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特開2023-139147疾患状態に対する個別化された医学的介入を決定するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139147
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】疾患状態に対する個別化された医学的介入を決定するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6886 20180101AFI20230926BHJP
   C12Q 1/6813 20180101ALI20230926BHJP
   C12Q 1/6883 20180101ALI20230926BHJP
   C12Q 1/6874 20180101ALI20230926BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230926BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230926BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
C12Q1/6886 Z
C12Q1/6813 Z
C12Q1/6883 Z
C12Q1/6874
C12N15/12
G01N33/53 D
G01N33/53 M
G01N33/53 Y
G01N33/574 D
【審査請求】有
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118742
(22)【出願日】2023-07-21
(62)【分割の表示】P 2021212100の分割
【原出願日】2007-05-18
(31)【優先権主張番号】60/747,645
(32)【優先日】2006-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SOLARIS
2.macOS
3.VISUAL BASIC
(71)【出願人】
【識別番号】511195459
【氏名又は名称】カリス エムピーアイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ディー. バン ホフ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ペニー
(57)【要約】
【課題】特定の薬物または薬剤を用いて、特定の遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質を標的化するために使用される疾患系統診断とは無関係な分子プロファイリングに基づいて、疾患状態に対して個体に合わせた医学的介入を決定するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】本発明は、特定の疾患状態に対する医学的介入を決定するためのシステムおよび方法を提供する分子プロファイリングの適用を提供する。そのシステムおよび方法は、疾患の任意のステージにおいて行われ得る。特に、本発明は、重篤な疾患に罹患した患者、例えば、少なくとも2つの化学療法レジメンまたはホルモンレジメンが進行中である癌を有する患者、に対する医学的介入を決定するためのシステムおよび方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患状態に対する医学的介入を決定するための方法であって:
罹患個体の生物学的サンプル由来の遺伝子についての試験および遺伝子発現タンパク質についての試験のうちの少なくとも1つを行う工程;
どの遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質が参照と比べて発現の変化を示しているかを判定する工程;および
発現の変化を示した該遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質のうちの少なくとも1つと相互作用するために使用される、単一疾患に限定されない薬物療法を同定する工程を包含する、方法。
【請求項2】
発現の変化を示した上記遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質のうちの少なくとも1つと相互作用するために使用される薬物療法を同定する上記工程が、大規模な文献データベースの自動化された精査および臨床試験から得られるデータのうちの少なくとも1つから薬物療法を同定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
遺伝子についての試験および遺伝子発現タンパク質についての試験のうちの少なくとも1つを行う上記工程が、免疫組織化学的(IHC)解析およびマイクロアレイ解析のうちの少なくとも1つを行う工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
マイクロアレイ解析を行う上記工程が、発現マイクロアレイ、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)マイクロアレイ、単一ヌクレオチド多型(SNP)マイクロアレイ、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)およびプロテオミクスアレイのうちの少なくとも1つを使用して解析を行う工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
IHC解析を行う上記工程が、Her2/Neu、ER、PR、c-kit、EGFR、MLH1、MSH2、CD20、p53、サイクリンD1、bcl2、COX-2、アンドロゲン受容体、CD52、PDGFR、AR、CD25およびVEGFのうちの少なくとも1つを含む遺伝子発現タンパク質についてのIHC解析を行う工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
マイクロアレイ解析を行う上記工程が、BCL2、HIF1A、AR、ESR1、PDGFRA、KIT、PDGFRB、CDW52、ZAP70、PGR、SPARC、GART、GSTP1、NFKBIA、MSH2、TXNRD1、HDAC1、PDGFC、PTEN、CD33、TYMS、RXRB、ADA、TNF、ERCC3、RAF1、VEGF、TOP1、TOP2A、BRCA2、TK1、FOLR2、TOP2B、MLH1、IL2RA、DNMT1、HSPCA、ERBR2、ERBB2、SSTR1、VHL、VDR、PTGS2、POLA、CES2、EGFR、OGFR、ASNS、NFKB2、RARA、MS4A1、DCK、DNMT3A、EREG、エピレギュリン、FOLR1、GNRH1、GNRHR1、FSHB、FSHR、FSHPRH1、葉酸受容体、HGF、HIG1、IL13RA1、LTB、ODC1、PPARG、PPARGC1、VHL、リンフォトキシンβレセプター、Myc、TOP2BトポイソメラーゼII、TOPO2B、TXN、VEGFC、ACE2、ADH1C、ADH4、AGT、AREG、CA2、CDK2、カベオリンおよびNFKB1のうちの少なくとも1つを含む遺伝子についてのマイクロアレイ解析を行う工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
罹患個体の生物学的サンプル由来の遺伝子についての試験および遺伝子発現タンパク質についての試験のうちの少なくとも1つを行う上記工程が、腫瘍に対して免疫組織化学的解析を行う工程を含み、そして、どの遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質が参照と比べて発現の変化を示しているかを判定する上記工程が、30%以上の該腫瘍細胞が、特定の遺伝子発現タンパク質について+2以上染色したか否かを判定する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
罹患個体の生物学的サンプル由来の遺伝子についての試験および遺伝子発現タンパク質についての試験のうちの少なくとも1つを行う上記工程が、腫瘍に対してマイクロアレイ解析を行う工程を含み、そして、どの遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質が参照と比べて発現の変化を示しているかを判定する上記工程が、参照起源の正常な組織と比べて特定の遺伝子について何倍の発現の変化が、p<0.001で有意であるのかを決定することによって、どの遺伝子がアップレギュレートされているかまたはダウンレギュレートされているかを同定する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
上記遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質についての発現の変化を同定する患者プロファイルレポートを、発現の変化を示す該遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質の各々との相互作用に対して薬物療法となり得るものとともに提供する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
分子標的と相互作用することができる薬物療法を同定する方法であって、
正常な参照と比べたときに発現の変化を示す分子標的を複数の罹患個体において同定する工程;
該分子標的の発現の変化を示す該罹患個体に薬物療法を施す工程;および
該薬物療法後の該罹患個体の該分子標的の任意の変化を測定する工程
を含む、方法。
【請求項11】
正常な参照と比べたときに発現の変化を示す分子標的を複数の罹患個体において同定する上記工程が、該罹患個体の生物学的サンプル由来の遺伝子についての試験および遺伝子発現タンパク質についての試験のうちの少なくとも1つを行う工程を含み、ここで、該試験は、免疫組織化学的(IHC)解析およびマイクロアレイ解析のうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
疾患状態について個体に合わせた医学的介入を決定するためのシステムであって、
ホストサーバと;
該ホストサーバにアクセスして、データにアクセスし、そしてデータを入力するためのユーザインターフェースと;
該入力されたデータを処理するためのプロセッサと;
該処理されたデータ、ならびに
i)患者の生物学的検体から得られた分子プロファイルにアクセスするための命令;
ii)遺伝子、遺伝子発現タンパク質、分子メカニズムおよび該分子プロファイルから得られる他の分子知見のうちの少なくとも1つ以上が、正常な参照と比べて発現の変化を示すか否かを判定するための命令;および
iii)薬物療法データベースにアクセスして、発現の変化を示した該少なくとも1つの遺伝子、遺伝子発現タンパク質、分子メカニズムおよび他の分子知見と相互作用する1つ以上の薬物療法を同定するための命令
を保存するための該プロセッサに連結されたメモリと;
発現の変化を示す該少なくとも1つの遺伝子、遺伝子発現タンパク質、分子メカニズムおよび他の分子知見ならびにそれらと相互作用する該薬物療法を表示するための表示手段と
を備える、システム。
【請求項13】
上記分子プロファイルが、免疫組織化学的(IHC)解析およびマイクロアレイ解析のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
上記マイクロアレイ解析が、発現マイクロアレイ、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)マイクロアレイ、単一ヌクレオチド多型(SNP)マイクロアレイ、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)およびプロテオミクスアレイのうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
上記IHC解析が、Her2/Neu、ER、PR、c-kit、EGFR、MLH1、MSH2、CD20、p53、サイクリンD1、bcl2、COX-2、アンドロゲン受容体、CD52、PDGFR、AR、CD25およびVEGFのうちの少なくとも1つを含む遺伝子発現タンパク質についてのIHC解析を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
上記マイクロアレイ解析が、BCL2、HIF1A、AR、ESR1、PDGFRA、KIT、PDGFRB、CDW52、ZAP70、PGR、SPARC、GART、GSTP1、NFKBIA、MSH2、TXNRD1、HDAC1、PDGFC、PTEN、CD33、TYMS、RXRB、ADA、TNF、ERCC3、RAF1、VEGF、TOP1、TOP2A、BRCA2、TK1、FOLR2、TOP2B、MLH1、IL2RA、DNMT1、HSPCA、ERBR2、ERBB2、SSTR1、VHL、VDR、PTGS2、POLA、CES2、EGFR、OGFR、ASNS、NFKB2、RARA、MS4A1、DCK、DNMT3A、EREG、エピレギュリン、FOLR1、GNRH1、GNRHR1、FSHB、FSHR、FSHPRH1、葉酸受容体、HGF、HIG1、IL13RA1、LTB、ODC1、PPARG、PPARGC1、VHL、リンフォトキシンβレセプター、Myc、TOP2BトポイソメラーゼII、TOPO2B、TXN、VEGFC、ACE2、ADH1C、ADH4、AGT、AREG、CA2、CDK2、カベオリンおよびNFKB1のうちの少なくとも1つを含む遺伝子についてのマイクロアレイ解析を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
