IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 帝人株式会社の特許一覧

特開2023-139354ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139354
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 69/00 20060101AFI20230927BHJP
   C08K 5/1535 20060101ALI20230927BHJP
   C08K 5/103 20060101ALI20230927BHJP
   C08K 5/524 20060101ALI20230927BHJP
   C08K 5/3467 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
C08L69/00
C08K5/1535
C08K5/103
C08K5/524
C08K5/3467
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044839
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】田辺 誠一
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CG011
4J002CG021
4J002DH028
4J002EE039
4J002EH047
4J002EH099
4J002EL076
4J002EU179
4J002EU189
4J002EW018
4J002EW068
4J002EW088
4J002EW128
4J002FD059
4J002FD066
4J002FD078
4J002FD167
4J002GC00
4J002GL00
4J002GM00
4J002GN00
4J002GP00
4J002GP01
4J002GQ00
(57)【要約】
【課題】成形時の離型性が良好で、高温環境下で色相の変化が少なく長寿命で耐乾熱性に優れ、成形品や成形屑を再溶融成形しても色相の変化が少ないリサイクル性(リプロ性)に優れたポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供する。
【解決手段】(A)ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、(B)ベンゾフラノン誘導体(B成分)を0.001~0.2重量部、(C)炭素原子数3~30の多価アルコールと炭素原子数10~22の脂肪族カルボン酸とから得られるエステル化合物(C成分)0.01~1.0重量部を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、(B)ベンゾフラノン誘導体(B成分)を0.001~0.2重量部、(C)炭素原子数3~30の多価アルコールと炭素原子数10~22の脂肪族カルボン酸とから得られるエステル化合物(C成分)0.01~1.0重量部を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項2】
B成分が、下記式〔1〕で表されるベンゾフラノン誘導体である請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【化1】
[式〔1〕中、R、R、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表し、R、R、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表し、Rは水素原子または水酸基を表し、nは0、1、2または3の整数を表す。]
【請求項3】
C成分が炭素原子数3~5で水酸基の数が3~5の脂肪族アルコールと、炭素原子数14~22の飽和脂肪族カルボン酸とから得られるエステル化合物である請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項4】
C成分がグリセリンまたはペンタエリスリトールと、炭素原子数14~22の飽和脂肪族カルボン酸とから得られるエステル化合物である請求項1~3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項5】
ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、有機リン系酸化防止剤を0.001~0.5重量部含む、請求項1~4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項6】
前記有機リン系酸化防止剤が、ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物およびホスフィン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物である請求項5記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項7】
ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、紫外線吸収剤を0.01~5重量部含む請求項1~6のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項8】
前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤およびマロン酸エステル系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1つの紫外線吸収剤である請求項7記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項9】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含まない請求項1~8のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離型性、耐乾熱性およびリプロ性に優れたポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品に関する。さらに詳しくは、成形時の離型性が良好で、高温環境下で色相の変化が少なく長寿命で、成形品や成形屑を再溶融成形しても色相の変化が少ないリサイクル性に優れたポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は、透明性、機械的特性、寸法安定性および難燃性といったその優れた特性から光学部品、機械部品、自動車部品、電気・電子部品、事務機器部品などの多くの用途に用いられている。近年、限られた資源を消費する問題や二酸化炭素の排出による環境問題などがクローズアップされ、ポリカーボネート樹脂においても、製品の長寿命化の検討や製品を回収して再利用するリサイクルの検討が行われている。しかしポリカーボネート樹脂は高温環境下での長時間の暴露や、溶融成形の繰り返しなどで熱履歴をかけるとポリカーボネート樹脂が黄変して色相が悪化するという問題がある。
【0003】
例えば、特許文献1にはポリカーボネート-ポリオルガノシロキサン共重合体を含むポリカーボネート樹脂組成物が、劣化したリサイクル材の衝撃性を回復させることが開示されているが、高温環境下や再溶融成形における色相の変化に関する記載はない。特許文献2にはポリカーボネート樹脂に(メタ)アクリレート共重合体とリン系安定剤と硫黄系酸化防止剤を配合したポリカーボネート樹脂組成物が、繰り返し成形した際の色相変化が少ないことが開示されているが、長時間の熱暴露に関する記載はない。特許文献3にはベンゾフラノン誘導体を配合したポリプロピレン樹脂が繰り返し押し出しした際の色相変化が少ないことが例示されているが、ポリカーボネート樹脂への効果は不明である。特許文献4にはポリカーボネート樹脂にベンゾフラノン誘導体を配合した組成物が長時間の熱暴露で色相変化が少ない事が例示されているが、繰り返し熱履歴をかけた際の色相変化や成形性に関する記載がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-145439号公報
【特許文献2】特開2012-36264号公報
【特許文献3】特開2012-193158号公報
【特許文献4】特表2021-503021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、成形時の離型性が良好で、高温環境下で色相の変化が少なく長寿命で耐乾熱性に優れ、成形品や成形屑を再溶融成形しても色相の変化が少ないリサイクル性(リプロ性)に優れたポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂に、特定のベンゾフラノン誘導体および特定のエステル化合物を配合したポリカーボネート樹脂組成物が上記目的を達成することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、下記構成(1)~(10)が提供される。
