(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139664
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】画像形成装置の制御方法、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/00 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045308
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】若狹 洋平
(72)【発明者】
【氏名】中江 貞敬
【テーマコード(参考)】
2H134
2H270
【Fターム(参考)】
2H134GA01
2H134GB02
2H134HA13
2H134HA16
2H134KB02
2H134KB15
2H134KB20
2H134KG01
2H134KH01
2H270KA32
2H270KA38
2H270LA18
2H270LA22
2H270LA67
2H270LD03
2H270LD09
2H270MB11
2H270MB28
2H270MC48
2H270RA03
2H270RA12
2H270RA14
2H270RB01
2H270RC03
2H270RC08
2H270RC09
2H270RC14
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】感光体の表面のトナーを回収する回収部材の性能を正しく評価すること。
【解決手段】プロセッサー81は、第1トナー像についての検出濃度である出力画像濃度を取得する(S103)。前記プロセッサー81は、第2トナー像が回収部材451を通過するときにトナー回収処理をクリーニング部45に実行させる(S106)。前記プロセッサー81は、感光体41の表面における前記第2トナー像が形成されていた対象領域上のトナーについての一次転写処理を転写部44に実行させる(S108)。前記プロセッサー81は、中間転写体441の表面における前記対象領域に対応する領域上の検出濃度である残トナー濃度を取得する(S109)。前記プロセッサー81は、前記出力画像濃度と前記残トナー濃度とを比較することにより前記回収部材のトナー回収性能の指標値を導出する(S110)。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成装置は、
回転する感光体を含み、前記感光体の表面にトナー像を形成可能な画像形成部と、
回転する中間転写体を含み、一次転写位置において前記感光体の表面上の前記トナー像を前記中間転写体の表面へ転写する一次転写処理および二次転写位置において前記中間転写体の表面上の前記トナー像をシートへ転写する二次転写処理を実行可能な転写部と、
前記感光体の表面における前記一次転写位置を通過した部分に存在するトナーを回収するトナー回収処理を実行可能なクリーニング部と、
前記中間転写体上の前記トナー像の濃度を検出する濃度検出部と、を備え、
前記クリーニング部は、
前記感光体の表面に接触しつつ回転し、前記トナーを保持可能な回収部材と、
前記トナー回収処理において前記回収部材に前記トナーの帯電極性と異なる極性の回収バイアス電圧を印加する回収電圧出力部と、を備え、
前記制御方法は、
プロセッサーが、前記感光体の表面に第1トナー像を形成する第1画像出力処理を前記画像形成部に実行させることと、
前記プロセッサーが、前記第1トナー像についての前記一次転写処理を前記転写部に実行させることと、
前記プロセッサーが、前記第1トナー像についての前記濃度検出部の検出濃度である出力画像濃度を取得することと、
前記プロセッサーが、前記感光体の表面に前記第1トナー像と同じ第2トナー像を形成する第2画像出力処理を前記画像形成部に実行させることと、
前記プロセッサーが、前記第2トナー像を前記中間転写体に転写しない非転写処理を前記転写部に実行させることと、
前記プロセッサーが、前記第2トナー像が前記回収部材を通過するときに前記トナー回収処理を前記クリーニング部に実行させることと、
前記プロセッサーが、前記感光体の表面における前記第2トナー像が形成されていた対象領域上の前記トナーについての前記一次転写処理を前記転写部に実行させることと、
前記プロセッサーが、前記中間転写体の表面における前記対象領域に対応する領域上の前記トナーについての前記濃度検出部の検出濃度である残トナー濃度を取得することと、
前記プロセッサーが、前記出力画像濃度と前記残トナー濃度とを比較することにより前記回収部材のトナー回収性能の指標値を導出することと、を含む、画像形成装置の制御方法。
【請求項2】
前記プロセッサーが、前記指標値に応じて1つまたは複数の制御パラメータを補正すること、をさらに含む、請求項1に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項3】
前記制御パラメータは、前記回収バイアス電圧、前記回収部材の回転速度、前記転写部による前記一次転写処理において適用される一次転写バイアス電圧および前記画像形成部による前記感光体の表面の帯電処理において適用される帯電バイアス電圧のうちの1つまたは複数を含む、請求項2に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項4】
前記プロセッサーが、前記制御パラメータの補正値または前記指標値が許容範囲から外れるときに警報処理を実行すること、をさらに含む、請求項2または請求項3に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項5】
前記プロセッサーは、前記第1トナー像および前記第2トナー像の濃度がそれぞれ異なる複数の出力濃度条件の下で複数回の前記第1画像出力処理および前記第2画像出力処理を前記画像形成部に実行させ、
さらに前記プロセッサーは、前記複数の出力濃度条件の下で、前記第1トナー像についての複数回の前記一次転写処理と、前記第2トナー像についての複数回の前記非転写処理と、前記対象領域上の前記トナーについての複数回の前記一次転写処理と、を前記転写部に実行させ、
さらに前記プロセッサーは、前記複数の出力濃度条件に対応して得られる複数組の前記出力画像濃度および前記残トナー濃度のペアに基づいて前記指標値を導出する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項6】
