(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139267
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】CD123に特異的な抗体および抗体-薬物コンジュゲートならびにその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230926BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230926BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230926BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230926BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230926BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230926BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230926BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20230926BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230926BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230926BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230926BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230926BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230926BHJP
C12N 9/10 20060101ALN20230926BHJP
A61K 31/407 20060101ALN20230926BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C07K19/00
A61K47/68
A61P35/00
A61K39/395 L
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K39/395 E
A61K39/395 D
A61P35/02
C12N9/10
A61K31/407
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124386
(22)【出願日】2023-07-31
(62)【分割の表示】P 2020523378の分割
【原出願日】2018-10-16
(31)【優先権主張番号】62/577,922
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マノジ・バブラオ チャラティ
(72)【発明者】
【氏名】ユーン-チ ハン
(72)【発明者】
【氏名】マダン カトラガッダ
(72)【発明者】
【氏名】ニコル・メリッサ ピチェ-ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス・ネイサン タメイ
(57)【要約】
【課題】CD123に特異的な抗体および抗体-薬物コンジュゲートならびにその使用の提供。
【解決手段】本発明は、CD123に特異的に結合する抗体を提供する。本発明は、さらにそのような抗体を含む免疫コンジュゲート(例えば抗体薬物コンジュゲートまたはADC)、抗体をコードする核酸およびそのような抗体を得る方法に関する。本発明は、さらにCD123を発現する細胞と関係する症状(例えば癌または自己免疫疾患)の処置のためのこれらの抗体およびADCの使用に関する療法的方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列リストへの参照
本出願は、EFS-Webを介して電子出願されており、.txt形式の電子的に提出
された配列リストを含む。.txtファイルは、2017年10月27日に作成された、
78KBのサイズを有する“PC72333_SEQ_LIST_ST25.txt”と
題された配列リストを含有する。この.txtファイルに含有される配列リストは、本明
細書の一部であり、それは参照により本明細書にそのまま援用される。
【0002】
本発明は、抗体、例えばCD123に特異的に結合する完全長抗体に関する。本発明は
、さらにCD123抗体を含むコンジュゲート(例えば、抗体-薬物コンジュゲートまた
は“ADC”)、CD123抗体またはそれらのコンジュゲートを含む組成物、ならびに
、CD123抗体またはそれらのコンジュゲートをCD123を発現している細胞(例え
ば癌)と関係する症状を処置するために使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
CD123は、インターロイキン-3受容体のアルファ鎖(IL-3RαまたはIL3
RAa)であり、それは、共通のベータ鎖CD131とヘテロ二量体を形成してIL-3
のシグナルを伝達するのを助ける。IL-3の生物学的役割は、多能性細胞の生存および
増殖を刺激することである。CD123は、急性骨髄性白血病(AML)細胞の増殖の刺
激に関与していると信じられており、腫瘍生物学において直接的な機能を有する。CD1
23は、患者における再発と関係する細胞集団である白血病幹細胞(LSC)上で高頻度
で発現されている。正常なヒト組織では、CD123発現は、大部分が造血細胞、特に形
質細胞様樹状細胞(pDC)に限られており、それは、ヒトにおける末梢血単核細胞の0
.4%未満を構成する。先天免疫の構成要素として、pDCは、ウイルスおよび細菌性の
刺激に反応して大量の1型インターフェロン(IFN-α/β)を産生する。重要なこと
には、CD123は、造血幹細胞上では発現されていない。
【0004】
白血病、リンパ腫および骨髄腫の新規の症例は、2017年に米国で診断された推定1
,688,780件の新規の癌症例の10.2%を占めると予想されている。CD123
は、その発現率が80%より大きい急性骨髄性白血病(AML)を含む様々な血液悪性腫
瘍においてがん細胞上で発現されている。CD123を発現する血液癌細胞の例は、芽球
および白血病幹細胞を含む。CD123の発現と関係する疾患は、AML、骨髄異形成症
候群(MDS;低リスクおよび高リスク)、急性リンパ性白血病(ALL、すべての亜型
)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、慢性骨髄性白血病(CML)およ
び芽球性形質細胞様樹状細胞新生物(BPDCN)を含む。
【0005】
現在、これらの疾患に関する処置は、50種類を超える個々の薬物を含み、他の薬物が
、研究中および臨床試験中である。放射線療法も、血液癌を処置するために一般的に用い
られており、時々それは、薬物療法と一緒に施される。免疫療法、遺伝子療法および個別
化医療も、用いられる。しかし、これらの療法は、重大な副作用および有害な反応を有し
得る。従って、CD123(IL-3Rα)を発現する血液癌に関する新規の改善された
処置に関する必要性が、存在する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書で開示される発明は、CD123に結合する抗体およびCD123に結合する
抗体を含むコンジュゲート、例えば抗体-薬物コンジュゲート(ADC)ならびに障害を
処置するためにそのような抗体およびADCを調製し、使用する方法に向けられている。
【0007】
本明細書で提供されるのは、CD123に特異的に結合する抗体である。ある態様にお
いて、本発明は、CD123に特異的に結合する単離された抗体を提供し、ここで、その
抗体は、SEQ ID NO:6、24、32、44、51または64のアミノ酸配列を
含むVHの3つの相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ
ID NO:17、28、39、48、57、または71のアミノ酸配列を含むVLの3
つのCDRを含む軽鎖可変領域(VL)を含む。ある態様において、VHは、(i)SE
Q ID NO:7、33、52または65のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(i
i)SEQ ID NO:8、25、34、45、53または66のアミノ酸配列を含む
VH CDR2;および(iii)SEQ ID NO:9、35、46または67のア
ミノ酸配列を含むVH CDR3を含むことができる。ある態様において、VL領域は、
(i)SEQ ID NO:18、40、58または72のアミノ酸配列を含むVL C
DR1;(ii)SEQ ID NO:19、42、60または74のアミノ酸配列を含
むVL CDR2;および(iii)SEQ ID NO:20、42、60または74
のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含むことができる。ある態様において、VHは、
(i)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(ii)SEQ
ID NO:25のアミノ酸配列を含むVH CDR2;および(iii)SEQ ID
NO:9のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含むことができる。ある態様において
、VLは、(i)SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(i
i)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むVL CDR2;および(iii)
SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含むことができる。あ
る態様において、VHは、SEQ ID NO:24において示される配列もしくはCD
R内にない残基における1つもしくはいくつかの保存的アミノ酸置換を有するそのバリア
ントを含むことができ、かつ/またはVLは、SEQ ID NO:28において示され
るアミノ酸配列もしくはCDR内にないアミノ酸における1つもしくはいくつかのアミノ
酸置換を有するそのバリアントを含むことができる。ある態様において、抗体は、SEQ
ID NO:30において示される配列を含む軽鎖およびSEQ ID NO:27に
おいて示される配列を含む重鎖を含むことができる。
【0008】
CD123に特異的に結合し、ATCC受入番号PTA-124283を有する発現ベ
クターにより生成された重鎖可変領域およびATCC受入番号PTA-124284を有
する発現ベクターにより生成された軽鎖可変領域を含む単離された抗体も、提供される。
【0009】
CD123に特異的に結合し、SEQ ID NO:6、24、32、44、51また
は64のアミノ酸配列を含むVHの3つのCDRを含む重鎖可変領域(VH);およびS
EQ ID NO:17、28、39、48、57または71のアミノ酸配列を含むVL
の3つのCDRを含むVLを含む抗体とCD123への結合に関して競合する単離された
抗体も、提供される。
【0010】
SEQ ID NO:7、8および9のアミノ酸配列を含むVHならびにSEQ ID
NO:18、19および20のアミノ酸配列を含むVLを含む単離されたCD123抗
体も、提供される。
【0011】
SEQ ID NO:7、25および9のアミノ酸配列を含むVHならびにSEQ I
D NO:18、19および20のアミノ酸配列を含むVLを含む単離されたCD123
抗体も、提供される。
【0012】
SEQ ID NO:33、34および35のアミノ酸配列を含むVHならびにSEQ
ID NO:40、41および42のアミノ酸配列を含むVLを含む単離されたCD1
23抗体も、提供される。
【0013】
SEQ ID NO:33、45および46のアミノ酸配列を含むVHならびにSEQ
ID NO:40、41および42のアミノ酸配列を含むVLを含む単離されたCD1
23抗体も、提供される。
【0014】
SEQ ID NO:52、53および54のアミノ酸配列を含むVHならびにSEQ
ID NO:58、59および60のアミノ酸配列を含むVLを含む単離されたCD1
23抗体も、提供される。
【0015】
SEQ ID NO:65、66および67のアミノ酸配列を含むVHならびにSEQ
ID NO:72、73および74のアミノ酸配列を含むVLを含む単離されたCD1
23抗体も、提供される。
【0016】
ある態様において、本明細書で記載されるCD123抗体は、特定の部位において操作
されたアシルドナーグルタミン含有タグ(acyl donor glutamine
containing tag)を含むことができる。ある態様において、タグは、Q、
LQG、LLQGG(SEQ ID NO:77)、LLQG(SEQ ID NO:7
8)、LSLSQG(SEQ ID NO:79)、GGGLLQGG(SEQ ID
NO:80)、GLLQG(SEQ ID NO:81)、LLQ、GSPLAQSHG
G(SEQ ID NO:82)、GLLQGGG(SEQ ID NO:83)、GL
LQGG(SEQ ID NO:84)、GLLQ(SEQ ID NO:85)、LL
QLLQGA(SEQ ID NO:86)、LLQGA(SEQ ID NO:87)
、LLQYQGA(SEQ ID NO:88)、LLQGSG(SEQ ID NO:
89)、LLQYQG(SEQ ID NO:90)、LLQLLQG(SEQ ID
NO:91)、SLLQG(SEQ ID NO:92)、LLQLQ(SEQ ID
NO:93)、LLQLLQ(SEQ ID NO:94)、LLQGR(SEQ ID
NO:95)、LLQGPP(SEQ ID NO:96)、LLQGPA(SEQ
ID NO:97)、GGLLQGPP(SEQ ID NO:98)、GGLLQGA
(SEQ ID NO:99)、LLQGPGK(SEQ ID NO:100)、LL
QGPG(SEQ ID NO:101)、LLQGP(SEQ ID NO:102)
、LLQP(SEQ ID NO:103)、LLQPGK(SEQ ID NO:10
4)、LLQAPGK(SEQ ID NO:105)、LLQGAPG(SEQ ID
NO:106)、LLQGAP(SEQ ID NO:107)およびLLQLQG(
SEQ ID NO:108)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むことができ
る。ある態様において、グルタミン含有タグは、LLQG(SEQ ID NO:78)
である。
【0017】
ある態様において、本明細書で記載されるCD123抗体は、位置222、340、ま
たは370においてアミノ酸改変を含むことができる。ある態様において、アミノ酸改変
は、リジンからアルギニンへの置換であることができる。ある態様において、アミノ酸改
変は、K222Rであることができる。
【0018】
ある態様において、本明細書で記載されるCD123抗体は、リンカーを含むことがで
きる。ある態様において、リンカーは、切断可能である。ある態様において、リンカーは
、Ac-Lys-Gly(アセチル-リジン-グリシン)、アミノカプロン酸、Ac-L
ys-β-Ala(アセチル-リジン-β-アラニン)、アミノ-PEG2(ポリエチレ
ングリコール)-C2、アミノ-PEG3-C2、アミノ-PEG6-C2、Ac-Ly
s-Val-Cit-PABC(アセチル-リジン-バリン-シトルリン-p-アミノベ
ンジルオキシカルボニル)、アミノ-PEG6-C2-Val-Cit-PABC、アミ
ノカプロイル-Val-Cit-PABC、[(3R,5R)-1-{3-[2-(2-
アミノエトキシ)エトキシ]プロパノイル}ピペリジン-3,5-ジイル]ビス-Val
-Cit-PABC、[(3S,5S)-1-{3-[2-(2-アミノエトキシ)エト
キシ]プロパノイル}ピペリジン-3,5-ジイル]ビス-Val-Cit-PABC、
プトレッシンおよびAc-Lys-プトレッシンからなる群から選択されることができる
。ある態様において、リンカーは、Ac-Lys-Val-Cit-PABC(アセチル
-リジン-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル)であることがで
きる。
【0019】
ある態様において、本明細書で記載される抗体は、定常領域を含む。ある態様において
、抗体は、ヒト化抗体である。ある態様において、抗体は、ヒトIgG1、IgG2もし
くはIgG2Δa、IgG3またはIgG4サブクラスの抗体である。ある態様において
、抗体は、IgG1抗体である。ある態様において、抗体は、N60G変異を含む。
【0020】
薬剤にコンジュゲートされた本明細書で記載されるCD123抗体を含むコンジュゲー
トも、提供される。ある態様において、薬剤は、細胞毒性薬剤、免疫調節剤、イメージン
グ剤、療法的タンパク質、バイオポリマーおよびオリゴヌクレオチドからなる群から選択
されることができる。ある態様において、薬剤は、細胞毒性薬剤であることができる。あ
る態様において、細胞毒性薬剤は、アントラサイクリン、オーリスタチン、カンプトテシ
ン、コンブレタスタチン、CBI二量体、シクロプロピルピロロインドリン(CPI)二
量体、CTI二量体、ドラスタチン、デュオカルマイシン、エンジイン、ゲルダナマイシ
ン、インドリノベンゾジアゼピン二量体、メイタンシン、ピューロマイシン、ピロロベン
ゾジアゼピン二量体、タキサン、ビンカアルカロイド、チューブリシン(tubulys
in)、ヘミアステリン、スプライセオスタチン(spliceostatin)、プラ
ジエノライド(pladienolide)、ならびに、それらの立体異性体、同配体、
類似体または誘導体からなる群から選択されることができる。ある態様において、細胞毒
性薬剤は、CPI二量体であることができる。ある態様において、CPI二量体は、CP
I-8314である。ある態様において、CPI二量体は、以下の構造を有することがで
きる:
【0021】
【0022】
。
ある態様において、細胞毒性薬剤は、次のIUPAC名を有することができる:(8S
)-8-(クロロメチル)-6-[(3-{[(1S)-1-(クロロメチル)-5-ヒ
ドロキシ-8-メチル-1,6-ジヒドロピロロ[3,2-e]インドール-3(2H)
-イル]カルボニル}ビシクロ[1.1.1]ペンタ-1-イル)カルボニル]-1-メ
チル-3,6,7,8-テトラヒドロピロロ[3,2-e]インドール-4-イル 二水
素 ホスフェート。ある態様において、細胞毒性薬剤は、C31H31Cl2N4O7P
または薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物であることができる。ある態様において、
細胞毒性薬剤は、トリフルオロ酢酸(TFA)塩形態:C31H31Cl2N4O7P・
C2HF3O2であることができる。
【0023】
他の態様において、細胞毒性薬剤は、MMAD(モノメチルオーリスタチンD)、01
01(2-メチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S
)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)
-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピ
ロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L
-バリンアミド)、3377(N,2-ジメチルアラニル-N-{(1S,2R)-4-
{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシル-2-フェニ
ルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1
-イル}-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソブチル}
-N-メチル-L-バリンアミド)、0131(2-メチル-L-プロリル-N-[(3
R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カ
ルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロ
ピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-
イル]-N-メチル-L-バリンアミド(2-methyl-L-proly-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[
(1R,2R)-3-{[(1S)-1-carboxy-2-phenylethyl]amino}-1-methoxy-2-methyl-3-oxopropyl]p
yrrolidin-1-yl}-3-methoxy-5-methyl-1-oxoheptan-4-yl]-N-methyl-L-valinamide))ま
たは0121(2-メチル-L-プロリル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S
)-2-[(1R,2R)-3-{[(2S)-1-メトキシ-1-オキソ-3-フェニ
ルプロパン-2-イル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピ
ロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-
N-メチル-L-バリンアミド(2-methyl-L-proly-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-
3-{[(2S)-1-methoxy-1-oxo-3-phenylpropan-2-yl]amino}-1-methoxy-2-methyl-3-oxoprop
yl]pyrrolidin-1-yl}-3-methoxy-5-methyl-1-oxoheptan-4-yl]-N-methyl-L-valinamide)
)であることができる。
【0024】
ある態様において、コンジュゲートは、次の式を含むことができる:抗体-(アシルド
ナーグルタミン含有タグ)-(リンカー)-(細胞毒性薬剤)。ある態様において、アシ
ルドナーグルタミン含有タグは、アミノ酸配列LLQG(SEQ ID NO:78)を
含むことができ、リンカーは、アセチル-リジン-バリン-シトルリン-p-アミノベン
ジルオキシカルボニルを含むことができる。ある態様において、アシルドナーグルタミン
含有タグは、位置E294~N297において抗体中に挿入されることができる。ある態
様において、コンジュゲートは、さらにKabatのEUインデックスの番号付けに従っ
て抗体の位置222においてリジンからアルギニンへのアミノ酸置換(K222R)を含
むことができる。
【0025】
療法上有効量の本明細書で記載されるCD123抗体または本明細書で記載されるCD
123 ADCおよび薬学的に許容可能なキャリヤーを含む医薬組成物も、提供される。
本明細書で記載されるCD123抗体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された
ポリヌクレオチドも、提供される。そのようなポリヌクレオチドを含むベクターも、提供
される。
【0026】
本明細書で記載されるCD123抗体のいずれかを組み換え的に産生する、単離された
宿主細胞も、提供される。結果として抗体の産生をもたらす条件下でそのような宿主細胞
を培養することおよび宿主細胞または培養物から抗体を単離することを含む、抗体を生成
する方法も、提供される。
【0027】
対象においてCD123を発現する細胞に関係する症状を処置する方法であって、それ
を必要とする対象に本明細書で記載されるCD123抗体のいずれかまたは抗体のいずれ
かのコンジュゲートおよび薬学的に許容可能なキャリヤーを含む療法上有効量の医薬組成
物を投与することを含む方法も、提供される。ある態様において、症状は、癌である。あ
る態様において、癌は、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、
芽球性形質細胞様樹状細胞新生物(BPDCN)、有毛細胞白血病、B細胞性非ホジキン
リンパ腫(NHL)、多発性骨髄腫、悪性形質細胞新生物、ホジキンリンパ腫、結節性リ
ンパ球優位型ホジキンリンパ腫、カーラー病および骨髄腫症、形質細胞白血病、形質細胞
腫、B細胞性前リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(C
ML)、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫
、大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、骨髄性白血病、ワルデンシュトレーム
型マクログロブリン血症(Waldenstrom’s macroglobulien
emia)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、粘膜
関連リンパ組織リンパ腫、小細胞型リンパ球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、バーキ
ットリンパ腫、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫
(lymphoplasmactyic lymphoma)、ワルデンシュトレーム型
マクログロブリン血症、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓辺縁帯リンパ腫、血管内大細
胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、T細胞/組織球豊富
型大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性皮膚びまん性大細胞型B
細胞リンパ腫(下肢型)、高齢者のEBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、炎症を
伴うびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細
胞型B細胞リンパ腫、形質芽細胞リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病で生
じる大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫およびバーキットリンパ
腫の間の中間の特徴を有する未分類のB細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
および古典的ホジキンリンパ腫の間の中間の特徴を有する未分類のB細胞リンパ腫ならび
に他のB細胞関連リンパ腫からなる群から選択される癌であることができる。ある態様に
おいて、癌は、AMLである。
【0028】
CD123を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の成長または進行を抑制する
方法であって、それを必要とする対象に本明細書で提供されるCD123抗体のいずれか
または抗体のいずれかのコンジュゲートおよび薬学的に許容可能なキャリヤーを含む療法
上有効量の医薬組成物を投与することを含む方法も、提供される。
【0029】
対象においてCD123を発現する悪性細胞の転移を抑制する方法であって、それを必
要とする対象に本明細書で提供されるCD123抗体のいずれかまたは抗体のいずれかの
コンジュゲートおよび薬学的に許容可能なキャリヤーを含む療法上有効量の医薬組成物を
投与することを含む方法も、提供される。
【0030】
CD123を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の退縮を誘導する方法であっ
て、それを必要とする対象に本明細書で提供されるCD123抗体のいずれかまたは抗体
のいずれかのコンジュゲートおよび薬学的に許容可能なキャリヤーを含む療法上有効量の
医薬組成物を投与することを含む方法も、提供される。
【0031】
別の側面において、本発明は、それを必要とする対象においてCD123発現と関係す
る症状(例えば癌または自己免疫障害)を処置するための本明細書で記載されるCD12
3抗体またはCD123 ADCを含む有効量の組成物(例えば医薬組成物)を提供する
。ある態様において、有効量の組成物(例えば医薬組成物)は、CD123を発現する悪
性細胞を有する対象において腫瘍の成長または進行を抑制するための本明細書で記載され
るCD123抗体またはCD123 ADCを含む。ある態様において、それを必要とす
る対象においてCD123を発現する悪性細胞の転移を抑制するための本明細書で記載さ
れるCD123抗体またはCD123 ADCを含む有効量の組成物(例えば医薬組成物
)が、提供される。ある態様において、有効量の組成物(例えば医薬組成物)は、CD1
23を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の退縮を誘導するための本明細書で記
載されるCD123抗体またはCD123 ADCを含む。
【0032】
別の側面において、本発明は、それを必要とする対象におけるCD123発現と関係す
る症状(例えば癌または自己免疫障害)の処置における使用のための本明細書で記載され
るCD123抗体またはCD123 ADCを提供する。ある態様において、CD123
を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の成長または進行を抑制するための本明細
書で記載されるCD123抗体またはCD123 ADCが、提供される。ある態様にお
いて、それを必要とする対象においてCD123を発現する悪性細胞の転移を抑制するた
めの本明細書で記載されるCD123抗体またはCD123 ADCが、提供される。あ
る態様において、CD123を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の退縮を誘導
するための本明細書で記載されるCD123抗体またはCD123 ADCが、提供され
る。
【0033】
別の側面において、本発明は、CD123発現と関係する症状(例えば癌または自己免
疫障害)を処置するための医薬品の製造における本明細書で記載されるCD123抗体ま
たはCD123 ADCの使用を提供する。ある態様において、腫瘍の成長または進行を
抑制するための医薬品の製造における本明細書で記載されるCD123抗体またはCD1
23 ADCの使用が、提供される。ある態様において、CD123を発現する悪性細胞
の転移を抑制するための医薬品の製造における本明細書で記載されるCD123抗体また
はCD123 ADCの使用が、提供される。ある態様において、腫瘍の退縮を誘導する
ための医薬品の製造における本明細書で記載されるCD123抗体またはCD123 A
DCの使用が、提供される。
【0034】
本明細書において、抗体をAcLysValCitPABC-DMAE-CO_CPI
-000638314(AcLysPABC-CPI-8314)にコンジュゲートする
ための方法も、提供される。ある態様において、その方法は、抗体およびAcLysPA
BC-CPI-8314を30~100mM KPO4および150~200mM Na
Clを含む緩衝液中に含む組成物を調製し;細菌性トランスグルタミナーゼを組成物に添
加し;そして組成物をインキュベートして抗体のAcLysPABC-CPI-8314
へのコンジュゲーションを可能にすることを含む。ある態様において、組成物のpHは、
7である。ある態様において、組成物は、抗体1mgあたり0.5~2単位(U)の細菌
性トランスグルタミナーゼを含む。ある態様において、組成物は、抗体1mgあたり1U
の細菌性トランスグルタミナーゼを含む。ある態様において、AcLysPABC-CP
I-8314は、抗体に対して10倍モル過剰で存在する。ある態様において、組成物は
、連続的に混合しながら25℃で一夜インキュベートされる。ある態様において、組成物
は、さらに7.5%(v/v)のジメチルスルホキシド(DMSO)を含む。ある態様に
おいて、緩衝液は、30mM KPO4および150mM NaClを含む。ある態様に
おいて、緩衝液は、100mM KPO4および200mM NaClを含む。ある態様
において、抗体は、抗腫瘍抗体である。ある態様において、抗腫瘍抗体は、CD123抗
体である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、IL-3プラス抗体(“Ab”)で処理された細胞の分析からのウエスタンブロットの結果を示している。7G3は、ベンチマーク抗体であり、3D1、18G3および16D6は、CD123抗体であり;8.8は、CD123に結合しない陰性対照抗体である。STAT5、リン酸化されたSTAT5およびアクチンのレベルが、分析された。
【
図2】
図2は、ビヒクルまたはCD123-ADC(CD123-18G3-CPI)のどちらかによる処置後の動物モデルにおける末梢血(左のグラフ)および骨髄(右のグラフ)中に残存する腫瘍細胞の百分率を示す代表的なフローサイトメトリー分析を示している。
【
図3】
図3は、示された用量においてビヒクルまたはCD123-ADCのどちらかで処置された動物の生存の長さ(日単位)を要約したグラフを示している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本明細書で開示される発明は、CD123(例えばヒトCD123)に特異的に結合す
る抗体および抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を提供する。本発明は、これらの抗体
をコードするポリヌクレオチド、これらの抗体を含む組成物ならびにこれらの抗体を作製
および使用する方法も提供する。本発明は、対象においてCD123発現と関係する障害
、例えば癌または自己免疫疾患を処置するための方法も提供する。
【0037】
一般的技法
本発明の実施は、別途示されない限り、分子生物学(組み換え技法を含む)、微生物学
、細胞生物学、生化学および免疫学の従来の技法を用いると考えられ、それは、当業者の
技術の範囲内である。そのような技法は、文献、例えば以下の文献において完全に説明さ
れている:MolecularCloning: A Laboratory Manual, 第2版(Sambrook et al., 1989)
Cold SpringHarbor Press; Oligonucleotide Synthesis (M.J. Gait, 編者, 1984); Met
hods inMolecular Biology, Humana Press; Cell Biology: A Laboratory Notebook (J.
