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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139465
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】バリケード
(51)【国際特許分類】
   E01F 13/00 20060101AFI20230927BHJP
   E01F 15/08 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
E01F13/00 301
E01F15/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045020
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】市橋 隆
(72)【発明者】
【氏名】高見 俊介
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA07
2D101DA05
2D101EA05
2D101FA06
2D101FB21
(57)【要約】
【課題】従来よりバリケードの耐久性を向上させる技術を提供する。
【解決手段】本開示のバリケード10は、以下の作用効果を奏する。即ち、本開示のバリケード10の構造によれば、1対の分割体41,42に分けて射出成形し、それらを固着させて製造することができる。つまり、中空の樹脂の成形品であるバリケード10を、ブロー成形や回転成形ではなく、射出成形によって製造することができる。これにより、ブロー成形や回転成形で問題となる偏肉が抑えられて、バリケード10の耐久性が従来より向上する。また、バリケード10の生産性も向上する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面又は床面に載置されて自立する中空構造の樹脂製のバリケードであって、
厚さ方向の途中位置で1対の分割体に縦割りに分割され、それら1対の分割体同士を互いに固着した状態に備えるバリケード。
【請求項2】
前記1対の分割体の内面からそれぞれ突出し、互いに固着している複数の内部リブを備える請求項1に記載のバリケード。
【請求項3】
前記1対の分割体の互いの対向面の間を連絡する連絡梁を備える請求項1又は2に記載のバリケード。
【請求項4】
注水口及び排水口が、前記1対の分割体同士の固着面から離して設けられている請求項1から3の何れか1の請求項に記載のバリケード。
【請求項5】
前記厚さ方向と直交する横方向の一端部に備えられ、1対のバリケードを前記厚さ方向の表裏を逆向きにして横に並べたときに互いに重なり合う第1連結部と、互いに重なった前記第1連結部を貫通する複数の貫通孔と、を備える請求項1から4の何れか1の請求項に記載のバリケード。
【請求項6】
前記厚さ方向と直交する横方向の一端部に備えられ、1対のバリケードを前記厚さ方向の表裏を逆向きにして横に並べたときに前記厚さ方向で互いに重なり合う第2連結部と、互いに重なった前記第2連結部を貫通しかつ前記横方向に延びる長孔と、を備える請求項1から5の何れか1の請求項に記載のバリケード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地面又は床面に載置されて自立するバリケードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のバリケードとして、樹脂製の中空構造のものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3008419号公報(段落[0009])
【0004】
【特許文献2】特開平8-5378号公報(段落[0009])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のバリケードは、ブロー成形や回転成形によって製造される構造をなしている。このため、製品が偏肉して部分的に強度が低い部分が生じ、耐久性が低いことが問題になっていた。これに対し、従来よりバリケードの耐久性を向上させる技術の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、地面又は床面に載置されて自立する中空構造の樹脂製のバリケードであって、厚さ方向の途中位置で1対の分割体に縦割りに分割され、それら1対の分割体同士を互いに固着した状態に備えるバリケードである。
【0007】
