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特開2023-1397配管支持バンド及び配管支持用アタッチメント並びにそれらを用いた配管支持具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001397
(43)【公開日】2023-01-05
(54)【発明の名称】配管支持バンド及び配管支持用アタッチメント並びにそれらを用いた配管支持具
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/00 20060101AFI20221223BHJP
   F16L 3/10 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
F16L3/00 E
F16L3/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102094
(22)【出願日】2021-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】508333228
【氏名又は名称】AWJ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099704
【弁理士】
【氏名又は名称】久寶 聡博
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 聡
【テーマコード(参考)】
3H023
【Fターム(参考)】
3H023AB04
3H023AC21
3H023AC52
3H023AD08
3H023AD21
3H023AD54
(57)【要約】

【課題】保温材との間に隙間が生じて断熱性が低下するのを防止可能な配管支持バンド及び配管支持用アタッチメント並びにそれらを用いた配管支持具を提供する。
【解決手段】本発明に係る配管支持用アタッチメント3は2つの側方ブロック10,10を弾性部11を介して列状に相互連結して構成してあるとともに該側方ブロックには配管4の材軸方向に沿って延びる貫通空隙17を離散配置してある。弾性部11は、側方ブロック10,10がそれらの隣接面で互いに繋がれる形となるように設置してある。配管支持用アタッチメント3は、側方ブロック10,10のうち、弾性部11よりも径方向外方に拡がる部位にそれぞれ切り欠き16,16を設けることで該2つの切り欠きが合体した切り欠き領域が形成されるように構成してあり、かかる切り欠き領域は、配管支持バンド2の蝶番9が挿入される蝶番挿入凹部19として機能する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラブ、天井、壁等の建物躯体に連結することで配管を支持するようになっている吊りバンド、立てバンド等の配管支持バンドと併用される環状の配管支持用アタッチメントであって、前記配管の外周面に当接する配管側当接面が内周側に設けられるとともに前記配管支持バンドのうち、面外方向にかつ環状にそれぞれ湾曲形成された複数の部分環状部材からなる配管挿通部が当接されるバンド側当接面が外周側に設けられることで該配管側当接面及び該バンド側当接面を介して前記配管と前記配管支持バンドとの間の荷重伝達が行われるようになっている配管支持用アタッチメントにおいて、
弾性部を介して列状に相互連結され一方の列端と他方の列端が近接されるように環状に配置することで前記配管の周方向に沿って該配管を取り囲むことができるとともに、前記一方の列端と前記他方の列端とを互いに離間させることでそれらの離間スペースを介して前記配管をその材軸直交方向から入れ込むことができるようになっている複数の荷重伝達ブロックを備えるとともに、該複数の荷重伝達ブロックの各内周面をそれぞれ前記配管側当接面とし、該複数の荷重伝達ブロックの外周側に、前記配管挿通部が嵌合される嵌合溝をそれぞれ形成してそれらの溝内面を前記バンド側当接面としてあり、
前記複数の荷重伝達ブロックの少なくともいずれかには蝶番挿入凹部を設けてあり、該蝶番挿入凹部には前記複数の部分環状部材を相互連結する蝶番が挿入されるようになっていることを特徴とする配管支持用アタッチメント。
【請求項2】
前記複数の部分環状部材が一対の半環状部材で構成される場合に対応して、前記複数の荷重伝達ブロックを、各々が半円筒状をなし前記配管に抱き合わせる形で配置される2つの側方ブロックで構成した請求項1記載の配管支持用アタッチメント。
【請求項3】
前記弾性部を、前記2つの側方ブロックの各隣接面近傍であって該各側方ブロックの外周面から所定距離だけ内方に後退した位置に設置するとともに、前記2つの側方ブロックのうち、前記弾性部よりも径方向外方に拡がる部位にそれぞれ切り欠きを設けて該2つの切り欠きからなる切り欠き領域を前記蝶番挿入凹部とした請求項2記載の配管支持用アタッチメント。
【請求項4】
前記複数の荷重伝達ブロックを、前記配管の材軸方向に沿って延びる貫通空隙が該配管の周方向に沿って離散配置されるようにそれぞれ構成した請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の配管支持用アタッチメント。
【請求項5】
前記各貫通空隙をそれらの横断面形状が六角形となるように形成するとともに、それらを六角形状隔壁を介して互いに近接配置した請求項4記載の配管支持用アタッチメント。
【請求項6】
前記弾性部及び前記複数の荷重伝達ブロックを熱可塑性エラストマーで形成した請求項1乃至請求項5のいずれか一記載の配管支持用アタッチメント。
【請求項7】
面外方向につ環状に湾曲形成された配管挿通部と該配管挿通部の対向端部から放射方向にそれぞれ延設された互いに対向する一対の延設部とで構成され該一対の延設部を介してスラブ、天井、壁等の建物躯体に連結することにより前記配管挿通部の内側に挿通された配管を支持するようになっている吊りバンド、立てバンド等の配管支持バンドにおいて、
