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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139574
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】ネット保持機構
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20230927BHJP
   B62D 25/06 20060101ALI20230927BHJP
   F16B 1/02 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
B60R5/04 Z
B62D25/06 B
B62D25/06 D
F16B1/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045162
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】河島 裕紀
【テーマコード(参考)】
3D022
3D203
【Fターム(参考)】
3D022BA04
3D022BB03
3D022BC15
3D203AA02
3D203BB59
3D203BB62
3D203CA79
3D203CB09
3D203CB10
3D203CB12
3D203CB19
3D203CB33
3D203DA51
3D203DA57
3D203DA64
3D203DB17
(57)【要約】
【課題】係止爪及び係止孔を用いたプロテクタ及びブラケットの固定構造において、プロテクタがブラケットから外れることを抑制することを目的とする。
【解決手段】ネット保持機構30は、ブラケット40とプロテクタ50とカバー60と係止状態維持手段90とを備える。ブラケット40は、ネットの上端縁部を保持するネット保持部42を含む。プロテクタ50は、ブラケット40の係止孔43に係止する係止爪52を含む。カバー60は、ブラケット40よりも車両内側に設けられる。係止状態維持手段90は、プロテクタ本体部51にブラケット40から離反する方向の力が作用したときに、係止爪52が係止孔43に係止した状態を維持する。係止状態維持手段90は、カバー60に設けられ、プロテクタ50が取り付けられたブラケット40にカバー60を取り付けることで係止爪52の係止を維持する位置に配置される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフサイドレールとルーフヘッドライニングとを有する車両において、乗員室と荷室とを仕切るネットの上端縁部を保持するネット保持機構であって、
前記ネットの前記上端縁部を保持するネット保持部と、係止孔と、カバー取付部とを含み、前記ルーフサイドレールに取付けられているブラケットと、
前記ネット保持部を車両外側から覆うプロテクタ本体部と、前記プロテクタ本体部から車両内側に向けて突出し、前記ブラケットの前記係止孔に係止する係止爪と、を含むプロテクタと、
前記ネットの前記上端縁部が挿入可能な挿入孔が形成され、前記ブラケットよりも車両内側に設けられたカバー本体部と、前記ブラケットの前記カバー取付部に取り付けられる取付部と、を含むカバーと、
前記カバー本体部に設けられ、前記プロテクタ本体部に前記ブラケットから離反する方向の力が作用したときに、前記係止爪が前記係止孔に係止した状態を維持する係止状態維持手段と、
を備え、
前記係止状態維持手段は、前記プロテクタが取り付けられた前記ブラケットに前記カバーを取り付けることで前記係止爪の係止を維持する位置に配置される、ネット保持機構。
【請求項2】
請求項1に記載のネット保持機構であって、
前記係止状態維持手段は、前記カバー本体部と一体形成されると共に前記カバー本体部から前記ネット保持部に向けて突出し、前記ブラケットよりも車両内側において、前記係止爪の外れる側から前記係止爪を支持している第1支持片を有する、ネット保持機構。
【請求項3】
請求項2に記載のネット保持機構であって、
前記係止状態維持手段は、前記第1支持片から車両外側に向けて突出し、前記係止孔に嵌って前記係止爪を支持する第2支持片を有する、ネット保持機構。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のネット保持機構であって、
前記カバー本体部は、前記挿入孔が形成され、前記ルーフヘッドライニングに設けられた開口を貫通する筒部と、前記筒部のうち車両内側に位置する端部から前記挿入孔の外側に広がり前記ルーフヘッドライニングにおける前記開口の周縁部を車両内側から覆う板状部とを有し、
前記第1支持片は、前記筒部の外周面から突出し、
前記第1支持片のうち前記筒部に連なる端部とは反対側の端部が前記係止爪を支持する、ネット保持機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、ネット保持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車室を前後に仕切るバリヤネットに設けられた上部係止部を、バリヤネット係止用ブラケットのバリヤネット係止部に係止させる構造を開示している。バリヤネット係止部に係止した前記上部係止部の先方には、カーテンエアバッグのインフレータが配置されている。バリヤネット係止部とインフレータとの間にはプロテクタが配置されており、前記上部係止部がインフレータに接触することを抑制している。プロテクタの四隅がバリヤネット係止部にネジ止めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/117540号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のプロテクタの固定方法では、4つのネジを使用しており、また、その取付作業に時間を要する。
【0005】
そこで、プロテクタの取付作業を簡易にするため、プロテクタに係止爪を設け、ブラケットに係止爪に対応する係止孔を設けることが考えられる。
【0006】
しかしながら、単に係止爪及び係止孔を設けただけでは、バリヤネットの上部係止部をブラケットから脱着する際、バリヤネットの上部係止部がプロテクタに接触して係止爪及び係止孔の係止状態が解除されてしまうことによって、プロテクタがブラケットから外れる恐れがあった。
【0007】
そこで、本開示は、係止爪及び係止孔を用いたプロテクタ及びブラケットの固定構造において、プロテクタがブラケットから外れることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、ネット保持機構は、ルーフサイドレールとルーフヘッドライニングとを有する車両において、乗員室と荷室とを仕切るネットの上端縁部を保持するネット保持機構であって、前記ネットの前記上端縁部を保持するネット保持部と、係止孔と、カバー取付部とを含み、前記ルーフサイドレールに取付けられているブラケットと、前記ネット保持部を車両外側から覆うプロテクタ本体部と、前記プロテクタ本体部から車両内側に向けて突出し、前記ブラケットの前記係止孔に係止する係止爪と、を含むプロテクタと、前記ネットの前記上端縁部が挿入可能な挿入孔が形成され、前記ブラケットよりも車両内側に設けられたカバー本体部と、前記ブラケットの前記カバー取付部に取り付けられる取付部と、を含むカバーと、前記カバー本体部に設けられ、前記プロテクタ本体部に前記ブラケットから離反する方向の力が作用したときに、前記係止爪が前記係止孔に係止した状態を維持する係止状態維持手段と、を備え、前記係止状態維持手段は、前記プロテクタが取り付けられた前記ブラケットに前記カバーを取り付けることで前記係止爪の係止を維持する位置に配置される。
