(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013976
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】コネクタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61M 39/12 20060101AFI20230119BHJP
A61M 39/10 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
A61M39/12
A61M39/10 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099681
(22)【出願日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】P 2021116515
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】浮田 純次
(72)【発明者】
【氏名】大熊 克紀
(72)【発明者】
【氏名】上原 康賢
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066CC01
4C066JJ05
(57)【要約】
【課題】チューブに対して所望する接着強度を有しながら、接続部が複雑な形状を有していても低コストで製造可能なコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、相手方コネクタに接続可能な接続部20を含むコネクタパーツ10と、チューブ80に接着可能な基管38を含む接続パーツ30と、コネクタパーツと接続パーツとの間のジョイントパーツ50とを備える。接続部20はネジ28を備える。接続パーツとジョイントパーツとは二色成形により一体的に形成されて複合部品60を構成している。コネクタパーツとジョイントパーツとは固着されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手方コネクタに対して接続及び分離が可能な接続部を含むコネクタパーツと、
柔軟なチューブに接着可能な基管を含む接続パーツと、
前記コネクタパーツと前記接続パーツとの間のジョイントパーツとを備え、
前記接続部はネジを備え、
前記接続パーツと前記ジョイントパーツとは二色成形により一体的に形成されて複合部品を構成し、
前記コネクタパーツと前記ジョイントパーツとは固着されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
相手方コネクタに対して接続及び分離が可能な接続部を含むコネクタパーツと、
柔軟なチューブに接着可能な基管を含む接続パーツと、
前記コネクタパーツと前記接続パーツとの間のジョイントパーツとを備え、
前記接続パーツと前記ジョイントパーツとは二色成形により一体的に形成されて複合部品を構成し、
前記コネクタパーツと前記ジョイントパーツとは固着されており、
前記コネクタパーツの表面積の平方根を前記コネクタパーツの体積の立方根で除した値C1が前記ジョイントパーツの表面積の平方根を前記ジョイントパーツの体積の立方根で除した値C2よりも大きいことを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
前記コネクタパーツと前記ジョイントパーツとは同一材料からなる請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記接続パーツと前記ジョイントパーツとは異種材料からなる請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記コネクタパーツは、略円筒形状の第1ジョイント筒を備え、
前記ジョイントパーツは、略円筒形状の第2ジョイント筒を備え、
前記第1ジョイント筒及び前記第2ジョイント筒は互いに嵌合されて固着されている請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記コネクタパーツ及び前記複合部品のうちの一方に、オステーパ面であるオス嵌合面が設けられており、
前記コネクタパーツ及び前記複合部品のうちの他方に、メステーパ面であるメス嵌合面が設けられており、
前記オス嵌合面は前記メス嵌合面にテーパ嵌合している請求項1または2に記載のオスコネクタ。
【請求項7】
前記コネクタパーツ及び前記ジョイントパーツのうちの一方に前記コネクタの軸を取り囲む環状リブが設けられており、
前記環状リブは、前記コネクタパーツ及び前記ジョイントパーツのうちの他方に密着している請求項1または2に記載のオスコネクタ。
【請求項8】
前記環状リブは、前記他方に、前記コネクタの軸方向に密着している請求項7に記載のオスコネクタ。
【請求項9】
前記コネクタパーツと前記複合部品との間にシールが形成されており、
前記コネクタパーツと前記ジョイントパーツとは、前記シールとは異なる箇所で溶着されている請求項1または2のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記接続部は、ネジを備える請求項2に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記接続部は、オス部材と、前記オス部材を取り囲む円筒形状の外筒と、前記外筒の内周面に設けられた雌ネジとを備える請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記接続部が前記相手方コネクタに接続されたとき、前記ジョイントパーツは前記相手方コネクタに接続されない請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項13】
相手方コネクタに対して接続及び分離が可能な接続部を含むコネクタパーツを射出成形するステップと、
柔軟なチューブに接着可能な基管を含む接続パーツとジョイントパーツとを二色成形により一体的に形成して複合部品を製造するステップと、
前記コネクタパーツと前記接続パーツとの間に前記ジョイントパーツを配置して前記コネクタパーツと前記ジョイントパーツとを固着するステップとを含み、
前記接続部はネジを備えることを特徴とするコネクタの製造方法。
【請求項14】
相手方コネクタに対して接続及び分離が可能な接続部を含むコネクタパーツを射出成形するステップと、
柔軟なチューブに接着可能な基管を含む接続パーツとジョイントパーツとを二色成形により一体的に形成して複合部品を製造するステップと、
前記コネクタパーツと前記接続パーツとの間に前記ジョイントパーツを配置して前記コネクタパーツと前記ジョイントパーツとを固着するステップとを含み、
前記コネクタパーツの表面積の平方根を前記コネクタパーツの体積の立方根で除した値C1が前記ジョイントパーツの表面積の平方根を前記ジョイントパーツの体積の立方根で除した値C2よりも大きいことを特徴とするコネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟なチューブの末端に設けることが可能なコネクタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、複数の柔軟なチューブを順次接続して液体(例えば、液状の栄養剤、薬液、輸液、血液など)の流路が形成される。各チューブの末端にはコネクタが設けられている。異なるチューブは、それぞれに設けられたコネクタを互いに接続することにより連通される。