請求項2の発明は、前記1対の分割体の内面からそれぞれ突出し、互いに固着している複数の内部リブを備える請求項1に記載のバリケードである。
【0008】
請求項3の発明は、前記1対の分割体の互いの対向面の間を連絡する連絡梁を備える請求項1又は2に記載のバリケードである。
【0009】
請求項4の発明は、注水口及び排水口が、前記1対の分割体同士の固着面から離して設けられている請求項1から3の何れか1の請求項に記載のバリケードである。
【0010】
請求項5の発明は、前記厚さ方向と直交する横方向の一端部に備えられ、1対のバリケードを前記厚さ方向の表裏を逆向きにして横に並べたときに互いに重なり合う第1連結部と、互いに重なった前記第1連結部を貫通する複数の貫通孔と、を備える請求項1から4の何れか1の請求項に記載のバリケードである。
【0011】
請求項6の発明は、前記厚さ方向と直交する横方向の一端部に備えられ、1対のバリケードを前記厚さ方向の表裏を逆向きにして横に並べたときに前記厚さ方向で互いに重なり合う第2連結部と、互いに重なった前記第2連結部を貫通しかつ前記横方向に延びる長孔と、を備える請求項1から5の何れか1の請求項に記載のバリケードである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1のバリケードの構造によれば、1対の分割体に分けて射出成形し、それらを固着させて製造することができる。つまり、本開示によれば、中空の樹脂の成形品であるバリケードを、ブロー成形や回転成形ではなく、射出成形によって製造することができる。これにより、ブロー成形や回転成形で問題となる偏肉が抑えられて、バリケードの耐久性が従来より向上する。また、バリケードの生産性も向上する。
【0013】
請求項2のバリケードは、ブロー成形や回転成形では設けることができない複数の内部リブを備えるので強度が高くなり、この点においてもバリケードの耐久性が向上する。
【0014】
請求項3のバリケードは、1対の分割体の互いの対向面の間を連絡する連絡梁を備えるので、バリケードが内圧によって膨らむような変形が抑えられる。
【0015】
請求項4のバリケードは、注水口及び排水口を備えるので、バリケードに水を入れて自立状態を安定させることができる。また、注水口及び排水口は、1対の分割体同士の固着面から離して設けられ、1対の分割体に跨がる配置にはなっていないから、注水口及び排水口の形状が安定し、キャップにて閉塞した際の防水性が向上する。
【0016】
請求項5の構成によれば、1対のバリケードを固定してバリケードユニットにすることができる。換言すれば、バリケードユニットを半分に分けて搬送することができ、取り扱い性に優れる。
【0017】
請求項6の構成によれば、1対のバリケードを連結した状態で任意に屈曲させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の一実施形態に係るバリケードの斜視図
図2】バリケードを斜め下方から見た斜視図
図3】バリケードの一部破断の斜視図
図4】1対の分割体の斜視図
図5】1対の分割体の一部拡大の斜視図
図6】1対の分割体の一部拡の大斜視図
図7】バリケードユニットの斜視図
図8】連結された1対のバリケードユニットの平面図
図9】バリケード同士の連結部分の斜視図
図10】フェンスが装着されたバリケードユニットの斜視図
図11】連結された1対のバリケードユニットの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1図11を参照して本開示の実施形態に係るバリケード10について説明する。図1には1対のバリケード10が厚さ方向の表裏を相互に逆向きにして並べられた状態が示されている。以下、バリケード10の厚さ方向を「前後方向H1」といい、前後方向H1と直交する水平方向を「横方向H2」という。また、バリケード10には前後の区別はないが、各部位の構造の説明のために、前後方向H1の一方側を「前側」といい、他方側を「後側」ということとする。
【0020】
図1に示すように、バリケード10は、下から順番に台座部11、下部12、中間部13及び上部14に区別することができる。下部12は、前後に1対の斜面12Sを有し、それら1対の斜面12Sは、下方に向かうに従って互いに離れるように傾斜している。
【0021】
中間部13は、前後方向H1に扁平な横長の略直方体状をなし、下部12の1対の斜面12Sの上端から上方に立ち上がった鉛直な1対の主平面13Sを有する。また、下部12及び中間部13の横方向H2の両端に位置する側面12T,13Tは、面一に連続した平坦面になっている。また、中間部13の両主平面13Sのぞれぞれには、装飾用陥没部23が形成されている。本実施形態では、装飾用陥没部23は、例えば、「>」の記号形をなして、両主平面13Sのぞれぞれに1対ずつ横並びに設けられている。さらには、1対の主平面13Sの間で、装飾用陥没部23の「>」の向きは逆になっている。なお、装飾用陥没部23の底面に反射シール等を貼着して目立つようにしてもよい。
