(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139830
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】フォークリフト用駆動ユニット、及びフォークリフト
(51)【国際特許分類】
B60K 17/12 20060101AFI20230927BHJP
B60K 17/06 20060101ALI20230927BHJP
B66F 9/075 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
B60K17/12
B60K17/06 D
B66F9/075 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045562
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】上村 博
(72)【発明者】
【氏名】有本 孝志
(72)【発明者】
【氏名】梅田 佳宏
【テーマコード(参考)】
3D039
3D042
3F333
【Fターム(参考)】
3D039AB24
3D039AC33
3D039AC36
3D039AC37
3D039AC39
3D042AA01
3D042AB09
3D042BE01
3F333AA02
3F333CA11
(57)【要約】
【課題】駆動力及び速度を向上させることのできる電動式フォークリフトを提供する。
【解決手段】フォークリフト用駆動ユニット10は、フォークリフトに搭載されるように構成されている。駆動ユニット10は、電気モータ2と変速機3とを備える。電気モータ2は、駆動輪103を回転駆動するように構成される。変速機3は、電気モータ2の回転速度を可変の変速比で変速するように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークリフトに搭載されるように構成された駆動ユニットであって、
駆動輪を回転駆動するように構成された電気モータと、
前記電気モータの回転速度を可変の変速比で変速するように構成される変速機と、
を備える、フォークリフト用駆動ユニット。
【請求項2】
前記電気モータは、軸方向の第1側に延びる第1出力シャフトを有し、
前記変速機は、複数段のギヤ列と、前記各ギヤ列間で動力伝達経路を切り替える切替部と、を有する、
請求項1に記載のフォークリフト用駆動ユニット。
【請求項3】
前記切替部は、多板クラッチである、
請求項2に記載のフォークリフト用駆動ユニット。
【請求項4】
前記切替部は、平面視において前記電気モータと重複する位置に配置される、
請求項2又は3に記載のフォークリフト用駆動ユニット。
【請求項5】
前記変速機は、前記切替部を支持して軸方向に延びる入力シャフトと、前記入力シャフト内を軸方向に延びる供給路と、を有し、
前記供給路は、前記入力シャフトの軸方向第2側端部に配置される入口部を有する、
請求項2から4のいずれかに記載のフォークリフト用駆動ユニット。
【請求項6】
前記複数段のギヤ列は、第1ギヤ列と、前記第1ギヤ列より変速比の小さい第2ギヤ列と、を含み、
前記第1ギヤ列は、前記第2ギヤ列に対して軸方向の第1側に配置される、
請求項2から5のいずれかに記載のフォークリフト用駆動ユニット。
【請求項7】
前記切替部は、軸方向において、前記第1ギヤ列と前記第2ギヤ列との間に配置される、
請求項6に記載のフォークリフト用駆動ユニット。
【請求項8】
前記複数段のギヤ列は、第1ギヤ列と、第2ギヤ列と、を含み、
前記切替部は、動力伝達経路を前記第1ギヤ列に切り替えるように構成された第1クラッチと、動力伝達経路を前記第2ギヤ列に切り替えるように構成された第2クラッチと、を有し、
前記変速機は、軸方向に延び且つ前記第1クラッチが取り付けられる第1入力シャフトと、軸方向に延び且つ前記第2クラッチが取り付けられる第2入力シャフトと、を有する、
請求項2から4のいずれかに記載のフォークリフト用駆動ユニット。
【請求項9】
前記第1入力シャフトは、前記第1出力シャフトに対して前方に配置され、
前記第2入力シャフトは、前記第1出力シャフトに対して後方に配置される、
請求項8に記載のフォークリフト用駆動ユニット。
【請求項10】
前記変速機は、前記第1ギヤ列又は前記第2ギヤ列を介して動力が伝達される第2出力シャフトを有し、
前記第2出力シャフトは、前後方向において、前記第1入力シャフトと前記第2入力シャフトとの間に配置される、
