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特開2023-139330イネの登熟不良軽減剤およびイネの登熟不良粒を軽減する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139330
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】イネの登熟不良軽減剤およびイネの登熟不良粒を軽減する方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 39/04 20060101AFI20230927BHJP
   A01P 21/00 20060101ALI20230927BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20230927BHJP
   A01G 7/06 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
A01N39/04 A
A01P21/00
A01N25/00 102
A01G7/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044801
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】591267855
【氏名又は名称】埼玉県
(74)【代理人】
【識別番号】100140110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 恵子
(72)【発明者】
【氏名】丹野 和幸
(72)【発明者】
【氏名】荒川 直也
【テーマコード(参考)】
2B022
4H011
【Fターム(参考)】
2B022AA01
2B022EA10
2B022EB05
4H011AB03
4H011BA01
4H011BB06
4H011BC03
4H011BC19
4H011DA13
4H011DD03
4H011DH03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】イネ栽培中、特に出穂期から成熟期の間に高温曝露などのストレスにさらされたことによる登熟不良粒を軽減するための剤、およびそれを用いた登熟不良粒の発生を軽減する方法を提供すること。
【解決手段】オーキシンを有効成分として含有するイネの登熟不良軽減剤を、例えば高温に曝露されたイネに出穂期以降に散布する。オーキシンは、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、1-ナフタレン酢酸、MCPA、MCPB、MDBA、1-ナフチルアセトアミド、メコプロップ、4-クロロフェノキシ酢酸、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸、2-ナフトキシ酢酸、2-フェニル酢酸、4-クロロインドール-3-酢酸、フロルピラウキシフェンベンジル、クロメプロップ、トリクロピル、エチクロゼート、インドール-3-酢酸、ジクロルプロップおよびインドール-3-酪酸、ならびにこれらの誘導体からなる群から選択される化合物であることが好ましい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーキシンを有効成分として含有する、イネの登熟不良軽減剤。
【請求項2】
前記オーキシンが、以下の化合物およびその誘導体からなる群から選択される化合物である、請求項1に記載のイネの登熟不良軽減剤:
2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、1-ナフタレン酢酸、MCPA、MCPB、MDBA、1-ナフチルアセトアミド、メコプロップ、4-クロロフェノキシ酢酸、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸、2-ナフトキシ酢酸、2-フェニル酢酸、4-クロロインドール-3-酢酸、フロルピラウキシフェンベンジル、クロメプロップ、トリクロピル、エチクロゼート、インドール-3-酢酸、ジクロルプロップおよびインドール-3-酪酸。
【請求項3】
前記オーキシンが、100nMから10mMの濃度でイネに散布されるための、請求項1または請求項2に記載のイネの登熟不良軽減剤。
【請求項4】
前記オーキシンが、1μMから1000μMの濃度である、請求項3に記載のイネの登熟不良軽減剤。
【請求項5】
展着剤を更に含有する、請求項1に記載のイネの登熟不良軽減剤。
【請求項6】
