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特開2023-139219電力グリッドの電気パラメータを決定するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139219
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】電力グリッドの電気パラメータを決定するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20230926BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J13/00 301D
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121638
(22)【出願日】2023-07-26
(62)【分割の表示】P 2021576297の分割
【原出願日】2020-06-09
(31)【優先権主張番号】19182247.7
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】513227479
【氏名又は名称】リアクティブ テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】REACTIVE TECHNOLOGIES LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベリー、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェントーラ、ミカ
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルゲ、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ペルトラ、ティモ
(72)【発明者】
【氏名】アラコンティオラ、ユッカ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電力グリッドを監視する方法、システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】方法は、電力グリッド中の1つ又は複数の物理的刺激を検出するステップと、1つ又は複数の物理的刺激が有効である間、電力グリッドの第1のロケーションに関連付けられた測定データの第1のセットを取得するステップと、測定データの第1のセットに基づいて電力グリッドの第1のロケーションの故障レベルなどの動作情報を計算するステップと、動作情報を電力グリッドの第2のロケーションの対応する動作情報に、測定データの第1のセットと、第1のロケーションの電気的特性と第2のロケーションの電気的特性との間の相関とに基づいて、マッピングするステップと、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力グリッドを監視するための方法であって、前記方法は、
前記電力グリッド中の1つ又は複数の物理的刺激を検出するステップと、
前記1つ又は複数の物理的刺激が有効である間、前記電力グリッドの第1のロケーションに関連付けられた測定データの第1のセットを取得するステップと、
測定データの前記第1のセットに基づいて前記電力グリッドの前記第1のロケーションの電気パラメータを計算するステップと、
前記電気パラメータを前記電力グリッドの第2のロケーションの電気パラメータに、測定データの前記第1のセットと、前記第1のロケーションの電気的特性と前記第2のロケーションの電気的特性との間の相関とに基づいて、マッピングするステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第2のロケーションからの測定データが少なくとも現在利用不可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ又は複数の物理的刺激が、前記電力グリッドに関する1つ又は複数のデバイスの電力提供及び電力消費のうちの少なくとも1つの変化を引き起こすことによって、引き起こされる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のロケーションが第1の電圧レベルにあり、前記第2のロケーションが、前記第1の電圧レベルとは異なる第2の電圧レベルにある、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のロケーションと前記第2のロケーションが両方とも、前記電力グリッドの同じ電圧レベル上にある、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
機械学習を使用することによって、測定データの前記第1のセットと、少なくとも、前記電力グリッド中の少なくとも1つの内因性刺激に関連して測定された測定データの第2のセットとをトレーニング・データとして使用することによって前記相関を形成するステップをさらに含む、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
機械学習を使用することによって、測定データの前記第1のセットと、前記第1のロケーションと前記第2のロケーションとの間の前記電力グリッドの前記電気的特性に関する情報とをトレーニング・データとして使用することによって前記相関を形成するステップをさらに含む、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記電気的特性がインピーダンス・データを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のロケーション及び前記第2のロケーションとは異なるさらなるロケーションにおいて、前記電力グリッド上で生成されたさらなる物理的刺激を検出すると、測定された測定データのさらなるセットを使用することによって前記第1のロケーション及び/又は前記第2のロケーションの前記計算された電気パラメータを検証するステップをさらに含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
測定データの前記第1のセットが、前記1つ又は複数の物理的刺激の発生に従って間欠的に又は継続的に取得される、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記電力グリッドの複数のロケーションにおいて前記電力グリッド中の複数の意図的に生成された、相互に同期している物理的刺激を引き起こすステップと、
前記1つ又は複数の物理的刺激が有効である間、前記電力グリッドの前記複数のロケーションに関連付けられた測定データの複数のセットを取得するステップと、
測定データの前記複数のセットに基づいて前記電力グリッドの前記複数のロケーションの各々についての前記電気パラメータを計算するステップと、
機械学習と、前記機械学習のためのトレーニング・データとして前記電力グリッドの前記複数のロケーションの各々の前記電気パラメータとを使用することによって、前記相関を形成するステップと
をさらに含む、請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも、測定データの前記第1のセットとは異なる時刻において測定された測定データの第2のセットを取得するステップと、
前記電力グリッド中の前記電気パラメータの時間的挙動を表すように相関モデルを構成するステップと、
前記相関モデルを使用することによって前記電気パラメータの将来の挙動を推定するステップと
をさらに含む、請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
電力グリッドの電気パラメータを監視するためのシステムであって、前記システムが、
前記電力グリッド中の1つ又は複数の物理的刺激に基づいて、前記電力グリッドの第1のロケーションに関連付けられた測定データの第1のセットを取得することと、
測定データの前記第1のセットに基づいて前記電力グリッドの前記第1のロケーションの電気パラメータを計算することと、
前記電気パラメータを前記電力グリッドの第2のロケーションの電気パラメータに、測定データの前記第1のセットと、前記第1のロケーションの電気的特性と前記第2のロケーションの電気的特性との間の相関とに基づいて、マッピングすることと
を実施するための手段を備える、システム。
【請求項14】
前記電力グリッド中の前記1つ又は複数の物理的刺激を生成するための1つ又は複数のデバイスと、
測定データの前記第1のセットを測定するための手段と
をさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記電力グリッドに対する前記1つ又は複数のデバイスの電力提供及び電力消費のうちの少なくとも1つの変化を引き起こすことによって、前記1つ又は複数の物理的刺激を引き起こすための手段をさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
しきい値を超える電力グリッドの内因性外乱を検出すると測定データの第2のセットを測定するための手段をさらに備える、請求項13から15までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記手段は、前記第2のロケーションからの測定データが少なくとも一時的に利用不可能であるとき、前記第1のロケーションの前記電気パラメータを前記第2のロケーションの前記電気パラメータにマッピングするように設定された、請求項13から16までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1のロケーションが第1の電圧レベルにあり、前記第2のロケーションが、前記第1の電圧レベルとは異なる第2の電圧レベルにある、請求項13から17までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1のロケーションと前記第2のロケーションが両方とも、前記電力グリッドの同じ電圧レベル上にある、請求項13から17までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
機械学習を使用することによって、測定データの前記第1のセットと、少なくとも、前記電力グリッド中の少なくとも1つの内因性刺激に関連して測定された測定データの第2のセットとをトレーニング・データとして使用することによって前記相関を形成するための手段をさらに備える、請求項13から19までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
