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特開2023-139840乾燥装置、印刷媒体脱落防止方法および非接触支持部材位置調整方法
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  • 特開-乾燥装置、印刷媒体脱落防止方法および非接触支持部材位置調整方法 図1
  • 特開-乾燥装置、印刷媒体脱落防止方法および非接触支持部材位置調整方法 図2
  • 特開-乾燥装置、印刷媒体脱落防止方法および非接触支持部材位置調整方法 図3
  • 特開-乾燥装置、印刷媒体脱落防止方法および非接触支持部材位置調整方法 図4
  • 特開-乾燥装置、印刷媒体脱落防止方法および非接触支持部材位置調整方法 図5
  • 特開-乾燥装置、印刷媒体脱落防止方法および非接触支持部材位置調整方法 図6
  • 特開-乾燥装置、印刷媒体脱落防止方法および非接触支持部材位置調整方法 図7A
  • 特開-乾燥装置、印刷媒体脱落防止方法および非接触支持部材位置調整方法 図7B
  • 特開-乾燥装置、印刷媒体脱落防止方法および非接触支持部材位置調整方法 図8
  • 特開-乾燥装置、印刷媒体脱落防止方法および非接触支持部材位置調整方法 図9
  • 特開-乾燥装置、印刷媒体脱落防止方法および非接触支持部材位置調整方法 図10A
  • 特開-乾燥装置、印刷媒体脱落防止方法および非接触支持部材位置調整方法 図10B
  • 特開-乾燥装置、印刷媒体脱落防止方法および非接触支持部材位置調整方法 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139840
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】乾燥装置、印刷媒体脱落防止方法および非接触支持部材位置調整方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/32 20060101AFI20230927BHJP
   F26B 13/10 20060101ALI20230927BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230927BHJP
   B65H 20/10 20060101ALI20230927BHJP
   B65H 20/14 20060101ALI20230927BHJP
   B65H 23/24 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
B65H23/32
F26B13/10 D
F26B13/10 H
B41J2/01 125
B65H20/10 A
B65H20/14
B65H23/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045572
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】平松 賢太
(72)【発明者】
【氏名】竹市 芳邦
(72)【発明者】
【氏名】植村 亮太
【テーマコード(参考)】
2C056
3F103
3F104
3L113
【Fターム(参考)】
2C056HA29
2C056HA47
2C056HA60
3F103AA02
3F103AA03
3F103BC01
3F103BC05
3F103BC10
3F103BC17
3F103CA34
3F103EA15
3F104AA02
3F104AA03
3F104GA06
3F104GA11
3L113AA08
3L113AB02
3L113AC31
3L113AC48
3L113AC76
3L113BA30
3L113DA07
(57)【要約】
【課題】印刷媒体を非接触で支持する非接触支持部材からの印刷媒体の脱落を防止する。
【解決手段】エアターンバー6u、6lに対して、脱落防止部材7l、7r(第1・第2脱落防止部材)が設けられており、エアターンバー6u、6lの支持周面611(第1・第2支持周面)に、脱落防止部材7l、7rの脱落防止周面711(第1・第2脱落防止周面)が隣接する。かかる構成では、印刷媒体Mが斜行した場合には、印刷媒体Mは、エアターンバー6u、6lの支持周面611から脱落防止部材7l、7rの脱落防止周面711にずれる。この脱落防止部材7l、7rの脱落防止周面711は、斜行によってずれた印刷媒体Mの表面M1に対して隙間Δを空けつつ、当該印刷媒体Mを支持できる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクが付着した印刷面および前記印刷面と逆側の非印刷面とを有する長尺帯状の印刷媒体の上側において水平方向に配列された複数の第1上側ノズルと、前記印刷媒体の下側において前記水平方向に配列された複数の第1下側ノズルとを有し、前記複数の第1上側ノズルから前記印刷媒体に気体を噴射し、前記複数の第1下側ノズルから前記印刷媒体に気体を噴射して、前記印刷面が下側を向いた状態で前記水平方向の一方側へ前記印刷媒体を搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部から前記一方側に搬送されてきた前記印刷媒体の前記印刷面に対向する第1支持周面と、前記第1支持周面で開口する複数の第1噴射孔とを有し、前記印刷媒体の前記印刷面に前記第1噴射孔から気体を噴射することで、前記印刷媒体の前記印刷面を非接触で支持して、前記印刷媒体の進行方向を前記水平方向の前記一方側から下側へ変更する第1非接触支持部材と、
前記第1非接触支持部材から下側に搬送されてきた前記印刷媒体の前記印刷面に対向する第2支持周面と、前記第2支持周面で開口する複数の第2噴射孔とを有し、前記印刷媒体の前記印刷面に前記第2噴射孔から気体を噴射することで前記印刷媒体の前記印刷面を非接触で支持して、前記印刷媒体の進行方向を前記下側から前記水平方向の前記一方側と逆の他方側に変更する第2非接触支持部材と、
前記第2非接触支持部材から前記水平方向の前記他方側に搬送されてきた前記印刷媒体の上側において前記水平方向に配列された複数の第2上側ノズルと、前記印刷媒体の下側において前記水平方向に配列された複数の第2下側ノズルとを有し、前記複数の第2上側ノズルから前記印刷媒体に気体を噴射し、前記複数の第2下側ノズルから前記印刷媒体に気体を噴射して、前記印刷面が上側を向いた状態で前記水平方向の前記他方側へ前記印刷媒体を搬送する第2搬送部と、
前記印刷媒体の幅方向において、前記第1非接触支持部材の両端に対して設けられた2個の第1脱落防止部材と、
前記印刷媒体の前記幅方向において、前記第2非接触支持部材の両端に対して設けられた2個の第2脱落防止部材と
を備え、
前記第1脱落防止部材は、前記第1非接触支持部材の前記第1支持周面に前記幅方向において隣接する第1脱落防止周面を有し、
前記第2脱落防止部材は、前記第2非接触支持部材の前記第2支持周面に前記幅方向において隣接する第2脱落防止周面を有し、
前記印刷媒体が斜行して前記第1支持周面から前記第1脱落防止周面にずれると、前記第1支持周面の前記複数の第1噴射孔から噴射された気体は、前記第1支持周面と、当該第1支持周面に対向する前記印刷媒体の前記印刷面との間の隙間を前記第1脱落防止周面に向かって流れて、前記第1脱落防止周面と、当該第1脱落防止周面に対向する前記印刷媒体の前記印刷面との間に隙間を形成し、
前記印刷媒体が斜行して前記第2支持周面から前記第2脱落防止周面にずれると、前記第2支持周面の前記複数の第2噴射孔から噴射された気体は、前記第2支持周面と、当該第2支持周面に対向する前記印刷媒体の前記印刷面との間の隙間を前記第2脱落防止周面に向かって流れて、前記第2脱落防止周面と、当該第2脱落防止周面に対向する前記印刷媒体の前記印刷面との間に隙間を形成する乾燥装置。
【請求項2】
前記幅方向からの側面視において、前記第1支持周面は前記第1脱落防止周面より突出し、前記第2支持周面は前記第2脱落防止周面より突出する請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記第1脱落防止部材を前記第1非接触支持部材に締結する第1締結部材と、
前記第2脱落防止部材を前記第2非接触支持部材に締結する第2締結部材と
をさらに備える請求項1または2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記第1搬送部および前記第2搬送部を支持する本体フレームと、
前記本体フレームに対して前記第1非接触支持部材を位置決めする第1位置決め部と、
前記本体フレームに対して前記第2非接触支持部材を位置決めする第2位置決め部と
を備え、
前記第1位置決め部は、第1回転支持部と、第1位置調整部とを有し、前記第1非接触支持部材の両端を前記第1回転支持部および前記第1位置調整部によって支持し、
前記第1回転支持部は、前記水平方向に平行な第1水平回転軸を中心とする回転方向と、鉛直方向に平行な第1鉛直回転軸を中心とする回転方向の各方向に回転可能に前記第1非接触支持部材を前記本体フレームに対して支持し、
前記第1位置調整部は、前記本体フレームに対する前記第1非接触支持部材の位置を前記水平方向および前記鉛直方向の各方向に調整可能に前記第1非接触支持部材を前記本体フレームに対して支持し、
前記第2位置決め部は、第2回転支持部と、第2位置調整部とを有し、前記第2非接触支持部材の両端を前記第2回転支持部および前記第2位置調整部によって支持し、
前記第2回転支持部は、前記水平方向に平行な第2水平回転軸を中心とする回転方向と、鉛直方向に平行な第2鉛直回転軸を中心とする回転方向の各方向に回転可能に前記第2非接触支持部材を前記本体フレームに対して支持し、
前記第2位置調整部は、前記本体フレームに対する前記第2非接触支持部材の位置を前記水平方向および前記鉛直方向の各方向に調整可能に前記第2非接触支持部材を前記本体フレームに対して支持する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記第1回転支持部は、
前記本体フレームに固定された第1固定ブラケットと、
前記第1固定ブラケットに取り付けられた第1水平回転支持部材と、
前記第1水平回転支持部材によって前記第1水平回転軸を中心に回転可能に支持される第1回転部材と、
前記第1鉛直回転軸を中心に回転可能に前記第1回転部材を支持する第1鉛直回転支持部材と、
前記第1鉛直回転支持部材を支持するとともに、前記第1非接触支持部材に固定された第1固定プレートと
を有し、
前記第2回転支持部は、
前記本体フレームに固定された第2固定ブラケットと、
前記第2固定ブラケットに取り付けられた第2水平回転支持部材と、
前記第2水平回転支持部材によって前記第2水平回転軸を中心に回転可能に支持される第2回転部材と、
前記第2鉛直回転軸を中心に回転可能に前記第2回転部材を支持する第2鉛直回転支持部材と、
前記第2鉛直回転支持部材を支持するとともに、前記第2非接触支持部材に固定された第2固定プレートと
を有する請求項4に記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記第1非接触支持部材および前記第2非接触支持部材に対して、前記印刷媒体の幅方向の所定側に配置された気体供給部と、
前記気体供給部と前記第1非接触支持部材の前記所定側の端とを接続して、前記気体供給部から前記第1非接触支持部材に気体を供給する第1ダクトと、
前記気体供給部と前記第2非接触支持部材の前記所定側の端とを接続して、前記気体供給部から前記第2非接触支持部材に気体を供給する第2ダクトと
をさらに備え、
前記第1非接触支持部材は、前記第1ダクトによって供給された気体を前記複数の第1噴射孔から噴射し、
前記第2非接触支持部材は、前記第2ダクトによって供給された気体を前記複数の第2噴射孔から噴射し、
前記第1回転支持部は、前記第1非接触支持部材の前記所定側の端を支持し、
前記第2回転支持部は、前記第2非接触支持部材の前記所定側の端を支持する請求項4または5に記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記第1位置調整部は、
前記鉛直方向に平行な第1鉛直長孔を有する第1本体取付部と、前記第1本体取付部から前記水平方向に延設されて前記水平方向に平行な第1水平長孔を有する第1プレート取付部とを有する第1可動ブラケットと、
前記第1プレート取付部に対向し、前記第1非接触支持部材に取り付けられた第1支持プレートと、
前記第1本体取付部の前記第1鉛直長孔に挿入されて前記本体フレームに対して前記第1本体取付部を締結する第1本体締結部材と、
前記第1プレート取付部の前記第1水平長孔に挿入されて前記第1支持プレートに対して前記第1プレート取付部を締結する第1プレート締結部材と
を有し、
前記第2位置調整部は、
前記鉛直方向に平行な第2鉛直長孔を有する第2本体取付部と、前記第2本体取付部から前記水平方向に延設されて前記水平方向に平行な第2水平長孔を有する第2プレート取付部とを有する第2可動ブラケットと、
前記第2プレート取付部に対向し、前記第2非接触支持部材に取り付けられた第2支持プレートと、
前記第2本体取付部の前記第2鉛直長孔に挿入されて前記本体フレームに対して前記第2本体取付部を締結する第2本体締結部材と、
前記第2プレート取付部の前記第2水平長孔に挿入されて前記第2支持プレートに対して前記第2プレート取付部を締結する第2プレート締結部材と
を有する請求項4ないし6のいずれか一項に記載の乾燥装置。
【請求項8】
前記第1位置調整部は、
前記水平方向に延設された第1押圧ネジ孔と、前記水平方向に延設された第1貫通孔とを有し、前記第1非接触支持部材に取り付けられた第1水平調整プレートと、
前記第1押圧ネジ孔に螺合する第1押圧ネジと、
前記第1貫通孔に挿入された第1引張ネジと
を有し、
前記第1押圧ネジの先端は、前記第1押圧ネジ孔から前記第1プレート取付部側に突出して前記第1プレート取付部に当接し、
前記第1引張ネジの先端は、前記第1貫通孔から前記第1プレート取付部側に突出して前記第1プレート取付部に設けられた第1引張ネジ孔に螺合し、
前記第1引張ネジのネジ頭は、前記第1貫通孔より前記第1プレート取付部の反対側に位置して前記第1水平調整プレートに当接し、
前記第1押圧ネジは、前記第1プレート取付部に向けて前記第1押圧ネジ孔にねじ込まれると、前記第1プレート取付部を前記第1水平調整プレートから離し、
前記第1引張ネジは、前記第1プレート取付部に向けて前記第1引張ネジ孔にねじ込まれると、前記第1プレート取付部を前記第1水平調整プレートに近づけ、
前記第2位置調整部は、
前記水平方向に延設された第2押圧ネジ孔と、前記水平方向に延設された第2貫通孔とを有し、前記第2非接触支持部材に取り付けられた第2水平調整プレートと、
前記第2押圧ネジ孔に螺合する第2押圧ネジと、
前記第2貫通孔に挿入された第2引張ネジと
を有し、
前記第2押圧ネジの先端は、前記第2押圧ネジ孔から前記第2プレート取付部側に突出して前記第2プレート取付部に当接し、
前記第2引張ネジの先端は、前記第2貫通孔から前記第2プレート取付部側に突出して前記第2プレート取付部に設けられた第2引張ネジ孔に螺合し、
