(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139417
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】感光性フレキソ印刷版原版
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20230927BHJP
G03F 7/00 20060101ALI20230927BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20230927BHJP
G03F 7/032 20060101ALI20230927BHJP
B41N 1/00 20060101ALI20230927BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
G03F7/11
G03F7/00 502
G03F7/004 501
G03F7/032
B41N1/00
B32B27/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044933
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 奨
(72)【発明者】
【氏名】藤丸 浩一
(72)【発明者】
【氏名】大西 遼
【テーマコード(参考)】
2H114
2H196
2H225
4F100
【Fターム(参考)】
2H114AA00
2H114AA15
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2H225CD07
4F100AK01D
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4F100YY00D
(57)【要約】
【課題】少ない製版工程数により、柔軟性に優れ、層間接着力の経時的な低下が抑制されたフレキソ印刷版を得ることのできる、水現像可能な感光性フレキソ印刷版原版を提供すること。
【解決手段】支持体(A)上に、プライマ層(B)、フロア層(C)および感光性樹脂層(E)をこの順に有するフレキソ印刷版原版であって、
プライマ層(B)がイソシアネート基を有する化合物およびイソシアネート基と反応する官能基を有するポリマーを含有し、
フロア層(C)がイソシアネート基と反応する官能基を有する水不溶性エラストマーを含有し、
感光性樹脂層(E)が水膨潤性または水溶解性ポリマーおよび重量平均分子量100以上600以下の可塑剤を含有する、感光性フレキソ印刷版原版。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体(A)上に、プライマ層(B)、フロア層(C)および感光性樹脂層(E)をこの順に有するフレキソ印刷版原版であって、
プライマ層(B)がイソシアネート基を有する化合物およびイソシアネート基と反応する官能基を有するポリマーを含有し、
フロア層(C)がイソシアネート基と反応する官能基を有する水不溶性エラストマーを含有し、
感光性樹脂層(E)が水膨潤性または水溶解性ポリマーおよび重量平均分子量100以上600以下の可塑剤を含有する、感光性フレキソ印刷版原版。
【請求項2】
前記フロア層(C)中の水不溶性エラストマーが、イソシアネート基と反応する官能基として、水酸基、カルボキシル基、および/またはアミノ基を有する、請求項1に記載の感光性フレキソ印刷版原版。
【請求項3】
前記感光性樹脂層(E)中の水膨潤性または水溶解性ポリマーが、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、リン酸基および/またはエチレングリコール骨格を有する、請求項1または2に記載の感光性フレキソ印刷版原版。
【請求項4】
前記感光性樹脂層(E)が、重量平均分子量100以上600以下の可塑剤を10質量%以上含有する、請求項1~3のいずれかに記載の感光性フレキソ印刷版原版。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性フレキソ印刷版原版に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷は、その柔軟性を活かして、紙器、ラベル、軟包装用途やエレクトロニクス用途などに広く使用されている。フレキソ印刷に用いられるフレキソ印刷版のレリーフを形成する方法として、フレキソ印刷版原版の感光性樹脂層に、画像マスクや原画フィルムを介して紫外線を照射して画像部を選択的に光硬化させ、未硬化部分を現像液により除去する方法が、一般的に用いられている。
【0003】
フレキソ版の品質安定化を図る手法として、樹脂層を多層化する方法が検討されている。例えば、寸法安定性基質層、それぞれ硬化時の弾性が少なくとも40%である、感光性樹脂、及びポリマーからなる群より選択される硬化したポリマーからなるフロア層、並びに少なくとも1つの画像形成材料層、を順に含むことを特徴とする一体型画像形成印刷面を有するレリーフ像印刷要素(例えば、特許文献1参照)や、支持体、下地層及び感光性樹脂層を積層してなるフレキソ印刷用感光性構成体であって、該下地層は隔壁を有する独立気泡を含み、該独立気泡成分が該下地層の全重量に基づいて20~90重量%であるフレキソ印刷用感光性構成体(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【0004】
近年、環境への配慮から、水により現像可能なフレキソ印刷版原版の開発が進んでいる。例えば、イオン性を有する官能基を含む樹脂(A)、光重合開始剤(B)、光重合性モノマー(C)、および樹脂(A)と対イオンを形成しうるイオン性官能基を有するフッ素含有化合物(D)を含む感光性樹脂組成物を用いてなる感光性樹脂印刷版原版(例えば、特許文献3参照)や、支持体の一方の面上に、非水溶性光透過性エラストマー層、および水現像可能な感光性樹脂層を順に積層した水現像型フレキソ印刷用複層版(例えば、特許文献4参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2008-545564号公報
【特許文献2】国際公開第2005/85953号
【特許文献3】国際公開第2018/88336号
【特許文献4】特開平10-148931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に記載された感光性樹脂印刷版原版は、環境への配慮の面で優れるものの、フレキソ印刷版の画像再現性向上のためにフロア層を形成する場合、裏露光などの追加の工程を要する課題があった。また、特許文献4に記載されたフレキソ印刷用複層版は、接着層と非水溶性光透過性エラストマーの密着性に課題があった。特に、フレキソ印刷版の柔軟化のために、より柔軟な感光性樹脂層を用いると、感光性樹脂層成分のブリードアウトにより、接着層/非水溶性光透過性エラストマー間の接着力が経時により低下する課題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、少ない製版工程数により、柔軟性に優れ、層間接着力の経時的な低下が抑制されたフレキソ印刷版を得ることのできる、水現像可能な感光性フレキソ印刷版原版を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、支持体(A)上に、プライマ層(B)、フロア層(C)および感光性樹脂層(E)をこの順に有するフレキソ印刷版原版であって、
