(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013920
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】センサ付きシート
(51)【国際特許分類】
A61B 5/107 20060101AFI20230119BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20230119BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20230119BHJP
A61B 5/113 20060101ALI20230119BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
A61B5/107 300
A61B5/02 310K
A61B5/11 100
A61B5/113
A61B5/0245 C
A61B5/0245 100C
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033076
(22)【出願日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2021116887
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕和
(72)【発明者】
【氏名】穂苅 敬浩
(72)【発明者】
【氏名】村山 勝
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA10
4C017AA14
4C017AB10
4C017AC04
4C038VA04
4C038VA20
4C038VB31
4C038VB33
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】高精度に着座者の着座状態や生体情報を検出することができるセンサ付きシートを提供する。
【解決手段】センサ付きシート1は、着座者による着座状態においてシートクッション12の受圧面12aからシートクッション12を介して伝達される圧力に応じた物理量を検出することにより、着座者の着座状態または着座者の生体情報を検出するセンサ装置3を備える。センサ装置3は、シートクッション12の反受圧面12bに向かって露出する面であって、シートクッション12の反受圧面12bから圧力を受ける露出検出面42aを備える。シートクッション12は、着座者がシート本体2に着座していない初期状態において、露出検出面42aに対する予圧縮量が露出検出面42aの周囲に対する予圧縮量よりも大きく設定されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートフレーム、および、前記シートフレームに取り付けられるシートクッションを備えるシート本体と、
前記シートフレームと前記シートクッションにおいて着座者から圧力を受ける受圧面の裏側に位置する反受圧面との間に配置され、着座者による着座状態において前記シートクッションの前記受圧面から前記シートクッションを介して伝達される圧力に応じた物理量を検出することにより、前記着座者の着座状態または前記着座者の生体情報を検出するセンサ装置と、
を備え、
前記センサ装置は、前記シートクッションの前記反受圧面に向かって露出する面であって、前記シートクッションの前記反受圧面から圧力を受ける露出検出面を備え、
前記シートクッションは、前記着座者が前記シート本体に着座していない初期状態において、前記露出検出面に対する予圧縮量が前記露出検出面の周囲に対する予圧縮量よりも大きく設定されている、センサ付きシート。
【請求項2】
前記センサ装置は、
前記露出検出面を有するセンサ本体と、
前記シートフレームに取り付けられ、前記センサ本体を収容し、窓開口部を形成するための窓枠を有し、前記窓開口部において前記センサ本体の前記露出検出面を露出させる筐体と、
を備え、
前記露出検出面は、前記窓開口部を介して前記シートクッションの前記反受圧面から圧力を受ける、請求項1に記載のセンサ付きシート。
【請求項3】
前記シートクッションは、前記初期状態において、前記露出検出面に対する予圧縮量が、前記露出検出面の前記周囲としての前記窓枠に対する予圧縮量よりも大きく設定されている、請求項2に記載のセンサ付きシート。
【請求項4】
前記シートクッションは、前記反受圧面に形成され、前記シートフレームに向かって突出し、前記初期状態において前記露出検出面に接触して予圧縮される凸部を備え、
前記露出検出面は、前記凸部から圧力を受ける、請求項2または3に記載のセンサ付きシート。
【請求項5】
前記凸部は、前記窓枠の内周面から隙間を有して配置されている、請求項4に記載のセンサ付きシート。
【請求項6】
前記シートクッションは、
前記露出検出面に接触する前記凸部と、
前記反受圧面に形成され、前記凸部の周囲に形成され、前記窓枠に接触する基準座面と、
を備える、請求項4または5に記載のセンサ付きシート。
【請求項7】
前記シートクッションは、さらに、
前記反受圧面に形成され、前記凸部と前記基準座面との境界に形成され、前記凸部の周縁に沿って形成され、前記センサ装置に非接触状態で配置される凹溝を備える、請求項6に記載のセンサ付きシート。
【請求項8】
前記シートクッションは、前記反受圧面に形成され、前記センサ装置を収容し、前記シートフレーム側に開口する収容凹部を備え、
前記収容凹部の底部は、前記凸部を備える、請求項4~7のいずれか1項に記載のセンサ付きシート。
【請求項9】
前記収容凹部の内周壁は、前記センサ装置に接触している、請求項8に記載のセンサ付きシート。
【請求項10】
前記シートクッションは、前記反受圧面に形成され、前記シートフレームに向かって突出し、前記初期状態において前記露出検出面に接触して予圧縮される凸部を備え、
前記露出検出面は、前記凸部から圧力を受ける、請求項1に記載のセンサ付きシート。
【請求項11】
前記シートクッションは、さらに、
前記反受圧面に形成され、前記凸部の周縁に沿って形成され、前記センサ装置に非接触状態で配置される凹溝を備える、請求項10に記載のセンサ付きシート。
【請求項12】
前記シートクッションは、前記反受圧面に形成され、前記センサ装置を収容し、前記シートフレーム側に開口する収容凹部を備え、
前記収容凹部の底部は、前記凸部を備える、請求項10または11に記載のセンサ付きシート。
【請求項13】
前記収容凹部の内周壁は、前記センサ装置に接触している、請求項12に記載のセンサ付きシート。
