(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139723
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】材料管理システム、学習装置及び推定装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230927BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B65G61/00 520
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045407
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(72)【発明者】
【氏名】長岡 優
【テーマコード(参考)】
3C100
【Fターム(参考)】
3C100AA36
3C100AA68
3C100AA70
3C100BB05
3C100BB25
3C100BB27
3C100CC03
3C100EE12
(57)【要約】
【課題】製品の製造に用いる樹脂について、その輸送中や、樹脂を用いた製造工場における樹脂の品質及び保管状況等の情報を、センサを用いて取得し、取得した情報を活用する。
【解決手段】材料管理システムは、材料を収容し、運搬又は保管に用いられる収容器と、前記収容器中の材料の状態を示すセンシング情報を検出するセンサと、前記センシング情報の時間履歴を示す収容材料履歴情報を管理する履歴管理部と、前記材料の評価結果を示す評価情報を取得する評価取得部と、前記収容材料履歴情報に基づいて、収容器に収容中の材料のセンシング情報と材料の評価結果が対応付けられた対応情報を生成する対応情報生成部と、対象材料について前記センシング情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、対象材料の評価情報を推定する評価推定部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を収容し、運搬又は保管に用いられる収容器と、
前記収容器中の材料の状態を示すセンシング情報を検出するセンサと、
前記センシング情報の時間履歴を示す収容材料履歴情報を管理する履歴管理部と、
前記材料の評価結果を示す評価情報を取得する評価取得部と、
前記収容材料履歴情報に基づいて、収容器に収容中の材料のセンシング情報と材料の評価結果が対応付けられた対応情報を生成する対応情報生成部と、
対象材料について前記センシング情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、対象材料の評価情報を推定する評価推定部と、
を備える材料管理システム。
【請求項2】
前記評価情報に基づいて、前記対象材料が収容された収容器を特定可能な通知を行う通知部をさらに備える
請求項1に記載の材料管理システム。
【請求項3】
前記評価取得部は、少なくとも一部に前記材料を用いて生産された製品について、当該製品の評価結果を示す前記評価情報を取得し、
前記評価推定部は、製品の生産に用いられる対象材料について前記センシング情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、当該製品の評価情報を出力し、
前記製品の評価情報に基づいて、前記製品に用いられる対象材料について、当該対象材料が収容された収容器を特定可能な通知を行う通知部をさらに備える
請求項1に記載の材料管理システム。
【請求項4】
前記対応情報生成部は、前記収容材料履歴情報と前記評価情報に基づいて、収容器に収容中の材料のセンシング情報と、前記評価情報とが対応付けられた前記対応情報を生成し、
前記評価推定部は、対象材料について前記センシング情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記製品を製造するための材料の品質又は組成の推薦を示す推薦情報を出力する
請求項1に記載の材料管理システム。
【請求項5】
前記対応情報生成部は、複数時点のセンシング情報と製品の評価結果が対応付けられた前記対応情報を生成し、
前記評価推定部は、前記対象材料について、複数時点の前記センシング情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記製品の前記評価情報を出力する
請求項1から4のいずれか一項に記載の材料管理システム。
【請求項6】
前記対応情報生成部は、前記収容器或いは収容器の種類、及び、前記材料或いは材料の種類ごとに、前記対応情報を生成し、
前記評価推定部は、前記対象材料について、前記収容器或いは収容器の種類、及び、前記材料或いは材料の種類と前記センシング情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象材料の前記評価情報を出力する
請求項1から5のいずれか一項に記載の材料管理システム。
【請求項7】
前記収容器はプロセッサを備え、
前記収容器が輸送中の場合、第1の周期ごとに、前記センサは、前記センシング情報を取得し、前記プロセッサは、取得した前記センシング情報をブロックチェーンに書き込み、
前記収容器が輸送中でない場合、前記第1の周期より長い第2の周期ごとに、前記センサは、前記センシング情報を取得し、前記プロセッサは、取得した前記センシング情報を前記ブロックチェーンに書き込む
請求項1から6のいずれか一項に記載の材料管理システム。
【請求項8】
運搬又は保管に用いられる収容器に収容された材料の状態を示すセンシング情報の時間履歴を示す収容材料履歴情報と、前記収容器中の材料の評価結果を示す評価情報と基づいて、機械学習を行うことによって学習済モデルを生成する学習処理部と、
を備える学習装置。
【請求項9】
運搬又は保管に用いられる収容器に収容された対象材料の状態を示すセンシング情報が入力された場合に、センシング情報の時間履歴を示す収容材料履歴情報と前記収容器中の材料の評価結果を示す評価情報とが予め対応付けられた対応情報に基づいて、前記対象材料の評価情報を生成する、
推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料管理システム、学習装置及び推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂を材料として用いて工業製品を製造する際、樹脂は収容器に封入される。樹脂が封入された収容器は、運搬車両に搭載された上で、製造工場に運搬される。製造工場において、樹脂は収容器から取り出され、製品の製造に用いられる。製造された製品は、エンドユーザによって購入される。特許文献1において、成形機への設定対象の1以上のパラメータと、当該1以上のパラメータが設定された成形機においてセンサ付き金型を用いて取得された1以上のセンサ値と、前記センサ付き金型を用いた成形に関連する1以上の成形関連情報とを有する2以上の学習情報を機械学習のアルゴリズムにより学習することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、樹脂について、その輸送中の状態を示す情報や、製造工場における樹脂の保管状況等の情報は、集められていなかった。
【0005】
本発明は、製品の製造に用いる樹脂について、その輸送中や、製造工場における樹脂の品質及び保管状況等の情報を、センサを用いて取得し、取得した情報を活用可能な材料管理システム、学習装置及び推定装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る材料管理システムは、以下の構成を採用した。
(1)この発明の一態様に係る管理システムは、材料を収容し、運搬又は保管に用いられる収容器と、前記収容器中の材料の状態を示すセンシング情報を検出するセンサと、前記センシング情報の時間履歴を示す収容材料履歴情報を管理する履歴管理部と、前記材料の評価結果を示す評価情報を取得する評価取得部と、前記収容材料履歴情報に基づいて、収容器に収容中の材料のセンシング情報と材料の評価結果が対応付けられた対応情報を生成する対応情報生成部と、対象材料について前記センシング情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、対象材料の評価情報を推定する評価推定部と、を備える。