【発明の効果】
【0009】
このネット保持機構によると、係止爪及び係止孔を用いたプロテクタ及びブラケットの固定構造において、プロテクタがブラケットから外れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ネット保持機構が組込まれた車両の一例を示す図である。
図2】ルーフヘッドライニング、ネット保持機構、カーテンエアバッグ等の位置関係を説明する図である。
図3】ネット保持機構を示す平面図である。
図4】ネット保持機構を示す分解斜視図である。
図5】ネット保持機構を示す分解斜視図である。
図6図3のVI-VI線に沿った断面図である。
図7】第1カバー部材を外した状態のネット保持機構を示す図である。
図8】ネット保持機構を組付ける様子を説明する図である。
図9】係止状態維持手段がない場合のプロテクタの動作の一例を示す図である。
図10】係止状態維持手段の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係るネット保持機構について説明する。ネット保持機構は、車両においてネットの上端縁部を保持する機構である。ネット保持機構は、ブラケットと、プロテクタと、カバーとを備える。ブラケットは、ルーフサイドレールに取付けられる。ネットの上端縁部は、ブラケットによって保持される。プロテクタ及びカバーは、ブラケットに取付けられる。プロテクタは、ブラケットよりも車両外側に位置し、カバーは、ブラケットよりも車両内側に位置する。カバーは、ルーフヘッドライニングよりも車両内側に位置する部分を有する。
【0012】
ブラケットに対するプロテクタの取付けは、プロテクタに形成された係止爪が、ブラケットに形成された係止孔の周縁部に係止することによってなされる。
【0013】
係止爪が係止孔から抜けることを抑制するため、ネット保持機構に、係止状態維持手段が設けられる。実施形態では、係止状態維持手段が、係止状態にある係止爪の変形を抑制する手段である例が示される。
【0014】
{実施形態}
<ネット保持機構が組込まれる車両の一例>
図1はネット保持機構30が組込まれた車両10の一例を示す図である。
【0015】
車両10内に、乗員室11と荷室14とが設けられる。乗員室11にシート12、13が設けられる。ここでは、シート12、13は、前後2箇所に設けられる。前側のシート12は、運転席又は助手席である。後ろ側のシート13は、後部座席である。シートは、前後において1箇所のみ設けられてもよいし、前後3箇所以上に設けられてもよい。荷室14は、乗員室11の後ろ側に設けられる。車両10は、ルーフサイドレール22、ルーフヘッドライニング24及びカーテンエアバッグ28を備えている。
【0016】
この車両10に、乗員室11と荷室14とを仕切るネット16が設けられる。ネット16は、バリヤネット或はセパレーションネットと呼ばれてもよい。ここでは、後ろ側のシート13の背もたれ部分13aの後部に、ネット16を引出及び巻取可能に収納する巻取装置26が取付けられている。巻取装置26からネット16が引出される。ルーフサイドレール22にはネット保持機構30が設けられている。ネット16の上端縁部がネット保持機構30によって保持される。これにより、ネット16が引出された状態に保たれる。引出されたネット16は、シート13の背もたれ部分13aにおける後部と荷室14との間を車両前後方向に仕切るように配置される。ネット16の上端縁部がネット保持機構30によって保持された状態が解除されると、巻取装置26によってネット16が巻取られる。
【0017】
巻取装置26は、荷室14を上側から覆い隠すトノカバーに設けられてもよい。巻取装置26は、フロアに設けられてもよい。ネット16が巻取装置26によって巻取られる構成である必要は無い。
【0018】
<車両におけるネット保持機構の組込構成>
図2はルーフサイドレール22の車両内側において、ルーフヘッドライニング24、ネット保持機構30、カーテンエアバッグ28におけるインフレータ29等の位置関係を示す図である。なお、車両内側及び車両外側の一例として、図2では、ネット16の上端縁部がネット保持機構30に対して抜き差しされる方向における車両内側及び車両外側が記載されている。図2は車両10の前後方向に沿う方向から見た図である。図2に示すように、車両10は、ルーフサイドレール22とルーフヘッドライニング24とを備える。
【0019】
ルーフサイドレール22は、ルーフ20の側方において車両10の前後方向に沿って延びる長尺部材である。ルーフサイドレール22は、金属板材をプレス加工等することによって形成される。ルーフサイドレール22は、複数の金属板材が組合せられた複合体として構成されてもよい。ルーフサイドレール22は、ボディの外形状を一定に保つ構造材として用いられてもよい。
【0020】
車両10におけるルーフ20の車室側を覆うようにルーフヘッドライニング24が設けられる。ルーフヘッドライニング24は、樹脂等、変形可能な部材によって形成されている。ルーフヘッドライニング24の車幅方向の両側部は、車幅方向外側に向うに連れて下方に湾曲するように曲っている。ルーフヘッドライニング24の両側部は、ルーフサイドレール22の車両内側を覆っている。ルーフヘッドライニング24の両側部のうちネット保持機構30が設けられる部分に開口24hが形成されている。後述する引っ掛け部18は、当該開口24hを通ることができる。例えば、開口24hは方形状などに形成される(図4参照)。
【0021】
ネット16の上端縁部に引っ掛け部18が設けられる。ここでは、ネット16の上端縁部には棒状のステイ17が取付けられている。ステイ17の両端部に引っ掛け部18が設けられる。引っ掛け部18は、ステイ17の端部から車幅方向外側に向うに連れて上方に向うように延在している。引っ掛け部18の先端部に外周側に突出する円板状の鍔部19が設けられる。
【0022】
<ネット保持機構の全体構成>
ネット保持機構30は、ブラケット40と、プロテクタ50と、カバー60とを備える。図2に示す例では、ネット保持機構30は、蓋部材80をさらに備える。
【0023】
ブラケット40は、ネット16の上端縁部を保持する。ここでは、ブラケット40に引っ掛け孔42hが形成されている。車両内側から引っ掛け孔42hに通された鍔部19が、ブラケット40の車両外側において引っ掛け孔42hの周縁部に引っ掛かることによって、ネット16の上端縁部がブラケット40に保持されている。本開示では、引っ掛け孔42hの軸方向を引っ掛け部18の挿通方向と言う。ブラケット40はルーフヘッドライニング24よりも車両外側に位置する。ブラケット40は、ルーフサイドレール22に取付けられる。図2に示す例では、ブラケット40はルーフサイドレール22にネジSによって取付けられている。もっとも、ブラケット40がルーフサイドレール22に取付けられる構成はネジ止めに限定されない。例えば、ブラケット40は、引っ掛け構造、又は、溶接等によってルーフサイドレール22に取付けられてもよい。ブラケット40には、プロテクタ50及びカバー60が取付けられる。ブラケット40は、金属板等によって形成されている。ここでは、ブラケット40は、一枚の金属板が曲げ加工されて形成されている。
【0024】
