(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013918
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】固体電解コンデンサ、及び固体電解コンデンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 9/028 20060101AFI20230119BHJP
H01G 9/15 20060101ALI20230119BHJP
H01G 9/00 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
H01G9/028 F
H01G9/028 G
H01G9/15
H01G9/00 290H
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023393
(22)【出願日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】P 2021116081
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】株式会社トーキン
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】菅原 康久
(72)【発明者】
【氏名】石嶋 正弥
(72)【発明者】
【氏名】朝見 忠昌
(72)【発明者】
【氏名】保科 勇輔
(57)【要約】
【課題】リーク電流の増加を抑制することが可能な固体電解コンデンサを提供することである。
【解決手段】本発明の一態様にかかる固体電解コンデンサは、弁金属からなる陽極体と、陽極体の上に形成された誘電体層と、誘電体層の上に形成された固体電解質層と、を備える。固体電解質層は、誘電体層の上に形成された、単分子ドーパントが異質ドープされた第1の導電性高分子層と、第1の導電性高分子層の上に形成されたブロック層と、ブロック層の上に形成された、ドープ可能な官能基を持つ側鎖を複数具備した自己ドープ型導電性高分子からなる第2の導電性高分子層と、を有する。ブロック層は、第2の導電性高分子層から第1の導電性高分子層への自己ドープ型導電性高分子の移動、及び/又は、第2の導電性高分子層から多孔質状の陽極体の孔内への自己ドープ型導電性高分子の移動、をブロックする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁金属からなる陽極体と、
前記陽極体の上に形成された誘電体層と、
前記誘電体層の上に形成された固体電解質層と、を備え、
前記固体電解質層は、
前記誘電体層の上に形成された、単分子ドーパントが異質ドープされた第1の導電性高分子層と、
前記第1の導電性高分子層の上に形成されたブロック層と、
前記ブロック層の上に形成された、ドープ可能な官能基を持つ側鎖を複数具備した自己ドープ型導電性高分子からなる第2の導電性高分子層と、を有し、
前記ブロック層は、前記第2の導電性高分子層から前記第1の導電性高分子層への前記自己ドープ型導電性高分子の移動、及び/又は、前記第2の導電性高分子層から多孔質状の前記陽極体の孔内への前記自己ドープ型導電性高分子の移動、をブロックする、
固体電解コンデンサ。
【請求項2】
前記ブロック層は、高分子ドーパントが異質ドープされた導電性高分子を用いて形成されている、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項3】
前記ブロック層は、アミンまたはアミン塩を含む材料を用いて形成されている、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項4】
前記アミンまたは前記アミン塩を含む材料は、アミンを具備する自己ドープ型導電性高分子、及びアミンを具備する高分子ドーパントが異質ドープされた導電性高分子の少なくとも一つである、請求項3に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項5】
前記ブロック層は酸化防止剤を含む、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項6】
前記固体電解質層は、前記第1の導電性高分子層の上に、前記ブロック層と前記第2の導電性高分子層とが交互に複数層繰り返して積層されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項7】
前記第1の導電性高分子層は、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも一種を用いて形成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項8】