【請求項14】
前記凸部は、単一の弾性率を有する弾性層により構成される、請求項4~13のいずれか1項に記載のセンサ付きシート。
【請求項15】
前記凸部は、
第一弾性層と、
前記露出検出面の法線方向に前記第一弾性層に積層され、前記第一弾性層と異なる弾性率を有する第二弾性層と、
を備える、請求項4~13のいずれか1項に記載のセンサ付きシート。
【請求項16】
前記シートクッションは、前記初期状態において、前記露出検出面に対する予圧縮量が、前記露出検出面の前記周囲としての前記シートフレームに対する予圧縮量よりも大きく設定されている、請求項1~15のいずれか1項に記載のセンサ付きシート。
【請求項17】
前記センサ装置は、前記シート本体のシート座面部を構成する前記シートフレームと前記シートクッションとの間に配置され、
前記シートクッションは、
前記着座者の臀部を載置するためのシートクッション本体と、
前記シートクッション本体の左右方向の両端部から上方に膨出し、前記着座者の臀部を左右方向に位置決めするための一対の臀部サポート部と、
を備える、請求項1~16のいずれか1項に記載のセンサ付きシート。
【請求項18】
前記シートクッション本体の上方から見た場合に、前記センサ装置の前後方向の少なくとも一部は、前記一対の臀部サポート部の左右方向の対向領域に位置する、請求項17に記載のセンサ付きシート。
【請求項19】
前記一対の臀部サポート部の弾性率は、前記シートクッション本体の弾性率よりも大きく設定されている、請求項17または18に記載のセンサ付きシート。
【請求項20】
前記シートクッションは、さらに、前記シートクッション本体の前方であって左右方向の中央部から上方に膨出し、前記着座者の左右大腿部を左右方向および前後方向に位置決めするための大腿部間サポート部を備える、請求項17~19のいずれか1項に記載のセンサ付きシート。
【請求項21】
前記大腿部間サポート部の弾性率は、前記シートクッション本体の弾性率よりも大きく設定されている、請求項20に記載のセンサ付きシート。
【請求項22】
前記センサ装置は、前記着座者の座骨および仙骨の少なくとも一方の下方に位置する、請求項17~21のいずれか1項に記載のセンサ付きシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ付きシートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2には、シートにセンサを配置し、着座者の着座状態(着座姿勢など)や着座者の生体情報(呼吸、脈動、心拍など)を取得する構成が記載されている。特許文献1においては、センサを、シートフレームとシートクッションとの間に挟んで配置している。このセンサは、例えば、電磁波を水平方向に対する所定の照射角度で上方(着座している着座者)に向けて照射し、この反射波を受信して検波することで、着座者の脈動や呼吸に伴って発生する体表面変位を検出する。
【0003】
特許文献2においては、検出用の圧電センサを、シートクッションの中に配置している。また、シートクッションに凸部を設け、この凸部が圧電センサを押圧するように構成されている。また、特許文献3には、圧力を検出するセンサとして、圧電センサの他に、静電センサが適用されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6409466号公報
【特許文献2】特許第5887875号公報
【特許文献3】特開2020-167656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シートに圧電センサや静電センサなどの圧力を検出するセンサを設置して、着座者の着座状態や着座者の生体情報を取得する場合、センサが圧力を高精度に検出することが求められる。特許文献2においては、センサが、シートクッションに挟まれているため、センサが固定されていない。そのため、センサの位置が変化し、センサに入力される圧力も分散してしまい、センサが高精度に圧力を検出することができない。
【0006】
また、シートクッションは弾性変形可能に構成されているため、シートクッション自身の弾性変形によってシートクッションが受けた力を吸収してしまい、センサに力が伝達されにくくなる。そのため、センサが、高精度に圧力を検出することができない。
【0007】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、着座者の着座状態や生体情報を高精度に検出することができるセンサ付きシートを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、シートフレーム、および、前記シートフレームに取り付けられるシートクッションを備えるシート本体と、
前記シートフレームと前記シートクッションにおいて着座者から圧力を受ける受圧面の裏側に位置する反受圧面との間に配置され、着座者による着座状態において前記シートクッションの前記受圧面から前記シートクッションを介して伝達される圧力に応じた物理量を検出することにより、前記着座者の着座状態または前記着座者の生体情報を検出するセンサ装置と、
を備え、
前記センサ装置は、前記シートクッションの前記反受圧面に向かって露出する面であって、前記シートクッションの前記反受圧面から圧力を受ける露出検出面を備え、
前記シートクッションは、前記着座者が前記シート本体に着座していない初期状態において、前記露出検出面に対する予圧縮量が前記露出検出面の周囲に対する予圧縮量よりも大きく設定されている、センサ付きシートにある。
【発明の効果】
【0009】
上述したセンサ付きシートによれば、センサ装置は、シートフレームとシートクッションの反受圧面との間に配置されている。つまり、センサ装置は、シートフレームに配置されている。従って、センサ装置は、シートクッションの中に配置される場合に比べて、安定した位置決めが可能となる。
【0010】
さらに、センサ装置は、シートクッションの反受圧面に向かって露出する面であって、シートクッションの反受圧面から圧力を受ける露出検出面を備える。つまり、センサ装置の露出検出面が、シートクッションの反受圧面から圧力を受けることにより、センサ装置は、着座者の着座状態や生体情報を検出する。
【0011】
しかし、シートクッションは、着座者から付与される力を吸収する。そのため、着座者の着座状態の変化や生体が発する振動によって、シートクッションの受圧面に力が付与されたとしても、シートクッションが全てを吸収してしまうと、センサ装置が着座者の着座状態や生体情報を検出することができない。
