、およびその日中の症状について晩に(PM症状)、それらの重症度0(最も軽度)~4(最も重度)をスコアリングして、電子日記にスコアとして記録された。24週間の処置期間中の喘息症状スコアのベースラインからの変化を、反復測定での混合効果モデルを用いることにより解析した。
【0260】
デュピルマブ群およびプラセボ群それぞれにおける平均ベースラインAM/PM症状スコアは、ITT集団(n=210)において1.37/1.37および1.50/1.52、ならびに第24週までにOCS使用を100%、低減した患者(40.5%)において1.45/1.49および1.50/1.52であった。デュピルマブ群において、症状は迅速に改善し(第2週におけるAM/PM症状スコアのベースラインからのLS平均変化、-0.18/-0.23;どちらもプラセボに対してP<0.05)、第16週まで改善し続け(-0.47/-0.47、どちらもプラセボに対してP<0.05)、第24週までポジティブ効果を維持した(図25Aおよび図25C)。第24週までにOCS使用を100%、低減した、デュピルマブ群における患者は、類似したパターン応答を示し、症状改善がより大きかった(図25Bおよび図25D)。全体として、プラセボ処置患者に対してデュピルマブ処置患者において生じた最も頻度の高い治療創発的有害事象は、好酸球増加症であった(1%に対して14%)。注射部位反応は、プラセボ処置患者の4%に対してデュピルマブ処置患者の9%で生じた。
【0261】
デュピルマブは、OCS依存性重度喘息を有する患者において、OCS退薬にも関わらず、迅速かつ持続性様式で朝および晩の一日の喘息症状を改善した。症状改善は、第24週までにOCS使用を100%低減した患者において最も高かった。デュピルマブは全般的に耐容性が良かった。
【0262】
集団:ITT;100%OCS低減の部分群。評価項目:処置期間中のAM/PM喘息症状におけるベースラインからのLS平均変化。処置アーム:デュピルマブ300mg
q2w;プラセボ。
【0263】
喘息管理および健康状態に関連した生活の質
喘息管理を、妥当性が確認されている5項目喘息管理質問票(ACQ-5)の電子日記における毎週の記録により評価し、そのACQ-5に関して、より高いスコア(範囲0~6)がより低い管理を示した。健康状態に関連した生活の質(HRQoL)を、自己記入式7項目喘息生活の質質問票(AQLQ)を用いることにより評価し、そのAQLQに関して、より高い総合スコア(範囲0~7)がより良いHRQoLを示した。24週間の処置期間中のACQ-5およびAQLQのスコアにおけるベースラインからの変化を、反復測定での混合効果モデルを用いることにより解析した。
【0264】
デュピルマブ群およびプラセボ群それぞれにおいて、平均ベースラインACQ-5スコアは2.42および2.58であり、平均ベースラインAQLQスコアは4.38および4.31であった。デュピルマブ群において、喘息管理は、迅速に向上し(第2週、ACQ-5スコアにおけるベースラインからのLS平均変化、0.57;プラセボに対してP=0.002)、第12週にさらに向上し(1.01;プラセボに対してP=0.001)、第24週まで安定した状態を保った(1.05;プラセボに対してP=0.002)(図26A)。デュピルマブ処置を受けた患者において、AQLQスコアにおけるベースラインからのLS平均向上0.76が第12週に観察され(プラセボに対してP=0.14)、それは、第24週に0.89へさらに向上した(プラセボに対してP=0.008)(図26B)。全体として、プラセボ処置患者に対してデュピルマブ処置患者において生じた最も頻度の高い治療創発的有害事象は、好酸球増加症であった(1%に対して14%)。注射部位反応は、プラセボ処置患者の4%に対してデュピルマブ処置患者の9%で生じた。
【0265】
プラセボに対する追加のデュピルマブは、OCS依存性重度喘息を有する患者において、喘息管理を有意に向上させ、HRQoLを向上させた。喘息管理の向上は、早くも第2週に生じ、24週間、維持された。デュピルマブは全般的に耐容性が良かった。
【0266】
集団:ITT。評価項目:第2週、第12週、および第24週におけるACQ-5のベースラインからのLS平均変化;第12週および第24週におけるAQLQのベースラインからのLS平均変化;処置期間中の安全性。処置アーム:デュピルマブ300mg q2w;プラセボ。
【0267】
安全性
TEAEの発生率は、安全性集団において処置群に渡って類似していた(デュピルマブ対プラセボについて62.1%対64.5%)。デュピルマブで処置された患者対プラセボで処置された患者の≧5%において最も頻繁に生じた国際医薬用語集(MedDRA)基本語によるTEAEは、ウイルス性上気道感染症(8.7%対17.8%)、気管支炎(6.8%対5.6%)、副鼻腔炎(6.8%対3.7%)、インフルエンザ(2.9%対5.6%)、注射部位反応(8.7%対3.7%)、および好酸球増加症の検査室測定(「好酸球数増加」および「好酸球増加症」基本語をグループ化した)(13.6%対0.9%)であった。研究プロトコールにつき、処置での好酸球数>細胞3,000個/μLの全症例はAEとして報告されることになっており、プラセボ群における0.9%に対してデュピルマブ処置患者の12.6%において生じた。報告された好酸球増加症TEAEはすべてもっぱら、いかなる臨床的帰結も関連AEも含まない検査室所見のみであった。
【0268】
重篤なTEAEは、9人(8.7%)のデュピルマブ処置患者および6人(5.6%)のプラセボ処置患者において報告された;重篤なTEAEは、本治験薬と関係していなか
った。本研究において死亡はなかった。治療創発的抗薬物抗体応答は、各群において5人の患者(デュピルマブ5.0%;プラセボ4.7%)に観察され、効能へも安全性へも有意な影響は生じなかった。
【0269】
【表10】
【0270】
方法
研究デザインおよび監視
この第3相の多国籍、無作為化、二重盲検、プラセボ対照研究は、経口グルココルチコイド依存性重度喘息を有する患者においてデュピルマブの効能および安全性を評価した。患者は、8~10週間の経口グルココルチコイド用量最適化期間、その後、24週間の処置期間のデュピルマブまたはプラセボへの1:1無作為化を終了した。この処置期間は、最適化された経口グルココルチコイド用量が継続される、4週間の誘導期間;グルココルチコイド用量がプロトコールにより事前指定されたアルゴリズムに従って4週間ごとに漸減される、16週間の経口グルココルチコイド低減期間(第4~20週);患者が、第20週に確立されたグルココルチコイド用量を続ける、4週間の維持期間;および12週間の処置後評価期間からなった。処置を終了した適格患者は、長期のオープンラベルの延長研究に入ることを許された。
【0271】
本研究を、ヘルシンキ宣言、調和国際会議の良き臨床上の基準ガイドライン(International Conference on Harmonization Good Clinical Practice guidelines)、および適