前記第2引張ネジのネジ頭は、前記第2貫通孔より前記第2プレート取付部の反対側に位置して前記第2水平調整プレートに当接し、
前記第2押圧ネジは、前記第2プレート取付部に向けて前記第2押圧ネジ孔にねじ込まれると、前記第2プレート取付部を前記第2水平調整プレートから離し、
前記第2引張ネジは、前記第2プレート取付部に向けて前記第2引張ネジ孔にねじ込まれると、前記第2プレート取付部を前記第2水平調整プレートに近づける請求項7に記載の乾燥装置。
【請求項9】
前記第1位置調整部は、
前記鉛直方向に延設された第1押上ネジ孔を有し、前記第1本体取付部の下側において前記本体フレームに取り付けられた第1鉛直調整プレートと、
前記第1押上ネジ孔に螺合する第1押上ネジと
を有し、
前記第1押上ネジの先端は、前記第1押上ネジ孔から前記第1本体取付部に向かって上側に突出して前記第1本体取付部に当接し、
前記第1押上ネジは、前記第1本体取付部に向けて前記第1押上ネジ孔にねじ込まれると、前記第1本体取付部を上側へ押し上げ、
前記第2位置調整部は、
前記鉛直方向に延設された第2押上ネジ孔を有し、前記第2本体取付部の下側において前記本体フレームに取り付けられた第2鉛直調整プレートと、
前記第2押上ネジ孔に螺合する第2押上ネジと
を有し、
前記第2押上ネジの先端は、前記第2押上ネジ孔から前記第2本体取付部に向かって上側に突出して前記第2本体取付部に当接し、
前記第2押上ネジは、前記第2本体取付部に向けて前記第2押上ネジ孔にねじ込まれると、前記第2本体取付部を上側へ押し上げる請求項7または8に記載の乾燥装置。
【請求項10】
インクが付着した印刷面および前記印刷面と逆側の非印刷面とを有する長尺帯状の印刷媒体を、前記印刷面が下側を向いた状態で水平方向の一方側へ搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部から前記一方側に搬送されてきた前記印刷媒体の進行方向を前記水平方向の前記一方側から下側へ変更する第1非接触支持部材と、前記第1非接触支持部材から下側に搬送されてきた前記印刷媒体の進行方向を前記下側から前記水平方向の前記一方側と逆の他方側へ変更する第2非接触支持部材と、前記第2非接触支持部材から前記水平方向の前記他方側に搬送されてきた前記印刷媒体を、前記印刷面が上側を向いた状態で前記水平方向の前記他方側へ搬送する第2搬送部を備えた乾燥装置において、前記印刷媒体の脱落を防止する印刷媒体脱落防止方法であって、
前記印刷媒体の幅方向において、前記第1非接触支持部材の両端に対して設けられた2個の第1脱落防止部材によって、前記第1非接触支持部材から前記第1脱落防止部材にずれて斜行する前記印刷媒体の前記第1非接触支持部材からの脱落を防止する第1脱落防止工程と、
前記印刷媒体の前記幅方向において、前記第2非接触支持部材の両端に対して設けられた2個の第2脱落防止部材によって、前記第2非接触支持部材から前記第2脱落防止部材にずれて斜行する前記印刷媒体の前記第2非接触支持部材からの脱落を防止する第2脱落防止工程と
を備え、
前記第1搬送部は、前記印刷媒体の上側において前記水平方向に配列された複数の第1上側ノズルと、前記印刷媒体の下側において前記水平方向に配列された複数の第1下側ノズルとを有し、前記複数の第1上側ノズルから前記印刷媒体に気体を噴射し、前記複数の第1下側ノズルから前記印刷媒体に気体を噴射し、
前記第1非接触支持部材は、前記第1搬送部から前記一方側に搬送されてきた前記印刷媒体の前記印刷面に対向する第1支持周面と、前記第1支持周面で開口する複数の第1噴射孔とを有し、前記印刷媒体の前記印刷面に前記第1噴射孔から気体を噴射することで、前記印刷媒体の前記印刷面を非接触で支持し、
前記第2非接触支持部材は、前記第1非接触支持部材から下側に搬送されてきた前記印刷媒体の前記印刷面に対向する第2支持周面と、前記第2支持周面で開口する複数の第2噴射孔とを有し、前記印刷媒体の前記印刷面に前記第2噴射孔から気体を噴射することで前記印刷媒体の前記印刷面を非接触で支持し、
前記第2搬送部は、前記第2非接触支持部材から前記水平方向の前記他方側に搬送されてきた前記印刷媒体の上側において前記水平方向に配列された複数の第2上側ノズルと、前記印刷媒体の下側において前記水平方向に配列された複数の第2下側ノズルとを有し、前記複数の第2上側ノズルから前記印刷媒体に気体を噴射し、前記複数の第2下側ノズルから前記印刷媒体に気体を噴射し、
前記第1脱落防止部材は、前記第1非接触支持部材の前記第1支持周面に前記幅方向において隣接する第1脱落防止周面を有し、
前記第2脱落防止部材は、前記第2非接触支持部材の前記第2支持周面に前記幅方向において隣接する第2脱落防止周面を有し、
前記第1脱落防止工程では、前記第1支持周面の前記複数の第1噴射孔から噴射された気体は、前記第1支持周面と、当該第1支持周面に対向する前記印刷媒体の前記印刷面との間の隙間を前記第1脱落防止周面に向かって流れて、前記第1脱落防止周面と、当該第1脱落防止周面に対向する前記印刷媒体の前記印刷面との間に隙間を形成し、
前記第2脱落防止工程では、前記第2支持周面の前記複数の第2噴射孔から噴射された気体は、前記第2支持周面と、当該第2支持周面に対向する前記印刷媒体の前記印刷面との間の隙間を前記第2脱落防止周面に向かって流れて、前記第2脱落防止周面と、当該第2脱落防止周面に対向する前記印刷媒体の前記印刷面との間に隙間を形成する印刷媒体脱落防止方法。
【請求項11】
インクが付着した印刷面および前記印刷面と逆側の非印刷面とを有する長尺帯状の印刷媒体の上側において水平方向に配列された複数の第1上側ノズルと、前記印刷媒体の下側において前記水平方向に配列された複数の第1下側ノズルとを有し、前記複数の第1上側ノズルから前記印刷媒体に気体を噴射し、前記複数の第1下側ノズルから前記印刷媒体に気体を噴射して、前記印刷面が下側を向いた状態で前記水平方向の一方側へ前記印刷媒体を搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部から前記一方側に搬送されてきた前記印刷媒体の前記印刷面に対向する第1支持周面と、前記第1支持周面で開口する複数の第1噴射孔とを有し、前記印刷媒体の前記印刷面に前記第1噴射孔から気体を噴射することで、前記印刷媒体の前記印刷面を非接触で支持して、前記印刷媒体の進行方向を前記水平方向の前記一方側から下側へ変更する第1非接触支持部材と、
前記第1非接触支持部材から下側に搬送されてきた前記印刷媒体の前記印刷面に対向する第2支持周面と、前記第2支持周面で開口する複数の第2噴射孔とを有し、前記印刷媒体の前記印刷面に前記第2噴射孔から気体を噴射することで前記印刷媒体の前記印刷面を非接触で支持して、前記印刷媒体の進行方向を前記下側から前記水平方向の前記一方側と逆の他方側に変更する第2非接触支持部材と、
前記第2非接触支持部材から前記水平方向の前記他方側に搬送されてきた前記印刷媒体の上側において水平方向に配列された複数の第2上側ノズルと、前記印刷媒体の下側において前記水平方向に配列された複数の第2下側ノズルとを有し、前記複数の第2上側ノズルから前記印刷媒体に気体を噴射し、前記複数の第2下側ノズルから前記印刷媒体に気体を噴射して、前記印刷面が上側を向いた状態で前記水平方向の前記他方側へ前記印刷媒体を搬送する第2搬送部と、
前記第1搬送部および前記第2搬送部を支持する本体フレームと、
前記本体フレームに対して前記第1非接触支持部材を位置決めする第1位置決め部と、
前記本体フレームに対して前記第2非接触支持部材を位置決めする第2位置決め部と
を備え、
前記第1位置決め部は、第1回転支持部と、第1位置調整部とを有し、前記第1非接触支持部材の両端を前記第1回転支持部および前記第1位置調整部によって支持し、
前記第1回転支持部は、前記水平方向に平行な第1水平回転軸を中心とする回転方向と、鉛直方向に平行な第1鉛直回転軸を中心とする回転方向の各方向に回転可能に前記第1非接触支持部材を前記本体フレームに対して支持し、
前記第1位置調整部は、前記本体フレームに対する前記第1非接触支持部材の位置を前記水平方向および前記鉛直方向の各方向に調整可能に前記第1非接触支持部材を前記本体フレームに対して支持し、
前記第2位置決め部は、第2回転支持部と、第2位置調整部とを有し、前記第2非接触支持部材の両端を前記第2回転支持部および前記第2位置調整部によって支持し、
前記第2回転支持部は、前記水平方向に平行な第2水平回転軸を中心とする回転方向と、鉛直方向に平行な第2鉛直回転軸を中心とする回転方向の各方向に回転可能に前記第2非接触支持部材を前記本体フレームに対して支持し、
前記第2位置調整部は、前記本体フレームに対する前記第2非接触支持部材の位置を前記水平方向および前記鉛直方向の各方向に調整可能に前記第2非接触支持部材を前記本体フレームに対して支持する乾燥装置。
【請求項12】
前記第1回転支持部は、
前記本体フレームに固定された第1固定ブラケットと、
前記第1固定ブラケットに取り付けられた第1水平回転支持部材と、
前記第1水平回転支持部材によって前記第1水平回転軸を中心に回転可能に支持される第1回転部材と、
前記第1鉛直回転軸を中心に回転可能に前記第1回転部材を支持する第1鉛直回転支持部材と、
前記第1鉛直回転支持部材を支持するとともに、前記第1非接触支持部材に固定された第1固定プレートと
を有し、
前記第2回転支持部は、
前記本体フレームに固定された第2固定ブラケットと、
前記第2固定ブラケットに取り付けられた第2水平回転支持部材と、
前記第2水平回転支持部材によって前記第2水平回転軸を中心に回転可能に支持される第2回転部材と、
前記第2鉛直回転軸を中心に回転可能に前記第2回転部材を支持する第2鉛直回転支持部材と、
前記第2鉛直回転支持部材を支持するとともに、前記第2非接触支持部材に固定された第2固定プレートと
を有する請求項11に記載の乾燥装置。
【請求項13】
前記第1非接触支持部材および前記第2非接触支持部材に対して、前記印刷媒体の幅方向の所定側に配置された気体供給部と、
前記気体供給部と前記第1非接触支持部材の前記所定側の端とを接続して、前記気体供給部から前記第1非接触支持部材に気体を供給する第1ダクトと、
前記気体供給部と前記第2非接触支持部材の前記所定側の端とを接続して、前記気体供給部から前記第2非接触支持部材に気体を供給する第2ダクトと
をさらに備え、
前記第1非接触支持部材は、前記第1ダクトによって供給された気体を前記複数の第1噴射孔から噴射し、
前記第2非接触支持部材は、前記第2ダクトによって供給された気体を前記複数の第2噴射孔から噴射し、
前記第1回転支持部は、前記第1非接触支持部材の前記所定側の端を支持し、
前記第2回転支持部は、前記第2非接触支持部材の前記所定側の端を支持する請求項11または12に記載の乾燥装置。
【請求項14】
前記第1位置調整部は、
前記鉛直方向に平行な第1鉛直長孔を有する第1本体取付部と、前記第1本体取付部から前記水平方向に延設されて前記水平方向に平行な第1水平長孔を有する第1プレート取付部とを有する第1可動ブラケットと、
前記第1プレート取付部に対向し、前記第1非接触支持部材に取り付けられた第1支持プレートと、
前記第1本体取付部の前記第1鉛直長孔に挿入されて前記本体フレームに対して前記第1本体取付部を締結する第1本体締結部材と、
前記第1プレート取付部の前記第1水平長孔に挿入されて前記第1支持プレートに対して前記第1プレート取付部を締結する第1プレート締結部材と
を有し、
前記第2位置調整部は、
前記鉛直方向に平行な第2鉛直長孔を有する第2本体取付部と、前記第2本体取付部から前記水平方向に延設されて前記水平方向に平行な第2水平長孔を有する第2プレート取付部とを有する第2可動ブラケットと、
前記第2プレート取付部に対向し、前記第2非接触支持部材に取り付けられた第2支持プレートと、
前記第2本体取付部の前記第2鉛直長孔に挿入されて前記本体フレームに対して前記第2本体取付部を締結する第2本体締結部材と、
前記第2プレート取付部の前記第2水平長孔に挿入されて前記第2支持プレートに対して前記第2プレート取付部を締結する第2プレート締結部材と
を有する請求項11ないし13のいずれか一項に記載の乾燥装置。
【請求項15】
前記第1位置調整部は、
前記水平方向に延設された第1押圧ネジ孔と、前記水平方向に延設された第1貫通孔とを有し、前記第1非接触支持部材に取り付けられた第1水平調整プレートと、
前記第1押圧ネジ孔に螺合する第1押圧ネジと、
前記第1貫通孔に挿入された第1引張ネジと
を有し、
前記第1押圧ネジの先端は、前記第1押圧ネジ孔から前記第1プレート取付部側に突出して前記第1プレート取付部に当接し、
前記第1引張ネジの先端は、前記第1貫通孔から前記第1プレート取付部側に突出して前記第1プレート取付部に設けられた第1引張ネジ孔に螺合し、
前記第1引張ネジのネジ頭は、前記第1貫通孔より前記第1プレート取付部の反対側に位置して前記第1水平調整プレートに当接し、
前記第1押圧ネジは、前記第1プレート取付部に向けて前記第1押圧ネジ孔にねじ込まれると、前記第1プレート取付部を前記第1水平調整プレートから離し、
前記第1引張ネジは、前記第1プレート取付部に向けて前記第1引張ネジ孔にねじ込まれると、前記第1プレート取付部を前記第1水平調整プレートに近づけ、
前記第2位置調整部は、
前記水平方向に延設された第2押圧ネジ孔と、前記水平方向に延設された第2貫通孔とを有し、前記第2非接触支持部材に取り付けられた第2水平調整プレートと、
前記第2押圧ネジ孔に螺合する第2押圧ネジと、
前記第2貫通孔に挿入された第2引張ネジと
を有し、
前記第2押圧ネジの先端は、前記第2押圧ネジ孔から前記第2プレート取付部側に突出して前記第2プレート取付部に当接し、
前記第2引張ネジの先端は、前記第2貫通孔から前記第2プレート取付部側に突出して前記第2プレート取付部に設けられた第2引張ネジ孔に螺合し、
前記第2引張ネジのネジ頭は、前記第2貫通孔より前記第2プレート取付部の反対側に位置して前記第2水平調整プレートに当接し、
前記第2押圧ネジは、前記第2プレート取付部に向けて前記第2押圧ネジ孔にねじ込まれると、前記第2プレート取付部を前記第2水平調整プレートから離し、
前記第2引張ネジは、前記第2プレート取付部に向けて前記第2引張ネジ孔にねじ込まれると、前記第2プレート取付部を前記第2水平調整プレートに近づける請求項14に記載の乾燥装置。
【請求項16】
前記第1位置調整部は、
前記鉛直方向に延設された第1押上ネジ孔を有し、前記第1本体取付部の下側において前記本体フレームに取り付けられた第1鉛直調整プレートと、
前記第1押上ネジ孔に螺合する第1押上ネジと
を有し、
前記第1押上ネジの先端は、前記第1押上ネジ孔から前記第1本体取付部に向かって上側に突出して前記第1本体取付部に当接し、
前記第1押上ネジは、前記第1本体取付部に向けて前記第1押上ネジ孔にねじ込まれると、前記第1本体取付部を上側へ押し上げ、
前記第2位置調整部は、
前記鉛直方向に延設された第2押上ネジ孔を有し、前記第2本体取付部の下側において前記本体フレームに取り付けられた第2鉛直調整プレートと、
前記第2押上ネジ孔に螺合する第2押上ネジと
を有し、
前記第2押上ネジの先端は、前記第2押上ネジ孔から前記第2本体取付部に向かって上側に突出して前記第2本体取付部に当接し、