【0007】
(2)上記(1)の態様において、前記評価情報に基づいて、前記対象材料が収容された収容器を特定可能な通知を行う通知部をさらに備える。
【0008】
(3)上記(1)の態様において、前記評価取得部は、少なくとも一部に前記材料を用いて生産された製品について、当該製品の評価結果を示す前記評価情報を取得し、前記評価推定部は、製品の生産に用いられる対象材料について前記センシング情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、当該製品の評価情報を出力し、前記製品の評価情報に基づいて、前記製品に用いられる対象材料について、当該対象材料が収容された収容器を特定可能な通知を行う通知部をさらに備える。
【0009】
(4)上記(1)の態様において、前記対応情報生成部は、前記収容材料履歴情報と前記評価情報に基づいて、収容器に収容中の材料のセンシング情報と、前記評価情報とが対応付けられた前記対応情報を生成し、前記評価推定部は、対象材料について前記センシング情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記製品を製造するための材料の品質又は組成の推薦を示す推薦情報を出力する。
【0010】
(5)上記(1)から(4)いずれかの態様において、前記対応情報生成部は、複数時点のセンシング情報と製品の評価結果が対応付けられた前記対応情報を生成し、前記評価推定部は、前記対象材料について、複数時点の前記センシング情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記製品の前記評価情報を出力する。
【0011】
(6)上記(1)から(5)のいずれかの態様において、前記対応情報生成部は、前記収容器或いは収容器の種類、及び、前記材料或いは材料の種類ごとに、前記対応情報を生成し、前記評価推定部は、前記対象材料について、前記収容器或いは収容器の種類、及び、前記材料或いは材料の種類と前記センシング情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象材料の前記評価情報を出力する。
【0012】
(7)上記(1)から(6)のいずれかの態様において、前記収容器はプロセッサを備え、前記収容器が輸送中の場合、第1の周期ごとに、前記センサは、前記センシング情報を取得し、前記プロセッサは、取得した前記センシング情報をブロックチェーンに書き込み、前記収容器が輸送中でない場合、前記第1の周期より長い第2の周期ごとに、前記センサは、前記センシング情報を取得し、前記プロセッサは、取得した前記センシング情報を前記ブロックチェーンに書き込む。
【0013】
(8)この発明の一態様に係る学習装置は、運搬又は保管に用いられる収容器に収容された材料の状態を示すセンシング情報の時間履歴を示す収容材料履歴情報と、前記収容器中の材料の評価結果を示す評価情報と基づいて、機械学習を行うことによって学習済モデルを生成する学習処理部。
【0014】
(9)この発明の一態様に係る推定装置は、運搬又は保管に用いられる収容器に収容された対象材料の状態を示すセンシング情報が入力された場合に、センシング情報の時間履歴を示す収容材料履歴情報と前記収容器中の材料の評価結果を示す評価情報とが予め対応付けられた対応情報に基づいて、前記対象材料の評価情報を生成する。
【発明の効果】
【0015】
(1)から(9)によれば、製品の製造に用いる樹脂について、輸送中及び保管中の状態を精度よく推定することにより、より高品質な樹脂を製造現場に供給し、ひいては高品質な最終製品の製造及び供給に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態における材料管理システムSの構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態における学習装置30の機能構成図である。
【
図3】本発明の第1実施形態における推定装置50の機能構成図である。
【
図4】本発明の第1実施形態における樹脂のセンシング情報と材料評価情報との相関関係の一例を示す表である。
【
図5】本発明の第1実施形態における学習装置30の動作シーケンスを示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第1実施形態における推定装置50の動作シーケンスを示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第1実施形態における測定データと評価情報との対応関係の一例を示す表である。
【
図8】本発明の第1実施形態の変形例における材料管理システムSの構成図である。
【
図9】本発明の第2実施形態における樹脂のセンシング情報と評価情報との相関関係の一例を示す表である。
【
図10】本発明の第2実施形態における測定データと評価情報との対応関係の一例を示す表である。
【
図11】本発明の第3実施形態における推定装置50の動作シーケンスを示すフローチャートである。
【
図12】本発明の第4実施形態における材料管理システムSの構成図である。
【
図13】本発明の第4実施形態における収容器10の動作シーケンスを示すフローチャートである。
【
図14】本実施形態に係る各装置のハードウェア構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の材料管理システムSの実施形態について説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における材料管理システムSの構成図である。材料管理システムSは、材料製造工場K、ユーザ工場F、運搬車両V、収容器10、学習装置30及び推定装置50を備える。材料製造工場Kにおいて、樹脂は生産される。樹脂は、本発明の材料管理システムSにおける材料の一例である。樹脂は、製品の製造に材料として用いられる。樹脂は、収容器10に収容される。樹脂が収容された収容器10は、運搬車両Vに搭載され、運搬車両Vによってユーザ工場Fに輸送される。ユーザ工場Fにおいて、樹脂を材料として製品が製造される。製造された製品は、配達員Dによって顧客の店舗Cに届けられている。
【0019】
なお、樹脂を収容する収容器10は、特に制限はなく一般的に用いられている収容器を使用することができる。例えば、樹脂を収容する収容器は、1kg缶、ペール缶、一斗缶、ドラム缶、数立方メートルのコンテナ、ローリー車、紙袋及びフレコンのいずれかを用いてもよい。
【0020】
樹脂は、構成単位として、単一の単量体に由来する構成単位でもよいし、二つ以上の単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。樹脂の組成として、特に制限はなく一般的に用いられている組成を使用することができる。組成としては、単一の組成でもよいし、無機物および/または有機物である顔料、充填剤(フィラー)、安定剤、乳化剤、架橋剤、可塑剤等から少なくとも1つ以上を含んだコンパウンドやマスターバッチでもよい。樹脂は、固体でもよいし液体でもよい。
【0021】
樹脂が固体の場合は、固体樹脂ともいう。前記固体樹脂の形状としては特に制限はなく一般的に用いられている形状を使用することができる。形状としては、球状、破砕状、フレーク状、ペレット状、繊維状などがある。前記固体樹脂の構造としては特に制限はなく一般的に用いられている構造を使用することができる。構造としては、単層構造でもよく、多層構造でもよく、中空構造でもよい。前記固体樹脂は、特に制限はなく一般的に用いられている水や水溶液、有機溶剤、可塑剤などの液体に溶解および/または分散していても良く、球状固体樹脂の分散液、繊維状の分散液、固体樹脂の分散液、コロイド状固体樹脂の水分散物(ラテックスともいう)でもよい。ラテックスは、ゴムの木を傷つけることにより流出する乳液でもよいし、界面活性剤で乳化させたモノマーを重合して得られるものでもよい。前記固体樹脂とは、100℃で液体を完全に除いたのちに、100℃において1,000,000mPa・s以上の粘度を有するものを言う。