前記第2の導電性高分子層は、ドープ可能な官能基を持つ側鎖を複数具備した、ポリピロール、ポリチオフェン、またはポリアニリンからなる自己ドープ型導電性高分子を用いて形成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項9】
前記第2の導電性高分子層の平面部の膜厚に対する角部の膜厚の比が0.5以上1.5以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項10】
弁金属からなる陽極体と、
前記陽極体の上に形成された誘電体層と、
前記誘電体層の上に形成された固体電解質層と、を備え、
前記固体電解質層は、
前記誘電体層の上に形成された、単分子ドーパントが異質ドープされた第1の導電性高分子層と、
前記第1の導電性高分子層の上に形成された、ドープ可能な官能基を持つ側鎖を複数具備した自己ドープ型導電性高分子からなる第2の導電性高分子層と、を有し、
前記第2の導電性高分子層の平面部の膜厚に対する角部の膜厚の比が0.5以上1.5以下である、
固体電解コンデンサ。
【請求項11】
弁金属からなる陽極体と、
前記陽極体の上に形成された誘電体層と、
前記誘電体層の上に形成された固体電解質層と、を備え、
前記固体電解質層は、
前記誘電体層の上に形成されたブロック層と、
前記ブロック層の上に形成された、ドープ可能な官能基を持つ側鎖を複数具備した自己ドープ型導電性高分子からなる導電性高分子層と、を有し、
前記ブロック層は、前記導電性高分子層から多孔質状の前記陽極体の孔内への前記自己ドープ型導電性高分子の移動をブロックする、
固体電解コンデンサ。
【請求項12】
弁金属からなる陽極体の上に誘電体層を形成する工程と、
前記誘電体層の上に固体電解質層を形成する工程と、を備え、
前記固体電解質層を形成する工程は、
前記誘電体層の上に、単分子ドーパントが異質ドープされた第1の導電性高分子層を形成する工程と、
前記第1の導電性高分子層の上にブロック層を形成する工程と、
前記ブロック層の上に、ドープ可能な官能基を持つ側鎖を複数具備した自己ドープ型導電性高分子からなる第2の導電性高分子層を形成する工程と、を有し、
前記ブロック層は、前記第2の導電性高分子層から前記第1の導電性高分子層への前記自己ドープ型導電性高分子の移動、及び/又は、前記第2の導電性高分子層から多孔質状の前記陽極体の孔内への前記自己ドープ型導電性高分子の移動、をブロック可能な材料で形成する、
固体電解コンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固体電解コンデンサ、及び固体電解コンデンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器等の様々な分野において固体電解コンデンサが広く用いられている。特許文献1には、固体電解質として導電性高分子を用いた固体電解コンデンサに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、固体電解質として導電性高分子を用いた固体電解コンデンサに関する技術が開示されている。例えば、化学重合を用いて導電性高分子を形成した場合は、形成される導電性高分子の密度が低くなり、導電性高分子内に空隙が多く形成される。また、エッジの被覆性が悪いため、リーク電流が増加するという問題がある。
【0005】
また、化学重合を用いて導電性高分子を形成する方法の代わりに、例えば、塗料タイプである高分子ドーパントが異質ドープされた導電性高分子の分散溶液を用いて導電性高分子を形成した場合は、フィルム状の導電性高分子層が得られる。このようにして得られた導電性高分子層はフィルム状のため、化学重合を用いて導電性高分子を形成した場合に比べ、導電性高分子の密度が高いという利点がある。しかしながら、この形成方法の場合もエッジの被覆性が悪いため、リーク電流が増加するという問題が同様にある。
【0006】
また、塗料タイプである高分子ドーパントが異質ドープされた導電性高分子の分散溶液を繰り返し用いて導電性高分子層を厚く形成することで、十分にエッジが被覆された導電性高分子を得ることができる。しかしながらこの場合は、コンデンサ素子平面部も厚くなってしまうため、体積効率が低下し大容量の固体電解コンデンサが得られない。
【0007】
上記課題に鑑み本発明の目的は、リーク電流の増加を抑制することが可能な固体電解コンデンサ、及び固体電解コンデンサの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様にかかる固体電解コンデンサは、弁金属からなる陽極体と、前記陽極体の上に形成された誘電体層と、前記誘電体層の上に形成された固体電解質層と、を備える。前記固体電解質層は、前記誘電体層の上に形成された、単分子ドーパントが異質ドープされた第1の導電性高分子層と、前記第1の導電性高分子層の上に形成されたブロック層と、前記ブロック層の上に形成された、ドープ可能な官能基を持つ側鎖を複数具備した自己ドープ型導電性高分子からなる第2の導電性高分子層と、を有する。前記ブロック層は、前記第2の導電性高分子層から前記第1の導電性高分子層への前記自己ドープ型導電性高分子の移動、及び/又は、前記第2の導電性高分子層から多孔質状の前記陽極体の孔内への前記自己ドープ型導電性高分子の移動、をブロックする。