回転する感光体を含み、前記感光体の表面にトナー像を形成可能な画像形成部と、
回転する中間転写体を含み、一次転写位置において前記感光体の表面上の前記トナー像を前記中間転写体の表面へ転写する一次転写処理および二次転写位置において前記中間転写体の表面上の前記トナー像をシートへ転写する二次転写処理を実行可能な転写部と、
前記感光体の表面における前記一次転写位置を通過した部分に存在するトナーを回収するトナー回収処理を実行可能なクリーニング部と、
前記中間転写体上の前記トナー像の濃度を検出する濃度検出部と、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置の制御方法を実現するプロセッサーと、を備え、
前記クリーニング部は、
前記感光体の表面に接触しつつ回転し、前記トナーを保持可能な回収部材と、
前記トナー回収処理において、前記回収部材に前記トナーの帯電極性と異なる極性の回収バイアス電圧を印加する回収電圧出力部と、を備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体の表面から残トナーを回収するクリーニング部の性能を評価可能な画像形成装置の制御方法および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、感光体の表面にトナー像を形成し、前記トナー像を前記感光体からシートへ転写する。前記画像形成装置は、前記感光体の表面から残トナーを回収するクリーニング部を備える。
【0003】
前記クリーニング部は、回収部材と回収電圧出力部とを備える場合がある(例えば、特許文献1参照)。前記回収部材は、前記感光体の表面に接触して配置され、トナーを保持可能である。例えば、前記回収部材は、スポンジなどの多孔性部材である。
【0004】
前記回収電圧出力部は、前記回収部材に回収バイアス電圧または放出バイアス電圧を印加することが可能である。前記回収バイアス電圧は、前記トナーの帯電極性と異なる極性のバイアス電圧である。前記放出バイアス電圧は、前記トナーの帯電極性と同じ極性のバイアス電圧である。
【0005】
前記回収バイアス電圧が前記回収部材に印加されることにより、前記感光体の表面に残るトナーが電気的に前記回収部材へ引き付けられる。引き付けられたトナーは、前記回収部材に保持される。
【0006】
トナーが前記回収部材に蓄積されることにより、前記回収部材のトナー回収の性能が低下する。
【0007】
一方、前記放出バイアス電圧が前記回収部材に印加されることにより、前記回収部材に保持されたトナーが前記感光体へ放出される。これにより、前記回収部材のトナー回収の性能が改善する。
【0008】
前記回収部材から放出されたトナーは、前記感光体に担持され、現像装置によって回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前記回収部材によるトナー回収およびトナー放出が繰り返されることにより、前記回収部材のトナー回収の性能が徐々に低下する。前記回収部材の性能が低下すると、前記感光体の表面に無駄なトナーが残るおそれがある。
【0011】
前記感光体の表面の残存トナーは、プリント画質の不良の原因となる。一方、前記回収部材の性能が正しく評価された場合、制御パラメータを補正することにより、劣化した前記回収部材の性能を補うことができる。
【0012】
例えば、前記回収バイアス電圧が大きくなるように補正されることにより、劣化した前記回収部材の性能が補われる。
【0013】
本発明の目的は、感光体の表面のトナーを回収する回収部材の性能を正しく評価することができる画像形成装置の制御方法および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一の局面に係る方法は、画像形成装置の制御方法である。前記画像形成装置は、画像形成部と、転写部と、クリーニング部と、濃度検出部と、を備える。前記画像形成部は、回転する感光体を含み、前記感光体の表面にトナー像を形成可能である。前記転写部は、回転する中間転写体を含み、一次転写位置において前記感光体の表面上の前記トナー像を前記中間転写体の表面へ転写する一次転写処理および二次転写位置において前記中間転写体の表面上の前記トナー像をシートへ転写する二次転写処理を実行可能である。前記クリーニング部は、前記感光体の表面における前記一次転写位置を通過した部分に存在するトナーを回収するトナー回収処理を実行可能である。前記濃度検出部は、前記中間転写体上の前記トナー像の濃度を検出する。前記クリーニング部は、回収部材と、回収電圧出力部と、を備える。前記回収部材は、前記感光体の表面に接触しつつ回転し、前記トナーを保持可能である。前記回収電圧出力部は、前記トナー回収処理において前記回収部材に前記トナーの帯電極性と異なる極性の回収バイアス電圧を印加する。前記制御方法は、プロセッサーが、前記感光体の表面に第1トナー像を形成する第1画像出力処理を前記画像形成部に実行させることを含む。さらに前記制御方法は、前記プロセッサーが、前記第1トナー像についての前記一次転写処理を前記転写部に実行させることを含む。さらに前記制御方法は、前記プロセッサーが、前記第1トナー像についての前記濃度検出部の検出濃度である出力画像濃度を取得することを含む。さらに前記制御方法は、前記プロセッサーが、前記感光体の表面に前記第1トナー像と同じ第2トナー像を形成する第2画像出力処理を前記画像形成部に実行させることを含む。さらに前記制御方法は、前記プロセッサーが、前記第2トナー像を前記中間転写体に転写しない非転写処理を前記転写部に実行させることを含む。さらに前記制御方法は、前記プロセッサーが、前記第2トナー像が前記回収部材を通過するときに前記トナー回収処理を前記クリーニング部に実行させることを含む。さらに前記制御方法は、前記プロセッサーが、前記感光体の表面における前記第2トナー像が形成されていた対象領域上のトナーについての前記一次転写処理を前記転写部に実行させることを含む。さらに前記制御方法は、前記プロセッサーが、前記中間転写体の表面における前記対象領域に対応する領域上の前記トナーについての前記濃度検出部の検出濃度である残トナー濃度を取得することを含む。さらに前記制御方法は、前記プロセッサーが、前記出力画像濃度と前記残トナー濃度とを比較することにより前記回収部材のトナー回収性能の指標値を導出することを含む。
