(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013957
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】入出場管理サーバ、携帯端末、入出場管理方法、電子チケットの表示方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/30 20120101AFI20230119BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20230119BHJP
【FI】
G06Q50/30
G07B15/00 A
G07B15/00 L
G07B15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088937
(22)【出願日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2021116906
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】596130185
【氏名又は名称】株式会社 ヴァル研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】吉尾 俊
【テーマコード(参考)】
3E127
5L049
【Fターム(参考)】
3E127AA02
3E127BA01
3E127BA50
3E127CA02
3E127CA35
3E127CA47
3E127DA02
3E127DA07
3E127DA19
3E127DA33
3E127EA02
3E127EA05
3E127FA53
5L049CC43
(57)【要約】
【課題】施設毎の入場ゲートの通過手法に応じて利用者の入出場を可能にする入出場管理技術を提供する。
【解決手段】入出場管理サーバ1は、利用者が利用する施設を特定するための情報を、該利用者が所持する携帯端末2から取得する。入出場管理サーバ1は、利用者が利用する施設にコード画像の読取機能を有する入場ゲート(自動改札機31)が設置されているか否かを判断する。入出場管理サーバ1は、利用者が利用する施設に入場ゲートが設置されていれば当該施設への入場券の情報を含むコード画像を携帯端末2に送信し、入場ゲートが設置されていなければ入場券の情報を視認可能にした入場券画像を携帯端末2に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が所持する携帯端末から、該利用者が利用する施設を特定するための情報を取得する取得手段と、
複数の施設毎に、コード画像の読取機能を有する入場ゲートが設置されているか否かを表す設置情報を記憶する記憶手段と、
前記設置情報を参照して、前記取得手段により取得した前記情報で特定される施設に前記入場ゲートが設置されているか否かを判断する判断手段と、
前記情報で特定される施設に前記入場ゲートが設置されていれば当該施設への入場券の情報を含むコード画像を前記携帯端末に送信し、前記情報で特定される施設に前記入場ゲートが設置されていなければ前記入場券の情報を視認可能にした入場券画像を前記携帯端末に送信する制御手段と、を備えることを特徴とする、
入出場管理サーバ。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記複数の施設の位置情報を前記設置情報とともに記憶しており、
前記判断手段は、前記携帯端末から取得する現在位置を表す位置情報と前記記憶手段に記憶された位置情報とに基づいて、前記利用者が利用する前記施設を特定し、特定した施設の設置情報により、該施設に前記入場ゲートが設置されているか否かを判断することを特徴とする、
請求項1記載の入出場管理サーバ。
【請求項3】
前記コード画像と前記入場券画像を発行する発行手段をさらに備えており、
前記制御手段は、前記発行手段に、前記情報で特定される施設に前記入場ゲートが設置されていれば前記コード画像を発行させ、前記情報で特定される施設に前記入場ゲートが設置されていなければ前記入場券画像を発行させることを特徴とする、
請求項1または2記載の入出場管理サーバ。
【請求項4】
前記施設は、公共交通機関の駅であり、
前記取得手段は、前記利用者が利用する利用駅を特定するための情報を、該利用者が所持する携帯端末から取得し、
前記判断手段は、前記設置情報を参照して、前記取得手段により取得した前記情報で特定される前記利用駅が、前記入場ゲートである自動改札機の設置駅であるか否かを判断し、
前記制御手段は、前記利用駅が前記自動改札機の設置駅であれば乗車券の情報を含むコード画像を前記携帯端末に送信し、前記利用駅が前記自動改札機の設置駅でなければ前記乗車券の情報を視認可能にした乗車券画像を前記携帯端末に送信することを特徴とする、
請求項1または2記載の入出場管理サーバ。
【請求項5】
前記コード画像と前記乗車券画像を発行する発行手段をさらに備えており、
前記制御手段は、前記発行手段に、前記利用駅が前記自動改札機の設置駅であれば前記コード画像を発行させ、前記利用駅が前記自動改札機の設置駅でなければ前記乗車券画像を発行させることを特徴とする、
請求項4記載の入出場管理サーバ。
【請求項6】
利用者の入出場の状態を表す入出場情報を管理する利用者管理手段をさらに備えており、
前記発行手段は、駅に入場するための入場用のコード画像と乗車券画像と、駅から出場するための出場用のコード画像と乗車券画像と、を発行し、
前記制御手段は、前記入出場情報により利用者が入場しているか或いは出場しているかを判断し、入場している場合には前記発行手段に出場用のコード画像と乗車券画像とのいずれか一方を発行させ、出場している場合には前記発行手段に入場用のコード画像と乗車券画像とのいずれか一方を発行させることを特徴とする、
請求項5記載の入出場管理サーバ。
【請求項7】
利用する施設を特定するための情報を所定のサーバに送信する送信手段と、
前記サーバから、前記施設がコード画像の読取機能を有する入場ゲートが設置されている場合には当該施設への入場券の情報を含むコード画像を受信し、前記施設がコード画像の読取機能を有する入場ゲートが設置されていない場合には前記入場券の情報を視認可能にした入場券画像を受信する受信手段と、
受信した前記コード画像と前記入場券画像とのいずれか一方を所定のディスプレイに表示する表示手段と、を備えることを特徴とする、
携帯端末。
【請求項8】
現在位置を確認する位置確認手段をさらに備えており、
前記送信手段は、前記位置確認手段で確認した現在位置を表す位置情報を、前記利用する施設を特定するための情報として前記サーバへ送信することを特徴とする、
請求項7記載の携帯端末。
【請求項9】
現在位置を確認する位置確認手段と、
前記現在位置から利用可能な利用駅を判断する判断手段と、
前記利用駅の情報を所定のサーバに送信する送信手段と、
前記サーバから、前記利用駅がコード画像の読取機能を有する自動改札機の設置駅である場合には乗車券の情報を含むコード画像を受信し、前記利用駅が前記自動改札機の設置駅ではない場合には前記乗車券の情報を視認可能にした乗車券画像を受信する受信手段と、
受信した前記コード画像と前記乗車券画像とのいずれか一方を所定のディスプレイに表示する表示手段と、を備えることを特徴とする、
携帯端末。
【請求項10】
携帯端末との間で通信可能であり、複数の施設毎に、コード画像の読取機能を有する入場ゲートが設置されているか否かを表す設置情報を記憶する記憶手段を有するサーバにより実行される方法であって、
前記サーバが、
利用者が所持する携帯端末から、該利用者が利用する施設を特定するための情報を取得するステップと、
前記設置情報を参照して、取得した前記情報で特定される施設に前記入場ゲートが設置されているか否かを判断するステップと、
前記情報で特定される施設に前記入場ゲートが設置されていれば当該施設への入場券の情報を含むコード画像を前記携帯端末に送信するステップと、
前記情報で特定される施設に前記入場ゲートが設置されていなければ前記入場券の情報を視認可能にした入場券画像を前記携帯端末に送信するステップと、を含むことを特徴とする、
入出場管理方法。
【請求項11】
所定のサーバとの間で通信可能な携帯端末により実行される方法であって、
前記携帯端末が、
利用する施設を特定するための情報を所定のサーバに送信するステップと、
前記サーバから、前記施設がコード画像の読取機能を有する入場ゲートが設置されている場合には当該施設への入場券の情報を含むコード画像を受信し、前記施設がコード画像の読取機能を有する入場ゲートが設置されていない場合には前記入場券の情報を視認可能にした入場券画像を受信するステップと、
受信した前記コード画像と前記入場券画像とのいずれか一方を所定のディスプレイに表示するステップと、を含むことを特徴とする、
電子チケットの表示方法。
【請求項12】
所定のサーバとの間で通信可能な携帯端末により実行される方法であって、
前記携帯端末が、
現在位置を確認するステップと、
