IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機冷熱プラント株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-冷凍システムおよび冷凍機制御装置 図1
  • 特開-冷凍システムおよび冷凍機制御装置 図2
  • 特開-冷凍システムおよび冷凍機制御装置 図3
  • 特開-冷凍システムおよび冷凍機制御装置 図4
  • 特開-冷凍システムおよび冷凍機制御装置 図5
  • 特開-冷凍システムおよび冷凍機制御装置 図6
  • 特開-冷凍システムおよび冷凍機制御装置 図7
  • 特開-冷凍システムおよび冷凍機制御装置 図8
  • 特開-冷凍システムおよび冷凍機制御装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139700
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】冷凍システムおよび冷凍機制御装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
F25B1/00 371Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045370
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507048525
【氏名又は名称】三菱電機冷熱プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 翔
(57)【要約】
【課題】短時間かつ正確にCOPが最大となるように、冷凍機の運転を制御することができる冷凍システムおよび冷凍機制御装置を提供する。
【解決手段】冷凍システムは、圧縮機および凝縮器を有する熱源機と、蒸発器および蒸発器に対して空気を送風する送風機を有する冷却機とを備え、冷却対象空間を冷却する冷凍機と、凝縮器に供給される流体の温度である流体温度を取得する流体温度取得部と、凝縮器の凝縮温度を推定する凝縮温度推定部と、冷凍機の運転状態と成績係数との関係を示す運転特性を記録して保持する運転特性保持部と、冷凍機の運転状態を仮定し、仮定した運転状態と推定された凝縮温度とに基づき、記録された運転特性を用いて成績係数が最大となる運転状態を決定する制御部と、決定された運転状態で冷凍機が運転するように、冷凍機の運転状態を変更する運転状態変更部とを有し、冷凍機を制御する冷凍機制御装置とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機および凝縮器を有する熱源機と、
蒸発器および前記蒸発器に対して空気を送風する送風機を有する冷却機と
を備え、冷却対象空間を冷却する冷凍機と、
前記凝縮器に供給される流体の温度である流体温度を取得する流体温度取得部と、
前記凝縮器の凝縮温度を推定する凝縮温度推定部と、
前記冷凍機の運転状態と成績係数との関係を示す運転特性を記録して保持する運転特性保持部と、
前記冷凍機の運転状態を仮定し、仮定した前記運転状態と推定された前記凝縮温度とに基づき、記録された前記運転特性を用いて前記成績係数が最大となる運転状態を決定する制御部と、
決定された前記運転状態で前記冷凍機が運転するように、前記冷凍機の運転状態を変更する運転状態変更部と
を有し、前記冷凍機を制御する冷凍機制御装置と
を備える
冷凍システム。
【請求項2】
前記冷凍機制御装置は、
前記凝縮温度を推定するための関係式を記録する記録部をさらに有し、
前記凝縮温度推定部は、
仮定された前記運転状態と、取得された前記流体温度とに基づき、前記関係式を用いて前記凝縮器の前記凝縮温度を推定する
請求項1に記載の冷凍システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記運転状態として、前記圧縮機の圧縮機周波数、前記蒸発器に対する送風量および蒸発温度を仮定し、
前記凝縮温度推定部は、
前記圧縮機周波数、前記送風量、前記蒸発温度および前記流体温度の関数である前記関係式から前記凝縮温度を推定する
請求項2に記載の冷凍システム。
【請求項4】
前記運転状態変更部は、
決定された前記運転状態に基づき、前記圧縮機の圧縮機周波数を変更する
請求項1~3のいずれか一項に記載の冷凍システム。
【請求項5】
前記運転状態変更部は、
決定された前記運転状態に基づき、前記圧縮機の圧縮機周波数および前記蒸発器に対する送風量を変更する
請求項1~3のいずれか一項に記載の冷凍システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記冷凍機がとり得るすべての運転状態における前記成績係数を比較し、前記成績係数が最大となる前記運転状態を決定する
請求項1~5のいずれか一項に記載の冷凍システム。
【請求項7】
前記冷凍機制御装置は、
前記蒸発器に対する送風量の下限値を取得する送風量下限値取得部をさらに有し、