【0003】
コネクタの材料は靭性、強度、成形性などを考慮して決定され、また、チューブの材料は柔軟性、耐薬品性などを考慮して決定される。このようにコネクタとチューブとは、要求される特性が互いに異なるため、互いに異なる材料が用いられることが望まれる。ところが、コネクタとチューブとを互いに異なる材料で構成した場合には、コネクタをチューブに有機溶剤を用いて溶剤接着することが困難であることがある。
【0004】
特許文献1には、相手方コネクタに接続される第1部材体と、チューブに接着される第2部材体とを二色成形により一体的に形成したコネクタが記載されている。第1部材体はポリカーボネートからなり、第2部材体及びチューブはポリ塩化ビニルからなる。チューブに接着される第2部材体がチューブと同じ材料で構成されているので、コネクタをチューブに強固に接着することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2010/122988
【特許文献2】特開2015-119837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された、第1部材体の相手方コネクタに接続される部分は、比較的簡単な筒形状を有している。ところが、医療分野においては、互いに接続されたコネクタの意図しない分離を防止するために、ネジなどの複雑なロック構造がコネクタに設けられることがある(例えば特許文献2参照)。特許文献1の第1部材体にこのような複雑な構造を設けようとすると、二色成形で使用する金型の構造が複雑となり、金型が大型化したり、1ショットで成形できる製品数(取り数)が少なくなったりする。これは、コネクタのコストの増大を招く。
【0007】
本発明は、相手方コネクタに接続可能な接続部と、柔軟なチューブに接着可能な基管とを備えたコネクタに関する。本発明の目的は、チューブに対して所望する接着強度を有しながら、接続部が複雑な形状を有していても低コストで製造可能なコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1コネクタは、相手方コネクタに対して接続及び分離が可能な接続部を含むコネクタパーツと、柔軟なチューブに接着可能な基管を含む接続パーツと、前記コネクタパーツと前記接続パーツとの間のジョイントパーツとを備える。前記接続部はネジを備える。前記接続パーツと前記ジョイントパーツとは二色成形により一体的に形成されて複合部品を構成している。前記コネクタパーツと前記ジョイントパーツとは固着されている。
【0009】
本発明の第2コネクタは、相手方コネクタに対して接続及び分離が可能な接続部を含むコネクタパーツと、柔軟なチューブに接着可能な基管を含む接続パーツと、前記コネクタパーツと前記接続パーツとの間のジョイントパーツとを備える。前記接続パーツと前記ジョイントパーツとは二色成形により一体的に形成されて複合部品を構成している。前記コネクタパーツと前記ジョイントパーツとは固着されている。前記コネクタパーツの表面積の平方根を前記コネクタパーツの体積の立方根で除した値C1が前記ジョイントパーツの表面積の平方根を前記ジョイントパーツの体積の立方根で除した値C2よりも大きい。
【0010】
本発明のコネクタの第1の製造方法は、相手方コネクタに対して接続及び分離が可能な接続部を含むコネクタパーツを射出成形するステップと、柔軟なチューブに接着可能な基管を含む接続パーツとジョイントパーツとを二色成形により一体的に形成して複合部品を製造するステップと、前記コネクタパーツと前記接続パーツとの間に前記ジョイントパーツを配置して前記コネクタパーツと前記ジョイントパーツとを固着するステップとを含む。前記接続部はネジを備える。
【0011】
本発明のコネクタの第2の製造方法は、相手方コネクタに対して接続及び分離が可能な接続部を含むコネクタパーツを射出成形するステップと、柔軟なチューブに接着可能な基管を含む接続パーツとジョイントパーツとを二色成形により一体的に形成して複合部品を製造するステップと、前記コネクタパーツと前記接続パーツとの間に前記ジョイントパーツを配置して前記コネクタパーツと前記ジョイントパーツとを固着するステップとを含む。前記コネクタパーツの表面積の平方根を前記コネクタパーツの体積の立方根で除した値C1が前記ジョイントパーツの表面積の平方根を前記ジョイントパーツの体積の立方根で除した値C2よりも大きい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、チューブに対して所望する接着強度を有しながら、接続部が複雑な形状を有していても低コストで製造可能なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1にかかるコネクタの斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態1にかかるコネクタを構成する部品を分離して示した分解斜視断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態1にかかるコネクタの分解斜視断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態2にかかるコネクタの断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態2にかかるコネクタの分解斜視断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態3にかかるコネクタの断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態3にかかるコネクタの分解斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)本発明の第1コネクタは、相手方コネクタに対して接続及び分離が可能な接続部を含むコネクタパーツと、柔軟なチューブに接着可能な基管を含む接続パーツと、前記コネクタパーツと前記接続パーツとの間のジョイントパーツとを備える。前記接続部はネジを備える。前記接続パーツと前記ジョイントパーツとは二色成形により一体的に形成されて複合部品を構成している。前記コネクタパーツと前記ジョイントパーツとは固着されている。
【0015】
(2)本発明の第2コネクタは、相手方コネクタに対して接続及び分離が可能な接続部を含むコネクタパーツと、柔軟なチューブに接着可能な基管を含む接続パーツと、前記コネクタパーツと前記接続パーツとの間のジョイントパーツとを備える。前記接続パーツと前記ジョイントパーツとは二色成形により一体的に形成されて複合部品を構成している。前記コネクタパーツと前記ジョイントパーツとは固着されている。前記コネクタパーツの表面積の平方根を前記コネクタパーツの体積の立方根で除した値C1が前記ジョイントパーツの表面積の平方根を前記ジョイントパーツの体積の立方根で除した値C2よりも大きい。
【0016】