前記現在位置から利用可能な利用駅を判断するステップと、
前記利用駅の情報を所定のサーバに送信するステップと、
前記サーバから、前記利用駅がコード画像の読取機能を有する自動改札機の設置駅である場合には乗車券の情報を含むコード画像を受信し、前記利用駅が前記自動改札機の設置駅ではない場合には前記乗車券の情報を視認可能にした乗車券画像を受信するステップと、
受信した前記コード画像と前記乗車券画像とのいずれか一方を所定のディスプレイに表示するステップと、を含むことを特徴とする、
電子チケットの表示方法。
【請求項13】
携帯端末との間で通信可能なコンピュータを、
利用者が所持する携帯端末から、該利用者が利用する施設を特定するための情報を取得する取得手段、
複数の施設毎に、コード画像の読取機能を有する入場ゲートが設置されているか否かを表す設置情報を記憶する記憶手段、
前記設置情報を参照して、前記取得手段により取得した前記情報で特定される施設に前記入場ゲートが設置されているか否かを判断する判断手段、
前記情報で特定される施設に前記入場ゲートが設置されていれば当該施設への入場券の情報を含むコード画像を前記携帯端末に送信し、前記情報で特定される施設に前記入場ゲートが設置されていなければ前記入場券の情報を視認可能にした入場券画像を前記携帯端末に送信する制御手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項14】
所定のサーバとの間で通信可能なコンピュータを、
利用する施設を特定するための情報を所定のサーバに送信する送信手段、
前記サーバから、前記施設がコード画像の読取機能を有する入場ゲートが設置されている場合には当該施設への入場券の情報を含むコード画像を受信し、前記施設がコード画像の読取機能を有する入場ゲートが設置されていない場合には前記入場券の情報を視認可能にした入場券画像を受信する受信手段、
受信した前記コード画像と前記入場券画像とのいずれか一方を所定のディスプレイに表示する表示手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項15】
所定のサーバとの間で通信可能なコンピュータを、
現在位置を確認する位置確認手段、
前記現在位置から利用可能な利用駅を判断する判断手段、
前記利用駅の情報を所定のサーバに送信する送信手段、
前記サーバから、前記利用駅がコード画像の読取機能を有する自動改札機の設置駅である場合には乗車券の情報を含むコード画像を受信し、前記利用駅が前記自動改札機の設置駅ではない場合には前記乗車券の情報を視認可能にした乗車券画像を受信する受信手段、
受信した前記コード画像と前記乗車券画像とのいずれか一方を所定のディスプレイに表示する表示手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末の表示画面に表示されるコード画像を用いた公共交通機関や施設等の入場及び出場を管理することが可能な入出場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
公共交通機関、例えば鉄道の駅を利用する利用者は、改札を通過する際に乗車券を提示する。乗車券は、紙、ICカード、スマートフォン等の携帯端末(端末装置)などを媒体として使用される。紙の場合、入場駅と出場駅を表す乗車券情報が印刷され、さらに紙に塗布された磁性体に乗車券情報が記録される。ICカードの場合、ICカードに内蔵される非接触ICに乗車券情報が記録される。端末装置の場合、端末装置のメモリに乗車券情報が記録される。改札には、入場ゲートとして、これらの媒体を用いた改札処理を自動的に行う自動改札機が設けられる。自動改札機は、紙の磁性体部分に記録された乗車券情報や、ICカードや端末装置に記録された乗車券情報を読み取り、ゲートの開閉などの改札処理を行う。同様に、娯楽施設、博物館、美術館などの施設を利用する利用者は、施設へ入場する際に入場券を提示する。入場券は、紙、ICカード、スマートフォン等の携帯端末(端末装置)などを媒体として使用される。入場券により、施設に入場するためのゲートの開閉などの入場処理が行われる。
【0003】
近年、QRコード(登録商標)などのコード画像を利用して駅の改札処理や入場処理を行うシステムが提案されている。一つの例でいえば、利用者は、自身が所持する携帯端末の表示画面にQRコードを表示して、コード画像の読取機能を有する入場ゲート(駅の自動改札機)にかざす。入場ゲートは、該表示画面からQRコードを読み取り、QRコードに含まれる乗車券情報を取得する。入場ゲートは、QRコードから取得した乗車券情報に基づいて改札処理、決済処理などを実行する。
特許文献1、2には、このようなQRコードを用いた改札処理における不正利用の防止技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-149115号公報
【特許文献2】特開2020-30583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
QRコードなどのコード画像を利用して改札処理を行う場合、入場時及び出場時の双方の自動改札機がコード画像の読取機能を有する必要がある。つまり、入場駅のみならず出場駅の両方に、コード画像の読取機能を有する自動改札機を設置する必要がある。
しかしながら、このような自動改札機は、それ自体が高価である。また、コード画像の読取結果をサーバに送信するための設備も必要となる。そのため、コード画像の読取機能を有する自動改札機のすべての駅への設置は、事業者にとって大きな負担となる。
【0006】
コード画像の読取機能を有する自動改札機が設置されていない駅では、コード画像を利用した入出場ができない。通常、入場駅と出場駅とでは、改札を通過する手法が同じである。そのために、例えば入場時にコード画像を利用して改札を通過しても、出場時にコード画像を利用して改札を通過できないことがある。これは、利用者が目的の駅から出場できなくなる可能性があることを意味する。
同様に、コード画像を利用して施設に入場する場合には、当該施設にコード画像の読取機能を有する入場ゲートが必要になる。しかし、コード画像の読取機能を有する入場ゲートは高価であるために、この種の入場ゲートは普及が進んでいない。
施設の入場券と鉄道の乗車券とがセットになった電子チケットを購入する場合、コード画像による入場処理及び改札処理が行われることが多い。このような場合に、コード画像の読取機能を有する入場ゲートが施設や鉄道の駅に設置されていなければ、利用者の利便性が低下する。
【0007】
本発明は、上記背景のもと、施設毎の入場ゲートの通過手法に応じて利用者の入出場を可能にする入出場管理技術を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の入出場管理サーバは、利用者が所持する携帯端末から、該利用者が利用する施設を特定するための情報を取得する取得手段と、複数の施設毎に、コード画像の読取機能を有する入場ゲートが設置されているか否かを表す設置情報を記憶する記憶手段と、前記設置情報を参照して、前記取得手段により取得した前記情報で特定される施設に前記入場ゲートが設置されているか否かを判断する判断手段と、前記情報で特定される施設に前記入場ゲートが設置されていれば当該施設への入場券の情報を含むコード画像を前記携帯端末に送信し、前記情報で特定される施設に前記入場ゲートが設置されていなければ前記入場券の情報を視認可能にした入場券画像を前記携帯端末に送信する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コード画像の読取機能を有した入場ゲートが設置されている施設を利用する場合に携帯端末にコード画像を送信し、コード画像の読取機能を有した入場ゲートが設置されていない施設を利用する場合に携帯端末に入場券画像を送信する。これにより、利用者は、コード画像の読取機能を有する入場ゲートが設置されていない施設であっても入場が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】(a)、(b)は、入出場管理サーバの構成図。
【
図8】(a)、(b)は、自動改札機の制御システムの構成図。
【
図10】(a)、(b)は、表示部に表示された電子チケットの例示図。
【
図11】(a)、(b)は、入場時と出場時の乗車券画像の例示図。
【
図13】(a)、(b)は、表示部に表示された電子チケットの例示図。
【
図14】(a)、(b)は、利用者による施設の選択が可能な電子チケットの例示図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ実施形態を詳細に説明する。
【0012】
(入出場管理システム)
図1は、本実施形態の入出場管理システムの全体構成図である。ここでは利用者が公共交通機関を利用する際の入出場管理システム1000について説明する。