請求項8又は9に記載のフォークリフト用駆動ユニット。
【請求項11】
前記第2出力シャフトは、前記第1入力シャフト及び前記第2入力シャフトに対して下方に配置される、
請求項10に記載のフォークリフト用駆動ユニット。
【請求項12】
前記変速機は、複数の遊星歯車機構を有する、
請求項1に記載のフォークリフト用駆動ユニット。
【請求項13】
前記変速機は、前記電気モータの下方に配置される、
請求項1から12のいずれかに記載のフォークリフト用駆動ユニット。
【請求項14】
フォークリフトに搭載されるように構成された駆動ユニットであって、
駆動輪を回転駆動するように構成された電気モータと、
前記電気モータのトルクを増幅するように構成されるトルクコンバータと、
を備える、フォークリフト用駆動ユニット。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載のフォークリフト用駆動ユニットと、
リフト装置と、
前記フォークリフト用駆動ユニットによって駆動されるように構成された駆動輪と、
を備える、フォークリフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフト用駆動ユニット及びフォークユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
排気ガスを排出せず音も静かであるため、工場や倉庫などの屋内において、電動式フォークリフトが広く用いられている。電動式フォークリフトは、電気モータを駆動源とし、電気モータによって駆動輪を駆動することによって走行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電動式フォークリフトは、内燃機関式フォークリフトに比べて駆動力や速度の観点で劣っているという問題がある。そこで、本発明の課題は、駆動力及び速度を向上させることのできる電動式フォークリフトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に係るフォークリフト用駆動ユニットは、フォークリフトに搭載されるように構成されている。駆動ユニットは、電気モータと変速機とを備える。電気モータは、駆動輪を回転駆動するように構成される。変速機は、電気モータの回転速度を可変の変速比で変速するように構成される。
【0006】
この構成によれば、変速機によって変速比を変えることによって、電気モータの駆動力を向上させたり、速度を向上させたりすることができる。
【0007】
好ましくは、電気モータは、軸方向の第1側に延びる第1出力シャフトを有する。変速機は、複数段のギヤ列と、切替部と、を有する。切替部は、各ギヤ列間で動力伝達経路を切り替える。
【0008】
好ましくは、切替部は、多板クラッチである。
【0009】
好ましくは、切替部は、平面視において電気モータと重複する位置に配置される。
【0010】
好ましくは、変速機は、入力シャフトと、供給路とを有する。入力シャフトは、切替部を支持する。入力シャフトは、軸方向に延びる。供給路は、入力シャフト内を軸方向に延びる。供給路は、入力シャフトの軸方向第2側端部に配置される入口部を有する。
【0011】
好ましくは、複数段のギヤ列は、第1ギヤ列と、第1ギヤ列より変速比の小さい第2ギヤ列と、を含む。第1ギヤ列は、第2ギヤ列に対して軸方向の第1側に配置される。
【0012】
好ましくは、切替部は、軸方向において、第1ギヤ列と第2ギヤ列との間に配置される。
【0013】
好ましくは、複数段のギヤ列は、第1ギヤ列と、第2ギヤ列と、を含む。切替部は、第1クラッチと第2クラッチとを有する。第1クラッチは、動力伝達経路を第1ギヤ列に切り替えるように構成される。第2クラッチは、動力伝達経路を第2ギヤ列に切り替えるように構成される。変速機は、第1入力シャフトと第2入力シャフトとを有する。第1入力シャフトは、軸方向に延びる。また、第1入力シャフトは、第1クラッチが取り付けられる。第2入力シャフトは、軸方向に延びる。第2入力シャフトは、第2クラッチが取り付けられる。
【0014】
好ましくは、第1入力シャフトは、第1出力シャフトに対して前方に配置される。第2入力シャフトは、第1出力シャフトに対して後方に配置される。
【0015】
好ましくは、変速機は、第1ギヤ列又は第2ギヤ列を介して動力が伝達される第2出力シャフトを有する。第2出力シャフトは、前後方向において、第1入力シャフトと第2入力シャフトとの間に配置される。
【0016】
好ましくは、第2出力シャフトは、第1入力シャフト及び第2入力シャフトに対して下方に配置される。
