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特開2023-139758セルロース系繊維及び再生タンパク質繊維を含む混紡繊維が染色されてなる染色布帛、及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139758
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】セルロース系繊維及び再生タンパク質繊維を含む混紡繊維が染色されてなる染色布帛、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D06P 3/82 20060101AFI20230927BHJP
   D02G 3/04 20060101ALI20230927BHJP
   D04B 1/14 20060101ALI20230927BHJP
   D03D 15/233 20210101ALI20230927BHJP
   D03D 15/47 20210101ALI20230927BHJP
   D03D 15/225 20210101ALI20230927BHJP
【FI】
D06P3/82 C
D02G3/04
D04B1/14
D03D15/233
D03D15/47
D03D15/225
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045454
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】河内 渉
【テーマコード(参考)】
4H157
4L002
4L036
4L048
【Fターム(参考)】
4H157AA01
4H157BA07
4H157DA31
4H157HA01
4H157HA13
4L002AA00
4L002AA05
4L002AB01
4L002AC06
4L002AC07
4L002BA00
4L002CA00
4L002DA04
4L002EA00
4L002FA00
4L002FA01
4L036MA04
4L036MA35
4L036PA26
4L036PA31
4L036UA12
4L048AA13
4L048AA19
4L048AA24
4L048AA34
4L048AB05
4L048AB11
4L048AC01
4L048CA00
4L048DA01
(57)【要約】
【課題】無地性に優れた、セルロース系繊維と再生タンパク質繊維を含む混紡繊維が反応染料で染色されてなる染色布帛、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】染色布帛は、セルロース系繊維及び再生タンパク質繊維を含む混紡繊維が、反応染料で染色されてなる染色布帛であって、上記染色布帛が無地である。
染色布帛の製造方法は、セルロース系繊維及び再生タンパク質繊維を含む混紡繊維からなる布帛を、反応染料を含む染色浴中で、80~100℃で10~30分間浸漬させる繊維膨潤工程と、上記繊維膨潤工程後に、前記布帛が浸漬された前記染色浴を降温させる降温工程と、上記降温工程後に、上記染色浴に芒硝を添加して、次いで、ソーダ灰を添加して、50~80℃で60~120分間、上記反応染料を上記布帛に染着させる染色工程とを有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース系繊維及び再生タンパク質繊維を含む混紡繊維が、反応染料で染色されてなる染色布帛であって、
前記染色布帛が無地である、染色布帛。
【請求項2】
前記セルロース系繊維が、再生セルロース繊維である、請求項1に記載の染色布帛。
【請求項3】
前記再生タンパク質繊維が、再生コラーゲン繊維である、請求項1又は2に記載の染色布帛。
【請求項4】
前記再生コラーゲン繊維が、金属酸化物を含有する、請求項3に記載の染色布帛。
【請求項5】
セルロース系繊維及び再生タンパク質繊維を含む混紡繊維が、反応染料で染色されてなる染色布帛の製造方法であって、
セルロース系繊維及び再生タンパク質繊維を含む混紡繊維からなる布帛を、反応染料を含む染色浴中で、80~100℃で10~30分間浸漬させる繊維膨潤工程と、
