(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139426
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
F25C 5/187 20180101AFI20230927BHJP
【FI】
F25C5/187 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044952
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】大谷 輝彦
(57)【要約】
【課題】庫内の貯氷量を、簡単な構成で検出することができると共に、検出装置の配設位置の自由度も高い製氷機を提供する。
【解決手段】貯氷庫12の外側に、静電容量型近接検出装置14が配設される。静電容量型近接検出装置14は、センサ電極46と、該センサ電極46に近接する貯氷庫内の氷との間の静電容量を検出する静電容量検出回路48と、を備える。該静電容量検出回路48で検出された静電容量が予め設定された閾値を超えた場合に、出力回路が検出信号を制御手段に出力する。制御手段は、検出信号が入力されると、製氷機構10での運転を停止し、氷の製造が停止される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
氷を製造する製氷機構と、該製氷機構で製造した氷を貯留する貯氷庫とを備える製氷機であって、
前記貯氷庫に配設されたセンサ電極と、該センサ電極に近接する貯氷庫内の氷との間の静電容量の変化に基づいて貯氷量を検出する静電容量型近接検出装置を有し、
該静電容量型近接検出装置での検出結果に基づいて、前記製氷機構での製氷運転を制御するよう構成した
ことを特徴とする製氷機。
【請求項2】
前記センサ電極を、前記貯氷庫の外側に配置した請求項1記載の製氷機。
【請求項3】
前記静電容量型近接検出装置は、前記センサ電極と氷との間の静電容量を検出する静電容量検出回路を備え、
該静電容量検出回路を、前記センサ電極との間に空気層が形成されるように離間して配置した請求項2記載の製氷機。
【請求項4】
前記静電容量型近接検出装置は、前記センサ電極と氷との間の静電容量の変化に基づき検出する貯氷量を調節可能に構成した請求項1~3の何れか一項に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷機構で製造した氷を貯氷庫に貯留可能な製氷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製氷機構で製造された氷を貯留可能な貯氷庫を備え、必要に応じて氷を貯氷庫から取り出しできるよう構成した製氷機が、飲食店やホテル等で広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。製氷機は、貯氷庫内に、該貯氷庫内に貯留される氷の量(貯氷量)を検出するための静電容量式の貯氷センサを備える貯氷検出装置が設けられ、該貯氷検出装置により検出された貯氷量に基づいて製氷機構の運転を制御することで、貯氷庫内に所定量の氷を貯留するよう構成されている。
【0003】
特許文献1の貯氷検出装置は、貯氷庫における接地した金属製の外箱を第1電極とすると共に、貯氷庫内に配設した貯氷センサを第2電極とし、貯氷センサに氷が接触していない状態で検出される両電極(外箱と貯氷スイッチ)間の静電容量の値では、製氷機構を運転して氷の製造を行う。そして、貯氷センサに氷が接触することで両電極(外箱と貯氷スイッチ)間の静電容量が変化することに基づいて、製氷機構の運転を停止するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の貯氷検出装置は、外箱を電極とするための接地作業が必要となるばかりか、その接地のために配線が必要になると共に、配線の接続作業も必要となり、貯氷検出装置のコストが嵩むと共に、配設作業が煩雑となる問題がある。また、外箱と貯氷センサとの間の静電容量の変化に基づいて貯氷量を検出するため、庫内に配設される貯氷センサの配設位置は、外箱との関係で限定されてしまい、貯氷センサの配設位置の自由度が低いという難点も指摘される。
【0006】
本発明は、前述した従来技術に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、庫内の貯氷量を、簡単な構成で検出することができると共に、検出装置の配設位置の自由度も高い製氷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る製氷機は、