機械学習を使用することによって、測定データの前記第1のセットと、前記第1のロケーションと前記第2のロケーションとの間の前記電力グリッドの前記電気的特性に関する情報とをトレーニング・データとして使用することによって前記相関を形成するための手段をさらに備える、請求項13から20までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記電気的特性がインピーダンス・データを含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1のロケーション及び前記第2のロケーションとは異なるさらなるロケーションにおいて、前記電力グリッド上で生成されたさらなる物理的刺激を検出すると、測定された測定データのさらなるセットを使用することによって前記第1のロケーション及び/又は前記第2のロケーションの前記計算された電気パラメータを検証するための手段をさらに備える、請求項13から22までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記手段が、前記1つ又は複数の物理的刺激の発生に従って間欠的に又は継続的に測定データの前記第1のセットを取得するように設定された、請求項13から23までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記電力グリッドの複数のロケーションにおいて前記電力グリッド中の複数の意図的に生成された、相互に同期している物理的刺激を引き起こすための手段と、
前記1つ又は複数の物理的刺激が有効である間、前記電力グリッドの前記複数のロケーションに関連付けられた測定データの複数のセットを取得するための手段と、
測定データの前記複数のセットに基づいて前記電力グリッドの前記複数のロケーションの各々についての前記電気パラメータを計算するための手段と、
機械学習と、前記機械学習のためのトレーニング・データとして前記電力グリッドの前記複数のロケーションの各々の前記電気パラメータとを使用することによって、前記相関を形成するための手段と
をさらに備える、請求項13から24までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
少なくとも、測定データの前記第1のセットとは異なる時刻において測定された測定データの第2のセットを取得するための手段と、
前記電力グリッド中の前記電気パラメータの時間的挙動を表すように相関モデルを構成するための手段と、
前記相関モデルを使用することによって前記電気パラメータの将来の挙動を推定するための手段と
をさらに備える、請求項13から25までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
コンピュータによって可読な、及びコンピュータ・プログラム命令を備えるコンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータ・プログラム命令が、前記コンピュータによって実行されたとき、
電力グリッド中の1つ又は複数の物理的刺激に基づいて、前記電力グリッドの第1のロケーションに関連付けられた測定データの第1のセットを取得することと、
測定データの前記第1のセットに基づいて前記電力グリッドの前記第1のロケーションの電気パラメータを計算することと、
前記電気パラメータを前記電力グリッドの第2のロケーションの電気パラメータに、測定データの前記第1のセットと、前記第1のロケーションの電気的特性と前記第2のロケーションの電気的特性との間の相関とに基づいて、マッピングすることと
を含むコンピュータ・プロセスの実行を引き起こす、コンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力グリッド(electric power grid)の測定ベースの分析に関し、詳細には、電力グリッドの電気パラメータを推定することに関する。
【背景技術】
【0002】
世界中での20世紀中頃における大規模電力グリッドにおける交流(AC:alternating current)電気の周波数の標準化以来、電気の消費者は、電気機器の安全で再生可能な使用を保証する、電気の一貫した及び信頼できるサービスを享受することが可能になった。そのような信頼できるサービスの提供は、電力グリッドの特性を監視することと、グリッド中で検出された異常に対する対策を講じることとを含み得る。監視され得るそのような特性は、グリッドの様々なロケーションにおけるグリッド周波数、故障レベル、無効電力、熱、損失、制約、ノイズ、及び/又はインピーダンスを含む。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、独立請求項によって定義される。実施例が、従属請求項において定義される。
【0004】
一態様によれば、電力グリッドを監視するための方法が提供され、本方法は、電力グリッド中の1つ又は複数の物理的刺激を検出するステップと、1つ又は複数の物理的刺激が有効である間、電力グリッドの第1のロケーションに関連付けられた測定データの第1のセットを取得するステップと、測定データの第1のセットに基づいて電力グリッドの第1のロケーションの故障レベルを計算するステップと、故障レベルを電力グリッドの第2のロケーションの故障レベルに、測定データの第1のセットと、第1のロケーションの電気的特性(electrical characteristics)と第2のロケーションの電気的特性との間の相関とに基づいて、マッピングするステップとを含む。
【0005】
一実施例では、第2のロケーションからの測定データは少なくとも現在利用不可能である。
【0006】
一実施例では、1つ又は複数の物理的刺激は、電力グリッドに対する1つ又は複数のデバイスの電力提供及び電力消費のうちの少なくとも1つの変化を引き起こすことによって、引き起こされる。
【0007】
一実施例では、第1のロケーションは第1の電圧レベルにあり、第2のロケーションは、第1の電圧レベルとは異なる第2の電圧レベルにある。
【0008】
一実施例では、第1のロケーションと第2のロケーションが両方とも、電力グリッドの同じ電圧レベル上にある。
【0009】
一実施例では、本方法は、機械学習を使用することによって、測定データの第1のセットと、少なくとも、電力グリッド中の少なくとも1つの内因性刺激に関連して測定された測定データの第2のセットとをトレーニング・データとして使用することによって相関を形成するステップをさらに含む。
【0010】
一実施例では、本方法は、機械学習を使用することによって、測定データの第1のセットと、第1のロケーションと第2のロケーションとの間の電力グリッドの電気特性(electric characteristics)に関する情報とをトレーニング・データとして使用することによって相関を形成するステップをさらに含む。
【0011】
一実施例では、電気特性はインピーダンス・データを含む。
【0012】
一実施例では、本方法は、第1のロケーション及び第2のロケーションとは異なるさらなるロケーションにおいて、電力グリッド上で生成されたさらなる物理的刺激を検出すると、測定された測定データのさらなるセットを使用することによって第1のロケーション及び/又は第2のロケーションの計算された電気パラメータを検証するステップをさらに含む。
【0013】
一実施例では、測定データの第1のセットは、1つ又は複数の物理的刺激の発生に従って間欠的に又は継続的に取得される。
【0014】
一実施例では、本方法は、電力グリッドの複数のロケーションにおいて電力グリッド中の複数の意図的に生成された、相互に同期している物理的刺激を引き起こすステップと、1つ又は複数の物理的刺激が有効である間、電力グリッドの複数のロケーションに関連付けられた測定データの複数のセットを取得するステップと、測定データの複数のセットに基づいて電力グリッドの複数のロケーションの各々についての電気パラメータを計算するステップと、機械学習と、機械学習のためのトレーニング・データとして電力グリッドの複数のロケーションの各々の電気パラメータとを使用することによって、相関を形成するステップとをさらに含む。
【0015】
一実施例では、本方法は、少なくとも、測定データの第1のセットとは異なる時刻において測定された測定データの第2のセットを取得するステップと、電力グリッド中の故障レベルの時間的挙動を表すように相関モデルを構成するステップと、相関モデルを使用することによって故障レベルの将来の挙動を推定するステップとをさらに含む。
【0016】
別の態様によれば、電力グリッドの故障レベルを監視するためのシステムが提供され、本システムは、電力グリッド中の1つ又は複数の物理的刺激に基づいて、電力グリッドの第1のロケーションに関連付けられた測定データの第1のセットを取得することと、測定データの第1のセットに基づいて電力グリッドの第1のロケーションの故障レベルを計算することと、故障レベルを電力グリッドの第2のロケーションの故障レベルに、測定データの第1のセットと、第1のロケーションの電気的特性と第2のロケーションの電気的特性との間の相関とに基づいて、マッピングすることとを実施するための手段を備える。
【0017】
一実施例では、本システムは、電力グリッド中の1つ又は複数の物理的刺激を生成するための1つ又は複数のデバイスと、測定データの第1のセットを測定するための手段とをさらに備える。
【0018】
一実施例では、本システムは、しきい値を超える電力グリッドの内因性外乱を検出すると測定データの第2のセットを測定するための手段をさらに備える。
【0019】
別の態様によれば、コンピュータによって可読な、及びコンピュータ・プログラム命令を備えるコンピュータ・プログラム製品が提供され、コンピュータ・プログラム命令は、コンピュータによって実行されたとき、電力グリッド中の1つ又は複数の物理的刺激に基づいて、電力グリッドの第1のロケーションに関連付けられた測定データの第1のセットを取得することと、測定データの第1のセットに基づいて電力グリッドの第1のロケーションの故障レベルを計算することと、故障レベルを電力グリッドの第2のロケーションの故障レベルに、測定データの第1のセットと、第1のロケーションの電気的特性と第2のロケーションの電気的特性との間の相関とに基づいて、マッピングすることとを含むコンピュータ・プロセスの実行を引き起こす。
【0020】
以下において、本発明は、添付の図面を参照しながら好ましい実施例によってより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施例が適用され得る電力グリッドの一実例を示す図である。
