(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139912
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】画像形成装置およびそれに用いられるモータの制御パラメータ決定方法
(51)【国際特許分類】
H02P 29/00 20160101AFI20230927BHJP
G05B 13/02 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
H02P29/00
G05B13/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045686
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】白木 朋代
【テーマコード(参考)】
5H004
5H501
【Fターム(参考)】
5H004GA03
5H004GA27
5H004GB20
5H004HA08
5H004HB08
5H004KC48
5H501AA04
5H501GG03
5H501GG11
5H501JJ03
5H501JJ04
5H501JJ17
5H501KK06
5H501LL01
(57)【要約】
【課題】立ち上がり応答の過渡特性まで実機測定することにより、実機のモータ制御に適正な制御パラメータを適用可能とする。
【解決手段】回転情報を出力する1以上のモータと、各モータのフィードバック制御により画像形成に係る動作を行い、各モータの制御特性を判定するために対象のモータの測定用動作を実行するモータ制御部と、測定用動作の判定に用いる判定基準およびその判定に応じて適用する制御パラメータを格納するパラメータ格納部と、何れかのモータの代替品または後継品が提供される場合に、パラメータ格納部に格納された判定基準を、代替品または後継品を含めた判定基準に更新し、パラメータ格納部に代替品または後継品に応じた制御パラメータを追加するパラメータ更新部と、を備え、モータ制御部は、更新された判定基準を適用して対象のモータに適用する制御パラメータを決定する画像形成装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転情報を出力する1以上のモータと、
各モータのフィードバック制御により画像形成に係る動作を行い、各モータの制御特性を判定するために対象のモータの測定用動作を実行するモータ制御部と、
前記測定用動作の判定に用いる判定基準およびその判定に応じて適用する制御パラメータを格納するパラメータ格納部と、
何れかのモータの代替品または後継品が提供される場合に、前記パラメータ格納部に格納された判定基準を、前記代替品または後継品を含めた判定基準に更新し、前記パラメータ格納部に前記代替品または後継品に応じた制御パラメータを追加するパラメータ更新部と、を備え、
前記モータ制御部は、更新された判定基準を適用して対象のモータに適用する制御パラメータを決定する画像形成装置。
【請求項2】
前記パラメータ更新部は、何れかのモータの負荷である部品の代替品または後継品が提供される場合に、前記パラメータ格納部に格納された判定基準を、前記代替品または後継品を含めた判定基準に更新し、必要に応じて前記パラメータ格納部に前記代替品または後継品に応じた制御パラメータを追加し、
前記モータ制御部は、更新された判定基準を適用し対象のモータに適用する制御パラメータを決定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
各モータが直流モータであり、
前記モータ制御部は、前記測定用動作として、測定対象のモータに実質的に所定の直流電圧を印加してそのモータの立ち上がり応答および整定後の回転速度を測定する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記モータ制御部は、前記測定用動作におけるモータの立ち上がり応答として、起動してから所定の回転速度に達するまでに要する時間を測定する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記モータ制御部は、前記測定用動作におけるモータの立ち上がり応答として、停止状態から予め定められた一定の電圧を印加し起動してから所定の期間が経過した時点の回転速度を測定する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記モータ制御部は、前記測定用動作におけるモータの立ち上がり応答として、起動後に予め定められた第1の回転速度に達してから予め定められた第2の回転速度に達するまでに要する時間を測定する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記モータ制御部は、前記測定用動作におけるモータの立ち上がり応答として、起動後に予め定められた第1の回転速度に達してから所定の期間が経過した時点の回転速度を測定する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置の動作を制御するプロセッサが、
回転情報を出力する1以上のモータをフィードバック制御して画像形成に係る動作を行うステップと、
各モータの制御特性を判定するために対象のモータの測定用動作を実行するステップと、
何れかのモータの代替品または後継品が提供される場合に、前記測定用動作の判定に用いる判定基準およびその判定に応じて適用する制御パラメータを予め格納するパラメータ格納部に格納された判定基準を、前記代替品または後継品を含めた判定基準に更新し、前記パラメータ格納部に前記代替品または後継品に応じた制御パラメータを追加するステップと、を備え、