【0007】
(1)(A)ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、(B)ベンゾフラノン誘導体(B成分)を0.001~0.2重量部、(C)炭素原子数3~30の多価アルコールと炭素原子数10~22の脂肪族カルボン酸とから得られるエステル化合物(C成分)0.01~1.0重量部を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
(2)B成分が、下記式〔1〕で表されるベンゾフラノン誘導体である前項(1)記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【0008】
【化1】
【0009】
[式〔1〕中、R、R、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表し、R、R、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表し、Rは水素原子または水酸基を表し、nは0、1、2または3の整数を表す。]
【0010】
(3)C成分が炭素原子数3~5で水酸基の数が3~5の脂肪族アルコールと、炭素原子数14~22の飽和脂肪族カルボン酸とから得られるエステル化合物である前項(1)または(2)に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(4)C成分がグリセリンまたはペンタエリスリトールと、炭素原子数14~22の飽和脂肪族カルボン酸とから得られるエステル化合物である前項(1)~(3)のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(5)ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、有機リン系酸化防止剤を0.001~0.5重量部含む、前項(1)~(4)のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(6)前記有機リン系酸化防止剤が、ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物およびホスフィン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物である前項(5)記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(7)ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、紫外線吸収剤を0.01~5重量部含む前項(1)~(6)のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(8)前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤およびマロン酸エステル系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1つの紫外線吸収剤である前項(7)記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(9)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含まない前項(1)~(8)のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(10)前項(1)~(9)のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品。
【発明の効果】
【0011】
本発明はポリカーボネート樹脂、ベンゾフラノン誘導体およびエステル化合物からなるポリカーボネート樹脂組成物であり、成形時の離型性が良好で、長期間熱にさらされる用途で使用しても変色が極めて少なく耐乾熱性に優れ、また成形時に発生するスプルーなどの端材および成形品自体を再溶融させても極めて変色が少ないリサイクル性(リプロ性)に優れた成形品を提供できる。すなわち成形品を長期間使用できるとともに、成形時の廃棄物を減らし、成形品を再利用できるため、その工業的効果は極めて大である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0013】
<A成分:ポリカーボネート樹脂>
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、通常ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。
【0014】
ここで使用されるジヒドロキシ成分としては、通常ポリカーボネート樹脂のジヒドロキシ成分として使用されているものであればよく、ビスフェノール類でも脂肪族ジオール類でも良い。
【0015】
ビスフェノール類としては、例えば4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,3’-ビフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2-ビス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエ-テル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルエ-テル、4,4’-スルホニルジフェノール、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’-ジメチル-4,4’-スルホニルジフェノール、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド、2,2’-ジフェニル-4,4’-スルホニルジフェノール、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジフェニルジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジフェニルジフェニルスルフィド、1,3-ビス{2-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4-ビス{2-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,8-ビス(4-ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,4’-(1,3-アダマンタンジイル)ジフェノール、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタンおよび下記式〔2〕で表されるシロキサン構造を有するビスフェノール化合物等が挙げられる。
【0016】
【化2】
【0017】
[式中、RおよびRは夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基であり、R、R、R、R、RおよびR10は、各々独立に水素原子、炭素原子数1~12のアルキル基または炭素原子数6~12の置換若しくは無置換のアリール基であり、pおよびqは夫々1~4の整数でありeは自然数であり、fは0または自然数であり、e+fは1~100の自然数である。Xは炭素原子数2~8の二価脂肪族基である。]
【0018】
脂肪族ジオール類としては、例えば2,2-ビス-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパン、1,14-テトラデカンジオール、オクタエチレングリコール、1,16-ヘキサデカンジオール、4,4’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}メタン、1,1-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}エタン、1,1-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}-1-フェニルエタン、2,2-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル}プロパン、1,1-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス{4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,3’-ビフェニル}プロパン、2,2-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソプロピルフェニル}プロパン、2,2-ビス{3-t-ブチル-4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}ブタン