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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139339
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】吸水処理材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20230927BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20230927BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
A01K1/015 B
B01J20/28 A
B01J20/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044813
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【テーマコード(参考)】
2B101
4G066
【Fターム(参考)】
2B101GB06
2B101GB08
4G066AC39B
4G066BA09
4G066BA11
4G066CA43
4G066DA07
4G066EA05
4G066FA26
(57)【要約】
【課題】被覆部の存在による吸水速度の低下を抑制することが可能な吸水処理材、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】吸水処理材は、吸水性を有する粒状体10を備えている。粒状体10は、芯部20、及び被覆部30を有している。芯部20は、略円柱状をしており、側面22並びに底面24及び底面26を有している。被覆部30は、芯部20の側面22並びに底面24及び底面26を覆っている。芯部20における側面22と底面24との境界25の少なくとも一部は、被覆部30で覆われずに露出している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性を有する粒状体を備え、
前記粒状体は、側面並びに第1及び第2の底面を有する略円柱状の芯部と、前記芯部の前記側面並びに前記第1及び第2の底面を覆う被覆部と、を有し、
前記芯部における前記側面と前記第1の底面との境界である第1の境界の少なくとも一部は、前記被覆部で覆われずに露出していることを特徴とする吸水処理材。
【請求項2】
請求項1に記載の吸水処理材において、
前記第1の境界の全体が、前記被覆部で覆われずに露出している吸水処理材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸水処理材において、
前記芯部の前記側面の50%以上の領域が前記被覆部で覆われている吸水処理材。
【請求項4】
請求項3に記載の吸水処理材において、
前記芯部の前記側面の80%以上の領域が前記被覆部で覆われている吸水処理材。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の吸水処理材において、
前記芯部の前記第1の底面の50%以上の領域が前記被覆部で覆われている吸水処理材。
【請求項6】
請求項5に記載の吸水処理材において、
前記芯部の前記第1の底面の80%以上の領域が前記被覆部で覆われている吸水処理材。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載の吸水処理材において、
前記芯部における前記側面と前記第2の底面との境界である第2の境界の少なくとも一部は、前記被覆部で覆われずに露出している吸水処理材。
【請求項8】
請求項7に記載の吸水処理材において、
前記第2の境界の全体が、前記被覆部で覆われずに露出している吸水処理材。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の吸水処理材において、
前記芯部の前記第2の底面の50%以上の領域が前記被覆部で覆われている吸水処理材。
【請求項10】
請求項9に記載の吸水処理材において、
前記芯部の前記第2の底面の80%以上の領域が前記被覆部で覆われている吸水処理材。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れかに記載の吸水処理材において、
前記粒状体は、有機物を主材料とする吸水処理材。
【請求項12】
請求項11に記載の吸水処理材において、
前記粒状体は、有機物のみからなる吸水処理材。
【請求項13】
吸水性を有する粒状体を形成する粒状体形成工程を含み、
前記粒状体形成工程は、側面並びに第1及び第2の底面を有する略円柱状の芯部を形成する芯部形成工程と、前記芯部の前記側面並びに前記第1及び第2の底面を覆う被覆部を形成する被覆部形成工程と、を含み、
前記被覆部形成工程においては、前記芯部における前記側面と前記第1の底面との境界である第1の境界の少なくとも一部が前記被覆部で覆われずに露出するように、当該被覆部を形成することを特徴とする吸水処理材の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記被覆部形成工程においては、前記第1の境界の全体が前記被覆部で覆われずに露出するように、当該被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記被覆部形成工程においては、前記芯部の前記側面の50%以上の領域が前記被覆部で覆われるように、当該被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記被覆部形成工程においては、前記芯部の前記側面の80%以上の領域が前記被覆部で覆われるように、当該被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項17】