E. Gellis, 編者,1998) Academic Press; Animal Cell Culture (RI. Freshney, 編者,
1987);Introduction to Cell and Tissue Culture (J.P. Mather and P.E. Roberts, 19
98) PlenumPress; Cell and Tissue Culture: Laboratory Procedures (A. Doyle, J.B.
Griffiths,and D.G. Newell, 編者, 1993-1998) J. Wiley and Sons; Methods in Enzy
mology(Academic Press, Inc.); Handbook of Experimental Immunology (D.M. Weir an
d C.C.Blackwell, 編者); Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (J.M. Miller
and M.P. Calos,編者, 1987); Current Protocols in Molecular Biology (F .M. Ausub
el et al., 編者,1987); PCR: The Polymerase Chain Reaction, (Mullis et al., 編者
, 1994);Current Protocols in Immunology (J.E. Coligan et al., 編者, 1991); Shor
t Protocols inMolecular Biology (Wiley and Sons, 1999); lmmunobiology (C.A. Jan
eway and P.Travers, 1997); Antibodies (P. Finch, 1997); Antibodies: a practical
approach(D. Catty., 編者, IRL Press, 1988-1989); Monoclonal antibodies: a prac
tical approach(P. Shepherd and C. Dean, 編者, Oxford University Press, 2000); U
singantibodies: a laboratory manual (E. Harlow and D. Lane (Cold Spring Harbor
LaboratoryPress), 1999); The Antibodies (M. Zanetti and J.D. Capra, 編者Harwood
AcademicPublishers, 1995)。
【0038】
定義
“抗体”は、標的、例えば炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチド等に免疫
グロブリン分子の可変領域中に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を通して特異的に
結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書で用いられる際、その用語は
、完全なポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体だけでなく、その抗原結合フラグ
メント(例えばFab、Fab'、F(ab')2、Fv)、単鎖抗体(ScFv)および
単一ドメイン抗体(例えばサメおよびラクダ抗体を含む)ならびに抗体を含む融合タンパ
ク質ならびに抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子のあらゆる他の改変された構成も包
含する。抗体は、IgG、IgAまたはIgM(またはそのサブクラス)のようなあらゆ
るクラスの抗体を含み、抗体は、特定のクラスのものである必要はない。その重鎖の定常
領域の抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスに割り当てられるこ
とができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGお
よびIgMが存在し、これらのいくつかは、さらにサブクラス(イソ型)、例えばIgG
1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2に分けられ得る。免疫グロ
ブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常領域は、それぞれアルファ、デルタ、イプシロ
ン、ガンマおよびミューと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造
および三次元配置は、周知である。
【0039】
抗体の“抗原結合フラグメント”または“抗原結合部分”という用語は、本明細書で用
いられる際、所与の抗原(例えばCD123)に特異的に結合する能力を保持する完全な
抗体の1つ以上のフラグメントを指す。抗体の抗原結合機能は、完全な抗体のフラグメン
トによって実施され得る。抗体の“抗原結合フラグメント”という用語の範囲内に包含さ
れる結合フラグメントの例は、Fab;Fab';F(ab')2;重鎖可変領域(VH)
およびCH1ドメインからなるFdフラグメント;抗体の単一のアームのVLおよびVH
ドメインからなるFvフラグメント;単一ドメイン抗体(dAb)フラグメント(Ward et
al.,Nature 341:544-546, 1989)ならびに単離された相補性決定領域(CDR)を含む
。
【0040】
標的(例えばCD123タンパク質)に“優先的に結合する”または“特異的に結合す
る”(本明細書において互換的に用いられている)抗体、ADCまたはポリペプチドは、
当該技術で十分に理解されている用語であり、そのような特異的または優先的な結合を決
定するための方法も、当該技術で周知である。分子は、それが、特定の細胞または物質と
、それが代わりの細胞または物質と反応または会合するよりも頻繁に、より急速に、より
大きな持続時間で、および/またはより大きな親和性で反応または会合する場合、“特異
的結合”または“優先的結合”を示すと言われる。抗体は、それが、それが他の物質に結
合するよりも大きい親和性、結合力で、より容易に、および/またはより大きな持続時間
で結合する場合、標的に“特異的に結合する”または“優先的に結合する”。例えば、C
D123エピトープに特異的または優先的に結合する抗体は、このエピトープに、それが
他のCD123エピトープまたは非CD123エピトープに結合するよりも大きい親和性
、結合力で、より容易に、および/またはより大きな持続時間で結合する抗体である。こ
の定義を読むことにより、例えば第1標的に特異的または優先的に結合する抗体(または
部分もしくはエピトープ)は、第2標的に特異的または優先的に結合することもしないこ
ともできることも、理解される。従って、“特異的結合”または“優先的結合”は、(そ
れは排他的結合を含むことができるが)必ずしも排他的結合を必要としない。一般に、結
合への言及は、優先的結合を意味するが、必ず優先的結合を意味するわけではない。
【0041】
抗体の“可変領域”は、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を指し、それは
単独または組み合わせのどちらでもよい。当該技術で既知であるように、重鎖および軽鎖
の可変領域は、それぞれ超可変領域としても知られている3個の相補性決定領域(CDR
)により連結された4個のフレームワーク領域(FR)からなる。それぞれの鎖中のCD
Rは、FRにより近接して一緒に保持されており、他の鎖からのCDRと共に、抗体の抗
原結合部位の形成に寄与している。CDRを決定するための少なくとも2つの技法が存在
する:(1)異種間の配列の変動性に基づくアプローチ(すなわち、Kabat et al. Seque
nces ofProteins of Immunological Interest, (第5版, 1991, 国立衛生研究所、メリー
ランド州ベセスダ));および(2)抗原-抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ
(Al-lazikani etal., 1997, J. Molec. Biol. 273:927-948)。本明細書で用いられる際
、CDRは、どちらかのアプローチにより、または両方のアプローチの組み合わせにより
定められたCDRを指すことができる。
【0042】
可変ドメインの“CDR”は、Kabat、Chothiaの定義、Kabatおよび
Chothia両方の蓄積、AbM、接触、および/もしくは立体構造的定義または当該
技術で周知のあらゆるCDR決定の方法に従って同定される可変領域内のアミノ酸残基で
ある。抗体のCDRは、Kabatらにより最初に定義された超可変領域として同定され
ることができる。例えば、Kabat et al., 1992, Sequences of Proteins of Immunologic
al Interest, 第5版、NIH公衆衛生局、ワシントンD.Cを参照。CDRの位置は、C
hothiaらにより最初に記載された構造的ループ構造として同定されることもできる
。例えば、Chothiaet al., Nature 342:877-883, 1989を参照。CDR同定への他のアプ
ローチは、KabatおよびChothiaの間の折衷案であり、Oxford Mol
ecularのAbM抗体モデリングソフトウェア(現在Accelrys(登録商標)
)を用いて得られる“AbM定義”、またはMacCallum et al., J. Mol. Biol., 262:732
-745, 1996において述べられている観察された抗原接触に基づくCDRの“接触定義”を
含む。本明細書においてCDRの“立体構造的定義”と呼ばれる別のアプローチでは、C
DRの位置は、抗原結合にエンタルピー的寄与をする残基として同定されることができる
。例えば、Makabeet al., Journal of Biological Chemistry, 283:1156-1166, 2008を
参照。さらに他のCDR境界の定義は、上記のアプローチの1つに厳密には従わない可能
性があるが、それでもなおKabat CDRの少なくとも一部と重複するであろうが、
それらは、特定の残基もしくは残基の群またはさらにはCDR全体が抗原結合に著しくは
影響をおよぼさないという予測または実験的発見を考慮して、短く、または長くなってい
る可能性がある。本明細書で用いられる際、CDRは、アプローチの組み合わせを含め、
当該技術で既知のあらゆるアプローチにより定められたCDRを指すことができる。本明
細書で用いられる方法は、これらのアプローチのいずれかに従って定められたCDRを利
用することができる。1つより多くのCDRを含有するあらゆる所与の態様に関して、C
DRは、Kabat、Chothia、拡張、AbM、接触および/または立体構造的定
義のいずれに従って定められることもできる。
【0043】
用語“ポリペプチド”、“オリゴペプチド”、“ペプチド”および“タンパク質”は、
本明細書においてあらゆる長さの、好ましくは比較的短い(例えば10~100アミノ酸
)アミノ酸の鎖を指すために互換的に用いられている。その鎖は、線状または分枝状であ
ることができ、それは、改変されたアミノ酸を含むことができ、および/または非アミノ
酸により遮られることができる。その用語は、天然に、または介入により改変されている
アミノ酸鎖も包含する;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセ
チル化、リン酸化、またはあらゆる他の操作もしくは改変、例えば標識構成要素とのコン
ジュゲーション。例えば、1個以上のアミノ酸の類似体(例えば非天然アミノ酸等が含ま
れる)、ならびに当該技術で既知の他の改変を含有するポリペプチドも、その定義内に含
まれる。ポリペプチドは、単一の鎖または会合した鎖として存在することができることは
、理解されている。
【0044】
本発明の抗体は、当該技術で周知の技法、例えば組み換え技術、ファージディスプレイ
技術、合成技術もしくはそのような技術の組み合わせまたは当該技術で容易に知られてい
る他の技術を用いて生成されることができる(例えば、Jayasena, S.D., Clin. Chem., 4
5: 1628-50,1999およびFellouse, F.A., et al, J. MoI. Biol., 373(4):924-40, 2007
を参照)。
【0045】
当該技術で既知であるように、“ポリヌクレオチド”または“核酸”は、本明細書にお
いて互換的に用いられているように、あらゆる長さのヌクレオチドの鎖を指し、DNAお
よびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修
飾ヌクレオチドもしくは塩基、および/またはそれらの類似体、またはDNAもしくはR
NAポリメラーゼによって鎖の中に組み込まれ得るあらゆる基質であることができる。ポ
リヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えばメチル化されたヌクレオチドおよびそれら
の類似体を含むことができる。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する改変は、鎖の組
み立ての前または後に付与されることができる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド
構成要素により遮られることができる。ポリヌクレオチドは、重合後に、例えば標識構成
要素とのコンジュゲーションによりさらに改変されることができる。他のタイプの改変は
、例えば、“キャップ”、天然存在ヌクレオチドの1つ以上の類似体による置換、ヌクレ
オチド間改変、例えば非荷電連結(例えばメチルホスホネート類、ホスホトリエステル類
、ホスホルアミデート類(phosphoamidates)、カルバメート類等)によ
る、および荷電した連結(例えばホスホロチオエート類、ホスホロジチオエート類等)に
よる改変、例えばタンパク質(例えばヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポ
リL-リジン等)のようなペンダント部分を含有する改変、インターカレーター(例えば
アクリジン、ソラレン等)による改変、キレーター(例えば金属、放射性金属、ホウ素、
酸化性金属等)を含有する改変、アルキル化剤を含有する改変、改変された連結(例えば
アルファアノマー核酸等)による改変ならびにポリヌクレオチド(単数または複数)の非
改変形態を含む。さらに、糖中に通常存在するヒドロキシル基のいずれも、例えばホスホ
ネート基、ホスフェート基により置き換えられる、標準的な保護基により保護される、も
しくは追加のヌクレオチドへの追加の連結を用意するために活性化されることができ、ま
たは固体支持体にコンジュゲートされることができる。5’および3’末端OHは、リン
酸化されていることができ、またはアミンもしくは1~20炭素原子の有機性キャッピン
グ基部分により置換されていることもできる。他のヒドロキシルも、標準的な保護基に誘
導体化されることができる。ポリヌクレオチドは、例えば2’-O-メチル-、2’-O
-アリル、2’-フルオロ-または2’-アジド-リボース、炭素環式糖類似体、アルフ
ァまたはベータアノマー糖類、エピマー糖類、例えばアラビノース、キシロース類または
リキソース類、ピラノース糖類、フラノース糖類、セドヘプツロース類、非環式類似体お
よび脱塩基ヌクレオシド類似体、例えばメチルリボシドを含む、当該技術で一般的に知ら
れているリボースまたはデオキシリボース糖類の類似形態を含有することもできる。1個
以上のホスホジエステル結合が、代替の連結基により置き換えられることができる。これ
らの代替の連結基は、ホスフェートがP(O)S(“チオエート”)、P(S)S(“ジ
チオエート”)、(O)NR2(“アミデート”)、P(O)R、P(O)OR’、CO
またはCH2(“ホルムアセタール(formacetal)”)により置き換えられて
いる態様を含むが、それに限定されず、ここで、それぞれのRまたはR’は、独立してH
、または場合によりエーテル(-O-)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、
シクロアルケニルもしくはアラルキル(araldyl)を含有する置換もしくは非置換
アルキル(1~20C)である。ポリヌクレオチド中の全部の結合が同一である必要はな
い。先行する記載は、RNAおよびDNAを含む本明細書で言及される全てのポリヌクレ
オチドに適用される。
【0046】
当技術分野で知られているように、抗体の“定常領域”は、抗体軽鎖の定常領域または
抗体重鎖の定常領域(単独または組み合わせの両方)を指す。
本明細書で用いられる際、“実質的に純粋な”は、すなわち少なくとも50%純粋であ
る(すなわち汚染物質を含まない)、より好ましくは少なくとも90%純粋である、より
好ましくは少なくとも95%純粋である、さらにもっと好ましくは少なくとも98%純粋
である、最も好ましくは少なくとも99%純粋である物質を指す。
【0047】
“宿主細胞”は、ポリヌクレオチド挿入物の組み込みのためのベクター(単数または複
数)のためのレシピエントであることができる、またはレシピエントであった個々の細胞
または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含み、その子孫は、天然
、偶発的、または故意の変異のため、必ずしも元の親細胞と(形態において、またはゲノ
ムDNA補体(complement)において)完全に同一ではない可能性がある。宿
主細胞は、インビボで本発明のポリヌクレオチド(単数または複数)をトランスフェクシ
ョンされた細胞を含む。
【0048】
当該技術で既知であるように、用語“Fc領域”は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域
を定義するために用いられる。“Fc領域”は、天然配列のFc領域またはバリアントの
Fc領域であることができる。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変動し得るが、ヒ
トIgG重鎖Fc領域は、通常は、位置Cys226におけるアミノ酸残基から、または
Pro230から、そのカルボキシル末端まで及ぶように定義される。Fc領域における
残基の番号付けは、Kabat(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunologic
al Interest, 第5版、国立衛生研究所公衆衛生局、メリーランド州ベセスダ、1991)にお
けるような、EU指針の番号付けである。免疫グロブリンのFc領域は、一般に2つの定
常領域CH2およびCH3を含む。
【0049】
用語“競合する”は、本明細書で抗体に関して用いられる際、第1抗体またはその抗原
結合フラグメント(または部分)が、エピトープに、第1抗体のその同族のエピトープと
の結合の結果が、第2抗体の存在下で、第2抗体の非存在下での第1抗体の結合と比較し
て検出可能であるほどに低下するように、第2抗体またはその抗原結合部分の結合に十分
に類似した様式で結合することを意味する。しかし、第2抗体のそのエピトープへの結合
も、第1抗体の存在下で検出可能であるほどに低下するという代替(alternati
ve)は、必ずしも当てはまらない可能性がある。すなわち、第1抗体は、第2抗体のそ
のエピトープへの結合を、第2抗体が第1抗体のそのそれぞれのエピトープへの結合を阻
害することなく阻害することができる。しかし、それぞれの抗体が、他方の抗体のその同
族のエピトープまたはリガンドとの結合を、同程度、より大きい程度、またはより低い程
度までのいずれであれ、検出可能であるほどに阻害する場合、その抗体は、それらのそれ
ぞれのエピトープ(単数または複数)の結合に関して互いと“交差競合する”と言われる
。競合する、および交差競合する抗体は、両方とも本発明に包含される。そのような競合
または交差競合が起こる機序(例えば立体障害、立体構造変化、または共通のエピトープ
もしくはその一部への結合)にかかわらず、当業者は、本明細書で提供される教示に基づ
いて、そのような競合する、および/または交差競合する抗体は、本明細書で開示される
方法に包含され、そのために有用であり得ることを理解するであろう。
【0050】
“天然配列Fc領域”は、天然に存在するFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配
列を含む。“バリアントFc領域”は、少なくとも1つのアミノ酸改変によって天然配列
Fc領域のアミノ酸配列とは異なるが天然配列Fc領域の少なくとも1つのエフェクター
機能を保持するアミノ酸配列を含む。ある態様において、バリアントFc領域は、天然配
列Fc領域と、または親ポリペプチドのFc領域と比較して少なくとも1つのアミノ酸置
換、例えば天然配列Fc領域中または親ポリペプチドのFc領域中に約1個~約10個の
アミノ酸置換、好ましくは約1個~約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書におけるバ
リアントFc領域は、好ましくは天然配列Fc領域との、および/または親ポリペプチド
のFc領域との少なくとも約80%の配列同一性、最も好ましくはそれとの少なくとも約
90%の配列同一性、より好ましくはそれとの少なくとも約95%、少なくとも約96%
、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%の配列同一性を有する
であろう。
【0051】
本明細書で用いられる際、用語“CD123”は、CD123の活性の少なくとも一部
を保持するCD123のあらゆる形態およびそのバリアントを指す。ヒトCD123への
特定の参照によるように、異なることが示されない限り、CD123は、全ての哺乳類種
、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウマおよびウシの天然配列CD123を含む。典型的なC
D123配列が、表1において示されている。
【0052】
【0053】
【0054】
本明細書で用いられる際、“CD123抗体”は、CD123に特異的に結合し、CD
123によって媒介される生物学的活性および/または下流の事象(単数または複数)を
調節する抗体を指す。ある態様において、CD123抗体は、アンタゴニスト抗体である
。CD123アンタゴニスト抗体は、CD123によって媒介される下流の事象、例えば
IL-3結合および/または下流のシグナル伝達、STAT5のリン酸化ならびに多能性
細胞の生存を含むCD123の生物学的活性を(有意にを含むあらゆる程度まで)遮断、
拮抗、抑制または低減する抗体を包含する。CD123抗体およびCD123抗体-薬物
コンジュゲート(“CD123 ADC”)の例が、本明細書において提供されている。
【0055】
本明細書で用いられる際、“処置”は、有益なまたは所望の臨床結果を得るためのアプ
ローチである。本発明の目的に関して、有益なまたは所望の臨床結果は、以下の1以上を
含むが、それらに限定されない:新生物または癌性細胞の増殖の低減(または破壊)、新
生物細胞の転移の抑制、CD123と関係する疾患(例えば癌または自己免疫疾患)の寛
解、CD123と関係する疾患(例えば癌または自己免疫疾患)の結果もたらされる症状
の減少、CD123と関係する疾患(例えば癌または自己免疫疾患)に罹患している人の
生活の質の上昇、CD123と関係する疾患(例えば癌または自己免疫疾患)を処置する
ために必要とされる他の薬物療法の用量の減少、CD123と関係する疾患(例えば癌ま
たは自己免疫疾患)の進行の遅延、CD123と関係する疾患(例えば癌または自己免疫
疾患)の治療および/またはCD123と関係する疾患(例えば癌または自己免疫疾患)
を有する対象の生存期間の延長。
【0056】
“改善すること”は、CD123抗体またはCD123ADCを投与しない場合と比較
した1以上の症状の減少または向上を意味する。“改善すること”は、症状の持続時間の
短縮または低減も含む。
【0057】
本明細書で用いられる際、薬物、化合物または医薬組成物の“有効投与量”または“有
効量”は、あらゆる1以上の有益な、または所望の療法的結果を達成するために十分な量
である。予防的使用に関して、有益な結果または所望の結果は、疾患の生化学的、組織学
的および/または行動上の症状、その合併症ならびに疾患の発現の間に存在する中間的な
病理学的表現型を含む疾患の危険性を排除もしくは低減すること、その重症度を低下させ
ること、またはその開始を遅らせることを含む。療法的使用に関して、有益な結果または
所望の結果は、様々なCD123と関係する疾患もしくは症状(例えば、限定ではなく、
癌)の1以上の症状の発生率の低減もしくは改善、疾患を処置するために必要とされる他
の薬物療法の用量の減少、別の薬物療法の作用の増進、および/または対象のCD123
と関係する疾患の進行の遅延のような臨床的結果を含む。有効投与量は、1回以上の投与
において投与されることができる。本発明の目的に関して、薬物、化合物、または医薬組
成物の有効投与量は、予防的または療法的処置を(直接または間接的のどちらでも)成し
遂げるために十分な量である。臨床的文脈において理解される際、薬物、化合物、または
医薬組成物の有効投与量は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と合わせて達成される
可能性があり、またはそうでない可能性もある。従って、“有効投与量”は、1種類以上
の療法剤を投与する文脈において考えられることができ、単剤は、1種類以上の他の薬剤
と合わせて望ましい結果が達成され得る、または達成される場合に、有効量で与えられて
いると考えられることができる。
【0058】
“個体”または“対象”は、哺乳類、より好ましくはヒトである。哺乳類は、家畜、ス
ポーツ用動物、ペット、霊長類、ウマ、イヌ、ネコ、マウスおよびラットも含むが、それ
らに限定されない。
【0059】
本明細書で用いられる際、“ベクター”は、宿主細胞において対象の1以上の遺伝子(
単数または複数)または配列(単数または複数)を送達する、好ましくは発現することが
できるコンストラクトを意味する。ベクターの例は、ウイルスベクター、ネイキッドDN
AまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、陽イオン
性凝縮剤と会合したDNAまたはRNA発現ベクター、リポソーム中に封入されたDNA
またはRNA発現ベクター、および特定の真核細胞、例えばプロデューサー細胞を含むが
、それらに限定されない。
【0060】
本明細書で用いられる際、“発現制御配列”は、核酸の転写を方向付ける核酸配列を意
味する。発現制御配列は、プロモーター、例えば構成的もしくは誘導性プロモーター、ま
たはエンハンサーであることができる。発現制御配列は、転写されるべき核酸配列に作動
的に(operably)連結されている。
【0061】
本明細書で用いられる際、“薬学的に許容可能なキャリヤー”または“薬学的に許容可
能な賦形剤”は、有効成分と組み合わせられた際にその成分が生物学的活性を保持するこ
とを可能にし、かつ対象の免疫系と非反応性であるあらゆる材料を含む。例は、標準的な
医薬用キャリヤー、例えばリン酸緩衝生理食塩水溶液、水、エマルジョン、例えば油/水
エマルジョン、および様々なタイプの湿潤剤の全てを含むが、それらに限定されない。エ
アロゾルまたは非経口投与に関する好ましい希釈剤は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
または正常(0.9%)生理食塩水である。そのようなキャリヤーを含む組成物は、周知
の従来の方法により配合される(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第18
版, A.Gennaro, 編者, Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990;およびRemington, The
Scienceand Practice of Pharmacy 第21版 Mack Publishing, 2005を参照)。
【0062】
用語“アシルドナーグルタミン含有タグ”または“グルタミンタグ”は、本明細書で用
いられる際、トランスグルタミナーゼのアミンアクセプターの役目を果たす1個以上のG
ln残基(単数または複数)を含有するポリペプチドまたはタンパク質を指す。例えば、
国際公開第2012059882号および国際公開第2015015448号を参照、そ
れは、参照によりそのまま本明細書に援用される。
【0063】
用語“kon”は、本明細書で用いられる際、抗体の抗原に対する会合に関する速度定
数を指す。具体的には、速度定数(konおよびkoff)および平衡解離定数が、Ig
GおよびCD123タンパク質(例えばCD123-Fc融合タンパク質)を用いて測定
される。
【0064】
用語“koff”は、本明細書で用いられる際、抗体の抗体/抗原複合体からの解離に
関する速度定数を指す。
用語“KD”は、本明細書で用いられる際、抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指す