前記展着剤が、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、リグニンスルホン酸カルシウム、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリナフチルメタンスルホン酸ナトリウム、パラフィン、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリナフチルメタンスルホン酸ジアルキルジメチルアンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンオキシプロピルヘプタメチルトリシロキサン、ポリオキシアルキレンプロペニルエーテルおよびポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステルからなる群から選択される、請求項5に記載のイネの登熟不良軽減剤。
【請求項7】
イネの出穂期から成熟期までの間に少なくとも1回散布するための、請求項1に記載のイネの登熟不良軽減剤。
【請求項8】
イネの出穂期から20日間の平均気温が26℃以上になると予想される場合、複数回散布するための、請求項1に記載のイネの登熟不良軽減剤。
【請求項9】
オーキシンをイネの出穂期から成熟期までの間に少なくとも1回散布することを含む、イネの登熟不良粒を軽減する方法。
【請求項10】
前記イネが出穂期以降に高温に曝露されたことを含む、請求項9に記載のイネの登熟不良粒を軽減する方法。
【請求項11】
オーキシンをイネの出穂期から20日間の平均気温が26℃以上になると予想されるときに複数回散布することを含む、イネの登熟不良粒を軽減する方法。
【請求項12】
前記オーキシンが、100nMから10mMの濃度になるように調製されることを含む、請求項9または請求項11に記載のイネの登熟不良粒を軽減する方法。
【請求項13】
前記オーキシンが、1μMから1000μMの濃度である、請求項12に記載のイネの登熟不良粒を軽減する方法。
【請求項14】
前記オーキシンが、以下の化合物およびその誘導体からなる群から選択される化合物である、請求項9または請求項11に記載のイネの登熟不良粒を軽減する方法:
2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、1-ナフタレン酢酸、MCPA、MCPB、MDBA、1-ナフチルアセトアミド、メコプロップ、4-クロロフェノキシ酢酸、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸、2-ナフトキシ酢酸、2-フェニル酢酸、4-クロロインドール-3-酢酸、フロルピラウキシフェンベンジル、クロメプロップ、トリクロピル、エチクロゼート、インドール-3-酢酸、ジクロルプロップおよびインドール-3-酪酸。
【請求項15】
前記オーキシンの散布時に展着剤を散布することを含む、請求項9または請求項11に記載のイネの登熟不良粒を軽減する方法。
【請求項16】
前記展着剤が、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、リグニンスルホン酸カルシウム、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリナフチルメタンスルホン酸ナトリウム、パラフィン、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリナフチルメタンスルホン酸ジアルキルジメチルアンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンオキシプロピルヘプタメチルトリシロキサン、ポリオキシアルキレンプロペニルエーテルおよびポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステルからなる群から選択される、請求項15に記載のイネの登熟不良粒を軽減する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イネの登熟不良軽減剤および当該登熟不良軽減剤を用いたイネの登熟不良粒を軽減する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化により、イネ(Oryza sativa L.)の高温障害が全国的に問題となっている。イネの高温障害は、開花期前後の高温不稔による収量低下と、登熟期の高温による玄米の品質低下の二つに大別される。後者については、特にイネの出穂期から20日間程度の期間に高温になると、玄米のデンプンがうまく詰まらずに濁る白未熟粒が多発し、米の品質低下が深刻になっている。このような登熟不良粒に対する従来の対処技術は窒素肥料の追肥や高温に強い品種の育成が中心であった。
