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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013948
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】高速裁断装置
(51)【国際特許分類】
   B23D 25/04 20060101AFI20230119BHJP
   B23D 15/00 20060101ALI20230119BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALN20230119BHJP
   H01M 10/0583 20100101ALN20230119BHJP
【FI】
B23D25/04 A
B23D15/00 A
H01M10/0585
H01M10/0583
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077981
(22)【出願日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】202110802655.0
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521242288
【氏名又は名称】シンセン ギーサン インテリジェント テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】李 攀攀
(72)【発明者】
【氏名】▲パン▼ 文武
(72)【発明者】
【氏名】曹 順楠
(72)【発明者】
【氏名】呉 学科
(72)【発明者】
【氏名】陽 如坤
【テーマコード(参考)】
3C039
5H029
【Fターム(参考)】
3C039AA02
3C039AA32
3C039AA42
3C039AB06
3C039EA14
3C039EA15
5H029AJ14
5H029BJ12
5H029BJ15
5H029CJ04
5H029CJ30
(57)【要約】
【課題】高速裁断装置を提供すること。
【解決手段】取付フレームと、材料搬送機構と、直線追従裁断機構と、極片ガイド板と、加速駆動機構とを備え、加速駆動機構が、極片ガイド板の材料出側に設置され、材料帯に対して加速駆動を行うように構成される。直線追従裁断機構の後方に加速駆動機構を設置することにより、材料帯に対する加速駆動が実現され、材料帯の送入速度が所定値に達することができる。直線追従裁断を行うときの直線追従裁断機構の速度および加速度が大きくならなくてもよく、比較的に小さい速度で直線追従裁断を遂げることができ、積層片作製の精度および効率を上げることができるとともに、機構の安定性を向上させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付フレームと、材料搬送機構と、直線追従裁断機構と、極片ガイド板と、加速駆動機構とを備え、
前記材料搬送機構、前記直線追従裁断機構および前記加速駆動機構が、前記取付フレームに取り付けられ、
前記材料搬送機構が、材料帯を搬送するように構成され、前記直線追従裁断機構が、前記材料搬送機構の上方に設置されるとともに、前記材料搬送機構と接続し、前記材料帯に対して直線追従裁断を行うように構成され、前記極片ガイド板が、前記材料搬送機構の材料出側に設置され、裁断された前記材料帯をガイドするように構成され、前記加速駆動機構が、前記極片ガイド板の材料出側に設置され、前記材料帯に対して加速駆動を行うように構成される
ことを特徴とする高速裁断装置。
【請求項2】
前記加速駆動機構は、加速駆動機構取付座と、第1加速ローラ組と、第2加速ローラ組とを備え、
前記加速駆動機構取付座が前記取付フレームに設置され、前記第1加速ローラ組および前記第2加速ローラ組が間隔をあけて前記加速駆動機構取付座に設置され、前記第1加速ローラ組により前記材料帯を挟持するための第1挟持通路が形成され、前記第2加速ローラ組により前記材料帯を挟持するための第2挟持通路が形成され、前記第2挟持通路が前記第1挟持通路の材料出側に形成され、前記第1加速ローラ組および前記第2加速ローラ組が、前記材料帯の加速運動を駆動して、前記第2挟持通路から前記材料帯を所定速度で送出するように構成される
請求項1に記載の高速裁断装置。
【請求項3】