。
【0065】
本明細書における“約”値またはパラメーターへの言及は、その値またはパラメーター
自体に向けられている態様を含む(および記載する)。例えば、“約X”に言及する記載
は、“X”の記載を含む。数値範囲は、範囲を定める数値を含む。
【0066】
本明細書で用いられる際、CPIは、1,2,8,8,8a-テトラヒドロシクロプロ
パ[c]ピロロロ[3,2-e]インドール-4(5H)-オンまたはその置換もしくは
誘導体化された形態を指す。CPIは、8-(クロロメチル)-1-メチル-3,6,7
,8-テトラヒドロピロロ[3,2-e]インドール-4-オールとしても知られている
CPIのセコ形態(seco form)もしくはセコ-CPIまたはその置換もしくは
誘導体化された形態(単数または複数)も指すことができる。
【0067】
本明細書において態様が言語“含んでいる”と共に記載されている箇所ではどこでも、
“からなる”および/または“から本質的になる”の用語で記載される他の点で類似の態
様も提供されていることは、理解されている。
【0068】
本発明の側面または態様がマーカッシュ群または代替物の他のグループ分けの観点から
記載されている場合、本発明は、全体として列挙されている群全体だけでなく、群の各メ
ンバーを個々に包含し、そして主な群のすべての可能な部分群を包含するだけでなく、群
のメンバーの1つ以上を欠いた主な群も包含する。本発明は、特許請求される発明におけ
る群のメンバーのいずれかの1つ以上の明示的な除外も想定している。
【0069】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発
明が属する技術の当業者により一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。矛盾す
る場合には、定義を含む本明細書が支配するであろう。本明細書および特許請求の範囲全
体を通して、語“含む(comprise)”またはバリエーション、例えば“含む(c
omprises)”もしくは“含むこと”は、記載された整数または整数の群を含むこ
とを暗に示すが、他の整数または整数の群を除外することを暗に示すことは一切ないこと
は、理解されるであろう。文脈によって別途要求されない限り、単数形の用語は複数形を
含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0070】
典型的な方法および材料が本明細書において記載されているが、本明細書で記載された
方法および材料と類似の、または均等な方法および材料も、本発明の実施または試験にお
いて使用されることができる。材料、方法、および例は、説明的なものであり、限定する
ことを意図したものではない。
【0071】
CD123抗体および抗体-薬物コンジュゲート
本発明は、CD123(例えばヒトCD123(例えばSEQ ID NO:1))に
結合する抗体および抗CD123抗体を含むコンジュゲート(例えば抗体-薬物コンジュ
ゲートまたはADC)を提供し、それは、以下の特徴のいずれか1つ以上により特性付け
られる:(a)対象においてCD123を発現する悪性細胞と関係する症状(例えば癌、
例えば、限定ではなく、AML、B-ALL、HCL等)の1つ以上の症状を処置、予防
、改善する;(b)(CD123を発現する悪性腫瘍を有する)対象における腫瘍の成長
または進行を抑制する;(c)(CD123を発現する1個以上の悪性細胞を有する)対
象におけるCD123を発現する癌(悪性)細胞の転移を抑制する;(d)CD123を
発現する腫瘍の退縮(例えば長期退縮)を誘導する;および(e)CD123を発現する
悪性細胞において細胞毒性活性を発揮する。
【0072】
本発明において有用な抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体フラグ
メント(例えばFab、Fab'、F(ab')2、Fv、Fc等)、キメラ抗体、二重特
異性抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、単鎖(ScFv)、その変異体、抗体部分を含む
融合タンパク質(例えばドメイン抗体)、ヒト化抗体、ならびに要求される特異性の抗原
認識部位を含む免疫グロブリン分子のあらゆる他の改変された構成(抗体のグリコシル化
バリアント、抗体のアミノ酸配列バリアントおよび共有結合的に改変された抗体を含む)
を包含し得る。抗体は、マウス由来、ラット由来、ヒト由来またはあらゆる他の由来(キ
メラ抗体またはヒト化抗体を含む)であることができる。ある態様において、本明細書で
記載されるCD123抗体は、モノクローナル抗体である。例えば、CD123抗体は、
ヒト化モノクローナル抗体、ヒト抗体またはキメラモノクローナル抗体であることができ
る。
【0073】
ある態様において、抗体は、例えば、限定ではなく、免疫応答を誘発する増大した可能
性を有する定常領域のような、改変された定常領域を含むことができる。例えば、定常領
域は、例えばFcγRI、FcγRIIAまたはFcγIIIのようなFcガンマ受容体
に対する増大した親和性を有するように改変されていることができる。ある態様において
、抗体は、免疫学的に不活性である、すなわち免疫応答を誘発する低減した可能性を有す
る定常領域を含むことができる。ある態様において、定常領域は、Eur. J. Immunol., 29
:2613-2624,1999;PCT出願第PCT/GB99/01441号;および/または英国
特許出願第98099518号において記載されているように改変される。Fcは、ヒト
IgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3またはヒトIgG4であることができる。Fcは
、A330P331→S330S331の変異を含有するヒトIgG2(IgG2Δa)
であることができ、ここで、アミノ酸残基は、野生型IgG2配列を参照して番号付けさ
れている。Eur.J. Immunol., 29:2613-2624, 1999。ある態様において、抗体は、以下の
変異:(Armouret al., Molecular Immunology 40 585-593, 2003): E233F234L
235→P233V234A235を含むIgG4の定常領域(IgG4Δc)を含み、
ここで、番号付けは、野生型IgG4を参照している。さらに別の態様において、Fcは
、欠失G236を伴なうヒトIgG4 E233F234L235→P233V234A
235(IgG4Δb)である。別の態様において、Fcは、ヒンジ安定化変異S228
→P228を含有するあらゆるヒトIgG4 Fc(IgG4、IgG4ΔbまたはIg
G4Δc)である(Aalberseet al., Immunology 105, 9-19, 2002)。別の態様において
、Fcは、脱グリコシル化Fcであることができる。
【0074】
ある態様において、定常領域は、定常領域中のグリコシル化認識配列の一部であるオリ
ゴ糖付着残基(例えばAsn297)および/または隣接する残基を変異させることによ
って脱グリコシル化されることができる。ある態様において、定常領域は、N連結型グリ
コシル化に関して酵素的に脱グリコシル化される。定常領域は、N連結型グリコシル化に
関して酵素的に、またはグリコシル化欠損宿主細胞中での発現により脱グリコシル化され
ることができる。
【0075】
CD123に対する抗体の結合親和性を決定する1つの方法は、抗体の単機能性Fab
フラグメントの結合親和性を測定することによる。単機能性Fabフラグメントを得るた
めに、抗体(例えばIgG)は、パパインで切断される、または組換え的に発現されるこ
とができる。抗体のCD123 Fabフラグメントの親和性は、泳動緩衝液(0.01
M HEPES,pH 7.4,0.15 NaCl,3mM EDTA,0.005%
v/v 界面活性剤P20)を用いて、予め固定されたストレプトアビジンセンサーチ
ップ(SA)または抗マウスFcもしくは抗ヒトFcを備えた表面プラズモン共鳴(Bi
acore(商標)3000(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム,Biac
ore(商標),INC,ニュージャージー州ピスカタウェイ)によって決定されること
ができる。ビオチン化またはFc融合ヒトCD123は、HBS-EP緩衝液中に0.5
μg/mL未満の濃度まで希釈され、2つの範囲の抗原密度(詳細な速度論的研究のため
の50~200応答単位(RU)またはスクリーニングアッセイのための800~1,0
00RUのどちらか)を達成するために可変接触時間を用いて個々のチップチャンネルに
わたって注入されることができる。再生研究は、25%v/vエタノール中25mM N
aOHは結合したFabを効果的に除去する一方で200回を超える注入に関してチップ
上のCD123の活性を維持することを示している。典型的には、精製されたFab試料
の系列希釈物(0.1~10×推定されるKDの濃度に及ぶ)が、100μL/分で1分
間注入され、2時間に至るまでの解離時間が、可能になる。Fabタンパク質の濃度は、
既知の濃度(アミノ酸分析によって決定される)のFabを標準として用いて、ELIS
Aおよび/またはSDS-PAGE電気泳動によって決定される。速度論的会合速度(k
on)および解離速度(koff)は、データを1:1 ラングミュア結合モデル(Karl
sson, R. Roos,H. Fagerstam, L. Petersson, B. (1994). Methods Enzymology 6. 99-1
10)にBIAevaluationプログラムを用いて全体的に当てはめることにより同
時に得られる。平衡解離定数(KD)の値は、koff/konとして計算される。この
プロトコルは、ヒトCD123、別の哺乳類のCD123(例えばマウスCD123、ラ
ットCD123または霊長類CD123)ならびにCD123の異なる形態(例えばグリ
コシル化CD123)を含むあらゆるCD123に対する抗体の結合親和性の決定におけ
る使用に適している。抗体の結合親和性は、一般に25℃で測定されるが、37℃で測定
されることもできる。本明細書で記載されるようなCD123抗体のCD123(例えば
ヒトCD123(例えば(SEQ ID NO:1)に対する結合親和性(KD)は、約
0.002nM~約6500nMであり得る。ある態様において、結合親和性は、約65
00nm、6000nm、5986nm、5567nm、5500nm、4500nm、
4000nm、3500nm、3000nm、2500nm、2134nm、2000n
m、1500nm、1000nm、750nm、500nm、400nm、300nm、
250nm、200nM、193nM、100nM、90nM、50nM、45nM、4
0nM、35nM、30nM、25nM、20nM、19nM、18nM、17nM、1
6nM、15nM、10nM、8nM、7.5nM、7nM、6.5nM、6nM、5.
5nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、0.5nM、0.3nM、0.1n
M、0.01nMまたは0.002nMのいずれかである。ある態様において、結合親和
性は、約6500nm、6000nm、5500nm、5000nm、4000nm、3
000nm、2000nm、1000nm、900nm、800nm、250nM、20
0nM、100nM、50nM、30nM、20nM、10nM、7.5nM、7nM、
6.5nM、6nM、5nM、4.5nM、4nM、3.5nM、3nM、2.5nM、
2nM、1.5nM、1nMまたは0.5nMのいずれかより小さい。
【0076】
本明細書で記載されるCD123抗体は、当該技術で知られているあらゆる方法により
作製されることができる。ハイブリドーマ細胞株の生成に関して、宿主動物の免疫処置の
経路およびスケジュールは、一般に、本明細書においてさらに記載されるような抗体の刺
激および産生のための確立された従来の技法に合わせる。ヒトおよびマウス抗体の産生の
ための一般的な技法は、当該技術で知られている、および/または本明細書で記載されて
いる。
【0077】
ある態様において、CD123抗体は、SEQ ID NO:6、24、32、44、
51または64のアミノ酸配列を含むVHの3つのCDRを含む重鎖可変領域(VH)を
含むことができる。本発明のある側面において、抗体は、SEQ ID NO:17、2
8、39、48、57または71のアミノ酸配列を含むVLの3つのCDRを含む軽鎖可
変領域(VL)を含む。本発明のある側面において、抗体は、SEQ ID NO:6、
24、32、44、51または64のアミノ酸配列を含むVHの3つのCDRを含むVH
およびSEQ ID NO:17、28、39、48、57または71のアミノ酸配列を
含むVLの3つのCDRを含むVLを含む。他の態様において、CD123抗体は、SE
Q ID NO:7、8および9のアミノ酸配列を含むVHならびにSEQ ID NO
:18、19および20のアミノ酸配列を含むVLを含むことができる。他の態様におい
て、CD123抗体は、SEQ ID NO:7、25および9のアミノ酸配列を含むV
HならびにSEQ ID NO:18、19および20のアミノ酸配列を含むVLを含む
ことができる。他の態様において、CD123抗体は、SEQ ID NO:33、34
および35のアミノ酸配列を含むVHならびにSEQ ID NO:40、41および4
2のアミノ酸配列を含むVLを含むことができる。他の態様において、CD123抗体は
、SEQ ID NO:33、45および46のアミノ酸配列を含むVHならびにSEQ
ID NO:40、41および42のアミノ酸配列を含むVLを含むことができる。他
の態様において、CD123抗体は、SEQ ID NO:52、53および54のアミ
ノ酸配列を含むVHならびにSEQ ID NO:58、59および60のアミノ酸配列
を含むVLを含むことができる。他の態様において、CD123抗体は、SEQ ID
NO:65、66および67のアミノ酸配列を含むVHならびにSEQ ID NO:7
2、73および74のアミノ酸配列を含むVLを含むことができる。
【0078】
代表的なCD123抗体重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、それぞれSEQ ID
NO:6、24、32、44、51および64ならびにSEQ ID NO:17、28
、39、48、57および71のアミノ酸配列を含むことができる。代表的なCD123
抗体の重鎖および軽アミノ鎖(light amino chains)は、それぞれS
EQ ID NO:15、27、37、47、55および69ならびにSEQ ID N
O:23、30、43、49、62および76のアミノ酸配列を含むことができる。代表
的なCD123抗体の配列が、表2.0において示されている。
【0079】
【0080】
本明細書で提供される典型的なCD123抗体は、表2.1において示されている18
G3、ヒト化18G3(h18G3)、16D6、ヒト化16D6(h16D6)、3D
1および20D7を含む。表2.1において示されている配列は、別途示されない限りア
ミノ酸配列である。
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
置換バリアントは、抗体分子中の少なくとも1個のアミノ酸残基が除去され、その位置
に異なる残基が挿入されている。置換変異誘発に関する最も興味深い部位は、超可変領域
を含むが、フレームワークの変更も、考えられる。保存的置換は、表3において“保存的
置換”の見出しの下に示されている。そのような置換が結果として生物学的活性における
変化をもたらす場合、表3において“典型的な置換”と呼ばれている、または以下でさら
にアミノ酸のクラスを参照して記載されるような、より実質的な変更が、導入されること
ができ、そしてその生成物が、スクリーニングされることができる。
【0089】
【0090】
抗体の生物学的特性における実質的な改変は、(a)例えばβシートもしくはらせん状
の立体構造のような、置換の領域におけるポリペプチド骨格の構造、(b)標的部位にお
ける分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖のかさ(bulk)の維持へのそれら
の作用において有意に異なる置換を選択することによって成し遂げられる。天然に存在す
る残基は、共通の側鎖特性に基づいて群に分けられる:
(1)非極性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)電荷を有しない極性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性(負に荷電している):Asp、Glu;
(4)塩基性(正に荷電している):Lys、Arg;
(5)鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro;および
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe、His。
【0091】
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスのメンバーに交換する
ことによってなされる。
なされ得る置換の1つのタイプは、例えば化学的に反応性であり得る抗体中の1個以上
のシステインを別の残基、例えば(限定ではなく)アラニンまたはセリンに変更すること
である。例えば、非カノニカルシステインの置換が、あり得る。置換は、可変ドメインの
CDRまたはフレームワーク領域中または抗体の定常領域中でなされ得る。ある態様にお
いて、システインは、カノニカルである。抗体の適切な立体構造の維持に関与しないあら
ゆるシステイン残基も、一般に、分子の酸化的安定性を向上させ、異常な架橋を防ぐため
に、セリンで置換されることができる。逆に、特に抗体がFvフラグメントのような抗体
フラグメントである場合、システイン結合(単数または複数)が、抗体に、その安定性を
向上させるために追加されることができる。
【0092】
本発明は、本明細書で記載されるCD123抗体の、またはその抗原結合フラグメント
のコンジュゲートも提供し、ここで、抗体は、直接またはリンカーを介して間接的にのど
ちらかで、標的化免疫療法のための薬剤(例えば細胞毒性薬剤)にコンジュゲートされて
いる(例えば抗体-薬物コンジュゲートまたはADC)。例えば、細胞毒性薬剤は、細胞
毒性薬剤部分の腫瘍(例えばCD123を発現している腫瘍)への標的化された局所送達
のために、本明細書で記載されているようにそのCD123抗体に連結またはコンジュゲ
ートされることができる。
【0093】
細胞毒性薬剤または他の療法剤を抗体にコンジュゲートするための方法は、様々な刊行
物において記載されている。例えば、化学修飾が、抗体において、リジン側鎖アミンによ
るかまたは鎖間ジスルフィド結合を還元することによって活性化されたシステインスルフ
ヒドリル基によるかのどちらかで、コンジュゲーション反応が起こるためになされること
ができる。例えば、Tanakaet al., FEBS Letters 579:2092-2096, 2005およびGentle et
al.,Bioconjugate Chem. 15:658-663, 2004を参照。定められた化学量論を有する特定
の薬物のコンジュゲーションのために抗体の特定の部位において操作された反応性システ
イン残基も、記載されている。例えば、Junutula et al., Nature Biotechnology, 26:92
5-932, 2008を参照。トランスグルタミナーゼおよびアミン(例えば反応性アミンを含む
かまたは反応性アミンに取り付けられた細胞毒性薬剤)の存在下でアシルドナーグルタミ
ン含有タグまたはポリペプチド操作により反応性にされた内因性グルタミン(すなわち、
アシルドナーとして共有結合を形成する能力)を用いるコンジュゲーションも、国際公開
第2012/059882号および第2015015448号において記載されており、
それは、参照により本明細書にそのまま援用される。トランスグルタミナーゼは、タンパ
ク質-グルタミンγ-グルタミルトランスフェラーゼ(EC 2.3.2.13)であり
、それは、典型的にはリジン残基を有するグルタミン残基のpH依存性トランスアミド化
を触媒する。本明細書で記載される発明で使用されるトランスグルタミナーゼは、様々な
源から得られるかもしくは作製されることができ、または1個以上の内因性グルタミン残
基の1個以上のリジン残基もしくは1個以上の反応性アミンを含有するアミンドナー薬剤
とのアミド基転移を触媒するように操作されることができる。トランスグルタミナーゼを
使用してADCを調製するための方法は、例えば本明細書に参照によりそのまま援用され
る米国特許出願公開第20170043033号において記載されている。
【0094】
ADCは、典型的にはリンカーの使用により薬剤にコンジュゲートされた抗体構成要素
を含む。ある態様において、本明細書で開示されるADCは、操作されたグルタミン含有
タグ、内因性グルタミン(すなわち、操作なしの天然グルタミン、例えば可変ドメイン、
CDR等中の天然グルタミン)および/または反応性内因性グルタミンを介してアミンド
ナー薬剤(例えばアミンドナー単位を有するリンカーに結合した小分子)に部位特異的に
コンジュゲートされた抗体を含む。
【0095】
内因性グルタミンは、抗体中の1個以上のアミノ酸(単数または複数)を、酵素的脱グ
リコシル化により、または操作されたトランスグルタミナーゼと反応させることにより改
変(例えばアミノ酸欠失、挿入、置換または変異)することにより、反応性(すなわち、
アミンおよびトランスグルタミナーゼの存在下でアシルドナーとして共有結合を形成する
能力)にされることができる。従って、一側面において、式:抗体-(T-(X-Y-Z
a)b)cを含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)が、提供され、ここで、Tは、1
)特定の部位で操作されたグルタミン含有タグ、2)内因性グルタミン、および/または
3)抗体操作または操作されたトランスグルタミナーゼによって反応性にされた内因性グ
ルタミンであり;Xは、アミンドナー単位であり;Yは、リンカーであり;そしてZは、
薬剤部分であり;X-Y-Zは、グルタミン含有タグ、内因性グルタミンおよび/または
反応性内因性グルタミンに部位特異的にコンジュゲートされたアミンドナー薬剤であり;
aは、1~6の整数であり;bは、1~6の整数であり;cは、1~20の整数であり;
そしてここで、a、bおよびcの積(薬物抗体比)は、少なくとも約1である。グルタミ
ン含有タグ、内因性グルタミンおよび/または抗体上の反応性グルタミンならびに本明細
書で記載されるアミンドナー薬剤(X-Y-Z)の両方が、トランスグルタミナーゼに関
する基質であり、グルタミン含有タグおよび/または内因性/反応性グルタミンならびに
アミンドナー薬剤の間の連結は、式CH2-CH2-CO-NH-の連結であり、ここで
、NH-は、リンカーおよび薬剤部分に連結されている。
【0096】
ある態様において、本明細書で記載されるCD123抗体またはコンジュゲートは、抗
体の特定の部位(例えばカルボキシル末端、アミノ末端またはCD123抗体中の別の部
位)において操作されたアシルドナーグルタミン含有タグを含む。ある態様において、タ
グは、アミノ酸グルタミン(Q)またはアミノ酸配列LQG、LLQGG(SEQ ID
NO:77)、LLQG(SEQ ID NO:78)、LSLSQG(SEQ ID
NO:79)、GGGLLQGG(SEQ ID NO:80)、GLLQG(SEQ
ID NO:81)、LLQ、GSPLAQSHGG(SEQ ID NO:82)、
GLLQGGG(SEQ ID NO:83)、GLLQGG(SEQ ID NO:8
4)、GLLQ(SEQ ID NO:85)、LLQLLQGA(SEQ ID NO
:86)、LLQGA(SEQ ID NO:87)、LLQYQGA(SEQ ID
NO:88)、LLQGSG(SEQ ID NO:89)、LLQYQG(SEQ I
D NO:90)、LLQLLQG(SEQ ID NO:91)、SLLQG(SEQ
ID NO:92)、LLQLQ(SEQ ID NO:93)、LLQLLQ(SE
Q ID NO:94)、LLQGR(SEQ ID NO:95)、LLQGPP(S
EQ ID NO:96)、LLQGPA(SEQ ID NO:97)、GGLLQG
PP(SEQ ID NO:98)、GGLLQGA(SEQ ID NO:99)、L
LQGPGK(SEQ ID NO:100)、LLQGPG(SEQ ID NO:1
01)、LLQGP(SEQ ID NO:102)、LLQP(SEQ ID NO:
103)、LLQPGK(SEQ ID NO:104)、LLQAPGK(SEQ I
D NO:105)、LLQGAPG(SEQ ID NO:106)、LLQGAP(
SEQ ID NO:107)およびLLQLQG(SEQ ID NO:108)を含
む。
【0097】
ある態様において、アシルドナーグルタミン含有タグは、例えば抗体重鎖中のアミノ酸
残基E294~N297を置き換えるLLQG(SEQ ID NO:78)を含む。
アシルドナーグルタミン含有タグおよび抗体の位置222、340または370(EU
番号付けスキーム)におけるアミノ酸改変を含む単離された抗体も、提供され、ここで、
その改変は、アミノ酸の削除、挿入、置換、変異またはそれらのあらゆる組み合わせであ
る。ある態様において、アミノ酸改変は、リジンからアルギニンへの置換である(例えば
K222R、K340RまたはK370R)。
【0098】
本発明のCD123抗体または抗原結合フラグメントにコンジュゲートされることがで
きる薬剤は、細胞毒性薬剤、免疫調節剤、イメージング剤、療法用タンパク質、生体高分
子またはオリゴヌクレオチドを含むが、それらに限定されない。
【0099】
細胞毒性薬剤の例は、アントラサイクリン、オーリスタチン、ドラスタチン、コンブレ
タスタチン、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン二量体、インドリノベンゾジ
アゼピン二量体、エンジイン、ゲルダナマイシン、メイタンシン、ピューロマイシン、タ
キサン、ビンカアルカロイド、カンプトテシン、チューブリシン(tubulysin)
、ヘミアステリン、スプライセオスタチン(spliceostatin)、プラジエノ
ライド(pladienolide)、ならびに、それらの立体異性体、同配体、類似体
または誘導体を含むが、それらに限定されない。
【0100】
ある側面において、薬物/薬剤は、シクロプロピルピロロインドリン(CPI)二量体
、CTI二量体またはCBI二量体である。CPI二量体は、鎖間DNA架橋および強力
な細胞毒性を誘導する。参照により本明細書にそのまま援用されるPCT国際公開第20
15/110935号は、本発明のCD123 ADCにおいて有用であるCPIおよび
CBIダイマーを開示しており、CPIダイマーおよびCBIダイマーを生成する方法を
提供している。例えば、薬剤(8S)-8-(クロロメチル)-6-[(3-{[(1S
)-1-(クロロメチル)-5-ヒドロキシ-8-メチル-1,6-ジヒドロピロロ[3
,2-e]インドール-3(2H)-イル]カルボニル}ビシクロ[1.1.1]ペンタ
-1-イル)カルボニル]-1-メチル-3,6,7,8-テトラヒドロピロロ[3,2
-e]インドール-4-イル 二水素ホスフェート(“CPI-8314二量体”として
も知られている)は、構造:
【0101】
【0102】
を有し、式C31H31Cl2N4O7Pを有する。
アントラサイクリン類は、細菌ストレプトマイセス属(Strepomyces)に由
来し、白血病、リンパ腫、乳癌、子宮癌、卵巣癌および肺癌のような広い範囲の癌を処置
するために使用されてきた。典型的なアントラサイクリン類は、ダウノルビシン、ドキソ
ルビシン(すなわちアドリアマイシン)、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシンお
よびミトキサントロンを含むが、それらに限定されない。
【0103】
ドラスタチン類、ならびにそれらのペプチド性類似体および誘導体であるオーリスタチ
ン類は、抗癌および抗真菌活性を有することが示されている非常に強力な抗有糸分裂剤で
ある。例えば、米国特許第5,663,149号およびPettit et al., Antimicrob. Age
nts Chemother.42:2961-2965, 1998を参照。典型的なドラスタチン類およびオーリスタ
チン類は、ドラスタチン10、オーリスタチンE、オーリスタチンEB(AEB)、オー
リスタチンEFP(AEFP)、MMAD(モノメチルオーリスタチンDまたはモノメチ
ルドラスタチン10)、MMAF(モノメチルオーリスタチンFまたはN-メチルバリン
-バリン-ドライソロイシン-ドラプロイン-フェニルアラニン)、MMAE(モノメチ
ルオーリスタチンEまたはN-メチルバリン-バリン-ドライソロイシン-ドラプロイン
-ノルエフェドリン)、5-ベンゾイル吉草酸-AEエステル(AEVB)および他の新
規のオーリスタチン類(例えば、米国特許出願公開第2013/0129753号におい
て記載されているオーリスタチン類)を含むが、それらに限定されない。ある態様におい