前記繊維膨潤工程後に、前記布帛が浸漬された前記染色浴を降温させる降温工程と、
前記降温工程後に、前記染色浴に芒硝を添加して、次いで、ソーダ灰を添加して、50~80℃で60~120分間、前記反応染料を前記布帛に染着させる染色工程と
を有する、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース系繊維及び再生タンパク質繊維を含む混紡繊維が染色されてなる染色布帛、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロース系繊維とタンパク質系繊維を含む混紡繊維は、一般的に反応染料で染色される。例えば、レーヨンと羊毛を含む混紡繊維は、反応染料で染色することで、全体が同じ色で模様がない無地に染色される(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61-186580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、セルロース系繊維とタンパク質系繊維を含む混紡繊維であっても、セルロース系繊維と再生タンパク質繊維を含む混紡繊維を反応染料で染色しても、通常の染色条件では濃淡杢が生じ、無地にはならない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、無地性に優れた、セルロース系繊維と再生タンパク質繊維を含む混紡繊維が反応染料で染色されてなる染色布帛、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者は、染色条件を鋭意検討することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明の第1の態様は、セルロース系繊維及び再生タンパク質繊維を含む混紡繊維が、反応染料で染色されてなる染色布帛であって、上記染色布帛が無地である、染色布帛である。
【0008】
本発明の第2の態様は、セルロース系繊維及び再生タンパク質繊維を含む混紡繊維が、反応染料で染色されてなる染色布帛の製造方法であって、
セルロース系繊維及び再生タンパク質繊維を含む混紡繊維からなる布帛を、反応染料を含む染色浴中で、80~100℃で10~30分間浸漬させる繊維膨潤工程と、
上記繊維膨潤工程後に、上記布帛が浸漬された上記染色浴を降温させる降温工程と、
上記降温工程後に、上記染色浴に芒硝を添加して、次いで、ソーダ灰を添加して、50~80℃で60~120分間、上記反応染料を上記布帛に染着させる染色工程とを有する、製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無地性に優れた、セルロース系繊維と再生タンパク質繊維を含む混紡繊維が反応染料で染色されてなる染色布帛、及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪染色布帛≫
染色布帛は、セルロース系繊維及び再生タンパク質繊維を含む混紡繊維が反応染料で染色されてなる染色布帛である。上記染色布帛は無地である。
後述するように、反応染料を用いて、特定の染色条件で布帛を染色することにより、得られた染色布帛が無地性に優れたものとなる。
染色布帛とは、染色された布帛を意味する。
【0011】
以下、染色布帛に含まれる、必須、又は任意の成分について説明する。
【0012】
(セルロース系繊維)
セルロース系繊維としては、特に限定されず、例えば、コットン(綿)、麻、レーヨン、シルク、リヨセル、再生セルロース繊維等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中では、染色布帛の無地性が優れる観点から、再生セルロース繊維が好ましい。
【0013】
(再生タンパク質繊維)
再生タンパク質繊維としては、特に限定されず、コラーゲンを原料とする再生コラーゲン繊維、カゼインを原料とする再生カゼイン繊維、落花生を原料とする再生落花生繊維、トウモロコシを原料とする再生トウモロコシ繊維、大豆を原料とする再生大豆繊維等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中では、染色布帛の無地性が優れる観点から、再生コラーゲン繊維が好ましい。