入出場管理システム1000は、公共交通機関の利用者に電子チケットを発行して、利用者による公共交通機関を用いた移動を管理する。利用者は、電子チケットにより、例えば駅への入出場、バスへの乗降等を行う。以下に、利用者が駅に入場して鉄道による移動を行い、他の駅から出場する場合について説明する。駅も、利用者が利用可能な施設の一例である。
【0013】
本実施形態の入出場管理システム1000は、入出場管理サーバ1、利用者が所持するスマートフォン等の携帯端末2、及び各駅に設けられる複数の駅システム3(3a、3b)により構成される。入出場管理サーバ1と携帯端末2とは、ネットワークN1を介して相互に通信可能に接続される。ネットワークN1は、例えば公衆通信回線等の携帯端末2により利用可能な通信回線である。入出場管理サーバ1と駅システム3とは、ネットワークN2を介して相互に通信可能に接続される。ネットワークN2は、公衆通信回線でもよいが、通信の安定性や秘匿性の向上のために専用線を用いることが好ましい。
【0014】
入出場管理サーバ1は、利用者が駅から入場又は出場するための電子チケットを発行する。入出場管理サーバ1は、ネットワークN1を介して電子チケットを携帯端末2へ送信する。電子チケットは、詳細は後述するが、駅から入場又は出場するための乗車券の情報を、コード化したQRコードやバーコードのようなコード画像と、駅員が視認できるように画像化した乗車券画像と、である。電子チケットの発行時には、コード画像と乗車券画像とのいずれか一方が発行される。電子チケットは携帯端末2のディスプレイに表示される。
【0015】
携帯端末2は、GPS(Global Positioning System)衛星4により位置情報と時刻を確認することができる。携帯端末2は、位置情報に基づいて、その時点で利用者が利用可能な駅(以下、「利用駅」という。)を判断できるようになっている。携帯端末2は、利用駅を表す情報を入出場管理サーバ1へ送信し、その応答として電子チケットを取得する。利用駅は、例えば携帯端末2の位置情報に基づいて検索される最寄駅や、利用者が利用を考えている駅である。本実施形態では、最寄駅を利用駅とする場合について説明する。携帯端末2は、利用駅を表す情報として最寄駅情報を入出場管理サーバ1へ送信し、その応答として電子チケットを取得する。
【0016】
駅システム3aと駅システム3bは、同じ構成であり、それぞれ別の駅に設けられる。駅システム3は、それぞれ複数の自動改札機31と、各自動改札機31の動作を制御する駅サーバ30と、各自動改札機31と駅サーバ30とを通信可能に接続するLAN(Local Area Network)などの構内ネットワークN3と、を備える。自動改札機31には、電子チケットがコード画像である場合に、携帯端末2のディスプレイに表示されたコード画像を読み取る機能を有するものがある。ここでは、コード画像の読取機能を有する自動改札機31を「対応改札機」という。なお、図示は省略しているが、駅システム3a、3bは、券売機、精算機、及び駅員が使用する駅員端末等の駅務機器を備えている。これらの駅務機器も構内ネットワークN3を介して駅サーバ30に接続されている。
【0017】
携帯端末2は、コード画像を表示する場合に、対応改札機である自動改札機31によりコード画像が読み取られる。コード画像の読取結果は、自動改札機31から駅サーバ30を介して入出場管理サーバ1へ送信され、入出場管理サーバ1に記録される。
携帯端末2は、乗車券画像を表示する場合に、乗車券画像が駅員に視認される。乗車券が有効であると確認された場合、携帯端末2は、利用者により後述の「もぎり操作」が行われる。もぎり操作の結果は、携帯端末2から入出場管理サーバ1へ送信され、入出場管理サーバ1に記録される。
【0018】
(入出場管理サーバ)
図2は入出場管理サーバ1の構成図である。
図2(a)は入出場管理サーバ1のハードウェア構成を示し、
図2(b)は入出場管理サーバ1の機能ブロックを示す。
【0019】
入出場管理サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)10、ROM(Read Only Memory)11、及びRAM(Random Access Memory)12を備える情報処理装置である。入出場管理サーバ1は、携帯端末2への電子チケットの発行などの処理を行うための各種のデータや制御プログラムを保存するストレージ13を備える。ストレージ13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などである。入出場管理サーバ1は、ネットワークN1とネットワークN2により通信を行うために、二つのネットワークアダプタ14、15を備える。CPU10、ROM11、RAM12、ストレージ13、及びネットワークアダプタ14、15は、バス16を介して相互に通信可能に接続される。
【0020】
CPU10は、ROM11に格納されるブートプログラムやストレージ13に格納される制御プログラムなどのコンピュータプログラムを実行することで、入出場管理サーバ1の動作を制御する。RAM12は、CPU10がコンピュータプログラムを実行する際の作業領域を提供する。CPU10がコンピュータプログラムを実行することで、
図2(b)の各機能ブロックが実現される。
【0021】
入出場管理サーバ1は、制御部100、通信部101、102、判断部103、駅情報記憶部104、利用者管理部105、電子チケット発行部106、運賃確認部110、運賃格納部111、及び精算部112として機能する。電子チケット発行部106は、入場チケット発行部107、出場チケット発行部108、及び電子チケット格納部109を備える。なお各機能ブロックは、一部又は全部が電子回路で構成されていてもよい。
【0022】
制御部100は、入出場管理サーバ1による電子チケット発行処理などの全体動作を制御する。通信部101は、ネットワークアダプタ14によるネットワークN1を介した通信を制御する。通信部101により携帯端末2との間の通信が制御される。通信部102は、ネットワークアダプタ15によるネットワークN2を介した通信を制御する。通信部102により駅システム3との間の通信が制御される。
【0023】
判断部103は、携帯端末2から取得する最寄駅情報に基づいて、該最寄駅に対応改札機が設置されているか否かを判断する。駅情報記憶部104には駅ごとの対応改札機の設置状況を示す設置情報と駅ごとの位置情報が記憶されている。判断部103は、最寄駅情報と駅情報記憶部104の設置情報とにより、最寄駅が対応改札機の設置駅であるか否かの判断を行うことができる。駅の位置情報は、例えば経度と緯度で表されている。最寄駅情報として携帯端末2の現在位置の位置情報を取得した場合、判断部103は、駅の位置情報と携帯端末2の現在位置の位置情報とにより、最寄駅を判断する。
【0024】
利用者管理部105は、利用者の情報を管理する。
図3は、利用者管理部105が利用者ごとに用意する利用者情報の例示図である。利用者情報は、利用者ごとに、「利用者ID」、「利用者名」、「認証情報」、「口座情報」などを含む。利用者情報は、携帯端末2を用いて利用者により事前登録される。利用者は、携帯端末2にインストールした乗車券発行アプリケーションを起動して利用者情報を登録してもよいし、鉄道事業者のWEBサイトにアクセスして利用者情報を登録してもよい。また、利用者情報には、利用者の入出場状態を示す「入出場情報」が含まれる。利用者管理部105は、利用者が電子チケットを用いて駅から入場した場合に入出場情報を「入場」に設定し、利用者が電子チケットを用いて駅から出場した場合に入出場情報を「出場」に設定する。
【0025】
「利用者ID」は、利用者の識別情報であり、「利用者名」は、利用者の名前である。「認証情報」は、利用者を認証する認証処理(本人確認)に用いられる情報であり、例えば文字列からなるパスワード、生体情報(指紋情報、顔情報など)などである。利用者は任意の認証情報を設定することが可能である。「口座情報」は、入場駅から出場駅までの利用区間の運賃に対する決済処理に用いられる口座の残高の情報である。口座情報は、電子マネーを利用する場合のチャージ額の残高であってもよいし、クレジットカードを利用する場合の引き落とし口座の情報であってもよい。電子マネーを利用する場合、利用者は、携帯端末2において乗車券発行アプリケーションを起動させて任意の金額を入金して口座情報を増額することができる。
【0026】
電子チケット発行部106は、携帯端末2からの要求に応じて電子チケットを発行する。電子チケットには、入場用の電子チケットと出場用の電子チケットがある。入場チケット発行部107は入場用の電子チケットを発行する。入場用の電子チケットは、「乗車券ID」、「利用者ID」、「入場駅ID」、「発行日時」、「入出場区分」などの入場駅から入場するための乗車券情報(入場情報)をコード化したコード画像と、該入場情報を視認可能に画像化した入場用の乗車券画像とのいずれか一方として発行される。出場チケット発行部108は出場用の電子チケットを発行する。出場用の電子チケットは、「乗車券ID」、「利用者ID」、「出場駅ID」、「発行日時」、「入出場区分」などの出場駅から出場するための乗車券情報(出場情報)をコード化したコード画像と、該出場情報を視認可能に画像化した出場用の乗車券画像とのいずれか一方として発行される。