て、オーリスタチンは、0101(2-メチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-
3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3
-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エ
チル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-
4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド)であり、次の構造を有する:
【0104】
【0105】
。
ある態様において、オーリスタチンは、3377(N,2-ジメチルアラニル-N-{
(1S,2R)-4-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カル
ボキシル-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロ
ピル]ピロリジン-1-イル}-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]
-4-オキソブチル}-N-メチル-L-バリンアミド)であり、次の構造を有する:
【0106】
【0107】
。
ある態様において、オーリスタチンは、0131-OMe(N,2-ジメチルアラニル
-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)
-1-メトキシ-3-{[(2S)-1-メトキシ-1-オキソ-3-フェニルプロパン
-2-イル]アミノ}-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-5
-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチルL-バリンアミド)であり、次
の構造を有する:
【0108】
【0109】
。
他の態様において、オーリスタチンは、0131(2-メチル-L-プロリル-N-[
(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1
-カルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ
プロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-
4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(2-methyl-L-proly-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)
-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-carboxy-2-phenylethyl]amino}-1-methoxy-2-methyl-3-oxoprop
yl]pyrrolidin-1-yl}-3-methoxy-5-methyl-1-oxoheptan-4-yl]-N-methyl-L-valinamide)
)であり、次の構造を有する:
【0110】
【0111】
。
他の態様において、オーリスタチンは、0121(2-メチル-L-プロリル-N-[
(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(2S)-1
-メトキシ-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル]アミノ}-1-メトキシ-
2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル
-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(2-methyl-L-proly
-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(2S)-1-methoxy-1-oxo-3-phenylpropan-2-yl]a
mino}-1-methoxy-2-methyl-3-oxopropyl]pyrrolidin-1-yl}-3-methoxy-5-methyl-1-oxohe
ptan-4-yl]-N-methyl-L-valinamide))であり、次の構造を有する:
【0112】
【0113】
。
カンプトテシンは、酵素トポイソメラーゼIを阻害する細胞毒性キノリンアルカロイド
である。カンプトテシンおよびその誘導体の例は、トポテカンおよびイリノテカン、なら
びにそれらの代謝物、例えばSN-38を含むが、それらに限定されない。
【0114】
コンブレタスタチン類は、腫瘍における血管破壊特性を有する天然フェノール類である
。典型的なコンブレタスタチン類およびそれらの誘導体は、コンブレタスタチンA-4(
CA-4)およびオンブラブリンを含むが、それらに限定されない。
【0115】
デュオカルマイシンおよびCC-1065は、細胞毒性効力を有するDNAアルキル化
剤である。Bogerand Johnson, PNAS 92:3642-3649 (1995)を参照。典型的なデュオカル
マイシンおよびCC-1065は、(+)-デュオカルマイシンAおよび(+)-デュオ
カルマイシンSA、(+)-CC-1065、ならびに以下の化合物を含むがそれらに限
定されない国際出願PCT/IB2015/050280において開示されているような
化合物を含むが、それらに限定されない:
構造:
【0116】
【0117】
を有するN~2~-アセチル-L-リジル-L-バリル-N~5~-カルバモイル-N-
[4-({[(2-{[({(1S)-1-(クロロメチル)-3-[(5-{[(1S
)-1-(クロロメチル)-5-(ホスホノオキシ)-1,2-ジヒドロ-3H-ベンゾ
[e]インドール-3-イル]カルボニル}チオフェン-2-イル)カルボニル]-2,
3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e]インドール-5-イル}オキシ)カルボニル](メチ
ル)アミノ}エチル)(メチル)カルバモイル]オキシ}メチル)フェニル]-L-オル
ニチンアミド、
構造:
【0118】
【0119】
を有するN~2~-アセチル-L-リジル-L-バリル-N~5~-カルバモイル-N-
[4-({[(2-{[({(8S)-8-(クロロメチル)-6-[(3-{[(1S
)-1-(クロロメチル)-8-メチル-5-(ホスホノオキシ)-1,6-ジヒドロピ
ロロ[3,2-e]インドール-3(2H)-イル]カルボニル}ビシクロ[1.1.1
]ペンタ-1-イル)カルボニル]-1-メチル-3,6,7,8-テトラヒドロピロロ
[3,2-e]インドール-4-イル}オキシ)カルボニル](メチル)アミノ}エチル
)(メチル)カルバモイル]オキシ}メチル)フェニル]-L-オルニチンアミド、
構造:
【0120】
【0121】
を有するN~2~-アセチル-L-リジル-L-バリル-N~5~-カルバモイル-N-
[4-({[(2-{[({(8S)-8-(クロロメチル)-6-[(4-{[(1S
)-1-(クロロメチル)-8-メチル-5-(ホスホノオキシ)-1,6-ジヒドロピ
ロロ[3,2-e]インドール-3(2H)-イル]カルボニル}ペンタシクロ[4.2
.0.0~2,5~.0~3,8~.0~4,7~]オクタ-1-イル)カルボニル]-
1-メチル-3,6,7,8-テトラヒドロピロロ[3,2-e]インドール-4-イル
}オキシ)カルボニル](メチル)アミノ}エチル)(メチル)カルバモイル]オキシ}
メチル)フェニル]-L-オルニチンアミド。
【0122】
エンジイン類は、9員環および10員環または共役三重-二重-三重結合の環系の存在
のどちらかにより特性付けられる抗腫瘍性細菌生成物のクラスである。典型的なエンジイ
ン類は、カリケアマイシン、エスペラミシン、ウンシアラマイシン(uncialami
cin)、ジネマイシン(dynemicin)およびそれらの誘導体を含むが、それら
に限定されない。
【0123】
ゲルダナマイシン類は、Hsp90(熱ショックタンパク質90)に結合するベンゾキ
ノンアンサマイシン系抗生物質であり、抗腫瘍薬として用いられてきた。典型的なゲルダ
ナマイシン類は、17-AAG(17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマ
イシン)および17-DMAG(17-ジメチルアミノエチルアミノ-17-デメトキシ
ゲルダナマイシン)を含むが、それらに限定されない。
【0124】
ヘミアステリンおよびその類似体(例えばHTI-286)は、チューブリンに結合し
、正常な微小管力学を混乱させ、化学量論量において微小管を脱重合する。
メイタンシン類またはそれらの誘導体であるメイタンシノイド類は、有糸分裂の間に微
小管の形成をチューブリンの重合の阻害により阻害することにより、細胞の増殖を阻害す
る。Remillardet al., Science 189:1002-1005, 1975を参照。典型的なメイタンシン類
およびメイタンシノイド類は、メルタンシン(DM1)およびその誘導体ならびにアンサ
ミトシンを含むが、それらに限定されない。
【0125】
ピロロベンゾジアゼピン二量体類(PBD類)およびインドリノ-ベンゾジアゼピン二
量体類(IGN類)は、二重鎖のDNAに結合する、1以上のイミン官能基を含有する抗
腫瘍剤またはその均等物である。PBDおよびIGN分子は、天然産物アトラマイシンに
基づいており、プリン-グアニン-プリン配列を好む配列選択的な様式でDNAと相互作
用する。典型的なPBD類およびそれらの類似体は、SJG-136を含むが、それに限
定されない。
【0126】
スプライセオスタチン類およびプラジエノライド類は、スプライシングを阻害し、スプ
ライソームであるSF3bと相互作用する抗腫瘍性化合物である。スプライセオスタチン
類の例は、スプライセオスタチンA、FR901464および
【0127】
【0128】
の構造を有する(2S,3Z)-5-{[(2R,3R,5S,6S)-6-{(2E,
4E)-5-[(3R,4R,5R,7S)-7-(2-ヒドラジニル-2-オキソエチ
ル)-4-ヒドロキシ-1,6-ジオキサスピロ[2.5]オクタ-5-イル]-3-メ
チルペンタ-2,4-ジエン-1-イル}-2,5-ジメチルテトラヒドロ-2H-ピラ
ン-3-イル]アミノ}-5-オキソペンタ-3-エン-2-イル アセテートを含むが
、それらに限定されない。
【0129】
プラジエノライド類の例は、プラジエノライドB、プラジエノライドDまたはE710
7を含むが、それらに限定されない。
タキサン類は、抗チューブリン剤または有糸分裂阻害剤として作用するジテルペン類で
ある。典型的なタキサン類は、パクリタキセル(例えばTAXOL(登録商標))および
ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))を含むが、それらに限定されない。
【0130】
チューブリシン類は、微小管を脱重合し、有糸分裂停止を誘導することが示されている
粘液細菌の株から単離された天然産物である。典型的なチューブリシン類は、チューブリ
シンA、チューブリシンBおよびチューブリシンDを含むが、それらに限定されない。
【0131】
ビンカアルカロイド類も、抗チューブリン剤である。典型的なビンカアルカロイド類は
、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビンを含むが、それら
に限定されない。
【0132】
ある態様において、細胞毒性薬剤は、以下の化合物からなる群から選択される:MMA
D(モノメチルオーリスタチンD)、0101(2-メチルアラニル-N-[(3R,4
S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2
-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-
2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキ
ソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド)、3377(N,2-ジメチ
ルアラニル-N-{(1S,2R)-4-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[
(1S)-1-カルボキシル-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチ
ル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-2-メトキシ-1-[(1S)-1
-メチルプロピル]-4-オキソブチル}-N-メチル-L-バリンアミド)、0131
(2-メチル-L-プロリル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(
1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-1
-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ
-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(2-me
thyl-L-proly-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-carboxy-2-phenylethyl]a
mino}-1-methoxy-2-methyl-3-oxopropyl]pyrrolidin-1-yl}-3-methoxy-5-methyl-1-oxohe
ptan-4-yl]-N-methyl-L-valinamide))、0131-OMe(N,2-ジメチルアラニル
-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)
-1-メトキシ-3-{[(2S)-1-メトキシ-1-オキソ-3-フェニルプロパン
-2-イル]アミノ}-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-5
-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチルL-バリンアミド)、0121
(2-メチル-L-プロリル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(
1R,2R)-3-{[(2S)-1-メトキシ-1-オキソ-3-フェニルプロパン-
2-イル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1
-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-
L-バリンアミド(2-methyl-L-proly-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(2S)-1-m
ethoxy-1-oxo-3-phenylpropan-2-yl]amino}-1-methoxy-2-methyl-3-oxopropyl]pyrrolidi
n-1-yl}-3-methoxy-5-methyl-1-oxoheptan-4-yl]-N-methyl-L-valinamide))および(2
S,3Z)-5-{[(2R,3R,5S,6S)-6-{(2E,4E)-5-[(3
R,4R,5R,7S)-7-(2-ヒドラジニル-2-オキソエチル)-4-ヒドロキ
シ-1,6-ジオキサスピロ[2.5]オクタ-5-イル]-3-メチルペンタ-2,4
-ジエン-1-イル}-2,5-ジメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル]アミ
ノ}-5-オキソペンタ-3-エン-2-イル アセテート。
【0133】
ある態様において、薬剤は、免疫調節剤である。免疫調節剤の例は、ガンシクロビル、
エタネルセプト、タクロリムス、シロリムス、ボクロスポリン、シクロスポリン、ラパマ
イシン、シクロホスファミド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル(myco
phenolgate mofetil)、メトトレキサート(methotrextr
ate)、グルココルチコイドおよびその類似体、サイトカイン類、幹細胞増殖因子、リ
ンホトキシン類、腫瘍壊死因子(TNF)、造血因子、インターロイキン類(例えば、イ
ンターロイキン-1(IL-1)、IL-2、IL-3、IL-6、IL-10、IL-
12、IL-18、およびIL-21)、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球コロニー刺
激因子(G-CSF)および顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)
)、インターフェロン類(例えば、インターフェロン-α、-βおよび-γ)、“S1因
子”と呼ばれる幹細胞増殖因子、エリスロポエチンおよびトロンボポエチン、あるいは、
それらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0134】
ある態様において、薬剤部分は、イメージング剤(例えば蛍光体またはキレート剤)、
例えばフルオレセイン、ローダミン、ランタニド蛍光体およびそれらの誘導体またはキレ
ート剤に結合した放射性同位体である。蛍光体の例は、フルオレセインイソチオシアネー
ト(FITC)(例えば5-FITC)、フルオレセインアミダイト(FAM)(例えば
5-FAM)、エオシン、カルボキシフルオレセイン、エリスロシン、Alexa Fl
uor(登録商標)(例えばAlexa 350、405、430、488、500、5
14、532、546、555、568、594、610、633、647、660、6
80、700、または750)、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)(例
えば5-TAMRA)、テトラメチルローダミン(TMR)およびスルホローダミン(S
R)(例えばSR101)を含むが、それらに限定されない。キレート剤の例は、1,4
,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N'',N'''-四酢酸(DOTA)、
1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(NOTA)、1,4,7-ト
リアザシクロノナン,1-グルタル酸-4,7-酢酸(デフェロキサミン)、ジエチレン
トリアミン五酢酸(DTPA)および1,2-ビス(o-アミノフェノキシ)エタン-N
,N,N',N'-四酢酸)(BAPTA)を含むが、それらに限定されない。
【0135】
蛍光体の例は、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)(例えば5-FITC
)、フルオレセインアミダイト(FAM)(例えば5-FAM)、エオシン、カルボキシ
フルオレセイン、エリスロシン、Alexa Fluor(登録商標)(例えばAlex
a 350、405、430、488、500、514、532、546、555、56
8、594、610、633、647、660、680、700、または750)、カル
ボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)(例えば5-TAMRA)、テトラメチル
ローダミン(TMR)、およびスルホローダミン(SR)(例えばSR101)を含むが
、それらに限定されない。
【0136】
ある態様において、療法用または診断用の放射性同位体または他の標識(例えばPET
またはSPECT標識)が、本明細書で記載されるような抗CD123抗体または抗原結
合フラグメントへのコンジュゲーションのために薬剤中に組み込まれることができる。放
射性同位体または他の標識の例は、3H、11C、13N、14C、15N、15O、3
5S、18F、32P、33P、47Sc、51Cr、57Co、58Co、59Fe、
62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、75Se、76Br、77Br、
86Y、89Zr、90Y、94Tc、95Ru、97Ru、99Tc、103Ru、1
05Rh、105Ru、107Hg、109Pd、111Ag、111In、113In
、121Te、122Te、123I、124I、125I、125Te、126I、1
31I、131In、133I、142Pr、143Pr、153Pb、153Sm、1
61Tb、165Tm、166Dy、166H、167Tm、168Tm、169Yb、
177Lu、186Re、188Re、189Re、197Pt、198Au、199A
u、201Tl、203Hg、211At、212Bi、212Pb、213Bi、22
3Ra、224Acおよび225Acを含むが、それらに限定されない。
【0137】
ある態様において、薬剤は、毒素、ホルモン、酵素および成長因子を含むがそれらに限
定されない療法的タンパク質である。
毒素タンパク質(またはポリペプチド)の例は、ジフテリア(dipththeria
)(例えばジフテリアA鎖)、シュードモナス属の外毒素および内毒素、リシン(例えば
リシンA鎖)、アブリン(例えばアブリンA鎖)、モデッシン(例えばモデッシンA鎖)
、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォルディ(Aleurites fordii
)タンパク質、ジアンチンタンパク質、リボヌクレアーゼ(RNアーゼ)、DNアーゼI
、スタフィロコッカス属の腸毒素A、ヨウシュヤマゴボウの抗ウイルスタンパク質、ゲロ
ニン、ジフテリア(diphtherin)毒素、フィトラカ・アメリカーナ(Phyt
olaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-
S)、モモルディカ・カランティア(momordica charantia)阻害剤
、クルシン、クロチン、サポナリア・オフィシナリス(sapaonaria offi
cinalis)阻害剤、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フ
ェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、トリコテ
セン類(tricothecenes)、阻害剤シスチンノット(ICK)ペプチド(例
えばセラトトキシン類(ceratotoxins))、ならびにコノトキシン(例えば
KIIIAまたはSmIIIa)を含むが、それらに限定されない。
【0138】
ある態様において、薬剤は、生体適合性ポリマーである。本明細書で記載されるCD1
23抗体または抗原結合フラグメントは、血清半減期および生理活性を増大させるために
、かつ/またはインビボでの半減期を延長するために、生体適合性ポリマーにコンジュゲ
ートさせることができる。生体適合性ポリマーの例は、水溶性ポリマー、例えばポリエチ
レングリコール(PEG)またはその誘導体および双性イオン含有生体適合性ポリマー(
例えばホスホリルコリン含有ポリマー)を含む。
【0139】
ある態様において、薬剤は、オリゴヌクレオチド、例えばアンチセンスオリゴヌクレオ
チドである。
別の側面において、本発明は、本明細書で記載される抗体のコンジュゲートを提供し、
ここで、コンジュゲートは、式:抗体-(アシルドナーグルタミン含有タグ)-(リンカ
ー)-(細胞毒性薬剤)を含み、ここで、アシルドナーグルタミン含有タグは、抗体の特
定の部位において(例えば重鎖もしくは軽鎖のカルボキシル末端において、抗体重鎖中の
残基T135の後で、または別の部位において)設計されており、ここで、タグは、リン
カー(例えば1個以上の反応性アミン(例えば第一級アミンNH2)を含有するリンカー
)にコンジュゲートされており、かつここで、リンカーは、細胞毒性薬剤(例えばMMA
Dまたは他のオーリスタチン類、例えば0101、0131もしくは3377)にコンジ
ュゲートされている。
【0140】
1個以上の反応性アミンを含有するリンカーの例は、Ac-Lys-Gly(アセチル
-リジン-グリシン)、アミノカプロン酸、Ac-Lys-β-Ala(アセチル-リジ
ン-β-アラニン)、アミノ-PEG2(ポリエチレングリコール)-C2、アミノ-P
EG3-C2、アミノ-PEG6-C2(またはアミノ PEG6-プロピオニル)、A
c-Lys-Val-Cit-PABC(アセチル-リジン-バリン-シトルリン-p-
アミノベンジルオキシカルボニル)、アミノ-PEG6-C2-Val-Cit-PAB
C、アミノカプロイル-Val-Cit-PABC、[(3R,5R)-1-{3-[2
-(2-アミノエトキシ)エトキシ]プロパノイル}ピペリジン-3,5-ジイル]ビス
-Val-Cit-PABC、[(3S,5S)-1-{3-[2-(2-アミノエトキ
シ)エトキシ]プロパノイル}ピペリジン-3,5-ジイル]ビス-Val-Cit-P
ABC、プトレッシンまたはAc-Lys-プトレッシンを含むが、それらに限定されな
い。
【0141】
ある態様において、(リンカー)-(細胞毒性薬剤)は、N2-アセチル-L-リジル
-L-バリル-N5-カルバモイル-N-[4-({[(2-{[({(8S)-8-(
クロロメチル)-6-[(3-{[(1S)-1-(クロロメチル)-8-メチル-5-
(ホスホノオキシ)-1,6-ジヒドロピロロ[3,2-e]インドール-3(2H)-
イル]カルボニル}ビシクロ[1.1.1]ペンタ-1-イル)カルボニル]-1-メチ
ル-3,6,7,8-テトラヒドロピロロ[3,2-e]インドール-4-イル}オキシ
)カルボニル](メチル)アミノ}エチル)(メチル)カルバモイル]オキシ}メチル)
フェニル]-L-オルニチンアミド、分子式C63H82Cl2N13O15Pであり、
構造:
【0142】
【0143】
を有する。
ある態様において、(リンカー)-(細胞毒性薬剤)は、C63H82Cl2N13O
15Pのトリフルオロ酢酸塩形態であり、次の構造:
【0144】
【0145】
を有する。
上記のトリフルオロ酢酸塩形態に関する式は、C63H82Cl2N13O15P・C
2HF3O2である。
【0146】
ある態様において、ADCは、1)抗体-LLQG(SEQ ID NO:78)-A
c-Lys-Val-Cit-PABC-CPI-8314である。ある態様において、
アシルドナーグルタミン含有タグは、例えば抗体重鎖中のアミノ酸残基E294~N29
7を置き換えているLLQG(SEQ ID NO:78)を含む。ある態様において、
ADCは、位置K222(ヒンジ中)におけるアミノ酸改変を含む。ある態様において、
改変は、K222Rである。抗体の例は、h18G3、18G3、h18G3、16D6
、h16D6、3D1および20D7を含むが、それらに限定されない。
【0147】
ある態様において、本発明は、本明細書で記載された抗体もしくはADC、または本明
細書で記載された方法により作製され、本明細書で記載された特徴を有する抗体もしくは
ADCを含む医薬組成物を含む組成物を包含する。本明細書で用いられる際、組成物は、
CD123に結合する1以上の抗体またはADCを含む。これらの組成物は、さらに当該
技術で周知である適切な賦形剤、例えば緩衝剤を含む薬学的に許容可能な賦形剤を含むこ
とができる。
【0148】
CD123抗体およびそのADCを使用する方法
本発明の抗体およびADCは、療法的処置法および診断的処置法を含むがそれらに限定
されない様々な適用において有用である。
【0149】
一側面において、本発明は、対象におけるCD123発現と関係する症状を処置するた
めの方法を提供する。ある態様において、対象におけるCD123発現と関係する症状を
処置する方法は、本明細書で記載されるCD123抗体またはCD123 ADCを含む
有効量の組成物(例えば医薬組成物)をそれを必要とする対象に投与することを含む。C
D123発現と関係する症状は、異常なCD123発現、変化したかまたは異所性のCD
123発現、CD123を発現する悪性細胞および増殖性障害(例えば癌)または自己免
疫障害を含むが、それらに限定されない。
【0150】
従って、ある態様において、対象において癌を処置する方法であって、それを必要とす
る対象に本明細書で記載されるCD123抗体またはCD123 ADCを含む有効量の
組成物を投与することを含む方法が、提供される。本明細書で用いられる際、癌は、例え
ば、限定ではなく、多発性骨髄腫、悪性形質細胞新生物、ホジキンリンパ腫、結節性リン
パ球優位型ホジキンリンパ腫、カーラー病および骨髄腫症、形質細胞白血病、形質細胞腫
、B細胞性前リンパ球性白血病、毛様細胞白血病(HCL)、B細胞性非ホジキンリンパ
腫(NHL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リン
パ性白血病(ALL、B-ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、濾胞性リンパ腫、バ
ーキットリンパ腫、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、大細胞リンパ腫、前駆Bリ