更新された判定基準を適用して対象のモータに適用する制御パラメータを決定するモータの制御パラメータ決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置およびそれに用いられるモータの制御パラメータ決定方法に関し、モータの代替品または後継品が提供される場合に代替品または後継品に応じた制御パラメータを決定する手法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、画像形成や用紙搬送に係る機構を駆動するため1以上のモータが使用される。近年、画像形成装置の高機能化や静音化の要求に伴い、また小型モータの高性能化、低コスト化が進んだことに伴い、多数のモータを用いて動力伝達機構を単純化する傾向にある。小型、高出力で高精度の制御が可能なモータの代表例がDCモータである。中でも長寿命で電気ノイズの少ないブラシレスモータが多用されている。一般に、ブラシレスモータは、マイクロプロセッサ等を用いて所定の回転速度を得るようにフィードバック制御を行う。そのフィードバック制御には、高い精度の定常特性、安定した過渡特性を得るために適正な制御パラメータが必要とされる。
適正な制御パラメータは、負荷の状態で異なるが、モータの機種によっても大きく異なる。
【0003】
一般に、画像形成装置の特定の機種で特定の箇所に用いられるモータの機種は設計者が決めており、修理交換を行う場合は、補修パーツとして提供される同一機種のモータに交換する。さらに、スケールメリットによる低コスト化と保守の容易化のために、一つの画像形成装置に用いられる複数のモータの共通化が図られている。条件に大差がなければ、共通のモータに共通の制御パラメータが適用できるので、モータ制御に係る設計効率も高められる。
しかし、特定の用途や機種では、DCモータの製造バラツキによる性能のバラツキを補償するために、DCモータランクの選別を行い、ランクに応じた制御を決定するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、災害等によるサプライチェーン寸断のリスクを軽減すべく二社あるいは複数社購買の動きがある。また、部品であるモータのライフサイクルも以前に比べて短くなる傾向がある。部品であるモータの中には半導体をはじめとする様々な部品が使用されており、それらのライフサイクルの短縮化や納入先の変更に起因するライフサイクルの変化である。
画像形成装置に搭載されたモータに故障等が発生すると交換が必要となる。交換が必要となった時点で、同一仕様のモータが生産終了になっていることが起こり得る。後継機種や類似機種が入手可能であればまだしも、モータの製造元自体が既に存在せず、後継機種や類似機種が入手不可能な事態も起こり得る。
【0006】
そのような状況の下、代替品を使うケース、あるいは使わざるを得ないケースが生じる。しかし、同一の電圧を印加すると同一の回転速度が得られるモータ、即ち同一のゲイン特性のモータがあるとしても、その回転速度に到達するまでの時間(立ち上がり応答の過渡特性)まで同じものは稀である。異なる過渡特性のモータに同一の制御パラメータを適用すると、オーバーシュート等が発生したり回転速度が不安定になったりして、画像形成装置の品質に影響が生じ得る。
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、定常ゲイン特性の測定に留まらず、立ち上がり応答の過渡特性まで実機測定することにより、実機のモータ制御に適正な制御パラメータを適用可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、回転情報を出力する1以上のモータと、各モータのフィードバック制御により画像形成に係る動作を行い、各モータの制御特性を判定するために対象のモータの測定用動作を実行するモータ制御部と、前記測定用動作の判定に用いる判定基準およびその判定に応じて適用する制御パラメータを格納するパラメータ格納部と、何れかのモータの代替品または後継品が提供される場合に、前記パラメータ格納部に格納された判定基準を、前記代替品または後継品を含めた判定基準に更新し、前記パラメータ格納部に前記代替品または後継品に応じた制御パラメータを追加するパラメータ更新部と、を備え、前記モータ制御部は、更新された判定基準を適用して対象のモータに適用する制御パラメータを決定する画像形成装置を提供する。
【0008】
また、異なる観点からこの発明は、画像形成装置の動作を制御するプロセッサが、回転情報を出力する1以上のモータをフィードバック制御して画像形成に係る動作を行うステップと、各モータの制御特性を判定するために対象のモータの測定用動作を実行するステップと、何れかのモータの代替品または後継品が提供される場合に、前記測定用動作の判定に用いる判定基準およびその判定に応じて適用する制御パラメータを予め格納するパラメータ格納部に格納された判定基準を、前記代替品または後継品を含めた判定基準に更新し、前記パラメータ格納部に前記代替品または後継品に応じた制御パラメータを追加するステップと、を備え、更新された判定基準を適用して対象のモータに適用する制御パラメータを決定するモータの制御パラメータ決定方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