氷を製造する製氷機構(10)と、該製氷機構(10)で製造した氷を貯留する貯氷庫(12)とを備える製氷機であって、
前記貯氷庫(12)に配設されたセンサ電極(46)と、該センサ電極(46)に近接する貯氷庫(12)内の氷との間の静電容量の変化に基づいて貯氷量を検出する静電容量型近接検出装置(14,70,80,84,86)を有し、
該静電容量型近接検出装置(14,70,80,84,86)での検出結果に基づいて、前記製氷機構(10)での製氷運転を制御するよう構成したことを要旨とする。
請求項1の発明によれば、自己容量型である静電容量型近接検出装置によって、庫内の貯氷量を検出するようにしたので、コストを抑えることができる。すなわち、貯氷庫の外箱等を電極とする必要はないので、接地のための配線や、該配線の接続作業等は必要なくなり、低コストで配設作業も簡単になる。また、氷とセンサ電極との間の静電容量の変化に基づいて貯氷量を検出する自己容量型である静電容量型近接検出装置は、センサ電極以外の電極を別途必要としないので、静電容量型近接検出装置の配設位置の自由度は高く、任意の位置に静電容量型近接検出装置を配設することができる。
【0008】
請求項2の発明では、前記センサ電極(46)を、前記貯氷庫(12)の外側に配置したことを要旨とする。
請求項2の発明によれば、センサ電極を貯氷庫の外側に配設したので、氷よりも誘電率が高い、氷が溶けた水がセンサ電極に付着しないため、誤検出が発生するのを減少させることができる。また、氷が溶けた庫内の水は、センサ電極とは貯氷庫の壁を隔てて離れているため、庫内の水による影響によって誤検出するのも減少させることができる。また、センサ電極は、氷や水に晒されないので、該センサ電極として耐食性の高い導電性材料を使用する必要がなく、コストを低下させることができる。更に、故障等による部品交換が簡単であり、メンテナンス性がよい。
【0009】
請求項3の発明では、前記静電容量型近接検出装置(14,70,80,84,86)は、前記センサ電極(46)と氷との間の静電容量を検出する静電容量検出回路(48)を備え、
該静電容量検出回路(48)を、前記センサ電極(46)との間に空気層が形成されるように離間して配置したことを要旨とする。
請求項3の発明によれば、センサ電極と静電容量検出回路との間に空気層を形成したので、該空気層によって静電容量検出回路の断熱性を高めることができ、静電容量検出回路が結露や水滴などによって故障するのを防ぐことができる。
【0010】
請求項4の発明では、前記静電容量型近接検出装置(14,70,80,84,86)は、前記センサ電極(46)と氷との間の静電容量の変化に基づき検出する貯氷量を調節可能に構成したことを要旨とする。
請求項4の発明によれば、貯氷庫に貯留される貯氷量を任意に変更することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る製氷機によれば、簡単な構成で貯氷量を検出することができ、また静電容量型近接検出装置の配設位置の自由度も高く、任意の位置に静電容量型近接検出装置を配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】製氷機における静電容量型近接検出装置のブロック図である。
【
図3】静電容量型近接検出装置のセンサ電極を示す概略図である。
【
図6】第1別実施例に係る静電容量型近接検出装置のブロック図である。
【
図7】第2別実施例に係る静電容量型近接検出装置を示す説明図である。
【
図8】第3別実施例に係る静電容量型近接検出装置を示す説明図である。
【
図9】第4別実施例に係る静電容量型近接検出装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る製氷機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例0014】
図1は、実施例に係る製氷機の概略構成を示すものであって、該製氷機は、氷を連続的かつ自動的に製造する製氷機構10と、該製氷機構10で製造した氷を貯留する貯氷庫12と、該貯氷庫12に貯留された氷の貯留量(貯氷量)を検出する静電容量型近接検出装置(以後、検出装置と指称する)14と、を備える。また、製氷機は、検出装置14での検出結果に基づいて、製氷機構10の製氷運転を制御する制御手段16(
図4参照)を備える。
【0015】
前記製氷機構10として、実施例ではオーガ式の製氷機構10が採用されている。オーガ式の製氷機構10は、
