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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139638
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
H01L21/304 651M
H01L21/304 647A
H01L21/304 651B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045265
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 悠太
(72)【発明者】
【氏名】國枝 省吾
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA09
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157BB23
5F157BB44
5F157BF46
5F157BF52
5F157BF56
5F157BF59
5F157BF60
5F157BH18
5F157CB22
5F157CF14
5F157CF34
5F157CF40
5F157CF60
5F157CF99
5F157DA21
5F157DB32
5F157DB33
(57)【要約】
【課題】基板を適切に処理できる基板処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】基板処理方法は、パターンPが形成された基板Wを処理するためのものである。パターンPは、複数の凸部Aと複数の凹部Bを含む。基板処理方法は、第1塗布工程と第1硬化工程と第1熱分解工程を備える。第1塗布工程では、第1乾燥補助液F1が基板Wに塗布される。第1乾燥補助液F1は、熱硬化性材料と溶媒を含む。第1硬化工程では、基板W上の第1乾燥補助液F1を加熱する。第1硬化工程では、基板W上に第1固化膜H1が形成される。第1熱分解工程では、第1固化膜H1が加熱されることによって、第1固化膜H1は熱分解される。第1熱分解工程では、基板Wが乾燥される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の凸部と複数の凹部を含むパターンが形成された基板を処理する基板処理方法であって、
熱硬化性材料と溶媒を含む第1乾燥補助液を前記基板に塗布する第1塗布工程と、
前記基板上の前記第1乾燥補助液を加熱して、前記基板上に第1固化膜を形成する第1硬化工程と、
前記第1固化膜を加熱することによって前記第1固化膜を熱分解し、前記基板を乾燥させる第1熱分解工程と、
を備え、
前記第1硬化工程では、
前記第1固化膜の少なくとも一部は、前記パターンの上方に形成され、
前記第1固化膜は、前記凸部の上端と接触しており、かつ、
前記第1固化膜の全部は、前記凹部の底部よりも上方に位置する
基板処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理方法において、
前記第1硬化工程では、前記第1固化膜は、前記凸部の前記上端同士をブリッジする
基板処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理方法において、
前記第1硬化工程では、前記第1固化膜の全部は、前記凸部の前記上端と同等またはこれよりも高い位置に位置する
基板処理方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記第1硬化工程では、
前記第1固化膜は、下面を有し、
前記第1固化膜の前記下面は、前記凸部の前記上端と接触し、かつ、互いに隣り合う前記凸部の間において上方に凸に湾曲する
基板処理方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記第1硬化工程では、前記熱硬化性材料は重合体になり、
前記第1固化膜は、前記重合体を含み、
前記重合体は、前記凹部の幅よりも大きな長さを有する
基板処理方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記第1硬化工程では、前記凹部の幅に基づいて、前記第1乾燥補助液の加熱温度を調整する
基板処理方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記第1硬化工程では、前記第1乾燥補助液を第1低温度で加熱し、
前記第1熱分解工程では、前記第1低温度よりも高い第1高温度で前記第1固化膜を加熱する
基板処理方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記第1硬化工程では、さらに、前記第1乾燥補助液中の前記溶媒は蒸発する
基板処理方法。
【請求項9】
複数の凸部と複数の凹部を含むパターンが形成された基板を処理する基板処理方法であって、
紫外線硬化性材料を含む第2乾燥補助液を前記基板に塗布する第2塗布工程と、
前記基板上の前記第2乾燥補助液に紫外線を照射して、前記基板上に第2固化膜を形成する第2硬化工程と、
前記第2固化膜を加熱することによって前記第2固化膜を熱分解し、前記基板を乾燥させる第2熱分解工程と、
を備え、
前記第2硬化工程では、
前記第2固化膜の少なくとも一部は、前記パターンの上方に形成され、
前記第2固化膜は、前記凸部の上端と接触しており、かつ、
前記第2固化膜の全部は、前記凹部の底部よりも上方に位置する
基板処理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の基板処理方法において、
前記第2硬化工程では、前記第2固化膜は、前記凸部の前記上端同士をブリッジする
基板処理方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の基板処理方法において、
前記第2硬化工程では、前記第2固化膜の全部は、前記凸部の前記上端と同等またはこれよりも高い位置に位置する
基板処理方法。
【請求項12】
請求項9から11のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記第2硬化工程では、
前記第2固化膜は、下面を有し、
前記第2固化膜の前記下面は、前記凸部の前記上端と接触し、かつ、互いに隣り合う前記凸部の間において上方に凸に湾曲する
基板処理方法。
【請求項13】
請求項9から12のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記第2硬化工程では、前記紫外線硬化性材料は重合体になり、
前記第2固化膜は、前記重合体を含み、
前記重合体は、前記凹部の幅よりも大きな長さを有する
基板処理方法。
【請求項14】
請求項9から13のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記第2硬化工程の終了時、前記第2乾燥補助液の一部は前記基板上に残り、
前記第2熱分解工程では、さらに、前記基板上に残る前記第2乾燥補助液を蒸発させる
基板処理方法。
【請求項15】
請求項14に記載の基板処理方法において、
前記第2熱分解工程では、前記第2固化膜が熱分解される前に、前記基板上に残る前記第2乾燥補助液は蒸発する
基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理方法に関する。基板は、例えば、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、有機EL(Electroluminescence)用基板、FPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基板を処理する基板処理方法を開示する。特許文献1の基板処理方法は、処理工程と置換工程と除去工程を備える。処理工程は、基板にリンス液を供給する。置換工程は、基板上のリンス液を有機溶剤に置換する。除去工程は、基板から有機溶剤を除去する。除去工程によって、基板は乾燥される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-156561公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の基板処理方法であっても、基板を適切に処理できない場合があった。例えば、基板がパターンを有する場合、従来の基板処理方法であっても、パターンが倒壊する場合があった。例えば、パターンが微細であるとき、従来の基板処理方法であっても、パターンの倒壊を十分に抑制できない場合があった。
【0005】
このような事情に鑑みてなされたものであって、本発明は、基板を適切に処理できる基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明は、複数の凸部と複数の凹部を含むパターンが形成された基板を処理する基板処理方法であって、熱硬化性材料と溶媒を含む第1乾燥補助液を前記基板に塗布する第1塗布工程と、前記基板上の前記第1乾燥補助液を加熱して、前記基板上に第1固化膜を形成する第1硬化工程と、前記第1固化膜を加熱することによって前記第1固化膜を熱分解し、前記基板を乾燥させる第1熱分解工程と、を備え、前記第1硬化工程では、前記第1固化膜の少なくとも一部は、前記パターンの上方に形成され、前記第1固化膜は、前記凸部の上端と接触しており、かつ、前記第1固化膜の全部は、前記凹部の底部よりも上方に位置する基板処理方法である。
【0007】
基板処理方法は、パターンが形成された基板を処理するためのものである。パターンは、複数の凸部と複数の凹部を含む。基板処理方法は、第1塗布工程と第1硬化工程を備える。第1塗布工程では、第1乾燥補助液が基板に塗布される。第1乾燥補助液は、熱硬化性材料と溶媒を含む。第1硬化工程では、基板上の第1乾燥補助液が加熱される。第1硬化工程では、第1固化膜が基板上に形成される。このため、第1固化膜は基板上に好適に形成される。
【0008】
第1硬化工程では、第1固化膜の少なくとも一部は、パターンの上方に形成される。第1硬化工程では、第1固化膜は、凸部の上端と接触している。このため、第1固化膜は、凸部を好適に支持する。
【0009】
第1硬化工程では、第1固化膜の全部は、凹部の底部よりも上方に位置する。このため、凸部の一部は、第1固化膜と接触していない。よって、第1硬化工程では、第1固化膜の体積変化の影響を、凸部は受けにくい。
【0010】
基板処理方法は、第1熱分解工程を備える。第1熱分解工程では、第1固化膜が加熱されることによって、第1固化膜は熱分解される。第1熱分解工程では、基板が乾燥される。このため、第1固化膜は好適に熱分解される。さらに、第1熱分解工程においても、第1固化膜の体積変化の影響を、凸部は受けにくい。よって、第1固化膜は基板から好適に除去される。したがって、凸部の倒壊が抑制されつつ、基板は乾燥される。すなわち、パターンが保護された状態で、基板は乾燥される。
【0011】
以上の通り、基板処理方法によれば、基板は適切に処理される。
【0012】
上述の基板処理方法において、前記凹部の幅は、10nm以下であることが好ましい。第1硬化工程において第1固化膜の全部を凹部の底部よりも上方に位置させることは、非常に容易である。したがって、基板を適切に処理することは、一層容易である。
【0013】
上述の基板処理方法において、前記第1硬化工程では、前記第1固化膜は、前記凸部の前記上端同士をブリッジすることが好ましい。第1固化膜は、凸部を一層好適に支持する。
【0014】
上述の基板処理方法において、前記第1硬化工程では、前記第1固化膜の全部は、前記凸部の前記上端と同等またはこれよりも高い位置に位置することが好ましい。第1固化膜の全部は、凹部の上方に位置する。第1固化膜は、凹部に位置する部分を、実質的に有しない。したがって、第1固化膜の体積変化の影響を、凸部は実質的に受けない。
【0015】
上述の基板処理方法において、前記第1硬化工程では、前記第1固化膜は、下面を有し、前記第1固化膜の前記下面は、前記凸部の前記上端と接触し、かつ、互いに隣り合う前記凸部の間において上方に凸に湾曲することが好ましい。第1固化膜の下面の形状は、第1固化膜が凹部に入ることを好適に妨げる。したがって、第1固化膜の体積変化から、凸部は好適に保護される。第1固化膜の体積変化の影響を、凸部は実質的に受けない。
【0016】
上述の基板処理方法において、前記第1硬化工程では、前記熱硬化性材料は重合体になり、前記第1固化膜は、前記重合体を含み、前記重合体は、前記凹部の幅よりも大きな長さを有することが好ましい。凹部は、熱硬化性材料の重合体にとって、狭過ぎる。このため、熱硬化性材料は、凹部において、重合体になり難い。よって、第1固化膜を凹部に形成することは困難である。したがって、第1硬化工程において第1固化膜の全部を凹部の底部よりも上方に位置させることは、一層容易である。第1固化膜の全部は、凹部の底部よりも上方に、好適に位置する。
【0017】
上述の基板処理方法において、前記第1硬化工程では、前記凹部の幅に基づいて、前記第1乾燥補助液の加熱温度を調整することが好ましい。凹部の幅に関わらず、第1硬化工程において第1固化膜の全部を凹部の底部よりも上方に位置させることは、一層容易である。凹部の幅に関わらず、第1固化膜の全部は、凹部の底部よりも上方に、好適に位置する。
【0018】
上述の基板処理方法において、前記第1硬化工程では、前記第1乾燥補助液を第1低温度で加熱し、前記第1熱分解工程では、前記第1低温度よりも高い第1高温度で前記第1固化膜を加熱することが好ましい。第1低温度は第1高温度よりも低い。このため、第1硬化工程では、第1固化膜の熱分解は好適に防止される。よって、第1硬化工程では、第1固化膜は好適に形成される。したがって、第1硬化工程では、第1固化膜は凸部を好適に支持する。第1高温度は第1低温度よりも高い。このため、第1熱分解工程では、第1固化膜は好適に熱分解される。
【0019】
上述の基板処理方法において、前記第1硬化工程では、さらに、前記第1乾燥補助液中の前記溶媒は蒸発することが好ましい。このため、第1硬化工程の終了時、基板上に溶媒は存在しない。すなわち、第1熱分解工程では、基板上に溶媒は存在しない。したがって、第1熱分解工程において凸部を保護することは、一層容易である。
【0020】
上述の基板処理方法において、前記第1硬化工程では、前記第1乾燥補助液は、前記第1固化膜に変化しない未反応分を含み、前記第1硬化工程では、前記第1乾燥補助液の前記未反応分は前記基板から除去されることが好ましい。このため、第1硬化工程の終了時、基板上に第1乾燥補助液は存在しない。すなわち、第1熱分解工程では、基板上に第1乾燥補助液は存在しない。したがって、第1熱分解工程において凸部を保護することは、さらに一層容易である。
【0021】
上述の基板処理方法において、前記基板処理方法は、さらに、前記第1塗布工程の前に、前記基板に処理液を供給する第1処理液供給工程と、を備えることが好ましい。基板は、一層適切に処理される。
【0022】
上述の基板処理方法において、前記第1塗布工程では、前記基板から前記処理液を除去することが好ましい。このため、第1硬化工程および第1熱分解工程では、基板上に処理液は存在しない。よって、第1硬化工程および第1熱分解工程において凸部を保護することは、一層容易である。
【0023】
本発明は、複数の凸部と複数の凹部を含むパターンが形成された基板を処理する基板処理方法であって、紫外線硬化性材料を含む第2乾燥補助液を前記基板に塗布する第2塗布工程と、前記基板上の前記第2乾燥補助液に紫外線を照射して、前記基板上に第2固化膜を形成する第2硬化工程と、前記第2固化膜を加熱することによって前記第2固化膜を熱分解し、前記基板を乾燥させる第2熱分解工程と、を備え、前記第2硬化工程では、前記第2固化膜の少なくとも一部は、前記パターンの上方に形成され、前記第2固化膜は、前記凸部の上端と接触しており、かつ、前記第2固化膜の全部は、前記凹部の底部よりも上方に位置する基板処理方法である。
【0024】
基板処理方法は、パターンが形成された基板を処理するためのものである。パターンは、複数の凸部と複数の凹部を含む。基板処理方法は、第2塗布工程と第2硬化工程を備える。第2塗布工程では、第2乾燥補助液が基板に塗布される。第2乾燥補助液は、紫外線硬化性材料を含む。第2硬化工程では、基板上の第2乾燥補助液に紫外線を照射する。第2硬化工程では、第2固化膜が基板上に形成される。このため、第2固化膜は基板上に好適に形成される。
【0025】
第2硬化工程では、第2固化膜の少なくとも一部は、パターンの上方に形成される。第2硬化工程では、第2固化膜は、凸部の上端と接触している。このため、第2固化膜は、凸部を好適に支持する。
【0026】
第2硬化工程では、第2固化膜の全部は、凹部の底部よりも上方に位置する。このため、凸部の少なくとも一部は、第2固化膜と接触していない。よって、第2硬化工程では、第2固化膜の体積変化の影響を、凸部は受けにくい。
【0027】
基板処理方法は、第2熱分解工程を備える。第2熱分解工程では、第2固化膜が加熱されることによって、第2固化膜は熱分解される。第2熱分解工程では、基板が乾燥される。このため、第2固化膜は好適に熱分解される。さらに、第2熱分解工程においても、第2固化膜の体積変化の影響を、凸部は受けにくい。よって、第2固化膜は基板から好適に除去される。したがって、凸部の倒壊が抑制されつつ、基板は乾燥される。すなわち、パターンが保護された状態で、基板は乾燥される。
【0028】
以上の通り、基板処理方法によれば、基板は適切に処理される。
【0029】