用される規制上の要件に従って行った。独立データ安全性モニタリング委員会は、患者安全性データの盲検モニタリングを行った。各研究センターにおける地方施設内治験審査または倫理委員会は、治験行為および証拠書類を監視した。全患者は、治験に参加する前に、書面によるインフォームドコンセントを提供した。
【0272】
患者
喘息管理に関する国際指針2014ガイドラインに基づいて12カ月以上の喘息と医師に診断された12歳以上の患者が参加するのに適格であった。患者は、スクリーニング前の4週間の間の、過去6カ月間における定期的な全身性グルココルチコイド(プレドニゾンもしくはプレドニゾロンまたは等価物5~35mg/日)、および3カ月以上の間の最高2つまでの長期管理薬(例えば、長時間作用性β2刺激薬またはロイコトリエン受容体拮抗薬)と組み合わせた高用量吸入グルココルチコイド(プロピオン酸フルチカゾン>500μg総一日量または等効力の等価物)を受けていることが要求された。適格患者は、スクリーニング来院1前の12カ月間に実証された、気管支拡張薬使用前の1秒量(FEV)≦予測正常値の80%(青年について≦90%)、12%以上かつ200mL以上のFEV可逆性、または気道過敏症を有しなければならなかった。ベースライン血中もしくは痰好酸球数またはいかなる他の2型バイオマーカー(例えば、FeNOまたはIgE)についての最小必要条件もなく、患者をリクルートした。重要な除外基準は、喘息以外の肺疾患、来院1後4週間以内に救急処置または入院を必要とする喘息の悪化、および現喫煙者、またはスクリーニング前の6カ月以内に止めた、もしくは10箱年より長い喫煙歴を有した喫煙者を含んだ。
【0273】
処置および手順
患者を、2週間ごとに(q2W)、追加治療として(第1日における負荷用量600mgの後)皮下デュピルマブ300mg、または対応したプラセボを受けるように無作為化(1:1)した。無作為化を、双方向音声/ウェブ応答テクノロジーにより行い、患者を、最適化経口グルココルチコイド用量(プレドニゾン/プレドニゾロン≦10mg/日または>10mg/日)および国により層別化した。他の経口グルココルチコイドを用いる患者を、スクリーニング期間中、臨床的に同等の用量のプレドニゾンまたはプレドニゾロンに切り替えさせた。
【0274】
最適化経口グルココルチコイド用量は、5項目喘息管理質問票(ACQ-5)スコアの0.5以上の増加も、重度増悪も、経口グルココルチコイド用量調整を必要とするいかなる臨床的に有意な事象も経験することなく、患者が許容することができる最低用量として定義された。用量低減期中、経口グルココルチコイド用量を、臨床的に有意な事象のリスクおよび以前の用量からのキャリーオーバー効果を最小限にするために4週間ごとに低減した。安全性の理由を除いて、第20週を越えてからは、用量調整を許可しなかった。バ
ックグラウンド喘息長期管理薬を、安定用量で継続し、短時間作用性β2刺激薬使用を、喘息症状のために必要とされる場合、許可した。
【0275】
評価項目
主要効能評価項目は、喘息管理を維持しながらのベースラインから第24週への経口グルココルチコイド用量のパーセンテージ低減であった。患者は、経口グルココルチコイド用量調整を必要とする(治験責任医師の判断に基づいた)臨床的に有意な事象がない場合には、第20週から第24週の間、喘息管理が維持されているとみなされた。増悪を経験した患者について、最終経口グルココルチコイド用量は、彼らが増悪時点で受けていた用量より1段階高いとみなされた。
【0276】
喘息管理を維持する患者において評価される重要な副次効能評価項目は、経口グルココルチコイド用量のベースラインからの≧50%低減を達成した患者の割合、および経口グルココルチコイド用量の<5mg/日への低減を達成した患者の割合であった。他の副次評価項目は、経口グルココルチコイド用量の絶対的低減、最大可能経口グルココルチコイド用量低減を達成した患者の割合、および経口グルココルチコイドをもはや必要としない患者の割合を含んだ。
【0277】
追加の効能評価項目は、処置期間中の重度増悪事象(入院、救急外来受診、または現在用量の少なくとも2倍の全身性グルココルチコイドでの3日間以上の処置を必要とすると定義される)の年率;第2週、第4週、第8週、第12週、第16週、第20週、および第24週における気管支拡張薬使用前のFEVのベースラインからの絶対的変化;ならびに第24週におけるACQ-5スコアのベースラインからの変化を含んだ。
【0278】
FeNO(ppb)のベースラインからの絶対的変化の予備的評価項目を、第2週、第4週、第8週、第12週、第16週、第20週、および第24週にNIOX機器(Aerocrine AB、Solna、Sweden)を用いて評価した。
【0279】
統計解析
処置群当たり90人の無作為化患者が、50%の共通標準偏差を仮定する1日グルココルチコイド用量における27%の処置差を検出する94%検出力(α=0.05における両側検定)を本研究に与えると推定された。
【0280】
主要評価項目を、共分散分析(ANCOVA)モデルを用いて分析した。モデルは、応答変数として第24週における経口グルココルチコイド用量のパーセンテージ低減、ならびに共変数として処置群、ベースラインにおける最適化経口グルココルチコイド用量、地域(実施国)、およびベースライン好酸球部分群(≧細胞150個/μL、<細胞150個/μL)を含んだ。処置差を、α=0.05の両側有意レベルで検定した。本研究を中止した、または第24週に経口グルココルチコイド用量データを失っている患者(デュピルマブ群における2人の患者およびプラセボ群における1人)について、主要な欠測データ対処法は、多重代入法によるパターン混合モデル(MIによるPMM)であった。
【0281】
重要な副次および他の二元副次評価項目を、ロジスティク回帰モデルを用いて解析した。24週間の処置期間中の重度増悪事象の年率を、負の二項回帰モデルを用いて解析した。反復測定アプローチでの混合効果モデルを用いて、24週間の処置期間中の様々な時点におけるベースラインからの気管支拡張薬使用前のFEV変化および第24週におけるベースラインからの5項目喘息管理質問票(ACQ-5)変化を解析した。
【0282】
受けた処置に関わらず、割り当てられた処置に従って解析されたすべての無作為化患者として定義される治療企図(ITT)集団に、効能解析を実施した。主要評価項目および
重要な副次評価項目、FEV、ならびに重度喘息増悪率もまた、ベースライン血中好酸球レベル(≧細胞300個/μL、<細胞300個/μL、≧細胞150個/μL、および<細胞150個/μL)により定義された患者の部分群において解析した。安全性集団は、治験処置の1以上の用量または部分的用量を受けた全患者を含み、受けた処置に従って解析された。
【0283】
すべての解析は、SASソフトウェア、バージョン9.4(SAS Institute)を用いて行った。
【0284】
結論