【0009】
本発明の一態様にかかる固体電解コンデンサは、弁金属からなる陽極体と、前記陽極体の上に形成された誘電体層と、前記誘電体層の上に形成された固体電解質層と、を備える。前記固体電解質層は、前記誘電体層の上に形成された、単分子ドーパントが異質ドープされた第1の導電性高分子層と、前記第1の導電性高分子層の上に形成された、ドープ可能な官能基を持つ側鎖を複数具備した自己ドープ型導電性高分子からなる第2の導電性高分子層と、を有し、前記第2の導電性高分子層の平面部の膜厚に対する角部の膜厚の比が0.5以上1.5以下である。
【0010】
本発明の一態様にかかる固体電解コンデンサは、弁金属からなる陽極体と、前記陽極体の上に形成された誘電体層と、前記誘電体層の上に形成された固体電解質層と、を備える。前記固体電解質層は、前記誘電体層の上に形成されたブロック層と、前記ブロック層の上に形成された、ドープ可能な官能基を持つ側鎖を複数具備した自己ドープ型導電性高分子からなる導電性高分子層と、を有し、前記ブロック層は、前記導電性高分子層から前記誘電体層への前記自己ドープ型導電性高分子の移動をブロックする。
【0011】
本発明の一態様にかかる固体電解コンデンサの製造方法は、弁金属からなる陽極体の上に誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層の上に固体電解質層を形成する工程と、を備える。前記固体電解質層を形成する工程は、前記誘電体層の上に、単分子ドーパントが異質ドープされた第1の導電性高分子層を形成する工程と、前記第1の導電性高分子層の上にブロック層を形成する工程と、前記ブロック層の上に、ドープ可能な官能基を持つ側鎖を複数具備した自己ドープ型導電性高分子からなる第2の導電性高分子層を形成する工程と、を有する。前記ブロック層は、前記第2の導電性高分子層から前記第1の導電性高分子層への前記自己ドープ型導電性高分子の移動、及び/又は、前記第2の導電性高分子層から多孔質状の前記陽極体の孔内への前記自己ドープ型導電性高分子の移動、をブロック可能な材料で形成する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、リーク電流の増加を抑制することが可能な固体電解コンデンサ、及び固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態にかかる固体電解コンデンサの断面図である。
【
図2】実施の形態にかかる固体電解コンデンサが備える固体電解質層の一例を示す断面図である。
【
図3】実施の形態にかかる固体電解コンデンサの断面図である。
【
図4】実施の形態にかかる固体電解コンデンサの製造方法を説明するためのフローチャートである。
【
図5】実施の形態にかかる固体電解コンデンサが備える固体電解質層の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態にかかる固体電解コンデンサの断面図である。
図1に示すように、本実施の形態にかかる固体電解コンデンサ1は、陽極体11、誘電体層12、固体電解質層13、陰極層16、導電性接着剤17、陽極リード18、外装樹脂19、及びリードフレーム20a、20bを備える。
【0015】
陽極体11は多孔質の弁金属を用いて構成されている。陽極体11は、例えば、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タングステン(W)から選択される少なくとも1種、またはこれらの金属同士の合金を用いることができる。特に、陽極体11は、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、及びニオブ(Nb)から選択される少なくとも1種、またはこれらの金属同士の合金を用いることが好ましい。陽極体11は、例えば、板状、箔状、または線状の弁金属、弁金属の微粒子を含む焼結体、エッチングによって拡面処理された多孔質の弁金属などを用いて形成される。
【0016】
誘電体層12は、陽極体11の表面に形成されている。例えば、誘電体層12は、陽極体11の表面を陽極酸化することで形成することができる。例えば、陽極体11の表面は多孔質であり、誘電体層12はこの多孔質の孔部にも形成される。例えば、陽極体11にタンタルを用いた場合は、陽極体11を陽極酸化することで、陽極体11の表面に酸化タンタル被膜(誘電体層12)を形成することができる。例えば、誘電体層12の厚みは、陽極酸化の電圧によって適宜調整することができる。