【0022】
樹脂が液体の場合は、液状樹脂ともいう。前記液状樹脂は、特に制限はなく一般的に用いられている水や水溶液、有機溶剤、可塑剤などの液体に溶解および/または分散していても良い。前記液状樹脂の中には、特に制限はなく一般的に用いられている固体を含んでいてもよく、固体が無機物および/または有機物である顔料、充填剤(フィラー)、安定剤、乳化剤、架橋剤、可塑剤、固体樹脂等から少なくとも1つ以上を含んでいてもよい。前記液状樹脂とは、100℃で液体を完全に除いたのちに、100℃以下において1,000,000mPa・s未満の粘度を有するもの、または残渣が残らないものを言う。
【0023】
前記液状樹脂の構造としては特に制限はなく一般的に用いられている構造を使用することができる。構造としては、反応性の構造を有していることが好ましく、反応性の構造としては、例えば、反応性シリル基、アルケニル基、エポキシ基、イミド基、水酸基、アミノ基、イソシアネート基、メルカプト基、カルボキシル基、アミド基、スルホン酸基及びこれらのエステルや塩、イミノ基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、重合性炭素-炭素二重結合基、チオール基、カルボニル基、エーテル基等が挙げられ、反応性シリル基、アルケニル基、エポキシ基、エーテル基、イソシアネート基、イミド基、アミド基がより好ましく、反応性シリル基、エポキシ基が特に好ましい。
【0024】
収容器10は、通信装置110、センサ120、プロセッサ130、GPS受信機140及び記憶装置150を備える。通信装置110は、無線通信インターフェイスを備える。無線通信インターフェイスは、ZigBee(登録商標)やBluetooth(登録商標)といった標準規格に準拠した無線通信インターフェイスでもよい。通信装置110は、センシング情報を学習装置30及び推定装置50に対して送信する。なお、収容器10は、通信装置110及びGPS受信機140の少なくともいずれかを備えていなくてもよい。この場合、収容器10は、GPS受信機140に代えて、外部から時刻を取得する装置を備えていてもよいし、収容器10のローカルに時計を備えて、当該時計により時刻を取得してもよい。
【0025】
センサ120は、収容器10に収容されている樹脂の状態を示す情報をセンシング情報として取得する。センシング情報の取得に用いるセンサは、特に制限はなく一般的に用いられているセンサを使用することができるが、熱センサ、粘度センサ、光学センサ、水分センサ、濃度センサ、電磁センサ、質量センサなどが挙げられる。センシング情報が温度の場合、センサとして、金属製温度計、電気式温度計、放射温度計のいずれを用いてもよい。
【0026】
センシング情報は、例えば収容器10内の樹脂の温度でもよいし、樹脂の粘度でもよいし、樹脂内の水分量でもよいし、樹脂の撮影画像でもよいし、収容器10近傍の温度でもよいし、近傍の湿度でもよいし、収容器10内の気相部の酸素濃度でもよい。収容器10に樹脂が封入されるまたは排出される際、センサ120は出入口の樹脂の粘度を測定するセンサでもよい。
【0027】
本実施形態において、センシング情報が温度である場合を例に説明するが、特に限定されることはなく、他のセンシング情報を用いることもできる。センサ120は、収容器10の天板又は側面又は底面に取り付けられてもよいし、収容器10が置かれるパレットに取り付けられてもよい。センサ120は、センシング情報として、収容器10の天板、側面又は底面の温度を測定してもよいし、収容器10近傍の気温を測定してもよい。センサ120は、収容器10の内壁に取り付けられ、樹脂の温度を直接測定してもよい。
【0028】
例えば、反応性の構造を持つ液状樹脂の場合、樹脂の熱履歴が大きいと樹脂の架橋が進み、樹脂の粘度が変化したりすることで樹脂の品質が低下する。他にも、水と反応をする樹脂の熱履歴が大きいと加水分解により樹脂の架橋が進み、樹脂の粘度が変化したりすることで樹脂の品質が低下する。他にも、酸素による酸化反応をする樹脂の熱履歴が大きいと酸化劣化により樹脂中の結合が切断され、樹脂の粘度が変化することで、樹脂の品質が低下する。つまり、樹脂の熱履歴と分子量との間には相関関係がある。樹脂の温度と、その温度が継続していた時間とを測定することにより、樹脂の分子量、つまり粘度を推定することが可能である。
【0029】
例えば、固体樹脂の場合、樹脂の周りの温度が高いと付着力が高くなり、樹脂がブロッキングしたりすることで樹脂の品質が低下する。つまり、樹脂の熱履歴とブロッキング性との間には相関関係がある。樹脂の温度と、その温度が継続していた時間とを測定することにより、樹脂のブロッキング性を推定することが可能である。他にも、樹脂の周りの湿度が高いと付着力が高くなり、樹脂がブロッキングしたりすることで樹脂の品質が低下する。つまり、樹脂の湿度履歴とブロッキングとの間には相関関係がある。樹脂の湿度と、その湿度が継続していた時間とを測定することにより、樹脂のブロッキングを推定することが可能である。
【0030】
プロセッサ130は、処理装置である。プロセッサ130は、例えばCPUである。プロセッサ130は、マイコンでもよい。プロセッサ130は、通信装置110、センサ120、GPS受信機140及び記憶装置150の間における情報の受け渡しといった各種処理を実行する。GPS受信機140は、現在時刻及び収容器10の位置情報を取得する。記憶装置150は、センサ120が取得したセンシング情報を記憶する。
【0031】
記憶装置150は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)のいずれかである。記憶装置150は、フラッシュメモリでもよい。記憶装置150は、センサ120が取得したセンシング情報及び収容器10の識別子の少なくともいずれかを記憶する。収容器10(例えば、ドラム缶)の識別子により、収容器10を特定するないし識別することが出来る。
【0032】
学習装置30は、収容器10に収容される樹脂について、センシング情報と、収容材料履歴情報に対応づけられた樹脂の評価情報(材料評価情報)との相関関係を含む学習データを学習することにより、学習済モデルを生成する。推定装置50は、収容器10に収容されている樹脂のセンシング結果を入力として用い、学習装置30が生成した学習済モデルに基づき、収容器10に収容されている樹脂の評価情報を推定する。
【0033】
図2は、本発明の第1実施形態における学習装置30の機能構成図である。学習装置30による学習ステップについて、
図2を用いて説明する。学習装置30は、学習データ取得部311、学習処理部312、通信部320、学習データ記憶部331及び出力部350を備える。学習データ記憶部331は、センシング情報記憶部3311、評価情報記憶部3312及び学習結果記憶部3313を備える。
【0034】
学習データ取得部311はセンシング情報を取得し、センシング情報記憶部3311に記憶させる。学習データ取得部311は、材料の状態の時間的な履歴を示す収容材料履歴情報と、材料の品質を示す情報、使用期限を示す情報及び劣化情報等の少なくともいずれかを含む材料評価情報とを取得して評価情報記憶部3312に記憶させる。学習処理部312は、センシング情報を入力とし、材料評価情報を出力とする教師データを用いて機械学習を行い、学習結果として回帰モデルを生成する。
【0035】
材料評価情報は、収容材料履歴情報に対応づけられている。収容材料履歴情報は、例えば樹脂の受けた熱履歴である。樹脂の受けた熱履歴は、樹脂の温度の測定値と、測定を実施した時間(期間)との積によって表される。樹脂の温度の測定値は、周期的又は連続的に測定した樹脂の温度の時間平均によって表してもよい。
【0036】
学習処理部312は、学習済モデルとしての回帰モデルを生成する機能を有する。本実施形態に係る回帰モデルは、収容材料履歴情報と材料評価情報とが関連付けられたモデルである。材料評価情報については後述する。本実施形態に係る回帰モデルは、収容材料履歴情報と粘度とが関連付けられたモデルでもよいし、粘度を直接測定可能な場合、回帰モデルは、粘度と材料評価情報が関連付けられたモデルでもよい。