前記第1加速ローラ組は、第1加速駆動ローラと第1従動ローラとを備え、前記第1加速駆動ローラおよび前記第1従動ローラが、前記加速駆動機構取付座に回動可能に設置されるとともに、隙間を設けて前記第1挟持通路を形成するように構成され、
前記第2加速ローラ組は、第2加速駆動ローラと第2従動ローラとを備え、前記第2加速駆動ローラおよび前記第2従動ローラが、前記加速駆動機構取付座に回動可能に設置されるとともに、隙間を設けて前記第2挟持通路を形成するように構成され、
前記第1従動ローラおよび前記第2従動ローラにより前記材料帯の表面の不純物を吸着するように、前記第1従動ローラおよび前記第2従動ローラのそれぞれの表面に粘着材料が塗布されている
請求項2に記載の高速裁断装置。
【請求項4】
前記加速駆動機構取付座にさらに第1除塵用粘着ローラおよび第2除塵用粘着ローラが回動可能に設置され、前記第1除塵用粘着ローラが前記第1従動ローラと転動接触して前記第1従動ローラの表面の不純物を粘着するように構成され、前記第2除塵用粘着ローラが前記第2従動ローラと転動接触して前記第2従動ローラの表面の不純物を粘着するように構成される
請求項3に記載の高速裁断装置。
【請求項5】
前記加速駆動機構取付座に吸塵アッセンブリがさらに設置され、前記吸塵アッセンブリが、前記第1加速ローラ組と第2加速ローラ組との間に設置され、前記材料帯における不純物を吸着するように構成される
請求項2に記載の高速裁断装置。
【請求項6】
位置補正機構をさらに備え、前記位置補正機構が、前記取付フレームに設置されるとともに、前記加速駆動機構の上方に位置し、前記材料帯に対して位置補正を行うように構成される
請求項1に記載の高速裁断装置。
【請求項7】
前記材料搬送機構は、材料搬送機構取付座と材料搬送駆動ローラ組とを備え、前記材料搬送機構取付座が前記取付フレームに設置され、前記材料搬送駆動ローラ組が材料搬送駆動ローラと材料搬送従動ローラとを含み、前記材料搬送駆動ローラおよび前記材料搬送従動ローラが、前記材料搬送機構取付座に回動可能に設置され、前記材料帯が通るための材料搬送挟持通路を形成するように構成される
請求項1に記載の高速裁断装置。
【請求項8】
前記直線追従裁断機構は、直線駆動アッセンブリと、裁断駆動アッセンブリと、カッターアッセンブリとを備え、前記直線駆動アッセンブリが、前記取付フレームに設置されるとともに、前記材料搬送機構取付座の上方に位置し、前記裁断駆動アッセンブリが、前記直線駆動アッセンブリと接続し、前記直線駆動アッセンブリの駆動で直線に往復運動するように構成され、前記カッターアッセンブリが、前記裁断駆動アッセンブリと接続するとともに、前記材料搬送機構取付座と接続し、前記裁断駆動アッセンブリの駆動で前記材料帯を裁断するように構成される
請求項7に記載の高速裁断装置。
【請求項9】
前記材料搬送機構取付座の材料出側に吸塵ボックスがさらに設置され、前記吸塵ボックスが、裁断を行うときに生じた屑材を吸い込むように構成される
請求項8に記載の高速裁断装置。
【請求項10】
前記カッターアッセンブリと前記材料搬送駆動ローラとの距離が70mm以下である
請求項8に記載の高速裁断装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム電池制造の技術分野に属し、具体的に、高速裁断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム電池の「積層型」セルは、正極片または負極片と、セパレータとを互い違いに積み重ねたものである。現在、「つづら折り式」積層、「袋詰式」積層および「熱複合式」積層がある。「熱複合式」積層は、セルを成形する新たな方式であり、この方式で積層片作製を行う過程において、極片の裁断効率が低く、裁断の精度が低く、ローラでの長距離の搬送、駆動で詰まりが発生しやすいため、リチウム電池業界で広く使用されていない。「つづら折り式」積層および「袋詰式」積層の積層プロセスには、セルを作製するとき、効率が低く、短絡検出廃棄率が高く、搬送される過程においてセルの位置ずれが発生しやいなどの現時点で解決できていない欠陥がある。
【0003】
現在、リチウム電池の生産ラインにおいて、裁断するとき、裁断の精度を保証するため、材料帯を停止または減速させる必要があり、積層片作製の効率が低下する。または、直線追従裁断の方式で材料帯を裁断する場合、追従裁断機能を保証するように、リニアモータの運動速度および加速度を大きくすることが要求され、しかし、この方式であれば、裁断の精度および機構の安定性が保証できない。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、積層片作製の精度および効率を上げることができるとともに、機構の安定性を向上させることができる高速裁断装置を提供する。
