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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139606
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】空調制御システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/79 20180101AFI20230927BHJP
   F24F 13/072 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
F24F11/79
F24F13/072 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045213
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 和宏
(72)【発明者】
【氏名】山本 憲
【テーマコード(参考)】
3L080
3L260
【Fターム(参考)】
3L080AC01
3L260AB02
3L260AB15
3L260BA07
3L260BA08
3L260CB54
3L260FA03
3L260FA08
3L260FC14
3L260FC38
(57)【要約】
【課題】空調装置の負荷を低減しつつユーザに快適な空間を提供することができる空調制御システムを提供する。
【解決手段】空調制御システム400は、部屋80の天井81から離間して設置された気流発生装置100と、空調装置110と、制御装置200とを備え、気流発生装置100は、並列に配置された長尺状の一対のダクト10と、一対のダクト10のそれぞれの内部へ送風を行う送風機20とを備え、一対のダクト10のそれぞれには、天井81と反対側に当該ダクト10の長手方向に沿う長尺状の吹き出し口11であって、送風により空気が吹き出される吹き出し口11が設けられ、吹き出し口11から空気が吹き出されることにより、一対のダクト10の間の空間84において、上方空間83から下方空間85へと向かうダウンフローを発生させ、制御装置200は、気流発生装置100が稼働している場合、上方空間83に送風するように空調装置110を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の空間において天井から離間して設置された気流発生装置と、
空調装置と、
前記気流発生装置と前記空調装置とを制御する制御装置と、
を備え、
前記気流発生装置は、
並列に配置された長尺状の一対のダクトと、
前記一対のダクトのそれぞれの内部へ送風を行う送風機と、
を備え、
前記一対のダクトのそれぞれには、前記天井と反対側に当該ダクトの長手方向に沿う長尺状の吹き出し口であって、前記送風により空気が吹き出される吹き出し口が設けられ、
前記吹き出し口から前記空気が吹き出されることにより、前記一対のダクトの間の空間において、前記天井と前記気流発生装置との間の上方空間から前記気流発生装置の下方空間へと向かうダウンフローを発生させ、
前記制御装置は、
前記気流発生装置が稼働している場合、前記上方空間に送風するように前記空調装置を制御する、
空調制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記気流発生装置が稼働している場合、前記空調装置が冷房運転するとき、前記気流発生装置が稼働していない場合に比べて温度設定を上げるように前記空調装置を制御する、
請求項1に記載の空調制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記気流発生装置が稼働している場合、前記空調装置が暖房運転するとき、前記気流発生装置が稼働していない場合に比べて設定温度を下げるように前記空調装置を制御する、
請求項1又は2に記載の空調制御システム。
【請求項4】
さらに、照明装置を備え、
前記制御装置は、
前記気流発生装置が稼働している場合、前記空調装置が暖房運転しているとき、前記気流発生装置が稼働していない場合に比べて色温度を下げるように前記照明装置を制御し、前記空調装置が冷房運転しているとき、前記気流発生装置が稼働していない場合に比べて色温度を上げるように前記照明装置を制御する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の空調制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吹き出しボックス内に設けられた送風機が室内空間の空気を取り込んで、空調機からの空気と室内空間の空気とを混合して室内空間に向けて風を送り出すことで、気流を有効に活用することができるダクト式空調システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-178814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のダクト式空調システムは、建物の天井空間に設置され、天井面付近に滞留する室内空気を吸い込むため、天井面付近への室内空気の還流が滞ると適切に空調を行えない場合があり、ユーザに快適な空間を提供できないことがある。