上記(1)項または上記(2)項のコネクタにおいて、コネクタパーツとジョイントパーツとが「固着」されているとは、コネクタパーツとジョイントパーツとが固くしっかりとくっついていることを意味する。2つの部品(コネクタパーツ及びジョイントパーツ)を固着する方法は、制限されないが、溶着法または接着法を用いることができる。
【0017】
(3)上記(1)項または上記(2)項のコネクタにおいて、前記コネクタパーツと前記ジョイントパーツとは同一材料からなっていてもよい。かかる態様は、ジョイントパーツに対するコネクタパーツの接続強度を向上するのに有利である。
【0018】
(4)上記(1)項~上記(3)項のいずれか一項のコネクタにおいて、前記接続パーツと前記ジョイントパーツとは異種材料からなっていてもよい。かかる態様は、チューブに対して所望する接着強度を有しながら、所望する形状を有する接続部を備えたコネクタを低コストで製造するのに有利である。
【0019】
(5)上記(1)項~上記(4)項のいずれか一項のコネクタにおいて、前記コネクタパーツは、略円筒形状の第1ジョイント筒を備えていてもよい。前記ジョイントパーツは、略円筒形状の第2ジョイント筒を備えていてもよい。前記第1ジョイント筒及び前記第2ジョイント筒は互いに嵌合されて固着されていてもよい。かかる態様は、第1ジョイント筒と第2ジョイント筒とを固着するのに有利である。
【0020】
(6)上記(1)項~上記(5)項のいずれか一項のコネクタにおいて、前記コネクタパーツ及び前記複合部品のうちの一方に、オステーパ面であるオス嵌合面が設けられていてもよい。前記コネクタパーツ及び前記複合部品のうちの他方に、メステーパ面であるメス嵌合面が設けられていてもよい。前記オス嵌合面は前記メス嵌合面にテーパ嵌合していてもよい。かかる態様によれば、メス嵌合面にオス嵌合面をテーパ嵌合させるだけで、複合部品に対してコネクタパーツを同軸に位置合わせすることができる。また、コネクタパーツと複合部品との間にシールを容易に形成することができる。
【0021】
(7)上記(1)項~上記(6)項のいずれか一項のコネクタにおいて、前記コネクタパーツ及び前記ジョイントパーツのうちの一方に前記コネクタの軸を取り囲む環状リブが設けられていてもよい。前記環状リブは、前記コネクタパーツ及び前記ジョイントパーツのうちの他方に密着していてもよい。かかる態様は、コネクタパーツとジョイントパーツとの間のシール性を向上させるのに有利である。
【0022】
(8)上記(7)項のコネクタにおいて、前記環状リブは、前記他方に、前記コネクタの軸方向に密着していてもよい。かかる態様によれば、軸方向に圧縮荷重を加えるだけで、コネクタパーツとジョイントパーツとの間のシール性を向上させることができる。
【0023】
(9)上記(1)項~上記(8)項のいずれか一項のコネクタにおいて、前記コネクタパーツと前記複合部品との間にシールが形成されていてもよい。前記コネクタパーツと前記ジョイントパーツとは、前記シールとは異なる箇所で溶着されていてもよい。かかる態様は、溶着によってコネクタパーツと複合部品との間のシール性が低下するのを防止するのに有利である。
【0024】
(10)上記(2)項のコネクタにおいて、前記接続部は、ネジを備えていてもよい。上記(1)項のコネクタの接続部に設けられるネジ、及び、上記(2)項のコネクタの接続部に設けられるネジは、いずれも雌ネジ及び雄ネジのいずれであってもよい。ネジは、相手方コネクタに設けられたネジと螺合可能であることが好ましい。接続部がネジを備えることは、本発明のコネクタが相手方コネクタから意図せずに分離するのを防止するのに有利である。
【0025】
(11)上記(1)項~上記(10)項のいずれか一項のコネクタにおいて、前記接続部は、オス部材と、前記オス部材を取り囲む円筒形状の外筒と、前記外筒の内周面に設けられた雌ネジとを備えていてもよい。かかる態様によれば、本発明のコネクタを、経鼻経管栄養で使用されるオスコネクタと互換性を有するように構成することができる。
【0026】
(12)上記(1)項~上記(11)項のいずれか一項のコネクタにおいて、前記接続部が前記相手方コネクタに接続されたとき、前記ジョイントパーツは前記相手方コネクタに接続されなくてもよい。かかる態様では、コネクタパーツの接続部を相手方コネクタに接続したとき、ジョイントパーツは相手方コネクタに接触しない。ジョイントパーツは、本発明のコネクタと相手方コネクタとの接続には関与せず、コネクタパーツを接続パーツに連結させるために機能する。これは、ジョイントパーツの形状を簡単化することを容易にする。したがって、かかる態様によれば、ジョイントパーツを含む複合部品を成形するための二色成形用金型の構造を簡単化することが可能になり、これは、本発明のコネクタを低コストで製造するのに有利である。
【0027】
(13)本発明のコネクタの第1の製造方法は、相手方コネクタに対して接続及び分離が可能な接続部を含むコネクタパーツを射出成形するステップと、柔軟なチューブに接着可能な基管を含む接続パーツとジョイントパーツとを二色成形により一体的に形成して複合部品を製造するステップと、前記コネクタパーツと前記接続パーツとの間に前記ジョイントパーツを配置して前記コネクタパーツと前記ジョイントパーツとを固着するステップとを含む。前記接続部はネジを備える。当該第1の製造方法は、上記(1)項の第1コネクタを製造するのに適している。
【0028】
(14)本発明のコネクタの第2の製造方法は、相手方コネクタに対して接続及び分離が可能な接続部を含むコネクタパーツを射出成形するステップと、柔軟なチューブに接着可能な基管を含む接続パーツとジョイントパーツとを二色成形により一体的に形成して複合部品を製造するステップと、前記コネクタパーツと前記接続パーツとの間に前記ジョイントパーツを配置して前記コネクタパーツと前記ジョイントパーツとを固着するステップとを含む。前記コネクタパーツの表面積の平方根を前記コネクタパーツの体積の立方根で除した値C1が前記ジョイントパーツの表面積の平方根を前記ジョイントパーツの体積の立方根で除した値C2よりも大きい。当該製造方法は、上記(2)項の第2コネクタを製造するのに適している。
【0029】
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態を構成する主要部材を簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。また、本発明の範囲内において、以下の各図に示された各部材を変更または省略し得る。各実施形態の説明において引用する図面において、先行する実施形態で引用した図面に示された部材に対応する部材には、当該先行する実施形態の図面で付された符号と同じ符号が付してある。そのような部材については、重複する説明が省略されており、先行する実施形態の説明を適宜参酌すべきである。
【0030】
本発明において、部材(例えばコネクタ、コネクタパーツ、接続パーツ、ジョイントパーツ、接続部、基管など)の「軸」は、当該部材の中心軸を意味する。「軸」は、部材に含まれる円の中心を通り、且つ/又は、部材に含まれる円筒もしくは円錐(テーパ)の中心軸と一致する。軸に直交する直線に沿った方向を「半径方向」という。半径方向において、軸に近い側を「内」側、軸に遠い側を「外」側という。軸の周りを回転する方向を「周方向」という。
【0031】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1にかかるコネクタ1の斜視図である。
