(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139604
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230927BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20230927BHJP
B05D 1/40 20060101ALI20230927BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20230927BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20230927BHJP
B05D 3/10 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 647Z
H01L21/304 643A
H01L21/304 651B
H01L21/30 577
B05D1/40 A
B05D7/00 E
B05D3/00 D
B05D3/10 K
B05D3/10 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045210
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】林 宗儒
【テーマコード(参考)】
4D075
5F146
5F157
【Fターム(参考)】
4D075AC06
4D075AC09
4D075AC64
4D075AC88
4D075AC91
4D075BB18Z
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5F157BB24
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5F157CE33
5F157DB02
5F157DB03
5F157DB18
5F157DB57
(57)【要約】
【課題】基板の周縁部上の除去困難な残渣または残膜をSPM処理によって適切に除去できる技術を提供する。
【解決手段】基板処理方法は、基板の主面にSOG膜を含む保護膜を形成する工程であって、該主面の周縁部が保護膜で覆われておらず、該主面のうち周縁部より内側領域が保護膜で覆われるように保護膜を形成する第1工程と、保護膜形成工程の後、硫酸と過酸化水素水との混合液を含む処理液により周縁部上の残渣または残膜を除去する第2工程と、残膜除去工程の後、保護膜を除去する第3工程と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の主面にSOG膜を含む保護膜を形成する工程であって、前記主面の周縁部が前記保護膜で覆われておらず、前記主面のうち前記周縁部より内側領域が前記保護膜で覆われるように前記保護膜を形成する第1工程と、
前記第1工程の後、硫酸と過酸化水素水との混合液を含む処理液により前記周縁部上の残渣または残膜を除去する第2工程と、
前記第2工程の後、前記保護膜を除去する第3工程と、を備える、基板処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理方法であって、
前記残膜または前記残膜は、硬化層を含むレジスト、アモルファスカーボンおよびNiPt合金の少なくともいずれか一つを含む、基板処理方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の基板処理方法であって、
前記第3工程において、フッ酸を含む薬液により前記保護膜を除去する、基板処理方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の基板処理方法であって、
前記第1工程は、第1ノズルからフッ酸を含む薬液を前記基板に向けて吐出し、前記基板の前記主面の全面に形成されたSOG膜の周縁部を前記薬液により除去して、前記保護膜を前記主面の前記内側領域に形成する保護ベベル工程を含み、
前記第2工程において、前記第1ノズルの吐出口よりも大きな吐出口を有する第2ノズルから前記処理液を前記基板に向けて吐出し、前記処理液により前記残渣または前記残膜を除去する、基板処理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理方法であって、
前記第1工程において、前記基板の前記主面と鉛直方向において向かい合う位置に設けられた前記第1ノズルから、斜め外方を向く吐出方向に沿って前記薬液を吐出させて、前記SOG膜の前記周縁部を除去し、
前記第2工程において、前記第2ノズルが前記処理液を前記保護膜に向かって吐出し、前記保護膜に着液した前記処理液を、前記基板の回転により、前記保護膜から前記基板の前記周縁部に向かって流す、基板処理方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の基板処理方法であって、
前記第1工程は、前記保護ベベル工程の前に実行され、前記基板の前記主面に塗布液を塗布し、前記塗布液を乾燥させて前記保護膜を形成する保護膜形成工程をさらに備える、基板処理方法。
【請求項7】
主面の周縁部がSOG膜を含む保護膜で覆われておらず、かつ、前記主面のうち前記周縁部より内側領域が前記保護膜で覆われた基板を水平姿勢で保持しつつ、前記基板を回転させる基板保持部と、
硫酸と過酸化水素水との混合液を含む処理液を前記基板に向けて吐出して、前記基板の前記主面の周縁部上の残渣または残膜を前記処理液により除去するノズルと
を備える、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、基板の一方の主面に各種のパターンを形成することにより、製造される。各種のパターンは、基板の一方の主面のうち中央領域に形成され、その周縁領域には形成されない。
【0003】
この基板の周縁部には、パターン形成の際に各種物質の残渣が付着したり、前工程で残った不要な膜が残ったりする場合がある。こうした残渣や残膜を除去するために、基板の周縁部を洗浄するベベル処理が行われることがある。このようなベベル処理を行う基板処理装置としては、例えば、特許文献1に記載の基板処理装置が採用され得る。特許文献1では、基板処理装置は、基板保持部と、ノズルとを含む。基板保持部は基板を水平姿勢で保持しつつ、該基板の中心を通る鉛直な回転軸線まわりで該基板を回転させる。ノズルは回転中の基板の周縁部に向かって処理液を吐出し、該処理液を基板の周縁部に供給する。処理液が基板の周縁部に作用することにより、基板の周縁部を洗浄することができる。
【0004】
基板の周縁部に残存する残膜は、基板と強固に結合し、通常の洗浄液やエッチング液では容易に除去できないものがある。こうした除去困難な残膜の例としては、硬化層を有するレジスト残膜や、成膜工程等で基板に成膜されたアモルファスカーボン、NiPt合金などの残膜がある。こうした除去困難な残膜を除去する手段として、SPM(硫酸と過酸化水素水との混合液)を用いたエッチング処理がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
硫酸やSPMは、粘度が高いため、硫酸やSPMを用いて基板の周縁部のみにエッチング処理を行うことが難しい。また、硫酸と過酸化水素水の混合により生じる蒸気は基板の周縁部以外にも流れていくため、基板の中央部に形成されたパターンが汚染されるおそれがある。
【0007】
そこで、本開示は、基板の周縁部上の除去困難な残渣または残膜をSPM処理によって適切に除去できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様は、基板処理方法であって、基板の主面にSOG膜を含む保護膜を形成する工程であって、前記主面の周縁部が前記保護膜で覆われておらず、前記主面のうち前記周縁部より内側領域が前記保護膜で覆われるように前記保護膜を形成する第1工程と、前記第1工程の後、硫酸と過酸化水素水との混合液を含む処理液により前記周縁部上の残渣または残膜を除去する第2工程と、前記第2工程の後、前記保護膜を除去する第3工程と、を備える。
【0009】
第2の態様は、第1の態様にかかる基板処理方法であって、前記残渣または前記残膜は、硬化層を含むレジスト、アモルファスカーボンおよびNiPt合金の少なくともいずれか一つを含む。
【0010】
第3の態様は、第1または第2の態様にかかる基板処理方法であって、前記第3工程において、フッ酸を含む薬液により前記保護膜を除去する。
【0011】
第4の態様は、第1から第3のいずれか一つの態様にかかる基板処理方法であって、前記第1工程は、第1ノズルからフッ酸を含む薬液を前記基板に向けて吐出し、前記基板の前記主面の全面に形成されたSOG膜の周縁部を前記薬液により除去して、前記保護膜を前記主面の前記内側領域に形成する保護ベベル工程を含み、前記第2工程において、前記第1ノズルの吐出口よりも大きな吐出口を有する第2ノズルから前記処理液を前記基板に向けて吐出し、前記処理液により前記残渣または前記残膜を除去する。
【0012】
第5の態様は、第4の態様にかかる基板処理方法であって、前記第1工程において、前記基板の前記主面と鉛直方向において向かい合う位置に設けられた前記第1ノズルから、斜め外方を向く吐出方向に沿って前記薬液を吐出させて、前記SOG膜の前記周縁部を除去し、前記第2工程において、前記第2ノズルが前記処理液を前記保護膜に向かって吐出し、前記保護膜に着液した前記処理液を、前記基板の回転により、前記保護膜から前記基板の前記周縁部に向かって流す。
【0013】
第6の態様は、第4または第5の態様にかかる基板処理方法であって、前記第1工程は、前記保護ベベル工程の前に実行され、前記基板の前記主面に塗布液を塗布し、前記塗布液を乾燥させて前記保護膜を形成する保護膜形成工程をさらに備える。
【0014】
第7の態様は、基板処理装置であって、主面の周縁部がSOG膜を含む保護膜で覆われておらず、かつ、前記主面のうち前記周縁部より内側領域が前記保護膜で覆われた基板を水平姿勢で保持しつつ、前記基板を回転させる基板保持部と、硫酸と過酸化水素水との混合液を含む処理液を吐出して、前記基板の前記主面の前記周縁部上の残渣または残膜を処理液により除去するノズルとを備える。
【発明の効果】
【0015】
第1および第7の態様によれば、基板の主面の内側領域をSOG膜で覆いつつSPMにより基板の周縁部上の残渣または残膜が除去される。SOG膜はSPMによってほとんど除去されないので、基板の内側領域を適切に保護しつつ、残渣または残膜を適切に除去することができる。
【0016】
第2の態様によれば、除去困難な残渣または残膜を除去することができる。
【0017】
第3の態様によれば、基板の周縁部に対するダメージを抑制しつつ、保護膜を除去することができる。
【0018】
第4の態様によれば、薬液の粘度が低いので、高い位置精度で保護周縁部を除去することができる。また、SPMの粘度は高いものの、第2ノズルの吐出口は大きいので、第2ノズルはSPMをより適切に吐出することができる。
【0019】
第5の態様によれば、保護ベベル工程において、保護膜の端面を傾斜面とすることができる。このため、その後の第2工程において、処理液が保護膜の傾斜面から基板の周縁部に滑らかに流れる。よって、処理液が傾斜面と基板の周縁部との境界にも作用しやすく、基板の周縁部をより適切に処理することができる。
【0020】
第6の態様によれば、安価なウェット処理ユニットによって、保護膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】基板処理装置の構成の一例を概略的に示す平面図である。
