(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013936
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】分析情報管理方法及び分析情報管理システム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20230119BHJP
G01N 30/02 20060101ALN20230119BHJP
【FI】
G16H20/00
G01N30/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067628
(22)【出願日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】10202107791Q
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュラヴァン クマール ティワリ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】一又は複数のコンピューターを用いて、分析装置による分析に関連する情報を管理する分析情報管理方法及び分析情報管理システムを提供する。
【解決手段】分析装置の使用に関する作業ログ情報を包括ログ情報として収集するS2ことと、収集した包括ログ情報の少なくとも一部を利用して、手動分析作業、バッチ分析作業、を含む複数の作業種別について各々の実施回数を算出するS3ことと、算出して得られた作業種別毎の実施回数の情報をユーザーに提示するS4ことと、複数の作業種別の中から選択する一以上の作業種別の入力を、ユーザーから受け付けるS5ことと、ユーザーから受け付けた作業種別についての作業ログ情報をユーザーに提示するS6ことと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数のコンピューターを用いて、分析装置による分析に関連する情報を管理する方法であって、
前記分析装置の使用に関する作業ログ情報を包括ログ情報として収集する第1ステップと、
前記第1ステップにおいて収集された包括ログ情報の少なくとも一部を利用して、手動分析作業、バッチ分析作業、を含む複数の作業種別について各々の実施回数を算出する第2ステップと、
前記第2ステップにおいて得られた前記作業種別毎の実施回数の情報をユーザーに提示する第3ステップと、
前記複数の前記作業種別の中から選択される一以上の作業種別の入力を、ユーザーから受け付ける第4ステップと、
ユーザーから受け付けた作業種別についての作業ログ情報をユーザーに提示する第5ステップと、
を含む分析情報管理方法。
【請求項2】
ユーザーから受け付けた作業種別についての作業ログ情報を前記包括ログ情報から抽出するステップ、をさらに含む、請求項1に記載の分析情報管理方法。
【請求項3】
前記第1ステップにおいて、前記包括ログ情報として作業ログ情報を収集する期間をユーザーに指定させ、これを受け付けるステップ、をさらに含む、請求項1に記載の分析情報管理方法。
【請求項4】
前記作業種別は、システムに関する操作を含む、請求項1に記載の分析情報管理方法。
【請求項5】
前記作業種別は、分析作業又はデータ解析作業に関するレポートを作成するレポート作成作業を含む、請求項1に記載の分析情報管理方法。
【請求項6】
前記作業種別は、メソッド作成・編集作業を含む、請求項1に記載の分析情報管理方法。
【請求項7】
前記第5ステップで提示された作業ログ情報の一覧表上でユーザーによる選択を受け付け、選択された作業ログ情報についての詳細な情報を取得してユーザーに提示するステップ、をさらに含む、請求項1に記載の分析情報管理方法。
【請求項8】
分析装置での分析に関連する情報を管理する分析情報管理システムであって、
前記分析装置の使用に関する作業ログ情報を包括ログ情報として収集する情報収集部と、
前記情報収集部により収集された前記包括ログ情報の少なくとも一部を利用して、手動分析作業、バッチ分析作業、を含む複数の作業種別について各々の実施回数を算出する統計処理部と、
前記統計処理部により得られた前記作業種別毎の実施回数の情報をユーザーに提示する第1情報提示部と、
前記複数の前記作業種別の中から選択される一以上の作業種別の入力を、ユーザーから受け付ける作業種別受付部と、
前記作業種別受付部でのユーザーによる選択の入力操作を受けて、その選択された作業種別についての作業ログ情報の一覧表を作成しユーザーに提示する第2情報提示部と、
を備える分析情報管理システム。
【請求項9】
前記第2情報提示部は、前記作業種別受付部で受け付けた作業種別についての作業ログ情報を前記包括ログ情報から抽出する処理を行う、請求項8に記載の分析情報管理システム。
【請求項10】
前記情報収集部において前記包括ログ情報として作業ログ情報を収集する期間をユーザーに指定させ、これを受け付ける期間指定部、をさらに備える、請求項8に記載の分析情報管理システム。
【請求項11】
前記作業種別は、システムに関する操作を含む、請求項8に記載の分析情報管理システム。
【請求項12】
前記作業種別は、分析作業又はデータ解析作業に関するレポートを作成するレポート作成作業を含む、請求項8に記載の分析情報管理システム。
【請求項13】
前記作業種別は、メソッド作成・編集作業を含む、請求項8に記載の分析情報管理システム。