プライマ層(B)がイソシアネート基を有する化合物およびイソシアネート基と反応する官能基を有するポリマーを含有し、
フロア層(C)がイソシアネート基と反応する官能基を有する水不溶性エラストマーを含有し、
感光性樹脂層(E)が水膨潤性または水溶解性ポリマーおよび重量平均分子量100以上600以下の可塑剤を含有する、感光性フレキソ印刷版原版である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の感光性フレキソ印刷版原版は、水現像可能であり、本発明の感光性フレキソ印刷版原版によれば、少ない製版工程数により、柔軟で、層間接着力の経時的な低下が抑制されたフレキソ印刷版を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る感光性フレキソ印刷版原版(以下、「印刷版原版」と記載する場合がある)は、フレキソ印刷に用いられるフレキソ印刷版の前駆体であり、支持体(A)上に、プライマ層(B)、フロア層(C)および感光性樹脂層(E)をこの順に有する。支持体(A)は、感光性樹脂層(E)を保持する作用を有する。プライマ層(B)は、支持体(A)とフロア層(C)を接着する作用を有する。フロア層(C)は、裏露光などの追加の製版工程を要することなく、フレキソ印刷版の柔軟性を向上させる作用を有する。また、感光性樹脂層(E)を薄くすることができ、感光性樹脂層成分のブリードアウトを低減するとともに、画像再現性を向上させる効果を奏する。感光性樹脂層(E)は、紫外線などの活性エネルギー線を照射することにより、硬化する層である。感光性樹脂層(E)を有することにより、例えば紫外線を画像様に照射することにより、所望のレリーフを形成することができる。フロア層(C)と感光性樹脂層(E)との間に、さらに接着層(D)を有してもよい。接着層(D)は、感光性樹脂層(E)と下層を接着する作用を有し、例えば、支持体(A)/プライマ層(B)/フロア層(C)/接着層(D)/感光性樹脂層(E)からなる積層構造の場合、フロア層(C)と感光性樹脂層(E)とを接着する。さらに、フロア層(C)をUVインキから保護する作用を有する。
【0011】
支持体(A)は、可撓性を有し、寸法安定性に優れる材料から形成されることが好ましい。具体的には、ポリエステルなどのプラスチックシートや、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属板などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0012】
支持体(A)の厚さは、取扱性および柔軟性の観点から、100~350μmの範囲が好ましい。
【0013】
プライマ層(B)は、イソシアネート基を有する化合物およびイソシアネート基と反応する官能基を有するポリマーを含有する。本発明者らの検討により、前述のとおり、フレキソ印刷版の柔軟化のために、可塑剤を含有するより柔軟な感光性樹脂層を有する印刷版原版は、可塑剤などの感光性樹脂層成分のブリードアウトにより、プライマ層(B)/フロア層(C)間の接着力が経時的に低下することが明らかになった。そこで、本発明においては、イソシアネート基を有する化合物およびイソシアネート基と反応する官能基を有するポリマーを含有するプライマ層(B)と、後述するイソシアネート基と反応する官能基を有する水不溶性エラストマーを含有するフロア層(C)とを積層することにより、プライマ層(B)とフロア層(C)との界面において、イソシアネート基の反応によって生じる共有結合による接着が発現し、フロア層(C)とプライマ層(B)との接着力をより向上させることができる。また、印刷版のプライマ層(B)/フロア層(C)間の接着力の経時的な低下を抑制することができる。
【0014】
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好ましい。MDIの高い反応性により、プライマ層(B)/フロア層(C)間の接着力の経時的な低下をより抑制することができる。
【0015】
プライマ層(B)中におけるイソシアネート基を有する化合物の含有量は、8質量%以上が好ましく、プライマ層(B)/フロア層(C)間の接着力の経時的な低下をより抑制することができる。一方、プライマ層(B)中におけるイソシアネート基を有する化合物の含有量は、30質量%以下が好ましく、プライマ層(B)の層強度を高め、凝集破壊を抑制することができる。
【0016】
イソシアネート基を反応する官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ウレタン基、ウレア基、アミド基などが挙げられる。これらを2種以上有してもよい。これらの中でも、水酸基、カルボキシル基、アミノ基が好ましい。これらの官能基は活性水素を有することから、イソシアネート基を有する化合物との反応性が高く、プライマ層(B)の層強度を向上させることができる。イソシアネート基を反応する官能基を有するポリマーとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアミド、ポリウレタンなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、支持体(A)との接着力をより向上させる観点から、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールが好ましい。
【0017】
イソシアネート基と反応する官能基を有するポリマーの重量平均分子量は、10,000以上が好ましく、支持体(A)との接着力をより向上させることができる。一方、前記ポリマーの重量平均分子量は、100,000以下が好ましく、成形性を向上させることができる。プライマ層(B)中におけるイソシアネート基と反応する官能基を有するポリマーの含有量は、40質量%以上が好ましく、プライマ層(B)の層強度を高め、凝集破壊を抑制することができる。一方、プライマ層(B)中におけるイソシアネート基と反応する官能基を有するポリマーの含有量は、80質量%以下が好ましく、成形性を向上させることができる。
【0018】
プライマ層(B)は、さらに、エチレン性二重結合を有する化合物および光重合開始剤を含有することが好ましい。
【0019】
エチレン性二重結合を有する化合物とは、エチレン性二重結合を有する、分子量が10,000未満であるものを指す。エチレン性二重結合を有する化合物の分子量は、2,000以下が好ましい。エチレン性二重結合とイソシアネート基を有する場合は、イソシアネートを有する化合物に分類するものとする。エチレン性二重結合を有する化合物としては、例えば、国際公開第2017/038970号に記載される(メタ)アクリレートや、グリセロールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートの総称であり、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸の総称である。これらの中でも、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、リン酸基、エチレングリコール骨格を有するものが好ましく、イソシアネート基と反応する官能基を有するポリマーとの相溶性を向上させることができる。水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、リン酸基、エチレングリコール骨格を有する化合物としては、例えば、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸とグリシジル(メタ)アクリレートの反応物、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸と(メタ)アクリル酸の反応物、2-ヒドロキシエチルアクリレートと(メタ)アクリル酸の反応物、エチレングリコールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸との反応物、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸とリン酸のエステル化物などが挙げられる。
