(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139172
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】生物学的に活性な物質及び不規則性無機酸化物を含有する組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 47/04 20060101AFI20230926BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20230926BHJP
A61K 31/216 20060101ALI20230926BHJP
A61K 31/397 20060101ALI20230926BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20230926BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20230926BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20230926BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20230926BHJP
A61P 15/10 20060101ALI20230926BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230926BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
A61K47/04
A61K9/00
A61K31/216
A61K31/397
A61K31/4985
A61P3/06
A61P9/12
A61P11/00
A61P13/02
A61P15/10
A61P43/00 111
A61K31/40
【審査請求】有
【請求項の数】67
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023119870
(22)【出願日】2023-07-24
(62)【分割の表示】P 2019115683の分割
【原出願日】2013-11-13
(31)【優先権主張番号】61/726,193
(32)【優先日】2012-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】590001706
【氏名又は名称】ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー-コーン
【氏名又は名称原語表記】W R GRACE & CO-CONN
(71)【出願人】
【識別番号】510106692
【氏名又は名称】フォーマック ファーマシューティカルズ ナムローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】FORMAC Pharmaceuticals N.V.
【住所又は居所原語表記】Belgium,B-3001 Leuven,Gaston Geenslaan 1
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】リバナティ,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】モンスール,フレデリク・ヘンドリク
(72)【発明者】
【氏名】ファン・スペイブレーク,ミヒール
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生物学的に活性な物質及び不規則性無機酸化物を含有する組成物、該組成物の製造方法、並びに該組成物の使用方法を提供する。
【解決手段】生物学的に活性な物質及び無機酸化物を含む組成物であって、前記無機酸化物が、約2.5nm~約10.0nmの平均細孔径を有する細孔と、窒素ポロシメトリーにより測定したときに、約0.5cc/g以上の細孔容積を有する細孔と、少なくとも約0.4の細孔径分布相対スパンと、窒素吸着により測定したときに、約300m
2/g以上のBET表面積と、を有する不規則性多孔質シリカを含み、そして前記生物学的に活性な物質が、生物薬剤分類システムの第II群及び第IV群から選択される少なくとも1つの物質である、組成物を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的に活性な物質及び無機酸化物を含む組成物であって、前記無機酸化物が、
約2.5nm~約15.0nmの平均細孔径を有する細孔と、
窒素ポロシメトリーにより測定したときに、約0.5cc/g以上の細孔容積を有する細孔と、
窒素吸着により測定したときに、約300m2/g以上のBET表面積と、を含む不規則性多孔質材料を含む、組成物。
【請求項2】
前記平均細孔径が約2.5nm~約10.0nmである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記平均細孔径が約3.0nm~約10.0nmである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記細孔容積が約0.6cc/g以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記細孔容積が約0.7cc/g以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記表面積が約350cm2/g以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記表面積が約400cm2/g以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(i)前記平均細孔径が約5.0nm~約10.0nmであり、(ii)前記細孔容積が約0.7cc/g以上であり、かつ(iii)前記表面積が約400m2/g以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記細孔容積が約0.5cc/g超に増加するにつれて、前記表面積が、(1)細孔容積1.1cc/g超において、300m2/gに0.1cc/gの増加あたり約27m2/gを加えた合計として表される最低表面積量から、(2)細孔容積0.5cc/g超において、800m2/gに0.1cc/g増加あたり約160m2/gを加えた合計として表される最大表面積量の範囲にわたる、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記細孔容積が約0.7cc/g超に増加するにつれて、前記表面積が、(1)細孔容積1.0cc/g超において、400m2/gに0.1cc/gの増加あたり約40m2/gを加えた合計として表される最低表面積量から、(2)細孔容積0.7cc/g超において、560m2/gに0.1cc/gの増加あたり約84m2/gを加えた合計として表される最大表面積量の範囲にわたる、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記不規則性多孔質材料が、約500m2/g以上である比表面積を更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記不規則性多孔質材料が、約600m2/g以上である比表面積を更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記不規則性多孔質材料が、不規則性多孔質材料の重量に基づき、4重量%超の強熱減量を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記不規則性多孔質材料が、不規則性多孔質材料の重量に基づき、5重量%超の強熱減量を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記不規則性多孔質材料が、不規則性多孔質材料の重量に基づき、6重量%超の強熱減量を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記不規則性多孔質材料が、不規則性多孔質材料の重量に基づき、7重量%超の強熱減量を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記生物学的に活性な物質の試験管内溶解速度が、結晶形態の生物学的に活性な物質の溶解速度又はその平衡溶解度よりも少なくとも約2倍高い、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記生物学的に活性な物質の試験管内溶解速度が、結晶形態の生物学的に活性な物質の溶解速度よりも少なくとも約2~約10倍高い、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記不規則性多孔質材料が、少なくとも約0.4の細孔径分布相対スパンを有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記不規則性多孔質材料が、少なくとも約1.0の細孔径分布相対スパンを有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記無機酸化物が、異なっていて区別できる2以上のタイプの不規則性多孔質材料を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記無機酸化物が、異なっていて区別できる2以上のタイプの不規則性多孔質材料を含み、前記生物学的に活性な物質についての複合溶解速度プロファイルを形成するように、区別できるそれぞれのタイプの不規則性多孔質材料が前記生物学的に活性な物質についての1つの特有の溶解速度プロファイルを与える、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記生物学的に活性な物質についての前記複合溶解速度プロファイルが、いずれのタイプの不規則性多孔質材料についてのいずれの特有の溶解速度プロファイルと比較しても大きな、前記生物学的に活性な物質についての全体的な溶解速度を与える、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記無機酸化物が、少なくとも1種の規則性多孔質材料を更に含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
