(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139755
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】医用画像診断装置、疑似画像生成表示方法、および疑似画像生成表示プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20230927BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20230927BHJP
G01T 1/161 20060101ALI20230927BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
A61B5/055 390
A61B6/00 390Z
G01T1/161 E
G06T1/00 340B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045449
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】副島 和幸
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 淳
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
4C188
5B057
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093EC41
4C093EE30
4C096AA18
4C096AB12
4C096AB41
4C096AD15
4C096AD19
4C096AD24
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4C096CA15
4C096CA17
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4C096DD20
4C096FC20
4C188EE02
4C188FF04
4C188FF07
4C188JJ25
4C188MM10
5B057AA07
5B057BA02
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC02
5B057CE08
5B057DA07
5B057DA08
5B057DA16
5B057DB02
5B057DB09
(57)【要約】
【課題】ボア内における被検体の全身の様子を操作者が観察可能な画像を生成すること。
【解決手段】実施形態に係る医用画像診断装置は、架台と、複数のカメラと、疑似画像生成部と、表示制御部と、を有する。架台は、被検体を載置する天板が挿入されるボアを有する。複数のカメラは、前記ボアの内部における前記被検体を複数の位置から撮影可能であって、前記複数の位置各々から最も近い前記被検体の一部を含む撮影範囲で前記被検体を撮影する。疑似画像生成部は、前記複数のカメラから出力された映像データに基づいて、前記天板の直上から鉛直方向に沿って前記ボアの内部における前記被検体を見下ろした疑似画像を生成する。表示制御部は、前記疑似画像をディスプレイに表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を載置する天板が挿入されるボアを有する架台と、
前記ボアの内部における前記被検体を複数の位置から撮影可能であって、前記複数の位置各々から最も近い前記被検体の一部を含む撮影範囲で前記被検体を撮影する複数のカメラと、
前記複数のカメラから出力された映像データに基づいて、前記天板の直上から鉛直方向に沿って前記ボアの内部における前記被検体を見下ろした疑似画像を生成する疑似画像生成部と、
前記疑似画像をディスプレイに表示させる表示制御部と、
を備える医用画像診断装置。
【請求項2】
前記複数のカメラは、前記天板に取り付けられている、
請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記疑似画像生成部は、前記被検体の全身を示す前記疑似画像を生成する、
請求項1または2に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記疑似画像生成部は、前記ボアの外部から前記ボアの内部への前記天板の移動期間に亘って、前記ボアの外部において前記鉛直方向に沿って前記被検体を見下ろした外部画像と前記疑似画像とを切れ目なく結合させた結合画像を生成し、
前記表示制御部は、前記天板の移動期間に亘って、前記結合画像を前記ディスプレイに表示させる、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記疑似画像生成部は、前記映像データに基づいて、前記鉛直方向とは異なる方向から前記ボアの内部における前記被検体を見た画像を、前記疑似画像として生成する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記疑似画像に基づいて、前記被検体の呼吸に同期した呼吸同期撮像を実行する撮像制御部をさらに備える、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記架台は、磁気共鳴イメージング装置と、X線コンピュータ断層撮影装置と、陽電子放出コンピュータ断層撮影装置と、単原子放出コンピュータ断層撮影装置と、磁気共鳴イメージング/陽電子放出コンピュータ断層撮影装置と、X線コンピュータ断層撮影/陽電子放出コンピュータ断層撮影装置と、磁気共鳴イメージング/単原子放出コンピュータ断層撮影装置と、X線コンピュータ断層撮影/単原子放出コンピュータ断層撮影装置とのうちいずれかの装置における架台である、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
被検体を載置する天板が挿入されるボアの内部における前記被検体を複数の位置から撮影可能な複数のカメラにより、前記複数の位置各々から最も近い前記被検体の一部を含む撮影範囲で前記被検体を撮影し、
前記複数のカメラから出力された映像データに基づいて、前記天板の直上から鉛直方向に沿って前記ボアの内部における前記被検体を見下ろした疑似画像を生成し、