【0017】
固体電解質層13は、誘電体層12の上に形成されている。つまり、固体電解質層13は、誘電体層12の表面全体と接するように形成されている。固体電解質層13の詳細については後述する。
【0018】
陰極層16は、固体電解質層13の上に形成されている。陰極層16は、例えば、カーボン層と銀層とを積層することで形成することができる。なお、カーボン層および銀層は一例であり、陰極層16を構成する材料は導電性を示す材料であれば特に限定されることはない。
【0019】
上述のように、本実施の形態にかかる固体電解コンデンサ1は、陽極体11の上に、誘電体層12、固体電解質層13、陰極層16が順番に積層されている。陽極体11は陽極リード18を備えており、陽極リード18はリードフレーム20aに接続されている。例えば、陽極リード18は溶接によってリードフレーム20aに接続されている。また、陰極層16は導電性接着剤17を介してリードフレーム20bに接続されている。本実施の形態にかかる固体電解コンデンサ1は、2つのリードフレーム20a、20bの一部が外部に露出された状態で外装樹脂19により覆われている。
【0020】
次に、本実施の形態にかかる固体電解コンデンサ1が備える固体電解質層13の詳細について説明する。
図2は、本実施の形態にかかる固体電解コンデンサが備える固体電解質層の一例を示す断面図であり、
図1に示した固体電解コンデンサ1の誘電体層12および固体電解質層13付近の拡大断面図である。
【0021】
図2に示すように、固体電解質層13は、第1の導電性高分子層21、ブロック層22、及び第2の導電性高分子層23を備える。
【0022】
第1の導電性高分子層21は、誘電体層12の上に形成されている。第1の導電性高分子層21には、単分子ドーパントが異質ドープされた導電性高分子を用いることができる。例えば、第1の導電性高分子として、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも一種を用いることができる。本実施の形態において、第1の導電性高分子層21は化学重合を用いて形成される。
【0023】
ブロック層22は、第1の導電性高分子層21の上に形成されている。ブロック層22は、高分子ドーパントが異質ドープされた導電性高分子を用いて形成されている。高分子ドーパントが異質ドープされた導電性高分子は、フィルム状のブロック層(阻害層)として機能する。また、例えば、ブロック層22は、アミンまたはアミン塩を含む材料を用いて形成されていてもよい。アミンまたはアミン塩を含む材料を含む場合は、電気的捕捉によるブロック層(阻害層)として機能する。また、アミンまたはアミン塩を含む材料は、アミンを具備する自己ドープ型導電性高分子、及びアミンを具備する高分子ドーパントが異質ドープされた導電性高分子の少なくとも一つであってもよい。なお、本明細書では、同一分子内の極性基がドープすることを「自己ドープ」と表現し、異なる分子のドーパントがドープすることを「異質ドープ」と表現している。
【0024】
また、本実施の形態では、ブロック層22(阻害層)に酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤は、第1の導電性高分子層21の上、もしくは周辺に分散して形成してもよい。上述の通り、第1の導電性高分子層21には、単分子ドーパントが異質ドープされた導電性高分子が用いられている。このため第1の導電性高分子層21は、密度が低いスポンジ状であることが多く、酸化防止剤はこのスポンジ状の第1の導電性高分子層21に密着し易い性質を有する。よって、酸化防止剤は上述したブロック層22と同様にブロック機能を有する。
【0025】
更に、酸化防止剤は、外部酸素侵入による第1の導電性高分子層21における酸化劣化を抑制する機能も有している。酸化防止剤は、プラスチック用に一般的に使用されているものを用いることができる。また、高い酸化防止性が得られることから、酸化防止剤として、フェノール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチル酸系化合物、およびベンゾトリアゾール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を用いることが好ましい。
【0026】
