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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139527
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】印刷版検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
G01N21/892 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045101
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】511144572
【氏名又は名称】東洋製版株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸司
(72)【発明者】
【氏名】勝又 公一
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA32
2G051AB02
2G051AC21
2G051BA10
2G051BB09
2G051BB11
2G051BC05
2G051CA02
2G051CA06
2G051DA07
2G051EA11
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、凸部周辺の傾斜角度や表面粗さが一様でない印刷版であっても、凸部の輪郭が鮮明で、凹部の粒状ノイズが除去された検査用画像データを取得可能であり、自動的に刷版作成用データの画像と比較して適否を確定することが可能な印刷版検査システムを提供すること。
【解決手段】印刷版の表面の画像データと刷版作成用データを比較して印刷版の欠損や傷の有無を検査する印刷版検査システムであって、複数の条件で印刷版表面の二次元画像データを取得し、取得した印刷版の表面の複数の二次元画像データを処理・合成し、検査用画像データを生成し刷版作成用データと比較・検査する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷版の表面の画像データと刷版作成用データを比較して印刷版の欠損や傷の有無を検査する印刷版検査システムであって、
印刷版の表面に対して光線を所定幅内で走査可能で、前記光線の走査方向と直交する方向に印刷版を相対的に移動可能に構成され、印刷版表面の二次元画像データを取得する撮像ユニットと、
複数の条件で前記撮像ユニットが取得した印刷版の表面の複数の二次元画像データを処理・合成して検査用画像データを生成する画像処理部と、
前記検査用画像データと刷版作成用データを比較・検査する画像検査部とを有することを特徴とする印刷版検査システム。
【請求項2】
前記撮像ユニットは、撮像対象高さを相対的に変更可能に構成され、
前記画像処理部は、異なる撮像対象高さで得られた複数の二次元画像データを合成して検査用画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載の印刷版検査システム。
【請求項3】
前記撮像ユニットは、印刷版の表面との距離を変更して光線の焦点位置を変更可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の印刷版検査システム。
【請求項4】
前記画像処理部は、少なくとも撮像対象高さが印刷版の凸部表面である二次元画像データ、及び、撮像対象高さが印刷版の凸部表面より下方である二次元画像データを含む複数の二次元画像データを処理・合成して検査用画像データを生成するよう構成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の印刷版検査システム。
【請求項5】
前記画像処理部は、少なくとも撮像対象高さが印刷版の凸部表面である二次元画像データ、及び、撮像対象高さが印刷版の凸部表面より上方である二次元画像データを含む複数の二次元画像データを処理・合成して検査用画像データを生成するよう構成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の印刷版検査システム。
【請求項6】
前記画像処理部が使用する複数の二次元画像データは、撮像対象高さが印刷版の凸部表面に対して凸部の高さの2%~200%の範囲で上方または下方である二次元画像データを含むことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の印刷版検査システム。