複数の部分環状部材を全体が環状となるように蝶番を介して相互連結することで前記配管挿通部を構成するとともに該蝶番を半径方向内方に突出させてなり、
前記蝶番は、前記配管と前記配管挿通部の間に環状の配管支持用アタッチメントが配置されその外周側に前記配管挿通部が当接された状態において、前記配管支持用アタッチメントの外周側に設けられた蝶番挿入凹部に挿入されるようになっていることを特徴とする配管支持バンド。
【請求項8】
前記複数の部分環状部材を一対の半環状部材とした請求項7記載の配管支持バンド。
【請求項9】
請求項1乃至請求項6のいずれか一記載の配管支持用アタッチメントと請求項7又は請求項8記載の配管支持バンドとで構成されたことを特徴とする配管支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種配管を支持する際に用いられる配管支持バンド及び配管支持用アタッチメント並びにそれらを用いた配管支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和設備工事や衛生設備工事においては、用途や目的に応じてさまざまな配管が用いられており、材質で分類すると概ね金属管と樹脂管に大別される。
【0003】
例えば、給水管には、ポリエチレンや硬質ポリ塩化ビニルで内面を被覆したライニング鋼管や、硬質ポリ塩化ビニル管、ポリエチレン管などの樹脂管が用いられており、給湯管には、ステンレス鋼管や耐熱性硬質ポリ塩化ビニルライニング鋼管が用いられている。
【0004】
これらの配管は、横走り管であれば、吊りバンドで天井や上階スラブから吊持し、立ち上がり管であれば、立てバンドで壁に固定することで建物内に設置されるが、これら吊りバンドあるいは立てバンドといった配管支持バンドは、帯状の鋼材を面外方向に環状に湾曲加工することでその内側に配管が挿通できるように構成された配管挿通部と、該配管挿通部の各端部から互いに対向するように放射方向にそれぞれ延びる一対の延設部とで構成してあり、該一対の延設部の間に天井面や上階床スラブ下面に固定された吊りボルトや壁面から延びるブラケットといった固定具の下端あるいは先端を挟み込むとともに、上述した配管を配管挿通部に挿通した上、一対の延設部にボルトを挿通して締め付けることで、該配管を天井や上階床スラブから吊持し、あるいは壁に固定できるようになっている。
【0005】
配管支持バンドの配管挿通部は、配管設置時の作業性向上のため、一対の延設部を開いてそれらを互いに離間させることで、該離間スペースを介して配管を側方から入れ込むことができるようになっており、曲げ性能を利用して全体を開閉するタイプのほか、一対の延設部の反対側に位置する部位を断面欠損させて該部位で曲げ剛性を小さくしたタイプ、あるいは蝶番を介して相互連結されてなる一対の半環状部材で構成されたタイプのものが知られており、要求される強度や配管径に応じて適宜使い分けがなされている。
【0006】
一方、配管内を温冷水が流れる場合、特に冷却水が流れる場合には、結露水が金属製品を腐食させたり、下方に滴り落ちて様々な不具合を生じさせたりするおそれがあるため、配管支持バンドとの間に硬質ウレタンフォームで形成されたドーナツ状の断熱材を介在させていた(非特許文献1)。
【0007】
しかしながら、断熱材には、配管支持のための荷重を、応力集中させることなく分散させた状態で伝達させる機能を併せ持つことが求められるところ、熱伝導率を0.057、圧縮強さを50kgf/cm2としたもの(日栄インテック株式会社HPの「断熱配管支持」から抜粋)や、熱伝導率を0.053、圧縮強さを46kgf/cm2(450N/cm2)としたもの(株式会社昭和コーポレーションHPの「スリーパーL」から抜粋)でわかる通り、熱伝導率はいずれも0.05程度と不十分であり、断熱性能と上述した荷重伝達機能の両方を満たすことは困難であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】株式会社昭和コーポレーション、[online]、[令和元年12月8日検索]、インターネット<URL :https://www.showa-cp.jp/products-own/sleeperl/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本出願人は上述の問題を踏まえ、配管の材軸方向に沿って延びる横断面形状が六角形の空隙をハニカム状に多数形成してなる熱可塑性エラストマー製の配管支持用アタッチメントを開発した。
【0010】
かかる配管保持用アタッチメントによれば、エラストマーの特性とハニカム構造との相乗作用により、応力集中させることなく分散させた状態で荷重を伝達する荷重伝達機能を確保しつつ、多数の空隙形成による十分な体積の断熱空間を形成することが可能となり、従来の硬質ウレタンフォームよりも断熱性能及び荷重伝達機能を大幅に向上させることに成功した。
【0011】
しかしながら、吊りバンドや立てバンドといった鋼製の配管支持バンドが蝶番タイプの場合、蝶番が径方向外側に向けて突出させてあるため、配管支持バンドを含めた配管全体を覆うように保温材を巻き付ける際、その保温材と上述の蝶番との間に隙間が生じて断熱性が低下し、その隙間部分に結露が生じるという問題を生じていた。
【0012】
