(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139665
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】ミラー装置及び乗用管理機
(51)【国際特許分類】
B60R 1/02 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
B60R1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045312
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【弁理士】
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】小林 堅二
(57)【要約】
【課題】左右に設けられた一対のミラーを簡便に操作できるミラー装置を提供する。
【解決手段】ミラー装置は、回動可能に設けられた第1ミラーブラケット132を有する第1のミラー130と、回動可能に設けられた第2ミラーブラケット142を有する第2のミラー140と、第1のミラー130及び第2のミラー140のいずれか一方の回動に伴って、第1のミラー130及び第2のミラー140のいずれか他方が回動するように、第1のミラー130と第2のミラー140との間に接続された連結部材101と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に固定されるミラー装置であって、
第1の回動軸心(L1)を中心に回動可能に設けられた第1ミラーブラケット(132)を有する第1のミラー(130)と、
前記第1の回動軸心(L1)と平行に設けられた第2の回動軸心(L2)を中心に回動可能に設けられた第2ミラーブラケット(142)を有する第2のミラー(140)と、
前記第1のミラー(130)及び前記第2のミラー(140)のいずれか一方の回動に伴って、前記第1のミラー(130)及び前記第2のミラー(140)のいずれか他方が回動するように、前記第1のミラー(130)と前記第2のミラー(140)との間に接続された連結部材(101)と、を備える、ミラー装置。
【請求項2】
前記連結部材(101)は、第1の端部(101a)と、前記第1の端部(101a)とは逆側の第2の端部(101b)と、を有する棒状を呈しており、
前記第1の端部(101a)は、前記第1のミラー(130)における前記第1の回動軸心(L1)から離間した位置に設けられた第3の回動軸心(L3)を中心に回動可能に設けられており、
前記第2の端部(101b)は、前記第2のミラー(140)における前記第2の回動軸心(L2)から離間した位置に設けられた第4の回動軸心(L4)を中心に回動可能に設けられている、請求項1に記載のミラー装置。
【請求項3】
前記第1の回動軸心(L1)及び前記第2の回動軸心(L2)の軸方向から見て、前記第1の回動軸心(L1)と前記第2の回動軸心(L2)とを結ぶ直線を基準線(S)としたとき、前記第3の回動軸心(L3)と前記第4の回動軸心(L4)とは、前記基準線(S)を挟んで互いに逆側に位置する、請求項2に記載のミラー装置。
【請求項4】
前記第1の回動軸心(L1)が設けられた第1の固定用ブラケット(110)をさらに含み、
前記第1の固定用ブラケット(110)は、
前記第1ミラーブラケット(132)に当接することにより、前記第1の回動軸心(L1)を回動中心とする前記第1のミラー(130)の第1の方向への回動を規制する第1の当接部(112b)と、
前記第1ミラーブラケット(132)に当接することにより、前記第1の回動軸心(L1)を回動中心とする前記第1のミラー(130)の第1の方向とは逆の第2の方向への回動を規制する第2の当接部(112c)と、を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のミラー装置。
【請求項5】
前記第1の固定用ブラケット(110)と前記第1ミラーブラケット(132)とを接続する弾性部材(119)をさらに含み、
前記弾性部材(119)は、前記第1の当接部(112b)が前記第1ミラーブラケット(132)に当接している第1の状態において、前記第1の状態を保持するように、前記第1のミラー(130)を前記第1の方向に向けて付勢し、前記第2の当接部(112c)が前記第1ミラーブラケット(132)に当接している第2の状態において、前記第2の状態を保持するように、前記第1のミラー(130)を前記第2の方向に向けて付勢する、請求項4に記載のミラー装置。
【請求項6】
キャビン(4)、及び、前記キャビン(4)の左右の少なくとも一方に設けられたサイドフロア(20)、を有する車体(2)と、