【請求項14】
前記第2情報提示部により提示された作業ログ情報の一覧表上でユーザーによる選択を受け付け、選択された作業ログ情報についての詳細な情報を取得してユーザーに提示する詳細情報提示部、をさらに備える、請求項8に記載の分析情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置を用いた分析に関連する情報を管理するための分析情報管理方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医薬品、飲食品等の研究・開発、或いは製品の品質管理などの現場では、液体クロマトグラフや質量分析装置などの複数の分析装置と、サーバー機能を有するコンピューター、さらには操作端末であるコンピューターなどがネットワーク回線を通して相互に接続された分析システムが広く利用されている。こうした分析システムには、分析により取得されたデータや生データを処理した解析結果の信頼性を担保するための様々な機能が搭載されている。例えば特許文献1、2等に記載されているように、既存の分析システムでは、該システムに含まれる全ての機器(分析装置、コンピューター等)に対する全ての操作や作業がログ情報としてデータベースに漏れなく登録されるようになっている。
【0003】
特に、医薬品等の分野において使用される分析システムでは、製品の安全性や有効性を確保するために、各種の法律や規制に完全に対応することが求められており、データインテグリティー(Data Integrity)が必須である。データインテグリティーが担保されていることを確認するために、その分析現場の監督者又は品質保証担当者等の監査担当者は、定期的に又は非定期的に監査証跡データとしてのログ情報をチェックしたうえで、それを承認する作業を実施する。即ち、監査担当者は、所定の監査期間に発生したログ情報の内容を確認することで、例えば、意図的なデータの改ざん、不適切な分析条件の下での分析によるデータの取得、不適切な分析のやり直し、などの様々な不正な又は不適当な行為が行われていないことを確認し、問題がなければその監査期間における一連の分析作業について承認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2017/098599号
【特許文献2】国際公開第2017/098650号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の分析システムでは、監査担当者は、コンピューターの表示画面上で監査対象であるログ情報を一つ一つ確認する必要がある。しかしながら、多数の分析装置を含む分析システムでは、蓄積されるログ情報の量は膨大である。また、多数の分析担当者がそれぞれ多数の分析を実行したり、一人の分析担当者が同じ時間帯に並行して複数の分析装置で分析を行ったりすることもあり得る。そのため、データベースに蓄積されるログ情報の内容はかなり複雑である。こうしたことから、監査担当者による監査作業は非常に面倒であり、時間もコストも掛かる。また、それ故に、監査の漏れやミスも生じ易く、これが監査の信頼性を損ねる一因となっている。
【0006】
本発明はこうした課題を解決するために成されたものであり、その主たる目的は、監査担当者の負担を軽減して監査に要する労力やコストを低減するとともに、監査の漏れやミスを軽減してデータインテグリティーの的確性を向上させることができる分析情報管理方法及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために成された本発明に係る分析情報管理方法の一態様は、一又は複数のコンピューターを用いて、分析装置による分析に関連する情報を管理する方法であって、
前記分析装置の使用に関する作業ログ情報を包括ログ情報として収集する第1ステップと、
前記第1ステップにおいて収集された包括ログ情報の少なくとも一部を利用して、手動分析作業、バッチ分析作業、を含む複数の作業種別について各々の実施回数を算出する第2ステップと、
前記第2ステップにおいて得られた前記作業種別毎の実施回数の情報をユーザーに提示する第3ステップと、
前記複数の前記作業種別の中から選択される一以上の作業種別の入力を、ユーザーから受け付ける第4ステップと、
ユーザーから受け付けた作業種別についての作業ログ情報をユーザーに提示する第5ステップと、
を含む。
【0008】
本発明に係る分析情報管理システムの一態様は、上記態様の分析情報管理方法を実施するためのシステムであり、分析装置での分析に関連する情報を管理する分析情報管理システムであって、
前記分析装置の使用に関する作業ログ情報を包括ログ情報として収集する情報収集部と、
前記情報収集部により収集された前記包括ログ情報の少なくとも一部を利用して、手動分析作業、バッチ分析作業、を含む複数の作業種別について各々の実施回数を算出する統計処理部と、
前記統計処理部により得られた前記作業種別毎の実施回数の情報をユーザーに提示する第1情報提示部と、
前記複数の前記作業種別の中から選択される一以上の作業種別の入力を、ユーザーから受け付ける作業種別受付部と、