図2】本発明のいくつかの実施例による、測定値に基づいて電力グリッドの電気パラメータを推定するためのプロセスの流れ図である。
図3】本発明のいくつかの実施例による、測定値に基づいて電力グリッドの電気パラメータを推定するためのプロセスの流れ図である。
図4】本発明のいくつかの実施例による、測定データを収集し、相関モデルを使用することによって測定データを電力グリッドにわたってマッピングするためのシグナリング図である。
図5】本発明のいくつかの実施例による、測定データを収集し、相関モデルを使用することによって測定データを電力グリッドにわたってマッピングするためのシグナリング図である。
図6】本発明のいくつかの実施例による、測定データを収集し、相関モデルを使用することによって測定データを電力グリッドにわたってマッピングするためのシグナリング図である。
図7】本発明のいくつかの実施例による、相関モデルを生成し、利用するためのコンピュータ実装プロセスの流れ図である。
図8】本発明の一実施例による、電力グリッドとその中の測定点との簡略図である。
図9】本発明の一実施例による、装置のブロック図である。
図10】一実施例による、電力グリッド中の内因性外乱中に測定された測定データを確認するための検証プロシージャの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の実施例は例示的なものである。本明細書は、本文のいくつかの場所で「一(an)」、「1つの(one)」、又は「いくつかの(some)」実施例を参照し得るが、これは、必ずしも、各参照が(1つ又は複数の)同じ実施例に対して行われること、又は特定の特徴が単一の実施例のみに適用されることを意味するとは限らない。また、異なる実施例の単一の特徴が、他の実施例を提供するために組み合わせられ得る。
【0023】
発電所などの提供者からの、家庭世帯、オフィス、産業など、消費者への電気の供給は、一般に、配電(electricity distribution)ネットワーク又は電力グリッドを介して行われる。図1は、送電グリッド(transmission grid)102と配電グリッド(distribution grid)104とを含む、本発明の実施例が実装され得る例示的な電力グリッドを示す。
【0024】
送電グリッド102は、原子力プラント、水力発電プラント、風力発電機又はガス燃焼プラントなどの発電プラントであり得る発電機に接続され、たとえば、送電グリッド102は、その発電機から配電グリッド104に、高架電力線110などの電力線上で、(一般に、数百キロボルト(kV)程度の)極めて高い電圧で大量の電気エネルギーを送電する。
【0025】
送電グリッド102は、変圧器112を介して配電グリッド104にリンクされ、変圧器112は、配電グリッド104中での配電のために、電気供給を、一般に50kV程度の低電圧に変換する。
【0026】
配電グリッド104は、さらに低い電圧への変換のためのさらなる変圧器を備える変電所114、116、118を介してローカル・ネットワークに接続され、ローカル・ネットワークは、電力グリッドに接続された電力消費デバイスに電力を提供する。ローカル・ネットワークは、都市ネットワーク115など、家庭消費者のネットワークを含み得、都市ネットワーク115は、数kW程度の比較的少量の電力を引き出す、民間住宅132、134内の家庭用機器に電力を供給する。民間住宅は、住宅における機器による消費又はグリッドへの電力の提供のいずれかのために比較的少量の電力を提供するために光起電力デバイス又は他の発電機をも使用し得る。ローカル・ネットワークは、工場130などの工業施設をも含み得、工業施設中で動作するより大きい機器が、数kW~MW程度のより大量の電力を引き出す。ローカル・ネットワークは、電力グリッドに電力を提供する風力発電所などのより小さい発電機のネットワークをも含み得る。ローカル・ネットワークは、電力をローカルに蓄積するためのエネルギー蓄積デバイス136をさらに備え得る。そのような蓄積デバイス136は、電力の供給と需要との間の差を補償するために使用され得る。
【0027】
簡潔のために、1つの送電グリッド102及び1つの配電グリッド104のみが図1に示されているが、実際には、一般的な送電グリッド102は、複数の配電グリッド104に電力を供給し、1つの送電グリッド102はまた、1つ又は複数の他の送電グリッド102に相互接続され得る。
【0028】
電力は、交流(AC)として電力グリッドに流入し、交流は、(一般に、国に応じて、50又は60Hzの範囲内の)グリッド周波数と呼ばれることもある、システム周波数で流れる。電力グリッドは、周波数がグリッドの各点において実質的に同じであるように、同期された周波数で動作する。電力グリッドは、電力グリッドと他の電力グリッドとの間の直流(DC:direct current)接続を提供する、1つ又は複数のDC相互接続(図示せず)を含み得る。一般に、DC相互接続は、電力グリッドの高電圧送電グリッド102に接続する。DC相互接続は、電力グリッドが、他の電力グリッドのグリッド周波数の変化によって影響を及ぼされない所与の同期されたグリッド周波数で動作するエリアを画定するように、様々な電力グリッド間のDCリンクを提供する。たとえば、UK送電グリッドは、DC相互接続を介してヨーロッパ大陸の同期グリッド(Synchronous Grid of Continental Europe)に接続される。
【0029】
電力グリッド100は、電力グリッドを測定するように構成された測定デバイス120~129の形態の測定システムをも含む。測定デバイス120~129は、電力グリッドの1つ又は複数の電気パラメータを測定するように設定され得る。測定デバイス122~129など、測定デバイス120~129のうちの少なくともいくつかは、配電グリッド104に結合され得るが、測定デバイスのうちのいくつか120、121は、送電グリッドに結合され得る。測定デバイス120は、高電圧バスに直接結合され、測定デバイス121は、送電グリッド102のより低い電圧レベルのバスに結合される。別個の変圧器113が、より高い電圧レベルをより低い電圧レベルに変圧するために提供され得る。図1に示されているように、測定デバイスは、電力グリッドの様々な電圧レベルで様々なロケーションに結合され得る。たとえば、送電グリッド102に結合された測定デバイス120は、送電グリッドの極めて高い電圧レベル、たとえば132kVで測定を実施するように設定され得る。測定デバイス122は、より低い電圧レベル、たとえば11又は33kVで測定を実施するために、配電グリッドに結合され得る。測定デバイス124~129は、220V、400V、及び/又は11kVなど、1つ又は複数のさらに低い電圧レベルで配電グリッドに結合され得る。測定デバイス121における電圧レベルも、220V、400V、又は11kVなど、さらに低い電圧レベルであり得る。読者は、実際の電圧レベルが例にすぎず、異なる電力グリッドが異なる電圧レベルを採用し得ることを思い起こされたい。
【0030】
簡単のために、ほんのいくつかの測定デバイスのみが図1に示されているが、実際には、より多数のそのような測定デバイスが、様々な電圧レベルで、及び/或いは電力グリッドの異なる変電所又はサブネットワークにおいてなどの様々なロケーションにおいて、電力グリッドに結合され得ることが理解されよう。いくつかの実施例は、以下の実施例に関連して説明されるように、電力グリッド又は配電ネットワーク104の電圧レベルのサブセットのみで測定デバイスを採用し得ることを諒解されたい。
【0031】
測定デバイス120~129によって測定された(1つ又は複数の)電気パラメータは、(瞬時又は連続)電圧、(瞬時又は連続)電流、グリッド周波数、フェーザ、位相角、無効電力、同期発振電圧及び/又は電流の大きさ、電圧及び/又は電流位相のうちの少なくとも1つを含み得る。タイム・スタンプが、各測定に関連して提供され得る。いくつかの実施例では、測定デバイスは、測定データをより高いレベルの測定データに処理するように設定される。たとえば、測定された電圧及び電流は、測定デバイスのロケーションにおける故障レベルを計算するために使用され得る。ロケーションにおける故障レベルは、そのロケーションにおける短絡故障の場合に流れることになる最大電流として定義され得る。一部の文献では、故障レベルは、短絡容量又はグリッド強度として知られている。故障レベルは、たとえば、テブナン等価(Thevenin equivalent)の概念を使用することによって、電力グリッド中の電圧変動の影響から測定され得る。電力グリッド中の電圧変動を検出すると、測定ロケーションにおけるソース・インピーダンスが、以下の式を使用することによって計算され得る。
【数1】

ここで、ZFLはソース・インピーダンスであり、
【数2】

及び
【数3】

は、それぞれ、刺激が電圧変動を引き起こす前の電圧フェーザ測定値及び電流フェーザ測定値であり、
【数4】

及び
【数5】

は、それぞれ、刺激の後の電圧フェーザ測定値及び電流フェーザ測定値である。次いで、故障レベルSFLが、以下の式を使用することによって計算され得る。
【数6】

ここで、ZFLは、イベント中に算出されたソース・インピーダンスであり、
【数7】

は、どの故障レベルが最も関心あるものであるのかに応じてイベントの前又は後であり得る観測時間において測定された電圧である。
以下で、刺激のいくつかの実施例が説明される。
【0032】
測定を行うために、測定デバイス120~129は、各々、測定された電圧をサンプリングするように構成された電圧検出器と、サンプリングされた電圧をデジタル電圧信号に変換するように構成されたアナログデジタル変換器とを備え得る。測定デバイス120~129はまた、各々、電流をサンプリングするように構成された電流検出器と、サンプリングされた電流をデジタル電流信号に変換するように構成されたアナログデジタル変換器とを備え得る。デジタル電圧信号及びデジタル電流信号は、次いで、処理するために処理システム150にフォワーディングされるか、又はそれぞれの測定デバイスにおいてローカルに処理され得る。測定デバイス120~129は、各々、電圧検出器及び電流検出器の一方又は両方を備え得る。サンプリング間隔が十分であるとき、グリッド周波数は、測定された電圧及び/又は電流から計算され得る。
【0033】
いくつかの実施例では、測定デバイス120~129のうちの少なくともいくつかは、たとえばプロセッサの形態の、処理手段を備え、測定デバイス120~129のプロセッサは、測定された電圧及び/又は電流に関係する電気パラメータを決定するように構成され得る。これは、このことが、測定デバイス120~129によって処理システムに通信される必要がある情報の量を低減し得るという点と、また、このことが、処理システム150に課される負担を低減し得るという点とで、有利であり得る。