【0012】
そこで、センサ装置の露出検出面には、着座者がシート本体に着座していない初期状態において、シートクッションによる予圧縮が付与されている。ただし、シートクッションは、初期状態において、センサ装置の露出検出面の周囲に対しても予圧縮を付与している。そして、シートクッションは、初期状態において、センサ装置の露出検出面に対する予圧縮量が露出検出面の周囲に対する予圧縮量よりも大きく設定されている。
【0013】
このように、センサ装置の露出検出面に対する予圧縮量が周囲よりも大きく設定されることで、着座者がシート本体に着座した際に、着座者からシートクッションに付与される力が極めて小さいとしても、当該力が、センサ装置の露出検出面に伝達される。従って、センサ装置の露出検出面は、シートクッションに付与される微小な圧力の変化を検出できる。
【0014】
つまり、着座者の着座状態が極めて僅かに変化した程度であったとしても、センサ装置の露出検出面は、当該変化に伴って伝達される微小な圧力変化を検出することができる。従って、高精度に、着座者の着座状態を検出することができる。また、呼吸、脈動、心拍などの生体が発する振動に伴って、着座者からシートクッションに付与される力の大きさは微小である。このような場合であっても、センサ装置の露出検出面は、当該生体が発する振動に伴って伝達される微小な圧力変化を検出することができる。従って、高精度に、着座者の生体情報を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態1のセンサ付きシートの断面図である。
【
図2】センサ付きシートを構成するセンサ装置の断面図である。
【
図3】センサ装置の上面図であって、
図2のIII方向から見た図である。
【
図4】センサ付きシートを構成する座面シートクッションの部分断面図である。
【
図5】座面シートクッションの収容凹部の部分の下面図であって、
図4のV方向から見た図である。
【
図6】実施形態1のセンサ付きシートにおける座面部のうちセンサ装置を含む部分の部分断面図である。
【
図7】実施形態2のセンサ付きシートを構成する座面シートクッションの部分断面図である。
【
図8】実施形態2のセンサ付きシートにおける座面部のうちセンサ装置を含む部分の部分断面図である。
【
図9】実施形態3のセンサ付きシートの断面図である。
【
図10】実施形態3のセンサ付きシートのシート座面部のみを示す図であって、
図9のX方向から見た図である。
【
図11】実施形態3のセンサ付きシートのシート座面部のみを示す図であって、
図9のXI方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態1)
1.センサ付きシート1の全体構成
センサ付きシート1の全体構成について
図1を参照して説明する。センサ付きシート1は、例えば、自動車や鉄道車両などの車両用シート、医療検査用シートなどに適用される。センサ付きシート1は、着座者の着座状態または着座者の生体情報を検出するために用いられる。検出対象である着座者の着座状態は、例えば、着座姿勢、着座姿勢の変化などを含む。検出対象である着座者の生体情報は、着座者の呼吸、脈動、心拍などを含む。
【0017】
例えば、センサ付きシート1が車両用シートのうち運転座席に適用される場合には、センサ付きシート1は、運転時における運転者による着座状態や運転者の生体情報を検出するために用いられる。
【0018】
センサ付きシート1は、
図1に示すように、シート本体2と、センサ装置3とを備える。シート本体2は、シートを構成する主要部材である。シート本体2は、シート座面部2a、シート背面部2b、ヘッドレスト2cを備える。ただし、シート本体2は、シート座面部2aのみにより構成されるようにしても良いし、シート座面部2aおよびシート背面部2bのみにより構成されるようにしても良い。
【0019】
シート座面部2aは、座面シートフレーム11、座面シートクッション12、および、座面表皮部材13を備える。座面シートフレーム11は、例えば、金属や硬質樹脂などの硬質材料により形成されており、設置面に取り付けられる。座面シートフレーム11は、板状、棒状などに形成される。
【0020】
座面シートクッション12は、発泡樹脂などの弾性材料により形成される。座面シートクッション12は、座面シートフレーム11の上面に積層して取り付けられる。座面シートクッション12の上面が、着座者の臀部により圧力を受ける面(受圧面)12aとなる。つまり、座面シートクッション12の下面、すなわち受圧面12aの裏側の面である反受圧面12bが、座面シートフレーム11に対向する。座面表皮部材13は、座面シートクッション12を被覆する。座面表皮部材13は、座面シートクッション12の少なくとも受圧面12aを被覆する。座面表皮部材13は、布、革などの材料により形成されている。
【0021】
シート背面部2bは、背面シートフレーム21、背面シートクッション22、および、背面表皮部材23を備える。背面シートフレーム21は、例えば、金属や硬質樹脂などの硬質材料により形成されている。背面シートフレーム21は、板状、棒状などに形成される。例えば、シート本体2にリクライニング機能を設ける場合には、背面シートフレーム21は、座面シートフレーム11に揺動可能に支持される。もちろん、背面シートフレーム21は、座面シートフレーム11に一体的に固定されるようにしても良い。
【0022】
背面シートクッション22は、発泡樹脂などの弾性材料により形成される。背面シートクッション22は、背面シートフレーム21の前方面に積層して取り付けられる。背面シートクッション22の前方面が、着座者の背部により圧力を受ける面(受圧面)となる。つまり、背面シートクッション22の後方面である反受圧面が、背面シートフレーム21に対向する。背面表皮部材23は、背面シートクッション22を被覆する。背面表皮部材23は、背面シートクッション22の少なくとも受圧面を被覆する。背面表皮部材23は、布、革などの材料により形成されている。
【0023】
ヘッドレスト2cは、シート背面部2bの上端に配置される。ヘッドレスト2cは、クッション31および表皮部材32を備える。ここで、
図1においては、シート座面部2aとシート背面部2bとを別体としたが、一体としても良い。また、シート背面部2bとヘッドレスト2cとを別体としたが、一体としても良い。
【0024】