この研究は、追加治療としてのデュピルマブが、経口グルココルチコイド依存性重度喘息を有する患者において経口グルココルチコイド使用を有意に低減させ、全集団において、重度喘息増悪を59.3%、低下させ、かつFEVを0.22L、向上させ、ベースライン血中好酸球≧細胞300個/μLを有する「好酸球性」患者においては、増悪の71%低下およびFEVの0.32L向上を実証した。デュピルマブ処置はまた、喘息管理を向上させ、気道2型炎症のマーカーである、FeNOレベルを低下させた。
【0285】
(プラセボに対して)2週間ごと(q2w)の追加デュピルマブ300mgは、第24週に経口コルチコステロイド(OCS)使用を有意に低減させ(最小二乗[LS]平均 41.9%に対して70.1%、中央値 50%に対して100%)、同時に、24週間の処置期間中の重度喘息増悪率を低下させ(59%)、かつ第24週における1秒量(FEV)を向上させ(LS平均差0.22L)、全般的に、OCS依存性重度喘息を有する患者において耐容性が良かった。
【0286】
デュピルマブは、ベースライン血中好酸球数(すなわち、≧300、<300、≧150、および<細胞150個/μL)に関係なく、全研究集団において複数の喘息アウトカム尺度に基づいた正の効能を示す最初の生物製剤である。実際、登録された患者の28.6%は、<細胞150個/μLのベースライン血中好酸球を有した。この部分群において、デュピルマブ処置患者の75%が経口グルココルチコイド用量を50%、低減し、患者の62%が経口グルココルチコイド用量を<5mg/日に低減した。これらのデータは、もっぱら高いベースライン血中好酸球を有する患者においてのみ処置効果を示した、メポリズマブおよびベンラリズマブを含む抗インターロイキン-5モノクローナル抗体に関する以前の研究と対照的である。
【0287】
この研究において、プラセボ処置患者もまた、経口グルココルチコイド依存の41.9%低下を示した。臨床研究設定における薬物レジメンへのより良いアドヒアランス(adherence)が、この観察に寄与している可能性がある。しかしながら、本研究の終わりに近
づくにつれて、これらのプラセボ処置患者は、肺機能(FEV)の軽度の悪化を示し、経口グルココルチコイド依存性重度喘息を有する患者において肺機能を改善する処置の必要性をさらに浮き彫りにした。デュピルマブの、グルココルチコイド退薬の際でさえも、この研究において増加させたのと同じくらい顕著に肺機能を増加させる能力は、それが、肺機能の低下をもたらす肺炎症の主要な駆動因子を阻害しているらしいことを示している。
【0288】
デュピルマブは、慢性グルココルチコイド使用にも関わらず、(FeNOの上昇により決定された)持続性2型炎症を有する研究集団において、経口グルココルチコイドの有意な退薬の設定で、FeNOレベルを低下させた。
【0289】
デュピルマブは、最小ベースライン血中好酸球数を必要とすることなく、より広範囲の集団において、経口グルココルチコイド用量を観測平均74%(観測中央値100%)、
低減させた。科学的理論によって縛られるつもりはないが、これらの所見は、インターロイキン-4受容体-α遮断を通してインターロイキン-4およびインターロイキン-13シグナル伝達経路を二重遮断する、デュピルマブが、好酸球のみをターゲットすることより広く、2型炎症を阻害することを示している。インターロイキン-4は、2型ヘルパーT細胞の分化および増殖、サイトカイン産生の誘導、およびIgE合成の中心であるが、インターロイキン-13は、杯細胞過形成、粘液産生、平滑筋収縮性、および気道過敏などの疾患の病理学的特徴において中心的役割を果たす。
【0290】
グルココルチコイド依存性重度喘息を有する患者において、デュピルマブは全般的に耐容性が良く、安全性プロフィールは、喘息、ならびに好酸球性食道炎、鼻ポリープ症、およびアトピー性皮膚炎などの他の適応症における以前の研究と一致している。デュピルマブ処置患者は、プラセボと比較して、血中好酸球数のベースラインからのより大きい平均一過性増加を示し、好酸球数>細胞3,000個/μLを有する患者の割合(12.6%)が増加した。血中好酸球の一過性上昇を有する患者は、同時の臨床的AEまたは帰結を生じなかった。血中好酸球数の増加は、デュピルマブが好酸球の生存、活性化、および組織への動員におけるインターロイキン-4およびインターロイキン-13機能を遮断するが、好酸球を骨髄から消失させず、結果として、循環好酸球数の一過性増加を生じるという仮説と一致する。グルココルチコイドは循環好酸球を抑制するため、デュピルマブ群における経口グルココルチコイドのより大きい低減もまた、好酸球上昇に寄与し得る。処置に関連した結膜炎AEは、デュピルマブのアトピー性皮膚炎研究と対照的に、デュピルマブ群とプラセボ群の間で観察されなかった。
【0291】
結論として、デュピルマブでの追加治療は、ベースライン血中好酸球数を問わず、グルココルチコイド依存性重度喘息患者において、経口グルココルチコイドの必要性を有意に低下させ、同時に、重度増悪を低下させ、かつ肺機能(FEV)を改善し、全般的に耐容性が良かった。
【実施例0292】
QUEST第III相治験研究(NCT02414854)
方法
ICSおよび1つまたは2つの長期管理薬では管理されない中等度~重度の喘息を有する12歳以上の喘息患者を、二重盲検、プラセボ対照第3相研究(NCT02414854)において、52週間の間の2週間ごと(q2w)の追加の皮下デュピルマブ200mgもしくは300mg、または対応したプラセボへ2:1に無作為化した。主要評価項目は、全研究集団における重度喘息増悪の年率、および気管支拡張薬使用前の1秒量(FEV)のベースラインから第12週までの絶対的変化であった。副次評価項目は、≧300好中球/μLを有する患者における増悪およびFEVを含んだ。喘息管理およびデュピルマブ安全性もまた評価した。複合主要評価項目(Co-primary endpoints)は、52週間に渡る年換算での重度増悪率、およびFEV(L)におけるベースラインから第12週までの変化であった。
【0293】
本研究の特定の詳細は下に記載されている。この無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群治験は、中等度~重度の非管理喘息を有する患者においてデュピルマブの効能を評価した。患者は、4±1週間のスクリーニング期間、その後、デュピルマブおよび対応量のプラセボへの無作為化、52週間の無作為化処置期間、および処置後12週間の追跡期間を終了した(図7参照)。
【0294】
患者
喘息管理に関する国際指針2014ガイドラインに基づいて12カ月以上の持続性喘息と医師に診断された12歳以上の患者が参加するのに適格であり、下記の重要な基準を満
たした:中~高用量吸入グルココルチコイド(プロピオン酸フルチカゾン>500μg総一日量または等効力の等価物)、加えて、最高2つまでの追加の長期管理薬(例えば、長時間作用性β刺激薬またはロイコトリエン受容体拮抗薬)による現在の処置;気管支拡張薬(BD)使用前の1秒量(FEV)≦予測正常値の80%(12~17歳の患者について≦90%);12%以上かつ200mL以上のFEV可逆性;5項目喘息管理質問票(ACQ-5)スコア≧1.5;入院、緊急医療、または3日間以上の全身性グルココルチコイドでの処置を必要とした、前年における喘息の悪化。患者を、ベースライン血中好酸球数または2型バイオマーカーに関係なく、募集した(図8参照)。