【請求項7】
前記画像処理部は、撮像対象高さが印刷版の凹部表面である二次元画像データを含む複数の二次元画像データを処理・合成して検査用画像データを生成するよう構成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の印刷版検査システム。
【請求項8】
前記撮像ユニットは、印刷版の表面の幅方向全域に対して光線を走査可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の印刷版検査システム。
【請求項9】
前記撮像ユニットは、印刷版の表面に対してレーザー光を走査するポリゴンミラーと、撮像対象高さを定める共焦点テレセントリックレンズと、反射光を受光する光電子倍増管とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の印刷版検査システム。
【請求項10】
前記印刷版はLAMS方式の非透過型樹脂凸版であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の印刷版検査システム。
【請求項11】
印刷版の表面の画像データと刷版作成用データを比較して印刷版の欠損や傷の有無を検査する印刷版検査方法であって、
異なる条件で、印刷版の表面に対して光線を所定幅内で走査し、前記光線の走査方向と直交する方向に印刷版を相対的に移動して、複数の印刷版表面の二次元画像データを取得する撮像工程と、
前記撮像工程で得られた印刷版の表面の複数の二次元画像データを処理・合成して検査用画像データを生成する画像処理工程と、
前記検査用画像データを刷版作成用データと比較・検査する画像検査工程とを有することを特徴とする印刷版検査方法。
【請求項12】
前記撮像工程は、異なる撮像対象高さで、印刷版の表面に対して光線を所定幅内で走査し、前記光線の走査方向と直交する方向に印刷版を相対的に移動して、複数の印刷版表面の二次元画像データを取得し、
前記画像処理工程は、異なる撮像対象高さで得られた複数の二次元画像データを合成して検査用画像データを生成することを特徴とする請求項11に記載の印刷版検査方法。
【請求項13】
前記撮像工程は、印刷版の表面との距離を変更して光線の焦点位置を変更することを特徴とする請求項12に記載の印刷版検査方法。
【請求項14】
前記画像処理工程は、少なくとも撮像対象高さが印刷版の凸部表面である二次元画像データ、及び、撮像対象高さが印刷版の凸部表面より下方である二次元画像データを含む複数の二次元画像データを処理・合成して検査用画像データを生成することを特徴とする請求項12または請求項13に記載の印刷版検査方法。
【請求項15】
前記画像処理工程は、少なくとも撮像対象高さが印刷版の凸部表面である二次元画像データ、及び、撮像対象高さが印刷版の凸部表面より上方である二次元画像データを含む複数の二次元画像データを処理・合成して検査用画像データを生成することを特徴とする請求項12乃至請求項14のいずれかに記載の印刷版検査方法。
【請求項16】
前記画像処理工程で使用する複数の二次元画像データは、撮像対象高さが印刷版の凸部表面に対して凸部の高さの2%~200%の範囲 で上方または下方である二次元画像データを含むことを特徴とする請求項14または請求項15に記載の印刷版検査方法。
【請求項17】
前記画像処理工程は、撮像対象高さが印刷版の凹部表面である二次元画像データを含む複数の二次元画像データを処理・合成して検査用画像データを生成することを特徴とする請求項12乃至請求項16のいずれかに記載の印刷版検査方法。
【請求項18】
前記撮像工程は、印刷版の表面の幅方向全域に対して光線を走査することを特徴とする請求項11乃至請求項17のいずれかに記載の印刷版検査方法。
【請求項19】
前記撮像工程は、印刷版の表面に対してレーザー光を走査するポリゴンミラーと、撮像対象高さを定める共焦点テレセントリックレンズと、反射光を受光する光電子倍増管とを有する撮像ユニットにより行われることを特徴とする請求項11乃至請求項18のいずれかに記載の印刷版検査方法。
【請求項20】