図2は、コネクタ1の軸(図示せず)を含む面でのコネクタ1の断面図である。コネクタ1は、柔軟なチューブ80の一端(基端)に設けられている。コネクタ1及びチューブ80は、経鼻経管栄養に使用される経鼻カテーテルを構成する。チューブ80は、その先端(図示せず)が患者の胃に達するように患者の鼻腔から患者に挿入されうる。チューブ80は、その全長にわたって連続する流路89が形成された中空の筒状物である。流路89を通じて、患者に液状の栄養剤が投与される。
【0032】
以下の説明の便宜のため、コネクタ1の先端側(
図1及び
図2において上側)を「上」側、コネクタ1の基端側(
図1及び
図2において下側)を「下」側という。但し、「上」及び「下」は、コネクタ1の実際の使用時の向きを示すものではない。上側と下側とを結ぶ方向(上下方向)を「軸方向」という。
【0033】
図3は、コネクタ1の分解斜視断面図である。
図3では、チューブ80の図示が省略されている。コネクタ1は、コネクタパーツ10、接続パーツ30、及び、ジョイントパーツ50を備える。詳細は後述するが、接続パーツ30とジョイントパーツ50とは、これらが二色成形により一体的に形成された複合部品60として製造される(後述する
図4参照)。このため、実際には、接続パーツ30及びジョイントパーツ50は、
図3のように互いに分離された独立した部品としては存在しない。
図3では、それぞれの形状の理解を容易にするために、接続パーツ30及びジョイントパーツ50を敢えて分離して示してある。
【0034】
コネクタパーツ10は、コネクタ1の先端側部分を構成する接続部20を備える。接続部20は、経管栄養に使用されるオスコネクタ(例えば特許文献2の
図4A、
図4B参照)と互換性を有する。接続部20は、相手方コネクタ(本実施形態1ではメスコネクタ、例えば特許文献2の
図5A、
図5B参照)に対して繰り返し接続及び分離が可能である。接続部20は、筒部材21と、筒部材21を取り囲む外筒27と、外筒27の内周面に設けられた雌ネジ28とを備える。貫通孔19が、コネクタパーツ10の軸(図示せず。コネクタパーツ10の軸はコネクタ1の軸と一致する)に沿って筒部材21を貫通している。
【0035】
筒部材21は、中空筒形状を有する。筒部材21の外周面には、筒部材21の先端に近づくにしたがって外径が小さくなるオステーパ面23が設けられている。筒部材21の外周面は、オステーパ面23より先端側に、オステーパ面23より大きなテーパ角度を有する先端テーパ面24を更に有する。筒部材21の先端(先端テーパ面24の一部または全部)は、外筒27の先端より、コネクタパーツ10の軸方向に突出している(
図2参照)。筒部材21は、オスコネクタのオス部材として機能し、相手方コネクタの筒状のメス部材に挿抜されうる。オステーパ面23は、メス部材の内周面に形成されたメステーパ面にテーパ嵌合(面接触)することができる。筒部材21が外筒27よりも突出していることは、相手方コネクタに対するコネクタ1(または接続部20)の接続を容易にするのに有利である。但し、本発明では、筒部材21の形状は、本実施形態1に限定されず、任意に変更しうる。例えば、筒部材21が先端テーパ面24を備えていなくてもよい。筒部材21が外筒27から突出していなくてもよい。
【0036】
フランジ26が、筒部材21の基端から、半径方向外向きに突出している。フランジ26の円形の外周縁から、外筒27が筒部材21と同じ側(コネクタ1の先端側)に向かって延びている。外筒27は、略円筒形状を有し、筒部材21と同軸に配置されている。外筒27は、筒部材21から半径方向に離間している。外筒27の筒部材21に対向する内周面には雌ネジ28が設けられている。雌ネジ28は、相手方コネクタのメス部材の外周面に設けられた雄ネジに螺合することができる。
【0037】
フランジ26から、接続部20とは反対側に向かって、略円筒形状の第1ジョイント筒12が突出している。第1ジョイント筒12は、接続部20と同軸に配置されている。第1ジョイント筒12の内周面はメス嵌合面13を有する。メス嵌合面13は、フランジ26から軸方向に離れるにしたがって内径が大きくなるメステーパ面(円錐面)である。第1ジョイント筒12の外周面は、制限されないが、本実施形態1では円筒面である。本発明では、第1ジョイント筒12の外周面は、円筒面以外にテーパー面でも良いし、当該外周面の表面に凹凸が形成されていてもよい。
【0038】
接続パーツ30は、基台31と、基台31から下側(コネクタパーツ10とは反対側)に向かって延びた基管38とを備える。貫通孔39が、接続パーツ30の軸(図示せず。接続パーツ30の軸はコネクタ1の軸と一致する)に沿って接続パーツ30を貫通している。
【0039】
基台31の外周面は、制限されないが、本実施形態1では円筒面である。基台31の外径は、コネクタパーツ10の第1ジョイント筒12の外周面と略同一である。基台31の上面(コネクタパーツ10側の面)32は、円形の平坦面である。基台31内に、ジョイントパーツ50の埋め込み部56が埋め込まれるキャビティ(空洞)36が形成されている。キャビティ36は、基台31の上面32に開口している。キャビティ36の形状は、任意である。本実施形態では、キャビティ36は、接続パーツ30と同軸の円環形状の円環キャビティ36aと、円環キャビティ36aから上面32に向かって延びた4つの円弧形状の円弧キャビティ36bとからなる。基管38は、基台31より小径の略円筒形状を有する。
【0040】
ジョイントパーツ50は、第2ジョイント筒52と、第2ジョイント筒52から下方に向かって延びた埋め込み部56とを備える。貫通孔59が、ジョイントパーツ50の軸(図示せず。ジョイントパーツ50の軸はコネクタ1の軸と一致する)に沿って第2ジョイント筒52を貫通している。第2ジョイント筒52は、全体として略円筒形状を有する。第2ジョイント筒52の外周面はオス嵌合面53を有する。オス嵌合面53は、第2ジョイント筒52の先端(埋め込み部56とは反対側端)に向かって外径が小さくなるオステーパ面(円錐面)である。オス嵌合面53は、コネクタパーツ10のメス嵌合面13と、テーパ角度及び径が一致する。埋め込み部56は、接続パーツ30のキャビティ36に対応する形状を有する。本実施形態1では、埋め込み部56は、全体として略円筒形状を有する。
【0041】
コネクタ1の製造方法を説明する。
【0042】
上述したように、接続パーツ30とジョイントパーツ50とは二色成形により一体的に形成される。二色成形とは、二段階の射出成形工程を経て、2種類の樹脂材料が一体化された一つの部品を製造する方法である。一般には、一次金型内で第1樹脂を射出成形(一次成形)して一次成型品を成形し、次いで、一次成型品を収納した二次金型内で第2樹脂を射出成形(二次成形)して、一次成型品に第2樹脂を一体化させる。二色成形により、異なる2種類の材料が一体化された単一の製品を製造することが可能である。
【0043】
図4に示すように、二色成形により接続パーツ30とジョイントパーツ50とが同軸に一体化された複合部品60を製造する。二色成形において、接続パーツ30及びジョイントパーツ50のうちのいずれを先に成形(一次成形)するかに関して制限はない。本実施形態1では、最初に一次金型内でジョイントパーツ50を成形し、次いで、ジョイントパーツ50を収納した二次金型内で接続パーツ30を成形している。ジョイントパーツ50の埋め込み部56が、接続パーツ30の基台31(キャビティ36、