上記分子プロファイルが、腫瘍に対する免疫組織化学的解析を含み、そして、遺伝子、遺伝子発現タンパク質、分子メカニズムおよび該分子プロファイルから得られる他の分子知見のうちの少なくとも1つ以上が参照と比べて発現の変化を示すか否かを判定するための命令が、30%以上の該腫瘍細胞が特定の遺伝子発現タンパク質について+2以上染色したか否かを判定するための命令を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
上記分子プロファイルが、腫瘍に対するマイクロアレイ解析を含み、そして、遺伝子、遺伝子発現タンパク質、分子メカニズムおよび該分子プロファイルから得られる他の分子知見のうちの少なくとも1つ以上が正常な参照と比べて発現の変化を示すか否かを判定するための命令が、参照起源の正常な組織と比べて特定の遺伝子について何倍の発現の変化が、p<0.001で有意であるのかを決定することによって、どの遺伝子がアップレギュレートされているかまたはダウンレギュレートされているかを同定するための命令を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
上記表示手段が、印刷された患者プロファイルレポートを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
薬物療法データベースにアクセスして、発現の変化を示した上記少なくとも1つの遺伝子、遺伝子発現タンパク質、分子メカニズムおよび他の分子知見と相互作用する1つ以上の薬物療法を同定するための上記命令が、遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質と薬物療法相互作用とを相関させる文献を含む大規模な文献データベースの自動化された精査を実施するための命令を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
疾患状態に対する医学的介入を決定するための方法であって、
罹患個体の生物学的サンプル由来の少なくとも1つの標的について少なくとも1つの分子試験を行う工程;
該少なくとも1つの標的が、参照と比べて発現の変化を示すか否かを判定する工程;および
発現の変化を示す該少なくとも1つの標的と相互作用する少なくとも1つの疾患特異的でない薬剤を同定する工程
を含む、方法。
【請求項22】
上記少なくとも1つの標的と相互作用する少なくとも1つの疾患特異的でない薬剤を同定する上記工程が、大規模な文献データベースの自動化された精査および臨床試験から得られるデータのうちの少なくとも1つから薬物療法を同定する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの標的について少なくとも1つの分子試験を行う上記工程が、免疫組織化学的(IHC)解析およびマイクロアレイ解析のうちの少なくとも1つを行う工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
マイクロアレイ解析を行う上記工程が、発現マイクロアレイ、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)マイクロアレイ、単一ヌクレオチド多型(SNP)マイクロアレイ、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)およびインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)ならびにプロテオミクスアレイのうちの少なくとも1つを使用して解析を行う工程を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
IHC解析の少なくとも1つを行う上記工程が、Her2/Neu、ER、PR、c-kit、EGFR、MLH1、MSH2、CD20、p53、サイクリンD1、bcl2、COX-2、アンドロゲン受容体、CD52、PDGFR、AR、CD25およびVEGFのうちの少なくとも1つを含む遺伝子発現タンパク質についてのIHC解析を行う工程を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
マイクロアレイ解析の少なくとも1つを行う上記工程が、BCL2、HIF1A、AR、ESR1、PDGFRA、KIT、PDGFRB、CDW52、ZAP70、PGR、SPARC、GART、GSTP1、NFKBIA、MSH2、TXNRD1、HDAC1、PDGFC、PTEN、CD33、TYMS、RXRB、ADA、TNF、ERCC3、RAF1、VEGF、TOP1、TOP2A、BRCA2、TK1、FOLR2、TOP2B、MLH1、IL2RA、DNMT1、HSPCA、ERBR2、ERBB2、SSTR1、VHL、VDR、PTGS2、POLA、CES2、EGFR、OGFR、ASNS、NFKB2、RARA、MS4A1、DCK、DNMT3A、EREG、エピレギュリン、FOLR1、GNRH1、GNRHR1、FSHB、FSHR、FSHPRH1、葉酸受容体、HGF、HIG1、IL13RA1、LTB、ODC1、PPARG、PPARGC1、VHL、リンフォトキシンβレセプター、Myc、TOP2BトポイソメラーゼII、TOPO2B、TXN、VEGFC、ACE2、ADH1C、ADH4、AGT、AREG、CA2、CDK2、カベオリンおよびNFKB1のうちの少なくとも1つを含む遺伝子についてのマイクロアレイ解析を行う工程を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
罹患個体の生物学的サンプル由来の少なくとも1つの標的について少なくとも1つの分子試験を行う上記工程が、腫瘍に対する免疫組織化学的解析を行う工程を含み、そして、該少なくとも1つの標的が、参照と比べて発現の変化を示すか否かを判定する上記工程が、30%以上の該腫瘍細胞が特定の遺伝子発現タンパク質について+2以上染色したか否かを判定するための工程を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
罹患個体の生物学的サンプル由来の少なくとも1つの標的について少なくとも1つの分子試験を行う上記工程が、腫瘍に対するマイクロアレイ解析を行う工程を含み、そして、該少なくとも1つの標的が、参照と比べて発現の変化を示すか否かを判定する上記工程が、参照起源の正常な組織と比べて特定の遺伝子について何倍の発現の変化が、p<0.001で有意であるのかを決定することによって、どの遺伝子がアップレギュレートされているかまたはダウンレギュレートされているかを同定する工程を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
様々な標的に対する患者の試験結果およびそれらの結果に基づいて提案される任意の治療法を含む患者プロファイルレポートを提供する工程をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、概して、特定の疾患状態に対する医学的介入を決定するためのシステムおよび方法を提供する分子プロファイリングの適用に関する。そのシステムおよび方法は、疾患の任意のステージにおいて行われ得る。特に、本発明は、重篤な疾患に罹患した患者、例えば、少なくとも2つの化学療法レジメンまたはホルモンレジメンが進行中である、癌を有する患者、に対する医学的介入を決定するためのシステムおよび方法に関し、その方法は、その患者由来の生物学的サンプルを分子プロファイリングする工程、1つ以上の遺伝子、遺伝子発現タンパク質、分子メカニズムおよび/またはそれらの分子知見の組み合わせをはじめとした任意の分子知見が正常な参照と比べて発現の変化を示すか否かを判定する工程、ならびに、発現の変化を示した、遺伝子、遺伝子発現タンパク質、分子メカニズムまたはそれらの分子知見の組み合わせと相互作用することができる薬物療法を同定する工程を含む。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
患者の疾患状態は、代表的には、基礎となる臨床上の基準に基づいて選択される処置レジメンまたは治療法で処置される;すなわち、処置治療法または処置レジメンは、患者に対して、患者が特定の疾患と診断される決定(その診断は従来の診断アッセイからなされる)に基づいて選択される。様々な疾患状態の背後にある分子メカニズムが、長年にわたる研究の対象であったが、罹患個体に対する処置レジメンおよび治療法を決定する際にその個体の分子プロファイルを特別に適用するのは、疾患特異的なものであり、広く追跡されてこなかった。
【0003】
いくつかの処置レジメンは、患者の臨床上の特徴(例えば、医師によって行われる所見(例えば、国際疾病分類のコードおよびそのようなコードが決定された日付))、臨床検査結果、X線、生検結果、患者による説明および特定の疾患と診断するために医師が一般的に信頼している他の任意の医学的情報と組み合わせて分子プロファイリングを使用して決定されている。しかしながら、いくつかの処置レジメンが、特定のタイプの疾患状態の処置と関連するにもかかわらず、様々な疾患状態に対しても功を奏し得るので、処置レジメンまたは治療を決定する分子プロファイリングおよび臨床上の特徴(例えば、特定のタイプの癌の診断)に基づいて選択材料の組み合わせを使用することは、特定の個体に対して有効な処置レジメンが見過ごされ得るというリスクがある。
【0004】
転移性癌を有する患者は、処置する医師にとって特に関心の高い患者である。転移性癌を有する患者の大部分は、最終的には、それらの腫瘍に対する処置の選択肢が尽きてしまう。それらの腫瘍に対して標準的な第1線および第2線(および、時折、第3線およびそれ以上)の治療法を進めた後、これらの患者には、非常に限られた選択肢しかない。これらの患者は、新規抗癌剤に対する第I相および第II相臨床試験に参加し得るが、通常、それに参加するためには非常に厳格な適格性基準を満たさなければならない。患者がこれらのタイプの治験に参加するとき、その新規抗癌剤は、第I相における平均5%~10%から第II相における12%という反応率をもたらし得るということが研究によって示されている。これらの患者はまた、それらの症状を処置する最良の対症療法を受けるように選択するという選択肢を有する。
【0005】
近年、細胞表面レセプターまたはアップレギュレートされた遺伝子産物もしくは増幅された遺伝子産物をより一層標的化する新規抗癌剤の開発に対する関心が急増している。このアプローチは、いくつかの成功を収めている(例えば、乳癌細胞におけるHER2/neuに対するハーセプチン、リンパ腫細胞におけるCD20に対するリツキシマブ、VEGFに対するベバシズマブ(bevacizamab)、EGFRに対するセツキシマブなど)。しかしながら、患者の腫瘍は、なおも最終的にはこれらの治療法に対して進行する。多数の標的または分子知見(例えば、分子メカニズム、遺伝子、遺伝子発現タンパク質および/またはそれらの組み合わせ)が、患者の腫瘍において測定された場合、特定の治療薬を使用することによって利用され得るさらなる標的または分子知見が見出され得る。複数の標的または根底にあるメカニズムを処置し得る複数の薬剤を同定することによって、転移性癌患者に、既存の処置レジメンの実行可能な代替治療法が提供され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、特定の薬物または薬剤を用いて、特定の遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質を標的化するために使用される疾患系統診断とは無関係な分子プロファイリングに基づいて、疾患状態に対して個体に合わせた医学的介入を決定するためのシステムおよび方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、特定の疾患状態について個体に合わせた医学的介入を決定するためのシステムおよび方法に関する。疾患状態に対する医学的介入を決定するための本発明の1つの例示的な方法は、罹患個体の生物学的サンプル由来の遺伝子についての試験および/または遺伝子発現タンパク質についての試験を行う工程、どの遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質が参照と比べて発現の変化を示したかを判定する工程、ならびに、発現の変化を示したその遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質と相互作用するために使用される、単一疾患に限定されない薬物療法を同定する工程を含む。本発明のこの例示的な実施形態の1つの局面において、発現の変化を示した遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質と相互作用するために使用される薬物療法を同定する工程は、大規模な文献データベースおよび/または臨床試験から得られるデータの自動化された精査から薬物療法を同定する工程を含み得る。
【0008】