【0020】
プライマ層(B)中におけるエチレン性二重結合を有する化合物の含有量は、3質量%以上が好ましく、光照射による重合反応によってプライマ層(B)の層強度を高め、凝集破壊を抑制することができる。一方、プライマ層(B)中におけるエチレン性二重結合を有する化合物の含有量は、15質量%以下が好ましく、プライマ層(B)/フロア層(C)間の接着力の経時的な低下をより抑制することができる。
【0021】
光重合開始剤としては、光吸収によって、自己分解や水素引き抜きによってラジカルを生成する機能を有するものが好ましく用いられる。例えば、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン類、アントラキノン類、ベンジル類、アセトフェノン類、ジアセチル類などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0022】
プライマ層(B)中における光重合開始剤の含有量は、0.5質量%以上が好ましく、エチレン性二重結合を有する化合物の重合を促進してプライマ層(B)の層強度を高め、凝集破壊を抑制することができる。一方、プライマ層(B)中における光重合開始剤の含有量は、5質量%以下が好ましく、裏露光工程時の基板透過性を維持することができる。
【0023】
プライマ層(B)には、本発明の目的を阻害しない範囲で、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、染料、紫外線吸収剤、ハレーション防止剤、界面活性剤などが挙げられる。
【0024】
プライマ層(B)の厚みは、1μm以上が好ましく、プライマ層(B)/フロア層(C)間の接着力の経時的な低下をより抑制することができる。プライマ層(B)の厚みは、5μm以上がより好ましい。一方、プライマ層(B)の厚みは、50μm以下が好ましく、プライマ層(B)中の溶媒の残存を抑制することができる。プライマ層(B)の厚みは、30μm以下がより好ましい。
【0025】
フロア層(C)は、イソシアネート基と反応する官能基を有する水不溶性エラストマーを含有する。ここで、イソシアネート基を反応する官能基としては、プライマ層(B)において例示したものが挙げられる。「水不溶性」とは、エラストマーを50℃の水中に24時間浸漬した前後の質量変化率が±5%以内であることを言う。エラストマーとは、常温(25℃)においてゴム弾性を示す樹脂を言う。フロア層(C)が、水不溶性エラストマーを含有することにより、印刷版の柔軟性を向上させることができる。さらに、イソシアネート基と反応する官能基を有することにより、プライマ層(B)中のイソシアネートとの共有結合によって、フロア層(C)とプライマ層(B)との接着力をより向上させることができる。これによって、製版時や印刷時に小径シリンダーに装着する場合に生じやすい、フロア層(C)/プライマ層(B)界面における剥離を抑制することができる。また、前述のとおり、プライマ層(B)/フロア層(C)間の接着力の経時的な低下を抑制することができる。
【0026】
イソシアネート基と反応する官能基を有する水不溶性のエラストマーとしては、例えば、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリアミド、アセチルセルロース等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、成形性の観点から、熱可塑性ポリウレタンが好ましい。
【0027】
フロア層(C)は本発明の目的を阻害しない範囲で、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、染料、紫外線吸収剤、ハレーション防止剤などが挙げられる。
【0028】
フロア層(C)の弾性率は、1MPa以上が好ましく、印刷時の印圧に対する弾性回復性を向上させることができる。フロア層の弾性率は、3MPa以上がより好ましい。一方、フロア層の弾性率は、100MPa以下が好ましく、柔軟性をより向上させ、取り扱い性を向上させることができる。フロア層の弾性率は、50MPa以下がより好ましい。
【0029】
本発明におけるフロア層(C)の厚みは、30μm以上が好ましく、柔軟性をより向上させることができる。フロア層の厚みは、150μm以上がより好ましい。一方、フロア層の厚みは、1,000μm以下が好ましく、加工性や取扱い性を向上させることができる。フロア層の厚みは、800μm以下がより好ましい。
【0030】
本発明の印刷版原版は、裏露光を必要とすることなくフレキソ印刷版を得ることができるが、画像再現性を向上させるために、支持体(A)側から短時間露光(裏露光)を実施してもよい。その場合、フロア層(C)の波長365nmの化学線に対する透過率は、1%以上が好ましく、裏露光を短時間で行うことができる。フロア層(C)の波長365nmの化学線に対する透過率は、2%以上が好ましい。一方、フロア層(C)の波長365nmの化学線に対する透過率は、50%以下が好ましく、裏露光を実施する場合においても、フロア層の硬化厚みをより均一にすることができる。フロア層(C)の波長365nmの化学線に対する透過率は、20%以下がより好ましい。
【0031】
フロア層(C)の波長365nmの化学線に対する透過率は、フロア層(C)を構成する材料の光吸収特性や配合量により、所望の範囲に調整することができる。例えば、エラストマーとして波長365nmの光吸収特性の低いエラストマーを選択することにより、透過率を高めることができる。また、添加剤として紫外線吸収剤やハレーション防止剤を用いる場合、その配合量を増量することにより、透過率を低下させることができる。
【0032】
感光性樹脂層(E)は、水膨潤性または水溶解性ポリマーを含有する。本発明において、「水膨潤性または水溶解性」とは、ポリマーを99倍(重量比)の水中に50℃で24時間浸漬し、ろ過操作により分取したときの、浸漬前とろ過分取後の質量変化率が±5%より大きいことを言う。水膨潤性または水溶解性ポリマーとしては、親水性基を有するポリマーが挙げられる。親水性基としては、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、リン酸基、エチレングリコール骨格が好ましい。これらを2種以上有してもよい。水膨潤性または水溶解性ポリマーを含有することにより、水現像可能となる。水膨潤性または水溶解性ポリマーとしては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、水溶解性ポリエステル等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、部分ケン化ポリビニルアルコールやポリアミドが好ましい。部分ケン化ポリビニルアルコールのケン化度は、60モル%以上90モル%以下が好ましい。また、ポリアミドは、主鎖および/または側鎖に、ピペラジンや、ポリエチレングリコールなどのポリエーテルセグメント(ポリ(アルキレンオキシ)基)を有することが好ましい。