【0022】
台座部11は、上下方向に扁平な略直方体の横方向H2の中央に、フォーク挿入溝17を備えた構造をなしている。フォーク挿入溝17は、前後方向H1に延びてその両端の下方とに開放する角溝形をなしている。また、図3に示すように、フォーク挿入溝17内の上面の両端部には傾斜面17Sが形成されている。さらには、図2に示すように、台座部11のうちフォーク挿入溝17の両横の1対の脚部19の下面には、前後方向H1に延びる複数の突条19Tがそれぞれ形成されている。
【0023】
台座部11の前後の両面11Sは、下部12の1対の斜面12Sから垂下する鉛直な平面になっている。また、一方の脚部19の側面でもある台座部11の一方の側面11Tは、下部12の側面12Tより段付き状に横方向H2に引っ込んでいて、それら両側面11T,12Tの間に水平な第1段差面11D1が形成されている。
【0024】
また、第1段差面11D1の下方には、前後方向H1の中央より一方側にずれた位置に、排水部28が設けられている。図4に示すように、排水部28は、側面11Tから突出する円筒体の外周面にネジ山28Rを備えた構造をなしている。そして、キャップ92が排水部28に螺合装着されて排水部28の先端の排水口28Kが閉塞される。また、図2に示すように、排水部28に装着されたキャップ92は、第1段差面11D1の下方に収まり、下部12の側面12Tより横方向H2に突出しないようになっている。
【0025】
なお、下部12のうち台座部11から横方向H2に張り出した部分における前後方向H1の両端の角部には、上方から見て円弧状の曲面12Rが形成されている。
【0026】
図1に示すように、台座部11の他方の側面11Tは、上下方向の途中位置まで下部12の側面12Tと面一になっている。そして、側面11Tの下端に第2段差面11D2が形成され、第2段差面11D2より下側が傾斜面11Eになっている。その傾斜面11Eは他方の脚部19の側面でもある。
【0027】
台座部11のうち第2段差面11D2の下方には、前後方向H1の両端寄り位置に1対の連結片22が設けられている。各連結片22は、前後方向H1から見ると1対の斜辺を有する横長の台形をなしている。そして、連結片22の一方の斜辺が傾斜面11Eに接続されると共に、連結片22の上辺の略半分が第2段差面11D2に接続され、連結片22の略半分は、台座部11から横方向H2に張り出している。また、図2に示すように、連結片22の下面は、脚部19の下面と面一になって、前述の突条19Tの下端より上方に位置する。さらには、一方の連結片22より他方の連結片22の方が、連結片22の板厚分だけ前後方向H1の中央側にずれた配置になっている。また、各連結片22には、横方向H2及び上下方向の中央に、前後方向H1に貫通する貫通孔34が備えられている。
【0028】
なお、台座部11には、一方の脚部19における前後の両面11Sに、横長の四角形のラベル貼着用陥没部24が形成されている。そして、ここにバリケード10の所有者等が記載されたラベルが装着可能になっている。
【0029】
図1に示すように、上部14は、上部本体14Hの横方向H2の両端に第1連結部15Rと第2連結部18とを備えてなる。上部本体14Hは、上下方向に扁平な略直方体の横方向H2の中央に、上面溝20を備えた構造をなしている。また、上部本体14Hは、中間部13の1対の主平面13Sより前後方向H1の両側に段付き状に突出している。そして、図3に示すように、上部本体14Hの前後の両面14Sと中間部13の1対の主平面13Sとの間に、1対の水平な段差面13Dが形成されている。また、図1に示すように、上部本体14Hの1対の側面14Tは、中間部13の全体の両側面13Tより横方向H2で引っ込んでいる。
【0030】
上面溝20の底面には、前後方向H1における一端寄り位置に、注水部21が設けられている。図3に示すように、注水部21は、側面11Tから突出する円筒体の外周面にネジ山21Rを備えた構造をなし、先端に注水口21Kを備える。そして、図1に示すように、キャップ91が注水部21に螺合装着されて注水口21Kが閉塞される。なお、注水部21に装着されたキャップ91は、上部本体14Hの上面から上方に突出しないようになっている。
【0031】