前記キャビン(4)の前面(4a)の上部に設けられた請求項1に記載のミラー装置と、を備える乗用管理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はミラー装置及び乗用管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乗用管理機としてのブームスプレーヤが開示されている。このブームスプレーヤは、キャビンを有する車両と、格納位置において車両の左右に沿うように位置する右ブーム及び左ブームとを備えている。車両には、キャビンへの乗降性を向上させるためにサイドフロアが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような乗用管理機には、キャビン内から後方の確認ができるように、キャビンの左右側方に突出する一対のミラー(いわゆるサイドミラー)が設けられ得る。この場合、ミラーを折り畳み可能に、すなわち、展開状態と格納状態とに切替可能に設けることが考えられる。しかしながら、ミラーの操作が電動で実行される場合、製造コストが増大し得る。一方で、電動制御に頼らない場合、ユーザは、例えば車両の右側に設けられたサイドフロアに立って右側のミラーを操作し、車両の左側に設けられたサイドフロアに立って左側のミラーを操作することになる。
【0005】
本開示は、一対のミラーを簡便に操作できるミラー装置及び乗用管理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一例のミラー装置は、第1の回動軸心(L1)を中心に回動可能に設けられた第1ミラーブラケット(132)を有する第1のミラー(130)と、第1の回動軸心(L1)と平行に設けられた第2の回動軸心(L2)を中心に回動可能に設けられた第2ミラーブラケット(142)を有する第2のミラー(140)と、第1のミラー(130)及び第2のミラー(140)のいずれか一方の回動に伴って、第1のミラー(130)及び第2のミラー(140)のいずれか他方が回動するように、第1のミラー(130)と第2のミラー(140)との間に接続された連結部材(101)と、を備える。
【0007】
上記のミラー装置では、第1のミラー(130)と第2のミラー(140)との間に接続された連結部材(101)によって、第1のミラー(130)及び第2のミラー(140)の一方の回動に伴って他方が回動するようになっている。すなわち、例えば第1のミラー(130)を回動させるように操作するだけで、第2のミラー(140)も回動することになる。したがって、一対のミラーを簡便に操作することができる。
【0008】
一例の連結部材(101)は、第1の端部(101a)と、第1の端部(101a)とは逆側の第2の端部(101b)と、を有する棒状を呈しており、第1の端部(101a)は、第1のミラー(130)における第1の回動軸心(L1)から離間した位置に設けられた第3の回動軸心(L3)を中心に回動可能に設けられており、第2の端部(101b)は、第2のミラー(140)における第2の回動軸心(L2)から離間した位置に設けられた第4の回動軸心(L4)を中心に回動可能に設けられてもよい。この構成では、棒状なシンプルな構成を有する連結部材(101)によって、第1のミラー(130)と第2のミラー(140)の動作を連動させることができる。
【0009】
一例において、第1の回動軸心(L1)及び第2の回動軸心(L2)の軸方向から見て、第1の回動軸心(L1)と第2の回動軸心(L2)とを結ぶ直線を基準線(S)としたとき、第3の回動軸心(L3)と第4の回動軸心(L4)とは、基準線(S)を挟んで互いに逆側に位置してもよい。この構成では、第1のミラー(130)の回動の方向と第2のミラー(140)の回動の方向とを互いに逆向きにできる。
【0010】
一例のミラー装置は、第1の回動軸心(L1)が設けられた第1の固定用ブラケット(110)をさらに含み得る。第1の固定用ブラケット(110)は、第1ミラーブラケット(132)に当接することにより、第1の回動軸心(L1)を回動中心とする第1のミラー(130)の第1の方向への回動を規制する第1の当接部(112b)と、第1ミラーブラケット(132)に当接することにより、第1の回動軸心(L1)を回動中心とする第1のミラー(130)の第1の方向とは逆の第2の方向への回動を規制する第2の当接部(112c)と、を有してもよい。この構成では、第1のミラー(130)及び第2のミラー(140)を所定の回動範囲の中で回動させることができる。
【0011】
一例のミラー装置は、第1の固定用ブラケット(110)と第1ミラーブラケット(132)とを接続する弾性部材(119)をさらに含み得る。弾性部材(119)は、第1の当接部(112b)が第1ミラーブラケット(132)に当接している第1の状態において、第1の状態を保持するように、第1のミラー(130)を第1の方向に向けて付勢し、第2の当接部(112c)が第1ミラーブラケット(132)に当接している第2の状態において、第2の状態を保持するように、第1のミラー(130)を第2の方向に向けて付勢し得る。この構成では、第1のミラー(130)の回動位置は、第1の状態と第2の状態とのいずれかの場合に安定する。
