(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139151
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】がんを治療するためのSHP2阻害剤組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20230926BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230926BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20230926BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230926BHJP
A61K 31/497 20060101ALI20230926BHJP
A61K 31/47 20060101ALI20230926BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20230926BHJP
A61K 31/4523 20060101ALI20230926BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20230926BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
A61K45/00 ZNA
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61K45/06
A61P35/00
A61P11/00
A61P17/00
A61P25/00
A61P35/02
A61K31/497
A61K31/47
A61K31/519
A61K31/4523
A61K31/4439
A61K31/506
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023118814
(22)【出願日】2023-07-21
(62)【分割の表示】P 2020513824の分割
【原出願日】2018-09-06
(31)【優先権主張番号】62/555,400
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/558,255
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/653,831
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/681,001
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.LABRASOL
(71)【出願人】
【識別番号】519011784
【氏名又は名称】レヴォリューション・メディスンズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ジェイ・ニコルズ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エイ・ゴールドスミス
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・シュルツェ
(72)【発明者】
【氏名】ジャクリーン・スミス
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド・イー・ウィルデス
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ケルシー
(72)【発明者】
【氏名】マリカ・シン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、SHP2の阻害剤を単独で、および、RAS経路阻害剤(例えば、MEK阻害剤)のような他の治療剤と組み合わせて、疾患または障害を治療または予防する組成物および方法;SHP2阻害剤感受性を示す1つまたはそれ以上のバイオマーカーの発現に基づいて、対象に対して適切な治療計画を策定する方法;ならびに、SHP2のリン酸化状態に基づいてSHP2阻害剤に対する感受性を判断する方法を提供する。
【解決手段】KRASG12Cバリアントをコードする変異を含有する細胞を含む疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、該対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、前記方法とする。対象にRAS経路の阻害剤(例えば、MAPK阻害剤、MEK阻害剤またはERK阻害剤)を提供することをさらに含む、前記方法も提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
KRASG12Cバリアントをコードする変異を含有する細胞を含む疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、該対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、前記方法。
【請求項2】
NF1機能喪失(NF1LOF)バリアントをコードする変異を伴う細胞を含む疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、該対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、前記方法。
【請求項3】
SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる対象の該細胞におけるRAS経路変異に関連する疾患または障害を有する該対象を治療する方法であって、該対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、前記方法。
【請求項4】
RAS経路変異は、KRAS変異、NRAS変異、SOS変異、BRAFクラスIII変異、クラスI MEK1変異、クラスII MEK1変異、およびNF1変異から選択されるRAS変異である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
KRAS変異は、KRASG12A変異、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12F変異、KRASG12I変異、KRASG12L変異、KRASG12R変異、KRASG12S変異、KRASG12V変異、およびKRASG12Y変異から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
KRAS変異は、KRASG12Cである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
KRAS変異は、KRASG12Aである、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
BRAFクラスIII変異は、ヒトBRAFにおける以下のアミノ酸置換:D287H;P367R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762Eの1つまたはそれ以上から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
NF1変異は、機能喪失変異である、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
クラスI MEK1変異は、ヒトMEK1における以下のアミノ酸置換:D67N;P124L;P124S;およびL177Vの1つまたはそれ以上から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
クラスII MEK1変異は、ヒトMEK1における以下のアミノ酸置換:ΔE51-Q58;ΔF53-Q58;E203K;L177M;C121S;F53L;K57E;Q56P;およびK57Nの1つまたはそれ以上から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
RAS経路の阻害剤は、MEK阻害剤またはERK阻害剤である、請求項13に記載の
方法。
【請求項15】
RAS経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853;LY3214996;BVD523;GSK1120212;ウリキセルチニブ、およびアベマシクリブの1つまたはそれ以上から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
疾患または状態は、腫瘍である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
NF1機能喪失変異に関連する疾患を有する対象を治療する方法であって、該対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、前記方法。
【請求項19】
疾患は、NF1機能喪失変異を伴う細胞を含む腫瘍である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
腫瘍は、NSCLCまたは黒色腫腫瘍である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
疾患は、神経線維腫症I型、神経線維腫症II型、神経鞘腫症、およびWatson症候群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む、請求項18~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
RAS経路阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853;LY3214996;BVD523;GSK1120212;ウリキセルチニブ、およびアベマシクリブの1つまたはそれ以上から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、
(a)該対象から得られる生体サンプルがKRAS変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)該生体サンプルがKRASG12C変異体、KRASG12D変異体、KRASG12S変異体、またはKRASG12V変異体として分類される場合、該対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、前記方法。
【請求項25】
腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、
(a)該対象から得られる生体サンプルがNF1LOF変異体として分類されるかど
うかを判断すること、および
(b)該生体サンプルがNF1LOF変異体として分類される場合、該対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、前記方法。
【請求項26】
腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、
(a)該対象から得られる生体サンプルがクラス3 BRAF変異として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)該生体サンプルがクラス3 BRAF変異として分類される場合、該対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、前記方法。
【請求項27】
腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、
(a)該対象から得られる生体サンプルがクラスI MEK1変異として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)該生体サンプルがクラスI MEK1変異として分類される場合、該対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、前記方法。
【請求項28】
腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、
(a)該対象から得られる生体サンプルがクラスII MEK1変異として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)該生体サンプルがクラスII MEK1変異として分類される場合、該対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、前記方法。
【請求項29】
RAS経路阻害剤の投与を受けている対象において薬物耐性を治療または予防するための方法であって、該対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項30】
対象は、NF1LOF変異を伴う細胞を含有する腫瘍を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
対象は、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12A変異、KRASG12S変異、またはKRASG12V変異を含有する腫瘍を含む、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
RAS経路阻害剤は、MEK阻害剤である、請求項29~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)、セルメチニブ(AZD6244)、コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901、レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766)、RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704)、CH5126766、MAP855、およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
RAS経路阻害剤は、ERK阻害剤である、請求項29~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
ERK阻害剤は、当該技術分野で知られている任意のERK阻害剤;LY3214996;ウリキセルチニブ;およびBVD523から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
SHP2の阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)化合物C;(viii)本明細書に開示される表1からの化合物;(ix)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(x)それらの組合せから選択される、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
RAS経路阻害剤およびSHP2の阻害剤を含む、組合せ療法。
【請求項38】
RAS経路阻害剤は、MEK阻害剤である、請求項37に記載の組合せ療法。
【請求項39】
MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)、セルメチニブ(AZD6244)、コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655)、CI-1040;PD-0325901、レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766)、RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704)、CH5126766、MAP855、およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される、請求項38に記載の組合せ療法。
【請求項40】
RAS経路阻害剤は、KRASG12C特異的阻害剤ARS-853である、請求項37に記載の組合せ療法。
【請求項41】
SHP2の阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)化合物C;(viii)本明細書に開示される表1からの化合物;(ix)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(x)それらの組合せから選択される、請求項37~40のいずれか1項に記載の組合せ療法。
【請求項42】
腫瘍の治療で使用する、請求項37~41のいずれか1項に記載の組合せ療法。
【請求項43】
腫瘍は、造血系およびリンパ系の腫瘍;骨髄増殖性症候群;骨髄異形成症候群;白血病;急性骨髄性白血病;若年性骨髄単球性白血病;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃がん(gastric cancer);神経芽腫;膀胱がん;前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌;子宮癌;腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌;傍神経節腫;褐色細胞腫;膵がん;副腎皮質癌;胃腺癌;肉腫;横紋筋肉腫;リンパ腫;頭頚部がん;皮膚がん;腹膜がん;腸がん(小腸および大腸);甲状腺がん;子宮内膜がん;胆道のがん;軟部組織がん;卵巣がん;中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫);胃がん(stomach cancer);下垂体がん;生殖管がん;尿路がん;唾液腺がん;子宮頚部がん;肝がん;眼のがん;副腎のがん;自律神経節のがん;上気道消化管のがん;骨がん;精巣がん;胸膜がん;腎がん;陰茎がん;副甲状腺がん;髄膜のがん;外陰部がんおよび黒色腫から選択される、請求項42に記載の組合せ療法。
【請求項44】
RAS経路阻害剤、SHP2の阻害剤、ならびに1つまたはそれ以上の医薬的に許容される担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、医薬組成物。
【請求項45】
SHP2の阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)化合物C;(viii)本明細書に開示される表1からの化合物;(ix)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(x)それらの組合せから選択される、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項46】
RAS経路阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);GSK1120212、ウリキセルチニブ;およびアベマシクリブの1つまたはそれ以上から選択される、請求項44または45に記載の医薬組成物。
【請求項47】
腫瘍の治療で使用する、請求項44~46のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項48】
腫瘍は、造血系およびリンパ系の腫瘍;骨髄増殖性症候群;骨髄異形成症候群;白血病;急性骨髄性白血病;若年性骨髄単球性白血病;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃がん(gastric cancer);神経芽腫;膀胱がん;前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌;子宮癌;腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌;傍神経節腫;褐色細胞腫;膵がん;副腎皮質癌;胃腺癌;肉腫;横紋筋肉腫;リンパ腫;頭頚部がん;皮膚がん;腹膜がん;腸がん(小腸および大腸);甲状腺がん;子宮内膜がん;胆道のがん;軟部組織がん;卵巣がん;中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫);胃がん(stomach cancer);下垂体がん;生殖管がん;尿路がん;唾液腺がん;子宮頚部がん;肝がん;眼のがん;副腎のがん;自律神経節のがん;上気道消化管のがん;骨がん;精巣がん;胸膜がん;腎がん;陰茎がん;副甲状腺がん;髄膜のがん;外陰部がんおよび黒色腫から選択される、請求項47に記載の医薬組成物。
【請求項49】
腫瘍は、造血系およびリンパ系の腫瘍;骨髄増殖性症候群;骨髄異形成症候群;白血病;急性骨髄性白血病;若年性骨髄単球性白血病;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃がん(gastric cancer);神経芽腫;膀胱がん;前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌;子宮癌;腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌;傍神経節腫;褐色細胞腫;膵がん;副腎皮質癌;胃腺癌;肉腫;横紋筋肉腫;リンパ腫;頭頚部がん;皮膚がん;腹膜がん;腸がん(小腸および大腸);甲状腺がん;子宮内膜がん;胆道のがん;軟部組織がん;卵巣がん;中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫);胃がん(stomach cancer);下垂体がん;生殖管がん;尿路がん;唾液腺がん;子宮頚部がん;肝がん;眼のがん;副腎のがん;自律神経節のがん;上気道消化管のがん;骨がん;精巣がん;胸膜がん;腎がん;陰茎がん;副甲状腺がん;髄膜のがん;外陰部がんおよび黒色腫から選択される、請求項16、18、19、24~28、および30~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
RAS経路変異を含有する細胞の成長または増殖を阻害する方法であって、該RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに該細胞を少なくとも部分的に依存させ、該方法が該細胞をSHP2の阻害剤と接触させることを含む、前記方法。
【請求項51】
RAS経路変異を含有する細胞においてRAS-GTPの蓄積を阻害する方法であって、該RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに該細胞を少なくとも部分的に依存させ、該方法が該細胞をSHP2の阻害剤と接触させることを含む、前記方法。
【請求項52】
RAS経路変異を含有する細胞を殺す方法であって、該RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに該細胞を少なくとも部分的に依存させ、該方法が該細胞をSHP2の阻害剤と接触させることを含む、前記方法。
【請求項53】
SHP2の阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)化合物C;(viii)本明細書に開示される表1からの化合物;(ix)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(x)それらの組合せから選択される、請求項50~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
RAS経路変異は、KRAS変異、NRAS変異、HRAS変異、SOS変異、クラスIII BRAF変異、およびNF1機能喪失変異から選択される、請求項50~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
KRAS変異は、KRASG12A変異、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12F変異、KRASG12I変異、KRASG12L変異、KRASG12R変異、KRASG12S変異、KRASG12V変異、およびKRASG12Y変異から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
KRAS変異は、KRASG12Cである、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
KRAS変異は、KRASG12Aである、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
クラス3 BRAF変異は、ヒトBRAFにおける以下のアミノ酸置換:D287H;P367R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762Eの1つまたはそれ以上から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
細胞をRAS経路の阻害剤と接触させることをさらに含む、請求項50~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
RAS経路の阻害剤は、MEK阻害剤またはERK阻害剤である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
Ras経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメ
チニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853;LY3214996;BVD523;GSK1120212;ウリキセルチニブ;およびアベマシクリブの1つまたはそれ以上から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
細胞をSOS阻害剤と接触させることをさらに含む、請求項1~36、49~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
SOS阻害剤は、通常より高いSOSレベルまたはSOS活性を含む細胞に投与される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
腫瘍は、NSCLC腫瘍由来である、請求項16に記載の方法。
【請求項66】
腫瘍は、結腸がん腫瘍である、請求項16に記載の方法。
【請求項67】
腫瘍は、食道がん腫瘍である、請求項16に記載の方法。
【請求項68】
腫瘍は、直腸がん腫瘍である、請求項16に記載の方法。
【請求項69】
腫瘍は、JMML腫瘍である、請求項16に記載の方法。
【請求項70】
腫瘍は、乳がん腫瘍である、請求項16に記載の方法。
【請求項71】
腫瘍は、黒色腫腫瘍である、請求項16に記載の方法。
【請求項72】
腫瘍は、シュワン細胞腫腫瘍である、請求項16に記載の方法。
【請求項73】
腫瘍は、膵がん腫瘍である、請求項16に記載の方法。
【請求項74】
SHP2の阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)化合物C;(viii)本明細書に開示される表1からの化合物;(ix)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(x)それらの組合せから選択される、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
腫瘍細胞の成長を阻害する方法であって、該腫瘍細胞をMEK阻害剤およびSHP2の阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含む、前記方法。
【請求項76】
MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)、セルメチニブ(AZD6244)、コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655)、CI-1040;PD-0325901、CH5126766、MAP855、レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766)、RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704)、およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
SHP2の阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)化合物C;(viii)本明細書に開示される表1からの化合物;(ix)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(x)それらの組合せから選択される、請求項75または76に記載の方法。
【請求項78】
MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)である、請求項75~77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
SHP2の阻害剤は、化合物Bである、請求項75~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)であり、SHP2の阻害剤は、化合物Bである、請求項75に記載の方法。
【請求項81】
腫瘍細胞は、造血系およびリンパ系の腫瘍;骨髄増殖性症候群;骨髄異形成症候群;白血病;急性骨髄性白血病;若年性骨髄単球性白血病;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃がん(gastric cancer);神経芽腫;膀胱がん;前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌;子宮癌;腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌;傍神経節腫;褐色細胞腫;膵がん;副腎皮質癌;胃腺癌;肉腫;横紋筋肉腫;リンパ腫;頭頚部がん;皮膚がん;腹膜がん;腸がん(小腸および大腸);甲状腺がん;子宮内膜がん;胆道のがん;軟部組織がん;卵巣がん;中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫);胃がん(stomach cancer);下垂体がん;生殖管がん;尿路がん;唾液腺がん;子宮頚部がん;肝がん;眼のがん;副腎のがん;自律神経節のがん;上気道消化管のがん;骨がん;精巣がん;胸膜がん;腎がん;陰茎がん;副甲状腺がん;髄膜のがん;外陰部がんおよび黒色腫から選択される腫瘍由来の細胞である、請求項75~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
腫瘍は、NSCLC腫瘍由来である、請求項75~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
接触は、対象においてインビボで行われる、請求項75~82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
対象は、ヒトである、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
腫瘍細胞とMEK阻害剤およびSHP2の阻害剤を含む組合せ療法との接触の結果、該腫瘍細胞を各MEKおよびSHP2の阻害剤と別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する、請求項75~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
MEK阻害剤およびSHP2の阻害剤は、同時に腫瘍細胞と接触させない、請求項75~85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
MEK阻害剤およびSHP2の阻害剤は、同時に腫瘍細胞と接触させる、請求項75~85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
接触は、MEK阻害剤およびSHP2の阻害剤の対象への投与を介する、請求項85~87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
MEK阻害剤の投与は、SHP2の阻害剤の投与に先行する、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
SHP2の阻害剤の投与は、MEK阻害剤の投与に先行する、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
SHP2の阻害剤の投与およびMEK阻害剤の投与は、同時に行われる、請求項88に記載の方法。
【請求項92】
SHP2の阻害剤およびMEK阻害剤は、単一の医薬組成物として投与される、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
SHP2の阻害剤およびMEK阻害剤は、別々の医薬組成物として投与される、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
腫瘍細胞の成長は、腫瘍を部分的または完全に退化させる程度に阻害される、請求項75~93のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
腫瘍細胞の成長を阻害する方法であって、該腫瘍細胞をトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法と接触させることを含む、前記方法。
【請求項96】
腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来である、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
接触は、対象においてインビボで行われる、請求項95または96に記載の方法。
【請求項98】
対象は、ヒトである、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
腫瘍細胞とトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法との接触の結果、該腫瘍細胞をそれぞれのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bと別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する、請求項95~98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
腫瘍細胞の成長は、腫瘍を部分的または完全に退化させる程度に阻害される、請求項95~99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項101】
腫瘍を有する対象を治療する方法であって、該対象における該腫瘍での腫瘍細胞をMEK阻害剤およびSHP2の阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含む、前記方法。
【請求項102】
MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655)、CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
SHP2の阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式I
V-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)化合物C;(viii)本明細書に開示される表1からの化合物;(ix)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(x)それらの組合せから選択される、請求項101または102に記載の方法。
【請求項104】
MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)である、請求項101に記載の方法。
【請求項105】
SHP2の阻害剤は、化合物Bである、請求項101~104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)であり、SHP2の阻害剤は、化合物Bである、請求項101に記載の方法。
【請求項107】
腫瘍細胞は、造血系およびリンパ系の腫瘍;骨髄増殖性症候群;骨髄異形成症候群;白血病;急性骨髄性白血病;若年性骨髄単球性白血病;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃がん(gastric cancer);神経芽腫;膀胱がん;前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌;子宮癌;腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌;傍神経節腫;褐色細胞腫;膵がん;副腎皮質癌;胃腺癌;肉腫;横紋筋肉腫;リンパ腫;頭頚部がん;皮膚がん;腹膜がん;腸がん(小腸および大腸);甲状腺がん;子宮内膜がん;胆道のがん;軟部組織がん;卵巣がん;中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫);胃がん(stomach cancer);下垂体がん;生殖管がん;尿路がん;唾液腺がん;子宮頚部がん;肝がん;眼のがん;副腎のがん;自律神経節のがん;上気道消化管のがん;骨がん;精巣がん;胸膜がん;腎がん;陰茎がん;副甲状腺がん;髄膜のがん;外陰部がんおよび黒色腫から選択される腫瘍由来の細胞である、請求項101~106のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来である、請求項101~107のいずれか1項に記載の方法。
【請求項109】
接触は、対象においてインビボで行われる、請求項101~108のいずれか1項に記載の方法。
【請求項110】
対象は、ヒトである、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
腫瘍細胞とMEK阻害剤およびSHP2の阻害剤を含む組合せ療法との接触の結果、該腫瘍細胞を各MEKおよびSHP2の阻害剤と別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する、請求項101~110のいずれか1項に記載の方法。
【請求項112】
MEK阻害剤およびSHP2の阻害剤は、同時に腫瘍細胞と接触させない、請求項101~111のいずれか1項に記載の方法。
【請求項113】
MEK阻害剤およびSHP2の阻害剤は、同時に腫瘍細胞と接触させる、請求項101~111のいずれか1項に記載の方法。
【請求項114】
接触は、MEK阻害剤およびSHP2の阻害剤の対象への投与を介する、請求項111~113のいずれか1項に記載の方法。
【請求項115】
MEK阻害剤の投与は、SHP2の阻害剤の投与に先行する、請求項114に記載の方
法。
【請求項116】
SHP2の阻害剤の投与は、MEK阻害剤の投与に先行する、請求項114に記載の方法。
【請求項117】
SHP2の阻害剤の投与およびMEK阻害剤の投与は、同時に行われる、請求項114に記載の方法。
【請求項118】
SHP2の阻害剤およびMEK阻害剤は、単一の医薬組成物として投与される、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
SHP2の阻害剤およびMEK阻害剤は、別々の医薬組成物として投与される、請求項117に記載の方法。
【請求項120】
治療は、腫瘍細胞の成長を阻害する、請求項101~119のいずれか1項に記載の方法。
【請求項121】
腫瘍細胞の成長は、腫瘍を部分的または完全に退化させる程度に阻害される、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
腫瘍を有する対象を治療する方法であって、該対象における該腫瘍の腫瘍細胞をトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法と接触させることを含む、前記方法。
【請求項123】
腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来である、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
接触は、対象においてインビボで行われる、請求項122または123に記載の方法。
【請求項125】
対象は、ヒトである、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
腫瘍細胞とトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法との接触の結果、該腫瘍細胞をそれぞれのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bと別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する、請求項122~125のいずれか1項に記載の方法。
【請求項127】
腫瘍細胞の成長は、腫瘍を部分的または完全に退化させる程度に阻害される、請求項122~126のいずれか1項に記載の方法。
【請求項128】
SHP2の阻害剤は、化合物Cである、請求項1~36、49~78、80~94、101~104、107~121のいずれか1項に記載の方法。
【請求項129】
SHP2の阻害剤は、化合物Cである、請求項37~43のいずれか1項に記載の組合せ療法。
【請求項130】
SHP2の阻害剤は、化合物Cである、請求項44~48のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項131】
腫瘍細胞の成長を阻害する方法であって、該腫瘍細胞をトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法と接触させることを含む、前記方法。
【請求項132】
腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来である、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
接触は、対象においてインビボで行われる、請求項131または132に記載の方法。
【請求項134】
対象は、ヒトである、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
腫瘍細胞とトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法との接触の結果、該腫瘍細胞をそれぞれのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cと別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する、請求項131~134のいずれか1項に記載の方法。
【請求項136】
腫瘍細胞の成長は、腫瘍を部分的または完全に退化させる程度に阻害される、請求項131~135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項137】
腫瘍を有する対象を治療する方法であって、該対象における該腫瘍の腫瘍細胞をトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法と接触させることを含む、前記方法。
【請求項138】
腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来である、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
接触は、対象においてインビボで行われる、請求項137または138に記載の方法。
【請求項140】
対象は、ヒトである、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