第1連結部15Rは、第1ブロック15と第2ブロック16とからなる。そして、第1ブロック15が、上部本体14Hの一方の側面14Tの前側の略半面から横方向H2に延設され、その第1ブロック15の側面15Tから第2ブロック16が横方向H2に延設されている。そして、上部本体14Hと第1ブロック15と第2ブロック16とにおいて、前面と上面とは面一に連続する一方、後面は階段状に前側にずれている。また、第1ブロック15の側面15Tは、中間部13の一方の側面13Tと面一に連続していて、第2ブロック16全体が中間部13の一方の側面13Tから横方向H2に突出している。
【0032】
上部14の横方向H2の他端部には、中間部13における横方向H2の一端の上角部に、段付き状に低くなったコーナー陥没部39が備えられ、コーナー陥没部39の側面39Tと上部14の他方の側面14Tとが面一に連続している。そして、第2連結部18は、後側から見ると、上部本体14Hの上面からコーナー陥没部39の底面までの高さを有する縦長の長方形をなして、前述の面一となった側面14T,39Tの前側半分から横方向H2に突出し、横方向H2の半分は中間部13の側面13Tから張り出している。
【0033】
また、第2連結部18の上面は、上部本体14Hの上面と面一に連続している。さらには、第2連結部18の前面は、コーナー陥没部39の反対側部分を除いて上部14の前面と面一に連続し、第2連結部18の前面のうちコーナー陥没部39の反対側部分は、中間部13の主平面13Sと面一に連続している。
【0034】
第1連結部15Rには、前後方向H1に貫通する1対の貫通孔31が備えられている。それら1対の貫通孔31は、第1ブロック15と第2ブロック16との境界上に上下方向の並べられている。また、第1連結部15Rの後側には、第1ブロック15の側面15Tにおける1対の貫通孔31の延長上に1対の円弧溝32が形成されている。さらには、貫通孔31の内部には、貫通方向の中間位置から内側に張り出す環状突壁31K(図5(A)参照)が備えられている。
【0035】
第2連結部18の上端寄り位置には、前後方向H1に貫通する長孔33が備えられている。長孔33のは、横方向H2に延びている。また、長孔33の内部には、貫通方向の中間位置から内側に張り出す環状突壁33K(図5(B)参照)が備えられている。
【0036】
図1に示すように、第2連結部18の上面のうち前側寄り位置には、円形の凹部25が形成され、その凹部25より前側には、第2連結部18の上面と前面とに開口する角溝26が備えられている。
【0037】
バリケード10は、前後方向H1の厚さ方向の途中位置で1対の分割体41,42に縦割りに分割され、それら1対の分割体41,42同士が互いに固着されている。分割体41及び分割体42は、樹脂の射出成形品であり、色は相互に異なる。また、分割体41,42の同士の樹脂の固着面は、例えば共通の平坦な架空の接合面内に位置している。
【0038】
具体的には、図4に示すように、後側の分割体41は、バリケード10の外面を形成する外殻壁41Gの内側に複数の内部リブ41Lと連絡梁41Mとを備えた構造をなし、前側の分割体42も同様に、外殻壁41Gの内側に複数の内部リブ42Lと連絡梁42Mとを備えた構造をなしている。
【0039】
後側の分割体41の外殻壁41Gは、主として、バリケード10のうち前後方向H1を向いた対向する第1壁部51と、前後方向H1と略平行な第2壁部52とからなり、第1壁部51の外縁部全体から第2壁部52が突出している。また、第1壁部51の外縁部以外には、第1壁部51の段差部分の間に第2壁部52が備えられている。また、複数の内部リブ41Lは、前後方向H1と平行になっていて、第1壁部51と外縁部の第2壁部52との間を連絡している。さらには、連絡梁41Mは、断面が十字形をなして第1壁部51の略中央から前後方向H1に延びている。また、第2壁部52、複数の内部リブ41L及び連絡梁41Mにおける第1壁部51から離れた側の端面は、前述の架空の接合面内に位置している。なお、外殻壁41Gは、内部リブ41L及び連絡梁41Mより厚くなっている。ここまで説明した後側の分割体41の形状に関しては、前側の分割体42においても同様になっている。
【0040】
図5(A)に示すように、前側の分割体42における第1連結部15Rの1対の貫通孔31に対応する部分に第1壁部51から前後方向H1に突出する円筒状の1対の筒体53が備えられ、それら筒体53の先端から、内側に環状突壁31Kが張り出している。また、図5(B)に示すように、前側の分割体42における長孔33に対応する部分には、第1壁部51から前後方向H1に突出する断面長円形の筒体54が備えられ、その筒体54の先端からは、内側に環状突壁33Kが張り出している。なお、これら筒体53,54の先端面及び環状突壁31K,33Kの主平面は前述の架空の接合面内に位置している。
