(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001395
(43)【公開日】2023-01-05
(54)【発明の名称】ステイプル除去用具
(51)【国際特許分類】
B25C 11/00 20060101AFI20221223BHJP
【FI】
B25C11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102090
(22)【出願日】2021-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】302020838
【氏名又は名称】鈴木 利昭
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 利昭
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA04
3C068BB07
(57)【要約】
【課題】ホチキス止めされた用紙からステイプルを除去する時の課題は、作業に手間を要したり力を要したりすることと、この作業で用紙が傷ついたり破れたりして印刷機や複写機の用紙としての再利用に支障がでることにある。
【解決手段】本発明のステイプル除去用具1はトング形状であり、各把持部3・3にそれぞれ爪を配置し、片方の爪5はステイプル8の2つのクリンチ部10・10に本用具1の爪5の先の2つの角6・6で用紙7からステイプル8を掬い上げる作用をさせる。他方の爪4は一の字型をなした側のステイプル8を用紙7から掬い上げる作用をさせる。上記2つの作用をほぼ同時に進行させる。
用紙7からステイプル8を除去する作業は、本用具1に用紙7を挟み、所定の位置でスライドすることのみで、爪4・5が用紙7の両面からステイプル8を掬い上げて簡単に無理な力なく完了する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して接近と離開をすることができる様にヒンジ部(2)で接続された一対の把持部(3・3)を有するトング形状であって、前記トング形状の両把持部(3・3)にそれぞれ爪(4)、爪(5)をほぼ同じ向きに配置し、両把持部(3・3)を接近した時、爪(4)、爪(5)は重なり合う配置、又は爪(4)が爪(5)の爪の向き後方に配置され、ホチキス止めされた用紙(7)両面に形成されたステイプル(8)に対して、片方の爪(4)は一の字部(11)のステイプル(8)と用紙(7)の間に刺し込める様に先端に向かって厚みを薄くし、もう片方の爪(5)は2ヶ所のクリンチ部(10・10)のステイプル(8)と用紙(7)の間に刺し込める様に爪先が2つに分かれ2つの角(6・6)を成形し、角(6・6)は先端に向かって厚みを薄くした乃至はそれぞれの先端を尖らしたことを特徴とするステイプル除去用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホチキス止めされた用紙からステイプルを除去する用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホチキス止めは手軽に複数枚の用紙を綴じるときに使用され、現代社会では印刷や複写された複数枚の用紙を配布する際に、用紙をホチキス止めして綴じることが多い。ホチキス止めする時、その複数枚の用紙にはコの字型のステイプルのステイプル針が用紙を貫き、貫いた側の用紙面で折れ曲がり、用紙をクリンチして固定される。このクリンチ部の反対側の用紙面には一の字型のステイプルの部位が形成される。
【0003】
また、ホチキス止めされた用紙からステイプルを取り除く作業も頻繁に行われている。通常、用紙からステイプルを取り除く必要が生じる場合は、用紙の構成を変える時、用紙をリサイクルする時、用紙を印刷機や複写機に再利用する時、用紙をシュレッダーにかける時等がある。
【0004】
この様な時ステイプルを除去する方法としては、竿の先に形成されている1本の爪を、ホチキス止めされた用紙とステイプルの間に差し込み、ステイプルを掬い上げる方法が取られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案出願公開昭和59年第69878号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところがこの竿の先に形成されている1本の爪では、ステイプルの針が用紙をクリンチしているので、用紙面とステイプルの間に爪を差し込みステイプルを引き抜くことは容易ではない。
【0007】
したがって、用紙にクリンチされたステイプル針の折れ曲がりを伸ばした後、用紙を返して用紙面と一の字部のステイプルの間に爪を挿入し、ステイプルを用紙から掬い上げるという手間を要す作業になる。
【0008】
上記の方法は、用紙に傷を付けない丁寧な方法であるが、中にはステイプル針の折れ曲がりを伸ばす手間を省いて、いきなり用紙面とステイプルの間に爪を無理矢理に差し込んで強引にステイプルを用紙からえぐり出す方法もある。
【0009】
もちろん、この様なえぐり出しはクリンチしたステイプル針と用紙との間で摩擦が起きるため力を要し、また、ステイプルを引き抜いた後の用紙のホチキス止め跡に傷が残ったり、破れを伴うこともある。