【0005】
本発明は、空調装置の負荷を低減しつつユーザに快適な空間を提供することができる空調制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る空調制御システムは、所定の空間において天井から離間して設置された気流発生装置と、空調装置と、前記気流発生装置と前記空調装置とを制御する制御装置と、を備え、前記気流発生装置は、並列に配置された長尺状の一対のダクトと、前記一対のダクトのそれぞれの内部へ送風を行う送風機と、を備え、前記一対のダクトのそれぞれには、前記天井と反対側に当該ダクトの長手方向に沿う長尺状の吹き出し口であって、前記送風により空気が吹き出される吹き出し口が設けられ、前記吹き出し口から前記空気が吹き出されることにより、前記一対のダクトの間の空間において、前記天井と前記気流発生装置との間の上方空間から前記気流発生装置の下方空間へと向かうダウンフローを発生させ、前記制御装置は、前記気流発生装置が稼働している場合、前記上方空間に送風するように前記空調装置を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る空調制御システムは、空調装置の負荷を低減しつつユーザに快適な空間を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係る空調制御システムの概要を説明するための図である。
図2図2は、実施の形態に係る空調制御システムの構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態における気流発生装置の構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施の形態に係る空調制御システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0011】
(実施の形態)
[1.概要]
まず、実施の形態に係る空調制御システムの概要について説明する。図1は、実施の形態に係る空調制御システムの概要を説明するための図である。図2は、実施の形態に係る空調制御システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0012】
実施の形態に係る空調制御システム400は、部屋80などの所定の空間において空調装置110の負荷を低減しつつ適切な空調を行うことによりユーザに快適な空間を提供するシステムである。より具体的には、空調制御システム400では、空調装置110から気流発生装置100と天井81との間の空間(以下、上方空間83)へ送風された空調空気が気流発生装置100の一対のダクト10の間の空間84(図3参照)に誘引され、吹き出し口から吹き出される空気と混じり合い、気流発生装置100の下方空間85へ向かうダウンフローとして送出される。これにより、空調制御システム400は、空調装置110から送風された空調空気を部屋80内に効率的に行き渡らせることができる。したがって、空調制御システム400は、空調装置110の負荷を低減しながら適切な空調を行うことができるため、空調装置110の負荷を低減しつつユーザに快適な空間を提供することができる。
【0013】
空調制御システム400は、例えば、気流発生装置100と、空調装置110と、気流発生装置100と空調装置110とを制御する制御装置200とを備える。さらに、空調制御システム400は、照明装置120を備えてもよい。この場合、例えば、制御装置200は、空調装置110と照明装置120とを連携して制御してもよい。例えば、制御装置200は、空調装置110が冷房運転をしているときには、照明装置120による照明の色温度を上げ、空調装置110が暖房運転をしているときには、照明装置120による照明の色温度を下げるように制御してもよい。このように、空調制御システム400は、ユーザに対して、さらに、視覚的に温熱感を感じさせることにより、より効果的に、空調装置110の負荷を低減しつつ快適な空間を提供することができる。
【0014】
また、空調制御システム400は、さらに、部屋80内の温度などをセンシングするセンサ250を備えてもよい。この場合、例えば、制御装置200は、センサ250により取得されたセンシングデータに基づいて、気流発生装置100の設定温度、風速、及び、風量を調整してもよいし、気流発生装置100の気流発生量(風速、風量など)を調整してもよい。また、空調制御システム400がさらに照明装置120も連携して制御する場合は、制御装置200は、照明装置120による照明の色温度、及び、光量などを調整してもよい。
【0015】
このように、空調制御システム400は、センサ250により取得されたセンシングデータに基づいて、より適切な空調を行うことができる。
【0016】
[2.構成]
続いて、空調制御システム400の各構成について図1図3を参照しながらより具体的に説明する。図3は、実施の形態における気流発生装置100の構成の一例を示す図である。なお、空調装置110及び照明装置120については、一般的な装置であればよいため、説明を省略する。
【0017】
図2の例では、空調制御システム400は、気流発生装置100と、空調装置110と、照明装置120と、制御装置200と、センサ250と、情報端末300とを備えるが、あくまでも一例であり、この例に限定されない。空調制御システム400は、少なくとも、気流発生装置100と、空調装置110と、制御装置200とを備えていればよい。
