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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139526
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】ウッド型ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20230927BHJP
   A63B 60/54 20150101ALI20230927BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20230927BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B60/54
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045100
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(72)【発明者】
【氏名】長井 康晴
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA02
2C002CH02
2C002MM02
2C002MM04
(57)【要約】
【課題】本発明は、ヘッド本体の重量増を抑えつつ、打球音を改善することができるウッド型ゴルフクラブヘッドを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一態様に係るウッド型ゴルフクラブヘッド1は、フェース部2と、フェース部2の下縁からバック方向に延びるソール部3とを有する中空のヘッド本体10を備え、ヘッド本体10の内面に、フェースバック方向に延在し、かつトウバック方向に凸になるように湾曲したリブ7が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェース部と、前記フェース部の下縁からバック方向に延びるソール部とを有する中空のヘッド本体を備え、
前記ヘッド本体の内面に、フェースバック方向に延在し、かつトウバック方向に凸になるように湾曲したリブが設けられているウッド型ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記ヘッド本体を所定のライ角及びロフト角になるように水平面に配置した平面視において、前記ヘッド本体のトウバック側の外縁の平均曲率半径が50mm以上70mm以下であり、かつ前記リブの平均曲率半径が30mm以上600mm以下である請求項1に記載のウッド型ゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記ヘッド本体に、モード解析による3500Hz以下の固有振動の腹が複数存在しており、
前記リブが、2以上の前記腹を通るように設けられている請求項1又は請求項2に記載のウッド型ゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記ソール部に、モード解析による3500Hz以下の固有振動の腹が複数存在しており、
前記リブが、2以上の前記腹を通るように設けられている請求項1又は請求項2に記載のウッド型ゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記リブが、前記固有振動の腹において、前記モード解析による振動のピーク位置に対する加速度比が0.8以上の領域を通る請求項3又は請求項4に記載のウッド型ゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記リブが、前記複数の固有振動の腹のうち、最も周波数の低い腹を通る請求項3、請求項4又は請求項5に記載のウッド型ゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記リブが、3以上の前記固有振動の腹を通る請求項3から請求項6のいずれか1項に記載のウッド型ゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記リブの端部が、固有振動の節に位置している請求項3から請求項7のいずれか1項に記載のウッド型ゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウッド型ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
中空のヘッド本体を備えるウッド型ゴルフクラブヘッドには、打球音が良好であることが望まれる。