前記作業種別受付部でのユーザーによる選択の入力操作を受けて、その選択された作業種別についての作業ログ情報の一覧表を作成しユーザーに提示する第2情報提示部と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、ユーザー(主として監査担当者)は、作業種別毎の実施回数の結果から、本来であれば、つまり例えば、マニュアルに則った適切な手順で分析作業が遂行されていれば、実施される筈がない又は実施される可能性が低い作業を容易に把握することができ、その作業を中心に、作業ログ情報の詳細なチェックを行うことができる。即ち、監査の対象とする作業ログ情報を或る程度絞ることができ、それによって、作業ログ情報を効率良く確認しながら監査を遂行することができる。その結果として、本発明によれば、監査担当者の負担を軽減し、監査に要する労力やコストを低減することができる。また、本発明によれば、監査の漏れやミスを軽減し、データインテグリティーの的確性を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る分析情報管理システムを含む分析システムの一実施形態の概略構成図。
【
図2】本実施形態の分析システムにおける作業ログ情報の監査の際の作業及び処理の流れを示す図。
【
図3】監査対象である作業ログ情報の統計解析結果のグラフの一例を示す図。
【
図4】指定された作業種別に対応する作業ログ情報の一覧表の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[分析装置を用いた分析作業の手順]
本発明に係る分析情報管理方法及びシステムの一実施形態を説明する前に、まず、液体クロマトグラフ等の分析装置を用いた分析の手順について簡単に説明する。なお、これは、標準的な分析の手順であり、本発明を何ら限定するものでないことは明らかである。
図5はバッチ分析の際の標準的な作業手順を示すフローチャートであり、
図6は手動分析の際の標準的な作業手順を示すフローチャートである。
【0012】
バッチ分析は、予め用意された多数のサンプルを自動的に順番に分析する手法である。
まず、分析担当者は分析の条件などを子細に定めたメソッドファイルを作成する(ステップS10)。なお、メソッドファイルは分析担当者が作成するとは限らず、分析に精通した技術者や管理者が作成する場合も多い。特に、分析作業を請け負う分析受託企業や大手のメーカー等では、分析担当者は、メソッドファイルを作成したり編集したりする権限を有さない、単なる装置のオペレーターであることが多い。
【0013】
次に、分析担当者は、サンプルの分析順序と個々のサンプルを分析する際に用いるメソッドファイルを定めたバッチファイルを作成する(ステップS11)。そして、バッチファイルの作成後、分析担当者は分析の実行を指示する。この指示を受けた分析装置は、設定されたバッチファイルに従って各サンプルに対する分析を順番に実行する(ステップS12)。分析装置にもよるが、通常、バッチファイルに従った一連の分析は自動的に行われるため、分析担当者が分析装置の傍に居て何らかの操作や作業を行う必要はなく、例えば夜間、休日等の間でも多数のサンプルについての分析を遂行することができる。
【0014】
上述したバッチ分析の実行過程で或るサンプルについての分析が終了してデータが得られると、例えば分析装置に接続されているパーソナルコンピューターでは、指定された解析条件に従って自動的にデータ解析が行われ、例えば定性分析又は定量分析が実施される(ステップS13)。もちろん、データ解析を逐次的に行うのではなく、全てのサンプルの分析が終了したあとにデータ解析をまとめて行うようにすることも可能である。こうして分析担当者は、分析実行中やデータ解析中に殆ど作業を行うことなく、分析結果及び解析結果を得ることができる(ステップS14)。
【0015】
一方、手動分析では、分析担当者が分析条件を適宜設定し(ステップS20)、設定した分析条件の下で目的のサンプルを分析するように分析装置を操作する。これにより、分析装置は、設定された分析条件に従って該目的のサンプルに対する分析を遂行する(ステップS21)。分析が終了してデータが得られると、分析担当者は、分析装置に接続されているパーソナルコンピューターにおいて所定の解析条件を設定してデータ解析を実施する(ステップS22)。これにより、分析担当者は、目的のサンプルについての分析結果及び解析結果を得ることができる(ステップS23)。
【0016】
一般に、手動分析は、目的サンプルを分析する際の適切な分析条件が不明であるために、分析条件を細かく調整する必要がある場合や、少数のサンプルに対し慎重に分析を行う場合などに実施されることが多い。そのため、例えば大学や企業の研究・開発の現場では手動分析は頻繁に実施されるものの、上述したような分析受託企業等の大規模な分析現場において実施されることはあまりない。
【0017】
[本実施形態の分析システムの構成]
次に、本発明に係る分析情報管理方法を実施するための分析情報管理システムを含む分析システムの一実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の分析システムの全体構成図である。
【0018】
本実施形態の分析システムは、実体は比較的高性能のコンピューターであるサーバー1と、実体はパーソナルコンピューター(又は携帯型情報端末)等であるクライアント端末2と、分析装置4に接続され、主として該分析装置4の制御及び該分析装置4で収集されたデータの解析処理を担うパーソナルコンピューター(PC)5と、がLANなどのネットワーク回線3を介して相互に接続された構成を有する。ネットワーク回線3は外部のインターネットなどに接続されていてもよいが、セキュリティーを重視する場合、外部のネットワークとは分離されることが多い。