本発明の上記の例示的な実施形態の別の局面において、遺伝子についての試験および/または遺伝子発現タンパク質についての試験を行う工程は、免疫組織化学的(IHC)解析および/またはマイクロアレイ解析を行う工程を含み得る。さらに、マイクロアレイ解析を行う工程は、発現マイクロアレイ、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)マイクロアレイ、単一ヌクレオチド多型(SNP)マイクロアレイ、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)およびプロテオミクスアレイを使用して解析を行う工程を含み得る。さらに、IHC解析を行う工程は、Her2/Neu、ER、PR、c-kit、EGFR、MLH1、MSH2、CD20、p53、サイクリンD1、bcl2、COX-2、アンドロゲン受容体、CD52、PDGFR、AR、CD25およびVEGFのうちの少なくとも1つを含む遺伝子発現タンパク質についてIHC解析を行う工程を含み得る。
【0009】
本発明の別の局面において、疾患状態に対する医学的介入を決定するための上記の例示的な方法におけるマイクロアレイ解析を行う工程は、BCL2、HIF1A、AR、ESR1、PDGFRA、KIT、PDGFRB、CDW52、ZAP70、PGR、SPARC、GART、GSTP1、NFKBIA、MSH2、TXNRD1、HDAC1、PDGFC、PTEN、CD33、TYMS、RXRB、ADA、TNF、ERCC3、RAF1、VEGF、TOP1、TOP2A、BRCA2、TK1、FOLR2、TOP2B、MLH1、IL2RA、DNMT1、HSPCA、ERBR2、ERBB2、SSTR1、VHL、VDR、PTGS2、POLA、CES2、EGFR、OGFR、ASNS、NFKB2、RARA、MS4A1、DCK、DNMT3A、EREG、エピレギュリン、FOLR1、GNRH1、GNRHR1、FSHB、FSHR、FSHPRH1、葉酸受容体、HGF、HIG1、IL13RA1、LTB、ODC1、PPARG、PPARGC1、VHL、リンフォトキシンβレセプター、Myc、TOP2BトポイソメラーゼII、TOPO2B、TXN、VEGFC、ACE2、ADH1C、ADH4、AGT、AREG、CA2、CDK2、カベオリンおよびNFKB1のうちの少なくとも1つを含む遺伝子についてマイクロアレイ解析を行う工程を含み得る。
【0010】
本発明の上記の例示的な方法のさらに別の局面において、罹患個体の生物学的サンプル由来の遺伝子についての試験および/または遺伝子発現タンパク質についての試験を行う工程は、腫瘍に対して免疫組織化学的解析を行う工程を含み得、そして、どの遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質が参照と比べて発現の変化を示しているかを判定する工程は、30%以上の腫瘍細胞が、特定の遺伝子発現タンパク質について+2以上染色(standing)したか否かを判定する工程を含み得る。本発明の上記の例示的な方法のなおも別の局面において、罹患個体の生物学的サンプル由来の遺伝子についての試験および/または遺伝子発現タンパク質についての試験を行う工程は、腫瘍に対してマイクロアレイ解析を行う工程を含み得、そして、どの遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質が参照と比べて発現の変化を示しているかを判定する工程は、参照起源の正常組織と比べて特定の遺伝子についての発現の全体の変化が、p<0.001で有意であるか否かを判定することによって、どの遺伝子が、アップレギュレートされているか、またはダウンレギュレートされているかを同定する工程を含み得る。さらに、疾患状態に対する医学的介入を決定するための本発明の上記の例示的な方法はまた、発現の変化を示す遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質の各々との相互作用に対して薬物療法となり得るものとともに、遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質についての発現の変化を同定する患者プロファイルレポートを提供する工程を含み得る。
【0011】
本発明の別の例示的な実施形態は、分子標的と相互作用することができる薬物療法を同定するための方法に関し、この方法は、正常な参照と比べたときに発現の変化を示す分子標的を複数の罹患個体において同定する工程、その分子標的の発現の変化を示す罹患個体に薬物療法を施す工程、および薬物療法後に罹患個体の分子標的の任意の変化を測定する工程を含む。さらに、分子標的と相互作用することができる薬物療法を同定するための方法のこの例示的な実施形態の1つの局面において、正常な参照と比べたときに発現の変化を示す複数の罹患個体において分子標的を同定する工程は、罹患個体の生物学的サンプル由来の遺伝子についての試験および/または遺伝子発現タンパク質についての試験を行う工程を含み得、ここで、その試験は、免疫組織化学的(IHC)解析および/またはマイクロアレイ解析を含む。
【0012】
本発明のなおも別の例示的な実施形態において、疾患状態について個体に合わせた医学的介入を決定するためのシステムが提供され、そのシステムは、ホストサーバと、ホストサーバにアクセスして、データにアクセスし、そしてデータを入力するためのユーザインターフェースと、入力されたデータを処理するためのプロセッサと、その処理されたデータ、ならびに、a)患者の生物学的検体から得られた分子プロファイルにアクセスするための命令、b)遺伝子、遺伝子発現タンパク質、分子メカニズムおよびその分子プロファイルから得られる他の分子知見のうちの少なくとも1つが、正常な参照と比べて発現の変化を示すか否かを判定するための命令、およびc)薬物療法データベースにアクセスして、発現の変化を示した遺伝子、遺伝子発現タンパク質、分子メカニズムおよび/または他の分子知見と相互作用する1つ以上の薬物療法を同定するための命令、を保存するためのプロセッサに接続されたメモリと、発現の変化を示す遺伝子、遺伝子発現タンパク質、分子メカニズムおよび他の分子知見ならびにそれらと相互作用する薬物療法を表示するための表示手段とを備える。疾患状態について個体に合わせた医学的介入を決定するためのシステムに関する本発明の例示的な実施形態に関して、生物学的検体から得られる分子プロファイルは、本発明の第1の例示的な実施形態を参照して上に記載した同じ免疫組織化学的(IHC)解析およびマイクロアレイ解析を含み得る。さらに、これらの解析を使用して解析された遺伝子とともに様々なタイプのこれらの解析は、疾患状態に対する医学的介入を決定するための方法に関する本発明の第1の例示的な実施形態を参照して上に記載した解析と同じであり得る。
【0013】
本発明のなおも別の例示的な実施形態は、疾患状態に対する医学的介入を決定するための方法に関し、その方法は、罹患個体の生物学的サンプル由来の少なくとも1つの標的について少なくとも1つの分子試験を行う工程、その標的が参照と比べて発現の変化を示すか否かを判定する工程、および発現の変化を示す標的と相互作用する少なくとも1つの疾患特異的でない薬剤を同定する工程を含む。標的と相互作用する少なくとも1つの疾患特異的でない薬剤を同定する工程は、大規模な文献ベース(base)の自動化された精査および/または臨床試験から得られたデータの自動化された精査から薬物療法を同定する工程を含み得る。さらに、疾患状態に対する医学的介入を決定するための方法に関する本発明の例示的な実施形態はまた、様々な標的についての患者の試験結果およびそれらの結果に基づいて提案される任意の治療法を含む患者プロファイルレポートを提供する工程を含み得る。
【0014】
疾患状態に対する医学的介入を決定するための方法に関する本発明の例示的な実施形態において、罹患個体の生物学的サンプル由来の少なくとも1つの標的について少なくとも1つの分子試験を行う工程は、免疫組織化学的(IHC)解析およびマイクロアレイ解析に関する上記の解析ならびにそれらの解析を使用して解析された遺伝子のすべてを含み得る。
従って、本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
疾患状態に対する医学的介入を決定するための方法であって:
罹患個体の生物学的サンプル由来の遺伝子についての試験および遺伝子発現タンパク質についての試験のうちの少なくとも1つを行う工程;
どの遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質が参照と比べて発現の変化を示しているかを判定する工程;および
発現の変化を示した該遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質のうちの少なくとも1つと相互作用するために使用される、単一疾患に限定されない薬物療法を同定する工程を包含する、方法。
(項目2)
発現の変化を示した上記遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質のうちの少なくとも1つと相互作用するために使用される薬物療法を同定する上記工程が、大規模な文献データベースの自動化された精査および臨床試験から得られるデータのうちの少なくとも1つから薬物療法を同定する工程を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
遺伝子についての試験および遺伝子発現タンパク質についての試験のうちの少なくとも1つを行う上記工程が、免疫組織化学的(IHC)解析およびマイクロアレイ解析のうちの少なくとも1つを行う工程を含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
マイクロアレイ解析を行う上記工程が、発現マイクロアレイ、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)マイクロアレイ、単一ヌクレオチド多型(SNP)マイクロアレイ、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)およびプロテオミクスアレイのうちの少なくとも1つを使用して解析を行う工程を含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
IHC解析を行う上記工程が、Her2/Neu、ER、PR、c-kit、EGFR、MLH1、MSH2、CD20、p53、サイクリンD1、bcl2、COX-2、アンドロゲン受容体、CD52、PDGFR、AR、CD25およびVEGFのうちの少なくとも1つを含む遺伝子発現タンパク質についてのIHC解析を行う工程を含む、項目3に記載の方法。
(項目6)
マイクロアレイ解析を行う上記工程が、BCL2、HIF1A、AR、ESR1、PDGFRA、KIT、PDGFRB、CDW52、ZAP70、PGR、SPARC、GART、GSTP1、NFKBIA、MSH2、TXNRD1、HDAC1、PDGFC、PTEN、CD33、TYMS、RXRB、ADA、TNF、ERCC3、RAF1、VEGF、TOP1、TOP2A、BRCA2、TK1、FOLR2、TOP2B、MLH1、IL2RA、DNMT1、HSPCA、ERBR2、ERBB2、SSTR1、VHL、VDR、PTGS2、POLA、CES2、EGFR、OGFR、ASNS、NFKB2、RARA、MS4A1、DCK、DNMT3A、EREG、エピレギュリン、FOLR1、GNRH1、GNRHR1、FSHB、FSHR、FSHPRH1、葉酸受容体、HGF、HIG1、IL13RA1、LTB、ODC1、PPARG、PPARGC1、VHL、リンフォトキシンβレセプター、Myc、TOP2BトポイソメラーゼII、TOPO2B、TXN、VEGFC、ACE2、ADH1C、ADH4、AGT、AREG、CA2、CDK2、カベオリンおよびNFKB1のうちの少なくとも1つを含む遺伝子についてのマイクロアレイ解析を行う工程を含む、項目3に記載の方法。
(項目7)
罹患個体の生物学的サンプル由来の遺伝子についての試験および遺伝子発現タンパク質についての試験のうちの少なくとも1つを行う上記工程が、腫瘍に対して免疫組織化学的解析を行う工程を含み、そして、どの遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質が参照と比べて発現の変化を示しているかを判定する上記工程が、30%以上の該腫瘍細胞が、特定の遺伝子発現タンパク質について+2以上染色したか否かを判定する工程を含む、項目3に記載の方法。
(項目8)
罹患個体の生物学的サンプル由来の遺伝子についての試験および遺伝子発現タンパク質についての試験のうちの少なくとも1つを行う上記工程が、腫瘍に対してマイクロアレイ解析を行う工程を含み、そして、どの遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質が参照と比べて発現の変化を示しているかを判定する上記工程が、参照起源の正常な組織と比べて特定の遺伝子について何倍の発現の変化が、p<0.001で有意であるのかを決定することによって、どの遺伝子がアップレギュレートされているかまたはダウンレギュレートされているかを同定する工程を含む、項目3に記載の方法。
(項目9)
上記遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質についての発現の変化を同定する患者プロファイルレポートを、発現の変化を示す該遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質の各々との相互作用に対して薬物療法となり得るものとともに提供する工程をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
分子標的と相互作用することができる薬物療法を同定する方法であって、