【
図2】基板処理装置の構成の一例を概略的に示す縦断面図である。
【
図3】基板Wの構成の一例を概略的に示す図である。
【
図4】制御部の内部構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図5】基板処理装置が実行する基板処理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図6】各工程における基板Wの様子の一例を概略的に示す図である。
【
図7】塗布ユニットの構成の一例を概略的に示す図である。
【
図8】保護膜形成処理の具体的な一例を示すフローチャートである。
【
図9】ベベルユニットの構成の一例を概略的に示す図である。
【
図10】ベベルユニットの構成の一例を概略的に示す平面図である。
【
図11】加熱部の構成の一例を概略的に示す平面図である。
【
図12】保護ベベル処理の具体的な一例を示すフローチャートである。
【
図13】洗浄ユニットの構成の一例を概略的に示す図である。
【
図14】基板ベベル処理および保護膜除去処理の具体的な一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化がなされるものである。また、図面に示される構成の大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。
【0023】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0024】
また、以下に記載される説明において、「第1」または「第2」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序に限定されるものではない。
【0025】
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「一方向に」「一方向に沿って」「平行」「直交」「中心」「同心」「同軸」など)が用いられる場合、該表現は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」など)が用いられる場合、該表現は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば、「四角形状」または「円筒形状」など)が用いられる場合、該表現は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸や面取りなどを有する形状も表すものとする。一の構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現が用いられる場合、該表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「A,BおよびCの少なくともいずれか一つ」という表現が用いられる場合、該表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A,BおよびCのうち任意の2つ、ならびに、A,BおよびCの全てを含む。
【0026】
<基板処理装置100の概要>
図1は、基板処理装置100の構成の一例を概略的に示す平面図であり、
図2は、基板処理装置100の構成の一例を概略的に示す縦断面図である。基板処理装置100は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の処理装置である。基板Wは例えば半導体基板であり、ここでは円板形状を有している。基板Wの直径は特に制限されないものの、例えば、200mmから300mm程度である。
【0027】
図3は、基板Wの構成の一例を概略的に示す図である。
図3の例では、基板Wの断面図および平面図が示されている。基板Wの一方の主面には、例えば、各種の回路パターンが形成される。以下では、基板Wの一方の主面をデバイス面Waとも呼ぶ。デバイス面Waは平面視において円形状を有している。デバイス面Waのうち周縁領域Wa1には、回路パターンは形成されない。周縁領域Wa1は、基板Wの周縁から所定幅を有する円環状の領域である。所定幅は、例えば、数mmから数十mm程度である。デバイス面Waのうち周縁領域Wa1よりも内側の円形状の中央領域Wa2には、回路パターンが形成される。
【0028】
ここでは、基板Wの他方の主面には回路パターンは形成されていないものとする。以下では、他方の主面を非デバイス面Wbとも呼ぶ。また、非デバイス面Wbの周縁領域と、基板Wの端面と、デバイス面Waの周縁領域Wa1とを有する部分を、基板Wの基板周縁部VW1とも呼ぶ。
【0029】
このような基板Wの基板周縁部VW1の表面には、異物が残留し得る。該異物は、例えば、回路パターンをデバイス面Waに形成するための各種処理の際に生じた各種物質の残渣もしくは残膜である。より具体的な一例として、該残渣または該残膜は、硬化層を含むレジスト、アモルファスカーボンおよび合金(例えばニッケルと白金の合金)の少なくともいずれか一つを含む。このような異物は硫酸および過酸化水素水の混合液(SPM)によって除去することができる。
【0030】
本実施の形態にかかる基板処理装置100は、基板周縁部VW1に付着した異物を除去することができる。以下では、まず、基板処理装置100の構成および動作を概説し、その後、詳述する。
【0031】
図1および
図2の例では、基板処理装置100は、インデクサ部110と、装置本体120と、制御部90とを含んでいる。
【0032】
<インデクサ部110>
インデクサ部110は装置本体120と外部との間に設けられている。インデクサ部110は、装置本体120と外部との間で基板Wを搬出入するためのインターフェース部である。ここでは、複数の基板Wを収納した基板収容器(以下、キャリアと呼ぶ)Cが外部からインデクサ部110に搬入される。
【0033】
インデクサ部110は、複数のロードポート111と、インデクサロボット112とを含む。各ロードポート111は、外部から搬入されたキャリアCを保持する。インデクサロボット112は、キャリアCと装置本体120との間で基板Wを搬送する搬送ユニットである。インデクサロボット112はキャリアCから未処理の基板Wを順次に取り出し、該基板Wを装置本体120に搬送するとともに、装置本体120によって処理された処理済みの基板Wを装置本体120から順次に受け取り、該基板WをキャリアCに収納する。処理済みの基板Wを収納したキャリアCはロードポート111から外部に搬出される。
【0034】
<装置本体120>
装置本体120は、基板Wを処理する部分であり、複数のドライ処理ユニット10と、複数のウェット処理ユニット20と、搬送ユニット30とを含む。
【0035】
<搬送ユニット30>
搬送ユニット30はインデクサロボット112とドライ処理ユニット10とウェット処理ユニット20との相互間において基板Wを搬送する。
図1の例では、搬送ユニット30は、シャトル搬送ユニット31と、センターロボット32とを含んでいる。シャトル搬送ユニット31は第1受渡位置と第2受渡位置との間で基板Wを水平方向に沿って搬送する。シャトル搬送ユニット31は第1受渡位置においてインデクサロボット112と基板Wの受け渡しを行い、第2受渡位置においてセンターロボット32と基板Wの受け渡しを行う。センターロボット32は、シャトル搬送ユニット31とドライ処理ユニット10とウェット処理ユニット20との相互間において基板Wを搬送する搬送ユニットである。
【0036】
<ドライ処理ユニット10の概要>
ドライ処理ユニット10は基板Wに対してドライ処理を行う。
図1に示されるように、各ドライ処理ユニット10は、熱処理ユニット10Aと、冷却ユニット10Bと、室内搬送ユニット10Cとを含んでいる。熱処理ユニット10Aは基板Wを加熱する。冷却ユニット10Bは基板Wを冷却する。室内搬送ユニット10Cは熱処理ユニット10Aと冷却ユニット10Bとの間で基板Wを搬送する。
【0037】
<ウェット処理ユニット20の概要>
ウェット処理ユニット20は基板Wに対して種々の処理液を供給し、各処理液に応じたウェット処理を基板Wに対して行う。複数のウェット処理ユニット20には、塗布ユニット20A、ベベルユニット20Bおよび洗浄ユニット20Cが含まれる。
【0038】
塗布ユニット20Aは、基板Wのデバイス面Waの全面に塗膜F2を形成させる塗布処理を行う(
図6(a)も参照)。具体的には、塗布ユニット20Aは基板Wのデバイス面Waの全面に塗布液を塗布し、該塗布液をある程度乾燥させて塗膜F2を形成する。
【0039】
図6(a)の例では、塗布ユニット20Aは、基板保持部21Aと、塗布ノズル22Aとを含んでいる。基板保持部21Aは、デバイス面Waを鉛直上方に向けた水平姿勢で基板Wを保持しつつ、該基板Wを回転軸線Q1のまわりで回転させる。ここでいう水平姿勢とは、基板Wの厚み方向が鉛直方向に沿う姿勢である。回転軸線Q1は、基板Wの中心を通り、かつ、鉛直方向に沿う軸線である。なお、基板保持部21Aはスピンチャックとも呼ばれ得る。
【0040】
塗布ノズル22Aは、基板保持部21Aによって保持された基板Wよりも鉛直上方に設けられている。塗布ノズル22Aは、塗膜F2の材料を含む塗布液を基板Wのデバイス面Waの中央部に向かって所定量だけ吐出する。塗布液は、例えば、SOG(Spin on Glass)である。そして、基板保持部21Aが基板Wを回転軸線Q1のまわりで回転させる。これにより、塗布液が基板Wのデバイス面Waの全面に広がる。基板保持部21Aが基板Wを高速で回転させることにより、塗布液がある程度乾燥し、基板Wのデバイス面Waの全面に塗膜F2が形成される。
【0041】
塗布処理後の基板Wはセンターロボット32によってドライ処理ユニット10に搬送され、ドライ処理ユニット10の熱処理ユニット10Aによって熱処理を受ける。これにより、基板W上の塗膜F2が乾燥し、デバイス面Waの全面に保護膜F1を形成することができる。保護膜F1は、例えば、SOG膜(後述)である。熱処理ユニット10Aはベークユニットとも呼ばれ得る。該基板Wは室内搬送ユニット10Cによって冷却ユニット10Bに搬送され、冷却ユニット10Bによって冷却される。これにより、基板Wの温度を速やかに低下させることができる。
【0042】
ベベルユニット20Bは、保護膜F1の周縁部(以下、保護周縁部VF1と呼ぶ)を除去する保護ベベル処理を、基板Wに対して行う(
図6(b)も参照)。より具体的には、ベベルユニット20Bは保護周縁部VF1に第1処理液を供給する。第1処理液は、保護膜F1を除去することができる薬液であり、以下では、膜除去液とも呼ぶ。膜除去液は、例えば、フッ酸である。この保護ベベル処理により、保護周縁部VF1を除去してその下層の周縁領域Wa1を露出させることができる。つまり、保護ベベル処理により、基板Wのデバイス面Waの中央領域Wa2は保護膜F1によって覆われつつも、周縁領域Wa1が露出する。
【0043】
図6(b)の例では、ベベルユニット20Bは、基板保持部21Bと、ベベルノズル22B(第1ノズルに相当)とを含んでいる。基板保持部21Bは基板Wを水平姿勢で保持しつつ、回転軸線Q1のまわりで基板Wを回転させる。この基板保持部21Bもスピンチャックと呼ばれ得る。
【0044】
ベベルノズル22Bは、基板保持部21Bによって保持された基板Wよりも鉛直上方に設けられる。
図6(b)に示されるように、ベベルノズル22Bは、基板Wの周縁側の部分と鉛直方向で対向する位置において、回転中の基板Wの保護周縁部VF1に向かって膜除去液を吐出する。膜除去液は保護膜F1の上面の着液位置P1で着液し、基板Wの遠心力を受けて径方向外側に向かって流れ、基板Wの周縁から飛散する。このとき、膜除去液は、着液位置P1を通る円を内周縁とする保護周縁部VF1に作用し、保護周縁部VF1を除去する。このため、保護周縁部VF1よりも下層のデバイス面Waの周縁領域Wa1が露出する。つまり、デバイス面Waの中央領域Wa2は保護膜F1によって覆われつつも、デバイス面Waの周縁領域Wa1が露出する。