前記第2押上ネジは、前記第2本体取付部に向けて前記第2押上ネジ孔にねじ込まれると、前記第2本体取付部を上側へ押し上げる請求項14または15に記載の乾燥装置。
【請求項17】
インクが付着した印刷面および前記印刷面と逆側の非印刷面とを有する長尺帯状の印刷媒体を、前記印刷面が下側を向いた状態で水平方向の一方側へ搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部から前記一方側に搬送されてきた前記印刷媒体の進行方向を前記水平方向の前記一方側から下側へ変更する第1非接触支持部材と、前記第1非接触支持部材から下側に搬送されてきた前記印刷媒体の進行方向を前記下側から前記水平方向の前記一方側と逆の他方側へ変更する第2非接触支持部材と、前記第2非接触支持部材から前記水平方向の前記他方側に搬送されてきた前記印刷媒体を、前記印刷面が上側を向いた状態で前記水平方向の前記他方側へ搬送する第2搬送部を備えた乾燥装置における非接触支持部材位置調整方法であって、
前記第1搬送部および前記第2搬送部を支持する本体フレームに対して前記第1非接触支持部材を位置決めする第1位置決め部によって前記第1非接触支持部材の位置を調整する第1位置調整工程と、
前記本体フレームに対して前記第2非接触支持部材を位置決めする第2位置決め部によって前記第2非接触支持部材の位置を調整する第2位置調整工程と
を備え、
前記第1搬送部は、前記印刷媒体の上側において前記水平方向に配列された複数の第1上側ノズルと、前記印刷媒体の下側において前記水平方向に配列された複数の第1下側ノズルとを有し、前記複数の第1上側ノズルから前記印刷媒体に気体を噴射し、前記複数の第1下側ノズルから前記印刷媒体に気体を噴射し、
前記第1非接触支持部材は、前記第1搬送部から前記一方側に搬送されてきた前記印刷媒体の前記印刷面に対向する第1支持周面と、前記第1支持周面で開口する複数の第1噴射孔とを有し、前記印刷媒体の前記印刷面に前記第1噴射孔から気体を噴射することで、前記印刷媒体の前記印刷面を非接触で支持し、
前記第2非接触支持部材は、前記第1非接触支持部材から下側に搬送されてきた前記印刷媒体の前記印刷面に対向する第2支持周面と、前記第2支持周面で開口する複数の第2噴射孔とを有し、前記印刷媒体の前記印刷面に前記第2噴射孔から気体を噴射することで前記印刷媒体の前記印刷面を非接触で支持し、
前記第2搬送部は、前記第2非接触支持部材から前記水平方向の前記他方側に搬送されてきた前記印刷媒体の上側において前記水平方向に配列された複数の第2上側ノズルと、前記印刷媒体の下側において前記水平方向に配列された複数の第2下側ノズルとを有し、前記複数の第2上側ノズルから前記印刷媒体に気体を噴射し、前記複数の第2下側ノズルから前記印刷媒体に気体を噴射し、
前記第1位置決め部は、第1回転支持部と、第1位置調整部とを有し、前記第1非接触支持部材の両端を前記第1回転支持部および前記第1位置調整部によって支持し、
前記第1回転支持部は、前記水平方向に平行な第1水平回転軸を中心とする回転方向と、鉛直方向に平行な第1鉛直回転軸を中心とする回転方向の各方向に回転可能に前記第1非接触支持部材を前記本体フレームに対して支持し、
前記第1位置調整部は、前記本体フレームに対する前記第1非接触支持部材の位置を前記水平方向および前記鉛直方向の各方向に調整可能に前記第1非接触支持部材を前記本体フレームに対して支持し、
前記第2位置決め部は、第2回転支持部と、第2位置調整部とを有し、前記第2非接触支持部材の両端を前記第2回転支持部および前記第2位置調整部によって支持し、
前記第2回転支持部は、前記水平方向に平行な第2水平回転軸を中心とする回転方向と、鉛直方向に平行な第2鉛直回転軸を中心とする回転方向の各方向に回転可能に前記第2非接触支持部材を前記本体フレームに対して支持し、
前記第2位置調整部は、前記本体フレームに対する前記第2非接触支持部材の位置を前記水平方向および前記鉛直方向の各方向に調整可能に前記第2非接触支持部材を前記本体フレームに対して支持する非接触支持部材位置調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インクが付着した印刷媒体を気体の噴射により乾燥させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクが付着した印刷媒体にノズルから気体を噴射することで印刷媒体を乾燥させる乾燥装置が特許文献1に示されている。この乾燥装置は、上段搬送部、中段搬送部および下段搬送部が積層されており、上段搬送部、中段搬送部および下段搬送部の順に印刷媒体が通過する。特に各搬送部は、印刷媒体の上側で水平方向に配列された複数のノズルと、印刷媒体の下側で水平方向に配列された複数のノズルとを備え、上下の各ノズルから印刷媒体に記載を噴射することで、印刷媒体をノズルから浮上させつつ水平方向に搬送する。
【0003】
また、中段搬送部から下段搬送部に印刷媒体を折り返すために、上下に配列された2個のエアターンバーが設けられている。これらのエアターンバーは、印刷媒体に気体を噴射することで印刷媒体を非接触で支持しつつ、印刷媒体の進行方向を変更する。具体的には、上側のエアターンバーは、中段搬送部から搬送されてきた印刷媒体の進行方向を水平方向の一方側から下側に変更し、下側のエアターンバーは、上側のエアターンバーから搬送されてきた印刷媒体の進行方向を下側から水平方向の他方側に変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-148383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる乾燥装置では、中段搬送部、2個のエアターンバーおよび下段搬送部の区間では、印刷媒体は浮上搬送により搬送され、印刷媒体を接触により支持する部材が存在しない。そのため、各搬送部のノズルから噴射される気体によって生じる風の影響を印刷媒体が受けやすい。その結果、印刷媒体が幅方向に斜行してエアターンバーから脱落する場合があった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、印刷媒体に気体を噴射することで印刷媒体を乾燥させる技術において、印刷媒体を非接触で支持する非接触支持部材からの印刷媒体の脱落を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る乾燥装置は、インクが付着した印刷面および印刷面と逆側の非印刷面とを有する長尺帯状の印刷媒体の上側において水平方向に配列された複数の第1上側ノズルと、印刷媒体の下側において水平方向に配列された複数の第1下側ノズルとを有し、複数の第1上側ノズルから印刷媒体に気体を噴射し、複数の第1下側ノズルから印刷媒体に気体を噴射して、印刷面が下側を向いた状態で水平方向の一方側へ印刷媒体を搬送する第1搬送部と、第1搬送部から一方側に搬送されてきた印刷媒体の印刷面に対向する第1支持周面と、第1支持周面で開口する複数の第1噴射孔とを有し、印刷媒体の印刷面に第1噴射孔から気体を噴射することで、印刷媒体の印刷面を非接触で支持して、印刷媒体の進行方向を水平方向の一方側から下側へ変更する第1非接触支持部材と、第1非接触支持部材から下側に搬送されてきた印刷媒体の印刷面に対向する第2支持周面と、第2支持周面で開口する複数の第2噴射孔とを有し、印刷媒体の印刷面に第2噴射孔から気体を噴射することで印刷媒体の印刷面を非接触で支持して、印刷媒体の進行方向を下側から水平方向の一方側と逆の他方側に変更する第2非接触支持部材と、第2非接触支持部材から水平方向の他方側に搬送されてきた印刷媒体の上側において水平方向に配列された複数の第2上側ノズルと、印刷媒体の下側において水平方向に配列された複数の第2下側ノズルとを有し、複数の第2上側ノズルから印刷媒体に気体を噴射し、複数の第2下側ノズルから印刷媒体に気体を噴射して、印刷面が上側を向いた状態で水平方向の他方側へ印刷媒体を搬送する第2搬送部と、印刷媒体の幅方向において、第1非接触支持部材の両端に対して設けられた2個の第1脱落防止部材と、印刷媒体の幅方向において、第2非接触支持部材の両端に対して設けられた2個の第2脱落防止部材とを備え、第1脱落防止部材は、第1非接触支持部材の第1支持周面に幅方向において隣接する第1脱落防止周面を有し、第2脱落防止部材は、第2非接触支持部材の第2支持周面に幅方向において隣接する第2脱落防止周面を有し、印刷媒体が斜行して第1支持周面から第1脱落防止周面にずれると、第1支持周面の複数の第1噴射孔から噴射された気体は、第1支持周面と、当該第1支持周面に対向する印刷媒体の印刷面との間の隙間を第1脱落防止周面に向かって流れて、第1脱落防止周面と、当該第1脱落防止周面に対向する印刷媒体の印刷面との間に隙間を形成し、印刷媒体が斜行して第2支持周面から第2脱落防止周面にずれると、第2支持周面の複数の第2噴射孔から噴射された気体は、第2支持周面と、当該第2支持周面に対向する印刷媒体の印刷面との間の隙間を第2脱落防止周面に向かって流れて、第2脱落防止周面と、当該第2脱落防止周面に対向する印刷媒体の印刷面との間に隙間を形成する。
【0008】
本発明の第1態様に係る印刷媒体脱落防止方法は、インクが付着した印刷面および印刷面と逆側の非印刷面とを有する長尺帯状の印刷媒体を、印刷面が下側を向いた状態で水平方向の一方側へ搬送する第1搬送部と、第1搬送部から一方側に搬送されてきた印刷媒体の進行方向を水平方向の一方側から下側へ変更する第1非接触支持部材と、第1非接触支持部材から下側に搬送されてきた印刷媒体の進行方向を下側から水平方向の一方側と逆の他方側へ変更する第2非接触支持部材と、第2非接触支持部材から水平方向の他方側に搬送されてきた印刷媒体を、印刷面が上側を向いた状態で水平方向の他方側へ搬送する第2搬送部を備えた乾燥装置において、印刷媒体の脱落を防止する印刷媒体脱落防止方法であって、印刷媒体の幅方向において、第1非接触支持部材の両端に対して設けられた2個の第1脱落防止部材によって、第1非接触支持部材から第1脱落防止部材にずれて斜行する印刷媒体の第1非接触支持部材からの脱落を防止する第1脱落防止工程と、印刷媒体の幅方向において、第2非接触支持部材の両端に対して設けられた2個の第2脱落防止部材によって、第2非接触支持部材から第2脱落防止部材にずれて斜行する印刷媒体の第2非接触支持部材からの脱落を防止する第2脱落防止工程とを備え、第1搬送部は、印刷媒体の上側において水平方向に配列された複数の第1上側ノズルと、印刷媒体の下側において水平方向に配列された複数の第1下側ノズルとを有し、複数の第1上側ノズルから印刷媒体に気体を噴射し、複数の第1下側ノズルから印刷媒体に気体を噴射し、第1非接触支持部材は、第1搬送部から一方側に搬送されてきた印刷媒体の印刷面に対向する第1支持周面と、第1支持周面で開口する複数の第1噴射孔とを有し、印刷媒体の印刷面に第1噴射孔から気体を噴射することで、印刷媒体の印刷面を非接触で支持し、第2非接触支持部材は、第1非接触支持部材から下側に搬送されてきた印刷媒体の印刷面に対向する第2支持周面と、第2支持周面で開口する複数の第2噴射孔とを有し、印刷媒体の印刷面に第2噴射孔から気体を噴射することで印刷媒体の印刷面を非接触で支持し、第2搬送部は、第2非接触支持部材から水平方向の他方側に搬送されてきた印刷媒体の上側において水平方向に配列された複数の第2上側ノズルと、印刷媒体の下側において水平方向に配列された複数の第2下側ノズルとを有し、複数の第2上側ノズルから印刷媒体に気体を噴射し、複数の第2下側ノズルから印刷媒体に気体を噴射し、第1脱落防止部材は、第1非接触支持部材の第1支持周面に幅方向において隣接する第1脱落防止周面を有し、第2脱落防止部材は、第2非接触支持部材の第2支持周面に幅方向において隣接する第2脱落防止周面を有し、 第1脱落防止工程では、第1支持周面の複数の第1噴射孔から噴射された気体は、第1支持周面と、当該第1支持周面に対向する印刷媒体の印刷面との間の隙間を第1脱落防止周面に向かって流れて、第1脱落防止周面と、当該第1脱落防止周面に対向する印刷媒体の印刷面との間に隙間を形成し、第2脱落防止工程では、第2支持周面の複数の第2噴射孔から噴射された気体は、第2支持周面と、当該第2支持周面に対向する印刷媒体の印刷面との間の隙間を第2脱落防止周面に向かって流れて、第2脱落防止周面と、当該第2脱落防止周面に対向する印刷媒体の印刷面との間に隙間を形成する。
【0009】
このように構成された本発明の第1態様では、第1搬送部から第1・第2非接触支持部材を介した第2搬送部までの区間においては、印刷媒体は非接触で搬送される(換言すれば、浮上搬送される)。そのため、第1・第2搬送部において噴射される気体による風の影響を受けて、印刷媒体が斜行して、第1・第2非接触支持部材から脱落する場合があった。これに対して、本発明の第1態様では、第1・第2非接触支持部材の両端に対して第1・第2脱落防止部材が設けられており、第1・第2非接触支持部材の第1・第2支持周面に、第1・第2脱落防止部材の第1・第2脱落防止周面が隣接する。かかる構成では、印刷媒体が斜行した場合には、印刷媒体は、第1・第2非接触支持部材の第1・第2支持周面から第1・第2脱落防止部材の第1・第2脱落防止周面にずれる。この際、第1・第2非接触支持部材の第1・第2支持周面に設けられた複数の第1・第2噴射孔から噴射された気体は、第1・第2支持周面と、当該第1・第2支持周面に対向する印刷媒体の印刷面との間の隙間を第1・第2脱落防止周面に向かって流れる。その結果、第1・第2脱落防止周面と、当該第1・第2脱落防止周面に対向する印刷媒体の印刷面との間に隙間が形成される。つまり、第1・第2脱落防止部材の第1・第2脱落防止周面は、斜行によってずれた印刷媒体の印刷面に対して隙間を空けつつ、当該印刷媒体を支持できる。こうして、印刷媒体を非接触で支持する非接触支持部材からの印刷媒体の脱落を防止することが可能となる。
【0010】
また、幅方向からの側面視において、第1支持周面は第1脱落防止周面より突出し、第2支持周面は第2脱落防止周面より突出するように、乾燥装置を構成してもよい。これによって、第1・第2支持周面から第1・第2脱落防止周面に向かうスムーズな気流が生成され、第1・第2脱落防止周面と印刷媒体との間の隙間が確実に生成される。その結果、第1・第2脱落防止周面は、斜行によってずれた印刷媒体の印刷面に対して隙間を空けつつ、当該印刷媒体を支持できる。
【0011】
また、第1脱落防止部材を第1非接触支持部材に締結する第1締結部材と、第2脱落防止部材を第2非接触支持部材に締結する第2締結部材とをさらに備えるように、乾燥装置を構成してもよい。このように、第1・第2脱落防止部材を、第1・第2非接触支持部材に直接締結することで、これらを簡単に位置決めできる。
【0012】