【0003】
しかし、肥料の施用による既往の対策技術は、高温遭遇よりも前に予測して実施しなければならず、実際に当該時期が高温とはならない場合もある。また、窒素施用量が過剰となると、食味の低下や倒伏の助長など、多くの栽培上のリスクが増加する。品種育成による対策に関しては、高温に弱い既存品種のブランド力が強い場合、品種の転換が進まないことが多い。したがって、これらの問題を解決する新たな高温障害対策技術が求められている。
【0004】
イネの高温障害対策に関する研究は、米を主食とする文化を有する国を中心に、以前から様々行われている。例えば細胞の伸長・分裂や花粉の発生を促進するオーキシンなどの植物ホルモンを利用した研究や、デンプンやタンパク質合成遺伝子に関する研究などがある。
【0005】
高温不稔の解決に関する研究では、Zhangらが、イネが開花期の高温に最も敏感で、花粉不稔の発生や雌しべの花粉管伸長の停止などにより受粉が失敗して米の収量が低下する、という知見に基づき研究を進めたところ、開花後2時間のイネに熱ストレスを与え、そのイネにオーキシンを散布すると、花粉不稔の回復や、イネ品種によっては花粉管伸長の停止も回復することを確認した(非特許文献1)。
【0006】
逆に、日本ではオーキシンに関するイネの低温障害について研究されている(特許文献1)。イネの穂ばらみ期(花粉母細胞の減数分裂直後)に、最高気温が20℃に満たない低温ストレスに数日間曝されると、通常の葯の成熟に伴って低下すべきオーキシンシグナルが低下しなくなり、その結果、葯壁タペート細胞の崩壊が阻害され、雄性不稔を生じる。したがって、オーキシン作用を阻害する物質、例えばアミノオキシ酢酸をイネに与えて正常に葯壁細胞の崩壊を進行させると、雄性不稔を回復できる。このように、オーキシン作用の調節は、高温障害対策または低温障害対策に寄与すると考えられる。
【0007】
登熟期の高温による玄米の品質低下に関する研究として、タンパク質合成遺伝子に関する研究に基づく対策も開示されている。例えば、ホスホリパーゼDに注目した高温障害対策技術が挙げられる(特許文献2)。当該技術は、複数のホスホリパーゼDのうちの1つ(OsPLDbeta2)の遺伝子の発現を抑制させた場合、高温障害が大幅に低減される知見を利用している。具体的には、イネ科植物にOsPLDbeta2遺伝子の発現を抑制するベクターを導入して遺伝子操作することにより、高温障害による米の品質低下を低減している。つまり、先述の品種育成技術に該当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2010/079805号
【特許文献2】特開2012-187048号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Zhang et al., Rice (2018) 11:14
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したように、従来の登熟不良粒に対する対処技術は追肥や品種育成が中心であり、追肥は出穂前10日程度の実施が晩限であった。したがって、従来の対処技術では、高温になるという予測の下で前もって実施しなければいけないことや、倒伏のリスク増加やタンパク質含量の増加による食味低下とのトレードオフなどの課題があった。品種育成に関しては既存品種のブランド力が強く転換が困難となっている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記従来の対処技術の課題を解決すべく、イネ栽培中、特に出穂期から成熟期に高温曝露などのストレスにさらされた場合に施用(例えば散布)する米の品質低下を低減する剤、具体的には登熟不良を軽減するための剤、更に具体的には白未熟粒を軽減するための剤を提供する。また、米の品質低下を低減する方法、具体的には登熟不良粒の発生を軽減する方法、更に具体的には白未熟粒の発生を軽減する方法を提供する。
【0012】
具体的な技術は以下の通りである。
[1] オーキシンを有効成分として含有する、イネの登熟不良軽減剤。
[2] 前記オーキシンが、以下の化合物およびその誘導体からなる群から選択される化合物である、[1]に記載のイネの登熟不良軽減剤:
2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、1-ナフタレン酢酸、MCPA、MCPB、MDBA、1-ナフチルアセトアミド、メコプロップ、4-クロロフェノキシ酢酸、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸、2-ナフトキシ酢酸、2-フェニル酢酸、4-クロロインドール-3-酢酸、フロルピラウキシフェンベンジル、クロメプロップ、トリクロピル、エチクロゼート、インドール-3-酢酸、ジクロルプロップおよびインドール-3-酪酸。
