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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139570
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】電気回路デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01F 38/14 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
H01F38/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045154
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】吉田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】得居 通久
(72)【発明者】
【氏名】千代 憲隆
(57)【要約】
【課題】端子導体の強度が高められた電気回路デバイスを提供する。
【解決手段】電気回路デバイス1は、コイルパターン100及びこれに接続された第1端子導体E1を含む第1回路シートS1と、ノイズ抑制パターンN及びこれに接続された第2端子導体E2とを含む第2回路シートS2と備える。第1回路シートS1は、第1基材10の一方の表面11に設けられ、第2端子導体E2と重なるように接続されるダミーの第3端子導体E3と、第1基材10の他方の表面12に設けられ、第1基材10を貫通する第1スルーホール導体311を介して第3端子導体E3に接続された第1補助導体D1を含む。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基材と、前記第1基材の一方の表面に設けられた第1導体パターンと、前記第1導体パターンに接続された第1端子導体とを含む第1シートと、
前記第1基材に積層された第2基材と、前記第2基材の一方の表面に設けられた第2導体パターンと、前記第2導体パターンに接続された第2端子導体とを含む第2シートと、を備え、
前記第1シートは、前記第1導体パターンに接続されることなく前記第1基材の前記一方の表面に設けられた第3端子導体をさらに含み、
前記第1端子導体は、前記第1基材から突出する第1部分と、前記第1基材上に配置される第2部分を含み、
前記第2端子導体は、前記第2基材から突出する第3部分と、前記第2基材上に配置される第4部分を含み、
前記第3端子導体は、前記第3部分と接するよう前記第1基材から突出する第5部分と、前記第1基材上に配置される第6部分を有し、
前記第1シートは、前記第6部分と重なるよう前記第1基材の他方の表面に設けられた第1補助導体をさらに含み、
前記第6部分と前記第1補助導体は、前記第1基材を貫通する第1スルーホール導体を介して接続される、電気回路デバイス。
【請求項2】
第1及び第2外部端子をさらに備え、
前記第1及び第2外部端子は、前記第1及び第5部分の前記積層方向に対向する表面のうち、前記第1基材から見て遠い方の表面に接続される、請求項1に記載の電気回路デバイス。
【請求項3】
前記第3端子導体の前記第6部分の端部は、湾曲形状を有している、請求項1又は2に記載の電気回路デバイス。
【請求項4】
前記第2端子導体の前記第4部分の端部は、湾曲形状を有している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気回路デバイス。
【請求項5】
前記第6部分は、前記第2部分よりも短い、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気回路デバイス。
【請求項6】
前記第4部分は、前記第6部分よりも長く、且つ、一部が前記第2導体パターンによって囲まれている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気回路デバイス。
【請求項7】
前記第3部分と前記第4部分の境界を規定する前記第2基材のエッジは、前記第2端子導体と重なる部分において突出している、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気回路デバイス。
【請求項8】
前記第1導体パターンは、送電コイルを含み、
前記第2導体パターンは、所定の方向に延在する複数の線状パターンと、前記複数の線状パターンを接続する接続パターンとを含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電気回路デバイス。
【請求項9】
前記第2シートは、前記第2基材の他方の表面に設けられた第3導体パターンと、前記第3導体パターンに接続された第4端子導体とをさらに含み、
前記第4端子導体は、前記第2基材から突出する第7部分と、前記第2基材上に配置される第8部分を有し、
前記第1シートは、前記第1導体パターンに接続されることなく前記第1基材の前記一方の表面に設けられた第5端子導体をさらに含み、
前記第5端子導体は、前記第7部分と接するよう前記第1基材から突出する第9部分と、前記第1基材上に配置される第10部分を有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電気回路デバイス。
【請求項10】
前記第1シートは、前記第10部分と重なるよう前記第1基材の前記他方の表面に設けられた第2補助導体をさらに含み、
前記第10部分と前記第2補助導体は、前記第1基材を貫通する第2スルーホール導体を介して接続される、請求項9に記載の電気回路デバイス。
【請求項11】