【0015】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記画像形成部と、前記転写部と、前記クリーニング部と、前記濃度検出部と、前記制御方法を実現する前記プロセッサーと、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、感光体の表面のトナーを回収する回収部材の性能を正しく評価することができる画像形成装置の制御方法および画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る画像形成装置における制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る画像形成装置におけるトナー回収調節処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態に係る画像形成装置におけるパラメータ調節処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、画像形成装置におけるプリント回数および制御パラメータに関する3つの測定条件の下でのテスト画像濃度と残トナー濃度との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0019】
実施形態に係る画像形成装置10は、電子写真方式でプリント処理を実行する装置である。前記プリント処理は、シート9に画像を形成する処理である。シート9は、用紙またはシート状の樹脂部材などの画像形成媒体である。
【0020】
[画像形成装置10の構成]
図1に示されるように、画像形成装置10は、シート収容部2と、シート搬送路30と、シート搬送装置3と、プリント装置4とを備える。さらに、画像形成装置10は、操作装置801、表示装置802および制御装置8も備える。
【0021】
シート搬送路30、シート搬送装置3、プリント装置4および制御装置8は、筐体1内に収容されている。
【0022】
シート収容部2は、シート9を収容する。シート搬送装置3は、シート9をシート収容部2からシート搬送路30へ送り出し、さらにシート9をシート搬送路30に沿って搬送する。
【0023】
シート搬送装置3は、シート給送機構31および複数組の搬送ローラー対32を備える。
【0024】
シート給送機構31は、シート収容部2内のシート9をシート搬送路30へ送り出す。複数組の搬送ローラー対32は、シート9をシート搬送路30に沿って搬送する。さらに、複数組の搬送ローラー対32のうちの1組は、シート9をシート搬送路30から排出トレイ101上へ排出する。
【0025】
プリント装置4は、シート搬送路30に沿って搬送されるシート9に対して前記プリント処理を実行する。本実施形態において、プリント装置4は、タンデム式のカラープリント装置である。
【0026】
プリント装置4は、シート搬送路30に沿って搬送されるシート9にトナー像を形成する。前記トナー像は、トナーを現像剤とする画像である。前記トナーは粒状の前記現像剤の一例である。
【0027】
プリント装置4は、複数の単色画像形成部4xと、光走査装置40と、転写装置44と、定着装置46とを備える。本実施形態において、プリント装置4は、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの4色に対応した4つの単色画像形成部4xを備える。
【0028】
単色画像形成部4x各々は、ドラム状の感光体41、帯電装置42、現像装置43およびドラムクリーニング装置45などを含む。
【0029】
単色画像形成部4x各々において、感光体41が回転し、帯電装置42が帯電処理を実行する。前記帯電処理は、感光体41の表面を帯電させる処理である。さらに、光走査装置40が、レーザー光を走査することによって、感光体41の帯電した表面に静電潜像を形成する。
【0030】
光走査装置40は、帯電した感光体41の表面に前記静電潜像を形成する潜像形成部の一例である。
【0031】
さらに、現像装置43が、感光体41の表面に前記トナーを供給することにより、前記静電潜像を前記トナー像へ現像する。現像装置43は、感光体41の外周の現像位置において、感光体41へ前記トナーを供給する。現像装置43は現像部の一例である。
【0032】
帯電装置42は、帯電部材421および帯電電圧出力装置422を備える。帯電部材421は、感光体41の外周の帯電位置において、感光体41に対向して配置されている。帯電電圧出力装置422は、帯電部材421に対して帯電バイアス電圧を印加する。前記帯電バイアス電圧は、前記帯電処理において適用されるバイアス電圧である。
【0033】
前記帯電バイアス電圧は、帯電電圧出力装置422から帯電部材421を通じて感光体41に印加される。これにより、感光体41の表面が帯電する。帯電装置42は、帯電部の一例である。
【0034】
現像装置43は、現像ローラー431および現像電圧出力装置432を備える。現像ローラー431は、前記現像位置において感光体41に対向して配置されている。現像ローラー431は、トナーを担持して回転する。
【0035】
現像電圧出力装置432は、現像ローラー431に現像バイアス電圧を印加する。本実施形態において、前記現像バイアス電圧は、直流電圧に交流電圧が重畳された電圧である。
【0036】
現像ローラー431は、トナーを担持して回転し、前記現像位置において前記トナーを感光体41の表面に供給する。現像ローラー431は、現像体の一例である。現像電圧出力装置432は、現像電圧出力部の一例である。
【0037】
現像ローラー431に担持されたトナーは、現像ローラー431と感光体41との間に生じる電界により、感光体41の表面における前記静電潜像の部分へ移行する。
【0038】
前記現像位置において、前記トナーが現像ローラー431から感光体41の表面における前記静電潜像の部分へ移行する。これにより、前記静電潜像が前記トナー像へ現像される。4つの感光体41は、それぞれ前記トナー像を担持する像担持体の一例である。
【0039】
以上に示されるように、光走査装置40および4つの単色画像形成部4x各々は、感光体41の表面に前記トナー像を形成することが可能である。光走査装置40および4つの単色画像形成部4x各々は、画像形成部の一例である。
【0040】
本実施形態において、現像装置43は、二成分現像方式で現像を行う。即ち、現像装置43は、前記トナーおよび磁性キャリアを含む二成分現像剤を撹拌することによって前記トナーを帯電させる。さらに、現像装置43は、帯電した前記トナーを感光体41に供給する。
