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特開2023-139810生体情報取得システム、及び、電極シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139810
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】生体情報取得システム、及び、電極シート
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/304 20210101AFI20230927BHJP
   A61B 5/308 20210101ALI20230927BHJP
   A61B 5/26 20210101ALI20230927BHJP
   A61B 5/277 20210101ALI20230927BHJP
   A61B 5/107 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
A61B5/304
A61B5/308
A61B5/26 100
A61B5/277
A61B5/107 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045527
(22)【出願日】2022-03-22
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、総務省戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)「電波有効利用促進型研究開発/先進的電波有効利用型/フェーズII/研究課題名:柔軟伸縮素材を伝送媒体とする接触・非接触併用型二次元通信の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】502340996
【氏名又は名称】学校法人法政大学
(71)【出願人】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】日本メクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】中村 壮亮
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 雅之
【テーマコード(参考)】
4C038
4C127
【Fターム(参考)】
4C038VA15
4C038VB01
4C038VB33
4C127AA02
4C127EE01
4C127EE03
(57)【要約】
【課題】より正確な電気的パラメータ及び生体情報を取得することが可能な構造の生体情報取得システムを提供する。
【解決手段】生体情報取得システム200は、アレイ状に配置されている複数の電極30を有する可撓性の電極シート100を備え、複数の電極30が生体300に対して非接触となるように電極シート100を生体300に沿わせて配置した状態で、複数の電極30から電気的パラメータを取得し、取得した電気的パラメータに基づいて、生体情報の取得に用いられる電極30を選択する電極選択部と、複数の電極30が生体300に対して非接触となるように電極シート100を生体300に沿わせて配置した状態で、電極選択部により選択された電極30から生体情報を取得する生体情報取得部と、を備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ状に配置されている複数の電極を有する可撓性の電極シートと、
前記複数の電極が生体に対して非接触となるように前記電極シートを前記生体に沿わせて配置した状態で、前記複数の電極から電気的パラメータを取得し、取得した電気的パラメータに基づいて、生体情報の取得に用いられる電極を選択する電極選択部と、
前記複数の電極が前記生体に対して非接触となるように前記電極シートを前記生体に沿わせて配置した状態で、前記電極選択部により選択された前記電極から前記生体情報を取得する生体情報取得部と、
を備える生体情報取得システム。
【請求項2】
前記電極選択部は、人工知能による判定動作によって、前記生体情報の取得に用いられる電極を選択する請求項1に記載の生体情報取得システム。
【請求項3】
前記電極選択部は、前記電気的パラメータとして、静電容量の変化を検出し、検出した変化に基づいて、前記生体の姿勢を判定し、姿勢の判定結果に基づいて、前記生体情報の取得に用いられる前記電極を選択する請求項1又は2に記載の生体情報取得システム。
【請求項4】
前記電極選択部は、3点誘導法による心電波形の取得に適した3箇所の電極を選択し、
前記生体情報取得部は、前記生体情報として、3点誘導法により心電波形を取得する請求項1から3のいずれか一項に記載の生体情報取得システム。
【請求項5】
前記電極シートは、相互に接続されている複数の単位シートを備え、
前記単位シートの各々は、伸縮性基材と、前記伸縮性基材上に形成されていて互いに並列に延在している複数の伸縮性配線と、前記複数の伸縮性配線のうち2つ以上の伸縮性配線の一端にそれぞれ形成されている前記複数の電極と、を有し、
前記複数の単位シートは、前記複数の電極の並び方向に並んで配置されており、
一の前記単位シートの前記伸縮性配線のうち、前記電極にて終端していない前記伸縮性配線の各々は、当該一の単位シートに隣接する他の単位シートの前記伸縮性配線に対して個別に接続されている請求項1から4のいずれか一項に記載の生体情報取得システム。
【請求項6】
前記複数の単位シートは、中継シートを介して相互に接続されており、
前記中継シートの各々は、伸縮性中継基材と、前記伸縮性中継基材上に形成されていて互いに並列に延在している複数の伸縮性中継配線と、を有し、
前記一の単位シートの前記伸縮性配線と前記他の単位シートの前記伸縮性配線とは、前記伸縮性中継配線を介して相互に接続されている請求項5に記載の生体情報取得システム。
【請求項7】
相互に接続されている複数の単位シートを備え、
前記単位シートの各々は、伸縮性基材と、前記伸縮性基材上に形成されていて互いに並列に延在している複数の伸縮性配線と、前記伸縮性配線のうち2つ以上の伸縮性配線の一端にそれぞれ形成されている複数の電極と、を有し、
前記複数の単位シートは、前記複数の電極の並び方向に並んで配置されており、
一の前記単位シートの前記伸縮性配線のうち、前記電極にて終端していない前記伸縮性配線の各々は、当該一の単位シートに隣接する他の単位シートの前記伸縮性配線に対して個別に接続されている電極シート。
【請求項8】
前記複数の伸縮性配線を覆う伸縮性カバーが、前記伸縮性基材に重ねて配置されており、
前記複数の伸縮性配線において、隣の前記単位シート側の端部は、前記伸縮性カバーから露出している接続端子部となっている請求項7に記載の電極シート。
【請求項9】
前記複数の単位シートは、中継シートを介して相互に接続されており、
前記中継シートの各々は、伸縮性中継基材と、前記伸縮性中継基材上に形成されていて互いに並列に延在している複数の伸縮性中継配線と、を有し、
前記一の単位シートの前記伸縮性配線と前記他の単位シートの前記伸縮性配線とは、前記伸縮性中継配線を介して相互に接続されている請求項7又は8に記載の電極シート。
【請求項10】
前記伸縮性配線の配線幅よりも、前記伸縮性中継配線の配線幅が大きい請求項9に記載の電極シート。
【請求項11】
当該電極シートを取付対象物に対して貼り付けるための粘着層又は接着層を有する請求項7から10のいずれか一項に記載の電極シート。
【請求項12】
前記複数の単位シートのうち、前記複数の単位シートの並び方向における一端に位置する単位シートの、他の単位シート側とは反対側に位置する端部には、外部接続端子部が設けられており、
前記外部接続端子部は、
非伸縮性基材と、
前記非伸縮性基材上に形成されていて前記伸縮性配線と接続されている引出配線と、
を有し、
前記引出配線の一部分により外部接続端子が構成されている請求項7から11のいずれか一項に記載の電極シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報取得システム、及び、電極シートに関する。
【背景技術】
【0002】
電極と生体との間に絶縁物を介在させた状態で、容量結合型電極によって生体の生体信号を取得する生体情報取得システムとしては、例えば、非特許文献1に記載のものがある。
非特許文献1の生体情報取得システムは、アレイ状に配置されている複数の電極を有する硬質の基板を有し、基板において複数の電極は外部に露出しており、生体信号を取得する際には、被験者(生体)の衣服が絶縁物となり、電極、被験者の衣服(絶縁物)及び被験者の皮膚によってコンデンサが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】S.NAKAMURA et al,"Capacitively Coupled Electrode Array Sensors for Body Posture and ECG MeasurementDuring Sleep",vоl.9,p24363-24372,2021,IEEE Access/2021.3057256
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1に記載の生体情報取得システムは、より正確な心電波形を取得する観点から、なお改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、より正確な生体情報の取得が可能な構造の生体情報取得システム、及び、電極シートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、アレイ状に配置されている複数の電極を有する可撓性の電極シートと、
前記複数の電極が生体に対して非接触となるように前記電極シートを前記生体に沿わせて配置した状態で、前記複数の電極から電気的パラメータを取得し、取得した電気的パラメータに基づいて、生体情報の取得に用いられる電極を選択する電極選択部と、
前記複数の電極が前記生体に対して非接触となるように前記電極シートを前記生体に沿わせて配置した状態で、前記電極選択部により選択された前記電極から前記生体情報を取得する生体情報取得部と、を備える生体情報取得システムが提供される。
【0007】
また、本発明によれば、相互に接続されている複数の単位シートを備え、
前記単位シートの各々は、伸縮性基材と、前記伸縮性基材上に形成されていて互いに並列に延在している複数の伸縮性配線と、前記伸縮性配線のうち2つ以上の伸縮性配線の一端にそれぞれ形成されている複数の電極と、を有し、
前記複数の単位シートは、前記複数の電極の並び方向に並んで配置されており、
一の前記単位シートの前記伸縮性配線のうち、前記電極にて終端していない前記伸縮性配線の各々は、当該一の単位シートに隣接する他の単位シートの前記伸縮性配線に対して個別に接続されている電極シートが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電極シートを生体の体表面の凹凸に追従させて配置することが容易となるので、より正確な電気的パラメータ及び生体情報をそれぞれ取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る電極シートを示す模式的な平面図である。
図2】第1実施形態に係る電極シートを示す模式的な端面図である。
図3】第1実施形態に係る電極シートを示す模式的な分解端面図である。
図4】第1実施形態における第1単位シートを示す模式的な平面図である。
図5図5(a)は図1に示すA部の部分拡大図であり、図5(b)は図5(a)に示すA部の部分拡大図である。
図6図6(a)は図1に示すB部の部分拡大図であり、図6(b)は図6(a)に示すA部の部分拡大図である。
図7図2に示すA部の部分拡大図である。
図8図8(a)及び図8(b)は第1実施形態における容量結合型電極を説明する図である。
図9】第1実施形態に係る生体情報取得システムのブロック図である。
図10】第1実施形態における3点誘導法を説明する図である。
図11】第1実施形態における電極シートユニットの平面図である。
図12】第1実施形態における電極シートユニットがシーツに貼付された状態を示す模式図である。
図13図13(a)、図13(b)及び図13(c)は第1実施形態における生体の姿勢を示す模式図であり、このうち図13(a)は左向き側臥位、図13(b)は仰臥位、図13(c)は右向き側臥位を示す。
図14図14(a)、図14(b)及び図14(c)は第1実施形態における電極選択部によって選択される3箇所の電極の一例を示す平面図であり、このうち図14(a)は図13(a)の姿勢において選択される3箇所の電極、図14(b)は図13(b)の姿勢において選択される3箇所の電極、図14(c)は図13(c)の姿勢において選択される3箇所の電極を示す。
図15図15(a)は第1実施形態に係る生体情報取得システムを用いて取得された心電図であり、図15(b)は図15(a)に示すA部の部分拡大図である。
図16】第1実施形態の変形例に係る電極シートを示す模式的な端面図である。
図17】第2実施形態に係る電極シートを示す模式的な端面図である。
図18】第2実施形態に係る電極シートを示す模式的な分解端面図である。
図19図19(a)、図19(b)及び図19(c)は実施例1~3における静電容量の分布をグレースケールで表示した画像データである。
図20図20(a)、図20(b)及び図20(c)は比較例1~3における静電容量の分布をグレースケールで表示した画像データである。
図21】実施例4における伸縮性配線の抵抗値の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図1から図15(b)を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。また、図2及び図3においては、図1のC-C線に沿った電極シート100の切断端面を示している。また、図1及び図4において、電極シート100における電極30及び伸縮性配線20以外の構成要素を二点鎖線で図示している。また、図5(b)及び図6(b)においては、伸縮性配線20及び伸縮性中継配線43以外の構成要素を二点鎖線で図示している。
【0011】
図1から図3に示すように、本実施形態に係る生体情報取得システム200は、アレイ状に配置されている複数の電極30を有する可撓性の電極シート100を備えている。
また、生体情報取得システム200は、複数の電極30が生体300に対して非接触となるように電極シート100を生体300に沿わせて配置した状態(図12参照)で、複数の電極30から電気的パラメータを取得し、取得した電気的パラメータに基づいて、生体情報の取得に用いられる電極30を選択する電極選択部と、複数の電極30が生体300に対して非接触となるように電極シート100を生体300に沿わせて配置した状態で、電極選択部により選択された電極30から生体情報を取得する生体情報取得部と、を備える。
