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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139920
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/47 20060101AFI20230927BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20230927BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20230927BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
B41J2/47 101Z
G03G15/04 111
G03G21/16 166
H04N1/113
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045699
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 篤
(72)【発明者】
【氏名】朴 松煥
(72)【発明者】
【氏名】寺本 晃人
【テーマコード(参考)】
2C362
2H076
2H171
5C072
【Fターム(参考)】
2C362AA03
2C362BA04
2C362DA02
2H076AB05
2H076AB08
2H076AB12
2H076AB18
2H076EA11
2H076EA24
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA12
2H171GA13
2H171HA18
2H171HA19
2H171JA05
2H171JA43
2H171JA48
2H171KA04
2H171KA26
2H171QA02
2H171QA08
2H171QB03
2H171QB15
2H171QB32
2H171QC17
2H171QC22
2H171RA01
2H171RA03
2H171RA05
2H171RA08
2H171SA10
2H171SA15
2H171SA20
2H171SA22
2H171SA26
5C072AA03
5C072BA01
5C072BA05
5C072HA02
5C072HA08
5C072HA13
5C072HB08
5C072HB10
(57)【要約】
【課題】交換後の光走査装置の姿勢を効率的に調整することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】光を出射して被走査体を走査する光走査装置20と、光走査装置20を支持する支持体3と、を備えた画像形成装置であって、光走査装置20には、支持体3に対して光走査装置20を光の走査方向に直交する揺動軸線δ周りに揺動自在に支持する支軸25が設けられ、支軸25を支持する軸支持部材4と、支持体3に対して軸支持部材4を上下方向Zに位置決めする位置決め部材5と、を備え、位置決め部材5は、支持体3に固定され、軸支持部材4は、位置決め部材5に脱着可能に取り付けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射して被走査体を走査する光走査装置と、
前記光走査装置を支持する支持体と、を備えた画像形成装置であって、
前記光走査装置には、前記支持体に対して前記光走査装置を前記光の走査方向に直交する揺動軸線周りに揺動自在に支持する支軸が設けられ、
前記支軸を支持する軸支持部材と、
前記支持体に対して前記軸支持部材を上下方向に位置決めする位置決め部材と、を備え、
前記位置決め部材は、前記支持体に固定され、
前記軸支持部材は、前記位置決め部材に脱着可能に取り付けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記軸支持部材は、前記光走査装置の前記揺動軸線周りの傾きを調整可能に、前記支軸を支持することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記被走査体は、トナーパターンが形成可能な像担持体であり、
前記光走査装置を交換する際に、