前記第3導体パターンは、通信コイルを含む、請求項9又は10に記載の電気回路デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電気回路デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、導体パターン及び端子導体が形成された基材を複数重ねた構造を有する電気回路デバイスが開示されている。特許文献1では、複数の端子導体の表面が略同一平面となるよう、ダミーの端子導体が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-194931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ダミーの端子導体は、コイルパターンなどの導体パターンに接続されていないため、外力が加わると剥離などが生じやすかった。
【0005】
したがって、本開示は、端子導体の強度が高められた電気回路デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施態様による電気回路デバイスは、第1基材、第1基材の一方の表面に設けられた第1導体パターン及び第1導体パターンに接続された第1端子導体を含む第1シートと、第1基材に積層された第2基材、第2基材の一方の表面に設けられた第2導体パターン及び第2導体パターンに接続された第2端子導体とを含む第2シートと備え、第1シートは、第1導体パターンに接続されることなく第1基材の一方の表面に設けられた第3端子導体をさらに含み、第1端子導体は、第1基材から突出する第1部分と第1基材上に配置される第2部分を含み、第2端子導体は、第2基材から突出する第3部分と第2基材上に配置される第4部分を含み、第3端子導体は、第3部分と接するよう第1基材から突出する第5部分と、第1基材上に配置される第6部分を有し、第1シートは、第6部分と重なるよう第1基材の他方の表面に設けられた第1補助導体をさらに含み、第6部分と第1補助導体は、第1基材を貫通する第1スルーホール導体を介して接続される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、端子導体の強度が高められた電気回路デバイスを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の一実施形態による電気回路デバイス1の構成を示す略断面図である。
図2図2は、第1回路シートS1と第2回路シートS2を重ねた状態を説明するための模式的な平面図である。
図3図3は、第2基材20の一方の表面21に設けられた第2導体パターンのパターン形状を説明するための平面図である。
図4図4は、第2基材20の他方の表面22に設けられた第3導体パターンのパターン形状を説明するための平面図である。
図5図5は、コイルパターン100のパターン形状を説明するための平面図である。
図6図6は、コイルパターン200のパターン形状を説明するための平面図である。
図7図7は、コイルパターンCP1の等価回路図である。
図8図8は、端子導体E1~E8にコネクタ部材400を接続した状態を示す略斜視図である。
図9図9は、電気回路デバイス1及びこれにワイヤレス接続される携帯通信機器4を示すブロック図である。
図10図10は、変形例によるノイズ抑制パターンNのパターン形状を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本開示の一実施形態による電気回路デバイス1の構成を示す略断面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態による電気回路デバイス1は、第1及び第2基材10,20と、第1基材10の一方の表面11に形成されたコイルパターン100と、第1基材10の他方の表面12に形成されたコイルパターン200と、第2基材20の一方の表面21に形成されたノイズ抑制パターンNと、第2基材20の他方の表面22に形成されたコイルパターンCP2とを備えている。詳細については後述するが、コイルパターン100の内周端とコイルパターン200の内周端は、第1基材10を貫通して設けられた複数のスルーホール導体を介して互いに接続され、これにより一つのコイルパターンCP1が構成される。
【0012】
第1基材10と、その表面11,12に設けられたコイルパターンCP1を含む第1導体パターンと、第1導体パターンに接続された端子導体は、第1回路シートS1(第1シート)を構成する。第1回路シートS1は、ワイヤレス電力伝送デバイスに用いられる送電コイルシートとして機能する。第2基材20と、第2基材20の一方の表面21に設けられたノイズ抑制パターンNを含む第2導体パターンと、第2基材20の他方の表面22に設けられたコイルパターンCP2を含む第3導体パターンと、第2及び第3導体パターンに接続された端子導体は、第2回路シートS2(第2シート)を構成する。第2回路シートS2は、NFC(近距離無線通信)などの通信機能を有するノイズ抑制シートとして機能する。第1及び第2基材10,20の材料については特に限定されないが、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂などのフレキシブル絶縁材料を用いることができる。第1回路シートS1は、第2回路シートS2の反対側からシート状の磁性体30で覆われており、これによってインダクタンスが高められている。送電コイルであるコイルパターンCP1のインダクタンスを十分に高めるためには、磁性体30の厚さを第1及び第2基材10,20よりも厚くすることが好ましい。
【0013】
本実施形態による電気回路デバイス1は筐体2を備えており、充電対象となるスマートフォンなどの携帯通信機器を筐体2の載置面3に載置することによって携帯通信機器をワイヤレスで充電することができる。筐体2の載置面3は、第1及び第2回路シートS1,S2から見て磁性体30の反対側に位置する。また、第2回路シートS2は、第1回路シートS1よりも筐体2の載置面3側に位置する。第2回路シートS2は、ノイズ抑制パターンNが形成された一方の表面21が筐体2の載置面3側を向くよう配置される。
