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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139842
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】ダンパ装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/134 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
F16F15/134 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045574
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】上原 宏
(57)【要約】
【課題】浸炭処理をすることなく、ストッパ機構の損傷を抑制する。
【解決手段】ダンパ装置100は、第1回転体20と、第2回転体23と、弾性部材24とを備えている。第1回転体20は、当接面215を有する。当接面215は、周方向を向くとともに径方向に延びている。第2回転体23は、第1回転体20と相対回転可能に配置される。第2回転体23は、径方向に延びるストッパ面235を有する。ストッパ面235は、周方向において当接面215と間隔をあけて対向する。弾性部材24は、第1回転体20と第2回転体23とを弾性的に連結する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向を向くとともに径方向に延びる当接面を有する第1回転体と、
周方向において前記当接面と間隔をあけて対向するとともに径方向に延びるストッパ面を有し、前記第1回転体と相対回転可能に配置される第2回転体と、
前記第1回転体と前記第2回転体とを弾性的に連結する弾性部材と、
を備える、
ダンパ装置。
【請求項2】
前記第1回転体は、前記第2回転体に対して軸方向の第1側に配置される第1プレートと、前記第2回転体に対して軸方向の第2側に配置される第2プレートと、を有し、
前記第2回転体は、軸方向において前記第1プレートと前記第2プレートとの間に配置される、
請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項3】
前記第1プレートは、第1プレート本体と、前記第1プレート本体の外周部から前記第2プレートに向かって軸方向に延びる連結部と、前記連結部の先端部から径方向外側に延びる取付部と、を有し、
前記取付部は、前記当接面を有する、
請求項2に記載のダンパ装置。
【請求項4】
前記第2プレートは、軸方向において前記第1プレート側に突出する突出部を有し、
前記取付部は、前記突出部に取り付けられる、
請求項3に記載のダンパ装置。
【請求項5】
前記取付部は、前記連結部に対して、周方向において前記ストッパ面側に突出している、
請求項3又は4に記載のダンパ装置。
【請求項6】
前記第1プレート本体に取り付けられる摩擦プレートと、
前記摩擦プレートに対して軸方向の第1側に配置される環状の第1サイドプレートと、
前記摩擦プレートに対して軸方向の第2側に配置される環状の第2サイドプレートと、
軸方向において前記第2サイドプレートと前記摩擦プレートとの間に配置されるプレッシャプレートと、
前記第2サイドプレートと前記プレッシャプレートとの間に配置され、前記プレッシャプレートを前記摩擦プレートに向けて付勢する付勢部材と、
をさらに備える、
請求項3から5のいずれかに記載のダンパ装置。
【請求項7】
前記第2サイドプレートは、前記取付部に対して径方向外側に配置され、径方向視において前記取付部と重複するように配置される、
請求項6に記載のダンパ装置。
【請求項8】
前記付勢部材は、前記連結部に対して径方向外側に配置され、径方向視において前記連結部と重複するように配置される、
請求項6又は7に記載のダンパ装置。
【請求項9】
前記第2回転体は、径方向外側に突出するストッパ部を有し、
前記ストッパ部は、前記ストッパ面を有する、
請求項1から8のいずれかに記載のダンパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダンパ装置は、コイルスプリングによって、エンジンからのトルク変動を吸収して減衰するように構成されている。具体的には、ダンパ装置は、第1回転体、第2回転体、及びこれらを弾性的に連結する複数のコイルスプリングを有している。また、摩擦材によってヒステリシストルクを発生させるダンパ装置も提案されている。
【0003】