【0041】
前記磁性キャリアは、磁性を有する粒状物である。例えば、前記磁性キャリアは、表面がコーティングされた粒状の磁性体である。前記コーティングは、例えばエポキシ樹脂などの合成樹脂で構成されている。
【0042】
転写装置44は、中間転写ベルト441と、4つの単色画像形成部4xに対応する4つの一次転写装置442と、二次転写装置443と、ベルトクリーニング装置444とを備える。
【0043】
中間転写ベルト441は、複数の支持ローラー440によって支持されている。複数の支持ローラー440の1つは、不図示のモーターから受ける動力により回転する。これにより、中間転写ベルト441が回転する。
【0044】
感光体41各々は、感光体41各々の外周の一次転写位置において、中間転写ベルト441と接している。
【0045】
一次転写装置442各々は、一次転写処理を実行可能である。前記一次転写処理は、前記一次転写位置において感光体41の表面上の前記トナー像を中間転写ベルト441の表面へ転写する処理である。
【0046】
複数の一次転写装置442が前記一次転写処理を実行することにより、複数の色の前記トナー像が中間転写ベルト441の表面に形成される。
【0047】
一次転写装置442各々は、一次転写部材4421および一次電圧出力装置4422を備える。一次転写部材4421は、中間転写ベルト441を介して感光体41に対向して配置されている。
【0048】
一次電圧出力装置4422は、一次転写部材4421に一次転写バイアス電圧を印加する。感光体41の表面に形成された前記トナー像は、感光体41と一次転写部材4421との間に生じる電界により、中間転写ベルト441の表面へ転写される。前記一次転写バイアス電圧の極性は、前記トナーの帯電極性の逆の極性である。
【0049】
二次転写装置443は、二次転写処理を実行可能である。前記二次転写処理は、シート搬送路30の二次転写位置において、中間転写ベルト441に形成された前記トナー像をシート9に転写する処理である。
【0050】
二次転写装置443は、二次転写部材4431および二次電圧出力装置4432を備える。二次転写部材4431は、前記二次転写位置において中間転写ベルト441と接している。シート9は、中間転写ベルト441と二次転写部材4431との間を通過する。
【0051】
二次電圧出力装置4432は、二次転写部材4431に二次転写バイアス電圧を印加する。中間転写ベルト441の表面に形成された前記トナー像は、中間転写ベルト441と二次転写部材4431との間に生じる電界によってシート9へ転写される。前記二次転写バイアス電圧の極性は、前記トナーの帯電極性の逆の極性である。
【0052】
なお、中間転写ベルト441は、中間転写体の一例である。転写装置44は、前記一次転写処理および前記二次転写処理を実行可能な転写部の一例である。
【0053】
ドラムクリーニング装置45は、トナー回収処理を実行する。前記トナー回収処理は、感光体41の表面における前記一次転写位置を通過した部分に存在するトナーを回収する処理である。
【0054】
さらにドラムクリーニング装置45は、トナー放出処理を実行することも可能である。前記トナー放出処理は、感光体41の表面から回収したトナーを感光体41の表面へ放出する処理である。ドラムクリーニング装置45は、クリーニング部の一例である。
【0055】
ドラムクリーニング装置45は、回収部材451および回収電圧出力装置452を備える。回収部材451は、前記トナーを保持可能な部材である。例えば、回収部材451は、スポンジなどの多孔性部材である。
【0056】
回収部材451は、感光体41の表面に接触しつつ回転する。回収部材451は、感光体41の外周の回収位置において感光体41の表面に接している。前記回収位置は、感光体41の外周における前記一次転写位置と前記帯電位置との間の位置である。
【0057】
回収電圧出力装置452は、回収部材451に回収バイアス電圧または放出バイアス電圧を印加することが可能である。回収電圧出力装置452は、回収電圧出力部の一例である。
【0058】
前記回収バイアス電圧は、前記トナーの帯電極性と異なる極性の電圧である。前記放出バイアス電圧は、前記トナーの帯電極性と同じ極性の電圧である。
【0059】
回収電圧出力装置452は、前記トナー回収処理において前記回収バイアス電圧を回収部材451に印加する。これにより、感光体41の表面のトナーは、電気的に回収部材451に引き付けられ、回収部材451に保持される。回収部材451に回収されたトナーは、回収部材451の表面に形成された複数の孔の中に蓄積される。
【0060】
一方、回収電圧出力装置452は、前記トナー放出処理において前記放出バイアス電圧を回収部材451に印加する。これにより、回収部材451に保持されたトナーは、電気的に感光体41の表面に引き付けられ、回収部材451から感光体41の表面に放出される。
【0061】
前記プリント処理が実行されるときに、前記回収処理が実行される。前記回収処理が実行されることにより、前記一次転写位置で中間転写ベルト441に転写されなかったトナーが、回収部材451に回収される。
【0062】
しかしながら、トナーが回収部材451に蓄積されることにより、回収部材451のトナー回収の性能が低下する。
【0063】
一方、前記プリント処理が実行されていない状況下で予め定められた放出条件が成立したときに、前記放出処理が実行される。前記放出処理が実行されることにより、回収部材451のトナー回収の性能が改善する。
【0064】
本実施形態において、現像電圧出力装置432は、現像ローラー431に引付バイアス電圧を出力することも可能である。前記引付バイアス電圧は、前記トナーの帯電極性と異なる極性の電圧である。
【0065】
前記放出処理が実行されるときに、現像電圧出力装置432は、前記引付バイアス電圧を現像ローラー431に印加する。これにより、回収部材451から放出されたトナーは、現像ローラー431によって現像装置43へ回収される。
【0066】
ベルトクリーニング装置444は、中間転写ベルト441における前記二次転写位置を通過した部分に残存するトナーを除去する。
【0067】
定着装置46は、シート9上の前記トナー像を加熱しつつ加圧する。これにより、定着装置46は、前記トナー像をシート9に定着させる。
【0068】
操作装置801は、人の操作を受け付ける装置である。例えば、操作装置801は、操作ボタンおよびタッチパネルを含む。