プロテクタ50は、ブラケット40に取付けられる。プロテクタ50は、ブラケット40よりも車両外側に位置する。ブラケット40に保持された鍔部19はプロテクタ50内に収まる。プロテクタ50は、ブラケット40の引っ掛け孔42hを車両外側から覆う。プロテクタ50が設けられることにより、車両内の乗員が、引っ掛け孔42hを通じてブラケット40よりも車両外側に位置する部分を観察できなくされている。また、引っ掛け孔42hを貫通した鍔部19が、車両外側に大きく突出したときに、プロテクタ50に接触する。これにより、鍔部19が、引っ掛け孔42hよりも車両外側に位置する周辺部品に接触することが抑制される。
【0025】
かかる周辺部品として、例えば、図2に示すように、インフレータ29など、カーテンエアバッグ28を構成する部材が設けられることがある。本開示では、プロテクタ50は、インフレータ29と、引っ掛け孔42hとの間に介在している。これにより、引っ掛け孔42hを貫通した鍔部19が、インフレータ29に接触することが抑制される。
【0026】
ここで、カーテンエアバッグ28は、車両側壁の上方から下方に向って展開する。カーテンエアバッグ28は、例えば、ルーフサイドレール22に取付けられる。通常状態では、カーテンエアバッグ28は、長尺形状に折畳まれ、ルーフサイドレール22とルーフヘッドライニング24との間の空間に配置されている。インフレータ29からのガスがカーテンエアバッグ28内に導入されると、カーテンエアバッグ28が膨張してルーフヘッドライニング24の側部とルーフサイドレール22との間を広げつつ、車両側壁の上方から下方に向って展開する。
【0027】
カバー60は、ブラケット40に取付けられる。カバー60は、ブラケット40よりも車両内側に位置する。カバー60には、引っ掛け孔42hに対応する挿入孔62hが形成されている。鍔部19は、引っ掛け孔42hに挿入される前に挿入孔62hに通される。ここではカバー60は、第1カバー部材61と第2カバー部材70とを含む。第1カバー部材61及び第2カバー部材70は、ルーフヘッドライニング24を挟んでおり、その状態において、第1カバー部材61がルーフヘッドライニング24よりも車両内側からルーフヘッドライニング24を押え、第2カバー部材70がルーフヘッドライニング24よりも車両外側からルーフヘッドライニング24を押えている。
【0028】
蓋部材80は、カバー60に開閉可能に取付けられる。図2には開状態の蓋部材80が仮想線で描かれている。図2に示すように、開状態の蓋部材80は、挿入孔62hの開口部を車両内側に露出させる。これにより、乗員等が引っ掛け部18を挿入孔62hに通すことができる。蓋部材80は、閉状態で、カバー60の挿入孔62hを車両内側から覆う。また図2には、ヒンジ開閉式の蓋部材80が描かれている。蓋部材は、スライド開閉式などであってもよい。また蓋部材80は設けられていなくてもよい。
【0029】
<ネット保持機構の各部の具体的構成>
ネット保持機構30についてより具体的に説明する。図3はネット保持機構30を示す平面図である。図3は、引っ掛け部18の挿通方向に沿って車両外側から見た図である。図3において、プロテクタ50及び引っ掛け部18が仮想線で示されている。図4及び図5は、ネット保持機構30を示す分解斜視図である。図4は車両外側から見た斜視図であり、図5は、車両内側から見た斜視図である。図4及び図5においても、図2と同様に、車両内側及び車両外側の一例として、ネット16の上端縁部がネット保持機構30に対して抜き差しされる方向における車両内側及び車両外側が記載されている。図6は、図3のVI-VI線に沿った断面図である。図7は、第1カバー部材61を外した状態のネット保持機構30を示す図である。図7において、第1カバー部材61は引っ掛け部18の挿通方向に沿って車両外側から見た図であり、第2カバー部材70、ブラケット40及びプロテクタ50は引っ掛け部18の挿通方向に沿って車両内側から見た図である。図4から図6には、ルーフヘッドライニング24が仮想線で描かれている。また、図4から図6では、蓋部材80が省略されている。
【0030】
<ブラケット40>
ブラケット40は、本体板部41と突出板部46、47、48とを含む。ここでは本体板部41は正方形に近い形状に形成されている。本体板部41に引っ掛け孔42hが形成されている。本体板部41のうち引っ掛け孔42hが形成された部分及び引っ掛け孔42hの周縁部がネット保持部42とされる。図3に示すように、ここでは、引っ掛け孔42hは、鍔部19が引っ掛け部18の挿通方向に通過可能な大孔42h1と鍔部19が引っ掛け部18の挿通方向に通過不能な小孔42h2とが繋がった形状に形成されている。小孔42h2は引っ掛け部18の挿通方向と直交する方向に長い長孔とされる。小孔42h2は、小孔42h2の直径よりも長く延びる。引っ掛け部18は、当該大孔42h1を通じて引っ掛け孔42hに挿入され、その後、小孔42h2に移動することによって、鍔部19が小孔42h2に引っ掛かり、引っ掛け部18がネット保持部42に保持される。図3に示す線分Lは、引っ掛け部18が大孔42h1と小孔42h2との間を移動するときの引っ掛け部18の中心軸の移動軌跡である。本開示において、当該線分Lの延在方向を引っ掛け部18の移動方向と言う。
【0031】
本体板部41のうち引っ掛け孔42hの周りに、係止孔43、ネジ孔44、位置決め孔45が形成されている。係止孔43は、プロテクタ50を取り付けるための孔である。ネジ孔44は、第1カバー部材61をネジ止めするための孔である。位置決め孔45は、プロテクタ50を位置決めするための孔である。
【0032】
突出板部46、47、48は、本体板部41の外縁から引っ掛け部18の挿通方向に沿って車両外側に突出する。ここでは、本体板部41の4辺のうち3辺に突出板部46、47、48が分散して設けられている。2つの突出板部46、47は本体板部41の互いに反対側の辺に設けられ、他の1つの突出板部48が2つの突出板部46、47が設けられる辺とは別の辺に設けられる。2つの突出板部46、47の幅寸法は、本体板部41の連結される辺の長さよりも短い。このため、2つの突出板部46、47の側方で本体板部41の側面が露出している。
【0033】
2つの突出板部46、47には、係止受部46a、47aが形成されている。係止受部46a、47aは、第2カバー部材70を取付けるための部分である。ここでは、係止受部46a、47aは突出板部46、47を貫通する貫通孔である。2つの突出板部47、48には、突起47b、48a及びネジ孔47h、48hが設けられている。突起47b、48aがルーフサイドレール22に形成された位置決め用孔に挿入されて、ルーフサイドレール22に対するブラケット40の位置決め及び回り止めなどがなされる。また、ネジSが各ネジ孔47h、48hを通ってルーフサイドレール22側のネジ部にネジ締めされること等によって、ブラケット40がルーフサイドレール22に取付けられる。
【0034】
<プロテクタ>
プロテクタ50は、プロテクタ本体部51と係止爪52と位置決め突起53とを含む。プロテクタ50は、例えば、樹脂による射出成形品である。
【0035】
プロテクタ本体部51は、ネット保持部42を車両外側から覆い、ネット保持部42とルーフサイドレール22との間に配置される。プロテクタ本体部51は、蓋部51aと筒状部51bと外側壁部51dと連結部51eと外向き張出部51hとを有する。蓋部51aは、引っ掛け孔42hを車両外側から覆う。蓋部51aは、引っ掛け部18の挿通方向に沿って、本体板部41と間隔をあけて配置されている。筒状部51bは、引っ掛け部18の挿通方向に延びる筒状に形成されている。筒状部51bの一端部に蓋部51aが位置する。外側壁部51dは、筒状部51bの周方向外側に位置する。筒状部51b及び外側壁部51dによって、筒状部51bの内部空間の周りに二重の壁が生じている。連結部51eは平板状に形成され、引っ掛け部18の挿通方向に沿った車両外側で外側壁部51dと筒状部51bとを連結している。外向き張出部51hは平板状に形成され、筒状部51bの他端部の外周面から外向きに張り出す。ここでは外側壁部51d及び外向き張出部51hは筒状部51bの周方向に沿った一部に設けられている。筒状部51bの他端部の端面、外側壁部51dの端面及び外向き張出部51hのうち車両内側を向く面はブラケット40の本体板部41のうち車両外側を向く面に接する。