ちなみに、本出願人は、配管支持バンドの配管挿通部をインサートとした射出成形で上述した配管支持用アタッチメントを製作することで、配管支持バンドと配管支持用アタッチメントとが合体した配管支持具も開発しており、かかる配管支持具によれば、配管挿通部の蝶番が埋設されるため、保温材との間に隙間が生じる懸念がなくなるものの、このような合体型の配管支持具は、金型に対する鋼材の位置決めなど、製作に手間やコストがかかるとともに、配管支持バンドと配管支持用アタッチメントとが合体している関係上、全体の曲げ剛性が大きくなって開閉しづらくなり、配管挿入の際の作業性が低下するという別の問題を生じる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、保温材との間に隙間が生じて断熱性が低下するのを防止可能な配管支持バンド及び配管支持用アタッチメント並びにそれらを用いた配管支持具を提供することを目的とする。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る配管支持用アタッチメントは請求項1に記載したように、スラブ、天井、壁等の建物躯体に連結することで配管を支持するようになっている吊りバンド、立てバンド等の配管支持バンドと併用される環状の配管支持用アタッチメントであって、前記配管の外周面に当接する配管側当接面が内周側に設けられるとともに前記配管支持バンドのうち、面外方向にかつ環状にそれぞれ湾曲形成された複数の部分環状部材からなる配管挿通部が当接されるバンド側当接面が外周側に設けられることで該配管側当接面及び該バンド側当接面を介して前記配管と前記配管支持バンドとの間の荷重伝達が行われるようになっている配管支持用アタッチメントにおいて、
弾性部を介して列状に相互連結され一方の列端と他方の列端が近接されるように環状に配置することで前記配管の周方向に沿って該配管を取り囲むことができるとともに、前記一方の列端と前記他方の列端とを互いに離間させることでそれらの離間スペースを介して前記配管をその材軸直交方向から入れ込むことができるようになっている複数の荷重伝達ブロックを備えるとともに、該複数の荷重伝達ブロックの各内周面をそれぞれ前記配管側当接面とし、該複数の荷重伝達ブロックの外周側に、前記配管挿通部が嵌合される嵌合溝をそれぞれ形成してそれらの溝内面を前記バンド側当接面としてあり、
前記複数の荷重伝達ブロックの少なくともいずれかには蝶番挿入凹部を設けてあり、該蝶番挿入凹部には前記複数の部分環状部材を相互連結する蝶番が挿入されるようになっているものである。
【0015】
また、本発明に係る配管支持用アタッチメントは、前記複数の部分環状部材が一対の半環状部材で構成される場合に対応して、前記複数の荷重伝達ブロックを、各々が半円筒状をなし前記配管に抱き合わせる形で配置される2つの側方ブロックで構成したものである。
【0016】
また、本発明に係る配管支持用アタッチメントは、前記弾性部を、前記2つの側方ブロックの各隣接面近傍であって該各側方ブロックの外周面から所定距離だけ内方に後退した位置に設置するとともに、前記2つの側方ブロックのうち、前記弾性部よりも径方向外方に拡がる部位にそれぞれ切り欠きを設けて該2つの切り欠きからなる切り欠き領域を前記蝶番挿入凹部としたものである。
【0017】
また、本発明に係る配管支持用アタッチメントは、前記複数の荷重伝達ブロックを、前記配管の材軸方向に沿って延びる貫通空隙が該配管の周方向に沿って離散配置されるようにそれぞれ構成したものである。
【0018】
また、本発明に係る配管支持用アタッチメントは、前記各貫通空隙をそれらの横断面形状が六角形となるように形成するとともに、それらを六角形状隔壁を介して互いに近接配置したものである。
【0019】
また、本発明に係る配管支持用アタッチメントは、前記複数の荷重伝達ブロックを熱可塑性エラストマーで形成したものである。
【0020】
また、本発明に係る配管支持バンドは請求項7に記載したように、面外方向につ環状に湾曲形成された配管挿通部と該配管挿通部の対向端部から放射方向にそれぞれ延設された互いに対向する一対の延設部とで構成され該一対の延設部を介してスラブ、天井、壁等の建物躯体に連結することにより前記配管挿通部の内側に挿通された配管を支持するようになっている吊りバンド、立てバンド等の配管支持バンドにおいて、
複数の部分環状部材を全体が環状となるように蝶番を介して相互連結することで前記配管挿通部を構成するとともに該蝶番を半径方向内方に突出させてなり、
前記蝶番は、前記配管と前記配管挿通部の間に環状の配管支持用アタッチメントが配置されその外周側に前記配管挿通部が当接された状態において、前記配管支持用アタッチメントの外周側に設けられた蝶番挿入凹部に挿入されるようになっているものである。
【0021】
また、本発明に係る配管支持バンドは、前記複数の部分環状部材を一対の半環状部材としたものである。
【0022】
また、本発明に係る配管支持具は請求項9に記載したように、請求項1乃至請求項6のいずれか一記載の配管支持用アタッチメントと請求項7又は請求項8記載の配管支持バンドとで構成されたものである。
【0023】
[配管支持用アタッチメントに関する作用効果]
本発明に係る配管支持用アタッチメントにおいては、複数の荷重伝達ブロックの各内周面を配管の外周面に当接する配管側当接面としてあり、該配管側当接面を介して配管との間の荷重伝達が行われるとともに、外周側には、配管支持バンドの配管挿通部が嵌合される嵌合溝をそれぞれ形成してあってそれらの溝内面をバンド側当接面としてあり、該バンド側当接面を介して配管支持バンドとの間の荷重伝達が行われるようになっている。
【0024】
このようにすると、内周側では、配管側当接面の面積を適宜確保することで、配管との間の荷重伝達が分散状態で行われ、外周側においては、バンド側当接面である嵌合溝の溝内面を介して配管支持バンドとの間の荷重伝達が確実に行われるとともに、嵌合溝がストッパーとなって配管の材軸方向に沿った配管支持用アタッチメントの移動が制限される。
【0025】
そのため、配管の自重を支持する場合はもちろん、配管から振動荷重が作用するような状況においても、配管支持用アタッチメントが配管の材軸方向にずれたり、配管と配管支持バンドとの間から抜け落ちたりといった懸念がなくなり、かくして、配管支持バンドと一体になるよう製作せずとも、より経済性に優れた形で上述した荷重伝達機能が確実に維持される。
【0026】