【0069】
表示装置802は、情報を表示する装置である。例えば、表示装置802は、液晶表示ユニットなどのパネル表示装置を含む。
【0070】
画像形成装置10は、濃度センサー5をさらに備える(
図1参照)。濃度センサー5は、中間転写ベルト441の表面における前記二次転写位置を通過した部分のトナー像の濃度を検出する。
【0071】
濃度センサー5は、中間転写ベルト441の外周における前記二次転写位置とベルトクリーニング装置444の位置との間の位置で前記トナー像の濃度を検出する。
【0072】
例えば、濃度センサー5はCIS(Contact Image Sensor)である。濃度センサー5は、前記中間転写体上の前記トナー像の濃度を検出する濃度検出部の一例である。
【0073】
[制御装置8の構成]
図2に示されるように、制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)81、RAM(Random Access Memory)82、二次記憶装置83、信号インターフェイス84および通信装置85などを備える。
【0074】
二次記憶装置83は、コンピューター読み取り可能な不揮発性の記憶装置である。二次記憶装置83は、コンピュータープログラムおよび各種のデータの記憶および更新が可能である。例えば、フラッシュメモリーまたはハードディスクドライブの一方または両方が、二次記憶装置83として採用される。
【0075】
信号インターフェイス84は、各種のセンサーが出力する信号をデジタルデータへ変換し、変換後のデジタルデータをCPU81へ伝送する。さらに、信号インターフェイス84は、CPU81が出力する制御指令を制御信号へ変換し、前記制御信号を制御対象の機器へ伝送する。
【0076】
通信装置85は、不図示のホスト装置などの他装置との通信を実行する。CPU81は、通信装置85を通じて前記他装置と通信する。
【0077】
CPU81は、前記コンピュータープログラムを実行することにより、各種のデータ処理および制御を実行するプロセッサーである。CPU81を含む制御装置8は、シート搬送装置3、プリント装置4、表示装置802および通信装置85などを制御する。
【0078】
RAM82は、コンピューター読み取り可能な揮発性の記憶装置である。RAM82は、CPU81が実行する前記コンピュータープログラムおよびCPU81が各種の処理を実行する過程で出力および参照するデータを一次記憶する。
【0079】
CPU81は、前記コンピュータープログラムを実行することにより実現される複数の処理モジュールを含む。前記複数の処理モジュールは、主処理部8a、ジョブ制御部8bおよび調整制御部8cなどを含む。
【0080】
主処理部8aは、操作装置801に対する操作に応じて各種の処理を開始させる処理、および、表示装置802の制御などを実行する。
【0081】
ジョブ制御部8bは、シート搬送装置3を制御する。これにより、ジョブ制御部8bは、シート収容部2からのシート9の送り出し、および、シート搬送路30におけるシート9の搬送を制御する。
【0082】
さらに、ジョブ制御部8bは、プリント装置4を制御する。ジョブ制御部8bは、シート搬送装置3によるシート9の搬送に同期して、プリント装置4に前記プリント処理を実行させる。
【0083】
調整制御部8cは、前記プリント処理が実行されていない状況下で前記放出条件の成立有無を判定する。例えば、前記放出条件は、ページプリントの回数が予め定められた回数に達するごとに成立する条件である。前記ページプリントは、シート9の1ページへの前記プリント処理である。
【0084】
さらに調整制御部8cは、前記放出条件が成立すると判定したときに、再生制御を実行する。
【0085】
調整制御部8cは、前記再生制御において、ドラムクリーニング装置45に前記トナー放出処理を実行させる。
【0086】
さらに調整制御部8cは、前記再生制御において、現像電圧出力装置432に前記引付バイアス電圧を出力させる。
【0087】
一方、調整制御部8cは、前記再生制御において、帯電電圧出力装置422に電圧を出力させず、光走査装置40に前記静電潜像を形成させない。
【0088】
ところで、回収部材451によるトナー回収およびトナー放出が繰り返されることにより、回収部材451のトナー回収の性能が徐々に低下する。回収部材451の性能が低下すると、感光体41の表面に無駄なトナーが残るおそれがある。
【0089】
図5は、画像形成装置10における3つの測定条件の下でのテスト画像濃度と残トナー濃度との関係を表すグラフである。グラフの横軸は、テスト画像濃度であり、グラフの縦軸は、残トナー濃度である。
【0090】
前記テスト画像濃度は、感光体41の表面に形成されるテスト画像の濃度である。前記テスト画像濃度は、前記テスト画像を表す画像データにおける濃度である。
【0091】
前記残トナー濃度は、前記テスト画像についての前記回収処理が実行されたときに感光体41の表面に残ったトナーの濃度である。
【0092】
具体的には、前記テスト画像が感光体41の表面に形成されたときに、一次転写装置442が、感光体41の表面における前記テスト画像が形成されていた領域上のトナーについて前記一次転写処理を実行する。
【0093】
さらに、濃度センサー5が、中間転写ベルト441の表面における前記テスト画像が形成されていた領域に対応する領域に転写されたトナーの濃度を検出する。このとき濃度センサー5により検出される濃度が前記残トナー濃度である。
【0094】
なお、前記テスト画像が形成された後に濃度センサー5による濃度検出が行われる場合、二次電圧出力装置4432による前記二次転写バイアス電圧の出力は行われない。
【0095】
前記3つの測定条件のうちの第1測定条件は、画像形成装置10の初期状態において基準回収電圧が前記回収バイス電圧として回収部材451に印加されたという条件である。
【0096】
前記3つの測定条件のうちの第2測定条件は、画像形成装置10の負荷テスト状態において前記基準回収電圧が前記回収バイス電圧として回収部材451に印加されたという条件である。前記負荷テスト状態は、前記トナー回収処理を伴う前記ページプリントと前記トナー放出処理とが前記初期状態からそれぞれ予め定められた回数実行された後の状態である。
【0097】
前記3つの測定条件のうちの第3測定条件は、画像形成装置10の前記負荷テスト状態において補正回収電圧が前記回収バイス電圧として回収部材451に印加されたという条件である。前記補正回収電圧は、前記基準回収電圧よりも大きなバイアス電圧である。