正常な参照と比べたときに発現の変化を示す分子標的を複数の罹患個体において同定する工程;
該分子標的の発現の変化を示す該罹患個体に薬物療法を施す工程;および
該薬物療法後の該罹患個体の該分子標的の任意の変化を測定する工程
を含む、方法。
(項目11)
正常な参照と比べたときに発現の変化を示す分子標的を複数の罹患個体において同定する上記工程が、該罹患個体の生物学的サンプル由来の遺伝子についての試験および遺伝子発現タンパク質についての試験のうちの少なくとも1つを行う工程を含み、ここで、該試験は、免疫組織化学的(IHC)解析およびマイクロアレイ解析のうちの少なくとも1つを含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
疾患状態について個体に合わせた医学的介入を決定するためのシステムであって、
ホストサーバと;
該ホストサーバにアクセスして、データにアクセスし、そしてデータを入力するためのユーザインターフェースと;
該入力されたデータを処理するためのプロセッサと;
該処理されたデータ、ならびに
i)患者の生物学的検体から得られた分子プロファイルにアクセスするための命令;
ii)遺伝子、遺伝子発現タンパク質、分子メカニズムおよび該分子プロファイルから得られる他の分子知見のうちの少なくとも1つ以上が、正常な参照と比べて発現の変化を示すか否かを判定するための命令;および
iii)薬物療法データベースにアクセスして、発現の変化を示した該少なくとも1つの遺伝子、遺伝子発現タンパク質、分子メカニズムおよび他の分子知見と相互作用する1つ以上の薬物療法を同定するための命令
を保存するための該プロセッサに連結されたメモリと;
発現の変化を示す該少なくとも1つの遺伝子、遺伝子発現タンパク質、分子メカニズムおよび他の分子知見ならびにそれらと相互作用する該薬物療法を表示するための表示手段と
を備える、システム。
(項目13)
上記分子プロファイルが、免疫組織化学的(IHC)解析およびマイクロアレイ解析のうちの少なくとも1つを含む、項目12に記載のシステム。
(項目14)
上記マイクロアレイ解析が、発現マイクロアレイ、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)マイクロアレイ、単一ヌクレオチド多型(SNP)マイクロアレイ、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)およびプロテオミクスアレイのうちの少なくとも1つを含む、項目13に記載のシステム。
(項目15)
上記IHC解析が、Her2/Neu、ER、PR、c-kit、EGFR、MLH1、MSH2、CD20、p53、サイクリンD1、bcl2、COX-2、アンドロゲン受容体、CD52、PDGFR、AR、CD25およびVEGFのうちの少なくとも1つを含む遺伝子発現タンパク質についてのIHC解析を含む、項目13に記載のシステム。
(項目16)
上記マイクロアレイ解析が、BCL2、HIF1A、AR、ESR1、PDGFRA、KIT、PDGFRB、CDW52、ZAP70、PGR、SPARC、GART、GSTP1、NFKBIA、MSH2、TXNRD1、HDAC1、PDGFC、PTEN、CD33、TYMS、RXRB、ADA、TNF、ERCC3、RAF1、VEGF、TOP1、TOP2A、BRCA2、TK1、FOLR2、TOP2B、MLH1、IL2RA、DNMT1、HSPCA、ERBR2、ERBB2、SSTR1、VHL、VDR、PTGS2、POLA、CES2、EGFR、OGFR、ASNS、NFKB2、RARA、MS4A1、DCK、DNMT3A、EREG、エピレギュリン、FOLR1、GNRH1、GNRHR1、FSHB、FSHR、FSHPRH1、葉酸受容体、HGF、HIG1、IL13RA1、LTB、ODC1、PPARG、PPARGC1、VHL、リンフォトキシンβレセプター、Myc、TOP2BトポイソメラーゼII、TOPO2B、TXN、VEGFC、ACE2、ADH1C、ADH4、AGT、AREG、CA2、CDK2、カベオリンおよびNFKB1のうちの少なくとも1つを含む遺伝子についてのマイクロアレイ解析を含む、項目13に記載のシステム。
(項目17)
上記分子プロファイルが、腫瘍に対する免疫組織化学的解析を含み、そして、遺伝子、遺伝子発現タンパク質、分子メカニズムおよび該分子プロファイルから得られる他の分子知見のうちの少なくとも1つ以上が参照と比べて発現の変化を示すか否かを判定するための命令が、30%以上の該腫瘍細胞が特定の遺伝子発現タンパク質について+2以上染色したか否かを判定するための命令を含む、項目13に記載のシステム。
(項目18)
上記分子プロファイルが、腫瘍に対するマイクロアレイ解析を含み、そして、遺伝子、遺伝子発現タンパク質、分子メカニズムおよび該分子プロファイルから得られる他の分子知見のうちの少なくとも1つ以上が正常な参照と比べて発現の変化を示すか否かを判定するための命令が、参照起源の正常な組織と比べて特定の遺伝子について何倍の発現の変化が、p<0.001で有意であるのかを決定することによって、どの遺伝子がアップレギュレートされているかまたはダウンレギュレートされているかを同定するための命令を含む、項目13に記載のシステム。
(項目19)
上記表示手段が、印刷された患者プロファイルレポートを含む、項目12に記載のシステム。
(項目20)
薬物療法データベースにアクセスして、発現の変化を示した上記少なくとも1つの遺伝子、遺伝子発現タンパク質、分子メカニズムおよび他の分子知見と相互作用する1つ以上の薬物療法を同定するための上記命令が、遺伝子および/または遺伝子発現タンパク質と薬物療法相互作用とを相関させる文献を含む大規模な文献データベースの自動化された精査を実施するための命令を含む、項目12に記載の方法。
(項目21)
疾患状態に対する医学的介入を決定するための方法であって、
罹患個体の生物学的サンプル由来の少なくとも1つの標的について少なくとも1つの分子試験を行う工程;
該少なくとも1つの標的が、参照と比べて発現の変化を示すか否かを判定する工程;および
発現の変化を示す該少なくとも1つの標的と相互作用する少なくとも1つの疾患特異的でない薬剤を同定する工程
を含む、方法。
(項目22)
上記少なくとも1つの標的と相互作用する少なくとも1つの疾患特異的でない薬剤を同定する上記工程が、大規模な文献データベースの自動化された精査および臨床試験から得られるデータのうちの少なくとも1つから薬物療法を同定する工程を含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
少なくとも1つの標的について少なくとも1つの分子試験を行う上記工程が、免疫組織化学的(IHC)解析およびマイクロアレイ解析のうちの少なくとも1つを行う工程を含む、項目21に記載の方法。
(項目24)
マイクロアレイ解析を行う上記工程が、発現マイクロアレイ、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)マイクロアレイ、単一ヌクレオチド多型(SNP)マイクロアレイ、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)およびインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)ならびにプロテオミクスアレイのうちの少なくとも1つを使用して解析を行う工程を含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
IHC解析の少なくとも1つを行う上記工程が、Her2/Neu、ER、PR、c-kit、EGFR、MLH1、MSH2、CD20、p53、サイクリンD1、bcl2、COX-2、アンドロゲン受容体、CD52、PDGFR、AR、CD25およびVEGFのうちの少なくとも1つを含む遺伝子発現タンパク質についてのIHC解析を行う工程を含む、項目23に記載の方法。
(項目26)
マイクロアレイ解析の少なくとも1つを行う上記工程が、BCL2、HIF1A、AR、ESR1、PDGFRA、KIT、PDGFRB、CDW52、ZAP70、PGR、SPARC、GART、GSTP1、NFKBIA、MSH2、TXNRD1、HDAC1、PDGFC、PTEN、CD33、TYMS、RXRB、ADA、TNF、ERCC3、RAF1、VEGF、TOP1、TOP2A、BRCA2、TK1、FOLR2、TOP2B、MLH1、IL2RA、DNMT1、HSPCA、ERBR2、ERBB2、SSTR1、VHL、VDR、PTGS2、POLA、CES2、EGFR、OGFR、ASNS、NFKB2、RARA、MS4A1、DCK、DNMT3A、EREG、エピレギュリン、FOLR1、GNRH1、GNRHR1、FSHB、FSHR、FSHPRH1、葉酸受容体、HGF、HIG1、IL13RA1、LTB、ODC1、PPARG、PPARGC1、VHL、リンフォトキシンβレセプター、Myc、TOP2BトポイソメラーゼII、TOPO2B、TXN、VEGFC、ACE2、ADH1C、ADH4、AGT、AREG、CA2、CDK2、カベオリンおよびNFKB1のうちの少なくとも1つを含む遺伝子についてのマイクロアレイ解析を行う工程を含む、項目23に記載の方法。
(項目27)
罹患個体の生物学的サンプル由来の少なくとも1つの標的について少なくとも1つの分子試験を行う上記工程が、腫瘍に対する免疫組織化学的解析を行う工程を含み、そして、該少なくとも1つの標的が、参照と比べて発現の変化を示すか否かを判定する上記工程が、30%以上の該腫瘍細胞が特定の遺伝子発現タンパク質について+2以上染色したか否かを判定するための工程を含む、項目23に記載の方法。
(項目28)
罹患個体の生物学的サンプル由来の少なくとも1つの標的について少なくとも1つの分子試験を行う上記工程が、腫瘍に対するマイクロアレイ解析を行う工程を含み、そして、該少なくとも1つの標的が、参照と比べて発現の変化を示すか否かを判定する上記工程が、参照起源の正常な組織と比べて特定の遺伝子について何倍の発現の変化が、p<0.001で有意であるのかを決定することによって、どの遺伝子がアップレギュレートされているかまたはダウンレギュレートされているかを同定する工程を含む、項目23に記載の方法。
(項目29)
様々な標的に対する患者の試験結果およびそれらの結果に基づいて提案される任意の治療法を含む患者プロファイルレポートを提供する工程をさらに含む、項目21に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、疾患特異的でない、患者の生物学的検体の分子プロファイリングを利用する、特定の疾患状態について個体に合わせた医学的介入を決定するためのシステムの例示的な実施形態のブロック図を示している。
図2図2は、疾患特異的でない、患者の生物学的検体の分子プロファイリングを利用する、特定の疾患状態について個体に合わせた医学的介入を決定するための方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
図3A図3A~3Dは、図2の工程80に記載の例示的な患者プロファイルレポートを示している。
図3B図3A~3Dは、図2の工程80に記載の例示的な患者プロファイルレポートを示している。
図3C図3A~3Dは、図2の工程80に記載の例示的な患者プロファイルレポートを示している。
図3D図3A~3Dは、図2の工程80に記載の例示的な患者プロファイルレポートを示している。
図4図4は、標的と相互作用することができる薬物療法/薬剤を同定するための方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
図5図5~14は、本発明の、情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分を示しているフローチャートおよび図である。
図6図5~14は、本発明の、情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分を示しているフローチャートおよび図である。
図7図5~14は、本発明の、情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分を示しているフローチャートおよび図である。
図8図5~14は、本発明の、情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分を示しているフローチャートおよび図である。
図9図5~14は、本発明の、情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分を示しているフローチャートおよび図である。
図10図5~14は、本発明の、情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分を示しているフローチャートおよび図である。
図11図5~14は、本発明の、情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分を示しているフローチャートおよび図である。
図12図5~14は、本発明の、情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分を示しているフローチャートおよび図である。
図13図5~14は、本発明の、情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分を示しているフローチャートおよび図である。
