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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013912
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】タッチ表示モジュール
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20230119BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230119BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230119BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20230119BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
G06F3/041 490
G09F9/00 366A
G09F9/30 349E
G09F9/30 349Z
G02B5/30
G02F1/13363
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205970
(22)【出願日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】202110805606.2
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519308156
【氏名又は名称】ティーピーケイ アドバンスド ソリューションズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TPK ADVANCED SOLUTIONS INC
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】リウ ミンチュン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン イーラン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ヤーチン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ ポーユー
(72)【発明者】
【氏名】リウ シェンファ
(72)【発明者】
【氏名】チェン ウェイチョウ
(72)【発明者】
【氏名】ワン シュエフェン
(72)【発明者】
【氏名】ク ヨンビン
(72)【発明者】
【氏名】リン チアジュイ
(72)【発明者】
【氏名】リウ シャオジエ
(72)【発明者】
【氏名】ツァン シュエロン
(72)【発明者】
【氏名】シュー シャンビン
【テーマコード(参考)】
2H149
2H291
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H149AA01
2H149AA18
2H149AB01
2H149AB23
2H149BA02
2H149DA04
2H149DA18
2H149EA03
2H149FA05Y
2H149FD04
2H149FD10
2H291FA22X
2H291FA30X
2H291FA40X
2H291FB05
2H291LA11
2H291LA21
2H291PA42
2H291PA44
2H291PA52
2H291PA53
5C094AA11
5C094ED12
5C094ED14
5C094FB01
5C094FB12
5C094JA11
5C094JA12
5G435EE49
5G435FF05
5G435HH12
5G435HH20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】十分に低い反射率を有し、外部環境からの反射光を低減し、ディスプレイ品質に影響を与えない、タッチ表示モジュールを提供する。
【解決手段】タッチ表示モジュール100は、タッチ装置110と偏光素子150とを含む。偏光素子は、偏光子160とリタデーションフィルムアセンブリ170とを含む。リタデーションフィルムアセンブリは、偏光楕円率値(e値)を有し、e値の絶対値は、0.8より大きい。偏光素子の反射率は、6%未満であり、タッチ装置及び偏光素子の全反射率は7%未満である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ装置と、
前記タッチ装置上に配置された偏光素子とを備え、
前記偏光素子は、
直線偏光子と、