なお、ここでいう「電極30を選択する」とは、「複数の電極30のうち一部の電極30のみを選択する」ことを意味しており、「複数の電極30を全て選択する」ことは意味していない。
【0012】
生体情報取得システム200において、生体情報の取得は、複数の電極30と生体300(例えば、皮膚360)との間に、絶縁物350(例えば、衣服等)を介在させた状態で行う。すなわち、生体情報取得システム200は、容量結合型電極によって生体情報を取得する。より詳細には、図8(a)及び図8(b)に示すように、電極30、絶縁物350及び皮膚360によってコンデンサ370が形成されるので、生体情報取得部は、生体300から電気信号を取得することができる。そして、生体情報取得部は、取得した電気信号に基づいて、心電波形、心拍及び呼吸等の生体情報を取得することができる。
また、複数の電極30、絶縁物350及び皮膚360によってコンデンサ370が形成されることにより、例えば、各電極30に蓄積された静電容量も取得(計測)することもできる(詳細後述)。
ここで、より正確な電気的パラメータ及び生体情報を取得する観点から、複数の電極30のうち、生体300と対応する位置に配置されている電極30の各々は、生体300の体表面の凹凸に追従して配置されることが好ましい。
【0013】
本実施形態によれば、複数の電極30を有する電極シート100は可撓性であるため、当該電極シート100は生体300の体表面の凹凸に追従して伸縮及び湾曲することができる。
これにより、硬質の基板に複数の電極30が形成されている場合と比較して、電極シート100が有する複数の電極30のうち、生体300と対応する位置に配置されている電極30の各々を、生体300の体表面の凹凸に追従させて配置することが容易となる。この結果、電極30、絶縁物350及び皮膚360によって形成されるコンデンサ370の容量を安定的に確保することができるので、より正確な電気的パラメータ及び生体情報をそれぞれ取得することができる。
また、電極シート100が可撓性であることにより、当該電極シート100の柔軟性及び透湿性を十分に確保することができる。
よって、より低侵襲且つ快適な使用感の電極シート100ひいては生体情報取得システム200を実現することができる。
【0014】
先ず、生体情報取得システム200の電極シート100についてより詳細に説明する。
以下では、電極シート100の各構成要素同士の位置関係などを説明するに際し、図2における上側を、上側又は上方などと称し、その反対側を下側又は下方などと称する。また、図2における左側を、左側又は左方などと称し、その反対側を右側又は右方などと称する。しかし、これらの方向の規定は便宜的なものであり、電極シート100の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
また、図1図3における左右方向をX方向と称し、図2における上下方向をY方向と称する。X方向及びY方向は、電極シート100の面方向に対して平行な方向(水平方向)であり、図2における上下方向(電極シート100の面直方向)に対して直交している。
【0015】
図1に示すように、電極シート100は、例えば、相互に接続されている複数の単位シート10を備えている。
これにより、各単位シート10を、電極シート100が1枚のシート材である場合と比較して、相対的に小さい寸法で形成することができるので、当該単位シート10を歩留まりよく製造できる。更には、小さい寸法で製造した複数の単位シート10について良品選別を行ったうえで相互に接続し1枚の電極シート100とするため、容易に高品質且つ所望の寸法の電極シート100を製造することができる。
本実施形態の場合、一例として、電極シート100は、単位シート10として、左右方向(X方向)に並んで配置されている3枚の単位シート10を備えている。
以下、これらの3枚の単位シート10を、右から順に、第1単位シート10a、第2単位シート10b及び第3単位シート10cとそれぞれ称する。
単位シート10(第1単位シート10a~第3単位シート10c)の各々は、例えば、平面視においてX方向に長尺な略矩形状に形成されている。すなわち、単位シート10の各々の長手方向は、当該単位シート10の並び方向に一致している。
なお、本発明において、電極シート100が備える単位シート10の数は特に限定されず、電極シート100の用途、電極シート100の取付対象物の形状及び外形寸法等に応じて適宜設定することができる。
また、本発明において、電極シート100は、複数の単位シート10を備えておらず、1枚のシート材によって構成されていてもよい。
【0016】
図1から図3のいずれかに示すように、各単位シート10は、シート状に形成されている積層体である。より詳細には、単位シート10(第1単位シート10a~第3単位シート10c)の各々は、伸縮性基材11と、伸縮性基材11上に形成されていて互いに並列に延在している複数の伸縮性配線20と、複数の伸縮性配線20のうち2つ以上の伸縮性配線20の一端にそれぞれ形成されている複数の電極30と、複数の伸縮性配線20を覆う伸縮性カバー50と、を備えている。
図1図2図5(a)及び図6(a)に示すように、例えば、単位シート10の並び方向(すなわちX方向)において、一の単位シート10と、当該一の単位シート10に隣接する他の単位シート10と、の間には間隙が形成されている。ただし、本発明において、互いに隣接する単位シート10同士の間には隙間が形成されていなくてもよい。
一の単位シート10と、当該一の単位シート10に隣接する他の単位シート10と、の間隙は、1.5mm以下が好ましく、本実施形態の場合、一例として、1mmである。
【0017】
伸縮性基材11は、面内方向の少なくとも一方向に伸縮が可能な薄膜のシート材である。好ましくは、伸縮性基材11は、面内方向の二方向に伸縮が可能である。伸縮性基材11の面内方向の伸縮性は等方性でもよく、又は面内の複数方向への伸縮性が互いに異なる異方性でもよい。なお、ここでいう伸縮性とは、伸縮性基材11に張力が作用して伸び、また、伸縮性基材11が圧縮力に応じて収縮する性質をいい、伸縮性基材11は収縮するよりも伸びることによる寸法形状の変化が大きい。
このような構成によれば、電極シート100が生体300に沿って配置されている状態において、伸縮性基材11が、生体300の体表面の凹凸に追従して伸縮及び湾曲することができる。これにより、電極シート100が有する複数の電極30のうち、生体300と対応する位置に配置されている電極30と生体300との間の間隙を均一にすることができる。よって、電極30、絶縁物350及び皮膚360によって形成されるコンデンサ370の容量をより安定的に確保することができる。
【0018】
伸縮性基材11は、例えば、熱可塑性樹脂を含んで構成されている。熱可塑性樹脂は、50℃以上でホットメルト特性を発現するものであることが好ましい。また、伸縮性基材11は、例えば、絶縁性を有する材料によって構成されている。
伸縮性基材11を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、ニトリルゴム、ラテックスゴム、ウレタン系エラストマー等のエラストマー材料等を挙げることができる。
伸縮性基材11の厚み寸法は、特に限定されないが、例えば、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは25μm以下である。
【0019】
伸縮性基材11は、最大伸び率が、10%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、100%以上であることがさらに好ましく、200%以上であることが特に好ましい。上述のように構成されている伸縮性基材11であれば、例えば、最大伸び率300%以上を発揮することが可能である。ここで伸縮性基材11の最大伸び率とは、面内方向の一方向に弾性変形可能な伸び率の最大値のことをいう。
なお、本実施形態において、伸び率とは、外力が付加されていない場合の寸法(以下、伸び率0%寸法)に対し、力が加えられることで面内方向の一方向に伸びた割合を意味する。たとえば伸び率50%であれば伸び率0%寸法の1.5倍の伸び率であり、伸び率100%であれば伸び率0%寸法の2倍の伸び率である。
【0020】
図2及び図3に示すように、複数の電極30は、例えば、伸縮性基材11の一方の面11a上に直に形成されている。
本実施形態の場合、電極シート100において、複数の電極30は、例えば、Y方向において2行配置されており、各行には15個の電極30がX方向に並んで配置されている。すなわち、電極シート100において、2行15列の合計30個の電極30が配置されている。
より詳細には、単位シート10(第1単位シート10a~第3単位シート10c)の各々において、複数の電極30は、例えば、Y方向において2行配置されており、各行には5つの電極30がX方向に並んで配置されている。すなわち、単位シート10の各々において、2行5列の合計30個の電極30が配置されている。
以下の説明において、Y方向における一方側の行に配置されている複数の電極30をそれぞれ第1電極30aと称し、Y方向における他方側の行に配置されている複数の電極30をそれぞれ第2電極30bと称する。
複数の第1電極30aは、隣の単位シート10が備える複数の第1電極30aとX方向に一列に(直線状に)並んで配置されており、複数の第2電極30bは、隣の単位シート10が備える複数の第2電極30bとX方向に一列に(直線状に)並んで配置されている。
各電極30は、例えば、互いに同一形状及び同一寸法に設定されている。
各電極30は、例えば、平面視において、Y方向に若干長尺な略矩形状に形成されている。
なお、本発明において、単位シート10の各々が備える電極30の数は特に限定されず、電極シート100の用途、電極シート100の取付対象物の形状及び外形寸法等に応じて適宜設定することができる。
複数の電極30の各々は、一例として、X方向における寸法が40mmであり、Y方向における寸法が50mmである。
複数の電極30は、X方向において互いに離間しているとともに等間隔に配置されている。X方向において隣り合う電極30同士の間の間隔は、例えば、10mm以上30mm以下であることが好ましく、本実施形態の場合、一例として、20mmである。
同様に、Y向において、複数の電極30は互いに離間して配置されている。Y方向において隣り合う電極30同士の間の間隔は、例えば、10mm以上30mm以下であることが好ましく、本実施形態の場合、一例として、20mmである。
このような構成によれば、単位シート10において、隣り合う電極30が互いに干渉してしまうことを抑制できる。
ただし、本発明において、隣り合う電極30同士の間の間隔はこの例に限定されない。
また、図1及び図4に示すように、本実施形態の場合、Y方向において、第1電極30aの各々の上縁と、電極シート100の上縁との離間距離は、第2電極30bの各々の下縁と電極シート100の下縁との離間距離よりも小さい。
このようにすることにより、後述するように複数の電極シート100をY方向に互いに近接させて並べた状態(図11参照)において、複数の電極30をY方向において等間隔に配置することができる。
【0021】
図2及び図3に示すように、複数の伸縮性配線20は、例えば、伸縮性基材11の一方の面11a上に直に形成されている。伸縮性配線20の各々は、例えば、X方向に延在している。より詳細には、伸縮性配線20の各々は、例えば、X方向に延在する部分と後述するように上り傾斜している部分とを含むが、全体としては概ねX方向に延在している。
また、各単位シート10(第1単位シート10a~第3単位シート10c)は、複数の伸縮性配線20として、複数の第1伸縮性配線20aと、複数の第2伸縮性配線20bと、を備えている。
複数の第1伸縮性配線20aの各々は、例えば、Y方向において、複数の第1電極30aよりも他方側(図1及び図4における下方)に配置されている。
同様に、複数の第2伸縮性配線20bの各々は、例えば、Y方向において、複数の第2電極30bよりも他方側(図1及び図4における下方)に配置されている。
一の単位シート10において、複数の第1伸縮性配線20aのうち、2つ以上の第1伸縮性配線20aの一端には、それぞれ第1電極30aが形成されている。すなわち、2つ以上の第1伸縮性配線20aは、第1電極30aにて終端している。一方、第1電極30aにて終端していない残りの第1伸縮性配線20aの各々は、一例として、伸縮性基材11の左側端から右側端に亘って延在している。
同様に、一の単位シート10において、複数の第2伸縮性配線20bのうち、2つ以上の第2伸縮性配線20bの一端には、それぞれ第2電極30bが形成されている。すなわち、2つ以上の第2伸縮性配線20bは、第2電極30bにて終端している。一方、第2電極30bにて終端していない残りの第2伸縮性配線20bの各々は、一例として、伸縮性基材11の左側端から右側端に亘って延在している。
ただし、後述するように、第3単位シート10cにおいては、すべての第1伸縮性配線20aが第1電極30aで終端しており、第1電極30aにて終端していない第1伸縮性配線20aはない。同様に、第3単位シート10cにおいては、すべての第2伸縮性配線20bが第2電極30bで終端しており、第2電極30bにて終端していない第1伸縮性配線20bはない。
【0022】
伸縮性カバー50は、例えば、伸縮性基材11の一方の面11a上に重ねて配置されている。
伸縮性カバー50は、複数の伸縮性配線20と、複数の電極30と、をそれぞれ覆っている。より詳細には、伸縮性カバー50の下面は、伸縮性配線20及び電極30の各々の形成領域を除き、伸縮性基材11の上面(一方の面11a)に対して、実質的に全面的に直に接している。
【0023】
伸縮性カバー50は、伸縮性基材11と同様に、熱可塑性樹脂を含んで構成されている。
また、伸縮性カバー50を構成している材料は、特に限定されないが、例えば、伸縮性基材11と同様のエラストマー材料であり、絶縁性及び伸縮性を有する。
ただし、伸縮性カバー50は、少なくとも絶縁性及び伸縮性を有する材料によって構成されていればよく、伸縮性基材11とは異なる材料によって構成されていてもよい。
伸縮性カバー50の厚み寸法は、特に限定されないが、電極シート100の伸縮性を十分に確保する観点からは、例えば、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは25μm以下である。
【0024】
ここで、図5(a)、図6(b)、図7に示すように、複数の伸縮性配線20において、隣の単位シート10側の端部は、伸縮性カバー50から露出しており、当該一の単位シート10に隣接する他の単位シート10の伸縮性配線20に対して接続されている接続端子部25(以下に説明する第1接続端子部25a~第4接続端子部25d)となっている。