前記制御部は、
前記送風量が前記下限値以上であり、かつ、前記成績係数が最大となる前記運転状態を決定する
請求項6に記載の冷凍システム。
【請求項8】
前記冷凍機制御装置は、
前記冷却対象空間の負荷である冷凍負荷を取得する負荷取得部をさらに有し、
前記運転特性は、
前記冷凍機の運転状態と、前記成績係数および前記冷凍機の冷凍能力との関係を示すものであり、
前記制御部は、
前記冷凍能力が前記冷凍負荷以上であり、かつ、前記成績係数が最大となる前記運転状態を決定する
請求項6または7に記載の冷凍システム。
【請求項9】
前記冷凍機制御装置は、
変更された前記運転状態を取得する運転状態取得部をさらに有する
請求項1~8のいずれか一項に記載の冷凍システム。
【請求項10】
圧縮機および凝縮器を有する熱源機と、蒸発器および前記蒸発器に対して空気を送風する送風機を有する冷却機とを備えた、冷却対象空間を冷却する冷凍機を制御する冷凍機制御装置であって、
前記凝縮器に供給される流体の温度である流体温度を取得する流体温度取得部と、
前記凝縮器の凝縮温度を推定する凝縮温度推定部と、
前記冷凍機の運転状態と成績係数との関係を示す運転特性を記録して保持する運転特性保持部と、
前記冷凍機の運転状態を仮定し、仮定した前記運転状態と推定された前記凝縮温度とに基づき、記録された前記運転特性を用いて前記成績係数が最大となる運転状態を決定する制御部と、
決定された前記運転状態で前記冷凍機が運転するように、前記冷凍機の運転状態を変更する運転状態変更部と
を有する
冷凍機制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、対象空間を冷却する冷凍システムおよび冷凍機制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を低温下で貯蔵する低温貯蔵庫では、庫内温度を調整するために、熱源機および冷却機で構成される冷凍機が用いられている。このような冷凍機では、庫内温度を調整する場合に、十分な冷凍能力が得られ、かつ運転効率が高くなるように、熱源機および冷却機の運転を適切に制御することが求められる。そのため、近年では、成績係数(COP;Coefficient Of Performance)を向上させるように冷凍機を制御する種々の方法が提案されている(例えば、特許文献1および2)。
【0003】
特許文献1に記載の冷却装置は、ある設定値で運転中の熱源機における圧縮機の圧縮機周波数と、冷却機における蒸発器に対する送風量とを変化させた際のCOPに応じて、圧縮機および蒸発器の運転状態を取得する。具体的には、冷却装置は、圧縮機周波数と送風量とを一定の割合で変化させ、COPが向上するか否かを判定する。そして、冷却装置は、COPが向上している場合に、圧縮機周波数および送風量をさらに変化させ、COPが向上していない場合に、圧縮機周波数および送風量を変化前の値に戻す。この動作を繰り返すことにより、冷却装置は、COPが最大となる圧縮機および蒸発器の運転状態を取得する。
【0004】
また、特許文献2に記載の冷凍装置は、冷却器に対する送風量を固定値とした場合の、冷凍装置の蒸発温度、凝縮温度、圧縮機周波数および能力と、COPとの対応関係に基づき、COPが最大となるような冷凍装置の設定値を選択する。これにより、冷凍装置は、COPが最大となるような設定値を短時間で取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-163869号公報
【特許文献2】特開2013-228130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の冷却装置は、圧縮機周波数および送風量を一定の割合で変化させながら、COPが最大となる最適な圧縮機周波数および送風量を取得する。そのため、圧縮機周波数および送風量が最適値に到達するまでに長時間を要するという課題がある。また、最適値が取得されるまでの間、冷却装置は、より小さいCOPで運転することになるため、結果として、COPを最大にすることによる効果を十分に得られない。
【0007】
さらに、特許文献2に記載の冷凍装置では、COPとの対応関係に基づいて蒸発温度または圧縮機周波数が変更されるが、この場合の凝縮温度がどのような値になるか必ずしも明らかではない。これは、冷凍装置の蒸発温度または圧縮機周波数を変化させた場合に、凝縮温度も変化する場合があり、また、凝縮温度は外気温度等の影響も受けるからである。そのため、冷凍装置のCOPを常に最大化するためには、何らかの手段を用いて凝縮温度の変化を正確に推定しなければならず、また、凝縮温度の変化を正確に推定することなくCOPを常に最大化することは、困難である。
【0008】