【0014】
また、第1基材10には貫通孔15が設けられ、第2基材20には第1貫通孔25が設けられ、磁性体30には第2貫通孔35が設けられている。貫通孔15,25,35は、積層方向であるz方向に重なりを有している。これにより、貫通孔15,25,35を介して筐体2の裏面にアクセスすることが可能となる。一例として、筐体2の温度を測定する温度センサなどのデバイスを貫通孔15,25,35に配置しても構わないし、貫通孔15,25,35を介して冷却用の空気を筐体2に供給しても構わない。貫通孔15,25,35のサイズについては特に限定されないが、貫通孔15,25のサイズをW1とし、第2貫通孔35のサイズをW2とした場合、W1>W2であっても構わない。これによれば、貫通孔15,25の周囲が比較的厚い磁性体30によって覆われることから、貫通孔15,25の周囲に位置する第1及び第2基材10,20を磁性体30によって支持することが可能となる。
【0015】
図2は、第1回路シートS1と第2回路シートS2を重ねた状態を説明するための模式的な平面図である。図2に示すように、第1回路シートS1に含まれるコイルパターンCP1,第2回路シートS2に含まれるコイルパターンCP2及びノイズ抑制パターンNは、積層方向であるz方向に重なりを有している。以下、これらノイズ抑制パターンN及びコイルパターンCP1,CP2のパターン形状について詳細に説明する。
【0016】
図3は、第2基材20の一方の表面21に設けられた第2導体パターンのパターン形状を説明するための平面図である。
【0017】
図3に示すように、第2基材20の一方の表面21に設けられた第2導体パターンは、ノイズ抑制パターンN及び第2端子導体E2を含んでいる。ノイズ抑制パターンNは、第1方向であるy方向に延在する複数の線状パターン40と、第2方向であるx方向に延在し、複数の線状パターン40を接続する接続パターン50とを有する。図3に示す例では、複数の線状パターン40がいずれもy方向に直線的に延在し、これらのx方向におけるピッチが一定であるが、これに限定されるものではない。例えば、複数の線状パターン40が蛇行しながらy方向に延在しても構わないし、複数の線状パターン40の延在方向がy方向に対して所定の傾きを有していても構わない。さらには、複数の線状パターン40のx方向におけるピッチが平面位置によって異なっていても構わない。
【0018】
第2基材20の一方の表面21は、複数の線状パターン40に囲まれ、導体パターンが設けられていないクリアランス領域49を有している。図3に示す例ではクリアランス領域49が円形であり、その略中心部に第1貫通孔25が設けられている。図3に示す例では、第1貫通孔25についても円形である。クリアランス領域49は、第1貫通孔25と線状パターン40の干渉を避けるための領域であり、そのサイズは第1貫通孔25よりも大きい。また、クリアランス領域49のx方向におけるサイズは、複数の線状パターン40のx方向における配列ピッチよりも大きい。このため、いくつかの線状パターン40については、クリアランス領域49によってy方向に分断される。
【0019】
より詳細に説明すると、複数の線状パターン40は、x方向における位置がクリアランス領域49と重なり、且つ、接続パターン50と直接接しない複数の第1線状パターン41を含んでいる。これら第1線状パターン41は、クリアランス領域49の+y方向側に位置し、+y方向側の端部はいずれも開放されている。複数の第1線状パターン41は、クリアランス領域49の中心から見て-x方向側に位置する第1群41aと、クリアランス領域49の中心から見て+x方向側に位置する第2群41bを有する。第1群41a及び第2群41bは、いずれも複数の第1線状パターン41からなるグループである。
【0020】
ここで、いくつかの線状パターン40はクリアランス領域49によってy方向に分断されているため、複数の線状パターン40は、クリアランス領域49の-y方向側に位置する複数の線状パターンを含んでいる。この複数の線状パターンは、y方向における一端(-y方向側の端部)が接続パターン50に接続され、y方向における他端(+y方向側の端部)がクリアランス領域49の外周に沿って開放されている。
【0021】
さらに、複数の線状パターン40は、x方向における位置がクリアランス領域49と重ならず、且つ、第1群41aに属する第1線状パターン41のうち、最も-x側に位置する第1線状パターン41とx方向に隣接する第2線状パターン42と、x方向における位置がクリアランス領域49と重ならず、且つ、第2群41bに属する第1線状パターン41のうち、最も+x側に位置する第1線状パターン41とx方向に隣接する第3線状パターン43とをさらに含む。第2線状パターン42及び第3線状パターン43は、いずれも一端が接続パターン50に接続され、他端が開放されている。
【0022】
第1群41aに属する第1線状パターン41は、接続パターン50に直接接続されない代わりに、クリアランス領域49の外周に沿って配置された第1接続部61を介して第2線状パターン42に接続される。これにより、第1群41aに属する第1線状パターン41についても、第1接続部61及び第2線状パターン42を介して、接続パターン50に電気的に接続される。同様に、第2群41bに属する第1線状パターン41は、接続パターン50に直接接続されない代わりに、クリアランス領域49の外周に沿って配置された第2接続部62を介して第3線状パターン43に接続される。これにより、第2群41bに属する第1線状パターン41についても、第2接続部62及び第3線状パターン43を介して、接続パターン50に電気的に接続される。このように、第1及び第2接続部61,62をクリアランス領域49の外周に沿って配置していることから、接続パターン50と第1線状パターン41の間の電気長を短くすることができ、ノイズ抑制効果が高められる。また、第1接続部61と第2接続部62は直接接続されておらず、これにより、第2線状パターン42と第3線状パターン43を経由するループの形成が防止されている。