【0012】
一例の乗用管理機は、キャビン(4)、及び、キャビン(4)の左右の少なくとも一方に設けられたサイドフロア(20)、を有する車体(2)と、キャビン(4)の前面(4a)の上部に設けられた上述のいずれかのミラー装置(100)と、を備える。このような乗用管理機においてミラー装置(100)を操作する場合、サイドフロア(20)に立って、一方のミラーを操作するだけで両方のミラーを回動させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、左右に設けられた一対のミラーを簡便に操作できるミラー装置及び乗用管理機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、一例のブームスプレーヤを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一例のブームスプレーヤの前面を示す図である。
【
図3】
図3は、一例のミラー装置を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、一例のミラー装置の要部を示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、一例のミラー装置が開いた状態を示す平面図である。
【
図6】
図6は、一例のミラー装置が閉じた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、一例のブームスプレーヤを前側から見た斜視図である。
図2は、一例のブームスプレーヤの前面を拡大して示す斜視図である。
図2では、ミラー装置が分解された状態が示されている。ブームスプレーヤ1は、例えば自走式である車両2と、薬液を散布するブーム装置3と、を備えた乗用管理機(散布作業車)である。ブームスプレーヤ1は、圃場において車両2を走行させながら、薬液(薬剤)を散布する。以下の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」は、特に断りがない限り、ブームスプレーヤ1を基準とする。また、「時計回り」、「反時計回り」は、特に断りがない限り、上から見た状態を基準とする。
【0017】
車両2は、作業者(オペレータ)の操縦室であるキャビン4を有する。キャビン4の左側面には、キャビン4内に出入りするためのドア7が設けられている。車両2の後部には、エンジンを収容するエンジンルーム5が設けられている。キャビン4とエンジンルーム5との間には、ブーム装置3から散布される薬液を収容する薬液タンク6が設けられている。キャビン4は、車両2の前部に設置されており、キャビン4の後方に、薬液タンク6が設置されている。車両2は、一対の前輪W1と、一対の後輪W2とを備えている。
【0018】
ブーム装置3は、センターブーム3a、右ブーム3b、および左ブーム3cを備えている。薬液散布を行う場合、右ブーム3b及び左ブーム3cは、車両2から右方向および左方向にそれぞれ突き出された状態となるように広げられる。センターブーム3a、右ブーム3b、及び左ブーム3cのそれぞれには、各ブームに沿って送液管が設けられている。送液管には、複数の薬液ノズルNが取り付けられている。ブーム装置3は、薬液タンク6から薬液を吸引し送液管に圧送して、送液管に設けられた複数の薬液ノズルNから薬液を噴射させる。
【0019】
右ブーム3b及び左ブーム3cは、薬液散布を行わないときには畳まれ、
図1に示されるように車両2の側方位置において斜め後ろ上りの状態で格納されている。右ブーム3bは、格納された格納位置では、車両2の後部から上方に立設されたブーム受けによって支持されている。左ブーム3cは、格納された格納位置では、車両2の後部から上方に立設されたブーム受けによって支持されている。
【0020】
また、ブームスプレーヤ1は、乗降性を向上させるために、サイドフロア20を備えている。サイドフロア20は、キャビン4の左側縁部から側方に張り出した部分であり、キャビン4の床面と同じ高さ位置に設けられている。図示例では、サイドフロア20の高さは、前輪W1の上端の位置よりも高くなっている。サイドフロア20には、作業者が乗降の際に足を掛けるステップ21が形成されている。なお、本例のブームスプレーヤ1においては、キャビン4の左側のみにサイドフロアが設けられており、キャビン4の右側にはサイドフロアが設けられていない。そのため、キャビン4の右側面には出入りのためのドアが設けられていない。
【0021】
キャビン4の前面4aの上部には、ミラー装置100が設けられている。