より詳細には、図1及び図4等に示すように、伸縮性基材11及び伸縮性カバー50の各々は、X方向に長尺な略矩形状に形成されている。ただし、X方向において、伸縮性カバー50の長さ寸法は、伸縮性基材11の長さ寸法よりも小さい。
第1単位シート10aにおいて、複数の伸縮性配線20のうち、伸縮性基材11の左側縁部まで延在している伸縮性配線20(電極30にて終端していない伸縮性配線20)の各々の左端部は、伸縮性カバー50の左側端から露出しており、第2単位シート10bの伸縮性配線20に対して接続されている第1接続端子部25a(図5(b)及び図7参照)となっている。
第2単位シート10bにおいて、伸縮性配線20の右端部の各々は、伸縮性カバー50の右側端から露出しており、第1単位シート10aの伸縮性配線20に対して接続されている第2接続端子部25b(図5(b)及び図7)となっている。また、第2単位シート10bにおいて、複数の伸縮性配線20のうち、伸縮性基材11の左側縁部まで延在している各伸縮性配線20(同上)の左端部の各々は、伸縮性カバー50の左側端から露出しており、第3単位シート10cの伸縮性配線20に対して接続されている第3接続端子部25c(図6(b)参照)となっている。
第3単位シート10cにおいて、伸縮性配線20の右端部の各々は、伸縮性カバー50の右側端から露出しており、第2単位シート10bの伸縮性配線20に対して接続されている第4接続端子部25d(図6(b)参照)となっている。
第1単位シート10aが備える第1接続端子部25aの数は、第2単位シート10bが備える第2接続端子部25bの数と同数であり、一の第1接続端子部25aに対して一の第2接続端子部25bが接続されている。同様に、第2単位シート10bが備える第3接続端子部25cの数は、第3単位シート10cが備える第4接続端子部25dの数と同数であり、一の第3接続端子部25cに対して一の第4接続端子部25dが接続される。
図5(b)に示すように、第1接続端子部25aの各々は、対応する第2接続端子部25bの延長線上に配置されており、後述する伸縮性中継配線43を介して当該第2接続端子部25bと接続されている。同様に、第3接続端子部25cの各々は、対応する第3接続端子部25cの延長線上に配置されており、後述する伸縮性中継配線43を介して当該第4接続端子部25dと接続されている。
【0025】
また、本実施形態の場合、各単位シート10が備える伸縮性配線20(第1伸縮性配線20a及び第2伸縮性配線20b)の数は、第1単位シート10a、第2単位シート10b、第3単位シート10cの順に少なくなっている。
より詳細には、第1単位シート10aにおいて、例えば、15本の第1伸縮性配線20aが形成されており、このうち5本の第1伸縮性配線20aの各々の左端に1つずつの第1電極30aが形成されている。残り(10本)の複数の第1伸縮性配線20aの各々の左端部が、それぞれ第1接続端子部25aとなっている。同様に、第1単位シート10aにおいては、例えば、15本の第2伸縮性配線20bが形成されており、このうち5本の第2伸縮性配線20bの各々の左端に1つずつの第2電極30bが形成されている。残り(10本)の複数の第2伸縮性配線20bの各々の左端部が、それぞれ第1接続端子部25aとなっている。
第2単位シート10bにおいては、例えば、10本の第1伸縮性配線20aが形成されており、このうち5本の第1伸縮性配線20aの各々の左端に1つずつの第1電極30aが形成されている。残り(5本)の複数の第1伸縮性配線20aの各々の左端部は、それぞれ第3接続端子部25cとなっている。同様に、第2単位シート10bにおいては、例えば、10本の第2伸縮性配線20bが形成されており、このうち5本の第2伸縮性配線20bの各々の左端に1つずつの第2電極30bが形成されている。残り(5本)の複数の第2伸縮性配線20bの各々の右端部は、それぞれ第2接続端子部25bとなっており、左端部はそれぞれ第3接続端子部25cとなっている。
第3単位シート10cにおいては、例えば、5本の第1伸縮性配線20aが形成されており、これら5本の第1伸縮性配線20aの各々の左端に1つずつの第1電極30aが形成されている。同様に、第3単位シート10cにおいては、例えば、5本の第2伸縮性配線20bが形成されており、これら5本の第2伸縮性配線20bの各々の左端に1つずつの第1電極30aが形成されている。すなわち、第3単位シート10cには、第1電極30aにて終端していない第1伸縮性配線20a、及び、第2電極30bにて終端にしていない第2伸縮性配線20bは形成されていない。
【0026】
このように、複数の単位シート10は、例えば、複数の電極30の並び方向(本実施形態の場合、X方向)に並んで配置されており、一の単位シート10の伸縮性配線20のうち、電極30にて終端していない伸縮性配線20の各々は、当該一の単位シート10に隣接する他の単位シート10の伸縮性配線20に対して個別に接続されている。
なお、ここで、本実施形態のように複数の電極30が、Y方向(行)に並んでいるとともに、X方向(列)にも並んでいる場合、「複数の電極30の並び方向」とは、行と列のうち数が多い方の並び方向を意味する。
また、上述のように、単位シート10の各々は、X方向に長尺な略矩形状に形成されている。したがって、単位シート10の各々の長手方向は、複数の電極30の並び方向と一致している。
同様に、上述のように、伸縮性配線20の各々は、X方向に延在している。したがって、伸縮性配線20の各々の延在方向も、複数の電極30の並び方向と一致している。
【0027】
ここで、複数の単位シート10は、例えば、中継シート40(図5(a)及び図6(a)参照)を介して相互に接続されている。
本実施形態の場合、電極シート100は、例えば、中継シート40として、第1単位シート10aと第2単位シート10bとを相互に接続している第1中継シート40aと、第2単位シート10bと第3単位シート10cとを相互に接続している第2中継シート40bと、を備える。
第1中継シート40a及び第2中継シート40bの各々の外形形状は、例えば、平面視において互いに同一寸法及び同一形状に形成されている。
第1中継シート40a及び第2中継シート40bの各々は、例えば、平面視において、Y方向に長尺な略矩形状に形成されている。
より詳細には、本実施形態の場合、第1中継シート40aは、例えば、第1単位シート10aの左側縁部から第2単位シート10bの右側縁部に跨って配置されている。
同様に、第2中継シート40bは、例えば、第2単位シート10bの左側縁部から第3単位シート10cの右側縁部に跨って配置されている。
【0028】
中継シート40(第1中継シート40a及び第2中継シート40b)の各々は、伸縮性中継基材41と、伸縮性中継基材41上に形成されていて互いに並列に延在している複数の伸縮性中継配線43と、を有している。
図5(a)から図7に示すように、一の単位シート10の伸縮性配線20と他の単位シート10の伸縮性配線20とは、伸縮性中継配線43を介して相互に接続されている。これにより、中継シート40は、隣り合う単位シート10を相互に接続している。ただし、本発明において、中継シート40は、不図示の粘着層を備えており、当該粘着層によって隣り合う単位シート10を相互に接続していてもよい。
より詳細には、中継シート40(第1中継シート40a及び第2中継シート40b)の各々は、例えば、複数の伸縮性中継配線43として、例えば、複数の第1伸縮性中継配線43aと、複数の第2伸縮性中継配線43bと、を備えている。
複数の伸縮性中継配線43(第1伸縮性中継配線43a及び第2伸縮性中継配線43b)の各々は、例えば、伸縮性中継基材41の下面(図7における下側の面)に直に形成されている。
複数の第1伸縮性中継配線43aの各々が、一の単位シート10の第1伸縮性配線20aと他の単位シート10の第1伸縮性配線20aとを相互に接続している。また、複数の第2伸縮性中継配線43bの各々が、一の単位シート10の第2伸縮性配線20bと他の単位シート10の第2伸縮性配線20bとを相互に接続している。
複数の第1伸縮性中継配線43aの各々は、X方向に延在している。また、複数の第1伸縮性中継配線43aは、Y方向において並んで配置されている。
同様に、複数の第2伸縮性中継配線43bの各々は、X方向に延在している。また、複数の第2伸縮性中継配線43bは、Y方向において並んで配置されている。
伸縮性中継配線43(第1伸縮性中継配線43a及び第2伸縮性中継配線43b)の各々の配線幅は、例えば、延在方向における位置にかかわらず略一定となっており、伸縮性配線20の配線幅と略同等に設定されている。ただし、後述の変形例1のように、伸縮性中継配線43の配線幅は、伸縮性配線20の配線幅よりも大きくてもよい。
なお、本実施形態の場合、第2中継シート40b及びその周辺構造の断面図(図1に示すC-C線に沿った断面)は、第1中継シート40a及びその周辺構造の断面図(図7)と同様のため、図示を省略している。
【0029】
また、中継シート40(第1中継シート40a及び第2中継シート40b)は、例えば、伸縮性中継基材41の下面側(図7における下面側)に配置されている伸縮性中継カバー46を更に備えている。
第1中継シート40aの伸縮性中継カバー46は、例えば、第1単位シート10aの伸縮性カバー50と、第2単位シート10bの伸縮性カバー50と、の間に跨がって配置されている。
同様に、第2中継シート40bの伸縮性中継カバー46は、例えば、第2単位シート10bの伸縮性カバー50と、第3単位シート10cの伸縮性カバー50と、の間に跨がって配置されている。
伸縮性中継カバー46には、開口部48(図5(a)から図7参照)が形成されており、当該開口部48を介して、伸縮性中継配線43と対応する伸縮性配線20とが相互に接続されている。
より詳細には、開口部48は、例えば、左右一対の第1開口部48aと、左右一対の第2開口部48bと、を有する。
左右一対の第1開口部48aのうち、右側の第1開口部48aは、例えば、平面視において、第1伸縮性中継配線43aの右端部の一部分と、対応する第1伸縮性配線20aの一部分と、をまとめて包含している。左側の第1開口部48aは、例えば、平面視において、第1伸縮性中継配線43aの左端部の一部分と、対応する第1伸縮性配線20aの一部分と、をまとめて包含している。
左右一対の第2開口部48bのうち、右側の第2開口部48bは、例えば、平面視において、第2伸縮性中継配線43bの右端部の一部分と、対応する第2伸縮性配線20bの一部分と、をまとめて包含している。同様に、左側の第2開口部48bは、例えば、平面視において、第2伸縮性中継配線43bの左端部の一部分と、対応する第2伸縮性配線20bの一部分と、をまとめて包含している。
左右一対の第1開口部48aと、左右一対の第2開口部48bと、互いに同一形状及び同一寸法に設定されている。左右一対の第1開口部48aと、左右一対の第2開口部48bと、はそれぞれY方向に長尺に形成されている。
【0030】
第1中継シート40aにおいて、第1伸縮性中継配線43aの各々の一端部は、右側の第1開口部48aを介して、対応する第1伸縮性配線20aの第1接続端子部25aと電気的及び機械的に接続されている。第1伸縮性中継配線43aの各々の他端部は、左側の第1開口部48aを介して、対応する第1伸縮性配線20aの第2接続端子部25bと電気的及び機械的に接続されている。
より詳細には、第1中継シート40aは、第1伸縮性配線20aの第1接続端子部25a及び第2接続端子部25bの各々の数と同数の第1伸縮性中継配線43aを有し、一の第1伸縮性中継配線43aによって、互いに対応する第1接続端子部25aと第2接続端子部25bとが相互に接続されている。
同様に、第1中継シート40aにおいて、第2伸縮性中継配線43bの各々の一端部は、右側の第2開口部48bを介して、対応する第2伸縮性配線20bの第1接続端子部25aと電気的及び機械的に接続されている。第2伸縮性中継配線43bの各々の他端部は、左側の第2開口部48bを介して、対応する第2伸縮性配線20bの第2接続端子部25bと電気的及び機械的に接続されている。
より詳細には、第1中継シート40aは、第2伸縮性配線20bの第1接続端子部25a及び第2接続端子部25bの各々の数と同数の第2伸縮性中継配線43bを有し、一の第2伸縮性中継配線43bによって、互いに対応する第1接続端子部25aと第2接続端子部25bとが相互に接続されている。
このようにして、第1中継シート40aにおいて、伸縮性中継配線43の各々は、第1単位シート10aの各第1接続端子部25aと、第2単位シート10bの各第2接続端子部25bとを相互に電気的及び機械的に接続している。
【0031】
第2中継シート40bにおいて、第1伸縮性中継配線43aの各々の一端部は、右側の第1開口部48aを介して、対応する第1伸縮性配線20aの第3接続端子部25cと電気的及び機械的に接続されている。第1伸縮性中継配線43aの各々の他端部は、左側の第1開口部48aを介して、対応する第1伸縮性配線20aの第4接続端子部25dと電気的及び機械的に接続されている。
より詳細には、第2中継シート40bは、第1伸縮性配線20aの第3接続端子部25c及び第4接続端子部25dの各々の数と同数の第1伸縮性中継配線43aを有し、一の第1伸縮性中継配線43aによって、互いに対応する第3接続端子部25cと第4接続端子部25dとが相互に接続されている。
同様に、第2中継シート40bにおいて、第2伸縮性中継配線43bの各々の一端部は、右側の第2開口部48bを介して、対応する第2伸縮性配線20bの第3接続端子部25cと電気的及び機械的に接続されている。第2伸縮性中継配線43bの各々の他端部は、左側の第2開口部48bを介して、対応する第2伸縮性配線20bの第4接続端子部25dと電気的及び機械的に接続されている。
より詳細には、第2中継シート40bは、第2伸縮性配線20bの第3接続端子部25c及び第4接続端子部25dの各々の数と同数の第1伸縮性中継配線43aを有し、一の第2伸縮性中継配線43bによって、互いに対応する第3接続端子部25cと第4接続端子部25dとが相互に接続されている。
このようにして、第2中継シート40bにおいて、伸縮性中継配線43の各々は、第2単位シート10bの各第3接続端子部25cと、第3単位シート10cの各第4接続端子部25dとを相互に電気的及び機械的に接続している。
【0032】
ここで、図1及び図4に示すように、電極30の各々の左下端部には、切欠形状部32が形成されており、電極30の左下縁は、例えば、右側から左側に向けて上り傾斜した形状となっている。また、単位シート10において、電極30にて終端していない伸縮性配線20の各々の左端部は、例えば、近傍に配置されている電極30の左下縁に沿って、右側から左側に向けて上り傾斜している。そして、隣り合う伸縮性配線20の左端部同士の配線間距離は右側から左側に向けて徐々に拡大している。