加えて、配管支持バンドと配管支持用アタッチメントとを一体製作する場合には、金型に対する鋼材の位置決めなど、製作に手間やコストがかかるとともに、配管支持バンドと配管支持用アタッチメントとが合体する関係上、全体の曲げ剛性が大きくなって開閉しづらくなり、配管挿入の際の作業性が低下するおそれがあったが、本発明に係る配管支持用アタッチメントにおいては、配管支持バンドとは別体として製作されるため、経済的な生産が可能であるとともに、複数の荷重伝達ブロックが、弾性部を介して列状に相互連結され、一方の列端と他方の列端が近接されるように環状に配置することで配管の周方向に沿って該配管を取り囲むことができるとともに、一方の列端と他方の列端とを互いに離間させることでそれらの離間スペースを介して配管をその材軸直交方向から入れ込むことができるので開閉が容易になり、配管挿入の際の作業性が低下するおそれもない。
【0027】
さらには、従来の配管支持バンドの場合、蝶番が径方向外側に向けて突出させてあるため、配管支持バンドを含めた配管全体を覆うように保温材を巻き付ける際、その保温材と蝶番との間に隙間が生じて断熱性が低下する懸念があったが、本発明に係る配管支持用アタッチメントにおいては、複数の部分環状部材を相互連結する蝶番を半径方向内方に突出させてなる新規の配管支持バンドを用いた場合、該蝶番は、複数の荷重伝達ブロックの少なくともいずれかに設けられた蝶番挿入凹部に挿入される。
【0028】
そのため、保温材と蝶番との間に隙間が生じる懸念がなくなり、かくして断熱性の低下やそれに起因する結露の発生を未然に防止することができる。
【0029】
[荷重伝達ブロック及び蝶番挿入凹部の具体的構成]
複数の荷重伝達ブロックは、一方の列端と他方の列端とを近接させて環状配置することができるとともに、逆にそれらを離間させることでその離間スペースを介して配管を入れ込むことができるように弾性部を介して列状に相互連結されていれば足りるものであって、荷重伝達ブロックの個数は任意であるし、弾性部の構成も任意であるが、配管支持バンドの構成要素である複数の部分環状部材が一対の半環状部材で構成される場合に対応して、各々が半円筒状をなし配管に抱き合わせる形で配置される2つの側方ブロックで構成した場合が典型例となる。
【0030】
蝶番挿入凹部は、複数の荷重伝達ブロックの少なくともいずれかに設けてあって、上述の蝶番が挿入されるようになっている限り、その構成は任意であって、その設置位置を弾性部の位置と必ずしも対応させる必要はないが、複数の荷重伝達ブロックを上述のように、各々が半円筒状をなし配管に抱き合わせる形で配置される2つの側方ブロックで構成した場合において、該2つの側方ブロックの各隣接面近傍であって該各側方ブロックの外周面から所定距離だけ内方に後退した位置に上述の弾性部を設置するとともに、該弾性部よりも径方向外方に拡がる部位にそれぞれ切り欠きを設けて該2つの切り欠きからなる切り欠き領域を蝶番挿入凹部とすることが可能であり、かかる構成においては、弾性部と蝶番挿入凹部とは同じ角度位置に設けられることとなる。
【0031】
複数の荷重伝達ブロックは、配管と配管支持バンドとの間に介在して両者の荷重伝達を行うことができるように構成され、弾性部は、その可撓性によって該弾性部を中心に複数の荷重伝達ブロックを回転させることによりそれらの一方の列端と他方の列端とを離間近接させることができる限り、それらの形成材料は任意であるが、変形性能に富んだ樹脂材料、特に熱可塑性エラストマーを形成材料として採用するのが望ましい。
【0032】
[荷重伝達ブロックの断熱性を高める具体的構成]
複数の荷重伝達ブロックは、配管の材軸方向に沿って延びる貫通空隙が該配管の周方向に沿って離散配置されるようにそれぞれ構成することができる。
【0033】
このようにすると、複数の荷重伝達ブロックの形成材料や貫通空隙の離散配置形態を適宜設定することで、荷重伝達機能を確保しつつ、複数の荷重伝達ブロック内に十分な体積の断熱空間を形成することが可能となり、従来の硬質ウレタンフォームを用いた断熱材と同等、あるいはそれ以上の断熱性能を、より経済性に優れた形で持たせることができる。
【0034】
貫通空隙は、例えば蓮根に形成されているような横断面が円形の孔(円孔)で構成することができるが、所要の断熱性能が得られる限り、その横断面形状は任意である。
【0035】
また、各貫通空隙をそれらの横断面形状が六角形となるように形成するとともに、それらを六角形状隔壁を介して互いに近接配置したならば、複数の荷重伝達ブロックがそれぞれハニカム構造で構成されることになるため、十分な荷重伝達機能を確保しつつ、ほぼ最大限に近い断面積で空隙を形成することが可能となり、断熱性能を格段に向上させることができる。
【0036】
そのため、従来よりも断熱構造の厚みを抑えることが可能となり、狭隘な箇所での施工性が改善される。
【0037】
[配管支持バンドに関する作用効果]
本発明に係る配管支持バンドにおいては、複数の部分環状部材を全体が環状となるように蝶番を介して相互連結することで配管挿通部を構成するとともに該蝶番を半径方向内方に突出させてあるので、外周側に蝶番挿入凹部が設けられてなる環状の配管支持用アタッチメントを用いる場合には、上述の蝶番は、該配管支持用アタッチメントの蝶番挿入凹部に挿入される。
【0038】
そのため、配管挿通部は、その蝶番が配管支持用アタッチメントの外周面と干渉することなく、複数の部分環状部材が配管支持用アタッチメントの外周面にぴったりと当接し、配管に生じた荷重は配管支持バンドに確実に伝達される。
【0039】
そして、従来であれば、蝶番が径方向外側に向けて突出させてあるため、配管支持バンドを含めた配管全体を覆うように保温材を巻き付ける際、その保温材と蝶番との間に隙間が生じて断熱性が低下する懸念があったが、本発明に係る配管支持バンドによれば、保温材と蝶番との間に隙間が生じる懸念がなくなり、かくして断熱性の低下やそれに起因する結露の発生を未然に防止することができる。
【0040】
[複数の部分環状部材の具体的構成]
部分環状部材は複数である限り、その個数は任意であるが、一対の半環状部材とした構成が典型例となる。