【0019】
なお、
図1に示した例では、1台のPC5にそれぞれ1台の分析装置4が接続されているが、1台のPC5に複数台の分析装置4が接続されることもあり得る。また、分析装置4に実質的にPC5の機能が取り込まれ、その分析装置4が直接的にネットワーク回線3に接続されることもあり得る。また、ネットワーク回線3に接続されるPC5の数やクライアント端末2の数は適宜に決めることができる。また、サーバー1は必ずしも単独のコンピューターであるとは限らず、その機能が複数のコンピューターに分散されていてもよいことは当然である。
【0020】
サーバー1は、機能ブロックとして、分析データ収集部10、ログ情報収集部11、データ保存部12、監査作業支援部13、入出力処理部14などを含む。監査作業支援部13は、下位の機能ブロックとして、監査期間指定処理部130、監査対象ログ収集部131、統計処理部132、統計結果グラフ作成部133、監査対象項目指示受付部134、作業ログ一覧表作成部135、作業ログデータ開示部136などを含む。データ保存部12は一種のデータベースであり、分析データファイル、作業ログデータファイル、解析結果レポートファイルなど、本システムに含まれるコンピューターにおいて作成される様々なデータファイルが格納される。
【0021】
上述したように、サーバー1の実体はコンピューターであるから、上述した機能ブロックは、コンピューターに予めインストールされた専用の分析情報管理用ソフトウェア(プログラム)がそのコンピューター上で動作することによって具現化されるものである。このような分析情報管理用プログラムは、コンピューターで読み取り可能である非一時的な様々な記録媒体に格納されてユーザーに提供され得る。また、ネットワーク回線3が外部のネットワークに接続されている場合、上記プログラムは、そうしたネットワークを介したデータ転送の形式でユーザーに提供され得る。また、ユーザーがシステムを新規に導入する場合には、上記プログラムはシステムの一部であるコンピューターにプリインストールされて提供され得る。
【0022】
クライアント端末2は、後述するように、ネットワーク回線3を介したサーバー1との間のデータのやり取りによって、その端末2の表示画面上で様々な情報の閲覧が可能であるとともに、該端末2に付設されたキーボードやポインティングデバイスなどを通して様々な指示や応答を行う機能を有する。但し、本実施形態のシステムでは、それら機能はクライアント端末2に搭載されている標準的なウェブブラウザーを利用したものであり、特別な、つまり専用のソフトウェアの導入を要しない。もちろん、クライアント端末2に専用のソフトウェアを導入して同様の機能を達成できるようにしてもよい。
【0023】
分析装置4に接続された各PC5にはそれぞれ、分析装置4を制御するため、及びその分析装置4で得られたデータを収集して解析処理を行うための専用の制御・処理ソフトウェアがインストールされる。このソフトウェアは、サーバー1との間で所定のデータをやり取りする機能も有する。
【0024】
サーバー1において分析データ収集部10は、各分析装置4において試料に対し分析を実行することで得られた分析データ、PC5においてその分析データを解析したりすることで得られた解析データ、さらには、その分析や解析に関連する様々な情報(分析条件等)をネットワーク回線3を介して収集し、分析データファイルとしてデータ保存部12に保存する。こうした分析データファイルには例えば、サンプル名、サンプル量などのサンプル情報、分析に使用した分析装置4を特定するための装置ID、分析及び解析の実施日時、分析担当者を特定するためのユーザーID、分析条件(メソッドファイル名など)、分析によって得られた分析データ、分析データに基く解析処理によって得られた各種計算値やそれに関連する情報(例えば検量線など)など、を含むことができる。
【0025】
ログ情報収集部11は、本システムに含まれる全ての分析装置4やコンピューター1、2、5においてユーザーにより実行された操作や作業を示す情報、或いは、分析や解析処理を実行する際に分析装置4やPC5等で発せられたエラーなどの装置状態を示す情報などが含まれる個別の作業ログ情報を、ネットワーク回線3を介してそれぞれ収集しデータ保存部12に保存する。一つの作業ログデータファイルには、一つの何らかの作業又は操作に関連した様々なデータや情報が格納される。
【0026】
一例として、
図1中に記載したように、一つの作業ログデータファイルは、例えば、操作・作業内容、その操作・作業が行われた分析装置4、PC5、又はクライアント端末2を特定するための装置ID、操作が実行された日時、操作・作業を行った担当者を特定するためのユーザーID、作業種別などの情報を含む。また、それ以外の情報として、例えばデータファイルに関連する操作、例えばファイルの保存、読み出し、印刷などを行った場合には、その操作対象であるデータファイルを特定するデータIDも作業ログデータファイルに記録される。
【0027】