第1回転体と第2回転体は、互いに相対回転する。この第1回転体と第2回転体との相対回転を所定の角度範囲内に規制するために、ストッパ機構が設けられている。例えば、特許文献1のダンパ装置では、サイドプレートが径方向に延びるストッパ凸部を有しており、ハブプレートが軸方向に延びるストッパ係止片を有している。このストッパ凸部とストッパ係止片とが当接することによって、サイドプレートとハブプレートとは互いにそれ以上相対回転することが規制される。この結果、各コイルスプリングの過剰圧縮を回避している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-226572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように構成されたダンパ装置において、ストッパ凸部とストッパ係止片とが衝突することによって損傷しないように、サイドプレート及びハブプレートは、浸炭処理が行われている。しかしながら、低コスト化などの観点より、浸炭処理を廃止することが要望されている。そこで、本発明の課題は、浸炭処理をすることなく、ストッパ機構の損傷を抑制することができるダンパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある側面に係るダンパ装置は、第1回転体と、第2回転体と、弾性部材とを備えている。第1回転体は、当接面を有する。当接面は、周方向を向くとともに径方向に延びている。第2回転体は、第1回転体と相対回転可能に配置される。第2回転体は、径方向に延びるストッパ面を有する。ストッパ面は、周方向において当接面と間隔をあけて対向する。弾性部材は、第1回転体と第2回転体とを弾性的に連結する。
【0007】
この構成によれば、当接面がストッパ面と当接することによって、第1回転体と第2回転体とが所定の角度範囲を超えて相対回転することを規制する。そして、この当接面とストッパ面とは、ともに径方向に延びているため、従来のように当接面とストッパ面とが異なる方向に延びている構成に比べて、当接面とストッパ面との接触面積が大きくなる。この結果、当接面及びストッパ面に掛かる面圧が小さくなるため、浸炭処理をしなくても、ストッパ機構の損傷を抑制することができる。
【0008】
好ましくは、第1回転体は、第1プレートと第2プレートとを有する。第1プレートは、第2回転体に対して軸方向の第1側に配置される。第2プレートは、第2回転体に対して軸方向の第2側に配置される。第2回転体は、軸方向において第1プレートと第2プレートとの間に配置される。
【0009】
好ましくは、第1プレートは、第1プレート本体と、連結部と、取付部とを有する。連結部は、第1プレート本体の外周部から第2プレートに向かって軸方向に延びる。取付部は、連結部の先端部から径方向外側に延びる。取付部は、当接面を有する。
【0010】
好ましくは、第2プレートは、軸方向において第1プレート側に突出する突出部を有する。取付部は、突出部に取り付けられる。
【0011】
好ましくは、取付部は、連結部に対して、周方向においてストッパ面側に突出している。
【0012】
好ましくは、ダンパ装置は、摩擦プレートと、第1及び第2サイドプレートと、プレッシャプレートと、付勢部材とをさらに備えている。摩擦プレートは、第1プレート本体に取り付けられる。第1サイドプレートは、摩擦プレートに対して軸方向の第1側に配置される。第1サイドプレートは環状である。第2サイドプレートは、摩擦プレートに対して軸方向の第2側に配置される。第2サイドプレートは、環状である。プレッシャプレートは、軸方向において第2サイドプレートと摩擦プレートとの間に配置される。付勢部材は、第2サイドプレートとプレッシャプレートとの間に配置される。付勢部材は、プレッシャプレートを摩擦プレートに向けて付勢する。
【0013】
好ましくは、第2サイドプレートは、取付部に対して径方向外側に配置される。第2サイドプレートは、径方向視において取付部と重複するように配置される。
【0014】
好ましくは、付勢部材は、連結部に対して径方向外側に配置される。付勢部材は、径方向視において連結部と重複するように配置される。
【0015】
好ましくは、第2回転体は、径方向外側に突出するストッパ部を有する。ストッパ部は、ストッパ面を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、浸炭処理をすることなく、ストッパ機構の損傷を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ダンパ装置の正面図。
図2図1のII-II線断面図。
図3】第1プレートの正面図。
図4】ハブフランジの正面図。
図5】ストッパ機構を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[全体構成]
図1は、本実施形態に係るダンパ装置100の正面図であり、図2は、図1のII-II線断面図である。なお、図1において、トルクリミッタユニットは取り外されている。図2において、O-O線はダンパ装置100の回転軸である。以下の説明において、特に断りのない限り、「回転」とは、回転軸O周りの回転を意味する。図2において、ダンパ装置100の左側にエンジン(動力源の一例)が配置され、右側に電動機や変速装置等を含む駆動ユニットが配置される。