【0027】
本実施形態では、乗車券情報を記録したコード画像の一例としてQRコードを用いる。なお、自動改札機31において利用可能なコード画像としての電子チケットは、バーコードなどの一次元コード、QRコード以外の二次元コード、又はその他の乗車券情報を埋め込むことができる画像などである。
【0028】
「乗車券ID」は、乗車券情報(電子チケット)の識別情報である。「利用者ID」は、電子チケットの発行を要求した利用者の利用者情報に設定された利用者IDである。利用者IDにより、電子チケットの精算時の利用者が特定される。「入場駅ID」は、利用者が入場する駅の識別情報である。「出場駅ID」は、利用者が出場する駅の識別情報である。「発行日時」は、電子チケットの発行日時である。「入出場区分」は、この電子チケットが入場用と出場用のいずれであるかを識別する情報である。
【0029】
電子チケット格納部109は、入場チケット発行部107及び出場チケット発行部108で発行した電子チケットの乗車券情報(入場情報及び出場情報)を格納する。
図4は、乗車券情報の例示図である。入場用の電子チケットと出場用の電子チケットは、乗車券IDにより紐付けされている。本実施形態では、入場用の電子チケットと出場用の電子チケットに同じ乗車券IDを割り当てることで紐付ける。この他に、例えば入場用の電子チケットと出場用の電子チケットの各乗車券情報に、対応する乗車券IDの項目を追加することで、入場用の電子チケットと出場用の電子チケットを紐付けてもよい。
【0030】
本実施形態では、利用者は、同じ乗車券IDの入場用の電子チケットと出場用の電子チケットにより入出場する。例えば
図4では、「C001」の乗車券IDの乗車券情報が二つあり、一方の乗車券情報の入出場区分が「入場」、他方の乗車券情報の入出場区分が「出場」となっている。この場合、入出場区分が「入場」となっている乗車券情報が入場用の電子チケットの乗車券情報(入場情報)であり、入出場区分が「出場」となっている乗車券情報が出場用の電子チケットの乗車券情報(出場情報)である。
図4では、乗車券IDが「C001」の乗車券情報により、利用者ID「X」の利用者がA駅から入場してB駅から出場することがわかる。
【0031】
電子チケット発行部106は、通信部101により携帯端末2から取得する最寄駅情報に基づいて、該最寄駅から入場又は出場するための電子チケットを発行する。電子チケット発行部106は、判断部103の判断結果に基づいてQRコードと乗車券画像とのいずれか一方の電子チケットを発行する。つまり電子チケット発行部106は、最寄駅に対応改札機が設置されている場合にQRコードの電子チケットを発行し、最寄駅に対応改札機が設置されていない場合に乗車券画像の電子チケットを発行する。発行した電子チケットは、通信部101により携帯端末2へ送信される。
【0032】
運賃確認部110は、利用者の入場駅から出場駅までの運賃を確認する。運賃確認部110は、入場時に確認した乗車券ID及び利用者IDと、出場時に確認した乗車券ID及び利用者IDと、により利用者IDに該当する利用者の入場駅と出場駅とを確認する。例えば、運賃確認部110は、電子チケット格納部109を参照して、乗車券IDに該当する乗車券情報により入場駅と出場駅の入出場駅IDを確認する。入出場駅IDにより、利用者の入場駅及び出場駅が確認される。
【0033】
運賃格納部111には駅間の運賃表が格納されている。運賃確認部110は、この運賃表を参照して入場駅から出場駅までの運賃を確認することができる。運賃確認部110は、確認した運賃及び利用者IDを精算部112へ送信する。
精算部112は、入出場時に確認した利用者IDに基づいて利用者管理部105から該当する利用者の利用者情報を抽出し、運賃確認部110で確認された運賃を該利用者情報の口座情報から差し引く。これにより運賃の精算が行われる。
【0034】
(携帯端末)
図5は、携帯端末2の構成図である。
図5(a)は、携帯端末2のハードウェア構成を示し、
図5(b)は、携帯端末2の機能ブロックを示す。
【0035】
携帯端末2は、CPU20、ROM21、及びRAM22を備える携帯型の情報処理装置である。携帯端末2は、乗車券発行アプリケーションなどのコンピュータプログラムや各種データを保存するストレージ23を備える。ストレージ23は、例えばHDDやSSDなどである。携帯端末2は、入力インタフェース及び出力インタフェースを有するユーザインタフェース24を備える。入力インタフェースは、各種ボタンやタッチパネルなどである。出力インタフェースは、ディスプレイやスピーカなどである。携帯端末2は、ネットワークN1による通信を行うための通信アンテナ25と、GPS衛星4から電波を受信するGPSアンテナ26と、を備える。CPU20、ROM21、RAM22、ストレージ23、ユーザインタフェース24、通信アンテナ25、及びGPSアンテナ26は、バス27を介して相互に通信可能に接続される。
【0036】
CPU20は、ROM21に格納されるブートプログラムやストレージ23に格納されるコンピュータプログラムを実行することで、携帯端末2の動作を制御する。RAM22は、CPU20がコンピュータプログラムを実行する際の作業領域を提供する。本実施形態では、CPU20が乗車券発行アプリケーションを実行することで、
図5(b)の各機能ブロックが実現される。乗車券発行アプリケーションは、電子チケットを利用した入出場を行うためのソフトウェアである。
【0037】
携帯端末2は、制御部200、通信部201、現在位置確認部202、最寄駅判断部203、入力部204、及び表示部205として機能する。なお各機能ブロックは、一部又は全部が電子回路で構成されていてもよい。
【0038】
制御部200は、携帯端末2の動作を制御する。通信部201は、通信アンテナ25によるネットワークN1を介した通信を制御する。通信部201により入出場管理サーバ1との間の通信が制御される。本実施形態では、通信部201は入出場管理サーバ1に対して電子チケットを要求し、要求に応じた電子チケットを取得する。現在位置確認部202は、GPSアンテナ26によりGPS衛星4から受信した電波に基づいて現在位置を確認する。
【0039】
最寄駅判断部203は、現在位置確認部202により確認した現在位置に対する最寄駅を判断する。最寄駅の判断は、例えば現在位置の緯度及び経度と駅ごとの緯度及び経度とに基づいて、現在位置から最も近い駅を判断することで行われる。最寄駅の判断は、ストレージ23内に駅ごとの緯度及び経度を保存しておきこれを用いて行われてもよいが、ネットワークN1を介して他のサーバを用いて行われてもよい。例えば最寄駅判断部203は、現在位置を表す情報(例えば経度、緯度)を入出場管理サーバ1へ送信し、その応答として最寄駅を判断してもよい。この場合、入出場管理サーバ1は、駅情報記憶部104に記憶した駅ごとの位置情報(経度、緯度)と、携帯端末2から取得した現在位置の位置及び経度から、直線距離で最も近い駅を最寄駅と判断する。最寄駅判断部203は、入出場管理サーバ1による最寄駅の判断結果を、通信部201を介して取得する。
【0040】
入力部204は、入力インタフェースを用いて入力される指示やデータを受け付けて制御部200へ送信する。表示部205は、制御部200の制御により、出力インタフェースのディスプレイに画像を表示する。本実施形態では、表示部205は、入出場管理サーバ1から取得した電子チケットをディスプレイに表示する。つまり表示部には、電子チケットであるQRコードと乗車券画像とのいずれか一方が表示される。
【0041】
(駅システム)
図6は、駅システム3の駅サーバ30の構成図である。
図6(a)は、駅サーバ30のハードウェア構成を示し、
図6(b)は、駅サーバ30の機能ブロックを示す。
【0042】
駅サーバ30は、CPU300、ROM301、及びRAM302を備える情報処理装置である。駅サーバ30は、構内ネットワークN3を介して複数の自動改札機31との間の通信を行うための構内インタフェース303を備える。駅サーバ30は、ネットワークN2により通信を行うためのネットワークアダプタ304を備える。駅サーバ30は、入力インタフェース及び出力インタフェースを有するユーザインタフェース305を備える。入力インタフェースは、キーボード、各種ボタン、タッチパネルなどである。出力インタフェースは、ディスプレイやスピーカなどである。CPU300、ROM301、RAM302、構内インタフェース303、ネットワークアダプタ304、及びユーザインタフェース305は、バス306を介して相互に通信可能に接続される。
【0043】
CPU300は、ROM301に格納されるコンピュータプログラムを実行することで、駅システム3の動作を制御する。RAM302は、CPU300がコンピュータプログラムを実行する際の作業領域を提供する。本実施形態では、CPU300がコンピュータプログラムを実行することで、
図6(b)の各機能ブロックが実現される。
【0044】