このような構成によれば、単位シート10の左側縁部において、伸縮性中継配線43同士の配線間距離を十分に確保することができる。これにより、中継シート40と対応する単位シート10とを位置合わせして、伸縮性中継配線43と伸縮性配線20とを相互に電気的に接続する際に、伸縮性中継配線43と対応する単位シート10とがY方向(伸縮性中継配線43の配線幅方向)において相対的にわずかに位置ずれしても、伸縮性中継配線43を対応する伸縮性配線20に対して適切に位置合わせして接続することがより容易となる。
【0033】
伸縮性中継基材41及び伸縮性中継カバー46の各々は、例えば、伸縮性基材11及び伸縮性カバー50と同様に、熱可塑性樹脂を含んで構成されている。
また、伸縮性中継基材41及び伸縮性中継カバー46を構成している材料は、特に限定されないが、例えば、伸縮性基材11及び伸縮性カバー50と同様のエラストマー材料である。
ただし、伸縮性中継基材41及び伸縮性中継カバー46の各々は、少なくとも絶縁性及び伸縮性を有する材料によって構成されていればよく、伸縮性基材11及び伸縮性カバー50とは異なる材料によって構成されていてもよい。
伸縮性中継基材41の厚み寸法は、特に限定されないが、電極シート100の伸縮性を十分に確保する観点からは、例えば、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは25μm以下である。
伸縮性中継カバー46の厚み寸法は、特に限定されないが、電極シート100の伸縮性を十分に確保する観点からは、例えば、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは25μm以下である。
【0034】
また、本実施形態の場合、電極30、伸縮性配線20及び伸縮性中継配線43の各々は、例えば、導電性フィラーと、熱可塑性樹脂を含有するバインダーと、を含んで構成された塗膜である。
このため、電極シート100を製造するに際して、伸縮性配線20及び伸縮性中継配線43の各々を加熱及び加圧することによって、開口部48を介して、伸縮性中継配線43と対応する接続端子部25とを相互に融着させることができる。
すなわち、導電性接着剤や異方性導電フィルム(ACF)、異方性導電ペースト(ACP)を介さずに、より簡素な構造で伸縮性配線20と伸縮性中継配線43とを相互に電気的及び機械的に接続させることができるので、電極シート100の製造性を向上させることができる。また、伸縮性配線20と伸縮性中継配線43とが相互に融着されているので、中継シート40と対応する単位シート10とが相互に接続された状態を良好に維持することができる。
しかも、電極30、伸縮性配線20及び伸縮性中継配線43の各々は、熱可塑性樹脂を含有するバインダーを含むので、伸縮性基材11の伸縮に良好に追従することができる。
導電性フィラーは、例えば、銀、金、白金、カーボン、銅、アルミニウム、コバルトもしくはニッケル、又はこれらの合金等によって構成されている。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーンゴムなどの熱可塑性のエラストマー材料を挙げることができる。また、熱可塑性樹脂としては、塗膜化された状態における、電極30、伸縮性配線20及び伸縮性中継配線43の各々の弾性率が伸縮性基材11の弾性率に比して同等か、又はより小さくなるように低ヤング率のものを選定することが望ましい。エラストマー材料は一種類で用いてもよく、又は複数種類のエラストマー材料を混合して用いてもよい。
また、電極30、伸縮性配線20及び伸縮性中継配線43の各々の形成方法は、特に限定されないが、例えば、印刷法により形成することができる。印刷法は、特に限定されないが、例えば、スクリーン印刷方法、インクジェット印刷方法、グラビア印刷方法、オフセット印刷方法などである。
【0035】
電極30及び伸縮性配線20の各々の厚みは、特に限定されないが、10μm以上であることが好ましく、20μm程度とすることがより好ましい。
同様に、伸縮性中継配線43の厚みは、特に限定されないが、10μm以上であることが好ましく、20μm程度とすることがより好ましい。
【0036】
更に、単位シート10の各々は、例えば、電極シート100を取付対象物(例えば、後述するシーツ400)に対して貼り付けるための粘着層61を有する。ただし、単位シート10の各々は、粘着層61の代わりに接着層(不図示)を有していてもよい。
また、単位シート10の各々は、第1剥離フィルム71及び第2剥離フィルム76を備えている。第1剥離フィルム71は、粘着層61から易剥離可能に、粘着層61の上面側に積層されている。同様に、第2剥離フィルム76は、伸縮性基材11から易剥離可能に、伸縮性基材11の下面側に積層されている。
【0037】
粘着層61は、例えば、粘着性材料が塗工されることにより形成されたものである。より詳細には、粘着層61は例えば、粘着性材料を、第1剥離フィルム71の上面上に所望の厚みで塗布した後に、熱加工処理によって硬化させることにより形成される単膜である。このため、粘着層61が不織布や紙などの芯材を含む場合と比較して、粘着層61は、伸縮性基材11の伸張に対してより良好に追従することができる。
なお、電極シート100を製造するに際して、伸縮性カバー50に積層される前の段階では、粘着層61は、第1剥離フィルム71側とは反対側の面にも剥離フィルム(不図示)を有する。そして、この剥離フィルムを粘着層61から剥離することによって、粘着層61を伸縮性カバー50に対して貼付することができる。
粘着性材料は、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂などを用いることができる。
【0038】
電極シート100を使用する際には、例えば、先ず、第1剥離フィルム71を粘着層61から剥離し、粘着層61が露出する状態にする。そして、粘着層61を介して電極シート100を貼付対象物に対して貼付することができる。次に、第2剥離フィルム76を伸縮性基材11から剥離し、電極シート100の上面側において伸縮性基材11が露出する状態にする。
このように、第2剥離フィルム76を剥離する前に電極シート100を取付対象物に対して貼付することによって、当該電極シート100のヨレを抑制しつつ、意図した範囲に貼付することができる。
【0039】
第1剥離フィルム71及び第2剥離フィルム76の各々の材料は、特に限定されないが、PET(ポリエチレンテレフタレート)又は紙等であることが挙げられる。第1剥離フィルム71と第2剥離フィルム76とは、互いに同じ材料によって構成されていてもよいし、互いに異なる材料によって構成されていてもよい。
【0040】
また、図1及び図4に示すように、本実施形態の場合、単位シート10は、各電極30と対応する位置に配置されている複数の貫通孔16を有する。
本実施形態の場合、各貫通孔16は、1つずつの電極30と対応する位置に配置されている。
貫通孔16の各々は、例えば、第1剥離フィルム71、粘着層61及び伸縮性カバー50を各層の厚み方向に貫通して形成されている。これにより、各電極30において、貫通孔16と対応する部分は、電極シート100の上面側に露出している。
電極シート100を製造する際に、貫通孔16を介して検査プローブ(不図示)を電極30と接触させることによって、当該電極30及び対応する伸縮性配線20の特性を電気的に検査することができる。
【0041】
また、本実施形態の場合、図4に示すように、第1単位シート10aの右側端部には、外部接続端子部80が設けられている。図2及び図3に示すように、外部接続端子部80は、例えば、伸縮性カバー50と伸縮性基材11との間に介在している。
外部接続端子部80は、例えば、電極シート100が有する電極30の数と同数の外部接続端子83を有し、一の電極30に対して一の外部接続端子83が接続されている。対応する外部接続端子83を介して、電極30の各々は、電極選択部及び生体情報取得部と電気的に接続されている。
より詳細には、電極シート100は、例えば、外部接続端子部80として、第1伸縮性配線20aに対して接続されている第1外部接続端子部80aと、第2伸縮性配線20bに対して接続されている第2外部接続端子部80bと、を備えている。
外部接続端子部80(第1外部接続端子部80a及び第2外部接続端子部80b)は、例えば、非伸縮性基材81と、非伸縮性基材81上に形成されていて伸縮性配線20と接続されている引出配線82と、を有する。
図4に示すように、第1外部接続端子部80aは、例えば、電極シート100が有する第1伸縮性配線20aの数と同数の引出配線82を有し、一の第1伸縮性配線20aに対して一の引出配線82が機械的及び電気的に接続されている。同様に、第2外部接続端子部80bは、例えば、電極シート100が有する第2伸縮性配線20bの数と同数の引出配線82を有し、一の第2伸縮性配線20bに対して一の引出配線82が機械的及び電気的に接続されている。
引出配線82の各々は、例えば、非伸縮性基材81の下面に形成されている。引出配線82の各々は、例えば、X方向に延在している。
本実施形態の場合、例えば、引出配線82の一部分により外部接続端子83が構成されている。
より詳細には、引出配線82の左端部は、対応する伸縮性配線20の右端部と接続されており、引出配線82の右端部が外部接続端子83を構成している。
外部接続端子83の各々は、例えば、後述するスイッチング部96が有する複数のスイッチ96aと個別に接続される。
【0042】
非伸縮性基材81は、例えば、樹脂フィルムにより構成することができる。この樹脂フィルムを構成する樹脂材料は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、又はポリエステルであることが挙げられる。
非伸縮性基材81の厚みは、例えば、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以下である。
引出配線82は、例えば、伸縮性配線20と同様に、導電性フィラーと、熱可塑性樹脂を含有するバインダーと、を含んで構成された塗膜である。これにより、電極シート100を製造するに際して、引出配線82及び伸縮性配線20の各々を加熱及び加圧することによって、引出配線82と対応する伸縮性配線20とを相互に融着させることができる。
引出配線82の厚みは、特に限定されないが、10μm以上であることが好ましく、20μm程度とすることがより好ましい。
【0043】
このように本実施形態の場合、図4に示すように、複数の単位シート10のうち、複数の単位シート10の並び方向における一端に位置する単位シート10の、他の単位シート10側とは反対側に位置する端部には、外部接続端子部80が設けられており、外部接続端子部80は、非伸縮性基材81と、非伸縮性基材81上に形成されていて伸縮性配線20と接続されている引出配線82と、を有し、引出配線82の一部分により外部接続端子83が構成されている。
【0044】
ここで、本実施形態の場合、生体情報取得システム200(電極シート100、電極選択部及び生体情報取得部)は、一例として、生体300の心電波形を取得するために用いられる。
生体情報取得システム200を用いた心電波形の取得は、例えば、複数の電極シート100が貼り付けられた取付対象物(例えば、図12に示すシーツ400)上に、被験者が横たわった状態で行われる。したがって、各電極30において、対応する電極30と、被験者の衣服やシーツ400(絶縁物350)と、被験者(生体300)の皮膚360と、によってコンデンサ370がそれぞれ形成される。なお、本実施形態の場合、上述のように伸縮性基材11及び伸縮性カバー50は絶縁性を有する材料によって構成されているため、これらの層も衣服やシーツ400とともに絶縁物350となる。
以下、一の取付対象物に貼付された複数の電極シート100を電極シートユニット150と総称する場合がある。
図11及び図12に示すように、例えば、電極シートユニット150が貼付されたシーツ400はベッド450上に敷設される。なお、図11では、シーツ400において、被験者の肌と接触する側の面(表面)を示している。また、図11図14(a)、図14(b)及び図14(c)では、電極シートユニット150の各構成要素のうち複数の電極30を選択的に実線で図示している。
電極シートユニット150において、各電極シート100が備える複数の電極30は、アレイ状に配置されている。より詳細には、電極シートユニット150において、複数の電極30が、平面視正方格子状に配列されるように、電極シート100同士がY方向に並んで配置されている。電極シートユニット150において、複数の電極30は、X方向において互いに離間して等間隔に配置されているとともに、Y方向においても互いに離間して等間隔に配置されている。
電極シートユニット150は、例えば、平面視において、当該電極シートユニット150における複数の電極30の配置領域(図11及び図13(a)~図13(c)に示す二点鎖線503で示す領域)の内側に、少なくとも生体300の胴部320の全体が収まるように構成されている。なお、図13(a)~図13(c)においては、電極30の配置領域503内に、主として胴部320、脚部330及び腕部340が配置されている例を図示しているが、本発明はこの例に限らず、頭部310を含む生体300の全体が配置領域503内に収まるように電極シートユニット150が構成されていてもよい。
図11に示す例では、10枚の電極シート100がY方向に並んで配置されている。電極シートユニット150において、複数の電極30は、例えば、Y方向において20行配置されており、各行には15個の電極30がX方向に並んで配置されている。したがって、電極シートユニット150は、20行15列の300個の電極30を備えている。
複数の電極30の配置領域503において、生体300は、例えば、当該生体300の頭部310がY方向における一方側(図11における上側)に配置され、当該生体300の脚部330がY方向における他方側(図11における下側)に配置される姿勢で横たわっている。
なお、本発明において、電極シートユニット150が有する電極シート100の数及びそれらの配置は、この例に限定されず、生体情報取得システム200の用途や取付対象物の外径寸法等に応じて適宜設定することができる。
電極シートユニット150は複数の電極シート100によって構成されているため、例えば、当該電極シートユニット150の長期使用において、一部の電極30又は伸縮性配線20が破断等により機能喪失したとしても、該当の電極30又は伸縮性配線20を有する電極シート100を新規の別の電極シート100と交換することで事足りる。すなわち、電極シートユニット150を容易に修理することができる。
【0045】
本実施形態の場合、電極選択部は、例えば、図10に示す3点誘導法による心電波形の取得に適した3箇所の電極30を選択し、生体情報取得部は、生体情報として、3点誘導法により心電波形を取得する。