【0023】
図3に示すように、複数の線状パターン40の大部分は、y方向における一端(-y方向側の端部)が接続パターン50に接続され、y方向における他端(+y方向側の端部)が第2基材20のエッジ23の近傍において開放された、第4線状パターン44によって構成されている。エッジ23はx方向に延在するエッジであり、その反対側に位置するエッジ24に沿って接続パターン50が設けられている。さらに、複数の線状パターン40は、y方向における一端が接続パターン50を超えてエッジ24まで突出し、y方向における他端が第4線状パターン44の他端を超えてエッジ23まで突出した第5線状パターン45を含んでいる。第5線状パターン45は、y方向における長さが第4線状パターンよりも長いパターンであり、図3に示す例では、x方向における両端近傍にそれぞれ1本ずつ配置されている。第4線状パターン44と同様、第5線状パターン45もy方向における他端が開放されているため、基本的に第4線状パターン44と同様の機能を有するが、y方向における長さが第4線状パターンよりも長いことから、第5線状パターン45を部分的に配置することによりノイズ抑制効果が高められる。
【0024】
さらに、複数の線状パターン40は、y方向における一端が接続パターン50に接続され、y方向における他端が第2端子導体E2に接続された第6線状パターン46をさらに含む。第6線状パターン46は1本である。第2端子導体E2は、実使用時においてグランド電位に接続される。これにより、ノイズ抑制パターンNの全体がグランド電位に固定される。本実施形態においては、第2端子導体E2を接続パターン50に直接接続するのではなく、線状パターン40の一つである第6線状パターン46の先端に接続していることから、接続パターン50を直線的な形状とすることができるとともに、そのパターン幅をほぼ一定とすることが可能となる。しかも、第2端子導体E2は1本の第6線状パターン46に接続されていることから、複数の線状パターン40に接続した場合のようにループが形成されることもない。また、複数の線状パターン40の配置領域を大きくできることから、ノイズ抑制効果が高められる。
【0025】
第2端子導体E2は、第2基材20から突出する第3部分a3と、第2基材20上に配置される第4部分a4を含んでおり、第4部分a4が第6線状パターン46に接続される。また、第2端子導体E2の第4部分a4のx方向における幅は、複数の線状パターン40のx方向におけるピッチよりも広い。このため、第6線状パターン46に隣接する線状パターン40は、第2端子導体E2の第4部分a4と干渉しないよう、y方向における長さが短縮されている。その結果、第2端子導体E2の第4部分a4の一部は、複数の線状パターン40のいずれかとx方向に隣接することになる。言い換えれば、第2端子導体E2の第4部分a4の一部は、2つの線状パターン40によってx方向から挟まれる。これにより、第2端子導体E2の第4部分a4のy方向における長さが十分に確保されることから、第2端子導体E2と第2基材20の密着性が高められる。
【0026】
また、図3に示すように第2基材20のエッジ23は、大部分がx方向に直線的に延在するものの、第2端子導体E2と重なる部分においてy方向に突出する突出部23aを有している。突出部23aは、第2端子導体E2と第2基材20との密着性を高め、これにより第2端子導体E2の機械的強度を高める役割を果たす。第2基材20のエッジ23には、他の突出部23b,23cも設けられている。
【0027】
図4は、第2基材20の他方の表面22に設けられた第3導体パターンのパターン形状を説明するための平面図であり、第2基材20の一方の表面21側から見た状態、つまり、第2基材20を透過して見た状態を示している。
【0028】
図4に示すように、第2基材20の他方の表面22に設けられた導体パターンは、コイルパターンCP2と第4及び第6端子導体E4,E6を含んでいる。コイルパターンCP2は、第2基材20のエッジに沿って約1ターン周回するパターンであり、その一端が第4端子導体E4に接続され、その他端が第6端子導体E6に接続される。第4及び第6端子導体E4,E6は、エッジ23の突出部23b,23cと重なる位置に設けられている。第4端子導体E4は、第2基材20から突出する第7部分a7と、第2基材20上に配置される第8部分a8を含んでおり、第8部分a8がコイルパターンCP2の一端に接続される。第6端子導体E6は、第2基材20から突出する第11部分a11と、第2基材20上に配置される第12部分a12を含んでおり、第12部分a12がコイルパターンCP2の他端に接続される。
【0029】
図5は、コイルパターン100のパターン形状を説明するための平面図であり、第1基材10の他方の表面12側から見た状態、つまり、第1基材10を透過して見た状態を示している。
【0030】
コイルパターン100は、ターン110,120,130,140,150,160からなる6ターン構成であり、ターン110が最外周に位置し、ターン160が最内周に位置する。このうち、ターン110,120,130,140,150は、スパイラル状の3本のスリットによって径方向に4分割されている。一方、ターン160は、スパイラル状の1本のスリットによって径方向に2分割されている。これにより、ターン110はライン111~114に4分割され、ターン120はライン121~124に4分割され、ターン130はライン131~134に4分割され、ターン140はライン141~144に4分割され、ターン150はライン151~154に4分割され、ターン160はライン161,162に2分割される。