【0037】
学習処理部312は当該回帰モデルを学習結果記憶部3313に記憶させる。学習処理部312は、例えば、統計解析により回帰モデルを生成する。具体的に、学習処理部312は、学習データ取得部311が取得したセンシング情報及び測定時間に基づく熱履歴と、材料評価情報都とに基づき、回帰モデルを生成する。学習処理部312は、回帰モデルを学習結果記憶部3313に記憶させる。
【0038】
学習処理部312は、機械学習により回帰モデル(学習済みモデル)を生成してもよい。機械学習の手法の一例として、SVR(サポートベクター回帰)、ランダムフォレスト、ニューラルネットワークによるディープラーニング等が挙げられる。学習処理部312は、例えば、教師あり学習によって学習済みモデルを生成してもよい。教師あり学習では、学習モデルに学習用のデータセットを用いた学習を行わせる。データセットは、学習時の入力となる説明変数と、当該入力データに基づき出力されるデータの正解を示す目的変数のセットである。
【0039】
本実施形態の場合、説明変数は、学習データ取得部311によって取得される樹脂のセンシング情報及び測定時間に基づく収容材料履歴情報である。目的変数は、学習データ取得部311によって取得される樹脂の材料評価情報である。目的変数は、学習データ取得部311によって取得される樹脂の粘度(架橋度)でもよい。学習処理部312は、当該説明変数と当該目的変数を用いて、温度と材料評価情報の対応を学習した学習済みモデルを生成する。出力部350は、学習済モデルを外部に出力する。出力部350は、通信部320を介して学習済モデルを外部に出力してもよい。
【0040】
図3は、本発明の第1実施形態における推定装置50の機能構成図である。推定装置50による収容材料履歴情報推定ステップについて
図3を用いて説明する。推定装置50は、実行データ取得部511、実行処理部512、通信部520、実行データ記憶部531、学習済モデル記憶部532及び出力部550を備える。実行データ記憶部531は、センシング情報記憶部5311及び実行結果記憶部5312を含む。
【0041】
学習装置30及び推定装置50のハードウェア構成については後述する。
【0042】
実行データ取得部511は、通信部520を介してセンシング情報及び測定時間(測定期間)を取得し、センシング情報記憶部5311に記憶させる。実行データ取得部511は、学習装置30が生成した回帰モデルを取得する。回帰モデルを通信部520が取得してもよい。実行データ取得部511は回帰モデルを学習済モデル記憶部532に記憶させる。実行処理部512は、センシング情報をセンシング情報記憶部5311から読み出し、回帰モデルを用いて収容材料履歴情報を推定する。
【0043】
実行処理部512は、推定した材料評価情報を実行結果記憶部5312に記憶させる。回帰モデルは、学習装置30が生成したものである。出力部550は、材料評価情報を実行結果記憶部5312から読み出し、外部に出力する。出力部550は、通信部520を介して材料履歴情報を外部に出力してもよい。
【0044】
図4は、本発明の第1実施形態における樹脂のセンシング情報と材料評価情報との相関関係の一例を示す表である。
図4に示す表は、所定の種類の樹脂について、膨大なサンプル数(例えば数万サンプル)にわたって熱履歴、粘度及び材料評価情報の経時変化を評価した結果の平均値を示すものとする。
図4の表に示す情報は、学習装置に入力する教師データとして用いられる。なお、温度に代えて、センシング情報として他の情報を用いてもよい。
【0045】
図4の表において、樹脂の温度は、樹脂のセンシング情報の一例である。
図4の表において、A列は、行番号を示す。B列は、樹脂の温度の測定値を摂氏で示している。B列の温度は、樹脂そのものの温度に代えて、樹脂を収容する収容器10(例えばドラム)近傍の気温でもよい。C列は、測定(センシング)を開始してからの経過時間を日数で表したものである。
【0046】
D列は、樹脂が受けた熱の履歴(収容材料履歴情報)を示す。樹脂が受けた熱の履歴(熱履歴)の単位は、絶対温度(ケルビン(K))と時間(h)の積である。E列は、各行の熱履歴に対応する樹脂の粘度の測定値を示す。樹脂の粘度の単位は、ミリパスカル秒(mPas)である。
【0047】
F列は、各行の熱履歴に対応する材料評価情報を示す。材料評価情報は、測定対象の樹脂の品質を表す指標である。材料評価情報は、樹脂の劣化状況を示してもよいし、樹脂を用いて製造される製品の品質を示してもよい。材料評価情報は、
図4のような表現形式に限られない。材料評価情報が樹脂の使用期限を示す場合、材料評価情報は例えば日付を示してもよいし、樹脂を製造してからの時間又は日付を示してもよい。
【0048】
樹脂が熱による負荷を受けて架橋が進むと、粘度が上昇する。したがって、樹脂の粘度は、樹脂の架橋度を間接的に表す。
図4に示されるように、樹脂が熱による負荷を受けて時間が経過するごとに、粘度が上昇していき、それに伴い材料評価情報が示す値も下がっている。つまり、樹脂が熱による負荷を受けるごとに、樹脂の品質が低下していく。材料評価情報は10を最大値とし、0を最小値とする。材料評価情報が示す数字が大きいほど、樹脂の品質は高いことを材料評価情報は示す。教師データの取得頻度は
図4に示した値より細かくてもよく、例えば5分おきでもよい。材料評価情報は、例えばAからKといったアルファベットによって表されてもよい。この場合、Aは樹脂の品質が最も高いことを示し、Kは樹脂の品質が最も低いことを示してもよい。
【0049】
図5は、本発明の第1実施形態における学習装置30の動作シーケンスを示すフローチャートである。ステップS300において、学習データ取得部311は、所定の種類の樹脂について、学習データを取得する。より具体的には、学習データ取得部311は、樹脂のセンシング情報としての温度を取得し、測定開始からの時間を取得し、熱履歴を計算し、熱履歴をセンシング情報記憶部3311に記憶させる。センシング情報は、収容器10内近傍の気温でもよい。
【0050】
学習データ取得部311は、当該センシング情報に対応する材料評価情報を評価情報記憶部3312に記憶させる。任意の種類の樹脂について、学習データ取得部311は、ステップS300の処理を、多くの数のサンプル(例えば10000サンプル)に対して、所定の期間(例えば1年間)にわたり、所定時間ごと(例えば30分)に実行する。学習データ取得部311は、任意の種類の樹脂について、各熱履歴に対応する材料評価情報が示す値の平均値を算出する。学習データ取得部311は、各熱履歴に対応する樹脂の粘度の平均値を算出してもよい。なお、学習データ取得部311は、各熱履歴に対応する材料評価情報が示す値の平均値を必ずしも算出しなくてもよく、これにより、材料評価情報が示す内容の特異的な値を評価情報記憶部3312に記憶させることが可能となる。処理はステップS301に進む。
【0051】
ステップS301において、学習処理部312はセンシング情報及び材料評価情報を教師データとして機械学習処理を実行し、学習結果として所定の種類の樹脂について、回帰モデル(学習済モデル)を生成する。処理はステップS302に進む。
【0052】
ステップS302において学習処理部312は、当該回帰モデルを学習結果記憶部3313に記憶させる。
【0053】
教師データは、センシング情報及び材料評価情報に代えて、センシング情報及び収容材料履歴情報であってもよいし、センシング情報、収容材料履歴情報及び材料評価情報でもよい。また、樹脂の粘度を直接測定することが可能な場合、教師データは、樹脂の粘度と材料評価情報でもよい。処理はステップS303に進む。
【0054】
ステップS303において、出力部350は、回帰モデルを外部に出力する。出力部350に代えて、通信部320が回帰モデルを出力してもよい。ステップS301-ステップS303に係る学習処理は、容器或いは容器の種類、及び、材料或いは材料の種類ごとに実行されてもよい。学習処理部312は、容器或いは容器の種類、及び、材料或いは材料の種類の少なくともいずれかに対応づけて対応情報を生成してもよい。
【0055】
