(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139580
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】撮像装置および遠隔会議システム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20230927BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
H04N5/232
H04N5/232 300
H04R3/00 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045170
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】311015207
【氏名又は名称】リコーイメージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】岡 浩二
【テーマコード(参考)】
5C122
5D220
【Fターム(参考)】
5C122DA03
5C122DA08
5C122FD01
5C122FE02
5C122FF05
5C122FF10
5C122FJ01
5C122FJ07
5C122FJ10
5C122FL05
5C122GC28
5C122HA82
5C122HA87
5C122HB05
5D220BB01
(57)【要約】
【課題】撮像装置で発生する機械音を自動でミュートできるマイク付きの撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、外部装置と通信する通信手段と、音声を入力するマイクと、機械式シャッタ、ズーム機能、オートフォーカス機能、絞り機能の何れか1つを含む機械動作部と、マイクのミュートのオン/オフを所定のイベントに基づき制御可能なミュート制御手段とを備える。ミュート制御手段は、外部装置との通信時、機械動作部の駆動の開始に対応するイベントに合わせてマイクのミュートをオンするとともに、駆動の終了に対応するイベントに合わせてミュートをオフする自動ミュートモードを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置と通信する通信手段と、
音声を入力するマイクと、
機械式シャッタ、ズーム機能、オートフォーカス機能、絞り機能の何れか1つを含む機械動作部と、
前記マイクのミュートのオン/オフを所定のイベントに基づき制御可能なミュート制御手段とを備え、
前記ミュート制御手段は、前記外部装置との通信時、前記機械動作部の駆動の開始に対応する前記イベントに合わせて前記マイクのミュートをオンするとともに、駆動の終了に対応する前記イベントに合わせてミュートをオフする自動ミュートモードを備える
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記所定のイベントを設定するミュート条件設定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記イベントに、特定操作部材の操作、前記外部装置から受信したコマンドの検知、イベント発生時からのタイムアウト、カメラ内での特定動作の開始または終了の何れかが含まれることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記ミュート条件設定手段が、前記所定のイベントに特定の操作部材を割り当てる特定部材設定機能を有することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記特定の操作部材としてズーム状態またはフォーカス状態を変化させる操作部材と、スチル画像の撮影を準備/実行させるレリーズ部材が予め割り当てられていることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像装置が、前記自動ミュートモードを無効にする自動ミュート無効モードを備えるとともに、前記自動ミュートモードと前記自動ミュート無効モードとの間で切り替えを行うモード選択手段を備えることを特徴とした請求項1~5の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
請求項1~請求項6に記載された前記撮像装置を用いた遠隔会議システムであって、前記通信手段を介して接続される前記撮像装置と前記外部装置を1つのユニットとして、通信回線を通して複数の前記ユニットが接続され、前記通信回線を介して双方向で音声情報および画像情報のやり取りすることを特徴とする遠隔会議システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置および撮像装置を用いた遠隔会議システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、テレビやWebを用いた遠隔会議の利用が普及している。遠隔会議においては、画像情報および音声情報の送信受信が行われるため、カメラやマイクが使用される。しかし、通信時に操作音などのノイズがマイクで拾われると雑音となり会話など本来の音声情報が聞き取りに支障をきたす。通信時における操作音の除去を目的とするものとしては、携帯電話の通話中にキー操作のクリック音が拾われないようにキー操作時にマイクをミュートする構成が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、遠隔会議などにおいてマイクや機械式シャッタ、ズーム機能などを備えたデジタルカメラを使用し、カメラのマイクで集音を行う場合、デジタルカメラに搭載されたマイクにより撮像装置の機械音(ズーム、シャッタ音)がノイズとしてマイクに拾われてしまい、音声情報が劣化するという問題がある。特許文献1の構成では、キーの操作音は除去できるが、装置が発生する機械音を除去することはできない。