図2に示すように、キャビン4の前面4aは、左端縁において上下方向に延在する第1フレーム部41と、右端縁において上下方向に延在する第2フレーム部42と、第1フレーム部41と第2フレーム部42との間に嵌め込まれたフロントガラス43とを含んでいる。第1フレーム部41及び第2フレーム部42の上部には、前方に向かって突出する第1取付片41a及び第2取付片42aがそれぞれ設けられている。第1取付片41a及び第2取付片42aには、ミラー装置100を取付けるためのボルト孔41b,42bが形成されている。ミラー装置100は、キャビン4の前部に固定された状態で、後方の確認に適した展開状態(第1の状態)と、展開状態に比べて左右方向の幅が狭くなる格納状態(第2の状態)とに切替可能となっている。
【0022】
図3は、ミラー装置100を示す斜視図である。
図3では、展開状態のミラー装置100の全体が示されるとともに、ミラー装置100の要部が拡大されて示されている。
図4は、ミラー装置の要部を示す分解斜視図である。
図5は、ミラー装置100を示す平面図である。
図5では、展開状態のミラー装置100の全体が示されるとともに、ミラー装置100の要部が拡大されて示されている。
図6は、ミラー装置100を示す平面図である。
図6では、格納状体のミラー装置100の全体が示されるとともに、ミラー装置100の要部が拡大されて示されている。
【0023】
図3~
図6に示すように、ミラー装置100は、第1の固定用ブラケット110と、第2の固定用ブラケット120と、第1のミラー130と、第2のミラー140と、連結部材101と、弾性部材119,129と、を備えている。第1の固定用ブラケット110及び第2の固定用ブラケット120は、キャビン4の前面4aに設けられた第1取付片41a及び第2取付片42aにボルト及びナットといった締結部材によってそれぞれ締結されている。
【0024】
第1の固定用ブラケット110は、キャビン4の左側に設けられた第1取付片41aに固定される。第1の固定用ブラケット110は、第1取付片41aの前面に当接される第1側壁111と、第1側壁111の上端縁から前方に突出する上壁112と、第1側壁111の下端縁から前方に突出する下壁113と、第1側壁111の右端縁の中央から前方に突出する第2側壁114と、を含む。
図4に示すように、第1側壁111には、第1取付片41aとの締結のためのボルト孔111aが上下の2カ所に設けられている。上壁112と下壁113とは互いに対向している。上壁112には、上壁112を上下方向に貫通する円形の貫通孔112hが形成されている。同様に、下壁113には、下壁113を上下方向に貫通する円形の貫通孔113hが形成されている。上壁112の貫通孔112hの位置と下壁113の貫通孔113hの位置とは、上下方向から見て一致している。なお、貫通孔112hの中心は、後述する第1の回動軸心L1と一致する。
【0025】
一例において、上壁112及び下壁113は、上下方向から見て同じ形状をなしている。代表して上壁112について説明する。図示例の上壁112は、略台形板状を呈しており、第1側壁111との接続部分である下底部分112aと、下底部分112aに対向する上底部分112bと、下底部分112aと上底部分112bとを接続する一対の脚部分112c,112dとを有する。上底部分112b(第1の当接部)と下底部分112aとは左右方向に沿って延在している。第2の固定用ブラケット120に近い右側の脚部分112c(第2の当接部)は、下底側から上底側に向かうにつれて(すなわち前側に向かうにつれて)左側に向かうように傾斜している。なお、左側の脚部分112dは、例えば前後方向に沿って延在している。
【0026】
第2側壁114には、弾性部材119の一端を接続するための連結具114aが取付けられている(
図5参照)。連結具114aは、例えば、頭部がリング状に形成されたリングボルトであってもよい。上下方向から見たとき、連結具114aのリング部分の位置は、上壁112に形成された貫通孔112hの位置よりも前後方向において後側となっている。
【0027】
第2の固定用ブラケット120は、キャビン4の右側に設けられた第2取付片42aに固定される。第2の固定用ブラケット120は、第1の固定用ブラケット110と同様の構成を備えており、第1側壁121と、貫通孔122hが形成された上壁122と、不図示の貫通孔が形成された下壁123と、第2側壁124と、を含む。第2の固定用ブラケット120は、第2側壁124が第1の固定用ブラケット110の第2側壁114に対面するように配置されている。そのため、
図5に示すように、上壁122の周縁を構成する上底部分122b(第3の当接部)は、上下方向から見て左右方向に延在しており、第1の固定用ブラケット110に近い左側の脚部分122c(第4の当接部)は、下底側から上底側に向かうにつれて(すなわち前側に向かうにつれて)右側に向かうように傾斜している。