【0034】
物理的刺激は、内因的に電力グリッド中で生成され得、すなわち、それは、電力グリッドの公称又はほぼ公称動作に属し得る。代替的に、物理的刺激は意図的に生成され得る。図1は、破線で電力グリッドに結合された複数のデバイス140~146を示す。破線は、デバイス140~146を電力グリッドに接続及び電力グリッドから切断する能力、又はより一般的には、電力グリッドに対するデバイス140~146の電力消費及び/又は電力供給を変化させる能力を指す。デバイス140~146は、1つ又は複数の負荷バンクを備え得、負荷バンクは、電力グリッドに接続されたとき、電力グリッドのインピーダンスの変化、したがって、電圧及び電流変動を引き起こす。負荷バンクの代わりに、又は負荷バンクに加えて、同様の特性を有する他のデバイス、たとえばキャパシタ又は生成器が採用され得る。内因性刺激の実例は、電力グリッドの負荷の変化、たとえば工場130の電力消費の変化又は電力供給の変化を含む。それらの変化は、電力グリッドの通常動作の一部であり得、すなわち、故障レベルを測定するための異常誤作動又は大きな停電の必要はない。
【0035】
測定デバイスは、処理システム150に測定データを報告するように設定され得る。処理システム150は、測定データを分析し、いくつかの実施例では、分析に基づいて電力グリッドの何らかの制御を実施するように設定され得る。詳細な実施例が以下で説明される。処理システムは、1つ又は複数のコンピュータの形態の処理回路要素を備え得る。処理システムは、ローカル・ネットワーク・サーバ、リモート・サーバ、クラウドベースのサーバ、又は測定データの分析を行うための任意の他の手段を含み得る。処理システムは、分析を行うための仮想ネットワークを形成し得る。概して、仮想ネットワーキングは、ハードウェア及びソフトウェア・ネットワーク・リソースとネットワーク機能性とを単一のソフトウェアベースの管理エンティティ、仮想ネットワークに組み合わせるプロセスを伴い得る。ネットワーク仮想化は、しばしばリソース仮想化と組み合わせられる、プラットフォーム仮想化を伴い得る。ネットワーク仮想化は、多くのネットワーク又はネットワークの部分をサーバ・コンピュータ又はホスト・コンピュータに組み合わせる、外部仮想ネットワーキングとしてカテゴリー分類され得る。仮想ネットワークは、分析を実施するための様々な処理ユニット間の動作のフレキシブルな分散を提供し得る。
【0036】
図1に示されているように、測定デバイスは、電力グリッドの様々なロケーションにおいて分散され得る。一般に、電力グリッドのサイズは極めて大きく、電力グリッドのあらゆるロケーション又はあらゆるサブネットワークにおいて測定デバイスを提供することは、可能でない。これは、測定が実施されないロケーションに関係する可視性の不確かさ又は欠如を招く。限られた数の測定デバイスの場合、電力グリッド全体又は電力グリッド全体の一部、たとえば配電ネットワークの全体像を有することは、有利であろう。言い換えれば、配電ネットワークが経時的にどのように働いているか並びに/或いは弱点及び/又は制約がどこに存在するかの広いリアルタイム・ビューを有すことは、有利であろう。
【0037】
図2は、電力グリッドの電気パラメータを測定するための方法の流れ図を示す。図2を参照すると、方法は、電力グリッド中の1つ又は複数の物理的刺激を検出するステップ(ブロック200)と、1つ又は複数の物理的刺激が有効である間、電力グリッドの第1のロケーションに関連付けられた測定データの第1のセットを取得するステップ(ブロック202)と、測定データの第1のセットに基づいて電力グリッドの第1のロケーションの電気パラメータを計算するステップ(ブロック204)と、電気パラメータを電力グリッドの別のロケーションの電気パラメータに、測定データの第1のセットと、第1のロケーションの電気的特性と第2のロケーションの電気的特性との間の相関とに基づいて、マッピングするステップ(ブロック206)とを含む。
【0038】
一実施形態では、1つ又は複数の物理的刺激は、電力グリッドに対するその電力供給及び/又は電力消費が制御される、デバイス140~146のうちの1つ又は複数によって実施された、少なくとも1つの意図的に生成された刺激を含む。そのような実施例では、ブロック200は、(1つ又は複数の)デバイス140~146の電力供給及び/又は消費を制御又はトリガするデバイスによって実施される、1つ又は複数の意図的に生成された刺激を引き起こすステップに先行され得る。そのようなデバイスは、システムにおける測定を制御又はスケジュールする測定コントローラであり得る。そのようなデバイスは、接続(切断)を引き起こすために(1つ又は複数の)デバイス140~146に制御信号を出力する。ブロック200は、1つ又は複数の測定デバイス120~129が1つ又は複数の物理的刺激を検出することを含む。
【0039】
別の実施例では、1つ又は複数の物理的刺激は、電力グリッドにとって内因性である少なくとも1つの刺激を含む。そのような実施例では、ブロック200は、1つ又は複数の測定デバイス120~129が1つ又は複数の内因性物理的刺激を検出すること含む。
【0040】
一実施例では、ブロック202は、測定デバイス120~129のうちの1つ又は複数によって測定データの第1のセットを測定することによって実施される。
【0041】
一実施例では、ブロック204は、処理システム150によって実施される。他の実施例では、ブロック204は、測定データの第1のセットを測定した(1つ又は複数の)測定デバイスによって実施される。別の実施例では、ブロック204は、(1つ又は複数の)測定デバイスと処理システムとの間で分散される。
【0042】
一実施例では、ブロック206は、処理システムによって実施される。
【0043】
処理システムの観点から、プロセスは、一実施例によるブロック202~204を含む。処理システムは、1つ又は複数の測定デバイスから測定データの第1のセットを取得し(ブロック202)、ブロック204において電気パラメータを計算し得る。このプロセスは、コンピュータ実装プロセスとして実行され得、これは、コンピュータ実装プロセスの仕様を定義するコンピュータ・プログラム・コードを含む、1つ又は複数のコンピュータ・プログラム製品によって定義される。
【0044】
図3を参照しながら、処理システムによって実行されるプロセスのさらなる実施例が説明される。このプロセスも、コンピュータ実装プロセスとして実行され得る。プロセスは、電力グリッド中の1つ又は複数の物理的刺激に基づいて、電力グリッドの第1のロケーションに関連付けられた測定データの第1のセットを取得すること(ブロック202)と、測定データの第1のセットに基づいて電力グリッドの第1のロケーションの電気パラメータを計算すること(ブロック204)と、電気パラメータを、測定データが少なくとも現在利用不可能である電力グリッドの別のロケーションの電気パラメータにマッピングすることとを含む。マッピングすることは、測定データの第1のセットと、第1のロケーションの電気的特性と第2のロケーションの電気的特性との間の相関とに基づいて行われる。
【0045】
電気パラメータは故障レベルであり得る。利用可能な測定データのタイプに応じて相関を使用することによって、グリッド周波数、位相角、無効電力、慣性、高調波など、他の電気パラメータが等しく計算され得る。測定データに加えて、さらなる入力データ、たとえば、気象、温度、使用率、価格設定タリフ、挙動、トラフィック・フローが、相関を構築するために使用され得る。故障レベルの測定データのみが利用可能である場合、相関は、電力グリッドの複数のロケーション間の故障レベルの相関を定義し得、マッピングされる電気パラメータは、故障レベルを含むか、又はさらには故障レベルからなり得る。複数のタイプの測定データが、利用可能であり、測定デバイスによって測定される場合、処理システムは、単一の相関モデル下に異なるタイプの測定データを組み込む単一の相関モデルを計算するか、又は処理システムは、測定データの各タイプ、たとえば故障レベル、グリッド周波数などについて専用の相関モデルを形成し得る。利用可能な測定データが、測定された電圧値及び電流値などの低レベル測定データを含む場合、処理システムは、低レベル測定データ、たとえば故障レベルから様々なより高いレベルの電気パラメータを計算し、(1つ又は複数の)対応する相関モデルを形成し得る。
【0046】
図2及び図3の実施例は、グリッド・ネットワーク・レベルでの、及び測定デバイスが提供される個々の測定点においてのみでない、電気パラメータの決定を可能にする。言い換えれば、実施例は、電力グリッドのステータスに関するより広い観点を提供する。相関モデルは、たとえば配電ネットワーク全体又はそのサブネットワークを包含するように、ネットワーク・レベルでの測定に基づいて作られ得る。相関モデルは、したがって、単一の測定デバイスによってカバーされる有効エリアによって形成されるものよりも広い、電力グリッドのエリアをカバーし得る。単一の測定は、測定ロケーション及びそのロケーションの有効エリア内にあるそのロケーションの周りのエリアに直接、電気パラメータを提供し得る。測定ロケーションまでの距離が増加するにつれて、そのような個々の測定の信頼性は急速に劣化する。電気グリッドの異なるロケーションにおいて実施された複数の測定に基づいて構築された相関モデルは、個々の測定ロケーションの直接の有効エリア内にないロケーションに対してさえ(1つ又は複数の)電気パラメータの補間を可能にする。
【0047】
相関モデルは、電力グリッドの状態のスナップショットを提供するために実質的に同時に行われた測定に基づいて、構築され得る。別の実施例では、相関モデルは、新しい測定データが収集されるとき、更新され、したがって、電力グリッドの絶えず更新する全体的ビューを提供する。
【0048】
別の実施例では、電力グリッドに対して意図的に生成された1つ又は複数の物理的刺激は、電気的刺激を含む。電気的刺激は、故障レベルなどの電気パラメータの測定及び推定を可能にする、電力グリッドに対する電気的外乱(electric disturbance)を引き起こし得る。
【0049】
図4図6は、相関のために測定データを集めることと、測定データがそこから収集されたロケーションとは異なるロケーションに対する電気パラメータの後続のマッピングとについてのいくつかの実施例を示す。
【0050】
