IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-除湿装置 図1
  • 特開-除湿装置 図2
  • 特開-除湿装置 図3
  • 特開-除湿装置 図4
  • 特開-除湿装置 図5
  • 特開-除湿装置 図6
  • 特開-除湿装置 図7
  • 特開-除湿装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139349
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】除湿装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20230927BHJP
   F24F 3/14 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
B01D53/26 220
F24F3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044832
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】上田 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】水谷 衣里
(72)【発明者】
【氏名】堀 達也
【テーマコード(参考)】
3L053
4D052
【Fターム(参考)】
3L053BC03
3L053BC09
4D052AA08
4D052CB01
4D052DA01
4D052DA06
4D052DB01
4D052GA01
4D052GA03
4D052GB03
(57)【要約】
【課題】異常の発生時から温度ヒューズが溶断されるまでの時間を短縮し、安全性が向上した除湿装置を提供することを目的とする。
【解決手段】除湿ロータ13の一部分を加熱する発熱部20と、除湿ロータ13が所定温度以上となった際に溶断される温度ヒューズ23と、を備え、除湿ロータ13は、送風路12を通過する平面部16を備え、発熱部20と温度ヒューズ23は、平面部16の送風路12における下流側の面である平面部下流面16bに対向し、温度ヒューズ23は、回転方向において発熱部20の下流側直近に設けられ、発熱部20の回転方向における下流側終端から温度ヒューズ23に至るまでの平面部16の空気の通過を遮る遮蔽板24を備えた除湿装置。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と吹出口とを有する本体ケースと、
前記吸込口と前記吹出口とを連通する送風路と、
前記吸込口から前記吹出口に空気を導く送風機と、
前記送風路内を通過する空気を除湿する除湿ロータと、
前記除湿ロータを回転させる駆動部と、
前記除湿ロータの一部分を加熱する発熱部と、
前記除湿ロータが所定温度以上となった際に溶断される温度ヒューズと、を備え、
前記除湿ロータは、前記送風路を通過する平面部を備え、
前記発熱部と前記温度ヒューズは、前記平面部の前記送風路における下流側の面である平面部下流面に対向し、
前記温度ヒューズは、
前記回転方向において前記発熱部の下流側直近に設けられ、
前記発熱部の前記回転方向における下流側終端から前記温度ヒューズに至るまでの前記平面部の空気の通過を遮る遮蔽板を備えた除湿装置。
【請求項2】
前記温度ヒューズは、
前記平面部下流面が所定温度以上となった際に溶断される溶断部と、
前記溶断部の両端から伸びる接続部と、を備え、
前記遮蔽板は、
前記平面部下流面から前記溶断部への空気の通過を遮ることなく前記平面部下流面から前記接続部への空気の通過を遮る、請求項1に記載の除湿装置。
【請求項3】
前記遮蔽板は、
当該遮蔽板の、前記回転方向における下流側終端から前記回転方向における上流側へ向けて凹んだ凹部を備え、
前記接続部は、
前記凹部における開口を跨いで当該開口の両端部に接続し、
前記溶断部は、
前記開口に位置して前記平面部下流面からの空気と接触する請求項2記載の除湿装置。
【請求項4】
前記送風機は、
前記平面部を通過する空気が平面部上流側から前記平面部下流側に移動する際に前記回転方向における上流側から下流側に向かう位置に配置され、
前記凹部は、