医薬組成物であって、
医薬的投与量の少なくとも1種の製剤成分と、
生物学的に活性な物質及び無機酸化物を含む薬剤放出組成物と、を含み、前記無機酸化物が、
約2.5nm~約15.0nmの平均細孔径を有する細孔と、
窒素ポロシメトリーにより測定したときに、約0.5cc/g以上の細孔容積を有する細孔と、
窒素吸着により測定したときに、約300m2/g以上のBET表面積と、を含む不規則性多孔質材料を含む、医薬組成物。
【請求項26】
前記平均細孔径が約2.5nm~約10.0nmである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記平均細孔径が約3.0nm~約10.0nmである、請求項25又は26に記載の組成物。
【請求項28】
前記細孔容積が約0.6cc/g以上である、請求項25~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記細孔容積が約0.7cc/g以上である、請求項25~28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記表面積が約350cm2/g以上である、請求項25~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記表面積が約400cm2/g以上である、請求項25~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
(i)前記平均細孔径が約5.0nm~約10.0nmであり、(ii)前記細孔容積が約0.7cc/g以上であり、かつ(iii)前記表面積が約400m2/g以上である、請求項25~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記細孔容積が約0.5cc/g超増加するにつれて、前記表面積が、(1)細孔容積1.1cc/g超において、300m2/gに0.1cc/gの増加あたり約27m2/gを加えた合計として表される最低表面積量から、(2)細孔容積0.5cc/g超において、800m2/gに0.1cc/gの増加あたり約160m2/gを加えた合計として表される最大表面積量の範囲にわたる、請求項25~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記細孔容積が約0.7cc/g超に増加するにつれて、前記表面積が、(1)細孔容積1.0cc/g超において、400m2/gに0.1cc/gの増加あたり約40m2/gを加えた合計として表される最低表面積量から、(2)細孔容積0.7cc/g超において、560m2/gに加え0.1cc/gの増加あたり約84m2/gを加えた合計として表される最大表面積量の範囲にわたる、請求項25~33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
前記不規則性多孔質材料が、約500m2/g以上の比表面積を更に含む、請求項21~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記不規則性多孔質材料が、約600m2/g以上の比表面積を更に含む、請求項25~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記生物学的に活性な物質が少なくとも1種の医薬品有効成分(API)を含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
前記生物学的に活性な物質がエゼチミブ(ezetimimbe)を含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
前記生物学的に活性な物質がタダラフィルを含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
前記生物学的に活性な物質がフェノフィブラートを含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
前記無機酸化物が、異なっていて区別できる2以上のタイプの不規則性多孔質材料を含む、請求項25~40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
前記無機酸化物が、異なっていて区別できる2以上のタイプの不規則性多孔質材料を含み、前記生物学的に活性な物質についての複合溶解速度プロファイルを形成するように、区別できるそれぞれのタイプの不規則性多孔質材料が前記生物学的に活性な物質についての1つの特有の溶解速度プロファイルを与える、請求項25~41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
前記生物学的に活性な物質についての前記複合溶解速度プロファイルが、いずれのタイプの不規則性多孔質材料のいずれの特有の溶解速度プロファイルと比較しても大きなる、前記生物学的に活性な物質についての全体的な溶解速度を与える、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記無機酸化物が、少なくとも1種の規則性多孔質材料を更に含む、請求項25~43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
前記無機酸化物が酸化ケイ素を含む、請求項25~44のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項46】
前記生物学的に活性な物質の試験管内溶解速度が、結晶形態の生物学的に活性な物質の溶解速度又はその平衡溶解度よりも少なくとも約2倍高い、請求項25~45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
前記生物学的に活性な物質の試験管内溶解速度が、結晶形態の生物学的に活性な物質の溶解速度よりも少なくとも約2~約10倍高い、請求項25~45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
前記不規則性多孔質材料が、少なくとも約0.4の細孔径分布相対スパンを有する、請求項25~45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
前記不規則性多孔質材料が、少なくとも約1.0の細孔径分布相対スパンを有する、請求項25~45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
請求項1~49のいずれか一項に記載の組成物の使用方法であって、
前記生物学的に活性な物質を患者に送達するよう前記組成物を前記患者に投与することを含む、使用方法。
【請求項51】
請求項1~49のいずれか一項に記載の組成物の製造方法であって、
前記生物学的に活性な物質を前記無機酸化物に組み込むことを含む、製造方法。
【請求項52】
生物学的に活性な物質及び無機酸化物を含む組成物であって、前記無機酸化物は不規則性多孔質材料を含み、細孔容積が約0.5cc/g超に増加するにつれて、前記表面積が、(1)細孔容積1.1cc/g超において、300m2/gに0.1cc/gの増加あたり約27m2/gを加えた合計として表される最低表面積量から(2)細孔容積0.5cc/g超において、800m2/gに0.1cc/gの増加あたり約160m2/gを
加えた合計として表される最大表面積量の範囲にわたる、組成物。
【請求項53】
前記生物学的に活性な物質の試験管内溶解速度が、結晶形態の生物学的に活性な物質の溶解速度又はその平衡溶解度よりも少なくとも約2倍高い、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
前記生物学的に活性な物質の試験管内溶解速度が、結晶形態の生物学的に活性な物質の溶解速度よりも少なくとも約2~約10倍高い、請求項52又は53に記載の組成物。
【請求項55】
前記不規則性多孔質材料が、少なくとも約0.4の細孔径分布相対スパンを有する、請求項52~54のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項56】
前記不規則性多孔質材料が、少なくとも約1.0の細孔径分布相対スパンを有する、請求項52~55のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項57】
生物学的に活性な物質及び無機酸化物を含む組成物であって、前記無機酸化物が、異なっていて区別できる2以上のタイプの不規則性多孔質材料を含み、前記生物学的に活性な物質についての複合溶解速度プロファイルを形成するように、区別できるそれぞれのタイプの不規則性多孔質材料が前記生物学的に活性な物質についての1つの特有の溶解速度プロファイルを与える、組成物。
【請求項58】
前記生物学的に活性な物質の試験管内溶解速度が、結晶形態の生物学的に活性な物質の溶解速度又はその平衡溶解度よりも少なくとも約2倍高い、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記生物学的に活性な物質の試験管内溶解速度が、結晶形態の生物学的に活性な物質の溶解速度よりも少なくとも約2~約10倍高い、請求項57又は58のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項60】
前記不規則性多孔質材料が、少なくとも約0.4の細孔径分布相対スパンを有する、請求項57~59のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項61】