図14図5~14は、本発明の、情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分を示しているフローチャートおよび図である。
図15図15~25は、図5~14に示される情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分に関連するコンピュータスクリーンの印刷出力である。
図16図15~25は、図5~14に示される情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分に関連するコンピュータスクリーンの印刷出力である。
図17図15~25は、図5~14に示される情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分に関連するコンピュータスクリーンの印刷出力である。
図18図15~25は、図5~14に示される情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分に関連するコンピュータスクリーンの印刷出力である。
図19図15~25は、図5~14に示される情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分に関連するコンピュータスクリーンの印刷出力である。
図20図15~25は、図5~14に示される情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分に関連するコンピュータスクリーンの印刷出力である。
図21図15~25は、図5~14に示される情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分に関連するコンピュータスクリーンの印刷出力である。
図22図15~25は、図5~14に示される情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分に関連するコンピュータスクリーンの印刷出力である。
図23図15~25は、図5~14に示される情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分に関連するコンピュータスクリーンの印刷出力である。
図24図15~25は、図5~14に示される情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分に関連するコンピュータスクリーンの印刷出力である。
図25図15~25は、図5~14に示される情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分に関連するコンピュータスクリーンの印刷出力である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(詳細な説明)
本明細書中の例示的な実施形態の詳細な説明は、添付の図面および画像について言及するものであり、その図面および画像は、図示する目的で例示的な実施形態およびその最良の形態を示している。これらの例示的な実施形態は、当業者が本発明を実施できるのに十分な程度に詳細に記載されているが、他の実施形態が実現化され得ること、ならびに、論理的および機械的な変更が本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることが、理解されるべきである。従って、本明細書中の詳細な説明は、限定するのではなく例示するためだけの目的である。例えば、方法またはプロセスの説明のいずれかにおいて列挙される工程は、任意の順序で実行され得、示される順序に限定されない。さらに、機能または工程のいずれかは、1つ以上の第3機関に外部委託され得るか、または1つ以上の第3機関によって行われ得る。さらに、単数形に対する任意の言及は、複数の実施形態を含み、また、1つより多い構成要素に対する任意の言及は、単一の実施形態を含み得る。
簡潔にするために、従来のデータネットワーキング、アプリケーション開発およびシステムの他の機能的な局面(およびシステムの個別の作動コンポーネントの構成部分)は、本明細書中に詳細に記載されないかもしれない。さらに、本明細書中に含まれる様々な図に示される接続線は、例示的な機能的な関係性および/または様々なエレメント間の物理的な連結を示すと意図される。多くの代替のまたはさらなる機能的な関係性または物理的な連結が、実際のシステム中に存在し得ることに注意されるべきである。
【0017】
本明細書中に記述される様々なシステムコンポーネントは、以下のうちの1つ以上を備え得る:ホストサーバまたは他のコンピューティングシステム(デジタルデータを処理するためのプロセッサ;デジタルデータを保存するためのプロセッサに連結されたメモリ;デジタルデータを入力するためのプロセッサに連結された入力デジタイザ;メモリ内に保存されていて、プロセッサによるデジタルデータの処理を指示するためのプロセッサがアクセス可能なアプリケーションプログラム;プロセッサが処理するデジタルデータから得られる情報を表示するための、プロセッサおよびメモリに連結された表示デバイスを含む)および複数のデータベース。本明細書中で使用される様々なデータベースには、患者データ(例えば、家族歴、人口統計学および環境データ)、生物学的サンプルデータ、前処置およびプロトコルデータ、患者の臨床上のデータ、生物学的サンプルの分子プロファイリングデータ、治療薬および/または研究薬物についてのデータ、遺伝子ライブラリ、疾患ライブラリ、薬物ライブラリ、患者追跡データ、ファイル管理データ、財務管理データ、請求書データおよび/またはシステムの操作において有用な同様のデータが含まれ得る。当業者が理解するように、ユーザコンピュータは、オペレーティングシステム(例えば、Windows(登録商標)NT、95/98/2000、OS2、UNIX(登録商標)、Linux(登録商標)、Solaris、MacOSなど)ならびにコンピュータに通常関連する様々な従来の支援ソフトウェアおよびドライバを備え得る。コンピュータとしては、任意の適当なパーソナルコンピュータ、ネットワークコンピュータ、ワークステーション、ミニコンピュータ、メインフレームなどが挙げられ得る。ユーザコンピュータは、ネットワークにアクセス可能な、家庭内または医学的環境/ビジネス環境に存在し得る。例示的な実施形態において、アクセスは、ネットワークを介するものであるか、または、市販のウェブブラウザ・ソフトウェア・パッケージによるインターネットを介するものである。
【0018】
本明細書中で使用されるとき、用語「ネットワーク」は、それらのハードウェアコンポーネントとソフトウェアコンポーネントとの両方を組み込んだ任意の電子通信手段を含むべきである。当事者間の通信は、任意の適当な通信チャネル(例えば、電話ネットワーク、エクストラネット、イントラネット、インターネット、相互作用デバイスのポイント、携帯情報端末(例えば、Palm Pilot(登録商標)、Blackberry(登録商標))、携帯電話、キオスクなど)、オンライン通信、衛星通信、オフライン通信、無線通信、トランスポンダ通信、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、ネットワーク接続されたデバイスもしくは関連付けられたデバイス、キーボード、マウスおよび/または任意の適当な通信モダリティもしくはデータ入力モダリティによって達成され得る。さらに、そのシステムは、TCP/IP通信プロトコルで実行されると、本明細書中においてしばしば記載されるが、そのシステムは、IPX、Appletalk、IP-6、NetBIOS、OSIまたはかなり多数の既存もしくは未来のプロトコルを使用しても実行され得る。ネットワークが、本質的にインターネットのような公的なネットワークの範疇に入っている場合、そのネットワークは、安全ではなく、傍受者に対して開かれていると推定することが有益であり得る。上記のプロトコル、規格およびインターネットと接続して利用されるアプリケーションソフトウェアに関連する特定の情報は、通常、当業者に公知であるので、本明細書中で詳述する必要はない。例えば、DlLIP NAIK,INTERNET STANDARDS AND PROTOCOLS(1998);JAVA 2 COMPLETE,様々な作者,(Sybex
1999);DEBORAH RAY AND ERIC RAY,MASTERING HTML 4.0(1997);およびLOSHIN,TCP/IP CLEARLY EXPLAINED(1997)およびDAVID GOURLEY AND BRIAN TOTTY,HTTP,THE DEFINITIVE GUIDE(2002)(これらの内容は、本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
【0019】
様々なシステムコンポーネントは、独立して、別々に、または集合的に、データリンクを介してネットワークに適当に連結されている場合があり、そのネットワークは、標準的なモデム通信、ケーブルモデム、ディッシュネットワーク、ISDN、デジタル加入者線(DSL)または様々な無線通信方法と接続して通常使用されるように、例えば、ローカルループを通じたインターネットサービスプロバイダ(ISP)への接続を含む。例えば、GILBERT HELD,UNDERSTANDING DATA COMMUNICATIONS(1996)(これは本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。ネットワークが、インタラクティブテレビ(ITV)ネットワークのような他のタイプのネットワークとして実行され得ることに注意されたい。さらに、そのシステムは、本明細書中に記載される類似の機能性を有する任意のネットワークを通じた、任意の物品、サービスまたは情報の使用、販売または流通を企図する。
【0020】
本明細書中で使用されるとき、「送信」は、ネットワーク接続を通じて1つのシステムコンポーネントから別のシステムコンポーネントに電子データを送ることを含み得る。さらに、本明細書中で使用されるとき、「データ」は、デジタル形式または他の任意の形式におけるコマンド、クエリ、ファイル、保存用データなどのような包括的な情報を含み得る。
【0021】
本システムは、ウェブサービス、ユーティリティコンピューティング、広範囲なおよび個体に合わせたコンピューティング、セキュリティソリューションおよびアイデンティティソリューション、自律型コンピューティング、コモディティコンピューティング(commodity computing)、モビリティソリューションおよびワイヤレスソリューション、オープンソース、バイオメトリクス、グリッドコンピューティングおよび/またはメッシュコンピューティングと関連する使用を企図する。
【0022】
本明細書中に記述される任意のデータベースは、関係構造、階層構造、グラフィック構造もしくはオブジェクト指向構造および/または他の任意のデータベース設定を含み得る。データベースを実行するために使用され得る通常のデータベース製品としては、IBM(White Plains,NY)製のDB2、Oracle Corporation(Redwood Shores,CA)から入手可能な様々なデータベース製品、Microsoft Corporation(Redmond,Washington)製のMicrosoft AccessもしくはMicrosoft SQL Serverまたは他の任意の適当なデータベース製品が挙げられる。さらに、データベースは、任意の適当な様式で、例えば、データテーブルまたはルックアップテーブルとして、編成され得る。各レコードは、単一のファイル、一連のファイル、関連付けられた一連のデータフィールドまたは他の任意のデータ構造であり得る。ある特定のデータの連想は、任意の所望のデータ連想技術(例えば、当該分野で公知のものまたは当該分野で実施されているもの)を介して達成され得る。例えば、その連想は、手動または自動のいずれかで達成され得る。自動連想技術としては、例えば、データベース検索、データベースマージ、GREP、AGREP、SQL、検索の速度を上げるためにテーブルにおいてキーフィールドを使用すること、すべてのテーブルおよびファイルを通じた逐次検索、検索を単純化する既知の命令に従ったファイルにおける分類レコードならびに/またはそれらと同様のものが挙げられ得る。連想工程は、予め選択されたデータベースまたはデータセクタ(data sector)において、例えば、「キーフィールド」を使用してデータベースマージ機能によって達成され得る。
【0023】
より詳細には、「キーフィールド」は、そのキーフィールドによって定義される高レベルクラスのオブジェクトに従ってデータベースを分割する。例えば、ある特定のタイプのデータは、複数の関連するデータテーブルにおいてキーフィールドとして指定され得、そして、そのデータテーブルは、そのキーフィールドにおけるデータのタイプに基づいて関連付けられ得る。その関連付けられたデータテーブルの各々におけるキーフィールドに対応するデータは、好ましくは同一であるか、または同じタイプである。しかしながら、そのキーフィールドにおいて同一ではないが類似のデータを有するデータテーブルもまた、例えば、AGREPを使用することによって関連付けられ得る。1つの実施形態によれば、任意の適当なデータ保存技術は、標準的な形式なしにデータを保存するために利用され得る。データセットは、任意の適当な技術を使用して保存され得、その技術としては、例えば、ISO/IEC 7816-4ファイル構造を使用して個別のファイルを保存すること;1つ以上のデータセットを含む1つ以上の基本ファイルを公表する専用ファイルが選択されるドメインを実装すること;階層的なファイリングシステムを使用して個別のファイルに保存されたデータセットを使用すること;データセットが単一ファイル内にレコードとして保存されること(圧縮されたもの、SQLで利用可能なもの、第1のタプルにより1つ以上のキー、数値、英字を介してハッシュされたものなどを含む);バイナリラージオブジェクト(BLOB);ISO/IEC 7816-6データエレメントを使用してエンコードされるグループ化されていないデータエレメントとして保存されること;ISO/IEC 8824および8825にあるようなISO/IEC Abstract Syntax Notation(ASN.1)を使用してエンコードされるグループ化されていないデータエレメントとして保存されること;および/または他の専売技術(フラクタル圧縮法、画像圧縮法を含み得る)などが挙げられる。