図6は、本発明の第1実施形態における推定装置50の動作シーケンスを示すフローチャートである。ステップS500において、実行データ取得部511は、収容器10の識別子である収容器識別子を取得する。収容器識別子は、収容器10を特定可能な識別子である。収容器10には所定の種類の樹脂が収容されている。収容器10は、輸送車両Vに載せられて輸送中の場合もあれば、ユーザ工場Fに保管されている場合もある。処理はステップS501に進む。
【0056】
ステップS501において、実行データ取得部511は、時刻情報及び位置情報を取得する。時刻情報及び位置情報は、収容器10に含まれるGPS受信機140が取得したものである。取得した位置情報により、収容器10が材料製造工場Kに置かれているか、運搬車両Vによって輸送中であるか、それともユーザ工場Fにあるかを少なくとも判断することができる。処理はステップS502に進む。
【0057】
ステップS502において、実行データ取得部511はセンシング情報を取得する。センサ120が収容器10内部に取り付けられている場合、センシング情報は収容器10に収容された樹脂の温度を示す。センサ120が収容器10外部の蓋又は側面に取り付けられている場合、センシング情報は、収容器10近傍の気温を示す。収容器10内に収容された樹脂の粘度をセンサ120が直接測定可能な場合、実行データ取得部511は、センシング情報として樹脂の粘度を取得してもよい。処理はステップS503に進む。
【0058】
ステップS503において、実行処理部512は、演算処理を実行し、センシング情報及び時刻に基づいて、収容器10に収容された樹脂が受けた熱履歴を算出する。処理はステップS504に進む。
【0059】
ステップS504において、実行処理部512は、熱履歴及び回帰モデルを用いて材料評価情報を推定する。回帰モデルは学習装置30によって生成されたものである。実行処理部512は、回帰モデルを用いて、材料評価情報に代えて、又は材料評価情報に加えて、樹脂の粘度を推定してもよい。回帰モデルが樹脂の粘度と材料評価情報との対応関係を示す場合、実行処理部512は、樹脂の粘度を用いて回帰モデルに基づいて材料評価情報を推定してもよい。処理はステップS505に進む。
【0060】
ステップS505において、実行処理部512は、材料評価情報を、収容器識別子と、時刻情報と位置情報とに対応づけて、実行結果記憶部5312に記憶させる。材料評価情報に代えて、又は材料評価情報に加えて、実行処理部512は、樹脂の粘度を、収容器識別子と、時刻情報と位置情報とに対応づけて、実行結果記憶部5312に記憶させてもよい。その後、処理は終了する。なお、ステップS501からステップS505までの処理は、複数の収容器10に対して行われる。
【0061】
図7は、所定の種類の樹脂について、本発明の第1実施形態における測定データと評価情報との対応関係の一例を示す表である。この対応関係は、ステップS505において実行処理部512が実行結果記憶部5312に記憶させたものである。
図7において、A列は、収容器の一例であるドラム缶に収容されている樹脂についてセンサ120がセンシング情報を取得した時刻を示す。B列は、センシング情報を取得した位置を示す位置情報を表す。la.1は緯度(latitude)を示し、lo.1は経度(longitude)を示す。C列は、樹脂が収容されている収容器10の収容器識別子を表す。
【0062】
D列は、収容器10に収容されている樹脂の熱履歴を示す。樹脂の熱履歴は、センシング情報としてセンサ120が取得した温度と測定時間(測定期間)に基づく。E列は、実行処理部512が推定する樹脂の粘度を示す。F列は、実行処理部512が推定する材料評価情報を示す。
【0063】
なお、本実施形態において、学習装置30に含まれる学習処理部312は、材料管理システムSにおいて履歴管理部を構成する。学習装置30に含まれる学習データ取得部311は、材料管理システムSにおける評価取得部を構成する。学習装置30は、材料管理システムSにおける対応情報生成部を構成する。特に、学習装置30に含まれる学習処理部312は、材料管理システムSにおける対応情報生成部を構成してもよい。推定装置50に含まれる実行処理部512は、材料管理システムSにおける評価推定部を構成する。
図4の表におけるセンシング情報(例えば、樹脂の温度又は収容器10近傍の温度)と、材料評価情報との対応関係は、材料管理システムSにおける対応情報に相当する。
【0064】
以上に説明したように、本実施形態に係る材料管理システムSは、材料を収容し、運搬又は保管に用いられる収容器と、収容器中の材料の状態を示すセンシング情報を検出するセンサと、記センシング情報の時間履歴を示す収容材料履歴情報を管理する履歴管理部と、材料の評価結果を示す評価情報を取得する評価取得部と、収容材料履歴情報に基づいて、収容器に収容中の材料のセンシング情報と材料の評価結果が対応付けられた対応情報を生成する対応情報生成部と、対象材料についてセンシング情報が入力された場合に、対応情報に基づいて、対象材料の評価情報を推定する評価推定部と、を備える。
【0065】
これにより、製品の製造に用いる樹脂について、その輸送中や、樹脂を用いた製造工場における樹脂の品質及び保管状況等の情報を、センサを用いて取得し、取得した情報を活用可能な材料管理システム、学習装置及び推定装置を提供することができる。
【0066】
(第1実施形態の変形例)
実行データ取得部511は、所望材料評価情報を取得してもよい。所望材料評価情報は、製造者が要求する材料の品質を示す。材料の一例は樹脂である。この場合、実行データ取得部511は、取得した所望材料評価情報が示す評価情報と同じか最も近い評価を示す材料評価情報を
図7から特定し、特定した材料評価情報に対応する収容器識別子(所望収容器識別子)を選択してもよい。
【0067】
出力部550は、実行データ取得部511が選択した収容器識別子を出力情報として出力(通知)してもよいし、実行データ取得部511が選択した収容器識別子を、通信部520が出力情報として送信してもよい。この場合、出力部550又は通信部520は、材料管理システムSにおける通知部として機能する。通信部520は、所望材料評価情報に最も近い材料評価情報と、所望材料評価情報に最も近い材料評価情報に対応する収容器識別子を出力する。
【0068】
図8は、本発明の第1実施形態の変形例における材料管理システムSの構成図である。
図8において、材料管理システムSは、ユーザHにより操作される端末装置60を含む。端末装置60は、材料製造工場K側で用いられてもよいし、ユーザ工場F側で用いられてもよい、材料製造工場K及びユーザ工場Fの双方で用いられてもよい。
【0069】
図8において、学習装置30及び推定装置50の図示は省略されているが、学習装置30及び推定装置50は材料管理システムSに含まれる。端末装置60は、所望材料評価情報に最も近い材料評価情報と、所望材料評価情報に最も近い材料評価情報に対応する収容器識別子とを受信する。
【0070】
端末装置60の画面Gは、材料管理システムSにおける通知部に相当する。端末装置60の画面Gにおいて、所望材料評価情報に最も近い材料評価情報として「10」が表示されており、画面Gの情報に、対応する収容器識別子としてD-1が表示(通知)されている。
【0071】
以上に説明したように、本実施形態に係る材料管理システムSは、評価情報に基づいて、対象材料が収容された収容器を特定可能な通知を行う通知部をさらに備える。
【0072】
これにより、製品の製造に用いる樹脂について、その輸送中や、樹脂を用いた製造工場における樹脂の品質及び保管状況等の情報を、センサを用いて取得し、取得した情報を活用可能な材料管理システム、学習装置及び推定装置を提供するだけでなく、推定装置50による推定結果に基づいて、逆に、所望の材料評価情報を提供可能な収容器10を示す収容器識別子を出力することが出来る。
【0073】
また、収容器10に収容されている樹脂の品質を材料評価情報が示す場合、通信部520又は出力部550は、材料評価情報を定期的に出力してもよい。端末装置60は材料評価情報を定期的に受信し、画面Gに表示させてもよい。これにより、収容器10に収容されている樹脂の品質を常に確認できることから、収容器10に収容された樹脂の品質管理を容易にすることが出来る。
【0074】