この発明による画像形成装置は、何れかのモータの代替品または後継品が提供される場合に、パラメータ格納部に格納された判定基準を更新し必要に応じてその代替品または後継品に応じた制御パラメータを追加するパラメータ更新部を備え、モータ制御部は測定用動作を実行して対象のモータに適用する制御パラメータを決定できるので、何れかのモータとして前記代替品または後継品が装着されても適正な制御パラメータを適用したフィードバック制御が可能である。
この発明によるモータの制御パラメータ決定方法も同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】この実施形態による画像形成装置としての複合機の構成を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す複合機の制御および搬送駆動に係る構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示す複合機に装着されたモータと代替品のゲイン特性の例を示すグラフである。
【
図4】
図3に示すモータAの立ち上がり応答および整定後の回転速度のグラフならびに特性指標を示す説明図である。
【
図5】
図4に示でモータの特性指標の定義を示す説明図である。
【
図6】
図3に示すモータBの立ち上がり応答および整定後の回転速度のグラフならびに特性指標を示す説明図である。
【
図7】
図3に示すモータAに最適化された制御パラメータを適用してモータAのフィードバック制御を行う場合の立ち上がり応答の例を示すグラフである。
【
図8】
図3に示すモータAに最適化された制御パラメータを適用してモータBのフィードバック制御を行う場合の立ち上がり応答の例を示すグラフである。
【
図9】この実施形態において、パラメータ更新部として制御部が実行する処理の例を示すフローチャートである。
【
図10】この実施形態において、モータ制御部として制御部が実行する処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
(実施の形態1)
≪画像形成装置の構成例≫
図1は、この発明の画像形成装置の一実施形態であるデジタル複合機の機構的構成を示す断面図である。
図2は、複合機100の制御および搬送駆動に係る構成を示すブロック図である。
【0012】
図1および
図2に示すように、複合機100は、原稿を読み取る画像読取部111、ユーザーの操作を受け付ける操作部105(
図2参照)、通信回路107および画像形成を行う印刷部115を本体に有している。操作部105は、操作者に装置の状態や設定を知らせて指示を受け付ける。通信回路107は、制御部101が外部の機器と通信できるようにする。
さらに、印刷部115の下側に給紙トレイ18を有している。印刷部115の上側かつ画像読取部111の下側に排出トレイ39を有する。
本体の上に、原稿を読取り部に搬送する原稿搬送ユニット103を備えている。
また、複合機100は、動作を制御する制御部101を備える(
図2参照)。
【0013】
ここで、
図1に示す複合機100の本体の内部構成について述べておく。
複合機100は電子写真プロセスによりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の4色のトナー画像を形成し、それらを重ね合わせて印刷シートにカラー画像を印刷する。あるいは、単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像を印刷シートに印刷する。このため、現像ユニット12、感光体ドラム13、帯電器14およびドラムクリーナー15等が、それぞれ4個ずつ設けられている。感光体ドラム13、帯電器14、ドラムクリーナー15は、一体で着脱可能なプロセスユニットとして構成されている。プロセスユニット30の下方には、各色に対応する感光体ドラム13にポリゴンミラー11Mで偏光されたレーザービームを走査露光させる光走査ユニット11が配置されている。
【0014】
複合機100は、色毎のプロセスユニット30y、30m、30c、30kを有するが、
図1では、イエローのプロセスユニット30yの構成要素にだけ符号を付し、他の色については省略している。プロセスユニットについても、代表符号を用いてプロセスユニット30と表記する場合がある。代表符号を用いた説明は、Y、M、C、Kの各色に適用されると解されるべきである。
【0015】
プロセスユニット30の上方には、各色に対応するトナー収容ユニット27が配置されている。現像ユニット12やトナー収容ユニット27もプロセスユニット30と同様に色毎のユニットが存在するが、イエローのユニットのみに符号を付し他の色は省略している。トナー収容ユニット27は、補給ローラ27Rおよび補給ローラ27Rのある位置へトナーを掻き揚げるスクリュー27Sを有する。
【0016】
複合機100は、光走査ユニット11へ入力信号を生成する画像処理回路41をさらに備えている(
図2を参照)。画像処理回路41は、画像読取部111が読み取った原稿の画像データを処理して感光体ドラム13の露光パターンに係る露光データを生成する。露光データは感光体ドラム13の表面に形成する静電潜像のパターンに対応する。
図2に示す制御部101の制御下で、ドラムクリーナー15によるクリーニング、帯電器14による帯電、光走査ユニット11による露光、現像ユニット12による現像の電子写真プロセスを経て感光体ドラム13にY,M,C,Kの何れかのトナー画像が形成されるように制御する。
【0017】
感光体ドラム13にY,M,C,Kに形成されたトナー画像は、中間転写ベルト21を介した1次転写ローラ16によって中間転写ベルト21に重ねて転写される。制御部101は、各色の感光体ドラム13の回転と同期させて中間転写ベルト21を駆動し、中間転写ベルト21上に転写されたトナー画像を2次転写ユニット23と接する位置へ送る。制御部101は、2次転写ユニット23を駆動し、給紙トレイ18等から給送される印刷シートに中間転写ベルト21のトナー画像を転写する。