本発明の実施例は、下記のように実現される。
【0005】
第1局面において、本発明に係る高速裁断装置は、取付フレームと、材料搬送機構と、直線追従裁断機構と、極片ガイド板と、加速駆動機構とを備え、
前記材料搬送機構、前記直線追従裁断機構および前記加速駆動機構が、前記取付フレームに取り付けられ、
【0006】
前記材料搬送機構が、材料帯を搬送するように構成され、前記直線追従裁断機構が、前記材料搬送機構の上方に設置されるとともに、前記材料搬送機構と接続し、前記材料帯に対して直線追従裁断を行うように構成され、前記極片ガイド板が、前記材料搬送機構の材料出側に設置され、裁断された前記材料帯をガイドするように構成され、前記加速駆動機構が、前記極片ガイド板の材料出側に設置され、前記材料帯に対して加速駆動を行うように構成される。
【0007】
選択可能な実施形態において、前記加速駆動機構は、加速駆動機構取付座と、第1加速ローラ組と、第2加速ローラ組とを備え、
【0008】
前記加速駆動機構取付座が前記取付フレームに設置され、前記第1加速ローラ組および前記第2加速ローラ組が間隔をあけて前記加速駆動機構取付座に設置され、前記第1加速ローラ組に前記材料帯を挟持するための第1挟持通路が形成され、前記第2加速ローラ組により前記材料帯を挟持するための第2挟持通路が形成され、前記第2挟持通路が前記第1挟持通路の材料出側に形成され、前記第1加速ローラ組および前記第2加速ローラ組が、前記材料帯の加速運動を駆動して、前記第2挟持通路から前記材料帯を所定速度で送出するように構成される。
【0009】
選択可能な実施形態において、前記第1加速ローラ組は、第1加速駆動ローラと第1従動ローラとを備え、前記第1加速駆動ローラおよび前記第1従動ローラが、前記加速駆動機構取付座に回動可能に設置されるとともに、隙間を設けて前記第1挟持通路を形成するように構成され、
【0010】
前記第2加速ローラ組は、第2加速駆動ローラと第2従動ローラとを備え、前記第2加速駆動ローラおよび前記第2従動ローラが、前記加速駆動機構取付座に回動可能に設置されるとともに、隙間を設けて前記第2挟持通路を形成するように構成され、
【0011】
前記第1従動ローラおよび前記第2従動ローラにより前記材料帯の表面の不純物を吸着するように、前記第1従動ローラおよび前記第2従動ローラのそれぞれの表面に粘着材料が塗布されている。
【0012】
選択可能な実施形態において、前記加速駆動機構取付座にさらに第1除塵用粘着ローラおよび第2除塵用粘着ローラが回動可能に設置され、前記第1除塵用粘着ローラが前記第1従動ローラと転動接触して前記第1従動ローラの表面の不純物を粘着するように構成され、前記第2除塵用粘着ローラが前記第2従動ローラと転動接触して前記第2従動ローラの表面の不純物を粘着するように構成される。
【0013】
選択可能な実施形態において、前記加速駆動機構取付座に吸塵アッセンブリがさらに設置され、前記吸塵アッセンブリが、前記第1加速ローラ組と第2加速ローラ組との間に設置され、前記材料帯における不純物を吸着するように構成される。
【0014】
選択可能な実施形態において、前記高速裁断装置は、位置補正機構をさらに備え、前記位置補正機構が、前記取付フレームに設置されるとともに、前記加速駆動機構の上方に位置し、前記材料帯に対して位置補正を行うように構成される。
【0015】
選択可能な実施形態において、前記材料搬送機構は、材料搬送機構取付座と材料搬送駆動ローラ組とを備え、前記材料搬送機構取付座が前記取付フレームに設置され、前記材料搬送駆動ローラ組が材料搬送駆動ローラと材料搬送従動ローラとを含み、前記材料搬送駆動ローラおよび前記材料搬送従動ローラが、前記材料搬送機構取付座に回動可能に設置され、前記材料帯が通るための材料搬送挟持通路を形成するように構成される。
【0016】
選択可能な実施形態において、前記直線追従裁断機構は、直線駆動アッセンブリと、裁断駆動アッセンブリと、カッターアッセンブリとを備え、前記直線駆動アッセンブリが、前記取付フレームに設置されるとともに、前記材料搬送機構取付座の上方に位置し、前記裁断駆動アッセンブリが、前記直線駆動アッセンブリと接続し、前記直線駆動アッセンブリの駆動で直線に往復運動するように構成され、前記カッターアッセンブリが、前記裁断駆動アッセンブリと接続するとともに、前記材料搬送機構取付座と接続し、前記裁断駆動アッセンブリの駆動で前記材料帯を裁断するように構成される。