ンパ芽球性リンパ腫、芽球性形質細胞様樹状細胞新生物(BPDCN)、骨髄性白血病、
ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞
性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、小細胞型リンパ球性リンパ
腫、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リ
ンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(lymphoplasmactyic lymph
oma)、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫
、脾臓辺縁帯リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、リンパ
腫様肉芽腫症、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ
腫、原発性皮膚びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(下肢型)、高齢者のEBV 陽性びま
ん性大細胞型B細胞リンパ腫、炎症を伴うびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細
胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、形質芽細胞リンパ腫、HHV
8関連多中心性キャッスルマン病で生じる大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B
細胞リンパ腫およびバーキットリンパ腫の間の中間の特徴を有する未分類のB細胞リンパ
腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫および古典的ホジキンリンパ腫の間の中間の特徴を
有する未分類のB細胞リンパ腫ならびに他のB細胞関連リンパ腫であることができる。あ
る態様において、癌は、AML、B-ALL、BPDCN、NHLまたはHCLである。
【0151】
ある態様において、CD123を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の成長ま
たは進行を抑制する方法であって、それを必要とする対象に本明細書で記載されるCD1
23抗体またはCD123 ADCを含む有効量の組成物を投与することを含む方法が、
提供される。他の態様において、対象においてCD123を発現する細胞の転移を抑制す
る方法であって、それを必要とする対象に本明細書で記載されるCD123抗体またはC
D123 ADCを含む有効量の組成物を投与することを含む方法が、提供される。他の
態様において、対象において悪性細胞における腫瘍退縮を誘導する方法であって、それを
必要とする対象に本明細書で記載されるCD123抗体またはCD123 ADCを含む
有効量の組成物を投与することを含む方法が、提供される。
【0152】
ある態様において、対象において自己免疫障害を処置する方法であって、それを必要と
する対象に本明細書で記載されるCD123抗体またはCD123 ADCを含む有効量
の組成物を投与することを含む方法が、提供される。
【0153】
本明細書で用いられる際、自己免疫障害は、全身性エリテマトーデス、リウマチ様関節
炎、糖尿病(I型)、多発性硬化症、アディソン病、セリアック病、皮膚筋炎、グレーヴ
ス病、橋本甲状腺炎、橋本脳症、重症筋無力症、悪性貧血、反応性関節炎、シェーグレン
症候群、急性散在性脳脊髄炎、無ガンマグロブリン血症、筋萎縮性側索硬化症、強直性脊
椎炎、抗リン脂質症候群、抗シンテターゼ症候群、アトピー性アレルギー、アトピー性皮
膚炎、自己免疫性腸症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、
自己免疫性リンパ増殖症候群、自己免疫性末梢神経障害、自己免疫性膵炎、自己免疫性多
内分泌腺症候群(autoimmune polyendorcrine syndro
me)、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、自己免疫性血小板減少性紫斑病、自己免疫性
蕁麻疹、自己免疫性ブドウ膜炎、ベーチェット病、キャッスルマン病、寒冷凝集素症、ク
ローン病、皮膚筋炎、好酸球性筋膜炎、胃腸類天疱瘡、グッドパスチャー症候群、ギラン
・バレー症候群、化膿性汗腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、ナルコレプシー、尋常性天
疱瘡、悪性貧血、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変(primary billary
cirrhosis)、再発性多発軟骨炎(relapsing polychrond
ritis)、リウマチ熱、側頭動脈炎、横断性脊髄炎、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織
疾患、血管炎およびウェゲナー肉芽腫症を含むが、それらに限定されない。
【0154】
別の側面において、本発明は、それを必要とする対象においてCD123発現と関係す
る症状(例えば癌または自己免疫障害)を処置するための本明細書で記載されるCD12
3抗体またはCD123 ADCを含む有効量の組成物(例えば医薬組成物)を提供する
。ある態様において、CD123を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の成長ま
たは進行を抑制するための本明細書で記載されるCD123抗体またはCD123 AD
Cを含む有効量の組成物(例えば医薬組成物)が、提供される。ある態様において、それ
を必要とする対象においてCD123を発現する悪性細胞の転移を抑制するための本明細
書で記載されるCD123抗体またはCD123 ADCを含む有効量の組成物(例えば
医薬組成物)が、提供される。ある態様において、CD123を発現する悪性細胞を有す
る対象において腫瘍の退縮を誘導するための本明細書で記載されるCD123抗体または
CD123 ADCを含む有効量の組成物(例えば医薬組成物)が、提供される。
【0155】
別の側面において、本発明は、それを必要とする対象におけるCD123発現と関係す
る症状(例えば癌または自己免疫障害)の処置における使用のための本明細書で記載され
るCD123抗体またはCD123 ADCを提供する。ある態様において、CD123
を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の成長または進行を抑制するための本明細
書で記載されるCD123抗体またはCD123 ADCが、提供される。ある態様にお
いて、それを必要とする対象においてCD123を発現する悪性細胞の転移を抑制するた
めの本明細書で記載されるCD123抗体またはCD123 ADCが、提供される。あ
る態様において、CD123を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の退縮を誘導
するための本明細書で記載されるCD123抗体またはCD123 ADCが、提供され
る。
【0156】
別の側面において、本発明は、CD123発現と関係する症状(例えば癌または自己免
疫障害)を処置するための医薬品の製造における本明細書で記載されるCD123抗体ま
たはCD123 ADCの使用を提供する。ある態様において、腫瘍の成長または進行を
抑制するための医薬品の製造における本明細書で記載されるCD123抗体またはCD1
23 ADCの使用が、提供される。ある態様において、CD123を発現する悪性細胞
の転移を抑制するための医薬品の製造における本明細書で記載されるCD123抗体また
はCD123 ADCの使用が、提供される。ある態様において、腫瘍の退縮を誘導する
ための医薬品の製造における本明細書で記載されるCD123抗体またはCD123 A
DCの使用が、提供される。
【0157】
別の側面において、CD123発現と関係する症状を検出、診断および/またはモニタ
リングする方法が、提供される。例えば、本明細書で記載されるCD123抗体は、イメ
ージング剤および酵素-基質標識のような検出可能な部分で標識されることができる。本
明細書で記載される抗体は、インビボ画像化(例えばPETまたはSPECT)のような
インビボ診断アッセイまたは染色試薬のために使用されることもできる。
【0158】
ある態様において、本明細書で記載される方法は、さらに追加の療法形態で対象を処置
する工程を含む。ある態様において、追加の療法形態は、化学療法、放射線、手術、ホル
モン療法および/または追加の免疫療法を含むがそれらに限定されない追加の抗癌療法で
ある。
【0159】
ある態様において、追加の療法形態は、本明細書で記載されるCD123抗体またはC
D123 ADCに加えて1種類以上の療法剤を投与することを含む。1種類以上の療法
剤は、例えば第2抗体(例えば抗VEGF(血管内皮増殖因子)抗体(例えばAVAST
IN(登録商標))、抗HER2抗体(例えばHERCEPTIN(登録商標))、抗C
D25抗体、抗CD33抗体、抗CD20抗体(例:RITUXAN(登録商標))、抗
ムチン様糖タンパク質抗体、抗TNF抗体、抗PD-1抗体もしくはPD-L1抗体およ
び/または上皮成長因子受容体(EGFR)抗体(例えばERBITUX(登録商標))
、血管新生阻害剤、細胞毒性薬剤(例えばアントラサイクリン類(例えばダウノルビシン
、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルビシンおよびミトキサントロン)
、タキサン(例えばパクリタキセルおよびドセタキセル)、ドラスタチン、デュオカルマ
イシン、エンジイン、ゲルダナマイシン、メイタンシン、ピューロマイシン、ビンカアル
カロイド(例えばビンクリスチン)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えばエトポシド)、チ
ューブリシン、ピリミジン類似体(例えばフルオロウラシル)、白金含有薬剤(例えばシ
スプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチン)、アルキル化剤(例えばメルファ
ラン、シクロホスファミドまたはカルムスチン)およびヘミアステリン)、免疫調節剤(
例えばプレドニゾン)、抗炎症剤(例えばデキサメタゾン)、アロマターゼ阻害剤(例え
ばアナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、ボロゾール、ホルメスタンまたは
テストラクトン)、プロテアソーム阻害剤(例えばボルテゾミブ、例えばVELCADE
(登録商標)([(1R)-3-メチル-1-[[(2S)-1-オキソ-3-フェニル
-2-[(ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]ボロン酸))な
らびに他の薬剤、例えばタモキシフェンであることができるが、それらに限定されない。
【0160】
例えば、ある態様において、AMLを処置する方法であって、それを必要とする対象に
本明細書で記載されているCD123抗体またはCD123 ADCならびに1種類の他
の療法剤、例えば化学療法剤またはサリドマイドもしくはその誘導体(例えばレナリドマ
イド)を含む有効量の組成物を投与することを含む方法が、提供される。ある態様におい
て、その1種類の他の療法剤は、ボルテゾミブ(例えばVELCADE(登録商標))、
メルファラン、プレドニゾン、ドキソルビシン、レナリドマイド、サリドマイド、プレド
ニゾン、カルムスチン、エトポシド、シスプラチン、シクロホスファミドおよびビンクリ
スチンからなる群から選択される。ある態様において、その他の療法剤は、ボルテゾミブ
(例えばVELCADE(登録商標))、メルファランまたはプレドニゾンである。ある
態様において、対象は、再発しているかまたは以前のAML療法に対して抵抗性である。
【0161】
CD123抗体またはCD123 ADCは、あらゆる適切な経路を介して個体に投与
されることができる。本明細書で記載される例は、限定的であることが意図されているの
ではなく、利用可能な技法を説明することが意図されていることは、当業者には理解され
るはずである。従って、ある態様において、CD123抗体またはCD123 ADCは
、既知の方法に従って、例えば静脈内投与、例えば大量瞬時投与としての静脈内投与また
はある期間にわたる連続注入による静脈内投与で、筋内、腹腔内、脳脊髄内、頭蓋内、経
皮、皮下、関節内、舌下、滑液包内、ガス注入経由、髄腔内、経口、吸入または局所的経
路により投与される。投与は、全身的、例えば静脈内投与、または局所的であることがで
きる。ジェット噴霧器および超音波噴霧器を含む、液体配合物のための商業的に入手可能
な噴霧器は、投与のために有用である。液体配合物は、直接噴霧されることができ、凍結
乾燥された粉末は、再構成後に噴霧されることができる。あるいは、CD123抗体また
はCD123 ADCは、フルオロカーボン配合物および計量吸入器を用いてエアロゾル
化されることができ、または凍結乾燥および製粉された粉末として吸入されることもでき
る。
【0162】
一態様において、CD123抗体またはCD123 ADCは、部位特異的または標的
化された局所送達技法により投与される。部位特異的または標的化された局所送達技法の
例は、CD123抗体もしくはCD123 ADCの様々な埋め込み式のデポー源、また
は局所送達カテーテル、例えば注入カテーテル、留置カテーテル、もしくは針カテーテル
、人工移植片、外膜ラップ、シャントおよびステントもしくは他の埋め込み式のデバイス
、部位特異的担体、直接注射、または直接適用を含む。例えば、PCT国際公開第00/
53211号および米国特許第5,981,568号を参照。
【0163】
CD123抗体またはCD123 ADCの様々な配合物が、投与のために用いられる
ことができる。ある態様において、CD123抗体またはCD123 ADCは、ニート
で(neat)投与されることができる。ある態様において、CD123抗体(またはC
D123 ADC)および薬学的に許容可能な賦形剤は、様々な配合物中にあることがで
きる。薬学的に許容可能な賦形剤は、当該技術で既知であり、薬理学的に有効な物質の投
与を容易にする比較的不活性な物質である。例えば、賦形剤は、形態もしくは粘稠性を与
える、または希釈剤の役目を果たすことができる。適切な賦形剤は、安定剤、湿潤および
乳化剤、モル浸透圧濃度を変動させるための塩類、封入剤、緩衝剤および皮膚浸透増進剤
を含むが、それらに限定されない。非経口および非経口ではない薬物送達のための賦形剤
ならびに配合物が、Remington,The Science and Practice of Pharmacy 第21版 Mack
Publishing,2005において述べられている。
【0164】
ある態様において、これらの薬剤は、(例えば腹腔内、静脈内、皮下、筋内等での)注
射による投与のために配合されている。従って、これらの薬剤は、薬学的に許容可能なビ
ヒクル、例えば生理食塩水、リンガー液、デキストロース溶液等と組み合わせられること
ができる。個々の投与計画、すなわち用量、タイミングおよび反復は、特定の個人および
その個人の病歴に依存するであろう。
【0165】
本明細書で記載されたCD123抗体またはCD123 ADCは、注射(例えば腹腔
内、静脈内、皮下、筋内等)による投与を含め、あらゆる適切な方法を用いて投与される
ことができる。CD123抗体またはCD123 ADCは、本明細書で記載されたよう
に、吸入により投与されることもできる。一般に、CD123抗体またはCD123 A
DCの投与に関して、最初の候補投与量は、約2mg/kgであることができる。本発明
の目的に関して、典型的な一日投与量は、上記で言及された要因に応じて、約3μg/k
g~30μg/kg~300μg/kg~3mg/kg、30mg/kgまで、100m
g/kgまたはより多い量までのいずれの範囲である可能性もある。例えば、約1mg/
kg、約2.5mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、および約25mg/k
gの投与量が、用いられることができる。数日またはより長い期間にわたる反復投与に関
して、症状に応じて、処置は、症状の所望の抑制が起こるまで、または例えば腫瘍成長/
進行もしくは癌細胞の転移を抑制するもしくは遅延させるための十分な療法レベルが達成
されるまで維持される。ある典型的な投与計画は、約2mg/kgのCD123抗体また
はCD123 ADCの初期用量を投与し、続いて約1mg/kgの毎週維持用量を投与
すること、または続いて約1mg/kgの維持用量を隔週で投与することを含む。別の典
型的な投与計画は、毎週または3週間ごとに約0.21、約0.5または約0.8mg/
kgの初期用量を投与することを含む。他の典型的な投与計画は、増大する容量(例えば
1mg/kgの初期用量および毎週またはより長い時間間隔での1以上のより高い容量へ
の徐々の増大)を投与することを含む。他の投与計画も、従事者が達成することを望む薬
物動態的減衰のパターンに応じて有用である可能性がある。例えば、ある態様において、
週に1~4回の投与が、意図されている。他の態様において、月1回または2ヶ月ごとも
しくは3ヶ月ごとに1回の投与が、意図されている。この療法の進行は、従来の技法およ
びアッセイにより容易にモニターされる。投与計画(用いられるCD123抗体またはC
D123 ADCを含む)は、時間の経過に伴い変動することができる。
【0166】
本発明の目的に関して、CD123抗体またはCD123 ADCの適切な投与量は、
用いられるCD123抗体またはCD123 ADC(またはその組成物)、処置される
べき症状のタイプおよび重症度、薬剤が療法的目的のために投与されるかどうか、以前の
療法、対象の病歴および薬剤への応答、投与される薬剤に関する対象のクリアランス速度
、ならびに主治医の裁量に依存するであろう。典型的には、臨床医は、CD123抗体ま
たはCD123 ADCを、所望の結果を達成する投与量に達するまで投与するであろう
。用量および/または頻度は、処置の過程にわたって変動することができる。経験的な考
慮すべき事柄、例えば半減期は、一般に投与量の決定に寄与するであろう。例えば、ヒト
免疫系と適合可能である抗体、例えばヒト化抗体または完全なヒト抗体は、抗体の半減期
を延長するためおよび抗体がホストの免疫系により攻撃されるのを防ぐために用いられる
ことができる。投与の頻度は、療法の過程にわたって決定および調節されることができ、
一般に、症状の処置および/または抑制および/または改善および/または遅延、例えば
腫瘍成長の抑制または遅延等に基づくが、必ずそうであるわけではない。あるいは、CD
123抗体またはCD123 ADCの持続的連続放出配合物が、適切である可能性があ
る。持続放出を達成するための様々な配合物およびデバイスが、当該技術で既知である。
【0167】
一態様において、CD123抗体またはCD123 ADCに関する投与量は、そのC
D123抗体またはCD123 ADCの1回以上の投与(単数または複数)を与えられ
てきた個人において経験的に決定されることができる。個人は、CD123抗体またはC
D123アンタゴニストの増加する投与量を与えられる。有効性を評価するため、疾患の
指標が、追跡されることができる。
【0168】
本発明における方法のCD123抗体またはCD123 ADCの投与は、例えば受容
者の生理的障害、投与の目的が療法的か予防的か、および当業者に既知の他の要因に応じ
て連続的または断続的であることができる。CD123抗体またはCD123 ADCの
投与は、予め選択された期間にわたって本質的に連続的であることができ、または一連の
間隔の空いた用量におけることもできる。
【0169】
ある態様において、1種類より多くのCD123抗体またはCD123 ADCが、存
在していることができる。少なくとも1種類、少なくとも2種類、少なくとも3種類、少
なくとも4種類、少なくとも5種類の異なる、またはより多くのCD123抗体またはC
D123 ADCが、存在していることができる。一般に、それらのCD123抗体また
はCD123 ADCは、互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有することができる。
例えば、以下のCD123抗体の1種類以上が、用いられることができる:CD123上
のあるエピトープに向けられた第1CD123抗体およびCD123上の異なるエピトー
プに向けられた第2CD123抗体。
【0170】
本発明に従って用いられるCD123抗体またはCD123 ADCの療法用配合物は
、所望の程度の純度を有する抗体を任意の薬学的に許容可能なキャリヤー、賦形剤、また
は安定剤(Remington,The Science and Practice of Pharmacy 第21版 Mack Publishing
, 2005)と混合することにより、凍結乾燥された配合物または水溶液の形態で、貯蔵のた
めに調製される。許容可能なキャリヤー、賦形剤、または安定剤は、利用される投与量お
よび濃度において受容者に対して非毒性であり、緩衝剤、例えばホスフェート、シトレー
ト、および他の有機酸;塩類、例えば塩化ナトリウム;アスコルビン酸およびメチオニン
を含む抗酸化剤;保存剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩
化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル
またはベンジルアルコール;アルキルパラベン類、例えばメチルまたはプロピルパラベン
;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-ク
レゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブ
ミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン
;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、も
しくはリジン;グルコース、マンノース、もしくはデキストリン類を含む単糖類、二糖類
、および他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTA;糖類、例えばスクロース、マンニ
トール、トレハロースもしくはソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属
複合体(例えばZn-タンパク質複合体);および/または非イオン性界面活性剤、例え
ばTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(
PEG)を含むことができる。
【0171】
CD123抗体またはCD123 ADCを含有するリポソームは、当該技術において
既知の方法、例えばEpstein,et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688, 1985; Hwa
ng, et al.,Proc. Natl Acad. Sci. USA 77:4030, 1980;ならびに米国特許第4,485
,045号および第4,544,545号において記載されている方法により調製される
。増進された循環時間を有するリポソームは、米国特許第5,013,556号において
開示されている。特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよ
びPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を
用いた逆相蒸発法により生成されることができる。リポソームは、定められた孔径のフィ
ルターを通して押し出され、所望の直径を有するリポソームを生成する。
【0172】
有効成分は、コロイド状薬物送達システム(例えばリポソーム、アルブミンマイクロス
フェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)において、またはマクロ
エマルジョンにおいて、例えばコアセルベーション技法により、または界面重合により調
製されたマイクロカプセル(例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン
マイクロカプセルおよびポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)中に捕捉さ
れることもできる。そのような技法は、Remington, The Science and Practice of Pharm
acy 第21版 MackPublishing, 2005において開示されている。
【0173】
持続放出製剤が、調製されることができる。持続放出製剤の適切な例は、抗体を含有す
る固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスを含み、そのマトリックスは、形作られた物
、例えば薄膜またはマイクロカプセルの形態である。持続放出マトリックスの例は、ポリ
エステル類、ヒドロゲル類(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、
またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド類(米国特許第3,773,919号
)、L-グルタミン酸および7エチル-L-グルタメート(7 ethyl-L-glu
tamate)のコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール
酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマ
ーおよび酢酸ロイプロリドからなる注射用マイクロスフェア)、スクロース酢酸イソブチ
ルならびにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。
【0174】
インビボ投与のために用いられる予定の配合物は、無菌でなければならない。これは、
例えば滅菌濾過膜を通した濾過により容易に成し遂げられる。療法用CD123抗体また
はCD123 ADC組成物は、一般に、無菌のアクセスポートを有する容器、例えば皮
下注射針により突き刺し可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアル中に配置され
る。
【0175】
本発明の組成物は、経口、非経口もしくは直腸投与、または吸入もしくはガス注入(i
nsufflation)による投与のための単位剤形、例えば錠剤、丸剤、カプセル、
粉末、顆粒、溶液もしくは懸濁液、または坐剤であることができる。
【0176】
固体組成物、例えば錠剤を調製するため、主要な有効成分が、医薬用キャリヤー、例え
ば従来の打錠用成分、例えばトウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、ソルビト
ール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたはガ
ム、および他の医薬用希釈剤、例えば水と混合されて、本発明の化合物またはその非毒性
の薬学的に許容可能な塩の均質な混合物を含有する固体前配合(preformulat
ion)組成物を形成する。これらの前配合組成物が均質であると言及する場合、その組
成物が等しく有効な単位剤形、例えば錠剤、丸剤およびカプセル中にすぐに細分されるこ
とができるように、有効成分が組成物全体にわたって均等に分散していることが意味され
ている。次いで、この固体前配合組成物は、0.1~約500mgの本発明の有効成分を
含有する上記のタイプの単位剤形中に細分される。新規組成物の錠剤または丸剤は、延長
された作用の利点を与える剤形を提供するために、コートされるか、または他の方法で調
合されることができる。例えば、錠剤または丸剤は、内部投薬構成要素および外部投薬構
成要素を含むことができ、後者は前者を覆う外膜の形態である。2つの構成要素は、胃に
おける崩壊に耐える役目を果たし、内部の構成要素が完全な状態で十二指腸中へと通過す
ることまたはその放出が遅延することを可能にする腸溶層により隔てられていることがで
きる。様々な材料が、そのような腸溶層またはコーティングのために用いられることがで
き、そのような材料は、いくつかのポリマー性の酸ならびにポリマー性の酸のシェラック
、セチルアルコールおよび酢酸セルロースのような材料との混合物を含む。
【0177】
適切な表面活性剤は、特に非イオン性薬剤、例えばポリオキシエチレンソルビタン類(
例えばTween(商標)20、40、60、80または85)および他のソルビタン類
(例えばSpan(商標)20、40、60、80または85)を含む。表面活性剤を含
む組成物は、好都合には0.05~5%の表面活性剤を含むと考えられ、それは0.1~
2.5%であることができる。他の成分、例えばマンニトールまたは他の薬学的に許容可
能なビヒクルが、必要に応じて添加されることができることは、理解されるであろう。
【0178】
適切なエマルジョンは、商業的に入手可能な脂肪エマルジョン、例えばIntrali