【0018】
制御部101は、2次転写ユニット23によってトナー画像が転写された印刷シートを、定着ユニット17へ搬送する。定着ユニット17の加熱ローラR11は、対向する加圧ローラとの間を通過する印刷シートを加熱および加圧して、印刷シートに転写されたトナー画像を印刷シートに定着させる。制御部101は、定着ユニット17を駆動する。
【0019】
制御部101は、定着ユニット17を通過した印刷シートを排出トレイ39へ排出させる。あるいは、排紙ローラR13で一端スイッチバックさせて排紙ローラR14を経て右側面部にある第2の排出トレイへ排出させる。あるいはまた、スイッチバックさせた印刷シートを両面搬送ローラR15、R16、R17が配された両面搬送路へ導き、2次転写ユニット23が配された転写部へ戻す。そして、印刷シートの裏面側にトナー画像を転写し、定着ユニット17を経て排出トレイ39へ印刷シートを排出させる。
【0020】
図2に示すように、制御部101は、ハードウェア資源としてプロセッサ121、RAM122、不揮発性メモリ123等のデバイスを含む。不揮発性メモリ123は、パラメータ格納部129を含み、書き換え可能に制御プログラムやデータを格納する。プロセッサ121が不揮発性メモリ123に予め格納された制御プログラムを実行し、ハードウェア資源と協働することによって、モータ制御部125やパラメータ更新部127としての制御部101の機能が実現される。
図2に示す印刷部115のブロックに、主として用紙搬送に係る駆動源としてのモータおよび各モータが駆動する負荷(ローラ等)を示している。
図1に各負荷の配置を符号で示している(各モータは
図1に不図示)。
【0021】
図2に示すように、給紙モータ52は、給紙ローラR01、ピックアップローラR02および分離ローラR03を駆動する。なお、ピックアップローラR02は、給紙ソレノイド50がオンすると降下して給紙トレイ18に収容されている最上の印刷シートに接触し、給紙ローラR01と分離ローラR03の間へその印刷シートを送り出す。
搬送モータ54は、搬送ローラR04、R05、R06およびR07を駆動する。レジストモータ56は、レジストローラR08を駆動する。定着モータ60は、2次転写駆動ローラR09、中間転写駆動ローラR10、定着ユニット17の加熱ローラR11および搬送ローラR12を駆動する。
【0022】
さらに、排紙モータ64は、排紙ローラR13を逆転可能に駆動する。両面搬送モータ62は、両面搬送ローラR15、R16およびR17を駆動する。
なお、用紙搬送に係るものではないが、画像形成に係る現像モータ58は、現像ユニット12およびプロセスユニット30を駆動する。また、
図2に図示しない印刷部115のモータもいくつか存在する。例えば、光走査ユニット11のポリゴンミラー11Mを回転駆動するモータや各色のトナー収容ユニット27に収容されたトナーを対応する現像ユニット12に補給する際にスクリュー27Sおよび補給ローラ27Rを駆動するトナーモータなどがある。
【0023】
≪モータ代替品の導入例≫
続いて、複合機100のモータAの代替品としてモータBを導入する例について述べる。具体的には、市場に設置されている複合機100のレジストモータ56を交換する場合を例に挙げて説明する。他のモータについても同様である。市場に設置された複合機の補修に限らず、製造工程に代替品を導入する場合についても同様である。
【0024】
図3は、当初から複合機100に装着されているモータAと代替品であるモータBのゲイン特性(モータへの印加電圧(平均電圧)に対する回転速度)を示すグラフである。この実施形態において、モータAおよびモータBは、回転速度を出力するように構成されている。モータ制御部125は、出力される回転速度を用いて対象のモータをフィードバック制御する。また、モータ制御部125は、公知の駆動回路により24Vの直流電圧をオンオフすることでモータに印加する平均電圧を変えている。
図3の横軸が(平均)電圧値でなくオンオフのデューティー比(電圧DUTY)であるのはそのためである。モータへの印加電圧は電圧DUTYに比例する。0%の電圧DUTYは0Vの印加電圧に対応し、100%の電圧DUTYは24Vの印加電圧に対応する。
図3に示すようにモータAはモータBに比べて電圧DUTYの変化に対する回転速度の変化が緩やかである。即ち、ゲインが小さい。
【0025】
図4は、モータAの立ち上がり応答および整定後の回転速度を示すグラフである。さらに、立ち上がり応答および整定後のグラフに基づきモータAの特性を表す数値(特性指標)を示している。
図4に示す2つのグラフのうち上のグラフは制御部101が、横軸の時間が0の時点まで0%、以降47.5%で一定の電圧DUTYをレジストモータ56であるモータAに印加していることを示している。その下のグラフは、上のグラフに対応する各時点でのモータAの回転速度を示している。整定後の平均回転速度(目標回転速度)は2575rpmである。
【0026】
図4に示すモータAの特性値のうち、ゲイン係数は、印加電圧の1V当たりの変化に対する回転速度の変化を示す。なお、測定は実負荷の状態、即ちレジストモータ56であるモータAがレジストローラR08を駆動する状態で行う。これに限らず、無負荷で測定を行ってもよい。
例えば、レジストローラR08と対向する従動ローラのみを回転させる構成の場合、負荷の影響は小さく実負荷での測定と無負荷での測定とは、モータA、Bの特性の違いに比べると大差ない。
【0027】