【0041】
[配管支持具に関する作用効果]
本発明に係る配管支持具は、上述した配管支持用アタッチメント及び配管支持バンドで構成したものであって、かかる配管支持具を用いて配管を建物躯体に固定するには、まず、配管支持用アタッチメントの構成要素である複数の荷重伝達ブロックを、配管が取り囲まれるようにして該配管の周方向に沿って配置し、次いで、荷重伝達ブロックに形成された嵌合溝に配管支持バンドの構成要素である配管挿通部が嵌め込まれるようにしながら、該配管支持バンドを配管に配置する。
【0042】
次に、配管支持バンドを適当な連結具を介して天井や上階床スラブあるいは壁といった建物躯体に固定する。
【0043】
ここで、本発明においては、配管支持用アタッチメントを単独で配管に先行配置することができるので、配管支持バンドによる固定作業が終わるまでの間、配管支持用アタッチメントが配管から外れたり落下したりしないよう注意を払う必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本実施形態に係る配管支持バンド及び配管支持用アタッチメント並びにそれらを用いた配管支持具の図であり、(a)は配管支持具1の斜視図、(b)は配管支持バンド2の斜視図、(c)は配管支持用アタッチメント3の斜視図。
図2】本実施形態に係る配管支持バンド及び配管支持用アタッチメント並びにそれらを用いた配管支持具の図であり、(a)は配管支持具1の正面図、(b)は配管支持バンド2の正面図、(c)は配管支持用アタッチメント3の正面図。
図3】配管支持具1の作用を説明した正面図であり、(a)は配管支持バンド2の正面図、(c)は配管支持用アタッチメント3の正面図。
図4】配管支持用アタッチメント3の図であり、(a)は配管4の材軸直交面に沿った断面図、(b)はA-A線に沿った断面図。
図5】配管支持具1の作用を説明した正面図。
図6】変形例に係る配管支持具31を示したの図であり、(a)は配管支持具31の正面図、(b)は配管支持バンド2の正面図、(c)は配管支持用アタッチメント33の正面図。
図7】別の変形例に係る配管支持具の図であり、(a)は該配管支持具の構成要素である配管支持バンド42の正面図、(b)はもう一つの構成要素である配管支持用アタッチメント43の正面図。
図8】別の変形例に係る配管支持具の作用を説明した正面図。
図9】さらに別の変形例に係る配管保持用アタッチメント61を示した正面図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明に係る配管支持バンド及び配管支持用アタッチメント並びにそれらを用いた配管支持具の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0046】
図1は、本実施形態に係る配管支持具1の斜視図であり、(a)はその全体斜視図、(b)は配管支持具1の構成要素である配管支持バンド2の斜視図、(c)は配管支持具1のもう一つの構成要素である配管支持用アタッチメント3の斜視図である。また、図2は、本実施形態に係る配管支持具1の正面図であり、(a)はその全体正面図、(b)は配管支持バンド2の正面図、(c)は配管支持用アタッチメント3の正面図である。
【0047】
これらの図でわかるように、本実施形態に係る配管支持具1は、配管4を取り囲むように該配管周囲に配置される配管支持用アタッチメント3と該配管支持用アタッチメントの周囲に巻き付けるように配置される配管支持バンド2とで構成してある。
【0048】
配管支持バンド2は、帯板状の鋼材を用いて構成されたものであって、面外方向にかつ環状に湾曲形成された配管挿通部5及び該配管挿通部の対向端部から放射方向にそれぞれ延設された互いに対向する一対の延設部6,6からなり、該一対の延設部を、該延設部に形成されたボルト挿通孔7,7を利用しつつ、吊りボルト等の連結具(図示せず)を介して天井面又は上階床スラブ下面に連結することにより、配管支持用アタッチメント3を介して配管挿通部5の内側に挿通された配管4を吊持できるようになっている。
【0049】
配管挿通部5は、複数の部分環状部材としての一対の半環状部材8,8を全体が環状となるように蝶番9を介して相互連結して構成してあり、図3(a)に示すように、延設部6,6を互いに離間させることで(実線で図示)、それらの離間スペースを介して配管4に先行配置された配管支持用アタッチメント3を配管挿通部5の内側空間に入れ込むことができるようになっているとともに、延設部6,6を互いに近接させるように環状に配置することで(一点鎖線で図示)、配管支持用アタッチメント3を取り囲むように配置することができるようになっている。
【0050】
ここで、蝶番9は、図1(b)や図2(b)でよくわかるように、半径方向内方に突出させてあり、かかる構成により、配管挿通部5の最外位置が半環状部材8,8となって、それよりも外方に突出する部位がないようにしてある。
【0051】
一方、配管支持用アタッチメント3は、図1及び図2でわかるように、各々が半円筒状をなし配管4に抱き合わせる形で配置される複数の荷重伝達ブロックとしての2つの側方ブロック10,10を、弾性部11を介して列状に相互連結して構成してあり、図3(b)に示すように、一方の列端と他方の列端とを互いに離間させることで(実線で図示)、それらの離間スペースを介して配管4をその材軸直交方向から入れ込むことができるようになっているとともに、一方の列端と他方の列端が近接されるように環状に配置することで(一点鎖線で図示)、配管4の周方向に沿って該配管を取り囲むことができるようになっている。
【0052】
側方ブロック10,10は、それらの間に配管4が挟み込まれた状態で、それらの内周面がそれぞれ配管側当接面12,12として配管4の外周面に当接できるようになっていて、該配管側当接面を介して配管4との間の荷重伝達が行われるようになっているとともに、外周側には、配管支持バンド2のうち、配管挿通部5が嵌合する嵌合溝14,14をそれぞれ設けてあり、該嵌合溝は、その溝内面がバンド側当接面15として配管支持バンド2の配管挿通部5が当接することにより、該配管支持バンドとの間の荷重伝達が行われるようになっている。