[3] 前記オーキシンが、100nMから10mMの濃度でイネに散布されるための、[1]または[2]に記載のイネの登熟不良軽減剤。
[4] 前記オーキシンが、1μMから1000μMの濃度である、[3]に記載のイネの登熟不良軽減剤。
[5] 展着剤を更に含有する、[1]に記載のイネの登熟不良軽減剤。
[6] 前記展着剤が、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、リグニンスルホン酸カルシウム、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリナフチルメタンスルホン酸ナトリウム、パラフィン、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリナフチルメタンスルホン酸ジアルキルジメチルアンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンオキシプロピルヘプタメチルトリシロキサン、ポリオキシアルキレンプロペニルエーテルおよびポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステルからなる群から選択される、[5]に記載のイネの登熟不良軽減剤。
[7] イネの出穂期から成熟期までの間に少なくとも1回散布するための、[1]に記載のイネの登熟不良軽減剤。
[8] イネの出穂期から20日間の平均気温が26℃以上になると予想される場合、複数回散布するための、[1]に記載のイネの登熟不良軽減剤。
[9] オーキシンをイネの出穂期から成熟期までの間に少なくとも1回散布することを含む、イネの登熟不良粒を軽減する方法。
[10] 前記イネが出穂期以降に高温に曝露されたことを含む、[9]に記載のイネの登熟不良粒を軽減する方法。
[11] オーキシンをイネの出穂期から20日間の平均気温が26℃以上になると予想される場合に複数回散布することを含む、イネの登熟不良粒を軽減する方法。
[12] 前記オーキシンが、100nMから10mMの濃度になるように調製されることを含む、[9]または[11]に記載のイネの登熟不良粒を軽減する方法。
[13] 前記オーキシンが、1μMから1000μMの濃度である、[12]に記載のイネの登熟不良粒を軽減する方法。
[14] 前記オーキシンが、以下の化合物およびその誘導体からなる群から選択される化合物である、[9]または[11]に記載のイネの登熟不良粒を軽減する方法:
2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、1-ナフタレン酢酸、MCPA、MCPB、MDBA、1-ナフチルアセトアミド、メコプロップ、4-クロロフェノキシ酢酸、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸、2-ナフトキシ酢酸、2-フェニル酢酸、4-クロロインドール-3-酢酸、フロルピラウキシフェンベンジル、クロメプロップ、トリクロピル、エチクロゼート、インドール-3-酢酸、ジクロルプロップおよびインドール-3-酪酸。
[15] 前記オーキシンの散布時に展着剤を散布することを含む、[9]または[11]に記載のイネの登熟不良粒を軽減する方法。
[16] 前記展着剤が、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、リグニンスルホン酸カルシウム、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリナフチルメタンスルホン酸ナトリウム、パラフィン、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリナフチルメタンスルホン酸ジアルキルジメチルアンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンオキシプロピルヘプタメチルトリシロキサン、ポリオキシアルキレンプロペニルエーテルおよびポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステルからなる群から選択される、[15]に記載のイネの登熟不良粒を軽減する方法。
【0013】