【0028】
第2側壁124には、弾性部材129の一端を接続するための連結具124aが取付けられている。連結具124aは、例えば、頭部がリング状に形成されたリングボルトであってもよい。上下方向から見たとき、連結具124aのリング部分の位置は、上壁122に形成された貫通孔の位置よりも後側となっている。
【0029】
図3に示すように、第1のミラー130は、鏡面131aが形成されたミラー本体131と、ミラー本体131を支持する第1ミラーブラケット132とを含む。ミラー本体131は、例えば略長方形状を呈している。ミラー本体131において、鏡面131aと逆側の裏面には、ミラー本体131を第1ミラーブラケット132に固定するための固定部131bが設けられている。
【0030】
第1ミラーブラケット132は、貫通孔112hを通る第1の回動軸心L1(
図5参照)を中心に回動可能に設けられている。例えば、第1ミラーブラケット132は、第1の回動軸心L1に交差する方向である水平方向を長手方向とする長尺部材である。ミラー本体131は、第1ミラーブラケット132の長手方向の一端に設けられている。
【0031】
図3に示すように、第1ミラーブラケット132は、上下方向において互いに対向する上壁133及び下壁134と、この上壁133と下壁134とを接続する側壁135とを含む。図示例では、側壁135の左右方向における中央部分に開口135aが形成されるとともに、右端部分に切欠状部135bが形成されている。切欠状部135bは、後述するように、弾性部材119が通過する部分である。
【0032】
第1ミラーブラケット132において、ミラー本体131が固定された端部とは逆側の端部には、第1の回動軸心L1を中心とする回動軸133aが設けられている。第1ミラーブラケット132は、上下方向に沿ったが第1の固定用ブラケット110の貫通孔112hに支持されることによって、第1の固定用ブラケット110に回動可能に支持されている。
図4に示すように、第1ミラーブラケット132の上壁133及び下壁134に回動軸133a及び回動軸134aが設けられている。上壁133の回動軸133aは、座金133bを介して、上壁133と、上壁133の上面に配置された突出片136とを貫通して下向きに突出している。突出片136は、上壁133に固定されている。すなわち、第1ミラーブラケット132に対する突出片136の相対的な位置は変化しない。回動軸133aは、突出片136及び上壁133に対して溶接等によって固定されていてもよい。
【0033】
下壁134の回動軸134aは、下壁134を貫通して下向きに突出している。回動軸134aは、下壁134に溶接等により固定されていてもよい。第1ミラーブラケット132の上壁133の回動軸133aは、第1の固定用ブラケット110の上壁112の貫通孔112hに上側から挿通される。挿通された回動軸133aは、抜け止め用のピン133cによって固定されていてもよい。第1ミラーブラケット132の下壁134の回動軸134aは、第1の固定用ブラケット110の下壁113の貫通孔113hに上側から挿通される。
【0034】
第1ミラーブラケット132の上壁133に固定された突出片136は、突出片136から上向きに突出する回動軸136aを有する。上下方向から見たとき、突出片136の回動軸136aの位置は、回動軸133aの位置から離間している。
図5において、上下方向から見たとき、第1ミラーブラケット132の回動軸133aを中心として前方を12時の方向とすると、展開状態における突出片136の回動軸136aは10時から12時程度の方向に設けられている。
【0035】
第2のミラー140は、鏡面141aが形成されたミラー本体141と、ミラー本体141を支持する第2ミラーブラケット142とを含む。ミラー本体141は、例えば略長方形状を呈している。ミラー本体141において、鏡面141aと逆側の裏面には、ミラー本体141を第2ミラーブラケット142に固定するための固定部141bが設けられている。
【0036】
第2ミラーブラケット142は、貫通孔122hを通る第2の回動軸心L2を中心に回動可能に設けられている。第2の回動軸心L2は、第1の回動軸心L1と互いに平行となっている。例えば、第2ミラーブラケット142は、第2の回動軸心l2に交差する方向である水平方向を長手方向とする長尺部材である。ミラー本体141は、第2ミラーブラケット142の長手方向の一端に設けられている。
【0037】
図3及び
図5に示すように、第2ミラーブラケット142は、第1ミラーブラケット132と同様の構成を備えており、上下方向において互いに対向する上壁143及び下壁144と、この上壁143と下壁144とを接続する側壁145とを含む。
【0038】
第2ミラーブラケット142において、ミラー本体141が固定された端部とは逆側の端部には、第2の回動軸心L2を中心とする回動軸143aが設けられている(