【0053】
側方ブロック10,10は、図4でよくわかるように配管4の材軸方向に沿って延びる貫通空隙17が該配管の周方向及び径方向に沿って離散配置されるようにそれぞれ構成してある。
【0054】
貫通空隙17は、それらの横断面形状が六角形となるように形成してあるとともに、それらを六角形状隔壁18を介して互いに近接配置してある。
【0055】
弾性部11は、側方ブロック10,10がそれらの隣接面で互いに繋がれる形となるように、該各側方ブロックの外周面から所定距離だけ内方に後退した位置に設置してある。
【0056】
配管支持用アタッチメント3は、側方ブロック10,10のうち、弾性部11よりも径方向外方に拡がる部位にそれぞれ切り欠き16,16を設けることで該2つの切り欠きが合体した切り欠き領域が形成されるように構成してあり、かかる切り欠き領域は、配管支持バンド2の蝶番9が挿入される蝶番挿入凹部19として機能する。
【0057】
配管支持用アタッチメント3は、変形性能に富んだ熱可塑性エラストマーを射出材料とした射出成形で形成されるのが望ましい。
【0058】
本実施形態に係る配管支持具1を用いて配管4を吊持するには、まず、配管支持用アタッチメント3を、図3(b)に示した矢印のように、その一方の列端と他方の列端、換言すれば弾性部11と反対側に位置する側方ブロック10,10の対向端部を互いに離間させることで離間スペースを作り、該離間スペースを利用して内側空間に配管4を入れ込み、次いで、側方ブロック10,10の対向端部を互いに近接させることで上述の離間スペースを閉じ、内周面である配管側当接面12,12が配管4の外周面に当接されるように配管4を取り囲む。
【0059】
次に、配管支持バンド2の延設部6,6が互いに離間する方向に該配管支持バンドの配管挿通部5を拡げ、次いで、該延設部の離間スペースを利用して配管挿通部5の内側に配管支持用アタッチメント3が入れ込まれるように配管支持バンド2を配置し、次いで、延設部6,6が互いに接近する方向に配管挿通部5を縮めるとともに該配管挿通部が側方ブロック10,10の嵌合溝14,14にそれぞれ嵌め込まれる形となるように該配管支持バンドを配管支持用アタッチメント3の外側に装着する。
【0060】
次に、延設部6,6に形成されたボルト挿通孔7,7を利用しつつ、吊りボルト等の連結具(図示せず)を介して天井面又は上階床スラブ下面に連結することにより、配管挿通部5の内側空間に挿通された配管4を吊持する。
【0061】
以上説明したように、本実施形態に係る配管支持用アタッチメント3によれば、複数の荷重伝達ブロックである側方ブロック10,10の各内周面を配管4の外周面に当接する配管側当接面12,12とすることで、該配管側当接面を介して配管4との間の荷重伝達が行われるとともに、外周側には、配管支持バンド2の構成要素である配管挿通部5の半環状部材8,8が嵌合される嵌合溝14,14をそれぞれ形成し、それらの溝内面であるバンド側当接面15,15を介して配管支持バンド2との間の荷重伝達が行われるように構成したので、内周側では、配管側当接面12,12の面積を適宜確保することで、配管4との間の荷重伝達が分散状態で行われ、外周側においては、バンド側当接面15,15である嵌合溝14,14の溝内面を介して配管支持バンド2との間の荷重伝達が確実に行われるとともに、嵌合溝14,14がストッパーとなって配管4の材軸方向に沿った配管支持用アタッチメント3の移動が制限される。
【0062】
そのため、配管4の自重を支持する場合はもちろん、配管4から振動荷重が作用するような状況においても、配管支持用アタッチメント3が配管4の材軸方向にずれたり、配管4と配管支持バンド2との間から抜け落ちたりといった懸念がなくなり、かくして、配管支持バンド2と一体になるよう製作せずとも、より経済性に優れた形で上述した荷重伝達機能が確実に維持される。
【0063】
加えて、配管支持バンドと配管支持用アタッチメントとを一体製作する場合には、金型に対する鋼材の位置決めなど、製作に手間やコストがかかるとともに、配管支持バンドと配管支持用アタッチメントとが合体する関係上、全体の曲げ剛性が大きくなって開閉しづらくなり、配管挿入の際の作業性が低下するおそれがあったが、本実施形態に係る配管支持用アタッチメント3においては、配管支持バンド2とは別体として製作されるため、経済的な生産が可能であるとともに、側方ブロック10,10が、弾性部11を介して列状に相互連結され、一方の列端と他方の列端が近接されるように環状に配置することで配管4の周方向に沿って該配管を取り囲むことができるとともに、一方の列端と他方の列端とを互いに離間させることでそれらの離間スペースを介して配管4をその材軸直交方向から入れ込むことができるので開閉が容易になり、配管挿入の際の作業性が低下するおそれもない。
【0064】
さらには、従来の配管支持バンドの場合、図5(a)に示すように、蝶番22が径方向外側に向けて突出させてあるため、配管支持バンドを含めた配管全体を覆うように保温材21を巻き付ける際、その保温材21と蝶番22との間に隙間23が生じて断熱性が低下したり、該隙間に溜まった結露水が原因で配管支持バンドが腐食したりといった懸念があったが、本実施形態に係る配管支持用アタッチメント3においては、配管支持バンド2の蝶番9が蝶番挿入凹部19に挿入されるので、図5(b)に示すように、保温材21と蝶番9との間に隙間が生じる懸念がなくなり、かくして断熱性の低下やそれに起因する結露の発生を未然に防止することができる。
【0065】