なお、本技術において、「出穂期」は群落全体の有効茎の約50%が出穂した日、「穂揃」は群落全体の有効茎の約90%が出穂した日、「成熟期」は米粒全体が硬くなり、爪では破砕できなくなり、胚乳の透明化が全域に達した日をいう。また、「登熟不良」(「登熟障害」ともいう。以下同じ。)は、主に、玄米の白濁化や粒張りの低下および胴割れ粒の発生により整粒歩合が低下すること、玄米1粒重が低下することをいう。「登熟不良」は、検査等級の低下、収量の低下、米の食味の低下などにつながる。「登熟不良」の原因として、イネが高温に曝露されること、例えば過度の減肥、早期落水や乾燥風などによる水ストレス、低日射などが挙げられる。更に、「登熟不良粒」(「登熟未熟粒」ともいう。以下同じ。)は白濁部の位置などに基づいて分類される乳白粒、心白粒、腹白粒、背白粒、基部未熟粒、青未熟粒、その他未熟粒が含まれる。本技術において、「登熟不良粒」のうち青未熟粒とその他未熟粒を除く白濁した未熟粒を「白未熟粒」という(参考:「イネの高温登熟障害の克服に向けて」,森田敏,日本作物学会紀事,第77巻(2008),p.1-12)。
【発明の効果】
【0014】
本技術はイネの開花期に高温に曝露されたか否かに関わらず、出穂期以降にオーキシンを散布することにより登熟不良粒を軽減できる。また、本技術によれば、出穂期以降にイネが高温に曝露されたときでも高温障害の対処が可能であり、リスクも小さい。更に、本技術はイネの高温遭遇時が何時であっても実施でき、高温に曝露されなかった場合を考慮する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、試験区のNDVI推移を示すグラフである。当該グラフは、NDVIの平均値が水散布区を下回る確率が10%以下であった区について確率を示す(実施例1)。
図2図2は、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(濃度1000μM散布区)に見られた薬害を示す図面代用写真である。Aは水散布区、Bは2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(濃度1000μM散布区)を示す(実施例1)。
図3図3は、qRT-PCRによって解析した、オーキシン散布による出穂15日後のイネ種子中の遺伝子発現の変化を示すグラフである。横軸は遺伝子名、縦軸に無散布区を1(白色棒)とした2回散布区の遺伝子発現量を黒色棒で示した。2回散布は穂揃と穂揃+7日の処理。エラーバーは50%ベイズ確信区間。各遺伝子の発現量は、内部標準遺伝子であるUBQ5遺伝子の発現量を分母として標準化されている。2回散布区の遺伝子発現量が無処理区を上回る確率を遺伝子名の下に示した(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本技術は主に食用のイネ品種に適用されるが、これに限定されず、様々な原因によって登熟不良を生じるイネ科植物に適用することができる。
【0017】
本技術のイネの登熟不良軽減剤に用いられるオーキシンは、天然オーキシン、合成オーキシンのいずれでもよく、特に限定されない。オーキシンは従来からイネの選択的除草剤、トマトの着果促進剤、その他摘果剤などの農薬として使用が認められている。日本で使用できる具体的なオーキシンとして、例えば、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、1-ナフタレン酢酸、MCPA、MCPB、MDBA、1-ナフチルアセトアミド、メコプロップ、4-クロロフェノキシ酢酸、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸、2-ナフトキシ酢酸、2-フェニル酢酸、4-クロロインドール-3-酢酸、フロルピラウキシフェンベンジル、クロメプロップ、トリクロピル、エチクロゼート、インドール-3-酢酸、ジクロルプロップおよびインドール-3-酪酸が挙げられる。これらのオーキシンは誘導体であってもよい。また、これらのオーキシンおよびその誘導体から1つ選択あるいは複数選択して、本技術のイネの登熟不良軽減剤に使用してもよい。
【0018】
イネの登熟不良粒の軽減目的で使用するオーキシン濃度は、好ましくは100nMから10mMの間、より好ましくは1μMから1000μMの間、更に好ましくは10μMから100μMの間であるが、本技術の効果が得られる濃度であれば特に限定されない。なお、好ましいオーキシン濃度が広く「100nMから10mM」である理由は、オーキシンの化合物の種類によってイネへの浸透性が違うからである。
【0019】
本技術のイネの登熟不良軽減剤をイネに散布したときに、有効成分であるオーキシンがイネに付着しにくいときは、イネの登熟不良軽減剤に展着剤を加えるなどして、オーキシンと展着剤を散布するとよい。