図3参照)内に隙間なく埋め込まれている。ジョイントパーツ50は、接続パーツ30から引き出すことも、接続パーツ30に対して軸回りに回転させることもできない。接続パーツ30の上面32からジョイントパーツ50の第2ジョイント筒52が突出している。ジョイントパーツ50の貫通孔59と接続パーツ30の貫通孔39とが連通している。本実施形態1では、貫通孔59と貫通孔39とは同一の内径を有し、当該内径は軸方向に一定である。このため、貫通孔59の内周面と貫通孔39の内周面とは、両者間に隙間や段差がなく、なめらかに連続している。
【0044】
コネクタパーツ10は、複合部品60とは別に通常の射出成形により製造しうる。
【0045】
次いで、複合部品60にコネクタパーツ10を接続する。ジョイントパーツ50の第2ジョイント筒52をコネクタパーツ10の第1ジョイント筒12に挿入する。
図2に示されているように、第1ジョイント筒12のメス嵌合面13に第2ジョイント筒52のオス嵌合面53が、テーパ嵌合(面接触)する。これにより、コネクタパーツ10は複合部品60に同軸に位置合わせされる。メス嵌合面13とオス嵌合面53とは、互いにテーパ嵌合した状態で固着される。例えば、第1ジョイント筒12の半径方向外側から半径方向に沿って第1ジョイント筒12に向かってレーザ光を照射して、メス嵌合面13をオス嵌合面53にレーザ溶着することができる。溶着は、全周にわたって連続的であってもよいし、周方向に離散的であってもよい。メス嵌合面13とオス嵌合面53との間に液密なシールが形成される。貫通孔39,59と貫通孔19とが連通して、コネクタ1を軸方向に貫通するコネクタ1の貫通孔が形成される。かくして、
図1及び
図2に示すコネクタ1が得られる。
【0046】
コネクタパーツ10とジョイントパーツ50とを接着剤(例えば溶剤接着剤、UV接着剤、瞬間接着剤)を介して固着してもよい。接着剤は、第1ジョイント筒12と第2ジョイント筒52との間(例えばメス嵌合面13とオス嵌合面53との間)に付与することができる。
【0047】
その後、基管38の貫通孔39にチューブ80を挿入する。チューブ80の外周面は貫通孔39の内周面に実質的に隙間なく密着する。チューブ80は、コネクタ1から分離しないように、接着剤(例えば溶剤接着剤、UV接着剤、瞬間接着剤)等によりコネクタ1(特に基管38)に接着固定される。接着剤は、例えばチューブ80を貫通孔39に挿入する前に、チューブ80の外周面に塗布される。コネクタ1の貫通孔は、チューブ80の流路89に連通し、流路89とともに、液状の栄養剤が流れる流路を構成する。
【0048】
コネクタパーツ10は、外力によって実質的に変形しない程度の機械的強度(剛性)を有することが好ましい。また、相手方コネクタに対して繰り返し接続及び分離をしても、接続部20が割れたり、摩耗したりしないように、コネクタパーツ10は靭性及び耐久性を有することが望ましい。かかる観点から、コネクタパーツ10の材料は、ポリプロピレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレン、硬質ポリ塩化ビニル等の樹脂が好ましく、特にポリプロピレンが好ましい。コネクタパーツ10は、上記樹脂を用いて射出成形法等により全体を一部品として一体的に成形されうる。
【0049】
ジョイントパーツ50の材料は、上記のコネクタパーツ10に使用しうる材料から選択しうる。好ましくは、ジョイントパーツ50は、コネクタパーツ10と同一材料からなる。一例では、コネクタパーツ10及びジョイントパーツ50はともにポリプロピレンで構成されうる。コネクタパーツ10とジョイントパーツ50とが同一材料で構成されることは、第1ジョイント筒12(特にメス嵌合面13)に対する第2ジョイント筒52(特にオス嵌合面53)の溶着性又は接着性の向上に有利である。
【0050】
チューブ80は、柔軟性や、耐薬品性、透明性等を備えることが好ましい。かかる観点から、チューブ80の材料として、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂を用いることができる。
【0051】
接続パーツ30の材料は、チューブ80に対する接着性を考慮して選択されることが好ましい。例えば基管38をチューブ80に有機溶剤を用いた溶剤接着をする場合、接続パーツ30は、チューブ80と同一材料からなることが好ましい。一例では、チューブ80及び接続パーツ30はともに軟質ポリ塩化ビニルで構成されうる。
【0052】
以上のように、本実施形態1のコネクタ1は、相手方コネクタに対して接続及び分離が可能な接続部20を含むコネクタパーツ10と、チューブ80に接着可能な基管38を含む接続パーツ30と、コネクタパーツ10と接続パーツ30との間のジョイントパーツ50とを備える。接続パーツ30とジョイントパーツ50とは二色成形により一体的に形成されて複合部品60を構成している。コネクタパーツ10とジョイントパーツ50とは溶着又は接着等により固着されている。このため、接続部20を備えるコネクタパーツ10と、基管38を備える接続パーツ30とを、異なる材料で構成することができる。
【0053】
例えば、コネクタパーツ10の材料は、接続部20に要求される特性を考慮して選択することができる。これにより、接続部20を相手方コネクタに対して、液漏れなく且つ強固に接続することが可能になる。また、周囲の物体との衝突や、相手方コネクタに対する繰り返しの接続及び分離等によって接続部20に割れが生じる可能性を低減することが可能になる。
【0054】
ジョイントパーツ50の材料は、コネクタパーツ10に対する溶着性又は接着性を考慮して選択することができる。これにより、コネクタパーツ10とジョイントパーツ50(更には複合部品60)との間に所望する接続強度を確保することが可能になる。コネクタ1に軸方向の引張り力が加えられても、コネクタパーツ10とジョイントパーツ50(または複合部品60)とが分離するのを防止することができる。また、コネクタパーツ10(本実施形態1ではメス嵌合面13)と複合部品60(本実施形態1ではオス嵌合面53)との間に、長期にわたって安定したシールを形成することができ、これらの間を通って外界へ液体が漏れ出るのを防止できる。
【0055】
接続パーツ30の材料は、チューブ80に対する接着性を考慮して選択することができる。これにより、チューブ80と接続パーツ30(さらにはコネクタ1)との間に所望する接続強度を確保することが可能になる。チューブ80とコネクタ1との間に引張り力が加えられても、コネクタ1はチューブ80から分離しない。
【0056】
また、接続パーツ30とジョイントパーツ50とは二色成形により一体的に形成されているので、接続パーツ30とジョイントパーツ50とは分離不可能な程度に強固に接続される。また、接続パーツ30とジョイントパーツ50との間を通って外界へ液体が漏れ出るのを防止できる。
【0057】