請求項13乃至16の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記被覆部形成工程においては、前記芯部の前記第1の底面の50%以上の領域が前記被覆部で覆われるように、当該被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記被覆部形成工程においては、前記芯部の前記第1の底面の80%以上の領域が前記被覆部で覆われるように、当該被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項19】
請求項13乃至18の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記被覆部形成工程においては、前記芯部における前記側面と前記第2の底面との境界である第2の境界の少なくとも一部が前記被覆部で覆われずに露出するように、当該被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記被覆部形成工程においては、前記第2の境界の全体が前記被覆部で覆われずに露出するように、当該被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項21】
請求項19又は20に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記被覆部形成工程においては、前記芯部の前記第2の底面の50%以上の領域が前記被覆部で覆われるように、当該被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項22】
請求項21に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記被覆部形成工程においては、前記芯部の前記第2の底面の80%以上の領域が前記被覆部で覆われるように、当該被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項23】
請求項13乃至22の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、有機物を主材料とする前記粒状体を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項24】
請求項23に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、有機物のみからなる前記粒状体を形成する吸水処理材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吸収する吸水処理材、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の吸水処理材としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された吸水処理材は、動物用の排泄物処理材であって、吸水性を有する複数の粒状体からなる。各粒状体は、粒状に成形された芯部と、芯部を覆う被覆部とを有している。被覆部は、接着性材料を含有しており、使用時に液体(排泄物)を吸収した粒状体どうしを接着させる機能を有する。それにより、使用後には、液体を吸収した複数の粒状体からなる固まりが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-190026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように被覆部は、使用済みの粒状体の固まり形成に寄与する。しかしながら、その反面、被覆部は、芯部を覆うように設けられているため、液体が速やかに芯部に達するのを阻害する。このことは、従来の吸水処理材において吸水速度が低下する要因となっていた。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、被覆部の存在による吸水速度の低下を抑制することが可能な吸水処理材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による吸水処理材は、吸水性を有する粒状体を備え、上記粒状体は、側面並びに第1及び第2の底面を有する略円柱状の芯部と、上記芯部の上記側面並びに上記第1及び第2の底面を覆う被覆部と、を有し、上記芯部における上記側面と上記第1の底面との境界である第1の境界の少なくとも一部は、上記被覆部で覆われずに露出していることを特徴とする。
【0007】
この吸水処理材においては、芯部の側面及び両底面(第1及び第2の底面)が被覆部で覆われた粒状体が設けられている。粒状体において芯部の第1の境界(側面と第1の底面との境界)の少なくとも一部は、被覆部で覆われずに露出している。このため、当該露出部分を通じて、液体が速やかに芯部に達することができる。
【0008】