【0018】
[気流発生装置]
気流発生装置100は、一対のダクト10と送風機20とを備える。一対のダクト10のそれぞれは、Y軸方向を長手方向とする長尺状である。一対のダクト10は、Y軸方向と交差するX軸方向に並んで配置される。つまり、一対のダクト10は、並列に配置される。一対のダクト10の間には、隙間が設けられている。一対のダクト10は、1つのXY平面上に配置されている。
【0019】
ダクト10は、より具体的には、中空の直方体状である。ダクト10の上面(Z軸マイナス側の面)及び2つの側面(X軸プラス側及びマイナス側の面)は、閉鎖されている。つまり、ダクト10の上面及び2つの側面には、開口が設けられていない。ダクト10は、例えば、樹脂材料によって形成されるが、アルミニウムなどの軽量の金属材料によって形成されてもよい。
【0020】
ダクト10の下面(Z軸プラス側の面)には、吹き出し口11が設けられている。吹き出し口11は、ダクト10の長手方向(Y軸方向)に沿う長尺状の開口であって、送風機20がダクト10の内部に送風を行うと、吹き出し口11からは、下方(Z軸プラス方向)へ空気が吹き出される。例えば、図3のIII-III断面線で示される断面図のように、吹き出し口11の幅(X軸方向の長さ)は、下方へ向かうほど狭くなる。吹き出し口11の幅は、例えば、下方へ向かうほど指数関数的に狭くなってもよい。
【0021】
ダクト10は、正面(Y軸プラス側)には開口が設けられていないが、背面(Y軸マイナス側)に送風機20から送風される空気がダクト10の内部へ送風される通気口(図1図3で不図示)が設けられている。通気口は、送風機20の筐体内部につながっており、送風機20は通気口を介して一対のダクト10のそれぞれの内部に送風を行う。送風機20の送風による空気の流れは、図3の破線矢印で示されている。
【0022】
続いて、送風機20について説明する。送風機20は、一対のダクト10の長手方向の一方の端部(Y軸マイナス側の端部)に位置し、一対のダクト10のそれぞれの内部へ送風を行う。送風機20は、例えば、部屋80の壁82の内部空間に設置される。送風機20は、壁82の下部に設けられた開口から、気流発生装置100によって下方空間85に吹き出された空気を吸引し、上方へ向けて送出する。送風機20は、ファン21と、配管22と、フィルタユニット23とを備える。ファン21は、高圧空気を発生させるための羽車(不図示)と羽車を駆動するモータ(不図示)とを含む。フィルタユニット23には、例えばHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタが内設されている。フィルタユニット23の正面(Y軸プラス側の面)は、一対のダクト10のそれぞれの背面側の通気口(不図示)と連通する送風口(不図示)が設けられる。フィルタユニット23の下方(Z軸プラス側)に開口(不図示)が設けられており、配管22と連結されている。フィルタユニット23の筐体は、例えば、樹脂材料によって形成されるが、アルミニウムなどの軽量の金属材料によって形成されてもよい。なお、ファン21の配置は一例である。ファン21は、一対のダクト10のそれぞれの内部へ空気を送り込むことができるのであれば、どのように配置されてもよい。
【0023】
以上説明したように、気流発生装置100は、送風機20の送風によって一対のダクト10のそれぞれの長手方向に沿う吹き出し口11から空気が吹き出されることにより、一対のダクト10の間の空間84に、一対のダクト10の上方空間83から空気が誘引され、当該空間84において誘引気流(図3の白拭き矢印)を発生する。気流発生装置100は、一対のダクト10のそれぞれの吹き出し口11から吹き出された空気(吹出気流)と誘引気流とで形成される面空気(ダウンフローという)を発生させる。
【0024】
なお、空間84は、周囲に比べて気圧が低い状態(陰圧状態)であるため、気圧が低い状態を解消しようとする力が働く。その結果、一対のダクト10の周囲の空気(ここでは、上方空間83に存在する空調空気)が空間84に引き寄せられる(誘引されるともいう)。空間84が陰圧状態になるのは、一対のダクト10に設けられた吹き出し口11から空気が吹き出されることにより、吹き出された空気(吹出気流)の周囲の空間の空気が吹出気流に引き寄せられるためである。
【0025】
[制御装置]
制御装置200は、気流発生装置100と空調装置110とを制御する制御装置である。制御装置200は、さらに、照明装置120を制御してもよい。また、制御装置200は、センサ250から取得したセンシングデータに基づいて、気流発生装置100、空調装置110、及び、照明装置120の制御を行ってもよい。また、制御装置200は、ユーザが使用する情報端末300により受け付けられたユーザの指示に従って動作してもよい。
【0026】
制御装置200は、例えば、部屋80内に配置された気流発生装置100及び空調装置110を制御するためのコントローラであってもよい。この場合、例えば、図1に示されるように、制御装置200は、壁82に設置されてもよい。制御装置200は、例えば、通信部210と、制御部220と、記憶部230と、受付部240とを備える。
【0027】