腫瘍細胞とトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法との接触の結果、該腫瘍細胞をそれぞれのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cと別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する、請求項137~140のいずれか1項に記載の方法。
【請求項142】
腫瘍細胞の成長は、腫瘍を部分的または完全に退化させる程度に阻害される、請求項137~141のいずれか1項に記載の方法。
【請求項143】
治療有効量のSHP2の阻害剤を投与することを含む、請求項1~36および49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項144】
細胞を治療有効量のSHP2の阻害剤と接触させることを含む、請求項50~128および131~142のいずれか1項に記載の方法。
【請求項145】
治療有効量のSHP2の阻害剤を含む、請求項37~43および129のいずれか1項に記載の組合せ療法。
【請求項146】
治療有効量のSHP2の阻害剤を含む、請求項44~48および130のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項147】
接触は、対象においてインビボで行われる、請求項50~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項148】
対象は、ヒトである、請求項147に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2017年9月7日に出願された米国仮特許出願第62/555,400号;2017年9月13日に出願された米国仮特許出願第62/558,255号;2018年4月6日に出願された米国仮特許出願第62/653,831号;および2018年6月5日に出願された米国仮特許出願第62/681,001号の利益を主張し、その内容は、その全体を参照によって本明細書に組み入れる。
【0002】
本開示は、タンパク質チロシンホスファターゼSHP2の阻害剤を単独で、および、RAS経路阻害剤(例えば、MEK阻害剤)のような他の治療剤と組み合わせて、疾患または障害(例えば、がん)の治療のための組成物および方法に関する。具体的には、本発明は、SHP2阻害剤での治療の候補として決定した患者の特定のサブセットにおいて、疾患または障害(例えば、がん)を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
がんは依然として、ヒトの健康に対して最も致命的な脅威の1つである。米国において、がんは、毎年130万人近くの新たな患者が罹患し、心疾患に次いで死因第二位であり、死亡のおよそ4例に1例を占める(特許文献1)。多くのがんは、受容体チロシンキナーゼ(RTK)および/またはRAS経路モジュレーターの構成的または異常な活性化により起こる。
【0004】
RTKは、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、およびチロシンキナーゼドメインを有する膜貫通タンパク質である。受容体チロシンキナーゼは、細胞の増殖、生存、代謝、および遊走を含む多くの基本的細胞プロセスに関与する、重要なクラスの受容体である(例えば、非特許文献1)。このクラスの顕著なファミリーとして、例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、erbB2、erbB4、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、免疫グロブリン様上皮成長因子相同性ドメインを伴うチロシンキナーゼ(TIE-2)、インスリン成長因子-I(IGFI)受容体、マクロファージコロニー刺激因子(MCSF)、BTK、ckit、cmet、線維芽細胞成長因子(FGF)受容体、Trk受容体(TrkA、TrkB、およびTrkC)、エフリン(eph)受容体、肝細胞成長因子受容体(HGFR)、ならびにRET癌原遺伝子が挙げられる。
【0005】
このクラスの受容体チロシンキナーゼは、二量化により活性化される場合、RTKの細胞内ドメインが様々のシグナル伝達経路を順番に活性化することができるチロシンキナーゼ活性を獲得するためにそう呼ばれている。
【0006】
図1は、RTK経路の模式的な概略図を示す。RTKは、リガンドが結合すると二量化されるが、これが、受容体の自己リン酸化および下流のシグナル伝達の開始を引き起こす。具体的には、RTKリン酸化が、そのSH2ドメインを介してGRB2アダプターの結合をリクルートし、次いで、GRB2が、アダプタータンパク質GAB1およびGEFタンパク質SOS1のような下流のシグナリング分子を(SH3ドメインを介して)リクルートする(非特許文献2)。
【0007】
RASは、GDP結合「オフ」とGTP結合「オン」の状態の間を往復し、それは、RASにGTPを結合させるGEFタンパク質(例えばSOS1)と、GTPを加水分解することによりRASを不活性化するGAPタンパク質(例えばNF1)との相互作用によ
り促進される。加えて、SH2ドメイン含有タンパク質チロシンホスファターゼ-2(SHP2)は、受容体シグナリング装置に関連し、RTKが活性化すると活性になり、次いでRAS活性化を促進する(同上)。
【0008】
RASの活性化の結果、セリン/スレオニンキナーゼRAFを誘発する。RAFは、MEK1/2をリン酸化し、さらにはそれがERK1/2をリン酸化し活性化することにより、例えば転写を介する下流のシグナリングならびにRTKのフィードバック阻害をもたらし、それによりシグナルの伝達が止まる。RAFはまた、MKK4/7、MKK3/6およびMEK5を活性化するMAP3キナーゼを活性化し、続いてJNK1/2、p38およびERK5を活性化する。MAP3Kはまた、炎症性サイトカイン、酸化ストレスおよびUV照射により活性化される。PI3Kは、RTKの自己リン酸化により活性化され、Aktの活性化をもたらし、またmTORC1複合体内にmTORを誘発する。Aktはまた、mTORC2複合体により調節される。PLCγ活性化は、Ca+2動員、およびPKCの活性化をもたらす。これらの事象は、増殖、分化、生存および細胞遊走において重要な役割を果たす。
【0009】
RTKおよび/またはRAS経路シグナリング分子の過剰発現または変異の結果、制御されない細胞の成長が示されている。このようなキナーゼの異常活性は、悪性組織の増殖、生存、侵襲および転移と関係している。例えば、RTKおよび/またはRAS経路成分Ras(KRAS、NRAS、HRAS)、B-Raf、NF1、PI3KならびにAKTに影響する変異が、いくつかのタイプのがんおよび異なる組織起源の悪性度を促進することは一般的である。
【0010】
したがって、RTKおよび下流のRAS経路シグナル伝達物質は、魅力的な治療標的となる。
【0011】
しかし、RAS経路の治療的阻害は、最初は有効であることが多いが、例えば、これらの経路で自然に動作する負フィードバック機構の軽減を介する経路の再活性化を含む、いくつかの機構を介するRAS経路シグナリングの過剰な活性化をもたらす可能性があるので、最終的に効果のないことが判明する場合がある。例えば、様々ながんにおいて、MEK阻害の結果、RTK活性化のMEK/ERKによって媒介されるフィードバック阻害の軽減により、ErbBシグナリングは増強する。結果として、このような阻害剤に最初は感受性を示した細胞は、耐性を有するようになる可能性がある。ゆえに、抵抗機構の活性化を誘発せずにRAS経路シグナリングを効果的に阻害する方法が必要とされている。
【0012】
SHP2は、増殖、分化、細胞周期の維持および遊走を含む複数の細胞機能に寄与する、PTPN11遺伝子によりコードされる非受容体タンパク質チロシンホスファターゼである。SHP2は、RAS-マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)、JAK-STATおよび/またはホスホイノシトール3-キナーゼ-AKT経路を通したシグナリングに関与する。
【0013】
SHP2は、2つのN末端Src相同性2ドメイン(N-SH2およびC-SH2)、触媒ドメイン(PTP)、ならびにC末端テイルを有する。2つのSH2ドメインは、SHP2の細胞内局在性および機能調節を制御する。分子は、N-SH2およびPTPドメインの両方由来の残基が関与する結合ネットワークにより安定した不活性で自己阻害された立体配座に存在する。RTKを通して作用する例えばサイトカインまたは成長因子による刺激により、SHP2の酵素活性化をもたらす触媒部位の曝露をもたらす。
【0014】
PTPN11遺伝子と、続くSHP2での変異は、ヌーナン症候群およびレオパード症候群のようないくつかのヒトの発育障害、ならびに、若年性骨髄単球性白血病、神経芽腫
、黒色腫、急性骨髄性白血病、ならびに乳、肺および結腸のがんのようなヒトのがんで確認されている。これらの変異のいくつかは、SHP2の自己阻害された立体配座を不安定化し、SHP2の自己活性化または成長因子に由来する上昇した活性を促進する。
【0015】
したがって、SHP2は、がんを含む様々な疾患の治療のための新規療法の開発に対して、非常に魅力的な標的となる。RNAi技術を使用するSHP2発現のノックダウンまたはアロステリック小分子阻害剤によるSHP2の阻害のいずれかが、がん細胞の成長の駆動に関与する様々なRTK由来のシグナリングを妨げることは、先に開示されている。しかし、この報告はまた、このようなアプローチが、RasまたはRafタンパク質での変異を活性化することを含むもののような、成長がRTKの下流として作用するタンパク質での変異により駆動される細胞で、成長シグナリングを妨害することにおいて効果がないと結論付けていた(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Schlessinger、Cell、103:211~225頁(2000)
【非特許文献2】McDonaldら、FEBS J.2012年6月 279(2):2156~2173頁
【非特許文献3】Chen,Ying-Nan P.148 Nature第535巻、2016年7月7日、151頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本開示は、SHP2阻害剤を単独で、または別の好適な治療剤と組み合わせて、疾患または障害(例えば、がん)を治療または予防することに関する。具体的には、いくつかの実施形態において、本開示は、先行技術の教示に反して、腫瘍性RAS経路変異を有するがん細胞の特定のサブセットが、SHP2阻害に対して感受性を示し、SHP2阻害剤で効果的に治療されるという予想外の発見に関する。いくつかの実施形態において、本開示は、RAS変異(例えばKRASG12Cおよび/または特定の他のKRAS変異)を有するがん細胞の特定のサブセットが、SHP2阻害に対して感受性を示すという発見に関する。いくつかの実施形態において、本開示は、NF1LOF変異を有するがん細胞の特定のサ
ブセットが、SHP2阻害に対して感受性を示すという発見に関する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、様々な実施形態において、本開示は、RAS経路変異を含有する細胞(例えば、がん細胞)を治療するための方法を提供するが、これは、SHP2の阻害剤で、SHP2を通じて上流のシグナリングに変異したタンパク質を依存させる。
【0020】
いくつかの実施形態において、本開示は、SHP2活性化がMAPKシグナリングを自然に促進し、これはさらには、RTKおよびRAS経路シグナリングのフィードバック阻害を促進することができるが、SHP2の阻害の結果、フィードバック阻害の軽減を介してRTKまたはRAS経路シグナリングは、続いて過剰に活性化しないという予想外の発見に関する。これは、SHP2が、RAS経路においてRTKの下流であり、SHP2阻害が、RTKからのシグナルの伝達を妨害するので、SHP2阻害の予想された結果が、フィードバックの脱阻害によるRTKの過剰活性化だったという事実をふまえれば、特に驚くべきことである。ゆえに、本開示は、異なったMAPK阻害剤が、フィードバック阻
害の軽減により耐性を誘発でき、SHP2阻害剤は誘発しないが、これらが、MEK阻害剤の薬物耐性に寄与する可能性があるMEK阻害剤治療に関してRASの過剰活性化を低減できることを示す。
【0021】
いくつかの実施形態において、本開示は、SHP2阻害が様々ながん療法に対する腫瘍抵抗性の出現を予防し、遅らせ、MAPK阻害剤に対する耐性がある腫瘍をその阻害剤に対して再感作させるために効果的な手段であるという発見に関する。
【0022】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される発見は、SHP2阻害剤で細胞(例えば、がん細胞)を治療するための方法であって、細胞を治療介入(例えばMAPK阻害剤の投与)によってSHP2に依存させる、方法を提供する。いくつかの実施形態において、細胞をSHP2シグナリングに依存させるこのような治療介入の結果、天然RAS経路の負フィードバック機構の軽減を介して、RAS経路は過剰活性化する。
【0023】
いくつかの実施形態において、本開示は、先行技術の教示に反して、Y580でのSHP2リン酸化が後で起こり、先のY542でのリン酸化に依存し、SHP2活性のアロステリック阻害が酵素の閉塞状態を安定させることにより起こり、これにより、Y542ではなくY580のリン酸化を予防するという驚くべき発見に関する。
【0024】
いくつかの実施形態において、本発明は、SHP2阻害剤がその標的(すなわちSHP2)を係合するかどうかを判断する方法であって、SHP2のY580ではなくY542が成長因子刺激に対してリン酸化されるかどうかを判断することを含む、方法を提供する。
【0025】
したがって、本発明は、タンパク質チロシンホスファターゼSHP2の阻害剤で疾患または障害(例えば、がん)を治療または予防するための組成物および方法に関する。本発明はまた、対象由来の組織サンプルでの1つまたはそれ以上のバイオマーカーの発現に基づいて、対象に対して適切な治療計画を策定する方法であって、バイオマーカーはSHP2阻害剤感受性を示す、方法に関する。本発明はまた、SHP2のリン酸化状態に基づいてSHP2阻害剤に対する感受性を判断する方法に関する。
【0026】
いくつかの実施形態において、本開示は、KRASG12Cバリアントをコードする変異を含有する細胞を含む疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、疾患または状態は、腫瘍である。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される。いくつかの実施形態において、方法は、対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MEK阻害剤またはERK阻害剤である。いくつかの実施形態において、Ras経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2
、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。
【0027】
いくつかの実施形態において、本開示は、NF1機能喪失(NF1LOF)バリアントを
コードする変異を伴う細胞を含む疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、疾患または障害は、腫瘍である。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される。いくつかの実施形態において、方法は、対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MEK阻害剤またはERK阻害剤である。いくつかの実施形態において、Ras経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。
【0028】
いくつかの実施形態において、本開示は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる対象の細胞におけるRAS経路変異に関連する疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、RAS経路変異は、任意の特異的アイソフォームまたはそれらのアレオタイプを含む、RAS、RAF、NF1、MEK、ERKまたはSOSでの変異である。いくつかの実施形態において、RAS経路変異は、任意の特異的アイソフォームまたはそれらのアレオタイプを含む、RAS、RAF、NF1またはSOSでの変異である。いくつかの実施形態において、RAS経路変異は、KRAS変異、NRAS変異、HRAS変異、およびクラスIII BRAF変異から選択されるRAS変異である。いくつかの実施形態において、KRAS変異は、KRASG12A変異、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12F変異、KRASG12I変異、KRASG12L変異、KRASG12R変異、KRASG12S変異、KRASG12V変異、およびKRASG12Y変異から選択される。いくつかの特定の実施形態において、KRAS変異は、KRASG12Cである。いくつかの特定の実施形態において、KRAS変異は、KRASG12Aである。いくつかの実施形態において、クラスIII BRAF変異は、ヒトBRAF
における以下のアミノ酸置換:D287H;P367R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762Eの1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、MEK変異は、MEK1またはMEK2変異である。いくつかの実施形態において、MEK1変異は、RAF依存性MEK1変異(すなわち「クラスI」MEK1変異)である。いくつかの実施形態において、MEK1変異は、RAF制御型MEK1変異(すなわち「クラスII」MEK1変異)である。いくつかの実施形態において、クラスI MEK1変異は、D67N;P124L;P124S;およびL177Vから選択される。いくつかの実施形態において、クラスII MEK変異は、ΔE51-Q58;ΔF53-Q58;E203K;L177M;C121S;F53L;K57E;Q56P;およびK57Nから選択される。いくつかの実施形態において、RAF変異は、ARAFまたはCRAF変異である。いくつかの実施形態において、NF1変異は、NF1機能喪失変異である。いくつかの実施形態において、SOS変異は、SOSの変化した機能をもたらす。いくつかの実施形態において、疾患または状態は、腫瘍である。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される。いくつかの実施形態において、方法は、対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MEK阻害剤またはERK阻害剤である。いくつかの実施形態において、Ras経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。
【0029】
いくつかの実施形態において、本開示は、NF1機能喪失変異に関連する疾患を有する対象を治療する方法であって、対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、疾患または状態は、腫瘍である。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される。いくつかの実施形態において、疾患は、NF1機能喪失変異を伴う細胞を含む腫瘍である。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLCまたは黒色腫腫瘍である。いくつかの実施形態において、疾患は、神経線維腫症I型、神経線維腫症II型、神経鞘腫症、およびWatson症候群から選択される。いくつかの実施形態において、方法は、対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MEK阻害
剤またはERK阻害剤である。いくつかの実施形態において、Ras経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。
【0030】
いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、(a)対象から得られる生体サンプルがKRAS変異体として分類されるかどうかを判断すること;および(b)生体サンプルがKRASG12C変異体、KRASG12D変異体、KRASG12S変異体、またはKRASG12V変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される。
【0031】
いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、(a)対象から得られる生体サンプルがNF1LOF変異体として分類されるかどう
かを判断すること;および(b)生体サンプルがNF1LOF変異体として分類される場合
、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞
腫、および膵がんから選択される。
【0032】
いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、(a)対象から得られる生体サンプルがクラス3 BRAF変異体として分類されるかどうかを判断すること;および(b)生体サンプルがクラス3 BRAF変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される。
【0033】
いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、(a)対象から得られる生体サンプルがクラス1 MEK1変異体として分類されるかどうかを判断すること;および(b)生体サンプルがクラス1 MEK1変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される。いくつかの実施形態において、クラスI MEK1変異は、D67N;P124L;P124S;およびL177Vから選択される。
【0034】
いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、(a)対象から得られる生体サンプルがクラス2 MEK1変異体として分類されるかどうかを判断すること;および(b)生体サンプルがクラス2 MEK1変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色
腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される。いくつかの実施形態において、クラスII MEK変異は、ΔE51-Q58;ΔF53-Q58;E203K;L177M;C121S;F53L;K57E;Q56P;およびK57Nから選択される。
【0035】
いくつかの実施形態において、本開示は、RAS経路阻害剤の投与を受けている対象において薬物耐性を治療または予防するための方法であって、対象にSHP2阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、対象は、NF1LOF変
異を伴う細胞を含有する腫瘍を含む。いくつかの実施形態において、対象は、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12A変異、KRASG12S変異、またはKRASG12V変異を含有する腫瘍を含む。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、MEK阻害剤である。いくつかの実施形態において、MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581);ビニメチニブ;ベムラフェニブ;ピマセルチブ;TAK733;RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、ERK阻害剤である。いくつかの実施形態において、ERK阻害剤は、当該技術分野で知られている任意のERK阻害剤から選択される。いくつかの実施形態において、ERK阻害剤は、LY3214996およびBVD523から選択される。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。
【0036】
いくつかの実施形態において、方法は、対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本開示は、それを必要とする対象にRAS経路阻害剤およびSHP2阻害剤を投与することを含む、組合せ療法を提供する。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、MEK阻害剤である。いくつかの実施形態において、MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581);ビニメチニブ;ベムラフェニブ;ピマセルチブ;TAK733;RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、KRASG12C特異的阻害剤ARS-853である。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書
に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。
【0037】
いくつかの実施形態において、本開示は、RAS経路阻害剤、SHP2阻害剤、ならびに1つまたはそれ以上の医薬的に許容される担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。
【0038】
いくつかの実施形態において、本開示は、RAS経路変異を含有する細胞の成長または増殖を阻害する方法であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させ、該方法が細胞をSHP2の阻害剤と接触させることを含む、方法を提供する。SHP2阻害剤は、当該技術分野で知られている、または本明細書で開示される任意のSHP2阻害剤であり得る。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路変異は、KRAS変異、NRAS変異、HRAS変異、SOS変異、クラス3 BRAF変異、MEK1変異、MEK2変異、ERK変異、およびNF1変異から選択される。いくつかの実施形態において、KRAS変異は、KRASG12A変異、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12F変異、KRASG12I変異、KRASG12L変異、KRASG12R変異、KRASG12S変異、KRASG12V変異、およびKRASG12Y変異から選択される。特定の実施形態において、KRAS変異は、KRASG12C変異である。特定の実施形態において、KRAS変異は、KRASG12A変異である。いくつかの実施形態において、クラス3
BRAF変異は、ヒトBRAFにおける以下のアミノ酸置換:D287H;P367R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762Eの1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、MEK1変異は、D67N;P124L;P124S;およびL1
77Vから選択される。いくつかの実施形態において、MEK1変異は、ΔE51-Q58;ΔF53-Q58;E203K;L177M;C121S;F53L;K57E;Q56P;およびK57Nから選択される。
【0039】
いくつかの実施形態において、方法は、細胞をRAS経路の阻害剤と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、SOS阻害剤である。いくつかの実施形態において、SOS阻害剤は、通常より高いSOSレベルまたはSOS活性を含む細胞に投与される。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MEK阻害剤またはERK阻害剤である。いくつかの実施形態において、Ras経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853;LY3214996;BVD523;およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。
【0040】
いくつかの実施形態において、本開示は、RAS経路変異を含有する細胞においてRAS-GTPの蓄積を阻害する方法であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させ、該方法が細胞をSHP2の阻害剤と接触させることを含む、方法を提供する。SHP2阻害剤は、当該技術分野で知られている、または本明細書で開示される任意のSHP2阻害剤であり得る。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路変異は、KRAS変異、NRAS変異、HRAS変異、SOS変異、クラス3 BRAF変異、MEK変異、ERK変異、およびNF1変異から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路変異は、KRAS変異、NRAS変異、HRAS変異、SOS変異、クラス3 BRAF変異、およびNF1変異から選択される。いくつかの実施形態において、KRAS変異は、KRASG12A変異、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12F変異、KRASG12I変異、KRASG12L変異、KRASG12R変異、KRASG12S変異、KRASG12V変異、およびKRASG12Y変異から選択される。特定の実施形態において、KRAS変異は、KRASG12Cである。特定の実施形態において、KRAS変異は、KRASG12Aである。いくつかの実施形態において、クラス3 BRAF変異は、ヒトBRAFにおける以下のアミノ酸置換:D287H;P367R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762Eの1つまたはそれ以上から選択される。特定の実施形態において、MEK変異は、D67N;P124L;P124S;およびL177Vから選択されるクラスI MEK1変異である。いくつかの実施形態において、MEK変異は、ΔE51-Q58;ΔF53-Q58;E203K;L177M;C121S;F53L;K57E
;Q56P;およびK57Nから選択されるクラスII MEK1変異である。いくつかの実施形態において、方法は、細胞をRAS経路の阻害剤と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、SOS阻害剤である。いくつかの実施形態において、SOS阻害剤は、通常より高いSOSレベルまたはSOS活性を含む細胞に投与される。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MEK阻害剤またはERK阻害剤である。いくつかの実施形態において、Ras経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853;LY3214996;BVD523;およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。
【0041】
いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍細胞の成長を阻害する方法であって、腫瘍細胞をMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含む、方法を提供する。このような接触は、例えば、対象(例として哺乳動物、好ましくはヒト)においてインビボであり得る。さらに、このような方法は、例えば、1つの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞を、SHP2阻害剤、ならびにトラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含むことができる。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。いくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、MEK阻害剤、ならびに(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させる。いくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、化合物B、ならびにトラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤を含む組合せ療法と接触させる。いくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、化合物Bおよびアベマシクリブを含む組合せ療法と接触させる。いくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ、ならびに(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、
式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させる。いくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法と接触させる。いくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Aを含む組合せ療法と接触させる。いくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)およびSHP099を含む組合せ療法と接触させる。いくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)およびNSC-87877を含む組合せ療法と接触させる。いくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)、ならびに式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せを含む組合せ療法と接触させる。全てのこのような実施形態において、ここで、本開示は、腫瘍細胞の成長を阻害する方法であって、腫瘍細胞を組合せ療法と接触させることを含む、方法を提供し、腫瘍細胞は、造血系およびリンパ系の腫瘍;骨髄増殖性症候群;骨髄異形成症候群;白血病;急性骨髄性白血病;若年性骨髄単球性白血病;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃がん(gastric cancer);神経芽腫;膀胱がん;前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌;子宮癌;腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌;傍神経節腫;褐色細胞腫;膵がん;副腎皮質癌;胃腺癌;肉腫;横紋筋肉腫;リンパ腫;頭頚部がん;皮膚がん;腹膜がん;腸がん(小腸および大腸);甲状腺がん;子宮内膜がん;胆道のがん;軟部組織がん;卵巣がん;中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫);胃がん(stomach cancer);下垂体がん;生殖管がん;尿路がん;唾液腺がん;子宮頚部がん;肝がん;眼のがん;副腎のがん;自律神経節のがん;上気道消化管のがん;骨がん;精巣がん;胸膜がん;腎がん;陰茎がん;副甲状腺がん;髄膜のがん;外陰部がんおよび黒色腫から選択される腫瘍由来の細胞である。例えば、いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍細胞の成長を阻害する方法であって、腫瘍細胞を、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法のような、MEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含み、腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来であり、接触は、好ましくは対象(例として哺乳動物、好ましくはヒト)においてインビボで行われる、方法を提供する。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍ではなく結腸がん腫瘍由来である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、食道がん腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、直腸がん腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、JMML腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、乳がん腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、黒色腫腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、シュワン細胞腫腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、膵がん腫瘍である。
【0042】
様々な実施形態において、腫瘍細胞とMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法との接触の結果、腫瘍細胞を各MEKおよびSHP2阻害剤と別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する。
【0043】
いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍を有する対象を治療する方法であって、対象にSHP2の阻害剤およびRAS経路の阻害剤を提供することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、疾患または状態は、腫瘍である。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される。いくつかの実施形態において、疾患は、NF1機能喪失変異を伴う細胞を含む腫瘍である。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLCまたは黒色腫腫瘍である。いくつかの実施形態において、疾患は、神経線維腫症I型、神経線維腫症II型、神経鞘腫症、およびWatson症候群から選択される。いくつかの実施形態において、方法は、対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MEK阻害剤またはERK阻害剤である。いくつかの実施形態において、Ras経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。
【0044】
いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍を有する対象を治療する方法であって、腫瘍をMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含む、方法を提供する。このような接触は、例えば、対象(例として哺乳動物、好ましくはヒト)においてインビボであり得る。ゆえに、当業者は、接触が、例えば対象(例として哺乳動物、好ましくはヒト)への投与を介し得ることは理解するであろう。したがって、このような方法は、例えば、腫瘍細胞を、SHP2阻害剤、ならびにトラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含むことができる。このような方法は、例えば、腫瘍細胞をSHP2阻害剤およびアベマシクリブを含む組合せ療法と接触させることを含むことができる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態
において、腫瘍細胞は、MEK阻害剤、ならびに(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、化合物B、ならびにトラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤を含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、SHP2阻害剤(例えば化合物B)およびアベマシクリブを含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ、ならびに(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Aを含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)およびSHP099を含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)およびNSC-87877を含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)、ならびに式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物、ならびにそれらの組合せを含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)およびTNO155のSHP2阻害剤化合物を含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)および国際PCT出
願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)および表1に列挙されたSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)および表2に列挙されたSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療する方法であって、腫瘍細胞を組合せ療法と接触させることを含む、このような方法の全てのこのような実施形態において、腫瘍細胞は、造血系およびリンパ系の腫瘍;骨髄増殖性症候群;骨髄異形成症候群;白血病;急性骨髄性白血病;若年性骨髄単球性白血病;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃(gastric)がん;神経芽腫;膀胱がん;前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌;子宮癌;腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌;傍神経節腫;褐色細胞腫;膵がん;副腎皮質癌;胃腺癌;肉腫;横紋筋肉腫;リンパ腫;頭頚部がん;皮膚がん;腹膜がん;腸がん(小腸および大腸);甲状腺がん;子宮内膜がん;胆道のがん;軟部組織がん;卵巣がん;中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫);胃(stomach)がん;下垂体がん;生殖管がん;尿路がん;唾液腺がん;子宮頚部がん;肝がん;眼のがん;副腎のがん;自律神経節のがん;上気道消化管のがん;骨がん;精巣がん;胸膜がん;腎がん;陰茎がん;副甲状腺がん;髄膜のがん;外陰部がんおよび黒色腫から選択される腫瘍由来の細胞であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍を有する対象を治療する方法であって、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法のような、腫瘍細胞をMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含み、腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来であり、接触は、好ましくは対象(例として哺乳動物、好ましくはヒト)においてインビボで行われる、方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍を有する対象を治療する方法であって、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法、またはトラメチニブならびに表1および表2に列挙された化合物から選択される化合物を含む組合せ療法のような、腫瘍細胞をMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含み、腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来であり、接触は、好ましくは対象(例として哺乳動物、好ましくはヒト)においてインビボで行われる、方法を提供する。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍ではなく結腸がん腫瘍由来である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、食道がん腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、直腸がん腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、JMML腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、乳がん腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、黒色腫腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、シュワン細胞腫腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、膵がん腫瘍である。