上述の基板処理方法において、前記凹部の幅は、10nm以下であることが好ましい。第2硬化工程において第2固化膜の全部を凹部の底部よりも上方に位置させることは、非常に容易である。したがって、基板を適切に処理することは、一層容易である。
【0030】
上述の基板処理方法において、前記第2硬化工程では、前記第2固化膜は、前記凸部の前記上端同士をブリッジすることが好ましい。第2固化膜は、凸部を一層好適に支持する。
【0031】
上述の基板処理方法において、前記第2硬化工程では、前記第2固化膜の全部は、前記凸部の前記上端と同等またはこれよりも高い位置に位置することが好ましい。第2固化膜の全部は、凹部の上方に位置する。第2固化膜は、凹部に位置する部分を、実質的に有しない。したがって、第2固化膜の体積変化の影響を、凸部は実質的に受けない。
【0032】
上述の基板処理方法において、前記第2硬化工程では、前記第2固化膜は、下面を有し、前記第2固化膜の前記下面は、前記凸部の前記上端と接触し、かつ、互いに隣り合う前記凸部の間において上方に凸に湾曲することが好ましい。第2固化膜の下面の形状は、第2固化膜が凹部に入ることを好適に妨げる。したがって、第2固化膜の体積変化から、凸部は好適に保護される。第2固化膜の体積変化の影響を、凸部は実質的に受けない。
【0033】
上述の基板処理方法において、前記第2硬化工程では、前記紫外線硬化性材料は重合体になり、前記第2固化膜は、前記重合体を含み、前記重合体は、前記凹部の幅よりも大きな長さを有することが好ましい。凹部は、紫外線硬化性材料の重合体にとって、狭過ぎる。このため、紫外線硬化性材料は、凹部において、重合体になり難い。よって、第2固化膜を凹部に形成することは困難である。したがって、第2硬化工程において第2固化膜の全部を凹部の底部よりも上方に位置させることは、一層容易である。第2固化膜の全部は、凹部の底部よりも上方に、好適に位置する。
【0034】
上述の基板処理方法において、前記第2硬化工程の終了時、前記第2乾燥補助液の一部は前記基板上に残り、前記第2熱分解工程では、さらに、前記基板上に残る前記第2乾燥補助液を蒸発させることが好ましい。第2熱分解工程では、基板上に残る第2乾燥補助液は基板から好適に除去される。よって、基板は適切に乾燥される。
【0035】
上述の基板処理方法において、前記第2熱分解工程では、前記第2固化膜が熱分解される前に、前記基板上に残る前記第2乾燥補助液は蒸発することが好ましい。第2熱分解工程では、基板上に残る第2乾燥補助液が蒸発し、その後、第2固化膜が熱分解される。第2熱分解工程では、基板上に残る第2乾燥補助液が蒸発するまで、第2固化膜は実質的に熱分解されない。よって、第2熱分解工程では、基板上に残る第2乾燥補助液が蒸発するまで、第2固化膜は凸部を支持する。すなわち、第2熱分解工程では、第2固化膜は、第2乾燥補助液から凸部を好適に保護する。さらに、第2固化膜が熱分解されるとき、基板上に第2乾燥補助液は存在しない。このため、第2固化膜が熱分解されるとき、凸部を保護することは、一層容易である。したがって、基板は適切に乾燥される。
【0036】
上述の基板処理方法において、前記第2硬化工程では、前記第2乾燥補助液は、前記第2固化膜に変化しない未反応分を含み、前記第2熱分解工程では、前記第2乾燥補助液の前記未反応分は前記基板から除去されることが好ましい。第2乾燥補助液の未反応分は、第2熱分解工程において、基板から好適に除去される。よって、基板は適切に乾燥される。
【0037】
上述の基板処理方法において、前記第2熱分解工程では、前記第2固化膜が熱分解される前に、前記第2乾燥補助液の前記未反応分は基板から除去されることが好ましい。第2熱分解工程では、第2乾燥補助液の未反応分が基板から除去されるまで、第2固化膜は実質的に熱分解されない。よって、第2熱分解工程では、第2乾燥補助液の未反応分が基板から除去されるまで、第2固化膜は凸部を支持する。すなわち、第2熱分解工程では、第2固化膜は、第2乾燥補助液から凸部を好適に保護する。さらに、第2固化膜が熱分解されるとき、基板上に第2乾燥補助液は存在しない。したがって、第2固化膜が熱分解されるとき、凸部を保護することは、一層容易である。
【0038】
上述の基板処理方法において、前記第2熱分解工程は、前記第2乾燥補助液の前記未反応分を第2低温度で加熱し、前記第2乾燥補助液の前記未反応分を蒸発させる低温加熱工程と、前記第1低温加熱工程の後、前記第2低温度よりも高い第2高温度で前記第2固化膜を加熱することによって、前記第2固化膜を熱分解する高温加熱工程と、を備えることが好ましい。低温加熱工程では、第2乾燥補助液の未反応分は基板から好適に除去される。その結果、低温加熱工程の終了時、第2乾燥補助液は基板上に存在しない。低温加熱工程の後、高温加熱工程は実行される。高温加熱工程では、第2乾燥補助液は基板上に存在しない。したがって、高温加熱工程では、凸部を保護することは、一層容易である。第2低温度は第2高温度よりも低い。このため、低温加熱工程では、第2固化膜の熱分解は好適に防止される。よって、低温加熱工程では、凸部は第2固化膜によって好適に支持される。したがって、低温加熱工程では、凸部は第2固化膜によって好適に保護される。他方、第2高温加熱工程では、第2固化膜は熱分解される。第2高温度は第2低温度よりも高い。よって、高温加熱工程では、第2固化膜は好適に熱分解される。
【0039】
上述の基板処理方法において、前記基板処理方法は、さらに、前記第2塗布工程の前に、前記基板に処理液を供給する第2処理液供給工程と、を備えることが好ましい。基板は、一層適切に処理される。
【0040】
上述の基板処理方法において、前記第2塗布工程では、前記基板から前記処理液を除去することが好ましい。このため、第2硬化工程および第2熱分解工程では、基板上に処理液は存在しない。よって、第2硬化工程および第2熱分解工程において凸部を保護することは、一層容易である。
【発明の効果】
【0041】
本発明の基板処理方法によれば、基板は適切に処理される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】基板の一部を模式的に示す図である。
図2】第1実施形態の基板処理装置の内部を示す平面図である。
図3】基板処理装置の制御ブロック図である。
図4】第1実施形態の処理ユニットの構成を示す図である。
図5】第1実施形態の基板処理方法の手順を示すフローチャートである。
図6】第1塗布工程における基板を模式的に示す図である。
図7】第1硬化工程における基板を模式的に示す図である。
図8】第1硬化工程における基板を模式的に示す拡大図である。
図9】第1硬化工程における基板を模式的に示す拡大図である。
図10】第1硬化工程における基板を模式的に示す拡大図である。
図11】第1熱分解工程における基板を模式的に示す拡大図である。
図12】第1熱分解工程における基板を模式的に示す拡大図である。
図13】第2実施形態の処理ユニットの構成を示す図である。
図14】第2実施形態の基板処理方法の手順を示すフローチャートである。
図15】第2塗布工程における基板を模式的に示す図である。
図16】第2硬化工程における基板を模式的に示す図である。
図17】第2硬化工程における基板を模式的に示す拡大図である。
図18】第2熱分解工程における基板を模式的に示す拡大図である。
図19】第2熱分解工程における基板を模式的に示す拡大図である。
図20】第2熱分解工程における基板を模式的に示す拡大図である。
図21】第2熱分解工程における基板を模式的に示す拡大図である。
図22】変形実施形態の第2熱分解工程の手順を示すフローチャートである。
図23】変形実施形態の処理ユニットの構成を示す図である。
図24】変形実施形態の基板処理装置の左部の構成を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照して、本発明の基板処理方法を説明する。
【0044】
<第1実施形態>
<1-1.基板>
基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、有機EL(Electroluminescence)用基板、FPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板である。基板Wは、薄い平板形状を有する。基板Wは、平面視で略円形状を有する。
【0045】
図1は、基板Wの一部を模式的に示す図である。基板Wは、パターンPを有する。パターンPは、基板Wの表面WSに形成される。パターンPは、例えば、凹凸形状を有する。
【0046】
パターンPは、複数の凸部Aを有する。各凸部Aは、基板Wの一部である。各凸部Aは、構造体である。各凸部Aは、例えば、単結晶シリコン膜、シリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(SiN)およびポリシリコン膜の少なくともいずれかで構成される。各凸部Aは、表面WSから隆起する。複数の凸部Aは、互いに離れている。
【0047】
各凸部Aは、基端A1と先端A2とサイドA3を有する。基端A1は、表面WSに接続される。サイドA3は、基端A1から先端A2に延びる。
【0048】
凸部Aは、高さAHを有する。高さAHは、サイドA3の長さに相当する。高さAHは、基端A1と先端A2の間の長さに相当する。
【0049】
パターンPは、複数の凹部Bを有する。各凹部Bは、空間である。複数の凹部Bは、例えば、互いに連通していてもよい。あるいは、複数の凹部Bは、互いに遮断されていてもよい。凹部Bは、凸部Aの側方に位置する。凹部Bは、凸部Aの周囲に位置する。凹部Bは、互いに隣り合う2つ以上の凸部Aの間に位置する。凹部Bは、2つ以上のサイドA3と接している。
【0050】
凹部Bは、底部B1を有する。底部B1は、互いに隣り合う基端A1の間に位置する。底部B1は、互いに隣り合う基端A1の間に位置する表面WSの部分に相当する。底部B1は、互いに隣り合うサイドA3の間を延びる。凹部Bは、サイドA3と底部B1によって囲まれる。
【0051】
凹部Bは、幅BWを有する。幅BWは、互いに隣り合う2つの凸部Aの離隔距離に相当する。幅BWは、互いに隣り合う2つのサイドA3の離隔距離に相当する。
【0052】
<1-2.基板処理装置1の概要>
図2は、第1実施形態の基板処理装置1の内部を示す平面図である。基板処理装置1は、基板Wに処理を行う。基板処理装置1における処理は、乾燥処理を含む。
【0053】
基板処理装置1は、インデクサ部3と処理ブロック7を備える。処理ブロック7はインデクサ部3に接続される。インデクサ部3は、処理ブロック7に基板Wを供給する。処理ブロック7は、基板Wに処理を行う。インデクサ部3は、処理ブロック7から基板Wを回収する。
【0054】
本明細書では、便宜上、インデクサ部3と処理ブロック7が並ぶ方向を、「前後方向X」と呼ぶ。前後方向Xは水平である。前後方向Xのうち、処理ブロック7からインデクサ部3に向かう方向を「前方」と呼ぶ。前方と反対の方向を「後方」と呼ぶ。前後方向Xと直交する方向を、「幅方向Y」と呼ぶ。幅方向Yは水平である。「幅方向Y」の一方向を適宜に「右方」と呼ぶ。右方とは反対の方向を「左方」と呼ぶ。前後方向Xおよび幅方向Yを区別しない場合には、単に「水平方向」と呼ぶ。水平方向に対して垂直な方向を「鉛直方向Z」と呼ぶ。各図では、参考として、前、後、右、左、上、下を適宜に示す。
【0055】
インデクサ部3は、複数(例えば、4つ)のキャリア載置部4を備える。各キャリア載置部4はそれぞれ、1つのキャリアCを載置する。キャリアCは、複数枚の基板Wを収容する。キャリアCは、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)、SMIF(Standard Mechanical Interface)、または、OC(Open Cassette)である。
【0056】
インデクサ部3は、搬送機構5を備える。搬送機構5は、キャリア載置部4の後方に配置される。搬送機構5は、基板Wを搬送する。搬送機構5は、キャリア載置部4に載置されるキャリアCにアクセスするように構成される。
【0057】
搬送機構5はハンド5aとハンド駆動部5bを備える。ハンド5aは、基板Wを支持する。ハンド駆動部5bは、ハンド5aに連結される。ハンド駆動部5bは、ハンド5aを移動させる。ハンド駆動部5bは、例えば、前後方向X、幅方向Yおよび鉛直方向Zにハンド5aを移動させる。ハンド駆動部5bは、例えば、水平面内においてハンド5aを回転させる。
【0058】
処理ブロック7は、搬送機構8を備える。搬送機構8は、基板Wを搬送する。搬送機構8は、搬送機構5から基板Wを受け、かつ、搬送機構5に基板Wを渡すように構成される。
【0059】
搬送機構8は、ハンド8aとハンド駆動部8bを備える。ハンド8aは、基板Wを支持する。ハンド駆動部8bは、ハンド8aに連結される。ハンド駆動部8bは、ハンド8aを移動させる。ハンド駆動部8bは、例えば、前後方向X、幅方向Yおよび鉛直方向Zにハンド8aを移動させる。ハンド駆動部8bは、例えば、水平面内においてハンド8aを回転させる。
【0060】
処理ブロック7は、複数の処理ユニット11を備える。処理ユニット11は、搬送機構8の側方に配置される。各処理ユニット11は、基板Wに処理を行う。
【0061】
各処理ユニット11は、基板保持部13を備える。基板保持部13は、基板Wを保持する。
【0062】
搬送機構8は、各処理ユニット11にアクセスするように構成される。搬送機構8は、基板保持部13に基板Wを渡し、かつ、基板保持部13から基板Wを取るように構成される。
【0063】
図3は、基板処理装置1の制御ブロック図である。基板処理装置1は、制御部10を備える。制御部10は、搬送機構5、8および処理ユニット11に、通信可能に接続される。制御部10は、搬送機構5、8と処理ユニット11を制御する。
【0064】
制御部10は、各種処理を実行する中央演算処理装置(CPU)、演算処理の作業領域となるRAM(Random-Access Memory)、固定ディスク等の記憶媒体等によって実現されている。制御部10は、記憶媒体に予め格納される各種の情報を有する。制御部10が有する情報は、例えば、搬送条件情報と処理条件情報を含む。搬送条件情報は、搬送機構5、8のオペレーションに関する条件を規定する。処理条件情報は、処理ユニット11のオペレーションに関する条件を規定する。処理条件情報は、処理レシピとも呼ばれる。
【0065】
基板処理装置1の動作例を簡単に説明する。
【0066】
インデクサ部3は、処理ブロック7に基板Wを供給する。具体的には、搬送機構5は、キャリアCから処理ブロック7の搬送機構8に基板Wを渡す。
【0067】
搬送機構8は、処理ユニット11に基板Wを分配する。具体的には、搬送機構8は、搬送機構5から、各処理ユニット11の基板保持部13に基板Wを搬送する。
【0068】
処理ユニット11は、基板保持部13によって保持された基板Wを処理する。処理ユニット11は、例えば、基板Wに乾燥処理を行う。
【0069】
処理ユニット11が基板Wを処理した後、搬送機構8は、各処理ユニット11から基板Wを回収する。具体的には、搬送機構8は、各基板保持部13から基板Wを取る。そして、搬送機構8は、搬送機構5に基板Wを渡す。
【0070】
インデクサ部3は、処理ブロック7から基板Wを回収する。具体的には、搬送機構5は、搬送機構8からキャリアCに基板Wを搬送する。
【0071】
<1-3.処理ユニット11の構成>
図4は、第1実施形態の処理ユニット11の構成を示す図である。各処理ユニット11は、同一の構造を有する。処理ユニット11は、枚葉式に分類される。すなわち、各処理ユニット11は、一度に1枚の基板Wのみを処理する。
【0072】
処理ユニット11は、筐体12を備える。筐体12は、略箱形状を有する。基板Wは、筐体12の内部において、処理される。
【0073】
筐体12の内部は、例えば、常圧に保たれる。このため、基板Wは、例えば、常圧の環境の下で処理される。ここで、常圧は、標準大気圧(1気圧、101325Pa)を含む。常圧は、例えば、0.7気圧以上で、1.3気圧以下の範囲内の気圧である。本明細書では、絶対真空を基準とした絶対圧力で、圧力を示す。
【0074】
上述した基板保持部13は、筐体12の内部に設置される。基板保持部13は、1枚の基板Wを保持する。基板保持部13は、基板Wを略水平姿勢で保持する。
【0075】
基板保持部13は、基板保持部13が保持する基板Wの下方に位置する。基板保持部13は、基板Wの下面WS2および基板Wの周縁部の少なくともいずれかと接触する。基板保持部13は、基板Wの上面WS1と接触しない。ここで、上面WS1は、上方を向く。下面WS2は、下方を向く。上面WS1は、表面WSの一部である。下面WS2は、表面WSの他の一部である。
【0076】
基板保持部13の構成例を説明する。基板保持部13は、支持部材14を備える。支持部材14は、板形状を有する。支持部材14は、水平方向に延びる。図示を省略するが、支持部材14は、平面視において、基板Wと略同じ大きさを有する。支持部材14は、平面視において、円環形状を有する。支持部材14は、開口を形成する。開口は、平面視において、支持部材14の中央に位置する。
【0077】
基板保持部13は、複数の保持ピン15を備える。各保持ピン15は、支持部材14に支持される。各保持ピン15は、支持部材14の周縁部に配置される。各保持ピン15は、支持部材14から上方に延びる。各保持ピン15は基板Wを保持する。基板Wが保持ピン15に保持されるとき、基板Wは支持部材14の上方に位置する。
【0078】
処理ユニット11は、回転駆動部17を備える。回転駆動部17の少なくとも一部は、筐体12の内部に設置される。回転駆動部17は、基板保持部13に連結される。回転駆動部17は、基板保持部13を回転させる。基板保持部13によって保持される基板Wは、基板保持部13と一体に回転する。基板保持部13によって保持される基板Wは、例えば、回転軸線D回りに回転する。回転軸線Dは、例えば、基板Wの中心を通る。回転軸線Dは、例えば、鉛直方向Zに延びる。