【0031】
ライン111,121,131,141,151,161は、スパイラル状に6ターン巻回された連続的なラインであり、各ターンにおける最外周に位置する。ライン112,122,132,142,152,162は、スパイラル状に6ターン巻回された連続的なラインであり、各ターンにおいて2番目に外周に位置する。ライン113,123,133,143,153は、スパイラル状に5ターン巻回された連続的なラインであり、各ターンにおいて2番目に内周に位置する。ライン114,124,134,144,154は、スパイラル状に5ターン巻回された連続的なラインであり、各ターンにおける最内周に位置する。
【0032】
ライン111~114の外周端は、第1端子導体E1に共通に接続される。一方、ライン161,162,153,154の内周端は、第1基材10を貫通して設けられた第1~第4スルーホール導体301~304にそれぞれ接続される。さらに、第1基材10の一方の表面11には、コイルパターン100とは別に、第3、第5、第7及び第8端子導体E3,E5,E7,E8も形成される。第1端子導体E1は、第1基材10から突出する第1部分a1と、第1基材10上に配置される第2部分a2を含んでおり、第2部分a2がコイルパターン100に接続される。これに対し、第3、第5、第8端子導体E3,E5,E8は、コイルパターン100には接続されない。第7端子導体E7についても、第1基材10の一方の表面11上ではコイルパターン100に接続されないものの、後述するようにコイルパターン200に接続されるため、コイルパターン200を介して結果的にコイルパターン100に接続される。
【0033】
第3端子導体E3は、第1基材10から突出する第5部分a5と、第1基材10上に配置される第6部分a6を含んでいる。第5端子導体E5は、第1基材10から突出する第9部分a9と、第1基材10上に配置される第10部分a10を含んでいる。第8端子導体E8は、第1基材10から突出する第13部分a13と、第1基材10上に配置される第14部分a14を含んでいる。第7端子導体E7は、第1基材10から突出する第15部分a15と、第1基材10上に配置される第16部分a16を含んでいる。
【0034】
また、第1端子導体E1の先端は2つの分割パターンE1a,E1bに分割され、端子導体E7の先端は2つの分割パターンE7a,E7bに分割されている。これにより、端子導体E1,E7に後述するコネクタピンをそれぞれ2個接続することができるため、コネクタピンを介して加わる外部応力が分散される。ここで、端子導体E1,E7が分割される分岐点は第1基材10の一方の表面11上にある。
【0035】
図6は、コイルパターン200のパターン形状を説明するための平面図であり、第1基材10の一方の表面11側から見た状態を示している。
【0036】
図6に示すように、コイルパターン200の主要部のパターン形状は、コイルパターン100の主要部のパターン形状と同一である。コイルパターン200は、ターン210,220,230,240,250,260からなる6ターン構成であり、ターン210が最外周に位置し、ターン260が最内周に位置する。このうち、ターン210,220,230,240,250は、スパイラル状の3本のスリットによって径方向に4分割されている。一方、ターン260は、スパイラル状の1本のスリットによって径方向に2分割されている。これにより、ターン210はライン211~214に4分割され、ターン220はライン221~224に4分割され、ターン230はライン231~234に4分割され、ターン240はライン241~244に4分割され、ターン250はライン251~254に4分割され、ターン260はライン261,262に2分割される。
【0037】
ライン211,221,231,241,251,261は、スパイラル状に6ターン巻回された連続的なラインであり、各ターンにおける最外周に位置する。ライン212,222,232,242,252,262は、スパイラル状に6ターン巻回された連続的なラインであり、各ターンにおいて2番目に外周に位置する。ライン213,223,233,243,253は、スパイラル状に5ターン巻回された連続的なラインであり、各ターンにおいて2番目に内周に位置する。ライン214,224,234,244,254は、スパイラル状に5ターン巻回された連続的なラインであり、各ターンにおける最内周に位置する。
【0038】
ライン211~214の外周端は、共通パターン201に接続される。共通パターン201は、基材10を貫通して設けられた複数のスルーホール導体310を介して第7端子導体E7に接続される。これにより、コイルパターン200の外周端が第7端子導体E7に接続される。一方、ライン261,262,253,254の内周端は、それぞれスルーホール導体304,303,302,301に接続される。
【0039】
さらに、第1基材10の他方の表面12には、コイルパターン200とは別に、補助導体D1~D4も形成される。このうち、補助導体D1~D3は、コイルパターン100,200には接続されない。補助導体D1は、第1基材10を貫通して設けられたスルーホール導体311を介して、第3端子導体E3の第6部分a6に接続される。補助導体D2は、第1基材10を貫通して設けられたスルーホール導体312を介して、第5端子導体E5の第10部分a10に接続される。補助導体D3は、第1基材10を貫通して設けられたスルーホール導体313を介して、第8端子導体E8の第14部分a14に接続される。補助導体D4は、第1基材10を貫通して設けられたスルーホール導体314を介して、第1端子導体E1の第2部分a2に接続される。このように、第1基材10の一方の表面11に設けられた端子導体E3,E5,E8,E1は、それぞれスルーホール導体311~314を介して第1基材10の他方の表面12に形成された補助導体D1~D4に接続されていることから、端子導体E3,E5,E8,E1が第1基材10の一方の表面11により強固に固定され、剥離が生じにくくなる。