本開示は、上記従来の技術における課題に鑑みてなされたものであって、短時間かつ正確にCOPが最大となるように、冷凍機の運転を制御することができる冷凍システムおよび冷凍機制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る冷凍システムは、圧縮機および凝縮器を有する熱源機と、蒸発器および前記蒸発器に対して空気を送風する送風機を有する冷却機とを備え、冷却対象空間を冷却する冷凍機と、前記凝縮器に供給される流体の温度である流体温度を取得する流体温度取得部と、前記凝縮器の凝縮温度を推定する凝縮温度推定部と、前記冷凍機の運転状態と成績係数との関係を示す運転特性を記録して保持する運転特性保持部と、前記冷凍機の運転状態を仮定し、仮定した前記運転状態と推定された前記凝縮温度とに基づき、記録された前記運転特性を用いて前記成績係数が最大となる運転状態を決定する制御部と、決定された前記運転状態で前記冷凍機が運転するように、前記冷凍機の運転状態を変更する運転状態変更部とを有し、前記冷凍機を制御する冷凍機制御装置とを備えるものである。
【0010】
また、本開示に係る冷凍機制御装置は、圧縮機および凝縮器を有する熱源機と、蒸発器および前記蒸発器に対して空気を送風する送風機を有する冷却機とを備えた、冷却対象空間を冷却する冷凍機を制御する冷凍機制御装置であって、前記凝縮器に供給される流体の温度である流体温度を取得する流体温度取得部と、前記凝縮器の凝縮温度を推定する凝縮温度推定部と、前記冷凍機の運転状態と成績係数との関係を示す運転特性を記録して保持する運転特性保持部と、前記冷凍機の運転状態を仮定し、仮定した前記運転状態と推定された前記凝縮温度とに基づき、記録された前記運転特性を用いて前記成績係数が最大となる運転状態を決定する制御部と、決定された前記運転状態で前記冷凍機が運転するように、前記冷凍機の運転状態を変更する運転状態変更部とを有するものである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、冷凍機の運転状態が仮定されるとともに、凝縮器の凝縮温度が推定され、仮定された運転状態と推定された凝縮温度とに基づき、運転特性を用いて成績係数が最大となる運転状態が決定される。そのため、短時間かつ正確にCOPが最大となるように、冷凍機の運転を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係る冷凍システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図1の冷凍機制御装置の構成の一例を示すハードウェア構成図である。
図3図1の冷凍機制御装置の構成の他の例を示すハードウェア構成図である。
図4図1の冷凍機の構成の一例を示す回路図である。
図5】運転特性について説明するための概略図である。
図6】実施の形態1に係る冷凍システムによる運転状態決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】圧縮機周波数および送風量を変化させた場合のCOPについて説明するためのグラフである。
図8】実施の形態2に係る冷凍システムの構成の一例を示すブロック図である。
図9】実施の形態3に係る冷凍システムの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して説明する。本開示は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本開示は、以下の各実施の形態に示す構成のうち、組合せ可能な構成のあらゆる組合せを含むものである。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一のまたはこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
【0014】
実施の形態1.
本実施の形態1に係る冷凍システムについて説明する。本実施の形態1に係る冷凍システムは、冷凍倉庫または冷蔵倉庫等の冷却対象空間内の温度が設定温度となるように、冷却対象空間を冷却するものである。
【0015】
[冷凍システム100の構成]
図1は、本実施の形態1に係る冷凍システムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、冷凍システム100は、冷凍機制御装置1および冷凍機2を含んで構成されている。冷凍機2は、冷凍倉庫または冷蔵倉庫等の対象空間50を冷却するために設けられている。冷凍機制御装置1は、冷凍機2を制御する。
【0016】
(冷凍機制御装置1)
冷凍機制御装置1は、運転状態取得部11、運転特性保持部12、凝縮温度推定部13、流体温度取得部14、記録部15、運転状態変更部16および制御部10を備えている。なお、冷凍機制御装置1は、マイクロコンピュータなどの演算装置上でソフトウェアを実行することにより各種機能が実現され、もしくは各種機能を実現する回路デバイスなどのハードウェア等で構成されている。また、図1に示す冷凍機制御装置1は、各部が機能毎に独立して構成されるように示されているが、これに限られず、冷凍機制御装置1は、複数の機能が一体的に構成された装置であってもよい。
【0017】