前記不規則性多孔質材料が、少なくとも約1.0の細孔径分布相対スパンを有する、請求項57~60のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項62】
生物学的に活性な物質及び無機酸化物を含む組成物であって、前記無機酸化物が、異なっていて区別できる2以上のタイプの多孔質材料を含み、第1の多孔質材料が少なくとも1つのタイプの不規則性多孔質材料を含み、第2の多孔質材料が少なくとも1つのタイプの規則性多孔質材料を含む、組成物。
【請求項63】
前記生物学的に活性な物質についての複合溶解速度プロファイルを形成するように、前記第1及び第2の多孔質材料のそれぞれが、前記生物学的に活性な物質についての1つの特有の溶解速度プロファイルを与える、請求項62に記載の組成物。
【請求項64】
前記生物学的に活性な物質の試験管内溶解速度が、結晶形態の生物学的に活性な物質の溶解速度又はその平衡溶解度よりも少なくとも約2倍高い、請求項62又は63のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項65】
前記生物学的に活性な物質の試験管内溶解速度が、結晶形態の生物学的に活性な物質の溶解速度よりも少なくとも約2~約10倍高い、請求項62~64のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項66】
前記不規則性多孔質材料が、少なくとも約0.4の細孔径分布相対スパンを有する、請求項62~65のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項67】
前記不規則性多孔質材料が、少なくとも約1.0の細孔径分布相対スパンを有する、請求項62~66のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的に活性な物質及び不規則性無機酸化物を含有する組成物、生物学的に活性な物質及び不規則性無機酸化物を含有する組成物の製造方法、並びに生物学的に活性な物質及び不規則性無機酸化物を含有する組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有効な薬剤生物学的利用能のために好適な組成物を開発する試行が継続されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、1種以上の不規則性無機酸化物と、それに組み込まれた生物学的に活性な少なくとも1種の物質とを含む薬剤放出組成物の開発により、有効な薬剤生物学的利用能のために好適な組成物を開発する試行を継続する。一実施形態例では、本発明の組成物は生物学的に活性な物質及び無機酸化物を含み、無機酸化物は、約2.5nm~約15.0nm以上の平均細孔径を有する細孔と、窒素ポロシメトリーにより測定したときに、約0.5cc/g~約3.0cc/g以上の細孔容積を有する細孔と、窒素吸着により測定したときに、約300m2/g~1500m2/g以上のBET表面積と、を含む不規則性多孔質材料を含む。いくつかの実施形態では、不規則性多孔質材料は約5.0~約10.0nmの平均細孔径を有する細孔と、窒素ポロシメトリーにより測定したときに、約0.7~約2.5cc/gの細孔容積を有する細孔と、窒素吸着により測定したときに、約400~約1400m2/g以上のBET表面積と、を有する。
【0004】
他の実施形態では、無機酸化物は、少なくとも約0.4、少なくとも約0.5、少なくとも約0.6、少なくとも約0.7、少なくとも約0.8、少なくとも約0.9、少なくとも約1.0、又は少なくとも約1.1の細孔径分布相対スパンを有し得る。更なる実施形態では、無機酸化物は、少なくとも約0.4、少なくとも約0.5、少なくとも約0.6、少なくとも約0.7、少なくとも約0.8、少なくとも約0.9、少なくとも約1.0、又は少なくとも約1.1、最大で約2.0の細孔径分布相対スパンを有し得る。
【0005】
別の実施形態例では、本発明は、生物学的に活性な物質及び無機酸化物を含む組成物を対象とし、無機酸化物は不規則性多孔質材料を含み、細孔容積が約0.5cc/g超に増加するにつれて、表面積は、(1)細孔容積1.1cc/g超において、300m2/gに0.1cc/gの増加あたり約27m2/gを加えた合計として表される最低表面積量から、(2)細孔容積0.5cc/g超において、800m2/gに0.1cc/gの増加あたり約160m2/gを加えた合計として表される最大表面積量の範囲にわたる。
【0006】
更なる実施形態例では、本発明は、生物学的に活性な物質及び無機酸化物を含む組成物を含み、無機酸化物は異なっていて区別できる2以上のタイプの不規則性多孔質材料を含み、生物学的に活性な物質についての複合溶解速度プロファイル(composite dissolution rate profile)を形成するように、区別できるそれぞれのタイプの不規則性多孔質材料が生物学的に活性な物質についての1つの特有の溶解速度プロファイルを与える。
【0007】
別の実施形態例では、本発明は、医薬的投与量の少なくとも1種の製剤成分と、生物学的に活性な物質及び無機酸化物を含む薬剤放出組成物とを含む医薬組成物を目的とし、無機酸化物は、約2.5nm~約15.0nm以上の平均細孔径を有する細孔と、窒素ポロシメトリーにより測定したときに、約0.5cc/g~約3.0cc/g以上の細孔容積を有する細孔と、窒素吸着により測定したときに、約300m2/g~約1400m2/
g以上のBET表面積と、を含む不規則性多孔質材料を含む。他の実施形態では、無機酸化物は、少なくとも約0.4、少なくとも約0.5、少なくとも約0.6、少なくとも約0.7、少なくとも約0.8、少なくとも約0.9、少なくとも約1.0、又は少なくとも約1.1の細孔径分布相対スパンを有し得る。更なる実施形態では、無機酸化物は、少なくとも約0.4、少なくとも約0.5、少なくとも約0.6、少なくとも約0.7、少なくとも約0.8、少なくとも約0.9、少なくとも約1.0、又は少なくとも約1.1、最大で約2.0の細孔径分布相対スパンを有し得る。
【0008】
別の実施形態例では、本発明は、医薬的投与量の少なくとも1種の製剤成分と、生物学的に活性な物質及び無機酸化物を含む薬剤放出組成物とを含む医薬組成物を目的とし、無機酸化物は不規則性多孔質材料を含み、細孔容積が約0.5cc/g超に増加するにつれて、表面積は、(1)細孔容積1.1cc/g超において、300m2/gに0.1cc/gの増加あたり約27m2/gを加えた合計として表される最低表面積量から、(2)細孔容積0.5cc/g超において、800m2/gに0.1cc/gの増加あたり約160m2/gを加えた合計として表される最大表面積量の範囲にわたる。
【0009】
更なる実施形態例では、本発明は、医薬的投与量の少なくとも1種の製剤成分と、生物学的に活性な物質及び無機酸化物を含む薬剤放出組成物とを含む医薬組成物を含み、無機酸化物は、異なっていて区別できる2以上のタイプの不規則性多孔質材料を含み、生物学的に活性な物質についての複合溶解速度プロファイルを形成するように、区別できるそれぞれのタイプの不規則性多孔質材料が生物学的に活性な物質についての1つの特有の溶解速度プロファイルを与える。
【0010】
本発明は、更に、本開示の組成物の製造方法も目的とする。一実施形態例では、本発明の組成物の製造方法は、生物学的に活性な少なくとも1種の物質を無機酸化物に組み込むことを含み、無機酸化物は、約25オングストローム~約150オングストロームの平均細孔径を有する細孔と、窒素ポロシメトリーにより測定したときに、約0.5cc/g以上の細孔容積を有する細孔と、窒素吸着により測定したときに、約300m2/g以上のBET表面積と、を含む不規則性多孔質材料を含む。いくつかの実施形態では、方法は、生物学的に活性な少なくとも1種の物質と無機酸化物とを含む薬剤放出組成物を、医薬的投与量の少なくとも1種の製剤成分と組み合わせて医薬組成物を形成することを含む。
【0011】
別の実施形態例では、本発明は、生物学的に活性な少なくとも1種の物質を無機酸化物に組み込むことによる組成物の製造方法を目的とし、無機酸化物は不規則性多孔質材料を含み、細孔容積が約0.5cc/g超に増加するにつれて、表面積は、(1)細孔容積1.1cc/g超において、300m2/gに0.1cc/gの増加あたり約27m2/gを加えた合計として表される最低表面積量から、(2)細孔容積0.5cc/g超において、800m2/gに0.1cc/gの増加あたり約160m2/gを加えた合計として表される最大表面積量の範囲にわたる。
【0012】
更なる実施形態例では、本発明は、生物学的に活性な少なくとも1種の物質を無機酸化物に組み込むことによる組成物の作製方法を包含し、無機酸化物は、異なっていて区別できる2以上のタイプの不規則性多孔質材料を含み、生物学的に活性な物質についての複合溶解速度プロファイルを形成するように、区別できるそれぞれのタイプの不規則性多孔質材料が生物学的に活性な物質についての1つの特有の溶解速度プロファイルを与える。
【0013】
本発明は、更に、本開示の組成物の使用方法も目的とする。一実施形態例では、本発明の組成物を使用する方法は、生物学的に活性な物質を患者に送達するよう組成物を患者に投与することを含み、組成物は、生物学的に活性な少なくとも1種の物質及び無機酸化物を含み、無機酸化物は、約2.5nm~約15.0nm以上の平均細孔径を有する細孔と
、窒素ポロシメトリーにより測定したときに、約0.5cc/g~約3.0cc/g以上の細孔容積を有する細孔と、窒素吸着により測定したときに、約300m2/g~約1400m2/g以上のBET表面積と、を含む不規則性多孔質材料を含む。別の実施形態例では、本発明の組成物は、結晶形態の同一の生物学的に活性な物質の溶解速度の少なくとも約2倍の、生物学的に活性な物質の試験管内溶解速度を有する。更なる実施形態では、生物学的に活性な物質の試験管内溶解速度は、結晶形態の生物学的に活性な物質の溶解速度の少なくとも約2~約10倍、又は約3~約10倍、又は約4~約10倍、又は約5~約10倍である。