環境光が前記直線偏光子を透過して直線偏光を生成するとき、前記直線偏光が透過して円偏光に変換されるリタデーションフィルムアセンブリであって、前記円偏光に変換される前記直線偏光の割合がリタデーションフィルムアセンブリの偏光楕円率である、リタデーションフィルムアセンブリと、
を含み、
前記偏光楕円率の絶対値が、450nm~650nmの波長範囲で0.8より大きく、
前記偏光素子を通過する前記環境光の反射率は、450nm~650nmの波長範囲で6%未満である、
タッチ表示モジュール。
【請求項2】
前記タッチ装置と前記偏光素子との組み合わせは、
450nm~650nmの波長範囲における全反射率を有し、該全反射率は7%未満又は6%未満であるか、
又は、
450nm~650nmの波長範囲において、前記偏光素子と前記タッチ装置とを組み合わせた前後で達成される反射率変化率が、0%~15%、0%~13%、0%~8%、又は0%~2%の範囲である、
請求項1に記載のタッチ表示モジュール。
【請求項3】
前記偏光楕円率の絶対値は、450nm~650nmの波長範囲において、0.8~0.95であり、
前記偏光素子を通過する前記環境光の反射率は、450nm~650nmの波長範囲で5.5%未満である、
請求項1又は2に記載のタッチ表示モジュール。
【請求項4】
タッチ装置と、
前記タッチ装置上に配置された偏光素子とを備え、
前記偏光素子は、
直線偏光子と、
環境光が前記直線偏光子を透過して直線偏光を生成するとき、前記直線偏光が透過して円偏光に変換されるリタデーションフィルムアセンブリであって、前記円偏光に変換される前記直線偏光の割合がリタデーションフィルムアセンブリの偏光楕円率である、リタデーションフィルムアセンブリと、
を含み、
前記偏光楕円率の絶対値が、波長550nmにおいて0.9より大きく、
前記偏光素子を透過する前記環境光の反射率は、波長550nmにおいて5%未満である、
タッチ表示モジュール。
【請求項5】
前記タッチ装置と前記偏光素子との組み合わせは、
波長550nmにおける全反射率を有し、該全反射率は6%未満又は5.5%未満であるか、
又は、
波長550nmにおいて、前記偏光素子と前記タッチ装置とを組み合わせた前後の反射率変化率は、0%~10%、5%~10%、又は5%~8%の範囲である、
請求項4に記載のタッチ表示モジュール。
【請求項6】
前記偏光楕円率の絶対値は、波長550nmにおいて0.9~0.95の範囲であり、
前記偏光素子を通過する環境光の反射率は、波長550nmにおいて4.5~5.0%の範囲である、
請求項4又は5に記載のタッチ表示モジュール。
【請求項7】
前記タッチ装置は、銀ナノワイヤ又はポリマー膜のうちの少なくとも1つを含むタッチセンサを含み、前記タッチセンサは、前記直線偏光子又は前記リタデーションフィルムアセンブリ上に配置される、
請求項1~6のいずれか1項に記載のタッチ表示モジュール。
【請求項8】
前記リタデーションフィルムアセンブリは、逆分散型四分の一波長板を含み、
前記逆分散型四分の一波長板は、シクロオレフィンポリマー(COP)である、
請求項1~7のいずれか1項に記載のタッチ表示モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タッチ表示モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオードディスプレイは、低消費電力、高い色鮮やかさ、高コントラストなどの利点を備えており、人々により良い視覚的楽しみを提供することができるが、最大の課題の1つは、外部環境の入射光による反射光を効果的に抑制し、表示上の問題を低減することである。解決策の1つは、環境光がディスプレイに入射した後の反射光の光量を低減させるための反射防止フィルムとして円偏光子を実装することである。四分の一波長板(QWP)と直線偏光子を用いた円偏光子の理論原理は、ディスプレイに入射する外部環境光を円偏光することである。入射した円偏光(例えば、左回りの回転光)は、ディスプレイの電極で反射された後、反対の偏光方向の別の円偏光(例えば、右回りの回転光)に反転される。反対の円偏光は再びQWPを通過し、直線偏光子の偏光方向に直交する直線偏光に変わる。このため、直線偏光子の偏光方向と直交する直線偏光は直線偏光子を通過できず、電極による外部環境光の反射光が除去又は低減され、表示画面の反射干渉や明るさのむら等の問題が回避される。以上の原理から、上記反射防止機構の第1のステップは、反射防止効果の重要な要因の一つである、反射防止フィルムによる外部環境光の円偏光を行うことである。一般的には、同一材料で円偏光の変換率を上げることで反射防止効果を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】台湾特許第580995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の台湾特許第580995号公報(以下、TW’995)に開示されているように、直線偏光層及びキラル液晶層を含む環境光反射防止膜が提供される。