通信部210は、制御装置200が局所通信ネットワークを介して、例えば、気流発生装置100、空調装置110、照明装置120、センサ250、及び、情報端末300のそれぞれと通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。通信部210によって行われる通信は、例えば、無線通信であるが、有線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても、特に限定されない。
【0028】
制御部220は、通信部210に制御信号を送信させることにより、気流発生装置100、空調装置110、及び、照明装置120を制御する。制御部220は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。
【0029】
記憶部230は、制御部220が実行する制御プログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部230は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。
【0030】
受付部240は、ユーザの操作を受け付けるユーザインターフェース部である。受付部240は、例えば、タッチパネルによって実現されるが、タッチパネル以外に、ハードウェアボタンを含んでもよい。なお、図示されないが、制御装置200は、液晶パネルまたは有機EL(Electro Luminescence)パネルなどの表示パネルによって実現される表示部を備え、受付部240及び表示部はGUI(Graphical Use Interface)を構成してもよい。
【0031】
[センサ]
センサ250は、部屋80に設置され、少なくとも部屋80内の温度を計測できる温度センサであればよいが、さらに、部屋80の湿度、照度、及び、二酸化炭素濃度などのセンシングデータ(以下、センサ情報ともいう)を取得してもよい。センサ250は、制御装置200と通信可能に接続されている。センサ250と制御装置200との間の通信は、例えば、無線通信であるが、有線通信であってもよい。通信の規格は特に限定されないが、例えば、Bluetooth(登録商標)であってもよい。
【0032】
[情報端末]
情報端末300は、制御装置200を制御するためにユーザが情報を入力する情報端末である。情報端末300は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又は、タブレット端末などの汎用装置であるが、制御装置200の専用装置(例えば、専用のリモートコントローラ)であってもよい。
【0033】
[3.動作]
続いて、空調制御システム400の動作について説明する。図4は、実施の形態に係る空調制御システム400の動作の一例を示すフローチャートである。ここでは、気流発生装置100が稼働されている場合について説明する。また、センサ250は、温度センサであり、部屋80内の温度を計測する。
【0034】
図示されないが、制御装置200の受付部240は、部屋80における設定温度を指示する操作を受け付ける。設定温度は、記憶部230に記憶される。このとき、受付部240は、空調装置110の運転動作の種類(例えば、冷房又は暖房など)、及び、気流発生装置100の動作のON又はOFFを指示する操作も受け付けてもよい。指示の内容は、記憶部230に保存される。
【0035】
次に、通信部210は、部屋80に設置されたセンサ250から部屋80の現在の環境情報を示すセンサ情報(ここでは、現在の温度を示す温度データ)を取得する(S01)。取得されたセンサ情報は、記憶部230に記憶される。
【0036】
次に、制御部220は、空調装置110の送風方向を制御する(S02)。具体的には、制御部220は、気流発生装置100が稼働している場合、気流発生装置100と天井81との間の上方空間83へ空調空気を送風するように空調装置110を制御する。なお、制御部220は、気流発生装置100が稼働していない場合、プログラムにより予め設定された方向又はユーザにより指示された方向に送風してもよい。
【0037】
次に、制御部220は、空調装置110が冷房(Yes)又は暖房(No)運転を行っているかを判定し(S03)、空調装置110が冷房運転を行っていると判定した場合(S03でYes)、気流発生装置100が稼働していない場合に比べて設定温度を上げる指示を空調装置110へ出力する(S04)。一方、制御部220は、空調装置110が暖房運転を行っていると判定した場合(S03でNo)、気流発生装置100が稼働していない場合に比べて設定温度を下げる指示を空調装置110へ出力する(S05)。例えば、ステップS04及びステップS05では、制御部220は、ステップS01で取得されたセンサ情報に基づいて、空調装置110の設定温度を何度上げるか、何度下げるかを決定し、決定された温度に変更する指示を出力してもよい。より具体的には、記憶部230に記憶されたデータベース(不図示)に基づいて、変更後の設定温度を決定してもよい。
【0038】
(変形例1)
続いて、動作の変形例1について説明する。動作の変形例1では、空調制御システム400がさらに照明装置120を制御する動作例について説明する。ここでは、気流発生装置100が稼働されている場合について説明する。また、センサ250は、部屋80内の温度、照度、及び、色温度を計測するセンサである。