前記印刷版はLAMS方式の非透過型樹脂凸版であることを特徴とする請求項11乃至請求項19のいずれかに記載の印刷版検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷版の表面の画像データと刷版作成用データを比較して印刷版の欠損や傷の有無を検査する印刷版検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷版を用いて印刷を行う場合、新たに作成した印刷版と刷版作成用データとの間に齟齬がないか、文字や絵に欠損等がないか、また印刷版に傷等がないかを確認する必要がある。
このため、印刷版の表面を撮像してその撮像画像を刷版作成用データの画像と比較することが行われている。
例えば、特許文献1に記載されたような公知の撮像装置では、印刷版の表面の一定上の高さの凸部を光学的に捉えて画像データとし、刷版作成用データの画像と比較することで適否を判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6762444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、印刷版がレーザー光を使用して製版された樹脂凸版の場合、レーザー光による製版特有の表面仕上がりに起因して、傷や欠損を正確に判断することが難しいという問題があった。
レーザー光を使用した製版として、主にDLE(Direct Laser Engraving)製版システム、LAMS(Laser Ablation Masking System)製版システムが知られている。
DLE製版システムはCOレーザーにて版材へ直接彫刻するシステムで、図4に示すように、(1)UV照射による全面露光、(2)レーザー彫刻・水洗・乾燥、(3)後露光、の順で行われる。
LAMS製版システムは、ブラックマスク層にレーザーを照射しマスクを形成してから、樹脂層の露光を行なう方式で、アブレージョン版(ブラックレイヤー版)方式とも呼ばれている。
刷版作成の流れは、図5に示すように、(1)ブラックマスク層にレーザーで描画(マスクを形成)、(2)主露光で画線部の感光性樹脂を硬化、(3)現像で非画線部の樹脂を溶解し除去、(4)後露光、となる。
【0005】
例えば、LAMS製版システムで作成した樹脂製の印刷版等の場合、図2に示すように、印刷パターンによって凸部周辺の傾斜角度や表面粗さが一様でないことから、撮像した画像データは凸部の輪郭が正確に確定できず、また、現像によって樹脂が取り除かれた部分には白黒の粒状ノイズが入いる。
これらの不鮮明な凸部輪郭や粒状ノイズ等の影響で、取り込み画像を参照元の刷版用データに重ねても両者のイメージが乖離しており、印刷版の基準点や特徴点の検出精度が低くなることも相まって、公知の検査装置では自動的に刷版作成用データの画像と比較して適否を確定することが困難であり、最終的に熟練した作業者による目視比較が必要であった。
印刷板が光を通す場合は、透過型の検査装置を採用することも考えられるが、印刷版が光を通さない場合、非透過型の検査装置を使用する必要があり、従来の非透過型の検査装置では、自動的に検査することが極めて困難であった。
【0006】
本発明は、前述のような課題を解決するものであり、簡単な構成で、凸部周辺の傾斜角度や表面粗さが一様でない印刷版であっても、凸部の輪郭が鮮明で、凹部の粒状ノイズが除去された検査用画像データを取得可能であり、自動的に刷版作成用データの画像と比較して適否を確定することが可能な非透過型の印刷版検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る印刷版検査システムは、印刷版の表面の画像データと刷版作成用データを比較して印刷版の欠損や傷の有無を検査する印刷版検査システムであって、印刷版の表面に対して光線を所定幅内で走査可能で、前記光線の走査方向と直行する方向に印刷版を相対的に移動可能に構成され、印刷版表面の二次元画像データを取得する撮像ユニットと、複数の条件で前記撮像ユニットが取得した印刷版の表面の複数の二次元画像データを処理・合成して検査用画像データを生成する画像処理部と、前記検査用画像データと刷版作成用データを比較・検査する画像検査部とを有することにより、前記課題を解決するものである。
【0008】
また、本発明に係る印刷版検査方法は、印刷版の表面の画像データと刷版作成用データを比較して印刷版の欠損や傷の有無を検査する印刷版検査方法であって、異なる条件で、印刷版の表面に対して光線を所定幅内で走査し、前記光線の走査方向と直交する方向に印刷版を相対的に移動して、複数の印刷版表面の二次元画像データを取得する撮像工程と、前記撮像工程で得られた印刷版の表面の複数の二次元画像データを処理・合成して検査用画像データを生成する画像処理工程と、前記検査用画像データを刷版作成用データと比較・検査する画像検査工程とを有することにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