【0045】
様々な実施形態において、腫瘍を有する対象を治療する方法であって、腫瘍細胞とMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法との接触を含む、方法により、腫瘍成長を相乗的に阻害する。「腫瘍成長の相乗的な阻害」とは、腫瘍細胞を各阻害剤と別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害することを意味する。例えば、いくつかの実施形態において、腫瘍を有する対象をトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法で治療することにより、腫瘍成長を相乗的に阻害する、すなわち、腫瘍細胞を各トラメチニブ(GSK1120212)および化合物B阻害剤と別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する。いくつかの実施形
態において、腫瘍を有する対象を、トラメチニブ(GSK1120212)、ならびに(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤を含む組合せ療法で治療することにより、腫瘍成長を相乗的に阻害する。
【0046】
いくつかの実施形態において、腫瘍を有する対象を、SHP2阻害剤、ならびにトラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤を含む組合せ療法で治療することにより、腫瘍成長を相乗的に阻害する。
【0047】
いくつかの実施形態において、腫瘍を有する対象を、(a)トラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤;ならびに(b)(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤を含む組合せ療法で治療することにより、腫瘍成長を相乗的に阻害する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】受容体型チロシンキナーゼ(RTK)シグナリング経路を概略的に描写した図である。
図1Aは、結合してERKを活性化するRTKリガンドからのシグナリング、および後続のRTK活性のフィードバック阻害を示す図である。
図1Bは、SHP2が、GEFタンパク質SOS1をプライミングすることに関与すると仮定する未知の機構により、RAS-GTP担持をモジュレートすることを示す図である。
【
図2】3D培養中で成長させたKRAS
G12C変異細胞株およびH441(KRAS
G12V)のパネルにおける、SHP2アロステリック阻害剤化合物B(化合物B)の、細胞生存率(CTGを使用して測定した場合)に対する阻害能力(IC50値)を示す図である。
【
図3-1】化合物B(化合物B)(アロステリックSHP2阻害剤)およびARS-853(共有結合的KRAS
G12C選択的阻害剤)が、NSCLC KRAS
G12C細胞株における細胞のp-ERK1/2レベルの濃度依存的阻害を引き起こしたことを示す図である。
図3Aは、H358細胞におけるpERK1/2レベルの阻害を示す図である。
図3Bは、H1792細胞におけるpERK1/2レベルの阻害を示す図である。
図3Cは、CALU-1細胞におけるpERK1/2レベルの阻害を示す図である。
【
図4】SHP2アロステリック阻害剤化合物A(化合物A)が、H358 KRAS
G12C細胞において、インビトロで、RAS活性化を阻害し、細胞のp-ERK1/2レベルおよび細胞成長(3D培養)の濃度依存的阻害をもたらすことを示す図である。
図4Aは、化合物A(化合物A)がRAS-GTPを減少させることを実証する、ウエスタンブロットを示す図である。
図4Bは、化合物A(化合物A)がp-ERK1/2レベルを阻害することを示す図である。
図4Cは、化合物A(化合物A)がH358 KRAS
G12C細胞成長を阻害することを示す図である。
【
図5】SHP2アロステリック阻害剤化合物A(化合物A)が、H1838 NF1
LOF細胞において、インビトロで、Ras活性化を阻害し、細胞のp-ERK1/2レベルおよび細胞成長の濃度依存的阻害をもたらすことを示す図である。
図5Aは、化合物A(化合物A)がRAS-GTPを減少させることを示す図である。
図5Bは、化合物A(化合物A)がp-ERK1/2を阻害することを示す図である。
図5Cは、化合物A(化合物A)がH1838 NF1
LOF細胞成長を阻害することを示す図である。
【
図6】雌のCB.17 SCIDマウスにおけるNSCLC H358異種移植モデルにおける、化合物A(化合物A)の経口投与に続く、腫瘍細胞成長の用量依存的阻害を示す図である。
【
図7】雌の胸腺欠損ヌードマウスにおけるNSCLC H358異種移植モデルにおける、SHP2アロステリック阻害剤化合物B(化合物B)の経口投与に続く、腫瘍細胞成長の用量依存的阻害(**p<0.01、多重比較を用いるANOVA)を示す図である。
【
図8】雌の胸腺欠損ヌードマウスにおける膵がんMiaPaca-2異種移植モデルにおける、SHP2アロステリック阻害剤化合物B(化合物B)の経口投与に続く、腫瘍細胞成長の用量依存的阻害(*p<0.05、**p<0.01、多重比較を用いるANOVA)を示す図である。
【
図9】MDA-MB-231(KRAS
G13D)細胞株において、セルメチニブによるMEK阻害が、フィードバック駆動型p-RTK過剰活性化を引き起こし、それに対して、化合物A(化合物A)はフィードバック駆動型p-RTK過剰活性化を引き起こさなかったことを示す図である。
【
図10】NCI-H1838(NF1
LOF)におけるトラメチニブによるMEK阻害が、フィードバック駆動型RAS-GTP蓄積を引き起こし、化合物A(化合物A)が、この作用を抑制したことを示す図である。
【
図11-1】SHP2アロステリック阻害剤化合物B(化合物B)が、H358(KRAS
G12C)およびA549(KRAS
G12S)細胞において、トラメチニブによるMEK阻害に起因してRAS-GTP蓄積を抑制したことを示す図である。
図11Aは、H358(KRAS
G12C)細胞における、化合物BによるSHP2阻害を伴うおよび伴わない、6時間および24時間のMEK阻害のRAS-GTP蓄積に対する作用を示す図である。
図11Bは、H358(KRAS
G12C)細胞における、KRAS
G12C特異的阻害剤ARS-853を伴うおよび伴わない、6時間および24時間のMEK阻害のRAS-GTP蓄積に対する作用を示す図である。
図11Cは、A549(KRAS
G12S)細胞における、化合物BによるSHP2阻害を伴うおよび伴わない、6時間および24時間のMEK阻害のRAS-GTP蓄積に対する作用を示す図である。
図11Dは、A549(KRAS
G12S)細胞における、KRAS
G12C特異的阻害剤ARS-853を伴うおよび伴わない、6時間および24時間のMEK阻害のRAS-GTP蓄積に対する作用を示す図である。
【
図12-1】様々な細胞株においてEGFおよびPDGFの両方に反応して測定された、Tyr-542およびTyr-580のリン酸化を示す図である。
図12Aは、マウス胚性線維芽細胞(MEF)におけるTyrリン酸化を示す図である。
図12Bは、H358細胞におけるTyrリン酸化を示す図である。
図12Cは、HEK 293(C)細胞におけるTyrリン酸化を示す図である。「Cmp B」は、化合物Bを表す。
【
図13】SHP2阻害が、BRAFクラスIII変異を有するがん細胞株において、成長およびRAS/MAPKシグナリングを抑制することを示す図である。
図13Aは、化合物B(化合物B)の、3D培養中のクラスI(A375、BRAF
V600E))およびクラスII(NCI-H1755 BRAF
G469A)BRAF変異細胞株の増殖に対する作用を示す図である。
図13Bは、化合物B(化合物B)の、2D培養中で成長させたクラスI A375およびクラスII NCI-H1755細胞におけるRAS-GTPレベルに対する作用を示す図である。
図13Cは、化合物B(化合物B)の、2D培養中で成長させたクラスI A375およびクラスII NCI-H1755細胞におけるp-ERKレベルに対する作用を示す図である。
図13Dは、化合物B(化合物B)の、3D培養中の2つのクラスIII BRAF変異細胞株(Cal-12T、BRAFG466V/+;NCI-H1666、BRAFG466V/+)細胞の増殖に対する作用を示す図である。
図13Eは、化合物B(化合物B)の、クラスIII Cal-12T細胞におけるRAS-GTPレベルに対する作用を示す図である。
図13Fは、化合物B(化合物B)の、クラスIII Cal-12TおよびNCI-H1666細胞におけるp-ERKレベルに対する作用を示す図である。
【
図14-1】SHP2阻害の、SOS1を通して進行するRAS活性化に対する作用を示す図である。
図14Aは、Project DRIVEにおけるRTK/RAS経路における、シグナリング分子の遺伝子ノックダウンの細胞作用の相関分析を示す図である。PTPN11(SHP2)のノックダウンは、SOS1(相関係数0.51)およびGRB2(相関係数0.4)と最も密接に相関し、これらがすべて、核RAS調節モジュールの一員であることを示唆している。
図14Bは、SOS-WT(野生型)、またはSOSタンパク質を原形質膜へと恒常的に標的とするSOS-1変異であるSOS-Fを発現しているHEK293における、化合物B(化合物B)の、細胞p-ERKに対する作用を示す図である。
図14Cは、HEK293細胞におけるSOS-Fの発現が、EGF非依存的pERKシグナリングをもたらすことを示す図である。
【
図15】ULAプレート上でスフェロイドとして成長させたNCI-H358細胞におけるカスパーゼ3/7活性を示す図である。培養スフェロイドを、化合物B(化合物B)または陽性対照としてスタウロスポリンで処置し、22時間後にカスパーゼ3/7活性についてアッセイした。
【
図16-1】トラメチニブと組み合わせた様々な濃度の化合物B(化合物B)を用いた、ヒト非小細胞肺がん細胞株CALU-1およびNCI-H358の組合せのインビトロの処置を介した、相乗的な腫瘍細胞成長阻害を示す図である。
図16Aは、スフェロイドで成長し(3D培養)、化合物B(化合物B)およびトラメチニブの量を増大させながら5日間処置したH358 NSCLC腫瘍細胞における、ビヒクル対照に対する正規化されたパーセント阻害を示す図である。
図16Bは、
図16Aにおける正規化された成長阻害データに対する、加法性のLoeweモデルの適合を示す図である。
図16Cは、スフェロイドで成長させ(3D培養)、化合物B(化合物B)およびトラメチニブの量を増大させながら5日間処置したCALU-1 NSCLC腫瘍細胞における、ビヒクル対照に対する正規化されたパーセント阻害を示す図である。
図16Dは、
図16Cにおける正規化された成長阻害データに対する、加法性のLoeweモデルの適合を示す図である。
図16Bおよび16Dの各々について、陽性範囲(青色でマッピングされている)の数は、相乗効果を示す図である。
【
図17】ヒト非小細胞肺がんのNCI-H358モデルにおける、10および30mg/kg POの化合物B(化合物B)(それぞれ、腫瘍成長阻害、TGI=54、79%)単独、ならびに1mg/kgのトラメチニブ(TGI=79%)との組合せの、毎日の反復投与の腫瘍成長阻害についてのインビボの効能を示す図である。
【
図18】NCI-H358担がんヌードマウスにおける、化合物B(化合物B)単独、およびトラメチニブとの組合せにおける、体重に対する作用を示す図である。化合物B(化合物B)30mg/kg+トラメチニブ群(暗緑色)における1匹の動物が、30日目に体重が>20%減少し、試験から除外されたことに留意されたい。
【
図19】SHP2阻害が、NF1
LOF変異により駆動されたがん細胞株において、成長およびRAS/MAPKシグナリングを抑制することを示す図である。
図19Aおよび
図19Bは、化合物Bの、3D培養中のNF1機能喪失細胞の増殖に対する作用を示す図である。播種した1日後に、細胞を化合物Bで処置し、7日目にCTGを使用して、細胞生存率を測定した。
図19Bは、評価したがん細胞株における、化合物Bによる増殖阻害についてのIC50の幾何平均値およびNF1変異状態を列挙している。
図19Cおよび
図19Dは、NCI-H1838およびMeWo NF1 LOF細胞を2D培養中で成長させ、化合物Bの濃度を増大させながら1時間インキュベートしたことを示す図である。細胞溶解物を製造し、RAS-GTP(b)およびpERK(c)のレベルを判断した。NCI-H1838およびMeWo細胞におけるRAS-GTPレベルは、化合物Bにより、濃度依存的様式で阻害された。pERKの減少についてのIC50の幾何平均値は、NCI-H1838細胞において29nMであり、MeWo細胞において24nMであった(データは、≧3の独立した観察を示し、各々は2回実施され;図は、pERKについての平均±S.D.およびRAS-GTPについての平均±S.E.M.を示す)。
【
図20】SHP2阻害が、NF1
LOF変異により駆動されたがん細胞株において、成長およびRAS/MAPKシグナリングを抑制することを示す図である。
図20Aおよび20Bは、化合物B(Cmp B)の、3D培養中のNF1機能喪失細胞の増殖に対する作用を示す図である。播種した1日後に、細胞を化合物Bで処置し、7日目にCTGを使用して、細胞生存率を測定した。
図20Bは、評価したがん細胞株における、化合物Bによる増殖阻害についてのIC50の幾何平均値およびNF1変異状態を列挙している。
図20Cおよび20Dは、NCI-H1838およびMeWo NF1 LOF細胞を2D培養中で成長させ、化合物Bの濃度を増大させながら1時間インキュベートしたことを示す図である。細胞溶解物を製造し、RAS-GTP(b)およびpERK(c)のレベルを判断した。NCI-H1838およびMeWo細胞におけるRAS-GTPレベルは、化合物Bにより、濃度依存的様式で阻害された。pERKの減少についてのIC50の幾何平均値は、NCI-H1838細胞において29nMであり、MeWo細胞において24nMであった(データは、≧3の独立した観察を示し、各々は2回実施され;図は、pERKについての平均±S.D.およびRAS-GTPについての平均±S.E.M.を示す)。
【
図21】ヒト非小細胞肺がんのH358 KRas
G12Cモデルにおける、Ras経路阻害剤の同時投与を伴うかまたは伴わない、10mg/kg POのSHP2阻害剤化合物C(「Cmp C」)の、毎日の反復投与の効能を示す図である。
図21Aは、化合物Cおよびトラメチニブ(MEK阻害剤)の、単独または組合せの効能を示し、
図21Bは、これらのマウスにおける体重変化のパーセントを示し、
図21Cは、化合物Cおよびコビメチニブ(MEK阻害剤)の、単独または組合せの効能を示し、
図21Dは、これらのマウスにおける体重変化のパーセントを示し、
図21Eは、化合物Cおよびウリキセルチニブ(ERK1/2阻害剤)の、単独または組合せの効能を示し、
図21Fは、これらのマウスにおける体重変化のパーセントを示す図である。すべての群について、対照はビヒクルのみである。
【
図22】ヒト膵癌MIA-Pa-Ca-2異種移植モデルにおける、50mg/kgのアベマシクリブ(CDK阻害剤)の同時投与を伴うかまたは伴わない、30mg/kg POのSHP2阻害剤化合物C(「Cmp C」)の、毎日の反復投与の効能を示す図である。
図22Aは、化合物Cおよびアベマシクリブの、単独または組合せの効能を示し、
図22Bは、これらのマウスにおける体重変化のパーセントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の詳細は、以下の添付の明細書で述べられている。本明細書で記載されるものと類似または同等の方法および物質は本発明の実施または試験で使用することができるが、例示的な方法および物質はここで記載される。本発明の他の特徴、目的、および利点は、明細書および特許請求の範囲から明らかであろう。明細書および特許請求の範囲において、単数形はまた、文脈から明らかに別の意味を示さない限り、複数形を含む。別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的な用語は、本発明が属する当業者が通常理解すると同じ意味を有する。本明細書で引用される全ての特許および刊行物は、その全体を参照によって本明細書に組み入れる。
【0050】
一般的方法
本発明の実施は、別段に示されない限り、当該技術分野に含まれる、細胞培養、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来技術を利用する。このような技術は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版(Sambrookら、2001年)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(P.Herdewijn編、2004年);Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1987年);Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir&C.C.Blackwell編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller&M.P.Calos編、1987年);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編、1987年);PCR:The Polymerase Chain Reaction、(Mullisら編、1994年);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、1991年);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons、1999年);Manual of Clinical
Laboratory Immunology(B.Detrick、N.R.Rose、およびJ.D.Folds編、2006年);Immunochemical Protocols(J.Pound編、2003年);Lab Manual in Biochemistry:Immunology and Biotechnology(A.NigamおよびA.Ayyagari編、2007年);Immunology Methods Manual:The Comprehensive Sourcebook of Techniques(Ivan Lefkovits編、1996年);Using Antibodies:A Laboratory Manual(E.HarlowおよびD.Lane編、1988年);および、他のもののような文献において十分に説明されている。
【0051】
定義
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的な用語は、本発明が属する当業者が通常理解すると同じ意味を有する。本明細書で記載されるものと類似または同等のいかなる方法および物質も本発明の実施または試験で使用することができるが、好ましい方法および物質は記載される。本発明の目的のために、以下の用語は、下記で定義される。
【0052】
冠詞「a」および「an」は、その冠詞の文法的な対象の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すのに本開示で使用される。一例として、「要素(an element)」とは、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0053】
用語「および/または」は、別段に示されない限り、「および」または「または」のいずれかを意味するのに本開示で使用される。
【0054】
本明細書を通して、本文脈が別段必要としない限り、単語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」は、言及された工程もしくは要素、または工程もしくは要素の群を含むことを暗示するが、いかなる他の工程もしくは要素、または工程もしくは要素の群も除外しないと暗示することが理解されるであろう。「からなる(consisting of)」とは、成句「からなる」の前にあるものを全て含み、かつそれに限定されることを意味する。ゆえに、成句「からなる」は、列挙された要素が必要または強制的なものであり、他の要素は存在しない可能性があることを示す。「から本質的なる(consisting essentially of)」とは、成句の後に列挙されたあらゆる要素を含み、列挙された要素に対して本開示で特定される活性または作用を妨げない、またはそれに寄与しない他の要素に限定されることを意味する。ゆえに、成句「から本質的になる」は、列挙された要素が必要または強制的なものであるが、他の要素が任意であり、列挙された要素の活性または作用に大きな影響を及ぼすかどうかによって存在してもしなくてもよいことを示す。
【0055】
単語「例えば(e.g.)」は、「例えば(for example)」を意味するのに本明細書で使用され、言及された工程もしくは要素、または工程もしくは要素の群を含むことを暗示するが、いかなる他の工程もしくは要素、または工程もしくは要素の群も除外しないと暗示することが理解されるであろう。
【0056】
「任意で」または「場合により」とは、後述される事象または状況が起こっても起こらなくてもよく、その記載が事象または状況が起こる例および起こらない例を含むことを意味する。例えば、「場合により置換されたアリール」は、本明細書で定義される通り、「アリール」および「置換されたアリール」の両方を包含する。1つまたはそれ以上の置換基を含有する任意の基に関して、このような基が、立体的に非現実的、合成的に実現不能および/または本質的に不安定であるいかなる置換または置換パターンも導入しないことを意図することは、当業者は理解するであろう。
【0057】
本開示で使用される用語「投与する」、「投与すること」または「投与」とは、開示された化合物もしくは開示された化合物の医薬的に許容される塩もしくは組成物を対象に直接投与すること、または、化合物もしくは化合物の医薬的に許容される塩もしくは組成物のプロドラッグ誘導体もしくは類似体を対象に投与することのいずれかを指すが、これは、対象の体内で等量の活性化合物を形成することができる。
【0058】
本開示で使用される用語「担体」とは、添加剤および賦形剤を包含し、対象の1つの臓器または体の一部から別の臓器または体の一部に医薬を運搬または輸送することに関与する液体もしくは固体の充填剤、賦形剤、添加剤、溶剤またはカプセル化物質のような、物質、組成物またはビヒクルを意味する。
【0059】
用語「化合物A」および「Cmp A」は、以下の構造を有するSHP2阻害剤化合物を指すのに、本明細書で互換的に使用される:
【化1】
【0060】
用語「化合物B」および「Cmp B」は、以下の構造を有するSHP2阻害剤化合物を指すのに、本明細書で互換的に使用される:
【化2】
【0061】
用語「化合物C」および「Cmp C」は、化合物AおよびBに類似の構造のアロステリックSHP2阻害剤化合物を指すのに、本明細書で互換的に使用される。化合物Cは、PCT/US2017/041577(WO2018/013597)に開示され、その全体を参照によって本明細書に組み入れる。
【0062】
用語SHP099とは、以下の構造を有するSHP2阻害剤を指す:
【化3】
【0063】
用語「クラスIII BRAF変異」;「クラス3 BRAF変異」;「BRAFクラス3変異」;「BRAFクラスIII変異」;「BRAFクラス3変異」および「BRA
FクラスIII変異」は、(野生型BRAFと比較して)キナーゼ失活型のまたは活性が低
いBRAF変異を指すのに、本明細書で互換的に使用されるが、この変異は、限定されないが、Yao,Z.ら、Nature、2017年8月10日;548(7666):234~238頁、またはNieto,P.ら、Nature、2017年8月10日;548(7666):239~243頁(各々はその全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるクラス3 BRAF変異のいずれかを含む。クラス3 BRAF変異は、限定されないが、ヒトBRAFにおける以下のアミノ酸置換:D287H;P367
R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762Eを含む。
【0064】
用語「クラスI MEK1変異」または「クラス1 MEK1変異」は、MEK1キナーゼを、RAFによるS218およびS222のリン酸化に依存させ、過剰活性化させるMEK1変異を指すのに、本明細書で使用される。いくつかの実施形態において、クラスI MEK1変異は、限定されないが、Gao Y.ら、Cancer Discov.2018年5月;8(5):648~661頁(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるクラスI MEK1変異のいずれかを含む。例えば、いくつかの実施形態において、用語「クラスI MEK1変異」は、限定されないが、ヒトMEK1における以下のアミノ酸置換:D67N;P124L;P124S;およびL177Vを含む。
【0065】
用語「クラスII MEK1変異」または「クラス2 MEK1変異」は、MEK1キナーゼに、あるレベルの基礎的なRAF非依存性の活性をもたらすが、RAFによるさらなる活性はもたらさないMEK1変異を指すのに、本明細書で使用される。いくつかの実施形態において、クラスII MEK1変異は、限定されないが、Gao Y.ら、Cancer Discov.2018年5月;8(5):648~661頁(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるクラスII MEK1変異のいずれかを含む。例えば、いくつかの実施形態において、用語「クラスII MEK1変異」は、限定されないが、ヒトMEK1における以下のアミノ酸置換:ΔE51-Q58;ΔF53-Q58;E203K;L177M;C121S;F53L;K57E;Q56P;およびK57Nを含む。
【0066】
用語「組合せ療法」とは、対象に少なくとも2つの治療剤を、場合により1つまたはそれ以上の医薬組成物として投与することを含む治療の方法を指す。例えば、組合せ療法は、少なくとも2つの治療剤ならびに1つまたはそれ以上の医薬的に許容される担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む単一の医薬組成物を投与することを含むことができる。組合せ療法は、2つまたはそれ以上の医薬組成物であって、各組成物は、1つまたはそれ以上の治療剤ならびに1つまたはそれ以上の医薬的に許容される担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、組成物を投与することを含むことができる。様々な実施形態において、治療剤の少なくとも1つは、SHP2阻害剤である。2つの薬剤は、場合により、同時に(単一のもしくは別々の組成物として)、または連続的に(別々の組成物として)投与される。治療剤は、有効量で投与される。治療剤は、治療有効量で投与される。いくつかの実施形態において、治療剤の1つまたはそれ以上の有効量は、例えば、2つまたはそれ以上の治療剤を組み合わせる相加的または相乗的な効果のために、単独療法として使用される場合の同じ治療剤の治療量より、組合せ療法で使用される場合で低い。
【0067】
「判断する」という言及は、疾患または障害(例えば、腫瘍)を有する対象がSHP2阻害に応答するかどうかを「判断する」ための本明細書で開示される方法に対して、および、サンプル(例えば腫瘍)が特定のサブタイプ(例えばNF1LOFまたはKRASG12C
サブタイプ)として分類されるかどうかを「判断する」ことに対して、(例えば当該技術分野で知られている、または本明細書で開示される実験方法を介して)実験的に判断すること、および、このような判断に好適な情報を含む記録に対する単なる言及の両方を含む。例えば、いくつかの実施形態において、「判断する」は、対象の医学的なまたは他の記録の分析を含むことができ、記録は、対象がKRASG12C変異を伴う細胞を含む腫瘍を含むことを示す。いくつかの実施形態において、「判断する」は、対象の医学的なまたは他の記録の分析を含むことができ、記録は、対象がNF1LOF変異を伴う細胞を含む腫瘍を
含むことを示す。いくつかの実施形態において、「判断する」は、対象の医学的なまたは他の記録の分析を含むことができ、記録は、対象がKRASG12D、KRASG12SまたはKRASG12V変異を伴う細胞を含む腫瘍を含むことを示す。いくつかの実施形態において、「判断する」は、SHP2阻害剤で治療可能な疾患または障害(例えば腫瘍)を有する、または有する疑いがある対象由来のサンプル(例えば腫瘍細胞のような1つまたはそれ以上の細胞を含む組織サンプル)を実験的に試験して、サンプルが、細胞がSHP2阻害に感受性を示す可能性があるという指標を含むかどうかを判断することを含むことができる。いくつかのこのような実施形態において、細胞がSHP2阻害に感受性を示す可能性があるという指標は、NF1LOF変異、RAS変異、NRAS変異、HRAS変異、KRA
S変異、アミノ酸12での置換を伴うKRAS変異、KRASG12A変異、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12F変異、KRASG12I変異、KRASG12L変異、KRASG12R変異、KRASG12S変異、KRASG12V変異、KRASG12Y変異、クラスIII
BRAF変異、または2つもしくはそれ以上のこのような変異の組合せの存在を含む。このような変異の存在を実験的に判断するための好適な方法は、本明細書で開示され、当該技術分野で知られている(例えばDomagalaら、Pol J Pathol 2012;3:145~164頁、その全体を参照によって本明細書に組み入れる)。
【0068】
用語「障害」は、別段に示されない限り、疾患、状態、または疾病という用語を意味するのに、本開示で使用され、これらと互換的に使用される。
【0069】
「有効量」は、化合物に関連して使用される場合、本明細書で記載される対象において疾患または障害を治療または予防するのに有効な量である。
【0070】
用語「阻害剤」とは、生体分子(例えばタンパク質、核酸)で反応が完了または開始することを防ぐ化合物を意味する。阻害剤は、競合的、非競合的、または不競合的な手段により反応を阻害することができる。例示的な阻害剤として、限定されないが、核酸、DNA、RNA、shRNA、siRNA、タンパク質、タンパク質模倣物、ペプチド、ペプチド模倣物、抗体、小分子、化学物質、例えばシグナル伝達に関与する酵素、受容体、または他のタンパク質の結合部位を模倣する類似体、治療剤、医薬組成物、薬物、およびこれらの組合せが挙げられる。いくつかの実施形態において、阻害剤は、限定されないが、細胞での機能性タンパク質の量を減らすsiRNAを含む核酸分子であり得る。したがって、特定のタンパク質、例えばSHP2を「阻害が可能である」といわれる化合物は、任意のこのような阻害剤を含む。
【0071】
用語「単独療法」とは、対象に単一の治療剤を、場合により1つの医薬組成物として投与することを含む治療の方法を指す。例えば、単独療法は、1つの治療剤ならびに1つまたはそれ以上の医薬的に許容される担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む医薬組成物を投与することを含むことができる。治療剤は、有効量で投与される。治療剤は、治療有効量で投与される。
【0072】
本明細書で使用される用語「変異」とは、変化した核酸またはポリペプチドをもたらす核酸および/またはポリペプチドの任意の改変を示す。用語「変異」として、例えば、点変異、ポリヌクレオチドでの単一または複数の残基の欠失または挿入(遺伝子のタンパク質コード領域内で起こる変化、および、限定されないが調節またはプロモーター配列のようなタンパク質コード配列の外側の領域での変化を含む)、ならびに、増幅および/または染色体の切断もしくは転座を挙げることができる。
【0073】
用語「NF1機能喪失」および「NF1LOF」は、NF1酵素を触媒不活性にするか、
または、NF1転写物もしくはタンパク質がほとんどもしくは全く生成されない任意の変異を指すのに、本明細書で互換的に使用される。NF1中の2600超の異なる変異は、
遺伝することが知られており、全ての構造的なNF1変異の80%超は、不活性化(すなわちNF1LOF変異)する(Philpottら、Human Genomics(20
17)11:13、その全体を参照によって本明細書に組み入れる)。
【0074】
「患者」または「対象」は、哺乳動物、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、または、サル、チンパンジー、ヒヒもしくはアカゲザルのような非ヒト霊長類である。
【0075】
対象に対して「予防する」または「予防すること」という用語は、疾患または障害が対象を苦しめることを防止することを指す。予防することには、予防的治療を含まれる。例えば、予防することは、対象に本明細書で開示された化合物を、対象が疾患に苦しむ前に投与し、投与することで対象が疾患に苦しむことを防止することを含むことができる。
【0076】
治療剤、例えばSHP2阻害剤を「対象に提供すること」という用語は、このような薬剤を投与することを含む。
【0077】
用語「RAS経路」および「RAS/MAPK経路」は、様々な細胞表面の成長因子受容体のシグナル伝達カスケードの下流を指すのに、本明細書で互換的に使用されるが、RAS(および様々なアイソフォームまたはアレオタイプ)の活性化は、細胞の増殖、活性化、分化、動員、および他の機能性を決定する各種細胞エフェクター事象を引き起こす中心事象である。SHP2は、成長因子受容体からRAS活性化/不活性化サイクルへ陽性シグナルを送るが、これは、GTPをRASに結合させて機能的活性のGTP結合RASを生成するグアニンヌクレオチド交換因子(SOS1のようなGEF)、ならびに、GTPをGDPへ変換することによりシグナルの終端を容易にするGTP促進タンパク質(NF1のようなGAP)によりモジュレートされる。このサイクルで生成されたGTP結合RASは、重要な陽性シグナルを、RAFおよびMAPキナーゼを含む一連のセリン/スレオニンキナーゼへ送り、ここから追加のシグナルを様々な細胞エフェクター機能へ発する。
【0078】
用語「RAS経路変異」および「RAS/MAPK経路活性化変異」は、RAS/MAPKシグナリング経路のシグナリング過程に直接関与した、および/または、経路を活性化させるこのシグナリング経路を(正または負のいずれかに)調節する、タンパク質をコードする遺伝子での変異を指すのに、本明細書で互換的に使用されるが、このような変異は、前記タンパク質の活性化レベルを高める、変化させる、または低くすることがある。このようなタンパク質として、限定されないが、Ras、Raf、NF1、SOS、および、特異的アイソフォームまたはそれらのアレオタイプが挙げられる。
【0079】
用語「RTK由来腫瘍」とは、高レベルのRTKシグナリングをもたらす、RTKの1つもしくはそれ以上の腫瘍性変異を伴う細胞、またはRTKシグナリング複合体の一部であるタンパク質を含む腫瘍を指す。いくつかのこのような細胞は、RTKに「依存する」とみなされ、RTKシグナリングの阻害により、下流の経路の一斉抑制をもたらし、多くの場合、細胞の成長、停止、および死をもたらす。RTK由来腫瘍として、限定されないが、EGFRまたはALKでの変異を伴う非小細胞肺がん(NSCLC)が挙げられる。
【0080】
用語「SHP2」とは、「Src相同性-2ホスファターゼ」を意味し、SH-PTP2、SH-PTP3、Syp、PTP1D、PTP2C、SAP-2またはPTPN11としても知られている。
【0081】
用語「SHP2阻害剤」および「SHP2の阻害剤」は、互換的に使用される。
【0082】
用語「SOS」(例えば「SOS変異」)とは、SOS遺伝子を指し、RASへのGTP結合およびシグナリングを促進する受容体チロシンキナーゼにより活性化されるRASグアニンヌクレオチド交換因子タンパク質を含むことが当該技術分野で知られている。用語SOSは、GTPによりRas結合GDPの交換を促進する全てのSOS相同体を含む。特定の実施形態において、SOSとは、具体的に「セブンレスの息子(son of sevenless)相同体1」(「SOS1」)を指す。
【0083】
細胞の「サブタイプ」(例えばNF1LOFサブタイプ、KRASG12Cサブタイプ、KR
ASG12Sサブタイプ、KRASG12Dサブタイプ、KRASG12Vサブタイプ)という言及は、細胞が示された種類のタンパク質での変化をコードする遺伝子変異を含有することを意味する。例えば、「NF1LOFサブタイプ」として分類された細胞は、NF1機能喪失を
もたらす変異を含有し;「KRASG12Cサブタイプ」と分類された細胞は、位置12のグリシンからシステインへのアミノ酸置換(G12C)をコードする少なくとも1つのKRAS対立遺伝子を含有し;ならびに、同様に、特定のサブタイプの他の細胞(例えばKRASG12D、KRASG12SおよびKRASG12Vサブタイプ)は、示された変異(例えば、それぞれKRASG12D変異、KRASG12S変異、またはKRASG12V変異)を伴う少なくとも1つの対立遺伝子を含有する。別段記載されない限り、本明細書で参照された(例えばKRASG12Cでの「G12C」のような)全てのアミノ酸位置の置換は、参照されたタンパク質のヒトバージョンでの置換に対応する、すなわち、KRASG12Cとは、ヒトKRASの位置12のG→Cの置換を指す。
【0084】
「治療剤」は、任意の物質、例えば、疾患または障害を治療することが可能な化合物または組成物である。いくつかの実施形態において、本開示に関連して有用な治療剤として、限定されないが、SHP2阻害剤、ALK阻害剤、MEK阻害剤、RTK阻害剤(TKI)、および、がん化学療法剤が挙げられる。多くのこのような阻害剤は、当該技術分野で知られ、本明細書に開示される。
【0085】
用語「治療有効量」、「治療用量」、「予防的有効量」または「診断的有効量」は、投与に続いて所望の生物学的応答を誘発するために必要とされる、薬物、例えばSHP2阻害剤の量である。
【0086】
対象に対して「治療」または「治療すること」という用語とは、直接的に、または別の治療の効果を高めることのいずれかにより、対象の疾患または障害の少なくとも1つの症状、病理またはマーカーを改善することを指す。治療することは、障害を治癒すること、改善すること、または少なくとも部分的に回復することを含み、治療される疾患または状態の1つまたはそれ以上の測定可能なマーカーにおける微小な変化または改善も含むことができる。「治療」または「治療すること」は、疾患もしくは状態、またはそれらの関連する症状の完全な根絶または治癒を必ずしも示すわけではない。この治療を受ける対象は、それを必要とする任意の対象である。臨床的改善の例示的なマーカーは、当業者には明らかであろう。
【0087】
概要
本開示は、とりわけ、SHP2阻害剤を単独で、または別の好適な治療剤と組み合わせて、疾患または障害(例えば、がん)を治療または予防するための組成物、方法、およびキットに関する。
【0088】
SHP2は、各種受容体チロシンキナーゼ(RTK)に対する重要なシグナリングエフェクター分子であり、血小板由来成長因子(PDGFR)、線維芽細胞成長因子(FGFR)、および上皮成長因子(EGFR)の受容体を含む。SHP2はまた、がんの発症に不可欠である細胞形質転換をもたらすことができる、マイトジェン活性化タンパク質(M
AP)キナーゼ経路の活性化を調節する、重要なシグナリング分子である。例えば、SHP2は、Ras-マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ、JAK-STATおよび/またはホスホイノシトール3-キナーゼ-AKT経路を通したシグナリングに関与する。SHP2は、RAS活性化をモジュレートすることにより、ErbB1、ErbB2およびc-Metのような受容体チロシンキナーゼによるErk1およびErk2(Erk1/2、Erk)MAPキナーゼの活性化を媒介する。
【0089】
SHP2は、2つのN末端Src相同性2ドメイン(N-SH2およびC-SH2)、触媒ドメイン(PTP)、ならびにC末端テイルを有する。2つのSH2ドメインは、SHP2の細胞内局在性および機能調節を制御する。分子は、N-SH2およびPTPドメインの両方由来の残基が関与する結合ネットワークを介してそれ自身の活性を阻害する、不活性な立体配座に存在する。成長因子刺激に関して、SHP2は、RTKシグナリング装置に関連し、これは、SHP2活性化をもたらす構造変化を誘発する。
【0090】
SHP2の活性化変異は、ヌーナン症候群およびレオパード症候群のような発生病理に関連しており、多くのRTK由来腫瘍、白血病、肺および乳がん、胃癌、未分化大細胞型リンパ腫、神経膠芽細胞腫、および神経芽腫を含む、複数のがんの種類においても見出されている。1
1 Grossmann, K. S., Rosario, M., Birchmeier, C. & Birchmeier, W. The tyrosine phosphatase Shp2 in development and cancer. Adv. Cancer Res. 106, 53-89 (2010). Chan, R. J. & Feng, G. S. PTPN11 is the first identified proto-oncogene that encodes a tyrosine phosphatase. Blood 109, 862-867 (2007). Matozaki, T., Murata, Y.,
Saito, Y., Okazawa, H. & Ohnishi, H. Protein tyrosine phosphatase SHP-2: a proto-oncogene product that promotes Ras activation. Cancer Sci. 100, 1786-1793 (2009). Mohi, M. G. & Neel, B. G. The role of Shp2 (PTPN11) in cancer. Curr. Opin. Genet. Dev. 17, 23-30 (2007). Ostman, A., Hellberg, C. & Bohmer, F. D. Protein-tyrosine phosphatases and cancer. Nat. Rev. Cancer 6, 307-320 (2006).