前記溶断部の前記回転方向における上流側に前記平面部を通過する空気が通過可能な通風空間を備えた請求項3記載の除湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば衣類乾燥用として用いられる除湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の除湿装置は、短辺側と長辺側を有する水平断面形状の本体ケース内に、吸込口から吸気して吹出口から排気する送風機と、送風機が供給する空気から吸湿する除湿ロータと、除湿ロータを回転させるタイミングモータと、除湿ロータの一部に再生空気を循環させる循環風路および循環送風機と、循環風路において除湿ロータから水分を放出させる発熱部と、除湿ロータが放出した水分を含んだ再生空気を送風機が供給する空気で冷却して凝縮させる熱交換器とを備え、循環風路内で発生する水を貯水タンクに回収するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来技術において、温度検知手段として温度ヒューズを取り付け、温度ヒューズは除湿ロータの表面に近接するとともに、除湿ロータが室内空気から水分を吸着する風において、除湿ロータの後流側に位置するものである。また、温度ヒューズは発熱部と直列に接続されており、この温度ヒューズは周囲温度が許容温度以上のとき、温度ヒューズの内部が溶断して発熱部への通電を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-173141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の除湿装置において、吸込口から吸気した空気中に含まれる有機物は、除湿ロータに吸着するのが通常である。また、除湿装置において、タイミングモータの故障により除湿ロータの回転が遅くなる(回転不良)いう異常がある。当該異常においては、発熱部によって加熱される除湿ロータの特定の箇所の加熱時間が異常の発生前より長くなり、除湿ロータの温度が異常の発生前より高温となる。また、異常の発生からの時間経過に伴い、除湿ロータは昇温し続ける。この時、除湿ロータに吸着された有機物も同時に昇温し続け、一定温度以上となることで燃焼をするという不安全が生じる可能性が有る。このため、異常の発生から温度ヒューズが溶断され、発熱部への通電が停止するまでの時間の短縮が求められている。
【0006】
そこで本発明は、異常の発生から温度ヒューズが溶断されるまでの時間を短縮し、除湿装置の安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために、吸込口と吹出口とを有する本体ケースと、前記吸込口と前記吹出口とを連通する送風路と、前記吸込口から前記吹出口に空気を導く送風機と、前記送風路内を通過する空気を除湿する除湿ロータと、前記除湿ロータを回転させる駆動部と、前記除湿ロータの一部分を加熱する発熱部と、前記除湿ロータが所定温度以上となった際に溶断される温度ヒューズと、を備え、前記除湿ロータは、前記送風路を通過する平面部を備え、前記発熱部と前記温度ヒューズは、前記平面部の前記送風路における下流側の面である平面部下流面に対向し、前記温度ヒューズは、前記回転方向において前記発熱部の下流側直近に設けられ、前記発熱部の前記回転方向における下流側終端から前記温度ヒューズに至るまでの前記平面部の空気の通過を遮る遮蔽板を備えたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明は、異常の発生時から温度ヒューズが溶断されるまでの時間を短縮し、安全性が向上した除湿装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態における除湿装置の背面斜視図
図2】同除湿装置の分解斜視図
図3】同除湿装置の概略断面図
図4】同除湿装置の断面図
図5】同除湿装置の断面斜視図
図6】同除湿装置の安全機能部を説明する概略図
図7】同除湿装置の2つ断面を示す断面図
図8】同除湿装置の空気の流れを示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
(実施の形態1)
以下、図1図8用いて本実施の形態に係る除湿装置について説明する。
【0012】
最初に、図1を用いて本実施の形態に係る除湿装置の構成を説明する。図1は本発明の実施の形態における除湿装置の背面斜視図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の除湿装置1は、外郭を形成する箱形状の本体ケース2を備える。
【0014】
本体ケース2は、吸込口3と、吹出口4と、貯水部5と、を備え、内部に後述する除湿機能部6および安全機能部7を備える。
【0015】
吸込口3は、屋内空間の空気を本体ケース2内に吸い込むための開口であり、本体ケース2の背面に設けられている。
【0016】
吹出口4は、本体ケース2内から屋内空間に空気を吹き出すための開口であり、本体ケース2の上部(天面)に設けられている。吹出口の上方には、回動自在なルーバー8が備えられている。