【0014】
(再生コラーゲン繊維)
再生コラーゲン繊維は、金属酸化物を含有することが好ましい。金属酸化物は、再生コラーゲン繊維の光沢及び熱変性を抑制するために配合される。
金属酸化物としては、特に限定されず、例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム酸化チタン、5酸化アンチモン、酸化ケイ素等が挙げられる。
金属酸化物の含有量は、再生コラーゲン繊維の全質量に対して、0.3質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
このような再生コラーゲン繊維の詳細については、例えば、国際公開公報第2017/159565号に記載されている。
【0015】
(混紡繊維)
混紡繊維とは、セルロース系繊維及び再生タンパク質繊維を含む2種以上の異なる繊維を混合して紡績して得られる繊維である。セルロース系繊維及び再生タンパク質繊維の混合割合は、質量比で、セルロース系繊維/再生タンパク質繊維=10/90~90/10であることが好ましく、20/80~80/20であることがより好ましく、30/70~70/30であることがさらに好ましく、35/65~65/35であることが特に好ましい。
混紡繊維の繊度としては、特に限定されず、英式綿番手で、50/1以上20/1以下であることが好ましい。
ここで英式綿番手は、453.6g(1ポンド)あたりの糸の長さが768.10m(840ヤード)のものを1番手といい、糸が細くなると番手数が大きくなる。例えば、表記「50/1」とは、1番手の1/50の太さを表す。
【0016】
(布帛)
染色布帛において、染色対象物である布帛は、前述の混紡繊維から作製されたものである。
本明細書において布帛とは、織物、編物、不織布だけでなく、紐類をも含む概念である。
布帛が織物である場合、織組織としては特に限定されず、例えば、平織、斜文織、朱子織、変化平織、変化斜文織、変化朱子織、変わり織、紋織、片重ね織、二重組織、多重組織、経パイル織、緯パイル織、絡み織等が挙げられる。
また、布帛が編物である場合、編組織としては特に限定されず、例えば、丸編、緯編、経編(トリコット編、ラッシェル編を含む)、パイル編、平編、天竺編、リブ編、スムース編(両面編)、ゴム編、パール編、デンビー組織、コード組織、アトラス組織、鎖組織、挿入組織等が挙げられる。
【0017】
混紡繊維から布帛を形成する場合、混紡繊維(混紡糸)そのものを用いて布帛を作製してもよいし、混紡糸を撚り合わせ、得られた合撚糸を用いて布帛を作製してもよい。
【0018】
(反応染料)
反応染料としては公知の反応染料を使用することができる。反応染料の化学構造としては、例えば、ピラゾロンアゾ系、ベンゼンアゾ系、ナフタレンアゾ系、ピリドンアゾ系、アントラキノン系、金属錯塩型モノアゾ系、ホルマザン系、フタロシアニン系、ジスアゾ系、アジン系、ジオキサジン系等が挙げられる。
反応染料の反応基としては、例えば、スルファートエチルスルホン基、ビニルスルホン基、ジクロロトリアジン基、モノクロロトリアジン基、モノフロロトリアジン基、トリクロロピリミジン基等が挙げられる。反応基は1種単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。
反応基としては、染色布帛の無地性に優れる点で、スルファートエチルスルホン基又はモノクロロトリアジン基を有する単官能基が好ましく、スルファートエチルスルホン基及びモノクロロトリアジン基を有する二官能基がより好ましい。
【0019】
(無地)
本明細書において「無地」とは、染色布帛の全体を目視観察したときに、濃淡杢がほとんど生じていないことを意味する。
また、混紡繊維に対する反応染料の染着量の観点からは、無地とは、セルロース系繊維に対する反応染料の染着量が、セルロース系繊維の全質量に対して、0.01質量%以上8質量%以下であり、再生タンパク質繊維に対する反応染料の染着量が、再生タンパク質繊維の全質量に対して、0.01質量%以上8質量%以下であることを意味する。
セルロース系繊維に対する反応染料の染着量は、セルロース系繊維の全質量に対して、0.01質量%以上8質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上7質量%以下であることがより好ましい。