【0295】
処置および手順
患者を、2週間ごと(q2w)の皮下デュピルマブ200mg(負荷用量400mg)もしくは300mg(負荷用量600mg)、または(プレフィルドシリンジ、デュピルマブ200mgについて1.14mlおよびデュピルマブ300mgについて2.0mlで供給される)各活性用量に対応した量のプラセボでの52週間の追加治療を受けることに無作為化した(2:2:1:1)。無作為化を、双方向音声/ウェブ応答テクノロジーにより行い、年齢(<18歳、≧18歳)、スクリーニング時点の末梢血中好酸球数(<細胞300個/μL、≧細胞300個/μL)、吸入グルココルチコイド用量レベル(中/高)、および国により層別化した。バックグラウンド喘息長期管理薬は、本研究を通して安定用量で継続され、電子日記に患者により毎日、記録された。吸入グルココルチコイド、長時間作用性β刺激薬、長時間作用性ムスカリン拮抗薬、抗ロイコトリエン、およびメチルキサンチンの使用が許可された。本研究を通して、患者は、症状緩和のために必要に応じて、短時間作用性β-アドレナリン受容体刺激薬を用いることが許された。2型バイオマーカーを測定した;バイオマーカーは、血中好酸球、FeNO、血清IgE、ペリオスチン、TARC、および血漿エオタキシン-3を含んだ。
【0296】
評価項目
主要効能評価項目は、全研究集団における、52週間の処置期間中の重度増悪事象の年率、および第12週でのBD使用前のFEVのベースラインからの絶対的変化であった。これらの評価項目はまた、血中好酸球数≧300好酸球/μLを有する患者についての副次研究評価項目としても含まれた。追加の副次研究評価項目は、表8に要約されている。重度喘息増悪は、全身性グルココルチコイドでの3日間以上の処置、または全身性グルココルチコイドを必要とする入院もしくは救急外来受診を必要とする喘息の悪化として定義された。安全性および耐容性を、治療創発的有害事象(TEAE)および重篤なTEAEの発生率により報告した。
【0297】
【表11】
【0298】
統計解析
およそ1638人の患者のサンプルサイズが、重度増悪の年率において55%相対リスク低下(すなわち、プラセボ群およびデュピルマブ群それぞれについての0.6および0.27の年率)を検出する99%検出力(α=0.05における両側検定)を本研究に与えるだろうと推定された。このサンプルサイズはまた、ベースラインから第12週までのBD使用前のFEV変化の0.15L処置差を検出する98%検出力を提供することが予想された。処置が受け入れられたかどうかに関わらず、割り当てられた処置によるすべての無作為化患者として定義される治療企図(ITT)集団に効能解析を実施した。共変
数として含まれる4つの処置群、年齢、地域、ベースライン好酸球層、ベースライン吸入グルココルチコイド用量レベル、および1年前の増悪を含む、負の二項回帰モデルを用いて、重度増悪の年率を解析した。FEVおよび患者により報告されるアウトカムのような連続的評価項目のベースラインからの変化を、反復測定での混合効果モデル(MMRM)を用いて解析し、そのMMRMは、共変数として、処置、年齢、ベースライン好酸球層、ベースライン吸入グルココルチコイド用量レベル、来院、処置/来院相互作用、ベースライン値、およびベースライン/来院相互作用を含んだ。性別およびベースライン身長を、肺活量計パラメーターについてのモデルにおいてのみ、共変数として含めた。
【0299】
結果
ITT集団のベースライン人口統計および臨床特徴は表4に示されており、全般的に、4つの処置群に渡って類似していた(表10)。1,902人の患者において、プラセボと比較して、デュピルマブ200/300mg q2wは、52週間の処置期間中、年換算での重度増悪率を48%/46%(どちらもP<0.0001)、低下させた(図9A)。FEVの向上は、全集団において第12週に観察された(プラセボに対してLS平均差0.14L/0.13L;どちらもP<0.0001)。
【0300】
ベースライン血中好酸球数による事前指定部分群分析は、対応量のプラセボと比較してデュピルマブ200mgおよび300mgに関して、≧300好酸球/μLを有する患者(プラセボに対して65.8%および67.4%低下)および≧150好酸球/μLを有する患者(プラセボに対して55.8%および59.8%低下)において、増悪率の有意な低下(P<0.001)を示した。<300好酸球/μLを有する患者において増悪およびFEVアウトカムで、一致した傾向があったが、有意性はなかった。ベースラインFeNOレベルによる事前指定部分群分析は、類似した効果を示した(P<0.001)。(図9Bおよび表9参照)。
【0301】
【表12】
【表13】
【0302】
全研究集団において、デュピルマブ200mgおよび300mg q2wは、第12週にBD使用前FEVをそれぞれ、0.32Lおよび0.34L、向上させた(対応プラセボに対して0.14Lおよび0.13Lの差、P<0.001)(図10A)。≧300好酸球/μLを有する患者において、FEV向上はより大きく、デュピルマブは、第12週におけるFEVをそれぞれ、0.43Lおよび0.47L(対応プラセボに対して0.21~0.24L差、P<0.001)、向上させた。(図10B参照。)FEVの向上は、迅速であり(両方のレジメンについて、第2週における最初の評価により明らかな、プラセボと比較した有意差がある)、52週間の処置期間を通して持続した(第52週における両方のレジメンについてP<0.001)。加えて、第8週から第52週の間の気管支拡張薬使用後FEV勾配分析は、プラセボに関する0.04L/年の肺機能の喪失、およびいずれのデュピルマブ用量に関しても喪失はなかったことを示した(P<0.05)。
【0303】
両方の用量レジメンでの第12週におけるFEV向上(P<0.05)は、より高い
ベースラインFeNOレベルを有する患者の部分群においてより高かった(25ppb≦FeNO<50ppbについて0.19Lおよび0.12L;FeNO≧50ppbについて0.30Lおよび0.39L)。(図10Cおよび表8参照。)
【0304】
加えて、デュピルマブ200mgおよび300mgは、プラセボに対して気管支拡張薬使用前FEVのベースラインから第12週までのパーセンテージ変化を有意に向上させた:それぞれ、12.11%に対して21.34%、および13.67%に対して23.08%(P<0.001)。52週間の処置期間中の入院または救急外来受診を生じる重度増悪事象率は、組み合わせたデュピルマブ処置患者を組み合わせたプラセボ処置患者と比較すると、0.065に対して0.035であった(P=0.004)。これは、プラセボに対してデュピルマブについて46.8%の相対リスク低下を生じた。(表9参照。)
【0305】