また、第1搬送部および第2搬送部を支持する本体フレームと、本体フレームに対して第1非接触支持部材を位置決めする第1位置決め部と、本体フレームに対して第2非接触支持部材を位置決めする第2位置決め部とを備え、第1位置決め部は、第1回転支持部と、第1位置調整部とを有し、第1非接触支持部材の両端を第1回転支持部および第1位置調整部によって支持し、第1回転支持部は、水平方向に平行な第1水平回転軸を中心とする回転方向と、鉛直方向に平行な第1鉛直回転軸を中心とする回転方向の各方向に回転可能に第1非接触支持部材を本体フレームに対して支持し、第1位置調整部は、本体フレームに対する第1非接触支持部材の位置を水平方向および鉛直方向の各方向に調整可能に第1非接触支持部材を本体フレームに対して支持し、第2位置決め部は、第2回転支持部と、第2位置調整部とを有し、第2非接触支持部材の両端を第2回転支持部および第2位置調整部によって支持し、第2回転支持部は、水平方向に平行な第2水平回転軸を中心とする回転方向と、鉛直方向に平行な第2鉛直回転軸を中心とする回転方向の各方向に回転可能に第2非接触支持部材を本体フレームに対して支持し、第2位置調整部は、本体フレームに対する第2非接触支持部材の位置を水平方向および鉛直方向の各方向に調整可能に第2非接触支持部材を本体フレームに対して支持するように、乾燥装置を構成してもよい。
【0013】
かかる構成では、第1・第2非接触支持部材を本体フレームに対して位置決めする第1・第2位置決め部が具備されている。これら第1・第2位置決め部は、第1・第2回転支持部と、第1・第2位置調整部とを有し、第1・第2非接触支持部材の両端を第1・第2回転支持部および第1・第2位置調整部によって支持する。特に、第1・第2回転支持部は、水平方向に平行な第1・第2水平回転軸を中心とする回転方向と、鉛直方向に平行な第1・第2鉛直回転軸を中心とする回転方向の各方向に回転可能に第1非接触支持部材を本体フレームに対して支持する。また、第1・第2位置調整部は、本体フレームに対する第1・第2非接触支持部材の位置を水平方向および鉛直方向の各方向に調整可能に第1・第2非接触支持部材を本体フレームに対して支持する。したがって、本体フレームに対する第1・第2非接触支持部材の位置を、水平方向および鉛直方向のそれぞれに調整することができる。これによって、第1・第2非接触支持部材からの印刷媒体の脱落が生じないように、第1・第2非接触支持部材の位置を調整できる。その結果、印刷媒体を非接触で支持する非接触支持部材からの印刷媒体の脱落を防止することが可能となる。
【0014】
また、第1回転支持部は、本体フレームに固定された第1固定ブラケットと、第1固定ブラケットに取り付けられた第1水平回転支持部材と、第1水平回転支持部材によって第1水平回転軸を中心に回転可能に支持される第1回転部材と、第1鉛直回転軸を中心に回転可能に第1回転部材を支持する第1鉛直回転支持部材と、第1鉛直回転支持部材を支持するとともに、第1非接触支持部材に固定された第1固定プレートとを有し、第2回転支持部は、本体フレームに固定された第2固定ブラケットと、第2固定ブラケットに取り付けられた第2水平回転支持部材と、第2水平回転支持部材によって第2水平回転軸を中心に回転可能に支持される第2回転部材と、第2鉛直回転軸を中心に回転可能に第2回転部材を支持する第2鉛直回転支持部材と、第2鉛直回転支持部材を支持するとともに、第2非接触支持部材に固定された第2固定プレートとを有するように、印刷装置を構成してもよい。かかる構成により、第1・第2非接触支持部材を、水平方向および鉛直方向へのそれぞれへ回転可能に支持することができる。
【0015】
また、第1非接触支持部材および第2非接触支持部材に対して、印刷媒体の幅方向の所定側に配置された気体供給部と、気体供給部と第1非接触支持部材の所定側の端とを接続して、気体供給部から第1非接触支持部材に気体を供給する第1ダクトと、気体供給部と第2非接触支持部材の所定側の端とを接続して、気体供給部から第2非接触支持部材に気体を供給する第2ダクトとをさらに備え、第1非接触支持部材は、第1ダクトによって供給された気体を複数の第1噴射孔から噴射し、第2非接触支持部材は、第2ダクトによって供給された気体を複数の第2噴射孔から噴射し、第1回転支持部は、第1非接触支持部材の所定側の端を支持し、第2回転支持部は、第2非接触支持部材の所定側の端を支持するように、乾燥装置を構成してもよい。かかる構成では、作業者が第1・第2非接触支持部材の位置調整のために作業を行う第1・第2位置調整部が、気体供給のための第1・第2ダクトの逆側に位置する。これによって、第1・第2ダクトにより干渉されることなく、作業者は位置調整のための作業を行うことができる。
【0016】
また、第1位置調整部は、鉛直方向に平行な第1鉛直長孔を有する第1本体取付部と、第1本体取付部から水平方向に延設されて水平方向に平行な第1水平長孔を有する第1プレート取付部とを有する第1可動ブラケットと、第1プレート取付部に対向し、第1非接触支持部材に取り付けられた第1支持プレートと、第1本体取付部の第1鉛直長孔に挿入されて本体フレームに対して第1本体取付部を締結する第1本体締結部材と、第1プレート取付部の第1水平長孔に挿入されて第1支持プレートに対して第1プレート取付部を締結する第1プレート締結部材とを有し、第2位置調整部は、鉛直方向に平行な第2鉛直長孔を有する第2本体取付部と、第2本体取付部から水平方向に延設されて水平方向に平行な第2水平長孔を有する第2プレート取付部とを有する第2可動ブラケットと、第2プレート取付部に対向し、第2非接触支持部材に取り付けられた第2支持プレートと、第2本体取付部の第2鉛直長孔に挿入されて本体フレームに対して第2本体取付部を締結する第2本体締結部材と、第2プレート取付部の第2水平長孔に挿入されて第2支持プレートに対して第2プレート取付部を締結する第2プレート締結部材とを有する。かかる構成により、第1・第2非接触支持部材の位置を、水平方向および鉛直方向へのそれぞれへ調整することができる。
【0017】
また、第1位置調整部は、水平方向に延設された第1押圧ネジ孔と、水平方向に延設された第1貫通孔とを有し、第1非接触支持部材に取り付けられた第1水平調整プレートと、 第1押圧ネジ孔に螺合する第1押圧ネジと、 第1貫通孔に挿入された第1引張ネジとを有し、第1押圧ネジの先端は、第1押圧ネジ孔から第1プレート取付部側に突出して第1プレート取付部に当接し、第1引張ネジの先端は、第1貫通孔から第1プレート取付部側に突出して第1プレート取付部に設けられた第1引張ネジ孔に螺合し、第1引張ネジのネジ頭は、第1貫通孔より第1プレート取付部の反対側に位置して第1水平調整プレートに当接し、第1押圧ネジは、第1プレート取付部に向けて第1押圧ネジ孔にねじ込まれると、第1プレート取付部を第1水平調整プレートから離し、第1引張ネジは、第1プレート取付部に向けて第1引張ネジ孔にねじ込まれると、第1プレート取付部を第1水平調整プレートに近づけ、第2位置調整部は、水平方向に延設された第2押圧ネジ孔と、水平方向に延設された第2貫通孔とを有し、第2非接触支持部材に取り付けられた第2水平調整プレートと、 第2押圧ネジ孔に螺合する第2押圧ネジと、第2貫通孔に挿入された第2引張ネジとを有し、第2押圧ネジの先端は、第2押圧ネジ孔から第2プレート取付部側に突出して第2プレート取付部に当接し、第2引張ネジの先端は、第2貫通孔から第2プレート取付部側に突出して第2プレート取付部に設けられた第2引張ネジ孔に螺合し、第2引張ネジのネジ頭は、第2貫通孔より第2プレート取付部の反対側に位置して第2水平調整プレートに当接し、第2押圧ネジは、第2プレート取付部に向けて第2押圧ネジ孔にねじ込まれると、第2プレート取付部を第2水平調整プレートから離し、第2引張ネジは、第2プレート取付部に向けて第2引張ネジ孔にねじ込まれると、第2プレート取付部を第2水平調整プレートに近づけるように、乾燥装置を構成してもよい。かかる構成では、第1・第2押圧ネジおよび第1・第2引張ネジを操作するといった簡単な作業によって、第1・第2非接触支持部材の位置を、水平方向へ調整することができる。
【0018】
また、第1位置調整部は、鉛直方向に延設された第1押上ネジ孔を有し、第1本体取付部の下側において本体フレームに取り付けられた第1鉛直調整プレートと、第1押上ネジ孔に螺合する第1押上ネジとを有し、第1押上ネジの先端は、第1押上ネジ孔から第1本体取付部に向かって上側に突出して第1本体取付部に当接し、第1押上ネジは、第1本体取付部に向けて第1押上ネジ孔にねじ込まれると、第1本体取付部を上側へ押し上げ、第2位置調整部は、鉛直方向に延設された第2押上ネジ孔を有し、第2本体取付部の下側において本体フレームに取り付けられた第2鉛直調整プレートと、第2押上ネジ孔に螺合する第2押上ネジとを有し、第2押上ネジの先端は、第2押上ネジ孔から第2本体取付部に向かって上側に突出して第2本体取付部に当接し、第2押上ネジは、第2本体取付部に向けて第2押上ネジ孔にねじ込まれると、第2本体取付部を上側へ押し上げるように、乾燥装置を構成してもよい。かかる構成では、第1・第2押上ネジを操作するといった簡単な作業によって、第1・第2非接触支持部材の位置を鉛直方向へ調整することができる。
【0019】
本発明の第2態様に係る乾燥装置は、インクが付着した印刷面および印刷面と逆側の非印刷面とを有する長尺帯状の印刷媒体の上側において水平方向に配列された複数の第1上側ノズルと、印刷媒体の下側において水平方向に配列された複数の第1下側ノズルとを有し、複数の第1上側ノズルから印刷媒体に気体を噴射し、複数の第1下側ノズルから印刷媒体に気体を噴射して、印刷面が下側を向いた状態で水平方向の一方側へ印刷媒体を搬送する第1搬送部と、第1搬送部から一方側に搬送されてきた印刷媒体の印刷面に対向する第1支持周面と、第1支持周面で開口する複数の第1噴射孔とを有し、印刷媒体の印刷面に第1噴射孔から気体を噴射することで、印刷媒体の印刷面を非接触で支持して、印刷媒体の進行方向を水平方向の一方側から下側へ変更する第1非接触支持部材と、第1非接触支持部材から下側に搬送されてきた印刷媒体の印刷面に対向する第2支持周面と、第2支持周面で開口する複数の第2噴射孔とを有し、印刷媒体の印刷面に第2噴射孔から気体を噴射することで印刷媒体の印刷面を非接触で支持して、印刷媒体の進行方向を下側から水平方向の一方側と逆の他方側に変更する第2非接触支持部材と、第2非接触支持部材から水平方向の他方側に搬送されてきた印刷媒体の上側において水平方向に配列された複数の第2上側ノズルと、印刷媒体の下側において水平方向に配列された複数の第2下側ノズルとを有し、複数の第2上側ノズルから印刷媒体に気体を噴射し、複数の第2下側ノズルから印刷媒体に気体を噴射して、印刷面が上側を向いた状態で水平方向の他方側へ印刷媒体を搬送する第2搬送部と、第1搬送部および第2搬送部を支持する本体フレームと、本体フレームに対して第1非接触支持部材を位置決めする第1位置決め部と、本体フレームに対して第2非接触支持部材を位置決めする第2位置決め部とを備え、第1位置決め部は、第1回転支持部と、第1位置調整部とを有し、第1非接触支持部材の両端を第1回転支持部および第1位置調整部によって支持し、第1回転支持部は、水平方向に平行な第1水平回転軸を中心とする回転方向と、鉛直方向に平行な第1鉛直回転軸を中心とする回転方向の各方向に回転可能に第1非接触支持部材を本体フレームに対して支持し、第1位置調整部は、本体フレームに対する第1非接触支持部材の位置を水平方向および鉛直方向の各方向に調整可能に第1非接触支持部材を本体フレームに対して支持し、第2位置決め部は、第2回転支持部と、第2位置調整部とを有し、第2非接触支持部材の両端を第2回転支持部および第2位置調整部によって支持し、第2回転支持部は、水平方向に平行な第2水平回転軸を中心とする回転方向と、鉛直方向に平行な第2鉛直回転軸を中心とする回転方向の各方向に回転可能に第2非接触支持部材を本体フレームに対して支持し、第2位置調整部は、本体フレームに対する第2非接触支持部材の位置を水平方向および鉛直方向の各方向に調整可能に第2非接触支持部材を本体フレームに対して支持する。
【0020】
本発明の第2態様に係る非接触支持部材位置調整方法は、インクが付着した印刷面および印刷面と逆側の非印刷面とを有する長尺帯状の印刷媒体を、印刷面が下側を向いた状態で水平方向の一方側へ搬送する第1搬送部と、第1搬送部から一方側に搬送されてきた印刷媒体の進行方向を水平方向の一方側から下側へ変更する第1非接触支持部材と、第1非接触支持部材から下側に搬送されてきた印刷媒体の進行方向を下側から水平方向の一方側と逆の他方側へ変更する第2非接触支持部材と、第2非接触支持部材から水平方向の他方側に搬送されてきた印刷媒体を、印刷面が上側を向いた状態で水平方向の他方側へ搬送する第2搬送部を備えた乾燥装置における非接触支持部材位置調整方法であって、第1搬送部および第2搬送部を支持する本体フレームに対して第1非接触支持部材を位置決めする第1位置決め部によって第1非接触支持部材の位置を調整する第1位置調整工程と、本体フレームに対して第2非接触支持部材を位置決めする第2位置決め部によって第2非接触支持部材の位置を調整する第2位置調整工程とを備え、第1搬送部は、印刷媒体の上側において水平方向に配列された複数の第1上側ノズルと、印刷媒体の下側において水平方向に配列された複数の第1下側ノズルとを有し、複数の第1上側ノズルから印刷媒体に気体を噴射し、複数の第1下側ノズルから印刷媒体に気体を噴射し、第1非接触支持部材は、第1搬送部から一方側に搬送されてきた印刷媒体の印刷面に対向する第1支持周面と、第1支持周面で開口する複数の第1噴射孔とを有し、印刷媒体の印刷面に第1噴射孔から気体を噴射することで、印刷媒体の印刷面を非接触で支持し、第2非接触支持部材は、第1非接触支持部材から下側に搬送されてきた印刷媒体の印刷面に対向する第2支持周面と、第2支持周面で開口する複数の第2噴射孔とを有し、印刷媒体の印刷面に第2噴射孔から気体を噴射することで印刷媒体の印刷面を非接触で支持し、第2搬送部は、第2非接触支持部材から水平方向の他方側に搬送されてきた印刷媒体の上側において水平方向に配列された複数の第2上側ノズルと、印刷媒体の下側において水平方向に配列された複数の第2下側ノズルとを有し、複数の第2上側ノズルから印刷媒体に気体を噴射し、複数の第2下側ノズルから印刷媒体に気体を噴射し、第1位置決め部は、第1回転支持部と、第1位置調整部とを有し、第1非接触支持部材の両端を第1回転支持部および第1位置調整部によって支持し、第1回転支持部は、水平方向に平行な第1水平回転軸を中心とする回転方向と、鉛直方向に平行な第1鉛直回転軸を中心とする回転方向の各方向に回転可能に第1非接触支持部材を本体フレームに対して支持し、第1位置調整部は、本体フレームに対する第1非接触支持部材の位置を水平方向および鉛直方向の各方向に調整可能に第1非接触支持部材を本体フレームに対して支持し、第2位置決め部は、第2回転支持部と、第2位置調整部とを有し、第2非接触支持部材の両端を第2回転支持部および第2位置調整部によって支持し、第2回転支持部は、水平方向に平行な第2水平回転軸を中心とする回転方向と、鉛直方向に平行な第2鉛直回転軸を中心とする回転方向の各方向に回転可能に第2非接触支持部材を本体フレームに対して支持し、第2位置調整部は、本体フレームに対する第2非接触支持部材の位置を水平方向および鉛直方向の各方向に調整可能に第2非接触支持部材を本体フレームに対して支持する。
【0021】