また、本実施形態に係る配管支持用アタッチメント3によれば、側方ブロック10,10を、配管4の材軸方向に沿って延びる貫通空隙17が該配管の周方向及び径方向に沿って離散配置されるようにそれぞれ構成したので、側方ブロック10,10の形成材料や貫通空隙17の離散配置形態を適宜設定することにより、上述した荷重伝達機能を確保しつつ、側方ブロック10,10内に十分な体積の断熱空間を形成することが可能となり、従来の硬質ウレタンフォームを用いた断熱材と同等、あるいはそれ以上の断熱性能を、より経済性に優れた形で持たせることができる。
【0066】
特に、本実施形態に係る配管支持用アタッチメント3によれば、貫通空隙17を、それらの横断面形状が六角形となるように形成するとともに、それらを六角形状隔壁18を介して互いに近接配置したので、側方ブロック10,10がそれぞれハニカム構造で構成されることとなり、かくして十分な荷重伝達機能を確保しつつ、ほぼ最大限に近い断面積で空隙を形成することが可能となり、断熱性能を格段に向上させることができる。
【0067】
そのため、従来よりも断熱構造の厚みを抑えることが可能となり、狭隘な箇所での施工性が改善される。
【0068】
また、本実施形態に係る配管支持用アタッチメント3によれば、該弾性部11の外方に設けられた蝶番挿入凹部19が2つの側方ブロック10,10が相対回転する際のスペースとなるため、該各側方ブロックは、互いに干渉されることなく、弾性部11を中心として相対回転することができる。
【0069】
また、従来であれば、図5(a)で説明したように蝶番22が径方向外側に向けて突出しているため、配管支持バンドを含めた配管全体を覆うように保温材21を巻き付ける際、その保温材21と蝶番22との間に隙間23が生じて断熱性が低下するなどの懸念があったが、本実施形態に係る配管支持バンド2によれば、一対の半環状部材8,8を全体が環状となるように蝶番9を介して相互連結することで配管挿通部5を構成するとともに該蝶番を半径方向内方に突出させたので、図5(b)で説明したように保温材21と蝶番9との間に隙間が生じる懸念がなくなり、かくして断熱性の低下やそれに起因する結露の発生を未然に防止することができる。
【0070】
一方、蝶番9は、配管支持用アタッチメント3の蝶番挿入凹部19に挿入されるため、該蝶番が配管支持用アタッチメント3の外周面と干渉することなく、一対の半環状部材8,8が配管支持用アタッチメント3の外周面にぴったりと当接し、かくして配管4に生じた荷重は配管支持バンド2に確実に伝達される。
【0071】
また、本実施形態に係る配管支持具1によれば、配管支持用アタッチメント3を単独で配管4に先行配置することができるので、配管支持バンド2による固定作業が終わるまでの間、配管支持用アタッチメント3が配管から外れたり落下したりしないよう注意を払う必要がなくなる。
【0072】
[変形例]
本実施形態では、本発明の配管支持バンドを吊りバンドとしたが、これに代えて、立てバンドとすることはもちろん可能である。
【0073】
また、本実施形態では、2つの側方ブロック10,10をはじめ、弾性部11を含む配管支持用アタッチメント3を熱可塑性エラストマーで形成するようにしたが、他の樹脂材料で形成するようにしてもかまわない。
【0074】
また、本実施形態では、側方ブロック10,10を、配管4の材軸方向に沿って延びる横断面が六角形状の貫通空隙17が該配管の周方向及び径方向に沿って離散配置されるようにそれぞれ構成したが、貫通空隙は、横断面が六角形状である必要はなく、円形や角形であってもかまわないし、断熱性向上という観点では、周方向に離散配置されていれば足りるものであって、径方向に沿って離散配置されている必要はない。さらに言うと、要求される断熱性能が比較的低くて足りるのであれば、貫通空隙17を省略することも可能である。
【0075】
図6は、貫通空隙17が省略された変形例に係る配管支持具31を示した図であり、該配管支持具は、配管4を取り囲むように該配管周囲に配置される配管支持用アタッチメント33と該配管支持用アタッチメントの周囲に巻き付けるように配置される配管支持バンド2とで構成してある。
【0076】
配管支持用アタッチメント33は、同図に示すように、各々が半円筒状をなし配管4に抱き合わせる形で配置される複数の荷重伝達ブロックとしての2つの側方ブロック34,34を、弾性部11を介して列状に相互連結して構成してあり、配管支持用アタッチメント3と同様、一方の列端と他方の列端(弾性部11と反対側に位置する対向端部)を互いに離間させることで、それらの離間スペースを介して配管4をその材軸直交方向から入れ込むことができるようになっているとともに、一方の列端と他方の列端が近接されるように環状に配置することで、配管4の周方向に沿って該配管を取り囲むことができるようになっている。
【0077】
側方ブロック34,34は、それらの間に配管4が挟み込まれた状態で、それらの内周面がそれぞれ配管側当接面12,12として配管4の外周面に当接できるようになっていて、該配管側当接面を介して配管4との間の荷重伝達が行われるようになっているとともに、外周側には、配管支持バンド2のうち、配管挿通部5が嵌合する嵌合溝14,14をそれぞれ設けてあり、該嵌合溝は、その溝内面がバンド側当接面15として配管支持バンド2の配管挿通部5が当接することにより、該配管支持バンドとの間の荷重伝達が行われるようになっている。
【0078】
配管支持用アタッチメント33は、側方ブロック34,34のうち、弾性部11よりも径方向外方に拡がる部位にそれぞれ切り欠き36,36を設けることで該2つの切り欠きが合体した切り欠き領域が形成されるように構成してあり、かかる切り欠き領域は、配管支持バンド2の蝶番9が挿入される蝶番挿入凹部19として機能する。
【0079】
以下、貫通空隙17が形成されていない点を除き、上述の実施形態とほぼ同様であるので、さらなる構成や作用効果の説明については、ここでは省略する。
【0080】