【0091】
加えて、SHP2は、限定されないが、プログラムされた細胞死タンパク質1(PD-1)および細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)を含む、免疫チェックポイント分子起源のシグナルを導入する役割を果たす。これに関して、SHP2機能を阻害することで、抗がん免疫応答を含む、チェックポイント分子を発現する免疫細胞の活性化を促進することができる。
【0092】
RNAi技術を使用するSHP2発現のノックダウンまたはアロステリック小分子阻害剤によるSHP2の阻害のいずれかが、がん細胞の成長の駆動に関与する様々なRTK由来のシグナリングを妨げることは、先に開示されている。しかし、この報告はまた、このようなアプローチが、RasまたはRafタンパク質での変異を活性化することを含有するもののような、成長がRTKの下流として作用するタンパク質での変異により駆動される細胞で、成長シグナリングを妨害することにおいて効果がないと結論付けていた(Chen,Ying-Nan P.148 Nature第535巻、2016年7月7日、151頁)。
【0093】
したがって、いくつかの実施形態において、本開示は、先行技術の教示に反して、特定の腫瘍性Ras経路変異(例えばKRASG12C変異)を有する細胞の特定のサブセットが、SHP2阻害に対して感受性を示し、SHP2阻害剤で効果的に治療されるという予想外の発見に関する(例えば実施例1を参照)。例えば、本開示は、特にRas経路変異に関して、特定のKRAS変異(例えばKRASG12C変異)またはNF1LOF変異を有する
がん細胞の特定のサブセットが、SHP2阻害に対して感受性を示し、SHP2阻害が、がん療法(例えばMAPK阻害剤)を含む様々な治療剤に対する腫瘍抵抗性の出現を防ぎ
、遅らせるために効果的な手段、および、がん療法(例えばMAPK阻害剤)に対する耐性がある腫瘍をその阻害剤に対して再感作させるために効果的な手段であるということを示す。同様に、本開示は、特にRas経路変異に関して、特定のBRAF変異(例えばクラス3 BRAF変異)またはMEK変異(例えばクラス1 MEK1変異)を有するがん細胞の特定のサブセットが、SHP2阻害に対して感受性を示し、SHP2阻害が、がん療法(例えばMAPK阻害剤、MEK阻害剤、Erk阻害剤など)を含む様々な治療剤に対する腫瘍抵抗性の出現を防ぎ、遅らせるために効果的な手段、および、がん療法(例えばMAPK阻害剤)に対する耐性がある腫瘍をその阻害剤に対して再感作させるために効果的な手段であるということを示す。
【0094】
SHP2阻害剤が全てではないが一部のKRAS変異細胞を阻害することができるという観察が示すのは、特定のKRAS変異のヌクレオチドサイクリングの特徴の関数、および、高レベルの活性GTP結合状態を維持するためのシグナリングの入力での対応する依存性であり得る。実際に、Patricelliおよび共同研究者らは、KRASG12Cが構成的かつ十分な活性タンパク質ではないが、KRASG12Cのヌクレオチド状態が上流のシグナリング因子によりモジュレートすることができる動的フラックスの状態にあることを示している(Patricelliら、Cancer Discov.2016年3月;6(3):316~29頁、その全体を参照によって本明細書に組み入れる)。同様に、GTPase活性化タンパク質(GAP)、例えばNF1LOFの機能を喪失した細胞に
おいて、RASの活性GTP結合状態に移行し、RASエフェクターおよび成長依存へのシグナリングを引き起こす。これらの細胞において、野生型RASは、KRASG12Cとして、高い活性状態を維持するために上流のシグナリングの入力に対して感受性を示させるヌクレオチドサイクリングを行う。本開示において、KRASG12CおよびNF1LOF株の
SHP2アロステリック阻害剤に対する感受性は、これらの上流の因子のモジュレーションと、したがって阻害剤による変異/WT RASのヌクレオチド状態とを反映する。
【0095】
ゆえに、本開示は、SHP2阻害剤を単独で含む、または別のがん治療剤(例えばMAPキナーゼ経路の阻害剤)と組み合わせる、治療に応答する疾患または状態(例えば、例として癌遺伝子関連のがんまたは腫瘍のような、がんまたは腫瘍)の同定、判定および/または治療のための組成物、方法、およびキットを少なくとも部分的に提供する。
【0096】
いくつかの実施形態において、本開示は、RAS経路変異の有無に基づく、または特定のサブタイプのこのような変異に基づく患者層別のための方法を提供する。本明細書で使用される場合、「患者層別」とは、SHP2阻害剤で治療可能である可能性があるか、または可能性がないかのいずれかである疾患または障害(例えば、がん)を有する1体またはそれ以上の患者を分類することを意味する。患者層別は、SHP2阻害剤での治療に感受性を示す腫瘍を有する患者を分類することを含むことができる。患者層別は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに変異したタンパク質を依存させるRAS経路変異を含有する1つまたはそれ以上の細胞を含む腫瘍の有無に基づく。本明細書で使用される場合、変異、例えばRAS経路変異に関して使用される場合での用語「SHP2を通じてシグナリングフラックスに少なくとも部分的に依存」とは、変異したタンパク質の機能をSHP2によりモジュレートしやすくする変異、およびその阻害剤の効果を指す。RAS経路変異は、KRAS、NRAS、HRAS、ARAF、BRAF、CRAF、SOS、MEK(例えばMEK1)、およびNF1から選択される1つまたはそれ以上のタンパク質において起こり得る。RAS経路変異は、KRAS、NRAS、HRAS、BRAF、SOS、およびNF1から選択される1つまたはそれ以上のタンパク質において起こり得る。特定の実施形態において、KRAS、NRAS、HRAS、BRAF、SOS、MEK(例えばMEK1)またはNF1における変異は、高い活性状態を維持するために変異したタンパク質を上流のシグナリングの入力に対して感受性を示させる。上流のシグナリングの入力には、SHP2を必要とし得る。本明細書で使用される場合、用語「高い活性状態
を維持するために上流のシグナリングの入力に対して感受性を示す」とは、タンパク質(例えばGTP-RAS)の活性状態の維持には、上流のシグナリングの入力(例えばSHP2を介するシグナリング)を必要とし、(例えばSHP2阻害による)これらの入力のモジュレーションの結果、タンパク質の活性状態が変化する(例えば、本明細書で示される通り、SHP2の阻害の結果、RAS-GTPレベルは低下し(
図4~5);ゆえに、RASは、高い活性状態を維持するために上流のシグナリングの入力に対して感受性を示す)ことを意味する。このような変異として、限定されないが、以下の変異の1つまたはそれ以上を挙げることができる:KRAS
G12A;KRAS
G12C;KRAS
G12D;KRAS
G12S;KRAS
G12V;NF1
LOF変異;クラス3 BRAF変異;クラス1 MEK1変
異;クラス2 MEK1変異、およびSOSでの変異。このような変異として、限定されないが、以下の変異の1つまたはそれ以上を挙げることができる:KRAS
G12A;KRAS
G12C;KRAS
G12D;KRAS
G12S;KRAS
G12V;NF1
LOF変異;クラス3 BR
AF変異;およびSOSでの変異。
【0097】
いくつかの実施形態において、本発明は、対象層別のための方法であって、(a)対象由来の細胞がKRASG12A;KRASG12C;KRASG12D;KRASG12S;KRASG12V;NF1LOF変異;クラス3 BRAF変異;クラス1 MEK1変異;クラス2 ME
K1変異、およびSOS変異/増幅からなる群から選択されるRAS経路変異を含むかどうかを判断すること;(b)対象にSHP2阻害剤を投与すること;(c)場合により、対象に追加の治療剤(例えば抗がん治療剤)を投与することを含む、方法を提供する。
【0098】
いくつかの実施形態において、本発明は、対象層別のための方法であって、(a)対象由来の細胞がKRASG12A;KRASG12C;KRASG12D;KRASG12S;KRASG12V;NF1LOF変異;クラス3 BRAF変異;およびSOS変異/増幅からなる群から選
択されるRAS経路変異を含むかどうかを判断すること;(b)対象にSHP2阻害剤を投与すること;(c)場合により、対象に追加の治療剤(例えば抗がん治療剤)を投与することを含む、方法を提供する。
【0099】
RAS経路変異に関連する任意の疾患または状態は、本開示にしたがって同定、判定および/または治療される。特定の実施形態において、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに変異したタンパク質を依存させる。RAS経路変異を含む、いくつかのこのような疾患または状態は、当該技術分野で知られている。例えば、特定の実施形態において、本開示は、限定されないが、ヌーナン症候群(例えばSHP2変異以外の機構により発症するヌーナン症候群)、レオパード症候群(例えばSHP2変異以外の機構により発症するレオパード症候群);骨髄増殖性症候群、骨髄異形成症候群、ならびに白血病、例えば急性骨髄性白血病および若年性骨髄単球性白血病を含む、造血系およびリンパ系の腫瘍;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃(gastric)がん、神経芽腫、膀胱がん、前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌、子宮癌、腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌、傍神経節腫、褐色細胞腫、膵がん、副腎皮質癌、胃腺癌、肉腫、横紋筋肉腫、リンパ腫、頭頚部がん、皮膚がん、腹膜がん、腸がん(小腸および大腸)、甲状腺がん、子宮内膜がん、胆道のがん、軟部組織がん、卵巣がん、中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫)、胃(stomach)がん、下垂体がん、生殖管がん、尿路がん、唾液腺がん、子宮頚部がん、肝がん、眼のがん、副腎のがん、自律神経節のがん、上気道消化管のがん、骨がん、精巣がん、胸膜がん、腎がん、陰茎がん、副甲状腺がん、髄膜のがん、外陰部がん、ならびに黒色腫から選択される、疾患または状態を治療するための方法であって、例えば本明細書に開示される単独療法または組合せ療法のような本明細書に開示される方法を含む、方法を提供する。
【0100】
様々な実施形態において、このような疾患または障害を治療するための方法は、対象に、有効量のSHP2阻害剤またはSHP2阻害剤を含む組成物(例えば医薬組成物)を投
与することを含む。SHP2を阻害することができる任意の化合物または物質は、SHP2を阻害するための本開示において利用することができる。このようなSHP2阻害剤の非限定的な例は、当該技術分野で知られ、本明細書に開示される。例えば、本明細書に記載される組成物および方法は、限定されないが、本明細書に開示されるSHP099を含む、Chen,Ying-Nan Pら、148 Nature第535巻、2016年7月7日(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示される任意のSHP2阻害剤から選択される1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を利用できる。本明細書に記載される組成物および方法は、限定されないが、PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示される任意のSHP2阻害剤から選択される1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を利用できる。本明細書に記載される組成物および方法は、限定されないが、PCT出願PCT/IB2015/050343(WO2015107493);PCT/IB2015/050344(WO2015107494);PCT/IB2015/050345(WO201507495);PCT/IB2016/053548(WO2016/203404);PCT/IB2016/053549(WO2016203405);PCT/IB2016/053550(WO2016203406);PCT/US2010/045817(WO2011022440);PCT/US2017/021784(WO2017156397);および、PCT/US2016/060787(WO2017079723);および、PCT/CN2017/087471(WO2017211303)(各々はその全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示される任意のSHP2阻害剤から選択される1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を利用できる。本明細書に記載される組成物および方法は、限定されないが、本明細書に開示されるNSC-87877を含む、Chen Lら、Mol Pharmacol.2006年8月;70(2):562~70頁(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示される任意のSHP2阻害剤から選択される1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を利用できる。本明細書に記載される組成物および方法は、ワールドワイドウェブアドレス:clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03114319で入手できる、ClinicalTrials.gov Identifier:NCT03114319(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に記載されるTNO155を利用できる。本明細書に記載される組成物および方法は、限定されないが、本明細書に開示された化合物A;本明細書に開示された化合物B;本明細書に開示された化合物C;本明細書に開示される式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式XのSHP2阻害剤化合物;本明細書に開示される表1からの化合物;ならびに、本明細書に開示される表2からの化合物から選択される1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を利用できる。
【0101】
本開示の一態様は、式I:
【化4】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ア
リールまたはヘテロアリールであり;
Y
1は、-S-または直接結合であり;
Y
2は、-NR
a-、-(CR
a
2)
m-、-C(O)-、-C(R
a)
2NH-、-(CR
a
2
)
mO-、-C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(O)-、-S(O)
2N(R
a)-、
-N(R
a)S(O)
2-、-N(R
a)C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(S)N(
R
a)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R
a)-、-N(R
a)C
(O)O-、-C(O)N(R
a)O-、-N(R
a)C(S)-、-C(S)N(R
a)
-または-OC(O)O-であり;Y
2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環
と結合し、Y
2部分の右側の結合は、R
3と結合し;
R
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アル
ケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO
2、-CN、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6
、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)R
5または-CO
2R
5であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO
2、
オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-
S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
R
2は、独立して、-OR
b、-CN、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、
-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5
R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
R
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C
3~C
8シクロアルキルま
たは-C
1~C
6アルキルであり、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH
2と置換されており、2つのR
aは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
R
bは、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
3~C
8シク
ロアルキル、-C
2~C
6アルケニルまたはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、
-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリール
またはヘテロアリールと置換されており;
R
3は、独立して、-C
1~C
6アルキルもしくは3~12員の単環式もしくは多環式の複
素環であり、各アルキルもしくは複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1
~C
6アルキル、-OHもしくは-NH
2と置換されており;または
R
3は、R
aと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、-OHもしくは-NH
2と置換され
ており;
R
4は、独立して、-H、-Dもしくは-C
1~C
6アルキルであり、各アルキルは、場合
により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH
2、ハロゲンもしくはオキソと置換され
ており;または
R
aおよびR
4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC
3~C
12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~1
2員の複素環を形成することができ、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;
R
5およびR
6は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR
7、-SR
7、ハロゲン、-NR
7R
8、-NO
2または-CNであり;
R
7およびR
8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキルまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH
2、-NO
2または-CNと置換されており;
mは、独立して、各出現において、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、各出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0102】
本開示の別の態様は、式II:
【化5】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
Y
2は、-NR
a-、-(CR
a
2)
m-、-C(O)-、-C(R
a)
2NH-、-(CR
a
2
)
mO-、-C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(O)-、-S(O)
2N(R
a)-、
-N(R
a)S(O)
2-、-N(R
a)C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(S)N(
R
a)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R
a)-、-N(R
a)C
(O)O-、-C(O)N(R
a)O-、-N(R
a)C(S)-、-C(S)N(R
a)
-、または-OC(O)O-であり;Y
2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン
環と結合し、Y
2部分の右側の結合は、R
3と結合し;
R
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アル
ケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO
2、-CN、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6
、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)R
5または-CO
2R
5であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO
2、
オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(
O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-
S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
R
2は、独立して、-OR
b、-CN、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、
-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5
R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
R
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C
3~C
8シクロアルキルま
たは-C
1~C
6アルキルであり、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH
2と置換されており、2つのR
aは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
R
bは、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
3~C
8シク
ロアルキル、-C
2~C
6アルケニルまたはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、
-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリール
またはヘテロアリールと置換されており;
R
3は、独立して、-C
1~C
6アルキルもしくは3~12員の単環式もしくは多環式の複
素環であり、各アルキルもしくは複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1
~C
6アルキル、-OHもしくは-NH
2と置換されており;または
R
3は、R
aと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、-OHもしくは-NH
2と置換され
ており;
R
4は、独立して、-H、-Dもしくは-C
1~C
6アルキルであり、各アルキルは、場合
により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH
2、ハロゲンもしくはオキソと置換され
ており;または
R
aおよびR
4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC
3~C
12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~1
2員の複素環を形成することができ、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;
R
5およびR
6は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR
7、-SR
7、ハロゲン、-NR
7R
8、-NO
2または-CNであり;
R
7およびR
8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキルまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH
2、-NO
2または-CNと置換されており;
mは、独立して、各出現において、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、各出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0103】
本開示の別の態様は、式III:
【化6】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
Y
2は、-NR
a-、-(CR
a
2)
m-、-C(O)-、-C(R
a)
2NH-、-(CR
a
2
)
mO-、-C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(O)-、-S(O)
2N(R
a)-、
-N(R
a)S(O)
2-、-N(R
a)C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(S)N(
R
a)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R
a)-、-N(R
a)C
(O)O-、-C(O)N(R
a)O-、-N(R
a)C(S)-、-C(S)N(R
a)
-、または-OC(O)O-であり;Y
2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン
環と結合し、Y
2部分の右側の結合は、R
3と結合し;
R
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アル
ケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO
2、-CN、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6
、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)R
5または-CO
2R
5であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO
2、
オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-
S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
R
2は、独立して、-OR
b、-CN、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、
-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5
R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
R
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C
3~C
8シクロアルキルま
たは-C
1~C
6アルキルであり、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つ
またはそれ以上の-NH
2と置換されており、2つのR
aは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
R
bは、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
3~C
8シク
ロアルキル、-C
2~C
6アルケニルまたはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、
-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリール
またはヘテロアリールと置換されており;
R
3は、独立して、-C
1~C
6アルキルもしくは3~12員の単環式もしくは多環式の複
素環であり、各アルキルもしくは複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1
~C
6アルキル、-OHもしくは-NH
2と置換されており;または
R
3は、R
aと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、-OHもしくは-NH
2と置換され
ており;
R
4は、独立して、-H、-Dもしくは-C
1~C
6アルキルであり、各アルキルは、場合
により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH
2、ハロゲンもしくはオキソと置換され
ており;または
R
aおよびR
4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC
3~C
12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~1
2員の複素環を形成することができ、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;
R
5およびR
6は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR
7、-SR
7、ハロゲン、-NR
7R
8、-NO
2または-CNであり;
R
7およびR
8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキルまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH
2、-NO
2または-CNと置換されており;
mは、独立して、各出現において、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、各出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0104】
本開示の一態様は、式I-V1:
【化7】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異
性体または異性体に関し、式中:
Aは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、5~12員の単環式または5~12員の多環式であり;
Y
1は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)
2-、-S(O)
2-NH-、-C(=
CH
2)-、-CH-または-S(O)-であり;
Y
2は-NR
a-であり、Y
2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、
Y
2部分の右側の結合は、図示されるように、R
3と結合し;
R
aおよびR
4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC
3~C
12シクロアルキルまたは単環式もしくは多環式の3~12
員の複素環を形成し、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、オキソと置換されており;複素環は、場合により、複素環中に-S(O)
2-を含み;
R
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アル
ケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、-OH、-OR
6、ハロゲン、-NO
2、-CN、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(
O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)R
5、-CO
2R
5、-C(O)NR
5R
6、-NR
5C(O)R
6、単環式または多環式
の、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはオキソであり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、=O、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-
SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S
(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5
S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
R
2は、独立して、-NH
2、-OR
b、-CN、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケ
ニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、ハロゲン、-C(O)OR
b、-C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択され
る1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、
-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリール
またはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
R
bは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C
1~C
6アルキル、-C
3~C
8シクロアルキル、-C
2~C
6アルケニル、-(CH
2)
n-アリール、N、S、Pおよ
びOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニル、複素環、ヘテロアリールまたは-(CH
2)
n-アリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6
、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)NR
5R
6、-NR
5C(O)R
6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH
2)
nOH、-
C
1~C
6アルキル、-CF
3、-CHF
2または-CH
2Fと置換されており;
R
3は、独立して、-H、-C
1~C
6アルキル、3~12員の単環式もしくは多環式の複
素環、5~12員のスピロ複素環、C
3~C
8シクロアルキルまたは-(CH
2)
n-R
bで
あり、各アルキル、スピロ複素環、複素環またはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、-OH、-NH
2、-OR
b、-NHR
b、-(CH
2)
nOH、ヘテロシクリルまたはスピロヘテロシクリルと置換されており;
R
5およびR
6は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR
7、-SR
7、ハロゲン、-NR
7R
8、-NO
2、-CF
3または-CNであり;
R
7およびR
8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、-OR
bまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各ア
ルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH
2、-NO
2または-CNと置換されており;ならびに
nは、独立して、各出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0105】
本開示の一態様は、式I-V2:
【化8】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体および異性体に関し、式中:
Aは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、5~12員の単環式または5~12員の多環式であり;
Y
1は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)
2-、-S(O)
2-NH-、-C(=
CH
2)-、-CH-または-S(O)-であり;
Y
2は-NR
a-であり、Y
2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、
Y
2部分の右側の結合は、図示されるように、R
3と結合し;
R
3は、R
aと組み合わされて、3~12員の多環式の複素環または5~12員のスピロ複素環を形成し、各複素環またはスピロ複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、ハロゲン、-OH、-OR
b、-NH
2、-NHR
b、ヘテロアリール、
ヘテロシクリル、-(CH
2)
nNH
2、-(CH
2)
nOH、-COOR
b、-CONHR
b
、-CONH(CH
2)
nCOOR
b、-NHCOOR
b、-CF
3、-CHF
2、-CH
2F
または=Oと置換されており;
R
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アル
ケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、-OH、-OR
6、ハロゲン、-NO
2、-CN、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(
O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)R
5、-CO
2R
5、-C(O)NR
5R
6、-NR
5C(O)R
6、単環式または多環式
の、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはオキソであり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル
、スピロヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、=O、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-
SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S
(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5
S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
R
2は、独立して、-NH
2、-OR
b、-CN、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケ
ニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、ハロゲン、-C(O)OR
b、-C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択され
る1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、
-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリール
またはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
R
bは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C
1~C
6アルキル、-C
3~C
8シクロアルキル、-C
2~C
6アルケニル、-(CH
2)
n-アリール、N、S、Pおよ
びOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニル、複素環、ヘテロアリールまたは-(CH
2)
n-アリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6
、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)NR
5R
6、-NR
5C(O)R
6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH
2)
nOH、-
C
1~C
6アルキル、-CF
3、-CHF
2または-CH
2Fと置換されており;
R
4は、独立して、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
1~C
6ハロアルキル、-C
1~C
6ヒドロキシアルキル、-CF
2OH、-CHFOH、-NH-NHR
5、-NH-OR
5、-O-NR
5R
6、-NHR
5、-OR
5、-NHC(O)R
5、-NHC(O)NHR
5、-NHS(O)
2R
5、-NHS(O)
2NHR
5、-S(O)
2OH、-C(O)OR
5、-NH(CH
2)
nOH、-C(O)NH(CH
2)
nOH、-C(O)NH(CH
2)
nR
b、
-C(O)R
b、-NH
2、-OH、-CN、-C(O)NR
5R
6、-S(O)
2NR
5R
6
、C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、各アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH
2、-OR
b、ハロゲンまたはオキソと置換されており;各アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH
2またはハロゲンと置換されてお
り;
R
5およびR
6は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR
7、-SR
7、ハロゲン、-NR
7R
8、-NO
2、-CF
3または-CNであり;
R
7およびR
8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、-OR
bまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各ア
ルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH
2、-NO
2または-CNと置
換されており;ならびに
nは、独立して、各出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0106】
本開示の一態様は、式I-W:
【化9】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体および異性体に関し、式中:
Aは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、5~12員の単環式または5~12員の多環式であり;
Y
1は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)
2-、-S(O)
2-NH-、-C(=
CH
2)-、-CH-または-S(O)-であり;
Y
2は、-NR
a-、-(CR
a
2)
m-、-C(O)-、-C(R
a)
2NH-、-(CR
a
2
)
mO-、-C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(O)-、-S(O)
2N(R
a)-、
-N(R
a)S(O)
2-、-N(R
a)C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(S)N(
R
a)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R
a)-、-N(R
a)C
(O)O-、-C(O)N(R
a)O-、-N(R
a)C(S)-、-C(S)N(R
a)
-、または-OC(O)O-であり;Y
2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン
環と結合し、Y
2部分の右側の結合は、図示されるように、R
3と結合し;
R
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アル
ケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、-OH、-OR
6、ハロゲン、-NO
2、-CN、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(
O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)R
5、-CO
2R
5、-C(O)NR
5R
6、-NR
5C(O)R
6、単環式または多環式
の、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはオキソであり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、=O、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-
SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S
(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5
S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
R
2は、独立して、-OR
b、-CN、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、ハロゲン、-C(O)OR
b、-C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個
のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキ
ソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(
O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
R
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C
3~C
8シクロアルキル、
-C
1~C
6アルキル、3~12員のヘテロシクリルもしくは-(CH
2)
n-アリールであり、各アルキルもしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-NH
2と置換されており、または、2つのR
aは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
R
bは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C
1~C
6アルキル、-C
3~C
8シクロアルキル、-C
2~C
6アルケニル、-(CH
2)
n-アリール、N、S、Pおよ
びOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニル、複素環、ヘテロアリールまたは-(CH
2)
n-アリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6
、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)NR
5R
6、-NR
5C(O)R
6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH
2)
nOH、-
C
1~C
6アルキル、-CF
3、-CHF
2または-CH
2Fと置換されており;
R
3は、独立して、-H、-C
1~C
6アルキル、3~12員の単環式もしくは多環式の複
素環、5~12員のスピロ複素環、C
3~C
8シクロアルキルもしくは-(CH
2)
n-R
b
であり、各アルキル、スピロ複素環、複素環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、-OH、-NH
2、-OR
b、-NHR
b、-
(CH
2)
nOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルと置換されており;または
R
3は、R
aと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、ハロゲン、-OH、-OR
b、-N
H
2、-NHR
b、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CH
2)
nNH
2、-(CH
2)
n
OH、-COOR
b、-CONHR
b、-CONH(CH
2)
nCOOR
b、-NHCOOR
b、-CF
3、-CHF
2、-CH
2Fもしくは=Oと置換されており;