図4は、実施例のシグナリング図を示し、ここで、測定データは、電力グリッドのある電圧レベルで測定され、測定データに基づいて決定された電気パラメータは、電力グリッドの同じ電圧レベルで、別のロケーションの電気パラメータにマッピングされる。図4を参照すると、低電圧レベル、たとえば230V又は11kVの(1つ又は複数の)測定デバイスは、ステップ400において、(1つ又は複数の)測定デバイスのうちの1つ又は複数のロケーションに対する1つ又は複数の物理的刺激をトリガする。1つ又は複数の物理的刺激は、電力グリッドに対する1つ又は複数の負荷バンク144の接続/断線によって、或いは電力グリッドに対する1つ又は複数のデバイスの電力供給及び/又は電力消費を変化させることによって引き起こされ得、したがって電力グリッドに対する電気的外乱を引き起こす。電気的外乱は、(1つ又は複数の)負荷バンクに関連したボックスによって図4に示されている有効な持続時間を有し得る。外乱が有効である間、測定データは、外乱の有効エリア下の(1つ又は複数の)測定デバイスによって収集され得る(ステップ402)。ステップ402は、故障レベルを測定すること、或いは故障レベルの計算を可能にするパラメータ、又は電力グリッドの別の電気パラメータ、たとえば電力グリッド中の電圧及び電流を測定することを含み得る。測定を実施すると、(1つ又は複数の)測定デバイスは、ステップ404において処理システム150に測定データを報告し得る。そのような測定報告は、たとえば、Comtrade又は他の同様のデータ・ファイル・フォーマットの形態で提供され得る。
【0051】
さらなる観点から、ステップ402において実施される測定は、(1つ又は複数の)測定を行うために意図的に生成された電気的外乱のために、能動測定と呼ばれる。図4に示されているように、電気的外乱の影響下で複数の測定が実施され得る。また、複数の電気的外乱が、電力グリッドの低電圧レベルで異なるロケーションにおいて、同様に生成され得る。外乱のトリガリングは、異なるロケーションにおいて外乱が実質的に同時に発生し得るように同期していることがある。同期は、全地球測位システム・クロックのような共通の時間基準を使用することによって実現され得る。同期している外乱は、ステップ402において、異なるロケーション(又は、それのサブセット)における同期している測定を暗黙的に引き起こす。これは、電力グリッドの全体又は電力グリッドの大きいエリアの低電圧レベルの電気状態のスナップショットを可能にする。したがって、相関モデルは、同期している測定のおかげでより正確に作られ得る。
【0052】
随意の実施例では、高電圧レベルにおける測定デバイス122も、測定を行い得る(ステップ406)。電力グリッド中の内因性外乱を検出すると、測定デバイス122は、測定デバイス122のロケーションにおいて電力グリッドを測定し、さらなる測定データを集め得る。測定デバイス122は、電気的外乱が、能動的に生成されず、代わりに、電力グリッドに対して内因性であるという点で、受動測定を採用し得る。ブロック406は、検出された電気的外乱が測定に適格であることを、測定を行う前に検証することをさらに含み得る。検証は、たとえば、外乱の強度が、正確な測定を行うのに十分に高いことを検証することを含み得る。これは、検出された外乱、たとえば外乱によって引き起こされた電圧及び/又は電流変動を、1つ又は複数のしきい値と比較することによって検証され得る。追加又は代替として、検証は、外乱が測定デバイス122のロケーションの近傍にあるか否かを検証することを含み得る。近傍度は、電力グリッドから収集された、外乱を含む信号の波形を分析することによって、評価され得る。信号がステップ関数を含む場合、外乱は測定デバイスのロケーションの近傍にあると決定され得、測定はトリガされ得る。一方、信号が指数波形を含む場合、外乱は測定デバイスに対して遠いと決定され得、測定はトリガされない。電気グリッドのインピーダンスは、外乱のロケーションからの距離として、ステップ関数から指数関数のほうへ、測定されている電気信号の波形を変形する。
【0053】
ステップ408において、測定デバイス122は、たとえば、Comtrade又は他の同様のデータ・ファイル・フォーマットの形態で、さらなる測定データを処理システムに報告する。いくつかの実施例では、測定デバイス122~129は、複数の外乱にわたる測定データを集め、累積された測定データをまとめて報告し得ることを諒解されたい。
【0054】
高電圧レベルの測定デバイス122が、意図的に生成された外乱を検出することが可能である場合、測定デバイス122は、意図的に生成された外乱の影響中に測定をも行い得る。これは、以下で説明されるように、複数の電圧レベルにわたる同期している測定の利点を提供し得る。
【0055】
測定デバイスから少なくとも一部の測定データを受信すると、処理システムは、ブロック410において、相関モデルを生成するために十分な量の測定データが収集されたかどうかを決定し得る。ブロック410のためのパラメータは、測定データを報告した異なる測定デバイスの数であり得る。十分な数の測定デバイスが測定データを報告した場合、十分な量の測定データが利用可能であると決定され得る。十分な量の測定データが利用可能でない場合、処理システム150は、さらなる測定データを待ち得る。十分な量の測定データが利用可能である場合、処理システム150は、ブロック412に進み得、相関モデルが構築される。図7は、少なくとも測定データに基づいて相関モデルを形成するためのプロシージャの一実施例を示す。電力グリッドの静的特性などの(1つ又は複数の)さらなる入力が、以下で説明されるように、相関モデルを形成するときに使用され得る。
【0056】
上記で説明されたように、相関モデルは、少なくとも、測定が行われた(1つ又は複数の)電圧レベルでの電力グリッド全体にわたる電力グリッドの(1つ又は複数の)電気パラメータを表し得る。代替的に、相関モデルは、電力グリッドのかなりのエリアにわたる電力グリッドの(1つ又は複数の)電気パラメータを表し得、かなりのエリアは、個々の測定ロケーションの統合されたエリアよりも広い。
【0057】
相関モデルを構築すると、処理システムは、相関モデルの有効エリアの任意の部分における電気パラメータを推定し得る。処理システムは、たとえば、相関モデルを使用することによって有効エリア上の電気パラメータのマップ又はランドスケープを形成し得る。処理システムはまた、電力グリッド中の様々なロケーション及び電圧レベルにおいて電気パラメータの表示可能な視覚化を生成し、処理システムの事業者に対する表示のために視覚化を出力する。ランドスケープは、ブロック412を実行する前に現実の測定値が報告されなかったロケーションを含む、電力グリッドの様々なロケーションにおける電気パラメータの値を提供し得る。処理システムは、様々なロケーションのうちの任意の1つが誤作動を起こしやすいか否かを決定するために、様々なロケーションにおける電気パラメータの値をしきい値と比較し得る。たとえば電気パラメータが故障レベルを含むとき、処理システム150は、様々なロケーションのうちの任意の1つが、故障レベルになりやすいか否かを決定し得、故障レベルは、短絡によって引き起こされる電気故障に対抗するための改善対策などのアクションをトリガする。
【0058】
相関モデルは、また、電力グリッドのあるロケーションに位置する1つの測定デバイスから収集された新しい測定データを、測定データが現在利用不可能であるか又は最新でない電力グリッドの別のロケーションにマッピングすることを可能にする。現在利用不可能は、電力グリッドの(1つ又は複数の)他のロケーションにおいて測定デバイスがないこと、又は(1つ又は複数の)他のロケーションにおける測定デバイスが動作可能でないことを指すと理解され得る。また、これは、測定デバイスが、動作可能であるが、信頼できないと考えられるむらのある測定データを提供するか、又は測定デバイスが、測定データが常に最新であるとは考えられ得ないほどまれに測定データを提供する、ロケーションを指すと理解され得る。再び図1を参照すると、建築物132のローカル電気ネットワーク、電力グリッドの変電所又はサブネットワークに結合された、測定デバイスがないことがある。しかしながら、たとえば測定デバイス126及び/又は128によって、別のロケーションにおける測定を実施することが、相関モデルを使用することによる、住宅132のローカル・ネットワークにおける故障レベル又は別の電気パラメータの計算を可能にする。測定デバイスが、ブロック414において測定データを測定し、ステップ416において新しい測定データを処理システムに報告すると、ステップ416においてそのような新しい測定データを受信する処理システムは、新しい測定データから計算された電気パラメータを、電力グリッドの別のロケーションの別の電気パラメータにマッピングし得る(ブロック418)。このようにして、相関モデルは、そこからの最新の測定データが利用可能でないロケーションに対する電気パラメータの最新の推定を可能にする。
【0059】
低電圧レベルのみで測定された測定データが、ブロック412を実行するときに利用可能であるとき、相関モデルは、低電圧レベルのみでの電気パラメータの推定を可能にし得る。しかしながら、ステップ406及び408を含む実施例は、複数の電圧レベルにわたって相関を拡大する相関モデルを形成することを可能にする。一実施例では、第1の電圧レベルで受信された測定データは、電気パラメータを第1の電圧レベルとは異なる第2の電圧レベルにある別のロケーションにマッピングするために使用され得る。第1の電圧レベルは第2の電圧レベルよりも高くなり得、又は第1の電圧レベルは第2の電圧レベルよりも低くなり得る。
【0060】
たとえば、ブロック418は次いで、たとえば測定デバイス122のロケーション又は高電圧レベルの別の部分における、高電圧レベルでの電気パラメータの推定をも可能にするであろう。高電圧レベルで、複数のロケーションにおいて実施された複数の測定値が、ブロック412の前に受信された場合、相関モデルは、直接の測定データが提供されなかったロケーションを含む、ブロック418における高電圧レベルでの様々なロケーションにおける電気パラメータの推定を可能にし得る。図5は、そのような実施例を示す。図5では、図4中と同じ参照番号によって示される機能は、同じ又は実質的に同様の機能を表す。
【0061】
図5を参照すると、この実施例では、電圧レベルにわたる相関モデルを形成するためにステップ406及び408が必要とされ得る。ブロック412において相関モデルを形成すると、処理システム150は、低電圧レベルと高電圧レベルとを含む、相関モデルの有効エリアの任意の部分における電気パラメータを推定し、高電圧レベルに関する図4に関連して上記で説明された機能のうちの任意の1つを実施し得る。たとえばステップ416における低電圧レベルの測定デバイスから、新しい測定データを受信すると、処理システム150は、相関モデルを使用することによって、高電圧レベルで、1つ又は複数のロケーションにおいて、故障レベルなどの電気パラメータを計算し得る(ブロック500)。
【0062】