【0017】
好ましくは、変速機は、複数の遊星歯車機構を有する。
【0018】
好ましくは、変速機は、電気モータの下方に配置される。
【0019】
本発明の第2側面に係るフォークリフト用駆動ユニットは、フォークリフトに搭載されるように構成される。駆動ユニットは、電気モータと、トルクコンバータとを備える。電気モータは、駆動輪を回転駆動するように構成される。トルクコンバータは、電気モータのトルクを増幅するように構成される。
【0020】
本発明の第3側面に係るフォークリフトは、上記いずれかのフォークリフト用駆動ユニットと、リフト装置と、駆動輪とを備える。駆動輪は、フォークリフト用駆動ユニットによって駆動されるように構成される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、駆動力及び速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施形態に係るフォークリフト用駆動ユニットおよびこれを搭載したフォークリフトについて図面を参照しつつ説明する。
図1は、フォークリフトの側面図である。なお、以下の説明において、軸方向とは、電気モータの回転軸が延びる方向である。また、「前」及び「後」とは車両本体101の前後を意味する。すなわち、
図1の左が前、右が後ろである。
【0024】
[フォークリフト]
図1に示すように、フォークリフト100は、車両本体101、リフト装置102、一対の駆動輪103、及び駆動ユニット10を有している。また、フォークリフト100は、一対の従動輪104、シート105、操作部106なども有している。なお、本実施形態では、前輪が駆動輪103であり、後輪が従動輪104である。
【0025】
フォークリフト100は、電気モータを駆動源とする電動式フォークリフトである。なお、フォークリフト100は、エンジンを有していない。また、フォークリフト100は、バッテリ(図示省略)を動力源とする。
【0026】
フォークリフト100は、リフト装置102によって、荷物の積載などを行うことができる。リフト装置102は、車両本体101の前方に配置されており、車両本体101に取り付けられている。駆動輪103は、車両本体101の前部に取り付けられている。従動輪104は、車両本体101の後部に取り付けられている。
【0027】
[駆動ユニット]
駆動ユニット10は、フォークリフトに搭載されるように構成されている。駆動ユニット10は、車両本体101内に配置されている。駆動ユニット10は、車両本体101の前部に配置されている。駆動ユニット10は、駆動輪103を駆動するように構成されている。
【0028】
図2は、駆動ユニットの概略図である。
図2に示すように、駆動ユニット10は、駆動輪103を回転駆動するように構成されている。詳細には、駆動ユニット10は、ディファレンシャルギヤ107を介して、一対の駆動輪103に駆動力を出力する。
【0029】
図3は、駆動ユニットの側面図であり、
図4は、
図3のIV-IV線断面である。なお、
図4では、電気モータの断面を省略している。また、
図3の左側が前方を示し、
図3の右側が後方を示す。
図3及び
図4に示すように、駆動ユニット10は、電気モータ2、変速機3、第1減速機構4、及び第2減速機構5を有している。
【0030】
[電気モータ]
電気モータ2は、駆動輪103を回転駆動するように構成されている。電気モータ2は、バッテリから電力が供給されることにより駆動する。電気モータ2は、モータ本体21及び第1出力シャフト22を有する。
【0031】
モータ本体21は、ロータ(図示省略)及びステータ(図示省略)を有する。ステータは、モータケースとともに回転不能である。ロータは、回転可能に配置されている。
【0032】
第1出力シャフト22は、モータ本体21から軸方向の第1側に延びている。第1出力シャフト22は、ロータと一体的に回転する。なお、軸方向の第1側とは、具体的には
図4の右側である。また、軸方向の第2側とは、軸方向の第1側の反対側を意味し、具体的には
図4の左側である。
【0033】
[変速機]
変速機3は、電気モータ2の回転速度を可変の変速比で変速するように構成されている。例えば、変速機3は、マニュアルトランスミッションである。なお、変速機3は、オートマチックトランスミッションであってもよいし、CVT(Continuously Variable Transmission)であってもよい。
【0034】