、2,2-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}-4-メチルペンタン、2,2-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}オクタン、1,1-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}デカン、2,2-ビス{3-ブロモ-4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2-ビス{3,5-ジメチル-4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2-ビス{3-シクロヘキシル-4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、1,1-ビス{3-シクロヘキシル-4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}ジフェニルメタン、9,9-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレン、9,9-ビス{4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル}フルオレン、1,1-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,1-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロペンタン、4,4’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ジフェニルエ-テル、4,4’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-3,3’-ジメチルジフェニルエ-テル、1,3-ビス[2-{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4-ビス[2-{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,3-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、4,8-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,3-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}-5,7-ジメチルアダマンタン、3,9-ビス(2-ヒドロキシー1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-ソルビトール(イソソルビド)、1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-マンニトール(イソマンニド)、1,4:3,6-ジアンヒドロ-L-イジトール(イソイディッド)等が挙げられる。
【0019】
これらの中で芳香族ビスフェノール類が好ましく、なかでも1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、4,4’-スルホニルジフェノール、2,2’-ジメチル-4,4’-スルホニルジフェノール、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,3-ビス{2-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、および1,4-ビス{2-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、上記式〔2〕で表されるビスフェノール化合物が好ましく、殊に2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’-スルホニルジフェノール、および9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、上記式〔2〕で表されるビスフェノール化合物が好ましい。中でも強度に優れ、良好な耐久性を有する2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンが最も好適である。また、これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0020】
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、分岐化剤を上記のジヒドロキシ化合物と併用して分岐化ポリカーボネート樹脂としてもよい。かかる分岐ポリカーボネート樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6-ジメチル-2,4,6-トリス(4-ヒドロキジフェニル)ヘプテン-2、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、26-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、4-{4-[1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}-α,α-ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4-ビス(4,4-ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0021】
これらのポリカーボネート樹脂は、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロキシ成分にホスゲンや炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。その製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
【0022】
カーボネート前駆物質として、例えばホスゲンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0~40℃であり、反応時間は数分~5時間である。
【0023】
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120~300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また、反応を促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
【0024】
本発明において、重合反応においては末端停止剤を使用する。末端停止剤は分子量調節のために使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる末端停止剤としては、下記一般式〔3〕~〔5〕で表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0025】
【化3】
【0026】
[式〔3〕中、Aは水素原子、炭素原子数1~9のアルキル基、アルキルフェニル基(アルキル部分の炭素原子数は1~9)、フェニル基またはフェニルアルキル基(アルキル部分の炭素原子数1~9)であり、rは1~5、好ましくは1~3の整数である。]
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】
【0029】
[式〔4〕、〔5〕中、Yは-R-O-、-R-CO-O-または-R-O-CO-である、ここでRは単結合または炭素原子数1~10、好ましくは1~5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、nは10~50の整数を示す。]
【0030】
上記式〔3〕で表される単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、イソプロピルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、p-クレゾール、p-クミルフェノール、2-フェニルフェノール、4-フェニルフェノール、およびイソオクチルフェノールなどが挙げられる。
【0031】
また、上記式〔4〕または〔5〕で表される単官能フェノール類は、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族エステル基を置換基として有するフェノール類であり、これらを用いてポリカーボネート樹脂の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が改良され、成形加工が容易になるばかりでなく、樹脂の吸水率を低くする効果があり好ましく使用される。
【0032】