【0024】
1つの例示的な実施形態において、様々な形式で多岐にわたる情報を保存する能力は、BLOBとして情報を保存することによって促進される。従って、任意のバイナリ情報は、データセットと関連する保存スペースに保存され得る。BLOB法は、固定ストレージアロケーション、循環キュー(circular queue)技術またはメモリ管理(例えば、最も長い間使用されていないページメモリなど)に関する最良のもののいずれかを使用して、一定のメモリオフセットを介してバイナリのブロックとして形式が合わされたグループ化されていないデータエレメントとしてデータセットを保存し得る。BLOB法を使用することにより、異なる形式を有する様々なデータセットを保存する能力によって、データセットの複数の所有者および無関係な所有者によるデータの保存が容易になる。例えば、保存され得る第1データセットは、第1者によって提供され得、保存され得る第2データセットは、無関係な第2者によって提供され得、そして、保存され得る第3データセットは、第1者および第2者と無関係な第3者によって提供され得る。これらの3つの例示的なデータセットの各々は、様々なデータ保存形式および/または技術を使用して保存されている異なる情報を含み得る。さらに、各データセットは、他のサブセットと異なり得るデータのサブセットを含み得る。
【0025】
上で述べたように、様々な実施形態において、データは、通常の形式に関係なく保存され得る。しかしながら、1つの例示的な実施形態では、データセット(例えば、BLOB)がデータを操作するために提供されるとき、そのデータセットに標準的な様式でアノテーションが付けられ得る。そのアノテーションは、様々なデータセットの管理に有用な情報を伝えるために設定されている、短いヘッダ、後書きまたは各データセットに関する他の適切なインジケータを含み得る。例えば、アノテーションは、本明細書中で「条件ヘッダ」、「ヘッダ」、「後書き」または「ステータス」と呼ばれることがあり、データセットのステータスの表示を含み得るか、またはデータの特定の発行者もしくは所有者に相関する識別子を含み得る。その結果生じた何バイトものデータ(Subsequent bytes of data)は、例えば、データの発行者または所有者の身元、ユーザ、トランザクション/メンバーシップアカウント識別子などを表示するために使用され得る。これらの条件アノテーションの各々は、本明細書中でさらに記述される。
【0026】
データ・セット・アノテーションはまた、他のタイプのステータス情報ならびに様々な他の目的にも使用され得、例えば、データ・セット・アノテーションは、アクセスレベルを確立するセキュリティ情報を含み得る。アクセスレベルは、例えば、従業員、会社または他の実体のレベルである特定の1単位のみがデータセットにアクセスすることを許可するか、または、トランザクションに基づいてデータの発行者もしくは所有者、ユーザなどが特定のデータセットにアクセスすることを許可するように設定され得る。さらに、セキュリティ情報は、ある特定の行為(例えば、データセットへのアクセス、データセットの修正および/または削除)のみを制限/許可し得る。1つの例において、データ・セット・アノテーションは、データセット所有者またはユーザだけが、データセットを削除することを許可されていて、様々な身元が確認されるユーザは、読み取りのためにデータセットにアクセスすることが許可され得、そして、その他の者は、データセットへのアクセスから一斉に排除されることを示している。しかしながら、他のアクセス制限パラメータもまた、適切なとき、様々な許可レベルで、様々な実体がデータセットにアクセスすることを許可するように使用され得る。ヘッダまたは後書きを含むデータは、ヘッダまたは後書きに従ってデータを追加するか、削除するか、修正するか、または増加させるように設定されているスタンドアローンの相互作用デバイスによって受信され得る。
【0027】
セキュリティ上の理由で、任意のデータベース、システム、デバイス、サーバまたはシステムの他のコンポーネントが、単一の場所または複数の場所においてそれらの任意の組み合わせからなり得ることも当業者は認識するだろう。ここで、各データベースまたはシステムは、適当な様々なセキュリティ特徴(例えば、ファイアウォール、アクセスコード、暗号化、解読、圧縮、復元など)のいずれかを備える。
【0028】
ウェブクライアントの演算器は、標準的なダイヤルアップ式、ケーブル、DSLまたは当該分野で公知の他の任意のインターネットプロトコルを使用してインターネットまたはイントラネットに接続されたインターネットブラウザをさらに備え得る。他のネットワークのユーザによる権限のないアクセスを阻止するために、ウェブクライアントからのトランザクションは、ファイアウォールを通過し得る。さらに、セキュリティをさらに高めるためにCMSの様々なコンポーネント間にさらなるファイアウォールが配備され得る。
【0029】
ファイアウォールは、CMSコンポーネントおよび/または企業のコンピューティングリソースを他のネットワークのユーザから保護するために適当に設定された任意のハードウェアおよび/またはソフトウェアを含み得る。さらに、ファイアウォールは、ウェブサーバを介して接続しているウェブクライアントに対してファイアウォールを超えて様々なシステムおよびコンポーネントへのアクセスを限定または制限するように設定され得る。ファイアウォールは、とりわけステートフルインスペクション、プロシキ型およびパケットフィルタリングをはじめとした様々な設定で存在し得る。ファイアウォールは、ウェブサーバまたは他の任意のCMSコンポーネント内で統合されてもよいし、さらに別個のエンティティとして存在してもよい。
【0030】
本明細書中に記述されるコンピュータは、ユーザによってアクセス可能な適当なウェブサイトまたは他のインターネットベースのグラフィカルユーザインターフェースを提供し得る。1つの実施形態において、Microsoft Internet Information Server(IIS)、Microsoft Transaction Server(MTS)およびMicrosoft SQL Serverは、Microsoftオペレーティングシステム、Microsoft NTウェブサーバソフトウェア、Microsoft SQL ServerデータベースシステムおよびMicrosoft Commerce Serverとともに使用される。さらに、AccessまたはMicrosoft SQL Server、Oracle、Sybase、Informix MySQL、Interbaseなどのようなコンポーネントを使用することにより、Active Data Object(ADO)準拠データベース管理システムが提供され得る。
【0031】
本明細書中に記述される通信、入力、保存、データベースまたは表示のいずれかは、ウェブページを有するウェブサイトを介して促進され得る。用語「ウェブページ」は、本明細書中で使用されるとき、ユーザと相互作用するために使用され得るドキュメントおよびアプリケーションのタイプを限定すると意味されない。例えば、代表的なウェブサイトは、標準的なHTMLドキュメントに加えて、様々なフォーム、Java(登録商標)アプレット、Java(登録商標)Script、アクティブ・サーバ・ページ(ASP)、コモン・ゲートウェイ・インターフェース・スクリプト(CGI)、拡張マークアップ言語(XML)、ダイナミックHTML、カスケーディング・スタイル・シート(CSS)、ヘルパーアプリケーション、プラグインなどを備え得る。サーバは、ウェブサーバからの要求を受信するウェブサービスを含み得、その要求としては、URL(http://yahoo.com/stockquotes/ge)およびIPアドレス(123.56.789.234)が挙げられる。ウェブサーバは、適切なウェブページを検索し、そしてIPアドレスに、そのウェブページについてのデータまたはアプリケーションを送信する。ウェブサービスは、インターネットのような通信手段を通じて他のアプリケーションと相互作用することができるアプリケーションである。ウェブサービスは、代表的には、XML、XSLT、SOAP、WSDLおよびUDDIのような規格またはプロトコルに基づく。ウェブサービス方法は、当該分野で周知であり、多くの標準的な教科書において網羅されている。例えば、本明細書によって参考として援用されるALEX NGHIEM,IT WEB SERVICES:A ROADMAP FOR THE ENTERPRISE(2003)を参照のこと。
【0032】
本発明のシステムおよび方法についてのウェブベースの臨床データベースは、好ましくは、ネイティブ形式で臨床データファイルをアップロードする能力および保存する能力を有し、そして、任意の臨床パラメータについて検索可能である。このデータベースは、拡張可能でもあり、EAVデータモデル(メタデータ)を利用することにより、他の研究と容易に統合するために任意の研究からの臨床上のアノテーションを入力し得る。さらに、ウェブベースの臨床データベースは、順応性があり、ユーザカスタマイズされた質問を動的に付加することができるXMLおよびXSLTであり得る。また、このデータベースは、CDISC ODMに対するエクスポート能力(exportability)を備える。
【0033】
当業者は、ブラウザベースのドキュメント内のデータを表示するための方法が数多く存在することも認識する。データは、標準的なテキストとして表示され得るか、または固定リスト、スクロール可能なリスト、ドロップダウンリスト、編集可能なテキストフィールド、固定テキストフィールド、ポップアップウインドウなどの中に表示され得る。同様に、ウェブページにおいてデータを修正するために利用可能な方法(例えば、キーボードを使用した自由なテキスト入力、メニュー項目の選択、チェックボックス、オプションボックスなど)が数多く存在する。
【0034】
上記システムおよび方法は、機能ブロックコンポーネント、スクリーンショット、オプションの選択および様々な処理工程に関して本明細書中において記載され得る。そのような機能ブロックが、特定の機能を行うように設定されているいくつかのハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネントによって実現化され得ることが認識されるべきである。例えば、上記システムは、様々な集積回路コンポーネント、例えば、メモリエレメント、処理エレメント、ロジックエレメント、ルックアップテーブルなどを使用し得、それらは、1つ以上のマイクロプロセッサまたは他の制御デバイスの制御下で種々の機能を実行し得る。同様に、上記システムのソフトウェアエレメントは、任意のプログラミング言語またはスクリプト言語(例えば、C、C++、Macromedia Cold Fusion、Microsoft Active Server Pages、Java(登録商標)、COBOL、アセンブラ、PERL、Visual Basic、SQL
Stored Procedures、拡張マークアップ言語(XML)を用いて実行され得、様々なアルゴリズムは、データ構造、オブジェクト、プロセス、ルーチンまたは他のプログラミングエレメントの任意の組み合わせを用いて実行される。さらに、上記システムが、データ送信、信号伝達、データ処理、ネットワーク制御などについて、いくつかの従来技術を使用し得ることに注意されるべきである。なおもさらに、上記システムは、クライアント側スクリプト言語(例えば、Java(登録商標)Script、VBScriptなど)を用いて、セキュリティ問題を検出するか、または回避するために使用され得る。暗号法およびネットワークセキュリティの基本的な序論については、以下の参考文献のいずれかを参照のこと:(1)“Applied Cryptography:Protocols,Algorithms,And Source Code In C”Bruce Schneier著,John Wiley & Sonsによる出版(第2版,1995);(2)“Java Cryptography”Jonathan Knudson著,O’Reilly & Associatesによる出版(1998);(3)“Cryptography & Network Security:Principles & Practice”William Stallings著,Prentice Hallによる出版;これらのすべてが本明細書によって参考として援用される。
【0035】