【0014】
別の実施形態例では、本発明は、生物学的に活性な物質を患者に送達するよう患者に組成物を投与することによる組成物の使用方法を目的とし、組成物は、生物学的に活性な少なくとも1種の物質及び無機酸化物を含み、無機酸化物は不規則性多孔質材料を含み、細孔容積が約0.5cc/g超に増加するにつれて、表面積は、(1)細孔容積1.1cc/g超において、300m2/gに0.1cc/gの増加あたり約27m2/gを加えた合計として表される最低表面積量から、(2)細孔容積0.5cc/g超において、800m2/gに0.1cc/gの増加あたり約160m2/gを加えた合計として表される最大表面積量の範囲にわたる。
【0015】
更なる実施形態例では、本発明は、生物学的に活性な物質を患者に送達するよう組成物を患者に投与することによる組成物の使用方法を包含し、組成物は、生物学的に活性な少なくとも1種の物質及び無機酸化物を含み、無機酸化物は不規則性多孔質材料を含み、無機酸化物は、異なっていて区別できる2以上のタイプの不規則性多孔質材料を含み、生物学的に活性な物質についての複合溶解速度プロファイルを形成するように、区別できるそれぞれのタイプの不規則性多孔質材料が生物学的に活性な物質についての1つの特有の溶解速度プロファイルを与える。
【0016】
本発明のこれらの及びその他の特徴及び利点は、以下に開示される実施形態及び添付の特許請求の範囲についての詳細な記載を概観された後には明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明は、添付の図面を参照して更に記載される。
【
図1】本発明の多様な不規則性シリカ例からの、医薬品有効成分(API)例、ダナゾールの、経時的溶解速度を示すグラフ。
【
図2】本発明の多様な不規則性シリカ例からの、別のAPI例、イトラコナゾールの、経時的溶解速度を示すグラフ。
【
図3】本発明の多様な不規則性シリカ例からの、別のAPI、フェノフィブラートの、経時的溶解速度を示すグラフ。
【
図4】本発明の2種の異なる不規則性シリカ例の混合物からの、ダナゾールの、経時的溶解速度を示すグラフ。
【
図5】本発明のクロマトグラフィー媒体の実施形態例の細孔径分布についてのグラフ。
【
図6】本発明のクロマトグラフィー媒体の実施形態例のX線回折パターン。
【
図7】本発明のクロマトグラフィー媒体の実施形態例のX線回折パターン。
【
図8】本発明のクロマトグラフィー媒体の実施形態例のX線回折パターン。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の原理についての理解を容易にするため、本発明の以下の特定の実施形態及び特定の用語についての記載を使用して、特定の実施形態を説明する。しかしながら、特定の用語の使用は本発明の範囲を制限することを意図してのものではないことは理解されたい。議論される本発明の原理の変更、更なる改変及びこのような更なる適用は、本発明が属する分野の当業者に通常に想起されるものとして想到される。
【0019】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用するとき、単数冠詞「a」、「and」、及び「the」には、文脈上そうでないことが明記されない限り複数形も含むことに留意されたい。したがって、例えば「酸化物(an oxide)」という場合には、このような複数の酸化物が含まれ、「酸化物(oxide)」という場合には、当業者には公知の1種上の酸化物及びその等価物に対する参照が含まれる、などである。
【0020】
「約」による、例えば、本開示の実施形態を記載するのに使用される組成物中の原材料量、濃度、容積、加工温度、加工時間、回収率又は収率、流速、及び同様の値、並びにこれらの範囲の修飾は、例えば、一般的な測定及び取り扱い手順により、これらの手順における故意ではない誤差により、方法を実施する際に使用される原材料における差異により、並びに同様の関連する留意事項により生じ得る数値的な量におけるばらつきについて表すものである。用語「約」はまた、特定の初期濃度又は混合物を有する製剤の経時変化に伴って異なる量、及び特定の初期濃度又は混合物を有する製剤と混合又は加工するに伴って異なる量を包含する。用語「約」による修飾の有無はともかくとして、本明細書に添付される特許請求の範囲には、これらの量との等価物が包含される。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「生物学的に活性な物質」は、医薬活性を提供するか、又は疾患の診断、治療、緩和、処置若しくは予防において直接的に効果を有するか、又はヒトにおける生理学的機能の回復、矯正、若しくは修正に直接的に効果を有する医薬品有効成分(API)を意味する。医薬成分には溶解性の乏しい物質を包含するものの、水溶性範囲(高又は低)及び胃腸管壁、特に腸への透過性に基づき薬剤(API)を4群に分類する分類法であるBCS(生物薬剤分類システム)に掲載されるものなどの、幅広い溶解性の物質も包含し得る。この観点において、これらの4つの部類は、(第I群)高溶解度及び高浸透性薬剤、(第II群)低溶解度及び高浸透性薬剤、(第III群)高溶解度及び低浸透性薬剤、(第IV群)低溶解度及び低浸透性薬剤である。
【0022】
本明細書で使用するとき、「無機酸化物」は、二元酸素化合物と定義され、無機成分はカチオンであり、酸化物はアニオンである。金属を含む無機成分としてはまた、半金属も包含され得る。金属には、周期表のホウ素からポロニウムに対して引かれる斜線の左側に存在する元素を包含する。半金属(Metalloids又はsemi-metals)は、この線の右側にあ
る元素を包含する。無機酸化物の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「規則性多孔質材料」は、細孔径分布が、本明細書において定義される通りの0.3未満の相対スパンを有するよう、非常に狭い細孔径分布及びX線回折パターンを備える構造秩序を有する多孔質粒子を指す。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「不規則性多孔質材料」は、細孔径分布が、本明細書において定義される通りの0.4超の相対スパンを有するよう、均一ではない細孔径分布(すなわち、細孔径分布が非常に広範にわたり、事実上多峰性である)を有する多孔質粒子を指す。加えて、不規則性多孔質材料は、
図6~
図8に示す通り、低角X線回折パターンを有しないような内部構造を有し得る。このような材料は、限定するものではないが、コロイド状粒子を形成するためのものなどの溶液重合法、ヒュームド粒子を形成するためのものなどの連続式火炎加水分解法、ゲル化粒子を形成するためのものなどのゲル法、及び沈殿粒子を形成するためのものなどの沈殿法、などを含む任意の公知のプロセスにより形成され得る。粒子は、オートクレーブ、気流乾燥、超臨界流体抽出、エッチング、又は同様の加工法により、連続的に改質することもできる。粒子は、有機及び/又は無機材料、並びにこれらの組み合わせから構成され得る。一実施形態例では、粒子は、無機酸化物、硫化物、水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩などの無機物質から構成されるものの、好ましくは無機酸化物である。粒子は鎖状、棒状又は長薄片状などの、様々な異なる対称的、非対称的又は不規則的形状であり得る。粒子は、非晶質又は結晶質などの異なる構造を有し得る。粒子は、異なる組成、大きさ、形状又は物理構造を含む粒子の混合物を包含し得るものであり、あるいは表面処理が異なることを除いて同一のものであり得る。粒子の多孔性は、小型の粒子が凝集して大型の粒子を形成する場合、粒子内又は粒子間のものであり得る。一実施形態例では、粒子は、無機酸化物、硫化物、水酸化物、炭酸塩、珪酸塩、リン酸塩などの無機物質から構成されるものの、好ましくは無機酸化物である。多孔質材料としては、有機若しくは無機材料、又はそれらの混成物が挙げられ、粒子、モノリス、膜、コーティング及び同様物などの形態であり得る。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「細孔径分布」は、多孔質無機粒子の代表体積における、それぞれの細孔径の相対的な豊富さを意味する。本明細書で使用するとき、「平均細孔径」は、粒子内細孔容積の50%未満が、20~600オングストロームの細孔として存在する細孔径である。
図5を参照されたい。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「相対スパン」は、細孔径分布の幅の尺度を意味するものとして定義される。「スパン」は、水銀ポロシメトリーにより測定したときに、d85細孔径(すなわち、細孔容積の85%未満の細孔径/直径)からd30細孔径(すなわち、20~600オングストロームの細孔を備える細孔容積の30%未満である細孔径/直径)を減算することにより測定される。用語「相対スパン」は、(d85-d30)/d
50比として定義される。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「薬剤生物学的利用能」は、人体が、APIを含む生物学的に活性な物質を、その物質の水溶性に基づき吸収する能力を意味する。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「薬物放出」は、生物学的に活性な物質が、体液中又は擬似体液中で放出される能力を意味する。
【0029】
本明細書で使用するとき、用語「結晶質」は、構成原子、分子又はイオンが、3次元の全てにわたって規則的パターンに配置(X線回折又は示差走査熱量測定法により測定され得る)された、固体物質を意味する。
【0030】
本明細書で使用するとき、用語「過飽和」は、溶液が、周囲条件下で溶媒により溶解され得るよりも多くの溶解物質(すなわち、溶質)を含有することを意味する。これは、溶液に溶解している物質が、その飽和平衡状態からどの程度逸脱しているかの尺度である。
【0031】