交換前の前記光走査装置及び交換後の前記光走査装置をそれぞれ用いて形成した前記トナーパターンに基づいて、交換後の前記光走査装置が出射する光軸の適否を判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置であって、
前記トナーパターンは、前記像担持体の表面において、前記揺動軸線に対応する位置に形成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載の画像形成装置であって、
前記位置決め部材には、上下方向に延びる長穴状の第1締結穴と、前記第1締結穴の両側で上下方向に延びる長穴状の一対の第2締結穴と、が設けられ、
前記第1締結穴には、締結部材が挿通され、
前記一対の第2締結穴には、それぞれ、頭部、段差部及びネジ部を有する段付き締結部材が挿通され、
前記段付き締結部材の前記段差部は、前記一対の第2締結穴の内周側壁に当接することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置であって、
前記第1締結穴は、前記揺動軸線の近傍に配されたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1つに記載の画像形成装置であって、
前記軸支持部材は、前記位置決め部材において前記光走査装置の反対側に取り付けられており、前記光走査装置の反対側の方向へ倒れるのを阻止する外倒れ阻止部を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真方式の画像形成装置では、光を出射して感光体ドラム上で走査させる光走査装置が用いられている(例えば、特許文献1)。感光体ドラムに対する光走査装置からの光にズレが生じると、光走査が乱れて画質が劣化することがある。このため、光走査装置からの光のズレを低減するための光走査装置の姿勢調整手段が求められている。また、近年、画像形成装置においては、需要に伴ってコンパクト化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-92690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、市場において、サービスマンが光走査装置を交換することが想定され得る。しかしながら、近年のコンパクト化が図られた画像形成装置においては、例えば、光走査装置を上に持ち上げて取り出すための十分なクリアランスが設けられていない場合がある。このため、光走査装置の交換に困難を伴う虞がある。また、コンパクト化が図られた画像形成装置においても、新たに装着された交換後の光走査装置の姿勢の調整を、如何に効率化するかが重要な課題である。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、交換後の光走査装置の姿勢を効率的に調整することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願記載の画像形成装置は、光を出射して被走査体を走査する光走査装置と、前記光走査装置を支持する支持体と、を備えた画像形成装置であって、前記光走査装置には、前記支持体に対して前記光走査装置を前記光の走査方向に直交する揺動軸線周りに揺動自在に支持する支軸が設けられ、前記支軸を支持する軸支持部材と、前記支持体に対して前記軸支持部材を上下方向に位置決めする位置決め部材と、を備え、前記位置決め部材は、前記支持体に固定され、前記軸支持部材は、前記位置決め部材に脱着可能に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0007】
また、前記画像形成装置において、前記軸支持部材は、前記光走査装置の前記揺動軸線周りの傾きを調整可能に、前記支軸を支持してもよい。
【0008】
また、前記画像形成装置において、前記被走査体は、トナーパターンが形成可能な像担持体であり、前記光走査装置を交換する際に、交換前の前記光走査装置及び交換後の前記光走査装置をそれぞれ用いて形成した前記トナーパターンに基づいて、交換後の前記光走査装置が出射する光軸の適否を判定してもよい。
【0009】
また、前記画像形成装置において、前記トナーパターンは、前記像担持体の表面において、前記揺動軸線に対応する位置に形成されてもよい。
【0010】