制御部10は、この冷凍機制御装置1全体を制御し、後述する運転状態決定処理を行う。例えば、制御部10は、運転状態決定処理において、冷凍機2の運転状態を仮定し、仮定した運転状態を変化させながら、それぞれの運転状態に応じた冷凍機2のCOPを算出する。このとき、制御部10は、運転状態として、例えば冷凍機2における圧縮機31(図4参照)の圧縮機周波数、蒸発器42に対する送風機43の送風量および蒸発温度等を仮定する。そして、制御部10は、算出したそれぞれのCOPに基づき、COPが最も高くなるときの冷凍機2の運転状態を決定する。
【0018】
運転状態取得部11は、冷凍機2の運転状態を取得する。具体的には、運転状態取得部11は、冷凍機2における凝縮器32(図4参照)の凝縮温度、蒸発器42の蒸発温度、等を、一定の時間間隔で取得する。
【0019】
運転特性保持部12は、冷凍機2に関する運転特性を予め記録して保持する。運転特性は、冷凍機2の運転状態と、冷凍能力およびCOPとの関係を示す特性であり、例えば、冷凍機2の機種毎に定まるものである。運転特性は、例えば、冷凍機2の仕様書等に記載されている値を用いてもよいし、試験等によって別途算出または取得した値を用いてもよい。運転特性の詳細については、後述する。
【0020】
凝縮温度推定部13は、制御部10で仮定された運転状態における凝縮器32の凝縮温度を推定する。具体的には、凝縮温度推定部13は、制御部10で仮定された圧縮機周波数、蒸発器42に対する送風量および蒸発温度と、流体温度取得部14で取得された流体温度とに基づき、後述する関係式を用いて凝縮器32の凝縮温度を推定する。
【0021】
流体温度取得部14は、冷凍機2の凝縮器32に供給される流体の温度を取得する。凝縮器32が空冷式の場合には、流体温度取得部14は、凝縮器32に供給される室外空気の温度である外気温度を取得する。また、凝縮器32が水冷式の場合には、流体温度取得部14は、凝縮器32に供給される冷却水の温度を取得する。本実施の形態1では、凝縮器32が空冷式である場合を例にとって説明する。したがって、以下の説明において、流体温度取得部14は、外気温度を取得するものとする。
【0022】
記録部15は、冷凍機制御装置1の各部で用いられる各種の値等を記録する。本実施の形態1において、記録部15は、凝縮温度推定部13で凝縮温度を推定する際に用いられる関係式を予め記録している。また、記録部15は、流体温度取得部14で取得された流体温度と、運転状態取得部11で取得された冷凍機2の運転状態とを関連付けて記録する。
【0023】
運転状態変更部16は、制御部10から運転状態を示す情報を受け取り、受け取った情報に基づき、冷凍機2の運転状態を変更するための運転指示値を生成する。具体的には、運転状態変更部16は、制御部10から受け取った情報に対応する圧縮機31の圧縮機周波数と、蒸発器42に対する送風量とを運転指示値として冷凍機2に送信する。
【0024】
図2は、図1の冷凍機制御装置の構成の一例を示すハードウェア構成図である。冷凍機制御装置1の各種機能がハードウェアで実行される場合、図1の冷凍機制御装置1は、図2示すように、処理回路51で構成される。図1の運転状態取得部11、運転特性保持部12、凝縮温度推定部13、流体温度取得部14、記録部15、運転状態変更部16および制御部10の各機能は、処理回路51により実現される。
【0025】
各機能がハードウェアで実行される場合、処理回路51は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。運転状態取得部11、運転特性保持部12、凝縮温度推定部13、流体温度取得部14、記録部15、運転状態変更部16および制御部10の各部の機能それぞれを処理回路51で実現してもよいし、各部の機能を1つの処理回路51で実現してもよい。
【0026】
図3は、図1の冷凍機制御装置の構成の他の例を示すハードウェア構成図である。冷凍機制御装置1の各種機能がソフトウェアで実行される場合、図1の冷凍機制御装置1は、図3に示すように、プロセッサ52およびメモリ53で構成される。運転状態取得部11、運転特性保持部12、凝縮温度推定部13、流体温度取得部14、記録部15、運転状態変更部16および制御部10の各機能は、プロセッサ52およびメモリ53により実現される。
【0027】
各機能がソフトウェアで実行される場合、運転状態取得部11、運転特性保持部12、凝縮温度推定部13、流体温度取得部14、記録部15、運転状態変更部16および制御部10の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ53に格納される。プロセッサ52は、メモリ53に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。
【0028】