ここで、作業種別は、ユーザー(例えば分析担当者)によりなされた操作・作業の種類を示すものであり、本実施形態のシステムでは、作業種別は、バッチ分析作業、バッチ分析後のデータ解析作業、手動分析作業、手動でのデータ解析作業、メソッドファイルの作成・編集作業、システムに関連する操作、レポート作成・編集作業、を含む。システムに関連する操作とは、この分析システムに含まれるコンピューター1、2、5の設定の変更、ソフトウェアのインストールやアンインストール、アップデートなどであり、分析作業や解析作業に直接関連しないものも含む。こうした作業種別は、後述する監査対象である操作・作業に対応している。
【0028】
次に、本実施形態の分析システムにおいて、監査担当者が監査証跡を確認する際の操作とそれに応じてサーバー1を中心として実行される処理について、
図2~
図4を参照して説明する。
図2は、監査の際の操作と処理の流れを示すフローチャートである。
【0029】
監査担当者は、クライアント端末2(又はサーバー1に付設された図示しないユーザーインターフェイス)から監査の権限の下でシステムにログインし、所定の操作を行う。この操作に応じて、サーバー1では監査作業支援部13が機能する。まず、監査期間指定処理部130は、入出力処理部14を通してクライアント端末2の表示画面に、監査対象期間の入力欄を表示させる。監査担当者は、その入力欄に監査を行いたい期間を入力する。監査期間指定処理部130は、この入力を受けて監査対象期間を決定する(ステップS1)。ここでは、例えば〇〇年〇〇月〇〇日~××年××月××日のように監査対象期間を決定する。
【0030】
監査対象期間が決まると、監査対象ログ収集部131は、その監査対象期間に該当する多数の作業ログデータファイルをデータ保存部12から包括ログ情報として収集する(ステップS2)。なお、ここでは、システム全体における全ての作業ログ情報がサーバー1に蓄積されていることを前提としているが、場合によっては、その時点でサーバー1に収集されていない作業ログ情報が各PC5や各クライアント端末2に残っていることがあり得る。そこで、監査対象ログ収集部131は、サーバー1内のみならず、システム内に存在する全てのコンピューターにアクセスして、該当する期間に保存された作業ログ情報を収集して包括ログ情報として集約するようにしてもよい。
【0031】
統計処理部132は、収集された包括ログ情報に含まれる全ての作業ログ情報について作業種別を認識し、作業種別毎にログ情報を計数することで、作業種別毎の操作又は作業の実行回数を取得する(ステップS3)。上述したように、本例では、バッチ分析作業、バッチ分析後のデータ解析作業、手動分析作業、手動でのデータ解析作業、メソッドファイルの作成・編集作業、システムに関連する操作、及び、レポート作成・編集作業、という作業種別があるから、それらについて各々実行回数が求まる。不要な作業種別に対応する作業ログ情報が包括ログ情報に含まれる場合には、その作業ログ情報についての実行回数の計数は不要である。つまり、包括ログ情報に含まれる一部の作業ログ情報を除外してステップS3の処理を実施してもよい。
【0032】
統計結果グラフ作成部133は、作業種別毎の操作・作業の実行回数を容易に比較可能な様式のグラフを作成し、入出力処理部14を通してクライアント端末2の表示画面にそのグラフを表示する(ステップS4)。
図3は、このときに表示されるグラフ100の一例であり、作業種別毎の実行回数の棒グラフである。このグラフにおいて、「Audit Type」は上述した作業種別であり、
図3中の左から順に、手動でのデータ解析作業、手動分析作業、バッチ分析後のデータ解析作業、バッチ分析作業、メソッドファイルの作成・編集作業、システムに関連する操作、及び、レポート作成・編集作業、に対応する。このグラフによって、監査担当者は、作業種別毎の操作・作業の実行回数を一目で比較することができる。
【0033】
既存の分析システムにおいて、監査担当者が作業ログ情報を確認する際に、作業ログ情報の一覧表を表示することは可能であったものの、様々な作業種別に対応する作業ログ情報が混在して一覧表に表示される。また、特定の作業種別に対応する作業ログ情報に絞って表示する等の機能を有しているものも知られているものの、どの作業種別に対応する作業ログ情報が重要であるのかが不明であるため、原則として、全ての作業ログ情報を確認する必要があり、非常に手間が掛かっていた。
【0034】
これに対し、本分析システムでは、監査対象期間中に発生した作業種別毎の作業ログ情報の数が判るため、この情報から監査において着目すべき、つまりは不正や不適切な行為に関連する可能性が高い作業種別を推定することができる。
【0035】
例えば、或る監査対象期間に実施されていた分析の大部分が手動分析ではなくバッチ分析作業であったとする。上述したようにバッチ分析では、メソッドファイルが使用され、通常、そのメソッドファイルはバリデーションされていて分析担当者が勝手に変更することはできない。こうした状況の下で手動分析が少数回実施されているような場合、その手動分析は、バッチ分析でのサンプルの配置ミス等、分析担当者のミスをカバーすることを目的としていることが多い。また、分析結果が意図したものでなく、分析条件の一部をメソッドファイルに定義されているものとは変えて分析をやり直した可能性もある。そこで、こうした場合には、手動分析に対応した作業ログ情報が特に監査の対象として重要である。
【0036】