pid(商標)、Liposyn(商標)、Infonutrol(商標)、Lipof
undin(商標)およびLipiphysan(商標)を用いて調製されることができ
る。有効成分は、予め混合されたエマルジョン組成物中で溶解させることができ、あるい
はそれは油(例えばダイズ油、ベニバナ油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油またはアー
モンド油)中で溶解させることもでき、リン脂質(例えば卵リン脂質、ダイズリン脂質ま
たはダイズレシチン)および水との混合の際にエマルジョンが形成される。エマルジョン
の張性を調節するために、他の成分、例えばグリセロールまたはグルコースが添加される
ことができることは、理解されるであろう。適切なエマルジョンは、典型的には20%ま
での、例えば5~20%の油を含有するであろう。脂肪エマルジョンは、0.1~1.0
μm、特に0.1~0.5μmの脂肪液滴を含むことができ、5.5~8.0の範囲のp
Hを有することができる。
【0179】
エマルジョン組成物は、CD123抗体またはCD123 ADCをIntralip
id(商標)またはその構成要素(ダイズ油、卵リン脂質、グリセロールおよび水)と混
合することにより調製されたエマルジョン組成物であることができる。
【0180】
吸入またはガス注入のための組成物は、薬学的に許容可能な水性もしくは有機性溶媒中
の溶液および懸濁液、またはそれらの混合物、ならびに粉末を含む。液体または固体組成
物は、上記で述べられたような適切な薬学的に許容可能な賦形剤を含有することができる
。ある態様において、組成物は、局所または全身作用のために、経口または経鼻呼吸経路
により投与される。好ましくは無菌の薬学的に許容可能な溶媒中の組成物は、ガスの使用
により噴霧されることができる。噴霧された溶液は、噴霧デバイスから直接呼吸されるこ
とができ、または噴霧デバイスは、フェイスマスク、テントもしくは断続的陽圧呼吸模擬
装置に取り付けられることができる。溶液、懸濁液または粉末組成物は、好ましくは経口
または経鼻で、配合物を適切な方法で送達するデバイスから投与されることができる。
【0181】
組成物
本発明の方法で使用される組成物は、有効量の本明細書で記載されるCD123抗体ま
たはCD123 ADCを含む。そのような組成物の例ならびにどのように配合するかは
、より前の節および以下においても記載されている。ある態様において、組成物は、1以
上のCD123抗体またはCD123 ADCを含む。例えば、CD123抗体は、ヒト
CD123を認識する。ある態様において、CD123抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体ま
たはキメラ抗体である。ある態様において、CD123抗体は、抗体に媒介される溶解ま
たはADCCのような所望の免疫応答を誘発することができる定常領域を含む。他の態様
において、CD123抗体は、抗体に媒介される溶解またはADCCのような望まれない
、または望ましくない免疫応答を誘発しない定常領域を含む。他の態様において、CD1
23抗体は、抗体の1つ以上のCDR(単数または複数)(例えば1つ、2つ、3つ、4
つ、5つ、またはある態様において6つ全部のCDR)を含む。
【0182】
組成物は、1種類より多くのCD123抗体またはCD123 ADC(例えばCD1
23の異なるエピトープを認識するCD123抗体の混合物)を含むことができることが
、理解されている。他の典型的な組成物は、同じエピトープ(単数または複数)を認識す
る1種類より多くのCD123抗体もしくはCD123 ADCまたはCD123(例え
ばヒトCD123)の異なるエピトープに結合する異なる種のCD123抗体もしくはC
D123 ADCを含む。
【0183】
ある態様において、CD123抗体は、1種類以上の追加の療法剤の投与との組み合わ
せで投与されることができる。これらは、化学療法剤、ワクチン、CAR-T細胞ベース
の療法、放射線療法、サイトカイン療法、ワクチン、CD123二重特異性抗体、他の免
疫抑制経路の阻害剤、血管新生の阻害剤、T細胞活性化剤、代謝経路の阻害剤、mTOR
阻害剤、アデノシン経路の阻害剤、インライタ、ALK阻害剤およびスニチニブを含むが
それらに限定されないチロシンキナーゼ阻害剤、BRAF阻害剤、後成的修飾剤、IDO
1阻害剤、Treg細胞の、および/または骨髄系由来サプレッサー細胞の阻害剤または
枯渇剤(depletor)、JAK阻害剤、STAT阻害剤、サイクリン依存性キナー
ゼ阻害剤、生物療法剤(VEGF、VEGFR、EGFR、Her2/neu、他の成長
因子受容体、CD20、CD40、CD-40L、CTLA-4、OX-40、4-1B
B、CD123、PD-L1、TIGITおよびICOSに対する抗体を含むがそれらに
限定されない)、免疫原性薬剤(例えば減弱した癌性細胞、腫瘍抗原、抗原提示細胞、例
えば腫瘍由来の抗原または核酸でパルスされた樹状細胞、免疫刺激性サイトカイン(例え
ばIL-2、IFNα2、GM-CSF)および免疫刺激性サイトカイン、例えばGM-
CSF(それに限定されない)をコードする遺伝子をトランスフェクションされた細胞)
を含むが、それらに限定されない。化学療法剤の例は、以下の薬剤を含む:アルキル化剤
、例えばチオテパおよびシクロホスファミド;アルキルスルホネート類、例えばブスルフ
ァン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン類、例えばベンゾドーパ、
カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ;エチレンイミ
ン類およびメチルアメラミン類(methylamelamines)(アルトレタミン
、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミ
ドおよびトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)を含む
);アセトゲニン類(特にブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成類似
体であるトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのア
ドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン類(
特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシ
ン(その合成類似体であるKW-2189およびCBI-TMIを含む);エリュテロビ
ン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンジスタチン(spongistat
in);ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロロ
ホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオ
キシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリ
ン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア(n
itrosureas)、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロム
スチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えばエンジイン系抗生物質(例えばカ
リケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマ1IおよびカリケアマイシンファイI1、
例えばAgnew,Chem. Intl. Ed. Engl., 33:183-186 (1994)を参照);ダイネミシン(d
ynemicin)(ダイネミシンAを含む);ビスホスホネート類、例えばクロドロネ
ート;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団および関連する色素タンパ
ク質エンジイン系抗生物質発色団)、アクラシノマイシン類(aclacinomysi
ns)、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチ
ノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン(caminomycin)、カルチノフィ
リン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジア
ゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シ
アノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソ
ルビシンを含む)、ペグ化リポソームドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イ
ダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン類、例えばマイトマイシンC、ミコフェ
ノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ぺプロマイシン、ポトフィロマイシン、
ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレ
プトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビ
シン;代謝拮抗剤、例えばメトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);
葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサ
ート;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオ
グアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、
カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フ
ロクスウリジン;アンドロゲン類、例えばカルステロン、ドロモスタノロンプロピオネー
ト、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎薬、例えばアミノグ
ルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えばフォリン酸(frolini
c acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド(aldophosph
arnide glycoside);アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリ
ン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート(edatraxate);デフ
ォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジコン;エフロルニチン(e
lfornithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリ
ウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド類、例えばメイタ
ンシンおよびアンサマイトシン類;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニ
トラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフ
ィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィ
ラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’-トリク
ロロトリエチルアミン;トリコテセン類(特にT-2毒素、ベラクリンA、ロリジンAお
よびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロ
ニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラ
ビノシド(“Ara-C”);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド類、例えばパ
クリタキセルおよびドセタキセル;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;
メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えばシスプラチンおよびカルボプ
ラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサ
ントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサー
ト;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;ト
ポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチ
ノイド類、例えばレチノイン酸;カペシタビン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容
可能な塩類、酸または誘導体。例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、ドロキシフェン
、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY11701
8、オナプリストンおよびトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲン類お
よび選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)のような腫瘍に対するホルモン作用を
制御または阻害するように作用する抗ホルモン剤;副腎におけるエストロゲン産生を制御
する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば4(5)-イミダゾール類
、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール、エキセメスタン、フォルメスタン、ファド
ロゾール、ボロゾール、レトロゾールおよびアナストロゾール;ならびに抗アンドロゲン
薬、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリドおよびゴセレリン;な
らびに上記のいずれかの薬学的に許容可能な塩類、酸または誘導体も、含まれる。
【0184】
ある態様において、CD123抗体は、免疫チェックポイント調節因子を標的とする1
種類以上の他の療法剤、例えば(限定ではなく)CD123、PD-1、PD-L1、C
TLA-4、LAG-3、B7-H3、B7-H4、B7-DC(PD-L2)、B7-
H5、B7-H6、B7-H8、B7-H2、B7-1、B7-2、ICOS、ICOS
-L、TIGIT、CD2、CD47、CD80、CD86、CD48、CD58、CD
226、CD155、CD112、LAIR1、2B4、BTLA、CD160、TIM
1、TIM-3、TIM4、VISTA(PD-H1)、OX40、OX40L、GIT
R、GITRL、CD70、CD27、4-1BB、4-BBL、DR3、TL1A、C
D40、CD40L、CD30、CD30L、LIGHT、HVEM、SLAM(SLA
MF1、CD150)、SLAMF2(CD48)、SLAMF3(CD229)、SL
AMF4(2B4、CD244)、SLAMF5(CD84)、SLAMF6(NTB-
A)、SLAMCF7(CS1)、SLAMF8(BLAME)、SLAMF9(CD2
F)、CD28、CEACAM1(CD66a)、CEACAM3、CEACAM4、C
EACAM5、CEACAM6、CEACAM7、CEACAM8、CEACAM1-3
AS、CEACAM3C2、CEACAM1-15、PSG1-11、CEACAM1-
4C1、CEACAM1-4S、CEACAM1-4L、IDO、TDO、CCR2、C
D39-CD73-アデノシン経路(A2AR)、BTK類、TIK類、CXCR2、C
CR4、CCR8、CCR5、VEGF経路、CSF-1または自然免疫応答調節因子を
標的とする薬剤と合わせて用いられる。ある態様において、CD123抗体は、例えば抗
PD-L1アンタゴニスト抗体、例えばBMS-936559(MDX-1105);C
D123抗体、例えばニボルマブ、ペンブロリズマブおよびピディリズマブ;抗CTLA
-4アンタゴニスト抗体、例えばイピリムマブ;抗LAG-3アンタゴニスト抗体、例え
ばBMS-986016およびIMP701;抗TIM-3アンタゴニスト抗体;抗B7
-H3アンタゴニスト抗体、例えばMGA271;抗VISTAアンタゴニスト抗体;抗
TIGITアンタゴニスト抗体;抗CD28アンタゴニスト抗体;抗CD80抗体;抗C
D86抗体;抗B7-H4アンタゴニスト抗体;抗ICOSアゴニスト抗体;抗CD28
アゴニスト抗体;自然免疫応答調節因子(例えばTLR類、KIR、NKG2A)および
IDO阻害剤と合わせて用いられる。ある態様において、CD123抗体は、4-1BB
(CD137)アゴニスト、例えばPF-05082566またはBMS-663513
と合わせて用いられる。ある態様において、CD123抗体は、OX40アゴニスト、例
えば抗OX-40アゴニスト抗体と合わせて用いられる。ある態様において、CD123
抗体は、GITRアゴニスト、例えば抗GITRアゴニスト抗体、例えば(限定ではなく
)TRX518と合わせて用いられる。ある態様において、CD123抗体は、IDO阻
害剤と合わせて用いられる。ある態様において、CD123抗体は、サイトカイン療法、
例えば(限定ではなく)IL-15、CSF-1、MCSF-1等と合わせて用いられる
。
【0185】
ある態様において、CD123抗体は、1種類以上の他の療法用抗体、例えば(限定で
はなく)CD19、CD22、CD40、CD52またはCCR4を標的とする抗体と合
わせて用いられる。
【0186】
ある態様において、CD123抗体療法は、他の薬剤処置に数分~数週間の範囲の間隔
で先行することができ、または他の薬剤処置の数分~数週間の範囲の間隔後に行われるこ
とができる。他の薬剤および/またはタンパク質もしくはポリヌクレオチドが別々に投与
される態様において、一般に、本発明の薬剤および組成物がまだ対象に対して有利に組み
合わせられた作用を発揮することができるであろうように、各送達の間でかなりの期間が
経過しないことを確実にするであろう。そのような場合には、両方の治療法(modal
ities)を、互いに約12~24時間以内、より好ましくは互いに約6~12時間以
内に施すことができることが、意図されている。しかし、ある状況では、それぞれの投与
の間に数日(2、3、4、5、6または7)~数週間(1、2、3、4、5、6、7また
は8)が経過する場合、投与のための期間をかなり延長することが、望ましい可能性があ
る。
【0187】
ある態様において、CD123抗体組成物は、クリゾチニブ、パルボシクリブ、ゲムシ
タビン、シクロホスファミド、フルオロウラシル、FOLFOX、フォリン酸、オキサリ
プラチン、アキシチニブ、リンゴ酸スニチニブ、トファシチニブ、ベバシズマブ、リツキ
シマブおよびトラスツズマブ(traztuzumab)から選択される第2の薬剤を含
む。
【0188】
ある態様において、CD123抗体組成物は、さらに手術、放射線療法、化学療法、標
的療法、免疫療法、ホルモン療法、血管新生阻害および緩和ケアからなる含む群から選択
される伝統的な療法を含む処置計画と組み合わせられる。
【0189】
本発明において用いられる組成物は、凍結乾燥された配合物または水溶液の形態で、さ
らに薬学的に許容可能なキャリヤー、賦形剤、または安定剤を含むことができる(Remingt
on: The Scienceand practice of Pharmacy 第21版, 2005, Lippincott Williams and W
ilkins, 編者K. E.Hoover)。許容可能なキャリヤー、賦形剤、または安定剤は、その投
与量および濃度において受容者に対して非毒性であり、緩衝剤、例えばホスフェート、シ
トレート、および他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤
(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩
化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコー
ル;アルキルパラベン類、例えばメチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシ
ノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(
約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、または
免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリ
シン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン;グルコー
ス、マンノース、もしくはデキストラン類を含む単糖類、二糖類、および他の炭水化物;
キレート剤、例えばEDTA;糖類、例えばスクロース、マンニトール、トレハロースも
しくはソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えばZn-タ
ンパク質複合体);および/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商標)、
PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含むことがで
きる。薬学的に許容可能な賦形剤は、本明細書においてさらに記載される。
【0190】
ポリヌクレオチド、ベクターおよび宿主細胞
本発明は、本発明の抗体をコードする単離されたポリヌクレオチドならびにそのポリヌ
クレオチドを含むベクターおよび宿主細胞も提供する。別の側面において、本発明は、本
発明のポリヌクレオチドのいずれかを含む組成物(例えば医薬組成物)を提供する。ある
態様において、組成物は、本明細書で記載される抗体のいずれかをコードするポリヌクレ
オチドを含む発現ベクターを含む。別の側面において、本発明は、本明細書で記載される
ポリヌクレオチドのいずれかを作製する方法を提供する。
【0191】
あらゆるそのような配列に相補的なポリヌクレオチドも、本発明に包含される。ポリヌ
クレオチドは、一本鎖(コードまたはアンチセンス)または二本鎖であることができ、D
NA(ゲノム、cDNAまたは合成)またはRNA分子であることができる。RNA分子
は、イントロンを含有し、1対1の様式でDNA分子に対応するHnRNA分子、および
イントロンを含有しないmRNA分子を含む。追加のコードまたは非コード配列が、本発
明のポリヌクレオチド内に存在していることができるが、存在している必要はなく、ポリ
ヌクレオチドは、他の分子および/または支持体材料に連結されていることができるが、
連結されている必要はない。
【0192】
ポリヌクレオチドは、ネイティブ配列(すなわち抗体またはその一部をコードする内因
性配列)を含むことができ、またはそのような配列のバリアントを含むことができる。ポ
リヌクレオチドのバリアントは、ネイティブの免疫反応性分子と比較してコードされたポ
リペプチドの免疫反応性が減少しないように1つ以上の置換、付加、欠失および/または
挿入を含有する。コードされたポリペプチドの免疫反応性に対する作用は、一般に、本明
細書で記載されるように評価され得る。バリアントは、好ましくは天然抗体またはその一
部をコードするポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約70%の同一性、より好まし
くは少なくとも約80%の同一性、さらにもっと好ましくは少なくとも約90%の同一性
、最も好ましくは少なくとも約95%の同一性を示す。
【0193】
2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、以下に記載されるように、最大限
の一致のためにアラインメントされた際にその2つの配列中のヌクレオチドまたはアミノ
酸の配列が同じである場合、“同一”であると言われる。2つの配列間の比較は、典型的
には、比較ウィンドウにわたって配列を比較して配列が類似する局所領域を同定および比
較することにより実施される。本明細書で使用される“比較ウィンドウ”は、少なくとも
約20個、通常は約30~約75個または約40~約50個の連続する位置のセグメント
を指し、ここで、ある配列が、同じ数の連続する位置の参照配列に対して、2つの配列が
最適にアラインメントされた後に比較されることができる。
【0194】
比較のための配列の最適なアラインメントは、生物情報学ソフトウェアのLaserg
eneスイート(DNASTAR,Inc.,ウィスコンシン州マディソン)においてM
egalignプログラムを用いて、初期設定のパラメーターを用いて実施されることが
できる。このプログラムは、以下の参考文献において記載されているいくつかのアライン
メントスキームを取り入れている:Dayhoff, M.O., 1978, A model of evolutionary cha
nge in proteins- Matrices for detecting distant relationships. In Dayhoff, M.O.
(編者)Atlas of Protein Sequence and Structure, National Biomedical Research Fo
undation, ワシントンDCVol. 5, 補遺 3, pp. 345-358; Hein J., 1990, Unified Appro
ach toAlignment and Phylogenes pp. 626-645 Methods in Enzymology vol. 183, Acad
emic Press,Inc., カリフォルニア州サンディエゴ; Higgins, D.G. and Sharp, P.M., 1
989, CABIOS5:151-153; Myers, E.W. and Muller W., 1988, CABIOS 4:11-17; Robinson
, E.D., 1971,Comb. Theor. 11:105; Santou, N., Nes, M., 1987, Mol. Biol. Evol. 4
:406-425;Sneath, P.H.A. and Sokal, R.R., 1973, Numerical Taxonomy the Principle
s and Practiceof Numerical Taxonomy, Freeman Press, カリフォルニア州サンディエ
ゴ;Wilbur, W.J. and Lipman, D.J., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:726-730.
好ましくは、“配列同一性の百分率”は、2つの最適にアラインメントされた配列を少
なくとも20個の位置の比較のウィンドウにわたって比較することによって決定され、こ
こで、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の一部は、(追加ま
たは欠失を含まない)参照配列と比較して、2つの配列の最適なアラインメントのために
、20パーセント以下、通常は5~15パーセントまたは10~12パーセントの付加ま
たは欠失(すなわちギャップ)を含んでいることができる。その百分率は、両方の配列中
に同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が存在する位置の数を決定してマッチする位置の数
を得て、マッチする位置の数を参照配列中の位置の総数(すなわちウィンドウサイズ)で
割り、その結果を100倍して配列同一性の百分率を得ることによって計算される。
【0195】
バリアントはまた(または代わりに)、天然遺伝子またはその一部もしくは相補配列に
実質的に相同であることができる。そのようなポリヌクレオチドバリアントは、天然の抗
体をコードする天然存在DNA配列(または相補配列)に対して適度にストリンジェント
な条件下でハイブリダイズすることができる。
【0196】
適切な“適度にストリンジェントな条件”は、5×SSC、0.5%SDS、1.0m
M EDTA(pH8.0)の溶液中で予備洗浄し;50℃~65℃、5×SSCにおい
て一夜ハイブリダイズさせ;その後0.1%SDSを含有する2×、0.5×および0.