メモリ53として、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable and Programmable ROM)およびEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ等が用いられる。また、メモリ53として、例えば、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、CD(Compact Disc)、MD(Mini Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)等の着脱可能な記録媒体が用いられてもよい。
【0029】
(冷凍機2)
図4は、図1の冷凍機の構成の一例を示す回路図である。図4に示すように、冷凍機2は、熱源機3および冷却機4を含んで構成されている。熱源機3は、圧縮機31、凝縮器32および外気温度センサ33を備え、冷凍倉庫または冷蔵倉庫等の対象空間50の外部に設置されている。冷却機4は、膨張弁41、蒸発器42および送風機43を備え、対象空間50内に設置されている。圧縮機31、凝縮器32、膨張弁41および蒸発器42が冷媒配管で接続されることにより、冷媒が循環する冷媒回路が形成されている。
【0030】
圧縮機31は、低温低圧の冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮し、高温高圧の冷媒を吐出する。圧縮機31は、例えば、運転周波数である圧縮機周波数が冷凍機制御装置1によって制御されることにより、単位時間あたりの冷媒の送出量である容量が制御されるインバータ圧縮機等からなる。
【0031】
凝縮器32は、図示しないファン等の送風機によって供給される空気と冷媒との間で熱交換を行う。具体的には、凝縮器32は、冷媒の熱を空気に放熱して冷媒を凝縮させる。
【0032】
外気温度センサ33は、凝縮器32における送風機によって空気が供給される吸込口の近傍に設置される。外気温度センサ33は、凝縮器32に供給される空気の温度である外気温度を検出し、検出した外気温度を冷凍機制御装置1に供給する。
【0033】
膨張弁41は、冷媒を減圧して膨張させる。膨張弁41は、例えば、電子式膨張弁などの開度の制御を行うことができる弁で構成される。
【0034】
蒸発器42は、送風機43によって供給される空気と冷媒との間で熱交換を行う。具体的には、蒸発器42は、冷媒を蒸発させ、その際の気化熱により対象空間50内の空気である庫内空気を冷却する。
【0035】
送風機43は、図示しないモータによって駆動され、蒸発器42に対して庫内空気を供給する。送風機43の回転数は、冷凍機制御装置1によって制御されることにより、蒸発器42に対する送風量が調整される。
【0036】
[運転特性]
一般に、冷凍機2のCOPおよび冷凍能力は、冷凍機2における蒸発器42の蒸発温度、凝縮器32の凝縮温度、および圧縮機31の圧縮機周波数等の冷凍機2の運転状態によって定まる。また、運転特性は、冷凍機2の機種毎に定まる。さらに、運転特性は、蒸発器42に対する送風量によっても変化する。そのため、蒸発器42に対する送風量も制御する場合、運転特性は、送風量毎に定義される。このような運転特性は、運転特性保持部12に送風量毎に記録される。
【0037】
図5は、運転特性について説明するための概略図である。図5は、蒸発器42に対する送風量Vがある設定値V1である場合の運転特性を示すテーブルである。図5に示すように、冷凍機2のCOPおよび冷凍能力は、凝縮器32の凝縮温度CT、圧縮機31の圧縮機周波数F、および蒸発器42の蒸発温度ETによって一意に定まる。例えば、送風量Vが「V1」である場合において、冷凍機2における凝縮温度CTが「CT1」であり、圧縮機周波数Fが「F1」であり、蒸発温度ETが「ET1」であるとき、図5のテーブルから、冷凍機2の冷凍能力は「Q11」となり、COPは「X11」となることがわかる。
【0038】
このような運転特性から、冷凍機2の運転状態を設定可能な範囲で変化させることにより、設定可能な値でのすべての運転状態の組み合わせにおけるCOPを導出することができる。したがって、導出したすべてのCOPから最も高いCOPを抽出し、そのときの運転状態を決定して冷凍機2を設定することにより、最適な運転状態で冷凍機2を運転させることができる。そこで、冷凍機制御装置1は、とり得るすべての運転状態におけるCOPを導出し、COPが最も高くなる運転状態を決定する運転状態決定処理を行う。
【0039】
[運転状態決定処理]
ところで、COPが最も高くなるように運転状態を決定し、決定した運転状態で冷凍機を運転することは、従来から行われている。上述したように、冷凍機のCOPは、運転状態および凝縮温度によって定まるため、これらの運転状態および凝縮温度を仮定してCOPを導出することにより、COPが最大となる運転状態等を決定することができる。
【0040】
一方、背景技術の項でも説明したように、凝縮温度は、蒸発温度および圧縮機周波数等の運転状態によって変化し、さらには、外気温度等の運転状態以外の要素の影響も受けることがある。つまり、凝縮温度を仮定してCOPが最も高くなる運転状態を導出しても、そのときの実際の凝縮温度は、仮定した凝縮温度になるとは限らず、それによって実際のCOPが想定したように最も高くなるとは限らない。