TW’995の表IIの実施例1~4は、円偏光の変換率が約1(すなわち、直線偏光が完全に円偏光に変換される)の場合、光反射率の最低値が7.62%であることを示している。しかしながら、本開示では、反射率が8%前後である場合、特に、ユーザに好まれてきた4Kや8Kのような現在の高解像度で高品質のビデオにおいては、ますます高度化するディスプレイ要件を満たすことができないことを主張する。一方、ディスプレイに組み立てられたタッチセンシング電極は、現在の社会において重要なヒューマン-マシンインタフェースの一つとなっており、タッチセンシング電極も環境光の反射を引き起こす要因となっている。要約すると、TW’995により供給される環境光反射防止フィルムの反射率は過度に高く、したがって、ディスプレイをタッチセンシング電極に組み立てた後にハイエンドのディスプレイ要件を満たすことはできない。換言すれば、反射率の低い反射防止シートを得る方法は、実際には、当業者にとって主要な課題である。
【0005】
一方、TW’995における実施例1~4からの円偏光の変換率は、理想値に相当する約1であり、商業利用において非常に高価で不利な実験室グレードの液晶材料であると仮定する。商業市場では、コストを考慮すると、電子製品の材料仕様は理想的な値にそれほど近くない。すなわち、一般的な商業仕様/コストを考慮すると、TW’995の実施例1~4の円偏光の変換率は減少する必要がある(例えば、円偏光の変換率は0.9まで低下する)。その結果、上述した光反射率も高くなり、低反射率の要件をさらに満たすことができなくなると考えられる。
【0006】
さらに、TW’995に用いられるキラル液晶層はコレステリック液晶であり、その動作原理は、TW’995の図2に示すように、光の円偏光を達成するために、異なる軸方向を有する複数の液晶を積層することである。このため、TW’995の多層液晶構造では、環境光反射防止膜の厚さを薄くすることができず、ユーザの軽量薄型の携帯機器に対する要求を満たすことができないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示における一実施形態のタッチ表示モジュールは、十分に低い反射率を有し、それによって外部環境からの反射光を低減し、ディスプレイ品質に影響を与えない。
【0008】
本開示において採用される技術的解決策は以下の通りである。
【0009】
本開示の一態様は、タッチ表示モジュールを提供することである。本開示の1つ以上の実施形態によれば、タッチ表示モジュールは、タッチ装置及び偏光素子を含む。偏光素子は、タッチ装置上に配置される。偏光素子は、直線偏光子とリタデーションフィルムアセンブリとを含む。環境光が直線偏光子を通過して直線偏光が生成されると、直電偏光はリタデーションフィルム通過して円偏光に変換される。円偏光に変換される直線偏光の割合をリタデーションフィルムアセンブリの偏光楕円率とする。偏光楕円率値の絶対値は、450nm~650nmの波長範囲で0.8より大きい。偏光素子を通過する環境光の反射率は、450nm~650nmの波長範囲で6%未満である。
【0010】
本開示の1つ以上の実施形態によれば、タッチ装置は、タッチセンサを含む。タッチセンサは、銀ナノワイヤ又はポリマーフィルムのうちの少なくとも1つを含み、タッチセンサは、直線偏光子又はリタデーションフィルムアセンブリ上に配置される。
【0011】
本開示の一以上の実施形態によれば、タッチ装置と偏光素子の組み合わせは、450nm~650nmの波長範囲の全反射率を有し、全反射率は7%未満又は6%未満である。450nm~650nmの波長範囲において、偏光素子とタッチ装置とを組み合わせた前後の反射率変化率が、0%~15%、0%~13%、0%~8%、又は0%~2%の範囲である。
【0012】
本開示の1つ以上の実施形態によれば、リタデーションフィルムアセンブリは、正分散型半波長板及び正分散型四分の一波長板からなる。
【0013】
本開示の1つ以上の実施形態によれば、直線偏光子に対する正分散型半波長板の光軸角度は10°~15°の範囲にあり、直線偏光子に対する正分散型四分の一波長板は65°~75°の範囲にある。
【0014】
本開示の1つ以上の実施形態によれば、リタデーションフィルムアセンブリは、逆分散型四分の一波長板を含む。
【0015】
本開示の一以上の実施形態によれば、直線偏光子に対する逆分散型四分の一波長板の光軸角度は45°である。
【0016】
本開示の1つ又は複数の実施形態によれば、リタデーションフィルムアセンブリは、液晶型リタデーションフィルム又はポリマーフィルム型リタデーションフィルムを含む。
【0017】