【0019】
なお、以下の説明において、軸方向とは、ダンパ装置100の回転軸Oが延びる方向である。そして、軸方向の第1側は図2の左側を意味し、軸方向の第2側は図2の右側を意味する。すなわち、軸方向の第2側は、出力側を意味し、軸方向の第1側は入力側を意味する。また、周方向とは、回転軸Oを中心とした円の周方向であり、径方向とは、回転軸Oを中心とした円の径方向である。なお、周方向とは、回転軸Oを中心とした円の周方向に完全に一致している必要はなく、また、径方向とは、回転軸Oを中心とした円の直径方向に完全に一致している必要はない。
【0020】
図1及び図2に示すように、ダンパ装置100は、フライホイール110と駆動ユニットの入力シャフト111との間に設けられている。ダンパ装置100は、フライホイール110に対して、軸方向の第2側に配置されている。ダンパ装置100は、フライホイール110に取り付けられている。すなわち、ダンパ装置100の軸方向の第1側の面は、フライホイール110によってカバーされている。そして、ダンパ装置100は、エンジンと駆動ユニットとの間で伝達されるトルクを制限するとともに、回転変動を減衰するように構成されている。ダンパ装置100は、ダンパユニット2と、トルクリミッタユニット5と、を有している。
【0021】
[トルクリミッタユニット5]
トルクリミッタユニット5は、フライホイール110に取り付けられるように構成されている。トルクリミッタユニット5は、ダンパユニット2に対して径方向外側に配置されている。トルクリミッタユニット5は、フライホイール110とダンパユニット2との間で伝達されるトルクを制限するように構成されている。
【0022】
トルクリミッタユニット5は、第1サイドプレート51、第2サイドプレート52、プレッシャプレート53、コーンスプリング54(付勢部材の一例)、第1摩擦材55a、第2摩擦材55b、及び摩擦プレート56を有している。
【0023】
<第1サイドプレート>
第1サイドプレート51は、環状である。第1サイドプレート51は、フライホイール110に取り付けられる。すなわち、第1サイドプレート51は、フライホイール110からトルクが伝達される。第1サイドプレート51は、摩擦プレート56に対して、軸方向の第1側に配置されている。
【0024】
第1サイドプレート51は、外周部511と内周部512とを有する。外周部511は、フライホイール110に取り付けられている。内周部512は、外周部511に対して軸方向の第1側に配置されている。第1サイドプレート51は、内周部512において、コーンスプリング54による付勢力を受けている。
【0025】
<第2サイドプレート>
第2サイドプレート52は、環状である。第2サイドプレート52は、摩擦プレート56に対して、軸方向の第2側に配置されている。第2サイドプレート52は、リベット(図示省略)などによって、第1サイドプレート51に固定されている。このため、第2サイドプレート52は、第1サイドプレート51と一体的に回転する。
【0026】
第2サイドプレート52は、第1サイドプレート51と軸方向において間隔をあけて配置されている。詳細には、第2サイドプレート52は、外周部521と、内周部522とを有する。そして、第2サイドプレート52の内周部522は、第1サイドプレート51の内周部512と軸方向において間隔をあけて配置される。なお、第2サイドプレート52の外周部521は、第1サイドプレート51の外周部511と接触している。
【0027】
第2サイドプレート52の外径は、第1サイドプレート51の外径よりも小さい。なお、第2サイドプレート52の外径は、第1サイドプレート51の外径と同じであってもよいし、大きくてもよい。第2サイドプレート52の内径は、第1サイドプレート51の内径よりも大きい。第2サイドプレート52の板厚は、第1サイドプレート51の板厚よりも薄い。
【0028】
第2サイドプレート52は、後述する取付部214に対して径方向外側に配置される。そして、第2サイドプレート52は、径方向視において、取付部214と重複するように配置されている。
【0029】
<摩擦プレート>
摩擦プレート56は、環状である。摩擦プレート56は、後述する第1及び第2プレート21,22と一体的に回転するように構成されている。摩擦プレート56は、第1プレート21に取り付けられている。詳細には、摩擦プレート56は、後述する第1プレート本体212に、リベット101によって取り付けられている。
【0030】
摩擦プレート56は、第1プレート21に対して、軸方向の第1側に配置されている。摩擦プレート56は、第1プレート21よりも薄い。摩擦プレート56は、軸方向において、第1サイドプレート51と第2サイドプレート52との間に配置されている。
【0031】
<摩擦材>