図5参照)。第1ミラーブラケット132と同様に、第2ミラーブラケット142は、回動軸143aが第2の固定用ブラケット120の貫通孔122hに支持されることによって、第2の固定用ブラケット120に回動可能に支持されている。すなわち、第2ミラーブラケット142の上壁133及び下壁134には、回動軸133a及び回動軸134aに相当する回動軸143a等が設けられている。
【0039】
第2ミラーブラケット142の上壁143に固定された突出片146は、突出片146から上向きに突出する回動軸146aを有する。上下方向から見たとき、突出片146の回動軸146aは、回動軸143aから離間している。
図5に示すように、上下方向から見たとき、回動軸143aを中心として前方を12時の方向とすると、展開状態における第2ミラーブラケット142の突出片146の回動軸146aは6時から8時程度の位置に設けられている。
【0040】
第1ミラーブラケット132が第1の回動軸心L1を中心に回動した場合、第1ミラーブラケット132の回動は、第1の固定用ブラケット110の上底部分112b等によって構成される第1の当接部、及び、脚部分112c等によって構成される第2の当接部によって規制され得る。すなわち、第1のミラー130を
図6に示す格納状態から
図5に示す展開状態にするために、第1ミラーブラケット132は、
図6に示す位置から反時計回り(第1の方向)に回動される。このような第1ミラーブラケット132の回動は、第1ミラーブラケット132が
図5に示す位置まで回動されたときに、上底部分112bに第1ミラーブラケット132の側壁135が当接することによって停止する。また、第1のミラー130を
図5に示す展開状態から
図6に示す格納状態にするために、第1ミラーブラケット132は、
図5に示す位置から時計回り(第2の方向)に回動される。このような第1ミラーブラケット132の回動は、第1ミラーブラケット132が
図6に示す位置まで回動されたときに、脚部分112cに第1ミラーブラケット132の側壁135が当接することによって停止する。
【0041】
同様に、第2のミラー140を格納状態から展開状態にするために、第2ミラーブラケット142は、
図6に示す位置から時計回りに回動される。このような第2ミラーブラケット142の回動は、第2ミラーブラケット142が
図5に示す位置まで回動されたときに、上底部分122b(第3の当接片)に第2ミラーブラケット142の側壁145が当接することによって規制される。また、第2のミラー140を
図5に示す展開状態から
図6に示す格納状態にするために、第2ミラーブラケット142は、
図5に示す位置から反時計回りに回動される。このような第2ミラーブラケット142の回動は、第2ミラーブラケット142が
図6に示す位置まで回動されたときに、脚部分122c(第4の当接片)に第2ミラーブラケット142が当接することによって規制される。
【0042】
連結部材101は、第1のミラー130及び第2のミラー140のいずれか一方の回動に伴って、第1のミラー130及び第2のミラー140のいずれか他方が回動するように、第1のミラー130と第2のミラー140との間に接続されている。本例の連結部材101は、第1ミラーブラケット132の突出片136に設けられた回動軸136aと第2ミラーブラケット142の突出片146に設けられた回動軸146aとを接続している。
【0043】
図3に示すように、一例の連結部材101は、左右方向に延在しており、第1の端部101aと、第1の端部101aとは逆側の第2の端部101bと、を有する棒状を呈している。図示例において、第1の端部101aは左端部であり、第2の端部101bは右端部である。なお、棒状とは長尺の形状であってよく、一例として、連結部材101は、一方向に延びる長尺の板状体であってよい。
【0044】
図4に示すように、連結部材101の第1の端部101aには、連結部材101を上下方向に貫通する円形の貫通孔102aが設けられている。図示例において、突出片136の回動軸136aは、第1の端部101aの貫通孔102aに挿通され、上面に配置された座金103aを介して、固定ピンによって第1の端部101aに接続されている。すなわち、連結部材101は、回動軸136aが貫通孔102aに挿通されることにより、貫通孔102aの中心を回動軸線(第3の回動軸心L3)として、第1ミラーブラケット132に回動可能に支持されている。
【0045】
同様に、連結部材101の第2の端部101bには、連結部材101を上下方向に貫通する円形の貫通孔102bが設けられている(
図5参照)。図示例において、突出片146の回動軸146aは、第2の端部101bの貫通孔102bに挿通され、上面に配置された座金103bを介して、固定ピンによって第2の端部101bに接続されている。すなわち、連結部材101は、回動軸146bが貫通孔102bに挿通されることにより、貫通孔102bの中心を回動軸線(第4の回動軸心L4)として、第2ミラーブラケット142に回動可能に支持されている。