本開示の一以上の実施形態によれば、偏光楕円率値の絶対値は、450nm~650nmの波長範囲において0.8~0.95の範囲にある。偏光素子を通過する環境光の反射率は、450nm~650nmの波長範囲で5.5%未満である。
【0018】
本開示の一態様は、タッチ表示モジュールを提供することである。本開示の1つ以上の実施形態によれば、タッチ表示モジュールは、タッチ装置及び偏光素子を含む。偏光素子は、タッチ装置上に配置される。偏光素子は、直線偏光子とリタデーションフィルムアセンブリとを含む。環境光が直線偏光子を通過して直線偏光が生成されると、直線偏光はリタデーションフィルムアセンブリを通過して円偏光に変換される。円偏光に変換された直線偏光の割合をリタデーションフィルムアセンブリの偏光楕円率とする。偏光楕円率値の絶対値は、波長550nmにおいて0.9より大きく、偏光素子を通過する環境光の反射率が波長550nmにおいて5%未満である。
【0019】
このように、本開示の実施形態によれば、偏光素子の偏光楕円率値を理論値に近づける必要がないので、タッチ表示モジュールは外部環境からの入射光の反射を低減することができ、タッチ表示モジュールの視覚及び操作体験を向上させることができるが、製品コストを過度に増加させることはない。
【0020】
以上の説明は、解決しようとする課題、課題を解決するための技術的方法及びその効果等を説明するためのものであり、以下の実施形態及び関連図面において、本開示の具体的な内容を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
添付図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本開示の実施形態を図示し、説明と共に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0022】
図1】本開示の一実施形態に係るタッチ表示モジュールの断面概略図である。
【0023】
図2】本開示の一実施形態に係る偏光素子の分解概略図である。
【0024】
図3】本開示の一実施形態に係る偏光素子によって形成される光軸挟角の概略図である。
【0025】
図4】本開示の一実施形態に係る偏光素子の偏光楕円率値と反射率との関係図である。
【0026】
図5】偏光楕円率値の絶対値と反射率との関係図である。
【0027】
図6】本開示の一実施形態に係る、異なる入射波長及び関連する反射率に対応するタッチ表示モジュールの関係図である。
【0028】
図7】本開示の一実施形態に係るタッチ表示モジュールの断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本開示の本実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。図面及び説明においては、可能な限り、同一又は類似の部分を参照するために、同一の参照番号が使用される。実施形態によれば、本開示の範囲又は精神から逸脱することなく、本開示の構造に様々な修正及び変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。
【0030】
表示装置については、外部環境からの反射光がユーザの視覚体験に影響を与える。タッチ表示モジュールのユーザにとって、外部環境光の反射は、操作体験にさらに影響を与える。外部環境光の波長範囲は非常に広いが、本開示は、人間の目が敏感な波長帯(すなわち、450nm~650nm)における反射防止の光学的調整を目的とする。
【0031】
本開示は、外部環境光の反射を低減することができ、それによって、外部環境光の反射による視覚及び操作体験への干渉を低減し、かつ、薄い厚さを維持することができるタッチディスプレイ構造に関する。本開示は、反射率の低い反射防止素子を得るために、タッチディスプレイ構造の偏光素子の理想的な偏光楕円率(すなわち、偏光楕円率値は1に等しい)に到達又は近づく必要はない。そのため、コストと品質のバランスがとれている。
【0032】
図1を参照すると、図1は、本開示の一実施形態に係るタッチ表示モジュール100の断面概略図である。図1に示すように、本開示の一実施形態では、タッチ表示モジュール100は、タッチ装置110と偏光素子150とを少なくとも含む。
【0033】
本実施形態では、タッチ装置110を表示ユニット120に組み付けることができる。例えば、タッチ装置110と表示ユニット120とは、光学接着剤(OCA)により接着されている。
【0034】
いくつかの実施形態では、表示ユニット120は、有機発光ダイオード(OLED)、小型発光ダイオード(ミニLED)ディスプレイなどであってもよい。有機発光ダイオードディスプレイは、低消費電力、高い色鮮やかさ、高コントラストという利点を有する。いくつかの実施形態では、表示ユニット120の一つ以上の有機発光ダイオードは、画像及び信号を表示するために、アクティブマトリックス有機発光ダイオード(AMOLED)を形成することができる。