【0041】
したがって、COPが最も高くなる運転状態を適切に導出するためには、凝縮温度を正確に推定することが必要となる。そこで、本実施の形態1に係る冷凍機2は、仮定した運転状態に基づき凝縮温度を正確に推定する。そして、冷凍機2は、仮定した運転状態と推定した凝縮温度とに基づき、COPが最大となる運転状態を決定する運転状態決定処理を行う。
【0042】
図6は、本実施の形態1に係る冷凍システムによる運転状態決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、ステップS1において、冷凍機制御装置1の制御部10は、冷凍機2の運転状態を予め決められた値などに仮定する。具体的には、制御部10は、冷凍機2の運転状態として、圧縮機31の圧縮機周波数Fを「F_(i)」とし、蒸発器42に対する送風機43の送風量Vを「V_(i)」とし、蒸発器42における蒸発温度ETを「ET_(i)」と仮定する。そして、制御部10は、仮定した圧縮機周波数F_(i)、送風量V_(i)および蒸発温度ET_(i)を凝縮温度推定部13に供給する。
【0043】
ステップS2において、流体温度取得部14は、外気温度センサ33で検出された外気温度Tを取得する。流体温度取得部14は、取得した外気温度Tを凝縮温度推定部13に供給する。
【0044】
ステップS3において、凝縮温度推定部13は、制御部10から受け取った圧縮機周波数F_(i)、送風量V_(i)および蒸発温度ET_(i)と、流体温度取得部14から受け取った外気温度Tとを、記録部15に記録された関係式に当てはめ、凝縮器32における推定凝縮温度CT_(i)を算出する。凝縮温度推定部13は、算出した凝縮温度を推定凝縮温度CT_(i)として制御部10に供給する。
【0045】
ここで、記録部15には、過去の運転の際に流体温度取得部14で取得された流体温度である外気温度Tと、運転状態取得部11で取得された冷凍機2の運転状態とが関連付けられ、運転データとして記録されている。そして、記録部15には、記録された過去の運転データに基づく、凝縮温度CTと、外気温度T、蒸発温度ET、圧縮機周波数Fおよび送風量Vとの関係を示す関係式が作成されて記録されている。
【0046】
凝縮温度推定部13は、記録部15に記録された式(1)に示す関係式を用いて、凝縮温度CTを算出する。式(1)において、「T」、「ET」、「F」および「V」は、それぞれ、外気温度、蒸発器42の蒸発温度、圧縮機31の圧縮機周波数および蒸発器42に対する送風量を示す。なお、式(1)の具体的な式は、外気温度T、蒸発温度ET、圧縮機周波数Fおよび送風量Vの関数であり、例えば、統計的手法等を用いて作成すればよい。
CT=CT(T,ET,F,V) ・・・(1)
【0047】
ステップS4において、制御部10は、ステップS1で仮定した圧縮機周波数F_(i)、送風量V_(i)および蒸発温度ET_(i)と、凝縮温度推定部13から受け取った推定凝縮温度CT_(i)とに基づき、運転特性保持部12に記録された運転特性を参照して、仮定した運転状態における冷凍機2のCOPを導出する。ここでは、導出されたCOPを「COP_(i)」とする。
【0048】
そして、制御部10は、ステップS4に示す冷凍機2のCOPの導出を、すべての運転状態の組み合わせについて実施する。ここで、「運転状態の組み合わせ」とは、圧縮機周波数F、送風量Vおよび蒸発温度ETの組み合わせのことをいう。すなわち、制御部10は、仮定した圧縮機周波数F_(i)、送風量V_(i)および蒸発温度ET_(i)を、圧縮機周波数F_(i+1)、送風量V_(i+1)および蒸発温度ET_(i+1)と順次変更する。次に、制御部10は、変更したそれぞれの運転状態における冷凍機2のCOPであるCOP_(i+1)を導出する。なお、それぞれの値に付された添字「i」は整数であり、ある仮定値のときの添字を「i」とした場合に、値を順次変更すると、添字の値が「i+1」、「i+2」、・・・、というように順次インクリメントされるものとする。
【0049】
ステップS5において、制御部10は、すべての運転状態の組み合わせに対してCOPを導出したか否かを判断する。判断の結果、すべての運転状態の組み合わせに対してCOPを導出した場合には、処理がステップS6に移行する。一方、すべての運転状態の組み合わせに対してCOPを導出していない場合には、処理がステップS1に戻り、制御部10は、次の運転状態を仮定し、ステップS1~ステップS4の処理を行う。
【0050】
ステップS6において、制御部10は、すべての運転状態の組み合わせに対する冷凍機2のCOPを比較し、COPが最も高くなる運転状態の組み合わせを、最適な運転状態として決定する。制御部10は、ステップS6で決定された運転状態の組み合わせを示す情報を運転状態変更部16に供給する。
【0051】
ステップS7において、運転状態変更部16は、制御部10から供給された運転状態の組み合わせを示す情報に基づき、この情報に対応する圧縮機周波数Fおよび送風量Vを運転指示値として冷凍機2に対して送信し、冷凍機2の運転状態を変更する。