【0017】
貯水部5は、本体ケース2の下方に着脱可能に設けられたタンクであり、除湿機能部6の除湿作用により発生した水を集めて貯水するものである。
【0018】
除湿機能部6は、吸込口3から本体ケース2に空気を吸い込んで除湿し、吹出口4から吹き出す機能を持つものである。詳細については後述する。
【0019】
安全機能部7は、除湿機能部6にて後述する異常が発生した際に、当該異常を検知し、除湿機能部6の一部の動作を停止させるものである。詳細については後述する。
【0020】
続いて、図2図3を用いて除湿機能部6の詳細構造を説明する。図2は除湿装置の概略構成を示す分解斜視図であり、図3は除湿装置の概略断面図である。
【0021】
除湿機能部6は、除湿手段9と、再生ユニット10と、送風部11と、送風路12と、を備える。
【0022】
除湿手段9は、除湿ロータ13と、支持枠14と、駆動手段15と、を備えている。
【0023】
除湿ロータ13は、円板形状であり、本体ケース2における背面と支持枠14との間に支持枠14の後述する開口箇所14aを塞ぐように設けられている。また、除湿ロータ13は、当該円板形状における中心軸が、除湿装置の稼働状態において水平かつ回転可能に立設され、駆動手段15により回転する。除湿ロータ13は、平面部16を備える。
【0024】
平面部16は、送風路12を通過するように設けられた円形の面であり、送風路12の送風方向における上流側の面である平面部上流面16aと、下流側の面である平面部下流面16bと、を備える。また、平面部16は平面部上流面16aと平面部下流面16bに跨る吸湿部17と、放湿部18と、を備える。
【0025】
吸湿部17は、平面部16における後述する発熱部と対向しない箇所であり、送風路12内を通過する空気から水分を吸着する。
【0026】
放湿部18は、平面部16における後述する発熱部と対向する箇所であり、通過する空気へと水分を放出する。
【0027】
支持枠14は、本体ケース2における正面側と背面側とを仕切るように配置され、中央部には、円形の開口箇所14aを有している。
【0028】
駆動手段15は、除湿ロータ13を回転させるものであり、本実施の形態においては電気によって駆動するモーターが用いられる。駆動手段15が除湿ロータ13を回転させることで、平面部16は吸湿部17と放湿部18に属する位置が変化しつづける。
【0029】
再生ユニット10は、循環風路19と、発熱部20と、熱交換器21と、循環送風機22とを有する。
【0030】
循環風路19は、循環送風機22と、発熱部20と、放湿部18と、熱交換器21と、をこの順に連通し、空気を通過させる環状の風路である。
【0031】
発熱部20は、電熱線を用いて熱を発生させるものであり、循環風路19内において放湿部18の平面部下流面16bに対向する位置に設けられている。発熱部20は、後述する電源供給基盤からの給電により発熱し、放湿部18を加熱することによって放湿部18から循環風路19の下流側へ向けて水分を放出させている。
【0032】
熱交換器21は、放湿部18から放出された水分を含む循環風路19内の空気と、送風路12内の空気との間で熱交換を行う。熱交換器21は、本体ケース2において、除湿ロータ13と水平方向に隣り合うように配置されている。
【0033】
循環送風機22は、本体ケース2における背面と支持枠14との間に設けられ、循環風路19内で空気の循環を行うものであり、本発明においてはシロッコファンである。
【0034】
送風部11は、吸込口3から吹出口4へと空気を導くものであり、本発明においてはシロッコファンである。
【0035】
送風路12は、吸込口3と吹出口4とを連通する風路であり、除湿風路12aと、冷却風路12bと、を備える。
【0036】
除湿風路12aは、本体ケース2の吸込口3と、放湿部18と、送風部11とをこの順に連通し、吹出口4に至る風路である。吸込口3から吸い込まれた空気は、放湿部18で水分が吸着され、除湿される。
【0037】
冷却風路12bは、本体ケース2の吸込口3と、熱交換器21と、送風部11とをこの順に連通し、吹出口4に至る風路である。吸込口3から吸い込まれた空気によって、熱交換器21を通過する循環風路内の空気が冷却される。除湿風路12aと冷却風路12bとを通過したそれぞれの空気は、送風部11で混合され、吹出口4から本体ケース外へ送風される。
【0038】
続いて、図4図7を用いて安全機能部7の構成を説明する。なお、図4は本発明の実施の形態における除湿装置の断面図であり、図5は本発明の実施の形態における除湿装置の同除湿装置の断面斜視図であり、図6は本発明の実施の形態における除湿装置の安全機能部を説明する概略図であり、図7は本発明の実施の形態における除湿装置の除湿装置の2つ断面を示す断面図である。