R
4は、独立して、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
1~C
6ハロアルキル、-C
1~C
6ヒドロキシアルキル、-CF
2OH、-CHFOH、-NH-NHR
5、-NH-OR
5、-O-NR
5R
6、-NHR
5、-OR
5、-NHC(O)R
5、-NHC(O)NHR
5、-NHS(O)
2R
5、-NHS(O)
2NHR
5、-S(O)
2OH、-C(O)OR
5、-NH(CH
2)
nOH、-C(O)NH(CH
2)
nOH、-C(O)NH(CH
2)
nR
b、
-C(O)R
b、-NH
2、-OH、-CN、-C(O)NR
5R
6、-S(O)
2NR
5R
6
、C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、もしくはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、各アルキル、シクロアルキルもしくはヘテロシクリルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH
2、-OR
b、ハロゲンもしくはオキソと置換されており;各アリールもしくはヘテロアリールは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH
2もしくはハロゲン
と置換されており;または
R
aおよびR
4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC
3~C
12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~1
2員の複素環を形成することができ、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;複素環は、場合により、複素環中に-S(O)
2-を含み;
R
5およびR
6は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR
7、-SR
7、ハロゲン、-NR
7R
8、-NO
2、-CF
3または-CNであり;
R
7およびR
8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、-OR
bまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各ア
ルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH
2、-NO
2または-CNと置換されており;
mは、独立して、各出現において、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、各出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0107】
本開示の一態様は、式I-X:
【化10】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
Y
1は、-S-または直接結合であり;
Y
2は、-NR
a-、-(CR
a
2)
m-、-C(O)-、-C(R
a)
2NH-、-(CR
a
2
)
mO-、-C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(O)-、-S(O)
2N(R
a)-、
-N(R
a)S(O)
2-、-N(R
a)C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(S)N(
R
a)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R
a)-、-N(R
a)C
(O)O-、-C(O)N(R
a)O-、-N(R
a)C(S)-、-C(S)N(R
a)
-、または-OC(O)O-であり;Y
2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン
環と結合し、Y
2部分の右側の結合は、図示されるように、R
3と結合し;
R
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アル
ケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO
2、-CN、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6
、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)R
5または-CO
2R
5であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO
2、
オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-
S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
R
2は、独立して、-OR
b、-CN、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロ
シクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、
-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5
R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
R
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C
3~C
8シクロアルキルま
たは-C
1~C
6アルキルであり、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH
2と置換されており、2つのR
aは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
R
bは、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
3~C
8シク
ロアルキル、-C
2~C
6アルケニルまたはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、
-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリール
またはヘテロアリールと置換されており;
R
3は、独立して、-H、-C
1~C
6アルキルまたは3~12員の単環式もしくは多環式
の複素環であり、各アルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-C
1
~C
6アルキル、-OHまたは-NH
2と置換されており;または
R
3は、R
aと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環または5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環またはスピロ複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、-OHまたは-NH
2と置換されており;
R
4は、独立して、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-NH-NHR
5、-NH-OR
5
、-O-NR
5R
6、-NHR
5、-OR
5、-NHC(O)R
5、-NHC(O)NHR
5、-NHS(O)
2R
5、-NHS(O)
2NHR
5、-S(O)
2OH、-C(O)OR
5、-C(O)NR
5R
6、-S(O)
2NR
5R
6、C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S
、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、もしくはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、各アルキル、シクロアルキルもしくはヘテロシクリルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH
2、ハロゲンもしくはオキソと置換され
ており;各アリールもしくはヘテロアリールは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH
2もしくはハロゲンと置換されており;または
R
aおよびR
4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC
3~C
12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~1
2員の複素環を形成することができ、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;複素環は、場合により、複素環中に-S(O)
2-を含み;
R
5およびR
6は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR
7、-SR
7、ハロゲン、-NR
7R
8、-NO
2または-CNであり;
R
7およびR
8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキルまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH
2、-NO
2または-CNと置換されており;
mは、独立して、各出現において、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、各出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0108】
本開示の一態様は、式I-Y:
【化11】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
Y
1は、-S-または直接結合であり;
Y
2は、-NR
a-、-(CR
a
2)
m-、-C(O)-、-C(R
a)
2NH-、-(CR
a
2
)
mO-、-C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(O)-、-S(O)
2N(R
a)-、
-N(R
a)S(O)
2-、-N(R
a)C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(S)N(
R
a)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R
a)-、-N(R
a)C
(O)O-、-C(O)N(R
a)O-、-N(R
a)C(S)-、-C(S)N(R
a)
-、または-OC(O)O-であり;Y
2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン
環と結合し、Y
2部分の右側の結合は、図示されるように、R
3と結合し;
R
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アル
ケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO
2、-CN、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6
、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)R
5または-CO
2R
5であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO
2、
オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-
S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
R
2は、独立して、-OR
b、-CN、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、
-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5
R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
R
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C
3~C
8シクロアルキルま
たは-C
1~C
6アルキルであり、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH
2と置換されており、2つのR
aは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
R
bは、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
3~C
8シク
ロアルキル、-C
2~C
6アルケニルまたはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、
-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリール
、ヘテロアリール、-(CH
2)
nOH、-C
1~C
6アルキル、-CF
3、-CHF
2または-CH
2Fと置換されており;
R
3は、独立して、-H、-C
1~C
6アルキル、3~12員の単環式もしくは多環式の複
素環、C
3~C
8シクロアルキルもしくは-(CH
2)
n-R
bであり、各アルキル、複素環
もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、-OH、-NH
2、-OR
b、-NHR
b、-(CH
2)
nOH、ヘテロシクリルもしくはス
ピロヘテロシクリルと置換されており;または
R
3は、R
aと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、-OH、-NH
2、ヘテロアリール
、ヘテロシクリル、-(CH
2)
nNH
2、-COOR
b、-CONHR
b、-CONH(C
H
2)
nCOOR
b、-NHCOOR
b、-CF
3、-CHF
2、もしくは-CH
2Fと置換さ
れており;
R
4は、独立して、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-NH-NHR
5、-NH-OR
5
、-O-NR
5R
6、-NHR
5、-OR
5、-NHC(O)R
5、-NHC(O)NHR
5、-NHS(O)
2R
5、-NHS(O)
2NHR
5、-S(O)
2OH、-C(O)OR
5、-NH(CH
2)
nOH、-C(O)NH(CH
2)
nOH、-C(O)NH(CH
2)
nR
b、
-C(O)R
b、-NH
2、-OH、-CN、-C(O)NR
5R
6、-S(O)
2NR
5R
6
、C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、もしくはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、各アルキル、シクロアルキルもしくはヘテロシクリルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH
2、ハロゲンもしくはオキソと置換されており;各アリールもしくはヘテロアリー
ルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH
2もしくはハロゲンと置換さ
れており;または
R
aおよびR
4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC
3~C
12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~1
2員の複素環を形成することができ、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;複素環は、場合により、複素環中に-S(O)
2-を含み;
R
5およびR
6は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR
7、-SR
7、ハロゲン、-NR
7R
8、-NO
2または-CNであり;
R
7およびR
8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキルまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH
2、-NO
2または-CNと置換されており;
mは、独立して、各出現において、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、各出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0109】
本開示の一態様は、式I-Z:
【化12】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
Y
1は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)
2-、-S(O)
2-NH-、-C(=
CH
2)-、-CH-または-S(O)-であり;
Y
2は、-NR
a-、-(CR
a
2)
m-、-C(R
a)
2NH-、-(CR
a
2)
mO-、-C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(O)-、-S(O)
2N(R
a)-、-N(R
a)S(
O)
2-、-N(R
a)C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(S)N(R
a)-、-OC
(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(O)O-、-C(O)N(R
a)O-、-N(R
a)C(S)-、または-C(S)N(R
a)-であり;Y
2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、Y
2部分の右側の結合は、図示されるように、R
3と結合し;
R
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アル
ケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO
2、-CN、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6
、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)R
5または-CO
2R
5であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO
2、
オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-
S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
R
2は、独立して、-OR
b、-NH
2、-CN、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケ
ニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、ハロゲン、-C(O)OR
b、-C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択され
る1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、
-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリール
またはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
R
aは、独立して、各出現において、-OH、-C
3~C
8シクロアルキルまたは-C
1~C
6アルキルであり、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以
上の-NH
2と置換されており、2つのR
aは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
R
bは、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
3~C
8シク
ロアルキル、-C
2~C
6アルケニルまたはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、
-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリール
、ヘテロアリール、-(CH
2)
nOH、-C
1~C
6アルキル、-CF
3、-CHF
2または-CH
2Fと置換されており;
R
3は、独立して、-H、-C
1~C
6アルキル、3~12員の単環式もしくは多環式の複
素環、C
3~C
8シクロアルキルもしくは-(CH
2)
n-R
bであり、各アルキル、複素環
もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、-OH、-NH
2、-OR
b、-NHR
b、-(CH
2)
nOH、ヘテロシクリルもしくはス
ピロヘテロシクリルと置換されており;または
R
3は、R
aと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、-OH、-NH
2、ヘテロアリール
、ヘテロシクリル、-(CH
2)
nNH
2、-COOR
b、-CONHR
b、-CONH(C
H
2)
nCOOR
b、-NHCOOR
b、-CF
3、-CHF
2、もしくは-CH
2Fと置換さ
れており;
R
4は、独立して、-C
1~C
6アルキル、-NH-NHR
5、-NH-OR
5、-O-NR
5R
6、-NHR
5、-OR
5、-NHC(O)R
5、-NHC(O)NHR
5、-NHS(O
)
2R
5、-NHS(O)
2NHR
5、-S(O)
2OH、-C(O)OR
5、-NH(CH
2
)
nOH、-C(O)NH(CH
2)
nOH、-C(O)NH(CH
2)
nR
b、-C(O)R
b、-NH
2、-OH、-C(O)NR
5R
6、-S(O)
2NR
5R
6、C
3~C
8シクロアル
キル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、各アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH
2、ハロゲンまたはオ
キソと置換されており;各アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH
2またはハロゲンと置換されており;
R
aおよびR
4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC
3~C
12シクロアルキルまたは単環式もしくは多環式の3~12
員の複素環を形成し、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、オキソと置換されており;複素環は、場合により、複素環中に-S(O)
2-を含み;
R
5およびR
6は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR
7、-SR
7、ハロゲン、-NR
7R
8、-NO
2または-CNであり;
R
7およびR
8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキルまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH
2、-NO
2または-CNと置換されており;
mは、独立して、各出現において、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、各出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10
である。
【0110】
本発明の一態様は、式IV:
【化13】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
Y
1は、-S-または直接結合であり;
Y
2は:-NR
a-、-(CR
a
2)
m-、-C(O)-、-C(R
a)
2NH-、-(CR
a
2
)
mO-、-C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(O)-、-S(O)
2N(R
a)-、
-N(R
a)S(O)
2-、-N(R
a)C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(S)N(
R
a)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R
a)-、-N(R
a)C
(O)O-、-C(O)N(R
a)O-、-N(R
a)C(S)-、-C(S)N(R
a)
-および-OC(O)O-からなる群から選択され;Y
2の左側の結合は、図示されるよ
うに、ピラジン環と結合し、Y
2部分の右側の結合は、R
3と結合し;
R
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アル
ケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO
2、-CN、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6
、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)R
5または-CO
2R
5であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO
2、
オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-
S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
R
2は、独立して、-OR
b、-CN、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2N
R
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)
NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
R
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C
3~C
8シクロアルキルお
よび-C
1~C
6アルキルからなる群から選択され、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH
2と置換されており、2つのR
aは、それらが両
方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
R
bは、独立して、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
1~C
6シクロアルキル、-C
2~C
6アルケニルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテ
ロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、
-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)
R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
R
3は、独立して、各出現において、-C
1~C
6アルキルもしくは3~12員の単環式も
しくは多環式の複素環からなる群から選択され、各アルキルもしくは複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、-OHもしくは-NH
2と置換されて
おり;または
R
3は、R
aと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、-C
1~C
6アルキル、-OHもしくは-NH
2と置換されており;
R
4は、独立して、各出現において、-H、-Dもしくは-C
1~C
6アルキルであり、各
アルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH
2、ハロゲンもしくは
オキソと置換されており;または
R
aおよびR
4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC
3~C
12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~1
2員の複素環を形成することができ、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;
R
5およびR
6は、各々独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR
7、-SR
7、ハロゲン、-NR
7R
8、-NO
2および-CNからなる群から選択され;
R
7およびR
8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH
2、-NO
2または-CNと置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0111】
本発明の別の態様は、式V:
【化14】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
Y
2は:-NR
a-、-(CR
a
2)
m-、-C(O)-、-C(R
a)
2NH-、-(CR
a
2
)
mO-、-C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(O)-、-S(O)
2N(R
a)-、
-N(R
a)S(O)
2-、-N(R
a)C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(S)N(
R
a)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R
a)-、-N(R
a)C
(O)O-、-C(O)N(R
a)O-、-N(R
a)C(S)-、-C(S)N(R
a)
-および-OC(O)O-からなる群から選択され;Y
2の左側の結合は、図示されるよ
うに、ピラジン環と結合し、Y
2部分の右側の結合は、R
3と結合し;
R
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アル
ケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO
2、-CN、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6
、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)R
5または-CO
2R
5であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO
2、
オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-
S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
R
2は、独立して、-OR
b、-CN、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2N
R
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)
NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
R
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C
3~C
8シクロアルキルお
よび-C
1~C
6アルキルからなる群から選択され、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH
2と置換されており、2つのR
aは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
R
bは、独立して、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
1~C
6シクロアルキル、-C
2~C
6アルケニルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテ
ロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、
-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)
R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
R
3は、独立して、各出現において、-C
1~C
6アルキルもしくは3~12員の単環式も
しくは多環式の複素環からなる群から選択され、各アルキルもしくは複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、-OHもしくは-NH
2と置換されて
おり;または
R
3は、R
aと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、-C
1~C
6アルキル、-OHもしくは-NH
2と置換されており;
R
4は、独立して、各出現において、-H、-Dもしくは-C
1~C
6アルキルであり、各
アルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH
2、ハロゲンもしくは
オキソと置換されており;または
R
aおよびR
4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC
3~C
12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~1
2員の複素環を形成することができ、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;
R
5およびR
6は、各々独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR
7、-SR
7、ハロゲン、-NR
7R
8、-NO
2および-CNからなる群から選択され;
R
7およびR
8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH
2、-NO
2または-CNと置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0112】
本発明の別の態様は、式VI:
【化15】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
Y
2は:-NR
a-、-(CR
a
2)
m-、-C(O)-、-C(R
a)
2NH-、-(CR
a
2
)
mO-、-C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(O)-、-S(O)
2N(R
a)-、
-N(R
a)S(O)
2-、-N(R
a)C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(S)N(
R
a)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R
a)-、-N(R
a)C
(O)O-、-C(O)N(R
a)O-、-N(R
a)C(S)-、-C(S)N(R
a)
-および-OC(O)O-からなる群から選択され;Y
2の左側の結合は、図示されるよ
うに、ピラジン環と結合し、Y
2部分の右側の結合は、R
3と結合し;
R
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アル
ケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO
2、-CN、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6
、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)R
5または-CO
2R
5であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO
2、
オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-
S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
R
2は、独立して、-OR
b、-CN、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2N
R
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)
NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
R
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C
3~C
8シクロアルキルお
よび-C
1~C
6アルキルからなる群から選択され、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH
2と置換されており、2つのR
aは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
R
bは、独立して、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
1~C
6シクロアルキル、-C
2~C
6アルケニルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテ
ロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、
-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)
R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
R
3は、独立して、各出現において、-C
1~C
6アルキルもしくは3~12員の単環式も
しくは多環式の複素環からなる群から選択され、各アルキルもしくは複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、-OHもしくは-NH
2と置換されて
おり;または
R
3は、R
aと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、-C
1~C
6アルキル、-OHもしくは-NH
2と置換されており;
R
4は、独立して、各出現において、-H、-Dもしくは-C
1~C
6アルキルであり、各
アルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH
2、ハロゲンもしくは
オキソと置換されており;または
R
aおよびR
4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC
3~C
12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~1
2員の複素環を形成することができ、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;
R
5およびR
6は、各々独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR
7、-SR
7、ハロゲン、-NR
7R
8、-NO
2および-CNからなる群から選択され;
R
7およびR
8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH
2、-NO
2または-CNと置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0113】
本発明の一態様は、式IV-Y:
【化16】
の化合物、またはその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
Y
1は、-S-または直接結合であり;
Y
2は:-NR
a-、-(CR
a
2)
m-、-C(O)-、-C(R
a)
2NH-、-(CR
a
2
)
mO-、-C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(O)-、-S(O)
2N(R
a)-、
-N(R
a)S(O)
2-、-N(R
a)C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(S)N(
R
a)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R
a)-、-N(R
a)C
(O)O-、-C(O)N(R
a)O-、-N(R
a)C(S)-、-C(S)N(R
a)
-および-OC(O)O-からなる群から選択され;Y
2の左側の結合は、図示されるよ
うに、ピラジン環と結合し、Y
2部分の右側の結合は、図示されるように、R
3と結合し;R
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アル
ケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO
2、-CN、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6
、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)R
5または-CO
2R
5であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO
2、
オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-
S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
R
2は、独立して、-OR
b、-CN、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2N
R
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)
NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
R
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C
3~C
8シクロアルキルお
よび-C
1~C
6アルキルからなる群から選択され、各アルキルまたはシクロアルキルは、
場合により、1つまたはそれ以上の-NH
2と置換されており、2つのR
aは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
R
bは、独立して、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
1~C
6シクロアルキル、-C
2~C
6アルケニルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテ
ロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、
-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)
R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH
2)
nOH、-C
1~C
6アルキル、CF
3、CHF
2またはCH
2Fと置換され
ており;
R
3は、独立して、各出現において、-H、-C
1~C
6アルキル、3~12員の単環式も
しくは多環式の複素環、C
3~C
8シクロアルキルもしくは-(CH
2)
n-R
bからなる群
から選択され、各アルキル、複素環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、-OH、-NH
2、-OR
a、-NHR
a、-(CH
2)
nOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルと置換されており;または
R
3は、R
aと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、-C
1~C
6アルキル、-OH、-NH
2、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(
CH
2)
nNH
2、-COOR
a、-CONHR
b、-CONH(CH
2)
nCOOR
a、-NHCOOR
a、-CF
3、CHF
2もしくはCH
2Fと置換されており;
R
4は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-NH-NHR
5、-NH-OR
5、-O-NR
5R
6、-NHR
5、-OR
5、-NHC(O)R
5、-NHC(O)NHR
5、-NHS(O)
2R
5、-NHS(O)
2NHR
5、-S(O)
2OH、-C(O)OR
5、-NH(CH
2)
nOH、-C(O)NH(CH
2)
nOH、-C(O)NH
(CH
2)
nR
b、-C(O)R
b、NH
2、-OH、-CN、-C(O)NR
5R
6、-S(
O)
2NR
5R
6、C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群か
ら選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、各アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH
2、ハロゲンまたはオキソと置換されており;各アリールまたはヘテロアリール
は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH
2またはハロゲンと置換されてお
り;または
R
aおよびR
4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC
3~C
12シクロアルキルまたは単環式もしくは多環式の3~12
員の複素環を形成し、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、オキソと置換されており;複素環は、場合により、複素環中に-S(O)
2-を含み;
R
5およびR
6は、各々独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR
7、-SR
7、ハロゲン、-NR
7R
8、-NO
2および-CNからなる群から選択され;
R
7およびR
8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH
2、-NO
2または-CNと置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0114】
本発明の一態様は、式IV-Z:
【化17】
の化合物、またはその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
Y
1は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)
2-、-S(O)
2-NH-、-C(=
CH
2)-、-CH-または-S(O)-であり;
Y
2は:-NR
a-、-(CR
a
2)
m-、-C(O)-、-C(R
a)
2NH-、-(CR
a
2
)
mO-、-C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(O)-、-S(O)
2N(R
a)-、
-N(R
a)S(O)
2-、-N(R
a)C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(S)N(
R
a)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R
a)-、-N(R
a)C
(O)O-、-C(O)N(R
a)O-、-N(R
a)C(S)-、-C(S)N(R
a)
-および-OC(O)O-からなる群から選択され;Y
2の左側の結合は、図示されるよ
うに、ピラジン環と結合し、Y
2部分の右側の結合は、図示されるように、R
3と結合し;R
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アル
ケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO
2、-CN、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6
、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)R
5または-CO
2R
5であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO
2、
オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-
S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
R
2は、独立して、-OR
b、-CN、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-NH