また、前記画像形成装置において、前記位置決め部材には、上下方向に延びる長穴状の第1締結穴と、前記第1締結穴の両側で上下方向に延びる長穴状の一対の第2締結穴と、が設けられ、前記第1締結穴には、締結部材が挿通され、前記一対の第2締結穴には、それぞれ、頭部、段差部及びネジ部を有する段付き締結部材が挿通され、前記段付き締結部材の前記段差部は、前記一対の第2締結穴の内周側壁に当接してもよい。
【0011】
また、前記画像形成装置において、前記第1締結穴は、前記揺動軸線の近傍に配されてもよい。
【0012】
また、前記画像形成装置において、前記軸支持部材は、前記位置決め部材において前記光走査装置の反対側に取り付けられており、前記光走査装置の反対側の方向へ倒れるのを阻止する外倒れ阻止部を有してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、交換後の光走査装置の姿勢を効率的に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1における画像形成装置の構成を示す概略断面図である。
図2】実施形態1における光走査装置及びその周辺を示す概略斜視図である。
図3】実施形態1における光走査装置の内部構造を示す概略平面図である。
図4】軸支持部材及び位置決め部材を示す概略側面図である。
図5】光走査装置を支持体から取り外す手順を説明するための概略図である。
図6】新しい光走査装置を支持体に取り付ける手順を説明するための概略図である。
図7】新しい光走査装置の姿勢を調整する手順を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各実施形態の間で同一の構成要素には同一の符号を付し、それら構成要素について重複する説明は省略する。
【0016】
(実施形態1)
-画像形成装置の全体の構成-
先ず、実施形態1における画像形成装置1の全体の構成について説明する。
【0017】
図1は、実施形態1における画像形成装置1の構成を示す概略断面図である。
【0018】
画像形成装置1は、スキャナ機能、複写機能、プリンタ機能及びファクシミリ機能等を有する複合機であり、上部に設けられた画像読取装置110によって読み取られた原稿Gの画像を外部に送信し(スキャナ機能に相当する)、読み取られた原稿Gの画像又は外部から受信した画像を用紙Pに画像形成する(複写機能、プリンタ機能及びファクシミリ機能に相当する)。
【0019】
画像読取装置110の上側には、画像読取装置110に対して開閉自在に支持された原稿搬送装置108(ADF)が設けられている。原稿搬送装置108は、載置された原稿Gを画像読取装置110の上に自動で搬送する。画像読取装置110は、原稿搬送装置108から搬送された原稿Gや、読取台107の上に載置された原稿Gを読み取って画像データを生成する。
【0020】
画像形成装置1は、光走査装置20と、現像装置2と、感光体ドラム17(像担持体)と、ドラムクリーニング装置18と、帯電器19と、定着装置7と、用紙搬送経路S1と、給紙カセット15と、積載トレイ14と、を備えている(図1参照)。
【0021】
ドラムクリーニング装置18は、感光体ドラム17の表面の残留トナーを除去及び回収する。帯電器19は、感光体ドラム17の表面を所定の電位に均一に帯電させる。光走査装置20は、光を出射して被走査体である感光体ドラム17を走査し、感光体ドラム17の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置2は、感光体ドラム17の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム17の表面にトナー像を形成する。なお、光走査装置20については、後に詳しく説明する。
【0022】
転写ローラ10は、感光体ドラム17との間にニップ域が形成されており、用紙搬送経路S1を通じて搬送されて来た用紙Pをニップ域に挟み込んで搬送する。用紙Pは、ニップ域を通過する際に、感光体ドラム17の表面のトナー像が転写されて定着装置7に搬送される。
【0023】
定着装置7は、用紙Pを挟んで回転する定着ローラ7a及び加圧ローラ7bを備えている。定着装置7は、定着ローラ7a及び加圧ローラ7bの間にトナー像が転写された用紙Pを挟み込んで加熱及び加圧し、トナー像を用紙Pに定着させる。
【0024】