【0036】
図3に示すように、筒状部51bは、引っ掛け孔42hに対応する形状に形成されている。より具体的には、筒状部51bのうち引っ掛け孔42hの大孔42h1に対応する部分は、引っ掛け孔42hの対応する部分と同程度の大きさに形成される。また、筒状部51bのうち引っ掛け孔42hの小孔42h2に対応する部分であって、大孔42h1に繋がる部分も、引っ掛け孔42hの対応する部分と同程度の大きさに形成される。筒状部51bのうち引っ掛け孔42hの小孔42h2に対応する部分であって、大孔42h1側とは反対側の端部は、引っ掛け孔42hの対応する部分よりも大きく形成される。これにより、引っ掛け孔42hのうち小孔42h2側の端部の周縁部分が筒状部51b内に露出し、鍔部19が引っ掛かることができる。ここでは、筒状部51bのうち引っ掛け孔42hの小孔42h2に対応する部分であって、大孔42h1側とは反対側の端部は、大孔42h1と同じくらいの大きさに形成される。従って、筒状部51bは、引っ掛け部18の移動方向に沿った両端が鍔部19に対応する大きさに形成され、引っ掛け部18の移動方向に沿った中間部が鍔部19よりも小さく形成されている。
【0037】
鍔部19が引っ掛け孔42hの大孔42h1を貫通してプロテクタ本体部51の内部に位置する状態で、引っ掛け部18のうち鍔部19よりも細い部分が、引っ掛け孔42hを大孔42h1から小孔42h2に向けて移動する。このとき、上述のように、筒状部51bのうち引っ掛け孔42hの移動方向に沿った中間部は、鍔部19よりも小さく形成される。ここでは、筒状部51bの内面に周方向に延びる凹部51cが形成されている。鍔部19の周縁が凹部51cを通ることによって、鍔部19が筒状部51bのうち引っ掛け孔42hの移動方向に沿った中間部も移動可能とされる。ここでは凹部51cは、筒状部51bの内面から外面まで貫通している。このため、筒状部51bには、周方向に延びる長孔が形成されている。ここでは、凹部51cは、鍔部19の両側の内面に形成されている。凹部51cは、鍔部19の片側の内面にのみ形成されていてもよい。
【0038】
図5に示すように、凹部51cは、筒状部51bのうち蓋部51a側に形成されている。従って、大孔42h1を貫通した鍔部19は、引っ掛け部18の挿通方向に沿って蓋部51aまで達した状態で、小孔42h2に向けて移動可能とされる。そして、鍔部19の外周縁部が凹部51cを通りつつ鍔部19が引っ掛け部18の移動方向に沿って小孔42h2まで移動すると、鍔部19が引っ掛け部18の挿通方向に沿って車両内側に移動して、ブラケット40における小孔42h2の周縁部に係止する。
【0039】
外側壁部51dは引っ掛け部18の挿通方向に沿った中間部の両側に筒状部51bと離れて設けられる。一方の外側壁部51d及び連結部51eは蓋部51aに覆われ、他方の外側壁部51d及び連結部51eは蓋部51aに覆われていない。外側壁部51dに係止爪52が設けられる。これにより、鍔部19が大孔42h1と小孔42h2との間を移動する際、筒状部51bの内面と接触しても、その力が係止爪52に影響を与えにくい。また蓋部51aに覆われない連結部51eに孔54が形成されている。
【0040】
孔54は、ブラケット40のネジ孔44と連通する。プロテクタ50が第1カバー部材61と共にブラケット40にネジ止めされてもよい。ネジは孔54まで達していなくてもよい。プロテクタ50は、第1カバー部材61と共にブラケット40にネジ止めされていなくてもよい。覆われない連結部51eよりも車両内側に孔54を構成するためのボス51fが形成されている。ボス51fの周方向に沿った一部が筒状部51bと連結されている。またボス51fのうち筒状部51bと連結される部分とは別の部分から2つの補強リブ51gが延びている。一方の補強リブ51gは、ボス51fと筒状部51bとを連結し、他方の補強リブ51gは、ボス51fと外側壁部51dとを連結している。ボス51fと外側壁部51dとを連結する補強リブ51gは、外側壁部51dのうち係止爪52が設けられる部分と離れた部分を連結している。ここでは、外側壁部51dは2つの直線部が曲げ部を介してつながる形状を有し、一方の直線部に係止爪52が設けられ、他方の直線部に補強リブ51gが連結されている。
【0041】
外向き張出部51hは、筒状部51bのうち大孔42h1に対応する部分の外周面から外向きに張り出している。例えば、外向き張出部51hの厚みは、引っ掛け部18の挿通方向に沿った外側壁部51dの高さ寸法よりも小さい。外向き張出部51hに位置決め突起53が設けられている。
【0042】
係止爪52は、プロテクタ本体部51から車両内側に向けて突出する。係止爪52は、ブラケット40の係止孔43に係止する。係止爪52は、一対設けられる。一対の係止爪52は、筒状部51bの周方向に沿って分散した位置に設けられる。一対の係止爪52は、筒状部51bに対して互いに反対側に設けられる。ここでは係止爪52は一対の外側壁部51dのそれぞれに設けられる。係止孔43の軸方向から観察されたときに、一対の係止爪52は、外れる方向(係止爪52が変形する方向)と直交する方向にずれて配置されている。係止爪52は、爪支持部52aと爪部52bとを有する。
【0043】
爪支持部52aは、連結部51eからブラケット40における係止孔43に向けて突出する。爪支持部52aは、外側壁部51dから外側壁部51dよりも引っ掛け部18の挿通方向に沿って車両内側に突出する。例えば、爪支持部52aの突出寸法は、ブラケット40の厚み寸法よりも大きく、爪部52bがブラケット40に対してプロテクタ50とは反対側に位置することが可能な大きさに設定される。爪部52bは、爪支持部52aの先端部から突出して係止孔43の周縁部に係止している。ここでは、爪部52bは、爪支持部52aの先端部に向うに従って突出寸法が徐々に小さくなる突起形状に形成されている。爪部52bの先端側の傾斜面が係止孔43の周縁部に接触することで、爪支持部52aが爪部52bの突出方向とは逆方向に弾性変形する。爪部52bが係止孔43を越えると、爪支持部52aが元の形状に戻って、爪部52bのうち爪支持部52aの基端側を向く部分が、係止孔43の周縁部にプロテクタ本体部51とは反対側から接触して係止する。この爪支持部52aの変形を助けるため、外側壁部51dのうち爪支持部52aの基端部につながる部分には、切り欠きが形成されている。
【0044】
爪支持部52aのうち筒状部51b側を向く部分の基端部に、筒状部51bに向けて延出する補強部52cが設けられている。各補強部52cは爪支持部52aと連結部51eとに連結する。補強部52cは爪支持部52aの先端部には設けられておらず、爪支持部52aの基端部に部分的に設けられている。補強部52cがあることによって、爪支持部52aの基端部が変形しにくくなっている。さらにここでは、連結部51eからの補強部52cの突出寸法は、連結部51eからの外側壁部51dの突出寸法よりも大きく、係止爪52が係止孔43の周縁部に係止した状態で、補強部52cの先端が係止孔43に入る。これにより、係止孔43の周縁部に係止した係止爪52が変形しにくくなっている。
【0045】