本明細書中で使用されるとき、用語「エンドユーザ」、「消費者」、「顧客」、「クライアント」、「処置する医師」、「病院」、または「事業所」は、交換可能に使用され得、各々は、任意の人物、実体、機械、ハードウェア、ソフトウェアまたは事業所を意味するはずである。関係するものの各々は、上記システムと情報交換するためならびにオンラインでのデータアクセスおよびデータ入力を容易にするために、コンピューティングデバイスを備えている。顧客は、パーソナルコンピュータの形態の演算器を有するが、ラップトップ型、ノートブック型、携帯式コンピュータ、セットトップボックス、携帯電話、プッシュホン式電話などを含む他のタイプの演算器を使用してもよい。本発明のシステムおよび方法の所有者/操作者は、コンピュータサーバの形式で実行される演算器を有するが、メインフレームコンピュータ、ミニコンピュータ、PCサーバ、異なる地理的な位置の同じものに配置されるコンピュータのネットワークなどとして示されるコンピューティングセンタを含むシステムによる他の実行も企図される。さらに、本システムは、本明細書中に記載される類似の機能性を有する任意のネットワークを通じた、任意の物品、サービスまたは情報の使用、販売または流通を企図する。
【0036】
1つの例示的な実施形態において、各クライアント顧客は、「アカウント」または「アカウント番号」を与えられ得る。本明細書中で使用されるとき、アカウントまたはアカウント番号は、消費者が本システムにアクセスできるように、本システムと相互作用できるようにまたは本システムと通信できるように適当に設定されている、任意のデバイス、コード、番号、文字、符号、デジタル証明書、スマートチップ、デジタルシグナル、アナログシグナル、バイオメトリックまたは他の識別子/しるし(例えば、承認コード/アクセスコード、個人識別番号(PIN)、インターネットコード、他の識別コードなどのうちの1つ以上)を含み得る。そのアカウント番号は、必要に応じて、チャージカード、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード、エンボスカード(embossed
card)、スマートカード、磁気ストライプカード、バーコードカード、トランスポンダ、高周波(radio frequency)カードまたは関連アカウント上に位置づけられ得るか、またはそれらに結び付けられ得る。本システムは、前述のカードもしくはデバイスまたはトランスポンダを有するフォッブおよびそのフォッブとのRF通信におけるRFIDリーダのいずれかを備え得るか、それらのいずれかとインターフェースで連結し得る。本システムは、フォッブ実施形態を備え得るが、本発明は、そうであると限定されない。実際、システムは、RF通信を介してRFIDリーダと通信するように設定されているトランスポンダを有する任意のデバイスを備え得る。代表的なデバイスとしては、例えば、問い合わせ(interrogation)に対して表示することが可能な、キーリング、タグ、カード、携帯電話、腕時計または任意のそのような形態のものが挙げられ得る。さらに、本明細書中に記述されるシステム、演算器またはデバイスは、「普及型(pervasive)コンピューティングデバイス」を備え得、それは、演算器が取り付けられた、これまでコンピュータ化されていないデバイスを備え得る。アカウント番号は、それ自体から第2のデバイスへのデータの送信またはダウンロードが可能な、プラスチックデバイス、電子的デバイス、磁気的デバイス、無線周波数デバイス、無線デバイス、オーディオデバイスおよび/または光学的デバイスのいずれかの形態で分配され得、保存され得る。
【0037】
当業者によって認識されるように、本システムは、既存のシステム、アドオン製品、アップグレードしたソフトウェア、スタンドアローンのシステム、分散システム、方法、データ処理システム、データ処理用のデバイスおよび/またはコンピュータプログラム製品の特注生産として具体化され得る。従って、本システムは、もっぱらソフトウェア実施形態、もっぱらハードウェア実施形態またはソフトウェアとハードウェアの両方の局面を兼ね備える実施形態の形態をとり得る。さらに、本システムは、記録媒体において具体化されるコンピュータが判読可能なプログラムコード手段を有するコンピュータ読み取り可能記録媒体上のコンピュータプログラム製品の形態をとり得る。ハードディスク、CD-ROM、光学式記憶デバイス、磁気記憶デバイスなどをはじめとした、任意の適当なコンピュータが判読可能な記録媒体が利用され得る。
【0038】
本システムおよび方法は、様々な実施形態に記載の方法、装置(例えば、システム)およびコンピュータプログラム製品のスクリーンショット、ブロック図およびフローチャート図を参照して本明細書中に記載される。ブロック図およびフローチャート図の各機能ブロックならびにそれぞれのブロック図およびフローチャート図における機能ブロックの組み合わせが、コンピュータプログラムの命令によって実行され得ることが理解される。
【0039】
ここで図2~25を参照していくが、示されるプロセスの流れおよびスクリーンショットは、単なる実施形態であり、本明細書中に記載されるような本発明の範囲を限定すると意図されない。例えば、方法またはプロセスの説明のいずれかにおいて列挙される工程は、任意の順序で実行され得、示される順序に限定されない。以下の説明が、図2~25に示される工程およびユーザインターフェースエレメントだけでなく、図1を参照して上で説明したような様々なシステムコンポーネントに対しても適切に言及することが認識されるだろう。
【0040】
これらのコンピュータプログラム命令は、機械を製造するために汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置にロードされ得、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置において実行する命令が、フローチャートブロックにおいて特定される機能を実行するための手段を作り出す。これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置に特定の様式で機能するように指示し得る、コンピュータが判読可能なメモリに保存され得、そのコンピュータが判読可能なメモリ内に保存された命令は、フローチャートブロックにおいて特定される機能を実行する命令手段を備える製品を製造する。そのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置にロードされることにより、一連の操作工程がコンピュータまたは他のプログラム可能な装置において実施されるようになり、コンピュータによって実行されるプロセスがもたらされ得、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置において実行する命令が、フローチャートブロックにおいて特定される機能を実行するための工程を提供する。
【0041】
従って、ブロック図およびフローチャート図の機能ブロックは、特定の機能を実施するための手段の組み合わせ、特定の機能を実施するための工程の組み合わせ、および、特定の機能を実施するためのプログラム命令手段を支持している。ブロック図およびフローチャート図の各機能ブロックならびにブロック図およびフローチャート図の機能ブロックの組み合わせが、特定の機能または工程を実施する特別な目的のハードウェアベースのコンピュータシステム、または、特別の目的のハードウェアとコンピュータ命令との適当な組み合わせのいずれかによって実行され得ることも理解されるだろう。さらに、プロセスの流れの図およびその説明は、ユーザウインドウ、ウェブページ、ウェブサイト、ウェブフォーム、プロンプトなどについて言及し得る。本明細書中に記載される図示される工程が、ウインドウ、ウェブページ、ウェブフォーム、ポップアップウインドウ、プロンプトなどの使用を含むいくつかの設定において含み得ることを当業者は認識するだろう。図示され、説明されるような複数の工程が、単一のウェブページおよび/またはウインドウに一体化され得るが、単純化するために拡張されていることがさらに認識されるべきである。他の場合において、単一のプロセス工程として図示され、説明される工程は、複数のウェブページおよび/またはウインドウに分割され得るが、単純化するために一体化されている。
【0042】
問題に対する利点、他の長所および解決法が、特定の実施形態に関して本明細書中で説明される。しかしながら、その問題に対する利点、長所、解決法、および、生じる任意の利点、長所または解決法をもたらし得るかまたはそれらをより明白にし得る任意のエレメントは、本発明の特許請求の範囲のいずれかまたはすべての非常に重大な、必要な、もしくは必須の特徴またはエレメントと解釈されるべきでない。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲以外の何ものによっても限定されるべきでなく、特許請求の範囲において、エレメントに対する単数形での言及は、「1つおよびただ1つ」と明確に述べられない限り、「1つおよびただ1つ」を意味すると意図されず、「1つ以上」を意味すると意図される。当業者に公知である、上記の例示的な実施形態のエレメントに対するすべての構造的、化学的および機能的な均等物が、本明細書中において明示的に参考として援用され、そして、本発明の特許請求の範囲によって包含されると意図される。さらに、本発明の特許請求の範囲によって包含されるデバイスまたは方法は、本発明が解決しようと努めた問題の各々およびすべてに取り組む必要はない。さらに、本開示におけるエレメント、コンポーネントまたは方法工程は、そのエレメント、コンポーネントまたは方法工程が、特許請求の範囲において明確に列挙されているか否かに関わらず、公衆に対して公の用に供すると意図されない。本明細書中の特許請求の範囲におけるエレメントは、そのエレメントが句「~のための手段」を使用して明示的に列挙されない限り、米国特許法(35
U.S.C.)112条第6パラグラフの規定に従って解釈されるべきでない。本明細書中で使用されるとき、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」またはそれらの他の任意の変化形は、非排他的な包含を意図し、エレメントのリストを含むプロセス、方法、物品または装置が、それらのエレメントのみを包含するわけではないが、明示的に列挙されていない他のエレメントまたはそのようなプロセス、方法、物品もしくは装置に固有でない他のエレメントを包含し得る。さらに、本明細書中に記載されるエレメントは、「必須の」または「非常に重大な」と明示的に記載されない限り、本発明の実施に必要ではない。
【0043】
図1は、患者の生物学的検体の分子プロファイリングを利用して、特定の疾患状態について個体に合わせた医学的介入を決定するためのシステム10の例示的な実施形態のブロック図である。システム10は、ユーザインターフェース12、データを処理するためのプロセッサ16を備えるホストサーバ14、そのプロセッサに連結されたメモリ18、メモリ18内に保存され、プロセッサ16によるデータの処理を指示するための、プロセッサ16がアクセス可能なアプリケーションプログラム20、複数の内部データベース22および外部データベース24ならびに有線通信または無線通信ネットワーク(例えば、インターネット)とのインターフェース26を備える。システム10はまた、ユーザインターフェース12から受信されるデータからデジタルデータを入力するための、プロセッサ16に連結された入力デジタイザ28を備え得る。
【0044】
ユーザインターフェース12は、システム10にデータを入力するための入力デバイス30およびプロセッサ16によって処理されたデータから得られる情報を表示するためのディスプレイ32を備える。ユーザインターフェース12はまた、プロセッサ16によって処理されたデータから得られる情報(例えば、標的についての試験結果およびその試験結果に基づいて提案される薬物療法を含み得る患者レポート)を印刷するためのプリンタ34を備え得る。
【0045】
内部データベース22としては、患者の生物学的サンプル情報/検体情報および追跡、臨床データ、患者データ、患者追跡、ファイル管理、研究プロトコル、患者の分子プロファイリングの試験結果ならびに請求書情報および追跡が挙げられ得るが、これらに限定されない。外部データベース24としては、薬物ライブラリ、遺伝子ライブラリ、疾患ライブラリならびに公的および私的データベース(例えば、UniGene、OMIM、GO、TIGR、GenBank、KEGGおよびBiocarta)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0046】
様々な方法は、システム10に従って使用され得る。図2は、患者の生物学的検体の分子プロファイリングを利用して、疾患特異的でない、特定の疾患状態について個体に合わせた医学的介入を決定するための方法50の例示的な実施形態のフローチャートを示している。疾患系列診断とは無関係の(すなわち、単一の疾患に限定されない)分子プロファイリングを使用して特定の疾患状態に対する医学的介入を決定するために、工程52において罹患患者の生物学的サンプル由来の少なくとも1つの標的について少なくとも1つの試験が行われる。標的は、分子試験から得られ得る任意の分子知見と定義される。例えば、標的としては、1つ以上の遺伝子、1つ以上の遺伝子発現タンパク質、1つ以上の分子メカニズムおよび/またはそれらの組み合わせが挙げられ得る。そのような標的を探し出すための試験としては、免疫組織化学的(IHC)解析、マイクロアレイ解析(例えば、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)マイクロアレイ、単一ヌクレオチド多型(SNP)マイクロアレイ、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)およびプロテオミクスアレイ)および当業者に公知の他の分子試験が挙げられ得るが、これらに限定されない。従って、以下のうちの1つ以上が、行われ得る:工程54におけるIHC解析、工程56における微量分析および工程58における当業者に公知の他の分子試験。