図1に示す如く、製氷機の箱状本体18の内部に配設された円筒状の冷凍ケーシング20の外周に、圧縮機22や凝縮器24等からなる冷凍系26に連通する蒸発管28が密着的に巻回され、製氷運転時に冷媒を蒸発管28に循環させることにより、冷凍ケーシング20を強制冷却するよう構成される。また、冷凍ケーシング20には、図示しない製氷水タンクから製氷水が所定レベルで供給され、製氷運転が開始されて冷凍ケーシング20が強制冷却されることで、製氷水がケーシング内壁面から徐々に氷結を始め、層状の薄氷が形成されるようになっている。
【0016】
前記冷凍ケーシング20の内部には、
図1に示す如く、製氷機下部に配設されたオーガモータ30により回転駆動されるオーガスクリュー32が回転可能が配設され、冷凍ケーシング20の内壁面に氷結する薄氷を、オーガモータ30により回転されるオーガスクリュー32で削り取りつつ上方に移送するよう構成される。そして、オーガスクリュー32により削り取られつつ上方に移送されるフレーク状氷が、冷凍ケーシング20の上部内側に配設された押圧頭34を通過する過程で圧縮されて水分が除去されることで圧縮された氷が製造され、この氷が、冷凍ケーシング20の上部に配設された筒状の放出部材36を介して、前記貯氷庫12内に放出されて貯留される。
【0017】
図1に示す如く、前記貯氷庫12は、内箱38の外側に所定間隔離間して外箱40を配置し、両箱38,40間に発泡断熱材42を充填した断熱箱体44で構成され、該断熱箱体44の上に、前記製氷機構10が配置されて、前記放出部材36から放出される氷を庫内に受容し得るよう構成される。断熱箱体44の内箱38および外箱40は、何れも非導電性材料である合成樹脂を材質として形成されている。なお、貯氷庫12には、氷取出口を開閉する開閉扉(何れも図示せず)が設けられ、開閉扉を開放することで、庫内に貯留された氷を取り出したり、庫内の清掃やメンテナンスを実施し得るよう構成される。
【0018】
前記貯氷庫12に、庫内の貯氷量を検出する前記検出装置14が配設されている。検出装置14は、庫内に氷が規定量まで貯留された満杯を検出すると、検出信号を前記制御手段16に出力し、制御手段16は、検出信号に基づいて前記圧縮機22およびオーガモータ30を停止制御して、製氷機構10での氷の製造を停止するよう構成される。また、貯氷庫12から氷が取り出されたり、氷が融けて貯氷量が減り、検出装置14が氷の満杯を検出しなくなる(検出信号を出力しなくなる)と、制御手段16は、圧縮機22およびオーガモータ30を運転し、製氷機構10での氷の製造を再開するよう構成される。すなわち、制御手段16は、検出装置14での検出結果に基づいて、製氷機構10での製氷運転を制御して、貯氷庫12に規定量の氷を貯留するよう構成される。
【0019】
前記検出装置14は、
図2に示す如く、センサ電極46と、該センサ電極46に近接する氷とセンサ電極46との間の静電容量を検出する静電容量検出回路48と、該静電容量検出回路48で検出された静電容量が予め設定された閾値を超えた場合に、検出信号を出力する出力回路54と、を備える。ここで、検出装置14は、1つのセンサ電極46の静電容量の変化に基づいて貯氷量を検出する自己容量型の検出装置14であるので、その検出原理につき説明する。
静電容量Cは、導体に加えられる単位電圧Vと、該単位電圧Vを加えたときに生ずる電荷量Qとにより、C=Q/Vの式で表わされる。
導体(電極)に、大地に対して+(プラス)の電圧を加えた場合、導体(電極)には+の電荷が生じ、導体(電極)と大地間に電界ができる。この電界中に物体が存在すると、静電誘導によって導体(電極)に近い側に、導体(電極)と異種の-(マイナス)の電荷が現われ、反対側には+(プラス)の電荷が表われる、分極という現象を生ずる。物体が導体(電極)から遠く離れていれば、電界は弱いので、分極も小さいが、物体が導体(電極)に接近するに従って電界は強くなり、分極も大きくなる。そうすると、物体に生じた-(マイナス)の電荷の誘導を受けて導体(電極)側の+(プラス)の電荷は増加する。従って、C=Q/Vの式より、電荷量Qの増加により、導体(電極)の静電容量Cが増加する。このように、物体が導体(電極)に接近するのに従って静電容量Cが増加することを利用し、静電容量Cが予め設定された閾値を超えることで、氷が満杯になったことを検出するものである。
【0020】
実施例の検出装置14は、
図1に示す如く、前記貯氷庫12における外箱40の外側に配設されており、前記センサ電極46は、実施例では貯氷庫12の上面側に配設されている。センサ電極46に接続する前記静電容量検出回路48は、