センサ装置3は、座面シートフレーム11と座面シートクッション12の反受圧面12bとの間に配置される。ここで、着座者がシート本体2に着座することにより、着座者の臀部から座面シートクッション12の受圧面12aに圧力が付与され、当該圧力が座面シートクッション12を介して座面シートクッション12の反受圧面12bに伝達される。そして、座面シートクッション12の反受圧面12bからセンサ装置3が圧力を受ける。つまり、センサ装置3は、着座者による着座状態において、座面シートクッション12の受圧面12aから座面シートクッション12を介して伝達される圧力に応じた物理量を検出する。そして、センサ装置3は、検出した物理量に基づいて、着座者の着座状態または着座者の生体情報を検出する。
【0025】
ここで、センサ装置3は、シート座面部2aに配置したが、シート背面部2bに配置しても良い。この場合、センサ装置3は、背面シートフレーム21と背面シートクッション22との間に配置される。そして、センサ装置3は、着座者による着座状態において、背面シートクッション22の受圧面12aから背面シートクッション22を介して伝達される圧力に応じた物理量を検出する。そして、センサ装置3は、検出した物理量に基づいて、着座者の着座状態または着座者の生体情報を検出することができる。
【0026】
2.センサ装置3の構成
センサ装置3の構成について、
図2および
図3を参照して説明する。
図2および
図3は、センサ装置3単体、すなわち、シート本体2に組付ける前のセンサ装置3を示す。
【0027】
センサ装置3は、基板41と、センサ本体42と、筐体43とを備える。基板41は、電子回路を形成するための板部材である。基板41には、電子回路が形成されており、位置決め用の複数の孔が形成されている。
【0028】
センサ本体42は、圧電センサまたは静電センサにより構成される。本形態においては、センサ本体42は、シート状(膜状)に形成されている。センサ本体42は、座面シートクッション12の反受圧面12bから圧力を受けることにより圧縮変形することで、受けた圧力に対応する物理量を出力することができる。センサ本体42は、基板41の一方面(
図2の上面)に配置されている。本形態においては、センサ本体42は、基板41の中央付近に配置されている。
【0029】
センサ本体42は、圧電センサである場合には、第一電極層51、第二電極層52、圧電材料により形成される中間層53を備える。第一電極層51、中間層53および第二電極層52の順で積層されている。
【0030】
第一電極層51は、基板41に接触して配置される。第二電極層52は、第一電極層51における基板41とは反対側の面に対して距離を隔てて配置される。なお、第一電極層51および第二電極層52は、それぞれ1枚の導電性シートにより構成されるようにしても良い。
【0031】
また、第一電極層51および第二電極層52の一方が1枚の導電性シートにより構成され、他方がそれぞれ離間して配列された複数の導電性シートにより構成されるようにしても良い。さらに、第一電極層51および第二電極層52が、それぞれ複数の導電性シートにより構成されるようにしても良い。例えば、第一電極層51を構成する複数の導電性シートと第二電極層52を構成する複数の導電性シートとの対向位置が、1列に配列するように構成されたり、マトリックス状に配列するように構成されたりする。
【0032】
センサ本体42が圧電センサである場合の中間層53は、圧電材料により構成されており、第一電極層51と第二電極層52との間に挟まれている。中間層53は、センサ本体42の構成部材51,52,53の積層方向に圧縮力が付与された場合に、圧縮力に応じた電力を発生する。
【0033】
センサ本体42は、静電センサである場合には、第一電極層51、第二電極層52、誘電材料により形成される中間層53を備える。センサ本体42が圧電センサである場合と同様に、第一電極層51、中間層53および第二電極層52の順で積層されている。第一電極層51および第二電極層52は、センサ本体42が圧電センサである場合と同様に構成される。
【0034】
センサ本体42が静電センサである場合の中間層53は、弾性変形可能な誘電材料により構成されており、第一電極層51と第二電極層52との間に挟まれている。中間層53は、センサ本体42の構成部材51,52,53の積層方向に圧縮力が付与された場合に、第一電極層51と第二電極層52との離間距離を短くすることにより、第一電極層51と第二電極層52との静電容量を変化させる。
【0035】
そして、センサ本体42は、座面シートクッション12の反受圧面12bから圧力を受ける露出検出面42aを有する。そこで、露出検出面42aは、座面シートクッション12に向かって露出する。本形態においては、露出検出面42aは、第二電極層52の面であって、中間層53とは反対側の面である。
【0036】
筐体43は、センサ装置3の外側のケース部分を構成する。筐体43は、基板41およびセンサ本体42を収容する。本形態においては、筐体43は、第一筐体部材61と、第二筐体部材62とを備える。第一筐体部材61は、容器形状に形成されており、第二筐体部材62は、蓋形状に形成されている。ただし、第一筐体部材61と第二筐体部材62との境界位置は、任意に設定できる。また、第一筐体部材61と第二筐体部材62とを一体とする形状に形成しても良い。
【0037】
第一筐体部材61は、上述したように、容器形状に形成される。第一筐体部材61は、底部71、周壁部72、センサ座73、位置決めピン74,75を備える。底部71は、例えば、矩形の平板状に形成されている場合を例に挙げるが、任意の形状とすることができる。周壁部72は、底部71の周縁から立設されており、底部71の周縁全周に亘って設けられている。本形態においては、周壁部72は、直方体の隣接する四面を構成する。第一筐体部材61の底部71および周壁部72により形成される内部領域に、基板41およびセンサ本体42が収容される。
【0038】
センサ座73は、底部71の内側面(
図2の上面)から上方に向かって突出して設けられている。センサ座73は、センサ本体42の大きさと同程度の座面を有している。センサ座73の凸面上には、基板41が接触した状態で配置される。特に、センサ座73は、基板41においてセンサ本体42が位置する領域に接触する。つまり、センサ座73の凸面と、センサ本体42とは、基板41を介して、対向する位置関係を有する。
【0039】
位置決めピン74,75は、底部71の内側面から上方に向かって突出して設けられ、センサ座73の周囲に設けられている。位置決めピン74,75は、基板41を下方から支持すると共に、基板41に形成された位置決め用の孔に挿入されることで基板41を位置決めする。
【0040】