【0033】
水膨潤性または水溶解性ポリマーのGPC測定によって求められる重量平均分子量は、10,000以上が好ましい。
【0034】
水膨潤性または水溶解性ポリマーは、画像再現性をより向上させる観点から、側鎖にエチレン性二重結合を有することが好ましい。エチレン性二重結合を有する基としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。これらを2種以上有してもよい。
【0035】
前述のポリマーにエチレン性二重結合を導入する方法としては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコールの場合、(1)部分ケン化ポリビニルアルコールと酸無水物とを反応させ、部分ケン化ポリビニルアルコールの水酸基を起点としてカルボキシル基などの反応性基をポリマー側鎖に導入し、その反応性基に不飽和エポキシ化合物を反応させる方法、(2)酢酸ビニルと、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸塩および/または不飽和カルボン酸エステルとの共重合体を部分ケン化し、このポリマーのもつカルボキシル基と不飽和エポキシ化合物を反応させる方法などが挙げられる。また、ポリアミドの場合、ポリアミド骨格中にピペラジン環などの3級窒素原子を含む構造を導入し、グリシジルメタクリレートおよび/またはグリシジルアクリレートを用いた窒素の4級化によってエチレン性二重結合を付加させる方法などが挙げられる。
【0036】
感光性樹脂層(E)中における水膨潤性または水溶解性ポリマーの含有量は、固形分中、25重量%以上が好ましく、耐刷性を向上させることができる。一方、感光性樹脂層(E)中における水膨潤性または水溶解性ポリマーの含有量は、固形分中、70重量%以下が好ましく、感光性樹脂層(E)の柔軟性をより向上させることができる。なお、水膨潤性または水溶解性ポリマーの含有量は、水膨潤性または水溶解性ポリマーを2種以上含有する場合には、その合計含有量を指す。
【0037】
感光性樹脂層(E)は、さらに、光重合開始剤およびエチレン性二重結合を有する化合物を含有することが好ましい。
【0038】
光重合開始剤およびエチレン性二重結合を有する化合物としては、プライマ層(B)の原料として例示したものが挙げられる。感光性樹脂層(E)中における光重合開始剤の含有量は、固形分中、0.5~10質量%が好ましく、エチレン性二重結合を有する化合物の含有量は、固形分中、1~30質量%が好ましい。
【0039】
感光性樹脂層(E)は、さらに、重量平均分子量100以上600以下の可塑剤を含有する。可塑剤は、印刷版の柔軟性を向上させる作用を有する。可塑剤の重量平均分子量を100以上とすることにより、印刷時のインキへの成分抽出を抑制し、プライマ層(B)/フロア層(C)間の接着力の経時的な低下を抑制することができる。一方、可塑剤の重量平均分子量を600以下とすることにより、感光性樹脂層(E)に含有する成分との相溶性を向上させることができる。可塑剤の重量平均分子量は、500以下がより好ましい。
【0040】
可塑剤は、重合反応する官能基を含有しないことが好ましい。
【0041】
かかる可塑剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンおよびその誘導体、トリメチロールプロパンおよびその誘導体、トリメチロールエタンおよびその誘導体、ペンタエリスリトールおよびその誘導体などの多価アルコール類や、ジアルキルフタレート類、アルキルホスフェート類などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、相溶性の観点から、多価アルコール類が好ましい。
【0042】
感光性樹脂層(E)中における可塑剤の含有量は、固形分中、10質量%以上が好ましい。可塑剤の含有量を10質量%以上とすることにより、印刷版の柔軟性をより向上させることができる。従来公知の印刷版原版においては、可塑剤含有量が多い場合、可塑剤のブリードアウトにより、プライマ層(B)/フロア層(C)間の接着力が経時により低下する課題があったが、本発明においては、前述のプライマ層(B)とフロア層(C)との組み合わせにより、層間接着力の経時による低下が抑制されることから、感光性樹脂層(E)中における可塑剤の含有量が固形分中10質量%以上と多い場合に、その効果が顕著に奏される。一方、感光性樹脂層(E)中における可塑剤の含有量は、60質量%以下が好ましい。可塑剤の含有量を60質量%以下とすることにより、印刷時のインキへの抽出を抑制し、印刷版の柔軟性の変化を抑制することができる。可塑剤の含有量は45質量%以下がより好ましい。
【0043】
感光性樹脂層には、さらに、必要に応じて、撥インキ剤、相溶助剤、重合禁止剤、染料、顔料、界面活性剤、消泡剤、紫外線吸収剤、香料などを含有してもよい。
【0044】
撥インキ剤を含有することにより、UVインキがレリーフの凹部に付着することを抑制することができる。撥インキ剤としては、フッ素含有化合物が好ましく、4級アンモニウム基を含む“フタージェント”(登録商標)300、“フタージェント”310、“フタージェント”320((株)ネオス製)などのカチオン性界面活性剤や、スルホン酸塩を含む“フタージェント”100、110、150(いずれも商品名、(株)ネオス製)などのアニオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0045】
感光性樹脂層(E)の厚みは、0.3mm以上が好ましく、十分なレリーフ深度を有し、印刷適性を向上させることができる。感光性樹脂層(E)の厚みは、0.5mm以上がより好ましい。一方、感光性樹脂層(E)の厚みは、5mm以下が好ましく、露光時の活性光線を底部まで十分に到達させて画像再現性を向上させることができる。感光性樹脂層(E)の厚みは、3mm以下がより好ましい。
【0046】
接着層(D)は、水膨潤性または水溶解性ポリマーを含有することが好ましい。水膨潤性または水溶解性ポリマーとしては、感光性樹脂層(E)が含有する水膨潤性または水溶解性ポリマーとして例示したものが挙げられ、感光性樹脂層(E)と同じ水膨潤性または水溶解性ポリマーを含有してもよいし、異なる水膨潤性または水溶解性ポリマーを含有してもよい。フロア層(C)と感光性樹脂層(E)の間に、水膨潤性または水溶解性ポリマーを含有する接着層(D)を有することにより、接着層(D)と感光性樹脂層(E)との間の接着力をより向上させることができる。
【0047】
接着層(D)中における水膨潤性または水溶解性ポリマーの含有量は、30重量%以上が好ましく、UVインキ耐性を向上させることができる。一方、接着層(D)中における水膨潤性または水溶解性ポリマーの含有量は、80重量%以下が好ましく、感光性樹脂層との接着力をより向上させることができる。なお、水膨潤性または水溶解性ポリマーの含有量は、水膨潤性または水溶解性ポリマーを2種以上含有する場合には、その合計含有量を指す。