図2に示す如く、発振回路50と、発振状態検出回路52とを備え、該発振状態検出回路52が前記出力回路54に接続されている。発振回路50は、センサ電極46の静電容量の大きさに応じた発振動作を行うよう構成され、発振状態検出回路52は、発振回路50の発振動作による振幅と閾値とを比較する。そして、出力回路54は、発振状態検出回路52による振幅と閾値との比較結果が、振幅が閾値を超えている場合に、氷が満杯であることを示す検出信号を出力する。実施例では、静電容量検出回路48および出力回路54は、一つの基板に設けられた回路ユニット62として構成されている。
【0021】
前記センサ電極46は、
図3に示す如く、該センサ電極46における検出面(庫内を向く面)とは逆の非検出面に、シール状や板状の合成樹脂などからなる絶縁体56を介して導電性のシールド材58が貼り合わされて、センサ電極46の非検出面はシールド材58で覆われている。すなわち、センサ電極46における検知面側の静電容量が、検知面側以外の周囲に存在する物体や電気的なノイズの影響を受けて変化するのをシールド材58で抑制し、検出装置14による誤検出を防止し得るよう構成されている。なお、センサ電極46は、絶縁体56の表面に、蒸着によって形成する構成を採用することができる。また、検出装置14は、センサ電極46に加える電圧を変化させたり、前記発振回路50に設けた可変抵抗器による抵抗値を変化させることで、検出感度を調節し得るよう構成される。
【0022】
図4に示す如く、製氷機は、前記圧縮機22やオーガモータ30等の各種機器類が制御手段16に電気的に接続され、制御手段16により制御されるよう構成される。また、制御手段16に、前記検出装置14が電気的に接続され、検出装置14の検出信号が制御手段16に入力される。また、制御手段16は、検出装置14による検出感度や閾値、あるいは発信周波数を変更可能で、その設定された検出感度や閾値等のデータ値を表示する表示手段や設定手段の機能を有するタッチパネル60が接続されている。すなわち、実施例の製氷機では、タッチパネル60によって前記検出装置14における検出感度や閾値等を変更することで、センサ電極46と氷との間の静電容量の変化に基づき検出する貯氷量を調節可能に構成される。例えば、検出感度を標準より高めることで、センサ電極と氷との離間距離が検出感度を標準とした場合より長い状態で、検出信号を出力する静電容量を検出し、標準の場合より貯氷量を少なくでき、逆に検出感度を標準より低くすることで、標準の場合より貯氷量を多くできる。あるいは、閾値を標準より小さくすることで、センサ電極と氷との離間距離が閾値を標準とした場合より長い状態で、検出信号を出力する静電容量を検出し、標準の場合より貯氷量を少なくでき、逆に閾値を標準より大きくすることで、標準の場合より貯氷量を多くできる。なお、タッチパネル60は、制御手段16にデータ設定された、各種データ値などの情報を入力設定できる画面、その他の運転制御画面などに、画面表示を切り替えることができる。
【0023】
〔実施例の作用〕
次に、実施例に係る製氷機の作用について説明する。
【0024】
実施例の製氷機では、1つのセンサ電極46を用いた自己容量型の検出装置14によって、庫内の貯氷量を検出するようにしたので、コストを抑えることができる。すなわち、貯氷庫12の外箱等を電極とする必要はないので、接地のための配線や、該配線の接続作業等は必要なくなり、低コストで配設作業も簡単になる。また、センサ電極46以外の電極を別途必要としないので、検出装置14の配設位置の自由度は高く、任意の位置に検出装置14を配設することができる。更に、センサ電極46は、非検出面をシールド材58で覆うよう構成したので、氷以外の物体やノイズの影響を受けて静電容量が変化するのを抑制することができ、検出装置14での検出感度を高めても、誤検出することなく氷による静電容量の変化を精度よく検出することができる。
【0025】
前記検出装置14は、前記貯氷庫12の外側に配置されているので、氷よりも誘電率が高い、氷が溶けた水がセンサ電極46に付着しないため、誤検出が発生するのを減少させることができる。また、センサ電極46は、庫内とは断熱箱体44で隔てられているので、庫内で発生した水の影響による検出面側の静電容量の変化は抑えられ、検出装置14による誤検出を防ぐことができる。また、センサ電極46は、氷や水に晒されないので、該センサ電極46として耐食性の高い導電性材料を使用する必要がなく、コストを低下させることができる。更に、検出装置14に故障等が発生した場合は、部品交換が簡単であり、メンテナンス性がよい。
【0026】
また、前記検出装置14を貯氷庫12の外側に配置する構成によって、以下の作用効果も得られる。
・貯氷庫12の内部に、検出装置14に起因する突起物や凹凸が生じないので、汚れが付き難くて衛生的であると共に、庫内の清掃もし易い。
・庫内に電極を設ける従来構成において必要となる、庫内の電極と外部の制御手段とを接続する配線を通すための通孔等を貯氷庫12に形成する必要はなく、貯氷庫12の断熱性が低下するのを防ぐことができる。