【0045】
このベベルノズル22Bの吐出口22bの開口面積は小さい。そして、膜除去液の粘度は小さく、保護ベベル処理において、膜除去液の流量も小さく設定される。このため、ベベルノズル22Bから吐出した膜除去液を、より高い精度で保護膜F1上の目標着液位置に着液させることができる。つまり、着液位置P1と目標着液位置との差を小さくすることができる。したがって、ベベルユニット20Bは、より高い位置精度で保護周縁部VF1を除去することができる。
【0046】
洗浄ユニット20Cは保護ベベル処理後の基板Wに対して、基板周縁部VW1を処理する基板ベベル処理を行う(
図6(c)も参照)。具体的には、洗浄ユニット20Cは第2処理液を基板Wの基板周縁部VW1に供給する。第2処理液は、保護膜F1をほとんど除去できず、かつ、基板周縁部VW1を処理することができる薬液である。ここでは、第2処理液は基板周縁部VW1の異物M1を除去する。よって、以下では、第2処理液を異物除去液とも呼ぶ。異物除去液は、例えば、硫酸および過酸化水素水の混合液(SPM)である。この基板ベベル処理は、基板周縁部VW1を実質的に洗浄していることから、洗浄処理とも呼ばれ得る。
【0047】
洗浄ユニット20Cは基板ベベル処理後の基板Wに対して、保護膜F1を除去する保護膜除去処理も行う(
図6(d)も参照)。具体的には、洗浄ユニット20Cは膜除去液を基板Wの保護膜F1に供給する。これにより、保護膜F1を除去することができる。
【0048】
図6(c)および
図6(d)の例では、洗浄ユニット20Cは、基板保持部21Cと、洗浄ノズル22C(第2ノズルに相当)とを含んでいる。基板保持部21Cは、基板Wを水平姿勢で保持して、回転軸線Q1のまわりで基板Wを回転させる。この基板保持部21Cもスピンチャックと呼ばれ得る。
【0049】
洗浄ノズル22Cは、基板保持部21Cによって保持された基板Wよりも鉛直上方に設けられる。洗浄ノズル22Cは、ベベルノズル22Bの吐出口22bよりも大きな吐出口22cを有しており、異物除去液および膜除去液を含む各種の処理液を選択的に吐出することができる。例えば、洗浄ノズル22Cは、基板Wの中央部と鉛直方向で対向する位置において、回転中の基板Wの保護膜F1に向かって異物除去液を吐出する。基板Wの保護膜F1の上面に着液した異物除去液は、基板Wの回転に伴う遠心力を受けて、保護膜F1の上面を径方向外側に流れ、続けて、基板Wの基板周縁部VW1を流れる。これにより、基板周縁部VW1の異物M1を除去することができる。
【0050】
また、洗浄ノズル22Cは、基板ベベル処理後において、回転中の基板Wの保護膜F1に向かって膜除去液を吐出する。基板Wの保護膜F1の上面に着液した膜除去液は、基板Wの回転に伴う遠心力を受けて、保護膜F1の上面を径方向外側に流れる。これにより、保護膜F1を除去することができる。
【0051】
<制御部90>
制御部90は基板処理装置100を統括的に制御する。具体的には、制御部90は、インデクサロボット112、ドライ処理ユニット10、ウェット処理ユニット20および搬送ユニット30を制御する。
【0052】
図4は、制御部90の内部構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。制御部90は電子回路であって、例えばデータ処理部91および記憶部92を有している。
図3の具体例では、データ処理部91と記憶部92とはバス93を介して相互に接続されている。データ処理部91は例えばCPU(Central Processor Unit)などの演算処理装置であってもよい。記憶部92は非一時的な記憶部(例えばROM(Read Only Memory)またはハードディスク)921および一時的な記憶部(例えばRAM(Random Access Memory))922を有していてもよい。非一時的な記憶部921には、例えば制御部90が実行する処理を規定するプログラムが記憶されていてもよい。データ処理部91がこのプログラムを実行することにより、制御部90が、プログラムに規定された処理を実行することができる。もちろん、制御部90が実行する処理の一部または全部が専用の論理回路などのハードウェアによって実行されてもよい。
【0053】
<基板処理装置100の動作の概要>
図5は、基板処理装置100が実行する基板処理方法の一例を示すフローチャートである。
図6は、各工程における基板Wの様子の一例を概略的に示す図である。以下では、基板処理装置100の動作の概要を説明し、その後、各処理ユニットの具体的な構成および具体的な動作の一例について述べる。
【0054】
まず、基板処理装置100は、基板Wのデバイス面Waの全面に保護膜F1を形成する保護膜形成処理を行う(ステップS1:保護膜形成工程)。
図6(a)は、保護膜F1が形成されるときの基板Wの様子を示している。保護膜F1は、基板Wのデバイス面Waのうち特に中央領域Wa2を異物除去液から保護するための膜である。保護膜F1は、例えば、SOG(Spin on Glass)膜である。SOG膜は、シロキサンを含むガラス質の膜であり、例えば、シロキサンおよび有機基を含む。SOG膜は、例えば、シリカガラス、アルキルシロキサンポリマー、アルキルシルセスキオキサンポリマー、水素化シルセスキオキサンポリマー、または、水素化アルキルシルセスキオキサンポリマーであってもよい。
【0055】
基板処理装置100は塗布ユニット20Aによる塗布処理およびドライ処理ユニット10による熱処理を基板Wに対して順次に行って、保護膜形成処理を行う。具体的には、まず、塗布ノズル22Aは塗膜F2の材料を含む塗布液(例えばSOG)を基板Wのデバイス面Waの上面部に向かって所定量だけ吐出し、基板保持部21Aが基板Wを回転軸線Q1のまわりで回転させる。これにより、塗布液が基板Wのデバイス面Waの全面に広がる。そして、基板保持部21Aが基板Wをより高速で回転させることにより、塗布液がある程度乾燥し、基板Wのデバイス面Waの全面に塗膜F2が形成される。
【0056】
センターロボット32は塗布ユニット20Aから塗布処理済みの基板Wを搬出し、ドライ処理ユニット10の熱処理ユニット10Aに搬入する。熱処理ユニット10Aは基板Wを加熱してデバイス面Wa上の塗膜F2を乾燥させることで、保護膜F1を形成する。加熱後の基板Wは室内搬送ユニット10Cによって冷却ユニット10Bに搬送され、冷却ユニット10Bによって冷却される。冷却後の基板Wは熱処理ユニット10Aを経由してセンターロボット32に渡される。センターロボット32は、保護膜F1が形成された基板Wをベベルユニット20Bに搬送する。
【0057】
ベベルユニット20Bは保護ベベル処理を基板Wに対して行う(ステップS2:保護ベベル工程)。
図6(b)は、保護周縁部VF1を除去するときの基板Wの様子を示している。ベベルノズル22Bは回転中の基板Wの保護周縁部VF1に向かって膜除去液を吐出する。膜除去液は保護膜F1の上面の着液位置P1で着液し、保護膜F1の上面を径方向外側に向かって流れ、基板Wの周縁から飛散する。このとき、膜除去液は保護周縁部VF1に作用し、保護周縁部VF1を除去する。
【0058】
このベベルノズル22Bの吐出口22bの開口面積は小さい。そして、膜除去液の粘度は小さく、保護ベベル処理において、膜除去液の流量も小さく設定される。このため、ベベルノズル22Bから吐出した膜除去液を、より高い精度で保護膜F1上の目標着液位置に着液させることができる。
【0059】
ここで、着液位置P1が目標着液位置から大きくずれた場合について説明する。着液位置P1が目標着液位置から回転軸線Q1側(つまり、径方向内側)にずれると、保護膜F1がより内側まで除去される。このため、基板Wの中央領域Wa2のうちの外周領域が露出してしまう。したがって、保護膜F1は中央領域Wa2の外周領域を保護できなくなる。また、着液位置P1が目標着液位置から径方向外側にずれると、除去される保護膜F1の幅が狭くなり、その結果、デバイス面Waの周縁領域Wa1のうち内周領域が露出しない。このため、基板Wの周縁領域Wa1のうち内周領域に付着した除去対象の異物M1が保護膜F1によって覆われてしまう。
【0060】
これに対して、本実施の形態では、より高い位置精度で膜除去液を着液位置P1に着液させることができるので、デバイス面Waの中央領域Wa2を適切に保護膜F1で保護しつつ、周縁領域Wa1を適切に露出させることができる。言い換えれば、周縁領域Wa1に付着した異物M1を適切に露出させることができる。膜除去液の着液位置P1についての要求位置精度は、例えば、数百μm程度以下である。このため、ベベルノズル22Bの吐出口22bの開口面積をより小さくして、粘度の低い膜除去液をピンポイントで目標着液位置に着液させることが望ましい。
【0061】
保護膜F1としてSOG膜が採用されるので、膜除去液として、フッ素(F)を含む酸性薬液を採用するとよい。例えば膜除去液には、フッ酸(HF)を含む薬液、より具体的な一例としてフッ酸そのものを採用することができる。フッ酸の粘度は低いので、ベベルノズル22Bからの吐出に適している。
【0062】
このフッ酸がSOG膜に作用すると、以下の化学反応によってSOG膜が除去される。
【0063】
・・・Si-O-Si・・・+H+→・・・Si-OH・・・ (1)
・・・Si-OH+HF→・・・SiF4+2HF→H2SiF6(aq) (2)
つまり、SOG膜に含まれるシロキサン(Si2O)が、フッ酸に含まれる水素(H)イオンと反応して、シラノール(SiOH)に変化し、このシラノールがフッ酸(HF)と反応して、液体のヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)に変化する。このような化学変化によって、SOG膜がフッ酸により除去される。
【0064】
保護周縁部VF1を除去した後に、ベベルユニット20Bは、基板W上の膜除去液をリンス液で基板Wから流し去るリンス処理、および、基板Wを乾燥させる乾燥処理をこの順で行う。これらの処理については後に詳述する。
【0065】
次に、センターロボット32は処理済みの基板Wをベベルユニット20Bから搬出し、該基板Wを洗浄ユニット20Cに搬入する。
【0066】
洗浄ユニット20Cは基板ベベル処理を基板Wに対して行う(ステップS3:基板ベベル工程)。
図6(c)は、基板周縁部VW1上の異物M1を除去するときの基板Wの様子を示している。基板保持部21Cは、主面の周縁部が保護膜F1で覆われておらず、かつ、該主面のうち内側領域が保護膜F1で覆われた基板Wを水平姿勢で保持しつつ、基板Wを回転させる。洗浄ノズル22Cは異物除去液(SPM)を基板Wに向けて吐出して、基板周縁部VW1上の残渣または残膜を異物除去液により除去する。具体的には、洗浄ノズル22Cは回転中の基板Wの保護膜F1の上面に向かって異物除去液を吐出し、保護膜F1に着液した異物除去液を、基板Wの回転により、保護膜F1から基板周縁部VW1に向かって流す。これにより、保護膜F1を維持したまま、基板周縁部VW1に付着した異物M1が除去される。異物除去液は、例えば、フッ素を含まない酸性薬液である。異物除去液には、例えば、フッ素を含まず、硫酸を含む薬液を採用することができ、より具体的には、高温のSPM(硫酸および過酸化水素水の混合液)を採用できる。SPMの温度は、例えば、数百度程度である。
【0067】