また、本発明による吸水処理材の製造方法は、吸水性を有する粒状体を形成する粒状体形成工程を含み、上記粒状体形成工程は、側面並びに第1及び第2の底面を有する略円柱状の芯部を形成する芯部形成工程と、上記芯部の上記側面並びに上記第1及び第2の底面を覆う被覆部を形成する被覆部形成工程と、を含み、上記被覆部形成工程においては、上記芯部における上記側面と上記第1の底面との境界である第1の境界の少なくとも一部が上記被覆部で覆われずに露出するように、当該被覆部を形成することを特徴とする。
【0009】
この製造方法においては、芯部の側面及び両底面(第1及び第2の底面)が被覆部で覆われた粒状体が形成される。粒状体において芯部の第1の境界(側面と第1の底面との境界)の少なくとも一部は、被覆部で覆われずに露出する。このため、製造後の吸水処理材においては、当該露出部分を通じて、液体が速やかに芯部に達することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被覆部の存在による吸水速度の低下を抑制することが可能な吸水処理材、及びその製造方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。
図2】粒状体10を示す側面図である。
図3】粒状体10を示す正面図である。
図4】粒状体10を示す背面図である。
図5図2のV-V線に沿った断面図である。
図6図2のVI-VI線に沿った断面図である。
図7】芯部20を示す斜視図である。
図8】被覆部30を形成する方法の一例を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。吸水処理材1は、処理対象となる液体を吸収する吸水処理材である。吸水処理材1は、排泄物(主に尿)を吸収する排泄物処理材である。排泄物処理材は、猫や犬等の動物の排泄物の処理に用いられる動物用の排泄物処理材であってもよいし、人の排泄物の処理に用いられる人用の排泄物処理材であってもよい。吸水処理材1は、複数の粒状体10を備えている。吸水処理材1は、例えば、複数の粒状体10が箱型のトイレに敷設された状態で使用される。
【0014】
各粒状体10は、吸水性を有している。すなわち、各粒状体10は、その内部に液体を取り込んで保持する。粒状体10が吸水性を有するというには、次の試験により測定される吸水率が40%以上であることが必要である。まず、内径10cm、目開き1mmの篩に50g相当の粒状体10(サンプル)を入れる。篩の下には、空のビーカーを設置する。そして、サンプルに対し、外筒の内径3cm、筒先の内径4mmのシリンジ(テルモ社製60mlシリンジ)を用いて、30mlの水を10秒かけて滴下する。1分間放置した後、ビーカー内の水量を計測する。滴下した水量(30ml)から計測された水量を引いた値の、滴下した水量に対する割合をもって吸水率とする。すなわち、ビーカー内の水量が18ml以下であれば、吸水率が40%以上となるため、粒状体10が吸水性を有するといえる。
【0015】
各粒状体10の粒径は、例えば、5mm以上20mm以下である。ここで、粒状体10の粒径は、当該粒状体10を内包し得る最小の球の直径として定義される。各粒状体10は、有機物を主材料とすることが好ましい。ここで、粒状体10の主材料とは、粒状体10を構成する1又は2以上の材料のうち、当該粒状体10に占める重量割合が最大のものをいう。各粒状体10は、有機物のみからなっていてもよいし、有機物及び無機物からなっていてもよい。
【0016】
図2図3及び図4は、それぞれ、粒状体10を示す側面図、正面図及び背面図である。また、図5及び図6は、それぞれ、図2のV-V線及びVI-VI線に沿った断面図である。各粒状体10は、芯部20、及び被覆部30を有している。芯部20は、図7に示すように、略円柱状をしており、側面22、並びに底面24(第1の底面)及び底面26(第2の底面)を有している。図5は、芯部20の中心軸を含む断面を示している。また、図6は、芯部20の中心軸に垂直な断面を示している。
【0017】
芯部20は、液体を吸水及び保水する機能を有する。芯部20は、吸水性材料を含有している。芯部20は、吸水性材料を主材料としている。ここで、芯部20の主材料とは、芯部20を構成する1又は2以上の材料(芯部材料)のうち、当該芯部20に占める重量割合が最大のものをいう。芯部20は、吸水性材料のみからなってもよいし、吸水性材料と他の材料とからなってもよい。吸水性材料は、有機物であることが好ましい。有機物である吸水性材料としては、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類、又はオカラが挙げられる。
【0018】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙(紙粉)の他にも、塩ビ壁紙分級物(塩ビ壁紙を分級することにより得られる紙)、フラッフパルプ、製紙スラッジ、又はパルプスラッジが挙げられる。プラスチック類としては、例えば、紙おむつ分級物(紙おむつを分級することにより得られるプラスチック)を用いてもよい。オカラは、乾燥オカラであることが好ましい。
【0019】
芯部20は、接着性材料を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。接着性材料としては、例えば、吸水性ポリマー、澱粉、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA(ポリビニルアルコール)、又はデキストリンが挙げられる。吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル系吸水性ポリマーを用いることができる。