【0098】
図5において、第1測定データD11、第2測定データD12および第3測定データD13は、それぞれ複数の前記テスト画像濃度に対応する複数の前記残トナー濃度のデータである。
【0099】
第1測定データD11は、前記第1測定条件の下でのデータであり、第2測定データD12は、前記第2測定条件の下でのデータであり、第3測定データD13は、前記第3測定条件の下でのデータである。
【0100】
第1測定データD11と第2測定データD12との差は、前記トナー回収処理および前記トナー放出処理が繰り返されることにより、回収部材451のトナー回収の性能が低下することを示す。
【0101】
第2測定データD12と第3測定データD13との差は、前記回収バイアス電圧を補正することにより、劣化した回収部材451の性能を補うことができることを示す。
【0102】
感光体41の表面の残存トナーは、プリント画質の不良の原因となる。一方、回収部材451の性能が正しく評価された場合、前記回収バイアス電圧などの制御パラメータを補正することにより、劣化した回収部材451の性能を補うことができる。
【0103】
画像形成装置10において、調整制御部8cは、トナー回収調節処理を実行可能である(
図3参照)。これにより、感光体41の表面のトナーを回収する回収部材451の性能が正しく評価される。さらに、前記制御パラメータが、回収部材451の性能の評価結果に応じて補正される。
【0104】
[トナー回収調節処理]
調整制御部8cは、前記プリント処理が実行されていない状況下で予め定められた調節条件が成立したときに、前記トナー回収調節処理を実行する。調整制御部8cは、単色画像形成部4x各々について前記トナー回収調節処理を実行する。
【0105】
調整制御部8cは、前記プリント処理が実行されていない状況下で前記調節条件の成立有無を判定する。例えば、前記調節条件は、プリント回数条件および残トナー条件の一方または両方を含む。
【0106】
前記プリント回数条件は、画像形成装置10の利用開始時点または前回の前記トナー回収調節処理が実行された時点を基準にして、前記ページプリントの回数が予め定められた回数に達したという条件である。
【0107】
前記残トナー条件は、前記プリント処理が実行されたときの濃度センサー5の検出濃度が許容濃度を超えたという条件である。
【0108】
以下、
図3に示されるフローチャートを参照しつつ、前記トナー回収調節処理の手順の一例について説明する。
【0109】
なお、前記トナー回収調節処理は、画像形成装置10の制御方法を実現する処理の一例である。CPU81は、画像形成装置10の制御方法を実現するプロセッサーの一例である。
【0110】
以下の説明において、S101,S102,…は、前記トナー回収調節処理における複数の工程の識別符号を表す。前記トナー回収調節処理において、まず、工程S101の処理が実行される。
【0111】
<工程S101>
工程S101において、調整制御部8cは、第1画像出力処理を単色画像形成部4xおよび光走査装置40に実行させる。
【0112】
前記第1画像出力処理は、感光体41の表面に第1トナー像を形成する処理である。例えば、前記第1トナー像は、予め定められた濃度のパッチ画像である。
【0113】
調整制御部8cは、工程S101の処理を実行した後、処理を工程S102へ移行させる。
【0114】
<工程S102>
工程S102において、調整制御部8cは、前記第1トナー像についての前記一次転写処理を一次転写装置442に実行させる。
【0115】
具体的には、調整制御部8cは、前記第1トナー像が前記一次転写位置を通過するときに、一次電圧出力装置4422に前記一次転写バイアス電圧を出力させる。
【0116】
調整制御部8cは、工程S102の処理を実行した後、処理を工程S103へ移行させる。
【0117】
<工程S103>
工程S103において、調整制御部8cは、濃度センサー5から出力画像濃度を取得する。前記出力画像濃度は、前記第1トナー像についての濃度センサー5の検出濃度である。
【0118】
具体的には、調整制御部8cは、前記第1トナー像が濃度センサー5の位置を通過するときの濃度センサー5の検出濃度を前記出力画像濃度として取得する。
【0119】
なお、前記トナー回収調節処理が実行されているときに、調整制御部8cは、二次電圧出力装置4432に前記二次転写バイアス電圧の出力は実行させない。例えば、調整制御部8cは、二次電圧出力装置4432に前記二次転写バイアス電圧の逆の極性のバイアス電圧を出力させる。これにより、中間転写ベルト441に転写されたトナーは、前記二次転写位置および濃度センサー5の位置を経由した後、ベルトクリーニング装置444によって除去される。
【0120】
また、前記トナー回収調節処理が実行されているときに、調整制御部8cは、二次電圧出力装置4432に前記トナーの帯電極性と同じ極性のバイアス電圧を出力させてもよい。
【0121】
調整制御部8cは、工程S103の処理を実行した後、処理を工程S104へ移行させる。
【0122】
<工程S104>
工程S104において、調整制御部8cは、第2画像出力処理を単色画像形成部4xおよび光走査装置40に実行させる。
【0123】
前記第2画像出力処理は、感光体41の表面に第2トナー像を形成する処理である。前記第2トナー像は、前記第1トナー像と同じトナー像である。
【0124】
調整制御部8cは、工程S104の処理を実行した後、処理を工程S105へ移行させる。
【0125】
<工程S105>
工程S105において、調整制御部8cは、前記第2トナー像を中間転写ベルト441に転写しない非転写処理を一次転写装置442に実行させる。
【0126】
具体的には、工程S105において、調整制御部8cは、一次電圧出力装置4422に前記トナーの帯電極性と同じ極性のバイアス電圧を出力させる。
【0127】
調整制御部8cは、工程S105の処理を実行した後、処理を工程S106へ移行させる。
【0128】
<工程S106>
工程S106において、調整制御部8cは、前記第2トナー像が回収部材451を通過するときに前記トナー回収処理をドラムクリーニング装置45に実行させる。
【0129】
工程S106の処理が実行されることにより、前記第2トナー像を構成するトナーが、回収部材451に保持される。
【0130】
以下の説明において、感光体41の表面における前記第2トナー像が形成されていた領域のことを一次対象領域と称する。