【0079】
回転駆動部17の構成例を説明する。回転駆動部17は、軸部18とモータ19を備える。軸部18は、支持部材14に接続される。軸部18は、支持部材14から下方に延びる。軸部18は、回転軸線D上に延びる。軸部18は、いわゆる中空軸である。軸部18は、筒形状を有する。軸部18は、中空部を形成する。中空部は、軸部18の内部に位置する。モータ19は、軸部18に連結される。モータ19は、回転軸線D回りに軸部18を回転する。
【0080】
処理ユニット11は、供給部21a、21bを備える。供給部21a、21bはそれぞれ、基板保持部13によって保持される基板Wに、液体を供給する。供給部21a、21bはそれぞれ、基板保持部13によって保持される基板Wの上面WS1に、液体を供給する。
【0081】
供給部21aは、処理液Lを供給する。処理液Lは、基板Wを処理するために用いられる。処理液Lは、例えば、基板Wを洗浄するために用いられる。処理液Lは、例えば、洗浄液である。処理液Lは、例えば、リンス液である。
【0082】
処理液Lは、例えば、有機溶剤である。処理液Lは、例えば、アルコールである。処理液Lは、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)である。
【0083】
処理液Lは、例えば、脱イオン水である。処理液Lは、例えば、SC1である。SC1は、アンモニアと過酸化水素と脱イオン水の混合液である。
【0084】
供給部21bは、第1乾燥補助液F1を供給する。第1乾燥補助液F1は、基板Wを乾燥させるために用いられる。第1乾燥補助液F1は、基板Wを乾燥させることを補助する機能を有する。第1乾燥補助液F1は、液体である。第1乾燥補助液F1は、常温において、液体である。
【0085】
第1乾燥補助液F1は、熱硬化性材料を含む。熱硬化性材料は、熱硬化性を有する。熱硬化性材料は、未だ、熱によって、硬化されていない。熱硬化性材料は、熱によって重合する性質を有する。熱硬化性材料は、熱によって重合体になる性質を有する。熱硬化性材料は、熱によって硬化する性質を有する。
【0086】
熱硬化性材料は、モノマーおよびオリゴマーの少なくともいずれかを含む。熱硬化性材料中のモノマーおよびオリゴマーの少なくともいずれかは、熱によって重合する性質を有する。熱硬化性材料は、ポリマーを含まない。熱硬化性材料は、高分子を含まない。熱硬化性材料は、高分子化合物を含まない。
【0087】
熱硬化性材料は、例えば、フェノールを含む。熱硬化性材料は、例えば、フェノールモノマーを含む。熱硬化性材料は、例えば、フェノール由来のオリゴマーを含む。熱硬化性材料は、例えば、ノボラックを含む。熱硬化性材料は、例えば、ノボラック型フェノール樹脂を含む。ノボラックは、フェノール由来のオリゴマーの一例である。ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール由来のオリゴマーの一例である。
【0088】
第1乾燥補助液F1は、溶媒を含む。溶媒は、液体である。溶媒は、常温において、液体である。溶媒は、揮発性を有する。溶媒は、気化しやすい。溶媒は、熱硬化性材料を溶解する。このため、第1乾燥補助液F1中の熱硬化性材料は、溶媒に溶解されている。すなわち、第1乾燥補助液F1は、溶媒と、溶媒に溶解された熱硬化性材料を含む。熱硬化性材料は、第1乾燥補助液F1の溶質に相当する。
【0089】
溶媒は、例えば、有機溶剤である。溶媒は、例えば、アルコールである。溶媒は、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、1-エトキシ-2-プロパノール(PGEE)、アセトン、および、1-ブタノールの少なくともいずれかを含む。
【0090】
例えば、第1乾燥補助液F1は、熱硬化性材料と溶媒のみからなる。
【0091】
供給部21aは、ノズル22aを備える。ノズル22aは、処理液Lを吐出する。供給部21bは、ノズル22bを備える。ノズル22bは、第1乾燥補助液F1を吐出する。
【0092】
ノズル22a、22bはそれぞれ、筐体12の内部に設置される。ノズル22a、22bはそれぞれ、待機位置と処理位置に移動可能である。図4は、待機位置に位置するノズル22a、22bを実線で示す。図4は、処理位置に位置するノズル22a、22bを破線で示す。待機位置は、例えば、基板保持部13に保持される基板Wの上方から外れた位置である。処理位置は、例えば、基板保持部13に保持される基板Wの上方の位置である。
【0093】
第1乾燥補助液F1は、筐体12の内部において、使用される。上述の通り、筐体12の内部は、例えば、常圧に保たれる。このため、第1乾燥補助液F1は、例えば、常圧の環境の下で、使用される。処理液Lも、例えば、常圧の環境の下で、使用される。
【0094】
供給部21aは、配管23aと弁24aを備える。配管23aは、ノズル22aに接続される。弁24aは、配管23aに設けられる。弁24aが開くとき、ノズル22aは処理液Lを吐出する。弁24aが閉じるとき、ノズル22aは処理液Lを吐出しない。同様に、供給部21bは、配管23bと弁24bを備える。配管23bは、ノズル22bに接続される。弁24bは、配管23bに設けられる。弁24bは、第1乾燥補助液F1の吐出を制御する。
【0095】
供給部21aは、供給源25aに接続される。供給源25aは、例えば、配管23aに接続される。供給源25aは、供給部21aに処理液Lを送る。同様に、供給部21bは、供給源25bに接続される。供給源25bは、例えば、配管23bに接続される。供給源25bは、供給部21bに第1乾燥補助液F1を送る。
【0096】
配管23aの少なくとも一部は、筐体12の外部に設けられてもよい。配管23bも、配管23aと同様に配置されてもよい。弁24aは、筐体12の外部に設けられてもよい。弁24bも、弁24aと同様に配置されてもよい。供給源25aは、筐体12の外部に設けられてもよい。供給源25bも、供給源25aと同様に配置されてもよい。
【0097】
供給源25aは、複数の処理ユニット11に対して、処理液Lを供給してもよい。あるいは、供給源25aは、1つの処理ユニット11のみに、処理液Lを供給してもよい。供給源25bについても、同様である。
【0098】
供給源25aは、基板処理装置1の要素であってもよい。例えば、供給源25aは、基板処理装置1の内部に設置されてもよい。あるいは、供給源25aは、基板処理装置1の要素でなくてもよい。例えば、供給源25aは、基板処理装置1の外部に設置されてもよい。同様に、供給源25bは、基板処理装置1の要素であってもよい。あるいは、供給源25bは、基板処理装置1の要素でなくてもよい。
【0099】
供給部21aは、「処理液供給部」と呼ばれてもよい。供給部21bは、「乾燥補助液供給部」と呼ばれてもよい。
【0100】
処理ユニット11は、加熱部31を備える。加熱部31は、基板保持部13によって保持される基板Wを、加熱する。
【0101】
加熱部31の構成例を説明する。加熱部31は、ヒータ32を備える。ヒータ32は、熱を発生する。ヒータ32は、例えば、抵抗ヒータである。ヒータ32は、例えば、電気ヒータである。ヒータ32は、例えば、電熱線を含む。ヒータ32は、基板保持部13に保持される基板Wの下方に配置される。ヒータ32は、基板保持部13に保持される基板Wの下面WS2と向かい合う。ヒータ32は、水平方向に延びる。ヒータ32が加熱する加熱範囲は、基板Wの全体に及ぶ。ヒータ32は、基板Wの全体を、均一に加熱する。
【0102】
加熱部31は、支持部材33と軸部34を備える。支持部材33は、ヒータ32を支持する。支持部材33は、板形状を有する。支持部材33は、水平方向に延びる。支持部材33は、基板保持部13に保持される基板Wの下方に位置する。支持部材33は、支持部材14の上方に位置する。図示を省略するが、支持部材14は、平面視において、基板Wと略同じ大きさを有する。軸部34は、支持部材33に接続される。軸部34は、支持部材33から下方に延びる。軸部34は、回転軸線D上に延びる。軸部34は、支持部材14の開口を貫通する。軸部34は、軸部18の中空部に挿入される。軸部18が回転するときであっても、軸部34は回転しない。このため、ヒータ32および支持部材33も、回転しない。軸部34は、例えば、筐体12に固定されている。
【0103】
加熱部31は、電源35を備える。電源35は、ヒータ32に電気的に接続される。電源35は、ヒータ32に電力を供給する。電源35は、ヒータ32を制御する。電源35は、例えば、加熱および非加熱の間でヒータ32を切り換える。電源35は、例えば、ヒータ32の出力を調整する。電源35は、例えば、ヒータ32による加熱温度を調整する。電源35は、例えば、ヒータ32による加熱時間を調整する。
【0104】
処理ユニット11は、さらに、不図示のカップを備えてもよい。カップは、筐体12の内部に設置される。カップは、基板保持部13の側方に配置される。カップは、基板保持部13の外方を囲む。カップは、基板保持部13に保持される基板Wから飛散した液体を受け止める。
【0105】
図3を参照する。制御部10は、回転駆動部17を制御する。制御部10は、供給部21a、21bを制御する。制御部10は、弁24a、24bを制御する。制御部10は、加熱部31を制御する。制御部10は、電源35を制御する。
【0106】
<1-4.処理ユニット11の動作例>
図4、5を参照する。図5は、第1実施形態の基板処理方法の手順を示すフローチャートである。基板処理方法は、パターンPが形成された基板Wを処理するためのものである。基板処理方法は、ステップS1-S4を備える。ステップS1-S4は、この順で実行される。ステップS1-S4は、処理ユニット11によって実行される。処理ユニット11は、制御部10の制御にしたがって、動作する。
【0107】
ステップS1:第1処理液供給工程
処理液Lが基板Wに供給される。
【0108】
基板保持部13は、基板Wを保持する。回転駆動部17は、基板保持部13を回転させる。供給部21aは、基板保持部13によって保持される基板Wに処理液Lを供給する。加熱部31は基板Wを加熱しない。
【0109】
基板Wは、略水平姿勢で保持される。基板Wは、基板保持部13と一体に回転する。処理液Lは、基板Wの上面WS1に供給される。基板Wが回転しているので、処理液Lは上面WS1の全体に円滑に広がる。例えば、処理液Lは、基板Wを洗浄する。
【0110】
そして、供給部21aは、基板Wに対する処理液Lの供給を停止する。
【0111】
第1処理液供給工程では、筐体12の内部は、例えば、常温に保たれる。このため、第1処理液供給工程では、基板Wは、例えば、常温の環境の下で、処理される。処理液Lは、常温の環境の下で、使用される。ここで、常温は、室温を含む。常温は、例えば、5℃以上で35℃以下の範囲内の温度である。常温は、例えば、10℃以上で30℃以下の範囲内の温度である。常温は、例えば、15℃以上で25℃以下の範囲内の温度である。
【0112】
第1処理液供給工程の終了時、処理液Lは基板W上に存在する。基板Wは、濡れた状態にある。基板Wは、乾燥された状態にない。
【0113】
ステップS2:第1塗布工程
第1乾燥補助液F1が基板Wに塗布される。
【0114】
基板保持部13は、基板Wを保持する。回転駆動部17は、基板保持部13および基板Wを回転させる。供給部21bは、基板保持部13によって保持される基板Wに第1乾燥補助液F1を供給する。加熱部31は基板Wを加熱しない。
【0115】
第1乾燥補助液F1は、基板Wの上面WS1に供給される。基板Wが回転しているので、第1乾燥補助液F1は上面WS1の全体に円滑に広がる。第1乾燥補助液F1は、上面WS1に塗布される。上面WS1は、第1乾燥補助液F1でコーティングされる。第1乾燥補助液F1は、基板Wから処理液Lを除去する。基板W上の処理液Lは、第1乾燥補助液F1に置き換えられる。
【0116】
そして、供給部21bは、基板Wに対する第1乾燥補助液F1の供給を停止する。回転駆動部17は、基板保持部13および基板Wの回転を停止する。基板Wは、静止する。
【0117】
第1塗布工程では、筐体12の内部は、例えば、常温に保たれる。このため、第1塗布工程では、基板Wは、例えば、常温の環境の下で、処理される。第1乾燥補助液F1は、例えば、常温の環境の下で、基板Wに塗布される。
【0118】
図6は、第1塗布工程における基板Wを模式的に示す図である。基板Wは、パターンPを上方に向けた姿勢にある。パターンPは基板Wの上面WS1に位置する。パターンPは上方を向く。
【0119】
パターンPが上方を向くときの凸部Aおよび凹部Bの位置と形状を説明する。各凸部Aは、上方に突出する。複数の凸部Aは、横に並ぶ。凹部Bは、下方に凹む。凹部Bは、上方に開放されている。基端A1は凸部Aの下端に相当する。先端A2は凸部Aの上端に相当する。底部B1は、凹部Bの下端に相当する。底部B1は、基端A1と略同じ高さに位置する。底部B1は、先端A2よりも低い位置に位置する。
【0120】
以下では、パターンPが上方を向くときの先端A2を、適宜に「上端A2」と呼ぶ。
【0121】
第1乾燥補助液F1は、基板W上に存在する。第1乾燥補助液F1は、上面WS1上に存在する。
【0122】
第1乾燥補助液F1は、パターンPに塗布される。パターンPは、第1乾燥補助液F1でコーティングされる。パターンPは、第1乾燥補助液F1と接触する。凸部Aは、第1乾燥補助液F1と接触する。
【0123】
なお、処理液Lは、既に、第1乾燥補助液F1によって、基板Wから除去された。このため、処理液Lは、基板W上に存在しない。処理液Lは、凹部Bに残らない。
【0124】
基板W上の第1乾燥補助液F1は、第1液膜G1を形成する。第1液膜G1は、基板W上に位置する。第1液膜G1は、上面WS1上に位置する。第1液膜G1は、上面WS1を覆う。第1液膜G1は、パターンPを覆う。
【0125】
第1塗布工程では、さらに、第1液膜G1の厚みを調整してもよい。例えば、供給部21bが第1乾燥補助液F1を基板Wに供給しながら、第1液膜G1の厚みを調整してもよい。例えば、供給部21bが第1乾燥補助液F1の供給を停止した後に、第1液膜G1の厚みを調整してもよい。例えば、基板Wの回転速度を調節することによって、第1液膜G1の厚みを調整してもよい。例えば、基板Wの回転時間を調節することによって、第1液膜G1の厚みを調整してもよい。
【0126】
第1液膜G1の厚みは、例えば、凸部Aの高さAHよりも十分に大きい。第1液膜G1の厚みは、例えば、高さAHの2倍以上である。第1液膜G1の厚みは、例えば、高さAHの数十倍以上である。第1液膜G1の厚みは、例えば、数十μm以上である。
【0127】
第1液膜G1の厚みは、過度に大きくない。第1液膜G1の厚みは、例えば、数百μm以下である。
【0128】
パターンPの全部は、第1液膜G1に浸漬される。凸部Aの全部は、第1液膜G1に浸漬される。
【0129】
凸部Aは、気体と接触しない。凸部Aは、気液界面と接触しない。このため、毛管力は凸部Aに作用しない。毛管力は、例えば、第1乾燥補助液F1の表面張力である。
【0130】
凹部Bは、第1液膜G1で満たされる。凹部Bの全部は、第1液膜G1のみで満たされる。
【0131】
ステップS3:第1硬化工程
基板W上の第1乾燥補助液F1を加熱する。基板W上に第1固化膜H1が形成される。
【0132】
基板保持部13は、基板Wを保持する。加熱部31は、基板保持部13によって保持される基板Wを加熱する。回転駆動部17は、基板保持部13および基板Wを回転させない。
【0133】
図7は、第1硬化工程における基板Wを模式的に示す図である。基板Wは、パターンPを上方に向けた姿勢にある。パターンPは基板Wの上面WS1に位置する。パターンPは上方を向く。
【0134】
基板保持部13によって保持される基板Wを介して、第1乾燥補助液F1は加熱される。
【0135】
第1硬化工程では、基板W上の第1乾燥補助液F1は、第1低温度T1Lで加熱される。第1低温度T1Lは、常温よりも高い。例えば、第1乾燥補助液F1の温度は、常温から上昇する。第1乾燥補助液F1の温度は、第1低温度T1Lまで上昇する。第1低温度T1Lは、第1乾燥補助液F1の加熱温度に相当する。
【0136】
基板W上の第1乾燥補助液F1中の熱硬化性材料は、重合反応を開始する。熱硬化性材料の重合反応が進むにしたがって、熱硬化性材料の重合度は増加する。基板W上の第1乾燥補助液F1の流動性は低下する。基板W上の第1乾燥補助液F1は固くなる。基板W上の第1乾燥補助液F1は硬化する。
【0137】
やがて、熱硬化性材料は重合体になる。熱硬化性材料の重合体は、熱硬化性材料の硬化物に相当する。熱硬化性材料の重合体は、高分子に相当する。熱硬化性材料の重合体は、高分子化合物に相当する。
【0138】
熱硬化性材料の重合体は、第1固化膜H1を構成する。第1固化膜H1は、熱硬化性材料の重合体を含む。
【0139】
言い換えれば、熱硬化性材料の重合反応によって、第1乾燥補助液F1の一部は第1固化膜H1に変化する。第1液膜G1の一部は第1固化膜H1に変化する。このため、第1乾燥補助液F1は減少する。第1液膜G1は薄くなる。
【0140】
第1固化膜H1は、基板W上に形成される。第1固化膜H1は、上面WS1に形成される。第1固化膜H1は、パターンP上に形成される。
【0141】
第1固化膜H1は、上面WS1を覆う。第1固化膜H1は、パターンPを覆う。
【0142】
ここで、熱硬化性材料の重合体は、凹部Bの幅BWよりも大きな長さを有する。熱硬化性材料の重合体は、凹部Bのサイズよりも大きなサイズを有する。このため、熱硬化性材料は、凹部Bにおいて、重合体に変化できない。他方、熱硬化性材料は、凹部Bの上方の位置において、重合体に変化できる。よって、凹部Bの上方に位置する熱硬化性材料は、重合体になる。凹部B内に位置する熱硬化性材料は、凹部Bの上方の位置に移動してから、凹部Bの上方の位置において重合体になる。