デュピルマブは、早くも第2週にACQ-5を有意に改善させ、その効果は、処置の過程に渡って持続した(P<0.01)。同様に、喘息生活の質質問票、標準化バージョンスコア、AMおよびPM喘息症状スコア、ならびにAMおよびPMピーク呼気流量が、第24週および第52週に改善された。(表9参照。)
【0306】
デュピルマブで処置された患者は、プラセボに対して、FeNO、総IgE、ペリオスチン、エオタキシン-3、およびTARCにおいて処置の過程に渡ってベースラインからのより大きい低下を示した(表13)。血中好酸球数の一過性上昇は、両方の処置群に観察され、第52週までにベースラインレベル近くへ減少した。
【0307】
2型炎症のエビデンスを有する患者へのデュピルマブの効果をより良く理解するために、バイオマーカー効能関連性を評価する解析を行った。各バイオマーカーを、増悪およびFEVに関して、バイオマーカー/処置相互作用についてのペナルティなしスプラインモデル(un-penalized spline model)において検定した。これらの解析において、好酸
球とFeNOの相互作用は、増悪がアウトカム尺度である場合、有意であったが(P<0.005)、好酸球、FeNO、ペリオスチン、ECP、IgE、およびエオタキシン-3は、第12週におけるFEVについて有意であった(表11)。増悪へのデュピルマブ効果は、ベースラインにおける中央値(167IU/mL)より上および下のIgEレベルについて類似しており、中央値より上のIgEレベルについてFEV向上がより大きかった。
【0308】
ベースライン血中好酸球≧細胞150個/μLおよびFeNO≧25ppb(2型 -
高い)を有する、デュピルマブ処置患者は、重度増悪率低下とFEV向上の両方についてプラセボに対してより高い処置恩恵を経験した。(図11Aおよび図11B参照。)ベースライン好酸球<細胞150個/μLおよびFeNO<25ppb(2型 - 低い)を有する患者において処置効果は観察されなかった。しかしながら、ベースライン血中好酸球<細胞150個/μLおよびFeNO≧25ppbかまたはベースライン血中好酸球≧細胞150個/μLおよびFeNO<25ppbのいずれかを有するデュピルマブ処置患者は、重度増悪率の数値の低下を経験した。
【0309】
プラセボ群に対してデュピルマブ処置患者処置群における最も頻度の高い有害事象は、注射部位反応であった(それぞれ、5%/10%に対して15%/18%)。アトピー性皮膚炎におけるデュピルマブ研究とは対照的に、結膜炎率はデュピルマブとプラセボの間で類似していた。
【0310】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【0311】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【0312】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【0313】
【表26】
【表27】
【表28】
【表29】
【表30】
【表31】
【表32】
【0314】
【表33】
【表34】
【0315】
考察
デュピルマブは、ITT集団において年換算での重度増悪率を有意に低下させ、血中好酸球およびFeNOのベースラインレベルの増加と共により大きい処置効果が観察された
。デュピルマブはまた、最も重度の喘息増悪、入院または救急外来受診を必要とするものの率を有意に減少させた。時間経過によるFEVおよび喘息管理の評価は、デュピルマブの効能が迅速であり、両方の用量レジメンについて、プラセボに対する有意差が早くも第2週における最初の評価で明らかにあり、52週間の処置期間を通して維持された。0.32~0.34LのFEVにおける有意かつ臨床的に意味ある向上が、ベースライン血中好酸球数に関係なく、第12週で観察され、ベースライン血中≧300好酸球/μLを有する患者において0.43~0.47Lのさらにより大きい増加があった。
【0316】
さらに、気管支拡張薬後FEV勾配分析は、プラセボ患者において観察された肺機能の喪失と比較して、デュピルマブ処置患者において喪失は観察されなかったことを示し、デュピルマブの気道組織修復への潜在的効果を示唆した。勾配分析は、プラセボ患者が年間で平均約40mL、喪失したことを示し、それは他の喘息コホートからのデータと一致する。さらに、IL-4Rαは平滑筋細胞上に発現しているので、抗2型炎症効果に加えて、本薬物の直接的気管支拡張効果がある可能性がある。
【0317】
デュピルマブに関して見られた一貫し、かつ顕著な改善は、それの独特な作用機構に起因する可能性が高い。支払者の費用対効果の懸念によって動かされる、喘息コミュニティの増悪への集中の最近の増加と共に、有意な罹患率、および中等度~重度の喘息患者に見られる肺機能の実質的な喪失に関連した生活の質の問題から重点が離れてしまっている。最新の治療にも関わらず、これらの中等度~重度の喘息患者は、肺機能をさらに喪失し、時間と共に衰え続ける運命にある。したがって、新しい処置が、肺機能の臨床的に意味あるレベルの実質的な回復を提供し、かつおそらく、さらに将来的な悪化を食い止めることができるという可能性は、これらの患者へ多大な恩恵をもたらすことができる。
【0318】
この研究の結果は、インターロイキン-4およびインターロイキン-13が喘息における2型炎症の重要な近位駆動因子であることを確認している。デュピルマブは、IgEなどの他の全身性2型バイオマーカーに加えて、FeNOレベルを有意に低下させ、気道炎症へのそれの生物活性を確認している、最初の生物製剤である。科学的理論に縛られるつもりはないが、インターロイキン-4およびインターロイキン-13シグナル伝達の二重遮断を有するデュピルマブの独特な作用機構が、なぜ、デュピルマブが、より広範囲の患者集団における有意な処置効果、および肺機能の改善への前例のない効果を示すのかを説明することができ、それの抗炎症効果に加えて潜在的な直接的気管支拡張効果を示唆している。この研究が、デュピルマブに関するその他の2つの重要な研究と比較して、恩恵の、血中好酸球のベースラインレベルとの最も顕著な関連を示していることは注目に値する。なぜ、その関連がこの研究においてより顕著であるかをはっきり説明できないが、血中好酸球は、2型炎症の不十分な尺度である可能性があり、FeNOなどの2型炎症の他のバイオマーカーが重要であり得ることを示している。とは言っても、全般的に、すべての3つの研究に渡って、デュピルマブは、他の認可された生物製剤について必要とされている、血中好酸球レベルかまたはIgEレベルのいずれかの上昇によってのみ定義される喘息集団より広範囲の喘息集団に対処するように思われる。
【0319】
デュピルマブ活性は、いくつかのアトピー性/アレルギー性状態(それらは、喘息患者において併存する場合が多い)に対して実証されている。この研究において、患者の80%より多くが、アトピー性皮膚炎(集団の約10%)、鼻ポリープ症(集団の約20%)、およびアレルギー性鼻炎(集団の65%より多く)を含む、併存するアトピー性またはアレルギー性状態を患っていた。併存するアトピー性/アレルギー性状態の高い率は、これらの患者が、2型炎症軸の全身性活動亢進を患っており、したがって、喘息のデュピルマブでの処置が、同時に、これらの関連した状態を軽減するのを助け得ることを示唆する。