【0020】
被覆部30は、芯部20の側面22並びに底面24及び底面26を覆っている。ただし、芯部20の境界25(第1の境界)の少なくとも一部は、被覆部30で覆われずに露出している。境界25は、側面22と底面24との境界である。本実施形態においては、境界25の全体が、被覆部30で覆われずに露出している。同様に、芯部20の境界27(第2の境界)の少なくとも一部は、被覆部30で覆われずに露出している。境界27は、側面22と底面26との境界である。本実施形態においては、境界27の全体が、被覆部30で覆われずに露出している。
【0021】
芯部20の側面22は、境界25の近傍領域及び境界27の近傍領域を残して、被覆部32(側面被覆部)で覆われている。被覆部32は、被覆部30のうち側面22を覆う部分である。被覆部32の全体が、境界25及び境界27の双方から離間している。側面22の50%以上の領域が被覆部32で覆われていることが好ましく、80%以上の領域が被覆部32で覆われていることがより好ましい。被覆部32は、連続的に設けられていることが好ましい。つまり、被覆部32は、側面22上において複数箇所に分かれることなく、一続きであることが好ましい。
【0022】
芯部20の底面24は、境界25の近傍領域を残して、被覆部34(第1の底面被覆部)で覆われている。被覆部34は、被覆部30のうち底面24を覆う部分である。被覆部34の全体が、境界25から離間している。底面24の50%以上の領域が被覆部34で覆われていることが好ましく、80%以上の領域が被覆部34で覆われていることがより好ましい。被覆部34は、連続的に設けられていることが好ましい。つまり、被覆部34は、底面24上において複数箇所に分かれることなく、一続きであることが好ましい。
【0023】
同様に、芯部20の底面26は、境界27の近傍領域を残して、被覆部36(第2の底面被覆部)で覆われている。被覆部36は、被覆部30のうち底面26を覆う部分である。被覆部36の全体が、境界27から離間している。底面26の50%以上の領域が被覆部36で覆われていることが好ましく、80%以上の領域が被覆部36で覆われていることがより好ましい。被覆部36は、連続的に設けられていることが好ましい。つまり、被覆部36は、底面26上において複数箇所に分かれることなく、一続きであることが好ましい。
【0024】
なお、側面22には凹凸や亀裂が存在することがあるが、被覆部30によって覆われた部分の面積割合を考えるときは、そのような凹凸等を無視するものとする。具体的には、芯部20と同一の中心軸を有する円筒面に側面22を射影したときの当該円筒面上における面積割合を考えればよい。各底面24,26についても同様である。すなわち、上記中心軸に垂直な平面に各底面24,26を射影したときの当該平面上における面積割合を考えればよい。
【0025】
被覆部30(各被覆部32,34,36)は、使用時に液体を吸収した粒状体10どうしを接着させて固まりにする機能(固まり形成機能)を有する。被覆部30も、吸水性材料を主材料としている。ここで、被覆部30の主材料とは、被覆部30を構成する1又は2以上の材料(被覆材料)のうち、当該被覆部30に占める重量割合が最大のものをいう。被覆部30に含有される吸水性材料も、有機物であることが好ましい。被覆部30は、接着性材料を含有している。
【0026】
続いて、本発明による吸水処理材の製造方法の一実施形態として、吸水処理材1の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、粒状体形成工程を含んでいる。
【0027】
粒状体形成工程は、粒状体10を形成する工程である。粒状体形成工程は、芯部形成工程、及び被覆部形成工程を含んでいる。芯部形成工程は、芯部20を形成する工程である。芯部形成工程においては、造粒装置を用いて芯部材料を造粒することにより、芯部20となる複数の造粒物を形成する。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。造粒に先立って、芯部材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。
【0028】
被覆部形成工程は、被覆部30を形成する工程である。被覆部形成工程においては、各芯部20の側面22並びに底面24及び底面26に粉体状の被覆材料を付着させることにより、被覆部30を形成する。被覆材料の付着は、例えば、散布又は噴霧により行うことができる。このとき、芯部20の境界25及び境界27が被覆部30で覆われずに露出するように、被覆部30を形成する。かかる被覆部30は、例えば図8に示すように、境界25の近傍領域及び境界27の近傍領域のみを覆う一対のマスキング部材40を用いることにより実現することができる。すなわち、芯部20にマスキング部材40を被せた状態で被覆材料を付着させた後、芯部20からマスキング部材40を外すことにより、被覆部30を形成することができる。あるいは、芯部20の表面(側面22並びに底面24及び底面26)の全体に被覆材料を付着させた後、境界25の近傍領域及び境界27の近傍領域に付着した被覆材料のみを除去することによっても、被覆部30を形成することができる。その後、篩分け(分粒)、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。以上により、複数の粒状体10からなる吸水処理材1が得られる。