【0035】
図1に示すように、本開示の一実施形態では、表示ユニット120は、それに応じてスクリーンを表示するように、D1方向に光Lを放射することができる。すなわち、ユーザは、表示ユニット120からD1方向に送信される信号を受信することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、タッチ装置110は、タッチセンサを含むことができる。タッチセンサは、ユーザのタッチやジェスチャを感知することができ、タッチ表示モジュール100のタッチ操作を実現することができる。
【0037】
本開示のいくつかの実施態様において、タッチ装置110は、高い透過率を備える、透明導電層又は透明導電膜によってパターン化された電極を含む。例えば、可視光(例えば、400nm~700nmの波長)の光透過率は、約88%、90%、91%、92%、93%、又はそれ以上である。いくつかの実施態様において、透明導電層又は透明導電膜のうちの1つは、酸化インジウムスズ(ITO)材料、銀ナノワイヤ(SNW)材料等を含む。
【0038】
図1を再び参照すると、図1に示すように、偏光素子150は、タッチ装置110上に配置される。本開示のいくつかの実施形態において、偏光素子150は、外部環境からの環境光(例えば、図2の光L1)を偏光に変換することができ、それによって、環境光からの反射光を低減し、スクリーンを見るときにユーザに影響を与えるようにD1の方向に外側に放出される。詳細については、以下の説明を参照されたい。
【0039】
図1に示すように、偏光素子150は、直線偏光子160とリタデーションフィルムアセンブリ170とを含む。本実施形態では、リタデーションフィルムアセンブリ170は、タッチ装置110の発光面(例えば、光学タッチ構造)と直線偏光子160との間に配置されている。
【0040】
直線偏光子160は、通過する光を直線偏光に変換するように構成することができる。本開示のいくつかの実施形態において、直線偏光子160の偏光度(DOP)は98%より大きいが、本開示はこれに限定されない。
【0041】
いくつかの実施態様において、リタデーションフィルムアセンブリ170は、一つ以上の位相差板を含む。本実施形態では、リタデーションフィルムアセンブリ170は、正分散型半波長板(HWQ)173と、正分散型四分の一波長板(QWP)176とからなる。本実施形態では、QWP176及びHWQ173は、それぞれ単層の液晶コーティング層である。例えば、QWP176及びHWQ173は、反応性メソゲン(RM)液晶で作られた市販の製品(例えば、製造元:DNP、市販製品:DNP_HWP及びDNP_QWP)である。
【0042】
このように、リタデーションフィルムアセンブリ170は、液晶コーティング型位相差素子と見なすことができる。液晶の厚さは数ミクロン(μm)しかないので、全体の厚さを薄くすることができる。従来技術のTW’995で用いられている多層コレステリック液晶の積層厚と比較すると、本実施形態で用いられるRMは、薄型製品の要求を満たすために、光位相遅延効果を達成するための1つの層で被覆される必要があるのみである。
【0043】
図2を参照すると、外部環境光L1が入射すると、その光は、方向D1とは反対の方向D2(すなわち、図に示された方向)に沿って略入射し、直線偏光子160によって直線偏光L2に変換される。直線偏光L2は、HWQ173及びQWP176を通過して円偏光L3に変換される(例えば、左回りの回転光)。円偏光L3がタッチ装置110又は表示ユニット120で反射されると、円偏光L3とは逆の逆円偏光L3’(例えば、右回りの回転光)が形成される。このとき、逆円偏光L3’はリタデーションフィルムアセンブリ170を通過し、直線偏光子160の光軸に垂直な直線偏光L2’を形成する。偏光角が直線偏光子160の光軸に直交しているため、直線偏光L2’は直線偏光子160から外に出射することができない。すなわち、理想的な状態では反射光L1’は発生しない。このように、光学特性を有する偏光素子150を円偏光板(CPOL)と呼び、光学用途における反射光を除去又は低減することができるため、偏光素子150を反射防止素子とも呼ぶ。
【0044】
つまり、偏光素子150により、外部の環境光が円偏光に変換され、再び円偏光が反射される。この偏光角により、反射された円偏光は直線偏光子160によって遮断される。これにより、外部環境光の反射がタッチ表示モジュール100の視覚効果に影響を及ぼすことを防止することができる。なお、直線偏光は、偏光素子150を介して円偏光に近い理想的な完全円偏光又は楕円偏光に変換することができる。これにより、円偏光に変換される直線偏光L2の割合に応じてリタデーションフィルムアセンブリ170の偏光楕円率(polarization ellipticity value)(e値)を定義することができる。偏光楕円率値(e値)は、左回り又は右回りの回転に応じた正負の数値である。説明の便宜上、本開示の偏光楕円率値(e値)を絶対値で示す。