一実施例では、電力グリッドから測定デバイスによって測定され、ステップ416において報告される現実の測定データは、電力グリッド中のロケーションに関連付けられた処理システム150が生成するシミュレートされた測定データによって置き換えられ得る。そのような人工的に生成された測定データと相関モデルとを使用することによって、処理システムは、電力グリッドの特性をテストする様々な「what if」シナリオをテストし得る。したがって、現実の測定データの利用可能性は、図2図3又は図4のプロセスを限定する必要がない。
【0063】
図5の実施例では、ブロック500を実行し、低電圧レベルで収集された測定データに基づいて高電圧レベルの電気パラメータを計算すると、処理システムは、高電圧レベルで実施された追加の測定を使用することによって、電気パラメータの正確さを検証し得る。結果として、ブロック500を実行すると、処理システムは、高電圧レベルに位置する測定デバイス122から収集された測定データを使用することによって、電気パラメータを再び計算し得る。そのような測定データが、処理システム150によって決定されたように、すぐに利用可能でないか又は最新でない場合、処理システム150は、高電圧レベルに位置する(1つ又は複数の)測定デバイス122に新しい測定を要求する(ステップ502)か、又はその測定デバイス122からの新しい測定を待つ。高電圧レベルの(1つ又は複数の)測定デバイス122が、(1つ又は複数の)測定を実施し(ステップ504)、(1つ又は複数の)測定を報告した(ステップ506)ときに、処理システムは、電気パラメータの正確さを検証し得る(ステップ508)。
【0064】
図5のプロシージャは、検証プロセスが、第1のロケーション及び別のロケーションとは異なるさらなるロケーションにおいて、電力グリッド上で生成されたさらなる物理的刺激を検出すると、測定された測定データのさらなるセットを使用することによって第1のロケーション及び/又は別のロケーションの計算された電気パラメータを検証することを含むように、一般化され得る。言い換えれば、ある電圧レベルにおいて測定された測定データに基づいて計算された電気パラメータは、同じ電圧レベル、たとえば、低電圧レベルから収集されたさらなる測定データを使用することによって検証され得る。
【0065】
一実施例では、電気パラメータが正確でないと決定された場合、処理システムは相関モデルの較正をトリガする。再較正が、図6に関連して以下で説明される。処理システムは、ブロック500において計算された電気パラメータが不正確であると決定すると、その電気パラメータを廃棄し得る。電気パラメータが正確であると決定すると、処理システムは、相関モデルが正確であると決定し、較正を延期し得る。また、処理システムは次いで、もしあれば、電気パラメータの値によってトリガされる、アクションをトリガし得る。
【0066】
一実施例では、測定データは、意図的に生成された及び/又は内因性の、1つ又は複数の物理的刺激の発生に従って間欠的に又は継続的に取得される。
【0067】
上記で説明されたように、高電圧レベルの測定値は、多くの目的のために使用され、それらのうちの1つが相関モデルの較正である。電力グリッド中では、低電圧レベルは、図1に示されているように、高電圧レベルのサブネットワークを形成し得る。たとえば、都市ネットワーク115は、測定デバイス122が結合された電圧レベルのサブネットワークを形成する。別のサブネットワークが、工場130を含み得、また別の1つ又は複数のサブネットワークが、Statcom(静的同期補償器:static synchronous compensator)能力を含み得る再生可能な1つ又は複数の発電機137及び/或いは1つ又は複数の再生可能エネルギー蓄積デバイス136を含み得る。高電圧レベルの測定値は、サブネットワークの(1つ又は複数の)電気パラメータの全体的なビューを提供し、したがって、相関モデルを較正するための好適な基準を提供し得る。
【0068】
図6では、前の図中と同じ参照番号によって示される機能は、同じ又は実質的に同様の機能を表し得る。図6を参照すると、相関モデルの作成又は相関モデルの最近の較正から、決定された時間間隔が過ぎた後に、或いは、ステップ500における電気パラメータの不正確な推定など、相関モデルの再較正をトリガするイベントを検出すると、再較正がトリガされ得る(ブロック600)。1つのトリガは、高電圧レベルからの新しい測定データの受信であり得る(ステップ408)。
【0069】
ブロック600において相関モデルの較正をトリガすると、相関モデルは、ブロック602において、少なくとも高電圧レベルからの利用可能な最新の測定データを使用することによって較正され得る。ブロック602において、処理システム150は、低電圧レベルからの利用可能な最新の測定データ、たとえばステップ416において収集された測定データをさらに使用し得る。このようにして、相関モデルは、最新の状態に保たれ得る。
【0070】
図7は、処理システムによって実行されるプロセスの一実施例を示す。図7のプロセスは、相関モデル構築プロセスと相関モデル利用プロセスとに論理的に分割され得、それらは、互いに独立したプロセスであり得る。したがって、サブプロセスのいずれか一方が、他方から独立して行われ得ることを諒解されたい。しかしながら、サブプロセスの組合せは、可能な実施例である。
【0071】
図7を参照すると、処理システム150は、最初に、電力グリッドの静的パラメータを収集し得る(ブロック700)。そのような静的パラメータは、電力グリッドの要素の相互接続に関して定義された、電力グリッドのトポロジー702を含み得る。図1は、電力グリッドの1つのトポロジーを示す。したがって、トポロジー702は、相関モデルの意図されたカバレージに応じて、電力グリッド又はそれのサブセットの構造を表し得る。静的パラメータは、電力グリッドの様々なロケーションにおけるインピーダンス(704)を含み得る。インピーダンス値は、電力グリッドの様々な部分間の電気相互関係を表し、したがって、相関モデルにおいて利用され得る。静的パラメータは、測定ロケーション706、すなわち測定デバイス120~129が結合されたロケーションを含み得る。静的パラメータは、ネットワーク・ステータスと、電力供給システムの発電プロファイルとをさらに含み得る。ネットワーク・ステータスは、たとえば、電力線、変圧器、(1つ又は複数の)負荷、及び/又は(1つ又は複数の)生成器の状態を表し得る。追加の静的パラメータ、たとえば、負荷バンク140~146のロケーション及び/又は(1つ又は複数の)サイズ、気象データ、温度データ、太陽照射データ、価格設定タリフ、市場機構及びそれらの機構に対する反応、たとえば電力グリッド内のトラフィック・フローを含む電力グリッドの使用率/消費及び生成モデルが、提供され得る。静的パラメータは、相関モデルを形成するためのトレーニング・データのあるセットを形成し得る。静的パラメータは、電力グリッドの電気特性に関する情報を含むか、又はその情報中に含まれ得る。
【0072】
ブロック708において、処理システムは、相関モデルを形成するためにトレーニング・データの別のセットを集める。トレーニング・データのこのセットは、電力グリッドから測定された測定データを含み得る。測定データは、たとえば、ステップ404及び/又は408において処理システムによって受信された、上記で説明された測定データを含み得る。上記で説明されたように、測定データは、電圧、電流、グリッド周波数、又は上記で説明されたより高いレベルの測定データのうちのいずれか1つ又は複数を含み得る。
【0073】
上記で説明されたように、処理システムは、十分な量のトレーニング・データがいつ集められたかを監視し得る(ブロック410)。十分な量のトレーニング・データを集めると、プロセスはブロック710に進み得、処理システムによって相関モデルが構築される。ブロック710は、機械学習のための入力としてトレーニング・データの上記で説明されたセットを使用して、機械学習アルゴリズムを実行することを含み得る。機械学習アルゴリズムは、相関モデルを形成するために深層ニューラル・ネットワーク又は再帰的ニューラル・ネットワークなどのニューラル・ネットワークを採用し得る。概して、機械学習アルゴリズムは、ブロック700において収集された静的パラメータの基本的知識を用いて測定データ中のパターンを探索し得る。測定データと静的パラメータとを分析することによって、電圧レベル内の、さらには複数の電圧レベルにわたる、上記で説明された相関モデルが、構築され得る。
【0074】
相関モデルが構築された(ブロック710が完了した)とき、相関モデルは、あるロケーションにおいて測定された故障レベルなどの電気パラメータを、そこからの測定データが現在利用可能でないか又は古い、別のロケーションの対応する(故障レベルなどの)電気パラメータにマッピングするために使用され得る。相関モデルはまた、そこからの測定データが現在利用可能でないか又は古い、ロケーションにおける電気パラメータの将来の挙動を、電力グリッドの別のロケーションから収集された測定データを使用することによって予報又は予測することを可能にし得る。これは、たとえば、故障レベルの将来の進展の予測を可能にし得る。したがって、一実施例は、相関モデルのための基礎として使用される測定中に故障レベルなどの電気パラメータを表す相関モデルを計算するためにブロック710を使用する。測定は、第1の時間間隔中に行われ得る。測定は、電気パラメータの時間的挙動も相関モデル中に含まれ得るような、長い時間ウィンドウ内に行われ得る。結果として、相関モデルは、測定に関する及び/又は推定を行う時間に関する、決定された第2の時間間隔或いは将来のある時刻における、電力グリッドの決定されたロケーションにおける電気パラメータを推定するために使用され得る。
【0075】
相関モデルは、少なくとも1つのロケーションからの測定データが受信されるときはいつでも、電力グリッドの全体的ビューの保守を可能にする。相関モデルは、単一の測定ロケーションから受信された単一の測定データを、電力グリッドの全体的ビューにマッピングし得る。結果として、電気パラメータが必要とされるすべてのロケーションにおいて測定デバイスを提供する必要はない。さらに、すべての測定ロケーションから最新の測定データをそれほど頻繁に受信する必要がない。相関モデルが正確であるとき、単一の測定ロケーション又は測定ロケーションのサブセットのみからの測定データは、処理システムが相関モデルのカバレージ・エリアにわたる電気パラメータを評価するために十分である。上記で説明されたように、カバレージ・エリアは、複数の測定ロケーションにわたって、及び電力グリッドの異なるロケーションにおける複数のデバイスにわたって広がる。
【0076】