異物除去液が、フッ素を含まない酸性薬液である場合、SOG膜に対して式(1)で示された化学反応は生じるものの、式(2)で示された化学反応が生じないので、SOG膜は除去されない。つまり、保護膜F1は除去されない。一方、酸性薬液により、異物M1を除去することができる。具体的には、高温のSPMによって、レジストの残膜、アモルファスカーボンおよび合金(ニッケルと白金の合金)などの異物M1を除去することができる。
【0068】
また、ここでは、洗浄ノズル22Cの吐出口22cの開口面積はベベルノズル22Bの吐出口22bの開口面積よりも大きい。このため、粘度の高い硫酸を含む薬液(SPM)でも洗浄ノズル22Cの吐出口22cから吐出させやすい。なお、上述の例では、洗浄ノズル22Cは、基板Wの基板周縁部VW1よりも径方向内側の領域内の着液位置(具体的な位置として中央部)に向かって、膜除去液を吐出する。このため、洗浄ノズル22Cは、ベベルノズル22Bの名称と対比させて、中央ノズルと呼ぶこともできる。
【0069】
異物M1を除去した後に、洗浄ユニット20Cは、基板W上の異物除去液をリンス液で流し去るリンス処理を行う。リンス処理については後に詳述する。
【0070】
次に、洗浄ユニット20Cは保護膜除去処理を基板Wに対して行う(ステップS4:保護膜除去工程)。
図6(d)は、保護膜F1を除去するときの基板Wの様子を示している。洗浄ノズル22Cは回転中の基板Wの中央部に向かって膜除去液(例えばフッ酸)を吐出する。膜除去液は保護膜F1の上面の中央部に着液し、基板Wの回転に伴う遠心力を受けて径方向外側に広がる。これにより、膜除去液が基板W上の保護膜F1の全面に作用し、保護膜F1を除去する。
【0071】
保護膜F1を除去した後に、洗浄ユニット20Cは、基板W上の膜除去液をリンス液で押し流すリンス処理、および、基板Wを乾燥させる乾燥処理をこの順に行う。これらの処理については後に詳述する。
【0072】
以上のように、本基板処理方法によれば、保護ベベル処理(ステップS2)において、ベベルノズル22Bの狭い吐出口22bから粘度の低い膜除去液(例えばフッ酸)を吐出して保護膜F1の保護周縁部VF1を高い位置精度で除去する。このため、より高い位置精度で、基板周縁部VW1を露出させることができる。逆に言えば、保護膜F1はより高い位置精度で、基板Wの中央領域Wa2を保護することができる。
【0073】
そして、その後の基板ベベル処理(ステップS3)において、基板Wの中央領域Wa2を保護膜F1で保護しつつ、露出した基板周縁部VW1に、洗浄ノズル22Cの吐出口22cから異物除去液(SPM)を供給する(ステップS4)。基板ベベル処理においては、保護膜F1が高い位置精度で中央領域Wa2を保護しているので、異物除去液の着液位置が多少ばらついたとしても、異物除去液は中央領域Wa2に作用できない。そして、異物除去液の着液位置が多少ばらついたとしても、異物除去液が保護膜F1の上面から基板周縁部VW1へ流れさえすれば、基板周縁部VW1の異物M1を適切に除去することができる。
【0074】
よって、たとえ、異物除去液の粘度が高い場合であっても、高い位置精度で基板周縁部VW1の異物M1を除去することができる。また、洗浄ノズル22Cの吐出口22cの開口面積がベベルノズル22Bの吐出口22bの開口面積よりも大きいので、粘度が高い異物除去液をより低い圧力で吐出することができ、異物除去液の基板Wへの供給が容易である。
【0075】
以上のように、本実施の形態では、基板ベベル処理(ステップS3)において、基板Wのデバイス面Waの内側領域を保護膜F1(SOG膜)で覆いつつ、基板周縁部VW1上の、硬化層を含むレジスト残膜、アモルファスカーボンまたはNiPt合金に例示される除去困難な異物M1を、SPMによって除去することができる。このSOG膜はSPMによってほとんど除去されないので、デバイス面Waの内側領域をSPMから適切に保護しつつ、異物M1を適切に除去することができる。
【0076】
しかも、上述の例では、保護膜除去処理(ステップS4)において、フッ酸を含む薬液により、SOG膜である保護膜F1を除去している。フッ酸は基板Wへあまりダメージを与えないので、保護膜F1の除去に適している。言い換えれば、基板周縁部VW1へのダメージを抑制しつつ、適切に保護膜F1を除去することができる。
【0077】
しかも、上述の具体例では、保護膜形成処理(ステップS1)において、保護膜F1をウェット処理によって形成している。このため、安価な塗布ユニット20Aおよび熱処理ユニット10Aを用いて、保護膜F1を形成することができる。
【0078】
また、上述の例では、保護膜除去処理(ステップS4)において、保護膜F1をウェット処理によって除去している。このため、安価な洗浄ユニット20Cを用いて、保護膜F1を除去することができる。
【0079】
<ベベルノズル22Bの吐出方向>
図6(b)の例では、ベベルノズル22Bは斜め外方の吐出方向に沿って膜除去液を吐出している。吐出方向は、例えば、ベベルノズル22Bの内部流路FPの形状によって決定される。
図6(b)の例では、ベベルノズル22Bの内部流路FPは、鉛直流路FP1と、傾斜流路FP2とを有している。鉛直流路FP1は、傾斜流路FP2よりも上流側の流路であり、鉛直方向に沿って延在している。傾斜流路FP2の上流端は鉛直流路FP1の下流端に接続されており、鉛直下方に向かうにつれて回転軸線Q1から遠ざかるように傾斜している。つまり、傾斜流路FP2は斜め外方に沿って延在している。吐出口22bは傾斜流路FP2の下流端である。このため、ベベルノズル22Bの内部流路FPを流れた膜除去液は吐出口22bから斜め外方に沿って流出する。
【0080】
膜除去液は斜め外方に沿って吐出されるので、保護ベベル処理(ステップS2)における保護膜F1上の着液位置P1は、保護膜F1の保護周縁部VF1が除去されるにしたがって、径方向外側となる。つまり、保護周縁部VF1が薄くなるにしたがって、膜除去液はより径方向外側の着液位置P1で保護周縁部VF1上に着液する。このため、保護膜F1の端面FS1はその上面から下面に向かうにつれて径方向外側に向かうように傾斜する。
【0081】
この場合、続く基板ベベル処理(ステップS3)において、洗浄ユニット20Cは、異物除去液が保護膜F1の上面に着液するように、洗浄ノズル22Cから異物除去液を吐出させるとよい(
図6(c)参照)。これによれば、異物除去液は保護膜F1の上面から端面FS1(傾斜面)を経由して基板Wのデバイス面Waの周縁領域Wa1を流れる。よって、異物除去液は端面FS1から滑らかに周縁領域Wa1を流れることができ、端面FS1と周縁領域Wa1との境界にも適切に作用することができる。したがって、異物除去液は該境界においても異物M1を適切に除去することができる。
【0082】
<バックサイドベベル>
ところで、保護膜形成処理(ステップS1)において、保護膜F1と同じ成分の物質が基板Wの非デバイス面Wbの周縁領域に付着する可能性もある。例えば、塗布液が基板Wのデバイス面Waから端面を経由して非デバイス面Wbに回り込み、その一部が乾燥すると、非デバイス面Wbに保護膜F1と同じ成分の物質が付着する。
【0083】
そこで、
図6(b)に示されるように、ベベルユニット20Bは、裏面用のベベルノズル26Bを含んでいてもよい。ベベルノズル26Bは、基板保持部21Bによって保持された基板Wよりも鉛直下方に設けられており、鉛直方向において基板Wの非デバイス面Wbと対向する。ベベルノズル26Bは、基板Wの非デバイス面Wbの周縁領域に向かって、膜除去液を吐出する。
【0084】
この場合、保護ベベル処理(ステップS2)において、ベベルノズル22Bおよびベベルノズル26Bの両方から回転中の基板Wに向かって膜除去液を吐出する。ベベルノズル22Bから吐出された膜除去液は、基板Wの保護膜F1の上面に着液する。この膜除去液は基板Wの回転に伴う遠心力を受けて径方向外側に流れて、基板Wの端面から外側に飛散する。このベベルノズル22Bからの膜除去液は保護膜F1の保護周縁部VF1を除去することができる。
【0085】
一方で、ベベルノズル26Bから吐出された処理液は基板Wの非デバイス面Wbに着液する。この膜除去液は基板Wの回転に伴う遠心力を受けて非デバイス面Wbを径方向外側に流れ、基板Wの端面から外側に飛散する。このベベルノズル26Bからの膜除去液は非デバイス面Wbに付着した保護膜F1と同じ物質を除去することができる。
【0086】
<基板処理装置100の具体例>
以下では、基板処理装置100の各処理ユニットの具体的な構成の一例および具体的な動作の一例について詳述する。
【0087】
<塗布ユニット20A>
図7は、塗布ユニット20Aの構成の一例を概略的に示す図である。塗布ユニット20Aは、基板保持部21Aと、塗布ノズル22Aと、ガード23Aとを含んでいる。
【0088】
基板保持部21Aは基板Wを水平姿勢で保持し、基板Wを回転軸線Q1のまわりで回転させる。
図7の例では、基板保持部21Aは、円板状のステージ211Aと、回転機構212Aとを含んでいる。
【0089】
ステージ211Aは、その厚み方向が鉛直方向に沿う姿勢で配置されている。ステージ211Aの上面には、基板Wが載置される。ステージ211Aの直径は基板Wの直径よりも小さいので、ステージ211Aは基板Wの中央部分のみと鉛直方向において対向する。ステージ211Aの上面には不図示の複数の吸引口が形成される。ステージ211Aの内部には、吸引口に連通する不図示の吸引流路が形成されており、該吸引流路の上流端は吸引機構(不図示)に接続される。吸引機構は例えばポンプを含んでおり、吸引流路内のガスを吸引する。これにより、基板Wの非デバイス面Wbがステージ211Aの複数の吸引口に吸引され、基板Wがステージ211Aによって吸着保持される。
【0090】
回転機構212Aはステージ211Aを回転軸線Q1のまわりで回転させる。
図7の例では、回転機構212Aは、シャフト213Aと、モータ214Aとを含んでいる。シャフト213Aの上端はステージ211Aの下面に連結され、回転軸線Q1に沿って延在している。シャフト213Aは例えば中空シャフトであり、シャフト213Aの内部には吸引流路の一部が設けられる。モータ214Aはシャフト213Aを回転軸線Q1のまわりで回転させる。これにより、シャフト213Aに連結されたステージ211A、および、ステージ211Aによって吸着保持された基板Wが、回転軸線Q1のまわりで一体に回転する。
【0091】
<塗布ノズル22A>
塗布ノズル22Aは、基板保持部21Aによって保持された基板Wよりも鉛直上方に設けられている。塗布ノズル22Aは供給管221Aの下流端に接続され、供給管221Aの上流端は塗布液供給源223Aに接続されている。このため、塗布液供給源223Aからの塗布液は供給管221Aを通じて塗布ノズル22Aに供給され、塗布ノズル22Aの吐出口22aから吐出される。供給管221Aにはバルブ222Aが設けられている。バルブ222Aの開閉により、塗布ノズル22Aからの塗布液の吐出および吐出停止が切り替えられる。
【0092】
図7の例では、塗布ノズル22Aは、ノズル移動機構25Aによって、塗布位置と塗布待機位置との間で移動可能に設けられている。塗布位置は、塗布ノズル22Aが塗布液を基板Wに向かって吐出するときの位置であり、例えば、基板Wの中央部と鉛直方向において対向する位置である。
図7の例では、塗布位置で停止する塗布ノズル22Aが示されている。塗布待機位置は、塗布ノズル22Aが塗布液を基板Wに向かって吐出しないときの位置であり、例えば、基板Wの端面よりも径方向外側の位置である。塗布ノズル22Aが塗布待機位置で停止した状態では、基板Wの搬出入時において、塗布ノズル22Aとセンターロボット32との物理的な衝突を回避することができる。ノズル移動機構25Aは、例えば、ベベルユニット20Bに含まれる後述のノズル移動機構222Bと同様のアーム旋回機構を有する。
【0093】