【0045】
例えば、円偏光L3が右回り円偏光のとき、リタデーションフィルムアセンブリ170の偏光楕円率値(e値)は+1(すなわち、完全な変換)となる。円偏光L3が楕円偏光の右回り回転の楕円偏光、すなわち、直線偏光の一部と円偏光の一部との組み合わせであるとき、リタデーションフィルムアセンブリ170の偏光楕円率値(e値)は-1以上0以下である。一般に、直線偏光を完全に円偏光に変換すると、偏光楕円率値(e値)の絶対値は1となる。
【0046】
いくつかの実施形態において、リタデーションフィルムアセンブリ170の偏光楕円率値(e値)の絶対値は、1未満である。すなわち、反射防止効果が得られるが、理想偏光楕円率(例えば、理想的なe値は1である)に近い値である必要はない。具体的には、いくつかの実施形態では、450nm~650nmの波長範囲において、リタデーションフィルムアセンブリ170の偏光楕円率値(e値)の絶対値が0.8より大きい(必ずしも理想的なe値に近いとは限らない)限り、タッチ表示モジュール100の全体的な反射率を効果的に低減することができる。例えば、反射率が6%未満又は5.5%見満である。
【0047】
さらに、リタデーションフィルムアセンブリ170の偏光楕円率値(e値)の絶対値が0.8より大きいが、完全偏光楕円率値(e値)に近い必要がない場合、タッチ表示モジュール100の全体的な反射率を効果的に低減することができることを示す。
【0048】
図3は、本開示の一実施形態による偏光素子150によって形成される光軸挟角θ1、θ2の概略図である。図3に示すように、光軸a1は、直線偏光子160に対応する。偏光素子150は、光軸a2が正分散のコーティング型液晶のHWQ173に相当し、光軸a3が正分散のコーティング型液晶のQWP176に相当する。HWQ173及びQWP176は液晶材料であるので、HWQ173及びQWP176は、それぞれ固有の光軸を有する。本実施形態では、光軸a2と光軸a3とは素子の遅相軸を意味する。
【0049】
図3に示すように、直線偏光子160の光軸a1と光軸a2との角度は、角度θ1である。直線偏光子160の光軸a1と光軸a3との角度は角度θ2である。いくつかの実施形態では、角度θ1、θ2のそれぞれの範囲は、0°から180°の間であってもよい。本実施形態では、角度θ1は15°であり、角度θ2は75°であるが、これに限定されるものではない。一実施形態では、角度θ1は10°から15°の範囲にあり、角度θ2は65°から75°の範囲にあるが、本開示はこれに限定されない。
【0050】
図2を再び参照すると、図2は、試験装置の概略図である。本開示の一実施形態によれば、入射光L1は、偏光素子150に入射し、約50~60%の反射率を有する反射面300によって偏光素子150内に反射された後、偏光素子150を通過して反射光L1’を形成する。反射面300は、例えば、半反射ミラー(例えば、製造元:3DLens)である。図4は、上記実施形態で測定した偏光素子150の偏光楕円率(e値)の絶対値と反射率(%)との関係図である。
【0051】
図4及び表1に示すように、波長450nm~650nmの入射光L1に対応して、本開示の偏光素子150の偏光楕円率値(e値)の絶対値は、点線で示すように全て0.8以上である。波長が450nm~650nmの範囲の入射光L1’に対応して、反射率(R%)が6%未満、すなわち5.5%未満である。
【表1】
【0052】
このように、450nm~650nmの波長範囲の入射光L1に対応して、本実施形態の偏光素子150の偏光楕円率(e値)の絶対値は全て0.8以上であり、一方、人間の眼が敏感な450nm~650nmの波長範囲の偏光素子150の反射率(R%)は6%未満、すなわち5.5%未満である。具体的には、450nm~650nmの波長範囲の入射光L1に対応して、本実施形態の偏光素子150の偏光楕円率(e値)の絶対値は、0.82~0.92の範囲であればよいが、理論値(すなわち、理想e値=1)に近づける必要はなく、450nm~650nmの波長範囲の反射率(R%)は、6%未満又は5.5%未満とすることができるので、商業/工業的な生産コストにおいて有利である。一実施形態では、偏光素子150の偏光楕円率値(e値)の絶対値は、0.8から0.95の範囲内であればよいが、必ずしも理論値(すなわち、e値=1)に近づける必要はなく、450nm~650nmの範囲の反射率は6%未満又は5.5%未満である。
【0053】