なお、3点誘導法による心電波形の取得を行う場合、一般的に、モニター誘導としては、第II誘導、MCL1誘導、MCL5誘導及びNASA誘導等があるが、本実施形態では、一例として、第II誘導を採用する。
また、以下では、図10に示す生体300の上半身において、仮想線501を基準として、右側の部分を左半身とし、左側の部分を右半身とする。また、図10に示す生体300の上半身において、仮想線502を基準として、上側の部分を上半身上部とし、下側の部分を上半身下部とする。
電極選択部は、一例として、生体300の上半身下部(又は上半身下部よりも下側の部分)且つ左半身と対応する位置に配置されている電極30のうち、静電容量が最大となった電極30を正電極36として選択する。同様に、電極選択部は、一例として、生体300の上半身上部且つ右半身と対応する位置に配置されている電極30のうち、静電容量が最大となった電極30を負電極37として選択する。電極選択部は、上半身上部かつ左半身と対応する位置に配置されている電極30のうち、静電容量が最大となった電極30をアース電極38として選択する。そして、生体情報取得部は、これら3箇所の電極30(正電極36、負電極37及びアース電極38)によって第II誘導に相当する誘導を行い、心電波形を取得する。
なお、ここで「生体300と対応する位置」とは、例えば、平面視において(電極シート100の面直方向に視たときに)、生体300と対応する(重なる)位置である。
また、本発明において、電極選択部によって選択される3箇所の電極30の位置はこの例に限定されず、適宜変更及び設定することができる。
また、本発明において、生体情報取得システム200を用いて心電波形の取得を行う際のモニター誘導の種類は第II誘導に限定されない。
より詳細には、上述のように、本実施形態の場合、生体300の各部位と対応する位置に複数の電極30が個別に配置されているので、選択する3箇所の電極30を適宜変更することによって、MCL1誘導、MCL5誘導及びNASA誘導等に相当する誘導を行うことができる。
【0046】
上述のように、電極シート100は可撓性であるため、電極シート100が有する複数の電極30のうち、生体300と対応する位置に配置されている電極30の各々が、生体300の体表面の凹凸に追従して配置されるようにできる。
このため、電極選択部によって選択された3箇所の電極30の各々が、生体300の凹凸に沿って良好に配置され、当該3箇所の電極30の各々と、絶縁物350及び生体300によって形成されるコンデンサ370の容量が互いに均等となることが期待できる。よって、より正確な心電波形を取得することができる。
【0047】
図15(a)及び図15(b)は、本実施形態に係る生体情報取得システム200を用いて、3点誘導法(第II誘導)によって取得した心電図である。図15(a)及び図15(b)に示すように、心電波形の特徴であるP波、R波、Q波、S波、T波と見受けられる波形がそれぞれ観測可能となっている。
【0048】
ここで、電極選択部は、例えば、電気的パラメータとして、静電容量の変化を検出する。そして、電極選択部は、検出した静電容量の変化に基づいて、生体300の姿勢を判定し、姿勢の判定結果に基づいて、生体情報の取得に用いられる電極30を選択する。
これにより、電極シート100を生体300に沿わせて配置した状態において、生体300の姿勢が変わることによって、複数の電極30に対する生体300の各部位の相対位置が変化したとしても、生体情報の取得に用いる電極30を適切に選択することができる。よって、生体300の姿勢にかかわらず、効率的且つより正確に生体情報を取得することができる。
本実施形態の場合は、姿勢の判定結果に基づいて、3点誘導法による心電波形の取得に適した3箇所の電極30を適切に選択することができる。
【0049】
より詳細には、図9に示すように、生体情報取得システム200は、例えば、各電極30に蓄積された静電容量の算出に必要なデータを検出する静電容量検出回路94と、心電波形の取得に必要なデータを検出する心電波形検出回路95と、を備えている。
更に、生体情報取得システム200は、電極シート100の外部接続端子部80と接続されているスイッチング部96と、スイッチング部96の動作制御を行う制御部91と、を備えている。
本実施形態の場合、一例として、制御部91と、静電容量検出回路94と、スイッチング部96と、が共同で電極選択部として機能する。同様に、一例として、制御部91と、心電波形検出回路95と、とが共同で生体情報取得部として機能する。
静電容量検出回路94によって検出されるデータ、及び、心電波形検出回路95によって検出されるデータは、例えば、それぞれ制御部91に入力される。制御部91は、静電容量検出回路94によって検出されるデータに基づいて、各電極30の静電容量を算出する。また、制御部91は、心電波形検出回路95によって検出されたデータに基づいて、心電波形のデータを生成する。
制御部91は、制御用プログラム(プログラム)を記憶保持しているROM(Read Only Memory)と、この制御用プログラムに従って制御動作を実行するCPU(Central Processing Unit)と、CPUの作業領域などとして機能するRAM(Random Access Memory)と、を備えて構成されている。
制御部91としては、例えば、制御部と表示部(不図示)とが一体となった、タブレットPC等の端末を用いることができる。
制御部91は、スイッチング部96の動作制御によって、各電極30を個別に静電容量検出回路94と繋ぐ動作や、心電波形の取得に適した3箇所の電極30を心電波形検出回路95とを繋ぐ動作を行う。すなわち、制御部91は、スイッチング部96の動作制御によって、静電容量を計測するモードと、心電波形を取得するモードとの切り替えを行う。
【0050】
図9に示すように、スイッチング部96は、例えば、電極シート100が備える電極30の数と対応する数のスイッチ96aを備えている。本実施形態の場合、一例として、スイッチング部96は、1つの電極30に対して、4つのスイッチ96a(以下、第1スイッチ、第2スイッチ、第3スイッチ、第4スイッチ)を備えている。なお、図9において、第1スイッチ~第4スイッチの図示は省略している。
制御部91は、例えば、4つのスイッチ96aのうち、第1スイッチをオン/オフすることによって、対応する電極30と静電容量検出回路94とが相互に接続されている状態(オン)と、当該接続が遮断されている状態(オフ)と、の切り替えを行う。
また、制御部91は、例えば、残り3つのスイッチ96a(第2スイッチ、第3スイッチ、第4スイッチ)を個別にオン/オフすることによって、対応する電極30と心電波形検出回路95とが相互に接続されている状態(オン)と、当該接続が遮断されている状態(オフ)と、の切り替えを行う。より詳細には、制御部91は、第2スイッチをオンすることにより、対応する電極30を正電極36として選択し、第3スイッチをオンすることにより、対応する電極30を負電極37として選択し、第4スイッチをオンすることにより、対応する電極30をアース電極38として選択する。
電極30の各々は、対応する伸縮性配線20及び外部接続端子83を介して、各スイッチ96aと接続されている。
【0051】
制御部91(電極選択部)は、スイッチング部96の動作制御によって、個々の電極30と静電容量検出回路94とを1つずつ順番に繋ぐ。静電容量検出回路94は、各電極30に対して、一定の電流を一定時間印加し,電圧値の変化をそれぞれ検出する。そして、制御部91は、検出された電圧値の変化量に基づいて、電極30に蓄積された静電容量を算出する。本実施形態の場合、制御部91は、電極シートユニット150が備える電極30の全数分の静電容量のデータを個別に算出する。制御部91は、算出した各電極30の静電容量のデータ群を統合し,電極30の配置領域503における静電容量の分布をグレースケールで表示した画像データ(後述する実施例1~3の図19(a)~図19(c)参照)を生成する。なお、制御部91は、例えば、生成した画像データを表示部(不図示)に表示してもよい。
ここで、電極30の配置領域503において、より生体300と近接している電極30ほど、生体300が有する誘電率の影響によって、当該電極30において算出される静電容量が大きくなる。この結果、生体300の姿勢に応じて、図19(a)~図19(c)に示すような画像データが生成される。
より詳細には、生成された画像データにおいて、より生体300と近接している箇所ほどより高輝度となり(より白くなり)、より生体300から離間している箇所はより低輝度となる(より黒くなる)。このため、静電容量の分布を示した画像データにおいて、生体300の姿勢をシルエットとして計測することができる。
【0052】
ここで、本実施形態の場合、電極選択部は、例えば、人工知能による判定動作によって、生成された画像データから生体300の姿勢を判定する。
より詳細には、人工知能は、一例として、ニューラルネットワークである。人工知能は、検査対象の画像(本実施形態の場合、上記の静電容量の分布を表示した画像データ)の特徴量を学習させた学習済みモデルを用いて、生成された画像データから、生体300の姿勢を判定する。本実施形態の場合、一例として、人工知能は、生体300の姿勢を、左向き側臥位(図13(a)参照)、仰臥位(図13(b)参照)及び右向き側臥位(図13(c)参照)のいずれかとして判定(分類)する。そして、制御部91は、判定された姿勢において、心電波形の取得に適した3箇所の電極30を選択する。
本実施形態の場合、制御部91が、人工知能を有する。
【0053】
このように、本実施形態の場合、電極選択部は、人工知能による判定動作によって、生体情報の取得に用いられる電極30を選択する。
これにより、所望の生体情報の取得に適した電極30を選択することが容易となるので、生体情報をより効率的に取得することができる。
【0054】
また、上述のように、電極シート100は、面内方向の少なくとも一方向に伸縮が可能な薄膜のシート材である伸縮性基材11を備え、電極30、伸縮性配線20及び伸縮性中継配線43の各々は、伸縮性基材11の伸縮に良好に追従することができる。すなわち、電極シート100は、生体300の体表面の凹凸に追従して伸縮及び湾曲することができる。
これにより、各電極30が、対応する生体300の各部位に対してそれぞれ良好に密着するようにできるので、より正確に各電極30の静電容量を計測することができる。したがって、生体300の姿勢をより明確に判定することができる。
【0055】
本実施形態の場合、上述のように電極シートユニット150が貼付されたシーツ400はベッド450上に敷設される。
そして、本実施形態に係る生体情報取得システム200によれば、電極シート100を生体300に対して固定する必要がない。しかも、生体300の姿勢が変化したとしても、心電波形の取得に用いる電極30を適宜選択することができる。よって、心電波形を取得する際に、被験者(生体300)は長時間に亘って同じ姿勢で横たわっている必要がないので、褥瘡(床ずれ)を抑制することができる。すなわち、より低侵襲且つ快適な使用感の電極シート100ひいては生体情報取得システム200を実現することができる。
また、本実施形態の場合、電極シート100は可撓性であるため、当該電極シート100が貼り付けられた寝具(シーツ400やベッド450)の柔軟性を十分に維持することができる。よって、生体300が寝具に横たわった際に、電極シート100に対して生体300の体圧が適度に加わるので、より良好に電極シート100が生体300の体表面の凹凸に追従して配置されるようにできる。
更には、例えば、被験者が掛け布団によって覆われており、被験者の姿勢を視認できない状態でも、生体情報取得システム200によって被験者の姿勢を把握することが可能である。このため、例えば、介護分野等において、要介護者がどのくらいの時間同じ姿勢でいるかを生体情報取得システム200によって検出することによって、褥瘡(床ずれ)のリスクがあるかどうか等の客観的判断ができる。
【0056】
図12に示すように、電極シートユニット150は、例えば、シーツ400において、被験者の肌と接触する側の面とは反対側の面(裏面)に粘着層61を介して貼り付けられている。したがって、各電極シート100は、粘着層61が形成されている側の面(一方の面100a)が上側、その反対側の面(他方の面100b)が下側を向いた姿勢で貼付対象物に貼付される。
これにより、シーツ400上において、被験者と電極シートユニット150とが直に接触することを抑制できるので、電極シートユニット150がシーツ400に貼り付けられた状態を良好に維持することができる。
ただし、シーツ400において、電極シートユニット150が貼り付けられる面は、シーツ400の表面であってもよい。
【0057】
シーツ400としては、例えば、コットン、リネン(麻)、ポリエステル、シルク及びウール等の材料によって形成されている一般的なシーツを用いる。これらの材料の弾性率(ヤング率)の代表値は2GPa以上20GPa以下であり、柔軟性が高い一方で、伸縮性は低い。
一方、本実施形態の場合、電極シート100の弾性率(ヤング率)は、例えば、少なくとも500MPa以下に設定されており、好ましくは50MPa以下、より好ましくは30MPa以下に設定されている。
すなわち、本実施形態の場合、電極シート100の弾性率(ヤング率)は、取付対象物(シーツ400)の弾性率よりも低く設定されている。これにより、電極シート100が、取付対象物の伸長に追従して過度に伸長することを抑制できる。この結果、伸縮性配線20の抵抗値の増大や断線を抑制し電極シート100の高い耐久性を実現できる。
【0058】
以下、図13(a)から図14(c)を用いて生体情報取得システム200の動作の一例を説明する。なお、以下の説明において、一例として、生体情報取得システム200は心電波形の取得に用いられるものとする。また、図14(a)~図14(b)において、電極選択部によって選択された3箇所の電極30をそれぞれ右上がりのハッチングで示している。
【0059】
先ず、電極シートユニット150が貼り付けられたシーツ400の上に、被験者が横たわっている状態において、電極選択部(制御部91)は、スイッチング部96の動作制御を行う。
より詳細には、電極選択部(制御部91)は、スイッチング部96の動作制御によって、個々の電極30と対応するスイッチ96aとを1つずつ順番に繋ぎ、静電容量をそれぞれ個別に計測する。電極シートユニット150が備える電極30の全数分の静電容量の計測が完了したら、制御部91は、各電極30の全数分の静電容量のデータを統合し,電極30の配置領域503における静電容量の分布をグレースケールで表示した画像データとして生成する。
そして、電極選択部は、例えば、人工知能による判定動作によって、生成された画像データから生体300の姿勢を、すなわち被験者の姿勢を、左向き側臥位(図13(a)参照)、仰臥位(図13(b)参照)及び右向き側臥位(図13(c)参照)のいずれかとして判定する。