ガード23Aは、基板保持部21Aによって保持された基板Wの端面から飛散した塗布液を受け止める部材である。ガード23Aは、基板保持部21Aを取り囲む形状を有している。
図7の例では、ガード23Aは、径方向内側に開口するドーナツ状の形状を有しており、基板Wの端面から飛散した塗布液はガード23Aの内側空間に流入する。ガード23Aの下部には、不図示の液回収機構および排気機構が設けられている。液回収機構は、ガード23A内の塗布液を回収する。
【0094】
ガード23Aは、ガード昇降機構26Aによって、ガード処理位置とガード待機位置との間で昇降可能に設けられている。ガード処理位置は、ガード23Aの上端周縁が、基板保持部21Aによって保持された基板Wの上面よりも鉛直上方となる位置である。ガード23Aはガード処理位置に位置する状態で、基板Wから飛散した塗布液を受け止めることができる。ガード待機位置は、ガード23Aの上端周縁がステージ211Aよりも鉛直下方となる位置である。ガード23Aがガード待機位置で停止した状態では、基板Wの搬出入時において、ガード23Aとセンターロボット32との物理的な衝突を回避することができる。ガード昇降機構26Aは、例えば、駆動源としてのモータと、モータの回転を鉛直方向の移動に変換する駆動機構としてのボールねじ機構とを含む。あるいは、ガード昇降機構26Aはエアシリンダを含んでいてもよい。
【0095】
<熱処理ユニット10A>
図1を参照して、熱処理ユニット10Aは、加熱部の一例であるホットプレート11Aと、3つ以上のリフトピン12Aとを含んでいる。ホットプレート11Aは、金属などの板状プレートと、該板状プレートに内蔵された電熱線などの発熱体とを含む。リフトピン12Aはホットプレート11Aを鉛直方向に沿って貫通し、リフト上位置とリフト下位置との間で昇降可能に設けられている。リフト上位置は、リフトピン12Aの先端がホットプレート11Aの上面(つまり、板状プレートの上面)よりも鉛直上方となる位置である。リフト下位置は、リフトピン12Aの先端がホットプレート11Aの上面よりも鉛直下方となる位置である。リフトピン12Aを昇降させるピン昇降機構(不図示)は、例えば、モータおよびボールねじ機構を含んでいてもよく、あるいは、エアシリンダを含んでいてもよい。
【0096】
複数のリフトピン12Aがリフト上位置に位置する状態で、センターロボット32から基板Wがリフトピン12Aの先端に載置される。ここでは、基板Wのデバイス面Waが鉛直上方を向く姿勢で複数のリフトピン12Aの先端に載置される。複数のリフトピン12Aがリフト下位置に下降することで、基板Wがホットプレート11Aの上に載置される。ホットプレート11Aは基板Wを加熱する。これにより、基板Wのデバイス面Wa上の塗膜F2が乾燥し、デバイス面Wa上に保護膜F1が形成される。
【0097】
<冷却ユニット10B>
冷却ユニット10Bは、冷却部の一例である冷却プレート11Bと、3つ以上のリフトピン12Bとを含んでいる。冷却プレート11Bは、金属などの板状プレートと、該板状プレートに内蔵されたペルチェ素子などの冷却源とを含む。リフトピン12Bは冷却プレート11Bを鉛直方向に沿って貫通し、リフト上位置とリフト下位置との間で昇降可能に設けられている。リフト上位置は、リフトピン12Bの先端が冷却プレート11Bの上面よりも鉛直上方となる位置である。リフト下位置は、リフトピン12Bの先端が冷却プレート11Bの上面よりも鉛直下方となる位置である。リフトピン12Bを昇降させるピン昇降機構は、リフトピン12Aを昇降させるピン昇降機構と同様である。
【0098】
複数のリフトピン12Bがリフト上位置に位置する状態で、センターロボット32から基板Wがリフトピン12Bの先端に載置される。複数のリフトピン12Bがリフト下位置に下降することで基板Wが冷却プレート11Bの上に載置される。冷却プレート11Bは基板Wを冷却する。これにより、基板Wの温度を速やかに低下させることができる。
【0099】
<保護膜形成処理>
次に、塗布ユニット20Aおよびドライ処理ユニット10による保護膜形成処理の具体的な一例について述べる。
図8は、保護膜形成処理の具体的な一例を示すフローチャートである。まず、センターロボット32が基板Wを塗布ユニット20Aに搬入する(ステップS11)。基板保持部21Aは、搬入された基板Wを保持する。
【0100】
次に、塗布ユニット20Aが基板Wのデバイス面Waに塗布液を供給して、塗膜F2を形成する(ステップS12)。具体的には、まず、ノズル移動機構25Aが塗布ノズル22Aを塗布位置に移動させ、ガード昇降機構26Aがガード23Aをガード処理位置に上昇させる。次に、塗布ユニット20A(具体的には制御部90)は、バルブ222Aを開いて、塗布ノズル22Aから所定量の塗布液を基板Wのデバイス面Waに吐出させる。塗布液は例えばSOGである。なお、塗布液の供給時には、基板保持部21Aは基板Wを回転させてもよく、あるいは、基板Wを静止させていても良い。次に、基板保持部21Aは基板Wを回転させて、塗布液を基板Wのデバイス面Waの全面に広げる。
【0101】
次に、基板保持部21Aは基板Wの回転を継続して、基板W上の塗布液を乾燥させて塗膜F2を形成する(ステップS13)。塗膜F2が形成されると、基板保持部21Aは基板Wの回転を停止させ、基板Wの保持を解除する。また、ノズル移動機構25は塗布ノズル22Aを塗布待機位置に移動させ、ガード昇降機構26Aはガード23Aをガード待機位置に下降させる。
【0102】
次に、センターロボット32は基板Wを塗布ユニット20Aから搬出し、ドライ処理ユニット10に搬入する(ステップS14)。具体的には、熱処理ユニット10Aのリフトピン12Aは、リフト上位置に上昇した状態で、センターロボット32から基板Wを受け取り、リフト下位置に下降する。これにより、ホットプレート11Aの上に基板Wが載置される。
【0103】
次に、ホットプレート11Aは基板Wを加熱する(ステップS15)。これにより、基板Wの塗膜F2が加熱されて保護膜F1が形成される。保護膜F1は、例えば、SOG膜である。
【0104】
次に、室内搬送ユニット10Cが基板Wを熱処理ユニット10Aから冷却ユニット10Bに搬送する。具体的には、まず、リフトピン12Aが上昇して基板Wを持ち上げ、室内搬送ユニット10Cが基板Wを取り出す。室内搬送ユニット10Cは、該基板Wを、リフト上位置に位置する冷却ユニット10Bのリフトピン12Bの先端に載置する。リフトピン12Bは基板Wを載置したままリフト下位置まで下降して、冷却プレート11Bの上に基板Wを載置する。
【0105】
次に、冷却ユニット10Bが基板Wを冷却する(ステップS16)。これにより、基板Wの温度を速やかに低下させることができる。次に、室内搬送ユニット10Cが基板Wを冷却ユニット10Bから熱処理ユニット10Aに搬送し、センターロボット32が基板Wをドライ処理ユニット10から搬出する(ステップS17)。センターロボット32は該基板Wをベベルユニット20Bに搬入する。
【0106】
<ベベルユニット20B>
図9は、ベベルユニット20Bの構成の一例を概略的に示す図であり、
図10は、ベベルユニット20Bの構成の一例を概略的に示す平面図である。
図9および
図10の例では、ベベルユニット20Bは、基板保持部21Bと、ベベルノズル22Bと、ガード23Bとを含んでいる。
【0107】
<基板保持部21B>
基板保持部21Bは基板Wを水平姿勢で保持しつつ、基板Wを回転軸線Q1のまわりで回転させる。基板保持部21Bの具体的な構成の一例は基板保持部21Aと同様であるので、繰り返しの説明を避ける。
【0108】
<ベベルノズル22B>
図9および
図10の例では、複数のベベルノズル22Bが設けられている。図示の例では、複数のベベルノズル22Bは保持部材221Bによって一体に保持されている。複数のベベルノズル22Bは水平方向に並んで配置されており、保持部材221Bを鉛直方向に貫通した状態で、保持部材221Bによって保持される。
【0109】
図示の例では、複数のベベルノズル22Bは、ノズル移動機構222Bによって、ベベル処理位置とベベル待機位置との間で移動可能に設けられている。ベベル処理位置は、ベベルノズル22Bが基板Wに向かって流体を吐出する位置であり、基板Wと鉛直方向において対向する位置である。ベベル待機位置は、ベベルノズル22Bが基板Wに向かって流体を吐出しない位置であり、例えば、基板Wの端面よりも径方向外側の位置である。
図10の例では、ベベル処理位置で位置するベベルノズル22Bが実線で示され、ベベル待機位置で位置するベベルノズル22Bが二点鎖線で示されている。ベベルノズル22Bがベベル待機位置で停止した状態では、基板Wの搬出入時において、ベベルノズル22Bとセンターロボット32との物理的な衝突を回避することができる。
【0110】
図示の例では、ノズル移動機構222Bは保持部材221Bを移動させることにより、複数のベベルノズル22Bを一体で移動させる。図示の例では、ノズル移動機構222Bはアーム旋回機構を有しており、具体的には、アーム223Bと、支持柱224Bと、駆動部225Bとを含んでいる。アーム223Bは、水平方向に沿って延在する棒状形状を有しており、その先端が保持部材221Bに連結され、その基端が支持柱224Bに連結されている。支持柱224Bは鉛直方向に沿って延在する棒状形状を有しており、自身の中心軸線のまわりで回転可能に設けられている。駆動部225Bは例えばモータを含み、支持柱224Bを中心軸線のまわりで回転させる。これにより、支持柱224Bに連結されたアーム223Bが旋回し、アーム223Bに連結された複数のベベルノズル22Bが円弧状の移動経路を一体で移動する。支持柱224Bは、ベベルノズル22Bの移動経路上にベベル処理位置および待機位置が位置するように、設置される。
【0111】
複数のベベルノズル22Bがベベル処理位置で停止する状態では、複数のベベルノズル22Bは、基板Wの周縁に沿った周方向に並んで配列される(
図10参照)。
図10の例では、複数のベベルノズル22Bとして、4つのベベルノズル22Ba~22Bdが設けられている。4つのベベルノズル22Ba~22Bdは、基板Wの回転方向において、この順で設けられている。つまり、ベベルノズル22Baが最も上流側に位置し、ベベルノズル22Bdが最も下流側に位置する。なお、ここでいう上流側とは、少なくとも半周以内の位置をいう。つまり、ベベルノズル22Baは少なくともベベルノズル22Bdから半周以内の上流側に位置しており、好ましくは、4分の1周以内の上流側に位置しているとよい。つまり、ベベルノズル22Baおよびベベルノズル22Bdが回転軸線Q1に対してなす角度は、例えば、90度以下であるとよい。
【0112】
ここでは、ベベルノズル22Baは不活性ガスを吐出し、ベベルノズル22Bbは膜除去液(具体的には、フッ素を含む酸性薬液)を吐出し、ベベルノズル22Bcはリンス液を吐出し、ベベルノズル22Bdはアルカリ性薬液を吐出するものとする。
【0113】
ベベルノズル22Bbは供給管221Bbの下流端に接続され、供給管221Bbの上流端は膜除去液供給源223Bbに接続されている。供給管221Bbにはバルブ222Bbが設けられており、バルブ222Bbの開閉により、ベベルノズル22Bbからの膜除去液の吐出および吐出停止が切り替えられる。膜除去液は例えばフッ酸である。膜除去液は、保護膜F1を除去することができる。
【0114】
ベベルノズル22Bcは供給管221Bcの下流端に接続され、供給管221Bcの上流端はリンス液供給源223Bcに接続されている。供給管221Bcにはバルブ222Bcが設けられており、バルブ222Bcの開閉により、ベベルノズル22Bcからのリンス液の吐出および吐出停止が切り替えられる。リンス液としては、純水、温水、オゾン水、磁気水、還元水(水素水)、各種の有機溶剤(例えばIPA(イソプロピルアルコール))、機能水(二酸化炭素水など)、などが用いられてもよい。リンス液は、基板W上の薬液(例えば、膜除去液およびアルカリ性薬液)を押し流して基板Wから除去する。