ブロック層22は、上述の材料を単独で使用して形成してもよく、また、上述の材料を複数組み合わせて形成してもよい。換言すると、ブロック層22は単層であってもよく、複数層であってもよい。例えば、酸化防止剤を用いてブロック層22を形成する場合は、第1の導電性高分子層21の上に酸化防止剤を含むブロック層22(単層)を形成してもよい。また、第1の導電性高分子層21の上に酸化防止剤を含む第1のブロック層を形成し、当該第1のブロック層の上に高分子ドーパントが異質ドープされた導電性高分子を含む第2のブロック層を形成して、複数層のブロック層22を形成してもよい。また、第1の導電性高分子層21の上に酸化防止剤を含む第1のブロック層を形成し、当該第1のブロック層の上にアミンまたはアミン塩を含む第2のブロック層を形成して、複数層のブロック層22を形成してもよい。
【0027】
第2の導電性高分子層23は、ブロック層22の上に形成されている。第2の導電性高分子層23には、ドープ可能な官能基を持つ側鎖を複数具備した自己ドープ型導電性高分子を用いることができる。例えば、第2の導電性高分子として、ドープ可能な官能基を持つ側鎖を複数具備した、ポリピロール、ポリチオフェン、またはポリアニリンからなる自己ドープ型導電性高分子を用いて形成することができる。自己ドープ型導電性高分子を用いて、第2の導電性高分子層23を複数回形成する場合、自己ドープ型導電性高分子と自己ドープ型導電性高分子の間にブロック層22を形成してもよい。すなわち、第1の導電性高分子層21の上に、ブロック層22と第2の導電性高分子層23とを交互に複数層繰り返して積層してもよい。
【0028】
本実施の形態においてブロック層22は、第2の導電性高分子層23から第1の導電性高分子層21への自己ドープ型導電性高分子の移動をブロックする。また、本実施の形態においてブロック層22は、第2の導電性高分子層23から多孔質状の陽極体11(
図1参照)の孔内への自己ドープ型導電性高分子の移動をブロックしてもよい。
【0029】
このように本実施の形態では、第1の導電性高分子層21と第2の導電性高分子層23との間にブロック層22を設けているので、第2の導電性高分子層23を構成している自己ドープ型導電性高分子が第1の導電性高分子層21や多孔質状の陽極体11の孔内に移動することをブロックできる。したがって、第2の導電性高分子層23の形状を保つことができ、第2の導電性高分子層23のエッジ被覆性が悪化することを抑制できる。よって、固体電解コンデンサのリーク電流の増加を抑制することができる。
【0030】
本実施の形態おいて、第2の導電性高分子層23(外側に形成された導電性高分子層)の平面部の膜厚に対する角部の膜厚の比は0.5以上1.5以下、好ましくは0.7以上1.5以下、更に好ましくは1.0以上1.4以下である。
【0031】
ここで平面部の膜厚に対する角部の膜厚の比は、
図3に示す第2の導電性高分子層23の平面部の膜厚t1に対する角部の膜厚t2の比(=t2/t1)である。平面部は陽極体11の平坦な部分に対応しており、典型的には陽極体11の中央部付近である。角部は陽極体11のエッジ(角)に対応しおり、角部の膜厚t2は、ブロック層22の角部の表面から第2の導電性高分子層23の角部までの膜厚である。
【0032】
本実施の形態では、第2の導電性高分子層23の平面部の膜厚に対する角部の膜厚の比を0.5以上1.5以下としているので、陽極体11のエッジ部分を第2の導電性高分子層23で確実に覆うことができる。したがって、固体電解コンデンサのリーク電流の増加を抑制することができる。
【0033】
次に、本実施の形態にかかる固体電解コンデンサの製造方法について説明する。
図4は、本実施の形態にかかる固体電解コンデンサの製造方法を説明するためのフローチャートである。以下では、
図1、
図2を参照しつつ、固体電解コンデンサの製造方法について説明する。
【0034】
本実施の形態にかかる固体電解コンデンサを製造する際は、まず、陽極体11を形成する(ステップS1)。陽極体11には弁金属を用いることができる。弁金属としては、上述の材料を用いることができる。
【0035】
次に、陽極体(弁金属)11を陽極酸化して、陽極体11の表面に誘電体層12を形成する(ステップS2)。その後、誘電体層12の上に、第1の導電性高分子層21を形成する(ステップS3)。第1の導電性高分子層21には、単分子ドーパントが異質ドープされた導電性高分子を用いることができる。例えば、第1の導電性高分子として、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも一種を用いることができる。本実施の形態において、第1の導電性高分子層21は化学重合を用いて形成される。例えば、化学重合を用いて第1の導電性高分子層21を形成した後、溶媒(水、アルコールなど)を用いて洗浄することで未反応物や酸化剤等の残渣を除去できる。
【0036】