また、本実施形態では、配管支持バンドの構成要素である配管挿通部を、一対の半環状部材8,8とそれらを相互連結する蝶番9とで構成するとともに、これに対応して、配管支持用アタッチメントの構成要素である複数の荷重伝達ブロックを、2つの側方ブロック10,10で構成してそれらをつなぐ弾性部11の外方に蝶番挿入凹部19を形成するようにしたが、配管挿通部の部分環状部材は複数であれば足りるのであって、必ずしも2つの部分環状部材で構成される必要はないし、荷重伝達ブロックについても、必ずしも2つの荷重伝達ブロックで構成する必要はない。
【0081】
図7は、このような変形例に係る配管支持具を構成する配管支持バンド42及び配管支持用アタッチメント43を示したものである。
【0082】
ここで、配管支持バンド42は、配管支持バンド2と同様、帯板状の鋼材を面外方向にかつ環状に湾曲形成された配管挿通部45及び該配管挿通部の対向端部から放射方向にそれぞれ延設された互いに対向する一対の延設部6,6からなるが、配管挿通部45は、3つの部分環状部材48a,48b,48cを全体が環状となるように2つの蝶番49を介してそれぞれ相互連結して構成してあり、図8(a)に示すように、延設部6,6が延設される側の部分環状部材48a,48bを各蝶番49の回りにそれぞれ回転させて互いに離間させることにより(実線で図示)、それらの離間スペースを介して配管4に先行配置された配管支持用アタッチメント43を配管挿通部45の内側空間に入れ込むことができるようになっているとともに、部分環状部材48a,48bを互いに近接させるように環状に配置することで(一点鎖線で図示)、配管支持用アタッチメント43を取り囲むように配置することができるようになっている。
【0083】
一方、配管支持用アタッチメント43は、配管4に抱き合わせる形で配置される3つの荷重伝達ブロック50a,50b,50cを、弾性部11a,11bを介して列状に相互連結して構成してあり、図8(b)に示すように、荷重伝達ブロック50a,50bを各弾性部11a,11bの回りにそれぞれ回転させて一方の列端と他方の列端とを互いに離間させることにより(実線で図示)、それらの離間スペースを介して配管4をその材軸直交方向から入れ込むことができるようになっているとともに、一方の列端と他方の列端が近接されるように環状に配置することで、配管4の周方向に沿って該配管を取り囲むことができるようになっている。
【0084】
荷重伝達ブロック50a,50b,50cは、側方ブロック10,10と同様、それらの間に配管4が挟み込まれた状態で、それらの内周面がそれぞれ配管側当接面12,12として配管4の外周面に当接できるようになっていて、該配管側当接面を介して配管4との間の荷重伝達が行われるようになっているとともに、外周側には、配管支持バンド42のうち、配管挿通部45が嵌合する嵌合溝14,14をそれぞれ設けてあり、該嵌合溝は、その溝内面がバンド側当接面15として配管支持バンド2の配管挿通部45が当接することにより、該配管支持バンドとの間の荷重伝達が行われるようになっている。
【0085】
弾性部11a,11bは、荷重伝達ブロック50a,50b,50cがそれらの隣接面で互いに繋がれる形となるように、該各荷重伝達ブロックの外周面から所定距離だけ内方に後退した位置に設置してある。
【0086】
配管支持用アタッチメント43は、荷重伝達ブロック50a,50b,50cのうち、弾性部11a,11bよりも径方向外方に拡がる部位にそれぞれ切り欠き16,16を設けることで該2つの切り欠きが合体した切り欠き領域が各々形成されるように構成してあり、かかる2つの切り欠き領域は、配管支持バンド42の2つの蝶番49がそれぞれ挿入される蝶番挿入凹部59として機能する。
【0087】
以下、他の構成や作用効果については、上述した実施形態と概ね同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0088】
なお、配管保持用アタッチメントにおいて、複数の荷重伝達ブロックを2つの側方ブロックで構成する場合に、上述の実施形態では、その弾性部を該2つの側方ブロックの外周面から内方に後退した位置に設置するようにしたが、かかる構成は、図7及び図8で明らかな通り、3つ以上の荷重伝達ブロックで構成する場合にも適用することができる。
【0089】
一方、弾性部は、その設置位置を必ずしも蝶番挿入凹部と一致させる必要はないし、その場合には、複数の荷重伝達ブロックの外周面から内方に後退した位置に設置するのではなく、外周面に沿って設置してもよい。
【0090】
図9は、この変形例に係る配管保持用アタッチメント61を示したものであって、図7で説明した配管支持バンド42との併用を前提としたものである。
【0091】
配管保持用アタッチメント61は、複数の荷重伝達ブロックとしての2つの側方ブロック62,62を弾性部としての弾性シート63を介して相互に連結して構成してあるとともに、該各側方ブロックには、吊持状態で左右位置となる位置にそれぞれ蝶番挿入凹部64,64を設けてあり、該蝶番挿入凹部に配管支持バンドの蝶番49,49が挿入されるようになっている。
【0092】
以下、本実施形態と実質的に同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【符号の説明】
【0093】
1,31 配管支持具
2,42 配管支持バンド
3,33,43,61 配管支持用アタッチメント
4 配管
5 配管挿通部
6,6 延設部
8,8 一対の半環状部材(複数の部分環状部材)
9 蝶番
10,10 2つの側方ブロック(複数の荷重伝達ブロック)
11 弾性部
12 配管側当接面
14 嵌合溝
15 バンド側当接面
16 切り欠き
17 貫通空隙
18 六角形状隔壁
19,64 蝶番挿入凹部
34,34 2つの側方ブロック(複数の荷重伝達ブロック)
36 切り欠き
48a,48b,48c 複数の部分環状部材
49 蝶番
50a,50b,50c 3つの荷重伝達ブロック(複数の荷重伝達ブロック)
62,62 2つの側方ブロック(複数の荷重伝達ブロック)
63 弾性シート(弾性部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9