【0017】
選択可能な実施形態において、前記材料搬送機構取付座の材料出側に吸塵ボックスがさらに設置され、前記吸塵ボックスが、裁断を行うときに生じた屑材を吸い込むように構成される。
【0018】
選択可能な実施形態において、前記カッターアッセンブリと前記材料搬送駆動ローラとの距離が70mm以下である。
【0019】
本発明の実施例は、下記の有益効果を有する。
本発明の実施例による高速裁断装置において、直線追従裁断機構が、材料搬送機構の上方に設置されるとともに、材料搬送機構と接続し、材料帯に対して直線追従裁断を行うように構成され、極片ガイド板が、材料搬送機構の材料出側に設置され、裁断された材料帯をガイドするように構成され、加速駆動機構が、極片ガイド板の材料出側に設置され、材料帯に対して加速駆動を行うように構成される。従来技術に比べて、本発明は、直線追従裁断機構の後方に加速駆動機構を設置することにより、材料帯に対する加速駆動が実現され、材料帯の送入速度が所定値に達することができる。このような設置方式によれば、直線追従裁断を実現するときの直線追従裁断機構の速度および加速度が大きくならなくてもよく、比較的に小さい速度で直線追従裁断を遂げることができ、積層片作製の精度および効率を上げることができるとともに、機構の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例による高速裁断装置の模式的構成図である。
図2】接続される図1における位置補正機構と加速駆動機構の模式的構成図である。
図3図1における加速駆動機構の模式的構成図である。
図4】接続される図1における材料搬送機構と直線追従裁断機構の模式的構成図である。
図5図1における材料搬送機構の模式的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施例における技術案をより明瞭に説明するため、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。説明する図面は、本発明のいくつかの実施例を示すものにすぎず、範囲を限定するものではない。当業者は、発明能力を用いなくても、これらの図面をもとに、他の関連図面を得ることも可能である。
本発明の実施例の目的、技術案および利点をより明瞭にするため、以下、本発明の実施例に用いられる図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明瞭かつ完全に説明し、説明される実施例が本発明の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではないことは無論である。ここで図面を用いて説明、示した本発明の実施例における部品は、様々な配置方法で配置、設計することが可能である。
このため、以下の、図面に示される本発明の実施例に対する詳細な説明は、本発明の選択された実施例にすぎず、保護しようとする本発明の範囲を限定するものではない。本発明の実施例をもとに、当業者が発明能力を用いることなく得たすべての他の実施例も、本発明の保護範囲に属する。
なお、同様な符号は、図面において同様なものを示すので、1つの図面で定義された場合、他の図面でさらに定義、解釈することが不要になる。
【0022】
本発明の説明において、「上」、「下」、「内」、「外」などの用語で表された方向または位置関係は、図面に基づくものであり、あるいは、該発明製品の通常の配置方向または位置関係であり、本発明を簡単および簡略に説明するためのものにすぎず、該当装置または要素が、必ずしも特定の方向を有したり、特定の方向に構成、操作されたり、することを明示または暗示するものではないため、本発明を限定するものではない。
なお、「第1」、「第2」などの用語は、区別して説明するためのものにすぎず、相対重要性を明示または暗示するものではない。
【0023】
背景技術に開示されたように、従来の積層片作製プロセスは、一般的に、まず、カッターで材料帯(極片)に対して裁断を行い、そして、材料送入操作を行う。従来の裁断設備は、下記の欠陥を有する。
【0024】
1.定方向裁断の方式を採用する場合、裁断の精度を保証するため、材料帯を停止または減速させる必要があり、積層片作製の効率が低下する。