【0020】
展着剤の具体例として、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、リグニンスルホン酸カルシウム、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリナフチルメタンスルホン酸ナトリウム、パラフィン、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリナフチルメタンスルホン酸ジアルキルジメチルアンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンオキシプロピルヘプタメチルトリシロキサン、ポリオキシアルキレンプロペニルエーテルおよびポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステルなどの化合物が挙げられる。これらは全て日本国内で入手可能である。展着剤として販売されている商品のうち、前記化合物を1種類含むもの、複数含むものがあり、適宜選択することができる。
【0021】
展着剤の量は特に限定されず、展着剤として使用する化合物に応じて、または商品で推奨される量に調製することができる。例えば、ポリオキシエチレンドデシルエーテルを30.0%含む展着剤を10mL/10Lになるように調製する。
【0022】
本技術のイネの登熟不良軽減剤は、例えばイネ栽培中に高温に曝露されたら散布を行えばよい。高温になるか否かを予測しなくてもよいので、高温に曝露されなかった年は散布する必要がない。本技術は開花期に高温に曝露されたことが原因で雄性不稔になった場合に限ることなく有効である。特にイネが出穂して受粉した後に高温に曝露された場合に有効であり、少なくとも1回あるいは複数回散布すればよい。好ましくは出穂期から成熟期までの間に散布すればよく、より詳細にはイネの出穂期から20日間の平均気温が26℃以上になると予想される場合は複数回散布することが好ましい。
【0023】
本技術のイネの登熟不良軽減剤は、必要に応じて適宜添加剤、担体、希釈剤、溶剤、乳化剤などを含めてもよい。
【0024】
以下、実施例に基づいて本技術を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本技術の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【実施例0025】
〔オーキシン散布による高温障害軽減効果の検証〕
イネは高温によって内生オーキシン量が減少し、不稔や登熟不良を引き起こすことが明らかとなっている。この好ましくない現象に対し、開花期頃に外生的にオーキシンを散布することで高温不稔を軽減できることが確認されている(Sharma et al. 2018)。しかし、Sharmaらの研究はポット試験での結果であり、圃場規模での適正処理濃度や収量・品質への定量的な影響、経済的な実用性等については不明であった。そこで、夏期にきわめて高温となる埼玉県熊谷市の圃場で水稲を栽培し、開花期頃に合成オーキシンである2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(以下、「2,4-D」という。)を散布し、圃場での実用性について評価した。
【0026】
I.試験方法
(ア)場所 : 埼玉県熊谷市 埼玉県農業技術センター内 玉井試験場水田
(イ)移植期 : 2020年5月11日移植
(ウ)オーキシン散布日 : 2020年8月11日午前中
2,4-Dアミン塩(石原バイオサイエンス株式会社)を、1000μM、100μM、10μM、水散布の4水準とし、各区展着剤としてサーファクタント30(丸和バイオケミカル株式会社)を10mL/10L使用し、出穂期に100L/10a散布した。
(エ)その他
品種 : 彩のかがやき
栽植密度 : 50株/坪
施肥条件 : 基肥 5Nkg/10a、穂肥 3Nkg/10a
(オ)調査項目
(1)成熟期調査(稈長、穂長、穂数)
(2)収量調査(収量構成要素、収量、タンパク含量、穀粒判別)
(カ)統計処理
調査した形質の平均値をRとStanを用いてベイズ統計学の枠組みで比較した。
生育や収量 : 調査データ~Normal(θ,σ)とし、θ,σの事前分布は無情報(Normal(0,100))とした。
品質 : 調査データ~Binomial(1000,θ)とし、θの事前分布は無情報(Normal(0,100))とした。
以下の生成量Aを定義し、AのEAP推定値を試験区の平均が水散布区を上回る確率とした。
A=1(θ試験区-θ水散布区>0)、A=0(θ試験区-θ水散布区≦0)
【0027】