第二筐体部材62は、上述したように、蓋形状に形成される。第二筐体部材62は、第一筐体部材61の開口の一部を閉塞する。つまり、第二筐体部材62の外周縁が、第一筐体部材61の周壁部72に接合する。さらに、第二筐体部材62は、中央付近に、窓開口部62aを有する。つまり、第二筐体部材62は、窓開口部62aを形成するための窓枠62bを構成する。本形態においては、窓開口部62aは、矩形の開口であって、窓枠62bは、矩形枠である。
【0041】
第二筐体部材62の窓開口部62aが、センサ本体42の位置に一致する。つまり、第二筐体部材62は、窓開口部62aにおいて、センサ本体42の露出検出面42aを露出させる。第二筐体部材62を構成する窓枠62bの内周縁が、センサ本体42の外周縁に僅かに押し付けた状態で接触する。つまり、センサ本体42の外周縁は、基板41と第二筐体部材62を構成する窓枠62bの内周縁との間に挟まれる。このようにして、センサ本体42が位置決めされる。
【0042】
センサ装置3の各種寸法について
図2および
図3を参照して説明する。センサ装置3は、全体として、扁平状に形成されている。さらに、センサ装置3は、直方体に近似した形状に形成されている。センサ装置3の外形は、扁平高さZa1、幅Xa1、奥行きYa1である。センサ装置3は、扁平状であるため、扁平高さZa1が、幅Xa1および奥行きYa1よりも小さい。
【0043】
また、
図2に示すように、センサ装置3において、第一筐体部材61の底部71の外面から、センサ本体42の露出検出面42aまでの距離は、Za2である。第二筐体部材62を構成する窓枠62bの外面(底部71の反対面)と、センサ本体42の露出検出面42aまでの距離は、Za3である。つまり、Za2とZa3の加算値が、Za1となる。
【0044】
また、
図3に示すように、窓開口部62aの開口サイズは、幅Xa2、奥行きYa2である。
図2に示すように、窓開口部62aの開口高さ、すなわち、窓枠62bの内周面の高さは、Za3である。
【0045】
3.座面シートクッション12の構成
座面シートクッション12の構成について
図4および
図5を参照して説明する。
図4および
図5は、座面シートクッション12単体、すなわち、センサ装置3を組付ける前の座面シートクッション12を示す。
【0046】
座面シートクッション12は、反受圧面12bに形成された収容凹部80を備える。収容凹部80は、座面シートクッション12の受圧面12aとは反対側、すなわち座面シートフレーム11側に開口する。収容凹部80は、センサ装置3を収容する。
【0047】
収容凹部80は、
図5に示すように、矩形の開口を有する。つまり、収容凹部80の内周壁81は、矩形形状に形成される。内周壁81は、センサ装置3の外周面の形状に対応する形状に形成される。つまり、内周壁81は、第一筐体部材61の周壁部72の形状に対応する。
【0048】
収容凹部80の底部82(
図4の上方に位置する面)は、基準座面82a、凸部82b、および、凹溝82cを有する。基準座面82aは、平面状の面を形成し、底部82の外周部分を構成する。基準座面82aは、収容凹部80の内周壁81に接続される。つまり、基準座面82aの外周形状は、内周壁81に対応する矩形形状に形成される。また、基準座面82aの内周形状は、矩形形状に形成される。基準座面82aは、第二筐体部材62を構成する窓枠62bの形状に近似した形状に形成される。従って、基準座面82aの内周形状は、窓開口部62aに近似した長方形に形成される。
【0049】
凸部82bは、底部82の中央付近であって、基準座面82aの内周面よりも内側の部分に形成される。凸部82bは、収容凹部80の開口(
図4の下方)に向かって突出する。つまり、凸部82bは、座面シートフレーム11に向かって突出する。詳細には、凸部82bは、基準座面82aよりも座面シートフレーム11側に突出する。また、凸部82bは、基準座面82aの内周面よりもさらに内側に位置する。つまり、凸部82bの外周面と基準座面82aの内周面との間には、距離を有する。
【0050】
本形態においては、凸部82bは、単一の弾性率を有する弾性層により構成される。凸部82bは、座面シートクッション12を構成する弾性材料により形成される。つまり、凸部82bの弾性率は、座面シートクッション12を構成する他の部位の弾性率に等しい。
【0051】
凹溝82cは、凸部82bの周縁に沿って形成される。つまり、凹溝82cは、基準座面82aと凸部82bとの境界部分を構成し、凸部82bの周縁全周に亘って形成される。
【0052】
収容凹部80の各種寸法について
図4および
図5を参照して説明する。収容凹部80の開口は、幅Xb1、奥行きYb1である。収容凹部80の底部82の外形も、同様に、幅Xb1、奥行きYb1である。収容凹部80の深さ、すなわち内周壁81の高さは、Zb1である。
【0053】
凸部82bは、幅Xb2、奥行きYb2である。凸部82bの先端面(
図4の下面)と収容凹部80の開口までの距離は、Zb2である。凸部82bの先端面と基準座面82aとの距離は、Zb3である。つまり、Zb2とZb3の加算値が、Zb1となる。凹溝82cの溝幅は、全長に亘って同一幅であって、Wである。基準座面82aの内周形状は、幅Xb3、奥行きYb3である。
【0054】
4.センサ装置3と収容凹部80との寸法関係
次に、センサ装置3と収容凹部80との寸法関係について説明する。両者の寸法関係は、以下の式のとおりである。
Xa1 > Xb1 ・・・(1)
Ya1 > Yb1 ・・・(2)
Za1 = Zb1 ・・・(3)
Xb2 < Xa2 <Xb3 ・・・(4)
Yb2 < Ya2 <Yb3 ・・・(5)
Za2 > Zb2 ・・・(6)
Za3 < Zb3 ・・・(7)
【0055】
5.センサ付きシート1の詳細構成
センサ付きシート1の詳細構成として、主として、センサ装置3と収容凹部80との組付状態について、
図6を参照して説明する。
図6には、着座者がシート本体2に着座していない初期状態を示す。従って、以下においては、当該初期状態について説明する。
【0056】
座面シートフレーム11に座面シートクッション12が固定される。従って、座面シートクッション12の反受圧面12bにおける収容凹部80の周囲が、座面シートフレーム11に対して僅かに予圧縮された状態で、座面シートフレーム11に接触する。
【0057】
センサ装置3は、座面シートクッション12の反受圧面12bと座面シートフレーム11との間に配置されている。センサ装置3は、座面シートフレーム11に取り付けられる。詳細には、センサ装置3を構成する筐体43の第一筐体部材61が、座面シートフレーム11に取り付けられる。