【0025】
2.直線追従裁断の方式を採用する場合、カッターと材料帯との速度を同じにすることで裁断を完成させるため、リニアモータの運動速度および加速度を大きくすることが要求され、従来のリニアモータの速度と材料帯の速度とを精確に合わせるのが困難であり、裁断の精度が低く、そして、運動の加速度が大きく、機構の安定性を保証できない。
【0026】
3.裁断の過程において、粉塵廃棄物が生じ、一部の粉塵が材料帯の表面に粘着されることがあるため、後の製品の質が影響され、複合片の短絡率が比較的に高い。
【0027】
上記の問題を解決するため、本発明は、積層片作製の精度および効率を上げることができるとともに、機構の安定性を向上させることができる新たな高速裁断装置を提供する。なお、矛盾がない限り、本発明の実施例における特徴を互いに組み合わせることができる。
第1実施例
【0028】
図1に示すように、本実施例は、高速裁断装置100を提供し、この高速裁断装置100が、直線追従裁断を行ったあとに加速する方式により、積層片作製の精度および効率を上げることができるとともに、機構の安定性を向上させることができる。
【0029】
本実施例による高速裁断装置100は、取付フレーム110と、材料搬送機構120と、直線追従裁断機構130と、極片ガイド板140と、加速駆動機構150と、位置補正機構160とを備える。材料搬送機構120、直線追従裁断機構130および加速駆動機構150は、取付フレーム110に設置される。材料搬送機構120は、材料帯を搬送するように構成される。直線追従裁断機構130は、材料搬送機構120の上方に設置されるとともに、材料搬送機構120と接続し、材料帯に対して直線追従裁断を行う(直線追従裁断機構130が材料帯に追従して移動し、材料帯と同じ速度に達したあと材料帯を裁断する)ように構成される。極片ガイド板140は、材料搬送機構120の材料出側に設置され、裁断された材料帯をガイドするように構成される。加速駆動機構150は、極片ガイド板140の材料出側に設置され、材料帯に対して加速駆動を行うように構成される。位置補正機構160は、取付フレーム110に設置されるとともに、加速駆動機構150の上方に位置し、材料帯に対して位置補正を行うように構成される。
【0030】
本実施例において、材料搬送機構120は、材料帯の搬送を行うように構成され、後の材料送入操作のため、加速駆動機構150の材料出側に材料送入ローラがさらに設置される。なお、ここで、材料帯は、極片を指しており、材料送入を行う前に、セパレータと複合する必要があり、複合用の具体的な手段について、従来の裁断搬送用設備を参照することができる。
【0031】
本実施例において、極片ガイド板140は、材料搬送機構120と加速駆動機構150との間に設置され、搬送過程における材料帯のずれを防止するため、裁断された材料帯をガイドするように構成される。本実施例において、直線追従裁断機構130の後方に加速駆動機構150を設置することにより、材料帯に対する加速駆動を実現し、材料帯の送入速度を所定値にする。このような設置方式によれば、直線追従裁断機構130は、直線追従裁断を実現するときの速度および加速度を大きくする必要がなく、比較的小さい速度で直線追従裁断を遂げることができ、したがって、積層片作製の精度および効率を上げることができるとともに、機構の安定性を向上させることができる。
【0032】
図2および図3に示すように、本実施例において、加速駆動機構150は、加速駆動機構取付座151と、第1加速ローラ組153と、第2加速ローラ組155とを備える。加速駆動機構取付座151は取付フレーム110に設置され、第1加速ローラ組153および第2加速ローラ組155は間隔をあけて加速駆動機構取付座151に設置され、第1加速ローラ組153により材料帯を挟持するための第1挟持通路が形成され、第2加速ローラ組155により材料帯を挟持するための第2挟持通路が形成され、第2挟持通路が第1挟持通路の材料出側に形成され、第1加速ローラ組153および第2加速ローラ組155が、材料帯の加速運動を駆動して、第2挟持通路から材料帯を所定速度で送出するように構成される。
【0033】
なお、本実施例において、加速駆動機構取付座151の取付高さが材料搬送機構120と一致し、これによって、極片ガイド板140により材料帯に対する水平方向ガイドを実現することができ、そして、第1加速ローラ組153が材料送入側に近接し、第2加速ローラ組155が材料出側に近接するように設置され、第1加速ローラ組153と第2加速ローラ組155との協働で材料帯に対する加速を実現し、これによって、材料帯が所定速度に達して、極片の速度をセパレータの速度に合わせることができる。