【0052】
なお、この運転状態決定処理は、例えば数分等の一定の時間間隔で巡回的に実行される。または、運転状態決定処理は、例えば外気温度が変化した場合に実行されてもよい。そして、冷凍機2の運転状態が運転状態取得部11によって取得されるとともに、外気温度が流体温度取得部14によって取得され、取得されたこれらの情報が関連付けられて記録部15に記録される。記録された運転状態および外気温度は、記録部15に記録された関係式の学習等に用いられる。
【0053】
図7は、圧縮機周波数および送風量を変化させた場合のCOPについて説明するためのグラフである。図7において、横軸は圧縮機周波数Fを示し、縦軸はCOPを示す。また、実線、破線および一点鎖線のグラフは、送風量VがそれぞれV、VおよびVである場合を示す。
【0054】
図7では、蒸発器42に対する送風量VをV、VおよびVと仮定した場合の例が示されている。この例では、圧縮機周波数Fが「F」であり、送風量Vが「V」である場合に、冷凍機2のCOPが最も高くなっている。したがって、この場合には、運転状態決定処理により、圧縮機周波数Fが「F」であり、送風量Vが「V」である運転状態の組み合わせが冷凍機2の最適な運転状態として決定される。
【0055】
以上のように、本実施の形態1に係る冷凍システム100では、冷凍機2の運転状態を仮定するとともに、冷凍機2における凝縮器32の凝縮温度を推定し、仮定された運転状態と推定された凝縮温度とに基づき、冷凍機2のCOPが導出される。そして、導出されたCOPが最も高くなる運転状態が決定され、決定された運転状態で運転するように冷凍機2が制御される。このように、本実施の形態1では、凝縮温度が推定されるため、冷凍機2に対して適切な運転状態を設定して冷凍機2を運転させることができる。
【0056】
また、冷凍システム100では、冷凍機2の運転状態が仮定され、予め記録された冷凍機2の運転状態とCOPとの関係を示す運転特性を用いて、COPが最も高くなる運転状態が決定される。これにより、実際に運転状態を変化させてCOPを得る従来の方法と比較して、冷凍機2の運転状態の設定をより短時間で行うことができる。
【0057】
実施の形態2.
次に本実施の形態2について説明する。本実施の形態2では、冷凍機制御装置の構成が実施の形態1と相違する。なお、本実施の形態2において、実施の形態1と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0058】
対象空間50を冷却する際に、蒸発器42に対する送風量が低下すると、冷凍機2の冷凍能力が減少して対象空間50の温度が上昇したり、対象空間50内で局地的な温度上昇が生じたりする可能性がある。そこで、本実施の形態2では、冷凍機2の冷凍能力の減少、あるいは対象空間50内の局地的な温度上昇を抑制しつつ、冷凍機2のCOPが最大となるように、運転状態決定処理が実行されるようにする。
【0059】
[冷凍システム100aの構成]
図8は、本実施の形態2に係る冷凍システムの構成の一例を示すブロック図である。図8に示すように、冷凍システム100aは、冷凍機制御装置1aおよび冷凍機2を含んで構成されている。冷凍機制御装置1aは、実施の形態1に係る冷凍機制御装置1と同様に、冷凍機2を制御する。冷凍機制御装置1aは、運転状態取得部11、運転特性保持部12、凝縮温度推定部13、流体温度取得部14、記録部15、運転状態変更部16、送風量下限値取得部17および制御部10を備えている。
【0060】
送風量下限値取得部17は、蒸発器42に対する送風機43の送風量Vの下限値である送風量下限値Vminを取得する。送風量下限値Vminは、例えば、最低限の冷凍能力を得るための値、冷却機4からの吹出温度が最低限界となる値、あるいは、蒸発器42が凍結せずに連続運転できる値等であり、公知の手段を用いることによって取得することができる。具体的には、例えば、事前の試験、机上計算または気流解析等により、送風量下限値Vminを取得することができる。
【0061】
[運転状態決定処理]
本実施の形態2に係る運転状態決定処理では、蒸発器42に対する送風量Vが送風量下限値取得部17で取得された送風量下限値Vmin以上であり、かつ、冷凍機2のCOPが最も高くなるように、冷凍機2の運転状態が決定される。すなわち、図6に示すフローチャートのステップS6において、制御部10は、すべての運転状態の組み合わせに対する冷凍機2のCOPを比較する際に、送風量Vが送風量下限値Vmin以上である運転状態の組み合わせのうち、COPが最も高くなる運転状態の組み合わせを、最適な運転状態として決定する。
【0062】
以上のように、本実施の形態2に係る冷凍システム100aでは、送風量が送風量下限値以上であり、かつ、COPが最も高くなる運転状態が最適な運転状態として決定される。これにより、冷凍機2の冷凍能力の減少、あるいは対象空間50内の局地的な温度上昇を抑制しつつ、冷凍機2のCOPが最大となる運転状態で、冷凍機2を運転させることができる。
【0063】
実施の形態3.