また、樹脂の品質が所定の品質を満たさないことを材料評価情報が示す場合、実行処理部512は、収容器10に収容されている樹脂の品質が劣化していることを示す情報(品質劣化情報)を生成してもよい。この場合、出力部550は、品質劣化情報を出力してもよいし、通信部520は、品質劣化情報を送信してもよい。端末装置60は、画面Gに品質劣化情報を表示させてもよい。
【0075】
また、樹脂の品質が所定の品質を満たさないことを材料評価情報が示す場合、実行処理部512は、収容器10の蓋が開かないよう、収容器10の蓋を電子的又は機械的に施錠することを命令する情報(施錠命令)を生成してもよい。この場合、出力部550は施錠命令を出力してもよいし、通信部520は、施錠命令を収容器10に対して送信してもよい。通信装置110は施錠命令を受信し、記憶装置150に記憶させる。
【0076】
プロセッサ130は、施錠命令を記憶装置150から読み出し、収容器10の蓋を電子的又は機械的に施錠してもよい。これにより、劣化した品質の樹脂が製品の製造のための利用に供され、その結果品質の低い製品が生産されることを未然に防ぐことが可能になる。
【0077】
また、教師データに含まれるセンシング情報は、収容器10に収容された樹脂の撮影画像でもよい。この場合、センサ120として撮像素子(カメラ)が用いられる。教師データに含まれる材料評価情報は、収容器10内に残された樹脂の量を示してもよい。この場合、学習処理部312は、収容器10に収容された樹脂の撮影画像及び収容器10内に残された樹脂の量を教師データとして、畳み込みニューラルネットワークを用いて学習済モデルを生成してもよい。出力部350は、生成した学習済モデルを出力する。実行データ取得部511又は通信部520は学習済モデルを取得する。
【0078】
実行データ取得部511は、収容器10内に収容された樹脂の撮影画像をセンシング情報として取得する。実行処理部512は、取得したセンシング情報と、学習済モデルとに基づいて、機械学習による推定処理を実行する。実行処理部512は、取得したセンシング情報に対応する材料評価情報を推定する。
【0079】
収容器10に収容されている樹脂の量が所定の閾値より少ないことを、推定した材料評価情報が示す場合、実行処理部512は、収容器10に樹脂を追加すること又は不足した樹脂を新たに発注することを求める情報(樹脂追加促進情報)を生成する。この場合、通信部520又は出力部550は、樹脂追加促進情報を出力する。端末装置60は、樹脂追加促進情報を受信し、画面Gに表示させてもよい。
【0080】
これにより、材料製造工場K側は、ユーザ工場Fにおいて樹脂が不足したら追加分を速やかに製造することが出来る。また、材料製造工場K側及びユーザ工場F側双方において、すぐには用いられない樹脂の品質劣化が、必要量以上の樹脂の製造によって生じることを防ぐことが出来る。また、ユーザ工場Fに保管しておくべき樹脂の量を必要最小限とすることが出来る。さらに、ユーザ工場Fにおいて樹脂の保管に必要な収容器10の数を必要最小限にすることが出来る。ひいては、収容器10の保管スペースさえも必要最小限にすることが出来るため、管理コストの削減が可能となる。
【0081】
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態における樹脂のセンシング情報と材料評価情報との相関関係の一例を示す表である。
図9の表に示す情報は、学習装置に入力する教師データとして用いられる。
図9の表は、センシング情報(樹脂の熱履歴)と、樹脂の粘度と、材料評価情報との対応関係について収集された1億サンプルのデータの一部を示すものとする。
図9に示す表において、D列の材料評価情報が示す内容は、樹脂を用いて製造された製品についての評価を示す。熱履歴及び粘度に代えて、他の情報(例えば他のセンシング情報)を用いてもよい。
【0082】
樹脂を用いて製造された製品についての評価は、例えばその製品の品質を示してもよいし、製品を購入したエンドユーザ又は製品を利用したユーザによる品質評価を示してもよい。樹脂を用いて製造された製品についての評価は、樹脂を用いて製造された製品を出荷する段階における良・不良判定結果又は品質評価を示してもよい。
【0083】
図9において、材料評価情報は、樹脂を用いて製造された製品を出荷する段階における品質評価を示すものとする。材料評価情報は、例えば、樹脂を用いて製造された製品の品質を0から100の間でユーザ工場Fにおいて評価した結果を示す。材料評価情報の「0」は品質が最も低く、「100」は、品質が最も高いことを示す。
【0084】
学習装置30は、第1実施形態と同様に、
図5に示すフローチャートに則り、
図9に示す教師データについて学習処理部312等によって機械学習処理を実行し、回帰モデル(学習済モデル)を生成する。
【0085】
推定装置50は、第1実施形態と同様に、
図6に示すフローチャートに則り、実行データ取得部511によってセンシング情報を取得する。実行処理部512は、学習装置30が生成した回帰モデル(学習済モデル)に基づき、実行処理部512等によって、取得したセンシング情報に対応する材料評価情報を推定する。第1実施形態と同様に、実行処理部512は、材料評価情報を、収容器識別子と、時刻情報と位置情報とに対応づけて、実行結果記憶部5312に記憶させる。
【0086】
材料評価情報に代えて、又は材料評価情報に加えて、実行処理部512は、収容材料履歴情報を、収容器識別子と、時刻情報と位置情報とに対応づけて、実行結果記憶部5312に記憶させてもよい。その後、処理は終了する。なお、ステップS501からステップS505までの処理は、複数の収容器10に対して行われる。
【0087】
図10は、本発明の第2実施形態における測定データと評価情報との対応関係の一例を示す表である。この対応関係は、ステップS505において実行処理部512が実行結果記憶部5312に記憶させたものである。
図7との差異は、F列の材料評価情報が示す値である。
【0088】
実行データ取得部511は、所望材料評価情報を取得する。実行データ取得部511は、取得した所望材料評価情報が示す評価情報に最も近い評価を示す材料評価情報を
図10から特定し、特定した材料評価情報に対応する収容器識別子(所望収容器識別子)を選択してもよい。
【0089】
出力部550は、実行データ取得部511が選択した収容器識別子を出力情報として出力(通知)する。実行データ取得部511が選択した収容器識別子を、通信部520が出力情報として送信してもよい。第1実施形態と同様に、出力部550又は通信部520は、材料管理システムSにおける通知部に相当しうるし、
図8に示すように、端末装置60の画面は、材料管理システムSにおける通知部に相当しうる。
【0090】
以上に説明したように、第2実施形態に係る材料管理システムSにおいて、評価取得部は、収容器に収容された材料を少なくとも一部に用いて生産された製品について、当該製品の評価結果を示す評価情報を取得し、評価推定部は、製品の生産に用いられる対象材料についてセンシング情報が入力された場合に、対応情報に基づいて、当該製品の評価情報を出力し、製品の評価情報に基づいて、製品に用いられる対象材料について、当該対象材料が収容された収容器を特定可能な通知を行う通知部をさらに備える。
【0091】
これにより、製品の製造に用いる樹脂について、その輸送中や、樹脂を用いた製造工場における樹脂の品質及び保管状況等の情報を、センサを用いて取得し、取得した情報を活用可能な材料管理システム、学習装置及び推定装置を提供するだけでなく、推定装置50による推定結果に基づいて、逆に、所望の材料評価情報を提供可能な収容器10を示す収容器識別子を出力することが出来る。
【0092】
(第3実施形態)
図11は、本発明の第3実施形態における推定装置50の動作シーケンスを示すフローチャートである。推定装置50が材料評価情報の推定に用いる学習済モデルについては第2実施形態と同様とする。
図11に示す処理を実行する前に、既に学習装置30による学習処理は済んでおり、推定装置50による推定処理は済んでおり、
図10に示す対応関係は既に生成されている。また、材料管理システムSは、
図8に示す構成であるとする。
【0093】