レジストローラR08は、中間転写ベルト21上のトナー画像と印刷シートを同期させるためのローラであるから、ローラの停止、起動を速やかに行うことが必要とされる。よって、負荷の慣性および定常負荷の大きさに対して駆動力に十分余裕のあるモータが選択される。中間転写ベルトの駆動や用紙搬送についても、トナー画像や印刷シートの移動を高い精度で制御する必要があるので、負荷の大きさに対して駆動力に十分余裕のあるモータが選択される。
【0028】
モータの特性指標について述べておく。応答特性の1要素として示す無駄時間は、
図5に示すように制御部101が電圧を印加してからモータAが回転を始めるまでの時間である。また、機械時定数は、モータAが回転を始めてから目標回転速度の63.2%に達するまでの時間である。一方、特定回転速度(
図4に示すでは2000rpm)への到達時間は、無駄時間を含む。
【0029】
図6は、モータBの立ち上がり応答および整定後の回転速度を示すグラフである。モータAに係る
図4のグラフに対応するものである。モータAと同じ目標回転速度に整定後のモータBの電圧DUTYは、35%である。さらに、立ち上がり応答および整定後のグラフに基づきモータBの特性指標を示している。
図6に示すモータBの特性は、
図4に示すモータAの特性と、ゲイン係数、立ち上がり応答の何れも異なっている。
【0030】
図7は、モータAに最適化された制御パラメータを適用してフィードバック制御を行う場合の立ち上がり応答の例を示している。制御パラメータの具体例として、例えば古典制御理論に基づくフィードバック制御では、フィードバックゲイン(過渡応答に対するゲインとして定常ゲインと異なる値(過渡ゲイン)を用いることもある)やフィードバックに係るフィルタ特性などが挙げられる。また、例えばPID制御を行う場合は、比例要素(P)、積分要素(I)、微分要素(D)の大きさおよび比率などが挙げられる。その他、公知のフィードバック制御に係る制御パラメータが適用可能である。
【0031】
図7の上側のグラフはフィードバック制御を行う場合の電圧DUTYの推移を示している。
図4がモータAに一定の電圧DUTYを印加しているのに対して、
図7に示すフィードバック制御では、立ち上がりをより早くするために制御部101は起動時に大きめの電圧DUTYとしている。一方、立ち上がり後はオーバーシュートを抑制するために電圧DUTYを抑えている。そして、整定後は
図4と同様にほぼ一定の電圧DUTYとしている。
【0032】
それに対応して回転速度は、
図4よりも急峻に立ち上がった後、目標回転速度をやや過ぎてから速やかに目標回転速度に収束し、その後は略一定の回転速度を保っている。
図8は、
図7に示すフィードバック制御においてモータAの制御に用いた制御パラメータをモータBに対して適用した場合の立ち上がり応答の波形例を示すグラフである。モータAの立ち上がり応答と異なり、
図8に示すモータBの立ち上がり応答は回転が目標回転速度を超えてオーバーシュートした後、目標回転速度へ向けて回転速度を下げるがその目標速度を下回ってアンダーシュートを起こす。そのアンダーシュートの後に目標回転速度へ向けて回転速度を上げるが、再びオーバーシュートを起こす。
【0033】
このように、オーバーシュートとアンダーシュートを繰り返した後に整定するので、
図7に比べると整定までに時間を要し、不安定である。モータBの立ち上がり応答を、
図7に示す波形に類似した迅速なものとするには、モータBに好適な制御パラメータを決定し適用する必要がある。
一般に、制御対象のモータが与えられると、設計者は実測によりそのモータに好適な制御パラメータを決定する。未知の特性のモータに好適な制御パラメータを予め用意しておくことは現実的な対応とはいえず、例え用意してもそのモータに好適なパラメータを選択できる保証がない。そのような実情から、既知の特性のモータ(既存のモータ)については各モータに適用する制御パラメータのみを予めパラメータ格納部129に格納している。
【0034】
従って、モータAと代替品のモータBが何れも複合機100の製造当初から導入されている場合は、何れのモータの制御パラメータも予めパラメータ格納部129に格納されているものとする。即ち、設計者は、モータAおよびモータBに対応する制御パラメータをパラメータ格納部129に格納させておく。
パラメータ格納部129は、既存の各モータの制御に適用する制御パラメータを測定用動作の判定に用いる判定基準と共に格納する。モータ制御部125として制御部101は、例えば操作部105を介して測定用動作のモードで特定のモータ(例えば、レジストモータ56)を動作させる要求を受付けると、対象のモータに対して測定用動作を行うように制御する。
測定用動作は、具体的には
図4および
図6に示すように、所定の電圧DUTYを対象のモータに印加して立ち上がり応答および整定後の回転速度を取得する。それに基づいて、
図4および
図6に示すゲイン係数と立ち上がり応答に係る特性値、例えば、機械時定数を求める。
【0035】
前記判定基準は、そのようにして測定用動作により求められたモータの特性指標に基づき、パラメータ格納部129に格納されている何れの制御パラメータを制御に適用するかを判定する基準である。即ち、モータ制御部125は、パラメータ格納部129に格納されている各モータの特性の違いに基づいて、例えば測定用動作で得られたゲイン係数が第1の範囲に属し機械時定数が第2の範囲に属する場合はモータAと判定し、それ以外の場合はモータBと判定する。そして、判定に応じた制御パラメータを以降の制御に適用する。
【0036】