一例を挙げると、誘電体層12が形成された陽極体11(以下、単に陽極体11とも記載する)をp-トルエンスルホン酸鉄III水溶液に浸漬した後、乾燥し水分を除去して誘電体層12上に酸化剤の結晶を作製する。次に、陽極体11を3,4-エチレンジオキシチオフェンの原液に浸漬し、酸化剤の結晶と化学重合反応させる。その後、水、アルコールによる洗浄を行い、未反応物や酸化剤の残渣を除去する。このような処理により、誘電体層12の表面上に、第1の導電性高分子層21を形成することができる。なお、上述した第1の導電性高分子層21の形成方法は一例であり、本実施の形態では他の方法を用いて第1の導電性高分子層21を形成してもよい。
【0037】
次に、第1の導電性高分子層21の上にブロック層22を形成する(ステップS4)。ブロック層22は、高分子ドーパントが異質ドープされた導電性高分子を用いて形成することができる。例えば、ブロック層22は、アミンまたはアミン塩を含む材料を用いて形成してもよい。ここで、アミンまたはアミン塩を含む材料は、アミンを具備する自己ドープ型導電性高分子、及びアミンを具備する高分子ドーパントが異質ドープされた導電性高分子の少なくとも一つであってもよい。また、酸化防止剤を用いてブロック層22を形成してもよい。ブロック層22は、上述の材料を単独で使用して形成してもよく、また、上述の材料を複数組み合わせて形成してもよい。換言すると、ブロック層22は単層であってもよく、複数層であってもよい。
【0038】
次に、ブロック層22の上に第2の導電性高分子層23を形成する(ステップS5)。第2の導電性高分子層23には、ドープ可能な官能基を持つ側鎖を複数具備した自己ドープ型導電性高分子を用いることができる。例えば、第2の導電性高分子として、ドープ可能な官能基を持つ側鎖を複数具備した、ポリピロール、ポリチオフェン、またはポリアニリンからなる自己ドープ型導電性高分子を用いて形成することができる。
【0039】
一例を挙げると、第2の導電性高分子層23の材料を含む溶液に、ブロック層22を形成した後の陽極体11を浸漬し、所定の温度で所定時間、乾燥することで、第2の導電性高分子層23を形成することができる。なお、上述のように、ブロック層22の形成(ステップS4)と第2の導電性高分子層23の形成(ステップS5)とを交互に複数回繰り返してもよい。この場合は、第1の導電性高分子層21の上に、ブロック層22と第2の導電性高分子層23とが交互に複数層積層される。
【0040】
第2の導電性高分子層23を形成した後、陰極層16を形成する(ステップS6)。陰極層16は、例えば、カーボン層と銀層とを積層することで形成することができる。
【0041】
次に、リードフレーム(電極)20a、20bを形成する(ステップS7)。具体的には、溶接によって、陽極リード18にリードフレーム20aを接続する。また、導電性接着剤17を用いて、陰極層16にリードフレーム20bを接続する。
【0042】
その後、外装樹脂19を形成する(ステップS8)。このとき、2つのリードフレーム20a、20bの一部が外部に露出するように外装樹脂19を形成する。外装樹脂19に使用する樹脂は特に制限はないが、熱硬化性エポキシ樹脂や、液状樹脂を硬化させる方法などを用いることができる。
【0043】
以上で説明した固体電解コンデンサの製造方法を用いることで、本実施の形態にかかる固体電解コンデンサを製造することができる。
【0044】
以上で説明したように、本実施の形態では、第1の導電性高分子層21と第2の導電性高分子層23との間にブロック層22を設けている。したがって、第2の導電性高分子層23を構成している自己ドープ型導電性高分子が第1の導電性高分子層21や多孔質状の陽極体11の孔内に移動することをブロックできる。よって、第2の導電性高分子層23の形状を保つことができ、第2の導電性高分子層23のエッジ被覆性が悪化することを抑制できる。したがって、固体電解コンデンサのリーク電流の増加を抑制することができる。
【0045】
次に、本実施の形態にかかる固体電解コンデンサの他の構成例について説明する。
図5は、本実施の形態にかかる固体電解コンデンサが備える固体電解質層の他の例を示す断面図である。
図5に示す固体電解質層13aは、ブロック層31および導電性高分子層32を備える。
【0046】
ブロック層31は、誘電体層12の上に形成されている。ブロック層31は、高分子ドーパントが異質ドープされた導電性高分子を用いて形成されている。高分子ドーパントが異質ドープされた導電性高分子は、フィルム状のブロック層(阻害層)として機能する。また、例えば、ブロック層31は、アミンまたはアミン塩を含む材料を用いて形成されていてもよい。アミンまたはアミン塩を含む材料を含む場合は、電気的捕捉によるブロック層(阻害層)として機能する。また、アミンまたはアミン塩を含む材料は、アミンを具備する自己ドープ型導電性高分子、及びアミンを具備する高分子ドーパントが異質ドープされた導電性高分子の少なくとも一つであってもよい。
【0047】