【0039】
再び図4を参照する。図示されないが、制御装置200の受付部240は、部屋80における設定温度を指示する操作を受け付ける。設定温度は、記憶部230に記憶される。このとき、受付部240は、空調装置110、気流発生装置100の動作の指示に加えて、照明装置120の動作も連携させる指示を受け付けてもよい。指示の内容は、記憶部230に保存される。記憶部230には、例えば、空調装置110の運転の種類、設定温度、気流発生装置100の動作(例えば、吹き出し口11から吹き出される風量、風速など)、照明装置120による照明の色温度、照度などのデータベースが記憶されてもよい。
【0040】
次に、通信部210は、部屋80に設置されたセンサ250から部屋80の現在の環境情報を示すセンサ情報(ここでは、現在の温度を示す温度データ、照度データ、色温度など)を取得する(S01)。取得されたセンサ情報は、記憶部230に記憶される。
【0041】
次に、制御部220は、上方空間83へ送風するように空調装置110の送風方向を制御する(S02)。
【0042】
次に、制御部220は、空調装置110が冷房(Yes)又は暖房(No)運転を行っているかを判定し(S03)、空調装置110が冷房運転を行っていると判定した場合(S03でYes)、ステップS04の処理を行うと共に、色温度を上げる指示を照明装置120へ出力する。一方、制御部220は、空調装置110が暖房運転を行っていると判定した場合(S03でNo)、ステップS05の処理を行うと共に、色温度を下げる指示を照明装置120へ出力する。例えば、これらの処理では、制御部220は、ステップS01で取得されたセンサ情報及び記憶部230に記憶された指示情報に基づいて、データベース(不図示)を参照し、変更後の設定温度及び色温度を決定してもよい。
【0043】
(変形例2)
なお、動作の変形例1では、制御装置200は、気流発生装置100及び空調装置110に加え、照明装置120を制御する例を説明したが、気流発生装置100及び空調装置110と連携して制御される装置は、照明装置120に限られない。例えば、照明装置120に代わり、又は、照明装置120に加えて、他の装置が連携して制御されてもよい。例えば、他の装置は、アロマディフューザなどの香り発生装置であってもよいし、音響装置であってもよい。
【0044】
例えば、香り発生装置は、気流発生装置100が稼働しており、かつ、空調装置110が冷房運転を行っている場合、ミント、レモングラス、又は、柑橘系など清涼感を与える香りを発生させてもよい。また、例えば、香り発生装置は、気流発生装置100が稼働しており、かつ、空調装置110が暖房運転を行っている場合、バニラ、シナモン、サンダルウッドなどの温感を与える香りを発生させてもよい。
【0045】
また、例えば、音響装置は、気流発生装置100が稼働しており、かつ、空調装置110が冷房運転を行っている場合、風鈴、小川のせせらぎなど涼しさをイメージさせる音を再生してもよい。また、例えば、音響装置は、気流発生装置100が稼働しており、かつ、空調装置110が暖房運転を行っている場合、焚火の音など温かさをイメージさせる音を再生してもよい。
【0046】
このように、空調装置110以外に、照明装置120、香り発生装置、及び音響装置など、ユーザの五感に刺激を与える要素を組み合わせることにより、ユーザに温冷感を感じさせやすくなるため、より効果的に、空調装置110の負荷を低減しつつ快適な空間を提供することができる。
【0047】
[4.効果等]
以上説明したように、空調制御システム400は、所定の空間(例えば、部屋80)において天井81から離間して設置された気流発生装置100と、空調装置110と、気流発生装置100と空調装置110とを制御する制御装置200と、を備え、気流発生装置100は、並列に配置された長尺状の一対のダクト10と、一対のダクト10のそれぞれの内部へ送風を行う送風機20と、を備え、一対のダクト10のそれぞれには、天井81と反対側に当該ダクト10の長手方向に沿う長尺状の吹き出し口11であって、送風により空気が吹き出される吹き出し口11が設けられ、吹き出し口11から空気が吹き出されることにより、一対のダクト10の間の空間84において、天井81と気流発生装置100との間の上方空間83から気流発生装置100の下方空間85へと向かうダウンフローを発生させ、制御装置200は、気流発生装置100が稼働している場合、上方空間83に送風するように空調装置110を制御する。
【0048】
このような空調制御システム400では、空調装置110から気流発生装置100と天井81との間の空間(いわゆる、上方空間83)へ送風された空調空気が気流発生装置100の一対のダクト10の間の空間84(図3参照)に誘引され、気流発生装置100の下方空間85へ向かうダウンフローとして送出される。ダウンフローは、空間84に誘引された空調空気(誘引気流ともいう)と一対のダクト10の吹き出し口11から吹き出された空気(吹出気流ともいう)とで形成される面気流である。これにより、空調制御システム400は、空調装置110から送風された空調空気を部屋80内に効率的に行き渡らせることができる。したがって、空調制御システム400は、空調装置110の負荷を低減しながら適切な空調を行うことができるため、空調装置110の負荷を低減しつつユーザに快適な空間を提供することができる。