上記式〔4〕の置換フェノール類としてはnが10~30、特に10~26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。
【0033】
また、上記式〔5〕の置換フェノール類としてはYが-R-COO-であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10~30、特に10~26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。
【0034】
これら単官能フェノール類の内、上記式〔3〕で表される単官能フェノール類が好ましく、より好ましくはアルキル置換もしくはフェニルアルキル置換のフェノール類であり、特に好ましくはp-tert-ブチルフェノール、p-クミルフェノールまたは2-フェニルフェノールである。
【0035】
これらの単官能フェノール類の末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%末端に導入されることが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0036】
本発明のA成分として用いられるポリカーボネート樹脂は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸あるいはその誘導体を共重合したポリエステルカーボネートであってもよい。
【0037】
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、11,500~50,000の範囲が好ましく、12,500~40,000がより好ましく、13,500~35,000の範囲がさらに好ましく、15,000~30,000の範囲が最も好ましい。分子量が上記範囲を越えると溶融粘度が高くなりすぎて成形性に劣る場合があり、分子量が上記範囲未満であると機械的強度に問題が生じる場合がある。なお、本発明でいう粘度平均分子量は、まず次式にて算出される比粘度を塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、求められた比粘度を次式に挿入して粘度平均分子量Mvを求める。
比粘度(ηSP)=(t-t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-4Mv0.83
c=0.7
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、樹脂中の全Cl(塩素)量が好ましくは0~500ppm、より好ましくは0~350ppmである。ポリカーボネート樹脂中の全Cl量が上記範囲であると、色相および熱安定性に優れ好ましい。
【0038】
<B成分:ベンゾフラノン誘導体>
本発明のB成分として使用されるベンゾフラノン誘導体は、ポリカーボネート樹脂の製造時または成形加工時およびポリカーボネート樹脂成形品の熱安定性を向上させ、ポリカーボネート樹脂の変色を抑制することができる。本発明で使用されるベンゾフラノン誘導体は、特に下記式〔1〕で示される化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のベンゾフラノン誘導体が好ましい。
【0039】
【化6】
【0040】
[式〔1〕中、R、R、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表し、R、R、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表し、Rは水素原子または水酸基を表し、nは0、1、2または3の整数を表す。]
具体的には、下記式〔6〕~〔8〕で示される化合物が例示され、特に下記式〔7〕で示される化合物が好ましい。
【0041】
【化7】
【0042】
【化8】
【0043】
【化9】
【0044】
ベンゾフラノン誘導体の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001~0.2重量部の範囲であり、0.005~0.15重量部の範囲が好ましく、0.008~0.1重量部の範囲がより好ましく、0.01~0.05重量部の範囲がさらに好ましい。上記範囲より少ないと、熱を受けた際の変色抑制効果(耐乾熱性)が不十分であり好ましくない。また、上記範囲を超える量を配合してもより高い効果は見られず、かえって耐乾熱性が低下するため好ましくない。
ベンゾフラノン誘導体はChitec社からRevonox501(商品名)等として市販されており、容易に利用できる。
【0045】
<C成分:エステル化合物>
本発明のC成分として使用されるエステル化合物は、炭素原子数3~30の多価アルコールと炭素原子数10~22の脂肪族カルボン酸とから得られるエステル化合物であり、本発明のポリカーボネート樹脂の耐乾熱性を悪化させることなく、成形時に成形品の離形性を向上させることができる。
【0046】
本発明のエステル化合物は、多価アルコールと脂肪族カルボン酸から従来公知の各種方法で製造することができる。反応触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、並びに2-エチルヘキシル錫などの有機錫化合物が挙げられる。
【0047】
多価アルコールは、炭素原子数が3~30であり、好ましくは3~12であり、より好ましくは3~8であり、さらに好ましくは3~5である。多価アルコ-ルの価数(水酸基数)が、好ましくは3~8であり、より好ましくは3~6であり、さらに好ましくは3~5である。多価アルコ-ルは、炭素鎖中にエーテル結合を含んでいてもよい。
【0048】
多価アルコールの具体例としては、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリグリセロール(トリグリセロール~ヘキサグリセロール)、ジトリメチロールプロパン、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトールなどが挙げられ、中でもグリセリン、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトールが好ましく、特にグリセリンまたはペンタエリスリトールが好ましい。
【0049】
脂肪族カルボン酸は、例えばデカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、イコサン酸、およびドコサン酸などの飽和脂肪族カルボン酸、並びにパルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エイコサペンタエン酸、およびセトレイン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸を挙げることができる。上記の中で炭素原子数14~22であるものが好ましい。なかでも飽和脂肪族カルボン酸が好ましい。特にステアリン酸およびパルミチン酸あるいはこれらの混合脂肪族カルボン酸が好ましい。
【0050】
ステアリン酸やパルミチン酸などの脂肪族カルボン酸は通常、動物性油脂(牛脂および豚脂など)や植物性油脂(パーム油など)などの天然油脂類から製造される。したがってステアリン酸などの脂肪族カルボン酸は通常炭素原子数の異なる他のカルボン酸成分を含む混合物である。本発明のエステル化合物の製造においてもかかる天然油脂類から製造され、他のカルボン酸成分を含む混合物の形態からなるステアリン酸やパルミチン酸が好ましく使用される。
【0051】
エステル化合物の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.01~1.0重量部であり、0.02~0.5重量部が好ましく、0.03~0.3重量部がより好ましく、0.03~0.2重量部がさらに好ましい。該エステル化合物が上記範囲よりも少ない場合には離型性の改善効果が十分でない。一方、該エステル化合物が上記範囲よりも多い場合には成形品の透明性を損ない、耐乾熱性が低下するため好ましくない。
【0052】
<その他の成分>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない限り、成形品への種々の機能の付与や特性改善のために、それ自体知られた添加剤を配合することができる。以下これら添加剤について具体的に説明する。
【0053】
(I)熱安定剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には公知の各種熱安定剤を配合することができる。具体的には、有機リン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。
【0054】