次に、電極選択部は、スイッチング部96の動作制御によって、判定された姿勢において心電波形の取得に適した3箇所の電極30を選択する。この際に、上述のように、電極選択部は、一例として、生体300の上半身下部(又は上半身下部よりも下側の部分)且つ左半身と対応する位置に配置されている電極30のうち、静電容量が最大となった電極30を正電極36として選択し、生体300の上半身上部且つ右半身と対応する位置に配置されている電極30のうち、静電容量が最大となった電極30を負電極37として選択し、上半身上部かつ左半身と対応する位置に配置されている電極30のうち、静電容量が最大となった電極30をアース電極38として選択する。
より詳細には、被験者の姿勢が左向き側臥位と判定された場合は、電極選択部は、一例として、図14(a)に示す3箇所の電極30をそれぞれ正電極36、負電極37、アース電極38として選択する。
被験者の姿勢が仰臥位と判定された場合は、電極選択部は、一例として、図14(b)に示す3箇所の電極30をそれぞれ正電極36、負電極37、アース電極38として選択する。
被験者の姿勢が右向き側臥位と判定された場合は、電極選択部は、一例として、図14(c)に示す3箇所の電極30をそれぞれ正電極36、負電極37、アース電極38として選択する。
そして、生体情報取得部(制御部91)は、これら3箇所の電極30(正電極36、負電極37及びアース電極38)によって第II誘導に相当する誘導を行い、電気信号を取得する。心電波形検出回路95は、この電気信号に基づいて心電データ(値)を随時生成し制御部91に入力する。制御部91は、随時変化する心電データの推移を心電波形として表示部に表示する。このようにして、生体300から心電波形を取得することができる。
なお、本発明において、生体情報取得システム200は、端末の操作部(不図示)に対する入力操作によって、制御部91の動作が開始されるように構成されていてもよいし、電極シート100が生体300に沿って配置されることをトリガーとして、制御部91の動作が開始されるように構成されていてもよい。
また、本発明において、電極選択部は、3箇所の電極30(正電極36、負電極37、アース電極38)として、それぞれ1つずつの電極30を選択してもよいし、互いに隣接する複数の電極30のまとまりをそれぞれ選択してもよい。
更にまた、人工知能による判定動作によって、生成された画像データから生体300の姿勢を、すなわち被験者の姿勢を判定した後、その姿勢情報から被験者の身体関節(例えば、図13(a)~図13(c)の二点鎖線381~385で示す部位)をキーポイント化して特徴付けを行い、それら情報を基に正電極36、負電極37、アース電極38を選択するようにしてもよい。
【0060】
<第2実施形態の変形例>
次に、図16を用いて第1実施形態の変形例を説明する。なお、図16においては、図5(a)に示すA部に相当する部分の拡大図を示している。
【0061】
図16に示すように、本変形例に係る電極シート100は、伸縮性配線20の配線幅よりも、伸縮性中継配線43の配線幅が大きい点において、第1実施形態に係る電極シート100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る電極シート100と同様に構成されている。
このような構成によれば、中継シート40と対応する単位シート10とを位置合わせして、伸縮性中継配線43と伸縮性配線20とを相互に電気的に接続する際に、伸縮性中継配線43と対応する単位シート10とがY方向(伸縮性中継配線43の配線幅方向)において相対的にわずかに位置ずれしても、伸縮性中継配線43を伸縮性配線20に対して適切に位置合わせして接続することができる。
ただし、伸縮性中継配線43は、伸縮性配線20において伸縮性中継配線43と接続される部位と同幅に形成されていてもよいし、当該部位よりも細幅に形成されていてもよい。
【0062】
〔第2実施形態〕
次に、図17及び図18を用いて第2実施形態を説明する。なお、図17及び図18においては、図1のC-C線に相当する線に沿った電極シート100の切断端面を示している。
【0063】
本実施形態に係る電極シート100は、中継シート40を備えておらず、一の単位シート10の伸縮性配線20と他の単位シート10の伸縮性配線20とは、互いに直に接続されている点において、第1実施形態に係る電極シート100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る電極シート100と同様に構成されている。
このような構成によっても、複数の単位シート10を相互に良好に接続されて、一体の電極シート100が形成された構造を実現できる。
【0064】
より詳細には、図17及び図18に示すように、本実施形態の場合、第1単位シート10aと第3単位シート10cとの間に配置されている第2単位シート10bにおいて、伸縮性基材11の他方の面11bに伸縮性配線20及び複数の電極30が形成されている。また、第2単位シート10bにおいて、伸縮性カバー50は、伸縮性基材11の他方の面11b側に配置されている。すなわち、第2単位シート10bにおいて、伸縮性基材11、伸縮性配線20、複数の電極30及び伸縮性カバー50の配置は、第1単位シート10a及び第3単位シート10cにおけるこれらの層の配置とは上下反転した配置となっている。
そして、第2単位シート10bの第2接続端子部25bが、第1単位シート10aの第1接続端子部25aに対して直に接続(例えば、融着)されており、第2単位シート10bの第3接続端子部25cが、第3単位シート10cの第4接続端子部25dに直に接続(例えば、融着)されている。なお、第1単位シート10a、第2単位シート10b、第3単位シート10cにおける伸縮性基材11および伸縮性カバー50の厚みはそれぞれ同一であることが望ましく、伸縮性基材11、伸縮性カバー50はそれぞれ25μmの厚みのものが適用されている。このようにすることで、第1単位シート10aおよび第3単位シート10cと、第2単位シート10bとが上下反転した配置となっていても、生体300との間に介在する絶縁層の厚みを同一にすることができることから、生体300の姿勢判定や心電信号の検知における精度に悪影響を及ぼすことがない。
【0065】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0066】
例えば、上記においては、電極シートユニット150がシーツ400に貼り付けられて用いられる例を説明したが、電極シートユニット150は、例えば、掛け布団に対して貼り付けられてもよい。
このようにすることによって、心電波形を取得する場合、電極シートユニット150が、生体300の心臓に近い胸部側に配置される構成となるので、取得する心電波形の安定性や精度を向上させることができる。
【0067】
また、上記においては、生体情報取得システム200は、静電容量の変化を検出することによって、生体300の姿勢を判定する例を説明したが、生体情報取得システム200は、例えば、生体300(例えば、要介護者)の下半身における静電容量の変化に基づいて、排泄(排尿や排便)の有無を検出するように構成されていてもよい。この場合、生体300のモニタリング中において、生体300の下半身と対応する位置に配置されている電極30を選択して、静電容量を計測する。
【0068】
また、上記においては、人工知能が、生体300の姿勢を、左向き側臥位、仰臥位及び右向き側臥位のいずれかとして判定(分類)する例を説明したが、本発明において、人工知能が判定(分類)する姿勢の種類はこの例に限定されず、人工知能は、生体300の姿勢をより細かく判定(分類)するように構成されていてもよい。
【0069】
また、上記においては、生体情報取得システム200が心電波形の取得に用いられる例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。
より詳細には、例えば、生体情報取得システム200を用いて、心電波形の取得に伴って生体300の呼吸や脈拍についても同時計測してもよいし、生体300の呼吸や脈拍のみを計測してもよい。
【0070】
また、上記においては、電極シート100(電極シートユニット150)が寝具に貼り付けられる例を説明したが、電極シート100は、例えば、自動車の座席部(背もたれ部)に貼り付けられてもよい。この場合、生体情報取得システム200によって、運転者の姿勢(適切な着座状態にあるか)の判定や、運転者の心拍、呼吸等の生体情報をモニタリングすることができる。この場合、例えば、取得した生体情報を用いて居眠り運転等の判定も可能である。
【0071】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)アレイ状に配置されている複数の電極を有する可撓性の電極シートと、
前記複数の電極が生体に対して非接触となるように前記電極シートを前記生体に沿わせて配置した状態で、前記複数の電極から電気的パラメータを取得し、取得した電気的パラメータに基づいて、生体情報の取得に用いられる電極を選択する電極選択部と、
前記複数の電極が前記生体に対して非接触となるように前記電極シートを前記生体に沿わせて配置した状態で、前記電極選択部により選択された前記電極から前記生体情報を取得する生体情報取得部と、
を備える生体情報取得システム。
(2)前記電極選択部は、人工知能による判定動作によって、前記生体情報の取得に用いられる電極を選択する(1)に記載の生体情報取得システム。
(3)前記電極選択部は、前記電気的パラメータとして、静電容量の変化を検出し、検出した変化に基づいて、前記生体の姿勢を判定し、姿勢の判定結果に基づいて、前記生体情報の取得に用いられる前記電極を選択する(1)又は(2)に記載の生体情報取得システム。
(4)前記電極選択部は、3点誘導法による心電波形の取得に適した3箇所の電極を選択し、
前記生体情報取得部は、前記生体情報として、3点誘導法により心電波形を取得する(1)から(3)のいずれか一項に記載の生体情報取得システム。
(5)前記電極シートは、相互に接続されている複数の単位シートを備え、
前記単位シートの各々は、伸縮性基材と、前記伸縮性基材上に形成されていて互いに並列に延在している複数の伸縮性配線と、前記複数の伸縮性配線のうち2つ以上の伸縮性配線の一端にそれぞれ形成されている前記複数の電極と、を有し、
前記複数の単位シートは、前記複数の電極の並び方向に並んで配置されており、
一の前記単位シートの前記伸縮性配線のうち、前記電極にて終端していない前記伸縮性配線の各々は、当該一の単位シートに隣接する他の単位シートの前記伸縮性配線に対して個別に接続されている(1)から(4)のいずれか一項に記載の生体情報取得システム。
(6)前記複数の単位シートは、中継シートを介して相互に接続されており、
前記中継シートの各々は、伸縮性中継基材と、前記伸縮性中継基材上に形成されていて互いに並列に延在している複数の伸縮性中継配線と、を有し、
前記一の単位シートの前記伸縮性配線と前記他の単位シートの前記伸縮性配線とは、前記伸縮性中継配線を介して相互に接続されている(5)に記載の生体情報取得システム。
(7)相互に接続されている複数の単位シートを備え、
前記単位シートの各々は、伸縮性基材と、前記伸縮性基材上に形成されていて互いに並列に延在している複数の伸縮性配線と、前記伸縮性配線のうち2つ以上の伸縮性配線の一端にそれぞれ形成されている複数の電極と、を有し、
前記複数の単位シートは、前記複数の電極の並び方向に並んで配置されており、
一の前記単位シートの前記伸縮性配線のうち、前記電極にて終端していない前記伸縮性配線の各々は、当該一の単位シートに隣接する他の単位シートの前記伸縮性配線に対して個別に接続されている電極シート。
(8)前記複数の伸縮性配線を覆う伸縮性カバーが、前記伸縮性基材に重ねて配置されており、
前記複数の伸縮性配線において、隣の前記単位シート側の端部は、前記伸縮性カバーから露出している接続端子部となっている(7)に記載の電極シート。
(9)前記複数の単位シートは、中継シートを介して相互に接続されており、
前記中継シートの各々は、伸縮性中継基材と、前記伸縮性中継基材上に形成されていて互いに並列に延在している複数の伸縮性中継配線と、を有し、
前記一の単位シートの前記伸縮性配線と前記他の単位シートの前記伸縮性配線とは、前記伸縮性中継配線を介して相互に接続されている(7)又は(8)に記載の電極シート。
(10)前記伸縮性配線の配線幅よりも、前記伸縮性中継配線の配線幅が大きい(9)に記載の電極シート。
(11)当該電極シートを取付対象物に対して貼り付けるための粘着層又は接着層を有する(7)から(10)のいずれか一項に記載の電極シート。
(12)前記複数の単位シートのうち、前記複数の単位シートの並び方向における一端に位置する単位シートの、他の単位シート側とは反対側に位置する端部には、外部接続端子部が設けられており、
前記外部接続端子部は、
非伸縮性基材と、
前記非伸縮性基材上に形成されていて前記伸縮性配線と接続されている引出配線と、
を有し、
前記引出配線の一部分により外部接続端子が構成されている(7)から(11)のいずれか一項に記載の電極シート。
【実施例0072】
以下、図19(a)から図20(c)を用いて実施例1~3及び比較例1~3を説明する。
実施例1~3及び比較例1~3では、実施例に係る生体情報取得システム200及び比較例に係る生体情報取得システム(不図示)を用いて、静電容量の分布に基づく被験者(生体300)のシルエットの検出を行った。
実施例1~3に係る合成装置は、上記の第1実施形態で説明した生体情報取得システム200である。
比較例1~3に係る生体情報取得システムは、電極シート100の代わりに、非特許文献1と同様に複数の電極30を有する基板を備えている点において、実施例1~3に係る生体情報取得システム200と相違しており、その他の点においては実施例1~3に係る生体情報取得システム200と同様に構成されている。
【0073】
図19(a)から図20(c)は、生体情報取得システム200(又は生体情報取得システム)を用いて各電極30に蓄積された静電容量の分布を表示した画像データである。上述のように、生成された画像において、生体300と対応する箇所はより高輝度となり(より白くなり)、生体300と対応していない箇所はより低輝度となる(より黒くなる)。
図19(a)は実施例1における画像データを示し、図19(b)は実施例2における画像データを示し、図19(c)は実施例3における画像データを示す。図20(a)は比較例1における画像データを示し、図20(b)は比較例2における画像データを示し、図20(c)は比較例3における画像データを示す。
実施例1及び比較例1では、被験者の姿勢が左向き側臥位(第1実施形態の図13(a)参照)となっている状態において、各電極30に蓄積された静電容量の計測を行った。