【0046】
例えば
図5に示すように、第1の回動軸心L1及び第2の回動軸心L2の軸方向から見て、第1の回動軸心L1と第2の回動軸心L2とを結ぶ直線を基準線Sとしたとき、第3の回動軸心L3と第4の回動軸心L4とは、基準線Sを挟んで互いに逆側に位置している。
【0047】
弾性部材119は、第1の固定用ブラケット110と第1ミラーブラケット132とを接続する。一例の弾性部材119は、引張りコイルバネである。この弾性部材119は、展開状態においては、展開状態を保持するように第1のミラー130を反時計回りの方向(第1の方向)に向けて付勢し、格納状態においては、格納状態を保持するように第1のミラー130を時計回りの方向(第2の方向)に向けて付勢する。一例の弾性部材119は、第1の固定用ブラケット110に設けられた連結具114aと第1ミラーブラケット132の側壁135に設けられた連結部135cとを接続する。連結部135cは、側壁135から上壁133及び下壁134の突出方向に沿って突出している。
【0048】
同様に、弾性部材129は、第2の固定用ブラケット120と第2ミラーブラケット142とを接続する。この弾性部材129は、展開状態においては、展開状態を保持するように第2のミラー140を時計回りの方向に向けて付勢し、格納状態においては、格納状態を保持するように第2のミラー140を反時計回りの方向に向けて付勢する。
【0049】
以上説明したように、一例のミラー装置100は、第1の回動軸心L1を中心に回動可能に支持された第1ミラーブラケット132を有する第1のミラー130と、第1の回動軸心L1と平行に設けられた第2の回動軸心L2を中心に回動可能に支持された第2ミラーブラケット142を有する第2のミラー140と、第1のミラー130及び第2のミラー140のいずれか一方の回動に伴って、第1のミラー130及び第2のミラー140のいずれか他方が回動するように、第1のミラー130と第2のミラー140との間に接続された連結部材101と、を備える。
【0050】
このようなミラー装置100において、展開状態から格納状態に切り替える場合、作業者は、例えばサイドフロア20に立って左側の第1のミラー130を時計回りに回動させる。ミラー装置100が展開状態となっている場合、第1ミラーブラケット132の側壁135は第1の当接部(上底部分112b等)に当接しており、第1ミラーブラケット132は弾性部材119によって反時計回りに付勢されている。また、第2ミラーブラケット142の側壁145は第3の当接部(上底部分122b等)に当接しており、第2ミラーブラケット142は弾性部材129によって時計回りに付勢されている。
【0051】
作業者によって第1のミラー130が時計回りに回動されると、連結部材101の第1の端部101aは、第1の回動軸心L1を中心とする円弧上を時計回りに移動する。この第1の端部101aの動きに伴って、連結部材101の第2の端部101bは、第2の回動軸心L2を中心とする円弧上を反時計回りに移動する。そして、この第2の端部101bの動きに伴って、第2ミラーブラケット142が反時計回りに回動することにより、第2のミラー140も格納状態へと切り替わる。
【0052】
展開状態と格納状態との切り替えが行われる場合、弾性部材119は切欠状部135bを通過することにより、第1の回動軸心L1を越える(いわゆる支点越え)。弾性部材119が第1の回動軸心L1を越えることにより、弾性部材119による第1ミラーブラケット132に対する付勢の向きが変更される。弾性部材129についても同様の機構により付勢の向きが変更される。
【0053】
格納状態では、第1ミラーブラケット132の側壁135が第2の当接部(脚部分112c等)に当接しており、第1ミラーブラケット132は弾性部材119によって時計回りに付勢されている。また、第2ミラーブラケット142の側壁145が第4の当接部(脚部分122c等)に当接しており、第2ミラーブラケット142は弾性部材129によって反時計回りに付勢されている。
【0054】
また、格納状態から展開状態に切り替える場合、作業者は、例えばサイドフロア20に立って左側の第1のミラー130を反時計回りに回動させる。第1のミラー130が反時計回りに回動されると、連結部材101の第1の端部は、第1の回動軸心L1を中心とする円弧上を反時計回りに移動する。この第1の端部101aの動きに伴って、連結部材101の第2の端部101bは、第2の回動軸心L2を中心とする円弧上を時計回りに移動する。そして、この第2の端部101bの動きに伴って、第2ミラーブラケット142が時計回りに回動することにより、第2のミラー140も展開状態へと切り替わる。
【0055】