前記疑似画像をディスプレイに表示させること、
を備える疑似画像生成表示方法。
【請求項9】
コンピュータに、
被検体を載置する天板が挿入されるボアの内部における前記被検体を複数の位置から撮影可能な複数のカメラから、前記複数の位置各々から最も近い前記被検体の一部を含む撮影範囲で前記被検体を撮影した映像データを取得し、
前記天板の直上から鉛直方向に沿って前記ボアの内部における前記被検体を見下ろした疑似画像を生成し、
前記疑似画像をディスプレイに表示させること、
を実現させる疑似画像生成表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像診断装置、および映像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査室に設置された架台を有する医用画像診断装置において、天板に載置された被検体を操作者が観察する手段として、当該検査室の天井にカメラ(以下、天井カメラと呼ぶ)が用いられることがある。天井カメラでは、操作者は、撮像対象の被検体の全身の様子を観察することができる。しかしながら、天井カメラでは、操作者は、架台におけるボアに挿入された被検体を観察できない問題がある。
【0003】
また、検査室の壁面等に、被検体を観察するカメラ(以下、患者カメラと呼ぶ)が設けられることがある。このとき、患者カメラは、架台のボアの外から被検体を撮影する。このため、患者カメラでは、操作者は、撮像対象の被検体の全身の様子を観察できない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、ボア内における被検体の全身の様子を操作者が観察可能な画像を生成することにある。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用画像診断装置は、架台と、複数のカメラと、疑似画像生成部と、表示制御部と、を有する。架台は、被検体を載置する天板が挿入されるボアを有する。複数のカメラは、前記ボアの内部における前記被検体を複数の位置から撮影可能であって、前記複数の位置各々から最も近い前記被検体の一部を含む撮影範囲で前記被検体を撮影する。疑似画像生成部は、前記複数のカメラから出力された映像データに基づいて、前記天板の直上から鉛直方向に沿って前記ボアの内部における前記被検体を見下ろした疑似画像を生成する。表示制御部は、前記疑似画像をディスプレイに表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成を示す図。
【
図2】
図2は、の実施形態に係り、天板に設けられた2つの頭側カメラと2つの足側カメラとの一例を示す図。
【
図3】
図3は、の実施形態に係り、頭側カメラの代わりに検査室の壁面にカメラが設けられた一例を示す図。
【
図4】
図4は、実施形態に係り、頭側カメラおよび足側カメラとして2つの天井カメラが設けられた一例を示す図。
【
図5】
図5は、実施形態に係り、ボアの内部に天板が挿入される前において、ボアと天井カメラの撮影範囲との相対的な位置関係と、ディスプレイに表示される外部画像の一例を示す図。
【
図6】
図6は、実施形態に係り、天板の移動に伴ってディスプレイに表示される疑似画像における被検体と、当該被検体に対する周囲の画像の変化の一例を示す図。
【
図7】
図7は、実施形態に係り、天井カメラの撮影範囲の外部に被検体が移動された状態と結合画像との一例を示す図。
【
図8】
図8は、実施形態に係り、疑似画像生成表示処理における処理手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係わる医用画像診断装置、疑似画像生成表示方法、および疑似画像生成表示プログラムについて説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合に行う。本実施形態に係る医用画像診断装置としては、ボアが形成された架台11を用いて被検体Pを撮像可能であれば、如何なる装置でも良い。
【0009】
具体的には、本実施形態に係る医用画像診断装置としては、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴イメージング)装置、X線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission Tomography:陽電子放出コンピュータ断層撮影)装置及びSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography:単原子放出コンピュータ断層撮影)装置等の単一モダリティに適用可能である。すなわち、本実施形態における架台は、MRI装置と、X線CT装置と、PET装置と、SPECT装置と、MR/PET装置と、CT/PET装置と、MR/SPECT装置と、CT/SPECT装置とのうち、いずれかの装置における架台である。以下の説明を具体的に行うため、本実施形態に係る医用画像診断装置は、磁気共鳴イメージング装置であるものとする。
【0010】
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置10の構成を示す図である。
図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置10は、架台11、寝台13、撮像制御ユニット17を有する。例えば、架台11、および寝台13は、検査室に設置され、撮像制御ユニット17は、検査室に隣接する制御室に設置される。検査室の天井CEには、カメラ(以下、天井カメラと呼ぶ)CECが設けられてもよい。
【0011】
天井カメラCECは、天板131に載置された被検体Pを、天板131の直上から鉛直方向(Y方向下向き)に沿って見下ろして撮影する。天井カメラCECは、無線または有線により、映像データ(以下、俯瞰データと呼ぶ)をコンソール27に出力する。天井カメラCECは、例えば、光学カメラにより実現されるが、これに限定されず、赤外線カメラなど不可視光を検知するカメラにより実現されてもよい。架台11は、医用撮像を実現するための機構を装備する。架台11には中空形状を有するボア53が形成されている。架台11の前方には寝台13が設置されている。すなわち、架台11は、撮像対象の被検体Pを載置する天板131が挿入されるボア53を有する。