【0058】
さらに、センサ装置3は、座面シートクッション12の収容凹部80に収容される。センサ装置3の外周面、すなわち、第一筐体部材61の周壁部72が、収容凹部80の内周壁81に接触する。座面シートクッション12の収容凹部80の内周壁81が、センサ装置3の外周面に対して僅かに予圧縮された状態となる。これにより、センサ装置3は、収容凹部80内において、センサ装置3の扁平方向(
図6の左右前後方向)に位置決めされる。
【0059】
センサ装置3の第二筐体部材62を構成する窓枠62bの外面が、収容凹部80の基準座面82aに接触する。座面シートクッション12の収容凹部80の基準座面82aが、センサ装置3の窓枠62bに対して僅かに予圧縮された状態となる。座面シートクッション12において、上述した式(3)の関係より、座面シートフレーム11に対する予圧縮量と、センサ装置3の窓枠62bに対する予圧縮量とは、同程度である。ここでの予圧縮量は、例えば、座面シートクッション12の自重による程度である。
【0060】
収容凹部80の凸部82bの先端面が、センサ装置3の窓開口部62aに挿入されて、センサ本体42の露出検出面42aに接触する。つまり、センサ本体42の露出検出面42aは、座面シートクッション12における凸部82bから圧力を受ける。なお、センサ装置3は、露出検出面42aが受けた圧力に応じた物理量を検出する。
【0061】
また、上述した式(3)(6)(7)の関係より、凸部82bは、初期状態において、センサ本体42の露出検出面42aに対して予圧縮されている。特に、凸部82bによるセンサ本体42の露出検出面42aに対する予圧縮量は、基準座面82aによる窓枠62b(露出検出面42aの周囲に相当)に対する予圧縮量よりも十分に大きく設定されている。また、凸部82bによるセンサ本体42の露出検出面42aに対する予圧縮量は、座面シートクッション12による座面シートフレーム11(露出検出面42aの周囲に相当)に対する予圧縮量よりも十分に大きく設定されている。従って、初期状態において、センサ本体42の露出検出面42aは、凸部82bから、座面シートクッション12の自重に比べて大きな圧力を受けている。
【0062】
また、上述した式(4)(5)の関係より、凸部82bは、窓枠62bの内周面から隙間を有して配置されている。特に、凸部82bの全周が、窓枠62bの内周面から隙間を有して配置されている。従って、凸部82bが圧縮される際に、窓枠62bと接触による規制力が働くことを防止できる。
【0063】
さらに、凹溝82cが、基準座面82aと凸部82bとの境界に全周に亘って形成されている。凹溝82cは、センサ装置3に非接触状態で配置される。従って、基準座面82aの予圧縮量と凸部82bの予圧縮量とが異なるとしても、凹溝82cによって予圧縮量の差を吸収することができる。つまり、基準座面82aによる予圧縮量と凸部82bによる予圧縮量との差を確実につけることができる。
【0064】
6.センサ装置3の動作
センサ装置3の検出対象は、着座者の着座状態、例えば、着座姿勢の変化などである。着座者の着座姿勢の変化によって座面シートクッション12の変形状態が変わることによって、センサ本体42が、座面シートクッション12を介して伝達された圧力を受ける。具体的には、着座姿勢の変化によって、センサ本体42が座面シートクッション12の凸部82bから受ける圧力が変化する。つまり、センサ本体42は、変化した圧力に応じた物理量を出力する。そして、センサ装置3は、センサ本体42が出力した物理量に基づいて、着座者の着座姿勢の変化を検出する。
【0065】
また、センサ装置3の他の検出対象は、着座者の生体情報、例えば、呼吸、脈動、心拍などである。呼吸、脈動、心拍によって、着座者の皮膚表面に微小な振動が生じる。当該微小な振動によって、センサ本体42が、座面シートクッション12を介して伝達された圧力を受ける。具体的には、当該微小な振動によって、センサ本体42が座面シートクッション12の凸部82bから受ける圧力が変化する。つまり、センサ本体42は、変化した圧力に応じた物理量を出力する。そして、センサ装置3は、センサ本体42が出力した物理量に基づいて、着座者の生体情報を検出する。
【0066】
7.センサ装置3の配置による作用
センサ装置3は、座面シートフレーム11と座面シートクッション12の反受圧面12bとの間に配置されている。つまり、センサ装置3は、座面シートフレーム11に配置されている。従って、センサ装置3は、座面シートクッション12の中に配置される場合に比べて、安定した位置決めが可能となる。
【0067】
8.凸部82bの予圧縮による作用
センサ付きシート1において、センサ装置3による作用について説明する。上述したように、着座者がシート本体2に着座していない初期状態において、座面シートクッション12は、センサ本体42の露出検出面42aに対する予圧縮量が、露出検出面42aの周囲(基準座面82aおよび座面シートフレーム11)に対する予圧縮量よりも大きく設定されている。
【0068】
従って、初期状態において、既に、座面シートクッション12における凸部82bには、他の部位に比べて大きな応力が生じている。凸部82bは、センサ本体42の露出検出面42aの法線方向に予圧縮されている。従って、座面シートクッション12においては、凸部82bにおいて最も大きな応力が生じており、凸部82bから座面シートクッション12の受圧面12aまでの範囲において他の部位に比べて大きな応力が生じている。そのため、センサ本体42には、初期状態において、既に凸部82bから圧力を受けていることになる。
【0069】
続いて、着座者がシート本体2に着座する場合を考える。着座者がシート本体2に着座することによって、着座者の臀部から座面シートクッション12に力が付与される。そうすると、座面シートクッション12が着座者の臀部および体重に応じて変形する。そして、着座状態においては、初期状態に比べて、座面シートクッション12に生じる応力の大きさは変化する。ただし、着座状態においても、座面シートクッション12においては、凸部82bにおいて最も大きな応力が生じており、凸部82bから座面シートクッション12の受圧面12aまでの範囲において他の部位に比べて大きな応力が生じている。
【0070】
ここで、センサ装置3の検出対象の1つは、着座者の着座状態、例えば、着座姿勢の変化などである。また、センサ装置3の他の検出対象は、着座者の生体情報、例えば、呼吸、脈動、心拍などである。
【0071】