対照的に、或る監査対象期間に実施されていた分析の大部分が手動分析であり、バッチ分析も少数回実施されていたような場合には、通常のルーチン的な分析対象とは異なるサンプル、例えば開発中の試験サンプルなどの分析を集中的に実施したことが想定される。この場合には、手動分析が標準的に実施されるべきであり、逆に、決められたメソッドファイルに従ったバッチ分析を実施したのが適切であったのか否かを確認することが重要である。従って、バッチ分析に対応した作業ログ情報が特に監査の対象として重要である。
【0037】
また、上述したように、バッチ分析で使用されるメソッドファイルは通常、バリデーションされているため、測定メソッドの作成・編集の作業は殆ど発生しない筈であるが、その作業の回数が異常に多い場合には、何らかの不正行為によってメソッドファイルが改変された可能性がある。
【0038】
上記は一例であり、作業種別毎の操作・作業の実行回数が判明すれば、その分析システムが使用される環境や状況の下での様々な想定から、特に注意して監査すべき作業種別を選択することができる。そこで、監査担当者は、クライアント端末2の表示画面に表示された上記グラフ上で、複数の作業種別のうちの一つを選択する。具体的には、選択したい作業種別の棒グラフ上又はその近傍をクリック操作する。すると、監査対象項目指示受付部134はこの操作を受け付け、選択された作業種別を認識する(ステップS5)。
【0039】
図3に示したグラフ100では、点線101で示すメソッドファイルの作成・編集作業が監査担当者に選択されたものとする。これは、例えば、上述したようにメソッドファイルの改変が疑われる場合である。作業種別の一つが選択されると、作業ログ一覧表作成部135は、上記包括ログ情報の中から、選択された作業種別に対応する作業ログ情報のみを抽出し、その抽出した作業ログ情報に含まれる主要な情報を所定形式でまとめた一覧表を作成する。そして、入出力処理部14を通してクライアント端末2の表示画面にその作業ログ情報一覧表を表示する(ステップS6)。
【0040】
図4は、表示される作業ログ情報一覧表の一例である。この一覧表では、1行が一つの作業ログ情報に対応する。この表で、「PC Name」はPC5を特定する装置ID、「Instrument Name」は分析装置4を特定する装置ID、「File Name」はメソッドファイルの名称である。また、「Audit Trail Versions」は、そのメソッドファイルの改訂回数である。
【0041】
いま、この例では、上から3番目の作業ログ情報では他に比べて改訂回数が異常に多いことが判る。そこで、これに着目した監査担当者は、その作業ログ情報に対応する行中の「Show Details」の部分をクリック操作する(ステップS7)。この操作を受けて、作業ログデータ開示部136は、指定された作業ログ情報の詳細な内容をクライアント端末2の表示画面上に表示する。監査担当者は、この詳細な情報を確認して、不正な行為がなされていないかどうか等を判断する(ステップS8)。
【0042】
また、バッチ分析に不正や不適切な作業の疑いがある場合には、監査担当者は、バッチ作業に対応する作業ログ情報を確認し、さらにバッチファイルを確認することで、不適切なサンプルの分析や不適切なメソッドファイルの選択がなされていないかどうかを確認することができる。
【0043】
また、監査担当者は、システムに関する操作・作業に対応する作業ログ情報を確認することで、通常、分析担当者が実施することが禁止されている、PC5における設定変更や新たなソフトウェアのインストールなどが実施されていないことを確認することができる。
【0044】
また、監査担当者は、レポートの作成・編集作業に対応する作業ログ情報を確認することで、通常、分析担当者が勝手に実施することが禁止されている、分析・解析結果を示すレポートの作成やその印刷などが実施されていないことを確認することができる。
【0045】
以上のようにして、本実施形態の分析システムでは、監査作業支援部13が監査対象として重要な作業種別を選択するための情報を提供し、監査担当者はこの情報を参考にして作業種別を選択して、その作業種別に対応する作業ログ情報を子細に確認することができる。それにより、作業ログ情報を利用して監査を行う際に、逐一、全ての作業ログ情報についてそれぞれ同程度の時間を割いて確認していくのではなく、特定の作業ログ情報を重点的に確認することができるので、効率的に監査を遂行することができる。また、不正や不適切な操作や作業を見つけ易くなり、監査の漏れやミスを軽減することができる。
【0046】
上記実施形態の分析システムにおいて、作業ログデータ開示部136は次のような機能を提供し得る。監査担当者が、例えば上述したようにメソッドファイルの作成・編集作業に関する作業ログ情報の一つを選択したうえで、そのファイル改訂のバージョンを複数選択すると、作業ログデータ開示部136は、その異なるバージョンのメソッドファイルを読み出して変更箇所を調べる。そして、それぞれのメソッドファイルの内容を変更箇所を明示してクライアント端末2の表示画面に表示する。これにより、監査担当者は、メソッドファイル中のどの分析条件が変更(改ざん)されたのかを容易に知ることができる。
【0047】
本実施形態の分析システムにおいて、分析装置4の種類は問わない。また、分析装置4としては様々な種類の分析装置を組み合わせることができる。特に、本分析システムでは、オートサンプラーを搭載した液体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフのように、予め用意された多数のサンプルを自動的に分析する機能を有する分析装置を含むシステムに好適である。