かかる有機リン系酸化防止剤の具体例としては、亜リン酸(ホスファイト)、ホスホナイト、ホスフィナイト、ホスフィン、リン酸(ホスフェート)、ホスホネート、ホスフィネート、ホスフィンオキサイドなどが例示され、中でもホスファイト、ホスホナイト、ホスフィン、ホスホネート、ホスフェートが好ましく用いられる。具体的にはホスファイト化合物としては、例えば、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリプロピルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-iso-プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-n-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。更に他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。
【0055】
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-n-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト等が挙げられ、テトラキス(ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
【0056】
ホスフィン化合物としては、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリアミルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリナフチルホスフィン、およびジフェニルベンジルホスフィンなどが例示される。特に好ましいホスフィン化合物は、トリフェニルホスフィンである。
【0057】
ホスホネート化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
【0058】
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
【0059】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えばビタミンE、n-オクタデシル-β-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェル)プロピオネート、2-tert-ブチル-6-(3’-tert-ブチル-5’-メチル-2’-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(N,N-ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2’-ジメチレン-ビス(6-α-メチル-ベンジル-p-クレゾール)2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-ブチリデン-ビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-N-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、1,6-へキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス[2-tert-ブチル-4-メチル6-(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1,-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’-ジ-チオビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-トリ-チオビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、N,N’-ヘキサメチレンビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス2[3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどを挙げることができ、好ましく使用できる。
【0060】
なかでも、n-オクタデシル-β-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェル)プロピオネート、2-tert-ブチル-6-(3’-tert-ブチル-5’-メチル-2’-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1,-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、およびテトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましく、さらにn-オクタデシル-β-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェル)プロピオネートが好ましい。
【0061】
上記に挙げた有機リン系酸化防止剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤はそれぞれ単独または2種以上併用することができる。これらの有機リン系酸化防止剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量はそれぞれ、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.001~0.5重量部であることが好ましい。より好ましくは0.005~0.3重量部であり、さらに好ましくは0.01~0.1重量部である。
【0062】
なお、ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、配合量が多いと、本発明のベンゾフラノン誘導体の効果を阻害する場合があり、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、その配合量は0.02重量部以下が好ましく、0.01重量部以下がより好ましく、0.005重量部以下がさらに好ましく、0.001重量部以下が特に好ましい。また、実質的に配合しないこと(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含まないこと)が好ましい。
【0063】
(II)離型剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じて上記(C)成分以外の離型剤を配合することができる。かかる離型剤としてはそれ自体公知のものが使用できる。例えば、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックスまたは1-アルケン重合体が挙げられる。これらは酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、シリコーン化合物、フッ素化合物、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。これらの中でも直鎖状または環状のポリジメチルシロキサンオイル、ポリメチルフェニルシリコーンオイルおよびフッ素オイルが好ましい。かかる離型剤の含有量はポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.01~1重量部が好ましい。
【0064】
(III)紫外線吸収剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤を配合することができる。かかる紫外線吸収剤としては、例えば2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-ドデシルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ベンジロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ-5-ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタンなどに代表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0065】
紫外線吸収剤としては例えば2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-ドデシル-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’-(3”,4”,5”,6”-テトラフタルイミドメチル)-5’-メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、メチル-3-[3-tert-ブチル-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニルプロピオネート-ポリエチレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0066】