【0040】
また、第3端子導体E3の第6部分a6の端部、第5端子導体E5の第10部分a10の端部、並びに、第8端子導体E8の第14部分a14の端部は、いずれも湾曲形状を有していることから、これらの端部における電界集中が緩和される。しかも、第3端子導体E3の第6部分a6、第5端子導体E5の第10部分a10、並びに、第8端子導体E8の第14部分a14は、いずれも第1端子導体E1の第2部分a2よりも長さが短いため、第3、第5及び第8端子導体E3,E5,E8がコイルパターン100に与える影響を緩和することも可能となる。これに対し、第2端子導体E2の第4部分a4は、第3端子導体E3の第6部分a6、第5端子導体E5の第10部分a10、並びに、第8端子導体E8の第14部分a14よりも長さが長く、且つ、その一部が線状パターン40によって囲まれていることから、第2端子導体E2の第2基材20に対する密着性を高めることが可能となる。ここで、第2端子導体E2の第4部分a4の一部が線状パターン40によって囲まれるには、第2端子導体E2の第4部分a4の端部が+x方向、-x方向、-y方向の3方向から線状パターン40によって囲まれるような、部分的に囲まれる場合が含まれる。
【0041】
図7は、コイルパターンCP1の等価回路図である。
【0042】
図7に示すように、ライン111,121,131,141,151,161からなる6ターンのライングループA1と、ライン214,224,234,244,254からなる5ターンのライングループB4は、スルーホール導体301を介して直列に接続され、合計で11ターン巻回された連続的なラインを構成する。ライン112,122,132,142,152,162からなる6ターンのライングループA2と、ライン213,223,233,243,253からなる5ターンのライングループB3は、スルーホール導体302を介して直列に接続され、合計で11ターン巻回された連続的なラインを構成する。ライン113,123,133,143,153からなる5ターンのライングループA3と、ライン212,222,232,242,252,262からなる6ターンのライングループB2は、スルーホール導体303を介して直列に接続され、合計で11ターン巻回された連続的なラインを構成する。ライン114,124,134,144,154からなる5ターンのライングループA4と、ライン211,221,231,241,251,261からなる6ターンのライングループB1は、スルーホール導体304を介して直列に接続され、合計で11ターン巻回された連続的なラインを構成する。
【0043】
これにより、コイルパターン100,200の両端を構成する端子導体E1,E7間には、11ターンのラインが4本並列に接続されることになる。その結果、コイルパターン100,200に流れる電流の密度分布が均一化されることから、直流抵抗や交流抵抗を低減することが可能となる。しかも、最も外周側に位置するライングループA1は最も内周側に位置するライングループB4に接続され、2番目に外周側に位置するライングループA2は2番目に内周側に位置するライングループB3に接続され、2番目に内周側に位置するライングループA3は2番目に外周側に位置するライングループB2に接続され、最も内周側に位置するライングループA4は最も外周側に位置するライングループB1に接続される。これにより、コイルパターン100の内外周差とコイルパターン200の内外周差が相殺されることから、直流抵抗や交流抵抗をよりいっそう低減することが可能となる。しかも、ライングループA1,A2,B1,B2を6ターン構成とし、ライングループA3,A4,B3,B4を5ターン構成としていることから、第1基材10の表裏に形成されたコイルパターン100,200の主要部のパターン形状が互いに同一であるにもかかわらず、合計のターン数を奇数とすることが可能となる。
【0044】
図8は、端子導体E1~E8にコネクタ部材400を接続した状態を示す略斜視図である。
【0045】
図8に示すように、コネクタ部材400は、外部端子を構成する7つのコネクタピン401~407と、コネクタピン401~407が挿入される樹脂ケース410を有している。コネクタピン401~407は、銅などの金属からなる棒状体であり、90°折り曲げられた形状を有している。このようなコネクタ部材400を用いることにより、本実施形態による電気回路デバイス1と、電気回路デバイス1を搭載する機器(スイッチング電源回路など)との接続が容易となる。
【0046】
コネクタピン401,402は、端子導体E1を構成する分割パターンE1a,E1bにそれぞれ接続される。コネクタピン401,402は第1外部端子を構成する。コネクタピン403,404は、端子導体E7を構成する分割パターンE7a,E7bにそれぞれ接続される。コネクタピン405~407は、端子導体E3,E5,E8にそれぞれ接続される。コネクタピン405は第2外部端子を構成する。コネクタピン401~407は、超音波接合などの方法でそれぞれ対応する端子導体のうち、第1及び第2基材10,20から突出した部分に接合されている。本実施形態においては、コネクタピン401~407がそれぞれ対応する端子導体の表面のうち、第1基材10の一方の表面11側の表面(下面)に接合されているため、コネクタピン401~407が第2基材20の一方の表面21側に突出しない。すなわち、コネクタピン401~407は、それぞれ対応する端子導体における第1基材10から突出する部分の積層方向に対向する表面のうち、第1基材10から見て遠い方の表面に接続される。これにより、図1に示した筐体2とコネクタピン401~407が干渉しないことから、第1及び第2回路シートS1,S2と筐体2の載置面3との距離を短縮することができる。