【0143】
よって、第1固化膜H1の少なくとも一部は、凹部Bの上方に位置する。言い換えれば、第1固化膜H1の少なくとも一部は、パターンPの上方に位置する。第1固化膜H1の少なくとも一部は、凸部Aの上端A2と同等またはこれよりも高い位置に位置する。
【0144】
第1固化膜H1の全部は、凹部Bの底部B1よりも上方に位置する。第1固化膜H1の全部は、底部B1よりも高い位置に位置する。第1固化膜H1は、底部B1から離れている。第1固化膜H1は、底部B1と接触しない。第1固化膜H1は、底部B1と接触する部分を有しない。凹部Bの少なくとも一部は、第1固化膜H1によって満たされない。凹部Bの少なくとも一部は、第1固化膜H1と底部B1の間に形成される隙間である。隙間は、第1固化膜H1の下方、かつ、底部B1の上方に位置する。
【0145】
第1固化膜H1は、各凸部Aの少なくとも一部と接触しない。具体的には、第1固化膜H1は、各サイドA3の少なくとも一部と接触しない。第1固化膜H1は、サイドA3の少なくとも一部から離れている。このため、仮に第1固化膜H1の体積が変化しても、第1固化膜H1はサイドA3に有意な力を及ぼし難い。「第1固化膜H1の体積が変化する」とは、例えば、第1固化膜H1が膨張することを意味する。「第1固化膜H1の体積が変化する」とは、例えば、第1固化膜H1が収縮することを意味する。サイドA3に及ぶ力は、例えば、サイドA3を側方に押す力を意味する。サイドA3に及ぶ力は、例えば、サイドA3を側方に引く力を意味する。「有意な力」とは、凸部Aを倒壊させるほど十分に大きな力を意味する。
【0146】
例えば、第1固化膜H1の全部は、凹部Bの上方に位置する。例えば、第1固化膜H1は、凹部Bに位置する部分を有しない。例えば、第1固化膜H1の全部は、凸部Aの上端A2と同等またはこれよりも高い位置に位置する。例えば、第1固化膜H1の全部は、パターンPの上方に位置する。例えば、第1固化膜H1は、サイドA3の全部から離れている。例えば、第1固化膜H1は、サイドA3と接触する部分を有しない。この場合、仮に第1固化膜H1の体積が変化しても、第1固化膜H1はサイドA3に力を及ぼさない。
【0147】
第1乾燥補助液F1は、第1固化膜H1に変化する部分に加えて、未反応分を含む。第1乾燥補助液F1の未反応分は、第1固化膜H1に変化せずに、基板W上に残る。第1乾燥補助液F1の未反応分は、凹部Bに位置する。凹部Bの第1乾燥補助液F1は、第1乾燥補助液F1の未反応分に相当する。
【0148】
凹部Bの第1乾燥補助液F1は、凸部Aの一部と接触する。凹部Bの第1乾燥補助液F1は、凸部AのサイドA3の少なくとも一部と接触する。
【0149】
上述の通り、凹部B内の熱硬化性材料は、凹部Bの上方に移動する。このため、凹部Bの第1乾燥補助液F1は、熱硬化性材料を、実質的に含まない。凹部Bの第1乾燥補助液F1は、実質的に溶媒からなる。第1乾燥補助液F1の未反応分は、実質的に溶媒からなる。
【0150】
さらに、第1固化膜H1は、凸部Aの上端A2と接触している。第1固化膜H1は、上端A2と連結する。第1固化膜H1は、上端A2とリンクする。第1固化膜H1は、例えば、上端A2と接着する。このため、第1固化膜H1は、凸部Aを好適に支持する。第1固化膜H1は、凸部Aの倒壊を好適に防ぐ。例えば、上端A2が側方に動くことを、第1固化膜H1は防止する。例えば、凸部Aが側方に傾くことを、第1固化膜H1は防止する。
【0151】
第1固化膜H1は、上端A2同士をブリッジする。第1固化膜H1は、上端A2同士をつなぐ橋に相当する。2つ以上の上端A2は、第1固化膜H1によって、相互に連結される。このため、第1固化膜H1は、凸部Aを一層好適に支持する。第1固化膜H1は、凸部Aの倒壊を一層好適に防ぐ。
【0152】
第1固化膜H1は、厚みを有する。第1固化膜H1の厚みは、凸部Aの高さAHよりも十分に大きい。第1固化膜H1の厚みは、例えば、高さAHの2倍以上である。第1固化膜H1の厚みは、例えば、高さAHの数十倍以上である。
【0153】
第1固化膜H1の厚みは、過度に大きくない。第1固化膜H1の厚みは、例えば、数百μm以下である。
【0154】
図8は、第1硬化工程における基板Wを模式的に示す拡大図である。第1固化膜H1をより詳しく説明する。第1固化膜H1は、下面H1bを有する。下面H1bは、凸部Aの上端A2と接触している。下面H1bが上端A2と接触した状態で、第1固化膜H1はパターンPの上方に形成される。
【0155】
下面H1bの全部は、凹部Bの底部B1よりも高い位置に位置する。下面H1bは、底部B1から離れている。下面H1bは、底部B1と接触しない。
【0156】
例えば、下面H1bは、互いに隣り合う凸部Aの間において、上方に凸に湾曲する。例えば、下面H1bは、凹部Bの上方において、上方に凸に湾曲する。例えば、互いに隣り合う凸部Aの間における下面H1bの部分は、上端A2よりも高い位置に位置する。例えば、凹部Bの上方における下面H1bの部分は、上端A2よりも高い位置に位置する。
【0157】
第1固化膜H1は、固体である。第1固化膜H1は、「硬化膜」と呼ばれてもよい。第1固化膜H1は、「高分子膜」と呼ばれてもよい。
【0158】
例えば、第1固化膜H1は、実質的に、弾性を有しない。例えば、第1固化膜H1は、実質的に、変形しない。あるいは、第1固化膜H1は、弾性を有してもよい。
【0159】
第1固化膜H1は、熱分解性を有する。
【0160】
第1固化膜H1は、熱分解温度Tp1を有する。熱分解温度Tp1は、常温よりも高い。熱分解温度Tp1は、例えば、100度以上である。熱分解温度Tp1は、例えば、200度以上である。熱分解温度Tp1は、例えば、400度以上である。熱分解温度Tp1は、例えば、700度以上である。
【0161】
第1低温度T1Lは、熱分解温度Tp1よりも低い。すなわち、第1硬化工程では、第1乾燥補助液F1は、熱分解温度Tp1よりも低い温度で、加熱される。このため、第1硬化工程では、第1固化膜H1は熱分解されない。
【0162】
第1乾燥補助液F1の加熱温度は、熱硬化性材料の重合体の長さを決める因子の1つである。上述の通り、第1低温度T1Lは、第1乾燥補助液F1の加熱温度に相当する。このため、凹部Bの幅BWに基づいて、第1低温度T1Lが調整されることが好ましい。凹部Bの幅BWに基づいて、第1低温度T1Lが変わることが好ましい。
【0163】
例えば、熱硬化性材料の重合体の長さを幅BWよりも大きくなるように、第1低温度T1Lは調整される。例えば、幅BWが大きいとき、熱硬化性材料の重合体の長さを増加させるように、第1低温度T1Lは調整される。
【0164】
図9は、第1硬化工程における基板Wを模式的に示す拡大図である。第1乾燥補助液F1中の溶媒は、蒸発する。溶媒は、基板W上の第1乾燥補助液F1から、蒸発する。
【0165】
溶媒は、容易に蒸発する。例えば、溶媒は、熱分解温度Tp1よりも低い温度で、蒸発する。例えば、溶媒は、第1低温度T1Lで、蒸発する。例えば、溶媒は、常温で、蒸発する。例えば、溶媒は、第1硬化工程の開始後に、蒸発し始めてもよい。あるいは、溶媒は、第1硬化工程の開始前に、蒸発し始めてもよい。
【0166】
例えば、第1低温度T1Lは、溶媒の沸点以上であってもよい。この場合、溶媒は、速やかに蒸発する。あるいは、第1低温度T1Lは、溶媒の沸点未満であってもよい。この場合であっても、溶媒は、円滑に蒸発する。
【0167】
溶媒の沸点は、例えば、常温よりも高い。溶媒の沸点は、熱分解温度Tp1よりも低い。
【0168】
上述の通り、凹部Bに残る第1乾燥補助液F1は、実質的に、溶媒からなる。このため、溶媒が蒸発するにしたがって、凹部Bの第1乾燥補助液F1は減少する。凹部Bの第1乾燥補助液F1は、第1固化膜H1に変化せずに、基板Wから除去される。すなわち、第1乾燥補助液F1の未反応分は、第1固化膜H1に変化せずに、基板Wから除去される。
【0169】
筐体12内の気体Jは、凹部Bに入る。第1乾燥補助液F1と気体Jは、凹部Bにおいて、接する。第1乾燥補助液F1と気体Jは、気液界面K1を形成する。気液界面K1は、凹部Bに位置する。気液界面K1は、凸部Aと接触する。気液界面K1は、凸部AのサイドA3と接触する。第1乾燥補助液F1の毛管力は凸部Aに作用する。しかしながら、凸部Aは第1固化膜H1によって支持される。このため、毛管力が凸部Aに作用しても、凸部Aは倒壊しない。
【0170】
図10は、第1硬化工程における基板Wを模式的に示す拡大図である。最終的に、基板W上の溶媒の全部は、蒸発する。基板W上の溶媒の全部は、基板Wから除去される。
【0171】
このため、凹部B内の第1乾燥補助液F1の全部は、基板Wから除去される。第1乾燥補助液F1の未反応分の全部は、基板Wから除去される。上述の通り、未反応分以外の第1乾燥補助液F1は、第1固化膜H1に変化する。よって、第1乾燥補助液F1の全部は、基板Wから消失する。
【0172】
凸部Aは、依然として、第1固化膜H1によって支持される。第1乾燥補助液F1の未反応分の全部が基板Wから除去されるまで、第1固化膜H1は凸部Aを支持する。
【0173】
第1乾燥補助液F1の未反応分の全部が基板Wから除去された後、液体は、基板W上に存在しない。液体は、凹部Bに存在しない。凸部Aは、液体と接触しない。
【0174】
ステップS4:第1熱分解工程
基板W上の第1固化膜H1は加熱される。第1固化膜H1は熱分解される。基板Wは乾燥される。
【0175】
基板保持部13は、基板Wを保持する。加熱部31は、基板保持部13によって保持される基板Wを加熱する。回転駆動部17は、基板保持部13および基板Wを回転させない。
【0176】
図11は、第1熱分解工程における基板Wを模式的に示す拡大図である。基板Wは、パターンPを上方に向けた姿勢にある。パターンPは基板Wの上面WS1に位置する。パターンPは上方を向く。
【0177】
基板保持部13によって保持される基板Wを介して、第1固化膜H1は加熱される。
【0178】
第1熱分解工程では、第1固化膜H1は、第1高温度T1Hで加熱される。第1高温度T1Hは、第1低温度T1Lよりも高い。第1高温度T1Hは、常温よりも高い。第1高温度T1Hは、溶媒の沸点よりも高い。第1固化膜H1の温度は、第1低温度T1Lから上昇する。第1固化膜H1の温度は、第1高温度T1Hまで上昇する。第1高温度T1Hは、第1固化膜H1の加熱温度に相当する。
【0179】
第1高温度T1Hは、熱分解温度Tp1以上である。すなわち、第1固化膜H1は、熱分解温度Tp1以上の温度で加熱される。例えば、第1高温度T1Hは、100度以上である。例えば、第1高温度T1Hは、200度以上である。例えば、第1高温度T1Hは、400度以上である。例えば、第1高温度T1Hは、700度以上である。
【0180】
第1固化膜H1が熱分解されることによって、第1固化膜H1は除去される。具体的には、第1固化膜H1は減少する。第1固化膜H1は薄くなる。
【0181】
第1固化膜H1中の熱硬化性材料の重合体は、熱分解される。熱硬化性材料の重合体は、解重合される。熱硬化性材料の重合体の分子量は、減少する。
【0182】
例えば、第1固化膜H1はガス化する。例えば、熱硬化性材料の重合体は、ガス化する。
【0183】
例えば、第1固化膜H1は、複数の粒子に分解される。例えば、熱硬化性材料の重合体は、複数の粒子に分解される。複数の粒子は、基板Wから浮遊する。浮遊する粒子は、例えば、煙を形成する。
【0184】
例えば、第1固化膜H1は、溶融することなく、基板Wから除去される。例えば、熱硬化性材料の重合体は、溶融することなく、基板Wから除去される。
【0185】
第1固化膜H1が熱分解されるとき、第1固化膜H1は凸部Aに有意な力を作用しない。第1固化膜H1が熱分解されるとき、凸部Aに作用する力は低い。
【0186】
図12は、第1熱分解工程における基板Wを模式的に示す拡大図である。最終的に、第1固化膜H1の全部は、基板Wから除去される。基板Wの上面WS1は、気体Jに露出する。パターンPの全部は、気体Jに露出する。凸部Aの全部は、気体Jに露出する。凹部Bの全部は、気体Jのみで満たされる。液体は、基板W上に存在しない。基板Wは、乾燥される。
【0187】
<1-5.第1実施形態の基板処理方法の技術的意義>
実施例1によって、第1実施形態の基板処理方法の技術的意義を説明する。
【0188】
実施例1の条件を説明する。
【0189】
パターンPが形成された基板Wを準備する。パターンPは、複数の凸部Aと複数の凹部Bを含む。凹部Bの幅BWは、10nmである。
【0190】
実施例1では、第1処理液供給工程と第1塗布工程と第1硬化工程と第1熱分解工程を含む一連の処理を基板Wに行う。
【0191】
第1処理液供給工程では、処理液Lは、イソプロピルアルコールである。
【0192】
第1塗布工程では、第1乾燥補助液F1は、THMR-ip5720(東京応化工業株式会社製)と、イソプロピルアルコールからなる。THMR-ip5720は、熱硬化性材料に相当する。イソプロピルアルコールは、溶媒に相当する。
【0193】
第1硬化工程では、基板Wおよび第1固化膜H1は、100度で加熱される。
【0194】
第1熱分解工程では、基板Wおよび第1固化膜H1は、700度で加熱される。
【0195】
実施例1で処理された基板Wは、局所倒壊率E1、E2、E3および平均倒壊率EAによって、評価された。
【0196】
局所倒壊率E1-E3および平均倒壊率EAは、以下のようにして求められる。局所倒壊率Eiはそれぞれ、局所エリアMiにおける倒壊率である。ここで、iは、1、2、3のいずれかである。各局所エリアMiは、基板Wの微小領域である。各局所エリアMiはそれぞれ、例えば、走査型電子顕微鏡によって50,000倍に拡大される。観察者は、各局所エリアMiにおける凸部Aを1つずつ観察する。観察者は、各凸部Aを、倒壊した凸部Aおよび倒壊してない凸部Aのいずれかに分類する。ここで、局所エリアMiにおいて観察された凸部Aの数を、NAiとする。局所エリアMiにおいて倒壊した凸部Aの数を、NBiとする。数NBiは、数NAi以下である。局所倒壊率Eiは、数NAiに対する数NBiの割合である。局所倒壊率Eiは、例えば、次式によって、規定される。
Ei=NBi/NAi*100 (%)
平均倒壊率EAは、局所倒壊率E1-E3の平均値である。
【0197】
実施例1の局所倒壊率E1は、0%であった。同様に、実施例1の局所倒壊率E2、E3もそれぞれ、0%であった。実施例1の平均倒壊率EAは、0%であった。
【0198】
実施例1から以下のことが知見される。実施例1では、各凸部Aは倒壊しなかった。倒壊した凸部Aは発生しなかった。実施例1では、凸部Aの倒壊は完全に防止された。実施例1では、パターンPが好適に保護された状態で、基板Wは乾燥された。
【0199】
<1-6.第1実施形態の効果>
第1実施形態の基板処理方法は、パターンPが形成された基板Wを処理するためのものである。パターンPは、複数の凸部Aと複数の凹部Bを含む。基板処理方法は、第1塗布工程と第1硬化工程を備える。第1塗布工程では、第1乾燥補助液F1が基板Wに塗布される。第1乾燥補助液F1は、熱硬化性材料と溶媒を含む。第1硬化工程では、基板W上の第1乾燥補助液F1が加熱される。第1硬化工程では、第1固化膜H1が基板W上に形成される。このため、第1固化膜H1は基板W上に好適に形成される。
【0200】
第1硬化工程では、第1固化膜H1の少なくとも一部は、パターンPの上方に形成される。第1硬化工程では、第1固化膜H1は、凸部Aの上端A2と接触している。このため、第1固化膜H1は、凸部Aを好適に支持する。
【0201】
第1硬化工程では、第1固化膜H1の全部は、凹部Bの底部B1よりも上方に位置する。このため、凸部Aの一部は、第1固化膜H1と接触していない。具体的には、凸部AのサイドA3の少なくとも一部は、第1固化膜H1と接触していない。よって、第1硬化工程では、第1固化膜H1の体積変化の影響を、凸部Aは受けにくい。すなわち、第1硬化工程では、第1固化膜H1の体積変化が凸部Aに及ぼす影響は、小さい。
【0202】
具体的には、仮に第1固化膜H1の体積が変化しても、第1固化膜H1がサイドA3に及ぼす力は小さい。例えば、仮に第1固化膜H1が膨張しても、第1固化膜H1がサイドA3を有意な力で押すことは難しい。よって、仮に第1固化膜H1が膨張しても、凸部Aは倒れにくい。例えば、仮に第1固化膜H1が収縮しても、第1固化膜H1がサイドA3を有意な力で引くことは難しい。よって、仮に第1固化膜H1が収縮しても、凸部Aは倒れにくい。
【0203】
基板処理方法は、第1熱分解工程を備える。第1熱分解工程では、第1固化膜H1が加熱されることによって、第1固化膜H1は熱分解される。第1熱分解工程では、基板Wが乾燥される。このため、第1固化膜H1は好適に熱分解される。さらに、第1熱分解工程においても、第1固化膜H1の体積変化の影響を、凸部Aは受けにくい。よって、第1固化膜H1は基板Wから好適に除去される。したがって、凸部Aの倒壊が抑制されつつ、基板Wは乾燥される。すなわち、パターンPが保護された状態で、基板Wは乾燥される。
【0204】
以上の通り、第1実施形態の基板処理方法によれば、基板Wは適切に処理される。
【0205】
基板WのパターンPが微細になるほど、凹部Bの幅BWは小さくなる。幅BWが小さい場合であっても、第1硬化工程において第1固化膜H1の全部を凹部Bの底部B1よりも上方に位置させることは容易である。むしろ、凹部Bの幅BWが小さくなるほど、第1硬化工程において第1固化膜H1の全部を凹部Bの底部B1よりも上方に位置させることは一層容易になる。よって、基板WのパターンPが微細になるほど、第1固化膜H1の体積変化が凸部Aに及ぼす影響は小さくなる。したがって、基板WのパターンPが微細になるほど、基板Wを適切に処理することは一層容易になる。