図4に示すように、変速機3は、2段のギヤ列を有する。すなわち、変速機3は、第1ギヤ列31及び第2ギヤ列32を有する。第1及び第2ギヤ列31、32のそれぞれは、複数のギヤ(例えば1対のギヤ)を有している。具体的には、第1ギヤ列31は、第1ドライブギヤ31a及び第1ドリブンギヤ31bを有する。第1ドライブギヤ31a及び第1ドリブンギヤ31bは互いに噛み合う。また、第2ギヤ列32は、第2ドライブギヤ32a及び第2ドリブンギヤ32bを有する。第2ドライブギヤ32a及び第2ドリブンギヤ32bは互いに噛み合う。
【0035】
変速機3は、第1及び第2ギヤ列31,32のいずれかを介して、電気モータ2からの動力を駆動輪103へと伝達する。このように、変速機3は、第1及び第2ギヤ列31,32のいずれかを選択できるため、変速比が可変である。
【0036】
第1ギヤ列31は、第2ギヤ列32に対して軸方向の第1側に配置されている。第1ギヤ列31は、第2ギヤ列32よりも変速比が大きい。詳細には、第1ドライブギヤ31aは、第2ドライブギヤ32aよりも径が小さい。また、第1ドリブンギヤ31bは、第2ドリブンギヤ32bよりも径が大きい。
【0037】
変速機3は、入力シャフト33及び第2出力シャフト34を有する。入力シャフト33及び第2出力シャフト34は、軸方向に延びている。第1及び第2ドライブギヤ31a、32aは、入力シャフト33に取り付けられている。第1及び第2ドライブギヤ31a、32aは、入力シャフト33に対して相対回転可能である。第1及び第2ドリブンギヤ31b、32bは、第2出力シャフト34に取り付けられている。第1及び第2ドリブンギヤ31b、32bは、第2出力シャフト34と一体的に回転する。
【0038】
変速機3は、切替部35を有している。切替部35は、入力シャフト33に支持されている。切替部35は、入力シャフト33と一体的に回転する。切替部35は、第1ギヤ列31と第2ギヤ列32との間で動力伝達経路を切り替えるように構成されている。なお、切替部35は、湿式多板クラッチとすることができる。
【0039】
切替部35は、作動流体が供給されることによって作動する。具体的には、切替部35は、第1クラッチ351と、第2クラッチ352とを有している。
【0040】
第1クラッチ351をクラッチオン状態とすることにより、第1ギヤ列31を介して動力が伝達される。詳細には、第1クラッチ351をクラッチオン状態とすることに、第1ドライブギヤ31aが入力シャフト33と一体的に回転する。この結果、入力シャフト33からの動力が第1ギヤ列31を介して第2出力シャフト34に伝達される。すなわち、第1クラッチ351は、動力伝達経路を第1ギヤ列31に切り替えるように構成されている。
【0041】
第2クラッチ352をクラッチオン状態とすることにより、第2ギヤ列32を介して動力が伝達される。詳細には、第2クラッチ352をクラッチオン状態とすることに、第2ドライブギヤ32aが入力シャフト33と一体的に回転する。この結果、入力シャフト33からの動力が第2ギヤ列32を介して第2出力シャフト34に伝達される。すなわち、第2クラッチ352は、動力伝達経路を第2ギヤ列32に切り替えるように構成されている。
【0042】
変速機3は、供給路36を有している。供給路36は、入力シャフト33内を軸方向に延びている。供給路36は、切替部35に作動流体(例えば、作動油など)を供給するように構成されている。供給路36を介して作動流体を供給することにより、切替部35の第1及び第2クラッチ351,352を動作させる。
【0043】
詳細には、供給路36は、第1供給路と第2供給路とを含んでいる。第1供給路を介して作動流体を供給することにより、第1クラッチ351がクラッチオン状態となる。また、第2供給路を介して作動流体を供給することにより、第2クラッチ352がクラッチオン状態となる。
【0044】
供給路36は、入口部361を有している。供給路36内には、入口部361を介して作動流体が供給される。入口部361は、入力シャフト33の軸方向第2側端部に配置されている。入口部361は、供給路36内に作動流体を供給するための配管などと連結される。
【0045】
変速機3は、電気モータ2の下方に配置されている。詳細には、変速機3の切替部35及び入力シャフト33は、電気モータ2の下方に配置されている。平面視において、変速機3は、電気モータ2と重複するように配置されている。詳細には、平面視において、切替部35は、電気モータ2と重複するように配置されている。なお、変速機3の入力シャフト33は、第2出力シャフト34の下方に配置されている。ここで、平面視とは、フォークリフト100を上方から見た状態を意味する。