・検出装置14を構成するセンサ電極46等の部品として、食品帯域に使用できる材料を使用する必要がなく、材料の自由度が高い。
・検出装置14のセンサ電極46と回路ユニット62とを近接して配設することができるので、センサ電極46と静電容量検出回路48との間の信号線を短くすることができる。
【0027】
実施例の製氷機では、前記検出装置14による検出感度や閾値を調節可能に構成したので、貯氷庫12の満杯時の貯氷量を変更することができる。すなわち、氷の使用量が少ない時期や期間では、検出装置14の検出感度や閾値を調節して満杯時の貯氷量を少なくし、氷の使用量が多い時期や期間では、検出装置14の検出感度や閾値を調節して満杯時の貯氷量を多くする等、必要となる氷の量に応じて貯氷量を任意に変更することができる。また、検出感度や閾値の調節は、製氷機が備えるタッチパネル60によってユーザーが行い得るので、ニーズに合わせた調節は、メーカの担当者を介することなく簡単にできる。
【0028】
(別実施例について)
図5は、別実施例に係る製氷機を示すものであって、実施例に既出の部材と同一または同種の部材については、同じ符号を付して詳細説明は省略する。
【0029】
別実施例の製氷機は、前記貯氷庫12に、上方に延出する案内部64が設けられ、該案内部64に、前記冷凍ケーシング20の上部に配設されて横方向に延出する放出部材36が連通するよう接続されている。案内部64は、断熱箱体44と同様に、下方に開口する筒状の内壁66の外側に所定間隔離間して外壁68を配置し、両壁66,68間に発泡断熱材42を充填して断熱構造としたものであって、該案内部64で画成された内部空間は、貯氷庫12の庫内を構成する。内壁66および外壁68は、何れも非導電性材料である合成樹脂を材質として形成されている。そして、案内部64における前記冷凍ケーシング20から離間する側の外壁68の外側(貯氷庫12の外側)に、前記検出装置14のセンサ電極46が配置されており、別実施例では、案内部64の下端近傍まで氷が貯留した満杯状態を検出装置14で検出し得るよう構成されている。別実施例の製氷機においても、実施例と同様な作用効果が得られる。
【0030】
なお、
図5には、前記センサ電極46の配置位置の別例を、二点鎖線で示している。すなわち、センサ電極46は、案内部64における前記冷凍ケーシング20に近接する側の外壁68の外側、あるいは前記断熱箱体44における案内部64の配設側に近接する外箱40の外側等、任意の位置に配置することができる。
【0031】
図6~
図9は、検出装置の別実施例を示すものであって、実施例に既出の部材と同一または同種の部材については、同じ符号を付して詳細説明は省略する。
【0032】
図6は、第1別実施例に係る検出装置70を示すものであって、当該第1別実施例の検出装置70は、センサ電極46と、発振回路50と、整流回路72と、制御回路74と、を備え、発振回路50および整流回路72によって、静電容量検出回路48が構成されている。発振回路50は、センサ電極46の静電容量の大きさに応じた発振動作を行い、該発振動作による振幅が閾値を超える場合に、整流回路72にパルス状電圧を印加するよう構成される。整流回路72は、パルス電圧を整流し、直流出力電圧に変換して制御回路74に印加するよう構成される。制御回路74は、出力端にリレー76が接続されており、整流回路72から直流出力電圧が印加されない状態で、リレー76は、リレー接点Raに接続されて、前記圧縮機22およびオーガモータ30に交流電源78を接続するよう構成される。そして、制御回路74に直流出力電圧が印加されると、リレー76は、リレー接点Raから離間するよう切り替えられて、圧縮機22およびオーガモータ30と交流電源78との接続を解除するよう構成される。
【0033】
第1別実施例に係る検出装置70では、センサ電極46の静電容量が小さく、発振回路50での振幅が閾値を超えていない場合は、制御回路74のリレー76は、リレー接点Raに接続されて、圧縮機22およびオーガモータ30が運転され、製氷機構10で氷が製造される。前記貯氷庫12内の貯氷量が増加し、センサ電極46に近接するまで氷が貯留されると、センサ電極46の静電容量が大きくなるよう変化し、発振回路50での振幅が閾値を超えた場合は、制御回路74のリレー76は、リレー接点Raから離間するように切り替わり、圧縮機22およびオーガモータ30が停止制御されて、製氷機構10での氷の製造が停止される。第1別実施例の検出装置70を備える製氷機においても、実施例と同様の作用効果が得られる。
【0034】