本明細書で使用するとき、用語「溶解」は、それにより固体、液体又は気体が溶媒溶液を形成するプロセスを意味する。固体を溶解させる際、プロセスは、結晶格子を個々のイオン、原子又は分子へと崩壊させること、及びそれらを溶媒に輸送することを包含する。生物学的に活性な物質(例えば、API)の溶解速度は、生体内における生物学的利用能を判定するための薬物放出に関する尺度である。
【0032】
本発明は、生物学的に活性な物質及び無機酸化物を含む組成物を目的とし、無機酸化物は不規則性多孔質材料を含む。薬剤生物学的利用能は、溶解性に乏しく生物学的に活性な多くの物質に関する関心事であり、本発明はこの問題の解決をもたらす多様な実施形態に関する。本発明の出願者らは、特定の組み合わせの物理的特性を有する不規則性多孔質材料が非常に優れた薬剤生物学的利用能特性をもたらすことを発見している。特に、不規則性多孔質材料であって、(i)約2.5nm~約15.0nmの平均細孔径を有する細孔と、(ii)窒素ポロシメトリーにより測定したときに、約0.5cc/g~約3.0c
c/g以上の細孔容積を有する細孔と、(iii)窒素吸着により測定したときに、約300m2/g以上のBET表面積とを含む、不規則性多孔質材料は、予想外にも非常に優れた薬剤生物学的利用能特性をもたらす。更に、不規則性多孔質材料であって、(i)約50~約100オングストロームの平均細孔径を有する細孔と、(ii)窒素ポロシメトリーにより測定したときに、約0.7~約2.5cc/g以上の細孔容積を有する細孔と、(iii)窒素吸着により測定したときに、約400~約1400m2/g以上のBET表面積とを含む、不規則性多孔質材料は、予想外にもより非常に優れた薬剤生物学的利用能特性をもたらす。実施形態例では、不規則性多孔質材料は、不規則性多孔質材料の重量に基づき、4重量%超、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、以上の強熱減量を有する。更なる実施形態例では、不規則性多孔質材料は、細孔容積を有する。
【0033】
他の実施形態では、無機酸化物は、少なくとも約0.4、少なくとも約0.5、少なくとも約0.6、少なくとも約0.7、少なくとも約0.8、少なくとも約0.9、少なくとも約1.0、又は少なくとも約1.1の細孔径分布相対スパンを有し得る。更なる実施形態では、無機酸化物は、少なくとも約0.4、少なくとも約0.5、少なくとも約0.6、少なくとも約0.7、少なくとも約0.8、少なくとも約0.9、少なくとも約1.0、又は少なくとも約1.1、最大で約2.0の細孔径分布相対スパンを有し得る。
【0034】
一実施形態例では、本発明は、生物学的に活性な物質及び無機酸化物を含む組成物を目的とし、無機酸化物は、(i)約2.5nm~約15.0nmの平均細孔径を有する細孔と、(ii)窒素ポロシメトリーにより測定したときに、約0.5cc/g~約2.5cc/g以上の細孔容積を有する細孔と、(iii)窒素吸着により測定したときに、約300m2/g~約1400m2/g以上のBET表面積とを含む、不規則性多孔質材料を含む。更なる実施形態では、不規則性多孔質材料は、約3.0nm~約14.0nm、又は約3.0nm~約13.0nm、又は約4.0nm~約12.0nm、又は約4.0nm~約11.0nm、又は約5.0nm~約10.0nmの平均細孔径を有する。別の実施形態例では、不規則性多孔質材料は、少なくとも約0.5cc/g、又は少なくとも約0.6cc/g、又は少なくとも約0.7cc/g、又は少なくとも約0.8cc/g、又は少なくとも約0.9cc/g、又は少なくとも約1.0cc/g、又は少なくとも約0.5cc/g、最大で約3.0cc/gの細孔容積を有する。更なる実施形態では、不規則性多孔質材料は、約350m2/g~約1400m2/g以上、又は約400m2/g~約1300m2/g以上の表面積(すなわち、窒素吸着により測定したときのBET表面積)を有する。他の実施形態では、無機酸化物は、少なくとも約0.4、少なくとも約0.5、少なくとも約0.6、少なくとも約0.7、少なくとも約0.8、少なくとも約0.9、少なくとも約1.0、又は少なくとも約1.1の細孔径分布相対スパンを有し得る。更なる実施形態では、無機酸化物は、少なくとも約0.4、少なくとも約0.5、少なくとも約0.6、少なくとも約0.7、少なくとも約0.8、少なくとも約0.9、少なくとも約1.0、又は少なくとも約1.1、最大で約2.0の細孔径分布相対スパンを有し得る。
【0035】
いくつかの他の実施形態では、不規則性多孔質材料は、(i)約50オングストローム~約100オングストロームの平均細孔径と、(ii)約0.7cc/g~2.5cc/g以上の細孔容積と、(iii)約400m2/g~約1400m2/g以上の表面積とを有する。
【0036】
いくつかの他の実施形態では、本発明で使用される不規則性多孔質材料は、表面積に応じて変化する所望の細孔容積と、細孔容積に応じた所望の表面積とを有する。例えば、いくつかの望ましい実施形態では、不規則性多孔質材料の細孔容積が約0.5cc/g超に増加するにつれて、表面積は、(1)細孔容積1.1cc/g超において、300m2/
gに0.1cc/gの増加あたり約27m2/gを加えた合計として表される最低表面積量から、(2)細孔容積0.5cc/g超において、800m2/gに0.1cc/gの増加あたり約160m2/gを加えた合計として表される最大表面積量の範囲にわたる。
【0037】
他の実施形態では、本発明で使用される不規則性多孔質材料はまた、約500m2/g~約1400m2/g以上、又は約600m2/g~約1200m2/g以上の比表面積も有する。
【0038】
本発明の組成物はまた、医薬組成物も目的とする。一実施形態例では、本発明は、医薬的投与量の少なくとも1種の製剤成分と、生物学的に活性な物質及び無機酸化物を含む薬剤放出組成物とを含む医薬組成物を目的とし、無機酸化物は、(i)約25オームストロング~約150オームストロングの平均細孔径を有する細孔と、(ii)窒素ポロシメトリーにより測定したときに、約0.5cc/g以上の細孔容積を有する細孔と、(iii)窒素吸着により測定したときに、約300m2/g以上のBET表面積とを含む、不規則性多孔質材料を含む。
【0039】
医薬組成物で使用するとき、無機酸化物は、望ましくは、(i)約40オングストローム~約100オングストロームであり、より望ましくは、約50オングストローム~約100オングストロームである平均細孔径と、(ii)約0.6cc/g~約2.5cc/g以上、より望ましくは、約0.7cc/g~約2.0cc/g以上の細孔容積と、(iii)約350m2/g~約1400m2/g以上、より望ましくは、約400m2/~約1200m2/g以上の表面積とを有する。
【0040】
更に、医薬組成物で使用するとき、無機酸化物は、望ましくは以下の基準により互いに対応する細孔容積及び表面積を有する:細孔容積が約0.5cc/g超に増加するにつれて、表面積は、(1)細孔容積1.1cc/g超において、300m2/gに0.1cc/gの増加あたり約27m2/gを加えた合計として表される最低表面積量から、(2)細孔容積0.5cc/g超において、800m2/gに0.1cc/gの増加あたり約160m2/gを加えた合計として表される最大表面積量の範囲にわたる。
【0041】
加えて、医薬組成物において使用するとき、無機酸化物は、望ましくは約500m2/g~約1400m2/g以上の比表面積を有し、より望ましくは、約600m2/g~約1200m2/g以上の比表面積を有する。
【0042】
無機酸化物は様々な無機酸化物を含み得るものの、典型的には、本発明に使用される無機酸化物は、酸化ケイ素を含む。
【0043】
本発明の組成物に使用される生物学的に活性な物質は、任意の公知の生物学的に活性な物質を含み得る。いくつかの実施形態では、生物学的に活性な物質は、少なくとも1種の医薬品有効成分(API)を含む。いくつかの実施形態では、生物学的に活性な物質は、2種以上の医薬品有効成分(API)を互いに組み合わせて含む。他の実施形態では、APIは、生物薬剤分類システム(BCS)(FDA)の第II群又はIV群のものを包含する。API例としては、限定するものではないが、アトルバスタチン、アミオダロン、カンデサルタンシレキセチル、カルベジロール、クロピドグレル二硫酸塩、ジピリダモール、メシル酸エプロサルタン、エピエレノン(epierenone)、エゼチマイブ、フェロジピン、フロセミド、イスラジピン、ロバスタチン、メトラゾン、ニカルジピン、ニソルジピンオルメサルタンメドキソミル、プロパフェノンHCl、キナプリル(qinapril)、ラミプリル、シムバスタチン、テルミサルタン、トランドラプリル、バルサルタン及びその他の心血管治療薬;アシクロビル、アデフォビル、ジピボキシル、アンホテリシン、アンプレナビル、セフィキシム、セフタジジム、クラリスロマイシン、クロトリマゾール、エフ