2、ハロゲン、-C(O)OR
a、-C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6
、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリー
ルまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
R
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C
3~C
8シクロアルキルお
よび-C
1~C
6アルキルからなる群から選択され、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH
2と置換されており、2つのR
aは、それらが両
方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
R
bは、独立して、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
1~C
6シクロアルキル、-C
2~C
6アルケニルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテ
ロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、
-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)
R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH
2)
nOH、-C
1~C
6アルキル、CF
3、CHF
2またはCH
2Fと置換され
ており;
R
3は、独立して、各出現において、-H、-C
1~C
6アルキル、3~12員の単環式も
しくは多環式の複素環、C
3~C
8シクロアルキルもしくは-(CH
2)
n-R
bからなる群
から選択され、各アルキル、複素環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、-OH、-NH
2、-OR
a、-NHR
a、-(CH
2)
nOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルと置換されており;または
R
3は、R
aと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、-C
1~C
6アルキル、-OH、-NH
2、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(
CH
2)
nNH
2、-COOR
a、-CONHR
b、-CONH(CH
2)
nCOOR
a、-NHCOOR
a、-CF
3、CHF
2もしくはCH
2Fと置換されており;
R
4は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-NH-NHR
5、-NH-OR
5、-O-NR
5R
6、-NHR
5、-OR
5、-NHC(O)R
5、-NHC(O)NHR
5、-NHS(O)
2R
5、-NHS(O)
2NHR
5、-S(O)
2OH、-C(O)OR
5、-NH(CH
2)
nOH、-C(O)NH(CH
2)
nOH、-C(O)NH
(CH
2)
nR
b、-C(O)R
b、NH
2、-OH、-CN、-C(O)NR
5R
6、-S(
O)
2NR
5R
6、C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群か
ら選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、各アルキル、シクロアルキルもしくはヘテロシクリルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH
2、ハロゲンもしくはオキソと置換されており;各アリールもしくはヘテロ
アリールは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH
2もしくはハロゲンと
置換されており;または
R
aおよびR
4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC
3~C
12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~1
2員の複素環を形成し、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;複素環は、場合により、複素環中に-S(O)
2-を含み;
R
5およびR
6は、各々独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR
7、-SR
7、ハロゲン、-NR
7R
8、-NO
2および-CNからなる群から選択され;
R
7およびR
8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH
2、-NO
2または-CNと置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0115】
本発明の一態様は、式VII:
【化18】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
QはHまたは
【化19】
であり;
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
R
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アル
ケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO
2、-CN、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6
、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)R
5または-CO
2R
5であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO
2、
オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-
S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
Y
1は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)
2-、-S(O)
2-NH-、-C(=
CH
2)-、-CH-または-S(O)-であり;
X
1は、NまたはCであり;
X
2は、NまたはCHであり;
付着点の原子を含むBは、単環式もしくは多環式の5~12員の複素環、または単環式もしくは多環式の5~12員のヘテロアリールであり;
R
2は、独立して、H、-OR
b、-NR
5R
6、-CN、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-NH
2、ハロゲン
、-C(O)OR
a、-C
3~C
8シクロアルキル、N、S、PもしくはOからなる群から
選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、
オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-
S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒
素原子を介して付着しておらず;
Y
2は:-NR
a-、-(CR
a
2)
m-、-C(O)-、-C(R
a)
2NH-、-(CR
a
2
)
mO-、-C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(O)-、-S(O)
2N(R
a)-、
-N(R
a)S(O)
2-、-N(R
a)C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(S)N(
R
a)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R
a)-、-N(R
a)C
(O)O-、-C(O)N(R
a)O-、-N(R
a)C(S)-、-C(S)N(R
a)
-および-OC(O)O-からなる群から選択され;Y
2の左側の結合は、図示されるよ
うに、環と結合し、Y
2部分の右側の結合は、図示されるように、R
3と結合し;
R
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C
3~C
8シクロアルキルお
よび-C
1~C
6アルキルからなる群から選択され、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH
2と置換されており、2つのR
aは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
R
bは、独立して、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
1~C
6シクロアルキル、-C
2~C
6アルケニルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテ
ロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、
-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)
R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH
2)
nOH、-C
1~C
6アルキル、CF
3、CHF
2またはCH
2Fと置換され
ており;
R
3は、独立して、各出現において、-H、-C
1~C
6アルキル、3~12員の単環式も
しくは多環式の複素環、C
3~C
8シクロアルキルもしくは-(CH
2)
n-R
bからなる群
から選択され、各アルキル、複素環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、-OH、-NH
2、-OR
a、-NHR
a、-(CH
2)
nOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルと置換されており;または
R
3は、R
aと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、-C
1~C
6アルキル、-OH、-NH
2、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(
CH
2)
nNH
2、-COOR
a、-CONHR
b、-CONH(CH
2)
nCOOR
a、-NHCOOR
a、-CF
3、CHF
2もしくはCH
2Fと置換されており;
R
5およびR
6は、各々独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR
7、-SR
7、ハロゲン、-NR
7R
8、-NO
2および-CNからなる群から選択され;
R
7およびR
8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH
2、-NO
2または-CNと置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0116】
本発明の別の態様は、式VIII:
【化20】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
R
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アル
ケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO
2、-CN、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6
、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)R
5または-CO
2R
5であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO
2、
オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-
S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
Y
1は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)
2-、-S(O)
2-NH-、-C(=
CH
2)-、-CH-または-S(O)-であり;
X
1は、NまたはCであり;
X
2は、NまたはCHであり;
付着点の原子を含むBは、単環式もしくは多環式の5~12員の複素環、または単環式もしくは多環式の5~12員のヘテロアリールであり;
R
2は、独立して、H、-OR
b、-NR
5R
6、-CN、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-NH
2、ハロゲン
、-C(O)OR
a、-C
3~C
8シクロアルキル、N、S、PもしくはOからなる群から
選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、
-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリール
またはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
Y
2は:-NR
a-、-(CR
a
2)
m-、-C(O)-、-C(R
a)
2NH-、-(CR
a
2
)
mO-、-C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(O)-、-S(O)
2N(R
a)-、
-N(R
a)S(O)
2-、-N(R
a)C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(S)N(
R
a)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R
a)-、-N(R
a)C
(O)O-、-C(O)N(R
a)O-、-N(R
a)C(S)-、-C(S)N(R
a)
-および-OC(O)O-からなる群から選択され;Y
2の左側の結合は、図示されるよ
うに、環と結合し、Y
2部分の右側の結合は、図示されるように、R
3と結合し;
R
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C
3~C
8シクロアルキルお
よび-C
1~C
6アルキルからなる群から選択され、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH
2と置換されており、2つのR
aは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
R
bは、独立して、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
1~C
6シクロアルキル、-C
2~C
6アルケニルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテ
ロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、
-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)
R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH
2)
nOH、-C
1~C
6アルキル、CF
3、CHF
2またはCH
2Fと置換され
ており;
R
3は、独立して、各出現において、-H、-C
1~C
6アルキル、3~12員の単環式も
しくは多環式の複素環、C
3~C
8シクロアルキルもしくは-(CH
2)
n-R
bからなる群
から選択され、各アルキル、複素環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、-OH、-NH
2、-OR
a、-NHR
a、-(CH
2)
nOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルと置換されており;または
R
3は、R
aと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、-C
1~C
6アルキル、-OH、-NH
2、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(
CH
2)
nNH
2、-COOR
a、-CONHR
b、-CONH(CH
2)
nCOOR
a、-NHCOOR
a、-CF
3、CHF
2もしくはCH
2Fと置換されており;
R
5およびR
6は、各々独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR
7、-SR
7、ハロゲン、-NR
7R
8、-NO
2および-CNからなる群から選択され;
R
7およびR
8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH
2、-NO
2または-CNと置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0117】
本発明の別の態様は、式IX:
【化21】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異
性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
R
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アル
ケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO
2、-CN、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6
、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)R
5または-CO
2R
5であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO
2、
オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-
S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
X
1は、NまたはCであり;
X
2は、NまたはCHであり;
付着点の原子を含むBは、単環式もしくは多環式の5~12員の複素環、または単環式もしくは多環式の5~12員のヘテロアリールであり;
R
2は、独立して、H、-OR
b、-NR
5R
6、-CN、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-NH
2、ハロゲン
、-C(O)OR
a、-C
3~C
8シクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOから
なる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
Y
2は:-NR
a-、-(CR
a
2)
m-、-C(O)-、-C(R
a)
2NH-、-(CR
a
2
)
mO-、-C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(O)-、-S(O)
2N(R
a)-、
-N(R
a)S(O)
2-、-N(R
a)C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(S)N(
R
a)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R
a)-、-N(R
a)C
(O)O-、-C(O)N(R
a)O-、-N(R
a)C(S)-、-C(S)N(R
a)
-および-OC(O)O-からなる群から選択され;Y
2の左側の結合は、図示されるよ
うに、環と結合し、Y
2部分の右側の結合は、図示されるように、R
3と結合し;
R
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C
3~C
8シクロアルキルお
よび-C
1~C
6アルキルからなる群から選択され、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH
2と置換されており、2つのR
aは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
R
bは、独立して、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
1~C
6シクロアルキル、-C
2~C
6アルケニルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテ
ロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、
-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)
R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH
2)
nOH、-C
1~C
6アルキル、CF
3、CHF
2またはCH
2Fと置換され
ており;
R
3は、独立して、各出現において、-H、-C
1~C
6アルキル、3~12員の単環式も
しくは多環式の複素環、C
3~C
8シクロアルキルもしくは-(CH
2)
n-R
bからなる群
から選択され、各アルキル、複素環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、-OH、-NH
2、-OR
a、-NHR
a、-(CH
2)
nOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルと置換されており;または
R
3は、R
aと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、-C
1~C
6アルキル、-OH、-NH
2、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(
CH
2)
nNH
2、-COOR
a、-CONHR
b、-CONH(CH
2)
nCOOR
a、-NHCOOR
a、-CF
3、CHF
2もしくはCH
2Fと置換されており;
R
5およびR
6は、各々独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR
7、-SR
7、ハロゲン、-NR
7R
8、-NO
2および-CNからなる群から選択され;
R
7およびR
8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH
2、-NO
2または-CNと置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0118】
本発明の別の態様は、式X:
【化22】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
R
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アル
ケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO
2、-CN、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6
、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、-C(O)R
5または-CO
2R
5であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO
2、
オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-
S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
X
1は、NまたはCであり;
X
2は、NまたはCHであり;
付着点の原子を含むBは、単環式もしくは多環式の5~12員の複素環、または単環式もしくは多環式の5~12員のヘテロアリールであり;
R
2は、独立して、H、-OR
b、-NR
5R
6、-CN、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-NH
2、ハロゲン
、-C(O)OR
a、-C
3~C
8シクロアルキル、N、S、PもしくはOからなる群から
選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、
-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリール
またはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
Y
2は:-NR
a-、-(CR
a
2)
m-、-C(O)-、-C(R
a)
2NH-、-(CR
a
2
)
mO-、-C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(O)-、-S(O)
2N(R
a)-、
-N(R
a)S(O)
2-、-N(R
a)C(O)N(R
a)-、-N(R
a)C(S)N(
R
a)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R
a)-、-N(R
a)C
(O)O-、-C(O)N(R
a)O-、-N(R
a)C(S)-、-C(S)N(R
a)
-および-OC(O)O-からなる群から選択され;Y
2の左側の結合は、図示されるよ
うに、環と結合し、Y
2部分の右側の結合は、図示されるように、R
3と結合し;
R
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C
3~C
8シクロアルキルお
よび-C
1~C
6アルキルからなる群から選択され、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH
2と置換されており、2つのR
aは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
R
bは、独立して、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
1~C
6シクロアルキル、-C
2~C
6アルケニルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテ
ロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO
2、オキソ、
-CN、-R
5、-OR
5、-NR
5R
6、-SR
5、-S(O)
2NR
5R
6、-S(O)
2R
5、-NR
5S(O)
2NR
5R
6、-NR
5S(O)
2R
6、-S(O)NR
5R
6、-S(O)
R
5、-NR
5S(O)NR
5R
6、-NR
5S(O)R
6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH
2)
nOH、-C
1~C
6アルキル、CF
3、CHF
2またはCH
2Fと置換され
ており;
R
3は、独立して、各出現において、-H、-C
1~C
6アルキル、3~12員の単環式も
しくは多環式の複素環、C
3~C
8シクロアルキルもしくは-(CH
2)
n-R
bからなる群
から選択され、各アルキル、複素環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C
1~C
6アルキル、-OH、-NH
2、-OR
a、-NHR
a、-(CH
2)
nOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルと置換されており;または
R
3は、R
aと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、-C
1~C
6アルキル、-OH、-NH
2、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(
CH
2)
nNH
2、-COOR
a、-CONHR
b、-CONH(CH
2)
nCOOR
a、-NHCOOR
a、-CF
3、CHF
2もしくはCH
2Fと置換されており;
R
5およびR
6は、各々独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR
7、-SR
7、ハロゲ
ン、-NR
7R
8、-NO
2および-CNからなる群から選択され;
R
7およびR
8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C
1~C
6アルキル、-C
2
~C
6アルケニル、-C
4~C
8シクロアルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
8シ
クロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH
2、-NO
2または-CNと置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
本開示の別の態様は、表1中の、化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関する。
【0119】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【0120】
本開示の別の態様は、表2中の、化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関する。
【0121】
【0122】
用語「アリール」とは、フェニル、ビフェニル、またはナフチルのような単環式または
二環式基を含む、1~2個の芳香環を有する環状芳香族炭化水素基を指す。2個の芳香環(二環式など)を含有する場合、アリール基の芳香環は、単一点で結合する(例えばビフェニル)、または縮合する(例えばナフチル)。アリール基は、場合により、任意の結合点で、1つまたはそれ以上の置換基、例えば1~5個の置換基で置換される。例示的な置換基として、限定されないが、-H、ハロゲン、-O-C1-C6アルキル、-C1-C6アルキル、-OC2-C6アルケニル、-OC2-C6アルキニル、-C2-C6アルケニル、-C2-C6アルキニル、-OH、-OP(O)(OH)2、-OC(O)C1-C6アルキル
、-C(O)C1-C6アルキル、-OC(O)OC1-C6アルキル、-NH2、-NH(
C1-C6アルキル)、-N(C1-C6アルキル)2、-S(O)2-C1-C6アルキル、-S(O)NHC1-C6アルキル、および-S(O)N(C1-C6アルキル)2が挙げられ
る。置換基は、場合により、それ自身が置換される。
【0123】
別段具体的に定義されない限り、「ヘテロアリール」とは、N、S、PおよびOから選択される1つまたはそれ以上の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子がCである、5~24個の環原子の一価または多価の単環式芳香族ラジカルまたは多環式芳香族ラジカルを意味する。本明細書で定義されるヘテロアリールとはまた、ヘテロ原子がN、S、PおよびOから選択される二環式ヘテロ芳香族基も意味する。芳香族ラジカルは、場合により、本明細書に記載される1つまたはそれ以上の置換基で独立して置換される。例として、限定されないが、フリル、チエニル、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、ピリミジニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラジニル、インドリル、チオフェン-2-イル、キノリル、ベンゾピラニル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ベンゾ[d]イミダゾリル、チエノ[3,2-b]チオフェン、トリアゾリル、トリアジニル、イミダゾ[1,2-b]ピラゾリル、フロ[2,3-c]ピリジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、インダゾリル、1-メチル-1H-インダゾリル、ピロロ[2,3-c]ピリジニル、ピロロ[3,2-c]ピリジニル、ピラゾロ[3,4-c]ピリジニル、チエノ[3,2-c]ピリジニル、チエノ[2,3-c]ピリジニル、チエノ[2,3-b]ピリジニル、ベンゾチアゾリル、インドリル、インドリニル、インドリノニル(indolinonyl)、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾフラン、クロマニル、チオクロマニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンゾチアジン、ジヒドロベンゾオキサニル、キノリニル、イソキノリニル、1,6-ナフチリジニル、ベンゾ[de]イソキノリニル、ピロリド[4,3-b][1,6]ナフチリジニル、チエノ[2,3-b]ピラジニル、キナゾリニル、テトラゾロ[1,5-a]ピリジニル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジニル、イソインドリル、イソインドリン-1-オン、インドリン-2-オン、ピロロ[2,3-b]ピリジニル、ピロロ[3,4-b]ピリジニル、ピロロ[3,2-b]ピリジニル、イミダゾ[5,4-b]ピリジニル、ピロロ[1,2-a]ピリミジニル、テトラヒドロピロロ[1,2-a]ピリミジニル、3,4-ジヒドロ-2H-1λ2-ピロロ[2,1-b
]ピリミジン、ジベンゾ[b,d]チオフェン、ピリジン-2-オン、フロ[3,2-c]ピリジニル、フロ[2,3-c]ピリジニル、1H-ピロリド[3,4-b][1,4]チアジニル、2-メチルベンゾ[d]オキサゾリル、1,2,3,4-テトラヒドロピロロ[1,2-a]ピリミジル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾ[d]イソオキサゾリル、ベンゾ[d]オキサゾリル、フロ[2,3-b]ピリジニル、ベンゾチオフェニル、1,5-ナフチリジニル、フロ[3,2-b]ピリジニル、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジニル、ベンゾ[1,2,3]トリアゾリル、1-メチル-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリミジニル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジニル、キノキサリニル、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル、ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾリル、1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン、3,4-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[1,5-b][1,2]オキサジニル、3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、4,5,6,
7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、チアゾロ[5,4-d]チアゾリル、イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾリル、チエノ[2,3-b]ピロリル、3H-インドリル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、およびそれらの誘導体が挙げられる。
【0124】
「アルキル」とは、直鎖または分枝鎖飽和炭化水素を指す。C1-C6アルキル基は、1~6個の炭素原子を含有する。C1-C6アルキル基の例として、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル、イソペンチル、ならびにネオペンチルが挙げられる。
【0125】
用語「アルケニル」とは、炭素-炭素二重結合を含有し、鎖中に約2~約6個の炭素原子を有する直鎖または分岐であり得る、脂肪族炭化水素基を意味する。特定のアルケニル基は、鎖中に2~約4個の炭素原子を有する。分岐とは、メチル、エチル、またはプロピルのような1つまたはそれ以上の低級アルキル基が直鎖状のアルケニル鎖に結合されることを意味する。例示的なアルケニル基として、エテニル、プロペニル、n-ブテニル、およびi-ブテニルが挙げられる。C2-C6アルケニル基は、2~6個の炭素原子を含有するアルケニル基である。
【0126】
用語「アルキニル」とは、炭素-炭素三重結合を含有し、鎖中に約2~約6個の炭素原子を有する直鎖または分岐であり得る、脂肪族炭化水素基を意味する。特定のアルキニル基は、鎖中に2~約4個の炭素原子を有する。分岐とは、メチル、エチル、またはプロピルのような1つまたはそれ以上の低級アルキル基が直鎖状のアルキニル鎖に結合されることを意味する。例示的なアルキニル基として、エチニル、プロピニル、n-ブチニル、2-ブチニル、3-メチルブチニル、およびn-ペンチニルが挙げられる。C2-C6アルキニル基は、2~6個の炭素原子を含有するアルキニル基である。
【0127】
用語「シクロアルキル」とは、3~18個の炭素原子を含有する単環式または多環式飽和炭素環を意味する。シクロアルキル基の例として、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプタニル、シクロオクタニル、ノルボルニル、ノルボレニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、またはビシクロ[2.2.2]オクテニルが挙げられる。C3-C8シクロアルキルは、3~8個の炭素原子を含有するシクロアルキル基である。シクロアルキル基は、縮合できる(例えばデカリン)、または架橋できる(例えばノルボルナン)。
【0128】
用語「シクロアルケニル」とは、4~18個の炭素原子を含有する単環式非芳香族不飽和炭素環を意味する。シクロアルケニル基の例として、限定されないが、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、およびノルボレニルが挙げられる。C4-C8シクロアルケニルは、4~8個の炭素原子を含有するシクロアルケニル基である。
【0129】
いくつかの実施形態において、用語「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロアルキル」または「複素環」とは、炭素、ならびに、酸素、リン、窒素、および硫黄から選択されるヘテロ原子を含有し、環炭素またはヘテロ原子を共有する非局在化π電子(芳香性)がない、単環式または多環式3~24員環を指す。ヘテロシクリル環として、限定されないが、オキセタニル、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、ピラニル、チオピラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサリニル(dioxalinyl)、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルS-オキシド、チオモルホリニルS-ジオキシド、ピペラジニル、アゼピニル、オキセピニル、ジアゼピニル、トロパニル、およびホモトロパニルが挙げられる。ヘテロシクリルまたはヘテロシクロアルキル環はまた、縮合
できる、または架橋できる、例えば、二環式環であり得る。
【0130】
いくつかの実施形態において、「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロアルキル」または「複素環」は、別段指定されない限り連結される炭素または窒素であり得る、少なくとも1つの原子が窒素、硫黄または酸素から選ばれる3~24個の原子を含有する、飽和、部分的に飽和または不飽和の単環式または二環式環であるが、ここで、-CH2-基は
、場合により、-C(O)-により置き換えられるか、または、環硫黄原子は、場合により、酸化してS-オキシドを形成することがある。「ヘテロシクリル」は、別段指定されない限り連結される炭素または窒素であり得る、少なくとも1つの原子が窒素、硫黄または酸素から選ばれる5または6個の原子を含有する、飽和、部分的に飽和または不飽和の単環式または二環式環であるが、ここで、-CH2-基は、場合により、-C(O)-に
より置き換えられるか、または、環硫黄原子は、場合により、酸化してS-オキシドを形成することがある。用語「ヘテロシクリル」の非限定的な例および好適な値は、チアゾリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2-ピロリドニル、2,5-ジオキソピロリジニル、2-ベンゾオキサゾリノニル、1,1-ジオキソテトラヒドロチエニル、2,4-ジオキソイミダゾリジニル、2-オキソ-1,3,4-(4-トリアゾリニル)、2-オキサゾリジノニル、5,6-ジヒドロウラシリル、1,3-ベンゾジオキソリル、1,2,4-オキサジアゾリル、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、4-チアゾリドニル、モルホリノ、2-オキソテトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾチエニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジル、1-オキソ-1,3-ジヒドロイソインドリル、ピペラジニル、チオモルホリノ、1,1-ジオキソチオモルホリノ、テトラヒドロピラニル、1,3-ジオキソラニル、ホモピペラジニル、チエニル、イソキサゾリル、イミダゾリル、ピロリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、ピラニル、インドリル、ピリミジル、チアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジル、4-ピリドニル、キノリルおよび1-イソキノロニルである。
【0131】
本明細書で使用される場合、用語「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード基を意味する。
【0132】
用語「カルボニル」とは、酸素原子と二重結合される炭素原子を含む官能基を指す。これは、「オキソ」、C(O)、またはC=Oと略することができる。
【0133】
「スピロ環」または「スピロ環状」とは、単一の原子を介して結合する両方の環を有する炭素からなる(carbogenic)二環式環系を意味する。環は、サイズおよび性質で異なるか、または、サイズおよび性質で同一であってもよい。例として、スピロペンタン、スピロヘキサン、スピロヘプタン、スピロオクタン、スピロノナン、またはスピロデカンが挙げられる。スピロ環での環の1つまたは両方は、別の炭素環、複素環、芳香族、またはヘテロ芳香族環と縮合することができる。スピロ環での炭素原子の1つまたはそれ以上は、ヘテロ原子(例えばO、N、SまたはP)で置換することができる。C5-C12スピロ環は、5~12個の炭素原子を含有するスピロ環である。いくつかの実施形態に
おいて、C5-C12スピロ環は、5~12個の炭素原子を含有するスピロ環である。炭素
原子の1つまたはそれ以上は、ヘテロ原子で置換することができる。
【0134】
用語「スピロ環状複素環」、「スピロヘテロシクリル」または「スピロ複素環」は、環の少なくとも1つが複素環である(例えば、環の少なくとも1つがフラニル、モルホリニル、またはピペラジニルである)、スピロ環を意味すると理解される。スピロ環状複素環は、少なくとも1つがN、O、SおよびPから選択されるヘテロ原子である、5~12個の原子を含有することができる。いくつかの実施形態において、スピロ環状複素環は、少なくとも1つがN、O、SおよびPから選択されるヘテロ原子である、5~12個の原子
を含有することができる。
【0135】
用語「互変異性体」とは、同じ数で種類の原子を有するが、結合連結性で異なり、互いに平衡状態にある、1セットの化合物を指す。「互変異性体」は、このセットの化合物の単一のものである。典型的には、単一の互変異性体は引き出されるが、この単一構造が存在し得る全ての可能な互変異性体を表すことを意味することは理解される。例として、エノール-ケトン互変異性が挙げられる。ケトンが引き出される場合、エノールおよびケトン体の両方が本開示の一部であることは理解される。
【0136】
SHP2阻害剤は、単独療法として単独で、または、組合せ療法として1つもしくはそれ以上の他の治療剤(例えばMAPキナーゼ経路の阻害剤もしくは抗がん治療剤)と組み合わせて投与される。SHP2阻害剤は、医薬組成物として投与してもよい。SHP2阻害剤は、1つまたはそれ以上の他の治療剤(例えばMAPキナーゼ経路の阻害剤もしくは抗がん治療剤)の前、後、および/または同時に投与される。1つまたはそれ以上の他の治療剤と同時に投与される場合、このような投与は、(例えば単一組成物として)同時であり得るか、または2つ以上の別々の組成物を介し、場合により同じもしくは異なる投与様式(例えば局所、全身、経口、静脈内など)を介し得る。
【0137】
SHP2阻害剤は、組合せ療法として1つまたはそれ以上のMEK阻害剤と組み合わせて投与される。SHP2阻害剤は、組合せ療法として1つまたはそれ以上のMEK阻害剤と組み合わせて医薬組成物として投与される。SHP2阻害剤は、1つまたはそれ以上のMEK阻害剤の前、後、および/または同時に投与される。1つまたはそれ以上のMEK阻害剤と同時に投与される場合、このような投与は、(例えば単一組成物として)同時であり得るか、または2つ以上の別々の組成物を介し、場合により同じもしくは異なる投与様式(例えば局所、全身、経口、静脈内など)を介し得る。
【0138】
いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、対象に腫瘍の治療のための単独療法として投与される。腫瘍は、RAS経路活性化変異を含有し得る。様々な実施形態において、RAS経路活性化変異は、(例えばGTPをRASに再結合させるために)SHP2に細胞依存性を付与する。
【0139】
特定の実施形態において、SHP2阻害剤は、対象に、NF1
LOF変異を含有する細胞
を含む腫瘍の治療のための単独療法として投与される。NF1は、活性RAS-GTPからのGTPからGTPの加水分解を促進することにより、RAS活性化をモジュレートし、それによりRASを不活性化するGAPタンパク質である。RASは、GDP結合「オフ」とGTP結合「オン」の間を往復する。NF1での機能喪失変異は、RASによりGTP加水分解を減らし、平衡状態を活性化RASに移行することにより、がん性の成長/増殖および場合によっては癌遺伝子依存をもたらす。NF1変異は、頻繁にNSCLCで起こり(例えば、Cancer Genome Atlas Research Network「Comprehensive molecular profiling of lung adenocarcinoma.」Nature 511、533~550頁(2014)では8.3%)、全ての構造的なNF1変異の80%超は、NF1
LOF
である(Philpott、2017年)が、標的の療法は、NF1
LOFサブタイプの腫
瘍の治療に利用できない。本明細書で示される通り、NF1
LOF細胞でのSHP2阻害の
結果、p-ERKシグナリングおよび増殖が用量依存的に抑制された(実施例1、
図6Aおよび6B)。
【0140】
特定の実施形態において、SHP2阻害剤は、対象に、RAS遺伝子での変異を含有する細胞を含む腫瘍の治療のための単独療法として投与される。特定の実施形態において、RAS遺伝子変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスにRAS経路を依存させ
る。RAS経路変異は、KRAS、NRAS、またはHRAS変異であり得る。KRAS変異のような腫瘍性RAS変異は、RAS平衡状態をGTP結合「オン」状態に移行し、RASエフェクターへのシグナリングおよび癌遺伝子依存を駆動する。本明細書で使用される場合、「癌遺伝子依存」とは、その無数の遺伝的変化にもかかわらず、腫瘍細胞が、持続した増殖および/または生存に対して単一の腫瘍性経路またはタンパク質に明らかな依存を呈する現象を指す。KRAS細胞株のパネルの治療では、SHP2阻害に対して感受性を示す成長のバイオマーカーとして特定の変異が同定された(実施例1、表3)。特定の実施形態において、SHP2阻害剤は、対象に、KRASG12C変異を含有する細胞を含む腫瘍の治療のための単独療法として投与される。特定の実施形態において、SHP2阻害剤は、対象に、KRASG12A;KRASG12D、KRASG12S、またはKRASG12V変異を含有する細胞を含む腫瘍の治療のための単独療法として投与される。
【0141】
特定の実施形態において、SHP2阻害剤は、対象に、RAF遺伝子変異を含有する細胞を含む腫瘍の治療のための単独療法として投与される。RAF遺伝子変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスにRAS経路を依存させ得る。特定の実施形態において、変異は、クラスIII BRAF変異である。いくつかの実施形態において、クラスIII BRAF変異は、D287H;P367R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762Eからなる群から選択される。特定の実施形態において、変異は、ARAFまたはCRAF変異である。
【0142】