市場に設置された複合機100のレジストモータ56を交換する場合、交換を行うサービスエンジニア等の作業者は、モータを交換した後に複合機100の操作部105を介してレジストモータ56の測定用動作を行わせるようにモータ制御部125に指示をする。なお、操作部105を介した指示に代えて、たとえば複合機100が備える通信回路107を介してスマートフォン等の情報処理端末から指示を行ってもよい。モータ制御部125は、その指示を受け付けると、
図4や
図6に示すようにレジストモータ56に測定用動作を行わせる。そして、装着されたモータの特性を得る。そして、パラメータ格納部129に格納された判定基準に照らし、パラメータ格納部129に格納されている制御パラメータのうち対象のレジストモータ56に好適なものを決定する。以降のレジストモータ56の制御に、決定した好適な制御パラメータを適用する。
【0037】
一方、当初はモータAのみが複合機100に適用され、後日モータBが代替品として提供される場合もある。即ち、当初はモータAの特性のみが既知であって、モータBは未知である。モータBの特性は事後的に測定により明らかになる。
その場合、複合機100のパラメータ格納部129には、既存のモータAに好適な制御パラメータのみが格納されている。
【0038】
設計者は、事後的に代替品であるモータBの導入が決定されると、モータBを市場に導入する準備を行う。具体的には、試作のモータBを複合機100に装着して測定用動作を行い、新たなモータBに好適な制御パラメータを決定する。それと共に、既に複合機100に使用されている既存のモータとを測定用動作により判別する判定基準を決定する。
【0039】
この例で、既存のモータはモータAのみであるが、先行する代替品を含めて複数の機種が使用されている場合もある。新たな判定基準は、既存のモータが複数機種存在する場合にその判別に用いられている現行の判定基準を置き換えるものである。即ち、既存のモータに係る判定基準に影響を与える。例えば、モータAの代替品が提供される前は、既存のモータであるモータAに係る判定基準は測定用動作の結果が如何なるものであってモータAに対応する制御パラメータをレジストモータ56に適用するものである。しかし、代替品のモータBが提供されることになると、例えば測定用動作で得られたゲイン係数が第1の範囲に属する場合はモータAと判定し、第2の範囲に属する場合はモータBと判定する。よって、新たな判定基準は既存のモータAにも影響する。
【0040】
モータBに対応する制御パラメータおよび判定基準を決定すると、モータBが提供される前に、あるいはそれと同時に、パラメータ格納部129に格納されている制御パラメータおよび判定基準を更新する必要がある。
【0041】
この実施形態においてモータBは、製造工程だけでなく市場にも保守部品として提供される。そのような状況に対応するのが、複合機100の制御部101が備えるパラメータ更新部127である。
パラメータ更新部127は、例えば外部の機器から通信回路107を介して更新された制御パラメータおよび判定基準を受信し、パラメータ格納部129に格納されているそれらの内容を更新する。通信回路107に限らず、例えば
図2に不図示のデータ取得用の接続端子を介して外部の機器からデータを取得してもよい。
【0042】
この例では、代替品であるモータBに対応する制御パラメータを取得してパラメータ格納部129に格納する。さらにモータBの提供に対応した判定基準を取得してパラメータ格納部129に格納されている判定基準を更新する。
パラメータ格納部129に格納されている制御パラメータおよび判定基準の更新が完了した後、作業者はレジストモータ56を交換する。交換を終えたら、作業者はレジストモータ56の測定用動作を行わせるようにモータ制御部125に指示をする。その後は、上述したものと同様である。
【0043】
≪フローチャート≫
以上に述べた制御部101の処理をフローチャートに沿って説明する。
図9および
図10は、この実施形態において制御部101がモータの制御パラメータの決定および適用に関して実行する処理を示すフローチャートである。
図9は、主としてパラメータ更新部127としての処理を示している。
図10は、主としてモータ制御部125としての処理を示している。
【0044】
図9に示すように、パラメータ更新部127として制御部101は、パラメータ格納部129に格納された制御パラメータの追加および判定基準の更新に係る指示を受けると(ステップS11のYes)、提供される制御パラメータおよび判定基準のデータを取得する(ステップS13)。
データの取得が完了したら(ステップS15のYes)、制御部101は、取得した制御パラメータをパラメータ格納部129に格納して追加する。場合によっては、既に格納されている制御パラメータを更新することもあり得る。例えば、前の機種と似た特性の後継機種に対応するために、共通の特性パラメータを用いる場合である。さらに、取得した新たな判定基準でパラメータ格納部129に格納されている判定基準を置き換えて更新する(ステップS17)。
以上が、パラメータ更新部127としての処理である。
【0045】
続いて、モータ制御部125としての制御部101の測定用動作に係る処理について述べる。
図10に示すように、モータ制御部125として制御部101は、作業者から測定用動作を開始するように指示を受けると(ステップS21のYes)、機構的に支障がない限り他のモータを停止させた状態で、指定されたモータの測定用動作を実行する(ステップS23)、
図4や
図6に示すようなものである。測定用動作を実行する間、制御部101は、対象のモータの回転速度の推移をデータとして記録する(ステップS25)。測定用動作の終了まで記録を続ける(ステップS27のNoを経てステップS25へ戻るループ)。一例として、制御部101は、回転が一定の速度に達して安定してから所定の期間が経過すると測定用動作を終了させる。