ステップS2500において、実行データ取得部511は、樹脂を用いて製造された製品の識別子と、樹脂を用いて製造された製品について、要求品質情報とを取得する。製品の識別子は、樹脂を用いて製造された製品を特定する。要求品質情報は、対象とする樹脂を用いて製造される製品が満たすべき最低限の品質を示す。処理はステップS2501に進む。
【0094】
ステップS2501において、実行データ取得部511は、製品の製造に用いられる材料の識別子を取得する。なお、樹脂は材料の一例である。また、実行データ取得部511は、製品の製造に用いられる材料について、ユーザ工場Fにおいて在庫として存在している量を取得する。処理はステップS2502に進む。
【0095】
ステップS2502において、
図10に示す対応関係に基づき、実行データ取得部511は、取得した要求品質情報が示す評価情報と同じか最も近い評価を示す材料評価情報を
図10から特定し、特定した材料評価情報に対応する熱履歴(H_req)を推定することによって特定する。この特定された熱履歴は、樹脂の品質であって、要求品質情報に対応する製品の製造に必要な品質を示すことに相当する。処理はステップS2503に進む。
【0096】
ステップS2503において、実行データ取得部511は、収容器10内の樹脂又は収容器10近傍の温度の測定値(T_meas)を、センサ120が取得したセンシング情報から取得する。処理はステップS2504に進む。
【0097】
ステップS2504において、実行データ取得部511は、製品の製造に用いられる樹脂であって、ユーザ工場Fに保管されている樹脂の熱履歴(H_meas)を、収容器10の識別子と、収容器10内の樹脂又は収容器10近傍の温度の測定値と、収容器10に含まれるGPS140が取得した収容器10の位置情報と、に基づいて取得する。処理はステップS2505に進む。
【0098】
ステップS2505において、実行処理部512は、H_reqがH_meas以上か否かを判定する。H_reqがH_meas以上の場合、処理はステップS2506に進む。H_reqがH_meas未満の場合、処理はステップS2507に進む。
【0099】
ステップS2506において、実行処理部512は、ユーザ工場Fに保管されている材料の品質は、対象とする製品の品質要求を満たすと判断し、ユーザ工場Fに保管されている材料の品質が、対象とする製品の品質要求を満たすことを示す通知(合格通知)を出力部550は出力する。出力部550に代えて、通信部520が合格通知を出力してもよい。この場合、合格通知を含む情報を端末装置60は受信し合格通知を画面Gに表示してもよい。その後、処理は終了する。
【0100】
ステップS2507において、実行処理部512は、ユーザ工場Fに保管されている材料の品質は、対象とする製品の品質要求を満たさないと判断し、ユーザ工場Fに保管されている材料の品質が、対象とする製品の品質要求を満たさないことを示す通知(不合格通知)を出力部550は出力する。出力部550に代えて、通信部520が不合格を出力してもよい。この場合、端末装置60は、不合格通知を含む情報を受信し、不合格通知を画面Gに表示してもよい。処理はステップS2508に進む。
【0101】
ステップS2508において、実行処理部512は、ユーザ工場Fにおける樹脂の在庫量と、H_req及びH_measとに基づいて、H_reqを満たすために追加すべき樹脂の量及び品質を算出する。例えば、H_reqが100[Kh]で、H_measが150[Kh]で、ユーザ工場Fにおける樹脂の在庫量が100キログラムの場合、追加すべき樹脂の熱履歴が50[Kh]であることと、追加すべき樹脂の重さが100キログラムであることとを実行処理部512は算出する。実行処理部512は、要求樹脂情報(推薦情報)として、熱履歴が50[Kh]の樹脂を新たに100キログラム追加すべきことを示す情報を生成する。
【0102】
出力部550は、要求樹脂情報(推薦情報)を出力する。出力部550に代えて、通信部520が要求樹脂情報(推薦情報)を出力してもよい。この場合、端末装置60は、要求樹脂情報(推薦情報)を受信し、要求樹脂情報が示す内容を画面Gに表示してもよい。その後、処理は終了する。
【0103】
以上に説明したように、本実施形態に係る材料管理システムSにおいて、対応情報生成部は、収容材料履歴情報と製品評価情報に基づいて、収容器に収容中の材料のセンシング情報と、材料評価情報と、製品評価情報とが対応付けられた対応情報を生成し、評価推定部は、対象材料についてセンシング情報が入力された場合に、対応情報に基づいて、製品を製造するための材料の品質又は組成の推薦を示す推薦情報を出力する。
【0104】
これにより、製品の製造に用いる樹脂について、その輸送中や、樹脂を用いた製造工場における樹脂の品質及び保管状況等の情報を、センサを用いて取得し、取得した情報を活用可能な材料管理システム、学習装置及び推定装置を提供することができる。さらに、対象とする製品について、所定の品質を確保するために必要な樹脂の品質又は組成の推薦を示すことが出来る。
【0105】
また、学習処理部312(材料管理システムSにおける対応情報生成部)は、複数時点のセンシング情報と製品の評価結果が対応付けられた学習済モデル(対応情報)を生成してもよい。実行処理部512(材料管理システムSにおける評価推定部)は、樹脂(対象材料)について、複数時点のセンシング情報が入力された場合に、学習済モデルに基づいて、樹脂を用いて製造される製品の評価情報を推定してもよい。これにより、機械学習の学習精度を高めることが出来る。
【0106】
また、学習処理部312(材料管理システムSにおける対応情報生成部)は、収容器10或いは収容器10の種類、及び、樹脂(材料)或いは材料の種類の少なくともいずれかごとに、センシング情報を用いて学習済モデル(対応情報)を生成し、実行処理部512(材料管理システムSにおける評価推定部)は、樹脂(対象材料)について、収容器10或いは収容器10の種類、及び、樹脂或いは樹脂の種類の少なくともいずれかと、センシング情報が入力された場合に、学習済モデルに基づいて、製品の評価情報を推定する。
【0107】
これにより、収容器10及び樹脂の材料評価情報を、より細かなレベルで管理することが出来る。
【0108】
(第4実施形態)
図12は、本発明の第4実施形態における材料管理システムSの構成図である。材料管理システムSは、収容器10-1、収容器10-2、収容器10-3、出力装置70、ブロックチェーンノード80-1、ブロックチェーンノード80-2及びブロックチェーンノード80-3を含む。収容器10-1、収容器10-2、収容器10-3、出力装置70、ブロックチェーンノード80-1、ブロックチェーンノード80-2及びブロックチェーンノード80-3は、ネットワークNWに接続される。
【0109】
図12において、材料製造工場K、輸送車両V、ユーザ工場F及び端末装置60は図示されていないが、第4実施形態において、
図8に示した材料管理システムSの構成に加えて、さらに
図12に示す構成を材料管理システムSは備えるものとする。したがって、第1実施形態から第3実施形態の動作は第4実施形態に包含される。
【0110】
ブロックチェーンノード80-1は、収容器10に含まれる記憶装置150にあってもよいし、収容器10と接続される外部記録媒体にあってもよいし、ネットワークNW内に含まれるいずれかの装置ないしノード内に含まれる記憶装置にあってもよい。ブロックチェーンノード80-2及びブロックチェーンノード80-3についても同様である。
【0111】
ブロックチェーンノード80-1、ブロックチェーンノード80-2及びブロックチェーンノード80-3は、ブロック生成処理(マイニング処理など)により、トランザクションプールに登録されたデータを保証するブロックを生成する。生成されたブロックはブロックチェーンに取り込まれる。ブロックチェーンは分散台帳システムとも呼ばれることから、ブロックチェーンを保証システムと称してもよい。
【0112】
出力装置70は、ネットワークNW内部又は外部に存在する装置ないしノードに実行させるプログラムを送信する装置である。出力装置70は、例えばプログラム配信サーバ装置であってもよい。出力装置70は、ブロックチェーンノード80-1、ブロックチェーンノード80-2及びブロックチェーンノード80-3にプログラムを送信してプログラムを実行させてもよい。