【0003】
このウッド型ゴルフクラブヘッドでは、打球音を改善すべく、ヘッド本体にリブを設けることが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-24649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、ソールの変形しやすい方向に沿って、複数の直線状のリブを互いに交差するように設けることで、打球音を改善できることが記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、複数の直線状のリブを用いると、リブの本数に対応してヘッド本体が重くなる。つまり、特許文献1に記載されている構成によると、打球音の改善は、ヘッド本体の軽量化とトレードオフの関係になる。その結果、特許文献1に記載されている構成によると、打球音は改善されるとしても、ヘッド本体の重量配分が制約されることになる。
【0007】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、本発明の目的は、ヘッド本体の重量増を抑えつつ、打球音を改善することができるウッド型ゴルフクラブヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るウッド型ゴルフクラブヘッドは、フェース部と、前記フェース部の下縁からバック方向に延びるソール部とを有する中空のヘッド本体を備え、前記ヘッド本体の内面に、フェースバック方向に延在し、かつトウバック方向に凸になるように湾曲したリブが設けられている。
【0009】
前記ヘッド本体を所定のライ角及びロフト角になるように水平面に配置した平面視において、前記ヘッド本体のトウバック側の外縁の平均曲率半径が50mm以上70mm以下であり、かつ前記リブの平均曲率半径が30mm以上600mm以下であるとよい。
【0010】
前記ヘッド本体に、モード解析による3500Hz以下の固有振動の腹が複数存在しており、前記リブが、2以上の前記腹を通るように設けられているとよい。
【0011】
前記ソール部に、モード解析による3500Hz以下の固有振動の腹が複数存在しており、前記リブが、2以上の前記腹を通るように設けられているとよい。
【0012】
前記リブが、前記固有振動の腹において、前記モード解析による振動のピーク位置に対する加速度比が0.8以上の領域を通るとよい。
【0013】
前記リブが、前記複数の固有振動の腹のうち、最も周波数の低い腹を通るとよい。
【0014】
前記リブが、3以上の前記固有振動の腹を通るとよい。
【0015】
前記リブの端部が、固有振動の節に位置しているとよい。
【0016】
なお、本発明において、「フェースバック方向」とは、ヘッド本体を所定の(ヘッド本体に固有の)ライ角及びロフト角となるように水平面に配置した状態における前後方向(シャフトの中心軸を含む鉛直面に対して垂直な方向)を意味し、「トウヒール方向」とは、ヘッド本体を所定のライ角及びロフト角になるように水平面に配置した状態におけるフェースバック方向と直交する水平方向を意味する。「リブの平均曲率半径」とは、リブを長手方向に5等分した場合における各領域の中心位置の曲率半径の平均値を意味する。「ヘッド本体のトウバック側の外縁の平均曲率半径」とは、ヘッド本体を所定のライ角及びロフト角になるように水平面に配置した状態において、ヘッド本体の重心を基準としてトウ側かつバック側に区画される外縁を5等分した場合における各領域の中心位置の曲率半径の平均値を意味する。但し、この外縁に凹凸が設けられている場合には、前記外縁の平均曲率半径は、この凹凸がないものとして測定された値を意味する。
【0017】
また、本発明において、「モード解析」とは、シミュレーションによる解析を意味しており、この解析手段としては、例えば有限要素法を用いることができる。「固有振動の腹」及び「固有振動の節」とは、リブが配置されていない状態における「腹」及び「節」を意味する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様に係るウッド型ゴルフクラブヘッドは、前記リブが湾曲して設けられていることで、このリブによって、前記ヘッド本体の剛性を容易かつ確実に高めることができる。特に、当該ウッド型ゴルフクラブヘッドは、前記リブがフェースバック方向に延在し、かつトウバック方向に凸になるように湾曲していることで、前記ヘッド本体の固有振動数の低下を容易に抑制することができる。その結果、当該ウッド型ゴルフクラブヘッドは、打球音を改善するために設けられるリブの本数を抑制することで、前記ヘッド本体の重量増を抑えつつ、打球音を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るウッド型ゴルフクラブヘッドの模式的平面図である。