【0047】
また、端子導体E2,E4,E6のうち、第2基材20から突出する第3部分a3,第7部分a7及び第11部分a11は、端子導体E3,E5,E8のうち、第1基材10から突出する第5部分a5、第9部分a9及び第13部分a13とそれぞれ重なるように接する。つまり、コネクタピン401~407の全てが第1基材10の一方の表面11に形成された端子導体に接続される。これにより、端子導体E3,E5,E8によって、端子導体E2,E4,E6とコネクタピン405~407の段差が解消されることから、両者間の接続信頼性が高められるとともに、端子導体の強度も高められる。
【0048】
図9は、本実施形態による電気回路デバイス1及びこれにワイヤレス接続される携帯通信機器4を示すブロック図である。
【0049】
図9に示すように、本実施形態による電気回路デバイス1は、コイルパターンCP1に接続された送電回路71と、コイルパターンCP2に接続された通信回路72と、送電回路71及び通信回路72に接続された制御回路73とを備えている。これにより、通信ライン74を介して送受信されるデータは、NFC用の通信コイルであるコイルパターンCP2を介して通信することができるとともに、電源75によって供給される電力は、ワイヤレス電力伝送用のコイルパターンCP1を介してワイヤレスで送電することができる。
【0050】
一方、スマートフォンなどの携帯通信機器4は、受電コイルであるコイルパターンCP3と、NFC用の通信コイルであるコイルパターンCP4と、コイルパターンCP3に接続された受電回路81と、コイルパターンCP4に接続された通信回路82と、受電回路81及び通信回路82に接続されたバッテリー83とを備えている。受電コイルであるコイルパターンCP3は送電コイルであるコイルパターンCP1と結合し、通信コイルであるコイルパターンCP4は通信コイルであるコイルパターンCP2と結合する。これらの結合を高めるため、携帯通信機器4には磁性体31が配置されている。これにより、通信ライン84を介して送受信されるデータは、コイルパターンCP4を介して通信することができるとともに、受電コイルであるコイルパターンCP3が受電した電力は、受電回路81を介してバッテリー83を充電する。バッテリー83は、通信回路82などの動作電源となる。
【0051】
そして、本実施形態による電気回路デバイス1は、送電コイルであるコイルパターンCP1と筐体2の載置面3の間にノイズ抑制パターンNが配置されていることから、コイルパターンCP1によって生じる輻射ノイズが低減される。つまり、送電コイルであるコイルパターンCP1によって生じる磁束の大部分は、受電コイルであるコイルパターンCP3と鎖交し、これによってコイルパターンCP3に交流電流が流れる。しかしながら、コイルパターンCP1から発生する磁束の一部は、コイルパターンCP3と鎖交することなく、輻射ノイズとして周囲に放射される。このような輻射ノイズは、周囲の電子機器を誤動作させるおそれがあることから、できる限り抑制することが望ましい。ノイズ抑制パターンNは、このような輻射ノイズを低減するものであり、送電コイルであるコイルパターンCP1と受電コイルであるコイルパターンCP3の間であって、コイルパターンCP1の近傍に配置することにより、コイルパターンCP3と鎖交する磁束を確保しつつ、多くの輻射ノイズを遮蔽することができる。
【0052】
図10は、変形例によるノイズ抑制パターンNのパターン形状を説明するための平面図である。
【0053】
図10に示す変形例によるノイズ抑制パターンNは、クリアランス領域49が送電コイルであるコイルパターンCP1の開口の形状に沿った形状を有している。これに合わせ、第1基材10、第2基材20及び磁性体30に設けられた貫通孔15,25,35についても、コイルパターンCP1の開口の形状に沿った形状とされる。このような構成によれば、例えば、貫通孔15,25,35を介して冷却用の空気を筐体2に供給する場合に、風量を大幅に増やすことが可能となる。また、貫通孔15,25,35に配置されるデバイスが配置可能な領域を広げることができ、より大型のデバイスを配置することも可能となる。
【0054】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は、上記の実施形態に限定されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本開示の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0055】
例えば、第1接続部61は、第2線状パターン42の他端と第1群41aに属する第1線状パターン41の+y方向側の端部を接続するように構成しても構わない。同様に、第2接続部62は、第3線状パターン43の他端と第2群41bに属する第1線状パターン41の+y方向側の端部を接続するように構成しても構わない。
【0056】
また、基材10,20の表面に設けられる導体パターン(第1~第3導体パターン)、端子導体E1~E8及び補助導体D1~D4は、間に樹脂などの他の材料層を介して基材10,20の表面に設けられていても構わない。
【0057】
本開示に係る技術には、以下の構成例が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0058】