【0320】
デュピルマブは全般的に耐容性が良く、容認できる安全性プロフィールを有した。注射部位反応を例外として、TEAEの発生率は処置群に渡って類似していた。作用機構と一致して、かつアトピー性皮膚炎治験で観察されたものと同様に、デュピルマブ処置患者は、プラセボと比較して血中好酸球数のベースラインからのより大きい平均一過性増加を示した。研究プロトコールごとに、処置での好酸球数>細胞3,000個/μLの全症例は、この研究におけるAEとして報告されることになっていた。観察された好酸球数の上昇の大部分は、臨床的帰結または関連AEを含まない、検査室所見であった。血中好酸球数の増加は、デュピルマブが、好酸球の生存、活性化、および組織への動員におけるインターロイキン-4およびインターロイキン-13の機能を遮断するが、IL-5により影響される骨髄からは好酸球を消失させないという仮説と一致する。結果として、デュピルマブでの初回処置は、循環血中好酸球数の一過性増加を生じ得る。処置に関連した結膜炎AEは、デュピルマブアトピー性皮膚炎研究とは対照的に、デュピルマブ群とプラセボ群の間で観察されなかった。
【0321】
結論として、中等度~重度の非管理喘息を有する患者におけるデュピルマブの、今までで最も大きい研究において、デュピルマブでのインターロイキン-4およびインターロイキン-13の二重遮断が、広範囲の喘息集団を効果的に処置し、重度増悪率の有意な低下、肺機能および喘息管理の迅速かつ持続的改善、ならびに症状緩和をもたらすことが、ここで実証されている。最もロバストな結果は、好酸球数およびFeNOを含む2型免疫特徴の上昇を有する患者において観察された。デュピルマブは、中等度~重度の喘息患者の複数の研究において、ベースライン2型バイオマーカーレベルと関係なく、効能を示す唯一の生物製剤である。デュピルマブは全般的に耐容性が良く、容認できる安全性プロフィールを有した。これらのデータは、非常に満たされていない欲求を有するこの喘息患者の集団のための有効な追加治療としてのデュピルマブの使用を裏付けている。
【実施例0322】
QUEST第III相治験研究 - デュピルマブは、中等度~重度の非管理喘息を有する青年患者において、重度増悪率を低下させ、肺機能を改善する
子どもおよび青年における喘息の有病率は、過去30年間に渡って増加している(Asher (2014) Int.J.Tuberc.Lung Dis.)。2011年において、USAにおける青年(12~17歳)のおよそ11.4%が、現在、喘息を有すると報告された(Bloom (2011) Vital and Health Statistics Series)。
【0323】
喘息による罹患率は、青年において、より若い子どもにおいてと同じくらい高い(またはより高い場合が多い)が、青年は、あまり医療救済を求めようとはしない(Couriel (2003) J.Paediatric Resp.Rev.)。多くの青年は、彼らの喘息の重症度を過小評価し、気管支拡張薬に対する彼らの応答を過大評価する(Rhee (2008) J.Asthma;Andersson (2013) Pediatrics)。喘息は、青年の肉体的、心理的、および社会的健康に深く影響を及ぼし、彼らの健康に関連した生活の質に悪影響を及ぼす(Cui (2016) J.Pediatrics)。
【0324】
この研究は、中等度~重度の非管理喘息を有する青年(12~17歳)および成人(≧18歳)の部分群によるデュピルマブの効能および安全性を評価した。52週間の処置期間中に評価された評価項目は、重度増悪の年率および気管支拡張薬使用前FEV(L)のベースラインからの変化であった。ベースライン人口統計および臨床特徴は図12に示されている。
【0325】
組み入れ基準:12カ月間以上の非管理喘息(喘息管理に関する国際指針(GINA)
2014)と医師に診断された12歳以上;中~高用量のICS(吸入コルチコステロイド)+最高2つまでの追加の長期管理薬での処置を受けている;スクリーニング時点およびベースラインにおける気管支拡張薬使用前FEV(1秒量)≦80%(成人)および≦90%(青年)予測正常値;気管支拡張薬可逆性≧12%かつ≧200mL;スクリーニング時点およびベースラインにおけるACQ-5(5項目喘息管理質問票)スコア≧1.5;≧1の前年中増悪;ベースライン血中好酸球数または任意の他の2型バイオマーカーについての最小値必要条件なし。
【0326】
除外基準:慢性閉塞性肺疾患、または肺機能を損なう可能性がある他の肺疾患;登録来院から1カ月以内またはスクリーニング期間中の重度の喘息増悪;現喫煙者、またはスクリーニング前の6カ月以内に止めた、もしくは10箱年より長い喫煙歴を有する喫煙者;治験薬の評価に干渉する可能性がある併存する疾患。
【0327】
統計解析:処置を受けたかどうかに関わらず、割り当てられた処置によるすべての無作為化患者として定義されるITT集団に、効能解析を実施した。
【0328】
52週間の処置期間中の重度喘息増悪の年率を、負の二項回帰モデルを用いて解析した。52週間の処置期間中の様々な時点におけるFEVのベースラインからの変化を、反復測定での混合効果モデルを用いて解析した。
【0329】
主要評価項目の、重度喘息増悪率およびFEVをまた、年齢(<18歳および>18歳)により定義された患者の部分群において解析した。安全性集団は、治験処置の≧1の用量または用量の一部を受けたすべての患者を含み、受けた処置に従って解析した。
【0330】
デュピルマブは、全体のITT集団において、重度増悪を低下させ、FEVを向上させ(図13Aおよび図13B)、青年および成人において、重度増悪率を低下させ(図14Aおよび図14B)、青年および成人において、第12週(図15A)および第52週(図15B)に、加えて52週間の処置期間を通して(図16Aおよび図16B)、FEVを向上させた。
【0331】
デュピルマブは、青年および成人において、52週間の処置期間中、パーセント予測FEVを向上させた(図18Aおよび図18B)。FeNOレベル(図19Aおよび図19B)、ACQ-5スコア(図20Aおよび図20B)、およびAQLQスコア(図21Aおよび図21B)を評価した。
【0332】
青年は、107人/1,902人登録患者(デュピルマブ群34人、対応プラセボ群21人/18人);35.5%が女性であり、平均ベースラインFEVは2.33L、平均%予測FEV 70.45%、前年における重度増悪の平均数 1.91であった。プラセボを受けた青年は、成人(0.89/1.00)より少ない重度増悪(0.36/0.33)を経験した。青年において、デュピルマブ200mgは、年換算での増悪率を46.4%、低下させ、一方、デュピルマブ300mgは、プラセボに対して処置効果を生じなかった(科学的理論に縛られるつもりはないが、これは、おそらく、小さいサンプルサイズおよび事前事象の不均衡な数によると思われた(それぞれ、平均1.53対2.22))。未調整の増悪率は0.46(デュピルマブ300mg)および0.76(プラセボ)であった。プラセボに対するFEV(L)のベースラインからの変化における有意な向上が青年において見られ(デュピルマブ200mg:最小二乗平均0.36[95% CI 0.12~0.61];300mg:0.27[0.02~0.52])(P<0.05)、成人(200mgおよび300mg:0.12[0.07~0.18])に対して数値的に高かった。