【0047】
生物学的サンプルは、腫瘍のバイオプシーを採取することによって、または、低侵襲手術を行うことによって、または、最近の腫瘍が入手できない場合は患者の血液サンプルもしくは他の任意の生物学的体液のサンプル(細胞抽出物、核抽出物、細胞可溶化物または生物学的起源の生物学的産物もしくは物質(例えば、排泄物、血液、血清、血漿、尿、痰、涙、便、唾液、膜抽出物などが挙げられるがこれらに限定されない))を得ることによって、罹患患者から得られる。
【0048】
工程60では、工程52において試験された標的の1つ以上が、特定の標的について正常な参照と比べて発現の変化を示すか否かについての判定がなされる。本発明の1つの例示的な方法において、IHC解析が工程54において行われ得、そして30%以上の生物学的サンプル細胞が特定の標的について+2以上染色したか否かを判定することによって、IHC解析からの任意の標的が発現の変化を示すか否かについての判定が工程64においてなされる。染色結果が、試験を行う技術者および試験される標的のタイプに応じて変化し得るので、+1以上の染色が発現の変化の示唆する場合があることを当業者は理解するだろう。本発明の別の例示的な実施形態では、工程56においてマイクロアレイ解析が行われ得、そして、参照起源の正常な組織と比べて特定の標的について何倍の発現の変化が、p<0.001で有意であるのかを決定することによって、どの標的がアップレギュレートされているかまたはダウンレギュレートされているかを同定することによって、マイクロアレイ解析からの任意の標的が発現の変化を示す否かについての判定が工程66においてなされる。発現の変化はまた、1つ以上の遺伝子、遺伝子発現タンパク質、分子メカニズムまたは他の分子知見が存在しないことによっても証明され得る。
【0049】
工程60においてどの標的が発現の変化を示すかを決定した後、工程70において発現が変化した各標的と相互作用する少なくとも1つの疾患特異的でない薬剤を同定する。薬剤は、治療的な効果を有する任意の薬物または化合物であり得る。疾患特異的でない薬剤は、発現の変化を示していた患者の生物学的サンプル由来の標的と相互作用することができる、患者が診断されていた疾患の処置とこれまでに関連していなかった、治療的な薬物または化合物である。様々な癌患者において見出された特定の標的と相互作用すると見出された一部の疾患特異的でない薬剤を下記の表1に示す。
【0050】
【表1】
最後に、工程80において、様々な標的についての患者の試験結果およびそれらの結果に基づいて提案される任意の治療法を含む患者プロファイルレポートが提供され得る。例示的な患者プロファイルレポート100を図3A~3Dに示す。図3Aに示される患者プロファイルレポート100は、試験される標的102、有意な発現の変化を示したそれらの試験された標的104およびその標的と相互作用するために提案された疾患特異的でない薬剤106を同定している。図3Bに示される患者プロファイルレポート100は、ある特定の遺伝子発現タンパク質110についての免疫組織化学的解析の結果108および30%以上の腫瘍細胞が+2以上染色したか否かを判定することによって、遺伝子発現タンパク質が分子標的であるか否か112を同定している。レポート100は、行われなかった免疫組織化学的試験114も同定している。図3Cに示される患者プロファイルレポート100は、マイクロアレイ解析を用いて解析された遺伝子116およびその遺伝子が参照と比べて過小発現したかまたは過剰発現したか118を同定している。最後に、図3Dに示される患者プロファイルレポート100は、患者の病歴120および患者から提出された検体122を同定している。
【0051】
図4は、標的と相互作用することができる薬物療法/薬剤を同定するための方法200の例示的な実施形態のフローチャートを示している。工程202では、多くの罹患個体において発現の変化を示す分子標的を同定する。次に、工程204において、薬物療法/薬剤を罹患個体に施す。工程204において施された薬物療法/薬剤が、工程202において同定された分子標的と相互作用するか否かを判定するために、薬物療法/薬剤を施した後、工程202において同定された分子標的の任意の変化を工程206において同定する。工程204において施された薬物療法/薬剤が、工程202において同定された分子標的と相互作用すると判定される場合、その薬物療法/薬剤は、その薬物療法/薬剤を特定の疾患に対して認めるかわりに同定された分子標的の発現の変化を示す患者を処置するために認められ得る。
【0052】
図5~14は、本発明の情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分を図示しているフローチャートおよび図である。図5は、本発明の情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の例示的な臨床判断支援システムを示している図である。臨床研究および臨床看護を通じて得られるデータ(例えば、臨床試験データ、生物医学的なデータ/分子イメージングデータ、ゲノミクス/プロテオミクス/化学ライブラリ/文献/専門家のキュレーション(expert curation)、生物検体追跡/LIMS、家族歴/環境の記録および臨床データ)を収集し、それらをデータウェアハウス内にデータベースおよびデータマートとして保存する。図6は、ウェブサービスを使用する、本発明の情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の臨床判断支援システムを通じた情報の流れを示している図である。ユーザは、データセットのフォームベース入力/アップロードを介した本システムへのデータの入力、クエリの定式化(formulating)ならびにデータ解析ジョブの実行および出力データの表示の取得と評価によって、本システムと情報交換する。ウェブベースのシステムにおけるデータウェアハウスは、データが抽出され、変換され、そして様々なデータベースシステムからロードされる場所である。データウェアハウスは、共通形式、マッピングおよび変換が存在する場所でもある。そのウェブベースのシステムは、目的とするデータ把握法(view)に基づいて作成されるデータマートも備える。
【0053】
本発明の情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の例示的な臨床判断支援システムのフローチャートを図7に示す。臨床情報管理システムは、研究所情報管理システムを備え、データウェアハウスおよびデータベースに含まれている医療情報は、文献テキストマイニングに加えて、医療情報ライブラリ(例えば、薬物ライブラリ、遺伝子ライブラリおよび疾患ライブラリ)を備える。特定の患者に関する情報管理システムと、医療情報データベースおよび医療情報データウェアハウスの両方が、診断情報および治療的な選択肢を得ることができるデータ連結センタ(data junction center)において一体となる。財務管理システムもまた、本発明の情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の臨床判断支援システムに組み込まれ得る。
【0054】
図8は、本発明の情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の一部として利用され得る例示的な生物検体の追跡システムおよび管理システムを示している図である。図8は、組織/血液バンクに検体を送付する2つのホスト病院(host medical center)を示している。その検体は、発送前に研究所解析を通過し得る。研究は、マイクロアレイ、ジェノタイピングおよびプロテオミクス解析を介してサンプルにおいて行われ得る。この情報は、組織/血液バンクに再分配され得る。図9は、本発明の情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法とともに利用され得る例示的な生物検体の追跡システムおよび管理システムのフローチャートを示している。ホスト病院は、患者からサンプルを得て、次いで、患者サンプルを、RNAおよびDNAの単離ならびに解析も行い得る分子プロファイリング研究所に発送する。
【0055】
本発明の情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法とともに使用するための臨床上の標準化された語彙を維持するための方法を示している図を図10に示す。図10は、ある1人の医師の患者に関連する医師の所見および患者情報が、別の医師がその患者に対して診断および治療的な判断を行う際に上記データを利用できるようにその別の医師に対してどのようにアクセス可能になり得るのかを図示している。
【0056】
図11は、本発明の情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の一部として使用され得る例示的なマイクロアレイ遺伝子発現データベースの概略図を示している。そのマイクロアレイ遺伝子発現データベースは、ウェブベースのシステムを介してアクセス可能な外部データベースと内部データベースの両方を備える。外部データベースとしては、UniGene、GO、TIGR、GenBank、KEGGが挙げられ得るが、これらに限定されない。内部データベースとしては、組織追跡、LIMS、臨床データおよび患者追跡が挙げられ得るが、これらに限定されない。図12は、本発明の情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の一部として使用され得る例示的なマイクロアレイ遺伝子発現データベース・データ・ウェアハウスの図を示している。研究所データ、臨床データおよび患者データはすべて、マイクロアレイ遺伝子発現データベース・データ・ウェアハウス内に格納され得、その後、そのデータは、公的/私的な解放によってアクセスされ得、また、データ解析ツールによって利用され得る。
【0057】
本発明の情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法を通した情報の流れを示している別の概略図を図13に示す。図7と同様に、この概略図は、本発明の情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の臨床情報管理、医療および文献情報管理ならびに財務管理を含む。図14は、本発明の情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の例示的なネットワークを示している概略図である。同定された様々な標的に基づいて提案される治療または薬剤を患者に提供するために、患者、開業医、ホスト病院および研究所のすべてが、種々の情報を共有し、交換する。
【0058】
図15~25は、図5~14に示される情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法の様々な部分に関連するコンピュータスクリーンの印刷出力である。図15および16は、クライアントに代わって医師情報および保険会社情報を入力するコンピュータスクリーンを示している。図17~19は、患者サンプルに対して解析および試験を注文するための情報を入力することができるコンピュータスクリーンを示している。
【0059】
図20は、患者サンプルを用いて試験された特定の遺伝子のマイクロアレイ解析結果を示しているコンピュータスクリーンである。この情報およびコンピュータスクリーンは、図3Cに示される患者プロファイルレポートに詳述される情報と類似である。図22は、様々な遺伝子についての特定の患者に対する免疫組織化学試験結果を示しているコンピュータスクリーンである。この情報は、図3Bに示される患者プロファイルレポートに含まれる情報に類似である。
【0060】
図21は、特定の患者を探し出すため、試験の注文および/または試験の結果について、患者レポートを発表するため、ならびに、現在の症例/患者を追跡するための選択肢を示しているコンピュータスクリーンである。
【0061】
図23は、図3Aから3Dに示されるような患者プロファイルレポートを作成するための工程のいくつかを概説しているコンピュータスクリーンである。図24は、患者サンプルに対する免疫組織化学試験を注文するためのコンピュータスクリーンを示しており、図25は、マイクロアレイ解析に対する原発腫瘍部位に関する情報を入力するためのコンピュータスクリーンを示している。任意の数および種類のコンピュータスクリーンが、本発明の情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法を利用するために必要な情報を入力するために利用され得、そして、本発明の情報に基づいて個別化された医薬探索システムおよび方法を利用することによって生じる情報を得るために利用され得ることが、当業者によって理解されるだろう。
【0062】
前述の説明が、本発明の好ましい例示的な実施形態であり、本発明が、本明細書中に示されるかまたは記載される特定の形式に限定されないこともまた理解されるだろう。本明細書中に開示されるエレメントのデザイン、配置およびタイプならびに添付の特許請求の範囲に明示されるような本発明の範囲から逸脱することなく本発明を利用する工程において、様々な改変がなされ得る。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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