紫外線吸収剤としては例えば、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシ-フェノール、2-(4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシ-フェノールなどに代表されるヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0067】
紫外線吸収剤としては例えば、2-(1-アリールアルキリデン)マロン酸エステル類のクラリアントジャパン社製 Hostavin PR-25やクラリアントジャパン社製 Hostavin B-CAPなどに代表されるマロン酸エステル系化合物を挙げることができる。
【0068】
特にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤およびマロン酸エステル系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1つの紫外線吸収剤が好ましい。
【0069】
紫外線吸収剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.01~5重量部が好ましく、より好ましくは0.03~3重量部であり、更に好ましくは0.05~1重量部であり、0.1~0.5重量部が最も好ましい。
【0070】
(IV)光安定剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じて光安定剤を配合することができる。かかる光安定剤としては、例えばビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2n-ブチルマロネート、1,2,3,4-ブタンカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、1,2,3,4-ブタンジカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{[6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)イミノ]}、ポリ{[6-モルフォリノ-s-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)イミノ]}、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールとβ,β,β’,β’-テトラメチル-3,9-(2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4-ビス[N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ]-クロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールとβ,β,β’,β’-テトラメチル-3,9-(2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、ポリメチルプロピル3-オキシ-[4-(2,2,6,6-テトラメチル)ピペリジニル]シロキサンに代表されるヒンダードアミンが挙げられる。
【0071】
光安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.01~5重量部が好ましく、より好ましくは0.02~1重量部である。
【0072】
(V)ブルーイング剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には紫外線吸収剤などに基づく黄色味を打ち消すためにブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤としては通常ポリカーボネート樹脂に使用されるものであれば、特に支障なく使用することができる。一般的にはアンスラキノン系染料が入手容易であり好ましい。具体的なブルーイング剤としては、例えば一般名Solvent Violet13[CA.No(カラーインデックスNo)60725;商標名 バイエル社製「マクロレックスバイオレットB」、三菱化学社製「ダイアレジンブルーG」、住友化学工業社製「スミプラストバイオレットB」]、一般名Solvent Violet31[CA.No68210;商標名 三菱化学社製「ダイアレジンバイオレットD」]、一般名Solvent Violet33[CA.No60725;商標名 三菱化学社製「ダイアレジンブルーJ」]、一般名Solvent Blue94[CA.No61500;商標名 三菱化学社製「ダイアレジンブルーN」]、一般名Solvent Violet36[CA.No68210;商標名 バイエル社製「マクロレックスバイオレット3R」]、一般名Solvent Blue97[商標名 バイエル社製「マクロレックスブルーRR」]および一般名Solvent Blue45[CA.No61110;商標名 クラリアント社製「ポリシンスレンブルーRLS」]等が挙げられ、特に、マクロレックスブルーRR、マクロレックスバイオレットBやポリシンスレンブルーRLSが好ましい。
【0073】
ブルーイング剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.000005~0.001重量部が好ましく、より好ましくは0.00001~0.0001重量部である。
【0074】
(VI)蛍光増白剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物において蛍光増白剤は、樹脂等の色調を白色あるいは青白色に改善するために用いられるものであれば特に制限はなく、例えばスチルベン系、ベンズイミダゾール系、ベンズオキサゾール系、ナフタルイミド系、ローダミン系、クマリン系、オキサジン系化合物等が挙げられる。具体的には例えばCI Fluorescent Brightener 219:1や、イーストマンケミカル社製EASTOBRITE OB-1やハッコールケミカル社製「ハッコールPSR」、などを挙げることができる。ここで蛍光増白剤は、光線の紫外部のエネルギーを吸収し、このエネルギーを可視部に放射する作用を有するものである。
【0075】
蛍光増白剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.001~0.1重量部が好ましく、より好ましくは0.001~0.05重量部である。
【0076】
(VII)エポキシ化合物
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じてエポキシ化合物を配合することができる。かかるエポキシ化合物は、金型腐食を抑制するという目的で配合されるものであり、基本的にエポキシ官能基を有するもの全てが適用できる。好ましいエポキシ化合物の具体例としては、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロセキサン付加物、メチルメタクリレートとグリシジルメタクリレートの共重合体、スチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体等が挙げられる。
【0077】
かかるエポキシ化合物の添加量としては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.003~0.2重量部が好ましく、より好ましくは0.004~0.1重量部であり、さらに好ましくは0.005~0.05重量部である。
【0078】
(VIII)有機金属塩
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、有機金属塩化合物を配合することができる。かかる有機金属塩は、難燃性を付与するという目的で配合されているものであり、炭素原子数1~50、好ましくは1~40の有機酸のアルカリ(土類)金属塩であることが好ましく、有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩であることがより好ましい。この有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩には、炭素原子数1~10、好ましくは2~8のパーフルオロアルキルスルホン酸とアルカリ金属またはアルカリ土類金属との金属塩の如きフッ素置換アルキルスルホン酸の金属塩、並びに炭素原子数7~50、好ましくは7~40の芳香族スルホン酸とアルカリ金属またはアルカリ土類金属との金属塩が含まれる。金属塩を構成するアルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムが挙げられ、アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムが挙げられる。より好適にはアルカリ金属である。かかるアルカリ金属の中でも、透明性の要求がより高い場合にはイオン半径のより大きいルビジウムおよびセシウムが好適である一方、これらは汎用的でなくまた精製もし難いことから、結果的にコストの点で不利となる場合がある。一方、リチウムおよびナトリウムなどのより小さいイオン半径の金属は逆に難燃性の点で不利な場合がある。これらを勘案してスルホン酸アルカリ金属塩中のアルカリ金属を使い分けることができるが、いずれの点においても特性のバランスに優れたスルホン酸カリウム塩が最も好適である。かかるカリウム塩と他のアルカリ金属からなるスルホン酸アルカリ金属塩とを併用することもできる。