次に本実施の形態3について説明する。本実施の形態3では、冷凍機制御装置の構成が実施の形態1および2と相違する。なお、本実施の形態3において、実施の形態1および2と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0064】
対象空間50を冷却する際に、冷凍機2の冷凍能力が対象空間50の冷凍負荷を下回ると、対象空間50の温度が上昇し、設定温度以上となる可能性がある。また、冷凍機2の冷凍能力が対象空間50の冷凍負荷を上回ると、対象空間50の温度が低下し、設定温度以下となる可能性がある。そこで、本実施の形態3では、対象空間50の温度が設定温度から外れることを抑制しつつ、冷凍機2のCOPが最大となるように、運転状態決定処理が実行されるようにする。
【0065】
[冷凍システム100bの構成]
図9は、本実施の形態3に係る冷凍システムの構成の一例を示すブロック図である。図9に示すように、冷凍システム100bは、冷凍機制御装置1bおよび冷凍機2を含んで構成されている。冷凍機制御装置1bは、実施の形態1および2に係る冷凍機制御装置1と同様に、冷凍機2を制御する。冷凍機制御装置1bは、運転状態取得部11、運転特性保持部12、凝縮温度推定部13、流体温度取得部14、記録部15、運転状態変更部16、負荷取得部18および制御部10を備えている。
【0066】
負荷取得部18は、対象空間50の温度を設定温度とする場合の冷凍負荷を取得する。冷凍負荷は、例えば公知の手段を用いることによって取得することができる。具体的には、例えば、対象空間50の断熱性能等からの理論計算、あるいは過去の運転状態からの算出により、対象空間50の冷凍負荷を取得することができる。
【0067】
[運転状態決定処理]
本実施の形態3に係る運転状態決定処理では、冷凍機2の冷凍能力が負荷取得部18で取得された対象空間50の冷凍負荷以上であり、かつ、冷凍機2のCOPが最も高くなるように、冷凍機2の運転状態が決定される。すなわち、図6に示すフローチャートのステップS6において、制御部10は、すべての運転状態の組み合わせに対する冷凍機2のCOPを比較する際に、冷凍能力が冷凍負荷以上である運転状態の組み合わせのうち、COPが最も高くなる運転状態の組み合わせを、最適な運転状態として決定する。
【0068】
以上のように、本実施の形態3に係る冷凍システム100bは、冷凍機2の冷凍能力が対象空間50の冷凍負荷以上であり、かつ、COPが最も高くなる運転状態が最適な運転状態として決定される。これにより、対象空間50の温度が設定温度から外れることを抑制しつつ、冷凍機2のCOPが最大となる運転状態で、冷凍機2を運転させることができる。
【0069】
以上、本実施の形態1~3について説明したが、本開示は、上述した実施の形態1~3に限定されるものではなく、本開示要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、冷凍機制御装置は、本実施の形態2および3を組み合わせた構成としてもよい。この場合、冷凍機制御装置は、運転状態決定処理の際に、蒸発器42に対する送風量Vが送風量下限値Vmin以上であり、冷凍機2の冷凍能力が対象空間50の冷凍負荷であり、かつ、冷凍機2のCOPが最も高くなるように、冷凍機2の運転状態を決定する。
【0070】
また、本実施の形態1~3では、冷凍機制御装置1、1aおよび1bが冷凍機2と別体であるように説明したが、これはこの例に限られない。例えば、冷凍機制御装置1、1aおよび1bは、冷凍機2内に設けられてもよい。さらに、この場合、冷凍機制御装置1、1aおよび1bは、熱源機3または冷却機4のいずれかに設けられてもよいし、機能毎に熱源機3および冷却機4のそれぞれに設けられてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1、1a、1b 冷凍機制御装置、2 冷凍機、3 熱源機、4 冷却機、10 制御部、11 運転状態取得部、12 運転特性保持部、13 凝縮温度推定部、14 流体温度取得部、15 記録部、16 運転状態変更部、17 送風量下限値取得部、18 負荷取得部、31 圧縮機、32 凝縮器、33 外気温度センサ、41 膨張弁、42 蒸発器、43 送風機、50 対象空間、51 処理回路、52 プロセッサ、53 メモリ、100、100a、100b 冷凍システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9