第1別実施例に係る検出装置70において、該検出装置70の検出感度や閾値等を、前記制御手段16のタッチパネル60の操作によって変更可能なICや電子回路を静電容量検出回路48に設けることで、実施例と同様に、ユーザーによって、満杯時の貯氷量を任意に変更することができる。
【0035】
ここで、前記整流回路72から制御回路74に印加する直流出力電圧を、タッチパネル60の操作によって変更可能に構成すると共に、制御回路74において、リレー76を切り替える出力電圧値を変更可能に構成することでも、満杯時の貯氷量を変更することができる。例えば、発振回路50による振幅が閾値を超えない場合に整流回路72から制御回路74に印加される低レベルの直流出力電圧では、リレー76は、リレー接点Raに接続され、発振回路50による振幅が閾値を超えた場合に整流回路72から制御回路74に印加される高レベルの直流出力電圧によって、リレー76は、リレー接点Raから離間するように切り替えられるように構成すればよい。また、制御回路74において、リレー76が、リレー接点Raから離間するように切り替えられるための直流出力電圧の閾値を、タッチパネル60の操作によって変更可能に構成し、一定の直流出力電圧に対して閾値を変更することで、リレー76が、リレー接点Raから離間する条件を異ならせて満杯時の貯氷量を変更することができる。
【0036】
図7は、第2別実施例に係る検出装置80を示すものであって、前記実施例と同じセンサ電極46および回路ユニット62からなる検出装置において、センサ電極46と、回路ユニット62とを一体化したものである。すなわち、センサ電極46と、回路ユニット62とを、導電性材料または一部が導電性材料で形成したスペーサ82によって、所定間隔離間して電気的に接続して一体化し、検出装置80は、センサ電極46を、外箱40の外側において庫内側に向けて配設される。第2別実施例に係る検出装置80は、センサ電極46と、回路ユニット62(静電容量検出回路48および出力回路54)とをスペーサ82で離間するよう配設して両者46,62(48,54)の間に空気層を形成したので、該空気層によって静電容量検出回路48および出力回路54の断熱性を高めることができ、静電容量検出回路48や出力回路54が結露や水滴などによって故障するのを防ぐことができる。
【0037】
図8は、第3別実施例に係る検出装置84を示すものであって、前記実施例と同じセンサ電極46および回路ユニット62からなる検出装置において、センサ電極46と、回路ユニット62における静電容量検出回路48とをハンダ付けにより電気的に接続して一体化したものである。また、
図9は、第4別実施例に係る検出装置86を示すものであって、前記実施例と同じセンサ電極46および回路ユニット62からなる検出装置において、回路ユニット62の静電容量検出回路48にコネクタ88を設け、該コネクタ88にセンサ電極46の一部を差し込むことで電気的に接続して一体化したものである。
【0038】
第2別実施例~第4別実施例の検出装置80,84,86は、センサ電極46と回路ユニット62とを一体化したので取り扱いが容易となる。センサ電極46と回路ユニット62とを一体化した検出装置80,84,86を貯氷庫12の外側に配置したので、検出装置80,84,86において結露や水滴などが発生し難く、防水対策を不要としてコスト削減に寄与する。センサ電極46を静電容量検出回路48に直接接続するので、螺子等により信号線を中継接続する必要はなく、構成を簡単化できる。また、センサ電極46と回路ユニット62とを別々に貯氷庫等に固定する必要がなく、配設作業が簡単になる。
【0039】
〔変更例〕
本願は、前述した実施例や別実施例の構成に限定されるものでなく、その他の構成を適宜に採用することができる。また、以下の変更例に限らず、実施例や別実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
1.実施例等において、制御手段や検出装置に、ウィークリータイマ等の計時手段を設け、該計時手段で設定した時間や曜日において、検出装置の検出感度や閾値を自動で変更して、満杯時の貯氷量が適切な量となるように変更する構成を採用することができる。例えば、氷を衛生的に使用するために一定期間毎に貯氷庫内を清掃しているが、該清掃時には全ての氷を貯氷庫内から取り出す必要があるため、計時手段によって清掃する時期に合わせて予め貯氷量を減らしておくことで、清掃時に貯氷庫内から取り出す氷の量を少なくすることができ、労力を低減し得る。
2.第2別実施例~第4別実施例に係る検出装置のように、センサ電極と静電容量検出回路とを一体化する構成は、第1別実施例に係る検出装置の構成においても採用することができる。
3.製氷機構は、オーガ式に限らず、噴射式や流下式等の各種方式の製氷機構を採用することができる。