【0115】
ベベルノズル22Bdは供給管221Bdの下流端に接続され、供給管221Bdの上流端はアルカリ性薬液供給源223Bdに接続されている。供給管221Bdにはバルブ222Bdが設けられており、バルブ222Bdの開閉により、ベベルノズル22Bdからのアルカリ性薬液の吐出および吐出停止が切り替えられる。なお、本実施の形態では、アルカリ性薬液は用いられないものとする。
【0116】
ベベルノズル22Baは供給管221Baの下流端に接続され、供給管221Baの上流端はガス供給源223Baに接続されている。供給管221Baにはバルブ222Baが設けられており、バルブ222Baの開閉により、ベベルノズル22Baからの不活性ガスの吐出および吐出停止が切り替えられる。不活性ガスは、例えば、アルゴンガスなどの希ガスおよび窒素ガスの少なくともいずれか一方を含む。ベベルノズル22Baからの不活性ガスは、後に述べるように、基板Wの周縁部上の薬液(例えば膜除去液)を径方向外側に吹き飛ばす。
【0117】
<ガード23B>
ガード23Bは、基板保持部21Bを囲む筒状の形状を有しており、基板Wの端面から飛散した処理液を受け止める。
図9の例では、ガード23Bは、底部材231B、内ガード232B、および、外ガード233Bを含んでいる。
【0118】
内ガード232Bおよび外ガード233Bは、基板保持部21Bを取り囲む筒状の形状を有しており、外ガード233Bは内ガード232Bよりも径方向外側に設けられる。
【0119】
内ガード232Bの上側部分(以下、上側傾斜部と呼ぶ)は、鉛直上方に向かうにつれて回転軸線Q1に向かう斜め上方に沿って延在する。内ガード232Bの下側部分は、上側傾斜部の下端のうち内側部分から鉛直下方に沿って延在する筒状の内周壁部と、上側傾斜部の下端の外側部分から鉛直下方に沿って延在する筒状の外周壁部とを含む。
【0120】
外ガード233Bの上側部分(以下、上側傾斜部と呼ぶ)は、鉛直上方に向かうにつれて回転軸線Q1に向かう斜め上方に沿って延在する。外ガード233Bの上側傾斜部は内ガード232Bの上側傾斜部よりも鉛直上方に位置し、内ガード232Bの上側傾斜部と鉛直方向において対向している。外ガード233Bの下側部分は、外ガード233Bの上側傾斜部の下端から鉛直下方に沿って延在しており、内ガード232Bの外周壁部よりも径方向外側に位置している。
【0121】
内ガード232Bおよび外ガード233Bは後述のガード昇降機構234Bによって、後述のガード処理位置とガード待機位置との間で昇降可能に設けられる。ガード昇降機構234Bは、内ガード232Bと外ガード233Bとが互いにぶつからないように、内ガード232Bおよび外ガード233Bを昇降させる。ガード昇降機構234Bの具体的な構成の一例はガード昇降機構26Aと同様である。
【0122】
ガード処理位置は、内ガード232Bおよび外ガード233Bの各々の上端周縁が、基板保持部21Bによって保持された基板Wの上面よりも鉛直上方となる位置である。
図9の例では、ガード処理位置に位置する内ガード232Bおよび外ガード233Bが示されている。ガード待機位置は、内ガード232Bおよび外ガード233Bの各々の上端周縁が、例えば、基板保持部21Bのベース211Bの上面よりも鉛直下方となる位置である。内ガード232Bおよび外ガード233Bの両方がガード待機位置で停止した状態では、基板Wの搬出入時において、内ガード232Bおよび外ガード233Bと、センターロボット32との物理的な衝突を避けることができる。
【0123】
内ガード232Bおよび外ガード233Bの両方がガード処理位置で停止している状態では、基板Wの周縁から飛散した処理液は内ガード232Bの内周面で受け止められる。そして、処理液は、内ガード232Bの内周面に沿って流下する。該処理液は後述のように底部材231Bによって受け止められる。外ガード233Bのみがガード処理位置で停止している状態では、処理液は外ガード233Bの内周面で受け止められる。そして、処理液は、内ガード232Bの外周壁部の下部と外ガード233Bの下部との隙間から排出される。
【0124】
底部材231Bは、内ガード232Bおよび外ガード233Bよりも鉛直下方に設けられる。底部材231Bは、内ガード232Bの内周面を鉛直下方に流下する処理液を受け止める部材である。底部材231Bは、内周壁部と、内周壁部よりも外側に設けられた外周壁部と、内周壁部の下端と外周壁部の下端とを連結する円環底部とを含む。
図9の例では、底部材231Bの外周壁部は、内ガード232Bの内周壁部と外周壁部との間に収容される。
【0125】
底部材231Bの円環底部には、不図示の排液溝が形成される。この排液溝は、工場の排液ラインと接続される。また、この排液溝には、溝内を強制的に排気して、底部材231Bの内側壁部と外周壁部との間の空間を負圧状態とする排気液機構が接続される。
【0126】
<表面保護部24B>
ところで、ベベルノズル22Bから吐出された処理液は、基板Wの上面の目標着液位置の近傍の着液位置P1で着液し、基板Wの回転による遠心力を受けて、主として径方向外側に向かって流れる。しかしながら、処理液の一部は基板Wの上面において径方向内側に膨らんで流れる可能性もある。保護ベベル処理(ステップS2)において、膜除去液の一部が保護膜F1の上面を基板Wの中心側に移動すると、中心側の保護膜F1も除去されてしまい、基板Wのデバイス面Waの中央領域Wa2の一部が露出し得る。この場合、保護膜F1は適切にデバイス面Waの中央領域Wa2を保護できない。
【0127】
そこで、
図9および
図10の例では、基板Wへの中心側への処理液の移動を抑制するために、ベベルユニット20Bに表面保護部24Bが設けられている。表面保護部24Bは、基板Wの保護膜F1の中央部に向かってガスを吐出する。該ガスは基板Wの中央部に衝突し、基板Wの中央部から径方向外側に向かって全方位的に流れる。このように、ガスが基板Wの中心部から径方向外側に向かって流れることにより、ガスは基板W上の処理液を径方向外側に押圧する。このため、基板W上での処理液の径方向内側への移動を抑制することができる。該ガスとしては、例えば、不活性ガスを採用することができる。不活性ガスは、例えば、アルゴンガスなどの希ガスおよび窒素ガスの少なくともいずれか一方を含む。
【0128】
図9の例では、表面保護部24Bは、基板保持部21Bによって保持された基板Wよりも鉛直上方に設けられており、ガスノズル241B、円柱部材242Bおよび遮断板243Bを有するヘッド244Bと、ガスノズル移動機構27Bとを含んでいる。円柱部材242Bは、その中心軸線が鉛直方向に沿う姿勢で設けられている。遮断板243Bは、円柱部材242Bの下面に取り付けられる。遮断板243Bは円板形状を有しており、その下面は水平面に沿う。遮断板243Bの直径は円柱部材242Bの直径よりも大きい。ガスノズル241Bは円柱部材242Bおよび遮断板243Bを鉛直方向に貫通しており、ガスノズル241Bの下端は遮断板243Bの下面において開口している。当該開口は、ガスノズル241Bの吐出口である。
【0129】
ガスノズル241Bの上側の開口は供給管245Bの下流端に接続され、供給管245Bの上流端はガス供給源248Bに接続されている。ガス供給源248Bからの不活性ガスは供給管245Bを通じてガスノズル241Bに供給され、ガスノズル241Bから吐出される。供給管245Bには、ガス供給源248B側から順に流量調整器247Bおよびバルブ246Bが設けられている。流量調整器247Bは供給管245Bを流れるガスの流量を調整する。バルブ246Bの開閉により、ガスノズル241Bからのガスの吐出および吐出停止が切り替えられる。
【0130】
ガスノズル移動機構27Bはヘッド244Bをガス処理位置とガス待機位置との間で移動させる。ガス処理位置は、ガスノズル241Bがガスを吐出するときの位置であり、例えば、ガスノズル241Bが基板Wの中心部と鉛直方向において対向する位置である。ガス待機位置は、ガスノズル241Bがガスを吐出しないときの位置であり、例えば、基板Wの端面よりも径方向外側の位置である。ヘッド244Bがガス待機位置で停止した状態では、基板Wの搬出入時において、ヘッド244Bとセンターロボット32との物理的な衝突を避けることができる。ガスノズル移動機構27Bは、例えば、ノズル移動機構222Bと同様のアーム旋回機構を有する。
【0131】
<加熱部25B>
膜除去液による処理速度は温度に依存する場合がある。例えば、フッ素を含む酸性薬液である膜除去液に対しては、処理速度を高めるために、基板Wの温度をある程度上昇させることが望ましい。そこで、
図9の例では、ベベルユニット20Bに加熱部25Bが設けられている。加熱部25Bは、基板保持部21Bによって保持された基板Wの基板周縁部VW1と対向する位置に設けられており、基板周縁部VW1を加熱する。これにより、膜除去液による処理速度を向上させることができる。加熱部25Bは輻射熱により基板Wを加熱してもよく、あるいは、高温流体(例えば高温ガス)を基板Wに供給して基板Wを加熱してもよい。ここでは、加熱部25Bは輻射熱および高温ガスの両方で基板Wを加熱する。
【0132】
図11は、加熱部25Bの構成の一例を概略的に示す平面図である。
図11の例では、加熱部25Bは、ヒーター251Bと、ヒーター251Bの内部を流路の一部とするガス供給部255Bとを含む。
【0133】
ヒーター251Bは、円環状の板状形状を有している。
図9も参照して、ヒーター251Bは、基板Wの下面(つまり、非デバイス面Wb)のうち基板保持部21Bの上面が当接していない部分と非接触で対向するように、基板保持部21Bのまわりに環状に配設されている。ヒーター251Bの対向面(上面)は、例えば、基板Wの非デバイス面Wbと平行である。ヒーター251Bの対向面は基板Wの非デバイス面Wbと、例えば、2mm~5mm程度の距離を隔てて対向している。
【0134】
ヒーター251Bは、例えば、炭化ケイ素(SiC)またはセラミックス製の本体部252Bに、発熱体(例えば、ニクロム線などの抵抗発熱体)253Bが内蔵された抵抗式のヒーターである。本体部252Bは円環状の板状形状を有しており、本体部252Bの上面がヒーター251Bの上面(対向面)に相当し、本体部252Bの下面がヒーター251Bの下面に相当する。発熱体253Bは、平面視において、円環状かつ帯状の配列領域内に設けられる。発熱体253Bが発熱することにより、本体部252Bが加熱されて昇温する。高温の本体部252Bは輻射熱により基板Wの基板周縁部VW1を加熱することができる。
【0135】
図11の例では、本体部252Bの内部には加熱用流路254Bが形成されている。加熱用流路254Bは、発熱体253Bよりも鉛直下方において水平面内で配策された水平流路を含んでいる。水平流路の一部は、平面視において、発熱体253Bよりも径方向内側および径方向外側の各々の領域にも配策される。加熱用流路254Bは、さらに、水平流路から鉛直下方に延在して本体部252Bの下面において開口する上流流路と、水平流路のうち発熱体253Bよりも径方向内側および径方向外側の各々から鉛直上方に分岐して延在し、本体部252Bの上面において複数の吐出口25Baとして開口する複数の下流流路とを有する。
【0136】