本請求項1に係る印刷版検査システム及び本請求項11に係る印刷版検査方法によれば、複数の条件で前記撮像ユニットが取得した印刷版の表面の複数の二次元画像データを処理・合成して検査用画像データを生成することにより、凸部の輪郭が鮮明で、凹部の粒状ノイズが除去された検査用画像データを取得可能であり、自動的に刷版作成用データの画像と比較して適否を確定することが可能となる。
【0010】
本請求項2及び本請求項12に記載の構成によれば、異なる撮像対象高さで得られた複数の二次元画像データを合成して検査用画像データを生成することにより、撮像ユニットの高さ方向の設定を変更するだけで複数の二次元画像データを取得することが可能となり、簡単な構成で自動的に刷版作成用データの画像と比較して適否を確定することが可能となる。
本請求項3及び本請求項13に記載の構成によれば、撮像ユニットは、印刷版の表面との距離を変更して光線の焦点位置を変更可能に構成されていることにより、公知の撮像ユニットに高さ方向の調整機構を設けるだけで構成でき、簡単な構成で検査用画像データを生成し自動的に刷版作成用データの画像と比較して適否を確定することが可能となる。
本請求項4乃至6及び本請求項14乃至16に記載の構成によれば、より鮮明な検査用画像データを生成することが可能となる。
【0011】
本請求項7及び本請求項17に記載の構成によれば、凹部の粒状ノイズをさらに確実に除去して損傷や意図しない付着物の検出がより確実に可能となる。
本請求項8及び本請求項18に記載の構成によれば、印刷版の1回の移動で1枚の撮像ユニットによって印刷版表面の二次元画像データを得ることができ、撮像時間が短縮できるとともに、印刷版の表面を幅方向に分割した画像を合成する必要がなく、より正確な検査用画像データを生成することが可能となる。
本請求項9及び本請求項19に記載の構成によれば、可動部が少なく、振動等の影響のノイズを減少させてより正確な検査用画像データを生成することが可能となる。
本請求項10及び本請求項20に記載の構成によれば、LAMS方式の非透過型樹脂凸版の印刷版に対してより好適に、適否を確定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る撮像ユニットの概略図。
図2】刷版作成用データと凸部表面に焦点を合わせた二次元画像データ。
図3】複数の二次元画像データを合成して検査用画像データを生成する処理の説明図。
図4】DLE(Direct Laser Engraving)製版システムの説明図。
図5】LAMS(Laser Ablation Masking System)製版システムの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る印刷版検査システムは、印刷版の表面の画像データと刷版作成用データを比較して印刷版の欠損や傷の有無を検査する印刷版検査システムであって、印刷版の表面に対して光線を所定幅内で走査可能で、光線の走査方向と直行する方向に相対的に印刷版を移動可能に構成され、印刷版表面の二次元画像データを取得する撮像ユニットと、検査用画像データと刷版作成用データを比較・検査する画像検査部とを有し、複数の条件で撮像ユニットが取得した印刷版の表面の複数の二次元画像データを処理・合成して検査用画像データを生成する画像処理部を有し、検査用画像データと刷版作成用データを比較・検査する画像検査部とを有するものである。
【0014】
本発明の一実施形態に係る印刷版検査システム及び印刷版検査方法に使用される撮像ユニット101は、例えば図1に示すように、検査対象である印刷版Pを水平に保持可能な印刷版保持部113と、印刷版Pの上方から印刷版Pの表面に対して光線を所定幅内で走査可能に配置された光学機器111とを有している。
印刷版保持部113は、Y軸移動機構114によって光線の走査方向と直交する方向に印刷版Pを移動可能に構成され、光線の走査と印刷版Pの移動によって二次元の情報を得ることができる。
【0015】
また、光学機器111は、X軸移動機構112によって光線の走査方向に移動可能に構成されており、走査幅より幅広であった場合、X軸移動機構112によって光学機器111を移動させて複数回走査することで、印刷版Pの全体の二次元画像データを取得することができる。