相手方コネクタに対して接続及び分離が可能な接続部20は、コネクタパーツ10に設けられる。二色成形により製造される複合部品60(接続パーツ30及びジョイントパーツ50)は、接続部20を構成しない。したがって、接続部20が複雑な形状を有していても、接続部20とは無関係に、複合部品60(更には、複合部品60を構成する続パーツ30及びジョイントパーツ50)の形状を簡単化することが可能である。このため、二色成形で使用する金型(二色成形用金型)の構造を簡単化することができる。これは、二色成形用金型の小型化や、1ショットで成形できる製品数(取り数)の増大を可能にする。
【0058】
一方、コネクタパーツ10は、二色成形ではなく、通常の射出成形で製造できる。通常の射出成形で使用する金型(通常金型)は、二色成形用金型に比べて構造が簡単である。接続部20が複雑な形状を有していても、そのような接続部20を通常の射出成形により成形するのであれば、通常金型の構造は比較的簡単である。そのような通常金型は、小型化が可能であり、また、1ショットで成形できる製品数(取り数)の増大を可能にする。
【0059】
したがって、コネクタ1は、接続部20が複雑な形状を有していても、全体として比較的簡単な構造の金型を用いて低コストで製造することができる。
【0060】
上述したように、特許文献1には、相手方コネクタに接続される第1部材体と、チューブに接着される第2部材体とを二色成形により一体的に形成したコネクタが記載されている。第1部材体の相手方コネクタに接続される部分に複雑な形状を設けると、二色成形用金型の構造が複雑になり、コネクタのコストが増大する。
【0061】
これに対して、本実施形態1では、相手方コネクタに接続される接続部20を含むコネクタパーツ10を、二色成形により形成される複合部品60とは別に製造する。本実施形態1のコネクタ1は、その製造過程においてコネクタパーツ10を独立した部品として製造する必要があるにもかかわらず、全体としては特許文献1のコネクタより低コストで製造することが可能である。コネクタ1のコスト低減効果は、相手方コネクタに接続される接続部20(更にはコネクタパーツ10)が複雑な形状を有している場合に、より顕著に発現する。より具体的には、(a)接続部20がネジを備える場合に、または、(b)二色成形されるジョイントパーツ50に比べてコネクタパーツ10が相対的に複雑な形状を有している場合に、より大きなコスト低減効果が得られる。
【0062】
上記(a)に関して、一般に、ネジを含む部品を金型を用いて樹脂成形する場合、当該部品(特にそのネジ)を金型から分離する必要があるために、複雑な構造の金型が必要となる。本実施形態1とは異なり、二色成形用金型で成形される複合部品60にネジを設けた場合には、元来複雑な構造の二色成形用金型が更に複雑化し且つ大型化してしまう。これは、コネクタのコストを増加させる。これに対して、本実施形態1では、通常金型で成形されるコネクタパーツ10の接続部20にネジが設けられている。ネジを形成可能な通常金型は、ネジを成形可能な二色成形用金型に比べて、その構造を簡単化及び小型化することが容易である。したがって、コネクタパーツ10の接続部20がネジを備えることは、コネクタ1を低コストで製造するのに有利である。
【0063】
上記(b)に関して、本発明では、部品の形状の複雑さの程度を評価する指標として、
C=S(1/2)/V(1/3)
で定義される値Cを用いる。ここで、Sは部品の表面積、Vは部品の体積である。本実施形態1では、コネクタパーツ10の表面積S1の平方根をコネクタパーツ10の体積V1の立方根で除して得られるコネクタパーツ10についての値C1(=S1(1/2)/V1(1/3))が、ジョイントパーツ50の表面積S2の平方根をジョイントパーツ50の体積V2の立方根で除して得られるジョイントパーツ50についての値C2(=S2(1/2)/V2(1/3))よりも大きい(C1>C2)。なお、ジョイントパーツ50については、接続パーツ30に埋め込まれる埋め込み部56を含むジョイントパーツ50の全体について、表面積S2及び体積V2が定義される。C1>C2を満足することにより、複雑な形状の接続部20を備えたコネクタ1を低コストで製造することができる。
【0064】
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2にかかるコネクタ2の断面図である。
図6は、コネクタ2の分解斜視断面図である。実施形態1のコネクタ1との相違点を中心に、本実施形態2のコネクタ2を説明する。
【0065】
図6に示されているように、本実施形態2では、コネクタパーツ10の第1ジョイント筒212の内周面は、軸方向において内径が一定である円筒面(第1円筒面)213を有する。ジョイントパーツ50の第2ジョイント筒252の外周面も、軸方向において外径が一定である円筒面(第2円筒面)253を有する。第2円筒面253の外径は、第1円筒面213の内径と略同じである。第2ジョイント筒252の先端面254は、ジョイントパーツ50の軸に垂直な環状の平坦面である。先端面254から、コネクタ2の軸(図示せず)を取り囲む円形の環状リブ255が上方に向かって突出している。
【0066】
本実施形態2においても、実施形態1と同様に、接続パーツ30とジョイントパーツ50とは二色成形により複合部品60として一体的に製造される。コネクタパーツ10は、複合部品60とは別に通常の射出成形により製造される。
【0067】
コネクタパーツ10と複合部品60との接続は以下のようにして行う。
【0068】
図5に示されているように、ジョイントパーツ50の第2ジョイント筒252を、コネクタパーツ10の第1ジョイント筒212に挿入する。第2ジョイント筒252は第1ジョイント筒212に、第1円筒面213と第2円筒面253との間に半径方向に実質的に隙間なく、嵌入する。これにより、コネクタパーツ10は複合部品60に同軸に位置合わせされる。貫通孔239,59と貫通孔19とが連通して、コネクタ2を軸方向に貫通するコネクタ2の貫通孔が形成される。第2ジョイント筒252の環状リブ255は、コネクタパーツ10の第1ジョイント筒212で囲まれた下面26a(
図5参照)に軸方向に当接する。下面26aは、コネクタパーツ10の軸に垂直な環状の平坦面である。環状リブ255が軸方向に圧縮変形される程度にコネクタパーツ10と複合部品60との間に軸方向に圧縮荷重を加えながら、第1円筒面213と第2円筒面253とを溶着する。溶着は、実施形態1と同様に、レーザ溶着により行うことができる。環状リブ255とコネクタパーツ10(特にその下面26a)との間に液密なシールが形成される。シールは、溶着される箇所(第1円筒面213及び第2円筒面253)とは異なる箇所に形成される。また、シールは、環状リブ255がコネクタパーツ10に接触する比較的狭い領域に形成される。これらは、コネクタパーツ10(特に下面26a)と複合部品60(特に環状リブ255)との間のシール性を向上させるのに有利である。
【0069】
コネクタパーツ10とジョイントパーツ50とを接着剤(例えば溶剤接着剤、UV接着剤、瞬間接着剤)を介して固着してもよい。接着剤は、第1ジョイント筒212と第2ジョイント筒252との間(例えば第1円筒面213と第2円筒面253との間)に付与することができる。
【0070】