【0012】
寝台13は被検体Pが載置される天板131を移動自在に支持する。寝台13は、架台11及びコンソール27等による制御に従い天板131を移動させる。天板131には、複数のカメラが取り付けられている。例えば、天板131の長軸方向(Z方向)に沿った天板131の端部には、複数のカメラが設けられる。
【0013】
図1では、天板131の端部において2種のカメラ(以下、頭側カメラHC、足側カメラFCと呼ぶ)が、天板131から所定の距離だけ上方に離れて設けられている。所定の距離は、被検体Pの上面側を、頭側カメラHCおよび足側カメラFCにより撮影可能となる距離である。複数のカメラは、天板131における被検体Pの載置面とは反対側の面、すなわちボア53の内壁のうち被検体Pに対向する面(以下、対向面と呼ぶ)を撮像対象としている。このため、複数のカメラ各々における撮影範囲は、被検体Pの周囲ではなく、被検体Pの対向面に向けられる。
【0014】
図2は、天板131に設けられた2つの頭側カメラHCと2つの足側カメラFCとの一例を示す図である。
図2に示すように、天板131における足側の端部には、第1足側カメラFC1と第2足側カメラFC2とが設けられる。
図2に示すように、第1足側カメラFC1の撮影範囲は、領域FC1Rで示され、第2足側カメラFC2の撮影範囲は、領域FC2Rで示されている。また、
図2に示すように、天板131における頭側の端部には、第1頭側カメラHC1と第2頭側カメラHC2とが設けられる。
図2に示すように、第1頭側カメラHC1の撮影範囲は、領域HC1Rで示され、第2頭側カメラHC2の撮影範囲は、領域HC2Rで示されている。
【0015】
図2に示すように、天板131に設けられた複数のカメラは、ボア53の内部における被検体Pを複数の位置から撮影可能であって、複数のカメラが設置された複数の位置各々から最も近い被検体Pの一部を含む撮影範囲で、被検体Pを撮影する。複数のカメラが設置された複数の位置各々から最も近い被検体Pの一部は、例えば、被検体Pの端部である。被検体Pが仰臥位である場合、複数の位置各々から最も近い被検体Pの端部について、
図2を参照して説明する。
図2に示すように、第1足側カメラFC1に最も近い被検体Pの端部は、被検体Pの右足の足趾の先端である。また、第2足側カメラFC2に最も近い被検体Pの端部は、被検体Pの左足の足趾の先端である。また、第1頭側カメラHC1に最も近い被検体Pの端部は、被検体Pの右側の側頭部近傍である。また、第2頭側カメラHC2に最も近い被検体Pの端部は、被検体Pの左側の側頭部近傍である。
【0016】
なお、ボア53の内部における被検体Pを複数の位置から撮影可能であって、複数の位置各々から最も近い被検体Pの一部を含む撮影範囲で被検体Pを撮影する複数のカメラは、
図2に示す配置に限定されず、任意に配置可能である。例えば、当該複数のカメラは、天板131に配置されることに限定されず、例えば、頭側カメラHCまたは足側カメラFCは、検査室の壁側に配置されてもよい。当該複数のカメラ各々は、被検体Pを撮影した映像データを、無線または有線によりコンソール27に出力する。当該複数のカメラは、例えば、光学カメラにより実現されるが、これに限定されず、例えば、赤外線カメラおよび紫外線カメラなど不可視光を検知するカメラにより実現されてもよい。
【0017】
図3は、頭側カメラHCの代わりに検査室の壁面にカメラ(以下、壁面カメラと呼ぶ)WCが設けられた一例を示す図である。
図3に示すように、被検体Pの足元側、すなわち、天板131の端部のうちボア53に挿入される側と反対側には、
図1と同様に足側カメラFCが配置されている。また、
図3に示すように、天板131がボア53に挿入される先の位置には、壁面カメラWCが設けられている。
図3に示すFCRは、足側カメラFCの撮影範囲を示している。また、
図3に示すWCRは、壁面カメラWCの撮影範囲を示している。
【0018】
また、頭側カメラはHCおよび足側カメラFCは、架台筐体51を挟んでボア53の中心軸の直上の検査室の天井にそれぞれ設けられてもよい。
図4は、頭側カメラHCおよび足側カメラFCとして2つの天井カメラ(足側天井カメラCCFおよび頭側天井カメラCCH)が設けられた一例を示す図である。
図4に示すように、被検体Pの足元側の検査室の天井CEFには、足側天井カメラCCFが設けられる。また、
図4に示すように、天板131がボア53に挿入される先の検査室の天井CEHには、頭側天井カメラCCHが設けられている。
図4に示すCCRは、足側天井カメラCCFの撮影範囲を示している。また、
図4に示すCHRは、頭側天井カメラCCHの撮影範囲を示している。
【0019】
撮像制御ユニット17は、傾斜磁場電源21、送信回路23、受信回路25及びコンソール27を有する。コンソール27は、撮像制御回路31、処理回路30、通信インターフェース34、ディスプレイ35、入力インターフェース36、及びメモリ37を有する。撮像制御回路31、処理回路30、通信インターフェース34、ディスプレイ35、入力インターフェース36、及びメモリ37は、互いにバスを介して通信可能に接続されている。傾斜磁場電源21、送信回路23及び受信回路25は、コンソール27と架台11とは別個に設けられている。
【0020】
架台11は、静磁場磁石41、傾斜磁場コイル43及びRF(Radio Frequency)コイル45を有する。また、静磁場磁石41と傾斜磁場コイル43とは、架台11の筐体(以下、架台筐体と呼ぶ)51に収容されている。架台筐体51のボア53内にRFコイル45が配置される。
【0021】
静磁場磁石41、傾斜磁場コイル43及びRFコイル45等は、医用撮像機構に相当する。なお、医用画像診断装置10がCT装置、PET装置、SPECT装置、CT/PET装置、MR/PET装置、MR/SPECT装置、CT/SPECT装置等の各種モダリティである場合、医用撮像機構は、これらモダリティにおける架台に装備された各種撮像機器一式に相当する。
【0022】