ァビレンツ、ガンシクロビル、イトラコナゾール、ノルフロキサシン、ナイスタチンリトナビル、サキナビル及びその他の抗感染薬(例えば、抗菌、抗ウイルス、抗真菌及び抗寄生虫剤);シスプラチン、カルボプラチン、ドセタキセル、エトポシド、エキセメスタン、イダルビシン、イリノテカン、メルファラン、メルカプトプリン、ミトタン、パクリタキセル、バルルビシン、ビンクリスチン及び腫瘍学において使用されるその他の剤;アザチオプリン、タクロリムス、シクロスポリン、ピメクロリムス、シロリムス、及びその他の免疫抑制剤;クロザピン、エンタカポン、フルフェナジン、イミプラミン、ネファゾドン、オランザピン、パロキセチン、ピモジド、セルトラリン、トリアゾラム、ザレプロン、ジプラシドン、リスペリドン、カルバマゼピン、及びCNS症状のためのその他の剤;ダナゾール、デュタステライド、メドロキシプロゲステロン、エストラジオール、ラロキシフェン、シルデナフィル、タダラフィル、テストステロン、バルデナフィル及び生殖保健的に使用されるその他の剤;セレコキシブ、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、エレトリプタン、エルゴロイドメシル酸塩、エルゴタミン酒石酸塩、ナブメトン、イブプロフェン、ケトプロフェン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド及びその他の抗炎症及び鎮痛薬;ボセンタン、ブデソニド、デスロラタジン、フェキソフェナジン、フルチカゾン、ロラタジン、モメタゾン、サルメテロールキシナホ酸塩、トリアムシノロンアセトニド(triamcinolon acetonide)、ザフィルルカスト及び呼吸器症状のためのその他の剤;及びドロナビノール、ファモチジン、グリブリド、ヒヨスチアミン、イソトレチノイン、メゲストロール、メサラミン、モダフィニル、モサプリド、ニモジピン、ペルフェナジン、プロポフォール、スクラルファート、サリドマイド、トリザニジン塩酸塩(trizanidine hydrochloride)及び特に、胃腸障害、糖尿病及び皮膚科学的な症状など、多様な症状のためのその他の剤が挙げられる。更なる実施形態では、APIとしては、エゼチミンブ(ezetimimbe)グルコロニウド(glucoroniude)、タダラフィル、フェノフィブラート、ダナゾール、イトラコナゾール、カルバマゼピン、グリセオフルビン、ニフェジピン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0044】
本発明は、本明細書において開示される任意の組成物の製造方法を更に目的とする。一実施形態例では、本発明の組成物の製造方法は、生物学的に活性な少なくとも1種の物質を無機酸化物に組み込むことを含み、無機酸化物は、(i)約2.5nm~約15.0nmの平均細孔径を有する細孔と、(ii)窒素ポロシメトリーにより測定したときに、約0.5cc/g~約3.0cc/g以上の細孔容積を有する細孔と、(iii)窒素吸着により測定したときに、約300m2/g~約1400m2/g以上のBET表面積とを含む、不規則性多孔質材料を含む。
【0045】
別の実施形態例では、本発明の組成物の製造方法は、無機酸化物に組み込まれた生物学的に活性な少なくとも1種の物質を含む薬物放出組成物を、医薬的投与量の少なくとも1種の製剤成分と組み合わせて医薬組成物を形成することを含む。上述のように、無機酸化物は、(i)約2.5nm~約15.0nmの平均細孔径を有する細孔と、(ii)窒素ポロシメトリーにより測定したときに、約0.5cc/g~約3.0cc/g以上の細孔容積を有する細孔と、(iii)窒素吸着により測定したときに、約300m2/g~約1400m2/g以上のBET表面積とを含む、不規則性多孔質材料を含む。
【0046】
不規則性多孔質材料は沈殿、ゲル、ヒュームド、コロイド状など、及びこれらの組み合わせなどの多様な形態であってよく、未改質であるか、又はオートクレーブ、超臨界流体抽出、気流乾燥、及び同様の後続プロセスにより改質されてよい。一実施形態では、本発明における使用に好適である不規則性多孔質無機酸化物は、沈殿無機酸化物粒子及び無機酸化物ゲル粒子を包含する。これらの無機酸化物は、本明細書において、「親無機酸化物」、「親粒子」又は「親分散体」と呼ばれる。不規則性のものである場合に限り、任意の無機酸化物組成物が、本発明における使用に好適であるものの(例えば、SiO2、Al2O3、AlPO4、MgO、TiO2、ZrO2など)、本発明の一実施形態は、非晶
質沈殿シリカ及びシリカゲルを包含し得る。無機酸化物はまた、SiO2.Al2O3、MgO.SiO2.Al2O3及び同様物などを含む混合無機酸化物も含有し得る。従来の配合法又は同時ゲル化法により、混合無機酸化物が調製される。ゲルを含む実施形態では、分散体は、限定するものではないが、SiO2、Al2O3、AlPO4、MgO、TiO2、及びZrO2を含むゲルなどの多孔質無機酸化物ゲルに由来する。ゲルはヒドロゲル、エアロゲル又はキセロゲルであり得る。ヒドロゲルはまた、水中で形成され、結果として細孔が水により充填されるアクアゲルとしても公知である。キセロゲルは、水が除去されたヒドロゲルである。エアロゲルは、水が除去されるにつれてゲルの構造において生じる何らかの崩壊又は変化を最小限に抑えるような方法で液体が除去された、キセロゲルの1つのタイプである。
【0047】
本発明の一実施形態では、無機酸化物ゲルは、不規則性多孔質シリカゲルを包含する。このようなシリカゲルは、アルカリ金属珪酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウム)水溶液を、硝酸又は硫酸などの強酸と混合することにより調製することができ、混合は、撹拌により透明なシリカゾルを形成するのに好適な条件下で実施され、このシリカゾルは、およそ30分未満でヒドロゲル、すなわち、マクロゲルへと変化する。次に、得られるゲルを洗浄する。ヒドロゲル中に形成される無機酸化物、すなわち、SiO3の濃度は、約1~約9、又は1~約4のゲルpHについては、通常、約10重量%~約5重量%、又は約20重量%~約35重量%、又は約30重量%~約35重量%の範囲である。広範な混合温度を使用でき、この範囲は、典型的には約20~約50℃となる。新しく形成されたヒドロゲルを、連続水流に単に浸漬することにより洗浄して望ましくない塩類を除去し、約99.5重量%以上の純粋な無機酸化物を得る。pH、温度、及び洗浄水の持続時間は、表面積(SA)及び細孔容積(PV)などのシリカの物理的特性に影響を与える。65~90℃、pH 8~9で15~36時間にわたって洗浄されたシリカゲルは、通常、250~400のSAを有し、かつ1.4~1.7cc/gmのPVを備えるエアロゲルを形成する。pH 3~5、50~65℃で15~25時間にわたって洗浄したシリカゲルは、700~850のSAを有し、及び0.6~1.3のPVを備えるエアロゲルを形成する。本発明では、細孔容積の測定はN2多孔性解析(ASTM D 4222083)によりなされ、かつ、表面積の測定はBET法によりなされる(ASTM D 3663-84又はDIN 66131)。
【0048】
従来の配合法、共ゲル化、共沈、及び同様の方法などによる、例えば、アルミナ及び混合無機酸化物ゲル(シリカ/アルミナ共ゲルなど)などの無機酸化物ゲルの調製方法もまた、当該技術分野では公知である。このようなゲルを調製するための方法は、米国特許第4,226,743号に記載され、その内容は、参照により本明細書に援用される。一般的に、アルミナゲルは、アルカリ金属アルミン酸塩及び硫酸アルミニウムを混合することにより調製される。共ゲルは、複合ゲルが形成されるよう2種の金属酸化物を共ゲル化させることにより調製される。例えば、シリカアルミナ共ゲルは、アルカリ金属ケイ酸塩を酸又は酸塩とともにゲル化し、次にアルカリ金属アルミン酸塩を添加し、混合物をエージングした後、硫酸アルミニウムを添加することにより調製できる。次に、従来法を用いゲルを洗浄する。本発明の別の実施形態は、特定の沈殿無機酸化物の分散体から誘導される。例えば、特定の沈殿シリカをミリングすることにより、以下に記載され、
図1に例示される多孔性を有する分散体が得られる。米国特許第4,157,920号に記載のものなどの、強化された沈殿シリカもまた、本発明の分散体を調製するのに使用できる。当該特許文献の内容は、参照により本明細書に援用される。例えば、強化された沈殿シリカは次のように調整され得る。まず、アルカリ無機珪酸塩を酸性化して、初期沈殿させる。次に、得られる沈殿物を強化する、つまり追加の珪酸塩及び酸により「後処理(post conditioned)」する。珪酸塩及び酸の2回目の添加により得られた沈殿物は、最初に調製された沈殿物を10~70重量%含む。2回目の沈殿の結果、構造の強化されたこの沈殿物は、従来の沈殿物よりも堅固であるものと考えられる。親分散体のための無機酸化物が選択された後で、選択された無機酸化物の液相が調製される。一般的に、親分散体は、湿潤ミリングされ得る状態である必要がある。液相のための媒質は、水性又は非水性、例えば有機性であってよい。液相は、脱水されているもののまだ乾燥しきってはいない無機酸化物ゲル中に存在する残留水であってよく、無機酸化物ゲルには、ゲルを再スラリー化するため追加して水が加えられる。
【0049】
別の実施形態例では、乾燥無機酸化物、例えば、キセロゲルは、液体媒質中に分散される。更に別の実施形態では、無機酸化物は、反応体又は溶媒又は媒質として続けて使用され、本発明の生物学的に活性な組成物を形成する液体混合物中に分散され得る。いくつかの実施形態では、親分散体は、次にミリングされる。ミリングは、「湿潤」下で、すなわち液体媒質中で実施される。一般的なミリング条件は、供給材料、滞留時間、回転速度、及びミリング媒質粒径に応じ変化し得る。所望の分散体を得るためのこれらの条件を選択及び修正する方法は、当業者に公知である。親無機酸化物粒子のミリングに使用されるミリング装置は、十分にミリングし、かつ例えば、機械的作用により、所望の大きさを有する粒子へと材料を減寸させることのできるタイプのものであるべきである。このようなミルは市販されており、流体エネルギーミル、ハンマーミル、及びサンドミルは、この目的に際し特に好適である。ハンマーミルは高速金属羽根により必要な機械的作用を付与し、及びサンドミルはジルコニア又はサンドビーズなどの媒質を急速に撹拌することによる作用を付与する。衝撃式ミルもまた使用できる。衝撃式ミル及びハンマーミルのいずれもが、金属羽根で無機酸化物に衝撃を加えることにより粒径を低減させる。次に、最終産物として、3ミクロン以下の粒子を含む分散体が回収される。気硬性(air-set)無機酸化物ゲルなどの他の実施形態では、ミリングは必要とされない。このようなゲルは、適切な媒質、一般的には水中に回収する前に、飛散中に、混合物がゲル化するような濃度で、アルカリ金属溶液(例えば、ケイ酸ナトリウム)と適切な酸(例えば、硫酸)との均質混合物をエアスプレーすることにより形成される。得られるあらゆる分散体又は粉体はまた、更に加工してよい。例えば、分散剤による補助を用いずに比較的安定な分散体を調製する必要がある場合、あるいは所望されるよりも大型の粒子が多量に存在する場合、更に加工することが望ましい。同様に、本質的に全ての粒子の分布を確実に特定の大きさよりも小さくする必要がある場合には、更に加工する必要がある。このような場合、分散体又は粉体が加工されて、大型の粒子から小型の粒子が分離される。この分離は、無機酸化物粒子を上清相と沈殿相に遠心分離することによりなされ、上清相は最終産物である小型の粒子を含み、沈殿相は大型の粒子を含む。次に、例えば、デカンテーションにより、上清相を沈殿相から除去する。この相分離には、従来の遠心分離法が使用される。いくつかの例では、上清を2回、3回、又はそれより多い回数遠心分離して、初回の遠心分離後に残存している大型の粒子を更に除去することが好ましい場合もある。粉砕した分散体のうち大型の粒子を、通常の重力条件下で経時的に分離することができ、デカンテーションにより上清を除去することができることもまた、想到される。生成物の目標粒径に応じ、沈殿相も本発明の粒子とみなすことができる。粒子又は粉末の分散体はまた、粉砕後に改質して、確実に安定に分散させることもできる。安定化はpH調製、例えば、アルカリ物質の添加によって実施することができ、又は一般的な分散体の添加によって実施することができる。