【0029】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、芯部20の側面22及び両底面(底面24及び底面26)が被覆部30で覆われた粒状体10が形成される。粒状体10において芯部20の境界25(側面22と底面24との境界)の少なくとも一部は、被覆部30で覆われずに露出している。このため、吸水処理材1においては、当該露出部分を通じて、液体が速やかに芯部20に達することができる。したがって、被覆部30の存在による吸水速度の低下を抑制することが可能な吸水処理材1、及びその製造方法が実現されている。
【0030】
また、芯部20の側面22、底面24及び底面26は、何れも被覆部30で覆われている。このため、粒状体10は、側面22、底面24及び底面26の何れの面においても、それぞれ被覆部32、被覆部34及び被覆部36を介して、隣接する粒状体10との間で固まりを形成することができる。これにより、使用済みの複数の粒状体10からなる強固な固まりを得やすくなる。
【0031】
境界25の全体が、被覆部30で覆われることなく露出している。この場合、境界25の一部分しか露出していない場合に比して、液体が速やかに芯部20に達するのに有利である。
【0032】
芯部20の境界27(側面22と底面26との境界)の少なくとも一部も、被覆部30で覆われずに露出している。このため、吸水処理材1においては、境界25の露出部分だけでなく境界27の露出部分を通じても、液体が速やかに芯部20に達することができる。
【0033】
境界27の全体が、被覆部30で覆われることなく露出している。この場合、境界27の一部分しか露出していない場合に比して、液体が速やかに芯部20に達するのに有利である。
【0034】
境界25の近傍領域及び境界27の近傍領域を残しつつ、側面22の広範囲が被覆部30(被覆部32)で覆われていた方が、使用済みの複数の粒状体10からなる強固な固まりを得るのに有利である。かかる観点から、側面22における被覆部30で覆われた領域の面積割合は、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。ただし、当該面積割合が大きすぎると、境界25,27を露出させにくくなってしまう。かかる観点から、上記面積割合は、90%以下であることが好ましい。
【0035】
境界25の近傍領域を残しつつ、底面24の広範囲が被覆部30(被覆部34)で覆われていた方が、使用済みの複数の粒状体10からなる強固な固まりを得るのに有利である。かかる観点から、底面24における被覆部30で覆われた領域の面積割合は、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。ただし、当該面積割合が大きすぎると、境界25を露出させにくくなってしまう。かかる観点から、上記面積割合は、90%以下であることが好ましい。
【0036】
境界27の近傍領域を残しつつ、底面26の広範囲が被覆部30(被覆部36)で覆われていた方が、使用済みの複数の粒状体10からなる強固な固まりを得るのに有利である。かかる観点から、底面26における被覆部30で覆われた領域の面積割合は、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。ただし、当該面積割合が大きすぎると、境界27を露出させにくくなってしまう。かかる観点から、上記面積割合は、90%以下であることが好ましい。
【0037】
各粒状体10が有機物を主材料とする場合、焼却処分に適した粒状体10を得ることができる。この場合、使用済みの吸水処理材1を可燃ゴミとして捨てやすくなるため、ユーザにとっての利便性が向上する。特に各粒状体10が有機物のみからなる場合、焼却処分に一層適した粒状体10を得ることができる。
【0038】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、芯部20の境界25の全体が被覆部30で覆われずに露出する場合を例示した。しかし、境界25の一部のみが、被覆部30で覆われずに露出していてもよい。その場合、境界25の残部は、被覆部30で覆われた状態となる。
【0039】
上記実施形態においては、芯部20の境界27の全体が被覆部30で覆われずに露出する場合を例示した。しかし、境界27の一部のみが、被覆部30で覆われずに露出していてもよい。その場合、境界27の残部は、被覆部30で覆われた状態となる。
【0040】
上記実施形態においては、境界27の少なくとも一部が被覆部30で覆われずに露出する場合を例示した。しかし、境界27は、全く露出していなくてもよい。その場合、境界27の全体が被覆部30で覆われた状態となる。
【0041】
上記実施形態においては、吸水処理材1が排泄物処理材である場合を例示した。しかし、吸水処理材1は、嘔吐物を吸収する嘔吐物処理材、又は生ゴミ(生ゴミに含まれる水分)を吸収する生ゴミ処理材であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 吸水処理材
10 粒状体
20 芯部
22 側面
24 底面(第1の底面)
25 境界(第1の境界)
26 底面(第2の底面)
27 境界(第2の境界)
30 被覆部
32 被覆部(側面被覆部)
34 被覆部(第1の底面被覆部)
36 被覆部(第2の底面被覆部)
40 マスキング部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8