静磁場磁石41は、中空の略円筒形状を有し、略円筒内部に静磁場を発生する。静磁場磁石41としては、例えば、永久磁石、超伝導磁石または常伝導磁石等が使用される。ここで、静磁場磁石41の中心軸をZ軸に規定し、Z軸に対して鉛直に直交する軸をY軸と呼び、Z軸に水平に直交する軸をX軸と呼ぶことにする。X軸、Y軸、及びZ軸は、直交3次元座標系を構成する。
【0023】
傾斜磁場コイル43は、静磁場磁石41の内側に取り付けられ、中空の略円筒形状に形成されたコイルユニットである。傾斜磁場コイル43は、傾斜磁場電源21からの電流の供給を受けて傾斜磁場を発生する。
【0024】
傾斜磁場電源21は、撮像制御回路31による制御に従い傾斜磁場コイル43に電流を供給する。傾斜磁場電源21は、傾斜磁場コイル43に電流を供給することにより、傾斜磁場コイル43に傾斜磁場を発生させる。
【0025】
RFコイル45は、傾斜磁場コイル43の内側に配置され、送信回路23からRFパルスの供給を受けて高周波磁場を発生する。また、RFコイル45は、高周波磁場の作用を受けて被検体P内に存在する対象原子核から発せられる磁気共鳴信号(以下、MR信号と呼ぶ)を受信する。受信されたMR信号は、有線又は無線を介して受信回路25に供給される。なお、上述のRFコイル45は、送受信機能を有するコイルであるとしたが、送信用RFコイルと受信用RFコイルとが別々に設けられても良い。
【0026】
送信回路23は、被検体P内に存在する例えばプロトンなどの対象原子核を励起するための高周波磁場を、RFコイル45を介して被検体Pに送信する。具体的には、送信回路23は、撮像制御回路31による制御に従って、対象原子核を励起するための高周波信号(RF信号)をRFコイル45に供給する。RFコイル45から発生された高周波磁場は、対象原子核に固有の共鳴周波数で振動し、対象原子核を励起させる。励起された対象原子核からMR信号が発生され、RFコイル45により検出される。検出されたMR信号は、受信回路25に供給される。
【0027】
受信回路25は、励起された対象原子核から発生されるMR信号を、RFコイル45を介して受信する。受信回路25は、受信されたMR信号を信号処理してデジタルのMR信号(以下、MRデータと呼ぶ)を発生する。MRデータは、撮像制御回路31を介して、処理回路30に出力される。
【0028】
架台11に隣接して寝台13が設置される。寝台13は、天板131と基台133とを有する。天板131には被検体Pが載置される。基台133は、天板131をX軸、Y軸、Z軸各々に沿ってスライド可能に支持する。基台133には寝台駆動装置135が収容される。寝台駆動装置135は、撮像制御回路31からの制御を受けて天板131を移動させる。寝台駆動装置135としては、例えば、サーボモータやステッピングモータ等の如何なるモータが用いられても良い。これらにより、天板131は、ボア53内へ挿入可能となる。
【0029】
撮像制御回路31は、処理回路30から出力された撮像プロトコルに従って、傾斜磁場電源21、送信回路23及び受信回路25等を制御し、被検体Pに対する撮像を行う。撮像プロトコルは、検査の種類に応じたパルスシーケンスを有する。撮像プロトコルには、傾斜磁場電源21により傾斜磁場コイル43に供給される電流の大きさ、傾斜磁場電源21により電流が傾斜磁場コイル43に供給されるタイミング、送信回路23によりRFコイル45に供給される高周波パルスの大きさや時間幅、送信回路23によりRFコイル45に高周波パルスが供給されるタイミング、RFコイル45によりMR信号が受信されるタイミング等が定義されている。撮像制御回路31は、システム制御機能301から供給されたパルスシーケンスに基づいて、傾斜磁場電源21、送信回路23及び受信回路25を同期的に制御し、当該パルスシーケンス情報に応じたパルスシーケンスで被検体Pを撮像する。
【0030】
撮像制御回路31は、傾斜磁場電源21、送信回路23及び受信回路25等を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信回路25からMRデータを受信すると、受信したMRデータを処理回路30等へ転送する。撮像制御回路31は、被検体Pに対する撮像に関するプログラムを実行することで、上記各種処理を実現する。撮像制御回路31は、撮像制御部に対応する。
【0031】
撮像制御回路31は、例えばプロセッサにより実現される。「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
【0032】
プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサはメモリ37に保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサがASICである場合、メモリ37にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。また、単一の記憶回路が撮像制御に関するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、個別の記憶回路から対応するプログラムを処理回路30が読み出す構成としても構わない。
【0033】
通信インターフェース34は、例えば、ネットワーク等を介して、医用画像管理システム(PACS(Picture Archiving and Communication Systems)のサーバ、病院情報システム(HIS(Hospital Information System)と呼ぶ)のサーバ等の外部装置との間でデータ通信を行う。
【0034】
ディスプレイ35は、処理回路30における表示制御機能309による制御のもとで、種々の情報を表示する。例えば、ディスプレイ35は、再構成機能303により再構成されたMR画像や画像処理機能305により画像処理が施されたMR画像を表示する。また、ディスプレイ35は、後述の疑似画像生成機能307により生成された疑似画像、各種GUI(Graphical User Interface)等を表示する。また、ディスプレイ35は、本スキャンやプリスキャンに関する撮像パラメータ、及び画像処理に関する各種情報などを表示する。
【0035】
ディスプレイ35は、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイ、モニタ等の表示デバイスにより実現される。例えば、ディスプレイ35は、操作者が使用する各種タブレット端末のモニタにより実現されてもよい。