特定の実施形態において、SHP2阻害剤は、対象に、MEK遺伝子変異を含有する細胞を含む腫瘍の治療のための単独療法として投与される。MEK遺伝子変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスにRAS経路を依存させ得る。特定の実施形態において、MEK遺伝子変異は、クラスI MEK1変異である。いくつかの実施形態において、クラスI MEK1変異は、D67N;P124L;P124S;およびL177Vからなる群から選択される。特定の実施形態において、MEK遺伝子変異は、クラスII MEK1変異である。いくつかの実施形態において、クラスII MEK1変異は、ΔE51-Q58;ΔF53-Q58;E203K;L177M;C121S;F53L;K57E;Q56P;およびK57Nからなる群から選択される。
【0143】
特定の実施形態において、SHP2阻害剤は、対象に、SHP2を通じてシグナリングフラックスに変異したタンパク質を依存させるRAS経路変異を含有する細胞を含む腫瘍の治療のための組合せ療法として、1つまたはそれ以上の他の治療剤(例えばMAPキナーゼ経路の阻害剤)と組み合わせて投与される。変異は、NF1LOF変異;RAS/RA
F変異;KRAS変異;KRASG12A変異;KRASG12C変異;KRASG12D変異;KRASG12S変異;KRASG12V変異から選択されるKRAS変異;クラスIII BRAF変異;D287H;P367R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762Eから選択されるBRAF変異;クラスI MEK1変異;D67N;P124L;P124S;およびL177Vから選択されるMEK1変異;クラスII MEK1変異;ならびに、ΔE51-Q58;ΔF53-Q58;E203K;L177M;C121S;F53L;K57E;Q56P;およびK57Nから選択されるMEK1変異の1つまたはそれ以上を含むことができる。変異は、ARAFまたはCRAF変異の1つまたはそれ以上を含むことができる。組合せ療法は、SHP2阻害剤および当該技術分野で知られている、または本明細書に開示される任意の他の抗がん治療剤の投与を含むことができる。例えば、SHP2阻害剤は、対象に、例えば、限定されないが、タキサン、ビンカアルカロイド、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、またはビンフル
ニンのような有糸分裂阻害剤、他の抗がん剤、例えば、シスプラチン、5-フルオロウラシルもしくは5-フルオロ-2,4-(1H,3H)-ピリミジンジオン(5FU)、フルタミド、ゲムシタビン、例えばペムブロリズマブ(もしくは「Keytruda」、Merck)、ニボルマブ(もしくは「Opdivo」、BMS)、PDR001(NVS)、REGN2810(Sanofi/Regeneron)のようなPD-1抗体、例えばアベルマブ(もしくは「MSB0010718C」もしくは「Bavencio」、PFE&Merck Kga)、デュルバルマブ(もしくは「Imfinzi」もしくは「MEDI-4736」、Medimmune&Celgene)、アテゾリズマブ(もしくは「Tecentriq」もしくは「MPDL-3280A」、Genentech&Roche)、ピディリズマブ(もしくは「CT-001」、Medivation-現在、Pfizer)、JNJ-63723283(JNJ)、BGB-A317(BeiGene&Celgene)のようなPD-L1抗体のようなチェックポイント阻害剤(例えばチェックポイント阻害剤抗体)、または、限定されないが、イピリムマブ、トレメリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、AMP224、AMP514/MEDI0680、BMS936559、MEDl4736、MPDL3280A、MSB0010718C、BMS986016、IMP321、リリルマブ、IPH2101、1-7F9、およびKW-6002を含む、Preusser,M.ら(2015)Nat.Rev.Neurol.(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるチェックポイント阻害剤;RTK阻害剤、EGFR阻害剤、ALK阻害剤、PI3K/AKT経路阻害剤、MAPキナーゼ経路の阻害剤、ならびにMEK阻害剤から選択される抗がん剤を組み合わせて投与される。RTK阻害剤(TKI)は、例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、erbB2、erbB4、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、免疫グロブリン様上皮成長因子相同性ドメインを伴うチロシンキナーゼ(TIE-2)、インスリン成長因子-I(IGFI)受容体、マクロファージコロニー刺激因子(cfms)、BTK、ckit、cmet、線維芽細胞成長因子(FGF)受容体、Trk受容体(TrkA、TrkB、およびTrkC)、エフリン(eph)受容体、肝細胞成長因子受容体(HGFR)、RET癌原遺伝子、ならびにALKから選択される1つまたはそれ以上のRTKを阻害し得る。TKIとして、限定されないが、Cancers(Basel)、2015年9月;7(3):1758~1784頁(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に記載される1つまたはそれ以上のTKIを挙げることができる。TKIとして、限定されないが、EGFR阻害剤またはAlk阻害剤を挙げることができる。TKIとして、限定されないが、トラスツズマブ(Herceptin);セツキシマブ(Erbitux);パニツムマブ(vectibix);ゲフィニチブ(iressa);エルロチニブ(tarceva);ラパチニブ(tykerb);アファチニブ;ソラフェニブ(nexavar);スニチニブ(sutent);ベバシズマブ(avastin);ソラチニブ;パゾパニブ;ニロチニブ;ブリバニブ(BMS-540215);CHIR-258(TKI-258);SGX523;およびイマチニブ(gleevec)を挙げることができる。SHP2阻害剤と組み合わせて本開示にしたがって使用される他のTKIとして、限定されないが、Kath,John C.、Exp.Opin.Ther.Patents(2000)10(6):803~818頁;Shawverら、DDT第2巻、第2号、1997年2月;および、Lofts,F.J.ら、「Growth factor
receptors as targets」、New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy、Workman,PaulおよびKerr,David編、CRC press 1994年、London(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に記載される成長因子受容体阻害剤を挙げることができる。組合せ療法は、当該技術分野で知られている、または本明細書に開示されるPI3K/AKT経路の阻害剤(「PI3K/AKT阻害剤」)と組み合わせてSHP2阻害剤を含むことができる。PI3K/AKT阻害剤として、限定されないが、Cancers(Basel)、2015年9月;7(3):1758~1784頁(その全
体を参照によって本明細書に組み入れる)に記載される1つまたはそれ以上のPI3K/AKT阻害剤を挙げることができる。例えば、PI3K/AKT阻害剤は、NVP-BEZ235;BGT226;XL765/SAR245409;SF1126;GDC-0980;PI-103;PF-04691502;PKI-587;GSK2126458の1つまたはそれ以上から選択される。ALK阻害剤として、限定されないが、セリチニブ、TAE-684(本明細書では「NVP-TAE694」とも称す)、PF02341066(本明細書では「クリゾチニブ」または「1066」とも称す)、アレクチニブ;ブリガチニブ;エヌトレクチニブ;エンサルチニブ(X-396);ロルラチニブ;ASP3026;CEP-37440;4SC-203;TL-398;PLB1003;TSR-011;CT-707;TPX-0005、およびAP26113が挙げられる。ALKキナーゼ阻害剤の追加例は、その全体を参照によって本明細書に組み入れるWO2005016894の実施例3~39に記載されている。SHP2阻害剤は、このような抗がん剤の1つまたはそれ以上の前、後、または同時に投与される。いくつかの実施形態において、このような組合せは、療法における相加または相乗作用を含む、大きな利点をもたらし得る。
【0144】
いくつかの特定の実施形態において、本開示は、疾患または障害、例えばがんを、当該技術分野で知られている、または本明細書に開示されるMAPキナーゼ(MAPK)経路の阻害剤(または「MAPK阻害剤」)と組み合わせた、当該技術分野で知られている、または本明細書に開示されるSHP2阻害剤を含む組合せ療法で治療するための方法を提供する。MAPK阻害剤は、MEK阻害剤であり得る。本明細書に開示される方法で使用するMAPK阻害剤として、限定されないが、Cancers(Basel)、2015年9月;7(3):1758~1784頁(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に記載される1つまたはそれ以上のMAPK阻害剤を挙げることができる。例えば、MAPK阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766(Roche、PLoS One.2014年11月25日;9(11)に記載、その全体を参照によって本明細書に組み入れる);およびGSK1120212(または「JTP-74057」、Clin Cancer Res.2011年3月1日;17(5):989~1000頁に記載、その全体を参照によって本明細書に組み入れる)の1つまたはそれ以上から選択される。SHP2阻害剤は、このようなMAPK阻害剤の1つまたはそれ以上の前、後、または同時に投与される。いくつかの実施形態において、このような組合せは、療法における相加または相乗作用を含む、大きな利点をもたらし得る。
【0145】
いくつかの実施形態において、本開示は、疾患または障害、例えばがんを、当該技術分野で知られている、または本明細書に開示されるRASタンパク質の阻害剤(または「RAS阻害剤」)と組み合わせた、当該技術分野で知られている、または本明細書に開示されるSHP2阻害剤を含む組合せ療法で治療するための方法を提供する。RAS阻害剤は、KRAS、NRAS、またはHRASを阻害し得る。RAS阻害剤は、特異的なKRAS、NRAS、またはHRAS変異を阻害し得る。RAS阻害剤は、KRASG12C特異的阻害剤である。例えば、RAS阻害剤は、ARS-853(Patricelliら、2016年)であり、GDP結合状態でKRASG12Cのシステイン残基に選択的に結合する。
【0146】
本開示はまた、SHP2の阻害の結果、フィードバック駆動の活性化RAS経路シグナリングをもたらさず(
図9)、SHP2阻害の結果、ERKリン酸化は低下する(
図5B
)ので、MEK阻害の場合と同様にしてこのようなフィードバック活性化を誘発することが予想される(
図10)という予想外の発見を示す。さらに、SHP2阻害は、MEK阻害剤で誘発されたRASの活性化を妨害した(
図11)。ゆえに、耐性を誘発し得るMAPK阻害剤と異なり、SHP2阻害剤は、RASの過剰活性化を起こさず、これらが、MEK阻害剤の薬物耐性に寄与する可能性があるMEK阻害剤治療に関してRASの過剰活性化を低減できる。
【0147】
したがって、いくつかの実施形態において、本開示は、RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法であって、SHP2阻害剤と組み合わせて治療剤を投与することを含む、方法を提供する。SHP2阻害剤は、治療剤の前、後、または同時に投与される。特定の実施形態において、治療剤は、MAPK阻害剤(例えばMEK阻害剤)である。MEK阻害剤は、本明細書で示される通り、SHP2阻害剤で妨害されるRASのフィードバック活性化を誘発する。投与は、例えば対象(例として哺乳動物、好ましくはヒト)においてインビボであり得る。ゆえに、RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、SHP2阻害剤、ならびにトラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤を投与することを含むことができる。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、MEK阻害剤、ならびに(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤を投与することを含むことができる。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、化合物B、ならびにトラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤を投与することを含むことができる。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、トラメチニブ、ならびに(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV
-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤を投与することを含むことができる。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを投与することを含むことができる。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Aを投与することを含むことができる。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを投与することを含むことができる。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、トラメチニブ(GSK1120212)および表1から選択される化合物を投与することを含むことができる。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、トラメチニブ(GSK1120212)および表2から選択される化合物を投与することを含むことができる。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、トラメチニブ(GSK1120212)およびSHP099を投与することを含むことができる。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、トラメチニブ(GSK1120212)およびNSC-87877を投与することを含むことができる。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、トラメチニブ(GSK1120212)、ならびに式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155、ならびに;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せを投与することを含むことができる。
【0148】
いくつかの実施形態において、本開示は、耐性がある腫瘍を、RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤に対して再感作させるための方法であって、SHP2阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。特定の実施形態において、治療剤は、MAPK阻害剤(例えば、MEK阻害剤またはERK阻害剤)である。好適なMAPK阻害剤は、当該技術分野で知られ、本明細書に開示され、限定されないが、MEK阻害剤、Cancers(Basel)、2015年9月;7(3):1758~1784頁(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に記載される1つまたはそれ以上のMAPK阻害剤、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY
-424704/ARRY-704);RO5126766(Roche、PLoS One.2014年11月25日;9(11)に記載、その全体を参照によって本明細書に組み入れる);およびGSK1120212(または「JTP-74057」、Clin
Cancer Res.2011年3月1日;17(5):989~1000頁、その全体を参照によって本明細書に組み入れる)の1つまたはそれ以上が挙げられる。
【0149】
いくつかの実施形態において、本開示は、SHP2阻害剤で細胞(例えば、がん細胞)を治療するための方法であって、細胞を治療剤(例えばMAPK阻害剤)での治療によってSHP2に依存させる、方法を提供する。治療剤は、MEK阻害剤およびERK阻害剤から選択されるMAPK阻害剤であり得る。治療剤は、天然RAS経路の負フィードバック機構の軽減を介するRAS経路の過剰活性化を誘発し得、過剰活性化したRAS経路は、SHP2シグナリングに(例えばGTPをRASに再結合させることをプライミングするために)依存する。治療剤(例えばMAPK阻害剤)を組み合わせるSHP2阻害剤の投与は、治療剤によるRAS経路のこのような過剰活性化を防ぐことができる。このような細胞は、(例えばGTPをRASに再結合させるために)SHP2に細胞依存性を付与するRAS経路変異を含んでもいいが、必要ではない。MAPK阻害剤(例えばMEKまたはERK阻害剤)と組み合わせるSHP2阻害剤の治療は、MAPK阻害剤で誘発されたRAS経路のフィードバック活性化を防ぐことができる。
【0150】
本発明はまた、対象が、SHP2阻害に応答する腫瘍を有するかどうかを判断するための方法を提供する。方法は、腫瘍がNF1LOFサブタイプとして分類されるかどうかを判
断すること、および、腫瘍がNF1LOFサブタイプとして分類される場合、対象にSHP
2の阻害剤を投与することを含むことができる。いくつかの実施形態において、判断することは、例えば実験を介して実験的に判断することを含むことができる。腫瘍のサブタイプを判断するためのこのような方法は、当該技術分野で知られ、遺伝子型決定すること、NF1タンパク質レベルを測定すること、(例えばウエスタンブロット法、質量分析方法、サイズ排除クロマトグラフィーのような任意の好適な方法を介して)NF1のサイズを決定すること、または、RAS-GTPの蓄積アッセイのような機能的アッセイにより測定することを含むことができる。
【0151】
一実施形態において、本発明は、がんを有する対象が、SHP2阻害に応答するかどうかを判断するための方法であって、がんがKRASG12Cサブタイプとして分類されるかどうかを判断すること、および、生体サンプルがKRASG12Cサブタイプとして分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。KRASサブタイプを判断するための方法は、当該技術分野で知られ、本開示にしたがう使用に好適であり、限定されないが、例えばDomagalaら、Pol J Pathol 3:145~164頁(2012)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に記載される、直接シーケンシング、次世代シーケンシング、および(CE-IVDマーク付き)高感度診断アッセイの利用を含み、TheraScreen PCR;AmoyDx;PNAClamp;RealQuality;EntroGen;LightMix;StripAssay;Hybcell plexA;Devyser;Surveyor;Cobas;および、TheraScreen Pyroを含む。
【0152】
一実施形態において、本発明は、がんを有する対象が、SHP2阻害に応答するかどうかを判断するための方法であって、がんがKRASG12Dサブタイプとして分類されるかどうかを判断すること、および、生体サンプルがKRASG12Dサブタイプとして分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。
【0153】
一実施形態において、本発明は、がんを有する対象が、SHP2阻害に応答するかどうかを判断するための方法であって、がんがKRASG12Sサブタイプとして分類されるかど
うかを判断すること、および、生体サンプルがKRASG12Sサブタイプとして分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。
【0154】
一実施形態において、本発明は、がんを有する対象が、SHP2阻害に応答するかどうかを判断するための方法であって、がんがKRASG12Vサブタイプとして分類されるかどうかを判断すること、および、生体サンプルがKRASG12Vサブタイプとして分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。
【0155】
一実施形態において、本開示は、SHP2阻害剤を含む治療が、SHP2関連の疾患または障害に罹患する患者に投与するのに最適であるかどうかを判断する方法を提供する。いくつかの態様において、疾患または障害は、がんである。いくつかの態様において、患者がSHP2阻害剤を含む治療を受けなければならないかどうかを判断することは、がんがNF1LOFサブタイプとして分類されるかどうかを判断すること、および、そうであれ
ば患者がSHP2阻害剤治療を受けなければならないことを判断することを含む。いくつかの態様において、患者がSHP2阻害剤を含む治療を受けなければならないかどうかを判断することは、がんがKRASG12Cサブタイプとして分類されるかどうかを判断すること、および、そうであれば患者がSHP2阻害剤治療を受けなければならないことを判断することを含む。いくつかの態様において、患者がSHP2阻害剤を含む治療を受けなければならないかどうかを判断することは、がんがKRASG12Aサブタイプとして分類されるかどうかを判断すること、および、そうであれば患者がSHP2阻害剤治療を受けなければならないことを判断することを含む。いくつかの態様において、患者がSHP2阻害剤を含む治療を受けなければならないかどうかを判断することは、がんがKRASG12Sサブタイプとして分類されるかどうかを判断すること、および、そうであれば患者がSHP2阻害剤治療を受けなければならないことを判断することを含む。いくつかの態様において、患者がSHP2阻害剤を含む治療を受けなければならないかどうかを判断することは、がんがKRASG12Vサブタイプとして分類されるかどうかを判断すること、および、そうであれば患者がSHP2阻害剤治療を受けなければならないことを判断することを含む。したがって、本開示はまた、NF1LOFサブタイプ、KRASG12A、KRASG12Cサブ
タイプ、KRASG12Vサブタイプおよび/またはKRASG12Sサブタイプを含むこのような患者をSHP2阻害剤で治療する方法を提供する。
【0156】
当業者であれば理解するように、様々な実施形態において、本明細書に開示される全ての治療剤、すなわち、特異的なTKI阻害剤、MEK阻害剤、ALK阻害剤、SHP2阻害剤、EGFR阻害剤などは、一般的に、このような阻害剤を必要とする、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つまたはそれ以上で使用される。ゆえに、例えば、一般的に例えば、「SHP2阻害剤」または一般的に「TKI阻害剤」での治療を含む実施形態は、(本文脈が別段必要としない限り)本明細書に開示される、いずれか1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤またはTKI阻害剤、それぞれでの治療を含むことができる。
【0157】
開示される組成物および化合物(例えばSHP2阻害剤および/または他の治療剤)の投与は、治療剤に対する任意の投与様式を介して行うことができる。これらの様式として、経口、経鼻、非経口、経皮、皮下、経膣、バッカル、直腸のような全身または局所性投与、または局所的投与様式が挙げられる。
【0158】
意図される投与様式により、開示された化合物または医薬組成物は、ときに単位投与量で従来の薬務に一致して、例えば注射液、錠剤、坐剤、丸剤、時間放出カプセル剤、エリキシル剤、チンキ剤、乳剤、シロップ剤、散剤、液剤、懸濁剤等のような固体、半固体、または液体剤形とすることができる。同様に、これらはまた、静脈内(ボーラスおよび注入の両方)、腹腔内、皮下、または筋肉内の形態で投与することもでき、これら全ては、医薬分野において当業者に周知の形態を使用する。SHP2阻害剤(単独で、または、例
えば本開示にしたがう別の治療剤と組み合わせて)の送達に好適な医薬組成物、およびこれらを製造するための方法は、当業者には直ちに明らかであろう。このような組成物およびこれらを製造するための方法は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences、第19版(Mack Publishing Company、1995年)に見出され、その全体を本明細書に組み入れる。
【0159】
例示的な医薬組成物は、SHP2阻害剤を単独で含む、または、a)賦形剤、例えば、純水、水素化または部分水素化植物油もしくはその混合物、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、EPAもしくはDHAのような魚油のようなトリグリセリド油、もしくはそのエステルもしくはトリグリセリドもしくはその混合物、オメガ-3脂肪酸もしくはその誘導体、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、ナトリウム、サッカリン、グルコースおよび/もしくはグリシン;b)滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムもしくはカルシウム塩、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよび/もしくはポリエチレングリコール;錠剤に対してはまた;c)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、炭酸マグネシウム、グルコースもしくはベータ-ラクトースのような天然糖、トウモロコシ甘味料、アカシア、トラガカントもしくはアルギン酸ナトリウムのような天然および合成ゴム、ワックスおよび/もしくはポリビニルピロリドン、所望により;d)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、メチルセルロース、ベントナイト、キサンタンガム、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、もしくは発泡性混合物;e)吸収剤、着色剤、風味剤および甘味料;f)Tween80、Labrasol、HPMC、DOSS、caproyl909、labrafac、labrafil、peceol、transcutol、capmul MCM、capmul PG-12、captex355、gelucire、ビタミンE TGPSもしくは他の許容される乳化剤のような、乳化剤もしくは分散化剤;ならびに/または、g)シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-シクロデキストリン、PEG400、PEG200のような、化合物の吸収を向上させる薬剤のような、本開示にしたがう別の治療剤および医薬的に許容される担体と組み合わせる、錠剤およびゼラチンカプセル剤である。
【0160】
液体の、特に注射可能な組成物は、例えば、溶解、分散などにより製造することができる。例えば、SHP2阻害剤(単独で、または、本開示にしたがう別の治療剤と組み合わせて)は、例えば水、塩水、水性デキストロース、グリセリン、エタノールなどのような医薬的に許容される溶媒に溶解するか、または混合し、これにより、注射可能な等張性液剤または懸濁剤を形成する。アルブミンのようなタンパク質、カイロミクロン粒子、または血清タンパク質を使用して、SHP2阻害剤(単独で、または、本開示にしたがう別の治療剤と組み合わせて)を可溶化することができる。
【0161】
SHP2阻害剤はまた、担体としてプロピレングリコールのようなポリアルキレングリコールを使用して、単独で、または、本開示にしたがう別の治療剤と組み合わせて坐剤として製剤化することができ、脂肪乳剤または懸濁剤から製造することができる。
【0162】
SHP2阻害剤はまた、単独か、または本開示にしたがう別の治療剤と組み合わせるかのいずれかで、小型単層小胞体、大型単層小胞体および多層小胞体のようなリポソーム送達系の形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンを含有する各種リン脂質から形成することができる。いくつかの実施形態において、米国特許第5,262,564号(その内容は、参照によって本明細書に組み入れる)に記載される通り、脂質成分の膜は、薬物の水溶液で水和されて、薬物をカプセル化する脂質層が形成される。
【0163】
SHP2阻害剤はまた、開示された化合物が結合する個々の担体としてモノクローナル抗体を使用して送達することもできる。SHP2阻害剤はまた、標的化可能な薬物担体として可溶性ポリマーと結合することもできる。このようなポリマーとして、パルミトイル残基で置換される、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパナミドフェノール(polyhydroxyethylaspanamidephenol)、またはポリエチレンオキシドポリリジンを挙げることができる。さらに、SHP2阻害剤は、薬物の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマーの1種、例えば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーと結合することができる。一実施形態において、開示された化合物は、ポリマー、例えばポリカルボン酸ポリマーまたはポリアクリレートに共有結合していない。
【0164】
非経口注射液投与は、一般的に、皮下、筋肉内、または静脈内の注射および注入で使用される。注射液は、液体液剤もしくは懸濁剤、または注射前の液体に溶解するのに好適な固体形態のいずれかとして、従来の形態で製造することができる。
【0165】
本発明の別の態様は、SHP2阻害剤(単独で、または、例えば本開示にしたがう別の治療剤と組み合わせて)および医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物に関する。医薬的に許容される担体は、さらに添加剤、賦形剤、または界面活性剤を含むことができる。
【0166】
ゆえに、本開示は、本明細書に開示される方法、例えばSHP2単独療法で使用するための、1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を含む、組成物(例えば医薬組成物)を提供する。このような組成物は、SHP2阻害剤、ならびに、例えば1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含むことができる。
【0167】
本開示は、本明細書に開示される方法、例えばSHP2組合せ療法で使用するための、1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤、および1つまたはそれ以上の追加の治療剤を含む、組成物(例えば医薬組成物)を提供する。このような組成物は、SHP2阻害剤、追加の治療剤(例えばTKI、MAPK経路阻害剤、EGFR阻害剤、ALK阻害剤、MEK阻害剤)、ならびに、例えば1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含むことができる。
【0168】
本開示は、本明細書に開示される方法、例えばSHP2組合せ療法で使用するための、1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤、および1つまたはそれ以上のMEK阻害剤を含む、組成物(例えば医薬組成物)を提供する。このような組成物は、SHP2阻害剤、MEK阻害剤、ならびに、例えば1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含むことができる。このような組成物は、SHP2阻害剤、MEK阻害剤、ならびに、例えば1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤から本質的になることができる。このような組成物は、SHP2阻害剤、MEK阻害剤、ならびに、例えば1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤からなることができる。例えば、本開示の組成物の1つの非限定的な例は、(a)SHP2阻害剤;(b)トラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1
つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤;ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)MEK阻害剤;(b)(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤;ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。
【0169】
本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)化合物B、(b)トラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤、ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)トラメチニブ;(b)(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤;ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。
【0170】
本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)化合物B;(b)トラメチニブ(GSK1120212);ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。
【0171】
本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)化合物A;(b)トラメチニブ(GSK1120212);ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。
【0172】
本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)化合物C;(b)トラメチニブ(GSK1120212);ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。
【0173】
本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)表1の化合物から選択される化合物;(b)トラメチニブ(GSK1120212);ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。
【0174】
本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)表2の化合物から選択される化合物;(b)トラメチニブ(GSK1120212);ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。
【0175】
本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)SHP099;(b)トラメチニブ(GSK1120212);ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。
【0176】
本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)トラメチニブ(GSK1120212);(b)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。
【0177】
組成物は、従来の混合、造粒またはコーティングの方法にしたがってそれぞれ製造し、本医薬組成物は、重量または体積で約0.1%~約99%、約5%~約90%、または約1%~約20%の開示された化合物を含有することができる。
【0178】
開示された化合物を利用する投与レジメンは、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および病状;治療する状態の重症度;投与経路;患者の腎機能および肝機能を含む、各種因子;ならびに、利用される特定の開示された化合物に応じて選択される。当該技術分野の医師または獣医師は、状態の進行を予防、対抗、または停止するために必要な薬物の有効量を容易に決定し、処方することができる。
【0179】
SHP2阻害剤の有効な投与量は、示された効果のために使用される場合、状態を治療するために必要に応じて約0.5mg~約5000mgの範囲である。インビボまたはインビトロでの使用のための組成物は、約0.5、5、20、50、75、100、150、250、500、750、1000、1250、2500、3500、もしくは5000mgの開示される化合物、または、列挙された用量の1つの量と別の量との範囲で含有することができる。一実施形態において、組成物は、刻み目を入れた錠剤の形態である。
【0180】
ALK阻害剤の有効な投与量は、示された効果のために使用される場合、状態を治療するために必要に応じて約0.5mg~約5000mgの範囲である。インビボまたはインビトロでの使用のための組成物は、約0.5、5、20、50、75、100、150、250、500、750、1000、1250、2500、3500、もしくは5000mgの開示される化合物、または、列挙された用量の1つの量と別の量との範囲で含有することができる。一実施形態において、組成物は、刻み目を入れた錠剤の形態である。
【0181】
EGFR阻害剤の有効な投与量は、示された効果のために使用される場合、状態を治療するために必要に応じて約0.5mg~約5000mgの範囲である。インビボまたはインビトロでの使用のための組成物は、約0.5、5、20、50、75、100、150
、250、500、750、1000、1250、2500、3500、もしくは5000mgの開示される化合物、または、列挙された用量の1つの量と別の量との範囲で含有することができる。一実施形態において、組成物は、刻み目を入れた錠剤の形態である。
【0182】
MEK阻害剤の有効な投与量は、示された効果のために使用される場合、状態を治療するために必要に応じて約0.05mg~約5000mgの範囲である。インビボまたはインビトロでの使用のための組成物は、約0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、5、20、50、75、100、150、250、500、750、1000、1250、2500、3500、もしくは5000mgの開示される化合物、または、列挙された用量の1つの量と別の量との範囲で含有することができる。一実施形態において、組成物は、刻み目を入れた錠剤の形態である。
【0183】
本発明はまた、SHP2阻害剤、1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤で疾患または障害を治療するためのキット、ならびに、対象からのサンプル(例えば腫瘍サンプル)がSHP2治療に対して感受性を示す可能性があるかどうかを判断するための手段を提供する。いくつかの実施形態において、判断するための手段は、サンプルが、NF1LOF変異、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12S
変異、および/またはKRASG12V変異を含むかどうかを判断するための手段を含む。このような手段は、限定されないが、例えばDomagalaら、Pol J Pathol 3:145~164頁(2012)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に記載される、直接シーケンシング、および(CE-IVDマーク付き)高感度診断アッセイの利用を含み、TheraScreen PCR;AmoyDx;PNAClamp;RealQuality;EntroGen;LightMix;StripAssay;Hybcell plexA;Devyser;Surveyor;Cobas;および、TheraScreen Pyroを含む。
【0184】
本明細書中で言及するか、または出願データシートに列挙された、米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、PCT特許出願、PCT特許出願公開、外国の特許、外国の特許出願、および非特許の刊行物の全ては、その全体を参照によって本明細書に組み入れる。以上のことから、本発明の具体的な実施形態は、例示を目的として本明細書で記載されているが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な改変が行われることが理解されよう。
【0185】
例示的な実施形態
本開示のいくつかの実施形態は、以下の実施形態Iである:
【0186】
実施形態I-1。KRASG12Cバリアントをコードする変異を含有する細胞を含む疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、方法。
【0187】
実施形態I-1a。KRASG12Cバリアントをコードする変異を含有する細胞を含む疾患または障害を治療する方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0188】
実施形態I-1b。KRASG12Cバリアントをコードする変異を含有する細胞を含む疾患または障害を治療するための薬剤を製造するためのSHP2の阻害剤の使用。
【0189】
実施形態I-2。NF1機能喪失(NF1LOF)バリアントをコードする変異を伴う細
胞を含む疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、方法。
【0190】
実施形態I-2a。NF1機能喪失(NF1LOF)バリアントをコードする変異を伴う
細胞を含む疾患または障害を治療する方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0191】
実施形態I-2b。NF1機能喪失(NF1LOF)バリアントをコードする変異を伴う
細胞を含む疾患または障害を治療するための薬剤を製造するためのSHP2の阻害剤の使用。
【0192】
実施形態I-3。SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる対象の細胞におけるRAS経路変異に関連する疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、方法。
【0193】
実施形態I-3a。SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる細胞におけるRAS経路変異に関連する疾患または障害を治療する方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0194】
実施形態I-3b。SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる細胞におけるRAS経路変異に関連する疾患または障害を治療するための薬剤を製造するためのSHP2の阻害剤の使用。
【0195】
実施形態I-4。RAS経路変異は、KRAS変異、NRAS変異、SOS変異、BRAFクラスIII変異、クラスI MEK1変異、クラスII MEK1変異、およびNF1変異から選択されるRAS変異である、実施形態I-3に記載の方法。
【0196】
実施形態I-5。KRAS変異は、KRASG12A変異、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12F変異、KRASG12I変異、KRASG12L変異、KRASG12R変異、KRASG12S変異、KRASG12V変異、およびKRASG12Y変異から選択される、実施形態I-4に記載の方法。
【0197】
実施形態I-6。KRAS変異は、KRASG12Cである、実施形態I-4に記載の方法。
【0198】
実施形態I-7。KRAS変異は、KRASG12Aである、実施形態I-4に記載の方法。
【0199】
実施形態I-8。BRAFクラスIII変異は、ヒトBRAFにおける以下のアミノ酸置換:D287H;P367R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762Eの1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-4に記載の方法。
【0200】
実施形態I-9。NF1変異は、機能喪失変異である、実施形態I-4に記載の方法。
【0201】
実施形態I-10。クラスI MEK1変異は、ヒトMEK1における以下のアミノ酸置換:D67N;P124L;P124S;およびL177Vの1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-4に記載の方法。
【0202】
実施形態I-11。クラスII MEK1変異は、ヒトMEK1における以下のアミノ酸置換:ΔE51-Q58;ΔF53-Q58;E203K;L177M;C121S;F53L;K57E;Q56P;およびK57Nの1つまたはそれ以上から選択される、
実施形態I-4に記載の方法。
【0203】
実施形態I-12。対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む、実施形態I-1~I-11のいずれか1項に記載の方法。
【0204】
実施形態I-13。RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である、実施形態I-12に記載の方法。
【0205】
実施形態I-14。RAS経路の阻害剤は、MEK阻害剤またはERK阻害剤である、実施形態I-13に記載の方法。
【0206】
実施形態I-15。Ras経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853;LY3214996;BVD523;GSK1120212;ウリキセルチニブ、およびアベマシクリブの1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-12に記載の方法。
【0207】
実施形態I-16。疾患または状態は、腫瘍である、実施形態I-1~I-15のいずれか1項に記載の方法。
【0208】
実施形態I-17。腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される、実施形態I-16に記載の方法。
【0209】
実施形態I-18。NF1機能喪失変異に関連する疾患を有する対象を治療する方法であって、対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、方法。
【0210】
実施形態I-18a。NF1機能喪失変異に関連する疾患を治療する方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0211】
実施形態I-18b。NF1機能喪失変異に関連する疾患を治療するための薬剤を製造するためのSHP2の阻害剤の使用。
【0212】
実施形態I-19。疾患は、NF1機能喪失変異を伴う細胞を含む腫瘍である、実施形態I-18に記載の方法。
【0213】
実施形態I-20。腫瘍は、NSCLCまたは黒色腫腫瘍である、実施形態I-19に記載の方法。
【0214】
実施形態I-21。疾患は、神経線維腫症I型、神経線維腫症II型、神経鞘腫症、およびWatson症候群から選択される、実施形態I-18の方法。
【0215】
実施形態I-22。対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む、実施形態I-18~I-21のいずれか1項に記載の方法。
【0216】
実施形態I-23。RAS経路阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ
、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853;LY3214996;BVD523;GSK1120212;ウリキセルチニブ、およびアベマシクリブの1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-22に記載の方法。
【0217】
実施形態I-24。腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがKRAS変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)生体サンプルがKRASG12C変異体、KRASG12D変異体、KRASG12S変異体、またはKRASG12V変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、方法。
【0218】
実施形態I-24a。腫瘍を有する対象を治療する方法で使用するSHP2の阻害剤であって、腫瘍は、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12S変異、またはKRASG12V変異を含む、阻害剤。
【0219】
実施形態I-24b。治療のために腫瘍を有する対象を選択する方法であって、
対象から得られる生体サンプルがKRAS変異体として分類されるかどうかをインビトロで判断することを含み、
生体サンプルがKRASG12C変異体、KRASG12D変異体、KRASG12S変異体、またはKRASG12V変異体として分類される場合、対象は治療のために選択される、
方法。
【0220】
実施形態I-24c。腫瘍を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがKRAS変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)生体サンプルがKRASG12C変異体、KRASG12D変異体、KRASG12S変異体、またはKRASG12V変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0221】