【0048】
接着層(D)は、さらにエチレン性二重結合を有する化合物および光重合開始剤を含有することが好ましい。接着層(D)にこれらの光硬化成分を含有することにより、フロア層(C)との間の接着力の経時的な低下をより抑制することができる。
【0049】
光重合開始剤およびエチレン性二重結合を有する化合物としては、プライマ層(B)の原料として例示したものが挙げられる。接着層(D)中におけるエチレン性二重結合を有する化合物の含有量は、10重量%以上が好ましく、フロア層(C)との間の接着力の経時的な低下をより抑制することができる。一方、接着層(D)中におけるエチレン性二重結合を有する化合物の含有量は、60重量%以下が好ましく、感光性樹脂層(E)との間の接着力をより向上させることができる。
【0050】
接着層(D)中における光重合開始剤の含有量は、1重量%以上10重量%以下が好ましく、光硬化を効率良く進めることができる。
【0051】
接着層(D)には、本発明の目的を阻害しない範囲で、さらに添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、染料、紫外線吸収剤水不溶性ポリマー、界面活性剤などが挙げられる。
【0052】
接着層(D)は、前述の好ましい成分を含む層の光硬化物であってもよい。
【0053】
本発明における接着層(D)の厚みは、1μm以上が好ましく、フロア層(C)や感光性樹脂層(E)との間の接着力の経時的な低下をより抑制することができる。フ接着層(D)の厚みは、10μm以上がより好ましい。一方、接着層(D)の厚みは、70μm以下が好ましく、生産性を向上させることができる。接着層の厚みは、50μm以下がより好ましい。
【0054】
本発明に係る印刷版原版は、感光性樹脂層(E)上にカバーフィルムを有することが好ましく、表面を保護し、異物等の付着を抑制することができる。感光性樹脂層(E)はカバーフィルムと接していてもよいし、感光性樹脂層(E)とカバーフィルムの間に、1層または複数の層を有していてもよい。感光性樹脂層(E)とカバーフィルムの間の層としては、例えば、感光性樹脂層(E)表面の粘着を防止する粘着防止層などが挙げられる。
【0055】
カバーフィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリエチレンなどのプラスチックシートが好ましく使用される。カバーフィルムの厚みは、10~150μmの範囲が好ましい。また、カバーフィルム表面は、粗面化されていてもよく、原画フィルムの密着性を向上させることができる。
【0056】
本発明に係る印刷版原版は、感光性樹脂層(E)上に、さらに感熱マスク層を有してもよい。感熱マスク層は、紫外光を遮断し、描画時には赤外レーザー光を吸収し、その熱により瞬間的に一部または全部が昇華または融除するものが好ましい。これにより、レーザーの照射部分と未照射部分の光学濃度に差が生じ、従来の原画フィルムと同様の機能を果たすことができる。
【0057】
さらに、感熱マスク層と感光性樹脂層(E)間に、接着力調整層を設けてもよく、感熱マスク層と感光性樹脂層間との密着を向上させることができる。
【0058】
次に、本発明の感光性フレキソ印刷版原版の製造方法について、接着層(D)を有する場合を例に説明する。
【0059】
まず、イソシアネート基と反応する官能基を有するポリマーを溶媒に加熱溶解し、イソシアネート基を有する化合物および必要に応じてエチレン性二重結合を有する化合物、光重合開始剤、添加剤を添加し、撹拌して十分に混合し、プライマ層組成物溶液を作製する。溶媒としては、例えば、トルエンや酢酸エチルなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。得られたプライマ層組成物溶液を支持体上に流延し、熱硬化させることにより、プライマ層(B)を形成する。
【0060】
次に、プライマ層(B)の上に、フロア層(C)を形成する。フロア層(C)の形成方法としては、例えば、フロア層組成物溶液をプライマ層(B)上に流延して乾燥する方法や、別途形成したフロア層(C)シートを、プライマ層(B)を形成した支持体と貼り合わせる方法などが挙げられる。なお、フロア層組成物溶液は、例えば、イソシアネート基と反応する官能基を有する水不溶性エラストマーおよび必要に応じて添加剤を溶媒に加熱溶解し、撹拌して十分に混合することによって得ることができる。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフランやトルエンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0061】
次に、フロア層(C)の上に、接着層(D)を形成する。接着層(D)の形成方法としては、例えば、フロア層(C)上に、接着層組成物溶液を流延して乾燥する方法などが挙げられる。なお、接着層組成物溶液は、例えば、水膨潤性または水溶解性ポリマーを水/アルコール混合溶媒に加熱溶解し、エチレン性二重結合を有する化合物、光重合開始剤および必要に応じて添加剤等を添加し、撹拌して十分に混合することによって得ることができる。さらに、紫外線を照射して接着層(D)を光硬化させてもよい。
【0062】
次に、接着層(D)の上に、感光性樹脂層(E)を形成する。感光性樹脂層(E)の形成方法としては、例えば、感光性樹脂層組成物溶液を流延して乾燥する方法や、別途形成した感光性樹脂層シートを、接着層(D)を形成した支持体と貼り合わせる方法などが挙げられる。感光性樹脂層組成物溶液は、例えば、水膨潤性または水溶解性ポリマーを水/アルコール混合溶媒に加熱溶解し、エチレン性二重結合を有する化合物、光重合開始剤および必要に応じて可塑剤その他の添加剤等を添加し、撹拌して十分に混合することによって得ることができる。
【0063】
次に、本発明に係る印刷版原版を用いたフレキソ印刷版の製造方法について説明する。本発明におけるフレキソ印刷版は、本発明に係る印刷版原版の感光性樹脂層を部分的に光硬化させる露光工程、および、感光性樹脂層の未硬化部分を、水を含む現像液により除去する現像工程を有する方法により得ることができる。
【0064】
まず、露光工程について説明する。印刷版原版が感熱マスク層を有するいわゆるCTP版の場合、カバーフィルムを有する場合にはこれを剥離し、レーザー描画機を用いて原画フィルムに相当する像の描画を実施した後、紫外線照射することによって、感光性樹脂層を光硬化させる。印刷版原版が感熱マスク層を有しない場合は、原画フィルムを介して紫外線照射することによって、感光性樹脂層を光硬化させる。紫外線としては、波長300~400nmの光が好ましく、紫外線照射に用いるランプとしては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯、カーボンアーク灯、ケミカル灯などが挙げられる。特に微細な細線、独立点の再現性が要求される場合は、カバーフィルムの剥離前に支持体側から短時間露光(裏露光)することも可能である。
【0065】
次に、現像工程について説明する。露光した印刷版原版を現像液に浸漬し、ブラシ式現像装置またはスプレー式現像装置を用いて、感光性樹脂層の未硬化部分を、現像液により除去することにより、基板上にレリーフ像を形成することができる。現像液は、水を含むことが好ましく、必要に応じて界面活性剤などの添加剤を含有してもよい。現像時の現像液温は15~40℃が好ましい。