給紙カセット15は、画像形成に使用する用紙Pを蓄積しておくためのカセットである。用紙Pは、用紙ピックアップローラ11aによって給紙カセット15から引き出されて、用紙搬送経路S1を通じて搬送され、転写ローラ10や定着装置7を経由し、排紙ローラ12cを介して積載トレイ14へと搬出される。用紙搬送経路S1には、用紙Pを一旦停止させて、用紙Pの先端を揃えた後、感光体ドラム17と転写ローラ10との間のニップ域でのトナー像の転写タイミングに合わせて用紙Pの搬送を開始する用紙レジストローラ13、用紙搬送経路S1から反転搬送経路S2へ用紙Pの搬送を促す反転分岐ローラ12a及び排紙ローラ12cが配置されている。
【0025】
また、画像形成装置1では、用紙Pの表面だけでなく、裏面に画像形成を行う構成とされており、用紙Pを反転分岐ローラ12aから逆方向に搬送する反転搬送経路S2が設けられている。用紙Pは、表裏を反転させた状態で、反転搬送ローラ12bを通じて用紙レジストローラ13へ再度導かれ、表面と同様にして裏面に画像形成が行われた後、積載トレイ14へ搬出される。
【0026】
また、画像形成装置1の側面には、開放することで用紙Pを積載できる手差しトレイ16が設けられている。手差しトレイ16に積載された用紙Pは、手差しピックアップローラ11bによって搬送されて、用紙レジストローラ13へ導かれる。
【0027】
本実施の形態では、感光体ドラム17から用紙Pに直接トナー像が転写される構成としたが、これに限定されず、感光体ドラムから中間転写ベルトにトナー像を転写した後、中間転写ベルトから用紙Pにトナー像が転写されるベルト転写方式としてもよい。
【0028】
<光走査装置>
図2は、実施形態1における光走査装置20及びその周辺を示す概略斜視図である。図3は、実施形態1における光走査装置20の内部構造を示す概略平面図である。以下、説明において、光走査装置20の幅方向をW方向とし、光走査装置20による光の主走査方向をY方向とし、上下方向をZ方向とする。本実施形態において、幅方向Wは、主走査方向Yに沿っている。
【0029】
光走査装置20は、上方から視て略矩形状に形成された筐体20aと、筐体20a内に収容された各種光学部材と、を含む構成とされている(図3参照)。光走査装置20は、筐体20aの右側面20bに設けられた出射窓21から出射した光を走査させる。
【0030】
光走査装置20は、光学部材として、光源211(レーザーダイオード素子)、コリメータレンズ212、アパーチャー部材213、シリンドリカルレンズ214、光源用反射ミラー215、光偏向部70、fθレンズ231、ビーム検知用反射ミラー232、ビーム検知用レンズ233(集光レンズ)及びビーム検知部234(Beam Detectセンサ(BDセンサ))を有している(図3参照)。
【0031】
光源211は、光ビーム(レーザービーム)を出射する。コリメータレンズ212は、光源211からの光ビームを略平行光にしてアパーチャー部材213に照射する。アパーチャー部材213は、入射した光ビームを絞ってシリンドリカルレンズ214に照射する。シリンドリカルレンズ214は、入射した光ビームを収束して光源用反射ミラー215に照射する。光源用反射ミラー215は、光ビームを反射して光偏向部70の回転多面鏡73に集光させる。
【0032】
光走査装置20の筐体20aの底面には、光偏向部70が収まるように凹凸を設けて偏向収容部203が形成されている。偏向収容部203に出入りする光ビームが通過する部分には、透明な防塵ガラス235が設けられている。
【0033】
光偏向部70は、基板71と、基板71に取り付けられた回転多面鏡73と、回転多面鏡73の回転軸72とを有している。
【0034】
光偏向部70では、回転多面鏡73を回転させて、入射した光ビームを主走査方向Yに偏向走査する。光偏向部70で偏向走査された光ビームは、主走査方向Yに長尺な形状のfθレンズ231と、ビーム検知用反射ミラー232とに導かれる。
【0035】
fθレンズ231に入射した光ビームは、出射窓21を介して光走査装置20の外部へ出射される。ビーム検知用反射ミラー232に入射した光ビームは、反射されてビーム検知用レンズ233に入射する。ビーム検知用レンズ233は、光ビームをビーム検知部234に集光する。ビーム検知部234は、光走査装置20に取り付けられた検知基板240に設けられ、主走査の開始前のタイミングを示すビーム検知信号を出力する。
【0036】
なお、検知基板240には、光源211が接続されていてもよく、光源211を駆動する回路が設けられていてもよい。また、光走査装置20の筐体20aには、ビーム検知部234に向かう光ビームが通過する開口が設けられていてもよい。