図2図2は、図1のウッド型ゴルフクラブヘッドの模式的正面図である。
図3図3は、図1のウッド型ゴルフクラブのヘッド本体の内部を示す図1に対応する模式的平面図である。
図4図4は、図3のウッド型ゴルフクラブヘッドにおけるリブの前端の配置を示すIV-IV線断面図である。
図5図5は、図3のウッド型ゴルフクラブヘッドにおけるリブの後端の配置を示すV-V線断面図である。
図6図6は、図1のウッド型ゴルフクラブヘッドの振動形態(1次振動モード)を等高線によって示した模式図である。
図7図7は、図1のウッド型ゴルフクラブヘッドの振動形態(2次振動モード)を等高線によって示した模式図である。
図8図8は、図1のウッド型ゴルフクラブヘッドにおける図6の等高線とリブの配置との関係を示す模式図である。
図9図9は、図1のウッド型ゴルフクラブヘッドにおける図7の等高線とリブの配置との関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。なお、本明細書に記載の数値については、記載された上限値と下限値との一方のみを採用すること、或いは上限値と下限値を任意に組み合わせることが可能である。本明細書では、組み合わせ可能な数値範囲が好適な範囲として全て記載されているものとする。
【0021】
<ウッド型ゴルフクラブヘッド>
図1から図3のウッド型ゴルフクラブヘッド1は、中空のヘッド本体10を備える。ヘッド本体10は、フェース部2と、フェース部2の下縁からバック方向に延びるソール部3と、フェース部2の上縁からバック方向に延びるクラウン部4とを備える。フェース部2は、その前面にフェース面2aを有する。フェース面2aは、当該ウッド型ゴルフクラブヘッド1の打撃面を構成している。また、ヘッド本体10は、フェース部2の左右一対の側縁からバック方向に延びてソール部3とクラウン部4との間に配置されるサイド部5と、シャフトが取り付けられるシャフト取付部6とを有する。当該ウッド型ゴルフクラブヘッド1は、例えばドライバ、ユーティリティ、フェアウェイウッド等として用いられる。中でも、当該ウッド型ゴルフクラブヘッド1は、ドライバとして好ましく用いられる。
【0022】
ヘッド本体10の材質としては、特に限定されるものではなく、例えばチタン、ステンレス鋼、マレージング鋼、アルミニウム、マグネシウム等を主成分とする金属及び合金が挙げられる。また、ヘッド本体10の材質としては、炭素繊維強化樹脂(CFRP)、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)等の繊維強化樹脂を用いることも可能である。
【0023】
(リブ)
図3に示すように、当該ウッド型ゴルフクラブヘッド1は、ヘッド本体10の内面に、フェースバック方向に延在し、かつトウバック方向に凸になるように湾曲したリブ7を有する。リブ7は、打球音を改善するようにヘッド本体10の内面に設けられている。当該ウッド型ゴルフクラブヘッド1は、打球音を改善するためのリブ7を1本のみ有している。すなわち、当該ウッド型ゴルフクラブヘッド1は、単一のリブ7によって打球音を改善するように構成されている。リブ7は、例えば金属製である。
【0024】
前述のように、リブ7は、フェースバック方向に延在し、かつトウバック方向に凸になるように湾曲している。より詳しくは、ヘッド本体10において、リブ7の前端7aは、フェース側かつトウ側に配置され、リブ7の後端7bは、バック側かつヒール側に配置されている。このように配置された状態で、リブ7は、トウバック方向に凸になるように湾曲している。リブ7の曲率は、長手方向において変化してもよい。但し、リブ7の形状としては、曲率半径が一定の円弧状が好ましい。リブ7は、円弧状であることで、ヘッド本体10の剛性を適切に高め、打球音を容易に改善しやすい。
【0025】
図4に示すように、リブ7の前端7aは、フェース部2の後方で、フェース部2と離間して配置されていることが好ましい。リブ7の前端7aがフェース部2と離間していることで、フェース部2の撓み性を十分に確保しつつ、当該ウッド型ゴルフクラブヘッド1の打球音を改善することができる。一方、図5に示すように、リブ7の後端7bは、ヘッド本体10のヒールバック側の内面(ヘッド本体10を構成する外殻体の内面)まで至っていることが好ましい。リブ7の後端7bがヘッド本体10の内面に至っていることで、リブ7によってヘッド本体10の剛性を高めやすい。なお、リブ7の端部(前端7a又は後端7b)は、ヘッド本体10の内面まで至っていない場合でも、ヘッド本体10内に設けられる壁部12(例えば打球音の改善効果以外の観点から設けられたリブ)等の他の部材に連結されていることが好ましい。このように構成されることで、リブ7によってヘッド本体10の剛性をより確実に高めることができる。