導電性高分子層32は、ブロック層31の上に形成されている。導電性高分子層32には、ドープ可能な官能基を持つ側鎖を複数具備した自己ドープ型導電性高分子を用いることができる。例えば、導電性高分子として、ドープ可能な官能基を持つ側鎖を複数具備した、ポリピロール、ポリチオフェン、またはポリアニリンからなる自己ドープ型導電性高分子を用いて形成することができる。
【0048】
本実施の形態においてブロック層31は、導電性高分子層32から多孔質状の陽極体11(
図1参照)の孔内への自己ドープ型導電性高分子の移動をブロックする。
【0049】
図5に示す構成では、誘電体層12と導電性高分子層32との間にブロック層31を設けているので、導電性高分子層32を構成している自己ドープ型導電性高分子が多孔質状の陽極体11の孔内に移動することをブロックできる。したがって、導電性高分子層32の形状を保つことができ、導電性高分子層32のエッジ被覆性が悪化することを抑制できる。よって、固体電解コンデンサのリーク電流の増加を抑制することができる。
【0050】
図5に示す構成において、導電性高分子層32の平面部の膜厚に対する角部の膜厚の比は0.5以上1.5以下、好ましくは0.7以上1.5以下、更に好ましくは1.0以上1.4以下である。
【実施例0051】
以下、本発明を実施例に基づき更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0052】
<実施例1>
弁金属としてのタンタル微粉末の焼結体を、リン酸水溶液中において50Vで陽極酸化し、タンタル微粉末の焼結体の表面全体に酸化タンタルからなる誘電体層を形成してコンデンサ素子を形成した。
【0053】
次に、酸化剤兼ドーパントである30wt%のp-トルエンスルホン酸第二鉄メタノール溶液に、表面処理剤層で被覆されたコンデンサ素子を10分間浸漬した後、室温で30分間乾燥させた。その後、導電性高分子を与える単量体であるチオフェン誘導体の3,4‐エチレンジオキシチオフェンに10分間浸漬して室温で30分間保持して3,4‐エチレンジオキシチオフェンの重合を行った。その後、エタノールに浸漬して未反応物および酸化剤残渣の洗浄を行った。これら酸化剤の充填、3,4‐エチレンジオキシチオフェンの充填及び洗浄を行う一連の重合操作を8回繰り返して、p-トルエンスルホン酸がドープされたポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)からなる第1の導電性高分子層を誘電体層上に形成した。
【0054】
次に、高分子ドーパントであるポリスチレンスルホン酸(PSS)がドープされた導電性高分子の分散液であるPEDOT-PSS水分散液へ、第1の導電性高分子層が形成されたコンデンサ素子を浸漬・引き上げた後、120℃で30分乾燥を行いフィルム状の導電性高分子からなるブロック層を第1の導電性高分子層上に形成した。
【0055】
次に、ドープ可能な官能基を持つ側鎖を複数具備した自己ドープ型PEDOTが溶解した導電性高分子水溶液へ、ブロック層が形成されたコンデンサ素子を浸漬・引き上げた後、120℃で30分乾燥を行いフィルム状の導電性高分子を形成した。この操作を3回繰り返し、自己ドープ型導電性高分子からなる第2の導電性高分子層をブロック層上に形成した。
【0056】
第2の導電性高分子層を形成した後、グラファイトペーストにペレットを浸漬・引き上げた後、120℃で1時間乾燥を行い、グラファイト層を形成した。グラファイト層を形成した後、銀ペーストにペレットを浸漬・引き上げた後、120℃で1時間乾燥を行い、銀層を形成した。続いて、弁金属リードと電極とを溶接して接続した。また、導電性接着剤を用いて銀層と電極とを接続した。その後、外装樹脂を形成して固体電解コンデンサを作製した。
【0057】
作製時の検査におけるリーク電流不良率、第2の導電性高分子層の角部の膜厚、及び、第2の導電性高分子層の平面部の膜厚に対する角部の膜厚の比を表1に示す。膜厚、及び、膜厚の比は、作製後の固体電解コンデンサ20個を研磨し断面の観察を行い算出した。
【0058】
<実施例2>
PEDOT-PSSに代えて、1,10-デカンジアミンを用いてブロック層の形成を行う以外、実施例1と同様の方法で固体電解コンデンサを作製した。
【0059】
具体的には、1,10-デカンジアミン水溶液へ、第1の導電性高分子層が形成されたコンデンサ素子を浸漬・引き上げた後、105℃で20分乾燥を行い、1,10-デカンジアミンの結晶からなるブロック層を第1の導電性高分子層上に形成した。実施例1と同様に、作製時の検査におけるリーク電流不良率、第2の導電性高分子層の角部の膜厚、及び、第2の導電性高分子層の平面部の膜厚に対する角部の膜厚の比を表1に示す。
【0060】
<実施例3>
PEDOT-PSSに代えて、ドープ可能な官能基を持つ側鎖、及び、第二級アミンを持つ側鎖を複数具備した自己ドープ型PEDOTが溶解した導電性高分子水溶液を用いてブロック層の形成を行う以外、実施例1と同様の方法で固体電解コンデンサを作製した。