【0048】
また、上記実施形態はあくまでも本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で、適宜変更や修正を行えることは明らかである。
【0049】
[種々の態様]
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0050】
(第1項)本発明に係る分析情報管理方法の一態様は、一又は複数のコンピューターを用いて、分析装置による分析に関連する情報を管理する方法であって、
前記分析装置の使用に関する作業ログ情報を包括ログ情報として収集する第1ステップと、
前記第1ステップにおいて収集された包括ログ情報の少なくとも一部を利用して、手動分析作業、バッチ分析作業、を含む複数の作業種別について各々の実施回数を算出する第2ステップと、
前記第2ステップにおいて得られた前記作業種別毎の実施回数の情報をユーザーに提示する第3ステップと、
前記複数の前記作業種別の中から選択される一以上の作業種別の入力を、ユーザーから受け付ける第4ステップと、
ユーザーから受け付けた作業種別についての作業ログ情報をユーザーに提示する第5ステップと、
を含む。
【0051】
(第8項)また本発明に係る分析情報管理システムの一態様は、分析装置での分析に関連する情報を管理する分析情報管理システムであって、
前記分析装置の使用に関する作業ログ情報を包括ログ情報として収集する情報収集部と、
前記情報収集部により収集された前記包括ログ情報の少なくとも一部を利用して、手動分析作業、バッチ分析作業、を含む複数の作業種別について各々の実施回数を算出する統計処理部と、
前記統計処理部により得られた前記作業種別毎の実施回数の情報をユーザーに提示する第1情報提示部と、
前記複数の前記作業種別の中から選択される一以上の作業種別の入力を、ユーザーから受け付ける作業種別受付部と、
前記作業種別受付部でのユーザーによる選択の入力操作を受けて、その選択された作業種別についての作業ログ情報の一覧表を作成しユーザーに提示する第2情報提示部と、
を備える。
【0052】
第1項に記載の分析情報管理方法及び第8項に記載の分析情報管理システムによれば、監査担当者は、監査の対象とする作業ログ情報を、特に着目すべきもの、具体的に言えば、不正が疑わしいものや作業上のミスや間違いである可能性が高いものに絞って詳細に解析することができ、作業ログ情報を効率良く確認して監査を行うことができる。その結果として、本発明によれば、監査担当者の負担を軽減し、監査に要する労力やコストを低減することができる。また、本発明によれば、監査の漏れやミスを低減し、データインテグリティーの的確性を向上させることができる。
【0053】
また、第1項に記載の分析情報管理方法を実施するための分析情報管理用プログラムの一態様は、一又は複数のコンピューターを用いて、分析装置での分析に関連する情報を管理するための分析情報管理用プログラムであって、前記一又は複数のコンピューターに、
前記分析装置の使用に関する作業ログ情報を包括ログ情報として収集する第1ステップと、
前記第1ステップにおいて収集された包括ログ情報の少なくとも一部を利用して、手動分析作業、バッチ分析作業、を含む複数の作業種別について各々の実施回数を算出する第2ステップと、
前記第2ステップにおいて得られた前記作業種別毎の実施回数の情報をユーザーに提示する第3ステップと、
前記複数の前記作業種別の中から選択される一以上の作業種別の入力を、ユーザーから受け付ける第4ステップと、
ユーザーから受け付けた作業種別についての作業ログ情報をユーザーに提示する第5ステップと、
を実行させるものである。
【0054】
上記態様の分析情報管理用プログラムは、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、メモリーカード、USBメモリー(ドングル)などの、コンピューター読み取り可能である非一時的な記録媒体に格納されてユーザーに提供されるものとすることができる。また、上記プログラムは、インターネットなどの通信回線を介したデータ転送の形式で、ユーザーに提供されるようにすることもできる。さらにまた、上記プログラムは、ユーザーがシステムを購入する時点で、予めシステムの一部であるコンピューター(厳密にはコンピューターの一部である記憶装置)にプリインストールしておくこともできる。
【0055】
(第2項)第1項に記載の分析情報管理方法は、ユーザーから受け付けた作業種別についての作業ログ情報を前記包括ログ情報から抽出するステップ、をさらに含むものとすることができる。
【0056】
(第9項)また第8項に記載の分析情報管理システムにおいて、前記第2情報提示部は、前記作業種別受付部で受け付けた作業種別についての作業ログ情報を前記包括ログ情報から抽出する処理を行うものとすることができる。
【0057】
第2項に記載の分析情報管理方法及び第9項に記載の分析情報管理システムによれば、収集された包括ログ情報から漏れなく、目的とする作業種別に対応する作業ログ情報を集めることができる。
【0058】
(第3項)第1項に記載の分析情報管理方法は、前記第1ステップにおいて、前記包括ログ情報として作業ログ情報を収集する期間をユーザーに指定させ、これを受け付けるステップ、をさらに含むものとすることができる。
【0059】