【0131】
調整制御部8cは、工程S106の処理を実行した後、処理を工程S107へ移行させる。
【0132】
<工程S107>
工程S107において、調整制御部8cは、前記一次対象領域が前記現像位置を通過するときにローラー退避制御を実行する。
【0133】
本実施形態において、現像装置43は、現像ローラー431を作動位置から退避位置へ移動させるローラー移動機構433を備える(
図1参照)。
【0134】
前記作動位置は、現像ローラー431から感光体41へのトナー供給が可能な位置である。前記退避位置は、前記作動位置よりも感光体41から離れた位置である。現像ローラー431が前記退避位置に存在するときに、感光体41と現像ローラー431との間でのトナーの移動は発生しない。
【0135】
例えば、ローラー移動機構433は、モーターと、前記モーターにより駆動されるカム機構とを含む。前記カム機構は、現像ローラー431を前記作動位置と前記退避位置との間で移動させる機構である。
【0136】
前記ローラー退避制御は、現像ローラー431を前記作動位置から前記退避位置へ移動させる動作をローラー移動機構433に実行させる制御である。
【0137】
調整制御部8cは、工程S107の処理を実行した後、処理を工程S108へ移行させる。
【0138】
なお、現像装置43が、ローラー移動機構433の代わりに、キャリア保持機構を備えてもよい。前記キャリア保持機構は、筒体と、前記筒体に内包された磁石と、磁石移動機構と、を備える。
【0139】
前記筒体は、現像装置43内において現像ローラー431に対向して配置されている。前記磁石移動機構は、前記磁石を近接位置と離隔位置との間で移動させる。
【0140】
調整制御部8cは、工程S108において、前記磁石移動機構を制御することにより、前記磁石を前記近接位置に保持する。
【0141】
前記磁石は、前記近接位置において、現像ローラー431に担持された前記磁性キャリアを前記トナーとともに引きつける。これにより、現像ローラー431に担持された前記磁性キャリアおよび前記トナーは、前記現像位置へ搬送されず、現像ローラー431と前記筒体との間に保持される。その結果、前記放出トナーは、前記磁性キャリアと接触することなく前記現像位置を通過する。
【0142】
一方、現像装置43による現像が行われるときに、調整制御部8cは、前記磁石移動機構を制御することにより、前記磁石を前記離隔位置に保持する。前記離隔位置は、前記近接位置よりも現像ローラー431から離れた位置である。前記磁石が前記離隔位置に存在するときに、現像ローラー431に担持された前記磁性キャリアおよび前記トナーは、前記現像位置へ搬送される。
【0143】
<工程S108>
工程S108において、調整制御部8cは、感光体41の表面における前記一次対象領域上のトナーについての前記一次転写処理を一次転写装置442に実行させる。
【0144】
具体的には、調整制御部8cは、感光体41の表面の前記一次対象領域が前記一次転写位置を通過するときに、一次電圧出力装置4422に前記一次転写バイアス電圧を出力させる。
【0145】
以下の説明において、中間転写ベルト441の表面における前記一次対象領域に対応する領域のことを二次対象領域と称する。前記二次対象領域は、前記一次対象領域上のトナーが転写される領域である。
【0146】
調整制御部8cは、工程S108の処理を実行した後、処理を工程S109へ移行させる。
【0147】
<工程S109>
工程S109において、調整制御部8cは、濃度センサー5から残トナー濃度を取得する。前記残トナー濃度は、中間転写ベルト441の表面の前記二次対象領域上のトナーについての濃度センサー5の検出濃度である。
【0148】
具体的には、調整制御部8cは、前記二次対象領域が濃度センサー5の位置を通過するときの濃度センサー5の検出濃度を前記残トナー濃度として取得する。
【0149】
調整制御部8cは、工程S109の処理を実行した後、処理を工程S110へ移行させる。
【0150】
<工程S110>
工程S110において、調整制御部8cは、回収性能評価処理を実行する。前記回収性能評価処理は、前記出力画像濃度と前記残トナー濃度とを比較することにより回収部材451のトナー回収性能の指標値を導出する処理である。
【0151】
例えば、前記指標値は、前記出力画像濃度と前記残トナー濃度との差、または、前記出力画像濃度に対する前記残トナー濃度の比である。
【0152】
調整制御部8cは、工程S110の処理を実行した後、処理を工程S111へ移行させる。
【0153】
<工程S111>
工程S111において、調整制御部8cは、前記トナー回収性能の前記指標値に基づくパラメータ調節処理を実行する。前記パラメータ調節処理については後述する。
【0154】
調整制御部8cは、工程S111の処理を実行した後、前記トナー回収調節処理を終了する。
【0155】
[パラメータ調節処理]
次に、
図4に示されるフローチャートを参照しつつ、前記パラメータ調節処理の手順の一例について説明する。
【0156】
以下の説明において、S201,S202,…は、前記パラメータ調節処理における複数の工程の識別符号を表す。前記パラメータ調節処理において、まず、工程S201の処理が実行される。
【0157】
<工程S201>
工程S201において、調整制御部8cは、前記トナー回収性能の前記指標値が予め定められた基準範囲内であるか前記基準範囲から外れているかを判定する。
【0158】
調整制御部8cは、前記指標値が前記基準範囲内であると判定する場合に前記パラメータ調節処理を終了する。
【0159】
一方、調整制御部8cは、前記指標値が前記基準範囲から外れていると判定する場合に、処理を工程S202へ移行させる。
【0160】
<工程S202>
工程S202において、調整制御部8cは、前記トナー回収性能の前記指標値が予め定められた許容範囲内であるか前記許容範囲から外れているかを判定する。前記許容範囲は、前記基準範囲よりも広い範囲である。
【0161】
調整制御部8cは、前記指標値が前記許容範囲内であると判定する場合に、処理を工程S203へ移行させる。
【0162】
一方、調整制御部8cは、前記指標値が前記許容範囲から外れていると判定する場合に、処理を工程S206へ移行させる。
【0163】
<工程S203>
工程S203において、調整制御部8cは、前記トナー回収性能の前記指標値に応じて1つまたは複数の前記制御パラメータの補正値を導出する。
【0164】