【0046】
測定用動作が終了したら(ステップS27のYes)、制御部101は、測定された回転速度のデータと、パラメータ格納部129に格納されている判定基準とに基づいて、パラメータ格納部129に格納されている制御パラメータのうち対象のモータに好適な制御パラメータを決定する(ステップS29)。そして、決定した制御パラメータを対象のモータの以降の制御に適用する(ステップS31)。
以上が、モータ制御部125として制御部101が実行する、測定用動作およびそれに基づく制御パラメータの決定に係る処理の例である。
【0047】
(実施の形態2)
立ち上がり応答の特性指標として、実施の形態1では機械時定数を代表例に挙げた。しかし、それに限らず他の特性指標を用いて立ち上がり応答の特性を判定してもよい。
例えば、
図5に示す無駄時間を用いて判定を行うようにしてもよい。また、対象のモータに電圧を印可してから特定の回転速度(
図5の例では2000rpm)に達するまでの時間を用いて判定を行ってもよい。あるいは、第1の特定回転数(例えば、500rpm)から第2の特定回転数(例えば、2000rpm)に達する迄の時間を用いて判定を行ってもよい。また、それらの特性指標のうち複数を組み合わせて判定してもよい。
【0048】
(実施の形態3)
実施の形態1において、モータ制御部125は、測定用動作により測定された回転速度のデータと、パラメータ格納部129に格納されている判定基準とに基づいて、対象のモータに好適な制御パラメータを決定すると述べた。
それに対して、この実施形態では、判定基準に基づいて複数の制御パラメータの候補をまず決定し、それらの候補の中から好適なパラメータを決定してもよい。詳細には、各候補を適用したフィードバック制御を行って立ち上がり応答の測定をさらに行い、測定した立ち上がり応答に基づいて各候補の中から最適なパラメータを決定する。
【0049】
最適なパラメータの基準としては、立ち上がり後の整定が最も早いものを選択すればよい。すなわち、オーバーシュートやアンダーシュートを経て、目標の回転速度に対する誤差があらかじめ定められた所定の範囲に収束するものを最適な制御パラメータであるとすればよい。
最適な制御パラメータの決定は、立ち上がり応答時の回転速度の推移に基づいてモータ制御部125が決定してもよい。あるいは、各候補の立ち上がり応答時の回転速度の推移を示す波形(
図7、
図8を参照)を操作部105に表示させ、操作部105を介して操作者の選択を受け付けるようにしてもよい。
【0050】
以上に述べたように、
(i)この発明による画像形成装置は、回転情報を出力する1以上のモータと、各モータのフィードバック制御により画像形成に係る動作を行い、各モータの制御特性を判定するために対象のモータの測定用動作を実行するモータ制御部と、前記測定用動作の判定に用いる判定基準およびその判定に応じて適用する制御パラメータを格納するパラメータ格納部と、何れかのモータの代替品または後継品が提供される場合に、前記パラメータ格納部に格納された判定基準を、前記代替品または後継品を含めた判定基準に更新し、前記パラメータ格納部に前記代替品または後継品に応じた制御パラメータを追加するパラメータ更新部と、を備え、前記モータ制御部は、更新された判定基準を適用して対象のモータに適用する制御パラメータを決定することを特徴とする。
【0051】
この発明において、モータの回転情報は、回転速度を得ることができる情報である。その具体的な態様として、例えば、エンコーダやホール素子等から出力されるロータの位置、即ち回転の位置に応じた信号が挙げられる。
また、フィードバック制御は、回転情報を用いてそれぞれの時点におけるモータの回転を目標とする位置や速度に制御するものである。
さらにまた、モータの制御特性は、フィードバック制御における制御精度や安定性に関する特性である。その具体的な態様として、例えば、定常ゲイン特性、過渡応答特性などが挙げられる。
【0052】
測定用動作は、各モータ制御特性を測定するために実行する個別の動作である。その具体的な態様として、例えば、画像形成装置の製造工程における作業者や保守点検を行う作業者の指示に基づきモータ制御部が通常の画像形成動作と異なるモードで対象のモータを作動させる機能が挙げられる。
また、モータ制御部は、画像形成装置の各部の動作を制御し、各モータの測定用動作を制御するものである。その具体的な態様として、例えば、ハードウェア資源としてプロセッサおよびメモリを中心に構成される回路、およびソフトウェア資源として前記プロセッサが実行する処理プログラムで構成されるものが挙げられる。
【0053】
さらにまた、制御パラメータは、フィードバック制御においてモータの制御特性に影響する要素である。その具体的な態様として、例えば、古典フィードバック理論に基づく制御ではゲイン(定常ゲイン、過渡ゲイン)やフィードバックに係るフィルタ特性などが挙げられる。また、例えばPID制御では、比例要素(P)、積分要素(I)、微分要素(D)の大きさおよび比率などが挙げられる。
判定基準は、測定用動作による測定結果に基づき、モータの特性を例えば、初期モデルと1以上の代替品または後継品の何れとするかを判定する基準である。例えば、その判定に基づきモータ制御部は、対象のモータに初期モデル用の制御パラメータを適用するか代替品用の制御パラメータを適用するかを決定する。
【0054】
また、代替品は、初期モデルと異なる制御特性を有するが初期モデルの代わりに用いられるものである。初期モデルと代替品は、市場であるいは製造工程で混在し得る。