【0113】
ネットワークNWは、光ファイバ網やメタル線による有線のネットワークでもよいし、LTE(Long term evolution、登録商標)、第5世代移動体通信網又はIEEE802.11規格に準拠した無線LANといった無線ネットワークでもよいし、それらの組み合わせによって構成されていてもよい。ネットワークNWは複数の装置ないしノードによって構成される。ネットワークNWは、ピア・トゥ・ピア(P2P)構成によってブロックチェーンノード80-1、ブロックチェーンノード80-2及びブロックチェーンノード80-3を接続してもよい。
【0114】
図13は、本発明の第4実施形態における収容器10の動作シーケンスを示すフローチャートである。ステップS3100において、GPS受信機140は、時刻と位置情報を示す情報とを取得する。処理はステップS3101に進む。
【0115】
ステップS3101において、プロセッサ130は、GPS140により取得した時刻及び位置情報を用いて収容器10の移動速度を計算する。処理はステップS3102に進む。
【0116】
ステップS3102において、プロセッサ130は、計算した移動速度に基づき、収容器10が輸送中か否かを判定する。輸送中と判定した場合、処理はステップS3103に進む。輸送中ではないと判定した場合、処理はステップS3104に進む。
【0117】
ステップS3103において、プロセッサ130はタイマの値をt1にセットし、タイマ値の減算を開始する。処理はステップS3105に進む。
【0118】
ステップS3104において、プロセッサ130はタイマの値をt2にセットし、タイマ値の減算を開始する。なお、t1 < t2である。処理はステップS3105に進む。
【0119】
ステップS3105において、タイマ値が0になったら、処理はステップS3106に進む。
【0120】
ステップS3106において、センサ120は収容器10に収容されている樹脂の温度又は収容器10近傍の気温をセンシングし、センシング情報として取得する。ステップS3102からステップS3106までの処理は、収容器10が輸送車両Vに搭載されること等によって輸送されている間は、輸送されていないときよりも頻繁にセンシング情報を取得することを意味する。処理はステップS3107に進む。
【0121】
ステップS3107において、プロセッサ130は、取得したセンシング情報をブロックチェーンに書き込む。130は、取得したセンシング情報を、収容器10の識別子、センシングした時刻及びセンシングした位置の少なくともいずれかに対応づけてブロックチェーンに書き込んでもよい。
【0122】
以上に説明したように、本実施形態に係る材料管理システムSにおいて、収容器はプロセッサを備え、収容器が輸送中の場合、第1の周期ごとに、センサは、センシング情報を取得し、プロセッサは、取得したセンシング情報をブロックチェーンに書き込み、収容器が輸送中でない場合、第1の周期より長い第2の周期ごとに、センサは、センシング情報を取得し、プロセッサは、取得したセンシング情報をブロックチェーンに書き込む。
【0123】
これにより、製品の製造に用いる樹脂について、その輸送中や、樹脂を用いた製造工場における樹脂の品質及び保管状況等の情報を、センサを用いて取得し、取得した情報を活用可能な材料管理システム、学習装置及び推定装置を提供することができる。さらに、対象とする製品について、所定の品質を確保するために必要な樹脂の品質又は組成の推薦を示すことが出来る。これらに加えて、センシング情報を周期的にブロックチェーンに記録することにより、センシング情報の機密性を担保することが可能になる。
【0124】
<ハードウェア構成>
図14は、本実施形態に係る各装置のハードウェア構成を説明する説明図である。各装置とは、学習装置30、推定装置50及び出力装置70である。各装置は、入出力モジュールI、記憶モジュールM、及び制御モジュールPを含んで構成される。入出力モジュールIは、通信モジュールH11、接続モジュールH12、ポインティングデバイスH21、キーボードH22、ディスプレイH23、ボタンH3、マイクH41、スピーカH42、カメラH51、又はセンサH52の一部或いは全部を含んで実現される。
【0125】
記憶モジュールMは、トライブH7を含んで実現される。記憶モジュールMは、さらに、メモリH8の一部或いは全部を含んで構成されてもよい。制御モジュールPは、メモリH8及びプロセッサH9を含んで実現される。これらのハードウェア構成要素は、バス(Bus)を介して、相互に通信可能に接続されるとともに、電源H6から電力を供給されている。
【0126】
接続モジュールH12は、USB(Universal Seriul Bus)等のデジタル入出力ポートである。携帯機器の場合、ポインティングデバイスH21、キーボードH22、及びディスプレイH23は、タッチパネルである。センサH52は、加速度センサ、ジャイロセンサ、GPS受信モジュール、近接センサ等である。電源H6は、各装置を動かすために必要な電気を供給する電源ユニットである。携帯機器の場合、電源H6は、バッテリーである。
【0127】
ドライブH7は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等の補助記憶媒体である。ドライブH7は、EEPROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、又は、光磁気ディスクドライブやフレキシブルディスクドライブであってもよい。また、ドライブH7は、例えば、各装置に内蔵されるものに限らず、IFモジュールH12のコネクタに接続された外付け型の記憶装置でもよい。
【0128】
メモリH8は、ランダムアクセスメモリ等の主記憶媒体である。なお、メモリH8は、キャッシュメモリであってもよい。メモリH8は、一又は複数のプロセッサH9によって命令が実行されるときに、これらの命令を格納する。プロセッサH9は、プロセッサH9は、CPU(中央演算装置)である。プロセッサH9は、MPU(マイクロプロセッシングユニット)又はGPU(グラフィックスプロセッシングユニット)であってもよい。プロセッサH9は、メモリH8を介してドライブH7から、プログラム及び各種データを読み出して演算を行うことで、一又は複数のメモリH8に格納した命令を実行する。
【0129】
入出力モジュールIは、学習データ取得部311、通信部320、出力部350、実行データ取得部511、通信部520及び出力部550を実現する。記憶モジュールMは、学習データ記憶部331、学習結果記憶部3313及び実行結果記憶部5312を実現する。
【0130】
制御モジュールPは、学習処理部312及び実行処理部512を実現する。なお、本明細書等において、学習装置30、推定装置50又は出力装置70との記載は、それぞれ、制御部P30、P50又はP70との記載に置き換えられてもよいし、これらの各装置との記載は、制御モジュールPとの記載に置き換えられてもよい。
【0131】
以上、この発明の一態様として各実施形態や変形例に関して図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は各実施形態や変形例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、本発明の一態様は、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記各実施形態や変形例に記載された要素であり、同様の効果を奏する要素同士を置換した構成も含まれる。
【0132】
例えば、上記各実施形態の一部又は全部を組み合わせることで本発明の一態様を実現してもよい。
【符号の説明】
【0133】
10…収容器、110…通信装置、120…センサ、130…プロセッサ、140…GPS受信機、150…記憶装置、30…学習装置、311…学習データ取得部、312…学習処理部、320…通信部、331…学習データ記憶部、3313…学習結果記憶部、350…出力部、50…推定装置、511…実行データ取得部、512…実行処理部、520…通信部、531…実行データ記憶部、5312…実行結果記憶部、550…出力部