【0046】
変速機3の切替部35は、軸方向において、第1ギヤ列31と第2ギヤ列32との間に配置される。すなわち、第1ギヤ列31は、切替部35に対して軸方向の第1側に配置され、第2ギヤ列32は、切替部35に対して軸方向の第2側に配置される。
【0047】
第2ギヤ列32は、平面視において、電気モータ2と重複するように配置されている。一方、第1ギヤ列31は、平面視において、電気モータ2と重複していない。
【0048】
[第1減速機構]
第1減速機構4は、電気モータ2の回転速度を減速して変速機3に出力するように構成されている。第1減速機構4は、第3及び第4ドライブギヤ41a、42aと、第3及び第4ドリブンギヤ41b、42bと、第1支持シャフト43とを有している。
【0049】
第1支持シャフト43は、軸方向に延びている。第1支持シャフト43は、第1出力シャフト22の下方に配置されている。なお、本実施形態では、第1支持シャフト43は、第1出力シャフト22の真下に配置されている。この第1支持シャフト43の下方に、入力シャフト33が配置されている。
【0050】
第3ドライブギヤ41aと第3ドリブンギヤ41bとは互いに噛み合う。第3ドライブギヤ41aは、第3ドリブンギヤ41bよりも歯数が少ない。第3ドライブギヤ41aは、第1出力シャフト22に取り付けられている。第3ドライブギヤ41aは、第1出力シャフト22と一体的に回転する。第3ドリブンギヤ41bは、第1支持シャフト43に取り付けられている。第3ドリブンギヤ41bは、第1支持シャフト43と一体的に回転する。
【0051】
第4ドライブギヤ42aと第4ドリブンギヤ42bとは互いに噛み合う。第4ドライブギヤ42aは、第4ドリブンギヤ42bよりも歯数が多い。なお、第4ドライブギヤ42aと第4ドリブンギヤ42bとの増速比は、第3ドライブギヤ41aと第3ドリブンギヤ41bとの減速比よりも小さい。
【0052】
第4ドライブギヤ42aは、第1支持シャフト43に取り付けられている。第4ドライブギヤ42aは、第1支持シャフト43と一体的に回転する。第4ドライブギヤ42aは、第3ドリブンギヤ41bよりも径が小さい。第4ドライブギヤ42aは、第3ドリブンギヤ41bに対して、軸方向の第1側に配置される。
【0053】
第4ドリブンギヤ42bは、入力シャフト33に取り付けられている。第4ドリブンギヤ42bは、入力シャフト33と一体的に回転する。第4ドリブンギヤ42bは、第1ドライブギヤ31aよりも径が大きい。第4ドリブンギヤ42bは、第1ドライブギヤ31aに対して、軸方向の第1側に配置されている。この第1ドライブギヤ31aと第4ドリブンギヤ42bとの軸方向間に、第3ドリブンギヤ41bが配置される。
【0054】
この第1減速機構4において、動力は、第3ドライブギヤ41a、第3ドリブンギヤ41b、第1支持シャフト43、第4ドライブギヤ42a、第4ドリブンギヤ42bの順に伝達される。
【0055】
[第2減速機構]
第2減速機構5は、変速機3の回転速度を減速して駆動輪103側に出力するように構成されている。第2減速機構5は、変速機3に対して前方に配置されている。第2減速機構5は、第5及び第6ドライブギヤ51a、52aと、第5及び第6ドリブンギヤ51b、52bと、第2及び第3支持シャフト53、54とを有している。
【0056】
第2及び第3支持シャフト53、54は、軸方向に延びている。第2支持シャフト53は、第2出力シャフト34の上方に配置されている。第3支持シャフト54は、第2支持シャフト53の下方に配置されている。
【0057】
第5ドライブギヤ51aと第5ドリブンギヤ51bとは互いに噛み合う。第5ドライブギヤ51aは、第5ドリブンギヤ51bよりも歯数が少ない。第5ドライブギヤ51aは、第1ドリブンギヤ31bよりも径が小さい。第5ドライブギヤ51aは、第2出力シャフト34に取り付けられている。第5ドライブギヤ51aは、第2出力シャフト34と一体的に回転する。第5ドリブンギヤ51bは、第2支持シャフト53に取り付けられている。第5ドリブンギヤ51bは、第2支持シャフト53と一体的に回転する。
【0058】
第6ドライブギヤ52aと第6ドリブンギヤ52bとは互いに噛み合う。第6ドライブギヤ52aは、第6ドリブンギヤ52bよりも歯数が少ない。第6ドライブギヤ52aは、第5ドリブンギヤ51bよりも径が小さい。第6ドライブギヤ52aは、第5ドリブンギヤ51bに対して、軸方向の第2側に配置されている。
【0059】