実施形態I-25。腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがNF1LOF変異体として分類されるかどうか
を判断すること、および
(b)生体サンプルがNF1LOF変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻
害剤を投与すること
を含む、方法。
【0222】
実施形態I-25a。腫瘍を有する対象を治療する方法で使用するSHP2の阻害剤であって、腫瘍は、NF1LOF変異を含む、阻害剤。
【0223】
実施形態I-25b。治療のために腫瘍を有する対象を選択する方法であって、
対象から得られる生体サンプルがNF1LOF変異体として分類されるかどうかをイン
ビトロで判断することを含み、
生体サンプルがNF1LOF変異体として分類される場合、対象は治療のために選択さ
れる、
方法。
【0224】
実施形態I-25c。腫瘍を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがNF1LOF変異体として分類されるかどうか
を判断すること、および
(b)生体サンプルがNF1LOF変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻
害剤を投与すること
を含む、方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0225】
実施形態I-26。腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがクラス3 BRAF変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)生体サンプルがクラス3 BRAF変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、方法。
【0226】
実施形態I-26a。腫瘍を有する対象を治療する方法で使用するSHP2の阻害剤であって、腫瘍は、クラス3 BRAF変異を含む、阻害剤。
【0227】
実施形態I-26b。治療のために腫瘍を有する対象を選択する方法であって、
対象から得られる生体サンプルがクラス3 BRAF変異体として分類されるかどうかをインビトロで判断することを含み、
生体サンプルがクラス3 BRAF変異体として分類される場合、対象は治療のために選択される、
方法。
【0228】
実施形態I-26c。腫瘍を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがクラス3 BRAF変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)生体サンプルがクラス3 BRAF変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0229】
実施形態I-27。腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがクラスI MEK1変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)生体サンプルがクラスI MEK1変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、方法。
【0230】
実施形態I-27a。腫瘍を有する対象を治療する方法で使用するSHP2の阻害剤であって、腫瘍は、クラスI MEK1変異を含む、阻害剤。
【0231】
実施形態I-27b。治療のために腫瘍を有する対象を選択する方法であって、
対象から得られる生体サンプルがクラスI MEK1変異体として分類されるかどうかをインビトロで判断することを含み、
生体サンプルがクラスI MEK1変異体として分類される場合、対象は治療のために選択される、
方法。
【0232】
実施形態I-27c。腫瘍を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがクラスI MEK1変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)生体サンプルがクラスI MEK1変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0233】
実施形態I-28。腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがクラスII MEK1変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)生体サンプルがクラスII MEK1変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、方法。
【0234】
実施形態I-28a。腫瘍を有する対象を治療する方法で使用するSHP2の阻害剤であって、腫瘍は、クラスII MEK1変異を含む、阻害剤。
【0235】
実施形態I-28b。治療のために腫瘍を有する対象を選択する方法であって、
対象から得られる生体サンプルがクラスII MEK1変異体として分類されるかどうかをインビトロで判断することを含み、
生体サンプルがクラスII MEK1変異体として分類される場合、対象は治療のために選択される、
方法。
【0236】
実施形態I-28c。腫瘍を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがクラスII MEK1変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)生体サンプルがクラスII MEK1変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0237】
実施形態I-29。RAS経路阻害剤の投与を受けている対象において薬物耐性を治療または予防するための方法であって、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法。
【0238】
実施形態I-29a。RAS経路阻害剤の投与を受けている対象において薬物耐性を治療または予防するための方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0239】
実施形態I-29b。RAS経路阻害剤の投与を受けている対象において薬物耐性を治療または予防するための薬剤を製造するためのSHP2の阻害剤の使用。
【0240】
実施形態I-30。対象は、NF1LOF変異を伴う細胞を含有する腫瘍を含む、実施形
態I-29に記載の方法。
【0241】
実施形態I-31。対象は、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12A変異、KRASG12S変異、またはKRASG12V変異を含有する腫瘍を含む、実施形態I-29またはI-30に記載の方法。
【0242】
実施形態I-32。RAS経路阻害剤は、MEK阻害剤である、実施形態I-29~I
-31のいずれか1項に記載の方法。
【0243】
実施形態I-33。MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)、セルメチニブ(AZD6244)、コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901、レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766)、RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704)、CH5126766、MAP855、およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-32に記載の方法。
【0244】
実施形態I-34。RAS経路阻害剤は、ERK阻害剤である、実施形態I-29~I-31のいずれか1項に記載の方法。
【0245】
実施形態I-35。ERK阻害剤は、当該技術分野で知られている任意のERK阻害剤;LY3214996;ウリキセルチニブ;およびBVD523から選択される、実施形態I-34に記載の方法。
【0246】
実施形態I-36。SHP2の阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される、実施形態I-1~I-35のいずれか1項に記載の方法。
【0247】
実施形態I-37。RAS経路阻害剤およびSHP2の阻害剤を含む、組合せ療法。
【0248】
実施形態I-38。RAS経路阻害剤は、MEK阻害剤である、実施形態I-37に記載の組合せ療法。
【0249】
実施形態I-39。MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)、セルメチニブ(AZD6244)、コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655)、CI-1040;PD-0325901、レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766)、RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704)、CH5126766、MAP855、およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-38に記載の組合せ療法。
【0250】
実施形態I-40。RAS経路阻害剤は、KRASG12C特異的阻害剤ARS-853である、実施形態I-37に記載の組合せ療法。
【0251】
実施形態I-41。SHP2の阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出
願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される、実施形態I-37~I-40のいずれか1項に記載の組合せ療法。
【0252】
実施形態I-42。腫瘍の治療で使用する、実施形態I-37~I-41のいずれか1項に記載の組合せ療法。
【0253】
実施形態I-43。腫瘍は、造血系およびリンパ系の腫瘍;骨髄増殖性症候群;骨髄異形成症候群;白血病;急性骨髄性白血病;若年性骨髄単球性白血病;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃(gastric)がん;神経芽腫;膀胱がん;前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌;子宮癌;腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌;傍神経節腫;褐色細胞腫;膵がん;副腎皮質癌;胃腺癌;肉腫;横紋筋肉腫;リンパ腫;頭頚部がん;皮膚がん;腹膜がん;腸がん(小腸および大腸);甲状腺がん;子宮内膜がん;胆道のがん;軟部組織がん;卵巣がん;中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫);胃(stomach)がん;下垂体がん;生殖管がん;尿路がん;唾液腺がん;子宮頚部がん;肝がん;眼のがん;副腎のがん;自律神経節のがん;上気道消化管のがん;骨がん;精巣がん;胸膜がん;腎がん;陰茎がん;副甲状腺がん;髄膜のがん;外陰部がんおよび黒色腫から選択される、実施形態I-42に記載の組合せ療法。
【0254】
実施形態I-44。RAS経路阻害剤、SHP2阻害剤、ならびに1つまたはそれ以上の医薬的に許容される担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、医薬組成物。
【0255】
実施形態I-45。SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される、実施形態I-44に記載の医薬組成物。
【0256】
実施形態I-46。RAS経路阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)、セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);GSK1120212、ウリキセルチニブ;およびアベマシクリブの1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-44またはI-45に記載の医薬組成物。
【0257】
実施形態I-47。腫瘍の治療で使用する、実施形態I-44~I-46のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【0258】
実施形態I-48。腫瘍は、造血系およびリンパ系の腫瘍;骨髄増殖性症候群;骨髄異形成症候群;白血病;急性骨髄性白血病;若年性骨髄単球性白血病;食道がん;乳がん;
肺がん;結腸がん;胃(gastric)がん;神経芽腫;膀胱がん;前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌;子宮癌;腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌;傍神経節腫;褐色細胞腫;膵がん;副腎皮質癌;胃腺癌;肉腫;横紋筋肉腫;リンパ腫;頭頚部がん;皮膚がん;腹膜がん;腸がん(小腸および大腸);甲状腺がん;子宮内膜がん;胆道のがん;軟部組織がん;卵巣がん;中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫);胃(stomach)がん;下垂体がん;生殖管がん;尿路がん;唾液腺がん;子宮頚部がん;肝がん;眼のがん;副腎のがん;自律神経節のがん;上気道消化管のがん;骨がん;精巣がん;胸膜がん;腎がん;陰茎がん;副甲状腺がん;髄膜のがん;外陰部がんおよび黒色腫から選択される、実施形態I-47に記載の医薬組成物。
【0259】
実施形態I-49。腫瘍は、造血系およびリンパ系の腫瘍;骨髄増殖性症候群;骨髄異形成症候群;白血病;急性骨髄性白血病;若年性骨髄単球性白血病;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃(gastric)がん;神経芽腫;膀胱がん;前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌;子宮癌;腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌;傍神経節腫;褐色細胞腫;膵がん;副腎皮質癌;胃腺癌;肉腫;横紋筋肉腫;リンパ腫;頭頚部がん;皮膚がん;腹膜がん;腸がん(小腸および大腸);甲状腺がん;子宮内膜がん;胆道のがん;軟部組織がん;卵巣がん;中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫);胃(stomach)がん;下垂体がん;生殖管がん;尿路がん;唾液腺がん;子宮頚部がん;肝がん;眼のがん;副腎のがん;自律神経節のがん;上気道消化管のがん;骨がん;精巣がん;胸膜がん;腎がん;陰茎がん;副甲状腺がん;髄膜のがん;外陰部がんおよび黒色腫から選択される、実施形態I-16、I-18、I-19、I-24~I-28、およびI-30~I-36のいずれか1項に記載の方法。
【0260】
実施形態I-50。RAS経路変異を含有する細胞の成長または増殖を阻害する方法であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させ、該方法が細胞をSHP2の阻害剤と接触させることを含む、方法。
【0261】
実施形態I-50a。RAS経路変異を含有する細胞の成長または増殖を阻害する方法で使用するSHP2の阻害剤であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる、阻害剤。
【0262】
実施形態I-50b。RAS経路変異を含有する細胞の成長または増殖を阻害するための薬剤を製造するためのSHP2の阻害剤の使用であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる、使用。
【0263】
実施形態I-51。RAS経路変異を含有する細胞においてRAS-GTPの蓄積を阻害する方法であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させ、該方法が細胞をSHP2の阻害剤と接触させることを含む、方法。
【0264】
実施形態I-51a。RAS経路変異を含有する細胞においてRAS-GTPの蓄積を阻害する方法で使用するSHP2の阻害剤であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる、阻害剤。
【0265】
実施形態I-51b。RAS経路変異を含有する細胞においてRAS-GTPの蓄積を阻害するための薬剤を製造するためのSHP2の阻害剤の使用であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる、使用。
【0266】
実施形態I-52。RAS経路変異を含有する細胞を殺す方法であって、RAS経路変
異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させ、該方法が細胞をSHP2の阻害剤と接触させることを含む、方法。
【0267】
実施形態I-52a。RAS経路変異を含有する細胞を殺す方法で使用するSHP2の阻害剤であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる、阻害剤。
【0268】
実施形態I-52b。RAS経路変異を含有する細胞を殺すための薬剤を製造するためのSHP2の阻害剤の使用であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる、使用。
【0269】
実施形態I-53。SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される、実施形態I-50~I-52のいずれか1項に記載の方法。
【0270】
実施形態I-54。RAS経路変異は、KRAS変異、NRAS変異、HRAS変異、SOS変異、クラスIII BRAF変異、およびNF1機能喪失変異から選択される、実施形態I-50~I-53のいずれか1項に記載の方法。
【0271】
実施形態I-55。KRAS変異は、KRASG12A変異、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12F変異、KRASG12I変異、KRASG12L変異、KRASG12R変異、KRASG12S変異、KRASG12V変異、およびKRASG12Y変異から選択される、実施形態I-54に記載の方法。
【0272】
実施形態I-56。KRAS変異は、KRASG12Cである、実施形態I-54に記載の方法。
【0273】
実施形態I-57。KRAS変異は、KRASG12Aである、実施形態I-54に記載の方法。
【0274】
実施形態I-58。クラス3 BRAF変異は、ヒトBRAFにおける以下のアミノ酸置換:D287H;P367R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762Eの1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-54に記載の方法。
【0275】
実施形態I-59。細胞をRAS経路の阻害剤と接触させることをさらに含む、実施形態I-50~I-58のいずれか1項に記載の方法。
【0276】
実施形態I-60。RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である、実施形態I-59に記載の方法。
【0277】
実施形態I-61。RAS経路の阻害剤は、MEK阻害剤またはERK阻害剤である、
実施形態I-60に記載の方法。
【0278】
実施形態I-62。Ras経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853;LY3214996;BVD523;GSK1120212;ウリキセルチニブ、およびアベマシクリブの1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-61に記載の方法。
【0279】
実施形態I-63。細胞をSOS阻害剤と接触させることをさらに含む、実施形態I-1~I-36、I-49~I-62のいずれか1項に記載の方法。
【0280】
実施形態I-64。SOS阻害剤は、通常より高いSOSレベルまたはSOS活性を含む細胞に投与される、実施形態I-63に記載の方法。
【0281】
実施形態I-65。腫瘍は、NSCLC腫瘍由来である、実施形態I-16に記載の方法。
【0282】
実施形態I-66。腫瘍は、結腸がん腫瘍である、実施形態I-16に記載の方法。
【0283】
実施形態I-67。腫瘍は、食道がん腫瘍である、実施形態I-16に記載の方法。
【0284】
実施形態I-68。腫瘍は、直腸がん腫瘍である、実施形態I-16に記載の方法。
【0285】
実施形態I-69。腫瘍は、JMML腫瘍である、実施形態I-16に記載の方法。
【0286】
実施形態I-70。腫瘍は、乳がん腫瘍である、実施形態I-16に記載の方法。
【0287】
実施形態I-71。腫瘍は、黒色腫腫瘍である、実施形態I-16に記載の方法。
【0288】
実施形態I-72。腫瘍は、シュワン細胞腫腫瘍である、実施形態I-16に記載の方法。
【0289】
実施形態I-73。腫瘍は、膵がん腫瘍である、実施形態I-16に記載の方法。
【0290】
実施形態I-74。SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される、実施形態I-1~I-36、I-49~I-73のいずれか1項に記載の方法。
【0291】
実施形態I-75。腫瘍細胞の成長を阻害する方法であって、腫瘍細胞をMEK阻害剤
およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含む、方法。
【0292】
実施形態I-75a。腫瘍細胞の成長を阻害する方法で使用するMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法。
【0293】
実施形態I-75b。腫瘍細胞の成長を阻害するための薬剤を製造するためのMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法の使用。
【0294】
実施形態I-76。MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)、セルメチニブ(AZD6244)、コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655)、CI-1040;PD-0325901、CH5126766、MAP855、レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766)、RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704)、およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-75に記載の方法。
【0295】
実施形態I-77。SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される、実施形態I-75またはI-76に記載の方法。
【0296】
実施形態I-78。MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)である、実施形態I-75~I-77のいずれか1項に記載の方法。
【0297】
実施形態I-79。SHP2阻害剤は、化合物Bである、実施形態I-75~I-78のいずれか1項に記載の方法。
【0298】
実施形態I-80。MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)であり、SHP2阻害剤は、化合物Bである、実施形態I-75に記載の方法。
【0299】
実施形態I-81。腫瘍細胞は、造血系およびリンパ系の腫瘍;骨髄増殖性症候群;骨髄異形成症候群;白血病;急性骨髄性白血病;若年性骨髄単球性白血病;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃(gastric)がん;神経芽腫;膀胱がん;前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌;子宮癌;腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌;傍神経節腫;褐色細胞腫;膵がん;副腎皮質癌;胃腺癌;肉腫;横紋筋肉腫;リンパ腫;頭頚部がん;皮膚がん;腹膜がん;腸がん(小腸および大腸);甲状腺がん;子宮内膜がん;胆道のがん;軟部組織がん;卵巣がん;中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫);胃(stomach)がん;下垂体がん;生殖管がん;尿路がん;唾液腺がん;子宮頚部がん;肝がん;眼のがん;副腎のがん;自律神経節のがん;上気道消化管のがん;骨がん;精巣がん;胸膜がん;腎がん;陰茎がん;副甲状腺がん;髄膜のがん;外陰部がんおよび黒色腫から選択される腫瘍由来の細胞である、実施形態I-75~I-80のいずれか1項に記載の方法。
【0300】
実施形態I-82。腫瘍は、NSCLC腫瘍由来である、実施形態I-75~I-80
のいずれか1項に記載の方法。
【0301】
実施形態I-83。接触は、対象においてインビボで行われる、実施形態I-75~I-82のいずれか1項に記載の方法。
【0302】
実施形態I-84。対象は、ヒトである、実施形態I-83に記載の方法。
【0303】
実施形態I-85。腫瘍細胞とMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法との接触の結果、腫瘍細胞を各MEKおよびSHP2阻害剤と別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する、実施形態I-75~I-84のいずれか1項に記載の方法。
【0304】
実施形態I-86。MEK阻害剤およびSHP2阻害剤は、同時に腫瘍細胞と接触させない、実施形態I-75~I-85のいずれか1項に記載の方法。
【0305】
実施形態I-87。MEK阻害剤およびSHP2阻害剤は、同時に腫瘍細胞と接触させる、実施形態I-75~I-85のいずれか1項に記載の方法。
【0306】
実施形態I-88。接触は、MEK阻害剤およびSHP2阻害剤の対象への投与を介する、実施形態I-85~I-87のいずれか1項に記載の方法。
【0307】
実施形態I-89。MEK阻害剤の投与は、SHP2阻害剤の投与に先行する、実施形態I-88に記載の方法。
【0308】
実施形態I-90。SHP2阻害剤の投与は、MEK阻害剤の投与に先行する、実施形態I-88に記載の方法。
【0309】
実施形態I-91。SHP2阻害剤の投与およびMEK阻害剤の投与は、同時に行われる、実施形態I-88に記載の方法。
【0310】
実施形態I-92。SHP2阻害剤およびMEK阻害剤は、単一の医薬組成物として投与される、実施形態I-91に記載の方法。
【0311】
実施形態I-93。SHP2阻害剤およびMEK阻害剤は、別々の医薬組成物として投与される、実施形態I-91に記載の方法。
【0312】
実施形態I-94。腫瘍細胞の成長は、腫瘍を部分的または完全に退化させる程度に阻害される、実施形態I-75~I-93のいずれか1項に記載の方法。
【0313】
実施形態I-95。腫瘍細胞の成長を阻害する方法であって、腫瘍細胞をトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法と接触させることを含む、方法。
【0314】
実施形態I-95a。腫瘍細胞の成長を阻害する方法で使用するトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法。
【0315】
実施形態I-95b。腫瘍細胞の成長を阻害するための薬剤を製造するためのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法の使用。
【0316】
実施形態I-96。腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来である、実施形態I-95に記載
の方法。
【0317】
実施形態I-97。接触は、対象においてインビボで行われる、実施形態I-95またはI-96に記載の方法。
【0318】
実施形態I-98。対象は、ヒトである、実施形態I-97に記載の方法。
【0319】
実施形態I-99。腫瘍細胞とトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法との接触の結果、腫瘍細胞をそれぞれのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bと別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する、実施形態I-95~I-98のいずれか1項に記載の方法。
【0320】
実施形態I-100。腫瘍細胞の成長は、腫瘍を部分的または完全に退化させる程度に阻害される、実施形態I-95~I-99のいずれか1項に記載の方法。
【0321】
実施形態I-101。腫瘍を有する対象を治療する方法であって、対象における腫瘍での腫瘍細胞をMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含む、方法。
【0322】
実施形態I-101a。腫瘍を有する対象を治療する方法で使用するMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法。
【0323】
実施形態I-101b。腫瘍を有する対象を治療するための薬剤を製造するためのMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法の使用。
【0324】
実施形態I-102。MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655)、CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-101に記載の方法。
【0325】
実施形態I-103。SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される、実施形態I-101またはI-102に記載の方法。
【0326】
実施形態I-104。MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)である、実施形態I-101に記載の方法。
【0327】
実施形態I-105。SHP2阻害剤は、化合物Bである、実施形態I-101~I-104のいずれか1項に記載の方法。
【0328】
実施形態I-106。MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)であり、SHP2阻害剤は、化合物Bである、実施形態I-101に記載の方法。
【0329】
実施形態I-107。腫瘍細胞は、造血系およびリンパ系の腫瘍;骨髄増殖性症候群;骨髄異形成症候群;白血病;急性骨髄性白血病;若年性骨髄単球性白血病;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃(gastric)がん;神経芽腫;膀胱がん;前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌;子宮癌;腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌;傍神経節腫;褐色細胞腫;膵がん;副腎皮質癌;胃腺癌;肉腫;横紋筋肉腫;リンパ腫;頭頚部がん;皮膚がん;腹膜がん;腸がん(小腸および大腸);甲状腺がん;子宮内膜がん;胆道のがん;軟部組織がん;卵巣がん;中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫);胃(stomach)がん;下垂体がん;生殖管がん;尿路がん;唾液腺がん;子宮頚部がん;肝がん;眼のがん;副腎のがん;自律神経節のがん;上気道消化管のがん;骨がん;精巣がん;胸膜がん;腎がん;陰茎がん;副甲状腺がん;髄膜のがん;外陰部がんおよび黒色腫から選択される腫瘍由来の細胞である、実施形態I-101~I-106のいずれか1項に記載の方法。
【0330】
実施形態I-108。腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来である、実施形態I-101~I-107のいずれか1項に記載の方法。
【0331】
実施形態I-109。接触は、対象においてインビボで行われる、実施形態I-101~I-108のいずれか1項に記載の方法。
【0332】
実施形態I-110。対象は、ヒトである、実施形態I-109に記載の方法。
【0333】
実施形態I-111。腫瘍細胞とMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法との接触の結果、腫瘍細胞を各MEKおよびSHP2阻害剤と別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する、実施形態I-101~I-110のいずれか1項に記載の方法。
【0334】
実施形態I-112。MEK阻害剤およびSHP2阻害剤は、同時に腫瘍細胞と接触させない、実施形態I-101~I-111のいずれか1項に記載の方法。
【0335】
実施形態I-113。MEK阻害剤およびSHP2阻害剤は、同時に腫瘍細胞と接触させる、実施形態I-101~I-111のいずれか1項に記載の方法。
【0336】
実施形態I-114。接触は、MEK阻害剤およびSHP2阻害剤の対象への投与を介する、実施形態I-111~I-113のいずれか1項に記載の方法。
【0337】
実施形態I-115。MEK阻害剤の投与は、SHP2阻害剤の投与に先行する、実施形態I-114に記載の方法。
【0338】
実施形態I-116。SHP2阻害剤の投与は、MEK阻害剤の投与に先行する、実施形態I-114に記載の方法。
【0339】
実施形態I-117。SHP2阻害剤の投与およびMEK阻害剤の投与は、同時に行われる、実施形態I-114に記載の方法。
【0340】
実施形態I-118。SHP2阻害剤およびMEK阻害剤は、単一の医薬組成物として投与される、実施形態I-117に記載の方法。
【0341】
実施形態I-119。SHP2阻害剤およびMEK阻害剤は、別々の医薬組成物として投与される、実施形態I-117に記載の方法。
【0342】
実施形態I-120。治療は、腫瘍細胞の成長を阻害する、実施形態I-101~I-119のいずれか1項に記載の方法。
【0343】
実施形態I-121。腫瘍細胞の成長は、腫瘍を部分的または完全に退化させる程度に阻害される、実施形態I-120に記載の方法。
【0344】
実施形態I-122。腫瘍を有する対象を治療する方法であって、対象における腫瘍の腫瘍細胞をトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法と接触させることを含む、方法。
【0345】
実施形態I-122a。腫瘍を有する対象を治療する方法で使用するトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法。
【0346】
実施形態I-122b。腫瘍を有する対象を治療するための薬剤を製造するためのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法の使用。
【0347】
実施形態I-123。腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来である、実施形態I-122に記載の方法。
【0348】
実施形態I-124。接触は、対象においてインビボで行われる、実施形態I-122またはI-123に記載の方法。
【0349】
実施形態I-125。対象は、ヒトである、実施形態I-124に記載の方法。
【0350】
実施形態I-126。腫瘍細胞とトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法との接触の結果、腫瘍細胞をそれぞれのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bと別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する、実施形態I-122~I-125のいずれか1項に記載の方法。
【0351】
実施形態I-127。腫瘍細胞の成長は、腫瘍を部分的または完全に退化させる程度に阻害される、実施形態I-122~I-126のいずれか1項に記載の方法。
【0352】
実施形態I-128。SHP2阻害剤は、化合物Cである、実施形態I-1~I-36、I-49~I-78、I-80~I-94、I-101~I-104、I-107~I-121のいずれか1項に記載の方法。
【0353】
実施形態I-129。SHP2阻害剤は、化合物Cである、実施形態I-37~I-43のいずれか1項に記載の組合せ療法。
【0354】
実施形態I-130。SHP2阻害剤は、化合物Cである、実施形態I-44~I-48のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【0355】
実施形態I-131。腫瘍細胞の成長を阻害する方法であって、腫瘍細胞をトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法と接触させることを含む、方法。
【0356】
実施形態I-131a。腫瘍細胞の成長を阻害する方法で使用するトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法。
【0357】
実施形態I-131b。腫瘍細胞の成長を阻害するための薬剤を製造するためのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法の使用。
【0358】
実施形態I-132。腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来である、実施形態I-131に記載の方法。
【0359】
実施形態I-133。接触は、対象においてインビボで行われる、実施形態I-131またはI-132に記載の方法。
【0360】
実施形態I-134。対象は、ヒトである、実施形態I-133に記載の方法。
【0361】
実施形態I-135。腫瘍細胞とトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法との接触の結果、腫瘍細胞をそれぞれのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cと別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する、実施形態I-131~I-134のいずれか1項に記載の方法。
【0362】
実施形態I-136。腫瘍細胞の成長は、腫瘍を部分的または完全に退化させる程度に阻害される、実施形態I-131~I-135のいずれか1項に記載の方法。
【0363】
実施形態I-137。腫瘍を有する対象を治療する方法であって、対象における腫瘍の腫瘍細胞をトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法と接触させることを含む、方法。
【0364】
実施形態I-137a。腫瘍を有する対象を治療する方法で使用するトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法。
【0365】
実施形態I-137b。腫瘍を有する対象を治療するための薬剤を製造するためのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法の使用。
【0366】
実施形態I-138。腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来である、実施形態I-137に記載の方法。
【0367】
実施形態I-139。接触は、対象においてインビボで行われる、実施形態I-137またはI-138に記載の方法。
【0368】
実施形態I-140。対象は、ヒトである、実施形態I-139に記載の方法。
【0369】
実施形態I-141。腫瘍細胞とトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法との接触の結果、腫瘍細胞をそれぞれのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cと別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する、実施形態I-137~I-140のいずれか1項に記載の方法。
【0370】
実施形態I-142。腫瘍細胞の成長は、腫瘍を部分的または完全に退化させる程度に阻害される、実施形態I-137~I-141のいずれか1項に記載の方法。
【0371】
実施形態I-143。有効量のSHP2の阻害剤を投与することを含む、実施形態I-1~I-36およびI-49のいずれか1項に記載の方法。
【0372】
実施形態I-144。細胞を有効量のSHP2の阻害剤と接触させることを含む、実施形態I-50~I-128およびI-131~I-142のいずれか1項に記載の方法。
【0373】
実施形態I-145。有効量のSHP2の阻害剤を含む、実施形態I-37~I-43、I-75a、I-95a、I-101a、I-122a、I-129、I-131a、およびI-137aのいずれか1項に記載の組合せ療法。
【0374】
実施形態I-146。有効量のSHP2の阻害剤を含む、実施形態I-44~I-48およびI-130のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【0375】
実施形態I-147。有効量で使用する、実施形態I-1a、I-2a、I-3a、I-18a、I-24a、I-24c、I-25a、I-25c、I-26a、I-26c、I-27a、I-27c、I-28a、I-28c、I-29a、I-50a、I-51a、およびI-52aのいずれか1項に記載の方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0376】
実施形態I-148。SHP2の阻害剤は、有効量で使用する、実施形態I-1b、I-2b、I-3b、I-18b、I-29b、I-50b、I-51b、I-52bのいずれか1項に記載のSHP2の阻害剤の使用。
【0377】
実施形態I-149。治療有効量のSHP2の阻害剤を投与することを含む、実施形態I-1~I-36およびI-49のいずれか1項に記載の方法。
【0378】
実施形態I-150。細胞を治療有効量のSHP2の阻害剤と接触させることを含む、実施形態I-50~I-128およびI-131~I-142のいずれか1項に記載の方法。
【0379】
実施形態I-151。治療有効量のSHP2の阻害剤を含む、実施形態I-37~I-43、I-75a、I-95a、I-101a、I-122a、I-129、I-131a、およびI-137aのいずれか1項に記載の組合せ療法。
【0380】
実施形態I-152。治療有効量のSHP2の阻害剤を含む、実施形態I-44~I-48およびI-130のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【0381】
実施形態I-153。治療有効量で使用する、実施形態I-1a、I-2a、I-3a、I-18a、I-24a、I-24c、I-25a、I-25c、I-26a、I-26c、I-27a、I-27c、I-28a、I-28c、I-29a、I-50a、I-51a、およびI-52aのいずれか1項に記載の方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0382】
実施形態I-154。SHP2の阻害剤は、治療有効量で使用する、実施形態I-1b、I-2b、I-3b、I-18b、I-29b、I-50b、I-51b、I-52bのいずれか1項に記載のSHP2の阻害剤の使用。
【実施例0383】
本開示は、以下の実施例および合成例によりさらに説明されるが、これは、本開示を、範囲または精神において、本明細書に記載された特定の手順に限定するものとして解釈されるべきではない。本実施例は、ある特定の実施形態を説明するために提供され、これに
より本開示の範囲を限定することは意図されていないことを理解されたい。方策は、本開示および/または添付の特許請求項の範囲の精神から逸脱することなく当業者に想起されることができる、その多様な他の実施形態、修正および均等物を有することができることを、さらに理解されたい。
試験物質の、細胞外シグナル関連キナーゼ1および2(ERK1/2)のThr202/Tyr204でのリン酸化(p-ERK)を阻害する能力を判断するため、それぞれの細胞株を、標準の2D培養条件で培養した。細胞を、1ウェルあたり約20×103細胞
で播種し、続いて終夜インキュベートし、無血清培地で洗浄した。その後、製造元の指示に従って実施するAlphaLisa SureFire Ultraキットによる細胞溶解物中のpERKレベルのアッセイおよび測定の終了前に、細胞を、0.2% BSAを含有する無血清培地中で試験物質の濃度を増大させながら1時間インキュベートした。
小分子の、活性化RAS-GTPアーゼのレベルに対する作用を判断するために、対象の細胞株を、標準の2D培養条件で培養した。細胞を播種し、続いて、ビヒクル(DMSO)または試験物質とともに、37℃で終夜インキュベートした。適切なインキュベーション期間の後、細胞を洗浄し、細胞溶解緩衝液を加えて細胞溶解物を製造した。溶解物中のRas-GTPのレベルを、Raf-RBD(RafのRas結合ドメイン)/GTP-Ras複合体のアフィニティ精製を使用して判断した。1つの手法において、Pierce活性型Rasプルダウンおよび検出キットを使用した。簡潔には、清澄化溶解物(BCAにより定量化された、500μg総タンパク質)を、GST-Raf-RBDとともにプレインキュベートしたグルタチオン樹脂と混合した。混合物をボルテックスし、4℃で1時間、穏やかに振盪させながらインキュベートした。樹脂を溶解緩衝液で3回洗浄し、2X還元サンプル緩衝液を加えることにより、結合したRas-GTPを溶出させた。
溶出させたタンパク質を、4~15%トリス-グリシンゲル(BioRad)を使用して、SDS-PAGEにより分離させた。抗Ras抗体(Thermofisher、1:200)およびLicor IRDye-800抗マウス二次抗体(1:20,000)を使用するウエスタンブロットのために、タンパク質をニトロセルロース膜に移した。Licor Odyssey CLxを、可視化のために使用した。
その欠失または機能低下によりSHP2シグナリングに感受性を付与するであろう、RAS経路に関与するこのようなタンパク質の1つは、NF1である。NF1は、RAS-GTPの、その不活性型のRAS-GTP形態への加水分解を促進し、それによりRASを不活性化する、RAS-GAPタンパク質である。NF1は腫瘍抑制物質であり、この遺伝子における機能喪失変異は、様々なヒトのがんにおける細胞成長をもたらす、RAS-GTP蓄積および下流シグナリングをもたらす(Nissan、Krauthammer、Redig)。したがって、NF1LOFモデルにおいて、SHP2阻害がRAS経路
シグナリングおよび細胞成長を有効に阻止するかどうかを試験した。
RAS経路を介するシグナリングに関与する別のタンパク質は、セリン/スレオニンキナーゼBRAFであり、BRAFにおける変異は、ヒトのがんにおいて一般的に存在し、これらが結果としてpERKシグナリングを過剰活性化するため、このような変異は発癌性である。3つのクラスの発癌性BRAF変異が報告されている。クラスI変異はV600で行われ、それらのRAS-GTP状態にかかわらず活性である、恒常的に活性なBRAFモノマーをもたらす(Poulikakos、2011)。クラスII変異は、二量
体化に依存するが、それらのRAS-GTP状態にかかわらず活性でもある(Yao、2015)。BRAFのクラスIII変異は、RAF二量体およびRAS-GTPの両方に依存する(Yao、2017)。したがって、クラスIおよびクラスI変異は、それらがGTPとは独立にシグナル伝達するため、SHP2阻害に対して不応性であり、対照的に、クラスIII変異はSHP2シグナリングに依存して十分なGTP担持を促進し、これらの変異を含有する細胞は、したがって、SHP2阻害に感受性であろうと仮定する。
化合物Bの細胞作用をより完全に定義するため、細胞周期およびアポトーシスのバイオマーカーを検査した。スフェロイド中の活性化カスパーゼ3/7アッセイ。NCI-H358細胞(肺、KRASG12C)を、丸底超低接着96ウェルプレート(Corning)中の、10%ウシ胎児血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを追加したRPMI培地(Gibco)中に、5,000細胞/ウェルで播種することにより、スフェロイドに成長させた。播種した直後に、細胞を1000RPMで5分間スピンダウンし、37℃で、5% CO2中、5日間インキュベートし、スフェロイド形成させた。スフェロイド形成を、目視で確認した。スフェロイドを、化合物B、スタウロスポリン(Sigma)またはDMSO(Sigma)で3回処置し(最終0.1%)、10%ウシ胎児血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを追加したRPMI培地中で希釈し、37℃で、5% CO2中、20時間インキュベートした。カスパーゼ3/7活性を、製造元の指示に従って、Caspase-Glo 3/7アッセイシステム(Promega)を使用して測定した。Caspase-Glo試薬を加えた後、ウェルの内容物を数回ピペット操作し、室温で、暗所中、45分間インキュベートし、細胞を十分に溶解させた。50μLの溶解物/反応を、乳白色の96ウェル半領域プレート(Perkin Elmer
)に移した。蛍光を、EnVisionマルチラベルプレートリーダー(Perkin Elmer)で読み取った。アッセイデータを、Prism7(GraphPad)ソフトウェアを使用してプロットした。