実施例2及び比較例2では、被験者の姿勢が仰臥位(第1実施形態の図13(b)参照)となっている状態において、各電極30に蓄積された静電容量の計測を行った。
実施例3及び比較例3では、被験者の姿勢が右向き側臥位(第1実施形態の図13(c)参照)となっている状態において、各電極30に蓄積された静電容量の計測を行った。
【0074】
図19(a)に示すように、実施例1では、生体300の両脚(脚部330)がシルエットとして視認可能となっている。一方、図20(b)に示すように、比較例1では、生体300の両脚(脚部330)のうち、左脚(図20(b)における手前側に配置されている脚)が主としてシルエットとして視認可能となっており、右脚(図20(b)における奥側に配置されている脚)の形状は、シルエットとして明確でない。
また、図19(b)に示すように、実施例2では、図20(b)に示す比較例2と比べて、生体300の各部位(胴部320、脚部330、腕部340)がより明確にシルエットとして視認可能となっている。
また、図19(c)に示すように、実施例3では、生体300の両脚(脚部330)がシルエットとして視認可能となっている。一方、図20(c)に示すように、比較例3では、右脚(図20(c)における手前側に配置されている脚)が主としてシルエットとして視認可能となっており、左脚(図20(c)における奥側に配置されている脚)の形状は、シルエットとして明確でない。
このように、第1実施形態に係る生体情報取得システム200によれば、生体300の姿勢をより正確に検出することができる。
【0075】
次に、図21を用いて実施例4を説明する。
実施例4では、被験者は、30夜の間、電極シートユニット150が貼り付けられたシーツ400上で就寝し、各夜毎に伸縮性配線20の抵抗値を計測した。なお、1夜あたりの睡眠時間は約7時間とした。また、30夜が経過した後、電極シートユニット150が貼り付けられたシーツ400の洗濯及び乾燥(風乾)を行い、更に伸縮性配線20の抵抗値を計測した。なお、実施例4で用いられる電極シートユニット150は、一例として、6枚の電極シート100を備えている。
なお、複数の伸縮性配線20のうち、電極30が形成されている伸縮性配線20の各々の抵抗値を計測した。
図21は、電極シートユニット150をシーツ400に貼り付け、被験者が就寝を伴う実用を繰り返した場合における、伸縮性配線20の抵抗値の変化を示すグラフであり、横軸は時間、左側の縦軸は抵抗値(Ω)である。
ここで、電極シート100において、X方向に並ぶ15個の電極30について、外部接続端子部80が設けられている側(例えば、右側)から順に、それぞれ第1電極~第15電極と称する。
図21に示すグラフにおいて、第1電極~第15電極のうち、第1電極(最も外部接続端子部80側に配置されている電極30)と対応する伸縮性配線20の抵抗値と、第15電極(最も外部接続端子部80側とは反対側に配置されている電極30)と対応する伸縮性配線20の抵抗値と、第1電極~第15電極と対応する伸縮性配線20の各々の抵抗値の平均値を示している。電極シート100において、伸縮性配線20の抵抗値は、外部接続端子部80に近づくほど低くなり、外部接続端子部80から遠ざかるほど高くなる。したがって、第1電極の抵抗値は、伸縮性配線20の抵抗値の最小値であり、第15電極の抵抗値は、伸縮性配線20の抵抗値の最大値である。
【0076】
図21に示すように、30夜が経過した後の伸縮性配線20の抵抗値は、最小値(第1電極の抵抗値)、最大値(第15電極の抵抗値)及び平均値のいずれも400Ω以下であった。また、洗濯及び乾燥後の電極シート100においても、伸縮性配線20の抵抗値は、最小値(「第1電極」の抵抗値)、最大値(第15電極の抵抗値)及び平均値のいずれも400Ω以下であった。
これらの結果から、一定期間の間、電極シートユニット150(複数の電極シート100)を、就寝や洗濯等を伴う実用に繰り返し供したとしても、伸縮性配線20の抵抗値は2kΩを大きく下回ることが分かった。
ここで、本発明に係る生体情報取得システム200において、静電容量の変化の検出は、極めて高いインピーダンス下で行われる。このため、本発明者等の検討によれば、生体情報取得システム200において、概ね2kΩまでの伸縮性配線20の抵抗値が許容され得る。したがって、本発明における生体情報取得システム200は、就寝や洗濯等を伴う実用段階においても、電極シート100の性能を良好に維持できると考えられる。
【符号の説明】
【0077】
10 単位シート
10a 第1単位シート
10b 第2単位シート
10c 第3単位シート
11 伸縮性基材
11a 一方の面
11b 他方の面
16 貫通孔
20 伸縮性配線
20a 第1伸縮性配線
20b 第2伸縮性配線
25 接続端子部
25a 第1接続端子部
25b 第2接続端子部
25c 第3接続端子部
25d 第4接続端子部
30 電極
30a 第1電極
30b 第2電極
32 切欠形状部
36 正電極
37 負電極
38 アース電極
40 中継シート
40a 第1中継シート
40b 第2中継シート
41 伸縮性中継基材
43 伸縮性中継配線
43a 第1伸縮性中継配線
43b 第2伸縮性中継配線
46 伸縮性中継カバー
48 開口部
48a 第1開口部
48b 第2開口部
50 伸縮性カバー
50a 一方の面
50b 他方の面
61 粘着層
71 第1剥離フィルム
76 第2剥離フィルム
80 外部接続端子部
80a 第1外部接続端子部
80b 第2外部接続端子部
81 非伸縮性基材
82 引出配線
83 外部接続端子
91 制御部
94 静電容量検出回路
95 心電波形検出回路
96 スイッチング部
96a スイッチ
100 電極シート
100a 一方の面
100b 他方の面
150 電極シートユニット
200 生体情報取得システム
300 生体
310 頭部
320 胴部
330 脚部
340 腕部
350 絶縁物
360 皮膚
370 コンデンサ
381~385 二点鎖線
400 シーツ(取付対象物)
450 ベッド
501、502仮想線
503 配置領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2023-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
図1】第1実施形態に係る電極シートを示す模式的な平面図である。
図2】第1実施形態に係る電極シートを示す模式的な端面図である。
図3】第1実施形態に係る電極シートを示す模式的な分解端面図である。
図4】第1実施形態における第1単位シートを示す模式的な平面図である。
図5図5(a)は図1に示すA部の部分拡大図であり、図5(b)は図5(a)に示すA部の部分拡大図である。
図6図6(a)は図1に示すB部の部分拡大図であり、図6(b)は図6(a)に示すA部の部分拡大図である。
図7図2に示すA部の部分拡大図である。
図8図8(a)及び図8(b)は第1実施形態における容量結合型電極を説明する図である。
図9】第1実施形態に係る生体情報取得システムのブロック図である。
図10】第1実施形態における3点誘導法を説明する図である。
図11】第1実施形態における電極シートユニットの平面図である。
図12】第1実施形態における電極シートユニットがシーツに貼付された状態を示す模式図である。
図13図13(a)、図13(b)及び図13(c)は第1実施形態における生体の姿勢を示す模式図であり、このうち図13(a)は左向き側臥位、図13(b)は仰臥位、図13(c)は右向き側臥位を示す。
図14図14(a)、図14(b)及び図14(c)は第1実施形態における電極選択部によって選択される3箇所の電極の一例を示す平面図であり、このうち図14(a)は図13(a)の姿勢において選択される3箇所の電極、図14(b)は図13(b)の姿勢において選択される3箇所の電極、図14(c)は図13(c)の姿勢において選択される3箇所の電極を示す。
図15図15(a)は第1実施形態に係る生体情報取得システムを用いて取得された心電図であり、図15(b)は図15(a)に示すA部の部分拡大図である。
図16図16(a)及び図16(b)は第1実施形態の変形例に係る電極シートを示す模式的な端面図である。
図17】第2実施形態に係る電極シートを示す模式的な端面図である。
図18】第2実施形態に係る電極シートを示す模式的な分解端面図である。
図19図19(a)、図19(b)及び図19(c)は実施例1~3における静電容量の分布をグレースケールで表示した画像データである。
図20図20(a)、図20(b)及び図20(c)は比較例1~3における静電容量の分布をグレースケールで表示した画像データである。
図21】実施例4における伸縮性配線の抵抗値の変化を示すグラフである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
先ず、生体情報取得システム200の電極シート100についてより詳細に説明する。
以下では、電極シート100の各構成要素同士の位置関係などを説明するに際し、図2における上側を、上側又は上方などと称し、その反対側を下側又は下方などと称する。また、図2における左側を、左側又は左方などと称し、その反対側を右側又は右方などと称する。しかし、これらの方向の規定は便宜的なものであり、電極シート100の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
また、図1図3における左右方向をX方向と称し、図における上下方向をY方向と称する。X方向及びY方向は、電極シート100の面方向に対して平行な方向(水平方向)であり、図2における上下方向(電極シート100の面直方向)に対して直交している。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
図2及び図3に示すように、複数の電極30は、例えば、伸縮性基材11の一方の面11a上に直に形成されている。
本実施形態の場合、電極シート100において、複数の電極30は、例えば、Y方向において2行配置されており、各行には15個の電極30がX方向に並んで配置されている。すなわち、電極シート100において、2行15列の合計30個の電極30が配置されている。
より詳細には、単位シート10(第1単位シート10a~第3単位シート10c)の各々において、複数の電極30は、例えば、Y方向において2行配置されており、各行には5つの電極30がX方向に並んで配置されている。すなわち、単位シート10の各々において、2行5列の合計0個の電極30が配置されている。
以下の説明において、Y方向における一方側の行に配置されている複数の電極30をそれぞれ第1電極30aと称し、Y方向における他方側の行に配置されている複数の電極30をそれぞれ第2電極30bと称する。
複数の第1電極30aは、隣の単位シート10が備える複数の第1電極30aとX方向に一列に(直線状に)並んで配置されており、複数の第2電極30bは、隣の単位シート10が備える複数の第2電極30bとX方向に一列に(直線状に)並んで配置されている。
各電極30は、例えば、互いに同一形状及び同一寸法に設定されている。
各電極30は、例えば、平面視において、Y方向に若干長尺な略矩形状に形成されている。
なお、本発明において、単位シート10の各々が備える電極30の数は特に限定されず、電極シート100の用途、電極シート100の取付対象物の形状及び外形寸法等に応じて適宜設定することができる。
複数の電極30の各々は、一例として、X方向における寸法が40mmであり、Y方向における寸法が50mmである。
複数の電極30は、X方向において互いに離間しているとともに等間隔に配置されている。X方向において隣り合う電極30同士の間の間隔は、例えば、10mm以上30mm以下であることが好ましく、本実施形態の場合、一例として、20mmである。
同様に、Y向において、複数の電極30は互いに離間して配置されている。Y方向において隣り合う電極30同士の間の間隔は、例えば、10mm以上30mm以下であることが好ましく、本実施形態の場合、一例として、20mmである。
このような構成によれば、単位シート10において、隣り合う電極30が互いに干渉してしまうことを抑制できる。
ただし、本発明において、隣り合う電極30同士の間の間隔はこの例に限定されない。
また、図1及び図4に示すように、本実施形態の場合、Y方向において、第1電極30aの各々の上縁と、電極シート100の上縁との離間距離は、第2電極30bの各々の下縁と電極シート100の下縁との離間距離よりも小さい。
このようにすることにより、後述するように複数の電極シート100をY方向に互いに近接させて並べた状態(図11参照)において、複数の電極30をY方向において等間隔に配置することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
図2及び図3に示すように、複数の伸縮性配線20は、例えば、伸縮性基材11の一方の面11a上に直に形成されている。伸縮性配線20の各々は、例えば、X方向に延在している。より詳細には、伸縮性配線20の各々は、例えば、X方向に延在する部分と後述するように上り傾斜している部分とを含むが、全体としては概ねX方向に延在している。
また、各単位シート10(第1単位シート10a~第3単位シート10c)は、複数の伸縮性配線20として、複数の第1伸縮性配線20aと、複数の第2伸縮性配線20bと、を備えている。
複数の第1伸縮性配線20aの各々は、例えば、Y方向において、複数の第1電極30aよりも他方側(図1及び図4における下方)に配置されている。
同様に、複数の第2伸縮性配線20bの各々は、例えば、Y方向において、複数の第2電極30bよりも他方側(図1及び図4における下方)に配置されている。
一の単位シート10において、複数の第1伸縮性配線20aのうち、2つ以上の第1伸縮性配線20aの一端には、それぞれ第1電極30aが形成されている。すなわち、2つ以上の第1伸縮性配線20aは、第1電極30aにて終端している。一方、第1電極30aにて終端していない残りの第1伸縮性配線20aの各々は、一例として、伸縮性基材11の左側端から右側端に亘って延在している。
同様に、一の単位シート10において、複数の第2伸縮性配線20bのうち、2つ以上の第2伸縮性配線20bの一端には、それぞれ第2電極30bが形成されている。すなわち、2つ以上の第2伸縮性配線20bは、第2電極30bにて終端している。一方、第2電極30bにて終端していない残りの第2伸縮性配線20bの各々は、一例として、伸縮性基材11の左側端から右側端に亘って延在している。
ただし、後述するように、第3単位シート10cにおいては、すべての第1伸縮性配線20aが第1電極30aで終端しており、第1電極30aにて終端していない第1伸縮性配線20aはない。同様に、第3単位シート10cにおいては、すべての第2伸縮性配線20bが第2電極30bで終端しており、第2電極30bにて終端していない第伸縮性配線20bはない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