【0079】
パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸カリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、パーフルオロヘプタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸セシウム、パーフルオロオクタンスルホン酸セシウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸ルビジウム、およびパーフルオロヘキサンスルホン酸ルビジウム等が挙げられ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。ここでパーフルオロアルキル基の炭素原子数は、1~18の範囲が好ましく、1~10の範囲がより好ましく、更に好ましくは1~8の範囲である。これらの中で特にパーフルオロブタンスルホン酸カリウムが好ましい。アルカリ金属からなるパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩中には、通常少なからず弗化物イオンが混入する。かかる弗化物イオンの存在は難燃性を低下させる要因となり得るので、できる限り低減されることが好ましい。かかる弗化物イオンの割合はイオンクロマトグラフィー法により測定できる。弗化物イオンの含有量は、100ppm以下が好ましく、40ppm以下が更に好ましく、10ppm以下が特に好ましい。また製造効率的に0.2ppm以上であることが好適である。かかる弗化物イオン量の低減されたパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、製造方法は公知の製造方法を用い、かつ含フッ素有機金属塩を製造する際の原料中に含有される弗化物イオンの量を低減する方法、反応により得られた弗化水素などを反応時に発生するガスや加熱によって除去する方法、並びに含フッ素有機金属塩を製造に再結晶および再沈殿等の精製方法を用いて弗化物イオンの量を低減する方法などによって製造することができる。特に有機金属塩系難燃剤は比較的水に溶けやすいこことから、イオン交換水、特に電気抵抗値が18MΩ・cm以上、すなわち電気伝導度が約0.55μS/cm以下を満足する水を用い、かつ常温よりも高い温度で溶解させて洗浄を行い、その後冷却させて再結晶化させる工程により製造することが好ましい。
【0080】
芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の具体例としては、例えばジフェニルサルファイド-4,4’-ジスルホン酸ジナトリウム、ジフェニルサルファイド-4,4’-ジスルホン酸ジカリウム、5-スルホイソフタル酸カリウム、5-スルホイソフタル酸ナトリウム、ポリエチレンテレフタル酸ポリスルホン酸ポリナトリウム、1-メトキシナフタレン-4-スルホン酸カルシウム、4-ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム、ポリ(2,6-ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,3-フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,4-フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(2,6-ジフェニルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリカリウム、ポリ(2-フルオロ-6-ブチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸リチウム、ベンゼンスルホネートのスルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ストロンチウム、ベンゼンスルホン酸マグネシウム、p-ベンゼンジスルホン酸ジカリウム、ナフタレン-2,6-ジスルホン酸ジカリウム、ビフェニル-3,3’-ジスルホン酸カルシウム、ジフェニルスルホン-3-スルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホン-3-スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン-3,3’-ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン-3,4’-ジスルホン酸ジカリウム、α,α,α-トリフルオロアセトフェノン-4-スルホン酸ナトリウム、ベンゾフェノン-3,3’-ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン-2,5-ジスルホン酸ジナトリウム、チオフェン-2,5-ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン-2,5-ジスルホン酸カルシウム、ベンゾチオフェンスルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホキサイド-4-スルホン酸カリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、およびアントラセンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物などを挙げることができる。これら芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩では、特にカリウム塩が好適である。これらの芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の中でも、ジフェニルスルホン-3-スルホン酸カリウム、およびジフェニルスルホン-3,3’-ジスルホン酸ジカリウムが好適であり、特にこれらの混合物(前者と後者の重量比が15/85~30/70)が好適である。
【0081】
スルホン酸アルカリ(土類)金属塩以外の有機金属塩としては、硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩および芳香族スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩などが好適に例示される。硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩としては、特に一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩を挙げることができ、かかる一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルとしては、メチル硫酸エステル、エチル硫酸エステル、ラウリル硫酸エステル、ヘキサデシル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル、ペンタエリスリトールのモノ、ジ、トリ、テトラ硫酸エステル、ラウリン酸モノグリセライドの硫酸エステル、パルミチン酸モノグリセライドの硫酸エステル、およびステアリン酸モノグリセライドの硫酸エステルなどを挙げることができる。これらの硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩として好ましくはラウリル硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩が挙げられる。芳香族スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩としては、例えばサッカリン、N-(p-トリルスルホニル)-p-トルエンスルホイミド、N-(N’-ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミド、およびN-(フェニルカルボキシル)スルファニルイミドのアルカリ(土類)金属塩などが挙げられる。
【0082】
有機金属塩の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは0.001~1重量部、より好ましくは0.005~0.5重量部、さらに好ましくは0.01~0.3重量部、特に好ましくは0.03~0.15重量部である。
【0083】
(IX)その他