再生タンパク質繊維に対する反応染料の染着量は、再生タンパク質繊維の全質量に対して、0.01質量%以上8質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上7質量%以下であることがより好ましい。
【0020】
(他の繊維、他の染料)
染色布帛は、本発明の効果を損なわない限り、セルロース系繊維及び再生タンパク質繊維以外の繊維(以下、「他の繊維」ともいう。)、又は反応染料以外の他の染料(以下、「他の染料」ともいう。)を含有してもよい。他の繊維としては、例えば、天然繊維等が挙げられる。他の染料としては、例えば、酸性染料等が挙げられる。
【0021】
≪染色布帛の製造方法≫
以下では、前述した染色布帛の製造方法について説明する。
染色布帛の製造方法は、セルロース系繊維及び再生タンパク質繊維を含む混紡繊維が、反応染料で染色されてなる染色布帛の製造方法であって、
セルロース系繊維及び再生タンパク質繊維を含む混紡繊維からなる布帛を、反応染料を含む染色浴中で、80~100℃で10~30分間浸漬させる繊維膨潤工程と、
上記繊維膨潤工程後に、上記布帛が浸漬された上記染色浴を降温させる降温工程と、
上記降温工程後に、上記染色浴に芒硝を添加して、次いで、ソーダ灰を添加して、60~80℃で60~90分間、上記反応染料を上記布帛に染着させる染色工程とを有する。
染色布帛の製造方法によれば、繊維膨潤工程を有するため、無地性に優れた染色布帛を製造することができる。その理由は定かではないが、再生タンパク質繊維に比べて染着速度が遅いセルロース系繊維が、繊維膨潤工程により膨潤する結果、反応染料が再生タンパク質繊維とセルロース系繊維にほぼ均等に染着することによるものと推定される。
なお、原料として用いるセルロース系繊維、再生タンパク質繊維、布帛及び反応染料は、前述の≪染色布帛≫で説明したものと同義である。
【0022】
以下、染色布帛の製造方法に含まれる、必須、又は任意の工程について説明する。
【0023】
(繊維膨潤前工程)
後述する繊維膨潤工程の前に、繊維膨潤前工程として、セルロース系繊維及び再生タンパク質繊維を含む混紡繊維からなる布帛を、40~50℃の染色浴に浸漬させ、該染色浴を10分以上継続させることが好ましい。
【0024】
染色浴は、反応染料を含む染色液からなる。反応染料の含有量としては、特に限定されず、上記布帛に対して、0.1%owf以上7%owf以下であることが好ましい。
【0025】
(繊維膨潤工程)
繊維膨潤工程では、布帛を、上記染色浴中で、80~100℃で10~30分間浸漬させる。
浸漬温度は、80~90℃であることが好ましい。
浸漬時間は、10~20分であることが好ましい。
【0026】
(降温工程)
降温工程では、繊維膨潤工程後に、布帛が浸漬された上記染色浴を降温させる。降温温度としては、特に限定されず、60~80℃まで降温させることが好ましい。なお、降温速度としては、特に限定されず0.5~2℃/minであることが好ましい。
【0027】
(染色工程)
染色工程では、降温工程後に、上記染色浴に無水芒硝(硫酸ナトリウム10水和物)を添加して、次いで、ソーダ灰(炭酸ナトリウム)を添加して、50~80℃で60~120分間、上記反応染料を上記布帛に染着させる。
無水芒硝の含有量は、染色液に対して、20g/L以上120g/L以下であることが好ましい。
ソーダ灰の含有量は、染色液に対して、5g/L以上20g/L以下であることが好ましい。
染着温度は、60~80℃であることが好ましい。染着時間は、60~90分であることが好ましい。
【0028】
染色工程後に、染色浴を室温まで降温させることで、染色布帛が得られる。
【実施例0029】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0030】
≪染色布帛の製造例≫
[実施例1及び比較例1~3]
(繊維)
実施例1及び比較例1では、セルロース系繊維として下記再生セルロース繊維を用いた。比較例2では、セルロース系繊維として下記コットンを用いた。比較例3では、セルロース系繊維として下記再生セルロース繊維及びコットンを用いた。
実施例1及び比較例1~2では、再生タンパク質繊維として下記再生コラーゲン繊維を用いた。