そして、センサ本体42の露出検出面42aが、座面シートクッション12の反受圧面12bの凸部82bから圧力を受けることにより、センサ装置3が、着座者の着座状態や生体情報を検出する。しかし、座面シートクッション12は、着座者から付与される力を吸収する。そのため、着座者の着座状態の変化や生体が発する振動によって、座面シートクッション12の受圧面12aに力が付与されたとしても、座面シートクッション12が全てを吸収してしまうと、センサ装置3が着座者の着座状態や生体情報を検出することができない。
【0072】
しかし、上述したように、センサ本体42の露出検出面42aには、初期状態において、座面シートクッション12による予圧縮が付与されている。ただし、座面シートクッション12は、初期状態において、センサ本体42の露出検出面42aの周囲(基準座面82aおよび座面シートフレーム11)に対しても予圧縮を付与している。そして、座面シートクッション12は、初期状態において、センサ本体42の露出検出面42aに対する予圧縮量が、露出検出面42aの周囲に対する予圧縮量よりも大きく設定されている。
【0073】
このように、センサ本体42の露出検出面42aに対する予圧縮量が周囲よりも大きく設定されることで、着座者がシート本体2に着座した際に、着座者から座面シートクッション12に付与される力が極めて小さいとしても、当該力が、センサ本体42の露出検出面42aに伝達される。従って、センサ本体42の露出検出面42aは、座面シートクッション12に付与される微小な圧力の変化を検出できる。
【0074】
つまり、着座者の着座状態が極めて僅かに変化した程度であったとしても、センサ本体42の露出検出面42aは、当該変化に伴って伝達される微小な圧力変化を検出することができる。従って、高精度に、着座者の着座状態を検出することができる。また、呼吸、脈動、心拍などの生体が発する振動に伴って、着座者から座面シートクッション12に付与される力の大きさは微小である。このような場合であっても、センサ本体42の露出検出面42aは、当該生体が発する振動に伴って伝達される微小な圧力変化を検出することができる。従って、高精度に、着座者の生体情報を検出することができる。
【0075】
特に、上述したように、初期状態において、座面シートクッション12においては、凸部82bにおいて最も大きな応力が生じており、凸部82bから座面シートクッション12の受圧面12aまでの範囲において他の部位に比べて大きな応力が生じている。そのため、初期状態において応力が生じている領域は、他の領域に比べて、力の伝達感度が高くなる。
【0076】
従って、座面シートクッション12の受圧面12aに付与される力が微小であったとしても、微小な力が、座面シートクッション12の受圧面12aから凸部82bを介してセンサ本体42の露出検出面42aに至る範囲を、高感度に伝達される。その結果、高精度に、着座者の着座状態や生体情報を検出することができる。
【0077】
また、上述したように、凸部82bは、窓枠62bの内周面から隙間を有して配置されている。そのため、凸部82bは、センサ本体42の露出検出面42aの法線方向に予圧縮を付与できる。つまり、初期状態において、座面シートクッション12における応力分布を、所望の分布とすることができる。さらに、座面シートクッション12が受けた力を、確実に、センサ本体42の露出検出面42aに伝達することができる。その結果、高精度に、着座者の着座状態や生体情報を検出することができる。
【0078】
(実施形態2)
実施形態1のセンサ付きシート1において、座面シートクッション12の凸部82bは、単一の弾性率を有する弾性層により構成した。実施形態2のセンサ付きシート1においては、
図7および
図8に示すように、座面シートクッション14の凸部82bが、第一弾性層91と、第二弾性層92とを備える構成とする。
【0079】
第一弾性層91と第二弾性層92とは、凸部82bの突出方向、すなわち、センサ本体42の露出検出面42aの法線方向に積層されている。第一弾性層91と第二弾性層92とは、接合させても良いし、非接合としても良い。さらに、第一弾性層91と第二弾性層92とは、異なる弾性率を有する。つまり、第一弾性層91と第二弾性層92とは、異なる弾性材料により形成されている。
【0080】
このように、凸部82bを、弾性率の異なる第一弾性層91と第二弾性層92とにより構成することにより、凸部82bにおける圧力の伝達感度を調整することができる。なお、上記においては、弾性率の異なる2層を例に挙げたが、3層以上とすることもできる。
【0081】
(実施形態3)
実施形態3のセンサ付きシート100について、
図9~
図11を参照して説明する。
図10において、二点鎖線は、着座者の臀部および下肢の一部を示す。実施形態3のセンサ付きシート100は、シート座面部102aとして、座面シートフレーム11、座面シートクッション110、座面表皮部材13を備える。本形態のセンサ付きシート100は、実施形態1のセンサ付きシート1と同様に、センサ装置103a,103bが、シート本体2のシート座面部102aを構成する座面シートフレーム11と座面シートクッション110との間に配置されている。
【0082】
座面シートクッション110は、座面シートクッション本体111と、一対の臀部サポート部112,113と、大腿部間サポート部114とを備える。座面シートクッション110が、座面表皮部材13により被覆されている。座面シートクッション本体111は、着座者の臀部を載置するための部位を構成する。座面シートクッション本体111は、着座者の大腿部の一部も載置する。
【0083】
一対の臀部サポート部112,113は、座面シートクッション本体111の左右方向の両端部から上方に膨出する。一対の臀部サポート部112,113は、着座者の臀部を左右方向に位置決めするための部位を構成する。詳細には、一対の臀部サポート部112,113は、座面シートクッション本体111のうち、前後方向の中央よりも後方において、座面シートクッション本体111の左右方向の両端部に設けられる。一対の臀部サポート部112,113は、臀部の側面から後方に亘る表面形状に沿った湾曲凹面を有する。従って、一対の臀部サポート部112,113は、着座者の臀部を広範囲に亘って面で支持することができる。
【0084】
ただし、一対の臀部サポート部112,113は、例えば、円柱、円錐台形、楕円柱、楕円錐台形、角柱、角錐台形などのように、臀部の表面形状に対応しない形状とすることもできる。また、一対の臀部サポート部112,113は、座面シートクッション本体111のうち、前後方向の後方のみならず、前後方向に長い範囲に設けるようにしても良いし、例えば、一対の臀部サポート部112,113は、座面シートクッション本体111のうち、前後方向の全長に亘って設けるようにしても良い。