【0041】
図5(A)に示すように、後側の分割体41のうち第1連結部15Rにおける第1壁部51の段差部分の第2壁部52には、1対の円弧溝32に対応する1対の半円形膨出部55が備えられ、それら1対の半円形膨出部55の一端に円筒状の1対の筒体53が延設されている。そして、それら筒体53の先端から内側に環状突壁31Kが張り出している。また、後側の分割体41のうち長孔33に対応する部分には、第1壁部51から突出する断面長円形の筒体54が備えられてその先端から内側に環状突壁33Kが張り出し、さらに、環状突壁33Kの内側開口縁から断面長円形の筒体56が突出している。そして、筒体53,56の先端面及び環状突壁31Kの主平面が、前述の架空の接合面内に位置している。なお、前述の注水部21及び排水部28は、後側の分割体41に纏めて形成されている。
【0042】
図6には、分割体41,42が固着される前の外殻壁41G,42Gにおける接合面側の端部が拡大して示されている。これら外殻壁41G,42Gの先端面には、全周に亘って外縁寄り位置に受容溝41Y,42Yが形成されている。また、受容溝41Y,42Yの底面に対し、その外側の壁は内側の壁部分より低くなっている。また、分割体41,42が固着される前の状態では、内部リブ41L,42L、連絡梁41M,42M等の先端面は、外殻壁41G,42Gの先端面のうち受容溝41Y,42Yより内側部分と面一になっている。そして、分割体41,42は、接合面側の端部を加熱された鉄板に宛がわれてから、互いに重ね合わされる。これにより、分割体41,42同士が固着される。このときに熱溶着によって発生した溶融樹脂が受容溝41Y,42Yに受容される。
【0043】
バリケード10は、以下のようにしてバリケードユニット10Uにすることができる。即ち、図7に示すように、1対のバリケード10を、前後を相互に逆向きにして第1連結部15R側を向かい合わせ、横方向H2に並べる。そして、両バリケード10の第1連結部15R同士及び連結片22同士を前後方向H1に重ねる。次いで、重なった第1連結部15Rを貫通するように1対の貫通孔31にボルト93(図1参照)を通してナット94と螺合し、ボルト93のヘッド部とナット94とが貫通孔31内の環状突壁31K(図5(A)参照)に押し付けられる位置まで両者を締め付ける。このとき、所定長のボルト93を選定することで、ボルト93及びナット94からなる締結具全体をバリケード10の外面から突出しない状態にすることができる。次いで、1対のバリケード10を倒し、互いに重なった2対の連結片22の貫通孔34(図1参照)にボルト95を通して、図示しないナットと螺合する。以上により、1対のバリケード10が横方向H2に並んだ状態に固定されてバリケードユニット10Uになる。また、バリケードユニット10Uになると、図10に示すように、1対の凹部25に、フェンス70を1対の脚部71を挿入して、バリケードユニット10Uの上にフェンス70を起立させることができる。
【0044】
図8及び図9に示すように、バリケード10は、上方から見て相互間が屈曲した状態に連結することができる。この場合は、1対のバリケード10を、前後を相互に逆向きにして第2連結部18側を向かい合わせ、横方向H2に並べる。そして、両バリケード10の第2連結部18同士を前後方向H1に重ねる。次いで、重なった第2連結部18の長孔33を貫通するようにボルト96(図19(A)参照)を通してナット97(図9(B)参照)と螺合する。このとき、ボルト96のヘッド部とナット97とが長孔33内の環状突壁33Kに押し付けられないように螺合する。そして、一方のバリケード10に対して他方のバリケード10を任意の位置まで傾動させる。これにより、1対のバリケード10が相互間が屈曲した状態に連結される。バリケードユニット10U同士、バリケードユニット10Uとバリケード10単体も同様の方法で屈曲した状態に連結することができる。なお、第2連結部18同士が前後方向H1に重ねられた状態で長孔33内で、ボルト96のヘッド部とナット97とが環状突壁33Kに押し付けられる位置まで相互に締め付けてバリケード10同士を固定してもよい。
【0045】
本実施形態のバリケード10の構成に関する説明は以上である。次に、バリケード10の使用形態の一例について説明する。バリケード10は、複数個が分離した状態で例えば工事現場に搬入される。そして、工事現場でバリケード10が1対ずつ連結した状態に固定されてバリケードユニット10Uにされる(図7参照)。次いで、工事現場の境界線に複数のバリケードユニット10Uが並べられて連結される(図11参照)。この状態で、例えば、給水車、給水用ホース等を利用して各バリケード10に注水部21から水が注入される。そして、各バリケードユニット10Uにフェンス70が立てられる。このようにして、工事現場の境界線にフェンス70付きの塀を簡単に築くことができる。なお、一定の場所でバリケードユニット10Uの各バリケード10に給水を行ってからバリケードユニット10Uをフォークリフト等で搬送してもよい。