第6ドライブギヤ52aは、第2支持シャフト53と一体的に形成されている。なお、第6ドライブギヤ52aは、第2支持シャフト53と別部材により形成されており、第2支持シャフト53と一体的に回転するように第2支持シャフト53に取り付けられていてもよい。
【0060】
第6ドリブンギヤ52bは、第3支持シャフト54に取り付けられている。第6ドリブンギヤ52bは、第3支持シャフト54と一体的に回転する。
【0061】
この第2減速機構5において、動力は、第5ドライブギヤ51a、第5ドリブンギヤ51b、第2支持シャフト53、第6ドライブギヤ52a、第6ドリブンギヤ52b、第3支持シャフト54の順に伝達される。
【0062】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0063】
(a)上記実施形態では、切替部35は第1ギヤ列31と第2ギヤ列32との間に配置されていたが、変速機3の構成はこれに限定されない。例えば、
図5に示すように、切替部35は、第1ギヤ列31と第2ギヤ列32との間に配置されていなくてもよい。この場合、例えば、切替部35は電磁クラッチとすることができる。
【0064】
(b)上記実施形態では、第1ドライブギヤ31aと第2ドライブギヤ32aとは同じシャフトに取り付けられているが、変速機3の構成はこれに限定されない。例えば、
図5に示すように、第1ドライブギヤ31aと第2ドライブギヤ32aとは、互いに異なるシャフトに取り付けられていてもよい。
【0065】
詳細には、変速機3は、第1及び第2入力シャフト33a、33bを有している。そして、第1ドライブギヤ31aは、第1入力シャフト33aに取り付けられている。第1ドライブギヤ31aは、第1入力シャフト33aと一体的に回転する。第2ドライブギヤ32aは、第2入力シャフト33bに取り付けられている。第2ドライブギヤ32aは、第2入力シャフト33bと一体的に回転する。
【0066】
切替部35は、電気モータ2からの動力の動力伝達経路を、第1入力シャフト33aと第2入力シャフト33bとの間で切り替える。
【0067】
(c)上記実施形態では、切替部35は、第1クラッチ351と第2クラッチ352との2つのクラッチを有していたが、切替部35の構成はこれに限定されない。例えば、
図6に示すように、切替部35は、1つのクラッチのみを有していてもよい。この場合、第1ギヤ列31はワンウェイクラッチ31cを有している。また、第1ドライブギヤ31aは、入力シャフト33と一体的に回転する。なお、第2ドライブギヤ32aは、入力シャフト33と相対回転可能である。
【0068】
ワンウェイクラッチ31cは、第2出力シャフト34に取り付けられている。第1ドリブンギヤ31bは、ワンウェイクラッチ31cを介して第2出力シャフト34に取り付けられている。ワンウェイクラッチ31cは、第1ドリブンギヤ31bからの動力を第2出力シャフト34へと伝達する一方で、第2出力シャフト34からの動力を第1ドリブンギヤ31bには伝達しない。
【0069】
この変形例では、切替部35のクラッチがクラッチオフ状態の場合、電気モータ2の動力は第1ギヤ列31を介して伝達される。一方、切替部35のクラッチがクラッチオン状態の場合、電気モータ2の動力は、第2ギヤ列32を介して伝達される。
【0070】
(d)
図7に示すように、駆動ユニット10は、変速機3の代わりに、トルクコンバータ6を有していてもよい。トルクコンバータ6は、電気モータ2のトルクを増幅するように構成される。詳細には、トルクコンバータ6は、カバー、インペラ、タービン、及びステータを有している。電気モータ2からのトルクは、カバー及びインペラに伝達され、作動流体(例えば、作動油)を介してタービンに伝達される。
【0071】
なお、
図8に示すように、駆動ユニット10は、切替部61を有していてもよい。切替部61は、電気モータ2の動力の動力伝達経路を、トルクコンバータ6を介して伝達する経路と、トルクコンバータ6を介さずに伝達する経路との間で切り替える。
【0072】
(e)上記実施形態では、切替部35は、湿式多板クラッチによって構成されていたが、切替部35の構成はこれに限定されず、乾式多板クラッチ、ドグクラッチ、カムクラッチ、又は電磁クラッチなどであってもよい。
【0073】
(f)上記実施形態では、第1クラッチ351と第2クラッチ352とが同一シャフトに取り付けられていたが、変速機3の構成はこれに限定されない。例えば、第1クラッチ351と第2クラッチ352とは、互いに別のシャフトに取り付けられていてもよい。この構成によれば、変速機3を軸方向においてコンパクト化することができる。以下、この変形例について詳細に説明する。