【0206】
凹部Bの幅BWは、10nm以下である。このため、第1硬化工程において第1固化膜H1の全部を凹部Bの底部B1よりも上方に位置させることは、非常に容易である。よって、第1固化膜H1の体積変化が凸部Aに及ぼす影響は、十分に小さい。したがって、基板Wを適切に処理することは、一層容易である。
【0207】
第1硬化工程では、第1固化膜H1は、凸部Aの上端A2同士をブリッジする。このため、第1固化膜H1は、凸部Aを一層好適に支持する。
【0208】
第1硬化工程では、第1固化膜H1の全部は、凸部Aの上端A2と同等またはこれよりも高い位置に位置する。このため、第1固化膜H1の全部は、凹部Bの上方に位置する。第1固化膜H1の全部は、凹部Bよりも高い位置に位置する。第1固化膜H1は、凹部Bに位置する部分を、実質的に有しない。よって、凸部AのサイドA3の全部は、第1固化膜H1から離れている。したがって、第1固化膜H1は、サイドA3に力を実質的に及ぼさない。第1固化膜H1の体積変化の影響を、凸部Aは実質的に受けない。
【0209】
凹部Bの幅BWが小さい場合であっても、第1硬化工程において第1固化膜H1の全部を凸部Aの上端A2と同等またはこれよりも高い位置に位置させることは容易である。むしろ、凹部Bの幅BWが小さくなるほど、第1硬化工程において第1固化膜H1の全部を凸部Aの上端A2と同等またはこれよりも高い位置に位置させることは一層容易になる。よって、基板WのパターンPが微細になるほど、基板Wを適切に処理することは一層容易になる。
【0210】
第1硬化工程では、第1固化膜H1の全部は、凹部Bの上方に位置する。このため、第1熱分解工程の終了時、第1固化膜H1の残渣が凹部Bに残らない。よって、第1熱分解工程の時、清浄な基板Wが得られる。
【0211】
第1硬化工程では、第1固化膜H1は下面H1bを有する。第1硬化工程では、下面H1bは、凸部Aの上端A2と接触する。第1硬化工程では、下面H1bは、互いに隣り合う凸部Aの間において上方に凸に湾曲する。このため、下面H1bの形状は、第1固化膜H1が凹部Bに入ることを好適に妨げる。よって、下面H1bは、第1固化膜H1をサイドA3から好適に分離する。したがって、第1固化膜H1の体積変化から、凸部Aは好適に保護される。第1固化膜H1の体積変化の影響を、凸部Aは実質的に受けない。
【0212】
第1硬化工程では、熱硬化性材料は重合体になる。第1固化膜H1は、熱硬化性材料の重合体を含む。熱硬化性材料の重合体は、凹部Bの幅BWよりも大きな長さを有する。凹部Bは、熱硬化性材料の重合体にとって、狭過ぎる。このため、熱硬化性材料は、凹部Bにおいて、重合体になり難い。よって、第1固化膜H1を凹部Bに形成することは困難である。したがって、第1硬化工程において第1固化膜H1の全部を凹部Bの底部B1よりも上方に位置させることは、一層容易である。第1固化膜H1の全部は、凹部Bの底部BWよりも上方に、好適に位置する。
【0213】
第1硬化工程では、凹部Bの幅BWに基づいて、第1乾燥補助液F1の加熱温度を調整する。このため、凹部Bの幅BWに関わらず、第1硬化工程において第1固化膜H1の全部を凹部Bの底部B1よりも上方に位置させることは、一層容易である。凹部Bの幅BWに関わらず、第1固化膜H1の全部は、凹部Bの底部B1よりも上方に、好適に位置する。
【0214】
第1硬化工程では、第1乾燥補助液F1を第1低温度T1Lで加熱する。第1低温度T1Lは第1高温度T1Hよりも低い。このため、第1硬化工程では、第1固化膜H1の熱分解は好適に防止される。よって、第1硬化工程では、第1固化膜H1は好適に形成される。したがって、第1硬化工程では、第1固化膜H1は凸部Aを好適に支持する。
【0215】
第1低温度T1Lは、熱分解温度Tp1よりも低い。このため、第1硬化工程では、第1固化膜H1は熱分解されない。よって、第1硬化工程では、第1固化膜H1は凸部Aを好適に支持する。したがって、第1硬化工程では、凸部Aの倒壊は好適に防止される。
【0216】
第1硬化工程では、さらに、第1乾燥補助液F1中の溶媒は蒸発する。このため、第1硬化工程の終了時、基板W上に溶媒は存在しない。すなわち、第1熱分解工程では、基板W上に溶媒は存在しない。よって、第1熱分解工程では、溶媒の毛管力は凸部Aに作用しない。したがって、第1熱分解工程において凸部Aを保護することは、一層容易である。
【0217】
溶媒は、熱分解温度Tp1よりも低い温度で、蒸発する。このため、第1固化膜H1が熱分解される前に、基板W上の溶媒の全部は好適に蒸発する。よって、基板W上の溶媒の全部が蒸発するまで、第1固化膜H1は凸部Aを支持する。したがって、基板W上の溶媒の全部が蒸発するまで、凸部Aの倒壊は好適に防止される。
【0218】
溶媒の沸点は、熱分解温度Tp1よりも低い。このため、溶媒は、熱分解温度Tp1よりも低い温度で、好適に蒸発する。
【0219】
第1低温度T1Lは、溶媒の沸点よりも高い。このため、第1硬化工程では、溶媒は速やかに蒸発する。
【0220】
第1硬化工程では、第1乾燥補助液F1は、第1固化膜H1に変化しない未反応分を含む。第1硬化工程では、第1乾燥補助液F1の未反応分は基板Wから除去される。このため、第1硬化工程の終了時、基板W上に第1乾燥補助液F1は存在しない。すなわち、第1熱分解工程では、基板W上に第1乾燥補助液F1は存在しない。よって、第1熱分解工程では、第1乾燥補助液F1の毛管力は凸部Aに作用しない。したがって、第1熱分解工程において凸部Aを保護することは、さらに一層容易である。
【0221】
第1熱分解工程では、第1高温度T1Hで第1固化膜H1を加熱する。第1高温度T1Hは第1低温度T1Lよりも高い。このため、第1熱分解工程では、第1固化膜H1は好適に熱分解される。
【0222】
第1固化膜H1は、熱分解性を有する。このため、第1熱分解工程では、第1固化膜H1は好適に熱分解される。
【0223】
第1熱分解工程では、第1固化膜H1は、熱分解温度Tp1以上の温度で加熱される。このため、第1熱分解工程では、第1固化膜H1は一層好適に熱分解される。
【0224】
第1熱分解工程では、第1固化膜H1は700度以上の温度で加熱される。このため、第1固化膜H1の加熱温度を熱分解温度Tp1以上とすることは、容易である。
【0225】
第1熱分解工程では、第1固化膜H1を熱分解することによって、第1固化膜H1は基板Wから除去される。このため、第1熱分解工程の後、第1固化膜H1は基板Wに残らない。第1熱分解工程の後、第1固化膜H1の残渣も基板Wに残らない。よって、第1熱分解工程の後、清浄な基板Wが得られる。
【0226】
第1熱分解工程では、第1固化膜H1は、ガス化する。このため、第1熱分解工程では、第1固化膜H1は基板Wから好適に除去される。
【0227】
第1熱分解工程では、第1固化膜H1は複数の粒子に分解される。第1熱分解工程では、粒子は基板Wから浮遊する。このため、第1熱分解工程では、第1固化膜H1は基板Wから好適に除去される。
【0228】
第1熱分解工程では、第1固化膜H1は、溶融することなく、基板Wから除去される。このため、第1固化膜H1が熱分解されるとき、凸部Aに作用する力は一層低い。よって、第1固化膜H1が熱分解されるときにおいても、凸部Aは好適に保護される。
【0229】
第1硬化工程では、熱硬化性材料は重合体になる。第1固化膜H1は、熱硬化性材料の重合体を含む。このため、第1硬化工程では、第1固化膜H1が好適に形成される。
【0230】
第1熱分解工程では、熱硬化性材料の重合体は熱分解される。よって、第1熱分解工程では、第1固化膜H1は好適に熱分解される。
【0231】
第1固化膜H1の厚みは過度に大きくない。例えば、第1固化膜H1の厚みは数百μm以下である。よって、第1熱分解工程では、第1固化膜H1は速やかに熱分解される。第1熱分解工程の時間は、好適に短縮される。
【0232】
第1塗布工程では、第1液膜G1の厚みを調整する。第1硬化工程では、第1液膜G1の一部は第1固化膜H1に変化する。このため、第1固化膜H1の厚みは好適に調整される。
【0233】
第1塗布工程では、基板W上の第1乾燥補助液F1は、第1液膜G1を形成する。第1液膜G1は、凸部Aの高さAHよりも十分に大きい厚みを有する。凸部Aの全部は、第1液膜G1に浸漬される。このため、第1塗布工程では、凸部Aは、気液界面と接触しない。よって、第1塗布工程では、第1乾燥補助液F1の毛管力は凸部Aに作用しない。したがって、第1塗布工程においても、凸部Aは好適に保護される。第1塗布工程においても、凸部Aの倒壊は好適に防止される。
【0234】
第1実施形態の基板処理方法は、さらに、第1処理液供給工程を備える。第1処理液供給工程は、第1塗布工程の前に実行される。第1処理液供給工程では、処理液Lが基板Wに供給される。よって、基板Wは、一層適切に処理される。
【0235】
第1塗布工程では、基板Wから処理液Lを除去する。このため、第1硬化工程および第1熱分解工程では、基板W上に処理液Lは存在しない。よって、第1硬化工程および第1熱分解工程において凸部Aを保護することは、一層容易である。
【0236】
<第2実施形態>
図面を参照して、第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0237】
基板Wと、基板処理装置1の概要に関しては、第2実施形態は第1実施形態と略同じである。
【0238】
<2-1.処理ユニット11の構成>
図13は、第2実施形態の処理ユニット11の構成を示す図である。第2実施形態では、供給部21bは、第2乾燥補助液F2を供給する。第2実施形態では、供給部21bは、第1乾燥補助液F1を供給しない。第2乾燥補助液F2は、基板Wを乾燥させるために用いられる。第2乾燥補助液F2は、基板Wを乾燥させることを補助する機能を有する。第2乾燥補助液F2は、液体である。第2乾燥補助液F2は、常温において、液体である。
【0239】
第2乾燥補助液F2は、紫外線硬化性材料を含む。紫外線硬化性材料は、紫外線硬化性を有する。紫外線硬化性材料は、未だ、紫外線によって、硬化されていない。紫外線硬化性材料は、紫外線によって重合する性質を有する。紫外線硬化性材料は、紫外線によって重合体になる性質を有する。紫外線硬化性材料は、紫外線によって硬化する性質を有する。
【0240】
紫外線硬化性材料は、モノマーおよびオリゴマーの少なくともいずれかを含む。紫外線硬化性材料中のモノマーおよびオリゴマーの少なくともいずれかは、紫外線によって重合する性質を有する。紫外線硬化性材料は、ポリマーを含まない。紫外線硬化性材料は、高分子を含まない。紫外線硬化性材料は、高分子化合物を含まない。
【0241】
紫外線硬化性材料は、液体である。紫外線硬化性材料は、常温において、液体である。
【0242】
紫外線硬化性材料は、例えば、イソボルニルアクリレート(Isobornyl Acrylate)である。紫外線硬化性材料は、例えば、イソボルニルアクリレートモノマーである。
【0243】
第2乾燥補助液F2は、重合開始剤を含む。重合開始剤は、「光重合開始剤」と呼ばれてもよい。重合開始剤は、紫外線硬化性材料の重合を開始させる。
【0244】
重合開始剤は、例えば、固体である。重合開始剤は、例えば、常温において、固体である。重合開始剤は、例えば、粉末である。第2乾燥補助液F2中の重合開始剤は、例えば、紫外線硬化性材料に溶解される。第2乾燥補助液F2における重合開始剤の濃度は、例えば、1wt%以上である。第2乾燥補助液F2における重合開始剤の濃度は、例えば、10wt%以下である。
【0245】
重合開始剤は、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(1-Hydroxycyclohexyl Phenyl Ketone)である。
【0246】
第2乾燥補助液F2は、溶媒を含まない。溶媒は、例えば、有機溶剤および脱イオン水の少なくともいずれかである。上述の通り、紫外線硬化性材料は液体である。このため、第2乾燥補助液F2を生成するために、紫外線硬化性材料を溶媒に溶解させる必要はない。上述の通り、重合開始剤は紫外線硬化性材料に溶解される。このため、第2乾燥補助液F2を生成するために、重合開始剤を溶媒に溶解させる必要はない。
【0247】
例えば、第2乾燥補助液F2は、紫外線硬化性材料と重合開始剤のみからなる。
【0248】
ノズル22bは、第2乾燥補助液F2を吐出する。弁24bは、第2乾燥補助液F2の吐出を制御する。供給源25bは、供給部21bに第2乾燥補助液F2を送る。
【0249】
第2乾燥補助液F2は、筐体12の内部において、使用される。このため、第2乾燥補助液F2は、例えば、常圧の環境の下で、使用される。
【0250】
処理ユニット11は、照射部41を備える。照射部41は、基板保持部13によって保持される基板Wに、紫外線を照射する。具体的には、照射部41は、基板保持部13によって保持される基板Wの上面WS1に、紫外線を照射する。
【0251】
図13は、紫外線を二点鎖線で模式的に示す。照射部41は、紫外線を下方に照射する。照射部41による紫外線の照射域は、基板Wの上面WS1と同等以上に大きい。照射部41による紫外線の照射域は、基板Wの上面WS1の全体に及ぶ。基板Wの上面WS1の全体は、照射部41の紫外線を、同時に受ける。
【0252】
照射部41の構成例を説明する。照射部41は、発光部42を備える。発光部42は、基板保持部13の上方に設けられる。発光部42は、基板保持部13に保持される基板Wの上方に設けられる。発光部42は、例えば、筐体12の内部に設置される。
【0253】
例えば、発光部42は、基板保持部13に保持される基板Wに対して、水平方向に移動しない。例えば、発光部42は、基板保持部13に保持される基板Wに対して、鉛直方向Zに移動しない。例えば、発光部42は、筐体12に固定されている。
【0254】
発光部42は、1つ以上の光源43を備える。光源43は、紫外線を発生する。光源43は、例えば、ランプである。ランプは、例えば、キセノンランプである。光源43は、例えば、発光ダイオード(LED)である。
【0255】
発光部42は、ハウジング44を備える。ハウジング44は、光源43を支持する。ハウジング44は、略箱形状を有する。ハウジング44は、光源43を収容する。
【0256】
発光部42は、出射面45を備える。出射面45は、光源43の紫外線を出射する。出射面45は、紫外線を下方に出射する。出射面45は、紫外線の透過を許容する。出射面45は、例えば、石英ガラスで構成される。出射面45は、例えば、ハウジング44の底部に配置される。出射面45は、基板保持部13に保持される基板Wの上方に配置される。出射面45は、水平方向に延びる。出射面45は、平面視において、基板保持部13に保持される基板Wの全部と重なる。
【0257】
照射部41は電源46を備える。電源46は発光部42(具体的には光源43)に電気的に接続される。電源46は発光部42に電力を供給する。電源46は、発光部42を制御する。電源46は、例えば、紫外線の照射および非照射の間で発光部42を切り換える。電源46は、例えば、紫外線の強度を調整する。電源46は、例えば、紫外線の照射時間を調整する。
【0258】
図示を省略するが、制御部10は、さらに、照射部41を制御する。制御部10は、電源46を制御する。
【0259】
<2-2.処理ユニット11の動作例>
図13、14を参照する。図14は、第2実施形態の基板処理方法の手順を示すフローチャートである。基板処理方法は、パターンPが形成された基板Wを処理するためのものである。パターンPは、複数の凸部Aと複数の凹部Bを含む。基板処理方法は、ステップS11-S14を備える。ステップS11-S14は、この順で実行される。ステップS11-S14は、処理ユニット11によって実行される。
【0260】
ステップS11:第2処理液供給工程
処理液Lが基板Wに供給される。
【0261】
第2処理液供給工程の動作は、第1実施形態の第1処理液供給工程の動作と、実質的に同じである。第1処理液供給工程が第1塗布工程の前に実行されるのに対し、第2処理液供給工程は第2塗布工程の前に実行される。
【0262】
ステップS12:第2塗布工程
第2乾燥補助液F2が基板Wに塗布される。
【0263】
第2塗布工程の動作は、第1塗布工程の動作と類似する。第2塗布工程は、第1塗布工程において第1乾燥補助液F1を第2乾燥補助液F2に変更したものに相当する。念のため、第2塗布工程を簡略に説明する。
【0264】
基板保持部13は、基板Wを保持する。回転駆動部17は、基板保持部13および基板Wを回転させる。供給部21bは、基板保持部13によって保持される基板Wに第2乾燥補助液F2を供給する。加熱部31は基板Wを加熱しない。照射部41は紫外線を照射しない。
【0265】
筐体12の内部は、例えば、常温に保たれる。第2塗布工程では、基板Wは、例えば、常温の環境の下で、処理される。第2乾燥補助液F2は、例えば、常温の環境の下で、基板Wに塗布される。
【0266】
図15は、第2塗布工程における基板Wを模式的に示す図である。基板Wは、パターンPを上方に向けた姿勢にある。パターンPは基板Wの上面WS1に位置する。パターンPは上方を向く。第2乾燥補助液F2は、上面WS1に塗布される。上面WS1は、第2乾燥補助液F2でコーティングされる。第2乾燥補助液F2は、パターンPに塗布される。パターンPは、第2乾燥補助液F2でコーティングされる。パターンPは、第2乾燥補助液F2と接触する。凸部Aは、第2乾燥補助液F2と接触する。第2乾燥補助液F2は、基板Wから処理液Lを除去する。基板W上の処理液Lは、第2乾燥補助液F2に置き換えられる。
【0267】