また、本実施形態の場合、各単位シート10が備える伸縮性配線20(第1伸縮性配線20a及び第2伸縮性配線20b)の数は、第1単位シート10a、第2単位シート10b、第3単位シート10cの順に少なくなっている。
より詳細には、第1単位シート10aにおいて、例えば、15本の第1伸縮性配線20aが形成されており、このうち5本の第1伸縮性配線20aの各々の左端に1つずつの第1電極30aが形成されている。残り(10本)の複数の第1伸縮性配線20aの各々の左端部が、それぞれ第1接続端子部25aとなっている。同様に、第1単位シート10aにおいては、例えば、15本の第2伸縮性配線20bが形成されており、このうち5本の第2伸縮性配線20bの各々の左端に1つずつの第2電極30bが形成されている。残り(10本)の複数の第2伸縮性配線20bの各々の左端部が、それぞれ第1接続端子部25aとなっている。
第2単位シート10bにおいては、例えば、10本の第1伸縮性配線20aが形成されており、このうち5本の第1伸縮性配線20aの各々の左端に1つずつの第1電極30aが形成されている。残り(5本)の複数の第1伸縮性配線20aの各々の左端部は、それぞれ第3接続端子部25cとなっている。同様に、第2単位シート10bにおいては、例えば、10本の第2伸縮性配線20bが形成されており、このうち5本の第2伸縮性配線20bの各々の左端に1つずつの第2電極30bが形成されている。残り(5本)の複数の第2伸縮性配線20bの各々の右端部は、それぞれ第2接続端子部25bとなっており、左端部はそれぞれ第3接続端子部25cとなっている。
第3単位シート10cにおいては、例えば、5本の第1伸縮性配線20aが形成されており、これら5本の第1伸縮性配線20aの各々の左端に1つずつの第1電極30aが形成されている。同様に、第3単位シート10cにおいては、例えば、5本の第2伸縮性配線20bが形成されており、これら5本の第2伸縮性配線20bの各々の左端に1つずつの第電極30が形成されている。すなわち、第3単位シート10cには、第1電極30aにて終端していない第1伸縮性配線20a、及び、第2電極30bにて終端にしていない第2伸縮性配線20bは形成されていない。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
第2中継シート40bにおいて、第1伸縮性中継配線43aの各々の一端部は、右側の第1開口部48aを介して、対応する第1伸縮性配線20aの第3接続端子部25cと電気的及び機械的に接続されている。第1伸縮性中継配線43aの各々の他端部は、左側の第1開口部48aを介して、対応する第1伸縮性配線20aの第4接続端子部25dと電気的及び機械的に接続されている。
より詳細には、第2中継シート40bは、第1伸縮性配線20aの第3接続端子部25c及び第4接続端子部25dの各々の数と同数の第1伸縮性中継配線43aを有し、一の第1伸縮性中継配線43aによって、互いに対応する第3接続端子部25cと第4接続端子部25dとが相互に接続されている。
同様に、第2中継シート40bにおいて、第2伸縮性中継配線43bの各々の一端部は、右側の第2開口部48bを介して、対応する第2伸縮性配線20bの第3接続端子部25cと電気的及び機械的に接続されている。第2伸縮性中継配線43bの各々の他端部は、左側の第2開口部48bを介して、対応する第2伸縮性配線20bの第4接続端子部25dと電気的及び機械的に接続されている。
より詳細には、第2中継シート40bは、第2伸縮性配線20bの第3接続端子部25c及び第4接続端子部25dの各々の数と同数の第伸縮性中継配線43を有し、一の第2伸縮性中継配線43bによって、互いに対応する第3接続端子部25cと第4接続端子部25dとが相互に接続されている。
このようにして、第2中継シート40bにおいて、伸縮性中継配線43の各々は、第2単位シート10bの各第3接続端子部25cと、第3単位シート10cの各第4接続端子部25dとを相互に電気的及び機械的に接続している。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
電極シート100を使用する際には、例えば、先ず、第1剥離フィルム71を粘着層61から剥離し、粘着層61が露出する状態にする。そして、粘着層61を介して電極シート100を取付対象物に対して貼付することができる。次に、第2剥離フィルム76を伸縮性基材11から剥離し、電極シート100の上面側において伸縮性基材11が露出する状態にする。
このように、第2剥離フィルム76を剥離する前に電極シート100を取付対象物に対して貼付することによって、当該電極シート100のヨレを抑制しつつ、意図した範囲に貼付することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
ここで、本実施形態の場合、生体情報取得システム200(電極シート100、電極選択部及び生体情報取得部)は、一例として、生体300の心電波形を取得するために用いられる。
生体情報取得システム200を用いた心電波形の取得は、例えば、複数の電極シート100が貼り付けられた取付対象物(例えば、図12に示すシーツ400)上に、被験者が横たわった状態で行われる。したがって、各電極30において、対応する電極30と、被験者の衣服やシーツ400(絶縁物350)と、被験者(生体300)の皮膚360と、によってコンデンサ370がそれぞれ形成される。なお、本実施形態の場合、上述のように伸縮性基材11及び伸縮性カバー50は絶縁性を有する材料によって構成されているため、これらの層も衣服やシーツ400とともに絶縁物350となる。
以下、一の取付対象物に貼付された複数の電極シート100を電極シートユニット150と総称する場合がある。
図11及び図12に示すように、例えば、電極シートユニット150が貼付されたシーツ400はベッド450上に敷設される。なお、図11では、シーツ400において、被験者の肌と接触する側の面(表面)を示している。また、図11図14(a)、図14(b)及び図14(c)では、電極シートユニット150の各構成要素のうち複数の電極30を選択的に実線で図示している。
電極シートユニット150において、各電極シート100が備える複数の電極30は、アレイ状に配置されている。より詳細には、電極シートユニット150において、複数の電極30が、平面視正方格子状に配列されるように、電極シート100同士がY方向に並んで配置されている。電極シートユニット150において、複数の電極30は、X方向において互いに離間して等間隔に配置されているとともに、Y方向においても互いに離間して等間隔に配置されている。
電極シートユニット150は、例えば、平面視において、当該電極シートユニット150における複数の電極30の配置領域503図11及び図13(a)~図13(c)に示す二点鎖線で示す領域)の内側に、少なくとも生体300の胴部320の全体が収まるように構成されている。なお、図13(a)~図13(c)においては、電極30の配置領域503内に、主として胴部320、脚部330及び腕部340が配置されている例を図示しているが、本発明はこの例に限らず、頭部310を含む生体300の全体が配置領域503内に収まるように電極シートユニット150が構成されていてもよい。
図11に示す例では、10枚の電極シート100がY方向に並んで配置されている。電極シートユニット150において、複数の電極30は、例えば、Y方向において20行配置されており、各行には15個の電極30がX方向に並んで配置されている。したがって、電極シートユニット150は、20行15列の300個の電極30を備えている。
複数の電極30の配置領域503において、生体300は、例えば、当該生体300の頭部310がY方向における一方側(図11における上側)に配置され、当該生体300の脚部330がY方向における他方側(図11における下側)に配置される姿勢で横たわっている。
なお、本発明において、電極シートユニット150が有する電極シート100の数及びそれらの配置は、この例に限定されず、生体情報取得システム200の用途や取付対象物の外径寸法等に応じて適宜設定することができる。
電極シートユニット150は複数の電極シート100によって構成されているため、例えば、当該電極シートユニット150の長期使用において、一部の電極30又は伸縮性配線20が破断等により機能喪失したとしても、該当の電極30又は伸縮性配線20を有する電極シート100を新規の別の電極シート100と交換することで事足りる。すなわち、電極シートユニット150を容易に修理することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
図12に示すように、電極シートユニット150は、例えば、シーツ400において、被験者の肌と接触する側の面とは反対側の面(裏面)に粘着層61を介して貼り付けられている。したがって、各電極シート100は、粘着層61が形成されている側の面(一方の面100a)が上側、その反対側の面(他方の面100b)が下側を向いた姿勢で取付対象物に貼付される。
これにより、シーツ400上において、被験者と電極シートユニット150とが直に接触することを抑制できるので、電極シートユニット150がシーツ400に貼り付けられた状態を良好に維持することができる。
ただし、シーツ400において、電極シートユニット150が貼り付けられる面は、シーツ400の表面であってもよい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
以下、図13(a)から図14(c)を用いて生体情報取得システム200の動作の一例を説明する。なお、以下の説明において、一例として、生体情報取得システム200は心電波形の取得に用いられるものとする。また、図14(a)~図14)において、電極選択部によって選択された3箇所の電極30をそれぞれ右上がりのハッチングで示している。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
<第実施形態の変形例>
次に、図16(a)及び図16(b)を用いて第1実施形態の変形例を説明する。なお、図16(b)においては、図16(a)に示すA部に相当する部分の拡大図を示している。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
図16(a)及び図16(b)に示すように、本変形例に係る電極シート100は、伸縮性配線20の配線幅よりも、伸縮性中継配線43の配線幅が大きい点において、第1実施形態に係る電極シート100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る電極シート100と同様に構成されている。
このような構成によれば、中継シート40と対応する単位シート10とを位置合わせして、伸縮性中継配線43と伸縮性配線20とを相互に電気的に接続する際に、伸縮性中継配線43と対応する単位シート10とがY方向(伸縮性中継配線43の配線幅方向)において相対的にわずかに位置ずれしても、伸縮性中継配線43を伸縮性配線20に対して適切に位置合わせして接続することができる。
ただし、伸縮性中継配線43は、伸縮性配線20において伸縮性中継配線43と接続される部位と同幅に形成されていてもよいし、当該部位よりも細幅に形成されていてもよい。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
以下、図19(a)から図20(c)を用いて実施例1~3及び比較例1~3を説明する。
実施例1~3及び比較例1~3では、実施例に係る生体情報取得システム200及び比較例に係る生体情報取得システム(不図示)を用いて、静電容量の分布に基づく被験者(生体300)のシルエットの検出を行った。
実施例1~3に係る生体情報取得システムは、上記の第1実施形態で説明した生体情報取得システム200である。
比較例1~3に係る生体情報取得システムは、電極シート100の代わりに、非特許文献1と同様に複数の電極30を有する基板を備えている点において、実施例1~3に係る生体情報取得システム200と相違しており、その他の点においては実施例1~3に係る生体情報取得システム200と同様に構成されている。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
図19(a)に示すように、実施例1では、生体300の両脚(脚部330)がシルエットとして視認可能となっている。一方、図20)に示すように、比較例1では、生体300の両脚(脚部330)のうち、左脚(図20)における手前側に配置されている脚)が主としてシルエットとして視認可能となっており、右脚(図20)における奥側に配置されている脚)の形状は、シルエットとして明確でない。
また、図19(b)に示すように、実施例2では、図20(b)に示す比較例2と比べて、生体300の各部位(胴部320、脚部330、腕部340)がより明確にシルエットとして視認可能となっている。
また、図19(c)に示すように、実施例3では、生体300の両脚(脚部330)がシルエットとして視認可能となっている。一方、図20(c)に示すように、比較例3では、右脚(図20(c)における手前側に配置されている脚)が主としてシルエットとして視認可能となっており、左脚(図20(c)における奥側に配置されている脚)の形状は、シルエットとして明確でない。
このように、第1実施形態に係る生体情報取得システム200によれば、生体300の姿勢をより正確に検出することができる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0076】
図21に示すように、30夜が経過した後の伸縮性配線20の抵抗値は、最小値(第1電極の抵抗値)、最大値(第15電極の抵抗値)及び平均値のいずれも400Ω以下であった。また、洗濯及び乾燥後の電極シート100においても、伸縮性配線20の抵抗値は、最小値(第1電極の抵抗値)、最大値(第15電極の抵抗値)及び平均値のいずれも400Ω以下であった。
これらの結果から、一定期間の間、電極シートユニット150(複数の電極シート100)を、就寝や洗濯等を伴う実用に繰り返し供したとしても、伸縮性配線20の抵抗値は2kΩを大きく下回ることが分かった。
ここで、本発明に係る生体情報取得システム200において、静電容量の変化の検出は、極めて高いインピーダンス下で行われる。このため、本発明者等の検討によれば、生体情報取得システム200において、概ね2kΩまでの伸縮性配線20の抵抗値が許容され得る。したがって、本発明における生体情報取得システム200は、就寝や洗濯等を伴う実用段階においても、電極シート100の性能を良好に維持できると考えられる。