駅サーバ30は、制御部310、通信部311、改札機制御部312、入力部313、及び出力部314として機能する。なお各機能ブロックは、一部又は全部が電子回路で構成されていてもよい。
【0045】
制御部310は、駅システム3の全体動作を制御する。通信部311は、ネットワークアダプタ304によるネットワークN2を介した通信を制御する。通信部311により入出場管理サーバ1との間の通信が制御される。改札機制御部312は、構内インタフェース303を介して各自動改札機31と通信を行うことで、各自動改札機31の動作を制御し、且つ各自動改札機31からの通知を取得する。入力部313は、入力インタフェースを用いて入力される指示やデータを受け付けて制御部310へ送信する。出力部314は、制御部310の制御により、出力インタフェースのディスプレイに画像を表示する。
【0046】
(対応改札機)
図7は、自動改札機31の外観図である。この自動改札機31は、対応改札機である。
【0047】
自動改札機31は、駅の改札口に設置されている。
図7に示すように、自動改札機31は、間に改札通路350を形成するように入場用の自動改札機31Aと出場用の自動改札機31Bとを対面させてセットで用いられる場合がある。一方の自動改札機31Aは、入場時の進行方向(矢印DAの方向)に沿って改札口から改札内に入場する利用者に対して改札処理(入場改札処理)を行う入場用自動改札機としての役割を担う。他方の自動改札機31Bは、出場時の進行方向(矢印DBの方向)に沿って改札口から改札外へ出場する利用者に対して改札処理(出場改札処理)を行う出場用自動改札機としての役割を担う。つまり自動改札機31Aは、矢印DAの方向への入場ゲートとして機能し、自動改札機31Bは、矢印DBの方向への入場ゲートとして機能する。
【0048】
自動改札機31は、筐体320にゲート325が設けられる。筐体320の上部には、ICカード読取部326、QRコード読取部327、及び表示部323が設けられる。ICカード読取部326及びQRコード読取部327は、入場時の進行方向(矢印DAの方向)で表示部323に対して上流側に配置される。ICカード読取部326は、ICカード形式の乗車券の読み取りに用いられる。QRコード読取部327は、QRコードの読み取りに用いられる。
【0049】
QRコード読取部327は、携帯端末2のディスプレイに表示されたQRコードを含む画面画像を撮像し、デジタルの画像データ(読取データ)として出力するデジタルカメラなどの撮像部を含む。撮像部は、QRコード読取部327の読取面にかざされた携帯端末2のディスプレイを連続して撮像し(読み取り)、撮像によって得られた複数の画面画像(撮像画像)の画像データを生成する。また撮像部は、QRコードが印刷された紙媒体がQRコード読取部327の読取面にかざされた場合にも、紙媒体を撮像した撮像画像の画像データを生成する。QRコードを読み取って得られた読取データから、乗車券情報が取得される。
【0050】
本実施形態では、QRコード読取部327の読取面に携帯端末2のディスプレイがかざされてからディスプレイが読取面から離れるまでの所定時間において、撮像部が複数枚の画面画像を撮像する構成を例示するが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、撮像部は、所定時間の動画を撮像する構成であってもよい。
【0051】
ICカード読取部326は、ICカード形式の乗車券の読み取り、乗車券に記録されている乗車券情報を取得する。本実施形態では、ICカード読取部326の構成及びICカードの読取処理の説明を省略する。
【0052】
表示部323は、改札通路350を通行する利用者に対してメッセージを表示する。表示部323は、例えば、液晶パネルにより構成される。表示部323は、筐体320の上面において、改札通路350における利用者の進行方向(矢印DA又は矢印DBの方向)の前方側に配置されている。本実施形態では、表示部323は、入場又は出場に用いられるゲート325と概ね同じ位置、或いはゲート325よりも進行方向の前方側に配置されている。利用者の通行が許可される場合、表示部323には、利用者に通行可能であることを示すメッセージが表示される。利用者の通行が許可されない場合、表示部323には、利用者に通行不可(禁止)であることを示すメッセージが表示される。また、ICカード形式の乗車券或いはQRコードの読取処理が適切に行われなかった場合、表示部323には、読取エラーを示すメッセージ、或いは再度の読取操作を促すメッセージが表示されてもよい。
【0053】
また、自動改札機31が出場用として用いられる場合、表示部323に、例えば、運賃が不足していることを示すメッセージが表示されてもよい。また、出場用の電子チケットに入場駅の情報が含まれる場合には、表示部323に、利用金額(運賃)が表示されてもよい。
【0054】
ゲート325は、自動改札機31の改札通路350において進行方向の前方の出口付近に設置される。ゲート325は、例えば開閉可能な扉である。ゲート325が開放されると、利用者は自動改札機31の改札通路350を通過することが可能となり、ゲート325が閉鎖されると、利用者は自動改札機31の改札通路350を通過することが不可能となる。なお、ゲート325は、物理的な扉に限られず、例えば、ホログラムを用いた立体画像で現された扉であってもよい。また、ゲート325は、音声により利用者の通過を許可又は禁止する音声ゲートであってもよい。
【0055】
なお、自動改札機31は、自動改札機31A又は自動改札機31Bが単体として用いられて、一方向に通行する利用者に対して改札処理を行うものであってもよい。この場合、自動改札機31は、ICカード読取部326及びQRコード読取部327が改札外側に配置されるように設置されることで入場用自動改札機として用いられる。また、自動改札機31は、ICカード読取部326及びQRコード読取部327が改札内側に配置されるように設置されることで出場用自動改札機として用いられる。
【0056】
本実施形態では、自動改札機31は、改札通路350を通行しようとする利用者が所持する携帯端末2に表示されるQRコードを乗車券として読み取る。自動改札機31は、取得したQRコードが有効であると判定した場合に、QRコードに含まれる乗車券情報に基づく改札処理を行い、取得したQRコードが無効であると判定した場合に、ゲート325を閉鎖して改札通路350における利用者の通行を禁止する。
【0057】
図8は、自動改札機31の制御システムの構成図である。
図8(a)は、自動改札機31のハードウェア構成を示し、
図8(b)は、自動改札機31の機能ブロックを示す。自動改札機31は、上記の表示部323、ICカード読取部326、及びQRコード読取部327の他に、CPU330、ROM331、RAM332、ストレージ333、及び構内インタフェース334を備える。CPU330、ROM331、RAM332、ストレージ333、及び構内インタフェース334は、自動改札機31の筐体320内に設けられる。自動改札機31は、構内インタフェース334により構内ネットワークN3を介して駅サーバ30との間の通信を行う。ストレージ13は、例えばHDDやSSDなどである。CPU330、ROM331、RAM332、ストレージ333、表示部323、ICカード読取部326、QRコード読取部327、及び構内インタフェース334は、バス335を介して相互に通信可能に接続される。
【0058】
CPU330は、ROM331に格納されるブートプログラムやストレージ333に格納される制御プログラムなどのコンピュータプログラムを実行することで自動改札機31の動作を制御する。本実施形態では、CPU330は、自動改札機31による改札処理を行う。RAM332は、CPU330がコンピュータプログラムを実行する際の作業領域を提供する。ストレージ333には上記の制御プログラムの他に改札処理に用いられる各種データが保存される。CPU330がコンピュータプログラムを実行することで、
図8(b)の各機能ブロックが実現される。
【0059】
自動改札機31は、制御部340、通信部341、及び記憶部342として機能する。制御部340は、検出処理部3401、撮像処理部3402、読取処理部3403、判定処理部3404、通行処理部3405、ゲート制御部3406、及び表示制御部3407を備える。なお各機能ブロックは、一部又は全部が電子回路で構成されていてもよい。
【0060】
通信部341は、構内インタフェース334による構内ネットワークN3を介した駅サーバ30との通信を制御する。記憶部342には、駅サーバ30から自動改札機31に送信される券発行情報が記憶されている。券発行情報は、入場改札処理時及び出場改札処理時に利用者が提示した電子チケット(QRコード)の乗車券情報を照合するために用いられる情報である。券発行情報は、入出場管理サーバ1から駅サーバ30を介して送信される。券発行情報は、乗車券情報の各項目に応じて生成される。
【0061】