本開示による電気回路デバイスは、第1基材、第1基材の一方の表面に設けられた第1導体パターン及び第1導体パターンに接続された第1端子導体を含む第1シートと、第1基材に積層された第2基材、第2基材の一方の表面に設けられた第2導体パターン及び第2導体パターンに接続された第2端子導体とを含む第2シートと備え、第1シートは、第1導体パターンに接続されることなく第1基材の一方の表面に設けられた第3端子導体をさらに含み、第1端子導体は、第1基材から突出する第1部分と第1基材上に配置される第2部分を含み、第2端子導体は、第2基材から突出する第3部分と第2基材上に配置される第4部分を含み、第3端子導体は、第3部分と接するよう第1基材から突出する第5部分と、第1基材上に配置される第6部分を有し、第1シートは、第6部分と重なるよう第1基材の他方の表面に設けられた第1補助導体をさらに含み、第6部分と第1補助導体は、第1基材を貫通する第1スルーホール導体を介して接続される。これによれば、第1補助導体及び第1スルーホール導体によって、第3端子導体の剥離を防止することができる。
【0059】
本開示による電気回路デバイスは、第1及び第2外部端子をさらに備え、第1及び第2外部端子は、第1及び第5部分の積層方向に対向する表面のうち、第1基材から見て遠い方の表面に接続されても構わない。これによれば、外部端子の第2基材側への突出を防止することが可能となる。
【0060】
第3端子導体の第6部分の端部は、湾曲形状を有していても構わない。これによれば、第6部分の端部における電界集中が緩和される。
【0061】
第2端子導体の第4部分の端部は、湾曲形状を有していても構わない。これによれば、第4部分の端部における電界集中が緩和される。
【0062】
第6部分は第2部分よりも短くても構わない。これによれば、第3端子導体が第1導体パターンに与える影響を緩和することができる。
【0063】
第4部分は第6部分よりも長く、且つ、一部が第2導体パターンによって囲まれていても構わない。これによれば、第2基材に対する第2端子導体の密着強度を高めることができる。
【0064】
第3部分と第4部分の境界を規定する第2基材のエッジは、第2端子導体と重なる部分において突出していても構わない。これによれば、第2基材に対する第2端子導体の密着強度を高めることができる。
【0065】
第1導体パターンは送電コイルを含み、第2導体パターンは、所定の方向に延在する複数の線状パターンと、複数の線状パターンを接続する接続パターンとを含んでいても構わない。これによれば、送電コイルからの輻射ノイズを低減することが可能となる。
【0066】
第2シートは、第2基材の他方の表面に設けられた第3導体パターンと、第3導体パターンに接続された第4端子導体とをさらに含み、第4端子導体は、第2基材から突出する第7部分と、第2基材上に配置される第8部分を有し、第1シートは、第1導体パターンに接続されることなく第1基材の一方の表面に設けられた第5端子導体をさらに含み、第5端子導体は、第7部分と接するよう第1基材から突出する第9部分と、第1基材上に配置される第10部分を有していても構わない。これによれば、より電気回路デバイスをより多機能化することが可能となる。この場合、第1シートは、第10部分と重なるよう第1基材の他方の表面に設けられた第2補助導体をさらに含み、第10部分と第2補助導体は、第1基材を貫通する第2スルーホール導体を介して接続されていても構わない。これによれば、第2補助導体及び第2スルーホール導体によって、第5端子導体の剥離を防止することができる。
【0067】
第3導体パターンは、通信コイルを含んでいても構わない。これによれば、部品点数を増やすことなく、ノイズ抑制シートを多機能化することが可能となる。
【符号の説明】
【0068】
1 電気回路デバイス
2 筐体
3 載置面
4 携帯通信機器
10 第1基材
11 第1基材の一方の表面
12 第1基材の他方の表面
15 貫通孔
20 第2基材
21 第2基材の一方の表面
22 第2基材の他方の表面
23,24 エッジ
23a~23c 突出部
25 第1貫通孔
30,31 磁性体
35 第2貫通孔
40 線状パターン
41 第1線状パターン
41a 第1群
41b 第2群
42 第2線状パターン
43 第3線状パターン
44 第4線状パターン
45 第5線状パターン
46 第6線状パターン
49 クリアランス領域
50 接続パターン
61 第1接続部
62 第2接続部
71 送電回路
72 通信回路
73 制御回路
74 通信ライン
75 電源
81 受電回路
82 通信回路
83 バッテリー
84 通信ライン
100,200 コイルパターン
110,120,130,140,150,160,210,220,230,240,250,260 ターン
111~114,121~124,131~134,141~144,151~154,161,162,211~214,221~224,231~234,241~244,251~254,261,262 ライン
201 共通パターン
301~304,310 スルーホール導体
311 第1スルーホール導体
312 第2スルーホール導体
313 第3スルーホール導体
314 第4スルーホール導体
400 コネクタ部材
401~407 コネクタピン
410 樹脂ケース
a1 第1部分
a2 第2部分
a3 第3部分
a4 第4部分
a5 第5部分
a6 第6部分
a7 第7部分
a8 第8部分
a9 第9部分
a10 第10部分
a11 第11部分
a12 第12部分
a13 第13部分
a14 第14部分
a15 第15部分
a16 第16部分
A1~A4,B1~B4 ライングループ
CP1~CP4 コイルパターン
D1 第1補助導体
D2 第2補助導体
D3 第3補助導体
D4 第4補助導体
E1 第1端子導体
E1a,E1b 分割パターン
E2 第2端子導体
E3 第3端子導体
E4 第4端子導体
E5 第5端子導体
E6~E8 端子導体
E7a,E7b 分割パターン
N ノイズ抑制パターン
S1 第1回路シート(第1シート)
S2 第2回路シート(第2シート)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10