【0074】
図9及び
図10に示すように、変速機3は、第1入力シャフト33aと第2入力シャフト33bとを有している。第1入力シャフト33aには、第1クラッチ351が取り付けられている。第2入力シャフト33bには、第2クラッチ352が取り付けられている。
【0075】
第1入力シャフト33aと第2入力シャフト33bとは、互いに別軸上に延びている。第1入力シャフト33aと第2入力シャフト33bとは、互いに平行に延びている。第1及び第2入力シャフト33a、33bは、軸方向に延びている。
【0076】
第1及び第2入力シャフト33a、33bは、第1出力シャフト22と平行に延びている。第1入力シャフト33aは、第1出力シャフト22に対して、前方に配置されている。第2入力シャフト33bは、第1出力シャフト22に対して、後方に配置されている。第2出力シャフト34は、前後方向において、第1入力シャフト33aと第2入力シャフト33bとの間に配置されている。なお、第2出力シャフト34は、第1出力シャフト22に対して前方に配置されている。第2出力シャフト34は、第1及び第2入力シャフト33a、33bに対して下方に配置されている。なお、
図10の左側が前方を示し、
図10の右側が後方を示す。
【0077】
変速機3は、入力ギヤ37を有している。入力ギヤ37は、第1出力シャフト22に一体的に回転するように取り付けられている。第1ギヤ列31は、第1伝達ギヤ31dをさらに有している。第2ギヤ列32は、第2伝達ギヤ32dをさらに有している。第1及び第2伝達ギヤ31d、32dは、入力ギヤ37と噛み合っている。
【0078】
第1伝達ギヤ31dは、第1入力シャフト33aに一体回転可能に取り付けられている。また、第1クラッチ351は、第1入力シャフト33aに取り付けられている。第2伝達ギヤ32dは、第2入力シャフト33bに一体回転可能に取り付けられている。また、第2クラッチ352は、第2入力シャフト33bに取り付けられている。
【0079】
第1ドライブギヤ31aは、第1入力シャフト33aに相対回転可能に取り付けられている。第1クラッチ351がクラッチオン状態となることによって、第1ドライブギヤ31aが第1入力シャフト33aと一体的に回転する。この結果、入力ギヤ37からの動力が第1ギヤ列31を介して第2出力シャフト34に伝達される。なお、第2クラッチ352はクラッチオフ状態である。
【0080】
第2ドライブギヤ32aは、第2入力シャフト33bに相対回転可能に取り付けられている。第2クラッチ352がクラッチオン状態となることによって、第2ドライブギヤ32aが第2入力シャフト33bと一体的に回転する。この結果、入力ギヤ37からの動力が第2ギヤ列32を介して第2出力シャフト34に伝達される。なお、第1クラッチ351はクラッチオフ状態である。
【0081】
第1ギヤ列31は、第2ギヤ列32よりも変速比が大きい。詳細には、第1伝達ギヤ31dは、第2伝達ギヤ32dよりも径が大きい。また、第1ドライブギヤ31aは、第2ドライブギヤ32aよりも径が小さい。また、第1ドリブンギヤ31bは、第2ドリブンギヤ32bよりも径が大きい。なお、
図9では、図面の関係上、第2ドライブギヤ32aの径は、第2伝達ギヤ32dよりも径が小さくなっているが、実際には、第2ドライブギヤ32aの径は、第2伝達ギヤ32dの径と同じである。
【0082】
(g)
図11に示すように、変速機3は、複数の遊星歯車機構を有していてもよい。詳細には、変速機3は、第1遊星歯車機構71、第2遊星歯車機構72、及び第3遊星歯車機構73を有している。また、変速機3は、第1クラッチ351及び第2クラッチ352を有している。
【0083】
第1遊星歯車機構71は、第1サンギヤ71a、複数の第1プラネタリギヤ71b、第1リングギヤ71c、及び第1キャリア71dを有する。
【0084】
第1サンギヤ71aは、第1出力シャフト22と一体的に回転するように構成されている。各第1プラネタリギヤ71bは、第1サンギヤ71aに噛み合うように構成されている。各第1プラネタリギヤ71bは、第1サンギヤ71aの周りを公転するように構成されている。すなわち、各第1プラネタリギヤ71bは、第1出力シャフト22を中心に回転するように構成されている。また、各第1プラネタリギヤ71bは、自転するように構成されている。
【0085】