(第10項)また第8項に記載の分析情報管理システムは、前記情報収集部において前記包括ログ情報として作業ログ情報を収集する期間をユーザーに指定させ、これを受け付ける期間指定部、をさらに備えるものとすることができる。
【0060】
第3項に記載の分析情報管理方法及び第10項に記載の分析情報管理システムによれば、監査担当者は、所望する期間に収集された作業ログ情報の監査を簡便に実施することができる。
【0061】
(第4項)第1項~第3項のいずれか1項に記載の分析情報管理方法において、前記作業種別は、システムに関する操作を含むものとすることができる。
【0062】
(第11項)また同様に、第8項~第10項のいずれか1項に記載の分析情報管理システムでは、前記作業種別は、システムに関する操作を含むものとすることができる。
【0063】
システムに関する操作とは、例えばシステムに含まれるコンピューターの設定の変更、ソフトウェアのインストールやアンインストール、アップデートなどを含む。例えば、分析受託企業等の分析システムであれば、分析担当者がマニュアル等に則らずにコンピューターの設定を変更する作業を行うことは禁止されている場合が多い。
【0064】
第4項に記載の分析情報管理方法及び第11項に記載の分析情報管理システムによれば、監査担当者は、本来は頻度が非常に低い筈であるシステムに関する操作が異常に多いことを容易に把握することができる。それによって、監査担当者は、意図しない又は意図的なシステムの改変を認識することができる。
【0065】
(第5項)第1項~第4項のいずれか1項に記載の分析情報管理方法において、前記作業種別は、分析作業又はデータ解析作業に関するレポートを作成するレポート作成作業を含むものとすることができる。
【0066】
(第12項)また同様に、第8項~第11項のいずれか1項に記載の分析情報管理システムにおいて、前記作業種別は、分析作業又はデータ解析作業に関するレポートを作成するレポート作成作業を含むものとすることができる。
【0067】
例えば分析受託企業等の分析システムであれば、通常、レポートの作成やその出力は分析担当者が自由に行うものではなくマニュアルに則って行われる。
第5項に記載の分析情報管理方法及び第12項に記載の分析情報管理システムによれば、監査担当者は、本来は頻度が非常に低い筈であるレポート作成に関する操作が異常に多いことを容易に把握することができる。それによって、監査担当者は、マニュアルに反した分析担当者等によるレポート作成作業の実施や紙出力されたレポートの持ち出し等の行為をチェックすることができる。
【0068】
(第6項)第1項~第5項のいずれか1項に記載の分析情報管理方法において、前記作業種別は、メソッド作成・編集作業を含むものとすることができる。
【0069】
(第13項)また同様に、第8項~第12項のいずれか1項に記載の分析情報管理システムにおいて、前記作業種別は、メソッド作成・編集作業を含むものとすることができる。
【0070】
ここで、メソッドとは分析の条件などを子細に定めたファイルである。例えば、分析受託企業等の分析システムであれば、分析担当者がメソッドを勝手に作成したり、或いは作成済みのメソッドを編集したりすることは禁止されている場合が多い。
第6項に記載の分析情報管理方法及び第13項に記載の分析情報管理システムによれば、監査担当者は、例えばメソッドが編集されてしまっていて本来とは異なる分析条件であることをチェックすることができる。
【0071】
(第7項)第1項~第6項のいずれか1項に記載の分析情報管理方法では、前記第5ステップで提示された作業ログ情報の一覧表上でユーザーによる選択を受け付け、選択された作業ログ情報についての詳細な情報を取得してユーザーに提示するステップ、をさらに有するものとすることができる。
【0072】
(第14項)また同様に第7項~第13項のいずれか1項に記載の分析情報管理システムでは、前記第2情報提示部により提示された作業ログ情報の一覧表上でユーザーによる選択を受け付け、選択された作業ログ情報についての詳細な情報を取得してユーザーに提示する詳細情報提示部、をさらに備えるものとすることができる。
【0073】
例えば表示画面上に表示された作業ログ情報の一覧表上でユーザーが目的の作業ログ情報をクリック操作すると、詳細情報提示部はこの操作を受けて、対応する作業ログ情報の内容を読み出して来て、それを表示画面上に表示するものとすることができる。
また、ユーザーが複数の作業ログ情報を指定してその差異を抽出する旨の指示を行うと、詳細情報提示部はこの操作を受けて、対応する複数の作業ログ情報の内容を読み出して来て、その差異、例えば分析条件のパラメーター値の相違などを調べて、相違のある情報のみを抽出して表示するようにしてもよい。
【0074】
第7項に記載の分析情報管理方法及び第14項に記載の分析情報管理システムによれば、監査担当者は、簡単な操作で以て、不正や不適切な行為があると疑われる作業ログ情報を詳細に解析し、それが問題ないかどうかをチェックすることができる。
【符号の説明】
【0075】
1…サーバー
10…分析データ収集部
11…ログ情報収集部
12…データ保存部
13…監査作業支援部
130…監査期間指定処理部
131…監査対象ログ収集部
132…統計処理部
133…統計結果グラフ作成部
134…監査対象項目指示受付部
135…作業ログ一覧表作成部
136…作業ログデータ開示部
14…入出力処理部
2…クライアント端末
3…ネットワーク回線
4…分析装置
5…PC