【0026】
リブ7は、ヘッド本体10の剛性を高めることで、打球音を改善する。リブ7は、例えばヘッド本体10の内面に対して垂直な方向に突出している。リブ7の長手方向と垂直な断面形状としては、厚さ(幅)に対して高さが大きい矩形状が好ましい。リブ7の厚さとしては、例えば0.3mm以上2mm以下とすることができる。リブ7の高さとしては、例えば1mm以上10mm以下とすることができる。
【0027】
ヘッド本体10を所定のライ角及びロフト角になるように水平面に配置した平面視において、ヘッド本体10のトウバック側の外縁11の平均曲率半径としては50mm以上70mm以下が好ましい。また、この平面視において、リブ7の平均曲率半径の下限としては、30mmが好ましく、60mmがより好ましい。さらに、この平面視において、リブ7の平均曲率半径の上限としては、600mmが好ましく、300mmがより好ましく、120mmがさらに好ましい。当該ウッド型ゴルフクラブヘッド1は、外縁11の平均曲率半径及びリブ7の平均曲率半径をこのような範囲内にすることで、ヘッド本体10における3500Hz以下の固有振動の複数の腹を通るように、リブ7を容易に配置することができる。
【0028】
ヘッド本体10を所定のライ角及びロフト角になるように水平面に配置した平面視において、ヘッド本体10のトウバック側の外縁11の平均曲率半径と、リブ7の平均曲率半径との差の絶対値としては、500mm以下が好ましく、300mm以下がより好ましく、100mm以下がさらに好ましく、50mm以下が特に好ましい。前記絶対値が前記上限を超えると、ヘッド本体10における3500Hz以下の固有振動の複数の腹を通るように、リブ7を容易かつ確実に配置するのが困難になるおそれがある。
【0029】
図6及び図7に示すように、ヘッド本体10には、モード解析による3500Hz以下の固有振動の腹(以下、モード解析による3500Hz以下の固有振動の腹を、単に「腹」又は「固有振動の腹」ともいう。)が複数存在している。図6及び図7は、ソール部3における複数の腹を等高線で示している。図6及び図7において、等高線で取り囲まれている領域がそれぞれ固有振動の腹に当たる。図6の固有振動は、1次振動モードであり、固有振動数は2880Hzである。図7の固有振動は、2次振動モードであり、固有振動数は3240Hzである。図6及び図7では、それぞれ固有振動の腹が複数存在している。図6及び図7では、それぞれソール部3のトウヒール方向に沿って複数の腹が形成されている。
【0030】
図8及び図9に示すように、リブ7は、2以上の腹を通るように設けられている。より詳しくは、リブ7は、ソール部3の内面に配置されており、かつソール部3に形成されている2以上の腹を通るように設けられている。本発明者の知見によると、モード解析による3500Hz以下の振動を抑えることで、打球音の低音化を抑制して打球音を改善することができる。当該ウッド型ゴルフクラブヘッド1は、トウバック方向に凸になるように湾曲したリブ7が、2以上の腹を通るように設けられることで、打球音を容易に改善することができる。特に、ソール部3には、固有振動数の低い腹が形成されやすいため、リブ7がソール部3に配置されることで、打球音の改善効果を容易かつ確実に高めることができる。
【0031】
リブ7は、複数の固有振動の腹のうち、最も周波数の低い腹を通ることが好ましい。換言すると、リブ7は、1次振動モードの腹を通ることが好ましく、1次振動モードの腹のうち、最もピーク値(測定部分に対して垂直な方向の加速度(以下「Z軸方向の加速度」ともいう。)の大きい腹を通ることがより好ましい。当該ウッド型ゴルフクラブヘッド1は、リブ7がこのように配置されることで、打球音の低音化を抑制して、打球音を容易かつ確実に改善することができる。
【0032】
図8及び図9に示すように、リブ7は、1次振動モードの腹と2次振動モードの腹とを共に通ることが好ましい。中でも、リブ7は、1次振動モードの腹のうち、最もピーク値(Z軸方向の加速度)の大きい腹と、2次振動モードの腹のうち、最もピーク値(Z軸方向の加速度)の大きい腹とを通ることが好ましい。当該ウッド型ゴルフクラブヘッド1は、リブ7がこのように配置されることで、打球音をより容易かつ確実に改善することができる。
【0033】