第1リングギヤ71cは、内歯車であり、各第1プラネタリギヤ71bと噛み合っている。第1リングギヤ71cは、第1出力シャフト22を中心に回転するように構成されている。第1クラッチ351は、この第1リングギヤ71cと固定部108(例えばフレームなど)とを連結したり、その連結を解除したりする。すなわち、第1クラッチ351がクラッチオン状態となると、第1クラッチ351は第1リングギヤ71cと固定部108とを連結し、第1リングギヤ71cは回転不能となる。一方、第1クラッチ351がクラッチオフ状態となると、第1クラッチ351は第1リングギヤ71cと固定部108との連結を解除し、第1リングギヤ71cは回転可能となる。
【0086】
第1キャリア71dは、各第1プラネタリギヤ71bを支持している。各第1プラネタリギヤ71bは、第1キャリア71dに支持された状態で、自転可能である。第1キャリア71dは、第1出力シャフト22を中心に回転するように構成されている。
【0087】
第2遊星歯車機構72は、第2サンギヤ72a、複数の第2プラネタリギヤ72b、第2リングギヤ72c、及び第2キャリア72dを有する。また、第3遊星歯車機構73は、第3サンギヤ73a、複数の第3プラネタリギヤ73b、第3リングギヤ73c、及び第3キャリア73dを有する。なお、第2及び第3遊星歯車機構72,73は、第1遊星歯車機構71と基本的な構成が同じであるため、第1遊星歯車機構71と異なる部分のみ説明し、その他の詳細な説明を省略する。
【0088】
第2サンギヤ72aは、第1出力シャフト22と一体的に回転するように構成されている。第2リングギヤ72cは、第1キャリア71dと一体的に回転するように構成されている。第2クラッチ352は、第2リングギヤ72cと固定部108とを連結したり、その連結を解除したりする。すなわち、第2クラッチ352がクラッチオン状態となると、第2クラッチ352は第2リングギヤ72cと固定部108とを連結し、第2リングギヤ72cは回転不能となる。一方、第2クラッチ352がクラッチオフ状態となると、第2クラッチ352は第2リングギヤ72cと固定部108との連結を解除し、第2リングギヤ72cは回転可能となる。
【0089】
第3サンギヤ73aは、第2キャリア72dと一体的に回転するように構成されている。第3リングギヤ73cは、固定部108などに固定されることによって、回転不能に配置されている。第3キャリア73dは、第2出力シャフト34と一体的に回転するように構成されている。
【0090】
この変形例に係る変速機3は、2つの動力伝達経路を構成することができる。1つ目の動力伝達経路は、第1クラッチ351をクラッチオフ状態、第2クラッチ352をクラッチオン状態として、第1リングギヤ71cを回転可能とし、第2リングギヤ72cを回転不能とすることによって構成できる。
【0091】
この動力伝達経路では、電気モータ2からの動力は、第1出力シャフト22を介して、第2遊星歯車機構72の第2サンギヤ72aに伝達される。そして、第2サンギヤ72a、第2プラネタリギヤ72b、第2キャリア72dの順で動力は伝達し、第2キャリア72dから第3遊星歯車機構73の第3サンギヤ73aへと伝達される。
【0092】
2つ目の動力伝達経路は、第1クラッチ351をクラッチオン状態、第2クラッチ352をクラッチオフ状態として、第1リングギヤ71cを回転不能とし、第2リングギヤ72cを回転可能とすることによって構成できる。
【0093】
この動力伝達経路では、電気モータ2からの動力は、第1出力シャフト22を介して、第1遊星歯車機構71の第1サンギヤ71aと、第2遊星歯車機構72の第2サンギヤ72aとに伝達される。
【0094】
第1遊星歯車機構71では、第1サンギヤ71a、第1プラネタリギヤ71b、第1キャリア71dの順で動力が伝達し、第1キャリア71dから第2遊星歯車機構72の第2リングギヤ72cへと動力が伝達される。
【0095】
第2遊星歯車機構72では、第2サンギヤ72aと第2リングギヤ72cとから動力が入力される。第2サンギヤ72a及び第2リングギヤ72cに伝達された動力は、第2プラネタリギヤ72bを介して第2キャリア72dへと伝達され、第2キャリア72dから第3遊星歯車機構73の第3サンギヤ73aへと伝達される。
【0096】
以上のように、第1及び第2クラッチ351,352を操作することによって、動力伝達経路を切り替えることができる。
【符号の説明】
【0097】
2 :電気モータ
22 :第1出力シャフト
3 :変速機
31 :第1ギヤ列
32 :第2ギヤ列
33 :入力シャフト
35 :切替部
36 :供給路
361 :入口部
6 :トルクコンバータ
10 :駆動ユニット
100 :フォークリフト
102 :リフト装置
103 :駆動輪