このように構成された本発明の第2態様では、第1・第2非接触支持部材を本体フレームに対して位置決めする第1・第2位置決め部が具備されている。これら第1・第2位置決め部は、第1・第2回転支持部と、第1・第2位置調整部とを有し、第1・第2非接触支持部材の両端を第1・第2回転支持部および第1・第2位置調整部によって支持する。特に、第1・第2回転支持部は、水平方向に平行な第1・第2水平回転軸を中心とする回転方向と、鉛直方向に平行な第1・第2鉛直回転軸を中心とする回転方向の各方向に回転可能に第1・第2非接触支持部材を本体フレームに対して支持する。また、第1・第2位置調整部は、本体フレームに対する第1・第2非接触支持部材の位置を水平方向および鉛直方向の各方向に調整可能に第1・第2非接触支持部材を本体フレームに対して支持する。したがって、本体フレームに対する第1・第2非接触支持部材の位置を、水平方向および鉛直方向のそれぞれに調整することができる。これによって、第1・第2非接触支持部材からの印刷媒体の脱落が生じないように、第1・第2非接触支持部材の位置を調整できる。その結果、印刷媒体を非接触で支持する非接触支持部材からの印刷媒体の脱落を防止することが可能となる。
【0022】
また、第1回転支持部は、本体フレームに固定された第1固定ブラケットと、第1固定ブラケットに取り付けられた第1水平回転支持部材と、第1水平回転支持部材によって第1水平回転軸を中心に回転可能に支持される第1回転部材と、第1鉛直回転軸を中心に回転可能に第1回転部材を支持する第1鉛直回転支持部材と、第1鉛直回転支持部材を支持するとともに、第1非接触支持部材に固定された第1固定プレートとを有し、第2回転支持部は、本体フレームに固定された第2固定ブラケットと、第2固定ブラケットに取り付けられた第2水平回転支持部材と、第2水平回転支持部材によって第2水平回転軸を中心に回転可能に支持される第2回転部材と、第2鉛直回転軸を中心に回転可能に第2回転部材を支持する第2鉛直回転支持部材と、第2鉛直回転支持部材を支持するとともに、第2非接触支持部材に固定された第2固定プレートとを有するように、乾燥装置を構成してもよい。かかる構成により、第1・第2非接触支持部材を、水平方向および鉛直方向へのそれぞれへ回転可能に支持することができる。
【0023】
また、第1非接触支持部材および第2非接触支持部材に対して、印刷媒体の幅方向の所定側に配置された気体供給部と、気体供給部と第1非接触支持部材の所定側の端とを接続して、気体供給部から第1非接触支持部材に気体を供給する第1ダクトと、気体供給部と第2非接触支持部材の所定側の端とを接続して、気体供給部から第2非接触支持部材に気体を供給する第2ダクトとをさらに備え、第1非接触支持部材は、第1ダクトによって供給された気体を複数の第1噴射孔から噴射し、第2非接触支持部材は、第2ダクトによって供給された気体を複数の第2噴射孔から噴射し、第1回転支持部は、第1非接触支持部材の所定側の端を支持し、第2回転支持部は、第2非接触支持部材の所定側の端を支持するように、乾燥装置を構成してもよい。かかる構成では、作業者が第1・第2非接触支持部材の位置調整のために作業を行う第1・第2位置調整部が、気体供給のための第1・第2ダクトの逆側に位置する。これによって、第1・第2ダクトにより干渉されることなく、作業者は位置調整のための作業を行うことができる。
【0024】
また、第1位置調整部は、鉛直方向に平行な第1鉛直長孔を有する第1本体取付部と、第1本体取付部から水平方向に延設されて水平方向に平行な第1水平長孔を有する第1プレート取付部とを有する第1可動ブラケットと、第1プレート取付部に対向し、第1非接触支持部材に取り付けられた第1支持プレートと、第1本体取付部の第1鉛直長孔に挿入されて本体フレームに対して第1本体取付部を締結する第1本体締結部材と、第1プレート取付部の第1水平長孔に挿入されて第1支持プレートに対して第1プレート取付部を締結する第1プレート締結部材とを有し、第2位置調整部は、鉛直方向に平行な第2鉛直長孔を有する第2本体取付部と、第2本体取付部から水平方向に延設されて水平方向に平行な第2水平長孔を有する第2プレート取付部とを有する第2可動ブラケットと、第2プレート取付部に対向し、第2非接触支持部材に取り付けられた第2支持プレートと、第2本体取付部の第2鉛直長孔に挿入されて本体フレームに対して第2本体取付部を締結する第2本体締結部材と、第2プレート取付部の第2水平長孔に挿入されて第2支持プレートに対して第2プレート取付部を締結する第2プレート締結部材とを有するように、乾燥装置を構成してもよい。かかる構成により、第1・第2非接触支持部材の位置を、水平方向および鉛直方向へのそれぞれへ調整することができる。
【0025】
また、第1位置調整部は、水平方向に延設された第1押圧ネジ孔と、水平方向に延設された第1貫通孔とを有し、第1非接触支持部材に取り付けられた第1水平調整プレートと、 第1押圧ネジ孔に螺合する第1押圧ネジと、第1貫通孔に挿入された第1引張ネジとを有し、第1押圧ネジの先端は、第1押圧ネジ孔から第1プレート取付部側に突出して第1プレート取付部に当接し、第1引張ネジの先端は、第1貫通孔から第1プレート取付部側に突出して第1プレート取付部に設けられた第1引張ネジ孔に螺合し、第1引張ネジのネジ頭は、第1貫通孔より第1プレート取付部の反対側に位置して第1水平調整プレートに当接し、第1押圧ネジは、第1プレート取付部に向けて第1押圧ネジ孔にねじ込まれると、第1プレート取付部を第1水平調整プレートから離し、第1引張ネジは、第1プレート取付部に向けて第1引張ネジ孔にねじ込まれると、第1プレート取付部を第1水平調整プレートに近づけ、第2位置調整部は、水平方向に延設された第2押圧ネジ孔と、水平方向に延設された第2貫通孔とを有し、第2非接触支持部材に取り付けられた第2水平調整プレートと、第2押圧ネジ孔に螺合する第2押圧ネジと、第2貫通孔に挿入された第2引張ネジとを有し、第2押圧ネジの先端は、第2押圧ネジ孔から第2プレート取付部側に突出して第2プレート取付部に当接し、第2引張ネジの先端は、第2貫通孔から第2プレート取付部側に突出して第2プレート取付部に設けられた第2引張ネジ孔に螺合し、第2引張ネジのネジ頭は、第2貫通孔より第2プレート取付部の反対側に位置して第2水平調整プレートに当接し、第2押圧ネジは、第2プレート取付部に向けて第2押圧ネジ孔にねじ込まれると、第2プレート取付部を第2水平調整プレートから離し、第2引張ネジは、第2プレート取付部に向けて第2引張ネジ孔にねじ込まれると、第2プレート取付部を第2水平調整プレートに近づけるように、乾燥装置を構成してもよい。かかる構成では、第1・第2押圧ネジおよび第1・第2引張ネジを操作するといった簡単な作業によって、第1・第2非接触支持部材の位置を、水平方向へ調整することができる。
【0026】
また、第1位置調整部は、鉛直方向に延設された第1押上ネジ孔を有し、第1本体取付部の下側において本体フレームに取り付けられた第1鉛直調整プレートと、第1押上ネジ孔に螺合する第1押上ネジとを有し、第1押上ネジの先端は、第1押上ネジ孔から第1本体取付部に向かって上側に突出して第1本体取付部に当接し、第1押上ネジは、第1本体取付部に向けて第1押上ネジ孔にねじ込まれると、第1本体取付部を上側へ押し上げ、第2位置調整部は、鉛直方向に延設された第2押上ネジ孔を有し、第2本体取付部の下側において本体フレームに取り付けられた第2鉛直調整プレートと、第2押上ネジ孔に螺合する第2押上ネジとを有し、第2押上ネジの先端は、第2押上ネジ孔から第2本体取付部に向かって上側に突出して第2本体取付部に当接し、第2押上ネジは、第2本体取付部に向けて第2押上ネジ孔にねじ込まれると、第2本体取付部を上側へ押し上げるように、乾燥装置を構成してもよい。かかる構成では、第1・第2押上ネジを操作するといった簡単な作業によって、第1・第2非接触支持部材の位置を鉛直方向へ調整することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明によれば、印刷媒体に気体を噴射することで印刷媒体を乾燥させる技術において、印刷媒体を非接触で支持する非接触支持部材からの印刷媒体の脱落を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る乾燥装置を備えた印刷システムの一例を模式的に示す正面図。
図2】本発明に係る乾燥装置を模式的に示す正面図。
図3】上段搬送部の送風乾燥機を部分的に拡大して示す模式図。
図4】中段搬送部および下段搬送部それぞれの送風乾燥機を部分的に拡大して示す模式図。
図5】乾燥装置に設けられたエアターンバーと当該エアターンバーの周辺の構成を模式的に示す斜視図。
図6】乾燥装置に設けられたエアターンバーと当該エアターンバーの周辺の構成を模式的に示す側面図。
図7A】エアターンバーに対する脱落防止部材の取付態様を模式的に示す斜視図。
図7B】互いに締結されたエアターンバーの支持周面と脱落防止部材の脱落防止周面との関係を模式的に示す図。
図8】脱落防止部材の機能を模式的に示す図。
図9】位置決め機構が有する位置調整部を模式的に示す斜視図。
図10A】位置決め機構が有する回転支持部を模式的に示す平面図。
図10B】位置決め機構が有する回転支持部を模式的に示す側面図。
図11図10Aおよび図10Bの位置決め機構が具備する二軸回転部材を模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は本発明に係る乾燥装置を備えた印刷システムの一例を模式的に示す正面図である。図1および以下に示す図では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向および鉛直方向であるZ方向を適宜示す。また、X方向のX1側およびX2側を適宜示す。ここで、X1側はX方向において印刷装置2から乾燥装置3へ向う側であり、X2側はX方向においてX1側の反対側である。
【0030】
図1に示すように、印刷システム1は、印刷装置2および乾燥装置3がこの順でX方向(配列方向)に並んだ構成を具備する。この印刷システム1は、繰出ロール11から巻取ロール12へロール・トゥ・ロールで長尺帯状の印刷媒体Mを搬送しつつ、印刷装置2がインクジェット方式で水性インクを印刷媒体Mに吐出することで画像を印刷し、乾燥装置3が水性インクの付着する印刷媒体Mを乾燥させる。なお、印刷媒体Mの素材は、OPP(oriented polypropylene)あるいはPET(polyethylene terephthalate)等のフィルムである。ただし、印刷媒体Mの素材はフィルムに限られず、紙等でもよい。かかる印刷媒体Mは、可撓性を有する。また、以下では、印刷媒体Mの両面のうち、画像が印刷される面を表面M1と、表面M1の反対側の面を裏面M2と適宜称する。
【0031】
印刷装置2は、筐体21と、筐体21内に配置されたカラー印刷部22と、筐体21内においてカラー印刷部22の上方に配置された白印刷部23と、筐体21内に配置された複数のローラによって印刷媒体Mを搬送する搬送部24とを備える。カラー印刷部22、白印刷部23および搬送部24は、筐体21によって支持される。
【0032】
カラー印刷部22は、搬送部24によって搬送される印刷媒体Mの上方において、印刷媒体Mの進行方向に配列された複数(6個)の吐出ヘッド221を有する。複数の吐出ヘッド221は、それぞれの下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方から対向するノズルを有し、互いに異なる色のカラーインク(水性インク)をインクジェット方式でノズルから吐出する。ここで、カラーインクとは、白色以外のインクを意味し、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック等のインクを含む。こうして、カラー印刷部22の複数の吐出ヘッド221は、それぞれの下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方からカラーインクを吐出することで、印刷媒体Mの表面M1にカラー画像を印刷する。
【0033】
また、白印刷部23は、搬送部24によって搬送される印刷媒体Mの上方に配置された単一の吐出ヘッド231を有する。吐出ヘッド231は、その下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方から対向するノズルを有し、白インク(水性インク)をインクジェット方式でノズルから吐出する。こうして、白印刷部23の吐出ヘッド231は、その下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方から白インクを吐出することで、印刷媒体Mの表面M1に白画像を印刷する。そして、カラー印刷部22によるカラー画像と白印刷部23による白画像とが印刷された印刷媒体Mは、搬送部24によって筐体21の搬出口212から搬出されて乾燥装置6へ向かう。
【0034】
図2は本発明に係る乾燥装置を模式的に示す正面図である。乾燥装置3は、X方向に印刷媒体Mを適宜折り返して搬送しながら印刷媒体Mを乾燥させる。この乾燥装置3は、印刷装置2の筐体21のX1側に配置された筐体5(乾燥炉)を備える。この筐体5は、X方向に延設された直方体形状を有する。また、X方向において、筐体5のX2側(印刷装置2側)には、搬入口Aiが設けられ、筐体5のX1側(印刷装置2の反対側)には、搬出口Aoが設けられている。そして、印刷装置2の搬出口212から搬出された印刷媒体Mは、搬入口Aiから筐体5(乾燥炉)内に搬入される。また、筐体5内において乾燥された印刷媒体Mは、搬出口Aoから筐体5外に搬出される。
【0035】
この乾燥装置3は、印刷媒体Mを搬送する搬送部31を備え、搬送部31は、搬入口Aiから搬出口Aoへ印刷媒体Mを搬送する。この搬送部31は、X2側からX1側へ向けて印刷媒体Mを搬送する上段搬送部31uと、X1側からX2側へ向けて印刷媒体Mを搬送する中段搬送部31mと、X2側からX1側へ向けて印刷媒体Mを搬送する下段搬送部31lとを有する。中段搬送部31mは上段搬送部31uの下方に配置され、下段搬送部31lは中段搬送部31mの下方に配置されている。
【0036】
上段搬送部31uでは、表面M1が上側を向くとともに裏面M2が下側を向いた状態で印刷媒体MがX1側に搬送される。また、搬送部31は、上段搬送部31uおよび中段搬送部31mのX1側で上下に配列されたローラ32uおよびローラ32lを有する。ローラ32uおよびローラ32lは回転可能に筐体5に取り付けられており、上側のローラ32uは上段搬送部31uに対応した高さに位置し、下側のローラ32lは中段搬送部31mに対応した高さに位置する。
【0037】
上側のローラ32uは、上段搬送部31uからX1側に搬送されてきた印刷媒体Mの裏面M2に接触して、印刷媒体Mの進行方向をX1側から下側へ変更し、下側のローラ32lは、上側のローラ32uから搬送されてきた印刷媒体Mの裏面M2に接触して、印刷媒体Mの進行方向を下側からX2側に変更する。つまり、ローラ32uおよびローラ32lによって、印刷媒体Mの表面M1と裏面M2とは上下反転される。こうして上下反転された印刷媒体Mは、裏面M2が上側を向くとともに表面M1が下側を向いた状態で、中段搬送部31mに進入する。
【0038】
これに対して、中段搬送部31mは、裏面M2が上側を向くとともに表面M1が下側を向いた状態で印刷媒体MをX2側へ向けて搬送する。また、搬送部31は、中段搬送部31mおよび下段搬送部31lのX2側で上下に配列されたエアターンバー6uおよびエアターンバー6lを有する。エアターンバー6uおよびエアターンバー6lは筐体5に取り付けられており、上側のエアターンバー6uは中段搬送部31mに対応した高さに位置し、下側のエアターンバー6lは下段搬送部31lに対応した高さに位置する。