基板W上の第2乾燥補助液F2は、第2液膜G2を形成する。第2液膜G2は、基板W上に位置する。第2液膜G2は、上面WS1上に位置する。第2液膜G2は、上面WS1を覆う。第2液膜G2は、パターンPを覆う。第2塗布工程では、さらに、第2液膜G2の厚みを調整してもよい。
【0268】
第2液膜G2の厚みは、例えば、凸部Aの高さAHよりも十分に大きい。第2液膜G2の厚みは、例えば、高さAHの2倍以上である。第2液膜G2の厚みは、例えば、高さAHの数十倍以上である。第2液膜G2の厚みは、例えば、数十μm以上である。
【0269】
第2液膜G2の厚みは、過度に大きくない。第2液膜G2の厚みは、例えば、数百μm以下である。
【0270】
パターンPの全部は、第2液膜G2に浸漬される。凸部Aの全部は、第2液膜G2に浸漬される。
【0271】
凸部Aは、気液界面と接触しない。このため、毛管力は凸部Aに作用しない。
【0272】
凹部Bは、第2液膜G2で満たされる。凹部Bの全部は、第2液膜G2のみで満たされる。
【0273】
ステップS13:第2硬化工程
基板W上の第2乾燥補助液F2に紫外線を照射する。基板W上に第2固化膜が形成される。
【0274】
基板保持部13は、基板Wを保持する。照射部41は、基板保持部13によって保持される基板Wに紫外線を照射する。回転駆動部17は、基板保持部13および基板Wを回転させない。加熱部31は基板Wを加熱しない。
【0275】
第2硬化工程では、筐体12の内部は、例えば、常温に保たれる。このため、第2硬化工程では、基板Wは、例えば、常温の環境の下で、処理される。第2固化膜は、例えば、常温の環境の下で、形成される。
【0276】
図16は、第2硬化工程における基板Wを模式的に示す図である。基板Wは、パターンPを上方に向けた姿勢にある。パターンPは基板Wの上面WS1に位置する。パターンPは上方を向く。
【0277】
基板Wの上面WS1は、紫外線にさらされる。基板W上の第2乾燥補助液F2は、紫外線にさらされる。第2乾燥補助液F2の重合開始剤は、活性種を発生する。活性種は、例えば、ラジカルである。活性種は、第2乾燥補助液F2の紫外線硬化性材料の重合反応を開始させる。紫外線硬化性材料の重合反応が進むにしたがって、紫外線硬化性材料の重合度は増加する。基板W上の第2乾燥補助液F2の流動性は低下する。基板W上の第2乾燥補助液F2は固くなる。基板W上の第2乾燥補助液F2は硬化する。
【0278】
やがて、紫外線硬化性材料は重合体になる。紫外線硬化性材料の重合体は、紫外線硬化性材料の硬化物に相当する。紫外線硬化性材料の重合体は、高分子に相当する。紫外線硬化性材料の重合体は、高分子化合物に相当する。
【0279】
紫外線硬化性材料の重合体は、第2固化膜H2を構成する。第2固化膜H2は、紫外線硬化性材料の重合体を含む。
【0280】
言い換えれば、紫外線硬化性材料の重合反応によって、第2乾燥補助液F2の一部は第2固化膜H2に変化する。第2液膜G2の一部は第2固化膜H2に変化する。このため、第2乾燥補助液F2は減少する。第2液膜G2は薄くなる。
【0281】
第2固化膜H2は、基板W上に形成される。第2固化膜H2は、上面WS1に形成される。第2固化膜H2は、パターンP上に形成される。
【0282】
第2固化膜H2は、上面WS1を覆う。第2固化膜H2は、パターンPを覆う。
【0283】
ここで、紫外線硬化性材料の重合体は、凹部Bの幅BWよりも大きな長さを有する。紫外線硬化性材料の重合体は、凹部Bのサイズよりも大きなサイズを有する。このため、紫外線硬化性材料は、凹部Bにおいて、重合体に変化できない。他方、紫外線硬化性材料は、凹部Bの上方の位置において、重合体に変化できる。よって、凹部Bの上方に位置する紫外線硬化性材料は、重合体になる。凹部B内に位置する紫外線硬化性材料は、重合体にならない。
【0284】
よって、第2固化膜H2の少なくとも一部は、凹部Bの上方に位置する。言い換えれば、第2固化膜H2の少なくとも一部は、パターンPの上方に位置する。第2固化膜H2の少なくとも一部は、凸部Aの上端A2と同等またはこれよりも高い位置に位置する。
【0285】
第2固化膜H2の全部は、凹部Bの底部B1よりも上方に位置する。第2固化膜H2の全部は、底部B1よりも高い位置に位置する。第2固化膜H2は、底部B1から離れている。第2固化膜H2は、底部B1と接触しない。第2固化膜H2は、底部B1と接触する部分を有しない。凹部Bの少なくとも一部は、第2固化膜H2によって満たされない。凹部Bの少なくとも一部は、第2固化膜H2と底部B2の間に形成される隙間である。隙間は、第2固化膜H2の下方、かつ、底部B2の上方に位置する。
【0286】
第2固化膜H2は、各凸部Aの少なくとも一部と接触しない。具体的には、第2固化膜H2は、各サイドA3の少なくとも一部と接触しない。第2固化膜H2は、サイドA3の少なくとも一部から離れている。このため、仮に第2固化膜H2の体積が変化しても、第2固化膜H2はサイドA3に有意な力を及ぼし難い。
【0287】
例えば、第2固化膜H2の全部は、凹部Bの上方に位置する。例えば、第2固化膜H2は、凹部Bに位置する部分を有しない。例えば、第2固化膜H2の全部は、凸部Aの上端A2と同等またはこれよりも高い位置に位置する。例えば、第2固化膜H2の全部は、パターンPの上方に位置する。例えば、第2固化膜H2は、凸部AのサイドA3の全部から離れている。例えば、第2固化膜H2は、サイドA3と接触する部分を有しない。この場合、仮に第2固化膜H2の体積が変化しても、第2固化膜H2はサイドA3に力を及ぼさない。
【0288】
第2乾燥補助液F2は、第2固化膜H2に変化する部分に加えて、未反応分を含む。第2乾燥補助液F2の未反応分は、第2固化膜H2に変化せずに、基板W上に残る。第2乾燥補助液F2の未反応分は、凹部Bに位置する。凹部Bの第2乾燥補助液F2は、第2乾燥補助液F2の未反応分に相当する。
【0289】
凹部Bの第2乾燥補助液F2は、凸部Aの一部と接触する。凹部Bの第2乾燥補助液F2は、凸部AのサイドA3の少なくとも一部と接触する。
【0290】
凹部Bの第2乾燥補助液F2は、紫外線硬化性材料を含む。第2乾燥補助液F2の未反応分は、紫外線硬化性材料を含む。
【0291】
さらに、第2固化膜H2は、凸部Aの上端A2と接触している。第2固化膜H2は、上端A2と連結する。第2固化膜H2は、上端A2とリンクする。第2固化膜H2は、例えば、上端A2と接着する。このため、第2固化膜H2は、凸部Aを好適に支持する。第2固化膜H2は、凸部Aの倒壊を好適に防ぐ。例えば、上端A2が側方に動くことを、第2固化膜H2は防止する。例えば、凸部Aが側方に傾くことを、第2固化膜H2は防止する。
【0292】
第2固化膜H2は、上端A2同士をブリッジする。第2固化膜H2は、上端A2同士をつなぐ橋に相当する。2つ以上の上端A2は、第2固化膜H2によって、相互に連結される。このため、第2固化膜H2は、凸部Aを一層好適に支持する。第2固化膜H2は、凸部Aの倒壊を一層好適に防ぐ。
【0293】
第2固化膜H2は、厚みを有する。第2固化膜H2の厚みは、凸部Aの高さAHよりも十分に大きい。第2固化膜H2の厚みは、例えば、高さAHの2倍以上である。第2固化膜H2の厚みは、例えば、高さAHの数十倍以上である。
【0294】
第2固化膜H2の厚みは、過度に大きくない。第2固化膜H2の厚みは、例えば、数百μm以下である。
【0295】
図17は、第2硬化工程における基板Wを模式的に示す拡大図である。第2固化膜H2をより詳しく説明する。第2固化膜H2は、下面H2bを有する。下面H2bは、凸部Aの上端A2と接触している。下面H2bが上端A2と接触した状態で、第2固化膜H2はパターンPの上方に形成される。
【0296】
下面H2bの全部は、凹部Bの底部B1よりも高い位置に位置する。下面H2bは、底部B1から離れている。下面H2bは、底部B1と接触しない。
【0297】
例えば、下面H2bは、互いに隣り合う凸部Aの間において、上方に凸に湾曲する。例えば、下面H2bは、凹部Bの上方において、上方に凸に湾曲する。例えば、互いに隣り合う凸部Aの間における下面H2bの部分は、上端A2よりも高い位置に位置する。例えば、凹部Bの上方における下面H2bの部分は、上端A2よりも高い位置に位置する。
【0298】
第2固化膜H2は、固体である。第2固化膜H2は、常温で、固体である。第2固化膜H2は、「硬化膜」と呼ばれてもよい。第2固化膜H2は、「高分子膜」と呼ばれてもよい。
【0299】
例えば、第2固化膜H2は、実質的に、弾性を有しない。例えば、第2固化膜H2は、実質的に、変形しない。あるいは、第2固化膜H2は、弾性を有してもよい。
【0300】
第2固化膜H2は、熱分解性を有する。
【0301】
第2固化膜H2は、熱分解温度Tp2を有する。熱分解温度Tp2は、常温よりも高い。熱分解温度Tp2は、例えば、100度以上である。熱分解温度Tp2は、例えば、200度以上である。熱分解温度Tp2は、例えば、400度以上である。熱分解温度Tp2は、例えば、700度以上である。
【0302】
なお、第2乾燥補助液F2は、常温では、実質的に蒸発しない。紫外線硬化性材料は、常温では、実質的に蒸発しない。第2乾燥補助液F2の沸点は、例えば、常温よりも高い。紫外線硬化性材料の沸点は、例えば、常温よりも高い。
【0303】
このため、第2硬化工程では、第2乾燥補助液F2の未反応分は、基板Wから除去されない。第2硬化工程の終了時においても、第2乾燥補助液F2の未反応分は、基板W上に残る。第2硬化工程の終了時においても、第2乾燥補助液F2の未反応分は、凹部Bに残る。
【0304】
ステップS14:第2熱分解工程
基板W上の第2固化膜H2は加熱される。第2固化膜H2は熱分解される。基板Wは乾燥される。
【0305】
基板保持部13は、基板Wを保持する。加熱部31は、基板保持部13によって保持される基板Wを加熱する。回転駆動部17は、基板保持部13および基板Wを回転させない。照射部41は紫外線を照射しない。
【0306】
図18は、第2熱分解工程における基板Wを模式的に示す拡大図である。基板Wは、パターンPを上方に向けた姿勢にある。パターンPは基板Wの上面WS1に位置する。パターンPは上方を向く。
【0307】
基板保持部13によって保持される基板Wを介して、第2固化膜H2は加熱される。
【0308】
第2熱分解工程では、第2固化膜H2は、第2温度T2で加熱される。第2温度T2は、常温よりも高い。例えば、第2固化膜H2の温度は、常温から上昇する。第2固化膜H2の温度は、第2温度T2まで上昇する。第2高温度T2Hは、第2固化膜H2の加熱温度に相当する。
【0309】
第2温度T2は、熱分解温度Tp2以上である。すなわち、第2固化膜H2は、熱分解温度Tp2以上の温度で加熱される。例えば、第2温度T2は、100度以上である。例えば、第2温度T2は、200度以上である。例えば、第2温度T2は、400度以上である。例えば、第2温度T2は、700度以上である。
【0310】
第2温度T2は、第2乾燥補助液F2の沸点よりも高い。第2温度T2は、紫外線硬化性材料の沸点よりも高い。
【0311】
上述の通り、第2硬化工程の終了時、第2乾燥補助液F2の一部は、基板W上に残る。第2熱分解工程では、基板W上に残る第2乾燥補助液F2も、基板保持部13によって保持される基板Wを介して、加熱される。第2熱分解工程では、基板W上に残る第2乾燥補助液F2は蒸発する。言い換えれば、第2熱分解工程では、第2乾燥補助液F2の未反応分は加熱される。第2熱分解工程では、第2乾燥補助液F2の未反応分は蒸発する。具体的には、第2熱分解工程では、凹部B内の第2乾燥補助液F2は、蒸発する。
【0312】
第2乾燥補助液F2は、熱分解温度Tp2よりも低い温度で、蒸発する。紫外線硬化性材料は、熱分解温度Tp2よりも低い温度で、蒸発する。例えば、第2乾燥補助液F2の沸点は、熱分解温度Tp2よりも低い。例えば、紫外線硬化性材料の沸点は、熱分解温度Tp2よりも低い。
【0313】
よって、第2熱分解工程では、第2固化膜H2が熱分解される前に、基板W上に残る第2乾燥補助液F2は蒸発する。第2熱分解工程では、第2固化膜H2が熱分解される前に、第2乾燥補助液F2の未反応分は蒸発する。
【0314】
第2乾燥補助液F2が蒸発するとき、第2固化膜H2は実質的に熱分解しない。第2乾燥補助液F2が蒸発するとき、第2固化膜H2は凸部Aを支持する。
【0315】
第2乾燥補助液F2が蒸発するにしたがって、凹部Bの第2乾燥補助液F2は減少する。凹部Bの第2乾燥補助液F2は、第2固化膜H2に変化せずに、基板Wから除去される。第2乾燥補助液F2の未反応分は、第2固化膜H2に変化せずに、基板Wから除去される。
【0316】
筐体12内の気体Jは、凹部Bに入る。第2乾燥補助液F2と気体Jは、凹部Bにおいて、接する。第2乾燥補助液F2と気体Jは、気液界面K2を形成する。気液界面K2は、凹部Bに位置する。気液界面K2は、凸部Aと接触する。気液界面K2は、凸部AのサイドA3と接触する。第2乾燥補助液F2の毛管力は凸部Aに作用する。しかしながら、凸部Aは第2固化膜H2によって支持される。このため、毛管力が凸部Aに作用しても、凸部Aは倒壊しない。
【0317】
図19は、第2熱分解工程における基板Wを模式的に示す拡大図である。最終的に、凹部B内の第2乾燥補助液F2の全部は、蒸発する。凹部B内の第2乾燥補助液F2の全部は、基板Wから除去される。第2乾燥補助液F2の未反応分の全部は、基板Wから除去される。上述の通り、未反応分以外の第2乾燥補助液F2は、第2固化膜H2に変化する。よって、基板W上の第2乾燥補助液F2の全部は、基板Wから消失する。
【0318】
凸部Aは、依然として、第2固化膜H2によって支持される。第2乾燥補助液F2の未反応分の全部が基板Wから除去されるまで、第2固化膜H2は凸部Aを支持する。
【0319】
第2乾燥補助液F2の未反応分の全部が基板Wから除去された後、液体は、基板W上に存在しない。液体は、凹部Bに存在しない。凸部Aは、液体と接触しない。
【0320】
図20は、第2熱分解工程における基板Wを模式的に示す図である。第2乾燥補助液F2の未反応分が基板Wから除去された後、第2固化膜H2が熱分解される。第2固化膜H2が熱分解されることによって、第2固化膜H2は除去される。具体的には、第2固化膜H2は減少する。第2固化膜H2は薄くなる。
【0321】
第2固化膜H2中の紫外線硬化性材料の重合体は、熱分解される。紫外線硬化性材料の重合体は、解重合される。紫外線硬化性材料の重合体の分子量は、減少する。
【0322】
例えば、第2固化膜H2はガス化する。例えば、紫外線硬化性材料の重合体は、ガス化する。
【0323】
例えば、第2固化膜H2は、複数の粒子に分解される。例えば、紫外線硬化性材料の重合体は、複数の粒子に分解される。複数の粒子は、基板Wから浮遊する。浮遊する粒子は、例えば、煙を形成する。
【0324】
例えば、第2固化膜H2は、溶融することなく、基板Wから除去される。例えば、紫外線硬化性材料の重合体は、溶融することなく、基板Wから除去される。
【0325】
第2固化膜H2が熱分解されるとき、第2固化膜H2は凸部Aに有意な力を作用しない。第2固化膜H2が熱分解されるとき、凸部Aに作用する力は低い。
【0326】
図21は、第2熱分解工程における基板Wを模式的に示す図である。最終的に、第2固化膜H2の全部は、基板Wから除去される。基板Wの上面WS1は、気体Jに露出する。パターンPの全部は、気体Jに露出する。凸部Aの全部は、気体Jに露出する。凹部Bの全部は、気体Jのみで満たされる。液体は、基板W上に存在しない。基板Wは、乾燥される。
【0327】
<2-3.第2実施形態の基板処理方法の技術的意義>
実施例2によって、第2実施形態の乾燥処理方法の技術的意義を説明する。
【0328】
実施例2の条件を説明する。
【0329】
パターンPが形成された基板Wを準備する。パターンPは、複数の凸部Aと複数の凹部Bを含む。凹部Bの幅BWは、10nmである。
【0330】
実施例2では、第2処理液供給工程と第2塗布工程と第2硬化工程と第2熱分解工程を含む一連の処理を基板Wに行う。
【0331】
第2処理液供給工程では、処理液Lは、イソプロピルアルコールである。
【0332】
第2塗布工程では、第2乾燥補助液F2は、イソボルニルアクリレートモノマーと1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンのみからなる。イソボルニルアクリレートモノマーは、紫外線硬化性材料に相当する。1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンは、重合開始剤に相当する。
【0333】
第2硬化工程では、紫外線は、365nmの波長を有する。紫外線は、342mW/cmの強度を有する。紫外線は、10分間、基板W上の第2乾燥補助液F2に照射される。
【0334】
第2熱分解工程では、基板Wおよび第2固化膜H2は、700度で加熱される。基板Wおよび第2固化膜H2は、1時間、加熱される。
【0335】
実施例2で処理された基板Wは、局所倒壊率E1、E2、E3および平均倒壊率EAによって、評価された。
【0336】
実施例2の局所倒壊率E1、E2、E3はそれぞれ、0%、0%、12%であった。実施例2の平均倒壊率EAは、4%であった。
【0337】
実施例2から以下のことが知見される。実施例2では、ほとんどの凸部Aは倒壊しなかった。実施例2では、凸部Aの倒壊は十分に防止された。実施例2では、パターンPが好適に保護された状態で、基板Wは乾燥された。
【0338】
<2-4.第2実施形態の効果>
第2実施形態の基板処理方法は、パターンPが形成された基板Wを処理するためのものである。パターンPは、複数の凸部Aと複数の凹部Bを含む。基板処理方法は、第2塗布工程と第2硬化工程と第2熱分解工程を備える。第2塗布工程では、第2乾燥補助液F2が基板Wに塗布される。第2乾燥補助液F2は、紫外線硬化性材料を含む。第2硬化工程では、基板W上の第2乾燥補助液F2に紫外線を照射する。第2硬化工程では、第2固化膜H2が基板W上に形成される。このため、第2固化膜H2は基板W上に好適に形成される。