さらにまた、後継品は、例えば部品の製造終了や設計変更などの理由で初期モデルを置換するモータであって、初期モデルと異なる制御特性を有するモータである。初期モデルと後継品は、市場であるいは製造工程で混在し得る。
生産用とは、画像形成装置の製造工程に供給されるものである。交換用とは、市場にある画像形成装置の保守部品として供給されるものである。
【0055】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
(ii)前記パラメータ更新部は、何れかのモータの負荷である部品の代替品または後継品が提供される場合に、前記パラメータ格納部に格納された判定基準を、前記代替品または後継品を含めた判定基準に更新し、必要に応じて前記パラメータ格納部に前記代替品または後継品に応じた制御パラメータを追加し、前記モータ制御部は、更新された判定基準を適用し対象のモータに適用する制御パラメータを決定してもよい。
この態様によれば、モータの代替品または後継品でなく制御に影響する負荷の部品の代替品または後継品が提供される場合にも、適正な制御パラメータを適用したフィードバック制御ができる。即ち、パラメータ格納部に格納され測定用動作に適用される判定基準を更新しかつ必要に応じて制御パラメータを追加することにより、その代替品または後継品が装着されても適正な制御パラメータを適用したフィードバック制御ができる。
【0056】
(iii)測定対象のモータが直流モータであり、前記モータ制御部は、前記測定用動作として、測定対象のモータに実質的に所定の直流電圧を印加してそのモータの立ち上がり応答および整定後の回転速度を測定してもよい。
この態様によれば、測定用動作として所定の電圧を印加してモータの立ち上がり応答および整定後の回転速度を測定して適正な制御パラメータを決定できる。
【0057】
(iv)前記モータ制御部は、前記測定用動作におけるモータの立ち上がり応答として、起動してから所定の回転速度に達するまでに要する時間を測定してもよい。
この態様によれば、立ち上がり応答として起動してから所定の回転速度に達するまでの時間を測定して適正な制御パラメータを決定できる。
【0058】
(v)前記モータ制御部は、前記測定用動作におけるモータの立ち上がり応答として、停止状態から予め定められた一定の電圧を印加し起動してから所定の期間が経過した時点の回転速度を測定してもよい。
この態様によれば、立ち上がり応答として起動してから所定の期間が経過した時点の回転速度を測定して適正な制御パラメータを決定できる。
【0059】
(vi)前記モータ制御部は、前記測定用動作におけるモータの立ち上がり応答として、起動後に予め定められた第1の回転速度に達してから予め定められた第2の回転速度に達するまでに要する時間を測定してもよい。
この態様によれば、立ち上がり応答として起動後第1回転速度に達してから第2回転速度に達するまでの時間を測定して適正な制御パラメータを決定できる。
【0060】
(vii)前記モータ制御部は、前記測定用動作におけるモータの立ち上がり応答として、起動後に予め定められた第1の回転速度に達してから所定の期間が経過した時点の回転速度を測定してもよい。
この態様によれば、立ち上がり応答として起動後第1回転速度に達してから所定の期間が経過した時点の回転速度を測定して適正な制御パラメータを決定できる。
【0061】
(viii)この発明の一態様は、画像形成装置の動作を制御するプロセッサが、回転情報を出力する1以上のモータをフィードバック制御して画像形成に係る動作を行うステップと、各モータの制御特性を判定するために対象のモータの測定用動作を実行するステップと、何れかのモータの代替品または後継品が提供される場合に、前記測定用動作の判定に用いる判定基準およびその判定に応じて適用する制御パラメータを予め格納するパラメータ格納部に格納された判定基準を、前記代替品または後継品を含めた判定基準に更新し、前記パラメータ格納部に前記代替品または後継品に応じた制御パラメータを追加するステップと、を備え、更新された判定基準を適用して対象のモータに適用する制御パラメータを決定するモータの制御パラメータ決定方法を含む。
【0062】
この発明の態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0063】
11:光走査ユニット、 11M:ポリゴンミラー、 12:現像ユニット、 13:感光体ドラム、 14:帯電器、 15:ドラムクリーナー、 16:1次転写ローラ、 17:定着ユニット、 18:給紙トレイ、 21:中間転写ベルト、 23:2次転写ユニット、 27:トナー収容ユニット、 27R:補給ローラ、 27S:スクリュー、 30,30y,30m,30c,30k:プロセスユニット、 39:排出トレイ、 41:画像処理回路、 50:給紙ソレノイド、 52:給紙モータ、 54:搬送モータ、 56:レジストモータ、 58:現像モータ、 60:定着モータ、 62:両面搬送モータ、 64:排紙モータ
100:複合機、 101:制御部、 103:原稿搬送ユニット、 105:操作部、 107:通信回路、 111:画像読取部、 115:印刷部、 121:プロセッサ、 122:RAM、 123:不揮発性メモリ、 125:モータ制御部、 127:パラメータ更新部、 129:パラメータ格納部
R01:給紙ローラ、 R02:ピックアップローラ、 R03:分離ローラ、 R04,R05,R06,R07,R12:搬送ローラ、 R08:レジストローラ、 R09:2次転写駆動ローラ、 R10:中間転写駆動ローラ、 R11:加熱ローラ、 R13,R14:排紙ローラ、 R15,R16,R17:両面搬送ローラ