具体的には、入射光L1の入射波長が550nmであるとき、本実施形態の偏光素子150の偏光楕円率(e値)の絶対値は、0.9以上であればよいが、理論値(すなわち、e値=1)に近づける必要はなく、550nmの波長範囲における反射率(R%)は、6%未満、5.5%未満、又は5%未満とすることができる。具体的には、波長550nmの入射光L1に対応して、本実施形態の偏光素子150の偏光楕円率(e値)の絶対値は0.92以上であればよいが、理論値(すなわち、e値=1)に近づける必要はなく、波長550nmの反射率(R%)は4.9%でよい。その結果、商業/工業的な生産コストにおいて有利である。以上をまとめると、本実施形態の偏光素子150の偏光楕円率(e値)の絶対値は、波長550nmにおいて0.9~0.95であればよく、理論値(すなわち、e値=1)に近づける必要はなく、人の目が敏感な波長550nmにおける反射率(R%)を4.5~5.0%とすることができる。
【0054】
図5は、偏光楕円率値(e値)の絶対値と反射率との関係図である。450nm~650nmの範囲の入射光の下で、図5の横軸は、本開示の偏光楕円率(e値)の異なる絶対値を有する液晶コーティング型リタデーションフィルムアセンブリを表すように配置され、図5の縦軸は、リタデーションフィルムアセンブリの対応する偏光素子の異なる反射率(R%)を表すように配置される。関係図によれば、偏光楕円率(e値)の絶対値が0.8を超えると、入射光が450nm~650nmの範囲であれば、偏光素子の反射率(R%)を6%未満とすることができる。一方、HWQ173の遅相軸と直線偏光子160の光軸a1との中心角が15°よりも大きい場合、又はQWP176の遅相軸と直線偏光子160の光軸a1との中心角が75°よりも大きい場合には、偏光楕円率(e値)の絶対値が0.8未満となり、450nm~650nmの波長範囲における偏光素子の反射率(R%)(図5のデータ点a、b、c、d、参照)が6%よりも大きくなり、要件を満たすことができない。図5の他のデータ点は、前述の実施形態によってすべて満たされており、ここでは繰り返さない。
【0055】
本開示の一実施形態によれば、タッチ装置110を偏光素子150に組み付けた後、450nm~650nmの波長範囲における偏光楕円率(e値)及び光反射率を測定する試験を行う。一実施形態では、タッチ装置110と偏光素子150の組み合わせは、光電子素子、すなわち、光学機能と電気機能の両方を有する集積素子として集積化することができる。ここで、電気的機能とは、タッチセンシング機能を指し、光電子素子は、全反射率を有する。また、タッチ装置110も光を反射するため、光電素子の種類による全反射率は、偏光素子150の全反射率よりも僅かに大きくなり、表示品質に影響を与えない程度に製品の全反射率を小さくする必要がある。本実施形態の試験方法については、図2に示した前述の関連する説明を参照することができ、ここでは試験方法を繰り返さない。
【0056】
一実施形態では、タッチ装置110は、銀ナノワイヤ及び/又はポリマーフィルムを含むタッチ電極を少なくとも含む。その特定の方法は、米国特許第20190227650号明細書、中国特許第101292362号明細書などの全体的な説明によって参照され、導入/組み込まれ得る。図6に示されるように、タッチ装置110及び偏光素子150の一体化された素子の全反射率は、以下の表2に示されるように、人間の眼が感受性である450nm~650nmの波長範囲において7%未満であり得る。
【表2】
【0057】
上記表に示すように、450nm~650nmの波長範囲の入射光L1に対応して、本実施形態の光電子素子の450nm~650nmの波長範囲の反射率は7%未満、すなわち6%未満である。一般に、本実施形態の光電子素子の450nm~650nmの波長範囲における反射率は、5%~6%の範囲である。
【0058】
より具体的には、波長550nmの入射光L1に対応して、550nmの波長における本実施形態の光電子素子の反射率は、6%未満、又は5.5%未満である。より具体的には、波長550nmの入射光L1に対応して、波長550nmにおける本実施形態の光電子素子の反射率は5.3%である。一般に、本実施形態の光電子素子の波長550nmにおける反射率は、5.0%~5.5%の範囲である。
【0059】
さらに、異なる機能を有する2つの構成要素が一体に組み立てられる場合、構成要素の特性は、通常、互いに影響を受ける。本開示の実施形態によれば、銀ナノワイヤ及び/又はポリマーフィルムからなるタッチ電極を偏光素子150に組み付けると、偏光素子150の特性が過度に劣化することがないことが分かる。具体的には、本開示の実施形態では、偏光素子150に組み付けられた銀ナノワイヤ及び/又はポリマーフィルムからなるタッチ電極と、タッチ電極に組み付けられていない偏光素子150とを比較すると、450nm~650nmの波長範囲における反射率変化率は15%未満である。一般に、450nm~650nmの波長範囲における本開示の実施形態の光電子素子の反射率変化率は、0%~15%、0%~13%、0%~8%、又は0%~2%の範囲である。