【0036】
入力インターフェース36は、操作者からの各種指令を受け付ける。入力インターフェース36としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。入力インターフェース36は、操作者の指示により入力された入力信号を、バスを介して処理回路30に供給する。なお、入力インターフェース36は、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限らない。例えば、磁気共鳴イメージング装置10とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、受け取った電気信号を種々の回路へ出力するような電気信号の処理回路も入力インターフェース36に含まれる。
【0037】
メモリ37は、種々の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置に夜9利実現される。また、メモリ37は、CD-ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等により実現されても良い。例えば、メモリ37は、MR画像や磁気共鳴イメージング装置10の制御プログラム等を記憶する。
【0038】
処理回路30は、上述のプロセッサなどにより実現される。処理回路30は、処理回路30は、システム制御機能301、再構成機能303、画像処理機能305、疑似画像生成機能307、および表示制御機能309などを備える。システム制御機能301、再構成機能303、画像処理機能305、疑似画像生成機能307、および表示制御機能309をそれぞれ実現する処理回路30は、システム制御部、再構成部、画像処理部、疑似画像生成部、および表示制御部に相当する。システム制御機能301、再構成機能303、画像処理機能305、疑似画像生成機能307、および表示制御機能309などの各機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ37に記憶されている。
【0039】
例えば、処理回路30は、プログラムをメモリ37から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路30は、システム制御機能301、再構成機能303、画像処理機能305、疑似画像生成機能307、および表示制御機能309などの各機能を有することとなる。
【0040】
処理回路30は、システム制御機能301により、磁気共鳴イメージング装置10の全体の制御を行う。具体的には、システム制御機能301は、メモリ37に記憶されている制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従って磁気共鳴イメージング装置10の各部を制御する。例えば、システム制御機能301は、入力インターフェース36を介して操作者から入力された撮像条件に基づいて、撮像プロトコルをメモリ37から読み出す。システム制御機能301は、撮像プロトコルを撮像制御回路31に送信し、被検体Pに対する撮像を制御する。
【0041】
処理回路30は、再構成機能303により、受信回路25からのMRデータに基づいて被検体Pに関するMR画像を再構成する。例えば、再構成機能303は、k空間または周波数空間に配置されたMRデータにフーリエ変換等を施して、実空間で定義されたMR画像を発生する。
【0042】
処理回路30は、画像処理機能305により、再構成されたMR画像に種々の画像処理を施す。なお、画像処理機能305は、ASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現されても良い。
【0043】
処理回路30は、疑似画像生成機能307により、複数のカメラから出力された映像データに基づいて、天板131の直上から鉛直方向に沿ってボア53の内部における被検体Pを見下ろした疑似画像を生成する。具体的には、疑似画像生成機能307は、当該映像データに基づいて、被検体Pの全身を示す疑似画像を生成する。疑似画像は、例えば、被検体Pの直上の位置から被検体Pの全身を疑似的に見下ろした画像である。すなわち、疑似画像は、被検体Pの真上から当該被検体Pの全身を見た鳥瞰画像(または俯瞰画像)に相当する。疑似画像生成機能307は、ボア53に挿入される天板131の移動に応じて所定のフレームレートで疑似画像を生成する。所定のフレームレートで生成された複数の疑似画像において、被検体Pの位置は一定で、被検体Pの周囲の映像が変化することとなる。疑似画像の生成は、既知の技術が適宜利用可能であるため、説明は省略する。
【0044】
例えば、処理回路30は、疑似画像生成機能307により、例えば、天井カメラCECから出力された俯瞰データに基づいて、外部画像を生成する。外部画像は、ボア53の外部において鉛直方向に沿って被検体Pを見下ろした画像(俯瞰画像)に相当する。俯瞰データに基づいて生成された外部画像は、被検体Pの少なくとも一部がボア53の内部に挿入された状態において、複数のカメラから出力された映像データに基づいて疑似画像を生成するための基準となる画像(以下、基準画像と呼ぶ)に相当する。すなわち、疑似画像生成機能307は、基準画像を元にして、疑似画像を生成してもよい。基準画像を元にして疑似画像を生成する処理は、既知の技術が適宜利用可能であるため、説明は省略する。
【0045】
なお、天井カメラCECが検査室に設けられていない場合、疑似画像生成機能307は、ボア53の外部に位置する被検体Pを撮影可能な複数のカメラから出力された映像データに基づいて、疑似的な外部画像を生成してもよい。このとき、外部画像は、ボア53の外部において鉛直方向に沿って被検体Pを見下ろした疑似的な画像に相当する。
図1に示すように、頭側カメラはHCおよび足側カメラFCなどの複数のカメラから出力された映像データに基づく外部画像の生成は、既知の技術が適宜利用可能であるため、説明は省略する。疑似画像生成機能307により生成された基準画像は、メモリ37に記憶される。なお、基準画像の生成は、画像処理機能305により実現されてもよい。
【0046】