前記制御パラメータは、前記回収バイアス電圧、回収部材451の回転速度、前記一次転写バイアス電圧および前記帯電バイアス電圧のうちの1つまたは複数を含む。
【0165】
図5に示されるように、前記回収バイアス電圧がより大きなバイアス電圧へ補正されることにより、回収部材451の前記トナー回収の性能が補われる。
【0166】
回収部材451が感光体41と接触する部分において、回収部材451の表面は、感光体41の表面の移動方向と同じ方向へ移動する。回収部材451の周速度が、感光体41の周速度よりも遅くなるように補正されることにより、回収部材451によりトナー回収の効率が向上する。即ち、回収部材451の前記トナー回収の性能が補われる。
【0167】
また、前記一次転写バイアス電圧がより大きなバイアス電圧へ補正されることにより、感光体41の表面に残るトナー量が減少する。これにより、回収部材451の前記トナー回収の性能が補われる。なお、前記一次転写バイアス電圧は、前記一次転写処理において適用されるバイアス電圧である。
【0168】
また、前記帯電バイアス電圧がより大きなバイアス電圧へ補正されることにより、感光体41の表面に残るトナー量が減少する。これにより、回収部材451の前記トナー回収の性能が補われる。
【0169】
調整制御部8cは、工程S203の処理を実行した後、処理を工程S204へ移行させる。
【0170】
<工程S204>
工程S204において、調整制御部8cは、工程S204で導出された前記補正値が予め定められた補正許容範囲内であるか補正許容範囲から外れているかを判定する。
【0171】
調整制御部8cは、前記補正値が前記補正許容範囲内であると判定する場合に処理を工程S205へ移行させる。一方、調整制御部8cは、前記補正値が前記補正許容範囲から外れていると判定する場合に処理を工程S206へ移行させる。
【0172】
<工程S205>
工程S205において、調整制御部8cは、工程S203で導出された前記補正値に応じて前記制御パラメータを補正する。
【0173】
調整制御部8cは、工程S205の処理を実行した後、前記パラメータ調節処理を終了する。
【0174】
<工程S206>
工程S206において、調整制御部8cは、回収部材451の交換を促す警報処理を実行する。例えば、前記警報処理は、表示装置802に予め定められたメッセージを表示させる処理である。
【0175】
工程S206の処理は、前記制御パラメータの補正値または前記指標値が許容範囲から外れるときに実行される。調整制御部8cは、工程S206の処理を実行した後、前記パラメータ調節処理を終了する。
【0176】
前記トナー回収調節処理が実行されることにより、回収部材451の性能が正しく評価される。その結果、前記パラメータ調節処理が実行されることにより、劣化した回収部材451の性能が補われる。
【0177】
また、調整制御部8cは、前記第1トナー像および前記第2トナー像の濃度がそれぞれ異なる複数の出力濃度条件の下で工程S101~S109の処理を複数回実行してもよい。例えば、前記出力濃度条件は、前記第1トナー像および前記第2トナー像各々における描画画素の数である。また、前記出力濃度条件が、光走査装置40におけるビーム光の光量であってもよい。
【0178】
複数回の工程S101~S109の処理は、複数回の前記第1画像出力処理および前記第2画像出力処理を単色画像形成部4xおよび光走査装置40に実行させることを含む(工程S102,S104参照)。
【0179】
また、複数回の工程S101~S109の処理は、前記第1トナー像についての複数回の前記一次転写処理と、前記第2トナー像についての複数回の前記非転写処理と、前記対象領域上の前記トナーについての複数回の前記一次転写処理と、を転写装置44に実行させることを含む(工程S102,S105,S108参照)。
【0180】
前記複数の出力濃度条件の下で工程S101~S109の処理が実行される場合、複数組の前記出力画像濃度および前記残トナー濃度のペアが、前記複数の出力濃度条件に対応して得られる。
【0181】
上記の場合、調整制御部8cは、工程S110において、複数組の前記出力画像濃度および前記残トナー濃度のペアに基づいて前記回収性能の前記指標値を導出してもよい。
【0182】
例えば、調整制御部8cは、複数組の前記出力画像濃度および前記残トナー濃度のペアに対応する複数の指標値候補を導出する。この場合、調整制御部8cは、前記複数の指標値候補の代表値を前記指標値として導出する。前記代表値は、例えば平均値、加重平均値、最大値または最小値である。
【0183】
また、調整制御部8cは、画像形成装置10の初期状態において、工程S101~S110の処理を実行してもよい。この場合、調整制御部8cは、工程S110で得られる初期の前記指標値を基準値として二次記憶装置83に記録する。
【0184】
そして、調整制御部8cは、前記トナー回収調節処理の工程S110において、前記出力画像濃度と前記残トナー濃度との比較により比較値を導出してもよい。
【0185】
さらに調整制御部8cは、前記比較値と前記基準値との差または比を前記指標値として導出してもよい。なお、前記比較値は、前記出力画像濃度と前記残トナー濃度との差または比である。
【0186】
或いは、調整制御部8cは、前記基準値に基づいて前記指標値の前記基準範囲を設定してもよい(
図4の工程S201参照)。
【0187】
また、現像装置43が、インタラクティブタッチダウン現像方式またはジャンピング現像方式の装置であってもよい。この場合、現像装置43は、ローラー移動機構433を備えない。調整制御部8cは、前記トナー回収調節処理の工程S108において、現像電圧出力装置432に電圧を出力させない。
【符号の説明】
【0188】
4 :プリント装置
4x :単色画像形成部
5 :濃度センサー
8 :制御装置
10 :画像形成装置
40 :光走査装置
41 :感光体
42 :帯電装置
43 :現像装置
44 :転写装置
45 :ドラムクリーニング装置
46 :定着装置
81 :CPU(プロセッサー)
421 :帯電部材
422 :帯電電圧出力装置
431 :現像ローラー
432 :現像電圧出力装置
433 :ローラー移動機構
441 :中間転写ベルト(中間転写体)
442 :一次転写装置
443 :二次転写装置
444 :ベルトクリーニング装置
451 :回収部材
452 :回収電圧出力装置
4421 :一次転写部材
4422 :一次電圧出力装置
4431 :二次転写部材
4432 :二次電圧出力装置