位置決め突起53は、ブラケット40に対してプロテクタ50を位置決めするための部分である。位置決め突起53は、ブラケット40の位置決め孔45に挿入される。ここでは、一対の係止爪52が引っ掛け孔42hの軸回りに対称な位置に設けられている。このため、位置決め突起53がない場合、プロテクタ50が正規の姿勢から引っ掛け孔42hの軸回りに180度回転した姿勢で取付けられ得る。ここでは、位置決め突起53が設けられることにより、プロテクタ50が正規の姿勢から引っ掛け孔42hの軸回りに回転した姿勢で取付けられることが抑制される。ここでは、1つの位置決め突起53が、筒状部51bの周方向に沿って、一対の係止爪52の中間に位置する外向き張出部51hに設けられている。
【0046】
位置決め突起53は、外向き張出部51hから車両内側に向けて突出するように形成されている。位置決め突起53の先端部は、先端側に向けて徐々に細くなる形状に形成されている。係止爪52が係止孔43に係止する際、位置決め突起53が、ブラケット40における位置決め孔45に挿入される。
【0047】
<カバー>
上述のように、カバー60はルーフヘッドライニング24を挟んで保持する第1カバー部材61と第2カバー部材70とを含む。ルーフヘッドライニング24のうち開口24hの周縁部が、第1カバー部材61及び第2カバー部材70に挟持される。カバー60は、開口24hの縁を補強することができる。
【0048】
第1カバー部材61は、樹脂等によって形成されている。第1カバー部材61は、第1カバー本体部62と、第1挟持部66と、リブ67とを備える。
【0049】
第1カバー本体部62は、ルーフヘッドライニング24の開口24hの周縁部を車両内側から覆うように形成される。また、第1カバー本体部62には、ネット16の上端縁部の一部である引っ掛け部18が挿入可能な挿入孔62hが形成されている。ここでは第1カバー本体部62は、筒部63と、板状部64と、内向き張出部65とを含む。
【0050】
筒部63は、引っ掛け部18の挿通方向に沿って延在する筒形状に形成されている。筒部63の内部が、挿入孔62hとされている。筒部63は、引っ掛け部18の挿通方向に沿った車両外側端部と車両内側端部とを有する。筒部63の車両内側端部の開口が、挿入孔62hの車両内側開口である。筒部63の車両外側端部の開口が挿入孔62hの車両外側開口である。板状部64は、筒部63の車両内側端部の外周面から外側に広がる。ここでは、板状部64は、角部が丸められた方形板状に形成されている。内向き張出部65は、筒部63の車両外側端部の内周面から筒部63の内側に向けて張り出す。これにより、挿入孔62hの車両外側開口が狭められている。従って、挿入孔62hにおいて、車両内側開口よりも、車両外側開口が小さい。挿入孔62hの車両外側開口は、ネット保持部42における引っ掛け孔42hと同じ形状からこれよりも(僅かに)大きい形状に形成される。挿入孔62hの車両内側開口は、引っ掛け孔42hよりも大きい方形状に形成されている。内向き張出部65は筒部63の周方向に沿った一部に設けられている。
【0051】
ここでは筒部63は、引っ掛け部18の挿通方向に沿って連続する第1筒部63aと第2筒部63bとを有する。第1筒部63aは、筒部63の車両外側端部を含む。第2筒部63bは、筒部63の車両内側端部を含む。第1筒部63aの内面は、引っ掛け部18の挿通方向に沿って同じ形状で連続している。第2筒部63bの内面は、車両内側から車両外側に向かって、徐々に内部空間が小さくなる傾斜面とされる。これにより、挿入孔62hの車両内側開口から挿入された引っ掛け部18は、第2筒部63bの内面を伝って、挿入孔62hの車両外側開口に案内される。
【0052】
筒部63は、ルーフヘッドライニング24に設けられた開口24hを貫通する。筒部63は、ルーフヘッドライニング24の開口24hよりも小さい。カバー60がブラケット40に取付けられた状態で、筒部63がルーフヘッドライニング24の開口24h及び第2カバー本体部71の開口71hの車両内側に配置される。筒部63の車両外側端部の端面、及び、内向き張出部65のうち車両外側を向く面は、ブラケット40の本体板部41に接する。板状部64は、ルーフヘッドライニング24の開口24hよりも大きい。板状部64がルーフヘッドライニング24のうち開口24hの周縁部を車両内側から覆う。
【0053】
内向き張出部65には、ネジ孔65hが形成されている。ネジ孔65hは、ブラケット40のネジ孔44に連通する。内向き張出部65のネジ孔65h及びブラケット40のネジ孔44にネジが通されることによって、第1カバー部材61とブラケット40とがネジ止めされる。第1カバー部材61においてネジ孔65hが形成された部分が第1カバー部材61の取付部とされる。また、ブラケット40において、ネジ孔44が形成された部分が第1カバー部材61の取付部が取付けられるカバー取付部とされる。
【0054】
第1挟持部66は板状部64の外縁から引っ掛け部18の挿通方向に沿って車両外側に向けて突出する。ここでは第1挟持部66は、板状部64の外縁の周方向に沿って、全周にわたって連続する。
【0055】
リブ67は、筒部63の外周に形成される。ここでは複数のリブ67が筒部63の周方向に沿って互いに間隔をあけて配置されている。各リブ67は、筒部63の外周面から外側に向けて放射状に突出する板状に形成されている。各リブ67は、少なくとも第1筒部63aの外周面に設けられる。ここでは複数のリブ67には、第2筒部63bまで達するリブ67が含まれている。さらにここでは、複数のリブ67には、板状部64まで達するリブ67が含まれている。
【0056】
複数のリブ67のうち少なくとも一部のリブ67は位置決めリブ67aである。位置決めリブ67aが第2カバー部材70におけるリブ保持部74に保持されることによって、第1カバー部材61が第2カバー部材70に取付けられる。ここでは、位置決めリブ67aが2つ設けられ、板状部64まで達する。位置決めリブ67aの先端部は、車両外側を向く端面に向けて徐々に厚みが薄くなる。これにより、位置決めリブ67aがリブ保持部74に挿入されやすくなっている。位置決めリブ67aがリブ保持部74に保持される際、位置決めリブ67aが筒部63と共に、ルーフヘッドライニング24の開口24hを貫通する。
【0057】
また第1カバー部材61には上記蓋部材80が取付けられる。第1カバー部材61には蓋取付部68が設けられる。ここでは、蓋部材80は、回動ピンを介して板状部64に回動可能に取り付けられることによって、開閉可能とされる。この場合、蓋取付部68として、回動ピンを軸支する軸受が板状部64に設けられる。また、第1カバー部材61には、蓋部材80を閉状態に係止する蓋係止部69が設けられる。ここでは、蓋係止部69は、蓋部材80に設けられた突起が係止する受部状に形成される。
【0058】
第2カバー部材70は、ブラケット40に対して車両内側に取付けられる。ここでは、第2カバー部材70は樹脂等によって形成されている。第2カバー部材70は、第2カバー本体部71と係止部72と位置決め突出部73とリブ保持部74と第2挟持部75とを含む。
【0059】
ここでは、第2カバー本体部71は、方形板状に形成されている。第2カバー本体部71には引っ掛け部18が通過可能な開口71hが形成されている。開口71hは、第1カバー部材61の筒部63よりも大きい。第1カバー部材61の筒部63は、開口71hを通じてブラケット40と接する。また開口71hは、ブラケット40における引っ掛け孔42hのほか、係止孔43、ネジ孔44及び位置決め孔45を車両内側に露出させる。第2カバー本体部71は、ルーフヘッドライニング24の開口24hよりも大きい。
【0060】