処理回路30は、疑似画像生成機能307により、ボア53の外部からボア53の内部への天板131の移動期間に亘って、ボア53の外部において鉛直方向に沿って被検体Pを見下ろした外部画像と疑似画像とを切れ目なく結合させた結合画像を生成する。具体的には、外部画像における被検体Pの一部が架台筐体51により遮蔽されると、疑似画像生成機能307は、外部画像において遮蔽された被検体Pの一部(以下、遮蔽部分と呼ぶ)を含む領域を、疑似画像で補完する。
【0047】
すなわち、処理回路30は、疑似画像生成機能307により、外部画像における遮蔽部分を、疑似画像において遮蔽部分に対応する領域に画像(以下、疑似一部画像と呼ぶ)に置換する。これにより、疑似画像生成機能307は、外部画像における遮蔽部分を除く他の部分と、遮蔽部分における疑似画像とを切れ目なく結合して、結合画像を生成する。結合画像における被検体Pの全身を示す領域は、基準画像における被検体Pの撮影範囲に対応する領域と、遮蔽部分における疑似一部画像とを結合させた領域となる。
【0048】
処理回路30は、表示制御機能309により、生成された疑似画像をディスプレイ35に表示させる。表示制御機能309は、天板131の上記移動期間に亘って、疑似画像生成機能307により生成された結合画像を、ディスプレイ35に表示させる。表示制御機能309は、ボア53に被検体Pが挿入される前において、外部画像(基準画像)を、ディスプレイ35に表示させる。
【0049】
図5は、ボア53の内部に天板131が挿入される前において、ボア53と天井カメラの撮影範囲PRとの相対的な位置関係と、ディスプレイ35に表示される外部画像OIの一例を示す図である。
図5に示すように、ボア53の内部に挿入される前において、処理回路30は、表示制御機能309により、天井カメラCCから出力された映像データに基づいて生成された外部画像OIを、ディスプレイ35に表示する。
図5に示すように、ディスプレイ35に表示される外部画像OIは、被検体Pを天板131の直上から俯瞰した俯瞰画像となっている。
【0050】
図6は、天板131の移動に伴ってディスプレイ35に表示される疑似画像PIにおける被検体Pと、当該被検体Pに対する周囲の画像(以下、周囲画像と呼ぶ)の変化の一例を示す図である。
図6における周囲画像は、天板131の外部、例えば架台筐体51の画像に対応する。
図6では、
図5に比べて、天板131に載置された被検体Pがボア53の内部に挿入されている。
図5から
図6に亘る天板131に移動に伴って、周囲画像は、
図6に示す矢印に沿って、天板131の移動方向とは逆方向に移動する。
【0051】
このとき、処理回路30は、表示制御機能309により、ディスプレイ35における被検体Pの画像を固定して、天板131の移動方向とは逆方向に周囲画像を移動させて、疑似画像を表示する。換言すれば、天板131の移動時において、表示制御機能309は、天板131の周囲の画像を変化させて、外部画像または疑似画像をディスプレイ35に表示させる。
【0052】
図7は、天井カメラCCの撮影範囲の外部に被検体Pが移動された状態と結合画像CIとの一例を示す図である。
図7に示すように、天井カメラCCの撮影範囲の外部に被検体Pが移動されると、結合画像CIが生成されて、ディスプレイ35に表示される。
図7に示す被検体Pの足の部分は、天井カメラCCから出力された映像データに基づいて生成された外部画像に相当する。
【0053】
また、
図7に示す結合画像CIにおいて、遮蔽部分SPは、天井カメラCCでは映らない領域であって、疑似一部画像PPIで置換されている。すなわち、
図7に示すように、遮蔽部分SPに対応する疑似一部画像PPIが外部画像における遮蔽部分SPと置換されて、外部画像と疑似画像とを結合した結合画像CIが生成され、ディスプレイ35に表示される。
図7に示すように、結合画像CIにおける被検体Pを示す領域は、切れ目なく結合されている。
【0054】
以上、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置10の全体構成について説明した。以下、被検体Pに関する疑似画像を生成して表示する処理(以下、疑似画像生成表示処理と呼ぶ)について、
図8を用いて説明する。
図8は、疑似画像生成表示処理における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0055】
(疑似画像生成表示処理)
(ステップS801)
処理回路30は、疑似画像生成機能307により、天井カメラCECまたは複数のカメラ(頭側カメラHCおよび足側カメラFC)から出力された映像データに基づいて、外部画像OIを生成する。生成された外部画像OIは、ボア53の内部への被検体Pの挿入前の画像である。
【0056】
このとき、処理回路30は、表示制御機能309により、生成された外部画像OIを、ディスプレイ35に表示させる。これにより、ディスプレイ35には、例えば、
図5に示す外部画像OIが表示される。なお、外部画像OIの生成および表示、すなわち本ステップの処理は、例えば、ボア53内への被検体Pの挿入指示(天板131の移動指示)が入力インターフェース36を介して操作者により入力されたタイミングを契機として、実行される。
【0057】
(ステップS802)
処理回路30は、疑似画像生成機能307により、天板131の移動に伴って、所定のフレームレートで映像データを取得し、取得された映像データに基づいて外部画像OIを生成する。処理回路30は、表示制御機能309により、生成された外部画像OIを更新して、ディスプレイ35に表示する。このとき、ディスプレイ35には、例えば、
図6に示す外部画像OIが表示される。
【0058】
(ステップS803)
被検体Pの一部がボア53の内部に挿入されれば(ステップS803のYes)、ステップS804の処理が実行される。被検体Pの一部がボア53の内部に挿入されなければ(ステップS803のNo)、ステップS802の処理が繰り返される。被検体Pの一部がボア53の内部に挿入されているか否かの判定は、例えば、疑似画像生成機能307または画像処理機能305により、外部画像OIにおける被検体Pの領域が欠けたか否かを検出することに相当する。外部画像OIにおいて被検体Pの領域が欠けたか否かの判定は、既知の画像処理(例えば、セグメンテーション処理による被検体Pの領域のフレームごとの外部画像OIの比較など)により実現可能であるため、説明は省略する。