第1及び第2摩擦材55a、55bは、環状である。第1摩擦材55aは、軸方向において、摩擦プレート56と第1サイドプレート51との間に配置されている。第2摩擦材55bは、軸方向において、摩擦プレート56と第2サイドプレート52との間に配置されている。詳細には、第2摩擦材55bは、軸方向において、摩擦プレート56とプレッシャプレート53との間に配置されている。
【0032】
第1及び第2摩擦材55a、55bは、摩擦プレート56に取り付けられている。第1摩擦材55aは、第1サイドプレート51と摩擦係合する。また、第2摩擦材55bは、プレッシャプレート53と摩擦係合する。所定値以上のトルクが入力されると、第1摩擦材55aは、第1サイドプレート51と摺動し、第2摩擦材55bは、プレッシャプレート53と摺動する。この結果、第1サイドプレート51と摩擦プレート56とは相対回転する。なお、第1摩擦材55aは、第1サイドプレート51に固定されており、摩擦プレート56と摩擦係合していてもよい。また、第2摩擦材55bは、プレッシャプレート53に固定されており、摩擦プレート56と摩擦係合していてもよい。
【0033】
<プレッシャプレート>
プレッシャプレート53は、環状である。プレッシャプレート53は、軸方向において、第2サイドプレート52と摩擦プレート56との間に配置されている。詳細には、プレッシャプレート53は、軸方向において、第2摩擦材55bとコーンスプリング54との間に配置されている。
【0034】
<コーンスプリング>
コーンスプリング54は、軸方向において、第2サイドプレート52とプレッシャプレート53との間に配置されている。コーンスプリング54は、プレッシャプレート53を軸方向の第1側に向かって付勢している。すなわち、コーンスプリング54は、プレッシャプレート53を摩擦プレート56に向けて付勢している。これにより、プレッシャプレート53と第1サイドプレート51とによって、摩擦プレート56、並びに第1及び第2摩擦材55a、55bを挟み込む。
【0035】
コーンスプリング54は、後述する連結部213に対して径方向外側に配置されている。そして、コーンスプリング54は、径方向視において連結部213と重複するように配置されている。
【0036】
[ダンパユニット2]
ダンパユニット2は、入力回転体20(第1回転体の一例)、ハブフランジ23(第2回転体の一例)、及び複数の弾性部材24を有している。また、ダンパユニット2は、ヒス発生機構25及び複数の締結部26を有している。ダンパユニット2は、回転変動を減衰するように構成されている。
【0037】
<入力回転体>
入力回転体20は、エンジンからの動力が入力される。詳細には、エンジンからの動力がトルクリミッタユニット5を介して入力回転体20に伝達される。入力回転体20は、回転可能に配置されている。
【0038】
入力回転体20は、第1及び第2プレート21,22を有している。第1及び第2プレート21、22は、ともに中心孔を有する環状の部材である。
【0039】
<第1プレート>
第1プレート21は、ハブフランジ23に対して軸方向の第1側に配置されている。第2プレート22は、ハブフランジ23に対して軸方向の第2側に配置されている。第1プレート21と第2プレート22とは、軸方向において互いに間隔をあけて配置されている。また、第1プレート21及び第2プレート22は、ハブフランジ23に対して、軸方向に間隔をあけて配置されている。第1プレート21と第2プレート22とは、互いに一体的に回転する。また、第1プレート21と第2プレート22とは、軸方向に相対的に移動不能である。
【0040】
図3は、第1プレート21を軸方向の第2側から見た正面図である。図3に示すように、第1プレート21は、複数の第1窓部211を有している。なお、本実施形態では、第1プレート21は、4つの第1窓部211を有している。各第1窓部211は、周方向において間隔をあけて配列している。
【0041】
図2及び図3に示すように、第1プレート21は、第1プレート本体212と、複数の連結部213と、複数の取付部214とを有している。なお、本実施形態では、第1プレート21は、4つの連結部213と、4つの取付部214とを有している。
【0042】
第1プレート本体212は、環状である。連結部213は、第1プレート本体212の外周部から軸方向の第2側に延びている。すなわち、連結部213は、第1プレート本体212の外周部から第2プレート22に向かって軸方向に延びている。各連結部213は、周方向において、間隔をあけて配置されている。
【0043】
取付部214は、連結部213の先端部から径方向外側に延びている。なお、連結部213の先端部とは、連結部213の軸方向第2側端部を意味する。各取付部214は、周方向において、間隔をあけて配置されている。
【0044】
取付部214は、当接面215を有している。なお、本実施形態では、取付部214は、一対の当接面215を有している。すなわち、取付部214は、第1当接面215aと、第2当接面215bとを有している。
【0045】