【0034】
第1加速ローラ組153は、第1加速駆動ローラ1531と第1従動ローラ1533とを含み、第1加速駆動ローラ1531および第1従動ローラ1533が、加速駆動機構取付座151に回動可能に設置されるとともに、隙間を設けて第1挟持通路を形成するように構成される。第2加速ローラ組155は、第2加速駆動ローラ1551と第2従動ローラ1553とを含み、第2加速駆動ローラ1551および第2従動ローラ1553が、加速駆動機構取付座151に回動可能に設置されるとともに、隙間を設けて第2挟持通路を形成するように構成される。第1従動ローラ1533および第2従動ローラ1553により材料帯の表面の不純物を吸着(粘着)するように、第1従動ローラ1533および第2従動ローラ1553のそれぞれの表面に粘着材料が塗布されている。具体的に、第1従動ローラ1533および第2従動ローラ1553のそれぞれにテフロン(登録商標)のような材料が塗布されており、これにより、接触する材料帯の表面から直接不純物を吸着することができ、材料帯を清潔にし、形成された複合片の短絡率を効果的に下げることができ、製品全体の良品率を向上させることができる。
【0035】
本実施例において、材料帯の上側および下側の両側に対して粉塵不純物の吸着を実現するように、第2従動ローラ1553および第1従動ローラ1533がそれぞれ材料帯の上側および下側に位置し、具体的に、第1加速駆動ローラ1531および第2従動ローラ1553が材料帯の上側に位置し、第2加速駆動ローラ1551および第1従動ローラ1533が材料帯の下側に位置し、第1加速駆動ローラ1531および第2加速駆動ローラ1551が位置ずれして設置され、第1従動ローラ1533および第2従動ローラ1553が位置ずれして設置され、これによって、材料帯の上側および下側に対する不純物粘着を実現することができる。
【0036】
本実施例において、加速駆動機構取付座151にさらに第1除塵用粘着ローラ157および第2除塵用粘着ローラ158が回動可能に設置され、第1除塵用粘着ローラ157が第1従動ローラ1533と転動接触して第1従動ローラ1533の表面の不純物を粘着するように構成され、第2除塵用粘着ローラ158が第2従動ローラ1553と転動接触して第2従動ローラ1553の表面の不純物を粘着するように構成される。具体的に、粘着の効果をさらに向上させるため、本実施例において、第1除塵用粘着ローラ157および第2除塵用粘着ローラ158を別途設置することにより、第1従動ローラ1533および第2従動ローラ1553のそれぞれに吸着した不純物を転移させることができ、これによって、第1従動ローラ1533および第2従動ローラ1553が材料帯における粉塵不純物を継続的に粘着することができる。
【0037】
なお、ここで、第1除塵用粘着ローラ157により不純物を第1従動ローラ1533から転移させ、第2除塵用粘着ローラ158により不純物を第2従動ローラ1553から転移させることができるように、第1除塵用粘着ローラ157の粘着力が第1従動ローラ1533の表面の粘着力よりも大きく、第2除塵用粘着ローラ158の粘着力が第2従動ローラ1553の表面の粘着力よりも大きくするべきである。
【0038】
本実施例において、加速駆動機構取付座151に吸塵アッセンブリ159がさらに設置され、吸塵アッセンブリ159が、第1加速ローラ組153と第2加速ローラ組155との間に設置され、材料帯における不純物を吸着するように構成される。具体的に、吸塵アッセンブリ159は、上部吸着ボックスと下部吸着ボックスとを含み、上部吸着ボックスおよび下部吸着ボックスがいずれも外部の負圧管と接続することにより吸着を実現し、上部吸着ボックスが、材料帯の上側に位置し、材料帯の上面に対して吸着を行うことができ、下部吸着ボックスが、材料帯の下側に位置し、材料帯の下面に対して吸着を行うことができ、これによって、材料帯の表面の粉塵不純物をさらに除去する。
【0039】