係止部72は、第2カバー本体部71から引っ掛け部18の挿通方向に沿って車両外側に向けて突出する。係止部72は一対設けられる。一対の係止部72は、ブラケット40の突出板部46、47における係止受部46a、47aに係止する。係止部72が第2カバー部材70の取付部とされる。また、ブラケット40において、係止受部46a、47aが第2カバー部材70の取付部が取付けられるカバー取付部とされる。ここでは、一対の係止部72が、開口71hを挟んで互いに反対側に設けられる。係止部72は、第2カバー本体部71から引っ掛け部18の挿通方向に沿って突出する基部72aと、当該基部72aの先端部から引っ掛け部18の挿通方向と交差する方向に突出する係止片72bとを含む。ここでは係止片72bは、開口71hのある側に突出する。基部72aは、ブラケット40の突出板部46、47の外側に位置する。一対の係止部72がブラケット40を挟む。
【0061】
位置決め突出部73は、第2カバー本体部71から引っ掛け部18の挿通方向に沿って車両外側に向けて突出する。位置決め突出部73は、突出方向と直交する平面で切断された断面がL字状に形成されている。図3に示すように、位置決め突出部73は、ブラケット40の本体板部41と突出板部46、47との交わる部分において、本体板部41の側面及び突出板部46、47の側面のそれぞれを押さえることができる。これにより、ブラケット40に対して第2カバー部材70がより正確に位置決めされる。
【0062】
リブ保持部74は、第1カバー部材61の位置決めリブ67aを保持する部分である。リブ保持部74は、第2カバー本体部71における開口71hの周縁部に設けられる。ここでは、リブ保持部74は、第2カバー本体部71に形成されるスリットを有する。スリットの幅寸法は、位置決めリブ67aの厚み寸法よりも小さい。位置決めリブ67aは、スリットに圧入されることによって、リブ保持部74に保持される。
【0063】
第2挟持部75は、第1カバー部材61の第1挟持部66との間にルーフヘッドライニング24の開口24hの周縁部を挟んで保持する。ここでは、第2挟持部75は第2カバー本体部71の外縁部に設けられる。第2挟持部75は、第2カバー本体部71の外縁部の周方向に沿って、凹部と凸部とが交互に連続する形状に形成されている。これにより、凸部の位置で、ルーフヘッドライニング24を強く保持することができる。
【0064】
<係止状態維持手段>
係止状態維持手段90は、係止爪52が係止孔43から抜けることを抑制する手段である。係止状態維持手段90は、カバー本体部に設けられる。係止状態維持手段90は、プロテクタ本体部51にブラケット40から離反する方向の力が作用したときに、係止爪52が係止孔43に係止した状態を維持する。係止状態維持手段90は、プロテクタ50が取り付けられたブラケット40にカバー60を取り付けることで係止爪52の係止を維持する位置に配置される。ここでは、係止状態維持手段90として、第1カバー本体部62に設けられ、プロテクタ50にブラケット40から離反する方向の力が作用したときに、係止爪52の変形を抑制する手段が説明される。
【0065】
より具体的には、係止状態維持手段90は、第1支持片91を含む。第1支持片91は、リブ67と同様に第1筒部63aの外周面から放射状に延びる。第1支持片91は、第1カバー本体部62と一体形成される。第1支持片91は、第1カバー本体部62からネット保持部42に向けて突出する。第1支持片91は、ブラケット40よりも車両内側において、係止爪52の外れる側から係止爪52を支持している。第1支持片91のうち第1筒部63aに連なる端部とは反対側の端部が係止爪52を支持する。第1支持片91は、爪支持部52aのうち爪部52bが突出する面とは反対側の面を支持する。ここでは、爪支持部52aは板状に形成されている。爪支持部52aの先端部のうち爪部52bの突出方向とは反対側を第1支持片91が支持している。爪支持部52aの先端部がその厚み方向に弾性変形しようすると、第1支持片91に接触し、それ以上の変形が抑制される。
【0066】
第1支持片91は板状に形成されている。第1支持片91の厚み方向と、爪支持部52aの厚み方向とは直交している。第1支持片91は爪支持部52aの厚み方向に長い。係止孔43の軸方向から観察されたときに、第1支持片91は、係止爪52の変形方向に長い。
【0067】
位置決めリブ67aと第1支持片91とが挿入孔62hの周りに沿って交互に配置されている。一対の位置決めリブ67aの一方は一対の第1支持片91の一方に近く、一対の位置決めリブ67aの他方は一対の第1支持片91の他方に近い。いずれの第1支持片91の近くにも位置決めリブ67aがある。カバー60の取り付け時に第1支持片91を位置決めしやすい。
【0068】
第1支持片91のうち第1筒部63a側の端部は、ブラケット40における係止孔43の周縁部に接する。第1支持片91のうち第1筒部63a側とは反対側の端部は、ブラケット40における係止孔43を塞ぐように配置される。
【0069】
<組付動作>
図8は、ネット保持機構30を組付ける様子を説明する図である。図8に示される領域は、図7の領域A1に相当する。
【0070】
本実施形態のようにカバー60が第1カバー部材61及び第2カバー部材70を含む構成の場合、例えば、次のように組付けられることができる。すなわち、プロテクタ50をブラケット40に取付けてプロテクタ50付きブラケット40とした状態で、プロテクタ50付きブラケット40をルーフサイドレール22に先に固定しておく。また、カバー60における第1カバー部材61と第2カバー部材70とをルーフヘッドライニング24の開口24h部分に先に固定しておく。これにより、ルーフヘッドライニング24とカバー60とを一体的に取扱うことができる。ルーフサイドレール22へのプロテクタ50付きブラケット40の取付けと、ルーフヘッドライニング24へのカバー60の取付けとはどちらが先に行われてもよい。
【0071】
その後、ルーフサイドレール22に取付けられたプロテクタ50付きブラケット40に、ルーフヘッドライニング24を挟持するカバー60を取付けることができる。もっとも、ルーフヘッドライニング24よりも車両外側に位置するプロテクタ50、ブラケット40及び第2カバー部材70が先にルーフサイドレール22に取付けられ、その後、ルーフヘッドライニング24と第1カバー部材61とが取り付けられてもよい。
【0072】
ここで第1支持片91は、第1カバー部材61と一体的に移動する。従って、第1カバー部材61がプロテクタ50付きブラケット40に取付けられるためにブラケット40に向けて移動する際、図8に示すように、第1支持片91もブラケット40に向けて移動する。そして、第1カバー部材61がブラケット40に対して所定位置に配置されると、第1支持片91も係止爪52に対して所定位置に配置される。これにより、係止爪52に対する第1支持片91の配置が容易とされる。
【0073】
カバー60の第1カバー部材61及び第2カバー部材70がルーフヘッドライニング24を挟持した状態で、第2カバー部材70がブラケット40に取付けられる場合、車両内側からは、係止部72がルーフヘッドライニング24に隠れて見えにくい恐れがある。この場合でも、位置決め突出部73を手掛かりとして、第2カバー部材70をブラケット40に対して所定の位置に配置しやすくなり、係止部72を係止受部46a、47aに係止させやすくなる。ここではブラケット40の本体板部41が一対の位置決め突出部73の間に位置することによって、ブラケット40及びカバー60が挿通方向と直交する方向(ここでは一対の位置決め突出部73を結ぶ方向であり、図3の紙面における左右方向)に位置決めされる。また、ブラケット40の突出板部46、47が一対の位置決め突出部73のそれぞれに接触することによって、ブラケット40及びカバー60が挿通方向に直交すると共に一対の位置決め突出部73を結ぶ方向(図3の紙面における左右方向)とも直交する方向(図3の紙面における上下方向)に位置決めされる。