検出処理部3401は、携帯端末2を検出する。具体的には、携帯端末2が筐体320に設けられた不図示の検知センサにより検知されると、検出処理部3401は、検知センサから取得する検知信号に基づいて携帯端末2を検出する。すなわち、検出処理部3401は、検知信号に基づいて携帯端末2を検出したか否かを判定する。ここで、検知センサは、例えばQRコード読取部327に近接して設けられている。このため、検出処理部3401が携帯端末2を検出した時点では、携帯端末2がQRコード読取部327の読取面上に位置していることになる。
【0062】
撮像処理部3402は、検出処理部3401により検出される携帯端末2の表示画面をQRコード読取部327の撮像部に撮像させる。なお、QRコードの読取精度を向上させるために、撮像処理部3402は、表示画面に光を照射して撮像処理を実行してもよい。制御部340は、QRコード読取部327から、撮像部により撮像された表示画面の画面画像(撮像画像)の画像データを取得する。
【0063】
読取処理部3403は、QRコード読取部327から取得した画面画像(撮像画像)の画像データからQRコードを読み取り、QRコードに記録されている乗車券情報を取得する。本実施形態では、読取処理部3403は、複数の画面画像(撮像画像)の画像データから乗車券情報を取得する。例えば、読取処理部3403は、画面画像(撮像画像)の画像データから、QRコードに含まれる3つの切り出しシンボル(ファインダパターン)を抽出し、各シンボルによって特定される矩形領域をQRコードの画像として特定する。そして、読取処理部3403は、特定したQRコードを文字列に復号して乗車券情報を取得する。
【0064】
判定処理部3404は、読取処理部3403により取得した乗車券情報の有効性を判定する。判定処理部3404は、判定結果を制御部340へ通知する。具体的には、判定処理部3404は、入場改札処理において、QRコードの乗車券情報に登録されている各種の情報に基づいてQRコードの有効性を判定する。例えば、利用者が携帯端末2により入場駅Aの自動改札機31にQRコードを読み取らせた場合に、判定処理部3404は、QRコードから読み取られた乗車券情報の乗車券IDと券発行情報に含まれる乗車券IDとが一致するか否かを判定する。判定処理部3404は、両者が一致する場合に、乗車券情報を有効と判定し、一致しない場合に乗車券情報を無効と判定する。
【0065】
また、判定処理部3404は、利用者ID、入場駅ID、発行日時、入出場区分などの情報を用いて判定処理を実行してもよい。例えば、判定処理部3404は、QRコードから読み取られた入出場区分が「入場」であるか否かを判定する。判定処理部3404は、入出場区分が「入場」である場合に乗車券情報を有効と判定し、入出場区分が「入場」でない(「出場」である)場合に乗車券情報を無効と判定する。これにより、例えば、使用済みの出場用のQRコードを複製して入場しようとする不正利用を防ぐことができる。
【0066】
また、判定処理部3404は、出場改札処理において、QRコードの乗車券情報に登録されている各種の情報に基づいて乗車券情報の有効性を判定する。例えば、利用者が携帯端末2により出場駅Bの自動改札機31にQRコードをかざした場合に、判定処理部3404は、QRコードから読み取られた入出場区分が「出場」であるか否かを判定する。判定処理部3404は、入出場区分が「出場」である場合に乗車券情報を有効と判定し、入出場区分が「出場」でない(「入場」である)場合に乗車券情報を無効と判定する。また、判定処理部3404は、乗車券ID、利用者ID、入場駅ID、発行日時などの情報を用いて判定処理を実行してもよい。これにより、例えば、入場用のQRコードを複製して出場しようとする不正利用を防ぐことができる。
【0067】
ゲート制御部3406は、判定処理部3404による判定結果に基づいて、自動改札機31を利用する利用者の通過を制御する。具体的には、ゲート制御部3406は、乗車券情報が有効と判定された場合に、利用者が改札通路350を通行することを許可する。また、ゲート制御部3406は、乗車券情報が無効と判定された場合に、利用者が改札通路350を通行することを禁止する。
【0068】
ゲート制御部3406は、ゲート制御部3406の制御によりゲート325を動作(開閉動作)させる。例えば、利用者が改札通路350の通行を許可された場合、ゲート制御部3406は、ゲート325を開放する。利用者が改札通路350の通行を禁止された場合、ゲート制御部3406は、ゲート325を閉鎖する。
【0069】
表示制御部3407は、表示部323に、改札通路350を通行する利用者に対してメッセージを表示する。
【0070】
(入出場処理)
以上のような構成の入出場管理システム1000による入出場処理について説明する。本実施形態の利用者は、乗車券発行アプリケーションにより、電子チケットを購入して鉄道やバスなどの公共交通機関を利用する。利用者は、所定の駅から入場して他の所定の駅で出場する。
図9は、入出場管理システム1000による入出場処理を表すシーケンス図である。
【0071】
携帯端末2は、乗車券発行アプリケーションを実行している。携帯端末2は、最寄駅判断部203により、位置情報に基づいて最寄駅を判断する(S20)。携帯端末2は、利用者の利用者IDと最寄駅を表す最寄駅情報とを含む電子チケット要求を入出場管理サーバ1へ自動的に送信する。最寄駅情報は、利用者が利用する駅を特定するための情報である。
【0072】
入出場管理サーバ1は、判断部103により、携帯端末2から取得した電子チケット要求に含まれる最寄駅情報に基づいて、当該最寄駅が対応改札機の設置駅であるか否かを判断する(S10)。また、入出場管理サーバ1は、利用者管理部105により利用者情報を参照し、携帯端末2から取得した電子チケット要求に含まれる利用者IDに基づいて当該利用者の入出場状態を確認する(S11)。ここでは、利用者は改札内に入場していない。そのために入出場管理サーバ1は、入場チケット発行部107により電子チケットを発行する(S12)。最寄駅が対応改札機の設置駅である場合、入場チケット発行部107は、電子チケットとして、乗車券情報を含む入場用のQRコードを生成する。最寄駅が対応改札機の設置駅ではない場合、入場チケット発行部107は、電子チケットとして、乗車券情報を視認可能にした入場用の乗車券画像を生成する。入出場管理サーバ1は、生成した電子チケットを通信部101により携帯端末2へ送信する。入場チケット発行部107は、電子チケットの乗車券情報を電子チケット格納部109に格納する。
【0073】
携帯端末2は、入出場管理サーバ1から電子チケットを受信して表示部205に表示する(S21)。
図10は、表示部205に表示された電子チケットの例示図である。
図10(a)は電子チケットがQRコードの場合の携帯端末2の表示部205を例示する。表示部205のほぼ中央にQRコード206が表示される。
図10(b)は電子チケットが乗車券画像の場合の携帯端末2の表示部205を例示する。表示部205には乗車券画像207が表示される。乗車券画像207には、乗車券情報として乗車券ID、利用者名、入場駅名或いは出場駅名、発行日時、入場ボタン208、及び出場ボタン209が表示される。なお、入場ボタン208及び出場ボタン209は、入場時には入場ボタン208のみが選択可能に表示され、出場時には出場ボタン209のみが選択可能に表示されてもよい。入場駅名或いは出場駅名は、入場時には入場駅名のみが表示され、出場時には入場駅名及び出場駅名、或いは出場駅名のみが表示される。
図11は、入場時と出場時の乗車券画像207の例示図である。入場時には、入場ボタン208がアクティブに表示される(
図11(a))。出場時には、出場ボタン209がアクティブに表示される(
図11(b))。
【0074】
電子チケットがQRコード206である場合、利用者は携帯端末2に表示されたQRコード206を自動改札機31(対応改札機)のQRコード読取部327にかざす。自動改札機31は、QRコード読取部327により読み取ったQRコード206に記録される乗車券情報に基づいて、ゲート325の開閉を制御する。自動改札機31は、乗車券情報が有効であればゲート325を開放し、乗車券情報が無効であればゲート325を閉鎖する。自動改札機31は、乗車券情報の有効/無効の確認結果及び利用者IDを駅サーバ30へ通知する。
【0075】
駅サーバ30は、自動改札機31から取得した乗車券情報の確認結果及び利用者IDを入出場管理サーバ1へ通知する(S30)。入出場管理サーバ1は、利用者管理部105により、駅サーバ30から通知された利用者IDに該当する利用者情報の入出場情報を、駅サーバ30から通知された確認結果に基づいて設定する(S13)。利用者管理部105は、乗車券情報が有効であれば入出場情報を「入場」に設定し、乗車券情報が無効であれば入出場情報を変更しない。
【0076】