【0039】
上側のエアターンバー6uは、中段搬送部31mからX2側に搬送されてきた印刷媒体Mの裏面M2にエアを噴射しつつ裏面M2を支持して、印刷媒体Mの進行方向をX2側から下側へ変更し、下側のエアターンバー6lは、上側のエアターンバー6uから搬送されてきた印刷媒体Mの裏面M2にエアを噴射しつつ裏面M2を支持して、印刷媒体Mの進行方向を下側からX1側へ変更する。つまり、エアターンバー6uおよびエアターンバー6lによって、印刷媒体Mの表面M1と裏面M2とは上下反転される。こうして上下反転された印刷媒体Mは、表面M1が上側を向くとともに裏面M2が下側を向いた状態で、下段搬送部31lに進入する。
【0040】
これに対して、下段搬送部31lは、表面M1が上側を向くとともに裏面M2が下側を向いた状態で印刷媒体MをX1側へ向けて搬送する。また、下段搬送部31lのX1側には、搬出ローラ33が設けられている。搬出ローラ33は回転可能に筐体5に取り付けられており、下段搬送部31lに対応した高さに位置する。そして、搬出ローラ33は、下段搬送部31lによってX1側へ搬送されて搬出口Aoから搬出された印刷媒体Mの裏面M2に接触することで、印刷媒体Mを支持する。
【0041】
また、上段搬送部31uは、搬入口Aiとローラ32uとの間において、X方向に配列された2個の送風乾燥部4a、4bを有する。そして、上段搬送部31uは、これら送風乾燥部4a、4bによって印刷媒体MをX1側に搬送しつつ、印刷媒体Mを乾燥させる。
【0042】
送風乾燥部4aは、印刷媒体Mの上方に配置された送風ユニット41uを有する。この送風ユニット41uは、印刷媒体Mの上方においてX方向に延設された送風チャンバ42uを有する。送風チャンバ42uには、印刷システム1の外部に設けられたヒータによってエアを加熱することで生成された熱風(60度以上のエアの風)が供給される。送風チャンバ42uの下面は、上方を向く印刷媒体Mの表面M1(上面)に上方から対向するノズル配置平面43uである。このノズル配置平面43uは、X方向に平行であるとともにZ方向に垂直な平面である。さらに、送風ユニット41uは、このノズル配置平面43uにおいてX方向に所定ピッチで配列された複数のノズル46uを有する。こうして複数のノズル46uがノズル配置平面43uと印刷媒体Mの表面M1との間に並んで、印刷媒体Mの表面M1に対向する。各ノズル46uは、送風チャンバ42uと連通しており、送風チャンバ42uに供給された熱風は、ノズル46uから印刷媒体Mの表面M1に噴射され、印刷媒体Mを乾燥させる。
【0043】
さらに、送風乾燥部4aは、印刷媒体Mの下方に配置された複数のローラ44を有する。複数のローラ44は、印刷媒体Mの進行方向(X方向)に所定ピッチで配列され、各ローラ44の周面は、印刷媒体Mの裏面M2(下面)に下方から接触する。そして、各ローラ44は、Y方向(印刷媒体Mの幅方向)に平行な回転軸を中心に印刷媒体Mに従動して回転しつつ、印刷媒体Mを下方から支持する。また、ローラ44には、微細な溝が設けられており、印刷媒体Mとローラ44の周面との間からエアが抜けやすくなっている。
【0044】
ちなみに、ノズル46uは、X方向に隣り合う2個のローラ44の間の範囲に上側から対向し、ローラ44は、X方向に隣り合う上側の2個のノズル46uの間の範囲に下側から対向する。つまり、X方向において、ノズル46uとローラ44とは、所定ピッチの半分のピッチで交互に並んでおり、Z方向からの平面視においてX方向に1個ずつ交互に並ぶ。換言すれば、ノズル46uとローラ44とはX方向に千鳥状に配列されている。
【0045】
送風乾燥部4bは、印刷媒体Mの進行方向において送風乾燥部4aの下流側に配置される。この送風乾燥部4bは、送風乾燥部4aと同様に、印刷媒体Mに対して、上方に配置された送風ユニット41uと、下方に配置された複数のローラ44とを有する。かかる送風乾燥部4bでは、複数のローラ44が印刷媒体Mの裏面M2を下方から支持しつつ、送風ユニット41uの複数のノズル46uが印刷媒体Mの表面M1に上方から熱風を噴射し、印刷媒体Mが乾燥される。
【0046】
中段搬送部31mは、ローラ32lとエアターンバー6uとの間において、X方向に配列された2個の送風乾燥部4c、4dを有する。そして、中段搬送部31mは、これら送風乾燥部4c、4dによって印刷媒体MをX2側に搬送しつつ、印刷媒体Mを乾燥させる。
【0047】
送風乾燥部4cは、印刷媒体Mの上方および下方それぞれに配置された送風ユニット41u、41lを有する。上側の送風ユニット41uは、印刷媒体Mの上方においてX方向に延設された送風チャンバ42uを有する。送風チャンバ42uには、上記の熱風が供給される。送風チャンバ42uの下面は、上方を向く印刷媒体Mの裏面M2(上面)に上方から対向するノズル配置平面43uである。このノズル配置平面43uは、X方向に平行であるとともにZ方向に垂直な平面である。さらに、送風ユニット41uは、このノズル配置平面43uにおいてX方向に所定ピッチで配列された複数のノズル46uを有する。こうして複数のノズル46uがノズル配置平面43uと印刷媒体Mの裏面M2との間に並んで、印刷媒体Mの裏面M2に対向する。各ノズル46uは、送風チャンバ42uと連通しており、送風チャンバ42uに供給された熱風は、ノズル46uから印刷媒体Mの裏面M2に噴射される。
【0048】
下側の送風ユニット41lは、印刷媒体Mの下方においてX方向に延設された送風チャンバ42lを有する。送風チャンバ42lには、上記の熱風が供給される。送風チャンバ42lの上面は、下方を向く印刷媒体Mの表面M1(下面)に下方から対向するノズル配置平面43lである。このノズル配置平面43lは、X方向に平行であるとともにZ方向に垂直な平面である。さらに、送風ユニット41lは、このノズル配置平面43lにおいてX方向に所定ピッチで配列された複数のノズル46lを有する。こうして複数のノズル46lがノズル配置平面43lと印刷媒体Mの表面M1との間に並んで、印刷媒体Mの表面M1に対向する。各ノズル46lは、送風チャンバ42lと連通しており、送風チャンバ42lに供給された熱風は、ノズル46lから印刷媒体Mの表面M1に噴射される。
【0049】
ちなみに、上側のノズル46uは、X方向に隣り合う下側の2個のノズル46lの間の範囲に上側から対向し、下側のノズル46lは、X方向に隣り合う上側の2個のノズル46uの間の範囲に下方から対向する。つまり、X方向において、上側のノズル46uと下側のノズル46lとは、所定ピッチの半分のピッチで交互に並んでおり、Z方向からの平面視においてX方向に1個ずつ交互に並ぶ。換言すれば、ノズル46u、46lはX方向に千鳥状に配列されている。
【0050】
送風乾燥部4dは、印刷媒体Mの進行方向において送風乾燥部4cの下流側に配置される。この送風乾燥部4dは、送風乾燥部4cと同様に、印刷媒体MをZ方向から挟む送風ユニット41u、41lを有する。かかる送風乾燥部4dでは、送風ユニット41uが印刷媒体Mの裏面M2に上方から熱風を噴射し、送風ユニット41lが印刷媒体Mの表面M1に下方から熱風を噴射することで、印刷媒体Mが乾燥される。
【0051】
下段搬送部31lは、エアターンバー6lと搬出ローラ33との間において、X方向に配列された2個の送風乾燥部4e、4fを有する。そして、下段搬送部31lは、これら送風乾燥部4e、4fによって印刷媒体MをX1側に搬送しつつ、印刷媒体Mを乾燥させる。
【0052】
送風乾燥部4eは、送風乾燥部4cと同様に、印刷媒体MをZ方向から挟む送風ユニット41u、41lを有する。かかる送風乾燥部4eでは、送風ユニット41uが印刷媒体Mの表面M1に上方から熱風を噴射し、送風ユニット41lが印刷媒体Mの裏面M2に下方から熱風を噴射することで、印刷媒体Mが乾燥される。
【0053】
送風乾燥部4fは、印刷媒体Mの進行方向において送風乾燥部4eの下流側に配置される。この送風乾燥部4fは、送風乾燥部4cと同様に、印刷媒体MをZ方向から挟む送風ユニット41u、41lを有する。かかる送風乾燥部4fでは、送風ユニット41uが印刷媒体Mの表面M1に上方から熱風を噴射し、送風ユニット41lが印刷媒体Mの裏面M2に下方から熱風を噴射することで、印刷媒体Mが乾燥される。
【0054】
図3は上段搬送部の送風乾燥機を部分的に拡大して示す模式図である。上記の乾燥装置3の上段搬送部31uでは、図3に示すように、印刷媒体Mは、ノズル46uに対向する部分ではこのノズル46uからの熱風により下側へ押されることでローラ44の上端より下方に偏り、ローラ44に対向する部分ではこのローラ44により支持される。したがって、印刷媒体Mは、ローラ44の上端と当該上端の下方との間で波打ちながら、水平方向Xに搬送される。
【0055】
図4は中段搬送部および下段搬送部それぞれの送風乾燥機を部分的に拡大して示す模式図である。上記の乾燥装置3の中段搬送部31mあるいは下段搬送部31lでは、図4に示すように、印刷媒体Mは、上側のノズル46uに対向する部分ではこのノズル46uからの熱風により下方へ押されることで搬送中心線Lより下方に偏り、下側のノズル46lに対向する部分ではこのノズル46lからの熱風により上方へ押されることで搬送中心線Lより上方に偏る。ここで、搬送中心線Lは、ノズル46uおよびノズル46lそれぞれからの鉛直方向Zにおける距離が等しい水平な仮想直線である。したがって、印刷媒体Mは、搬送中心線Lの上方と下方との間で波打ちながら、水平方向Xに搬送される。
【0056】
図5は乾燥装置に設けられたエアターンバーと当該エアターンバーの周辺の構成を模式的に示す斜視図であり、図6は乾燥装置に設けられたエアターンバーと当該エアターンバーの周辺の構成を模式的に示す側面図である。図5および図6のように、以下ではY方向のY1側およびY2側を適宜示す。ここで、Y1側およびY2側は互いに反対を向く。
【0057】
上述の通り、エアターンバー6uおよびエアターンバー6lは、乾燥装置3の筐体5に取り付けられている。筐体5は、Z方向に積層されたフレーム51およびフレーム52を有し、上側のフレーム51にエアターンバー6uが取り付けられ、下側のフレーム52のエアターンバー6lが取り付けられている。
【0058】
フレーム51は、Y方向に間隔を空けて設けられてZ方向に平行な2本の柱部材511と、Y方向に平行に設けられて2本の柱部材511の下端を接続する梁部材512とを有する。さらに、筐体5は、Y方向に平行に設けられて2本の柱部材511に渡された取付プレート53を有する。そして、この取付プレート53に対してエアターンバー6uが取り付けられている。なお、取付プレート53にエアターンバー6uを取り付ける具体的構成は後述することとし、図5では簡略化して示されている。
【0059】
フレーム52は、Y方向に間隔を空けて設けられてZ方向に平行な2本の柱部材521と、Y方向に平行に設けられて2本の柱部材521の下端を接続する梁部材522とを有する。さらに、筐体5は、Y方向に平行に設けられて2本の柱部材521に渡された取付プレート54を有する。そして、この取付プレート54に対してエアターンバー6lが取り付けられている。なお、取付プレート54にエアターンバー6lを取り付ける具体的構成は後述することとし、図5では簡略化して示されている。
【0060】
エアターンバー6u、6lは、Y方向から見て扇形を有するバー本体61aを備え、このバー本体61aは支持周面611を有する。バー本体61aの支持周面611はY方向に平行な中心を有する部分円筒面であり、Y方向において所定の幅W611を有する。支持周面611には、複数のエア噴射孔H(図8)が開口している。この支持周面611は印刷媒体Mの表面M1に対向し、支持周面611に開口する各エア噴射孔Hは当該表面M1に向けてエアを噴射する。このエアの噴射によって、支持周面611と印刷媒体Mの表面M1の間には隙間が確保され、印刷媒体Mは非接触によって支持周面611に支持される。
【0061】
こうして支持周面611によって支持される印刷媒体Mは、支持周面611に沿って曲がる。これによって、印刷媒体Mの進行方向は、支持周面611に沿って90度変更される。つまり、エアターンバー6uの支持周面611に沿って、印刷媒体Mの進行方向はX2側から下側に変更される。また、エアターンバー6lの支持周面611に沿って、印刷媒体Mの進行方向は下側からX1側へ変更される。
【0062】
また、エアターンバー6u、6lは、Y方向においてバー本体61aの両端に設けられた側壁部材62を備える。側壁部材62は、Y方向に直交するように配置された平板である。さらに、エアターンバー6u、6lは、バー本体61aの内部にエアを送る配管63を備える。この配管63は、これら2個の側壁部材62のうちのY2側の側壁部材62から、Y2側に突出する。
【0063】
エアターンバー6uのY方向の両端に対しては、脱落防止部材7r、7lが取り付けられている。脱落防止部材7r、7lは、Y方向から見て円弧形状を有する脱落防止本体71aを有し、この脱落防止本体71aは脱落防止周面711を有する。脱落防止本体71aの脱落防止周面711は、Y方向に平行な中心を有する部分円筒面であり、Y方向において、幅W611より短い幅W71を有する。なお、脱落防止周面711には、エア噴射孔Hは開口していない。エアターンバー6uの支持周面611の円筒形状と、脱落防止部材7r、7lの脱落防止周面711の円筒形状とは、同一中心を有する一方、Y方向から見て、当該中心から支持周面611までの距離(円筒形の半径)は、当該中心から脱落防止周面711までの距離(円筒形の半径)より若干長い。つまり、支持周面611は脱落防止周面711より突出している。
【0064】
こうして、Y方向において、エアターンバー6uに対して、Y1側から隣接する脱落防止部材7lと、Y2側から隣接する脱落防止部材7rとが設けられている。同様に、エアターンバー6lに対して、Y1側から隣接する脱落防止部材7lと、Y2側から隣接する脱落防止部材7rとが設けられている。
【0065】
また、Y方向においてエアターンバー6u、6lのY2側には、エア供給部57が配置されている。エア供給部57は、エアターンバー6u、6lにY2側から対向するようにZ方向に延設されたエア供給本体571と、エア供給本体571の上端部からY1側に突出するダクト572uと、エア供給本体571の下端部からY1側に突出するダクト572lとを有する。そして、ダクト572uとエアターンバー6uの配管63とが接続されて、エア供給本体571からダクト572uおよび配管63を介してエアターンバー6uのバー本体61aにエアが供給される。こうしてエア供給部57からエアターンバー6uに供給されたエアが、エアターンバー6uの支持周面611で開口するエア噴射孔Hから噴射される。同様に、ダクト572lとエアターンバー6lの配管63とが接続されて、エア供給本体571からダクト572uおよび配管63を介してエアターンバー6lのバー本体61aにエアが供給される。こうして、エア供給部57からエアターンバー6lに供給されたエアが、エアターンバー6lの支持周面611で開口するエア噴射孔Hから噴射される。
【0066】