【0074】
第1カバー部材61における挿入孔62hの車両外側開口は引っ掛け孔42hと同様の形状を有する。従って、第1カバー部材61における挿入孔62hの車両外側開口が引っ掛け孔42hに合うようにカバー60の位置を調整することによって、ブラケット40に対するカバー60の大まかな位置は揃う。この状態で、位置決め突出部73によってブラケット40に対してカバー60をより正確な位置に配置できる。
【0075】
ここでは、係止片72bが係止受部46a、47aに係止する前に、位置決め突出部73が、本体板部41の側面及び突出板部46、47の側面のそれぞれに接触することができる。第2カバー本体部71からの位置決め突出部73の突出寸法は、ブラケット40の本体板部41の厚み寸法よりも大きい。
【0076】
位置決め突出部73及び係止部72によってブラケット40に対してカバー60が位置決めされた状態で、第1支持片91が係止爪52の側方に配置される。図8の実線に示すような第1支持片91が係止爪52の直前に位置する状態で、既に位置決め突出部73及び係止部72によってブラケット40に対してカバー60が位置決めされた状態とされる。このため、第1支持片91が係止爪52の先端面に衝突することが抑制される。
【0077】
係止部72が係止受部46a、47aに係止した状態で、第1カバー部材61のネジ孔65hとブラケット40のネジ孔44とが連通する。これらのネジ孔65h、44にネジ止めされることによって、カバー60とブラケット40とがしっかり固定される。ブラケット40にネジ止め固定される第1カバー本体部62に係止状態維持手段90が設けられることによって、プロテクタ本体部51にブラケット40から離反する方向の力が作用したときに、係止状態維持手段90が当該力を支えやすい。
【0078】
上述のように第1支持片91は、係止孔43を塞ぐ。従って、仮に、ブラケット40へのカバー60の取り付けの後に、ブラケット40へのプロテクタ50の取り付けが行われる場合、第1支持片91が係止孔43への係止爪52の係止の邪魔となる。つまり、係止状態維持手段90は、プロテクタ50が取り付けられたブラケット40にカバー60を取り付けることで、係止孔43への係止爪52の係止を阻害する位置に配置される。
【0079】
<効果等>
ネット16の上端縁部をネット保持部42に取付ける際又は取り外す際、ネット16の上端縁部がプロテクタ50を車両外側に押してしまうと、プロテクタ50がブラケット40から外れようとする。これについて、図9を参照しつつより具体的に説明する。図9は係止状態維持手段90がない場合のプロテクタ50の動作の一例を示す図である。
【0080】
ネット16の上端縁部をネット保持部42に取付ける際又は取り外す際、引っ掛け部18がプロテクタ50を車両外側に向けて押すことがある。このときの力は、プロテクタ50を押す位置及び向きによっては、プロテクタ50を正規の姿勢(図9の実線で示される姿勢)から傾かせるような力として作用し得る。この際、図9に示すように係止状態維持手段90がない場合、プロテクタ50が正規の姿勢から傾いた姿勢(図9の仮想線で示される姿勢)へと姿勢変更し得る。これにより、係止爪52に係止孔43の軸方向と交差する方向に沿う力がかかり得る。この力が、係止爪52に係止孔43から抜出る方向の力として作用することによって、係止爪52が変形し、係止孔43から抜け出る恐れがある。
【0081】
本開示のネット保持機構30によると、プロテクタ50の係止爪52が係止孔43から外れる方向に移動させられるとき、係止爪52の係止を維持する位置に配置された係止状態維持手段90が係止爪52の外れる方向への移動を抑制する。これにより、係止状態維持手段90によって、プロテクタ50の係止爪52と係止孔43との係止が維持され、プロテクタ50がブラケット40から外れることを抑制することができる。
【0082】
この係止状態維持手段90が第1カバー本体部62に設けられており、プロテクタ50が取り付けられたブラケット40にカバー60を取り付けることで、係止状態維持手段90が係止爪52の係止を維持する位置に配置される。これにより、係止状態維持手段90が所定の位置に簡易に位置決めされる。
【0083】
また、係止爪52が係止孔43に係止するとき、プロテクタ本体部51から突出した爪支持部52aが弾性変形して係止孔43を貫通し、爪部52bが係止孔43の車両内側の縁部に係止する。この際、係止状態維持手段90は、第1カバー本体部62と一体形成され、ブラケット40よりも車両内側において、係止爪52の外れる側から係止爪52を支持している第1支持片91を含む。プロテクタ50及びカバー60がブラケット40に取り付けられた状態において、係止爪52が外れる方向側に配置される第1支持片91によって、係止爪52の変形を抑制できる。第1支持片91は第1カバー本体部62に一体形成されるので、第1支持片91を設けることによる部品点数の増加を抑制できる。
【0084】
また、係止孔43の軸方向から観察されたときに、第1支持片91は、係止爪52の変形方向に長い。これにより、第1支持片91が爪部52bの変形しようとする力を受けても、第1支持片91が変形しにくくなる。
【0085】
また、第1支持片91は、筒部63の外周面と板状部64の車両外側を向く面とを連結している。これにより、ネット16の上端縁部がブラケット40に保持される際に、ネット16の上端縁部から力を受け得る筒部63と板状部64との連結部分が、第1支持片91によって補強されることができる。また、第1支持片91のうち筒部63に連なる端部とは反対側の端部が係止爪52を支持する。これにより、爪部52bが外れようとする力を第1支持片91が支持することができるとともに、第1支持片91を介して爪部52bから受ける力を筒部63が支持することができる。
【0086】
また、係止爪52は一対設けられる。これにより、より簡易な構成で、プロテクタ50がブラケット40に取付けられる。このように係止爪52の数が少ない場合でも、係止状態維持手段90があることによって、プロテクタ50が外れることを抑制できる。また、一対の係止爪52の間に挿入孔62hが位置する。これにより、係止爪52の数が少なくとも、プロテクタ50ががたつきにくい。
【0087】
{変形例}
図10は、係止状態維持手段90の変形例を示す断面図である。
【0088】
変形例に係る係止状態維持手段90は、第1支持片91に加えて第2支持片92をさらに有する。第2支持片92は、第1支持片91から車両外側に向けて突出する。第2支持片92は、係止孔43に嵌って係止爪52を支持する。これにより、第2支持片92によって係止爪52の変形を抑制できる。第2支持片92は、爪支持部52aの外れる方向への力を受けても係止孔43の周壁で受け止められるので、第2支持片92の強度を抑えられる。また、第2支持片92が爪支持部52aの外れる方向側と係止孔43の周壁との間を埋める形状であれば、係止爪52と係止孔43とのガタツキが抑えられ、プロテクタ50をより強固に取り付けることができる。
【0089】
このほか、これまで係止状態維持手段90は第1カバー本体部62と一体成形されるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。係止状態維持手段90は、第1カバー本体部62とは別部材として成形され、第1カバー本体部62に後付けされてもよい。
【0090】