リブ7は、3以上の固有振動の腹を通ることが好ましい。換言すると、リブ7は、3以上の固有振動の腹を通るような曲率で、フェースバック方向に延在し、かつトウバック方向に凸になるように湾曲していることが好ましい。当該ウッド型ゴルフクラブヘッド1は、リブ7がこのように配置されることで、打球音の低音化を抑制して、打球音をより容易かつ確実に改善することができる。また、単一のリブ7が3以上の固有振動の腹を通ることで、打球音を改善するためのリブの本数を少なくして、ヘッド本体10の重量増を容易に抑えることができる。
【0034】
リブ7の端部(すなわち、リブ7の前端7a及び後端7bのうちの少なくとも一方)は、固有振動の節に位置していることが好ましい。換言すると、リブ7の前端7a及び後端7bのうちの少なくとも一方は、前記固有振動の節で他の部材に固定されていることが好ましい。また、リブ7は、前端7a及び後端7bの両方が前記固有振動の節で他の部材に固定されていることがより好ましい。この構成によると、打球音を改善するうえで必要とされる箇所にリブ7を選択的に配置しやすい。その結果、打球音を改善するうえでのヘッド本体10の重量増をより抑制することができる。
【0035】
リブ7は、固有振動の腹において、前記モード解析による振動のピーク位置に対する加速度比(Z軸方向における加速度比)が0.8以上の領域を通るように設けられていることが好ましい。また、前記加速度比の下限としては、0.9がより好ましい。図6及び図7において、等高線の最も内側の領域が、前記加速度比が0.8以上の領域を示している。当該ウッド型ゴルフクラブヘッド1は、リブ7がこのように設けられていることで、打球音の低音化を抑制して、打球音をより容易かつ確実に改善することができる。なお、リブ7は、2以上の固有振動の腹において、前記加速度比が前記下限以上の領域を通ることがより好ましく、3以上の固有振動の腹において、前記加速度比が前記下限以上の領域を通ることがさらに好ましい。
【0036】
<利点>
当該ウッド型ゴルフクラブヘッド1は、リブ7が湾曲して設けられていることで、リブ7によって、ヘッド本体10の剛性を容易かつ確実に高めることができる。特に、当該ウッド型ゴルフクラブヘッド1は、リブ7がフェースバック方向に延在し、かつトウバック方向に凸になるように湾曲していることで、ヘッド本体10の固有振動数が低くなることを容易に抑制することができる。その結果、当該ウッド型ゴルフクラブヘッド1は、打球音を改善するために設けられるリブの本数を抑制することで、ヘッド本体10の重量増を抑えつつ、打球音を改善することができる。
【0037】
[その他の実施形態]
前記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、前記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて前記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0038】
前記実施形態では、リブがソール部の内面に設けられる構成について説明した。但し、前記リブの配置はソール部に限定されるものではない。例えば前記リブは、クラウン部に設けられていてもよい。
【0039】
前記実施形態で説明したように、打球音を改善するためのリブの本数は1本であることが最も好ましい。但し、当該ウッド型ゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体の内面に、フェースバック方向に延在し、かつトウバック方向に凸になるように湾曲したリブが設けられている限り、このリブ以外のリブが設けられる構成を除外するものではない。
【0040】
前記リブは、モード解析による3500Hz以下の振動を抑制するように配置されることが好ましい。この観点から、前記リブは、モード解析による3500Hz以下の複数の腹を通るように設けられることが望まれる。但し、当該ウッド型ゴルフクラブヘッドにおいては、前記リブが、1つの腹のみを通る場合や、厳密に前記複数の腹を通らない場合でも、重量増を抑制しつつ、打球音を改善する効果が見込まれる。
【0041】
前記ヘッド本体における前記固有振動の腹及び節の位置は、前記実施形態に記載された配置に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上説明したように、本発明の一態様に係るウッド型ゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体の重量増を抑えつつ、打球音を改善するのに適している。
【符号の説明】
【0043】
1 ウッド型ゴルフクラブヘッド
2 フェース部
2a フェース面
3 ソール部
4 クラウン部
5 サイド部
6 シャフト取付部
7 リブ
7a 前端
7b 後端
10 ヘッド本体
11 外縁
12 壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9