【0333】
有害事象プロフィールは、部分群間で同等であった(図17図22図23、および図24)。組み合わされたデュピルマブ群においてより頻繁に生じた最もよく見られた治療創発的有害事象(TEAE)は以下であった:青年 - 気道感染 ウイルス性(プラセボ2人[5.1%]);デュピルマブ7人[10.3%]);成人 - 注射部位紅斑(プラセボ34人[5.7%];デュピルマブ168人[14.1%])。好酸球増加症は、成人集団にのみ観察された。
【0334】
デュピルマブは、中等度~重度の非管理喘息を有する成人において、重度増悪の年率を有意に低下させ、肺機能を改善した。FEVの向上は迅速であり、52週間の処置期間を通して持続した。デュピルマブはまた、中等度~重度の非管理喘息を有する青年において肺機能を有意に改善し、重度増悪について数値的な低下が観察された。
【0335】
成人においてのように、青年のFEVの向上は迅速であり、52週間の処置期間を通して持続した。FEVの向上の大きさは、青年においてより大きかった。デュピルマブは全般的に耐容性が良かった。
【実施例0336】
QUEST第III相治験研究 - デュピルマブは、中等度~重度の喘息を有する患者において、鼻結膜炎健康に関連した生活の質を向上させ、肺機能を改善し、重度増悪率を低下させた
併存するアレルギー性鼻炎を有する患者における健康に関連した生活の質
喘息患者における一般的な2型併存症である、アレルギー性鼻炎(AR)は、全体の疾病負荷の増加に寄与する。中等度~重度の非管理喘息患者における第3相LIBERTY
ASTHMA QUEST研究(NCT02414854)のこの分析は、自己報告された併存するARを有する患者において、標準化鼻結膜炎生活の質質問票[RQLQ(S)+12]へのデュピルマブの効果を評価した。
【0337】
12歳以上、中~高用量のICS+2つ以下の追加の長期管理薬では管理されない喘息患者は、52週間の間、2週間ごとに(q2w)追加のデュピルマブ200/300mgまたは対応プラセボを受けた。ARの自己報告された病歴を有する患者(63.5%;n/N=1,207/1,902)は、第12週および第25週に、妥当性が確認されているRQLQ(S)+12を終了した。臨床的AR診断は記録されなかった。
【0338】
全体のRQLQ(S)+12スコア(ベースライン平均[SD]1.90[1.12]~2.01[1.16])は、第52週にプラセボに対してデュピルマブ200/300mg q2wで有意に改善された(最小二乗平均差[95%CI]-0.42[-0.61、-0.24]/-0.39[-0.56、-0.21];P<0.0001)。デュピルマブ200/300mgは、プラセボに対して、ベースラインから第52週まで、活動(0.44[0.68、0.21]/0.39[0.61、0.16])、睡眠(0.47[0.69、0.25]/0.38[0.59、0.17])、および眼症状(0.37[0.58、0.16]/0.39[0.59、0.19])のドメインスコアを有意に(P<0.001)改善し;ならびにデュピルマブ300mgについては第12週までに改善した(それぞれ、0.23[0.42、0.04]、0.26[0.45、0.07]、0.26[0.45、0.08];P<0.05)。鼻症状ドメインスコアは、プラセボに対してデュピルマブ200/300mgで、第12週(0.36[0.56、0.16]/0.32[0.51、0.13];P<0.001)および第52週(0.61[0.84、0.39]/0.55[0.76、0.33];P<0.0001)までに有意に改善した。プラセボに対してデュピルマブにおいてより高い頻度で最もよく見られた有害事象は、注射部位反応であった(5%/10%に対して15%/18%)。
【0339】
デュピルマブは、中等度~重度の非管理喘息および併存するARを有する患者において鼻結膜炎特異的な健康に関連した生活の質を有意に向上させ、全般的に耐容性が良かった。
【0340】
集団:併存するARを有する患者。評価項目/来院:RQLQドメイン(鼻症状、眼症状、活動、睡眠)についての52週間の処置期間中のベースラインからのLS平均変化;安全性(ITT)。処置アーム:デュピルマブ200mgおよび300mg q2wならびに対応プラセボ。
【0341】
併存するアレルギー性鼻炎の有りまたは無しの患者における肺機能の改善および重度増悪の低下
併存するARの自己報告された病歴有り(63.5%;n/N=1,207/1,902)、または併存するAR無しの喘息患者(12歳以上、中~高用量のICS+2つ以下の追加の長期管理薬では管理されない)における第3相LIBERTY ASTHMA QUEST研究(NCT02414854)の事後解析は、2週間ごと(q2w)の追加のデュピルマブ200mgもしくは300mgまたは対応プラセボの、重度増悪の年率および1秒量(FEV)への効果を評価した。ARの臨床的診断は記録されなかった。
【0342】
AR有りまたは無しの患者のベースライン特徴は全般的に類似していた。重度増悪の年率は、デュピルマブ200mg q2wでプラセボに対して低下し(相対リスク AR有り:0.606[95% CI、0.451~0.814];P=0.0009;AR無し:0.406[95% CI、0.273~0.605];P<0.0001)、300mg q2wについて類似した結果であった。FEVは、デュピルマブ200mg q2wで第12週に向上し(プラセボに対するLS平均差 AR有り:0.14L[95% CI、0.07~0.21];P<0.0001;AR無し:0.13L[95% CI、0.05~0.22];P=0.0023)、第52週まで持続し(AR有りと無しの両方:P<0.0001)、300mg q2wについて、第52週に類似した結果であった。(プラセボ群に対して)デュピルマブ処置群において最もよく見られた有害事象は、注射部位反応であった(200mg/300mg対対応プラセボ:15%/18%対5%/10%)。
【0343】
この併存するARを有する管理し難い喘息集団において、および併存するAR無しの患者においても、デュピルマブは、FEVを有意に向上させ、年換算での重度増悪率を低下させた。
【0344】
集団:併存するAR有りおよび無しの患者(ARはCSRに従って定義された)。評価項目:第12週および第52週におけるFEVのベースラインからのLS平均変化;52週間の処置期間中の重度増悪。安全性:ITT。
【実施例0345】