【0049】
また、例えば、制御装置200は、気流発生装置100が稼働している場合、空調装置110が冷房運転するとき、気流発生装置100が稼働していない場合に比べて温度設定を上げるように空調装置110を制御する。
【0050】
このような空調制御システム400は、冷房運転時の空調装置110の設定温度を上げるため、空調装置110の負荷を低減しつつ、ユーザの快適性を向上させることができる。例えば、空調制御システム400では、空調装置110が冷房運転時に、一対のダクト10の間の空間84に誘引された空調空気が吹出口11から吹き出された空気と混じり合うことにより、空調空気の冷たさが緩和されたダウンフローとして下方空間85へ送出される。これにより、空調制御システム400は、ユーザが局所的に感じる冷え(ドラフト感)を抑制することができるため、ユーザの快適性を向上させることができる。
【0051】
また、例えば、制御装置200は、気流発生装置100が稼働している場合、空調装置110が暖房運転するとき、気流発生装置100が稼働していない場合に比べて設定温度を下げるように空調装置110を制御する。
【0052】
このような空調制御システム400は、暖房運転時の空調装置110の設定温度を下げるため、空調装置110の負荷を低減しつつ、ユーザの快適性を向上させることができる。例えば、空調制御システム400では、空調装置110が暖房運転時に、一対のダクト10の間の空間84に誘引された空調空気が吹出口11から吹き出された空気と混じり合うことにより、ダウンフローとして下方空間85へ送出される。これにより、空調制御システム400は、上方空間83に溜まりやすい温かい空気を下方空間85へ送出する空気の流れを形成することができるため、ユーザの足元に温かい空気を送ることができる。そのため、空調制御システム400は、所定の空間(例えば、部屋80)において、天井81付近及び床面付近の温度差を小さくすることができるため、ユーザの快適性を向上させることができる。
【0053】
また、例えば、空調制御システム400は、さらに、照明装置120を備え、制御装置200は、気流発生装置100が稼働している場合、空調装置110が暖房運転しているとき、気流発生装置100が稼働していない場合に比べて色温度を下げるように照明装置120を制御し、空調装置110が冷房運転しているとき、気流発生装置100が稼働していない場合に比べて色温度を上げるように照明装置120を制御する。
【0054】
このような空調制御システム400は、ユーザに対して、さらに、視覚的に温熱感を感じさせることにより、より効果的に、空調装置110の負荷を低減しつつ快適な空間を提供することができる。
【0055】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0056】
例えば、上記実施の形態において、気流発生装置100は並列に配置された長尺状の一対のダクト10を複数対備える例、つまり、並列に配置された長尺状の偶数個のダクト10を備える例を説明したが、この例に限られない。例えば、気流発生装置100は、並列に配置された長尺状の奇数個(例えば、3つ以上)のダクト10を備えてもよい。つまり、気流発生装置100は、1つのダクト10の庁側に並列に配置された他のダクト10のそれぞれとの対を一対と表現してもよい。
【0057】
また、例えば、上記実施の形態において、気流発生装置100では、ダクト10の長手方向に沿う1つの長尺状の吹き出し口11を設けられたが、ダクト10の長手方向に沿って複数個の吹き出し口が設けられてもよい。複数個の吹き出し口のそれぞれにルーバが取り付けられてもよい。
【0058】
また、例えば、上記実施の形態では、吹き出し口11から所定の方向(例えば、上方空間83から下方空間85)へ空気が吐き出されるが、ルーバにより所望の方向へ空気が吐き出されてもよい。これにより、所望の方向に向かうダウンフローを発生させることが可能となる。より具体的には、例えば、部屋80内で所望の領域に空調装置110から送風された空気を送出することができる。
【0059】
例えば、センサ250は、人感センサ、カメラ、及び、測距センサなどを備えてもよい。空調制御システム400は、センサ情報に基づいて部屋80内に存在する人の位置などを検知し、検出された位置を含む周辺の領域に空調装置110の送風された空気を送出してもよい。
【0060】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、本発明は、上記実施の形態の気流制御システムが適用された建物として実現されてもよい。また、本発明は、上記実施の形態の制御部などのコンピュータが実行する送風装置の制御方法として実行されてもよいし、このような制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0061】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
10 ダクト
11 吹き出し口
20 送風機
80 部屋
81 天井
83 上方空間
84 空間
85 下方空間
100 気流発生装置
110 空調装置
120 照明装置
200 制御装置
400 空調制御システム
図1
図2
図3
図4