【0050】
本発明の組成物の製造方法では、生物学的に活性な少なくとも1種の物質を無機酸化物に組み込む工程は、典型的には、溶媒法、初期湿潤法、溶融法、及びこれらの内の任意の組み合わせなどの様々なAPI内包機序を含む。
【0051】
本発明の一実施形態では、APIは、APIの揮発性溶媒系溶液を含浸させる手法により無機酸化物に組み込まれる。典型的には、物理的に吸着している水を除去するため、無機酸化物を150℃で30分間乾燥させる。続いて、無機酸化物にはAPIの揮発性溶媒系溶液を含浸させる。溶液中のAPI濃度は、典型的には、5~500mg/mLである
。溶媒系は、高純度溶媒又は(ore)溶媒混合物から構成され得る。溶媒は、脂肪族アル
コール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール)、塩素化炭化水素(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、四塩化炭素)、フッ素化アルコール(例えば、ヘキサフロロイソプロパノール)、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、及びこれらの組み合わせを含有し得る。含浸後、溶媒は蒸発により除去され、蒸発は、減圧(例えば、0.1kPa(0.001bar))及び高温(例えば、40、50又は60℃)下で達成され得る。
【0052】
本発明の別の実施形態では、溶融法は、生物学的に活性な種と、粉末又はスラリー形態の不規則性多孔質無機酸化物系材料とを、所望の薬剤内包重量比(例えば、最大で重量の約30%が薬剤)で物理的に混合することを包含し、混合物が調製され、高温(例えば、190℃)で比較的短時間(例えば、5分間)加熱される。この初期加熱後、所望により混合物を迅速に振盪し、同様の一定時間にわたって同様の高温で再度加熱してもよい。冷却後次に、得られる粉末を、好ましくは減圧下(例えば、0.1kPa(10-3bar
))、約40℃にて、有意な一定時間にわたって(例えば、48時間)貯蔵してもよい。「溶融法」の一例は、例えば、イトラコナゾール/不規則性多孔質無機酸化物の重量比約30:70~約20:80のイトラコナゾールと不規則性多孔質無機酸化物(例えば、不規則性多孔質シリカ粉末又はスラリー)の物理的混合物を調製し、190℃で5分間加熱することを含む。この初期加熱後、混合物は迅速に振盪され、190℃下に5分間戻す。粉末を減圧下(0.1kPa(10-3bar))、40℃にて48時間にわたって貯蔵
する。
【0053】
本発明の組成物の製造方法には、限定するものではないが、生物学的に活性な物質及び不規則性無機酸化物を含有する組成物を最終的な剤形に配合すること、などの1つ以上の追加の工程を包含させてもよい。最終的な剤形は、患者に投与される方式に応じて変化するであろう。例えば、それらは、液体剤形、固体剤形及び半固体剤形であってもよい。経口剤形としては、経腸、頬側、口唇下(sublabial)、舌下及び気道適用のための剤形が
挙げられる。経腸又は消化管剤形としては、固体剤形、例えば、丸剤、錠剤、カプセル剤、徐放剤、頬側剤、口唇下(sublabial)剤などを挙げることもでき、あるいは舌下剤形としては固体剤形を挙げることもできる(例えば、口腔内崩壊錠、フィルム、ロリポップ、口内錠(lozenges)、チューインガムなど)。経皮剤形としては、液体及び固体形態が挙げられる(例えば、軟膏、塗布薬、ペースト、フィルム、ヒドロゲル、クリーム、ローション、リップクリーム、薬用シャンプー、皮膚貼付剤、経皮貼付剤、経皮スプレー)。
【0054】
本発明の一実施形態では、生物学的に活性な物質及び不規則性無機酸化物を含有する組成物を最終的に経口剤形、例えば、丸剤又は錠剤などにする。これには医薬的に許容可能な1種以上の賦形剤を包含することができ、及び前出の生物学的に活性な物質の生体内での直後の若しくは迅速な放出に好適であり得るか、又は薬物の放出に好適なものであり得る。更に、少なくとも1種の過飽和安定化剤、例えば、HPMCE5、PVFK-30を含ませてもよい。生物学的に活性な物質及び不規則性無機酸化物を含有する組成物の調製に使用する生産方法は問わず、溶媒によるものであろうと無溶媒であろうと、最終的な剤形が医薬的に許容可能な1種以上の賦形剤を含むとき、それらは、生物学的に活性な物質を不規則性無機酸化物の細孔に内包するよう設計された工程、あるいはその後の分離工程など、プロセス中の任意の時点で導入することができる。本発明において使用される医薬組成物には、例えば、ヒドロコロイド(キサンタンガムなど)、結合剤、流動促進剤、潤滑剤、界面活性剤及び希釈剤から選択された医薬的に許容可能な1種以上の賦形剤を更に含ませてもよい。本明細書で使用するとき、用語「医薬的に許容され得る賦形剤」は、それ自体は治療及び/又は予防効果を何ら有しないものの、配合される薬剤若しくは生物学的に活性な物質、又は医薬成分の治療若しくは予防特性に悪影響をおよぼすものではないという観点から不活性である、任意の物質を指すことを意図する。このような賦形剤の性
質及び量は本発明にとって決定的なものではない。このような賦形剤としては、例えば、希釈剤(例えば、乳糖、炭酸カルシウム、デキストロース又は微結晶セルロース)、結合剤(デンプン、ゼラチン、水溶性アクリル(コ)ポリマー、ポリビニル-ピロリドン、ポリアミノ酸、エチレン-酢酸ビニルコポリマー及び同様物)、崩壊剤(例えば、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)が挙げられる。
【0055】
更には、本発明は、本明細書に開示される任意の組成物の使用法も目的とする。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、薬剤として使用され得る。本発明は、本発明による医薬組成物を薬剤として使用する別の特定の態様に関し、組成物は、経口、皮下、筋肉内又は静脈内に投与される。一部の実施態様では、本発明の組成物の使用方法は、生物学的に活性な少なくとも1種の物質を患者に送達するよう組成物を患者に投与することを含み、組成物は、生物学的に活性な少なくとも1種の物質及び無機酸化物を含み、無機酸化物は、約25オングストローム~約150オングストロームの平均細孔径を有する細孔と、窒素ポロシメトリーにより測定したときに、約0.5cc/g以上の細孔容積を有する細孔と、窒素吸着により測定したときに、約300m2/g以上のBET表面積と含む、不規則性多孔質材料を含む。例えば、いくつかの実施形態では、本発明に従う組成物は、経口、頬側、舌下、歯周、経膣、経腸、経皮的及び局所的な手段を含む多様な手段により投与され得る。
【0056】
本発明の組成物の使用方法は、限定するものではないが、当該技術分野において公知の医薬組成物を投与することなどの、1つ以上の追加工程を含んでもよい。
【0057】
本発明で使用される不規則性多孔質材料は、生物学的に活性な様々な物質(例えば、API)に所望される、結晶形態のAPIの溶解では達成不可能である濃度でAPIが放出されるなどの溶解速度プロファイルを与えることが判明している。
【0058】
いくつかの実施形態では、治療量のAPIを生理学的に関連する量の生理学的に関連する媒質(すなわち、ヒト胃腸管液に代表的な媒質)に暴露して、結晶形態の薬剤を溶解させることにより得ることのできる濃度を超過する過飽和濃度への上昇をもたらし、それによって、試験管内実験中に記録される濃度対時間プロファイル下の面積を、結晶形態のものと同等以上、又は2~10倍大きく、又は3~10倍大きく、又は5~10倍大きくする。溶解速度は、ヒトの生体内条件を模倣する媒質及び条件を利用して、試験管内試験により測定することもできる。例えば、胃腸の条件を模倣する目的で、正確に秤量されたAPI内包無機酸化物を一定量の放出媒質、例えば、SGF又はFaSSIFに分散させ、所定の時点で複数のサンプルを回収することにより、試験を実施することもできる。次に、無機酸化物は濾過により除去され、この後、濾液(すなわち、媒質)は、有効なHPLC法を利用してAPI濃度についてアッセイされる。
【0059】
無機酸化物は異なっていて区別できる2以上のタイプの不規則性多孔質材料を含み得るものであり、生物学的に活性な単一の物質(又は2以上の異なる生物学的に活性な物質)についての複合溶解プロファイルを形成するように、区別できるそれぞれのタイプの不規則性多孔質材料が生物学的に活性な単一の物質(又は2以上の異なる生物学的に活性な物質)についての1つの特有の溶解速度プロファイルを与えることは理解されたい。生物学的に活性な単一の物質(又は2以上の異なる生物学的に活性な物質)についての所与の複合溶解速度プロファイルは、いずれのタイプの不規則性多孔質材料についてのいずれの特有の溶解速度プロファイルと比較しても大きな、生物学的に活性な単一の物質(又は2以上の異なる生物学的に活性な物質)についての全体的な溶解速度を経時的に与える。
【0060】
本発明は、上述され、更に以下の実施例により実証されるものの、決して本発明の範囲に制限を課するものとして解釈されるものではない。反対に、本明細書の記述を読了後、