上記以外にも本発明の樹脂組成物には、強化充填剤、摺動剤(例えばPTFE粒子)、着色剤、蛍光染料、無機系蛍光体(例えばアルミン酸塩を母結晶とする蛍光体)、帯電防止剤、結晶核剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(例えば微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛)、光拡散剤、流動改質剤、ラジカル発生剤、赤外線吸収剤(熱線吸収剤)、並びにフォトクロミック剤などを配合することができる。
【0084】
<ポリカーボネート樹脂組成物の製造>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分、B成分、C成分および任意に他の成分をそれぞれV型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行い、その後ベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する方法が挙げられる。別法として、A成分、B成分、C成分および任意に他の成分をそれぞれ独立にベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機に供給する方法、A成分および他の成分の一部を予備混合した後、残りの成分を独立して溶融混練機に供給する方法、B成分とC成分のそれぞれまたは両方を水または有機溶剤で希釈混合した後、溶融混練機に供給、またはかかる希釈混合物を他の成分と予備混合した後、溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。なお、配合する成分に液状のものがある場合には、溶融混練機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用することができる。
【0085】
<成形品>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品を製造するには、任意の方法が採用される。例えば該ポリカーボネート樹脂組成物を押出機、バンバリーミキサーまたはロール等で混練した後、射出成形、押出成形または圧縮成形等従来公知の方法で成形して、成形品を得ることができる。
【0086】
成形品の具体的な用途しては、例えば、室内や屋外に設置されるLED照明などの各種照明機器のハウジングや部材、ディスプレイモニター用のフィルムや部材、温室用のフィルムや窓などの建物用部材、パソコン、ゲーム機、プリンターなどの電子電気機器類の部材、洗濯機や食洗器など電化製品の部材、自動車用のヘッドランプや窓、オートバイの風防、ヘルメットのカバー、ゴーグル、眼鏡やカメラのレンズ等が挙げられる。
【0087】
本発明者が現在最良と考える本発明の形態は、前記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
【実施例0088】
以下に実施例を挙げてさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、使用した各成分と評価の詳細は以下の通りである。
(A成分)
A-1:ビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート樹脂(帝人社製:L-1225WX、粘度平均分子量19,700)
【0089】
(B成分)
B-1:〔4-ターシャリーブチル-2-(5-ターシャリーブチル-2-オキソ-3H-1-ベンゾフラン-3-イル)フェニル〕3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシベンゾエート(Chitec社製:Revonox501)
【0090】
(C成分)
C-1:グリセリンモノステアレート(理研ビタミン社製:リケマールS-100A)
C-2:ペンタエリスリトールテトラステアレート(日油社製:ユニスターH-476-S)
【0091】
(その他成分)
(熱安定剤)
D-1:トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(BASF社製:イルガフォス168)
D-2:トリフェニルホスフィン(城北化学社製:JC-263)
D-3:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社製:イルガノックス1010)
(紫外線吸収剤)
E-1:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASF社製:チヌビン234)
E-2:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(ADEKA社製:アデカスタブLA-31)
E-3:マロン酸エステル系紫外線吸収剤(クラリアント社製:ホスタビン PR-25)
(エポキシ化合物)
F-1:スチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体(日油社製:マープルーフG-0250SP)
【0092】
(ペレットの製造)
上記成分を表1に記載した割合で配合し、タンブラーで15分混合した後にスクリュー径30mmのベント式二軸押出機の日本製鋼所社製TEX30α(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)に供給し、シリンダー温度280℃で溶融混錬し、ストランド状に押し出された溶融樹脂組成物を水で冷却固化し、ペレタイザーでカットしてポリカーボネート樹脂組成物のペレット(押出回数1回)を得た。
【0093】
上記で得たポリカーボネート樹脂ペレットをスクリュー径30mmのベント付き単軸押出機のナカタニ機械製VSK型に供給し、シリンダー温度285℃で溶融混錬し、ストランド状に押し出された溶融樹脂を水で冷却固化し、ペレタイザーでカットしてペレット化した。得られたペレットを同様の押出条件でペレット化してポリカーボネート樹脂組成物のリペレット(押出回数3回)を得た。
【0094】
(評価方法)
(1)耐乾熱性
上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥し、射出成形機[日本製鋼所社製J85-ELIII]を用いて、成形温度270℃、金型温度80℃にて、幅50mm、長さ90mm、厚み2mmの成形板を成形した。この成形板を130℃で1000時間、熱風循環式乾燥機にて加熱処理した。加熱処理前の成形板と加熱処理後の成形板の黄色度(YI)を積分球分光光度計[X-Rite社製CE-7000A]を用いて、ASDM D1925に準拠して測定した。次の式より加熱処理後の成形板のYIの上昇幅(ΔYI)を算出した。
ΔYI=加熱処理後のYI-加熱処理前のYI
ΔYIが大きくなるほど黄色く変色し易く耐乾熱性が悪いことを示す。ΔYIが0.5以下のものを〇とし、0.5を超えるものを×とした。
【0095】
(2)リプロ性
上述の製造方法で得られたペレットおよびリペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥し、射出成形機[日本製鋼所社製J85-ELIII]を用いて、成形温度270℃、金型温度80℃にて、幅50mm、長さ90mm、厚み2mmの成形板を成形した。この成形板の色相(L*、a*、b*)を、積分球分光光度計[X-Rite社製CE-7000A]を用いて、光源D65、視野角10度、透過法の条件で測定した。次の式よりリペレットの成形板b*値の上昇幅(Δb*)を算出した。
Δb*=リペレットの成形板b*値-ペレットの成形板b*値
Δb*値が大きくなるほど黄色く変色し易くリプロ性が悪いことを示す。Δb*値が0.05以下は〇とし、0.05を超えるものは×とした。
【0096】
(3)離型性
上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥し、射出成形機[日本製鋼所社製J180ADS]を用いて、成形温度270℃、金型温度90℃にて、コップ状の成形品(開口部外径:70mm、底面外径:63mm、高さ:20mm、厚さ:4mm)を連続20ショット成形し、11~20ショット目の成形品の外観を目視にて観察した。成形品に変形や割れが見られると離型性が悪いことを示す。成形品に変形、割れがないものを〇、成形品に変形、割れが見られるものを×とした。
【0097】
[実施例1~11、および比較例1~5]
上述の樹脂ペレット製造で得られたペレットおよびリペレットを用いて、上述の評価方法に記載した耐乾熱性、リプロ性および離型性を評価した。評価結果を表1に示した。
【0098】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物およびそれから得られる成形品は、成形時の離型性が良好で、長期間熱にさらされる用途で使用しても変色が極めて少なく耐乾熱性に優れ、また成形時に発生するスプルーなどの端材および成形品自体を再溶融させても極めて変色が少ないリサイクル性(リプロ性)に優れた成形品が得られるため、LED照明を始めとする照明分野、OA機器分野、電気電子機器分野、自動車分野、建材分野などの各種工業用途に使用でき極めて有用である。