【0005】
本発明は、撮像装置で発生する機械音を自動でミュートできるマイク付きの撮像装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像装置は、外部装置と通信する通信手段と、音声を入力するマイクと、機械式シャッタ、ズーム機能、オートフォーカス機能、絞り機能の何れか1つを含む機械動作部と、前記マイクのミュートのオン/オフを所定のイベントに基づき制御可能なミュート制御手段とを備え、前記ミュート制御手段は、前記外部装置との通信時、前記機械動作部の駆動の開始に対応する前記イベントに合わせて前記マイクのミュートをオンするとともに、駆動の終了に対応する前記イベントに合わせてミュートをオフする自動ミュートモードを備えることを特徴としている。
【0007】
本発明の遠隔会議システムは、前記撮像装置を用いた遠隔会議システムであって、前記通信手段を介して接続される前記撮像装置と前記外部装置を1つのユニットとして、通信回線を通して複数の前記ユニットを接続し、前記通信回線を介して双方向で音声情報および画像情報のやり取りすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撮像装置で発生する機械音を自動でミュートできるマイク付きの撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態である撮像装置の要部の構成を示すブロック図である。
【
図2】デジタルカメラと外部装置との間の通信シーケンスを示す模式図である。
【
図3】マイク自動ミュートモードの設定画面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態である撮像装置の要部の構成を示すブロック図である。
【0011】
本実施形態の撮像装置は、静止画および動画の撮影が可能なデジタルカメラ10である。デジタルカメラ10は、レンズ系と撮像素子を備えるカメラモジュール12、集音用のマイク14、撮影画像や各種情報を表示するLCDなどの表示装置16、画像データ(静止画/動画データ)や音声データなどを記録する外部記憶装置18、レリーズボタンなどの操作ボタンや方向キー、ロータリースイッチ、タッチパネル等の操作部材を含む操作卓20、パソコンなどの外部装置32と通信を行う通信モジュール22を備える。
【0012】
カメラモジュール12、マイク14、表示装置16、外部記憶装置18、操作卓20、通信モジュール22は、I/Oポート24を介してデジタルカメラ10のCPU26、ROM28、RAM30などに接続される。CPU26は、操作卓20や通信モジュール22からの指令やカメラモジュール12の状態に応じて、各モジュール12~22やROM28、RAM30間のデータのやり取りや制御を行う。
【0013】
カメラモジュール12は、例えば機械式シャッタを備え、カメラモジュール12のレンズ系は、モータなどのアクチュエータにより駆動されるオートフォーカス機能、ズーム機能、絞り機能などを備える。通信モジュール22は、USBケーブルなどの有線通信や無線通信を介して外部装置32と接続可能である。また、外部装置32はネット回線等を通じて遠隔のパソコンなどに接続可能であり、例えば、遠隔のネット会議などに使用される。
【0014】
CPU26は、マイク14からの音声入力を無効化するミュート機能を備える。本実施形態のデジタルカメラ10では、手動でのミュートのオン/オフの切り替えに加え、デジタルカメラ10が外部装置32との間で通信を行っている場合に、自動でミュートの切り替えを行うマイク自動ミュートモードを備える。
【0015】
マイク自動ミュートモードにおいては、デジタルカメラ10が外部装置32との間で通信状態にあることに加え、所定の条件の下で、マイク14のミュートのオン/オフを切り替え可能である。所定の条件は、例えばカメラモジュール12における機械式シャッタや、オートフォーカス機能、ズーム機能、絞り機能などが機械的に動作されるイベント(条件)やこれらの動作が終了するイベント(条件)の発生である。
【0016】
すなわち、
図2に示されるように、デジタルカメラ10とパソコンなどの外部装置32との間の通信(例えばUSB接続)が確認されると、デジタルカメラ10から外部装置32へ画像情報(動画)の送信が開始されるとともに、マイク14で取得された音声情報の送信が開始され、マイク自動ミュートモードが選択されている場合には、CPU26において、上記所定のイベント(所定の条件)の発生がモニタされ、後述するようにマイク14の自動ミュートが行われる。なお、
図2は、デジタルカメラ10と外部装置32との間の通信シーケンスを示す模式図である。