【0039】
安全機能部7は、除湿機能部6にて異常が発生した際に、当該異常を検知し、除湿機能部6の一部の動作を停止させるものであり、電源供給基盤(図示せず)と、配線(図示せず)と、温度ヒューズ23と、を備える。
【0040】
電源供給基盤は、除湿機能部6へと送電し、除湿機能部6を動作させるものである。電源供給基盤からの送電が停止した際には、除湿機能部6は動作を停止する。
【0041】
配線は、電源供給基盤から発熱部20までを繋ぐ導電性の線であり、電源供給基盤から温度ヒューズ23までを繋ぐ上流側配線(図示せず)と、温度ヒューズ23から発熱部20までを繋ぐ下流側配線(図示せず)を備える。
【0042】
温度ヒューズ23は、導電性の線であり、上流側配線と下流側配線とを直列回路で接続する。温度ヒューズ23は、平面部下流面16bに対向し、かつ除湿ロータ13の回転方向において発熱部20の下流側直近に設けられている。また、温度ヒューズ23は、内部温度が溶断温度に達した際に溶断する。詳細については後述する。
【0043】
以上の構成において、除湿機能部6の詳細な動作について説明する。
【0044】
送風部11により吸込口3から除湿風路12a内に吸引された屋内空間の空気は、吸湿部17により水分が吸湿されることで除湿される。除湿された空気は、吹出口4から屋内空間へと送風される。吸湿部17にて吸湿された水分は、除湿ロータ13の回転駆動により放湿部18に移動し、発熱部20の加熱により循環風路19内へ放出される。放湿部18から放出された水分を含んだ空気は、循環送風機22の送風により、熱交換器21へと送風される。熱交換器21では、熱交換器21内を通過する循環風路19内の空気と、熱交換器21を通過する冷却風路12b内の空気とが熱交換を行う。この際、循環風路19内の空気は、冷却風路12b内の空気により冷却され、凝縮が発生する。この凝縮で発生した水は、貯水部5に集められ貯水される。熱交換器21を冷却し、温度が上昇した冷却風路12bの空気は、送風部11により、除湿風路12aの空気と混合され吹出口4から屋内空間へ送風される。このようにして、屋内空間の空気の除湿がなされる。
【0045】
ところで、除湿機能部6において、送風部11により吸込口3から除湿風路12a内に吸引された屋内空間の空気に含まれる有機物は、吸湿部17により水分と共に平面部16に吸着される。また、駆動手段15の故障により除湿ロータ13の回転が遅くなる(回転不良)という異常が想定される。当該異常においては、正常に動作している時(正常時)と比べて、平面部16が発熱部20を通過する時間が長くなり、平面部16の温度が正常時と比べて高温となる。また、異常の発生からの時間経過に伴い、平面部16は昇温し続ける。この時、平面部16に吸着された有機物も同時に昇温し続け、所定の燃焼温度に達することで燃焼をするという不安全が生じる可能性が有る。
【0046】
以上の構成において、安全機能部7の詳細な動作について説明する。
【0047】
図5に示すように、温度ヒューズ23は、平面部下流面16bに対向する位置に設けられているため、除湿風路12aにおいて平面部16を通過した後の空気(平面部通過後空気)が接触する。この際、平面部通過後空気の温度によって内部温度が変動する。具体的には、平面部通過後空気の温度が温度ヒューズ23の内部温度より高い第一温度である場合、温度ヒューズ23の内部温度は上昇し、時間経過と共に第一温度へと近づいていく。温度ヒューズ23の内部温度が第一温度までの昇温の過程で溶断温度に達したとき、温度ヒューズ23は溶断される。温度ヒューズ23は上流側配線と下流側配線とを直列回路で接続しているため、配線は電源供給基盤から発熱部20へと送電できなくなり、発熱部20は動作を停止する。これにより、異常時に発熱部20を動作停止させることが出来、不安全を回避することができる。更に、温度ヒューズ23は、異常時における平面部16の昇温を検知しやすいように、平面部16の回転方向において発熱部20の下流側直近に設けられている。平面部16の昇温は発熱部20によるものであり、平面部16は平面部16を通過する除湿風路12aの空気によって冷やされるため、平面部16の回転方向において発熱部20から下流に離れた位置ほど温度は低くなる。そのため、平面部16の回転方向において発熱部20から下流に離れた位置では、当該位置より上流の位置に比べて平面部通過後空気の温度が低くなる。即ち、正常時と異常時の通過後空気の温度差が小さくなり、温度ヒューズ23の溶断温度に達するまでの時間が長くなる。これらの理由により、温度ヒューズ23を平面部16の回転方向において発熱部20の下流側直近に設けることが望ましい。なお、溶断温度は、有機物が燃焼温度に達する前に平面部通過後空気によって温度ヒューズ23が溶断されるように設ける必要があり、発明の実施者によって適宜決定できるものである。本実施の形態において、溶断温度は169℃である。