【0061】
具体的には、ドープ可能な官能基を持つ側鎖、及び、第二級アミンを持つ側鎖を複数具備した自己ドープ型PEDOTが溶解した導電性高分子水溶液へ、第1の導電性高分子層が形成されたコンデンサ素子を浸漬・引き上げた後、105℃で20分乾燥を行い、前記自己ドープ型PEDOTからなるブロック層を第1の導電性高分子層上に形成した。実施例1と同様に、作製時の検査におけるリーク電流不良率、第2の導電性高分子層の角部の膜厚、及び、第2の導電性高分子層の平面部の膜厚に対する角部の膜厚の比を表1に示す。
【0062】
<実施例4>
PEDOT-PSSに代えて、ヒドロキシベンゼン類を用いてブロック層の形成を行う以外、実施例1と同様の方法で固体電解コンデンサを作製した。
【0063】
具体的には、酸化防止機能を持つトリヒドロキシ安息香酸が溶解したエタノール溶液へ、第1の導電性高分子層が形成されたコンデンサ素子を浸漬・引き上げた後、室温下で60分乾燥を行い、酸化防止剤からなるブロック層を第1の導電性高分子層上に形成した。実施例1と同様に、作製時の検査におけるリーク電流不良率、第2の導電性高分子層の角部の膜厚、及び、第2の導電性高分子層の平面部の膜厚に対する角部の膜厚の比を表1に示す。
【0064】
<実施例5>
第1の導電性高分子層を誘電体層上に形成するまでは実施例1と同様の方法で固体電解コンデンサを作製した。
【0065】
その後、酸化防止機能を持つトリヒドロキシ安息香酸が溶解したエタノール溶液へ、第1の導電性高分子層が形成されたコンデンサ素子を浸漬・引き上げた後、室温下で60分乾燥を行い、酸化防止剤からなる第1のブロック層を第1の導電性高分子層上に形成した。
【0066】
次いで、実施例1と同様に、ドープ可能な官能基を持つ側鎖を複数具備した自己ドープ型PEDOTによる第2の導電性高分子層を形成した。その後、1,10-デカンジアミン水溶液へ、第2の導電性高分子層が形成されたコンデンサ素子を浸漬・引き上げた後、105℃で20分乾燥を行い、1,10-デカンジアミンの結晶からなる第2のブロック層を第2の導電性高分子層上に形成した。
【0067】
次いで、この第2のブロック層上に実施例1と同様に、ドープ可能な官能基を持つ側鎖を複数具備した自己ドープ型PEDOTによる第3の導電性高分子層を形成した。この第2のブロック層と第3の導電性高分子層の形成をもう一度繰り返し、第3のブロック層と第4の導電性高分子層を形成した。
【0068】
なお、このブロック層の形成と導電性高分子層(自己ドープ型PEDOT)の形成の繰り返しは、2~10回繰り返し行うことで、導電性高分子層の膜厚均一化につながる。
【0069】
実施例1と同様に、作製時の検査におけるリーク電流不良率、第2~第4の導電性高分子層の角部の膜厚、及び、第2~第4の導電性高分子層の平面部の膜厚に対する角部の膜厚の比を表1に示す。
【0070】
<比較例1>
ブロック層の形成を行わないこと以外、実施例1と同様の方法で固体電解コンデンサを作製した。実施例1と同様に、作製時の検査におけるリーク電流不良率、第2の導電性高分子層の角部の膜厚、及び、第2の導電性高分子層の平面部の膜厚に対する角部の膜厚の比を表1に示す。
【0071】
<比較例2>
自己ドープ型導電性高分子からなる第2の導電性高分子層を形成する代わりに、PEDOT-PSSを複数回用いて第2の導電性高分子層を形成した。それ以外は実施例1と同様の方法で固体電解コンデンサを作製した。
【0072】
具体的には、PEDOT-PSS水分散液へ、第1の導電性高分子層が形成されたコンデンサ素子を浸漬・引き上げた後、120℃で30分乾燥を行った。PEDOT-PSS水分散液への浸漬から乾燥までを8回繰り返し、フィルム状のPEDOT-PSSからなる第2の導電性高分子層を第1の導電性高分子層上に形成した。PEDOT-PSSからなる第2の導電性高分子層を形成した後、グラファイト層、銀層を順次形成し、実施例1と同様に固体電解コンデンサを作製した。実施例1と同様に、作製時の検査におけるリーク電流不良率、第2の導電性高分子層の角部の膜厚、及び、第2の導電性高分子層の平面部の膜厚に対する角部の膜厚の比を表1に示す。
【0073】
【0074】
表1に示すように、実施例1~5では、比較例1、2と比べて、リーク電流不良率が低かった。また、実施例1~5では第2の導電性高分子層の角部の膜厚、及び膜厚の比が良好な値を示した。
【0075】
なお、比較例1は、自己ドープ型導電性高分子からなる第2の導電性高分子層の形成時に、化学重合を用いて導電性高分子を形成した第1の導電性高分子層や、多孔質状の陽極体の孔内へ自己ドープ型導電性高分子が染み込んでしまい、第1の導電性高分子層上に第2の導電性高分子層が形成できなかった。
【0076】
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。