【0066】
現像後、50~70℃において10分間程度乾燥することが好ましい。また、必要に応じてさらに大気中または真空中において、活性光線を照射する後露光を行ってもよい。
【0067】
次に、フレキソ印刷版を用いた印刷物の製造方法について説明する。前述の方法により得られたフレキソ印刷版表面にインキを付着させる工程、および、前記インキを被印刷体に転写する工程を含むことが好ましい。フレキソ印刷機としては、例えば、インラインタイプ、センタードラムタイプ、スタックタイプなどが挙げられる。
【0068】
インキとしては、紫外線硬化型インキが好ましく、例えば、顔料、アクリルオリゴマー等の樹脂、アクリレートモノマー、重合開始剤などを含有するものが好ましい。紫外線硬化型インキとしては、例えば、市販のPHA((株)T&K TOKA製)、“FLASH DRY”(登録商標、東洋インキ(株)製)、“UVAFLEX”(登録商標)Y77(Zeller+Gmelin社製)などのフレキソ印刷用インキが挙げられる。
【実施例0069】
各実施例および比較例における評価方法を以下に示す。
【0070】
(1)製版工程数
比較例1により得られた印刷版原版について、バッチ式露光現像機“トミフレックス”(富博産業(株)製)を用いて、支持体(A)側から積算光量が800mJ/cm2程度になるように裏露光を行った。
【0071】
各実施例および比較例により得られた印刷版原版(ただし、比較例1については上記裏露光後の印刷版原版)について、カバーフィルムの保護層を剥離し、赤外に発光領域を有するファイバーレーザーを備えた外面ドラム型プレートセッターCDI SPARK(エスコ・グラフィックス(株)製)に、支持体側がドラムに接するように装着し、ベタ部および150LPIの濃度30%の網点を有する画像を描画し、感熱マスク層に画像マスクを形成した。
【0072】
次に、バッチ式露光現像機トミフレックス(富博産業(株)製)を用いて、積算光量が16,000mJ/cm2程度になるように露光(主露光)した後、25℃に温度調整した水道水を現像液として60秒間現像した。その後、オーブンを用いて、60℃で10分間乾燥した。その後積算光量が16,000mJ/cm2程度になるように露光(後露光)し、フレキソ印刷版を得た。
【0073】
裏露光工程、描画工程、主露光工程、現像工程、乾燥工程、後露光工程を各1工程として合計工程数を製版工程数とした。
【0074】
(2)感光性樹脂層(E)の柔軟性
前記(1)の方法により得られたフレキソ印刷版のベタ部から無作為に選択した16箇所について、常温環境下、ショアA硬度計((株)テクロック製、GS-719G)を用いてショアA硬度測定し、その数平均値を算出した。ショアA硬度が90以下であれば、フレキソ印刷版の柔軟性に優れると評価した。
【0075】
(3)層間接着力
前記(1)の方法により得られたフレキソ印刷版のベタ部から、2cm×20cmの大きさのサンプルを32枚断裁し、各サンプルを40℃80%RHの恒温恒湿器に7日間保管した。各サンプルに対して、卓上形精密万能試験機((株)島津製作所製、オートグラフAGS-X)を用いて、フロア層(C)/プライマ層(B)間を10mm/分の速度で180°剥離したときの剥離力を測定し、その数平均値を算出した。剥離力が3N/cm以上であれば、層間接着力の経時的な低下が抑制されていると評価した。
【0076】
(実施例1)
[プライマ層(B)を有する支持体の作製]
“バイロン”(登録商標)31SS(重量平均分子量53,000である飽和ポリエステル樹脂の30重量%トルエン溶液、東洋紡(株)製)260重量部およびPS-8A(ベンゾインエチルエーテル、和光純薬工業(株)製)2重量部の混合物を、70℃で2時間加熱した後、30℃に冷却し、エチレングリコールジグリシジルエーテルジメタクリレート7重量部を加えて、2時間混合した。さらに、“コロネート”(登録商標)3015E(MDI系多価イソシアネート樹脂の50重量%酢酸エチル溶液、東ソー(株)製)50重量部およびEC-1368(工業用接着剤、住友スリーエム(株)製)14重量部を添加して混合し、プライマ層組成物溶液Aを得た。
【0077】
厚さ188μmの“ルミラー”(登録商標)T60(ポリエステルフィルム、東レ(株)製)上に、バーコーターを用いて、プライマ層組成物溶液Aを、乾燥後の厚みが20μmになるように塗布し、180℃のオーブンで3分間加熱して溶媒を除去し、プライマ層(B)を有する支持体を得た。
【0078】
[フロア層(C)を有する積層体の作製]
プライマ層(B)を有する支持体のプライマ層(B)上に、バーコーターを用いて、ホットメルトした熱可塑性ポリウレタン樹脂を、冷却後の厚みが300μmになるように直接流延し、自然冷却し、フロア層(C)を有する積層体を得た。
【0079】
なお、上記フロア層(C)をプライマ層(B)から剥離した後、2cm×2cmの大きさのサンプルを16枚断裁した。各サンプルの質量を測定した後、50℃の水中に24時間浸漬し、浸漬後の質量を測定した。浸漬前後の質量変化率を算出し、その数平均値を算出したところ、質量変化率は1.3%であり、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂は水不溶性であると判断した。
【0080】
[接着層(D)を有する積層体の作製]
“ゴーセノール”(登録商標)KH-17(ケン化度78.5~81.5モル%の部分ケン化ポリビニルアルコール、重量平均分子量165,000、日本合成化学工業(株)製)50重量部を“ソルミックス”(登録商標)H-11(アルコール混合物、日本アルコール(株)製)200重量部および水200重量部の混合溶媒中70℃で2時間混合した後、“ブレンマー”(登録商標)G(グリシジルメタクリレート、日油(株)製)1.5重量部を添加して1時間混合し、さらに(ジメチルアミノエチルメタクリレート)/(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)共重合体(重量比2/1)(共栄社化学(株)製)3重量部、“イルガキュア”(登録商標)651(ベンジルメチルケタール、BASF社製)5重量部、エポキシエステル70PA(プロピレングリコールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、共栄社化学(株)製)21重量部およびエチレングリコールジグリシジルエーテルジメタクリレート20重量部を添加して90分間混合し、50℃に冷却した後、“メガファック”(登録商標)F-556(DIC(株)製)を0.1重量部添加して30分間混合し、接着層組成物溶液1を得た。
【0081】
フロア層(C)を有する積層体のフロア層(C)上に、バーコーターを用いて、接着層組成物溶液1を、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗布し、160℃のオーブンで3分間加熱して溶媒を除去し、接着層(D)を有する積層体を得た。
【0082】
[感光性樹脂層(E)を有する積層体の作製]
“ゴーセノール”(登録商標)“KL-05”(ケン化度78.5~82.0モル%の部分ケン化ポリビニルアルコール、重量平均分子量38,000、日本合成化学工業(株)製)をアセトン中で膨潤させ、無水コハク酸1.0モル%を添加し、60℃で6時間撹拌して分子鎖にカルボキシル基を付加させた。このポリマーをアセトンで洗浄して、未反応の無水コハク酸を除去乾燥した。酸価を測定したところ、10.0mgKOH/gであった。この操作で得られた樹脂を以降(樹脂1)とする。樹脂1は、親水基であるポリエチレングリコールセグメントを有する。