【0037】
また、光走査装置20に収容される光学部材は、上記に限られず、用途に応じて適宜変更ないし追加されてもよい。光源211は、基板などに搭載されていてもよく、光源211の出射部が光走査装置20の一側面に設けた穴に挿入されるようにしてもよい。
【0038】
また、光走査装置20は、塵埃の侵入を防ぐように密閉されているが、隙間を塞いだ状態で部材の一部(例えば、回転多面鏡73の回転軸など)を露出させていてもよい。
【0039】
上記説明した光走査装置20には、支持体3に係止される係止部22と、支持体3に対して光走査装置20を主走査方向Yに直交する揺動軸線δ周りに揺動自在に支持する支軸25と、光走査装置20の揺動軸線δ周りの傾きを調整するための調整穴23,24と、光走査装置20の傾きを仕上げ調整するための仕上げ調整穴23aと、が設けられている(図2参照)。
【0040】
係止部22は、筐体20aにおいて、出射窓21が設けられた右側面20bから突出しており、支持体3の係止穴(図示しない)に係止される。
【0041】
支軸25は、筐体20aにおいて、出射窓21が設けられた右側面20bと対向する左側面20cから突出しており、光走査装置20の幅方向Wにおいて、略中央に位置している。本明細書において、「略中央」とは、所定の方向における厳密な中央を含むのは勿論のこと、中央から所定の範囲(例えば、所定の方向における全幅の10%程度中央からずれた領域)を含む概念である。支軸25は、基端側が細い細径部25aとされ、先端側が太い太径部25bとされ、細径部25aと太径部25bとの間が漸次拡径するテーパ部25cとされている。
【0042】
本実施形態において、光走査装置20の揺動軸線δは、係止部22と支軸25とを通っている。このため、揺動軸線δの方向は、支軸25の位置によって決まる。
【0043】
調整穴23,24は、出射窓21が設けられた側面と対向する側面に設けられている。調整穴23,24は、ともに、上下方向Zに延びる長穴状に形成されている。調整穴23は、幅方向Wにおける後側に設けられており、調整穴24は、幅方向Wにおける前側に設けられている。
【0044】
仕上げ調整穴23aは、調整穴23の前側に設けられている。仕上げ調整穴23aは、幅方向Wに延びる長穴状に形成されている。
【0045】
光走査装置20の姿勢は、被走査面である感光体ドラム17の表面との位置関係に対して、揺動軸線δの方向と、揺動軸線δ周りの傾きと、によって決まる。本明細書において、「姿勢」とは、空間における向きのことをいう。光走査装置20における揺動軸線δの方向及び揺動軸線δ周りの傾きに関しては、後に詳述する。
【0046】
画像形成装置1は、光走査装置20を支持する支持体3と、支軸25を支持する軸支持部材4と、支持体3に対して軸支持部材4を上下方向Zに位置決めする位置決め部材5と、をさらに備えている(図2参照)。続いて、これらの構成要素について順に説明する。
【0047】
<支持体>
支持体3は、上方から視て略矩形状に形成された底面部30と、幅方向Wにおける両側でそれぞれ底面部30から立設された立設リブ部31,32と、底面部30の左側端部で下方へ折り曲げて形成された折り曲げリブ部33と、を含む構成とされている(図2参照)。支持体3は、画像形成装置1の内の他の部分(図示しない)に取り付けられる。
【0048】
立設リブ部31は、幅方向Wにおける前側に設けられており、立設リブ部32は、幅方向Wにおける後側に設けられている。立設リブ部31,32には、光走査装置20の傾きを調整するための調整部材60,61が螺合可能な調整部材螺合穴34,35が設けられている。立設リブ部31には、さらに、調整部材螺合穴34の前側において、光走査装置20の傾きを仕上げ調整するための仕上げ調整部材62が螺合可能な仕上げ調整部材螺合穴36が設けられている。本実施形態において、調整部材60,61は、ビスであり、仕上げ調整部材62は、偏芯ビスである。仕上げ調整部材62の頭部は、光走査装置20における仕上げ調整穴23aの内周壁に当接する。
【0049】
支持体3の折り曲げリブ部33には、締結部材63~65が螺合可能な締結部材螺合穴37~39が設けられている。
【0050】
<軸支持部材>
図4は、軸支持部材4及び位置決め部材5を示す概略側面図である。
【0051】