電子チケットが乗車券画像207である場合、利用者は携帯端末2に表示された乗車券画像207を駅員に視認してもらう。駅員は、乗車券画像207の入場駅名、発行日時、入場の表示を確認して、該乗車券情報が有効であるか否かを確認する。乗車券情報が有効であれば、駅員は利用者の入場を許可し、乗車券情報が無効であれば、駅員は利用者の入場を許可しない。利用者は、駅員が入場を許可した場合にもぎり操作を行う。利用者は、駅員が入場を許可した場合に、もぎり操作として入場ボタン208を押下する。携帯端末2は、入場ボタン208の押下により、乗車券情報の確認結果及び利用者IDを入出場管理サーバ1へ通知する(S22)。入出場管理サーバ1は、電子チケットがQRコード206である場合と同様に、携帯端末2から通知された利用者IDに該当する利用者情報の入出場情報を設定する(S13)。入場時には以上のような処理により利用者が最寄駅から入場する。
【0077】
以上のような処理により入場した利用者は公共交通機関を利用して移動し、目的の出場駅から出場する。出場時にも入場時と同様の処理が行われる。
【0078】
出場する場合、携帯端末2は、最寄駅判断部203により、位置情報に基づいて最寄駅を判断する(S23)。携帯端末2は、利用者の利用者ID、最寄駅を表す最寄駅情報、及び入場時の乗車券情報の乗車券IDを含む電子チケット要求を入出場管理サーバ1へ自動的に送信する。
【0079】
入出場管理サーバ1は、判断部103により、携帯端末2から取得した電子チケット要求に含まれる最寄駅情報に基づいて、当該最寄駅が対応改札機の設置駅であるか否かを判断する(S14)。また、入出場管理サーバ1は、利用者管理部105により利用者情報を参照し、携帯端末2から取得した電子チケット要求に含まれる利用者IDに基づいて当該利用者の入出場状態を確認する(S15)。ここでは、利用者は改札内に入場している。そのために入出場管理サーバ1は、出場チケット発行部108により電子チケットを発行する(S16)。最寄駅が対応改札機の設置駅である場合、出場チケット発行部108は、電子チケットとして、乗車券情報を含む出場用のQRコードを生成する。最寄駅が対応改札機の設置駅ではない場合、出場チケット発行部108は、電子チケットとして、乗車券情報を視認可能にした出場用の乗車券画像を生成する。なお、乗車券情報には、携帯端末2から取得した電子チケット要求に含まれる入場時の乗車券情報の乗車券IDが用いられる。入出場管理サーバ1は、生成した電子チケットを通信部101により携帯端末2へ送信する。出場チケット発行部108は、電子チケットの乗車券情報を電子チケット格納部109に格納する。
【0080】
携帯端末2は、入出場管理サーバ1から電子チケットを受信して表示部205に表示する(S24)。電子チケットの表示例は
図10に例示したとおりである。電子チケットがQRコード206である場合、利用者は携帯端末2に表示されたQRコード206を自動改札機31(対応改札機)のQRコード読取部327にかざす。自動改札機31は、QRコード読取部327により読み取ったQRコード206に記録される乗車券情報に基づいて、ゲート325の開閉を制御する。自動改札機31は、乗車券情報が有効であればゲート325を開放し、乗車券情報が無効であればゲート325を閉鎖する。自動改札機31は、乗車券情報の有効/無効の確認結果及び利用者IDを駅サーバ30へ通知する。
【0081】
駅サーバ30は、自動改札機31から取得した乗車券情報の確認結果及び利用者IDを入出場管理サーバ1へ通知する(S31)。入出場管理サーバ1は、利用者管理部105により、駅サーバ30から通知された利用者IDに該当する利用者情報の入出場情報を、駅サーバ30から通知された確認結果に基づいて設定する(S17)。利用者管理部105は、乗車券情報が有効であれば入出場情報を「出場」に設定し、乗車券情報が無効であれば入出場情報を変更しない。
【0082】
電子チケットが乗車券画像207である場合、利用者は携帯端末2に表示された乗車券画像207を駅員に視認してもらう。駅員は、乗車券画像207の出場駅名、発行日時、出場の表示を確認して、該乗車券情報が有効であるか否かを確認する。乗車券情報が有効であれば、駅員は利用者の出場を許可する。乗車券情報が無効であれば、駅員は利用者の出場を許可しない。利用者は、駅員が出場を許可した場合にもぎり操作を行う。利用者は、駅員が出場を許可した場合に、もぎり操作として出場ボタン209を押下する。携帯端末2は、出場ボタン209の押下により、乗車券情報の確認結果及び利用者IDを入出場管理サーバ1へ通知する(S25)。入出場管理サーバ1の制御部100は、電子チケットがQRコード206である場合と同様に、携帯端末2から通知された利用者IDに該当する利用者情報の入出場情報を設定する(S17)。出場時には以上のような処理により利用者が最寄駅から出場する。
【0083】
入出場管理サーバ1は、駅サーバ30から取得した通知に基づいて運賃の精算処理を行う(S18)。まず入出場管理サーバ1は、運賃確認部110により、利用者の入場駅から出場駅までの運賃を確認する。運賃確認部110は、ステップS13の処理で取得した確認結果及び利用者IDと、ステップS17の処理で取得した確認結果及び利用者IDと、により利用者IDに該当する利用者の入場駅と出場駅とを確認する。駅サーバから取得する確認結果には、電子チケットの乗車券IDが含まれる。運賃確認部110は、電子チケット格納部109を参照して、確認結果に含まれる乗車券IDに該当する乗車券情報により入出場駅IDを確認する。入出場駅IDにより、利用者の入場駅及び出場駅が確認される。
【0084】
運賃確認部110は、運賃格納部111の運賃表を参照して入場駅から出場駅までの運賃を確認する。運賃確認部110は、確認した運賃及び利用者IDを精算部112へ送信する。精算部112は、利用者IDに基づいて利用者管理部105から該当する利用者の利用者情報を抽出し、運賃確認部110で確認された運賃を該利用者情報の口座情報から差し引く。これにより運賃の精算が行われる。
【0085】
なお、入出場時に乗車券情報が無効の場合、入出場管理サーバ1は電子チケットを再発行してもよい。電子チケットの再発行は、確認結果が無効である場合に自動的に行われてもよく、或いは携帯端末2から指示がある場合に行われてもよい。
【0086】
また、ステップS20の処理及びステップS23の処理では、電子チケット要求に最寄駅情報が含まれるとは限らない。例えば、電子チケット要求には、利用者が利用予定の駅の情報(利用駅情報)が含まれてもよい。この場合、利用者は、例えば携帯端末2の入力部204から利用駅名を入力してもよい。携帯端末2は、入力された利用駅名を表す利用駅情報を含む電子チケット要求を入出場管理サーバ1へ送信する。利用駅情報を用いることで、利用者が入場を希望する駅或いは出場を希望する駅から入出場するための電子チケットが発行される。この処理は、利用者が事前に電子チケットを取得しておきたい場合に有効である。
【0087】
また、最寄駅情報或いは利用駅情報として位置情報が用いられてもよい。この場合、携帯端末2から入出場管理サーバ1へ位置情報を含む電子チケット要求が送信される。入出場管理サーバ1は、取得した位置情報に基づいて最寄駅や利用可能な駅を検索し、対応改札機の設置判断を行い、電子チケットを発行する。つまり、携帯端末2の最寄駅判断部203の機能が入出場管理サーバ1に設けられることになる。
【0088】
また、上記の説明では、電子チケットがQRコード206と乗車券画像207とのいずれかにより発行される例を示したが、電子チケットは他の形態で発行されてもあってもよい。例えば、入出場管理サーバ1は、携帯端末2をICカードの乗車券と同様に使用する場合のように、携帯端末2に乗車券情報を送信してもよい。この場合、駅に備えられる自動改札機は、ICカード読取部326を備えていればよい。入出場管理サーバ1は、携帯端末2から電子チケットの要求を取得すると、利用駅にQRコード読取部327を備えず且つICカード読取部326を備える自動改札機が設置されているか否かを判断する。利用駅にQRコード読取部327を備えず且つICカード読取部326を備える自動改札機が設置されている場合に、入出場管理サーバ1は、携帯端末2に乗車券情報を送信して、携帯端末2によるICカード読取部326を用いた入出場を可能とする。
【0089】
以上のような構成の本実施形態の入出場管理システム1000では、QRコードなどのコード画像を利用した改札処理を行う設備が整っていない駅であっても、利用者は乗車券画像を駅員に提示することで入出場が可能となる。そのために利用者は、例えば入場駅でコード画像を利用して入場した後に、出場駅からコード画像とは異なる手法で出場することが可能となる。
【0090】
(施設への入場管理)
入出場管理システム1000は、娯楽施設、博物館、美術館などの施設への入場管理にも利用可能である。この場合、入場管理サーバ1は、複数の施設毎に、コード画像の読取機能を有する入場ゲートの設置状況を示す設置情報、該施設の位置情報、及び該施設の入場料金表などの施設情報をストレージ13に記憶する。施設に設置される入場ゲートは、駅に設置される自動改札機と同様の構成である。コード画像の読取機能を有する入場ゲートは、例えば
図7に例示する対応改札機と同様の構成となる。入場ゲートは、駅の自動改札機とは異なり、入場管理サーバ1と直接通信可能である。そのために