なお、光学機器111の走査幅が充分大きい場合は、X軸移動機構112を省略してもよい。
【0016】
光学機器111は、印刷版Pの表面に対してレーザー光を走査するポリゴンミラーと、撮像対象高さを定める共焦点テレセントリックレンズと、反射光を受光する光電子倍増管とを有しており、印刷版Pの表面の幅方向全域に対して光線を走査するとともに、光線の走査方向と直行する方向に印刷版Pを移動させることで、印刷版表面の二次元画像データを取得するように構成されている。
また、印刷版Pに対する光学機器111の高さを相対的に変更することで、撮像対象高さ(焦点位置)を変更可能に構成されている。
【0017】
画像処理部は、複数の条件で撮像ユニットが取得した印刷版の表面の複数の二次元画像データを処理・合成して検査用画像データを生成すし、撮像ユニットで取得した、撮像対象高さが印刷版の凸部表面である二次元画像データ、撮像対象高さが印刷版の凸部表面より上方である二次元画像データ、及び、撮像対象高さが印刷版の凸部表面より下方である二次元画像データを合成して検査用画像データを生成するよう構成されている。
【0018】
画像処理部による3枚の画像の処理・合成の一例について説明する。
図3に示すように、二次元画像データAは、印刷版の凸部表面に焦点を合わせて取得した画像データを二値化したもの、二次元画像データBは、印刷版の凸部表面から0.6mm上に焦点を合わせて取得した画像データを二値化したもの、二次元画像データCは、印刷版の凸部表面から0.45mm下に焦点を合わせて取得した画像データを二値化したものである。
印刷版の凸部表面より上方に焦点を合わせて取得した画像データは印刷版の凹部が明るい画像となり、印刷版の凸部表面より下方に焦点を合わせて取得した画像データは印刷版の凹部が暗い画像となる。
【0019】
なお、印刷版の凸部高さは0.4mmから0.6mmが一般的であり、本印刷版の凸部高さは0.5mmである。
二次元画像データBは印刷版の凸部表面から、凸部高さの120%上方に焦点を合わせており、二次元画像データCは印刷版の凸部表面から、凸部高さの90%下方に焦点を合わせている。焦点の高さは印刷版の凸部表面に対して凸部高さの2%から200%の範囲で上方または下方に合わせるのが好ましい。
2%未満では印刷版の凸部表面に焦点を合わせた画像データとの差異が少なく、合成しても良好な検査画像データが得られない。
また200%以上では印刷版の凸部、凹部の輪郭が十分に認識できない画像となる。
【0020】
二次元画像データAは無加工、二次元画像データBおよび二次元画像データCは白黒反転し、それら3つのデータを乗算合成して合成画像を得て、合成画像を再度白黒反転して検査用画像データを得る。
検査用画像データは、3枚の二次元画像データを合成することで凸部の輪郭が鮮明で、凹部の粒状ノイズが除去されており、自動的に刷版作成用データの画像と比較して適否を確定することが可能となる。
【0021】
上記の例では、3枚の画像を使用したが、印刷版のコンディションやセッティング位置によって画像品質が異なるため、撮影条件や合成処理をカスタマイズする必要がある。
そのため、焦点位置は自由に調整できる設計となっており、また、2枚、あるいは4枚以上の画像を用いて合成してもよい。
【0022】
画像検査部における検査用画像データと刷版作成用データとの比較は、例えば、市販の検版システムソフトウェアを使用し、以下の流れで自動的に処理が行われる。
(1)検査用画像データを画像処理部に蓄積された検査用画像データから、刷版作成用データと比較すべき対となる画像を呼び出す。
(2)比較すべき対となる画像の大きさや、絵柄の特徴を検出し、位置を自動的に合わせる。
(3)比較すべき対となる画像の濃度差や色差を検出し、設定した閾値内の濃度差であれば自動調整で合わせる。
(4)画像を比較し画線の有無や濃度差を検出する。画素数閾値やズレ許容値に収まるものは除外される。
(5)所定の閾値を超えた差異がある部分をマーキングした検版データが作成されて保存される。
DLE、LAMS等の版の特性によって撮像品質が大きく変わるが、検版設定のパラメーターをそれぞれの版に最適な値で設定し使い分けることで、自動的に検版データが作成される。
【符号の説明】
【0023】
101 ・・・ 撮像ユニット
111 ・・・ 光学機器
112 ・・・ X軸移動機構
113 ・・・ 印刷版保持部
114 ・・・ Y軸移動機構
P ・・・ 印刷版
図1
図2
図3
図4
図5