軸支持部材4は、位置決め部材5に脱着可能に取り付けられている(図2図4参照)。本実施形態において、軸支持部材4は、位置決め部材5において光走査装置20の反対側に取り付けられている。軸支持部材4は、例えば、金属板等から形成されている。
【0052】
軸支持部材4は、側面視で略矩形状の外縁を有し、外縁の上縁から略U字状に切り欠かれた切欠部40を有している。切欠部40の開口は、光走査装置20における支軸25の太径部25bが通過可能な程度の幅を有している。軸支持部材4は、切欠部40で支軸25を支持する(図4参照)。
【0053】
軸支持部材4の下端部には、位置決め部材5に取り付けるための取付部41が設けられている(図2参照)。取付部41は、取付部材66を取り付けるための取付穴42と、取付穴42の両側方に配された位置決め穴43,44と、から構成されている。位置決め穴43,44は、ともに、幅方向Wに延びる長穴状に形成されている。本実施形態において、取付部材66は、ビスである。
【0054】
本実施形態において、軸支持部材4は、光走査装置20の反対側の方向へ倒れるのを阻止する外倒れ阻止部45,46を有している(図4参照)。外倒れ阻止部45,46は、それぞれ、位置決め部材5に係止可能な爪状に形成されている。外倒れ阻止部45,46によって軸支持部材4が光走査装置20の反対側の方向へ倒れる事態が阻止され、軸支持部材4が光走査装置20における支軸25を支持した状態を安定的に維持することができる。
【0055】
<位置決め部材>
位置決め部材5は、支持体3の折り曲げリブ部33に固定されており、幅方向Wにおいて、略中央に位置している(図2参照)。位置決め部材5は、例えば、合成樹脂等から形成されている。
【0056】
位置決め部材5は、側面視で略矩形状に形成された側面板50と、側面板50の外周縁を囲むように外側に向かって立設された外縁リブ50aと、外縁リブ50aの内部空間を前側から順番に6つの内部空間52a~52fに仕切る5つの仕切りリブ51a~51eと、を含む構成とされている(図4参照)。内部空間52b,52eは、軸支持部材4の外倒れ阻止部45,46から係止される部分であり、外倒れ阻止部45,46が係止可能な程度の幅を有している。内部空間52dにおいて、側面板50には、締結部材64を締結するための第1締結穴54が設けられている。第1締結穴54は、上下方向Zに延びる長穴状に形成されている。また、内部空間52a,52fにおいて、側面板50には、締結部材63,65を締結するための一対の第2締結穴53,55が設けられている。第2締結穴53,55は、第1締結穴54の両側に設けられ、いずれも、上下方向Zに延びる長穴状に形成されている。
【0057】
締結部材64は、位置決め部材5における第1締結穴54に挿通されて支持体3の締結部材螺合穴38に螺合されている(図2参照)。また、締結部材63,65は、位置決め部材5における第2締結穴53,55に挿通されて支持体3の締結部材螺合穴37,39に螺合されている。こうして、位置決め部材5は、支持体3に固定されている。
【0058】
第1締結穴54及び第2締結穴53,55が上下方向Zに延びる長穴状に形成されていることにより、位置決め部材5を上下方向Zにおける任意の位置で支持体3に固定可能となっている。すなわち、位置決め部材5を用いて、軸支持部材4を上下方向Zにおける任意の位置に位置決めすることができる。
【0059】
本実施形態において、第1締結穴54に挿通される締結部材64は、ビスであり、第2締結穴53,55に挿通される締結部材63,65は、頭部67、段差部68及びネジ部69を有する段付きビスである。締結部材63,65の段差部68は、第2締結穴53,55の内周側壁に当接する。これにより、位置決め部材5を支持体3に締結する際における位置決め部材5の位置ずれを抑制することができる。
【0060】
さらに、本実施形態において、第1締結穴54は、光走査装置20の揺動軸線δの近傍に配されている。本明細書において、「近傍」とは、10mm程度までの範囲を含む概念である。ところで、位置決め部材5を治具等で支持体3に位置決めした後に、締結部材64を第1締結穴54で締結する際に、位置決め部材5が締結部材64周りに微回転することにより揺動軸線δがずれることが懸念される。揺動軸線δのずれは、光走査装置20の姿勢に悪影響を及ぼし得る。ここで、第1締結穴54が揺動軸線δの近傍に配されていることにより、締結部材64周りにおける位置決め部材5の微回転による光走査装置20の姿勢への悪影響を抑制することができる。