【0048】
上記の構成としたことにより、異常の発生時に発熱部20を動作停止することが出来、不安全を回避することができる。
【0049】
図4図6に示すように、更に、安全機能部7は、温度ヒューズ23が溶断温度に達するまでの時間を短縮するために遮蔽板24を備える。
【0050】
遮蔽板24は、平面部下流面16bに対向するように設けられ、扇形状を有する板である。具体的には、発熱部20の除湿ロータ13の回転方向の下流側終端である発熱部下流側終端25(平面部16における発熱部20の除湿ロータ13の回転方向における下流側終端)から温度ヒューズ23に至るまでの位置に対向する。
【0051】
前述のように、平面部16の回転方向において発熱部20から下流に離れた位置では、当該位置より上流の位置に比べて平面部通過後空気の温度が低くなる。即ち、正常時と異常時の通過後空気の温度差が小さくなり、温度ヒューズ23の溶断温度に達するまでの時間が長くなる。上記の理由により、温度ヒューズ23は、発熱部下流側終端25に接した状態で設けることが望ましいと考えられる。しかし、温度ヒューズ23を発熱部下流側終端25に接した状態で設けた場合は、発熱部20の電熱線からの熱の影響を直接受けることとなり、正常時であっても溶断をしてしまうという不具合が想定される。そのため、発熱部20の電熱線からの熱の影響を受けない位置において、発熱部20の下流側直近に設けることが望ましい。この際、発熱部下流側終端25から温度ヒューズ23に至るまでの平面部16は除湿風路12aの空気の通過によって温度が低下する。
【0052】
上記の構成において、遮蔽板24の温度ヒューズ23が溶断温度に達するまでの時間を短縮する仕組みについて説明を行う。
【0053】
送風部11は除湿風路12aにおいて除湿ロータ13より下流に位置しており、遮蔽板24は、平面部16と送風部11の間に設けられていることとなる。このため、送風部11の動作時に平面部16の遮蔽板24が対向している位置において、除湿風路12aの風の通過が遮蔽板24によって遮られる。遮蔽板24は、発熱部下流側終端25から温度ヒューズ23に至るまでの位置に対向しているため、当該位置の空気の通過を遮ることとなり、発熱部下流側終端25から温度ヒューズ23に至るまでに平面部通過後空気の温度が低くなることを抑制することができる。これにより、遮蔽板24を設けていない場合に比べ、温度ヒューズ23にはより高温の平面部通過後空気が接触するため、温度ヒューズ23が溶断温度に達するまでの時間を短縮することができる。以上の構成により、安全性が向上した除湿装置を提供することができる。なお、空気の通過を遮る目的において、遮蔽板24と平面部下流面16bとの距離は極力近い方が望ましいが、これは発明の実施者によって適宜決定できるものである。本実施の形態において遮蔽板24と平面部下流面との距離は3mmである。
【0054】
図6に示すように、温度ヒューズ23は、溶断部23aと、接続部23bと、を備えている。
【0055】
溶断部23aは、除湿ロータ13が溶断温度となった際に溶断される箇所である。
【0056】
接続部23bは、溶断部23aの両端から伸びており、それぞれ上流側配線24aと下流側配線24bと接続されている。
【0057】
更に、遮蔽板24は、平面部下流面16bから溶断部23aへの空気の通過を遮ることなく、平面部下流面16bから接続部23bへの空気の通過を遮る形状であることが望ましい。
【0058】
上記の構成とすることにより、平面部下流面16bから接続部23bへ通過しないように遮られた空気は、溶断部23aへ接触することとなる。これにより、接続部23bへの空気の通過を遮らなかった時と比べて、溶断部23aにはより高温の平面部通過後空気が接触する。これにより、異常発生時から温度ヒューズ23が溶断されるまでの時間を更に短縮し、更に安全性が向上した除湿装置を提供することができる。
【0059】
遮蔽板24が、平面部下流面16bから溶断部23aへの空気の通過を遮ることなく、平面部下流面16bから接続部23bへの空気の通過を遮る形状の一例について説明する。
【0060】
図6に示すように、遮蔽板24は、除湿ロータ13の回転方向の下流側終端である遮蔽板下流側終端26から回転方向の上流側へ向けて凹んだ凹部27を備えている。
【0061】
凹部27は、凹みより形成された開口部27aに溶断部23aを配置し、凹部27における開口部27aを跨いで開口部27aの両端部に接続部23bを配置する形状である。