【0017】
ミュートをオン/オフするイベントとしては、カメラの特定操作部材の操作(例えば操作開始時、操作解除時、あるいは操作継続中の期間など)、外部装置32から受信した特定のコマンド(例えばズームコマンドやスチル画像撮影コマンドなど)の検知、イベント発生時からのタイムアウト、カメラ内での特定動作(例えば機械的動作の終了、静止画像ファイルの作成終了等)などが挙げられる。本実施形態では、これら特定のイベントがミュートのオン/オフに割り付けられる。なお、ミュートがオンされる期間は、例えばシャッタ駆動時、オートフォーカス時、ズーム操作時、絞り駆動時などである。
【0018】
また、上記各イベントに基づきミュートをオン/オフする方法としては、様々な組み合わせが考えられる。例えば(1)特定の操作部材が操作されている間、ミュートをオンにし、操作が終了するとオフにする、(2)特定の操作部材が操作されるとミュートをオンにし、所定の内部インベント発生によりミュートをオフにする、(3)特定の操作部材が操作されるとミュートをオンにし、所定時間経過後(タイムアウト)でミュートをオフにする、(4)所定の内部インベント発生によりミュートをオン/オフにする、(5)外部装置32からのコマンドに基づきミュートをオンし、内部イベントの発生によりミュートをオフするなどの方法などが挙げられる。また、上記各イベントの更なる組み合わせも考えられる。
【0019】
(1)の具体的態様としては、カメラのズームボタンが押下されるイベントでミュートを開始し、ズームボタンの押下が解除されるイベントでミュートを停止する場合が挙げられる。(2)の具体的態様としては、カメラのシャッターボタンが押下されるイベントでミュートを開始し、シャッタが閉じられる(シャッタ動作終了)イベントでミュートを停止する場合が挙げられる。(3)の具体的態様としては、カメラのシャッターボタンが押下されたイベントでミュートを開始し、ミュート開始から1秒経過(タイムアウトイベント)を検知するとミュートを停止する態様が挙げられる。(4)の具体的対応としては、例えば撮像素子からの画像情報に基づく特定のイベントでオートフォーカスを開始し、オートフォーカス処理終了イベントでミュートを停止する態様が挙げられる。また(5)の具体的態様としては、外部装置32からのズームコマンドやスチル画像撮影のコマンドをミュート開始イベントとし、カメラ内での各処理動作の終了イベントに基づきミュートを停止する態様が挙げられる。
【0020】
なお、シャッタの駆動の典型例は、レリーズボタンの全押しや、外部装置32からのコマンド、あるいはカメラ内で設定された特定のシーケンスに基づいて開始される。また、オートフォーカスや絞りの駆動の典型例は、レリーズボタンの半押しや、外部装置32からのコマンドに基づいて開始/継続される。ズーム操作(ズームレンズの駆動)の典型例は、例えばズームボタン(テレ側/ワイド側)を押下する、あるいは外部装置32からのコマンドに基づいて開始される。なお、外部装置32からのコマンドは、ネットを介して外部装置32が接続される遠隔地のパソコンなどからのコマンドに基づくものであってもよい。
【0021】
図3は、マイク自動ミュートモードの設定画面の模式図である。
図3では、USBを用いた通信が例として挙げられている。同設定画面(メニュー)では、「USB:マイク自動ミュートON」、「USB:マイク自動ミュートOFF」、「USB:常時マイクOFF」の3つのモードが選択可能である。「USB:マイク自動ミュートON」が選択された場合には、上述したように、デジタルカメラ10における機械的動作の開始/終了に対応するイベントの発生に応じて、機械音が発生している期間、マイク14がミュートされる。「USB:マイク自動ミュートOFF」が選択された場合は、マイク14は常にオン状態に維持され、マイク14からの音声情報は常時外部装置32へと送られる。また、「USB:常時マイクOFF」が選択された場合には、マイク14は常にオフ状態に維持される。
【0022】
ミュートのオン/オフに関わる各イベントは、例えばテーブルにしてデジタルカメラ10のメモリに保持させてもよく、マイク自動ミュートモードで使用される各イベントをユーザが選択・登録できるようにしてもよい。このとき特定の操作部材を選択的に特定のイベントに割り当てる設定機能を設けてもよい。また、外部装置32からの特定のコマンド(例えばズームやスチル画像の撮影などのコマンド)を上記イベントとして登録する機能を設けてもよい。
【0023】
更に、上述した具体的態様のように、いくつかのイベントの典型的な組み合わせをメニュー表示し、その中から使用する組み合わせを選択できるようにすることで、ユーザの選択を容易にすることもできる。更に、機種によっては特定の機械音が小さくてノイズにならないことも考えられるので、一部のイベントの組み合わせのみを選択可能とし、その他のイベントの組み合わせを不使用とする機能を設けることもできる。
【0024】
以上のように本実施形態によれば、遠隔会議などでマイク付きの撮像装置を用いる場合においても、撮像装置で発生する機械音を自動でミュートすることができる。
【符号の説明】
【0025】
10 デジタルカメラ(撮像装置)
14 マイク
20 操作卓
22 通信モジュール(通信手段)
26 CPU(ミュート制御手段)
32 外部装置(外部装置)