このように、ミラー装置100では、第1のミラー130と第2のミラー140との間に接続された連結部材101によって、第1のミラー130及び第2のミラー140の一方の回動に伴って他方が回動するようになっている。すなわち、例えば第1のミラー130を回動させるように操作するだけで、第2のミラー140も回動することになる。したがって、一対のミラーを簡便に操作することができる。
【0056】
一例のブームスプレーヤ1では、ミラーが高い位置に設けられており、地面に立った状態でミラーを操作するのが困難である。また、サイドフロア20がキャビン4の左側にしか設けられていないため、右側の第2のミラー140を直接操作することが困難である。しかし、本例のブームスプレーヤ1においてミラー装置100を操作する場合、サイドフロア20に立って、第1のミラー130を操作するだけで第1のミラー130のみならず第2のミラー140も操作することができる。
【0057】
一例の連結部材101は、第1の端部101aと、第2の端部101bと、を有する棒状を呈しており、第1の端部101aは、第1のミラー130において第1の回動軸心L1から離間して設けられた第3の回動軸心L3を中心に回動可能に支持されており、第2の端部101bは、第2のミラー140において第2の回動軸心L2から離間して設けられた第4の回動軸心L4を中心に回動可能に支持されていてもよい。この構成では、棒状なシンプルな構成を有する連結部材101によって、第1のミラー130と第2のミラー140の動作を連動させることができる。
【0058】
一例の第1の回動軸心L1及び第2の回動軸心L2の軸方向から見て、第1の回動軸心L1と第2の回動軸心L2とを結ぶ直線を基準線Sとしたとき、第3の回動軸心L3と第4の回動軸心L4とは、基準線Sを挟んで互いに逆側に設けられていてよい。この構成では、第1のミラー130の回動の方向と第2のミラー140の回動の方向とを互いに逆向きにできる。
【0059】
一例のミラー装置100は、第1の回動軸心L1が設けられた第1の固定用ブラケット110と、第2の回動軸心L2が設けられた第2の固定用ブラケット120と、を含む。第1の固定用ブラケット110は、第1ミラーブラケット132に当接することにより、第1の回動軸心L1を回動中心とする第1のミラー130の反時計回りの回動を規制する第1の当接部(上底部分112b)と、第1ミラーブラケット132に当接することにより、第1の回動軸心L1を回動中心とする第1のミラー130の時計回りの回動を規制する第2の当接部(脚部分112c)と、を有してもよい。この構成では、第1のミラー130を所定の回動範囲の中で回動させることができる。これにより、第1のミラー130がキャビン4に接触することが抑制される。
【0060】
一例のミラー装置100は、第1の固定用ブラケット110と第1ミラーブラケット132とを接続する弾性部材119を含む。弾性部材119は、展開状態において、第1のミラー130を反時計回りに付勢し、格納状態において、第1のミラー130を時計回り付勢する。この構成では、第1のミラー130の回動位置は、展開状態と格納状態とのいずれかの位置に安定しやすい。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本開示の具体的形態は上記の例に限定されない。
【0062】
例えば、第1の回動軸心L1、第2の回動軸心L2、第3の回動軸心L3及び第4の回動軸心L4が上下方向に沿って形成されている例を示したが、各回動軸心の方向は、特に限定されない。例えば、各回動軸心は、前後方向に沿って形成されてもよい。この場合、水平方向に左右に突出した展開状態のミラーが回動軸を中心に下向きに回動されることにより、格納状態に切り替わってもよい。
【0063】
また、基準線Sを挟んで、第3の回動軸心L3と第4の回動軸心L4とが互いに逆側に位置している例を示したが、第3の回動軸心L3及び第4の回動軸心L4は、連結部材101によって第1のミラー130の動作が第2のミラー140に伝達される構成を維持できれば、どの位置に設けられてもよい。例えば、第3の回動軸心L3及び第4の回動軸心L4の両方が基準線の前又は後に位置していてもよい。この場合、第1のミラーと第2のミラーとは、操作時に同じ方向に回動することになる。
【0064】
また、乗用管理機としてブームスプレーヤを例示したが、乗用管理機はブームスプレーヤに限定されない。例えば、乗用管理機は、スピードスプレーヤであってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…ブームスプレーヤ(乗用管理機)、4…キャビン、20…サイドフロア、100…ミラー装置、101…連結部材、130…第1のミラー、132…第1ミラーブラケット、140…第2のミラー、142…第2ミラーブラケット、L1…第1の回動軸心、L2…第2の回動軸心。