本実施例において、位置補正機構160は、加速駆動機構取付座151の上方に設置され、位置補正センサにより材料帯をモニタリングし、位置補正センサが極片の送入位置を検出して検出信号を位置補正機構160の制御モジュールにフィードバックするように構成される。位置補正機構160は、垂直位置補正アッセンブリと回転位置補正アッセンブリとを備え、垂直位置補正アッセンブリが、極片の、取付フレーム110に垂直な方向における位置を調整するように構成され、回転位置補正アッセンブリが、極片の角度を調整するように構成され、第1加速ローラ組153および第2加速ローラ組155が、極片の、走行方向における位置を調整するように構成される。位置補正機構160により極片の、複数の方向における位置を調整したあと、材料送入位置の正確を確保するうえで迅速に加速し、極片の速度をセパレータの走行速度に合わせる。
【0040】
図4および図5に示すように、材料搬送機構120は、材料搬送機構取付座121と材料搬送駆動ローラ組123とを備え、材料搬送機構取付座121が取付フレーム110に設置され、材料搬送駆動ローラ組123が材料搬送駆動ローラ1231と材料搬送従動ローラ1233とを含み、材料搬送駆動ローラ1231および材料搬送従動ローラ1233が、材料搬送機構取付座121に回動可能に設置され、材料帯が通るための材料搬送挟持通路を形成するように構成される。具体的に、材料搬送挟持通路が後方の第1挟持通路および第2挟持通路と揃えるように設けられ、これによって、材料帯が水平方向に搬送される、直線追従裁断機構130が、材料搬送機構取付座121と接続し、材料搬送駆動ローラ組123により搬送される材料帯に対して直線追従裁断を行うように構成される。
【0041】
直線追従裁断機構130は、直線駆動アッセンブリ131と、裁断駆動アッセンブリ133と、カッターアッセンブリ135とを備え、直線駆動アッセンブリ131が、取付フレーム110に設置されるとともに、材料搬送機構取付座121の上方に位置し、裁断駆動アッセンブリ133が、直線駆動アッセンブリ131と接続し、直線駆動アッセンブリ131の駆動で直線に往復運動するように構成され、カッターアッセンブリ135が、裁断駆動アッセンブリ133と接続するとともに、材料搬送機構取付座121と接続し、裁断駆動アッセンブリ133の駆動で材料帯を裁断するように構成される。
【0042】
本実施例において、カッターアッセンブリ135は、可動カッターと固定カッターとを備え、固定カッターが鉛直方向に固定され、可動カッターが裁断駆動アッセンブリ133の駆動で上下に往復運動して裁断機能を果たすように構成される。直線追従裁断プロセスおよび関係機構について、従来の直線追従裁断設備を参照することができる。
【0043】
本実施例において、直線駆動アッセンブリ131は、リニアモータにより駆動され、水平方向において前後に往復運動して、裁断駆動アッセンブリ133を材料帯と同じ速度で運動するように駆動し、水平方向においてカッターアッセンブリ135を材料帯と同じ速度で運動するようにさせ、これによって、直線追従裁断を実現する。具体的に、裁断駆動アッセンブリ133は、サーボモーターと、偏心輪と、六角ガイドピンとを備え、サーボモーターが偏心輪と伝動可能に接続し、偏心輪が六角ガイドピンを介してカッターアッセンブリ135と接続し、サーボモーターが偏心輪を回動駆動し、六角ガイドピンを介して可動カッターを上下に往復運動するように駆動することにより、積層片作製を実現する。
【0044】
本実施例において、材料搬送機構取付座121に調節シリンダー125がさらに設置され、調節シリンダー125が、材料搬送駆動ローラ1231と材料搬送従動ローラ1233との距離を調節することにより材料搬送挟持通路の幅を調節するように構成される。
【0045】
材料を搬送するとき、材料帯が材料搬送駆動ローラ組123の作用でカッターアッセンブリ135を経由し、このとき、サーボモーターが偏心輪を回動駆動し、六角ガイドピンを介して可動カッターを上下に往復運動するように駆動することにより積層片作製を実現する。この過程において、調節シリンダー125を利用して材料搬送駆動ローラ組123に対して圧力調節を行って材料帯を確実に挟持することにより材料送入、裁断の正確性を確保し、偏心輪と可動カッターとが六角ガイドピンを介して接続することにより、変位の精度を保証し、これによって、裁断および積層片作製の精度が保証され、積層片作製際の片幅の不良が抑えられる。
【0046】
本実施例において、材料搬送機構取付座121の材料出側に吸塵ボックス137がさらに設置され、吸塵ボックス137が、裁断を行うときに生じた屑材を吸い込むように構成される。具体的に、吸塵ボックス137も外部の負圧管と接続し、負圧を形成して屑材を吸い込むように構成される。
【0047】