2×SSCのそれぞれで65℃で20分間、2回洗浄することを含む。
【0197】
本明細書で用いられる際、“高度にストリンジェントな条件”または“高ストリンジェ
ンシー条件”は、(1)洗浄のために低イオン強度および高温、例えば0.015M塩化
ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを5
0℃で使用する;(2)ハイブリダイゼーションの間に変性剤、例えばホルムアミド、例
えば50%(v/v)ホルムアミドを、0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%Fico
ll/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)
と共に、750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムと共に、42℃で使用
する;または(3)50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.07
5Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリ
ン酸ナトリウム、5×Denhardt溶液、超音波処理されたサケ精子DNA(50μ
g/ml)、0.1% SDSおよび10%デキストラン硫酸を42℃で使用し、0.2
×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中で42℃で洗浄し、50%ホルムア
ミド中で55℃で洗浄し、続いて55℃におけるEDTAを含有する0.1×SSCから
なる高ストリンジェンシー洗浄を行う条件である。当業者は、プローブの長さ等のような
要因に適合させるために必要に応じて温度、イオン強度等をどのように調整するかを認識
するであろう。
【0198】
当業者は、遺伝暗号の縮重の結果として本明細書で記載されるポリペプチドをコードす
る多くのヌクレオチド配列が存在することを理解するであろう。これらのポリヌクレオチ
ドのいくつかは、あらゆる天然遺伝子のヌクレオチド配列に対する最小限の相同性を有す
る。それでもなお、コドン使用頻度における違いによって変動するポリヌクレオチドは、
本発明によって特に意図されている。さらに、本明細書で提供されるポリヌクレオチド配
列を含む遺伝子の対立遺伝子は、本発明の範囲内である。対立遺伝子は、ヌクレオチドの
欠失、付加および/または置換のような1以上の変異の結果として変化している内因性遺
伝子である。結果として生じるmRNAおよびタンパク質は、変化した構造または機能を
有し得るが、有する必要はない。対立遺伝子は、標準的な技法(例えばハイブリダイゼー
ション、増幅および/またはデータベース配列比較)を用いて同定されることができる。
【0199】
本発明のポリヌクレオチドは、化学合成、組換え法またはPCRを用いて得られること
ができる。化学的ポリヌクレオチド合成の方法は、当該分野で周知であり、本明細書で詳
細に記載される必要はない。当業者は、本明細書で提供される配列および商業的なDNA
合成装置を使用して所望のDNA配列を生成することができる。
【0200】
組換え法を用いてポリヌクレオチドを調製するために、所望の配列を含むポリヌクレオ
チドが、適当なベクター中に挿入されることができ、そのベクターが、本明細書でさらに
論じるように、今度は複製および増幅のために適当な宿主細胞中に導入されることができ
る。ポリヌクレオチドは、当技法分野で既知のあらゆる手段により宿主細胞中に挿入され
ることができる。細胞は、直接的な取り込み、エンドサイトーシス、トランスフェクショ
ン、F接合(F-mating)または電気穿孔法によって外因性ポリヌクレオチドを導
入することにより形質転換される。一度導入されると、外因性ポリヌクレオチドは、組み
込まれないベクター(例えばプラスミド)として細胞内で維持されることができ、または
宿主細胞ゲノム中に組み込まれることができる。そうして増幅されたポリヌクレオチドは
、当該技術内で周知の方法により宿主細胞から分離されることができる。例えばSambrook
et al.,1989を参照。
【0201】
あるいは、PCRは、DNA配列の複製を可能にする。PCR技術は、当該技術で周知
であり、米国特許第4,683,195号、第4,800,159号、第4,754,0
65号および第4,683,202号ならびにPCR: The Polymerase Chain Reaction, Mu
llis et al. 編集,Birkauswer Press, Boston, 1994において記載されている。
【0202】
RNAは、単離されたDNAを適当なベクター中で使用し、それを適当な宿主細胞中に
挿入することにより得られることができる。細胞が複製し、DNAがRNAに転写された
際、次いでRNAは、例えばSambrook et al., 1989(上記)において述べられているよ
うな当業者に周知の方法を用いて単離されることができる。
【0203】
適切なクローニングベクターは、標準的な技法に従って構築されることができ、または
当該技術で利用可能な多数のクローニングベクターから選択されることができる。選択さ
れるクローニングベクターは使用されることが意図される宿主細胞に応じて異なり得るが
、有用なクローニングベクターは、一般に自己複製する能力を有すると考えられ、特定の
制限エンドヌクレアーゼに関する単一の標的を有することができ、かつ/またはそのベク
ターを含有するクローンの選択において使用されることができるマーカーに関する遺伝子
を有することができる。適切な例は、プラスミドおよび細菌性ウイルス、例えばpUC1
8、pUC19、Bluescript(例えばpBS SK+)およびその誘導体、m
p18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージ
DNAならびにシャトルベクター、例えばpSA3およびpAT28を含む。これらおよ
び多くの他のクローニングベクターは、BioRad、StrategeneおよびIn
vitrogenのような商業的な供給業者から入手可能である。
【0204】
発現ベクターは、一般に本発明のポリヌクレオチドを含有する複製可能なポリヌクレオ
チドコンストラクトである。発現ベクターは、エピソームとしてまたは染色体DNAの一
体部分としてのどちらかで宿主細胞中で複製可能でなければならないことが、暗示されて
いる。適切な発現ベクターは、プラスミド、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レト
ロウイルス、コスミドを含むウイルスベクターおよびPCT国際公開第87/04462
号において開示されている発現ベクター(単数または複数)を含むが、それらに限定され
ない。ベクター構成要素は、一般に以下のものの1つ以上を含むが、それらに限定されな
い:シグナル配列;複製起点;1つ以上のマーカー遺伝子;適切な転写調節エレメント(
例えばプロモーター、エンハンサーおよびターミネーター)。発現(すなわち翻訳)のた
めには、通常は1つ以上の翻訳調節エレメント、例えばリボソーム結合部位、翻訳開始部
位および停止コドンも、必要とされる。
【0205】
対象のポリヌクレオチドを含有するベクターは、電気穿孔法、塩化カルシウム、塩化ル
ビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストランまたは他の物質を用いたトランス
フェクション;微粒子銃(microprojectile bombardment)
;リポフェクション;および感染(例えばベクターがワクシニアウイルスのような感染性
因子である場合)を含むいくつかの適切な手段のいずれかによって宿主細胞中に導入され
ることができる。ベクターまたはポリヌクレオチドの導入の選択は、しばしば宿主細胞の
特徴に依存するであろう。
【0206】
本発明は、本明細書で記載されたポリヌクレオチドのいずれかを含む宿主細胞も提供す
る。異種DNAを過剰発現することが可能なあらゆる宿主細胞は、対象の抗体、ポリペプ
チドまたはタンパク質をコードする遺伝子を単離する目的で使用されることができる。哺
乳類宿主細胞の非限定的な例は、COS細胞、HeLa細胞およびCHO細胞を含むが、
それらに限定されない。PCT国際公開第87/04462号も参照。適切な非哺乳類宿
主細胞は、原核生物(例えば大腸菌またはB.サブティリス(B.subtillis)
および酵母(例えば出芽酵母、分裂酵母;またはK.ラクティス(K.lactis))
を含む。好ましくは、宿主細胞は、宿主細胞中の対応する内因性抗体または(存在する場
合は)対象のタンパク質のレベルよりも約5倍高いレベル、より好ましくは約10倍高い
レベル、さらにもっと好ましくは約20倍高いレベルでcDNAを発現する。CD123
への特異的結合に関する宿主細胞のスクリーニングは、免疫アッセイまたはFACSによ
って達成される。対象の抗体またはタンパク質を過剰発現する細胞が、同定されることが
できる。
【0207】
キット
本発明は、即席の方法での使用のためのキットも提供する。本発明のキットは、本明細
書で記載されるCD123抗体またはCD123 ADCを含む1つ以上の容器および本
明細書で記載される本発明の方法のいずれかに従う使用のための説明書を含む。一般に、
これらの説明書は、上記の療法的処置のためのCD123抗体またはCD123 ADC
の投与の記載を含む。
【0208】
本明細書で記載されたCD123抗体またはCD123 ADCの使用に関する説明書
は、一般に、意図される処置に関する投与量、投与スケジュール、および投与経路に関す
る情報を含む。容器は、単位用量、バルク包装(例えば多数回用量包装)または小単位用
量であることができる。本発明のキット中に供給される説明書は、典型的にはラベルまた
は添付文書(例えばキット中に含まれる紙シート)上に書かれた説明書であるが、機械で
読み取り可能な説明書(例えば磁気または光学記憶ディスク上に保持された説明書)も許
容可能である。
【0209】
本発明のキットは、適切な包装中にある。適切な包装は、バイアル、ボトル、広口瓶、
柔軟な包装(例えば密封されたマイラまたはプラスチックの袋)等を含むが、それらに限
定されない。特定のデバイス、例えば吸入器、経鼻投与デバイス(例えばアトマイザー)
またはミニポンプのような注入デバイスとの組み合わせでの使用のための包装も、意図さ
れている。キットは、無菌のアクセスポートを有することができる(例えば、その容器は
、皮下注射針により突き刺し可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであるこ
とができる)。容器も、無菌のアクセスポートを有することができる(例えば、容器は、
皮下注射針により突き刺し可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであること
ができる)。組成物中の少なくとも1種類の有効薬剤は、CD123抗体である。容器は
、さらに第2の薬学的に有効な薬剤を含むことができる。
【0210】
キットは、場合により追加の構成要素、例えば緩衝剤および判断情報を提供することが
できる。通常は、キットは、容器およびその容器上のまたはその容器と関係するラベルま
たは添付文書(単数または複数)を含む。
【0211】
生物学的寄託
本発明の代表的な材料は、2017年6月29日にアメリカ合衆国培養細胞系統保存機
関(ATCC)に寄託された。ATCC受入番号PTA-124283を有するベクター
は、ヒト化CD123抗体重鎖配列をコードするポリヌクレオチドであり、ATCC受入
番号PTA-124284を有するベクターは、ヒト化CD123抗体軽鎖配列をコード
するポリヌクレオチドである。その寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関す
るブダペスト条約およびその下での規制(ブダペスト条約)の規定の下でなされた。これ
は、寄託の生存可能な培養物の維持を寄託の日から30年間保証する。寄託は、ブダペス
ト条約の条件の下でATCCにより入手可能になり、Pfizer Inc.およびAT
CCの間の合意の対象であると考えられ、それは、関連する米国特許の交付の際に、また
はあらゆる米国または外国特許出願の公共への公開(laying open)の際に(
どちらが先に到来しても)、寄託の培養物の子孫の公共への恒久的かつ無制限の入手可能
性を保証し、アメリカ合衆国特許商標庁長官により35 U.S.C.122項およびそ
れに従う長官の規則(37 C.F.R. 1.14項を含み、特に886 OG 63
8に関連する)に従ってそれに対する権利を有すると決定された者への子孫の入手可能性
を保証する。
【0212】
本出願の譲受人は、寄託された材料の培養物が適切な条件下で培養された際に死んだ、
または失われた、または破壊されたはずである場合、その材料が、通知された時点で速や
かに同じ材料の別のものと交換されるであろうことに同意している。寄託された材料の入
手可能性は、その特許法に従っていずれかの政府の権限の下で与えられた権利に違反して
本発明を実施するためのライセンスとして解釈されるべきではない。
【実施例0213】
以下の実施例は、説明的な目的のためだけに提供され、本発明の範囲を限定することは
一切意図されていない。実際、本明細書において示され、記載されたものに加えて、本発
明の様々な改変が、前記から当業者に明らかになり、添付された特許請求の範囲内に入る
であろう。
【0214】
実施例1:CD123抗体薬物コンジュゲートのインビトロ細胞毒性
この実施例は、様々なCD123 ADCの細胞毒性を説明する。
この研究では、様々なCD123 ADCの細胞毒性が、以下のAML細胞株における
2Dインビトロ細胞毒性アッセイを用いて試験された:MOLM13、MV411、JV
M3、Granata519、OCI-AML3、NB4およびHL60。表4は、使用
されたそれぞれの細胞の各々に関するCD123の発現レベルを示している。
【0215】
【0216】
試験されたADCの最初の群は、AcLysValCitPABCリンカーを有するC
PIにコンジュゲートされたCD123 ADCであった。これらのADCは、18G3
-CPI、16D6-CPI、3D1-CPIおよび20D7-CPIであり、そのそれ
ぞれが、約2の薬物:抗体比(DAR)を有する。CD123 ADCの調製は、下記の
実施例5において詳細に記載されている。約2のDARを有するCPI薬剤(“Neg.
8.8”)を有する対照IgG(CD123に結合しないIgG)が、陰性対照として用
いられた。
【0217】
2Dインビトロ細胞毒性アッセイのため、AML細胞が、以下の用量のADCまたは対
照と共に96時間インキュベートされた:100ng/ml、25ng/ml、6.25
ng/ml、1.56ng/ml、0.39ng/ml、0.09ng/ml、0.02
4ng/ml、0.006ng/ml、0.002ng/mlおよび0.0004ng/
ml。細胞生存度が、CelltiterGlo(Promega、ウィスコンシン州マ
ディソン)を用いて測定され、発光が、Victorプレートリーダー(Perkin
Elmer、マサチューセッツ州ウォルサム)を用いて決定された。50%阻害値(IC
50)の計算は、XLfit(IDBS、マサチューセッツ州ボストン)4パラメーター
曲線当てはめを用いて生成された。結果が、表5において要約されている。
【0218】
【0219】
結果は、CD123-CPIはCD123を発現する細胞に対して細胞毒性であり、そ
れらは非特異的CP1(Neg8.8-CPI)よりも細胞毒性が高いことを示している
。例えば、MOLM13細胞において、CD123 ADC 18G3-CPI、16D
6-CPIおよび3D1-CPIのIC50は、それぞれ0.25±0.04ng/ml
、0.22±0.05ng/ml、0.33±0.06ng/mlおよび0.32±0.
14ng/mlである。対照的に、Neg.8.8-CPIのIC50は、>88.43
±18.66であった(表5、最後の横列)。約2のDARを有するNeg.8.8-C
PIは、試験された最高用量において実質的により活性が低かった(表5、最後の横列)
。示されたCD123 ADCのIC50値は、細胞上のCD123発現のレベルとよく
相関している(表4および5)。例えば、高レベルのCD123を発現するMV411細
胞における18G3-CPIのIC50は、0.41±0.07である。対照的に、低レ
ベルのCD123を発現するNB4細胞における18G3-CPIのIC50は、63.
92±36.08であり、CD123を発現しないHL60細胞における18G3-CP
IのIC50は、84.4±33.30より大きい。
【0220】
CD123-18G3 ADCが、異なる薬剤にコンジュゲートされた場合、iPr-
カリケアマイシンまたはCTI(グルクロニド)の両方が、類似した細胞毒性作用を有す
る。iPr-カリケアマイシン(“iPr”)にコンジュゲートされた18G3に関する
細胞毒性アッセイの結果が、表6において要約されている。CTI(グルクロニド)にコ
ンジュゲートされた18G3に関する細胞毒性アッセイの結果が、表7において要約され
ている。
【0221】
【0222】
【0223】
これらのデータは、約2のDARを有するCD123-ADCはCD123を発現してい
る癌細胞株において活性であり、細胞死を誘導するが、CD123を発現しない細胞では
不活性であることを実証している。これは、これらのADCの効力および特異性を実証し
ている。
【0224】
実施例2:インターロイキン-3(IL-3)シグナル伝達経路ならびにCD123抗
体およびADCの細胞毒性
この実施例は、IL-3シグナル伝達をブロックするCD123抗体の能力およびCD
123 ADCの細胞毒性を説明する。
【0225】
この研究は、CD123抗体クローンのいずれかがCD123/IL-3Rα発現TF
-1細胞においてIL-3結合部位に競合的に結合するかどうかを決定するために実施さ
れた。CD123/IL-3Rα発現TF-1細胞が、20ng/mlのIL-3および
以下のCD123抗体と共インキュベーションされた:100ng/ml、25ng/m
l、6.25ng/ml、1.56ng/ml、0.39ng/ml、0.09ng/m
l、0.024ng/ml、0.006ng/ml、0.002ng/mlおよび0.0
004ng/mlの用量での3D1、18G3および16D6。CD123抗体7G3が
、IL-3シグナル伝達経路を遮断することが示されているベンチマーク抗体として使用
され、Neg 8.8抗体が、陰性対照として使用された。細胞生存率を測定するCTG
アッセイのために、細胞は、37℃で4日間処理された。処理期間後、細胞は、収集され
、タンパク質が、調製された。STAT5、リン酸化STAT5およびアクチンレベルが
、ウエスタンブロット分析を用いて分析された。ウェスタンブロットの結果が、
図1にお
いて示されている。
【0226】
下流のシグナル伝達タンパク質であるリン酸化STAT5(“ホスホ-Stat5”)
の存在は、IL-3シグナル伝達経路の活性化を示す。TF-1細胞のIL-3単独また
はIL-3+Neg.8.8対照抗体(“8.8”)による処理は、ホスホ-Stat5
の存在によって示されるように、IL-3シグナル伝達を活性化した(
図1)。CD12
3抗体7G3での処置は、IL-3シグナル伝達を遮断する。CD123抗体3D1も、
この経路を遮断した。対照的に、CD123抗体18G3および16D6は、IL-3に
媒介されるSTAT5リン酸化を遮断しなかった。
【0227】
CD123-18G3-CPIおよびCD123-16D6-CPIの細胞毒性は、I
L-3の存在下でもなお維持されている(表8)。
【0228】
【0229】
実施例3:CD123-ADCのインビボでの有効性
本実施例は、CD123 ADCのインビボでの有効性を説明する。
CD123 ADCの抗腫瘍活性が、急性骨髄性白血病(AML)細胞株異種移植片モ
デルを用いて、インビボで試験された。下記のそれぞれのモデルに関して、最初の用量が
、第0日目に与えられた。腫瘍は、少なくとも週1回測定され、それらの体積が、式:腫
瘍体積(mm3)=0.5×(腫瘍の幅2)(腫瘍の長さ)で計算された。各処置群に関
する平均腫瘍体積(±平均値の標準誤差)が、10匹の動物を含めて計算された。全ての
動物実験は、実験動物ケア評価認証協会によって認定された施設において、施設動物実験
委員会のガイドラインおよび適切な動物研究の承認の下で実施された。CD123 AD
Cは、類別された(assorted)遺伝子変異または過剰発現した遺伝子および/も
しくはタンパク質を有する細胞株において、用量依存的様式で高い有効性を実証した。
【0230】
A. H.1 MOLM13 AML異種移植片
CD123 ADCの抗腫瘍活性が、NOD/SCID免疫不全マウスにおいて、ヒト
腫瘍のインビボ成長に対して調べられた。皮下(sc)AMLモデルに関して、5×10
6個のMOLM13細胞が、メスのマウスの脇腹に皮下移植された。腫瘍が200mm3
の平均体積に達した際に、動物は、様々な処置群の間での腫瘍の大きさの均一性を確実に
するために病期分類された(staged)。MOLM13 AML sc異種移植片モ
デルは、PBSビヒクル、0.3mg/kgもしくは1mg/kgでのCD123-CP
I(18G3、16D6または3D1)、または0.3mg/kgもしくは1mg/kg
での対照Neg-8.8-CPIを、4日ごとに4回(Q4dx4)静脈内投与された。
データが、表9において要約されている。
【0231】
【0232】
【0233】
CD123-CPIは、Neg.8.8-CPIと比較して有意に腫瘍を抑制した(表
9)。0.3mg/kgの用量では、3種類のCD123 ADC:18G3-CPI、
16D6-CPIおよび3D1-CPIの全てが細胞毒性であった。17日目までに、各
群における10匹の動物のうちの10匹が、腫瘍の退縮を示している。これらのマウスの
全ては、少なくとも試験終了時である60日目までは、腫瘍がない状態を維持していた。
CD123 ADCの1mg/kgの用量では、腫瘍の退縮は、より早く、12日目まで
に起こった。
【0234】
これらのデータは、CD123-CPIがMOLM13 AML異種移植片腫瘍の増殖
を抑制することを実証している。
より低い用量でのCD123-ADCの有効性を試験するため、インビボでの有効性試
験が、同じMOLM13モデルを用いて実施された。動物は、上記の通りに処置された。
以下で表10において示されているように、0.1mg/kgでのCD123-CPIは
、全てのマウスにおいて、非常に有効に、そして用量依存的様式で腫瘍の成長を抑制した
(表10、中央の縦列“18G3-CPI”および“16D6-CPI”)。対照的に、
Neg.8.8-CPIで処置されたマウスにおける腫瘍は、成長し続けた(表10、右
の縦列“Neg.8.8-CPI”)。
【0235】
【0236】
【0237】
CD123-18G3-CTIの有効性を試験するため、インビボでの有効性試験が、
同じMOLM13モデルを用いて実施された。動物は、上記の通りに処置された。表11
において示されているように、CD123-18G3-CTIでの処置は、マウスにおい
て用量依存的様式で腫瘍の成長を抑制した。対照的に、Neg.8.8-CTIで処置さ
れたマウスにおける腫瘍は、成長し続けた。
【0238】
【0239】
【0240】
B. H.2 MV4-11 AML異種移植片
ヒト腫瘍の成長に対するCD123 ADCの作用が、免疫不全マウスを用いて評価さ
れた。皮下(sc)AMLモデルに関して、5×106個のMV4-11細胞が、メスの
NOD-SCIDマウスの脇腹に皮下移植された。腫瘍が200mm3の平均体積に達し
た際に、動物は、様々な処置群の間での腫瘍の大きさの均一性を確実にするために病期分
類された。MV4-11 AML sc異種移植片動物は、PBSビヒクル、CD123
-CPIまたは8.8-CPIを、以下の用量:0.1、0.3および0.6mg/kg
で、4日ごとに4回(Q4dx4)静脈内投与された。データが、表12において要約さ
れている。CD123-18G3-H16-CPIが、Neg 8.8-CPIおよびP
BSビヒクルに対して比較された。
【0241】
CD123-CPIの0.6mg/kg用量は、この試験で試験された最も強力なAD
Cであり、65日目までに、まだ試験中である10匹の動物のうちの10匹は、腫瘍がな
いままであった。0.3mg/kg用量においてさえも、10匹のマウスのうちの9匹は
、25日目頃に腫瘍の退縮を示し、65日目に試験が終了するまで腫瘍がない状態を維持
した。そのデータは、CD123-CPIがMV4-11異種移植片腫瘍の成長を抑制す
ることを実証している。
【0242】
【0243】
CD123-CTIの有効性を試験するために、インビボ有効性試験が、同じMV4-
11モデルを用いて実施された。動物は、上記の通りに処置された。表13において示さ
れているように、CD123-CTIは、やはりマウスにおいて腫瘍成長を用量依存的様
式で抑制しているが、Neg.8.8-CTIで処置したマウス中の腫瘍は、成長し続け
ている。
【0244】
【0245】
【0246】
これらの結果は、CD123-ADCが腫瘍の処置において非常に有効であることを実
証している。
実施例4:CD123-ADCのインビボでの有効性
この実施例は、AML患者由来の播種性異種移植片(AML PDX)を用いてCD1
23-ADCのインビボでの有効性を説明する。
【0247】
CD123-CPIの効力が、免疫不全マウスにおいて、適切な同意手続きに従って得
られた患者の骨髄細胞を用いて確立された播種モデルにおけるインビボ成長に対して試験
された。表14は、この研究で使用された患者の試料の要約を提供する。
【0248】
【0249】
その試験に関して、1.0×10
6個の患者の骨髄細胞が、照射されたNSGマウスの
側方尾静脈中に静脈内注射された。その試験は、ヒトCD45+/CD123+/CD3
3+細胞(フローサイトメトリー染色により測定された際に末梢血中12~55%)の生
着に基づいて段階分けおよびランダム化された。AML PDXマウスは、PBSビヒク
ルまたは18G3-CPIを7日ごとに2回(Q7dx2)静脈内投与された。2回目/
最後の用量の約3~5日後に、屠殺されたマウスから末梢血および骨髄が、回収された。
屠殺された動物の骨髄および血液中に残っている腫瘍細胞が、フローサイトメトリーによ
り分析された。結果が、
図2中のグラフおよび表15において要約されている。表15に
おいて、数字は、末梢血および骨髄中の残存している腫瘍細胞の百分率を表す。
【0250】
それぞれの試験は、群あたり約6~10匹のマウスを有する。データは、CD123
ADCが末梢血および骨髄の両方において用量依存的な様式で腫瘍細胞数を低減するのに
有効であることを実証している(
図2および表15)。
【0251】
【0252】
【0253】
CD123-18G3-CPIが腫瘍を有するマウスの全生存期間を増大させることが
できるかどうかを決定するために、生存試験が、末梢血が高い生着、すなわち平均で約3
2%を示している際のPDX2407を用いて実施された。マウスは、PBSビヒクルま
たはCD123-CPIを7日ごとに2回(Q7dx2)静脈内投与され、毎日モニター
された。マウスが不活発および体重減少のような臨床徴候を示した場合、(実験動物ケア
評価認証協会に従って、施設動物実験委員会のガイドラインの下で)マウスは、安楽死さ
せられた。
【0254】
結果が、
図3のグラフにおいて要約されている。CD123-18G3-CPIによる
処置は、腫瘍を有する動物の全生存期間を用量依存的な様式で延長している。具体的には
、0.1mg/kgの用量のCD123-18G3-CPIによる処置は、生存期間を約
25%延長し、0.3mg/kgの用量のCD123-18G3-CPIによる処置は、
生存期間の長さをおおよそ2倍にした(
図3)。
【0255】
これらの結果は、CD123-ADCによる処置がAMLの退行を誘導し、進行を抑制
し、生存期間を延長することを実証している。
実施例5:CD123抗体薬物コンジュゲート(ADC)の調製
この実施例は、h18G3-AcLysValCitPABC-DMAE-CO_CP
I-000638314、CD123 ADC(本明細書において“18G3-CPI”
または“CD123-18G3-CPI”とも呼ばれる)のコンジュゲーションおよび調
製を説明する。
【0256】
18G3-CPIは、CD123ヒト化mAb 18G3(上記の表2.0および2.