【0061】
位置決め部材5の上端部には、軸支持部材4が取り付けられる被取付部56が設けられている(図2参照)。被取付部56は、幅方向Wにおいて略中央に配され取付部材66が螺合可能な取付部材螺合穴57と、軸支持部材4における位置決め穴43,44に挿通可能な円筒状の位置決めボス58,59と、から構成されている。位置決めボス58,59の外径は、位置決め穴43,44の内径に対してガタつき等の遊びがない程度に設定されている。すなわち、位置決め部材5における被取付部56は、支持体3に対して軸支持部材4を位置決めするという主要な役割を担っている。
【0062】
上記説明した位置決め部材5によって、軸支持部材4は、脱着前後で同じ位置に位置決めされる。換言すると、軸支持部材4で支持される支軸25は、位置決め部材5によって、軸支持部材4の脱着前後で同じ位置に位置決めされる。
【0063】
上記説明した軸支持部材4及び位置決め部材5は、光走査装置20の姿勢の調整、特に、光走査装置20を同形状の新しい光走査装置90に交換した後における、新しい光走査装置90の姿勢の調整に好適に用いられる。以下、光走査装置20を新しい光走査装置90に交換する手順及び新しい光走査装置90の姿勢を調整する手順を説明する。
【0064】
<光走査装置の交換手順>
図5は、光走査装置20を支持体3から取り外す手順を説明するための概略図である。図6は、新しい光走査装置90を支持体3に取り付ける手順を説明するための概略図である。なお、図5及び図6において、二点鎖線は、脱着前の軸支持部材4を示している。また、図6において、図示の都合上、切欠部40の図示を省略している。
【0065】
まず、図5に示すように、軸支持部材4を位置決め部材5から取り外す。このように、軸支持部材4が位置決め部材5に対して脱着可能であることにより、光走査装置20を水平外方向(+H方向)に引き出して、支持体3から取り外すことができる。すなわち、光走査装置20を上に持ち上げて取り出すための十分なクリアランスが設けられていない場合であっても、光走査装置20を容易に支持体3から取り外すことができる。
【0066】
次に、図6に示すように、新しい光走査装置90を水平内方向(-H方向)に支持体3へと導き入れて、支持体3に取り付ける。このとき、新しい光走査装置90の係止部22を支持体3に係止する。そして、新しい光走査装置90を上方向(+Z方向)に一時的に持ち上げて、軸支持部材4を再び位置決め部材5に取り付けた後に、新しい光走査装置90における支軸25を軸支持部材4の切欠部40内に降ろす。軸支持部材4は、位置決め部材5によって、取り外し前の元の位置に位置決めされる。こうして、光走査装置20が新しい光走査装置90に交換される。
【0067】
<新しい光走査装置の姿勢の調整手順>
図7は、新しい光走査装置90の姿勢を調整する手順を説明するための概略図である。なお、図7において、図示の都合上、調整部材60,61及び仕上げ調整部材62の図示を省略している。
【0068】
上記のように、軸支持部材4が位置決め部材5によって取り外し前の元の位置に位置決めされることにより、新しい光走査装置90における支軸25の位置は、交換前の光走査装置20における支軸25の位置と同じになる。すなわち、支軸25を通る揺動軸線δの方向は、光走査装置20の交換前後で同じである。これにより、新しい光走査装置90における揺動軸線δの方向の調整が不要になることから、新しい光走査装置90の揺動軸線δ周りの傾きを調整することで、新しい光走査装置90の姿勢を効率的に調整することができる。
【0069】
上記のように、軸支持部材4が、光走査装置20を揺動軸線δ周りに揺動自在に支持する支軸25を支持していることから、軸支持部材4は、光走査装置20の揺動軸線δ周りの傾きを調整可能に、支軸25を支持しているといえる。すなわち、軸支持部材4によって、新しい光走査装置90の揺動軸線δ周りの傾きを容易に調整することができる。そして、調整部材60,61を調整穴23,24に挿通させて、支持体3における調整部材螺合穴34,35に螺合させることにより、新しい光走査装置90の揺動軸線δ周りの傾きを定めることができる(図7参照)。
【0070】