本実施例において、カッターアッセンブリ135と材料搬送駆動ローラ1231との距離が70mm以下である。材料搬送駆動ローラ組123により材料帯を確実に挟持して継続に搬送し、駆動ローラ組の挟持点がカッターアッセンブリ135に近く、駆動ローラ組の挟持点からカッターアッセンブリ135までの距離を短くすることにより、極片の曲がりによる、極片裁断点とカッターとの相対位置の誤差を効果的に抑え、積層片作製の精度を向上させることができる。また、駆動ローラ組の挟持点からカッターアッセンブリ135までの距離が短く、極片自身の剛性が強くされるため、駆動するときの極片のめくれ、詰まりを防止することができる。
【0048】
上記を参照し、本実施例による高速裁断装置100の作動原理は、下記の通りである。
本実施例において、材料送入前に材料搬送駆動ローラ組123により極片を確実に挟持して材料を搬送、裁断する方式を採用し、駆動ローラ組の挟持点がカッターアッセンブリ135に近く、駆動ローラ組の挟持点からカッターアッセンブリ135までの距離を短くすることにより、一方、極片の曲がりによる、極片裁断点とカッターアッセンブリ135との相対位置の誤差を効果的に抑え、積層片作製の精度を向上させることができ、他方、駆動ローラ組の挟持点からカッターアッセンブリ135までの距離が短く、極片自身の剛性が強くされるため、駆動するときの極片のめくれ、詰まりを防止することができる。極片が前進する過程においてカッターアッセンブリ135を経由し、さらに第1加速ローラ組153および第2加速ローラ組155を経由し、第1加速ローラ組153および第2加速ローラ組155が従動輪による塵粘着の方式で除塵を行うとともに、極片の上表面および下表面のそれぞれに対応する箇所に吸塵アッセンブリ159がさらに取り付けられ、これによって、粉塵の更なる除去を行い、極片の良品率を効果的に向上させ、短絡を抑えることができる。極片が第1加速ローラ組153および第2加速ローラ組155に進入してローラにより挟持されたあと、カッターアッセンブリ135により極片を裁断し、このとき、第1加速ローラ組153と第2加速ローラ組155とによって確実に挟持された極片に対して位置補正機構160で複数の方向における位置を調整することにより、極片の送入位置の正確性を確保することができる。位置補正の同時に、第1加速ローラ組153および第2加速ローラ組155が加速して極片の速度をセパレータの速度に合わせ、正確な積み重ねを実現し、このようにして、極片の裁断時の前進速度およびリニアモータの運動速度が大きくならなくてもよく、リニアモータの加速度も大きくならなくてもよく、積層片作製の精度および効率もより容易に保証できるとともに、機構の安定性を向上させることもできる。
【0049】
直線追従裁断機構130の後方に加速駆動機構150を設置することにより、材料帯に対する加速駆動が実現され、したがって、材料帯の送入速度が所定値に達することができる。このような設置方式によれば、直線追従裁断を行うときの直線追従裁断機構130の速度および加速度が大きくならなくてもよく、比較的小さい速度で直線追従裁断を遂げることができ、積層片作製の精度および効率を上げることができるとともに、機構の安定性を向上させることができる。
【0050】
上記記載は、本発明の具体的な実施形態にすぎず、本発明の保護範囲がこれに限定されない。当業者は、本発明に開示された技術的範囲内において、技術案を変更または置換することができ、これらの変更または置換も本発明の保護範囲に属する。このため、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に示された内容に準ずる。
【符号の説明】
【0051】
100 高速裁断装置
110 取付フレーム
120 材料搬送機構
121 材料搬送機構取付座
123 材料搬送駆動ローラ組
1231 材料搬送駆動ローラ
1233 材料搬送従動ローラ
125 調節シリンダー
130 直線追従裁断機構
131 直線駆動アッセンブリ
133 裁断駆動アッセンブリ
135 カッターアッセンブリ
137 吸塵ボックス
140 極片ガイド板
150 加速駆動機構
151 加速駆動機構取付座
153 第1加速ローラ組
1531 第1加速駆動ローラ
1533 第1従動ローラ
155 第2加速ローラ組
1551 第2加速駆動ローラ
1553 第2従動ローラ
157 第1除塵用粘着ローラ
158 第2除塵用粘着ローラ
159 吸塵アッセンブリ
160 位置補正機構。
図1
図2
図3
図4
図5