図9も参照して、加熱用流路254Bの上流口は供給管256Bの下流端に接続され、供給管256Bの上流端はガス供給源259Bに接続されている。ガス供給源259Bからのガス(例えば不活性ガス)は供給管256Bおよび加熱用流路254Bを通じて吐出口25Baから吐出され、基板Wの非デバイス面Wbの周縁領域に向かって流れる。ガスが本体部252Bの内部の加熱用流路254Bを流れることにより、ガスは本体部252Bから熱を受け取って加熱される。その高温ガスが吐出口25Baから基板Wの非デバイス面Wbに向かって流れ、高温ガスが基板Wを加熱する。供給管256Bには、バルブ257Bおよび流量調整器258Bが設けられている。バルブ257Bの開閉により、加熱用流路254Bの吐出口25Baからの高温ガスの吐出および吐出停止が切り替えられる。流量調整器258Bはガスの流量を調整する。
【0137】
<バックサイドベベル>
図9および
図11の例では、ベベルユニット20Bには、裏面用のベベルノズル26Bも設けられている。ベベルノズル26Bは、基板Wの非デバイス面Wbの周縁領域に向かって処理液を吐出する。ベベルノズル26Bは、基板保持部21Bによって保持された基板Wの非デバイス面Wbよりも鉛直下方において、基板Wの非デバイス面Wbの周縁領域と鉛直方向において対向する位置に設けられている。このようなベベルノズル26Bは、基板保持部21Bよりも径方向外側に位置している。
【0138】
図11の例では、ヒーター251Bには凹部25Bbが形成されている。凹部25Bbは径方向内側に凹み、かつ、鉛直方向に沿ってヒーター251Bを貫通している。ベベルノズル26Bは凹部25Bbに設けられている。
【0139】
図9および
図11の例では、2つのベベルノズル26Bが設けられている。一方のベベルノズル26Bは供給管261Bの下流端に接続され、供給管261Bの上流端は膜除去液供給源263Bに接続されている。膜除去液供給源263Bからの膜除去液は供給管261Bを通じてベベルノズル26Bに供給され、ベベルノズル26Bの吐出口から基板Wの非デバイス面Wbの周縁領域に向かって吐出される。供給管261Bにはバルブ262Bが設けられている。バルブ262Bの開閉により、ベベルノズル26Bからの膜除去液の吐出および吐出停止が切り替えられる。
【0140】
他方のベベルノズル26Bは供給管265Bの下流端に接続され、供給管265Bの上流端はリンス液供給源268Bに接続されている。リンス液供給源268Bからのリンス液は供給管265Bを通じてベベルノズル26Bに供給され、ベベルノズル26Bの吐出口から基板Wの非デバイス面Wbの周縁領域に向かって吐出される。供給管265Bにはバルブ266Bが設けられている。バルブ266Bの開閉により、ベベルノズル26Bからのリンス液の吐出および吐出停止が切り替えられる。
【0141】
<保護ベベル処理>
図12は、保護ベベル処理の具体的な一例を示すフローチャートである。まず、センターロボット32が基板Wをベベルユニット20Bに搬入する(ステップS21)。基板保持部21Bは、搬入された基板Wを保持する。
【0142】
次に、基板保持部21Bが基板Wを回転軸線Q1のまわりで回転させる(ステップS22)。また、ノズル移動機構222Bがベベルノズル22Bをベベル処理位置に移動させ、ベベルユニット20B(より具体的には制御部90)がバルブ257Bおよびバルブ222Baを開いてガスノズル241Bおよびベベルノズル22Baからガスを吐出させる(ステップS23)。また、加熱部25Bが基板Wの周縁部を加熱する(ステップS24)。具体的には、ベベルユニット20Bが発熱体への通電を開始し、バルブ257Bを開く。また、ガード昇降機構234Bは、内ガード232Bおよび外ガード233Bのうち膜除去液に対応したガードをガード処理位置に上昇させる。
【0143】
次に、ベベルユニット20Bはバルブ222Bbおよびバルブ262Bを開いて、ベベルノズル22Bbおよびベベルノズル26Bから膜除去液を吐出させる(ステップS25)。ベベルノズル22Bbから吐出された膜除去液は着液位置P1で保護膜F1の上面に着液し、保護膜F1の上面を径方向外側に流れ、その一部は基板Wの周縁から飛散する(
図6(b)も参照)。このとき、膜除去液が保護膜F1の保護周縁部VF1に作用し、保護周縁部VF1を除去することができる。
【0144】
保護膜F1上の膜除去液の残りの一部は保護周縁部VF1上に残留し、基板Wの回転と共に回転軸線Q1のまわりを周回する。ここでは、ベベルノズル22Bbよりも上流側に設けられたベベルノズル22Baからガスが吐出されている。該ガスは、保護周縁部VF1上に残留してほぼ1周した膜除去液を、径方向外側に向かって吹き飛ばす。つまり、着液位置P1に着液して回転軸線Q1のまわりをほぼ1周した古い膜除去液は、ベベルノズル22Baからのガスによって吹き飛ばされる。したがって、着液位置P1には古い膜除去液はほとんど到達しない。このため、新しい膜除去液が着液位置P1において古い膜除去液と衝突することを抑制できる。したがって、着液位置P1において膜除去液が過剰となって径方向内側に膨らむことを抑制することができる。なお、ベベルノズル22Baからのガスが基板Wの上面に衝突する位置は、ベベルノズル22Bbからの膜除去液の着液位置P1よりも径方向内側である。これにより、ガスが膜除去液よりも径方向内側から径方向外側に流れて、膜除去液をより確実に径方向外側に吹き飛ばすことができる。
【0145】
ベベルノズル26Bから吐出された膜除去液は基板Wの非デバイス面Wb上の着液位置に着液し、非デバイス面Wbを径方向外側に流れ、基板Wの周縁から飛散する(
図6(b)も参照)。このとき、膜除去液は、非デバイス面Wbに付着した保護膜F1と同じ物質を除去することができる。
【0146】
なお、
図9および
図11では省略しているものの、ベベルノズル22Baと同様に、ガスを吐出するベベルノズル26Bが設けられてもよい。ガス用のベベルノズル26Bは、膜除去液用のベベルノズル26Bよりも基板Wの回転方向の上流側に設けられており、ガスを吐出する。該ガスは、非デバイス面Wbに残留して周回した古い膜除去液を径方向外側に吹き飛ばす。このため、非デバイス面Wbの着液位置において膜除去液が過剰となることを抑制できる。もし非デバイス面Wbの着液位置において膜除去液が過剰になると、該膜除去液が基板Wの端面を回り込んで保護膜F1の上面に到達し、保護膜F1上の膜除去液を基板Wの中心側へと押し流し得るところ、そのような押し出しを抑制することができる。
【0147】
また、ここでは、加熱部25Bが基板Wの基板周縁部VW1を加熱しているので、その上層の保護周縁部VF1の温度も上昇させることができる。このため、保護周縁部VF1上の膜除去液の温度低下を抑制することができ、より高い処理速度で膜除去液が保護周縁部VF1を除去することができる。このため、高い処理速度で保護周縁部VF1を除去することができる。なお、ベベルノズル22Bcからのリンス液の着液位置は、ベベルノズル22Bbからの膜除去液の着液位置P1よりも径方向内側である。これにより、リンス液が膜除去液を適切に押し流すことができる。ベベルノズル26Bについても同様である。
【0148】
保護周縁部VF1が十分に除去されると、ベベルユニット20Bはバルブ222Bbおよびバルブ262Bを閉じて、膜除去液の供給を停止する。より具体的には、膜除去液の供給からの経過時間が第1所定時間以上となったときに、ベベルユニット20Bはバルブ222Bbおよびバルブ262Bを閉じる。経過時間は制御部90内の公知のタイマー回路によって測定される。
【0149】
次に、ガード昇降機構234Bが必要に応じてガード23Bの昇降状態を変更する。つまり、リンス液用のガードが膜除去液用のガードと相違するときには、ガード昇降機構234Bはリンス液に対応したガードをガード処理位置に上昇させる。
【0150】
次に、ベベルユニット20Bはバルブ222Bcおよびバルブ266Bを開いて、ベベルノズル22Bcおよびベベルノズル26Bからリンス液を吐出させる(ステップS26)。基板Wの表面に着液したリンス液は、基板Wの回転に伴う遠心力を受けて、径方向外側に流れ、基板Wの端面から外側に飛散する。これにより、基板Wの表面の膜除去液をリンス液で径方向外側に押し流すことができる。つまり、基板Wの表面上の膜除去液をリンス液に置換することができる。
【0151】
膜除去液が十分にリンス液に置換されると、ベベルユニット20Bはバルブ222Bcおよびバルブ266Bを閉じて、リンス液の供給を停止する。より具体的には、リンス液の供給からの経過時間が第2所定時間以上となったときに、ベベルユニット20Bはバルブ222Bcおよびバルブ266Bを閉じる。
【0152】
次に、基板Wを乾燥させる(ステップS27)。具体的な一例として、基板保持部21Bは基板Wの回転速度を高めて、基板Wを高速で回転させる(いわゆるスピンドライ)。
【0153】
次に、ベベルユニット20Bがバルブ222Baおよびバルブ257Bを閉じ、ノズル移動機構222Bが複数のベベルノズル22Bをベベル待機位置に移動させ、加熱部25Bが加熱動作を停止し、基板保持部21Bが基板Wの回転を停止させ、基板Wの保持を解除する。次に、センターロボット32が基板Wをベベルユニット20Bから搬出する(ステップS28)。センターロボット32は該基板Wを洗浄ユニット20Cに搬入する。
【0154】
<洗浄ユニット20C>
図13は、洗浄ユニット20Cの構成の一例を概略的に示す図である。洗浄ユニット20Cは、基板保持部21Cと、洗浄ノズル22Cと、ガード23Cとを含んでいる。
【0155】
基板保持部21Cは基板Wを水平姿勢で保持し、基板Wを回転軸線Q1のまわりで回転させる。
図13の例では、基板保持部21Cは、スピンベース211Cと、複数(3個以上)のチャックピン212Cと、回転機構213Cとを含む。スピンベース211Cは円板形状を有し、その厚み方向が鉛直方向に沿う水平姿勢で設けられている。円板形状のスピンベース211Cの外径は、基板保持部21に保持される円形の基板Wの径よりも若干大きい(
図13を参照)。よって、スピンベース211Cは、保持すべき基板Wの下面(つまり、非デバイス面Wb)の全面と鉛直方向において対向する上面を有している。
【0156】
図13の例では、スピンベース211Cの上面の周縁部には複数のチャックピン212Cが立設されている。複数のチャックピン212Cは、円形の基板Wの周縁に対応する円周上に沿って等間隔に配置される。各チャックピン212Cは、基板Wの周縁に当接する保持位置と、基板Wの周縁から離れた開放位置との間で駆動可能に設けられている。複数のチャックピン212Cは、スピンベース211C内に収容された図示省略のリンク機構によって連動して駆動される。基板保持部21Cは、複数のチャックピン212Cをそれぞれの保持位置で停止させることにより、基板Wをスピンベース211Cの上方で上面に近接した水平姿勢にて保持することができるとともに、複数のチャックピン212Cをそれぞれの開放位置で停止させることにより、基板Wの保持を解除することができる。
【0157】
回転機構213Cは、スピンベース211Cを回転軸線Q1のまわりで回転させる。これにより、複数のチャックピン212Cに保持された基板Wも回転軸線Q1のまわりで回転する。回転機構213Cの構成の一例は回転機構212Aと同様である。
【0158】
なお、基板保持部21Cは必ずしもチャックピン212Cを含んでいる必要はなく、例えば、基板保持部21A,21Bと同様に、基板Wを吸着保持してもよい。
【0159】
洗浄ノズル22Cは基板Wに向かって処理液を吐出して、基板Wに処理液を供給する。洗浄ノズル22Cは供給管221Cの下流端に接続され、供給管221Cの上流端は処理液供給源223Cに接続される。処理液供給源223Cからの処理液は供給管221Cを通じて洗浄ノズル22Cに供給され、洗浄ノズル22Cの吐出口22cから吐出される。供給管221Cにはバルブ222Cが設けられている。バルブ222Cの開閉は、洗浄ノズル22Cからの処理液の吐出および吐出停止を切り替える。