【0083】
なお、上記樹脂1を10g秤量し、990gの水中に50℃で24時間浸漬したところ、樹脂1は完全に溶解していたことから、水溶解性であると判断した。
【0084】
撹拌用ヘラおよび冷却管を取り付けた3つ口フラスコ中に、樹脂として樹脂1 40重量部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1.3重量部、可塑剤としてトリメチロールプロパン(重量平均分子量:134)30重量部を添加し、“ソルミックス”(登録商標)H-11(アルコール混合物、日本アルコール(株)製)50重量部および水50重量部の混合溶媒を添加して混合した後、撹拌しながら80℃で2時間加熱し、樹脂および光重合開始剤を溶解させた。70℃に冷却した後、エチレン性二重結合を有する化合物としてグリシジルメタクリレート8.0重量部、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(“ブレンマー”(登録商標)AE400/日油(株)製)10重量部、ポリエチレングリコールジメタクリレート(“ブレンマー”AD400/日油(株)製)10重量部を添加し、界面活性剤としてフッ素含有4級アンモニウム塩化合物“フタージェント”(登録商標)300((株)ネオス製)0.5重量部を添加し、30分間撹拌し、感光性樹脂層組成物溶液1を得た。
【0085】
前述の接着層(D)を有する積層体の接着層(D)上に、感光性樹脂層組成物溶液1を、乾燥後の合計厚み(支持体+プライマ層+フロア層+接着層+感光性樹脂層)が1.14mmとなるように流延し、60℃で2.5時間乾燥し、感光性樹脂層(E)を有する積層体を得た。
【0086】
[CTP版用カバーフィルムの作製]
日本合成化学工業(株)製の部分ケン化ポリビニルアルコール“ゴーセノール”KL-05(ケン化度78.5モル%~82.0モル%、重量平均分子量38,000)11重量部を水55重量部、メタノール14重量部、n-プロパノール10重量部およびn-ブタノール10重量部に溶解させ、剥離補助層組成物溶液を得た。
【0087】
カーボンブラックMA100(三菱化学(株)製)23重量部、“ダイヤナール”(登録商標)BR-95(アルコール不溶性のアクリル樹脂、三菱レイヨン(株)製)15重量部、可塑剤ATBC(アセチルクエン酸トリブチル、(株)ジェイ・プラス製)1重量部およびメチルイソブチルケトン30重量部を混合した後、3本ロールミルを用いて混練分散させ、カーボンブラック分散液を調製した。
【0088】
カーボンブラック分散液に、AER6071(エポキシ樹脂、旭化成ケミカルズ(株)製)1重量部、“ユーバン”(登録商標)20SE60(メラミン樹脂、三井化学(株)製)1重量部、“ライトエステル”(登録商標)P-1M(リン酸モノマー、共栄社化学(株)製)0.05重量部およびメチルイソブチルケトン100重量部を添加して30分間撹拌し、感熱マスク層組成物分散液を得た。
【0089】
“ゴーセノール”AL-06(ケン化度91~94モル%の部分ケン化ポリビニルアルコール、重量平均分子量46,500、日本合成化学工業(株)製)を水:エタノール=50:50(重量比)の混合溶媒に溶解させ、接着力調整層組成物溶液1を得た。
【0090】
厚さ100μmのポリエステルフィルム“ルミラー”(登録商標)S10(東レ(株)製)上に、バーコーターを用いて、剥離補助層組成物溶液を乾燥後の厚みが0.1μmになるように塗布し、120℃で20秒間乾燥し、剥離補助層を形成した。
【0091】
次に、剥離補助層上に、バーコーターを用いて、感熱マスク層組成物溶液を、乾燥後の厚みが1.0μmになるように塗布し、140℃で20秒間乾燥し、感熱マスク層を形成した。
【0092】
さらに、感熱マスク層上に、バーコーターを用いて、接着力調整層組成物溶液1を、乾燥後の厚みが1.0μmになるように塗布し、120℃で20秒間乾燥し、接着力調整層を形成した。このようにして、接着力調整層/感熱マスク層/剥離補助層/保護層の積層体であるCTP版用カバーフィルム1を得た。このカバーフィルムを以降CF1と記載する。
【0093】
[印刷版原版の作製]
前述の方法により得られた感光性樹脂層を有する積層体の感光性樹脂層(E)上に、水/エタノール=50/50(重量比)の混合溶媒を塗布し、前述の方法により得られたCF1を、接着力調整層が感光性樹脂層側になるように圧着し、印刷版原版を得た。
【0094】
(実施例2)
数平均分子量600のポリエチレングリコールの両末端にアクリロニトリルを付加し、これを水素還元して得たα,ω-ジアミノポリオキシエチレンとアジピン酸との等モル塩60重量部、ε-カプロラクタム20重量部およびヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩20重量部を溶融重合して、相対粘度(ポリマー1gを抱水クロラール100mlに溶解し、25℃で測定した粘度)2.5の樹脂2を得た。樹脂2は、親水基であるポリエチレングリコールセグメントを有する。
【0095】
なお、上記樹脂2を10g秤量し、990gの水中に50℃で24時間浸漬したところ、樹脂2は完全に溶解していたことから、水溶解性であると判断した。
【0096】
50重量部の樹脂2を“ソルミックス”(登録商標)H-11(アルコール混合物、日本アルコール(株)製)34重量部および水22重量部の混合溶媒中90℃で2時間混合した後、“ブレンマー”(登録商標)G(グリシジルメタクリレート、日油(株)製)1.5重量部を添加して30分間混合した。さらに、2-アクロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸(HOA-MPE、共栄社化学(株)製)24重量部、テトラメチロールメタントリアクリレート(NKエステルA-TMM-3、新中村化学(株)製)4重量部、可塑剤としてポリエチレングリコール(重量平均分子量:400、PEG#400、ライオン(株)製)5重量部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール(“イルガキュア”(登録商標)651、チバ・ガイギー(株)製)1.3重量部、添加剤としてN,N,N’,N’-テトラ(2-ヒドロキシ-3-メタアクロイルオキシプロピル)-m-キシレンジアミン5重量部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.01重量部を添加して80℃で30分間撹拌し、70℃に冷却した後、“メガファック”(登録商標)F-556(DIC(株)製)を0.6重量部添加して30分間混合し、接着層組成物溶液2を得た。
【0097】
接着層(D)を有する積層体の作製において、接着層組成物溶液1にかえて接着層組成物溶液2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、接着層(D)を有する積層体を得た。
【0098】