上記で説明されたように、現在可能である相関モデルを使用することによって、電力グリッドの様々なロケーションにおける電気パラメータを決定するための、いくつかの実装形態がある。上記で説明された実施例では、電力グリッドにわたる電気パラメータのランドスケープ又はマップは、相関モデルを使用することによって形成され得る。ランドスケープ/マップは、たとえば以下のように、図7のプロセスを使用することによって計算され得る。静的入力パラメータは、電力グリッドをモデル化するための電力システム・モデル、たとえば、電力グリッド中のインピーダンス、電力供給モデル、電力消費モデル、電力グリッドのトポロジーなどを構築するために使用され得る。次いで、電気パラメータは、電力システム・モデルを使用することによって電力グリッドの様々なロケーションにおいて計算され得る。様々なロケーションは、(1つ又は複数の)測定デバイスが提供されるロケーションを含み得る。さらに、電気パラメータは、上記で説明されたように、(1つ又は複数の)測定デバイスを使用することによって電力グリッドから測定され得る。次いで、計算された電気パラメータと測定された電気パラメータとが、比較され得る。計算された電気パラメータと測定された電気パラメータとが、比較で決定されるように十分に一致する場合、電力システム・モデルは正確であると決定され得、電力システム・モデルを使用することによって、電気パラメータは、(1つ又は複数の)測定デバイスが提供されなかった他のロケーションに対して計算され得る。計算された電気パラメータと測定された電気パラメータとの間に、比較によって示されるように不一致がある場合、電力システム・モデルは、たとえば、静的入力パラメータとして使用されたインピーダンス値を調整することによって、調整され得る。その後、電気パラメータの新しい計算と新しい測定とが行われ得る。
【0077】
また別の実施例では、相関モデルは、より低い電圧レベルとより高い電圧レベルとの間の伝達インピーダンスを採用する。この実施例では、より低い電圧レベルとより高い電圧レベルとの間の伝達インピーダンスが知られている場合、より低い電圧レベルでの(能動)測定が、より高い電圧レベルでの電気パラメータを推定するために使用され得る。この実施例では、より高い電圧レベルでの、及び内因性刺激に基づく受動測定が、伝達インピーダンスと、したがって、相関モデルとを補正するために使用され得る。いくつかのより低い電圧レベルの測定デバイスが、測定不正確さを平均化するために、より高い電圧レベルでの電気パラメータを推定するために使用され得る。平均化は、単純な平均化、又は、測定を組み合わせるより洗練された方法を使用し得、たとえば、カルマン・フィルタが、関係する実例である。
【0078】
ブロック712において、電気パラメータ、たとえば故障レベルの推定をトリガすると、ブロック714において、グリッド・ロケーションXにおいて測定された測定データが収集される。推定は、たとえば、相関モデルの完了又は較正によってトリガされ得る。測定データを収集すると、ブロック716において、ブロック714において収集された測定データと、ブロック710において構築された相関モデルとを使用することによって、ロケーションX以外の様々なロケーションについての電気パラメータが計算される。ブロック718において、ロケーションX以外のロケーションのうちのいずれか1つについての電気パラメータの計算がアクションをトリガするかどうかが決定される。決定は、他のロケーションに関連付けられた(1つ又は複数の)電気パラメータと、1つ又は複数のしきい値、たとえばしきい値故障レベルとの比較に基づき得る。アクションがトリガされない場合、プロセスは終了し得る。ブロック718においてアクションがトリガされた場合、プロセスは、ブロック720に進み得、アクションがトリガされる。アクションは、電力グリッド中の検出された異常の通知の出力、アラームを発することなどを含み得る。
【0079】
電力グリッドの2つの現実のロケーション間で電気パラメータをマッピングするために相関モデルを使用することに加えて、又はその代替として、相関モデルは、電力グリッドが修正された場合、故障レベルを推定及び/又は予測するために使用され得る。たとえば、相関モデルは、新しいフィーダ・バスを追加すること或いはフィーダ・バス又は変電所を交換することの効果を評価するために使用され得る。図7のプロシージャは、修正を表すために電力グリッドのトポロジー及び/又はインピーダンス値などの静的パラメータを変化させ、変化が考慮されるように相関モデルを再計算し得る。
【0080】
図8は、測定デバイスが結合され得る電力グリッドの簡略化された構造を示す。上記で説明されたように、1つの測定デバイス122は、より高い電圧レベルに、たとえば送電グリッド供給点800に結合され得る。複数のプライマリ・バス1~N805が、送電グリッド供給点に結合され、デジタル故障レコーダ(DFR:digital fault recorder)又は同様の測定デバイスが、各プライマリ・バス又はプライマリ・バス1~Nのサブセットに結合され得る。DFRは、上記で説明された測定デバイス120~129の一実例である。一実施例では、DFRは、電力グリッド中で検出された内因性刺激に基づいて測定を行うように設定される。DFRはすべて、電力グリッドの同じユニット、たとえば変電所において提供され得るが、各DFRは、異なるプライマリ・バスに接続され、したがって、電力グリッド中の異なる点に接続されていることがある。他の実施例では、DFRは、複数のユニット、たとえば異なる変電所において提供され、したがって、電力グリッド又は電力グリッドのサブネットワーク中の故障レベルのより広い概観を提供する。意図的な外乱を生成するために使用される負荷バンク802又は同様のデバイスは、図8に示されているように、プライマリ・バス又はそれらのサブセットに結合され得、測定デバイス128、129は、各負荷バンク802のロケーション又は負荷バンク802のサブセットに結合され得る。図8に示されているように、測定データは様々な電圧レベル、この実施例では3つ、で提供され得る。測定デバイス122は、最も高い電圧レベルで(受動)測定を行い、DFRは、より低い電圧レベルで(受動)測定を行い、測定デバイス128、129は、最も低い電圧レベルで(能動)測定を行う。
【0081】
能動測定と受動測定とから測定方法を選択する観点から、負荷バンクを使用するか又は他の方法で刺激を能動的に生成する能動測定は、より低い電圧レベルで使用され得、より低い電圧レベルでは、刺激の能動生成が、刺激生成の複雑さの見地からより適している。より低い電圧レベルでは、刺激を生成するために、より小さい負荷バンクが必要とされる。より高い電圧レベルでは、受動測定方法が、複雑さの見地からより効率的であり得るが、能動測定も、より高い電圧レベルによって誘起される要件により、より複雑又はより大きい外乱生成デバイスを使用して、技術的に可能であり得る。
【0082】
上記で説明された原理によれば、電気パラメータは、測定デバイスを含まないプライマリ・バスに対してさえ、別のプライマリ・バスから収集された測定データを使用することによって、計算され得る。さらに、上記で説明された原理によれば、ある電圧レベルでのプライマリ・バスについての電気パラメータは、特定のプライマリ・バスの別の電圧レベルで、又はさらには別の電圧レベルで、又は別のプライマリ・バスで収集された測定データを使用することによって推定され得る。測定ロケーションから他のロケーションまでの距離が増加するにつれて、マッピング/相関の正確さも劣化する。ある電圧変換を介したある電圧レベルから別の電圧レベルへの正確さは、十分に正確であり得るが、別の電圧変換を介したまた別の電圧レベルをめぐる正確さは、適用例によっては十分に正確でないと見なされ得る。最も高い電圧レベルに対して高い相関を有する図8の最も低い電圧レベルでの能動測定を使用するために、図1の測定デバイス121と、負荷バンク141とが、変圧器113に関連して使用され得る。したがって、能動測定は、能動測定が効率的に行われ得る低電圧レベルで行われ、さらに、最も高い電圧レベルから1ホップ(1つの変圧器113)のみ離れた能動測定を提供し得る。その結果、最も高い電圧レベルに対する測定データの正確な相関さえ、たとえば、図5の実施例を使用することによって達成され得る。
【0083】
図9は、相関モデルを使用することによって、本明細書で説明される故障レベル、又は電気パラメータのうちの別の1つ又は複数を推定又は予測するための機能のうちの少なくともいくつかを行うように設定された装置の一実施例を示す。装置は、少なくとも1つのプロセッサ又は処理回路要素12と少なくとも1つのメモリ20とを備える、電子デバイスを備え得る。装置は、単一のコンピュータ、又は上記で説明されたクラウド・コンピューティング・システムなどのコンピュータ・システムを備え得る。装置は、処理回路要素に接続された通信回路要素26をさらに備え得る。通信回路要素26は、インターネット・プロトコル(IP:Internet protocol)、イーサネット・プロトコルなどの1つ又は複数のコンピュータ・ネットワーク・プロトコルをサポートするために好適なハードウェア及びソフトウェアを備え得る。
【0084】
メモリ20は、処理回路要素12の機能を定義するコンピュータ・プログラム・コードを含むコンピュータ・プログラム(ソフトウェア)22を記憶し得る。コンピュータ・プログラム・コードは、処理回路要素12によって読み取られ、実行されたとき、処理回路要素に、コンピュータ実装プロセスとして、図3のプロセス、図2のブロック202~206、又は実施例のいずれか1つを実行させ得る。メモリは、電力グリッドの相関モデルと収集された測定データと静的パラメータとを記憶するデータベース24をさらに記憶し得る。
【0085】
処理回路要素12は、電力グリッドに結合された測定デバイスから測定データを収集し(ステップ404、408、416、506)、測定データをデータベースに記憶するように設定された、測定データ収集回路要素16を備え得る。十分な量の測定データを収集すると、測定データ収集回路要素16は、相関モデルを生成又は較正するためのプロシージャを初期化するように初期化回路要素15を制御し得る。初期化は、電力グリッドの静的パラメータの取出し(ステップ700)及び測定データの取出しと、機械学習回路要素14への情報の入力とを含み得る。静的パラメータは、電力グリッド中のインピーダンス、電力供給/消費プロファイル、トポロジーなど、電力グリッドの内部パラメータを含み得る。その静的パラメータは、気象プロファイル、価格設定タリフ、太陽照射パターンなどの電力グリッドの外部のパラメータを含み得る。機械学習回路要素14は次いで、ブロック710を実行し、相関モデルを形成又は更新し得る。相関モデルを完了すると、機械学習回路要素14は、相関モデルをデータベースに記憶する。機械学習回路要素14はまた、マッピング回路要素17に(更新された)相関モデルの利用可能性を通知し得る。マッピング回路要素17は次いで、測定データ収集回路要素16から新しい測定データを受信すると、上記で説明されたように、相関モデルを使用することによって、測定データから計算された電気パラメータを、電力グリッド中の1つ又は複数の他のロケーションの対応する電気パラメータにマッピングし得る。新しい電気パラメータを計算すると、新しい電気パラメータは、たとえば、ブロック718及び720を実行するように設定された判定回路要素(decision circuitry)18に出力され得る。判定回路要素18はまた、相関モデルの再較正が必要とされるか否かを決定し得る。較正が必要とされる場合、判定回路要素は、上記で説明された様式と同様の様式で較正を初期化するように初期化回路要素15を設定し得る。