第1及び第2当接面215a、215bは、周方向を向いている。詳細には、第1当接面215aは、第1回転方向R1を向いており、第2当接面215bは、第2回転方向R2を向いている。ここで第1回転方向R1とは、エンジンからの動力によってダンパ装置100が回転する方向を意味する。第2回転方向R2とは、第1回転方向と逆の回転方向を意味する。図3の反時計回りが第1回転方向R1であり、図3の時計回りが第2回転方向R2である。
【0046】
当接面215は、径方向に延びている。このため、当接面215は、軸方向の寸法よりも径方向の寸法の方が大きい。
【0047】
取付部214は、連結部213よりも、周方向の寸法が大きい。このため、取付部214は、連結部213に対して、周方向において、後述するストッパ面235側に突出している。詳細には、取付部214は、連結部213に対して、第1回転方向R1側に突出する。また、取付部214は、連結部213に対して、第2回転方向R2側にも突出する。なお、取付部214は、第2回転方向R2側には突出していなくてもよい。
【0048】
<第2プレート>
図1に示すように、第2プレート22は、複数の第2窓部221を有している。なお、本実施形態では、第2プレート22は、4つの第2窓部221を有している。各第2窓部221は、周方向において間隔をあけて配列している。各第2窓部221は、軸方向視において、各第1窓部211と重複する位置に配置されている。
【0049】
図1及び図2に示すように、第2プレート22は、複数の突出部222を有している。なお、本実施形態では、第2プレート22は、4つの突出部222を有している。
【0050】
第2プレート22は、環状である。突出部222は、第2プレート22の外周端部に配置されている。突出部222は、第2プレート22のうち、軸方向において第1プレート21側に突出する部分である。すなわち、突出部222は、軸方向の第1側に突出している。なお、第2プレート22のうち、軸方向視において、取付部214と重複する部分が軸方向の第1側に突出している。すなわち、突出部222は、軸方向視において、取付部214と重複している。
【0051】
突出部222は、周方向において、後述するストッパ面235と対向していないが、ストッパ面235と対向していてもよい。各突出部222は、周方向において、間隔をあけて配置されている。
【0052】
突出部222は、軸方向視において、取付部214と重複するように配置されている。そして、取付部214は、締結部26によって突出部222に取り付けられている。締結部26は、例えばリベットである。
【0053】
<ハブフランジ>
図2及び図4に示すように、ハブフランジ23は、入力回転体20からのトルクを出力側の装置に伝達するように構成されている。ハブフランジ23は、入力回転体20と相対回転可能に配置されている。
【0054】
ハブフランジ23は、ハブ部231、フランジ部232、及び複数の収容孔233を有している。ハブ部231とフランジ部232とは、1つの部材によって一体的に構成されているが、別部材によって構成されていてもよい。
【0055】
ハブ部231は筒状であり、第1及び第2プレート21、22の中心孔内に配置されている。ハブ部231の内周部には、軸方向に延びるスプライン孔が形成されている。このスプライン孔に出力側の部材である入力シャフト111がスプライン係合可能である。
【0056】
フランジ部232は、ハブ部231の外周面から径方向に延びている。フランジ部232は、環状に形成されている。フランジ部232は、軸方向において、第1プレート21と第2プレート22との間に配置されている。
【0057】
収容孔233は、フランジ部232に形成されている。なお、本実施形態では、4つの収容孔233を有している。各収容孔233は、周方向において配列している。各収容孔233は、軸方向視において、各第1窓部211及び各第2窓部221と重複する位置に配置されている。
【0058】
ハブフランジ23は、複数のストッパ部234を有している。本実施形態では、ハブフランジ23は、4つのストッパ部234を有している。ストッパ部234は、フランジ部232の外周面から径方向外側に突出している。
【0059】
ストッパ部234は、ストッパ面235を有している。なお、本実施形態では、ストッパ部234は、一対のストッパ面235を有している。すなわち、取付部214は、第1ストッパ面235aと、第2ストッパ面235bとを有している。
【0060】
第1及び第2ストッパ面235a、235bは、第1及び第2当接面215a、215bと同じ方向に延びている。詳細には、第1及び第2ストッパ面235a、235bは、径方向に延びている。このため、第1及び第2ストッパ面235a、235bは、軸方向の寸法よりも径方向の寸法の方が大きい。
【0061】