【0010】
ステイプルを除去する場合に、ステイプルを抜いたホチキス止め跡に傷や破れがあったのでは、その後の印刷機又は複写機の用紙としての利用で、この傷や破れが障害となって、紙詰まりや用紙供給エラー等の支障を来す。
【0011】
この様に手間を要したり、力を要したり、用紙に支障を与えたりする問題があった。本発明はこの様な問題を解消できる用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
除去する必要のあるステイプル8を取り付けられた用紙7をトング形状をした本発明のステイプル除去用具1に挟んでスライドするとステイプル8が引き抜かれる。
【0013】
このトング形状の各把持部3・3それぞれに爪4、爪5をほぼ同じ向きに配置し、両把持部3・3を接近した時、爪4、爪5は重なり合う配置、又は爪4が爪5の爪の向き後方に配置される。用紙7を本用具で挟みスライドさせた時、用紙7の各面のステイプル8に対し爪4・5が作用する。
【0014】
片方の爪5は爪先が2つに分かれ2つの角(ツノ)6・6を形成し、角6・6は先端に向かって厚みを薄くされ乃至はそれぞれの先端を尖らされており、2つのクリンチ部10・10のステイプル8と用紙7の間に刺し込まれ、2つのステイプル針9・9の先をほぼ同時に掬い上げ、クリンチを解く様に作用をする。もう片方の爪4は先端に向かって厚みが薄く、一の字部11の側のステイプル8と用紙7の間に刺し込まれ、用紙7からステイプル8を掬い上げ、除去の作用をする。
【0015】
このステイプル除去用具1を利用することで、クリンチ部10・10の側でステイプル針9・9を解放しステイプル針9・9と用紙7との摩擦を軽減し、一の字部11の側で掬い上げ除去する。この作業を一回のスライド動作で行うことができるので、手間を要したり、力を要したり、用紙に支障を与えたりする問題を解決できることがわかった。
【発明の効果】
【0016】
ステイプル8を除去する必要のある用紙7を本発明のステイプル除去用具1に挟み、所定の位置に合わせてスライドすることのみでステイプル除去は完了する。これはスライドの動作だけで2つの角6・6を成形した片方の爪5がクリンチ側で、もう片方の爪4が一の字部11の側で、ステイプル8を掬い上げる処理がされるからである。この操作は単純であり、処理に大きな摩擦が発生しないためステイプル8の引き抜きに僅かな力しか必要としない。また、用紙7に破れや傷が出ない為、印刷機や複写機の用紙に再利用可能である。
【0017】
斯くして、手間を要したり、力を要したり、用紙に支障を与えたりする問題を解決できるステイプル除去用具が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1はステイプル除去用具と用紙を示した斜視図である。(実施例1)
【
図2】
図2はステイプル除去用具を示した斜視図である。(実施例1)
【
図3】
図3はステイプル除去用具を示した斜視図である。(実施例2)
【
図4】
図4はステイプル除去用具を示した斜視図である。(実施例3)
【
図5】
図5はステイプル除去用具を示した斜視図である。(実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本用具ではトング形状の各把持部3・3に爪4、爪5をほぼ同じ向きに配置する。また、爪5の先に2つの角6・6を成形する。爪4は先端に向かって厚みを薄くしたものであり、角6・6は先端に向かって厚みを薄く乃至はそれぞれの先端を尖らしたものである。
【実施例0020】
図1は、本発明ステイプル除去用具1の実施例1の外観斜視図、
図2は、実施例1の本発明ステイプル除去用具1で用紙7からステイプル8を取り除く時の外観斜視図である。
【0021】
実施例1では帯材を曲げ加工して両把持部3・3及びヒンジ部2を持つトング形状を形成し、両把持部3・3のうち、片方の把持部には爪5を配置し、爪5の爪先が2つに分かれ2つの角6・6を成形し、角6・6は先端に向かって厚みを薄くしてある。もう片方の把持部には爪4が配置され、爪先の厚みを薄くしてある。角6・6の位置を可視化する為に覗き穴12を把持部に空けてある。
【0022】
ステイプル8を除去する作業は、ホチキス止めされた用紙7を本用具のトング形状の両把持部3・3に挟む。この時、角6・6はステイプル8のクリンチ部10・10に刺し込まれる様に覗き穴12から目視して定める。本用具を爪の方向にスライドすると2つの角6・6がクリンチ部10・10のステイプル針9・9を掬い上げる。次に爪4が一の字部11の側からステイプル8を掬い上げ、ステイプル8を除去する。
【0023】
角6・6の向き、爪4、爪5の向きはほぼ同じでヒンジ部2に向いているが、ステイプル8を掬う向きの微調整の為、用紙7の面を刺す方向にやや向けられている。また角6・6及び爪の鋭さは、ステイプル8を掬う為に調整されている。
【0024】
爪4が爪5の爪の向き後方に配置されているのは、クリンチ側の解放(ステイプル針9・9の掬い上げ)後の方が一の字部11の側からステイプル8を掬い上げるのが容易だからである。
【0025】
覗き穴12の上部にルーペを視線の焦点が角6・6に合う様に固定すれば、角6・6とステイプル8の位置関係を確認しやすくなる。