【0060】
より具体的には、波長550nmに対応するとき、反射率変化率は10%未満である。具体的には、波長550nmに対応する場合、反射率変化率は8%未満である。要約すると、550nmの波長に対応するとき、450nm~650nmの波長範囲における本開示の実施形態の光電素子の反射率変化率は、0%~10%、5%~10%、又は5%~8%である。
【0061】
いくつかの実施態様において、透明保護カバーを偏光素子150上にさらに設けることができる。
【0062】
図7は、本開示の一実施形態によるタッチ表示モジュール200の断面概略図である。
【0063】
本実施形態では、図7に示すように、タッチ表示モジュール200は、光学タッチ素子210と、偏光素子250とを含み、偏光素子250は、偏光子260と、液晶コーティング型リタデーションフィルムアセンブリ270とを含む。
【0064】
上記実施形態との相違点は、少なくともリタデーションフィルムアセンブリ270が位相差板を含んでもよいことである。本実施形態では、リタデーションフィルムアセンブリ270は、逆分散型四分の一波長板(QWP)276を有する。本実施形態では、QWP276は、単層の液晶コーティング層である。例えば、QWP276(例えば、製造元:DNP、市販製品:DNP_QWP)は、リアクティブメソゲン(RM)液晶の市販の製品である。本実施形態では、QWP276は単一の光軸を有しており、QWP276の光軸(例えば、遅軸)と偏光子260の光軸との間に光軸挟角が形成されている。いくつかの実施形態では、前述の光軸挟角は、0°から180°の範囲を有する。いくつかの実施形態では、前述の光軸挟角は45°である。いくつかの実施形態では、前述の光軸挟角は、40°から50°の範囲を有する。
【0065】
本実施形態では、入射波長範囲450nm~650nmにおいて、QWP276のリタデーション波長は100nm~160nmである。
【0066】
また、先の実施形態と同様に、入射波長範囲450nm~650nmにおけるQWP276の絶対値は0.8未満、偏光楕円率(e値)は0.82以上0.92以下であるが、理論値(すなわち、e値=1)に近づける必要はない。これにより、偏光素子250の反射率(R%)を6%未満又は5.5%未満とし、偏光素子250及び光学タッチ素子210の全反射率を7%未満とすることができる。あるいは、本実施形態で説明したQWP276の光学特性と、光学タッチ素子に組み付けられるQWP276の光学特性とは、前述の実施形態と同様であり、ここでは省略する。
【0067】
本開示の別の実施形態では、偏光素子250は、ポリマーフィルムタイプのQWP、又はポリマーフィルムタイプのQWPとポリマーフィルムタイプのHWPとの組み合わせを含んでもよい。高分子フィルム材料としては、PC(ポリカーボネート)、CPI(無色ポリイミド)、COP(シクロオレフィンポリマー)等が挙げられる。換言すれば、偏光素子250の材料や積層体によらず、上記実施形態と同様であれば本開示を実施することができる。
【0068】
要約すると、本開示は、6%未満又は5.5%未満の反射率を有する偏光素子を含むタッチ表示モジュールを提供する。偏光素子は、全体の厚さを薄くすることができるように、液晶コーティング型リタデーションフィルムアセンブリで実現される。また、液晶コーティング型リタデーションフィルムアセンブリの偏光楕円率値(e値)の絶対値は0.8より大きいが、理想値に近づける必要はなく、偏光素子を通過した直線偏光を円偏光又は円偏光に近い光に変換することで、タッチ表示モジュールの反射光を低減することができる。さらに、偏光素子及びタッチ装置の全反射率は、人間の目が敏感な波長範囲において特定の値未満にすることができ、例えば、全反射率は7%未満又は6%未満であり、タッチ表示モジュールの視覚及び操作体験を改善する。
【0069】
本開示は、その特定の実施形態を参照してかなり詳細に説明されているが、他の実施形態も可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。
【0070】
本開示の範囲又は精神から逸脱することなく、本開示の構造に様々な修正及び変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。上記に鑑みて、本開示は、以下の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内にある限り、本開示の修正及び変形をカバーすることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7