【0046】
なお、上記作業の際に、バリケード10に水が注入される前であれば、例えば、バリケード10の段差面13D(図3参照)に指を掛けバリケード10を容易に搬送することができ、バリケードユニット10Uであっても、2人が第1連結部15Rと第2連結部18に下方から手を掛けて容易に搬送することができる。さらには、バリケード10に水が注入された後は、バリケードユニット10Uの1対のフォーク挿入溝17にフォークリフトの1対のフォークを挿入してバリケードユニット10Uを容易に搬送することができる。
【0047】
本実施形態のバリケード10は、以下の作用効果を奏する。即ち、本実施形態のバリケード10の構造によれば、1対の分割体41,42に分けて射出成形し、それらを固着させて製造することができる。つまり、中空の樹脂の成形品であるバリケード10を、ブロー成形や回転成形ではなく、射出成形によって製造することができる。これにより、ブロー成形や回転成形で問題となる偏肉が抑えられて、バリケード10の耐久性が従来より向上する。また、バリケード10の生産性も向上する。さらには、ブロー成形や回転成形では設けることができない内部リブ41L,42Lがバリケード10内に備えらえているので強度が高くなり、この点においてもバリケード10の耐久性が向上する。また、バリケード10の対向面の間が連絡梁41M,42Mを介して接続されるのでバリケード10が内圧によって膨らむように変形することも防がれる。さらには、バリケード10は、下面に複数の突条19Tを備えるので路路面上で引きづられてもバリケード10の底部に孔が空くような不具合の発生が防がれる。
【0048】
また、バリケード10は、注水口21K及び排水口28Kを備えるので、バリケード10に水を入れて自立状態を安定させることができ、撤収時に排水も容易に行うことができる。また、注水口21K及び排水口28Kは、1対の分割体41,42同士の固着面から離して設けられ、1対の分割体41,42に跨がる配置にはなっていないから、注水口21K及び排水口28Kの形状が安定し、キャップ91,92にて閉塞した際の防水性が向上する。
【0049】
また、1対のバリケード10を固定してバリケードユニット10Uとすることができる。換言すればバリケードユニット10Uを半分に分けて搬送することができ、取り扱い性に優れる。さらには、バリケードユニット10U同士が連結可能であるから、複数のバリケードユニット10Uからなる塀全体の強度を高くすることができる。また、バリケード10Uは表裏の色が異なり、複数のバリケードユニット10Uからなる塀は、横方向に色が異なるバリケード10が交互に並んだ状態になるので、注意喚起の機能が高くなる。
【0050】
[他の実施形態]
(1)前記実施形態のバリケード10は、水を貯留可能であるが、注水部21及び排水部28を有さず、水が貯留不能であってもよい。
【0051】
(2)前記実施形態のバリケード10は、1対の分割体41,42が熱溶着によって固着されていたが、振動溶着や接着剤によって固着されていてもよい。
【0052】
(3)前記実施形態では、バリケード10同士を固定するための複数の貫通孔31と、バリケード10同士を傾動可能に連結するために長孔33とが横方向H2の両側に分けて配置されていた、横方向H2の両端部のそれぞれに固定用の複数の貫通孔と傾動可能に連結するための長孔とを共に備えた構造としてもよい。
【0053】
(4)前記実施形態のバリケード10を連結する締結具は、ボルトとナットであったが、これに限定されるものではなく、例えば結束バンドや、リベット等であってもよい。
【0054】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0055】
10 バリケード
10U バリケードユニット
15R 第1連結部
17 フォーク挿入溝
18 第2連結部
21K 注水口
28K 排水口
31 貫通孔
32 円弧溝
33 長孔
34 貫通孔
41,42 分割体
41G,42G 外殻壁
41L,42L 内部リブ
41M,42M 連絡梁
H1 前後方向(厚さ方向)
H2 横方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11