【0339】
第2硬化工程では、第2固化膜H2の少なくとも一部は、パターンPの上方に形成される。第2硬化工程では、第2固化膜H2は、凸部Aの上端A2と接触している。このため、第2固化膜H2は、凸部Aを好適に支持する。
【0340】
第2硬化工程では、第2固化膜H2の全部は、凹部Bの底部B1よりも上方に位置する。このため、凸部Aの少なくとも一部は、第2固化膜H2と接触していない。具体的には、凸部AのサイドA3の少なくとも一部は、第2固化膜H2と接触していない。よって、第2硬化工程では、第2固化膜H2の体積変化の影響を、凸部Aは受けにくい。すなわち、第2硬化工程では、第2固化膜H2の体積変化が凸部Aに及ぼす影響は、小さい。
【0341】
具体的には、仮に第2固化膜H2の体積が変化しても、第2固化膜H2がサイドA3に及ぼす力は小さい。例えば、仮に第2固化膜H2が膨張しても、第2固化膜H2がサイドA3を有意な力で押すことは難しい。よって、仮に第2固化膜H2が膨張しても、凸部Aは倒れにくい。例えば、仮に第2固化膜H2が収縮しても、第2固化膜H2がサイドA3を有意な力で引くことは難しい。よって、仮に第2固化膜H2が収縮しても、凸部Aは倒れにくい。
【0342】
基板処理方法は、第2熱分解工程を備える。第2熱分解工程では、第2固化膜H2が加熱されることによって、第2固化膜H2は熱分解される。第2熱分解工程では、基板Wが乾燥される。このため、第2固化膜H2は好適に熱分解される。さらに、第2熱分解工程においても、第2固化膜H2の体積変化の影響を、凸部Aは受けにくい。よって、第2固化膜H2は基板Wから好適に除去される。したがって、凸部Aの倒壊が抑制されつつ、基板Wは乾燥される。すなわち、パターンPが保護された状態で、基板Wは乾燥される。
【0343】
以上の通り、第2実施形態の基板処理方法によれば、基板Wは適切に処理される。
【0344】
基板WのパターンPが微細になるほど、凹部Bの幅BWは小さくなる。幅BWが小さい場合であっても、第2硬化工程において第2固化膜H2の全部を凹部Bの底部B1よりも上方に位置させることは容易である。むしろ、凹部Bの幅BWが小さくなるほど、第2硬化工程において第2固化膜H2の全部を凹部Bの底部B1よりも上方に位置させることは一層容易になる。よって、基板WのパターンPが微細になるほど、第2固化膜H2の体積変化が凸部Aに及ぼす影響は小さくなる。したがって、基板WのパターンPが微細になるほど、基板Wを適切に処理することは一層容易になる。
【0345】
凹部Bの幅BWは、10nm以下である。このため、第2硬化工程において第2固化膜H2の全部を凹部Bの底部B1よりも上方に位置させることは、非常に容易である。よって、第2固化膜H2の体積変化が凸部Aに及ぼす影響は、十分に小さい。したがって、基板Wを適切に処理することは、一層容易である。
【0346】
第2硬化工程では、第2固化膜H2は、凸部Aの上端A2同士をブリッジする。このため。第2固化膜H2は、凸部Aを一層好適に支持する。
【0347】
第2硬化工程では、第2固化膜H2の全部は、凸部Aの上端A2と同等またはこれよりも高い位置に位置する。このため、第2固化膜H2の全部は、凹部Bの上方に位置する。第2固化膜H2の全部は、凹部Bよりも高い位置に位置する。第2固化膜H2は、凹部Bに位置する部分を、実質的に有しない。よって、凸部AのサイドA3の全部は、第2固化膜H2から離れている。したがって、第2固化膜H2は、サイドA3に力を実質的に及ぼさない。第2固化膜H2の体積変化の影響を、凸部Aは実質的に受けない。
【0348】
凹部Bの幅BWが小さい場合であっても、第2硬化工程において第2固化膜H2の全部を凸部Aの上端A2と同等またはこれよりも高い位置に位置させることは容易である。むしろ、凹部Bの幅BWが小さくなるほど、第2硬化工程において第2固化膜H2の全部を凸部Aの上端A2と同等またはこれよりも高い位置に位置させることは一層容易になる。よって、基板WのパターンPが微細になるほど、基板Wを適切に処理することは一層容易になる。
【0349】
第2硬化工程では、第2固化膜H2の全部は、凹部Bの上方に位置する。このため、第2熱分解工程の終了時、第2固化膜H2の残渣が凹部Bに残らない。よって、第2熱分解工程の時、清浄な基板Wが得られる。
【0350】
第2硬化工程では、第2固化膜H2は下面H2bを有する。第2硬化工程では、下面H2bは、凸部Aの上端A2と接触する。第2硬化工程では、下面H2bは、互いに隣り合う凸部Aの間において上方に凸に湾曲する。このため、下面H2bの形状は、第2固化膜H2が凹部Bに入ることを好適に妨げる。よって、下面H2bは、第2固化膜H2をサイドA3から好適に分離する。したがって、第2固化膜H2の体積変化から、凸部Aは好適に保護される。第2固化膜H2の体積変化の影響を、凸部Aは実質的に受けない。
【0351】
第2硬化工程では、紫外線硬化性材料は重合体になる。第2固化膜H2は、紫外線硬化性材料の重合体を含む。紫外線硬化性材料の重合体は、凹部Bの幅BWよりも大きな長さを有する。凹部Bは、紫外線硬化性材料の重合体にとって、狭過ぎる。このため、紫外線硬化性材料は、凹部Bにおいて、重合体になり難い。よって、第2固化膜H2を凹部Bに形成することは困難である。したがって、第2硬化工程において第2固化膜H2の全部を凹部Bの底部B1よりも上方に位置させることは、一層容易である。第2固化膜H2の全部は、凹部Bの底部B1よりも上方に、好適に位置する。
【0352】
第2硬化工程の終了時、第2乾燥補助液F2の一部は基板W上に残る。第2熱分解工程では、さらに、基板W上に残る第2乾燥補助液F2を蒸発させる。このため、基板W上に残る第2乾燥補助液F2は、第2熱分解工程において、基板Wから好適に除去される。よって、基板Wは適切に乾燥される。
【0353】
第2熱分解工程では、第2固化膜H2が熱分解される前に、基板W上に残る第2乾燥補助液F2は蒸発する。第2熱分解工程では、基板W上に残る第2乾燥補助液F2が蒸発し、その後、第2固化膜H2が熱分解される。第2熱分解工程では、基板W上に残る第2乾燥補助液F2が蒸発するまで、第2固化膜H2は実質的に熱分解されない。よって、第2熱分解工程では、基板W上に残る第2乾燥補助液F2が蒸発するまで、第2固化膜H2は凸部Aを支持する。すなわち、第2熱分解工程では、第2固化膜H2は、第2乾燥補助液F2から凸部Aを好適に保護する。さらに、第2固化膜H2が熱分解されるとき、基板W上に第2乾燥補助液F2は存在しない。このため、第2固化膜H2が熱分解されるとき、凸部Aを保護することは、一層容易である。したがって、基板Wは適切に乾燥される。
【0354】
第2硬化工程では、第2乾燥補助液F2は、第2固化膜H2に変化しない未反応分を含む。第2熱分解工程では、第2乾燥補助液F2の未反応分は基板Wから除去される。このため、第2乾燥補助液F2の未反応分は、第2熱分解工程において、基板Wから好適に除去される。よって、基板Wは適切に乾燥される。
【0355】
第2熱分解工程では、第2固化膜H2が熱分解される前に、第2乾燥補助液F2の未反応分は基板Wから除去される。このため、第2熱分解工程では、第2乾燥補助液F2の未反応分が基板Wから除去されるまで、第2固化膜H2は実質的に熱分解されない。よって、第2熱分解工程では、第2乾燥補助液F2の未反応分が基板Wから除去されるまで、第2固化膜H2は凸部Aを支持する。すなわち、第2熱分解工程では、第2固化膜H2は、第2乾燥補助液F2から凸部Aを好適に保護する。さらに、第2固化膜H2が熱分解されるとき、基板W上に第2乾燥補助液F2は存在しない。したがって、第2固化膜H2が熱分解されるとき、凸部Aを保護することは、一層容易である。
【0356】
第2乾燥補助液F2は、熱分解温度Tp2よりも低い温度で、蒸発する。このため、第2熱分解工程では、第2固化膜H2が熱分解される前に、基板W上に残る第2乾燥補助液F2は好適に蒸発する。第2熱分解工程では、第2固化膜H2が熱分解される前に、第2乾燥補助液F2の未反応分は基板Wから好適に除去される。
【0357】
第2乾燥補助液F2の沸点は、熱分解温度Tp2よりも低い。このため、第2乾燥補助液F2は、熱分解温度Tp2よりも低い温度で、好適に蒸発する。
【0358】
紫外線硬化性材料は、熱分解温度Tp2よりも低い温度で、蒸発する。このため、第2乾燥補助液F2は、熱分解温度Tp2よりも低い温度で、好適に蒸発する。
【0359】
紫外線硬化性材料の沸点は、熱分解温度Tp2よりも低い。このため、紫外線硬化性材料は、熱分解温度Tp2よりも低い温度で、好適に蒸発する。
【0360】
第2固化膜H2は、熱分解性を有する。このため、第2熱分解工程では、第2固化膜H2は好適に熱分解される。
【0361】
第2熱分解工程では、第2固化膜H2は、熱分解温度Tp2以上の温度で加熱される。このため、第2熱分解工程では、第2固化膜H2は一層好適に熱分解される。
【0362】
第2熱分解工程では、第2固化膜H2は700度以上の温度で加熱される。このため、第2固化膜H2の加熱温度を熱分解温度Tp2以上とすることは、容易である。
【0363】
第2熱分解工程では、第2固化膜H2を熱分解することによって、第2固化膜H2は基板Wから除去される。このため、第2熱分解工程の後、第2固化膜H2は基板Wに残らない。第2熱分解工程の後、第2固化膜H2の残渣も基板Wに残らない。よって、第2熱分解工程の後、清浄な基板Wが得られる。
【0364】
第2熱分解工程では、第2固化膜H2は、ガス化する。このため、第2熱分解工程では、第2固化膜H2は基板Wから好適に除去される。
【0365】
第2熱分解工程では、第2固化膜H2は複数の粒子に分解される。第2熱分解工程では、粒子は基板Wから浮遊する。このため、第2熱分解工程では、第2固化膜H2は基板Wから好適に除去される。
【0366】
第2熱分解工程では、第2固化膜H2は、溶融することなく、基板Wから除去される。このため、第2固化膜H2が熱分解されるとき、凸部Aに作用する力は一層低い。よって、第2固化膜H2が熱分解されるときにおいても、凸部Aは好適に保護される。
【0367】
第2硬化工程では、紫外線硬化性材料は重合体になる。第2固化膜H2は、紫外線硬化性材料の重合体を含む。このため、第2硬化工程では、第2固化膜H2が好適に形成される。
【0368】
第2熱分解工程では、紫外線硬化性材料の重合体は熱分解される。よって、第2熱分解工程では、第2固化膜H2は好適に熱分解される。
【0369】
紫外線硬化性材料は、液体である。このため、紫外線硬化性材料から第2乾燥補助液F2を得ることは容易である。例えば、第2乾燥補助液F2を得るために、溶媒を使用することを要しない。例えば、溶媒を使用せずに、第2乾燥補助液F2は得られる。
【0370】
紫外線硬化性材料は、ポリマーを含まない。このため、紫外線硬化性材料の液体を得ることは容易である。
【0371】
紫外線硬化性材料は、イソボルニルアクリレートである。実施例2で説明した通り、紫外線硬化性材料がイソボルニルアクリレートであるとき、パターンPは一層好適に保護される。よって、基板Wは一層適切に乾燥される。
【0372】
紫外線硬化性材料は、イソボルニルアクリレートモノマーである。このため、基板Wは一層適切に乾燥される。さらに、紫外線硬化性材料の液体を得ることは一層容易である。
【0373】
第2乾燥補助液F2は、溶媒を含まない。このため、第2塗布工程では、溶媒は基板Wに塗布されない。第2硬化工程および第2熱分解工程では、溶媒は基板W上に存在しない。よって、第2硬化工程および第2熱分解工程では、溶媒の毛管力は凸部Aに作用しない。すなわち、第2硬化工程および第2熱分解工程では、凸部Aに作用する力は一層低減される。したがって、第2硬化工程および第2熱分解工程において凸部Aを保護することは、一層容易である。
【0374】
第2乾燥補助液F2は、重合開始剤をさらに含む。重合開始剤は、紫外線硬化性材料の重合を促進する。よって、第2硬化工程では、第2固化膜H2は速やかに形成される。
【0375】
第2固化膜H2の厚みは過度に大きくない。例えば、第2固化膜H2の厚みは数百μm以下である。よって、第2熱分解工程では、第2固化膜H2は速やかに熱分解される。第2熱分解工程の時間は、好適に短縮される。
【0376】
第2塗布工程では、第2液膜G2の厚みを調整する。第2硬化工程では、第2液膜G2の一部は第2固化膜H2に変化する。このため、第2固化膜H2の厚みは好適に調整される。
【0377】
照射部41の照射域は、基板Wの全体に及ぶ。このため、基板W上の第2乾燥補助液F2の全体にわたって、紫外線を均一に照射できる。よって、第2固化膜H2は、基板Wの全体にわたって、均一に形成される。第2固化膜H2は、上面WS1の全体にわたって、均一に形成される。さらに、基板W上の第2乾燥補助液F2の全体は、紫外線に同時にさらされる。このため、第2硬化工程では、第2固化膜H2が速やかに形成される。よって、第2硬化工程の時間は、好適に短縮される。
【0378】
第2塗布工程では、基板W上の第2乾燥補助液F2は、第2液膜G2を形成する。第2液膜G2は、凸部Aの高さAHよりも十分に大きい厚みを有する。凸部Aの全部は、第2液膜G2に浸漬される。このため、第2塗布工程では、凸部Aは、気液界面と接触しない。よって、第2塗布工程では、第2乾燥補助液F2の毛管力は凸部Aに作用しない。したがって、第2塗布工程においても、凸部Aは好適に保護される。第2塗布工程においても、凸部Aの倒壊は好適に防止される。
【0379】
第2実施形態の基板処理方法は、さらに、第2処理液供給工程を備える。第2処理液供給工程は、第2塗布工程の前に実行される。第2処理液供給工程では、処理液Lが基板Wに供給される。よって、基板は、一層適切に処理される。
【0380】
第2塗布工程では、基板Wから処理液Lを除去する。このため、第2硬化工程および第2熱分解工程では、基板W上に処理液Lは存在しない。よって、第2硬化工程および第2熱分解工程において凸部Aを保護することは、一層容易である。
【0381】
<3.変形実施形態>
本発明は、第1、第2実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0382】
(1)上述した第1実施形態の第1硬化工程では、第1固化膜H1の全部は、凸部Aの上端A2と同等またはこれよりも高い位置に位置する。第1硬化工程では、第1固化膜H1は、サイドA3と接触する部分を有しない。ただし、これに限られない。例えば、第1硬化工程では、第1固化膜H1は、凸部Aの上端A2よりも低い位置に位置する部分を含んでもよい。第1硬化工程では、第1固化膜H1は、サイドA3と接触する部分を有してもよい。
【0383】
同様に、上述した第2実施形態の第2硬化工程では、第2固化膜H2の全部は、凸部Aの上端A2と同等またはこれよりも高い位置に位置する。第2硬化工程では、第2固化膜H2は、サイドA3と接触する部分を有しない。ただし、これに限られない。例えば、第2硬化工程では、第2固化膜H2は、凸部Aの上端A2よりも低い位置に位置する部分を含んでもよい。第2硬化工程では、第2固化膜H2は、サイドA3と接触する部分を有してもよい。
【0384】
(2)上述した第1実施形態において、凹部Bの幅BWに応じて、第1乾燥補助液F1に含まれる熱硬化性材料を適宜に選択、変更してもよい。例えば、基板処理方法は、複数の熱硬化性材料の中から、凹部Bの幅BWよりも大きな長さを有する重合体になる熱硬化性材料を選択する第1選択工程を備えてもよい。第1塗布工程では、第1乾燥補助液F1は、第1選択工程によって選択された熱硬化性材料を含む。
【0385】
同様に、上述した第2実施形態において、凹部Bの幅BWに応じて、第2乾燥補助液F2に含まれる紫外線硬化性材料を適宜に選択、変更してもよい。例えば、基板処理方法は、複数の紫外線硬化性材料の中から、凹部Bの幅BWよりも大きな長さを有する重合体になる紫外線硬化性材料を選択する第2選択工程を備えてもよい。第2塗布工程では、第2乾燥補助液F2は、第2選択工程によって選択された紫外線硬化性材料を含む。
【0386】
(3)上述した第1実施形態の第1硬化工程において、第1乾燥補助液F1の温度の上昇曲線を、適宜に、選択、変更してもよい。例えば、第1硬化工程では、第1乾燥補助液F1の温度は、常温から第1低温度T1Lに、連続的に上昇する。あるいは、第1硬化工程では、第1乾燥補助液F1の温度は、常温から第1低温度T1Lに、段階的に上昇する。
【0387】
(4)上述した第1実施形態の第1熱分解工程において、第1固化膜H1の温度の上昇曲線を、適宜に、選択、変更してもよい。例えば、第1熱分解工程では、第1固化膜H1の温度は、第1低温度T1Lから第1高温度T1Hに、連続的に上昇する。あるいは、第1熱分解工程では、第1固化膜H1の温度は、第1低温度T1Lから第1高温度T1Hに、段階的に上昇する。
【0388】
(5)上述した第2実施形態の第2熱分解工程において、第2固化膜H2の温度の上昇曲線を、適宜に、選択、変更してもよい。以下では、2つの変形実施形態を説明する。
【0389】
(5-1)第2熱分解工程では、第2固化膜H2の温度は、常温から第2温度T2に、連続的に上昇する。本変形実施形態によれば、第2固化膜H2の温度を急速に上昇させることは容易である。このため、第2固化膜H2は速やかに熱分解される。よって、第2熱分解工程の時間は効果的に短縮される。したがって、基板Wは効率良く処理される。
【0390】
(5-2)第2熱分解工程では、第2固化膜H2の温度は、段階的に、上昇する。
【0391】