QUEST第III相治験研究 - 中等度~重度の喘息を有する患者において、鼻ポリープ症を伴う併存する慢性副鼻腔炎(CRS+NP)または鼻ポリープ症を伴わない慢性副鼻腔炎(CRS-NP)の、有りおよび無しの喘息患者において、デュピルマブは2型バイオマーカーを抑制する
第3相LIBERTY ASTHMA QUEST研究(NCT02414854)において、対応プラセボに対する2週間ごとのデュピルマブ200/300mgは、中等度~重度の非管理喘息を有する患者において2型バイオマーカーを抑制し、鼻ポリープ症を伴う併存する慢性副鼻腔炎(CRS+NP)または(CRSwNP)を有する処置し難い部分群、および鼻ポリープ症を伴わない慢性副鼻腔炎(CRS-NP)を有する処置し難い部分群において、SNOT-22により評価される、健康に関連した生活の質を向上さ
せた。この事後解析は、この部分群において、2型バイオマーカーへのデュピルマブの効果を評価した。
【0346】
ベースライン/時間経過によるベースラインからの変化を、呼気一酸化窒素濃度(FeNO)、総IgE、およびエオタキシン-3について評価した。NPを伴う、または伴わないCRSは、20.1%(n/N=382/1,897)の患者によって自己報告された。
ベースラインFeNOおよびエオタキシン-3値は、CRS-NPまたはCRS+NPを有する患者において、それをもたない患者においてより、数値的に高かった。バイオマーカー抑制は、第12週までに、すべてのデュピルマブ処置患者において明らかであった。第52週に、有意なバイオマーカー抑制が、以下のベースラインからのパーセンテージ変化中央値(デュピルマブ200/300mg対対応プラセボ)により示されているように、CRS-NPまたはCRS+NPの有りおよび無しの患者において観察された:CRS-NPまたはCRS+NP有り:FeNO 46.2/37.7対5.5/6.4、IgE 74.8/76.8対0.0/2.0、エオタキシン-3 47.7/50.9対1.5/5.4(すべて、P≦0.0001);CRS-NPもCRS+NPも無し:FeNO 31.0/35.9対5.9/10.1、IgE 67.3/67.7対3.3/6.6、エオタキシン-3 31.8/37.2対0.0/0.8(すべて、P<0.0001)。プラセボに対してデュピルマブにおいてより高い頻度で最もよく見られた有害事象は、注射部位反応であった(5%/10%に対して15%/18%)。
【0347】
デュピルマブは、CRS+/-NP有りおよび無しの患者において局所的および全身的2型バイオマーカーを抑制した。
【0348】
集団:併存するCRSまたはNPの有りおよび無しの患者。評価項目:52週間の処置期間に渡る、ベースライン血清総IgE、血漿エオタキシン-3、およびFeNOからのパーセント変化。安全性:ITT。処置アーム:デュピルマブ200mgおよび300mg q2wならびに対応プラセボ。
【実施例0349】
QUEST第III相治験研究 - 中等度~重度の遅発性非管理喘息患者において、デュピルマブは重度増悪を低下させ、肺機能を改善する
第3相LIBERTY ASTHMA QUEST研究(NCT02414854)において、この事後解析は、喘息の晩期発症(>40歳)、およびベースライン気管支拡張薬使用前のFEV/努力肺活量[FVC]比<0.7(固定気道閉塞を示唆する)、または≧0.7を有する患者においてデュピルマブの効能を評価した。
【0350】
52週間の処置期間中の重度増悪の年率を、負の二項回帰モデルを用いて評価した。第12週および第52週における気管支拡張薬使用前および後のFEV(L)ならびに気管支拡張薬使用前のFEV/FVC比のベースラインからの変化を、反復測定での混合効果モデルを用いて解析した。
【0351】
プラセボに対するデュピルマブ200mgおよび300mg q2wは、遅発性喘息および固定気道閉塞を有する患者において(それぞれ、68.8%および75.7%、両方ともP<0.0001)、ならびに固定気道閉塞をもたない患者において(それぞれ、55.1%および50.7%、両方ともP<0.05)、重度増悪の年率を有意に低下させた(図27)。第12週に、気管支拡張薬使用前および後のFEVならびにFEV/FVC比は、遅発性喘息と固定気道閉塞を有するデュピルマブ処置患者において向上した(いずれかまたは両方の用量について、プラセボに対してP<0.05)。類似した向上は、第52週に観察された(デュピルマブ200mg q2w 気管支拡張薬使用前およ
び後のFEVについてP<0.05;デュピルマブ300mg q2w 気管支拡張薬使用前のFEV P=0.09、気管支拡張薬使用後のFEV P=0.06)。固定気道閉塞を伴わない遅発性喘息患者は、固定気道閉塞を伴う遅発性喘息患者より、第12週および第52週に、気管支拡張薬使用前のFEVの、プラセボに対するより穏やかな向上を生じた(P≧0.05)。対応プラセボに対してデュピルマブ処置群において最も頻繁な有害事象は、注射部位反応であった(5%/10%に対して15%/18%)。
【0352】
固定気道閉塞を伴う、または伴わない遅発性喘息を有する患者において、デュピルマブは重度増悪率を有意に低下させた。さらに、肺機能改善は、遅発性喘息と固定気道閉塞を有する患者において第12週および第52週に観察され、その患者は、典型的には、固定気道閉塞を伴わない遅発性喘息患者が経験するより悪い喘息アウトカムを経験する。
【0353】
集団:喘息の発症年齢>40歳およびBD使用後FEV/FVC<0.7であるITT集団;喘息の発症年齢>40歳およびBD使用後FEV/FVC≧0.7であるITT集団。
【0354】
評価項目/来院(要約に包含されるデータ):52週間の処置期間中の重度増悪;第12週および第52週におけるBD使用前FEV(L)のベースラインからのLS平均変化;第12週および第52週におけるBD使用後FEV(L)のベースラインからのLS平均変化;第12週および第52週におけるFEV/FVC比のベースラインからのLS平均変化;安全性。
【0355】
処置アーム:デュピルマブ200mg q2w、デュピルマブ300mg q2w、および対応プラセボ群。
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10-1】
図10-2】
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25-1】
図25-2】
図26
図27-1】
図27-2】
【配列表】
2023139071000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重度の非管理喘息を有する対象を処置するための方法であって、
インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の負荷用量を該対象に投与する工程;および
該抗体またはその抗原結合断片の複数の維持用量を該対象に投与する工程
を含み、該複数の維持用量は、誘導期、経口コルチコステロイド(OCS)低減期、およびOCS維持期を含む処置期中に投与される、前記方法。
【外国語明細書】