【0085】
大腿部間サポート部114は、座面シートクッション本体111の前方であって左右方向の中央部から上方に膨出する。大腿部間サポート部114は、着座者の左右大腿部の間に位置するため、着座者の左右大腿部を左右方向および前後方向に位置決めするための部位を構成する。
【0086】
大腿部間サポート部114は、例えば、後方に向かって左右幅が小さくなるように形成されている。つまり、大腿部間サポート部114は、座面シートクッション本体111の上方から見た場合に、後方を頂点とする三角形状に形成されている。
【0087】
一対の臀部サポート部112,113および大腿部間サポート部114の弾性率は、座面シートクッション本体111の弾性率よりも大きく設定されている。従って、一対の臀部サポート部112,113および大腿部間サポート部114は、着座者の臀部の位置決め機能を効果的に発揮する。
【0088】
センサ装置103a,103bは、実施形態1にて説明したセンサ装置3と同様に構成される。センサ装置103aは、座面シートクッション本体111と座面シートフレーム11との間において、前後方向の後方寄りであって、左右方向の中央付近に配置されている。座面シートクッション本体111の上方から見た場合に、センサ装置103aの前後方向の少なくとも一部が、一対の臀部サポート部112,113の左右方向の対向領域に位置する。特に、座面シートクッション本体111の上方から見た場合に、センサ装置103aを構成する露出検出面42aの少なくとも一部が、一対の臀部サポート部112,113の左右方向の対向領域に位置する。
【0089】
なお、
図10においては、センサ装置103aの前後方向の全てが、一対の臀部サポート部112,113の左右方向の対向領域に位置する。従って、センサ装置103aを構成する露出検出面42aの全てが、一対の臀部サポート部112,113の左右方向の対向領域に位置することになる。
【0090】
さらに、センサ装置103aは、着座者の臀部が一対の臀部サポート部112,113および大腿部間サポート部114により位置決めされた場合に、着座者の仙骨P1の下方に位置するように設定されている。特に、センサ装置103aを構成する露出検出面42aが、着座者の仙骨P1の下方に位置するように設定されている。
【0091】
また、センサ装置103bは、座面シートクッション本体111と座面シートフレーム11との間において、前後方向の中央付近であって、左右方向の右寄りに配置されている。座面シートクッション本体111の上方から見た場合に、センサ装置103bの前後方向の少なくとも一部が、一対の臀部サポート部112,113の左右方向の対向領域に位置する。特に、座面シートクッション本体111の上方から見た場合に、センサ装置103bを構成する露出検出面42aの少なくとも一部が、一対の臀部サポート部112,113の左右方向の対向領域に位置する。
【0092】
さらに、センサ装置103bは、着座者の臀部が一対の臀部サポート部112,113および大腿部間サポート部114により位置決めされた場合に、着座者の右側の座骨P2の下方に位置するように設定されている。特に、センサ装置103bを構成する露出検出面42aが、着座者の座骨P2の下方に位置するように設定されている。
【0093】
座面シートクッション110が一対の臀部サポート部112,113および大腿部間サポート部114を備えることにより、着座者の臀部を所望の位置に位置決めすることができる。特に、センサ装置103aが着座者の仙骨P1の下方に位置するように、さらに、センサ装置103bが着座者の座骨P2の下方に位置するようにできる。
【0094】
着座者の臀部のうち着座者の仙骨P1や座骨P2,P3から座面シートクッション110に付与される力が大きくなる。従って、センサ装置103aが仙骨P1の下方に位置することにより、センサ装置103aは、着座者から付与される微小な圧力変化を高精度に検出することができる。また、センサ装置103bが座骨P2の下方に位置することにより、センサ装置103bは、着座者から付与される微小な圧力変化を高精度に検出することができる。
【0095】
なお、実施形態3においては、センサ装置103a,103bを備えることとしたが、センサ装置103aのみを備えるようにしても良いし、センサ装置103bのみを備えるようにしても良い。また、左右の座骨P2,P3のそれぞれの下方にセンサ装置103a,103bを設けるようにしても良い。
【0096】
また、一対の臀部サポート部112,113および大腿部間サポート部114を備える場合を例に挙げたが、一対の臀部サポート部112,113を備え、大腿部間サポート部114を備えない構成としても良い。また、一対の臀部サポート部112,113を備えず、大腿部間サポート部114を備える構成としても良い。
【0097】
(その他の実施形態)
上記実施形態においては、センサ装置3が座面シートクッション12の収容凹部80に収容されるようにした。この他に、座面シートフレーム11に収容凹部を形成し、当該収容凹部にセンサ装置3を収容しても良い。この場合、座面シートクッション12は、収容凹部80を有さずに、収容凹部80の底部82に相当する部分のみを有することになる。
【0098】
また、センサ装置3の外形形状、および、収容凹部80の内周壁81の形状は、対応した形状であれば良く、任意の形状とすることができる。また、センサ装置3の窓開口部62aの形状(窓枠62bの内周面形状)、および、凸部82bの外周面形状は、対応した形状であれば良く、任意の形状とすることができる。
【0099】
また、上記実施形態においては、センサ装置3が座面シートフレーム11と座面シートクッション12との間に配置される構成とした。この他に、本発明の形態とは異なるが、シートとは別体とした形成したセンサ付き座布団を構成することもできる。この場合、センサ付き座布団は、座面シートクッション12に相当するクッションと、当該クッションの下方に配置されるセンサ装置3とを備える。センサ付き座布団が、シートの座面の上面に配置されることで、着座者の着座状態や生体情報を検出することができる。
【符号の説明】
【0100】
1,100 シート
2 シート本体
3,103a,103b センサ装置
11 座面シートフレーム
12,14,110 座面シートクッション
12a 受圧面
12b 反受圧面
42 センサ本体
42a 露出検出面
43 筐体
62a 窓開口部
62b 窓枠
80 収容凹部
82b 凸部