【0086】
本明細書で使用される「回路要素(circuitry)」という用語は、(a)アナログ及び/又はデジタル回路要素のみでの実装など、ハードウェアのみの回路実装と、(b)(適用可能なとき)(i)(1つ又は複数の)プロセッサの組合せ、又は(ii)装置に様々な機能を実施させるために一緒に動作する、(1つ又は複数の)デジタル信号プロセッサと、ソフトウェアと、(1つ又は複数の)メモリとを含む、(1つ又は複数の)プロセッサの部分/ソフトウェアなど、回路とソフトウェア(及び/又はファームウェア)との組合せと、(c)ソフトウェア又はファームウェアが物理的に存在しない場合でも、動作のためのソフトウェア又はファームウェアを必要とする、(1つ又は複数の)マイクロプロセッサ又は(1つ又は複数の)マイクロプロセッサの部分などの回路とのすべてを指す。「回路要素」のこの定義は、本出願のこの用語のすべての使用に適用される。さらなる例として、本明細書で使用される「回路要素」という用語はまた、単にプロセッサ(又は複数のプロセッサ)、又はプロセッサの一部分、及びそれの(又はそれらの)付随するソフトウェア及び/又はファームウェアの実装をカバーするであろう。「回路要素」という用語はまた、たとえば、及び特定の要素に適用可能な場合、モバイル・フォンのためのベースバンド集積回路又はアプリケーション・プロセッサ集積回路、或いはサーバ、セルラー・ネットワーク・デバイス、又は別のネットワーク・デバイスにおける同様の集積回路をカバーするであろう。
【0087】
上記で説明されたように、ブロック406における内因性電気刺激を測定することに関連して、最初に、内因性電気刺激が、故障レベルなどの電気パラメータを測定するために好適であることが検証され得る。そのような検証プロシージャは、上記で説明された他の実施例に関連して使用され得るが、相関モデルに関連してのみ検証を使用することは、必須でない。実際、検証プロシージャは、概して電気パラメータを計算するために使用され得る。図10は、電力グリッド中の内因性外乱中に測定された測定データを確認するためのそのような検証プロシージャの一実施例を示す。図10を参照すると、プロシージャは、電力グリッド中の内因性外乱を検出すること(ブロック1000)と、外乱中に、又は外乱が有効である間、電力グリッドの1つ又は複数の電気特性を測定及び記憶し(ブロック1002)、したがって、測定データを取得することと、測定データを分析すること(ブロック1002)と、ブロック1002における分析が、測定データが、故障レベルなどの電気パラメータを推定するために好適であることを示した場合、測定データは、ブロック1006において確認され、処理システム150に測定データを報告することなどのさらなる処理にフォワーディングされることとを含む。一方、測定データが好適でないと決定された場合、ブロック1008において測定データは廃棄され得る。
【0088】
一実施例では、測定データは、Comtrade或いは電圧サンプル及び/又は電流サンプルを記憶する別のデータ・フォーマット・ファイルで記憶され、分析は、Comtrade又は他のデータ・フォーマット・ファイルのコンテンツに対して実施される。
【0089】
一実施例では、ブロック1002及び1004における分析は、外乱の強度が、正確な測定を行うのに十分に高いことを検証することを含む。これは、検出された外乱、たとえば外乱によって引き起こされた電圧及び/又は電流変動を、1つ又は複数のしきい値と比較することによって検証され得る。
【0090】
一実施例では、分析は、外乱が、プロシージャを検出した、及びプロシージャを実施する測定デバイスのロケーションの近傍にあるか否かを検証することを含む。近傍度は、電力グリッドから収集された、外乱を含む信号の波形を分析することによって、評価され得る。信号がステップ関数を含む場合、外乱は測定デバイスのロケーションの近傍にあると決定され得、測定データは、ブロック1006において確認され得る。一方、信号が指数波形を含む場合、外乱は測定デバイスに対して遠いと決定され得、測定データは確認されない(ブロック1008)。上記で説明されたように、電気グリッドのインピーダンスは、外乱のロケーションからの距離として、ステップ関数から指数関数のほうへ、測定されている電気信号の波形を変形する。
【0091】
一実施例では、図2図7及び図10に関連して説明されたプロセスのうちの少なくともいくつかが、説明されたプロセスのうちの少なくともいくつかを行うための対応する手段を備える装置によって行われ得る。プロセスを行うためのいくつかの例示的な手段は、検出器、(デュアルコア及びマルチプルコア・プロセッサを含む)プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、受信機、送信機、エンコーダ、デコーダ、メモリ、RAM、ROM、ソフトウェア、ファームウェア、ディスプレイ、ユーザ・インターフェース、ディスプレイ回路要素、ユーザ・インターフェース回路要素、ユーザ・インターフェース・ソフトウェア、ディスプレイ・ソフトウェア、回路、アンテナ、アンテナ回路要素、及び回路要素のうちの少なくとも1つを含み得る。一実施例では、少なくとも1つのプロセッサ、メモリ、及びコンピュータ・プログラム・コードは、図2図7及び図10の実施例又はそれらの動作のいずれか1つによる1つ又は複数の動作を行うための処理手段を形成するか、或いはその動作を行うための1つ又は複数のコンピュータ・プログラム・コード部分を備える。
【0092】
また別の実施例によれば、実施例を行う装置は、少なくとも1つのプロセッサとコンピュータ・プログラム・コードを含む少なくとも1つのメモリとを含む回路要素を備える。アクティブにされたとき、回路要素は、装置に、図2図7及び図10の実施例又はそれらの動作のいずれか1つによる機能性のうちの少なくともいくつかを実施させる。
【0093】
本明細書で説明された技法及び方法は、様々な手段によって実装され得る。たとえば、これらの技法は、ハードウェア(1つ又は複数のデバイス)、ファームウェア(1つ又は複数のデバイス)、ソフトウェア(1つ又は複数のモジュール)、又はそれらの組合せで実装され得る。ハードウェア実装の場合、実施例の(1つ又は複数の)装置は、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit)、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)、デジタル信号処理デバイス(DSPD:digital signal processing device)、プログラマブル論理デバイス(PLD:programmable logic device)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field programmable gate array)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、本明細書で説明された機能を実施するように設計された他の電子ユニット、又はそれらの組合せの内部に実装され得る。ファームウェア又はソフトウェアの場合、実装は、本明細書で説明された機能を実施する少なくとも1つのチップ・セットのモジュール(たとえばプロシージャ、関数など)を通して行われ得る。ソフトウェア・コードは、メモリ・ユニットに記憶され、プロセッサによって実行され得る。メモリ・ユニットは、プロセッサ内に又はプロセッサの外部に実装され得る。後者の場合、それは、当技術分野で知られているように、様々な手段を介してプロセッサに通信可能に結合され得る。さらに、本明細書で説明されたシステムの構成要素は、それに関して説明された様々な態様などの達成を容易にするために、並べ替えられ及び/又は追加の構成要素によって補完され得、構成要素は、当業者によって諒解されるように、所与の図に記載される正確な構成に限定されない。
【0094】
また、説明された実施例は、コンピュータ・プログラム又はそれの部分によって定義されるコンピュータ・プロセスの形態で行われ得る。図2図7及び図10に関連して説明された方法の実施例は、対応する命令を含むコンピュータ・プログラムの少なくとも1つの部分を実行することによって行われ得る。コンピュータ・プログラムは、ソース・コード形式、オブジェクト・コード形式、又は何らかの中間形式のものであり得、コンピュータ・プログラムは、何らかのキャリアに記憶され、キャリアは、プログラムを搬送することが可能な任意のエンティティ又はデバイスであり得る。たとえば、コンピュータ・プログラムは、コンピュータ又はプロセッサによって可読なコンピュータ・プログラム配布媒体に記憶され得る。コンピュータ・プログラム媒体は、たとえば、限定はしないがたとえば、記録媒体、コンピュータ・メモリ、読取り専用メモリ、電気的キャリア信号、電気通信信号、及びソフトウェア配布パッケージであり得る。コンピュータ・プログラム媒体は、たとえば、非一時的媒体であり得る。図示及び説明された実施例を行うためのソフトウェアのコーディングは、十分に当業者の範囲内である。一実施例では、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ・プログラムを備える。
【0095】
本発明は、添付の図面による実例を参照しながら上記で説明されたが、本発明が、それらに制限されず、添付の特許請求の範囲内でいくつかのやり方で修正され得ることは、明らかである。したがって、すべての言葉及び表現は、広く解釈されるべきであり、それらは、実施例を例示するものであり、制限するものではない。技術が進歩するにつれて、発明概念が様々なやり方で実装され得ることは、当業者にとって明らかである。さらに、説明された実施例は、必要とされないが、様々なやり方で他の実施例と組み合わせられ得ることは、当業者にとって明らかである。
図1
図2
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図10