II.結果
(1)生育
下記表1に示すように、出穂期頃にオーキシン(2,4-D)を散布すると、出穂21日後調査では止葉や節間が伸長し、草丈がやや長くなった。また、100μM以上の区では、出穂後21日のSPAD値が水散布区と比較して高かった。SPAD値とは、農林水産省の土壌作物生育診断機器開発事業(Soil and Plant Analyzer Development)によって、精度が高く簡易な葉緑素計で測定した葉緑素含量を示す値である。より詳しくは、クロロフィルが吸収する650nmあたりを発光中心波長とする赤色LEDからの光が吸収される度合いを示す数値である。本実施例では、コニカミノルタ株式会社のSPAD-502Plusを使用した。
【0028】
【表1】
【0029】
10μM区では茎数が少なかった(表1)。しかし、オーキシンの散布時期は分げつ期ではないため、散布によって茎数抑制や茎の枯死が起こるとは考えにくく、高濃度の散布で茎数の変動は見られないことから(表1の100μMおよび1000μM)、地力の差によるものと考えられた。
【0030】
また、図1に示すように、1000μMの散布では散布後NDVIが低下した。NDVIとは、正規化植生指数(Normalized Difference Vegetation Index)のことであり、近赤色光と赤色光の反射率から計算される数値である。植生の分布状況や活性度を表すため、作物の生育量を予測できる。本実施例では、ドローンにフランスのParrot社のマルチスペクトルカメラSequoiaを装着して空撮した画像から算出した。
【0031】
更に、図2に示すように、圃場の達観でも草姿や穂に薬害症状が確認された。図2Bの2,4-Dの1000μM散布区において、葉の角度が水平に近づき、穂の先端が白化し反り返った。
【0032】
(2)収量と収量構成要素
下記表2に示すように、10μM、100μMの散布では収量および構成要素には顕著な差は見られなかった。1000μMでは登熟歩合が低下し、精玄米重も少なくなった。タンパク質含量の増加はシンク容量の減少に起因するものと推察された。
【0033】
【表2】
【0034】
(3)品質
下記表3に示すように、オーキシンの散布によって、いずれの濃度でも白未熟粒を減少させ、整粒歩合が向上した。特に、100μM散布では、収量に影響がなく、白未熟粒軽減効果も高いことから有望であると考えられた。
【0035】
【表3】
【0036】
(4)考察
本実施例では、高温不稔の抑制効果と高温登熟能の向上効果の両方を狙って出穂始から出穂期頃に散布したが、登熟歩合に変化がみられず、野外の散布では高温不稔の抑制効果は見られなかった(表2)。しかし、前記表3に示すように、登熟不良粒のうち特に白未熟粒数の軽減効果が高いことがわかった。
【0037】
オーキシンは基本的には植物体内で求基的に極性輸送されるため、効果を出すには穂に直接付着させることが重要となる。そのため、穂揃期以降の散布や複数回散布で白未熟粒軽減効果がより向上するか確認する必要があると考えられた。
【実施例0038】
〔白未熟粒を減少させるオーキシン散布時期の検討〕
実施例1では、出穂始から出穂期頃の「彩のかがやき」に濃度100μMの合成オーキシン2,4-Dを100L/10a散布すると、白未熟粒が5%程度減少した。出穂期以降に登熟不良粒および白未熟粒に対して打てる対策は現状皆無であり、実用化が期待される。本実施例では、オーキシン散布効果を再確認するとともに、より高い効果が期待される穂揃期以降の散布について検討した。
【0039】
I.試験方法
(ア)場所 : 埼玉県熊谷市 埼玉県農業技術センター内 玉井試験場水田
A29-12(彩のかがやき)、A27-3(コシヒカリ)
(イ)移植期 : 2021年5月12日
栽植密度 : 50株/坪
施肥条件 : 彩のかがやき 基肥 4Nkg/10a、穂肥 2Nkg/10a
コシヒカリ 基肥 3Nkg/10a、穂肥 2Nkg/10a
(穂肥は出穂20日前頃に施用)
(ウ)オーキシン散布日
散布なし、出穂期、穂揃期、穂揃期+7日、穂揃期+14日、穂揃および穂揃+7日(2回)の6水準
濃度100μMの2,4-Dアミン塩(石原バイオサイエンス株式会社)を100L/10a散布
展着剤としてサーファクタント30(丸和バイオケミカル株式会社)を10mL/10L使用。
(エ)調査項目
(1)上位葉調査(出穂+25日程度:止葉および第2葉の葉身長、SPAD)
(2)成熟期調査(稈長、穂長、穂数)
(3)収量調査(収量、タンパク含量、穀粒判別)
(オ)統計処理
調査した形質の平均値をRとStanを用いてベイズ統計学の枠組みで比較した。
生育や収量:調査データ~Normal(θ,σ)とし、θ,σの事前分布は無情報(Normal(0,100))とした。