また、係止状態維持手段90は第2カバー本体部71に設けられてもよい。この場合、例えば、係止爪52の爪部52bが爪支持部52aから筒部63側に引っ掛け孔42h側に突出して、第2カバー本体部71における開口71hの周縁部から爪支持部52aに向けて支持片が突出する構成などであってもよい。
【0091】
また、これまで第1支持片91が係止爪52の変形方向に長い板状であるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、第1支持片91は係止爪52の変形方向及びこれと直交する方向に同程度の方形状の凸部などであってもよい。
【0092】
また、これまで第1支持片91が筒部63から突出するものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、第1支持片91は筒部63と離れた位置に設けられてもよい。
【0093】
また、これまで係止爪52及び第1支持片91がそれぞれ一対設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。係止爪52及び第1支持片91がそれぞれ1つ設けられてもよいし、3つ以上設けられてもよい。
【0094】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【0095】
本明細書及び図面は、下記の各態様を開示する。
【0096】
第1の態様は、ルーフサイドレールとルーフヘッドライニングとを有する車両において、乗員室と荷室とを仕切るネットの上端縁部を保持するネット保持機構であって、前記ネットの前記上端縁部を保持するネット保持部と、係止孔と、カバー取付部とを含み、前記ルーフサイドレールに取付けられているブラケットと、前記ネット保持部を車両外側から覆うプロテクタ本体部と、前記プロテクタ本体部から車両内側に向けて突出し、前記ブラケットの前記係止孔に係止する係止爪と、を含むプロテクタと、前記ネットの前記上端縁部が挿入可能な挿入孔が形成され、前記ブラケットよりも車両内側に設けられたカバー本体部と、前記ブラケットの前記カバー取付部に取り付けられる取付部と、を含むカバーと、前記カバー本体部に設けられ、前記プロテクタ本体部に前記ブラケットから離反する方向の力が作用したときに、前記係止爪が前記係止孔に係止した状態を維持する係止状態維持手段と、を備え、前記係止状態維持手段は、前記プロテクタが取り付けられた前記ブラケットに前記カバーを取り付けることで前記係止爪の係止を維持する位置に配置される、ネット保持機構である。
【0097】
ネットの上端縁部をネット保持部に取付ける際又は取り外す際、ネットの上端縁部がプロテクタを車両外側に押してしまうと、プロテクタがネット保持用ブラケットから外れようとする。本開示のネット保持機構によると、プロテクタの係止爪が係止孔から外れる方向に移動させられるとき、係止爪の係止を維持する位置に配置された係止状態維持手段が係止爪の外れる方向への移動を抑制する。これにより、係止状態維持手段によって、プロテクタの係止爪と係止孔との係止が維持され、プロテクタがブラケットから外れることを抑制することができる。
【0098】
この係止状態維持手段がカバー本体部に設けられており、プロテクタが取り付けられたブラケットにカバーを取り付けることで、係止状態維持手段が係止爪の係止を維持する位置に配置される。これにより、係止状態維持手段が所定の位置に簡易に位置決めされる。
【0099】
第2の態様は、第1の態様に係るネット保持機構であって、前記係止状態維持手段は、前記カバー本体部と一体形成されると共に前記カバー本体部から前記ネット保持部に向けて突出し、前記ブラケットよりも車両内側において、前記係止爪の外れる側から前記係止爪を支持している第1支持片を有する、ネット保持機構である。
【0100】
この場合、係止爪が係止孔に係止するとき、プロテクタ本体部から突出した爪支持部が弾性変形して係止孔を貫通し、爪部が係止孔の車両内側の縁部に係止する。この際、係止状態維持手段は、カバー本体部と一体形成され、ブラケットよりも車両内側において、係止爪の外れる側から係止爪を支持している第1支持片を含む。プロテクタ及びカバーがブラケットに取り付けられた状態において、係止爪が外れる方向側に配置される第1支持片によって、係止爪の変形を抑制できる。第1支持片はカバー本体部に一体形成されるので、第1支持片を設けることによる部品点数の増加を抑制できる。
【0101】
第3の態様は、第2の態様に係るネット保持機構であって、前記係止状態維持手段は、前記第1支持片から車両外側に向けて突出し、前記係止孔に嵌って前記係止爪を支持する第2支持片を有する、ネット保持機構である。
【0102】
これにより、第2支持片によって係止爪の変形を抑制できる。第2支持片は、爪支持部の外れる方向への力を受けても係止孔の周壁で受け止められるので、第2支持片の強度を抑えられる。また、第2支持片が爪支持部の外れる方向側と係止孔の周壁との間を埋める形状であれば、係止爪と係止孔とのガタツキが抑えられ、プロテクタをより強固に取り付けることができる。
【0103】
第4の態様は、第2又は第3の態様に係るネット保持機構であって、前記カバー本体部は、前記挿入孔が形成され、前記ルーフヘッドライニングに設けられた開口を貫通する筒部と、前記筒部のうち車両内側に位置する端部から前記挿入孔の外側に広がり前記ルーフヘッドライニングにおける前記開口の周縁部を車両内側から覆う板状部とを有し、前記第1支持片は、前記筒部の外周面から突出し、前記第1支持片のうち前記筒部に連なる端部とは反対側の端部が前記係止爪を支持する、ネット保持機構である。
【0104】
これにより、ネットの上端縁部がブラケットに保持される際に、ネットの上端縁部から力を受け得る筒部が、第1支持片によって補強されることができる。また、爪部が外れようとする力を第1支持片が支持することができるとともに、第1支持片を介して爪部から受ける力を筒部が支持することができる。
【0105】
第5の態様は、第2から第4のいずれか1つの態様に係るネット保持機構であって、前記係止孔の軸方向から観察されたときに、前記第1支持片は、前記係止爪の変形方向に長い、ネット保持機構である。これにより、第1支持片が爪部の変形しようとする力を受けても、第1支持片が変形しにくくなる。
【0106】
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係るネット保持機構であって、前記係止爪は一対設けられ、一対の前記係止爪の間に前記挿入孔が位置する、ネット保持機構である。
【0107】
これにより、より簡易な構成で、プロテクタがブラケットに取付けられる。このように係止爪の数が少ない場合でも、係止状態維持手段があることによって、プロテクタが外れることを抑制できる。また、一対の係止爪が挿入孔を挟む位置にあるため、係止爪の数が少なくとも、プロテクタががたつきにくい。
【0108】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0109】
10 車両
16 ネット
18 引っ掛け部
22 ルーフサイドレール
24 ルーフヘッドライニング
24h 開口
30 ネット保持機構
40 ブラケット
42 ネット保持部
43 係止孔
44 ネジ孔(カバー取付部)
50 プロテクタ
51 プロテクタ本体部
52 係止爪
52a 爪支持部
52b 爪部
52c 補強部
60 カバー
61 第1カバー部材
62 第1カバー本体部
62h 挿入孔
63 筒部
64 板状部
65h ネジ孔(取付部)
90、190 係止状態維持手段
91 第1支持片
92 第2支持片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10