Y方向においてエアターンバー6uとエア供給部57のエア供給本体571との間には間隔が設けられており、エアターンバー6uに対して設けられた2個の脱落防止部材7r、7lのうちY2側の脱落防止部材7rが当該間隔に配置されている。同様に、Y方向においてエアターンバー6lとエア供給部57との間には間隔が設けられており、エアターンバー6lに対して設けられた2個の脱落防止部材7r、7lのうちY2側の脱落防止部材7rが当該間隔に配置されている。
【0067】
図7Aはエアターンバーに対する脱落防止部材の取付態様を模式的に示す斜視図である。エアターンバー6u、6lに対する脱落防止部材7r、7lの取付態様は、エアターンバー6u、6lで共通するため、ここではエアターンバー6uへの取付態様ついて説明を行う。上述の通り、エアターンバー6uのバー本体61aのY方向の両端には、側壁部材62が設けられている。側壁部材62は、Y方向に直交するように設けられ、Y方向から見て扇形を有する。この側壁部材62には、複数のネジ孔621がY方向に設けられている。
【0068】
一方、脱落防止部材7lは、Y方向において脱落防止本体71aのエアターンバー6u側の一端に設けられた取付フランジ72を有する。この取付フランジ72は、Y方向から見て、脱落防止本体71aから内側に突出するように設けられる。この取付フランジ72には、複数の貫通孔721がY方向に貫通している。
【0069】
そして、脱落防止部材7lの取付フランジ72を、エアターンバー6uが有する側壁部材62の扇形の周縁部にY方向から対向させると、脱落防止部材7lの複数の貫通孔721とエアターンバー6uの複数のネジ孔621とが対向する。こうして、互いに対向する貫通孔721およびネジ孔621にボルト751を挿入しつつ、ボルト751をネジ孔621に螺合させることで、脱落防止部材7lをエアターンバー6uに締結できる。
【0070】
また、脱落防止部材7rおよびエアターンバー6uも同様の構成によって締結されている。なお、脱落防止部材7rがエアターンバー6uに締結された状態で、エアターンバー6uの側壁部材62は、脱落防止部材7rの取付フランジ72より内側に突出する。一方、図6に示した配管63は、側壁部材62のうち、脱落防止部材7rの取付フランジ72より内側に配置されている。これによって、配管63と脱落防止部材7rとの干渉が防止されている。
【0071】
図7Bは互いに締結されたエアターンバーの支持周面と脱落防止部材の脱落防止周面との関係を模式的に示す図である。図7Bに示すように、図7Aに示す態様によって締結された状態では、Y方向から見て、支持周面611は脱落防止周面711より突出量Gだけ突出している。
【0072】
図8は脱落防止部材の機能を模式的に示す図である。なお、エアターンバー6uに設けられた脱落防止部材7l、7rと、エアターンバー6lに設けられた脱落防止部材7l、7rとで機能は共通するため。ここでは前者の場合について説明する。
【0073】
図8の「通常搬送時」の欄に示すように、印刷媒体Mが斜行せずに搬送されている場合には、Y方向において、印刷媒体Mの両端は、エアターンバー6uの支持周面611の両端の間に収まり、印刷媒体Mの表面M1の全体が支持周面611に対向する。そして、支持周面611で開口するエア噴射孔Hから印刷媒体Mの表面M1に噴射されたエアによって、支持周面611と印刷媒体Mの表面M1との間に隙間が確保された状態で、印刷媒体Mは搬送される。
【0074】
図8の「斜行発生時(右側)」の欄に示すように、印刷媒体Mが右側に斜行した状態で搬送されている場合には、Y方向において印刷媒体Mの表面M1のY2側の端部は、エアターンバー6uの支持周面611からY2側に突出して、脱落防止部材7rの脱落防止周面711に対向する。一方、印刷媒体Mの表面M1のうち当該端部以外の部分は、支持周面611に対向して、エア噴射孔Hから噴射されたエアを受ける。こうして、エア噴射孔Hから印刷媒体Mの表面M1に噴射されたエアの一部は、Y方向のY2側へ移動する気流Fを生成する。この気流Fによって、印刷媒体Mの表面M1と、脱落防止部材7rの脱落防止周面711との間に隙間Δが形成される。なお、印刷媒体Mの表面M1のうち支持周面611に対向する部分と当該支持周面611との間には、上述の通り、エア噴射孔Hから噴射されるエアによって隙間が確保される。
【0075】
図8の「斜行発生時(左側)」の欄に示すように、印刷媒体Mが左側に斜行した状態で搬送されている場合には、Y方向において印刷媒体Mの表面M1のY1側の端部は、エアターンバー6uの支持周面611からY1側に突出して、脱落防止部材7lの脱落防止周面711に対向する。一方、印刷媒体Mの表面M1のうち当該端部以外の部分は、支持周面611に対向して、エア噴射孔Hから噴射されたエアを受ける。こうして、エア噴射孔Hから印刷媒体Mの表面M1に噴射されたエアの一部は、Y方向のY1側へ移動する気流Fを生成する。この気流Fによって、印刷媒体Mの表面M1と、脱落防止部材7lの脱落防止周面711との間に隙間Δが形成される。なお、印刷媒体Mの表面M1のうち支持周面611に対向する部分と当該支持周面611との間には、上述の通り、エア噴射孔Hから噴射されるエアによって隙間が確保される。
【0076】
上記の乾燥装置3では、中段搬送部31m(第1搬送部)からエアターンバー6u、6l(第1・第2非接触支持部材)を介した下段搬送部31l(第2搬送部)までの区間(すなわち、ローラ32lを通過してから搬出ローラ33に到達するまでの区間)においては、印刷媒体Mは非接触で搬送される(換言すれば、浮上搬送される)。そのため、中段搬送部31mおよび下段搬送部31lにおいて噴射されるエア(気体)による風の影響を受けて、印刷媒体Mが斜行して、エアターンバー6u、6lからY方向に脱落する場合があった。これに対して、図5図8を用いて説明する実施形態では、エアターンバー6u、6lに対して、脱落防止部材7l、7r(第1・第2脱落防止部材)が設けられており、エアターンバー6u、6lの支持周面611(第1・第2支持周面)に、脱落防止部材7l、7rの脱落防止周面711(第1・第2脱落防止周面)が隣接する。かかる構成では、印刷媒体Mが斜行した場合には、印刷媒体Mは、エアターンバー6u、6lの支持周面611から脱落防止部材7l、7rの脱落防止周面711にずれる。この際、エアターンバー6u、6lの支持周面611に設けられた複数のエア噴射孔H(第1・第2噴射孔)から噴射されたエアは、支持周面611と、当該支持周面611に対向する印刷媒体Mの表面M1(印刷面)との間の隙間を脱落防止周面711に向かって流れる(図8の「斜行発生時(右側)」および「斜行発生時(左側)」)。その結果、脱落防止周面711と、当該脱落防止周面711に対向する印刷媒体Mの表面M1との間に隙間Δが形成される。つまり、脱落防止部材7l、7rの脱落防止周面711は、斜行によってずれた印刷媒体Mの表面M1に対して隙間Δを空けつつ、当該印刷媒体Mを支持できる。こうして、印刷媒体Mを非接触で支持するエアターンバー6u、6lからの印刷媒体Mの脱落を防止することが可能となる。
【0077】
また、Y方向(幅方向)からの側面視において、支持周面611は脱落防止周面711より突出する。これによって、支持周面611から脱落防止周面711に向かうスムーズな気流Fが生成され、脱落防止周面711と印刷媒体Mの表面M1との間の隙間Δが確実に生成される。その結果、脱落防止周面711は、斜行によってずれた印刷媒体Mの表面M1に対して隙間Δを空けつつ、当該印刷媒体Mを支持できる。
【0078】
また、脱落防止部材7l、7rをエアターンバー6u、6lに締結するボルト751(第1・第2締結部材)が具備されている。このように、脱落防止部材7l、7rをエアターンバー6u、6lに直接締結することで、これらを簡単に位置決めできる。
【0079】
続いては、エアターンバー6u、6lを取付プレート53、54に対して位置決めする位置決め機構Jについて説明する。なお、エアターンバー6uを取付プレート53に対して位置決めする位置決め機構Jと、エアターンバー6lを取付プレート54に対して位置決めする位置決め機構Jとの構成は共通するため、ここでは前者について説明を行う。
【0080】
図9は位置決め機構が有する位置調整部を模式的に示す斜視図である。つまり、位置決め機構Jは、エアターンバー6uのY1側の端を支持する位置調整部8(図9)を有する。位置調整部8は、エアターンバー6uのY1側の側壁部材62に固定された水平調整プレート81を有する。水平調整プレート81は、それぞれZ方向に延設された長尺プレート811および短尺プレート812を有する。長尺プレート811は、短尺プレート812より取付プレート53側(X1側)に位置して、短尺プレート812は、長尺プレート811の取付プレート53の逆側(X2側)の側面に固定されている。短尺プレート812は長尺プレート811より短く、Z方向において短尺プレート812の両端(上下端)は長尺プレート811の両端(上下端)の間に位置する。つまり、Z方向において、長尺プレート811の上端部811uは短尺プレート812の上端より上側に突出し、長尺プレート811の下端部811lは短尺プレート812の下端より下側に突出する。
【0081】
また、水平調整プレート81は、Z方向に並ぶ2個の貫通孔813を有する。これら貫通孔813は、長尺プレート811および短尺プレート812をX方向に貫通する。さらに、水平調整プレート81は、Z方向に並ぶ2個の押圧ネジ孔814を有する。2個の押圧ネジ孔814のうち、上側の押圧ネジ孔814は長尺プレート811の上端部811uをX方向に貫通し、下側の押圧ネジ孔814は長尺プレート811の下端部811lをX方向に貫通する。
【0082】
また、位置調整部8は、バー本体61aの背面612に固定されたバー固定ブロック82を有する。ここで、バー本体61aの背面612は、筐体5の取付プレート53に対向するX方向に直交する平面である。バー固定ブロック82は、Y方向に直交するように配置され、バー本体61aの背面612から取付プレート53側(X1側)に突出する。
【0083】
さらに、位置調整部8は、Y1側からバー固定ブロック82に隣接する可動ブラケット83を有する。可動ブラケット83は、Y方向に直交するように設けられたブロック取付プレート831と、X方向に直交するように設けられた本体取付プレート832とを有する。ブロック取付プレート831はバー固定ブロック82にY1側から対向し、本体取付プレート832は取付プレート53にX2側から対向する。また、ブロック取付プレート831は、本体取付プレート832から取付プレート53の逆側(X2側)に突出する。このブロック取付プレート831は、水平調整プレート81に対してX1側から間隔を空けて対向する対向面831fを有する。
【0084】
また、可動ブラケット83は、ブロック取付プレート831に設けられた2本の水平長孔833を有する。水平長孔833は、X方向に平行に延設され、ブロック取付プレート831をY方向に貫通する。可動ブラケット83は、本体取付プレート832に設けられた4本の鉛直長孔834を有する。鉛直長孔834は、Z方向に並行に延設され、本体取付プレート832をX方向に貫通する。さらに、可動ブラケット83は、Z方向に並ぶ2本の引張ネジ孔835を有する。2本の引張ネジ孔835は、ブロック取付プレート831においてX方向に平行に延設され、対向面831fにおいて開口する。これら2個の引張ネジ孔835は、水平調整プレート81の2個の貫通孔813にX方向において対向する。
【0085】
また、位置調整部8は、本体取付プレート832に下側から対向する鉛直調整プレート84を有する。この鉛直調整プレート84には、Z方向に平行に延設された押上ネジ孔841が設けられ、押上ネジ孔841は、Z方向において鉛直調整プレート84を貫通する。
【0086】
さらに、位置調整部8は、水平調整プレート81に対して設けられた2本の押圧ネジ851および2本の引張ネジ852を有する。押圧ネジ851はX2側から押圧ネジ孔814にねじ込まれており、押圧ネジ851の先端は水平調整プレート81からブロック取付プレート831側(X1側)に突出して、ブロック取付プレート831の対向面831fに当接する。また、引張ネジ852はX2側から貫通孔813に挿入されている。この引張ネジ852の先端は、貫通孔813からブロック取付プレート831側(X1側)に突出して、ブロック取付プレート831に設けられた引張ネジ孔835に螺合する。つまり、引張ネジ852の先端は、ブロック取付プレート831の引張ネジ孔835にX2側からねじ込まれている。一方、引張ネジ852のネジ頭は、貫通孔813よりブロック取付プレート831の反対側(X2側)に位置して、水平調整プレート81に当接する。
【0087】
かかる構成では、押圧ネジ孔814に螺合する押圧ネジ851をX1側へ向けてねじ込むと、水平調整プレート81と可動ブラケット83とをX方向に離間させる力を押圧ネジ851が発生する。また、引張ネジ孔835に螺合する引張ネジ852をX1側へ向けてねじ込むと、水平調整プレート81と可動ブラケット83とをX方向に近接させる力を引張ネジ852が発生する。したがって、押圧ネジ851および引張ネジ852のねじ込み量を調整することで、筐体5の取付プレート53に対するエアターンバー6uの位置をX方向に調整できる。
【0088】
また、位置調整部8は、水平長孔833に挿入されたプレート締結ネジ853を有する。このプレート締結ネジ853は、Y1側から水平長孔833に挿入されて、プレート締結ネジ853の先端は、バー固定ブロック82に螺合する。バー固定ブロック82に対するプレート締結ネジ853の螺合が緩んでいる状態では、プレート締結ネジ853は水平長孔833に対してX方向に相対的に移動できる。したがって、上記の押圧ネジ851および引張ネジ852によるエアターンバー6uのX方向への位置調整を実行できる。一方、この位置調整が完了した際には、プレート締結ネジ853によってブロック取付プレート831をバー固定ブロック82に締結することで、筐体5の取付プレート53に対するエアターンバー6uのX方向への位置を固定できる。
【0089】
さらに、位置調整部8は、鉛直調整プレート84に対して設けられた1本の押上ネジ854を有する。押上ネジ854は下側から押上ネジ孔841にねじ込まれており、押上ネジ854の先端は鉛直調整プレート84から上側に突出して、本体取付プレート832に下側から当接する。
【0090】
かかる構成では、押上ネジ孔841に螺合する押上ネジ854を上側へ向けてねじ込むと、鉛直調整プレート84に対して本体取付プレート832を上側に押し上げる力を押上ネジ孔841が発生する。したがって、押上ネジ孔841のねじ込み量を調整することで、筐体5の取付プレート53に対するエアターンバー6uの位置をZ方向に調整できる。
【0091】
また、位置調整部8は、鉛直長孔834に挿入された本体締結ネジ855を有する。この本体締結ネジ855は、X2側から鉛直長孔834に挿入されて、本体締結ネジ855の先端は、筐体5の取付プレート53に螺合する。取付プレート53に対する本体締結ネジ855の螺合が緩んでいる状態では、本体締結ネジ855は鉛直長孔834に対してZ方向に相対的に移動できる。したがって、上記の押上ネジ854によるエアターンバー6uのZ方向への位置調整を実行できる。一方、この位置調整が完了した際には、本体締結ネジ855によって本体取付プレート832を筐体5の取付プレート53に締結することで、筐体5の取付プレート53に対するエアターンバー6uのZ方向への位置を固定できる。