本実施形態2では、接続パーツ30の貫通孔239の内径は、軸方向において一定ではない。貫通孔239は、下側(基管38側)の、内径が軸方向に一定である基径部239aと、上側(上面32側)の、上面32に向かって内径が大きくなるテーパ部239bとを備える。基径部239aとテーパ部239bとの間に、基径部239aの内周面よりも半径方向内向きに突出した環状突起239cが設けられている。チューブ280は、実施形態1のチューブ80より小径である。チューブ280は、その基端面281が環状突起239cに軸方向に当接するまで貫通孔239(基径部239a)に挿入されている。チューブ280の外周面は基径部239aの内周面に実質的に隙間なく密着する。チューブ280は、コネクタ2から分離しないように、接着剤(例えば溶剤接着剤、UV接着剤、瞬間接着剤)等によりコネクタ2(特に基管38)に接着固定される。テーパ部239bの上面32での開口径は、ジョイントパーツ50の貫通孔59の内径と略同じである。本実施形態2では、接続部20が、筒部材21の先端での貫通孔19の開口径を含めて実施形態1と同じでありながら、コネクタ2に、実施形態1より小径のチューブ280が接続されている。小径のチューブ280は、例えば小児用の経鼻カテーテルとして有用である。
【0071】
本実施形態2においても、コネクタパーツ10についての値C1が、ジョイントパーツ50についての値C2よりも大きい(C1>C2)。
【0072】
上記を除いて、本実施形態2は、実施形態1と同じである。本実施形態2のうち実施形態1と共通する部分については、実施形態1の説明が本実施形態2にも同様に適用される。
【0073】
本実施形態2では、シールを形成するための環状リブ255が、第2ジョイント筒252の先端面254に設けられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、先端面254の環状リブ255を省略し、この代わりに環状リブ255と同様の環状リブをコネクタパーツ10の下面26aに設けてもよい。この場合、コネクタパーツ10を複合部品60に接続したとき、コネクタパーツ10の環状リブは、ジョイントパーツ50の平坦な先端面254に軸方向に当接して液密なシールを形成する。あるいは、第1ジョイント筒212の第1円筒面213及び第2ジョイント筒252の第2円筒面253のうちの一方に周方向に連続する環状リブを設けてもよい。この場合、コネクタパーツ10を複合部品60に接続したとき、環状リブは、第1円筒面213及び第2円筒面253のうちの他方に半径方向に当接して液密なシールを形成する。
【0074】
接続パーツ30の貫通孔239は、テーパ部239b及び環状突起239cの一方または両方を備えていなくてもよい。貫通孔239がテーパ部239bを備えない場合、ジョイントパーツ50の貫通孔59が、その内径が先端面254に向かって大きくなる、テーパ部239bと同様のテーパ部を備えていてもよい。
【0075】
実施形態1のチューブ80及び貫通孔39を、チューブ280及び貫通孔239に代えて本実施形態2に適用することができる。
【0076】
本実施形態2の相対的に小径のチューブ280及び貫通孔239を実施形態1に適用することができる。
【0077】
(実施形態3)
図7は、本発明の実施形態3にかかるコネクタ3の断面図である。
図8は、コネクタ3の分解斜視断面図である。実施形態1,2のコネクタ1,2との相違点を中心に、本実施形態3のコネクタ3を説明する。
【0078】
図8に示されているように、本実施形態3では、コネクタパーツ10の貫通孔19の下端(下面26a側端)近傍の内周面に、メス嵌合面313が設けられている。メス嵌合面313は、下面26aに向かって内径が大きくなるメステーパ面(円錐面)である。
【0079】
延長管335が、貫通孔239を延長するように、接続パーツ30の上面32から上方に向かって延びている。延長管335は略円筒形状を有し、その内径は、テーパ部239bの上端での内径(即ちテーパ部239bの最大内径)と同じである。延長管335は、ジョイントパーツ50の貫通孔359を貫通し、第2ジョイント筒252の先端面254よりも上方に向かって突出している。延長管335の、第2ジョイント筒252よりも突出した部分の外周面に、オス嵌合面353が設けられている。オス嵌合面353は、延長管335の先端に向かって外径が小さくなるオステーパ面(円錐面)である。オス嵌合面353は、コネクタパーツ10のメス嵌合面313と、テーパ角度及び径が一致する。実施形態2と異なり、ジョイントパーツ50の先端面254には環状リブ255(
図6参照)は設けられていない。
【0080】
本実施形態3においても、実施形態1と同様に、接続パーツ30とジョイントパーツ50とは二色成形により複合部品60として一体的に製造される。コネクタパーツ10は、複合部品60とは別に通常の射出成形により製造される。
【0081】
コネクタパーツ10と複合部品60との接続は以下のようにして行う。
【0082】
図7に示されているように、延長管335をコネクタパーツ10の貫通孔19に挿入し、また、第2ジョイント筒252を第1ジョイント筒212に挿入する。延長管335のオス嵌合面353は、コネクタパーツ10のメス嵌合面313にテーパ嵌合(面接触)する。また、第2ジョイント筒252は第1ジョイント筒212に、第1円筒面213と第2円筒面253との間に半径方向に実質的に隙間なく、嵌入する。これらにより、コネクタパーツ10は複合部品60に同軸に位置合わせされる。貫通孔239と貫通孔19とが連通する。メス嵌合面313とオス嵌合面353とが互いにテーパ嵌合した状態で、第1円筒面213と第2円筒面253とを溶着する。溶着は、実施形態1,2と同様に、レーザ溶着により行うことができる。メス嵌合面313とオス嵌合面353との間に液密なシールが形成される。シールは、溶着される箇所(第1円筒面213及び第2円筒面253)とは異なる箇所に形成される。これは、コネクタパーツ10(特にメス嵌合面313)と複合部品60(特にオス嵌合面353)との間のシール性を向上させるのに有利である。貫通孔239、延長管335、貫通孔19が連通して、コネクタ3を軸方向に貫通するコネクタ3の貫通孔が形成される。
【0083】
コネクタパーツ10とジョイントパーツ50とを接着剤(例えば溶剤接着剤、UV接着剤、瞬間接着剤)を介して固着してもよい。接着剤は、第1ジョイント筒212と第2ジョイント筒252との間(例えば第1円筒面213と第2円筒面253との間)に付与することができる。
【0084】
本実施形態3では、ジョイントパーツ50の貫通孔359は、コネクタ3の貫通孔を構成しない。コネクタ3の貫通孔は、コネクタパーツ10及び接続パーツ30の2部品で構成される。コネクタ3の貫通孔の内周面は、継ぎ目や、隙間、段差が少なく、これは、コネクタ3内になめらかな流路を形成するのに有利である。
【0085】
本実施形態3においても、コネクタパーツ10についての値C1が、ジョイントパーツ50についての値C2よりも大きい(C1>C2)。
【0086】
上記を除いて、本実施形態3は、実施形態1または2と同じである。本実施形態3のうち実施形態1または2と共通する部分については、実施形態1または2の説明が本実施形態3にも同様に適用される。
【0087】
実施形態1のチューブ80及び貫通孔39を、チューブ280及び貫通孔239に代えて本実施形態3に適用することができる。
【0088】
上記の実施形態1~3は例示に過ぎない。本発明は、上記の実施形態1~3に限定されず、適宜変更することができる。
【0089】