【0160】
洗浄ユニット20Cは、複数種の処理液が供給されるように構成される。より具体的には、洗浄ユニット20Cは、異物除去液および膜除去液を選択的に供給可能である。例えば、異物除去液および膜除去液をそれぞれ吐出する2つの洗浄ノズル22Cが設けられてもよい。
【0161】
図13の例では、洗浄ノズル22Cはノズル移動機構25Cによって洗浄処理位置と洗浄待機位置との間で移動可能に設けられている。洗浄処理位置は、洗浄ノズル22Cが基板Wに向かって処理液を吐出する位置であり、例えば、基板Wの中央部と鉛直方向において対向する位置である。洗浄待機位置は、洗浄ノズル22Cが処理液を基板Wに向かって吐出しないときの位置であり、例えば、基板Wの端面よりも径方向外側の位置である。洗浄ノズル22Cが処理待機位置で停止する状態では、基板Wの搬出入時において、洗浄ノズル22Cとセンターロボット32との物理的な衝突を回避することができる。ノズル移動機構25Cは、例えば、ノズル移動機構222Bと同様のアーム旋回機構を有する。
【0162】
図13の例では、洗浄ユニット20Cには固定ノズル24Cも設けられている。固定ノズル24Cは、基板保持部21Cによって保持された基板Wよりも鉛直上方かつ基板Wの端面よりも径方向外側に設けられている。固定ノズル24Cは供給管241Cの下流端に接続され、供給管241Cの上流端はリンス液供給源243Cに接続されている。リンス液供給源243Cからのリンス液は供給管241Cを通じて固定ノズル24Cに供給され、固定ノズル24Cの吐出口から基板Wの上面(つまり、デバイス面Wa)に向かって吐出される。供給管241Cにはバルブ242Cが設けられている。バルブ242Cの開閉により、固定ノズル24Cからのリンス液の吐出および吐出停止が切り替えられる。
【0163】
ガード23Cは、基板Wの端面から飛散する処理液を受け止めるための部材である。ガード23Cは、基板保持部21Cを囲む筒状形状を有しており、例えば、互いに独立して昇降可能な複数のガードを含む。
図13の例では、複数のガード23Cとして内ガード231C、中ガード232Cおよび外ガード233Cが示されている。各ガード231C~233Cは、基板保持部21Cの周囲を取り囲み、回転軸線Q1に対してほぼ回転対称となる形状を有する。
【0164】
ガード23Cの機能はガード23Bと同様であり、内ガード231C、中ガード232Cおよび外ガード233Cは、互いに異なる種類の処理液を受け止めるための部材である。
図13に例示されたガード23Cの具体的な形状はガード23Bと相違するものの、ガード23Cの形状自体は本実施の形態の本質ではないので、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0165】
ガード231C~233Cはガード昇降機構26Cによって昇降可能である。ガード昇降機構26Cはガード231C~233Cが互いに衝突しないように、それぞれのガード処理位置とガード待機位置との間でガード231C~233Cを昇降させる。
図13の例では、ガード待機位置に位置しているガード231C~233Cが実線で示され、ガード処理位置に位置しているガード231C~233Cの一部が二点鎖線で示されている。ガード昇降機構26Cの構成の一例はガード昇降機構234Bと同様である。
【0166】
<基板ベベル処理および保護膜除去処理>
図14は、基板ベベル処理(ステップS3)および保護膜除去処理(ステップS4)の具体的な一例を示すフローチャートである。まず、センターロボット32が基板Wを洗浄ユニット20Cに搬入する(ステップS31)。基板保持部21Cは、搬入された基板Wを保持する。
【0167】
次に、基板保持部21Cは基板Wを回転させる(ステップS32)。また、ガード昇降機構26Cは、ガード231C~233Cのうち異物除去液に対応したガードをガード処理位置に上昇させる。
【0168】
次に、洗浄ユニット20Cは基板Wの基板周縁部VW1に異物除去液を供給する(ステップS33)。具体的には、ノズル移動機構25Cが洗浄ノズル22Cを洗浄処理位置に移動させ、洗浄ユニット20C(より具体的には、制御部90)が異物除去液に対応したバルブ222Cを開いて、洗浄ノズル22Cの吐出口22cから異物除去液を吐出させる。異物除去液は、例えば、高温のSPMである。異物除去液は保護膜F1の上面に着液し、基板Wの回転に伴う遠心力を受けて保護膜F1の上面を径方向外側に流れ、続けて、基板Wの周縁領域Wa1を流れる(
図6(c)も参照)。これにより、異物除去液は基板Wの周縁領域Wa1の異物M1に作用し、異物M1を除去することができる。なお、異物除去液は基板Wの端面を回り込んで、基板Wの非デバイス面Wbの周縁領域にも到達し得る。この場合、異物除去液は、基板Wの端面および非デバイス面Wbの周縁領域の異物M1を除去することもできる。
【0169】
異物M1が十分に除去されると、洗浄ユニット20Cは、異物除去液に対応したバルブ222Cを閉じる。より具体的には、異物除去液の供給からの経過時間が第3所定時間以上となったときに、洗浄ユニット20Cは、異物除去液に対応したバルブ222Cを閉じる。
【0170】
次に、ガード昇降機構26Cが必要に応じて、ガード23Cの昇降状態を変更する。つまり、リンス液用のガードが異物除去液用のガードと異なる場合には、ガード昇降機構26Cがリンス液に対応したガードをガード処理位置に上昇させる。
【0171】
次に、洗浄ユニット20Cは基板Wにリンス液を供給する(ステップS34)。具体的な一例として、洗浄ユニット20Cはバルブ242Cを開いて固定ノズル24Cの吐出口からリンス液を吐出させる。リンス液は保護膜F1の上面の中央部に着液し、保護膜F1の上面を径方向外側に流れる。リンス液は、続けて基板Wの周縁領域Wa1を流れて、基板Wの端面から飛散する。これにより、基板W上の異物除去液がリンス液によって押し流される。つまり、基板W上の異物除去液がリンス液に置換される。
【0172】
異物除去液が十分にリンス液に置換されると、洗浄ユニット20Cはバルブ242Cを閉じる。より具体的には、リンス液の供給からの経過時間が第4所定時間以上となったときに、洗浄ユニット20Cはバルブ242Cを閉じる。
【0173】
次に、ガード昇降機構26Cが必要に応じて、ガード23Cの昇降状態を変更する。つまり、膜除去液用のガードがリンス液用のガードと異なる場合には、ガード昇降機構26Cは、膜除去液に対応したガードをガード処理位置に上昇させる。
【0174】
次に、洗浄ユニット20Cは基板Wに膜除去液を供給する(ステップS41)。具体的には、洗浄ユニット20Cは、膜除去液に対応したバルブ222Cを開いて、洗浄ノズル22Cの吐出口22cから膜除去液を吐出させる。膜除去液は、例えば、フッ酸である。膜除去液は保護膜F1の上面の中央部に着液し、保護膜F1の上面を径方向外側に流れ、続けて基板Wの周縁領域Wa1を流れて、基板Wの端面から外側に飛散する(
図6(d)も参照)。このとき、膜除去液は基板W上の保護膜F1に作用して保護膜F1を除去する。
【0175】
保護膜F1が十分に除去されると、洗浄ユニット20Cは、膜除去液に対応したバルブ222Cを閉じる。より具体的には、膜除去液の供給からの経過時間が第5所定時間以上となったときに、洗浄ユニット20Cは、膜除去液に対応したバルブ222Cを閉じる。
【0176】
次に、ガード昇降機構26Cが必要に応じて、ガード23Cの昇降状態を変更する。つまり、リンス液用のガードが膜除去液用のガードと異なる場合には、ガード昇降機構26Cは、リンス液に対応したガードをガード処理位置に上昇させる。
【0177】
次に、洗浄ユニット20Cは基板Wにリンス液を供給する(ステップS42)。具体的な一例として、洗浄ユニット20Cはバルブ242Cを開いて固定ノズル24Cの吐出口からリンス液を吐出させる。リンス液は基板Wのデバイス面Waの中央部に着液し、デバイス面Waを径方向外側に流れて、基板Wの端面から外側に飛散する。これにより、基板W上の膜除去液がリンス液によって押し流される。つまり、基板W上の膜除去液がリンス液に置換される。
【0178】
膜除去液が十分にリンス液に置換されると、洗浄ユニット20Cはバルブ242Cを閉じる。より具体的には、リンス液の供給からの経過時間が第6所定時間以上となったときに、洗浄ユニット20Cはバルブ242Cを閉じる。また、ノズル移動機構25Cが洗浄ノズル22Cを洗浄待機位置へ移動させる。
【0179】
次に、洗浄ユニット20Cは基板Wを乾燥させる(ステップS43)。具体的な一例として、基板保持部21Cが基板Wの回転速度を高めて、基板Wを高速で回転させる(いわゆるスピンドライ)。基板Wが十分に乾燥すると、基板保持部21Cは基板Wの回転を停止させる。
【0180】
次に、基板保持部21Cが基板Wの保持を解除し、センターロボット32が基板Wを洗浄ユニット20Cから搬出する(ステップS44)。
【0181】
以上の動作により、基板処理装置100は基板Wの基板周縁部VW1を処理することができる。
【0182】
<変形例>
上述の例では、基板ベベル処理(ステップS3)において、洗浄ノズル22Cは基板Wの中央部に向かって異物除去液を吐出し、異物除去液を基板W上の保護膜F1の中央部に着液させている。しかしながら、必ずしもこれに限らない。異物除去液が基板Wの周縁領域Wa1に供給される限りにおいて、異物除去液の着液位置は適宜に変更してもよい。例えば、洗浄ノズル22Cは、保護膜F1の中心と保護膜F1の周縁との間の着液位置に向かって異物除去液を吐出してもよい。
【0183】
また、上述の例では、保護膜形成処理では、ウェット処理により保護膜F1を形成し、保護膜除去処理では、ウェット処理により保護膜F1を除去している。このため、安価なウェット処理ユニット20を用いることができる。しかしながら、例えば、コスト低減が要求されていなければ、保護膜F1の形成および除去の少なくともいずれか一方をドライ処理によって行ってもよい。
【0184】
また、上述の例では、基板処理装置100に塗布ユニット20A、熱処理ユニット10A、ベベルユニット20Bおよび洗浄ユニット20Cが設けられているものの、これらが異なる処理装置に分散して設けられてもよい。例えば、塗布ユニット20Aおよび熱処理ユニット10Aがコータ・デベロッパ(第1処理装置)に設けられ、ベベルユニット20Bおよび洗浄ユニット20Cがコータ・デベロッパとは別の第2処理装置に設けられてもよい。この場合、第1処理装置および第2処理装置の各々はロードポート111を含み、第1処理装置と第2処理装置との間において、複数の基板Wを収納したキャリアCを搬送する搬送装置が設けられる。
【0185】
ここで、課題を解決するための手段の欄の用語と、発明を実施するための形態の欄の用語との対応を説明する。基板の主面にSOG膜を含む保護膜を形成する工程であって、該主面の周縁部が保護膜で覆われておらず、該主面のうち周縁部より内側領域が保護膜で覆われるように保護膜を形成する第1工程は、例えば、ステップS2、あるいは、ステップS1およびステップS2の一組に相当する。硫酸と過酸化水素水との混合液を含む処理液により該周縁部上の残渣または残膜を除去する第2工程は、ステップS3に相当する。保護膜を除去する第3工程は、ステップS4に相当する。
【0186】
以上のように、基板処理装置100および基板処理方法は詳細に説明されたが、上記の説明は、全ての局面において、例示であって、これらがそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0187】
100 基板処理装置
21B,21C 基板保持部
22b,22c 吐出口
22B 第1ノズル(ベベルノズル)
22C 第2ノズル(洗浄ノズル)
W 基板