品質 : 調査データ~Binomial(1000,θ)とし、θの事前分布は無情報(Normal(0,100))とした。
以下の生成量Aを定義し、AのEAP推定値を試験区の平均が無処理区を上回る確率とした。
A=1(θ試験区-θ水散布区>0)、A=0(θ試験区-θ水散布区≦0)
【0040】
II.結果
(1)栽培品種の発育相
下記表4に、本実施例における栽培品種の発育相を示す。
【0041】
【表4】
【0042】
(2)散布後の生育
下記表5に示すように、いずれの散布法でも登熟に重要な止葉とその下の第2葉の葉身長には影響がなかった。また、穂揃期+7日以降の散布は出穂25日のSPADをやや低下させる傾向にあった。
【0043】
【表5】
【0044】
(3)成熟期の形質および収量
下記表6に示すように、出穂期や穂揃期の散布では籾わら比が低下し、わずかに減収する傾向にあった。籾わら比の低下は穂の出すくみや登熟歩合の低下などが要因と考えられた。また、穂揃期+7日以降の散布は籾わら比や収量への影響はほとんどないと考えられた。
【0045】
【表6】
【0046】
(4)品質
上記表4、下記表7および表8に示すように、「彩のかがやき」では出穂直後は高温であったが以降は低温であった。これに対し、「コシヒカリ」では出穂後20日間程度は高温が続いた。これらの結果から、散布時期が高温であれば改善効果がみられ、低温であれば改善効果がみられないと考えられた。また、「彩のかがやき」の穂揃7日後散布の直前では降水量が多かったため、植物体の濡れによって実質的な散布濃度が低下した可能性も考えられた。
【0047】
【表7】
【0048】
【表8】
【0049】
下記表9に示すように、「彩のかがやき」では、出穂期および穂揃期の散布効果が高く、「コシヒカリ」ではいずれの散布時期も効果が高く、2回散布の効果は相加的であった。上記表7および表8の気温の動きと下記表9の品質の結果から、散布時期が高温であれば改善効果が大きく、低温であれば改善効果が小さい、と考えられた。
【0050】
【表9】
【0051】
(5)遺伝子発現
図3に示すように、2回散布区では、無処理区と比較してデンプン合成に寄与する遺伝子(GBSSI、SBEIIB、AGPS1、GPT1、13kDPro)の発現が顕著に上昇していた。これに対し、デンプン分解に関する遺伝子(Amy3E)の発現はほとんど変動しなかった。なお、遺伝子発現の測定は、出穂15日後に圃場内のランダムな穂から二次枝梗籾を5粒採取し、RNA抽出を行い、RT-qPCR解析を実施した。実験は各区3反復実施した。
【0052】
(6)考察
オーキシン散布による登熟不良粒および白未熟粒の軽減効果は高温時ほど高く、高温によって低下したオーキシン合成を外生的に補っているためと考えられた。オーキシン散布は高温によって発現が低下するデンプン合成関連遺伝子の発現を向上させることによって特に白未熟粒の発生を軽減すると考えられた(図3)。
【0053】
白未熟粒軽減効果を得ながら、減収リスクも回避することを考慮すると、基本的に穂揃+7日以降の高温時(日平均気温26~27℃以上)の複数回散布が推奨されると考えられた。しかし、栽培年において出穂期頃に極端な高温が予想され、等級落ちが予想される場合には、多少の減収を覚悟して出穂期から穂揃期にも散布する価値があると考えられた。
【0054】
(7)まとめ
出穂期以降で高温となる期間に、例えば100μM程度の濃度の2,4-Dを100L/10a散布すると、デンプン合成酵素の発現上昇によって白未熟粒を減少させることができる。また、整粒歩合を向上させることができる。穂揃期頃までに散布した場合は、収穫係数を減少させわずかに減収する傾向にあるが、穂揃期7日後以降の散布では減収なしで白未熟粒を減少させることができる。
【0055】
また、オーキシン散布時に展着剤を加えると、オーキシンがイネ表面に付着しやすくなり、オーキシンの効果がより期待できる。
【0056】
更に、本技術のイネの登熟不良粒を軽減する方法と肥料の施用による既往の対策技術とを合わせて用いることで、相乗効果も期待できる。
【0057】
よって、本技術は、米の農産物検査での等級を上げて生産者の収入の増加に寄与する。また、米の食味が向上し消費者にも利益がある。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本技術は前記「彩のかがやき」、「コシヒカリ」以外のイネ品種に適用できる。また、本技術はイネ科の他の植物、例えばコムギ、オオムギ、ライムギ、ライコムギ、エンバク、カラスムギ、トウモロコシ、モロコシ、キビ、アワ、ヒエ、シコクビエなどにも利用可能性がある。

図1
図2
図3