当業者は実施がそれらの多様なその他の実施形態、改変及び等価物も有し得ること、本発明の趣旨及び/又は添付の特許請求の範囲から逸脱せずともそれらが想到され得ることを明瞭に理解するであろう。
【実施例0061】
これらの実施例では、シリカが不規則性無機酸化物として利用される。しかしながら、本明細書に記載の物理特性を有している場合に限り、任意の無機酸化物を使用することができる。実施例において使用するために選択される本発明のシリカ試料(試料1、2及び3)は、次の手順を用い作製される:オーバーヘッドスターラーを取り付けた反応器に19%硫酸溶液190gを入れ、5℃に冷却した。別個に、263gのケイ酸ナトリウム溶液(22.9% SiO2)もまた5℃に冷却した。続いて、ポンプにより、ケイ酸の全量が15分間で添加されるような速度でケイ酸ナトリウム溶液を硫酸溶液に加えた。添加中、温度は5℃に維持した。添加の完了後、反応器は室温に加温して、撹拌せずに内容物をゲル化させた。ゲル化後、ゲル塊を小片に切り出し、反応時に形成された硫酸ナトリウムを除去する目的で水中に浸漬させた。洗浄水を抜き、ゲルに新しい水を加える度に、物質中に残存する硫酸ナトリウム濃度を定期的に確認した。濃度が1%未満に低下したときにゲルを水に懸濁し、液体のpHをpH=9.7に調整し、溶液を67℃に加熱した。温度は20時間20分維持した。加熱時間の終了時に、ゲルを濾過により回収し、ゲルの湿分含量が約5重量%未満になるまで160℃の炉で乾燥させた。このようにして得られたシリカゲルは325m2/gの窒素BET表面積及び1.24cc/gの窒素細孔容積を有した。推定される円筒細孔及び使用する等式:細孔径(オングストローム)=40000XPV/SA(この物質は153オングストロームの細孔径を示す)。続いて、ACMを利用して所望の粒径(75ミクロン)になるようゲルを粉砕し、次に所望の細孔径に達するまで、300℃のオートクレーブで熱水処理した。
【0062】
以下表1に示すシリカ粒子を本発明の実施例に使用した。
【0063】
【0064】
実施例に記載の粒径は、Malvern Instruments Ltdにより利用可能であるMalvern Mastersizer 2000を使用して、ASTM B822-10で光散乱により求めた。細孔径分布は、Micromeritics Instrument Corpから利用可能であるAutopore IV 9520を使用し、水銀圧入法により測定される。本明細書で参照される細孔容積は、10,000A以下の細孔への水銀圧入を意味する。細孔径分布はまた、同様にMicromeritics lnstrument Corpから利用可能であるTristar 3000を使用し、窒素収着(BJH法)によっても測定される。BET表面積もまた、窒素収着解析から得られる。
【0065】
以下の全ての実施例では、溶媒含浸によりシリカ材料にAPIが内包された。内包前、
全てのシリカ材料は150℃で少なくとも1時間乾燥させて、物理的に吸着している水を除去した。続いて、シリカ材料を室温に冷却させた後、手作業により濃(20~150mg/mL)APIの塩化メチレン溶液を浸含させた。含浸後、サンプルを少なくとも4時間減圧(0.1kPa(10-3bar))下で乾燥させて溶媒を除去した。
【0066】
メタノールを用い、シリカ材料からAPIを抽出することにより、内包シリカ粉末中の総API含量を求めた。正確に秤量したAPI内包シリカを20mL容量のフラスコに量り入れ、メタノールにより用量に合わせた。1時間平衡化させた後、濾過によりシリカを除去し、高速液体クロマトグラフィーと紫外線検出(HPLC-UV)を用い、APIについて濾液をアッセイした。
【0067】
以下の実施例では、示差走査熱量測定(DSC)を用い確認された通り、全ての内包シリカ粉末は結晶APIを欠いていた。
【0068】
全ての例で、正確に秤量したAPI内包シリカを一定量の放出媒質に分散させた後、所定の時点で複数のサンプルを回収することにより、試験管内溶解試験を実施した。全てのサンプルを0.45μmフィルターで濾過し、シリカ粒子又は沈殿薬剤を分離した後、HPLCを利用して、API濃度について濾液をアッセイした。具体的な条件(投与量、培地体積、培地組成の観点における)は、それぞれ個別の実施例について特異的なものである。
【0069】
実施例1-過飽和条件下における、絶食時小腸内擬似腸液(FaSSIF)中への低水溶性モデルの化合物(ダナゾール)の放出
この実施例では、以下表2に掲載するダナゾールを内包させたシリカ粉末を、過飽和条件下(すなわち、内包させたダナゾールの完全な放出が、平衡溶解度が過剰である濃度の生成と関連づけられる条件下)でFaSSIFに分散させた。2mgダナゾール投与量に相当する量の内包シリカ粉末を40mLのFaSSIFに分散させた。
【0070】
【0071】
図1は上掲の表2に示す通りのシリカ/ダナゾールの組み合わせ例からのダナゾールの経時的な試験管内放出プロファイルについてのグラフを示す。
図1に示す通り、実施例1は、試験した3種のシリカ材料の全てが、FaSSIFにおける平衡溶解度よりも十分に過剰な濃度でダナゾールを放出する能力を有していたことを実証する(
図1中点線により示す)。
【0072】
実施例2-過飽和条件下での擬似胃液(SGF)中への低水溶性モデル化合物(イトラコナゾール)の放出
この実施例では、以下表3に掲載するイトラコナゾールを内包させたシリカ粉末を、過飽和条件下(すなわち、内包させたイトラコナゾールの完全な放出が平衡溶解度が過剰である濃度の生成と関連づけられる条件下)でSGFに分散させた。2mgイトラコナゾール投与量に相当する量の内包シリカ粉末を20mLのSGFに分散させた。
【0073】
【0074】
図2は上掲の表3に示す通りのシリカ/イトラコナゾールの組み合わせ例からのイトラコナゾールの経時的な試験管内放出プロファイルについてのグラフを示す。
図2に示す通り、実施例2は、試験した3種のシリカ材料の全てが、SGFにおける平衡溶解度よりも十分に過剰な濃度でイトラコナゾールを放出する能力を有していたことを実証する(
図2中点線により示す)。
【0075】
実施例3-平衡濃度未満の条件下における、絶食時小腸内擬似腸液(FaSSIF)中への低水溶性モデルの化合物(フェノフィブラート)の放出
この実施例では、以下表4に掲載するフェノフィブラートを内包させたシリカ粉末を、平衡濃度未満の条件下(すなわち、内包させたフェノフィブラートの完全な放出が平衡溶解度未満である濃度の生成と関連づけられる条件下)でFaSSIFに分散させた。0.8mgフェノフィブラート投与量に相当する量の内包シリカ粉末を20mlのFaSSIFに分散させた。
【0076】
【0077】
図3は上掲表4に示す通りのシリカ/フェノフィブラートの組み合わせ例からのフェノフィブラートの経時的な試験管内放出プロファイルのグラフを示す。
図3に示す通り、実施例3は、試験した3種のシリカ材料の全てが、結晶形態のフェノフィブラートをFaSSIFに溶解させるよりも十分に過剰な濃度でフェノフィブラートを放出する能力を有していたことを実証する(
図3中下方の線により示す)。
【0078】
実施例4:複合放出プロファイルを得るための2種類のシリカの配合
この実施例では、以下表5に掲載するダナゾールを内包させたシリカ粉末の混合物を、0.5% Tween 80(pH 6.5)を添加したリン酸緩衝液を含む媒質に分散させた。1mgダナゾール投与量に相当する量の内包シリカ粉末を32mlの媒質に分散させた。
【0079】
最初にそれぞれのシリカ材料(シリカ2及びシリカ3)にダナゾールを内包させた後、両方の負荷シリカ粉末を1:1比で配合した。得られる配合物の放出プロファイルは、それぞれの成分の放出プロファイルを反映する(
図4)。シリカ材料のこのような組み合わせにより、用途に関する必要事項に従って、放出プロファイルを微調整することができる。
【0080】
【0081】
図4は上掲の表5に示す通りの異なる2種類のシリカ/ダナゾールの組み合わせ混合物例からのダナゾールの経時的な試験管内放出プロファイルのグラフを示す。
図4に示す通り、実施例4は、2種類のシリカを組み合わせて使用することにより、新規の濃度-時間プロファイルを得ることができる方法を例示する。
【0082】
本発明を、限られた数の実施形態により記載してきたが、これらの特定の実施形態は、本来であれば本明細書に記載され請求される本発明の範囲を制限することを意図するものではない。当業者であれば、本明細書に記載の実施形態例をもとに考察することで、更なる改変、等価物及び別の形態が可能であることは明白であり、実施例中並びに明細書の残部における全ての部及び割合(%)は、別途記載のない限り重量によるものである。更に、属性の特定のセット、計測の単位、条件、物理的状態、又は割合(%)を表すような、明細書又は請求項において引用される数字の任意の範囲は、そのような範囲内にあるいかなる数をも、そのように引用されるいかなる範囲内の、いかなる数字のサブセットも含めて、明確に言及されている場合には文字通りに含有するように、そうでない場合には含有しないように意図されている。例えば、下限、RL、及び上限、RUを備える数値範囲が開示される場合には、常に、その範囲内に該当する任意の数Rが具体的に開示されていることになる。具体的には、範囲内に従属する数Rが具体的に開示され:R=RL+k(RU-RL)、式中、kは1%ずつ増分する1%~100%の範囲の変数であり、例えば、kは、1%、2%、3%、4%、5%、...50%、51%、52%....95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である。更に、上記の通りに算出される、任意の2つの値Rにより表される任意の数値範囲もまた、同様に具体的に開示される。前述の記載及び添付の図面により、当業者には、本明細書において示し、かつ記載したものに加え、本発明の任意の改変が明白となろう。このような改変は添付の特許請求の範囲に該当するものと意図される。本明細書において引用した全ての刊行物は、参照によりその全体が援用される。