撹拌用ヘラおよび冷却管を取り付けた3つ口フラスコ中に、樹脂として樹脂2 50重量部、水34重量部およびエタノール22重量部を入れ、撹拌しながら90℃で2時間加熱し、樹脂2を溶解させた。70℃に冷却した後、グリシジメタクリレート(“ブレンマー”(登録商標)G、日本油脂(株)製)1.5重量部を添加し、30分間撹拌した。さらに、エチレン性二重結合を有する化合物としてグリセリンジメタクリレート(“ブレンマー”(登録商標)GMR、日本油脂(株)製)8.0重量部、2-アクロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸(HOA-MPE、共栄社化学(株)製)24重量部、テトラメチロールメタントリアクリレート(NKエステルA-TMM-3、新中村化学(株)製)4重量部、可塑剤としてポリエチレングリコール(重量平均分子量:400、PEG#400、ライオン(株)製)17重量部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール(“イルガキュア”(登録商標)651、チバ・ガイギー(株)製)1.3重量部、添加剤としてN,N,N’,N’-テトラ(2-ヒドロキシ-3-メタアクロイルオキシプロピル)-m-キシレンジアミン5重量部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.01重量部を添加して30分間撹拌し、感光性樹脂層組成物溶液2を得た。
【0099】
感光性樹脂層(E)を有する積層体の作製において、感光性樹脂層組成物溶液1にかえて、感光性樹脂層組成物溶液2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感光性樹脂層(E)を有する積層体を得た。
【0100】
CM-9000(親水基を有しないポリアミド、東レ(株)製)を水:エタノール=20:80(重量比)の混合溶媒に溶解させ、接着力調整層組成物溶液2を得た。
【0101】
CTP版用カバーフィルムの作製において、接着力調整層組成物溶液1にかえて、接着力調整層組成物溶液2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、接着力調整層/感熱マスク層/剥離補助層/保護層の積層体であるCTP版用カバーフィルム2を得た。このカバーフィルムを以降CF2と記載する。
【0102】
印刷版原版の作製において、CF1にかえて、CF2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、印刷版原版を得た。
【0103】
(実施例3)
撹拌用ヘラおよび冷却管を取り付けた3つ口フラスコ中に、樹脂として樹脂1 40質量部、可塑剤としてトリメチロールプロパントリ(ポリエチレングリコール)エーテル(重量平均分子量:400、日本乳化剤(株)製TMP-60)30質量部、溶媒としてアルコール混合物(日本アルコール(株)製“ソルミックス”(登録商標)H-11)40質量部および蒸留水60質量部を入れた後、撹拌しながら77℃で2時間加熱し、溶解させた。
【0104】
この溶解物を70℃に冷却した後、エチレン性二重結合を有する化合物としてグリシジルメタクリレート5.0重量部、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(水酸基1官能、日油(株)製“ブレンマー”(登録商標)AE400)10質量部、トリプロピレングリコールのグリシジルアクリレートの1:2付加物(水酸基2官能、日油(株)製“エポキシエステル”(商標登録)200PA)10質量部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1.3質量部、界面活性剤としてフッ素含有4級アンモニウム塩化合物((株)ネオス製“フタージェント”(登録商標)320)0.6質量部、紫外線吸収剤として2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール0.05質量部を添加して60分間撹拌し、感光性樹脂層組成物溶液3を得た。
【0105】
感光性樹脂層(E)を有する積層体の作製において、感光性樹脂層組成物溶液1にかえて、感光性樹脂層組成物溶液3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、印刷版原版を得た。
【0106】
(実施例4)
フロア層(C)にホットメルトした熱可塑性ポリアミド樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にして、印刷版原版を得た。なお、上記フロア層(C)について実施例1と同様に50℃の水中に24時間浸漬し、浸漬前後の質量変化率の数平均値を算出したところ、質量変化率は1.5%であり、水不溶性であると判断した。
【0107】
(実施例5)
フロア層(C)にホットメルトしたアセチルセルロースを用いたこと以外は実施例1と同様にして、印刷版原版を得た。なお、上記フロア層(C)について実施例1と同様に50℃の水中に24時間浸漬し、浸漬前後の質量変化率の数平均値を算出したところ、質量変化率は2.1%であり、水不溶性であると判断した。
【0108】
(実施例6)
“ハイフレックス”(登録商標)(ポリプロピレングリコール、第一工業製薬(株)製)270重量部およびPS-8A(ベンゾインエチルエーテル、和光純薬工業(株)製)2重量部の混合物を、70℃で2時間加熱した後、30℃に冷却し、エチレングリコールジグリシジルエーテルジメタクリレート7重量部を加えて、2時間混合した。さらに、“コロネート”(登録商標)3015E(多価イソシアネート樹脂の酢酸エチル溶液、東ソー(株)製)50重量部を添加して混合し、プライマ層組成物溶液Bを得た。プライマ層(B)にプライマ層組成物溶液Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして、印刷版原版を得た。
【0109】
(比較例1)
フロア層(C)を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、印刷版原版を得た。
【0110】
(比較例2)
感光性樹脂層(E)に可塑剤としてトリメチロールプロパンを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、印刷版原版を得た。
【0111】
(比較例3)
フロア層(C)を有する積層体の作製において、熱可塑性ポリウレタン樹脂にかえて、イソシアネート基と反応する官能基を有さないエチレン酢酸ビニル共重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして、印刷版原版を得た。
【0112】
(比較例4)
フロア層(C)を有する積層体の作製において、熱可塑性ポリウレタン樹脂にかえて、イソシアネート基と反応する官能基を有さないポリ塩化ビニルを用いたこと以外は実施例1と同様にして、印刷版原版を得た。
【0113】
(比較例5)
プライマ層(B)を有する支持体の作製において、イソシアネート基と反応する官能基を有さないクロロプレン系接着剤を用いたこと以外は実施例1と同様にして、印刷版原版を得た。
【0114】
(比較例6)
支持体として厚さ188μmのKSP-AN(イソシアネート基と反応する官能基を有さないエステル系易接着層付きポリエステルフィルム、東山フィルム(株)製)を用い、プライマ層(B)を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、印刷版原版を得た。
【0115】
各実施例および比較例の主な構成と評価結果を表1~2に示す。
【0116】
【0117】