【0092】
図10Aは位置決め機構が有する回転支持部を模式的に示す平面図であり、図10Bは位置決め機構が有する回転支持部を模式的に示す側面図であり、図11図10Aおよび図10Bの位置決め機構が具備する二軸回転部材を模式的に示す斜視図である。図10Aおよび図10Bに示すように、位置決め機構Jは、エアターンバー6uのY2側の端を支持する回転支持部9を有する。回転支持部9は、エアターンバー6uのY2側の側壁部材62および背面612に固定された固定プレート91を有する。この固定プレート91は、エアターンバー6uのエアターンバー6uから筐体5の取付プレート53側に突出する。
【0093】
また、回転支持部9は、筐体5の取付プレート53に取り付けられた固定ブラケット92を有する。この固定ブラケット92は、Y方向に直交するように設けられた突出プレート921と、X方向に直交するように設けられた本体取付プレート922とを有する。本体取付プレート922は、筐体5の取付プレート53に固定され、突出プレート921は、本体取付プレート922からX2側に突出する。
【0094】
そして、回転支持部9は、固定プレート91と固定ブラケット92とを2個の自由度をを持って相互に支持する二軸支持部93を有する。この二軸支持部93は、図11に示す二軸回転部材94を有する。二軸回転部材94は、回転部材本体941と、鉛直方向に平行な鉛直回転軸Avに沿って設けられて回転部材本体941から鉛直方向に突出する鉛直回転軸部材942と、水平方向に平行な水平回転軸Ahに沿って設けられて回転部材本体941から水平方向に突出する水平回転軸部材943とを有する。この二軸回転部材94は、鉛直回転軸Avを中心とする回転方向θvと、水平回転軸Ahを中心とする回転方向θhとの各方向に回転可能である。
【0095】
つまり、図10Aおよび図10Bに示すように、二軸支持部93は、二軸回転部材94を軸支する鉛直回転支持部材95を有する。鉛直回転支持部材95は固定プレート91に固定され、固定プレート91からY2側に突出する。この鉛直回転支持部材95は、二軸回転部材94の鉛直回転軸部材942の下端を受ける下端支持プレート951と、二軸回転部材94の鉛直回転軸部材942の上端を受ける上端支持プレート952とを有し、二軸回転部材94の鉛直回転軸部材942を回転方向θvに回転可能に支持する。
【0096】
さらに、二軸支持部93は、二軸回転部材94を軸支する水平回転支持部材96を有する。水平回転支持部材96は、固定ブラケット92の突出プレート921に固定されて、突出プレート921からY1側に突出する。この水平回転支持部材96は、二軸回転部材94の水平回転軸部材943の一端を受ける一端支持プレート961と、二軸回転部材94の水平回転軸部材943の他端を受ける他端支持プレート962とを有し、二軸回転部材94の水平回転軸部材943を回転方向θhに回転可能に支持する。
【0097】
上述の通り、乾燥装置3では、中段搬送部31m(第1搬送部)からエアターンバー6u、6l(第1・第2非接触支持部材)を介した下段搬送部31l(第2搬送部)までの区間(すなわち、ローラ32lを通過してから搬出ローラ33に到達するまでの区間)においては、印刷媒体Mは非接触で搬送される(換言すれば、浮上搬送される)。そのため、中段搬送部31mおよび下段搬送部31lにおいて噴射されるエア(気体)による風の影響を受けて、印刷媒体Mが斜行して、エアターンバー6u、6lからY方向に脱落する場合があった。これに対して、図9図11を用いて説明する実施形態では、エアターンバー6u、6l(第1・第2非接触支持部材)を筐体5(本体フレーム)に対して位置決めする位置決め機構J(第1・第2位置決め部)が具備されている。これら位置決め機構Jは、回転支持部9(第1・第2回転支持部)と、位置調整部8(第1・第2位置調整部)とを有し、エアターンバー6u、6lの両端を回転支持部9および位置調整部8によって支持する。特に、回転支持部9は、水平方向に平行な水平回転軸Ah(第1・第2水平回転軸)を中心とする回転方向θhと、鉛直方向に平行な鉛直回転軸Av(第1・第2鉛直回転軸)を中心とする回転方向θvとの各方向に回転可能に、エアターンバー6u、6lを筐体5に対して支持する。また、位置調整部8は、筐体5に対するエアターンバー6u、6lの位置をX方向(水平方向)およびZ方向(鉛直方向)の各方向に調整可能にエアターンバー6u、6lを筐体5に対して支持する。したがって、筐体5に対するエアターンバー6u、6lの位置を、X方向およびZ方向のそれぞれに調整することができる。これによって、エアターンバー6u、6lからの印刷媒体Mの脱落が生じないように、エアターンバー6u、6lの位置を調整できる。その結果、印刷媒体Mを非接触で支持するエアターンバー6u、6lからの印刷媒体Mの脱落を防止することが可能となる。
【0098】
また、回転支持部9は、水平回転軸Ah(第1・第2水平回転軸)および鉛直回転軸Av(第1・第2鉛直回転軸)のそれぞれを中心に回転可能な二軸回転部材94(第1・第2回転部材)を有する。具体的には、筐体5に固定された固定ブラケット92(第1・第2固定ブラケット)と、固定ブラケット92に取り付けられた水平回転支持部材96(第1・第2水平回転支持部材)とが具備され、二軸回転部材94は、水平回転支持部材96によって水平回転軸Ahを中心に回転可能に支持される。また、エアターンバー6u、6lに固定された固定プレート91(第1・第2固定プレート)と、固定プレート91に支持された鉛直回転支持部材95(第1・第2鉛直回転支持部材)とが具備され、二軸回転部材94は、鉛直回転支持部材95によって鉛直回転軸Avを中心に回転可能に支持される。かかる構成により、エアターンバー6u、6lを、水平方向および鉛直方向へのそれぞれへ回転可能に支持することができる。
【0099】
また、エアターンバー6u、6lに対して、Y方向(印刷媒体Mの幅方向)のY2側には、エア供給部57(気体供給部)が配置されている。そして、エアターンバー6uのY2側の端の配管63と、エア供給部57のダクト572uとが接続されて、このダクト572uがエア供給部57により供給されるエアを、配管63を介してエアターンバー6uに供給する。また、エアターンバー6lのY2側の端の配管63と、エア供給部57のダクト572lとが接続されて、このダクト572lがエア供給部57により供給されるエアを、配管63を介してエアターンバー6uに供給する。これに対して、回転支持部9(第1・第2回転支持部)によって、エアターンバー6u、6lの所定側の端が支持される。かかる構成では、作業者がエアターンバー6u、6lの位置調整のために作業を行う位置調整部8が、気体供給のためのダクト572u、572lの逆側に位置する。これによって、ダクト572u、572lにより干渉されることなく、作業者は位置調整のための作業を行うことができる。
【0100】
また、位置調整部8は、可動ブラケット83(第1・第2可動ブラケット)を有する。この可動ブラケット83は、Z方向に平行な鉛直長孔834(第1・第2鉛直長孔)を有する本体取付プレート832(第1・第2本体取付部)と、本体取付プレート832からX方向に延設されてX方向に平行な水平長孔833(第1・第2水平長孔)を有するブロック取付プレート831(第1・第2プレート取付部)とを有する。さらに、位置調整部8は、ブロック取付プレート831に対向し、エアターンバー6u、6lに取り付けられたバー固定ブロック82(第1・第2支持プレート)を有する。そして、本体締結ネジ855(第1・第2本体締結部材)が本体取付プレート832の鉛直長孔834(第1・第2鉛直長孔)に挿入されて、筐体5の取付プレート53に対して本体取付プレート832を締結し、プレート締結ネジ853(第1・第2プレート締結部材)がブロック取付プレート831の水平長孔833に挿入されて、バー固定ブロック82に対してブロック取付プレート831を締結する。かかる構成では、プレート締結ネジ853に対する水平長孔833の位置を調整するとともに本体締結ネジ855に対する鉛直長孔834の位置を調整することで、エアターンバー6u、6lの位置を、水平方向および鉛直方向へのそれぞれへ調整することができる。
【0101】
また、位置調整部8は、水平調整プレート81(第1・第2水平調整プレート)を有する。この水平調整プレート81には、X方向に延設された押圧ネジ孔814(第1・第2押圧ネジ孔)と、X方向に延設された貫通孔813(第1・第2貫通孔)とが設けられおり、押圧ネジ851(第1・第2押圧ネジ)が押圧ネジ孔814に螺合し、引張ネジ852(第1・第2引張ネジ)が貫通孔813に挿入されている。そして、押圧ネジ851の先端は、押圧ネジ孔814からブロック取付プレート831側に突出してブロック取付プレート831に当接し、引張ネジ852の先端は、貫通孔813からブロック取付プレート831側に突出して、ブロック取付プレート831に設けられた引張ネジ孔835に螺合する。一方、引張ネジ852のネジ頭は、貫通孔813よりブロック取付プレート831の反対側に位置して水平調整プレート81に当接する。そして、押圧ネジ851は、ブロック取付プレート831に向けて押圧ネジ孔814にねじ込まれると、ブロック取付プレート831を水平調整プレート81からX方向に離し、引張ネジ852は、ブロック取付プレート831に向けて引張ネジ孔835にねじ込まれると、ブロック取付プレート831を水平調整プレート81に近づける。かかる構成では、押圧ネジ851および引張ネジ852を操作するといった簡単な作業によって、エアターンバー6u、6lの位置を、X方向へ調整することができる。
【0102】
また、位置調整部8は、鉛直調整プレート84(第1.第2鉛直調整プレート)を有する。この鉛直調整プレート84には、Z方向に延設された押上ネジ孔841(第1・第2押上ネジ孔841)が設けられており、押上ネジ854が押上ネジ孔841に螺合する。この押上ネジ854の先端は、押上ネジ孔841から本体取付プレート832に向かって上側に突出して本体取付プレート832に下側から当接する。そして、押上ネジ854は、本体取付プレート832に向けて押上ネジ孔841にねじ込まれると、本体取付プレート832を上側へ押し上げる。かかる構成では、押上ネジ854を操作するといった簡単な作業によって、エアターンバー6u、6lの位置をZ方向へ調整することができる。
【0103】
以上に説明した実施形態では、乾燥装置3が本発明の「乾燥装置」の一例に相当し、中段搬送部31mが本発明の「第1搬送部」の一例に相当し、下段搬送部31lが本発明の「第2搬送部」の一例に相当し、ノズル46uが本発明の「第1・第2上側ノズル」の一例に相当し、ノズル46lが本発明の「第2・第2下側ノズル」の一例に相当し、X方向が本発明の「水平方向」の一例に相当し、X1側が本発明の「他方側」の一例に相当し、X2側が本発明の「一方側」の一例に相当し、エアターンバー6uが本発明の「第1非接触支持部材」の一例に相当し、エアターンバー6lが本発明の「第2非接触支持部材」の一例に相当し、支持周面611が本発明の「第1・第2支持周面」の一例に相当し、エア噴射孔Hが本発明の「第1・第2噴射孔」の一例に相当し、エアターンバー6uの両端に設けられた脱落防止部材7l、7rのそれぞれが本発明の「第1脱落防止部材」の一例に相当し、エアターンバー6lの両端に設けられた脱落防止部材7l、7rのそれぞれが本発明の「第2脱落防止部材」の一例に相当し、脱落防止周面711が本発明の「第1・第2脱落防止周面」の一例に相当し、ボルト751が本発明の「第1・第2締結部材」の一例に相当し、筐体5が本発明の「本体フレーム」の一例に相当し、エアターンバー6uに対して設けられた位置決め機構Jが本発明の「第1位置決め部」の一例に相当し、エアターンバー6lに対して設けられた位置決め機構Jが本発明の「第2位置決め部」の一例に相当し、回転支持部9が本発明の「第1・第2回転支持部」の一例に相当し、位置調整部8が本発明の「第1・第2位置調整部」の一例に相当し、水平回転軸Ahが本発明の「第1・第2水平回転軸」の一例に相当し、鉛直回転軸Avが本発明の「第1・第2鉛直回転軸」の一例に相当し、固定ブラケット92が本発明の「第1・第2固定ブラケット」の一例に相当し、水平回転支持部材96が本発明の「第1・第2水平回転支持部材」の一例に相当し、二軸回転部材94が本発明の「第1・第2回転部材」の一例に相当し、鉛直回転支持部材95が本発明の「第1・第2鉛直回転支持部材」の一例に相当し、固定プレート91が本発明の「第1・第2固定プレート」の一例に相当し、エア供給部57が本発明の「気体供給部」の一例に相当し、ダクト572uが本発明の「第1ダクト」の一例に相当し、ダクト572lが本発明の「第2ダクト」の一例に相当し、鉛直長孔834が本発明の「第1・第2鉛直長孔」の一例に相当し、本体取付プレート832が本発明の「第1・第2本体取付部」の一例に相当し、水平長孔833が本発明の「第1・第2水平長孔」の一例に相当し、ブロック取付プレート831が本発明の「第1・第2プレート取付部」の一例に相当し、可動ブラケット83が本発明の「第1・第2可動ブラケット」の一例に相当し、バー固定ブロック82が本発明の「第1・第2支持プレート」の一例に相当し、本体締結ネジ855が本発明の「第1・第2本体締結部材」の一例に相当し、プレート締結ネジ853が本発明の「第1・第2プレート締結部材」の一例に相当し、押圧ネジ孔814が本発明の「第1・第2押圧ネジ孔」の一例に相当し、貫通孔813が本発明の「第1・第2貫通孔」の一例に相当し、水平調整プレート81が本発明の「第1・第2水平調整プレート」の一例に相当し、押圧ネジ851が本発明の「第1・第2押圧ネジ」の一例に相当し、引張ネジ852が本発明の「第1・第2引張ネジ」の一例に相当し、引張ネジ孔835が本発明の「第1・第2引張ネジ孔」の一例に相当し、押上ネジ854が本発明の「第1・第2押上ネジ」の一例に相当し、鉛直調整プレート84が本発明の「第1・第2鉛直調整プレート」の一例に相当し、押上ネジ孔841が本発明の「第1・第2押上ネジ孔」の一例に相当する。
【0104】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、脱落防止部材7l、7rの取付先は、エアターンバー6u、6lに限られず、筐体5であってもよい。
【0105】
また、支持周面611と脱落防止周面711との位置関係は、図7Bの例に限られず、例えばこれらは面一でもよい。
【0106】
また、位置決め機構Jにおいて、位置調整部8をY2側に設けて、回転支持部9をY1側に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、長尺帯状の基材の記録面に塗布された水性のインクを乾燥させる技術の全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0108】
3…乾燥装置
31m…中段搬送部
31l…
6u…エアターンバー
6l…エアターンバー
7l…脱落防止部材
7r…脱落防止部材
J…位置決め機構
8…位置調整部
9…回転支持部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11