再生セルロース繊維:Lenzing社製「テンセル」、繊度1.3dtex
コットン:倉敷紡績社製「cotton」
再生コラーゲン繊維: カネカ社製「ルクセア」、繊度2.0dtex
【0031】
(染色液)
実施例1及び比較例1~3では、染色液として下記染色液1を用いた。
染色液1:反応染料(住化ケムテックス社製、「Sumifix Supra Yellow 3RF 150%」)0.185%owf、「Sumifix Supra Red 3BF 150%」)0.28%owf,「Sumifix Supra Blue BRF 150%」)0.07%owfからなる水混合液。
【0032】
<実施例1>
(混紡糸A1の作製)
混紡糸の作製において、セルロース系繊維として上記再生セルロース繊維、及び再生タンパク質繊維として上記再生コラーゲン繊維を用い、それぞれ、再生セルロース繊維/再生コラーゲン繊維=60/40の質量比率で混紡し、繊度30/1の混紡糸A1(単糸)を得た。
【0033】
(布帛A1の作製)
得られた上記混紡糸A1を丸編みし、布帛A1を得た。
【0034】
(染色布帛A1の作製)
得られた布帛A1を、上記染色液1からなる40~50℃の染色浴に浸漬させ、該染色浴をを10分以上継続させた(繊維膨潤前工程)。次いで、上記染色浴中への上記布帛A1の浸漬を、80℃で10分間継続した(繊維膨潤工程)。その後、上記染色浴を降温速度1℃/minで60℃まで降温させた(降温工程)。次いで、芒硝濃度が40g/Lになるように、降温後の上記染色浴に芒硝を投入し、次いで、芒硝を投入して20分経過後に、ソーダ灰濃度が15g/Lになるように、上記染色浴にソーダ灰を投入し、その後 60℃で90分間、反応染料を上記布帛A1に染着させた(染色工程)。染色工程の終了後、上記染色浴を廃液し、染色布帛A1を得た。
【0035】
<比較例1>
実施例1において、繊維膨潤工程を行わずに染色布帛を得た。具体的な製法は下記の通りである。
【0036】
(染色布帛B1の作製)
実施例1と同様に作製した布帛A1を、上記染色液1からなる40℃の染色浴に浸漬させ、次いで、芒硝濃度が40g/Lになるように、上記染色浴に芒硝を投入した。その後、該染色浴を昇温速度1℃/minで60℃まで昇温させた。次いで、ソーダ灰濃度が15g/Lになるように、上記染色浴にソーダ灰を投入し、60℃で90分間、反応染料を上記布帛A1に染着させた(染色工程)。染色工程の終了後、上記染色浴を廃液し、染色布帛B1を得た。
【0037】
<比較例2>
比較例1において、布帛A1の代わりに、下記布帛B1を用いたこと以外は、比較例1と同様の方法で、染色布帛B2を得た。布帛B1の製法は下記の通りである。
【0038】
(混紡糸B1の作製)
混紡糸の作製において、セルロース系繊維として上記コットン、及び再生タンパク質繊維として上記再生コラーゲン繊維を用い、それぞれ、コットン/再生コラーゲン繊維=60/40の質量比率で混紡し、繊度30/1の混紡糸B1(単糸)を得た。
【0039】
(布帛B1の作製)
得られた上記混紡糸B1を丸編みし、布帛B1を得た。
【0040】
<比較例3>
比較例1において、布帛A1の代わりに、下記布帛B2を用いたこと以外は、比較例1と同様の方法で、染色布帛B3を得た。布帛B2の製法は下記の通りである。
【0041】
(混紡糸B2の作製)
混紡糸の作製において、セルロース系繊維として上記再生セルロース繊維及びコットンを用い、それぞれ、再生セルロース繊維/コットン=60/40の質量比率で混紡し、繊度30/1の混紡糸B2(単糸)を得た。
【0042】
(布帛B2の作製)
得られた上記混紡糸B2を丸編みし、布帛B2を得た。
【0043】
<評価>
得られた各染色布帛について、以下の方法に従って、無地性を評価した。結果を表1に示す。
【0044】
(無地性)
得られた染色布帛の全体を目視観察し、下記基準により無地性を評価した。
〇:濃淡杢がほとんど生じていない。
△:濃淡杢が少し生じている。
×:濃淡杢が著しく生じている。
【0045】
【表1】
【0046】
表1から、繊維膨潤工程を経ずに得られた比較例1~3の染色布帛は、いずれも無地性に劣っていた。一方、繊維膨潤工程を経て得られた実施例1の染色布帛は無地性に優れていることが分かる。