1の“h18G3”を参照)、AcLysValCitPABCリンカーおよびシクロプ
ロピルピロロインドリン(CPI)薬剤で構成されるADCである。K222R、E29
5L、Q295L、Y296Q、N297G変異が、アッパーヒンジおよびFcにおいて
、トランスグルタミナーゼによって触媒されるCPI薬剤の部位特異的コンジュゲーショ
ンを可能にするために導入された。CD123-18G3-H16-N60G-K222
Rヒト化IgG1抗体(本明細書において“h18G3”と呼ばれる)の軽鎖および重鎖
アミノ酸配列は、以下の通りである:
軽鎖:
【0257】
【0258】
重鎖:
【0259】
【0260】
H16部位特異的変異配列は、上記で太字の斜体になっており、5つのH16部位特異
的トランスグルタミナーゼ変異K222R(ヒンジ中)、E294L、Q295L、Y2
96QおよびN297Gを含む。LLQG配列は、トランスグルタミナーゼに関する認識
タグであり、リンカー薬剤は、Q296においてコンジュゲートされる。CDR-H2中
のG(下線が引かれている)は、N60G変異である。
【0261】
リンカー薬剤であるAcLysValCitPABC-DMAE-CO_CPIは、ア
ミノ酸Q296において部位特異的にコンジュゲートされている。AcLysValCi
tPABC-DMAE-CO_CPI-000638314リンカー薬剤の構造が、以下
で示されている。
【0262】
【0263】
h18G3は、細菌性トランスグルタミナーゼ(Sigma、45U/mgタンパク質
)の使用を介してAcLysValCitPABC-DMAE-CO_CPI-0006
38314リンカー薬剤にコンジュゲートされた。特に、抗体は、100mM KPO4
、200mM NaClを含有する緩衝液(pH7)中に交換された。リンカー薬剤は、
7.5%(v/v)のジメチルスルホキシド(DMSO)の存在下で抗体に対して10倍
モル過剰量で添加された。酵素反応は、抗体1mgあたり1Uの細菌性トランスグルタミ
ナーゼの添加によって開始され、連続的に混合しながら25℃で一夜インキュベートされ
た。
【0264】
反応混合物は、15%イソプロピルアルコールと共に室温で30分間インキュベートさ
れた。次いで、それは、4体積の1M KPO4緩衝液中に希釈され、Butyl-Se
pharose HPカラム(GE Lifesciences)を用いた疎水性相互作
用クロマトグラフィー(HIC)を介して精製された。方法は、結合のために1M KP
O4、50mMトリス、pH7を利用し、ADCは、10CVにわたって50mMトリス
、pH7で溶離された。HIC精製された化合物は、20mMヒスチジン、85mg/m
Lスクロース、pH5.8の最終緩衝液中に透析された。ADCは、純度に関してSEC
および薬物抗体比を計算するために逆相クロマトグラフィーによりさらに特徴付けられた
。タンパク質濃度は、UV分光光度計により決定された。
【0265】
リード抗体は、CHOプールで評価された際に700mg/Lに至るまでの非常に良好
な発現を有し、3工程の精製後に88%の回収率(yield recovery)およ
び99%の純度を有する。18G3は、精製後にDAR 1.9~2.0および55~6
0%のコンジュゲーション収率を達成することによって評価されるように、コンジュゲー
ションにおいて非常に良好な性能を示した。結果として得られたADCであるCD123
-18G3-H16-N60G-K222R-hG1-(Q)AcLysValCitP
ABC-DMAE-CO_CPIは、良好な熱安定性および分子の完全性を示した。
【0266】
実施例6:トランスグルタミナーゼを用いてAcLysValCitPABC-DMA
E-CO_CPI-000638314に抗体をコンジュゲートする方法
この実施例は、抗体のリンカー薬剤AcLysValCitPABC-DMAE-CO
_CPI-000638314(本明細書においてAcLysPABC-CPI-831
4とも呼ばれる)へのコンジュゲーションを説明する。
【0267】
CPIリンカー-細胞毒性薬剤のコンジュゲーション。AcLysPABC-CPI-
8314(構造は上記で実施例5において示されている)の抗体のH16部位へのコンジ
ュゲーションは、様々な異なるパラメーター、例えばモル濃度および塩組成、pH、酵素
濃度、時間ならびに温度を変動させることによって最適化された(表16)。簡潔には、
抗体は、表16において示されている条件のそれぞれにおいて適切な緩衝液およびpHに
緩衝液交換された。10倍モル過剰量のAcLysPABC-CPI-8314リンカー
薬剤が、抗体に添加され、5~10%のジメチルスルホキシドが、リンカー薬剤を反応混
合物中で可溶化させるために添加された。細菌性トランスグルタミナーゼ(0.5~5U
/抗体1mg)の添加後、反応混合物は、明記された時間および温度で連続的に混合され
た。未反応のリンカー薬剤およびトランスグルタミナーゼ酵素は、サイズ排除クロマトグ
ラフィーおよび/または疎水性相互作用クロマトグラフィーのどちらかにより除去された
。薬物抗体比は、LCMSまたはRP-HPLCにより計算された。
【0268】
様々な条件に関する抗体薬物比(DAR)によって測定された場合のコンジュゲーショ
ン効率が、表16において示されている。例えば、抗体が30mM KPO4、150m
M NaClを含有するpH7の緩衝液中に交換された場合、1.6のDARが、達成さ
れた。
【0269】
CD33、CD123、Her2、PRLR、CD22および他の抗原(抗原を含む)
を標的とする抗体が、リンカー薬剤AcLysValCitPABC-DMAE-CO_
CPI-000638314に、これらの最適化された条件を用いてコンジュゲートされ
た。
【0270】
【0271】
開示された教示は、様々な適用、方法、キットおよび組成物を参照して記載されてきた
が、様々な変更および修正が、本明細書における教示および下記の特許請求される発明か
ら逸脱することなくなされることができることは、理解されるであろう。前述の実施例は
、開示された教示をより良く説明するために提供されており、本明細書で与えられた教示
の範囲を限定することは、意図されていない。本教示は、これらの典型的な態様に関して
記載されてきたが、当業者は、これらの典型的な態様の数多くのバリエーションおよび修
正が、過度の実験操作なしに可能であることを容易に理解するであろう。全てのそのよう
なバリエーションおよび修正は、本教示の範囲内である。
【0272】
特許、特許出願、論文、教科書等を含む本明細書で引用された全ての参考文献およびそ
の中で引用されている参考文献は、それらがまだ引用されていない範囲まで(to th
e extent that they are not already)、参照によ
り本明細書にそのまま援用される。援用された文献および類似の資料の1つ以上が本出願
(定義された用語、用語の使用法、記載された技法等を含むがそれらに限定されない)と
異なる、または矛盾する場合、本出願が支配する。
【0273】
前述の記載および実施例は、本発明の特定の具体的な態様を詳述し、本発明者らによっ
て意図される最高の方式を記載している。しかし、どれだけ前記のことがテキストにおい
て詳細に見え得るとしても、本発明は、多くの方法で実施されることができ、本発明は、
添付された特許請求の範囲およびそのあらゆる均等物に従って解釈されるべきであること
は、理解されるであろう。
非限定的に、本発明は以下の態様を含む。
[態様1] CD123に特異的に結合する単離された抗体であって、該抗体が、SE
Q ID NO:6、24、32、44、51または64のアミノ酸配列を含むVHの3
つの相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:
17、28、39、48、57、または71のアミノ酸配列を含むVLの3つのCDRを
含む軽鎖可変領域(VL)を含む抗体。
[態様2] 態様1に記載の抗体であって、該VHが、(i)SEQ ID NO:7
、33、52もしくは65のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(ii)SEQ ID
NO:8、25、34、45、53もしくは66のアミノ酸配列を含むVH CDR2
;および(iii)SEQ ID NO:9、35、46もしくは67のアミノ酸配列を
含むVH CDR3を含み;かつ/または該VL領域が、(i)SEQ ID NO:1
8、40、58もしくは72のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(ii)SEQ I
D NO:19、42、60もしくは74のアミノ酸配列を含むVL CDR2;および
(iii)SEQ ID NO:20、42、60もしくは74のアミノ酸配列を含むV
L CDR3を含む抗体。
[態様3] 態様2に記載の抗体であって、該VHが、(i)SEQ ID NO:7
のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(ii)SEQ ID NO:25のアミノ酸配
列を含むVH CDR2;および(iii)SEQ ID NO:9のアミノ酸配列を含
むVH CDR3を含み;かつ/または該VLが、(i)SEQ ID NO:18のア
ミノ酸配列を含むVL CDR1;(ii)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を
含むVL CDR2;および(iii)SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含む
VL CDR3を含む抗体。
[態様4] 態様3に記載の抗体であって、該VHが、SEQ ID NO:24にお
いて示される配列もしくはCDR内にない残基における1つもしくはいくつかの保存的ア
ミノ酸置換を有するそのバリアントを含み、かつ/または該VLが、SEQ ID NO
:28において示されるアミノ酸配列もしくはCDR内にないアミノ酸における1つもし
くはいくつかのアミノ酸置換を有するそのバリアントを含む抗体。
[態様5] 態様3に記載の抗体であって、該抗体が、SEQ ID NO:30にお
いて示される配列を含む軽鎖およびSEQ ID NO:27において示される配列を含
む重鎖を含む抗体。
[態様6] CD123に特異的に結合する単離された抗体であって、該抗体が、AT
CC受入番号PTA-124283を有する発現ベクターにより生成された重鎖可変領域
およびATCC受入番号PTA-124284を有する発現ベクターにより生成された軽
鎖可変領域を含む抗体。
[態様7] CD123に特異的に結合し、CDRへの結合に関して態様1~6のいず
れか1項に記載の抗体と競合する抗体。
[態様8] 態様1~7のいずれか1項に記載の抗体であって、該抗体が、特定の部位
において操作されたアシルドナーグルタミン含有タグを含む抗体。
[態様9] 態様8に記載の抗体であって、該アシルドナーグルタミン含有タグが、Q
、LQG、LLQGG(SEQ ID NO:77)、LLQG(SEQ ID NO:
78)、LSLSQG(SEQ ID NO:79)、GGGLLQGG(SEQ ID
NO:80)、GLLQG(SEQ ID NO:81)、LLQ、GSPLAQSH
GG(SEQ ID NO:82)、GLLQGGG(SEQ ID NO:83)、G
LLQGG(SEQ ID NO:84)、GLLQ(SEQ ID NO:85)、L
LQLLQGA(SEQ ID NO:86)、LLQGA(SEQ ID NO:87
)、LLQYQGA(SEQ ID NO:88)、LLQGSG(SEQ ID NO
:89)、LLQYQG(SEQ ID NO:90)、LLQLLQG(SEQ ID
NO:91)、SLLQG(SEQ ID NO:92)、LLQLQ(SEQ ID
NO:93)、LLQLLQ(SEQ ID NO:94)、LLQGR(SEQ I
D NO:95)、LLQGPP(SEQ ID NO:96)、LLQGPA(SEQ
ID NO:97)、GGLLQGPP(SEQ ID NO:98)、GGLLQG
A(SEQ ID NO:99)、LLQGPGK(SEQ ID NO:100)、L
LQGPG(SEQ ID NO:101)、LLQGP(SEQ ID NO:102
)、LLQP(SEQ ID NO:103)、LLQPGK(SEQ ID NO:1
04)、LLQAPGK(SEQ ID NO:105)、LLQGAPG(SEQ I
D NO:106)、LLQGAP(SEQ ID NO:107)およびLLQLQG
(SEQ ID NO:108)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む抗体。
[態様10] 態様11に記載の抗体であって、該アシルドナーグルタミン含有タグが
、LLQG(SEQ ID NO:78)である抗体。
[態様11] 態様9または10に記載の抗体であって、該抗体が、さらに位置222
、340、または370においてアミノ酸改変を含む抗体。
[態様12] 態様11に記載の抗体であって、該アミノ酸改変が、リジンからアルギ
ニンへの置換である抗体。
[態様13] 態様12に記載の抗体であって、該アミノ酸改変が、K222Rである
抗体。
[態様14] 態様1~12のいずれか1項に記載の抗体であって、該抗体が、リンカ
ーを含む抗体。
[態様15] 態様14に記載の抗体であって、該リンカーが、切断可能なリンカーで
ある抗体。
[態様16] 態様14または15に記載の抗体であって、該リンカーが、Ac-Ly
s-Gly(アセチル-リジン-グリシン)、アミノカプロン酸、Ac-Lys-β-A
la(アセチル-リジン-β-アラニン)、アミノ-PEG2(ポリエチレングリコール
)-C2、アミノ-PEG3-C2、アミノ-PEG6-C2、Ac-Lys-Val-
Cit-PABC(アセチル-リジン-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシ
カルボニル)、アミノ-PEG6-C2-Val-Cit-PABC、アミノカプロイル
-Val-Cit-PABC、[(3R,5R)-1-{3-[2-(2-アミノエトキ
シ)エトキシ]プロパノイル}ピペリジン-3,5-ジイル]ビス-Val-Cit-P
ABC、[(3S,5S)-1-{3-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]プロパ
ノイル}ピペリジン-3,5-ジイル]ビス-Val-Cit-PABC、プトレッシン
およびAc-Lys-プトレッシンからなる群から選択される抗体。
[態様17] 態様16に記載の抗体であって、該リンカーが、Ac-Lys-Val
-Cit-PABC(アセチル-リジン-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキ
シカルボニル)である抗体。
[態様18] 態様1~17のいずれか1項に記載の抗体のコンジュゲートであって、
該抗体が、薬剤にコンジュゲートされているコンジュゲート。
[態様19] 態様18に記載のコンジュゲートであって、該薬剤が、細胞毒性薬剤、
免疫調節剤、イメージング剤、療法的タンパク質、バイオポリマーおよびオリゴヌクレオ
チドからなる群から選択されるコンジュゲート。
[態様20] 態様19に記載のコンジュゲートであって、該細胞毒性薬剤が、アント
ラサイクリン、オーリスタチン、カンプトテシン、コンブレタスタチン、CBI二量体、
シクロプロピルピロロインドリン(CPI)二量体、CTI二量体、ドラスタチン、デュ
オカルマイシン、エンジイン、ゲルダナマイシン、インドリノベンゾジアゼピン二量体、
メイタンシン、ピューロマイシン、ピロロベンゾジアゼピン二量体、タキサン、ビンカア
ルカロイド、チューブリシン、ヘミアステリン、スプライセオスタチン、プラジエノライ
ド、ならびに、それらの立体異性体、同配体、類似体または誘導体からなる群から選択さ
れるコンジュゲート。
[態様21] 態様19または20に記載のコンジュゲートであって、該細胞毒性薬剤
が、CPI二量体であるコンジュゲート。
[態様22] 態様21に記載のコンジュゲートであって、該CPI二量体が、C31
H31Cl2N4O7P、またはC31H31Cl2N4O7P・C2HF3O2を含む
その薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物であるコンジュゲート。
[態様23] 態様19~21のいずれか1項に記載の抗体のコンジュゲートであって
、該コンジュゲートが、式:抗体-(アシルドナーグルタミン含有タグ)-(リンカー)
-(細胞毒性薬剤)を含むコンジュゲート。
[態様24] 態様23に記載のコンジュゲートであって、該アシルドナーグルタミン
含有タグが、アミノ酸配列LLQG(SEQ ID NO:78)を含み、該リンカーが
、アセチル-リジン-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニルを含む
コンジュゲート。
[態様25] 態様23または24に記載のコンジュゲートであって、該アシルドナー
グルタミン含有タグが、位置E294~N297において抗体中に挿入されるコンジュゲ
ート。
[態様26] 態様18~25のいずれか1項に記載のコンジュゲートであって、該コ
ンジュゲートが、KabatのEUインデックスの番号付けに従って抗体の位置222に
おいてリジンからアルギニンへのアミノ酸置換を含むコンジュゲート。
[態様27] 療法上有効量の態様1~17のいずれか1項に記載の抗体または態様1
8~26のいずれか1項に記載のコンジュゲートおよび薬学的に許容可能なキャリヤーを
含む医薬組成物。
[態様28] 態様1~17のいずれか1項に記載の抗体をコードするヌクレオチド配
列を含む単離されたポリヌクレオチド。
[態様29] 態様28に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
[態様30] 態様1~17のいずれか1項に記載の抗体を組み換え的に産生する、単
離された宿主細胞。
[態様31] 抗体を生成する方法であって、結果として該抗体の産生をもたらす条件
下で態様30に記載の宿主細胞を培養し、該抗体を該宿主細胞または培養物から単離する
ことを含む方法。
[態様32] 対象においてCD123を発現する細胞に関係する症状を処置する方法
であって、それを必要とする対象に有効量の態様27に記載の医薬組成物を投与すること
を含む方法。
[態様33] 態様32に記載の方法であって、該症状が癌である方法。
[態様34] 態様33に記載の方法であって、該癌が、急性骨髄性白血病(AML)
、急性リンパ性白血病(ALL)、芽球性形質細胞様樹状細胞新生物(BPDCN)、有
毛細胞白血病、B細胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、多発性骨髄腫、悪性形質細胞新
生物、ホジキンリンパ腫、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫、カーラー病および骨
髄腫症、形質細胞白血病、形質細胞腫、B細胞性前リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病
(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、辺縁
帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、骨
髄性白血病、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症(Waldenstrom’
s macroglobulienemia)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞
性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、小細胞型リンパ球性リンパ
腫、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リ
ンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(lymphoplasmactyic lymph
oma)、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫
、脾臓辺縁帯リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、リンパ
腫様肉芽腫症、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ
腫、原発性皮膚びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(下肢型)、高齢者のEBV陽性びまん
性大細胞型B細胞リンパ腫、炎症を伴うびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞
型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、形質芽細胞リンパ腫、HHV8
関連単多中心性キャッスルマン病で生じる大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B
細胞リンパ腫およびバーキットリンパ腫の間の中間の特徴を有する未分類のB細胞リンパ
腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫および古典的ホジキンリンパ腫の間の中間の特徴を
有する未分類のB細胞リンパ腫ならびに他のB細胞関連リンパ腫からなる群から選択され
る癌である方法。
[態様35] 態様34に記載の方法であって、該癌が、AMLである方法。
[態様36] CD123を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の成長または
進行を抑制する方法であって、それを必要とする対象に有効量の態様27に記載の医薬組
成物を該対象に投与することを含む方法。
[態様37] 対象においてCD123を発現する悪性細胞の転移を抑制する方法であ
って、それを必要とする対象に有効量の態様27に記載の医薬組成物を該対象に投与する
ことを含む方法。
[態様38] CD123を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の退縮を誘導
する方法であって、それを必要とする対象に有効量の態様27に記載の医薬組成物を該対
象に投与することを含む方法。
[態様39] 抗体をAcLysValCitPABC-DMAE-CO_CPI-0
00638314(AcLysPABC-CPI-8314)にコンジュゲートするため
の方法であって、以下の工程:
抗体およびAcLysPABC-CPI-8314を30~100mM KPO4およ
び150~200mM NaClを含む緩衝液中に含む組成物を調製し;
細菌性トランスグルタミナーゼを該組成物に添加し;そして
該組成物をインキュベートして該抗体の該AcLysPABC-CPI-8314への
コンジュゲーションを可能にする;
を含む方法。
[態様40] 態様39に記載の方法であって、該組成物のpHが7である方法。
[態様41] 態様39または40に記載の方法であって、該組成物が、抗体1mgあ
たり0.5~2単位(U)の細菌性トランスグルタミナーゼを含む方法。
[態様42] 態様39~41のいずれか1項に記載の方法であって、該組成物が、抗
体1mgあたり1Uの細菌性トランスグルタミナーゼを含む方法。
[態様43] 態様39~42のいずれか1項に記載の方法であって、該AcLysP
ABC-CPI-8314が、該抗体に対して10倍モル過剰で存在する方法。
[態様44] 態様39~43のいずれか1項に記載の方法であって、該組成物が、連
続的に混合しながら25℃で一夜インキュベートされる方法。
[態様45] 態様39~44のいずれか1項に記載の方法であって、該組成物が、さ
らに7.5%(v/v)のジメチルスルホキシド(DMSO)を含む方法。
[態様46] 態様39~45のいずれか1項に記載の方法であって、該緩衝液が、3
0mM KPO4および150mM NaClを含む方法。
[態様47] 態様39~45のいずれか1項に記載の方法であって、該緩衝液が、1
00mM KPO4および200mM NaClを含む方法。