【0059】
(ステップS804)
処理回路30は、疑似画像生成機能307により、ボア53の内部を撮影可能な複数のカメラ(頭側カメラHCおよび足側カメラFCなど)による映像データに基づいて、疑似画像を生成する。次いで、疑似画像生成機能307は、生成された疑似画像と外部画像OIとを結合して、結合画像を生成する。
【0060】
(ステップS805)
処理回路30は、表示制御機能309により、生成された結合画像CIを、ディスプレイ35に表示させる。このとき、操作者は、ボア53の内部における被検体Pの様子を、結合画像CIにより、俯瞰的に観察可能となる。
【0061】
(ステップS806)
被検体Pの全身がボア53の外部に退避されれば(ステップS806のYes)、疑似画像生成表示処理は終了する。被検体Pの全身がボア53の外部に退避されなければ(ステップS806のNo)、ステップS807の処理が実行される。被検体Pの全身がボア53の外部に退避されているか否かの判定は、例えば、疑似画像生成機能307または画像処理機能305により、外部画像OIにおける被検体Pの領域が欠けているか否かを検出することに相当する。外部画像OIにおいて被検体Pの領域が欠けたか否かの判定は、既知の画像処理(例えば、セグメンテーション処理による被検体Pの領域のフレームごとの外部画像OIの比較など)により実現可能であるため、説明は省略する。
【0062】
(ステップS807)
被検体Pの全身がボア53の内部に挿入されれば(ステップS807のYes)、ステップS808の処理が実行される。被検体Pの全身がボア53の内部に挿入されなければ(ステップS807のNo)、ステップS804の処理が実行される。被検体Pの全身がボア53の内部に挿入されているか否かの判定は、例えば、疑似画像生成機能307または画像処理機能305により、外部画像OIにおける被検体Pの全身の領域の有無を検出することに相当する。外部画像OIにおいて被検体Pの全身の領域の有無の判定は、既知の画像処理(例えば、セグメンテーション処理による被検体Pの領域のフレームごとの外部画像OIの比較など)により実現可能であるため、説明は省略する。
【0063】
(ステップS808)
処理回路30は、表示制御機能309により、疑似画像をディスプレイ35に表示させる。このとき、操作者は、ボア53の内部における被検体Pの様子を、疑似画像により、俯瞰的に観察可能となる。
【0064】
(ステップS809)
被検体Pの一部がボア53の外部に退避されれば(ステップS809のYes)、ステップS804の処理が実行される。被検体Pの一部がボア53の外部に退避されなければ(ステップS809のNo)、ステップS808の処理が実行される。被検体Pの一部がボア53の外部に退避されているか否かの判定は、例えば、疑似画像生成機能307または画像処理機能305により、外部画像OIにおいて被検体Pの領域が存在しているか否かを検出することに相当する。外部画像OIにおいて被検体Pの領域が存在しているか否かの判定は、既知の画像処理(例えば、セグメンテーション処理による被検体Pの領域のフレームごとの外部画像OIの比較など)により実現可能であるため、説明は省略する。
【0065】
以上に述べた実施形態に係る医用画像診断装置(例えば、磁気共鳴イメージング装置10)は、被検体Pを載置する天板131が挿入されるボア53の内部における被検体Pを複数の位置から撮影可能な複数のカメラ(例えば、頭側カメラHCおよび足側カメラFCなど)により、複数の位置各々から最も近い被検体Pの一部を含む撮影範囲で被検体Pを撮影し、複数のカメラから出力された映像データに基づいて、天板131の直上から鉛直方向に沿ってボア53の内部における被検体Pを見下ろした疑似画像(鳥瞰画像)を生成し、生成された疑似画像をディスプレイ35に表示させる。本医用画像診断装置において、複数のカメラは、例えば、天板131に取り付けられる。また、本医用画像診断装置は、被検体Pの全身を示す疑似画像を生成する。
【0066】
これらのことから、磁気共鳴イメージング装置10と、X線CT装置と、PET装置と、SPECT装置と、MR/PET装置と、CT/PET装置と、MR/SPECT装置と、CT/SPECT装置とのうちいずれかの装置における架台を有する実施形態に係る本医用画像診断装置によれば、例えば、被検体Pが載置される天板131の4隅にカメラが配置される。このとき、本用画像診断装置によれば、被検体Pに対して4方向から撮像対象の被検体Pの映像を取得して、被検体Pに対するバードビューに対応する疑似画像を生成して、ディスプレイ35に表示することができる。このため、本用画像診断装置によれば、被検体P天井CEから見たような映像(疑似画像)を生成して表示することで、操作者が一目で撮像対象(被検体P)の様子を観測することができる。すなわち、本用画像診断装置によれば、操作者は、撮像対象である被検体Pの動きを、容易に把握することができる。
【0067】
また、実施形態に係る医用画像診断装置によれば、疑似画像の元となる画像(基準画像)として、ボア53に入る前に天井カメラCCにより撮影された画像を使用することができる。これにより、本医用画像診断装置によれば、より精度の高い疑似画像を生成して表示することができる。また、本医用画像診断装置によれば、足側天井カメラCCFおよび頭側天井カメラCCHが設けられてもよい。この場合、カメラとボア53とが所定の距離だけ離れているため、
図1に示す頭部カメラHCおよび足側カメラFCが天板131に配置されることに比べて、カメラに起因するノイズがMR画像に混入する可能性を低減することができる。
【0068】
また、実施形態に係る医用画像診断装置10によれば、天板131がボア53に挿入される先の位置に壁面カメラWCが設けられてもよい。このとき、
図1に示す頭部カメラHCが天板131に配置されることに比べて、静磁場および傾斜磁場などの各種磁場の乱れや頭部カメラHCとRFパルスとがカップリングすることなど、RF磁場、傾斜磁場、および静磁場に頭部カメラHCが影響を与える可能性を低減することができる。
【0069】