本発明のコネクタを構成する部品の材料は、任意に選択することができる。コネクタパーツ10とジョイントパーツ50とは、同一材料で構成されることが好ましいが、互いに固着することができるのであれば、異種材料で構成されていてもよい。接続パーツ30とチューブ80とは、同一材料で構成されることが好ましいが、互いに接着することができるのであれば、異種材料で構成されていてもよい。接続パーツ30とジョイントパーツ50とは、異種材料で構成されることが好ましいが、同一材料で構成されていてもよい。
【0090】
本発明では、コネクタパーツ10とジョイントパーツ50とは互いに固着される。
【0091】
上記の実施形態1~3では、コネクタパーツ10の第1ジョイント筒にジョイントパーツ50の第2ジョイント筒が嵌入され、第1ジョイント筒と第2ジョイント筒とが溶着又は接着された。但し、本発明では、溶着又は接着により固着される部分の構成はこれに限定されない。
【0092】
例えば、ジョイントパーツ50の第2ジョイント筒にコネクタパーツ10の第1ジョイント筒が嵌入されてもよい。この構成を実施形態1に適用すれば、コネクタパーツ10の第1ジョイント筒12の外周面にオス嵌合面(オステーパ面)が設けられ、ジョイントパーツ50の第2ジョイント筒52の内周面には当該オス嵌合面にテーパ嵌合するメス嵌合面(メステーパ面)が設けられる。この場合も、第1ジョイント筒と第2ジョイント筒とが溶着又は接着される。
【0093】
本発明では、好ましくは、コネクタパーツ10の第1ジョイント筒とジョイントパーツ50の第2ジョイント筒とが互いに嵌合される。好ましくは、第1ジョイント筒と第2ジョイント筒とは半径方向に対向する。これは、第1ジョイント筒と第2ジョイント筒とを、半径方向外側からレーザ溶着するのに有利である。但し、本発明では、第1ジョイント筒及び第2ジョイント筒以外の箇所でコネクタパーツ10とジョイントパーツ50とが溶着されてもよい。コネクタパーツ10とジョイントパーツ50とは、これらが半径方向に互いに対向している箇所で溶着される必要はなく、例えばコネクタパーツ10とジョイントパーツ50とが軸方向に互いに対向している箇所で溶着されてもよい。一例では、実施形態2において、コネクタパーツ10の下面26aとジョイントパーツ50の第2ジョイント筒252とを軸方向に当接させた状態で、筒部材21と外筒27との間の隙間を介してこれらにレーザ光を照射することができる。この場合、コネクタパーツ10とジョイントパーツ50とは、これらが軸方向に互いに対向している箇所で溶着される。これは、実施形態1,3にも同様に適用しうる。
【0094】
本発明では、溶着方法は、レーザ溶着に限定されず、例えば超音波溶着であってもよい。
【0095】
コネクタパーツ10とジョイントパーツ50とを接着により固着する場合、接着剤は、コネクタパーツ10とジョイントパーツ50とが半径方向に対向する部分、または、コネクタパーツ10とジョイントパーツ50とが軸方向に対向する部分など任意の部分に付与することができる。コネクタパーツ10とジョイントパーツ50との間に付与された接着剤が、両パーツ10,50の間にシールを形成してもよい。
【0096】
本発明では、チューブは、接続パーツ30の基管38に接着される。実施形態1では、チューブ80の基端面81がコネクタパーツ10の貫通孔19内に位置していた。実施形態2,3では、チューブ280の基端面281が接続パーツ30の貫通孔239内に位置していた。本発明では、コネクタに対するチューブの挿入深さは、これらに限定されない。チューブの基端面は、本発明のコネクタを軸方向に貫通する貫通孔内の任意の位置に配置することができる。例えば、チューブの基端面は、ジョイントパーツ50の第2ジョイント筒と軸方向の位置が同じであってもよい。あるいは、チューブの基端面が筒部材21の先端と同一平面を構成していてもよい。但し、本発明では、チューブは、コネクタパーツ10の貫通孔19には挿入されていないことが好ましい。チューブの基端面は、接続パーツ30の貫通孔内に存在することが特に好ましい。
【0097】
実施形態2,3では、コネクタに対するチューブの挿入深さを規制するために、チューブが挿入される貫通孔の内周面に環状突起239cが設けられていた。但し、本発明では、コネクタに対するチューブの挿入深さを規制するための構造(挿入深さ規制構造)は、環状突起239c以外の任意の構成を採用しうる。例えば、ジョイントパーツ50の貫通孔の内径を接続パーツ30の貫通孔の内径より小さくし、両者の内径差によって生じる段差にチューブの基端面を当接させてもよい。コネクタが挿入深さ規制構造を備えていなくてもよい。
【0098】
コネクタを軸方向に貫通する貫通孔(実施形態1であれば、コネクタの貫通孔は、貫通孔19,39,59で構成される)のうちチューブが挿入されていない部分は、コネクタの流路を構成し、当該流路を液体が流れる。上述したように、接続パーツとジョイントパーツとは二色成形により一体的に形成されて複合部品を構成し、複合部品とコネクタパーツとの間には液密なシールが形成されている。したがって、コネクタの流路を流れる液体が、隣り合う部品間を通って外界に漏れ出ることはない。
【0099】
コネクタの貫通孔の内径は、軸方向において一定であってもよいし、変化していてもよい。
【0100】
本発明のコネクタの用途に制限はない。上記の実施形態1~3のコネクタは経鼻経管栄養カテーテルに適用可能なオスコネクタであったが、本発明のコネクタはこれ以外の用途にも適用できる。具体的には、本発明のコネクタは、経鼻以外の経管栄養カテーテルや、経管栄養以外の用途に使用されるカテーテル(例えば尿道カテーテルや気管挿管カテーテル、輸液用カテーテル、血液用カテーテル)に適用することができる。コネクタの用途に応じて、コネクタの構成は適宜変更される。本発明のコネクタは、オスコネクタである必要はなく、メスコネクタであってもよい。例えば、本発明のコネクタは、経鼻経管栄養に使用されるメスコネクタ(例えば特許文献2の
図5A、
図5B参照)と互換性を有するように構成されていてもよい。この場合、接続部を構成する筒部材は、オス部材が挿抜されるメス部材として機能する。メス部材としての筒部材の内周面には、オス部材のオステーパ面とテーパ嵌合可能なメステーパ面が形成され、当該筒部材の外周面には、相手方コネクタ(オスコネクタ)の雌ネジに螺合する雄ネジが設けられる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、流体が流れるチューブの末端(先端または基端)に設けられるコネクタとして広範囲に利用することができる。流体は、液体及び気体のいずれでもよいが、液体が好ましい。本発明は、医療分野において、流体(例えば、液状の栄養剤、薬液、輸液、血液など)が流れる流路を形成する際に使用されるチューブに設けられるコネクタとして好ましく利用することができる。本発明のコネクタは、経管栄養カテーテルに特に好ましく利用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1,2,3 コネクタ(オスコネクタ)
10 コネクタパーツ
12,212 第1ジョイント筒
13,313 メス嵌合面
20 接続部
21 筒部材(オス部材)
27 外筒
28 ネジ(雌ネジ)
30 接続パーツ
38 基管
50 ジョイントパーツ
52,252 第2ジョイント筒
53,353 オス嵌合面
60 複合部品
255 環状リブ
80,280 チューブ