図8の構内インタフェース334は、駅サーバ30ではなく、入出場管理サーバ1に接続される。
【0091】
入場管理サーバ1の電子チケット発行部106は、ストレージ13に記憶された施設への入場券を発行可能である。入場券は、電子チケットとして、「施設ID」、「利用者ID」、「施設名」、「発行日時」、「有効期限」などの施設に入場するための入場情報をコード化したコード画像と、該入場情報を視認可能に画像化した入場用の入場券画像とのいずれか一方として発行される。本実施形態では、入場情報を記録したコード画像の一例としてQRコードを用いる。なお、自動改札機31において利用可能なコード画像としての電子チケットは、バーコードなどの一次元コード、QRコード以外の二次元コード、又はその他の入場情報を埋め込むことができる画像などである。
【0092】
利用者は、携帯端末2により入出場管理サーバ1から予め入場券を購入する。購入段階では、電子チケットは発行されない。入出場管理サーバ1の利用者管理部105は、利用者が購入した入場券の入場情報を該利用者の利用者情報(
図3参照)に追加する。利用者は、携帯端末2により、購入した入場券の電子チケットを要求することになる。
【0093】
携帯端末2は、例えばストレージ13に記憶された施設への入場券の購入から入場処理までが可能な入場券発行アプリケーションがインストールされる。入場券発行アプリケーションは、上記の乗車券発行アプリケーションに組み込まれていてもよい。入場券発行アプリケーションが乗車券発行アプリケーションに組み込まれている場合、公共交通機関の利用と施設の利用とが、乗車券発行アプリケーションを起動することで可能となる。
【0094】
携帯端末2は、例えば入場券発行アプリケーションを実行することで入場券を購入可能な施設の一覧を表示部205に表示し、利用者に入場する施設を選択させる。入場券を購入可能な施設の一覧は、ストレージ13に記憶された施設の一覧である。携帯端末2は、入出場管理サーバ1に施設一覧を要求し、その応答結果により施設一覧を表示部205に表示可能である。選択された施設の情報及び利用者IDは、携帯端末2から入出場管理サーバ1へ送信される。入出場管理サーバ1は、携帯端末2から取得する選択された施設の情報及び利用者IDに基づいて、電子チケット発行部106により入場情報を生成し、生成した入場情報を利用者管理部105により該利用者の利用者情報に追加する。この際、入出場管理サーバ1の精算部112は、該当する利用者情報の口座情報により、入場料金の精算を行ってもよい。
【0095】
図12は、施設への入場処理を表すシーケンス図である。利用者は、携帯端末2により施設への入場券を予め購入済みである。携帯端末2は、入場券発行アプリケーションを実行している。
【0096】
携帯端末2は、現在位置確認部202により確認した現在位置を表す位置情報を含む電子チケット要求を入出場管理サーバ1へ送信する(S50)。位置情報は、例えば経度及び緯度により表される。電子チケット要求は、自動的に送信されてもよく、また、利用者が携帯端末2を操作することで送信されてもよい。位置情報は、利用者が利用する施設を特定するための情報である。
【0097】
入出場管理サーバ1は、判断部103により、携帯端末2から取得した電子チケット要求に含まれる位置情報に基づいて、施設情報を参照し、利用者により入場券が購入された施設の中で当該位置に最も近い施設を特定する(S40)。判断部103は、施設情報を参照して、特定した施設がコード画像の読取機能を有する入場ゲートを設置しているか否かを判断する(S41)。入出場管理サーバ1は、入場チケット発行部107により、判断部103で特定された施設の入場券となる電子チケットを発行する(S42)。施設がコード画像の読取機能を有する入場ゲートを設置している場合、入場チケット発行部107は、入場券の電子チケットとして、入場情報を含むQRコードを生成する。施設がコード画像の読取機能を有する入場ゲートを設置していない場合、入場チケット発行部107は、入場券の電子チケットとして、入場情報を視認可能にした入場券画像を生成する。入出場管理サーバ1は、生成した電子チケットを通信部101により携帯端末2へ送信する。
【0098】
携帯端末2は、入出場管理サーバ1から電子チケットを受信して表示部205に表示する(S51)。
図13は、表示部205に表示された電子チケットの例示図である。
図13(a)は電子チケットがQRコードの場合の携帯端末2の表示部205を例示する。表示部205のほぼ中央にQRコード210が表示される。
図13(b)は電子チケットが入場券画像の場合の携帯端末2の表示部205を例示する。表示部205には入場券画像211及び入場ボタン212が表示される。
【0099】
電子チケットがQRコード210である場合、利用者は携帯端末2に表示されたQRコード210を入場ゲートのQRコード読取部にかざす。入場ゲートは、読み取ったQRコード210に含まれる入場情報が有効であるか否かに基づいて、ゲートの開閉を制御する。入場ゲートは、入場情報が有効であればゲートを開放し、入場情報が無効であればゲートを閉鎖する。電子チケットが入場券画像211である場合、利用者は携帯端末2に表示された入場券画像211を施設の職員に視認してもらう。職員は、入場券画像211の表示を確認して、該入場券情報が有効であるか否かを確認する。入場券情報が有効であれば、職員は利用者の入場を許可し、入場券情報が無効であれば、職員は利用者の入場を許可しない。利用者は、職員が入場を許可した場合にもぎり操作を行う。もぎり操作は、職員が入場を許可した場合に、利用者が入場ボタン212を押下することで行われる。もぎり操作が行われることで、同じ入場券画像211による施設への入場が制限される。
【0100】
S40の処理では、判断部103が位置情報に基づいて施設を特定する。この際、利用者が複数の施設の入場券を購入しており、これらの施設が近接する場合には、利用者が希望する施設の入場券の電子チケットが発行されない可能性がある。このような場合、利用者に施設を選択させてもよい。
図14は、利用者による施設の選択が可能な電子チケットの例示図である。
【0101】
電子チケット発行部106は、利用者情報により該利用者が複数の施設の入場券を購入済みであるか否かを確認する。複数の施設の入場券が購入済みである場合、電子チケット発行部106は、
図13(b)の入場券画像に、選択画面として手動選択用リスト213が追加された電子チケットを生成する(
図14(a))。
図14(a)の画像は、携帯端末2の表示部205に表示される。手動選択用リスト213には、利用者が入場券を購入済みの施設名の一覧がプルダウン表示される。
図14(b)は、プルダウン表示された施設名の一覧を例示する。この例では、鉄道の乗車券も表示される。
【0102】
利用者は、手動選択用リスト213から「AAA施設入場券」と「BBB施設入場券」とのいずれかを選択可能である。選択内容は、携帯端末2から入出場管理サーバ1へ送信される。入出場管理サーバ1は、判断部103により、携帯端末2から取得した選択内容に応じた施設の入場ゲートがコード画像の読取機能を有するか否かを判断する。電子チケット発行部106は、判断部103による判断結果に基づいて、コード画像或いは入場券画像による電子チケットを生成し、携帯端末2へ送信する。これにより携帯端末2には、利用者が選択した施設の電子チケットが表示される。
【0103】
図14(b)に示すように、施設の入場券が鉄道の乗車券とセットになって販売されることがある。このような電子チケットを購入した利用者は、鉄道を乗車する際には、鉄道を利用するための電子チケットを入出場管理サーバ1へ要求することになる。鉄道を利用するための電子チケットの要求も
図12の処理により可能である。
【0104】
鉄道を利用するための電子チケットは、入場駅への入場時と出場駅からの出場時のそれぞれのタイミングで要求される。入出場管理サーバ1は、電子チケットの要求があると、当該駅の対応改札機の設置状況を確認し、その結果に応じてコード画像或いは乗車券画像の電子チケットを発行する。
【0105】
なお、S50の処理で携帯端末2は、現在位置の位置情報を含む電子チケット要求を送信しているが、電子チケット要求には、利用者が利用を希望する施設についての情報が含まれていてもよい。この場合、携帯端末2は、利用者が予め入場券を購入した施設の入場情報を保存する。携帯端末2は、例えば保存した入場情報に含まれる施設名の一覧を表示部205に表示する。利用者が施設名の一覧から希望する施設名を選択することで、携帯端末2は、当該施設の施設IDを入出場管理サーバ1へ送信する。入出場管理サーバ1は、S40の特定処理を行うことなく入場ゲートの機能判断を行い、電子チケットを発行する。
【0106】
以上のような構成の本実施形態の入出場管理システム1000では、QRコードなどのコード画像を利用した入場処理を行う設備が整っていない施設であっても、利用者は入場券画像を施設の職員に提示することで入場が可能となる。そのために利用者は、施設にコード画像の読取機能を有する入場ゲートが設置されていなくても、携帯端末2による入場が可能となる。