【0062】
上記の構成とすることにより、開口部27aのみを空気が通過することができるため、平面部下流面16bから溶断部23aへの空気の通過を遮ることなく、平面部下流面16bから接続部23bへの空気の通過を遮ることができる。これにより、異常発生時から温度ヒューズ23が溶断されるまでの時間を更に短縮し、更に除湿装置の安全性を向上することができる。
【0063】
図7は、本発明の実施の形態における除湿装置の同除湿装置の2つ断面を示す断面図である。
【0064】
図7に示すように、送風部11は、本体ケース2における背面と支持枠14との間に設けられ、ファンモータ11aと、ファン11bと、ファンケーシング11cと、を備えている。
【0065】
ファンモータ11aは、ファンケーシング11cに固定されており、水平方向に延びるように備えた回転軸(図示せず)を回転させる。ファンモータ11aの回転軸は、本体ケース2の正面側から背面側に延びている。
【0066】
ファン11bは、シロッコファンで、ファンモータ11aの回転軸(図示せず)に固定されている。
【0067】
ファンケーシング11cは、ファンモータ11aとファン11bとを囲むケーシングであり、吐出口29と吸気口28とを備える。
【0068】
吐出口29は、ファンケーシング11cの本体ケース2における上面側に設けられ、吸気口28からファンケーシング11c内に吸込まれた空気を吹出口4へと吹き出すための開口である。
【0069】
吸気口28は、ファンケーシング11cの本体ケース2における正面側に設けられており、除湿風路12aおよび冷却風路12bからファンケーシング11c内へと空気を吸い込むための開口である。また、吸気口28は、温度ヒューズ23に対して除湿ロータ13の回転方向における下流側に対向する位置に設けられている。即ち、平面部16を通過する空気が平面部上流面16aから平面部下流面16bに移動する際に除湿ロータ13の回転方向における上流側から下流側に向かう位置に配置されている。
【0070】
上記の構成において、遮蔽板24の凹部27は、更に通風空間30を備えた構成が望ましい。
【0071】
図8は平面部を通過した空気が吸気口に吸い込まれる空気の流れを示す概略図であり、図8(a)は通風空間を設けなかった空気の流れを示し、図8(b)は通風空間を設けた場合の空気の流れを示す。
【0072】
通風空間30は、溶断部23aの除湿ロータ13の回転方向における上流側に設けられ、平面部通過後空気が通過可能な空間である。通風空間30は、凹部27の除湿ロータ13の回転方向における下流側終端より所定通風距離を平面部通過後空気が通過可能なように開口とするものである。
【0073】
通風空間30を設けなかった場合、平面部16を通過する空気は平面部上流面16aから平面部下流面16bに移動する際に除湿ロータ13の回転方向における上流側から下流側に向かうため、図8(a)に示すように、平面部通過後空気は溶断部23aの除湿ロータ13の回転方向における下流側の一部にしか接触しない。このため、溶断部23aの全体に平面部通過後空気が接触する場合に比べて内部温度の上昇に時間を要する。一方、図8(b)に示すように、凹部27が通風空間30を備えた場合、平面部通過後空気は溶断部23aの全体に接触することができるため、異常発生時から温度ヒューズ23が溶断されるまでの時間を短縮できる。なお、通風空間30の所定通風距離は、凹部27と吸気口28の位置関係により適切な長さが決まるものであり、発明の実施者によって適宜決定できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は除湿装置に関するもので、安全性が向上した除湿装置としての使用が期待できる。
【符号の説明】
【0075】
1 除湿装置
2 本体ケース
3 吸込口
4 吹出口
5 貯水部
6 除湿機能部
7 安全機能部
8 ルーバー
9 除湿手段
10 再生ユニット
11 送風部
11a ファンモータ
11b ファン
11c ファンケーシング
12 送風路
12a 除湿風路
12b 冷却風路
13 除湿ロータ
14 支持枠
14a 開口箇所
15 駆動手段
16 平面部
16a 平面部上流面
16b 平面部下流面
17 吸湿部
18 放湿部
19 循環風路
20 発熱部
21 熱交換器
22 循環送風機
23 温度ヒューズ
23a 溶断部
23b 接続部
24 遮蔽板
25 発熱部下流側終端
26 遮蔽板下流側終端
27 凹部
27a 開口部
28 吸気口
29 吐出口
30 通風空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8