さらに、仕上げ調整部材62を仕上げ調整穴23aに挿通させて、支持体3における仕上げ調整部材螺合穴36に螺合させることにより、新しい光走査装置90の傾きを微調整することができる。仕上げ調整部材螺合穴36に螺合する仕上げ調整部材62の頭部が仕上げ調整穴23aの内周壁に当接することにより、新しい光走査装置90が揺動軸線δ周りに微回転するようになっている。こうして、新しい光走査装置90の姿勢が調整される。
【0071】
本実施形態において、被走査体である感光体ドラム17の表面には、トナーパターンが形成される。トナーパターンは、プロセスコントロールに用いられるものであり、実際のトナーの濃度等に基づいて帯電電位、露光量等を含む各種設定値を補正する際のテスト用のトナー像として用いられるものである。そして、画像形成装置1は、交換前の光走査装置20及び交換後の新しい光走査装置90をそれぞれ用いて形成したトナーパターンに基づいて、交換後の新しい光走査装置90が出射する光軸の適否を判定する。具体例として、画像形成装置1は、光走査装置20及び新しい光走査装置90をそれぞれ用いて形成したトナーパターンを検知した時間に基づいて、新しい光走査装置90が出射する光軸の適否を判定する。これにより、新しい光走査装置90の姿勢の適否を容易に判定することができる。
【0072】
なお、支持体3に対する位置決め部材5の固定に用いられる締結部材63~65のと、位置決め部材5に対する軸支持部材4の取付に用いられる取付部材66との一方又は両方には、互いに識別可能なマーク等が施されていてもよい。これにより、例えば、市場において光走査装置20を交換する際に、誤って位置決め部材5を支持体3から取り外してしまう事態を回避することができる。
【0073】
また、支持体3に、光走査装置20における係止部22を支持する部材として、軸支持部材4及び位置決め部材5と同様の部材が設けられていてもよい。この場合、揺動軸線δの方向は、係止部22の位置及び支軸25の位置によって決まることになるが、新しい光走査装置90における揺動軸線δの方向の調整は、依然として不要であり、新しい光走査装置90の姿勢を効率的に調整することができる点に変わりはない。
【0074】
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2について、上記実施形態1とは異なる点についてのみ説明する。
【0075】
実施形態2において、被走査体である感光体ドラム17の表面には、トナーパターンが形成される。また、トナーパターンは、感光体ドラム17の表面において、揺動軸線δに対応する位置に形成される。具体的には、トナーパターンは、感光体ドラム17の表面において、揺動軸線δに対応する位置から光を投影した仮想投影軌跡上に形成される。
【0076】
ところで、上記実施形態1で説明したように、揺動軸線δの方向は、光走査装置20の交換前後で同じである。換言すると、光走査装置20の姿勢と新しい光走査装置90の姿勢とは、少なくとも、揺動軸線δの方向が共通している。また、感光体ドラム17の表面との位置関係に対して、揺動軸線δの方向が決められた状態においては、光走査装置20又は新しい光走査装置90の揺動軸線δ周りの傾き度合に関わらず、揺動軸線δに対応する位置から投影される光の向きは、光走査装置20及び新しい光走査装置90において同じとなる。
【0077】
従って、トナーパターンを揺動軸線δに対応する位置に形成することにより、光走査装置20が光を走査させる領域と、新しい光走査装置90が光を走査させる領域と、が重なる部分にトナーパターンが確実に形成されることから、光走査装置20を新しい光走査装置90に交換した後において、光走査装置20の性能と新しい光走査装置90の性能とをトナーパターンを用いて比較することができる。
【0078】
上記の実施形態及び実施例はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態及び実施例のみにより解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1 画像形成装置
17 感光体ドラム(像担持体)
20 光走査装置
22 係止部
25 支軸
3 支持体
4 軸支持部材
40 切欠部
45,46 外倒れ阻止部
5 位置決め部材
54 第1締結穴
53,55 第2締結穴
63,65 締結部材(段付き締結部材)
64 締結部材
90 新しい光走査装置
W 幅方向
Y 主走査方向
Z 高さ方向
δ 揺動軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7