図22は、変形実施形態の第2熱分解工程の手順を示すフローチャートである。具体的には、第2熱分解工程は、低温加熱工程(ステップS21)と高温加熱工程(ステップS22)を含む。低温加熱工程は、第2硬化工程の後に実行される。上述の通り、第2硬化工程の終了時、第2乾燥補助液F2の一部は基板W上に残る。基板W上に残る第2乾燥補助液F2は、第2乾燥補助液F2の未反応分に相当する。低温加熱工程と高温加熱工程を説明する。
【0392】
ステップS21:低温加熱工程
基板W上の第2乾燥補助液F2の未反応分を蒸発させる。
【0393】
加熱部31は、基板保持部13によって保持される基板Wを加熱する。第2乾燥補助液F2の未反応分は、基板Wを介して加熱される。第2乾燥補助液F2の未反応分は、蒸発する。第2乾燥補助液F2の未反応分は、第2固化膜H2に変化せずに、基板Wから除去される。
【0394】
低温加熱工程では、第2乾燥補助液F2の未反応分は、第2低温度T2Lで加熱される。第2低温度T2Lは常温よりも高い。例えば、第2乾燥補助液F2の未反応分の温度は、常温から上昇する。第2乾燥補助液F2の未反応分の温度は、第2低温度T2Lまで上昇する。第2低温度T2Lは、第2乾燥補助液F2の未反応分の加熱温度に相当する。
【0395】
第2低温度T2Lは、第2乾燥補助液F2の沸点以上である。このため、低温加熱工程では、第2乾燥補助液F2の未反応分は、基板Wから好適に除去される。
【0396】
第2低温度T2Lは、紫外線硬化性材料の沸点以上である。このため、低温加熱工程では、第2乾燥補助液F2の未反応分は、基板Wから一層好適に除去される。
【0397】
第2低温度T2Lは熱分解温度Tp2よりも低い。このため、低温加熱工程では、第2固化膜H2の熱分解は好適に防止される。よって、低温加熱工程では、第2固化膜H2は凸部Aを支持する。したがって、毛管力が凸部Aに作用しても、凸部Aは倒壊しない。すなわち、凸部Aは第2固化膜H2によって好適に保護される。
【0398】
低温加熱工程の終了時、第2乾燥補助液F2の未反応分の全部は基板Wから除去される。低温加熱工程の終了時、第2乾燥補助液F2は基板Wから消失する。低温加熱工程の終了時、第2乾燥補助液F2は基板W上に存在しない。
【0399】
低温加熱工程では、例えば、第2固化膜H2の温度も、常温から第2低温度T2Lに上昇する。
【0400】
ステップS22:高温加熱工程
高温加熱工程は、低温加熱工程の後に実行される。高温加熱工程では、基板W上に第2乾燥補助液F2は存在しない。このため、高温加熱工程において凸部Aを保護することは、一層容易である。
【0401】
高温加熱工程では、第2固化膜H2を熱分解する。
【0402】
加熱部31は、基板保持部13によって保持される基板Wを加熱する。第2固化膜H2は、基板Wを介して、加熱される。これにより、第2固化膜H2は熱分解される。
【0403】
高温加熱工程では、第2固化膜H2は、第2高温度T2Hで加熱される。第2高温度T2Hは、第2低温度T2Lよりも高い。例えば、第2固化膜H2の温度は、第2低温度T2Lから上昇する。第2固化膜H2の温度は、第2高温度T2Hまで上昇する。第2高温度T2Hは、第2固化膜H2の加熱温度に相当する。
【0404】
第2高温度T2Hは、熱分解温度Tp2以上である。このため、高温加熱工程では、第2固化膜H2は好適に熱分解される。
【0405】
(6)第2実施形態では、照射部41の照射域は、基板Wの上面WS1よりも広い。第2実施形態の照射部41は、基板保持部13に保持される基板Wに対して、水平方向に移動しない。第2実施形態の照射部41は、基板保持部13に保持される基板Wに対して、鉛直方向Zに移動しない。但し、これに限られない。例えば、照射部41の照射域は、基板Wの上面WS1よりも小さくてもよい。例えば、照射部41は、基板保持部13に保持される基板Wに対して、水平方向に移動してもよい。例えば、照射部41は、基板保持部13に保持される基板Wに対して、鉛直方向Zに移動してもよい。
【0406】
図23は、変形実施形態の処理ユニットの構成を示す図である。なお、第1、第2実施形態と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。照射部41は、発光部52を備える。発光部52は、紫外線を照射する。発光部52による紫外線の照射域は、基板Wの上面WS1よりも小さい。発光部52は、第2実施形態の発光部42よりも小型である。発光部52は、不図示の電源46に電気的に接続される。
【0407】
照射部41は、移動機構53を備える。移動機構53は、発光部52を移動させる。移動機構53は、例えば、第1位置Q1と第2位置Q2と第3位置Q3に、発光部52を移動させる。第1位置Q1は、側面視において、基板保持部13に保持される基板Wの第1側部の上方である。第2位置Q2は、側面視において、基板保持部13に保持される基板Wの第2側部の上方である。第2位置Q2は、第1位置Q1と同じ高さである。第3位置Q3は、第1位置Q1および第2位置Q2よりも高い。
【0408】
移動機構53は、例えば、水平移動機構54と鉛直移動機構55を備える。水平移動機構54は、発光部52を支持する。水平移動機構54は、発光部52を水平方向に移動させる。鉛直移動機構55は、水平移動機構54を支持する。鉛直移動機構55は、水平移動機構54を鉛直方向Zに移動させる。
【0409】
発光部52の移動例を説明する。第2処理液供給工程および第2塗布工程では、発光部52は第3位置Q3に位置する。このため、ノズル22a、22bが処理位置に移動するとき、ノズル22a、22bは発光部52と干渉しない。第2硬化工程では、発光部52は第3位置Q3から第1位置Q1に移動する。そして、発光部52が紫外線を照射しながら、発光部52は第1位置Q1から第2位置Q2に移動する。紫外線の照射域は、基板W上を移動する。その結果、紫外線は、基板Wの上面WS1の全体に照射される。紫外線は、基板W上の第2乾燥補助液F2の全体に照射される。
【0410】
本変形実施形態によれば、発光部52は比較的に小さい。よって、処理ユニット11を小型化することは容易である。
【0411】
(7)第1実施形態では、加熱部31は、基板Wを介して、第1乾燥補助液F1を加熱する。但し、これに限られない。例えば、加熱部31は、第1乾燥補助液F1を直接的に加熱してもよい。例えば、加熱部31は、基板Wを介さずに、第1乾燥補助液F1に熱を伝達してもよい。
【0412】
第1実施形態では、加熱部31は、基板Wを介して、第1固化膜H1を加熱する。但し、これに限られない。例えば、加熱部31は、第1固化膜H1を直接的に加熱してもよい。例えば、加熱部31は、基板Wを介さずに、第1固化膜H1に熱を伝達してもよい。
【0413】
第2実施形態では、加熱部31は、基板Wを介して、第2固化膜H2を加熱する。但し、これに限られない。例えば、加熱部31は、第2固化膜H2を直接的に加熱してもよい。例えば、加熱部31は、基板Wを介さずに、第2固化膜H2に熱を伝達してもよい。
【0414】
(8)第1、第2実施形態では、加熱部31は、基板Wの下面WS2と向かい合う。但し、これに限られない。加熱部31は、基板Wの上面WS1と向かい合ってもよい。本変形実施形態によれば、加熱部31は、第1乾燥補助液F1、第2乾燥補助液F2、第1固化膜H1および第2固化膜H2の少なくともいずれかを直接的に加熱する。加熱部31は、基板Wを介さずに、第1乾燥補助液F1、第2乾燥補助液F2、第1固化膜H1および第2固化膜H2の少なくともいずれかに熱を伝達する。
【0415】
(9)第1実施形態では、第1塗布工程と第1硬化工程と第1熱分解工程は、同じ処理ユニット11で実行された。但し、これに限られない。例えば、第1塗布工程を実行する処理ユニットは、第1硬化工程を実行する処理ユニットと異なってもよい。例えば、第1塗布工程を実行する処理ユニットは、第1熱分解工程を実行する処理ユニットと異なってもよい。例えば、第1硬化工程を実行する処理ユニットは、第1熱分解工程を実行する処理ユニットと異なってもよい。例えば、1つの第1熱分解工程が、2つの処理ユニットを用いて、実行されてもよい。
【0416】
第2実施形態を、同様に変更してもよい。
【0417】
図24は、変形実施形態の基板処理装置1の左部の構成を示す左側面図である。なお、第1、第2実施形態と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0418】
処理ブロック7は、処理ユニット11a、11b、11c、11dを備える。
【0419】
処理ユニット11aは、基板保持部13と回転駆動部17と供給部21a、21bを備える。
【0420】
処理ユニット11bは、基板保持部13と照射部41を備える。
【0421】
処理ユニット11cは、加熱部61を備える。加熱部61は、基板Wを加熱する。加熱部61は、ホットプレート62とヒータ63を備える。ホットプレート62は、水平方向に延びる。ホットプレート62は、平面視において、基板Wと略同じ大きさを有する。基板Wは、ホットプレート62上に載置される。ホットプレート62は、基板Wを水平姿勢で支持する。ヒータ63は、ホットプレート62に取り付けられる。ヒータ63は、ホットプレート62上の基板Wを加熱する。
【0422】
処理ユニット11dは、基板収容器71と基板支持部72と加熱部73を備える。基板Wは、基板収容器71の内部に収容される。基板収容器71は、例えば、筒形状を有する。基板収容器71は、例えば、チューブ形状を有する。基板収容器71は、紫外線の透過を許容する。基板収容器71は、例えば、石英ガラスで構成される。基板支持部72は、基板収容器71の内部に設置される。基板支持部72は、例えば、基板収容器71に支持される。基板支持部72は、基板Wを水平姿勢で支持する。加熱部73は、基板収容器71の外部に設置される。加熱部73は、基板収容器71の周囲に配列される。加熱部73は、例えば、赤外線を照射する。赤外線は、基板収容器71を透過する。加熱部73は、例えば、基板Wの全体に、赤外線を照射する。加熱部73は、例えば、基板W上の第1乾燥液F1および第2乾燥補助液F2の少なくともいずれかに、赤外線を照射する。加熱部73は、例えば、基板W上の第1固化膜H1および第2固化膜H2の少なくともいずれかに、赤外線を照射する。加熱部73は、例えば、ランプヒータである。
【0423】
図示を省略するが、搬送機構8は、処理ユニット11a、11b、11c、11dにアクセスするように構成される。
【0424】
第1実施形態の基板処理方法を行うとき、基板処理装置1は、以下のように動作する。
【0425】
まず、搬送機構8は、処理ユニット11aに基板Wを搬送する。搬送機構8は、処理ユニット11aの基板保持部13に基板Wを渡す。処理ユニット11aは、第1処理液供給工程と第2塗布工程を基板Wに行う。供給部21aは処理液Lを基板Wに供給する。その後、供給部21bは第1乾燥補助液F1を基板Wに塗布する。
【0426】
次に、搬送機構8は、処理ユニット11aから処理ユニット11cに基板Wを搬送する。搬送機構8は、処理ユニット11aの基板保持部13から基板Wを取る。搬送機構8は、処理ユニット11cのホットプレート62に基板Wを載置する。処理ユニット11bは、第1硬化工程を基板Wに行う。加熱部61(具体的には、ヒータ63)は、基板W上の第1乾燥補助液F1を加熱する。基板W上に第1固化膜H1が形成される。
【0427】
次に、搬送機構8は、処理ユニット11cから処理ユニット11dに基板Wを搬送する。搬送機構8は、処理ユニット11cのホットプレート62から基板Wを取る。搬送機構8は、処理ユニット11dの基板支持部72に基板Wを渡す。処理ユニット11dは、第1熱分解工程を基板Wに行う。加熱部73は、基板W上の第1固化膜H1を加熱する。第1固化膜H1は、熱分解される。基板Wは、乾燥される。
【0428】
第2実施形態の基板処理方法を行うとき、基板処理装置1は、以下のように動作する。
【0429】
まず、搬送機構8は、処理ユニット11aに基板Wを搬送する。処理ユニット11aは、第2処理液供給工程と第2塗布工程を基板Wに行う。供給部21aは処理液Lを基板Wに供給する。その後、供給部21bは第2乾燥補助液F2を基板Wに塗布する。
【0430】
次に、搬送機構8は、処理ユニット11aから処理ユニット11bに基板Wを搬送する。搬送機構8は、処理ユニット11aの基板保持部13から基板Wを取る。搬送機構8は、処理ユニット11bの基板保持部13に基板Wを渡す。処理ユニット11bは、第2硬化工程を基板Wに行う。照射部41は、基板W上の第2乾燥補助液F2に紫外線を照射する。基板W上に第2固化膜H2が形成される。
【0431】
次に、搬送機構8は、処理ユニット11bから処理ユニット11cに基板Wを搬送する。搬送機構8は、処理ユニット11bの基板保持部13から基板Wを取る。搬送機構8は、処理ユニット11cのホットプレート62に基板Wを載置する。処理ユニット11cは、第2熱分解工程を基板Wに行う。例えば、処理ユニット11cは、低温加熱工程を行う。加熱部61(具体的には、ヒータ63)は、基板Wを第2低温度T2Lで加熱する。第2乾燥補助液F2の未反応分は、基板Wから除去される。
【0432】
次に、搬送機構8は、処理ユニット11cから処理ユニット11dに基板Wを搬送する。搬送機構8は、処理ユニット11cのホットプレート62から基板Wを取る。搬送機構8は、処理ユニット11dの基板支持部72に基板Wを渡す。処理ユニット11dは、第2熱分解工程を基板Wに行う。例えば、処理ユニット11dは、高温加熱工程を基板Wに行う。加熱部73は、基板W上の第2固化膜H2を第2高温度T2Hで加熱する。第2固化膜H2は、熱分解される。基板Wは、乾燥される。
【0433】
(10)第1実施形態の第1硬化工程では、基板Wは回転しなかった。但し、これに限られない。第1硬化工程では、基板Wは回転してもよい。第1硬化工程では、基板Wを回転させながら、基板W上の第1乾燥補助液F1を加熱してもよい。
【0434】
第2実施形態の第2硬化工程では、基板Wは回転しなかった。但し、これに限られない。第2硬化工程では、基板Wは回転してもよい。第2硬化工程では、基板Wを回転させながら、基板W上の第2乾燥補助液F2に紫外線を照射してもよい。
【0435】
(11)第1実施形態の第1熱分解工程では、基板Wは回転しなかった。但し、これに限られない。第1熱分解工程では、基板Wは回転してもよい。第1熱分解工程では、基板Wを回転しながら、基板W上の第1固化膜H1を熱分解してもよい。
【0436】
第2実施形態の第2熱分解工程では、基板Wは回転しなかった。但し、これに限られない。第2熱分解工程では、基板Wは回転してもよい。第2熱分解工程では、基板Wを回転しながら、基板W上の第2固化膜H2を熱分解してもよい。
【0437】
(12)第1、第2実施形態では、処理液Lの例が説明された。但し、これに限られない。例えば、処理液Lは、薬液であってもよい。例えば、処理液Lは、エッチング液であってもよい。
【0438】
(13)第1実施形態の第1処理液供給工程では、1つの処理液Lが基板Wに供給された。但し、これに限られない。第1処理液供給工程では、複数の処理液が基板Wに供給されてもよい。例えば、第1処理液供給工程では、第1処理液が基板Wに供給され、その後、第2処理液が基板Wに供給されてもよい。
【0439】
第2実施形態の第2処理液供給工程についても、同様に変更してもよい。
【0440】
(14)第1実施形態の基板処理方法は、第1処理液供給工程を備えた。但し、これに限られない。例えば、第1処理液供給工程は省略されてもよい。例えば、第1塗布工程の前に第1処理液供給工程が実行されなくてもよい。
【0441】
第2実施形態の基板処理方法は、第2処理液供給工程を備えた。但し、これに限られない。例えば、第2処理液供給工程は省略されてもよい。例えば、第2塗布工程の前に第2処理液供給工程が実行されなくてもよい。
【0442】
(15)第1実施形態では、第1塗布工程を実行するとき、液体(例えば、処理液L)が基板W上に存在した。すなわち、第1塗布工程では、濡れた状態の基板Wに、第1乾燥補助液F1が塗布された。但し、これに限られない。例えば、第1塗布工程を実行するとき、液体(例えば、処理液L)は、基板W上に存在しなくてもよい。例えば、第1塗布工程では、乾燥された状態の基板Wに第1乾燥補助液F1が塗布されてもよい。
【0443】
第2実施形態の第2塗布工程についても、同様に変更してもよい。
【0444】
(16)第1、第2実施形態において、基板W上のパターンPは、例えば、基板処理方法が実行される前に基板Wに形成されてもよい。あるいは、パターンPは、例えば、第1処理液供給工程および第2処理液供給工程の少なくともいずれかにおいて、基板Wに形成されてもよい。
【0445】
(17)実施形態および上記(1)から(16)で説明した各変形実施形態については、さらに各構成を他の変形実施形態の構成に置換または組み合わせるなどして適宜に変更してもよい。
【符号の説明】
【0446】
1 … 基板処理装置
10 … 制御部
11、11a、11b、11c、11d … 処理ユニット
13 … 基板保持部
21a… 供給部(処理液供給部)
21b… 供給部(乾燥補助液供給部)
31、61、73 … 加熱部
41 … 照射部
F1 … 第1乾燥補助液
F2 … 第2乾燥補助液
G1 … 第1液膜
G2 … 第2液膜
H1 … 第1固化膜
H1b … 第1固化膜の下面
H2 … 第2固化膜
H2b … 第2固化膜の下面
L … 処理液
W … 基板
WS … 基板の表面
WS1 … 基板の上面
P … パターン
A … 凸部
A2 … 凸部の先端(凸部の上端)
A3 … 凸部のサイド
AH … 凸部の高さ
B … 凹部
B1 … 凹部の底部
BW … 凹部の幅
T1L … 第1低温度
T1H … 第1高温度
T2 … 第2温度
T2L … 第2低温度
T2H … 第2高温度


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24