また、実施形態に係る医用画像診断装置10は、本医用画像診断装置は、ボア53の外部からボア53の内部への天板131の移動期間に亘って、ボア53の外部において鉛直方向に沿って被検体Pを見下ろした外部画像OIと、疑似画像とを切れ目なく結合させた結合画像CIを生成し、天板131の移動期間に亘って、結合画像CIをディスプレイ35に表示させる。これにより、本医用画像診断装置によれば、ボア53の外部からボア53の内部に天板131が移動する時において、ボア53の外部での天井カメラCCによる外部画像OIとボア53の内部での被検体Pの全身の疑似画像とをシームレスにつなげることで、天板131の移動時においても、操作者は、撮像対象の被検体Pの様子を切れ目なく確認することができる。
【0070】
以上のことから、本医用画像診断装置によれば、操作者は、ボア53の内部における被検体Pの動きを、一目で俯瞰的に確認することができ、撮像開始の判断や不測の事態に対してすばやく対処することができる。このため、本医用画像診断装置によれば、被検体Pに対する安全性などを向上させることができる。
【0071】
(変形例)
本変形例は、複数のカメラにより、同時に撮像対象である被検体Pに関する映像データを、例えば、4方向から被検体Pの上下左右の情報を得ることで、天井CEから見たような映像をだけではなく、様々な角度からの被検体Pの全身の疑似画像を生成することにある。例えば、処理回路30は、疑似画像生成機能307により、複数のカメラから出力された映像データに基づいて、鉛直方向とは異なる方向からボア53の内部における被検体Pを見た画像を、疑似画像として生成する。表示制御機能309は、様々な角度から被検体Pを見た疑似画像を、ディスプレイ35に表示させる。
【0072】
本変形例に係る医用画像診断装置10によれば、例えば、天板131の4隅に複数のカメラが配置されることで、被検体Pの前後方向(AP(Anterior-Posterior)方向)の動きだけではなく、被検体Pの頭足方向(HF(Head-Foot)方向)の動きおよび被検体Pの左右方向(LR(Left-Right)方向の動き、すなわち、天板131の短軸方向(X方向)および鉛直方向(Y方向)の動きを、疑似画像において再現することができる。
【0073】
すなわち、本医用画像診断装置によれば、様々な角度からの被検体Pの全身の疑似画像を生成して表示することができるため、操作者は、撮像対象である被検体Pの動きを、さらに容易に把握することができる。これにより、本変形例によれば、操作者は、撮像開始の判断や不測の事態に対してさらにすばやく対処することができるため、被検体Pに対する安全性などをさらに向上させることができる。本変形例における他の効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0074】
(応用例)
本応用例は、疑似画像に基づいて、被検体Pの呼吸に同期した呼吸同期撮像を実行することにある。例えば、撮像制御回路31は、疑似画像に基づいて、呼吸同期撮像を実行する。例えば、撮像制御回路31は、疑似画像の時系列的な変化(例えば、胸部の動き)が所定の閾値を超えたことを契機として、被検体Pに対して撮像を実行する。すなわち、本応用例に係る医用画像診断装置10によれば、同時に撮像対象である被検体Pに関する映像データを、例えば、4方向から被検体Pの上下左右の情報を得ることで、複数のカメラからの出力による呼吸同期の精度を改善することができる。このため、本応用例によれば、呼吸同期撮像により生成される医用画像の精度を向上することができる。
【0075】
また、本応用例のさらなる応用として、変形例における技術的特徴を考慮することで、生成された医用画像における体動補正を実施することができる。当該体動補正は、例えば、画像処理機能305により実現される。画像に基づく体動補正は、既知の技術を用いることができるため、説明は省略する。
【0076】
本実施形態における技術的思想を疑似画像生成表示方法で実現する場合、疑似画像生成表示方法は、被検体Pを載置する天板131が挿入されるボア53の内部における被検体Pを複数の位置から撮影可能な複数のカメラにより、当該複数の位置各々から最も近い被検体Pの一部を含む撮影範囲で被検体Pを撮影し、複数のカメラから出力された映像データに基づいて、天板131の直上から鉛直方向に沿ってボア53の内部における被検体Pを見下ろした疑似画像を生成し、疑似画像をディスプレイ35に表示させる。本疑似画像生成表示方法による疑似画像生成表示処の処理手順および効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0077】
本実施形態における技術的思想を疑似画像生成表示プログラムで実現する場合、当該疑似画像生成表示プログラムは、コンピュータに、被検体Pを載置する天板131が挿入されるボア53の内部における被検体Pを複数の位置から撮影可能な複数のカメラから、複数の位置各々から最も近い被検体Pの一部を含む撮影範囲で被検体Pを撮影した映像データを取得し、天板131の直上から鉛直方向に沿ってボア53の内部における被検体Pを見下ろした疑似画像を生成し、疑似画像をディスプレイ35に表示させること、を実現させる。
【0078】
このとき、コンピュータに当該疑似画像生成表示処理を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。疑似画像生成表示プログラムによる疑似画像生成表示処の処理手順および効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0079】
以上説明した少なくとも1つの実施形態等によれば、ボア53内における被検体Pの全身の様子を操作者が観察可能な画像を生成することができる。
【0080】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0081】
10 医用画像診断装置(磁気共鳴イメージング装置)
11 架台
13 寝台
17 撮像制御ユニット
21 傾斜磁場電源
23 送信回路
25 受信回路
27 コンソール
30 処理回路
31 撮像制御回路
34 通信インターフェース
35 ディスプレイ
36 入力インターフェース
37 メモリ
41 静磁場磁石
43 傾斜磁場コイル
45 RFコイル
51 架台筐体
53 ボア
131 天板
133 基台
135 寝台駆動装置
301 システム制御機能
303 再構成機能
305 画像処理機能
307 疑似画像生成機能
309 表示制御機能