図5は、ストッパ機構を示すためのダンパ装置の側面図である。なお、図5では、図解を容易にするため、入力回転体20及びハブフランジ23以外の部材の記載を省略している。図4及び図5に示すように、第1及び第2ストッパ面235a、235bは、周方向を向いている。詳細には、第1ストッパ面235aは、第2回転方向R2を向いている。そして、第1ストッパ面235aは、周方向において、第1当接面215aと間隔をあけて対向している。このため、入力回転体20がハブフランジ23に対して第1回転方向に相対回転すると、第1当接面215aは第1ストッパ面235aと当接する。このように、第1当接面215aが第1ストッパ面235aと当接することによって、ハブフランジ23に対する入力回転体20の第1回転方向R1への相対回転が規制される。なお、第1ストッパ面235aは、突出部222とは当接しないが、当接してもよい。この第1ストッパ面235aと第1当接面215aによって、第1回転方向R1におけるストッパ機構が構成されている。
【0062】
第2ストッパ面235bは、第1回転方向R1を向いている。そして、第2ストッパ面235bは、周方向において、第2当接面215bと間隔をあけて対向している。このため、入力回転体20がハブフランジ23に対して第2回転方向R2に相対回転すると、第2当接面215bは第2ストッパ面235bと当接する。このように、第2当接面215bが第2ストッパ面235bと当接することによって、ハブフランジ23に対する入力回転体20の第2回転方向R2への相対回転が規制される。なお、第2ストッパ面235bは、突出部222とは当接しないが、当接してもよい。この第2ストッパ面235bと第2当接面215bによって、第2回転方向R2におけるストッパ機構が構成されている。
【0063】
<弾性部材>
図1及び図2に示すように、弾性部材24は、入力回転体20とハブフランジ23とを回転方向に弾性的に連結するように構成されている。弾性部材24は、例えば、コイルスプリングである。
【0064】
弾性部材24は、フランジ部232の収容孔233に収容されている。また、弾性部材24は、第1プレート21の第1窓部211に収容されるとともに、第2プレート22の第2窓部221にも収容されている。
【0065】
<ヒス発生機構>
ヒス発生機構25は、入力回転体20と、ハブフランジ23とが相対回転したときに、ヒステリシストルクを発生させるように構成されている。
【0066】
[動作]
エンジンからフライホイール110に伝達されたトルクは、トルクリミッタユニット5を介してダンパユニット2に入力される。ダンパユニット2では、入力回転体20にトルクが入力され、このトルクは、弾性部材24を介してハブフランジ23に伝達される。そして、ハブフランジ23から、入力シャフト111を介して、出力側の電動機、発電機、変速機等に動力が伝達される。
【0067】
また、例えば、エンジン始動時においては、出力側からエンジンに過大なトルクが伝達される場合がある。このような場合は、トルクリミッタユニット5によってエンジン側に伝達されるトルクが所定値以下に制限される。
【0068】
[変形例]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。また、下記の変形例は同時に適用することができる。
【0069】
(a)上記実施形態では、入力回転体20を第1回転体の一例とし、ハブフランジ23を第2回転体の一例として説明したが、ダンパ装置の構成はこれに限定されない。例えば、ハブフランジ23を第1回転体とし、入力回転体20を第2回転体とすることができる。この場合、入力回転体20にストッパ部を形成し、ハブフランジ23に連結部及び取付部を形成する。
【0070】
(b)上記実施形態では、入力回転体20は、第1プレート21と第2プレート22とを有していたが、入力回転体20の構成はこれに限定されない。例えば、入力回転体20は、第1プレート21のみを有しており、第2プレート22を有していなくてもよい。
【0071】
(c)上記実施形態では、ダンパ装置100は、第1及び第2当接面215a、215bと、第1及び第2ストッパ面235a、235bとを有していたが、ダンパ装置100の構成はこれに限定されない。例えば、ダンパ装置100は、第1当接面215aと第1ストッパ面235aとを有し、第2当接面215bと第2ストッパ面235bとを有していなくてもよい。または、ダンパ装置100は、第2当接面215bと第2ストッパ面235bとを有し、第1当接面215aと第1ストッパ面235aとを有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0072】
20 :入力回転体
21 :第1プレート
212 :第1プレート本体
213 :連結部
214 :取付部
215 :当接面
222 :突出部
234 :ストッパ部
235 :ストッパ面
22 :第2プレート
23 :ハブフランジ
24 :弾性部材
51 :第1サイドプレート
52 :第2サイドプレート
53 :プレッシャプレート
56 :摩擦プレート
100 :ダンパ装置
図1
図2
図3
図4
図5